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特表2024-517103金属酸化物半導体コンデンサおよび埋め込まれた金属酸化物半導体コンデンサを含む回路基板
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  • 特表-金属酸化物半導体コンデンサおよび埋め込まれた金属酸化物半導体コンデンサを含む回路基板 図1A
  • 特表-金属酸化物半導体コンデンサおよび埋め込まれた金属酸化物半導体コンデンサを含む回路基板 図1B
  • 特表-金属酸化物半導体コンデンサおよび埋め込まれた金属酸化物半導体コンデンサを含む回路基板 図1C
  • 特表-金属酸化物半導体コンデンサおよび埋め込まれた金属酸化物半導体コンデンサを含む回路基板 図2
  • 特表-金属酸化物半導体コンデンサおよび埋め込まれた金属酸化物半導体コンデンサを含む回路基板 図3
  • 特表-金属酸化物半導体コンデンサおよび埋め込まれた金属酸化物半導体コンデンサを含む回路基板 図4
  • 特表-金属酸化物半導体コンデンサおよび埋め込まれた金属酸化物半導体コンデンサを含む回路基板 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】金属酸化物半導体コンデンサおよび埋め込まれた金属酸化物半導体コンデンサを含む回路基板
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/33 20060101AFI20240412BHJP
   H01P 1/00 20060101ALI20240412BHJP
   H01G 2/06 20060101ALI20240412BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20240412BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01P1/00 Z
H01G2/06 501
H01G4/30 541
H01G4/30 544
H01G4/30 547
H05K3/46 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564006
(86)(22)【出願日】2022-04-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022025180
(87)【国際公開番号】W WO2022235419
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/183,114
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/224,030
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523271583
【氏名又は名称】キョーセラ・エーブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】コリー・ネルソン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
5E316
5J011
【Fターム(参考)】
5E001AA01
5E001AB06
5E001AC09
5E001AG01
5E082AA01
5E082AB01
5E082EE05
5E082EE23
5E082EE37
5E082FF05
5E082FG25
5E082GG10
5E082GG11
5E082HH43
5E082HH44
5E082HH48
5E316AA32
5E316AA43
5E316HH06
5E316JJ03
5E316JJ13
5J011CA14
(57)【要約】
金属酸化物半導体(MOS)コンデンサが、半導体材料を含む基板と、基板の表面上に形成されている酸化物層と、酸化物層の少なくとも一部分を覆って形成されている導電層と、基板の表面と接続されている第1の端子と、導電層と接続されている第2の端子とを含み得る。酸化物層は基板と導電層との間に直列に接続されて、第1の端子と第2の端子との間にコンデンサを形成し得る。第1の端子および第2の端子の各々は、コンデンサを表面実装するための基板の表面に沿って露出させられ得る。MOSコンデンサは優れた高周波性能を示し得る。例えば、MOSコンデンサの挿入損失は、約5GHzから約40GHzまでに及ぶ周波数では、約-0.75dBよりも大きい可能性がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料を含む基板と、
前記基板の表面上に形成されている酸化物層と
前記酸化物層の少なくとも一部分を覆って形成されている導電層と、
前記基板の前記表面と接続されている第1の端子と、
前記導電層と接続されている第2の端子であって、前記酸化物層は前記基板と前記導電層との間に直列に接続されて、前記第1の端子と前記第2の端子との間にコンデンサを形成する、第2の端子と
を含む、コンデンサであって、
前記第1の端子および前記第2の端子の各々は、前記コンデンサを表面実装するための前記基板の前記表面に沿って露出させられる、
コンデンサ。
【請求項2】
前記第1の端子は、前記基板の前記表面に沿って前記酸化物層から離間されている位置で、前記基板の前記表面と接続されている、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第1の端子は、Y方向に、前記第2の端子から離間されており、
前記酸化物層は、前記Y方向に対して垂直なX方向と一直線になっている縁部を有し、前記酸化物層の前記縁部は、前記Y方向に、前記基板の端部から離間されており、
前記第1の端子は、前記Y方向に、前記酸化物層の前記縁部と前記基板の前記端部との間に配置されている、
請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記酸化物層は、前記酸化物層のない前記基板の前記表面の第2の部分とは異なる、前記基板の前記表面の第1の部分を覆い、
前記第1の端子は、前記基板の前記表面の前記第2の部分内で、前記基板の前記表面と接続されている、
請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記第1の端子は、前記基板の前記表面に直接接触する導電性材料を含む、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記基板の前記半導体材料はシリコンを含む、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記酸化物層は酸化ケイ素を含む、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記コンデンサは、前記第2の端子における、前記第1の端子に与えられる入力信号に対する挿入損失を示し、前記挿入損失は、約5GHzから約40GHzまでに及ぶ周波数では、約-0.75dBよりも大きい、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記コンデンサは、前記第2の端子における、前記第1の端子に与えられる入力信号に対する挿入損失を示し、前記挿入損失は、約5GHzから約60GHzまでに及ぶ周波数では、約-2dBよりも大きい、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項10】
半導体材料を含む基板と、
前記基板の表面上に形成されている酸化物層と
前記酸化物層の少なくとも一部分を覆って形成されている導電層と、
前記基板の前記表面と接続されている第1の端子と、
前記酸化物層と接続されている第2の端子であって、前記酸化物層は、前記基板と前記導電層との間に直列に接続されて、前記第1の端子と前記第2の端子との間にコンデンサを形成する、第2の端子と
を含む、コンデンサであって、
前記コンデンサは、前記第2の端子における、前記第1の端子に与えられる入力信号に対する挿入損失を示し、前記挿入損失は、約5GHzから約40GHzまでに及ぶ周波数では、約-0.75dBよりも大きい、
コンデンサ。
【請求項11】
前記第1の端子は、前記基板の前記表面に沿って前記酸化物層から離間されている位置で、前記基板の前記表面と接続されている、請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記第1の端子は、Y方向に、前記第2の端子から離間されており、
前記酸化物層は、前記Y方向に対して垂直なX方向と一直線になっている縁部を有し、前記酸化物層の前記縁部は、前記Y方向に、前記基板の端部から離間されており、
前記第1の端子は、前記Y方向に、前記酸化物層の前記縁部と前記基板の前記端部との間に配置されている、
請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記酸化物層は、前記酸化物層のない前記基板の前記表面の第2の部分とは異なる、前記基板の前記表面の第1の部分を覆い、
前記第1の端子は、前記基板の前記表面の前記第2の部分内で、前記基板の前記表面と接続されている、
請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記第1の端子は、前記基板の前記表面に直接接触する導電性材料を含む、請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記基板の前記半導体材料はシリコンを含む、請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項16】
前記酸化物層は酸化ケイ素を含む、請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項17】
前記コンデンサは、前記第2の端子における、前記第1の端子に与えられる入力信号に対する挿入損失を示し、前記挿入損失は、約5GHzから約60GHzまでに及ぶ周波数では、約-2dBよりも大きい、請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項18】
コンデンサを形成する方法であって、
半導体材料を含む基板の表面上に酸化物層を形成するステップと、
前記酸化物層の少なくとも一部分を覆って導電層を堆積させるステップと、
第1の端子が、前記コンデンサを表面実装するための前記基板の前記表面に沿って露出させられるように、前記基板の前記表面上に前記第1の端子を堆積させるステップと、
第2の端子が、前記コンデンサを表面実装するための前記基板の前記表面に沿って露出させられるように、前記導電層上に前記第2の端子を堆積させるステップと
を含む、方法。
【請求項19】
前記基板の前記表面上に前記酸化物層を形成するステップは、前記酸化物層のない前記基板の前記表面の第2の部分とは異なる、前記基板の前記表面の第1の部分内に前記酸化物層を形成するステップを含み、
前記第1の端子を堆積させるステップは、前記基板の前記表面の前記第2の部分内に前記第1の端子を堆積させるステップを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
実装面を有する回路基板基材と、
前記回路基板基材内に少なくとも部分的に埋め込まれているコンデンサであって、
半導体材料を含む基板、
前記基板の表面上に形成されている酸化物層、
前記酸化物層の少なくとも一部分を覆って形成されている導電層、
前記基板の前記表面と接続されている第1の端子、および
前記導電層と接続されている第2の端子であって、前記酸化物層は前記基板と前記導電層との間に直列に接続されて、前記第1の端子と前記第2の端子との間にコンデンサを形成する、第2の端子
を含み、
少なくとも1つのビアが前記第1の端子または前記第2の端子の一方と接続されており、前記少なくとも1つのビアは前記回路基板基材の前記実装面に向かって延在している、
コンデンサと
を含む、回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、いずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれている、2021年5月3日が出願日である米国仮特許出願第63/183,114号、および2021年7月21日が出願日である米国仮特許出願第63/224,030号の出願利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物半導体(MOS:Metal-Oxide-Semiconductor)コンデンサが、温度安定性、一般的に高い絶縁破壊電圧、および低い漏れ電流などの様々な利益をもたらす。しかし、MOSコンデンサは、一般に、高周波性能が悪い。例えば、MOSコンデンサは、一般に、ワイヤボンド接続を必要とする終端を使用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一実施形態によれば、コンデンサが、半導体材料を含む基板と、基板の表面上に形成されている酸化物層と、酸化物層の少なくとも一部分を覆って形成されている導電層と、基板の表面と接続されている第1の端子と、導電層と接続されている第2の端子とを含み得る。酸化物層は、基板と導電層との間に直列に接続されて、第1の端子と第2の端子との間にコンデンサを形成し得る。第1の端子および第2の端子の各々は、コンデンサを表面実装するための基板の表面に沿って露出させられ得る。
【0004】
本開示の別の実施形態によれば、コンデンサが、半導体材料を含む基板と、基板の表面上に形成されている酸化物層と、酸化物層の少なくとも一部分を覆って形成されている導電層と、基板の表面と接続されている第1の端子と、導電層と接続されている第2の端子とを含み得る。酸化物層は、基板と導電層との間に直列に接続されて、第1の端子と第2の端子との間にコンデンサを形成し得る。コンデンサは、第2の端子における、第1の端子に与えられる入力信号に対する挿入損失を示す可能性がある。挿入損失は、約5GHzから約40GHzまでに及ぶ周波数では、約-0.75dBよりも大きい。
【0005】
本開示の別の実施形態によれば、コンデンサを形成する方法が、半導体材料を含む基板の表面上に酸化物層を形成するステップと、酸化物層の少なくとも一部分を覆って導電層を堆積させるステップと、第1の端子が、コンデンサを表面実装するための基板の表面に沿って露出させられるように、基板の表面上に第1の端子を堆積させるステップと、第2の端子が、コンデンサを表面実装するための基板の表面に沿って露出させられように、導電層上に第2の端子を堆積させるステップとを含み得る。
【0006】
本開示の別の実施形態によれば、回路基板が、実装面を有する回路基板基材(circuit board substrate)と、回路基板基材内に少なくとも部分的に埋め込まれているコンデンサとを含み得る。コンデンサは、半導体材料を含む基板と、基板の表面上に形成されている酸化物層と、酸化物層の少なくとも一部分を覆って形成されている導電層と、基板の表面と接続されている第1の端子と、導電層と接続されている第2の端子とを含み得る。酸化物層は基板と導電層との間に直列に接続されて、第1の端子と第2の端子との間にコンデンサを形成し得る。少なくとも1つのビアが第1の端子または第2の端子の一方と接続され得る。ビアは回路基板基材の実装面に向かって延在し得る。
【0007】
当業者に向けられた、その最良の形態を含む、本発明の完全な可能化する開示が、添付の図を参照して、本明細書の残部により詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本開示の態様によるコンデンサの斜視図である。
図1B】基板の表面の第1の部分内の酸化物層および基板の表面の第2の部分内の第1の端子の図である。
図1C図1Aのコンデンサの上から見下ろす図である。
図2図1A図1Cのコンデンサを含むコンデンサ組立体、およびプリント回路基板などの実装面の斜視図である。
図3】本開示の態様による埋め込まれているコンデンサを含む回路基板の図である。
図4】本開示の態様によるコンデンサを形成するための方法の流れ図である。
図5】先行技術MOSの第2の挿入損失曲線と比較した、図1A図1Cのコンデンサの第1の挿入損失曲線の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および図面における参照文字の繰返しの使用が、本発明の同一のもしくは類似の特徴または要素を示すことが意図されている。
【0010】
当業者には当然のことながら、本検討は単なる例示的実施形態の説明であり、本発明のより広い態様を制限することは意図されておらず、より広い態様は例示的構造に具現化される。
【0011】
一般的に言えば、本発明は、表面実装のために構成されている金属酸化物半導体(MOS)コンデンサに向けられる。MOSコンデンサは、高周波擾乱(high frequency perturbation)を引き起しかつ高周波性能に悪影響を及ぼす電気的接続がない可能性がある。そのような電気的接続の例には、ワイヤボンド接続が含まれる。
【0012】
例として、MOSコンデンサは、一般に、優れた高周波性能を有し得る。例えば、MOSコンデンサは、約5GHzから約40GHzまでに及ぶ周波数では、約-0.75dBよりも大きい、いくつかの実施形態では約-0.6dBよりも大きい、いくつかの実施形態では約-0.50dBよりも大きい、いくつかの実施形態では約-0.40dBよりも大きい挿入損失を示す可能性がある。
【0013】
さらなる例として、MOSコンデンサは、約5GHzから約50GHzまでに及ぶ周波数では、-1.15dBよりも大きい、いくつかの実施形態では約-1.0dBよりも大きい、いくつかの実施形態では約-0.75dBよりも大きい、いくつかの実施形態では約-0.5dBよりも大きい挿入損失を示す可能性がある。
【0014】
さらなる例として、MOSコンデンサは、約5GHzから約60GHzまでに及ぶ周波数では、-2.0dBよりも大きい、いくつかの実施形態では約-1.5dBよりも大きい、いくつかの実施形態では約-1.0dBよりも大きい、いくつかの実施形態では約-0.75dBよりも大きい挿入損失を示す可能性がある。
【0015】
MOSコンデンサは、シリコン、ガリウムヒ素、ゲルマニウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、および/またはそれらの混合物などの半導体材料を含む基板を含み得る。基板は、ホウ素、ヒ素、リン、ガリウム、アルミニウム、インジウム、およびアンチモンなどの1つまたは複数の適切なドーパントを添加され得る。
【0016】
コンデンサは、基板の表面上に形成されている酸化物層を含み得る。酸化物層は、本明細書において説明されている他の例示的半導体材料の酸化ケイ素および/もしくはシリコン酸化物であり得るか、またはそれらを含み得る。酸化物層は基板上にその場で成長し得る。リソグラフィ(例えば、フォトリソグラフィ)技法が使用されて、酸化物層の形状を画定し得る。例えば、酸化物層が所望の通りに成形されるように、酸化物層の部分がエッチング加工により除去され得る。
【0017】
基板の表面は、一般に、滑らかであり得る。例えば、基板の表面は孔、溝などがない可能性がある。酸化物層は、酸化物層の表面上に略均一の厚さを有し得る。例えば、酸化物層の厚さは、酸化物層に亘って、20%未満、いくつかの実施形態では10%未満、いくつかの実施形態では5%未満変化する可能性がある。
【0018】
コンデンサは、酸化物層の少なくとも一部分を覆って形成されている導電層を含み得る。導電層は、酸化物層の外周の内側に含まれ得る。導電層は、基板との直接接触および/または直接電気的接続がない可能性がある。導電層は、アルミニウム、銅、金、銀、ニッケル、またはそれらの混合物などの金属であり得るか、またはそれを含み得る。
【0019】
1つまたは複数の保護層が基板の表面を覆って形成され得る。端子は、コンデンサを表面実装する時、電気的接続のために、保護層を貫通して露出させられ得る。保護層の例示的材料には、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド、シリコンオキシナイトライド、Al、SiO、Si、エポキシ樹脂、ガラス、または別の適切な材料が含まれる。
【0020】
様々な薄膜技法が使用されて、導電層、端子などの薄膜層を形成し得る。使用される可能性があるそのような技法の例には、化学析出(例えば、化学蒸着)、物理的気相成長法(例えば、スパッタリング)、または薄膜要素を形成するための任意の他の適切な析出技法が含まれる。追加の例には、任意の適切なパターニング技法(例えば、フォトリソグラフィ)、エッチング加工、および薄膜要素を形成するための任意の他の適切な減算的技法が含まれる。
【0021】
薄膜層はある範囲の厚さを有し得る。例えば、薄膜層は、約0.0375ミクロン(micrometers(microns))から約40ミクロンまで、いくつかの実施形態では約0.1ミクロンから約30ミクロンまで、いくつかの実施形態では約0.2ミクロンから約20ミクロンまで、いくつかの実施形態では約0.4ミクロンから約10ミクロンまでに及ぶ可能性がある厚さを有し得る。
【0022】
コンデンサは、基板の表面と接続されている第1の端子を含み得る。第2の端子は導電層と接続され得る。本明細書において用いられている「と接続されている」という用語が、直接物理的に接触している状態にある構成要素を指す可能性がある。「と接続されている」という用語は、物品が直接電気的接続状態にある(例えば、間に抵抗層または誘電体層を介さず)ように、1つまたは複数の中間導電層により物理的に接続されている物品を指す可能性もある。第1の端子は基板の表面を覆って形成され得る。第2の端子は導電層を覆って形成され得る。
【0023】
第1の端子および第2の端子の各々は、コンデンサを表面実装するための基板の表面に沿って露出させられ得る。例えば、コンデンサは、ランドグリッドアレイ、ボールグリッドアレイなどのグリッドアレイタイプの実装のために構成され得る。
【0024】
端子は、酸化物層が基板の表面の全てより少なく覆うように接続および配置され得る。例えば、第1の端子は、Y方向に、第2の端子から離間され得る。酸化物層の縁部が、Y方向に対して垂直なX方向と一直線になっていることが可能である。酸化物層の縁部が、Y方向に、基板の端部から離間され得る。
【0025】
第1の端子は、基板の表面に沿って酸化物層から離間されている位置で、基板の表面と接続され得る。例えば、第1の端子は酸化物層104の縁部と基板の端部との間に配置され得る。酸化物層の縁部は、約2ミクロンよりも長い、いくつかの実施形態では約5ミクロンよりも長い、いくつかの実施形態では約10ミクロンよりも長い、いくつかの実施形態では約15ミクロンよりも長い距離だけ、第1の端子から離間され得る。
【0026】
酸化物層は、酸化物層のない基板の表面の第2の部分とは異なる、基板の表面の第1の部分を覆うことができる。第1の端子は、基板の表面の第2の部分内で、基板の表面と接続され得る。第1の端子は、基板の表面に直接接触する導電性材料を含み得る。
【0027】
コンデンサは、ボールグリッドアレイタイプの実装またはランドグリッドアレイタイプの実装などのグリッドアレイタイプの実装のために構成され得る。端子は表面に沿って露出させられ、モノリシック基板の表面の外周の内側に含まれることが可能である。別の例として、基板は、モノリシック基板の表面に対して垂直な一対の端面を有し得る。一対の端面は終端がなく、端子を含む可能性がある。さらなる例として、第1の端子、第2の端子層、または両方が、それぞれの距離で、モノリシック基板の表面の一対の両末端縁部から離間され得る。距離は、10ミクロン以上、いくつかの実施形態では15ミクロン以上、いくつかの実施形態では20ミクロン以上、いくつかの実施形態では40ミクロン以上、いくつかの実施形態では50ミクロン以上であり得る。
【0028】
図1Aは、本開示の態様によるコンデンサ100の斜視図である。コンデンサ100は、シリコンなどの半導体材料を含む基板102を含み得る。コンデンサ100は、基板102の表面106上に形成されている酸化物層104を含み得る。コンデンサ100は、酸化物層104の少なくとも一部分を覆って形成されている導電層108を含み得る。導電層108は酸化物層104の外周109の内側に含まれ得る。導電層108は、基板102との直接接触および/または直接電気的接続がない可能性がある。
【0029】
第1の端子110は基板102の表面106と接続され得る。第2の端子114は導電層108と接続され得る。第1の端子110および第2の端子114の各々は、コンデンサ100を表面実装するための基板102の表面106に沿って露出させられ得る。第1の端子110は酸化物層104と同一平面上にあり得る。例えば、第1の端子110および酸化物層104の各々は基板102の表面106上に独占的に形成され得る。
【0030】
第1の端子110は、Y方向116に、第2の端子114から離間され得る。酸化物層104の縁部118が、Y方向116に対して垂直なX方向120と一直線になっている可能性がある。酸化物層104の縁部118が、Y方向116に、基板102の端部121から離間され得る。
【0031】
第1の端子110は、基板102の表面106に沿って酸化物層104から離間されている位置で、基板102の表面106と接続され得る。例えば、第1の端子110は、酸化物層104の縁部118と基板102の端部121との間に配置され得る。酸化物層104の縁部118は、距離122だけ、第1の端子110から離間され得る。いくつかの実施形態では、距離122は約2ミクロンよりも長い可能性がある。
【0032】
図1Bを参照すると、酸化物層104は基板102の表面106の第1の部分124内に形成され得る。基板102の表面106の第1の部分124は、基板102の表面106の第2の部分126とは異なる可能性がある。表面106の第2の部分126は酸化物層104がない可能性がある。第1の端子110は基板102の表面106の第2の部分126内で、基板102の表面106と接続され得る。いくつかの実施形態では、第1の端子110は基板102の表面106に直接接触し得る。しかし、他の実施形態では、第1の端子110は、第1の端子110と表面106との間にある1つまたは複数の適切な導電層を介して、基板の表面106と電気的に接続され得る。
【0033】
第1の端子110は、金、銅、別の適切な金属などの導電性材料、または他の導体材料を含み得る。基板102はシリコンなどの半導体材料を含み得る。酸化物層104は酸化ケイ素を含み得る。
【0034】
コンデンサ100は、ボールグリッドアレイタイプの実装またはランドグリッドアレイタイプの実装などのグリッドアレイタイプの実装のために構成され得る。端子110、112は、表面106に沿って露出させられ、かつX方向120およびY方向116の各々に広がるX-Y平面内で、モノリシック基板202の表面106の外周128の内側に含まれ得る。
【0035】
別の例として、基板102は、モノリシック基板202の表面106に対して垂直な一対の端面130、132を有し得る。一対の端面130、132は終端がなく、端子110、114を含む可能性がある。さらなる例として、第1の端子110、第2の端子層114、または両方は、それぞれの距離133、135だけ、モノリシック基板202の表面106の一対の両末端縁部130、132から離間され得る。距離133、135は10ミクロン以上であり得る。
【0036】
図2は、図1A図1Cのコンデンサ100と、プリント回路基板などの実装面202とを含むコンデンサ組立体200の斜視図である。コンデンサ100の第1の端子110は実装面202の第1の導電性トレース204と接続され得る。コンデンサ100の第2の端子114は、実装面202の第2の導電性トレース206と接続され得る。図2に示されているように、表面106(図1A図1C)が実装面202の反対側にあるように、コンデンサ100はフリップチップとして構成され得る。
【0037】
図3は、本開示の態様による埋め込まれているコンデンサ100を含む回路基板300を示す。回路基板300は、実装面304を含む回路基板基材307を含み得る。コンデンサ100は、回路基板300の回路基板基材307内に少なくとも部分的に埋め込まれ得る。コンデンサ100は、一般に、図1A図2の伝送線コンデンサ100に類似して構成され得る。
【0038】
第1のビア312が第1の端子110から実装面304に向かって延在し、第1の導電層314に接続することができる。第1の導電層314は実装面304を覆って形成され、第1の端子110を、実装面304上で第1の導電層314と電気的に接続することができる。第2のビア316が第2の端子114から実装面304に向かって延在し、第2の導電層318に接続することができる。第2の導電層318は実装面304を覆って形成され、第2の端子114を、第2の導電層318と電気的に接続することができる。あるいは、ビア312、316は実装面304に向かって延在し、1つまたは複数の中間層(例えば、回路基板基材307内に埋め込まれている)と接続することができ、1つまたは複数の中間層は、第1の導電層314および/または第2の導電層318と電気的に接続され得る。第1のビア312は、第1の端子110と第1の導電層314との間の電気的接続の少なくとも部分を形成し得る。同様に、第2のビア316は、第2の端子114と第2の導電層318との間の電気的接続の少なくとも部分を形成し得る。したがって、導電層314、318は、コンデンサ100との電気的接続を容易にするのに使用され得る。しかし、当然のことながら、他の実施形態では、端子110、114の1つまたは複数が実装面304に沿って露出させられ得る。そのような実施形態では、回路基板300はビア312、316の1つまたは複数がない可能性がある。
【0039】
図4を参照すると、本開示の態様が、本開示の態様によるコンデンサを形成するための方法400に関する。一般に、方法400は、図1A図1Cのコンデンサ100を参照して、本明細書において説明されるであろう。しかし、当然のことながら、開示されている方法400は、任意の適切なコンデンサで実施され得る。さらに、図4は、例示および検討の目的のために、特定の順序で実施されるステップを示すが、本明細書において検討されている方法は任意の特定の順序または配列に限定されない。本明細書に開示されている方法の様々なステップが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な方法で省略され、再配列され、組み合わされ、かつ/または適合され得ることを、本明細書に与えられている開示を使用する当業者が理解するであろう。
【0040】
方法400は、(402)において、半導体材料を含む基板102の表面106上に酸化物層104を形成するステップを含み得る。例えば、酸化物層104は基板102上にその場で成長し得る。リソグラフィ(例えば、フォトリソグラフィ)技法が使用されて、酸化物層104の形状を画定し得る。例えば、酸化物層104が基板102の表面106の第1の部分124内に配置されるように、酸化物層104の部分がエッチング加工により除去され得る。
【0041】
方法400は、(404)において、酸化物層104の少なくとも一部分を覆って導電層108を堆積させるステップを含み得る。導電層108は、酸化物層104の外周109の内側に含まれ得る。導電層108は基板102との直接接触および/または直接電気的接続がない可能性がある。
【0042】
方法400は、(406)において、第1の端子110が、コンデンサ100を表面実装するための基板102の表面106に沿って露出させられるように、基板102の表面106上に第1の端子110を堆積させるステップを含み得る。
【0043】
方法400は、(408)において、第2の端子114が、コンデンサ100を表面実装するための基板102の表面106に沿って露出させられるように、導電層108上に第2の端子114を堆積させるステップを含み得る。
【0044】
図5は、先行技術MOSコンデンサに関する第2の挿入損失曲線504と比較した、図1A図1Cのコンデンサ100に関する第1の挿入損失曲線502を示す。先行技術コンデンサは基板の表面上に形成されている酸化物層を含み得る。先行技術コンデンサは、酸化物層が先行技術コンデンサの上面に沿って露出させられるように、実装面上に配置され得る。1つまたは複数のワイヤボンド接続が、酸化物層を実装面の第1の導電性トレースと接続し得る。基板が、実装面の第2の導電性トレースに接触し、それに電気的に接続し得る。
【0045】
挿入損失曲線502、504は、第2の端子114における、第1の端子110に与えられた入力信号に対する挿入損失について、コンデンサ100および先行技術コンデンサのコンピュータモデリングを使用して生成された。先行技術コンデンサについて、第2の挿入損失曲線504は、第2の導電性トレースにおける、実装面の第1の導電性トレースへ与えられた入力信号に対する挿入損失を示す。第1の挿入損失曲線502は、第2の導電性トレース206における、第1の導電性トレース204へ与えられた入力信号に対する、図2のコンデンサ組立体200のコンデンサ100の挿入損失を示す。
【0046】
挿入損失曲線502は、約5GHzから約70GHzまでに及ぶ周波数では、-1dBよりも大きく、約5GHzから約60GHzまでに及ぶ周波数では、約-0.5dBよりも大きく、約5GHzから40GHzまでに及ぶ周波数では、-0.35dBよりも大きく、約5GHzから30GHzまでに及ぶ周波数では、-0.30dBよりも大きい。
【0047】
試験方法
次のセクションは、本開示の態様によるコンデンサの挿入損失応答曲線を試験するための例示的方法を提供する。コンデンサの挿入損失応答曲線は、ケースレー(Keithley)2400シリーズ電源測定ユニット(SMU:Source Measure Unit)、例えばケースレー2410-C SMU、を使用して測定され得る。
【0048】
本発明のこれらのかつ他の修正形態および変形形態は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者により実践され得る。さらに、当然のことながら、様々な実施形態の態様は全部または一部のいずれにおいても交換され得る。さらに、前述の説明は単なる例であり、添付の特許請求の範囲においてさらに記載されている本発明を制限することを意図していないことを、当業者は理解するであろう。
【0049】
用途
本明細書において説明されているコンデンサは様々な用途において有用である。コンデンサは、20GHz以上の周波数などの高周波で優れた性能を示すので、コンデンサは広帯域高周波信号を処理するデバイスにおいて、特に有用である可能性がある。例示的デバイスには、モバイルデバイス(例えば、携帯電話、タブレットなど)、携帯電話の中継塔、Receiver Optical Sub Assemblies(ROSA)、Transmission Optical Sub Assembly(TOSA)、および他のRF通信デバイスが含まれる。そのようなデバイスは、軍事用途および宇宙応用において特に有用である可能性がある。
【0050】
本発明のこれらのかつ他の修正形態および変形形態は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者により実践され得る。さらに、当然のことながら、様々な実施形態の態様は全部または一部のいずれにおいても交換され得る。さらに、前述の説明は単なる例であり、添付の特許請求の範囲においてさらに記載されている本発明を制限することを意図していないことを、当業者は理解するであろう。
【符号の説明】
【0051】
100 コンデンサ
102 基板
104 酸化物層
106 (基板の)表面
108 導電層
109 (酸化物層の)外周
110 第1の端子
114 第2の端子、第2の端子層
116 Y方向
118 (酸化物層の)縁部
120 X方向
121 (基板の)端部
122、133、135 距離
124 (基板の表面の)第1の部分
126 (基板の表面の)第2の部分
128 (モノリシック基板の表面の)外周
130、132 端面、末端縁部
200 コンデンサ組立体
202 モノリシック基板、実装面
204 第1の導電性トレース
206 第2の導電性トレース
300 回路基板
304 実装面
307 回路基板基材
312 第1のビア
314 第1の導電層
316 第2のビア
318 第2の導電層
400 方法
402、404、406、408 (方法の)ステップ
502 第1の挿入損失曲線
504 第2の挿入損失曲線
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】