(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】ギアポンプ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
F04C 2/18 20060101AFI20240412BHJP
B29C 48/37 20190101ALI20240412BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
F04C2/18 311E
B29C48/37
F04C15/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567082
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2022055752
(87)【国際公開番号】W WO2022228761
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523410573
【氏名又は名称】マーグ ポンプ システムズ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】トリーベ レーネ
(72)【発明者】
【氏名】フィンケルダイ マルク
【テーマコード(参考)】
3H041
3H044
4F207
【Fターム(参考)】
3H041AA04
3H041BB02
3H041CC06
3H041DD07
3H041DD09
3H041DD38
3H044AA04
3H044BB02
3H044CC06
3H044DD06
3H044DD08
3H044DD28
4F207AJ08
4F207KL94
(57)【要約】
軸受ジャーナル(5,6)がシャフト軸(9)上に配置された状態でハウジングに囲われた互いに噛み合うギアホイール(1)を有するギアポンプであって、
軸受ジャーナルの各々は、前記ギアホイール(1)から横方向に突き出し、滑り軸受(3)によって前記ハウジング内に取り付けられ、滑り軸受長さ(L)を有し、前記滑り軸受(3)は、汲み出される媒体を用いて潤滑される。本発明は、放射状に広がる充填ポケット(2)が、ポンプ圧力側の部分において、各々の前記滑り軸受(3)内に組み込まれ、前記充填ポケット(2)は、前記それぞれの滑り軸受(3)のギア側端面(7)から距離(d)だけ間隔を開けて配置され、それにより、滑り軸受面に対応する軸方向の広がりを有するバー幅(D)を有するバーが形成され、先細断面を有する潤滑溝(4)が、前記滑り軸受(3)の各々内に設けられ、前記潤滑溝(4)は、前記ギア側の端から始まって滑り軸受の端に向かい、且つ前記ギア側の前記充填ポケット(2)で始まり、充填ポケット(2)と連通する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受ジャーナル(5,6)がシャフト軸(9)上に配置された状態でハウジングに囲われた互いに噛み合うギアホイール(1)を有するギアポンプであって、
軸受ジャーナルの各々は、前記ギアホイール(1)から横方向に突き出すとともに滑り軸受(3)によって前記ハウジング内に取り付けられ、滑り軸受長さ(L)を有し、前記滑り軸受(3)は、汲み出される媒体で潤滑され、
放射状に広がる充填ポケット(2)が、ポンプ圧力側の領域において、各々の前記滑り軸受(3)内に組み込まれ、前記充填ポケット(2)は、距離(d)だけ、前記それぞれの滑り軸受(3)のギア側端面(7)から間隔をあけて配置され、それにより、滑り軸受面に対応する軸方向の広がりを有するバー幅(D)を有するバーが形成され、
先細横断面を有する潤滑溝(4)が、前記滑り軸受(3)の各々内に設けられ、前記潤滑溝(4)は、前記ギアホイール側の端から始まって滑り軸受端に向かい、且つ前記ギアホイール側の前記充填ポケット(2)で始まり、前記充填ポケット(2)と連通している、
ことを特徴とする、ギアポンプ。
【請求項2】
前記滑り軸受(3)の前記ギア側端面(7)と前記それぞれの充填ポケット(2)との間の前記距離(d)は、前記滑り軸受長さ(L)の5%~10%、好ましくは7%である、請求項1に記載のギアポンプ。
【請求項3】
前記バー幅(D)は、前記滑り軸受長さ(L)の少なくとも1%~10%、好ましくは3%である、請求項1又は2に記載のギアポンプ。
【請求項4】
前記充填ポケット(2)は、前記シャフト軸(9)に対して前記軸方向に最大幅(B
r)を有し、前記最大幅(B
r)は、前記滑り軸受長さ(L)の5%~20%、好ましくは10%である、請求項1~3の何れか1項に記載のギアポンプ。
【請求項5】
前記充填ポケット(2)は、前記2つのシャフト軸(9)に及ぶ平面に対して、前記ギアホイールの回転方向に、225°~315°、好ましくは270°の角度で始まる、請求項1~4の何れか1項に記載のギアポンプ。
【請求項6】
前記充填ポケット(2)は、前記2つのシャフト軸(9)に及ぶ平面に対して、前記ギアホイールの回転方向に、315°~360°、好ましくは330°の角度で終わる、請求項1~5の何れか1項に記載のギアポンプ。
【請求項7】
前記充填ポケット(2)から前記潤滑溝(4)までの前記遷移領域(12)における断面は、連続して形成される、請求項1~6の何れか1項に記載のギアポンプ。
【請求項8】
前記潤滑溝(4)は、前記シャフト軸(9)に対して前記滑り軸受端の方向に鋭角(γ)で延びる、請求項1~7の何れか1項に記載のギアポンプ。
【請求項9】
前記潤滑溝(4)は、前記滑り軸受の前記端に延びる、請求項1~8の何れか1項に記載のギアポンプ。
【請求項10】
前記軸受ジャーナル(5,6)の少なくとも1つは、少なくともその軸方向の範囲の一部にわたってジャーナル直径(D
L)を有し、前記ジャーナル直径(D
L)は、前記関連するギアホイール(1)の前記歯部の歯底円直径(D
F)の90%~100%の範囲にある、請求項1~9の何れか1項に記載のギアポンプ。
【請求項11】
多い搬送媒体の総質量における質量パーセントが60%より多い無機充填剤を有するポリマーのような、高粘性の搬送媒体を運搬するための、請求項1~10の何れか1項に記載のギアポンプの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分によるギアポンプ及び請求項10によるギアポンプの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ギアポンプは、本来、ハウジング内で囲われる一対の噛み合うギアから成り、縦軸の周りに横方向に配置されるとともに、汲み出された媒体によって潤滑される滑り軸受に固定された軸受ジャーナルが、ギアの各々から突き出している。
【0003】
ギアポンプは、運搬に強い特性曲線を有するので、汲み出される媒体を吸込側から圧力側に移送することに特に適している。下流ユニットで運搬される体積流量により、圧力勾配が、圧力側と吸込側との間で引き起こされ、その勾配は、高粘性媒体の場合において特に大きくなり、各々のギアホイールに力の伝達をもたらす。
【0004】
例えば、欧州特許出願公開第1790854号明細書1に記載されるように、公知のギアポンプは、軸受のジャーナル直径がギアの歯底円直径に近い又は等しいギアポンプである。
【0005】
公知のギアポンプは、滑り軸受を有し、汲み出された媒体で潤滑される。ギアポンプの出口側の高圧が、一方側で滑り軸受に加えられる一方で、滑り軸受の下流のギアポンプ吸込側での圧力は、ポンプ出口側の圧力よりかなり低い。この圧力差は、滑り軸受における潤滑油膜の蓄積に必要な汲み出された媒体を、ポンプ出口から滑り軸受内へ流れさせる。滑り軸受の端面における圧力潤滑溝は、滑り軸受の潤滑溝内の汲み出された媒体を、可能な限り干渉させずに滑り軸受に導くために、滑り軸受けへの直接的な結合を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1790854号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリマー溶融物が汲み出される媒介として使用され、また、高い割合の固体又は臨海サイズより大きい固体(異物粒子)と混合されている場合、滑り軸受での十分な潤滑に困難を示す。滑り軸受が十分に機能するために、汲み出される媒体の潤滑油膜を蓄積することが重要である。多すぎる或いは大きすぎる異物粒子が、シャフトと滑り軸受との間の狭い潤滑間隙に入ると、滑り軸受又はシャフトの損傷のリスクがあり、これはギアポンプの破損につながる。これは特に、粒径が最小潤滑油膜の高さより大きい場合に当てはまり、なぜなら、滑り軸受での詰まりによる潤滑剤の流れの妨害、かくして、ギアポンプの破損につながるからである。粒子を含む溶融物(汲み出される媒体)の増加した流量も同様に、滑り軸受表面の増加する摩耗にもつながり得る。少なすぎる溶融物が滑り軸受に到達すると、不十分な潤滑のリスクがある。
【0008】
更に、ポリマーが搬送媒体として使用される場合、潤滑溝を介して滑り軸受に入る未融解のポリマー粒子(小さな塊)が、潤滑の流れを遮り、ギアポンプを故障させ得る。
【0009】
したがって、上述の不利な点の少なくとも一つも有しないギアポンプを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1の特徴部分で示される特徴によって解決される。使用方法と同様に本発明の更なる実施形態が、更なる従属項において画定される。
【0011】
本発明によるギアポンプは、軸受ジャーナルがシャフト軸に配置された状態でハウジングによって囲われた互いに噛み合うギアを有するギアポンプを、第1に含み、軸受ジャーナルの各々は、ギアから横方向に突き出し、滑り軸受によってハウジング内に取り付けられ、滑り軸受長さを有し、滑り軸受は、汲み出される媒体によって潤滑されている。本発明は、
放射状に広がった充填ポケットが、ポンプ圧力側の領域で滑り軸受の各々に組み込まれ、充填ポケットは、それぞれの滑り軸受のギア側端面から所定距離だけ離れ、それにより滑り軸受表面に対応する軸方向に広がったバー幅を有するバーが形成され、
先細断面を有する潤滑溝は、滑り軸受の各々に設けられ、ギア側の端から始まり、滑り軸受端に向かい、潤滑溝は、充填ポケットにおいてギアホイール側で始まり、充填ポケットと連通している、
ことを特徴とする。
【0012】
本発明によるギアポンプは、かくして、公知のギアポンプと比較してはるかに堅牢であり、なぜなら、搬送媒体としてのポリマーと共に、溶融ポリマー粒子(小さな塊)が、滑り軸受の潤滑溝に依然として入り込むことができるからである。潤滑の流れは、それゆえに、遮られることがはるかに少なく、それは、本発明によるギアポンプの故障の確率をかなり低下させることを意味する。
【0013】
本発明によるギアポンプの一実施形態の変形例は、滑り軸受の端面とそれぞれの充填ポケットとの間の距離が、滑り軸受長さの5%から10%、好ましくは7%であることを特徴する。
【0014】
本発明によるギアポンプの更なる実施形態は、バー幅Dが、滑り軸受長さLの1%から10%、好ましくは3%であることにある。
【0015】
本発明によるギアポンプの更なる実施形態は、充填ポケットが、滑り軸受長さの5%から20%、好ましくは10%である、シャフト軸に対して軸方向に最大幅を有することにある。
【0016】
本発明によるギアポンプの更なる実施形態は、2つのシャフト軸に及ぶ平面に対して且つギアの回転方向に、225°から315°の角度、好ましくは270°で始まる充填ポケットにある。
【0017】
本発明によるギアポンプの更なる実施形態は、2つのシャフト軸に及ぶ平面に対して且つギアの回転方向に、315°から360°の角度、好ましくは330°で終わる充填ポケットにある。
【0018】
本発明によるギアポンプの更なる実施形態は、充填ポケットから潤滑溝までの遷移領域の断面が、連続的な設計であることにある。
【0019】
本発明によるギアポンプの更なる実施形態は、潤滑溝が、滑り軸受端の方向においてシャフト軸に対して鋭角の角度で延びることにある。
【0020】
本発明によるギアポンプの更なる実施形態は、滑り軸受の端に延びる潤滑溝にある。
【0021】
本発明によるギアポンプの更なる実施形態は、軸受ジャーナルの少なくとも1つが、その軸方向の範囲の少なくとも一部にわたって、関連するギアの歯の歯底円直径の90%から100%の範囲にある軸受ジャーナル直径を有することにある。
【0022】
最終的に、本発明は、質量パーセントが、搬送媒体の総質量の60%より多い充填剤(例えば、二酸化チタン TiO2、炭酸カルシウム、木粉、石、白亜、獣脂、滑石、珪酸塩、特にカーボンブラックの形態の炭素を有するポリマーのような、高い粘性の搬送媒体を運搬するための上記実施形態の1又はそれ以上によるギアポンプの使用を含む。
【0023】
本発明の言及された実施形態は、任意の順序で組み合わせることができる。組み合わせによって矛盾をもたらす実施形態の組み合わせのみが、除外される。
【0024】
本発明の実施形態の例が、図を参照して以下でさらに詳細に説明される。これらは、説明の目的のみのためであり、制限的に解釈されない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】斜視図における、本発明によるギアポンプのための軸受ジャーナルを有する公知のギアを示す。
【
図2】本発明による滑り軸受を通る
図3の切断線B‐Bによるシャフト軸の横断面を示す。
【
図3】
図2に示された本発明による滑り軸受を通る
図2の切断線C‐Cによるシャフト軸を通る断面を示す。
【
図4】隣接する潤滑溝を有する本発明による滑り軸受に組み込まれた充填ポケットの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明によるギアポンプのためのジャーナル5,6を有しそれ自体が公知であるギア1の斜視図を示す。ジャーナル5,6の軸方向の範囲の一部にわたって、ジャーナル5,6は、歯部の歯底円直径D
Fとほぼ同じ大きさであるジャーナル直径D
Lを有する。少なくともジャーナル直径D
Lは、歯底円直径D
Fの90%から100%の範囲にある。もちろんこれは、
図1に示されない第2ギアのジャーナルにも同様に適用される。
【0027】
図2は、本発明による滑り軸受3の横断面図を示す。断面は、シャフト軸9に対して横方向であるとともに本発明による充填ポケット2を通って中心づけられており、充填ポケット2は、本発明による滑り軸受3の摺動面に組み込まれる。切断面は、同様に
図3で示され、後に説明されるとともに断面B-Bとして示される。
【0028】
図2から既にみることができるように、充填ポケット2は、滑り軸受のギア側端面7と離間していてそれにより、後に説明されるように、滑り軸受3の摺動面に対応する半径方向の広がりを有するバー11が存在する。
【0029】
充填ポケット2の位置は、シャフト軸9まわりの角度によって以下で画定され、すなわち、シャフト軸9は、
図2で示される切断面において原点として画定される。さらに、角度は、角度基準面10に関連して与えられ、角度基準面は、ギアポンプの2つのシャフト軸に及ぶ。シャフト軸9に対して横方向の切断面が示さる
図2において、基準面10は、上方に延びる直線としてみることができ、それによって、角度表示(角度0°)の基準方向は、一方は、原点(シャフト軸9)から始まり、他方は、第2のシャフト軸(
図2で図示せず)を通って直交して延びる直線である。シャフトの回転Rの方向で規定される角度は、正であり、回転の方向の反対に規定される角度は、したがって負である。
【0030】
これらの定義に基づき、開始角αを有する充填ポケット2の始点、及び終了角βを有する充填ポケット2の終点が定められる。第1実施形態において、開始角αは、225°~315°の範囲にあり、特定の実施形態においては、開始角αは270°に等しいことが分かっている。終了角βは、315°~360°の範囲にあり、特定の実施形態においては、終了角βは、330°に等しい。
【0031】
本発明の一実施形態において、充填ポケット2は、開始時、すなわち、開始角αの領域において、小さな切断面を有し、角度が増加するにつれて大きくなり、次に、終了角βに向かって減少する。これは、
図2に示される充填ポケット2の断面からすでに明瞭に見ることが可能である。
【0032】
図3は、本発明による滑り軸受3を通る
図2で示される断面C-Cによるシャフト軸9の断面図を示す。充填ポケット2及びそれと連通する潤滑溝4は、明瞭に見ることが可能であり、示される実施形態においては、滑り軸受3のシャフト軸9に対して角度γで滑り軸受3の摺動面に組み入れられる。潤滑溝4は、滑り軸受3に潤滑剤、すなわち、汲み出される媒体を十分に供給する役割を有し、シャフトと滑り軸受との間の潤滑膜が、いわゆる潤滑間隙において、途切れないようになっている。このためには、潤滑溝4が、先細になるように設計され、すなわち充填ポケット2の横断面図に初めに対応する横断面図は、シーリング側に向かって縮小する。
図3に示される本発明の実施形態において、いわゆるごみ溝13は、潤滑溝4の最後の3分の1に組み込まれ、実質的に一定の横断面を有し、後方に向かって開口していて、異物粒子が滑り軸受3の外に流れ出ることを確実にする。ごみ溝の横断面は、したがって、汲み出される媒体内で予想される最も大きい異物粒子が、流れ出ることができるような寸法づけられる。これは、ごみ溝、及び同様に潤滑溝4の詰まりも防ぐ。
【0033】
図4は、本発明による滑り軸受3に組み込まれる充填ポケット2の平面図を示す。充填ポケット2に結合される潤滑溝4の部分も同様に視認可能である。
【0034】
本発明にとって決定的に重要なことは、充填ポケット2が、平坦軸受3の表面に対応する軸方向の広がりを有するバー11が残る程度にまで、滑り軸受3の端面から距離を開けて配置されることである。これは、シーリングの間隙より大きい異物が、充填ポケット2、及びかくして同様に潤滑溝4に入り込めなくすることを確実にする。したがって、潤滑溝4の詰まりは、十分に防がれ、ギアポンプの故障の確率をかなり低下させる結果となる。本発明によるギアポンプは、かくして、公知のギアポンプよりかなり堅牢である。
【0035】
本発明によるギアポンプは、したがって、高い割合の固体又は臨海サイズより大きな固体(異物粒子)を有するポリマー溶融物のような、汲み出される媒体も同様に、最適に処理することができ、そのようなギアポンプは、今までにはない。バー11は、多すぎる或いは大きすぎる異物粒子が、シャフトと滑り軸受3との間の狭い潤滑間隙に入り込むことを防ぐ。バー11は、かくして、ある大きさまでの異物粒子のみが通過することを可能にする一種のフィルターとして作用する。潤滑溝4及びもし存在する場合にはごみ溝が、通過することがちょうど可能な異物粒子の大きさに応じて寸法付けられる場合、潤滑溝4の詰まり及びかくして、滑り軸受3の潤滑膜の途切れが防がれるので、非常に堅牢なギアポンプが達成される。
【0036】
充填ポケット2の形状は、シャフトの回転方向に初めにより深くなるように、すなわち、横断面が、シャフトの回転方向に増加するようになっている。
【0037】
本発明の更なる実施形態において、充填ポケット2は、シャフト軸9に対して軸方向に最大幅Brを有し、滑り軸受長さLの5%~20%、好ましくは10%である。本明細書では、滑り軸受3の端面とそれぞれの充填ポケット2との間の距離dは、例えば、滑り軸受長さLの5%~10%、好ましくは7%であってもよい。距離dは、例えば、充填ポケット2の巻かれていない範囲の実質的部分にわたって、すなわち、充填ポケット2の巻かれていない範囲の、50%より多く、特に80%より多く、維持され得る。さらに、距離dは、端面から滑り軸受面まで丸みを帯びて移行する場合においては、任意の半径を含んでもよい。端面から滑り軸受面までの丸みを帯びた移行の存在下において、バー11が、滑り軸受面と同じ高さにおいて軸方向にバー幅Dを有し、バー幅Dが、滑り軸受長さLの少なくとも1%~10%、好ましくは3%であることが重要である。
【符号の説明】
【0038】
1 ギアホイール
2 充填ポケット
3 滑り軸受
4 潤滑溝
5,6 軸受ジャーナル
7 ギア側端面
R シャフトの回転方向
9 シャフト軸
10 角度基準面
11 バー
12 遷移領域
13 ごみ溝
α 開始角
β 終了角
γ 傾斜角
DL 軸受ジャーナル直径
DF 歯部の歯底円直径
L 滑り軸受長さ
Br 幅
d 滑り軸受面からの充填ポケットの距離
D バー幅
【国際調査報告】