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特表2024-5171277-(モルホリニル)-2-(N-ピペラジニル)メチルチエノ[2,3-c]ピリジン誘導体の調製のための改良プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】7-(モルホリニル)-2-(N-ピペラジニル)メチルチエノ[2,3-c]ピリジン誘導体の調製のための改良プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/04 20060101AFI20240412BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
C07D495/04 105A
A61P35/00
A61K31/5377
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565128
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 IN2022050363
(87)【国際公開番号】W WO2022224267
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】202141018380
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516366733
【氏名又は名称】ナトコ ファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】コンペラ、アマラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァギチェルラ、カメスワラ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】ランキ レッディー、ティルマラ レッディー
(72)【発明者】
【氏名】ペサル、ナルマダ
(72)【発明者】
【氏名】ムッダサニ、プラ レッディー
(72)【発明者】
【氏名】ナンナパネニ、ヴェンカイア チョウダリー
【テーマコード(参考)】
4C071
4C086
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC01
4C071CC21
4C071EE13
4C071FF06
4C071JJ05
4C071JJ08
4C071KK11
4C071KK14
4C071LL01
4C086AA04
4C086CB26
4C086GA14
4C086GA15
4C086NA20
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、NRC-1111(1, 5-[2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]-2-ピリミジンアミン) 2メタンスルホン酸塩およびNRC-1109(II, 5-[3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) 2メタンスルホン酸塩の合成のための改良第2世代プロセスを記載する。このプロセスは、高純度の式IおよびIIの化合物の合成のための、費用対効果が高く、高収率でかつ工業的に実現可能なプロセスである。式(I) NRC-1111について式(I): R = HおよびNRC-1109について式(II): R = CH3。NRC-1111およびNRC-1109は潜在的な抗癌剤である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、式-(I)
【化1】
の5-[3-置換-2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]-2-ピリミジンアミン) 2メタンスルホン酸塩化合物の調製のための改良プロセス:
a) 式-(V)
【化2】
の化合物を適切な塩基および溶媒の存在下、モルホリンと反応させて式-(VI)
【化3】

の化合物を提供する工程;
b) 式-(VI)の化合物を溶媒中適切な塩基で処理し、続いてジメチルホルムアミドでホルミル化して式-(VII)の化合物を提供する工程、
(または)
式-(VI)の化合物を溶媒中グリニャール試薬および適切な塩基で処理し、続いてジメチルホルムアミドでホルミル化して式-(VII)
【化4】
の化合物を提供する工程;
c) 式-(VII)の化合物を溶媒中、2-ピコリンボラン錯体、オルトギ酸トリメチルの存在下1-メチルスルホニル-ピペラジンと反応させて式-(VIII)
【化5】
の化合物を提供する工程;
d) 式-(VIII)の化合物をPdCl2(dppf)DCM錯体、適切な塩基および溶媒の存在下2-アミノピリミジン-5-ボロン酸ピナコールエステルと反応させて式-(IX)
【化6】
の化合物を提供する工程;
e) 式-(IX)の化合物を溶媒中メタンスルホン酸で処理して式-(I)の化合物を提供する工程。
【請求項2】
工程(a)において、塩基が無機塩基であり、ここで無機塩基が、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリおよびアルカリ土類金属炭酸塩、または任意の他の等価な塩基から選ばれ、
工程(b)において、塩基がn-ブチルリチウム、トリn-ブチルリチウムマグネサイトから選ばれ;
そしてグリニャール試薬がハロゲン化アルキルマグネシウム、好ましくは臭化イソプロピルマグネシウムであり、
工程(d)において、塩基がリン酸カリウム、酢酸カリウムまたは炭酸カリウムから選ばれる無機塩基、好ましくはリン酸カリウムであり、
工程-a、b、c、dおよびe)において、適切な溶媒がアルコール溶媒、極性非プロトン性溶媒、エーテル溶媒、炭化水素溶媒、ニトリル溶媒、ならびに水などの極性溶媒、またはそれらの混合物から選ばれる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
工程-a)において、式-(V)に対するモルホリンのモル数が2.0-3.0の範囲、好ましくは2.25-2.50モルの範囲であり、そして式-Vに対する炭酸カリウムのモル数が2.0-4.0、好ましくは2.0-3.0の範囲である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
工程-b)において、ヘキサン中のトリn-ブチルリチウムマグネサイトに対する式-(VI)のモル数が0.9 - 1.3の範囲、好ましくは1.1-1.2モルの範囲であり、そして式-(VI)に対するジメチルホルムアミドのモル数が1.8-2.2の範囲、好ましくは1.9-2.1モルの範囲である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
工程-c)において、1-メタンスルホニルピペラジンに対する式-(VII)のモル数が1.4 - 1.8の範囲、好ましくは1.2-1.6の範囲であり、そしてオルトギ酸トリメチルに対する式-(VII)のモル数が14-18モルの範囲、好ましくは15-17の範囲であり、2-ピコリンボラン錯体に対する式-(VII)のモル数が2.5-3.5モルの範囲、好ましくは2.8-3.2の範囲である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
工程-d)において、ジクロロメタンと錯体化した[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム (II)に対する式-(VIII)のモル数が0.01~0.05モルの範囲、好ましくは0.05モルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
式-(VI)の化合物が、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリおよびアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれる適切な無機塩基の存在下、式-(V)の化合物をモルホリンと反応させることによって調製され、そして溶媒がジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
式-(VII)の化合物が、式-(VI)の化合物をテトラヒドロフラン中トリn-ブチルリチウムマグネサイトで処理し、続いてジメチルホルムアミドでホルミル化して式-(VII)の化合物を提供することによって調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
式-(VII)の化合物が、式-(VI)の化合物をテトラヒドロフラン中臭化イソプロピルマグネシウムおよびn-ブチルリチウムで処理し、続いてジメチルホルムアミドでホルミル化して式-(VII)の化合物を提供することによって調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
式-(VIII)の化合物が、式-(VII)の化合物をメタノール中、2-ピコリンボラン錯体、オルトギ酸トリメチルおよび酢酸の存在下、1-メチルスルホニル-ピペラジンと反応させて式-(VIII)の化合物を提供することによって調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
式-(IX)の化合物が、式-(VIII)の化合物をテトラヒドロフラン中、PdCl2(dppf)DCM錯体、リン酸カリウムの存在下、2-アミノピリミジン-5-ボロン酸ピナコールエステルと反応させて式-(IX)の化合物を提供することによって調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
式-(I)の化合物(NRC-1111)が、式-(IX)の化合物を水性メタノール中メタンスルホン酸で処理して式-(I)の(NRC-1111) 2メタンスルホン酸塩化合物を提供することによって調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
以下の工程を含む、5-[2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]-2-ピリミジンアミン) 2メタンスルホン酸塩(NRC-1111)
【化7】
の調製のための改良プロセス:
a) 式-(V)
【化8】
の化合物をジメチルホルムアミド溶媒中、炭酸カリウム塩基の存在下、モルホリンと反応させて式-(VI)
【化9】
の化合物を提供する工程、
b) 式-(VI)の化合物をテトラヒドロフラン溶媒中トリn-ブチルリチウムマグネサイト試薬で処理し、続いてジメチルホルムアミドでホルミル化して式-(VII)の化合物を提供する工程、
(または)
式-(VI)の化合物をテトラヒドロフラン溶媒中、試薬臭化イソプロピルマグネシウムおよびn-ブチルリチウムで処理し、続いてジメチルホルムアミドでホルミル化して式-(VII)
【化10】
の化合物を提供する工程、
c) 式-(VII)の化合物をメタノール溶媒中、試薬2-ピコリンボラン錯体、オルトギ酸トリメチルおよび酢酸の存在下、1-メチルスルホニル-ピペラジンと反応させて式-(VIII)
【化11】
の化合物を提供する工程、
d) 式-(VIII)の化合物をテトラヒドロフラン溶媒中、触媒PdCl2(dppf)DCM錯体およびリン酸カリウム塩基の存在下、2-アミノピリミジン-5-ボロン酸ピナコールエステルと反応させて式-(IX)
【化12】
の化合物を提供する工程、
e) 式-(IX)の化合物を水性メタノール中メタンスルホン酸で処理して式-(I)の(NRC-1111)化合物を提供する工程。
【請求項14】
以下の工程を含む、5-[3-メチル-2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]-2-ピリミジンアミン) 2メタンスルホン酸塩(NRC-1109)
【化13】
の調製のための改良プロセス:
a) 式-(V)
【化14】
の化合物をジメチルホルムアミド溶媒中、炭酸カリウム塩基の存在下、モルホリンと反応させて式-(VI)
【化15】
の化合物を提供する工程、
b) 式-(VI)の化合物をテトラヒドロフラン溶媒中トリn-ブチルリチウムマグネサイト試薬で処理し、続いてジメチルホルムアミドでホルミル化して式-(VII)の化合物を提供する工程、
(または)
式-(VI)の化合物をテトラヒドロフラン溶媒中、試薬臭化イソプロピルマグネシウムおよびn-ブチルリチウムで処理し、続いてジメチルホルムアミドでホルミル化して式-(VII)
【化16】
の化合物を提供する工程、
c) 式-(VII)の化合物をメタノール溶媒中、試薬2-ピコリンボラン錯体、オルトギ酸トリメチルおよび酢酸の存在下、1-メチルスルホニル-ピペラジンと反応させて式-(VIII)
【化17】
の化合物を提供する工程、
d) 式-(VIII)の化合物をテトラヒドロフラン溶媒中、触媒PdCl2(dppf)DCM錯体およびリン酸カリウム塩基の存在下、2-アミノピリミジン-5-ボロン酸ピナコールエステルと反応させて式-(IX)
【化18】
の化合物を提供する工程、
e) 式-(IX)の化合物を水性メタノール中メタンスルホン酸で処理して式-(II)の(NRC-1109)化合物を提供する工程。
【請求項15】
5-[2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) 2メタンスルホン酸塩(NRC-1111)。
【請求項16】
水和物である請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
以下によって特徴付けられる5-[2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン)(NRC-1111塩基)の結晶形:
i) 約9.31、11.06、18.64および20.05 ± 0.2度2-θにピークを有するその粉末X-線回折図形、
ii) 図-1に示す粉末X-線回折パターン。
【請求項18】
以下によって特徴付けられる5-[3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) 2メタンスルホン酸塩 水和物(NRC-1111)の結晶形:
i) 約6.19、15.11、18.40、18.65、21.60、22.56および25.13 ± 0.2度2-θにピークを有するその粉末X-線回折図形、
ii) 図-5に示す粉末X-線回折パターン。
【請求項19】
5-[3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) 2メタンスルホン酸塩 水和物(NRC-1109)。
【請求項20】
以下によって特徴付けられる5-[3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン)(NRC-1109塩基)の結晶形:
i) 約8.76、9.45、16.87、18.39および19.50 ± 0.2度2-θにピークを有するその粉末X-線回折図形、
ii) 図-3に示す粉末X-線回折パターン。
【請求項21】
以下によって特徴付けられる5-[3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) 2メタンスルホン酸塩 水和物(NRC-1109)の結晶形:
i) 約7.67、10.69、18.39、19.58、21.93および25.83 ± 0.2度2-θにピークを有するその粉末X-線回折図形、
ii) 図-7に示す粉末X-線回折パターン。
【請求項22】
以下の工程を含む、5-[2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) 2メタンスルホン酸塩 水和物(NRC-1111)の結晶形の調製のためのプロセス:
a) 5-[2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン(NRC-1111塩基)にDM水を添加する工程、
b) 反応混合物を90-100℃に加熱する工程、
c) 反応混合物を冷却し、そしてメタノールを添加する工程、
d) メタノール中に希釈したメタンスルホン酸を反応混合物に添加する工程、
e) 塊を攪拌しそして濾過してNRC-1111 2メタンスルホン酸塩 水和物結晶形を得る工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、NRC-1111 (I, 5-[2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]-2-ピリミジンアミン) 2メタンスルホン酸塩およびNRC-1109 (II, 5-[3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) 2メタンスルホン酸塩の合成のための改良第2世代プロセスを記載する。このプロセスは、高純度の式IおよびIIの化合物の合成のための、費用対効果が高く、高収率でかつ工業的に実現可能なプロセスである。
【0002】
【化1】
【0003】
NRC-1111およびNRC-1109は潜在的な抗癌剤である。
【背景技術】
【0004】
発明の背景:
本発明は、潜在的な抗癌剤であるNRC-1111 (式-I; R=H; 5-[2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]-2-ピリミジンアミン) 2メシル酸塩 水和物およびNRC-1109 (式-II; R=CH3; 5-[3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) 2メシル酸塩 水和物の調製のための改良プロセスに関する。
【0005】
NRC-1111およびNRC-1109の調製のためのプロセスは、2017年11月9日に公開されたUS 2017/0320891に記載されている。
【0006】
そのプロセスは、以下に示すスキーム-Iに説明されている:
【0007】
【化2】
【0008】
スキーム-Iに説明された方法は、(i) 3-メチルチオフェン-2-カルボン酸を硫酸ジメチルでエステル化して3-メチルチオフェン-2-カルボン酸メチル(ステージ-I)を得、これを四塩化炭素溶媒中N-ブロモコハク酸イミドと反応させて3-(ブロモメチル)-2-チオフェンカルボン酸 メチルエステル(ステージ-II)を得ることを含む。ステージ-II化合物を水性メタノール中シアン化ナトリウムでシアノ化して、3-(シアノメチル)-2-チオフェンカルボン酸 メチルエステル(ステージ-III)が生じ、これをTHFおよびメタノール媒質中1N水酸化ナトリウムで加水分解して、酸性化により3-(シアノメチル)-2-チオフェンカルボン酸(ステージ-IV)が生じる。ステージ-IV化合物をDMF媒質中、120-125℃で三臭化リンで臭素化環化して、5,7-ジブロモチエノ[2,3-c]ピリジン(ステージ-V)が生じ、これを封管中、105-110℃でモルホリンと縮合し、5-ブロモ-7-(4-モルホリニル)-チエノ[2,3-c]ピリジン(ステージ-VI)が得られる。このステージ-VI化合物をn-BuLiでリチウム化し、続いてジメチルホルムアミド(DMF)でホルミル化して、5-ブロモ-7-(4-モルホリニル)-チエノ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキシアルデヒド(ステージ-VII)が得られる。このステージ-VII化合物をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(STAB)を用いて1-メチルスルホニル-ピペラジンで還元的アミノ化して、5-ブロモ-2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)-チエノ[2,3-c]ピリジン(ステージ-VIII)が得られ、これをビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドを用いて2-アミノピリミジン-5-ボロン酸ピナコールエステルとの鈴木カップリングを行い、5-[2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]-2-ピリミジンアミン(NRC-1111塩基)が得られる。
【0009】
これは第1世代プロセスであり、そして全収率8%のスモールスケールで開発された。第2世代プロセスは、以下の目的で開発される:
1.NRC-1111およびNRC-1109の薬学的に許容可能な塩を開発し、そしてその安定な多形を同定すること。
2.スケールアップに適した操作数がより少ない簡易化されたプロセスを開発すること。
3.費用対効果が高くかつ高収率のプロセスを開発すること。
4.環境保護の観点から安全なプロセスを開発すること。
5.高純度(99.5%を超える)の最終生成物を与えるべきであり、さらなる高価な精製を必要としないプロセスを開発すること。
6.以下のステージ-V中間体から工業的に実行可能でかつしっかりしたプロセスを開発すること。
【0010】
【化3】
【0011】
NRC-1111プロセスは以下に示すR=Hの場合の上記中間体から開始する:
【0012】
【化4】
【0013】
NRC-1109プロセスは以下に示すR=CH3の場合の上記中間体から開始する:
【0014】
【化5】
【0015】
従って上記目的を満足する第2世代プロセスはスキーム-2に示される:
【0016】
【化6】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の要旨:
上述の要求を考慮して、本発明の目的は、環境を保護し、安全で、工業的に適用でき、第1世代プロセスの欠点がなく、そして式-Iの高純度(99.8%)の所望の化合物を高収率(約22%全収率)で合成することを可能にする改良プロセスを開発することである。
【0018】
従って本発明の主要な目的は、操作経路としてスキーム-IIを選択しかつ反応条件、後処理および精製の5つのステージ全てを設定して、式-Iを有する5-[2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]-2-ピリミジンアミン 2メタンスルホン酸塩 水和物であるNRC-1111 2メシル酸塩 水和物の調製のための改良プロセスを開発することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、封管および過剰モルのモルホリンを回避することによる5-ブロモ-7-(4-モルホリニル)-チエノ[2,3-c]ピリジン (ステージ-VI)のプロセスを開発することである。
【0020】
本発明の別の目的は、リチウム化のためのトリn-ブチルリチウムマグネサイト(ヘキサン中0.7M)試薬を用いてスケールアップの問題を回避しかつ高純度生成物を一貫して得る、5-ブロモ-7-(4-モルホリニル)-チエノ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキシアルデヒド(ステージ-VII)の調製のための改良プロセスを開発することである。
【0021】
本発明の別の目的は、STABを2-ピコリンボラン錯体で置き換え、そして全てのプロセスパラメーターを修正することによる、5-ブロモ-2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)-チエノ[2,3-c]ピリジン(ステージ-VIII)の調製のための改良プロセスを開発することである。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム (II) ジクロリドをジクロロメタンと錯体化した[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム (II)で置き換えて複数キログラムスケールで高収率でかつ純粋な生成物を得ることによる、5-[2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]-2-ピリミジンアミン(ステージ-IX; NRC-1111塩基)の調製のための改良プロセスを開発することである。
【0023】
本発明のさらに別の目的は、NRC-1111およびNRC-1109の酸付加塩として2メシル酸塩を選択すること、および対応する水和物を作製することである。従ってNRC-1111 2メシル酸塩 水和物およびNRC-1109 2メシル酸塩 水和物の両方の多形性質はキログラムスケールで確立される。
【0024】
本発明の別の目的は、以下によって特徴付けられる5-[2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) (NRC-1111塩基)の結晶形を提供することである:
i) 約9.31、11.06、18.64および20.05 ± 0.2度2-θにピークを有するその粉末X-線回折図形。
ii) 図-1に示す粉末X-線回折パターン。
【0025】
本発明の別の目的は、以下によって特徴付けられる5-[3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) (NRC-1109塩基)の結晶形を提供することである:
i) 約8.76、9.45、16.87、18.39および19.50 ± 0.2度2-θにピークを有するその粉末X-線回折図形。
ii) 図-3に示す粉末X-線回折パターン。
【0026】
本発明の別の目的は、以下によって特徴付けられる5-[2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) 2メタンスルホン酸塩 水和物(NRC-1111)の結晶形を提供することである:
i) 約6.19、15.11、18.40、18.65、21.60、22.56および25.13 ± 0.2度2-θにピークを有するその粉末X-線回折図形。
ii) 図-5に示す粉末X-線回折パターン。
【0027】
本発明の別の目的は、以下によって特徴付けられる5-[3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) 2メタンスルホン酸塩 水和物(NRC-1109)の結晶形を提供することである:
i) 約7.67、10.69、18.39、19.58、21.93および25.83 ± 0.2度2-θにピークを有するその粉末X-線回折図形。
ii) 図-7に示す粉末X-線回折パターン。
【0028】
本発明の別の目的は、以下の工程を含む、5-[2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン) 2メタンスルホン酸塩 水和物(NRC-1111)の結晶形の調製のためのプロセスを提供することである:
a) DM水を5-[2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン(NRC-1111塩基)に添加する工程、
b) 反応混合物を90-100oCに加熱する工程、
c) 反応混合物を冷却し、そしてメタノールを添加する工程、
d) メタノール中に希釈したメタンスルホン酸を反応混合物に添加する工程、
e) 塊を攪拌しそして濾過し、NRC-1111 2メタンスルホン酸塩 水和物の結晶形を得る工程。
【0029】
5-ブロモ-7-(4-モルホリニル)-チエノ[2,3-c]ピリジンの調製のためのステージ-VIにおいて、5,7-ジブロモチエノ[2,3-c]ピリジン(ステージ-V)に対するモルホリンのモル数、メタクリル酸は、2.0-3.0の範囲、好ましくは2.25-2.50モルの範囲であり得る。ステージ-Vに対する炭酸カリウムのモル数は、2.0-4.0の範囲、好ましくは2.0-3.0の範囲であり得る。反応のための好ましい溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0030】
5-ブロモ-7-(4-モルホリニル)-チエノ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキシアルデヒドの調製のためのステージ-VIIにおいて、ヘキサン中0.7M トリn-ブチルリチウムマグネサイトのモルは、0.9-1.3の範囲、好ましくは1.1-1.2モルの範囲であり得る。ジメチルホルムアミドのモルは、1.8-2.2の範囲、好ましくは1.9-2.1モルであり得る。反応のための好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)である。あるいは、ステージ-VIは、臭化イソプロピルマグネシウム(THF中1.5M)、n-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M)試薬を用いて調製され得る。
【0031】
5-ブロモ-2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)-チエノ[2,3-c]ピリジンの調製のためのステージ-VIIIにおいて、1-メタンスルホニルピペラジンのモル数は、1.4 - 1.8の範囲、好ましくは1.2 - 1.6の範囲であり得る。オルトギ酸トリメチルのモル数は、14-18モルの範囲、好ましくは15-17の範囲であり得る。2-ピコリンボラン錯体のモル数は、2.5-3.5モルの範囲、好ましくは2.8-3.2の範囲であり得る。
【0032】
5-[2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]-2-ピリミジンアミン(NRC-1111塩基)の調製のためのステージ-IXにおいて、ジクロロメタンと錯体化した[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム (II)のモル数は、0.01~0.05モルの範囲、好ましくは0.05モルであり得る。反応のための塩基は、リン酸カリウム、酢酸カリウムまたは炭酸カリウムから選ばれ得る。好ましくはリン酸カリウムである。
【0033】
5-[2-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-7-(4-モルホリニル)チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]-2-ピリミジンアミン 2メシル酸塩 水和物の調製のためのステージ-Xにおいて、対応する塩基は水と還流されて水和物を与え、続いてメタンスルホン酸で処理されて2メシル酸塩 水和物を与える。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図面の簡単な説明:
図1図1: NRC-1111塩基結晶形の特徴的なPXRDパターンを説明する。
図2図2: NRC-1111塩基結晶形のDSCサーモグラムを説明する。
図3図3: NRC-1109塩基結晶形の特徴的なPXRDパターンを説明する。
図4図4: NRC-1109塩基結晶形のDSCサーモグラムを説明する。
図5図5: NRC-1111 2メシル酸塩 水和物結晶形の特徴的なPXRDパターンを説明する。
図6図6: NRC-1111 2メシル酸塩 水和物結晶形のDSCサーモグラムを説明する。
図7図7: NRC-1109 2メシル酸塩 水和物結晶形の特徴的なPXRDパターンを説明する。
図8図8: NRC-1109 2メシル酸塩 水和物結晶形のDSCサーモグラムを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
分析のPXRD方法:
NRC-1111およびNRC-1109ならびにその塩の結晶形のPXRD分析は、Panlytical Expert Pro DY3248 X-線粉末回折計を用いて、10波長1.5406ÅのCu-Ka放射線を用いた0.03°/minの連続走査速度で行われた。
【0036】
発明の詳細は、以下に提供される実施例に与えられ、これらは例示目的のみで提供され、従って、これらの実施例は発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0037】
実施例:
実施例-1:ステージ-VIの化合物[ここでR=H]の調製のためのプロセス:
【0038】
【化7】
【0039】
ジメチルホルムアミド 425 mlおよび5,7-ジブロモチエノ[2,3-c]ピリジン 85.0 (0.2901 mol)を25-35℃で充填し、そして5-10分攪拌する。炭酸カリウム 100.22g (0.7252 mol)、続いてモルホリン 63.16g (0.7252 mol)を25-35℃で充填する。塊の温度を2hrsで100-110℃に上げる。反応の塊をRTまで冷やし、そして反応の塊を濾過する。湿ったケーキをメタノールで洗い、そして濾液を20-25℃でDM水 2975 mlに充填し、そして30分攪拌する。固体を濾過し、そしてメタノールで洗い、薄茶色固体 80.55g (92.78%)を98.11% HPLC純度で得る。
【0040】
実施例-2:ステージ-VIの化合物[ここでR=CH3]の調製のためのプロセス:
N,N-ジメチルホルムアミド (625 ml)および5,7-ジブロモ 3-メチルチエノ[2,3-c]ピリジン 125g (0.4071 mol)を25-35℃で充填し、そして5-10分攪拌する。炭酸カリウム 168.81 g (1.221 mol)、続いてモルホリン 106.42 g (1.221 mol)を25-35℃で充填する。塊の温度を2時間で110-115℃に上げる。反応の塊をRTまで冷やし、そして反応の塊を濾過する。湿ったケーキをメタノールで洗う。濾液を20-25℃でDM水 2975 mlに充填し、そして90分攪拌する。固体を濾過し、そしてメタノールで洗い、薄茶色固体 120.01g (94.11%)を98.68% HPLC純度で得る。
【0041】
実施例-3:ステージ-VIIの化合物[ここでR=H]の調製のためのプロセス:
【0042】
【化8】
【0043】
乾燥テトラヒドロフラン 440 mlおよび4-(5-ブロモチエノ[2,3-c]ピリジン-7-イル)モルホリン 44.0g (0.147 mol)を25-35℃で充填する。塊の温度を-60°~-70℃に冷やし、そしてトリn-ブチルリチウムマグネサイト(ヘキサン中0.7M) 234.34 ml (0.1617 mol)を充填する。反応の塊を90分攪拌し、乾燥ジメチルホルムアミド 21.48 g (0.294 mol)を充填し、そして90分攪拌する。塊の温度を0-5℃に上げ、そして45分攪拌する。2N HClを0-5℃で反応の塊に充填し、そして15分攪拌する。酢酸エチルで抽出し、そして10%塩化ナトリウム溶液で洗う。有機層を留去し、そしてイソプロピルエーテルおよびテトラヒドロフラン混合物を残渣に充填する。塊の温度を55-60℃に上げ、塊をRTにし、そしてヘキサンを反応の塊に充填する。固体を濾過し、そしてヘキサンで洗い、黄色固体 25.42 g (52.48%)を99% HPLC純度で得る。
【0044】
実施例-4:ステージ-VIIの化合物[ここでR=H]の調製のための別のプロセス:
乾燥テトラヒドロフラン 200 mlおよび4-(5-ブロモチエノ[2,3-c]ピリジン-7-イル)モルホリン 20g (0.0668 molを25-35℃で充填する。塊の温度を-60°~-70℃に冷やし、そして臭化イソプロピルマグネシウム(THF中1.5M in) 24.96 ml (0.0367 mol)、続いてn-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M) 45.95 ml (0.0735 mol)を充填する。反応の塊を90分攪拌し、乾燥ジメチルホルムアミド 9.76 g (0.1336 mol)を充填し、そして90分攪拌する。塊の温度を0-10℃に上げ、そして45分攪拌する。2N HClを反応の塊に0-10℃で充填し、そして15分攪拌する。酢酸エチルで抽出し、そして10%塩化ナトリウム溶液で洗う。有機層を留去し、そしてイソプロピルエーテルおよびテトラヒドロフラン混合物を残渣に充填する。塊の温度を55-60℃に上げ、塊をRTにし、そしてヘキサンを反応の塊に充填する。固体を濾過し、そしてヘキサンで洗い、黄色固体 16.02 g (73.25%)を98.8% HPLC純度で得る。
【0045】
実施例-5:ステージ-VIIの化合物[ここでR=CH3]の調製のためのプロセス:
乾燥テトラヒドロフラン 2200 mlおよび4-(5-ブロモ-3-メチルチエノ-[2,3-c]ピリジン-7-イル)-モルホリン 110g (0.3512 mol)を25-35℃で充填する。塊の温度を-65°~-71℃に冷やし、そしてトリn-ブチルリチウムマグネサイト(ヘキサン中0.7M) 451.52 ml (0.3161 mol)をゆっくりと充填する。反応の塊を30分攪拌し、乾燥N,N-ジメチルホルムアミド 54.62 ml (0.7024 mol)をゆっくりと充填し、そして120分攪拌する。塊の温度を-15~-25℃に上げ、そして-15~-25℃で2N HCl 2200 mlを反応の塊にクエンチし、そして15分攪拌する。ジクロロメタンで抽出し、そして有機層をDM水で洗う。有機層を留去し、メタノールを残渣に充填し、そして黄色固体を濾過する。収量: 97.8% HPLC純度で75.6 g (63%)。
【0046】
実施例-6:ステージ-VIIの化合物[R=CH3]の調製のための別のプロセス:
乾燥テトラヒドロフラン 500 mlおよび4-(5-ブロモチエノ[2,3-c]ピリジン-7-イル)モルホリン 50g (0.159 mol)を25-35℃で充填する。塊の温度を-60°~-70℃に冷やし、そして臭化イソプロピルマグネシウム(THF中1.5M) 70.69 g (0.087 mol)、続いてn-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M) 52.5g (0.175 mol)を充填する。反応の塊を90分攪拌し、乾燥ジメチルホルムアミド 23.3 g (0.319 mol)を充填し、そして90分攪拌する。塊の温度を0-10℃に上げ、そして45分攪拌する。2N HClを0-10℃で反応の塊に充填し、そして15分攪拌する。酢酸エチルで抽出し、そして10%塩化ナトリウム溶液で洗う。有機層を留去し、そしてイソプロピルエーテルおよびテトラヒドロフラン混合物を残渣に充填する。塊の温度を55-60℃に上げ、塊をRTにし、そしてヘキサンを反応の塊に充填する。固体を濾過し、そしてヘキサンで洗い、黄色固体 35.4 g (65%)を98.10% HPLC純度で得る。
【0047】
実施例-7:ステージ-VIIIの化合物[R=H]の調製のためのプロセス:
【0048】
【化9】
【0049】
メタノール 650 mlおよび5-ブロモ-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-2-カルバルデヒド 65 g (0.1986 mol)を25-35℃で充填する。1-メタンスルホニルピペラジン 52.19 g (0.3178)、続いてオルトギ酸トリメチル 316.07 g (2.979 mol)および酢酸 11.90g (0.1986 mol)を充填し、そして55-60 ℃で4時間攪拌する。2-ピコリンボラン錯体 63.72g (0.5958)をTHF 130 mlに溶解し、そして反応の塊に55-60℃で充填し、そして3時間攪拌する。塊をRTに冷やし、そして反応の塊を濾過し、そしてメタノールで洗う。975.0 ml ジクロロメタンおよび粗固体、続いて濃HCl 39.65 mlを25-30℃で充填する。温度を還流に上げ、そして30分維持し、RTにし、そして濾過する。湿った化合物をDM水に充填し、そして25-30℃にてアンモニア水でPH 9-10に中和する。固体を濾過し、そしてDM水で洗い、55-60℃で乾燥し、黄色化合物 77.24g (81.8%)を99.4% HPLC純度で得る。
【0050】
実施例-8:ステージ-VIIIの化合物[R=CH3]の調製のためのプロセス:
メタノール 1200 mlおよび5-ブロモ-3-メチル-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン 60 g (0.1758 mol)を25-35℃で充填する。1-メタンスルホニルピペラジン 46.20 g (0.281 mol)、続いてオルトギ酸トリメチル 279.87 g (2.637 mol)および酢酸 10.55g (0.1758 mol)を充填し、そして60-65 ℃で4時間攪拌する。2-ピコリンボラン錯体 56.43g (0.528)をTHF 120 mlに溶解し、そして反応の塊に60-65℃でゆっくりと充填し、そして3時間攪拌する。塊をRTに冷やし、そして反応の塊を濾過し、そしてメタノールで洗う。975 ml ジクロロメタンおよび粗固体、続いて濃HCl 39.65 mlを25-30℃で充填する。温度を還流に上げ、そして30分維持し、RTにし、そして濾過する。湿った化合物をDM水に充填し、そして25-30℃にてアンモニア水でPH 9-10に中和する。固体を濾過し、そしてDM水で洗い、55-60℃で乾燥し、黄色化合物 63.84g (74.2%)を98.5% HPLC純度で得る。
【0051】
実施例-9:ステージ-IXの化合物[ここでR=H]の調製のためのプロセス:
【0052】
【化10】
【0053】
リン酸カリウム 64.31g (0.303 mol)、DM水 86.4 mlおよびテトラヒドロフラン 720 mlを充填し、そして窒素雰囲気下、25-30℃で60分脱気する。4-[5-ブロモ-2[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]チエノ[2,3-c]ピリジン-7-イル]モルホリン 72 g (0.1515)および2-アミノピリミジン-5-ボロン酸ピナコールエステル 40.18 g (0.1818 mol)を充填し、窒素雰囲気下、25-30℃で45分脱気する。ジクロロメタン 6.186 (0.00757 mol)と錯体化した[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム (II)を反応の塊に充填し、そして窒素雰囲気下、25-30℃で10分脱気する。塊の温度を窒素雰囲気下、5時間で60-65℃に上げる。反応混合物をRTに冷やし、そしてDM水 720 mlを充填し、そして固体を濾過し、DM水で洗う。粗固体を酸-塩基精製方法によって精製し、53.09g (71.5%)を99.8% HPLC純度で得る。XRDおよびDSCを図1および2に示す。
【0054】
実施例-10:ステージ-IXの化合物[R=CH3]の調製のためのプロセス:
リン酸カリウム 47.71g (0.2247 mol)、DM水 66 mlおよびテトラヒドロフラン 550 mlを充填し、そして窒素雰囲気下、25-30℃で60分脱気する。4-[5-ブロモ 3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]チエノ[2,3-c]ピリジン-7-イル]モルホリン 55g (0.1123)および2-アミノピリミジン-5-ボロン酸ピナコールエステル 29.81 g (0.1348 mol)を充填し、窒素雰囲気下、25-30℃で45分脱気する。ジクロロメタン 4.59g (0.00562 mol)と錯体化した[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム (II)を反応の塊に充填し、そして窒素雰囲気下、25-30℃で10分脱気する。塊の温度を窒素雰囲気下、5時間で60-65℃に上げる。反応混合物をRTに冷やし、そして濾過する。粗固体を酸-塩基精製方法によって精製し、43.1g (76.2%)を99.81% HPLC純度で得る。XRDおよびDSCを図3および4に示す。
【0055】
実施例-11:ステージ-Xの化合物[ここでR=H]の調製のためのプロセス:
【0056】
【化11】
【0057】
DM水 350 mlおよび5-[2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン 140 g(0.285 mol)を25-30℃で充填し、5-10分攪拌する。反応の塊の温度を1時間で90-100℃に上げる。反応の塊をRTに冷やし、そして2時間攪拌する。メタノール 2800 mlを25-30℃で充填し、そして5-10分攪拌する。メタノール 420 ml中に希釈したメタンスルホン酸 109.92 (1.143 mol)を反応の塊に25-30℃で充填する。反応の塊を2時間攪拌し、そして反応の塊を濾過し、そしてメタノール 140 mlで洗い、5-[2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7-モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン 2メシル酸塩 水和物 208.87g (1.5% w/w)を99.9 % HPLC純度で得、HPLCによるアッセイは101.4% w/wである。カール-フィッシャーによる含水量: 10%; XRDおよびDSCを図5および6に示す。
【0058】
実施例-12:ステージ-Xの化合物[R=CH3]の調製のためのプロセス:
メタノール 750 mlおよび5-[3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7 モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン 30 g (0.0595 mol)およびDM水 2.41g (0.119 mol)を25-30℃で充填し、5-10分攪拌する。メタノール 150 ml中に希釈したメタンスルホン酸 14.31g (0.1489 mol)を反応の塊に25-30℃で充填する。反応の塊の温度を1時間で60-65℃に上げる。反応の塊を45℃で濾過し、そしてメタノール 300 mlで洗い、5-[3-メチル-2-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]-7 モルホリノ-チエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル]ピリミジン-2-アミン 2メシル酸塩 水和物 37.93g (1.26% w/w)を99.8 % HPLC純度で得る; HPLCによるアッセイは100.0% w/wである。カール-フィッシャーによる含水量: 5%; XRDおよびDSCを図7および8に示す。
【0059】
本発明の利点:
1.複数キログラムスケールのレベルにおける安定化。
2.高い収率(約~20%の全収率)のプロセス。
3.高純度(99.8%)のNRC-1111 2メシル酸塩 水和物およびNRC-1109 2メシル酸塩 水和物が得られる。
4.単純かつ工業的に適用できるプロセス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】