(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】押し棒を備えたエアロゾル生成デバイス
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240412BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240412BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20240412BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
A24F40/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562332
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2022062497
(87)【国際公開番号】W WO2022238336
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 健
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC06
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC50
4B162AF01
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル生成基材(12)と共に動作するように構成されたエアロゾル生成デバイス(10)に関し、このエアロゾル生成デバイス(10)は、デバイス軸(Y)に沿って延び、少なくとも一つの側壁(40)を規定する、デバイスボディと、-開放端部、及びこの開放端部の反対側の閉鎖端部を規定するカップ状加熱チャンバ(45)であって、エアロゾル生成基材(12)のヒーター部分を受け入れるように構成された、カップ状加熱チャンバ(45)と、排出機構(48)であって、押し棒(81)であって、可撓性のある材料から形成され、加熱チャンバ(45)内で後退位置と排出位置との間でスライドするように構成された押し棒(81)、を含む排出機構(48)と、を備え、押し棒(81)は、押し子(89)であって、押し棒(81)が後退位置から排出位置までスライドしている間に、押すことにより、エアロゾル生成基材(12)を加熱チャンバ(45)から排出するように構成された押し子(89)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイス(10;110)であって、エアロゾル生成基材(12)と共に動作するように構成され、且つ、
-デバイスボディ(30;130)であって、デバイス軸(Y)に沿って延び、前記デバイス軸(Y)に沿って延びる少なくとも一つの側壁(40;140)を規定する、デバイスボディ(30;130)と、
-開放端部(70)、及び前記開放端部(70)の反対側の閉鎖端部(71)を規定するカップ状加熱チャンバ(45)であって、前記エアロゾル生成基材(12)のヒーター部分(15)を前記開放端部(70)を通じて受け入れるように構成された、カップ状加熱チャンバ(45)と、
-排出機構(48)であって、押し棒(81)であって、可撓性のある材料から形成され、前記加熱チャンバ(45)内で後退位置と排出位置との間でスライドするように構成された押し棒(81)を含み、前記押し棒(81)は、前記デバイスボディ(30;130)内部で曲がりくねった経路をたどるように可撓性を有する、排出機構(48)と、を備え、
前記押し棒(81)は、押し子(89)であって、前記押し棒(81)が前記後退位置から前記排出位置までスライドしている間に、前記エアロゾル生成基材(12)を前記閉鎖端部(71)から前記開放端部(70)に向けて押すことにより、前記エアロゾル生成基材(12)を前記加熱チャンバ(45)から排出するように構成された押し子(89)を備える、エアロゾル生成デバイス(10;110)。
【請求項2】
-前記加熱チャンバ(45)は、前記エアロゾル生成基材(12)を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱壁(74A)を含み、前記加熱壁(74A)は内側表面を備え、
-前記押し子(89)は、前記エアロゾル生成基材(12)を押している間、前記加熱壁(74A)の前記内側表面と接触しているように構成される、請求項1に記載のエアロゾル生成デバイス(10;110)。
【請求項3】
-前記加熱チャンバ(45)は、前記デバイス軸(Y)に沿って延び、
-前記デバイスボディ(30)は、貫通孔(60)であって、前記デバイス軸(Y)に沿って延び前記加熱チャンバ(45)の前記開放端部(70)に面する貫通孔(60)を規定するマウスピース(32)を更に含み、前記マウスピース(32)は、前記エアロゾル生成基材(12)のマウスピース部分(15)を受け入れるように構成されている、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項4】
前記押し子(89)は、前記エアロゾル生成基材(12)を押している間に、前記加熱チャンバ(45)と、前記マウスピース(32)の前記貫通孔(60)の少なくとも一部分とを横切るように更に構成されている、請求項3に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項5】
前記押し子(89)は、前記エアロゾル生成基材(12)を押している間に、前記マウスピース(32)の前記貫通孔(60)及び/又は前記加熱チャンバ(45)を清掃するように構成された清掃手段を更に備える、請求項3又は4に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項6】
前記押し子(89)は、前記押し棒(81)が前記後退位置にあるときに、前記加熱チャンバ(45)を前記閉鎖端部(71)において不透過的に封止するように構成される、請求項1~5の何れか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10;110)。
【請求項7】
前記加熱チャンバ(45)の前記開放端部(70)は、前記押し棒(81)が前記後退位置にあるときに、前記加熱チャンバ(45)の唯一の空気透過性の開口部を規定する、請求項6に記載のエアロゾル生成デバイス(10;110)。
【請求項8】
-前記排出機構(48)は、前記押し棒(81)を前記後退位置と前記排出位置との間で動かすように構成されたアクチュエータ(82;182)を更に備え、
-前記押し棒(81)は、前記押し子(89)を受け取る近位端部(85)と前記アクチュエータ(82;182)に固定された遠位端部(87)との間に延びている、請求項1~7の何れか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10;110)。
【請求項9】
前記押し棒(81)は、2つの平行な直線区画を含む前記曲がりくねった経路をたどって前記位置の間でスライドするように構成され、前記近位端部(85)及び前記遠位端部(87)の各々は、前記曲がりくねった経路のそれぞれの直線区画内でスライド可能である、請求項8に記載のエアロゾル生成デバイス(10;110)。
【請求項10】
前記排出機構(48)は、前記押し棒に前記曲がりくねった経路をたどらせるガイド手段を更に備える、請求項10に記載のエアロゾル生成デバイス(10;110)。
【請求項11】
前記アクチュエータ(82;182)は、スロット(42;142)内を前記押し棒(81)の前記後退位置をもたらす遠位位置と、前記押し棒(81)の前記排出位置をもたらす近位位置との間でスライドするように構成される、請求項8~10の何れか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10;110)。
【請求項12】
前記スロット(42;142)は、前記デバイスボディ(30;130)の前記側壁(40;140)上に配置されており、
好ましくは、前記アクチュエータ(82;182)は、空気が前記デバイスボディ(30;130)内に入るのを防ぐために、少なくとも前記遠位位置において前記スロット(42;142)にぴったりと嵌合するように構成されている、請求項11に記載のエアロゾル生成デバイス(10;110)。
【請求項13】
前記加熱壁(74A)の外側表面に隣接してヒーター(47)を更に備える、請求項1~12の何れか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10;110)。
【請求項14】
前記カップ状加熱チャンバ(45)は、矩形の断面を規定する、請求項1~13の何れか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10;110)。
【請求項15】
前記カップ状加熱チャンバ(45)は、少なくとも2つの対向する加熱壁(74A、74B)によって境界を定められ、各加熱壁(74A、74B)は内側表面を規定し、前記押し子(89)は、前記エアロゾル生成基材(12)を押している間、各加熱壁(74A、74B)の前記内側表面と接触しているように構成されている、請求項1~14の何れか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10;110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押し棒を備えたエアロゾル生成デバイスに関する。
【0002】
本発明によるエアロゾル生成デバイスは、例えば、加熱されるとエアロゾルを形成することができる固体基材を呈するエアロゾル生成基材と共に動作するように構成される。したがって、加熱非燃焼式デバイスとしても知られるこのようなタイプのエアロゾル生成デバイスは、伝導、対流、及び/又は放射により、基材を燃やすのではなく加熱して、吸入用のエアロゾルを発生させるように適合されている。
【背景技術】
【0003】
(気化器としても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、及び巻きタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めたいと望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に高まっている。従来のタバコ製品においてタバコを燃やすのとは対照的に、気化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが入手可能である。
【0004】
一般的に入手可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材を加熱するエアロゾル生成デバイス又は非燃焼加熱式デバイスである。このタイプのデバイスは、典型的には、湿った葉タバコ又は他の好適な気化性材料を含むエアロゾル基材を典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を、燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。更に、タバコ又は他の気化性材料を加熱することによって生成されるエアロゾルは、典型的には、ユーザにとって不快となり得る、燃焼及び燃やすことに起因する焦げた味又は苦味を含まない。したがって、基材は、煙及び/又は蒸気をユーザにとってより口当たりのよいものにするためにそのような材料に典型的に添加される糖及び他の添加物を必要としない。
【0005】
エアロゾル生成基材としても知られるエアロゾル基材は、エアロゾル生成デバイスの消耗部分を提示する。したがって、エアロゾル基材は、エアロゾル、及び/又はユーザが所望する風味をもはや生成することができなくなったときには、別のものと交換する必要がある。一部のエアロゾル生成デバイスでは、エアロゾル生成基材を新しいものと交換するのは、ユーザにとって面倒なものであることがある。更に、一部のエアロゾル生成基材では、デバイスの内部に残留物が残ることがあり、この残留物はデバイスの動作を低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の1つは、エアロゾル生成デバイスであって、ユーザが特に簡便な方法で且つデバイス内部に残留物を残すことなく、エアロゾル生成基材を交換することができるエアロゾル生成デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、エアロゾル生成デバイスであって、エアロゾル生成基材と共に動作するように構成され、且つ、
-デバイスボディであって、デバイス軸に沿って延び、デバイス軸に沿って延びる少なくとも一つの側面を規定する、デバイスボディと、
-開放端部、及びこの開放端部の反対側の閉鎖端部を規定するカップ状加熱チャンバであって、エアロゾル生成基材のヒーター部分を開放端部を通じて受け入れるように構成された、カップ状加熱チャンバと、
-排出機構であって、押し棒であって、可撓性のある材料から形成され、加熱チャンバ内で後退位置と排出位置との間でスライドするように構成された押し棒、を含む排出機構と、を備え、
押し棒は、押し子であって、押し棒が後退位置から排出位置までスライドしている間に、エアロゾル生成基材を閉鎖端部から開放端部に向けて押すことにより、エアロゾル生成基材を加熱チャンバから排出するように構成された押し子を備える、エアロゾル生成デバイス、に関する。
【0008】
ユーザは排出機構を作動させて、デバイス内に残留物を残すことなく容易にエアロゾル生成基材を交換することができる。これは、基材を押して加熱チャンバの外に基材を排出する押し子を使用することにより、実現される。押し子は、ユーザが直接的に又は間接的に作動させることができる押し棒によって動かされる。更に、押し棒は、幾分か柔らかいシリコーンのような可撓性のある材料で出来ており、これにより、押し棒は、かさばって扱いにくく且つ使いにくくなることなく、エアロゾル生成デバイスの限られた体積内に配置され得る。
【0009】
一部の実施形態によれば、加熱チャンバは、エアロゾル生成基材を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱壁を備え、この加熱壁は内側表面を備え、押し子は、エアロゾル生成基材を押している間は加熱壁の内側表面と接触しているように構成される。
【0010】
これらの特徴のおかげで、押し棒は、加熱壁の内側表面上に残っていることがあるエアロゾル生成基材の残留物を加熱チャンバから排出することができる。
【0011】
一部の実施形態によれば、加熱チャンバはデバイス軸に沿って延び、デバイスボディは、貫通孔を規定するマウスピースを更に含み、貫通孔はデバイス軸に沿って延び、加熱チャンバの開放端部に面し、マウスピースは、エアロゾル生成基材のマウスピース部分を受け入れるように構成される。
【0012】
これらの特徴のおかげで、マウスピースをエアロゾル生成基材とは分離して使用することが可能になる。このマウスピースは、エアロゾル生成デバイスの一部を形成することができ、最終的に交換可能であり得る。
【0013】
一部の実施形態によれば、押し子は、エアロゾル生成基材を押している間に、加熱チャンバと、マウスピースの貫通孔の少なくとも一部分とを横切るように更に構成されている。
【0014】
これらの特徴のおかげで、エアロゾル生成デバイスの排出は、より効率的になってもよい。更に、加熱チャンバ及び/又はマウスピースの内部で基材が詰まる危険性が低減される。更に、押し子は、少なくとも部分的にマウスピースを通過することにより、エアロゾル生成基材によって形成された残留物をマウスピースから排出することができる。
【0015】
一部の実施形態によれば、押し子は、エアロゾル生成基材を押している間に、マウスピースの貫通孔及び/又は加熱チャンバを清掃するように構成された清掃手段を更に備える。
【0016】
これらの特徴のおかげで、押し子は、エアロゾル生成基材の使用後に残った残留物を排出するだけでなく、加熱チャンバ及び/又はマウスピースの少なくとも一部分の内側表面を清掃してもよい。これは、残留物、特に小さな残留物が、例えば加熱中に内側表面に付着したままになっている場合に、特に有用である。
【0017】
一部の実施形態によれば、押し子は、押し棒が後退位置にあるときに、閉鎖端部において加熱チャンバを非透過的に封止するように構成されている。
【0018】
一部の実施形態によれば、加熱チャンバの開放端部は、押し棒が後退位置にあるときに、加熱チャンバの唯一の空気透過性の開口部を規定する。
【0019】
これらの特徴のおかげで、空気流は、チャンバの開放端部のみを通って加熱チャンバの内部に入ることができる。これにより、デバイス内部に空気流路を適切な態様で配置することが可能になる。例えば、加熱チャンバに入る前に、空気流は、チャンバの外を流れ、したがって、デバイスの動作中にデバイスの外側表面を冷却することができる。したがって、これにより、デバイスのハウジングの温度を低下させ、ユーザがやけどする危険性を低減することが可能になる。
【0020】
一部の実施形態によれば、排出機構は、押し棒を後退位置と排出位置との間で動かすように構成されたアクチュエータを更に含み、押し棒は、押し子を受け取る近位端部と、アクチュエータに固定されている遠位端部との間に延びている。
【0021】
これらの特徴のおかげで、ユーザは、デバイスからのエアロゾル生成基材の排出を、手動で始動させることができる。
【0022】
一部の実施形態によれば、押し棒は、2つの平行な直線区画を含む曲がりくねった経路をたどって上記の位置の間でスライドするように構成され、近位端部及び遠位端部の各々は、この曲がりくねった経路のそれぞれの直線区画内でスライド可能である。
【0023】
これらの特徴のおかげで、押し棒を、エアロゾル生成デバイスの内部にコンパクトに配置することができる。
【0024】
一部の実施形態によれば、排出機構は、押し棒に曲がりくねった経路をたどらせるガイド手段を更に備える。
【0025】
これらの特徴のおかげで、棒が妨害される危険性を低減するガイド手段によって、押し露骨を正確にガイドすることができる。
【0026】
一部の実施形態によれば、アクチュエータは、スロット内で、押し棒の後退位置をもたらす遠位位置と押し棒の排出位置をもたらす近位位置との間でスライドするように構成されている。
【0027】
これらの特徴のおかげで、ユーザが容易にアクチュエータを作動させることができる。
【0028】
一部の実施形態によれば、上記のスロットは、デバイスボディの側壁に配置されている。アクチュエータは、空気がデバイスボディの内部に入るのを防ぐために、少なくとも遠位位置においてスロットにぴったりと嵌合するように構成されていることが好ましい。
【0029】
これらの特徴のおかげで、エアロゾル生成デバイスの内部の空気流路を正確に設計することが可能になる、というのも、空気流は、所定の空気入口によってのみ、デバイスの内部に入ることができるからである。
【0030】
一部の実施形態によれば、加熱壁の外側表面に隣接してヒーターを備えること。
【0031】
これらの特徴のおかげで、エアロゾル生成基材を、加熱チャンバの少なくとも1つの壁を介した熱伝達によって加熱することができる。
【0032】
一部の実施形態によれば、カップ状の加熱チャンバは、矩形の断面を規定する。
【0033】
これらの特徴のおかげで、平坦な形状をしたエアロゾル生成基材を使用することが可能になる。
【0034】
一部の実施形態によれば、カップ状の加熱チャンバは、少なくとも2つの対向する加熱壁によって境界を定められ、各加熱壁は内側表面を規定し、押し子は、エアロゾル生成基材を押している間、各加熱壁の内側表面と接触しているように構成されている。
【0035】
これらの特徴のおかげで、押し棒は、各加熱壁の内側表面上に残っていることがあるエアロゾル生成基材の残留物を加熱チャンバから排出することができる。
【0036】
本発明は更に、上述したようなエアロゾル生成デバイスとエアロゾル生成基材とを含むアセンブリに関する。
【0037】
本発明及びその利点は、以下の説明を読むことでよりよく理解されるであろう。以下の説明は、単なる非限定的な例として挙げられ、添付の図面を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるエアロゾル生成デバイスの斜視図である。
【
図2】
図1のエアロゾル生成デバイスと共に使用可能なエアロゾル生成基材の斜視図である。
【
図3】
図1のエアロゾル生成デバイスの加熱チャンバの斜視図であり、加熱チャンバは、
図2のエアロゾル生成基材を受け入れている。
【
図5】平面Vに沿った
図1の断面図であり、エアロゾル生成基材は、エアロゾル生成デバイスの内部に挿入されている。
【
図6】
図5の図と同様の図であり、エアロゾル生成基材は、エアロゾル生成デバイスから排出されている。
【
図7】
図1のエアロゾル生成デバイスに含まれる押し棒の斜視図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態によるエアロゾル生成デバイスの斜視図である。
【
図9】
図4の図と同様の断面図であり、エアロゾル生成基材のヒーター部分の好ましい例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明について説明する前に、本発明は、以下の説明で記述される構造の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行され得ることは、本開示の利益を享受する当業者には明らかであろう。
【0040】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル生成デバイス」又は「デバイス」という用語は、以下で更に詳細に解説するヒーター要素を用いて、蒸気吸入用のエアロゾルを含めてユーザにエアロゾルを送達するための、蒸気吸入デバイスを含んでもよい。デバイスは、携帯用であってもよい。「携帯用」とは、ユーザが保持して使用するデバイスを指してもよい。デバイスは、例えば、可変の時間量にわたってヒーター要素を作動させることにより、(一定量のエアロゾルとは対照的に)可変量のエアロゾルを発生させるように適合されてもよく、その発生は、トリガーによって制御され得る。トリガーは、蒸気吸入ボタン及び/又は吸入センサなど、ユーザが作動させるものであってもよい。吸入センサは、(タバコ、葉巻、又はパイプなどの従来の可燃性喫煙物品の喫煙効果を模倣するように)可変量の蒸気を提供できるようにするために、吸入強さ並びに吸入継続時間に対する感度が高いものであってもよい。デバイスは、ヒーター及び/又は加熱されるエアロゾル発生物質(エアロゾル前駆体)の温度を特定の目標温度まで駆動し、その後、温度をエアロゾルの効率的な発生を可能にする目標温度に維持するための、温度調節制御部を含んでもよい。
【0041】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル」という用語は、固体粒子、液滴、気体の1つ以上として気化性材料の浮遊物を含んでもよい。上記浮遊物とは、空気を含む気体の状態であってもよい。本明細書のエアロゾルは、一般に、蒸気を指してもよい/含んでもよい。エアロゾルは、気化性材料の1つ以上の成分を含んでいてもよい。
【0042】
本明細書で使用する場合、「気化性材料」又は「前駆体」という用語は、例えば、ニコチン又はタバコ及びエアロゾル形成剤を含むことがある喫煙可能材料を指してもよい。タバコは、様々な材料の形態、例えば刻みタバコ、粒状タバコ、タバコ葉及び/又は再構成タバコの形態を取ってもよい。適切なエアロゾル形成剤としては、ポリオール(例えば、ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコール等のグリコール)、非ポリオール(例えば、一価アルコール、乳酸等の酸、グリセロール誘導体、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル等のエステル、グリセリン又は植物性グリセリン)が挙げられる。幾つかの実施形態では、エアロゾル生成剤は、グリセロール、プロピレングリコール、又はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であってもよい。基材はまた、ゲル化剤、結合剤、安定化剤、及び保湿剤のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
本発明の第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態によるエアロゾル生成デバイス10を示す。エアロゾル生成デバイス10は、
図2に更に詳細に示すエアロゾル生成基材12と共に動作するように意図されている。
【0043】
図2を参照すると、エアロゾル生成基材12は、例えば、基材軸Xに沿って延びており且つ外形寸法がL×W×Dである平坦な形状の直方体である。典型的な例では、基材軸Xに沿った基材の長さLは、実質的に33mmに等しく、幅W及び深さDは、実質的にそれぞれ12mm及び1.2mmに等しい。異なる例によると、値L、W、及びDは、例えば、±40%の範囲内で選択することができる。基材12の深さDは、以降では基材側壁13A、13Bと呼ぶ一対の平行な壁13A、13Bによって形成され、基材の幅Wは、以降では基材接触壁14A、14Bと呼ぶ一対の平行な壁14A、14Bによって形成される。本発明の他の実施形態によれば、エアロゾル生成基材12は、任意の他の適切な形状及び/又は外形寸法を有することができる。例えば、エアロゾル生成基材12は、円形の管形状を形成してもよい。
【0044】
エアロゾル生成基材12は、基材軸Xに沿って配置されたヒーター部分15及びマウスピース部分16を含む。実施形態によっては、エアロゾル生成基材12は、ヒーター部分15のみを含んでもよい。ヒーター部分15は、例えば、マウスピース部分16よりもわずかに長くてもよい。例えば、基材軸Xに沿ったヒーター部分15の長さL2は、実質的に18mmに等しくてもよく、基材軸Xに沿ったマウスピース部分16の長さL1は、実質的に15mmに等しくてもよい。ヒーター部分15は、基材12の当接端部18を規定し、マウスピース部分16は、基材12の口端部20を規定する。ヒーター部分15及びマウスピース部分16は、基材軸Xの周りに延びる唯一の包装体によって互いに固定されてもよい。他の実施形態では、部分15,16は、異なる包装体によって巻かれ、任意の他の適切な手段によって互いに固定されてもよい。包装体又は各包装体は、例えば、紙、及び/又は不織布、及び/又はアルミニウムを含んでもよい。包装体又は各包装体は、多孔性又は空気不透過性であってもよい。包装体又は各包装体は、当接端部18と口端部20との間で基材12の内部に延びる複数の空気流路を形成する。
【0045】
ヒーター部分14は、(この例では加熱チャンバを使用して)ヒーターによって加熱されるように意図されており、上記で規定したような気化性材料を含む。本発明の第1及び第2の実施形態によれば、マウスピース部分16は、以下で更に詳細に説明するように、マウスピースの内部に受け入れられることが意図されている。本発明の他の実施形態によれば、マウスピース部分16は、それ自体で、ユーザの口及び/又は唇に接触するように意図されたマウスピースを形成する。マウスピース部分16は、例えば、フィルタのように機能するコア17を含む。コア17は、例えば、発泡体、又は束ねられたより糸若しくは繊維であってもよい。コア17は、押し出し及び/又は圧延工程によって安定した形状に形成されてもよい。基材は、1つ以上の空気流路を提供するように成形されてもよい。
図2の特定の例では、マウスピース部分16は、例えば、基材軸Xに垂直な2つの軸に沿ってマウスピース部分16の全周に沿って配置された複数の通気孔22を規定する。言い換えると、この例によれば、通気孔22は、基材側壁13A、13B及び基材接触壁14A、14Bのうちの基材の各壁上に配置されている。別の例によれば、通気孔22は、基材接触壁14A、14Bの上にのみ、又は好ましくは、基材接触壁14A、14Bのうちの一方の上にのみ配置される。両方の例において、通気孔22は、基材12の対応する壁又は各対応する壁上に基材軸に対して垂直に整列されていてもよく、同じ距離だけ間隔をあけられていることがある。通気孔22により、新鮮な空気が基材12の内部に入って特定の蒸気吸入効果/味覚効果を実現することができる。
【0046】
再び
図1を参照すると、エアロゾル生成デバイス10はデバイスボディ30を含み、デバイスボディ30は、デバイス軸Yに沿って延び、デバイス10の少なくとも1つの側壁40を形成する。デバイスボディ30は、デバイス軸Yに沿って連続的に配置されたマウスピース32とハウジング34を含む。
図1の例によれば、マウスピース32及びハウジング34は、単一の部品を形成する。この場合には、側壁140は、例えば滑らかな外側表面を有し、マウスピース32とハウジング34との間に滑らかな移行ゾーンを規定する。他の例によれば、マウスピース32及びハウジング34は、2つの別々の部品を形成する。特に、これらの例によれば、マウスピース32は、ハウジング34の端部のうちの1つに形成された挿入開口部に固定されるか、又は挿入開口部内に受け入れられるように、設計される。
【0047】
各横断面において、ハウジング34は、例えば、縁が丸みを帯びた実質的に矩形の形状を形成してもよい。この場合、マウスピース32を有するハウジング34は、少なくとも4つの側壁40を形成する。他の実施形態によれば、ハウジング34は、丸い断面形状をしていることがある。この場合、ハウジング34は、マウスピース32と共に、1つの側壁40のみを形成することができる。ハウジング34は、マウスピース32と反対側の端部において、密封されていることがある。ハウジング34及びひいてはマウスピース32は、アルミニウム又はプラスチックなどの任意の適切な材料で作製されることがある。実施形態によっては、この材料は、熱伝導性の材料であり得る。幾つかの他の実施形態では、この材料は、熱絶縁性の材料であり得る。
【0048】
実施形態によっては、ハウジング34は、デバイス側壁40の対応する部分に、制御要素及び/又は視覚的要素を配置するのに適した1つ又は複数の開口部を形成することができる。例えば、そのような要素は、アクチュエータ、制御ボタン、タッチパネル、スクリーン、LED等を含んでもよい。特に、
図1の例では、ハウジング34は、以下で更に詳細に説明するアクチュエータを受け取るスロット42を形成する。一部の例によれば、スロット42又は側壁40上に配置された任意の他のスロットが、例えば、デバイス10の少なくともON状態を示すLEDを受け取ってもよい。これは、例えば、バッテリーの規定状態、エラー状態等も示すことができる。
【0049】
ハウジング34は、デバイス10の異なる機能を実行するように設計された様々な要素を受け入れるデバイス10の内部空間の範囲を定める。この内部空間には、例えば、デバイス10に給電するための電池、デバイス10の動作を制御するための制御モジュール、エアロゾル生成基材12を加熱するための加熱チャンバ45、加熱チャンバ45を加熱するための少なくとも1つの加熱要素47、及び加熱チャンバ45からエアロゾル形成基材12を排出するように設計された排出機構48、を収めることができる。これらの要素の中で、加熱チャンバ45、加熱要素47、及び排出機構48についてのみ、以下の図を参照して更に詳細に説明する。
【0050】
図5及び
図6に示すように、マウスピース32では、遠位部分62と流出口64との間でデバイス軸Yに沿って延びる貫通孔60が横切っている。特に、貫通孔60は、基材軸Xがデバイス軸Yと一致するように、エアロゾル生成基材12のマウスピース部分16を受け入れるように設計されている。したがって、貫通孔60は、エアロゾル生成基材12と同じ断面形状を有し、エアロゾル生成基材12のマウスピース部分16の外形寸法よりもわずかに大きな内部寸法を規定する。特に、図の例では、貫通孔60は、
図2に示すエアロゾル生成基材12のマウスピース部分16を受け入れることができるように、矩形の断面を規定する。実施形態によっては、貫通孔60は、一定ではない断面寸法を有してもよい。例えば、貫通孔60は、遠位部分62から流出口64にかけて、次第に小さくなる断面寸法(特に幅)を有することができる。更に、貫通孔60及びエアロゾル生成基材12のマウスピース部分16は、デバイス軸Y及び基材軸Xに丁重に沿った寸法において同じ長さを有することができる。別の実施形態によれば、エアロゾル生成基材12のマウスピース部分16の長さは、エアロゾル生成基材12の口端部20を流出口64と面一にすることができるように、貫通孔60の長さよりも短くすることができる。
【0051】
遠位部分62は、加熱チャンバ45に対して開いており、加熱チャンバ45の内部にエアロゾル生成基材12のヒーター部分15を挿入できるようになっている。図の例では、遠位部分62は、デバイスボディ30の側壁40上に配置された流入口66と流体連通している開口部を形成している。この例では、流入口66は、ハウジング34とマウスピース32との間の移行ゾーン内に形成されている。他の例によれば、流入口66は、デバイスボディ30の任意の他の場所に形成されてもよい。例えば、流入口66は、マウスピース32と反対側のハウジング34の壁上に形成されてもよい。
【0052】
エアロゾル生成基材12が通気孔22を備える実施形態では、これらの通気孔22の少なくとも幾つかは、流入口66に面するように配置される。
【0053】
図3及び
図4を参照すると、加熱チャンバ45は、開放端部70と閉鎖端部71との間でデバイス軸Yに沿って延びるカップ状の加熱チャンバを形成する。加熱チャンバ45は、エアロゾル生成基材12のヒーター部分15を受け入れるように設計されている。この目的のために、加熱チャンバ45は、エアロゾル生成基材12と実質的に同じ断面形状を規定する。特に、図の例では、加熱チャンバ45は、2つの平行なチャンバ側壁73A、73B、及び2つの平行なチャンバ接触壁74A、74Bを有する矩形の断面形状を規定する。壁73A、73B、74A、74Bの各々は、金属などの熱伝導性の材料からできていることがある。更に、壁73A、73B、74A、74Bのうちの少なくとも幾つか、又はこれらの壁の全ては、単一の部品を形成することができる。
【0054】
加熱チャンバ45の内部寸法は、デバイス軸Yに沿って測定される長さL3、チャンバ側壁73Aと73Bとの間の距離として測定される幅W3、及びチャンバ接触壁74Aと74Bとの間の距離として測定される深さD3により規定される。これらの内部寸法L3、W3、D3は、エアロゾル生成基材12のヒーター部分15の外形寸法L2、W、Dに基づいて選択される。
【0055】
特に、加熱チャンバ45の深さD3は、エアロゾル生成基材12の深さDよりもわずかに大きいか、又はこの深さDと実質的に等しいように選択される。この場合、基材接触壁14A、14Bは、エアロゾル生成基材12のヒーター部分15が加熱チャンバ45の内部に受け入れられているときに、チャンバ接触壁74A、74Bと接触していることがある。有利にも、この場合、チャンバ接触壁74A、74Bは、基材接触壁14A、14Bと密着している。実施形態によっては、加熱チャンバ45の深さD3は、エアロゾル生成基材12の通常の深さDよりもわずかに小さいことさえある。この場合、加熱チャンバ45及び/又はマウスピース32は、基材接触壁14A、14Bに力を作用させることにより、エアロゾル生成基材12のヒーター部分15を圧縮するように構成される。これにより、加熱チャンバ45と基材12の対応する接触壁の間の緊密な接触を向上させ、したがって、これらの壁の間の熱伝達を向上させることが可能になる。
【0056】
加熱チャンバ45の幅W3は、加熱チャンバ45及びエアロゾル生成基材12の少なくとも一対の対向する側壁73A、13A、又は73B、13Bが、それらの間に空気流路を形成するように選択される。有利にも、加熱チャンバ45の幅W3は、加熱チャンバ45及びエアロゾル生成基材12の対向する側壁73A、13A、又は73B、13Bの各対が、それらの間に空気流路を形成するように選択される。言い換えると、加熱チャンバ45の幅W3は、
図4に示すように、対向する側壁73A、13A、又は73B、13Bのそれぞれの対の間に距離d1を形成するように選択される。特に、この図の例では、W3=W+2d1となる。距離d1は、例えば、加熱チャンバ45の深さD3と実質的に等しくなるように選択されてもよい。この場合、エアロゾル生成基材12のヒーター部分15が加熱チャンバ45に挿入されると、実質的に正方形の断面をした空気流路が、エアロゾル生成基材12の両側にデバイス軸Yに沿って形成される。当然ながら、距離d1は、エアロゾル生成基材12が加熱されている間にエアロゾル生成基材12の内部で必要とされる流量に依存した任意の他の値と等しくなるように選択されてもよい。
【0057】
図3及び
図4に示すように、加熱要素47が、加熱チャンバ45の外部でチャンバ接触壁74A、74Bのうちの一方に接触して配置されている。特に、これらの図の例では、加熱要素47は、チャンバ接触壁74Aの外側表面に隣接して配置されている。したがって、このチャンバ接触壁74Aは加熱壁と呼ばれ、内側表面がエアロゾル生成基材12と接触していてもよい。加熱要素47は、チャンバ接触壁74Aの前述の外側表面の実質的に全領域に沿って又はこの表面の一部分のみに沿って延在するポリイミドフィルムヒーターを含んでもよい。この最後の場合では、前述の一部分は、エアロゾル生成基材12の幅Wと実質的に等しい幅を形成してもよい。加熱要素45は、電池によって給電され、エアロゾル生成デバイス10の制御モジュールによって制御される。実施形態によっては、エアロゾル生成デバイス10は、2つの加熱要素47を備えてもよく、各加熱要素47は、チャンバ接触壁74A、74Bのうちの一方の外側表面上に取り付けられる。この場合、加熱チャンバ45は、2つの加熱壁74A、74Bを形成する。更に、一部の実施形態によれば、エアロゾル生成デバイス10は、加熱要素47又は各加熱要素47とハウジング34の内側表面との間に配置された絶縁体を更に備える。同じ絶縁体が、チャンバ側壁73A、73Bの各々の外側表面とハウジング34の内側表面との間に配置されてもよい。
【0058】
排出機構48が、
図5~
図7に、より詳細に示されている。これらの図を参照すると、排出機構48は、押し棒81と、押し棒81に固定されたアクチュエータ82とを備える。
【0059】
押し棒81は、加熱チャンバ45内で、且つ有利にもマウスピース32の少なくとも一部分内で、後退位置(
図5に示す)と排出位置(
図6に示す)との間でスライドするように構成される。特に、押し棒81の後退位置では、デバイス10及び特に加熱チャンバ45は、正常に動作するように、即ち、加熱チャンバ45内に部分的に受け入れられたエアロゾル生成基材12からエアロゾルを生成するように、設計されている。排出位置では、押し棒81は、例えばデバイス及び加熱チャンバ45がエアロゾルを生成するように動作していないときに、加熱チャンバ45からエアロゾル形成基材12を排出している。
【0060】
これらの図の例では、押し棒81は、近位端部85と遠位端部87との間に延びている。遠位端部87は、アクチュエータ82に固定されている。近位端部85は、押し棒81が後退位置から排出位置までスライドしている間に、エアロゾル生成基材12を加熱チャンバ45の閉鎖端部71から開放端部70に向けて押すことにより、エアロゾル生成基材12を加熱チャンバ45から排出するように構成された押し子89を受け取る。
【0061】
押し棒81の後退位置では、押し子89は、心材詰めチャンバ45の閉鎖端部71を封止する心材詰めチャンバ45の壁を形成する。有利にも、この位置では、押し子89は、
図3に示すようにチャンバ45の開放端部70にチャンバ45の唯一の空気透過性開口部が形成されるように、加熱チャンバ45を不透過的に封止するように構成される。更に、この場合には、押し子89は、加熱チャンバ45の中に軸方向に突き出たリブを規定し、このリブにより、エアロゾル生成基材12が加熱チャンバ45の中に部分的に挿入されたときに、エアロゾル生成基材12の当接端部18が押し子89からある距離を保てるようにしてもよい。この距離により、加熱チャンバ45の中で空気流が「U」ターンすることが可能になる。他の実施形態によれば、押し子89は、空気がチャンバ45の閉鎖端部71を通ってチャンバ45の中に入ることを可能にする入口孔を形成してもよい。この場合、押し子89は、リブ無しで提供されることがあり、加熱チャンバ45は、加熱チャンバ45の少なくとも一対の対向する側壁73A、13A又は73B、73Bとエアロゾル生成基材12との間に空気流路が無い状態で提供されてもよい。
【0062】
押し棒81を後退位置から排出位置までスライドさせる間、押し子89は、加熱チャンバ45を通って、且つ有利にもマウスピース32の少なくとも一部分を通って、スライドすることができる。この目的のために、押し子89は、加熱チャンバ45と、ひいてはマウスピース32と、同じ断面形状を規定してもよい。一実施形態では、押し子89のこの断面形状により、押し棒81をスライドさせる間に、この押し子89が、チャンバ接触壁74A、74Bのうちの少なくとも1つのみと、有利には各チャンバ接触壁74A、74Bと接触することが可能になる。別の実施形態では、この形状により、更に押し子89が、チャンバ側壁73A、73Bのうちの少なくとも1つと、有利には各チャンバ側壁73A、73Bと接触することが可能になる。両方の実施形態によれば、押し子は、マウスピース32の内側表面と、即ち、マウスピース32の貫通孔60の境界を定める表面と、少なくとも部分的に接触していてもよい。実施形態によっては、押し子89は、押し子89と接触している各表面を清掃するように構成された清掃手段を備えていてもよい。これらの清掃手段は、ブラシを備えていてもよい。
【0063】
押し棒81は、例えば幾分か柔らかいシリコーンのような可撓性のある材料でできている。実施形態によっては、押し棒81は、軸方向には可撓性があり、横方向には実質的に固いことがある。この場合、押し棒81は、可撓性のある基板と、この基板に固定された複数の横方向剛性要素と、を備えていてもよい。一般的な場合、図に示すように、押し棒81は、デバイスボディ30内部の曲がりくねった経路をたどるように、可撓性を有している。この経路は、例えば、2つの平行な直線区画と、それらの直線区画の間をつなぐ曲線区画と、によって形成される。特に、第1の直線区画は、加熱チャンバ45の内部部分によって、ひいてはマウスピース32の貫通孔60の少なくとも一部分によって、形成されることがある。したがって、押し棒81の近位端部85及び特に押し子89は、押し棒81を一方の位置から他方の位置までスライドさせる間、この第1の直線区画をたどる。第2の直線区画は、デバイスボディ30の側壁40に配置されたスロット42によって形成されてもよい。したがって、押し棒81の遠位端部85及び特にアクチュエータ82は、押し棒81を一方の位置から他方の位置までスライドさせる間、この第2の直線区画をたどる。有利にも、これらの直線区画は、デバイス軸Yと平行であり、この軸Yに沿って、且つデバイス軸Yに垂直な軸に沿って、オフセットされていることがある。したがって、曲線区画は、前述の直線区画の間の滑らかな遷移を確実にする。一部の実施形態によれば、排出機構48は、押し棒81に曲がりくねった経路をたどらせるガイド手段を更に備えてもよい。特に、これらのガイド手段は、曲がりくねった経路の曲線区画内で押し棒81をガイドしてもよい。この目的のために、ガイド手段は、押し棒81を横方向にガイドする一対のスロット、又は各直線区画と曲線区画との間の移行ゾーン内に配置されたローラー、を提示してもよい。
【0064】
上述のように、アクチュエータ82は、スロット42内に配置され、例えば、ユーザが作動させるようにこのスロット42から突き出ていることがある。特に、アクチュエータ82は、スロット42内で、押し棒81の後退位置をもたらす遠位位置と押し棒81の排出位置をもたらす近位位置との間でスライドさせることができる。例えば、アクチュエータ82は、前述の位置の間でスライドするようにユーザによって作動されてもよい。別の例によれば、アクチュエータ82は、ユーザによって作動されて遠位位置から近位位置までスライドし、ユーザによって更に作動されていないときには、適切な付勢手段によって、遠位位置から近位位置まで戻ってもよい。付勢手段は、例えば、バネ又は任意の他の弾性要素によって形成することができる。更に別の例によれば、アクチュエータ82は、デバイスの電池によって給電される電気機構によって、作動されることがある。実施形態によっては、アクチュエータ82は、空気がデバイスボディ30の中に入ることを防ぐために、少なくとも遠位位置において、スロットにぴったりと嵌合するように構成される。
【0065】
ここで、エアロゾル生成デバイス10の動作について説明する。最初に、エアロゾル生成基材12は、デバイス10から取り出されており、アクチュエータ82は遠位位置にあると考えられる。蒸気吸入セッションを開始するために、ユーザはエアロゾル生成基材を加熱チャンバ45の中に部分的に挿入する。次いで、デバイス10及び特に加熱チャンバ45を動作させてエアロゾルを生成することができる。この期間中、アクチュエータ82は、例えば、遠位位置に機械的にブロックされていることがある。エアロゾル生成基材12を交換する必要がある場合、ユーザは、加熱チャンバ45の動作を停止させ、アクチュエータ82をスロット42に沿って遠位位置から近位位置までスライドさせることができる。これにより、押し棒81が後退位置から排出位置までスライドすることになる。したがって、エアロゾル生成基材12は、
図6に示すように、加熱チャンバ45及びマウスピース32の外に押し出され、デバイス10から排出される。加熱チャンバ45及びひいては少なくとも部分的に貫通孔60を横切ることにより、押し子89は、基材12から残っている残留物を取り除いてもよい。
【0066】
図9に見られるように、エアロゾル生成基材12のヒーター部分15は、例えば、対向する両側表面に溝のついた平坦な板状を有してもよい。
本発明の第2の実施形態
図8は、本発明の第2の実施形態によるエアロゾル生成デバイス110を示す。このエアロゾル生成デバイス110は、本発明の第1の実施形態によるエアロゾル生成デバイス10に似ており、特に、
図2に示す同じエアロゾル生成基材12と共に動作するように構成されている。
【0067】
本発明の第2の実施形態によるエアロゾル生成デバイス110は、デバイス110の少なくとも1つの側壁140を規定するデバイスボディ130も含む。前の実施形態とは逆に、本発明の第2の実施形態によるデバイスボディ130は、マウスピースを規定しない。
図8に示すように、マウスピースは、エアロゾル生成基材12のマウスピース部分16の少なくとも一部分によって形成される。
【0068】
特に、この実施形態によれば、デバイスボディ130は、デバイスボディ130の端部のうちの1つに、デバイス軸Yに垂直に延在する挿入開口部136を形成する。本発明の第1の実施形態と同様に、開口部136は、エアロゾル生成基材12の少なくともヒーター部分15を受け入れるのに適している。特に、前の場合と同様に、開口部136は、デバイスボディ130内に配置された加熱チャンバと連通している。この加熱チャンバは、上記で説明した加熱チャンバと似ており、特に、エアロゾル生成基材12のヒーター部分15を受け入れるように適合されている。
【0069】
前の場合とは逆に、エアロゾル生成基材12のマウスピース部分16の少なくとも一部分が、開口部136から突き出て、したがってマウスピースを形成する。言い換えると、エアロゾル生成基材12のこの突き出た部分は、デバイス110の使用中にユーザの唇及び口と接触するように設計されており、流出口164を形成する。
【0070】
前の場合と同様に、流入口166が、デバイスボディ130の側壁140上に形成される。この流入口166は、加熱チャンバの側壁とエアロゾル生成基材12との間に形成された空気流路の各々と流体連通している。更に、前の場合と同様に、流れがチャンバ内で「U」ターンして曲がり、流出口164までエアロゾル生成基材12の内部を流れる。
【0071】
エアロゾル生成基材12が通気孔22を備える場合、これらの通気孔22は、
図8に示すように、基材12のマウスピース部分16の突き出ている部分上に配置されてもよい。別の例によれば、通気孔22は、デバイスボディ130の内に受け入れられて有利にも本発明の第1の実施形態と同様に流入口166に面する、基材12のマウスピース部分16の部分上に配置される。
【0072】
本発明の第1の実施形態と同様に、エアロゾル生成基材12の取り出しを容易にするように、デバイス110の側壁140に配置されたアクチュエータ182を含む、デバイスボディ130内に配置される排出機構が設けられている。この排出機構は、上記で説明した排出機構48と似ている。アクチュエータ82は、側壁140に配置されたスロット142内でスライド可能であってもよい。
本発明の第3の実施形態
本発明の第3の実施形態によるエアロゾル生成デバイスは、本発明の第1の実施形態によるエアロゾル生成デバイス10と同じ構造を有し、唯一異なるのは、第3の実施形態によるエアロゾル生成デバイスが受け取ることができる基材12の性質である。特に、このエアロゾル生成デバイスは、異なる長さのエアロゾル生成基材を受け入れるように適合されていることがある。例えば、本発明の第3の実施形態によるエアロゾル生成デバイスは、「通常の」長さのエアロゾル生成基材、即ち、
図2の基材と同様の基材を受け入れるように適合されていてもよい。この場合、このエアロゾル生成デバイスは、本発明の第1の実施形態によるエアロゾル生成デバイス10のように動作してもよい、即ち、このデバイスは、デバイスボディの一部分をなすマウスピースを形成してもよい。本発明の第3の実施形態によるエアロゾル生成デバイスは、また、伸長したエアロゾル生成基材も受け入れるように適合されていてもよい。この場合、基材は、デバイスボディから突き出て、マウスピースを形成することができる。言い換えると、この場合には、本発明の第3の実施形態によるエアロゾル生成デバイスは、本発明の第2の実施形態によるエアロゾル生成デバイス110のように動作してもよい。
【国際調査報告】