IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特表2024-517203選択性パッシベーションコンタクト電池およびその製造方法
<>
  • 特表-選択性パッシベーションコンタクト電池およびその製造方法 図1
  • 特表-選択性パッシベーションコンタクト電池およびその製造方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】選択性パッシベーションコンタクト電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0745 20120101AFI20240412BHJP
   H01L 31/0216 20140101ALI20240412BHJP
【FI】
H01L31/06 450
H01L31/04 240
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567053
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2022105405
(87)【国際公開番号】W WO2023284771
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110793522.1
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、シュエリン
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リュー、チョンファー
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ダーミン
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA03
5F251BA16
5F251CB20
5F251CB21
5F251CB24
5F251DA03
5F251DA07
5F251FA06
5F251FA13
5F251FA15
(57)【要約】
本発明は選択性パッシベーションコンタクト電池およびその製造方法を提供する。前記選択性パッシベーションコンタクト電池は基板を含み、基板の一側の表面には第1酸化シリコン層と第1多結晶シリコン層とが順に積層されており、基板の表面は非金属接触領域と少なくとも2つの金属接触領域とを含み、金属接触領域に位置し、第1多結晶シリコン層の基板から離れた側の表面には第2酸化シリコン層と第2多結晶シリコン層とがさらに順に設置され、第2多結晶シリコン層には第1電極が設けられており、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは、非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さよりも大きい。金属スラリーの腐食を阻止するために、金属接触領域において厚い多結晶シリコン層を有し、光の吸収を減らすために、非金属接触領域において薄い多結晶シリコン層を形成することで、構造が簡単で、製造工程が簡単で、効率が高い等の特徴を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を含み、前記基板の一側の表面には第1酸化シリコン層と第1多結晶シリコン層とが順に積層されており、前記基板の表面は非金属接触領域と少なくとも2つの金属接触領域とを含み、
前記金属接触領域に位置し、前記第1多結晶シリコン層の基板から離れた側の表面には第2酸化シリコン層と第2多結晶シリコン層とがさらに順に設置され、前記第2多結晶シリコン層には第1電極が設けられており、
前記金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは、前記非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さよりも大きい
ことを特徴とする選択性パッシベーションコンタクト電池。
【請求項2】
前記第2多結晶シリコン層はグリッド線構造を呈し、前記第1電極のグリッド線構造は第2多結晶シリコン層のグリッド線構造と同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池。
【請求項3】
前記選択性パッシベーションコンタクト電池は、第1パッシベーション層と第2パッシベーション層とをさらに含み、前記第1パッシベーション層は前記第2多結晶シリコン層の表面および前記非金属接触領域の第1多結晶シリコン層の表面に位置し、前記第2パッシベーション層は前記基板の第1酸化シリコン層から離れた側の表面に位置し、
基板と第1酸化シリコン層との間に位置する拡散層をさらに含み、
前記基板の第1酸化シリコン層から離れた側の表面には、少なくとも2つの第2電極が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池。
【請求項4】
前記拡散層は、基板と第2パッシベーション層との間に位置する
ことを特徴とする請求項3に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池。
【請求項5】
前記金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは10~450nmであり、前記非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは1~150nmである
ことを特徴とする請求項1に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池。
【請求項6】
前記非金属領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは10~25nmである
ことを特徴とする請求項5に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池。
【請求項7】
前記第1酸化シリコン層の厚さは0.5~5nmであり、前記第2酸化シリコン層の厚さは0.5~5nmであり、
前記第2多結晶シリコン層の厚さは1~300nmである
ことを特徴とする請求項1に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池。
【請求項8】
前記第1パッシベーション層の厚さは30~200nmであり、前記第2パッシベーション層の厚さは30~200nmである
ことを特徴とする請求項3に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池。
【請求項9】
前記第1パッシベーション層は少なくとも一層の第1パッシベーション層の膜を含み、前記第1パッシベーション層の膜の材質は酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素または炭化ケイ素における一種類または少なくとも二種類の組み合わせを含み、
前記第2パッシベーション層は少なくとも一層の第2パッシベーション層の膜を含み、前記第2パッシベーション層の膜の材質は酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素または炭化ケイ素における一種類または少なくとも二種類の組み合わせを含む
ことを特徴とする請求項8に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池。
【請求項10】
基板の一側の表面に第1酸化シリコン層と第1多結晶シリコン層を設置し、エッチングにより金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さを、非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さよりも大きくし、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の表面に第2酸化シリコン層と第2多結晶シリコン層を順に設置して、第2多結晶シリコン層に第1電極を設ける
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池の製造方法。
【請求項11】
前記製造方法は、
(I)基板の表面に対して表面修飾を行い、基板の表面に拡散層を形成し、拡散層の表面または基板の拡散層から離れた側の表面に、第1酸化シリコン層、第1多結晶シリコン層、第2酸化シリコン層および第2多結晶シリコン層を順に設置し、
(II)第2多結晶シリコン層の表面に第1電極の形状と同じであるバリア型スラリーパターンを塗布し、第1多結晶シリコン層をエッチングし、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さよりも大きく、
(III)選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層に近い側に保護膜を堆積して、選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層から離れた側の表面の薄膜層を除去し、除去後にさらに保護膜を除去し、
(IV)第1パッシベーション層および第2パッシベーション層を堆積して、第1電極および第2電極を印刷する、というステップを具体的に含む
ことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
ステップ(I)において、前記表面修飾はホウ素のドープおよび/またはリンのドープを含み、
前記拡散層の方形抵抗は80~250ohm/sqであり、
前記基板の拡散層から離れた側の表面に対して洗浄処理を行い、前記洗浄処理はエッチングで酸化膜を除去することを含み、
前記第1多結晶シリコン層および/または第2多結晶シリコンはホウ素拡散ドープと高温アニールにより形成される
ことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
ステップ(III)において、前記保護膜の厚さは2~200nmであり、
前記保護膜の材質は酸化シリコン、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素または窒化ケイ素における一種類または少なくとも二種類の組み合わせを含み、
ステップ(III)において、前記薄膜層の除去方法はフッ化水素酸による除去を含み、前記第1電極は印刷後に焼結する
ことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽エネルギー電池の技術分野に属し、特に選択性パッシベーションコンタクト電池およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池技術のたゆまぬ発展に伴い、太陽電池効率は既に理論的限界値に近づいている。N型i-TOPCon太陽電池は、背面の良好なパッシベーションコンタクト構造により高効率電池に名を連ね、面積電池効率は25.8%に達している。大面積の産業用電池の平均効率は既に24%以上に達している。
【0003】
CN111540794AではP型パッシベーションコンタクト太陽エネルギー電池が公開されており、受光面からバックライト面まで表面グリッド線、表面エピタキシャル層、N型拡散層、P型基体シリコン、裏面エピタキシャル層および裏面グリッド線が順にコンタクトして設置されており、前記表面エピタキシャル層は、表面コンタクトパッシベーション層および表面被覆パッシベーション層を含み、前記表面コンタクトパッシベーション層は、前記P型パッシベーションコンタクト太陽エネルギー電池の表面の金属領域に設けられ、前記表面被覆パッシベーション層は、前記表面の非金属領域に設けられ、前記表面コンタクトパッシベーション層は、受光面からバックライト面までリンドープド多結晶シリコン層および第1二酸化シリコン層を順に含む。当該発明は金属と半導体との接続箇所の再結合速度を低下させ、電池の発電効率を向上させており、前記金属領域が太陽エネルギー電池表面全体の小さな部分しか占めていないため、電池シートの発電効率を向上させる。
【0004】
CN209104161Uでは選択性パッシベーションコンタクト太陽エネルギー電池が公開されており、シリコンシートと、シリコンシートの表面に設けられた正電極とを含み、前記正電極とシリコンシートとの間には第1反射防止フィルム層、ドープド多結晶シリコン層とパッシベーショントンネリング層が順に設けられ、前記正電極は前記第1反射防止フィルム層、ドープド多結晶シリコン層を貫通して前記パッシベーショントンネリング層にコンタクトする。当該実用新案のパッシベーショントンネリング層、ドープド多結晶シリコン層、第1反射防止フィルム層は正電極とシリコンシートの間に設置され、パッシベーション作用を効果的に発揮しつつ、非電極領域を遮ることもなく、従来のドープドシリコン層の太陽エネルギーに対する吸収を減らし、太陽エネルギー電池の効率を向上させている。
【0005】
CN108807565Aではパッシベーションコンタクト電極構造が公開されており、前記電極構造は結晶シリコン基板に堆積されたドープド半導体層と、ドープド半導体層における銅電極とを含み、前記ドープド半導体層は多結晶シリコン、微結晶シリコンまたは微結晶シリコン炭素合金のいずれかであり、厚さが5~100nmである。太陽エネルギー電池は、結晶シリコン基板の裏面または両面に前記パッシベーションコンタクト電極構造を含む。当該電極構造はすべての金属電極のコンタクトをパッシベーションさせることで、光キャリアの表面再結合効率を低下させ、より徹底したパッシベーション効果を実現している。
【0006】
従来技術における太陽エネルギー電池は、パッシベーションコンタクト構造において多結晶シリコン層が光に対して重大な寄生吸収を有し、シリコンシート全面に厚く生長した多結晶シリコン層は電池の光に対する利用率を大幅に低下させ、電池短絡電流を低下させる。如何にして金属と非金属領域との再結合を効果的に低下させるとともに、電池の光に対する利用率を保証することができるかということは、現在早期の解決が望まれる課題となっている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は従来技術に存在する不備を対象とするものであり、本発明の目的は選択性パッシベーションコンタクト電池およびその製造方法を提供することであって、金属スラリーの腐食を阻止するために、金属接触領域において厚い多結晶シリコン層を有し、光の吸収を減らすために、非金属接触領域において薄い多結晶シリコン層を形成する。また、第2多結晶シリコン層の中間に第2酸化シリコン層を設置して第2多結晶シリコン層を保護することには、構造が簡単で、製造工程が簡単で、効率が高い等の特徴がある。
【0008】
この目的を達成するために、本発明は以下の技術案を採用する。
【0009】
第1の態様において、本発明は、基板を含み、前記基板の一側の表面には第1酸化シリコン層と第1多結晶シリコン層とが順に積層されており、前記基板の表面は非金属接触領域と少なくとも2つの金属接触領域とを含み、前記金属接触領域に位置し、前記第1多結晶シリコン層の基板から離れた側の表面には第2酸化シリコン層と第2多結晶シリコン層とがさらに順に設置され、前記第2多結晶シリコン層には第1電極が設けられており、前記金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは、前記非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さよりも大きい選択性パッシベーションコンタクト電池を提供する。
【0010】
本発明は第2酸化シリコン層を設けることにより、エッチング速度を効果的に制御することができる上、エッチングの均一性を保証することができる。また、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さより大きく、金属接触領域における第1多結晶シリコン層の厚さが大きいということは、金属スラリーの腐食を効果的に阻止し、電圧およびフィルファクターを上げることができ、非金属接触領域における第1多結晶シリコン層の厚さが小さいということは、光の吸収を効果的に減らし、電流を上げることができる。本発明は電池の光電効率を効果的に向上させることができ、構造が簡単で、製造工程が簡単で、効率が高い等の特徴があり、金属-非金属領域の再結合を効果的に低下させるとともに、電池の光に対する利用率を保証し、しかも当該構造の製造重複性は良好である。
【0011】
本発明の好ましい技術案として、前記第2多結晶シリコン層はグリッド線構造を呈し、前記第1電極のグリッド線構造は第2多結晶シリコン層のグリッド線構造と同じである。
【0012】
本発明は、グリッド線構造として設置された第2多結晶シリコン層により、第1電極のグリッド線構造に適合し、選択性パッシベーションコンタクト構造をさらに最適化し、電池の光利用率を高める。
【0013】
本発明の好ましい技術案として、前記選択性パッシベーションコンタクト電池は、第1パッシベーション層と第2パッシベーション層をさらに含み、前記第1パッシベーション層は前記第2多結晶シリコン層の表面および前記非金属接触領域の第1多結晶シリコン層の表面に位置し、前記第2パッシベーション層は前記基板の第1酸化シリコン層から離れた側の表面に位置する。
【0014】
好ましくは、前記選択性パッシベーションコンタクト電池は拡散層をさらに含み、前記拡散層は基板と第1酸化シリコン層との間、または基板と第2パッシベーション層との間に位置する。
【0015】
好ましくは、前記基板の第1酸化シリコン層から離れた側の表面には、少なくとも2つの第2電極が設けられている。本発明の好ましい技術案として、前記金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは10~450nmで、例えば、10nm、50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nmまたは450nmである。
【0016】
好ましくは、前記非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは1~150nmで、例えば、1、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nmまたは150nmであり、好ましくは10~25nmである。
【0017】
本発明の好ましい技術案として、前記第1酸化シリコン層の厚さは0.5~5nmで、例えば0.5nm、1.0nm、1.5nm、2.0nm、2.5nm、3.0nm、3.5nm、4.0nm、4.5nmまたは5.0nmである。
【0018】
好ましくは、前記第2酸化シリコン層の厚さは0.5~5nmで、例えば0.5nm、1.0nm、1.5nm、2.0nm、2.5nm、3.0nm、3.5nm、4.0nm、4.5nmまたは5.0nmである。
【0019】
好ましくは、前記第2多結晶シリコン層の厚さは1~300nmで、例えば、1nm、30nm、60nm、90nm、120nm、150nm、180nm、210nm、240nm、270nmまたは300nmである。
【0020】
本発明の好ましい技術案として、前記第1パッシベーション層の厚さは30~200nmで、例えば、30nm、40nm、60nm、80nm、100nm、120nm、140nm、160nm、180nmまたは200nmである。
【0021】
好ましくは、前記第2パッシベーション層の厚さは30~200nm、例えば、30nm、40nm、60nm、80nm、100nm、120nm、140nm、160nm、180nmまたは200nmである。
【0022】
好ましくは、前記第1パッシベーション層は、少なくとも1層の第1パッシベーション層の膜を含む。
【0023】
好ましくは、前記第1パッシベーション層の膜の材質は酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素または炭化ケイ素における一種類または少なくとも二種類の組み合わせを含む。
【0024】
好ましくは、前記第2パッシベーション層は、少なくとも1層の第2パッシベーション層の膜を含む。
【0025】
好ましくは、第2パッシベーション層の膜の材質は酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素または炭化ケイ素における一種類または少なくとも二種類の組み合わせを含む。
【0026】
第2の態様において、本発明は、第1の態様に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池の製造方法を提供し、前記製造方法は、
基板の一側の表面に第1酸化シリコン層と第1多結晶シリコン層を設置し、エッチングにより金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さを、非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さよりも大きくし、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の表面に第2酸化シリコン層と第2多結晶シリコン層を順に設置し、第2多結晶シリコン層に第1電極を設ける
というステップを含む。
【0027】
本発明はエッチングという方法により、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さを非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さよりも大きくし、金属-非金属領域の再結合を効果的に低減させるとともに、非金属接触領域の多結晶シリコン層の光の吸収を減らし、電池短絡電流を高める。複数回堆積された異なる厚さの多結晶シリコン層との比較において本発明はエッチングという方法により、多結晶シリコン層を1ステップで堆積し、エッチング法で2種類の異なる厚さの多結晶シリコン層を得られ、生産コストを節約することができる。
【0028】
本発明の好ましい技術案として、前記製造方法は具体的に、
(I)基板の表面に対して表面修飾を行い、基板の表面に拡散層を形成し、拡散層の表面または基板の拡散層から離れた側の表面に、第1酸化シリコン層、第1多結晶シリコン層、第2酸化シリコン層および第2多結晶シリコン層を順に設置し、
(II)第2多結晶シリコン層の表面に第1電極の形状と同じであるバリア型スラリーパターンを塗布し、第1多結晶シリコン層をエッチングし、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さよりも大きく、
(III)選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層に近い側に保護膜を堆積して、選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層から離れた側の表面の薄膜層を除去し、除去後にさらに保護膜を除去し、
(IV)第1パッシベーション層および第2パッシベーション層を堆積して、第1電極および第2電極を印刷する
というステップを含む。
【0029】
なお、選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層から離れた側の表面に薄膜層がない場合、即ち、薄膜層を除去する必要がない場合は、ステップ(III)を省略することができ、当業者は構造の実際の状況に応じてステップ(III)を行うか否かを合理的に選択することができる。
【0030】
本発明の好ましい技術案として、ステップ(I)において、前記表面修飾は、ホウ素のドープおよび/またはリンのドープを含む。
【0031】
本発明ではホウ素のドープによりP-N接合を形成する。
【0032】
好ましくは、前記拡散層の方形抵抗は80~250ohm/sqで、例えば、80ohm/sq、90ohm/sq、100ohm/sq、110ohm/sq、120ohm/sq、130ohm/sq、140ohm/sq、150ohm/sq、160ohm/sq、170ohm/sq、180ohm/sq、190ohm/sq、200ohm/sq、210ohm/sq、220ohm/sq、230ohm/sq、240ohm/sq、または250ohm/sqである。
【0033】
好ましくは、前記基板の拡散層から離れた側の表面に対して洗浄処理を行い、前記洗浄処理はエッチングで酸化膜を除去することを含む。
【0034】
好ましくは、第1多結晶シリコン層および/または第2多結晶シリコン層は、拡散ドープおよび高温アニールにより形成され、好ましくはホウ素の拡散ドープである。
【0035】
本発明の好ましい技術案として、ステップ(III)において、前記保護膜の厚さは2~200nmで、例えば2nm、20nm、40nm、60nm、80nm、100nm、120nm、140nm、160nm、180nmまたは200nmである。
【0036】
好ましくは、前記保護膜の材質は、酸化シリコン、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素または窒化ケイ素における一種類または少なくとも二種類の組み合わせを含む。
【0037】
好ましくは、ステップ(III)において、前記薄膜層の除去方法はフッ化水素酸による除去を含む。好ましくは、前記第1電極は印刷後に焼結される。
【0038】
例示的に、上記選択性パッシベーションコンタクト電池の製造方法を提供し、前記製造方法は、
(I)基板の表面にリンのドープを行い、基板の表面に方形抵抗が80~250ohm/sqの拡散層を形成し、拡散層の表面に第1酸化シリコン層、第1多結晶シリコン層、第2酸化シリコン層、第2多結晶シリコン層を順に設け、第1多結晶シリコン層および/または第2多結晶シリコン層はリン拡散ドープおよび高温アニールにより形成され、
(II)第2多結晶シリコン層の表面に第1電極と同じ形状のバリア型スラリーパターンを塗布し、第1多結晶シリコン層をエッチングし、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さよりも大きく、
(III)選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層に近い側に厚さ2~200nmの保護膜を堆積し、選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層から離れた側の表面の薄膜層をフッ化水素酸で除去し、
(IV)第1パッシベーション層および第2パッシベーション層を堆積して、印刷焼結して第1電極および第2電極を形成する
というステップを含む。
【0039】
任意で、本発明が提供する選択性パッシベーションコンタクト電池は、N型フロントコンタクト型電池の表面の選択性厚さのP-Poly(P型多結晶シリコン)の製造、または両面がいずれも選択性厚さの多結晶シリコン構造に用いることができ、当業者は電池の種類に応じて合理的に選択、設置することができる。N型バックコンタクト型電池である場合、電池表面に選択性厚さのN-Poly(N型多結晶シリコン)を製造するか、または電池裏面に選択性厚さのP-Polyを製造するか、あるいは両面がいずれも選択性厚さの多結晶シリコン構造である。P型フロントコンタクト型電池である場合、電池表面に選択性厚さのN-Polyを製造するか、または電池裏面に選択性厚さのP-Polyを製造するか、あるいは両面がいずれも選択性厚さの多結晶シリコン構造である。P型バックコンタクト型電池であれば、P型電池の表面が選択性厚さのP-Polyであるか、または裏面が選択性厚さのN-Polyであるか、あるいは両面がいずれも選択性厚さの多結晶シリコン構造である。
【0040】
本発明に記載の数値範囲は、上記に挙げたポイント値だけでなく、挙げていない上記数値範囲の間の任意のポイント値をさらに含み、紙幅の都合と簡明という観点から、本発明では前記範囲に含まれる具体的なポイント値を逐一列挙しない。
【0041】
従来技術との比較における本発明の有益な効果は、以下の通りである。
【0042】
本発明は第2酸化シリコン層を設けることにより、エッチング速度を効果的に制御することができる上、エッチングの均一性を保証することができる。また、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層の厚さより大きく、金属接触領域における第1多結晶シリコン層の厚さが大きいということは、金属スラリーの腐食を効果的に阻止し、電圧およびフィルファクターを上げることができ、非金属接触領域における第1多結晶シリコン層の厚さが小さいということは、光の吸収を効果的に減らし、電流を上げることができる。本発明は電池の光電効率を効果的に向上させることができ、構造が簡単で、製造工程が簡単で、効率が高い等の特徴があり、金属-非金属領域の再結合を効果的に低下させるとともに、電池の光に対する利用率を保証し、しかも当該構造の製造重複性は良好である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本発明の具体的な一実施形態が提供する、拡散層が基板と第1酸化シリコン層との間に位置する選択性パッシベーションコンタクト電池の構造概略図である。
図2図2は、本発明の具体的な一実施形態が提供する、拡散層が基板と第2パッシベーション層との間に位置する選択性パッシベーションコンタクト電池の構造概略図である。
【符号の説明】
【0044】
1-基板、2-第1酸化シリコン層、3-第1多結晶シリコン層、4-第2酸化シリコン層、5-第2多結晶シリコン層、6-第1パッシベーション層、7-第1電極、8-拡散層、9-第2パッシベーション層、10-第2電極。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の説明において、「中心」、「縦」、「横」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」等の用語が指す方位または位置関係は、図面に示す方位または位置関係に基づくもので、単に本発明の説明に便宜を図り、説明を簡略化するためのものであり、それが指す装置や素子が、必ず、特定の方位を有し、特定の方位で構成、動作するということを示したり暗示したりするものではないため、本発明に対する限定であると理解することはできない。このほか、「第1」、「第2」等の用語は目的を説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を示したり暗示するもの、またはそれが指す技術特徴の数を暗に示したりするものであると理解することはできない。従って、「第1」、「第2」等の限定がある特徴は、1つまたは複数の当該特徴を明示的または暗に含むことができる。本発明の説明において特に記載がない限り、「複数」の意味は2つ以上である。
【0046】
なお、本発明の説明において、特に明確な規定および限定がない限り、「設置」、「連結」、「接続」との用語は広義で理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、一体接続であってもよく、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介した間接的な接続であってもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者は具体的な状況に応じて上記用語の本発明での具体的な意味を理解することができる。
【0047】
以下では、具体的な実施形態により本発明の技術案についてさらに説明する。
【0048】
具体的な一実施形態において、本発明は、基板1を含み、基板1の一側の表面には第1酸化シリコン層2と第1多結晶シリコン層3とが順に積層されており、基板1の表面は非金属接触領域と少なくとも2つの金属接触領域とを含み、金属接触領域に位置し、第1多結晶シリコン層3の基板1から離れた側の表面には第2多結晶シリコン層4と第2多結晶シリコン層5とがさらに順に設置され、第2多結晶シリコン層5には第1電極7が設けられており、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは、非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さよりも大きい、選択性パッシベーションコンタクト電池を提供する。
【0049】
本発明は第2酸化シリコン層4を設けることにより、エッチング速度を効果的に制御することができる上、エッチングの均一性を保証することができる。また、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さよりも大きく、金属接触領域における第1多結晶シリコン層3の厚さが大きいということは、金属スラリーの腐食を効果的に阻止し、電圧およびフィルファクターを上げることができ、非金属接触領域における第1多結晶シリコン層3の厚さが小さいということは、光の吸収を効果的に減らし、電流を上げることができる。本発明は電池の光電効率を効果的に向上させることができ、構造が簡単で、製造工程が簡単で、効率が高い等の特徴があり、金属-非金属領域の再結合を効果的に低下させるとともに、電池の光に対する利用率を保証し、しかもこの構造の製造重複性は良好である。
【0050】
さらに、第2多結晶シリコン層5はグリッド線構造を呈し、第2多結晶シリコン層5のグリッド線構造は第1電極7のグリッド線構造と同じである。本発明は、グリッド線構造として設置された第2多結晶シリコン層5により、第1電極7のグリッド線構造と適合し、選択性パッシベーションコンタクト構造をさらに最適化し、電池の光利用率を高める。
【0051】
さらに、選択性パッシベーションコンタクト電池は第1パッシベーション層6と第2パッシベーション層9とをさらに含み、第1パッシベーション層6は第2多結晶シリコン層5の表面および非金属接触領域の第1多結晶シリコン層3の表面に位置し、第2パッシベーション層9は基板1の第1酸化シリコン層2から離れた側の表面に位置する。
【0052】
さらに、選択性パッシベーションコンタクト電池は拡散層8をさらに含み、図1に示すように、拡散層8は基板1と第1酸化シリコン層2との間に位置するか、または図2に示すように、拡散層8は基板1と第2パッシベーション層9との間に位置する。
【0053】
さらに、基板1の第1酸化シリコン層2から離れた側の表面には、少なくとも2つの第2電極10が設けられている。
【0054】
さらに、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは10~450nm、非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは1~150nm、第1酸化シリコン層2の厚さは0.5~5nmである。第2酸化シリコン層4の厚さは0.5~5nm、第2多結晶シリコン層5の厚さは1~300nm、第1パッシベーション層6の厚さは30~200nm、第2パッシベーション層9の厚さは30~200nmである。
【0055】
さらに、第1パッシベーション層6は少なくとも1層の第1パッシベーション層6の膜を含み、第1パッシベーション層6の膜は酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素または炭化ケイ素における一種類または少なくとも二種類の組み合わせを含み、第2パッシベーション層9は少なくとも1層の第2パッシベーション層9の膜を含み、第2パッシベーション層9の膜の材質は酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素または炭化ケイ素における一種類または少なくとも二種類の組み合わせを含む。
【0056】
別の一実施形態において、本発明は上記選択性パッシベーションコンタクト電池の製造方法を提供し、前記製造方法は、
(I)基板1の表面にホウ素のドープを行い、基板1の表面に方形抵抗が80~250ohm/sqのホウ素拡散層8を形成し、基板1の拡散層8から離れた側の表面に第1酸化シリコン層2、第1多結晶シリコン層3、第2酸化シリコン層4および第2多結晶シリコン層5を順に設け、リン拡散ドープおよび高温アニールにより第1多結晶シリコン層3および/または第2多結晶シリコン層5を形成するか、または基板1の表面に方形抵抗が80~250ohm/sqのホウ素拡散層8を形成し、拡散層8に第1酸化シリコン層2、第1多結晶シリコン層3、第2酸化シリコン層4、第2多結晶シリコン層5を順に設け、ホウ素拡散ドープおよび高温アニールにより第1多結晶シリコン層3および/または第2多結晶シリコン層5を形成し、
(II)第2多結晶シリコン層5の表面に第1電極7と同じ形状のバリア型スラリーパターンを塗布し、第1多結晶シリコン層3をエッチングし、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さよりも大きく、
(III)選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5に近い側に厚さ2~200nmの保護膜を堆積し、選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5から離れた側の表面の薄膜層をフッ化水素酸で除去し、除去後にさらに保護膜を除去し、
(IV)第1パッシベーション層6および第2パッシベーション層9を堆積して、印刷焼結して第1電極7および第2電極10を形成する
というステップを含む。
【0057】
本発明が提供する選択性パッシベーションコンタクト電池は、N型フロントコンタクト型電池の表面の選択性厚さのP-Poly(P型多結晶シリコン)の製造、または両面がいずれも選択性厚さの多結晶シリコン構造に用いることができ、当業者は電池の種類に応じて合理的に選択、設置することができる。N型バックコンタクト型電池である場合、電池表面に選択性厚さのN-Poly(N型多結晶シリコン)を製造するか、または電池裏面に選択性厚さのP-Polyを製造するか、あるいは両面がいずれも選択性厚さの多結晶シリコン構造である。P型フロントコンタクト型電池である場合、電池表面に選択性厚さのN-Polyを製造するか、または電池裏面に選択性厚さのP-Polyを製造するか、あるいは両面がいずれも選択性厚さの多結晶シリコン構造である。P型バックコンタクト型電池であれば、P型電池の表面が選択性厚さのP-Polyであるか、または裏面が選択性厚さのN-Polyであるか、あるいは両面がいずれも選択性厚さの多結晶シリコン構造である。
【実施例1】
【0058】
本実施例は、発明を実施するための形態に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池に基づく選択性パッシベーションコンタクト電池を提供し、基板1の表面は2つの金属接触領域を含み、拡散層8は基板1と第1酸化シリコン層2との間に位置し、基板1の第1酸化シリコン層2から離れた側の表面には2つの第2電極10が設けられている。
【0059】
金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは230nmであり、非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは75nmであり、第1酸化シリコン層2の厚さは2.5nmである。第2酸化シリコン層4の厚さは2.5nmである。第2多結晶シリコン層5の厚さは150nmである。第1パッシベーション層6の厚さは115nmである。第2パッシベーション層9の厚さは115nmである。
【0060】
第1パッシベーション層6は1層の第1パッシベーション層6の膜を含み、第1パッシベーション層6の膜の材質は酸化シリコンを含み、第2パッシベーション層9は1層の第2パッシベーション層9の膜を含み、第2パッシベーション層9の膜の材質は酸化シリコンを含む。
【0061】
本実施例は上記選択性パッシベーションコンタクト電池の製造方法をさらに提供し、前記製造方法は、
(I)基板1の表面に対してホウ素のドープを行い、基板1の表面に方形抵抗が165ohm/sqの拡散層8を形成し、拡散層8の表面に第1酸化シリコン層2、第1多結晶シリコン層3、第2酸化シリコン層4、第2多結晶シリコン層5を順に設置し、第1多結晶シリコン層3と第2多結晶シリコン層5はいずれもホウ素拡散ドープにより形成され、
(II)第2多結晶シリコン層5の表面に第1電極7と同じ形状のバリア型スラリーパターンを塗布し、第1多結晶シリコン層3をエッチングし、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さよりも大きく、
(III)選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5に近い側に厚さ100nmの保護膜を堆積して、選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5から離れた側の表面の薄膜層をフッ化水素酸で除去し、除去後にさらに保護膜を除去し、
(IV)第1パッシベーション層6および第2パッシベーション層9を堆積して、印刷焼結して第1電極7および第2電極10を形成する
というステップを含む。
【実施例2】
【0062】
本実施例は、具体的な実施形態に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池に基づく選択性パッシベーションコンタクト電池を提供し、基板1の表面は3つの金属接触領域を含み、拡散層8は基板1と第2パッシベーション層9の間に位置し、基板1の第1酸化シリコン層2から離れた側の表面には3つの第2電極10が設けられている。
【0063】
金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは10nmであり、非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは1nmであり、第1酸化シリコン層2の厚さは0.5nmである。第2酸化シリコン層4の厚さは0.5nmである。第2多結晶シリコン層5の厚さは1nmである。第1パッシベーション層6の厚さは30nmである。第2パッシベーション層9の厚さは30nmである。
【0064】
第1パッシベーション層6は2層の第1パッシベーション層6の膜を含み、第1パッシベーション層6の膜の材質はそれぞれ酸窒化ケイ素と炭化ケイ素であり、第2パッシベーション層9は2層の第2パッシベーション層9の膜を含み、第2パッシベーション層9の膜の材質はそれぞれ酸窒化ケイ素と炭化ケイ素である。
【0065】
本実施例は上記選択性パッシベーションコンタクト電池の製造方法を提供し、前記製造方法は、
(I)基板1の表面に対してホウ素のドープを行い、基板1の表面に方形抵抗が80~250ohm/sqの拡散層8を形成し、基板1の拡散層8から離れた側の表面に第1酸化シリコン層2、第1多結晶シリコン層3、第2酸化シリコン層4、第2多結晶シリコン層5を順に設け、第1多結晶シリコン層3をリン拡散ドープにより形成し、第2多結晶シリコン層5を高温アニールにより形成し、
(II)第2多結晶シリコン層5の表面に第1電極7と同じ形状のバリア型スラリーパターンを塗布し、第1多結晶シリコン層3をエッチングし、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さよりも大きく、
(III)選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5に近い側に厚さ200nmの保護膜を堆積し、選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5から離れた側の表面の薄膜層をフッ化水素酸で除去し、除去後にさらに保護膜を除去し、
(IV)第1パッシベーション層6および第2パッシベーション層9を堆積して、印刷焼結して第1電極7および第2電極10を形成する
というステップを含む。
【実施例3】
【0066】
本実施例は、具体的な実施形態に記載の選択性パッシベーションコンタクト電池に基づく選択性パッシベーションコンタクト電池を提供し、基板1の表面は4つの金属接触領域を含み、拡散層8は基板1と第1酸化シリコン層2との間に位置し、基板1の第1酸化シリコン層2から離れた側の表面には4つの第2電極10が設けられている。
【0067】
金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは450nmであり、非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは150nmであり、第1酸化シリコン層2の厚さは5nmである。第2酸化シリコン層4の厚さは5nmである。第2多結晶シリコン層5の厚さは300nmである。第1パッシベーション層6の厚さは200nmである。第2パッシベーション層9の厚さは200nmである。
【0068】
第1パッシベーション層6は3層の第1パッシベーション層6の膜を含み、第1パッシベーション層6の膜の材質はそれぞれ酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化ケイ素であり、第2パッシベーション層9は3層の第2パッシベーション層9の膜を含み、第2パッシベーション層9の膜の材質は酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素を含む。
【0069】
本実施例は上記選択性パッシベーションコンタクト電池の製造方法を提供し、前記製造方法は、
(I)基板1の表面に対してホウ素のドープを行い、基板1の表面に方形抵抗が80~250ohm/sqの拡散層8を形成し、拡散層8の表面に第1酸化シリコン層2、第1多結晶シリコン層3、第2酸化シリコン層4、第2多結晶シリコン層5を順に設置し、第1多結晶シリコン層3を高温アニールにより形成し、第2多結晶シリコン層5をホウ素拡散ドープにより形成し、
(II)第2多結晶シリコン層5の表面に第1電極7と同じ形状のバリア型スラリーパターンを塗布し、第1多結晶シリコン層3をエッチングし、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さよりも大きく、
(III)選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5に近い側に厚さ200nmの保護膜を堆積して、選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5から離れた側の表面の薄膜層をフッ化水素酸で除去し、除去後にさらに保護膜を除去し、
(IV)第1パッシベーション層6および第2パッシベーション層9を堆積して、印刷焼結して第1電極7および第2電極10を形成する
というステップを含む。
【比較例1】
【0070】
本比較例は選択性パッシベーションコンタクト電池を提供する。実施例1との比較における相違点は、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さと等しく、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは230nmであるというものであり、そのほかの構造は実施例1と完全に同一である。
【0071】
本比較例は上記選択性パッシベーションコンタクト電池の製造方法をさらに提供し、前記製造方法は、
(I)基板1の表面に対してホウ素ドープを行い、基板1の表面に方形抵抗が165ohm/sqの拡散層8を形成し、拡散層8の表面に第1酸化シリコン層2、第1多結晶シリコン層3、第2酸化シリコン層4、第2多結晶シリコン層5を順に設置し、第1多結晶シリコン層3と第2多結晶シリコン層5はいずれもホウ素拡散ドープにより形成され、
(II)第2多結晶シリコン層5の表面に第1電極7と同じ形状のバリア型スラリーパターンを塗布し、第1多結晶シリコン層3をエッチングし、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さと等しく、
(III)選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5に近い側に厚さ100nmの保護膜を堆積して、選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5から離れた側の表面の薄膜層をフッ化水素酸で除去し、除去後にさらに保護膜を除去し、
(IV)第1パッシベーション層6および第2パッシベーション層9を堆積して、印刷焼結して第1電極7および第2電極10を形成する
というステップを含む。
【比較例2】
【0072】
本比較例は選択性パッシベーションコンタクト電池を提供する。実施例1との比較におけるその相違点は、第2酸化シリコン層4を設けないというものであり、そのほかの構造は実施例1と完全に同一である。
【比較例3】
【0073】
本比較例は選択性パッシベーションコンタクト電池を提供し、実施例1との比較におけるその相違点は、製造方法において蒸着法を用いて第1多結晶シリコン層を製造するというものであり、前記製造方法は、
(I)基板1の表面にホウ素ドープを行い、基板1の表面に方形抵抗が165ohm/sqの拡散層8を形成し、拡散層8の表面に第1酸化シリコン層2、第1多結晶シリコン層3、第2酸化シリコン層4、第2多結晶シリコン層5を順に設置し、第1多結晶シリコン層3と第2多結晶シリコン層5はいずれもホウ素拡散ドープにより形成される。蒸着法により第1多結晶シリコン層3を製造し、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さを、非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さと等しくし、
(II)選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5に近い側に厚さ100nmの保護膜を堆積して、選択性パッシベーションコンタクト電池の第2多結晶シリコン層5から離れた側の表面の薄膜層をフッ化水素酸で除去し、
(III)第1パッシベーション層6および第2パッシベーション層9を堆積して、印刷焼結して第1電極7および第2電極10を形成する
というステップを含む。
【0074】
上記実施例および比較例で得られた太陽電池に対して光電変換率性能試験を行い、前記試験方法は以下の内容を含む。
【0075】
製造した太陽電池をAM1.5の模擬光源下に置き(光源シミュレータ型番はNewport Oriel 94043Aである)、光源エネルギー密度は100mW/cm2であり、光源は基準結晶シリコン電池を用いて較正し、FTC650を用いて太陽電池のJ-V曲線を測量する。光は太陽電池の表面に直射し、太陽電池の有効面積は0.5cm2である。試験結果は表1に示す通りである。
【0076】
【表1】
【0077】
上記の表から以下のことが分かる。
【0078】
実施例1と比較例1、2を比較すると、実施例1の光電変換率および短絡電流効果は比較例1、2より優れているため、本発明は第2酸化シリコン層4を設けることにより、エッチング速度を効果的に制御することができる上、エッチングの均一性を確保することができると言える。さらに、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さは非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さよりも大きく、金属接触領域における第1多結晶シリコン層3の厚さが大きいということは、金属スラリーの腐食を効果的に阻止し、電圧およびフィルファクターを上げることができ、非金属接触領域における第1多結晶シリコン層3の厚さが小さいということは、光の吸収を効果的に減らし、電流を上げることができる。本発明は電池の光電効率を効果的に向上させることができ、構造が簡単で、製造工程が簡単で、効率が高い等の特徴があり、金属-非金属領域の再結合を効果的に低下させるとともに、電池の光に対する利用率を保証し、しかもこの構造の製造重複性は良好である。
【0079】
実施例1と比較例3を比較すると、実施例1の光電変換率および短絡電流効果は比較例3より優れているため、本発明はエッチングという方法により、金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さを非金属接触領域に位置する第1多結晶シリコン層3の厚さよりも大きくし、金属-非金属領域の再結合を効果的に低減させるとともに、非金属接触領域の多結晶シリコン層の光の吸収を減らし、電池短絡電流を高めており、異なる厚さの多結晶シリコン層を複数回堆積することと比べて、本発明はエッチングという方法により、1つのステップだけで多結晶シリコン層を堆積し、エッチング法で2種類の異なる厚さの多結晶シリコン層を得ることができ、生産コストの節約になるということが見て取れる。
【0080】
上記の内容は本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の請求範囲はこれに限らない。本分野のあらゆる技術者が本発明で開示の技術範囲内において容易に想到できる変更または置換は、すべて本発明の請求範囲と公開範囲内にあるということは当業者にとって明らかであろう。
図1
図2
【国際調査報告】