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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】歯科用デバイスおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/04 20060101AFI20240412BHJP
   A61C 9/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61C 8/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61C 13/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A61C19/04 Z
A61C9/00 Z
A61C8/00 Z
A61C13/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023561350
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 US2022023519
(87)【国際公開番号】W WO2022216733
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/171,437
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523249135
【氏名又は名称】クロケット,ラッセル・ジェイ
【氏名又は名称原語表記】CROCKETT, RUSSELL J.
【住所又は居所原語表記】380 E. WHITE WING COURT, CASA GRANDE, ARIZONA 85122, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】クロケット,ラッセル・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C052
4C159
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052NN02
4C052NN03
4C052NN15
4C159AA51
(57)【要約】
縦軸および該縦軸から径方向外方に延出したウイング領域をそれぞれが有する一つまたは複数の締結部品を有する歯科用デバイス。前記締結部品の前記縦軸は、歯列弓の歯科用アタッチメントと一致するように構成される。前記ウイング領域は、上面、底面、側面、および前記上面から突出した縦構造を有する。前記ウイング領域は、互いにかつ/またはフレーム部材と結合するように構成された一つまたは複数の取付けエリアも有する。前記フレーム部材は、上面、底面、および前記締結部品の前記ウイング領域と結合するように構成された一つまたは複数の取付けエリアを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸および該縦軸から径方向外方に延出したウイング領域をそれぞれが有する一つまたは複数の締結部品と、
上面および一つまたは複数の取付けエリアを含む底面を有するフレーム部材とを含む歯科用デバイスであって、
前記一つまたは複数の締結部品の前記縦軸が、歯列弓の歯科用アタッチメントと一致するように構成され、
前記一つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域が、上面、底面、および前記上面から突出した縦構造を有し、
前記縦構造が、前記縦軸とは反対側を向く正面、前記縦軸の方を向く背面、および前記正面と前記背面との間で前記ウイング領域の長さと平行に延在する一つまたは複数の側面を有し、
前記ウイング領域が、前記フレーム部材に配設された前記一つまたは複数の取付けエリアと結合するように構成された一つまたは複数の取付けエリアを有する、歯科用デバイス。
【請求項2】
前記一つまたは複数の締結部品および前記フレーム部材が、前記デバイスの作製後およびその耐用期間にわたって寸法ばらつきを最小限にするようにまたはなくすように構成される、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項3】
前記フレーム部材が、台形、半円形、三角形、正方形、および矩形からなる群から選択される形状を有する、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項4】
前記フレーム部材が、歯列弓と適合する大きさおよび寸法である、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項5】
前記フレーム部材には、該フレームを前記歯列弓に適合する大きさにするのが容易になるように刻み目が付されている、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項6】
一つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域の前記取付けエリアが複数の歯を有する、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項7】
一つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域にテーパが付けられている、請求項7に記載の歯科用デバイス。
【請求項8】
前記フレーム部材および一つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域の前記取付けエリアのうちの少なくとも一方が平らな表面を含む、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項9】
前記フレーム部材および一つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域の前記取付けエリアのうちの少なくとも一方が複数のアンダーカットまたは溝を有する、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項10】
前記フレーム部材および前記一つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域の前記取付けエリアが、前記フレーム部材または前記締結部品の前記ウイング領域の上部から底部まで延在する孔を有する、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項11】
前記一つまたは複数の締結部品が、第一の締結部品、第二の締結部品、第三の締結部品、第四の締結部品、第五の締結部品、および第六の締結部品を含む、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項12】
前記フレーム部材の前記取付けエリアを前記締結部品の前記ウイング領域の前記取付けエリアと接着するための接着剤をさらに含む、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項13】
前記フレーム部材の前記取付けエリアを前記締結部品の前記ウイング領域の前記取付けエリアと合着するための硬化材料をさらに含む、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項14】
請求項1の歯科用デバイスを使用する方法であって、
前記一つまたは複数の締結部品を前記歯列弓の一つまたは複数の歯科用アタッチメントに結合すること、
前記歯科用アタッチメントを中心に前記一つまたは複数の締結部品を回転することにより前記一つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域を位置決めすること、および、
前記締結部品の前記ウイング領域の前記取付けエリアおよび前記フレーム部材の前記取付けエリアに接着剤または硬化材料を塗布し、前記取付けエリアと前記接着剤または硬化材料 が一緒に硬化して一つの剛性の装置になるのを待つことにより、前記フレーム部材を前記一つまたは複数の締結部品に接着または合着することを含む方法。
【請求項15】
前記一つまたは複数の歯科用アタッチメントから前記フレーム部材および前記一つまたは複数の締結部品を単一装置として取り外し、前記歯列弓の前記一つまたは複数の歯科用アタッチメントの正確な物理的位置、ローテーション、およびアンギュレーションを関係づける歯科用模型の正確度を検証するために使用される検証ジグとして前記組み立てられた装置を使用するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
様々な角度および異なる長さのウイング領域を有する複数の締結部品から前記一つまたは複数の締結部品を選択するステップ、および、
異なる大きさを有する複数のフレーム部材から前記フレーム部材を選択するステップであって、前記選択されるフレーム部材が前記歯列弓と適合し、前記一つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域の全てに載架するように選択するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記一つまたは複数の締結部品の周りに一般的な歯科用印象材料を塗布して、前記一つまたは複数の締結部品を包囲する歯肉組織の構造を前記一つまたは複数の歯科用アタッチメントの位置に関係づける前記歯肉組織の印象を取得するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記縦構造が、前記一つまたは複数の締結部品の前記縦軸の開口に接着材料または合着材料が入ることを防止するように前記開口を遮蔽するように構成される、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項19】
縦軸および該縦軸から径方向外方に延出したウイング領域をそれぞれが有する複数の締結部品であって、前記縦軸が歯列弓の歯科用アタッチメントと一致するように構成された複数の締結部品と、
前記歯列弓に組み付けられたとき前記複数の締結部品を互いに合着するための硬化材料とを含む歯科用デバイスであって、
前記ウイング領域が、前記複数の締結部品を互いに合着するのが容易になるように前記歯列弓に組み付けられたとき互いにごく近接するような大きさおよび寸法である、歯科用デバイス。
【請求項20】
請求項19に記載の歯科用デバイスを使用する方法であって、
前記複数の締結部品を前記歯列弓の複数の歯科用アタッチメントに結合すること、
各締結部品の前記ウイング領域が少なくとも一つの他の締結部品のウイング領域とごく近接するまで前記歯科用アタッチメントを中心に各締結部品を回転することにより各締結部品の前記ウイング領域を位置決めすること、
前記締結部品の前記ウイング領域を、各ウイング領域の表面にかつ他の締結部品の前記ウイング領域間に前記硬化材料を塗布することにより互いに接着または合着すること、および、
各ウイング領域の上面から突出した縦構造を使用して、前記締結部品の前記縦軸に沿って配設された開口に前記硬化材料が入ることを防止することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月6日に出願された米国仮特許出願第63/171437号に対する優先権の利益を請求し、該出願の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明の分野は歯科用デバイスであり、特に、歯列弓の一つまたは複数の歯科用アタッチメントの正確な物理的位置、ローテーション、およびアンギュレーションを関係づける歯科用模型の正確度を検証するための歯科用インプラント検証ジグである。
【背景技術】
【0003】
背景の説明は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。これは、本明細書で提供するいかなる情報も先行技術である、または現在請求している発明に関わるということも、具体的または黙示的に言及するいかなる公開文献も先行技術であるということも認めるものではない。
【0004】
歯科技工士は、デジタル模型または鋳造した物理的模型を用いて、患者の顎の喪失歯または抜いた歯と置換する特注の補綴物を設計および作製する。歯科用インプラントが関わるときは、前記補綴物が作られている間の模型と前記補綴物が対象とする患者の両方の対応する部品に精度よく適合する補綴物を確保するために非常に正確な記録が必須である。同一の顎の複数の歯科用インプラントに適合するように補綴物を設計するときは、歯科用インプラント検証ジグを用いて正確な記録を検証する。前記患者と前記模型との間の誤差がごく僅かでも補綴物の適合不良になることがあるので、複数のインプラントが関わるときは検証ジグが必須である。現在、歯科用模型を鋳造する従来の方法またはデジタル模型の口腔内スキャンは、同一の顎の複数のインプラント用に作られる、精度よく適合する特注の補綴物を作製するには正確度が十分ではない。
【0005】
鋳造の歯科用模型は、インプラント印象用コーピングまたは一時的な既成コーピングを患者の顎の歯科用インプラントまたは歯科用インプラントアバットメントに取り付けることにより作られる。歯科用印象材料を用いて、前記コーピングとともに前記患者の顎の陰型の印象体が取られる。次に、前記患者の顎の前記歯科用インプラントを表す歯科用インプラントのレプリカまたは相似物を含む前記陰型の印象体から、鋳型または模型の形の前記患者の顎の陽型の複製が作られる。これらの模型は高い精度を必要としない大抵の歯科用補綴物を製造するには十分に良好であるが、固有の材料の寸法ばらつき、およびこれらの鋳造模型を作製するオペレータの方法が一貫しないことにより、これらの模型は、同一の顎の複数のインプラント用の補綴物を作製するには正確度が不十分になる。
【0006】
歯科用補綴物のコンピュータ支援設計用のデジタル模型は、通常、前記鋳造した歯科用模型の三次元的にスキャンしたコピーである。歯科技工所では、これらのデジタル模型を作り出す歯科分野専用に製造された高精度の三次元卓上スキャナを使用する。しかしながら、これらのスキャン物は、前記スキャナがスキャンしている前記鋳造した歯科用模型と同程度の正確度に過ぎない。ごく最近では、口腔内スキャナ(例えば、3Shape Trios、iTero、Medit、Dentsply PrimeScan)が直接患者の口から三次元のデジタル模型を取得することができる。しかしながら、現在存在する口腔内スキャン技術には、同一の顎の複数のインプラント用の補綴物を作製するのに十分な正確度となることを妨げる固有の制限がある。
【0007】
したがって、歯科用インプラント検証ジグを用いて、患者の顎に配置された歯科用インプラントの正確な位置、ローテーション、およびアンギュレーションを関係づけるデジタルまたは鋳造の歯科模型の正確度を検証する。前記歯科用インプラント検証ジグは、三次元空間中の各インプラントと他のインプラントのそれぞれとの間の正確な相対的な三次元的関係も取得する。前記鋳造模型またはデジタル模型の正確度を検証することができるように、これらのジグには極めて高い精度が要求される。その場合にのみ歯科技工士は自信を持って、患者の顎に配置されたインプラントに精度よく適合するように補綴物を設計および製造することができる。
【0008】
歯科用インプラント検証ジグは、歯科技工によって、印象用コーピングまたは一時的な既成コーピングを前記患者の顎の前記鋳造模型の複製上の前記歯科用インプラントレプリカまたは相似物に取り付けることにより特注で作られる。しばしば歯科用フロスを用いて、前記コーピングのそれぞれの周囲および隣接するコーピング間に塗布して硬化させる接着性アクリル樹脂材料を保持するための足場を隣接するコーピング間に作り出す。一旦硬化すると、前記コーピングは互いにしっかりと固着し、一体的に取り外すことができる。
【0009】
これらの特注ジグを作るために使用する前記樹脂材料は硬化時に収縮する傾向があり、しばしば多少の不正確さを生じることになる。前記コーピング間で使用される樹脂が多いほど、該コーピングは、前記樹脂が硬化する際に取るはずの相対的な三次元的位置からの寸法ばらつきが多くなる。この収縮の作用を最小限にするために、歯科技工所または歯科臨床医は、まず前記模型上の前記インプラント相似物間の樹脂材料で前記印象用コーピングを全て互いに固着させ、前記鋳造模型上の前記インプラント位置を表す模型ジグを作る。一旦前記樹脂がUV光によってまたは周囲光の中で経時的に完全に硬化すると、前記ジグを区画に切断してアクリル収縮から張力を解放し、各コーピングを他のコーピングから隔絶する。前記ジグの前記二つの切断片の前記アクリル樹脂間に小さな間隙が残る。この「区画された」ジグを用いて直接前記患者の口内で前記インプラント位置を検証する。前記臨床医は、次に、前記ジグの各区画を前記患者の顎の前記対応する歯科用インプラントに締結し、前記区画間の前記小さな間隙内の最小量のアクリル樹脂で前記ジグを再接続する。硬化する前記区画間のアクリル樹脂が最小量なので、発生するいかなる収縮も問題にならない。このとき「検証された」ジグは、前記患者の顎の前記歯科用インプラントの前記相対的な三次元的位置の最も正確な物理的複製であるとみなすことができる。前記患者の口内で作製されたこの検証ジグを用いて前記物理的模型およびデジタル模型の正確度を検証することになる。一旦これらの模型が検証されると、前記患者の歯科用インプラントに精度よく適合するであろうという自信を持って永久的な補綴物を製造することができる。
【0010】
これらの検証ジグは特注で作られ、生産に労働力を要するので、これまでのところ特注で作られた器具しか実現できていないいくつかの可変要素に普遍的に適応するのに十分に汎用性のある低コストで量産型の歯科用デバイスが依然として求められている。これらの不確定要素としては、配置しようとする歯科用インプラントの数、治療中の口の大きさ、および前記歯科用インプラント部品の固有の接続部が挙げられるが、これらに限定されない。単一の量産型の歯科用デバイスがこれらの可変要素の大部分に普遍的に適応することができれば、同一の顎上に複数のインプラントがある特注の補綴物の作製が著しく簡素化するであろう。臨床医、患者、および歯科技工士の共同作業にしばしば時間を要するであろう特注の検証ジグを作り出すことを不要にすることによりコストも削減されるであろう。
【0011】
また、歯科用インプラントの固定性および可撤性の全顎リハビリテーション 処置の様々なステップを簡素化することが著しく求められている。歯科医療における最も複雑な処置のうちの一つとして、ステップを取り除くごとに前記処置の全体的な複雑さが著しく低減する。特注で作られる検証ジグを不要にすることにより時間も節約され、コストも削減され、より多くの臨床医がより多くの患者を治療することも可能になるであろう。
【0012】
歯科用インプラントを互いに副子固定してジグを作るときに最小量の樹脂が使用されることを保証することも依然として求められている。樹脂は全て収縮しやすいので、接続部分間の距離を最小限にすることで収縮の作用も最小限になる。重なり合う部品、または隣接する部品と入れ子になるように設計された部品により、樹脂収縮により生じる前記誤差を著しく軽減することができる。
【0013】
最後に、接着剤または硬化材料を用いて口内で部品を互いに合着または接着するときは、締結部品またはインプラント部品のねじ孔の中に多少の過剰な材料が意図せず零れ落ちるおそれが常にある。これは、前記硬化した材料により、臨床医がねじにアクセスして前記部品を口から除去する能力が永久的に阻害されることがあるので、大変に厄介な問題になりかねない。これが起きると、臨床医は、前記歯科用インプラントを口から手術により摘出しなければならないことがある。この種の処置はしばしば患者に著しい外傷をもたらすことになる。したがって、このような大変に厄介な問題が起きるのを防止するために付加的な安全機能が必要である。インプラント上部で口内で合着されるように設計されたデバイスは、合着材料が前記ねじ孔に入り、前記歯科用インプラントに歯科用インプラント部品を締結する前記ねじを覆わないように遮蔽または阻止する安全機構から利益が得られるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、改良した歯科用デバイスおよびそれらの使用方法が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の主題は、歯科用デバイスが、ウイング領域を有する一つまたは複数の締結部品、およびフレーム部材を含む、装置、システム、および方法を提供する。各締結部品は、上面、底面、および前記上面から前記底面に貫通する開口を有する。前記開口は、歯科用インプラントまたはアバットメントなどの顎上の様々な歯科用アタッチメントを受容する大きさおよび寸法であり、ねじで締結される。各製造者は独自の型の歯科用インプラントまたはアバットメントを作るので、前記締結部品の前記開口は、各製造者の様々な寸法に適応するような大きさおよび寸法にすることができる。前記ウイング領域も上面および底面を有する。前記ウイング領域の前記上面および底面は、前記フレーム部材と結合するように構成された一つまたは複数の取付けエリアを含む。前記ウイング領域は、前記ウイング領域の前記上面から突出した縦構造も有する。この縦構造は、前記ウイングの端部に面する正面、前記ウイングに平行な側面、および前記締結部品の前記開口に面する背面を有する。前記縦構造の前記正面および側面は、前記フレーム部材の取付けエリアと結合するように構成される。
【0016】
前記フレーム部材は、前記フレーム周囲の縁部、上面、および底面を有する。前記フレーム部材の前記縁部、前記上面、および/または前記底面は、前記締結部品の前記ウイング領域の取付けエリアと結合するように構成された一つまたは複数の取付けエリアを含む。前記フレーム部材は、合着または接着材料を用いて前記締結部品と結合することができる。前記締結部品の前記ウイング領域の前記縦構造はまた、合着または接着材料が前記締結部品の前記開口に入って前記ねじを覆うことを防止するように設計されるが、前記合着または接着材料は、一旦乾燥すると除去が非常に困難になり、患者にとって有害で厄介な問題を引き起こしかねない。これを考慮に入れ、締結部品は、無歯顎に配置された各歯科用アタッチメントに固定することができる。正しく行われたとき、前記締結部品は前記フレーム部材と接着して、先に説明した検証ジグを作り出すことになる。
【0017】
一部の実施形態では、前記合着または接着材料の保持を助け、合着/接着強度を向上するために、前記フレーム部材の前記上面および底面上および前記ウイング領域の上面上の前記取付けエリアは複数の突起を含むことができる。前記合着または接着材料の保持を向上するために、前記突起はテーパを付けるまたは円錐台形状にすることができる。前記ウイング領域と前記フレーム部材の両方の前記取付けエリアは、前記合着または接着材料の保持を助けるアンダーカットまたは凹凸を有することもできる。また、前記フレーム部材は、上部 から底部へ前記フレーム部材を貫通するいかなる幾何学的な形状の孔の平らな格子として製造してもよい。この格子設計により、前記合着材料が前記フレーム部材を前記締結部品に接着するための広い三次元的構造がもたらされる。最後に、前記取付けエリアは、平らな表面、または嵌合する特徴(例えば、同様の輪郭、入れ子形状)を有する表面とし得るとも考えられる。
【0018】
一部の実施形態では、前記締結部品およびそのウイング領域の向きの調整(例えば、前記ウイング領域が前記顎内で口蓋側にかつ他の締結部品にできるだけ近く延出するように前記締結部品を位置決めすること)を可能にするために、前記締結部品は、口内の前記歯科用アタッチメントと回転可能に結合するような大きさおよび寸法である。前記締結部品は、異なる大きさまたは種類の既存の歯科用アタッチメントに適合する異なる大きさで作ることができる。
【0019】
方法の観点から見れば、本発明の主題は、前記締結部品を患者の顎の数個の歯科用アタッチメントにねじで結合することにより前記歯科用デバイスを使用する方法を提供する。その場合、各締結部品の前記ウイング領域を互いに近づけて位置決めするために、前記締結部品は前記アタッチメントを中心に回転される。最後に、前記締結部品の前記ウイング領域は、一般的に利用可能な歯科用アクリルまたは複合材料を用いてフレーム部材と合着または接着される。前記方法は、前記フレーム部材と合着した数個の締結部品の装置全体を取り外し、該装置を使用して、患者の顎に配置された歯科用インプラントまたはアバットメントアタッチメントの正確な物理的位置、ローテーション、およびアンギュレーションを関係づける歯科用模型の正確度を検証するステップをさらに含む。複数のフレーム部材および締結部品は、人の顎によって異なる構造を考慮するのに必要になることがある様々な大きさおよび応用形態から選択することができるとも考えられる。
【0020】
本発明の主題は、前記締結部品の前記ウイング領域の上部から突出した前記縦構造を使用して、前記合着または接着材料が前記締結部品の前記開口に入ってねじ孔を覆わないように遮蔽または阻止する方法も提供する。
【0021】
本発明の主題は、歯科用デバイスが複数の締結部品を含み、各締結部品がウイング領域を有する、装置、システム、および方法も提供する。各締結部品は、歯列弓の歯科用アタッチメントに取り付け、それらのウイング領域が隣接するウイング領域にごく近接して入れ子になるように配置することができる。前記ウイング領域は、全ての前記複数の締結部品が互いに接合されて単一の装置を形成するように接着剤または合着材料で互いに接合することができる。前記単一の装置は、前記歯科用アタッチメントから取り外して検証ジグとして使用することができる。取外しの前に、前記締結部品はスキャンすることができる。
【0022】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様、および利点は、同様の番号が同様の構成要素を表す添付の図面とともに好適な実施形態の下記の詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】歯列弓に固定された歯科用デバイスの斜視図である。
図2図1の前記歯科用デバイスおよび歯列弓の正面図である。
図3図1の前記歯科用デバイスおよび歯列弓の分解斜視図である。
図4図3の前記歯科用デバイスの分解正面図である。
図5】締結部品がインプラントに取り付けられた図1の前記歯科用デバイスの部分分解斜視図である。
図6図5の前記歯科用デバイスの部分分解正面図である。
図7a図1の前記締結部品の側面図である。
図7b図1の前記締結部品の斜視図である。
図7c図1の前記締結部品の平面図である。
図8a図1のフレーム部材の正面図である。
図8b図1の前記フレーム部材の斜視図である。
図8c図1の前記フレーム部材の平面図である。
図9図1の前記インプラント、アバットメント、および締結部品の分解側面図である。
図10】インプラント、および締結部品の別の実施形態の分解側面図である。
図11】前記インプラント、アバットメント、および図9または図10のいずれかの前記締結部品の側面図である。
図12】歯科用デバイスおよび歯列弓の別の実施形態の分解斜視図である。
図13図12の前記歯科用デバイスおよび歯列弓の分解正面図である。
図14図12の前記歯科用デバイスおよび歯列弓の分解側面図である。
図15】複数の締結部品を含む歯科用デバイスの別の実施形態の平面図である。
図16】前記締結部品が接着材料または合着材料によって互いに接合されて単一の装置を形成した図15の前記歯科用デバイスの平面図である。
図17図16の前記歯科用デバイスの斜視図である。
図18図16の前記歯科用デバイスの正面図である。
図19】歯列弓に固定された歯科用デバイスの別の実施形態の斜視図である。
図20図19の前記歯科用デバイスおよび歯列弓の正面図である。
図21図19の前記歯科用デバイスおよび歯列弓の分解斜視図である。
図22図21の前記歯科用デバイスの分解正面図である。
図23】締結部品がインプラントに固定された図19の前記歯科用デバイスの部分分解斜視図である。
図24図23の前記歯科用デバイスの部分分解正面図である。
図25a図19の前記締結部品の側面図である。
図25b図19の前記締結部品の斜視図である。
図25c図19の前記締結部品の平面図である。
図26a図19のフレーム部材の正面図である。
図26b図19の前記フレーム部材の斜視図である。
図26c図19の前記フレーム部材の平面図である。
図27図19の前記インプラント、アバットメント、および締結部品の分解側面図である。
図28】インプラント、および締結部品の別の実施形態の分解側面図である。
図29】前記インプラント、アバットメント、および図27または図28のいずれかの前記締結部品の側面図である。
図30】歯科用デバイスおよび歯列弓の別の実施形態の分解斜視図である。
図31図30前記歯科用デバイスおよび歯列弓の分解正面図である。
図32図30の前記歯科用デバイスおよび歯列弓の分解側面図である。
図33】複数の締結部品を含む歯科用デバイスの別の実施形態の平面図である。
図34】前記締結部品が接着材料または合着材料によって互いに接合されて単一の装置を形成した図33の前記歯科用デバイスの平面図である。
図35図34の前記歯科用デバイスの斜視図である。
図36図34の前記歯科用デバイスの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
以下の論述では、本発明の主題の多くの例示的実施形態を提供する。各実施形態は発明要素の単一の組み合わせを代表するが、本発明の主題は、開示要素のあらゆる可能な組み合わせを含むとみなす。したがって、一つの実施形態が要素A、B、およびCを含み、第二の実施形態が要素BおよびDを含む場合、本発明の主題は、たとえ明示的に開示していなくても、A、B、C、またはDの他の残りの組み合わせも含むとみなす。
【0025】
図1は、歯列弓8に組み付けられた歯科用デバイス100の斜視図を示す。図2は、歯科用デバイス100および歯列弓8の正面図を示す。図3は、歯科用デバイス100の斜視分解図を示す。図4は、歯科用デバイス100の正面分解図を示す。歯科用デバイス100は、締結部品3と結合されるフレーム部材1を含み、締結部品3は四つのアバットメント4に取り付けられ、四つのアバットメント4は歯列弓8の四つのインプラント5に取り付けられている。締結部品3は、ねじまたは任意の他の既知のファスナを用いてアバットメント4に固定することができる。歯列弓8は、いかなる年齢および/または大きさのいかなる人間の上顎弓または下顎弓をも含むことができる。前記歯列弓は、人間の上顎弓または下顎弓の人工の物理的模型も含み得る。前記模型は、様々な石こう材料または樹脂材料で作ることができる。
【0026】
図5は、締結部品3がアバットメント4に固定された歯科用デバイス100の斜視部分分解図を示す。図6は、締結部品3がアバットメント4に固定された歯科用デバイス100の正面部分分解図を示す。締結部品3は、フレーム部材1に固定されるウイング領域2を有する。締結部品3は、それらのウイング領域2の配置および向きを調整するために回転することができる。ウイング領域2の長さは歯列弓8の中心領域の中へ延出して、フレーム部材1を取り付けるためのプラットフォームを提供する。全ての前記ウイング領域2用の十分な空間があることを保証するため、前記ウイング領域2はまず中央のインプラントに、その後に側方のインプラントに配置することができる。前記ウイング部材同士は収束し、前記フレーム部材用の比較的水平かつ安定したプラットフォームを作り出すべきである。
【0027】
図7aは、締結部品3の側面図を示す。締結部品3は、縦軸「a」を有する貫通孔を有する円筒体を有する。締結部品3は、前記円筒体から径方向外方に延出し、テーパ端部と、上面に歯状突起とを有するウイング領域2も有する。図7bは、締結部品3の斜視図を示す。図7cは、締結部品3の平面図を示す。
【0028】
図8aは、フレーム部材1の正面図を示す。図8bは、フレーム部材1の斜視図を示す。図8cは、フレーム部材1の平面図を示す。フレーム部材1は台形形状を有する。しかしながら、半円形、三角形、正方形、矩形、および不規則な非幾何学的な形状を含む他の形状も可能である。フレーム部材1は、歯列弓8内に収まるような大きさおよび寸法である。フレーム部材1は、該フレームを前記歯列弓に適合する大きさにすることが容易になるように刻み目を付ける(例えば、測定する、大きさにする)ことができる。例えば、前記フレーム部材1は、全長および全幅に関してその一般的な大きさを示すように刻み目を付けることができる。前記フレーム部材1の長さおよび幅は患者の歯列弓内に収まり、前記ウイング領域2の全てにできるだけ均等に架設すべきである。フレーム部材1は、正確なスキャンのために、前記フレーム部材1と前記締結部品3の前記縦軸円筒体との間に空間も有するべきである。フレーム部材1は、樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ステンレス鋼、コバルトクロム、またはチタンで作ることができ、X線撮像における可視性のための放射線不透過性材料、および口腔内スキャンにおける良好な可視性のための非研磨面を含む。
【0029】
一旦締結部品3がインプラント部位の適所に位置決めされると、フレーム部材1は、前記ウイング領域2上に配置されて結合される。フレーム部材1は、合着材料または接着材料でウイング領域2に結合することができる。前記合着または接着材料との機械的接着を向上するために、フレーム部材1は複数の開口を有し、ウイング領域2は複数の歯を有する。考えられる合着材料としては、歯科用合着セメント、または表面にくっついて硬化する任意の材料が挙げられる。考えられる接着材料としては、自己硬化性アクリル樹脂、ビスアクリル複合樹脂、デュアルキュア型アクリル樹脂、化学接着剤、および歯科用セメントが挙げられる。前記合着または接着材料は、フレーム部材1をウイング領域2上に配置して保持する前に、前記ウイング領域2上またはフレーム部材1上に配置される。
【0030】
合着および/または接着材料の保持を助け、前記接着の強度を向上するために、フレーム部材1および/またはウイング領域2はアンダーカットまたは凹凸を有し得るとも考えられる。さらに他の実施形態では、前記ウイング領域2とフレーム部材1の両方の取付けエリアが平らでもよいし、前記フレーム部材1のウイング領域2との機械的係合を向上するために、互いに嵌合するまたは入れ子になる同様の形状/輪郭のエリアを有してもよいと考えられる。前記合着または接着材料は、前記ウイング領域2およびフレーム部材1の組成および前記取付けエリアの構成(例えば、平らな表面、突起など)に基づいて選択することができる。
【0031】
図9は、前記締結部品3、アバットメント4、およびインプラント5の側面分解図を示す。
【0032】
図10は、アバットメント領域14を有すること以外は締結部品3と同様の締結部品13を示す。アバットメント領域14は、インプラント5の開口と嵌合する大きさおよび寸法のテーパ面を有し、それによりアバットメント4が不要になっている。
【0033】
図11は、インプラント5に締結した締結部品3または13のいずれかの側面図を示す。
【0034】
図12は、歯科用デバイス200および歯列弓8の斜視分解図を示す。歯科用デバイス200は、前記二つの中央の締結部品3が締結部品13と置換されていること以外は歯科用デバイス100と同様である。図13は、歯科用デバイス200および歯列弓8の正面分解図を示す。図14は、歯科用デバイス200および歯列弓8の側面分解図を示す。
【0035】
図15は、歯列弓8上の歯科用デバイス300を示す。歯科用デバイス300は複数の締結部品23を含む。締結部品23は、より長いウイング領域を有すること以外は締結部品3と同様である。各ウイング領域は、隣接するウイング領域にごく近接するように位置決めされる。一旦隣接するウイング領域にごく近接して位置決めされると、該ウイング領域は、図16から図18に示すように接着剤または合着材料11を用いて互いに接合される。一旦互いに接合されると、締結部品23は、それらの位置、向き、およびアンギュレーションを記録するために口腔内カメラでスキャンすることができる。締結部品23は単一ユニットとして取り外し、検証ジグとして使用することもできる。歯科用デバイス300は、フレーム部材1が不要な点で歯科用デバイス100および200とは異なる。
【0036】
図19は、歯列弓8に組み付けられた歯科用デバイス400の斜視図を示す。図20は、歯科用デバイス400および歯列弓8の正面図を示す。図21は、歯科用デバイス400の斜視分解図を示す。図22は、歯科用デバイス400の正面分解図を示す。歯科用デバイス100 は、締結部品43と結合されるフレーム部材41を含み、締結部品43は四つのアバットメント44に取り付けられ、四つのアバットメント44は歯列弓8の四つのインプラント5に取り付けられている。締結部品43は、ねじまたは任意の他の既知のファスナを用いてアバットメント44に固定することができる。歯列弓8は、いかなる年齢および/または大きさのいかなる人間の上顎弓または下顎弓をも含むことができる。前記歯列弓は、人間の上顎弓または下顎弓の人工の物理的模型をも含み得る。前記模型は、様々な石こう材料または樹脂材料で作ることができる。
【0037】
前記締結部品43および前記フレーム部材42により、硬化樹脂の収縮による前記デバイスの作製後およびその耐用期間にわたる寸法ばらつきが最小限になる、またはなくなる。締結部品43およびフレーム部材42は、いかなる非樹脂および非収縮性の材料でも作ることができ、好ましくは、乾燥環境/湿潤環境のいずれかおよび高温/低温のいずれかで長期にわたり強度および剛性を維持する寸法的に安定した材料を含む。
【0038】
図23は、締結部品43がアバットメント44に固定された歯科用デバイス400の斜視部分分解図を示す。図24は、締結部品43がアバットメント44に固定された歯科用デバイス400の正面部分分解図を示す。締結部品43は、フレーム部材41に固定されるウイング領域42を有する。締結部品43は、それらのウイング領域42の配置および向きを調整するために回転することができる。ウイング領域42の長さは、歯列弓8の中心領域の中へ延出して、フレーム部材41を取り付けるためのプラットフォームを提供する。全ての前記ウイング領域42用の十分な空間があることを保証するため、前記ウイング領域42はまず中央のインプラントに、その後に側方のインプラントに配置することができる。前記ウイング部材42同士は収束し、前記フレーム部材41用の比較的水平かつ安定したプラットフォームを作り出すべきである。
【0039】
図25aは、締結部品43の側面図を示す。締結部品43は、縦軸47を有する貫通孔を有する円筒体を有する。締結部品43は、前記円筒体および縦軸47から径方向外方に延出したウイング領域42も有する。締結部品は、前記ウイング領域42から上方に突出する縦構造48も有する。図25bは、締結部品43の斜視図を示す。縦構造48は、四つの面、すなわち、前記縦軸47とは反対側を向く正面、前記縦軸47の方を向く背面、および前記正面と背面との間で平行に(例えば、前記ウイング領域42の長さと平行に)延在する二つの側面を有する。縦構造48の上部は縦軸47の開口よりも高く、これにより、硬化材料が充填しないように開口47を遮蔽することが助けられる。このウイング領域42は、フレーム部材41を取り付けるための平らな面を提供する。図25cは、締結部品43の平面図を示す。
【0040】
図26aは、フレーム部材41の正面図を示す。図26bは、フレーム部材41の斜視図を示す。図26cは、フレーム部材41の平面図を示す。フレーム部材41は、台形形状を有する本体部材51を有する点でフレーム部材41と同様である。しかしながら、フレーム部材41は、前記台形の本体部材51から延出したフィン52も有する。前記歯科用デバイスが患者の口内にあるときに前記ウイング領域上で前記フレーム部材を位置決めするために、フィン52はハンドルとして有用である。
【0041】
フレーム部材41は、歯列弓8内に収まるような大きさおよび寸法である。フレーム部材41の大きさは患者の歯列弓内に収まり、前記ウイング領域42の全てにできるだけ均等に架設すべきである。フレーム部材41は、正確なスキャンのために、前記フレーム部材41と前記締結部品43の前記円筒体との間に空間も有するべきである。フレーム部材41は、樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ステンレス鋼、コバルトクロム、またはチタンで作ることができ、X線撮像における可視性のための放射線不透過性材料、および口腔内スキャンにおける良好な可視性のための非研磨面を含む。
【0042】
一旦締結部品43がインプラント部位の適所に位置決めされると、フレーム部材41は、前記ウイング領域42上に配置されて結合される。フレーム部材41は、合着材料または接着材料11でウイング領域42に結合することができる。前記合着または接着材料11との機械的接着を向上するために、フレーム部材41は複数の開口を有し、ウイング領域42は複数の開口を有する。考えられる合着材料としては、歯科用合着セメント、または表面にくっついて硬化する任意の材料が挙げられる。考えられる接着材料としては、自己硬化性アクリル樹脂、ビスアクリル複合樹脂、デュアルキュア型アクリル樹脂、化学接着剤、および歯科用セメントが挙げられる。前記合着または接着材料は、フレーム部材41をウイング領域42上に配置して保持する前に、前記ウイング領域42上またはフレーム部材41上に配置される。
【0043】
合着および/または接着材料の保持を助け、前記接着の強度を向上するために、フレーム部材41および/またはウイング領域42はアンダーカットまたは凹凸を有し得るとも考えられる。さらに他の実施形態では、前記ウイング部材42とフレーム部材41の両方の取付けエリアが平らでもよいし、前記フレーム部材41のウイング部材42との機械的係合を向上するために、互いに嵌合するまたは入れ子になる同様の形状/輪郭のエリアを有してもよいと考えられる。前記合着または接着材料11は、前記ウイング領域42およびフレーム部材41の組成および前記取付けエリアの構成(例えば、平らな表面、突起など)に基づいて選択することができる。
【0044】
図27は、前記締結部品43、アバットメント44、およびインプラント5の側面分解図を示す。
【0045】
図28は、アバットメント領域54を有すること以外は締結部品43と同様の締結部品53を示す。アバットメント領域54は、インプラント5の開口と嵌合する大きさおよび寸法のテーパ面を有し、それによりアバットメント44が不要になっている。
【0046】
図29は、インプラント5に締結した締結部品43または53のいずれかの側面図を示す。
【0047】
図30は、歯科用デバイス500および歯列弓8の斜視分解図を示す。歯科用デバイス500は、前記二つの中央の締結部品43が締結部品53と置換されていること以外は歯科用デバイス400と同様である。図31は、歯科用デバイス500および歯列弓8の正面分解図を示す。図32は、歯科用デバイス500および歯列弓8の側面分解図を示す。
【0048】
図33は、歯列弓8上の歯科用デバイス600を示す。歯科用デバイス600は複数の締結部品43を含む。締結部品43は、縦構造48および異なる形状のウイング領域42を有すること以外は締結部品3および23と同様である。前記締結部品43の各ウイング領域42は、隣接するウイング領域42にごく近接するように位置決めされる。一旦隣接するウイング領域42にごく近接して位置決めされると、前記ウイング領域42は、図34から図36に示すように接着剤または合着材料11を用いて互いに接合される。一旦互いに接合されると、締結部品43は、それらの位置、向き、およびアンギュレーションを記録するために口腔内カメラでスキャンすることができる。縦構造48は、合着材料11が締結部品43の前記孔に入るのを阻止する助けになることができる。縦構造48は、アルゴリズムが参照するための既知の寸法を有する容易に認識可能な三次元構造を提供することにより、スキャン方法の効率および/または正確度を向上する助けになることもできる。締結部品43は単一ユニットとして取り外し、検証ジグとして使用することもできる。歯科用デバイス600は、フレーム部材41が不要な点で歯科用デバイス500および400とは異なる。
【0049】
方法の観点から見れば、本発明の主題は、一つまたは複数の締結部品およびフレーム部材を有する歯科用デバイスを使用する方法であって、(i)前記一つまたは複数の締結部品を歯列弓の一つまたは複数の歯科用アタッチメントに結合し、(ii)前記歯科用アタッチメントを中心に前記一つまたは複数の締結部品を回転することにより前記一つまたは複数の締結部品のウイング領域を位置決めし、(iii)前記締結部品の前記ウイング領域の取付けエリアおよび前記フレーム部材の取付けエリアに接着剤または硬化材料を塗布し、前記取付けエリアと前記接着剤または硬化材料が一緒に硬化して一つの剛性の装置になるのを待つことにより前記フレーム部材を前記一つまたは複数の締結部品に接着または合着することによる方法を含む。
【0050】
さらに他の態様では、前記方法は、前記フレーム部材および前記一つまたは複数の締結部品を単一の装置として前記一つまたは複数の歯科用アタッチメントから取り外し、前記歯列弓の前記一つまたは複数の歯科用アタッチメントの正確な物理的位置、ローテーション、およびアンギュレーションを関係づける歯科用模型の正確度を検証するために使用される検証ジグとして前記組み立てられた装置を使用するステップをさらに含むことができる。前記方法は、(i)様々な角度および異なる長さのウイング領域を有する複数の締結部品から前記一つまたは複数の締結部品を選択するステップ、および(ii)異なる大きさを有する複数のフレーム部材から前記フレーム部材を選択するステップであって、前記選択されるフレーム部材が前記歯列弓と適合し、前記一つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域の全てに載架するように選択するステップをさらに含むことができる。
【0051】
さらに他の態様では、前記方法は、前記一つまたは複数の締結部品の周りに一般的な歯科用印象材料を塗布して、前記一つまたは複数の締結部品を包囲する歯肉組織の構造を前記一つまたは複数の歯科用アタッチメントの位置に関係づける前記歯肉組織の印象を取得するステップを含むことができる。
【0052】
本明細書で用いるように、また文脈上他の意味でない限り、「に取り付けられる」、「に結合される」と言う用語は、直接的な結合(互いに結合される二つの要素が互いに接触する)と間接的な結合(少なくとも一つの付加的な要素が前記二つの要素間に存在する)の両方を含むことを意図している。したがって、「に結合される」および「と結合される」という用語は同義語として使用している。
【0053】
本明細書における本発明の概念から逸脱することなく、既に説明したものに加えてさらに多くの変形が可能であることが当業者には明らかなはずである。したがって、本発明の主題は、補正された請求項の主旨以外で制限されないものとする。さらに、本明細書と請求項の両方を解釈する際に、あらゆる用語は、文脈と一貫した最大限に広い意味で解釈すべきである。特に、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」という用語は、要素、部品、またはステップに非排他的に言及し、該言及した要素、部品、またはステップが、明示的に言及されていない他の要素、部品、またはステップとともに存在してよく、または使用してよい、または組み合わせてよいことを意味すると解釈すべきである。本明細書でA、B、C…およびNからなる群から選択されるもののうちの少なくとも一つに言及する場合、該一文は、Aに加えてN、またはBに加えてNなどではなく、前記群からの要素が一つあればよいと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25a
図25b
図25c
図26a
図26b
図26c
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
【手続補正書】
【提出日】2023-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸および該縦軸から径方向外方に延出したウイング領域をそれぞれが有するつまたは複数の締結部品と、
三つまたは複数の締結部品を取り付けるための上面およびつまたは複数の取付けエリアを含む底面を有するフレーム部材とを含む歯科用デバイスであって、
前記つまたは複数の締結部品の前記縦軸が、歯列弓の歯科用アタッチメントと一致するように構成され、
前記つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域が、上面、底面、および前記上面から突出した縦構造を有し、
前記縦構造が、前記縦軸とは反対側を向く正面、前記縦軸の方を向く背面、および前記正面と前記背面との間で前記ウイング領域の長さと平行に延在する一つまたは複数の側面を有し、
前記ウイング領域が、前記フレーム部材取付けエリアと結合するように構成された一つまたは複数の取付けエリアを有する、歯科用デバイス。
【請求項2】
前記つまたは複数の締結部品および前記フレーム部材が、前記デバイスの作製後およびその耐用期間にわたって寸法ばらつきを最小限にするようにまたはなくすように構成される、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項3】
前記フレーム部材が、台形、半円形、三角形、正方形、および矩形からなる群から選択される形状を有する、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項4】
前記フレーム部材が、歯列弓と適合する大きさおよび寸法である、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項5】
前記フレーム部材には、該フレームを前記歯列弓に適合する大きさにするのが容易になるように刻み目が付されている、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項6】
つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域の前記取付けエリアが複数の歯を有する、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項7】
つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域にテーパが付けられている、請求項に記載の歯科用デバイス。
【請求項8】
前記フレーム部材の前記取付けエリアおよび記ウイング領域の前記取付けエリア平らな表面である、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項9】
前記フレーム部材の前記取付けエリアおよび記ウイング領域の前記取付けエリア複数のアンダーカットまたは溝を有する、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項10】
前記フレーム部材の前記取付けエリアおよび記ウイング領域の前記取付けエリアが、貫通孔を有する、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項11】
前記つまたは複数の締結部品が、第一の締結部品、第二の締結部品、第三の締結部品、第四の締結部品、第五の締結部品、および第六の締結部品を含む、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項12】
前記フレーム部材の前記取付けエリアを前記締結部品の前記ウイング領域の前記取付けエリアと接着するための接着剤をさらに含む、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項13】
前記フレーム部材の前記取付けエリアを前記締結部品の前記ウイング領域の前記取付けエリアと合着するための硬化材料をさらに含む、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項14】
請求項1の歯科用デバイスを使用する方法であって、
前記つまたは複数の締結部品を前記歯列弓のまたは複数の歯科用アタッチメントに結合すること、
前記歯科用アタッチメントを中心に前記つまたは複数の締結部品を回転することにより前記つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域を位置決めすること、および、
前記締結部品の前記ウイング領域の前記取付けエリアおよび前記フレーム部材の前記取付けエリアに接着剤または硬化材料を塗布し、前記取付けエリアと前記接着剤または硬化材料が一緒に硬化して一つの剛性の装置になるのを待つことにより、前記フレーム部材を前記つまたは複数の締結部品に接着または合着することを含む方法。
【請求項15】
前記つまたは複数の歯科用アタッチメントから前記フレーム部材および前記つまたは複数の締結部品を単一装置として取り外し、前記歯列弓の前記つまたは複数の歯科用アタッチメントの正確な物理的位置、ローテーション、およびアンギュレーションを関係づける歯科用模型の正確度を検証するために使用される検証ジグとして前記組み立てられた装置を使用するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
様々な角度および異なる長さのウイング領域を有する複数の締結部品から前記つまたは複数の締結部品を選択するステップ、および、
異なる大きさを有する複数のフレーム部材から前記フレーム部材を選択するステップであって、前記選択されるフレーム部材が前記歯列弓と適合し、前記つまたは複数の締結部品の前記ウイング領域の全てに載架するように選択するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記つまたは複数の締結部品の周りに一般的な歯科用印象材料を塗布して、前記つまたは複数の締結部品を包囲する歯肉組織の構造を前記つまたは複数の歯科用アタッチメントの位置に関係づける前記歯肉組織の印象を取得するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記縦構造が、前記つまたは複数の締結部品の前記縦軸の開口に接着材料または合着材料が入ることを防止するように前記開口を遮蔽するように構成される、請求項1に記載の歯科用デバイス。
【請求項19】
縦軸および該縦軸から径方向外方に延出したウイング領域をそれぞれが有する複数の締結部品であって、前記縦軸が歯列弓の歯科用アタッチメントと一致するように構成された複数の締結部品と、
前記歯列弓に組み付けられたとき前記複数の締結部品を互いに合着するための硬化材料とを含む歯科用デバイスであって、
前記ウイング領域が、前記複数の締結部品を互いにフレーム部材なしで直接合着するのが容易になるように前記歯列弓に組み付けられたとき互いにごく近接するような大きさおよび寸法である、歯科用デバイス。
【請求項20】
請求項19に記載の歯科用デバイスを使用する方法であって、
前記複数の締結部品を前記歯列弓の複数の歯科用アタッチメントに結合すること、
各締結部品の前記ウイング領域が少なくとも一つの他の締結部品のウイング領域とごく近接するまで前記歯科用アタッチメントを中心に各締結部品を回転することにより各締結部品の前記ウイング領域を位置決めすること、
前記締結部品の前記ウイング領域を、各ウイング領域の表面にかつ他の締結部品の前記ウイング領域間に前記硬化材料を塗布することにより互いに接着または合着すること、および、
各ウイング領域の上面から突出した縦構造を使用して、前記締結部品の前記縦軸に沿って配設された開口に前記硬化材料が入ることを防止することを含む方法。
【国際調査報告】