(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】マイクロウェーブ受信機用ラジオメーター及びその探知体温度測定方法
(51)【国際特許分類】
G01J 5/46 20060101AFI20240412BHJP
G01K 7/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G01J5/46
G01K7/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564439
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 KR2022002083
(87)【国際公開番号】W WO2022225156
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0052224
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523387633
【氏名又は名称】イージーテム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EASYTEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(Sincheon-dong, Prime Castle Knowledge Industry Center) 304, 25, Podowon-ro 116beon-gil, Siheung-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】オ ユン ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ウォンリ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ナン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウン ソン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ジェウ
【テーマコード(参考)】
2G066
【Fターム(参考)】
2G066BA10
2G066BC11
(57)【要約】
本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターは、アンテナから探知体の温度に該当する輻射電力が受信されるアンテナ線路と、予め固定された第1リファレンス温度を有する第1リファレンスロッドと、予め固定された第2リファレンス温度を有する第2リファレンスロッドと、前記アンテナ線路、前記第1リファレンスロッド及び前記第2リファレンスロッドを選択的にスイッチングする第1マイクロウェーブスイッチと、前記第1マイクロウェーブスイッチと同一のクロックでスイッチングされる第2マイクロウェーブスイッチと、前記第2マイクロウェーブスイッチから出力される信号に所定の利得値を乗じて出力するデモジュレータと、前記デモジュレータから出力される信号を積分するインテグレータと、前記インテグレータから出力される信号に基づいて前記探知体の温度を測定するコントローラと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナから探知体の温度に該当する輻射電力が受信されるアンテナ線路と、
予め固定された第1リファレンス温度を有する第1リファレンスロッドと、
予め固定された第2リファレンス温度を有する第2リファレンスロッドと、
前記アンテナ線路、前記第1リファレンスロッド、及び前記第2リファレンスロッドを選択的にスイッチングする第1マイクロウェーブスイッチと、
前記第1マイクロウェーブスイッチと同一のクロックでスイッチングされる第2マイクロウェーブスイッチと、
前記第2マイクロウェーブスイッチから出力される信号に所定の利得値を乗じて出力するデモジュレータと、
前記デモジュレータから出力される信号を積分するインテグレータと、
前記インテグレータから出力される信号に基づいて前記探知体の温度を測定するコントローラと
を含む、マイクロウェーブ受信機用ラジオメーター。
【請求項2】
前記インテグレータから出力される信号は、前記第1マイクロウェーブスイッチが前記アンテナ線路と前記第1リファレンスロッドとを交互にスイッチングしたことに基づいた第1出力電圧と、前記第1マイクロウェーブスイッチが前記アンテナ線路と前記第2リファレンスロッドとを交互にスイッチングしたことに基づいた第2出力電圧とを含み、
前記探知体の温度は、前記第1及び第2リファレンス温度及び前記第1及び第2出力電圧に基づいて測定される、請求項1に記載のマイクロウェーブ受信機用ラジオメーター。
【請求項3】
前記探知体の温度は、下の[数式]によって決定される、請求項2に記載のマイクロウェーブ受信機用ラジオメーター。
[数式]
ここで、T
Aは前記探知体の温度であり、T
ref1は前記第1リファレンス温度であり、T
ref2は前記第2リファレンス温度であり、V
out1は前記第1出力電圧であり、V
out2は前記第2出力電圧である。
【請求項4】
前記第1マイクロウェーブスイッチと前記第2マイクロウェーブスイッチとの間に位置したレシーバとディテクタを含み、
前記デモジュレータは、前記第2マイクロウェーブスイッチの第1出力端子と連結される第1増幅器と、前記第2マイクロウェーブスイッチの第2出力端子と連結される第2増幅器と、前記第1増幅器と前記第2増幅器の出力信号を加える合算器と、を含み、
前記第1増幅器と前記第2増幅器は、利得は同一であり、極性は互いに反対である、請求項1に記載のマイクロウェーブ受信機用ラジオメーター。
【請求項5】
請求項1のマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターにおける探知体温度測定方法において、
前記第1マイクロウェーブスイッチが前記クロックに従って前記アンテナ線路と前記第1リファレンスロッドとの間を交互にスイッチングされる、第1スイッチング段階と、
前記第1マイクロウェーブスイッチが前記クロックに従って前記アンテナ線路と前記第2リファレンスロッドとの間を交互にスイッチングされる、第2スイッチング段階と、
前記第1スイッチング段階によって前記インテグレータから出力される第1出力電圧と、前記第2スイッチング段階によって前記インテグレータから出力される第2出力電圧に基づいて、前記探知体の温度を測定する、測定段階と
を含む、マイクロウェーブ受信機用ラジオメーターの探知体温度測定方法。
【請求項6】
前記探知体の温度は、下の[数式]によって決定される、請求項5に記載のマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターの探知体温度測定方法。
[数式]
ここで、T
Aは前記探知体の温度であり、T
ref1は前記第1リファレンス温度であり、T
ref2は前記第2リファレンス温度であり、V
out1は前記第1出力電圧であり、V
out2は前記第2出力電圧である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロウェーブ受信機用ラジオメーター及びその探知体温度測定方法に関するもので、更に詳しくは、リファレンスロッドのリファレンス温度を可変する必要がなく、容易かつ正確に探知体の温度を測定することができるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーター及びその探知体温度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プランク(Plank)の黒体輻射の原理によれば、物質で輻射される光と電波の波長及び成分の量は、温度の関数で表現することができる。マイクロウェーブ周波数領域(300MHz~300GHz)では、レイリージーンズ(Raleigh-Jeans)の法則によって輻射信号は下の[数式1]で与えられ、周波数fの二乗と温度Tに比例する値を有する。したがって、アンテナで受信される周波数帯域幅BW内の輻射電力Pnは、下の[数式2]で与えられる。[数式2]を用いてマイクロウェーブ受信機を介して受信された輻射電力、すなわち、ノイズ電力を増幅し最終的に測定するならば、これに比例する温度の測定が可能になるが、これをラジオメーター(Radiometer)という。
【0003】
【0004】
(k:ボルツマン定数、c:真空内での光速、T:絶対温度、f:周波数)
【0005】
【0006】
ラジオメーター(Radiometer)には、単に受信された輻射電力(ノイズ)を増幅して出力で測定するトータルパワーラジオメーター(total power radiometer)と、これとは異なって温度解像度に優れたディッケラジオメーター(Dicke radiometer)がある。
【0007】
図1は、従来のディッケラジオメーター(Dicke radiometer)とこの受信動作の原理を説明するための図面である。
【0008】
図1を参照すると、従来のディッケラジオメーターは、マイクロウェーブスイッチ(Microwave SW)2a,2bとデモジュレータ(demodulator)6が同一のクロック(clock)でスイッチング(switching)される。探知しようとする物体の温度は、アンテナ1を介して「T
A」に該当する輻射電力として第1マイクロウェーブスイッチ2aで受信される。そして、第1マイクロウェーブスイッチ2aでは、T
Aと比較のためにリファレンスロッド(ref.Load)3の「T
ref」に該当するリファレンス電力が受信される。第1マイクロウェーブスイッチ2aのスイッチングに従ってレシーバ(Receiver)4でT
Aに該当する輻射電力又はT
refに該当するリファレンス電力が入力される。レシーバ4は、入力された電力信号を処理してディテクタ5に出力し、ディテクタ5の出力は第2マイクロウェーブスイッチ2bに入力される。
【0009】
第1マイクロウェーブスイッチ2aがアンテナ1と連結される時、第2マイクロウェーブスイッチ2bはディテクタ5をデモジュレータ6の第1増幅器P1と連結させ、一方、第1マイクロウェーブスイッチ2aがリファレンスロッド3に連結される時、第2マイクロウェーブスイッチ2bはディテクタ5をデモジュレータ6の第2増幅器P2と連結させる。ここで、第1増幅器P1と第2増幅器P2は利得は同じであり、互いに相反する極性(+A、-A)を有する。そして、「Cd」はディテクタ5のディテクタ定数である。
【0010】
デモジュレータ6は、第1増幅器P1と第2増幅器P2の出力を合わせてインテグレータ7に出力し、インテグレータ7の出力電圧Voutはコントローラ(controller)8に入力される。
【0011】
インテグレータ7には、半周期t1の間TAに該当する輻射電力が、そして、残りの半周期t2の間Trefに該当するリファレンス電力が負数になって入力される。インテグレータ7を経ると、インテグレータ7の出力電圧Voutは「kBGRX Cd At0(TA-Tref)」となる。ここで、TA=Trefである場合、出力電圧Voutは「0」になる。このような従来のディッケラジオメーターは、トータルパワーラジオメーター(total power radiometer)と異なり、出力電圧が(TA-Tref)に比例するので、レシーバ4のTRXには影響がなく、レシーバ4の利得GRXの変化にも鈍感であり、Trefを制御して測定しようとするTAも求めることができる。
【0012】
しかし、従来のディッケラジオメーターは、測定しようとする探知体の温度、すなわち、アンテナ1を介して入ってくる輻射電力に該当する「TA」の測定のために「Tref」を制御するが、このような制御が実際には具現上複雑であったり難しいという短所がある。具体的に、従来のディッケラジオメーターは、リファレンスロッド3の抵抗又は等価温度Trefを可変してTAと一致する瞬間を探すが、これはインテグレータ7の出力電圧Voutが「0」になる瞬間である。しかし、可変されたTrefを正確に探すのが困難であり、可変が可能なTrefを作るのも容易ではない。したがって、もう少し容易かつ正確に探知体の温度を測定することができるラジオメーターが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、測定しようとする探知体の温度を容易かつ正確に測定することができるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーター及びその探知体温度測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターは、アンテナから探知体の温度に該当する輻射電力が受信されるアンテナ線路と、予め固定された第1リファレンス温度を有する第1リファレンスロッドと、予め固定された第2リファレンス温度を有する第2リファレンスロッドと、前記アンテナ線路、前記第1リファレンスロッド、及び前記第2リファレンスロッドを選択的にスイッチングする第1マイクロウェーブスイッチと、前記第1マイクロウェーブスイッチと同一のクロックでスイッチングされる第2マイクロウェーブスイッチと、前記第2マイクロウェーブスイッチから出力される信号に所定の利得値を乗じて出力するデモジュレータと、前記デモジュレータから出力される信号を積分するインテグレータと、前記インテグレータから出力される信号に基づいて前記探知体の温度を測定するコントローラと、を含む。
【0015】
また、本発明の他の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターの探知体温度測定方法は、前記実施形態によるラジオメーターにおいて、前記第1マイクロウェーブスイッチが前記クロックに従って前記アンテナ線路と前記第1リファレンスロッドとの間を交互にスイッチングされる、第1スイッチング段階と、前記第1マイクロウェーブスイッチが前記クロックに従って前記アンテナ線路と前記第2リファレンスロッドとの間を交互にスイッチングされる、第2スイッチング段階と、前記第1スイッチング段階によって前記インテグレータから出力される第1出力電圧と前記第2スイッチング段階によって前記インテグレータから出力される第2出力電圧に基づいて前記探知体の温度を測定する、測定段階と、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターによれば、容易かつ正確に探知体の温度を測定することができる利点がある。
【0017】
特に、従来のディッケラジオメーターと比較して、リファレンスロッドのリファレンス温度を可変制御する必要がなく、特定値に固定された2つのリファレンス温度を用いて容易かつ簡単な演算で探知体の温度を測定することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1は、従来のディッケラジオメーター(Dicke radiometer)とこの受信動作の原理を説明するための図面である。
【0019】
図2は、本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターである。
【0020】
図3は、
図2に示された本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターの探知体温度T
Aを測定する方法の順序図である。
【0021】
図4は、
図2に示された本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターが探知体の温度T
Aを測定する方法を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付された図面を参照して本明細書に開示された実施例を詳細に説明するものの、図面符号に関係なく同一であったり類似した構成要素は同一の参照番号を付して、これに対する重複する説明は省略することにする。本明細書に開示された実施例を説明するにあたって、関連した公示技術に対する具体的な説明が本明細書に開示された実施例の要旨を曇らせかねないと判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付された図面は、本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されなければならない。
【0023】
図2は、本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターである。
【0024】
図2を参照すると、本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターは、
図1に示された従来のディッケラジオメーターと比較して、2つのリファレンスロッド130a,130bを有し、第1マイクロウェーブスイッチ120aがスイッチングに従ってアンテナ110、第1リファレンスロッド130a、第2リファレンスロッド130bのいずれか一つを選択的にレシーバ140と電気的に連結させる。
【0025】
もう少し具体的に、本発明の実施形態によるラジオメーターは、アンテナ110、マイクロウェーブスイッチ120a,120b、第1及び第2リファレンスロッド(reference load)130a,130b、レシーバ(receiver)140、ディテクタ(detector)150、デモジュレータ(demodulator)160、インテグレータ170、及びコントローラ(controller)180を含む。
【0026】
マイクロウェーブスイッチ120a,120bは、第1マイクロウェーブスイッチ120aと第2マイクロウェーブスイッチ120bを含む。第1マイクロウェーブスイッチ120aと第2マイクロウェーブスイッチ120bは、同一のクロック(clock)でスイッチングされる。
【0027】
第1マイクロウェーブスイッチ120aは、アンテナ線路と電気的に連結され、第1及び第2リファレンスロッド130a,130bそれぞれと電気的に連結される。また、レシーバ140とも電気的に連結される。ここで、アンテナ線路は、アンテナ110と電気的に連結された線路(path)を意味する。前記線路には、アンテナ110以外の他の構成が位置してよい。
【0028】
第1マイクロウェーブスイッチ120aは、アンテナ線路と電気的に連結された第1端子(terminal)、第1リファレンスロッド130aと電気的に連結された第2端子、第2リファレンスロッド130bと電気的に連結された第3端子、及びレシーバ140と電気的に連結された第4端子を含んでよい。
【0029】
第1マイクロウェーブスイッチ120aは、スイッチングに従ってアンテナ110、第1リファレンスロッド130a、及び第2リファレンスロッド130bのいずれか一つとレシーバ140を電気的に連結させる。第1マイクロウェーブスイッチ120aがアンテナ線路とレシーバ140を電気的に連結させれば、アンテナ110から探知体の温度TAに該当する輻射電力がアンテナ線路を介してレシーバ140に入力される。一方、第1マイクロウェーブスイッチ120aが第1リファレンスロッド130aとレシーバ140を電気的に連結させれば、第1リファレンス温度Tref1に該当する第1リファレンス電力がレシーバ140に入力され、第1マイクロウェーブスイッチ120aが第2リファレンスロッド130bとレシーバ140を電気的に連結させれば、第2リファレンス温度Tref2に該当する第2リファレンス電力がレシーバ140に入力される。
【0030】
レシーバ140は、帯域幅Bと全体電力利得(total power gain)GRXを有するスーパーヘテロダインレシーバであってよい。
【0031】
レシーバ140は、第1マイクロウェーブスイッチ120aから入力される信号を処理する。例えば、レシーバ140は、第1マイクロウェーブスイッチ120aのスイッチングによって入力される電力信号、アンテナ110からの温度TAに該当する輻射電力、第1リファレンスロッド130aからの第1リファレンス温度Tref1に該当する第1リファレンス電力、及び第2リファレンスロッド130bからの第2リファレンス温度Tref2に該当する第2リファレンス電力のいずれか一つの電力信号を事前検出(predetection)することができる。
【0032】
ディテクタ150は、レシーバ140から入力される信号の振幅の二乗に比例する信号を出力する二乗検波器(Square-law Detector)であってよく、半導体ダイオードで構成されてよい。
【0033】
第2マイクロウェーブスイッチ120bは、ディテクタ150とデモジュレータ160との間に連結される。第2マイクロウェーブスイッチ120bは、スイッチングに従ってディテクタ150を第1増幅器P1又は第2増幅器P2に電気的に連結させる。第2マイクロウェーブスイッチ120bは、第1増幅器P1と連結される第1出力端子と、第2増幅器P2と連結される第2出力端子とを有する。
【0034】
デモジュレータ160は、第1増幅器P1、第2増幅器P2、及び合算器Sを含む。第1増幅器P1と第2増幅器P2は同じ利得を有するものの、互いに反対の極性(+A,-A)を有し、それぞれ第2マイクロウェーブスイッチ120bと電気的に連結される。第1増幅器P1と第2増幅器P2の出力は、合算器Sによって加えられて出力される。
【0035】
インテグレータ(integrator)170は、デモジュレータ160から入力される信号を所定時間の間に累積させて、所定の出力電圧をコントローラ180に伝達する。
【0036】
コントローラ180は、インテグレータ170からの出力電圧に基づいて探知体の温度TAを測定することができる。探知体の温度TAを測定する具体的な方法は、以下で詳細に説明する。
【0037】
以下では、
図2に示された本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターが探知体の温度T
Aを測定する方法を、
図3を参照して説明する。
【0038】
図3は、
図2に示された本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターの探知体温度T
Aを測定する方法の順序図である。
【0039】
本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターの探知体の温度TA測定方法は、特定値で固定された第1リファレンス温度Tref1と第2リファレンス温度Tref2を用いる。
【0040】
図3を参照すると、本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターの探知体の温度T
A測定方法は、アンテナ線路と第1リファレンスロッド130aとの間の第1出力電圧V
out1を測定する段階310と、アンテナ線路と第2リファレンスロッド130bとの間の第2出力電圧V
out2を測定する段階320と、測定された第1及び第2出力電圧に基づいて探知体の温度T
Aを測定する段階330と、を含む。
【0041】
アンテナ線路と第1リファレンスロッド130aとの間の第1出力電圧Vout1を測定する段階310を説明する。第1及び第2マイクロウェーブスイッチ120a,120bが同じクロックでスイッチングされ、第1マイクロウェーブスイッチ120aがアンテナ110と第1リファレンスロッド130aとを交互にスイッチングしつつ、第2マイクロウェーブスイッチ120bがデモジュレータ160の第1増幅器P1と第2増幅器P2とを交互にスイッチングすれば、インテグレータ170の第1出力電圧Vout1は、下の[数式3]で表現される。
【0042】
【0043】
ここで、kはボルツマン定数、Bはレシーバの帯域幅、GRXはレシーバの利得、Cdはディテクタ定数、Aは第1及び第2増幅器の利得、t0はクロック(clock)の半周期の時間である。
【0044】
次に、アンテナ線路と第2リファレンスロッド130bとの間の第2出力電圧Vout2を測定する段階320を説明する。第1及び第2マイクロウェーブスイッチ120a,120bが同じクロックでスイッチングクロック(switching clock)されて、第1マイクロウェーブスイッチ120aがアンテナ110と第2リファレンスロッド130bとを交互にスイッチングしつつ、第2マイクロウェーブスイッチ120bがデモジュレータ160の第1増幅器P1と第2増幅器P2とを交互にスイッチングすれば、インテグレータ170の第2出力電圧Vout2は、下の[数式4]で表現される。
【0045】
【0046】
最後に、測定された第1及び第2出力電圧Vout1,Vout2に基づいて探知体の温度TAを測定する段階330を説明する。上の[数式3]の第1出力電圧Vout1と上の[数式4]の第2出力電圧Vout2の比は、下の[数式5]の通りである。
【0047】
【0048】
上の[数式5]を測定しようとする探知体の温度TAで整理すると、下の[数式6]の通りである。
【0049】
【0050】
上の[数式6]によって探知体の温度TAを演算するにあたって、αは不要なので除去されてよい。すなわち、探知体の温度TAは、特定値に固定された2つのリファレンス温度Tref1,Tref2と測定された2つの第1及び第2出力電圧Vout1,Vout2で容易に正確に測定することができる。
【0051】
図4は、
図2に示された本発明の実施形態によるマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターが探知体温度T
Aを測定する方法をグラフで説明したものである。
【0052】
図4のグラフに示されたように、V
outに関する一次関数の傾きαを知ってこそT
Aを測定することができるが、一つのリファレンス温度の測定ではT
Aの測定が不可能である。したがって、
図2に示された本発明の実施形態によるラジオメーターを用いれば、二つのリファレンス温度T
ref1,T
ref2と二つのリファレンス温度T
ref1,T
ref2それぞれに対する出力電圧V
out1,V
out2の値から探知体の温度T
Aを正確に測定することができる。このような本発明の実施形態によるラジオメーターは、探知体の温度T
Aを測定するためにリファレンスロッドのリファレンス温度を制御して可変する必要がなく、ラジオメーター内部の構成の特性、すなわち、レシーバ140の帯域幅Bと利得G
RX、ディテクタ150のディテクタ定数C
d、第1及び第2増幅器P1,P2の利得と極性に関係なく探知体の温度T
Aを容易に正確に測定することができる。
【0053】
一方、上で説明したマイクロウェーブ受信機用ラジオメーターの探知体温度測定方法は、多様なコンピュータ手段を介して遂行され得るプログラム命令形態で具現されて、コンピュータ読み取り可能な媒体に記録されてよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組み合わせて含んでよい。前記媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特別に設計されて構成されたものであったり、コンピュータソフトウェア当業者に公示されて使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピーディスク、及び磁気テープのような磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDのような光気録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気光媒体(magneto-optical media)、及びロム(ROM)、ラム(RAM)、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を格納して遂行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令の例としては、コンパイラによって作られるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを使用してコンピュータによって実行され得る高級言語コードを含む。上記されたハードウェア装置は、本発明の動作を遂行するために1以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成されてよく、その逆も同様である。
【0054】
以上で実施例に説明された特徴、構造、効果などは、本発明の一つの実施例に含まれ、必ずしも一つの実施例にのみ限定されるわけではない。さらに、各実施例で例示された特徴、構造、効果などは、実施例が属する分野の通常の知識を有する者によって他の実施例に対しても組み合わせ又は変形されて実施可能である。したがって、このような組み合わせと変形に関係した内容は、本発明の範囲に含まれると解釈されなければならないだろう。
【符号の説明】
【0055】
110 アンテナ
120a 第1マイクロウェーブスイッチ
120b 第2マイクロウェーブスイッチ
130a 第1リファレンスロッド
130b 第2リファレンスロッド
140 レシーバ
150 ディテクタ
160 デモジュレータ
170 インテグレータ
180 コントローラ
【国際調査報告】