IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セアドバンスの特許一覧

特表2024-517150産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム
<>
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図1
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図2
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図3
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図4
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図5
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図6
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図7
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図8
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図9
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図10
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図11
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図12
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図13
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図14
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図15
  • 特表-産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】産業機器の動作及び保全の監視のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
G05B23/02 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565569
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2022060969
(87)【国際公開番号】W WO2022229135
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】2104418
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523401962
【氏名又は名称】セアドバンス
【氏名又は名称原語表記】SEADVANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィニョン、ファブリス
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA11
3C223AA15
3C223FF05
3C223FF16
3C223FF22
3C223FF35
3C223FF46
3C223FF47
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH03
(57)【要約】
本発明は、施設(3)内の機器(2)の動作及び保全の監視のためのシステム(1)に関し、機器(2)は、実施対象の保全(6)まで動作し、その後少なくとも1つの後続の予定保全(7)により、製造及び保全ログ(9)、使用ログ(11)、状態(13)のログ(120)が作成される。状態(13)に影響を及ぼすタスク(90)及び条件(110)を特徴付けることによって、機器(2)の経年劣化の原因と結果との間の相関(14)が決定される。
他の機器については、仮想モデル(16)を訓練するために、当該相関(14)に対応するデータが復元され、抽出される。
保全(6)が実行される前日に、ログ(9,11)と、実行される保全(6)のタスク(90)と、シナリオ(8)の予定条件(110)とに基づいて、当該モデル(16)は、当該機器(2)の最小動作状態(17)と比較した予定状態(130)を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコンピューティング端末によって実行される、施設(3)内の少なくとも1つの産業機器(2)の動作及び保全の監視のためのデジタルシステム(1)であって、少なくとも、
- 施設(3)内に、製造プロセス(4)から得られ、シリーズを表す少なくとも1つの産業機器(2)を設置し、次いで、実施対象の保全ステップ(6)までの期間(5)に関連して前記機器(2)を少なくとも動作させるステップと、
- 予定動作期間(70)にわたる前記機器(2)の予定使用条件(110)を有する少なくとも1つのシナリオ(8)の後に、実施対象の前記保全(6)に続く少なくとも1つの予定保全(7)を定義するステップと、を含み、
前記機器(2)の前記製造(4)、設置、動作、及び保全が、少なくとも、
- 製造及び保全ログ(9)であって、
前記設置まで前記少なくとも1つの機器(2)を製造するためのタスク(90)と、
任意選択で、前記機器(2)の少なくとも1つの先行保全(10)のタスク(90)と、を含む、製造及び保全ログ(9)と、
- 前記設置と実施対象の前記保全(6)との間の前記期間(5)にわたる前記機器(2)の使用ログ(11)であって、前記使用ログ(11)が、前記期間(5)中の前記機器(2)の使用条件(110)を含む、使用ログ(11)と、
- 前記機器(2)の状態(13)のログ(120)であって、状態の前記ログ(120)が、前記機器(2)の材料インジケータ(120)を含む、状態のログ(12)と、を作成し、
前記機器(2)の技術的解析によって、前記タスク(90)のうちの少なくとも1つ及び/又は前記使用条件(110)のうちの少なくとも1つと、前記状態(13)の前記材料インジケータ(120)のうちの少なくとも1つとの間の少なくとも1つの相関(14)が決定され、前記相関(14)が、前記機器(2)の経年劣化の原因と経年劣化の結果との間の少なくとも1つのリンクを確立し、
前記相関(14)において、
- 前記タスク(90)が、クリティカルとして特定されたタスクによって特徴付けられ、かつ/又は前記使用条件(110)が、前記機器(2)が敏感であり、動作中又は停止時にさらされる条件によって特徴付けられ、対象の前記タスク(90)及び前記条件(110)が、前記機器(2)の前記状態(13)に影響を及ぼし、
- 前記機器(2)の材料状態(13)が、前記機器(2)のこの状態(13)を表すものとして特定される前記インジケータ(120)によって特徴付けられ、
次に、前記相関(14)において、
- 前記機器(2)が敏感であり、動作中又は停止時にさらされる前記使用条件(110)を特徴付ける測定された物理量又は前記測定された物理量の関数と、
- 所与の時点における前記機器(2)の前記材料状態(13)を特徴付ける測定された物理量又は前記測定された物理量の関数と、が決定され、
次いで、
前記シリーズの機器のうちの他の機器について、データセット(15)を取得するために、前記相関(14)において特定された、これらのタスク(90)に関連付けられたデータと、これらの使用条件(110)及びこれらの材料インジケータ(120)に関係する前記物理量又は物理量の関数に関連付けられたデータと、を復元及び抽出し、
前記データセット(15)に基づいて、少なくとも1つの仮想モデル(16)を訓練し、
実施対象の前記機器(2)の前記保全(6)中に、
- 前記製造及び保全ログ(9)の前記タスク(90)のうちの少なくとも1つの値と、前記使用ログ(11)の前記使用条件(110)のうちの少なくとも1つの値と、
- 実施対象の前記保全(6)の前記タスク(90)及び前記シナリオ(8)の前記予定使用条件(110)のうちの少なくとも1つの値と、が前記モデル(16)に提出され、
前記モデル(16)が、前記保全(6)が実施された後の前記機器(2)の予定状態(130)を生成し、前記予定状態(130)が、前記機器(2)の前記動作に必要であると特定された最小状態(17)と比較されることを特徴とする、デジタルシステム(1)。
【請求項2】
- 実施対象の前記保全(6)の前記タスク(90)の前記値のうちの少なくとも1つに対して、少なくとも1つの変動が行われ、
- 前記値が前記モデル(16)に提出されると、前記変動の前記値が導入され、
- 全ての前記変動の中で、実施対象の前記保全(6)の少なくとも1つの十分な判定が、前記機器(2)の前記予定状態(130)について、前記予定保全(7)の時点で、前記最小状態(17)以上であると選択されることを特徴とする、請求項1に記載の監視システム(1)。
【請求項3】
- 所与の保全判定について、前記シナリオ(8)の前記予定使用条件(110)のうちの少なくとも1つの前記値が修正され、
- 前記値が前記モデル(16)に提出されると、前記修正の前記値及び前記保全判定の前記値が導入され、
- 前記予定保全(7)の前記時点で、前記最小状態(17)に等しい前記機器(2)の前記予定状態(130)に対する前記予定条件(110)のうちの少なくとも1つに対して制限が計算されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の監視システム(1)。
【請求項4】
- 前記値が前記モデル(16)に提出されると、前記十分な保全の判定の前記選択された値が導入され、
- 前記予定条件(110)の最大制限(18)が、前記予定保全(7)の前記時点で、前記最小状態(17)に等しい前記機器(2)の前記予定状態(130)に対して、この十分な保全判定のために計算されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の監視システム(1)。
【請求項5】
- 前記シナリオ(8)の前記予定使用条件(110)のうちの少なくとも1つに対して、使用マージンが、前記対応する値と前記対応する最大制限(18)との間の偏差(182)として決定されることを特徴とする、請求項4に記載の監視システム(1)。
【請求項6】
- 前記十分な判定の中から、許容可能な使用マージンを有するものとして、又は前記許容可能な偏差(182)のうちの少なくとも1つを有するものとして、最適な判定が選択されることを特徴とする、請求項5に記載の監視システム(1)。
【請求項7】
- 前記予定条件(110)のうちの第2の条件の関数として、前記予定条件(110)のうちの少なくとも第1の条件に関連付けられた少なくとも1つの曲線を有する、チャートの形態のグラフィック表現を含み、
前記チャートが、第1の予定条件(110)の前記最大制限(18)を決定することを特徴とする、請求項6に記載の監視システム(1)。
【請求項8】
- 前記相関(14)において、前記製造及び保全ログ(9)が、連続する値の少なくとも1つのリストの形態のクリティカルタスク(90)のログに低減され、前記リストの前記値の各々が、所与の保全作業における対象の前記タスク(90)を特徴付け、
各リストにおいて、永続値のみが、対象の前記タスク(90)が実施された最後の保全作業において採用された前記値として選択され、
- 前記永続値のみが、前記クリティカルタスク(90)の前記ログ(9)に保持されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の監視システム(1)。
【請求項9】
前記相関(14)において、前記使用条件(110)の前記測定された物理量の前記関数が、
- 前記測定された物理量が少なくとも1つの値の範囲内に存在する時間を計算すること、
及び/又は、
- 前記測定された物理量の少なくとも1つの変動を表す計算、
及び/又は、
- 前記少なくとも1つの変動をカウントすることを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の監視システム(1)。
【請求項10】
前記相関(14)において、周期的に、
- 少なくとも1つの製造者、保全技術者、及び/又はオペレータからの新しいデータの前記復元が繰り返され、
- その後、前記新しいデータが抽出されて、完成したデータセット(15)が取得され、
- 続いて、前記完成したデータセット(15)に基づいて前記モデル(16)の前記訓練を更新することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の監視システム(1)。
【請求項11】
前記保全(6)が実施されると、前記保全(6)に続いて、
- 前記製造及び保全ログ(9)の前記タスク(90)のうちの少なくとも1つの値と、実施対象の前記保全(6)の少なくとも1つのタスク(90)の値と、
前記保全(6)が実施されてからの前記使用ログ(11)の前記使用条件(110)のうちの少なくとも1つの値と、
- 前記シナリオ(8)の前記予定使用条件(11)の値と、が前記モデル(16)に提出され、
前記モデル(16)が、前記機器(2)の前記予定状態(130)をリフレッシュし、前記予定状態(130)が、前記機器(2)の前記動作に必要であると特定された最小状態(17)と比較されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の監視システム(1)。
【請求項12】
- 少なくとも、実施対象の前記保全(6)の前記十分な判定が実行されたと仮定され、実施対象の前記保全(6)に続く前記予定保全(7)まで前記シナリオ(8)が実行されたと仮定されるステップと、
- 次いで、前記予定保全(7)の前記タスク(90)の前記値のうちの少なくとも1つに対して少なくとも1つの変動が行われるステップと、
- 前記値が前記モデル(16)に提出されると、前記変動の前記値、並びに前記予定保全(7)に続く予定動作期間(710)に対して予知される次のシナリオ(81)の前記値が導入されるステップと、
- 全ての前記変動の中で、前記予定保全(7)に続く前記保全(71)の前記時点で、前記最小状態(17)以上の前記機器(2)の前記予定状態(130)に対して、前記予定保全(7)に対して少なくとも1つの十分な判定が選択されるステップと、
- 前記最大制限(18)のうちの少なくとも1つ、並びにこのように選択された前記十分な保全の判定及び前記以下のシナリオ(81)に関連付けられた使用マージンの前記マージンが決定されるステップと、が少なくとも実施され、
次いで、前記ステップが、前記機器(2)の寿命における予定保全の後に、1つおきに再帰的に繰り返されることを特徴とする、請求項5~11のいずれか一項に記載の監視システム(1)。
【請求項13】
- 前記最適な判定が、対応する保全のための少なくとも前記十分な判定から選択されることを特徴とする、請求項6及び12に記載の監視システム(1)。
【請求項14】
- 保全判定が、前記最小状態(17)よりも小さい予定状態(130)で不十分であるとき、対応する保全判定について故障日(19)が決定されることを特徴とする、請求項2~13のいずれか一項に記載の監視システム(1)。
【請求項15】
- 実施対象の前記保全(6)について、又は十分であると特定される保全判定がない予定保全(7,71)について、かつ実施対象の前記保全(6)の少なくとも1つの所与の不十分な判定について、前記機器(2)の前記耐用年数の終了日が、前記保全判定に関連付けられた前記故障日(19)であると決定されることを特徴とする、請求項14に記載の監視システム(1)。
【請求項16】
- 実施対象の前記保全(5)のために、又は前記機器(2)の前記寿命における最後の保全として特定される予定保全のために、
前記故障日(19)と、最終使用マージンと、前記最後の保全の前記タスク(90)の制約との間の任意の組み合わせを最適化する前記保全判定が、可能な保全判定の中から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の監視システム(1)。
【請求項17】
別個の製造判定に関連付けられた、前記機器(2)の同じシリーズの少なくとも2つのダミー機器について、
- 前記少なくとも2つの製造判定と、前記2つのダミー機器の前記想定耐用年数にわたる少なくとも1つの予定使用シナリオ(8)と、を前記モデル(16)に提出することによってシミュレーションが実施され、
- 前記モデル(16)が、前記2つのダミー機器の各々について少なくとも1つの予定状態(130)を生成し、
- 前記少なくとも2つの製造判定のうちの1つが、前記2つのダミー機器の前記予定状態(130)に応じて選択され、
- 前記選択された製造判定が、設計者/製造者にアクセス可能であることを特徴とする、請求項1に記載の監視システム(1)。
【請求項18】
- 2つの別個の製造判定に関連付けられた、前記機器(2)の同じシリーズの少なくとも2つのダミー機器について、
- 再帰シミュレーションが、前記少なくとも2つの製造判定の各々に対して同様に実施されて、前記製造判定の各々に関連付けられた最適なライフサイクル、すなわち、シリーズの最適な保全判定、これらの最適な保全判定に関連付けられたシリーズの最大制限(18)及び使用マージン、並びにダミー機器の関連付けられた最適な耐用年数を決定し、
- 最適な製造判定が、前記シミュレーションの結果に応じて選択され、
- 前記選択された最適な製造判定が、前記設計者/製造者にアクセス可能であることを特徴とする、請求項12~17のいずれか1項に記載の監視システム(1)。
【請求項19】
- 単一のオペレータに属する前記シリーズの複数の機器(2)のフリートに適用され、
- 取得された結果が、前記機器(2)の各々について組み合わされ、
- 前記結果が、少なくとも前記オペレータにアクセス可能であることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の監視システム(1)。
【請求項20】
- 前記モデル(16)の前記訓練が、人工知能の分野に属し、機械学習とすることができることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の監視システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機器のライフサイクルの管理を目的とした産業機器の監視の分野に属し
- その製造を最適化し、その製造を所与の使用プロファイルに適合させ、
- その保全を意図された使用プロファイルに最適化及び適合させ、
- その耐用年数の長期間にわたってこのように最適化されたその保全を決定し、
- 次回の保全までの動作中に故障がないこと(ゼロ故障)に適合する使用量を特定し、
- その耐用年数のうちの長期間にわたるゼロ故障に適合する使用量を特定し、
- 意図された使用プロファイルのためにその耐用年数延長期間を指示し、最適化する。
【0002】
本発明は、対象の機器が信頼性要件の対象であり、信頼性要件が安全要件と結合される場合にはなおさらそうであるという意味で、中型から大型の産業機器及び施設の監視において好ましいが非限定的な用途が見出される。この機器は、特に、
- 機器であって、利用できない場合にはその機器が属する施設全体のサービス又は製品の生産を中断する、機器と、
- 機器であって、利用できない場合には施設の偶発的状況又は事故状況を引き起こすか、又は悪化させる、機器と、を含む。
【0003】
したがって、本発明は、輸送分野(道路、航空、海洋、鉄道)だけでなく、加工産業の分野(電気、水、燃料の生産などの「コミュニティサービス」のためのユーティリティ)、あるいは防衛分野においても非限定的な用途が見出される。
【0004】
したがって、本発明の文脈において、「機器」という一般的な用語は、施設の構成要素、すなわち、この施設の正しい動作及び/又は安全性のために機能的かつ不可欠である構成要素を包含する。
【0005】
したがって、対象の機器は、機械又は車両(例えば、潜水艦、船舶、航空機又は宇宙船)などの移動施設の構成要素、あるいは構造物又はインフラストラクチャ(例えば、発電所、石油プラットフォーム又は製油所)などの固定施設の構成要素から構成される。
【0006】
したがって、本発明は、製造、保全、及び動作に関して優れた信頼性保証を可能にするため、本発明は、このタイプの機器のバリューチェーンに関与する産業従事者、特に、設計者、製造者、保全技術者、及びオペレータの高い期待を満たす。
【0007】
対象の機器の信頼性は、その故障が施設における生産の停止につながるため、重要である。かかる機器の信頼性は、その信頼性が、それが属する施設の安全要件である場合に、より一層重要である。
【0008】
これに関連して、本発明は、以下の選択を行う。すなわち、機器の信頼性は、その製造の品質、その過去の保全、及びその過去の使用量、並びに機器が意図される将来の使用量に依存する。
【0009】
したがって、機器の信頼性の問題は、機器の設計及び製造、保全及び使用量がその信頼性にどのように影響を及ぼすかを制御することのあらゆる利点を示している。
【0010】
したがって、以下の質問に答えることが不可欠である。
- 機器を製造するためのどのタスク(ジェスチャ、部品、及び設定)が、その意図された使用量を考慮した上で、動作中の機器の挙動を最適化するか?
- 機器の保全のために実施対象のタスクは、(機器が意図される将来の使用量を考慮に入れ、それ自体の製造、保全、及び使用ログを考慮に入れた上で)保全コストと、機器が次回の保全までゼロ故障を有する可能性との間の最適な比を可能にするか?
- 次回の保全までに観測される機器の制限使用量、すなわち、次回の保全までのゼロ故障に適合する最大使用量はどの程度か?
【0011】
また、機器の残りの耐用年数における保全作業の各々についての最適なタスク、並びにその残存耐用年数を(将来の使用量及びそれ自体のログを考慮に入れて)常に決定することも有用である。実際、これにより、以下が可能になる。
- シリーズの各機器に対して保全スケジュールをカスタマイズすること、
- スペアパーツのプロビジョニング(パーツの性質及び交換日)をリフレッシュし、予測すること、
- 産業保全のスケジューリングをリフレッシュし、予測すること、
- 機器の耐用年数における将来の保全の総コストをリフレッシュし、予測すること。
【0012】
また、常に以下を決定することも有用である。
- 機器の寿命における将来の動作期間の各々の間に観測されるゼロ故障に適合する機器の制限使用量、
- (当該将来の使用量及びそれ自体のログを考慮に入れた)機器の残りの耐用年数。
【0013】
実際に、これは、機器の残りの耐用年数、したがって長期間にわたって行うことができる使用量の現実的な計画を可能にする。
【0014】
更に、残りの耐用年数の間の機器の制限使用量、並びに将来の最適な保全作業の総コストをリフレッシュし、予測することができることため、再販の可能性の観点から機器の残存価値を常に決定することが可能になる。
【0015】
要するに、機器の信頼性に対する機器の製造、保全、及び使用量の影響を制御することができるという問題は、この制御が少なくとも以下の理由から重要である。
- 製造及び保全の最適化へのアクセスを解除する、
- 産業保全従事者との対話を容易にする、
- (動作中の信頼性に関する不確実性をなくすことによって)機器の信頼性を制御するためのアクセスを解除する、
- 機器が表す資産の管理の制御及び最適化へのアクセスを解除する。
【背景技術】
【0016】
現在、機器の信頼性に最も影響を及ぼす可能性のある既存の方法は、以下の通りである。
- 予測保全、
- 物理的モデル、
- 試験ベンチ上の認定プログラム、
- フィードバック(概して「FB」と略される)。
【0017】
しかし、これらの方法では、機器の製造、保全、及び使用量がその信頼性に与える影響を制御するのに必要なシミュレーションを利用することができない。この意味で、それらは製造者の期待を部分的に満たすだけである。
【0018】
予測保全に関して、この技術は、機器の動作を観察し、解析して、劣化を検出することを期待するものである。劣化が検出されると、劣化の進行の第1の傾向を構築して、将来の故障の日付の第1の予測を表示する。進行のこの傾向及びこの故障日は、次いで、反復的に、後続の観察と微調整される。
【0019】
その際に、予測保全は、複数の方法論的バイアスを含み、すなわち、
- 観測された過去の挙動から機器の将来の挙動を推定しようとし、したがって、過去及び将来の経年劣化の原因とは無関係に、経年劣化の将来の結果を推定しようとし、
- 将来の使用量が過去の使用量と同一であると仮定する。これはほぼ常に誤っており、
- 機能評価とは無関係に、動作データのみを使用する。
【0020】
したがって、予測保全では、
- その第1の予測が曖昧で遅い、保全作業後の動作の15日のオーダーの観察時間を必要とし、
- 公正な予測を表示するのに時間がかかり、
- 近視的、すなわち、その予測範囲は、せいぜい6ヶ月のオーダーの中間の時間枠に限定される。
【0021】
その方法論的バイアスの他の結果として、予測保全は十分に積極的ではない。実際、それは、劣化の出現を予測するのではなく、動作中の劣化の出現にのみ反応する。更に、その予測を定式化するために機器の動作が必要であり、これは許容できない動作上の欠点である。より一般的には、予測保全は、任意のシミュレーション、特に、機器の製造又は保全及びこの機器の予定使用量による機器の挙動のシミュレーションも利用することなく行われている。
【0022】
したがって、予測保全は、精度及び事前対策が不十分な故障日の予測のみを提供することに限定されている。機器の挙動を最適化するために、特に故障日を早めたり、又は耐用年数を延ばすことを目的として、製造、保全又は使用量に関して推奨を提供する能力を有していない。
【0023】
計算手段の増加及びデータの価値の増加に伴って、種々の予測保全ソリューションが開発されている。しかしながら、それらは動作データを利用するだけであり、同じ方法論的バイアスによって影響され、その結果、同じ制限を受け、それらの間にはほとんど差がない。
【0024】
物理モデルに関しては、技術的及び特に経済的な観点から、物理モデルによる所与の機器の完全かつカスタマイズされたモデリングは現実的ではない。これらのモデルは非常に高価であり、過度に制限された物理現象の分野をカバーしている。更に、これらの物理モデルは曖昧である。
【0025】
実際に、物理モデルは、物理現象にさらされる機器の構成要素の基本部分の挙動のみを特徴付けることができる。更に、このモデリングは現実の近似であり、不正確な要素を含む。基礎研究に関連して、物理モデルの開発はまた、時間及びコストの点で相当のリソースを必要とする。加えて、機器の全体的なモデリングを達成する前に、機器の基本部品の各々の経年劣化を特徴付けるには、数百程度の多数の物理モデルを生成することも適切である。
【0026】
したがって、物理モデルによってシリーズの標準機器の挙動をモデリングすることは、コスト及び時間の点で相当のリソースを必要とする。加えて、これらの物理モデルに基づくこの全体的なモデリングは、各機器のケース、特にそれ自体の完全なログにカスタマイズすることが困難である。
【0027】
所与のシリーズのベンチマーク機器の設計中、特にその認定中に実施されるベンチ試験に関して、これらの試験は、理論的には、使用量及び経年劣化をシミュレートする1つ以上の制約について、その耐用年数全体にわたるそのシリーズのベンチマーク機器の挙動を近似することを可能にする。これらの試験は、傾向及び大きさの程度を与えるものであるため、その指標は漠然としたものに過ぎない。
【0028】
個々に行われた所与のシリーズの機器の特異性とは無関係に(すなわち、これらの試験が実際に予測することができない所与の機器の製造、保全、及び使用ログを考慮に入れずに)、これらの試験は、実際には、この機器の将来の挙動を、これから行われる将来の使用量に応じて特徴付けることができず、特に、動作中のこの機器の挙動を最適化することを可能にする実施対象の保全のパラメータを決定することができない。
【0029】
実際に、ベンチ試験は、1つ以上の所与の使用量及び経年劣化プロファイルを受けたときに、対象のシリーズのベンチマーク機器の挙動(例えば、定常状態動作点又は過渡状態への応答)を特徴付けることからなり、シリーズを表すサンプリングされた機器は、次いで、実際の経年劣化を表すと仮定される加速経年劣化を受ける。この場合、試験中の経年劣化が加速され、試験の過程で考慮される使用量は、シリーズの機器の各々の寿命の過程で行われる実際の使用量とは別個であるため、挙動の特徴付けは曖昧なままとなる。
【0030】
したがって、シリーズのベンチマーク機器の挙動、特にその耐用年数は、近似値でしかない。
【0031】
概して「FB」と略されるフィードバックについては、ベンチ試験によって近似される傾向及び大きさのオーダーを補完するものである。FBはまた、所与のシリーズの機器の特異性、特にその完全なログを考慮に入れることができず、したがって、所与の将来の使用量に応答して、対象の機器の将来の挙動を特徴付けることができず、特に、その動作挙動を最適化する保全パラメータを決定することができない。更に、FBからのデータは、非系統的かつ不十分に規則的な動作のために不十分である。
【0032】
実際に、FBは、耐用年数などの平均挙動と平均使用量との間の比較を行うものである。このアプローチでは、正確なデータを取得することはできない。
【0033】
更に、FBは系統的に利用されていない。FBが利用される場合、それは非常に不規則に行われ、FBリフレッシュ頻度は非常に低く、1年から2年程度の周期性を伴う。
【0034】
本発明の目的は、施設内の少なくとも1つの産業機器の動作及び保全の監視のためのデジタルシステムであって、シリーズの機器に特有の挙動モデルを生成及び使用することが可能なデジタルシステムを提案することによって、従来技術の欠点を克服することである。
【0035】
この生成された挙動モデルは、関連性を有し、
- 機器の経年劣化の原因と結果を相関させ、
- シリーズの各機器がホストする物理現象に特有であり、
- シリーズの各機器にカスタマイズすることができ、
- 観察されたデータ(「データ駆動」モデル)で訓練される経験的モデルの精度を有する。
【0036】
生成された挙動モデルは強力であり、特に機器の製造、保全、及び使用ログを考慮に入れて、所与の保全判定及び所与の機器の予定使用量に対して、シリーズの機器の挙動をシミュレートすることを可能にする。このモデルは、機器の耐用年数の長期間にわたってこのタイプのシミュレーションを可能にするため、更に強力である。
【0037】
したがって、対象の所与のシリーズの機器について、機器の意図された予定使用量並びにその製造、保全、及び使用ログを考慮に入れて、本発明は、全体的な価値提案を取得することを可能にし、特に、
- 機器の所与の保全ステップについて、システムは、最適な保全判定を決定することを可能にする。この判定は、保全の制約と、次回の保全まで及び意図された予定使用量に対して機器がゼロ故障を有する可能性との間の最適なバランスを可能にするものである。この最適な判定は、機器の製造、保全、及び使用ログに対して更にカスタマイズされる。
- その耐用年数の過程における機器の動作の期間に対して、システムは、制限使用量、すなわち、次回の保全までのゼロ故障に適合する最大可能使用量を決定することを可能にする。
- システムは、施設の動作中に、施設の最後の保全以降の実際の使用量を考慮し、かつ次回の保全までの意図された予定使用量を考慮して、機器の制限使用量をリフレッシュすることを可能にする。
- システムは、同様に、その耐用年数の残りの間の機器の将来の最適な保全のスケジュール、並びにその耐用年数の残りの間の各動作期間について観測される機器の制限使用量を常に決定することを可能にする。
- システムは、機器の耐用年数の終了日を常に決定する。
- 最後に、システムは、所与の予定使用シナリオ、特に、使用量の地理的セグメントと交差する使用量セグメントに依存するシナリオについて、シリーズのベンチマーク機器の寿命を最適化する製造タスク(ジェスチャ、部品、設定)を決定することを可能にする。
【0038】
これを行うために、本発明は、機器のシリーズの規模を考慮する。所与のシリーズについて、本発明は、最初に、対象のシリーズの機器の経年劣化の原因と結果との間の相関を決定する。この相関は、所与のシリーズの機器の製造及び保全ログ並びに使用ログを、これらのログによって作成されるこの機器の状態とリンクさせる。決定された相関は、シリーズの各機器がホストする物理現象に特有である。第2に、本発明は、この相関を、対象のシリーズの機器の製造、保全、使用量及び状態データを使用して訓練された仮想モデルの形でモデリングする。第3のステップでは、本発明は、このモデルを、シリーズの各機器に対してカスタマイズされたシミュレータとして使用し、モデルは、実際に、保全判定のために、かつこの時点まで続く使用量のために、所与の時点における機器の状態をシミュレートすることを可能にし、機器に特有であり、対象の保全に先行する製造及び保全ログ並びに使用ログを考慮に入れる。このモデルにより、本発明の価値提案へアクセスすることができる。
【0039】
更に、このようにシリーズの標準機器の挙動をモデリングすることによって、本発明は、シリーズの規模で、当該機器の各々の製造、保全、及び使用量中の機器の観察された挙動を相関させる。したがって、本発明は、フィードバックを使用する方法である。このフィードバックは、モデリングされた相関の機能的関連性からその優れた性質を引き出す。本発明はまた、設計者、製造者、保全技術者、及びオペレータによって最適であると決定された周期性に従って、対象のシリーズの機器のリフレッシュされた製造、保全、使用量、及び状態データからモデルの訓練を再開することによって、連続的又は準連続的に系統的フィードバックを使用することを可能にする。
【0040】
この目的のために、本発明は、少なくとも1つのコンピューティング端末によって実行される、施設内の少なくとも1つの産業機器の動作及び保全の監視のためのデジタルシステムに関する。
【0041】
有利には、当該システムは、少なくとも、
- 施設内に、製造プロセスから得られ、シリーズを表す少なくとも1つの産業機器を設置し、次いで、実施対象の保全ステップまでの期間に関連して当該機器を少なくとも動作させるステップと、
- 予定動作期間にわたる当該機器の予定使用条件を有する少なくとも1つのシナリオの後に、実施対象の当該保全に続く少なくとも1つの予定保全を定義するステップと、を含む。
【0042】
かかるシステムは、当該機器の製造、設置、動作、及び保全が、少なくとも、
- 製造及び保全ログであって、
当該設置までの当該少なくとも1つの機器を製造するためのタスクと、
任意選択で、当該機器の少なくとも1つの先行保全のタスクと、を含む、製造及び保全ログと、
- 設置と実施対象の当該保全との間の当該期間にわたる当該機器の使用ログであって、当該使用ログは、当該期間中の当該機器の使用条件を含む、使用ログと、
- 当該機器の状態ログであって、当該状態ログは、当該機器の材料インジケータを含む、当該機器の状態ログと、を作成し、
- 当該機器の技術的解析によって、当該タスクのうちの少なくとも1つ及び/又は当該使用条件のうちの少なくとも1つと、当該状態の材料インジケータのうちの少なくとも1つとの間の少なくとも1つの相関が決定され、当該相関は、機器の経年劣化の原因と経年劣化の結果との間の少なくとも1つのリンクを確立し、
相関において、
- タスクは、クリティカルとして特定されたものによって特徴付けられ、かつ/又は使用条件は、機器が敏感であり、動作中又は停止時にさらされるものによって特徴付けられ、対象のタスク及び条件は、当該機器の状態に影響を及ぼし、
- 機器の材料状態は、当該機器のこの状態を表すものとして特定されるインジケータによって特徴付けられ、
次に、相関において、
- 当該機器が敏感であり、動作中又は停止時にさらされる使用条件を特徴付ける、測定された物理量又は測定された物理量の関数と、
- 所与の時点における機器の材料状態を特徴付ける測定された物理量又は測定された物理量の関数と、が決定され、
次いで、
- 当該シリーズの機器のうちの他の機器について、データセットを取得するために、当該相関において特定された、これらのタスクに関連付けられたデータと、これらの使用条件及びこれらの材料インジケータに関係する物理量又は物理量の関数に関連付けられたデータと、を復元及び抽出し、
- データセットに基づいて、少なくとも1つの仮想モデルを訓練することを特徴とする。
【0043】
このシステムは、更に、
実施対象の当該機器の保全中に、
- 製造及び保全ログのタスクのうちの少なくとも1つの値と、使用ログの使用条件のうちの少なくとも1つの値と、
- 実施対象の保全のタスク及びシナリオの予定使用条件のうちの少なくとも1つの値と、が当該モデルに提出され、
当該モデルは、当該保全が実施された後の当該機器の予定状態を生成し、当該予定状態は、当該機器の動作に必要であると特定された最小状態と比較されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、本発明の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】機器の監視において実装されるシステムのアーキテクチャの図を概略的に示し、特に、実行される保全の前日の、当該機器の製造及び保全ログ並びに使用ログ、並びに実施対象の保全のタスク及びシナリオの予定使用条件の訓練された仮想モデルへの提出を示し、当該仮想モデルは、次回の予定保全の日の当該機器の予定状態を生成する。
図2】アーキテクチャの詳細の図を概略的に示し、特に、機器の設置までの機器の製造判定、並びに機器の先行保全判定、加えて、実施対象の保全の判定及び予定保全の判定を含む製造及び保全ログを示し、特に、当該判定の各々のタスク及びそれらのタイミングを強調している。
図3】アーキテクチャの詳細の図を概略的に示し、特に、設置と実施対象の保全との間の機器の使用ログ、並びに予定使用シナリオを示し、当該使用ログ及び当該シナリオが、それぞれの期間に関連付けられた当該機器の使用条件を含むことを強調している。
図4】アーキテクチャの詳細の図を概略的に示し、特に、機器の連続する状態のログ、並びに機器の連続する予定状態を示し、特に、それらのそれぞれの期間に関連付けられた機器の状態の材料インジケータを強調している。
図5】当該監視システムのアーキテクチャの詳細の図を概略的に示し、特に、シリーズの機器のうちの1つから、訓練される相関において特定されるようなデータを復元及び抽出するプロセスを示す。
図6】データセットを取得し、仮想モデルを訓練するために、特に、シリーズの複数の機器についてのデータを復元及び抽出するプロセスを示す、アーキテクチャの別の詳細の図を概略的に示す。
図7】監視システムのアーキテクチャの図を概略的に示し、特に、ある時点に当該機器の予定状態を生成する当該仮想モデルと、その2つの材料インジケータとを、当該機器の動作に必要であると特定された最小状態に対する比較とともに示す。
図8】次回の予定保全時に、機器の予定状態が最小状態と等しくなるような、保全が実施された後の使用シナリオの予定条件の制限の計算の例を概略的に示す。
図9】次回の予定保全時に、機器の予定状態が最小状態と等しくなるような、保全が実施された後の使用シナリオの別の予定条件に対する別の制限の別の計算の当該例の別の図を概略的に示す。
図10】特に、当該シナリオに関連付けられた当該予定条件の目標値及び最大制限を示す、多角形の形態の、特定の予定使用条件の値のスケールを有する当該例の図を概略的に示す。
図11】チャート上の曲線のセットを有する当該例の図を概略的に示し、特に、予定条件のうちの2つの変動から、予定条件のうちの第3の条件の最大制限を強調している。
図12】長期的なアーキテクチャの図1と同様の図を概略的に示し、特に、実施対象の保全作業から予定保全作業まで、予定状態を予測するために当該監視システムを再帰的に実装する第1のステップを示す。
図13】特に、当該予定保全作業から次回の予定保全作業まで、予定状態を予測するために当該監視システムを再帰的に実装する第2のステップを示す、長期間にわたる図12と同様の図を概略的に示す。
図14】2つの連続する予定期間の過程における、特に時間の関数としての機器の状態の進行を表す曲線を示す、長期間の予測の例の簡略図を概略的に示す。
図15】複数の連続する予定期間の過程における、特に時間の関数としての機器の状態の進行を表す曲線を示す、長期間の予測の例の簡略図を概略的に示す。
図16】監視システムのアーキテクチャの簡略化された図を概略的に示し、特に、不十分な保全判定のために、当該機器の故障日の時点を決定する当該仮想モデルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、産業施設3内の少なくとも1つの機器2の動作及び保全の監視のためのシステム1に関する。
【0046】
かかる監視システム1(以下、「システム1」)は、デジタルとして予知される。換言すれば、それは、少なくとも1つのコンピューティング端末によって実行されることが意図された少なくとも1つのソフトウェアプログラムである。
【0047】
通常、かかるコンピューティング端末は、任意のタイプ、特にコンピュータサーバ又はコンピュータであり得る。更に、当該コンピューティング端末は、適切な記憶手段を介して、データをデジタル形式で記録し、読み取り、修正し、生成することを可能にする。当該コンピューティング端末はまた、適切な通信ネットワークを介してローカルに又はリモートにアクセス可能であると想定される。
【0048】
加えて、かかるシステム1は、以下に非網羅的に説明される連続的なステップを含む。したがって、本発明によれば、システム1を方法に接続することができる。
【0049】
一部のステップは、特に仮想インターフェースを介して、特に当該コンピューティング端末と対話する人によって、あるいは具体的にはオペレータが当該機器2と対話するときに、現実の方法で実施される。
【0050】
他のステップは、特にデータ処理がコンピューティング端末によって実施されるときに、仮想的に実施される。したがって、当該システム1は、本発明の範囲内で有利に形成され実装される仮想技術手段と同様のデジタル要素を含む。
【0051】
当該システム1は、1つの施設3内の機器2の1つの監視、同じ施設3内の複数の機器2の監視、又は複数の施設3内の複数の機器2の監視さえも提供する。
【0052】
前述したように、当該機器2は、当該施設3の動作に不可欠であることを特徴とする。そのため、機器2が利用できなくなると、施設3の生産が中断され、施設3の事故状況が引き起こされるか、又は悪化する可能性がある。
【0053】
当該機器2は、任意のタイプのもの、例えば、熱機関、電気モータ、交流発電機、ポンプ、ソレノイド弁であってもよい。
【0054】
したがって、当該機器2は、施設3の一体部分を形成し、その正しい動作に必要である。
【0055】
かかる施設3は、機械又は車両(例えば、潜水艇、船舶、航空機又は宇宙船)などの移動式であってもよく、あるいは、構造体又はインフラストラクチャ(例えば、発電所、石油プラットフォーム又は製油所)などの固定式であってもよい。
【0056】
したがって、システム1は、初期条件として、製造プロセス4から生じ、シリーズを表す少なくとも1つの機器2の産業施設3内への設置を含む。すなわち、機器2は、過去に施設3に一体化されている。
【0057】
更に、機器2の製造4は、機器2を取得するまでの複数の構成要素の組み立てと、それに続く機器2の設置とを含む。この製造プロセス4の前に、機器2の設計40が行われる。
【0058】
機器2は、単一の設計計画から同一に製造された全ての機器2を含むシリーズを表すことに留意されたい。シリーズの機器2のうちの1つの部分は、もはや動作することができず、別の部分は、現在動作しており、既に製造された別の部分は、設置され、動作されたままであり得る。
【0059】
施設3に設置された後、当該機器2は、少なくとも、実施対象の保全ステップ6までの期間5に関連して動作する。したがって、当該期間5は、設置と実施対象の保全6との間の機器の動作の期間に対応し、又はそれ以外の場合は、設置以降の動作及び保全ステップの期間の交替に対応する。
【0060】
実施対象の保全ステップ6は、施設3の地理的サイト上で少なくとも1人のオペレータの介入を必要とし、当該機器2上で直接実施される具体的な動作であることに留意されたい。
【0061】
これに関連して、前述したように、監視システム1は、当該機器2の将来のライフサイクルを管理することを想定しており、すなわち、
- 機器2の将来の保全のタスクを最適化し、当該機器2の意図された使用プロファイルに適応させるために、機器2の将来の保全のタスクの性質を定義し、長期間にわたって、機器2の耐用年数の間、そのようにし、
- 機器2の各予定動作期間70について、次回の保全までの動作中のゼロ故障に適合する制限使用量を特定し、機器2の長期間及び耐用年数にわたってこれを行い、
- ゼロ故障に適合する、機器2の制限使用量を動作中にリアルタイムでリフレッシュし、
- 機器2の意図された使用プロファイルに最適化及び適合された機器2の最後の保全のタスクの性質を定義することによって、機器2の耐用年数延長期間を指示する。
【0062】
シリーズの機器の規模では、監視システム1はまた、所与の使用プロファイルに適合させるために、すなわち機器2のライフサイクルを最適化する製造パラメータ4を決定するために、シリーズを表す標準機器の製造を最適化することを想定する。
【0063】
したがって、実施対象の当該保全6に続く少なくとも1つの予定保全7が定義される。
【0064】
実施対象の当該保全6と当該予定保全7との間に続く将来の期間は、少なくとも1つの予定動作期間70に対応し、機器2は、「予定条件110」と称される予定使用条件110によって特徴付けられる少なくとも1つのシナリオ8で動作する。将来の期間はまた、作業及び保全ステップの予定期間の交替に対応してもよい。
【0065】
将来の期間は、機器の耐用年数の終了日まで延長することができる。
【0066】
図1は、特に、機器2の設計40及び製造プロセス4と、期間5(施設3内への当該機器2の設置と実施対象の保全6との間であり、任意の先行保全10を含む)と、予定保全7までの予定期間70とを示す。
【0067】
この場合、製造プロセス4及び当該機器2の設置のステップ、並びに期間5の過程における当該機器2の動作及び保全のステップは、監視システム1が考慮に入れる複数のタイプのデータを生成する。
【0068】
当該機器2の製造、設置、動作、及び保全は、少なくとも1つの製造及び保全ログ9(又は「ログ9」)を作成し、ログ9は、
- 当該設置まで当該機器2を製造するためのタスク90と、
- 任意選択で、当該機器2の少なくとも1つの先行保全10のタスク90と、を含む。
【0069】
換言すれば、製造及び設置ステップは、少なくとも製造及び設置タスク90を含む。更に、期間5は、任意選択で、保全タスク90を含む当該機器2の少なくとも1つの先行保全10を含む。当該設置までの当該少なくとも1つの機器2のタスク90の全て、並びに当該機器2の少なくとも1つの先行保全10の任意のタスク90は、製造及び保全ログ9を生成する。
【0070】
製造タスク90並びに保全作業10の各々のタスク90は、オペレータによって実施されるジェスチャによって、製造中に取り付けられるか又は交換される保全ステップ中に取り外される部品によって、並びに当該機器2の調整によって、非限定的に定義されることに留意されたい。
【0071】
図2に見られるように、システム1は、特に、
- 製造及び保全ログ9、すなわち、(ランク0の)製造プロセス4及び設置に関して、並びに(ランク1からランクj-1までの)先行保全10に関して実行された製造及び保全判定のログと、
- (ランクjの)実施対象の保全6に関する保全判定と、
- (ランクj+1の)予定保全7に関する保全判定と、を含む。
【0072】
ランクkの各製造又は保全判定は、種々の可能なタスク90(当該タスク90の任意選択の実施、実行されたときの当該タスク90の特徴付け、当該タスク90が機器2に対して実施された後の期間を特徴付けるタイマ91)に対するその比によって特徴付けられる。
【0073】
更に、当該ステップはまた、当該設置と当該保全6との間の期間5にわたる機器2の使用ログ11(又は「ログ11」)を作成する。当該使用ログ11は、当該期間5中に当該機器2を使用するための条件110(「条件110」とも称される)を含む。
【0074】
実際に、機器2の設置と実施対象の保全6との間の期間5は、使用量に関連して機器2の動作の少なくとも1つの期間を含む。
【0075】
この使用量は、機器が使用された方法、すなわち当該期間中の当該機器2の使用条件110のセットに関連付けられる。
【0076】
例えば、トラックなどの施設3のエンジンに対応する機器2の場合、これらの使用条件110は、輸送される積荷、移動した走行距離、速度、周囲空気温度、使用されるルートの平均勾配であり得る。
【0077】
したがって、この使用量は、設置と実施対象の当該保全6との間の期間5にわたって当該機器の使用ログ11を生成する。(条件110のうちの1つが温度である)ポンプなどの機器2の場合を示す図3に見られるように、システム1は、特に、
- 期間5(ランク0の設置からランクjの実施対象の保全6まで)の間の機器2の使用ログ11と、
- 予定期間70にわたって予知される機器2の使用量のためのシナリオ8と、を含む。
【0078】
使用ログ11は、機器2の使用サブログ111のセットに分解することができる。ランクkの使用サブログ111は、ランクk及びランクk+1の2つの連続する先行保全作業10の間に含まれる動作期間の過程における機器2の使用ログ11の一部を表す。特に、図3は以下を強調している。
- ランク0の使用サブログ111(ランク0の設置とランク1の先行保全10との間)、
- ランクj-1の使用サブログ111(ランクj-1の最後の先行保全作業10とランクjの実施対象の保全6との間)。
【0079】
ログ11は、ランク0からランク1までの使用サブログ111の全てを含む。
【0080】
ランクkの使用サブログ111は、ランクk及びランクk+1の2つの先行保全作業10の間の使用条件110の各々の進行、例えば、(図3に見られるような)経時的な温度の進行などを表す。
【0081】
機器2のランクkの使用サブログ111において、ランク(k,t)の機器2の部分使用サブログ1110、すなわち、ランクkの保全とランクk+1の保全との間に含まれる時点(t)について、ランクkの先行保全10と時点(t)との間の使用条件110の各々の進行を区別することが可能である。シナリオ8は、図3に見られるように、実施対象の保全6(ランクj)と予定保全7(ランクj+1)との間の機器2の予定使用量の文脈において、予定使用条件110の各々の予定進行を表す。シナリオ8では、部分シナリオ80を区別することができる。ランク(j,t)の部分シナリオ80は、ランクjの実施対象の保全6とランクj+1の予定保全7との間に含まれる時点(t)について、ランクjの実施対象の保全6と時点(t)との間の機器2の予定条件110の各々の予定進行を表す。
【0082】
更に、当該ステップは、当該機器2の材料インジケータ120(又は「インジケータ120」)を含む当該機器2の状態ログ12(又は「ログ12」)も作成する。
【0083】
実際、機器2の使用量は、機器2の状態13に影響を与える経年劣化を引き起こす。材料インジケータ120によって特徴付けられる、所与の時点における機器2の状態13は、機器2の動作能力が依存する機器2の物理的完全性を反映する。期間5の間に実際に発生した機器2の全ての状態13(又は全ての材料インジケータ120)は、機器2の状態ログ12を構成する。
【0084】
(材料インジケータ120のうちの1つが流量(Q)である)ポンプなどの機器2の場合を示す図4に見られるように、システム1は、特に、期間5中の機器2の状態ログ12を含む。状態ログ12は、状態サブログ121のセットに分解することができる。機器2のランクkの状態サブログ121は、ランクk及びランクk+1の2つの連続する先行保全作業10の間に含まれる動作期間の過程における状態ログ12の一部を表す。特に、図4は以下を強調している。
- ランク0の状態サブログ121(ランク0の設置とランク1の先行保全10との間)、
- ランクj-1の状態サブログ121(ランクj-1の最後の先行保全10とランクjの実施対象の保全6との間)。
【0085】
ログ12は、ランク0からランクj-1までの全ての状態サブログ121を含む。図4に見られるように、機器2のランクkの状態サブログ121は、ランクk及びランクk+1の2つの先行保全作業10の間の、機器2の連続する状態13の進行を表す。機器2のランクkの状態サブログ121は、ランクk及びランクk+1の2つの先行保全作業10の間の材料インジケータ120の各々の進行(例えば、経時的な流量の進行)を表す。図4に見られるように、機器2のランクkの状態サブログ121において、部分状態サブログ1210を区別することが可能である。ランク(k,t)の部分状態サブログ1210は、ランクkの先行保全10と時点(t)との間の(ランクkの保全とランクk+1の保全との間の時点(t)についての)材料インジケータ120の各々の進行を表す。
【0086】
したがって、ログ9、11、12は、期間5の間に時間的に延びる。それらは、それぞれ、製造及び保全タスク90、使用条件110、及び材料インジケータ120を含む。
【0087】
ログ9、11、12の前述の要素は、当該機器2から来る測定値が経時的に連続して記録された計算フィールドの指定を表す。
【0088】
有利には、第1のステップにおいて、当該製造及び保全タスク90のうちの少なくとも1つ、及び/又は当該使用条件110のうちの少なくとも1つと、当該状態13の材料インジケータ120のうちの少なくとも1つとの間の少なくとも1つの相関14が決定される。当該相関14は、機器2の経年劣化の原因と経年劣化の結果との間の少なくとも1つのリンクを確立する。
【0089】
換言すれば、本発明は、経年劣化の原因及び結果の観点から、機器2の挙動を近似することを選択する。
【0090】
このため、本発明は、機器2の製造及び保全ログ9によって、並びに機器2の使用ログ11によって、機器2の経年劣化の原因を特徴付けることを選択する。本発明は更に、当該ログ9及び11によって引き起こされる機器2の状態13によって、機器2の経年劣化の結果を特徴付けることを選択する。
【0091】
したがって、本発明は、機器2の状態13を機器2の製造及び保全ログ9並びに使用ログ11と相関させることを選択する。
【0092】
したがって、本発明は、シリーズの機器2の所与の製造及び保全ログ9(以下、当該相関14の「第1の項」と称する)及び使用ログ11(以下、当該相関14の「第2の項」と称する)を、これらのログ9、11によって引き起こされるこの機器2の状態13(以下、当該相関14の「第3の項」と称する)と相関させることを予知し、当該相関14の当該3つの項はトリプレット140を構成する。
【0093】
例えば、搬送される流体の温度に敏感なポンプのような機器2の場合を考える。本発明は、ポンプの使用ログ(流体温度ログ及び/又は吸入圧ログ及び/又はポンプ速度ログによって特徴付けられる)、並びにポンプの主な製造オプション(取り付けられたインペラのタイプなど)及びポンプの保全ログ(種々の先行保全作業10中のインペラ交換のログなど)を、ポンプの状態(その流量及び/又は吐出圧によって特徴付けられる)と相関させる。
【0094】
更に、相関14は、機器2の経年劣化及び動作に影響を及ぼす可能性が高い関連パラメータのみを考慮することを目的とし、他のパラメータは選択するのに適切ではない。
【0095】
このため、機器2の技術的解析が行われて、機器2の状態13に影響を及ぼすクリティカルな製造及び保全タスク90並びに使用条件110が特定される。
【0096】
これを行うために、機器2の技術的解析によって、製造及び保全タスク90は、以下に定義されるように、クリティカルであると特定されたタスクによって特徴付けられる。
【0097】
より正確には、本発明は、機器2の製造及び保全ログ9のタスク90を以下の方法のうちの少なくとも1つで特徴付けることを選択する。
- 機器2の製造プロセス4について、本発明は、設定されたジェスチャ、取り付けられた部品、又は製造プロセス中に採用された調整さえも特徴付ける。製造プロセスのジェスチャは、シリーズの機器2の製造プロセス4のための当該ジェスチャのための複数の可能なプロトコルオプションがある場合、各製造ジェスチャのためのプロトコルオプションによって特徴付けられる。製造プロセス中に取り付けられる部品は、シリーズの機器2の製造4のための当該部品に対して複数の可能なオプションがある場合(例えば、シリーズのポンプの製造が2つの可能なタイプのポンプ軸受を予知する場合)、取り付けられる部品のオプションによって特徴付けられる。製造プロセス中に採用される調整は、シリーズの機器2の製造4のための当該調整の複数の可能な値(例えば、ポンプグランドの締め付けトルク)がある場合、各調整の値によって特徴付けられる。
- 機器2の保全ステップについて、本発明は、設定されたジェスチャ、取り付けられた部品、又は更には各保全ステップ中に採用された調整を特徴付ける。保全ジェスチャは、他の保全タスク90の一部を交換すること(例えば、電気端子ブロックの接続を締め直すこと)を含む。対象の保全中の部品の交換は、シリーズの機器2の保全のための当該部品に対して複数の可能なオプションがある場合(例えば、シリーズのポンプが2つの可能なタイプのポンプ軸受を予知する場合)、部品のオプションによって特徴付けられる。対象の保全中に採用される調整は、シリーズの機器2の保全のための当該調整の複数の可能な値(例えば、ポンプグランドの締め付けトルク)がある場合、各調整の値によって特徴付けられる。
【0098】
加えて、一実施形態によれば、相関14において、製造及び保全ログ9は、連続する値の少なくとも1つのリストの形態のクリティカルタスク90のログに低減される。
【0099】
換言すれば、機器2の技術的解析によって、本発明は、クリティカルタスク90、すなわち、動作中の機器2の挙動を決定するものとして(すなわち、機器2の経年劣化、したがって状態13に影響を及ぼすものとして)特定されたジェスチャ、部品、及び調整のみを考慮することによって、機器2の製造及び保全ログ9を特徴付けることを選択する。
【0100】
加えて、機器2の製造及び保全ログ9(最後の先行保全作業10まで、及びそれを含む)は、各クリティカルタスク90について、製造プロセス4の間、及び機器2の寿命における種々の連続する先行保全作業10の間、及び最後の先行保全作業10(実施対象の保全6に先行するもの)まで、連続して採用された値を列挙することによって特徴付けられる。したがって、製造及び保全ログ9は、値のリストによって特徴付けられる。例えば、軸受を備え、ポンプ軸受の配置又は交換並びに性質がポンプのクリティカルな製造及び保全タスク90に対応する、ポンプなどの機器2の場合が考えられる。この例では、最後の先行保全10(実施対象の保全6に先行するもの)は7番目(ランクk=7)であると考えられる。本発明は、リスト[A,0,0,B,0,0,B,0]によってこのクリティカルな製造及び保全タスク90のログを特徴付け、製造作業4におけるタイプAの軸受の配置、第3の保全作業における新しいタイプBの軸受との軸受の交換、第6の保全作業における新しいタイプBの軸受との軸受の交換、並びに他の先行保全作業10において軸受に対して保全作業が行われていないという事実を示す。したがって、本発明は、リストから構成される行列によって機器2の製造及び保全ログ9を特徴付けることを選択し、各リストは、1つのクリティカルタスク90に関連付けられ、製造プロセス4に従ってこのクリティカルタスク90を特徴付ける連続した値を列挙し、次いで、機器2の種々の保全作業を、最後の先行保全作業10まで、及びそれを含めて列挙する。例えば、ポンプなどの機器2の前述のケースが考えられ、製造及び保全ログ9は、2つのクリティカルタスク90「ポンプ軸受の配置又は交換」及び「ポンプインペラの配置又は交換」のログに低減することができ、第7の保全作業後のそれぞれのログリストとして、リスト[C,0,A,0,0,B,0,C]及び[A,0,0,B,0,0,B,0]を有する。次に、7回目の保全作業までの対象のポンプの製造及び保全ログ9は、行列[[C,0,A,0,0,B,0,C];[A,0,0,B,0,0,B,0]]に対応する。
【0101】
加えて、使用条件110は、機器2が敏感であり、動作中又は停止時にさらされる条件によって特徴付けられる。
【0102】
実際に、機器2の技術的解析によって、本発明は、条件110を、周囲条件及び/又は機器2が敏感であり、動作中又は停止時にさらされる動作条件(CA/CF)に低減する。
【0103】
周囲条件(CA)は、機器2の外部の環境の条件であって、機器2が動作中又は停止時に敏感であり、さらされる条件(周囲空気温度、湿度測定、照射率など)であると理解される。
【0104】
動作条件(CF)は以下の通りであると理解すべきである。
- 機器2内部の条件であって、機器2が動作中又は停止時に敏感であり、さらされる条件(搬送される流体の温度、ポンプの場合の振動のレベルなど)、
及び/又は、
- 動作中に機器2によって展開され、その動作点に影響を及ぼす電力を表すパラメータ(輸送される積荷、トラックエンジンの場合の速度など)、
及び/又は、
- 前述の周囲条件及び動作条件(CA/CF)の下で機器2が受けた作業の合計を特徴付けるために必要な他のパラメータ(トラックの場合には移動した総走行距離、又は概して機器2の使用量時間など)。
【0105】
例えば、ポンプなどの機器2の場合が考えられ、そのインペラは、熱可塑性材料で作られており、したがって、搬送される流体の温度に敏感であり、さらされる。この場合、搬送される流体の温度は、インペラが金属製であるポンプの場合よりも、動作条件として考慮することが更に重要である。
【0106】
本発明の意味の範囲内で、シナリオ8及び予定使用条件110は、機器2が動作中又は停止時に敏感であり、さらされる同じ周囲条件及び動作条件(CA/CF)によって特徴付けられる。
【0107】
加えて、機器2の材料状態13は、当該機器2のこの状態13を表すものとして特定される材料インジケータ120によって特徴付けられる。
【0108】
これを行うために、機器2の技術的解析によって、本発明は、機器2の状態13を表すと判断される、性能、振動挙動、及び他の材料インジケータ120(例えば、非限定的に、通常、非破壊試験技術によって測定される材料インジケータ)の必要かつ十分なセットによって、その時点の機器2の状態を特徴付けることを選択する。
【0109】
相関14、特に条件のログ110を、対象の機器2に対して可能な限り具体的に特徴付けるために、測定された物理量又は測定された物理量の関数が決定され、当該機器2が動作中又は停止時に敏感であり、さらされる条件110を特徴付けるか、又はこれらの使用条件のログ110(すなわち、使用ログ11)を最もよく特徴付ける。
【0110】
物理量のこれらの関数は、複数の数学的関数又はアルゴリズム関数を含む。換言すれば、各条件110は、この条件を特徴付ける、それに関連付けられた測定された物理量を有する。したがって、関連する場合、本発明は、この物理量のログによって条件のログを特徴付ける。
【0111】
したがって、例えば、機器2が敏感であり、周囲空気温度又はポンプの場合には搬送される流体の温度にさらされる場合、対応する温度のログが考慮される。更に、本発明はまた、条件110を表す物理量の関数のログによって条件110のログを特徴付けることを、この特徴付けがこの物理量のログよりも適切であるときに選択する。
【0112】
例えば、機器2が敏感であり、周囲空気温度又は(ポンプの場合のように)搬送される流体の温度にさらされる場合、施設3内の機器2の設置とその時点との間の期間にわたる温度の時間積分に温度のログを積分することが可能である。
【0113】
更に、本発明が、条件110のログを、当該条件を表す物理量の関数のログによって特徴付けることを選択するとき、これらの関数は、非限定的に、少なくとも1つの値の範囲で測定された物理量の存在時間の計算を含むことができる。
【0114】
実際に、本発明は、異常な過渡現象の集合体が機器2の経年劣化、したがって挙動に影響を与えることを考慮することを選択する。したがって、関連する場合、本発明は、正常動作範囲内、破壊に近い範囲内、又は前の2つの間の中間範囲内の各々におけるこの条件の存在の回数をカウントすることによって、条件110のログを特徴付ける。
【0115】
例えば、搬送される流体の温度に敏感であり、さらされるポンプのような機器2の場合が考えられる。次いで、施設3内への機器2の設置から時点までの期間にわたる温度の時間積分によって温度のログを特徴付け、正常動作範囲内の当該積分の成分を、破壊に近い範囲内の成分から、2つの先行する領域間の中間範囲内の成分から区別することが可能である。本発明が、条件110のログを、当該条件を表す物理量の関数のログによって特徴付けることを選択する場合、これらの関数は、非限定的に、測定された物理量の少なくとも1つの変動を表す計算、及び/又は当該少なくとも1つの変動のカウントも含むことができる。
【0116】
これは、特に、機器2が敏感であり、条件110の変動にさらされる場合である。非限定的に、かかる関数は、勾配関数又は対象の条件のサイクルのカウントに対応することができる。
【0117】
第1の例では、搬送される流体の温度、特に当該温度の急激な変化に敏感であり、さらされるポンプなどの機器2の場合が考えられる。所与の時点までの条件110のログを特徴付けるために、温度過渡中(すなわち、急激な温度変化を引き起こす過渡中)のこの温度の平均勾配を計算することができる(例:20℃/分「摂氏温度毎分」の平均変化)。次いで、この平均勾配を同様の過渡現象のカウントと関連付けることが可能である(例えば、設置から当該時点までの20℃/分の平均勾配と関連付けられた2000の突然の温度過渡現象)。
【0118】
この温度の勾配の値のログの平均の代わりに、中央値及び標準偏差として任意の他の統計関数を用いることも可能である。
【0119】
別の例では、収容される流体の温度に敏感であり、さらされ、特に温度サイクルを受け(すなわち、加熱又は冷却の過程で、例えば200℃と80℃との間の高振幅温度変動を受け)、これらのサイクルに敏感である、金属ボイラータンクなどの機器2の場合が考えられる。次いで、当該サイクルをカウントすることができ(例えば、設置からある時点までの20回の温度サイクル)、同様のサイクルのこのカウントは、当該タンクのログにおけるサイクルの振幅の平均と関連付けることができる(例えば、20サイクルにわたる150℃の平均サイクル振幅)。
【0120】
振幅のログの平均の代わりに、中央値及び標準偏差などの任意の他の統計的関数を用いることも可能である。本発明が、当該条件10を表す物理量の関数のログによって条件110のログを特徴付けることを選択するとき、これらの関数はまた、非限定的に、当該少なくとも1つの変動のカウントを含むことができる。
【0121】
これは、特に、機器がシャットダウン又は始動過渡現象に敏感である場合である。かかる過渡現象のカウントは、使用ログ11を特徴付けるのに有用である。同様に、当該機器2が停止している間に機器2が経年劣化し続ける場合、停止の期間のカウントは、使用ログを特徴付けるためにも有用である。同様に、ある時点における相関14、特に機器2の状態13を、対象の機器2について可能な限り具体的に特徴付けるために、当該時点における機器2の材料状態13を特徴付ける測定された物理量又はこれらの測定された物理量の関数も決定される。
【0122】
例えば、遠心ポンプのような機器2の場合を考える。ポンプの状態は、瞬間的な流量及び瞬間的な吐出圧によって瞬間的に特徴付けることができる。このステップにおいて、機器2の技術的解析によって、本発明は、機器2の製造及び保全ログ9を最も良く特徴付けるために、機器2に特有のクリティカルな製造及び保全タスク90を決定した。機器2に特有の使用条件110、並びに当該条件110を最もよく特徴付ける物理量又は物理量関数、並びに機器2の使用ログ11は、同様に決定されている。
【0123】
任意の時点における機器2の状態13を最もよく特徴付ける材料インジケータ120、並びに当該時点における当該材料インジケータ120を最もよく特徴付ける物理量又は物理量関数が、同様に決定されている。
【0124】
したがって、機器2のこの技術的解析は、機器2に特有の形態で相関14を決定することを可能にする。その結果、決定された相関14は、実際に、シリーズの各機器2がホストする物理現象に特有である。したがって、一実施形態によれば、相関14において、使用条件110の測定された物理量の関数は、少なくとも1つの値の範囲内の測定された物理量の存在時間の計算、及び/又は測定された物理量の少なくとも1つの変動を表す計算、及び/又は当該少なくとも1つの変動のカウントを含む。
【0125】
事前に、相関14において、本発明は、少なくとも1つの(好ましくはそれぞれの)クリティカルな製造及び保全タスク90について、最後の先行保全作業10までの、機器2の寿命における製造及び種々の連続する先行保全作業10の間に連続的に採用された値を列挙することによって、機器2の製造及び保全ログ9(最後の先行保全作業10まで)を特徴付けることを選択する。したがって、各クリティカルタスク90のログは、値のリストによって特徴付けられる。例えば、軸受を備え、ポンプ軸受の配置又は交換並びに性質がポンプを製造及び保全するためのクリティカルタスク90に対応するポンプなどの機器2の前述の場合が考えられる。この例では、最後の先行保全10(実施対象の保全6に先行するもの)は7番目(ランクk=7)であると考えられる。本発明は、リスト[A,0,0,B,0,0,B,0]によってこのクリティカルな製造及び保全タスク90のログを特徴付け、製造作業4におけるタイプAの軸受の配置、第3の保全作業における新しいタイプBの軸受との軸受の交換、第6の保全作業における新しいタイプBの軸受との軸受の交換、並びに他の保全作業において軸受に対して保全作業が行われなかったという事実を示す。
【0126】
したがって、機器2の製造及び保全ログ9は、各クリティカルタスク90について、当該対応する値のリストを一緒にグループ化する行列である。更に、製造及び保全ログ9(最後の先行保全作業10まで)を特徴付けるマトリックスを、必要かつ十分な情報に、最後の先行保全作業10のランクとは無関係な情報量に低減する目的で、本発明は、本明細書で「永続パラメータ原理」と称される以下の原理を採用する。一実施形態によれば、相関14において、製造及び保全ログ9を、連続する値の少なくとも1つのリストの形のクリティカルタスク90のログに低減した後、各リストにおいて、永続値のみが、対象のタスク90が実施された最後の保全作業において採用された値として選択され、永続値のみがクリティカルタスク90のログに保持される。換言すれば、製造及び保全ログ9において、各クリティカルな製造及び保全タスク90について、
- 当該タスク90の永続値は、当該タスク90が実施された最後の製造又は保全ステップ(製造ステップ又は先行保全ステップ10)において、当該タスク90に対して採用された値であると考えられ、
- 当該タスクの永続値だけが、製造及び保全ログ9に保持される。
【0127】
したがって、その最終形態では、製造及び保全ログ9は、値のリスト、すなわち、クリティカルタスク90の永続値(又はクリティカルタスク90ごとに1つの永続値)から構成されるリストに低減される。その際に、本発明は、対象の最後の先行保全作業10の後の動作中の機器2の挙動を決定するクリティカルタスク90の値のみによって当該製造及び保全ログ9を特徴付けることによって、機器2の製造及び保全ログ9を削減する。実際には、製造及び保全ログ9において、
- 最後の先行保全作業10の過程で実施された各製造及び保全タスク90を特徴付ける値が、当該タスク90のログを特徴付けるシリーズの値を上書きし(製造プロセス4から最後の先行保全作業10に先行する保全まで)、
- 製造プロセス4と、最後の先行保全作業10に先行する先行保全作業10とから、当該最後の先行保全作業10において実施されていない各タスク90について、当該タスク90の最後の実施を特徴付ける値のみが保持される。
【0128】
例えば、「ポンプ軸受の配置又は交換」タスク並びに「ポンプインペラの配置又は交換」タスクが2つのみのクリティカルな製造及び保全タスク90である、ポンプなどの機器2の場合が考えられる。
【0129】
第7の先行保全作業10の後の「ポンプ軸受の配置又は交換」タスクのログがリスト[A,0,0,B,0,0,B,0]によって特徴付けられる場合、当該タスク90の永続値は「B」、すなわち、対象のタスク90が実施された最後の保全作業中(この例では、第6の保全作業中)に採用されたタスク90の値である。
【0130】
第7の先行保全作業10の後の「ポンプインペラの配置又は交換」タスクのログがリスト[C,0,A,0,0,B,0,C]によって特徴付けられる場合、当該タスク90の永続値は、「C」、すなわち、対象のタスク90が実施された最後の保全作業中(この例では、第7の保全中)に採用されたタスク90の値である。
【0131】
次に、7回目の保全作業後のポンプの製造及び保全ログ9が[B;C]に書き込まれる。ここで、第1の項は、「ポンプ軸受の配置又は交換」タスクの永続値を示し、第2の項は、「ポンプインペラの配置又は交換」タスクの永続値を指す。
【0132】
換言すれば、本発明は、機器2の製造及び保全ログ9(最後の先行保全作業10まで及びそれを含む)を、機器2が最後の先行保全作業10の後に待機する構成に低減する。その際に、本発明は、そのサイズが当該最後の先行保全作業10のランクとは無関係であるベクトルによって(最後の先行保全作業10までの)製造及び保全ログ9を特徴付ける。本発明は、例えばデータのタイムスタンプの形式で、記録された値のタイミングを考慮に入れることができることに留意されたい。
【0133】
製造及び保全ログ9の特徴付けにおいて、このタイミングは、タスク90の各クリティカル永続値に追加されるタイマ91をもたらすことができ、当該タイマ91は、当該タスク90が機器2に対して実施されてからの継続時間を特徴付ける。このステップでは、機器2の技術的解析によって、機器2に固有の(したがって、シリーズの任意の標準機器に固有の)形態で以前に決定された相関14が、次いで、特に機械学習アルゴリズムによって、コンピュータ処理に適したフォーマットで決定される。
【0134】
機器2の技術的解析が実施されると、シリーズに特有の相関14が特定される。次に、以下が決定される。
- 相関14の第1の項において、機器2の製造及び保全ログ9を最もよく特徴付けるクリティカルな製造及び保全タスク90、
- 相関14の第2の項において、機器2の条件110及び使用ログ11を最もよく特徴付ける物理量又は物理量の関数、
- 相関14の第3の項において、材料インジケータ120及び機器2の状態13のログ12を最もよく特徴付ける物理量又は物理量の関数。
【0135】
当該クリティカルタスク90、物理量、又は相関14において特定された物理量の関数は、機器2のログ9、11、12から最初に抽出される生データ(シリーズの各機器2について測定されログ記録された)を示す。したがって、本発明は、対象のシリーズの全ての機器2から来るこのアクセス可能な情報を調べることを予知する。当該シリーズの機器2の全てについて、これらのタスク90に関連付けられたデータ、並びに当該相関14において特定された使用条件110及び材料インジケータ120に関係する物理量又は物理量の関数に関連付けられたデータは、データのトリプレット140を構成し、生データセット150を取得するために、復元され、抽出される。シリーズの各機器2に対して、かつそれらのそれぞれのログ11の各時点に対して、その時点に関連するトリプレット140の3つの項は、以下の通りである。
- 当該機器2の製造及び保全セット95、すなわち、当該時点に先行する最後の先行保全10までの製造及び保全ログ9の部分、
- 当該機器2の使用量セット115、すなわち、当該時点までの使用ログ11の一部、
- 当該時点における当該機器2の状態13。相関14において特定される物理量の関数に関して、それらは、仮想モデル16を介して相関14をモデリングするために考慮される最終データセット15を構成するために、生データセット150のトリプレット140の各々に2番目に適用される変換141を示す。例えば、ポンプのような機器2の場合を考えると、当該ポンプのシリーズに特有の相関14の項は、以下のように特徴付けられる。
- 製造及び保全ログ9は、ポンプの軸受及びインペラに関するクリティカルタスク90によって特徴付けられ、
- 時点までの使用ログ11は、設置と時点との間の期間にわたる温度の第1の時間積分(INT1(t))と、設置と時点との間に含まれる期間にわたる吸引圧力の第2の時間積分(INT2(t))と、設置と時点との間の期間にわたる温度勾配(VMG(t))の平均値とによって特徴付けられ、同じ期間にわたる突然の温度過渡の数(NTB(t))に関連付けられ、
- 時点の状態13は、流量及び吐出圧の時点値によって特徴付けられる。
【0136】
対象のシリーズの各ポンプのログ9、11、12から抽出されるデータは、それぞれの使用ログ11の各時点に対して、
- 相関14の第1の項に関して、製造及び保全ログ9から抽出される、その時点に配置されている軸受のタイプ及びインペラのタイプ、
- 相関14の第2の項に関して、物理量の考慮される時点における値、すなわち、使用ログ11から抽出される温度、吸引圧力、
- 相関14の第3の項に関して、物理量の考慮される時点における値、すなわち、状態ログ12から抽出される吐出圧及び流量となる。抽出されると、これらのデータは、各ポンプについて、かつそれらのそれぞれの使用ログ11の各時点(t)について、その時点、すなわち、
- ポンプの製造及び保全セット95、すなわち、製造プロセス4と当該時点(t)に先行する最後の先行保全10との間の期間にわたる製造及び保全ログ9の一部に関連するトリプレット140の3つの項を構築することを可能にする。製造及び保全セット95は、この例では、当該継続時間の間に連続的に実施対象のタスク90(軸受及びポンプのインペラに関する)のログであるか、あるいは2つのリストのマトリックスであり、一方は軸受に関連し、他方はポンプのインペラに関連し、各リストは、当該期間中に実施されるクリティカルタスク90を特徴付ける連続する値(所定のベアリングのタイプ、所定のインペラのタイプ)、
- ポンプの使用量セット115、すなわち、この例では、当該時点(t)までに設置から記録された温度及び吸引圧力値、
- 当該時点(t)におけるポンプの状態13、すなわち、この例では、当該時点(t)における流量及び吐出圧、をリストする。
【0137】
したがって、考慮される時点及びシリーズのポンプと同数のトリプレット140が取得され、全てのこれらのトリプレット140は生データセット150を形成する。第2に、ある時点に関連するシリーズの各ポンプ及び各トリプレット140について、その時点までのポンプの製造及び保全セット95が、その時点に関連し、各クリティカルタスク90の永続値を示すベクトルの形に変換される。次に、対応するベクトルは、考慮される各時点に対して、[時点で所定の位置にある軸受の種類;時点で所定の位置にあるインペラの種類]ベクトルの各項がそれ自体のタイマ91に関連付けられている。同様に、ある時点に関連付けられたシリーズの各ポンプ及び各トリプレット140について、その時点までのポンプの使用量セット115が変換される。相関14において特定される物理量の関数は、この例では、温度及び吸引圧力の時間における積分(INT1(t)、INT2(t))であるため、突然の温度過渡の数(NTB(t))に関連する温度勾配の平均値(VMG(t))、使用ログ11から抽出された生データ、温度及び吸引圧力に適用される変換141では、
- 設置と時点との間の期間にわたる温度及び吸引圧力の時間積分を計算し、
- 同じ継続時間にわたる温度勾配の平均値と、同じ継続時間にわたる突然の温度過渡の数とを計算する。
【0138】
したがって、シリーズの各ポンプ及び各時点について、設置と時点との間のポンプの使用量セット115は、時点(t)に関連するデジタルベクトル[INT1(t)、INT2(t)、VMG(t)、NTB(t)]の形に変換される。次に、シリーズの各ポンプ及び各時点について、その時点におけるポンプの状態13が、その時点[流量,吐出圧]に関連付けられたデジタルベクトルの形態で示される。最後に、(シリーズに属する種々のポンプ(k)及びそれらのそれぞれの使用ログ11の種々の時点(t)に関連付けられた)トリプレット140の各々は、したがって、ベクトル[Mj(t)(k)];Vu(t)(k);Status(t)(k)]の形に変換される。
- Mj(t)(k)は、時点までのポンプ(k)の製造及び保全セット95を[軸受のタイプ;ホイールのタイプ]の形で表すベクトルであり、ベクトルの各項は、そのタイマ91に関連付けられる。
- Vu(t)(k)は、[INT1(t),INT2(t),VMG(t),NTB(t)]の形で、設置と時点との間のポンプ(k)の使用量セット115を表すベクトルである。
- Status(t)(k)は、時点におけるポンプ(k)の状態13を[流量,吐出圧]の形で表すベクトルである。
【0139】
生データセット150は、したがって、最終データセット15の形に変換され、すなわち、ベクトルの集合[Mj(t)(k);Vu(t)(k);Status(t)(k)]は、シリーズに属する任意のポンプ(k)について、かつそれらのそれぞれの使用ログ11の任意の時点(t)についてのものである。要するに、システム1は、相関14において特定された、関連すると考えられるデータのみを復元及び処理することを予知する。任意選択で、システム1は、上述したように、関連するもののみを抽出し、次いで処理するために、機器2のログ9、11、12に関する全てのデータを復元することができる。したがって、システム1は、生データセット150を、対象のシリーズに固有の相関14に関連付けられたデータセット15に変換する。システム1は、機械学習プロジェクト142の入力としてこのデータセット15を有し、次いで、少なくとも1つの仮想モデル16が、データセット15に基づいて訓練される。相関14と同様に、取得された仮想モデル16は、対象のシリーズの機器2に特有である。それは更に、経験的モデル(データ駆動モデル)の精度を有する。
【0140】
図5及び図6は、データを収集し、モデル16を訓練するプロセスを示す。図5では、機器2のログ9、11、12、並びに期間5の途中の所与の時点(t)と関連付けられた、機器2の実施対象の保全6を保留している機器2が考慮される。
【0141】
図5は、相関14によってリンクされたトリプレット140の3つの項、すなわち、製造及び保全セット95、当該機器の使用量セット115、並びに当該時点(t)における当該機器の状態13を示しており、
- 当該時点(t)に先行する最後の保全のランク0からランクkまでの製造及び保全判定を含む製造及び保全セット95、
- 当該時点(t)までの期間5の間の使用サブログ111を含む使用量セット115、
- 機器2の当該時点(t)における状態13、を有する。図15はまた、当該機器2に関連するデータの抽出及び処理を示し、特に、
- 当該時点(t)における製造及び保全セット95、使用量セット115、及び状態13に関連付けられたデータの抽出、
図5に見られるように、トリプレット140(当該時点(t)におけるセット95;セット115;状態13)の構築、
- 期間5の間に記録された時点(t)と同数の類似のトリプレットの形成、
図5に見られるように、当該トリプレットの生データセット150への噴射、
- 施設3内の、当該機器2と同じタイプの機器の各々についての当該生データセット150の構成、を示す。
【0142】
図6は、
- 機器2と同じシリーズの機器を動作させる複数の施設3から抽出された生データセット150を、それらをマージすることを目的として、送信によって復元し、続いて、これらのデータに変換141を適用して、データセット15を構成し、
- 当該データセット15を機械学習プロジェクト142の入力として提示し、当該データセット15に基づいて、相関14をモデリングする仮想モデル16を訓練することを概略的に示す。機器2の挙動(又はシリーズの機器の挙動)をこのようにモデリングすることによって、本発明は、シリーズの規模で、各機器2の観察された挙動(すなわち、状態13)を、当該機器2の製造及び保全ログ9並びに使用ログ11と相関させる。したがって、本発明は、フィードバックを使用する形態であり、これは、特に、モデリングされた相関14が、シリーズの各機器2がホストする物理現象に固有であるため、モデリングされた相関14の機能的な意味での関連性からその優れた性質を引き出す。
【0143】
一実施形態によれば、モデル16の訓練は、人工知能の分野に属し、機械学習とすることができる。換言すれば、本発明は、コンピュータにデータから学習する機能を与えるための、すなわち、タスクの各々に対して明示的にプログラムされることなくタスクを解決する際にそれらの性能を改善するための数学的及び統計的アプローチに基づく、特に機械学習の分野の、人工知能を含むコンピュータ技術の使用を予知する。
【0144】
特に、監視システム1は、かかる学習から得られる、仮想として予知されるモデル16を備える。更に、モデル16の訓練は、任意のタイプの機械学習、すなわち、非限定的に、監視された、半監視された、監視されていない、強化された、又は転送による分類を含むことができる。更に、機械学習は、任意のカテゴリーの訓練方法を実装することができ、当該方法は、すなわち、非限定的に、ニューラルネットワーク(ディープラーニング法を含む)、k最近傍法(「KNN」)、遺伝的アルゴリズム、遺伝的プログラミング、又は特にベイジアンネットワーク、サポートベクターマシン(SVM)、Q学習、判定木、統計的方法、ロジスティック回帰、線形判別解析などの他の方法を組み合わせることができる。
【0145】
好ましくは、モデル16の訓練は、教師ありの回帰ベースの決定論的機械学習問題を含む(モデル16は、好ましくは、ラベル付けされたデータのセット15から定量的かつ連続的なデータのベクトルを決定し、データベクトルは、本発明が機器2の予定状態130に統合するために選択したものである)。
【0146】
他の実施形態によれば、モデル16は、任意のタイプであってもよい。
【0147】
本発明は、機械学習プロジェクト142のコンテキストにおいて、モデル16の第1の訓練以降に生成された新しい製造、保全、使用量、及び状態データを考慮に入れ、当該仮想モデル16を更新することを想定する。これを行うために、一実施形態によれば、前述の動作が周期的に繰り返され、すなわち、
- 少なくとも1つの製造者、保全技術者及び/又はオペレータからの新しいデータの復元が繰り返される。好ましくは、シリーズの全ての機器2に関連する新しいデータは、シリーズの機器を実装するオペレータのセットから復元され、
- 次いで、完成したデータセット15を取得するために、当該新しいデータの抽出及び変換141が実施され、その後、当該完成したデータセット15に基づいて当該モデル16の訓練が更新される。
【0148】
この更新は周期的に実施され、その周期性は、設計者、製造者、保全技術者、及びオペレータによって、後者によって、又は「データサイエンス」の観点から最も関連があると考えられる基準に応じて決定されることに留意されたい。
【0149】
例えば、周期性基準は、生データセット150が第1の訓練のコンテキストにおいてコンパイルされた期間の10%の比に対応し得る。データが10年にわたってコンパイルされた場合、仮想モデル16を更新するための周期性は、12ヶ月に対応することができる。
【0150】
したがって、本発明は、系統的フィードバックを連続的又は準連続的に使用することを可能にする。
【0151】
本発明によれば、相関14が決定され、モデル16の訓練が実施されると、本発明は当該モデル16を機器2に適用する。
【0152】
これを行うために、有利には、当該機器2の実施対象の保全6中に、値が当該モデル16に提出される。これらの値は、製造及び保全ログ9のタスク90のうちの少なくとも1つ、並びに使用ログ11の使用条件110のうちの少なくとも1つに対応する。更に、値は、実施対象の保全6のタスク90のうちの少なくとも1つと、シナリオ8の当該予定使用条件110とに対応する。
【0153】
実際、モデル16は、ある時点における機器2の状態13を、製造及び保全セット95(すなわち、当該時点に先行する最後の先行保全10まで)、並びに当該時点までの使用量セット115と相関させるように学習している。
【0154】
したがって、モデル16は、ある時点における機器2の予定状態130を、実施対象の保全6のタスク90の修正された製造及び保全ログ9と、並びに部分シナリオ80が後に続く当該時点までの使用ログ11と相関させることができる。
【0155】
当該モデル16の適用において、以下の入力データ、すなわち、
- 実施対象の保全6について考慮される保全判定に関するタスク90で修正された、機器2の製造及び保全ログ9(実施対象の保全6に先行する最後の先行保全10まで)から構成される全体的な製造及び保全ログ、
- (実施対象の保全6の前日までの)機器2の使用ログ11と、それに続く(予定動作期間70の開始から当該予定期間70の過程で考慮される時点までの)対象の部分シナリオ80とから構成される全体的な使用ログ、が当該モデル16に提出される。
【0156】
したがって、本発明は、機器2にカスタマイズされたシミュレータとして当該モデル16を使用する。
【0157】
実際に、モデル16は、当該機器2に対して実施対象の保全6のタスク90に関する所与の保全判定のために、並びに当該時点までのシナリオ8の文脈において続く当該機器2の使用量のために、ある時点における機器2の予定状態130をシミュレートすることを可能にする。更に、このシミュレーションは、このシミュレーションを実施するために考慮された、実施対象の保全6の前日までの製造及び保全ログ9、並びに実施対象の保全6の前日までの使用ログ11が、機器2に固有であるため、すなわち、対象の機器2に固有であるため、当該機器2にカスタマイズされる。
【0158】
図1に見られるように、(ランクjの)実施対象の保全6を保留している機器2への監視システム1の適用は、(ランクj+1の)予定保全7の前日に対応する将来の時点に対する当該機器2の予定状態130を決定することを可能にし、当該機器2に関するデータ、
- 当該機器の製造及び保全ログ9及び使用ログ11、
- 実施対象の保全6及び使用シナリオ8に関する保全判定のタスク90、を考慮に入れる。
【0159】
図1は、特に、前述のデータを入力として受信し、予定期間70の終わりに機器2の予定状態130を出力として生成するモデル16を示す。
【0160】
更に、これらの値が提出されると、当該モデル16は、当該保全6が実施された後の当該機器2の予定状態130を生成する。
【0161】
換言すれば、入力として提出されたデータから、モデル16は、考慮される時点についての機器2の予定状態130、すなわち、この予定状態130の材料インジケータ120の各々についての考慮される時点についての値を予測することができる。次に、当該予定状態130は、当該機器2の動作に必要であると特定された最小状態17と比較される。
【0162】
換言すれば、この予定状態130の材料インジケータ120の各々について、モデル16によって予測された値は、機器2の動作に必要な最小値、例えば当該機器2の性能の最小値と(又は状況に応じて、機器2の動作に必要な最大値、例えば当該機器2の摩耗の最大値と)比較される。
【0163】
考慮される時点に対してこのようにシミュレートされた予定状態130が動作基準に適合する場合(すなわち、予定状態130の各材料インジケータ120のモデル16によって予測された値が、機器2の動作に必要な最小(又は最大)値よりも大きい(又は小さい)場合)、予測された予定状態130は、機器2の正しい動作状態に対応する。
【0164】
例えば、ポンプのような機器2の場合が考慮され、その状態13は、2つの材料インジケータ120、すなわち、流量(Q(t))及び吐出圧(Pref(t))によって特徴付けられるように、ある時点(t)において考慮されることができ、それぞれ、ポンプの動作に必要とされる最小値に対して、Qmin及びPrefminである。
【0165】
したがって、ポンプの最小状態17は、値のセット[Qmin,Prefmin]である。したがって、時点(t)におけるポンプの動作基準は、予定状態130が最小状態17よりも大きいこと、すなわち、流量Q(t)及び吐出圧Pref(t)が2つの条件Q(t)>Qmin及びPref(t)>Prefminを満たすことである。
【0166】
モデル16によって考慮される時点に対して予測されるように、ポンプの予定状態130がポンプの正しい動作状態に対応するかどうかを識別するために、状態130は、次いで、最小状態17と比較され、すなわち、時点に対する流量Q(t)及び吐出圧Pref(t)材料インジケータ120の予測値は、それらのそれぞれの最小値Qmin及びPrefminと比較される。
【0167】
図7は、この例の場合、この予定状態130の予測と、最小状態17との比較とを示す。
【0168】
図7は、ポンプなどの機器2の場合の前の例を繰り返し、その状態13は、時点(t)において、2つの材料インジケータ120、すなわち流量(Q(t))及び吐出圧(Pref(t))によって特徴付けることができ、Qmin及びPrefminはそれぞれ、ポンプの動作に必要とされる最小値である最小状態17の材料インジケータ120の値である。
【0169】
図7は、予定期間70の過程における、モデル16によって計算されたポンプの予定状態130(すなわち、材料インジケータ120Q及びPrefの連続値)の進行を示す。
【0170】
予定状態130の曲線は、経年劣化に起因して経時的に減少しているため、図7はまた、時点(t)においてこのように予測された状態130と最小状態17との比較を示す。ポンプの予定状態130がポンプの正しい動作状態に対応するかどうかを識別するために、予定状態130は、次いで、最小状態17と比較され、すなわち、当該時点に対する流量(Q(t))及び吐出圧(Pref(t))材料インジケータ120の予測値は、それらのそれぞれの最小値Qmin及びPrefminと比較される。
【0171】
一実施形態によれば、所与のシナリオ8が後に続く、実施対象の保全6に関する所与の保全判定(機器2に対して実行されるタスク90に関する判定)について、対象の保全判定が十分であるかどうか、すなわち、当該現在のシナリオ8の文脈において、予定期間70の終わりまで、又は予定保全7の前日まで、動作中に故障がゼロになる十分な可能性を機器2に与えるかどうかが決定される。これを行うために、一実施形態によれば、実施対象の保全6のタスク90の値のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの変動が実行される。次いで、値が当該モデル16に提出されると、当該変動の値が導入される。
【0172】
全ての変動の中で、実施対象の保全の少なくとも1つの十分な判定が、当該機器2の予定状態130に対して、当該予定保全7の時点での最小状態17以上であると選択される。
【0173】
換言すれば、予定保全7が、実施対象の保全6に続く次回の保全ステップに対応する場合、(タスク90に関する)可能な保全判定のセットが、実施対象の保全6について考慮され、後者の中で、十分な保全判定を決定することが意図される。例えば、2回の保全タスク90がクリティカルであると特定され、
ポンプ軸受を交換し(可能な軸受タイプとしてタイプA及びBを用いる)、
ポンプインペラを交換する(可能なインペラタイプとしてタイプA、B及びCを用いる)、ポンプなどの機器2の場合を考える。
【0174】
実施対象の保全6のための可能な保全判定は、以下から形成される判定の12の組み合わせである。
- 軸受に関する3つの可能な判定:何もしない(軸受を定位置に残す)か、又は軸受をタイプA又はタイプBの軸受と交換する。
- インペラに関する4つの可能な判定:何もしない(インペラを適所に残す)か、又はインペラをタイプA、タイプB、又はタイプCのインペラと交換する。
【0175】
これらの12の可能な保全判定の中で、十分な保全判定を決定することが意図される。更に、実施対象の保全6のこれらの可能な判定の中で、保全判定がベクトル[0;A](すなわち、軸受は交換されず、インペラはタイプAインペラと交換される)によって特徴付けられ、別の保全判定が、ベクトル[0;0](すなわち、軸受が交換されておらず、インペラが交換されていない)によって特徴付けられる場合、実施対象の保全6のためのこれらの2回の保全判定は、インペラに関して変化する(in extenso、実施対象の保全6のタスク90の値の変化は、インペラの「交換」及び「非交換」値の変化に関係する)。実施対象の保全6のための可能な保全判定の各々について、前述のカスタマイズされたシミュレーションは、予定期間70の終わりに、すなわち予定保全7の前日に(予定保全7の前日に対応する時点までのシナリオ8の文脈で実施対象の保全6に続く機器2の使用量を考慮し、実施対象の保全6の前日までの機器2の製造及び保全ログ9を考慮し、実施対象の保全6の前日までの機器2の使用ログ11を考慮して)、機器2の予定状態130を決定するために、モデル16によって実装される。機器2の動作に必要とされる最小状態17と比較して、予定状態130(したがって、予定期間70の終わりに対応する時点に対してモデル16によってシミュレートされる)が機器2の動作基準に適合する場合、保全判定は、予定期間70の終わりまでのシナリオ8の文脈における動作中にゼロ故障の十分な可能性を機器2に与えるのに十分であると考えられる(「十分な保全判定」と称される)。
【0176】
例えば、ポンプのような機器2の場合を考えると、その状態13は、状態13の2つの材料インジケータ120、すなわち、ポンプの動作に必要な最小値に対してそれぞれ(Qmin)及び(Prefmin)を有する流量(Q)及び吐出圧(Pref)によって、ある時点に特徴付けることができる。保全判定は、(予定期間70の終了に対応する時点についての)予定状態130が、ポンプの動作基準、すなわち、予定期間70の終了に対応する時点についての材料インジケータ120に関する2つの条件、すなわち、(Q>Qmin)及び(Pref>Prefmin)に適合することを可能にする場合、十分であると考えられる。シミュレーションは、実施対象の保全6のための(タスク90に関する)可能な保全判定の各々について繰り返される。したがって、予定期間70の終わりに対応する時点に対してモデル16によってシミュレートされたそれぞれの予定状態130は、十分な保全判定と不十分な判定との間で実施対象の保全6に対する可能な保全判定をソートすることを可能にする。
【0177】
したがって、実施対象の保全6のタスク90の値のうちの少なくとも1つの値の全ての変動の中で、実施対象の当該保全6の少なくとも1つの十分な判定が、当該予定保全7の時点で、最小状態17以上当該機器2の予定状態130に対して選択される。
【0178】
一実施形態によれば、(実施対象の保全6のタスク90に関する)所与の保全判定に対して、かつ予定期間70にわたる機器2のシナリオ8の予定使用条件110の各々に対して、予定期間70の途中及び終わりまで、又は実施対象の保全6に続く次回の予定保全7の前日まで、シナリオ8の文脈において機器2のゼロ故障に適合したままである可能な最大制限18(すなわち、故障のリスクのない、機器2の中断されない動作に適合する制限)が決定される。
【0179】
これを行うために、所与の保全判定に対して、シナリオ8の少なくとも1つの予定使用条件110の値が修正される。当該値が当該モデル16に提出されると、当該修正の値並びに当該保全判定の値が導入される。次いで、予定保全7の時点で、最小状態17に等しい当該機器2の予定状態130に対する当該予定条件110のうちの少なくとも1つに対して制限が計算される。換言すれば、予定期間70にわたる機器2のシナリオ8は、少なくとも1つの制御可能な予定使用条件110によって特徴付けられ、当該制御可能な予定使用条件110の値(「フリーのまま」)は、自由に変化できるままであり、他の可能な予定使用条件110(制御可能及び/又は制御不可能)は、シナリオ8のそれぞれの値に設定される。次に、モデル16は、反復法によって、自由にされた制御可能な予定使用条件110に関して、予定期間70の終わりにおける機器2の予定状態130が最小状態17に対応する数式を解くために使用される。
【0180】
所与の保全判定(実施対象の保全6のタスク90に関する)及び対象の制御可能な予定使用条件110に対して、予定期間70の終わりまで機器2のゼロ故障に適合したままである可能な制限(すなわち、故障のリスクのない、機器2の中断されない動作に適合する制限)(好ましくは最大制限18)がこのように決定される(他の予定使用条件110は、シナリオ8のそれぞれの値に設定されたままである)。
【0181】
例えば、施設3がトラックであり、監視される機器2が当該トラックのエンジンである場合、実施対象の保全6と、次回の予定保全7との間のシナリオ8が考慮され、以下の予定使用条件110、すなわち、
- 制御可能な予定使用条件110:輸送される平均積荷(2トン=2T)、移動される距離(10万キロメートル=100,000km)、平均速度(毎時90キロメートル=90km/h)、
- 制御不可能な予定使用条件110:周囲空気温度(摂氏20度=20℃)、使用されるルートの平均勾配(5パーセント=5%)、によって特徴付けられる。
【0182】
このシナリオ8では、実施対象の保全6に続く予定保全7までの故障ゼロに適合する、輸送される平均積荷の最大制限18の値を決定することが意図されており、他の予定使用条件110は、シナリオ8のそれぞれの目標値に設定されたままである。
【0183】
予定期間70の終わりにおける機器2の予定状態130が最小状態17に対応する数式を、反復法によって、輸送される平均積荷に関して解くためのモデル16の使用量は、一例として、(シナリオ8における2Tの輸送される平均積荷の目標値に対して)2.5Tの最大制限18を与える。図8では、トラックエンジンなどの機器2の前述の例が考慮され、使用条件110は、輸送される積荷P、移動される走行距離d、平均速度V、周囲空気温度T°、及び使用される経路の平均勾配Aである。図8では、予定状態130は、シリンダの平均圧縮圧力Uに対応する材料インジケータ120によって定義され、機器2の正しい動作に必要な最小値として、最小状態17の値Uminを有することが更に仮定される。図8は、制御可能な(P,d,V)及び制御不可能な(T°,A)使用条件110(前述の例で想起されるように、Pc=2T;dc=100,000km;Vc=90km/h;T°c=20℃;Ac=5%)のそれぞれの目標平均値(Pc,dc,Vc、T°、Ac)によって定義される、予定期間70にわたる使用シナリオ8について、実施対象の保全6に関する所与の保全判定について、その固定ログ9及び11に関連付けられた機器2についての制御可能な使用条件110Pの最大制限18(Plim)の計算を示す。
【0184】
シナリオ8のそれぞれの目標平均値(dc=100,000km、Vc=90km/h、T°c=20℃、Ac=5%)に設定された他の4つの使用条件110(d、V、T°、A)について、制御可能な使用条件110(P)の最大制限18(この例では、Plim=2.5Tとして決定される)が、モデル16によって反復的に決定される。
【0185】
この最大制限18、Plimに対して、予定期間70の終わりにおける予定状態130は、必要な最小状態17に対応し、すなわち、材料状態インジケータ120は、必要な最小値(U=Umin)に対応する。
【0186】
同様に、図9は、制御可能な使用条件110dの最大制限18(dlim)の計算を示す。他の4つの使用条件110(P,V,T°,A)については、シナリオ8のそれぞれの目標平均値(Pc=2T;Vc=90km/h;T°c=20℃;Ac=5%)に設定され、制御可能な使用条件110(d)の最大制限18が、モデル16によって反復的に決定される(この例では、dlim=110,000kmとして決定される)。この最大制限18(dlim)に対して、予定期間70の終わりにおける予定状態130は、必要な最小状態17に対応し、すなわち、材料状態インジケータ120は、必要な最小値(U=Umin)に対応する。シナリオ8の他の制御可能な予定使用条件110の各々に対して、予定期間70の途中及び終わりまで、すなわち、実施対象の保全6に続く次回の予定保全7の前日まで、シナリオ8の状況において機器2のゼロ故障に適合したままであるその可能な最大制限18(すなわち、故障のリスクのない機器2の中断されない動作に適合する制限)を決定するために同じことが行われ、これは、(実施対象の保全6のタスク90に関する)所与の保全判定に対して行われる。このようにして決定されると、当該最大制限18は、所与の保全判定に対して、予定期間70の途中及びその終わりまでに、シナリオ8の状況における機器2のゼロ故障に適合する使用量範囲の境界を定める。したがって、機器2が動作される限り、機器2のゼロ故障が可能であり、所与の制御可能な予定使用条件110は、このように決定されたその最大制限18の値以下に保たれ、他の予定使用条件110は、シナリオ8のそれぞれの目標値以下のままであることが知られている。次いで、ウェブマッピング図によって、シナリオ8の予定使用条件110の目標値、並びに制御可能な予定使用条件110の各々について以前に計算された最大制限18の値をグラフィカルに表すことが可能であり、各軸は、予定条件110に割り当てられる。こうして、予定条件110と同数の頂点を有する多角形が取得される。
【0187】
したがって、(シナリオ8の予定使用条件110の各々の目標値を表す)「目標多角形180」と称される第1の多角形180を、(制御可能な予定使用条件110の各々の最大制限18の値と、制御不可能な予定使用条件110の各々に対するシナリオ8の目標値とを表す)「制限多角形181」と称される第2の多角形181と重ね合わせることが可能であり、目標多角形180は、制限多角形181によって囲まれる。図10では、トラックエンジンなどの機器2の前述の例が考慮され、使用条件110は、輸送される積荷P、移動される走行距離d、平均速度V、周囲空気温度T°、及び使用される経路の平均勾配Aである。図10では、予定状態130が、シリンダの平均圧縮圧力Uに対応する材料状態インジケータ120によって定義され、機器2の正しい動作に必要な最小値として、最小状態17の値Uminを有することが更に仮定される。図10は、制御可能な(P,d,V)及び制御不可能な(T°,A)使用条件110(前述の例で想起されるように、Pc=2T;dc=100,000km;Vc=90km/h;T°c=20℃;Ac=5%)のそれぞれの目標平均値(Pc,dc,Vc,Tc,Ac)によって定義される、予定期間70にわたる使用シナリオ8について、実施対象の保全6に関する所与の保全判定について、その固定ログ9及び11に関連付けられた機器2の目標多角形180及び制限多角形181を示す。
【0188】
図10は、対応する軸に沿って、「目標多角形180」を実線で示し、
- 開いた南京錠によって表される、シナリオ8の制御可能な予定使用条件110(P,d,V)のそれぞれの目標平均値(Pc,dc,Vc)、
- 閉じた南京錠によって表される、シナリオ8の制御不可能な予定使用条件110(T°,A)のそれぞれの目標平均値(T°c,Ac)を示す。
【0189】
図10は、対応する軸に沿って、「制限多角形181」を点線で示し、
- 開いた南京錠によって表される、シナリオ8の制御可能な予定使用条件110(P,d,V)のそれぞれの最大制限18の値(Plim,dlim,Vlim)、
- 閉じた南京錠によって表される、シナリオ8の制御不可能な予定使用条件110(T°,A)のそれぞれの目標平均値(T°c,Ac)を示す。
【0190】
一実施形態によれば、シナリオ8の予定使用条件110の最大制限18の計算は、十分であると決定された保全判定(すなわち、当該シナリオ8の文脈において、予定期間70の途中及び終わりまで、又は予定保全7の前日までに、動作中に故障がゼロになる十分な可能性を機器2に与える、実施対象の保全6中に機器2に対して実施対象のタスク90に関する保全判定)の各々について繰り返される。
【0191】
これを行うために、一実施形態によれば、値が当該モデル16に提出されると、当該十分な保全の判定の選択された値が導入される。予定使用条件110の最大制限18は、予定保全7の時点で、最小状態17に等しい当該機器2の予定状態130に対して、この十分な保全判定のために計算される。
【0192】
保全6を実施するのに十分であると決定された各保全判定及び考慮されるシナリオ8について、制御可能な予定使用条件110の最大制限18が計算されたとき、目標多角形180の形態の目標使用量(すなわち、シナリオ8の予定使用条件110の目標値)、及び制限多角形181の形態の制限使用量(すなわち、シナリオ8の制御可能な予定使用条件110の最大制限18の値及び制御不可能な予定使用条件110の目標値)が、同様のウェブマッピング図にグラフィカルに表され、これは、2つの多角形を重ね合わせることによって行われる。
【0193】
一実施形態によれば、対応する値と対応する最大制限18との間の偏差182として、当該シナリオ8の予定使用条件110のうちの少なくとも1つについて使用マージンが決定される。
【0194】
実際に、本発明は、シナリオ8の全ての制御可能な予定使用条件110について、それらの目標値とそれらのそれぞれの最大制限18の値との間の偏差182を定量化する。
【0195】
換言すれば、シナリオ8の目標多角形180と最大制限18の制限多角形181との同じウェブマッピング図における表現及び重ね合わせは、各制御可能な予定使用条件110について、目標値と当該制御可能な予定使用条件110の最大制限18の値との間の偏差182をグラフィカルに表すことを可能にする。
【0196】
例えば、前述のトラックエンジンの場合、目標値と最大制限18の値との間の偏差182は、各制御可能な予定使用条件110に対して、
- 輸送される平均積荷について:目標値2Tと最大制限18 2.5Tの値との間の偏差182、
- 走行すべき距離について:目標値100,000kmと最大制限18の110,000kmの値との間の偏差182、
- 平均速度について:目標値90km/hと最大制限18の値100km/hとの間の偏差182、がグラフで表される。
【0197】
図10は、各制御可能な予定使用条件110について、目標値と当該制御可能な予定使用条件110の最大制限18の値との間の偏差182を示す。好ましくは、比較可能な偏差182を比較するために、シナリオ8の目標多角形180及び最大制限18の制限多角形181が示され、重ね合わされるウェブマッピング図の軸が正規化される。換言すれば、各制御可能な予定使用条件110について、目標値並びにその最大制限18の値は、スケール上に表され、各値は、正規化される(すなわち、当該値と目標値との間の比によって表される)。
【0198】
例えば、前述のトラックエンジンの場合、軸が正規化されたウェブマッピング図上で、各制御可能な予定使用条件110に対する目標値と最大制限18の値との間の偏差182は、
- 輸送される平均積荷に関して、目標値2Tは、比1(2T/2T)によって表され、一方、最大制限18の値は、比1.25(2.5T/2T)、すなわち、2つの値の間の25%の偏差によって表され、
- 走行すべき距離に関し、目標値は、比1(100,000km/100,000km)で表され、最大制限18の値は、比1.1(110,000km/100,000km)で表され、即ち、これら2つの値相互間の偏差は、10%であり、
- 平均速度について:目標値は、比1((90km/h)/(90km/h))によって表され、一方、最大制限18の値は、比1.11((100km/h)/(90km/h))によって表され、すなわち、2つの値の間の偏差は11%であるように、グラフで示すことができる。したがって、正規化された、目標値と最大制限18の値との間のこれらの偏差182は、互いとの比較に役立つ。それらは、目標値と最大制限18の値との間の偏差182が有意又は許容可能である制御可能な予定使用条件110、並びに偏差182がそうではない制御可能な予定条件110を識別することを可能にし、これは、許容可能であるか否かにかかわらず、故障前に低い又は高いマージンを許容する予定使用条件110を識別することになる。
【0199】
例えば、前述のトラックエンジンの場合、目標値と最大制限18の値との間の偏差182は、輸送される平均積荷(25%)の場合の方が、移動される走行距離及び平均速度(それぞれ10%及び11%)の場合よりもはるかに大きい。したがって、輸送される平均積荷は、移動される走行距離及び平均速度よりも、その目標値に対して大きな偏差182を許容する(しかしながら、ゼロ故障を問題にすることなく)。換言すれば、予定期間70の終わりまで故障がゼロであることから利益を得るために、移動される走行距離及び平均速度よりも平均積荷の方が故障前の使用信頼度が高い。したがって、オペレータは、予定期間70の間、輸送される平均積荷よりも、移動される走行距離及び平均速度についてのシナリオ8の目標値を観察することに、より多くの注意を払うべきである。したがって、本発明は、故障前使用マージン(MUBF)を、制御可能な予定使用条件110ごとの目標値と最大制限18の値との間の正規化された偏差182の平均、又はシナリオ8の目標多角形180と最大制限18の制限多角形181との間の平均偏差として定義する。
【0200】
前述の例では、3つの正規化された偏差182、25%、10%、及び11%を平均した故障前使用マージン(MUBF)は、約15%である。したがって、実施対象の保全6に十分であると決定された保全判定について、かつシナリオ8について、制御可能な予定条件110の最大制限18が計算されており、(実施されることが予知された保全6のタスク90に関する)保全判定の適合性が、当該シナリオ8において、並びに機器2の完全なログにおいて、当該保全判定に関連付けられた故障前使用マージン(MUBF)インジケータによって優先的に定量化される。
【0201】
例えば、トラックエンジンのような機器2の場合を考えると、実施対象の保全6に関して7つの十分な保全判定が特定されており、その各々に対してマージン(MUBF)が計算され、これらの判定は、
- ディーゼルフィルタを交換し、3%のMUBFを取得することを可能にする第1の判定(D1)、
- 噴射器を交換し、7%のMUBFを取得することを可能にする第2の判定(D2)、
- 噴射器及びディーゼルフィルタを交換し、9%のMUBFを取得することを可能にする第3の判定(D3)、
- 噴射ポンプを置き換え、11%のMUBFを取得することを可能にする第4の判定(D4)、
- 噴射ポンプ及びディーゼルフィルタを交換し、13%のMUBFを取得することを可能にする第5の判定(D5)、
- 噴射ポンプ及び噴射器を交換し、20%のMUBFを取得することを可能にする第6の判定(D6)、
- 全て(噴射ポンプ、噴射器、及びディーゼルフィルタ)を置き換え、25%のMUBFを取得することを可能にする第7の判定(D7)である。
【0202】
機器2及びそのログ9、11に関して、判定D7は、他の判定、特に判定D1よりもシナリオ8に適していることが分かることに留意されたい。実際に、判定D1は、3%のMUBFを取得することを可能にし、予定期間70の終わりまでのゼロ故障から利益を得るために、予定使用条件110に対する3%の偏差182の平均値は、シナリオ8の目標値に対して尊重されるべきである。
【0203】
判定D7は、その一部として、25%のMUBFを可能にし、予定期間70の終わりまでのゼロ故障から利益を得るために、予定使用条件110について25%よりもはるかに大きい偏差182の平均値が、シナリオ8の目標値に対して尊重されるべきである。
【0204】
したがって、使用マージン(MUBF)は、同じ予定使用シナリオ8に対する各保全判定の適合性を定量化することを可能にする。
【0205】
一実施形態によれば、使用マージンが取得されると、最適な保全判定が、十分な保全判定の中から、許容可能な使用マージンを取得することを可能にする十分な判定として、又は当該許容可能な偏差182のうちの少なくとも1つを取得することを可能にする十分な判定として選択される。換言すれば、保全6を実施するのに十分であると特定された判定の各々について、かつ対象のシナリオ8について、制御可能な予定使用条件110の最大制限18が計算され、シナリオ8についての十分な保全判定(実施されることが予知された保全6のためのタスク90に関する)の適合性が故障前使用マージン(MUBF)によって定量化され、本発明は、意図された使用マージンを可能にする判定として最適な保全判定を優先的に選択する。従って、実施対象の保全6のためのタスク90の量に関する最適な判定が優先的に決定される。要するに、この最適な判定は、機器2の完全なログに対してカスタマイズされ、シナリオ8に適している(予定期間70の終わりまでのゼロ故障、並びに意図された故障前使用マージンを可能にする)。
【0206】
例えば、実施対象の保全6に関して7つの十分な保全判定が特定され(D1~D7)、それぞれに対してマージン(MUBF)が計算された、トラックエンジンの前述の場合が考えられる。
【0207】
オペレータは、シナリオ8の目標値と最大制限18の値との間の10%の偏差182が、
- 輸送される積荷について(すなわち、オペレータは、実施対象の保全6と次回の予定保全7との間に輸送される平均積荷が、2Tの目標を10%を超えて超えないと推定する)、
- 次回の保全までに移動すべき総マイル数について(すなわち、オペレータは、実施対象の保全6と次回の予定保全7との間に移動すべき総マイル数が、10%を超えて100,000キロメートルの目標を超えないと推定する)、
- 平均速度について(すなわち、オペレータは、実施対象の保全6と次回の予定保全7との間の平均速度が90km/hの目標を10%を超えて超えないと推定する)、十分であると考えることができる。
【0208】
したがって、10%を超えるマージン(MUBF)に関連付けられ、保全の制約を最小化する、実施対象の保全6に関する十分な保全判定は、11%のマージン(MUBF)を有する判定D4である。特に、判定D5、D6及びD7はまた、10%よりも大きいマージン(MUBF)を許容することを可能にするように見えるが、オペレータの意図に関して、より高い保全の制約を有する不必要な過剰保全を伴うことになる。したがって、オペレータにとって、実施対象の保全6に関する最適な保全判定は、判定D4(すなわち、噴射ポンプを交換することを含む判定)である。
【0209】
本発明はまた、シナリオ8の目標値と最大制限18の値との間の意図された偏差182を可能にする判定として、実施対象の保全6の間に適用される最適な保全判定を選択することを想定し、予定使用条件110のうちの1つに対してそれを行う。
【0210】
例えば、7つの十分な保全判定(D1~D7)が、実施対象の保全6に関して特定されたトラックエンジンの前述の場合が考えられ、オペレータは、
- 次回の予定保全7の前日に移動した走行距離が、シナリオ8の100,000キロメートルの目標を超えることができないと推定し、
- 次回の予定保全7の前日の平均速度が、シナリオ8の90km/hの目標を超えることができないと推定し、
- 輸送される平均積荷のみに関して、目標値(2T)と最大制限18の値との間の少なくとも10%の偏差182を意図する。
【0211】
この例では、7つの十分な保全判定の各々について、シナリオ8(2T)における目標値と、モデル16のシミュレーションによって計算された最大制限18の値との間の、輸送される積荷についての偏差182が考慮され、
- 判定D1は、輸送される積荷について5%の偏差182を許容し、
- 判定D2は、輸送される積荷について11%の偏差182を許容し、
- 判定D3は、輸送される積荷について15%の偏差182を許容し、
- 判定D4は、輸送される積荷について18%の偏差182を許容し、
- 判定D5は、輸送される積荷について21%の偏差182を許容し、
- 判定D6は、輸送される積荷について33%の偏差182を許容し、
- 判定D7は、輸送される積荷について41%の偏差182を許容する。
【0212】
オペレータの仮定及び意図を考慮すると、実施対象の保全6に関する最適な保全判定は、この場合、もはや判定D4ではなく、判定D2である(輸送される積荷に関する目標値と最大制限18の値との間の11%の偏差182を有する)。特に、判定D3~D7はまた、10%を超える偏差182をもたらすように見えるが、オペレータの意図に関して、より高い保全の制約を伴う不必要な過剰保全を伴うことになる。したがって、オペレータにとって、実施対象の保全6に関する最適な保全判定は、この場合、判定D2(すなわち、噴射器を交換することを含む判定)である。
【0213】
本発明はまた、シナリオ8の目標値と最大制限18の値との間の偏差の意図された平均を可能にする判定として、実施対象の保全6の間に適用される最適な保全判定を選択することができ、予定使用条件110の意図された部分についてそれを行う。
【0214】
例えば、7つの十分な保全判定(D1~D7)が、実施対象の保全6に関して特定された、トラックエンジンの前述の場合が考えられ、
- オペレータは、次回の保全の前日の平均速度が90km/hの目標を超えることができないと推定し、
- オペレータは、輸送される積荷及び移動される走行距離に関する(シナリオ8の目標値と最大制限18の値との間の)10%の偏差182の平均値を意図する。
【0215】
この例では、十分な保全の判定の各々について、シナリオ8の目標値と最大制限18との間の偏差182の平均が、モデル16によって許容されるシミュレーションによって計算された最大制限18を有する2つの予定使用条件110(輸送される積荷及び移動される走行距離)について考慮される。
【0216】
この例では、
- 判定D1は、輸送される積荷及び走行される走行距離に対してそれぞれ5%及び2%の偏差182、又は3%の平均偏差を許容し、
- 判定D2は、11%及び5%の偏差182、又は8%の平均偏差を許容し、
- 判定D3は、15%及び6%の偏差182、又は10%の平均偏差を許容し、
- 判定D4は、18%及び7%の偏差182、又は13%の平均偏差を許容し、
- 判定D5は、21%及び8%の偏差182、又は15%の平均偏差を許容し、
- 判定D6は、33%及び13%の偏差182、又は23%の平均偏差を許容し、
- 判定D7は、41%と16%の偏差182、すなわち29%の平均偏差を許容することが更に仮定される。
【0217】
オペレータの想定及び意図を考慮して、実施対象の保全6に関する保全判定は、この場合、もはや判定D2又は判定D4ではなく、10%の平均偏差を有する判定D3である。特に、判定D4~D7はまた、10%を超える平均偏差を許容するように見えるが、オペレータの意図に関して、より高い保全の制約を伴う不必要な過剰保全を伴うように見える。したがって、オペレータにとって、実施対象の保全6に関する最適な保全判定は、この場合、判定D3(すなわち、噴射器及びディーゼルフィルタを交換することを含む判定)である。
【0218】
したがって、実施対象の保全6まで動作した機器2について、かつ実施対象の当該保全6の後に実行されるシナリオ8について、モデル16によって許容されるシミュレーションは、以下を決定することを可能にする。
- 十分な保全判定のセットの中で、最適な保全判定:実施対象の保全6のためのタスク90の性質に関するこの判定は、機器2の完全なログに対してカスタマイズされ、予定期間70の終わりまでゼロ故障を可能にし、意図された故障前使用マージン(MUBF)を可能にするようにシナリオ8に適している。
- 関連付けられた制限使用量、すなわち、制御可能な予定使用条件110の最大制限18(当該最大制限18は、最適な保全判定に関連付けられている)によって境界が定められた最大可能使用量(実施対象の保全6に続く次回の予定保全7の日付までのゼロ故障に適合する)。
【0219】
例えば、7つの十分な保全判定(D1~D7)が、実施対象の保全6に関して特定されており、オペレータが、制御可能な予定使用条件110(輸送される平均積荷、次回の保全までに移動される走行距離、及び平均速度)のセットに対して10%の平均故障前使用マージン(MUBF)を意図する、トラックエンジンの前述の場合が考えられる。
【0220】
この例では(また、トラックエンジンの製造及び保全ログ9及び使用ログ11、並びに予定期間70の過程におけるシナリオ8を考慮すると)、実施対象の保全6に関する十分な保全判定の中で、最適な保全判定は判定D4(すなわち、噴射ポンプを交換することを含むもの)である。
【0221】
当該予定期間70の終わりまでのエンジンのゼロ故障から利益を得るために、予定期間70の過程で観察される制限使用量は、この最適保全判定に関連する制限使用量である(すなわち、予定使用条件110及び当該保全判定D4について計算された最大制限18によって制限されたもの:2Tの目標値に対して18%の偏差182を有する2.3T、100,000kmの目標値に対して7%の偏差182を有する107,000km、90km/hの目標値に対して8%の偏差182を有する97km/h)。
【0222】
換言すれば、最大制限18を計算するためのモードを考慮に入れると、このように決定された最大制限18の値以下に維持される所与の制御可能な条件110と、シナリオ8のそれぞれの目標値以下に維持される他の条件110とを用いてエンジンが動作される限り、予定期間70の終わりまでトラックエンジンのゼロ故障を保証することが可能である。
【0223】
シナリオ8の目標多角形180との平均偏差(すなわち、故障前使用マージン(MUBF))を定量化するための、予定使用条件110の最大制限18からの制限多角形181の構築は、本発明によって予知される概念ツールである。
【0224】
実際に、同じ目標シナリオ8に対して、実施される十分な保全判定6の各場合において、常に同じ方法に従って計算される制限多角形181及びマージン(MUBF)は、目標シナリオ8に対する各保全判定の適合性を評価することを可能にする(機器2の製造及び保全ログ9並びに使用ログ11を考慮に入れる)。したがって、制限多角形181及びマージン(MUBF)は、それらの間の保全判定を比較することを可能にする。
【0225】
更に、本発明は、次回の保全の日付までのゼロ故障に適合する全ての使用シナリオを推定することを予知する。
【0226】
実際、最大制限18を計算するためのモードを考慮すると、制限多角形181及びその最大制限18は、機器2が、その最大制限18の値以下に保たれる所与の制御可能な予定使用条件110で動作される限り、ただし、他の予定使用条件110がシナリオ8のそれらのそれぞれの目標値以下に保たれる場合にのみ、ゼロ故障が可能であるという意味で、予定期間70の終わりまで機器2のゼロ故障に適合する制限使用量を制限する。特に、制限多角形181は、それらのそれぞれの可能な最大制限18を観察しながら、それらのそれぞれの目標値を超えることができる2つの制御可能な予定使用条件110を有する機器2の使用量が、意図されたゼロ故障に適合したままであるかどうかを推定することを可能にしない。例えば、以下のように定義される、実施対象の保全6と次回の予定保全7との間の目標シナリオ8を用いて、前述のトラックエンジンの場合が考えられる。
- 制御可能な予定使用条件110:2Tの輸送される平均積荷、100,000kmの移動される距離、90km/hの平均速度、
- 制御不可能な予定使用条件110、周囲空気温度20℃、使用した経路の平均勾配5%。
【0227】
この例では、更に、最大制限18は、2.5Tの平均積荷、110,000kmの走行距離、及び100km/hの平均速度に対するものであると仮定する。
【0228】
この例では、構築されたように、制限多角形181は、次回の予定保全7までのゼロ故障に適合するものとして以下の使用シナリオ8を示す。
- 2.5Tは、2回の保全作業の間に、平均して90km/hで移動し、平均して100,000キロメートルにわたって輸送され、
- 2Tは、2回の保全作業の間に、平均して90km/hで移動し、平均して110,000キロメートルにわたって輸送され、
- 2Tは、2回の保全作業の間に、平均して100km/hで移動し、平均して100,000キロメートルにわたって輸送される。
【0229】
それにもかかわらず、構築されたように、制限多角形181は、2回の保全作業の間に平均して105,000キロメートルにわたって輸送され、平均して95km/hで移動した2.3Tが、次回の予定保全7の終わりまでの意図されたゼロ故障に適合する使用シナリオであるかどうかを、決して見分けることを可能にしない。したがって、一実施形態によれば、本発明は、次回の保全の日付までのゼロ故障に適合する全ての使用シナリオを異なるように決定することを予知する。これを行うために、システム1は、第1の予定条件110の最大制限18を当該予定条件110のうちの少なくとも第2の条件の関数として示す少なくとも1つの曲線を有するチャートの形態のグラフィック表現を含む。このチャートは、実施対象の保全6と次回の予定保全7との間に含まれる予定期間70に対して、ゼロ故障に適合する使用シナリオを決定することを可能にする。
【0230】
換言すれば、本発明は、ノモグラムタイプの少なくとも1つのグラフィック表現を、一例として、チャート(以下、「チャート」)上の曲線のセットの形態で構築することを想定しており、制限シナリオに関してより豊富な情報を可能にする。所与のシナリオ8(制御可能及び制御不可能な予定使用条件110の目標値によって定義される)について、構築されたチャートは、次回の予定保全7の日付までのゼロ故障に適合する制限使用量のセット、すなわち、制御可能な予定使用条件110の値の全てのnタプルを図式的に表し、各nタプルは、(n-1)個の制御可能な予定使用条件110の値について、次回の予定保全7の日付までのゼロ故障に適合するn番目の制御可能な予定使用条件110の最大制限18を示す(シナリオ8の制御不可能な予定使用条件110は、それぞれの値にロックされる)。例えば、前述のトラックエンジンの場合は、実施対象の保全6と次回の予定保全7との間のシナリオ8として、以下の予定使用条件110によって定義されるシナリオが考慮される。
- 制御可能な予定使用条件110:2Tの輸送される平均積荷、100,000kmの移動される距離、90km/hの平均速度、
- 制御不可能な予定使用条件110、周囲空気温度20℃、使用した経路の平均勾配5%。
【0231】
この場合、輸送される平均積荷の関数として移動される走行距離のグラフィック表現を用いると、チャートは、2つの連続する保全作業の間の所与の平均速度にそれぞれ関連付けられた曲線のセットである。各等速度曲線は、3つの制御可能な予定使用条件110(輸送される平均積荷)の値のトリプレットのセットである。各トリプレットは、予定保全7(シナリオ8の制御不可能な予定使用条件110(周囲空気温度及び使用されるルートの平均勾配)20℃及び5%のそれぞれの値にロックされている)の日付までのゼロ故障に適合する制限使用量を定義する。したがって、95km/hの平均速度に関連付けられた曲線は、輸送される平均積荷の所与の値(例えば、2.3T)に対して、次回の予定保全7までにカバーされる距離(この例では101,000km)の最大制限18の値、すなわち、予定保全7の日付までのゼロ故障に適合する最大可能値(制御不可能な予定使用条件110(周囲空気温度及び使用されるルートの平均勾配)目標シナリオ8のそれぞれの値(20℃及び5%)にロックされる)。これを行うために、制御可能な予定使用条件110の所与の値に関連付けられた曲線を構築するために、本発明は、反復法によって、及びモデル16によって可能にされるシミュレーションによって、制御可能な予定使用条件110の残りの異なる値について、実施対象の保全6と予定保全7との間で観察される、制御可能な予定使用条件110の最大制限18を計算する(制御不可能な予定使用条件110は、ターゲットシナリオ8のそれぞれの値に依然としてロックされている)。前述のトラックエンジンの例では、3つの制御可能な予定使用条件110がある。チャートは、各々が第1の制御可能な予定条件110(例えば、平均速度)の値に関連付けられた曲線のセットを表す。
【0232】
当該第1の制御可能な予定条件110(例えば、100km/hの平均速度)の値に関連する曲線を構築するために、第2の制御可能な予定条件110(例えば、移動される走行距離)の最大制限18が、第3の予定条件110(この例では、輸送される平均積荷)の異なる値に対して、モデル16によるシミュレーションによって計算され、制御不可能な予定使用条件110(周囲空気温度及び使用されるルートの平均勾配)は、ターゲットシナリオ8のそれぞれの値(すなわち、この例では、それぞれ20℃及び5%)に常にロックされる。したがって、例えば、考えられる制限使用法の1つとして、チャートはトリプレット(2.3T;101,000km;95km/h)である。図11では、トラックエンジンなどの機器2の前述の例が考慮され、使用条件110は、輸送される積荷P、移動される走行距離d、平均速度V、周囲空気温度T°、及び使用される経路の平均勾配Aである。図11では、予定状態130が、シリンダの平均圧縮圧力Uに対応する材料状態インジケータ120によって定義され、機器2の正しい動作に必要な最小値として、最小状態17の値Uminを有することが更に仮定される。図11は、制御可能な(P,d,V)及び制御不可能な(T°,A)使用条件110(前述の例で想起されるように、Pc=2T;dc=100,000km;Vc=90km/h;T°c=20℃;Ac=5%)のそれぞれの目標平均値(Pc,dc,Vc,Tc,Ac)によって定義される、予定期間70にわたる使用シナリオ8について、実施対象の保全6に関する所与の保全判定について、その固定ログ9及び11に関連付けられた機器2についての、かかるチャート表現の使用量の一例を示す。
【0233】
図11において、示されているチャートは、輸送される平均積荷(P)の関数としての走行距離(d)のグラフィック表現における3つの曲線のセットである。可視曲線は、2つの連続する保全作業の間に与えられる3つの平均速度(90,95,100km/h)に関連付けられる。制御可能な使用条件110 P及びVの2つの意図された目標平均値(Pc=2.3T;Vc=95km/h)について、グラフは、モデル16によって計算されるように、最後の制御可能な使用条件110(d)に対する最大制限18(dlim=101,000km)の値を示す。したがって、制御可能な予定使用条件110に対する3つの意図された目標平均値(Pc=2.3T、dlim=101,000km、及びVc=95km/h)と、制御不可能な予定使用条件110に対する2つの目標値(Tc=20℃、及びAc=5%)とによって定義される使用シナリオは、予定期間70の終わりまでの意図されたゼロ故障に適合する、すなわち、正しい動作のために最小限必要とされる状態17(U=Umin)に対応する予定期間70の終わりにおける機器2の予定状態130に適合する制限シナリオに対応する。
【0234】
一実施形態によれば、保全6が実施され、予定期間70の途中になると、本発明は、予定期間70の終わり、又は次回の予定保全7の前日のように、機器2の予定状態130を任意の時点にリフレッシュする。換言すれば、機器2のシナリオ8が実行されている予定期間70の途中の所与の時点に、予定期間70の開始から機器2に実際に行われた使用量を考慮に入れて、当該機器2が、考慮される時点に、当該シナリオ8の残りの状況において、残りの途中で予定期間70の終了まで、又は実施対象の保全6に続く次回の予定保全7の前日まで、動作中に故障がゼロになるのに十分な可能性を保つかどうかが決定される。更に、本発明は、実施対象の保全6の前日に、十分な保全判定の中から最適な保全判定を選択することを既に予知しており、これにより、機器2の動作と互換性のある、予定期間70の終了時の予定状態130が能になる(シナリオ8を考慮に入れる)。しかしながら、本発明は、このリフレッシュが潜在的に必要であると考えられるため、予定期間70の終わりにあるような予定状態130を、予定期間70の途中の任意の時点にリフレッシュすることを予知する。
【0235】
実際に、機器2の実際の使用量は、その開始と考慮される時点との間の予定動作期間70の経過した部分の間に、シナリオ8の予知された使用量と異なっていた可能性がある。
【0236】
更に、予定期間70の経過部分の間、機器2は、異常な動作過渡状態、特に破壊に近い領域への侵入、又は当該破壊に近い領域と通常動作の領域との間の中間領域への侵入にさらされている可能性がある。更に、本発明は、これらの異常な過渡現象の集合体によって影響を受ける機器の経年劣化、したがって将来の挙動を選択する。したがって、本発明は、動作中に、予定状態130を、それが予定期間70の終わりにあるように、予定動作期間70の始まりからその時点までに発生する可能性のある異常な過渡現象の総計とともにリフレッシュすることを予知する。同様に、本発明が、保全6が実施対象の前日に、実施対象の保全6の最適な判定及び関連する制限使用量(すなわち、当該保全6が実施された後、次回の予定保全7の日付までのゼロ故障について、動作中に観察される最大可能使用量)を決定することを予測する場合、本発明は、潜在的に必要であるとして、動作中にこの制限使用量をリフレッシュすることを予知する。
【0237】
実際に、機器2の制限使用量は、予定期間70の経過部分の間の機器2の実際の使用量(最初に予知されたシナリオ8よりも機器2に対してより制限的である)に起因して、かつ任意の異常な動作過渡現象に起因して、動作中に契約する可能性が高い。
【0238】
動作中に、次回の予定保全7までのゼロ故障に適合する制限使用量をリフレッシュすることによって、本発明は、ユーザが、ゼロ故障を損なうことなく機器の使用量を押し上げることができる最大制限18、又はゼロ故障から利益を得るために最初に想定された使用量を制限しなければならない最大制限18を識別することを可能にすることを予知する。例えば、前述のトラックエンジンの場合を考えると、実施対象の保全6(すなわち、ディーゼルフィルタ及び噴射ポンプの交換)の判定D6が採用され、予定期間70の半分の終わりに、輸送される平均積荷は2Tの目標値を正しく遵守し、走行距離(50,000km)は予定期間70の終わりに100,000kmの目標値の比例量を正しく遵守するが、平均速度は105km/hであり、シナリオ8の90km/hの目標値及び100km/hの最大制限18の値を超えることが判明する。
【0239】
これらの条件下では(また、予定期間70の経過部分の過程における任意の異常な過渡に加えて)、その目標値(2T、100,000km、90km/h)を有する初期シナリオ8の文脈におけるトラックの動作を継続することは、次回の目標予定保全7の日付までゼロ故障に適合しない。したがって、予定期間70の終わりまでゼロ故障から利益を得るためにオペレータが観察しなければならない種々の予定使用条件110の最大制限18の計算をリフレッシュすることが望ましい。これを行うために、当該保全6が実施された後、更新された値が当該モデル16に提出される。これらの値は、以前のように、製造及び保全ログ9のタスク90のうちの少なくとも1つ、並びに実施対象の保全6の少なくとも1つのタスク90に対応する。
【0240】
これらの値は、当該保全6が実施されてからの使用ログ11の使用条件110の少なくとも1つにも対応する。これらの値は、シナリオ8の予定使用条件110にも対応する。
【0241】
したがって、これらの値に基づいて、当該モデル16は、当該機器2の予定状態130をリフレッシュする。更に、当該予定状態130は、当該機器2の動作に必要であると特定された最小状態17と比較される。要するに、一実施形態によれば、当該保全6が実施された後、当該保全6に続いて、
- 製造及び保全ログ9のタスク90のうちの少なくとも1つの値と、実施対象の保全6の少なくとも1つのタスク90の値と、
当該保全6が実施されてからの使用ログ11の使用条件110のうちの少なくとも1つの値と、
- シナリオ8の当該予定使用条件11の値と、が当該モデル16に提出され、
当該モデル16は、当該機器2の予定状態130をリフレッシュし、当該予定状態130は、当該機器2の動作に必要であると特定された最小状態17と比較される。換言すれば、次回の予定期間70の途中の所与の時点に、機器2の予定状態130の予測は、予定期間70の終わりに、又は予定保全7の前日になるものについてリフレッシュされる。これを行うために、また、考慮される時点に、保全6が実施され、機器2が動作可能であるため、当該モデル16は、機器2にカスタマイズされたシミュレータとして、モデル16への入力として提出される引数、すなわち、
- 機器2の製造及び保全ログ9、
- 保全6に関して実行されるタスク90、
- 考慮される時点までの使用ログ11、その後に続く、考慮される時点までの予定動作期間70の経過部分の間の使用量、
- 当該時点から、予定動作期間70の残りの間、次回の予定保全7の前日までの、シナリオ8の残りで予知される機器2の使用量を適合させることによって、使用される。したがって、(保全6のために実際に実行されるタスク90を考慮し、予定動作期間70の開始から考慮される時点までの施設3及び機器2の実際の使用量を考慮して)シナリオ8全体の将来の実行後の予定動作期間70の終了時になるように、機器2の予定状態130をリフレッシュすることができるこの可能性により、本発明は、保全6が実施対象の前日に予知するようなモデル16の種々の適用を可能にする。
【0242】
特に、モデル16の使用量は、当該予定状態130を機器2の動作に必要とされる最小状態17と比較することによって、予定期間70の途中の任意の時間に、シナリオ8の継続が予定期間70の終わりまでゼロ故障に適合したままであるかどうかを決定することを可能にする。
【0243】
特に、モデル16の使用量は、予定期間70の途中の任意の時点に、次回の予定保全7までのゼロ故障に適合する制限使用量の最大制限18、制限多角形181、故障前使用マージン(MUBF)、並びに全ての制限シナリオのチャートをリフレッシュすることを可能にし、これは、ユーザが、ゼロ故障を損なうことなく機器2の使用量をプッシュすることができる制限、又はゼロ故障から利益を得るために最初に想定される使用量を制限しなければならない制限を識別することを可能にする。本発明は、予定期間70の途中の所与の時点に、当該予定期間70の終了時及びシナリオ8の実行後のように、機器2の予定状態130をリフレッシュする。同様に、本発明は、予定期間70の途中の所与の時点に、機器2の予定状態130を、それが予定期間70の終わりであり、最初に予知された使用シナリオ8とは異なるシナリオの実行後であるように、当該時点と予定期間70の終わりとの間の期間にわたってリフレッシュする。
【0244】
モデル16への入力として提出される引数の中で、シナリオ8の文脈において予知される機器2の使用量を提出する代わりに、当該時点から、予定動作期間70の残りの間、予定保全7の前日まで、予知されないシナリオの文脈における機器2の使用量が、実際に、当該時点から、予定動作期間70の残りの間、予定保全7の前日まで、モデル16に提出される。同様に、本発明は、予定期間70の途中の所与の時点に、最初に予知された使用シナリオ8とは異なるシナリオを実行することを目的として、当該時点と予定期間70の終わりとの間に、次回の保全7までのゼロ故障に適合する制限使用量の最大制限18、制限多角形181、故障前使用マージン(MUBF)、並びに全ての制限シナリオのチャートをリフレッシュし、それにより、ユーザは、ゼロ故障を損なうことなく機器の使用量をプッシュすることができる制限、又はゼロ故障から利益を得るために最初に想定された使用量を制限しなければならない制限を識別することができ、最初に予知された使用シナリオ8とは異なるシナリオを実行することを目的としてそのようにすることができる。したがって、本発明は、オペレータが、最初に予知されたシナリオ8の文脈において、並びに最初に予知されたシナリオ8を置換する予知されないシナリオの文脈において、次回の保全の日付までゼロ故障の要件に適合するこの使用量を維持するために、オペレータが機器2に対して行うことができるか、又は行うべきである使用量を、予定期間70の間に判定することを可能にする。
【0245】
有利には、モデル16によるシミュレーションは、更に、短期間にわたって、並びに長期間にわたってオペレータによって意図される目標使用量(すなわち、連続するシナリオ8)を考慮に入れて、機器2の寿命における連続する予定保全作業7のための十分な保全判定を段階的に決定することを可能にする。したがって、システム1は、意図された使用プロファイルのために、機器2の耐用年数全体を通して、種々の可能な十分な保全スケジュールを常に決定することを可能にする。これを行うために、一実施形態によれば、少なくとも以下のステップが実施される。
【0246】
第1に、実施対象の保全6の少なくとも当該十分な判定が実行されたと仮定され、シナリオ8は、実施対象の当該保全6に続く予定保全7まで実行されたと仮定される。
【0247】
次いで、当該予定保全7のタスク90の値のうちの少なくとも1つに対して少なくとも1つの変動が行われる。値が当該モデル16に提出されるとき、当該変動の値、並びに次回の予定期間710(すなわち、当該予定保全7と次回の予定保全71との間の動作期間)に対して予知される次のシナリオ81の値が導入される。
【0248】
全ての変形形態の中で、少なくとも1つの十分な判定が、当該予定保全7に対して、当該機器2の予定状態130が最小状態17以上である場合、当該予定保全7に続く予定保全71の時点で選択される。
【0249】
この十分な判定が選択されると、当該ステップは、機器の寿命における予定保全に続いて1つおきに繰り返される。要するに、実施対象の保全6に関して十分な保全判定が定義されると、実施対象の保全6に続く予定保全作業70に関して、シリーズの十分な保全判定が再帰的に決定される。実際に、実施対象の保全6の前日に(実施対象の保全6に対して十分であると決定され、実行されたと仮定される保全判定を考慮し、実行されたと仮定されるシナリオ8を考慮して)、モデル16は、実施対象の保全6に続く次回の予定保全7に関して十分な保全判定を決定することを可能にする。この意味で、モデル16は、1つの予定保全作業7から次回の予定保全作業7まで、十分な保全判定を段階的に決定するために、繰り返しを可能にする。
【0250】
この理由のために、前述と同様に、実施対象の保全6に続く予定保全7のための可能な保全判定の各々について、機器2の予定状態130は、次のシナリオ81の後、すなわち、次回の予定保全71(すなわち、対象の予定保全7に続く)の前日に、次回の予定期間710の終わりにどうなるかについてシミュレートされる。これを行うために、これらの仮定を考慮して、当該モデル16は、モデル16への入力として提出された引数、すなわち、
- 実施対象の保全6に関して実行されたと仮定されるタスク90で修正された、(実施対象の保全6の前日までの)機器2の製造及び保全ログ9、
- 予定保全7に関して対象の可能な保全判定のタスク90、
- 使用ログ11(実施対象の保全6の前日まで)と、それに続く、予定期間70の間に実行されたと仮定されるシナリオ8、
- 機器2の次のシナリオ81(次回の予定期間710の途中であり、次回の予定保全71の前日まで)、を適合させることによって、機器2にカスタマイズされたシミュレータとして使用される。機器2の動作に必要な最小状態17と比較して、次回の予定期間710の終わり(すなわち、次回の予定保全71の前日)に対応する時点に対してモデル16によってこのようにシミュレートされた機器2の予定状態130が機器2の動作基準に適合する場合、実施対象の保全6に続く予定保全7に関する保全判定は、次回の予定期間710の途中及び終わりまでに、次のシナリオ81の文脈における動作中に故障がゼロになる十分な可能性を機器2に与えるのに十分であると考えることができる。このようにして再帰が確立される。実際に、実施対象の保全6(ランクjの保全)の前日に(実施対象の保全6に対して十分であると決定され、実行されたと仮定される保全判定を考慮し、次回の予定動作期間70の間に実行されたと仮定されるシナリオ8を考慮して)、モデル16は、予定保全7(ランクj+1の保全)に対する十分な保全判定、すなわち、次回の予定期間710の間及びその終わりまでに、次のシナリオ81に対してゼロ故障を認可する判定を決定することを可能にした。更に、本発明は、実施対象の保全6の十分な判定を決定することを可能にする。したがって、モデル16によるシミュレーションは、任意の予定保全7のための十分な保全判定シーケンスを再帰によって段階的に決定し、機器2の寿命における意図された予定保全7のランク(ランクj+nの保全)までそれを行うことを可能にする。図12及び図13では、機器2のログ9及び11に関連付けられた機器2が考慮され、(図12では)使用シナリオ8が予定期間70の間にあり、(図13では)次回の予定期間710の間に次のシナリオ81が続く。図12及び図13は、各予定保全作業7、71の前日の機器2の予定状態130のステップごとのシミュレーション、並びに当該予定保全作業7、71に関する十分な保全判定の繰り返しによる決定を示す。モデル16は、(ランクjの)実行される保全作業6に関する十分な保全判定を決定することを可能にし、次いで、モデル16は、ランクj+1の次回の予定保全7に関する十分な保全判定を決定することを可能にする。最初に、図12は、実施対象の保全6に関する可能な保全判定について、モデル16が、予定期間70の終わりにおける機器2の予定状態130を予測することを可能にすることを示している。したがって、特に、モデル16は、(予定期間70の終わりにおける機器2の予定状態130が最小状態17に関して十分であるかどうかに応じて)当該可能な判定が予定期間70の終わりまで意図されたゼロ故障を可能にするのに十分であるかどうかを決定することを可能にする。モデル16は、明らかに、実施対象の保全6に関して、可能な保全判定の中で、十分な保全判定を決定することを可能にする。第2のステップにおいて、図13は、ランクjの保全作業に関して(この場合、実行されたと仮定される保全6に関して)十分であると特定された保全判定について、かつランクj+1の次回の保全に関して(手近な場合、次回の予定保全7に関して)可能な保全判定について、モデル16が、次回の予定期間710の終わりに機器2の予定状態130を予測することを可能にすることを示す。したがって、モデル16は、この後者の可能な判定が、次回の予定期間710の終わりまで意図されたゼロ故障を可能にするのに十分であるかどうかを(次回の予定期間710の終わりにおける機器2の予定状態130が最小状態17に対して十分であるかどうかに従って)決定することを可能にする。したがって、図13は、ランクjの保全作業に関して十分であると特定された保全判定について、モデル16が、ランクj+1の後続の保全に関して、可能な保全判定の中から十分な保全判定を決定することを可能にすることを示す。
【0251】
図12及び図13に見られるように、システム1は、したがって、機器2の寿命における1つの保全作業から他の保全作業まで、すなわち、ランクkの保全作業からランクk+1の保全作業まで段階的に、十分な保全判定を再帰によって決定することを可能にする。特に、図12及び図13は、予定期間70の過程における機器2の予定状態130を決定することと、次回の予定期間710の過程における機器2の予定状態130を決定することとの両方のために、モデル16がどのように使用されるかを示す。図12及び図13は、実際に、両方の場合におけるモデル16の入力引数の構成を示す。特に、各予定保全7の前日の予定状態130のステップごとのシミュレーションは、(図13に見られるように)ランクj+1の保全後の次回の予定期間710の予定状態130のシミュレーションが、(図12に見られるように)シミュレーションがランクjの保全に関して十分であると識別することを可能にした保全判定を統合するという事実による。同様に、本発明は、2つの予定期間70、710の間に機器2の連続する予定状態130を段階的に決定する。この理由のために、実施対象の保全6(ランクjの保全)及び予定保全7(ランクj+1の保全)の各々に関する2回の保全判定と、当該予定期間70、710の各々についての2つの使用シナリオ8、81とが考慮される。この点に関して、図14は、ポンプなどの機器2の予定状態130の2つの曲線の例を示す(この例では、その「流量Q」材料インジケータ120に低減される)。
【0252】
モデル16は、(ランクjの保全からランクj+1の保全までの)予定期間70の種々の時点について、次いで(ランクj+1の保全からランクj+2の保全までの)後続の予定期間710の種々の時点について、ポンプの予定状態130を予測することを可能にする。特に、モデル16のシミュレーションは、意図されたゼロ故障から利益を得るために、ランクj+1の保全中にポンプに対して作業する必要があることを強調している(そうでなければ、ポンプは、曲線の点線の延長によって見ることができるように、ランクj+2の保全前に故障が生じる)。
【0253】
図14は、(ランクj+1の当該保全の日に)ポンプに対して行われた保全判定に起因する、ランクj+1の保全のいずれかの側での流量の断絶を特に強調している。ランクj+1のこの保全判定は、ランクj+2の保全の前日まで十分な流量を可能にするため、更に十分である。同様に、より一般的には、本発明は、機器2の寿命において考慮されることが意図されるのと同じ数の連続する予定期間70、710の過程にある機器2の連続する予定状態130を段階的に決定する。この理由のために、シリーズの保全判定が、それぞれ、実施対象の保全6(ランクjの保全)に関して、次いで、対象の予定期間70、710に先行する種々の予定保全作業7、71(ランクj+1~j+kの保全)に関して考慮され、シリーズの使用シナリオ8、81が、対象の予定期間70、710の各々について考慮される。この点に関して、図15は、ポンプなどの機器2の予定状態130の2つの全体的な曲線の例を示す(この例では、その「流量Q」材料インジケータ120に低減される)。
【0254】
モデル16は、ランクjの保全とランクj+kの保全との間の期間の種々の時点に対して、かつランクj+kの保全とランクj+nの保全との間の期間の種々の時点に対して、ポンプの予定状態130を予測することを可能にする。これらの曲線は、モデル16のシミュレーションによる、2つの連続する保全作業の間の各動作期間(図15の垂直の点線によって区切られた間隔)に対するポンプの連続する予定状態130の予測から得られる。
【0255】
したがって、ランクjの保全とランクj+nの保全との間の各動作期間中に意図されたゼロ故障から利益を得るために、ランクj+kの保全中にポンプに対して作業する必要があることが強調される。同様に、図15は、特に、(ランクj+kの当該保全の日に)ポンプに対して実施対象の保全判定による、ランクj+kの保全の両側の流量の断絶を強調している。
【0256】
したがって、本発明は、(所与の後続のシナリオ81の文脈において、かつ予定保全7に十分であると決定された保全判定を考慮して)機器2の寿命における任意の後続の予定期間710の過程における任意の時点にあるように、機器2の予定状態130を決定することを可能にする。
【0257】
この予測能力のおかげで、前述と同様に、本発明は、機器2の寿命における後続の各予定期間710について、意図されたゼロ故障を損なうことなく機器の使用量を推し進めることができる制限、又はゼロ故障から利益を得るために最初に想定された使用量を制限すべき制限を識別することを可能にする。
【0258】
実際に、(所与の次のシナリオ81の後、対応するサービス保全7に十分であると決定された保全判定を考慮に入れて)機器2の寿命における次の各予定期間710について、本発明は、
- 前述と同様に、制御可能な予定使用条件110の最大制限18を決定し、
- したがって、当該次回の予定期間710の過程で次のシナリオ81におけるゼロ故障に適合する制限使用量を制限し、次回の予定保全71の前日までそれを行い、
- このように計算された予定使用条件110のこれらの最大制限18は、前述と同様に、優先的に、故障前使用マージン(MUBF)によって、又は、次のシナリオ81の目標値と当該次のシナリオ81の少なくとも1つの制御可能な予定使用条件110の最大制限18との間の偏差182によって、次のシナリオ81に対する(当該予定保全7のためのタスク90に関する)当該十分な保全判定の適合性を定量化し、
- 前述と同様に、当該次回の予定期間710に対して有効な制限シナリオのセットを示すチャートを構築する。したがって、モデル16によるシミュレーションは、任意の予定保全7に対するシリーズの十分な保全判定を、再帰的に、段階的に決定することを可能にし、意図された予定保全7のランクまでそれを行う。加えて、後続の予定期間710の各々について、モデル16によって可能にされるシミュレーションは、当該十分な保全判定の各々について、対応するシナリオ81の各制御可能な予定使用条件110についての最大制限18、制限多角形181、故障前使用マージン(MUBF)、制限シナリオのチャートを決定することを可能にする。
【0259】
一実施形態によれば、当該最適な判定は、対応する保全のための少なくとも当該十分な判定から選択される。換言すれば、機器2の寿命における予定保全ステップ7ごとに、前述と同様に、十分であると決定された保全判定の中から最適な保全判定が選択され、保全6が行われる。当該最適な判定は、優先的には、考慮される各十分な保全判定によって許容される故障前使用マージン(MUBF)に関して、又はシナリオ8の目標値と当該シナリオ8の予定使用条件110のうちの少なくとも1つに対する最大制限18の値との間の少なくとも1つの偏差182に関して選択される。
【0260】
したがって、本発明は、機器2の寿命における各保全ステップについて最適な保全判定を決定し、機器の寿命における連続するシナリオ8を考慮に入れることによって、機器2の寿命における予定保全作業7の各々を最適化することを予知する。予定保全7のためのタスク90の性質に関するこの判定は、機器の完全なログに対してカスタマイズされ、予定期間70の終わりまでゼロ故障を可能にするためにシナリオ8に適しており、オペレータによって意図された故障前使用マージン(MUBF)を可能にする。換言すれば、本発明は、機器2の残りの寿命における予定保全作業7の各々についてのシリーズの最適な保全判定を再帰によって決定する。更に、機器2の寿命における予定期間70の各々について、本発明は、(対応するシナリオ8の各制御可能な予定使用条件110についての)最大制限18、制限多角形181、故障前使用マージン(MUBF)、制限シナリオのチャートを決定し、最適であると特定された保全判定を考慮に入れてそのようにする。したがって、機器2の寿命における予定期間70の各々について、本発明は、ゼロ故障を損なうことなく機器の使用量を推し進めることができる制限、又はゼロ故障から利益を得るために最初に想定される使用量を制限すべき制限を識別することを可能にする。換言すれば、本発明は、機器2の寿命の残りの期間における予定期間70の各々について、機器2のシリーズの制限使用量を再帰的に決定する。
【0261】
前述したように、実施対象の保全6について、モデル16は、十分な保全判定と不十分な保全判定とを区別することを可能にする。十分な保全判定の場合、保全判定は、予定期間70の終わりまでゼロ故障を許容するのに十分であるという点で、使用シナリオ8に適している。不十分であると決定された保全判定の場合、使用シナリオ8の文脈における機器2の動作は、予定期間70の終了前に機器2の故障をもたらす。後者の場合、故障日19の計算は正当化される。したがって、一実施形態によれば、保全判定が不十分であり、(予定期間70中の)予定状態130が当該最小状態17未満である場合、当該不十分な保全判定について故障日19が決定される。
【0262】
故障日19は、予定状態130が最小状態17に等しい時点に対応する。モデル16によるシミュレーションは、この故障日19を決定することを可能にする。これを行うために、実施対象の保全6に関する所与の不十分な保全の判定に対して、予定期間70及びそのシナリオ8に対して、以下の手順が実施される。所与の時点は、シナリオ8の予定期間70及び部分シナリオ80の過程で考慮され、当該時点に対応する。モデル16は、モデル16への入力として提出された引数、すなわち、
- 機器2の製造及び保全ログ9、
- 実施対象の保全6に関して考慮される不十分な保全判定、
- 機器2の使用ログ11、
- 予定期間70の考慮される時点までに定義された部分シナリオ80の文脈において予知される機器2の使用量、を適合させることによって、機器2にカスタマイズされたシミュレータとして使用される。次に、モデル16を使用して、当該時点に関して、当該時点における機器2の予定状態130が最小状態17に対応する数式を解く。考慮される不十分な保全判定に対して、かつシナリオ8に対して、故障日19は、当該数式の解であると決定される。
【0263】
実施対象の保全6に関して想定される不十分な保全判定のために、機器2の故障日19がこのように決定される。同じ手順を適用して、次回の予定期間710の間に、予定保全7に関する不十分な保全判定に関連し、次のシナリオ81に関連する故障日19を決定することができる。図16は、そのログ9及び11に関連付けられたポンプなどの機器2、((ランクjの)実施対象の保全6と(ランクj+1の)次回の予定保全7との間に含まれる)予定期間70の過程におけるシナリオ8、時点に関連付けられたシナリオ8の部分シナリオ80、並びに実施対象の保全6に関して考慮される不十分な保全の判定を考慮する。図16は、モデル16が予定期間70の種々の時点について予測することを可能にするポンプの予定状態130(この例では、その「流量Q」材料インジケータ120に低減されている)の曲線を示す。
【0264】
経時的な予定状態130の曲線は、予定保全7の非日付の前の最小状態17に相当する予定状態130に達するまで、経年劣化に起因して減少している。図示されたケースでは、可能な保全判定は、実際には不十分な判定であり、予定期間70の終わりまで、最小状態17よりも大きい予定状態130を許容しない。最小状態17を有する曲線の切片は、ポンプの故障日19に対応する。
【0265】
一実施形態によれば、十分であると特定された保全判定なしに実施対象の保全6について、かつ実施対象の当該保全6の少なくとも1つの所与の不十分な判定について、機器2の耐用年数の終了日は、当該保全判定に関連付けられた当該故障日19であると決定される。換言すれば、実施対象の保全6に関して、(シナリオ8の文脈において、予定期間70の途中及び終わりまでにゼロ故障を可能にするために)全ての可能な保全判定が不十分であると判明した場合、機器2はその寿命の終わりにあり、実施対象の保全6は、機器2の寿命における最後の保全に対応する。実施対象の保全6が、機器2の寿命における最後の保全として、所与の保全判定に対してこのように特定されるとき、機器2の耐用年数の終了日は、当該保全判定に関連付けられた故障日19であると決定される。
【0266】
予定保全作業7が機器2の寿命における最後の保全として特定されると、同じ手順が適用されて、所与の保全判定及び次のシナリオ81に関連付けられた機器2の耐用年数の終了日が決定される。
【0267】
一実施形態によれば、機器2の寿命における最後の保全として特定された、実施対象の保全6について(又は予定保全7について)、当該故障日19、最終使用マージン(MLU)、及び当該最後の保全判定のタスク90の制約のうちの任意の組み合わせを最適化する保全判定が、可能な保全判定の中から選択される。
【0268】
換言すれば、機器2の寿命における最後の保全として特定される、実施対象の保全6について、全ての可能な保全判定が考慮される。当該保全判定の各々に対して、予定期間70の過程における機器2に対して意図された最小動作期間(DMIN)、すなわち、当該保全判定に関するタスク90の制約の関数として(すなわち、当該タスク90の性質及び量の関数として)決定された最小動作期間が考慮される。
【0269】
例えば、トラックエンジンのような機器2の場合を考えると、機器2の寿命における最後の保全に関して5つの可能な保全判定が特定され、その各々に対して意図された最小動作期間(DMIN)が決定され、5つの可能な保全判定は、すなわち、
- ディーゼルフィルタを交換する(3日に等しい意図された最小動作期間DMINで)判定E1、
- 噴射器及びディーゼルフィルタを交換する判定E2(意図された最小動作期間DMINは1.1ヶ月に等しい)、
- (2ヶ月に等しい意図された最小動作期間DMINで)噴射ポンプ及び噴射器を交換する判定E3、
- 噴射ポンプ、噴射器及びディーゼルフィルタを交換する判定E4(意図された最小動作期間DMINは2.1ヶ月に等しい)、
- 噴射ポンプ、噴射器、ディーゼルフィルタ、及びシリンダのセグメント化(12ヶ月に等しい意図された最小動作期間DMINを有する)を置き換える判定E5である。可能な保全判定の中で、各判定は、次いで、当該保全判定に関連する耐用年数延長期間(SLE)(すなわち、機器2の寿命における当該最後の保全と機器2の耐用年数の終了日との間の期間)が、当該保全判定を考慮に入れて意図された最小動作期間(DMIN)と適合するかどうかに従って選択される(すなわち、SLE>DMIN)。
【0270】
例えば、前述のトラックエンジンの場合は、エンジンの寿命中に実施される最後の保全に関して特定された5つの可能な保全判定とともに考慮され、その各々について、意図された最小動作期間(DMIN)並びに耐用年数延長期間(SLE)が決定されており、5つの可能な保全判定は、すなわち、
- ディーゼルフィルタを交換する判定E1(3日の意図された最小動作期間DMIN及び1ヶ月の延長SLEを有し、その場合、噴射器が制限要因である)、
- 噴射器及びディーゼルフィルタを交換する判定E2(1.1ヶ月の意図された最小動作期間DMIN及び1.5ヶ月の延長SLEで、噴射ポンプが制限要因である)、
- 噴射ポンプ及び噴射器を交換する判定E3(2ヶ月の意図された最小動作期間DMIN及び0.5ヶ月の寿命延長SLEを有し、このときディーゼルフィルタは制限要因である)、
- 噴射ポンプ、噴射器及びディーゼルフィルタを交換する判定E4(2.1ヶ月の意図された最小動作期間DMIN及び6ヶ月の延長SLEを有し、セグメント化が制限要因である)、
- 噴射ポンプ、噴射器、ディーゼルフィルタ、及びシリンダのセグメント化を置き換える判定E5(12ヶ月の意図された最小動作期間DMIN及び7ヶ月の延長SLEを有し、このときクランクシャフトが制限要因である)、である。
【0271】
判定E3は、意図された最小動作期間DMIN(2ヶ月)に適合する耐用年数延長期間SLE(0.5ヶ月)を許可しない。判定E5についても同様である。したがって、選択された判定は、判定E1、E2、及びE4であり、これらはそれぞれ、逆に、意図された最小動作期間DMINよりも長い耐用年数延長期間SLEを可能にする。機器2の寿命における最後の保全に関してこのように選択された各可能な保全判定に対して、本発明は、シナリオ8の各制御可能な予定使用条件110に対して、
- 実施対象の当該保全の後の、機器2の意図された最小動作期間DMINの途中及び終わりまでのゼロ故障に適合する、最大可能制限として定義される最終使用量制限を決定する。本発明は、最大制限18と同様の方法で、この最後の使用量制限を計算する。当該最後の使用量制限は、したがって、機器2の意図された最小動作期間DMINの終わりまでのゼロ故障に対する予定期間70の過程で観察される制限使用量を制限する。
- 当該制御可能な予定使用条件110についての、シナリオ8における目標値と最後の使用量制限の値との間の偏差182。
【0272】
したがって、選択された各可能な保全判定に対して、最終使用マージン(MLU)は、当該偏差の平均であるとして(すなわち、故障前使用マージン(MUBF)の計算と同様の方法で)、シナリオ8の全ての制御可能な予定使用条件110に対して推定される。
【0273】
例えば、前述のトラックエンジンの場合が考慮され、その3つの可能な保全判定(E1、E2、及びE4)が、機器の寿命における最後の保全に関して選択され、その各々について、最終使用マージン(MLU)が計算され、保全判定は、すなわち、
- ディーゼルフィルタを(3%のマージンMLUで)交換する判定E1、
- 噴射器及びディーゼルフィルタを(4%のマージンMLUで)交換する判定E2、
- 噴射ポンプ、噴射器及びディーゼルフィルタを(12%のマージンMLUで)交換する判定E4である。次に、以前に選択された最後の保全判定の中から、最適な最後の保全判定が、非限定的に最後の保全判定として決定され、
- 耐用年数延長期間(SLE)を最適化し、
- 最終使用マージン(MLU)を最適化し、
- 又は、当該耐用年数延長期間SLEと当該最小動作期間DMINとの間の差であると定義される最終保全効率(LME)を最適化し、当該差は当該耐用年数延長期間SLEに関連し(すなわち、LME=1-DMIN/SLE)、
- 又は、任意の他の基準を最適化し、オペレータの裁量で、耐用年数延長期間(SLE)、最終使用マージン(MLU)、及び最終保全効率(LME)のうちの少なくとも2つの基準を組み合わせ、
- そうでなければ、前述の基準に適合する保全判定がない場合、機器2を新しいものとして交換する判定である。
【0274】
例えば、前述のトラックエンジンの場合が考慮され、その3つの可能な保全判定(E1、E2、E4)は、(条件SLE>DMINを可能にするために)機器2の寿命における最後の保全に関して選択され、保全判定は、すなわち、
- ディーゼルフィルタを交換する判定E1(1ヶ月の延長SLE、90%の効率LME、及び3%のマージンMLUを有する)、
- 噴射器及びディーゼルフィルタを交換する判定E2(1.5ヶ月の延長SLE、26%の効率LME、及び4%のマージンMLUを有する)、
- 噴射ポンプ、噴射器、及びディーゼルフィルタを交換する判定E4(6ヶ月の延長SLE、65%の効率LME、及び12%のマージンMLUを有する)である。
【0275】
更に、この例では、耐用年数延長期間(SLE)、最終使用マージン(MLU)及び最終保全効率(LME)を同時に最適化する基準に従って、最後の保全のための最適な判定を選択することが選択される。
【0276】
判定E1及びE2は、動作の観点からは意味をなさない(耐用年数延長期間SLEは、1ヶ月及び1.5ヶ月のみである)。更に、これらの判定は、故障前に過度に低い使用信頼度を提供する(3%及び4%のマージンMLUを有する)。逆に、判定E4は、6ヶ月の耐用年数延長期間SLE、故障前の許容可能な使用信頼度(マージンMLU>10%)、及び非常に許容可能な効率LME(65%)で、動作的にはるかに理にかなっている。
【0277】
したがって、エンジンの寿命におけるこの最後の保全の日に、エンジンを新品として交換せず、最後の保全判定E4(すなわち、噴射ポンプ、噴射器、及びディーゼルフィルタの交換を含むもの)を実行することが合理的である。したがって、本発明は、エンジンの耐用年数延長期間を指示することを予知する。したがって、機器2の寿命における最後の保全として特定された実施対象の保全6について、本発明は、可能な保全判定の中から、当該耐用年数延長期間SLE(当該故障日19を考慮に入れる)、最終使用マージン(MLU)、及び最終保全効率LME(継続時間DMIN、したがって当該最後の保全のタスク90の制約を考慮に入れる)の中の任意の組み合わせを最適化するものを選択する。したがって、本発明は、機器2の耐用年数延長期間を指示することを予知し、したがって、機器2の最適な耐用年数を決定する。機器の耐用年数を延長するためのこの指示は、機器2の製造及び保全ログ9と使用ログ11の両方、並びに機器2の耐用年数延長期間の文脈における機器2の使用シナリオ8を考慮に入れることに留意されたい。
【0278】
同じ手順を適用して、機器2の寿命の最後の保全として特定され、次のシナリオ81に関連付けられた任意の予定保全7に関して、最後の保全の最適な判定を決定することができる。
【0279】
一実施形態によれば、本発明は、機器2を製造する4ための最適な判定、すなわち、予定期間70の終わりに、シナリオ8のために機器2の予定状態130を最適化する製造プロセス4のクリティカルタスク90を決定する。この理由のために、当該機器2の同じシリーズの少なくとも2つのダミー機器に対して、別々の製造判定に関連付けられ、
- 当該少なくとも2つの製造判定及び少なくとも1つの予定使用シナリオ8を当該モデル16に提出することによってシミュレーションが実施され、
- モデル16は、当該2つのダミー機器の各々について少なくとも1つの予定状態130を生成し、
- 当該少なくとも2つの製造判定のうちの1つが、当該2つのダミー機器の予定状態130に応じて選択され、
- 選択された製造判定は設計者/製造者にアクセス可能である。換言すれば、本発明は、種々の可能な製造判定4(すなわち、当該製造プロセス4のためのクリティカルタスク90の種々の可能な組み合わせ)を考慮する。シリーズの1つのダミー機器は、各組み合わせに関連付けられる。
【0280】
例えば、製造プロセス4のクリティカルタスク90が以下のタスク90に低減される、ポンプなどの機器2の場合を考える。
- 軸受のタイプのための2つの可能なオプション:タイプA及びBを有する「ポンプ軸受を配置し、選択する」、
- インペラのタイプのための3つの可能なオプション:タイプA、B及びCを有する「ポンプインペラを配置し、選択する」。
【0281】
したがって、製造プロセス4のクリティカルタスク90の種々の可能な組み合わせ(すなわち、製造プロセス4の種々の可能な判定)は、6つの組み合わせである[軸受のタイプ;インペラの種類]:[A;A][A];B][A];C][B];A][B];B][B];C]。したがって、種々のダミー機器が考慮され、施設3において実行されたと仮定され、使用ログ11(考慮される全てのダミー機器に対して同一である)のコンテキストにおいて第1の動作期間5(単一の動作期間に低減される、すなわち、いかなる先行保全10も含まない)の間に動作したと仮定される、製造4の種々の可能な組み合わせの中からの製造判定4にそれぞれ関連付けられる。(考慮される全てのダミー機器に対して同一の)実施対象の保全6に関する保全判定に加えて、(考慮される全てのダミー機器に対して同一の)シナリオ8が考慮される。
【0282】
各ダミー機器に対して、本発明は、入力として提出された引数をモデル16に適合させることによって、予定期間70の終わりにおける当該ダミー機器の予定状態130を決定するために、当該ダミー機器にカスタマイズされたシミュレータとして当該モデル16を使用し、引数は、
- 製造及び保全ログ9(当該ダミー機器に固有の製造判定4に低減される)、
- 実施対象の保全6に関する保全判定(考慮される全てのダミー機器に共通)、
- 使用ログ11(考慮される全てのダミー機器に共通)、
- シナリオ8(考慮される全てのダミー機器に共通)、である。
【0283】
したがって、それぞれの製造判定4(及び考慮される任意の他のパラメータ)に関連付けられた全てのダミー機器について、当該ダミー機器の予定状態130が、予定期間70の終わりに比較される。当該予定状態130が比較されると、最良の予定状態130は最良の製造判定4(クリティカルな製造4タスク90の最良の組み合わせ)を示す。
【0284】
一実施形態によれば、モデル16によるシミュレーションは、最適な製造判定4、すなわち機器2の最適なライフサイクルを最適化するタスク90を決定し(最適なライフサイクルは、機器2の寿命における予定保全作業7、71の各々に対して実施対象の保全6に対するシリーズの最適な保全判定、機器2の寿命における予定期間70、710の各々に対するシリーズの制限使用量(すなわち、最大制限18)、並びに機器2の最適な耐用年数を含む)、所与の使用プロファイル(機器2の寿命における種々の予定期間70、710に対するシリーズのシナリオ8、81のセット)に対してこれを行う。これを行うために、2つの別個の製造判定4に関連付けられた、当該機器2の同じシリーズの少なくとも2つのダミー機器について、
- 再帰シミュレーションが、当該少なくとも2つの製造判定4の各々に対して同様に実施されて、シリーズの最適な保全判定、シリーズの最大制限18、並びにダミー機器の最適な耐用年数を決定し、
- 最適な製造判定4は、当該シミュレーションの結果の関数として選択され、
- 選択された最適な製造判定4は、当該設計者/製造者にアクセス可能である。換言すれば、モデル16は、(前に見たように)実際の機器2の場合と同じ方法で、同じシリーズのダミー機器の予定状態130をシミュレートすることができるため、本発明は、実際の機器2の場合と同じ方法で、当該ダミー機器の最適なライフサイクルを決定する。好ましくは、ダミー機器と同じ数の最適ライフサイクルシミュレーション(すなわち、可能な製造判定4と同じ数のシミュレーション)がこのように実施される。次いで、最適な製造判定4が、当該シミュレーションの結果に応じて、すなわち、最良の最適なライフサイクルを認可するものとして選択される。したがって、システム1は、製造者の利益のために、シリーズの機器2の完全なライフサイクルを最適化する製造判定4を決定することを可能にする。別の実施形態によれば、モデル16はまた、使用条件110に対する機器2の挙動(特に、予定状態130、最適なライフサイクル)の感度を評価し、各使用条件110に対する最適な値を識別することを可能にし、これは、使用条件110に対する機器の保護を高めるための、又は更には機器の動作点を最適化するための非常に多くの可能な手法を示す。
【0285】
一実施形態によれば、本発明は、それらの施設3のフリート(例えば、車両のフリート)に組み込まれた、それらが使用するシリーズの全ての機器2の全体的な監視をオペレータに提供する。これを行うために、システム1は、単一のオペレータに属する当該シリーズの複数の機器2のフリートに適用される。当該機器2の各々について取得された結果は組み合わされ、当該結果は、次いで、少なくとも当該オペレータにとってアクセス可能である。
【0286】
換言すれば、システム1は、所与のオペレータに配信し、1つ以上の意図された使用プロファイル(すなわち、各機器2の耐用年数の短期及び長期にわたる使用シナリオ8、81の全て)について、それらのフリートの各機器2の最適なライフサイクルに関する情報を常にリフレッシュし、すなわち、特に、
- 各機器2についての将来の最適な保全のスケジュール(すなわち、実施対象の保全6及び各機器2の耐用年数における予定保全作業7、71のセットに関するシリーズの最適な保全判定)、
- その耐用年数の長期間にわたる(すなわち、各機器2の耐用年数における、及びシナリオ8、81の文脈における、動作70、710の各予定期間についての)各機器2についてのシリーズの可能な制限使用量、
- 各機器2の最適な耐用年数、をリフレッシュする。次に、システム1は、
- 「サプライチェーン」における従事者の利益のために、各機器2の寿命において実施対象の保全作業の各々に(すなわち、各機器2の耐用年数において実施対象の保全6及び全ての将来の予定保全作業7、71に)必要な部品の性質、
- 保全技術者の利益のために、産業保全のスケジューリング(実施対象の保全6のために実施対象のタスク90の性質、及び各機器2の耐用年数における全ての将来の予定保全作業7、71)、
- オペレータの利益のために、各機器2の寿命における将来の保全作業の制約の全て(総コストを含む)(実施対象の保全6について、かつ各機器2の耐用年数における将来の予定保全作業7、71の全てについて)、
- オペレータの利益のために、その耐用年数の長期間にわたって、各機器2の可能な将来の使用量のスケジューリング、及び以前に決定された制限使用量に関するスケジューリングを、適時に予測し、常にリフレッシュすることを可能にする。したがって、システム1は、特に、
- 各機器2の寿命中に、機器2の残留値を常に評価し、リフレッシュすること、
- 各機器2が構成する資産の客観的価格を決定し、したがって、機器2を維持又は再販売する判定を適切に通知すること、を可能にする。トラックなどの機器2のフリートの例を考える。システム1は、当該トラックのフリートのオペレータに対して以下の質問に回答することを可能にする。
- 異なる地理的領域(例えば、ロシア、セネガル、フランスなど)に関連付けられた異なる動作プロファイル(例えば、輸送される積荷、移動される走行距離、平均速度、使用される経路の平均勾配、周囲空気温度に関する)に対して、2つの連続する保全作業の間のオペレータによる複数の新しいトラックの最大可能使用量は何か?
- オペレータは、彼らの耐用年数の半分に達し、彼らが取り除くことを意図している複数のトラックを持っている。それらのそれぞれのログ9及び11を考慮に入れ、それらが動作される世界の地域に特有のそれらの動作プロファイルを考慮に入れて、各トラックの残りの潜在能力は何か(輸送される積荷、移動される走行距離、平均速度、耐用年数に関して)、及びそれらの耐用年数の残りの間の予定保全7の総コストはどれか?オペレータは、各トラックに対してどのような価格を求めることができるか?
- オペレータは、今までセネガルで動作されてきた複数のトラックを所有し、それらの耐用年数の終わりに近づいている。セネガルに特有の標準的な使用プロファイル及びフランスにおける特有のプロファイルを考慮し、それらのそれぞれの使用量及び保全ログを考慮すると、セネガルにおいてトラックを動作し続けるか、又はそれらをフランスに再配車することがより良好であるか?
- 動作しているフリート内の各トラックについて、そのログ9及び11を考慮に入れ、その最適な寿命終了日を考慮に入れ、耐用年数の終わりまでの最大可能使用量を考慮に入れ、将来の保全の総費用を考慮に入れて、対象のトラックを使用することが収益性を失う時期は?
【0287】
本発明は、これらの質問に答えるために、フリートの各トラックに固有の最適なライフサイクルの情報を、意図された周期で、又は更にはリアルタイムでリフレッシュすることを可能にし、したがって、本発明は、これらのトラックが表す資産の管理に関して、正しいタイミングで最適化された判定を可能にする。したがって、システム1は、オペレータのフリートの各機器2の最適なライフサイクルの情報を、常に、又は更にはリアルタイムで、意図された周期性でリフレッシュすることを可能にし、これは、オペレータ及び保全技術者の利益のために、最適化された十分に予測された判定を可能にする。
【0288】
本発明は、所与のシリーズの機器2の設計、製造、保全、及び使用量の制御を大幅に改善することを可能にし、各機器2の耐用年数の長期可視性を有する。したがって、本発明は、設計者、製造者、保全技術者、及びオペレータの利益のために、制御、安全性、及び使用量の信頼性、並びに経済的利益に関して以下の利益を可能にする。
【0289】
本発明は、所与の機器2についての最適な動作及び保全の判定が短期間を含む(すなわち、それらが、実施対象の保全6及び予定期間70の間の使用量に関連する)とき、これらの判定の制御へのアクセスを解除する。
【0290】
一方では、本発明は、実施対象の保全6のための最適な保全判定を決定することを可能にする。この判定は、機器2の完全なログ(製造及び保全ログ9及び使用ログ11)にカスタマイズされ、次回の予定保全7の日付までゼロ故障を可能にするために当該保全後の機器2の意図された使用量(シナリオ8)に適合され、予定期間70にわたって意図されたゼロ故障に適合する使用量制限を意図された限り押し戻す。
【0291】
他方、本発明は、制御された方法で故障の不確実性を排除する。動作中、本発明は、実際に、オペレータに、次回の保全までのゼロ故障に適合する制限使用量のリアルタイムでリフレッシュされる情報を提供し、次いで、オペレータは、意図されたゼロ故障を損なうことなく機器2の使用量を押し上げることができる制限、又は意図されたゼロ故障から利益を得るために使用量を制限しなければならない制限を知る。したがって、本発明は、機器2及び施設3の安全性及び使用信頼度へのアクセスを解除する。
【0292】
実際に、動作中の故障の不確実性を制御された方法で排除することによって、本発明はパラダイムシフトである。オペレータは、故障が生じるかどうか、又は故障予測が正しいかどうかを知る必要はもはやない。ここで、故障の日付(例えば、次回の予定保全7の日付)だけでなく、故障前使用マージン(又は、シナリオ8の意図された使用量とゼロ故障に適合する制限使用量との間のマージン)も判定するのはオペレータであり、ここで、意図されたゼロ故障に適合するように機器2の使用量を制御するのはオペレータである。
【0293】
したがって、本発明は、機器2の可用性(又は、機器2の可用性が施設3の安全性の前提条件である場合には、施設3の安全性)の厳しい要件を満たす真の応答を提供する。従って、本発明から短期的な経済的利点が得られる。
【0294】
実施対象の保全6のステップにおいて、並びに予定期間70中の機器2の動作の過程において、本発明は、(最適な保全判定へのアクセスによって、次いで、ゼロ故障に適合する制限使用量のリフレッシュされた知識によって)機器2に関する動作中の故障の不確実性を排除し、制御された方法でそれを行う。
【0295】
したがって、一方では、本発明は、オペレータによって意図された施設3の全生産時間を可能にする。他方では、本発明は、したがって、保全及び動作に関して優れた信頼性保証を可能にし、したがって、本発明は、保全技術者及びオペレータの保険契約を更に最適化することを可能にする。本発明はまた、長期間を含む動作及び保全判定の制御へのアクセスをロック解除する。
【0296】
実際に、機器2の長期使用量に関して、本発明は、(機器2の制限使用量及びその最適な耐用年数のリフレッシュされた情報によって)その耐用年数の残りの長期間にわたって当該機器2から行われ得る使用量を予測して、機器2の可能性を適時にかつ常に決定することを可能にする。
【0297】
機器2の長期間にわたる保全に関して、本発明はまた、適時に、常に、機器2の耐用年数の長期間にわたって(及び機器の各可能な使用プロファイルについて)、種々の将来の保全作業のための産業タスク、将来の保全の総費用、必要かつ十分な予備部品の在庫を予測することを可能にする(したがって、サプライチェーンについて、予備部品の予知せぬ必要性に直面する応答性の制約を低減する)。
【0298】
加えて、本発明は、機器2の寿命中に常に、機器2の寿命中に残っている予定保全7の総費用として最大残存潜在能力を評価及びリフレッシュすることを可能にするため、本発明はまた、機器2の寿命中に常に、機器の残存価値を決定すること、並びに関連する方法で機器を保持又は再販売する判定を通知することを可能にする。
【0299】
したがって、機器2又は機器のフリートについての最適なライフサイクル情報を意図された周期性で、又は更にはリアルタイムでリフレッシュすることは、これらの機器が表す資産の管理に関して、正しいタイミングでの最適化された判定を可能にする。本発明はまた、設計者/製造者の市場戦略を最適化することによって、かつ設計及び製造に関して優れた信頼性保証を可能にすることによって、シリーズの機器2の設計及び製造選択をより良好に制御することを可能にする。この制御の増加は、設計者/製造者の保険契約を可能にする最適化による経済的利益を伴う。一方では、本発明は、設計者/製造者の市場戦略(市場ポジショニング)を最適化することを可能にする。
【0300】
機器2が意図される市場区分に関連付けられた使用プロファイルについて、本発明は、実際に、関連するメトリクス(目標使用量と制限使用量との間のマージン、最適な耐用年数、最適な製造コスト、及び耐用年数にわたる保全スケジュール)を生成することによって、機器2の最適なライフサイクルを特徴付けることを可能にする。これらのメトリックは、対象のセグメントに対する機器2の適合性を評価することを可能にする。したがって、本発明は、設計者/製造者が以下を行うことを可能にする。
- 市場戦略の観点からの利益:設計者/製造者は、したがって、機器2がセグメントに対する適合性を最適化するセグメントのターゲットを優先することができる。
- 市場ポジショニングに関する利益:設計者/製造者は、したがって、顧客及び競合相手、サポートモデルのメトリクスに関して、セグメントのニーズに対する機器2の適合性をより良く主張することができる。他方で、本発明はまた、設計及び製造に関して優れた信頼性の保証を可能にする。本発明は、実際に、所与の使用プロファイルに適合された(例えば、所与の地理的セグメントと交差する所与の市場セグメントに適合された)最適な製造パラメータを決定することを可能にする。本発明はまた、所与の使用プロファイルに対して設計を最適化するための可能な手法を決定することを可能にする。したがって、本発明は、設計者/製造者の保険契約を更に最適化することを可能にする。このため、本発明は、機能評価とデータとの交差を体系化し、データの処理における機能評価の考慮を改善することによって、従来の機械学習プロジェクトを考慮すると、特にそのモデル16において、破壊的である。その際に、本発明は、単純な故障予測よりも関連があり、より強力であり、より一般的な用途を提供するため、特に最新技術に関して、特に予測保全技術の観点から破壊的である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】