(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】2つの発熱体を備えるエアロゾル発生デバイス
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240412BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20240412BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240412BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/57
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563107
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2022062499
(87)【国際公開番号】W WO2022238338
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 健
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB28
4B162AC10
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生基材と共に動作するよう構成されるエアロゾル発生デバイスであって、- デバイス軸に沿って延在するデバイス本体と、- 開放端(70)と、少なくとも2つの加熱壁(74A、74B)とを画成するカップ状加熱チャンバ(45)であって、開放端(70)を介してエアロゾル発生基材のヒータ部分を受け入れるよう構成されるカップ状加熱チャンバ(45)と、- 2つの発熱体(47A、47B)であって、各発熱体(47A、47B)は、加熱チャンバ(45)のそれぞれの加熱壁(74A、74B)に隣接する、2つの発熱体(47A、47B)と、- 加熱プロファイルの所定の群の中から選択される加熱プロファイルに従って、同じエアロゾル発生基材と共に各発熱体(47A、47B)を別々に動作させるよう構成されるコントローラと、を備えるエアロゾル発生デバイスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基材(12)と共に動作するよう構成されるエアロゾル発生デバイス(10、110、210)であって、
- デバイス軸(Y)に沿って延在するデバイス本体(30、130、230)と、
- 開放端(70)と、互いに対向して平行に配置される少なくとも2つの加熱壁(74A、74B)とを画成するカップ状加熱チャンバ(45)であって、前記開放端(70)を介して前記エアロゾル発生基材(12)のヒータ部分(15)を受け入れるよう構成されるカップ状加熱チャンバ(45)と、
- 2つの発熱体(47A、47B)であって、各発熱体(47A、47B)は、前記加熱チャンバ(45)のそれぞれの加熱壁(74A、74B)に隣接して平行である、2つの発熱体(47A、47B)と、
- 加熱プロファイルの所定の群の中から選択される加熱プロファイルに従って、前記同じエアロゾル発生基材(12)と共に各発熱体(47A、47B)を別々に動作させるよう構成されるコントローラ(43)と、を備える、
エアロゾル発生デバイス。
【請求項2】
前記加熱プロファイルの群は、少なくとも、
- 第1の目標温度に達するまで両方の発熱体(47A、47B)の起動を含む第1の加熱プロファイルと、
- 第2の目標温度に達するまで前記発熱体(47A、47B)のうちの1つの起動を含む第2の加熱プロファイルと、を含む、
請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項3】
前記コントローラ(43)は、前記デバイス(10、110、210)の動作の予熱モード中に前記第1の加熱プロファイルを選択し、前記デバイス(10、110、210)の動作のフローティングモード中に前記第2の加熱プロファイルを選択するよう構成される、請求項2に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項4】
前記第1の目標温度及び前記第2の目標温度は同じ値に等しく、前記値は230℃~350℃の間、有利には250℃~300℃の間に含まれる、請求項2又は3に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項5】
前記コントローラ(43)は、更に、前記第2の加熱プロファイルを実行した後に、少なくとも、
- 前記第2の目標温度よりも高い第3の目標温度を達成するよう前記第2の加熱プロファイルにおいて用いられる、前記発熱体(47A、47B)の起動を含む第3の加熱プロファイルと、
- 前記第2の加熱プロファイルにおいて用いられる、前記発熱体(47A、47B)の停止と、前記他の発熱体(47A、47B)の起動とを含む第4の加熱プロファイルと、
- 前記2つの発熱体(47A、47B)の起動を含む第5の加熱プロファイルと、
- 各発熱体(47A、47B)の停止を含む第6の加熱プロファイルと、
を含む群において選択される少なくとも1つの加熱プロファイルに従って動作するよう構成される、
請求項2から4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項6】
前記加熱チャンバ(45)は、前記デバイス軸(Y)に沿って延在し、互いに対向してチャンバ側壁(73A、73B)を形成する第1の対の壁と、互いに対向して前記加熱壁(74A、74B)を形成する第2の対の壁とを有する矩形断面形状を画成する、請求項1から5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項7】
各加熱壁(74A、74B)は、前記矩形断面形状を画成するように各チャンバ側壁(73A、73B)に堅固に固定される、請求項6に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項8】
各加熱壁(74A、74B)は、各チャンバ側壁(73A、73B)よりも少なくとも3倍、有利には5倍、より有利には8倍幅広い、請求項6又は7に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項9】
各加熱壁(74A、74B)は、前記エアロゾル発生基材(12)が前記加熱チャンバ(45)内に挿入される場合に前記エアロゾル発生基材(12)の外面と密着するよう設計される接触面を画成する、請求項6から8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項10】
各発熱体(47A、47B)は、対応する加熱壁(74A、74B)の接触面とは反対側の、この加熱壁(74A、74B)の外面に取り付けられる、請求項9に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項11】
各チャンバ側壁(73A、73B)は、前記エアロゾル発生基材(12)が前記加熱チャンバ(45)内に挿入される場合に、前記エアロゾル発生基材(12)の外面から離間するよう設計される、請求項6から10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項12】
前記加熱チャンバ(45)は、前記エアロゾル発生基材(12)が前記加熱チャンバ(45)内に受け入れられる場合に、前記エアロゾル発生基材(12)の前記ヒータ部分(15)を圧縮するよう構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項13】
各発熱体(47A、47B)は、前記加熱チャンバ(45)の外面に取り付けられる、請求項1から12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項14】
各発熱体(47A、47B)は、ポリイミドフィルムヒータである、請求項1から13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【請求項15】
前記加熱チャンバ(45)の外面と前記デバイス本体(30、130、230)の内面との間に配置される絶縁体を更に備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10、110、210)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの発熱体を備えるエアロゾル発生デバイスに関する。
【0002】
本発明によるエアロゾル発生デバイスは、例えば、加熱される場合にエアロゾルを形成することができる固体基材を提供するエアロゾル発生基材と共に動作するよう構成される。従って、加熱非燃焼式デバイスとしても公知のかかる種類のエアロゾル発生デバイスは、伝導、対流、及び/又は放射により、基材を燃焼させるのではなく加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させるよう適合される。
【背景技術】
【0003】
リスク低減デバイス又はリスク修正デバイス(気化器としても公知)の人気及び使用は、シガレット、葉巻、シガリロ、及び巻きたばこ等の従来のたばこ製品の喫煙を止めることを望む常習的喫煙者を支援する補助として、ここ数年で急速に成長している。従来のたばこ製品においてたばこを燃焼させるのとは対照的に、気化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0004】
一般的に入手可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又は加熱非燃焼式デバイスである。この種類のデバイスは、通常、湿った葉たばこ又は他の好適な気化性材料を備えるエアロゾル発生基材としても公知のエアロゾル基材を典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を、燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。更に、たばこ又は他の気化性材料を加熱することによって発生するエアロゾルは、通常、ユーザにとって不快となり得る、燃焼及び燃やすことに起因する焦げた味又は苦味を含まず、従って、基材は、煙及び/又は蒸気をユーザにとってより口当たりのよいものにするようかかる材料に典型的に添加される糖及び他の添加物を必要としない。
【0005】
エアロゾル発生基材の加熱は通常、デバイス内部に組み込まれる加熱システムによって実行される。特に、幾つかのエアロゾル発生デバイスにおいて、加熱チャンバが設けられた加熱システムは、基材を受け入れ、伝熱によって加熱することができる。しかし、場合によっては、伝熱は最適ではない。これは、基材の不均一な加熱につながり、そのエアロゾル形成能力を低下させる可能性がある。この場合、基材は効率的に用いられず、その少なくとも一部が無駄になる場合がある。加えて、それは、ユーザによって予期されるエアロゾルの味を悪化させるか、又は変化させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の1つは、エアロゾル発生基材の効率的な加熱を確実にするエアロゾル発生デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、本発明は、エアロゾル発生基材と共に動作するよう構成されるエアロゾル発生デバイスであって、
- デバイス軸に沿って延在するデバイス本体と、
- 開放端と、少なくとも2つの加熱壁とを画成するカップ状加熱チャンバであって、開放端を介してエアロゾル発生基材のヒータ部分を受け入れるよう構成されるカップ状加熱チャンバと、
- 2つの発熱体であって、各発熱体は、加熱チャンバのそれぞれの加熱壁に隣接する、2つの発熱体と、
- 加熱プロファイルの所定の群の中から選択される加熱プロファイルに従って、同じエアロゾル発生基材と共に各発熱体を別々に動作させるよう構成されるコントローラと、を備えるエアロゾル発生デバイスに関する。
【0008】
加熱チャンバの少なくとも2つの加熱壁を用いて加熱することによって、基材への伝熱を改善することができる。基材は、特に、均一に、且つ熱損失なく加熱することができる。加えて、コントローラは、デバイスの各動作状態に対して最適な加熱プロファイルを選択することができる。かかる加熱プロファイルは、両方のヒータ又はそれらのうちの1つのみの起動を含んでもよい。異なる加熱プロファイルが、ベイピングセッションの異なる瞬間にコントローラによって実行することができ、異なる周波数で、且つ異なる外部/内部条件に応じて繰り返されてもよい。加えて、加熱プロファイルは、例えば、少なくとも1つのヒータの又は基材の又はエアロゾルの温度のような少なくとも1つのパラメータに基づいてコントローラによって選択することができる。
【0009】
幾つかの実施形態によれば、前記加熱プロファイルの群は、少なくとも、
- 第1の目標温度に達するまで両方の発熱体の起動を含む第1の加熱プロファイルと、
- 第2の目標温度に達するまで発熱体のうちの1つの起動を含む第2の加熱プロファイルと、を含む。
【0010】
これらの特徴により、発熱体は、同時に又は別々に作動させることができる。例えば、発熱体は、基材温度を急速に上昇させる必要がある場合に、同時に作動させることができる。ヒータのうちの1つのみを、基材温度を略変化させずに維持する必要がある場合に作動させてもよい。
【0011】
幾つかの実施形態によれば、コントローラは、デバイスの動作の予熱モード中に第1の加熱プロファイルを選択し、デバイスの動作のフローティングモード中に第2の加熱プロファイルを選択するよう構成される。
【0012】
これらの特徴により、エアロゾル発生デバイスが切り替えられた後、極めて迅速にエアロゾルを発生させるよう、エアロゾル発生デバイスを動作可能にすることが可能である。加えて、例えば動作のフローティングモード中のように、基材を強く加熱する必要がもはやない場合には、1つのヒータのみを基材の過熱を回避するよう動作させることができる。
【0013】
幾つかの実施形態によれば、第1の目標温度及び第2の目標温度は同じ値に等しく、値は230℃~350℃の間、有利には250℃~300℃の間に含まれる。
【0014】
これらの特徴により、基材を燃焼させることを回避することが可能であり、その結果、燃焼した、ユーザにとって不快な要素の放出を回避することが可能である。
【0015】
幾つかの実施形態によれば、コントローラは、更に、第2の加熱プロファイルを実行した後に、少なくとも、
- 第2の目標温度よりも高い第3の目標温度を達成するよう第2の加熱プロファイルにおいて用いられる発熱体の起動を含む第3の加熱プロファイルと、
- 第2の加熱プロファイルにおいて用いられる発熱体の停止と、他の発熱体の起動とを含む第4の加熱プロファイルと、
- 2つの発熱体の起動を含む第5の加熱プロファイルと、
- 各発熱体の停止を含む第6の加熱プロファイルと、
を含む群において選択される少なくとも1つの加熱プロファイルに従って動作するよう構成される。
【0016】
これらの特徴により、特にデバイスの動作のフローティングモード中に、デバイスの最適な動作及び最適な伝熱を確実にすることが可能である。
【0017】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバは、デバイス軸に沿って延在し、互いに対向してチャンバ側壁を形成する第1の対の壁と、互いに対向して加熱壁を形成する第2の対の壁とを有する矩形断面形状を画成する。
【0018】
これらの特徴により、基材内部でより均一な伝熱を得ることが可能である。
【0019】
幾つかの実施形態によれば、各加熱壁は、各チャンバ側壁よりも少なくとも3倍、有利には5倍、より有利には8倍幅広い。
【0020】
これらの特徴により、エアロゾル発生基材の加熱されない側面は無視することができる。従って、基材内側の伝熱をより最適にすることができる。
【0021】
幾つかの実施形態によれば、各加熱壁は、エアロゾル発生基材が加熱チャンバ内に挿入される場合にエアロゾル発生基材の外面と密着するよう設計される接触面を画成する。
【0022】
これらの特徴により、加熱壁と基材との間の伝熱を更に改善することができる。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、各発熱体は、対応する加熱壁の接触面とは反対側の、この加熱壁の外面に取り付けられる。
【0024】
これらの特徴により、発熱体は、基材との最適な伝熱を確実にしながら、加熱チャンバの外側に配置されてもよい。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、各チャンバ側壁は、エアロゾル発生基材が加熱チャンバ内に挿入される場合に、エアロゾル発生基材の外面から離間するよう設計される。
【0026】
これらの特徴により、チャンバの側壁と基材との間に気流チャネルを形成することができる。このチャネルは、デバイスの外側からエアロゾル発生基材の流入口まで新鮮な空気を導くために用いることができる。これにより、加熱チャンバに1つの開口部、即ち、基材を挿入するために用いられる開口部のみを設けることが可能になる。加熱チャンバの反対側の端部は封止されてもよい。これにより、チャンバからの熱損失を低減することができる。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバは、エアロゾル発生基材が加熱チャンバ内に受け入れられる場合に、エアロゾル発生基材のヒータ部分を圧縮するよう構成される。
【0028】
これらの特徴により、エアロゾル発生基材内側の伝熱を更に改善することができる。実際、基材を圧縮することは、チャンバ内部に形成される気泡の排除につながり、従って、断熱材として機能する。
【0029】
幾つかの実施形態によれば、各発熱体は、加熱チャンバの外面に取り付けられる。
【0030】
これらの特徴により、発熱体は、基材との最適な伝熱を確実にしながら、加熱チャンバの外側に配置されてもよい。
【0031】
幾つかの実施形態によれば、各発熱体は、ポリイミドフィルムヒータである。
【0032】
これらの特徴により、発熱体は薄くすることができ、デバイスのコンパクトな形状を維持しながらエアロゾル発生デバイスの内部で用いることができる。
【0033】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバの外面とデバイス本体の内面との間に配置される絶縁体を更に備える。
【0034】
これらの特徴により、デバイス本体は加熱チャンバから熱的に隔離することができる。これにより、デバイスの外面が過熱し、その結果、ユーザが負傷する危険性を減少させる。
【0035】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバはステンレス鋼でできている。
【0036】
これらの特徴により、加熱チャンバの壁は、良好な伝熱特性を規定することができる。
【0037】
本発明は更に、上で説明したようなエアロゾル発生デバイスとエアロゾル発生基材とを備えるアセンブリに関する。
【0038】
本発明及びその利点は、非限定的な例としてのみ挙げられ、添付の図面を参照して記述される以下の説明を読むことでよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるエアロゾル発生デバイスの斜視図である。
【
図2】
図1のエアロゾル発生デバイスと共に使用可能なエアロゾル発生基材の斜視図である。
【
図3】
図1のエアロゾル発生デバイスのマウスピースの斜視図である。
【
図4】
図1のエアロゾル発生デバイスのハウジングに取り付けられる
図3のマウスピースの斜視図である。
【
図5】
図1のエアロゾル発生デバイスの加熱チャンバの斜視図であり、加熱チャンバは、
図2のエアロゾル発生基材を受け入れる。
【
図6】加熱チャンバ及びエアロゾル発生基材がハウジングを欠いて示されている、
図5の図と同様の図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態によるエアロゾル発生デバイスの斜視図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態によるエアロゾル発生デバイスの斜視図である。
【
図10】エアロゾル発生基材のヒータ部分の好ましい実施例を示す、
図7の図と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載する構造の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行できることは、本開示の利益を享受する当業者に明らかであろう。
【0041】
本明細書中で用いるように、用語「エアロゾル発生デバイス」又は「デバイス」とは、以下で更に詳細に説明するヒータ要素を用いて、ベイピングのためのエアロゾルを含む、ユーザにエアロゾルを送出するベイピングデバイスを含み得る。デバイスは、可搬であってもよい。「可搬」とは、ユーザが保持する場合に用いられるデバイスを指してもよい。デバイスは、例えば、可変の時間量にわたり、ヒータ要素を作動させることにより、(定量のエアロゾルとは対照的に)可変量のエアロゾルを発生するよう適応してもよく、それは、トリガによって制御されてもよい。トリガは、ベイピングボタン及び/又は吸入センサ等、ユーザが作動させるものであってもよい。吸入センサは、吸入強度並びに吸入継続時間に対する感度が高いものであってもよく、(たばこ、葉巻、又はパイプ等のような従来の可燃性喫煙物品の喫煙効果を模倣するように)可変量の蒸気を提供することを可能にしてもよい。デバイスは、ヒータ及び/又は加熱されたエアロゾル発生物質(エアロゾル前駆体)の温度を特定の目標温度まで駆動し、その後、エアロゾルの効率的な発生を可能にする目標温度で温度を維持するための温度調節制御部を含んでもよい。
【0042】
本明細書中で用いるように、用語「エアロゾル」は、気化性材料の懸濁液を、固体粒子、液滴、気体のうちの1つ以上として含んでいてもよい。前記懸濁液は、空気を含む気体の状態であってもよい。本明細書のエアロゾルは、一般に、蒸気を指すか又はそれを含んでいてもよい。エアロゾルは、気化性材料の1つ以上の成分を含んでいてもよい。
【0043】
本明細書中で用いるように、用語「気化性材料」又は「前駆体」とは、例えば、ニコチン又はたばこを備えてもよい喫煙可能材料及びエアロゾル形成剤を指す場合がある。たばこは、様々な材料の形態、例えば刻みたばこ、粒状たばこ、たばこ葉、及び/又は再構成たばこの形態を取ってもよい。適切なエアロゾルフォーマとして、ポリオール(例えば、ソルビトール、グリセロール及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコール等のグリコール)、非ポリオール(例えば、一価アルコール、乳酸等の酸、グリセロール誘導体、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル等のエステル、グリセリン又は植物性グリセリン)がある。幾つかの実施形態において、エアロゾル発生剤は、グリセロール、プロピレングリコール、又はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であってもよい。基材は、ゲル化剤、結合剤、安定化剤及び保湿剤の少なくとも1つを含み得る。
【0044】
本発明の第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態によるエアロゾル発生デバイス10を示している。エアロゾル発生デバイス10は、
図2により詳細に示すエアロゾル発生基材12と共に動作するよう意図されている。
【0045】
図2を参照すると、エアロゾル発生基材12は、例えば、基材軸Xに沿って延在し、外部寸法L×W×Dを有する平坦形状の立方体である。典型的な実施例において、基材軸Xに従った基材の長さLは、33mmに略等しい一方で、その幅W及び深さDは、それぞれ12mm及び1.2mmに略等しい。異なる実施例によれば、値L、W、及びDは、例えば、±40%の範囲内で選択することができる。基材12の深さDは、以下で基材側壁13A、13Bと呼ばれる一対の平行な壁13A、13Bによって形成され、基材の幅Wは、以下で基材接触壁14A、14Bと呼ばれる一対の平行な壁14A、14Bによって形成される。本発明の他の実施形態によれば、エアロゾル発生基材12は、他の任意の適切な形状及び/又は外部寸法を有することができる。例えば、エアロゾル発生基材12は、円形管形状を形成してもよい。
【0046】
エアロゾル発生基材12は、基材軸Xに沿って配置されるヒータ部分15及びマウスピース部分16を備える。幾つかの実施形態において、エアロゾル発生基材12は、ヒータ部分15のみを備えてもよい。ヒータ部分15は、例えば、マウスピース部分16よりも僅かに長くてもよい。例えば、基材軸Xに従ったヒータ部分15の長さL2は、18mmに略等しくてもよく、基材軸Xに従ったマウスピース部分16の長さL1は、15mmに略等しくてもよい。ヒータ部分15は、基材12の当接端18を画成し、マウスピース部分16は、基材12の口側端20を画成する。ヒータ部分15及びマウスピース部分16は、基材軸Xの周囲に延在する固有のラッパーによって互いに固定されてもよい。他の実施形態において、部分15、16は、異なるラッパーによって巻装され、他の任意の適切な手段によって互いに固定されてもよい。ラッパー又は各ラッパーは、例えば、紙、及び/又は不織布、及び/又はアルミニウムを備えていてもよい。ラッパー又は各ラッパーは、多孔性又は空気不透過性であってもよい。ラッパー又は各ラッパーは、当接端18と口側端20との間で基材12の内側に延在する複数の気流チャネルを形成する。
【0047】
ヒータ部分14は、ヒータ(本実施例においては加熱チャンバを用いる)によって加熱されるよう意図されており、上記で定義したような気化性材料を備える。本発明の第1及び第2の実施形態によれば、マウスピース部分16は、以下で更に詳細に説明するように、マウスピースの内側に受け入れられるよう意図されている。本発明の他の実施形態によれば、マウスピース部分16は、それ自体、ユーザの口及び/又は唇と接触するよう意図されるマウスピースを形成している。マウスピース部分16は、例えば、フィルタのように機能するコア17を備える。コア17は、例えば、発泡体又は詰め込まれたストランド若しくは繊維であってもよい。コア17は、押し出し及び/又は圧延プロセスによって安定した形状に形成されてもよい。基材は、1つ以上の気流チャネルを提供するよう成形されてもよい。
図2の特定の実施例において、マウスピース部分16は、例えば、基材軸Xに対して垂直な2つの軸に沿ってマウスピース部分16の周囲全体に従って配置される複数の通気孔22を画成する。言い換えれば、この実施例によれば、通気孔22は、基材側壁13A、13B及び基材接触壁14A、14Bのうち基材の各壁に配置される。別の実施例によれば、通気孔22は、基材接触壁14A、14Bのみに、又は好ましくは、基材接触壁14A、14Bの一方のみに配置される。両方の実施例において、通気孔22は、基材12の対応する壁又は各壁上で基材軸に対して垂直に位置合わせされてもよく、同じ距離だけ離間させることができる。通気孔22は、特定のベイピング/テイスティング効果を実現するよう、新鮮な空気が基材12の内側に入ることを可能にする。
【0048】
再び
図1を参照すると、エアロゾル発生デバイス10は、デバイス軸Yに沿って延在し、デバイス10の少なくとも1つの側壁40を形成するデバイス本体30を備える。デバイス本体30は、デバイス軸Yに従って連続的に配置されるマウスピース32及びハウジング34を備える。本発明の第1の実施形態によれば、マウスピース32及びハウジング34は、2つの異なる部品を形成する。特に、この実施形態によれば、マウスピース32は、ハウジング34の端部の一方に形成される挿入開口部36上に固定されるか又はそれに受け入れられるよう設計される。この開口部36は、マウスピース32がハウジング34から取り外されている
図5に示すように、デバイス軸Yに対して垂直に延在する。
【0049】
各断面において、ハウジング34は、例えば、丸みを帯びた縁部を有する略矩形の形状を形成してもよい。この場合、ハウジング34はマウスピース32と共に、少なくとも4つの側壁40を形成する。他の実施形態によれば、ハウジング34は、円形の断面形状を有することができる。この場合、それはマウスピース32と共に1つの側壁40のみを形成することができる。ハウジング34は、マウスピース32を受け入れる挿入開口部36とは対向する端部において封止することができる。ハウジング34は、アルミニウム又はプラスチックのような任意の適切な材料で作られる単一の部品又は幾つかの組み立てられた部品から形成することができる。幾つかの実施形態において、ハウジング34の材料は、熱伝導性材料とすることができる。幾つかの他の実施形態において、それは断熱材料とすることができる。幾つかの実施形態において、ハウジング34は、デバイス側壁40の対応する部分に、制御及び/又は視覚要素を配置するのに適した1つ以上の開口部を形成することができる。例えば、かかる要素は、制御ボタン、タッチパネル、スクリーン、LED等を備えてもよい。特に、
図1の実施例において、ハウジング34は、例えばデバイス10の少なくともオン状態を示すLEDを受け入れるスロット開口部42を形成する。それはまた、例えばバッテリロー状態、エラー状態等を示すこともできる。
【0050】
ハウジング34は、デバイス10の異なる機能を実行するよう設計される様々な要素を受け入れるデバイス10の内部空間を区切る。この内部空間は、例えば、デバイス10に電力を供給するためのバッテリ、デバイス10の動作を制御するためのコントローラ43、エアロゾル発生基材12を加熱するための加熱チャンバ45、及び加熱チャンバ45を加熱するための少なくとも2つの発熱体47A、47Bを受け入れることができる。幾つかの実施形態において、ハウジング34は、更に、少なくとも1つの温度センサを備えてもよい。この温度センサは、例えば、少なくとも1つの発熱体47A、47Bの、及び/又はエアロゾル発生基材12の、及び/又はエアロゾル発生基材によって発生するエアロゾルの温度に対する温度測定値を生成することができる。
【0051】
図3は、マウスピース32をより詳細に示している。この
図3を参照すると、マウスピース32は、マウスピース32をハウジング34に組み付ける間に挿入開口部36に面するよう意図される内面56と、ハウジング34と共にデバイス10の少なくとも1つの側壁40を形成するよう意図される外面57とによって区切られる。内面56の外側境界59は、挿入開口部36の内側境界の一部と密着して、マウスピース32を挿入開口部36の内側に固定するよう設計される。外面57は、ユーザの口及び/又は唇と接触するのに適切な形状を有する。外面57の各側部は、ハウジングの対応する側部の延長として形成されて、デバイス10の略連続した側壁40を形成することができる。特に、この場合、マウスピース32とハウジング34との間の移行ゾーンにおいて不連続部を形成することができる。
【0052】
マウスピース32は、凹部62と流出口64との間をデバイス軸Yに沿って延在する貫通孔60によって横断される。特に、貫通孔60は、基材軸Xがデバイス軸Yと一致するようにエアロゾル発生基材12のマウスピース部分16を受け入れるよう設計される。従って、貫通孔60は、エアロゾル発生基材12と同じ断面形状を有し、エアロゾル発生基材12のマウスピース部分16の外部寸法よりも僅かに大きい内部寸法を画成する。特に、図の実施例において、貫通孔60は、
図2に示すエアロゾル発生基材12のマウスピース部分16を受け入れることができるよう矩形断面を画成する。幾つかの実施形態において、貫通孔60は、可変断面寸法を有してもよい。例えば、貫通孔60は、凹部62から流出口64まで徐々に減少する断面寸法(特に幅)を有することができる。加えて、エアロゾル発生基材12の貫通孔60及びマウスピース部分16は、それぞれデバイス軸Y及び基材軸Xに従って測定される同じ長さを有することができる。別の実施形態によれば、エアロゾル発生基材12のマウスピース部分16の長さは、エアロゾル発生基材12の口側端20が流出口64において面一であることができるように、貫通孔60の長さよりも短くすることができる。
【0053】
凹部62は、マウスピース32の内面56及び外面57の両方に形成されるキャビティに対応する。このキャビティは、境界59からこの貫通孔60まで貫通孔60の一方の側で内面56上に延在する第1の開口部と、デバイス軸Yに従って測定されるマウスピース32の長さのd%に続く境界から外面57上に延在する第2の開口部とによって形成することができる。値dは、25未満、有利には10未満、より有利には5未満とすることができる。従って、マウスピース32が挿入開口部36に挿入されると、凹部62は、
図4に示すように、流入口66を形成する開口部66を形成する。言い換えれば、流入口66は、マウスピース32とハウジング34との間の移行ゾーンにおいてデバイス10の側壁40に形成される。
【0054】
エアロゾル発生基材12が通気孔22を含む実施形態において、これらの通気孔22の少なくとも幾つかは、流入口66に面するよう配置される。
【0055】
本発明の別の実施形態(図示せず)によれば、流入口は、デバイス10の他の任意の壁に形成される。それは、例えば、マウスピース32の反対側の壁に形成することができる。
【0056】
図5~7を参照すると、加熱チャンバ45は、開放端70と封止端71との間でデバイス軸Yに沿って延在するカップ形状の加熱チャンバを形成する。加熱チャンバ45は、エアロゾル発生基材12のヒータ部分15を受け入れるよう設計される。この目的のために、加熱チャンバ45は、エアロゾル発生基材12と略同じ断面形状を画成する。特に、図の実施例において、加熱チャンバ45は、2つの平行なチャンバ側壁73A、73B及び2つの平行なチャンバ接触壁74A、74Bを有する矩形の断面形状を画成する。各チャンバ接触壁74A、74Bは、例えば、各チャンバ側壁73A、73Bよりも少なくとも3倍、有利には5倍、より有利には8倍幅広い。
【0057】
各加熱壁74A、74Bは、例えば、矩形断面形状を画成するように、特に加熱チャンバ45のカップ形状を形成するように、各チャンバ側壁73A、73Bに堅固に固定されてもよい。
【0058】
加熱壁74A、74Bは、互いに対向して平行に配置されてもよく、特に、例えばエアロゾル形成基材12がない場合に互いに面して配置されてもよい。
【0059】
実施形態によれば、各発熱体47A、47Bは、加熱チャンバ45のそれぞれの加熱壁74A、74Bに対して平行であってもよい。例えば、各発熱体47A、47Bは、エアロゾル形成基材12と対応する加熱壁74A、74Bとの間に配置されてもよいか、又は対応する加熱壁74A、74Bの内側に一体化されてもよい。
【0060】
加熱チャンバ45はまた、デバイス軸Yに対して垂直に配置され、封止端71を封止する遠位壁75を画成する。特に、遠位壁75は、封止端71においてチャンバを封止し、従って、開放端70においてチャンバ開口部のカップ形状を形成するように壁73A、73B、74A、74Bのそれぞれに隣接する。特に、この場合、チャンバ45の唯一の通気性開口部は、開放端70に形成される。別の実施形態(図示せず)によれば、遠位壁75は、空気がチャンバ45の内側、特にエアロゾル形成基材12の内側に入るのに適した開口部を画成する。壁73A、73B、74A、74B、75のそれぞれは、金属、特にステンレス鋼のような熱伝導性材料から作成することができる。加えて、壁73A、73B、74A、74B、75の少なくとも幾つか、又はこれらの壁の全ては、1つの単一部品を形成することができる。
【0061】
加熱チャンバ45の内部寸法は、デバイス軸Yに従って測定される長さL3と、チャンバ側壁73A、73B間の距離として測定される幅W3と、チャンバ接触壁74A、74B間の距離として測定される深さD3とによって画成される。これらの内部寸法L3、W3、D3は、エアロゾル発生基材12のヒータ部分15の外部寸法L2、W、Dに基づいて選択される。
【0062】
特に、加熱チャンバ45の深さD3は、エアロゾル発生基材12の深さDよりも僅かに大きく、又はこの深さDに略等しく選択される。この場合、基材接触壁14A、14Bは、エアロゾル発生基材12のヒータ部分15が加熱チャンバ45の内側に受け入れられる場合に、チャンバ接触壁74A、74Bと、特にこれらの壁74A、74Bの接触面と接触することができる。有利には、この場合、チャンバ接触壁74A、74B、特にそれらの接触面は、基材接触壁14A、14Bと密着している。幾つかの実施形態において、加熱チャンバ45の深さD3は、エアロゾル発生基材12の通常の深さDよりも僅かに小さくてもよい。この場合、加熱チャンバ45及び/又はマウスピース32は、基材接触壁14A、14Bに力を及ぼすことによってエアロゾル発生基材12のヒータ部分15を圧縮するよう構成される。これにより、加熱チャンバ45の対応する接触壁と基材12との間の密着を改善し、従って、これらの壁の間の伝熱を改善することを可能にする。
【0063】
例えば、各基材接触壁14A、14Bは、ヒータ部分15のこの壁の第1の表面領域と、マウスピース部分16のこの壁の第2の表面領域とからなる。幾つかの実施形態によれば、各チャンバ接触壁74A、74Bは、エアロゾル発生基材12のヒータ部分15の対応する表面領域、例えば、基材接触壁14A、14Bの第1の表面領域と等しいか又はそれより大きい領域を呈する。これは、例えば
図6において見ることができる。特に、各チャンバ接触壁74A、74Bは、ヒータ部分15の表面領域の縁部にわたって横方向に、即ちデバイス軸Yに対して垂直な方向に延在する。
【0064】
加熱チャンバ45の幅W3は、加熱チャンバ45及びエアロゾル発生基材12の対向する側壁73A、13A又は73B、13Bの少なくとも一対がそれらの間に気流チャネルを形成するように選択される。有利に、加熱チャンバ45の幅W3は、加熱チャンバ45及びエアロゾル発生基材12の対向する側壁73A、13A又は73B、13Bの各対がそれらの間に気流チャネルを形成するように選択される。換言すれば、加熱チャンバ45の幅W3は、
図7に示すように、対向する側壁73A、13A又は73B、13Bの各対の間に距離d1を形成するように選択される。特に、この図の実施例において、W3=W+2d1である。距離d1は、例えば、加熱チャンバ45の深さD3に略等しく選択されてもよい。この場合、エアロゾル発生基材12のヒータ部分15が加熱チャンバ45内に挿入される場合、略正方形断面の気流チャネルがエアロゾル発生基材12のいずれかの側面上にデバイス軸Yに沿って形成される。無論、距離d1は、加熱中にエアロゾル発生基材12の内側で必要とされる流量に応じて、他の任意の値に等しく選択されてもよい。加えて、この場合、加熱チャンバ45の遠位壁75は、エアロゾル発生基材12の当接端18と加熱チャンバ45の遠位壁75との接触を防止するリブ又は他の任意の停止手段を形成することができる。言い換えれば、この停止手段は、チャンバ側壁73A、73Bとエアロゾル発生基材12との間に形成される気流チャネルのそれぞれを接続する気流チャネルを作成するよう構成され、各気流チャネルはエアロゾル発生基材12の内側に形成される。
【0065】
本発明の別の実施形態(図示せず)によれば、加熱チャンバ45の対向する側壁73A、13A又は73B、13Bの対とエアロゾル発生基材12との間に気流チャネルは形成されない。この場合、側壁73A、13A又は73B、13Bのこれらの対は、接触していてもよく、有利にはそれらの間で密着してもよい。この実施形態は、加熱チャンバ45の遠位壁75又は他の任意の壁が、空気が入るのに適した開口部を形成する場合に特に適している。
【0066】
図6及び7に示すように、各発熱体47A、47Bは、加熱チャンバ45の外側のチャンバ接触壁74A、74Bのうちの1つと接触して配置される。特に、これらの図の実施例において、発熱体47Aは、チャンバ接触壁74Aの外面に隣接して配置され、発熱体47Bは、チャンバ接触壁47Aの外面に隣接して配置される。従って、チャンバ接触壁74A、74Bは、発熱体47A、47Bからエアロゾル発生基材12への伝熱を確実にするため、加熱壁74A、74Bとも呼ばれる。各発熱体47A、47Bは、対応する加熱壁74A、74Bの前記外面の略全領域に沿って、又はこの表面の一部のみに沿って延在するポリイミドフィルムヒータを備えてもよい。この最後の場合、前記部分は、エアロゾル発生基材12の幅Wと略等しい幅を形成してもよい。幾つかの実施形態によれば、エアロゾル発生デバイス10は、更に、各発熱体47A、47Bとハウジング34の内面との間に配置される絶縁体を備える。また、同じ絶縁体が、チャンバ側壁73A、73Bのそれぞれの外面とハウジング34の内面との間に配置されてもよい。
【0067】
コントローラ43は、エアロゾル発生デバイス10の動作を制御するよう構成される。この目的のために、コントローラ43は、以下で更に詳細に説明するように、エアロゾル発生デバイス10の動作、特に発熱体47A、47Bの動作を制御することができる少なくとも1つのソフトウェア及び/又はハードウェアコンポーネントを呈してもよい。コントローラ43が少なくとも1つのソフトウェアコンポーネントを呈する場合、このコンポーネントは、デバイス10に備えられる適切なプロセッサ及びメモリを用いて実行することができる。コントローラ43が少なくとも1つのハードウェアコンポーネントを呈する場合、かかるコンポーネントは、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」として公知)等のプログラマブルユニットを呈してもよい。
【0068】
特に、コントローラ43は、加熱プロファイルの所定の群の中から選択される加熱プロファイルに従って、各発熱体47A、47Bの動作を別々に動作させるよう構成されてもよい。対応する加熱プロファイルは、デバイス10の動作モードに従って、及び/又はデバイス10の動作に関する少なくとも幾つかの外部/内部パラメータに従って選択されてもよい。
【0069】
デバイスの動作モードは、例えば、予熱モード又はフローティングモードに対応することができる。予熱モード中、エアロゾル発生基材12は、周囲温度からエアロゾルを発生させることを可能にする温度まで加熱される。フローティングモードの間、エアロゾル発生基材12は、ユーザのパフに対して更にエアロゾルを発生させるよう加熱される。従って、フローティングモードは、ベイピングセッション中のエアロゾル発生デバイス10の通常動作に対応する。デバイス10の動作に関するパラメータは、先に説明したように、例えばハウジング34の内側に配置される温度センサによって提供される温度測定値に対応してもよい。上述したように、これらの温度測定値は、発熱体47A、47Bの少なくとも一方又は両方の温度、エアロゾル発生基材12の温度、又は生成されたエアロゾルの温度に対するものであってもよい。
【0070】
コントローラ43は、例えば、デバイス10の動作の予熱モード中に第1の加熱プロファイルを選択し、デバイス10の動作のフローティングモードの少なくとも開始中に第2の加熱プロファイルを選択するよう構成されてもよい。例えば、第1の加熱プロファイルは、第1の目標温度に達するまで発熱体47A、47Bの両方を作動させることを備えてもよく、第2の加熱プロファイルは、第2の目標温度に達するまで発熱体のうちの1つ(例えば、発熱体47A)を作動させることを含んでもよい。第2の加熱プロファイルは、更に、第2の目標温度を維持するよう発熱体47Aの起動/停止を含んでもよい。幾つかの実施形態において、第1の目標温度及び第2の目標温度は、同じ値に等しくてもよく、前記値は、230℃~350℃の間、有利には250℃~300℃の間に含まれる。有利に、値は、ユーザがパフを行う間に、基材を燃焼させることなく、エアロゾルを発生させることを可能にするエアロゾル発生基材12の温度に対応することができる。
【0071】
幾つかの実施形態において、第2の加熱プロファイルに従って発熱体47A、47Bを動作させた後、コントローラ43は、例えば、温度センサによって提供される温度測定値に従って、及び/又は所定の期間/頻度に従って選択される、更に別の加熱プロファイルに従ってこれらの要素を動作させるよう構成される。かかる加熱プロファイルは、少なくとも以下を備える群から選択されてもよい。
- 第2の目標温度よりも高い第3の目標温度を達成するよう、第2の加熱プロファイルにおいて用いられる発熱体(即ち、先に引用した実施例による発熱体47A)の起動を含む第3の加熱プロファイルと、
- 第2の加熱プロファイルにおいて用いられる発熱体(即ち、先に引用した実施例による発熱体47A)の停止と、他の発熱体(即ち、先に引用した実施例による発熱体47B)の起動とを含む第4の加熱プロファイルと、
- 2つの発熱体47A、47Bの起動を含む第5の加熱プロファイルと、
- 各発熱体47A、47Bの停止を含む第6の加熱プロファイル。
【0072】
他の加熱プロファイルも可能である。特に、加熱プロファイルは、先に引用した加熱プロファイルの任意の組み合わせに対応してもよい。更に、2つを超える発熱体の場合、加熱プロファイルは、より複雑であってもよく、デバイスの動作モード及び/又は温度測定値等の外部/内部パラメータに従って、発熱体の少なくとも第1の群の起動及び発熱体の少なくとも第2の群の停止を含んでもよい。加えて、第3~第6の加熱プロファイルのうちのある特定のもののみ(又は1つのみ)が、任意の適切な順序に従って、ベイピングセッション中に実行されてもよいことは明らかである。
【0073】
ここで、エアロゾル発生デバイス10の動作を説明する。初期状態で、エアロゾル発生基材12はデバイス10から抜き取られているものとする。これを挿入するため、ユーザは、まず、マウスピース32をハウジング34から取り外す。次いで、ユーザは、基材12の当接端18が遠位壁75の停止手段に対して当接するまで、エアロゾル発生基材12のヒータ部分15を加熱チャンバ45内に挿入する。次いで、ユーザは、エアロゾル発生基材12のマウスピース部分16をマウスピース32の貫通孔60の内側に摺動させ、マウスピース32をハウジング34の挿入開口部36に挿入することによって、マウスピース32をハウジング34上に固定する。
【0074】
次いで、ユーザは、例えばONボタンを起動させることにより、又はパフを行うことにより、エアロゾル発生デバイス10の動作を起動することができる。これにより、
図4に示すように、流入口66と流出口64との間のデバイス内側に形成される気流経路内に気流が生成される。
【0075】
エアロゾル発生デバイス10の起動時に、コントローラ43は、動作の予熱モードを開始し、上で説明したように、第1の加熱プロファイルに従って発熱体47A、47Bを動作させる。第1の目標温度が達成されると、コントローラ43は、デバイス10の動作のフローティングモードに進み、第2の加熱プロファイルに従って発熱体47A、47Bを動作させる。その後、コントローラ43は、先に説明したように、少なくとも別の加熱プロファイルに従ってこれらの発熱体を動作させてもよい。
【0076】
図10に見ることができるように、エアロゾル発生基材12のヒータ部分15は、例えば、対向する両方の表面上にスロット付きの溝を有する平板形状を有してもよい。
【0077】
本発明の第2の実施形態
図8は、本発明の第2の実施形態によるエアロゾル発生デバイス110を示している。このエアロゾル発生デバイス110は、エアロゾル発生デバイス10と同様であり、特に、
図2に示す同じエアロゾル発生基材12と共に動作するよう構成される。
【0078】
本発明の第2の実施形態によるエアロゾル発生デバイス110はまた、デバイス110の少なくとも1つの側壁140を画成し、本発明の第1の実施形態に関連して先に説明したマウスピース32及びハウジング34とそれぞれ同様の外形を有するマウスピース132及びハウジング134を備えるデバイス本体130を備える。しかし、本発明の第2の実施形態によれば、マウスピース132及びハウジング134は、単一部品を形成する。この場合、エアロゾル発生基材は、例えば、マウスピース132の開口部164から直接装填することができる。この開口部164も、先に説明した流出口64と同様の流出口164を形成する。エアロゾル発生基材12は、例えば、側壁140上に配置されるアクチュエータ142によって作動させることができる内部取り出し機構を用いて、同じ開口部164から取り出すことができる。
【0079】
側壁又は各側壁140は、例えば、平滑な外面を有し、マウスピース132とハウジング134との間の移行ゾーンを画成する。更に、先の場合と同様に、移行ゾーンは、流入口166を形成する開口部166を画成する。
【0080】
エアロゾル発生デバイス110の内装品は、上で説明したエアロゾル発生デバイス10の内装品と同様である。特に、エアロゾル発生デバイス110は、先に説明した加熱チャンバ45と同じ加熱チャンバを備え、少なくとも2つの加熱壁を形成する。先の場合と同様に、発熱体が加熱壁上に取り付けられ、上で説明したコントローラ43と同様のコントローラによって互いの発熱体とは別個に制御することができる。
【0081】
エアロゾル発生デバイス110の動作も、上で説明したエアロゾル発生デバイス10の動作と同様である。独自の違いは、エアロゾル発生基材12の装填/取り出し方法にある。
【0082】
本発明の第3の実施形態
図9は、本発明の第3の実施形態によるエアロゾル発生デバイス210を示している。このエアロゾル発生デバイス210は、本発明の第2の実施形態によるエアロゾル発生デバイス110と同様であり、特に、
図2に示す同じエアロゾル発生基材12と共に動作するよう構成される。
【0083】
本発明の第3の実施形態によるエアロゾル発生デバイス210はまた、デバイス210の少なくとも1つの側壁240を画成するデバイス本体230を備える。先の実施形態とは対照的に、本発明の第3の実施形態によるデバイス本体230は、マウスピースを画成していない。
図9に示すように、マウスピースは、エアロゾル発生基材12のマウスピース部分16の少なくとも一部によって形成される。
【0084】
特に、この実施形態によれば、デバイス本体230は、デバイス本体230の端部の一方においてデバイス軸Yに対して垂直に延在する挿入開口部236を形成する。本発明の第2の実施形態と同様に、開口部236は、エアロゾル発生基材12の少なくともヒータ部分15を受け入れるのに適している。特に、先の場合と同様に、開口部236は、デバイス本体230の内側に配置される加熱チャンバと連通する。この加熱チャンバは、上記で説明した加熱チャンバと同様であり、特に、エアロゾル発生基材12のヒータ部分15を受け入れるよう適合される。加えて、先の場合と同様に、コントローラによって別々に動作されるよう構成される少なくとも2つの発熱体が設けられる。
【0085】
先の場合とは対照的に、エアロゾル発生基材12のマウスピース部分16の少なくとも一部は、開口部236から突出し、従ってマウスピースを形成する。言い換えれば、エアロゾル発生基材12のこの突出部分は、デバイス210を用いている間にユーザの唇及び口と接触するよう設計され、流出口264を形成する。
【0086】
先の場合と同様に、流入口266がデバイス本体230の側壁240に形成されている。この流入口266は、加熱チャンバの側壁とエアロゾル発生基材12との間に形成される気流チャネルのそれぞれと流体連通している。加えて、先の場合と同様に、流れは、「U」字状の曲がりに従って、流出口264までエアロゾル発生基材12の内側を流れるようチャンバの内側に押し込まれる。
【0087】
エアロゾル発生基材12が通気孔22を備える場合、これらの通気孔22は、
図9に示すように、基材12のマウスピース部分16の突出部分に配置されてもよい。別の実施例によれば、通気孔22は、有利には本発明の第2の実施形態のように流入口266に面するよう、デバイス本体230の内側に受け入れられる基材12のマウスピース部分16の一部に配置される。
【0088】
本発明の第2の実施形態と同様に、アクチュエータ242が、エアロゾル発生基材12の取り出しを容易にするよう、デバイス210の側壁240上に配置されてもよい。別の実施例によれば、側壁上にアクチュエータは設けられず、基材12は、その突出部分を引っ張ることによって引き出される。
【0089】
本発明の第4の実施形態
本発明の第4の実施形態によるエアロゾル発生デバイスは、本発明の第2の実施形態によるエアロゾル発生デバイス110と同じ構造を有し、唯一の違いは、第4の実施形態によるエアロゾル発生デバイスが受け入れることができる基材12の性質にある。特に、それは、異なる長さのエアロゾル発生基材を受け入れるよう適合させることができる。例えば、本発明の第4の実施形態によるエアロゾル発生デバイスは、「通常の」長さのエアロゾル発生基材、即ち、
図2の基材と同様の基材を受け入れるよう適合されてもよい。この場合、このエアロゾル発生デバイスは、本発明の第2の実施形態によるエアロゾル発生デバイス110のように動作してもよく、即ち、デバイス本体の一部を構成するマウスピースを形成してもよい。本発明の第4の実施形態によるエアロゾル発生デバイスはまた、細長いエアロゾル発生基材を受け入れるよう適合されてもよい。この場合、基材は、デバイス本体から突出し、マウスピースを形成することができる。言い換えれば、この場合、本発明の第4の実施形態によるエアロゾル発生デバイスは、本発明の第3の実施形態によるエアロゾル発生デバイス210として動作してもよい。
【国際調査報告】