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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】二軸配向フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20240412BHJP
   C08F 210/02 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
B32B27/32 E
C08F210/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562777
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 IB2022053274
(87)【国際公開番号】W WO2022219467
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/174,978
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505382548
【氏名又は名称】ノバ ケミカルズ(インターナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェレイドゥーン、マリアム
(72)【発明者】
【氏名】ゴヤール、シヴェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ギロン、ブロンウィン
(72)【発明者】
【氏名】オービー、ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】カシリ、セピデー
(72)【発明者】
【氏名】キャレロ、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ライトボディー、オーウェン
【テーマコード(参考)】
4F100
4J100
【Fターム(参考)】
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK04C
4F100AK05A
4F100AK05B
4F100AK05C
4F100AK06A
4F100AK06B
4F100AK06C
4F100AK62A
4F100AK62B
4F100AK62C
4F100AK63A
4F100AK63B
4F100AK63C
4F100AL01A
4F100AL01B
4F100AL01C
4F100AL05A
4F100AL05B
4F100AL05C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100EJ38
4F100JA06A
4F100JA06B
4F100JA06C
4F100JA07A
4F100JA07B
4F100JA07C
4F100JA13A
4F100JA13B
4F100JA13C
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4J100AA02P
4J100AA19Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA05
4J100DA09
4J100DA15
4J100DA19
4J100FA08
4J100JA58
(57)【要約】
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、少なくとも1つの層はポリエチレン組成物を含み、ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有する。この二軸配向フィルムは、良好な光学特性を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項2】
ポリエチレン組成物が、共重合エチレン及び1-オクテンを含む、請求項1記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項3】
ポリエチレン組成物が、3.5~6.5の分子量分布Mw/Mnを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項4】
ポリエチレン組成物が、250,000g/モル以上のZ平均分子量Mzを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項5】
ポリエチレン組成物が、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50を有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項6】
ポリエチレン組成物が、65重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50を有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項7】
ポリエチレン組成物が、0.0010を超える長鎖分岐係数(LCBF)を有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項8】
ポリエチレン組成物が、0.0050を超える長鎖分岐係数LCBFを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項9】
ポリエチレン組成物が、0.0100を超える長鎖分岐係数LCBFを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項10】
ポリエチレン組成物が、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mwを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項11】
ポリエチレン組成物が、35以上のメルトフロー比I21/Iを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項12】
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物が、90℃~98℃の温度で溶出する材料を50重量%を超えて有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項13】
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物が、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項14】
ポリエチレン組成物が、0.942g/cm~0.954g/cmの密度を有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項15】
ポリエチレン組成物が、0.5~2.5g/10分のメルトインデックスIを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項16】
ポリエチレン組成物が、45以上のメルトフロー比I21/Iを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項17】
ポリエチレン組成物が、35~100のメルトフロー比I21/Iを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項18】
ポリエチレン組成物が、2.5~4.5のZ平均分子量分布Mz/Mwを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項19】
ポリエチレン組成物が、2.8を超えるZ平均分子量分布Mz/Mwを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項20】
ポリエチレン組成物が、250,000~500,000g/モルのZ平均分子量を有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項21】
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)が、0.8~3.0である、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項22】
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)が、1.0~3.0である、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項23】
第2のエチレンコポリマーが、第1のエチレンコポリマーよりも高い密度を有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項24】
第1のエチレンコポリマーが、170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項25】
第1のエチレンコポリマーが、0.5g/10分未満のメルトインデックスIを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項26】
第2のエチレンコポリマーが、10.0g/10分を超えるメルトインデックスIを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項27】
第1のエチレンコポリマーが、炭素原子1000個あたり7.5未満の短鎖分岐(SCB1/1000C)を有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項28】
第2のエチレンコポリマーが、炭素原子1000個あたり3.0未満の短鎖分岐(SCB2/1000C)を有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項29】
第1のエチレンコポリマーが、1.7~2.3の分子量分布Mw/Mnを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項30】
第2のエチレンコポリマーが、2.3以上の分子量分布Mw/Mnを有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項31】
第1のエチレンコポリマーが、0.930~0.955g/cmの密度を有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項32】
第2のエチレンコポリマーが、0.935~0.960g/cmの密度を有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項33】
少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれ、
A)少なくとも75重量%のポリエチレン組成物と、
B)LLDPE、VLDPE、MDPE、HDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される25重量%以下のポリマーと
を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項34】
3つの隣接する層がそれぞれ、
A)少なくとも95重量%のポリエチレン組成物と、
B)LLDPE、VLDPE、MDPE、HDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される5重量%以下のポリマーと
を含む、請求項33に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項35】
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
コア層と、
コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、
コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と
を含み、
コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項36】
コア層が、二軸配向フィルム構造体の総重量の少なくとも60重量%を構成する、請求項35に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項37】
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、
プロセスは、
(a)ポリエチレン組成物を、少なくとも3つの隣接する層を含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、
(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から10:1の延伸比まで延伸する工程と、
(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と
を含み、
(a)及び(b)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施され、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、プロセス。
【請求項38】
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、
プロセスは、
(a)少なくとも75重量%のポリエチレン組成物を含むポリマーブレンドを、少なくとも3つの隣接する層を含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、
(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から10:1の延伸比まで延伸する工程と、
(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と
を含み、
(b)及び(c)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施され、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有し、
ポリマーブレンドの残りの重量は、LLDPE、VLDPE、MDPE、HDPE及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーである、プロセス。
【請求項39】
少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、重合エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択されるアルファオレフィンとを含み、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有し、
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体は、20%未満のヘイズ値を有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項40】
ポリエチレン組成物が、重合エチレン及び1-オクテンを含む、請求項39に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項41】
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
コア層と、
コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、
コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と
を含み、
コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、重合エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択されるアルファオレフィンとを含み、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有し、
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体は、20%未満のヘイズ値を有する、
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項42】
ポリエチレン組成物が、重合エチレン及び1-オクテンを含む、請求項41に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項43】
コア層が、二軸配向フィルム構造体の全重量の少なくとも60重量%を構成する、請求項41に記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項44】
少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
少なくとも1つの層はポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項45】
少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
各層はポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項46】
少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【請求項47】
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
コア層と、
コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、
コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と
を含み、
コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、0.940g/cmを超える密度を有するポリエチレン組成物から作製されたBOPEフィルム又はフィルム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
二軸配向ポリエチレン(BOPE:biaxially oriented polyethylene)フィルムは、典型的にはキャストシートとして知られている厚い前駆体(又はベース)フィルムを、機械方向(MD:machine direction)と横方向(TD:transverse direction)の2方向に延伸することによって調製される。延伸は、1回の手順(同時二軸延伸)で行ってもよく、又は2回の連続した手順(逐次二軸延伸)で行ってもよい。延伸プロセスにおいて一般的に用いられる設備は、一般に「テンターフレーム」ラインと呼ばれる。
【0003】
従来のインフレーションフィルムと比較して、BOPEフィルムは、最大2倍の剛性(引張弾性率)を達成することができ、引張強度、衝撃強度、穿刺抵抗、屈曲亀裂抵抗が改善し、光学ヘイズも改善(すなわち、低下)する。
【0004】
BOPEフィルムは、多種多様な包装用途に適しており、二軸配向を施したフィルム又はフィルム構造体で観察される特性の改善により、(異なる種類のポリマーを用いて作製したパッケージとは対照的に)「オール・ポリエチレン」パッケージの設計が可能になる。このような「オール・ポリエチレン」パッケージは、本質的に高いリサイクル性を有するであろう。
【0005】
テンターフレームプロセスは、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)及び二軸配向ポリエチレンテレフタレート(BOPET)フィルムの調製に広く使用されている。しかし、ポリエチレンは延伸/二軸配向が比較的難しく、このためBOPEの商業的使用は限られている。本研究以前には、特に、高密度ポリエチレン組成物(例えば、少なくとも約0.940g/cmの密度を有する高密度ポリエチレン組成物)は、二軸配向を受けると挙動が不十分であることが一般的に観察されていた。実際、高密度ポリエチレンからBOPEフィルムを作製するには、特定の、又は正確なプロセス条件(すなわち、非常に狭いプロセスウィンドウ)が要求される場合がある。あるいは;高密度ポリエチレンは、二軸配向プロセスで使用する前に架橋処理されている;又は、二軸配向する前に、高密度ポリエチレンは、隣接する共押出層として、低密度ポリエチレン材料及びそれらのブレンドを含む層、又はエチレン/プロピレンコポリマー及びターポリマーを含む層などのプロモーター押出層(「キャスティングプロモーター」)を使用して共押出されている。それゆえ、新しいポリエチレン組成物、特に、例えばテンターフレームBOPEプロセスなどのBOPEプロセスにおいて改善された「延伸性」を提供する高密度ポリエチレン組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一実施形態において提供されるのは、良好な光学特性を有し、混合ポリマー材料から作製されたBOPEフィルムと比較してリサイクル性が向上している可能性がある「オール・ポリエチレン」二軸配向フィルム構造体である。
【0007】
本開示の一実施形態は、少なくとも3つの層を含む二軸配向フィルム構造体であって、少なくとも1つの層はポリエチレン組成物を含み、ポリエチレン組成物は、0.940g/cm以上の密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有する、二軸配向フィルム構造体である。
【0008】
本開示の一実施形態は、少なくとも3つの層を含む二軸配向フィルム構造体であって、各層はポリエチレン組成物を含み、ポリエチレン組成物は、0.940g/cm以上の密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有する、二軸配向フィルム構造体である。
【0009】
本開示の一実施形態は、少なくとも3つの層を含む二軸配向フィルム構造体であり、少なくとも1つの層はポリエチレン組成物を含み、ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有する、二軸配向フィルム構造体である。
【0010】
本開示の一実施形態は、少なくとも3つの層を含む二軸配向フィルム構造体であり、各層はポリエチレン組成物を含み、ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有する、二軸配向フィルム構造体である。
【0011】
本開示の一実施形態は、少なくとも3つの隣接する層を含む二軸配向フィルム構造体であって、3つの隣接する層はそれぞれポリエチレン組成物を含み、ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有する、二軸配向フィルム構造体である。
【0012】
少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
少なくとも1つの層はポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0013】
本開示の一実施形態は、少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体である。
【0014】
本開示の一実施形態は、少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれ、
A)少なくとも75重量%のポリエチレン組成物と、
B)LLDPE、VLDPE、MDPE、HDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される25重量%以下のポリマーと
を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体である。
【0015】
本開示の一実施形態は、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
コア層と、
コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、
コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と
を含み、
コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体である。
【0016】
本開示の一実施形態において提供されるのは、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、
プロセスは、
(a)ポリエチレン組成物を、少なくとも3つの隣接する層を含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、
(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から10:1の延伸比まで延伸する工程と、
(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と
を含み、
(a)及び(b)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施され、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、プロセスである。
【0017】
本開示の実施形態において提供されるのは、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、
プロセスは、
(a)少なくとも75重量%のポリエチレン組成物を含むポリマーブレンドを、少なくとも3つの隣接する層を含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、
(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から10:1の延伸比まで延伸する工程と、
(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と
を含み、
(b)及び(c)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施され、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有し、
ポリマーブレンドの残りの重量は、LLDPE、VLDPE、MDPE、HDPE及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーである、プロセスである。
【0018】
一実施形態は、少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、重合エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択されるアルファオレフィンとを含み、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有し、
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体は、20%未満のヘイズ値を有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体である。
【0019】
本開示の一実施形態は、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
コア層と、
コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、
コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と
を含み、
コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、重合エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択されるアルファオレフィンとを含み、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有し、
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体は、20%未満のヘイズ値を有する、
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体である。
【0020】
本開示の一実施形態は、少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
少なくとも1つの層はポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体である。
【0021】
本開示の一実施形態は、少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
各層はポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体である。
【0022】
本開示の一実施形態は、少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体である。
【0023】
本開示の一実施形態は、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
コア層と、
コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、
コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と
を含み、
コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体である。
【0024】
本開示の一実施形態は、ポリエチレン組成物を含む少なくとも1つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体である。
【0025】
本開示の一実施形態では、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体は、20%未満のヘイズ値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示に従って作製されたポリエチレン組成物について得られた、屈折率検出を用いたゲル浸透クロマトグラフ(GPC-RI)を示す。
図2】本開示に従って作製されたポリエチレン組成物について得られた、フーリエ変換赤外(GPC-FTIR)検出を用いたゲル浸透クロマトグラフを示す。コモノマー含有量は、骨格炭素1000個あたりの短鎖分岐の数(y軸)として示され、コポリマー分子量(x軸)との関係で示される。
図3】本開示に従って作製されたポリエチレン組成物の温度上昇溶出分別(CTREF)プロファイルを示す。
図4】本開示に従って作製されたポリエチレン組成物の示差走査熱量分析(DSC)及びプロファイルを示す。
図5】本開示に従って作製されたポリエチレン組成物について、キャピラリーレオロジーによって得られた見かけのせん断粘度(Pa・s)対見かけのせん断速度(s-1)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で使用される場合、「モノマー」という用語は、化学的に反応し、それ自体又は他のモノマーと化学的に結合してポリマーを形成し得る小分子を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「α-オレフィン」又は「アルファ-オレフィン」という用語は、鎖の一端に二重結合を有する3~20個の炭素原子を含む直鎖状炭化水素鎖を有するモノマーを説明するために使用され、同等の用語は「直鎖状α-オレフィン」である。アルファ-オレフィンは、コモノマーとも呼ばれる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ポリエチレン」、「ポリエチレン組成物」又は「エチレンポリマー」という用語は、エチレンポリマーを作製するために使用される特定の触媒又は特定のプロセスにかかわらず、エチレンモノマー及び任意選択で1つ以上の追加のモノマーから生成された高分子を指し、重合エチレンはポリマー中に重量%(又はモル%)で存在する大部分のモノマーである。ポリエチレンの分野では、1つ以上の追加のモノマーは「コモノマー」と呼ばれることが多く、典型的にはα-オレフィンを含む。「ホモポリマー」という用語は、一般に、1種類のモノマーのみを含むポリマーを指す。「コポリマー」という用語は、2種類以上のモノマーを含むポリマーを指す。一般的なポリエチレンの種類には、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)又は極低密度ポリエチレン(ULDPE)が含まれ、プラストマー及びエラストマーとしても知られている。ポリエチレンという用語には、エチレンに加えて、2つ以上のコモノマーを含むことができるポリエチレンターポリマーも含まれる。ポリエチレンという用語には、上記の種類のポリエチレンの組合せ又はブレンドも含まれる。
【0030】
本開示において、「エチレンホモポリマー」又は「ポリエチレンホモポリマー」という用語は、エチレンのみが重合性モノマーとして意図的に添加され、又は意図的に存在する重合プロセスの生成物であるポリマーを指すために使用される。
【0031】
本開示において、「エチレンコポリマー」又は「ポリエチレンコポリマー」という用語は、このポリマーが、エチレンと1種以上のα-オレフィンが重合性モノマーとして意図的に添加され、又は意図的に存在する重合プロセスの生成物であることを意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、水素ラジカルが、非置換という用語に続く分子基に結合していることを意味する。「置換された」という用語は、この用語に続く基が、その基内の任意の位置において、1つ以上の水素ラジカルを置き換えた1つ以上の部分(非水素ラジカル)を有することを意味する。
【0033】
「フィルム」という用語は、本明細書では、1つ以上のダイ開口部を通してポリマーを押し出すことによって形成される、1層以上の層を有するフィルムを意味するために使用される。「フィルム構造(体)」という用語は、フィルムが複数の層(少なくとも2層、少なくとも3層、少なくとも4層、少なくとも5層などを有することができるフィルム構造)を有することを意味するために使用される。
【0034】
本開示において、「二軸配向ポリエチレンフィルム」、「BOPEフィルム」、「二軸配向ポリエチレンフィルム構造体」、又は「BOPEフィルム構造体」という用語は、一般に、ポリエチレンが主成分ポリマーである(すなわち、ポリエチレンが、フィルム又はフィルム構造体中に存在するポリマーの総重量に基づいて、他の非ポリエチレンポリマーよりも高い重量%で存在する)二軸配向フィルム又はフィルム構造体を指す。
【0035】
本明細書で使用される「オール・ポリエチレン」という語句は、フィルム又はフィルム構造体を説明するために使用される場合、そのフィルム又はフィルム構造体が、フィルム又はフィルム構造体中に存在するポリマーの総重量に基づいて、少なくとも90重量%のポリエチレン(非ポリエチレンベースのポリマー材料又は組成物とは対照的)から構成されることを意味する。
【0036】
「スキン」層とは、多層フィルム構造体の外側層(すなわち、環境にさらされる外側表面を有する層)のことである。
【0037】
「コア」層とは、多層フィルム構造体の内側層(すなわち、スキン層の内側表面に隣接する層、又は別の内側層に隣接する層、又は別のコア層に隣接する層)のことである。多層フィルム構造体は、隣接する内側層とみなされる1つ以上のコア層を有することができる。
【0038】
本開示は、0.940g/cm以上の密度を有するポリエチレン組成物を用いて作製される二軸配向フィルム又はフィルム構造体を提供する。
【0039】
一実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.940g/cm以上の密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、及び3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有する。
【0040】
一実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、及び3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有する。
【0041】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、次の2つの成分を含む:(i)第1のエチレンコポリマー;及び(ii)第1のエチレンコポリマーとは異なる第2のエチレンコポリマー。第1のエチレンコポリマー、第2のエチレンコポリマー及びポリエチレン組成物の実施形態を以下に説明する。
【0042】
<第1のエチレンコポリマー>
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、重合エチレン及び少なくとも1種の重合α-オレフィンコモノマーの両方を含み、重合エチレンが大部分を占める。
【0043】
本開示の実施形態では、エチレンと共重合して第1のエチレンコポリマーを作製し得るα-オレフィンは、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテン、並びにそれらの混合物を含む群から選択されてもよい。
【0044】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、シングルサイト触媒を用いて作製され、その非限定的な例としては、ホスフィンイミン触媒、メタロセン触媒、及び拘束幾何形状の触媒が挙げられ、これらはすべて当技術分野で周知である。
【0045】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、シングルサイト重合触媒(「SSC」)を用いて作製される。
【0046】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、溶液相重合プロセスにおいてシングルサイト重合触媒を用いて作製される。
【0047】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、活性金属中心としてハフニウム(Hf)を有するシングルサイト重合触媒を用いて作製される。
【0048】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0049】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、メタロセン触媒を用いて作製される。
【0050】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、架橋メタロセン触媒を用いて作製される。
【0051】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、式(I)を有する架橋メタロセン触媒を用いて作製される:
【化1】
【0052】
式(I)中、Mは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムから選択される4族金属であり;Gは、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ又は鉛から選択される14族元素であり;Rは、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、又はC6-10アリールオキシドラジカルであり;R及びRは、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;R及びRは、水素原子、非置換C1-20ヒドロカルビルラジカル、置換C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;Qは独立して、活性化可能な脱離基配位子である。
【0053】
一実施形態では、Gは炭素である。
【0054】
一実施形態では、R及びRは、独立してアリール基である。
一実施形態では、R及びRは、独立してフェニル基又は置換フェニル基である。
一実施形態では、R及びRは、フェニル基である。
一実施形態では、R及びRは、独立して置換フェニル基である。
一実施形態では、R及びRは、置換フェニル基であり、フェニル基は置換シリル基で置換されている。
一実施形態では、R及びRは、置換フェニル基であり、フェニル基はトリアルキルシリル基で置換されている。
一実施形態では、R及びRは、置換フェニル基であり、フェニル基はパラ位にトリアルキルシリル基で置換されている。一実施形態では、R及びRは、置換フェニル基であり、フェニル基はパラ位にトリメチルシリル基で置換されている。一実施形態では、R及びRは、置換フェニル基であり、フェニル基はパラ位にトリエチルシリル基で置換されている。
一実施形態では、R及びRは、独立してアルキル基である。
一実施形態では、R及びRは、独立してアルケニル基である。
【0055】
一実施形態では、Rは、水素である。
一実施形態では、Rは、アルキル基である。
一実施形態では、Rは、アリール基である。
一実施形態では、Rは、アルケニル基である。
【0056】
一実施形態では、R及びRは、独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。
一実施形態では、R及びRは、独立してアリール基である。
一実施形態では、R及びRは、独立してアルキル基である。
一実施形態では、R及びRは、独立して、1~20個の炭素原子を有するアルキル基である。
一実施形態では、R及びRは、独立してフェニル基又は置換フェニル基である。
一実施形態では、R及びRは、tert-ブチル基である。
一実施形態では、R及びRは、水素である。
【0057】
一実施形態では、Mは、ハフニウム(Hf)である。
【0058】
本開示において、「活性化可能」という用語は、配位子Qが、プロトノリシス反応を介して金属中心Mから切断され得ること、又はそれぞれ適切な酸性又は求電子性触媒活性化合物(「共触媒」化合物としても知られる)によって金属中心Mから引き抜かれ得ることを意味し、それぞれ、その例を以下に記載する。活性化可能な配位子Qは、金属中心Mから切断又は引き抜かれる別の配位子に変換されることもできる(例えば、ハロゲン化物は、アルキル基に変換され得る)。単一の理論に拘束されることを望まないが、プロトノリシス又は引き抜き反応は、オレフィンを重合することができる活性な「カチオン性」金属中心を生成する。
【0059】
本開示の実施形態では、活性化可能な配位子Qは、下記からなる群から独立して選択される:水素原子;ハロゲン原子;C1~20ヒドロカルビルラジカル、C1~20アルコキシラジカル、及びC6-10アリール又はアリールオキシラジカル、ここで、ヒドロカルビル、アルコキシ、アリール、又はアリールオキシドラジカルのそれぞれは、非置換であるか、1つ以上のハロゲン又は他のグループでさらに置換され得る;C1-8アルキル;C1-8アルコキシ;C6-10アリール又はアリールオキシ;アミド又はホスフィドラジカルであるが、Qはシクロペンタジエニルではない。また、2つのQ配位子が互いに結合して、例えば、置換又は非置換のジエン配位子(例えば、1,3-ブタジエン);あるいは、アセテート又はアセトアミジネート基などの非局在化ヘテロ原子含有基を形成してもよい。本開示の好都合な実施形態では、各Qは、ハロゲン化物原子、C1~4アルキルラジカル及びベンジルラジカルからなる群から独立して選択される。本開示の実施形態における特に適切な活性化可能な配位子Qは、ハロゲン化物(例えば、塩化物)又はヒドロカルビル(例えば、メチル、ベンジル)などのモノアニオン性である。
【0060】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーを作製するために使用されるシングルサイト触媒は、下記の分子式を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドである:
[(2,7-tBuFlu)PhC(Cp)HfCl]。
【0061】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーを作製するために使用されるシングルサイト触媒は、下記の分子式を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチルである:
[(2,7-tBuFlu)PhC(Cp))HfMe]。
【0062】
シングルサイト触媒分子それ自体に加えて、活性シングルサイト触媒系(system)は、以下の1つ以上をさらに含んでもよい:アルキルアルミノキサン共触媒及びイオン性活性剤。シングルサイト触媒系はまた、任意選択で、ヒンダードフェノールを含んでもよい。
【0063】
アルキルアルミノキサンの正確な構造は不明であるが、対象分野の専門家の間では、下記の一般式の繰り返し単位を含むオリゴマー種であることが一般的に同意されている:
(R)AlO-(Al(R)-O)-Al(R)
(式中、R基は、同一でも異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を含む直鎖状、分岐状又は環状ヒドロカルビルラジカルであってもよく、nは、0~約50である)。アルキルアルミノキサンの非限定的な例は、メチルアルミノキサン(又はMAO)であり、各R基はメチルラジカルである。
【0064】
本開示の一実施形態では、アルキルアルミノキサンのRは、メチルラジカルであり、mは10~40である。
【0065】
本開示の一実施形態では、共触媒は、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)である。
【0066】
アルキルアルミノキサンが、アルキル化剤及び活性剤の両方として二重の役割を果たすことができることは、当技術分野でよく知られている。したがって、アルキルアルミノキサン共触媒は、ハロゲンなどの活性化可能な配位子と組み合わせて使用されることが多い。
【0067】
一般に、イオン性活性剤は、カチオンと嵩高いアニオンで構成されており、後者は実質的に非配位性である。イオン性活性剤の非限定的な例は、ホウ素原子に結合した4つの配位子を有する4配位であるホウ素イオン性活性剤である。ホウ素イオン性活性剤の非限定的な例としては、以下に示す複数の式が挙げられる:
[R[B(R
(式中、Bは、ホウ素原子を表し、Rは、芳香族ヒドロカルビル(例えば、トリフェニルメチルカチオン)であり、各Rは、下記から独立して選択される:非置換又はフッ素原子から選択される3~5個の置換基で置換されているフェニルラジカル、非置換又はフッ素原子で置換されているC1~4アルキル又はアルコキシラジカル、及び式-Si(Rのシリルラジカル、ここで、各Rは、水素原子及びC1-4アルキルラジカルから独立して選択される)、並びに
[(RZH][B(R
(式中、Bは、ホウ素原子であり、Hは、水素原子であり、Zは、窒素又はリン原子であり、tは、2又は3であり、Rは、C1~8のアルキルラジカル、非置換若しくは最大3つのC1-4アルキルラジカルで置換されたフェニルラジカルから選択されるか、又は1つのRが窒素原子と共にアニリニウムラジカルを形成してもよく、Rは上記で定義したとおりである)。
【0068】
両方の式において、Rの非限定的な例は、ペンタフルオロフェニルラジカルである。一般に、ホウ素イオン性活性剤は、テトラ(パーフルオロフェニル)ホウ素の塩として説明することができ、非限定的な例としては、テトラ(パーフルオロフェニル)ホウ素とアニリニウム及びトリチル(又はトリフェニルメチリウム)とのアニリニウム、カルボニウム、オキソニウム、ホスホニウム及びスルホニウム塩が挙げられる。イオン性活性剤の追加の非限定的な例としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)n-ブチルホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、ジ-(イソプロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トロピリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トロピリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、及びベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。容易に入手可能な市販のイオン性活性剤には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、及びトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが含まれる。
【0069】
ヒンダードフェノールの非限定的な例としては、ブチル化フェノール酸化防止剤、ブチル化ヒドロキシトルエン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びオクタデシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。
【0070】
活性なシングルサイト触媒系を生成するためには、シングルサイト触媒分子(例えばメタロセン)、アルキルアルミノキサン、イオン性活性剤、及び任意のヒンダードフェノールの3つ又は4つの成分の量とモル比が最適化される。
【0071】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーを作製するために使用されるシングルサイト触媒は、長鎖分岐を生成し、第1のエチレンコポリマーは、長鎖分岐(以下「LCB」)を含む。
【0072】
LCBは、エチレンコポリマーにおけるよく知られた構造現象であり、当業者にはよく知られている。従来、LCB分析には下記の3つの方法がある:すなわち、核磁気共鳴分光法(NMR)(例えば、J.C.Randall著,J.Macromol.Sci.,Rev.,Macromol.Chem.Phys.,1989年,29巻,201頁参照);DRI、粘度計、低角レーザー光散乱検出器を備えた三重検出SEC(例えば、W.W.Yau及びD.R.Hill著,Int.J.Polym.Anal.Charact.,1996年,2巻,151頁参照);及び、レオロジー、(例えば、W.W.Graessley著,Acc.Chem.Res.,1977年,10巻,332-339頁参照)。本開示の実施形態では、長鎖分岐は、本質的に高分子であり、すなわち、NMRスペクトル、三重検出器SEC実験又はレオロジー実験で見られるのに十分な長さである。
【0073】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、本明細書に開示される長鎖分岐係数LCBFによって特徴付けられる長鎖分岐を含む。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのLCBFの上限は、0.5000、又は0.4000、又は0.3000(無次元)であってもよい。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのLCBFの下限は、0.0010、又は0.0015、又は0.0020、又は0.0100、又は0.0500、又は0.1000(無次元)であってもよい。
【0074】
第1のエチレンコポリマーは、それを作製するために使用される触媒配合物の化学組成を反映する触媒残留物を含む場合がある。当業者であれば、触媒残留物が、典型的には、例えば、第1のエチレンコポリマー(又はポリエチレン組成物;下記参照)中の金属の百万分率によって定量化されることを理解するであろう。ここで、存在する金属は、それを作製するために使用された触媒配合物中の金属に由来する。存在し得る金属残留物の非限定的な例としては、4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムが挙げられる。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の金属のppmの上限は、約3.0ppm、他の場合には約2.0ppm、さらに他の場合には約1.5ppmであってもよい。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の金属のppmの下限は、約0.03ppm、他の場合には約0.09ppm、さらに他の場合には約0.15ppmであってもよい。
【0075】
第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(すなわち、骨格炭素原子1000個あたりの短鎖分岐、SCB1又はSCB1/1000C)は、第1のエチレンコポリマー中にα-オレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、例えば、1-ブテンコモノマーの場合は2個の炭素原子、又は1-ヘキセンコモノマーの場合は4個の炭素原子、又は1-オクテンコモノマーの場合は6個の炭素原子などを有する。
【0076】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1~50個の短鎖分岐(SCB1)を有する。さらなる実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1~25個の短鎖分岐(SCB1)、又は炭素原子1000個あたり1~15個の短鎖分岐(SCB1)、又は炭素原子1000個あたり1~10個の短鎖分岐(SCB1)を有する。
【0077】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い。
【0078】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり0.5~25.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり0.5~20.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり0.5~15.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり0.5~10.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり0.5~7.5個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり0.5~5.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.0~25個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.0~20.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.0~15.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.0~10.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.0~7.5個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.0~5.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.5~25個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.5~20.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.5~15.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.5~10.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.5~7.5個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.5~5.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.0~25個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.0~20.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.0~15.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.0~10.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.0~7.5個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.0~5.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.3~25.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.3~20.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.3~15.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.3~10.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.3~7.5個の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり2.3~5.0個の短鎖分岐(SCB1)を有する。
【0079】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり10個未満(<10)の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり7.5個未満(<7.5)の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり5.0個未満(<5.0)の短鎖分岐(SCB1)を有する。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり4.0個未満(<4.0)の短鎖分岐(SCB1)を有する。
【0080】
本開示の一実施形態では、第1のコポリマーの密度は、第2のエチレンコポリマーの密度よりも小さい。
【0081】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.910~0.975g/cmの密度を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.930~0.970g/cm、又は0.930~0.965g/cm、又は0.930~0.960g/cm、又は0.935~0.965g/cm、又は0.935~0.960g/cm、又は0.935~0.955g/cm、又は0.935~0.950g/cm、又は0.930~0.950g/cm、又は0.930~0.955g/cmの密度を有する。本開示の他の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.915~0.945g/cm、又は0.915~0.940g/cm、又は0.915~0.935g/cm、又は0.915~0.930g/cm、又は0.920~0.930g/cmの密度を有する。
【0082】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、5.0g/10分以下、又は5.0g/10分未満、又は2.5g/10分以下、又は2.5g/10分未満、又は1.0g/10分以下、又は1.0g/10分未満、又は0.5g/10分以下、又は0.5g/10分未満、又は0.4g/10分以下、又は0.4g/10分未満、又は0.2g/10分以下、又は0.2g/10分未満のメルトインデックスIを有する。
【0083】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.001~5.0g/10分のメルトインデックスIを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、0.01~5.0g/10分、又は0.01~2.5g/10分、又は0.01~2.0g/10分、又は0.01~1.5g/10分、又は0.01~1.0g/10分、又は0.01~0.5g/10分、又は0.01~0.4g/10分、又は0.01~0.2g/10分であってもよい。
【0084】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIよりも小さい。
【0085】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、170,000g/モルを超える、又は175,000g/モルを超える、又は200,000g/モルを超える重量平均分子量Mを有する。
【0086】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、150,000~500,000g/モルの重量平均分子量Mを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、175,000~475,000g/モル、又は180,000~470,000g/モル、又は175、000~400,000g/モル、又は175,000~350,000g/モル、又は200,000~475,000g/モル、又は200,000~400,000g/モル、又は200,000~350,000g/モル、又は200,000~325,000g/モルの重量平均分子量Mを有する。本開示の他の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、170,000~475,000g/モル、又は170,000~470,000g/モル、又は170、000~400,000g/モル、又は170,000~350,000g/モル、又は175,000~475,000g/モル、又は175,000~400,000g/モル、又は160,000~350,000g/モル、又は160,000~325,000g/モルの重量平均分子量Mを有する。
【0087】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーの重量平均分子量Mwは、第2のエチレンコポリマーの重量平均分子量Mwよりも高い。
【0088】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、25未満、又は23未満、又は20未満のメルトフロー比I21/Iを有する。
【0089】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーの分子量分布M/Mの上限は、約2.7、又は約2.5、又は約2.4、又は約2.3、又は約2.2であってもよい。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーの分子量分布M/Mの下限は、約1.6、又は約1.7、又は約1.8、又は約1.9であってもよい。
【0090】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、3.0以下、又は3.0未満、又は2.7以下、又は2.7未満、又は2.5以下、又は2.5未満、又は2.3以下、又は2.3未満、又は2.1以下、又は2.1未満、又は約2の分子量分布M/Mを有する。本開示の別の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、1.7~3.0の分子量分布M/Mを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、1.7~2.7、又は1.8~2.7、又は1.8~2.5、又は1.8~2.3、又は1.9~2.1、又は約2.0の分子量分布M/Mを有する。
【0091】
本開示の一実施形態では、単一の反応器での溶液相重合中に、少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%のCDBI50を有するエチレンコポリマーを与えるシングルサイト触媒が、第1のエチレンコポリマーの調製に使用される。
【0092】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中の第1のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)(すなわち、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマーの総重量に基づく第1のエチレンコポリマーの重量パーセント)は、約5重量%~約60重量%であってもよく、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物中の第1のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)は、約5重量%~約50重量%、又は約10重量%~約50重量%、又は約15重量%~約50重量%、又は約10重量%~約45重量%、又は約15重量%~約45重量%、又は約10重量%~約40重量%、又は約15重量%~約40重量%、又は約10重量%~約35重量%、又は約15重量%~約35重量%、又は約20重量%~約50重量%、又は約20重量%~約45重量%、又は約20重量%~約40重量%であってもよい。
【0093】
<第2のエチレンコポリマー>
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、重合エチレン及び少なくとも1種の重合α-オレフィンコモノマーの両方を含み、重合エチレンが大部分を占める。
【0094】
本開示の実施形態では、エチレンと共重合して第2のエチレンコポリマーを作製し得るα-オレフィンは、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテン、並びにそれらの混合物を含む群から選択されてもよい。
【0095】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、マルチサイト触媒系を用いて作製され、その非限定的な例としては、チーグラー・ナッタ触媒及びクロム触媒が挙げられ、これらは両方とも当技術分野で周知である。
【0096】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒系を用いて作製される。
【0097】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、溶液相重合プロセスにおいてチーグラー・ナッタ触媒系を用いて作製される。
【0098】
チーグラー・ナッタ触媒系は、当業者によく知られている。チーグラー・ナッタ触媒は、インライン式チーグラー・ナッタ触媒系又はバッチ式チーグラー・ナッタ触媒系であってもよい。「インライン式チーグラー・ナッタ触媒系」という用語は、少量の活性チーグラー・ナッタ触媒系の連続合成と、この触媒を少なくとも1つの連続運転反応器に直ちに注入することを指し、ここで、触媒は、エチレンと1つ以上の任意選択のα-オレフィンを重合してエチレンポリマーを形成する。「バッチ式チーグラー・ナッタ触媒系」又は「バッチ式チーグラー・ナッタプロ触媒」という用語は、連続運転される溶液重合プロセスの外部にあるか、又はそれらから分離されている、1つ以上の混合容器内における、はるかに大量の触媒又はプロ触媒の合成を指す。調製されたバッチ触媒チーグラー・ナッタ触媒系、又はバッチ式チーグラー・ナッタプロ触媒は、触媒貯蔵タンクに移される。「プロ触媒」という用語は、不活性触媒系(エチレン重合に関して不活性)を指し、プロ触媒は、アルキルアルミニウム共触媒を添加することにより活性触媒に変換される。必要に応じて、プロ触媒は、貯蔵タンクから少なくとも1つの連続運転反応器にポンプで送られ、そこで、活性触媒は、エチレン及び1つ以上の任意選択のα-オレフィンを重合してエチレンコポリマーを形成する。プロ触媒は、反応器内で、反応器の外部で、又は反応器に向かう途中で、活性触媒に変換されてもよい。
【0099】
多種多様な化合物を使用して、活性チーグラー・ナッタ触媒系を合成することができる。以下に、活性チーグラー・ナッタ触媒系を生成するために組み合わせることができる様々な化合物について説明する。当業者は、本開示における実施形態が、開示された特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。
【0100】
活性チーグラー・ナッタ触媒系は、マグネシウム化合物、クロリド化合物、金属化合物、アルキルアルミニウム共触媒及びアルミニウムアルキルから形成することができる。当業者によって理解されるように、チーグラー・ナッタ触媒系は、追加の成分を含んでもよく、追加の成分の非限定的な例は、電子供与体、例えばアミン又はエーテルである。
【0101】
活性なインライン式(又はバッチ式)チーグラー・ナッタ触媒系の非限定的な例は、以下のように調製することができる。第1のステップでは、マグネシウム化合物の溶液を、クロリド化合物の溶液と反応させて、溶液中に懸濁した塩化マグネシウム担体を形成する。マグネシウム化合物の非限定的な例としては、Mg(Rが挙げられ、式中、R基は、同一でも異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状又は環状ヒドロカルビルラジカルであってもよい。クロリド化合物の非限定的な例としては、RClが挙げられ、式中、Rは、水素原子、又は1~10個の炭素原子を含む直鎖状、分岐状、又は環状ヒドロカルビルラジカルを表す。第1のステップでは、マグネシウム化合物の溶液に、アルミニウムアルキル化合物が含まれていてもよい。アルミニウムアルキル化合物の非限定的な例としては、Al(Rが挙げられ、式中、R基は、同一でも異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状又は環状ヒドロカルビルラジカルであってもよい。第2のステップでは、金属化合物の溶液を塩化マグネシウムの溶液に添加し、金属化合物を塩化マグネシウム上に担持させる。好適な金属化合物の非限定的な例としては、M(X)又はMO(X)が挙げられ、式中、Mは、周期表の4族~8族から選択される金属、又は4族~8族から選択される金属の混合物を表し、Oは、酸素を表し、Xは、クロリド又はブロミドを表し、nは、金属の酸化状態を満たす3~6の整数である。適切な金属化合物の追加の非限定的な例としては、4族~8族の金属アルキル、金属アルコキシド(金属アルキルをアルコールと反応させることによって調製することができる)、並びにハロゲン化物、アルキル及びアルコキシド配位子の混合物を含む混合配位子金属化合物が挙げられる。本開示の一実施形態では、適切な金属化合物は、四塩化チタン(TiCl)である。第3のステップでは、アルキルアルミニウム共触媒の溶液を、塩化マグネシウム上に担持された金属化合物に添加する。以下の式で表されるように、多種多様なアルキルアルミニウム共触媒が適している:
Al(R(OR(X)
(式中、R基は、同一でも異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であってもよく、OR基は、同一でも異なっていてもよく、アルコキシ基又はアリールオキシ基であってもよく、Rは、酸素に結合した1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Xは、クロリド又はブロミドであり、(p+q+r)=3、ただしpは0より大きい)。一般的に使用されるアルキルアルミニウム共触媒の非限定的な例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、ジメチルアルミニウムクロリド又はブロミド、ジエチルアルミニウムクロリド又はブロミド、ジブチルアルミニウムクロリド又はブロミド、及びエチルアルミニウムジクロリド又はジブロミドが挙げられる。
【0102】
活性インライン式(又はバッチ式)チーグラー・ナッタ触媒系を合成するための上記の段落で説明したプロセスは、様々な溶媒中で行うことができ、溶媒の非限定的な例としては、直鎖状若しくは分枝状C~C12アルカン又はそれらの混合物が挙げられる。
【0103】
第2のエチレンコポリマーは、それを作製するために使用される触媒配合物の化学組成を反映する触媒残留物を含む場合がある。当業者であれば、触媒残留物が、典型的には、例えば、第2のエチレンコポリマー(又はポリエチレン組成物;下記参照)中の金属の百万分率によって定量化されることを理解するであろう。ここで、存在する金属は、それを作製するために使用された触媒配合物中の金属に由来する。存在し得る金属残留物の非限定的な例としては、4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムが挙げられる。本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の金属のppmの上限は、約3.0ppm、他の場合には約2.0ppm、さらに他の場合には約1.5ppmであってもよい。本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の金属のppmの下限は、約0.03ppm、他の場合には約0.09ppm、さらに他の場合には約0.15ppmであってもよい。
【0104】
第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(すなわち、骨格炭素原子1000個あたりの短鎖分岐、SCB2又はSCB2/1000C)は、第1のエチレンコポリマー中にα-オレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、例えば、1-ブテンコモノマーの場合は2個の炭素原子、1-ヘキセンコモノマーの場合は4個の炭素原子、1-オクテンコモノマーの場合は6個の炭素原子などを有する。
【0105】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)は、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)よりも少ない。
【0106】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり0.5~15.0個の短鎖分岐(SCB2)を有する。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり0.5~10.0個の短鎖分岐(SCB2)を有する。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり0.5~5.0個の短鎖分岐(SCB2)を有する。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり0.5~2.5個の短鎖分岐(SCB2)を有する。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり0.5~2.2個の短鎖分岐(SCB2)を有する。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.0~15.0個の短鎖分岐(SCB2)を有する。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.0~10.0個の短鎖分岐(SCB2)を有する。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.0~5.0個の短鎖分岐(SCB2)を有する。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.0~2.5個の短鎖分岐(SCB2)を有する。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1.0~2.2個の短鎖分岐(SCB2)を有する。
【0107】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり5.0未満(<5.0)の短鎖分岐(SCB2)を有する。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり3.0未満(<3.0)の短鎖分岐(SCB2)を有する。
【0108】
本開示の一実施形態では、第2のコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも大きい。
【0109】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、0.920~0.975g/cmの密度を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、0.940~0.970g/cm、又は0.940~0.965g/cm、又は0.940~0.960g/cm、又は0.942~0.967g/cm、又は0.942~0.965g/cm、又は0.942~0.960g/cm、又は0.940~0.955g/cm、又は0.935~0.960g/cm、又は0.935~0.955g/cm、又は0.942~0.955g/cm、又は0.945~0.955g/cmの密度を有する。本開示の他の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、0.920~0.960g/cm、又は0.920~0.955g/cm、又は0.920~0.950g/cm、又は0.920~0.945g/cm、又は0.920~0.940g/cmの密度を有する。
【0110】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、10.0g/10分以上、又は10.0g/10分超、又は20.0g/10分以上、又は20g/10分超、又は25.0g/10分以上、又は25g/10分超のメルトインデックスIを有する。
【0111】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、10~1,000のメルトインデックスIを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、10~500g/10分、又は10~250g/10分、又は10~150g/10分、又は20~500g/10分、又は20~250g/10分、又は20~150g/10分、又は10~100g/10分、又は20~100g/10分、又は10~75g/10分、又は20~75g/10分である。
【0112】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスIよりも大きい。
【0113】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、75,000g/モル以下、又は60,000g/モル以下、又は50,000g/モル以下、又は45,000g/モル以下の重量平均分子量Mを有する。別の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、5,000~75,000g/モルの重量平均分子量Mを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、10,000~75,000g/モル、又は15,000~75,000g/モル、又は15,000~65,000g/モル、又は15,000~60,000g/モル、又は15,000~50,000g/モル、又は20,000~60,000g/モル、又は20,000~55,000g/モル、又は20,000~50,000g/モル、又は20,000~45,000g/モル、又は30,000~55,000g/モル、又は30,000~50,000g/モル、又は30,000~45,000g/モルの重量平均分子量Mを有する。
【0114】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの重量平均分子量Mwは、第1のエチレンコポリマーの重量平均分子量Mwよりも低い。
【0115】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、2.3以上、又は2.3超、又は2.5以上、又は2.5超、又は2.7以上、又は2.7超、又は2.9以上、又は2.9超、又は3.0以上、又は3.0の分子量分布M/Mを有する。本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、2.3~6.0、又は2.3~5.5、又は2.3~5.0、又は2.3~4.5、又は2.3~4.0、又は2.3~3.5、又は2.3~3.0、又は2.5~5.0、又は2.5~4.5、又は2.5~4.0、又は2.5~3.5、又は2.7~5.0、又は2.7~4.5、又は2.7~4.0、又は2.7~3.5の分子量分布M/Mを有する。
【0116】
本開示の一実施形態では、単一の反応器での溶液相重合中に、60重量%未満、又は50重量%未満のCDBI50を有するエチレンコポリマーを与えるマルチサイト触媒が、第2のエチレンコポリマーの調製に使用される。
【0117】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中の第2のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)(すなわち、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマーの総重量に基づく第2のエチレンコポリマーの重量パーセント)は、約95重量%~約40重量%であってもよく、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物中の第2のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)は、約95重量%~約50重量%、又は約90重量%~約50重量%、又は約85重量%~約50重量%、又は約90重量%~約55重量%、又は約85重量%~約55重量%、又は約90重量%~約60重量%、又は約85重量%~約60重量%、又は約90重量%~約65重量%、又は約85重量%~約65重量%、又は約80重量%~約50重量%、又は約80重量%~約55重量%、又は約80重量%~約60重量%であってもよい。
【0118】
<ポリエチレン組成物>
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.940g/cm以上の密度、0.2~10.0g/10分のメルトインデックスI、及び3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有する。
【0119】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.940g/cm以上の密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、及び3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有する。
【0120】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、及び3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有する。
【0121】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及びそれらの混合物を含む群から選択される1つ以上のアルファオレフィンとを含む。
【0122】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンを含む群から選択される1つ以上のアルファオレフィンとを含む。
【0123】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、エチレンと、1-ヘキセン、1-オクテン及びそれらの混合物を含む群から選択される1つ以上のアルファオレフィンとを含む。
【0124】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、エチレンと1-オクテンとを含む。
【0125】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマー(それぞれ上記で定義した実施形態)を含む。
【0126】
本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、特定の実施形態において、当技術分野で任意の周知の技術を用いて作製することができ、これには、第1のエチレンコポリマーと第2のエチレンコポリマーとを一緒にするための溶融ブレンド、溶液ブレンド、又は反応器内ブレンドが含まれるが、これらに限定されない。
【0127】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の反応器内で、シングルサイト触媒を用いて第1のエチレンコポリマーを生成し、第2の反応器内で、マルチサイト触媒を用いて第2のエチレンコポリマーを生成して、作製する。
【0128】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の反応器内で、マルチサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること、によって作製される。
【0129】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の溶液相重合反応器内で、マルチサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること、によって作製される。
【0130】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の溶液相重合反応器内で、マルチサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること;によって作製され、第1及び第2の溶液相重合反応器は、互いに直列に構成されている。
【0131】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の溶液相重合反応器内で、マルチサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること;によって作製され、第1及び第2の溶液相重合反応器は、互いに並列に構成されている。
【0132】
実施形態では、第1の溶液相反応器として使用される溶液相重合反応器は、連続撹拌タンク反応器又は管状反応器である。
【0133】
一実施形態では、第2の溶液相反応器として使用される溶液相重合反応器は、連続撹拌タンク反応器又は管状反応器である。
【0134】
溶液相重合では、モノマーは、反応器に供給される前に溶媒中に溶解/分散される(又はガス状モノマーの場合は、モノマーを反応器に供給して、反応混合物に溶解させてもよい)。混合する前に、溶媒とモノマーは、一般に、水、酸素、金属不純物などの潜在的な触媒毒を除去するために精製される。供給原料の精製は、当技術分野の標準的な慣行に従う。例えば、モノマーの精製には、モレキュラーシーブ、アルミナ床、及び酸素除去触媒を使用する。溶媒自体(例えば、メチルペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン又はトルエン)も同様の方法で処理することが好ましい。
【0135】
供給原料は、反応器に供給する前に加熱又は冷却してもよい。
【0136】
一般に、触媒成分は、反応用の溶媒中で予備混合してもよく、又は別個の流れ(stream)として反応器に供給してもよい。場合によっては、重合反応ゾーンに入る前に、触媒成分の反応時間を確保するために、触媒成分を予備混合することが望ましいこともある。このような「インライン混合」技術は、当業者にはよく知られている。
【0137】
エチレンの重合又は共重合のための溶液重合プロセスは、当技術分野でよく知られている(例えば、米国特許第6,372,864号及び第6,777,509号参照)。これらのプロセスは、不活性炭化水素溶媒の存在下で行われる。溶液相重合反応器では、様々な溶媒をプロセス溶媒として使用することができ、非限定的な例としては、直鎖状、分岐状又は環状のC~C12アルカンが挙げられる。適切な触媒成分溶媒としては、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素が挙げられる。脂肪族触媒成分溶媒の非限定的な例としては、直鎖状、分岐状又は環状のC~C12脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、水素化ナフサ、又はそれらの組合せが挙げられる。芳香族触媒成分溶媒の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン(メチルベンゼン)、エチルベンゼン、o-キシレン(1,2-ジメチルベンゼン)、m-キシレン(1,3-ジメチルベンゼン)、p-キシレン(1,4-ジメチルベンゼン)、キシレン異性体の混合物、ヘメリテン(1,2,3-トリメチルベンゼン)、プソイドクメン(1,2,4-トリメチルベンゼン)、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、トリメチルベンゼン異性体の混合物、プレヘニテン(1,2,3,4-テトラメチルベンゼン)、デュレン(1,2,3,5-テトラメチルベンゼン)、テトラメチルベンゼン異性体の混合物、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0138】
本開示の実施形態では、従来の溶液プロセスにおける重合温度は、約80℃~約300℃であってもよい。本開示の一実施形態では、溶液プロセスにおける重合温度は、約120℃~約250℃である。
【0139】
本開示の実施形態では、溶液プロセスにおける重合圧力は、「中圧プロセス」であってもよく、これは、反応器内の圧力が約6,000psi(約42,000キロパスカル又はkPa)未満であることを意味する。本開示の実施形態では、溶液プロセスにおける重合圧力は、約10,000~約40,000kPa、又は約14,000~約22,000kPa(すなわち、約2000psi~約3,000psi)であってもよい。
【0140】
本開示の実施形態では、溶液相重合プロセスにおけるエチレンとの共重合に適したコモノマー(すなわち、α-オレフィン)には、C3-20モノ-オレフィン及びジ-オレフィンが含まれる。本開示の実施形態では、エチレンと共重合され得るコモノマーには、非置換又は最大2個のC1-6アルキルラジカルによって置換されているC3-12α-オレフィン、非置換又はC1-4アルキルラジカルからなる群から選択される最大2個の置換基によって置換されているC8-12ビニル芳香族モノマー、非置換又はC1-4アルキルラジカルで置換されているC4-12直鎖状又は環状ジオレフィンが含まれる。本開示のさらなる実施形態では、エチレンと共重合され得るα-オレフィンは、1つ以上のプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン及び1-デセン、スチレン、アルファメチルスチレン、及び拘束環状オレフィンであり、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、アルキル置換ノルボルネン、アルケニル置換ノルボルネンなど(例えば、5-メチレン-2-ノルボルネン及び5-エチリデン-2-ノルボルネン、ビシクロ-(2,2,1)-ヘプタ-2,5-ジエン)である。
【0141】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.01~5モルパーセントの1つ以上のα-オレフィンを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.05~5.0モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.05~2.5モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.05~1.5モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.05~1.0モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.1~2.5モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.1~1.5モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.1~1.0モルパーセントの1つ以上のα-オレフィンを有する。
【0142】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.05~5.0モルパーセントの1-オクテン、又は0.05~2.5モルパーセントの1-オクテン、又は0.05~1.5モルパーセントの1-オクテン、又は0.05~1.0モルパーセントの1-オクテン、又は0.1~2.5モルパーセントの1-オクテン、又は0.1~1.5モルパーセントの1-オクテン、又は0.10~1.0モルパーセントの1-オクテンを有する。
【0143】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマー(上記で定義される)を含むポリエチレン組成物は、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(すなわち、SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(すなわち、SCB2)との比(SCB1/SCB2)が、5.0未満、又は4.0未満、又は3.0未満、又は2.5未満、又は2.0未満である。
【0144】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマー(上記で定義される)を含むポリエチレン組成物は、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(すなわち、SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(すなわち、SCB2)との比(SCB1/SCB2)が、0.8~5.0、又は0.8~3.5、又は0.8~3.0、又は1.0~5.0、又は1.0~4.0、又は1.0~3.5、又は1.0~3.0、又は1.0~2.8、又は1.0~2.5、又は1.0~2.0、又は1.0~1.5、又は0.8~2.8、又は0.8~2.5、又は0.8~2.0、又は0.8~1.5、又は1.0超~5.0、又は1.0超~4.0、又は1.0超~3.5、又は1.0超~3.0、又は1.0超~2.8、又は1.0超~2.5である。
【0145】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、65,000~250,000g/モルの重量平均分子量Mを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、75,000~200,000g/モル、又は65,000~175,000g/モル、又は75,000~150,000g/モル、又は65,000~150,000g/モル、又は75,000~125,000g/モル、又は65,000~125,000g/モル、又は85,000~125,000g/モル、又は90,000~125,000g/モルの重量平均分子量Mを有する。
【0146】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、60,000g/モル以下、又は50,000g/モル以下、又は50,000g/モル未満、又は45,000g/モル以下、又は45,000g/モル未満、又は40,000g/モル以下、又は40,000g/モル未満、又は35,000g/モル以下、又は35,000g/モル未満、又は30,000g/モル以下、又は30,000g/モル未満、又は25,000g/モル以下、又は25,000g/モル未満の数平均分子量Mを有する。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、5,000~60,000g/モルの数平均分子量Mを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、10,000~55,000g/モル、又は10,000~50,000g/モル、又は15,000~50,000g/モル、又は15,000~45,000g/モル、又は15,000~40,000g/モル、又は15,000~35,000g/モル、又は15,000~30,000g/モル、又は20,000~30,000g/モルの数平均分子量Mを有する。
【0147】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、250,000g/モル以上、又は275,000g/モル以上のZ平均分子量Mを有する。
【0148】
本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、250,000~600,000g/モルのZ平均分子量Mを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、250,000~550,000g/モル、又は250,000~500,000g/モル、又は275,000~500,000g/モル、又は275,000~475,000g/モル、又は275,000~450,000g/モルのZ平均分子量Mを有する。
【0149】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析において、二峰性プロファイル(すなわち、二峰性分子量分布)を有する。
【0150】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、ASTM D6474-99の方法に従って生成されたゲル浸透クロマトグラフにおいて、二峰性プロファイルを有する。
【0151】
「単峰性」という用語は、本明細書では、GPC曲線において、明らかな有意なピーク又は極大値が1つだけあることを意味すると定義される。対照的に、「二峰性」という用語の使用は、第1のピークに加えて、より高い又はより低い分子量成分を表す第2のピーク又はショルダーがあることを伝えることを意味する(すなわち、分子量分布は、分子量分布曲線に2つの極大値があると言える)。あるいは、「二峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線において、2つの極大値が存在することを意味する。「多峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線において、2つ以上、典型的には2つを超える極大値が存在することを意味する。
【0152】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、8.0以下、又は8.0未満、又は7.0以下、又は7.0未満、又は6.5以下、又は6.5未満、又は6.0以下、又は6.0未満、又は5.5以下、又は5.5未満、又は5.0以下、又は5.0未満の分子量分布M/Mを有する。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、3.0以上、又は3.0超、又は3.5以上、又は3.5超の分子量分布M/Mを有する。
【0153】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、2.9~8.0の分子量分布M/Mを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、3.0~8.0、又は2.9~7.5、又は3.0~7.0、又は3.0~6.5、又は3.0~6.0、又は3.5~7.0、又は3.5~6.5、又は3.5~6.0、又は3.5~5.5、又は3.5~5.0、又は3.0~6.5、又は3.0~6.0、又は3.0~5.5、又は3.0~5.0の分子量分布M/Mを有する。
【0154】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、2.5以上、又は2.6以上、又は2.7以上、又は2.8以上、又は2.5超、又は2.6超、又は2.7超、又は2.8超のZ平均分子量分布Mz/Mwを有する。
【0155】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、2.5~4.5のZ平均分子量分布Mz/Mwを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、2.5~4.0、又は2.7~4.0、又は2.8~4.0、又は2.5~3.8、又は2.5~3.5、又は2.8~3.8、又は2.8~3.5のZ平均分子量分布Mz/Mwを有する。
【0156】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、0.940g/cm以上、又は0.941g/cm以上、又は0.942g/cm以上、又は0.943g/cm以上の密度を有する。
【0157】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.940~0.970g/cmの密度を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.940~0.965g/cm、又は0.941~0.965g/cm、又は0.940~0.962g/cm、又は0.941~0.962g/cm、又は0.941~0.960g/cm、又は0.941~0.957g/cm、又は0.941~0.954g/cm、又は0.941~0.952g/cm、又は0.940~0.960g/cm、又は0.940~0.957g/cm、又は0.940~0.954g/cm、又は0.940~0.952g/cm、又は0.942~0.954g/cm、又は0.942~0.952g/cmの密度を有する。
【0158】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.001~10.0g/10分のメルトインデックスIを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のメルトインデックスIは、0.001~5.0g/10分、又は0.01~5.0g/10分、又は0.01~10.0g/10分、又は0.1~5.0g/10分、又は0.1~10.0g/10分、又は0.01~4.0g/10分、又は0.1~4.0g/10分、又は0.01~2.5g/10分、又は0.1~2.5g/10分、又は0.2~5.0g/10分、又は0.2~10.0g/10分、又は0.5~5.0g/10分、又は0.8~5.0g/10分、又は0.5~4.0g/10分、又は0.8~4.0g/10分、又は0.5~2.5g/10分、又は0.8~2.5g/10分、又は0.5~2.0g/10分、又は0.8~2.0g/10分であってもよい。
【0159】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、少なくとも55g/10分、又は少なくとも60g/10分、又は少なくとも65g/10分、又は少なくとも70g/10分の高荷重メルトインデックスI21を有する。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、55~160g/10分の高荷重メルトインデックスI21を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物の高荷重メルトインデックスI21は、55~120g/10分、又は60~120g/10分であってもよい。
【0160】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、35以上、又は35超、又は40以上、又は40超、又は45以上、又は45超のメルトフロー比I21/Iを有する。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、35~120のメルトフロー比、I21/Iを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、35~100、又は40~100、又は45~100、又は35~90、又は40~90、又は45~90のメルトフロー比I21/Iを有する。
【0161】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、GPC-FTIRを用いて測定されるように、逆又は部分的に逆のコモノマー分布プロファイルを有する。
【0162】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、GPC-FTIRを用いて測定されるように、ほぼ平坦な(又は均一な)コモノマー分布プロファイルを有する。
【0163】
GPC-FTIRを用いて測定されるように、分子量が増加するにつれてコモノマーの取り込みが減少する場合、分布は「正常」と記載される。GPC-FTIRを用いて測定されるように、コモノマーの取り込みが分子量に対してほぼ一定である場合、コモノマーの分布は「平坦(flat)」又は「均一(uniform)」と記載される。「逆コモノマー分布」及び「部分的に逆コモノマー分布」という用語は、コポリマーについて得られたGPC-FTIRデータにおいて、1つ以上の低分子量成分よりも高いコモノマー取り込みを有する1つ以上の高分子量成分が存在することを意味する。「逆コモノマー分布(逆転したコモノマー分布)」という用語は、本明細書では、エチレンコポリマーの分子量範囲にわたって、様々なポリマー画分のコモノマー含有量が実質的に均一ではなく、その高分子量画分が比例的により高いコモノマー含有量を有することを意味するために使用される(すなわち、コモノマーの取り込みが分子量とともに上昇する場合、その分布は、「逆(reverse)」又は「逆転した(reversed)」として記載される)。コモノマーの取り込みが分子量の増加とともに上昇し、その後低下する場合でも、コモノマーの分布は「逆」と見なされるが、「部分的に逆」として記載されてもよい。部分的に逆のコモノマー分布は、ピーク又は極大値を示す。
【0164】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のCDBI50は、50重量%を超える、又は55重量%を超える、又は60重量%を超える、又は65重量%を超える、又は70重量%を超える、又は75重量%を超える。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のCDBI50は、60~98重量%、又は70~90重量%、又は75~85重量%である。
【0165】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中のハフニウムの百万分率(ppm)(ポリエチレン組成物の重量に基づく、Hfの百万分率)の上限は、約3.0ppm、又は約2.5ppm、又は約2.4ppm、又は約2.0ppm、又は約1.5ppm、又は約1.0ppm、又は約0.75ppm、又は約0.5ppmであってもよい。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中のハフニウムの百万分率(ppm)の下限は、約0.0015ppm、又は約0.0050ppm、又は約0.0075ppm、又は約0.010ppm、又は約0.015ppm、又は約0.030ppm、又は約0.050ppm、又は約0.075ppm、又は約0.100ppm、又は約0.150ppm、又は約0.175ppm、又は約0.200ppmであってもよい。
【0166】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.0015~2.4ppmのハフニウム、又は0.0050~2.4ppmのハフニウム、又は0.0075~2.4ppmのハフニウム、又は0.010~2.4ppmのハフニウム、又は0.015~2.4ppmのハフニウム、又は0.050~3.0ppmのハフニウム、又は0.050~2.4ppmのハフニウム、又は0.050~2.0ppmのハフニウム、又は0.050~1.5ppmのハフニウム、又は0.050~1.0ppmのハフニウム、又は0.050~0.75ppmのハフニウム、又は0.075~2.4ppmのハフニウム、又は0.075~2.0ppmのハフニウム、又は0.075~1.5ppmのハフニウム、又は0.075~1.0ppmのハフニウム、又は0.075~0.75ppmのハフニウム、又は0.100~2.0ppmのハフニウム、又は0.100~1.5ppmのハフニウム、又は0.100~1.0ppmのハフニウム、又は0.100~0.75ppmのハフニウムを有する。
【0167】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、少なくとも0.0015ppmのハフニウム、又は少なくとも0.005ppmのハフニウム、又は少なくとも0.0075ppmのハフニウム、又は少なくとも0.015ppmのハフニウム、又は少なくとも0.030ppmのハフニウム、又は少なくとも0.050ppmのハフニウム、又は少なくとも0.075ppmのハフニウム、又は少なくとも0.100ppmのハフニウム、又は少なくとも0.125ppmのハフニウム、又は少なくとも0.150ppmのハフニウム、又は少なくとも0.175ppmのハフニウム、又は少なくとも0.200ppmのハフニウム、又は少なくとも0.300ppmのハフニウム、又は少なくとも0.350ppmのハフニウムを有する。
【0168】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、本明細書に開示される長鎖分岐係数(LCBF)によって特徴付けられる長鎖分岐を含む。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のLCBFの上限は、0.5000、又は0.4000、又は0.3000(無次元)であってもよい。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のLCBFの下限は、0.0010、又は0.0015、又は0.0020、又は0.0100、又は0.0500、又は0.1000(無次元)であってもよい。
【0169】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のLCBFは、少なくとも0.0010、又は少なくとも0.0020、又は少なくとも0.0050、又は少なくとも0.0070、又は少なくとも0.0100、又は少なくとも0.0200、又は少なくとも0.0250である。
【0170】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のLCBF(無次元)は、0.0010を超え、又は0.0050を超え、又は0.0100を超え、又は0.0200を超えてもよい。
【0171】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のLCBFは、0.0010~0.5000、又は0.0010~0.1000、又は0.0050~0.5000、又は0.0050~0.1000、又は0.0070~0.5000、又は0.0050~0.2500、又は0.0070~0.2500、又は0.0100~0.5000、又は0.0100~0.2500、又は0.0050~0.1000、又は0.0070~0.1000、又は0.0100~0.1000、又は0.0050~0.1500、又は0.0070~0.1500、又は0.0100~0.1500であってもよい。
【0172】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、Log10[I/I]/Log10[6.48/2.16]として定義される応力指数を有し、この応力指数は、1.40以上である。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、1.42を超える、又は1.45を超える、又は1.50を超える応力指数、Log10[I/I]/Log10[6.48/2.16]を有する。
【0173】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、Log10[I/I]/Log10[6.48/2.16]として定義される応力指数を有し、この応力指数は、1.45~1.80、又は1.50~1.80、又は1.50~1.75である。
【0174】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/温度上昇溶出分別」装置)を使用して得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、90℃を超えて溶出する画分を有し、65重量%を超える積算面積を有する。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/温度上昇溶出分別」装置)を使用して得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、90℃を超えて溶出する画分を有し、70重量%を超える積算面積を有する。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/温度上昇溶出分別」装置)を使用して得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、90℃を超えて溶出する画分を有し、75重量%を超える積算面積を有する。
【0175】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/温度上昇溶出分別」装置)を使用して得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、90℃~98℃で溶出する画分を有し、50重量%を超える積算面積を有する。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/温度上昇溶出分別」装置)を使用して得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、90~98℃で溶出する画分を有し、60重量%を超える積算面積を有する。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/温度上昇溶出分別」装置)を使用して得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、90~98℃で溶出する画分を有し、70重量%を超える積算面積を有する。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/温度上昇溶出分別」装置)を使用して得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、90~98℃で溶出する画分を有し、75重量%を超える積算面積を有する。
【0176】
添加剤は、押出工程又はコンパウンド工程中に、ポリエチレン組成物に添加することができるが、他の適切な公知の方法は当業者には明らかであろう。添加剤は、そのまま添加することもできるし、押出工程やコンパウンド工程中に添加される別個のポリマー成分(すなわち、上記の第1又は第2のエチレンポリマーではない)の一部として添加することもできる。適切な添加剤は当技術分野で知られており、酸化防止剤、亜リン酸塩及び亜ホスホン酸塩、ニトロン、制酸剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、染料、充填剤及び補強剤、ナノスケールの有機材料又は無機材料、帯電防止剤、ステアリン酸カルシウムなどの潤滑剤、エルシミドなどのスリップ添加剤、及び核形成剤(核剤、顔料、又はポリエチレン組成物に核形成効果を与える可能性のあるその他の化学物質を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。任意に添加できる添加剤は、典型的には、最大20重量%(wt%)の量で添加される。
【0177】
1つ以上の核形成剤を、ポリマー(通常は粉末又はペレットの形態)と核形成剤との混合物を混練することによって、ポリエチレン組成物に導入することができる。この核形成剤は、単独で、又は安定剤、顔料、帯電防止剤、UV安定剤及び充填剤などのさらなる添加剤を含む濃縮物の形態で利用することができる。これは、ポリマーに湿潤又は吸収され、ポリマーに不溶で、ポリマーの融点よりも高い融点を有する材料でなければならず、できるだけ微細な形態(1~10μm)でポリマー溶融物中に均一に分散できるものでなければならない。ポリオレフィンの核形成能を有することが知られている化合物としては、脂肪族一塩基酸若しくは二塩基酸又はアリールアルキル酸の塩(コハク酸ナトリウム又はフェニル酢酸アルミニウムなど);及び芳香族又は脂環式カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルミニウム塩(β-ナフトエ酸ナトリウムなど)が挙げられる。核形成能を有することが知られている別の化合物として、安息香酸ナトリウムがある。核形成の効果は、結晶子が凝集してできた球晶のサイズの縮小の程度を観察することによって、顕微鏡的にモニターすることができる。
【0178】
市販されており、ポリエチレン組成物に添加できる核形成剤の例としては、ジベンジリデンソルビタールエステル(例えば、Milliken Chemicalから商標MILLAD(登録商標)3988で販売されている製品、及びCiba Specialty Chemicalsから商標IRGACLEAR(登録商標)で販売されている製品など)が挙げられる。ポリエチレン組成物に添加できる核形成剤のさらなる例としては、米国特許第5,981,636号に開示されている環状有機構造(及びその塩、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプテンジカルボン酸二ナトリウム);米国特許第5,981,636号に開示されている構造の飽和バージョン(米国特許第6,465,551号に開示されているもの;Zhao他からMillikenへ);米国特許第6,599,971号(Dotson他からMillikenへ)に開示されているヘキサヒドロフタル酸構造(又は「HHPA」構造)を有する特定の環状ジカルボン酸の塩;並びに、米国特許第5,342,868号に開示され、旭電化工業からNA-11及びNA-21の商品名で販売されているようなリン酸エステル、米国特許第6,599,971号に開示されているHHPA構造の二価金属塩又はメタロイド塩(特に、カルシウム塩)などの環状ジカルボン酸塩及びその塩、が挙げられる。明確にするため、HHPA構造は一般に、環内に6個の炭素原子を有する環構造と、環構造の隣接原子における置換基である2個のカルボン酸基とを含む。米国特許第6,599,971号に開示されているように、環内の他の4個の炭素原子は置換されていてもよい。一例は、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩(CAS登録番号491589-22-1)である。ポリエチレン組成物に添加できる核形成剤のさらなる例としては、国際公開第2015/042561号、国際公開第2015/042563号、国際公開第2015/042562号、及び国際公開第2011/050042号に開示されているものが挙げられる。
【0179】
上述した核形成剤の多くは、核形成されるポリエチレン組成物と混合するのが困難な場合があり、この問題を軽減するために、例えばステアリン酸亜鉛などの分散助剤を使用することが知られている。
【0180】
本開示の一実施形態では、核形成剤は、ポリエチレン組成物中に良好に分散されている。
【0181】
本開示の一実施形態では、使用される核形成剤の量は比較的少量((ポリエチレン組成物の重量に基づいて)5~3000重量ppm)であるため、核形成剤が良好に分散されるように何らかの注意を払わなければならないことが当業者には理解されよう。本開示の一実施形態では、核形成剤は、混合を容易にするために、ポリエチレン組成物に細かく分割された形態(50ミクロン未満、特に10ミクロン未満)で添加される。このタイプの「物理的ブレンド」(すなわち、固体形態の核形成剤と樹脂との混合物)は、いくつかの実施形態では、核剤の「マスターバッチ」(ここで、「マスターバッチ」という用語は、最初に添加剤(この場合、核剤)を少量のポリエチレン組成物樹脂と溶融混合し、次いで「マスターバッチ」をポリエチレン組成物樹脂の残りのバルクと溶融混合する実施態様を指す)を使用するよりも好ましい場合がある。
【0182】
本開示の一実施形態では、核形成剤などの添加剤は、「マスターバッチ」の方法でポリエチレン組成物に添加されてもよく、ここで、「マスターバッチ」という用語は、最初に添加剤(例えば、核剤)を少量のポリエチレン組成物と溶融混合し、続いて「マスターバッチ」をポリエチレン組成物の残りのバルクと溶融混合する実施態様を指す。
【0183】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、核形成剤又は核形成剤の混合物をさらに含む。
【0184】
<二軸配向フィルム>
一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、BOPEフィルム又はフィルム構造体である。
【0185】
本開示の一実施形態では、二軸配向ポリエチレンフィルム又は二軸配向ポリエチレンフィルム構造体は、0.940g/cm以上の密度を有するポリエチレン組成物を含み、本開示に従って作製され、記載される。
【0186】
本開示の一実施形態では、二軸配向ポリエチレンフィルム又は二軸配向ポリエチレンフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0187】
二軸配向ポリエチレン(BOPE)フィルム又はフィルム構造体は、本開示の一実施形態において、テンターフレームプロセスを使用して作製することができる。
【0188】
テンターフレームプロセスは、二軸配向フィルムを調製するために一般的に使用されており、本開示の実施形態に使用するのに適している。テンターフレームプロセスは、フィルム製造の当業者にはよく知られている。このプロセスは、シート又はフィルムを形成するためのスロットダイを備えた押出機から開始する。便宜上、この押し出されたシート又はフィルムを、「ベースフィルム」又は「ベースフィルム構造(体)」若しくは「ベース構造(体)」と呼ぶことがある。ベース構造体が冷却ロール上で急冷されると、再加熱され、機械方向(MD)延伸又は機械方向配向(MDO)は、表面速度を徐々に増加させながら回転するいくつかの密に配置されたロールを用いてベース構造体を引っ張ることによって達成される。MD延伸に続いて、クリップ(チェーンに取り付けられたもの)が移動するシート(又はフィルム、又はウェブ)の端をつかみ、オーブンに運ぶ。オーブン内では、ベース構造体の端が引き離されてシートが広くなり、これにより横方向配向(TDO)が提供される。この配向/延伸により、配向比又は延伸比に比例して、フィルム構造体が薄くなる。例えば、機械方向(MD)に5:1の延伸比、横方向(TD)に8:1の延伸比の1ミルの完成BOPEフィルムを調製するには、40ミル厚のフィルム又はシートを用いてプロセスを開始してもよい。
【0189】
本開示の実施形態では、機械方向(MD)の延伸比は、約5:1から約9:1の範囲であってもよく、横方向(TD)の延伸比は、約7:1から約12:1の範囲であってもよい。本開示の他の実施形態では、機械方向(MD)の延伸比は、約3:1から約12:1の範囲であってもよく、横方向(TD)の延伸比は、約3:1から約12:1の範囲であってもよい。本開示のさらに他の実施形態では、機械方向(MD)の延伸比は約5:1から約12:1の範囲であってもよく、横方向(TD)の延伸比は約5:1から約12:1の範囲であってもよい。本開示のさらに他の実施形態では、機械方向(MD)の延伸比は約3:1から約10:1の範囲であってもよく、横方向(TD)の延伸比は約3:1から約10:1の範囲であってもよい。
【0190】
二軸配向プロセスの詳細については、Kanai T.他によって提供されている教科書「Film Processing Advances」(2014年);Hanser Publishersに記載されている。しかし、一般に、逐次二軸配向プロセスには以下が含まれる:スロットダイから比較的厚いベースフィルム構造体をキャスト押し出しし、次いで、冷却ロール上で(又は水浴を用いて)冷却すること;徐々に速度を上げて回転する加熱ローラーを使用してベースフィルム構造体を機械方向に延伸すること;フィルム構造体の端部に取り付けられたクリップを用いてフィルム構造体の各端部を引っ張ることによってフィルム構造体を横方向に延伸すること、ここで、クリップがフィルムを前方に引っ張るにつれて離れて移動し、把持されたフィルムの端部を横方向に引っ張る(すなわち、延伸は横方向に行われる);フィルム構造体をアニールするためにオーブンを通過させること;フィルム構造体を任意に表面処理すること;クリップによって保持されているフィルム構造体の未延伸の端部を切り取ること;フィルム構造体を巻き取ること。
【0191】
本開示の実施形態では、逐次二軸延伸が使用されるが、逐次二軸配向は、いくつかの実施形態において、フィルム品質の問題を引き起こす可能性がある。例えば、いくつかの実施形態では、フィルム又は多層フィルム構造体の光学(optics)が損なわれる可能性がある。したがって、特定の実施形態では、単一のプロセスステップで機械方向/横方向の同時延伸を伴う代替的な単位操作が好ましい場合がある。同時延伸の際、ベースフィルムはテンタークリップによって保持され(上述のとおり)、MD方向とTD方向の両方に延伸されながら宙吊りにされることがある。
【0192】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0193】
一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の60~100重量%(フィルム又はフィルム構造体に使用されるポリマー材料の重量に基づく)を用いて作製される。一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の70~90重量%(フィルム又はフィルム構造体に使用されるポリマー材料の重量に基づく)を用いて作製される。一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の80~95重量%(フィルム又はフィルム構造体に使用されるポリマー材料の重量に基づく)を用いて作製される。
【0194】
一実施形態では、「オール・ポリエチレン」二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の少なくとも90重量%(フィルム又はフィルム構造体に使用されるポリマーの重量に基づく)を用いて作製される。一実施形態では、「オール・ポリエチレン」二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の少なくとも95重量%(フィルム又はフィルム構造体に使用されるポリマーの重量に基づく)を用いて作製される。一実施形態では、「オール・ポリエチレン」二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の少なくとも99重量%(フィルム又はフィルム構造体に使用されるポリマーの重量に基づく)を用いて作製される。一実施形態では、「オール・ポリエチレン」二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物を100重量%(フィルム又はフィルム構造体に使用されるポリマーの重量に基づいて)用いて作製される。
【0195】
一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の60~100重量%(フィルム又はフィルム構造体に使用されるポリマーの重量に基づく)を用いて作製され、二軸配向フィルム又はフィルム構造体を調製するために使用される残りのポリマー(複数可)は、異なるポリエチレン組成物である。一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の70~90重量%(フィルム又はフィルム構造体に使用されるポリマーの重量に基づく)を用いて作製され、二軸配向フィルム又はフィルム構造体を調製するために使用される残りのポリマー(複数可)は、異なるポリエチレン組成物である。一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の80~95重量%(フィルム又はフィルム構造体に使用されるポリマーの重量に基づく)を用いて作製され、二軸配向フィルム又はフィルム構造体を調製するために使用される残りのポリマー(複数可)は、異なるもポリエチレン組成物である。理論に束縛されることを望むものではないが、ポリエチレン組成物のみを使用して二軸配向フィルム又はフィルム構造体を調製すると、異なる種類のポリマーの混合物で作製された二軸配向フィルム又はフィルム構造体と比較して、フィルムをより容易にリサイクルすることができる。
【0196】
ポリマーのブレンドを使用することは、二軸配向フィルム又はフィルム構造体を調製する技術分野において知られており、このことは、本開示の特定の実施形態においても企図されている。したがって、本開示の実施形態において、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%(ポリマーブレンドを作製するために使用されるポリマー材料の総重量に基づく)を含むポリマーブレンドから調製される。
【0197】
本開示の実施形態において、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の層は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%(その層を作製するために使用されるポリマー材料の総重量に基づく)を含むポリマーブレンドから調製される。
【0198】
本開示の実施形態において、本明細書に記載のポリエチレン組成物とのブレンドでの使用に適している他のポリマーのいくつかの非限定的な例としては、以下が挙げられる:直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);中密度ポリエチレン(MDPE);高密度ポリエチレン(HDPE);エラストマー及びプラストマーを含む超低密度ポリエチレン(VLDPE)又は超低密度ポリエチレン(ULDPE);並びにエチレンのフリーラジカル重合によって調製される高圧低密度ポリエチレン(HPLDPE)。
【0199】
本開示の実施形態において、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の層は、以下を含むポリマーブレンドから調製される:
A)本明細書に記載のポリエチレン組成物の少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%(その層を作製するために使用されるポリマー材料の総重量に基づく);並びに
B)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);中密度ポリエチレン(MDPE);高密度ポリエチレン(HDPE);超低密度ポリエチレン(VLDPE)又は超低密度ポリエチレン(ULDPE);及びエチレンのフリーラジカル重合によって調製される高圧低密度ポリエチレン(HPLDPE)からなる群から選択されるポリマーの50重量%以下、又は40重量%以下、又は25重量%以下、又は10重量%以下、又は5重量%以下、又は1重量%以下(その層を作製するために使用されるポリマー材料の総重量に基づく)。
【0200】
本開示の実施形態において、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の層は、以下を含むポリマーブレンドから調製される:
A)本明細書に記載のポリエチレン組成物の少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%(その層を作製するために使用されるポリマー材料の総重量に基づく);並びに
B)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);中密度ポリエチレン(MDPE);高密度ポリエチレン(HDPE);超低密度ポリエチレン(VLDPE)、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーの50重量%以下、又は40重量%以下、又は25重量%以下、又は10重量%以下、又は5重量%以下、又は1重量%以下(その層を作製するために使用されるポリマー材料の総重量に基づく)。
【0201】
本開示の実施形態において、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の層は、以下を含むポリマーブレンドから調製される:
A)本明細書に記載のポリエチレン組成物の少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%(その層を作製するために使用されるポリマー材料の総重量に基づく);並びに
B)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);中密度ポリエチレン(MDPE);高密度ポリエチレン(HDPE);超低密度ポリエチレン(VLDPE)からなる群から選択されるポリマーの50重量%以下、又は40重量%以下、又は25重量%以下、又は10重量%以下、又は5重量%以下、又は1重量%以下(その層を作製するために使用されるポリマー材料の総重量に基づく)。
【0202】
本開示の実施形態では、本明細書に記載のポリエチレン組成物とのポリマーブレンドで使用されるLLDPEは、0.1~10g/10分、又は0.9~2.3g/10分のメルトインデックス(I)、及び約0.910~約0.935g/cmの密度を有する。
【0203】
本開示の実施形態では、本明細書に記載のポリエチレン組成物とのポリマーブレンドで使用されるVLPDEは、0.1~10g/10分、又は0.9~2.3g/10分のメルトインデックス(I)、及び約0.880~約0.910g/cmの密度を有する。
【0204】
本開示の実施形態では、本明細書に記載のポリエチレン組成物とのポリマーブレンドで使用されるMDPEは、0.1~10g/10分、又は0.9~2.3g/10分のメルトインデックス(I)、及び約0.936~約0.949g/cmの密度を有する。
【0205】
本開示の実施形態では、本明細書に記載のポリエチレン組成物とのポリマーブレンドで使用されるHDPEは、0.1~10g/10分、又は0.4~0.9g/10分のメルトインデックス(I)及び少なくとも約0.950g/cmの密度を有する。
【0206】
本開示の一実施形態では、本明細書に記載のポリエチレン組成物とのポリマーブレンドで使用されるHPLDPEは、0.1~10g/10分のメルトインデックス(I)及び約0.92~約0.94g/cmの密度を有する。
【0207】
二軸配向フィルムを調製する技術分野では、多層フィルム又はフィルム構造体を(未延伸の)出発フィルムとして使用することが知られている。これらの出発フィルムは、延伸される前は比較的厚く、フィルムではなく「シート」と呼ばれることが多い。便宜上、このような未延伸の多層シートを、本明細書では、「ベースフィルム」又は「ベースフィルム構造(体」」若しくは「ベース構造(体)」と呼びことがある。
【0208】
本開示の一実施形態では、適切なベースフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は100重量%(ベースフィルム構造体を作製するために使用されるポリマーの総重量に基づく)を含む。
【0209】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のポリエチレン組成物の少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は100重量%(二軸配向フィルム又はフィルム構造体を作製するために使用されるポリマーの総重量に基づく)を含む。
【0210】
本開示の一実施形態では、本明細書に記載のポリエチレン組成物は、適切なベースフィルム構造体における「コア」層として(すなわち、多層ベースフィルム構造体の内側層として)使用される。本開示の実施形態では、適切なベースフィルム構造体における他の層を調製するために使用できるポリマーの例としては、LLDPE、MDPE、HDPE、VLPDE及びHPLDPEが挙げられ、これらには、上記のLLDPE、MDPE、HDPE、VLPDE及びHPLDPEの実施形態が含まれる。
【0211】
本開示の一実施形態では、多層ベースフィルム構造体は、2つのスキン層(すなわち、ベースフィルム構造体の各々の外側表面上の層)と1つ以上のコア層とを含む少なくとも3つの層を含む。
【0212】
本開示の一実施形態では、公開された米国特許第9,676,169号に開示されているように、一方のスキン層はHDPEから作製することができ、他方のスキン層はシール層である。
【0213】
本開示の一実施形態では、シール層は、直鎖状低密度ポリエチレン、LLDPE(例えば、当業者に周知の、いわゆるメタロセン触媒で作製されたLLDPEなど)、プラストマー、エラストマー、又はそれらのブレンドを含んでもよい。
【0214】
一実施形態では、重合したエチレン及び1-オクテンモノマー(並びにそれらとLLDPE、HDPE及び/又はHPLDPEとのブレンド)を含むプラストマーを、シール層に使用することもできる。
【0215】
本開示の一実施形態では、BOPEフィルムの両方のスキン層にプラストマー(又はそのポリマーブレンド)を使用することも企図されている。
【0216】
理論に束縛されることを望むものではないが、スキン層にプラストマーを使用すると、BOPEフィルムの光学特性が改善する可能性がある。
【0217】
本開示の一実施形態では、BOPEフィルムは、本明細書に記載のポリエチレン組成物を含むコア層を有し、両方のスキン層は、重合したエチレン及び1-オクテンモノマーを含むプラストマーを含む。
【0218】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本明細書に記載のように作製されたポリエチレン組成物を含むコア層と、2つのスキン層とを備え、両方のスキン層も、本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0219】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、少なくとも1つの層は、本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0220】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、各層は、本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0221】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの隣接する層を含み、各層は、本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0222】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、3つの隣接する層はそれぞれ、本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0223】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、少なくとも1つの層は、少なくとも50重量%(その層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、少なくとも1つの層は、少なくとも75重量%(その層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、少なくとも1つの層は、少なくとも95重量%(その層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、少なくとも1つの層は、少なくとも99重量%(その層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、少なくとも1つの層は、100重量%(その層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0224】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、各層は、少なくとも50重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、各層は、少なくとも75重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、各層は、少なくとも95重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、各層は、少なくとも99重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、各層は、100重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0225】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの隣接する層を含み、各層は、少なくとも50重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの隣接する層を含み、各層は、少なくとも75重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの隣接する層を含み、各層は、少なくとも95重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの隣接する層を含み、各層は、少なくとも99重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの隣接する層を含み、各層は、100重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0226】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、3つの隣接する層はそれぞれ、少なくとも50重量%(各隣接する層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、3つの隣接する層はそれぞれ、少なくとも75重量%(各隣接する層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、3つの隣接する層はそれぞれ、少なくとも95重量%(各隣接する層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、3つの隣接する層はそれぞれ、少なくとも99重量%(各隣接する層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、3つの隣接する層はそれぞれ、100重量%(各隣接する層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0227】
一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含み、コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含み、コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、少なくとも50重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含み、コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、少なくとも75重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含み、コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、少なくとも95重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含み、コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、少なくとも99重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含み、コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、100重量%(各層に使用されるポリマー材料の総重量に基づく)の本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む。
【0228】
一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含み、コア層は、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の総重量の少なくとも50重量%を構成する。
【0229】
一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含み、コア層は、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の総重量の少なくとも60重量%を構成する。
【0230】
一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含み、コア層は、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の総重量の少なくとも70重量%を構成する。
【0231】
一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含み、コア層は、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の総重量の少なくとも80重量%を構成する。
【0232】
一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含み、コア層は、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の総重量の少なくとも90重量%を構成する。
【0233】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、各層はポリマーブレンドを含み、ポリマーブレンドは、A)50~99重量%の、本明細書に記載のポリエチレン組成物と、B)50~1重量%の、LLDPE、MDPE、HDPE、VLPDE、HPLDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される異なるポリマーとを含む。
【0234】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも3つの層を含み、各層はポリマーブレンドを含み、ポリマーブレンドは、A)75~99重量%の、本明細書に記載のポリエチレン組成物と、B)25~1重量%の、LLDPE、MDPE、HDPE、VLPDE、HPLDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される異なるポリマーとを含む。
【0235】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも複数の層を含み、3つの隣接する層がそれぞれポリマーブレンドを含み、ポリマーブレンドは、A)50~99重量%の、本明細書に記載のポリエチレン組成物と、B)50~1重量%の、LLDPE、MDPE、HDPE、VLPDE、HPLDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される異なるポリマーとを含む。
【0236】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、少なくとも複数の層を含み、3つの隣接する層がそれぞれポリマーブレンドを含み、ポリマーブレンドは、A)75~99重量%の、本明細書に記載のポリエチレン組成物と、B)25~1重量%の、LLDPE、MDPE、HDPE、VLPDE、HPLDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される異なるポリマーとを含む。
【0237】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と含み、コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリマーブレンドを含み、ポリマーブレンドは、A)50~99重量%の、本明細書に記載のポリエチレン組成物と、B)50~1重量%の、LLDPE、MDPE、HDPE、VLPDE、HPLDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される異なるポリマーとを含む。
【0238】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と含み、コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリマーブレンドを含み、ポリマーブレンドは、A)50~99重量%の、本明細書に記載のポリエチレン組成物と、B)50~1重量%の、LLDPE、MDPE、HDPE、VLPDE、HPLDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される異なるポリマーとを含む。
【0239】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と含み、コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリマーブレンドを含み、ポリマーブレンドは、A)75~99重量%の、本明細書に記載のポリエチレン組成物と、B)25~1重量%の、LLDPE、MDPE、HDPE、VLPDE、HPLDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される異なるポリマーとを含む。
【0240】
本開示の実施形態において、少なくとも3つの層を含む二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、20%以下、又は20%未満、又は15%以下、又は15%未満、又は10%以下、又は10%未満、又は7.5%以下、又は7.5%未満のヘイズ値を有する。
【0241】
本開示の実施形態において、少なくとも3つの層を含み、各層が本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、20%以下、又は20%未満、又は15%以下、又は15%未満、又は10%以下、又は10%未満、又は7.5%以下、又は7.5%未満のヘイズ値を有する。
【0242】
本開示の実施形態において、少なくとも3つの層を含み、3つの隣接する層が本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、20%以下、又は20%未満、又は15%以下、又は15%未満、又は10%以下、又は10%未満、又は7.5%以下、又は7.5%未満のヘイズ値を有する。
【0243】
本開示の実施形態において、少なくとも3つの隣接する層を含み、各層が本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、本開示の実施形態において、各層が本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む少なくとも3つの隣接する層を含む二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、20%以下、又は20%未満、又は15%以下、又は15%未満、又は10%以下、又は10%未満、又は7.5%以下、又は7.5%未満のヘイズ値を有する。
【0244】
本開示の実施形態において、少なくとも3つの層を含む二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、80%以上、又は80%超、又は85%以上、又は85%超、又は90%以上、又は90%超、又は95%以上、又は95%超の透明度値を有する。
【0245】
本開示の実施形態において、少なくとも3つの層を含み、各層が本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、80%以上、又は80%超、又は85%以上、又は85%超、又は90%以上、又は90%超、又は95%以上、又は95%超の透明度値を有する。
【0246】
本開示の実施形態において、少なくとも3つの層を含み、3つの隣接する層が本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、80%以上、又は80%超、又は85%以上、又は85%超、又は90%以上、又は90%超、又は95%以上、又は95%超の透明度値を有する。
【0247】
本開示の実施形態において、少なくとも3つの隣接する層を含み、各層が本明細書に記載のポリエチレン組成物を含む二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、80%以上、又は80%超、又は85%以上、又は85%超、又は90%以上、又は90%超、又は95%以上、又は95%超の透明度値を有する。
【0248】
一実施形態において、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含む二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層が、本明細書に記載のポリエチレン組成物を含み、20%以下、又は20%未満、又は15%以下、又は15%未満、又は10%以下、又は10%未満、又は7.5%以下、又は7.5未満のヘイズ値を有する。
【0249】
一実施形態において、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含む二軸配向フィルム又はフィルム構造体は、コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層が、本明細書に記載のポリエチレン組成物を含み、80%以上、又は80%超、又は85%以上、又は85%超、又は90%以上、又は90%超、又は95%以上、又は95%超の透明度値を有する。
【0250】
本開示の一実施形態は、少なくとも5つの層を含む多層フィルム構造体であって、以下を含む:本明細書に記載のポリエチレン組成物を含むコア層;プラストマーから作製された2つの外側スキン層;プラストマーと、プラストマーより高密度のポリエチレンとのブレンドから作製された2つの「スキン(層)に隣接する」層。
【0251】
BOPEフィルムのバリア特性を改善するために「バリア樹脂」の層を使用することが知られている。適切なバリア樹脂の非限定的な例としては、エチレンビニルアルコール(EVOH)及びポリアミドが挙げられる。BOPEフィルムにバリア樹脂を使用する場合、バリア層とポリエチレン層との間に適当なタイ層(tie layers)を使用して、層の適合性(例えば、層同士の接着性)を向上させることもできる。本開示の実施形態に使用するのに適したタイ層の例については、米国特許出願公開第2020/0369014号を参照されたい。
【0252】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の表面は、金属化される。
【0253】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の表面は、表面処理された後に金属化される。
【0254】
金属化(metallization)プロセスでは、二軸配向フィルムを真空チャンバー内に配置し、例えば金属自体又は金属酸化物などの金属源を用いて、物理蒸着(PVD)金属化を行うことができる。物理蒸着金属化プロセスでは、金属又は金属含有基材を真空下で高温に加熱することによって、フィルム又はフィルム構造体の表面層に金属層を追加する。PVD金属化では、金属又は金属含有基材の蒸発が起こり、続いて、金属又は金属含有基材がフィルム又はフィルム構造体の表面に凝縮する。蒸着金属化を用いて二軸配向フィルムに添加できる金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銀、ニッケル、銅、亜鉛、金、パラジウム、又はそれらの混合物が挙げられる。本開示の実施形態では、金属化層(すなわち、堆積した金属層)の厚さは、100~5000オングストローム、又は300~3000オングストロームとすることができる。
【0255】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の表面は、アルミニウムによる物理蒸着(PVD)金属化によって金属化される。
【0256】
本開示で使用されるポリマー(本明細書において作製及び記載されたポリエチレン組成物を含む)は、特定の実施形態において、当業者によく知られているように、従来の量で酸化防止剤(ヒンダードフェノール、ホスファイト又は両方のブレンドなど)を含有する。特定の実施形態においてポリマー(本明細書に記載のように作製されたポリエチレン組成物を含む)に添加することができる他の任意の添加剤としては、ブロッキング防止剤、スリップ剤、及び核形成剤(米国特許第9,676,169号に開示されているものなど)が挙げられる。亜鉛グリセロレートを、本開示の特定の実施形態で使用するために、任意の核形成剤として使用することも企図されている(注:亜鉛グリセロレート核形成剤は、IRGASTAB(登録商標)287という商標で市販されている)。
【0257】
本開示の一実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の表面は、表面処理される。理論に束縛されることを望むものではないが、表面処理により、金属化、コーティング、印刷インク、接着剤、及び/又はラミネーションに対してより適した表面、又はそれらを受容しやすい表面にすることができる。
【0258】
本開示の実施形態では、二軸配向フィルム又はフィルム構造体の表面は、コロナ放電放射線、火炎若しくは分極火炎(polirized flame)、プラズマ、又は化学物質による処理によって、表面処理される。
【0259】
本開示の一実施形態は、二軸配向ポリエチレンフィルムを調製するプロセスであって、プロセスは、(a)ポリエチレン組成物を、ベースフィルムに押出しする工程と、(b)ベースフィルムを、機械方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と、(c)ベースフィルムを、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程とを含み、(a)及び(b)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施される。
【0260】
本開示の一実施形態は、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、プロセスは、(a)ポリエチレン組成物を、少なくとも3つの層を含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と、(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程とを含み、(a)及び(b)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施される。
【0261】
本開示の一実施形態は、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、プロセスは、(a)ポリエチレン組成物を、少なくとも3つの隣接する層を含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と、(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程とを含み、(a)及び(b)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施される。
【0262】
本開示の一実施形態は、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、プロセスは、(a)ポリエチレン組成物を、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と、(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程とを含み、(b)及び(c)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施される。
【0263】
本開示の一実施形態は、二軸配向ポリエチレンフィルムを調製するプロセスであって、プロセスは、(a)少なくとも75重量%のポリエチレン組成物を含むポリマーブレンドを、ベースフィルムに押出しする工程と、(b)ベースフィルムを、機械方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と、(c)ベースフィルムを、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程とを含み、(b)及び(c)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施される。
【0264】
本開示の一実施形態は、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、プロセスは、(a)少なくとも75重量%のポリエチレン組成物を含むポリマーブレンドを、少なくとも3つの層を含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と、(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程とを含み、(b)及び(c)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施される。
【0265】
本開示の一実施形態は、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、プロセスは、(a)少なくとも75重量%のポリエチレン組成物を含むポリマーブレンドを、少なくとも3つの隣接する層を含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と、(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程とを含み、(b)及び(c)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施される。
【0266】
本開示の一実施形態は、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、プロセスは、(a)少なくとも75重量%のポリエチレン組成物を含むポリマーブレンドを、コア層と、コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層とを含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と、(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程とを含み、(b)及び(c)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施される。
【0267】
本開示に従って調製された二軸配向フィルムは、多種多様な包装用途に使用するのに適している可能性がある。一実施形態では、二軸配向フィルムは、ラミネート構造で使用することができ、例えば、二軸配向フィルムは、より低密度のポリエチレンから作製されたシーラントウェブにラミネートされるときに、印刷ウェブとして使用することができる。このタイプのラミネート構造は、ポリエチレンの層にラミネートされたポリエステル又はポリプロピレンの層を含む従来のラミネート構造と比較して、より容易にリサイクルすることができる。
【0268】
以下の実施例は、本開示の選択された実施形態を説明する目的で提示されたものであり、提示された実施例は、提示された特許請求の範囲を限定するものではないことが理解される。
【実施例
【0269】
<ポリマーの特性評価及び試験方法>
試験の前に、各ポリマー試験片を23±2℃及び相対湿度50±10%で少なくとも24時間コンディショニングし、その後の試験を23±2℃及び相対湿度50±10%で行った。本明細書では、「ASTM条件」という用語は、23±2℃及び相対湿度50±10%に維持されている実験室を指し、試験対象の試験片は、試験前にこの実験室で少なくとも24時間コンディショニングした。ASTMは、米国材料試験協会を指す。
【0270】
<密度>
ポリマーの密度は、ASTM D792-13(2013年11月1日)を用いて決定した
【0271】
<メルトインデックス>
ポリマーのメルトインデックスは、ASTM D1238(2013年8月1日)を用いて決定した。メルトインデックス、I、I、I10、及びI21は、それぞれ2.16kg、6.48kg、10kg、及び21.6kgの重量を用いて190℃で測定した。本明細書では、「応力指数」という用語又はその頭字語「S.Ex.」は、以下の関係によって定義される:
S.Ex.=log(I/I)/log(6480/2160)
(式中、I及びIは、それぞれ6.48kg及び2.16kgの荷重を用いて190℃で測定されたメルトフロー比である)。本開示では、メルトインデックスは、g/10分、又はg/10min、又はdg/分、又はdg/minの単位を用いて表され、これらの単位は等価である。
【0272】
<中性子放射化(元素分析)>
中性子放射化分析(以下NAA)を用いて、ポリマー中の触媒金属残留物を以下のように決定した。放射線バイアル(超高純度ポリエチレン製、内部容量7mL)にポリマー試料を充填し、試料重量を記録した。空気圧移送システムを用いて、試料をSLOWPOKE(商標)原子炉(Atomic Energy of Canada Limited,オタワ、オンタリオ州、カナダ)内に配置し、半減期の短い元素(例えば、Ti、V、Al、Mg、及びCl)の場合は30~600秒、又は半減期の長い元素(例えば、Zr、Hf、Cr、Fe、及びNi)の場合は3~5時間照射した。原子炉内の平均熱中性子束は、5×1011/cm/sであった。照射後、試料を原子炉から取り出してエージングし、放射能を減衰させ;半減期の短い元素は300秒間エージングされ、半減期の長い要素は数日間エージングされた。エージング後、ゲルマニウム半導体ガンマ線検出器(OrtecモデルGEM55185、Advanced Measurement Technology Inc.,オークリッジ、テネシー州、米国)及びマルチチャネル分析装置(OrtecモデルDSPEC Pro)を使用して、試料のガンマ線スペクトルを記録した。試料中の各元素の量を、ガンマ線スペクトルから計算し、ポリマー試料の総重量に対する百万分率(ppm)で記録した。N.A.A.システムは、Specpure標準(所望の元素の1000ppm溶液(純度99%超))を用いて校正した。1mLの溶液(対象元素)を15mm×800mmの長方形のペーパーフィルターにピペットで移し、風乾した。次いで、濾紙を1.4mLのポリエチレン照射バイアルに入れ、N.A.A.システムで分析した。標準を使用して、N.A.A.手順の感度(カウント/μg)を決定する。
【0273】
<ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)>
ポリエチレン組成物試料(ポリマー)溶液(1~3mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブン内で150℃で4時間ホイール上で回転させることにより調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために、酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。ポリマー溶液は、4本のShodexカラム(HT803、HT804、HT805、及びHT806)を備えたPL220高温クロマトグラフィーユニットで、TCBを移動相として用い、流速1.0mL/分、140℃でクロマトグラフィーし、濃度検出器として示差屈折率(DRI)を用いた。GPCカラムを酸化劣化から保護するために、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は200μLであった。GPCカラムは、狭い分布のポリスチレン標準で校正した。ASTM標準試験法D6474-12(2012年12月)に記載されているように、Mark-Houwink式を用いて、ポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に変換した。GPC生データをCIRRUS(登録商標)GPCソフトウェアで処理して、モル質量平均(M、M、M)及びモル質量分布(例えば、多分散度M/M)を生成した。ポリエチレンの技術分野では、GPCに相当する一般的に使用される用語は、SEC、すなわち、サイズ排除クロマトグラフィーである。
【0274】
<トリプル検出サイズ排除クロマトグラフィー(3D-SEC)>
ポリエチレン組成物試料(ポリマー)溶液(1~3mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブン内で、150℃で4時間、ホイール上で回転させることにより調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために、酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液を、示差屈折率(DRI)検出器、二重角度光散乱検出器(15度及び90度)、並びに示差粘度計を備えたPL 220高温クロマトグラフィーユニットで、140℃でクロマトグラフィーした。使用したSECカラムは、4本のShodexカラム(HT803、HT804、HT805、及びHT806)、又は4本のPL Mixed ALS若しくはBLSカラムのいずれかであった。TCBを、流速1.0mL/分の移動相とし、SECカラムを酸化分解から保護するために、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は200μLであった。SEC生データをCIRRUS GPCソフトウェアで処理し、絶対モル質量と固有粘度([η])を算出した。「絶対」モル質量という用語を用いて、3D-SECで決定した絶対モル質量と従来のSECで決定したモル質量とを区別した。3D-SECによって決定した粘度平均モル質量(M)を計算に用いて、長鎖分岐係数(LCBF)を決定した。
【0275】
<GPC-FTIR>
ポリエチレン組成物(ポリマー)溶液(2~4mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブン内で、150℃で4時間、ホイール上で回転させることにより調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液は、4本のShodexカラム(HT803、HT804、HT805、HT806)を備えたWATERS GPC 150C クロマトグラフィーユニットで、TCBを移動相として用い、流速1.0mL/分、140℃でクロマトグラフィーした。検出システムとして、FTIR分光計と加熱FTIRフロースルーセルを、加熱された移送ラインを介してクロマトグラフィーユニットに連結した。SECカラムを酸化劣化から保護するために、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は300μLであった。生のFTIRスペクトルをOPUS FTIRソフトウェアで処理し、OPUSに関連付けられたChemometricソフトウェア(PLS technique)を用いて、ポリマー濃度及びメチル含有量をリアルタイムで計算した。次いで、ポリマー濃度及びメチル含有量を取得し、CIRRUS GPCソフトウェアでベースライン補正した。SECカラムは、狭い分布のポリスチレン標準で校正した。ASTM標準試験法D6474に記載されているように、Mark-Houwink式を用いて、ポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に変換した。コモノマー含有量は、Paul J.DesLauriers,Polymer 43,159-170頁(2002年)に記載されているように、PLS技術によって予測されるポリマー濃度とメチル含有量に基づいて計算され;参照により本明細書に組み込まれる。
【0276】
<短鎖分岐:GPC-FTIR>
炭素原子1000個あたりの短鎖分岐は、分子量の異なるコポリマー画分に対して測定される。片対数スケールのグラフにプロットすると、傾斜線(対数の横X軸に低分子量画分から高分子量画分まで、縦Y軸に短鎖分岐の数)が、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって決定された、分子量の異なる画分の短鎖分岐の分布となる。GPC-FTIR法では、各高分子鎖の末端に位置するメチル基、すなわちメチル末端基を含む総メチル含量を測定する。したがって、生のGPC-FTIRデータは、メチル末端基から寄与分を差し引くことにより補正する必要がある。より明確には、生のGPC-FTIRデータは、短鎖分岐(SCB)の量を過大評価しており、この過大評価は、分子量(M)が減少するにつれて増加する。本開示では、生のGPC-FTIRデータは、2-メチル補正を用いて補正した。所与の分子量(M)で、メチル末端基(N)の数を、以下の式;N=28000/M、を用いて計算し、N(M依存)を生のGPC-FTIRデータから差し引いて、SCB/1000C(2-メチル補正)GPC-FTIRデータを作成した。
【0277】
<不飽和含有量>
ポリエチレン組成物中の不飽和基、すなわち二重結合の量を、ASTM D3124-98(ビニリデン不飽和、2011年3月発行)及びASTM D6248-98(ビニル及びトランス不飽和、2012年7月発行)に従って決定した。エチレンインターポリマー試料は、a)最初に二硫化炭素抽出を行い、分析に干渉する可能性のある添加剤を除去し;b)試料(ペレット、フィルム、又は顆粒状)をプレスして均一な厚さ(0.5mm)のプラークにし;c)プラークをFTIRで分析した。
【0278】
<コモノマー含有量:フーリエ変換赤外(FTIR)分光法>
ポリエチレン組成物中のコモノマーの量を、FTIRによって決定し、CH#/1000C(炭素原子1000個あたりのメチル分岐の数)の寸法を有する短鎖分岐(SCB)含有量として報告した。この試験は、ASTM D6645-01(2001)に従って、圧縮成形したポリマープラーク及びThermo-Nicolet 750 Magna-IR分光光度計を用いて完了した。ポリマープラークは、ASTM D4703-16(2016年4月)に従って、圧縮成形装置(Wabash-Genesisシリーズプレス)を用いて調製した。
【0279】
<示差走査熱量測定(DSC)>
DSC試験は、ASTM D3418に従って実施した。この分析は、ポリマー試料(アルミニウムパンで調製した5~10mg)と参照物質(空のアルミニウムパン)を、DSCセル内で一定速度の温度変化にさらすことによって行われる。試料と参照物質の実際の温度を、試料の温度が時間と共に直線的に上昇又は下降するに伴い、機器によってモニターする。試料が、遷移、反応、又は形質転換を受ける場合、その温度変化の速度は、参照物質の温度変化とは異なる。機器(TA Instruments Q2000)を、まずインジウムで校正した。校正後、ポリマー試験片を0℃で平衡化し、10℃/分の加熱速度で温度を200℃に上げ、次いで、溶融物を200℃で5分間等温保持し、次に、溶融物を10℃/分の冷却速度で0℃に冷却して、0℃で5分間維持し、次いで、試験片を10℃/分の加熱速度で200℃に加熱した。次に、試料と参照物質との間の温度差(DT=Treference-Tsample)を、試料の温度に対してプロットし、示差サーモグラムを作成する。このプロットから、融解ピーク温度(℃)、融解エンタルピー(J/g)、及び結晶化度(%)を決定した。
【0280】
<動的機械的分析(DMA)>
小さな歪み振幅での振動せん断測定を実施して、N雰囲気下の190℃、10%の歪み振幅、10ポイントあたり5ポイントで0.02~126rad/sの周波数範囲で線形粘弾性関数を取得した。周波数掃引実験は、5°の円錐角、137μmの切頭、及び25mmの直径の円錐板形状を用いて、TA Instruments DHR3応力制御レオメーターで行った。この実験では、正弦波の歪み波を適用し、応力応答を線形粘弾性関数の観点から分析した。DMA周波数掃引結果に基づくゼロせん断速度粘度(η)は、Ellisモデル(R.B.Bird他著,「Dynamics of Polymer Liquids.Volume1:Fluid Mechanics」Wiley-Interscience Publications(1987年)228頁を参照)又はCarreau-Yasudaモデル(K.Yasuda(1979年)PhD Thesis,IT Cambridgeを参照)によって予測した。
【0281】
せん断減粘指数SHI(0.5,50)は、せん断応力0.5kPaで推定される複素粘度の、せん断応力50kPaで推定される複素粘度に対する比として計算した。せん断減粘指数SHI(0.5,50)は、ポリマー溶融物のせん断減粘挙動に関する情報を提供する。高い値は、変形速度(せん断又は周波数)の変化に対する粘度の強い依存性を示す。
【0282】
本開示では、LCBF(長鎖分岐係数)は、DMAで求めたηを用いて決定した(米国特許第10,442,921号参照)。
【0283】
<キャピラリーレオロジー>
Dynisco LCR7000キャピラリーレオメーターから得られたレオロジーデータを使用して、異なる樹脂の異なるせん断速度での粘度プロファイルを取得した。キャピラリー押出レオメーターでは、材料は温度制御されたバレルに保持され、ピストンによって正確な寸法のダイに押し込まれる。ボア寸法、ダイ寸法、及びピストン速度によって、材料に適用される見かけのせん断速度が決まり、力とダイ寸法を用いて、見かけのせん断応力を計算する。せん断粘度は、ポアズイユの法則を用いて、キャピラリーフロー法から取得することができる。
【数1】

(式中、P=キャピラリー全体の圧力降下(N/m);R=キャピラリーの半径(m);L=キャピラリーの長さ(m);Q=体積流量(m/秒);σ=見かけのせん断応力;∂γ/(∂t)=見かけのせん断速度、である)。
【0284】
ポアズイユの式を用いて決定されるせん断速度、せん断応力、せん断粘度は、通常、見かけのせん断粘度、見かけのせん断応力、及び見かけのせん断速度と呼ばれる。これは、ほとんどの流体の非ニュートン特性と、ダイの入口圧力と出口圧力にわたる圧力降下が考慮されていないためである。試験温度は200℃に設定した。この評価では、使用したキャピラリーの長さは30.48mm、ダイの直径は1.524mmであった。
【0285】
<溶融強度>
溶融強度は、Rosand RH-7キャピラリーレオメーター(バレル直径=15mm)で、直径2mm、L/D比10:1のフラットダイを使用して、190℃で測定される。圧力変換器:10,000psi(68.95MPa)。ピストン速度:5.33mm/min。運搬角度:52°。運搬の増分速度:50~80m/min又は65±15m/min。ポリマー溶融物を、一定の速度でキャピラリーダイを通して押し出し、次いで、ポリマーストランドは、それが破裂するまで、増加する運搬速度で引き出される。力対時間曲線のプラトー領域における力の最大定常値は、ポリマーの溶融強度として定義される。
【0286】
<ビカット軟化点(温度)>
ポリマー試料のビカット軟化点を、ASTM D1525-07(2009年12月発行)に従って決定した。この試験では、試料がASTM D1525-07の試験条件、すなわち、加熱速度B(120±10℃/hr及び938グラム荷重(10±0.2N荷重))に供したときに、指定された針の貫通が発生する温度を決定する。
【0287】
<CYTSAF/TREF(CTREF)>
ポリエチレン組成物の「組成分布幅指数」(以下、CDBI)を、IR検出器(以下、CTREF)を備えたCRYSTAF/TREF200+ユニットを用いて測定した。「TREF」という頭字語は、Temperature Rising Elution Fractionation(温度上昇溶出分別)を指す。CTREFは、Polymer Characterization S.A.(Valencia Technology Park,Gustave Eiffel,8,Paterna,E-46980 Valencia,Spain)から提供された。CTREFは、TREFモードで操作され、これは溶出温度、Co/Ho比(コポリマー/ホモポリマー比)、及びCDBI(組成分布幅指数)、すなわち、CDBI50及びCDBI25の関数としてポリマー試料の化学組成を生成する。ポリマー試料(80~100mg)をCTREFの反応容器に入れた。反応容器に35mlの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を充填し、溶液を150℃に2時間加熱することによりポリマーを溶解した。次いで、溶液のアリコート(1.5mL)を、ステンレス鋼ビーズを充填したCTREFカラムに装填した。試料を装填したカラムを、110℃で45分間安定化させた。次いで、温度を0.09℃/分の冷却速度で30℃に下げることにより、カラム内の溶液からポリマーを結晶化させた。次いで、カラムを30℃で30分間平衡化した。次に、TCBを0.75mL/分でカラムに流しながら、結晶化したポリマーをカラムから溶出し、カラムを0.25℃/分の加熱速度で30℃から120℃にゆっくりと加熱した。生のCTREFデータは、Polymer ChARソフトウェア、Excelスプレッドシート、及び社内で開発されたCTREFソフトウェアを使用して処理した。CDBI50は、組成が中央コモノマー組成の中央値の50%以内であるポリマーのパーセントとして定義され;CDBI50は、米国特許第5,376,439号に記載されているように、組成分布硬化及び組成分布曲線の正規化された累積積分から計算した。当業者であれば、CTREF溶出温度をコモノマー含有量、すなわち、特定の温度で溶出するエチレン/α-オレフィンポリマー画分中のコモノマーの量に変換するために校正曲線が必要であることを理解するであろう。そのような校正曲線の作成は、先行技術、例えば、Wild他著、J.Polym.Sci.,Part B,Polym.Phys.,20(3)巻,441-455頁に記載されており、参照により本明細書に完全に組み込まれる。同様の方法で計算されたCDBI25;CDBI25は、組成が中央コモノマー組成の中央値の25%であるポリマーのパーセントとして定義される。各試料の実行終了時に、CTREFカラムを30分間洗浄し、具体的には、CTREFカラムの温度を160℃にして、TCBを30分間カラムに流した(0.5mL/分)。
【0288】
上記のCTREF手順は当業者に周知であり、以下を決定するために使用することができる:TREFプロファイルのモダリティ、CDBI50、CDBI25、90℃以上で溶出するポリエチレン組成物中の物質の量(重量%)(すなわち、90℃以上でのTREFプロファイルで生じる溶出画分の相対面積)、90℃~98℃の温度で溶出するポリエチレン組成物中の物質の量(重量%)(すなわち、90℃~98℃でのTREFプロファイルで生じる溶出画分の相対面積)、及び溶出強度の最大値(溶出ピーク)が生じる温度又は温度範囲。
【0289】
<長鎖分岐係数(LCBF)>
LCBF(無次元)は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,442,921号に記載されている方法を用いて、ポリエチレン組成物について決定した。
【0290】
長鎖分岐係数(LCBF)の計算には、以下の段落で詳述するように、多分散度補正ゼロせん断粘度(ZSV)及び短鎖分岐(SCB)補正固有粘度(IV)が必要である。
【0291】
ポアズの寸法を有するゼロせん断粘度(ZSV)に対する補正を、式(1)に示すように行った:
【数2】

(式中、η(ゼロせん断粘度(ポアズ))は、上述のようにDMAによって測定した;Pdは、上述のように従来のGPCを用いて測定した無次元多分散度(M/M)であり、1.8389及び2.4110は無次元定数である)。
【0292】
dL/gの寸法を有する固有粘度(IV)に対する補正を、式(2)に示すように行った:
【数3】

(式中、固有粘度[η](dL/g)は、上述の3D-SECを用いて測定した;SCBは、(CH#/1000C)の寸法を有し、上述のようにFTIRを用いて決定した;Mは粘度平均モル質量(g/モル)であり、上述のように3D-SECを用いて決定し、Aは、エチレン/α-オレフィンコポリマー試料中のα-オレフィンに依存する無次元定数であり、すなわち、Aは、1-オクテン、1-ヘキセン、及び1-ブテンの場合のα-オレフィンに対して、それぞれ2.1626、1.9772、1.1398であった)。エチレンホモポリマーの場合、Mark-Houwink定数の補正は必要なく、すなわち、SCBはゼロである。
【0293】
LCBを含まない、又は検出できないレベルのLCBを含む、「直鎖状」エチレンコポリマー(又は直鎖状エチレンホモポリマー)は、式(3)で定義される基準線上に位置する。
【数4】
【0294】
LCBFの算出は、以下の式で定義されるように、線形基準線からの水平シフト(S)と垂直シフト(S)に基づいて行った:
【数5】

【数6】
【0295】
式(4)及び式(5)において、ZSVとIVが、それぞれ、ポアズとdL/gの寸法を有することが必要である。水平シフト(S)は、固有粘度(IV)が一定のときのZSVのシフトであり、Log関数を取り除けば、その物理的意味は明らかである。すなわち、2つのゼロせん断粘度の比であり、同じIVを有する直鎖状エチレンコポリマー(又は直鎖状エチレンホモポリマー)のZSVに対する、試験試料のZSVである。水平シフト(S)は無次元であった。垂直シフト(S)は、ゼロせん断粘度(ZSV)が一定のときのIVのシフトであり、Log関数を取り除けば、その物理的な意味は明らかである。すなわち、2つの固有粘度の比であり、試験試料のIVに対する、同じZSVを有する直鎖状エチレンコポリマー(又は直鎖状エチレンホモポリマー)のIVである。垂直シフト(S)は無次元であった。
【0296】
無次元の長鎖分岐係数(LCBF)を、式(6)によって定義した:
【数7】
【0297】
本開示の一実施形態では、LCBを有するエチレンポリマー(例えば、ポリエチレン組成物)は、0.0010以上のLCBF(無次元)を有するものとして特徴付けられ;対照的に、LCBを有しない(又はLCBを検出できない)エチレンポリマーは、0.0010未満のLCBF(無次元)であることによって特徴付けられる。
【0298】
<ヘキサン抽出物>
ヘキサン抽出物は、連邦規則21CFR§177.1520Para(c)3.1及び3.2に従って決定した。試料中のヘキサン抽出可能物質の量は、重量測定により決定した。
【0299】
<フィルム光学>
フィルム光学特性を、以下のように測定した:ヘイズ及び透明度、ASTM D1003-13(2013年11月15日)。
【0300】
<フィルムエルメンドルフ引裂度>
フィルム引裂性能(ベース未延伸多層前駆体フィルム及び延伸多層フィルムのフィルム引裂性能)は、ASTM D1922-09(2009年5月1日)により決定した;引裂に相当する用語は「エルメンドルフ引裂度(Elmendorf tear)」である。フィルムの引裂度は、インフレーションフィルムの機械方向(MD)と横方向(TD)の両方で測定した。
【0301】
<水蒸気透過率(WVTR)>
水蒸気透過率(「WVTR」、特定のフィルム厚さ(ミル)で1日あたり100平方インチのフィルムあたりに透過する水蒸気のグラム、又はg/100in/日として表される)は、MOCON(米国、ミネアポリス)によりAmetekという名称で販売されている装置を用い、ASTM F1249-90に従って測定した。この試験は、100°F(37.8℃)及び相対湿度100%の条件で実施した。
【0302】
<酸素透過率(OTR)>
酸素透過率(「OTR」、1日あたり100インチあたりのcmで表される)は、MOCON(米国、ミネアポリス)によりAmetekという名称で販売されている装置を用い、ASTM D3985-17に従って測定した。
試験は、23℃、相対湿度0%、1気圧の条件で実施した。98%の窒素(N)と2%の水素(H)の混合物をキャリアガスとして使用し、100%の酸素(O)を試験ガスとして使用した。15分間の試験サイクルにおいて、に酸素フラックスの変化が1%未満となった時点で試験を終了した。報告したデータは、フィルムの厚さで正規化(乗算)しており、4回の試験の平均である。
【0303】
<摩擦係数(COF)>
摩擦係数(COF)は、ASTM D-1894を用いて測定した。動摩擦係数と静摩擦係数の両方の特性を報告した。
【0304】
<フィルム機械的特性>
機械方向と横方向(それぞれMDとTD)の両方での引張試験は、ASTM D882(ASTM D882-10とASTM D882-12)に従って実施した。引張特性測定に使用した試験片の幅は1.0インチであった。延伸速度は、5%歪みまで1mm/分であり、その後、破断するまで速度を100mm/分に上げた。グリップ間隔は100mmであった。測定した機械的特性は、引張破断応力(MPaで報告)、降伏時の歪み(%)、降伏応力(MPa)、破断時の歪み(%)、破断応力(MPa)、E弾性率(MPa)である。
【0305】
<フィルム熱収縮率(%)>
フィルムの収縮率は、10×10cmのフィルム試験片を用いて大気中のオーブンに入れ、120℃で5分間測定した。加熱されたフィルムの機械方向及び横方向の長さを、元のフィルムと比較し、その相対的な減少を、収縮率として報告する。
(%)収縮率=Linitial-Lfinal)/Linitial
(式中、Linitial及びLfinalは、熱処理前の長さ及び熱処理後の長さである)。
【0306】
<フィルム厚さ>
延伸多層フィルムのフィルム厚さは、ASTM D6988-13に従って測定した。
【0307】
<ポリエチレン組成物の調製>
ポリエチレン組成物は、混合二重触媒系を用い、「直列(in-series)」二重反応器溶液重合プロセスで作製した。その結果、ポリエチレン組成物は、シングルサイト触媒で作製された第1のエチレンコポリマーと、マルチサイト触媒で作製された第2のエチレンコポリマーとを含んでいた。混合二重触媒を使用するものを含む「直列」二重反応器、液相重合プロセスは、米国特許出願公開第2018/0305531号に記載されている。基本的に、「直列」二重反応器システムでは、第1の重合反応器(R1)からの出口流は、第2の重合反応器(R2)に直接流れ込む。R1の圧力は約14MPa~約18MPaであり、R2は、R1からR2への連続的な流れを促進するためにより低い圧力で運転した。R1とR2は両方とも連続撹拌反応器(CSTR)であり、反応器の内容物が十分に混合される条件で撹拌した。このプロセスは、新鮮なプロセス溶媒、エチレン、1-オクテン、及び水素を反応器に供給し、生成物を除去することによって連続的に運転した。例1及び例2では、新鮮な1-オクテンが第1の反応器(R1)及び第2の反応器(R2)の両方に供給されることに留意されたい(実際、例1及び例2では、第1の反応器よりも多くの1-オクテンが第2の反応器に供給される)。メチルペンタンをプロセス溶媒(メチルペンタン異性体の市販ブレンド)として使用した。第1のCSTR反応器(R1)の体積は3.2ガロン(12L)、第2のCSTR反応器(R2)の体積は5.8ガロン(22L)であった。モノマー(エチレン)及びコモノマー(1-オクテン)は、反応器に添加する前に、従来の供給物調製システム(水、酸素、極性汚染物質などの不純物を除去するための様々な吸収媒体との接触など)を使用して、精製した。反応器供給物は、表1に示す比率で反応器にポンプで送られた。反応器内の平均滞留時間は、平均流量を反応器の体積で割ることによって計算され、主に、各反応器を流れる溶媒の量及び溶液プロセスを流れる溶媒の総量によって影響を受ける。
【0308】
第1の反応器(R1)では、以下のシングルサイト触媒成分を使用して、第1のエチレンコポリマーを調製した:ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチド[(2,7-tBuFlu)PhC(Cp)HfMe];メチルアルミノキサン(MMAO-07);トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレート(トリチルボレート)、及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール(BHEB)。メチルアルミノキサン(MMAO-07)と2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールをインラインで予備混合し、重合反応器(R1)に入る直前に、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフオレニル)ハフニウムジメチド及びトリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレートと組み合わせた。シングルサイト触媒配合物の効率は、触媒成分のモル比とR1触媒入口温度を調整することによって最適化した。
【0309】
以下のチーグラー・ナッタ(ZN)触媒成分を使用して、第2の反応器(R2)内で第2のエチレンコポリマーを調製した:ブチルエチルマグネシウム;ターシャリーブチルクロリド;四塩化チタン;ジエチルアルミニウムエトキシド;及びトリエチルアルミニウム。メチルペンタンを触媒成分溶媒として使用し、インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を以下のステップを使用して調製し、次いで第2の反応器(R2)に注入した。ステップ1では、トリエチルアルミニウムとブチルエチルマグネシウム(Mg:Al=20、モル:モル)の溶液をターシャリーブチルクロリドの溶液と混合し、約30秒間反応させて、MgCl担体を生成した。ステップ2では、四塩化チタンの溶液をステップ1で形成された混合物に加え、約14秒間反応させてから、第2の反応器(R2)に注入した。インライン式チーグラー・ナッタ触媒は、R2にジエチルアルミニウムエトキシドの溶液を注入することにより、反応器内で活性化された。反応器に添加した四塩化チタンの量を、表1に示す。インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物の効率は、触媒成分のモル比を調整することによって最適化した。
【0310】
連続溶液重合プロセスにおける重合は、触媒失活剤を第2の反応器出口流に添加することによって終了した。使用した触媒失活剤は、P&G Chemicals(米国オハイオ州シンシナティ)から市販されているオクタン酸(カプリル酸)であった。触媒失活剤は、添加される脂肪酸のモルが、重合プロセスに添加されるハフニウム、チタン、及びアルミニウムの総モル量の50%になるように添加され;明確にするために、添加されたオクタン酸のモル=0.5×(ハフニウムのモル+チタンのモル+アルミニウムのモル)であった。
【0311】
2段階の脱揮プロセスを用いて、プロセス溶媒からエチレンインターポリマー生成物を回収した。すなわち、2つの蒸気/液体分離器を使用して、第2のボトム流(第2のV/L分離器から)をギアポンプ/ペレタイザーの組合せに通過させた。協和化学工業株式会社(東京、日本)により供給されるDHT-4V(ハイドロタルサイト)を、連続溶液プロセスにおいて不動態化剤、又は酸捕捉剤として使用した。プロセス溶媒中のDHT-4Vのスラリーを、第1のV/L分離器の前に添加した。
【0312】
ペレット化する前に、二峰性ポリエチレン組成物の重量に基づいて、約500ppmのIRGANOX(登録商標)1076(一次酸化防止剤)及び約500ppmのIRGAFOS(登録商標)168(二次酸化防止剤)を添加することにより、二峰性ポリエチレン組成物を安定化させた。酸化防止剤をプロセス溶媒に溶解し、第1のV/L分離器と第2のV/L分離器との間に添加した。
【0313】
表1は、ポリエチレン組成物を作製するために使用した反応器条件(例1及び例2)を示している。表1には、反応器(R1とR2)間のエチレンスプリット及び1-オクテンスプリット、反応器温度、エチレン転化率などのプロセスパラメータが含まれている。表1に示したデータからわかるように、ポリエチレン組成物の作製に使用したいわゆる「オクテンスプリット」には、両方の反応器に供給される新鮮な1-オクテンが含まれ、より多くの1-オクテンが第2の反応器(R2)に供給された。例1及び例2では、第1の反応器(R1)の水素レベル及び温度は、約170,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する第1のエチレンコポリマーを生成するように最適化され、第2の反応器(R2)の水素レベル及び温度は、約50,000g/モル未満の重量平均分子量Mwを有する第2のエチレンコポリマーを生成するように最適化された。
【0314】
本開示である例1及び例2に従って生成されたポリエチレン組成物の特性を表2に示す。
【0315】
比較の目的で、共に係属中のカナダ特許出願第3,102,574号に記載されているように、チーグラー・ナッタ触媒を使用してエチレンと1-ブテンを共重合する溶液重合プロセスで作製したポリエチレン樹脂も、例3及び例4として、表2に含めている。
【0316】
【表1】
【0317】
【表2】
【0318】
<ポリエチレン組成物のモデリング>
多成分ポリエチレン組成物について、第1及び第2のエチレンコポリマーのM、M、及びM/Mを、実際のパイロットスケールの重合運転条件に採用された入力条件を使用して、反応器モデルシミュレーションにより、本明細書において計算した(表3に示す結果を参照)(関連する反応器モデリング方法の参考文献として、A.Hamielec,J.MacGregor,及びA.Penlidis著,「Copolymerization」,Comprehensive Polymer Science and Supplements,3巻,2章,17頁,Elsevier,(1996年)及び、J.B.P Soares及びA.E Hamielec著,「Copolymerization of Olefins in a Series of Continuous Stirred-Tank Slurry-Reactors using Heterogeneous Ziegler-Natta and Metallocene Catalysts I.General Dynamic Mathematical Model」,Polymer Reaction Engineering,4(2&3),153頁,(1996年)を参照)。
【0319】
このモデルは、各反応器に向かういくつかの反応種(例えば:触媒、エチレンなどのモノマー、1-オクテンなどのコモノマー、水素、溶媒)の流れ、(各反応器内の)温度、及び(各反応器内の)モノマーの転化率を入力し、直列に接続された連続撹拌タンク反応器(CSTR)の末端反応速度論モデルを用いて、(各反応器内で作製されたポリマーの、すなわち、第1及び第2のエチレンコポリマーの)ポリマー特性を計算する。この「末端反応速度モデル(terminal kinetic model)」は、反応速度が、活性触媒部位が位置するポリマー鎖内のモノマー単位に依存すると仮定としている(A.Hamielec,J.MacGregor,及びA.Penlidis著,「Copolymerization」,Comprehensive Polymer Science and Supplements,3巻,2章,17頁,Elsevier,(1996年)を参照)。このモデルでは、活性触媒中心でのモノマー/コモノマー単位の挿入の統計が有効であり、伝播以外の経路で消費されるモノマー/コモノマーが無視できることを保証するために、コポリマー鎖は適度に大きな分子量であると仮定される。これは「長鎖」近似として知られている。
【0320】
重合の末端反応速度論モデルには、活性化、開始、伝播、連鎖移動、及び非活性化経路の反応速度式が含まれている。このモデルは、上記で特定された反応種を含む反応性流体の定常状態の保存方程式(例えば、総物質収支と熱収支)を解く。
【0321】
所与の数の入口と出口を有する一般的な連続撹拌タンク反応器(CSTR)の総物質収支は、次式で与えられる:
【数8】

(式中、
は個々の流れ(stream)の質量流量を表し、インデックスiは入口流(inlet stream)と出口流(outlet stream)を示す)。
【0322】
式(1)をさらに展開して、個々の種と反応を示すことができる。
【数9】

(式中、Mは流体入口又は出口(i)の平均モル重量であり、xijは流れi中の種jの質量分率であり、ρmixは反応器混合物のモル密度であり、Vは反応器の容積であり、Rは種jの反応速度(単位はkmol/ms)である)。
【0323】
総熱収支は断熱反応器について解かれ、次式で与えられる:
【数10】

(式中、
は流れi(入口又は出口)の質量流量であり、ΔHは流れiの参照状態に対するエンタルピーの差であり、qRxは反応によって放出される熱であり、Vは反応器の容積であり、
は作業入力(すなわち,撹拌機)であり、
は熱の入力/損失である)。
【0324】
各反応器に入力される触媒濃度は、反応速度論モデルの方程式(例えば、伝播速度、熱収支、物質収支)を解くために、実験的に決定されたエチレン転化率と反応器温度の値に一致するように調整される。
【0325】
各反応器に入力されるH濃度は、両方の反応器で作製されたポリマーの計算された分子量分布(したがって、各反応器で作製されたポリマーの分子量)が、実験的に観察されたものと一致するように、同様に調整することができる。
【0326】
各反応器(R1及びR2)で作製される材料の重量分率(wt1及びwt2)は、各反応器へのモノマー及びコモノマーの質量流量を知ることと、速度論的反応に基づいて計算された各反応器でのモノマー及びコモノマーの転化率を知ることから決定される。
【0327】
重合反応の重合度(dp)は、連鎖移動/停止反応の速度に対する連鎖伝播反応の速度の比率で与えられる:
【数11】
【0328】
式中、kp11は、モノマー1が終端の成長ポリマー鎖にモノマー1を付加するための伝播速度定数であり、[m]は、反応器内のモノマー1(エチレン)のモル濃度であり、kp12は、モノマー1が終端の成長ポリマー鎖にモノマー2を付加するための伝播速度定数であり、kp21は、モノマー2が終端の成長ポリマー鎖にモノマー1を付加するための伝播速度定数であり、[m]は、反応器内のモノマー2(1-オクテン)のモル濃度であり、kp22は、モノマー2が終端の成長ポリマー鎖にモノマー2を付加するための伝播速度定数であり、ktm11は、モノマー1が終端の成長鎖の、モノマー1への連鎖移動の停止速度定数であり、ktm12は、モノマー1が終端の成長鎖の、モノマー2への連鎖移動の停止速度定数であり、ktm21は、モノマー2が終端の成長鎖の、モノマー1への連鎖移動の停止速度定数であり、ktm22は、モノマー2が終端の成長鎖の、モノマー2への連鎖移動の停止速度定数であり、ktS1は、モノマー1が終端の鎖の自発的な連鎖停止速度定数であり、ktS2は、モノマー2が終端の鎖の自発的な連鎖停止速度定数であり、ktH1は、モノマー1が終端の鎖の水素による連鎖停止の速度定数であり、ktH2は、モノマー2が終端の鎖の水素による連鎖停止の速度定数である。φ及びφは、それぞれモノマー1又はモノマー2で終端する鎖が占める触媒サイトの分率である)。
【0329】
ポリマーの数平均分子量(M)は、重合度とモノマー単位の分子量から求められる。所与の反応器におけるポリマーの数平均分子量から、シングルサイト触媒のFlory-Schultz分布を仮定し、次の関係式を用いてポリマーの分子量分布が決定される。
【数12】

ここで、nはポリマー鎖中のモノマー単位の数であり、w(n)は鎖長nを有するポリマー鎖の重量分率であり、τは次の式を用いて計算される:
【数13】

(式中、dpは重合度であり、Rは伝播速度であり、Rは停止速度である)。
【0330】
Flory-Schultz分布は、以下を適用することにより、一般的な対数スケールのGPCトレースに変換できる:
【数14】

(式中、dW/dlog(MW)は、鎖長n(n=MW/28、ここで28はC単位に対応するポリマーセグメントの分子量)を有するポリマーの示差重量分率であり、dpは重合度である)。
【0331】
Flory-Schultzモデルを仮定すると、分子量分布の異なるモーメントは、以下のように計算することができる:
【数15】

したがって、
μ=1、
μ=dp、及び
μ=2dp
このようにして、
【数16】

【数17】

(式中、Mwモノマーは、モノマーのC単位に対応するポリマーセグメントの分子量である)。
【0332】
あるいは、チーグラー・ナッタ触媒を使用する場合、チーグラー・ナッタ触媒によって所与の反応器で作製されたポリマーの分子量分布は、上記のようにモデル化することができるが、4つのそのようなシングルサイト触媒部位(sites)の合計を用いて、それぞれがFlory-Schultz分布を有していると仮定される。チーグラー・ナッタ触媒のプロセスモデルの反応速度(kinetics)を考慮する場合、反応器に供給されるチーグラー・ナッタ触媒成分の総量が既知であり、モデル化された4つの活性触媒部位(sites)のそれぞれに同じ重量分率があると仮定されるが、各部位は独自の反応速度(kinetics)を有する。
【0333】
最後に、シングルサイト触媒で長鎖分岐が生じる場合、以下の関係を用いてポリマーの分子量分布が決定される(J.B.P Soares著,「Polyolefins with Long Chain Branches Made with Single-Site Coordination Catalysts: A Review of Mathematical Modeling Techniques for Polymer Microstructure」,Macromolecular Materials and Engineering,289巻,1号,70-87頁,Wiley-VCH,(2004年)、並びにJ.B.P Soares及びT.F.L.McKenna著,「Polyolefin Reaction Engineering」,Wiley-VCH,(2012年)を参照)。
【数18】

(式中、nはポリマー鎖中のモノマー単位の数であり、w(n)は鎖長nを有するポリマー鎖の重量分率であり、τ及びαは、以下の式を用いて計算される):
【数19】

【数20】

(式中、dp は重合度であり、Rは伝播速度であり、Rは停止速度であり、RLCBは、以下の式を用いて計算される長鎖分岐形成の速度である):
【数21】

(式中、kp13は、モノマー1が終端の成長ポリマー鎖にモノマー3(反応器内で生成するマクロモノマー)を付加するための伝播速度定数であり、[m]は、反応器内のマクロモノマーのモル濃度である)。
【0334】
重量分布は、以下を適用することにより、一般的な対数スケールのGPCトレースに変換できる:
【数22】

(式中、dW/dlog(MW)は、鎖長n(n=MW/28、ここで28はC単位に対応するポリマーセグメントの分子量)を有するポリマーの示差重量分率である)。
【0335】
重量分布から、分子量分布の異なるモーメントは、以下のように計算することができる。
【数23】

【数24】

【数25】

(式中、dp は重合度であり、αは上記のように計算される)。
【0336】
<分岐頻度>
第2のエチレンコポリマーの短鎖分岐頻度(SCB2/1000炭素)は、速度論的方程式とコモノマー消費量に基づいて以下の式を用いて計算される:
【数26】

(式中、RBFは、以下の式を用いて計算される短鎖分岐形成の速度である)。
【数27】
【0337】
第1のエチレンコポリマーの短鎖分岐頻度は、以下の式を用いて推定される:
【数28】

(式中、SCB、SCB及びSCBは、それぞれ、第1のエチレンコポリマーの炭素1000個あたりの短鎖分岐、第2のエチレンコポリマーの炭素1000個あたりの短鎖分岐(上記で決定)、及びポリエチレン組成物について実験的に決定された全体の短鎖分岐頻度(すなわちFTIR分析によって決定)であり、式中、w及びwは、第1のエチレンコポリマー成分及び第2のエチレンコポリマー成分のそれぞれの重量分率を表す)。
【0338】
<メルトインデックス(I)>
メルトインデックスIは、以下の式に基づいて計算される:
【数29】
【0339】
<密度>
R2で作製した第2のエチレンコポリマーの密度は、以下の式を用い、第2のエチレンコポリマーの推定SCB2、Mn及びMを入力として用いて計算する:
【数30】
【0340】
R1で作製した第1のエチレンコポリマーの密度は、以下の式を用いて推定される:
【数31】

(式中、ρ、ρ及びρは、それぞれ、第1のエチレンコポリマーの密度、第2のエチレンコポリマーの密度(上記のように求めた)、及び実験的に決定されたポリエチレン組成物の全体の密度(すなわち、ASTM D792-13に従って決定)であり、式中、w及びwは、第1のエチレンコポリマー成分及び第2のエチレンコポリマー成分のそれぞれの重量分率を表す)。
【0341】
【表3】
【0342】
図1は、本開示のポリエチレン組成物(例1及び例2)が二峰性GPCプロファイルを有することを示す。
【0343】
図2は、本開示のポリエチレン組成物(例1及び例2)が二峰性GPCプロファイルを有し、分子量が増加するにつれて比較的一定又はわずかに増加するコモノマー量を有することを示している(短鎖分岐含有量、SCB/1000骨格炭素原子によって示される)。
【0344】
図3は、本開示のポリエチレン組成物(例1及び例2)が、CTREF分析において、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有することを示している。実際、例1及び例2では、CTREFプロファイルは、1つ又は2つのピークを有する大きな溶出画分が溶出プロファイルを支配し、50重量%を超えるポリマー材料が90℃~98℃の温度で溶出することを示している。例1及び例2について観察された異なるCTREFプロファイルは、GPC-FTIR分析で観察されたように、これらのポリエチレン組成物について観察された比較的平坦な(又は均一な)コモノマー分布と一致している。
【0345】
図4に示すように、本開示に従って作製したポリエチレン組成物(例1及び例2)は、約130℃未満の融点温度を有する。理論に束縛されることを望むものではないが、ポリマーの融点が低いことは、BOPEフィルム構造体を作製する二軸延伸プロセス中に有用である可能性がある;融点が低いことは、ポリエチレン組成物中により多くの非晶質材料が存在することを示し、これは、延伸プロセス中(すなわち、MD及び/又はTD配向中)に早期にシート又はフィルム(ポリマー組成物から作製される)を軟化させるのに役立つ可能性があり、これにより、延伸プロセス条件の範囲を改善する。
【0346】
図5は、本開示に従って作製したポリエチレン組成物(例1及び例2)が、良好な見かけのせん断粘度を有し、良好なせん断減粘挙動(例えば、見かけのせん断粘度が、せん断速度又は変形速度の増加に伴って減少する)を有することを示している。理論に束縛されることを望むものではないが、良好なせん断減粘挙動により、テンターフレームプロセスにおいてBOPEフィルムを作製する押出プロセス中に、高い生産速度を得ることができる。
【0347】
<A.未延伸フィルム(又は「ベース構造体」)の調製>
多層(3層)シートは、二軸スクリュー押出機と一軸スクリュー押出機の組合せを用いて、フレキシブルリップ(調整可能なギャップ)を備えた17.2インチのスロット又はフラットダイを通して共押出される。溶融ストリームは、ダイの入口付近で結合される。ダイから押し出された多層ウェブは、エアナイフとエッジピンナーを用いてキャスティングロール又は冷却ロールに固定され、冷却ロール上で急冷される。一次冷却ロール温度は70℃に設定した。便宜上、この未延伸の多層シートを、本明細書では「ベース構造(体)」と呼ぶことがある。3つの層のそれぞれで使用されるポリマーの重量は、A/B/Cの形式で示される。例えば、フィルム構造体に使用されるポリマー全体の18重量%をそれぞれの層が含む2つの外側層(又はスキン層)と、フィルム構造体に使用されるポリマー全体の64重量%を含むコア層とを有するベース構造は、18/64/18構造体と記述される。
【0348】
例1及び例2、並びに例3及び例4を使用して、3層ベースフィルム構造を調製した。すなわち、上述の手順を用いて、A層、B層、及びC層のそれぞれに例1、例2、例3、又は例4のポリエチレン組成物を使用し、18/64/18フィルム構造を作製した。
【0349】
これらのベース多層フィルム構造のそれぞれから、以下のパートBに記載の手順を用いて、二軸配向ポリエチレン(BOPE)フィルムを調製した。
【0350】
<B.BOPEフィルムの調製-逐次延伸>
テンターフレーム二軸延伸ラインでの逐次延伸プロセスを使用して、BOPEフィルム構造体を作製した。まず、機械方向の延伸/配向を行った。次いで、「配向」シートを横方向に延伸した。
【0351】
機械方向配向(MDO:Machine direction orientation)は、最大265°Fの温度及び最大約6:1の延伸比で、単段又は多段のショートギャップ延伸プロセスのいずれかを用いて行った。横方向配向(TDO:transverse direction orientation)は、複数のゾーン(予熱ゾーン、延伸ゾーン、アニーリングゾーン、及び最後に1つの冷却ゾーン)で行った。TDO延伸ゾーンの温度は最大280°F、延伸比は最大約9:1であった。
【0352】
MDOは、ベースフィルムを予備加熱し、異なる速度で回転している加熱ローラーのセット又はスタックの間でシートを延伸することによって実現される。ロールの速度の違いが、延伸比を決定する。延伸は、1組の延伸ロールで行うことも、一連の延伸ロールの上で行うこともできる。延伸は、一般に、フィルムの結晶融解温度(Tm)より低い温度で行われる。次いで、MDOフィルムは、レールに取り付けられたチェーン上のクリップを用いてテンターフレームオーブン内に供給され、予備加熱される。レールが互いに離れるにつれてフィルムのエッジが引っ張られてフィルムが延伸され、その結果、フィルムが横方向に延伸される。フィルムの幅はレール間の距離によって設定され、所望の延伸比を達成するように調整することができる。TDOは一般に、MDOと同等の温度か、わずかに高い温度で行われる。フィルムは、TDOユニットから出るときに、アニールし又は弛緩させることができる。TDOの後、フィルムを冷却して巻き取ることができる。テンターフレームプロセスで使用される一般的なプロセス条件の概要を表3に示す。
【0353】
【表4】
【0354】
例1~例4のポリエチレン組成物から作製した二軸配向多層フィルム構造体の選択された特性を、表4に示す。表4に示すように、二軸配向ポリエチレン(BOPE)フィルム構造体を、例1及び例2、並びに例3及び例4の18/64/18基本構造体から、様々なMD及びTD延伸比で調製した。
【0355】
【表5】
【0356】
表4のデータが示すように、ポリエチレン組成物(例1~例4)のそれぞれは、逐次テンターフレームプロセスを用いて、BOPEフィルム構造体に延伸することに成功した。しかし、例3及び例4と同様の密度、及びメルトインデックスIを有する例1及び例2のポリエチレン組成物は、BOPEフィルム構造体に変換した場合に、優れた光学特性を有していた。例2のポリエチレン組成物を用いて、BOPEフィルム構造体を作製した場合、ヘイズ値がすべて約10%未満であったのに対し、例1を用いた場合、ヘイズ値がすべて約20%未満であった。対照的に、例3及び例4を用いて、BOPEフィルム構造体を作製した場合、それぞれ60%及び30%を超えるヘイズ値を示した。例1及び例2は、例3及び例4と比較して、BOPEフィルム構造体において優れた透明性も示した。表4に示すデータを考慮すると、当業者は、本開示に従って作製されたポリエチレン組成物が、二軸配向、テンターフレームプロセスでの使用に適した、0.940g/cm以上の密度を有する、追加的かつ代替的なポリエチレン材料を提供することを、認識するであろう。本開示に従って作製されたポリエチレン組成物は、改善された光学特性を有し、本質的に高いリサイクル性を有する「オール・ポリエチレン」BOPEフィルム又はフィルム構造体の製造に使用できる可能性を有する。
【0357】
本開示の非限定的な実施形態には、以下のものが含まれる:
【0358】
実施形態A. 少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0359】
実施形態B. ポリエチレン組成物が、共重合エチレン及び1-オクテンを含む、実施形態Aに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0360】
実施形態C. ポリエチレン組成物が、3.5~6.5の分子量分布Mw/Mnを有する、実施形態A又はBに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0361】
実施形態D. ポリエチレン組成物が、250,000g/モル以上のZ平均分子量Mzを有する、実施形態A、B、又はCに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0362】
実施形態E. ポリエチレン組成物が、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50を有する、実施形態A、B、C、又はDに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0363】
実施形態F. ポリエチレン組成物が、65重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50を有する、実施形態A、B、C又はDに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0364】
実施形態G. ポリエチレン組成物は、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有する、実施形態A、B、C、D、E又はFに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0365】
実施形態H. ポリエチレン組成物が、0.0050を超える長鎖分岐係数LCBFを有する、実施形態A、B、C、D、E又はFに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0366】
実施形態I. ポリエチレン組成物が、0.0100を超える長鎖分岐係数LCBFを有する、実施形態A、B、C、D、E又はFに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0367】
実施形態J. ポリエチレン組成物が、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mwを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H又はIに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0368】
実施形態K. ポリエチレン組成物が、35以上のメルトフロー比I21/Iを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I又はJに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0369】
実施形態L. 温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物が、90℃~98℃の温度で溶出する材料を50重量%を超えて有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J又はKに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0370】
実施形態M. 温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物が、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K又はLに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0371】
実施形態N. ポリエチレン組成物が、0.942g/cm~0.954g/cmの密度を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L又はMに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0372】
実施形態O. ポリエチレン組成物が、0.5~2.5g/10分のメルトインデックスIを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、又はNに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0373】
実施形態P. ポリエチレン組成物が、45以上のメルトフロー比I21/Iを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N又はOに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0374】
実施形態Q. ポリエチレン組成物が、35~100のメルトフロー比I21/Iを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N又はOに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0375】
実施形態R. ポリエチレン組成物が、2.5~4.5のZ平均分子量分布Mz/Mwを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P又はQに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0376】
実施形態S. ポリエチレン組成物が、2.8を超えるZ平均分子量分布Mz/Mwを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q又はRに記載のポリエチレン組成物。
【0377】
実施形態T. ポリエチレン組成物が、250,000~500,000g/モルのZ平均分子量を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R又はSに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0378】
実施形態U. 第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)が、0.8~3.0である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S又はTに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0379】
実施形態V. 第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)が、1.0~3.0である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S又はTに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0380】
実施形態W. 第2のエチレンコポリマーが、第1のエチレンコポリマーよりも高い密度を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U又はVに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0381】
実施形態X. 第1のエチレンコポリマーが、170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V又はWに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0382】
実施形態Y. 第1のエチレンコポリマーが、0.5g/10分未満のメルトインデックスIを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W又はXに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0383】
実施形態Z. 第2のエチレンコポリマーが、10.0g/10分を超えるメルトインデックスIを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X又はYに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0384】
実施形態AA. 第1のエチレンコポリマーが、炭素原子1000個あたり7.5未満の短鎖分岐(SCB1/1000C)を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y又はZに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0385】
実施形態BB. 第2のエチレンコポリマーが、炭素原子1000個あたり3.0未満の短鎖分岐(SCB2/1000C)を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z又はAAに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0386】
実施形態CC. 第1のエチレンコポリマーが、1.7~2.3の分子量分布Mw/Mnを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA又はBBに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0387】
実施形態DD. 第2のエチレンコポリマーが、2.3以上の分子量分布Mw/Mnを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB又はCCに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0388】
実施形態EE. 第1のエチレンコポリマーが、0.930~0.955g/cmの密度を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC又はDDに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0389】
実施形態FF. 第2のエチレンコポリマーが、0.935~0.960g/cmの密度を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD又はEEに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0390】
実施形態GG. 少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれ、
A)少なくとも75重量%のポリエチレン組成物と、
B)LLDPE、VLDPE、MDPE、HDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される25重量%以下のポリマーと
を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0391】
実施形態HH. 3つの隣接する層がそれぞれ、
A)少なくとも95重量%のポリエチレン組成物と、
B)LLDPE、VLDPE、MDPE、HDPE及びそれらの混合物からなる群から選択される5重量%以下のポリマーと
を含む、実施形態GGに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0392】
実施形態II. 二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
コア層と、
コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、
コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と
を含み、
コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0393】
実施形態JJ. コア層が、二軸配向フィルム構造体の総重量の少なくとも60重量%を構成する、実施形態IIに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0394】
実施形態KK. 二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、
プロセスは、
(a)ポリエチレン組成物を、少なくとも3つの隣接する層を含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、
(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から10:1の延伸比まで延伸する工程と、
(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と
を含み、
(a)及び(b)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施され、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する、プロセス。
【0395】
実施形態LL.
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体を調製するプロセスであって、
プロセスは、
(a)少なくとも75重量%のポリエチレン組成物を含むポリマーブレンドを、少なくとも3つの隣接する層を含むベースフィルム構造体に共押出しする工程と、
(b)ベースフィルム構造体を、機械方向に3:1から10:1の延伸比まで延伸する工程と、
(c)ベースフィルム構造体を、横方向に3:1から12:1の延伸比まで延伸する工程と
を含み、
(b)及び(c)は、任意の順序で実施されるか、又は同時に実施され、
ポリエチレン組成物は、
(i)15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有し、
ポリマーブレンドの残りの重量は、LLDPE、VLDPE、MDPE、HDPE及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーである、プロセス。
【0396】
実施形態MM. 少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、重合エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択されるアルファオレフィンとを含み、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有し、
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体は、20%未満のヘイズ値を有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0397】
実施形態NN. ポリエチレン組成物が、重合エチレン及び1-オクテンを含む、実施形態MMに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0398】
実施形態OO. 二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
コア層と、
コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、
コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と
を含み、
コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、重合エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択されるアルファオレフィンとを含み、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有し、
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体は、20%未満のヘイズ値を有する、
二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0399】
実施形態PP. ポリエチレン組成物が、重合エチレン及び1-オクテンを含む、実施形態OOに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0400】
実施形態QQ. コア層が、二軸配向フィルム構造体の総重量の少なくとも60重量%を構成する、実施形態OO、又はPPに記載の二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0401】
実施形態RR. 少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
少なくとも1つの層はポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0402】
実施形態SS. 少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
各層はポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0403】
実施形態TT. 少なくとも3つの層を含む二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
3つの隣接する層はそれぞれポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【0404】
実施形態UU. 二軸配向ポリエチレンフィルム構造体であって、
コア層と、
コア層の第1の側に隣接する第1のスキン層と、
コア層の第2の側に隣接する第2のスキン層と
を含み、
コア層、第1のスキン層、及び第2のスキン層の各層は、ポリエチレン組成物を含み、
ポリエチレン組成物は、
(i)170,000g/モル~470,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する15~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)85~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.8~3.5であり、
ポリエチレン組成物は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、35以上のメルトフロー比I21/I、2.5以上のZ平均分子量分布Mz/Mw、50重量%を超えるコモノマー分布幅指数CDBI50、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBFを有し、
温度上昇溶出分別(CTREF)分析において、ポリエチレン組成物は、90℃を超える温度で溶出する材料を70重量%を超えて有する、二軸配向ポリエチレンフィルム構造体。
【産業上の利用可能性】
【0405】
少なくとも3層を含む二軸配向ポリエチレン(BOPE)フィルム構造体が提供される。少なくとも1つの層は、0.941~0.962g/cmの密度、0.5~5.0g/10分のメルトインデックスI、3.0~8.0の分子量分布Mw/Mnを有するポリエチレン組成物を含む。BOPEフィルムは、多種多様な包装用途に適しており、リサイクル性に優れた「オール・ポリエチレン」パッケージを設計できる可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】