(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】血流制限器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20240412BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20240412BHJP
【FI】
A61B17/12
A61F2/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561015
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 US2022023060
(87)【国際公開番号】W WO2022212850
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523374482
【氏名又は名称】スターライト・カーディオバスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】タング,ビバリー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ジュラビック,マーク
(72)【発明者】
【氏名】レブリング,ブラッド・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】オルソン,ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】デューリグ,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD01
4C097DD09
4C097EE06
4C097EE08
4C097EE09
4C097EE11
4C160DD03
4C160DD38
4C160DD70
(57)【要約】
血管内の流れを制限するためのデバイス、および上記デバイスを用いる方法であって、デバイスは、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部に配置され、そのサイズが、第1のサイズから第2のサイズまで調整可能である、第1の開口部と、第2の端部に配置され、第1の開口部よりも大きな断面積を有する第2の開口部と、第1の端部から第2の端部に向かって延び、第1の開口部および第2の開口部を画定し、その長さの一部に沿って半径方向外向きに延びる複数の支柱とを備え、デバイスは、経皮送達を可能にするために折り畳み可能である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内の流れを制限するためのデバイスであって、前記デバイスは、
第1の端部と、
第2の端部と、
前記第1の端部に配置され、そのサイズが、第1のサイズから第2のサイズまで調整可能である、第1の開口部と、
前記第2の端部に配置され、前記第1の開口部よりも大きな断面積を有する第2の開口部と、
前記第1の端部から前記第2の端部に向かって延び、前記第1の開口部および前記第2の開口部を画定し、その長さの一部に沿って半径方向外向きに延びる複数の支柱と、
を備え、前記デバイスは、経皮送達を可能にするために折り畳み可能である、デバイス。
【請求項2】
前記デバイスは折り畳み可能で、5F以下のシースを通して経皮送達を可能にする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスの配置により、肺血流を30%超減少させる、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスは約10mm未満の長さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイスは、分岐肺動脈に配置するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記複数の支柱は、前記第1の端部から前記第2の端部まで半径方向外向きまたは長手方向に延びる、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記複数の支柱は、前記デバイスを所定位置に固定するために、前記血管よりも大きな直径を有する開口部を画定する、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスの外表面の一部を覆う膜をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスの外表面を覆う膜をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスの内表面を覆う膜をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイスの外表面を覆う膜をさらに備え、前記膜は、前記デバイスの、前記血管内の組織と接触するように構成された部分を覆う、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記膜はePTFEを含む、請求項8から11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスの配置は、0.8:1~2:1のQp:Qs比をもたらす、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記デバイスの配置は、約70%~90%の動脈血酸素飽和度をもたらす、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の端部は遠位端部である、請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の端部は近位端部である、請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1の開口部は拡張可能である、請求項1から16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1の開口部はバルーン拡張可能である、請求項1から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1の開口部は、生体吸収性成分の吸収時に拡張するように構成される、請求項1から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第1の開口部は、前記血管の成長時に拡張するフレームの部分に係留されており、前記フレームの前記部分の拡張は、前記係留された第1の開口部の拡張を引き起こす、請求項1から19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記デバイスは略漏斗形状である、請求項1から20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第1の開口部は、約1~3mmのおおよその直径から約2~5mmまで調整可能である、請求項1から21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第1の開口部は、約1~3mmのおおよその直径から前記第2の開口部の直径まで調整可能である、請求項1から22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第2の開口部の直径は、約5~12mmである、請求項1から23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記デバイスのプロファイルは、第1のセグメントに対して前記第2の端部から半径方向外向きまたは長手方向にわずかに延び、第2のセグメントに沿って前記第2のセグメントから半径方向内向きに延びる、請求項1から24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記デバイスの前記プロファイルは、前記第2のセグメントから前記第1の端部に向かって略長手方向に延びる、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記第2の開口部の周囲に配置されたフランジをさらに備える、請求項1から26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記第1の開口部またはその周囲に配置された塑性的に変形可能な構成部品をさらに備える、請求項1から27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記塑性的に変形可能な構成部品は、ポリマーおよび/または金属合金を含む、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記塑性的に変形可能な構成部品は、ステンレス鋼を含む、請求項28に記載のデバイス。
【請求項31】
前記デバイスは経皮的に除去可能である、請求項1から30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記デバイスは2つの分岐血管の間の分岐部に配置されるように構成される、請求項1から31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記複数の支柱は、織られているか、または編まれている、請求項1から32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
前記複数の支柱は、レーザ切断加工される、請求項1から32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項35】
前記第1の開口部は前記血管が大きく成長するにつれて自己拡張するように構成される、請求項1から34のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項36】
血管内の流れを減少させるための方法であって、前記方法は、
デバイスの第1の端部と第2の端部との間に配置された複数の支柱を備えた前記デバイスを、血管系を通って前記血管内の配置部位まで経皮的に前進させるステップと、
前記デバイスを、折り畳まれた構成から半径方向に拡張した構成まで拡張させるステップであって、半径方向に拡張している前記デバイスは、前記第1の端部にある第1の開口部と、前記第2の端部にある第2の開口部とを備え、前記第2の開口部は、前記第1の開口部とは異なる断面積を有する、ステップと、
を含み、
前記第2の開口部の断面積は調整可能である、方法。
【請求項37】
前記第2の開口部の前記断面積を経皮的に調整するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記断面積を調整することは、前記断面積を増加させることを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記断面積を調整することは、前記断面積を減少させることを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記デバイスを経皮的に前進させるステップは、直径が5F以下のシースを通して前記デバイスを前進させるステップを含む、請求項36から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
経皮的に前記デバイスを除去するステップをさらに含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記配置部位は肺動脈である、請求項36から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記配置部位は分岐肺動脈である、請求項36から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記デバイスの配置は、0.8:1~2:1のQp:Qs比をもたらす、請求項36から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記デバイスの配置は、約70%~90%の動脈血酸素飽和度をもたらす、請求項36から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記断面積を調整することは、前記第2の開口部またはその周囲に配置された前記デバイスの支柱をまっすぐにすることを含む、請求項36から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第2の開口部の前記断面積を調整することは、バルーンを使用して前記第2の開口部を拡張することを含む、請求項36から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記第2の開口部の前記断面積を調整することは、前記第2の開口部にエネルギーを加えて前記第2の開口部を拡張することを含む、請求項36から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記デバイスの拡張により、前記血管の分岐部に前記デバイスを配置する、請求項36から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記血管が成長するにつれて前記デバイスが自己調整し、前記デバイスが拡張し、前記開口部のサイズを増加させるステップをさらに含む、請求項36から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
血管内の流れを制限するためのデバイスであって、前記デバイスは、
第1の端部と、
第2の端部と、
前記第1の端部に配置され、そのサイズが、第1のサイズから第2のサイズまで調整可能である、第1の開口部と、
前記第2の端部に配置され、前記第1の開口部よりも大きな断面積を有する第2の開口部と、
前記第1の端部から前記第2の端部に向かって延び、その長さの一部に沿って半径方向外向きに延びる複数の支柱と、
を備え、
前記デバイスは、経皮送達を可能にするために折り畳み可能であり、
前記デバイスは、2つの分岐肺動脈の間の分岐部に配置されるように構成される、デバイス。
【請求項52】
前記デバイスの前記第1の端部は、前記2つの分岐肺動脈の間の合流点に配置されるように構成される、請求項51に記載のデバイス。
【請求項53】
前記デバイスの前記第2の端部は、前記分岐部の上流側の主枝内に配置されるように構成される、請求項51または52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記デバイスの前記第2の端部は、前記分岐部の下流側の主枝内に配置されるように構成される、請求項51または52に記載のデバイス。
【請求項55】
前記デバイスの前記第2の端部は、前記分岐部の主枝内に配置されるように構成される、請求項51または52に記載のデバイス。
【請求項56】
前記デバイスは折り畳み可能で、5F以下のシースを通して経皮送達を可能にする、請求項51から56のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項57】
前記デバイスの配置により、肺血流を30%超減少させる、請求項51から56のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項58】
前記デバイスは約10mm未満の長さを有する、請求項51から57のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項59】
前記デバイスは、分岐肺動脈に設置するように構成される、請求項51から58のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項60】
前記複数の支柱は、前記第1の端部から前記第2の端部まで半径方向外向きまたは長手方向に延びる、請求項51から59のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項61】
前記デバイスの外表面の一部を覆う膜をさらに備える、請求項51から60のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項62】
前記デバイスの外表面を覆う膜をさらに備える、請求項51から61のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項63】
前記デバイスの外表面を覆う膜をさらに備え、前記膜は、前記デバイスの、前記血管内の組織と接触するように構成された部分を覆う、請求項51から62のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項64】
前記第1の開口部は拡張可能である、請求項51から63のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項65】
前記第1の開口部はバルーン拡張可能である、請求項51から64のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項66】
前記デバイスは経皮的に除去可能である、請求項51から65のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項67】
前記第1の開口部は前記血管が大きく成長するにつれて自己拡張するように構成される、請求項51から66のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項68】
前記複数の支柱は織られている、請求項51から67のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項69】
前記複数の支柱はレーザ切断加工される、請求項51から67のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項70】
血管内の流れを制限するためのデバイスであって、前記デバイスは、
近位端部と、
遠位端部と、
前記近位端部から前記遠位端部に向かって延び、前記血管の壁に固定されるように構成された複数の支柱と、
前記デバイスの前記近位端部またはその近傍から延び、膜構造体近位端部および膜構造体遠位端部を備える膜構造体であって、前記膜構造体は前記デバイス内に血流用通路を提供し、前記通路は、前記膜構造体遠位端部よりも前記膜構造体近位端部でより大きな断面積を有し、前記膜構造体遠位端部の前記断面積は調整可能である、膜構造体と
を備える、デバイス。
【請求項71】
前記デバイスは折り畳み可能で、5F以下のシースを通して経皮送達を可能にする、請求項70に記載のデバイス。
【請求項72】
前記デバイスの配置により、肺血流を30%超減少させる、請求項70または71に記載のデバイス。
【請求項73】
前記デバイスは約10mm未満の長さを有する、請求項70から72のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項74】
前記デバイスは、分岐肺動脈に配置するように構成される、請求項70から73のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項75】
前記複数の支柱は、前記第1の端部から前記第2の端部まで半径方向外向きまたは長手方向に延びる、請求項70から74のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項76】
前記デバイスの外表面の一部を覆う膜をさらに備える、請求項70から75のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項77】
前記デバイスの外表面を覆う膜をさらに備える、請求項70から76のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項78】
前記デバイスの外表面を覆う膜をさらに備え、前記膜は、前記デバイスの、前記血管内の組織と接触するように構成された部分を覆う、請求項70から77のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項79】
前記デバイスの前記遠位端部は、前記2つの分岐肺動脈の間の合流点に配置されるように構成される、請求項70から78のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項80】
前記デバイスの前記近位端部は、前記分岐部の上流側の血管内に固定されるように構成される、請求項70から79のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項81】
前記膜構造体は、膜構造体遠位端部またはその近傍に配置された支持構造体をさらに備える、請求項70から80のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項82】
前記支持構造体は塑性的に変形可能である、請求項81に記載のデバイス。
【請求項83】
前記支持構造体は、前記通路の血流制限部分を卵形またはダックビル形状に形成する、請求項81に記載のデバイス。
【請求項84】
前記膜構造体は、膜構造体遠位端部またはその近傍に配置された支持リングをさらに備える、請求項70から83のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項85】
前記支持リングは拡張可能である、請求項84に記載のデバイス。
【請求項86】
前記膜構造体は、前記通路内に配置された弁を備える、請求項70から85のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項87】
前記デバイスは、スリット弁、クロススリット弁、またはダックビル弁を含む、請求項86に記載のデバイス。
【請求項88】
前記膜構造体は略漏斗形状を含む、請求項70から87のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項89】
前記膜構造体は、流体の流れによって向きを変えるのに十分に柔軟である、請求項70から88のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項90】
前記膜構造体遠位端部は、約1~3mmの直径を有する、請求項70から89のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項91】
前記デバイスは経皮的に除去可能である、請求項70から90のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項92】
前記膜構造体は、前記複数の支柱の端部の上に折り畳まれ、前記複数の支柱の別の端部に向かって延び、カバーを形成する、請求項70から91のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項93】
前記第1の開口部は前記血管が大きく成長するにつれて自己拡張するように構成される、請求項70から92のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項94】
血管内の流れを減少させるための方法であって、前記方法は、
デバイスを、血管系を通って前記血管内の配置部位まで経皮的に前進させるステップと、
前記デバイスのアンカー部分を、前記配置部位において前記血管の内壁に当接するように拡張させるステップと、
前記デバイスの膜構造体を拡張するステップであって、前記膜構造体は、前記アンカー部分の近位部分またはその近傍で前記デバイスの前記アンカー部分に接続され、前記膜構造体は、前記デバイスを通って血流用通路を形成し、拡張するステップは、
前記膜構造体の近位端部を拡張して前記通路の近位開口部を形成するステップと、
前記膜構造体の遠位端部を拡張して前記通路の遠位開口部を形成するステップであって、前記遠位開口部は、前記通路の前記近位開口部よりも小さな断面積を有する、ステップとを含む、ステップと
を含み、
前記遠位開口部の前記断面積は調整可能である、方法。
【請求項95】
前記遠位開口部の前記断面積を経皮的に調整するステップをさらに含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記断面積を調整することは、前記断面積を増加させることを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記断面積を調整することは、前記断面積を減少させることを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記デバイスを経皮的に前進させるステップは、直径が5F以下のシースを通して前記デバイスを前進させるステップを含む、請求項94から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記デバイスを除去するステップをさらに含む、請求項94から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記配置部位は肺動脈である、請求項94から99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記配置部位は分岐肺動脈である、請求項94から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記デバイスの配置は、0.8:1~2:1のQp:Qs比をもたらす、請求項94から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記デバイスの配置は、約70%~90%の動脈血酸素飽和度をもたらす、請求項94から102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記断面積を調整することは、前記第2の開口部またはその周囲に配置された前記デバイスの支柱を拡張することを含む、請求項94から103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記第2の開口部の前記断面積を調整することは、バルーンを使用して前記第2の開口部を拡張することを含む、請求項94から104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記第2の開口部の前記断面積を調整することは、エネルギーを加えて前記第2の開口部を拡張することを含む、請求項94から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記血管が成長するにつれて前記第2の開口部が自己拡張することをさらに含む、請求項94から106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
小児患者の血管内の血流を減少させるためのデバイスであって、
前記血管の壁に固定するように構成されたアンカー部分と、
前記アンカー部分に接続され、前記血管内の血流を遮断するように配置された閉塞具と、
を備え、前記血管が成長するにつれて前記アンカー部分が拡張し、前記閉塞具の周囲の流路を増大させるように構成される、デバイス。
【請求項109】
前記デバイスは折り畳み可能で、5F以下のシースを通して経皮送達を可能にする、請求項108に記載のデバイス。
【請求項110】
前記デバイスの配置により、肺血流を30%超減少させる、請求項108または109に記載のデバイス。
【請求項111】
前記デバイスは約10mm未満の長さを有する、請求項108から110のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項112】
前記デバイスは、分岐肺動脈に配置するように構成される、請求項108から111のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項113】
前記デバイスの外表面の一部を覆う膜をさらに備える、請求項108から112のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項114】
前記デバイスの外表面を覆う膜をさらに備える、請求項108から113のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項115】
前記デバイスの内表面を覆う膜をさらに備える、請求項108から114のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項116】
前記デバイスの外表面を覆う膜をさらに備え、前記膜は、前記デバイスの、前記血管内の組織と接触するように構成された部分を覆う、請求項108から115のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項117】
前記膜はePTFEを含む、請求項108から116のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項118】
前記デバイスの配置は、0.8:1~2:1のQp:Qs比をもたらす、請求項108から117のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項119】
前記デバイスの配置は、約70%~90%の動脈血酸素飽和度をもたらす、請求項108から118のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項120】
前記アンカー部分は、複数の織られた支柱を備える、請求項108から119のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項121】
前記アンカー部分は、複数のレーザ切断加工された支柱を備える、請求項108から119のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項122】
前記流路の断面積は、エネルギーの印加を用いて拡張することができる、請求項108から121のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項123】
血管内の流れを減少させるための方法であって、前記方法は、
閉塞具を支持するアンカー部分を備えたデバイスを、血管系を通って前記血管内の配置部位まで経皮的に前進させるステップと、
前記アンカー部分を折り畳まれた構成から半径方向に拡張した構成まで拡張させて、前記配置部位で前記血管に固定し、前記閉塞具周囲の血液の流路を画定するステップと
を含み、
前記アンカー部分は、前記血管が成長するにつれて自己拡張し、前記閉塞具周囲の前記流路の断面積を増加させるように構成される、方法。
【請求項124】
経皮的に前記デバイスを除去するステップをさらに含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記配置部位は肺動脈である、請求項123または124に記載の方法。
【請求項126】
前記配置部位は分岐肺動脈である、請求項123から125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記デバイスの配置は、0.8:1~2:1のQp:Qs比をもたらす、請求項123から126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記デバイスの配置は、約70%~90%の動脈血酸素飽和度をもたらす、請求項123から127のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2021年4月2日に出願された米国仮特許出願第63/170,325号の利益を主張するものであり、その全文が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照による組み込み
[0002]本明細書中で言及されるすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
[0003]持続性肺高血圧による肺動脈床への損傷を防ぐために、肺動脈への血流を制限しなければならない先天性心疾患(CHD)が数多くある。経皮的肺血流制限器の開発により、生後数日から数週間の小児に対する開胸胸骨切開術の必要性をなくすことができた。現在の選択肢としては、複雑な心室中隔欠損(VSD)または房室中隔欠損(AVSD)を緩和するための外科的肺動脈絞扼術(PAB)、および左心低形成症候群(HLHS)に対するハイブリッド第一期緩和術を含む。PABは胸骨切開術により主肺動脈または分岐肺動脈の周囲にループ状の材料を配置し、血流を制限することにより行われる。現在のアプローチの限界としては、個々の患者にとって正しい血流プロファイルを得るためにバンドを正確に配置することが困難であることが挙げられるが、これに限定されるものではない。バンドは調整可能でないことが多く、経時的な血流ニーズの変化に対応できない。バンドの最初の配置には、侵襲的な開胸手術が必要である。また、バンドが弁に干渉し、肺動脈を損傷したり、またはその成長を妨げたりすることがあるため、絞扼後に肺動脈の再建が必要になることが多い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]第1の態様において、血管内の流れを制限するためのデバイスが提供される。デバイスは、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部に配置され、そのサイズが、第1のサイズから第2のサイズまで調整可能である、第1の開口部と、第2の端部に配置され、第1の開口部よりも大きな断面積を有する第2の開口部と、第1の端部から第2の端部に向かって延び、第1の開口部および第2の開口部を画定し、その長さの一部に沿って半径方向外向きに延びる複数の支柱とを備え、このデバイスは、経皮送達を可能にするために折り畳み可能である。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態では、デバイスは折り畳み可能で、5F以下のシースを通して経皮送達を可能にする。
【0006】
[0006]デバイスの配置により、肺血流を30%超減少させることができる。いくつかの実施形態では、デバイスの配置は、0.8:1~2:1のQp:Qs比をもたらす。いくつかの実施形態では、デバイスの配置は、約70%~90%の動脈血酸素飽和度をもたらす。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態では、デバイスは約10mm未満の長さを有する。
【0008】
[0008]デバイスは、分岐肺動脈に設置するように構成することができる。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、複数の支柱は、第1の端部から第2の端部まで半径方向外向きまたは長手方向に延びる。
【0010】
[0010]複数の支柱は、デバイスを所定位置に固定するために、血管よりも大きな直径を有する開口部を画定することができる。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの外表面の一部を覆う膜を備える。本デバイスは、デバイスの外表面を覆う膜を備えることができる。デバイスは、デバイスの内表面を覆う膜を備えることができる。デバイスは、デバイスの外表面を覆う膜を備えることができ、膜は、デバイスの、血管内の組織と接触するように構成された部分を覆う。膜はePTFEから構成されてもよい。
【0012】
[0012]第1の端部は遠位端部であっても近位端部であってもよい。
【0013】
[0013]第1の開口部は拡張可能であり得る。いくつかの実施形態では、第1の開口部はバルーン拡張可能である。第1の開口部は、生体吸収性成分の吸収時に拡張するように構成され得る。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態では、第1の開口部は、血管の成長時に拡張するフレームの部分に係留されており、フレームの部分の拡張は、係留された第1の開口部の拡張を引き起こす。
【0015】
[0015]デバイスは略漏斗形状であり得る。
【0016】
[0016]第1の開口部は、約1~3mmのおおよその直径から約2~5mmまで調整可能であり得る。いくつかの実施形態では、第1の開口部は、約1~3mmのおおよその直径から第2の開口部の直径まで調整可能である。第2の開口部の直径は、約5~12mmであり得る。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態では、デバイスのプロファイルは、第1のセグメントに対して第2の端部から半径方向外向きまたは長手方向にわずかに延び、第2のセグメントに沿って第2のセグメントから半径方向内向きに延びる。デバイスのプロファイルは、第2のセグメントから第1の端部に向かって略長手方向に延びることができる。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態では、デバイスは、第2の開口部の周囲に配置されたフランジを備える。デバイスは、第1の開口部またはその周囲に配置された塑性的に変形可能な構成部品を備えることができる。いくつかの実施形態では、塑性的に変形可能な構成部品は、ポリマーおよび/または金属合金を含む。いくつかの実施形態では、塑性的に変形可能な構成部品はステンレス鋼を含む。
【0019】
[0019]このデバイスは経皮的に除去可能であり得る。
【0020】
[0020]いくつかの実施形態では、デバイスは2つの分岐血管の間の分岐部に配置されるように構成される。
【0021】
[0021]複数の支柱は、織られていても、編まれていても、またはレーザ切断加工されていてもよい。
【0022】
[0022]いくつかの実施形態では、第1の開口部は血管が大きく成長するにつれて自己拡張するように構成される。
【0023】
[0023]別の態様において、血管内の流れを減少させるための方法が提供される。本方法は、デバイスの第1の端部と第2の端部との間に配置された複数の支柱を備えたデバイスを、血管系を通って血管内の配置部位まで経皮的に前進させるステップと、デバイスを、折り畳まれた構成から半径方向に拡張した構成まで拡張させるステップであって、半径方向に拡張しているデバイスは、第1の端部にある第1の開口部と、第2の端部にある第2の開口部とを備え、第2の開口部は、第1の開口部とは異なる断面積を有する、ステップとを含み、第2の開口部の断面積は調整可能である。
【0024】
[0024]いくつかの実施形態では、本方法は、第2の開口部の断面積を経皮的に調整することを含む。断面積を調整することは、断面積を増加または減少させることを含み得る。
【0025】
[0025]いくつかの実施形態では、デバイスを経皮的に前進させるステップは、直径が5F以下のシースを通してデバイスを前進させるステップを含む。
【0026】
[0026]本方法は、経皮的にデバイスを除去するステップを含み得る。
【0027】
[0027]いくつかの実施形態では、配置部位は肺動脈である。いくつかの実施形態では、配置部位は分岐肺動脈である。
【0028】
[0028]デバイスの配置は、0.8:1~2:1のQp:Qs比をもたらすことができる。デバイスの配置は、約70%~90%の動脈血酸素飽和度をもたらすことができる。
【0029】
[0029]いくつかの実施形態では、断面積を調整することは、第2の開口部またはその周囲に配置されたデバイスの支柱をまっすぐにすることを含む。断面積を調整することは、バルーンを使用して第2の開口部を拡張することを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の開口部の断面積を調整することは、第2の開口部にエネルギーを加えて第2の開口部を拡張することを含む。
【0030】
[0030]デバイスの拡張により、血管の分岐部にデバイスを配置することができる。
【0031】
[0031]いくつかの実施形態では、本方法は、血管が成長するにつれてデバイスが自己調整し、デバイスが拡張し、開口部のサイズを増加させるステップを含む。
【0032】
[0032]さらに別の態様において、血管内の血流を制限するためのデバイスが提供される。デバイスは、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部に配置され、そのサイズが、第1のサイズから第2のサイズまで調整可能である、第1の開口部と、第2の端部に配置され、第1の開口部よりも大きな断面積を有する第2の開口部と、第1の端部から第2の端部に向かって延び、その長さの一部に沿って半径方向外向きに延びる複数の支柱とを備え、デバイスは、経皮送達を可能にするために折り畳み可能であり、デバイスは2つの分岐肺動脈の間の分岐部に配置されるように構成される。
【0033】
[0033]いくつかの実施形態では、デバイスの第1の端部は、2つの分岐肺動脈の間の合流点に配置されるように構成される。デバイスの第2の端部は、分岐部の上流側の主枝内に配置されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、デバイスの第2の端部は、分岐部の下流側の主枝内に配置されるように構成される。デバイスの第2の端部は、分岐部の主枝内に配置されるように構成され得る。
【0034】
[0034]いくつかの実施形態では、デバイスは折り畳み可能で、5F以下のシースを通して経皮送達を可能にする。
【0035】
[0035]デバイスの配置により、肺血流を30%超減少させることができる。
【0036】
[0036]デバイスは、約10mm未満の長さを有することができる。
【0037】
[0037]デバイスは、分岐肺動脈に設置するように構成され得る。
【0038】
[0038]いくつかの実施形態では、複数の支柱は、第1の端部から第2の端部まで半径方向外向きまたは長手方向に延びる。
【0039】
[0039]デバイスは、デバイスの外表面の一部を覆う膜を備えることができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの外表面の一部を覆う膜を備える。デバイスは、デバイスの外表面を覆う膜を備えることができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの外表面を覆う膜を備え、膜は、デバイスの、血管内の組織と接触するように構成された部分を覆う。
【0040】
[0040]第1の開口部は拡張可能であり得る。いくつかの実施形態では、第1の開口部はバルーン拡張可能である。
【0041】
[0041]デバイスは経皮的に除去可能であり得る。
【0042】
[0042]いくつかの実施形態では、第1の開口部は血管が大きく成長するにつれて自己拡張するように構成される。
【0043】
[0043]複数の支柱は、織られていても、またはレーザ切断加工されていてもよい。
【0044】
[0044]別の態様において、血管内の流れを制限するためのデバイスが提供される。デバイスは、近位端部と、遠位端部と、近位端部から遠位端部に向かって延び、血管の壁に固定されるように構成された複数の支柱と、デバイスの近位端部またはその近傍から延びる膜構造体であって、前記膜構造体は、膜構造体近位端部および膜構造体遠位端部を備え、デバイス内に血流用通路を提供し、通路は、膜構造体遠位端部よりも膜構造体近位端部でより大きな断面積を有し、膜構造体遠位端部の断面積は調整可能である、膜構造体とを備える。
【0045】
[0045]いくつかの実施形態では、デバイスは折り畳み可能で、5F以下のシースを通して経皮送達を可能にする。
【0046】
[0046]デバイスにおける配置により、肺血流を30%超減少させることができる。
【0047】
[0047]デバイスは、約10mm未満の長さを有することができる。
【0048】
[0048]デバイスは、分岐肺動脈に設置するように構成することができる。
【0049】
[0049]いくつかの実施形態では、複数の支柱は、第1の端部から第2の端部まで半径方向外向きまたは長手方向に延びる。
【0050】
[0050]デバイスは、デバイスの外表面の一部を覆う膜を備えることができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの外表面を覆う膜を備える。デバイスは、デバイスの外表面を覆う膜を備えることができ、膜は、デバイスの、血管内の組織と接触するように構成された部分を覆う。
【0051】
[0051]いくつかの実施形態では、デバイスの遠位端部は、2つの分岐肺動脈の間の合流点に配置されるように構成される。デバイスの近位端部は、分岐部の上流側の血管内に固定されるように構成され得る。
【0052】
[0052]いくつかの実施形態では、膜構造体は、膜構造体遠位端部またはその近傍に配置された支持構造体を備える。支持構造体は塑性的に変形可能であり得る。いくつかの実施形態では、支持構造体は、通路の血流制限部分を卵形またはダックビル形状に形成する。
【0053】
[0053]膜構造体は、膜構造体遠位端部またはその近傍に配置された支持リングを備えることができる。支持リングは拡張可能であり得る。
【0054】
[0054]いくつかの実施形態では、膜構造体は、通路内に配置された弁を備える。弁は、スリット弁、クロススリット弁、またはダックビル弁であり得る。
【0055】
[0055]いくつかの実施形態では、膜構造体は略漏斗形状を含む。
【0056】
[0056]膜構造体は、流体の流れによって向きを変えるのに十分に柔軟であり得る。
【0057】
[0057]膜構造体遠位端部は、約1~3mmの直径を有することができる。
【0058】
[0058]いくつかの実施形態では、デバイスは経皮的に除去可能である。
【0059】
[0059]膜構造体は、複数の支柱の端部の上に折り畳むことができ、複数の支柱の別の端部に向かって延び、カバーを形成する。
【0060】
[0060]いくつかの実施形態では、第1の開口部は血管が大きく成長するにつれて自己拡張するように構成される。
【0061】
[0061]さらなる態様では、血管内の流れを減少させるための方法が提供される。本方法は、デバイスを、血管系を通って血管内の配置部位まで経皮的に前進させるステップと、デバイスのアンカー部分が、配置部位において血管の内壁に当接するようにデバイスのアンカー部分を拡張させるステップと、デバイスの膜構造体を拡張するステップであって、膜構造体は、アンカー部分の近位部分またはその近傍でデバイスのアンカー部分に接続され、膜構造体は、デバイスを通って血流用通路を形成し、拡張するステップは、膜構造体の近位端部を拡張して通路の近位開口部を形成するステップと、膜構造体の遠位端部を拡張して、通路の遠位開口部を形成するステップであって、遠位開口部は、通路の近位開口部よりも小さな断面積を有する、ステップとを含む、ステップとを含み、遠位開口部の断面積は調整可能である。
【0062】
[0062]いくつかの実施形態では、本方法は、遠位開口部の断面積を経皮的に調整することを含む。断面積を調整することは、断面積を増加または減少させることを含み得る。
【0063】
[0063]いくつかの実施形態では、デバイスを経皮的に前進させるステップは、直径が5F以下のシースを通してデバイスを前進させるステップを含む。
【0064】
[0064]本方法はデバイスを除去するステップを含み得る。
【0065】
[0065]配置部位は肺動脈であり得る。いくつかの実施形態では、配置部位は分岐肺動脈である。
【0066】
[0066]デバイスの配置は、0.8:1~2:1のQp:Qs比をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、デバイスの配置は、約70%~90%の動脈血酸素飽和度をもたらす。
【0067】
[0067]断面積を調整することは、第2の開口部またはその周囲に配置されたデバイスの支柱を拡張することを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の開口部の断面積を調整することは、バルーンを使用して第2の開口部を拡張することを含む。断面積を調整することは、エネルギーを加えて第2の開口部を拡張することを含むことができる。
【0068】
[0068]いくつかの実施形態では、本方法は、血管が成長するにつれて第2の開口部が自己拡張することを含む。
【0069】
[0069]別の態様において、小児患者の血管内の血流を減少させるためのデバイスが提供される。デバイスは、血管の壁に固定するように構成されたアンカー部分と、アンカー部分に接続され、血管内の血流を遮断するように配置された閉塞具とを備え、アンカー部分は、血管が成長するにつれて拡張し、閉塞具の周囲の流路を増大させるように構成される。
【0070】
[0070]いくつかの実施形態では、デバイスは折り畳み可能で、5F以下のシースを通して経皮送達を可能にする。
【0071】
[0071]デバイスの配置により、肺血流を30%超減少させることができる。いくつかの実施形態では、デバイスの配置は、0.8:1~2:1のQp:Qs比をもたらす。デバイスの配置は、約70%~90%の動脈血酸素飽和度をもたらす。
【0072】
[0072]いくつかの実施形態では、デバイスは約10mm未満の長さを有する。
【0073】
[0073]デバイスは、分岐肺動脈に設置するように構成することができる。
【0074】
[0074]いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの外表面の一部を覆う膜を備える。デバイスは、デバイスの外表面を覆う膜を備えることができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの内表面を覆う膜を備える。デバイスは、デバイスの外表面を覆う膜を備えることができ、膜は、デバイスの、血管内の組織と接触するように構成された部分を覆う。膜はePTFEを含み得る。
【0075】
[0075]アンカー部分は、複数の織られた、または編まれた、またはレーザ切断加工された支柱を備えることができる。
【0076】
[0076]いくつかの実施形態では、第2の開口部の断面積を調整することは、エネルギーを加えて第2の開口部を拡張することを含む。
【0077】
[0077]さらに別の態様では、血管内の流れを減少させるための方法が提供される。本方法は、閉塞具を支持するアンカー部分を備えたデバイスを、血管系を通って血管内の配置部位まで経皮的に前進させるステップと、アンカー部分を折り畳まれた構成から半径方向に拡張した構成まで拡張させて、配置部位で血管に固定し、閉塞具周囲の血液の流路を画定するステップとを含み、アンカー部分は、血管が成長するにつれて自己拡張し、閉塞具周囲の流路の断面積を増加させるように構成される。
【0078】
[0078]本方法は、経皮的にデバイスを除去するステップを含み得る。
【0079】
[0079]いくつかの実施形態では、配置部位は肺動脈である。配置部位は分岐肺動脈であり得る。
【0080】
[0080]デバイスの配置は、0.8:1~2:1のQp:Qs比をもたらすことができる。デバイスの配置は、約70%~90%の動脈血酸素飽和度をもたらす。
【0081】
[0081]本発明の新規な特徴は、以下の特許請求の範囲に具体的に規定されている。本発明の特徴および利点は、本発明の原理を利用する例示的実施形態を規定する以下の「発明を実施するための形態」および添付の図面を参照することによって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1A】[0082]血流制限器の一実施形態の図である。
【
図2A】[0083]血流制限器の別の実施形態の図である。
【
図3A】[0084]血流制限器のさらに別の実施形態の図である。
【
図3B】血流制限器のさらに別の実施形態の図である。
【
図3C】血流制限器のさらに別の実施形態の図である。
【
図3D】血流制限器のさらに別の実施形態の図である。
【
図4A】[0085]血流制限器の一実施形態の図である。
【
図5】[0086]
図5Aは、本来の解剖学的構造および様々な血流制限器についての拡張中期における右肺動脈の血流パターンである。
図5Bは、本来の解剖学的構造および様々な血流制限器についての拡張中期における右肺動脈の血流パターンである。
図5Cは、本来の解剖学的構造および様々な血流制限器についての拡張中期における右肺動脈の血流パターンである。
図5Dは、本来の解剖学的構造および様々な血流制限器についての拡張中期における右肺動脈の血流パターンである。
【
図6】[0087]血流制限器の別の実施形態である。
【
図7】[0088]
図7Aは、血流制限器の一実施形態の図である。
図7Bは、血流制限器の一実施形態の図である。
図7Cは、血流制限器の一実施形態の図である。 [0089]
図7Dは、拡張構成における
図7Aの血流制限器の図である。
図7Eは、拡張構成における
図7Bの血流制限器の図である。
図7Fは、拡張構成における
図7Cの血流制限器の図である。
【
図8】[0090]閉塞要素を備えた血流制限器の実施形態である。
【
図9】[0091]血流制限器の別の実施形態である。
【
図10A】[0092]血管の分岐部に配置された血流制限器の別の実施形態である。
【
図10B】血管の分岐部に配置された血流制限器の別の実施形態である。
【
図10C】[0093]血管の分岐部に配置された血流制限器の実施形態である。
【
図10D】血管の分岐部に配置された血流制限器の実施形態である。
【
図10E】血管の分岐部に配置された血流制限器の実施形態である。
【
図11A】[0094]分岐部近位の分岐血管に配置された血流制限器の実施形態である。
【
図11B】分岐部近位の分岐血管に配置された血流制限器の実施形態である。
【
図12A】[0095]血流制限器に使用できる弁の実施形態である。
【
図12B】血流制限器に使用できる弁の実施形態である。
【
図12C】血流制限器に使用できる弁の実施形態である。
【
図13】[0096]血流制限器の断面プロファイルの一実施形態である。
【
図14】[0097]血流制限器の別の実施形態である。
【
図15A】[0098]血流制限器の実施形態である。
【
図16】[0099]血流制限器の一実施形態である。
【
図17】[0100]血流制限器のさらに別の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
[0101]本明細書では、左心低形成症候群(HLHS)を含む先天性心疾患(CHD)における外科的絞扼に代わる、経皮的で調整可能な分岐肺動脈血流制限器の実施形態が記述される。
【0084】
[0102]本明細書では、外科的絞扼に代わる、経皮的で調整可能な肺動脈血流制限器の実施形態が記述される。デバイスは、1)大腿静脈を通るカテーテルによるインプラントの送達、2)経皮的に肺血流を増加させる能力、3)信頼性の高い血流減少、4)短く、よく固定されたインプラント、5)有益な血行動態、すなわち6)制限が不要になれば外科的に除去可能であることを提供することによって、内部血流制限器における従来の試みでの欠点に対処することができる。HLHSのために設計されたこれらの肺血流制限器は、主肺動脈絞扼の代わりにもなるように改良することができ、恩恵を受けることができる患者の数を倍以上に増やすことができる。本明細書に記載された血流制限器の実施形態は、0.8:1~2:1(または1:1~2:1など)のQp:Qs比、70~90%(または75%~85%)の動脈血酸素飽和度、バランスのとれた左右の肺血流、および有益な血行動態をもたらすことができる。
【0085】
[0103]血流制限器システムの実施形態は、インプラントおよび送達システムを含む。本明細書に記載のシステムは:1)大腿静脈における5Fシースを通るカテーテルによる送達、2)下流への分岐を遮断することのない正確な配置、3)遠位肺動脈圧の30%超の低下、および4)経皮的に肺動脈血流を増加させる能力を可能にすることができる。
【0086】
[0104]本明細書に記載の経皮的肺動脈流制限器の実施形態は、より正確でより侵襲性の低い緩和処置を提供することにより、HLHSを患う新生児の罹患率および死亡率を低減する可能性を有する。心肺バイパスが不要になることにより、入院期間を短縮し、入院費用を低下させ得る。
【0087】
[0105]本明細書に記載の経皮的で調整可能な分岐肺動脈血流制限器の実施形態は、左心低形成症候群(HLHS)を含む小児の先天性心疾患(CHD)における外科的絞扼の代わりとなり得る。世界中で10万人以上の乳児が経皮的血流制限器の恩恵を受ける可能性がある。
【0088】
[0106]毎年およそ1,000人のアメリカ人が左心低形成症候群(HLHS)で生まれており、これは左心室が著しく未発達であるか、またはほとんど存在しない状態である。HLHSの最も一般的な治療は、患者の生命を維持するのに十分な血液酸素化を確実にするための一連の3段階の緩和処置である。HLHSで生まれた乳児が生存するためには、生後数日以内に最初の第一期緩和手術、一般的にはノーウッド手術が必要である。ノーウッド手術は、HLHS患者の生存において目覚ましい進歩であるが、それでも、ノーウッド手術は脳の発達に悪影響を及ぼし得る心肺バイパスを新生児に適用するため、第二期の緩和術までの生存には改善の余地がある。
【0089】
[0107]ハイブリッド(外科的手術と経皮的手術の半々)第一期緩和術が代替術として存在するが、これは動脈管にステント留置し、分岐肺動脈を絞扼して肺動脈ランオフを防ぐ必要がある。ハイブリッド第一期緩和術の結果は施設間でばらつきがあり、ノーウッド手術に代わるバイパスを使わない第一選択としてのハイブリッド処置の有用性を制限している。このばらつきは、直径わずか数ミリの新生児の分岐肺動脈の周りにバンドを縫合して血流を制限する処置である、信頼性の高い分岐肺動脈絞扼を行うことの難しさに起因している。バンドは侵襲的な開腹手術で装着されるが、手術中は胸が開いているため、バンドが適切に締め付けられたかどうかを判断するのは困難であり、そのため圧力が非生理的なものとなる。最後に、バンドは肺動脈の成長を阻害する可能性があり、しばしば肺動脈の再建が必要となる。
【0090】
[0108]血管栓の改良によってHLHSに対する経皮的分岐肺動脈血流制限器の開発が試みられてきた。しかし、これらの初期の経皮的血流制限器の臨床使用は、以下を含む技術による重大な問題故に、症例研究に限られている:
1.血行動態の不安定性:改良型血管栓の送達に使用された6Fシースは大きく硬く、弁を広げ、逆流、血行動態の不安定性を引き起こし、時には死に至る。
2.血流調整の欠如:従来試みられた改良型血管栓はどれも、乳児の成長に合わせて血流を増加させることができなかったが、これは、解剖学的かつ生理学的に急速に変化する新生児にとって重要なニーズである。
3.信頼性の低い結果:技法によっては、台の上で血管栓に穴を開ける必要があり、その結果にはばらつきがあり得る。
4.血栓症のリスク:血管閉塞用に設計された血管栓の改良により、血流の遅い領域が生じ、血栓症につながる可能性がある。
5.分枝への血流の遮断:血管栓は新生児の肺動脈枝には長すぎることが多く、下流側分枝への血流を遮断することがある。
【0091】
[0109]経皮的血流制限器は、動脈管ステントと組み合わせた場合、HLHSに対する完全な経皮的第一期緩和術が可能となり、ノーウッド手術に代わる低侵襲術を提供し、HLHSの新生児に対するオンバイパス(on-bypass)手術の必要性がなくなる。HLHS用に設計された血流制限器は、典型的には、主肺動脈絞扼術を必要とするCHD患者に使用することができ、世界中で毎年10万人もの新生児に、より低侵襲の処置を提供することができる。
【0092】
[0110]本明細書の実施形態は、小児インターベンショナル心臓専門医および心胸外科医からの広範な意見に基づいて非常に望ましいことが見出された以下の特徴の任意の組み合わせを含むことができる。
1.より安全なカテーテルベースの送達:逆流および血行動態の不安定性を引き起こすことなく弁を横切るのに十分に柔軟で小さいカテーテルを用いて、血流制限器を送達することができる。送達カテーテルは、若い血管への医原性損傷を最小限にするために、大腿静脈内で5Fシースを通ることができる。
2.配置後の調整可能な血流:肺動脈血流は、例えば、バルーンカテーテルを用いて経皮的に調整(例えば、増加または減少)することができ、最初の配置後またはその後の処置中に所望の肺動脈圧にダイヤル設定して成長に対応させることができる(例えば、
図1Cに示す)。
3.信頼性の高い結果:血流制限器は調整可能性および信頼性を提供できる。
4.血栓症リスクの低減:制限器は、血栓症または望ましくない血管リモデルのリスクを最小化する血流パターンを作り出すことができる(例えば、
図5A~
図5Dに示す)。
5.短いインプラントによって確実にされる下流分岐血流:いくつかの実施形態では、短いデバイス長(例えば、10mm未満)は新生児の分岐肺動脈内を通ることができ(例えば、
図1A~
図4Bに示す)、分岐肺動脈内に配置することで肺動脈弁の相互作用を防ぐ。デバイスの形状は、下流分岐の流れを妨げないように主肺動脈近傍にインプラントを固定し、インプラントの設計は、下流分岐の流れをさらに確実にするために自己センタリング機能を有してもよい(例えば、
図4Aおよび
図4Bに示す)。
6.除去可能:血流制限器はステント状構造体のアブルミナル表面が(例えばePTFEによって)覆われており、血管を損傷させることなく将来の手術でデバイスを除去することができる。
【0093】
[0111]これらを総合すると、これらの技術革新は、従来の内部血流制限器における試みの欠点に対処するものである。
【0094】
[0112]
図1A~
図1Cは、血流制限器100の一実施形態の側面図を示す。血流制限器は、形状設定されたステントフレームを備える。例えば、デバイス100の少なくとも一部は漏斗形状に形状設定することができる。漏斗形状とは、漏斗の一端から漏斗の他端に向かって全体が小さくなる断面積を備えたデバイス形状を意味することができることが理解されるであろう。
【0095】
[0113]デバイス100は、その第1の端部に第1の開口部106を備える。第1の開口部106は、デバイスの第2の端部である第2の開口部108と比較して大きな断面積を有する。
【0096】
[0114]
図1Aに示すように、デバイスは、その長さの一部分102に沿って漏斗形状を構成することができる。別の部分104は、略一定の直径または断面積を有することができる。いくつかの実施形態では、別の部分は、概して一端から他端に向かって小さくなるが、一部分102とは異なる割合(例えば、より小さな割合)で小さくなる断面積を有することもできる。
【0097】
[0115]上述したように、デバイスは、第1の端部により大きな開口部を備え、デバイスの長さにわたって直径が減少し、第2の端部により小さな開口部を有する。いくつかの実施形態では、デバイスの長さにわたって、デバイスは、約3~15mmの長さにわたって、約5~12mmの直径から約1~3mmの直径に変化する。他の構成も考えられる。例えば、デバイスの長さにわたって、デバイスは、約3~6mmの間に、約7mm(または6~8mm)の直径から約1.5mm(または1~2mm)の直径へと変化し、両方の実施形態をカバーすることができる。いくつかの実施形態では、デバイスの長さにわたって、デバイスは、約3~10mmの間に約10mm(または約9~11mm)の直径から約3mm(または約2~4mm)の直径へと変化する。
【0098】
[0116]いくつかの実施形態では、デバイス100は、
図1A~
図1Cに示すように、カバー110を備える。例えば、デバイス100はePTFEで覆われ得る。他の材料も可能である(例えば、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)。カバーは、フレームと血管壁との間に位置するように、デバイスの外表面にある。いくつかの実施形態では、カバーがフレームと血流との間に位置するように、デバイスの内表面にもカバーがあってもよい。
【0099】
[0117]いくつかの実施形態では、デバイスは約5~9mm(例えば、7.7mm)の長さを有する。
【0100】
[0118]第1の開口部106は、約6~9mm(例えば、7.5mm)の直径を有することができ、圧力嵌めにより直径約5~6mmの新生児分岐肺動脈の壁に固定される。
【0101】
[0119]他の寸法も可能である。例えば、デバイスの長さは、約(4~11mm、約5~10mm、約6~10mm、約5~12など)であることができる。デバイスの近位開口部の直径は、5~12mmであり得る。
【0102】
[0120]第2の端部108は、その約1~3mm(例えば、直径2.5mm)の直径により血流を制限する(
図1A)。
【0103】
[0121]第2の開口部は調整可能である。いくつかの実施形態では、第2の開口部は展開中に調整される。他の実施形態では、第2の開口部は展開後に調整される。
【0104】
[0122]第2の開口部は拡大しても縮小してもよい。
【0105】
[0123]
図1Dは、カバー110内に配置されたステントフレーム130の実施形態を示す。フレームは、第1の端部から第2の端部まで延びる複数の支柱132を備える。支柱132は、レーザ切断加工されたものとして示されているが、いくつかの実施形態では、織られていても、または編まれていてもよい。
【0106】
[0124]いくつかの実施形態では、第2の開口部はバルーン拡張可能である。
図1Cに示すように、バルーンカテーテルを約3~4mm(例えば、約3.5mm)まで膨張させて(
図1C)、最小のリングを塑性的に変形させ、したがって、血流制限器の第2の開口部108を約3~4mm(例えば、約3.5mm)の直径まで塑性的に変形させ(
図1B)、これは乳児の成長による肺動脈血流を増加させるために経皮的に行われ得る。
図1Bは、拡張された開口部108を有するデバイスを示す。以下にさらに詳細に説明するように、他の調整機構も企図されている。
【0107】
[0125]
図2A~
図2Cは、漏斗形のステントフレームを備えた血流制限器200の別の実施形態の側面図、斜視図、および端面図をそれぞれ示す。
図2A~
図2Cの血流制限器は、
図1A~
図1Cに示すものよりも丸みを帯びた形状を有する。さらに、図面は、フレームが、切断加工パターンではなく、単繊維で作られた織物構造体(例えば、編組構造体)で構成されている実施形態を示す。
【0108】
[0126]血流制限器は、デバイスの第1の端部にある第1の開口部206と、デバイスの第2の端部にある第2の開口部208とを備える。第1の開口部206は、第2の開口部208よりも大きな断面積を有する。
【0109】
[0127]いくつかの実施形態では、大径端部206から、フレーム212は、第1のセグメント202ではわずかに半径方向外向きまたは長手方向に延び、その後第2のセグメント204に沿って半径方向内向きに延びる。最後に、フレーム212は、第3のセグメント205に沿って小径端部に向かって略長手方向に延びる。
【0110】
[0128]いくつかの実施形態では、2本の支柱の交差部が成す角度は約50~70°であり得る。支柱間のこの向きは、支柱による半径方向の力を最大にするのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、支柱の長さは、交差する支柱間のこの向きを作り出すように選択することができる。
【0111】
[0129]血流制限器は、
図2Dに示すように、フレーム212と血管壁との間に配置されるように、デバイスの外表面上のカバー210(例えば、ePTFE)を備え得る。血流制限器は、
図1A~
図1Cに関して説明したものと同様の特徴および寸法を有することができる。
【0112】
[0130]血流制限器は、
図2Dではデバイスの外側にカバー210がある状態で示される。
図2A~
図2Cは、カバーのないデバイスを示す。いくつかの実施形態では、デバイスはカバーを有していないことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、カバーは、デバイスの外表面にあり得る。いくつかの実施形態では、カバーは、デバイスの内表面にあり得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの内表面および外表面にカバーを有することができる。
【0113】
[0131]第2の開口部208は、デバイス100に関して説明したように調整可能(例えば、バルーン拡張可能)であり得る。
【0114】
[0132]
図3A~
図3Cは、血流制限器300の別の実施形態の斜視図、端面図、および側面図を示す。血流制限器は、デバイス200と同様に、フレーム312およびカバーを備える。デバイス300は、デバイスの第1の端部にある第1の開口部306と、デバイス端部308の第2の端部にある第2の開口部308とを備え、第1の開口部は、第1の開口部よりも大きな断面積を有する。第2の開口部308は、デバイス100に関して説明したように調整可能であり得る。
【0115】
[0133]血流制限器は、
図3Dではカバー310とともに示される。
図3A~
図3Cは、デバイスの外側にカバーがないデバイスを示す。いくつかの実施形態では、デバイスはカバーを有していないことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、カバーは、デバイスの外表面にあり得る。いくつかの実施形態では、カバーは、デバイスの内表面にあり得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの内表面および外表面にカバーを有することができる。
【0116】
[0134]血流制限器本体も、
図2A~
図2Cに示す血流制限器200と同様の形状を有するが、第1の開口部端部306の周囲にフランジ314を含む。
【0117】
[0135]
図3A~
図3Cは、フランジに沿って円周方向に延びる複数の花弁部316を備えた環状フランジ314を示す。花弁部316は、頂点で交わる2つの支柱を備えたものとして示されている。花弁部またはフランジの他の構成も可能であることが理解されるであろう。例えば、花弁部は丸みを帯びた部分を備えることができる。別の例として、フランジは、フランジに沿って円周方向に延びるアームまたはセグメントを備えることができる。
【0118】
[0136]フランジ314は、肺動脈分岐部の口で半径方向に延びることによって(例えば、短い肺動脈において)さらなる固定を提供するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、フランジはまた、張力の増大により血管を固定するように、フレアとして(例えば、フランジが近位方向に延びるように)より角度を付けてもよい。血流制限器は、カバー(例えば、ePTFE)を備えることができる。いくつかの実施形態では、フランジもカバーを備えていてもよい。カバーは、後の除去に役立ち得る。血流制限器は、
図1A~
図1Cに関して説明したものと同様の特徴および寸法を有することができる。
【0119】
[0137]いくつかの実施形態では、断面積のより小さな開口部を拡張するためにバルーンを使用することができる。いくつかの実施形態では、バルーン拡張は、開口部の大きさを制限している縫い目を壊すか、または拡張させる。いくつかの実施形態では、バルーン拡張は開口部を塑性的に変形させ、例えば、開口部の周囲に配置され、開口部の大きさを制限する1つまたは複数の支柱またはセグメントをまっすぐにする。この概念については、
図6を参照してさらに詳しく説明する。
【0120】
[0138]他の拡張機構も考えられる。例えば、エネルギー(例えば、RFエネルギー)を使用して、カバーに穴を開けるか、または開口部を拡張することができる。
【0121】
[0139]上述したように、開口部を拡張することは、開口部の周囲に配置された1つまたは複数の支柱、セグメント、リングなどをまっすぐにすることを含み得る。
図6を参照すると、デバイスの周囲に円周方向に配置された支柱またはセグメント602を備えたデバイス600の実施形態。支柱602は、複数のクラウンを備える。クラウンは、図示されているように角があっても、丸みを帯びたものであってもよい。いくつかの実施形態では、クラウンとは、デバイスの、その支柱によって画定される部分の円周または断面積を増加させるようにまっすぐにすることができる支柱内の屈曲または湾曲を意味する。バルーンカテーテルが小さい方の開口端を拡張すると、支柱は半径方向に拡張し、クラウンは長手方向に収縮し、半径方向に拡張する。支柱の拡張は、支柱が塑性的に変形するように支柱を過拡張することを含み得る。
【0122】
[0140]いくつかの実施形態では、デバイスは、
図6に示すように、種々の量のクラウンを有する支柱を備える。クラウンの数が少ない支柱は、クラウンの数が多い支柱よりも小さな直径までしか拡張しない。デバイスにクラウンの数が異なる円周方向支柱を提供することにより、拡張されたデバイスの形状をより制御することができる。
【0123】
[0141]いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの最小断面積を制御するために拡張可能な異なる直径の縫合糸リングを備える。
【0124】
[0142]いくつかの実施形態では、デバイスのフレームは、塑性的に変形可能な構成部品(例えば、ステンレス鋼、コバルトクロム、ポリエチレン、ポリカーボネート、ePTFE、他の金属合金、他のポリマーなど)に接続(例えば、溶接または結合)することができ、この部品は、血流を制御するためにバルーン拡張することができる。
【0125】
[0143]いくつかの実施形態では、血流制限器400は、
図4Aおよび
図4Bに示すように、アンカー部分402を有する膜構造体404を備える。
【0126】
[0144]いくつかの実施形態では、膜構造体は、薄い生体適合性材料(例えば、ePTFE)を含む。膜構造体は、血管の内表面の周囲を円周方向に延び、血液が流れる通路を形成することができる。いくつかの実施形態では、アンカー部分402と膜構造体404との間には隙間がない。いくつかの実施形態では、アンカー部分402と膜構造体404との間に隙間があってもよい。
【0127】
[0145]膜構造体は略管状に形成され、長手方向に延びるにつれて先細になり、漏斗構成を形成する。膜構造体404の近位端部406は、アンカー部分402の近位端部またはその近傍に配置され得る。他の実施形態では、膜構造体の近位端部406は、アンカー部分の近位端部から離れて配置され得る。
【0128】
[0146]膜構造体404の近位端部は、膜構造体によって形成された通路の近位開口部408を形成するが、膜構造体の遠位端部412は、膜構造体によって形成された通路の遠位開口部410を形成する。
【0129】
[0147]アンカー部分402は、デバイス固定のために肺動脈壁に対する圧力嵌めを提供できるステント状ケージを構成できる。アンカー部分402は、
図4Cに示すように、アンカー部分と血管壁との間に配置されたカバーを備えることができ、これは血管を損傷することなく後の手術中に確実に除去するのに役立ち得る。
図4Aおよび4Bでは、漏斗状の血流制限部が見えるように、ケージは覆われていない状態で示されている。いくつかの実施形態では、デバイス400はカバーを備えていないことが理解されるであろう。
【0130】
[0148]いくつかの実施形態では、膜404は、ケージが膜の層間に挟まれるように、近位開口部408でステント状ケージ402を覆うように拡張し畳まれる。
【0131】
[0149]膜構造体404はアンカー部分402に取り付けられている。膜構造体404は、アンカー部分402に固定するために、接着、縫合、加熱、焼結、または他の方法で結合することができる。
【0132】
[0150]膜構造体404は、
図4Bに対して
図4Aのシフトした位置に示されるように、ケージ内でセンタリングし下流の肺分岐への適切な血流を確実にするために、流体の流れによって向きを変えるのに十分に柔軟であり得る。
図4Bでは、膜構造体はケージ内腔の中心に向かって移動している。
【0133】
[0151]いくつかの実施形態では、アンカー部分は、約5~12mm(または約6~11mm、または約7~10mm、または約7~9mmなど)の長さを有する。膜構造体は、約1.5~15mm(または約2~4mmなど)の長さを有し得る。血流制限を引き起こす漏斗の最小直径は、約1~5mm(例えば、約2~4mm、約2.5mmなど)である。
【0134】
[0152]いくつかの実施形態では、膜構造体はフレームより短い。いくつかの実施形態では、膜構造体はアンカー部分とおおよそ同じ長さである。いくつかの実施形態では、膜構造体はアンカー部分より長い。
【0135】
[0153]漏斗の血流制限部分は、それに接続された、またはその内側にある拡張可能な構造体を構成することができる。例えば、血流制限部分は、ステントの単一リングと同様に、内部に支持リングを備えることができる。「リング」という用語は、必ずしも円形断面を有する構造体を意味するのではなく、卵形断面または不規則断面を有する構造体を有することもできることが理解されるであろう。この支持リングは漏斗の崩壊を防止することができ、
図1Aおよび
図1Bの設計と同様に制限部の直径を大きくするためにサイズを膨らませることができ、したがって乳児が成長するにつれて肺動脈血流を増加させることができる。いくつかの実施形態では、支持リングは、約1~3mmの直径から約4~5mmの直径に拡張することができる。支持リングの長さは1mm以下であることができる。デバイスのカバーは、このリングに直接取り付けることができ、リングの直径を拡張するために伸張させるか、展開させるか、または縫合糸を裂くことができる。
【0136】
[0154]デバイスはカテーテルを通して送達されるが、このカテーテルは、同時に逆流を引き起こしたり、硬い6Fシースによって引き起こされる血行動態の不安定性を誘発したりすることなく、2つの弁を横切るのに十分小さく柔軟である一方、被覆された血流制限器の配置を可能にするのに十分大きい。送達システムは、インプラント(例えば、ニチノール製インプラント)をその内腔を通して送達するための革新的なカテーテルベースの送達システムを構成することができ、この送達システムは、薄い壁、継ぎ目のない移行ゾーン、柔軟性、および低いキンク半径(kink radius)を有する。
【0137】
[0155]いくつかの実施形態では、デバイスはカテーテルを使用せずにシースを通して送達される。
【0138】
[0156]上記のように、本明細書に記載される血流制限器のいずれもが、カバー(例えば、ePTFEカバー、人工血管カバー)を備えることができる。カバーは、デバイスの外表面の少なくとも一部に配置され得る。いくつかの実施形態では、カバーは、少なくとも外表面の、血管壁の組織と接触する部分に配置される。デバイスのフレームまたはアンカー部分と血管壁との間にカバーを設けることは、組織の内殖を防止するのに役立ち、その後のデバイスの除去をより円滑にするのを促す。
【0139】
[0157]本明細書に記載されるように、デバイスの血流制限開口部は調整可能(例えば、経皮的に調整可能)であり得る。いくつかの実施形態では、開口部は、生体吸収性制限部(例えば、縫合、閉塞など)を使用することによって自己調整する。生体吸収性成分は溶解されるか、洗い流されるか、または体内に吸収されるので、血流制限レベルは時間の経過とともに低下する。これにより肺血流が増加し、乳児が成長しても望ましいQp:Qs比を維持することができる。
【0140】
[0158]いくつかの実施形態では、カバーは拡張に対応する機能を有する。カバーの本来の材料は、伸張特性を有することができ、拡張を可能にする。いくつかの実施形態では、追加材料が拡張前に所定の位置に締め付けられ、拡張中に締め付けた材料が解放される。いくつかの実施形態では、拡張により、カバーをより小さな構成で保持する縫合糸を破断させ、拡張を可能にすることができる。カバー材料はさらに、組織に固定され、移動を制限する方法のバランスをとるために多孔性を有することもできるが、一方で、後の手術中に組織から容易に除去できるようにすることもできる。
【0141】
[0159]いくつかの実施形態では、血流制限器は:(1)5F以下のシースを通して送達可能であり、(2)遠位肺動脈圧のおよそ50%±20%(または50%±10%)の低下を確実にし、(3)分岐肺動脈内に固定して嵌まり、(4)下流肺動脈分枝への血流を妨げず、(5)血流および圧力の経皮的増加を可能にすることができる。
【0142】
[0160]血流制限器のさらなる実施形態
【0143】
[0161]ここで
図7A~
図7Cを参照すると、血流制限器700の別の実施形態の正面図、側面図、および斜視図が示されている。デバイス700は、フレーム704に取り付けられ、血流制限器の内腔708内にある一定サイズの閉塞具702を備える。閉塞具702は患者の血管が成長しても一定のサイズのままである。血液は制限部の周囲を流れる。患者が成長するにつれて、血管壁に対して半径方向に拡張されるフレームが拡張する。閉塞具702は拡張しないため、閉塞具周囲の領域が大きくなり、より大量の血流を可能にする。拡張したデバイスの正面図、側面図、および斜視図を
図7D~
図7Fに示す。
【0144】
[0162]閉塞具702は円盤を構成することができるが、他の形状(例えば、正方形、長方形、三角形など)も可能である。閉塞具の他の構成も可能である(例えば、フレームに取り付けられる風船状構造体、またはフレームに取り付けられ、デバイス内腔の中央を流れることを可能にするドーナツ状構造体。
【0145】
[0163]支柱706は、閉塞具702から延び、閉塞具702をフレームに接続する。支柱は、閉塞具の円周または外周の周りに配置され得る。いくつかの実施形態では、閉塞具は、閉塞具をフレームに接続する約2~14の支柱を備える。
【0146】
[0164]いくつかの実施形態では、フレーム704はステント状構造体を構成することができる。フレームは、その外表面の周囲にカバーを備えることができる。カバーは、フレームと血管壁との接触を防止または最小化するのに役立ち得る。
【0147】
[0165]いくつかの実施形態では、フレームは、フレームの内表面にカバーを備えることができる。いくつかの実施形態では、フレームは、フレームの内表面および/または外表面の一部にカバーを備えることができる。
【0148】
[0166]閉塞具のサイズは、患者が成長するにつれておよそ0.8:1~2:1(または約1:1~2:1など)のQp:Qs比を作り出すようにサイズ決めされる限り様々であり得、これは緩和のために臨床的に許容可能である。いくつかの実施形態では、サイズは約1~10mmであり得る。
【0149】
[0167]いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているように、デバイスは一定の制限を有するか、または血流制限器のより小さな断面積の開口部をもたらす閉塞サイズもしくは形状は、調整可能な断面積を有する。この調整可能性は、開口部を血管壁に対して位置決めされ、半径方向に圧縮するデバイスの部分に係留することによって提供され得る。患者が成長し、血管が拡張すると、血管壁に対して位置決めされたデバイスの部分も拡張するが、制限サイズは同じサイズのままであるため、内側開口部または流路の断面積が自動的に大きくなる。
【0150】
[0168]いくつかの実施形態では、
図7A~
図7Fに示すように、閉塞具はセンタリングされ得る。他の実施形態では、閉塞具はセンタリングされず、
図8に示すように、血管壁の1つの側に別の側より近い位置にある。制限部802は、血管壁の1つの側により近い位置にあり、流路804は、血管壁の別の側により近い位置にある。
【0151】
[0169]いくつかの実施形態では、閉塞具の全部または一部が生体吸収性であり、閉塞具の全部または一部が時間の経過とともに生体吸収され、血流経路をさらに増大させる。
【0152】
[0170]本明細書で説明される漏斗形状のデバイスの実施形態の多くは、遠位端部により小さい開口部を有するものとして説明されるが、いくつかの実施形態では、
図9に示すように、より小さい開口部は近位端部にあることが理解されるであろう。血流制限器900は、遠位端部904の開口部よりも小さい断面の開口部を有する近位端部902を有する。
【0153】
[0171]デバイス900は、デバイスの外表面および/または内表面にカバー906(例えば、ePTFEカバー)を備えることができる。
【0154】
[0172]いくつかの実施形態では、デバイスの近位端部の支柱908は、デバイスの除去を補助するために露出したままであり得る。いくつかの実施形態では、支柱908は、除去を容易にするために、デバイスの近位端部において半径方向内向きに延びる。例えば、支柱は、スネアで把持することができる特徴を形成することができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、スネアデバイスとの相互作用を容易にするためのループも備える。
【0155】
[0173]いくつかの実施形態では、肺分岐部を使用して、血流制限器を固定することができる。ここで
図10Aおよび
図10Bを参照すると、デバイス1000は、広い遠位部分1004を有するフレーム1002を備える。フレームの幅は、分岐部の両方の血管にまたがるのに十分な幅とする。フレームは、血管内にデバイスを固定するのに役立ち得る。分岐部の分岐血管1012間の合流点1010も、デバイスを所定の位置に固定する。
【0156】
[0174]デバイス1000は、デバイス1000の外表面および/または内表面の一部または全部を覆うカバー(例えば、ePTFE)を備えることができる。
【0157】
[0175]このデバイスは、
図10Bに示すように、内膜構造体1006を備える。膜構造体は、主血管1008の内表面の周囲を円周方向に延び、血液が流れる通路を形成することができる。膜構造体は、漏斗構成を有する略管状に形成される。膜構造体の近位端部は、フレーム1002の近位端部またはその近傍に配置され得る。他の実施形態では、膜構造体の近位端部は、フレームの近位端部から離れて配置され得る。
【0158】
[0176]膜構造体の近位端部は、膜構造体によって形成された通路の近位開口部を形成するが、膜構造体の遠位端部は、膜構造体によって形成された通路の遠位開口部を形成する。
【0159】
[0177]通路の遠位開口部は分岐部の近位に位置することができる。
【0160】
[0178]本明細書に記載されている他のデバイス(例えば、デバイス100、200、300、400)も、
図10Aおよび
図10Bに示すデバイスと同様に、肺分岐部に固定できることが理解されるであろう。
【0161】
[0179]
図10C~
図10Eは、分岐部に配置された血流制限器1020の別の実施形態の側面図および端面図を示す。血流制限器1020は、その近位端部にスネアまたはループ特徴1022を備える。血流制限器1020は、スネアまたはループ特徴1022から半径方向外向きに延び、傘形状の遠位端部を備える。遠位端部は全体が丸みを帯びており、血管内腔との相互作用が最小で細胞の内殖を防ぐようなカバー1024を備える。支柱1026は、スネアまたはループ特徴から傘形状の遠位端部に向かって延びる。
【0162】
[0180]
図10Dは、血管1030内の血流制限器を取り囲む流路1028を示す血流制限器1020の端面図を示す。本実施形態では、血管が拡張するにつれ流路は拡張し、覆われる面積は一定のままである。
【0163】
[0181]
図10Eは、血液がカバー1024を通って流れることを可能にする、カバーの穴1032を含む血流制限器1020の別の実施形態の端面図を示す。本実施形態では、穴はバルーン拡張または他の機械的もしくは電気機械的手段を用いて拡大することができる。
【0164】
[0182]いくつかの実施形態では、
図11Aおよび
図11Bに示すように、2つの別個の制限器1100を、肺分岐部の別個の枝(例えば、肺動脈枝の最初の2つの枝)に使用することができる。いくつかの実施形態では、これらのデバイスは、一緒に係留され、それらを所定の位置に固定するのを助けることができる。
図11Aは、より小さい開口部が近位端部に配置されたデバイス1100を示す。
図11Bは、より小さい開口部が遠位端部に配置されたデバイス1100を示す。
【0165】
[0183]ここで
図12A~
図12Cを参照すると、いくつかの実施形態では、デバイスは、フレーム内に配置され、血流を制限するように機能する弁を備えたフレーム(図示せず)を備える。例えば、
図12Aおよび
図12Bの端面図および側面図にそれぞれ示すように、ダックビル弁1200を使用することができる。弁の開口部1202は、流路を調整するためにバルーン拡張することができる。あるいは、開口部の断面積を拡大するために、スリットに沿って縫合糸を拡張または破断することもできる。
【0166】
[0184]別の例として、
図12Cに示すように、クロススリット弁1204を使用することができる。弁の開口部1206をバルーン拡張して流路を調整することができる。あるいは、開口部の断面積を拡大するために、スリットに沿って縫合糸を拡張または破断することができる。
【0167】
[0185]いくつかの実施形態では、血流制限器は
図13に示す卵形の断面プロファイルを備える。この種の形状は、肺動脈(例えば、分岐肺動脈)を変形させて平らにし、断面積をスリット形状に近似させ、血流を制限する。
【0168】
[0186]ここで
図14を参照すると、いくつかの実施形態では、血流制限器1400は、いくつかの螺旋状の側方リング1402を備えたカバー付きステントを構成する。血流制限器1400の両端部を反対方向にねじることにより、デバイス1400の中央部分を収縮させ、血流を制限するように機能するくびれを形成することができる。制限部の大きさは、展開中にステントをねじる量を制御することによって制御できる。いくつかの実施形態では、制限部のサイズは展開前に予め張力をかけられている。
【0169】
[0187]くびれは後に、バルーン拡張を用いて、またはステントをくびれ内に配置することによって拡張することができる。
【0170】
[0188]
図15Aおよび
図15Bに移ると、いくつかの実施形態では、血流制限器1500は、一方が他方の後ろにある2つのパネル1502を備える。パネル1502は、テザーまたは他の接続部材1508によって接続される。各パネル1502は、流路を可能にする穴またはアパーチャ1504を備える。両パネルをねじって2つのアパーチャ1504の間の位置合わせを調整し、それによって許容される血流量を調整することができる。
【0171】
[0189]いくつかの実施形態では、バルーンを使用して2つのパネル間の開口部を調整することができる。バルーンは、初回処置中またはフォローアップ処置中に使用して、両パネルの位置合わせを調整し、それによって血流を調整することができる。
【0172】
[0190]
図15Bに示すように、パネル1502はばね1506によって接続することもできる。2つのアパーチャは、非直線的な流路を確実にするために、図示されるように反対位置にあることができる。パネル1502間の距離は、血流を調節するために調整することができる。
【0173】
[0191]いくつかの実施形態では、ばねは圧力制御弁として機能し、圧力が増加すると血流を減少させる。近位パネルが所定の位置に固定されている場合、圧力によって遠位パネルを近位パネルに近づけ、流路をより蛇行させ、それにより血流を減少させることができる。
【0174】
[0192]いくつかの実施形態では、血流制限器は、
図16に示すように、螺旋状流路1604を画定するカバー付きフレーム1602を備える。螺旋の長さは、血流を調整するために、配置中または配置後に調整することができる。
【0175】
[0193]いくつかの実施形態では、デバイスは
図1A~
図3Cに関して説明したような略漏斗形状のフレームを備える。
図17のデバイス1700は、
図1A~
図3Cに示すデバイスに類似しているが、第2の漏斗形状のステント構成部品が、デバイスのより小さい開口端がつながって砂時計形状を形成するように、第1のデバイスの遠位側に配置されている。第2のデバイスまたは追加の漏斗形状の構成部品は、安定化に役立ち、さらなる固定を提供することができる。
【0176】
[0194]くびれ1702または中間部もしくはその周囲に形成された血流制限部は、
図1A~
図3Cに示すデバイスの断面積が縮小された開口部に関して説明された寸法と同様の寸法を有し得る。
【0177】
[0195]くびれ1702は、制限を調整するために、拡張されるか、破壊されるか、または外科的に除去され得る。
【0178】
[0196]いくつかの実施形態では、デバイス1700は、デバイスの外表面の全部または一部にカバー1704(例えば、ePTFEカバー)を備える。デバイスの外側部分における血管の壁と接触するカバーは、デバイスの除去を助ける。デバイスはまた、デバイスの内表面の全部または一部にカバーを有することもできる。いくつかの実施形態では、デバイスの半分(例えば、近位側半分)のみがカバーを備える。
【0179】
[0197]特定の実施形態に関して説明される特徴は、本明細書に説明される他の実施形態に包含または使用されることも企図されることが理解されるであろう。
【0180】
[0198]本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上特に明記されていない限り、複数形も含むことが意図される。さらに、本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」および/または「備えた(comprising)」という用語は、記載された特徴、ステップ、操作、要素、および/または構成部品の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作、要素、構成部品、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことが理解されるであろう。本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数のあらゆる組み合わせを包含し、「/」と略記されてもよい。
【0181】
[0199]本明細書では、説明を容易にするために、「下」、「下方」、「下部」、「上」、「上部」などの空間的相対用語が、図面に示されているように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するために使用されることがある。空間的相対用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用時または操作時のデバイスの異なる向きを包含することを意図していることが理解されるであろう。例えば、図中のデバイスが反転している場合、他の要素または特徴の「下」または「真下」と記載された要素は、それら他の要素または特徴の「上」に配向されることになる。したがって、例示的な用語「下」は、上および下の両方の配向を包含することができる。デバイスは、他の向き(90°回転した向きまたは他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。同様に、「上向き」、「下向き」、「垂直」、「水平」などの用語は、特に明記されていない限り、本明細書では説明のみを目的として使用される。
【0182】
[0200]本明細書において、「第1の」および「第2の」という用語は、様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために使用されることがあるが、文脈上別途明記されていない限り、これらの特徴/要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素と区別するために使用されてもよい。したがって、第1の特徴/要素を後述するときに第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、本発明の教示から逸脱することなく、第2の特徴/要素を後述するときに第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0183】
[0201]本明細書およびそれに続く特許請求の範囲全体を通じて、文脈上別途必要とされない限り、「備える(comprise)」という語、ならびに「備える(comprises)」および「備えた(comprising)」などの活用形は、様々な構成部品が、方法および物品(例えば、デバイスおよび方法を含む構成および装置)において共同して採用され得ることを意味する。例えば、「備えた(comprising)」という用語は、任意の記載された要素またはステップを含むことを意味するが、他の要素またはステップを排除することを意味しないと理解される。
【0184】
[0202]ここで本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、実施例において使用される場合を含め、別途明記されない限り、すべての数値は、その用語が明示的に現れていなくても、「約」または「およそ」という語によって前置きされているかのように読むことができる。「約」または「およそ」という語句は、大きさおよび/または位置を記述する際に、記述された値および/または位置が、値および/または位置の合理的な予想範囲内であることを示すために使用することができる。例えば、数値は、記載された値(または数値の範囲)の±0.1%、記載された値(または数値の範囲)の±1%、記載された値(または数値の範囲)の±2%、記載された値(または数値の範囲)の±5%、記載された値(または数値の範囲)の±10%などを有することができる。本明細書で示される数値はさらに、文脈上別途明記されていない限り、約、またはおよそのその値を含むと理解されるべきである。例えば、数値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書で記述される数値範囲は、そこに包含されるすべての下位範囲を含むことが意図される。また、値が開示されている場合、当業者によって適切に理解されるように、その値「以下」、「その値以上」、および値間の可能な範囲も開示されることが理解される。例えば、値「X」が開示されている場合、「X以下」だけでなく、「X以上」(例えば、Xは数値である)も開示される。本出願の全体を通して、データは複数の異なるフォーマットで提供され、このデータは、終点および始点、ならびにデータ点の任意の組み合わせの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示されている場合、10と15の間だけでなく、10および15超、それ以上、それ未満、それ以下、ならびに10および15に等しいものが開示されているとみなされることが理解される。2つの特定の単位間の各単位も開示されているとさらに理解される。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。
【0185】
[0203]様々な例示的実施形態が上述されたが、特許請求の範囲によって記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に対して複数の変更のいずれかを行ってもよい。例えば、様々な説明された方法ステップが実行される順序は、代替的実施形態においてしばしば変更されてもよく、他の代替的実施形態では、1つまたは複数の方法ステップが完全に飛ばされてもよい。様々なデバイスおよびシステムの実施形態の任意選択の特徴は、いくつかの実施形態には含まれ、他の実施形態には含まれないことがある。したがって、前述の説明は、主に例示的な目的のために提供され、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0186】
[0204]本明細書に含まれる実施例および図示は、例示であって限定ではなく、主題が実施され得る特定の実施形態を示す。上記のように、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行うことができるように、他の実施形態を利用し、そこから派生させてもよい。本発明の主題のこのような実施形態は、本明細書では、単に便宜上、「本発明」という用語によって個々に、または集合的に参照されることがあり、複数の発明が実際に開示されている場合、本出願の範囲を単一の発明または発明概念に自発的に限定する意図はない。したがって、特定の実施形態が本明細書に示され記載されているが、同じ目的を達成するように計算された配置が、示された特定の実施形態と置き換えられてもよい。本開示は、様々な実施形態のあらゆる適応または変形をカバーすることを意図している。上記の実施形態の組み合わせ、および本明細書で特に説明されていない他の実施形態は、上記の説明を考察すれば当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】