(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】レーザ輻射整形装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/09 20060101AFI20240412BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20240412BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240412BHJP
G02B 5/04 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G02B27/09
G02B13/00
G02B3/00 A
G02B5/04 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566759
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2022067875
(87)【国際公開番号】W WO2023094037
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021130604.3
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520335587
【氏名又は名称】リモ ディスプレイ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カリス ヘニング
【テーマコード(参考)】
2H042
2H087
【Fターム(参考)】
2H042CA12
2H042CA17
2H087KA29
2H087LA23
2H087RA26
2H087RA41
2H087RA45
(57)【要約】
本発明に係るレーザ輻射(7)整形装置は、第1アレイ(2)をなすレンズ(3)を有する第1ホモジナイザ(1)と、第2アレイ(5)をなすレンズ(6)を有する第2ホモジナイザ(4)とを備え、レーザ輻射(7)がそれらを相次いで通り抜けるものであり、第2アレイ(5)のレンズ(6)内を通り抜けたレーザ輻射(7)を作業面内で重ね合わすレンズデバイス(8)と、第2ホモジナイザ(4)・レンズデバイス(8)間に配列された第1プリズム(9)及び第2プリズム(10)とを備え、第2アレイ(5)のレンズ(6)内を通り抜けたレーザ輻射(7)が第1及び第2プリズム(9,10)内を相次いで通り抜けた後にレンズデバイス(8)上に射突するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ輻射(7,7a,7b)を整形する装置、とりわけ線状強度分布(14)をなすレーザ輻射(7,7a,7b)を整形する装置であり、第1アレイ(2)をなすレンズ(3)を有する第1ホモジナイザ(1)を備え、整形されるべきレーザ輻射(7,7a,7b)が前記第1アレイ(2)のレンズ(3)内を通り抜けるよう設定されている装置であり、第2アレイ(5)をなすレンズ(6)を有する第2ホモジナイザ(4)を備え、前記第1アレイ(2)のレンズ(3)内を通り抜けたレーザ輻射(7,7a,7b)が前記第2アレイ(5)のレンズ(6)内を通り抜けるよう設定されている装置であり、レンズデバイス(8)を備え、前記第2アレイ(5)のレンズ(6)内を通り抜けた前記レーザ輻射(7,7a,7b)が前記レンズデバイス(8)内を通り抜けるよう、ひいては少なくとも前記レーザ輻射(7,7a,7b)の部分輻射であり前記第2アレイ(5)の前記レンズ(6)のうちあるものを通り抜けた部分輻射が作業面内で重ね合わされるよう設定されている装置であって、前記第2ホモジナイザ(4)・前記レンズデバイス(8)間に配列された第1プリズム(9,9a,9b)及び第2プリズム(10,10a,10b)を有する装置であり、前記あるレンズ(6)にて前記第2アレイ(5)内を通り抜けたレーザ輻射(7,7a,7b)が前記第1及び前記第2プリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)内を相次いで通り抜けた後に前記レンズデバイス(8)上に射突されうるように、配列されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に係る装置であって、前記プリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)が、第1方向(x)に沿い前記レーザ輻射(7,7a,7b)の断面積(12a)及び/又は発散(13a)が少なくとも部分的に低減されることで増減されるよう設定されており、それにより、とりわけ前記発散(13a)を増大させることで前記線状強度分布(14)の長さが増大され且つ前記発散(13a)を低減させることで前記線状強度分布(14)の長さの短縮が達成されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に係る装置であって、前記プリズム(9,10)が、前記第1方向(x)に沿い少なくとも部分的に、それらを通り抜ける前記レーザ輻射(7,7a,7b)の発散(13a)を、0.5~2.0なる因数で以て変化させるものにより適合化されており、とりわけそれにより前記線状強度分布(14)の長さが0.5~2.0なる因数で以て変更されることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1~3のうち一項に係る装置であって、前記第1アレイ(2)及び前記第2アレイ(5)の前記レンズ(3,6)各々が横並び配列されており、とりわけ前記第1アレイ(2)及び前記第2アレイ(5)の前記レンズ(3,6)が隣り合わせ配列される方向(x)が前記第1方向(x)に対応していることを、特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1~4のうち一項に係る装置であって、前記第1アレイ(2)及び前記第2アレイ(5)の前記レンズ(3,6)がシリンドリカルレンズであり、それらの円筒軸が互いに平行に整列されており、とりわけ前記第1方向(x)に対し垂直な第2方向(y)に沿いそれら円筒軸が延びていることを、特徴とする装置。
【請求項6】
請求項2~5のうち一項に係る装置であって、前記レーザ輻射(7,7a,7b)の部分輻射であり前記第2アレイ(5)にて隣り合わせ配列されているレンズ(6)内を通り抜けた部分輻射が、少なくとも前記第1方向(x)に沿い重なり合わないうちに前記第1プリズム(9,9a,9b)に入射する要領で、前記第1プリズム(9,9a,9b)が自装置内に配列されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1~6のうち一項に係る装置であって、前記プリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)のうち少なくとも一方、好ましくは双方のプリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)が可動であること、好ましくはある軸周りで可枢動であることを、特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に係る装置であって、前記少なくとも一方のプリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)の前記運動、とりわけ前記枢動により、前記プリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)のうち前記レーザ輻射(7,7a,7b)が通り抜ける断面積を変化させる因数が、変更されることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項7及び8のうち一項に係る装置であって、その周りで前記プリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)のうち少なくとも一方、好ましくは双方のプリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)が可枢動な前記軸が、前記第2方向(y)に沿い延びていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1~9のうち一項に係る装置であって、前記二種類のプリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)が同じデザインであり、とりわけ同じサイズ及び/又は同じ形状であることを、特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1~10のうち一項に係る装置であって、前記第1アレイ(2)の前記レンズ(3)から前記第2アレイ(5)の前記レンズ(6)までの距離が、前記第2アレイ(5)のうち少なくとも幾つかのレンズ(6)、好ましくは全てのレンズ(6)の焦点距離に相当することを、特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1~11のうち一項に係る装置であって、前記レーザ輻射(7,7a,7b)の角度空間内分布が前記レンズデバイス(8)により場所空間内強度分布へと変換されるよう、前記レンズデバイス(8)がフーリエ配列に従い自装置内に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項13】
作業面内である強度分布をなすレーザ輻射(7,7a,7b)を生成するレーザ装置、とりわけ作業面内である線状強度分布(14)をなすレーザ輻射(7,7a,7b)を生成するレーザ装置であり、少なくとも1個のレーザ光源と、1個のレーザ輻射(7,7a,7b)整形装置と、を備えるレーザ装置であって、前記レーザ輻射(7,7a,7b)整形装置が請求項1~12のうち一項に係る装置であることを、特徴とするレーザ装置。
【請求項14】
請求項13に係るレーザ装置であって、互いに異なる特性、例えば互いに異なる発散又はビームプロファイルで以てレーザ輻射(7a,7b)を生成するよう設定された2個のレーザ光源を備えるレーザ装置であり、それらレーザビーム(7a,7b)が自装置上に隣り合って射突し前記レンズデバイス(8)により双方のレーザビーム(7a,7b)が前記作業面内で重ね合わされるよう、とりわけ前記線状強度分布(14)の態でそれらが重ね合わされるよう、設定されたレーザ装置であることを特徴とするレーザ装置。
【請求項15】
請求項13に係るレーザ装置であって、前記レーザビーム(7,7a,7b)整形装置が4個のプリズム(9a,9b,10a,10b)を備え、相異なるレーザビーム(7a,7b)のうち1本向けにそれらプリズムのうち2個が用いられることを特徴とするレーザ装置。
【請求項16】
請求項13に係るレーザ装置であって、前記レーザ輻射(7,7a,7b)整形装置が、相異なるレーザ輻射(7a,7b)の双方向けに設けられた2個のプリズムを備えることを、特徴とするレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に係るレーザ輻射整形装置、とりわけある線状強度分布をなすレーザ輻射を整形する装置と、請求項13の前提部分に係り作業面内である強度分布をなすレーザ輻射を生成するレーザ装置、とりわけ作業面内である線状強度分布をなすレーザ輻射を生成するレーザ装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
線状強度分布をなすレーザビームを形成させうる既知の装置のうち、2個のホモジナイザと併せレンズアレイ及びフーリエレンズを有するものでは、その線状強度分布の長さLが(p/fH)・fFなる関係から得られる:但し、pはそのアレイにて横並び配列されているレンズのピッチ、fHは第2アレイのレンズの焦点距離、fFは第2ホモジナイザ背後のフーリエレンズの実効焦点距離である。これらの寸法は生産中に自由に選択できるが、その後は固定される。従って、生産後には、通常、もはや作業面におけるレーザ輻射の視野サイズやライン長に影響を及ぼせない。
【0003】
言及した種類の装置及びレーザ装置が特許文献1により知られている。これに記載されている装置は、アレイをなすレンズを有する第1ホモジナイザステージと、2枚の基板を有する第2ホモジナイザステージとを備え、各基板上にレンズのアレイが配列されたものである。第2ホモジナイザステージから放射された部分輻射を作業面内で重ね合わすレンズも設けられているので、そのレーザ輻射による線状強度分布をそこに作り出すことができる。その線状強度分布のライン長を可調とするには、第2ホモジナイザステージに備わる2枚の基板を互いに動かせばよく、それにより光伝搬方向に沿い様々な距離を実現することができる。
【0004】
この装置の光学的有効性、並びに作業面における強度分布のホモジニティ(均質性)は、第2ホモジナイザステージに備わる2枚の相互可動な基板により損なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102007026730号明細書(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はそこから前進するものであり、冒頭で言及した種類の装置を作り出し、それで以てその装置の光学的有効性の増大、及び/又は、作業面における強度分布のホモジニティの良好化を達成可能とする、という問題に根差している。更に、そうした装置を有するレーザ装置の明細を示すものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、これが、冒頭で言及した種類の装置であり請求項1の特徴的構成を有するものにより、また冒頭で言及した種類のレーザ装置であり請求項13の特徴的構成を有するものにより達成される。従属形式請求項は、本発明の好適な諸実施形態に関するものである。
【0008】
請求項1により提供される装置は、第2ホモジナイザ・レンズデバイス間に配列された第1プリズム及び第2プリズムを備え、第2アレイのレンズ内を通り抜けたレーザ輻射が相次いで第1及び第2プリズム内を通り抜けた後にレンズデバイス上に射突するよう、設定された装置である。第2ホモジナイザ・レンズデバイス間への2個のプリズムの挿入は、本装置の光学的有効性や、作業面内に生じる強度分布のホモジニティに、ほとんど又は全く影響を及ぼさない。
【0009】
とりわけ、それらプリズムが、第1方向に沿い、それらを通り抜けるレーザ輻射の断面積及び/又は発散が少なくとも部分的に増減されるよう設定されたもの、とりわけ発散の増大で以てその線状強度分布の長さが増大され且つ発散を低減させることでその線状強度分布の長さの短縮が達成されるものを、提供することもできる。とりわけ、その線状強度分布が第1方向に沿い延びるものとされる。好ましくも、それらプリズムを、第1方向に沿い少なくとも部分的に、それらを通り抜けるレーザ輻射の発散を0.5~2.0なる因数で以て変化させるよう設定すること、とりわけそれによりその線状強度分布の長さの増大分を0.5~2.0なる因数で以て変化させることができる。従って、それらプリズムにより、比較的大きなエリアに亘り強度分布の形状に影響を及ぼすこと、とりわけ作業面内に生じるレーザラインの長さに影響を及ぼすことができる。
【0010】
第1アレイ及び第2アレイのレンズを隣り合わせ配列すること、とりわけ第1アレイ及び第2アレイのレンズが隣り合わせ配列される方向を第1方向に対応させることもできる。その場合に、第1アレイ及び第2アレイのレンズをシリンドリカルレンズ(円筒面レンズ)とし、それらの円筒軸を互いに平行に整列させること、とりわけ第1方向に対し垂直な第2方向に沿い延びる円筒軸とすることもできる。このやり方であれば、それらのレンズを、そのラインの長手方向に沿った均質化に寄与させることができる。そのラインに対し垂直なライン横断方向向けの更なるシリンドリカルレンズがホモジナイザ内に設けられていて、それらの円筒軸が第1方向に沿い延びているものを、提供することもできる。
【0011】
レーザ輻射の部分輻射であり第2アレイにて隣り合わせ配列されているレンズ内を通り抜けた部分輻射が、少なくとも第1方向に沿い重なり合わないうちに第1プリズムに入射する要領で、第1プリズムを本装置内に配列することもできる。このやり方であれば、個々のレンズ内を通り抜けた部分ビームを、それらプリズムにより1本ずつ別々に形成させることができる。
【0012】
それらプリズムのうち少なくとも一方、好ましくは双方のプリズムが可動であり、好ましくはある軸周りで可枢動なものを、提供することもできる。その少なくとも一方のプリズムの運動、とりわけ枢動により、そのプリズムを通り抜けるレーザ輻射の断面積を変化させる因数を、変化させることもできる。とりわけ、その周りでプリズムのうち少なくとも一方、好ましくは双方のプリズムが可枢動な軸を、第2方向に沿い延ばすこともできる。こうしたデザインとすることで、作業面内におけるレーザ輻射のライン長又は視野サイズに影響を及ぼすことが、非常に容易になる。
【0013】
それら二種類のプリズムを同じデザイン、とりわけ同じサイズ及び/又は同じ形状を有するものとすることもできる。こうしたデザインとすることで、本装置の製造コストを低減することが可能となる。第1アレイのレンズと第2アレイのレンズとの間の距離が、第2アレイのうち少なくとも幾つかのレンズ、好ましくは全てのレンズの焦点距離に相当するものを、提供することもできる。更に、第2アレイ・レンズデバイス間におけるレーザ輻射の角度空間内分布がレンズデバイスにより場所空間内強度分布へと変換されるよう、そのレンズデバイスをフーリエ配列に従い本装置内に配置することもできる。
【0014】
請求項13によれば、そのレーザ輻射整形装置が本発明に係る装置であるものが提供される。
【0015】
互いに異なる特性、例えば互いに異なる発散又はビームプロファイルで以てレーザ輻射を生成するよう設定された2個のレーザ光源を備えるレーザ装置とし、そのレーザ装置を、そのレーザ輻射がレーザビームを打ち出して装置に隣り合わせに射突させレンズデバイスにより双方のレーザビームが作業面内で重ね合わされるよう、とりわけ線状強度分布の態で重ね合わされるよう、設定することもできる。明白な通り、フーリエ配列に従う単一のレンズデバイスにより、2本の恐らくは非常に異なるレーザビームが作業面内で、とりわけ線状強度分布の態で作業面内で重ね合わされるのと同時に、そのラインの長さがそれらプリズムの対応するポジションにより特定されうることは、非常に有利である。
【0016】
この目的を踏まえ、そのレーザビーム整形装置が4個のプリズムを備え、それらのうち2個が相異なるレーザビームのうち一方向けに設けられているものを、提供することもできる。これに代え、そのレーザ輻射整形装置が、相異なるレーザ輻射の双方向けに設けられた2個のプリズムを備えるものを、提供することもできる。
【0017】
本発明の更なる特徴及び利点は、好適な例示的諸実施形態についての後掲の記述と併せ添付図面を参照することで明らかになる。以下を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る装置の第1実施形態の模式的側面外観を、整形されるべきレーザ輻射の引込ビームと共に示す図である。
【
図2a】第2ホモジナイザ背後での場所空間内及び角度空間内レーザ輻射分布が模式的に描かれている2個の図を示す図である。
【
図2b】2個のプリズムが第1ポジションにあるときの、第2プリズム背後での場所空間内及び角度空間内レーザ輻射分布が、模式的に描かれている2個の図を示す図である。
【
図2c】2個のプリズムが第2ポジションにあるときの、第2プリズム背後での場所空間内及び角度空間内レーザ輻射分布が、模式的に描かれている2個の図を示す図である。
【
図3a】
図1に係り2個のプリズムが第1ポジションにある実施形態の模式的側面外観を示す図である。
【
図3b】
図3aに示されている第1ポジションに2個のプリズムがある場合の、線状強度分布のラインの長手方向に沿ったmm単位の空間座標に対する作業面内レーザ輻射強度が、任意単位でプロットされている図である。
【
図4a】
図1に係り2個のプリズムが第2ポジションにある実施形態の模式的側面外観を示す図である。
【
図4b】
図4aに示されている第2ポジションに2個のプリズムがある場合の、線状強度分布のラインの長手方向に沿ったmm単位の空間座標に対する作業面内レーザ輻射強度が任意単位でプロットされている図である。
【
図5】本発明に係る装置の第2実施形態の模式的側面外観を、整形されるべきレーザ輻射の引込ビームと共に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図では同一及び機能同一な諸部分が同じ参照符号で以て提示されている。向きを良好に示すため幾つかの図中にデカルト座標系が描かれている。
【0020】
図1に示されているレーザ輻射整形装置の実施形態は、第1アレイ2をなすレンズ3を有する第1ホモジナイザ1と、第2アレイ5をなすレンズ6を有する第2ホモジナイザ4とを、それ自体既知な要領で備えている。本装置は、整形されるべきレーザ輻射7が第1アレイ2のレンズ3内と第2アレイ5のレンズ6内とを相次いで通り抜けるよう、設定されている。
【0021】
レンズ3,6は第1方向xに沿い横並び配列されている。レンズ3,6はシリンドリカルレンズであり、それらの円筒軸が第1方向xに対し垂直な方向yに沿い延びており、その第2方向yが図の平面外に延びている。レンズ3,6は従って第1方向xに沿い作用する。レーザ輻射7は、基本的には、第1及び第2方向x,yに対し垂直な第3方向zに沿い動いていく。
【0022】
シリンドリカルレンズに代え、第1方向x沿い及び第2方向yに沿い作用する球面レンズ又は別様デザインのレンズを設けることも、全く可能である。
【0023】
図では、第1アレイ2が第1ホモジナイザ1の出射面上に配列され、第2アレイ5が第2ホモジナイザ4の入射面上に配列されている。アレイ2,5双方を入射面上又は出射面上に配列することや、第1アレイ2を第1ホモジナイザ1の入射面上、第2アレイ5を第2ホモジナイザ4の出射面上に配列することも、確かに可能である。更に、1枚の透明基板しか設けられておらず、その入射面上に第1アレイ2が配列され出射面上に第2アレイ5が配列されているものを、提供することもできる。
【0024】
例えば第2方向yに沿い作用するレンズのアレイを第1ホモジナイザ1の入射面上、及び/又は、第2ホモジナイザ4の出射面上に配列することもできる。例えば、それらを、円筒軸が第1方向xに沿い延びるシリンドリカルレンズとすることもできる。
【0025】
第2アレイ5のレンズ6は皆、同じ焦点距離を有している。2個のアレイ2,5の相互間距離は、第2アレイ5のレンズ6の焦点距離に等しい。
【0026】
図1に示されている装置は、それ自体は既知の要領でレンズデバイス8をも備えており、図示実施形態ではそれが、フーリエ配列に従う平凸レンズ8の形態とされている。レンズデバイス8は、それ自体は既知の要領で、第2アレイ5のレンズ6から出てくるレーザ輻射7の部分輻射を第1方向xに沿い作業面(図示せず)内で重ね合わせる。この場合、そのレーザ輻射の角度空間内分布がその作業面内の局所空間内分布へと変換される。
【0027】
他形態のレンズ、例えば両凸レンズを設けることも、全く可能である。更に、1枚のレンズに代えレンズシステムを設けることもできる。
【0028】
図1に示されている装置は、第2ホモジナイザ4・レンズ配列8間にありレーザ輻射7が相次いで通り抜ける2個のプリズム9,10をも備えている。図示実施形態ではプリズム9,10が同じサイズ及び同じ形状を有しており、
図1に見られる断面が図中の描図平面内へと続いている。
【0029】
図1中で左側にある第1プリズム9は、レーザ輻射7が第1プリズム9の入射面11上に射突したときに、そのレーザ輻射7の部分輻射のうち第2アレイ5にて第1方向xに沿い隣り合わせ配列されているレンズ6内を通り抜けたものが、まだ重なり合っていない要領にて、配列されている。
【0030】
プリズム9,10を適切に整列させることで、各レンズ6から出てくる部分輻射の断面積及び/又は発散を変化させること、とりわけ各部分輻射で同様に変化させることもできる。それらの変化にはこの式
Din・Φin=Dout・Φout
が当てはまる;但し、Dinはプリズム9,10に入る部分輻射の場所空間内第1方向x沿い拡がりであり、Φinはプリズム9,10に入る部分輻射の角度空間内第1方向x沿い拡がりであり、Doutはプリズム9,10から出る部分輻射の場所空間内第1方向x沿い拡がりであり、Φoutはプリズム9,10から出る部分輻射の角度空間内第1方向x沿い拡がりである。
【0031】
図2aには、プリズム9,10に入る部分輻射の空間ドメイン内第1方向x沿い拡がりD
in、即ち断面12aが示されている。
図2aには、プリズム9,10に入射する部分輻射の角度空間内第1方向x沿い拡がりΦ
in、即ち発散13aが示されている。
【0032】
図2b及び
図2bには、プリズム9,10の二通りの別々なポジションがそれらプリズムから出てくる部分輻射に及ぼす効果が、描かれている。
【0033】
図2bには、プリズム9,10から出る部分輻射の空間ドメイン内第1方向x沿い拡がりD
out、即ち断面12bが示されている。
図2bには、プリズム9,10から出る部分輻射の角度空間内第1方向x沿い拡がりΦ
out、即ち発散13bが示されている。発散13bが発散13aよりも小さいことがわかる。その小さめな発散13b、即ち小さめな角度空間内拡がりがレンズデバイス8により作業面における場所空間内分布へと変換されるので、第1方向xに沿い作業面内に小さめな拡がりの視野、とりわけ小さめな長さの線状強度分布がもたらされることとなる。
【0034】
図2cには、プリズム9,10から出る部分輻射の空間ドメイン内第1方向x沿い拡がりD
out、即ち断面12cが示されている。
図2cには、プリズム9,10から出る部分輻射の角度空間内第1方向x沿い拡がりΦ
out、即ち発散13cが示されている。発散13cが発散13aよりも大きいことがわかる。その大きめな発散13c、即ち大きめな角度空間内拡がりがレンズデバイス8により作業面における場所空間内分布へと変換されるので、第1方向xに沿い作業面内に大きめな拡がりの視野、とりわけ大きめな長さの線状強度分布がもたらされることとなる。
【0035】
このことが、作業面内にレーザ輻射の線状強度分布14を形成させる装置の具体的例示的実施形態を用い、
図3a~
図4bに描かれている。
【0036】
図3aには、プリズム9,10が第1ポジションにある装置が示されている。この第1ポジションでは、線状強度分布14の長さが、
図3bから看取できる通り700mmよりも幾らか大きい。
【0037】
図4aには
図3aと同じ装置が示されている。但し、
図4aでのプリズム9,10は、第1ポジションとは異なる第2ポジションにある。この第2ポジションでは、線状強度分布14の長さが、
図4bから看取できる通り約500mmとなる。
【0038】
プリズム9,10を様々なポジションにすることは、第2方向yに沿い延びる軸の周りで個々のプリズム9,10を枢動させることで、達成することができる。
図3a及び
図4に示されているポジション間では、例えば、
図4a中の第1プリズム9が、
図3a中のプリズム9に対し、第2方向yに沿い延びる対応軸周りで時計回り方向に枢動されている。更に、
図3a及び
図4に示されているポジション間では、
図4a中の第2プリズム10が、
図3a中のプリズム9に対し、第2方向yに沿い延びる対応軸周りで反時計回り方向に枢動されている。
【0039】
図5には本発明に係る装置の実施形態が示されており、これは、2個のプリズム9,10に代え4個のプリズム9a,9b,10a,10bが設けられている点で、
図1中のそれと異なっている。この場合、2個の第1プリズム9a,9bが第1方向xに沿い隣り合わせ配列されている。更に、2個の第2プリズム10a,10bが第1方向xに沿い横並び配列されている。
【0040】
この装置上には、例えばそれらの発散又はそれらのビームプロファイルの点で互いに異なる2本のレーザビーム7a,7bを射突させる。第1レーザ輻射7aは
図5中の第1ホモジナイザ1の上側領域に当たり、第2レーザ輻射7bは図中の第1ホモジナイザ1の下側領域に当たる。
【0041】
本装置は、
図5中の上側第1プリズム9a内を通り抜けたレーザ輻射7aがその後に
図5中の上側第2プリズム10a内を通り抜けるよう、且つ、図中の下側第1プリズム9b内を通り抜けたレーザ輻射7bが図中の下側第2プリズム10b内を通り抜けるよう、設定されている。更に、本装置は、第2プリズム10a,10b内を通り抜けた2本のレーザビーム7a,7bが一緒にレンズデバイス8内を通り抜けそのレーザデバイスにより作業面内で重ね合わされるよう、とりわけ線状強度分布の態で重ね合わされるよう設定されている。
【0042】
明白な通り、フーリエ配列に従う1個のレンズデバイス8により、2本の恐らくは非常に異なるレーザビーム7a,7bを作業面内で、とりわけ線状強度分布の態にて作業面内で重ね合わせるのと同時に、プリズム9a,9b,10a,10bの対応する諸ポジションによりそのラインの長さを特定できることは、非常に有利である。
【0043】
ホモジナイザ1,4が別々なレーザビーム7a,7b向けに別様設計されたエリアを有し、それらが第1方向xに沿い隣り合わせとなっているものや互いにある距離のところにあるものを、提供することもできる。
【0044】
2本の別々なレーザビーム7a,7bを形成させる装置が4個のプリズムを備えるのではなく、図示しないがプリズムを2個しか備えておらず、それらがこの場合互いに別々なレーザビーム7a,7b向けに設けられているものを、提供することもできる。
【0045】
図1、
図3a、
図4a及び
図5に示されている諸実施形態に更なるレンズを設け、それにより、作業面内で1本又は複数本のレーザ輻射を合焦させること、及び/又は、第2方向yに関し1本又は複数本のレーザ輻射を整形することもできる。これらを示さないのは明瞭性に鑑みてのことである。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ輻射(7,7a,7b)を整形する装置、とりわけ線状強度分布(14)をなすレーザ輻射(7,7a,7b)を整形する装置であり、第1アレイ(2)をなすレンズ(3)を有する第1ホモジナイザ(1)を備え、整形されるべきレーザ輻射(7,7a,7b)が前記第1アレイ(2)のレンズ(3)内を通り抜けるよう設定されている装置であり、第2アレイ(5)をなすレンズ(6)を有する第2ホモジナイザ(4)を備え、前記第1アレイ(2)のレンズ(3)内を通り抜けたレーザ輻射(7,7a,7b)が前記第2アレイ(5)のレンズ(6)内を通り抜けるよう設定されている装置であり、レンズデバイス(8)を備え、前記第2アレイ(5)のレンズ(6)内を通り抜けた前記レーザ輻射(7,7a,7b)が前記レンズデバイス(8)内を通り抜けるよう、ひいては少なくとも前記レーザ輻射(7,7a,7b)の部分輻射であり前記第2アレイ(5)の前記レンズ(6)のうちあるものを通り抜けた部分輻射が作業面内で重ね合わされるよう設定されている装置であって、前記第2ホモジナイザ(4)・前記レンズデバイス(8)間に配列された第1プリズム(9,9a,9b)及び第2プリズム(10,10a,10b)を有する装置であり、前記あるレンズ(6)にて前記第2アレイ(5)内を通り抜けたレーザ輻射(7,7a,7b)が前記第1及び前記第2プリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)内を相次いで通り抜けた後に前記レンズデバイス(8)上に射突されうるように、配列されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に係る装置であって、前記プリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)が、第1方向(x)に沿い前記レーザ輻射(7,7a,7b)の断面積(12a)及び/又は発散(13a)が少なくとも部分的に低減されることで増減されるよう設定されており、それにより、とりわけ前記発散(13a)を増大させることで前記線状強度分布(14)の長さが増大され且つ前記発散(13a)を低減させることで前記線状強度分布(14)の長さの短縮が達成されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に係る装置であって、前記プリズム(9,10)が、前記第1方向(x)に沿い少なくとも部分的に、それらを通り抜ける前記レーザ輻射(7,7a,7b)の発散(13a)を、0.5~2.0なる因数で以て変化させるものにより適合化されており、とりわけそれにより前記線状強度分布(14)の長さが0.5~2.0なる因数で以て変更されることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項
1に係る装置であって、前記第1アレイ(2)及び前記第2アレイ(5)の前記レンズ(3,6)各々が横並び配列されており、とりわけ前記第1アレイ(2)及び前記第2アレイ(5)の前記レンズ(3,6)が隣り合わせ配列される方向(x)が前記第1方向(x)に対応していることを、特徴とする装置。
【請求項5】
請求項
1に係る装置であって、前記第1アレイ(2)及び前記第2アレイ(5)の前記レンズ(3,6)がシリンドリカルレンズであり、それらの円筒軸が互いに平行に整列されており、とりわけ前記第1方向(x)に対し垂直な第2方向(y)に沿いそれら円筒軸が延びていることを、特徴とする装置。
【請求項6】
請求項2~5のうち
いずれか一項に係る装置であって、前記レーザ輻射(7,7a,7b)の部分輻射であり前記第2アレイ(5)にて隣り合わせ配列されているレンズ(6)内を通り抜けた部分輻射が、少なくとも前記第1方向(x)に沿い重なり合わないうちに前記第1プリズム(9,9a,9b)に入射する要領で、前記第1プリズム(9,9a,9b)が自装置内に配列されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1~
5のうち
いずれか一項に係る装置であって、前記プリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)のうち少なくとも一方、好ましくは双方のプリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)が可動であること、好ましくはある軸周りで可枢動であることを、特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に係る装置であって、前記少なくとも一方のプリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)の前記運動、とりわけ前記枢動により、前記プリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)のうち前記レーザ輻射(7,7a,7b)が通り抜ける断面積を変化させる因数が、変更されることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項
7に係る装置であって、その周りで前記プリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)のうち少なくとも一方、好ましくは双方のプリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)が可枢動な前記軸が、前記第2方向(y)に沿い延びていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1~
5のうち
いずれか一項に係る装置であって、前記二種類のプリズム(9,9a,9b,10,10a,10b)が同じデザインであり、とりわけ同じサイズ及び/又は同じ形状であることを、特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1~
5のうち
いずれか一項に係る装置であって、前記第1アレイ(2)の前記レンズ(3)から前記第2アレイ(5)の前記レンズ(6)までの距離が、前記第2アレイ(5)のうち少なくとも幾つかのレンズ(6)、好ましくは全てのレンズ(6)の焦点距離に相当することを、特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1~
5のうち
いずれか一項に係る装置であって、前記レーザ輻射(7,7a,7b)の角度空間内分布が前記レンズデバイス(8)により場所空間内強度分布へと変換されるよう、前記レンズデバイス(8)がフーリエ配列に従い自装置内に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項13】
作業面内である強度分布をなすレーザ輻射(7,7a,7b)を生成するレーザ装置、とりわけ作業面内である線状強度分布(14)をなすレーザ輻射(7,7a,7b)を生成するレーザ装置であり、少なくとも1個のレーザ光源と、1個のレーザ輻射(7,7a,7b)整形装置と、を備えるレーザ装置であって、前記レーザ輻射(7,7a,7b)整形装置が請求項1~
5のうち
いずれか一項に係る装置であることを、特徴とするレーザ装置。
【請求項14】
請求項13に係るレーザ装置であって、互いに異なる特性、例えば互いに異なる発散又はビームプロファイルで以てレーザ輻射(7a,7b)を生成するよう設定された2個のレーザ光源を備えるレーザ装置であり、それらレーザビーム(7a,7b)が自装置上に隣り合って射突し前記レンズデバイス(8)により双方のレーザビーム(7a,7b)が前記作業面内で重ね合わされるよう、とりわけ前記線状強度分布(14)の態でそれらが重ね合わされるよう、設定されたレーザ装置であることを特徴とするレーザ装置。
【請求項15】
請求項13に係るレーザ装置であって、前記レーザビーム(7,7a,7b)整形装置が4個のプリズム(9a,9b,10a,10b)を備え、相異なるレーザビーム(7a,7b)のうち1本向けにそれらプリズムのうち2個が用いられることを特徴とするレーザ装置。
【請求項16】
請求項13に係るレーザ装置であって、前記レーザ輻射(7,7a,7b)整形装置が、相異なるレーザ輻射(7a,7b)の双方向けに設けられた2個のプリズムを備えることを、特徴とするレーザ装置。
【国際調査報告】