(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】ヒドロシリル化反応硬化シリコーン感圧接着剤、組成物、及びその調製方法、並びにフレキシブル表示装置における使用方法
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20240412BHJP
C09J 183/05 20060101ALI20240412BHJP
C09J 183/07 20060101ALI20240412BHJP
C09J 183/06 20060101ALI20240412BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20240412BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20240412BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240412BHJP
C08K 5/55 20060101ALI20240412BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240412BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240412BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
C08L83/06
C09J183/05
C09J183/07
C09J183/06
C08L83/07
C08L83/05
C08L83/04
C08K5/55
B32B27/00 M
B32B27/00 101
G02B5/30
G02B5/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564608
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 CN2021090314
(87)【国際公開番号】W WO2022226797
(87)【国際公開日】2022-11-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ、チン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】マー、チャオ
【テーマコード(参考)】
2H148
2H149
4F100
4J002
4J040
【Fターム(参考)】
2H148CA19
2H148CA25
2H149AA01
2H149AB01
2H149AB13
2H149AB24
2H149BA02
2H149EA22
2H149FA67
2H149FB01
2H149FD25
2H149FD31
4F100AK52
4F100AK52B
4F100AR00C
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA03
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4F100CB05
4F100CB05B
4F100EJ08
4F100EJ08B
4F100GB48
4F100JB12
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4F100JL14
4F100JL14C
4F100YY00B
4J002CP03Y
4J002CP04Z
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4J002CP13X
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4J002EY016
4J002FD206
4J002FD207
4J002GJ01
4J002HA05
4J040EK041
4J040EK061
4J040EK081
4J040JA02
4J040JB09
4J040MA02
4J040MA10
4J040MB05
4J040MB09
4J040NA17
(57)【要約】
ヒドロシリル化反応硬化性組成物を硬化させることによって調製されるシリコーン感圧接着剤を開示する。シリコーン感圧接着剤は、フレキシブル表示装置の部品の調製に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン感圧接着剤を形成するためのヒドロシリル化反応硬化性組成物であって、前記組成物が、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、35.15重量%~43.63重量%の(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分であって、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、28.03重量%~43.50重量%の(A-1)単位式(R
M
2R
USiO
1/2)
2(R
M
2SiO
2/2)
aの脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムであって、式中、各R
Mが、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基であり、各R
Uが、炭素原子2~30個の独立して選択される一価脂肪族不飽和炭化水素基であり、下付き文字aが、前記ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(2.03mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有し、可塑性が、ASTM D926に基づいて重量4.2gの球状試料に1kgの荷重を25℃で3分間加えることによって測定され、結果が1/1000インチ(ミル)で測定され、手順がASTM D926に基づく、(A-1)脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムと、
0~0.26重量%の(A-2)単位式((HO)R
M
2SiO
1/2)
2(R
M
2SiO
2/2)
a’のヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムであって、式中、各R
Mが、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基であり、各下付き文字a’は、前記ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(2.03mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有する、(A-2)ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムと、
0~7重量%の(A-3)単位式(R
M
3SiO
1/2)
2(R
M
2SiO
2/2)
a”の非官能性ポリジオルガノシロキサンガムであって、式中、各R
Mが、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字a”が、前記非官能性ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(2.03mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有する、(A-3)非官能性ポリジオルガノシロキサンガムと、を含む、(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分と、
52.69重量%~63.26重量%の(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分であって、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、52.39重量%~63.11重量%の(B-1)単位式:(R
M
3SiO
1/2)
z(SiO
4/2)
oZ
pのキャップされた樹脂であって、式中、Zが、加水分解性基であり、下付き文字pが、0から、前記キャップされた樹脂に最大2%の加水分解性基含有量を与えるのに十分である値までであり、下付き文字z及びoが、z>4、o>1であるような値を有し、数量(z+o)が、前記キャップされた樹脂に500g/mol~5,000g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する、(B-1)キャップされた樹脂と、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0~0.37重量%の(B-2)単位式(R
M
3SiO
1/2)
z’(SiO
4/2)
o’Z
p’のキャップされていない樹脂であって、式中、下付き文字p’が、前記キャップされていない樹脂に>3%~10%の加水分解性基含有量を与えるのに十分な値を有し、下付き文字z’及びo’が、z’>4、o’>1であるような値を有し、数量(z’+o’)が、前記キャップされていない樹脂に500g/mol~5,000g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する、(B-2)キャップされていない樹脂と、を含み、(B-1)前記キャップされた樹脂及び(B-2)前記キャップされていない樹脂が、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて42.4重量%~52.4重量%の合計量で存在する、(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分と、
ここで、(A)前記ポリジオルガノシロキサンガム成分及び(B)前記ポリオルガノシリケート樹脂成分が、(B):(A)の重量比(樹脂:ガム比)≦1.8:1で存在し、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0.01重量%~5重量%の(C)ヒドロシリル化反応触媒と、
(D)単位式:(R
M
2SiO
2/2)
e(HR
MSiO
2/2)
f(R
M
2HSiO
1/2)
g(R
M
3SiO
1/2)
hのポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、式中、下付き文字e≧0であり、下付き文字f≧0であり、数量(e+f)が4~500であり、下付き文字gが0、1、又は2であり、下付き文字hが0、1、又は2であり、数量(g+h)=2であり、及び数量(f+g)≧3であり、(D)前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンが、ケイ素結合水素原子の(A)前記ポリジオルガノシロキサンガム成分の脂肪族不飽和炭化水素基に対するモル比{(D):(A)比}が31.37:1~59.04:1となるのに十分な量で存在する、(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0.05重量%~1.00重量%の(E)ホウ酸トリアルキルと、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0重量%~5重量%の(F)ヒドロシリル化反応抑制剤と、
前記組成物中の全出発物質の合計重量に基づいて、>0重量%~90重量%の(G)溶剤と、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0~5重量%の(H)定着添加剤と、を含む、組成物。
【請求項2】
(A)前記ポリジオルガノシロキサンガム成分において、各R
Mが、炭素原子1~6個の独立して選択されるアルキル基であり、各R
Uが、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から独立して選択され、下付き文字aが、(A-1)前記脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムに30ミル(0.76mm)~70ミル(1.778mm)の可塑性値を与えるのに十分であり、下付き文字a’が、(A-2)前記ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムに30ミル(0.76mm)~70ミル(1.778mm)の可塑性を与えるのに十分であり、下付き文字a”が、(A-3)前記非官能性ポリジオルガノシロキサンガムに30ミル(0.76mm)~70ミル(1.778mm)の可塑性を与えるのに十分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(B)前記ポリオルガノシリケート樹脂成分において、各R
Mが、炭素原子1~6個の独立して選択されるアルキル基であり、各Zが、OHであり、前記数量(z+o)が、2,900g/mol~4,100g/molの数平均分子量を有する(B-1)前記キャップされた樹脂を与えるのに十分な値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
(C)前記ヒドロシリル化反応触媒が、Karstedt触媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
(D)前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおいて、各R
Mが、炭素原子1~6個の独立して選択されるアルキル基であり、下付き文字g=0であり、及び下付き文字h=2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
(E)前記ホウ酸トリアルキルが、ホウ酸トリエチルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、基部及び硬化剤部を含む多部型組成物であり、前記基部が、出発物質(A)及び(C)を含み、前記硬化剤部が、出発物質(A)及び(D)を含み、前記組成物が、前記基部、前記硬化剤部、又は別個の追加部のうちの1つ以上に出発物質(B)、(E)、及び(F)を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
湿式鋳造方法であって、
1)請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物を基材に適用することと、
2)前記組成物を硬化させて、前記基材上にシリコーン感圧接着剤を形成することと、を含む、湿式鋳造方法。
【請求項9】
乾式鋳造方法であって、
1)請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物を剥離ライナーに適用することと、
2)前記組成物を硬化させて、前記剥離ライナー上にシリコーン感圧接着剤を形成することと、
3)前記シリコーン感圧接着剤を基材に適用することと、を含む、乾式鋳造方法。
【請求項10】
前記剥離ライナーを除去することと、前記シリコーン感圧接着剤をフレキシブル表示装置の部品と接触させることとを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基材が、第2の剥離ライナーである、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の剥離ライナーを除去することと、前記シリコーン感圧接着剤を前記フレキシブル表示装置の第2の部品と接触させることとを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項10又は12に記載の方法によって調製された、物品。
【請求項14】
前記フレキシブル表示装置基材の前記部品が、偏光層又は減衰層を備える、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
折り畳み可能な表示装置の部品であって、
I)光学基材層と、
II)前記光学基材層に接着されたシリコーン感圧接着剤層であって、前記シリコーン感圧接着剤層が、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物の生成物である、シリコーン感圧接着剤層と、を備える、部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
なし
【0002】
本発明は、シリコーン感圧接着剤並びにその調製及び使用方法に関する。特に、本発明は、硬化して、フレキシブル表示装置での使用に好適なシリコーン感圧接着剤を形成する、ヒドロシリル化硬化性組成物に関する。
【0003】
序論
例えば、曲げる、折る、巻く、巻き取る、又は伸ばすことによって、変形することができるフレキシブル表示装置が開発されている。フレキシブル表示装置は、消費者のニーズ又はフレキシブル表示装置の使用状況に応じて変形することができる。典型的には、表示装置の様々な部品は、複数の層で作製されており、フレキシブル表示装置が変形するとき、層が互いに接着しており、かつ部品の故障を引き起こす損傷を受けないことが重要である。シリコーン感圧接着剤は、異なる層を互いに結合し、例えば、曲げ、折り、巻き取り、巻き上げ、又は伸張による繰り返し変形中に表示装置の様々な層にかかる応力を解放するために重要な役割を果たす。フレキシブル表示装置において良好な耐久性能を有するために、シリコーン感圧接着剤は、低い貯蔵弾性率(G’)及び低いガラス転移温度(Tg)を有するべきである。しかしながら、低Tg及び低G’を有する硬化シリコーン感圧接着剤の剥離力、特に湿式鋳造側の低Tg及び低G’を有する硬化シリコーン感圧接着剤の剥離力は非常に高く、これは、フレキシブル表示装置を作製するプロセスに障害をもたらし得る。
【0004】
以下の特性:耐高温性、良好な耐久性、特に湿式鋳造側での低い剥離力、及びフレキシブル表示装置に故障を引き起こさない良好な光学性能のうちの1つ以上を有するシリコーン感圧接着剤が、業界で必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、硬化して、シリコーン感圧接着剤を形成することができる。組成物の製造方法、及び組成物を使用した物品の製作方法を提供する。物品は、フレキシブル表示装置の部品を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【0007】
参照番号
100 積層物品の部分
101 第2の剥離ライナー
101b 第2の剥離ライナー101の表面
102 シリコーン感圧接着剤
102a シリコーン感圧接着剤102の表面
102b シリコーン感圧接着剤102の反対側の表面
103 第1の剥離ライナー
103a 第1の剥離ライナー103の表面
【発明を実施するための形態】
【0008】
シリコーン感圧接着剤を形成するためのヒドロシリル化反応硬化性組成物は、
組成物中の出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、35.15重量%~43.63重量%の(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分であって、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、28.03重量%~43.5重量%の(A-1)単位式(RM
2RUSiO1/2)2(RM
2SiO2/2)aの脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムであって、式中、各RMが、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基であり、各RUは、2~30個の炭素原子の独立して選択される一価脂肪族不飽和炭化水素基であり、下付き文字aは、脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(2.03mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有する、(A-1)脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムと、
0~<0.3重量%の(A-2)単位式((HO)RM
2SiO1/2)2(RM
2SiO2/2)a’のヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムであって、式中、各RMが、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基であり、各下付き文字a’は、ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(2.03mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有する、(A-2)ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムと、
0~7重量%の(A-3)単位式(RM
3SiO1/2)2(RM
2SiO2/2)a”の非官能性ポリジオルガノシロキサンガムであって、式中、各RMが、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字a”が、非官能性ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(2.03mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有する、(A-3)非官能性ポリジオルガノシロキサンガムと、を含む、(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分と、
組成物中の出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、52.69重量%~63.26重量%の(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分であって、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、52.39重量%~63.11重量%の(B-1)単位式:(RM
3SiO1/2)z(SiO4/2)oZpのキャップされた樹脂であって、式中、Zが、加水分解性基であり、下付き文字pが、0から、キャップされた樹脂に最大2%の加水分解性基含有量を与えるのに十分である値までであり、下付き文字z及びoが、z>4、o>1であるような値を有し、数量(z+o)が、キャップされた樹脂に500g/mol~5,000g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する、(B-1)キャップされた樹脂と、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0~0.37重量%の(B-2)単位式(RM
3SiO1/2)z’(SiO4/2)o’Zp’のキャップされていない樹脂であって、式中、下付き文字p’が、キャップされていない樹脂に>3%~10%の加水分解性基含有量を与えるのに十分な値を有し、下付き文字z’及びo’が、z’>4、o’>1であるような値を有し、数量(z’+o’)が、キャップされていない樹脂に500g/mol~5,000g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する、(B-2)キャップされていない樹脂と、を含み、(B-1)キャップされた樹脂及び(B-2)キャップされていない樹脂が、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて52.6重量%~64.0重量%の合計量で存在する、(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分と、
ここで、(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分及び(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分が、(B):(A)の重量比(樹脂:ガム比)≦1.8で存在し、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0.01重量%~5重量%の(C)ヒドロシリル化反応触媒と、
(D)単位式:(RM
2SiO2/2)e(HRMSiO2/2)f(RM
2HSiO1/2)g(RM
3SiO1/2)hのポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、式中、下付き文字e≧0であり、下付き文字f>0であり、数量(e+f)が4~500であり、下付き文字gが0、1、又は2であり、下付き文字hが0、1、又は2であり、数量(g+h)=2であり、及び数量(f+g)≧3であり、(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、(A)ポリジオルガノシロキサンガムの脂肪族不飽和炭化水素基に対するケイ素結合水素原子のモル比{(D):(A)比}が30:1~66:1となるのに十分な量で存在する、(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、>0重量%~<2.43重量%の(E)ホウ酸トリアルキルと、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0重量%~5重量%の(F)ヒドロシリル化反応抑制剤と、
組成物中の全出発物質の合計重量に基づいて、>0重量%~90重量%の(G)溶剤と、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0~5重量%の(H)定着添加剤と、を含む。
【0009】
(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分
ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分を含む。ポリジオルガノシロキサンガム成分は、(A-1)脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムを含む。ポリジオルガノシロキサンガム成分は、任意選択的に、(A-2)ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガム及び(A-3)非官能性ポリジオルガノシロキサンガムの一方又は両方を更に含んでもよい。
【0010】
出発物質(A-1)である脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムは、単位式:(RM
2RUSiO1/2)2(RM
2SiO2/2)aを有し、式中、各RMは、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基であり、各RUは、独立して選択される炭素原子2~30個の一価脂肪族不飽和炭化水素基であり、下付き文字aは、(A-1)脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(0.203mm)、あるいは30ミル(0.76mm)~70ミル(1.78mm)、あるいは55ミル(1.40mm)~65ミル(1.65mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有し、その可塑性は、ASTM D926に基づいて重量4.2gの球状試料に1kgの荷重を25℃で3分間加えることによって測定され、結果は1/1000インチ(ミル)で測定され、手順はASTM D926に基づく。
【0011】
単位式(A-1)において、各RMは、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基である。あるいは、各RMは1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子を有し得る。RMに好適な一価炭化水素基は、アルキル基並びにアリール基及びアラルキル基などの芳香族基によって例示される。「アルキル」は、環状、分岐状又は非分岐状の飽和一価炭化水素基を意味する。アルキルは、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル、並びに炭素原子6個以上の分岐状アルキル基と、シクロペンチル及びシクロヘキシルなどの環状アルキル基と、によって例示されるが、これらに限定されない。「アリール」とは、完全に不飽和の環状炭化水素基を意味する。アリールとしては、シクロペンタジエニル、フェニル、アントラセニル、及びナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。単環式アリール基は、炭素原子5~9個、あるいは炭素原子6~7個、あるいは炭素原子5~6個を有し得る。多環式アリール基は、炭素原子10~17個、あるいは炭素原子10~14個、あるいは炭素原子12~14個を有し得る。「アラルキル」とは、ペンダント及び/若しくは末端アリール基を有するアルキル基、又はペンダントアルキル基を有するアリール基を意味する。例示的なアラルキル基としては、トリル、キシリル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル及びフェニルブチルが挙げられる。あるいは、各RMは、アルキル及びアリールからなる群から独立して選択されてもよい。あるいは、各RMはメチル及びフェニルから独立して選択されてもよい。あるいは、各RMはアルキルであってもよい。あるいは、各RMはメチルであってもよい。
【0012】
単位式(A-1)において、各RUは、独立して選択される炭素原子2~30個の一価脂肪族不飽和炭化水素基である。あるいは、各RUは、2~12個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子を有し得る。好適な一価脂肪族不飽和炭化水素基としては、アルケニル基及びアルキニル基が挙げられる。「アルケニル」とは、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する分岐状又は非分岐状の一価炭化水素基を意味する。好適なアルケニル基は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、及びヘプテニル(炭素原子3~7個の分岐状及び直鎖状異性体を含む);並びにシクロヘキセニルによって例示される。「アルキニル」とは、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する分岐状又は非分岐状の一価炭化水素基を意味する。好適なアルキニル基は、エチニル、プロピニル、及びブチニル(炭素原子2~4個の分岐状異性体及び直鎖状異性体を含む)によって例示される。あるいは、各RUは、ビニル、アリル、又はヘキセニルなどのアルケニルであってもよい。
【0013】
ポリジオルガノシロキサンガムは、当該技術分野において既知であり、対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化などの方法により調製することができる。ヒドロシリル化反応硬化性組成物での使用に好適なポリジオルガノシロキサンガムの例は、
i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニル)シロキサン、
iii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニル)シロキサン、
iv)フェニル、メチル、ビニル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
v)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
vi)ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニル)シロキサン、
vii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニル)シロキサン、
viii)i)~vii)のうちの2つ以上の組み合わせ、によって例示される。あるいは、ポリジオルガノシロキサンガムは、i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
v)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、並びにi)及びv)の組み合わせ、からなる群から選択されてもよい。
【0014】
出発物質(A-1)である脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムは、ヒドロシリル化反応硬化性組成物中に、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、少なくとも28.0重量%、あるいは少なくとも30重量%、あるいは少なくとも35重量%、あるいは少なくとも35.5重量%の量で存在し、同時に、この量は、最大43.5重量%、あるいは最大43.1重量%、あるいは最大40重量%、あるいは最大35.9重量%であってもよい。あるいは、(A-1)脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムの量は、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、28重量%~43.5重量%、あるいは35.8重量%~43.5重量%、及びあるいは43.0重量%~43.5重量%であり得る。
【0015】
出発物質(A)ポリジオルガノシロキサン成分は、任意選択的に、(A-2)単位式:{(HO)RM
2SiO1/2}2(RM
2SiO2/2)a’のヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムを更に含んでもよく、式中、RMは、上記の通りであり、下付き文字a’は、(A-2)ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(2.03mm)、あるいは30ミル(0.76mm)~70ミル(1.78mm)、あるいは45ミル(1.14mm)~65ミル(1.65mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有し、可塑性は、ASTM D926に基づいて、25℃で3分間1kgの荷重を重量4.2gの球形試料に適用することによって測定され、結果は、1/1000インチ(ミル)で測定され、手順は、ASTM D926に基づく。
【0016】
出発物質(A-2)としての使用に好適なヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムは、当該技術分野において既知であり、対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化などの方法によって調製することができる。ヒドロシリル化反応硬化性組成物における出発物質(A-2)としての使用に好適なヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムの例は、
i)ビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ビス-ヒドロキシル末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
iii)ビス-ヒドロキシル末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
iv)フェニル、メチル、ヒドロキシル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
v)i)~iv)のうちの2つ以上の組み合わせ、によって例示される。あるいは、出発物質(A-2)は、ビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンを含む。
【0017】
出発物質(A-2)ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムは、任意選択的に、ヒドロシリル化反応硬化性組成物中に存在し、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0重量%~0.3重量%の量で存在してもよい。あるいは、存在する場合、(A-2)ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムは、少なくとも0.1重量%、あるいは少なくとも0.13重量%の量で存在してもよく、同時に、この量は、同じ基準で、最大0.26重量%、あるいは最大0.13重量%であってもよい。
【0018】
出発物質(A)ポリジオルガノシロキサン成分は、任意選択的に、(A-3)単位式:(RM
3SiO1/2)2(RM
2SiO2/2)a”の非官能性ポリジオルガノシロキサンガムを更に含んでもよく、式中、RMは、上記の通りであり、下付き文字a’は、(A-3)非官能性ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(2.03mm)、あるいは30ミル(0.76mm)~80ミル(2.03mm)、あるいは45ミル(1.14mm)~75ミル(1.91mm)、及びあるいは60ミル(1.52mm)~70ミル(1.78mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有し、可塑性は、ASTM D926に基づいて、25℃で3分間1kgの荷重を重量4.2gの球形試料に適用することによって測定され、結果は、1/1000インチ(ミル)で測定され、手順は、ASTM D926に基づく。
【0019】
出発物質(A-3)としての使用に好適な非官能性ポリジオルガノシロキサンガムは、当該技術分野において既知であり、対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化などの方法によって調製することができる。ヒドロシリル化反応硬化性組成物における出発物質(A-3)としての使用に好適な非官能性ポリジオルガノシロキサンガムの例は、
i)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
iii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
iv)フェニル、ジメチル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
v)i)~iv)のうちの2つ以上の組み合わせ、によって例示される。あるいは、出発物質(A-3)は、ビス-トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンを含む。
【0020】
出発物質(A-3)非官能性ポリジオルガノシロキサンガムは、任意選択的に、ヒドロシリル化反応硬化性組成物中に存在し、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0重量%~7重量%の量で存在してもよい。あるいは、存在する場合、(A-3)非官能性ポリジオルガノシロキサンガムは、少なくとも1重量%、あるいは少なくとも2重量%の量で存在してもよく、同時に、この量は、同じ基準で、最大7重量%、あるいは最大5重量%であってもよい。あるいは、(A-3)官能性ポリジオルガノシロキサンガムは省略されてもよい。
【0021】
(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分
ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、出発物質(B)であるポリオルガノシリケート樹脂成分を更に含み、ポリオルガノシリケート樹脂成分は、(B-1)キャップされた樹脂及び(B-2)キャップされていない樹脂を含む。式RM
3SiO1/2[式中、RMは上記のとおりである]の一官能性単位(「M」単位)、及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)を含む、ポリオルガノシリケート樹脂。あるいは、RM基の少なくとも1/3、あるいは少なくとも2/3はアルキル基(例えば、メチル基)である。あるいは、M単位は(Me3SiO1/2)及び(Me2PhSiO1/2)により例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタンなどの液体炭化水素によって例示される下記のものなどの溶剤に、又は低粘度の直鎖状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体有機ケイ素化合物に可溶性である。
【0022】
調製された場合、ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のM単位及びQ単位を含み、ポリオルガノシロキサンはケイ素結合ヒドロキシル基を有する単位を更に含み、式Si(OSiRM
3)4[式中、RMは上記のとおりである]のネオペンタマーを含んでもよく、例えば、ネオペンタマーはテトラキス(トリメチルシロキシ)シランであってもよい。29SiNMRスペクトル法を用いて、M単位及びQ単位のヒドロキシル含有量及びモル比を測定することができ、この比は、M単位及びQ単位をネオペンタマーから外した{M(樹脂)}/{Q(樹脂)}として表される。M:Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂における樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(M単位)の総数の、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数に対するモル比を表す。M:Q比は、0.5:1~1.5:1であってもよい。
【0023】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRMによって表される炭化水素基の種類などの様々な要因によって異なる。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定値から除外されるとき、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、500g/mol~5,000g/mol、あるいは2,500g/mol~5,000g/mol、あるいは2,700g/mol~4,900g/mol、あるいは2,700g/mol~4,700g/molである。Mnを測定するための好適なGPC試験方法は、米国特許第9,593,209号第31欄の参考例1にて開示されている。
【0024】
米国特許第8,580,073号(第3欄5行目~第4欄31行目)、及び米国特許出願公開第2016/0376482号(段落[0023]~[0026])は、MQ樹脂を開示するために参照により本明細書に組み込まれ、このMQ樹脂は、本明細書に記載のヒドロシリル化反応硬化性組成物での使用に好適なポリオルガノシリケート樹脂である。ポリオルガノシリケート樹脂は、対応するシランの共加水分解又はシリカヒドロゾルキャッピング法などの任意の好適な方法によって調製することができる。ポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの米国特許第2,676,182号、Rivers-Farrellらの米国特許第4,611,042号、及びButlerらの米国特許第4,774,310号に開示されるものなどのシリカヒドロゾルキャッピングプロセスによって調製され得る。上記のDaudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルを、トリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン、又はこれらの混合物と反応させることと、M単位及びQ単位を有するコポリマーを回収することと、を伴う。得られたコポリマーは概ね、2~5重量パーセントのヒドロキシル基を含有する。
【0025】
ポリオルガノシリケート樹脂を調製するために使用される中間体は、トリオルガノシラン及び4つの加水分解性置換基を含むシラン又はアルカリ金属シリケートであることができる。トリオルガノシランは、式RM
3SiX1[式中、RMは上記のとおりであり、X1は、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシル、オキシモ、又はケトキシモなどの加水分解性置換基、あるいはハロゲン、アルコキシ、又はヒドロキシルなどの加水分解性置換基を表す]を有し得る。4つの加水分解性置換基を有するシランは、式SiX2
4[式中、各X2は、ハロゲン、アルコキシ、又はヒドロキシルである]を有し得る。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0026】
上記のように調製されたポリオルガノシリケート樹脂はキャップされていない樹脂であり、この樹脂は典型的には、ケイ素結合ヒドロキシル基、例えば、式HOSi3/2及び/又はHORM
2SiO1/2のものを含有する。ポリオルガノシリケート樹脂は、NMR分光法による測定で>3%~10%であるケイ素結合ヒドロキシル基を含んでもよい。特定の用途では、ケイ素結合ヒドロキシル基の量は、≦2%、あるいは<0.7%、あるいは0.3%未満、あるいは1%未満、あるいは0.3%~2%であることが望ましい場合がある。ポリオルガノシリケート樹脂の調製中に形成されるケイ素結合ヒドロキシル基は、キャッピングと呼ばれるプロセスにおいて、シリコーン樹脂と、適切な末端基を含有するシラン、ジシロキサン又はジシラザンとを反応させることによって、トリ炭化水素シロキサン基又は異なる加水分解性基に変換することができる。加水分解性基を含有するシランは、ポリオルガノシリケート樹脂におけるケイ素結合ヒドロキシル基と反応するのに必要な量よりもモル過剰で添加されてもよい。
【0027】
ポリオルガノシリケート樹脂がキャップされた樹脂である場合、キャップされた樹脂は、式HOSiO3/2及び/又はHORM
2SiO1/2[式中、RMは上記のとおりである]で表される単位を2%以下、あるいは0.7%以下、あるいは0.3%以下、あるいは0.3%~0.8%含んでもよい。ポリオルガノシロキサン中に存在するシラノール基の濃度は、上記のようにNMR分光法を使用して決定することができる。
【0028】
したがって、ポリオルガノシリケート樹脂成分は、(B-1)上記のようなキャップされた樹脂、及び(B-2)上記のようなキャップされていない樹脂、を含む。キャップされた樹脂は、単位式:(RM
3SiO1/2)z(SiO4/2)oZpを有していてもよく、式中、RMは、上記のとおりであり、下付き文字z及びoは、o>1、下付き文字z>4であるような値を有し、数量(o+z)は、キャップされた樹脂に上記のMn(例えば、500g/mol~5,000g/mol、あるいは1,000g/mol~4,700g/mol、あるいは2,900g/mol~4,700g/mol、あるいは2,900g/mol~4,100g/mol)を与えるのに十分な値を有し、下付き文字pは、キャップされた樹脂に上記のような加水分解性基含有量(例えば、0~2%、あるいは0~0.7%、あるいは0~0.3%)を与えるのに十分な値を有する。出発物質(B-1)キャップされた樹脂は、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、52.3重量%~63.11重量%の量で存在してもよい。あるいは、(B-1)キャップされた樹脂は、同じ基準で、52.3重量%~62.7重量%、あるいは52.3重量%~52.9重量%、あるいは62.2重量%~63.2重量%の量で存在してもよい。あるいは、(B-1)キャップされた樹脂の量は、少なくとも52.3%、あるいは少なくとも53%、あるいは少なくとも54%であり得、他方で、同時に、量は、同じ基準で、最大62.7%、あるいは最大62%、あるいは最大60%、あるいは最大55%、あるいは最大54%であってもよい。
【0029】
出発物質(B-2)であるキャップされていない樹脂は、単位式(RM
3SiO1/2)z’(SiO4/2)o’Zp’を有していてもよく、式中、RMは、上記のとおりであり、下付き文字z’及びo’は、o’>1、下付き文字z’>4であるような値を有し、数量(o’+z’)は、キャップされていない樹脂に上記のMn(例えば、500g/mol~5,000g/mol、あるいは1,000g/mol~4,700g/mol、あるいは2,700g/mol~4,700g/mol、あるいは2,900g/mol~3,800g/mol)を与えるのに十分な値を有し、下付き文字p’は、キャップされていない樹脂に上記のような加水分解性基含有量(例えば、>3%~10%)を与えるのに十分な値を有する。出発物質(B-2)キャップされていない樹脂は任意であり、その量は0であってもよい。あるいは、使用する場合、(B-2)キャップされていない樹脂は、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、>0重量%~0.3重量%、あるいは0.1重量%~0.3重量%、及びあるいは0.1重量%~0.2重量%の量で存在し得る。
【0030】
ヒドロシリル化硬化性組成物は、(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分を、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、52.6重量%~63.3重量%、あるいは52.6重量%~62.7重量%、あるいは53.0重量%~62.4重量%、及びあるいは52.6重量%~53.1重量%の量で含む(例えば、溶剤を除く、ヒドロシリル化反応硬化性組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づく、(B-1)キャップされた樹脂及び(B-2)キャップされていない樹脂の合計重量)。(B-2)キャップされていない樹脂が存在する場合、出発物質(B)中のキャップされた樹脂及びキャップされていない樹脂の量は、キャップされていない樹脂:キャップされた樹脂の重量比{すなわち、(B-2):(B-1)比}が<0.12:1;あるいは<0.006:1、あるいは0.001:1~0.12:1となるのに十分であってもよい。
【0031】
出発物質(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分及び出発物質(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物中に、(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分:(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分の重量比{すなわち、(B):(A)比}が≦1.8:1となるのに十分な量で存在してもよい。あるいは、(B):(A)比は、少なくとも1.2:1、あるいは少なくとも0.1.5:1であってもよく、一方で同時に(B):(A)比は、最大1.8:1、あるいは最大1.75:1であってもよい。あるいは、(B):(A)比は、1.2:1~1.8:1、あるいは1.2:1~1.25:1であってもよい。
【0032】
(C)ヒドロシリル化反応触媒
ヒドロシリル化反応硬化性組成物中の出発物質(C)は、ヒドロシリル化反応触媒である。ヒドロシリル化反応触媒は、当該技術分野において既知であり、市販されている。ヒドロシリル化反応触媒としては、白金族金属触媒が挙げられる。このようなヒドロシリル化反応触媒は、(C-1)白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択される金属であり得る;あるいは白金、ルテニウム、及びイリジウムであり得る;あるいは、金属は白金であり得る。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、(C-2)そのような金属の化合物、例えば、クロリドトリス(トリフェニルホスファン)ロジウム(I)(Wilkinsonの触媒)、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロジロジウム若しくは[1,2-ビス(ジエチルホスピノ(diethylphospino))エタン]ジクロロジロジウムなどのロジウムジホスフィンキレート、塩化白金酸(Speierの触媒)、塩化白金酸六水和物、又は二塩化白金であってもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、(C-3)白金族金属化合物とアルケニル官能性オルガノポリシロキサンオリゴマーとの錯体、又は(C-4)マトリックス若しくはコアシェル型構造中にマイクロカプセル化された白金族金属化合物であってもよい。白金アルケニル官能性オルガノポリシロキサンオリゴマーの錯体としては、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体(Karstedt触媒)が挙げられる。あるいは、ヒドロシリル化触媒は、(C-5)樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化された錯体を含んでもよい。例示的なヒドロシリル化反応触媒は、Speierの米国特許第2,823,218号、Ashbyの同第3,159,601号、Lamoreauxの同第3,220,972号、Chalkらの同第3,296,291号、Willingの同第3,419,593号、Modicの同第3,516,946号、Karstedtの同第3,715,334号、Karstedtの同第3,814,730号、Chandraの同第3,928,629号、Leeらの同第3,989,668号、Leeらの同第4,766,176号、Leeらの同第4,784,879号、Togashiの同第5,017,654号、Chungらの同第5,036,117号、及びBrownの同第5,175,325号、並びにTogashiらの欧州特許第0347895(A)号に記載されている。ヒドロシリル化反応触媒は、市販されており、例えば、SYL-OFF(商標)4000 Catalyst及びSYL-OFF(商標)2700は、Dow Silicones Corporationから入手可能である。
【0033】
本明細書で使用されるヒドロシリル化反応触媒の量は、出発物質(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン及び(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分の選択、並びにこれらそれぞれのケイ素結合水素原子(SiH)及び脂肪族不飽和基の含有量、並びに選択された触媒中の白金族金属の含有量などの様々な要因によって異なるが、ヒドロシリル化反応触媒の量は、SiHと脂肪族不飽和基とのヒドロシリル化反応に触媒作用を及ぼすのに十分であり、あるいは、触媒の量は、ケイ素結合水素原子及び脂肪族不飽和炭化水素基を含有する出発物質の合計重量に基づいて、1ppm~6,000ppmの白金族金属、あるいは、同じ基準の下で1ppm~1,000ppm、あるいは1ppm~100ppmの白金族金属を与えるのに十分である。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒が白金-オルガノシロキサン錯体を含む場合、ヒドロシリル化反応触媒の量は、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0.01%~5%であってもよい。
【0034】
(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン
ヒドロシリル化反応硬化性組成物中の出発物質(D)は、単位式:(RM
2SiO2/2)e(HRMSiO2/2)f,(RM
2HSiO1/2)g(RM
3SiO1/2)hのポリオルガノハイドロジェンシロキサンであり、式中、RMは上記のとおりであり、下付き文字e≧0であり、下付き文字f≧0であり、数量(e+f)は4~500であり、下付き文字gは0、1、又は2であり、下付き文字hは0、1、又は2であり、数量(g+h)=2であり、及び数量(f+g)≧3である。あるいは、数量(f+g)は、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンに0.5%~2%、あるいは0.6%~1.5%のケイ素結合水素含有量を与えるのに十分であってもよく、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンのケイ素結合水素(Si-H)含有量は、ASTM E168に従って定量的赤外分析を使用して決定することができる。
【0035】
好適なポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、
(D-1)ビス-ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサン、
(D-2)ビス-ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
(D-3)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサン、
(D-4)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、及び
(D-5)(D-1)、(D-2)、(D-3)、及び(D-4)のうちの2つ以上の組み合わせ、によって例示される。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの調製方法、例えば、オルガノヒドリドハロシランの加水分解及び縮合は、当該技術分野において既知であり、例えば、Jeramらの米国特許第3,957,713号及びHardmanらの米国特許第4,329,273号を参照されたい。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンはまた、例えば、Speierらの米国特許第2,823,218号に記載されるように調製することもでき、これは、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー及び直鎖状ポリマー、例えば、1,1,1,3,3-ペンタメチルジシロキサン、ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサンホモポリマー、ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサンコポリマー、及び環状ポリメチルハイドロジェンシロキサンを開示している。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンも市販されており、例えば、Gelest,Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から入手可能なものなど、例えば、HMS-H271、HMS-071、HMS-993、HMS-301、HMS-301 R、HMS-031、HMS-991、HMS-992、HMS-993、HMS-082、HMS-151、HMS-013、HMS-053、HAM-301、HPM-502、及びHMS-HM271が挙げられる。
【0036】
ヒドロシリル化反応硬化性組成物中のポリオルガノハイドロジェンシロキサンの量は、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて0.1%~5%である。あるいは、ヒドロシリル化反応硬化性組成物中のポリオルガノハイドロジェンシロキサンの量は、少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.25%、あるいは少なくとも0.3%であってもよく、同時に、この量は、同じ基準で、最大5%、あるいは最大2.5%、あるいは最大1.5%、あるいは最大1%であってもよい。
【0037】
ケイ素結合水素対脂肪族不飽和基の比は、ヒドロシリル化硬化プロセスに依存する場合に重要である。概ね、これは、組成物中の脂肪族不飽和基(例えば、ビニル[V])の総重量%と、組成物中のケイ素結合水素[H]の総重量%とを計算することによって決定され、ここで、水素の分子量を1、ビニルの分子量を27とすると、ビニルに対するケイ素結合水素のモル比は27[H]/[V]である。出発物質(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分及び(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、ヒドロシリル化反応硬化性組成物中に、ケイ素結合水素原子対脂肪族不飽和炭化水素基のモル比{(D):(A)比}が、少なくとも30:1、あるいは少なくとも31:1、あるいは少なくとも45:1となるのに十分な量で存在してもよく、同時に、この比は、最大66:1、あるいは最大60:1、あるいは最大59:1であってもよい。あるいは、(D):(A)比は、30:1~66:1、あるいは35:1~560:1、あるいは40:1~55:1、あるいは45:1~60:1であってもよい。
【0038】
(E)ホウ酸トリアルキル
ヒドロシリル化反応硬化性組成物中の出発物質(E)は、式B(ORA)3のホウ酸トリアルキルであり、式中、各RAは、炭素原子1~30個、あるいは炭素原子1~12個、あるいは炭素原子1~6個の独立して選択されるアルキル基である。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル若しくはn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、若しくはsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、若しくはtert-ペンチル)、ヘキシル、炭素原子6個の分岐状アルキル基、又はシクロペンチル若しくはシクロヘキシルなどの環状アルキル基であってもよい。好適なホウ酸トリアルキルの例としては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチル、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、ホウ酸トリアルキルは、ホウ酸トリエチルであってもよい。
【0039】
ホウ酸トリアルキルは、当技術分野において既知であり、Stangeの米国特許第3,020,308号に記載されているような既知の方法によって製造することができる。また、ホウ酸トリアルキルは市販されており、例えば、ホウ酸トリエチルは、Meryer(Shanghai)Chemical Technology Co.,Ltd.,から入手可能であり、また、シリコーン組成物用のホウ酸トリアルキル添加剤も当技術分野において既知であり、例えば、Dow Silicones Corporationから入手可能なDOWSIL(商標)7429 PSA Additiveが挙げられる。
【0040】
ヒドロシリル化硬化性組成物に添加される(E)ホウ酸トリアルキルの量は、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、>0重量%~<2.43重量%である。あるいは、(E)ホウ酸トリアルキルの量は、少なくとも0.05重量%、あるいは少なくとも0.1重量%、あるいは少なくとも0.2%であってもよく、同時に、この量は、同じ基準で、最大2.42重量%、あるいは最大2重量%、あるいは最大1重量%、あるいは最大0.5重量%であってもよい。あるいは、(E)ホウ酸トリアルキルの量は、同じ基準で、0.05重量%~1重量%、あるいは0.4重量%~1重量%であってもよい。
【0041】
(F)ヒドロシリル化反応抑制剤
出発物質(F)は、任意選択のヒドロシリル化反応抑制剤(抑制剤)であり、これは、抑制剤を除いて同じ出発物質を含有する組成物と比べて、ヒドロシリル化反応の速度を変えるために使用することができる。出発物質(F)は、(F-1)アセチレン系アルコール、(F-2)シリル化アセチレン系アルコール、(F-3)エン-イン化合物、(F-4)トリアゾール、(F-5)ホスフィン、(F-6)メルカプタン、(F-7)ヒドラジン、(F-8)アミン、(F-9)フマル酸塩、(F-10)マレイン酸塩、(F-11)エーテル、(F-12)一酸化炭素、(F-13)アルケニル官能性シロキサンオリゴマー、及び(F-14)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応抑制剤は、(F-1)アセチレン系アルコール、(F-2)シリル化アセチレン系アルコール、(F-9)フマル酸塩、(F-10)マレイン酸塩、(F-13)一酸化炭素、(F-14)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0042】
アセチレン系アルコールは、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ブチン-3-オール、1-プロピン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール、4-エチル-1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール、及びそれらの組み合わせによって例示される。アセチレン系アルコールは、当該技術分野において既知であり、様々な供給元から市販されており、例えば、Kookootsedesらの米国特許第3,445,420号を参照されたい。あるいは、抑制剤は、シリル化アセチレン系化合物であってもよい。理論に束縛されるものではないが、シリル化アセチレン系化合物を添加すると、シリル化アセチレン系化合物を含有していない、又は上記したものなどの有機アセチレン系アルコール抑制剤を含有する出発物質のヒドロシリル化による反応生成物と比較して、ヒドロシリル化反応から調製される反応生成物の黄変が低減すると考えられる。シリル化アセチレン系化合物は、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリメチルシラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シランメチルビニルシラン、ビス((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)ジメチルシラン、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、メチル(トリス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ))シラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリエチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)メチルトリフルオロプロピルシラン、(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オキシ)トリメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルビニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルビニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)トリメチルシラン、及びそれらの組み合わせによって例示される。本明細書における抑制剤として有用なシリル化アセチレン系化合物は、当該技術分野において既知の方法によって調製することができ、例えば、Bilgrienらの米国特許第6,677,407号は、酸受容体の存在下でクロロシランと反応させることによって上記のアセチレン系アルコールをシリル化することを開示している。
【0043】
あるいは、抑制剤は、エン-イン化合物、例えば、3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、及びこれらの組み合わせであってもよい。あるいは、抑制剤は、ベンゾトリアゾールによって例示されるトリアゾールを含んでもよい。あるいは、抑制剤は、ホスフィンを含んでもよい。あるいは、抑制剤は、メルカプタンを含んでもよい。あるいは、抑制剤は、ヒドラジンを含んでもよい。あるいは、抑制剤は、アミンを含んでもよい。アミンは、テトラメチルエチレンジアミン、3-ジメチルアミノ-1-プロピン、n-メチルプロパルギルアミン、プロパルギルアミン、1-エチニルシクロヘキシルアミン、又はそれらの組み合わせによって例示される。あるいは、抑制剤は、フマル酸塩を含んでもよい。フマル酸塩としては、フマル酸ジエチルなどのフマル酸ジアルキル、フマル酸ジアリルなどのフマル酸ジアルケニル、フマル酸ビス-(メトキシメチル)エチルなどのフマル酸ジアルコキシアルキルが挙げられる。あるいは、抑制剤は、マレイン酸塩を含んでもよい。マレイン酸塩としては、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸ジアルキル、マレイン酸ジアリルなどのマレイン酸ジアルケニル、及びマレイン酸ビス-(メトキシメチル)エチルなどのマレイン酸ジアルコキシアルキルが挙げられる。あるいは、抑制剤は、エーテルを含んでもよい。
【0044】
あるいは、抑制剤は、一酸化炭素を含んでもよい。あるいは、抑制剤は、アルケニル官能性シロキサンオリゴマーを含んでもよく、これは、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、及びそれらの2つ以上の組み合わせによって例示されるメチルビニルシクロシロキサンなどの環状又は直鎖状であってもよい。上記の抑制剤として有用な化合物は、例えば、Sigma-Aldrich Inc.又はGelest,Inc.から市販されており、当技術分野において既知であり、例えば、Leeらの米国特許第3,989,667号を参照されたい。本明細書で使用するのに好適な抑制剤は、米国特許出願公開第20007/0099007号の段落[0148]~[0165]に安定剤Eとして記載されているものによって例示される。
【0045】
抑制剤の量は、所望のポットライフ、組成物が一部型組成物であるか多部型組成物であるか、使用される特定の抑制剤、及び(C)ヒドロシリル化反応触媒の選択及び量などの様々な要因によって異なる。しかしながら、存在する場合、(F)抑制剤の量は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物中の出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0%~5%、あるいは0%~1%、あるいは0.001%~1%、あるいは0.01%~0.5%、あるいは0.01%~0.4%の範囲であってもよい。
【0046】
(G)溶剤
ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、出発物質(G)である溶剤を更に含む。溶剤は、炭化水素、ケトン、酢酸エステル、エーテル、及び/又は平均重合度が3~10の環状シロキサンなどの有機溶剤であってもよい。溶剤に好適な炭化水素は、(G-1)ベンゼン、ベンゼン、トルエン、若しくはキシレンなどの芳香族炭化水素、(G-2)ヘキサン、ヘプタン、オクタン、若しくはイソパラフィンなどの脂肪族炭化水素、又は(G-3)これらの組み合わせ、であり得る。あるいは、溶剤は、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテルなどのグリコールエーテルであってもよい。好適なケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンが挙げられる。好適な酢酸エステルとしては、酢酸エチル又は酢酸イソブチルが挙げられる。好適なエーテルとしては、ジイソプロピルエーテル又は1,4-ジオキサンが挙げられる。重合度が3~10、あるいは3~6である好適な環状シロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、及び/又はデカメチルシクロペンタシロキサンが挙げられる。あるいは、溶剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタン、エチルベンゼン、酢酸エチル、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0047】
溶剤の量は、選択された溶剤の種類、及びヒドロシリル化反応硬化性組成物に選択された他の出発物質の量及び種類などの様々な要因によって異なる。しかしながら、溶剤の量は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物中の全出発物質の合計重量に基づいて、>0%~90%、あるいは0%~60%、あるいは20%~60%、あるいは45%~65%、あるいは50%~60%の範囲であってもよい。溶剤は、例えば、上記の1つ以上の出発物質の混合及び送達を補助するために、ヒドロシリル化反応硬化性組成物の調製中に添加することができる。溶剤の全て又は一部を、他出発物質のうち1つ以上と共に添加してもよい。例えば、ポリオルガノシリケート樹脂及び/又はヒドロシリル化反応触媒を、ヒドロシリル化反応硬化性組成物中の他出発物質と組み合わせる前に溶剤に溶解させてもよい。溶剤の全て又は一部を、任意で、ヒドロシリル化反応硬化性組成物の調製後に除去してもよい。
【0048】
(H)定着添加剤
ヒドロシリル化反応硬化性組成物中の出発物質(H)は、定着添加剤である。理論に束縛されるものではないが、定着添加剤は、本明細書に記載のヒドロシリル化反応硬化性組成物を硬化することによって調製されるシリコーン感圧接着剤による基材への結合を容易にすると考えられる。
【0049】
出発物質(H)に好適な定着添加剤としては、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、及びビス(トリメトキシシリルヘキサン)などのシランカップリング剤、並びに当該シランカップリング剤の混合物又は反応混合物が挙げられる。あるいは、定着添加剤は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、又は3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランであってもよい。
【0050】
他の好適な定着添加剤は、ビニルアルコキシシランとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物;ビニルアセトキシシランとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物;並びに1分子当たり少なくとも1つの脂肪族不飽和炭化水素基及び少なくとも1つの加水分解性基を有するポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの組み合わせ(例えば、物理的なブレンド及び/又は反応生成物)(例えば、ヒドロキシ末端ビニル官能性ポリジメチルシロキサンとグリシドキシプロピルトリメトキシシランとの組み合わせ)により例示される。
【0051】
例示的な定着添加剤は、当技術分野において既知であり、例えば、米国特許第9,562,149号、米国特許出願公開第2003/0088042号、米国特許出願公開第2004/0254274号、米国特許出願公開第2005/0038188号、米国特許出願公開第2012/0328863号の段落[0091]、及び米国特許出願公開第2017/0233612号の段落[0041]、並びに欧州特許第0 556 023号に開示されている。定着添加剤は、市販されている。例えば、SYL-OFF(商標)9250、SYL-OFF(商標)9176、SYL-OFF(商標)297、及びSYL-OFF(商標)397は、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能である。他の例示的な定着添加剤としては、(G-1)ビニルトリアセトキシシラン、(G-2)グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、並びに(G-3)(G-1)及び(G-2)の組み合わせ、が挙げられる。この組み合わせ(G-3)は、混合物及び/又は反応生成物であってもよい。
【0052】
定着添加剤の量は、シリコーン感圧接着剤を接着させる基材の種類などの様々な要因によって異なる。しかしながら、存在する場合、定着添加剤の量は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物中の溶剤を除く全出発物質の合計重量に基づいて、0.5~5%、あるいは0.5%~3%、あるいは0.5%~2.5%であってもよい。
【0053】
ヒドロシリル化反応硬化性組成物の製造方法
ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、周囲温度又は高温における混合といった任意の都合のよい手法で上記の全出発物質を組み合わせることを含む方法により、調製することができる。ヒドロシリル化反応抑制剤は、ヒドロシリル化反応触媒の前に、例えば、ヒドロシリル化反応硬化性組成物を高温で調製する、及び/又はヒドロシリル化反応硬化性組成物を一部型組成物として調製する際に添加してもよい。
【0054】
本方法は、溶剤中に1つ以上の出発物質(例えば、ヒドロシリル化反応触媒及び/又はポリオルガノシリケート樹脂)を送達することを更に含んでもよく、これら出発物質はヒドロシリル化反応硬化性組成物中の1つ以上の他出発物質と組み合わせる際に溶剤中に溶解させてもよい。当業者であれば、結果として得られるヒドロシリル化反応硬化性組成物が無溶剤である(すなわち、溶剤を含まない、又は出発物質の送達に由来する微量の残留溶剤を含み得る)ことが望ましい場合、出発物質のうち2つ以上を混合した後で溶剤を除去してもよく、この場合、ヒドロシリル化反応硬化性組成物に溶媒を意図的に添加しないことを理解するであろう。
【0055】
あるいは、ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、例えば、ヒドロシリル化反応硬化性組成物が使用前に長期間、例えば、ヒドロシリル化反応硬化性組成物を光学シリコーンエラストマー又は他の基材に適用する前に最大6時間保存される場合、多部型組成物として調製され得る。多部型組成物では、ヒドロシリル化反応触媒は、ケイ素結合水素原子を有する任意の出発物質、例えば、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとは別の部分に保存され、これらの部分は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物の使用直前に組み合わされる。
【0056】
例えば、多部型組成物は、混合といった任意の都合のよい手法により、ポリジオルガノシロキサンガム成分、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、及び任意選択的に、1つ以上の他の上記出発物質(ヒドロシリル化反応触媒以外)のうち少なくともいくつかを含む出発物質を組み合わせて基部を形成することにより調製してもよい。硬化剤は、混合といった任意の都合のよい手法により、ポリジオルガノシロキサンガム、ヒドロシリル化反応触媒、及び任意選択的に、1つ以上の他の上記出発物質(ポリオルガノハイドロジェンシロキサン以外)のうち少なくともいくつかを含む出発物質を組み合わせることにより調製してもよい。出発物質は、周囲温度又は高温で混合され得る。ヒドロシリル化反応抑制剤は、基部、硬化剤部、又は別個の追加部のうちの1つ以上に含まれてもよい。ポリオルガノシリケート樹脂を、基部、硬化剤部、又は別個の追加部に添加することができる。あるいは、ポリオルガノシロキサン樹脂を基部に添加してもよい。溶剤を基部に添加してもよい。あるいは、ポリオルガノシリケート樹脂を含む出発物質、及び溶剤の一部又は全てを、別個の追加部に添加してもよい。あるいは、抑制剤は、基部に添加され得るか、又は別個の追加部分に添加され得る。二部型組成物を使用する場合、基部の量と硬化剤部の量との重量比は、1:1~10:1の範囲であり得る。ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、ヒドロシリル化反応により硬化して、シリコーン感圧接着剤を形成する。
【0057】
使用方法
上述の方法は、1つ以上の追加の工程を更に含んでもよい。上記のように調製されたヒドロシリル化反応硬化性組成物を使用して、基材上に接着剤物品、例えば、シリコーン感圧接着剤(上記のヒドロシリル化反応硬化性組成物を硬化させることにより調製する)を形成してもよい。したがって、本方法は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物を基材に適用することを更に含んでもよい。
【0058】
ヒドロシリル化反応硬化性組成物を基材に適用することは、任意の都合のよい手段によって実施することができる。例えば、ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、グラビアコーター、コンマコーター、オフセットコーター、オフセットグラビアコーター、ローラーコーター、リバースローラーコーター、エアナイフコーター、スロットダイ又はカーテンコーターによって基材上に適用され得る。
【0059】
基材は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物を硬化させて基材上にシリコーン感圧接着剤を形成するために使用される硬化条件(後述)に耐えることができる任意の材料であり得る。例えば、120℃以上、あるいは150℃の温度での熱処理に耐えることができる任意の基材が好適である。このような基材に好適な材料の例は、上記のシリコーン感圧接着剤組成物が湿式鋳造方法に使用される剥離ライナーであってもよい。剥離ライナーは、その上にフルオロシリコーン剥離コーティングを有する。好適なフルオロシリコーン剥離コーティングとしては、市販のフルオロシリコーン剥離コーティング、例えば、SYL-OFF(商標)7555コーティング、SYL-OFF(商標)7792フルオロシリコーン剥離コーティング、SYL-OFF(商標)7795フルオロシリコーン剥離コーティング、SYL-OFF(商標)7785フルオロシリコーン剥離コーティング、SYL-OFF(商標)7786フルオロシリコーン剥離コーティング、及び上記のフルオロシリコーン剥離コーティングの混合物が挙げられ、これらは全て、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている。基材材料は、ポリマーフィルム及び/又は発泡体を更に含んでもよく、これらは、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、液晶ポリアリレート、ポリアミドイミド(polyamideimide、PAI)、ポリエーテルスルフィド(polyether sulfide、PES)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane、TPU)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、又はポリプロピレン(polypropylene、PP)を含み得る。あるいは、基材はガラスであることができる。基材の厚さは重要ではないが、厚さは、5μm~300μm、あるいは10μm~200μmであってもよい。
【0060】
シリコーン感圧接着剤の基材への結合を向上させるために、接着剤物品の形成方法は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物を適用する前に基材を処理することを任意選択的に更に含んでもよい。基材の処理は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物を基材に適用する前に、プライマーを適用すること、又は基材をコロナ放電処理、エッチング、若しくはプラズマ処理に供することなどの任意の都合のよい手法により実施してもよい。
【0061】
本明細書で記載される方法は、任意選択的に、例えば、接着剤物品の使用前のシリコーン感圧接着剤を保護するために、基材の反対側のシリコーン感圧接着剤に取り外し可能な剥離ライナーを適用すること、を更に含み得る。剥離ライナーは、ヒドロシリル化反応硬化性組成物の硬化前、硬化中、又は硬化後に適用されてもよい。あるいは、上記のヒドロシリル化反応硬化性組成物は、第1の剥離ライナー上に適用され、その後硬化(湿式鋳造)されて、第1の剥離ライナーに接着する第1の表面を有するシリコーン感圧接着剤層を形成してもよい。任意選択的に、第2の剥離ライナーは、シリコーン感圧接着剤の反対側の表面(例えば、第1の基材(乾式鋳造)の反対側のシリコーン感圧接着剤層の表面)に適用されてもよい。接着剤物品は、光学部品などの、フレキシブル表示装置で使用するための部品を製作するために有用である積層体であってもよい。例えば、シリコーン感圧接着剤は、第1の剥離ライナー(及び存在する場合には第2の剥離ライナー)が除去されるときに使用することができる光学的に透明な自立型接着剤であってもよい。あるいは、1つの剥離ライナーを除去してもよく、シリコーン感圧接着剤の露出面を基材と接触させてもよく、その後、第2の剥離ライナーを除去してもよく、シリコーン感圧接着剤の第2の露出面を第2の基材と接触させてもよい。基材及び/又は第2の基材は、偏光層又は減衰層など、フレキシブル表示装置の部品内の層であってもよい。
【0062】
フレキシブル表示装置の部品におけるシリコーン感圧接着剤の使用
図1は、積層物品(100)の部分断面図を示す。積層物品(100)は、表面(102a)及び反対側の表面(102b)を有するシリコーン感圧接着剤(102)を含む。シリコーン感圧接着剤(102)は、上記のように調製されたヒドロシリル化反応硬化性組成物を第1の剥離ライナー(103)の表面(103a)に適用することと、組成物を硬化させてシリコーン感圧接着剤(102)を形成することとを含む湿式鋳造プロセスによって形成される。シリコーン感圧(102)の反対側の表面(102b)は、第1の剥離ライナーの表面(103a)に接着する。第2の剥離ライナー(101)は、第2の剥離ライナーの表面(101b)がシリコーン感圧接着剤(102)の表面(102)に接着するように、シリコーン感圧接着剤(102)に適用される。シリコーン感圧(102)は、10μm~200μmの厚さを有し得る。
【0063】
上述のシリコーン感圧接着剤は、フレキシブル表示装置部品(図示せず)の製作において使用されてもよい。第1の剥離ライナー(103)を除去して、シリコーン感圧接着剤(102)の反対側の表面(102b)を露出したままにすることができる。次いで、シリコーン感圧接着剤(102)の反対側の表面(102b)を、そこにシリコーン感圧接着剤(102)を接着させるための圧力を用いて、減衰層又は偏光層(図示せず)などのフレキシブル表示装置部品内の別の層と接触させることができる。
【実施例】
【0064】
以下の実施例は、当業者に本発明を例示するために提供されるものであり、請求項に記載の本発明を制限するものとして解釈すべきではない。本明細書で使用した出発物質を表1に記載する。
【0065】
【0066】
表1において、DOWSIL(商標)及びSYL-OFF(商標)ブランドの出発物質は、Dow Silicones Corporationから市販されていた。
【0067】
この参考例1では、ヒドロシリル化反応硬化性組成物の試料を、以下の表2に示す出発物質及び量を使用して、以下のように調製した。量は、特に断らない限り重量部である。出発物質(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分及び出発物質(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分を、得られる混合物が均質になるまで混合しながら(G)溶剤に溶解した。次に、出発物質(F)ヒドロシリル化反応抑制剤を上記の混合物に完全にブレンドした。次に、出発物質(E)ホウ酸トリアルキルを上記の混合物に完全にブレンドした。次に、出発物質(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンを上記の混合物に完全にブレンドした。次に、任意選択的に、出発物質(H)定着添加剤(使用する場合)を上記の混合物に完全にブレンドした。最後に、出発物質(C)ヒドロシリル化反応触媒を添加し、均質になるまで混合した。全ての出発物質を室温で混合した。出発物質及びその量(重量による)を以下の表2に示す。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
表2のヒドロシリル化反応硬化性組成物は、出発物質と共に取り込まれた少量の残留溶剤1を含有していた。
【0072】
この参考例2では、ヒドロシリル化反応硬化性組成物を、以下の手順に従って基材上にコーティングして硬化させた。上記のように調製された各試料を、接着性及びプローブタック試験のために150℃のオーブンで3分間加熱した後に50μm厚の乾燥コーティング重量を提供するのに十分な厚さで50μm厚のPETフィルム上に適用し、上記のように調製された各試料を、湿潤剥離力試験のために150℃のオーブンで3分間加熱した後に50μm厚の乾燥コーティング重量を提供するのに十分な厚さで剥離ライナー上に適用した。剥離力を試験する前に、50μm厚のPETフィルムを(硬化した)シリコーン感圧接着剤層上に被覆して、試験前にシリコーン感圧接着剤層を保護した。
【0073】
得られたテープ試料を、シリコーン感圧接着剤が被着体と接触するようにして被着体に適用した。被着体は、SUSであり、試験前にシリコーン感圧接着剤を被着体に接触させた後、試料をRTで20分間保持した。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
この参考例3では、参考例2に記載したように調製した試料を以下のように試験した。上記のように調製された各テープ試料を、各テープを基材から剥離させ、PETフィルムから基材上に移動したシリコーン感圧接着剤がいくらかでも存在するかを確認することにより、SUSへの接着力について試験した。接着力/剥離試験機AR-1500を使用した。各PETシートの幅は1インチであった。剥離速度及び剥離角度は、それぞれ0.3m/分及び180°であった。単位はグラム/inであった。結果を下の表4に示す。
【0078】
SUSに対する接着力の試験方法は、試験規格ASTM D3330を参照する。ステンレス鋼板を溶剤で洗浄する。テープ試料(幅1インチ)をステンレス鋼板に適用する。標準的な2kgの試験ローラーを用いて10mm/秒の速度で各方向に2回回転させる。20分の静止時間後に、AR-1500を用いて剥離角度180°、速度300mm/分で鋼板から試料を剥離する。
【0079】
レオロジーデータ(Tg、25℃でのG’)の試験方法は、試験規格ASTM D4440-15を参照する。
【0080】
それぞれ0.5mm~1.5mmの厚さを有する硬化した純粋シリコーン感圧接着剤フィルム(基材なし)を、レオロジー特性試験のためにレオメーター(TA DHR-2又はARES-G2のいずれか)の直径8mmの平行プレート上に調製した。異なる温度(すなわち、200℃~-80℃)での損失弾性率G’’及び貯蔵弾性率G’を、1Hz及び歪み0.25%で冷却速度3℃/分において振動モードを用いた温度ランププログラムによって測定した。G’’/G’によってtanδを計算した。ガラス転移温度は、tanδのピーク点における温度として定義した。結果を以下の表4に示す。
【0081】
【0082】
【0083】
比較例1に対する実施例1~5の変化率を計算した。例えば、実施例1の接着力変化率は、(実施例1の「SUSへの接着力」-比較例1の「SUSへの接着力」)/(比較例1の「SUSへの接着力」)×100%で計算した。比較例2に対する実施例6の変化率を計算した。比較例3に対する比較例4の変化率を計算した。
【0084】
【0085】
比較例5に対する実施例7、8及び比較例6の変化率をそれぞれ計算した。比較例7に対する比較例8の変化率を計算した。
【0086】
25℃での接着性/プローブタック/G’の変化率を、実施例のそれぞれを相対的な比較例と比較することによって計算した。Tgの変化は、各実施例の差を相対的な比較例と比較することによって計算した。Tgの差が±6.5℃未満である場合、これは良好な結果を示す実施例であった。接着力変化率が±20%未満であった場合、これは良好な結果を示す実施例であった。プローブタック変化率が±20%未満であった場合、これは良好な結果を示す実施例であった。25℃でのG’の変化率が±50%未満である場合、これは良好な結果を示す実施例であった。剥離力変化率が0未満であった場合、剥離力が低下していることを意味しており、これは良好な結果を示す実施例であった。以下の表5a、6a、7a、及び8aにおいて、剥離力変化率は、実施例のそれぞれを比較例1と比較することによって計算した。表5b、6b、及び7bにおいて、実施例6の剥離力変化率は、実施例6を比較例2と比較することによって計算した。表5b、6b、及び7bにおいて、比較例4の剥離力変化率は、比較例3との比較によって計算した。表5c、6c、及び7cにおいて、実施例7及び8の剥離力変化率は、比較例5との比較によって計算した。表5c、6c、及び7cにおいて、比較例8の剥離力変化率は、比較例7との比較によって計算した。「比較例(Comp.)」は、比較例を指す。
【0087】
この参考例4では、参考例1に記載したように調製されたヒドロシリル化反応硬化性組成物の試料を、コーティングされた剥離ライナー上に直接コーティングし、硬化させた。その後、50μmのPETを剥離ライナーの反対側の硬化シリコーン感圧接着剤の表面上に積層して、使用前に表面を保護し、次いで1インチ幅に切断した。積層試料上に20g/cm2の重量を負荷し、室温下で20時間、又は70℃下のオーブン内で3日間放置した。室温で20時間又は70℃で3日後に、負荷を取り除き、試料を室温に少なくとも30分間置いた。剥離ライナーは、この試験では上部にあった。次いで、ChemInstruments AR-1500でライナー側の剥離力を試験する。FINAT Test Method No.10(FINAT Technical Handbook 7th edition,2005)を参照する。結果を以下の表5~9に示す。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
産業上の利用可能性
上記の実施例は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物が調製され得、これが硬化して、ステンレス鋼への接着力が室温で>1000g/インチ、低い剥離力、25℃でのG’が<0.1MPa、及びTg<0℃という望ましい接着力特性を有するシリコーン感圧接着剤を形成することを示す。シリコーン感圧接着剤はまた、Tg≦-10℃、あるいは≦-20℃を有し得、及び25℃でのG’は、<50kPaであってもよい。理論に束縛されるものではないが、低いTg及び低いG’により、シリコーン感圧接着剤は、繰り返し変形試験(例えば、折る、曲げる、巻く、及び伸ばす試験)中に他の層にかかる応力が低く、広い温度範囲での使用に好適となると考えられている。湿式鋳造時のより低い剥離力は、フレキシブル表示装置を作製するプロセスに利益をもたらす。この特性の組み合わせにより、シリコーン感圧接着剤は、フレキシブル表示装置の多層部品の製造における使用にとって、特に、自立フィルム、又は減衰層若しくは偏光層などのフレキシブル表示装置内の様々な層を接着するために使用することができるフィルムの製造に使用される場合に、好適なものとなる。
【0101】
用語の定義及び使用
本明細書における全ての量、比率、及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。明細書の文脈により別途指定がない限り、単数形は複数形を含み、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ1つ以上を指す。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」の移行句はManual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば(such as,)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば/など(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した、又は同等の例を包含する。本明細書で使用される略語は、表9における定義を有する。
【0102】
【0103】
本発明は例示的な様式で記載されており、使用されている用語は、限定というよりむしろ説明の用語の性質であることが意図されることを理解されたい。本明細書で個々の特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、添付の特許請求の範囲の範囲内で、特定の実施形態に、個々に及び又は組み合わされて依拠され得、十分なサポートを提供する。
【0104】
更に、本発明を説明する際に依拠される任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は部分の値が明記されていなくても、その中の全部及び/又は部分の値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分範囲は、更に関連性がある2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、及び範囲内に含まれる任意の他の部分範囲に更に線引きされ得ることを容易に認識する。単なる一例として、範囲「0.05~1.00」は、下から3分の1、すなわち「0.05~0.36」、中間の3分の1、すなわち「0.37~0.0.68」、及び上から3分の1、すなわち「0.69~1.00」と更に描かれることができ、代替的に、範囲「0.05~1.00」は、部分範囲「0.05~0.30」、「0.05~0.20」、「0.30~0.50」、及び「0.51~1.00」を含み、各々、個別的かつ集合的に添付の特許請求の範囲内であり、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に個別的及び/又は集合的に依拠する場合があり、それらに適切な根拠を提供し得る。加えて、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」、「未満」、「以下」などに関して、このような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン感圧接着剤を形成するためのヒドロシリル化反応硬化性組成物であって、前記組成物が、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、35.15重量%~43.63重量%の(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分であって、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、28.03重量%~43.50重量%の(A-1)単位式(R
M
2R
USiO
1/2)
2(R
M
2SiO
2/2)
aの脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムであって、式中、各R
Mが、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基であり、各R
Uが、炭素原子2~30個の独立して選択される一価脂肪族不飽和炭化水素基であり、下付き文字aが、前記ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(2.03mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有し、可塑性が、ASTM D926に基づいて重量4.2gの球状試料に1kgの荷重を25℃で3分間加えることによって測定され、結果が1/1000インチ(ミル)で測定され、手順がASTM D926に基づく、(A-1)脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムと、
0~0.26重量%の(A-2)単位式((HO)R
M
2SiO
1/2)
2(R
M
2SiO
2/2)
a’のヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムであって、式中、各R
Mが、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基であり、各下付き文字a’は、前記ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(2.03mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有する、(A-2)ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムと、
0~7重量%の(A-3)単位式(R
M
3SiO
1/2)
2(R
M
2SiO
2/2)
a”の非官能性ポリジオルガノシロキサンガムであって、式中、各R
Mが、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字a”が、前記非官能性ポリジオルガノシロキサンガムに20ミル(0.51mm)~80ミル(2.03mm)の可塑性を与えるのに十分な値を有する、(A-3)非官能性ポリジオルガノシロキサンガムと、を含む、(A)ポリジオルガノシロキサンガム成分と、
52.69重量%~63.26重量%の(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分であって、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、52.39重量%~63.11重量%の(B-1)単位式:(R
M
3SiO
1/2)
z(SiO
4/2)
oZ
pのキャップされた樹脂であって、式中、Zが、加水分解性基であり、下付き文字pが、0から、前記キャップされた樹脂に最大2%の加水分解性基含有量を与えるのに十分である値までであり、下付き文字z及びoが、z>4、o>1であるような値を有し、数量(z+o)が、前記キャップされた樹脂に500g/mol~5,000g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する、(B-1)キャップされた樹脂と、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0~0.37重量%の(B-2)単位式(R
M
3SiO
1/2)
z’(SiO
4/2)
o’Z
p’のキャップされていない樹脂であって、式中、下付き文字p’が、前記キャップされていない樹脂に>3%~10%の加水分解性基含有量を与えるのに十分な値を有し、下付き文字z’及びo’が、z’>4、o’>1であるような値を有し、数量(z’+o’)が、前記キャップされていない樹脂に500g/mol~5,000g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する、(B-2)キャップされていない樹脂と、を含み、(B-1)前記キャップされた樹脂及び(B-2)前記キャップされていない樹脂が、出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて42.4重量%~52.4重量%の合計量で存在する、(B)ポリオルガノシリケート樹脂成分と、
ここで、(A)前記ポリジオルガノシロキサンガム成分及び(B)前記ポリオルガノシリケート樹脂成分が、(B):(A)の重量比(樹脂:ガム比)≦1.8:1で存在し、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0.01重量%~5重量%の(C)ヒドロシリル化反応触媒と、
(D)単位式:(R
M
2SiO
2/2)
e(HR
MSiO
2/2)
f(R
M
2HSiO
1/2)
g(R
M
3SiO
1/2)
hのポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、式中、下付き文字e≧0であり、下付き文字f≧0であり、数量(e+f)が4~500であり、下付き文字gが0、1、又は2であり、下付き文字hが0、1、又は2であり、数量(g+h)=2であり、及び数量(f+g)≧3であり、(D)前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンが、ケイ素結合水素原子の(A)前記ポリジオルガノシロキサンガム成分の脂肪族不飽和炭化水素基に対するモル比{(D):(A)比}が31.37:1~59.04:1となるのに十分な量で存在する、(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0.05重量%~1.00重量%の(E)ホウ酸トリアルキルと、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0重量%~5重量%の(F)ヒドロシリル化反応抑制剤と、
前記組成物中の全出発物質の合計重量に基づいて、>0重量%~90重量%の(G)溶剤と、
出発物質(A)~(F)の合計重量に基づいて、0~5重量%の(H)定着添加剤と、を含む、組成物。
【請求項2】
(A)前記ポリジオルガノシロキサンガム成分において、各R
Mが、炭素原子1~6個の独立して選択されるアルキル基であり、各R
Uが、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から独立して選択され、下付き文字aが、(A-1)前記脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンガムに30ミル(0.76mm)~70ミル(1.778mm)の可塑性値を与えるのに十分であり、下付き文字a’が、(A-2)前記ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムに30ミル(0.76mm)~70ミル(1.778mm)の可塑性を与えるのに十分であり、下付き文字a”が、(A-3)前記非官能性ポリジオルガノシロキサンガムに30ミル(0.76mm)~70ミル(1.778mm)の可塑性を与えるのに十分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(B)前記ポリオルガノシリケート樹脂成分において、各R
Mが、炭素原子1~6個の独立して選択されるアルキル基であり、各Zが、OHであり、前記数量(z+o)が、2,900g/mol~4,100g/molの数平均分子量を有する(B-1)前記キャップされた樹脂を与えるのに十分な値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
(C)前記ヒドロシリル化反応触媒が、Karstedt触媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
(D)前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおいて、各R
Mが、炭素原子1~6個の独立して選択されるアルキル基であり、下付き文字g=0であり、及び下付き文字h=2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
(E)前記ホウ酸トリアルキルが、ホウ酸トリエチルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、基部及び硬化剤部を含む多部型組成物であり、前記基部が、出発物質(A)及び(C)を含み、前記硬化剤部が、出発物質(A)及び(D)を含み、前記組成物が、前記基部、前記硬化剤部、又は別個の追加部のうちの1つ以上に出発物質(B)、(E)、及び(F)を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
湿式鋳造方法であって、
1)請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物を基材に適用することと、
2)前記組成物を硬化させて、前記基材上にシリコーン感圧接着剤を形成することと、を含む、湿式鋳造方法。
【請求項9】
乾式鋳造方法であって、
1)請求項6に記載の組成物を剥離ライナーに適用することと、
2)前記組成物を硬化させて、前記剥離ライナー上にシリコーン感圧接着剤を形成することと、
3)前記シリコーン感圧接着剤を基材に適用することと、を含む、乾式鋳造方法。
【請求項10】
前記剥離ライナーを除去することと、前記シリコーン感圧接着剤をフレキシブル表示装置の部品と接触させることとを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基材が、第2の剥離ライナーである、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の剥離ライナーを除去することと、前記シリコーン感圧接着剤を前記フレキシブル表示装置の第2の部品と接触させることとを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項10又は12に記載の方法によって調製された、物品。
【請求項14】
前記フレキシブル表示装置基材の前記部品が、偏光層又は減衰層を備える、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
折り畳み可能な表示装置の部品であって、
I)光学基材層と、
II)前記光学基材層に接着されたシリコーン感圧接着剤層であって、前記シリコーン感圧接着剤層が、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物の生成物である、シリコーン感圧接着剤層と、を備える、部品。
【国際調査報告】