(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】ウラン系蛍光体並びにディスプレイ及び照明用途のための組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 11/70 20060101AFI20240412BHJP
C09K 11/69 20060101ALI20240412BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20240412BHJP
C09K 11/59 20060101ALI20240412BHJP
C09K 11/80 20060101ALI20240412BHJP
C09K 11/64 20060101ALI20240412BHJP
C09K 11/62 20060101ALI20240412BHJP
C09K 11/56 20060101ALI20240412BHJP
C09K 11/61 20060101ALI20240412BHJP
C09K 11/67 20060101ALI20240412BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240412BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240412BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240412BHJP
F21V 9/30 20180101ALN20240412BHJP
【FI】
C09K11/70
C09K11/69
C09K11/08 J
C09K11/59
C09K11/80
C09K11/64
C09K11/62
C09K11/56
C09K11/61
C09K11/67
G02B5/20
G02B5/20 101
H01L33/50
G02F1/13357
F21V9/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562814
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 US2022024577
(87)【国際公開番号】W WO2022221385
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/027105
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】カマルデロ, サミュエル ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】バッツ, マシュー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】セトラー, アナン エー.
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー, ジェイムス イー.
【テーマコード(参考)】
2H148
2H391
4H001
5F142
【Fターム(参考)】
2H148AA03
2H148AA07
2H148AA11
2H148BE01
2H391AA01
2H391AB04
2H391AB06
2H391AB07
2H391AB08
2H391AB34
2H391BA12
2H391BA25
4H001CA02
4H001CA07
4H001XA08
4H001XA12
4H001XA14
4H001XA15
4H001XA20
4H001XA23
4H001XA30
4H001XA38
4H001XA56
4H001XA89
4H001YA63
5F142BA14
5F142BA24
5F142CA02
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG06
5F142CG43
5F142DA02
5F142DA12
5F142DA13
5F142DA14
5F142DA43
5F142DA44
5F142DA45
5F142DA46
5F142DA48
5F142DA53
5F142DA72
5F142DA73
5F142GA01
5F142GA11
5F142GA21
(57)【要約】
蛍光体組成物は、式I又はIIを有する活性化ウラン系蛍光体を含む。蛍光体はEu
3+をドープしており、
[Ba
1-a-bSr
aCa
b]
x[Mg,Zn]
y(UO
2)
z([P,V]O
4)
2(x+y+z)/3 (I)
[Ba
1-a-bSr
aCa
b]
p(UO
2)
q[P,V]
rO
(2p+2q+5r)/2 (II)
式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5であり、式IIは、aが0であり、bが0であり、pが3.5であり、qが1.75であり、rが3.5である組合せを除外する。式VI、又は量子ドットなどの他の発光材料を更に含む蛍光体組成物、デバイス及びディスプレイも提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I又はIIを有する活性化ウラン系蛍光体を含む蛍光体組成物であって、
[Ba
1-a-bSr
aCa
b]
x[Mg,Zn]
y(UO
2)
z([P,V]O
4)
2(x+y+z)/3 (I)
[Ba
1-a-bSr
aCa
b]
p(UO
2)
q[P,V]
rO
(2p+2q+5r)/2 (II)、
前記蛍光体は、Eu
3+をドープしており、
式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5であり、但し、式IIは、aが0であり、bが0であり、pが3.5であり、qが1.75であり、rが3.5である組合せを除外する、蛍光体組成物。
【請求項2】
前記蛍光体が、Ba
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7、BaZnUO
2(PO
4)
2、BaMgUO
2(PO
4)
2からなる群から選択される、請求項1に記載の蛍光体組成物。
【請求項3】
前記蛍光体が、約0.1μm~約15μmのD50粒径を有する、請求項1に記載の蛍光体組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの他の発光材料を更に含む、請求項1に記載の蛍光体組成物。
【請求項5】
[Ba,Sr,Ca]
2SiO
4:Eu
2+、[Y,Gd,Lu,Tb]
3[Al,Ga]
5O
12:Ce
3+、β-SiAlON:Eu
2+、[Sr,Ca,Ba][Ga,Al]
2S
4:Eu
2+、[Li,Ca]α-SiAlON:Eu
2+、[Ba,Sr,Ca]
2Si
5N
8:Eu
2+、[Ca,Sr]AlSiN
3:Eu
2+、[Ba,Sr,Ca]LiAl
3N
4:Eu
2+、[Sr,Ca,Mg]S:Eu
2+、燐光性染料、カラーフィルタ顔料、ポリフルオレン、金属酸化物ナノ粒子又は量子ドット材料を含む少なくとも1つの他の発光性蛍光体材料を更に含む、請求項1に記載の蛍光体組成物。
【請求項6】
前記量子ドット材料がペロブスカイト量子ドットを含む、請求項5に記載の蛍光体組成物。
【請求項7】
式VIを有する赤色蛍光体であって、
A
x(MF
y):Mn
4+ VI
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mは、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xは、MF
yイオンの電荷の絶対値であり、yは、5、6又は7である、赤色蛍光体を更に含む、請求項1に記載の蛍光体組成物。
【請求項8】
前記赤色蛍光体が、
K
2(TiF
6):Mn
4+、K
2(SnF
6):Mn
4+、Cs
2(TiF
6):Mn
4+、Rb
2(TiF
6):Mn
4+、Cs
2(SiF
6):Mn
4+、Rb
2(SiF
6):Mn
4+、Na
2(SiF
6):Mn
4+、Na
2(TiF
6):Mn
4+、Na
2(ZrF
6):Mn
4+、K
3(ZrF
7):Mn
4+、K
3(BiF7):Mn
4+、K
3(YF
7):Mn
4+、K
3(LaF
7):Mn
4+、K
3(GdF
7):Mn
4+、K
3(NbF
7):Mn
4+又はK
3(TaF
7):Mn
4+を含む、請求項7に記載の蛍光体組成物。
【請求項9】
前記赤色蛍光体が、K
2SiF
6:Mn
4+である、請求項7に記載の蛍光体組成物。
【請求項10】
前記赤色蛍光体が、金属フッ化物又はシリカを含む表面コーティングで少なくとも部分的にコーティングされている、請求項7に記載の蛍光体組成物。
【請求項11】
前記金属フッ化物が、MgF
2、CaF2、SrF
2、BaF
2、AgF、ZnF
2、AlF
3、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載のインク組成物。
【請求項12】
前記活性化ウラン系蛍光体が、Ba
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7、BaZnUO
2(PO
4)
2、BaMgUO
2(PO
4)
2からなる群から選択される、請求項7に記載の蛍光体組成物。
【請求項13】
前記活性化ウラン系蛍光体及び前記赤色蛍光体が、約0.1μm~約15μmのD50粒径を有する、請求項7に記載の蛍光体組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの他の発光材料を更に含む、請求項7に記載の蛍光体組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの他の発光性蛍光体材料が、[Ba,Sr,Ca]
2SiO
4:Eu
2+、[Y,Gd,Lu,Tb]
3[Al,Ga]
5O
12:Ce
3+、β-SiAlON:Eu
2+、[Sr,Ca,Ba][Ga,Al]
2S
4:Eu
2+、[Li,Ca]α-SiAlON:Eu
2+、[Ba,Sr,Ca]
2Si
5N
8:Eu
2+、[Ca,Sr]AlSiN
3:Eu
2+、[Ba,Sr,Ca]LiAl
3N
4:Eu
2+、[Sr,Ca,Mg]S:Eu
2+、燐光性染料、カラーフィルタ顔料、ポリフルオレン、金属酸化物ナノ粒子又は量子ドット材料を含み、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mは、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せである、請求項7に記載の蛍光体組成物。
【請求項16】
前記量子ドット材料がペロブスカイト量子ドットを含む、請求項13に記載の蛍光体組成物。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の蛍光体組成物に放射的及び/又は光学的に結合されたLED光源を含む、デバイス。
【請求項18】
前記LED光源が、ミニLED又はマイクロLEDである、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記LED光源が、青色光又はUV光を放射する、請求項17に記載のデバイス。
【請求項20】
前記LED光源が、前記蛍光体組成物が堆積されたLEDチップを含む、請求項17に記載のデバイス。
【請求項21】
前記蛍光体組成物が、インク又はスラリー組成物の形態で前記LEDチップ上に堆積されている、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記蛍光体組成物がフィルムの形態である、請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
前記フィルムが、単層又は多層構造である、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記蛍光体組成物が量子ドット材料を更に含み、前記フィルムが多層構造であり、前記多層構造の各層が少なくとも1つの蛍光体又は量子ドット材料を含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記蛍光体組成物がフィルムの形態であり、前記LED光源から離れて配置されている、請求項17に記載のデバイス。
【請求項26】
請求項17に記載のデバイスを備える、照明装置。
【請求項27】
請求項17に記載のデバイスを備える、バックライト装置。
【請求項28】
請求項27に記載のバックライト装置を備える、テレビ。
【請求項29】
請求項27に記載のバックライト装置を備える、携帯電話。
【請求項30】
請求項27に記載のバックライト装置を備える、コンピュータモニタ。
【請求項31】
請求項27に記載のバックライト装置を備える、ラップトップ。
【請求項32】
請求項27に記載のバックライト装置を備える、タブレットコンピュータ。
【請求項33】
請求項27に記載のバックライト装置を備える、自動車用ディスプレイ。
【請求項34】
請求項17に記載のデバイスを備える、園芸照明装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は非仮出願であり、2021年4月13日に出願された国際出願第PCT/US2021/027105号に対する優先権の利益を主張し、2021年10月8日に出願された「Uranium-based Phosphors and Compositions for Displays and Lighting Applications」と題する米国仮出願第63/254,021号に対する優先権の利益を主張し、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明の分野は、一般に、蛍光体材料及びデバイスに関し、より詳細には、ディスプレイ用途及び照明用途に有用なウラン系蛍光体材料に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的な照明は、可視放射に対する人間の眼の感度及び太陽スペクトルに基づく。眼の感度の影響は、総ルーメン出力に関連し、一方、日射の全スペクトルとの一致は、演色評価数(CRI)をもたらす。従来の一般照明としては、白熱照明及び蛍光照明が挙げられる。LED照明は、従来の一般照明と比較して、効率が向上し、電気使用を40%削減し、平均寿命が延びている。LED照明は、約380nm~約750nmの可視波長にわたってほぼ連続的な範囲をカバーすることができ、一般的な照明用途及びディスプレイ用途に使用することができる。LED照明の同調性を使用して、使用される所望の特性及び蛍光体の組合せに基づいて、全スペクトル(高CRI)及び高効率(ルーメン/ワット)照明の両方を作り出すことができる。LED照明はまた、1日を通して微妙に色を変化させる人間中心の照明、及び植物生長などの用途のための特殊照明を有する能力を生み出す。
【0004】
白色光は、近紫外(UV)又は青色発光LEDを、無機蛍光体、又は赤色発光蛍光体と緑色又は黄緑色発光蛍光体などの無機蛍光体のブレンドと組み合わせて使用することによって生成することができる。蛍光体及びLEDチップからの総発光は、対応する色座標(1931 CIE色度図のx及びy)及び相関色温度(CCT)を有する色点を提供し、そのスペクトル分布は、100のスケールに基づく演色評価数(CRI)によって測定される演色能力を提供する。有効性は、より高い量が好ましい使用電力当たりの発光量(ルーメン/ワット)の測定である。Mn4+によって活性化された錯フッ化物材料に基づく狭帯域赤色発光蛍光体は、米国特許第7,358,542号、同第7,497,973号、同第7,648,649号に記載されている。これらの錯フッ化物は、セリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネットY3Al5O12:Ce3+(YAG)又は他のガーネット組成物などの黄緑色発光蛍光体と組み合わせて利用して、青色LEDから高い効果で温白色光(黒体軌跡でのCCT<5000K、演色評価数(CRI>80))を達成することができる。蛍光体材料からの様々な発光による高効率も望ましい。
【0005】
現在のディスプレイデバイス技術は、産業及び住宅用途に最も広く使用されているフラットパネルディスプレイの1つである液晶ディスプレイ(LCD)に依存している。次世代デバイスは、低エネルギー消費、小型サイズ、及び高輝度を有し、より広い色域カバレッジを必要とする。次世代デバイスには、ミニLED又はマイクロLEDなどのより小型のLEDが必要とされる。ミニLEDのサイズは100μm~0.7mm程度である。マイクロLEDの場合、ディスプレイは自発光性であってもよく、又は100μm未満の個々のLEDで配列された小型バックライトを含んでもよい。これらの次世代マイクロLEDディスプレイが自発光性であり、色変換層を必要とする場合、高い吸収係数を有する蛍光体材料の非常に薄い層又はフィルムが必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、蛍光体組成物は、式I又はIIを有する活性化ウラン系蛍光体を含む。蛍光体はEu3+をドープしており、
[Ba1-a-bSraCab]x[Mg,Zn]y(UO2)z([P,V]O4)2(x+y+z)/3 (I)
[Ba1-a-bSraCab]p(UO2)q[P,V]rO(2p+2q+5r)/2 (II)
式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5であり、式IIは、aが0であり、bが0であり、pが3.5であり、qが1.75であり、rが3.5である組合せを除外する。
【0007】
別の態様では、蛍光体組成物は、式VIを有する赤色蛍光体を含み、
Ax(MFy):Mn4+ VI
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mは、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xは、MFyイオンの電荷の絶対値であり、yは、5、6又は7である。
【0008】
一実施形態では、蛍光体組成物は、追加の蛍光体、燐光性染料、カラーフィルタ顔料、ポリフルオレン、金属酸化物ナノ粒子及び量子ドット材料などの他の発光材料を含んでもよい。別の実施形態では、蛍光体組成物は散乱粒子も含むことができる。
【0009】
別の実施形態では、デバイスが提供される。デバイスは、活性化ウラン系蛍光体を含む蛍光体組成物に放射的に接続及び/又は光学的に結合されたLED光源を含む。一実施形態では、蛍光体は式Iを有し、Eu3+をドープする。別の実施形態では、蛍光体は式IIを有し、Eu3+をドープする。式IIは、aが0であり、bが0であり、pが3.5であり、qが1.75であり、rが3.5である組合せを除外する。
【0010】
別の態様は、上記デバイスを備える照明装置である。更に別の態様は、上記デバイスを備えるバックライト装置である。他の態様では、ディスプレイ用途は、提供されるデバイスを含む。別の実施形態では、園芸照明のためのデバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態による、デバイスの模式化した断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、照明装置の模式化した断面図である。
【
図3】本開示の別の実施形態による、照明装置の模式化した断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、照明装置の一部が切り取られた側面斜視図である。
【
図5】本開示の一実施形態による、表面実装型デバイス(SMD)の模式化した斜視図である。
【
図6A】Ba
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7の発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
【
図6B】Eu
3+をドープしたBa
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7の発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
【
図7A】BaZnUO
2(PO
4)
2の発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
【
図7B】Eu
3+をドープしたBaZnUO
2(PO
4)
2の発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
【
図8】Eu
3+をドープしたBaZnUO
2(PO
4)
2の発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、以下の意味を有すると定義されるいくつかの用語が参照される。
【0013】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「この(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含む。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲を通して本明細書で使用される近似を表す文言は、関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく許容範囲で変化し得る任意の定量的表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約(about)」、「実質的に(substantially)」、及び「およそ(approximately)」などの用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、並びに明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組合せ及び/又は置き換えが可能であり、文脈又は文言が特に指示しない限り、そのような範囲は識別され、それに含まれる全ての部分範囲を含む。全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(contains)」、「含む(containing)」、「によって特徴付けられる(characterized by)」、又はそれらの任意の他の変形は、明示的に示された任意の制限を条件として、非排他的な包含を網羅することを意図している。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス又は方法は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていない他の要素又はそのような組成物、混合物、プロセス若しくは方法に固有の要素を含み得る。
【0016】
「からなる(consisting of)」という移行句は、指定されていない要素、工程、又は成分を除外する。特許請求の範囲に記載されている場合、通常それに関連する不純物を除いて、列挙されたもの以外の材料を特許請求の範囲に含めることはできなくなる。「からなる(consisting of)」という語句が、前文の直後ではなく、請求項の本文の条文に現れる場合、その条文に記載された要素のみを限定するものであり、他の要素は、全体として請求項から除外されない。
【0017】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句は、文字通りに開示されたものに加えて、材料、工程、特徴、構成要素、又は要素を含む組成物又は方法を定義するために使用されるが、但し、これらの追加の材料、工程、特徴、構成要素、又は要素は、特許請求される開示の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しない。「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、「含む(comprising)」と「からなる(consisting of)」との間の中間領域を占める。
【0018】
開示又はその一部が「含む(comprising)」などの非限定的な用語で定義される場合、(特に明記しない限り)説明は、「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」という用語を使用してそのような開示も説明すると解釈されるべきであることは容易に理解されるべきである。
【0019】
更に、そうではないと明示的に述べられていない限り、「又は」は包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指すのではない。例えば、条件A又はBは、以下の、Aが真(又は存在)でBが偽(又は存在しない)、Aが偽(又は存在しない)でBが真(又は存在)、及びAとBの両方が真(又は存在)のいずれか1つによって満たされる。
【0020】
式中の角括弧は、括弧内の元素の少なくとも1つが蛍光体材料中に存在することを示し、組成物の化学量論によって制限されるように、それらの2つ以上の任意の組合せが存在してもよい。例えば、式[Ca,Sr,Ba]3MgSi2O8:Eu2+,Mn2+は、Ca、Sr若しくはBaのうちの少なくとも1つ、又はCa、Sr若しくはBaのうちの2つ以上の任意の組合せを包含する。例としては、Ca3MgSi2O8:Eu2+,Mn2+、Sr3MgSi2O8:Eu2+,Mn2+、又はBa3MgSi2O8:Eu2+,Mn2+が挙げられる。コロン「:」の後に活性化剤を含む式は、蛍光体組成物が活性化剤をドープしていることを示す。コロン「:」の後に「,」によって分離された2つ以上の活性化剤を示す式は、蛍光体組成物が活性化剤又は両方の活性化剤をドープしていることを示す。例えば、式[Ca,Sr,Ba]3MgSi2O8:Eu2+,Mn2+は、[Ca,Sr,Ba]3MgSi2O8:Eu2+、[Ca,Sr,Ba]3MgSi2O8:Mn2+又は[Ca,Sr,Ba]3MgSi2O8:Eu2+及びMn2+を包含する。
【0021】
本開示のウラン系蛍光体材料は、狭帯域緑色発光を提供し、場合によっては、良好な量子効率で良好なエネルギー移動を提供する。これらの蛍光体は、様々なLEDベースの照明及びディスプレイ用途に使用することができる。純粋な緑色発光自体をディスプレイで使用して、広い色域を提供し、人間中心の照明の暗青緑色のギャップを埋めることができる。Eu3+のようなイオンへのこれらの材料の効率的なエネルギー移動により、他の市販の蛍光体と比較してスペクトル的にブルーシフトされているため、人間の眼の感度と重なる部分が多く、スペクトル的に優れた効果照明(ルーメン/ワット)を提供するのに適しており、蛍光体ブレンドに使用することで、高い有効性及びCRI値を有する照明装置を製造することができる。
【0022】
活性化剤イオンEu3+はまた、植物生長のための特殊な高CRI照明及び照明のための発光スペクトルを提供する。いくつかの実施形態では、ユーロピウムをウラン系蛍光体で増感させて、園芸照明に望ましい赤色/遠赤色領域(約600nm~約800nm)に狭い発光スペクトルを提供することができる。いくつかの実施形態では、園芸照明は、植物生長のための屋内照明及び屋外照明に使用することができる、ウラン系蛍光体を含む組成を有するLED系白色照明を含む。他の実施形態では、園芸照明は、ウラン系蛍光体を含む蛍光体パッケージを含む。いくつかの実施形態では、園芸照明はソーラーベースであってもよい。
【0023】
Eu3+をドープした蛍光体は、ホスト組成物に添加された活性化剤イオンの量に基づいて調整可能な発光スペクトルを有する。このスペクトル調整により、緑色発光ピークと赤色発光ピークの両方を有するディスプレイ用途向けの蛍光体を作製する能力をもたらし、広い色域のディスプレイを作製することができ、これは、フィルムのムラが最終用途において重要であるフィルムベースのディスプレイに特に有用である。複数の蛍光体がフィルム内に確実に均一に分散する必要がある代わりに、緑色発光及び赤色発光の両方を供給するので、1つの蛍光体を均一に分散させるだけでよい。
【0024】
本発明者らは、本開示のウラン系蛍光体材料が、ウラニルイオンがユーロピウムなどの活性化剤イオンに対する増感剤として使用される場合に、良好な量子効率でエネルギー移動を生成できることを発見した。これは驚くべきことであり、他の者はLEDで使用するためにユーロピウム発光を増感しようと何年も試みてきたが、これまでの試みは全て、エネルギー伝達が非常に低かったり、最終用途に有用であるには量子効率が低すぎたりして成功しなかった。
【0025】
ユーロピウムの発光は、発光を照明用途に使用して、市販の蛍光体溶液では得られない高い有効性(Lms/W)を有する一般的な照明を得ることができることを示している。蛍光体材料の純粋なウラン発光スペクトルは、450nmで吸収し、暗青緑色のギャップを埋めることができ、一般照明における完全なスペクトル及びより高いCRI値をもたらす。純粋なウランスペクトルは、広い色域を提供するためにディスプレイのバックライト用途に使用することができる。
【0026】
本開示の蛍光体は、U6+イオンが発光種の一部であるため、ウランをドープした又はUをドープしたとして特徴付けることができる。「Uをドープした」という用語は、典型的には、比較的少数のウラン原子がホスト格子内で置換されていることを示す。多くの化合物において、ウランはウラニルイオン(UO2)2+としてホスト格子中に存在する。ウラニルイオンは線形のO-U-O結合を特徴とするため、典型的には、置換される部位に対して数モル%程度の、達成され得る置換の上限が存在する。M2+イオンで置換する場合、M2+と(UO2)2+中心との間にサイズ制約があり、ホスト格子に歪みを生じさせ、及び/又はホスト格子内に補償欠陥が生じる可能性がある。結果として、U6+発光の濃度消光は通常、完全な置換が達成される前に起こる。対照的に、本開示の蛍光体は、ホスト格子の一部としてUO2種を含み、存在するM2+カチオンの総モル数に対して約40モル%もの高濃度のウラニルイオンを含む。
【0027】
蛍光体材料は、発光特性を有するランタニドイオンなどの活性化剤イオンがドープされる。本発明者らは、Eu3+などのランタニド活性化剤イオンと共ドープしたウラン系蛍光体材料が、緑色純粋ウラン発光スペクトルからの効率的なエネルギー移動を示すことを発見した。ランタニド系列の他のイオンはエネルギー移動又は良好な量子効率を示さなかったので、これは驚くべきことであった。少数の活性化剤イオンが化合物のホスト格子に組み込まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、蛍光体材料は、約0.001~約10モル%の量の活性化剤イオンを含んでもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.01モル%~約10モル%の量で存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.1モル%~約10モル%の量で存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.5~約5モル%の量で存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤は、約1~約3モル%存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.01モル%~約1モル%存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.05モル%~約1モル%存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.1モル%~約1モル%存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.5モル%~約1モル%存在してもよい。
【0029】
一実施形態では、活性化ウラン系蛍光体は、
(i)式Iを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSraCab]x[Mg,Zn]y(UO2)z([P,V]O4)2(x+y+z)/3 (I)
式中、蛍光体はEu3+をドープしており、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、及び0.75≦z≦1.25である蛍光体、又は
(ii)式IIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSraCab]p(UO2)q[P,V]rO(2p+2q+5r)/2 (II)
式中、蛍光体はEu3+をドープしており、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5であり、式IIは、aが0であり、bが0であり、pが3.5であり、qが1.75であり、rが3.5である組合せを除外する蛍光体を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、式Iを有し、
[Ba1-a-bSraCab]x[Mg,Zn]y(UO2)z([P,V]O4)2(x+y+z)/3 I
式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25である。いくつかの実施形態では、Eu3+などの1つ又は複数の活性化剤イオンが存在してもよい。具体的には、Ba[Mg,Zn]UO2(PO4)2、より具体的には、BaMgUO2(PO4)2及びBaZnUO2(PO4)2が挙げられる。
【0031】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、式IIを有し、
[Ba1-a-bSraCab]p(UO2)q[P,V]rO(2p+2q+5r)/2 II
式中、0≦a≦1、0≦b≦1、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、3.5≦r≦4.5である。式IIは、aが0であり、bが0であり、pが3.5であり、qが1.75であり、rが3.5である組合せを除外する。いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、式IIAを有する。
[Ba,Sr,Ca,Mg,Zn]p(UO2)q[P,V]rO(2p+2q+5r)/2 IIA
式IIAの場合、化合物Ba2UO2(PO4)2及びγ-Ba2UO2(PO4)2は除外される。いくつかの実施形態では、式II又はIIAに対して、Eu3+などの1つ又は複数の活性化剤イオンが存在してもよい。具体的には、Ba3(PO4)2(UO2)2P2O7及びBa3(PO4)2(UO2)2V2O7が挙げられる。
【0032】
ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動は、色座標値ccx及びccy(1931 CIE色度図上のx及びy)の変化によって測定することができる。いくつかの実施形態では、活性化蛍光体は、少なくとも15%のccx値変化及び少なくとも10%のccy値変化を示す。いくつかの実施形態では、活性化蛍光体は、少なくとも25%のccx値変化を示す。別の実施形態では、活性化蛍光体は、少なくとも50%のccx値変化を示す。いくつかの実施形態では、活性化蛍光体は、約15%~約200%のccx値変化を示す。別の実施形態では、ccx値変化は、約25%~約200%であり、別の実施形態では、ccx値変化は、約50%~約200%である。いくつかの実施形態では、活性化蛍光体は、少なくとも10%のccy値変化を示す。別の実施形態では、活性化蛍光体は、約10%~約50%のccy値変化を示す。
【0033】
本発明者らは、Eu3+などの活性化剤イオンと共ドープしたウラン系蛍光体材料が色調整可能であること、すなわち、ウランからの緑色発光と活性化剤イオンの発光色との比を、活性化剤イオンの比に応じて調整できることを見出した。いくつかの実施形態では、蛍光体の発光は、555nmを中心とする眼の感度範囲にスペクトル的に近くなるようにシフトされてもよい。これらの活性化剤イオンは、現在市販されている蛍光体溶液では利用できない、人間中心の照明及び高効率(Lms/W)の照明において、より高い強度を提供する照明用途に使用することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体材料は、高効率の一般照明に使用することができる。他の実施形態では、ウラン系蛍光体材料は、眼に安全なディスプレイで使用するための有害な青色発光を低減するように色調整することができる。他の実施形態では、ウラン系蛍光体材料は、植物生長に適した発光を生成するように色調整することができる。他の実施形態では、ウラン系蛍光体は、単一の蛍光体から生成された緑色及び赤色発光を有する広い色域ディスプレイを生成するように色調整することができる。
【0035】
別の態様では、蛍光体組成物は、
(i)式Iを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSraCab]x[Mg,Zn]y(UO2)z([P,V]O4)2(x+y+z)/3 (I)
式中、蛍光体はEu3+をドープしており、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、及び0.75≦z≦1.25である蛍光体、又は
(ii)式IIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSraCab]p(UO2)q[P,V]rO(2p+2q+5r)/2 (II)
式中、蛍光体はEu3+をドープしており、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5であり、式IIは、aが0であり、bが0であり、pが3.5であり、qが1.75であり、rが3.5である組合せを除外する蛍光体を含む、活性化ウラン系蛍光体を含む。
【0036】
一実施形態では、ウラン系蛍光体は、Ba3(PO4)2(UO2)2P2O7、BaZnUO2(PO4)2、BaMgUO2(PO4)2を含むことができる。蛍光体は明るい緑色を発光し、ディスプレイ用途に広い色域を提供することができる。
【0037】
本開示のウラン系蛍光体材料は、前駆体の混合物を酸化雰囲気下で焼成することによって製造することができる。適切な前駆体の非限定的な例としては、適切な金属酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、硝酸塩、アルミン酸塩、ケイ酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、カルボン酸塩、酒石酸塩、ステアリン酸塩、亜硝酸塩、過酸化物、リン酸塩、ピロリン酸塩、アルカリ塩及びそれらの組合せが挙げられる。前駆体として使用するのに適した材料としては、BaCO3、BaHPO4、Ba3(PO4)2、Ba2P2O7、Ba2Zn(PO4)2、BaZnP2O7、Ba(OH)2、Ba(C2O4)、Ba(C2H3O2)2、Ba3(C6H5O7)2、Ba(NO3)2、CaCO3、HUO2PO4-4H2O、KH2PO4、K2CO3、Mg(C2O4)、Mg(C2H3O2)2、Mg(C6H6O7)、MgCO3、MgO、Mg(OH)2、Mg3(PO4)2、Mg2P2O7、Mg2Ba(PO4)2、MgHPO4、Mg(NO3)2、NaH2PO4、Na2CO3、NH4MgPO4、(NH4)2HPO4、NH4VO3、SrCO3、Zn(C2O4)、Zn(C2H3O2)2、Zn3(C6H5O7)2、ZnCO3、ZnO、Zn(OH)2、Zn3(PO4)2、Zn2P2O7、Zn2Ba(PO4)2、ZnHPO4、Zn(NO3)2、NH4ZnPO4、UO2、UO2(NO3)2、(UO2)2P2O7、(UO2)3(PO4)2、NH4(UO2)PO4、UO2CO3、UO2(C2H3O2)2、UO2(C2O4)、H(UO2)PO4、UO2(OH)2、及びZnUO2(C2H3O2)4、並びに様々な水和物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、適切な量のBaCO3、ZnO、及びUO2を適切な量の(NH4)2HPO4と混合し、次いで混合物を空気雰囲気下で焼成することによって、例示的な蛍光体BaZnUO2(PO4)2を生成することができる。前駆体は、固体形態又は溶液であってもよい。溶媒の非限定的な例としては、水、エタノール、アセトン、及びイソプロパノールが挙げられ、適合性は、溶媒中の前駆体の溶解度に主に依存する。焼成後、蛍光体を粉砕して、焼成手順中に形成された可能性のある凝集体を破壊することができる。
【0038】
蛍光体を製造するための出発材料の混合物は、Eu2O3などの活性化剤前駆体酸化物化合物及びEuPO4などの前駆体リン酸化合物を含むが、これらに限定されない。
【0039】
蛍光体を製造するための出発材料の混合物はまた、ホウ酸、四ホウ酸リチウムなどのホウ酸化合物、アルカリリン酸塩、及びそれらの組合せなどの1つ又は複数の低融点フラックス材料を含むことができる。非限定的な例としては、(NH4)2HPO4(DAP)、Li3PO4、Na3PO4、NaBO3-H2O、Li2B4O7、K4P2O7、Na4P2O7、H3BO3、及びB2O3が挙げられる。フラックスは、蛍光体の焼成温度及び/又は焼成時間を低下させることができる。フラックスを使用する場合、フラックスに由来し得る残留可溶性不純物を除去するために、最終蛍光体生成物を適切な溶媒で洗浄することが望ましい場合がある。
【0040】
試料の焼成は一般に空気中で行われるが、ウランはその最高酸化状態(U6+)にあるので、1気圧を超える酸素分圧を含むO2又は他の湿式若しくは乾式酸化雰囲気中で、約500℃~約1300℃、特に約500℃~約1200℃の温度で、混合物を蛍光体に変換するのに十分な時間にわたって焼成することもできる。必要とされる焼成時間は、焼成される混合物の量、固体と雰囲気ガスとの間の接触の程度、及び混合物が焼成又は加熱される間の混合の程度に応じて、約1~20時間の範囲であってもよい。混合物を最終温度に迅速に到達させて保持してもよく、又は混合物を約2℃/分~約200℃/分などのより低い速度で最終温度まで加熱してもよい。
【0041】
一実施形態では、蛍光体組成物は、ウラン系蛍光体材料に加えて、1つ又は複数の他の発光材料を含んでもよい。青色、黄色、赤色、橙色、又は他の色の蛍光体などの追加の発光材料を蛍光体組成物に使用して、得られる光の白色をカスタマイズし、特定のスペクトル出力分布を生成することができる。
【0042】
蛍光体組成物に使用するのに適した蛍光体としては、((Sr1-z[Ca,Ba,Mg,Zn]z)1-(x+w)[Li,Na,K,Rb]wCex)3(Al1-ySiy)O4+y+3(x-w)F1-y-3(x-w)、0<x≦0.10、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0≦w≦x;[Ca,Ce]3Sc2Si3O12(CaSiG);[Sr,Ca,Ba]3Al1-xSixO4+xF1-x:Ce3+(SASOF));[Ba,Sr,Ca]5(PO4)3[Cl,F,Br,OH]:Eu2+,Mn2+;[Ba,Sr,Ca]BPO5:Eu2+,Mn2+;[Sr,Ca]10(PO4)6
*vB2O3:Eu2+(式中0<v≦1);Sr2Si3O8
*2SrCl2:Eu2+;[Ca,Sr,Ba]3MgSi2O8:Eu2+,Mn2+;BaAl8O13:Eu2+;2SrO*0.84P2O5*0.16B2O3:Eu2+;[Ba,Sr,Ca]MgAl10O17:Eu2+,Mn2+;[Ba,Sr,Ca]Al2O4:Eu2+;[Y,Gd,Lu,Sc,La]BO3:Ce3+,Tb3+;ZnS:Cu+,Cl-;ZnS:Cu+,Al3+;ZnS:Ag+,Cl-;ZnS:Ag+,Al3+;[Ba,Sr,Ca]2Si1-nO4-2n:Eu2+(式中、0≦n≦0.2);[Ba,Sr,Ca]2[Mg,Zn]Si2O7:Eu2+;[Sr,Ca,Ba][Al,Ga,In]2S4:Eu2+;[Y,Gd,Tb,La,Sm,Pr,Lu]3[Al,Ga]5-aO12-3/2a:Ce3+(式中、0≦a≦0.5);[Ca,Sr]8[Mg,Zn](SiO4)4Cl2:Eu2+,Mn2+;Na2Gd2B2O7:Ce3+,Tb3+;[Sr,Ca,Ba,Mg,Zn]2P2O7:Eu2+,Mn2+;[Gd,Y,Lu,La]2O3:Eu3+,Bi3+;[Gd,Y,Lu,La]2O2S:Eu3+,Bi3+;[Gd,Y,Lu,La]VO4:Eu3+,Bi3+;[Ca,Sr,Mg]S:Eu2+,Ce3+;SrY2S4:Eu2+;CaLa2S4:Ce3+;[Ba,Sr,Ca]MgP2O7:Eu2+,Mn2+;[Y,Lu]2WO6:Eu3+,Mo6+;[Ba,Sr,Ca]bSigNm:Eu2+(式中、2b+4g=3m);Ca3(SiO4)Cl2:Eu2+;[Lu,Sc,Y,Tb]2-u-vCevCa1+uLiwMg2-wPw[Si,Ge]3-wO12-u/2(式中、0.5≦u≦1、0<v≦0.1、及び0≦w≦0.2);[Y,Lu,Gd]2-m[Y,Lu,Gd]CamSi4N6+mC1-m:Ce3+(式中、0≦m≦0.5);[Lu,Ca,Li,Mg,Y],Eu2+及び/又はCe3+をドープしたα-SiAlON;Sr(LiAl3N4):Eu2+,[Ca,Sr,Ba]SiO2N2:Eu2+,Ce3+;β-SiAlON:Eu2+;3.5MgO*0.5MgF2
*GeO2:Mn4+;Ca1-c-fCecEufAl1+cSi1-cN3(式中、0≦c≦0.2、0≦f≦0.2);Ca1-h-rCehEurAl1-h(Mg,Zn)hSiN3、(式中、0≦h≦0.2、0≦r≦0.2);Ca1-2s-tCes[Li,Na]sEutAlSiN3、(式中、0≦s≦0.2、0≦t≦0.2、s+t>0);[Sr,Ca]AlSiN3:及びEu2+,Ce3+,Li2CaSiO4:Eu2+が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
一実施形態では、追加の発光材料は、式VIの赤色発光蛍光体であってもよく、
AxMFy:Mn4+ (VI)
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mは、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xは、MFyイオンの電荷の絶対値であり、yは、5、6又は7である。
式の赤色発光蛍光体は、LED光源に放射的及び/又は光学的に結合される。式Iの蛍光体は、米国特許第7,497,973号及び米国特許第8,906,724号、並びにゼネラルエレクトリック社に譲渡された関連特許に記載されている。式VIの赤色発光蛍光体の例としては、K2(TiF6):Mn4+、K2(SnF6):Mn4+、Cs2(TiF6):Mn4+、Rb2(TiF6):Mn4+、Cs2(SiF6):Mn4+、Rb2(SiF6):Mn4+、Na2(SiF6):Mn4+、Na2(TiF6):Mn4+、Na2(ZrF6):Mn4+、K3(ZrF7):Mn4+、K3(BiF7):Mn4+、K3(YF7):Mn4+、K3(LaF7):Mn4+、K3(GdF7):Mn4+、K3(NbF7):Mn4+又はK3(TaF7):Mn4+が挙げられる。特定の実施形態では、式VIの蛍光体は、K2SiF6:Mn4+である。
【0044】
一実施形態では、赤色発光蛍光体は、少なくとも1重量%のMn含有量又はMn%を有する。別の実施形態では、赤色発光蛍光体は、少なくとも1.5重量%のMn含有量を有する。別の実施形態では、赤色発光蛍光体は、少なくとも2重量%のMn含有量を有する。別の実施形態では、赤色発光蛍光体は、少なくとも3重量%のMn%を有する。別の実施形態では、Mn%は3.0重量%を超える。別の実施形態では、赤色発光蛍光体中のMnの含有量は、約1重量%~約4重量%である。
【0045】
一実施形態では、Mn4+蛍光体によって活性化された錯フッ化物材料に基づく赤色発光蛍光体は、表面コーティングで少なくとも部分的にコーティングして蛍光体粒子の安定性を高め、粒子の表面を改質することによって凝集に抵抗し、粒子のゼータ電位を高めることができる。一実施形態では、表面コーティングは、金属フッ化物、シリカ又は有機コーティングであってもよい。一実施形態では、Mn4+蛍光体によって活性化された錯フッ化物材料に基づく赤色発光蛍光体は、金属フッ化物で少なくとも部分的にコーティングして、正のゼータ電位を増加させ、凝集を減少させる。一実施形態では、金属フッ化物コーティングは、MgF2、CaF2、SrF2、BaF2、AgF、ZnF2、AlF3、又はそれらの組合せを含む。別の実施形態では、金属フッ化物コーティングは、約0.1重量%~約10重量%の量である。別の実施形態では、金属フッ化物コーティングは、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。別の実施形態では、金属フッ化物コーティングは、約0.3重量%~約3重量%存在する。Mn4+によって活性化された錯フッ化物材料に基づく金属フッ化物コーティング赤色発光蛍光体は、国際公開第2018/093832号及び米国特許出願公開第2020/0369956号に記載されているように調製される。その各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
一実施形態では、Mn4+蛍光体によって活性化された錯フッ化物材料に基づく赤色発光蛍光体は、重合オレイン酸などの有機コーティングで少なくとも部分的にコーティングされる。オレイン酸を使用して、混合吸着処理などによるソルボサーマル合成又は処理によって蛍光体粒子をコーティングすることができる。
【0047】
特定の実施形態では、追加の蛍光体としては、[Ba,Sr,Ca]2SiO4:Eu2+、[Y,Gd,Lu,Tb]3[Al,Ga]5O12:Ce3+、β-SiAlON:Eu2+、[Sr,Ca,Ba][Ga,Al]2S4:Eu2+、[Li,Ca]α-SiAlON:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]2Si5N8:Eu2+、[Ca,Sr]AlSiN3:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]LiAl3N4:Eu2+、[Sr,Ca,Mg]S:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]2Si2O4:Eu2+及びK2SiF6:Mn4+が挙げられる。
【0048】
蛍光体組成物に使用するのに適した他の追加の発光材料としては、ポリフルオレン、好ましくはポリ(9,9-ジオクチルフルオレン)及びそのコポリマー、例えばポリ(9,9’-ジオクチルフルオレン-co-ビス-N,N’-(4-ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(F8-TFB)などのエレクトロルミネセンスポリマー;ポリ(ビニルカルバゾール)及びポリフェニレンビニレン並びにそれらの誘導体を挙げることができる。更に、発光層は、青色、黄色、橙色、緑色若しくは赤色の燐光性染料若しくは金属錯体、量子ドット材料、又はそれらの組合せを含んでもよい。燐光性染料としての使用に適した材料としては、トリス(1-フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(赤色染料)、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(緑色染料)及びイリジウム(III)ビス(2-(4,6-ジフルオレフェニル)ピリジナト-N,C2)(青色染料)が挙げられるが、これらに限定されない。ADS(American Dyes Source社)から市販されている蛍光及び燐光性金属錯体も使用することができる。ADS緑色染料としては、ADS060GE、ADS061GE、ADS063GE、and ADS066GE、ADS078GE、及びADS090GEが挙げられる。ADS青色染料としては、ADS064BE、ADS065BE、及びADS070BEが挙げられる。ADS赤色染料としては、ADS067RE、ADS068RE、ADS069RE、ADS075RE、ADS076RE、ADS067RE、及びADS077REが挙げられる。例示的な量子ドット材料としては、CdSe、ZnS又はInPに基づき、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS又はCdTe/ZnSなどのコア/シェル発光ナノ結晶が挙げられるが、これらに限定されない。量子ドット材料の他の例としては、CsPbX3などのハロゲン化物ペロブスカイト量子ドットが挙げられ、式中、XはCl、Br、I又はそれらの組合せである。これらの半導体量子ドットは全て、不動態化及び/又は環境保護のための適切なシェル又はコーティングを有してもよい。
【0049】
蛍光体組成物中の個々の蛍光体及び他の発光材料の各々の比は、所望の光出力の特性に応じて変化し得る。様々な蛍光体組成物中の個々の蛍光体及び他の発光材料の相対的な割合は、それらの発光が混合されてデバイス、例えば照明装置に使用されると、CIE色度図上の所定のx及びy値の可視光が生成されるように調整することができる。
【0050】
一実施形態では、蛍光体組成物は、約0.1μm~約15μmの範囲の粒径を有する粒子形態の蛍光体を含む。別の実施形態では、粒径は、約0.1μm~約10μmの範囲である。別の実施形態では、粒径分布は、15μm未満のD50、特に10μm未満のD50、特に5μm未満のD50、又は3μm未満のD50、又は2μm未満のD50、又は1μm未満のD50である。別の実施形態では、粒径分布D50は、約0.1μm~約5μmの範囲内であってもよい。別の実施形態では、D50粒径は、約0.1μm~約3μmの範囲である。別の実施形態では、D50粒径は、約0.1μm~約1μmの範囲である。別の実施形態では、D50粒径は、約1μm~約5μmの範囲である。D50(D
50としても表される)は、体積分布のメジアン粒径として定義される。D90又はD
90は、分布の粒子の90%の粒径より大きい体積分布の粒径である。D10又はD
10は、分布の粒子の10%の粒径より大きい体積分布の粒径である。蛍光体の粒径は、レーザー回折法又は光学顕微鏡法によって簡便に測定することができ、市販のソフトウェアが粒径分布及びスパンを生成することができる。スパンは、粒状材料又は粉末の粒径分布曲線の幅の尺度であり、以下の式に従って定義され、
【数1】
式中、D
90、D
10及びD
50は上記で定義されている。蛍光体粒子の場合、粒径分布のスパンは必ずしも限定されず、いくつかの実施形態では≦1.0であってもよい。
【0051】
蛍光体は、従来の方法で粉砕又は製粉して小さな粒径にすることができる。
【0052】
別の態様では、活性化ウラン系蛍光体を含む蛍光体組成物と、活性化ウラン系蛍光体に放射的に接続及び/又は光学的に結合されたLED光源とを含むデバイスが提供される。活性化ウラン系蛍光体材料は、
(i)式Iを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSraCab]x[Mg,Zn]y(UO2)z([P,V]O4)2(x+y+z)/3 (I)
式中、蛍光体はEu3+をドープしており、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、及び0.75≦z≦1.25である蛍光体、又は
(ii)式IIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSraCab]p(UO2)q[P,V]rO(2p+2q+5r)/2 (II)
式中、蛍光体はEu3+をドープしており、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5であり、式IIは、aが0であり、bが0であり、pが3.5であり、qが1.75であり、rが3.5である組合せを除外する蛍光体から選択される。
【0053】
本開示によるデバイスは、式I又はIIを有するウラン系蛍光体などの1つ又は複数のウラン系蛍光体材料に放射的に接続及び/又は光学的に結合されたLED光源を含む。
図1は、本開示の一実施形態によるデバイス10を示す。デバイス10は、LED光源12と、本開示の活性化ウラン系蛍光体材料を含む蛍光体組成物14とを含む。LED光源12は、UV又は青色発光LEDであってもよい。いくつかの実施形態では、LED光源12は、約380nm~約460nmの波長範囲の青色光を生成する。デバイス10では、本明細書に記載のウラン系蛍光体材料を含む蛍光体組成物14は、LED光源12に放射的に結合及び/又は光学的に結合される。放射的に接続若しくは結合又は光学的に結合とは、LED光源12からの放射が蛍光体組成物14を励起することができ、蛍光体組成物14が放射による励起に応答して光を放出することができることを意味する。蛍光体組成物14は、LED光源12の一部若しくは部分に配置されてもよく、又はLED光源12から離れた場所に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、ディスプレイ用途のバックライトユニットであってもよい。
【0054】
本明細書で説明する例示的なLED光源の一般的な説明は、無機LEDベースの光源を対象としている。最も一般的な白色LEDは、青色又はUV発光GaInNチップに基づいている。無機LED光源に加えて、LED光源という用語は、半導体レーザダイオード(LD)、有機発光ダイオード(OLED)、又はLEDとLDとのハイブリッドなどの全てのLED光源を包含することを意味する。LED光源は、自発光性ディスプレイに使用することができるミニLED又はマイクロLEDであってもよい。更に、LED光源は、特に明記しない限り、別の放射源によって置き換えられ、補足され、又は増強されてもよく、半導体、半導体LED、又はLEDチップへの言及は、LD及びOLEDを含むがこれらに限定されない任意の適切な放射源を表すにすぎないことを理解されたい。
【0055】
蛍光体組成物14は、粉末、ガラス、又は複合体、例えば蛍光体ポリマー複合体又は蛍光体ガラス複合体などの任意の形態で存在してもよい。更に、蛍光体組成物14は、層、シート、フィルム、ストリップ、分散微粒子、又はそれらの組合せとして使用することができる。いくつかの実施形態では、蛍光体組成物14は、ガラス形態の活性化ウラン系蛍光体材料を含む。これらの実施形態のいくつかでは、デバイス10は、蛍光体ホイールの形態の蛍光体組成物14を含んでもよい(図示せず)。蛍光体ホイールは、ガラスに埋め込まれたウラン系蛍光体材料を含んでもよい。蛍光体ホイール及び関連するデバイスは、国際公開第2017/196779号に記載されている。
【0056】
活性化ウラン系蛍光体材料を含む蛍光体組成物は、LED光源に光学的に結合又は放射的に接続される。一実施形態では、白色光ブレンドは、活性化ウラン系蛍光体材料と、青色又はUV LEDなどのLED光源を有する追加の発光材料とをブレンドすることによって得ることができる。蛍光体材料の純粋なウラン発光スペクトルは、眼の感度範囲の中心に近い緑色範囲で狭帯域発光を有する。蛍光体材料は、450nmで吸収することができ、人間中心の照明の暗青緑色のギャップの範囲を満たすことができ、これにより一般的な照明の完全なスペクトルがもたらされ、高いCRI値が提供される。純粋なウランスペクトルは、広い色域のディスプレイを提供するためにディスプレイのバックライト用途に使用することができる。
【0057】
一実施形態では、ウラン系蛍光体材料は、オレンジ色又は赤色の発光を提供する活性化剤イオンがドープされる。一実施形態では、ウラン系蛍光体は、眼の感度範囲にスペクトル的に近い赤色発光を有するユーロピウム活性化剤イオンがドープされ、これは人間の視覚により明るく見える。一実施形態では、ユーロピウムをドープしたウラン系蛍光体を、イットリウム-アルミニウムガーネット(YAG)蛍光体などの黄緑色又は緑色発光蛍光体、及び青色発光若しくはUV発光LEDと組み合わせて、高い有効性(ルーメン/ワット)値を有する白色ブレンドを調製する。別の実施形態では、組成物は、活性化ウラン系蛍光体と、式VIを有する赤色蛍光体とを含む。
【0058】
図2は、いくつかの実施形態による、照明装置又はランプ20を示す。照明装置20は、LEDチップ22と、LEDチップ22に電気的に取り付けられたリード24とを含む。リード24は、より厚いリードフレーム26によって支持された細いワイヤを含むことができ、又はリード24は自己支持電極を含むことができ、リードフレームは省略することができる。リード24は、LEDチップ22に電流を供給し、したがって放射させる。
【0059】
LEDチップ22の表面には、ウラン系蛍光体材料を含む蛍光体組成物の層30が配置される。蛍光体層30は、例えば、蛍光体組成物と結合剤材料とを混合して調製されたスラリー又はインク組成物を使用して、任意の適切な方法によって配置することができる。そのような方法の一例では、蛍光体組成物粒子がランダムに懸濁された又は均一に分散されたシリコーンスラリーをLEDチップ22の周りに配置する。この方法は、蛍光体層30及びLEDチップ22の可能な位置の単なる例示である。蛍光体層30は、LEDチップ22上にスラリーをコーティング及び乾燥させることによって、LEDチップ22の発光面上に又は直接コーティングすることができる。LEDチップ22によって放射された光は、蛍光体組成物によって放射された光と混合して、所望の発光を生成する。
【0060】
結合剤の例としては、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリアクリラート、ポリメチルアクリラート(PMA)、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリカルボナート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(1-ナフチルメタクリラート)、ポリ(ビニルフェニルスルフィド)(PVPS)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ(N-ビニルフタルイミド)、ポリフッ化ビニリデン(PDVF)、ポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF-HFP)、シリコーン材料及びUV硬化性材料、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリラート樹脂及びウレタン系材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
引き続き
図2を参照すると、LEDチップ22は、エンベロープ28内に封入されてもよい。エンベロープ28は、例えばガラス又はプラスチックで形成することができる。LEDチップ22は、封入材料32によって囲まれてもよい。封入材料32は、低温ガラス、又は当技術分野で公知のポリマー若しくは樹脂、例えば、エポキシ、シリコーン、エポキシ-シリコーン、アクリラート、又はそれらの組合せであってもよい。代替的な実施形態では、照明装置20は、エンベロープ28なしで封入材料32のみを含むことができる。エンベロープ28及び封入材料32の両方は、光がそれらの要素を透過できるように透明でなければならない。
【0062】
図3に示すいくつかの実施形態では、蛍光体組成物33のウラン系蛍光体材料は、
図2に示すように、LEDチップ22上に直接形成される代わりに、封入材料32内に散在する。蛍光体組成物33は、封入材料32の一部の中に、又は封入材料32の全体積にわたって散在させることができる。LEDチップ22によって放射された青色光又はUV光は、蛍光体組成物33によって放射された光と混ざり合い、混合光は照明装置20から透過する。
【0063】
更に別の実施形態では、活性化ウラン系蛍光体材料を含む蛍光体組成物の層34は、
図4に示すように、LEDチップ22の上に形成される代わりに、エンベロープ28の表面上にコーティングされる。示されるように、蛍光体層34は、エンベロープ28の内側表面29上にコーティングされるが、蛍光体層34は、必要に応じてエンベロープ28の外側表面上にコーティングされてもよい。蛍光体層34は、エンベロープ28の表面全体にコーティングされてもよく、又はエンベロープ28の内側表面29の上部のみにコーティングされてもよい。LEDチップ22によって放射されたUV/青色光は、蛍光体層34によって放射された光と混ざり合い、混合光は外に透過する。当然のことながら、蛍光体組成物は、任意の2箇所又は3箇所全て(
図2~4に示すように)に配置されてもよく、又はエンベロープ28とは別に、LEDチップ22から離れた若しくはLEDチップ22に組み込まれた位置などの任意の他の適切な位置に配置されてもよい。一実施形態では、蛍光体層34はフィルムであってもよく、LEDチップ22から離れて配置されてもよい。別の実施形態では、蛍光体層34はフィルムであり、LEDチップ22上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、蛍光体層34は、インク組成物としてLEDチップ22に塗布され、乾燥してLEDチップ22上にフィルムを形成することができる。いくつかの実施形態では、フィルムは単層又は多層であってもよい。いくつかの実施形態では、フィルムは多層構造であり、多層構造の各層は少なくとも1つの蛍光体又は量子ドット材料を含む。
【0064】
上記の構造のいずれにおいても、照明装置20(
図2~4)はまた、封入材料32に埋め込まれた複数の散乱粒子(図示せず)を含むことができる。散乱粒子は、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はチタニアを含むことができる。散乱粒子は、LEDチップ22から放射されたディレクショナルライトを、好ましくは無視できる量の吸収で効果的に散乱させる。
【0065】
一実施形態では、
図3又は
図4に示す照明装置20は、バックライト装置であってもよい。別の実施形態では、バックライト装置は、バックライトユニット10を備える。いくつかの実施形態は、例えば
図5に示すような、バックライト用途のための表面実装型デバイス(SMD)タイプの発光ダイオード50を含む。このSMDは、「側面発光型」であり、導光部材54の突出部に発光窓52を有する。SMDパッケージは、上で定義したLEDチップと、本明細書に記載の緑色発光蛍光体を含む蛍光体組成物とを含むことができる。別の実施形態では、デバイスは、直接点灯ディスプレイであってもよい。
【0066】
本明細書に記載の蛍光体組成物を使用することにより、広い色域及び高輝度を有する、ディスプレイ用途のための白色光を生成するデバイス、例えばLCDバックライトユニットを提供することができる。あるいは、対象とする広範囲の色温度(2000K~10,000K)に対して高輝度及び高いCRI値を有する一般照明用の白色光を生成するデバイスを提供することができる。
【0067】
本開示のデバイスは、一般照明及びディスプレイ用途のための照明及びディスプレイ装置を含む。ディスプレイ装置の例としては、液晶ディスプレイ(LCD)バックライトユニット、テレビ、コンピュータモニタ、車両用ディスプレイ、ラップトップ、コンピュータノートブック、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、及び他の携帯用デバイスが挙げられる。ディスプレイがバックライトユニットである場合、米国特許出願公開第2017/0254943号に記載されているように、ウラン系蛍光体材料は、LED光源に放射的に結合及び/又は光学的に結合されたフィルム、シート又はストリップに組み込まれてもよい。他のデバイスの例としては、クロマチックランプ、プラズマスクリーン、キセノン励起ランプ、UV励起マーキングシステム、自動車用ヘッドランプ、ホーム及びシアタープロジェクタ、レーザポンプデバイス、並びにポイントセンサが挙げられる。これらの用途のリストは、単に例示的なものであり、網羅的なものではないことを意味している。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、有害な青色発光が低減された眼に安全なディスプレイであってもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示のデバイスは、園芸照明を含む。一実施形態では、園芸照明は、式(I)又は(II)を有するウラン系蛍光体に放射及び/又は光学的に結合されたLED光源を含むデバイスを含むことができる。別の実施形態では、デバイスは、式(I)又は(II)を有するウラン系蛍光体と、式(VI)を有する赤色蛍光体とを含む。別の実施形態では、園芸照明は、式(I)又は(II)を有する活性化ウラン系蛍光体と、式(VI)を有する赤色蛍光体とを含むデバイスを含み、ウラン系蛍光体は、Eu3+からなる群から選択される活性化剤イオンがドープされる。別の実施形態では、園芸照明は、(i)又は(ii)の活性化ウラン系蛍光体を含むデバイスを含む。別の実施形態では、園芸照明は、式(I)又は(II)を有するデバイスと、式(VI)を有する赤色蛍光体とを含む。
【0069】
別の実施形態では、園芸照明は、セクション(i)又は(ii)の活性化ウラン系蛍光体を含む蛍光体パッケージを含むことができる。別の実施形態では、園芸照明は、セクション(i)又は(ii)の活性化ウラン系蛍光体と、式(VI)を有する赤色蛍光体とを含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、蛍光体パッケージは、分散した活性化ウラン系蛍光体を含むフィルム又はシートである。他の実施形態では、蛍光体パッケージは、媒体又は基板内に分散された活性化ウラン系蛍光体を含む。いくつかの実施形態では、媒体又は基板は透明であり、ソーラープラント照明に使用することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、単一の蛍光体材料を含む非常に薄いフィルムを、マイクロLED又はミニLEDなどの小型LED上に配置することができる。いくつかの実施形態では、フィルムは、ユーロピウム活性化剤イオンを含む赤色発光ウラン系蛍光体材料を含む。ウラン系蛍光体材料は、UV/青色発光LED光を強く吸収し、減衰時間が短い。ウラン系蛍光体材料は水中で安定であり、フィルムに加工するために小さな粒径に容易に粉砕又は製粉することができ、良好な量子効率を維持することができる。蛍光体材料は高い吸収を有するので、フルコンバージョンのマイクロLEDディスプレイを作製するために、又はフィルムの厚さの層が重要である用途に使用するために、蛍光体材料の最小限の装填をフィルムに使用することができる。いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、緑色及び赤色の両方で発光することができ、これは、良好なムラ測定を有する非常に薄い単一の蛍光体フィルムを調製するのに有益である。いくつかの実施形態では、活性化ウラン系蛍光体材料は、インクジェット印刷、スピンコーティング又はスロットダイコーティングによってフィルムに調製され得る。
【0071】
他の実施形態では、フィルムは、約0.1μm~約15μmの蛍光体粒径を含む。他の実施形態では、フィルムは、約0.1μm~約10μmの蛍光体粒径を含む。別の実施形態では、蛍光体粒子は5ミクロン以下である。別の実施形態では、フィルムは、約0.1ミクロン~約5ミクロンの蛍光体粒径を含む。別の実施形態では、フィルムは、約0.5ミクロン~約5ミクロンの粒径を含む。別の実施形態では、フィルムは、約0.1ミクロン~約1ミクロンの粒径を含む。別の実施形態では、フィルムは、約0.5ミクロン~約1ミクロンの粒径を含む。別の実施形態では、フィルムは、約1ミクロン~約3ミクロンの粒径を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、フィルムは散乱剤を含み得る。別の実施形態では、園芸照明に使用される場合、観察者又は植物に対する輝度を高めるために、二重輝度向上フィルム(DBEF)などの輝度向上フィルムが照明装置に使用することができる。
【0073】
本開示の様々な実施形態の特定の特徴は、いくつかの図面に示され、他の図面には示されない場合があるが、これは便宜上のものにすぎない。本開示の原理によれば、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照及び/又は特許請求することができる。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
【0075】
Ba
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7蛍光体及び共ドープしたBa
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7蛍光体材料の調製
BaHPO
4、BaCO
3、HUO
2PO
4-4H
2O及びDAPを2:1:2:0.05のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Ba
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7の発光スペクトルを
図6Aに示す。Ba
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7の結果を試料1として表1に示す。
【0076】
1%モル量のEu
3+をドープしたBa
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7を調製するために、0.005のEu
2O
3を添加し、BaCO
3の量を0.995に調整したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Eu
3+をドープしたBa
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7の発光スペクトルを
図6Bに示す。Eu
3+をドープしたBa
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7の結果を試料2として表1に示す。
【0077】
結果を表1に示す。
【表1】
エネルギー移動は、色座標ccx及びccyの差によって実証される。活性化剤イオンEu
3+をドープした蛍光体材料Ba
3(PO
4)
2(UO
2)
2P
2O
7は、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動があることを示すが、効率は低下する。
(実施例2)
【0078】
BaZnUO
2(PO
4)
2蛍光体及び共ドープしたBaZnUO
2(PO
4)
2蛍光体材料の調製
BaHPO4、HUO
2PO
4-4H
2O、ZnO及びDAPを1:1:1:0.05のモル比で秤量し、次いでジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、湿った空気を流しながら1050℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。BaZnUO
2(PO
4)
2の発光スペクトルを
図7Aに示す。BaZnUO
2(PO
4)
2の結果を試料Aとして表2に示す。
【0079】
1%モル量のEu
3+をドープしたBaZnUO
2(PO
4)
2を調製するために、BaHPO
4の代わりに0.005のEu
2O
3を使用したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Eu
3+をドープしたBaZnUO
2(PO
4)
2の発光スペクトルを
図7Bに示す。Eu
3+をドープしたBaZnUO
2(PO
4)
2の結果を試料Bとして表2に示す。
【0080】
1%モル量のCe3+をドープしたBaZnUO2(PO4)2は、Eu2O3の代わりにCeO2を用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたBaZnUO2(PO4)2と同様に調製した。Ce3+をドープしたBaZnUO2(PO4)2の結果を試料Cとして表2に示す。
【0081】
1%モル量のMn
2+をドープしたBaZnUO
2(PO
4)
2は、Eu
2O
3の代わりにMnCO
3を用いた以外は、1%モル量のEu
3+をドープしたBaZnUO
2(PO
4)
2と同様に調製した。Mn2+をドープしたBaZnUO
2(PO
4)
2の結果を試料Dとして表2に示す。
【表2】
【0082】
エネルギー移動は、色座標ccx及びccyの差によって実証される。活性化剤オンEu3+をドープした蛍光体材料BaZnUO2(PO4)2は、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動があることを示す。活性化剤イオンCe3+及びMn2+をドープした蛍光体材料BaZnUO2(PO4)2はエネルギー移動を示さず、全ての活性化剤イオンがウラン系蛍光体化合物によるエネルギー移動を示すわけではないことを実証している。
(実施例3)
【0083】
BaZnUO2(PO4)2及び共ドープした蛍光体材料の調製
実施例2の試料Aについて、BaZnUO2(PO4)2を上記のように調製した。
【0084】
1%モル量のEu
3+をドープしたBaZnUO
2(PO
4)
2を調製するために、BaHPO4、HUO
2PO
4-4H
2O、ZnO、DAP及びEu
2O
3を0.99:1:1:0.06:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、湿った空気を流しながら1050℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Eu
3+をドープしたBaZnUO
2(PO
4)
2の発光スペクトルを
図8に、結果を表3に示す。
【表3】
【0085】
エネルギー移動は、色座標ccx及びccyの差によって実証される。活性化剤イオンを共ドープした蛍光体材料BaZnUO2(PO4)2は、エネルギー移動を示す。
【0086】
本明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するために、また、任意のデバイス又はシステムの製作及び使用並びに任意の組み込まれた方法の実行を含む本発明の実施を当業者にとって可能にするために、実施例を使用する。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【国際調査報告】