(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】同一周波数ポートを有するジョセフソンパラメトリックデバイス
(51)【国際特許分類】
H03F 7/00 20060101AFI20240412BHJP
G06N 10/00 20220101ALI20240412BHJP
H10N 60/10 20230101ALI20240412BHJP
H03F 19/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H03F7/00
G06N10/00
H10N60/10 K
H03F19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564195
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 US2022024424
(87)【国際公開番号】W WO2022225751
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オーファー・ナーマン
【テーマコード(参考)】
4M113
【Fターム(参考)】
4M113AC06
4M113AC45
(57)【要約】
ジョセフソンパラメトリックデバイス(例えば、サーキュレータ/アイソレータまたは指向性増幅器)は、複数の共振モードと、複数の結合と、入力ポートと、出力ポートとを含むことができる。複数の共振モードは、第1、第2、および第3の共振モードを含み、第1および第3の共振モードは、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モードは、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成される。複数の結合は、第1の共振モードと第3の共振モードとの間の受動的結合と、第1の共振モードと第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、第2の共振モードと第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む。入力ポートは、デバイスの第1の共振モードに結合され、出力ポートは、デバイスの第3の共振モードに結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラメトリックデバイスであって、
第1、第2、および第3の共振モードであって、前記第1の共振モードおよび前記第3の共振モードが、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、前記第2の共振モードが、前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成された、第1、第2、および第3の共振モードと、
前記第1の共振モードと前記第3の共振モードとの間の受動的結合と、
前記パラメトリックデバイスの前記第1の共振モードに結合された入力ポートと、
前記パラメトリックデバイスの前記第3の共振モードに結合された出力ポートと
を備える、パラメトリックデバイス。
【請求項2】
前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合であって、前記第1のパラメトリック結合が、変調リアクタンスとして機能するように構成され、第1のポンプ周波数によって特徴付けられる第1のポンプトーン信号を受信するように構成された少なくとも1つのジョセフソン接合を備える、第1のパラメトリック結合と、
前記第2の共振モードと前記第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合であって、前記第2のパラメトリック結合が、変調リアクタンスとして機能し、第2のポンプ周波数によって特徴付けられる第2のポンプトーン信号を受信するように構成された少なくとも1つのジョセフソン接合を備える、第2のパラメトリック結合と
を備える、請求項1に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項3】
前記第1のポンプトーン信号と前記第2のポンプトーン信号の両方を提供するように構成された単一の信号発生器を備える、請求項2に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項4】
前記パラメトリックデバイスがサーキュレータとして動作するように構成され、
前記第1のポンプ周波数および前記第2のポンプ周波数が、同じ周波数であり、前記第1の共振周波数と前記第2の共振周波数との間の差として定義される周波数であり、
前記第1のパラメトリック結合に提供される前記第1のポンプトーン信号の位相が、前記第2のパラメトリック結合に提供される前記第2のポンプトーン信号の位相に対してシフトされる、
請求項2に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項5】
前記パラメトリックデバイスが指向性増幅器として動作するように構成され、
前記第1のポンプ周波数および前記第2のポンプ周波数が、同じ周波数であり、前記第1の共振周波数と前記第2の共振周波数との和として定義される周波数であり、
前記第1のパラメトリック結合に提供される前記第1のポンプトーン信号の位相が、前記第2のパラメトリック結合に提供される前記第2のポンプトーン信号の位相に対してシフトされる、
請求項2に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項6】
前記パラメトリックデバイスが、前記第2の共振モードに結合され、前記第2の共振モードのための内部終端を提供するインピーダンスを備え、
前記パラメトリックデバイスがアイソレータとして動作するように構成された、
請求項2に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項7】
前記第1の共振モードと前記入力ポートとの間に結合された1つまたは複数の追加の第1の共振モードと、前記第2の共振モードに結合された1つまたは複数の追加の第2の共振モードと、前記第3の共振モードと前記出力ポートとの間に結合された1つまたは複数の追加の第3の共振モードとを備える整合回路を備え、前記整合回路が、指定された周波数帯域にわたるインピーダンス整合を前記入力ポートおよび前記出力ポートに提供する、請求項1から6のいずれか一項に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項8】
前記第1の共振モードと前記1つまたは複数の追加の第1の共振モードとの間、前記1つまたは複数の追加の第1の共振モードと前記入力ポートとの間、前記第2の共振モードと前記1つまたは複数の追加の第2の共振モードとの間、前記1つまたは複数の追加の第2の共振モードと内部終端との間、前記第3の共振モードと前記1つまたは複数の追加の第3
の共振モードとの間、および前記1つまたは複数の追加の第3の共振モードと前記出力ポートとの間に追加の受動的結合を備える、請求項7に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項9】
前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の前記受動的結合および前記追加の受動的結合のうちの1つまたは複数が容量結合を備える、請求項8に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項10】
前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の前記受動的結合および前記追加の受動的結合のうちの1つまたは複数が誘導結合を備える、請求項8に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項11】
前記第1、第2、および第3の共振モードが集中素子LC共振器を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項12】
それぞれの複数のキュービットに結合するように構成された複数の共振器と、
前記複数の共振器に結合され、前記複数の共振器によって受信された読み出し信号に対するバンドパス応答を生成するように構成されたフィルタと、
前記フィルタからの出力を入力信号として受信し、第1の出力信号を生成するように構成された第1のジョセフソンパラメトリックデバイスであって、前記第1のジョセフソンパラメトリックデバイスが、
第1、第2、および第3の共振モードであって、前記第1の共振モードおよび前記第3の共振モードが、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、前記第2の共振モードが、前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成された、第1、第2、および第3の共振モードと、
前記第1の共振モードと前記第3の共振モードとの間の受動的結合と、前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、前記第2の共振モードと前記第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合と
を備える、第1のジョセフソンパラメトリックデバイスと
を備える、量子コンピューティングデバイスのための読み出しシステム。
【請求項13】
前記第1のジョセフソンパラメトリックデバイスから前記第1の出力信号を受信し、第2の出力信号を生成するように構成された第2のジョセフソンパラメトリックデバイスを備え、前記第2のジョセフソンパラメトリックデバイスが、
第4、第5、および第6の共振モードであって、前記第4の共振モードおよび前記第6の共振モードが、両方とも第3の共振周波数において動作するように構成され、前記第5の共振モードが、前記第3の共振周波数とは異なる第4の共振周波数において動作するように構成された、第4、第5、および第6の共振モードと、
前記第4の共振モードと前記第6の共振モードとの間の受動的結合と、前記第4の共振モードと前記第5の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、前記第5の共振モードと前記第6の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合と
を備える、
請求項12に記載の読み出しシステム。
【請求項14】
前記第1のジョセフソンパラメトリックデバイスが、サーキュレータとして動作するように構成され、
前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の前記第1のパラメトリック結合および前記第2の共振モードと前記第3の共振モードとの間の前記第2のパラメトリック結合が、前記第1の共振周波数と前記第2の共振周波数との間の差として定義される第1のポンプ周波数によって特徴付けられる第1のポンプトーン信号を受信するように構成され、
前記第2のジョセフソンパラメトリックデバイスが、指向性増幅器として動作するように構成され、
前記第4の共振モードと前記第5の共振モードとの間の前記第1のパラメトリック結合および前記第5の共振モードと前記第6の共振モードとの間の前記第2のパラメトリック結合が、前記第3の共振周波数と前記第4の共振周波数との和として定義される第2のポンプ周波数によって特徴付けられる第2のポンプトーン信号を受信するように構成される、
請求項13に記載の読み出しシステム。
【請求項15】
前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の前記第1のパラメトリック結合に提供される前記第1のポンプトーン信号の位相が、前記第2の共振モードと前記第3の共振モードとの間の前記第2のパラメトリック結合に提供される前記第1のポンプトーン信号の位相に対してシフトされ、
前記第3の共振モードと前記第4の共振モードとの間の前記第1のパラメトリック結合に提供される前記第2のポンプトーン信号の位相が、前記第5の共振モードと前記第6の共振モードとの間の前記第2のパラメトリック結合に提供される前記第2のポンプトーン信号の位相に対してシフトされる、
請求項14に記載の読み出しシステム。
【請求項16】
第1のパラメトリック結合および第2のパラメトリック結合に提供される第1のポンプトーン信号を生成するための第1の信号発生器と、
第3のパラメトリック結合および第4のパラメトリック結合に提供される第2のポンプトーン信号を生成するための第2の信号発生器と
を備える、請求項14に記載の読み出しシステム。
【請求項17】
前記第1のジョセフソンパラメトリックデバイスが、
前記第1の共振モードと入力ポートとの間に結合された1つまたは複数の追加の第1の共振モードと、前記第2の共振モードと内部終端との間に結合された1つまたは複数の追加の第2の共振モードと、前記第3の共振モードと出力ポートとの間に結合された1つまたは複数の追加の第3の共振モードとを備える整合回路を備え、前記整合回路が、指定された周波数帯域にわたるインピーダンス整合を前記入力ポートおよび前記出力ポートに提供する、
請求項12に記載の読み出しシステム。
【請求項18】
複数のキュービットを備える量子ハードウェアと、
前記複数のキュービットの読み出し応答を受信するために前記複数のキュービットに結合された読み出しシステムであって、前記読み出しシステムが、1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスを備え、各ジョセフソンパラメトリックデバイスが、
第1、第2、および第3の共振モードであって、前記第1の共振モードおよび前記第3の共振モードが、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、前記第2の共振モードが、前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成された、第1、第2、および第3の共振モードと、
前記第1の共振モードと前記第3の共振モードとの間の受動的結合と、前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、前記第2の共振モードと前記第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合と
を備える、読み出しシステムと
を備える、量子コンピューティングシステム。
【請求項19】
前記第1のパラメトリック結合と前記第2のパラメトリック結合の両方に提供されるポンプトーン信号を生成するように構成された信号発生器を備え、
前記第1のパラメトリック結合に提供される前記ポンプトーン信号の位相が、前記第2のパラメトリック結合に提供される前記ポンプトーン信号に対して位相においてシフトされる、
請求項18に記載の量子コンピューティングシステム。
【請求項20】
前記1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスが、サーキュレータまたはアイソレータとして動作するように構成された第1のジョセフソンパラメトリックデバイスと、指向性増幅器として動作するように構成された第2のジョセフソンパラメトリックデバイスとを備える、請求項18に記載の量子コンピューティングシステム。
【請求項21】
量子コンピューティングシステムの要素の状態を測定する方法であって、前記方法が、請求項1から11のいずれか一項に記載のパラメトリック要素を備える読み出しシステムを使用するステップを含む、方法。
【請求項22】
量子コンピューティングシステムの要素の状態を測定する方法であって、前記方法が、請求項12から17のいずれか一項に記載の読み出しシステムを使用するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれている、2021年4月20日に出願した米国仮特許出願第63/177,174号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に、同一周波数ポートを有するジョセフソンパラメトリックデバイスを含むシステム、デバイス、およびコンピュータ実装方法に関する。
【背景技術】
【0003】
増幅器からサーキュレータまで、様々なパラメトリックデバイスが、ジョセフソン接合を用いて構築されてきた。パラメトリック増幅器は、量子コンピューティング用途のための量子ビット読み出しの第1の利得段において使用されるようになった。量子コンピューティングは、特定の計算を古典的なデジタルコンピュータよりも効率的に実行するために、基底状態の重ね合わせおよびもつれなどの量子効果を利用するコンピューティング方法である。例えば、「1」または「0」のビットの形式において情報を記憶および操作するデジタルコンピュータとは対照的に、量子コンピューティングシステムは、量子ビット(「キュービット」)を使用して情報を操作することができる。キュービットは、複数の状態、例えば、「1」と「0」の両方の状態におけるデータの重ね合わせを可能にする量子デバイス、および/または複数の状態におけるデータの重ね合わせ自体を指す場合がある。従来の用語によれば、量子システムにおける「1」および「0」の状態の重ね合わせは、例えば、a|0>+b|1>として表され得る。デジタルコンピュータの「1」および「0」の状態は、それぞれ、キュービットの|0>および|1>の基底状態に類似する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態の態様および利点は、以下の説明において部分的に記載され、または説明から学ばれることが可能であり、または実施形態の実践を通じて学ばれることが可能である。
【0005】
本開示の1つの例示的な態様は、パラメトリックデバイスに向けられる。パラメトリックデバイスは、複数の共振モード(例えば、第1の共振モード、第2の共振モード、および第3の共振モード)と、受動的結合と、入力ポートと、出力ポートとを含むことができる。第1の共振モードおよび第3の共振モードは、両方とも、第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モードは、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成される。受動的結合は、第1の共振モードと第3の共振モードとの間に配置される。入力ポートは、パラメトリックデバイスの第1の共振モードに結合され、出力ポートは、パラメトリックデバイスの第3の共振モードに結合される。
【0006】
本開示の様々な実施形態のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照して、よりよく理解されるようになるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な実施形態を示し、説明とともに、関連する原理を説明する。
【0007】
当業者に向けられた実施形態の詳細な議論が、添付の図を参照する明細書において記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の例示的な態様による第1の例示的なパラメトリックデバイスの例示的なブロック図である。
【
図2】本開示の例示的な態様による第2の例示的なパラメトリックデバイスの例示的なブロック図である。
【
図3】本開示の例示的な態様による
図2の第2の例示的なパラメトリックデバイスを実装するための例示的な回路図である。
【
図4】本開示の例示的な態様による
図3の例示的な回路図に関する高調波平衡シミュレーション結果の例示的なグラフである。
【
図5】本開示の例示的な態様による第3の例示的なパラメトリックデバイスの例示的なブロック図である。
【
図6】本開示の例示的な態様による第4の例示的なパラメトリックデバイスの例示的なブロック図である。
【
図7】本開示の例示的な態様による
図6の例示的なパラメトリックデバイスに関するSパラメータ計算の例示的なグラフである。
【
図8】本開示の例示的な態様による
図6の第4の例示的なパラメトリックデバイスを実装するための例示的な回路図である。
【
図9】本開示の例示的な態様による
図8の例示的な回路図に関する高調波平衡シミュレーション結果の例示的なグラフである。
【
図10A】本開示の例示的な態様による
図8の例示的な回路図に関する例示的なシミュレーショングラフである。
【
図10B】本開示の例示的な態様による
図8の例示的な回路図に関する例示的なシミュレーショングラフである。
【
図11】本開示の態様によるパラメトリックデバイスのための第1の例示的な結合回路のブロック図である。
【
図12】本開示の態様によるパラメトリックデバイスのための第2の例示的な結合回路のブロック図である。
【
図13】本開示の例示的な態様による読み出しデバイスの例示的な実施形態を示す図である。
【
図14】本開示の例示的な態様による量子コンピューティングシステムの例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の例示的な態様は、同一周波数ポートを有するジョセフソンパラメトリックデバイスを実装するためのシステム、デバイス、およびコンピュータ実装方法に向けられている。ジョセフソンパラメトリックデバイスは、限定はしないが、サーキュレータ、アイソレータ、および/または指向性増幅器を含むことができる。そのようなデバイスは、デバイス入力ポートに関連する共振モードとデバイス出力ポートに関連する別の共振モードを実質的に同じに構成しながら、複数の異なる共振モードにおいて動作するように構成されることが可能である。量子ビット読み出しのコンテキストにおいて、1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスを含む回路は、改善された読み出し応答、ならびに量子コンピュータのための読み出しシステムハードウェアに必要な極低温空間における有益な削減を提供することができる。
【0010】
より具体的には、開示された技術の例示的な態様は、改善されたジョセフソンパラメトリックデバイスに向けられている。いくつかの例示的な実施形態において、パラメトリックデバイスは、変調リアクタンスとして機能するように構成された少なくとも1つのジョセフソン接合デバイスを含むことができる。いくつかの例において、ジョセフソン接合デバイスは、超伝導量子干渉デバイス(SQUID(Superconducting QUantum Interference Device))として動作するように構成される。ジョセフソン接合デバイスは、パラメトリックデバイスの選択された共振モード、例えば、第1、第2、および第3の共振モード間のパラメトリック結合を提供することができる。様々な共振モードは、限定はしないが、集中素子LC共振器、伝送線路共振器、または任意の他の共振回路(例えば、電気的、光機械的など)などの共振器構造(例えば、第1、第2、および第3の共振器構造)によって具体化されることが可能である。
【0011】
本開示の別の例示的な態様によれば、第1、第2、および第3の共振モードを含むジョセフソンパラメトリックデバイスが、同一周波数ポートを有するように構成されることが可能である。これは、3つの共振モードのうちの2つを同じ第1の周波数において動作するように構成することによって、少なくとも部分的に達成されることが可能である。これらの同一周波数モードおよび対応するポートは、パラメトリックデバイスのための入力および出力モード/ポートを形成することができる。例えば、パラメトリックデバイスの第1および第3の共振モードは、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成されることが可能であり、第2の共振モードは、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成されることが可能である。入力ポートは、デバイスの第1の共振モードに結合されることが可能であり、出力ポートは、デバイスの第3の共振モードに結合されることが可能である。いくつかの例示的な実施形態において、第2の共振モードはまた、外部ポートとして機能するように構成され、この場合、パラメトリックデバイスは、サーキュレータとして動作するように構成されることが可能である。他の例示的な実施形態において、第2の共振モードは、(例えば、第2の共振モードのための内部終端を提供するインピーダンスに結合されることによって)内部的に終端され、この場合、パラメトリックデバイスは、アイソレータとして動作するように構成されることが可能である。さらなる例示的な実施形態において、パラメトリックデバイスは、指向性増幅器として動作するように構成されることが可能である。
【0012】
いくつかの例示的な実施形態において、パラメトリックデバイスにおいて様々な共振モードを互いに結合するために、受動的結合およびパラメトリック結合の組合せが含まれる。例えば、第1の共振モードと第3の共振モードとの間の結合に対応する入力ポートと出力ポートとの間の結合は、受動的結合であることが可能である。いくつかの実施形態において、第1の共振モードと第3の共振モードとの間の受動的結合は、容量結合であることが可能である。いくつか実施形態において、第1の共振モードと第3の共振モードとの間の受動的結合は、受動的結合は、誘導結合であることが可能である。そうでなければパラメトリック結合となるであろうものを置き換える少なくとも1つの受動的結合を収容するデバイス構成を提供することによって、回路の簡略化およびサイズの低減が、有利に実現されることが可能である。それに加えて、出力ポートにおいて提供される出力信号は、パラメトリック結合において用いられるポンプおよび信号生成器のコヒーレンスを必要とすることなく、入力ポートにおいて提供される入力信号とコヒーレントなままである。
【0013】
さらに、パラメトリックデバイスは、第1の共振モードと第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、第2の共振モードと第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1および第2のパラメトリック結合は、それぞれのパラメトリックポンプ周波数においてパラメトリックにポンプされるそれぞれのジョセフソン接合デバイス(例えば、SQUIDカプラ)を含む。パラメトリックデバイスがサーキュレータ/アイソレータとして動作するように構成されている場合、第1のパラメトリック結合および第2のパラメトリック結合は、第1の共振周波数と第2の共振周波数との差として定義されるポンプ周波数によって特徴付けられるポンプトーン信号を受信するように構成される。パラメトリックデバイスが指向性増幅器として動作するように構成されている場合、第1のパラメトリック結合および第2のパラメトリック結合は、第1の共振周波数と第2の共振周波数との和として定義されるポンプ周波数によって特徴付けられるポンプトーン信号を受信するように構成される。アイソレータ/サーキュレータ構成と指向性増幅器構成の両方において、第1のパラメトリック結合に提供されるポンプトーン信号の位相は、第2のパラメトリック結合に提供されるポンプトーン信号の位相に対してシフトされる(例えば、約90度の位相オフセットだけシフトされる)ことが可能である。
【0014】
本開示の別の例示的な態様によれば、ポンプトーン源および対応する信号発生器の数の減少は、同一周波数ポートを有するパラメトリックデバイス設計の性質によって実現されることが可能である。例えば、パラメトリックデバイスは、パラメトリックデバイス内の第1のパラメトリック結合と第2のパラメトリック結合の両方に提供されるポンプトーン信号を生成するための単一のソースとして機能するように構成された信号発生器を含むことができる。2つのポンプトーン(例えば、第1のパラメトリック結合に提供される第1のポンプトーン信号および第2のパラメトリック結合に提供される第2のポンプトーン信号)が同じ周波数であるので、単一の信号発生器が実現されることが可能である。
【0015】
本開示の別の例示的な態様によれば、デバイス信号の伝送と分離の両方においてより優れた広帯域応答を得るために、パラメトリックデバイス内に追加の共振モードおよび整合回路が組み込まれることが可能である。より具体的には、いくつかの例において、マッチング回路は、第1の共振モードと入力ポートとの間に結合された1つまたは複数の追加の第1の共振モードと、第2の共振モードに結合された1つまたは複数の追加の第2の共振モードと、第3の共振モードと出力ポートとの間に結合された1つまたは複数の追加の第3の共振モードとを含むことができる。より具体的には、いくつかの実施形態において、パラメトリックデバイスは、3つの第1の共振モードと、3つの第2の共振モードと、3つの第3の共振モードとを含むことができ、所与の共振モード内の各反復は、実質的に同じ共振周波数において動作するように構成される。
【0016】
さらに、整合回路は、指定された周波数帯域にわたって様々なデバイスポートにインピーダンス整合を提供することができる。いくつかの例示的な実施形態において、マッチング回路は、第1の共振モードと1つまたは複数の追加の第1の共振モードとの間、1つまたは複数の追加の第1の共振モードと入力ポートとの間、第2の共振モードと1つまたは複数の追加の第2の共振モードとの間、1つまたは複数の追加の第2の共振モードと内部終端または第2のポートとの間、第3の共振モードと1つまたは複数の追加の第3の共振モードとの間、および1つまたは複数の追加の第3の共振モードと出力ポートとの間に、追加の受動的結合を含むこともできる。そのような追加の受動的結合は、追加のパラメトリック結合を必要とすることなく、容量結合および/または誘導結合を含むことができる。
【0017】
いくつかの特定の実装形態において、全体的なデバイス性能に有利に役立つ方法でデバイス帯域幅を具体的に設計するために、バンドパスネットワーク合成技法が用いられることが可能である。例えば、量子コンピューティング読み出し用途において、整合回路は、約10MHzを超えるパラメトリックデバイス帯域幅を達成するように設計される。いくつかの例において、整合回路は、約20MHzを超えるパラメトリックデバイス帯域幅を達成するように設計される。いくつかの例において、整合回路は、最大約500MHz(1/2GHz)のパラメトリックデバイス帯域幅を達成するように設計される。いくつかの例において、整合回路は、約20MHzと約500MHzとの間の範囲内のパラメトリックデバイス帯域幅を達成するように設計される。これは、約10MHz以下の比較的狭い帯域において回路利得および分離を提供する公知のパラメトリックデバイス構成と比較して、多大な利益を達成する。
【0018】
本開示の別の例示的な態様によれば、開示されたパラメトリックデバイスのうちの1つまたは複数は、量子コンピューティングデバイスのための読み出しシステムに組み込まれることが可能である。例えば、読み出しシステムは、複数の共振器と、フィルタと、少なくとも第1のジョセフソンパラメトリックデバイスとを含むことができる。複数の共振器は、複数のキュービットに結合するように構成されることが可能である。キュービットは、量子コンピューティングのための同じまたは異なるキュービット技術のうちの1つまたは複数に従って形成されることが可能である。例えば、キュービットは、超伝導キュービット(例えば、トランスモンキュービット)、半導体量子ドット、トラップされたイオンキュービット、フォトニックキュービット、欠陥ベースのキュービット、トポロジカルナノワイヤキュービット、または核磁気共鳴キュービットであるか、またはそれらを含むことができる。フィルタ(例えば、パーセルフィルタまたは他のバンドパスフィルタ)は、複数の共振器に結合され、複数の共振器によって受信された読み出し信号に対してバンドパス応答を生成するように構成されることが可能である。
【0019】
開示された技術による読み出しシステムが第1のジョセフソンパラメトリックデバイスを含む場合、そのようなデバイスは、フィルタからの出力を入力信号として受信し、第1の出力信号を生成するように構成されることが可能である。第1のジョセフソンパラメトリックデバイスは、より具体的には、第1、第2、および第3の共振モードを含むこともでき、第1の共振モードおよび第3の共振モードは、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モードは、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成される。ジョセフソンパラメトリックデバイスは、第1の共振モードと第3の共振モードとの間の受動的結合と、第1の共振モードと第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、第2の共振モードと第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合を含むことができる。
【0020】
開示された技術のいくつかの例示的な実施形態において、読み出しシステムは、第2のジョセフソンパラメトリックデバイスを追加的または代替的に含むことができる。より具体的には、第2のジョセフソンパラメトリックデバイスは、第1のジョセフソンパラメトリックデバイスからの第1の出力信号を入力信号として受信し、第2の出力信号を生成するように構成されることが可能である。第2のジョセフソンパラメトリックデバイスは、第4、第5、および第6の共振モードを含むことができ、第4の共振モードおよび第6の共振モードは、両方とも第3の共振周波数において動作するように構成され、第5の共振モードは、第3の共振周波数とは異なる第4の共振周波数において動作するように構成される。第2のジョセフソンパラメトリックデバイスは、第4の共振モードと第6の共振モードとの間の受動的結合と、第4の共振モードと第5の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、第5の共振モードと第6の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合を含むこともできる。
【0021】
複数のジョセフソンパラメトリックデバイスが読み出しシステムまたは他の量子コンピューティング用途に組み込まれる場合、デバイスのうちの1つまたは複数は、サーキュレータまたはアイソレータとして動作するように構成されることが可能であり、デバイスのうちの別の1つまたは複数は、指向性増幅器として動作するように構成されることが可能である。例えば、1つの特定の実施形態において、第1のジョセフソンパラメトリックデバイスは、サーキュレータとして動作するように構成されることが可能であり、第2のジョセフソンパラメトリックデバイスは、指向性増幅器として動作するように構成されることが可能である。そのような例において、第1の共振モードと第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合、および第2の共振モードと第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合は、第1の共振周波数と第2の共振周波数との間の差として定義されるポンプ周波数によって特徴付けられるポンプトーン信号を受信するように構成されることが可能である。第4の共振モードと第5の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合、および第5の共振モードと第6の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合は、第3の共振周波数と第4の共振周波数との和として定義されるポンプ周波数によって特徴付けられるポンプトーン信号を受信するように構成されることが可能である。第1のジョセフソンパラメトリックデバイスは、サーキュレータ/アイソレータとして動作するように構成されるので、第1のジョセフソンパラメトリックデバイスの受信された入力信号は、第1の出力信号として順方向に伝送され、逆方向の伝送は、防止される。第2のジョセフソンパラメトリックデバイスは、増幅器として動作するように構成されるので、第1の出力信号の増幅されたバージョンが、第2のジョセフソンパラメトリックデバイスによって生成され、第2の出力信号として提供される。
【0022】
開示されたパラメトリックデバイスのうちの1つまたは複数を組み込む読み出しシステムは、読み出しプロセスの1つまたは複数の温度段階において提供される追加の読み出しデバイスを含むこともできる。例えば、ジョセフソンパラメトリックデバイスは、より低い温度段階における読み出しのために提供されることが可能であり、追加の読み出しデバイスは、より高い温度段階における読み出しまたはその後の信号処理のために提供されることが可能である。いくつかの例において、低雑音増幅器(LNA)および/またはレシーバ構成要素が、1つまたは複数のより高い温度において提供されることが可能である。例えば、読み出しシステムは、第1の温度範囲(例えば、約1ケルビン(K)未満または約100ミリケルビン(mK)未満を含む極低温温度範囲)において動作するように構成された1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスを含むことができる。読み出しシステムは、1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスに結合され、そこから出力を受信するように構成され、第2の温度段階において動作するように構成された1つまたは複数の読み出しデバイス(例えば、LNAデバイス)をさらに含むことができる。いくつかの例において、第2の温度範囲は、第1の温度範囲よりも高くすることが可能であり、例えば、限定はしないが、約4Kを含む範囲、または約1Kと約10Kとの間の範囲とすることが可能である。読み出しシステムは、LNAデバイスに結合され、LNAデバイスからの出力を受信し、第3の温度範囲において動作するように構成された1つまたは複数の読み出しデバイス(例えば、レシーバ)をさらに含むことができる。いくつかの例において、第3の温度範囲は、第2の温度範囲よりも高くすることが可能であり、例えば、限定はしないが、室温またはそれに近い範囲(例えば、約300Kを含む範囲、または約250Kと約350Kとの間の範囲)とすることが可能である。
【0023】
開示された技術のさらに別の例示的な態様は、一般に、開示されたジョセフソンパラメトリックデバイスのうちの1つまたは複数を組み込む量子コンピューティングシステムおよび関連する装置に関する。例えば、量子コンピューティングシステムは、量子ハードウェアと、読み出しシステムとを含むことができる。量子ハードウェアは、複数のキュービットを含むことができる。読み出しシステムは、複数のキュービットの読み出し応答を受信するために複数のキュービットに結合されることが可能である。読み出しシステムは、1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスを含むことができる。各ジョセフソンパラメトリックデバイスは、少なくとも第1、第2、および第3の共振モードを含むことができ、第1の共振モードおよび第3の共振モードは、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モードは、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成される。各ジョセフソンパラメトリックデバイスは、第1の共振モードと第3の共振モードとの間の受動的結合と、第1の共振モードと第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、第2の共振モードと第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合を含むこともできる。いくつかの例において、1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスは、サーキュレータまたはアイソレータとして動作するように構成された第1のジョセフソンパラメトリックデバイスと、指向性増幅器として動作するように構成された第2のジョセフソンパラメトリックデバイスとを含む。
【0024】
本開示の例示的な態様によるシステムおよび方法は、限定はしないが、コンピューティング技術(例えば、量子コンピューティング技術)に対する改善を含む、いくつかの技術的効果および利益を提供することができる。例えば、本開示の例示的な態様は、特に、広い信号帯域幅にわたって利得が増加した、改善された量子ノイズ制限キュービット読み出し性能を提供することによって、量子コンピューティング用途における改善された読み出し応答を提供することができる。これは、増加する数のキュービットに対する反射測定値の迅速かつ正確な読み出しの必要性を示す現実世界の(例えば、ノイズの多い)量子コンピューティング用途において特に有益である。
【0025】
開示された技術の追加の利益および利点は、量子コンピューティングシステムの貴重な不動産内での実装に必要なハードウェア構成要素のサイズおよび数を削減することによって達成されることが可能である。多くのジョセフソンパラメトリック増幅器は、反射モードにおいて動作するので、入力信号と増幅信号とを分離するために、いくつかのサーキュレータが必要とされる可能性がある。開示された技術によるパラメトリックサーキュレータは、任意のより大きい従来のフェライトサーキュレータを削減または置き換えるために使用されることが可能である。それに加えて、同一周波数ポートを用いて設計されたパラメトリックデバイスは、効果的なデバイス動作に必要な異なる位相コヒーレントポンプトーンの数を削減する。キュービット読み出しのコンテキストにおいて、これらの利益は、量子コンピュータの極低温空間内に実装される読み出しハードウェアの要件を低減する。これは、数百の読み出しチャネルを有するスケールアップされた量子コンピューティングシステムにおける実質的な利点となる可能性がある。
【0026】
入力ポートおよび出力ポートが同じ周波数を有し、ポンプ全体の位相に関係なく互いにコヒーレントであるので、開示された技術の追加の利益および利点は、キュービット読み出し用途のコンテキストにおいて達成されることが可能である。したがって、キュービット読み出しのコンテキストにおいて、ポンプ発生器と読み出しトランスミッタとの間の厳密な位相関係を必要とすることなく、読み出しレシーバは、読み出しトランスミッタに位相ロックされるように構成されることが可能である。
【0027】
本開示の1つの例示的な態様は、パラメトリックデバイスに向けられる。パラメトリックデバイスは、パラメトリックデバイスは、第1の共振モードと、第2の共振モードと、第3の共振モードと、受動的結合と、入力ポートと、出力ポートとを含むことができる。第1の共振モードおよび第3の共振モードは、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モードは、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成される。受動的結合は、第1の共振モードと第3の共振モードとの間に配置される。入力ポートは、パラメトリックデバイスの第1の共振モードに結合され、出力ポートは、パラメトリックデバイスの第3の共振モードに結合される。
【0028】
いくつかの実装形態において、パラメトリックデバイスは、サーキュレータまたはアイソレータとして動作するように構成されることが可能である。そのような実装形態において、第1のパラメトリック結合が、第1の共振モードと第2の共振モードとの間に設けられることが可能であり、第2のパラメトリック結合は、第2の共振モードと第3の共振モードとの間に設けられることが可能である。第1のパラメトリック結合および第2のパラメトリック結合は、第1の共振周波数と第2の共振周波数との間の差として定義されるポンプ周波数によって特徴付けられるポンプトーン信号を受信するように構成される。第1のパラメトリック結合に提供されるポンプトーン信号の位相は、第2のパラメトリック結合に提供されるポンプトーン信号の位相に対してシフトされる。
【0029】
いくつかの実装形態において、パラメトリックデバイスは、指向性増幅器として動作するように構成されることが可能である。そのような実装形態において、第1のパラメトリック結合は、第1の共振モードと第2の共振モードとの間に設けられることが可能であり、第2のパラメトリック結合は、第2の共振モードと第3の共振モードとの間に設けられることが可能である。第1のパラメトリック結合および第2のパラメトリック結合は、第1の共振周波数と第2の共振周波数との和として定義されるポンプトーン周波数によって特徴付けられるポンプトーン信号を受信するように構成される。第1のパラメトリック結合に提供されるポンプトーン信号の位相は、第2のパラメトリック結合に提供されるポンプトーン信号の位相に対してシフトされる。
【0030】
本開示の別の例示的な態様は、量子コンピューティングデバイスのための読み出しシステムに向けられる。読み出しシステムは、複数の共振器と、フィルタと、第1のジョセフソンパラメトリックデバイスとを含むことができる。複数の共振器は、それぞれの複数のキュービットに結合するように構成される。フィルタは、複数の共振器に結合され、複数の共振器によって受信された読み出し信号に対するバンドパス応答を生成するように構成される。第1のジョセフソンパラメトリックデバイスは、フィルタからの出力を入力信号として受信し、第1の出力信号を生成するように構成される。第1のジョセフソンパラメトリックデバイスは、第1、第2、および第3の共振モードと、複数の結合とを含む。第1の共振モードおよび第3の共振モードは、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モードは、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成される。複数の結合は、第1の共振モードと第3の共振モードとの間の受動的結合と、第1の共振モードと第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、第2の共振モードと第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む。
【0031】
本開示の別の例示的な態様は、量子コンピューティングシステムに向けられる。量子コンピューティングシステムは、量子ハードウェアと、読み出しシステムとを含むことができる。量子ハードウェアは、複数のキュービットを含む。読み出しシステムは、複数のキュービットの読み出し応答を受信するために複数のキュービットに結合される。読み出しシステムは、1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスを含む。各ジョセフソンパラメトリックデバイスは、第1、第2、および第3の共振モードと、複数の結合とを含む。第1の共振モードおよび第3の共振モードは、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成される。第2の共振モードは、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成される。複数の結合は、第1の共振モードと第3の共振モードとの間の受動的結合と、第1の共振モードと第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、第2の共振モードと第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む。
【0032】
ここで図を参照し、本開示の例示的な実施形態についてさらに詳細に論じる。
【0033】
図1は、本開示の例示的な態様による第1の例示的なパラメトリックデバイスの例示的なブロック図を示す。より具体的には、パラメトリックデバイス100は、同一周波数ポートを有するジョセフソンパラメトリックサーキュレータに対応する。パラメトリックデバイス100は、複数の共振モード、例えば、第1の(A)共振モード110、第2の(B)共振モード120、および第3の(C)共振モード130を含むことができる。様々な共振モード110、120、および130は、限定はしないが、集中素子LC共振器、伝送線路共振器、または任意の他の共振回路(例えば、電気的、光機械的など)などの共振器構造(例えば、第1、第2、および第3の共振器構造)によって具体化されることが可能である。
【0034】
パラメトリックデバイス100の各共振モードは、対応するポートに結合される。より具体的には、第1の共振モード110は、第1の(A)ポート111に結合され、第2の共振モード120は、第2の(B)ポート121に結合され、第3の共振モード130は、第3の(C)ポート131に結合される。第1のポート111は、パラメトリックデバイス100のための入力ポートとして機能するように構成され、第3のポート131は、パラメトリックデバイス100のための出力ポートとして機能するように構成される。いくつかの実装形態において、第2のポート121は、パラメトリックデバイス100がサーキュレータとして動作するように構成されるように、追加の外部ポートを提供する。他の実装形態において、パラメトリックデバイス100は、パラメトリックデバイス100がアイソレータとして動作するように構成されるように、第2の共振モード120に結合され、第2の共振モード120のための内部終端(例えば、50オーム終端)を提供するインピーダンスを含む。
【0035】
依然として
図1を参照すると、パラメトリックデバイス100は、同一周波数ポートを有するように構成されることが可能である。これは、少なくとも部分的には、3つの共振モード110、120、および130のうちの2つを同じ第1の周波数において動作するように構成することによって達成されることが可能である。これらの同一周波数モードおよび対応するポートは、パラメトリックデバイス100のための入力および出力モード/ポートを形成することができる。例えば、パラメトリックデバイス100の第1の共振モード110および第3の共振モード130は、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成されることが可能であり、第2の共振モード120は、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成されることが可能である。
【0036】
いくつかの例示的な実施形態において、パラメトリックデバイス100は、様々な共振モード110、120、および130を互いに結合するために提供される受動的結合とパラメトリック結合との組合せを含む。例えば、第1のポート111(例えば、入力ポート)と第3のポート131(例えば、出力ポート)との間の結合は、受動的結合140のような、第1の共振モード110と第3の共振モード130との間の結合に対応する。いくつかの実施形態において、第1の共振モード110と第3の共振モード130との間の受動的結合140は、容量結合であることが可能である。いくつかの実施形態において、第1の共振モード110と第3の共振モード130との間の受動的結合140は、誘導結合であることが可能である。そうでなければパラメトリック結合となるであろうものを置き換える少なくとも1つの受動的結合を収容するデバイス構成を提供することによって、回路の簡略化およびサイズの低減が、有利に実現されることが可能である。それに加えて、第3のポート131において提供される出力信号は、デバイス内のパラメトリック結合において用いられるポンプおよび信号生成器のコヒーレンスを必要とすることなく、第1のポート111において提供される入力信号とコヒーレントなままである。
【0037】
さらに、パラメトリックデバイス100は、第1の共振モード110と第2の共振モード120との間の第1のパラメトリック結合150と、第2の共振モード120と第3の共振モード130との間の第2のパラメトリック結合160とを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1のパラメトリック結合150および第2のパラメトリック結合160は、それぞれのパラメトリックポンプ周波数においてパラメトリックにポンプされるそれぞれのジョセフソン接合デバイス(例えば、SQUIDカプラ)を含む。パラメトリックデバイス100がサーキュレータ/アイソレータとして動作するように構成されている場合、第1のパラメトリック結合150および第2のパラメトリック結合160は、それぞれ、第1のポンプ周波数によって特徴付けられる第1のポンプトーン信号155、および第2のポンプ周波数によって特徴付けられる第2のポンプトーン信号165を受信するように構成される。第1のポンプトーン信号155の第1のポンプ周波数および第2のポンプトーン信号165の第2のポンプ周波数は、同じ周波数であることが可能である。したがって、いくつかの実装形態において、単一の信号発生器が、第1のポンプトーン信号155と第2のポンプトーン信号165の両方を提供するためのソースとして用いられることが可能である。
【0038】
第1のポンプトーン信号155および第2のポンプトーン信号165の同じ周波数は、第1の共振周波数(例えば、第1の共振モード110および第3の共振モード130の周波数)と第2の共振周波数(例えば、第2の共振モード120の周波数)との間の差として定義されることが可能である。例えば、第1の共振モード110および第3の共振モード130が、それぞれ、約4.0GHzの第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モード120が、約6.17GHzの第2の共振周波数において動作するように構成される場合、第1のパラメトリック結合150に提供される第1のポンプトーン信号155の第1のポンプ周波数および第2のパラメトリック結合160に提供される第2のポンプトーン信号165の第2のポンプ周波数は、6.17GHzと4.0GHzとの間の差、すなわち約2.17GHzであることが可能である。第1のパラメトリック結合150に提供される第1のポンプトーン信号155の位相は、第2のパラメトリック結合160に提供される第2のポンプトーン信号165の位相に対してシフトされる(例えば、約±π/2または±90度の位相オフセットだけシフトされる)ことが可能である。
【0039】
ここで
図2を参照すると、本開示の例示的な態様による第2の例示的なパラメトリックデバイス(例えば、パラメトリックデバイス200)は、
図1のパラメトリックデバイス100と同様であり、デバイス信号の伝送と分離の両方においてより優れた広帯域応答を得るために、追加の共振モードおよび整合回路が組み込まれる。したがって、パラメトリックデバイス200は、第1の共振モード110、第1のポート111、第2の共振モード120、第2のポート121、第3の共振モード130、第3のポート131、受動的結合140、第1のパラメトリック結合150、第1のポンプトーン信号155、第2のパラメトリック結合160、および第2のポンプトーン信号165に対する同様の参照番号を含むように示されている。そのような要素に適用される
図1の説明は、
図2に示され、
図2を参照して説明される実施形態に適用される。
【0040】
図2のパラメトリックデバイス200は、複数の追加の共振モード、例えば、第1の共振モード110と第1のポート111との間に結合された1つまたは複数の追加の第1の共振モード110'、110"、第2の共振モード120に結合された1つまたは複数の追加の第2の共振モード120'、120"、および第3の共振モード130と第3のポート131との間に結合された1つまたは複数の追加の第3の共振モード130'、130"を含む。より具体的には、いくつかの実施形態において、パラメトリックデバイス200は、3つの第1の共振モード110、110'、および110"と、3つの第2の共振モード120、120'、および120"と、3つの第3の共振モード130、130'、および130"とを含むことができ、所与の共振モード内の各反復は、実質的に同じ共振周波数において動作するように構成される。いくつかの実施形態において、第1の共振モード110、110'、および110"の各々、ならびに第3の共振モード130、130'、および130"の各々は、第1の共振周波数(例えば、4.0GHz)において動作するように構成されることが可能であり、第2の共振モード120、120'、および120"の各々は、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数(例えば、6.17GHz)において動作するように構成されることが可能である。第1の共振モード110、第2の共振モード120、および第3の共振モード130は、
図1に示すようなコアサーキュレータデバイスとして機能するように構成される。追加の共振モード110'、110"、120'、120"、130'、および130"は、指定された周波数帯域(例えば、Δω)にわたって、第1のポート111、第2のポート121、および第3のポート131に対応するそれぞれの50オームポートにインピーダンス整合を提供するように設計される。
【0041】
さらに、パラメトリックデバイス200の整合回路は、指定された周波数帯域にわたって第1のポート111および第3のポート131にインピーダンス整合を提供することができる。いくつかの例示的な実施形態において、整合回路は、追加の受動的結合を含むこともできる。より具体的には、パラメトリックデバイス200は、第1の共振モード110と1つまたは複数の追加の第1の共振モード110'、110"との間、および追加の第1の共振モード110"と第1のポート111との間に、追加の受動的結合112、112'、および112"を含むことができる。パラメトリックデバイス200は、第2の共振モード120と1つまたは複数の第2の共振モード120'、120"との間、および1つまたは複数の追加の第2の共振モード120"と第2のポート121との間に、追加の受動的結合122、122'、および122"を含むこともできる。さらに、パラメトリックデバイス200は、第3の共振モード130と1つまたは複数の追加の第3の共振モード130'、130"との間、および追加の第3の共振モード130"と第3のポート131との間に、追加の受動的結合132、132'、および132"を含むことができる。そのような追加の受動的結合は、追加のパラメトリック結合を必要とすることなく、容量結合および/または誘導結合を含むことができる。
【0042】
図3は、本開示の例示的な態様による
図2のパラメトリックデバイス200を実装するための例示的な回路図を示す。共振モード(例えば、
図2の共振モード110、110'、110"、120、120'、120"、130、130'、および130")は、
図3の図において並列LC回路として実装され、受動的結合(例えば、結合112、112'、112"、122、122'、122"、132、132'、132"、および140)は、キャパシタとして実装される。
図2の第1の(A)ポート111は、
図3においてTerm1とラベル付けされ、第3の(C)ポート131は、Term3とラベル付けされる。
図2の第2の(B)ポート121は、
図3においてTerm2とラベル付けされ、50オーム負荷で終端されると想定される。第2の(B)ポート(Term2)121が終端されているので、パラメトリックデバイス200は、2ポートアイソレータである。
【0043】
図3を依然として参照すると、第1、第2、および第3の共振モード(例えば、第1の共振モード110、110'、110"、第2の共振モード120、120'、120"、および第3の共振モード130、130'、130")のための整合ネットワークは、3つのポート(例えば、第1のポート111、第2のポート121、および第3のポート131)の各々における整合回路に対して、係数g
0=1.0、g
1=0.6291、g
2=0.9702、g
3=0.6291、g
4=1.0を用いて、3極チェビシェフプロトタイプに基づいて実装される。ここで、係数g
0は、サーキュレータコアを表し、g
4は、ポートを表す。
【0044】
図2の第1のパラメトリック結合150および第2のパラメトリック結合160は、
図3の図において、それぞれ、回路構成要素X1およびX2として表される。
図3においてX1とラベル付けされた第1のパラメトリック結合要素は、C1およびL1で構成される共振器(第1の共振モード110)と、C2およびL2で構成される共振器(第2の共振モード120)との間のポンプ変調された相互結合を与えるrf-SQUIDとしてモデル化される。
図3においてX2とラベル付けされた第2のパラメトリック結合要素は、同様に、C3およびL3で構成される共振器(第3の共振モード130)と、C2およびL2で構成される共振器(共振モード120)との間のポンプ変調された相互結合を提供している。
図3におけるキャパシタC13は、
図2の第1の共振モード110と第3の共振モード130との間に受動的な同一周波数結合を提供し、
図2における受動的結合140に対応する。キャパシタC13の値は、
【0045】
【0046】
を介して決定されることが可能であり、ここで、g0、g1は、インピーダンス整合ネットワークを合成するために使用されるバンドパスプロトタイプの0番目および1番目の係数であり、ZA1およびZC1は、第1の共振モード110および第3の共振モード130のインピーダンスであり、wは、ネットワークの比帯域である。CACは、キャパシタC13の静電容量であり、ωAは、第1の共振モードの共振周波数であり、JACは、キャパシタC13によって実現される対応するアドミタンスインバータの値である。
【0047】
以下の表1は、開示された技術のサーキュレータ/アイソレータ回路として使用するように構成されたパラメトリックデバイス200の例示的な実装形態に関する構成要素値(
図2においてラベル付けされた要素を参照)を示す。
図4は、表1において示す構成要素値を使用する、
図3に示す図のADSにおける高調波平衡シミュレーションを示す。第1および第2のパラメトリック結合150、160は、ゼロの受動的相互結合と、17phの変調された結合振幅とを有するように構成される。これは、
図10~
図11に示すようなrf-SQUID結合要素を使用して実現されることが可能である。第1のポンプトーン信号155と第2のポンプトーン信号165とを提供する両方のカプラは、2.17GHzの差周波数において変調され、X1(すなわち、第1のパラメトリック結合150)に提供される第1のポンプトーン信号155と、X2(すなわち、第2のパラメトリック結合160)に提供される第2のポンプトーン信号165との間に90度の位相シフトが存在する。
【0048】
【0049】
いくつかの特定の実装形態において、全体的なデバイス性能に有利に利益を与える方法で、
図2または
図3における構成要素のデバイス帯域幅を具体的に設計するために、バンドパスネットワーク合成技法が用いられることが可能である。例えば、量子コンピューティング読み出し用途において、整合回路は、約10MHzを超えるパラメトリックデバイス200の帯域幅を達成するように設計される。いくつかの例において、整合回路は、約20MHzを超えるパラメトリックデバイス200の帯域幅を達成するように設計される。いくつかの例において、整合回路は、最大約500MHz(1/2GHz)のパラメトリックデバイス200の帯域幅を達成するように設計される。いくつかの例において、整合回路は、約20MHzと約500MHzとの間の範囲内のパラメトリックデバイス200の帯域幅を達成するように設計される。これは、約10MHz以下の比較的狭い帯域において回路利得および分離を提供する公知のパラメトリックデバイス構成と比較して、多大な利益を達成する。
【0050】
図4は、本開示の例示的な態様による
図3の例示的な回路図に関する高調波平衡シミュレーション結果の例示的なグラフを示す。
図4におけるdBm_s11とラベル付けされた赤いトレースは、第1の(A)ポート111からのdB単位の入力信号の反射(S11)に対応する。(4GHzを中心に100MHzとして設計された)回路の帯域幅にわたり、第1の(A)ポート111は、20dBよりも良好なリターンロスと一致する。dBm_3とラベル付けされたピンク色のトレースは、第1の(A)ポート111から第3の(C)ポート131への順方向伝送に対応する。回路の通過帯域にわたる単一伝送は、
図4において観察されることが可能である。dBm_2とラベル付けされた青色の曲線は、第1の(A)ポート111から第2の(B)ポート121への「逆伝送」またはアイソレーションに対応する。パラメトリックデバイス200は、回路の帯域内のこの方向におおいて20dBを超えるアイソレーションを提供する。第2の(B)ポート121における信号は、6.17GHz帯域に変換されるが、対応するsパラメータは、入力信号の周波数を基準とした
図4(青色のトレース)においてプロットされている。
【0051】
図5は、本開示の例示的な態様による第3の例示的なパラメトリックデバイスの例示的なブロック図を示す。より具体的には、パラメトリックデバイス300は、同一周波数ポートを有するジョセフソンパラメトリック増幅器に対応する。パラメトリックデバイス300は、変調リアクタンスとして機能するように構成されたジョセフソン接合デバイスを含むことができる。パラメトリックデバイス300は、複数の共振モード、例えば、第1の(A)共振モード310、第2の(B)共振モード320、および第3の(C)共振モード330を含むことができる。様々な共振モード310、320、および330は、限定はしないが、集中素子LC共振器、伝送線路共振器、または任意の他の共振回路(例えば、電気的、光機械的など)などの共振器構造(例えば、第1、第2、および第3の共振器構造)によって具体化されることが可能である。
【0052】
パラメトリックデバイス300の各共振モードは、対応するポートに結合される。より具体的には、第1の共振モード310は、第1の(A)ポート311に結合され、第2の共振モード320は、第2の(B)ポート321に結合され、第3の共振モード330は、第3の(C)ポート331に結合される。第1のポート311は、パラメトリックデバイス300のための入力ポートとして機能するように構成され、第3のポート331は、パラメトリックデバイス300のための出力ポートとして機能するように構成される。いくつかの実装形態において、第2のポート321は、追加の外部ポートを提供する。
【0053】
依然として
図5を参照すると、パラメトリックデバイス300は、同一周波数ポートを有するように構成されることが可能である。これは、少なくとも部分的には、3つの共振モード310、320、および330のうちの2つを同じ第1の周波数において動作するように構成することによって達成されることが可能である。これらの同一周波数モードおよび対応するポートは、パラメトリックデバイス300のための入力および出力モード/ポートを形成することができる。例えば、パラメトリックデバイス300の第1の共振モード310および第3の共振モード330は、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成されることが可能であり、第2の共振モード320は、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成されることが可能である。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態において、パラメトリックデバイス300は、様々な共振モード310、320、および330を互いに結合するために提供される受動的結合とパラメトリック結合との組合せを含む。例えば、入力ポートとして機能する第1のポート311と出力ポートとして機能する第3のポート331との間の結合は、第1の共振モード310と第3の共振モード330との間の結合に対応し、受動的結合340であることが可能である。いくつかの実施形態において、第1の共振モード310と第3の共振モード330との間の受動的結合340は、容量結合であることが可能である。いくつかの実施形態において、第1の共振モード310と第3の共振モード330との間の受動的結合340は、誘導結合であることが可能である。そうでなければパラメトリック結合となるであろうものを置き換える少なくとも1つの受動的結合を収容するデバイス構成を提供することによって、回路の簡略化およびサイズの低減が、有利に実現されることが可能である。それに加えて、第3のポート331において提供される出力信号は、デバイス内のパラメトリック結合において用いられるポンプおよび信号生成器のコヒーレンスを必要とすることなく、第1のポート311において提供される入力信号とコヒーレントなままである。
【0055】
さらに、パラメトリックデバイス300は、第1の共振モード310と第2の共振モード320との間の第1のパラメトリック結合350と、第2の共振モード320と第3の共振モード330との間の第2のパラメトリック結合360とを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1のパラメトリック結合350および第2のパラメトリック結合360は、それぞれのパラメトリックポンプ周波数においてパラメトリックにポンプされるそれぞれのSQUIDカプラを含む。パラメトリックデバイス300は、第1のパラメトリック結合350および第2のパラメトリック結合360が、それぞれ、第1のポンプ周波数によって特徴付けられる第1のポンプトーン信号355、および第2のポンプ周波数によって特徴付けられる第2のポンプトーン信号365を受信するように構成されるように、指向性増幅器として動作するように構成されることが可能である。第1のポンプトーン信号355の第1のポンプ周波数および第2のポンプトーン信号365の第2のポンプ周波数は、同じ周波数であることが可能である。したがって、いくつかの実装形態において、単一の信号発生器が、第1のポンプトーン信号355と第2のポンプトーン信号365の両方を提供するためのソースとして用いられることが可能である。
【0056】
第1のポンプトーン信号355および第2のポンプトーン信号365の同じ周波数は、第1の共振周波数(例えば、第1の共振モード310および第3の共振モード330の周波数)と第2の共振周波数(例えば、第2の共振モード320の周波数)との和として定義されることが可能である。例えば、第1の共振モード310および第3の共振モード330が、それぞれ、約4.0GHzの第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モード320が、約8.17GHzの第2の共振周波数において動作するように構成される場合、第1のパラメトリック結合350に提供される第1のポンプトーン信号355の第1のポンプ周波数および第2のパラメトリック結合360に提供される第2のポンプトーン信号365の第2のポンプ周波数は、8.17GHzと4.0GHzとの和、すなわち約12.17GHzであることが可能である。第1のパラメトリック結合350に提供される第1のポンプトーン信号355の位相は、第2のパラメトリック結合360に提供される第2のポンプトーン信号365の位相に対してシフトされる(例えば、約±π/2または±90度の位相オフセットだけシフトされる)ことが可能である。
【0057】
ここで
図6を参照すると、本開示の例示的な態様による第4の例示的なパラメトリックデバイス(例えば、パラメトリックデバイス400)は、
図5のパラメトリックデバイス300と同様であり、デバイス信号の伝送と分離の両方においてより優れた広帯域応答を得るために、追加の共振モードおよび整合回路が組み込まれる。したがって、パラメトリックデバイス400は、第1の共振モード310、第1のポート311、第2の共振モード320、第2のポート321、第3の共振モード330、第3のポート331、受動的結合340、第1のパラメトリック結合350、第1のポンプトーン信号355、第2のパラメトリック結合360、および第2のポンプトーン信号365に対する同様の参照番号を含むように示されている。そのような要素に適用される
図6の説明は、
図5に示され、
図5を参照して説明される実施形態に適用される。
【0058】
図6のパラメトリックデバイス400は、複数の追加の共振モード、例えば、第1の共振モード310と第1のポート311との間に結合された1つまたは複数の追加の第1の共振モード310'、310"、第2の共振モード320に結合された1つまたは複数の追加の第2の共振モード320'、320"、および第3の共振モード330と第3のポート331との間に結合された1つまたは複数の追加の第3の共振モード330'、330"を含む。より具体的には、いくつかの実施形態において、パラメトリックデバイス400は、3つの第1の共振モード310、310'、および310"と、3つの第2の共振モード320、320'、および320"と、3つの第3の共振モード330、330'、および330"とを含むことができ、所与の共振モード内の各反復は、実質的に同じ共振周波数において動作するように構成される。いくつかの実施形態において、第1の共振モード310、310'、および310"の各々、ならびに第3の共振モード330、330'、および330"の各々は、第1の共振周波数(例えば、4.0GHz)において動作するように構成されることが可能であり、第2の共振モード320、320'、および320"の各々は、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数(例えば、8.17GHz)において動作するように構成されることが可能である。共振モード310、320、および330は、
図5に示すようなコア指向性増幅器装置として機能するように構成される。追加の共振モード310'、310"、320'、320"、330'、および330"は、指定された周波数帯域(例えば、Δω)にわたって、第1のポート311、第2のポート321、および第3のポート331に対応するそれぞれの50オームポートにインピーダンス整合を提供するように設計される。
【0059】
さらに、パラメトリックデバイス400の整合回路は、指定された周波数帯域にわたって第1のポート311および第3のポート331にインピーダンス整合を提供することができる。いくつかの例示的な実施形態において、整合回路は、追加の受動的結合を含むこともできる。より具体的には、パラメトリックデバイス400は、第1の共振モード310と1つまたは複数の追加の第1の共振モード310'、310"との間、および追加の第1の共振モード310"と第1のポート311との間に、追加の受動的結合312、312'、および312"を含むことができる。パラメトリックデバイス400は、第2の共振モード320と1つまたは複数の追加の第2の共振モード320'、320"との間、および1つまたは複数の追加の第2の共振モード320"と第2のポート321との間に、追加の受動的結合322、322'、および322"を含むこともできる。さらに、パラメトリックデバイス400は、第3の共振モード330と1つまたは複数の追加の第3の共振モード330'、330"との間、および追加の第3の共振モード330"と第3のポート331との間に、追加の受動的結合332、332'、および332"を含むことができる。そのような追加の受動的結合は、追加のパラメトリック結合を必要とすることなく、容量結合および/または誘導結合を含むことができる。
【0060】
依然として
図6を参照すると、指向性増幅器として動作するように構成されたパラメトリックデバイス400の回路トポロジは、
図2のパラメトリックデバイス200の回路トポロジと多くの点で同様である。しかしながら、第1の共振モード310を第2の共振モード320に接続する第1のパラメトリック結合350および第2の共振モード320を第3の共振モード330に接続する第2のパラメトリック結合360は、和周波数ポンプで駆動され、パラメトリック増幅プロセスを引き起こす。第2の(B)ポート321は、内部的に終端される(例えば、50オームポートで終端される)。第2の(B)ポート321は、反射利得に関連するという意味において能動的であるので、その整合回路は、受動的である(例えば、反射利得を持たない)異なる係数によって記述される。第1の(A)ポート311および第3の(C)ポート331の整合回路に使用される係数は、サーキュレータとして動作するように構成される
図2~
図3のパラメトリックデバイス200と同様に、g
0=1.0、g
1=0.6291、g
2=0.9702、g
3=0.6291、g
4=1.0である。しかしながら、第2の(B)ポート321における整合回路は、g
0=1.0、g
1=0.6068、g
2=0.6742、g
3=0.3836、g
4=0.8992である。前の例と同様に、係数g
0は、増幅器コアに対応し、g
4は、ポートに対応する。
【0061】
図7は、
図6に基づく例示的な回路のSパラメータの計算を示す。S_(C0,A0)とラベル付けされたオレンジ色の曲線は、第1の(A)ポート311から第3の(C)ポート331への順方向利得であり、100MHzの設計帯域幅にわたって20dBの利得を示す。S_(A0,C0)とラベル付けされた緑色の曲線は、第3の(C)ポート331から第1の(A)ポート311への逆方向利得を表し、これは、ユニティ(0dB)である。したがって、増幅器は、一方向において利得を有するが、逆方向において利得を持たない。S_(A0,A0)とラベル付けされた青色の曲線は、第1の(A)ポート311からの反射(栗色の曲線と部分的に重なっている)であり、5dBよりも良好なリターンロスで増幅器の入力が整合されることを示す。S_(A0,B0)とラベル付けされた栗色の曲線は、第2の(B)ポート321から増幅器に入る任意の信号(または実際にはノイズ)の第1の(A)ポート311に向かう伝送を表し、これらのポート間の5dBよりも良好なアイソレーションを示す。キュービット読み出しのコンテキストにおいて、増幅器から増幅されたノイズが読み出し共振器およびキュービットに影響を与えないことが重要であるので、増幅器のこの最後の特性は、重要である。
【0062】
図8は、本開示の例示的な態様による
図6のパラメトリックデバイス400を実装するための例示的な回路図を示す。
図8の回路図は、ADSにおけるシミュレーションに使用される。
図8に示す回路のトポロジは、
図3に示す回路のトポロジと同様であるが、異なる周波数、およびこの例において第2の共振モードに使用される異なるプロトタイプに起因して、構成要素値は、異なる。様々な共振モード(例えば、
図2の共振モード310、310'、310"、320、320'、320"、330、330'、330")は、
図7の図において並列LC回路として実装され、受動的結合(例えば、結合312、312'、312"、322、322'、322"、332、332'、332"、および340)は、キャパシタとして実装される。
図6の第1の(A)ポート311は、
図7においてTerm1とラベル付けされ、第3の(C)ポート331は、Term3とラベル付けされる。
図6の第2の(B)ポート321は、
図7においてTerm2とラベル付けされ、50オームの負荷で終端されると想定される。第2の(B)ポート(Term2)321は、内部的に終端される(例えば、50オームの負荷で終端される)。第1および第3の共振モード(例えば、共振モード310、310'、310"、330、330'、および330")は、4.0GHzの第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モード(例えば、共振モード320、320'、320")は、8.17GHzの第2の共振周波数において動作するように構成される。
【0063】
図6の第1のパラメトリック結合350および第2のパラメトリック結合360は、
図8の図において、それぞれ、回路構成要素X1およびX2として表される。
図8に示すパラメトリックデバイス400は、指向性増幅器として動作するように構成されるので、パラメトリック結合350および360は、和周波数ポンプで駆動され、パラメトリック増幅プロセスを引き起こす。より具体的には、X1およびX2は、第1および第2の共振周波数の和、すなわち12.17GHzに対応するポンプ周波数を受信するように構成される。
図8においてX1とラベル付けされた第1のパラメトリック結合要素は、C1およびL1で構成される共振器(第1の共振モード310)と、C2およびL2で構成される共振器(第2の共振モード320)との間のポンプ変調された相互結合を提供するrf-SQUIDとしてモデル化される。
図8においてX2でラベル付けされた第2のパラメトリック結合要素は、同様に、C3およびL3で構成される共振器(第3の共振モード330)と、C2およびL2で構成される共振器(第2の共振モード320)との間のポンプ変調された相互結合を提供している。X1において提供されるポンプトーン信号の振幅は、23pHによる対応するモード間の相互結合の変調に対応し、X2は、対応する相互結合を22pHによって変調するために12.17GHzにおいて同様に駆動され、X1駆動に対して83度位相シフトする。第1の共振モード310および第3の共振モード330は、各々、カプラから追加の0.15nHを有し、第2の共振モード320は、0.075nHの追加のインダクタンスを有する。
【0064】
以下の表2は、開示された技法の指向性増幅器回路として使用するように構成されたパラメトリックデバイス400の例示的な実装形態に関する構成要素値(
図6においてラベル付けされた要素を参照)を示す。
【0065】
【0066】
図9は、表2における構成要素値を使用する、
図8における図のADCにおける高調波平衡シミュレーションの結果を示す。様々な示されている曲線は、入力ポートAから終端ポートB(赤色)および出力ポートC(青色)へのdB単位の伝送と、ポートA(ピンク色)における反射とを示す。約17dBの利得が順方向において達成され(dBm_3とラベル付けされた青色の曲線)、入力ポートにおいてリターンロスが10dBよりも良好である(dBm_s11とラベル付けされたピンク色の曲線)。理論から予測されるように、入力ポートから終端ポートまでの利得も存在する(dBm_2とラベル付けされた赤色の曲線)。ここで見られるより高い利得は、Manley-Rowe利得10log
10(8.17GHz/4GHz)~3dB]と一致する。
図9におけるシミュレートされた応答は、
図7における理論的に計算された応答と合理的に一致する。ここで説明するデバイスの重要な利点は、入力ポートおよび出力ポートが同じ周波数を有し、ポンプ全体の位相に関係なく互いにコヒーレントであることである。したがって、キュービット読み出しのコンテキストにおいて、読み出しレシーバは、読み出しトランスミッタと位相ロックするように構成されることが可能であり、ポンプ発生器と読み出しトランスミッタとの間の厳密な位相関係を要求する必要はない。
【0067】
図10Aおよび
図10Bは、それぞれ、位相(度)および大きさ(dB)において、4.0GHzにおける入力信号についてのシミュレーションパラメータをポンプ位相に対する信号位相の関数として示す。より具体的には、
図10Aは、指向性増幅器の増幅された出力が入力信号の位相を(一定のオフセットがあるものの)追従することをシミュレーションにおいて実証する。
図10Bは、sパラメータの大きさがポンプに対する信号位相に依存しないことを示す。
【0068】
図11は、本開示の態様によるパラメトリックデバイスのための第1の例示的な結合回路のブロック図を示す。より具体的には、
図11に示すような結合回路500は、本開示において示すパラメトリックデバイス100、200、300、または400のうちの1つまたは複数を実装するために使用されることが可能である。結合回路500は、第1の共振モード510と、第1の整合ネットワーク515と、第2の共振モード520と、第2の整合ネットワーク525と、第3の共振モード530と、第3の整合ネットワーク535と、受動的結合540と、DC源542と、第1の磁束部分544と、第2の磁束部分546と、第1のパラメトリック結合550と、第1のジョセフソン接合551と、第1のポンプトーン源552と、第3の磁束部分554と、第2のパラメトリック結合560と、第2のジョセフソン接合561と、第2のポンプトーン源562と、第4の磁束部分564とを含むことができる。第1のポンプトーン源552および第2のポンプトーン源562は、単一の信号発生器(図示せず)から得られることが可能である。
【0069】
依然として
図11を参照すると、結合回路500の様々な構成要素は、結合回路500がサーキュレータ/アイソレータを実装するために用いられる場合、
図1~
図2に示し、
図1~
図2を参照して説明した構成要素に対応することができる。同様に、結合回路500の様々な構成要素は、結合回路500が指向性増幅器を実装するために用いられる場合、
図5~
図6に示し、
図5~
図6を参照して説明した構成要素に対応することができる。
図1~
図2、
図5~
図6、ならびに他の関連する図および説明からの対応する構成要素の説明は、適切な場合、
図11に示す対応する構成要素に適用されるとみなされる。
【0070】
例えば、
図11の第1の共振モード510は、例えば、
図1~
図2の第1の共振モード110、または
図5~
図6の第1の共振モード310に対応することができる。図示のように、
図11の第1の共振モード510は、第1のキャパシタ511と第1のインダクタ512とを含むLC共振器であることが可能である。
図11の第1の整合ネットワーク515は、
図2の追加の第1の共振モード110'、110"および受動的結合112、112'、112"、または
図6の追加の第1の共振モード310'、310"および受動的結合312、312'、312"に対応することができる。
図11の第2の共振モード520は、例えば、
図1~
図2の第2の共振モード120、または
図5~
図6の第2の共振モード320に対応することができる。図示のように、
図11の第2の共振モード520は、第2のキャパシタ521と第2のインダクタ522とを含むLC共振器であることが可能である。
図11の第2の整合ネットワーク525は、
図2の追加の第2の共振モード120'、120"および受動的結合122、122'、122"、または
図6の追加の第2の共振モード320'、320"および受動的結合322、322'、322"に対応することができる。
図11の第3の共振モード530は、例えば、
図1~
図2の第3の共振モード130、または
図5~
図6の第3の共振モード330に対応することができる。図示のように、
図11の第3の共振モード530は、第3のキャパシタ531と第3のインダクタ532とを含むLC共振器であることが可能である。
図11の第3の整合ネットワーク535は、
図2の追加の第3の共振モード130'、130"および受動的結合132、132'、132"、または
図6の追加の第3の共振モード330'、330"および受動的結合332、332'、332"に対応することができる。第1の共振モード510および第3の共振モード530は、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モード520は、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成される。
【0071】
依然として
図11を参照すると、結合回路500は、特に容量結合に対応する、第1の共振モード510と第3の共振モード530との間に結合された受動的結合540を含む。第1のパラメトリック結合は、第1の共振モード510を第2の共振モード520に結合し、第2のパラメトリック結合は、第2の共振モード520を第3の共振モード530に結合する。第1のパラメトリック結合550および第2のパラメトリック結合560は、それぞれのジョセフソン接合551、561を含むことができ、これらは、結合回路500においてX字型回路要素として描かれている。より具体的には、第1の共振モード510と第2の共振モード520との間に位置する第1のパラメトリック結合550は、第1のジョセフソン接合551、インダクタ512、およびインダクタ522で構成されるrf-SQUIDに対応することができる。第2の共振モード520と第3の共振モード530との間に位置する第2のパラメトリック結合560は、第2のジョセフソン接合561、インダクタ522、およびインダクタ532で構成されるrf-SQUIDに対応することができる。
【0072】
第1のパラメトリック結合550は、第1のポンプトーン源552でポンプされ、第2のパラメトリック結合560は、第2のポンプトーン源562でポンプされる。第1のポンプトーン源552および第2のポンプトーン源562は、同じ周波数であるように構成されるが、第1のパラメトリック結合550に提供される第1のポンプトーン源552の位相は、第2のパラメトリック結合560に提供される第2のポンプトーン源562の位相に対してシフトされる。いくつかの例示的な実施形態において、第1のポンプトーン源552と第2のポンプトーン源562の両方は、同じ信号発生器によって提供され、したがって、異なる周波数におけるポンプ源を必要とする同一周波数ポートを持たない実装形態と比較して、ハードウェアスペースを最小限に抑える。結合回路500がサーキュレータ/アイソレータを実装するために用いられる場合、第1のポンプトーン源552および第2のポンプトーン源562は、第1の共振モード510および第3の共振モード530の第1の共振周波数と第2の共振モード520の第2の共振周波数との間の差として定義される同じ周波数において生成される。結合回路500が指向性増幅器を実装するために用いられる場合、第1のポンプトーン源552および第2のポンプトーン源562は、第1の共振モード510および第3の共振モード530の第1の共振周波数と第2の共振モード520の第2の共振周波数との和として定義される同じ周波数において生成される。
【0073】
結合回路500における回路構成要素の構成、ならびにDC源542、第1のポンプトーン源552、および第2のポンプトーン源562の提供は、結合回路500内に電流および対応する磁束を誘導する。例えば、DC源542は、第1の磁束部分544と第2の磁束部分546とをもたらす電流を誘導するバイアス変圧器を形成するために、第2のインダクタ522と対をなすインダクタ543に結合されることが可能である。第1の磁束部分544は、第1の共振モード510と第2の共振モード520との間にパラメトリック結合のみが提供されるように、第1のジョセフソン接合551を含むrf-SQUIDを介して実質的にゼロの受動的結合を確保するのに役立つことができる。第2の磁束部分546は、第2の共振モード520と第3の共振モード530との間にパラメトリック結合のみが提供されるように、第2のジョセフソン接合561を含むrf-SQUIDを介して実質的にゼロの受動的結合を確保するのに役立つことができる。第1のポンプトーン源552は、第3の磁束部分554をもたらす電流を誘導する第1のポンプ変圧器を形成するために、第1のインダクタ512と対をなす第1のポンプインダクタ553に結合されることが可能である。第2のポンプトーン源562は、第4の磁束部分564をもたらす電流を誘導する第2のポンプ変圧器を形成するために、第3のインダクタ532と対をなす第2のポンプインダクタ563に結合されることが可能である。第1の磁束部分544および第3の磁束部分554は、第1のパラメトリック結合550内のジョセフソン接合デバイス551に印加される。第2の磁束部分546および第4の磁束部分564は、第2のパラメトリック結合560内のジョセフソン接合デバイス561に印加される。
【0074】
図12は、本開示の態様によるパラメトリックデバイスのための第2の例示的な結合回路のブロック図を示す。より具体的には、
図12に示すような結合回路600は、本開示において示すパラメトリックデバイス100、200、300、または400のうちの1つまたは複数を実装するために使用されることが可能である。結合回路600は、第1の共振モード610と、第1の整合ネットワーク615と、第2の共振モード620と、第2の整合ネットワーク625と、第3の共振モード630と、第3の整合ネットワーク635と、第1の複数のJJデバイス651、652、653、654に対応するジョセフソン接合(JJ)アレイを含む第1のパラメトリック結合650と、第2の複数のJJデバイス661、662、663、664に対応するジョセフソン接合(JJ)アレイを含む第2のパラメトリック結合660とを含むことができる。
【0075】
依然として
図12を参照すると、結合回路600の様々な構成要素は、結合回路600がサーキュレータ/アイソレータを実装するために用いられる場合、
図1~
図2に示し、
図1~
図2を参照して説明した構成要素に対応することができる。同様に、結合回路600の様々な構成要素は、結合回路600が指向性増幅器を実装するために用いられる場合、
図5~
図6に示し、
図5~
図6を参照して説明した構成要素に対応することができる。
図1~
図2、
図5~
図6、ならびに他の関連する図および説明からの対応する構成要素の説明は、適切な場合、
図12に示す対応する構成要素に適用されるとみなされる。
【0076】
例えば、
図12の第1の共振モード610は、例えば、
図1~
図2の第1の共振モード110、または
図5~
図6の第1の共振モード310に対応することができる。図示のように、
図12の第1の共振モード610は、第1のキャパシタ611と第1のインダクタ612とを含むLC共振器であることが可能である。
図12の第1の整合ネットワーク615は、
図2の追加の第1の共振モード110'、110"および受動的結合112、112'、112"、または
図6の追加の第1の共振モード310'、310"および受動的結合312、312'、312"に対応することができる。
図12の第2の共振モード620は、例えば、
図1~
図2の第2の共振モード120、または
図5~
図6の第2の共振モード320に対応することができる。図示のように、
図12の第2の共振モード620は、第2のキャパシタ621と第2のインダクタ622とを含むLC共振器であることが可能である。
図12の第2の整合ネットワーク625は、
図2の追加の第2の共振モード120'、120"および受動的結合122、122'、122"、または
図6の追加の第2の共振モード320'、320"および受動的結合322、322'、322"に対応することができる。
図12の第3の共振モード630は、例えば、
図1~
図2の第3の共振モード130、または
図5~
図6の第3の共振モード330に対応することができる。図示のように、
図12の第3の共振モード630は、第3のキャパシタ631と第3のインダクタ632とを含むLC共振器であることが可能である。
図12の第3の整合ネットワーク635は、
図2の追加の第3の共振モード130'、130"および受動的結合132、132'、132"、または
図6の追加の第3の共振モード330'、330"および受動的結合332、332'、332"に対応することができる。第1の共振モード610および第3の共振モード630は、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モード620は、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成される。
【0077】
依然として
図12を参照すると、結合回路600は、第1の共振モード610と第2の共振モード620との間の第1のパラメトリック結合650の一部として第1のジョセフソン接合(JJ)アレイ(例えば、第1の複数のJJデバイス651~654)と、第2の共振モード620と第3の共振モード630との間の第2のパラメトリック結合660の一部として第2のジョセフソン接合(JJ)アレイ(例えば、第2の複数のJJデバイス661~664)とを使用する平衡型JJカプラを含む。第1のJJアレイを形成する第1の複数のJJデバイス651~654および第2のJJアレイを形成する第2の複数のJJデバイス661~664は、結合回路600においてX字型回路要素として描かれており、例えば、rf-SQUIDデバイスまたは他の適切なデバイスなどの任意のジョセフソン接合デバイスに対応することができる。
図11の結合回路500におけるように単一のJJデバイスの代わりにJJアレイ650、660を含むことによって、結合回路600内のより高い飽和電力が達成されることが可能である。
図12には示していないが、結合回路600は、限定はしないが、第1の共振モード610と第3の共振モード630との間の受動的結合(例えば、容量結合)、ポンプ変圧器、およびバイアス変圧器(
図11において、DC源542、第1のポンプトーン源552、第2のポンプトーン源562、ならびに対応するインダクタおよび関連する回路構成要素によって実装されるものなど)などの追加の回路構成要素を含むこともできる。
【0078】
図13は、本開示の例示的な態様による読み出しデバイスの例示的な実施形態を示す。例えば、
図13は、第1の読み出しデバイス710と、第2の読み出しデバイス720と、第3の読み出しデバイス730とを含むことができる読み出しシステム700を示す。第1の読み出しデバイス710は、限定はしないが、パラメトリックデバイス100、200、300、400、または結合回路500、600などの、主題の技術に従って開示されたデバイス/回路のうちの1つまたは複数を含むことができる。第1の読み出しデバイス710は、複数のキュービット742に結合するための複数の読み出し共振器740および制御システム741と、フィルタ743と、信号源744と、サーキュレータ/アイソレータ745と、指向性増幅器746と、ポンプ源747と、オプションのフェライトサーキュレータ748と、位相シフタ749とを含むことができる。第2の読み出しデバイス720は、低雑音増幅器(LNA)721を含むことができ、第3の読み出しデバイス730は、レシーバ731を含むことができる。
【0079】
より具体的に
図13を参照すると、複数の読み出し共振器740および制御システム741は、複数のキュービット742に結合するように構成されることが可能である。キュービット742は、量子コンピューティングのための同じまたは異なるキュービット技術のうちの1つまたは複数に従って形成されることが可能である。例えば、キュービット742は、超伝導キュービット(例えば、トランスモンキュービット)、半導体量子ドット、トラップされたイオンキュービット、フォトニックキュービット、欠陥ベースのキュービット、トポロジカルナノワイヤキュービット、または核磁気共鳴キュービットであるか、またはそれらを含むことができる。フィルタ743(例えば、パーセルフィルタまたは他のバンドパスフィルタ)は、複数の読み出し共振器740に結合され、複数の読み出し共振器740によって受信された読み出し信号に対してバンドパス応答を生成するように構成されることが可能である。
【0080】
図13の読み出しシステム700は、フィルタ743からの出力を入力信号として受信し、出力信号を生成するように構成された少なくとも第1のジョセフソンパラメトリックデバイスを含むことができる。図示のように、第1の読み出しデバイス710は、2つのジョセフソンパラメトリックデバイス、すなわち、サーキュレータ/アイソレータ745に対応する第1のジョセフソンパラメトリックデバイスと、指向性増幅器746に対応する第2のジョセフソンパラメトリックデバイスとを含む。追加のサーキュレータ/アイソレータ構成要素は、ときには、サーキュレータ/アイソレータ745と指向性増幅器746との間に含まれ得る。追加のサーキュレータ/アイソレータ構成要素が含まれる場合、そのような構成要素は、ときには、本明細書で説明するようなパラメトリックサーキュレータ/アイソレータ(例えば、
図1~
図3に示すパラメトリックデバイス100、200)に対応することができ、または代替的に、従来のフェライトサーキュレータ(例えば、オプションのフェライトサーキュレータ748)に対応することができる。さらなる実施形態において、読み出しシステム700は、本明細書で説明するようなパラメトリック指向性増幅器(例えば、
図5~
図6および
図8に示すパラメトリックデバイス300、400)に結合された従来のフェライトサーキュレータを含むことができる。
【0081】
依然として
図13を参照すると、サーキュレータ/アイソレータ745は、例えば、
図1~
図3に示すパラメトリックデバイス100または200として実装されることが可能である。したがって、サーキュレータ/アイソレータ745は、第1、第2、および第3の共振モードを含むことができ、第1の共振モードおよび第3の共振モードは、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モードは、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成される。サーキュレータ/アイソレータ745は、第1の共振モードと第3の共振モードとの間の受動的結合と、第1の共振モードと第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、第2の共振モードと第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合を含むこともできる。サーキュレータ/アイソレータ745における第1の共振モードと第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合、および第2の共振モードと第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合は、第1の共振周波数と第2の共振周波数との間の差として定義されるポンプ周波数によって特徴付けられるポンプトーン信号を受信するように構成されることが可能である。サーキュレータ/アイソレータ745における第1および第2のパラメトリック結合のためのポンプトーン信号は、ポンプ源747から提供されることが可能であり、位相シフタ749のうちの1つが、第1および第2のパラメトリック結合に提供されるそれぞれのポンプトーン信号間の位相オフセットを実装する。
【0082】
第2のジョセフソンパラメトリックデバイスを形成する指向性増幅器746は、第1のジョセフソンパラメトリックデバイスを形成するサーキュレータ/アイソレータ745からの出力を入力信号として受信するように構成されることが可能である。指向性増幅器746は、キュービット742からの読み出しに基づいて、増幅された出力信号を生成するようにさらに構成されることが可能である。指向性増幅器746は、例えば、
図5~
図6および
図8に示すパラメトリックデバイス300または400として実装されることが可能である。したがって、指向性増幅器746は、第4、第5、および第6の共振モードを含むことができ、第4の共振モードおよび第6の共振モードは、両方とも第3の共振周波数において動作するように構成され、第5の共振モードは、第3の共振周波数とは異なる第4の共振周波数において動作するように構成される。指向性増幅器746は、第4の共振モードと第6の共振モードとの間の受動的結合と、第4の共振モードと第5の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、第5の共振モードと第6の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合を含むこともできる。指向性増幅器746における第4の共振モードと第5の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合、および第5の共振モードと第6の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合は、第3の共振周波数と第4の共振周波数との和として定義されるポンプ周波数によって特徴付けられるポンプトーン信号を受信するように構成されることが可能である。指向性増幅器746における第1および第2のパラメトリック結合のためのポンプトーン信号は、ポンプ源747から提供されることが可能であり、位相シフタ749のうちの1つが、第1および第2のパラメトリック結合に提供されるそれぞれのポンプトーン信号間の位相オフセットを実装する。
【0083】
図13の読み出しシステム700は、読み出しプロセスの1つまたは複数の温度段階において提供される追加の読み出しデバイスを含むこともできる。例えば、ジョセフソンパラメトリックデバイス(例えば、第1のジョセフソンパラメトリックデバイスとして実装されたサーキュレータ/アイソレータ745、および第2のジョセフソンパラメトリックデバイスとして実装された指向性増幅器746)は、より低い温度段階における読み出しのために提供される第1の読み出しデバイス710内に含まれることが可能であり、追加の読み出しデバイス(例えば、第2の読み出しデバイス720および第3の読み出しデバイス730)は、より高い温度段階における読み出しまたはその後の信号処理のために提供されることが可能である。いくつかの例において、第2の読み出しデバイス720は、低雑音増幅器(LNA)721および/または他のレシーバ構成要素(例えば、レシーバ731)を含むことができ、1つまたは複数のより高い温度において提供されることが可能である。例えば、読み出しシステム700は、第1の温度範囲(例えば、約1ケルビン(K)未満または約100ミリケルビン(mK)未満を含む極低温温度範囲)において動作するように構成された1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイス(例えば、第1のジョセフソンパラメトリックデバイスとして実装されたサーキュレータ/アイソレータ745、および第2のジョセフソンパラメトリックデバイスとして実装された指向性増幅器746)を含む第1の読み出しデバイス710を含むことができる。読み出しシステム700は、第1の読み出しデバイス710に結合され、そこから出力を受信するように構成され、第2の温度段階において動作するように構成された少なくとも1つの第2の読み出しデバイス720(例えば、LNA721)をさらに含むことができる。いくつかの例において、第2の温度範囲は、第1の温度範囲よりも高くすることが可能であり、例えば、限定はしないが、約4Kを含む範囲、または約1Kと約10Kとの間の範囲とすることが可能である。読み出しシステム700は、第2の読み出しデバイス720に結合され、第2の読み出しデバイス720からの出力を受信し、第3の温度範囲において動作するように構成された少なくとも1つの第3の読み出しデバイス730(例えば、レシーバ731)をさらに含むことができる。いくつかの例において、第3の温度範囲は、第2の温度範囲よりも高くすることが可能であり、例えば、限定はしないが、室温またはそれに近い範囲(例えば、約300Kを含む範囲、または約250Kと約350Kとの間の範囲)とすることが可能である。
【0084】
図14は、例示的な量子コンピューティングシステム800を示す。量子コンピューティングシステム800は、以下に説明するシステム、構成要素、および技法が実装されることが可能な、1つまたは複数の位置における1つまたは複数の古典的コンピュータまたは量子コンピューティングデバイス上のシステムの一例である。当業者は、本明細書で提供する開示を使用して、本開示の範囲から逸脱することなく他の量子コンピューティング構造またはシステムが使用されることが可能であることを理解するであろう。
【0085】
量子コンピューティングシステム800は、1つまたは複数の古典プロセッサ804とデータ通信する量子ハードウェア802を含むことができる。1つまたは複数のパラメータ806が、1つまたは複数の古典プロセッサ804から量子ハードウェア802に通信されることが可能であり、1つまたは複数の測定結果808が、量子ハードウェア802から1つまたは複数の古典プロセッサ804に通信されることが可能である。量子ハードウェア802は、量子計算を実行するための構成要素を含むことができる。例えば、量子ハードウェア802は、量子システム810と、制御システム812と、読み出しシステム814とを含む。いくつかの実装形態において、
図14の制御システム812は、
図13の制御システム741に対応することができる。いくつかの実装形態において、
図14の読み出しシステム814は、
図13の読み出しシステム700に対応するか、またはその態様を含むことができる。
【0086】
図14をより具体的に参照すると、量子システム810は、キュービットのレジスタなどの1つまたは複数のマルチレベル量子サブシステムを含むことができる。いくつかの実装形態において、マルチレベル量子サブシステムは、磁束キュービット、電荷キュービット、トランスモンキュービット、gmonキュービットなどの超伝導キュービットを含むことができる。量子コンピューティングシステム800が利用するマルチレベル量子サブシステムのタイプは、変化し得る。例えば、場合によっては、1つまたは複数の超電導キュービット、例えば、トランスモンキュービット、磁束キュービット、gmonキュービット、xmonキュービット、または他のキュービットに取り付けられた読み出しシステム814内に1つまたは複数の読み出しデバイスを含めることが便利な場合がある。他の場合において、イオントラップ、フォトニックデバイス、または超伝導空洞が使用され得る。マルチレベル量子サブシステムの実現のさらなる例は、fluxmonキュービット、シリコン量子ドット、またはリン不純物キュービットを含む。
【0087】
量子回路は、制御システム812に結合された複数の制御線を介して量子システム810内に含まれるキュービットのレジスタに構築され、適用され得る。制御システム812は、キュービットのレジスタ上で動作する制御デバイスを含むことができ、量子ゲート、または複数の量子ゲートを有する量子回路、例えば、パウリゲート、アダマールゲート、制御NOT(CNOT)ゲート、制御位相ゲート、Tゲート、マルチキュービット量子ゲート、カプラ量子ゲートなどを実装するために使用されることが可能である。制御システム812は、1つまたは複数のそれぞれの制御パラメータ(例えば、1つまたは複数の物理制御パラメータ)を介して量子システム810上で動作するように構成され得る。例えば、いくつかの実装形態において、マルチレベル量子サブシステムは、超伝導キュービットであり得、制御システム812内の制御デバイスは、キュービットの周波数を調整するために磁場を生成するために制御線に制御パルスを提供するように構成され得る。
【0088】
図14の量子ハードウェア802は、1つまたは複数の読み出しデバイスを含むものなどの読み出しシステム814をさらに含み得る。例えば、いくつかの実装形態において、読み出しシステム814は、
図13の読み出しシステム700において示すような第1の読み出しデバイス710と、第2の読み出しデバイス720と、第3の読み出しデバイス730とを含むことができる。したがって、読み出しシステム814は、1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスを含むことができる。読み出しシステム814内の各ジョセフソンパラメトリックデバイスは、少なくとも第1、第2、および第3の共振モードを含むことができ、第1の共振モードおよび第3の共振モードは、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、第2の共振モードは、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成される。読み出しシステム814内の各ジョセフソンパラメトリックデバイスは、第1の共振モードと第3の共振モードとの間の受動的結合と、第1の共振モードと第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、第2の共振モードと第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合を含むこともできる。いくつかの例において、読み出しシステム814内の1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスは、サーキュレータまたはアイソレータとして動作するように構成された第1のジョセフソンパラメトリックデバイス(例えば、
図13のサーキュレータ/アイソレータ745)と、指向性増幅器として動作するように構成された第2のジョセフソンパラメトリックデバイス(例えば、
図13の指向性増幅器746)とを含む。
【0089】
依然として
図14を参照すると、量子ハードウェア802内の測定デバイスを介して取得された測定結果808は、処理および分析のために古典プロセッサ804に提供され得る。いくつかの実装形態において、量子ハードウェア802は、量子回路と制御システム812とを含み得、読み出しシステム814は、量子ハードウェア802内に含まれるワイヤを介して送信される物理制御パラメータ(例えば、マイクロ波パルス)を介して量子システム810上で動作する1つまたは複数の量子理論ゲートを実装し得る。制御デバイスのさらなる例は、DAC(デジタルアナログ変換器)が信号を作成する任意波形発生器を含む。
【0090】
読み出しシステム814は、量子システム810上で量子測定を実行し、測定結果808を古典プロセッサ804に送信するように構成され得る。それに加えて、量子ハードウェア802は、古典プロセッサ804から物理制御キュービットパラメータ値(例えば、パラメータ806)を指定するデータを受信するように構成され得る。量子ハードウェア802は、量子システム810上の制御システム812および読み出しシステム814の動作を更新するために、受信された物理制御キュービットパラメータ値(例えば、パラメータ806)を使用し得る。例えば、量子ハードウェア802は、制御システム812内に含まれる1つまたは複数のDACの電圧強度を表す新しい値を指定するデータを受信し得、それに応じて量子システム810上のDACの動作を更新し得る。古典プロセッサ804は、例えば、パラメータ806の初期セットを指定するデータを量子ハードウェア802に送信することによって、量子システム810を初期量子状態に初期化するように構成され得る。
【0091】
読み出しシステム814は、要素(例えば、キュービット)の状態を測定するために、キュービットなどの量子システムの要素の|0>状態および|1>状態のインピーダンスの差を利用することができる。例えば、読み出しシステム814内の読み出し共振器の共振周波数は、キュービットの非線形性により、キュービットが状態|0>または状態|1>にあるときに異なる値をとることができる。したがって、読み出しシステム814内の読み出しデバイスから反射されたマイクロ波パルスは、キュービット状態に依存する振幅および/または位相シフトを搬送する。いくつかの実装形態において、パーセルフィルタ(例えば、
図13のフィルタ743)は、キュービット周波数におけるマイクロ波伝播を妨げるために、読み出しシステム814内の読み出しデバイスと組み合わせて使用されることが可能である。
【0092】
本明細書で説明するデジタル、古典、および/または量子の主題、ならびにデジタル関数演算および量子演算の実装形態は、デジタル電子回路、適切な量子回路、もしくはより一般的には、量子計算システムにおいて、有形に実装されたデジタルおよび/もしくは量子コンピュータソフトウェアもしくはファームウェアにおいて、本明細書で開示した構造およびそれらの構造的等価物を含む、デジタルおよび/もしくは量子コンピュータハードウェアにおいて、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組合せにおいて実装されることが可能である。「量子コンピューティングシステム」という用語は、限定はしないが、量子コンピュータ/コンピューティングシステム、量子情報処理システム、量子暗号システム、または量子シミュレータを含み得る。
【0093】
本明細書で説明するデジタルおよび/または量子の主題の実装形態は、1つまたは複数のデジタルおよび/または量子コンピュータプログラム(例えば、データ処理装置によって実行するためまたはデータ処理装置の動作を制御するための、有形の非一時的記憶媒体上に符号化されたデジタルおよび/または量子コンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュール)として実装されることが可能である。デジタルおよび/または量子コンピュータ記憶媒体は、機械可読記憶媒体、機械可読記憶基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリデバイス、1つもしくは複数のキュービット/キュービット構造、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組合せであることが可能である。代替的に、またはそれに加えて、プログラム命令は、データ処理装置による実行のために適切なレシーバ装置に伝送するために、デジタルおよび/または量子情報を符号化するために生成された、デジタルおよび/または量子情報を符号化することができる人工的に生成された伝播信号(例えば、機械生成された電気信号、光信号、または電磁信号)上に符号化されることが可能である。
【0094】
量子情報および量子データという用語は、量子システムによって搬送、保持、または記憶される情報またはデータを指し、最小の非自明システムは、キュービット(すなわち、量子情報の単位を定義するシステム)である。「キュービット」という用語は、対応するコンテキストにおいて2レベルシステムとして適切に近似され得るすべての量子システムを包含することが理解される。そのような量子システムは、例えば、2つ以上のレベルを有するマルチレベルシステムを含み得る。例として、そのようなシステムは、原子、電子、光子、イオン、または超伝導キュービットを含むことができる。多くの実装形態において、計算基底状態は、基底状態および第1の励起状態とみなされるが、計算状態がより高いレベルの励起状態(例えば、キュービット)とみなされる他の設定も可能であることが理解される。
【0095】
「データ処理装置」という用語は、デジタルおよび/または量子データ処理ハードウェアを指し、例として、プログラム可能なデジタルプロセッサ、プログラム可能な量子プロセッサ、デジタルコンピュータ、量子コンピュータ、または複数のデジタルおよび量子プロセッサもしくはコンピュータ、ならびにそれらの組合せを含む、デジタルおよび/または量子データを処理するためのすべての種類の装置、デバイス、および機械を包含する。装置は、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、またはASIC(特定用途向け集積回路)、または量子シミュレータ、すなわち、特定の量子システムに関する情報をシミュレートもしくは生成するように設計された量子データ処理装置であるか、またはそれらをさらに含むこともできる。特に、量子シミュレータは、一般的な量子計算を実行する能力を持たない特殊用途の量子コンピュータである。装置は、ハードウェアに加えて、デジタルおよび/または量子コンピュータプログラムのための実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組合せを構成するコードをオプションで含むことができる。
【0096】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、またはコードとも呼ばれるまたは説明される場合があるデジタルまたは古典的なコンピュータプログラムは、コンパイラ型言語もしくはインタープリタ型言語、または宣言型言語もしくは手続き型言語を含む任意の形式のプログラミング言語において記述されることが可能であり、スタンドアロンプログラムとして、または、モジュール、構成要素、サブルーチン、もしくはデジタルコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとして含む、任意の形式において展開されることが可能である。プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、またはコードとも呼ばれるまたは記述される場合がある量子コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語もしくはインタープリタ型言語、または宣言型言語もしくは手続き型言語を含む任意の形式のプログラミング言語において記述されることが可能であり、適切な量子プログラミング言語に翻訳され得、または、量子プログラミング言語、例えば、QCL、Quipper、もしくはCirqにおいて記述されることが可能である。
【0097】
デジタルおよび/または量子コンピュータプログラムは、必ずしもそうである必要はないが、ファイルシステム内のファイルに対応し得る。プログラムは、他のプログラムもしくはデータを保持するファイルの一部、例えば、マークアップ言語文書内に記憶された1つもしくは複数のスクリプト内に、問題のプログラム専用の単一のファイル内に、または、複数の調整されたファイル、例えば、1つもしくは複数のモジュール、サブプログラム、もしくはコードの一部を記憶するファイル内に記憶されることが可能である。デジタルおよび/または量子コンピュータプログラムは、1つのデジタルもしくは1つの量子コンピュータ上で、または、1つのサイトに位置する、もしくは複数のサイトにわたって分散され、デジタルおよび/もしくは量子データ通信ネットワークによって相互接続された複数のデジタルおよび/もしくは量子コンピュータ上で実行されるように展開されることが可能である。量子データ通信ネットワークは、量子システム、例えば、キュービットを使用して量子データを送信し得るネットワークであると理解される。一般に、デジタルデータ通信ネットワークは、量子データを送信できないが、量子データ通信ネットワークは、量子データとデジタルデータの両方を送信し得る。
【0098】
本明細書において説明したプロセスおよび論理フローは、適切であるように、1つまたは複数のデジタルおよび/または量子プロセッサを用いて動作し、入力デジタルおよび量子データに対して演算し出力を生成することによって機能を実行するために1つまたは複数のデジタルおよび/または量子コンピュータプログラムを実行する、1つまたは複数のプログラム可能なデジタルおよび/または量子コンピュータによって実行されることが可能である。プロセスおよび論理フローは、専用論理回路、例えば、FPGAもしくはASIC、もしくは量子シミュレータによって、または、専用論理回路もしくは量子シミュレータと、1つもしくは複数のプログラムされたデジタルおよび/もしくは量子コンピュータとの組合せによって実行されることも可能であり、装置は、それらとして実装されることも可能である。
【0099】
1つまたは複数のデジタルおよび/または量子コンピュータのシステムもしくはプロセッサについて、特定の動作またはアクションを実行するように「構成される」または「動作可能である」ことは、システムがその上に、動作中にシステムに動作またはアクションを実行させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または、それらの組合せをインストールしていることを意味する。1つまたは複数のデジタルおよび/または量子コンピュータプログラムについて、特定の動作またはアクションを実行するように構成されることは、1つまたは複数のプログラムが、デジタルおよび/または量子データ処理装置によって実行されると、装置に動作またはアクションを実行させる命令を含むことを意味する。量子コンピュータは、量子コンピューティング装置によって実行されると、装置に動作またはアクションを実行させる命令をデジタルコンピュータから受信し得る。
【0100】
デジタルおよび/または量子コンピュータプログラムの実行に適したデジタルおよび/または量子コンピュータは、汎用または専用デジタルおよび/もしくは量子マイクロプロセッサ、もしくはその両方、または、任意の他の種類の中央デジタルおよび/もしくは量子処理ユニットに基づくことができる。一般に、中央デジタルおよび/または量子処理ユニットは、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、もしくは、量子データ、例えば、光子を送信するのに適した量子システム、またはそれらの組合せから、命令と、デジタルおよび/または量子データとを受信する。
【0101】
デジタルおよび/または量子コンピュータのいくつかの例示的な要素は、命令を実施または実行するための中央処理装置、ならびに命令とデジタルおよび/または量子データとを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。中央処理装置およびメモリは、専用論理回路または量子シミュレータによって補完されるか、またはそれらの中に組み込まれることが可能である。一般に、デジタルおよび/または量子コンピュータは、デジタルおよび/または量子データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶デバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、または量子情報を記憶するのに適した量子システムも含むか、または、それらからデジタルおよび/もしくは量子データを受信するように、もしくはそれらにデジタルおよび/または量子データを送信するように、もしくはその両方を行うようにそれらに動作可能に結合される。しかしながら、デジタルおよび/または量子コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。
【0102】
デジタルおよび/または量子コンピュータプログラム命令ならびにデジタルおよび/または量子データを記憶するのに適したデジタルおよび/または量子コンピュータ可読媒体は、例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、例えば、内部ハードディスクまたはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROMおよびDVD-ROMディスク、ならびに量子システム、例えば、トラップされた原子または電子を含む、不揮発性デジタルおよび/または量子メモリ、媒体、およびメモリデバイスのすべての形態を含む。量子メモリは、量子データを高い忠実度と効率で長期間記憶することができるデバイスであり、例えば、送信のために光が使用され、重ね合わせまたは量子コヒーレンスなどの量子データの量子特徴を記憶および保存するために物質が使用される光-物質インターフェースであることが理解される。
【0103】
本明細書で説明した様々なシステムまたはそれらの一部の制御は、1つまたは複数の有形の非一時的機械可読記憶媒体上に記憶され、1つまたは複数のデジタルおよび/または量子処理デバイス上で実行可能な命令を含む、デジタルおよび/または量子コンピュータプログラム製品において実装されることが可能である。本明細書で説明したシステムまたはそれらの一部は、1つまたは複数のデジタルおよび/または量子処理デバイスと、本明細書で説明した動作を実行する実行可能命令を記憶するメモリとを含み得る装置、方法、または電子システムとして各々実装されることが可能である。
【0104】
本明細書は、多くの特定の実装形態の詳細を含むが、これらは、特許請求され得るものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、特定の実装形態に固有であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実装形態の文脈において本明細書で説明した特定の特徴は、単一の実装形態において組み合わせて実装されることも可能である。逆に、単一の実装形態の文脈において説明した様々な特徴は、複数の実装形態において別々に、または任意の適切な部分的組合せにおいて実装されることも可能である。さらに、特徴について、特定の組合せで機能するものとして上記で説明されている場合があり、そのように当初に特許請求されている場合さえあるが、特許請求された組合せからの1つまたは複数の特徴が、場合によっては組合せから削除されることが可能であり、特許請求された組合せは、部分的組合せまたは部分的組合せの変形例に向けられ得る。
【0105】
同様に、動作は、特定の順序で図面中に描かれているが、これは、所望の結果を達成するために、そのような動作が図示された特定の順序もしくは連続した順序で実行されること、または、すべての示された動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利であり得る。さらに、上記で説明した実装形態における様々なシステムモジュールおよび構成要素の分離は、すべての実装形態でそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明したプログラム構成要素およびシステムは、一般に単一のソフトウェア製品において統合され得、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0106】
100 パラメトリックデバイス
110 第1の(A)共振モード、共振モード、第1の共振モード
110' 第1の共振モード
110" 第1の共振モード
111 第1の(A)ポート、第1のポート
112 受動的結合、結合
112' 受動的結合、結合
112" 受動的結合、結合
120 第2の(B)共振モード、共振モード、第2の共振モード
120' 第2の共振モード
120" 第2の共振モード
121 第2の(B)ポート、第2のポート
122 受動的結合、結合
122' 受動的結合、結合
122" 受動的結合、結合
130 第3の(B)共振モード、共振モード、第3の共振モード
130' 第3の共振モード
130" 第3の共振モード
131 第3の(C)ポート、第3のポート
132 受動的結合、結合
132' 受動的結合、結合
132" 受動的結合、結合
140 受動的結合
150 パラメトリック結合
155 ポンプトーン信号
160 パラメトリック結合
165 ポンプトーン信号
200 パラメトリックデバイス
300 パラメトリックデバイス
310 第1の(A)共振モード、共振モード、第1の共振モード
310' 第1の共振モード
310" 第1の共振モード
311 第1の(A)ポート、第1のポート
320 第2の(A)共振モード、共振モード、第2の共振モード
320' 第2の共振モード
320" 第2の共振モード
321 第2の(B)ポート、第2のポート
330 第3の(A)共振モード、共振モード、第3の共振モード
330' 第3の共振モード
330" 第3の共振モード
331 第3の(C)ポート、第3のポート
340 受動的結合
350 第1のパラメトリック結合
355 第1のポンプトーン信号
360 第2のパラメトリック結合
365 第2のポンプトーン信号
400 パラメトリックデバイス
500 結合回路
510 第1の共振モード
511 第1のキャパシタ
512 第1のインダクタ、インダクタ
515 第1の整合ネットワーク
520 第2の共振モード
521 第2のキャパシタ
522 第2のインダクタ、インダクタ
525 第2の整合ネットワーク
530 第3の共振モード
531 第3のキャパシタ
532 第3のインダクタ、インダクタ
535 第3の整合ネットワーク
540 受動的結合
542 DC源
543 インダクタ
544 第1の磁束部分
546 第2の磁束部分
550 第1のパラメトリック結合
551 第1のジョセフソン接合、ジョセフソン接合、ジョセフソン接合デバイス
552 第1のポンプトーン源
553 第1のポンプインダクタ
554 第3の磁束部分
560 第2のパラメトリック結合
561 第2のジョセフソン接合、ジョセフソン接合、ジョセフソン接合デバイス
562 第2のポンプトーン源
564 第4の磁束部分
600 結合回路
610 第1の共振モード
611 第1のキャパシタ
612 第1のインダクタ
615 第1の整合ネットワーク
620 第2の共振モード
621 第2のキャパシタ
622 第2のインダクタ
625 第2の整合ネットワーク
630 第3の共振モード
631 第3のキャパシタ
632 第3のインダクタ
635 第3の整合ネットワーク
650 第1のパラメトリック結合、JJアレイ
651 JJデバイス
652 JJデバイス
653 JJデバイス
654 JJデバイス
660 第2のパラメトリック結合、JJアレイ
661 JJデバイス
662 JJデバイス
663 JJデバイス
664 JJデバイス
700 読み出しシステム
710 読み出しデバイス、第1の読み出しデバイス
720 読み出しデバイス、第2の読み出しデバイス
721 低雑音増幅器(LNA)、LNA
730 読み出しデバイス、第3の読み出しデバイス
731 レシーバ
740 読み出し共振器
741 制御システム
742 キュービット
743 フィルタ
744 信号源
745 サーキュレータ/アイソレータ
746 指向性増幅器
747 ポンプ源
748 フェライトサーキュレータ
749 位相シフタ
800 量子コンピューティングシステム
802 量子ハードウェア
804 古典プロセッサ
806 パラメータ
808 測定結果
810 量子システム
812 制御システム
814 読み出しシステム
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラメトリックデバイスであって、
第1
の共振モード、第2
の共振モード、および第3の共振モードであって、前記第1の共振モードおよび前記第3の共振モードが、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、前記第2の共振モードが、前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成された、第1
の共振モード、第2
の共振モード、および第3の共振モードと、
前記第1の共振モードと前記第3の共振モードとの間の受動的結合と、
前記パラメトリックデバイスの前記第1の共振モードに結合された入力ポートと、
前記パラメトリックデバイスの前記第3の共振モードに結合された出力ポートと
を備える、パラメトリックデバイス。
【請求項2】
前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合であって、前記第1のパラメトリック結合が、変調リアクタンスとして機能するように構成され、第1のポンプ周波数によって特徴付けられる第1のポンプトーン信号を受信するように構成された少なくとも1つのジョセフソン接合を備える、第1のパラメトリック結合と、
前記第2の共振モードと前記第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合であって、前記第2のパラメトリック結合が、変調リアクタンスとして機能し、第2のポンプ周波数によって特徴付けられる第2のポンプトーン信号を受信するように構成された少なくとも1つのジョセフソン接合を備える、第2のパラメトリック結合と
を備える、請求項1に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項3】
前記第1のポンプトーン信号と前記第2のポンプトーン信号の両方を提供するように構成された単一の信号発生器を備える、請求項2に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項4】
前記パラメトリックデバイスがサーキュレータとして動作するように構成され、
前記第1のポンプ周波数および前記第2のポンプ周波数が、同じ周波数であり、前記第1の共振周波数と前記第2の共振周波数との間の差として定義される周波数であり、
前記第1のパラメトリック結合に提供される前記第1のポンプトーン信号の位相が、前記第2のパラメトリック結合に提供される前記第2のポンプトーン信号の位相に対してシフトされる、
請求項2に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項5】
前記パラメトリックデバイスが指向性増幅器として動作するように構成され、
前記第1のポンプ周波数および前記第2のポンプ周波数が、同じ周波数であり、前記第1の共振周波数と前記第2の共振周波数との和として定義される周波数であり、
前記第1のパラメトリック結合に提供される前記第1のポンプトーン信号の位相が、前記第2のパラメトリック結合に提供される前記第2のポンプトーン信号の位相に対してシフトされる、
請求項2に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項6】
前記パラメトリックデバイスが、前記第2の共振モードに結合され、前記第2の共振モードのための内部終端を提供するインピーダンスを備え、
前記パラメトリックデバイスがアイソレータとして動作するように構成された、
請求項2に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項7】
前記第1の共振モードと前記入力ポートとの間に結合された1つまたは複数の追加の第1の共振モードと、前記第2の共振モードに結合された1つまたは複数の追加の第2の共振モードと、前記第3の共振モードと前記出力ポートとの間に結合された1つまたは複数の追加の第3の共振モードとを備える整合回路を備え、前記整合回路が、指定された周波数帯域にわたるインピーダンス整合を前記入力ポートおよび前記出力ポートに提供する、請求項1から6のいずれか一項に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項8】
前記第1の共振モードと前記1つまたは複数の追加の第1の共振モードとの間、前記1つまたは複数の追加の第1の共振モードと前記入力ポートとの間、前記第2の共振モードと前記1つまたは複数の追加の第2の共振モードとの間、前記1つまたは複数の追加の第2の共振モードと内部終端との間、前記第3の共振モードと前記1つまたは複数の追加の第3
の共振モードとの間、および前記1つまたは複数の追加の第3の共振モードと前記出力ポートとの間に追加の受動的結合を備える、請求項7に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項9】
前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の前記受動的結合および前記追加の受動的結合のうちの1つまたは複数が容量結合を備える、請求項8に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項10】
前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の前記受動的結合および前記追加の受動的結合のうちの1つまたは複数が誘導結合を備える、請求項8に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項11】
前記第1
の共振モード、
前記第2
の共振モード、および
前記第3の共振モードが集中素子LC共振器を備える、請求項1か
ら6のいずれか一項に記載のパラメトリックデバイス。
【請求項12】
それぞれの複数のキュービットに結合するように構成された複数の共振器と、
前記複数の共振器に結合され、前記複数の共振器によって受信された読み出し信号に対するバンドパス応答を生成するように構成されたフィルタと、
前記フィルタからの出力を入力信号として受信し、第1の出力信号を生成するように構成された第1のジョセフソンパラメトリックデバイスであって、前記第1のジョセフソンパラメトリックデバイスが、
第1
の共振モード、第2
の共振モード、および第3の共振モードであって、前記第1の共振モードおよび前記第3の共振モードが、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、前記第2の共振モードが、前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成された、第1
の共振モード、第2
の共振モード、および第3の共振モードと、
前記第1の共振モードと前記第3の共振モードとの間の受動的結合と、前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、前記第2の共振モードと前記第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合と
を備える、第1のジョセフソンパラメトリックデバイスと
を備える、量子コンピューティングデバイスのための読み出しシステム。
【請求項13】
前記第1のジョセフソンパラメトリックデバイスから前記第1の出力信号を受信し、第2の出力信号を生成するように構成された第2のジョセフソンパラメトリックデバイスを備え、前記第2のジョセフソンパラメトリックデバイスが、
第4
の共振モード、第5
の共振モード、および第6の共振モードであって、前記第4の共振モードおよび前記第6の共振モードが、両方とも第3の共振周波数において動作するように構成され、前記第5の共振モードが、前記第3の共振周波数とは異なる第4の共振周波数において動作するように構成された、第4
の共振モード、第5
の共振モード、および第6の共振モードと、
前記第4の共振モードと前記第6の共振モードとの間の受動的結合と、前記第4の共振モードと前記第5の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、前記第5の共振モードと前記第6の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合と
を備える、
請求項12に記載の読み出しシステム。
【請求項14】
前記第1のジョセフソンパラメトリックデバイスが、サーキュレータとして動作するように構成され、
前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の前記第1のパラメトリック結合および前記第2の共振モードと前記第3の共振モードとの間の前記第2のパラメトリック結合が、前記第1の共振周波数と前記第2の共振周波数との間の差として定義される第1のポンプ周波数によって特徴付けられる第1のポンプトーン信号を受信するように構成され、
前記第2のジョセフソンパラメトリックデバイスが、指向性増幅器として動作するように構成され、
前記第4の共振モードと前記第5の共振モードとの間の前記第1のパラメトリック結合および前記第5の共振モードと前記第6の共振モードとの間の前記第2のパラメトリック結合が、前記第3の共振周波数と前記第4の共振周波数との和として定義される第2のポンプ周波数によって特徴付けられる第2のポンプトーン信号を受信するように構成される、
請求項13に記載の読み出しシステム。
【請求項15】
前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の前記第1のパラメトリック結合に提供される前記第1のポンプトーン信号の位相が、前記第2の共振モードと前記第3の共振モードとの間の前記第2のパラメトリック結合に提供される前記第1のポンプトーン信号の位相に対してシフトされ、
前記第3の共振モードと前記第4の共振モードとの間の前記第1のパラメトリック結合に提供される前記第2のポンプトーン信号の位相が、前記第5の共振モードと前記第6の共振モードとの間の前記第2のパラメトリック結合に提供される前記第2のポンプトーン信号の位相に対してシフトされる、
請求項14に記載の読み出しシステム。
【請求項16】
第1のパラメトリック結合および第2のパラメトリック結合に提供される第1のポンプトーン信号を生成するための第1の信号発生器と、
第3のパラメトリック結合および第4のパラメトリック結合に提供される第2のポンプトーン信号を生成するための第2の信号発生器と
を備える、請求項14に記載の読み出しシステム。
【請求項17】
前記第1のジョセフソンパラメトリックデバイスが、
前記第1の共振モードと入力ポートとの間に結合された1つまたは複数の追加の第1の共振モードと、前記第2の共振モードと内部終端との間に結合された1つまたは複数の追加の第2の共振モードと、前記第3の共振モードと出力ポートとの間に結合された1つまたは複数の追加の第3の共振モードとを備える整合回路を備え、前記整合回路が、指定された周波数帯域にわたるインピーダンス整合を前記入力ポートおよび前記出力ポートに提供する、
請求項12に記載の読み出しシステム。
【請求項18】
複数のキュービットを備える量子ハードウェアと、
前記複数のキュービットの読み出し応答を受信するために前記複数のキュービットに結合された読み出しシステムであって、前記読み出しシステムが、1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスを備え、各ジョセフソンパラメトリックデバイスが、
第1
の共振モード、第2
の共振モード、および第3の共振モードであって、前記第1の共振モードおよび前記第3の共振モードが、両方とも第1の共振周波数において動作するように構成され、前記第2の共振モードが、前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数において動作するように構成された、第1
の共振モード、第2
の共振モード、および第3の共振モードと、
前記第1の共振モードと前記第3の共振モードとの間の受動的結合と、前記第1の共振モードと前記第2の共振モードとの間の第1のパラメトリック結合と、前記第2の共振モードと前記第3の共振モードとの間の第2のパラメトリック結合とを含む複数の結合と
を備える、読み出しシステムと
を備える、量子コンピューティングシステム。
【請求項19】
前記第1のパラメトリック結合と前記第2のパラメトリック結合の両方に提供されるポンプトーン信号を生成するように構成された信号発生器を備え、
前記第1のパラメトリック結合に提供される前記ポンプトーン信号の位相が、前記第2のパラメトリック結合に提供される前記ポンプトーン信号に対して位相においてシフトされる、
請求項18に記載の量子コンピューティングシステム。
【請求項20】
前記1つまたは複数のジョセフソンパラメトリックデバイスが、サーキュレータまたはアイソレータとして動作するように構成された第1のジョセフソンパラメトリックデバイスと、指向性増幅器として動作するように構成された第2のジョセフソンパラメトリックデバイスとを備える、請求項18に記載の量子コンピューティングシステム。
【請求項21】
量子コンピューティングシステムの要素の状態を測定する方法であって、前記方法が、請求項1か
ら6のいずれか一項に記載のパラメトリッ
クデバイスを備える読み出しシステムを使用するステップを含む、方法。
【請求項22】
量子コンピューティングシステムの要素の状態を測定する方法であって、前記方法が、請求項12から17のいずれか一項に記載の読み出しシステムを使用するステップを含む、方法。
【国際調査報告】