(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】水素圧縮アセンブリ、水素製造プラント、及び圧縮方法
(51)【国際特許分類】
F04D 25/16 20060101AFI20240412BHJP
C01B 3/02 20060101ALI20240412BHJP
C25B 1/04 20210101ALN20240412BHJP
【FI】
F04D25/16
C01B3/02 H
C25B1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565319
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2022025168
(87)【国際公開番号】W WO2022228720
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021000010475
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンジョーリ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ベルテラーメ,ドメニコ
(72)【発明者】
【氏名】グリマルディ,アンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】グリエルモ,アルベルト
【テーマコード(参考)】
3H130
4K021
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB12
3H130AB27
3H130AB42
3H130AB63
3H130AB65
3H130AB69
3H130AC01
3H130DD01X
3H130DE04X
3H130DJ01X
3H130ED00Z
4K021AA01
4K021BA02
(57)【要約】
【解決手段】 水素の圧力を増加させるための圧縮アセンブリを有する、水素を製造するための水素製造プラント。圧縮アセンブリは、少なくとも1つのバレル圧縮機と、少なくとも1つの一体型ギア式遠心圧縮機と、を有する。水素を圧縮する方法も開示される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素などのガスを圧縮するためのガス圧縮アセンブリであって、
少なくとも1つのバレル圧縮機を有する少なくとも1つの圧縮ユニットと、
一体型ギア式遠心圧縮機タイプの少なくとも1つの圧縮ユニットと、を備える、ガス圧縮アセンブリ。
【請求項2】
少なくとも1つの圧縮ユニットを有する低圧サブステージと、
少なくとも1つの圧縮ユニット(41、42)を有する中圧サブステージと、
一体型ギア式遠心圧縮機タイプの少なくとも1つの圧縮ユニットの最終圧力サブステージと、を備える、請求項1に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項3】
前記圧縮ユニットが、
第1のバレル圧縮機と、
前記第1のバレル圧縮機に接続された前記第1のバレル圧縮機の駆動シャフトと、
前記第1のバレル圧縮機の前記駆動シャフトに接続された第1のギアボックスと、
第2のバレル圧縮機と、
前記第2のバレル圧縮機に接続された前記第2のバレル圧縮機の駆動シャフトと、
前記第2のバレル圧縮機の前記駆動シャフトに接続された第2のギアボックスと、
前記第1のバレル圧縮機及び前記第2のバレル圧縮機を動作させるために、前記第1のギアボックス及び前記第2のギアボックスに動作可能に接続された駆動電気モータと、を含む、請求項2に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項4】
前記圧縮ユニットの前記駆動電気モータが、可変速度電気モータ又は固定速度電気モータである、請求項3に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの圧縮ユニットが、
ブルギアと、
前記ブルギアに機械的に接続された2つ以上のインペラと、
前記インペラを動作させるために前記ブルギアに動作可能に接続された電気駆動電気モータと、を含み、
前記インペラが、直列に作用して前記水素を圧縮する、請求項4に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項6】
前記低圧サブステージが、
第1の圧縮ユニット及び第2の圧縮ユニットと、
前記第1の圧縮ユニットに接続された第1の凝縮器と、
中間冷却によって温度を低下させ、最終的に前記水素の湿潤部分を凝縮させるための第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器の下流に接続され、前記第1の熱交換器と前記第2の圧縮ユニットとの間に介在する第2の凝縮器と、
前記第2の圧縮ユニットの下流に接続された第2の熱交換器と、を含む、請求項2に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項7】
前記中圧サブステージが、
第1の圧縮ユニット及び第2の圧縮ユニットと、
前記低圧サブステージの前記第2の熱交換器と、前記中圧サブステージの前記第1の圧縮ユニットとの間に直列に接続された第3の凝縮器及び第4の凝縮器であって、前記第3の凝縮器及び第4の凝縮器が前記水素ガスの前記湿潤を低減することができる、第3の凝縮器及び第4の凝縮器と、
前記中圧サブステージの前記第1の圧縮ユニットの下流に接続された熱交換器と、
前記中圧サブステージの前記熱交換器と前記第2の圧縮ユニットとの間に介在して接続された第5の凝縮器と、
前記中圧サブステージの前記第2の圧縮ユニットの下流に接続された第6の凝縮器と、を含む、請求項6に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項8】
前記最終圧力サブステージが、
前記中圧サブステージの前記第2の圧縮ユニットの前記第6の凝縮器に接続された、中間冷却一体型ギア式遠心圧縮機タイプの圧縮ユニットと、
前記水素の温度を低下させ、前記湿潤を凝縮させるための熱交換器と、を含む、請求項7に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項9】
水素製造プラントであって、
水素を製造するように構成された水素製造ステージと、
前記水素製造ステージに接続され、前記水素の圧力を増加させるための圧縮アセンブリであって、
少なくとも1つのバレル圧縮機を有する少なくとも1つの圧縮ユニットと、
一体型ギア式遠心圧縮機タイプの少なくとも1つの圧縮ユニットと、を含む、圧縮アセンブリと、を備える、水素製造プラント。
【請求項10】
少なくとも1つの圧縮ユニットを有する低圧サブステージと、
少なくとも1つの圧縮ユニットを有する中圧サブステージと、
一体型ギア式遠心圧縮機タイプの少なくとも1つの圧縮ユニットを含む最終圧力サブステージと、を備える、請求項9に記載の水素製造プラント。
【請求項11】
前記圧縮ユニットが、
第1のバレル圧縮機と、
前記第1のバレル圧縮機に接続された前記第1のバレル圧縮機の駆動シャフトと、
前記第1のバレル圧縮機の前記駆動シャフトに接続された第1のギアボックスと、
第2のバレル圧縮機と、
前記第2のバレル圧縮機に接続された前記第2のバレル圧縮機の駆動シャフトと、
前記第2のバレル圧縮機の前記駆動シャフトに接続された第2のギアボックスと、
前記第1のバレル圧縮機及び前記第2のバレル圧縮機を動作させるために、前記第1のギアボックス及び前記第2のギアボックスに動作可能に接続された駆動電気モータと、を含む、請求項10に記載の水素製造プラント。
【請求項12】
前記圧縮ユニットの前記駆動電気モータが、可変速度電気モータ又は固定速度電気モータである、請求項11に記載の水素製造プラント。
【請求項13】
前記少なくとも1つの圧縮ユニットが、
ブルギアと、
前記ブルギアに機械的に接続された2つ以上のインペラと、
前記インペラを動作させるために前記ブルギアに動作可能に接続された電気駆動電気モータと、を含み、
前記インペラが、直列に作用して前記水素を圧縮する、請求項12に記載の水素製造プラント。
【請求項14】
前記低圧サブステージが、
第1の圧縮ユニット及び第2の圧縮ユニットと、
前記第1の圧縮ユニットの入力として接続され、受け取られた前記ガスの前記湿潤成分の部分を凝縮するための、第1の凝縮器と、
温度を低下させ、前記水素の前記湿潤部分を凝縮させるための第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器の下流に接続され、前記第1の熱交換器と前記第2の圧縮ユニットとの間に介在する第2の凝縮器と、
前記第2の圧縮ユニットの下流に接続された第2の熱交換器と、を含む、請求項10に記載の水素製造プラント。
【請求項15】
前記中圧サブステージが、
第1の圧縮ユニット及び第2の圧縮ユニットと、
前記低圧サブステージの前記第2の熱交換器と、前記中圧サブステージの前記第1の圧縮ユニットとの間に直列に接続された第3の凝縮器及び第4の凝縮器であって、前記第3の凝縮器及び第4の凝縮器が前記水素ガスの前記湿潤を低減することができる、第3の凝縮器及び第4の凝縮器と、
前記中圧サブステージの前記第1の圧縮ユニットの下流に接続された熱交換器と、
前記中圧サブステージの前記熱交換器と前記第2の圧縮ユニットとの間に介在して接続された第5の凝縮器と、
前記中圧サブステージの前記第2の圧縮ユニットの下流に接続された第6の凝縮器と、を含む、請求項14に記載の水素製造プラント。
【請求項16】
前記最終圧力サブステージが、
前記中圧サブステージの前記第2の圧縮ユニットの前記第6の凝縮器に接続された、一体型ギア式遠心圧縮機タイプの圧縮ユニットと、
前記水素の温度を低下させ、前記湿潤を凝縮させるための熱交換器と、を含む、請求項15に記載の水素製造プラント。
【請求項17】
前記水素製造ステージが、水の電気分解に基づく、請求項9に記載の水素製造プラント。
【請求項18】
水素ガスを圧縮する方法であって、
水素ガスを得るステップと、
少なくとも1つの遠心圧縮機によって前記水素を圧縮するステップと、
一体型ギア式遠心圧縮機のうちの少なくとも1つによって前記水素を圧縮するステップと、を含む、方法。
【請求項19】
水素ガスを得る前記ステップが、電気分解によって実行される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素圧縮アセンブリ、及び水素圧縮アセンブリを含む高圧水素を製造するためのプラントに関し、水素圧縮アセンブリは、アンモニアを製造するためなどのいくつかの産業プロセスにおいて、又は異なる技術分野において使用され得る異なる種類のガスタービンなどのタービン及びエンジンのための燃料源として使用され得る。
【0002】
以下では、説明は水素の圧縮に言及するが、圧縮アセンブリは任意の他の種類のガスを圧縮するためにも使用され得るので、この説明がこの特定の使用に限定されると考えるべきでないことは明らかである。
【背景技術】
【0003】
水素は、いくつかの産業用途のために製造される。例えば、水素の最も重要な産業用途のうちの1つ(唯一のものではない)は、アンモニアの製造であり、アンモニアは、様々な範囲及び産業分野で通常使用される周知の化学製品である。例えば、アンモニアは、異なる種類の作物の畑の肥料として使用されるために製造される。加えて、アンモニアはまた、原油精製部門において、特に水素のためのキャリアとして、すなわち水素の輸送のために主に使用される。
【0004】
現在、水素は主にいわゆる水蒸気改質プロセスで製造されている。この製造プロセスによれば、メタンは最初に圧縮される。周知のように、メタンは、その分子量が非常に高い(約18)ので、容易に圧縮され得るガスである。続いて、炭素から水素を分離するステップ(いわゆる改質ステップ)が行われて、30バール~40バールの圧力で水素(H2)が得られ、次いでアンモニアを得るために、この水素が窒素と混合される。30バール~40バールの圧力で、水素は、貯蔵容器内で、並びに/又は短距離及び長距離パイプラインを介して容易に輸送され得る。
【0005】
周知のように、水素は非常に小さく軽い分子である。したがって、パイプラインを通して水素を輸送するのは厄介である。一般に、このガスの効率的な輸送を達成するために、30バール~40バールの上述した程度の圧力であることが必要である。
【0006】
上述の水素製造技術は、効果的であるが、いくつかの技術的問題を有する。主な問題のうちの1つは、環境に優しくないことである。実際には、メタンを燃焼させなければならず、その結果、二酸化炭素(CO2)が製造され、いわゆる「グレー水素」を得ることになる。「グリーン水素」、すなわち、メタンの燃焼を回避し、二酸化炭素を大気中に拡散させることによって得られる水素を製造するための最近の産業上の関心は、市場において急速に成長している。
【0007】
加えて、メタンを燃焼及び処理するためのプラントは、伝統的に、非常に高い設置面積並びに運用コストを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、改良された圧縮アセンブリ、並びに水素及び一般に任意の他のガスを圧縮する方法が、この分野で歓迎されるであろう。より一般的には、メタン又は任意の他の燃料を燃焼させることなくグリーン水素を製造することができる新しいタイププラントをまた提供することも望ましい。
【0009】
一態様では、本明細書に開示される主題は、新規で産業上有用な水素圧縮アセンブリ、及び電気分解によって水素を製造するように構成された水素製造プラントを対象とする。圧縮アセンブリは、水素又は任意の他のガスの圧力を増加させるのに適している。圧縮アセンブリは、バレル圧縮機を有する少なくとも1つの圧縮ユニットと、一体型ギア式遠心圧縮機タイプの少なくとも1つの圧縮ユニットと、を備える。
【0010】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、関連するギアボックスを有する2つのバレル圧縮機と、バレル圧縮機を動作させるために第1のギアボックス及び第2のギアボックスに接続された駆動電気モータと、を有する圧縮ユニットに関する。
【0011】
別の態様では、可変速度電気モータ又は固定速度電気モータを有する圧縮ユニットが本明細書で開示される。
【0012】
別の態様では、ブルギアと、ブルギアによって機械的に駆動される複数のインペラとインペラを動作させるためにブルギアに動作可能に接続された電気駆動電気モータと、を有する、圧縮ユニットが本明細書で開示される。
【0013】
本開示の更なる態様は、水素ガスを得るステップと、少なくとも1つの遠心圧縮機によって水素を圧縮するステップと、次いで、一体型ギア式遠心圧縮機のうちの少なくとも1つによって水素を圧縮するステップと、を含む、水素ガスを圧縮する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の開示される実施形態、及びそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、それらがより良好に理解される際、容易に得られるであろう。
【
図1】
図1は、第1の実施形態による水素を製造するためのプラントの概略図を示す。
【
図2】
図2は、第2の実施形態による水素を製造するためのプラントのレイアウトを示す。
【
図3】
図3は、
図2のプラントの水素の圧力を増加させるためのバレル圧縮機ステージを示す。
【
図4】
図4は、
図2のプラントの水素の圧力を増加させるための一体型ギア式遠心圧縮機ステージを示す。
【
図5】
図5は、本開示による、水素ガスを圧縮する方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
水素は、アンモニアの製造などの多くの産業用途で使用される。電気分解は、メタンを燃焼させることなく、したがって、二酸化炭素を大気中に分散させることなく、水素を製造するための方法である。しかしながら、水素は非常に軽い分子であるため、産業用に使用するためには、電気分解によって得られる水素の圧力を増加させなければならない。一態様によれば、本開示の本主題は、圧縮機(すなわち、遠心圧縮機)と、一体型ギア式遠心圧縮機との異なるレイアウトを組み合わせて、ガスの高い圧縮率及びプラントの低減された設置面積を達成する圧縮システム又はプランを対象とする。
【0016】
ここで図面を参照すると、
図1は、第1の実施形態による水素製造プラント1の概略図を示す。
【0017】
特に、水素製造プラント1は、参照番号2で一般的に示される水素製造ステージと、以下でより良く説明されるように、水素の圧力を30~40バールの圧力に上昇させるための圧縮アセンブリ3と、を備える。
【0018】
水素製造ステージ2は、水の電気分解に基づく。これは、電気を使用して水を分解すること(電気分解)による水素の周知の製造に基づく。これは、水に電流を流して、水を水素及び酸素に分解することを伴う。再生可能なエネルギーを使用して電流が生成される場合、電気分解は実質的に汚染又は毒性副産物をもたらさない。
【0019】
水素製造ステージ2によって製造された水素は周囲圧力にあるので、水素が製造された状態で輸送することは困難である。そのような水素は、加圧され、輸送に適した特別な容器に貯蔵されるか、又はパイプラインを通して所定の目的地(貯蔵容器、水素タービン、燃料補給ステーションなど)に輸送するために加圧されなければならない。したがって、水素製造ステージ2の下流に圧縮アセンブリ3が接続されて、製造された水素の圧力を上昇させ、上述の30バール~40バールの圧力に到達させる。
【0020】
より具体的には、発明されたものは、新しい水素製造プラント1の独自の圧縮アセンブリ3を使用して、水素製造ステージ2において電気分解によって製造された、又は任意の他の水素製造システムによって供給された水素を加圧する新しい方法である。考慮される実施形態では、新しい水素製造プラント1の独自の圧縮アセンブリ3は、理想的には複数のサブステージに分割される。一例では、プラントの設計要件に従って、水素圧力を、問題の実施形態では、周囲圧力から約6バールに増加させるための低圧サブステージ4と、水素圧力を約24バールに上昇させるための中圧サブステージ5と、水素圧力を約30バール以上に上昇させるための最終圧力サブステージ6と、を含む、3つのサブステージが使用される。
【0021】
より具体的には、
図1の概略図を更に参照すると、低圧サブステージ4は、圧縮ユニット41を(概略的に)含み、圧縮ユニット41は、直列に配置された2つのバレル圧縮機411及び412をそれぞれ有する。バレル圧縮機は、シャフトと、シャフトに固定され、直列に配置されたインペラのセットと、バレルの典型的な形状を有するケースと、を含む、遠心圧縮機である。
【0022】
図に示される概略的な実施形態では、バレル圧縮機411又は412は、それぞれ9つのインペラを含む。他の実施形態では、圧縮ユニット41の各バレル圧縮機411又は412用の異なる数のインペラは、所望の水素の増圧並びに水素の流量に応じて提供され得る。特に、水素に対して高い圧縮比が必要とされる場合、通常、バレル圧縮機411又は412は、それぞれ3つ以上のバレル圧縮機を有する。
【0023】
また、いくつかの実施形態では、バレル圧縮機411又は412は、以下でより良く説明されるように、前の遠心圧縮機のガス圧力により良く適合するように、可変速度電気モータ又は固定速度電気モータ(図示せず)によって駆動されてもよい。より具体的には、可変速度電気モータが考慮される。
【0024】
中圧サブステージ5は、低圧サブステージ4と構造的に類似しており、直列に接続された2つのバレル圧縮機511及び512を有する圧縮ユニット51を含む。
【0025】
この場合もまた、バレル圧縮機511又は512はそれぞれ最大10個のインペラを有するが、圧力圧縮比に応じて、異なる数のインペラを有するバレル圧縮機511又は512を設置することができる。
【0026】
中圧サブステージ5のバレル圧縮機511又は512は、以下でより良く説明されるように、前の遠心圧縮機のガス圧力により良く適合するように、可変速度電気モータ又は固定速度電気モータ(図示せず)によって駆動されてもよい。
【0027】
低圧サブステージ4及び中圧サブステージ5は、圧縮される水素の流量に応じて、それぞれ2つ以上の圧縮ユニット41又は51を含み得る。
【0028】
最終圧力サブステージ6は、水素の温度を所望の圧力に増加させる。最終圧力サブステージ6は、問題の場合では、当然のことながら、中央ブルギア611によって機械的に駆動される4つのインペラ612を含む、中間冷却一体型ギア式遠心圧縮機タイプの圧縮ユニット61を含む。このレイアウトの実装は、高速三次元インペラ、比較的低いコスト(従来の圧縮機と比較した場合)、及びより高い効率に関して利点を有する。また、従来の圧縮機と比較した場合は常に、設置面積に関して特に小さいことが分かる。
【0029】
最終圧力サブステージ6の水素出力は、ガスを直ちに導入することができるように、湿潤部分なしで要求圧を有する。
【0030】
ここで
図2を参照すると、第1の実施形態と構造的及び機能的に類似している、第2の実施形態による水素製造プラント1のレイアウトのより具体的な設計が示されている。
【0031】
より具体的には、
図1の水素製造プラント1は、水の電気分解によって周囲圧力の水素が製造される水素製造ステージ2と、圧縮アセンブリ3と、を備える。
【0032】
水素製造ステージ2は、第1の実施形態と同様に、電気分解によって動作する。
【0033】
圧縮アセンブリ3は、この場合もまた、低圧サブステージ4と、中圧サブステージ5と、最終圧力サブステージ6と、を備える。低圧サブステージ4は、水素製造ステージ2の電解槽から生じる水素の湿潤成分の部分を凝縮するための、水素製造ステージ2に接続された第1の凝縮器43を含む。
【0034】
低圧サブステージ4はまた、第1の凝縮器43の下流に接続された第1の圧縮ユニット41を含む。
図3を参照すると、低圧サブステージ4の第1の圧縮ユニット41のレイアウトが示されている。第1の圧縮ユニット41は、第1のバレル圧縮機411と、第1のバレル圧縮機411の駆動シャフト414に接続された第1のギアボックス413と、第2のバレル圧縮機412と、第2のバレル圧縮機412の駆動シャフト416に接続された第2のギアボックス415と、第1のギアボックス413及び第2のギアボックス415に動作可能に接続されてバレル圧縮機411及び412を動作させる駆動電気モータ417と、を含む。それぞれのギアボックス413及び415のギア比は、要求される圧縮性能に応じて設定される。
【0035】
また、エピサイクリック又はプラネタリーギアボックス、ウォームギアボックス、ヘリカルギアボックス、ベベルギアボックスなど、任意の種類のギアボックスが実装され得る。
【0036】
好適なギアボックス比は、所望の圧縮比に応じて決定され得る。また、圧縮アセンブリ3の全体的な圧縮比は、特定の設計上の必要性に従ってそれぞれの圧縮ステージを通して分散される。
【0037】
駆動電気モータ417は、入口ガス流量に応じて低圧サブステージ4の圧縮比をより良く適合させるように、可変速度電気モータである。
【0038】
他の実施形態では、駆動電気モータ417は、固定速度を有し得、したがって、システムの全体的なコストを節約する。
【0039】
また、第1のバレル圧縮機411には、遠心圧縮機に入る空気流及び圧力を調整するために、入口案内翼(Inlet Guide Vane、IGV)(図示せず)が装備されてもよい。
【0040】
低圧サブステージ4はまた、水素の中間冷却によって温度を低下させ、場合によっては水素の湿潤を凝縮させるための第1の熱交換器(いかなる種類でもあり得る)44と、第1の熱交換器44の下流に接続された第2の凝縮器45と、第2の凝縮器45に接続された第2の圧縮ユニット42と、を含む。本実施形態における第2の圧縮ユニット42は、第1の圧縮ユニット41と等しい。
【0041】
最後に、低圧サブステージ4は、第2の圧縮ユニット42に接続された第2の熱交換器46を含む。中圧サブステージ5は、水素ガスの水分を低減するために、低圧サブステージ4の第2の熱交換器44に直列に接続された第3の凝縮器53及び第4の凝縮器54を含む。
【0042】
また、中圧サブステージ5は、構造的及び機能的観点から低圧サブステージ4の圧縮ユニット41と同様に、第1の圧縮ユニット51を含む。
【0043】
中圧サブステージ5は、第1の圧縮ユニット51に接続された熱交換器55と、熱交換器55に接続された第5の凝縮器56と、構造的及び機能的観点から第1の圧縮ユニット51と同様に、第5の凝縮器56に接続された第2の圧縮ユニット52と、第6の凝縮器57と、を含む。
【0044】
最終圧力サブステージ6は、第6の凝縮器57に接続された圧縮ユニット61と、水素の温度を低下させてその湿潤を凝縮させるための熱交換器63と、を含む。圧縮ユニット61は、上述のように、
図4に示すように、一体型ギア式遠心圧縮機タイプである。最終圧力サブステージ6の圧縮ユニット61は、ブルギア611と、ブルギア611に機械的に接続された2つのインペラ612と、ブルギア611に動作可能に接続され、直列に作用して水素を圧縮するインペラ612を動作させる電気駆動電気モータ613と、を含む。
【0045】
このレイアウトは、サイズが小さく、圧縮されたガスの温度を下げるために水凝縮を必要としないので、水素の圧力を増加させるのに特に有用である。
【0046】
いくつかの実施形態では、インペラ612の数は、必要とされる流量及び性能に応じて異なり得る。
【0047】
グリーン水素製造プラント1は以下のように動作する。
【0048】
水素製造ステージ2が水素電気分解を生成するとき、ガスは周囲温度であり、湿潤している。次いで、水素は、低圧サブステージ4の第1の凝縮器43に入り、その水分を低減し、次いで、電気モニタ417並びにギアボックス413及び415によって適切に駆動される第1のボロウ圧縮機(borrow compressor)411及び第2のボロウ圧縮機412を手段として、第1の圧縮ユニット41によって圧縮される。
【0049】
次いで、圧縮されたガスは、第1の熱交換器44によって冷却され、凝縮器45によって処理された後、第2の圧縮ユニット42によって更に圧縮される。第2の圧縮ユニット42は、上述したように、構造的及び機能的に第1の圧縮ユニット41と同様である。次いで、更に圧縮されたガスは、第6用の第2の熱交換器を通過した後、中圧サブステージ5の第3の凝縮器53及び第4の凝縮器54に到達し、第1の圧縮ユニット51によって更に圧縮される。次いで、ガスは、熱交換器55及び第5の凝縮器56を通過した後、第2の圧縮ユニット52によって圧縮される。
【0050】
最後に、ガスは、凝縮器57を通過した後、中圧サブステージ5を出て、その湿潤を再び低減させる。
【0051】
水素は、最終圧力サブステージ6に入り、特に、上述したように、電気物質613によって駆動されるブルギア611によって駆動される2つのインペラ612が装備された一体型ギア式遠心圧縮機タイプである、圧縮ユニット61によって圧縮される。各インペラ間の一体型ギア式遠心圧縮ユニット61は、ガスの温度を低下させることができる中間冷却器ステージを有する。
【0052】
水素製造プラント1を出る前に、ここで約30~40バールの圧力を有する圧縮されたガスは、水素の最終奇形物(final monster)を更に低減するように、熱交換器63を通過する。
【0053】
この時点で、高圧水素は、輸送される準備、及び場合によってはアンモニアを製造するか又は任意の他の使用のための準備が整っている。
【0054】
図5を参照すると、水素製造プラント1によって実行される、水素ガスを圧縮する方法7が示されている。方法7は、水素ガスを得るステップ71を含み、これは、高圧グリーン水素を製造するために、水素製造ステージ2による電気分解によって実行される。
【0055】
次いで、方法7は、バレル圧縮機411、412などを含む圧縮ユニット41、42、51、52などの少なくとも1つの遠心圧縮機によって水素を圧縮するステップ72を含む。
【0056】
最後に、水素ガスを圧縮する方法7は、一体型ギア式遠心圧縮機61のうちの少なくとも1つによって水素を圧縮するステップ73を更に含む。
【0057】
開示された解決策の利点は、水素製造プラントの可用性及び信頼性を高めることが可能であることである。
【0058】
別の利点は、このレイアウトで実現される水素製造プラントが、従来技術の水素製造プラントと比較した場合に、設置面積が低減されることである。
【0059】
本開示による圧縮レイアウトの追加の利点は、最終圧力サブステージにおける一体型ギア式遠心圧縮機の適用が、圧縮プロセスの終了時の体積流量が低いため、この系列に良好に適合することである。
【0060】
本開示の更なる利点は、往復圧縮機による標準的な解決策に対して、H2圧縮のためのコンパクトな解決策を提供することである。更に、平均保全間隔(mean time between maintenance、MTBM)が劇的に低減され、運転費用(operating expenditures、OPEX)の削減が達成される。
【0061】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法ステップの順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0062】
本開示の実施形態に対して詳細な参照がなされており、これらの1つ以上の例は、図面に例解されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「ある実施形態」又は「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、一実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「ある実施形態では」又は「一実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れると、それは、必ずしも同一の実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0063】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「当該(said)」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。
【0064】
Barzano & Zanardo Roma S.p.A.
【国際調査報告】