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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】精密滑り軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/04 20060101AFI20240412BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20240412BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
F16C33/04
F16C17/02 Z
F16C33/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023562630
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2022059520
(87)【国際公開番号】W WO2022218880
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202021101949.2
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ニールマン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ジェケル
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン クレイン
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ルージュ
(72)【発明者】
【氏名】ムハメト エルカン ターカー
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011BA06
3J011KA02
3J011PA01
3J011PA02
3J011QA05
3J011SC03
3J011SC13
3J011SC15
3J011SC20
(57)【要約】
本発明は、基材から製造されて中空筒体の態様の軸受本体(2)を備える滑り軸受(1)に関し、その本体はその内側でブッシング(20)を包囲し、基材とは異なる摩擦防止材が軸受本体(2)の内側においてブッシング(20)に設けられ、その摩擦防止材はブッシング(20)内にある摺動ガイド(4)を包囲する。滑り軸受(1)は摩擦防止材からなる少なくとも1つの中空筒体状の摺動要素(3)を備え、その要素は軸受本体(2)のブッシング(20)内に配置され、摺動ガイド(4)を周方向に閉じた態様で包囲し、摺動要素(3)はその外側に少なくとも1つの突出部(310)を備え、それにより突出部は軸受本体(2)の内側に設けられた凹部(21)に係合し、摺動要素(3)は軸受本体(2)のブッシング(20)内に径方向のプレスフィットによって圧入される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材から製造されて長手方向軸に沿って延在する中空筒体の態様の軸受本体(2)を備える滑り軸受(1)であって、前記軸受本体はその内側でブッシング(20)を包囲し、前記基材とは異なる摩擦防止材が前記軸受本体(2)の内側において前記ブッシング(20)に設けられ、前記摩擦防止材が前記ブッシング(20)内にある摺動ガイド(4)を包囲し、
前記滑り軸受(1)は前記摩擦防止材からなる少なくとも1つの中空筒体状の摺動要素(3)を備え、該摺動要素は前記軸受本体(2)の前記ブッシング(20)内に配置され、前記摺動ガイド(4)を周方向に閉じた態様で包囲し、好ましくは1mm未満の壁厚を有し、前記摺動要素(3)はその外側に少なくとも1つの突出部(310)を有し、それにより該突出部は前記軸受本体(2)の内側に設けられた凹部(21)に係合して前記摺動要素(3)と前記軸受本体(2)の間の相対位置を固定し、前記摺動要素(3)は前記軸受本体(2)の前記ブッシング(20)内に径方向のプレスフィットによって圧入される、滑り軸受(1)。
【請求項2】
前記摺動要素(3)は、中空筒体の態様で形成されたジャケット部(33)を備え、前記摺動要素(3)の前記突出部(310)は前記ジャケット部(33)に設けられた少なくとも1つのバネ部分(31)によって形成され、特に、前記バネ部分(31)は、前記ブッシング(20)の各長手方向端部から前記長手方向軸に沿って前記ブッシング(20)の全長の少なくとも25%だけ離隔されている、請求項1に記載の滑り軸受(1)。
【請求項3】
前記ジャケット部(33)は長手部分を備え、該長手部分内において前記ジャケット部は周方向に閉じた態様で前記長手方向軸を包囲し、前記ジャケット部(33)はその長手部分全体内において同じ明確な断面を有し、前記ジャケット部(33)の当該長手部分は、特に前記摺動要素(3)の総長手方向延長の少なくとも50%にわたって延在し、かつ/又は前記ブッシング(20)の絶対長手方向端部から前記摺動要素(3)の総長手方向延長の10%未満だけ、特に5%未満だけ、離隔されている、請求項2に記載の滑り軸受(1)。
【請求項4】
前記バネ部分(31)は、前記長手方向軸に沿って延びて前記ジャケット部(33)の更なる長手部分に形成された2つのスロット(32)の間に形成されている、請求項2又は3に記載の滑り軸受(1)。
【請求項5】
前記摺動要素(3)は、その外側において、前記長手方向軸周りの回転方向に沿って分散して配置された複数の突出部(310)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項6】
前記軸受本体(2)は、そのブッシング(20)内に、特に前記長手方向軸に関して前記ブッシング(20)の中心領域に、前記長手方向軸に垂直に延びて前記突出部(310)が係合する少なくとも1つの凹部(21)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項7】
前記滑り軸受(1)は2つの摺動要素部分(3a、3b)を備え、該2つの摺動要素部分は前記長手方向軸に沿って相互に隣接してそれぞれ前記ブッシング(20)内に配置され、各摺動要素部分は、その外側に少なくとも1つの突出部(310)を有し、それにより前記突出部は前記軸受本体(2)の内側に設けられた凹部(21)にそれぞれ係合し、特に同じ凹部(21)にともに係合し、特に、前記摺動要素部分の各々は、それぞれ別個の摺動要素(3)によって形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項8】
前記軸受本体(2)は、その外側において、前記長手方向軸に沿って相互から離隔した周方向組付溝(7)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項9】
前記摺動要素部分(3a、3b)は、同じ軸方向長さを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項10】
丸シャフト滑り軸受として形成された請求項1から9のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項11】
前記摺動要素(3)は、摩擦学的ポリマーからなる、請求項1から10のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの摺動要素を有する滑り軸受(1)と、筒状の、特に円筒状の、シャフトと、を備える滑り軸受構成であって、前記シャフトは、前記滑り軸受(1)の前記摺動ガイド(4)に配置され、前記ブッシング(20)を通じて延在し、前記少なくとも1つの摺動要素(3)に接し、特に、前記ブッシング(20)内にある当該摺動要素の外面の少なくとも50%、特に少なくとも70%、特に少なくとも80%にわたって前記少なくとも1つの摺動要素(3)に接する、滑り軸受構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載の精密滑り軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用滑り軸受は、基材からなり長手方向軸に延在する中空筒体の態様の軸受本体を備え、その本体はその内側でブッシングを包囲し、基材とは異なる摩擦防止材が軸受本体の内側においてブッシングに設けられ、その摩擦防止材はブッシング内にある摺動ガイドを包囲する。ブッシング及び摺動ガイドは、通常は筒体の形態で形成され、ブッシング内にある摺動ガイドはブッシングよりも小さな径を有し、筒状シャフトは意図される使用に応じて摺動ガイドに取り込まれ、当該シャフトの径は摺動ガイドの径に実質的に対応し、特にこれから0.05未満、特に0.03mm未満だけずれている。
【0003】
汎用滑り軸受は、従来技術において、滑り軸受において支持される筒状シャフトの精密な摺動ガイド動作のために使用される。汎用滑り軸受の意図される使用において、シャフトは、中空筒体状の軸受本体に取り込まれ、その長手方向軸に沿って変位可能であり、摩擦防止材に沿って摺動する。一方で、その長手方向軸に垂直な位置は、可能な限り精密に、したがって最小の径方向の遊びで、汎用滑り軸受の場合には、通常は0.1mm未満、特に0.05mm未満の遊びで、滑り軸受内にその構成によって固定される。滑り軸受及び使用されるシャフトは、好ましくは以下の態様で相互に調整される。その態様では、未充填の初期位置から開始して滑り軸受に取り込まれて滑り軸受を通じて長手方向軸に沿って延びるシャフトの充填が、滑り軸受の長手方向端部から10cm離隔したシャフトの長手位置において及び長手方向軸に垂直な横断方向において滑り軸受に相対してシャフトに対して作用して40Nとなる力を受けて行われる場合でも、シャフトは、滑り軸受の上記長手方向端部において、初期位置に対して0.05mm未満しか横断方向に偏向可能とならない。シャフト及び特に軸受本体は、多くの場合、金属又は金属合金からなり、特に鋼、高級鋼又は硬質アルマイトからなる。汎用滑り軸受の精度に対する高い要求のために、滑り軸受及び滑り軸受構成の構成に対して特定の要件がもたらされる。多くの場合、丸シャフトがシャフトとして使用され、ブッシングがそれに従って丸い底面の筒体の態様で形成される。さらに、摩耗防止材が、ブッシングにおける遊びを理想的には完全に回避して基材に付与されなければならない。このために、汎用滑り軸受は、摩擦防止材が軸受本体の内面の永久塗布コーティングの形態で存在する従来技術において知られている。これにより、滑り軸受の強健性及び精度が保証可能となる。しかし、摩擦防止材の永久塗布は、使用目的に応じて異なる摩擦防止材を有する異なる軸受が種々の用途のために提供されなければならないことを意味する。
【0004】
摩擦防止材が別個のスリーブ状本体として形成され、その壁部が本体の長手方向に延びる連続スロットを有することで、スリーブはその弾性変形によって軸受本体に挿入可能となり、したがって、この弾性プリテンショニング下で保持され、特殊な予防措置をとってスリーブをその意図される動作位置に固定することが可能となる滑り軸受も知られている。しかし、そのような滑り軸受は、それらの安定性のために必然的に与えられる弾性及び必然的に与えられるスリーブ状の摩擦防止材の壁厚によって充分に精密な滑り軸受の構成が不可能となるため、精密滑り軸受としては適さない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、汎用滑り軸受及び滑り軸受構成の少なくとも1つの不利益を少なくともある程度改善することである。
【0006】
この課題を達成するために、本発明は以下を提案する。滑り軸受は、摩擦防止材からなる中空筒体の態様の摺動要素を備え、その要素は軸受本体のブッシング内に配置され、摺動ガイドを周方向に閉じた態様で包囲し、好ましくは1mm未満の壁厚を有し、摺動要素は突出部を有し、それにより、突出部は軸受本体の内側に設けられた凹部に係合して摺動要素と軸受本体の間の相対位置を長手方向軸に対して固定し、摺動要素は軸受本体のブッシング内に径方向のプレスフィットによって圧入される。本発明に係る滑り軸受では、通常の汎用滑り軸受の構成とは対照的に、中空筒体状の軸受本体とは別個の摺動要素が結果として設けられ、その摺動要素は軸受本体から独立して製造され、ブッシング内に導入されて軸受本体を実現する。本発明は、そのような別個の摺動要素を用いても、別個の摺動要素が特殊構成されてブッシング内に配置されることで精密滑り軸受の実現が可能となる、という認識に基づいている。一方、摺動要素は、好ましくは、特に小さな壁厚、すなわち、1mm未満、特に0.9mm未満のその中空筒体ジャケットの厚さを有する。摺動ガイド内に配置されたシャフトの遊びの減少は、これにより可能な限り減少される。他方、その壁厚の相応に薄い構成を可能とする摺動要素の充分な安定性は、摺動要素が摺動ガイドを周方向に閉じた態様で、したがって少なくともブッシングの1つの長手部分において途切れずに包囲する場合に達成可能となる。これは、摺動要素は後にこの長手部分において周方向に閉じた態様のブッシング上でその外周と接することになり、それにより、特に意図されるようにシャフトが摺動ガイド内に配置される場合に充分な安定性が生成可能となるためである。この長手部分は、特に好ましくは、ブッシングの長手方向端部領域にあり、それは、ブッシングの長手方向端部から開始して、ブッシングの長手方向延長の最大で20%、特に最大で10%にわたって延在する。長手方向端部分は、好ましくは、ブッシングの長手方向端部領域全体にわたって連続的に延び、特に、ブッシングの長手中心に向かって長手方向端部分も越えて延在する。長手方向端部分は、好ましくは、摺動要素の長手方向延長の少なくとも30%にわたって延在する。摺動要素の上記長手部分は、好ましくは、摺動要素の長手方向端部を形成し、バネ部分によって長手方向軸に沿って対向長手方向端部から離隔され、摺動要素の長手方向延長は、好ましくは、その上記長手部分及びそのバネ部分の長手方向延長の合計によって形成される。さらに、それは、摺動要素がその突出部によって軸受本体の内側に設けられた凹部に係合することで軸受本体とのフォームフィット(Formschluss)によって軸受本体に対して長手方向軸に沿ってその位置に固定され、かつ径方向のプレスフィットにおいてブッシングに圧入されるという程度まで、本発明に係る滑り軸受の有利な特性に寄与する。プレスフィットは、好ましくは、摺動要素の長手方向延長の少なくとも30%にわたってブッシングと摺動要素の間に周方向に閉じた態様で作用するプレスフィットである。摺動ガイド内に配置されたシャフトの径方向の遊びは、プレスフィットによって最小化される。摺動要素は、好ましくは、軸受本体の凹部への突出部の係合によって、軸受本体に対する長手方向軸に沿って、以下の態様で固定される。その態様では、摺動要素は軸受本体の少なくとも端面境界部、すなわち、軸受本体の少なくとも一方の長手方向端部、特に軸受本体の両端面境界部を越えては突出せず、摺動要素はブッシングの少なくとも一方の長手方向端部、特にブッシングの両長手方向端部を越えては突出しない。摺動要素は、特に好ましくはブッシングの少なくとも一方の長手方向端部から1mm未満だけ離隔される。摺動要素が軸受本体におけるブッシングに取外し可能に固定され、特に軸受本体から除去可能であることは、突出部が凹部から径方向に除去され、その後に摺動要素が、軸受本体と摺動要素の間に作用する摩擦力を克服して、ブッシングから長手方向軸に沿って引き抜かれることにおいて好ましい。
【0007】
本発明に係る滑り軸受は、重要な有利な効果を与える。別個の摺動要素を設けることによって、摺動要素は、運用中の場合、汎用軸受の場合に通常行われるように軸受全体が交換されることを要することなく、簡単に交換可能となる。さらに、所望の用途環境への滑り軸受の単純な適合性が、別個の摺動要素によって保証可能となる。それは、摺動要素の材料が用途環境を対象として選択可能であるが、異なる用途環境に適する滑り軸受の各々が同じ軸受本体を有することが可能であることで、その様々な滑り軸受は、好ましくは、それぞれの滑り軸受の摺動要素を製造する材料が異なるだけとなるためである。これにより、製造及び保管コストが節約可能となる。さらに、本発明に係る滑り軸受は、シャフトの精密かつ頑健なガイド動作を保証する。
【0008】
摺動要素は、中空筒体の態様で形成されたジャケット部を有し得る。摺動要素の突出部はジャケット部に設けられたバネ部分によって形成され、バネ部分は、特に、ブッシングの各長手方向端部から長手方向軸に沿ってブッシングの全長の少なくとも25%だけ及び/又は摺動要素の合計長手方向延長の少なくとも20%だけ離隔される。ブッシングの長手方向端部からのバネ部分の間隔により、特に、摺動ガイド内に配置されたシャフトに対して横断方向に作用する力が発生する場合に摺動要素の特に高い負荷が予想されるブッシングの長手方向端部の高さにおいて、バネ部分を考慮することなく摺動要素の特に高い強健性を実現することが可能となる。摺動要素は、好ましくは、長手方向軸周りの回転方向に相互から所定の距離をおいて離隔された多数の突出部を有し、突出部の各々は少なくとも1つの他のバネ部分から分離されたバネ部分によって形成されている。長手方向軸に対して径方向に、したがって長手方向に垂直にジャケット部に相対して突出部に力がかかる場合に、突出部が長手方向軸に対して径方向に撓み、一方で、バネ部分がその力に対抗して作用するバネ力を形成し、突出部が再度その力の打消しに従ってその元の位置に戻るように、バネ部分がジャケット部に配置される。バネ部分は、好ましくは、摺動要素の合計長手方向延長の50%未満にわたって、特に20%~50%にわたって延在し、それにより、充分なバネ特性及び充分な安定性の双方が保証可能となる。
【0009】
バネ部分は、長手方向軸に沿って延びてジャケット部の長手部分に形成された2つのスロットの間に形成され、したがって、これらスロットによって長手方向軸に垂直に境界付けられ得る。これらスロットは、好ましくは、端面、すなわち、摺動要素の長手方向端部に開口し、それにより、スロットは縁部開口として形成される。これは、摺動要素が単にこの長手方向端部によって及び長手方向軸に沿う軸受本体へのプレスフィットの実現によってブッシング内に導入可能となるという特定の有利な効果を与える。さらに、バネ部分は、その後、ブッシングの長手方向端部から離れて実現された軸受内に配置可能となる。バネ部分は、好ましくは、長手方向軸周りの回転角に関して、少なくとも20°、特に少なくとも30°の角度領域にわたってスロット間に途切れずに延在する。特に高い安定性が、これにより保証可能となる。バネ部分は、好ましくは、スロット間において20°~120°、特に30°から90°の角度領域にわたって延在する。特にこれにより、充分な弾性及び安定性が促進され得る。スロットの各々は、好ましくは、長手方向軸周りの角度領域の最大3分の1にわたって延在し、それにわたってバネ部分が延在する。摺動要素は、好ましくは、長手方向軸周りに少なくとも45°、特に少なくとも60°の回転角だけ相互から離隔した多数のバネ部分を有する。バネ部分は、好ましくは、それぞれスロットによって両側に長手方向軸に垂直に境界付けられ、ジャケット部は長手方向軸周りの回転方向において2つの隣接するバネ部分の間の接続領域を形成し、その領域は2つの隣接するバネ部分の第1の部分を境界付けるスロットから2つの隣接するバネ部分の第2の部分を境界付けるスロットまで延在する。接続領域は、好ましくは、少なくとも30°、特に少なくとも60°、特に30°~150°、特に60°~130°の長手方向軸周りの角度領域にわたって延在する。ジャケット部は、好ましくは、長手方向軸に沿って接続領域において連続的に、2つの隣接するバネ部分を境界付けるスロット、特にスロットの長手方向延長全体と重なり、それにより、ジャケット部はスロットに沿って長手方向軸に沿って延在する。記載されるバネ部分の幅及び構成の調整は、薄壁化されかつ充分に強健な摺動要素の実現のために特に有利であり、それは径方向押圧及び軸方向アンダーカットによって軸受本体内に確実に保持される。バネ部分は、好ましくは、長手方向軸周りに均一に分散される。好ましくは2つ、特に厳密には2つのバネ部分が、ジャケット部の2つの径方向対向面に設けられる。
【0010】
ジャケット部は、長手方向軸及び結果として摺動ガイドを周方向に閉じた態様で包囲する長手部分を有し得る。この長手部分全体内において、ジャケット部は、同じ明確な断面を有する。このジャケット部の長手部分は、摺動要素の総長手方向延長の少なくとも50%にわたって延在し、かつ/又はブッシングの絶対長手方向端部から摺動要素の総長手方向延長の10%未満、特に5%未満だけ離隔されている、
【0011】
摺動要素は、その外側において、長手方向軸周りの回転方向に沿って分散して配置され、好ましくは外側に向けられた多数の突出部を有する。
【0012】
軸受本体は、そのブッシング内に、好ましくは特に長手方向軸に関してブッシングの中心領域に長手方向軸に垂直に延びる少なくとも1つの凹部を有していてもよく、その凹部には、少なくとも1つの突出部が係合する。凹部は、好ましくは、ブッシングの周囲の少なくとも50%、特に少なくとも70°にわたって、ブッシングの周囲にわたって好ましくは周方向に閉じた態様で延在する。
【0013】
摺動要素は、好ましくは摩擦学的(tribological)ポリマーから製造される。この種の摩擦学的ポリマーは、摩耗低減及び摩擦低減に関して最適化されたポリマーである。この種の摩擦学的ポリマーは、通常はベースポリマー、例えば、熱可塑性樹脂のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、及び熱硬化性樹脂の場合にはフェノール樹脂を有する。このベースポリマーに、固体潤滑剤の微粒子、例えば、モリブデンジスルフィド若しくはグラファイト、及び/又はプラスチック若しくは織物の繊維若しくは粒子などの充填剤が添加される。
【0014】
本発明の他の提案によると、滑り軸受は2つの摺動要素部分を有し得る。その2つの摺動要素部分は長手方向軸に沿って相互に隣接してそれぞれブッシング内に配置され、各摺動要素部分は、その外側に突出部を有し、それにより、摺動要素部分は軸受本体の内側に設けられた凹部に係合し、特に同じ凹部にともに係合する。両摺動要素部分のバネ部分は、軸受本体の内側領域において長手方向に沿って相互に向いて配置される。摺動要素部分の各々は、特に好ましくは、上述したような摺動要素によって形成されるので、滑り軸受を実現するために、2つの摺動要素部分が長手方向軸に沿ってブッシングの一方の長手方向端部からブッシングにそれぞれ挿入される。相互に独立して軸受本体に挿入される2つの摺動要素の使用によって、滑り軸受の組立てが容易となる。摺動要素部分は、好ましくは同様に形成されるが、異なる長さのものであってもよい。滑り軸受は、好ましくは厳密に2つの摺動要素を有し、その各々は2つの摺動要素部分の一方を形成する。摺動要素は、好ましくは長手方向軸に沿って相互に隣り合う。特に、摺動要素の突出部が、それらの相互に向き合う長手方向端部の領域においてブッシングの内側に設けられた構成に、特に同じ凹部に係合しつつ、摺動要素が相互に接することによって、滑り軸受は、特に強健に構成可能となる。摺動要素の各々は、特に好ましくは、摺動ガイドを周方向に閉じた態様でガイドする上述したような長手部分をそれぞれ有し、摺動要素の第1の部分の長手部分は第1の長手方向端部にあるブッシングの長手方向端部領域にあり、摺動要素の第2の部分の長手部分は第1の長手方向端部とは反対側の第2の長手方向端部にあるブッシングの長手方向端部領域にある。
【0015】
軸受本体は、その外側において、長手方向軸に沿って相互から離隔した周方向組付溝を有し得る。
【0016】
さらに、滑り軸受は、丸い断面を有する筒状シャフトを取り込むのに適するように、丸シャフト滑り軸受として形成され得る。丸シャフト滑り軸受は、精密ガイド動作のために特に有利である。
【0017】
本発明はさらに、滑り軸受と、筒状の、特に円筒状のシャフトと、を備える滑り軸受構成に関し、シャフトは、滑り軸受の摺動開口内に配置され、ブッシングを通じて延在し、少なくとも1つの摺動要素又は摺動要素部分に接し、特に、ブッシング内にある摺動要素の外面の少なくとも50%、特に少なくとも70%、特に少なくとも80%にわたって摺動要素に接する。滑り軸受は、好ましくは2つの摺動要素を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る滑り軸受の実施形態の縦断面での模式図である。
図2図1に係る滑り軸受の軸受本体の縦断面での模式図である。
図3a図1に係る滑り軸受の摺動要素の種々の図における種々の模式図である。
図3b図1に係る滑り軸受の摺動要素の種々の図における種々の模式図である。
図3c図1に係る滑り軸受の摺動要素の種々の図における種々の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の例示的実施形態を図面に示す。
【0020】
図1~3において、本発明に係る滑り軸受1の例示的実施形態が、説明的に図示されている。ここで、図1は滑り軸受1全体の縦断面を示し、図2は軸受本体2の縦断面を示し、図3a、3b及び3cからなる図3は滑り軸受1で使用される2つの摺動要素3のうちの一方の種々の図を示す。これらの要素は、本例示的実施形態において同一に形成されている。図示される例示的実施形態では、滑り軸受1の軸受本体2はスリーブの形態であり、そのブッシング20内には2つの摺動要素3が挿入される。各摺動要素3は、軸受本体2のブッシング20内でその長手方向に相互に前後に配置される2つの同様の摺動要素部分3a、3bのうちの一方を、以下の態様で形成する。その態様では、それらが軸受本体2の2つの端面、すなわち、長手方向端部5、6の間に位置するユニットを形成し、そのユニットの長さは軸受本体2の長さと同じであり得る。ここで、軸受本体2の長手方向端部は、ブッシング20の長手方向端部でもある。摺動要素部分3a、3bは、以下の領域を除いて軸受本体2の内側ジャケット面を覆う。その領域は、それぞれ他方の摺動要素部分3a、3bとは反対側にある各摺動要素部分3a、3bの長手方向端部領域に配置されたスロット、すなわち、縁部開口32によって形成された機能的には関連しない領域である。各摺動要素部分3a、3bのスロット32は、より強く弾性的に変形可能であり、バネ部分31の自由端において外側に向きかつフランジの態様で形成され得る突出部310を有するバネ部分31を境界付ける。
【0021】
軸受本体2には、その内側ジャケット面に、例えば、溝のような有利には周方向の凹部21が設けられ、それは軸受本体2の長手方向延長の中心に配置されるが、それは絶対的に必要というわけではない。
【0022】
例えば、図面の図1から理解できる滑り軸受1の組立て状態において、摺動要素部分3a、3b、すなわち、それぞれの摺動要素3の突出部310が軸受本体2の凹部21に係合し、共通の溝状の凹部21が各摺動要素部分3a、3bの突出部310に対して特定の場合に設けられる。なお、2つの凹部21が存在していてもよい。
【0023】
滑り軸受1の摺動要素部分3a、3bと軸受本体2との間の積極的ロック接続は、軸受本体2の内側境界壁に係合する突出部310によっていずれも容易に生成可能であり、この接続が長手方向軸に沿って軸受本体2に対する摺動要素部分3a、3bの位置を固定する。
【0024】
前述した滑り軸受1の組立ては、それぞれの摺動要素部分3a及び3bをそれぞれ形成する摺動要素3が、軸受本体2の各面の端部5、6からブッシング20の開口に挿入されるだけで行われる。軸受本体2と摺動要素3又はその摺動要素部分3a、3bとの間の径方向のプレスフィットを達成するために、それぞれの摺動要素部分3a、3bを形成する中空筒体状の摺動要素3は軸受本体2の内径よりもわずかに大きい外径を有し得る。スロット32が設けられたそれぞれの摺動要素3の端部は、スロット32が設けられた端面縁部領域をブッシング20のそれぞれの開口に導入可能とするために、径方向にいくらか圧縮される。この径方向の圧縮は、突出部310によってもたらされるそれぞれの摺動要素部分3a、3bの外径の拡大さえも補う程度に行われる。
【0025】
図面は、より大きな長さの滑り軸受1が上述の態様で製造可能であることを示す。軸受本体2の長手方向端部5、6からブッシング20にそれぞれ挿入される2つの別個の摺動要素を設けることによって、滑り軸受1の組立ては、ここでは径方向のプレスフィットによって接続されるにもかかわらず、依然として容易である。
【0026】
滑り軸受1の軸受本体2は、いずれも条件に応じて、異なる材料から、例えば金属から製造可能である。摺動要素3には、これに適した材料が使用可能であり、それはプラスチック、特に、摩擦学的ポリマーであり得る。
【符号の説明】
【0027】
1 滑り軸受
2 軸受本体
3 摺動要素
3a、3b 摺動要素部分
4 摺動ガイド
5 端面(端部)
6 端面(端部)
7 組付溝
8 矢印
20 ブッシング
21 凹部
31 バネ部分
32 スロット(縁部開口)
33 ジャケット部
310 突出部
図1
図2
図3a
図3b
図3c
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材から製造されて長手方向軸に沿って延在する中空筒体の態様の軸受本体(2)を備える滑り軸受(1)であって、前記軸受本体はその内側でブッシング(20)を包囲し、前記基材とは異なる摩擦防止材が前記軸受本体(2)の内側において前記ブッシング(20)に設けられ、前記摩擦防止材が前記ブッシング(20)内にある摺動ガイド(4)を包囲し、
前記滑り軸受(1)は前記摩擦防止材からなる少なくとも1つの中空筒体状の摺動要素(3)を備え、該摺動要素は前記軸受本体(2)の前記ブッシング(20)内に配置され、前記摺動ガイド(4)を周方向に閉じた態様で包囲し、好ましくは1mm未満の壁厚を有し、前記摺動要素(3)はその外側に少なくとも1つの突出部(310)を有し、それにより該突出部は前記軸受本体(2)の内側に設けられた凹部(21)に係合して前記摺動要素(3)と前記軸受本体(2)の間の相対位置を固定し、前記摺動要素(3)は前記軸受本体(2)の前記ブッシング(20)内に径方向のプレスフィットによって圧入され、
前記突出部(310)は、その位置において、前記摺動要素(3)が前記軸受本体(2)に対して前記軸受本体(2)によるフォームフィットによって前記長手方向軸に沿って固定されるような態様で、前記軸受本体(2)の内側に設けられた前記凹部(21)に係合する、滑り軸受(1)。
【請求項2】
前記摺動要素(3)は、中空筒体の態様で形成されたジャケット部(33)を備え、前記摺動要素(3)の前記突出部(310)は前記ジャケット部(33)に設けられた少なくとも1つのバネ部分(31)によって形成され、特に、前記バネ部分(31)は、前記ブッシング(20)の各長手方向端部から前記長手方向軸に沿って前記ブッシング(20)の全長の少なくとも25%だけ離隔されている、請求項1に記載の滑り軸受(1)。
【請求項3】
前記ジャケット部(33)は長手部分を備え、該長手部分内において前記ジャケット部は周方向に閉じた態様で前記長手方向軸を包囲し、前記ジャケット部(33)はその長手部分全体内において同じ明確な断面を有し、前記ジャケット部(33)の当該長手部分は、特に前記摺動要素(3)の総長手方向延長の少なくとも50%にわたって延在し、かつ/又は前記ブッシング(20)の絶対長手方向端部から前記摺動要素(3)の総長手方向延長の10%未満だけ、特に5%未満だけ、離隔されている、請求項2に記載の滑り軸受(1)。
【請求項4】
前記バネ部分(31)は、前記長手方向軸に沿って延びて前記ジャケット部(33)の更なる長手部分に形成された2つのスロット(32)の間に形成されている、請求項2又は3に記載の滑り軸受(1)。
【請求項5】
前記摺動要素(3)は、その外側において、前記長手方向軸周りの回転方向に沿って分散して配置された複数の突出部(310)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項6】
前記軸受本体(2)は、そのブッシング(20)内に、特に前記長手方向軸に関して前記ブッシング(20)の中心領域に、前記長手方向軸に垂直に延びて前記突出部(310)が係合する少なくとも1つの凹部(21)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項7】
前記滑り軸受(1)は2つの摺動要素部分(3a、3b)を備え、該2つの摺動要素部分は前記長手方向軸に沿って相互に隣接してそれぞれ前記ブッシング(20)内に配置され、各摺動要素部分は、その外側に少なくとも1つの突出部(310)を有し、それにより前記突出部は前記軸受本体(2)の内側に設けられた凹部(21)にそれぞれ係合し、特に同じ凹部(21)にともに係合し、特に、前記摺動要素部分の各々は、それぞれ別個の摺動要素(3)によって形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項8】
前記軸受本体(2)は、その外側において、前記長手方向軸に沿って相互から離隔した周方向組付溝(7)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項9】
前記摺動要素部分(3a、3b)は、同じ軸方向長さを有する、請求項7に記載の滑り軸受(1)。
【請求項10】
丸シャフト滑り軸受として形成された請求項1からのいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項11】
前記摺動要素(3)は、摩擦学的ポリマーからなる、請求項1からのいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項12】
請求項1からのいずれか一項に記載の少なくとも1つの摺動要素を有する滑り軸受(1)と、筒状の、特に円筒状の、シャフトと、を備える滑り軸受構成であって、前記シャフトは、前記滑り軸受(1)の前記摺動ガイド(4)に配置され、前記ブッシング(20)を通じて延在し、前記少なくとも1つの摺動要素(3)に接し、特に、前記ブッシング(20)内にある当該摺動要素の外面の少なくとも50%、特に少なくとも70%、特に少なくとも80%にわたって前記少なくとも1つの摺動要素(3)に接する、滑り軸受構成。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載の精密滑り軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用滑り軸受は、基材からなり長手方向軸に延在する中空筒体の態様の軸受本体を備え、その本体はその内側でブッシングを包囲し、基材とは異なる摩擦防止材が軸受本体の内側においてブッシングに設けられ、その摩擦防止材はブッシング内にある摺動ガイドを包囲する。ブッシング及び摺動ガイドは、通常は筒体の形態で形成され、ブッシング内にある摺動ガイドはブッシングよりも小さな径を有し、筒状シャフトは意図される使用に応じて摺動ガイドに取り込まれ、当該シャフトの径は摺動ガイドの径に実質的に対応し、特にこれから0.05未満、特に0.03mm未満だけずれている。
【0003】
汎用滑り軸受は、従来技術において、滑り軸受において支持される筒状シャフトの精密な摺動ガイド動作のために使用される。汎用滑り軸受の意図される使用において、シャフトは、中空筒体状の軸受本体に取り込まれ、その長手方向軸に沿って変位可能であり、摩擦防止材に沿って摺動する。一方で、その長手方向軸に垂直な位置は、可能な限り精密に、したがって最小の径方向の遊びで、汎用滑り軸受の場合には、通常は0.1mm未満、特に0.05mm未満の遊びで、滑り軸受内にその構成によって固定される。滑り軸受及び使用されるシャフトは、好ましくは以下の態様で相互に調整される。その態様では、未充填の初期位置から開始して滑り軸受に取り込まれて滑り軸受を通じて長手方向軸に沿って延びるシャフトの充填が、滑り軸受の長手方向端部から10cm離隔したシャフトの長手位置において及び長手方向軸に垂直な横断方向において滑り軸受に相対してシャフトに対して作用して40Nとなる力を受けて行われる場合でも、シャフトは、滑り軸受の上記長手方向端部において、初期位置に対して0.05mm未満しか横断方向に偏向可能とならない。シャフト及び特に軸受本体は、多くの場合、金属又は金属合金からなり、特に鋼、高級鋼又は硬質アルマイトからなる。汎用滑り軸受の精度に対する高い要求のために、滑り軸受及び滑り軸受構成の構成に対して特定の要件がもたらされる。多くの場合、丸シャフトがシャフトとして使用され、ブッシングがそれに従って丸い底面の筒体の態様で形成される。さらに、摩耗防止材が、ブッシングにおける遊びを理想的には完全に回避して基材に付与されなければならない。このために、汎用滑り軸受は、摩擦防止材が軸受本体の内面の永久塗布コーティングの形態で存在する従来技術において知られている。これにより、滑り軸受の強健性及び精度が保証可能となる。しかし、摩擦防止材の永久塗布は、使用目的に応じて異なる摩擦防止材を有する異なる軸受が種々の用途のために提供されなければならないことを意味する。
【0004】
摩擦防止材が別個のスリーブ状本体として形成され、その壁部が本体の長手方向に延びる連続スロットを有することで、スリーブはその弾性変形によって軸受本体に挿入可能となり、したがって、この弾性プリテンショニング下で保持され、特殊な予防措置をとってスリーブをその意図される動作位置に固定することが可能となる滑り軸受も知られている。しかし、そのような滑り軸受は、それらの安定性のために必然的に与えられる弾性及び必然的に与えられるスリーブ状の摩擦防止材の壁厚によって充分に精密な滑り軸受の構成が不可能となるため、精密滑り軸受としては適さない。
請求項1の包括的用語の特徴を有する滑り軸受は、特許文献1により知られている。さらなる先行技術が、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5及び特許文献6により知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第3084003号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/063826号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/124608号公報
【特許文献4】独国特許第3249706号明細書
【特許文献5】韓国特許出願公開第20130046731号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第3637273号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の課題は、汎用滑り軸受及び滑り軸受構成の少なくとも1つの不利益を少なくともある程度改善することである。
【0007】
この課題を達成するために、本発明は以下を提案する。滑り軸受は、摩擦防止材からなる中空筒体の態様の摺動要素を備え、その要素は軸受本体のブッシング内に配置され、摺動ガイドを周方向に閉じた態様で包囲し、好ましくは1mm未満の壁厚を有し、摺動要素は突出部を有し、それにより、突出部は軸受本体の内側に設けられた凹部に係合して摺動要素と軸受本体の間の相対位置を長手方向軸に対して固定し、摺動要素は軸受本体のブッシング内に径方向のプレスフィットによって圧入される。本発明に係る滑り軸受では、通常の汎用滑り軸受の構成とは対照的に、中空筒体状の軸受本体とは別個の摺動要素が結果として設けられ、その摺動要素は軸受本体から独立して製造され、ブッシング内に導入されて軸受本体を実現する。本発明は、そのような別個の摺動要素を用いても、別個の摺動要素が特殊構成されてブッシング内に配置されることで精密滑り軸受の実現が可能となる、という認識に基づいている。一方、摺動要素は、好ましくは、特に小さな壁厚、すなわち、1mm未満、特に0.9mm未満のその中空筒体ジャケットの厚さを有する。摺動ガイド内に配置されたシャフトの遊びの減少は、これにより可能な限り減少される。他方、その壁厚の相応に薄い構成を可能とする摺動要素の充分な安定性は、摺動要素が摺動ガイドを周方向に閉じた態様で、したがって少なくともブッシングの1つの長手部分において途切れずに包囲する場合に達成可能となる。これは、摺動要素は後にこの長手部分において周方向に閉じた態様のブッシング上でその外周と接することになり、それにより、特に意図されるようにシャフトが摺動ガイド内に配置される場合に充分な安定性が生成可能となるためである。この長手部分は、特に好ましくは、ブッシングの長手方向端部領域にあり、それは、ブッシングの長手方向端部から開始して、ブッシングの長手方向延長の最大で20%、特に最大で10%にわたって延在する。長手方向端部分は、好ましくは、ブッシングの長手方向端部領域全体にわたって連続的に延び、特に、ブッシングの長手中心に向かって長手方向端部分も越えて延在する。長手方向端部分は、好ましくは、摺動要素の長手方向延長の少なくとも30%にわたって延在する。摺動要素の上記長手部分は、好ましくは、摺動要素の長手方向端部を形成し、バネ部分によって長手方向軸に沿って対向長手方向端部から離隔され、摺動要素の長手方向延長は、好ましくは、その上記長手部分及びそのバネ部分の長手方向延長の合計によって形成される。さらに、それは、摺動要素がその突出部によって軸受本体の内側に設けられた凹部に係合することで軸受本体とのフォームフィット(Formschluss)によって軸受本体に対して長手方向軸に沿ってその位置に固定され、かつ径方向のプレスフィットにおいてブッシングに圧入されるという程度まで、本発明に係る滑り軸受の有利な特性に寄与する。プレスフィットは、好ましくは、摺動要素の長手方向延長の少なくとも30%にわたってブッシングと摺動要素の間に周方向に閉じた態様で作用するプレスフィットである。摺動ガイド内に配置されたシャフトの径方向の遊びは、プレスフィットによって最小化される。摺動要素は、好ましくは、軸受本体の凹部への突出部の係合によって、軸受本体に対する長手方向軸に沿って、以下の態様で固定される。その態様では、摺動要素は軸受本体の少なくとも端面境界部、すなわち、軸受本体の少なくとも一方の長手方向端部、特に軸受本体の両端面境界部を越えては突出せず、摺動要素はブッシングの少なくとも一方の長手方向端部、特にブッシングの両長手方向端部を越えては突出しない。摺動要素は、特に好ましくはブッシングの少なくとも一方の長手方向端部から1mm未満だけ離隔される。摺動要素が軸受本体におけるブッシングに取外し可能に固定され、特に軸受本体から除去可能であることは、突出部が凹部から径方向に除去され、その後に摺動要素が、軸受本体と摺動要素の間に作用する摩擦力を克服して、ブッシングから長手方向軸に沿って引き抜かれることにおいて好ましい。
【0008】
本発明に係る滑り軸受は、重要な有利な効果を与える。別個の摺動要素を設けることによって、摺動要素は、運用中の場合、汎用軸受の場合に通常行われるように軸受全体が交換されることを要することなく、簡単に交換可能となる。さらに、所望の用途環境への滑り軸受の単純な適合性が、別個の摺動要素によって保証可能となる。それは、摺動要素の材料が用途環境を対象として選択可能であるが、異なる用途環境に適する滑り軸受の各々が同じ軸受本体を有することが可能であることで、その様々な滑り軸受は、好ましくは、それぞれの滑り軸受の摺動要素を製造する材料が異なるだけとなるためである。これにより、製造及び保管コストが節約可能となる。さらに、本発明に係る滑り軸受は、シャフトの精密かつ頑健なガイド動作を保証する。
【0009】
摺動要素は、中空筒体の態様で形成されたジャケット部を有し得る。摺動要素の突出部はジャケット部に設けられたバネ部分によって形成され、バネ部分は、特に、ブッシングの各長手方向端部から長手方向軸に沿ってブッシングの全長の少なくとも25%だけ及び/又は摺動要素の合計長手方向延長の少なくとも20%だけ離隔される。ブッシングの長手方向端部からのバネ部分の間隔により、特に、摺動ガイド内に配置されたシャフトに対して横断方向に作用する力が発生する場合に摺動要素の特に高い負荷が予想されるブッシングの長手方向端部の高さにおいて、バネ部分を考慮することなく摺動要素の特に高い強健性を実現することが可能となる。摺動要素は、好ましくは、長手方向軸周りの回転方向に相互から所定の距離をおいて離隔された多数の突出部を有し、突出部の各々は少なくとも1つの他のバネ部分から分離されたバネ部分によって形成されている。長手方向軸に対して径方向に、したがって長手方向に垂直にジャケット部に相対して突出部に力がかかる場合に、突出部が長手方向軸に対して径方向に撓み、一方で、バネ部分がその力に対抗して作用するバネ力を形成し、突出部が再度その力の打消しに従ってその元の位置に戻るように、バネ部分がジャケット部に配置される。バネ部分は、好ましくは、摺動要素の合計長手方向延長の50%未満にわたって、特に20%~50%にわたって延在し、それにより、充分なバネ特性及び充分な安定性の双方が保証可能となる。
【0010】
バネ部分は、長手方向軸に沿って延びてジャケット部の長手部分に形成された2つのスロットの間に形成され、したがって、これらスロットによって長手方向軸に垂直に境界付けられ得る。これらスロットは、好ましくは、端面、すなわち、摺動要素の長手方向端部に開口し、それにより、スロットは縁部開口として形成される。これは、摺動要素が単にこの長手方向端部によって及び長手方向軸に沿う軸受本体へのプレスフィットの実現によってブッシング内に導入可能となるという特定の有利な効果を与える。さらに、バネ部分は、その後、ブッシングの長手方向端部から離れて実現された軸受内に配置可能となる。バネ部分は、好ましくは、長手方向軸周りの回転角に関して、少なくとも20°、特に少なくとも30°の角度領域にわたってスロット間に途切れずに延在する。特に高い安定性が、これにより保証可能となる。バネ部分は、好ましくは、スロット間において20°~120°、特に30°から90°の角度領域にわたって延在する。特にこれにより、充分な弾性及び安定性が促進され得る。スロットの各々は、好ましくは、長手方向軸周りの角度領域の最大3分の1にわたって延在し、それにわたってバネ部分が延在する。摺動要素は、好ましくは、長手方向軸周りに少なくとも45°、特に少なくとも60°の回転角だけ相互から離隔した多数のバネ部分を有する。バネ部分は、好ましくは、それぞれスロットによって両側に長手方向軸に垂直に境界付けられ、ジャケット部は長手方向軸周りの回転方向において2つの隣接するバネ部分の間の接続領域を形成し、その領域は2つの隣接するバネ部分の第1の部分を境界付けるスロットから2つの隣接するバネ部分の第2の部分を境界付けるスロットまで延在する。接続領域は、好ましくは、少なくとも30°、特に少なくとも60°、特に30°~150°、特に60°~130°の長手方向軸周りの角度領域にわたって延在する。ジャケット部は、好ましくは、長手方向軸に沿って接続領域において連続的に、2つの隣接するバネ部分を境界付けるスロット、特にスロットの長手方向延長全体と重なり、それにより、ジャケット部はスロットに沿って長手方向軸に沿って延在する。記載されるバネ部分の幅及び構成の調整は、薄壁化されかつ充分に強健な摺動要素の実現のために特に有利であり、それは径方向押圧及び軸方向アンダーカットによって軸受本体内に確実に保持される。バネ部分は、好ましくは、長手方向軸周りに均一に分散される。好ましくは2つ、特に厳密には2つのバネ部分が、ジャケット部の2つの径方向対向面に設けられる。
【0011】
ジャケット部は、長手方向軸及び結果として摺動ガイドを周方向に閉じた態様で包囲する長手部分を有し得る。この長手部分全体内において、ジャケット部は、同じ明確な断面を有する。このジャケット部の長手部分は、摺動要素の総長手方向延長の少なくとも50%にわたって延在し、かつ/又はブッシングの絶対長手方向端部から摺動要素の総長手方向延長の10%未満、特に5%未満だけ離隔されている、
【0012】
摺動要素は、その外側において、長手方向軸周りの回転方向に沿って分散して配置され、好ましくは外側に向けられた多数の突出部を有する。
【0013】
軸受本体は、そのブッシング内に、好ましくは特に長手方向軸に関してブッシングの中心領域に長手方向軸に垂直に延びる少なくとも1つの凹部を有していてもよく、その凹部には、少なくとも1つの突出部が係合する。凹部は、好ましくは、ブッシングの周囲の少なくとも50%、特に少なくとも70°にわたって、ブッシングの周囲にわたって好ましくは周方向に閉じた態様で延在する。
【0014】
摺動要素は、好ましくは摩擦学的(tribological)ポリマーから製造される。この種の摩擦学的ポリマーは、摩耗低減及び摩擦低減に関して最適化されたポリマーである。この種の摩擦学的ポリマーは、通常はベースポリマー、例えば、熱可塑性樹脂のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、及び熱硬化性樹脂の場合にはフェノール樹脂を有する。このベースポリマーに、固体潤滑剤の微粒子、例えば、モリブデンジスルフィド若しくはグラファイト、及び/又はプラスチック若しくは織物の繊維若しくは粒子などの充填剤が添加される。
【0015】
本発明の他の提案によると、滑り軸受は2つの摺動要素部分を有し得る。その2つの摺動要素部分は長手方向軸に沿って相互に隣接してそれぞれブッシング内に配置され、各摺動要素部分は、その外側に突出部を有し、それにより、摺動要素部分は軸受本体の内側に設けられた凹部に係合し、特に同じ凹部にともに係合する。両摺動要素部分のバネ部分は、軸受本体の内側領域において長手方向に沿って相互に向いて配置される。摺動要素部分の各々は、特に好ましくは、上述したような摺動要素によって形成されるので、滑り軸受を実現するために、2つの摺動要素部分が長手方向軸に沿ってブッシングの一方の長手方向端部からブッシングにそれぞれ挿入される。相互に独立して軸受本体に挿入される2つの摺動要素の使用によって、滑り軸受の組立てが容易となる。摺動要素部分は、好ましくは同様に形成されるが、異なる長さのものであってもよい。滑り軸受は、好ましくは厳密に2つの摺動要素を有し、その各々は2つの摺動要素部分の一方を形成する。摺動要素は、好ましくは長手方向軸に沿って相互に隣り合う。特に、摺動要素の突出部が、それらの相互に向き合う長手方向端部の領域においてブッシングの内側に設けられた構成に、特に同じ凹部に係合しつつ、摺動要素が相互に接することによって、滑り軸受は、特に強健に構成可能となる。摺動要素の各々は、特に好ましくは、摺動ガイドを周方向に閉じた態様でガイドする上述したような長手部分をそれぞれ有し、摺動要素の第1の部分の長手部分は第1の長手方向端部にあるブッシングの長手方向端部領域にあり、摺動要素の第2の部分の長手部分は第1の長手方向端部とは反対側の第2の長手方向端部にあるブッシングの長手方向端部領域にある。
【0016】
軸受本体は、その外側において、長手方向軸に沿って相互から離隔した周方向組付溝を有し得る。
【0017】
さらに、滑り軸受は、丸い断面を有する筒状シャフトを取り込むのに適するように、丸シャフト滑り軸受として形成され得る。丸シャフト滑り軸受は、精密ガイド動作のために特に有利である。
【0018】
本発明はさらに、滑り軸受と、筒状の、特に円筒状のシャフトと、を備える滑り軸受構成に関し、シャフトは、滑り軸受の摺動開口内に配置され、ブッシングを通じて延在し、少なくとも1つの摺動要素又は摺動要素部分に接し、特に、ブッシング内にある摺動要素の外面の少なくとも50%、特に少なくとも70%、特に少なくとも80%にわたって摺動要素に接する。滑り軸受は、好ましくは2つの摺動要素を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る滑り軸受の実施形態の縦断面での模式図である。
図2図1に係る滑り軸受の軸受本体の縦断面での模式図である。
図3a図1に係る滑り軸受の摺動要素の種々の図における種々の模式図である。
図3b図1に係る滑り軸受の摺動要素の種々の図における種々の模式図である。
図3c図1に係る滑り軸受の摺動要素の種々の図における種々の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の例示的実施形態を図面に示す。
【0021】
図1~3において、本発明に係る滑り軸受1の例示的実施形態が、説明的に図示されている。ここで、図1は滑り軸受1全体の縦断面を示し、図2は軸受本体2の縦断面を示し、図3a、3b及び3cからなる図3は滑り軸受1で使用される2つの摺動要素3のうちの一方の種々の図を示す。これらの要素は、本例示的実施形態において同一に形成されている。図示される例示的実施形態では、滑り軸受1の軸受本体2はスリーブの形態であり、そのブッシング20内には2つの摺動要素3が挿入される。各摺動要素3は、軸受本体2のブッシング20内でその長手方向に相互に前後に配置される2つの同様の摺動要素部分3a、3bのうちの一方を、以下の態様で形成する。その態様では、それらが軸受本体2の2つの端面、すなわち、長手方向端部5、6の間に位置するユニットを形成し、そのユニットの長さは軸受本体2の長さと同じであり得る。ここで、軸受本体2の長手方向端部は、ブッシング20の長手方向端部でもある。摺動要素部分3a、3bは、以下の領域を除いて軸受本体2の内側ジャケット面を覆う。その領域は、それぞれ他方の摺動要素部分3a、3bとは反対側にある各摺動要素部分3a、3bの長手方向端部領域に配置されたスロット、すなわち、縁部開口32によって形成された機能的には関連しない領域である。各摺動要素部分3a、3bのスロット32は、より強く弾性的に変形可能であり、バネ部分31の自由端において外側に向きかつフランジの態様で形成され得る突出部310を有するバネ部分31を境界付ける。
【0022】
軸受本体2には、その内側ジャケット面に、例えば、溝のような有利には周方向の凹部21が設けられ、それは軸受本体2の長手方向延長の中心に配置されるが、それは絶対的に必要というわけではない。
【0023】
例えば、図面の図1から理解できる滑り軸受1の組立て状態において、摺動要素部分3a、3b、すなわち、それぞれの摺動要素3の突出部310が軸受本体2の凹部21に係合し、共通の溝状の凹部21が各摺動要素部分3a、3bの突出部310に対して特定の場合に設けられる。なお、2つの凹部21が存在していてもよい。
【0024】
滑り軸受1の摺動要素部分3a、3bと軸受本体2との間の積極的ロック接続は、軸受本体2の内側境界壁に係合する突出部310によっていずれも容易に生成可能であり、この接続が長手方向軸に沿って軸受本体2に対する摺動要素部分3a、3bの位置を固定する。
【0025】
前述した滑り軸受1の組立ては、それぞれの摺動要素部分3a及び3bをそれぞれ形成する摺動要素3が、軸受本体2の各面の端部5、6からブッシング20の開口に挿入されるだけで行われる。軸受本体2と摺動要素3又はその摺動要素部分3a、3bとの間の径方向のプレスフィットを達成するために、それぞれの摺動要素部分3a、3bを形成する中空筒体状の摺動要素3は軸受本体2の内径よりもわずかに大きい外径を有し得る。スロット32が設けられたそれぞれの摺動要素3の端部は、スロット32が設けられた端面縁部領域をブッシング20のそれぞれの開口に導入可能とするために、径方向にいくらか圧縮される。この径方向の圧縮は、突出部310によってもたらされるそれぞれの摺動要素部分3a、3bの外径の拡大さえも補う程度に行われる。
【0026】
図面は、より大きな長さの滑り軸受1が上述の態様で製造可能であることを示す。軸受本体2の長手方向端部5、6からブッシング20にそれぞれ挿入される2つの別個の摺動要素を設けることによって、滑り軸受1の組立ては、ここでは径方向のプレスフィットによって接続されるにもかかわらず、依然として容易である。
【0027】
滑り軸受1の軸受本体2は、いずれも条件に応じて、異なる材料から、例えば金属から製造可能である。摺動要素3には、これに適した材料が使用可能であり、それはプラスチック、特に、摩擦学的ポリマーであり得る。
【符号の説明】
【0028】
1 滑り軸受
2 軸受本体
3 摺動要素
3a、3b 摺動要素部分
4 摺動ガイド
5 端面(端部)
6 端面(端部)
7 組付溝
8 矢印
20 ブッシング
21 凹部
31 バネ部分
32 スロット(縁部開口)
33 ジャケット部
310 突出部
【国際調査報告】