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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】GPR35アゴニスト化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 257/04 20060101AFI20240412BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20240412BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20240412BHJP
   C07D 403/10 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 31/41 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 31/416 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
C07D257/04 C CSP
C07D401/04
C07D401/10
C07D403/10
A61K31/501
A61K31/41
A61K31/4439
A61K31/416
A61P37/08
A61P29/00
A61P37/02
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/16
A61P11/06
A61P11/00
A61P25/04
A61P13/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565140
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 IB2022053772
(87)【国際公開番号】W WO2022224212
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】2105846.6
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514120896
【氏名又は名称】ヘプタレス セラピューティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Heptares Therapeutics Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コングリーヴ,マイルズ スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】スウェイン,ナイジェル アラン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジャイルズ アルバート
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトハースト,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】フラナガン,ニール ジョン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB01
4C063BB06
4C063CC47
4C063DD12
4C063DD22
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC62
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA61
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB13
(57)【要約】
本開示は、式(1)の新規の化合物
【化1】
及びその塩及びその任意の互変異性体(式中、X、R1及びR2は本明細書に記載されているとおりである)、並びにGPR35受容体に関連する障害を処置、予防、改善、制御、又はそのリスクを低減するためのそれらの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物
【化1】
又はその塩若しくはその互変異性体
(式中、XはN又はCHであり、
R1はH又はハロであり、
R2はH、ハロ、場合により置換されているC1~6アルキル、場合により置換されているC3~6シクロアルキル、場合により置換されているC1~6アルコキシ、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているO-アリールである)。
【請求項2】
XがCHである、請求項1に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項3】
XがNである、請求項1に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項4】
R1がHである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項5】
R1がCl又はFである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項6】
式(2a)又は(2b)の化合物
【化2】
である、請求項1に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項7】
R2がH、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキル、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC3~6シクロアルキル、又は場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルコキシである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項8】
R2がH、トリフルオロメチル、エチル、シクロプロピル、シクロヘキシル、又はメトキシである、請求項7に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項9】
R2が、場合によりR3で置換されているフェニル、場合によりR3で置換されているピリジル、場合によりR3で置換されているO-フェニル、場合によりR3で置換されているインダゾリル、又は場合によりR3で置換されているピリダジニルであり、R3がH、ハロ、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキル、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC3~6シクロアルキル、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルコキシ、-CO2R4、-CONHCH2R4、-CONHCH2CH2OR4、-OR4、-OCH2R4、-CH2R4、-OCH2R4、-CH2CH2OR4、-OCH2CH2OR4、-CONHR4又は-CON(CH3)R4であり、
R4がH、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1-6アルキル、又は基:
【化3】
であり、
R5、R6及びR7が独立してH、ハロ、CO2R8、CONR8R9、又は場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキルであり、C1~6アルキル基の1つ又は2つの炭素原子が場合によりOにより置き換えられていてもよく、
R8及びR9が独立してH又は場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキルである、
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項10】
R3がOMe、CO2H、CO2Et、CON(CH3)2、CONHCH2CH2OCH3、又は
【化4】
からなる群から選択される、請求項9に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項11】
式(3a)、(3b)、(3c)、(3d)又は(3e)の化合物
【化5】
である、請求項9又は10に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項12】
式(4a)、(4b)、(4c)、(4d)又は(4e)の化合物
【化6】
である、請求項9又は10に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項13】
R2が、
【化7】
からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項14】
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((5-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
エチル3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキシレート;
N-ベンジル-3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド;
N-ベンジル-3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド;
3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N-(2-メトキシエチル)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド;
3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)ベンジル)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド;
3-ヒドロキシ-4-((3'-メトキシ-5-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-エチル-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボン酸;
3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド;
3-((4-フルオロ-3-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((4-クロロ-3-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((5-(1H-テトラゾール-5-イル)-4'-(トリフルオロメチル)-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(6-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-ヒドロキシ-4-((6-メトキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-ヒドロキシ-4-((6-フェニル-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(2-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-2H-インダゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(6-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ピリジン-3-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(2-ベンジル-2H-インダゾール-5-イル)-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-ヒドロキシ-4-((6-フェノキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(2-(2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エチル)-2H-インダゾール-6-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-シクロプロピル-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-インダゾール-5-イル)-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(6-(2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)エトキシ)ピリジン-3-イル)-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(6-(2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エトキシ)ピリジン-3-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-シクロヘキシル-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-ヒドロキシ-4-((3-(ピリダジン-4-イル)-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N,N-ジメチル-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド;
N-(4-カルバモイルベンジル)-3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、又はその塩若しくはその互変異性体。
【請求項15】
薬学的に許容可能な塩である、請求項1から14のいずれか一項に記載の塩。
【請求項16】
化合物が、
【化8】
である、請求項1に記載の化合物若しくは塩、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項17】
化合物が、
【化9】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
下記構造:
【化10】
を有するトロメタミン塩である、請求項16に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項19】
治療に使用するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物又は塩、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項21】
マスト細胞障害、急性及び慢性疼痛状態、又は消化管系及び肺の両方におけるアレルギー性若しくは炎症性疾患に関連する疾患の処置に使用するための、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物、塩、又は組成物。
【請求項22】
消化管障害若しくは病患、消化管の疾患若しくは他の内臓の病患に関連する痛みの症状、又は肺の疾患若しくは病患の処置に使用するための、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物、塩、又は組成物。
【請求項23】
消化管障害又は病患が、食物アレルギー、食物不耐症及びアレルギー性障害、セリアック病、全身性マスト細胞症及び他のマスト細胞関連障害に関連する消化管症状(マスト細胞活性化症候群、クローン性マスト細胞障害、モノクローン性マスト細胞活性化症候群、特発性蕁麻疹、特発性アナフィラキシー)、肥満細胞性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化管運動性障害、機能性消化管障害、胃食道逆流症(GERD)、十二指腸胃液逆流、下痢疾患、好酸球性胃腸炎、好酸球性食道炎、感染性下痢(例えばクロストリジウム・ディフィシル、サルモネラ、赤痢菌毒素)、顕微鏡的大腸炎、免疫介在性消化管疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、及び内臓腹痛からなる群から選択される、請求項20に記載の使用のための化合物、塩、又は組成物。
【請求項24】
痛みの症状が、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、放射線大腸炎、放射線膀胱炎、セリアック病、グルテン性腸症、放射線膀胱炎、間質性膀胱炎、膀胱痛症候群、癌、胃食道逆流症、化学療法粘膜炎及び放射線療法粘膜炎、膵炎、前立腺炎、骨盤痛、子宮内膜症、肝炎、肝線維症及び肝硬変からなる群から選択される消化管疾患又は他の内臓の病患に関連する、請求項20に記載の使用のための化合物、塩、又は組成物。
【請求項25】
肺の疾患又は病患が、慢性閉塞性肺疾患、喘息、慢性気管支炎、嚢胞性線維症、肺気腫、慢性特発性咳嗽、過敏性呼吸器疾患、及び特発性肺線維症からなる群から選択される、請求項20に記載の使用のための化合物、塩、又は組成物。
【請求項26】
請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物、塩、又は組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、請求項21から25のいずれか一項に記載の、それらを必要とする対象の疾患、病患、又は障害を処置する方法。
【請求項27】
対象がヒトである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
塩が結晶形態である、請求項18に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項29】
水和物である、請求項28に記載の結晶形態。
【請求項30】
図1に実質的に従ったXRPDパターンを有する、請求項29に記載の結晶形態。
【請求項31】
CuKα放射線を使用して測定した場合の回折角度が3.9±0.2、7.7±0.2、10.0±0.2、及び15.8±0.2°2θを含むXRPDパターンを有する、請求項29に記載の結晶形態。
【請求項32】
図4に実質的に従ったXRPDパターンを有する、請求項29に記載の結晶形態。
【請求項33】
CuKα放射線を使用して測定した場合の回折角度が4.4±0.2、14.4±0.2、及び23.9±0.2°2θを含むXRPDパターンを有する、請求項29に記載の結晶形態。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、化合物及びGタンパク質共役型受容体35(GPR35)受容体アゴニストとしてのそれらの使用に関する。本明細書に記載された化合物は、GPR35受容体が関与する疾患の処置又は予防に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
GPR35は7回膜貫通型ドメインGタンパク質共役型受容体(GPCR)のファミリーに属するオーファン受容体である。GPCRスーパーファミリーは、ヒトの生理学の様々な特徴の制御に重要な役割を果たすシグナル伝達物質の大きなファミリーを代表する。それらの薬理学的な追従性のため、これらの受容体は潜在的な薬剤標的として集中的に検討されてきた。最近の分析は、475を超える薬剤がFDAに承認された薬剤のおよそ34%を代表する108の固有のGPCRに作用することを示してきた。内因性リガンドが未だ同定されていないオーファンGPCRのための新規の薬剤の発見及び開発の機会が依然残されている。
【0003】
GPR35は、309個のアミノ酸のタンパク質をエンコードするオープンリーディングフレームとして初めに発見され、ヒトの染色体2q37.3に局在する(O'Dowd et al. Genomics, 47, 310-3, 1998)。受容体は、高い発現率で組織の範囲内で発現することが示されており、消化管組織、肺及び後根神経節内で報告されている。受容体はまた、免疫細胞内で、並びに組織内、例えば脾臓、骨格筋、及び脊髄内で発現することが見出されている。
【0004】
その発現パターンと一致するように、現在、気道疾患、メタボリックシンドローム(例えば糖尿病)、心臓血管疾患(例えば高血圧症)及び痛みを含む様々な兆候に及ぶGPR35の治療的役割を強調する証拠が相次いでいる。GPR35を標的とするリガンドは、広い範囲のヒトの疾患状態の処置に対する有用性を提示する可能性がある。
【0005】
GPR35の内因性リガンドのアイデンティティーは未だ議論が交わされており、現在まで、2-アシルリゾホスファチジン酸、CXCL17及びキヌレン酸を含むいくつかの推定上のリガンドが表現されてきた。報告されたリガンドの多くは、受容体で弱い活性しか示さず、又は生物学的特異性の欠如を表し、内因性リガンドの真のアイデンティティーに対する疑問を投じている。
【0006】
広範囲の合成アゴニストは、ザプリナスト、パモ酸、クロモリン、ループ利尿薬(ブメタニド、フロセミド)、アスピリン代謝物、ケルセチン、ジクマロールを含むGPR35で作用することが報告されている。加えて、弱いアゴニスト活性もまた、炎症性腸疾患の処置において広く用いられている抗炎症剤スルファサラジン及び5-アミノサリチル酸と共に報告されている(EC50がおよそ3uM)(米国特許出願公開第US2013/0316985号)。
【0007】
チロシンキナーゼクラスの化合物である、チルホスチン(チルホスチン-51)並びにカテコール-O-メチル転移酵素(COMT)阻害剤、エンタカポンもまた、GPR35リガンドクラスの多様性を強調する受容体で作用することが報告されている。ヒトの疾患におけるGPR35の関与可能性のため、効能が高く、GPR35に対する選択性を示すリガンドの開発に対する関心が高まっている。GPR35バイオロジーの解明は、十分な薬理学的ツールの利用可能性により幾分妨げられていた。確かに、確認されたGPR35アゴニスト(内因性及び合成性)の多くは、GPR35において弱い、又は部分的な活性しか示さず、標的特異性が欠如しており、経路の分析(dissection of the pathway)を困難にしている。さらに、いくつかの化合物は、種選択性、及び場合によってはリガンドバイアスを表すことが明らかとなった。推定上の内因性リガンドキヌレン酸は、そのような例の1つであり、ヒトの受容体における効力がラットのオルソログと比較して少なくとも100倍低いと報告されている(Jenkins et al. Br J Pharmacol 162, 733-748, 2011)。したがって、強力で、選択性のあるGPR35アゴニスト及びアンタゴニストは、この受容体の生理学的役割を解明するために必要とされている。
【0008】
より最近では、ゲノムワイド関連解析(GWAS)は、炎症性腸疾患(IBD)と関連付けられたGPR35の一塩基多型(SNP)を同定した。2つのSNPが表現され、そのうちの1つは、第3の膜貫通型ドメイン内のT108M置換をエンコードする非同義SNP(rs3749171)である(Ellinghaus et al. Hepatology 58, 1074-1083, 2013)。この残基は哺乳類全体に保存されておらず、シグナル伝達における多型の影響は、まだ解明の余地がある。GPR35遺伝子座(rs4676410)における第2の多型は、GPR35の上流イントロンバリアントをエンコードする。4つの大きなリアルワールドデータコホート(real world datacohorts)を使用したフェノムワイド関連解析は、以前の検討において既に報告された標的疾患リンク(target-disease links)を裏付けるIBD表現型と、この遺伝的変異体(rs4676410)との関連性を実証した(Diogo et al. Nat Commun 9, 4285, 2018)。IBDにおけるGPR35多型の報告された関連性は、消化管疾患の処置のためのGPR35の潜在的な治療的役割への関心を高めている。
【0009】
炎症性腸疾患は、通常、回腸及び/又は結腸が関与する慢性再発性炎症性消化管障害である。疾患生理学は、異常な腸の免疫反応が関与し、粘膜炎症、腸管バリア欠損(defective intestinal barrier)及びGI透過性の向上につながると考えられている。処置戦略は、化学物質、例えばアミノサリチル酸塩、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物製剤(例えば抗TNF)及び抗生物質を組み合わせた使用を通じた段階的なアプローチが大きく関与するが、多くの患者は疾患が完全に抑制されておらず、高く待ち望まれていることが強調されている。特に、処置が不足しており、認識が不足したままである1つの特徴は腹痛である。痛みは、疾患経過の間にIBD患者の大部分により経験されている通常の症状であり、腸の炎症の直接的又は間接的な結果に起因し得る。原因が何であろうと、痛みはIBD患者の生活の質に悪影響を及ぼす。現在までに、IBD関連の腹痛の管理には課題が残っている。通常使用される鎮痛薬、例えば非ステロイド系の抗炎症剤(NSAID)は多くの場合、症状を悪化させ、患者に限られた処置の選択肢を残すこととなる。したがって、疼痛発症の早急な緩和をもたらすことができる化学物質が高く待ち望まれており、新規の薬剤の開発が至急で必要とされている。
【0010】
臨床前の検討において、GPR35突然変異体マウスは、野生型マウスと比較して、化学損傷の後に高度の結腸上皮損傷を表す。GPR35ノックアウトマウスは、炎症性の発現及びサイトカイン再構築(remodelling cytokines)の増加を表すが、粘膜内の炎症性細胞流入の数は全体的な差を示さない(Farooq et al. Digestive Diseases and Sciences, 63, 2910-22, 2018)。バリア恒常性におけるGRP35の役割もまた、化学物質、例えばいくつかの腸感作モデルにおけるGI透過性を低下させる能力を示すクロモグリク酸ナトリウムと共に報告されている(Forbes et al. J Exp Med 205: 897-913, 2008; Yokooji et al. Int Arch Allergy Immunol. 167:193-202, 2015)。これらの知見と一致するように、GPR35は、in vitro実験検討において、タイトジャンクションタンパク質を制限し、上皮細胞移動を促進させる役割を果たすことが示されている。最終的に、GPR35は、侵害受容イオンチャネルと共局在化し、痛みのプロセスに役割を果たすことが示されている、後根神経節(DRG)神経細胞内で豊富に発現する(Ohshiro et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 365, 344-8, 2008)。バリア防御に対する報告された効果に加え、クロモリンはストレス敏感性ラット系統の内臓過敏症を低減させ(Carroll et al. PLoS One.8:e84718, 2013)、痛みの処置におけるその潜在的な有用性を強調する。
【0011】
クロモグリク酸ナトリウムは、全身性マスト細胞症、アレルギー性鼻炎及び喘息の予防法、アレルギー性結膜炎及び(食事制限と共に)食物アレルギーを含む範囲の兆候に認められているマスト細胞安定化剤である。全身性マスト細胞症におけるクロモグリケートの使用は、下痢、顔面紅潮、頭痛、嘔吐、蕁麻疹及び腹痛の改善をもたらすことが報告されている。食物アレルギーにおけるクロモグリク酸ナトリウムの効果を評価するトライアルは、入り交じった結果を報告しており、しかも防御を与えるためには高用量が通常必要とされる。最大2g/日の用量は、食物アレルギーに起因する過敏性腸症候群を有する患者におけるGI症状の重症度を下げるのに有効であることが示された(Lunardi et al. Clin Exp Allergy. 21:569-72, 1991)。消化管透過性エンドポイント(endpoint)における乳アレルギーを有する子供において、同様の知見が報告されている。
【0012】
消化管障害に加え、GPR35は、喘息を含むアレルギー性障害の処置のための標的として関心を寄せられていた。肺において、クロモリンは良好な安全性及び忍容性プロファイルを有する有効喘息療法として長く使用されてきたが、最適でない薬物動態学と一体である。薬剤のおおよそ5~12%が気道内沈着の後に吸収されていると推測されており、より最近では、肺内の顕著に高い薬剤沈着を達成するクロモリンの改善された製剤が開発された(PA101)。
【0013】
臨床的に、クロモリンは、アレルゲンチャレンジの後の即時性喘息反応及び遅発性喘息反応を抑制する効能を示す。フェーズII概念実証トライアルにおいて、PA101は、特発性肺線維症を有する患者の咳嗽頻度を低減する効能を実証した。GPR35mRNAは、IgE抗体を用いたチャレンジに応答して上方制御され、クロモリンは、IgE抗体を用いて受動感作したヒトの肺の薄片において、炎症性メディエーター放出を阻害することが報告されている。これらの効果には、マスト細胞安定化及び反射誘発性気管支収縮の制限を含む多くのメカニズムが関与するとみられる。
【0014】
したがって、新たなデータは、マスト細胞障害、急性及び慢性疼痛状態(pain conditions)の処置、及び消化管系及び肺の両方におけるアレルギー性又は炎症性疾患に関連する疾患に及ぶGPR35アゴニストの広範な治療可能性を強調する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、Gタンパク質共役型受容体35(GPR35)受容体アゴニストとしての活性を有する化合物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
簡潔には、一態様において、本発明は、式(1)の化合物:
【0017】
【化1】
又はその塩若しくはその互変異性体
(式中、XはN又はCHであり、
R1はH又はハロであり、
R2はH、ハロ、場合により置換されているC1~6アルキル、場合により置換されているC3~6シクロアルキル、場合により置換されているC1~6アルコキシ、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているO-アリールである)を提供する。
【0018】
化合物は、GPR35受容体アゴニストとして使用することができる。化合物は、医薬品の製造に使用することができる。化合物は、GPR35に関連する障害を処置すること、予防すること、改善すること、制御すること、又はそのリスクを低減することに使用するためのものであってもよい。化合物は、マスト細胞障害、急性及び慢性疼痛状態(pain conditions)、及び消化管系及び肺の両方におけるアレルギー性又は炎症性疾患に関連する疾患の処置に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】化合物Aのトロメタミン塩(水和物I)の結晶形態のX線粉末回折パターンである。
図2】化合物Aのトロメタミン塩(水和物I)の結晶形態の示差走査型熱量計曲線である。
図3】化合物Aのトロメタミン塩(水和物I)の結晶形態の熱重量分析曲線である。
図4】トロメタミン塩(水和物II)の結晶形態のX線粉末回折パターンである。
図5】化合物Aのトロメタミン塩(水和物II)の結晶形態の示差走査型熱量計曲線である。
図6】化合物Aのトロメタミン塩(水和物II)の結晶形態の熱重量分析曲線である。
図7】化合物Aの遊離酸(パターン3)の結晶形態のX線粉末回折パターンである。
図8】化合物Aの遊離酸(パターン3)の結晶形態の熱重量分析曲線である。
図9】化合物Aの遊離酸(パターン1)の結晶形態のX線粉末回折パターンである。
図10】化合物Aの遊離酸(パターン1)の結晶形態の熱重量分析曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、新規の化合物に関する。本発明は、GPR35受容体のアゴニストとしての新規の化合物の使用に関する。本発明はまた、GPR35受容体が関与する疾患の処置又は予防における新規の化合物の使用に関する。本発明はさらに、GPR35受容体アゴニストとして使用するための医薬品の製造における新規の化合物の使用に関する。
【0021】
本発明は、式(1)の化合物
【0022】
【化2】
又はその塩若しくはその互変異性体
(式中、XはN又はCHであり、
R1はH又はハロであり、
R2はH、ハロ、場合により置換されているC1~6アルキル、場合により置換されているC3~6シクロアルキル、場合により置換されているC1~6アルコキシ、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているO-アリールである)を提供する。
【0023】
本明細書の化合物において、XはNであってもよい。XはCHであってもよい。
【0024】
本明細書の化合物において、R1はHであってもよい。R1はハロであってもよい。R1はCl又はFであってもよい。R1はClであってもよい。R1はFであってもよい。R1はBrであってもよい。
【0025】
本明細書の化合物において、R2はHであってもよい。R2はハロであってもよい。R2は場合により置換されているC1~6アルキルであってもよい。R2は場合により置換されているC3~6シクロアルキルであってもよい。R2は場合により置換されているC1~6アルコキシであってもよい。R2は場合により置換されているアリールであってもよい。R2は場合により置換されているヘテロアリールであってもよい。R2は場合により置換されているモノ環状ヘテロアリールであってもよい。R2は場合により置換されている二環式ヘテロアリールであってもよい。R2は場合により置換されているO-アリールであってもよい。
【0026】
R2はH、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキル、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC3~6シクロアルキル、又は場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルコキシであってもよい。R2はH、トリフルオロメチル、エチル、シクロプロピル、シクロヘキシル、又はメトキシであってもよい。
【0027】
R2は場合によりR3で置換されているフェニル、場合によりR3で置換されているピリジル、場合によりR3で置換されているO-フェニル、場合によりR3で置換されているインダゾリル、又は場合によりR3で置換されているピリダジニルであってもよく、R3はH、ハロ、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキル、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC3~6シクロアルキル、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルコキシ、-CO2R4、-CONHCH2R4、-CONHCH2CH2OR4、-OR4、-OCH2R4、-CH2R4、-OCH2R4、-CH2CH2OR4、-OCH2CH2OR4、-CONHR4又は-CON(CH3)R4であり、R4はH、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキル、又は基:
【0028】
【化3】
であり、R5、R6及びR7は独立してH、ハロ、CO2R8、CONR8R9、又は場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキルであり、C1~6アルキル基の1つ又は2つの炭素原子は場合によりOにより置き換えられていてもよく、
R8及びR9は独立してH又は場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキルである。
【0029】
R2は場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているO-アリールであってもよく、任意の置換基はR3である。
【0030】
R2は場合により置換されているアリール、場合により置換されているO-アリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されている単環式ヘテロアリール、又は場合により置換されている二環式ヘテロアリールであってもよく、任意の置換基はR3である。
【0031】
R2は場合によりR3で置換されているフェニル、場合によりR3で置換されているピリジル、場合によりR3で置換されているO-フェニル、場合によりR3で置換されているインダゾリル、又は場合によりR3で置換されているピリダジニルであってもよい。
【0032】
R3はH、ハロ、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキル、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC3~6シクロアルキル、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルコキシ、-CO2R4、-CONHCH2R4、-CONHCH2CH2OR4、-OR4、-OCH2R4、-CH2R4、-OCH2R4、-CH2CH2OR4、-OCH2CH2OR4、-CONHR4又は-CON(CH3)R4であってもよく、
R4はH、場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキル、又は基:
【0033】
【化4】
であり、R5、R6及びR7は独立してH、ハロ、CO2R8、CONR8R9、又は場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキルであり、C1~6アルキル基の1つ又は2つの炭素原子は場合によりOにより置き換えられていてもよく、
R8及びR9は独立してH又は場合により1つから6つのフッ素原子で置換されているC1~6アルキルである。
【0034】
本明細書の化合物において、R4はH、メチル、又は
【0035】
【化5】
からなる群から選択されてもよい。本明細書の化合物において、R5、R6及びR7は、独立してH、CF3、CONH2又は-OCH2CH2OCH3であってもよい。
【0036】
本明細書の化合物において、R8及びR9は、独立してH又はメチルであってもよい。R3は、OMe、CO2H、CO2Et、CON(CH3)2、CONHCH2CH2OCH3、又は
【0037】
【化6】
からなる群から選択されてもよい。
【0038】
本明細書の化合物においてR2は、
【0039】
【化7】
からなる群から選択されてもよい。
【0040】
化合物は式(1a)又は(1b)の化合物
【0041】
【化8】
又はその塩若しくはその互変異性体であってもよく、R1及びR2は上記で規定されたとおりである。
【0042】
いくつかの実施形態において、化合物は式(1a)の化合物
【0043】
【化9】
又はその塩若しくはその互変異性体であってもよく、R1及びR2は上記で規定されたとおりである。
【0044】
化合物は式(2a)又は(2b)の化合物:
【0045】
【化10】
又はその塩若しくはその互変異性体であってもよく、R2は上記で規定されたとおりである。
【0046】
いくつかの実施形態において、化合物は式(2a)の化合物
【0047】
【化11】
又はその塩若しくはその互変異性体であってもよく、R2は上記で規定されたとおりである。
【0048】
化合物は式(3a)、(3b)、(3c)、(3d)又は(3e)の化合物:
【0049】
【化12】
又はその塩若しくはその互変異性体であってもよく、X、R1及びR3は上記で規定されたとおりである。
【0050】
いくつかの実施形態において、化合物は式(3a)の化合物
【0051】
【化13】
又はその塩若しくはその互変異性体であってもよく、X、R1及びR3は上記で規定されたとおりである。
【0052】
化合物は式(4a)、(4b)、(4c)、(4d)又は(4e)の化合物
【0053】
【化14】
【0054】
又はその塩若しくはその互変異性体であってもよく、R3は上記で規定されたとおりである。
【0055】
いくつかの実施形態において、化合物は式(4a)の化合物
【0056】
【化15】
又はその塩若しくはその互変異性体であってもよく、R3は上記で規定されたとおりである。
【0057】
化合物は、
【0058】
【化16】
からなる群から選択されてもよく、又はその塩若しくはその互変異性体であってもよい。
【0059】
化合物は、
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((5-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
エチル3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキシレート;
N-ベンジル-3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド;
N-ベンジル-3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド;
3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N-(2-メトキシエチル)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド;
3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)ベンジル)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド;
3-ヒドロキシ-4-((3'-メトキシ-5-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-エチル-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボン酸;
3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド;
3-((4-フルオロ-3-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((4-クロロ-3-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((5-(1H-テトラゾール-5-イル)-4'-(トリフルオロメチル)-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(6-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-ヒドロキシ-4-((6-メトキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-ヒドロキシ-4-((6-フェニル-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(2-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-2H-インダゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(6-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ピリジン-3-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(2-ベンジル-2H-インダゾール-5-イル)-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-ヒドロキシ-4-((6-フェノキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(2-(2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エチル)-2H-インダゾール-6-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-シクロプロピル-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-インダゾール-5-イル)-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(6-(2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)エトキシ)ピリジン-3-イル)-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(6-(2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エトキシ)ピリジン-3-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-((3-シクロヘキシル-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3-ヒドロキシ-4-((3-(ピリダジン-4-イル)-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン;
3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N,N-ジメチル-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド;
N-(4-カルバモイルベンジル)-3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキサミド
からなる群から選択されてもよく、又はその塩若しくはその互変異性体であってもよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、式(1)の化合物の塩は、薬学的に許容可能な塩である。
【0061】
いくつかの実施形態において、化合物は、下記構造:
【0062】
【化17】
を有する化合物、又はその薬学的に許容可能な塩である。いくつかの実施形態において、化合物は下記構造:
【0063】
【化18】
を有する化合物である。
【0064】
本開示はまた、下記構造:
【0065】
【化19】
を有するトロメタミン塩を提供する。
【0066】
本開示はまた、化合物A又はその薬学的に許容可能な塩の結晶形態を提供する。いくつかの実施形態において、結晶形態は、化合物Aの遊離酸又は化合物Aのトロメタミン塩を含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、結晶形態は、化合物Aのトロメタミン塩を含む。いくつかの実施形態において、結晶性の化合物Aのトロメタミン塩は水和物である。一実施形態において、結晶性の化合物Aのトロメタミン塩は水和物Iである。一実施形態において、結晶性の化合物Aのトロメタミン塩は、図1に実質的に従ったXRPDパターンにより特徴付けられる。一実施形態において、結晶性の化合物Aのトロメタミン塩は、CuKα放射線を使用して測定した場合の回折角度が3.9±0.2、7.7±0.2、10.0±0.2、及び15.8±0.2°2θを含むXRPDパターンにより特徴付けられる。
【0068】
一実施形態において、結晶性の化合物Aのトロメタミン塩は水和物IIである。一実施形態において、結晶性の化合物Aのトロメタミン塩は、図4に実質的に従ったXRPDパターンにより特徴付けられる。一実施形態において、結晶性の化合物Aのトロメタミン塩は、CuKα放射線を使用して測定した場合の回折角度が4.4±0.2、14.4±0.2、及び23.9±0.2°2θを含むXRPDパターンにより特徴付けられる。
【0069】
いくつかの実施形態において、結晶形態は化合物A(遊離酸)を含む。いくつかの実施形態において、結晶性の化合物A(遊離酸)は水和物である。いくつかの実施形態において、結晶性の化合物A(遊離酸)はパターン1である。いくつかの実施形態において、結晶性の化合物A(遊離酸)はパターン3である。
【0070】
一実施形態において、結晶性の化合物Aの遊離酸は、図7に実質的に従ったXRPDパターンにより特徴付けられる。一実施形態において、結晶性の化合物Aの遊離酸は、図9に実質的に従ったXRPDパターンにより特徴付けられる。
【0071】
本明細書に開示された化合物は、治療において使用され得る。本明細書に開示された化合物は、医薬に使用することができる。
【0072】
化合物は、GPR35受容体アゴニストとして使用することができる。化合物は、医薬品の製造に使用することができる。化合物は、GPR35に関連する障害を処置すること、予防すること、改善すること、制御すること、又はそのリスクを低減することに使用するためのものであってもよい。化合物は、マスト細胞障害、急性及び慢性疼痛状態、及び消化管系及び肺の両方におけるアレルギー性又は炎症性疾患に関連する疾患の処置又は予防に使用することができる。
【0073】
化合物は、GPR35受容体に選択的に作用する化学物質を使用しながら消化管障害及び病患を処置するために使用してもよい。これらは、食物アレルギー、食物不耐症及びアレルギー性障害、セリアック病、全身性マスト細胞症及び他のマスト細胞関連障害に関連する消化管症状(マスト細胞活性化症候群、クローン性マスト細胞障害、モノクローン性マスト細胞活性化症候群、特発性蕁麻疹、特発性アナフィラキシー)、肥満細胞性大腸炎(mastocytic colitis)、過敏性腸症候群(IBS)、消化管運動性障害、機能性消化管障害、胃食道逆流症(GERD)、十二指腸胃液逆流、下痢疾患、好酸球性胃腸炎、好酸球性食道炎、感染性下痢(例えばクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、サルモネラ(Salmonella)、赤痢菌毒素(Shigella toxin))、顕微鏡的大腸炎、免疫介在性消化管疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、内臓腹痛を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、化合物は、便秘を伴うIBS(IBS-C)、下痢を伴うIBS(IBS-D)、及び混合排便習慣を伴うIBS(IBS-M)を含む過敏性腸症候群(IBS)を処置するために使用してもよい。いくつかの実施形態において、化合物は、IBS-Dを処置するために使用してもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、化合物は、炎症性腸疾患(IBD)を処置するために使用してもよい。いくつかの実施形態において、化合物は、クローン病を処置するために使用してもよい。いくつかの実施形態において、化合物は、潰瘍性大腸炎を処置するために使用してもよい。
【0075】
化合物は、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、放射線大腸炎、放射線膀胱炎、セリアック病、グルテン性腸症、放射線膀胱炎、間質性膀胱炎、膀胱痛症候群、癌、胃食道逆流症、化学療法粘膜炎及び放射線療法粘膜炎、膵炎、前立腺炎、骨盤痛、子宮内膜症、肝炎、肝線維症及び肝硬変を含む、消化管の疾患及び他の内臓の病患に関連する痛みの症状を処置するために使用してもよい。
【0076】
化合物は、肺疾患及び病患を処置するために使用してもよい。これらは慢性閉塞性肺疾患、喘息、慢性気管支炎、嚢胞性線維症、肺気腫、慢性特発性咳嗽、過敏性呼吸器疾患及び特発性肺線維症を含むが、これらに限定されない。
【0077】
本出願はまた、本明細書に記載された式(1)の化合物の任意の使用による処置方法を提供する。いくつかの実施形態において、治療に有効な量の式(1)(例えば、化合物A)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を対象に投与することを含む、それを必要とする対象のGPR35に関連する障害を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0078】
いくつかの実施形態において、障害は炎症性腸疾患(IBD)である。いくつかの実施形態において、障害はクローン病である。いくつかの実施形態において、障害は潰瘍性大腸炎である。
【0079】
いくつかの実施形態において障害は、便秘を伴うIBS(IBS-C)、下痢を伴うIBS(IBS-D)、及び混合排便習慣を伴うIBS(IBS-M)を含む過敏性腸症候群(IBS)である。いくつかの実施形態において、障害はIBS-Dである。
【0080】
定義
本出願において、別段の指示がない限り、下記定義が適用される。
【0081】
本明細書に記載された任意の化合物の使用に関連する用語「処置」は、式(1)の化合物も含むが、問題になっている疾患又は障害を患っている、又は患うリスクがある、又は患うリスクが潜んでいる対象に化合物を投与する、任意の介入形態を説明するために使用される。このように、用語「処置」は、測定可能、又は検出可能な疾患又は障害の症状が表れる、予防的(予防のための)処置及び処置の両方を包含する。
【0082】
用語「治療有効量」(例えば疾患又は病患の処置方法に関連する)は、所望の治療効果を生むのに有効である化合物の量を指す。例えば、病患が痛みである場合は、治療有効量は、疼痛緩和の所望のレベルを提供するのに十分な量である。疼痛緩和の所望のレベルは例えば、痛みの完全な除去、又は痛みの重症度の低減であってもよい。
【0083】
用語、例えば「C1~6アルキル」の「アルキル」、例えば「C3~6シクロアルキル」の「シクロアルキル」、例えば「C1~6アルコキシ」の「アルコキシ」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「単環式」及び「二環式」は、別段の指示がない限り、全てそれらの従来の意味(例えばIUPAC Gold Bookに定義されるとおり)で使用される。
【0084】
記載された任意の化合物がキラル中心を有する限り、本発明は、ラセミ体又は分割されたエナンチオマーの形態のいずれであろうと、そのような化合物の光学異性体の全てに及ぶ。本明細書に記載された本発明は、上記のように調製されたものではあるが、開示された化合物のいずれかの結晶形態、溶媒和物及び水和物の全てに関する。本明細書に開示された化合物のいずれかが酸性又は塩基性の中心、例えばカルボキシレート基又はアミノ基を有する限りは、前記化合物の全ての塩の形態は本明細書に含まれる。薬学的な使用の場合において、塩は薬学的に許容可能な塩であると見るべきである。
【0085】
本発明の化合物は互変異性体の形態で存在し得る。命名された化合物又は構造で表現された化合物へのあらゆる参照は、そのような化合物の全ての互変異性体を包含することを意図するものと理解される。例えば、式(1)の化合物は下記に示される互変異性体:
【0086】
【化20】
を包含する。
【0087】
言及され得る塩又は薬学的に許容可能な塩は、酸付加塩及び塩基付加塩を含む。そのような塩は、従来法、例えば任意で溶媒中で、又は塩が不溶である媒体中での遊離酸又は遊離塩基の形態の化合物と1当量以上の適切な酸又は塩基との反応の後に、標準方法(例えば真空中、凍結乾燥により、又はろ過により)を使用した前記溶媒、又は前記媒体の除去により形成することができる。塩はまた、塩の形態である化合物の対イオンを、例えば好適なイオン交換樹脂を使用して別の対イオンと交換することにより調製することもできる。
【0088】
薬学的に許容可能な塩の例としては、無機酸及び有機酸、並びに、金属、例えばナトリウム、マグネシウム、カリウム及びカルシウムに由来する塩に由来する酸付加塩が挙げられる。代表的な薬学的に許容可能な塩基付加塩はまた、これらに限定されないが、アルミニウム、アンモニウム、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール(TRIS、トロメタミン)、アルギニン、ベネタミン(benethamine)(N-ベンジルフェネチルアミン)、ベンザチン(N,N'-ジベンジルエチレンジアミン)、ビス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、ビスマス、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、クレミゾール(1-pクロロベンジル-2-ピロリジン-1'-イルメチルベンゾイミダゾール)、シクロヘキシルアミン、ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、ジエチルトリアミン、ジメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ドーパミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、L-ヒスチジン、鉄、イソキノリン、レピジン、リチウム、リシン、マグネシウム、メグルミン(N-メチルグルカミン)、ピペラジン、ピペリジン、カリウム、プロカイン、キニーネ、キノリン、ナトリウム、ストロンチウム、t-ブチルアミン、及び亜鉛を含む。一実施形態において、本開示に開示された化合物の塩はトロメタミン(TRIS)塩である。
【0089】
酸付加塩の例としては、酢酸、2、2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、硫酸アリール(例えばベンゼンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸)、アスコルビン酸(例えばL-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)-(1S)-カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシルスルホン酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸(例えばD-グルコン酸)、グルクロン酸(例えばD-グルクロン酸)、グルタミン酸(例えばL-グルタミン酸)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、ヒプリン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例えば(+)-L-乳酸及び(±)-DL-乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸(例えば(-)-L-リンゴ酸)、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタリン酸、メタンスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモイック酸、リン酸、プロピオン酸、L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、スルホン酸、タンニン酸、酒石酸(例えば(+)-L-酒石酸)、チオシアン酸、ウンデシレン酸及び吉草酸で形成される酸付加塩が挙げられる。
【0090】
化合物及びそれらの塩の任意の溶媒和物も包含される。好ましい溶媒和物は、非毒性の薬学的に許容可能な溶媒(下記では溶媒和溶媒と称される)の分子が本発明の化合物の固体状態の構造(例えば結晶構造)中に導入されることにより形成された溶媒和物である。そのような溶媒の例としては、水、アルコール(例えばエタノール、イソプロパノール及びブタノール等)及びジメチルスルホキシドが挙げられる。溶媒和物は、溶媒和溶媒を含有する溶媒又は溶媒の混合物で、本発明の化合物を再結晶させることにより調製できる。どのような場合においても、溶媒和物が形成されているか否かは、周知で且つ標準的な方法、例えば、熱質量分析(TGA)、示差走査型熱量計(DSC)及びX線結晶構造解析を使用して化合物の結晶を分析することにより決定することができる。
【0091】
溶媒和物は、化学量論的又は非化学量論的な溶媒和物であってもよい。特定の溶媒和物は水和物であってもよく、水和物の例としては半水和物、一水和物及び二水和物が挙げられる。溶媒和物、及びそれらを作製し、特徴付けるために使用される方法のより詳細な議論については、Bryn et al, Solid-State Chemistry of Drugs, Second Edition, published by SSCI, Inc of West Lafayette、インディアナ州、アメリカ合衆国、1999、ISBN 0-967-06710-3を参照のこと。
【0092】
本発明の文脈における用語「薬学的組成物」は、活性剤を含む組成物、及びさらに1つ以上の薬学的に許容可能な担体を含む組成物を意味する。組成物はさらに、投与方法の性質及び剤形に応じて、例えば、希釈剤、アジュバント、賦形剤、ビヒクル、保存料、充填剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味料、香料、着香料、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤及び分散剤から選択される原材料を含有し得る。組成物は例えば、錠剤、糖衣錠、散剤、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤を含む液体製剤、スプレー剤、吸入剤、錠剤、トローチ剤、乳剤、液剤、カシェ剤、顆粒剤、カプセル剤、及び坐剤、並びにリポソーム製剤を含む注射用液体製剤の形態を採ってもよい。
【0093】
本発明の化合物は1つ以上の同位体置換を含有していてもよく、特定の元素への参照は、その範囲内にその元素の全ての同位体を含む。例えば、水素への参照は、その範囲内に1H、2H(D)、及び3H(T)を含む。同様に、炭素及び酸素への参照は、それらの範囲内に12C、13C及び14C並びに16O及び18Oのそれぞれを含む。類似の手法において、特定の官能基への参照はまた、文脈上特に示されていない限り、同位体変形物をその範囲内に含む。例えば、アルキル基、例えばエチル基又はアルコキシ基、例えばメトキシ基への参照は、例えば5つ全ての水素原子がデューテリウム同位体の形態(isotopic form)であるエチル基(パーデューテロエチル基)、又は3つ全ての水素原子がデューテリウム同位体の形態であるメトキシ基(トリデューテロメトキシ基)のように、基の1つ以上の水素原子がデューテリウム又はトリチウム同位体の形態である変形物も包含する。同位体は放射性又は非放射性であってもよい。
【0094】
治療用量は、患者の要求、処置される病患の重症度、及び採用される化合物に応じて変更することができる。特定の状況での適切な投与量の決定は、当業者の範囲内である。一般的に、処置は、化合物の最適用量よりも小さい投与量で開始される。その後、この条件下での最適な効果に到達するまで投与量を少しずつ増量させる。簡便のため、1日の合計投与量は、もし所望する場合、1日の間に分割して少量ずつ投与することができる。
【0095】
化合物の有効量の大きさは、当然ながら、処置対象の病患の重症度の性質に、及び特定の化合物及びその投与ルートにより変わることがある。適切な投与量の選択は当業者の能力の範囲内であり、過度の負担を要さない。一般に、1日用量の範囲は、ヒト及びヒトでない動物の体重1kgあたり約10μgから約30mg、好ましくはヒト及びヒトでない動物の体重1kgあたり約50μgから約30mg、例えばヒト及びヒトでない動物の体重1kgあたり約50μgから約10mg、例えばヒト及びヒトでない動物の体重1kgあたり約100μgから約30mg、例えばヒト及びヒトでない動物の体重1kgあたり約100μgから約10mg、そして最も好ましくはヒト及びヒトでない動物の体重1kgあたり約100μgから約1mgであってもよい。
【0096】
薬学的製剤
活性化合物を単独で投与することが可能である場合であっても、薬学的組成物(例えば製剤)としてそれを提供することが好ましい。
【0097】
したがって、本発明のいくつかの実施形態において、少なくとも一種の薬学的に許容可能な賦形剤と共に、上記で規定されたとおりの少なくとも一種の式(1)の化合物又はその塩を含む薬学的組成物を提供する。
【0098】
薬学的に許容可能な賦形剤は、例えば、担体(例えば固体、液体又は半固体の担体)、アジュバント、希釈剤(例えば固体希釈剤、例えば充填剤又は増量剤、並びに液体の希釈剤、例えば溶媒及び共溶媒)、造粒剤、結着剤、流動助剤、コーティング剤、放出制御剤(例えば放出遅延ポリマー又は放出遅延ワックス)、結合剤、錠剤分解物質、緩衝剤、滑沢剤、保存料、抗真菌剤及び抗菌剤、酸化防止剤、緩衝剤、等張化調整剤、増稠剤、香料、甘味料、顔料、可塑剤、味マスキング剤、安定化剤又は薬学的組成物において従来から使用されている任意の他の賦形剤から選択することができる。
【0099】
本明細書中で用いられる用語「薬学的に許容可能な」は、合法的な医学的な判断(sound medical judgment)の範囲内であり、妥当なリスク・ベネフィット比に見合う、過剰な毒性、刺激、アレルギー性反応、若しくは他の問題又は合併症なく、対象(例えばヒトの対象)の組織と接触させる使用に好適な化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を意味する。各賦形剤はまた、製剤の他の原料に適合するとの意味で「許容可能」でなければならない。
【0100】
式(1)の化合物を含有する薬学的組成物は、公知の技術に従って製剤化することができ、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton,ペンシルベニア州、アメリカ合衆国、を参照のこと。薬学的組成物は、経口、非経口、静脈内、筋肉内、静脈内、筋肉内、髄腔内、皮下、局所、鼻内、気管支内、舌下、口腔、眼科、耳科、直腸、膣内、又は経皮投与に好適である任意の形態であってもよい。
【0101】
経口投与に好適な医薬品の剤形は、錠剤(被覆された、又は被覆されていない)、カプセル剤(ハードシェル、又はソフトシェル)、カプレット、ピル、トローチ剤、シロップ剤、液剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤及び懸濁剤、舌下錠、ウェハ又はパッチ、例えば口腔パッチを含む。
【0102】
組成物は錠剤組成物又はカプセル剤組成物であってもよい。錠剤組成物は、不活性の希釈剤又は担体、例えば糖類又は糖類アルコール、例えばラクトース、スクロース、ソルビトール、又はマンニトール、及び/又は非糖類由来の希釈剤、例えば炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、又はセルロース若しくはその誘導体、例えば微結晶性セルロース(MCC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びデンプン、例えばコーンスターチと共に、活性化合物の単位投与量を含有していてもよい。錠剤はまた、標準的な原材料、例えば結合剤及び造粒剤、例えばポリビニルピロリドン、錠剤分解物質(例えば膨潤性の架橋ポリマー、例えば架橋カルボキシメチルセルロース)、滑沢剤(例えばステアリン酸塩)、保存料(例えばパラベン)、酸化防止剤(例えばBHT)、緩衝剤(例えばリン酸又はクエン酸緩衝液)、及び発泡剤、例えばクエン酸塩/重炭酸塩の混合物を含有していてもよい。そのような賦形剤は周知であり、ここで詳細に議論する必要はない。
【0103】
錠剤は、胃液との接触(即時放出錠剤)、又は、長時間かけて、若しくは胃腸管の特定の領域で制御された手法(放出制御型錠剤)による放出のいずれかにより薬剤を放出するように設計することができる。
【0104】
薬学的組成物は通常、有効成分をおおよそ1%(w/w)からおおよそ95%(w/w)、及び薬学的に許容可能な賦形剤(例えば上記で規定されたとおり)又はそのような賦形剤の組合せを99%(w/w)から5%(w/w)含む。好ましくは、組成物は有効成分をおおよそ20%(w/w)からおおよそ90%(w/w)、及び薬学的に賦形剤又は賦形剤の組合せを80%(w/w)から10%(w/w)含む。薬学的組成物は、有効成分をおおよそ1%(w/w)からおおよそ95%(w/w)、好ましくはおおよそ20%(w/w)からおおよそ90%(w/w)含む。本発明による薬学的組成物は例えば、単位投薬形態(unit dose form)であってもよく、例えばアンプル、バイアル、座薬、プレフィルドシリンジ、糖衣錠、散剤、錠剤若しくはカプセル剤の形態であってもよい。
【0105】
錠剤及びカプセル剤は例えば、錠剤分解物質を0~20%(w/w)、滑沢剤を0~5%(w/w)、流動助剤を0~5%(w/w)及び/又は充填剤/又は増量剤(薬剤用量に応じて)を0~99%(w/w)含有していてもよい。それらはまた、ポリマー結着剤を0~10%(w/w)、酸化防止剤を0~5%(w/w)、顔料を0~5%(w/w)含有していてもよい。徐放性錠剤はさらに、通常、放出制御(例えば遅延)型ポリマーを0~99%(w/w)含有し得る(用量に応じて)。錠剤又はカプセル剤のフィルム被覆は通常、ポリマーを0~10%(w/w)、顔料を0~3%(w/w)、及び/又は可塑剤を0~2%(w/w)含有する。
【0106】
組成物は非経口組成物であってもよい。非経口製剤は緩衝液を0~20%(w/w)、共溶媒を0~50%(w/w)、及び/又は注射用水(WFI)を0~99%(w/w)(用量に応じて、そして凍結乾燥されている場合)含有していてもよい。筋肉内デポ用製剤はまた、油を0~99%(w/w)含有していてもよい。
【0107】
組成物は、経鼻又は気管支内投与に好適な形態であってもよい。そのような組成物は、微粒化に適したものであるべきであり、それは口を経由する吸気を可能とし、鼻腔を覆う薄粘膜を経由する吸収を容易にする。
【0108】
経口で投与される多くの薬剤はまた、座薬として経直腸的に投与されてもよい。組成物は、直腸投与に好適な形態であってもよい。この形態において、組成物は、直腸に挿入された後に溶解又は液状化するロウ状物質を含んでいてもよい。そのような組成物は、多くの外科手術前後の例のように、悪心がある、飲み込むことができない、又は食事制限があるために薬剤を経口で服用することができない人に処方され得る。
【0109】
薬学的製剤は、単一のパッケージ、通常はブリスターパックの処置の全コースを含有する「患者パック」で患者に提供され得る。
【0110】
式(1)の化合物は、単位投与形態で通常提供され得るため、通常、所望のレベルの生理活性を提供するのに十分な化合物を含有し得る。例えば、ある製剤は有効成分を1ナノグラムから2グラム、例えば有効成分を1ナノグラムから2ミリグラム含有していてもよい。これらの範囲内において、化合物の特定の部分範囲は0.1ミリグラムから2グラム(より通常には10ミリグラムから1グラム、例えば50ミリグラムから500ミリグラム)の有効成分、又は1マイクログラムから20ミリグラム(例えば1マイクログラムから10ミリグラム、例えば0.1ミリグラムから2ミリグラムの有効成分)である。
【0111】
経口組成物については、単位投与形態は、活性化合物を1ミリグラムから2グラム、より通常には、10ミリグラムから1グラム、例えば50ミリグラムから1グラム、例えば100ミリグラムから1グラム含有していてもよい。
【0112】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、化合物Aの遊離酸又は化合物Aのトロメタミン塩の結晶形態を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、化合物Aの遊離酸の結晶形態を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、化合物Aのトロメタミン塩の結晶形態を含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、化合物Aのトロメタミン塩水和物Iを含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、化合物Aのトロメタミン塩水和物IIを含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、化合物Aのトロメタミン塩水和物I及び化合物Aのトロメタミン塩水和物Iを含む。
【0114】
活性化合物は、それを必要とする患者(例えばヒト又は動物の患者)に所望の治療効果を達成するのに十分な量(有効量)で投与され得る。投与される化合物の正確な量は、標準的な手順に従って、監督医師により決定することができる。
【0115】
式(1)の化合物の調製方法
式(1)の化合物は、本明細書に記載されているとおりの合成方法に従って調製することができ、そのいくつかは当業者に知られているはずである。本発明は、上記式(1)に規定された化合物の調製方法を提供する。
【0116】
式(1)の化合物は下記スキーム1に記載されたとおりに調製することができる。
【0117】
【化21】
【0118】
このように、式(2)の置換されたアミノ芳香族ニトリルは、市販されているもの、又は市販の材料から容易に入手できるもののいずれかであるが、通常、アジ化ナトリウム及び塩化アンモニウム又は塩化亜鉛の存在下で、溶媒、例えばDMF、DMSO又は2-プロパノール中で、及び110~130℃の範囲内の温度に加熱することで式(3)のテトラゾール中間体に転化される。あるいは、式(3)のテトラゾールは、市販されているもの、又は市販の材料から容易に入手できるもののいずれかである式(5)の置換された3-ニトロベンゾニトリルから入手することができる。対応する式(6)のテトラゾールを提供するためのニトリル官能基の転化は、上記のとおりに実施され、後続のニトロ基の還元は通常、還流まで加熱する間、1,4-ジオキサン及び水中における塩化アンモニウムの存在下で亜鉛末によりもたらされる。そして式(3)の化合物のアニリン基は、塩基、通常トリエチルアミンの存在下で、溶媒、例えばEtOH又はDCM中でスクアリン酸ジエチルを用いた反応により官能化される。そして式(4)のスクアリン酸のエステル官能基は、通常、HCl水溶液とTHFとの混合物中で、温和な温度、通常、60℃で加水分解され、式(1)の例を与える。あるいは、式(3)の置換されたアニリンは式(1)の例に、通常、還流している水を含む状態でスクアリン酸を用いた処理により直接的に転化されてもよい。
【0119】
あるいは、式(1)の化合物は下記スキーム2に記載されたとおりに調製することができる。式(8)の臭化アリール中間体はスキーム1に記載されたとおりに式(7)のアミノアニリンから調製することができる。式(8)の臭化アリールと好適なボロン酸又はボロン酸エステルカップリングパートナー(R=H又はアルキル)との後続のスズキ反応は、式(1)の例をもたらす。スズキ反応は通常、マイクロ波照射下で、好適な溶媒システム、通常、MeCNとH2Oとの組合せで、塩基、例えばK2CO3、及び触媒的パラジウム源、例えば[1,1'-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)の存在下で実施される。
【0120】
【化22】
【0121】
スキーム3は式(1)の化合物(式中、R2は場合により-CONHCH2R4、-CONHCH2CH2OR4、-CONHR4又は-CON(CH3)R4で置換されているフェニルである)の調製の多様性を示す。式(9)のビアリールカルボン酸化合物は市販の3-アミノ-5-ブロモベンゾニトリル(7)から容易に入手可能であり、スキーム1に記載されたとおりに式(10)の対応するテトラゾール化合物に転化される。そして式(10)の中間体化合物のアニリン基は、スキーム1に記載されたとおりに官能化される。そして式(11)の化合物のカルボン酸基は、好適なアミン、カップリング剤、例えば1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸、塩基、例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミン及び溶媒、例えばDMFの存在下でアミドに転化される。そして式(12)のシクロブタ-3-エン-1,2-ジオンのエステル官能基が加水分解されることで、式(13)の例をもたらす(式(1)(式中、R2は場合により-CONHCH2R4、-CONHCH2CH2OR4、-CONHR4又は-CON(CH3)R4で置換されているフェニルである)に対応する)。
【0122】
【化23】
【0123】
ここでXがNであり、R1がHである状況において、式(2b)の化合物は、スキーム4に記載されたとおりに調製することができる。したがって、市販の2,6-ジクロロイソニコチノニトリル(14)を110~120℃の範囲内の温度に加熱しながら溶媒、例えばNMP中で(4-メトキシフェニル)メタンアミンとSNAr反応に付す。そして式(15)の中間体のニトリル官能基はスキーム1に記載されたとおり、テトラゾール基に転化される。R2がアルコキシ基又はフェノキシ基である場合、ピリジン(16)の塩素基を、塩基、例えばK2CO3の存在下又は非存在下で、溶媒、例えばDMSO中で、及び室温から120℃に及ぶ温度で好適なアルコール、又は金属アルコキシド(例えばNaOMe)に置き換えることで、アルコキシ又はフェノキシ置換された化合物(17)を与える。あるいは、R2がフェニルである場合、式(16)の塩化ピリジルと適切なフェニルボロン酸又はフェニルボロンエステルとのスズキ反応は、中間体(17)をもたらす。スズキ反応は通常、塩基、例えばK2CO3、パラジウムの触媒源、通常、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)の存在下で、溶媒、例えば1,4-ジオキサン中で、120℃の温度で実施される。スキーム4に展開された工程の順序は、式(2b)の所望の化合物の合成の全体的な成功率に影響を与えることなく、示されたものと異なる順序で完了させることができることは、当業者により理解され得る。そして式(17)の化合物のアミノ官能基の脱保護は、酸性、通常、70℃でTFAを用いた処理により達成される。そして式(2b)の例を与えるための式(18)の中間体の転化は、スキーム1に記載されたとおりに達成される。
【0124】
【化24】
【0125】
上記の特定の反応において、反応が分子の望まない位置で起こらないように、1つ以上の基を保護する必要があり得る。保護基、及び官能基を保護する方法、及び脱保護する方法の例は、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, Fifth Edition, Editor: Peter G. M. Wuts, John Wiley, 2014, (ISBN:9781118057483)において見つけることができる。
【0126】
前述の方法により作製された化合物は、当業者らに周知である任意の様々な方法により単離及び精製してもよく、そのような方法の例は、再結晶及びクロマトグラフィー技術、例えばカラムクロマトグラフィー(例えばフラッシュクロマトグラフィー)、HPLC及びSFCを含む。
【0127】
通常の手順
準備ルートが含まれない場合、関連する中間体は市販されている。市販の試薬は、さらに精製することなく利用された。最終的な化合物及び中間体はChemDraw Professional、Version 17.0.0.206(121)を用いて命名される。室温(RT)は、おおよそ20~27℃を指す。1H NMRスペクトルは、Bruker装置、Varian装置又はJeol装置のいずれかで400MHz又は500MHzで記録された。化学的なシフト値はパーツ・パー・ミリオン(ppm)、すなわち下記溶媒:クロロホルム-d=7.26ppm、DMSO-d6=2.50ppm、メタノール-d4=3.31ppmに対する(δ)-値で表される。下記略称はNMRシグナルの多重度:s=一重線、br=広幅、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線に使用される。結合定数はJ値として列記され、Hzで測定される。NMR分析法及び質量分析法の結果は、バックグラウンドピークを考慮して補正された。クロマトグラフィーは、60~120メッシュ又は40~633μm、60Åシリカゲルを使用して実施され、窒素圧力下で(フラッシュクロマトグラフィー)条件で実行されるカラムクロマトグラフィーを指す。マイクロ波を介する反応は、Biotage Initiator又はCEM Discoverマイクロ波リアクター内で実施された。
【0128】
LCMS分析
化合物のLCMS分析は、エレクトロスプレー条件下で下記に示される装置及び方法を使用して実施された:
【0129】
LCMS方法A
装置:G1315A DADを備えたHP1100、Micromass ZQ、カラム:Phenomenex Gemini-NXC-18、3ミクロン、2.0×30mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.00/2、0.10/2、2.50/95、3.50/95、溶媒:溶媒A = 2.5L H2O + 2.5mL 28%アンモニアのH2O溶液、溶媒B = 2.5L MeCN + 135mL H2O + 2.5mL 28%アンモニアのH2O溶液。注入量1μL、UV検出230~400nm、質量検出130~800AMU、カラム温度45℃、流速1.5mL/分。
【0130】
LCMS方法B
装置:ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent 1260 Infinity LC、API-ES Sourceを備えたAgilent 6120Bシングル四重極MS、カラム:Phenomenex Gemini-NXC-18、3ミクロン、2.0×30mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.00/5、2.00/95、2.50/95、2.60/5、3.00/5、溶媒:溶媒A = 2.5L H2O + 2.5mL 28%NH3のH2O溶液、溶媒B = 2.5L MeCN + 129mL H2O + 2.7mLの(28%NH3のH2O溶液)、注入量0.5μL、UV検出190~400nm、質量検出130~800AMU、カラム温度40℃、流速1.5mL/分。
【0131】
LCMS方法C及びLCMS方法D
装置:ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent 1260 Infinity LC、API-ES Sourceを備えたAgilent 6120Bシングル四重極MS、カラム:Restek、ペンタフルオロフェニルプロピル、3ミクロン、2.1×30mm。グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:方法C:0.00/5、2.00/95、2.50/95、2.60/5、3.00/5又は方法D:0.00/2、0.1/2、8.4/95、10/95、10.1/2、12/2、溶媒:溶媒A = 2.5mLギ酸を含む水(2.5L)、溶媒B = 125mL水及び2.5mLギ酸を含むMeCN(2.5L)。注入量0.5μL、UV検出190~400nm、質量検出130~800AMU、カラム温度40℃、流速1.5mL/分。
【0132】
LCMS方法E
装置:Waters Acquity H Class、フォトダイオードアレイ、SQ検出器、カラム:BEH C18、1.7ミクロン、2.1×50mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.00/5、0.40/5、0.8/35、1.20/55、2.50/100、3.30/100 4.00/5、溶媒:溶媒A = 5mM酢酸アンモニウム及び0.1%ギ酸のH2O溶液、溶媒B = 0.1%ギ酸のMeCN溶液、注入量2μL、UV検出200~400nm、質量検出100~1200AMU、周囲温度でカラム、流速0.55mL/分。
【0133】
LCMS方法F
装置:DAD/ELSDを備えたAgilent 1100Series、Agilent LC/MSDVL(G1956A)、SL(G1956B)質量分析計、カラム:Zorbax SB-C18、1.8ミクロン、4.6×15mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.0/0、1.5/100、1.8/100、1.81/0、溶媒:溶媒A =水及び0.1%ギ酸、溶媒B = MeCN及び0.1%ギ酸、注入量1μL、UV検出200~400nm、質量検出80~1000AMU、周囲温度でカラム、流速3.0mL/分。
【0134】
LCMS方法G
装置:PDA Detector 996を備えたWaters 2690、Acquity QDA mass-spectrometer、カラム:X-BRIDGE C18、5.0ミクロン、4.6×100mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.0/10、1.0/10、5.0/100、7.0/100、7.50/10、8.0/10、溶媒:溶媒A = 0.1%ギ酸及び10mM炭酸水素アンモニウム水溶液、溶媒B = MeCN、注入量1μL、UV検出190~800nm、質量検出30~1250AMU、カラム温度35℃、流速1.2mL/分。
【0135】
LCMS方法H
装置:フォトダイオードアレイを備えたWaters Acquity H Class、SQ detector mass-spectrometer、カラム:BEH C18、1.7ミクロン、2.1×50mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.0/5、0.4/5、0.8/35、1.2/55、2.5/100、3.3/100、3.31/5、4.0/5、溶媒:溶媒A = 0.1%ギ酸及び5mM酢酸アンモニウム水溶液、溶媒B = 0.1%ギ酸のMeCN溶液、注入量1μL、UV検出200~400nm、質量検出100~1200AMU、周囲温度でカラム、流速0.55mL/分。
【0136】
LCMS方法I及び方法J
方法Iの装置:フォトダイオードアレイを備えたShimadzu Nexera、LCMS-2020 mass-spectrometer又は方法Jの装置:フォトダイオードアレイを備えたAgilent 1290 RRLC、Agilent 6120 mass-spectrometer、カラム:X-BRIDGE C18、3.5ミクロン、4.6×50mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.0/5、5.0/90、5.8/95、7.20/95、7.21/5、10.0/5、溶媒:溶媒A = 0.1%アンモニア水溶液、溶媒B = 0.1%アンモニアのMeCN溶液、注入量1μL、UV検出200~400nm、質量検出60~1000AMU、周囲温度でカラム、流速1.0mL/分。
【0137】
LCMS方法K
装置:PDA Detector 996を備えたWaters 2690、Acquity QDA mass-spectrometer、カラム:X-BRIDGE C18、5.0ミクロン、4.6×100mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.0/10、3.0/10、6.0/100、7.0/100、7.01/10、10.0/10、溶媒:溶媒A = 0.1%ギ酸水溶液、溶媒B = MeOH、注入量1μL、UV検出190~800nm、質量検出30~1250AMU、カラム温度35℃、流速1.0mL/分。
【0138】
LCMS方法L
装置:Shimadzu SPD-M20 APDAを備えたShimadzu LCMS-2010EV、シングル四重極質量分析計、カラム:Atlantis C18、3.0ミクロン、4.6×50mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.0/30、3.0/90、6.0/90、6.1/30、溶媒:溶媒A = 0.1%ギ酸水溶液、溶媒B = MeCN、注入量1μL、UV検出254nm、質量検出80~800AMU、カラム温度40℃、流速0.8mL/分。
【0139】
LCMS方法M
装置:Shimadzu SPD-M20 APDAを備えたShimadzu LCMS-2010EV、シングル四重極質量分析計、カラム:Capcell pack C18、3.0ミクロン、4.6×150mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.0/30、5.0/98、9.5/98、11.5/3、12/3、溶媒:溶媒A = 0.1%ギ酸水溶液、溶媒B = MeCN、注入量1μL、UV検出254nm、質量検出80~800AMU、カラム温度40℃、流速0.8mL/分。
【0140】
略称
Bn=ベンジル
CDI=カルボニルジイミダゾール
DCM=ジクロロメタン
DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
ESI=エレクトロスプレーイオン化
EtOAc=酢酸エチル
EtOH=エタノール
h=時間
HATU=(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸
H2O=水
HCl=塩化水素、塩酸
(prep)HPLC=(分取)高性能液体クロマトグラフィー
IPA=プロパン-2-オール
K2CO3=炭酸カリウム
LC=液体クロマトグラフィー
MeCN=アセトニトリル
MeOH=メタノール
分=分
MS=質量分析法
nm=ナノメートル
NMP=N-メチル-2-ピロリドン
NMR=核磁気共鳴法
POCl3=リン酸塩化物
RT=室温
sat.=飽和した
SFC=超臨界流体クロマトグラフィー
TEA =トリエチルアミン
TFA =トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
【0141】
中間体の通常の合成手順
ルート1
中間体3、5-アミノ-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボニトリルの調製手順
【0142】
【化25】
ステップ(i):中間体1、3-アミノ-5-ブロモベンゾニトリル(200mg、1.02mmol)、中間体2、フェニルボロン酸(161mg、1.32mmol)、K2CO3(281mg、2.03mmol)及びPd(Ph3P)4(60mg、0.05mmol)の1,4-ジオキサン(4mL)及び水(1mL)の溶液を、マイクロ波照射下で100℃まで3時間加熱し、EtOAc及び水で希釈した。有機化合物を分離し、ブラインで洗浄し、疎水性フリットを通過させて乾燥させて濃縮した。PE中のEtOAc(0%~45%)のグラジエント下で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体3、5-アミノ-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボニトリル(165mg、0.85mmol、収率85%)を橙色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0143】
ルート2
中間体5、エチル3'-アミノ-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキシレートの調製手順
【0144】
【化26】
ステップ(i):中間体4、エチル3'-アミノ-5'-シアノ-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキシレート(73mg、0.27mmol)のDMF(0.5mL)溶液に、NaN3(36mg、0.55mmol)及びNH4Cl(30mg、0.55mmol)を加えた。混合物を130℃で3時間加熱した後、RTまで冷却し、1M HCl(aq)を用いてpHを3~4まで酸性化させた。析出物をろ過により回収し、真空下で乾燥させて、中間体5、エチル3'-アミノ-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキシレート(76mg、0.25mmol、収率91%)を桃色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0145】
ルート3
中間体12、N-ベンジル-3'-((2-エトキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミドの調製手順
【0146】
【化27】
ステップ(i):中間体7、3-ブロモ-5-ニトロベンゾニトリル(1.0g、4.41mmol)、中間体6、4-(N-ベンジルアミノカルボニル)フェニルボロン酸(1.24g、4.85mmol)、K2CO3(1.22g、8.81mmol)及びPd(Ph3P)4(0.15g、0.130mmol)の1,4-ジオキサン(17mL)及び水(2mL)の混合物をマイクロ波照射下で100℃まで1時間加熱した。この時間の後、混合物をEtOAcで希釈し、水に次いでブラインで洗浄し、疎水性フリットを通過させて乾燥させて濃縮した。粗製物をEt2Oでトリチュレートし、得られた固体をろ過により回収して、中間体8、N-ベンジル-3'-シアノ-5'-ニトロ-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(1.12g、3.13mmol、収率71%)をタン色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0147】
ステップ(ii):中間体8、N-ベンジル-4-(3-シアノ-5-ニトロ-フェニル)ベンズアミド(1.03g、2.87mmol)、NaN3(373mg、5.74mmol)及びNH4Cl(307mg、5.74mmol)のDMF(22mL)混合物を130℃まで2時間加熱した。混合物をRTまで冷却し、1M HCl(aq)を用いてpHを2に酸性化させた。固体をろ過により回収し、トルエン中で懸濁させて濃縮(×2)して、中間体9、N-ベンジル-4-[3-ニトロ-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル]ベンズアミド(950mg、2.37mmol、収率83%)をタン色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0148】
ステップ(iii):中間体9、N-ベンジル-4-[3-ニトロ-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル]ベンズアミド(630mg、1.57mmol)、亜鉛末(412mg、6.29mmol)及びNH4Cl(842mg、15.7mmol)の1,4-ジオキサン(44mL)及び水(6.3mL)の混合物を加熱し、4時間還流させた。混合物をRTまで冷却し、セライト床を通してろ過した(全体をMeOHで洗浄した)。ろ液を濃縮し、残渣を1M HCl(aq)(20mL)に溶解させた。1MNaOH(aq)の添加により、pHをおよそ6に調節した。析出物をろ過により回収し、水で洗浄した後にトルエン中で懸濁させて濃縮して、中間体10、4-[3-アミノ-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N-ベンジル-ベンズアミド(575mg、1.55mmol、収率99%)をタン色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0149】
ステップ(iv):中間体10、4-[3-アミノ-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N-ベンジル-ベンズアミド(575mg、1.55mmol)、中間体11、スクアリン酸ジエチル(423mg、2.48mmol)及びTEA(0.44mL、3.1mmol)のEtOH懸濁液を、RTで24時間撹拌し、1M HCl(aq)を加えた。析出物をろ過により回収し、トルエン中で懸濁させて濃縮して、中間体12、N-ベンジル-3'-((2-エトキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(635mg、1.28mmol 収率83%)をタン色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0150】
ルート4
中間体15、3'-アミノ-5'-シアノ-N-(2-メトキシエチル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミドの調製手順
【0151】
【化28】
ステップ(i):中間体13、3'-アミノ-5'-シアノ-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボン酸(400mg、1.68mmol)、中間体14、2-メトキシエタン-1-アミン(0.3mL、3.36mmol)、及びDIPEA(0.88mL、5.04mmol)のDMF(4.8mL)溶液に、HATU(768mg、2.02mmol)を加えた。混合物をRTで1時間撹拌させた後にそれをEtOAcで希釈し、水及びブラインで洗浄し、疎水性フリットを通過させて乾燥させて濃縮した。水(0.1%v/v HCOOH含有)中のMeCN(10%~50%)のグラジエント下で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(逆相、C18)により粗製物を精製して、中間体15、3'-アミノ-5'-シアノ-N-(2-メトキシエチル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(317mg、1.07mmol、収率64%)をタン色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0152】
ルート5
中間体17、4-クロロ-3-(1H-テトラゾール-5-イル)アニリンの調製手順
【0153】
【化29】
ステップ(i):中間体16、5-アミノ-2-クロロベンゾニトリル(400mg、2.63mmol)、NaN3(342mg、5.26mmol)、NH4Cl(281mg、5.88mmol)のDMF(3mL)溶液を130℃まで3日間加熱した。混合物を冷却し、ろ過により不溶性の材料を除去し、MeCNで洗浄した。溶液を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAcに溶解させ、水で洗浄した。有機層を乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣をDCMから結晶化させて、中間体17、4-クロロ-3-(1H-テトラゾール-5-イル)アニリンを得た。データは表2で閲覧できる。
【0154】
ルート6
中間体21、3-シクロプロピル-5-(1H-テトラゾール-5-イル)アニリンの調製手順
【0155】
【化30】
ステップ(i):中間体7、3-ブロモ-5-ニトロベンゾニトリル(3.00g、13.3mmol)、中間体18、(2-シクロプロピル-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン)(3.34g、19.9mmol)及びK2CO3(3.68g、26.62mmol)を室温で1,4-ジオキサン(22mL)及び水(8mL)に懸濁させ、N2で15分間脱気した。この後、PdCl2(dppf)(0.97g、1.32mmol)を加え、混合物を100℃まで4時間加熱した。混合物を冷却し、水(300mL)とEtOAc(200mL)との間に分配させた。有機層を分離し、EtOAcを用いて水層をさらに抽出した(2×100mL)。組み合わされた有機層をNa2SO4により乾燥させ、濃縮した。PE中のEtOAc(0%~5%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体19、3-シクロプロピル-5-ニトロベンゾニトリル(1.30g、6.91mmol、収率52%)を黄色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0156】
ステップ(ii):中間体19、3-シクロプロピル-5-ニトロベンゾニトリル(1.30g、6.91mmol)をMeOH(7mL)に溶解させ、NH4Cl(2.01g、37.2mmol)及び亜鉛粉末(2.43g、37.22mmol)の水(7mL)懸濁液を加えた。反応をRTで30分間撹拌させた後、セライトを通してろ過した。ろ液を濃縮し、残渣をsat. aq. NaHCO3とEtOAcとの間に分配させた。有機層を分離し、EtOAcを用いて水層をさらに抽出した(×2)。組み合わされた有機層をNa2SO4により乾燥させ、濃縮した。PE中のEtOAc(0%~30%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体20、3-アミノ-5-シクロプロピルベンゾニトリル(1.01g、6.39mmol、収率93%)を黄色の液体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0157】
ステップ(iii):中間体20、3-アミノ-5-シクロプロピルベンゾニトリル(1.01g、6.39mmol)、NaN3(2.07g、31.9mmol)及びZnCl2(4.35g、31.9mmol)の2-プロパノールの懸濁液を130℃まで16時間加熱した。混合物を冷却し、セライトを通してろ過し、ろ液を濃縮した。残渣を水とEtOAcとの間に分配させた。有機層を分離し、EtOAcを用いて水層をさらに抽出した(×2)。組み合わされた有機層をNa2SO4により乾燥させ、濃縮した。MeCN中の0.1N HCOOHaq.(0%~30%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(逆相、C18)により粗製物を精製して、中間体21、3-シクロプロピル-5-(1H-テトラゾール-5-イル)アニリン(800mg、3.98mmol、収率62%)を得た。データは表2で閲覧できる。
【0158】
ルート7
中間体23、3-アミノ-5-シクロヘキシルベンゾニトリルの調製手順
【0159】
【化31】
ステップ(i):中間体22、5-ニトロ-2',3',4',5'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボニトリル(3.00g、13.2mmol)及び10%Pd/C、50%水分(3.00g)のMeOH(30mL)溶液をH2気体の雰囲気下でRTで5時間撹拌した。この時間の後、混合物をセライトを通してろ過し、濃縮した。DCM中のEtOAc(0%~25%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体23、3-アミノ-5-シクロヘキシルベンゾニトリル(1.20g、6.0mmol、収率45%)を黄色の液体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0160】
ルート8
中間体25、3-ニトロ-5-(ピリダジン-4-イル)ベンゾニトリルの調製手順
【0161】
【化32】
ステップ(i):中間体7、3-ブロモ-5-ニトロベンゾニトリル(0.35g、1.55mmol)、中間体24、4-(トリブチルスタンニル)ピリダジン(0.57g、1.55mmol)及びCsF(0.47g、3.10mmol)のMeCN懸濁液をN2で15分間脱気した後、Pd(Ph3P4)(0.09g、0.80mmol)及びヨウ化銅(I)(0.06g、0.31mmol)を加えた。混合物を40℃まで4時間加熱した後、冷却し、EtOAcと水との間に分配させた。有機化合物を分離し、EtOAcを用いて水層を抽出した。組み合わされた有機化合物をNa2SO4により乾燥させ、濃縮した。ヘキサン中のEtOAc(0%~40%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体25、3-ニトロ-5-(ピリダジン-4-イル)ベンゾニトリル(0.25g、1.10mmol、71%)を黄色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0162】
ルート9
中間体29、3'-((2-エトキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボン酸の調製手順
【0163】
【化33】
ステップ(i):中間体1、3-アミノ-5-ブロモベンゾニトリル(20.0g、101.5mmol)、中間体26、(4-(エトキシカルボニル)フェニル)ボロン酸(23.6g、121.8mmol)、K2CO3(28.0g、203mmol)及びPd(Ph3P)4(2.34g、2.03mmol)の1,4-ジオキサン(200mL)及び水(30mL)の溶液を90℃まで16時間加熱した後、冷却し、EtOAcと水との間に分配させた。有機化合物を分離し、ブラインで洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濃縮した。ヘキサン中のEtOAc(0%~16%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗生成物を精製して、中間体27、エチル3'-アミノ-5'-シアノ-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシレート(23.0g、86.5mmol、収率85%)をオフホワイト色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0164】
ステップ(ii):中間体27、エチル3'-アミノ-5'-シアノ-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシレート(23.0g、86.5mmol)のTHF(130mL)及び水(130mL)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(6.22g、259.3mmol)を加えた。混合物をRTで6時間撹拌させた後、濃縮乾固させた。1N HCl(aq)を加え、得られた析出物をろ過により回収した。固体を真空下で乾燥させて、中間体13、3'-アミノ-5'-シアノ-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボン酸(17.0g、71.4mmol、収率83%)をオフホワイト色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0165】
ステップ(iii):中間体13、3'-アミノ-5'-シアノ-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボン酸(16.0g、67.2mmol)、NaN3(8.74g、134.4mmol)及びNH4Cl(7.19g、134.4mmol)のDMF(80mL)溶液を130℃まで16時間加熱した後、冷却し、1N HCl(aq)を加えてpHを3に酸性化させた。得られた析出物をろ過により回収して真空下で乾燥させて、中間体28、3'-アミノ-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボン酸(13.0g、46.3mmol、収率69%)をオフホワイト色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0166】
ステップ(iv):中間体28、3'-アミノ-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボン酸(12.5g、44.4mmol)のEtOH(120mL)溶液に、TEA(12.4mL、88.9mmol)及び中間体11、スクアリン酸ジエチル(7.50g、44.4mmol)を加えた。混合物をRTで16時間撹拌させた後、1N HCl(aq)を用いて酸性化させた。得られた析出物をろ過により回収して真空下で乾燥させて、中間体29、3'-((2-エトキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボン酸(15.0g、37.0mmol、収率83%)を茶色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0167】
ルート10
中間体31、3-((3-ブロモ-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-エトキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオンの調製手順
【0168】
【化34】
ステップ(i):中間体1、3-アミノ-5-ブロモベンゾニトリル(26.0g、132mmol)の2-プロパノール(500mL)懸濁液に、NaN3(43.1g、663.3mmol)及びZnCl2(90.4g、663.3mmol)を加えた。混合物を130℃で4時間撹拌させた後、セライトを通してろ過した。ろ液を濃縮し、残渣をEtOAcとsat. aq. NaHCO3との間に分配させた。有機層を分離し、EtOAcを用いて水層をさらに抽出し(×3)、組み合わされた有機化合物をNa2SO4により乾燥させ、濃縮して、中間体30、3-ブロモ-5-(1H-テトラゾール-5-イル)アニリン(26.8g、112.2mmol、収率85%)を黄色固体として得て、さらに精製することなく使用した。データは表2で閲覧できる。
【0169】
ステップ(ii):中間体30、3-ブロモ-5-(1H-テトラゾール-5-イル)アニリン(10.0g、27.5mmol)のDCM(100mL)溶液に、TEA(11.7mL、83.6mmol)を加えた。混合物を10分間撹拌させた後、中間体11、スクアリン酸ジエチル(6.18mL、41.8mmol)を加えた。混合物をRTで4時間撹拌させた後、減圧下で濃縮した。DCM中のMeOH(0%~15%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗生成物を精製して、中間体31、3-((3-ブロモ-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-エトキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(3.80g、10.4mmol、収率38%)をオフホワイト色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0170】
ルート11
中間体35、(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ピリジン)の調製手順
【0171】
【化35】
ステップ(i):中間体33、[4-(トリフルオロメチル)フェニル]メタノール(3.00g、17.0mmol)のDMF(30mL)溶液に、RTでK2CO3(3.53g、20.2mmol)を加えた。混合物を10分間撹拌させた後、中間体32、5-ブロモ-2-フルオロピリジン(2.99g、17.0mmol)を加えた。混合物を80℃まで2時間加熱した後、冷却し、EtOAcと水との間に分配させた。EtOAcを用いて水層をさらに抽出し、組み合わされた有機化合物をNa2SO4により乾燥させ、濃縮した。ヘキサン中のEtOAc(0%~5%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗生成物を精製して、中間体34、(5-ブロモ-2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ピリジン)(2.00g、6.02mmol、収率35%)をオフホワイト色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0172】
ステップ(ii):中間体34、(5-ブロモ-2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ピリジン(1.20g、3.61mmol)、KOAc(1.06g、10.9mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(2.76g、10.9mmol)及びPdCl2(dppf)(0.13g、0.18mmol)の1,4-ジオキサン(20mL)溶液を窒素下で80℃まで4時間加熱した後、冷却し、EtOAcと水との間に分配させた。EtOAcを用いて水層をさらに抽出し、組み合わされた有機化合物をNa2SO4により乾燥させ、濃縮した。ヘキサン中のEtOAc(0%~8%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗生成物を精製して、中間体35、(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ピリジン)(1.20g、3.17mmol、87%)を白色の半固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0173】
ルート12
中間体40、2-ベンジル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-インダゾールの調製手順
【0174】
【化36】
ステップ(i):中間体36、5-ブロモ-2-ニトロベンズアルデヒド(3.00g、13.1mmol)及び中間体37、ベンジルアミン(1.82g、17.0mmol)のトルエン(30mL)混合物を80℃まで4時間加熱した。反応を室温まで冷却し、濃縮して、粗体中間体38、N-ベンジル-1-(5-ブロモ-2-ニトロフェニル)メタンイミン(2.10g)を暗茶色の液体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0175】
ステップ(ii):中間体38、N-ベンジル-1-(5-ブロモ-2-ニトロフェニル)メタンイミン(2.10g、6.60mmol)をトリエチルホスファイト(3.40mL、19.8mmol)に溶解させ、混合物をマイクロ波照射下で210℃まで5分間加熱した。混合物をEtOAcと水との間に分配させ、分離した。EtOAc(×2)を用いて水層を抽出し、組み合わされた有機化合物をNa2SO4により乾燥させた後、濃縮した。ヘキサン中のEtOAc(0%~20%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体39、2-ベンジル-5-ブロモ-2H-インダゾール(1.30g、4.54mmol、2工程を経た収率35%)を茶色のガムとして得た。データは表2で閲覧できる。
【0176】
ステップ(iii):中間体39、2-ベンジル-5-ブロモ-2H-インダゾール(1.30g、4.54mmol)、KOAc(1.34g、13.6mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(3.46g、13.6mmol)及びPdCl2(dppf)(0.17g、0.22mmol)を1,4-ジオキサン(15mL)に窒素雰囲気下で溶解させた。反応混合物を80℃で4時間撹拌させた後、室温まで冷却し、EtOAcと水との間に分配させた。有機化合物を分離し、EtOAcを用いて水層をさらに抽出した。組み合わされた有機化合物をNa2SO4により乾燥させ、濃縮して、中間体40、2-ベンジル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-インダゾール(1.0g、2.99mmol、収率66%)を茶色のガムとして得て、さらに精製することなく使用した。データは表2で閲覧できる。
【0177】
ルート13
中間体44、2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エタン-1-アミン、塩酸塩の調製手順
【0178】
【化37】
ステップ(i):中間体42、tert-ブチル(2-ブロモエチル)カルバメート(876mg、3.9mmol)のDMF(10mL)溶液に、中間体41、4-(トリフルオロメチル)フェノール(422mg、2.6mmol)及びCs2CO3(1.25g、3.8mmol)を加えた。混合物を90℃まで4時間加熱した後、冷却し、水に注ぎ入れた。EtOAcを用いて混合物を抽出し、有機化合物をブラインで洗浄し、疎水性フリットを通過させて乾燥させて濃縮した。石油エーテル中のEtOAc(0%~50%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体43、tert-ブチル(2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エチル)カルバメート(793mg、2.6mmol、収率100%)を黄色の油状物として得た。データは表2で閲覧できる。
【0179】
ステップ(ii):中間体43、tert-ブチル(2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エチル)カルバメート(793mg、2.6mmol)の1,4-ジオキサン(2mL)溶液に、4M HClの1,4-ジオキサン(2mL)溶液を加えた。混合物を18時間撹拌させた後、MeOH(1mL)を加えた。混合物をさらに30分撹拌させた後、濃縮して、中間体44、2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エタン-1-アミン、塩酸塩(596mg、2.5mmol、収率95%)を薄黄色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0180】
ルート14
中間体48、2-(2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)エトキシ)-5-ブロモピリジンの調製手順
【0181】
【化38】
ステップ(i):中間体45、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノール(5.00g、21.7mmol)のDMF(50mL)溶液に、K2CO3(8.99g、65.2mmol)を加えた。混合物をRTで20分間撹拌させた後、中間体46、2-ブロモエタン-1-オール(9.25mL、130mmol)を加えた。混合物を80℃まで4時間加熱した後、冷却し、EtOAcと水との間に分配させた。EtOAcを用いて水層をさらに抽出し、組み合わされた有機化合物をNa2SO4により乾燥させ、濃縮した。ヘキサン中のEtOAc(0%~20%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗生成物を精製して、中間体47、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)エタン-1-オール(3.90g、14.2mmol、収率66%)を油状物として得た。データは表2で閲覧できる。
【0182】
ステップ(ii):NaH(鉱物油中60%)(0.77g、19.2mmol)のDMF(25mL)の0℃の懸濁液に、中間体47、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)エタン-1-オール(3.00g、11.0mmol)を加えた。混合物を15分かけてRTに加温した後、中間体32、5-ブロモ-2-フルオロピリジン(2.30g、13.1mmol)を加えた。反応をRTで1時間撹拌した後、EtOAcと水との間に分配させた。EtOAcを用いて水層をさらに抽出し、組み合わされた有機化合物をNa2SO4により乾燥させ、濃縮した。ヘキサン中のEtOAc(0%~12%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗生成物を精製して、中間体48、2-(2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)エトキシ)-5-ブロモピリジン(3.60g、8.37mmol、収率77%)を黄色の半固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0183】
ルート15
中間体51、2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エタン-1-オールの調製手順
【0184】
【化39】
ステップ(i):中間体41、4-(トリフルオロメチル)フェノール(2.80g、17.3mmol)、中間体49、2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エタン-1-オール(4.00g、22.5mmol)及びトリフェニルホスフィン(5.89g、22.5mmol)の0℃のトルエン(30mL)溶液に、DIAD(4.40mL、22.5mmol)を滴下して加えた。混合物をRTで16時間撹拌させた後、EtOAcと水との間に分配させた。EtOAcを用いて水層をさらに抽出し、組み合わされた有機化合物をNa2SO4により乾燥させ、濃縮した。ヘキサン中のEtOAc(0%~2%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体50、tert-ブチルジメチル(2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エトキシ)シラン(3.40g、10.6mmol、収率61%)を黄色の液体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0185】
ステップ(ii):中間体50、tert-ブチルジメチル(2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エトキシ)シラン(3.40g、10.6mmol)の0℃のTHF(30mL)溶液に、1N HCl(aq)(30mL)を加えた。混合物をRTで1時間撹拌させた後、sat. aq. NaHCO3とEtOAcとの間に分配させた。有機化合物を分離し、Na2SO4により乾燥させ、濃縮した。ヘキサン中のEtOAc(0%~30%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体51、2-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)エタン-1-オール(2.50g、12.1mmol、定量的と仮定(assumed quantitative))を黄色の液体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0186】
ルート16
中間体54、(4-((4-カルバモイルベンジル)カルバモイル)フェニル)ボロン酸の調製手順
【0187】
【化40】
ステップ(i):中間体52、4-ボロノ安息香酸(795mg、4.79mmol)の氷冷下のDMF(5mL)溶液に、HATU(2.27g、5.99mmol)を加えた。混合物を同じ温度で10分間撹拌させた後、中間体53、4-(アミノメチル)ベンズアミド(600mg、3.99mmol)及びDIPEA(2.02mL、11.98mmol)を順次加えた。混合物をRTまで加温し、6時間撹拌した後、EtOAcと水との間に分配させた。有機化合物を分離し、水層をEtOAcで洗浄した。組み合わされた有機化合物をNa2SO4により乾燥させ、濃縮して、中間体54、(4-((4-カルバモイルベンジル)カルバモイル)フェニル)ボロン酸(0.350g、1.17mmol、収率29%)を黄色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0188】
ルート17
中間体60、N-(4-メトキシベンジル)-6-フェノキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミンの調製手順
【0189】
【化41】
ステップ(i):中間体56、フェノール(1.31g、14.0mmol)のDMSO(40mL)溶液に、K2CO3(2.4g、17.4mmol)を加えた。混合物をRTで30分間撹拌させた後、中間体55、2,6-ジクロロイソニコチノニトリル(2.0g、11.6mmol)を加えた。混合物をRTで24時間撹拌させた後、水に注ぎ入れ、EtOAc(×3)を用いて抽出した。組み合わされた有機化合物をブラインで洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濃縮した。石油エーテル中のEtOAc(0%~20%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体57、2-クロロ-6-フェノキシイソニコチノニトリル(2.5g、10.9mmol、収率94%)を黄色の液体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0190】
ステップ(ii):中間体57、2-クロロ-6-フェノキシイソニコチノニトリル(2.5g、10.8mmol)及び中間体58、4-メトキシベンジルアミン(1.63g、11.9mmol)のNMP(26mL)溶液を120℃まで3時間加熱した後、混合物を冷却し、水に注ぎ入れた。析出物をろ過し、石油エーテル中のEtOAc(10%~50%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体59、2-((4-メトキシベンジル)アミノ)-6-フェノキシイソニコチノニトリル(1.7g、5.1mmol、収率47%)をオフホワイト色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0191】
ステップ(iii):中間体59、2-((4-メトキシベンジル)アミノ)-6-フェノキシイソニコチノニトリル(1.7g、5.13mmol)、NaN3(1.33g、20.5mmol)及びNH4Cl(1.1g、20.5mmol)のDMF(9.2mL)溶液を130℃まで2時間加熱した。混合物を冷却し、水に注ぎ入れた。1N HCl(aq)を用いて水性混合物のpHを1に酸性化させ、30分間撹拌させた後、EtOAc(×3)を用いて抽出した。組み合わされた有機化合物をブラインで洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濃縮した。DCM中のMeOH(0%~5%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体60、N-(4-メトキシベンジル)-6-フェノキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン(1.6g、4.27mmol、収率83%)を茶色のガムとして得た。データは表2で閲覧できる。
【0192】
ルート18
中間体61、6-フェノキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミンの調製手順
【0193】
【化42】
ステップ(iv):中間体60、N-(4-メトキシベンジル)-6-フェノキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン(1.6g、4.27mmol)のTFA(16mL)溶液を密閉されたチューブ内で70℃まで24時間加熱した後、混合物を冷却し、濃縮乾固させた。DCMを用いた粗製物のトリチュレーションにより、中間体61、6-メトキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン(0.75g、3.91mmol、収率93%)を茶色の液体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0194】
ルート19
中間体63、6-クロロ-N-(4-メトキシベンジル)-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミンの調製手順
【0195】
【化43】
ステップ(i):中間体55、2,6-ジクロロイソニコチノニトリル(4.5g、26.2mmol)、及び中間体58、4-メトキシベンジルアミン(3.6g、26.2mmol)のNMP(45mL)溶液を110℃まで3時間加熱した。混合物を冷却し、氷冷水(500mL)に注ぎ入れた。得られた析出物をろ過し、水で洗浄して真空下で乾燥させて、中間体62、2-クロロ-6-((4-メトキシベンジル)アミノ)イソニコチノニトリル(3.6g、13.2mmol、収率50%)をオフホワイト色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0196】
ステップ(ii):中間体62、2-クロロ-6-((4-メトキシベンジル)アミノ)イソニコチノニトリル(1.36g、5mmol)、NaN3(650mg、10mmol)及びNH4Cl(535mg、10mmol)のDMF(9mL)溶液を130℃まで2時間加熱した。混合物を冷却し、水に注ぎ入れた。1N HCl(aq)を用いて水性混合物のpHを1に酸性化させ、得られた析出物をろ過し、水で洗浄して真空下で乾燥させて、中間体63、6-クロロ-N-(4-メトキシベンジル)-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン(960mg、3.04mmol、収率61%)をオフホワイト色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0197】
ルート20
中間体64、6-メトキシ-N-(4-メトキシベンジル)-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミンの調製手順
【0198】
【化44】
ステップ(i):中間体63、6-クロロ-N-(4-メトキシベンジル)-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン(1.0g、3.16mmol)のDMSO(6.3mL)溶液に、NaOMe(30重量%MeOH、1.14mL、6.33mmol)を加えた。混合物を120℃まで20時間加熱した後、冷却し、水に注ぎ入れた。1N HCl(aq)を用いて水性混合物のpHを1に酸性化させ、得られた析出物を回収した。クロロホルム中のMeOH(0%~10%)グラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体64、6-メトキシ-N-(4-メトキシベンジル)-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン(700mg、2.24mmol、収率71%)をオフホワイト色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0199】
ルート21
中間体65、N-(4-メトキシベンジル)-6-フェニル-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミンの調製手順
【0200】
【化45】
ステップ(i):中間体63、6-クロロ-N-(4-メトキシベンジル)-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン(1g、3.15mmol)、中間体2、フェニルボロン酸(1.15g、9.46mmol)、K2CO3(1.3g、9.46mmol)及びPd(dppf)Cl2.DCM(257mg、0.32mmol)の1,4-ジオキサン(10mL)溶液を120℃まで6時間加熱した後、混合物を冷却し、水に注ぎ入れた。1N HCl(aq)を用いて水性混合物のpHを1に酸性化させ、得られた析出物を回収した。クロロホルム中のMeOH(0%~8%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体65、N-(4-メトキシベンジル)-6-フェニル-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン(810mg、2.26mmol、収率72%)をオフホワイト色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0201】
ルート22
中間体71、3-エトキシ-4-[3-エチル-5-(1H-テトラゾール-5-イル)アニリノ]シクロブタ-3-エン-1,2-ジオンの調製手順
【0202】
【化46】
ステップ(i):中間体1、3-アミノ-5-ブロモベンゾニトリル(1.0g、5.08mmol)、中間体66、4,4,5,5-テトラメチル-2-ビニル-1,3,2-ジオキサボロラン(1.29mL、7.61mmol)、K2CO3(1.40g、10.2mmol)、及びPd(Ph3P)4(0.118g、0.10mmol)の1,4-ジオキサン(24mL)及び水(6mL)溶液を80℃まで18時間加熱した後、RTまで冷却し、EtOAcと水との間に分配させた。有機化合物を分離し、ブラインで洗浄し、疎水性フリットを通過させて乾燥させて濃縮した。粗製物をイソヘキサン中のEtOAc(0%~25%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により精製して、中間体67、3-アミノ-5-ビニルベンゾニトリル(695mg、4.82mmol、収率95%)を橙色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0203】
ステップ(ii):中間体67、3-アミノ-5-ビニルベンゾニトリル(640mg、4.44mmol)、及びK2CO3(927mg、6.7mmol)のTHF(37mL)溶液に、中間体68、クロロギ酸ベンジル(0.95mL、6.7mmol)を加えた。混合物をRTで18時間撹拌させた後、EtOAcと水との間に分配させた。有機化合物を分離し、ブラインで洗浄し、疎水性フリットを通過させて乾燥させて濃縮した。イソヘキサン中の、Et2O(0%~60%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体69、ベンジル(3-シアノ-5-ビニルフェニル)カルバメート(944mg、3.40mmol、収率76%)をオフホワイト色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0204】
ステップ(iii):中間体69、ベンジル(3-シアノ-5-ビニルフェニル)カルバメート(614mg、2.2mmol)、NaN3(287mg、4.4mmol)、及びNH4Cl(235mg、4.4mmol)のDMF(6mL)溶液を130℃まで2時間加熱した。この時間の後、混合物を冷却し、1M HCl(aq)とEtOAcとの間に分配させた。有機化合物を分離し、ブラインで洗浄し、疎水性フリットを通過させて乾燥させて濃縮した。水(0.1%v/v HCOOH)中のMeCN(10%~60%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(逆相、C18)により粗製物を精製して、中間体70、ベンジル(3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-ビニルフェニル)カルバメート(355mg、1.12mmol、収率50%)をベージュ色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0205】
ステップ(iv):中間体70、ベンジル(3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-ビニルフェニル)カルバメート(270mg、0.84mmol)、TEA(0.12mL、0.84mmol)及び10%Pd/C(60mg)のMeOH(4mL)混合物を水素ガスの雰囲気下で3.5時間撹拌させた。混合物をセライトを通してろ過し(全体をEtOAcで洗浄し)、濃縮した。残渣をEtOH(4mL)に溶解させ、中間体11、スクアリン酸ジエチル(0.12mL、0.84mmol)を加えた。この混合物をRTで3時間撹拌した後、濃縮した。水(0.1%v/v HCOOH)中のMeCN(10%~80%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(逆相、C18)により粗製物を精製して、中間体71、3-エトキシ-4-[3-エチル-5-(1H-テトラゾール-5-イル)アニリノ]シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(203mg、0.65mmol、収率77%)をクリーム色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0206】
実施例における通常の合成手順
ルートA
実施例2、3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオンの調製手順
【0207】
【化47】
ステップ(i):中間体72、3-アミノ-5-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(150mg、0.81mmol)のDMF(3mL)溶液に、NaN3(65mg、1.62mmol)及びNH4Cl(53.5mg、1.62mmol)を加えた。混合物を130℃まで20時間加熱した後、RTまで冷却し、1M HCl(aq)を用いてpHを1に酸性化した。混合物をEtOAcで抽出して有機化合物を水及びブラインで洗浄し、疎水性フリットを通過させて乾燥させて濃縮した。変性水(0.1%v/v HCOOH含有)中のMeCN(0~50%)のグラジエント下で逆相フラッシュクロマトグラフィー(C18シリカ)により粗製物を精製して、生成物である中間体73、3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)アニリン(144mg、0.63mmol、収率77%)を得た。データは表2で閲覧できる。
【0208】
ステップ(ii):中間体73、3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)アニリン(77mg、0.34mmol)のEtOH(1.4mL)溶液に、中間体11、スクアリン酸ジエチル(0.05mL、0.34mmol)及びTEA(0.05mL、0.38mmol)を加えた。混合物をRTで1時間撹拌させた後、濃縮乾固させた。粗製物を変性水(0.1%v/v HCOOH)中のMeCN(0~60%)のグラジエント下で逆相フラッシュクロマトグラフィー(C18シリカ)により精製して、生成物である中間体74、3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-4-エトキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(51.6mg、0.15mmol、収率44%)を得た。データは表2で閲覧できる。
【0209】
ステップ(iii):中間体74、3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-4-エトキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(39mg、0.11mmol)をTHF及び1M HCl(aq)(0.55mL)の10:1混合物に溶解させ、60℃まで3時間加熱した後、濃縮した。粗製物を分取HPLC[逆相(Kinetex C18、100×30mm、5μm、30mL毎分、溶媒A中の溶媒Bのグラジエント:溶媒B 5%~95% (10分かけて)、溶媒B 100%(2分間)、溶媒A:0.1%TFA水。溶媒B:MeCN]により精製して、実施例2、3-((3-(1H-テトラゾール-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(15.3mg、0.047mmol、収率43%)を得た。データは表3で閲覧できる。
【0210】
ルートB
実施例5、N-ベンジル-3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミドの調製手順
【0211】
【化48】
ステップ(i):中間体12、N-ベンジル-3'-((2-エトキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(1.43g、2.89mmol)のTHF(15mL)及び1M HCl(aq)(1.5mL)懸濁液を60℃まで24時間加熱した時間の後、混合物を濃縮した。粗製物を分取HPLC[逆相(Gemini-NX C18、100×30mm、5μm、30mL毎分、溶媒A中の溶媒Bのグラジエント:溶媒B 5%~35% (10分かけて)、溶媒B 100%(2分間)、溶媒A:0.2%v/v 28%アンモニア含有水溶液。溶媒B:MeCN]により精製した。得られた固体を1M HCl(aq)に懸濁させて2時間強く撹拌させた後、ろ過により回収した。湿潤固体をトルエン中で懸濁させて濃縮して、実施例5、N-ベンジル-3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(720mg、1.55mmol、収率53%)を淡緑色の固体として得た。データは表3で閲覧できる。
【0212】
ルートC
実施例8、3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)ベンジル)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミドの調製手順
【0213】
【化49】
ステップ(i):中間体29、3'-((2-エトキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボン酸(60mg、0.15mmol)及びDIPEA(0.08mL)のDMF(0.7mL)溶液に、HATU(68.4mg、0.18mmol)、続いて中間体75、(4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)メタンアミン(29.5mg、0.17mmol)を加えた。混合物をRTで1時間撹拌させた後、DMSOで希釈して分取HPLC[逆相(Kinetex C18、100×30mm、5μm、30mL毎分、溶媒A中の溶媒Bのグラジエント:溶媒B 40%~70%(10分かけて)、溶媒B 100%(2分間)、溶媒A:0.1%TFAを含有する水。溶媒B:MeCN]により精製して、中間体76、3'-((2-エトキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)ベンジル)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(36.3mg、0.064mmol、収率43%)を薄緑色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0214】
ステップ(ii):中間体76、3'-((2-エトキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)ベンジル)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(36.3mg、0.064mmol)のTHF(1mL)及び1M HCl(aq)(0.1mL)懸濁液を60℃まで13時間加熱した後、濃縮乾固させた。分取HPLC[逆相(Kinetex C18、100×30mm、5μm、30mL毎分、溶媒A中の溶媒Bのグラジエント:溶媒B 40%~30% (10分かけて)、溶媒B 100%(2分間)、溶媒A:0.1%TFAを含有する水。溶媒B:MeCN]により粗製物を精製して、実施例8、3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)ベンジル)-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(16mg、0.03mmol、収率46%)を薄緑色の固体として得た。データは表3で閲覧できる。
【0215】
ルートD
実施例15、3-((5-(1H-テトラゾール-5-イル)-4'-(トリフルオロメチル)-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオンの調製手順
【0216】
【化50】
ステップ(i):中間体31、3-((3-ブロモ-5-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-4-エトキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(0.50g、1.37mmol)、中間体77、4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,2-ジオキサボロラン(0.56g、2.06mmol)及びK2CO3(0.38g、2.75mmol)のMeCN(5mL)及び水(5mL)の懸濁液をN2で15分間脱気した。PdCl2(dtbpf)(0.089g、0.13mmol)を加え、混合物をマイクロ波照射下で100℃まで1時間加熱した。この時間の後、溶媒を減圧下で除去し、粗製物を分取HPLC[逆相(X-bridge C18、250×30mm、5μm、27mL毎分、溶媒A中の溶媒Bのグラジエント:溶媒B 10%~98%(59分かけて)、溶媒B 10% (2分間)、溶媒A:10mM NH4HCO3水。溶媒B:MeCN]により精製して、実施例15、3-((5-(1H-テトラゾール-5-イル)-4'-(トリフルオロメチル)-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)-4-ヒドロキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(0.35g、0.87mmol、収率64%)を茶色の固体として得た。データは表3で閲覧できる。
【0217】
ルートE
実施例17、3-ヒドロキシ-4-((6-メトキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオンの調製手順
【0218】
【化51】
ステップ(i):中間体78、6-メトキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン(510mg、2.56mmol)のEtOH(10mL)氷冷懸濁液に、TEA(1.00mL、7.69mmol)を加えた。混合物を同じ温度で15分間撹拌させた後、中間体11、スクアリン酸ジエチル(479mg、2.82mmol)を滴下して加え、反応をRTで16時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣をEtOAcと水との間に分配させた。有機化合物を除去し、1N aq.HClを用いてaq.層のpHを1~2に酸性化させ、30分間撹拌させた。得られた析出物をろ過により回収し、氷冷水で洗浄した後、高真空下で乾燥させて、中間体79、3-エトキシ-4-((6-メトキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(350mg、1.11mmol、収率43%)を黄色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0219】
ステップ(ii):中間体79、3-エトキシ-4-((6-メトキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(350mg、1.11mmol)のTHF(5.5mL)及び1N aq.HCl(0.55mL)の懸濁液を60℃まで24時間加熱した後、その混合物を濃縮乾固させた。残渣をEtOAcからトリチュレートして、実施例17、3-ヒドロキシ-4-((6-メトキシ-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(170mg、0.59mmol、収率53%)を黄色の固体として得た。データは表3で閲覧できる。
【0220】
ルートF
実施例30、3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N,N-ジメチル-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミドの調製手順
【0221】
【化52】
ステップ(i):中間体1、3-アミノ-5-ブロモベンゾニトリル(500mg、2.53mmol)、中間体80、(4-(ジメチルカルバモイル)フェニル)ボロン酸(587mg、3.04mmol)、K2CO3(700mg、5.07mmol)及びPd(Ph3P)4(59mg、0.050mmol)の1,4-ジオキサン(8mL)及び水(2mL)溶液を90℃まで16時間加熱した。混合物を冷却し、EtOAcと水との間に分配させた。有機化合物を分離し、水層をEtOAcで洗浄した。組み合わされた有機化合物をNa2SO4により乾燥させ、濃縮した。ヘキサン中のEtOAc(0%~16%)のグラジエント下でフラッシュカラムクロマトグラフィー(通常相、シリカ)により粗製物を精製して、中間体81、3'-アミノ-5'-シアノ-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(210mg、0.79mmol、収率31%)を茶色ガムとして得た。データは表2で閲覧できる。
【0222】
ステップ(ii):中間体81、3'-アミノ-5'-シアノ-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(200mg、0.754mmol)、NaN3(79.9mg、1.50mmol)及びNH4Cl(98mg、1.50mmol)のDMF(2mL)溶液を130℃まで16時間加熱した。混合物を冷却し、1M HCl(aq)を用いてpHを1に酸性化した。得られた析出物をろ過により回収し、分取HPLC[逆相(Sunfire C18、250×19mm、5μm、15mL毎分、溶媒A中の溶媒Bのグラジエント:溶媒B 8%~25% (22分かけて)、溶媒B 22~25% (5分かけて)、溶媒B 100%(2分間)、溶媒B 100~8% (3分かけて)、溶媒A:0.1%HCOOH水。溶媒B:MeCN]により精製して、中間体82、3'-アミノ-N,N-ジメチル-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(22mg、0.071mmol、収率9%)を白色の固体として得た。データは表2で閲覧できる。
【0223】
ステップ(iii):中間体82、3'-アミノ-N,N-ジメチル-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(22mg、0.071mmol)及び中間体83、スクアリン酸(8.1mg、0.071mmol)の水(1mL)溶液を密閉されたチューブ内で125℃まで6時間加熱した。混合物を冷却し、固体をろ過により回収して、実施例30、3'-((2-ヒドロキシ-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)-N,N-ジメチル-5'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシアミド(10mg、0.025mmol、収率35%)を黄色の固体として得た。データは表3で閲覧できる。
【0224】
[実施例]
本発明は、下記実施例を参照して以降に説明されるが、これらに限定されない。
【0225】
[実施例1~31]
下記表1に示された実施例1~31の化合物を調製した。それらのNMR及びLCMS特性並びにそれらを調製するために使用した方法は表3に示されている。各実施例の出発材料は、表2に列記されている。
【0226】
【表1】
【0227】
【表2】
【0228】
【表3】
【0229】
結晶性化合物
化合物Aのトロメタミン塩(水和物I)(シードされていない)の調製
【0230】
【化53】
化合物Aは、実施例5の化合物(上記構造)である。2mLの97.6%(THF:水3:1):2.4%DMSOを50mgの化合物Aに加え、混合物を50℃まで加熱し、溶解させた。1当量の1Mトロメタミン水溶液を溶液に加え、室温まで冷却する前にそれを50℃で1時間平衡化させ、終夜撹拌させた。そして、沈殿が発生するまで溶液を窒素下で(元の容量のおよそ25%まで)蒸発させた。得られた固体をろ過し、IPAで洗浄し、真空下で45℃で乾燥させた。
【0231】
化合物Aのトロメタミン塩(水和物I)(シードされている)の調製
化合物A(1重量キログラムスケール)を窒素下で容器に投入した。続いて、THF(6.08vol)、そしてトロメタミン水溶液(2.21volの水に溶解した0.268重量トロメタミン)を加えた。そして水(1.84vol)を容器に加えた。混合物を加熱し、60℃で溶解させた。溶液を50℃まで冷却した。反応が化合物Aのトロメタミン塩(0.0126重量)の結晶性水和物Iでシードされる前にアセトニトリル(1.29vol)を加えた。混合物を1時間平衡化させた。そしてアセトニトリル(6.33vol)を2時間かけてスラリーに加えた。その後混合物を5℃まで冷却し、終夜撹拌させた。真空下で45℃で乾燥させる前に固体をアセトニトリル(3.96vol)で洗浄して、化合物Aのトロメタミン塩(水和物I)を得た。
【0232】
化合物Aのトロメタミン塩(水和物I)の特性
上記の化合物Aのトロメタミン塩の水和物IのX線粉末回折(XRPD)パターンは図1に示されており、回折角度及び面間隔dのまとめは表4(特徴的なピーク)及び表5(完全なピークリスト)に挙げられている。Siゼロバックグラウンドウェハ(Si zero-background wafers)を搭載したPANalytical Xpert Pro diffractometerでXRPD分析を実施した。取得条件は、CuKα放射線、ジェネレーター電圧:40kV、ジェネレーター電流:45mA、ステップ幅0.02°2θ、開始角度:2.0°2θ、終了角度:40.0°2θを含むものであった。
【0233】
【表4】
【0234】
【表5】
【0235】
上記の化合物Aのトロメタミン塩の水和物Iの示差走査型熱量計(DSC)サーモグラムの例は、図2に示されている。50mL/分のN2パージ下で、オートサンプラー及び冷蔵冷却システムを備えたTA Instruments Q100 differential scanning calorimeterを用いてDSC分析を実施した。クリンプAlパン内でサンプルのDSCサーモグラムを10℃/分で取得した。DSCサーモグラムは、約155℃の開始温度で吸熱性を示す。しかし、これは実験条件及び結晶性レベルに応じて変動し得る。
【0236】
上記の化合物Aのトロメタミン塩の水和物Iの熱質量分析(TGA)サーモグラムの例は、図3に示されている。25mL/分で、N2フロー下、10℃/分の加熱速度でTA Instruments Q5000 thermogravimetric analyzerを用いてTGA分析を実施した。この水和物のTGAサーモグラムは通常、30~120℃で6~7%の間の重量損失を示し、これは化合物A、すなわち、可変水和物(variable hydrate)の各当量の水の約2~2.5当量に対応する。
【0237】
化合物Aのトロメタミン塩(水和物II)(シードされていない)の調製
2mLのメタノールを100mgの化合物Aのトロメタミン塩のアモルファス形態に加え、懸濁液を室温で終夜平衡化させた。得られた固体をろ過し、真空下で45℃で乾燥させた。
【0238】
化合物Aのトロメタミン塩(水和物II)(シードされている)の調製
容器内の3gの化合物Aのトロメタミン塩の水和物Iに60mLのメタノールをオーバーヘッド撹拌しながら加えた。60mg(2%w/wシード添加)の化合物Aのトロメタミン塩の水和物IIを加え、反応混合物を室温で終夜平衡化させた。懸濁液は増稠し、終夜にかけて色が薄くなった。得られた固体をろ過し、真空下で45℃で乾燥させた。
【0239】
上記の化合物Aのトロメタミン塩の水和物IIのX線粉末回折(XRPD)パターンは図4に示されており、回折角度及び面間隔dのまとめは表6(特徴的なピーク)及び表7(完全なピークリスト)に挙げられている。Siゼロバックグラウンドウェハを搭載したPANalytical Xpert Pro diffractometerでXRPD分析を実施した。取得条件は、CuKα放射線、ジェネレーター電圧:45kV、ジェネレーター電流:40mA、ステップ幅0.03°2θ、開始角度:3.0°2θ、終了角度:35.0°2θを含むものであった。
【0240】
【表6】
【0241】
【表7】
【0242】
上記の化合物Aのトロメタミン塩の水和物IIの示差走査型熱量計(DSC)サーモグラムの例は、図5に示されている。20mL/分のN2パージ下で、オートサンプラー及び冷蔵冷却システムを備えたPerkinElmer Pyris 6000 differential scanning calorimeterを用いてDSC分析を実施した。ピンホールAlパン内でサンプルのDSCサーモグラムを20℃/分で取得した。DSCサーモグラムは、約210℃の開始温度で吸熱性を示す。しかし、これは実験条件及び結晶性レベルに応じて変動し得る。
【0243】
上記の化合物Aのトロメタミン塩の水和物IIの熱質量分析(TGA)サーモグラムの例は、図6に示されている。20mL/分で、N2フロー下、20℃/分の加熱速度でPerkinElmer Pyris 1 thermogravimetric analyzerを用いてTGA分析を実施した。この水和物のTGAサーモグラムは通常、30~150℃で1~3%の間の重量損失を示し、これは化合物A、すなわち、可変水和物の各当量の水の約0.3~1当量に対応する。
【0244】
水和物I及び水和物IIのそれぞれが安定である臨界水分活性を決定するために、水分活性検討を実施した。様々な水分活性を有する水性溶媒混合物の範囲内で、水和物I及び水和物IIの優位性の高いスラリーを室温で実施した。水分活性が0.5超である混合物全てから水和物Iを単離した。水和物II単独の平衡は、水分活性が0.5以上である溶媒混合物中の水和物Iへの転化を裏付けた。水分活性が0.2である溶媒混合物の室温での水和物I及び水和物IIの優位性の高いスラリーは、水和物I及び水和物II固体の混合物をもたらした。
【0245】
結晶性の化合物A(遊離酸)(パターン3)の調製
30mL/分の流速、並びに205nm、210nm及び230nmにおける171ダイオードアレイ検出器を用いて、Gilson Semi Preparative HPLC, Pumps 332 & 331, GX-271 Liquid handler, Trilution softwareでGemini-NX C18カラム(5μm、100×30mm)を経由する12.5分方法で水性媒体(0.2%の28%水酸化アンモニウム水溶液)中の5~35%アセトニトリルのグラジエント下で塩基性条件(高pH)を適用した逆相クロマトグラフィーにより粗体化合物A(遊離酸)を精製した。所望の画分を組み合わせた後、Biotage V10装置で蒸発させて、白色の固体残渣(4g)、ジアンモニウム塩を得た。
【0246】
ジアンモニウム塩(4g、7.99mmol)をDMSO(39.96mL)に溶解させ、30分間撹拌させた。1N HCl(59.94mL、59.94mmol)を加え、得られた析出物をろ過により回収し、氷冷水(20mL)で洗浄し、乾燥させて、粗生成物を得て、EtOH(40mL)に再懸濁させ、3時間撹拌させた。そして懸濁液をろ過して、乾燥した白色の固体を得て、微粉末(2.94g)に粉砕した。NMRは、この粉末が所望の生成物であったことを明らかにしたが、大量のDMSOがサンプル中に残存した。したがって、固体をEtOH(25mL)に再懸濁させ、18時間撹拌させた。そして懸濁液をろ過し、固体を回収し、乳棒及び乳鉢を用いて微粉末に粉砕して、化合物Aの遊離酸(2.39g、5.12mmol、収率64.1%)を白色の結晶性固体として得た。生成物のNMRは、生成物とDMSOとの比がおおよそ1:0.05で少量のDMSOがサンプル中に残存したことを示している。結晶性の化合物Aの遊離酸のX線粉末回折(XRPD)パターンは図7に示されており、この結晶性固体は「パターン3」を指す。
【0247】
上記の化合物Aの遊離酸パターン3の熱質量分析(TGA)サーモグラム例は、図8に示されている。
【0248】
結晶性の化合物A(遊離酸)(パターン1)の調製
結晶性の化合物Aの遊離酸パターン3を真空下で45℃で終夜加熱することにより乾燥させた場合(約10~15mbar)、「パターン1」と称される異なる結晶性固体を得た。化合物Aの遊離酸パターン1のXRPDパターンは、図9に示されている。
【0249】
上記の化合物Aの遊離酸パターン1の熱質量分析(TGA)サーモグラム例は、図10に示されている。
【0250】
生理活性
[実施例A]
ヒトGPR35aアイソフォーム結合
2.5×106個の細胞/mLの細胞密度及びPro293(Lonza)+5%FBS、1%Glutamax及び0.4%Pen/Strep中での24時間にわたる感染多重度が2.5でのHEK293f細胞におけるヒトGPR35aバキュロウイルスの過剰発現。細胞を収穫し、4℃で10分間2500RPMで遠心分離させた。そして上澄みを捨て、ペレットを-80℃で保存した。ペレットを解凍し、15mLの均質化バッファー(20mM HEPES、10mM EDTA、pH7.4)中で再懸濁させた。そして機械ホモジナイザー(VMR)中で10秒間均質化させた。メンブレンを40,000gで4℃で15分間遠心管内で遠心分離させた。上澄みを流し捨て、15mLの均質化バッファー中で再懸濁させた。20秒間均質化させた。メンブレンを40,000gで4℃で45分間遠心分離させた。メンブレンを、よく混合しながら3mLの保存バッファー(20mM HEPES、0.1mM EDTA、pH7.4)中に再懸濁させた。そして得られたメンブレンを-80°で保存した。
【0251】
GPR35細胞膜均質物を結合バッファー(50mM TRIS+10mM MgCl2 pH7.4)中で最終アッセイ濃度の5ug/ウェルに再懸濁させた。テスト化合物をジメチルスルホキシド(DMSO(Sigma Aldrich、英国))中で希釈することで、10ポイント1/2対数濃度曲線(10 point 1/2 log concentration curve)を形成した。プレート毎にテスト化合物、続いて7nM 3H-27966を加えた。
【0252】
非特異結合を計算するために、0.1uM FACロドキサミドを追加した。最終的に、プレート上の各ウェルにメンブレンを追加した。60分間の室温での保温後、ユニフィルター、GF/Bフィルターが接合した96ウェル白色マイクロプレート上にメンブレンをろ過し、TomTecセルハーベスターを用いてddH20中に予備浸漬させ、蒸留水を用いて5回洗浄した。50ul/ウェルシンチラント(scintillant)が追加される前にプレートを乾燥させ、密封し、MicroBeta分析装置を使用して放射能を測定した。IC50値は阻害曲線に由来し、親和定数(Ki)値は、下記チェン=プルソフ式:
pKi=-log10Ki
を用いて算出された。
【0253】
ラベルフリーDMR機能アッセイ
HT-29細胞(ATCCHTB-38)を、10%FBSが補填されたMcCoys(Thermo 16600082)内の連続培養中に保管した。アッセイの前日に、細胞をTrypLE(Gibco12604-013)を用いて収穫し、終夜、37℃、5%CO2、Corning EPIC 384ウェルプレート(5040)内で合計量が50ulの培地内で20k/ウェルで播種した。アッセイ当日に、細胞培地を除去し、アッセイバッファー(HBSS+20mM HEPES pH7.4)で置き換えて1時間再保温した。化合物をECHO LDV384ソースプレート内で100%DMSO中で調製した。EPICプレートリーダーでセルプレートを室温で15分間読み込み、読み込みを中断し、1ウェルあたり50nlの化合物を音響移送により加えるため、セルプレートをLabCyte ECHO 550に入れた。プレートをすぐにEPICリーダーに戻し入れ、読み込みを再開し、動的質量再分布(Dynamic Mass Redistribution)を60分間測定した。生データをEPIC分析装置ソフトウェアにより分析し、EC50を測定するため、濃度あたりの最大ピークを取得した。全ての生のDMRデータをロドキサミドに正規化し、バッファー修正した(buffer corrected)。
【0254】
【表8】
【0255】
GPR35aアイソフォームを過剰発現するHEKf細胞膜における濃度応答分析からKi値を導き出した。ヒトGPR35を内因的に発現するHT-29細胞株における濃度応答分析からEC50値を導き出した。
【0256】
化合物Aは、GI障害に高い用量で臨床的に使用されてきたマスト細胞安定化剤クロモリンよりも約500倍高いGPR35の機能的能力を示した。化合物Aはまた、PGE2誘発性体液分泌、インドメタシン回腸炎及びバリア透過性、TNBSマウス内臓痛モデル並びにラット及びマウスの急性LPSチャレンジに含まれる前臨床種全体における薬理学を示した。化合物Aはさらに、GPR35の強い選択性を示し、標的外効果は観測されなかった。化合物Aは、CYP3A4を含む、主要なヒトCYPに潜在する非常に低い薬剤相互作用を有する。
図1
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図3
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図6
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図8
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図10
【国際調査報告】