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▶ ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】脊椎固定インプラント用の挿入器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/88 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
A61B17/88
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567139
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022028802
(87)【国際公開番号】W WO2022241011
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/188,763
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508296440
【氏名又は名称】ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】エサヤン,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ファム,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ラフーン,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ウェイ-シァン
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】デ ラ ロサ,アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイルズ,マリー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL70
(57)【要約】
【要約】
本明細書に開示されるのは、脊椎固定インプラント処置に使用するための分解可能な挿入器、そのような挿入器を使用してインプラントを係合するための方法、そのような挿入器からインプラントを係合解除する方法、およびそのような挿入器を分解するための方法、ならびにそのような挿入器および対応するインプラントを含むシステムである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎固定インプラントを挿入するための挿入器であって、前記挿入器は、
近位部材と、そこから遠位に延在する筐体シャフトとを有する筐体と、
遠位端および近位端を有する内側シャフトであって、前記内側シャフトは、前記筐体シャフト内に少なくとも部分的に配置され、前記筐体シャフトに対して平行移動するように構成され、前記遠位端は、前記脊椎固定インプラントに解放可能に係合するように構成される、内側シャフトと、
前記内側シャフトの前記近位端に回転可能に固定され、前記挿入器の長手方向軸の周りを回転し、それによって前記内側シャフトを回転させるように構成されたサムホイールと
前記内側シャフトと係合されるロックであって、前記ロックは、ロック位置とロック解除位置との間で移動するように構成され、前記ロック位置では、前記内側シャフトは、前記サムホイールに回転可能に固定され、前記ロック解除位置では、前記内側シャフトおよび前記サムホイールは、相互から分離可能である、ロックと
前記脊椎固定インプラントが前記内側シャフトの前記遠位端から完全に係合解除されたことを示すために、可聴及び/又は触覚フィードバックのうちの1つ又は複数をユーザに提供するように構成されたソフトストップと、を含む、挿入器。
【請求項2】
前記内側シャフトの前記遠位端が、前記脊椎固定インプラント上の相補的なねじ山と係合するように構成されたねじ山を備える、請求項1に記載の挿入器。
【請求項3】
第1の方向への前記サムホイールの回転は、前記内側シャフトの前記遠位端を前記脊椎固定インプラントに係合させるように構成され、第2の方向への前記サムホイールの回転は、前記内側シャフトの前記遠位端を前記脊椎固定インプラントから係脱させるように構成される、請求項1に記載の挿入器。
【請求項4】
前記ロック解除位置において、
前記内側シャフトは、遠位に並進し、その前記近位端を前記サムホイールから係脱させるように構成され
前記内側シャフトは、前記筐体シャフトの遠位端から取り外されるようにさらに構成されている、請求項1に記載の挿入器。
【請求項5】
前記サムホイールは、前記サムホイールを遠位方向に付勢するように構成された付勢要素をさらに備え、
前記ロック解除位置において、前記サムホイールは、前記付勢要素の力に対して近位に並進するように構成され
前記内側シャフトの前記近位端が前記サムホイールから係合解除されると、前記サムホイールの遠位端は、前記長手方向軸に対して半径方向外向きに移動して、前記挿入器からの前記サムホイールの分解を開始するように構成される、請求項4に記載の挿入器。
【請求項6】
前記内側シャフトの前記近位端は、前記サムホイール上の対応するキー付き特徴部との相補的な嵌合を提供するキー付き特徴部を備える、請求項1に記載の挿入器。
【請求項7】
前記キー付き特徴部は、オス型六角形特徴部であり、前記対応するキー付き特徴部は、メス型六角形特徴部である、請求項6に記載の挿入器。
【請求項8】
請求項1に記載の挿入器であって、前記内側シャフトが第1の直径を有し、前記ロックが
前記第1の直径に対して減少された第2の直径を有する前記内側シャフトの部分と、
前記筐体上に配置され、前記長手方向軸に対して実質的に垂直な方向に移動可能なロックボタンであって、前記ロックボタンは、前記減少された直径を有する前記内側シャフトの前記部分に係合するように構成されたスロットを備える、ロックボタンと、をさらに備え、
前記スロットは、不規則な断面形状を有し、そのため、
前記ロック位置において、前記ロックボタンの外面は、前記筐体の外面と実質的に同一平面にあり、前記スロットの第1の端部は、前記内側シャフトの前記減少された直径を有する前記部分との締まり嵌めを提供し、
前記ロック解除位置において、前記ロックボタンの前記外面は、前記筐体の前記外面に対して隆起しており、前記スロットの第2の端部は、前記内側シャフトの前記減少された直径を有していない部分において前記内側シャフトを収容し、前記内側シャフトが並進することを可能にする、請求項1に記載の挿入器。
【請求項9】
前記ロックが、
前記ロックボタンが移動可能である前記方向と平行な方向に前記ロックボタン内に延在するトラックと、
前記トラック内に配置されたピンと、
前記筐体内に配置され、前記ロック位置および前記ロック解除位置において前記ロックボタンに係合するように構成されたプランジャと、
前記プランジャに係合するように構成されたばねと、
前記プランジャおよび前記ばねの位置を維持するように構成されたねじと、をさらに備える、請求項8に記載の挿入器。
【請求項10】
前記筐体が、前記ロック解除位置で前記プランジャに係合するように構成された第1の貫通孔と、前記ロック位置で前記プランジャに係合するように構成された第2の貫通孔とをさらに備える、請求項9に記載の挿入器。
【請求項11】
前記ソフトストップが、
前記サムホイールの近位端上の相補的キー付き特徴に回転可能に係合するように構成されたキー付き遠位端特徴であって、前記キー付き遠位端特徴は、その上に配置される複数のねじ山を有する、長手方向に延在する本体に結合される、キー付き遠位端特徴と、
前記長手方向に延在する本体に螺合し、前記ソフトストップ内で並進するように構成されたスライダ本体と、
それぞれ前記スライダ本体の両端に配置された第1の波形ばね及び第2の波形ばねと、を備える、請求項1に記載の挿入器。
【請求項12】
前記サムホイールは、前記スライダ本体が前記第1の波形ばねまたは前記第2の波形ばねに当接した後に回転可能であるように構成される、請求項11に記載の挿入器。
【請求項13】
請求項1に記載の挿入器と、
前記脊椎固定インプラントと、を備えるシステム。
【請求項14】
脊椎固定インプラントを挿入するための挿入器であって、前記挿入器が、
外側シャフトを備える本体と、
前記脊椎固定インプラントに解放可能に係合するように構成された遠位端と、近位端と、を有する内側シャフトであって、前記内側シャフトは、少なくとも部分的に前記外側シャフト内に配置される、内側シャフトと、
前記内側シャフトに回転可能に固定され、前記本体の周囲に配置されたサムホイールと、を備え、
前記サムホイールは、前記挿入器の長手方向軸の周囲で前記サムホイールの回転運動を可能にするために、前記本体に対して平行移動するように構成されており、
前記サムホイールは、前記内側シャフトが前記脊椎固定インプラントに係合し、かつ係合解除するように構成されたロック解除位置と、前記内側シャフトが前記脊椎固定インプラントと係合した状態でロックされるロック位置との間で前記挿入器を移動させるために、前記長手方向軸を中心に第1の範囲だけ回転するように構成されており、
前記サムホイールは、前記本体からの前記サムホイールの取り外しを可能にするために、前記長手方向軸の周りで第2の範囲を回転するようにさらに構成されている、挿入器。
【請求項15】
前記本体が、前記外側シャフトに連結された中間本体部材と、前記中間本体部材に連結された近位本体部材とを更に備える、請求項14に記載の挿入器。
【請求項16】
前記中間本体部材が、反トルク点をさらに備える、請求項15に記載の挿入器。
【請求項17】
前記本体は、バッキングプレートと、前記バッキングプレートに固定された付勢要素と、をさらに備え、前記付勢要素は、前記サムホイールを遠位方向に付勢するように構成されている、請求項14に記載の挿入器。
【請求項18】
前記付勢要素が、波形ばねを含む、請求項17に記載の挿入器。
【請求項19】
前記本体が、その上に配置されたロックボタンをさらに備え、前記ロックボタンは、前記本体に対して半径方向外側に延びるように構成され、
前記サムホイールが、さらに前記サムホイールの内側ボア上に配置され、前記ロックボタンを前記ロック解除位置に収容するように構成された第1の切欠きをさらに備える、請求項14に記載の挿入器。
【請求項20】
前記サムホイールが、その遠位端表面に配置されたレリーフをさらに備え、前記レリーフが、前記サムホイールが前記長手方向軸の周りで前記第2の範囲を回転させられたときに、前記ロックボタンを収容するように構成されている、請求項19に記載の挿入器。
【請求項21】
前記本体が、その上に配置される固定タブをさらに備え、前記サムホイールが、その内側ボア上に配置され、前記ロック解除位置で前記固定タブを収容するように構成された第2の切欠きをさらに備える、請求項19に記載の挿入器。
【請求項22】
前記第1の切欠きが、前記ロック位置において前記固定タブを収容するようにさらに構成され、前記第2の切欠きが、前記ロック位置において前記ロックボタンを収容するようにさらに構成されている、請求項21に記載の挿入器。
【請求項23】
前記第1の切欠きおよび前記第2の切欠きが、前記第1の切欠きおよび前記第2の切欠きが互いに約180°で配置されるように、前記サムホイールの前記内側ボア上に互いに対向して配置される、請求項21に記載の挿入器。
【請求項24】
前記サムホイールが、その前記内側ボア上に配置される半径方向トラックをさらに備え、前記半径方向トラックが、前記第1の切欠きおよび前記第2の切欠きと連通し、それらに対して遠位に配置され、
前記半径方向トラックが、前記固定タブおよび前記ロックボタンが前記半径方向トラック内に収容されるように、前記サムホイールが近位方向に平行移動するときに、前記サムホイールが前記本体の周りを回転することを可能にするように構成される、請求項21に記載の挿入器。
【請求項25】
前記本体上に配置された回転可能タブであって、前記回転可能タブが、前記本体に対して回転可能であり、前記内側シャフトに関して回転可能に固定される、回転可能タブと、
前記サムホイールの内側ボアに沿って軸方向に延在し、前記回転可能タブを収容するように構成された第1のチャネルと、をさらに備え、
前記回転可能タブが、前記挿入器の長手方向軸の周りを、前記サムホイールが前記挿入器の前記長手方向軸の周りを回転する前記サムホイールに応答して前記第1のチャネル内で回転するように構成されており、
前記内側シャフトが、前記回転可能タブの前記回転に応答して回転するように構成されている、請求項21に記載の挿入器。
【請求項26】
前記第1のチャネルは、その遠位端において前記第1の切欠きに対して開いている、請求項25に記載の挿入器。。
【請求項27】
前記サムホイールの内側ボアに沿って軸方向に延在し、前記サムホイールが前記第2の範囲を回転したときに前記固定タブを収容するように構成された第2のチャネルをさらに備え、
それによって、前記サムホイールが除去のために前記本体の端部から離れて遠位に平行移動することを可能にする、請求項21に記載の挿入器。
【請求項28】
前記第1の範囲は約180°であり、前記第2の範囲は約90°である、請求項14に記載の挿入器。
【請求項29】
前記内側シャフトの前記遠位端に配置され、前記脊椎固定インプラント上のカム面と係合するように構成されたカムをさらに備える、請求項14に記載の挿入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2021年5月14日に出願された米国仮特許出願第63/188,763号の優先権を主張し、その内容は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、脊椎固定インプラント用の挿入器に関する。
【背景技術】
【0003】
背中の問題は、一般的で衰弱させる医療上の出来事であり、その結果、米国だけでも毎年500,000件を超える脊椎腰椎及び頸部融合手技が行われている。背痛および身体障害の原因の1つは、脊椎における1つまたは複数の椎間板の破裂または変性に起因する。
【0004】
外傷、疾患、または老化による椎間板の変位、損傷、または変性の問題を修正するために、外科的処置が一般的に行われる。一般に、脊椎固定処置は、病気のまたは損傷した椎間板の一部または全部を除去すること、および、結果として生じる椎間板腔に1つまたは複数の椎間インプラントを挿入することを含む。
【0005】
脊椎固定インプラントを挿入するために使用される器具を含む、脊椎手術処置中に使用するための改良された器具を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様は、脊椎固定インプラントを挿入するための挿入器を提供し、挿入器は、近位部材と、そこから遠位に延在する筐体シャフトとを有する筐体と、遠位端と近位端とを有する内側シャフトであって、少なくとも部分的に筐体シャフト内に配置され、筐体シャフトに対して並進するように構成された内側シャフトとを備える。内側シャフトの遠位端は、脊椎固定インプラントに解放可能に係合するように構成される。サムホイールは、内側シャフトの近位端に回転可能に固定され、挿入器の長手方向軸の周りを回転し、それによって内側シャフトを回転させるように構成される。ロックが内側シャフトと係合され、ロックは、ロック位置とロック解除位置との間で移動するように構成される。ロック位置では、内側シャフトは、サムホイールに回転可能に固定され、一方、ロック解除位置では、内側シャフトおよびサムホイールは、互いから分離可能である。ソフトストップは、脊椎固定インプラントが内側シャフトの遠位端から完全に係合解除されたことを示すために、可聴および/または触覚フィードバックのうちの1つまたは複数をユーザに提供するように構成される。
【0007】
特定の実施形態では、内側シャフトの遠位端は、脊椎固定インプラント上の相補的なねじ山と係合するように構成されたねじ山を備える。
【0008】
特定の実施形態では、第1の方向へのサムホイールの回転は、内側シャフトの遠位端を脊椎固定インプラントに係合させるように構成され、第2の方向へのサムホイールの回転は、内側シャフトの遠位端を脊椎固定インプラントから係脱させるように構成される。
【0009】
特定の実施形態では、ロック解除位置では、内側シャフトは、遠位に平行移動し、その近位端をサムホイールから係脱させるように構成される。内側シャフトは、挿入器を分解するために筐体シャフトの遠位端から取り外されるようにさらに構成される。
【0010】
特定の実施形態では、サムホイールは、サムホイールを遠位方向に付勢するように構成された付勢要素をさらに備える。ロック解除位置では、サムホイールは、付勢要素の力に対して近位に平行移動するように構成される。内側シャフトの近位端がサムホイールから係合解除されると、サムホイールの遠位端は、長手方向軸に対して半径方向外向きに移動して、挿入器からのサムホイールの分解を開始するように構成される。
【0011】
特定の実施形態では、内側シャフトの近位端は、サムホイール上の対応するキー付き特徴との相補的嵌合を提供する、キー付き特徴を備える。
【0012】
特定の実施形態では、キー付き特徴は、オス型六角形特徴であって、対応するキー付き特徴は、メス型六角形特徴である。
【0013】
特定の実施形態において、内側シャフトは、第1の直径を有し、ロックは、第1の直径に対して減少された第2の直径を有する内側シャフトの一部分と、筐体上に配置され、長手方向軸に対して実質的に垂直な方向に移動可能なロックボタンとをさらに備える。ロックボタンは、内側シャフトの縮径部を有する部分に係合するように構成されたスロットを備える。スロットは、不規則な断面形状を有し、その結果、ロック位置において、ロックボタンの外面は、筐体の外面と実質的に同一平面にあり、スロットの第1の端部は、内側シャフトの縮径された部分との締まり嵌めを提供する。ロック解除位置では、ロックボタンの外面は、筐体の外面に対して持ち上げられ、スロットの第2の端部は、縮径部を有していない部分で内側シャフトを収容し、内側シャフトが並進することを可能にする。
【0014】
特定の実施形態では、ロックは、ロックボタンが移動可能である方向と平行な方向にロックボタン内に延在するトラックと、トラック内に配置されるピンと、筐体内に配置され、ロック位置およびロック解除位置においてロックボタンに係合するように構成される、プランジャと、プランジャに係合するように構成される、ばねと、プランジャおよびばねの位置を維持するように構成される、ねじとをさらに備える。
【0015】
特定の実施形態では、筐体は、ロック解除位置でプランジャに係合するように構成された第1の貫通孔と、ロック位置でプランジャに係合するように構成された第2の貫通孔とをさらに備える。
【0016】
特定の実施形態では、ソフトストップは、サムホイールの近位端上の相補的キー付き特徴に回転可能に係合するように構成される、キー付き遠位端特徴を備え、キー付き遠位端特徴は、その上に配置される複数のねじ山を有する、縦方向に延在する本体に結合される。スライダ本体は、長手方向に延びる本体に螺合し、ソフトストップ内で並進するように構成される。第1の波形ばねおよび第2の波形ばねは、それぞれ、スライダ本体の両端に配置される。特定の実施形態において、サムホイールは、スライダ本体が第1の波形ばねまたは第2の波形ばねに当接した後であっても回転可能であるように構成される。
【0017】
本開示の第2の態様は、上記の第1の態様に記載された挿入器と、挿入器の遠位端によって係合されるように構成された脊椎固定インプラントとを備えるシステムを提供する。特定の実施形態では、脊椎固定インプラントは、挿入器の遠位先端部と螺合するように構成されたねじ接続部を含むことができる。
【0018】
本開示の第3の態様は、脊椎固定インプラントを挿入するための挿入器を提供し、挿入器は、外側シャフトと、脊椎固定インプラントに解放可能に係合するように構成された遠位端と、近位端とを有する内側シャフトとを備える本体を備え、内側シャフトは、少なくとも部分的に外側シャフト内に配置される。サムホイールは、内側シャフトに回転可能に固定され、本体の周囲に配置され、サムホイールは、挿入器の長手方向軸の周囲でサムホイールの回転運動を可能にするために、本体に対して平行移動するように構成される。サムホイールは、挿入器を、内側シャフトが脊椎固定インプラントに係合し、かつ係合解除するように構成されたロック解除位置と、内側シャフトが脊椎固定インプラントと係合した状態でロックされるロック位置との間で移動させるために、長手方向軸を中心に第1の範囲だけ回転するように構成される。サムホイールは、本体からのサムホイールの取り外しを可能にするために、長手方向軸の周りで第2の範囲を回転するようにさらに構成される。
【0019】
特定の実施形態では、本体は、外側シャフトに連結された中間本体部材と、中間本体部材に連結された近位本体部材とを更に備える。
【0020】
特定の実施形態では、中間本体部材は、反トルク点をさらに備える。
【0021】
特定の実施形態において、本体は、バッキングプレートと、バッキングプレートに固定された付勢要素とをさらに備え、付勢要素は、サムホイールを遠位方向に付勢するように構成されている。特定の実施形態では、付勢要素は波形ばねを含む。
【0022】
特定の実施形態において、本体は、その上に配置されたロックボタンをさらに備え、このロックボタンは、本体に対して半径方向外側に延びるように構成され、そして半径方向内側方向に押されるように構成される。サムホイールは、サムホイールの内側ボア上に配置され、ロックボタンをロック解除位置に収容するように構成された第1の切欠きをさらに備える。
【0023】
特定の実施形態において、サムホイールは、その遠位端表面に配置されたレリーフをさらに備え、このレリーフは、サムホイールが長手方向軸の周りで第2の範囲を回転させられたときに、ロックボタンを収容するように構成されている。
【0024】
特定の実施形態では、本体は、その上に配置される固定タブをさらに備え、サムホイールは、その内側ボア上に配置され、係止解除位置で固定タブを収容するように構成される、第2のカットアウトをさらに備える。
【0025】
特定の実施形態において、第1の切欠きは、ロック位置において固定タブを収容するようにさらに構成され、第2の切欠きは、ロック位置においてロックボタンを収容するようにさらに構成される。
【0026】
特定の実施形態において、第1の切欠きおよび第2の切欠きは、第1の切欠きおよび第2の切欠きが互いに約180°で配置されるように、サムホイールの内側ボア上に互いに対向して配置される。
【0027】
特定の実施形態では、サムホイールは、その内側ボア上に配置される半径方向トラックをさらに備え、半径方向トラックは、第1のカットアウトおよび第2のカットアウトと連通し、それに対して遠位に配置され、半径方向トラックは、固定タブおよびロックボタンが半径方向トラック内に収容されるように、サムホイールが近位方向に平行移動するときに、サムホイールが本体を中心として回転することを可能にするように構成される。
【0028】
特定の実施形態では、挿入器は、その近位端において内側シャフトに結合される回転可能タブをさらに備え、回転可能タブは、本体に対して回転可能であり、本体の一部を通して延在する。タブは、内側シャフトに対して回転可能に固定される。第1のチャネルは、サムホイールの内側ボアに沿って軸方向に延在し、回転可能タブを収容するように構成され、回転可能タブは、挿入器の縦軸の周囲で回転するサムホイールに応答して、挿入器の縦軸の周囲および第1のチャネル内で回転するように構成される。内側シャフトは、回転可能タブの回転に応答して回転するように構成される。
【0029】
特定の実施形態において、第1のチャネルは、その遠位端において第1の切欠きに対して開いている。
【0030】
特定の実施形態では、挿入器はさらに、サムホイールの内側ボアに沿って軸方向に延在し、サムホイールが第2の範囲を回転させたときに固定タブを収容するように構成される、第2のチャネルを備え、それによって、サムホイールが除去のために本体の端部から離れて遠位に平行移動することを可能にする。
【0031】
特定の実施形態では、第1の範囲は約180°であり、第2の範囲は約90°である。
【0032】
特定の実施形態では、挿入器は、内側シャフトの遠位端に配置され、脊椎固定インプラント上のカム面と係合するように構成されたカムをさらに備える。
【0033】
本開示の第4の態様は、上記の第3の態様に記載された挿入器と、挿入器の遠位端によって係合されるように構成された脊椎固定インプラントとを備えるシステムを提供する。特定の実施形態では、挿入器は、内側シャフトの遠位端上に配置され、脊椎固定インプラント上のカム表面に係合するように構成される、カムを含む。
【0034】
本開示の第5の態様は、上述の第1または第3の態様による挿入器を使用してインプラントを係合する方法を提供する。
【0035】
本開示の第6の態様は、上述の第1または第3の態様による挿入器からインプラントを係合解除する方法を提供する。
【0036】
本開示の第7の態様は、上述の第1または第3の態様による挿入器を分解するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明のこれらの及び他の態様、利点及び顕著な特徴は、添付の図面と併せて考慮されるとき、本発明の実施形態を開示する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0038】
図1】本発明の第1の実施形態による挿入器の側断面図である。
図2A】本発明の実施形態によるロックを含む、図1のボックスA内の筐体の部分の側断面図を示す。
図2B】本発明の実施形態によるロックを含む、図1のボックスA内の筐体の部分の側断面図を示す。
図2C】本発明の一実施形態による、図2Aの線C-Cに沿ったロックボタンのスロットプロファイルの断面図である。
図3A】本発明の実施形態によるサムホイールを含む、図1のボックスB内の筐体の部分の側断面図を示す。
図3B】本発明の実施形態によるサムホイールを含む、図1のボックスB内の筐体の部分の側断面図を示す。
図4A】本発明の実施形態によるソフトストップを含む、図1のボックスC内の筐体の部分の側断面図を示す。
図4B】本発明の実施形態によるソフトストップを含む、図1のボックスC内の筐体の部分の側断面図を示す。
図5】本発明の実施形態による図1の挿入器の分解斜視図を示す。
図6】本発明の第2の実施形態による挿入器の側面図を示す。
図7図6の実施形態による挿入器の斜視図を示す。
図8図6の実施形態による挿入器の遠位部分の上面図を示す。
図9A図6の挿入器のサムホイールの一部の斜視図を示す。特に、サムホイールの円筒形内側部材を示す。
図9B図6の挿入器のサムホイールの一部の斜視図を示す。特に、サムホイールの円筒形内側部材を示す。
図9C図6の挿入器のサムホイールの一部の斜視図を示す。特に、円筒形内側部材を覆って配置されるように構成されたスリーブまたはグリップを示す。
図9D図6の挿入器のサムホイールの一部の斜視図を示す。特に、円筒形内側部材を覆って配置されたスリーブまたはグリップを示す。
図10A図6の実施形態による挿入器の本体の一部の斜視図を示す。
図10B図6の実施形態による挿入器の本体の一部の斜視図を示す。
図11A図6の実施形態による挿入器の内側シャフトの近位端の斜視図を示す。
図11B図6の実施形態による挿入器の一部の断面図を示す。
図12A図6の実施形態による挿入器の一部の背面図を示す。特に、サムホイールが存在しない挿入器の部分を示す。
図12B図6の実施形態による挿入器の一部の背面図を示す。特に、サムホイールの円筒形内側部材のみが存在する挿入器の部分を示す。
図12C図6の実施形態による挿入器の一部の背面図を示す。特に、サムホイールが存在する挿入器の部分を示す。
図13図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップをさらに示す。
図14図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップをさらに示す。
図15図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップをさらに示す。
図16図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップをさらに示す。
図17図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップをさらに示す。
図18図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップをさらに示す。
図19図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップをさらに示す。
図20図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップをさらに示す。
図21図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップをさらに示す。
図22図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップをさらに示す。
図23A図6の実施形態による挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップを提供するフローチャートを示す。
図23B図6の実施形態による挿入器をロックおよびロック解除する方法におけるステップを提供するフローチャートを示す。
図24図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器を分解する方法におけるステップをさらに示す。
図25図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器を分解する方法におけるステップをさらに示す。
図26図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器を分解する方法におけるステップをさらに示す。
図27図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器を分解する方法におけるステップをさらに示す。
図28図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器を分解する方法におけるステップをさらに示す。
図29図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器を分解する方法におけるステップをさらに示す。
図30図6の実施形態による挿入器の部分の斜視図を示し、本明細書に記載されるような挿入器を分解する方法におけるステップをさらに示す。
図31A図6の実施形態による挿入器を分解し、組み立てる方法におけるステップを提供するフローチャートを示す。
図31B図6の実施形態による挿入器を分解し、組み立てる方法におけるステップを提供するフローチャートを示す。
【0039】
本開示の図面は必ずしも一定の縮尺ではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間で同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
上述のように、本発明の態様は、脊椎固定インプラントを挿入するための挿入器、挿入器を使用してインプラントを係合する方法、挿入器からインプラントを係合解除する方法、および挿入器を分解する方法、ならびにそのような挿入器および対応するインプラントを含むシステムを提供する。このような器具は、従来の器具に対して改善を提供することができる。例えば、器具は、インプラントと挿入器との間の係合及び係合解除の容易さ、作動の容易さ、並びに挿入器の洗浄及び滅菌を容易にするために挿入器を分解する能力(例えば、そのような処置の前及び/又は後)に関連し得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、近位という用語は、図1に方向Pとして示される、要素の対象への取り付けから離れる方向を指し、一方、遠位という用語の使用は、図1に方向Dとして示される、近位方向と反対の、要素の対象への取り付けに向かう方向を指す。
【0042】
図1図5を全体的に参照すると、第1の例示的な挿入器100が、脊椎融合インプラント10を患者の脊椎の椎間腔に挿入する際に使用するために提供される。
【0043】
図1および図5に示されるように、挿入器100は、筐体110を含み得る。筐体110は、近位部材114と、近位部材から遠位端116まで遠位に延在する筐体シャフト112とを含んでもよい。種々の実施形態では、近位部材114は、実質的に「C」形状であるか、またはそうでなければ、サムホイール140を収容するように適合されてもよい。筐体シャフト112および近位部材114は、単一の一体構造であってもよく、または筐体110を形成するように一緒に結合される2つ以上の部材を含んでもよい。
【0044】
図1に示されるように、遠位端122および近位端124を有する内側シャフト120は、使用のために組み立てられるとき、少なくとも部分的に筐体シャフト112内に配置されるように構成される。遠位端122は、脊椎固定インプラント10に解放可能に係合するように構成される。特定の実施形態では、内側シャフト120の遠位端122は、ねじ山を付けられてもよく、脊椎固定インプラント10上の相補的なねじ山に係合するように構成されてもよい。例えば、遠位端122は、雄ねじ特徴を含んでもよく、脊椎固定インプラント10は、雌ねじ特徴を含んでもよい。したがって、第1の方向(例えば、時計回りまたは反時計回り)への内側シャフト120の回転は、インプラント10との内側シャフト120の遠位先端122の係合(例えば、螺合)をもたらし得る一方、別の方向への内側シャフト120の回転は、インプラント10からの内側シャフト120の遠位先端122の係合解除をもたらし得る。筐体シャフト112内で回転することに加えて、内側シャフト120は、筐体シャフト112に対して並進するように構成される。
【0045】
サムホイール140は、内側シャフト120に回転可能に固定されるように構成され、例えば、サムホイール140は、内側シャフト120の近位端124に回転可能に固定されてもよい。サムホイール140は、ユーザ(例えば、外科医、医療専門家、または手術室技術者)に、内側シャフト120の回転を作動させる容易にアクセス可能な手段を提供するように構成される。サムホイール140は、挿入器100の長手方向軸の周りを回転するように構成され、それによって内側シャフト120を回転させる。上述のように、サムホイール140の第1の方向への回転は、内側シャフト120の遠位端122を脊椎固定インプラント10に係合させるように構成され、サムホイール140の第2の方向への回転は、内側シャフト120の遠位端122を脊椎固定インプラント10から係合解除させるように構成される。内側シャフト120の回転は、サムホイール140の回転の程度に直接対応し得る。
【0046】
ロック130は、内側シャフト120と(例えば、その近位端124において)係合され得る。ロック130は、ロック位置とロック解除位置との間で移動するように構成される。ロック位置では、内側シャフト120(例えば、内側シャフト120の近位端124)は、サムホイール140内に配置され、サムホイール210に回転可能に固定される。ロック解除位置では、内側シャフト120およびサムホイール140は、互いから分離可能である(例えば、それらは、分解されることができる)。特に、ロック解除位置では、ロック130は、内側シャフト120から係脱するように構成され、内側シャフト120が筐体シャフト112内で遠位に平行移動することを可能にし、内側シャフト120の近位端124をサムホイール140から係脱させる。この状態では、内側シャフト120は、遠位に並進し、最終的には、その遠位端116から筐体シャフト112から除去されるように構成される。
【0047】
ソフトストップ150は、サムホイール140のさらなる回転を依然として可能にしながら、脊椎固定インプラント10が内側シャフト120の遠位端から完全に係合解除されたことを示すために、可聴および/または触覚フィードバックのうちの1つ以上をユーザに提供するように構成される。
【0048】
図3A図3Bを参照すると、挿入器100のサムホイール140の態様が示されている。図示のように、内側シャフト120の近位端124は、キー付き特徴部126を含むことができ、遠位端サムホイール140は、対応するキー付き特徴部142を含むことができる。キー付き特徴142は、サムホイール140の回転が内側シャフト120の回転を駆動するように、内側シャフト120上(例えば、その近位端124上)の対応するキー付き特徴126との相補的嵌合を提供してもよい。様々な例では、キー状特徴126およびキー状特徴142は、オス/メス関係で互いに嵌合してもよい。キー状特徴126は、サムホイール140と内側シャフト120との間でトルクを伝達するように構成される、任意の数の点を有する、長方形、正方形、五角形、六角形、八角形、または星形等の任意の非円形幾何学形状の断面形状を有してもよい。図3Aに示される例では、キー付き特徴部126は、六角形の断面形状を有し、キー付き特徴部142は、サムホイール140の遠位端に開口する軸方向に延在するチャネルを含み、軸方向に延在するチャネルは、六角形の断面形状を有する。キー付き特徴142は、キー付き特徴126と相補的であり、かつキー付き特徴210を締まり嵌めで受容し、内側シャフト120とサムホイール140との間の回転固定およびトルク伝達を提供するように構成される、断面形状を有してもよい。
【0049】
サムホイール140は、サムホイール内に配置された付勢要素144を含んでもよく、付勢要素は、サムホイール140を遠位方向に付勢するように構成されてもよい。筐体110、内側シャフト120、およびサムホイール140が一緒にロックされるロック位置では、遠位方向(例えば、内側シャフト120に向かう)のサムホイール140のこの付勢は、ロック位置の維持、およびキー付き特徴142、126におけるサムホイール140と内側シャフト120との間の接触に寄与する。
【0050】
サムホイール140は、付勢要素144の力に対して近位に並進するように構成される。近位方向へのそのような並進は、付勢要素144の圧縮を引き起こし、サムホイール140が内側シャフト120に対して近位方向に並進することを可能にする。サムホイール140が近位方向に十分な距離を並進したとき、内側シャフト120の近位端124は、もはやサムホイール140のキー付き特徴142内に拘束されない。内側シャフト120の近位端124は、次いで、サムホイール140から係脱されてもよい。内側シャフト120の近位端124がサムホイール140の遠位端でキー付き特徴142を出ると、サムホイール140の遠位端は、挿入器100の長手方向軸に対して半径方向外向きに移動するように構成される。次に、本明細書でさらに説明するように、ロック130の操作を条件として、挿入器100の分解を行うことができ、内側シャフト120は、筐体シャフト112の遠位端116を介して取り外すことができ、サムホイール140は、遠位端を最初にして、サムホイール140を挿入器の長手方向軸から離れるように引いて筐体110から外すことによって取り外すことができる。
【0051】
図2Aおよび図2Bを参照すると、上述のように、挿入器100は、筐体110に対する内側シャフト120の軸方向位置をロックして保持するように構成されたロック130をさらに含むことができる。
【0052】
図2Bおよび図5に示すように、内側シャフト120は、シャフトの一部に沿って第1の直径127を有してもよい。内側シャフト120は、第1の直径127よりも小さい第2の直径128を有する部分をさらに含むことができる。減少した直径128を有する部分は、近位方向および遠位方向の両方において、第1の直径127を有する部分の間に配置され得る。この縮径部128を有する部分は、ロックボタン132と相互作用してロック130を形成するように構成されてもよい。
【0053】
ロックボタン132は、筐体110上に配置されてもよく、挿入器100の長手方向軸に対して実質的に垂直な方向に移動可能であってもよい。ロックボタン132は、その中に配置されたスロット134を含み得、内側シャフト120は、それを通過するか、またはそれを通って延在する。スロット134は、第2のより小さい直径128を含む内側シャフト120の部分に係合するように構成されてもよい。この目的のために、スロット134は、一端で第1の直径127を収容し、他端で第2の縮小された直径128を収容するように構成された不規則な断面形状(図2C)を含むことができる。ロック130がロック位置にあるとき、ロックボタン132は押し下げられ(例えば、ロックボタンの外面は筐体110の外面と実質的に同一平面にある)、スロット134の第1の端部131は、縮小された直径128を有する内側シャフトの部分との締まり嵌めを提供する。したがって、ロックボタン132が押し下げられると、内側シャフト120の第2の縮小直径部分128の周囲に締まり嵌めを提供するように構成される直径を有する、スロット134の第1の端部131が、内側シャフト120上に押下され、スロット134は、縮小直径128を有する内側シャフト120の部分に係合する。このようにして、スロット134のより狭い第1の端部131は、内側シャフト120の減少した直径部分128を係合し、近位方向または遠位方向のいずれかへの並進を防止する。この位置では、縮径部分128の近位側および遠位側の両方にある第1の直径127を有する内側シャフト120の部分は、内側シャフト120が通過するスロット134の第1の端部131内に収容されない。
【0054】
ロック132が図2Aおよび図2Bに示されるロック解除位置にあるとき、ロックボタン132の外面は、筐体110の外面に対して持ち上げられ、したがって、ロックボタン132およびスロット134を上方に並進させる。この位置では、スロット134の第2の端部133は、内側シャフト120と整列させられる。スロット134の第2の端部133は、内側シャフト120のより大きい直径127を収容するように成形および寸法決定される。したがって、ロックボタン132が持ち上げられると、内側シャフト120は、第1のより大きい直径127を有する部分を含むその全長に沿ってスロット134を通って収容される。この位置では、内側シャフト120は、制限なく並進することができる。
【0055】
ロック130は、ロックボタン132が移動可能な方向に平行な方向にロックボタン内に延在するトラック136をさらに含み得る。ピン138は、トラック136内に配置され得る。トラック136およびピン138は、ロックボタン132の動きをさらに規定および制限するように構成され得る。プランジャ135は、筐体110内にさらに配置されてもよく、ロック位置およびロック解除位置でロックボタン132と係合するように構成されてもよい。ばね137は、プランジャ135に係合するように構成されてもよく、ねじ139は、プランジャおよびばねの位置を維持するようにさらに構成されてもよい。筐体110は、ロック解除位置でプランジャ135に係合するように構成された第1の貫通孔118aと、ロック位置でプランジャ135に係合するように構成された第2の貫通孔118bとをさらに含むことができる。挿入器100は、手動でまたは自動的に、ロック位置(例えば、ロックボタンが押し下げられた)からロック解除位置(例えば、ロックボタンが持ち上げられた)に移動させることができる。例えば、ユーザは、挿入器100をロック位置からロック解除位置に手動で変更することができる。
【0056】
次に図4A図4Bを参照すると、挿入器100は、ソフトストップ150をさらに含むことができる。前述のように、ソフトストップ150は、内側シャフト120がインプラント10(図1)から完全に係合解除されたときに、ユーザに聴覚および/または触覚フィードバックを提供するように構成されてもよい。サムホイール140は、その近位端上に配置されるキー付き特徴146を含んでもよく、これは、ソフトストップ150の遠位端上の相補的キー付き特徴152に回転可能に係合するように構成されてもよい。例えば、キー付き特徴部146及び152は、雌/雄対応で互いに係合してもよい。キー状特徴152は、サムホイール140とソフトストップ150の本体154との間でトルクを伝達するように構成される、例えば、長方形、正方形、五角形、六角形、八角形、または任意の数の点を有する星形等の任意の非円形幾何学形状の断面形状を有してもよい。キー付き機構152は、近位方向に軸方向に延在する本体154に連結されてもよい。本体154は、その外面に配置された複数のねじ山156を含むことができる。スライダ本体158は、ソフトストップ150内に配置されてもよく、長手方向に延在する本体154上のねじ山156に螺合するように構成されたねじ付き開口157を含んでもよい。一対の付勢部材159は、スライダ本体158の両側で、ソフトストップ150の両端に配置されてもよい。
【0057】
使用時に、キー付き特徴部146を含むサムホイール140が第2の方向に回転して遠位先端部122をインプラント10から係合解除すると、本体154は、サムホイール140の回転に応答して回転する。本体154は、その軸方向位置に固定されているが、スライダ本体158に対して回転する。本体154のねじ山156とスライダ本体158のねじ付き開口157との間のねじ係合の結果として、スライダ本体は、本体154の回転するねじ山によって駆動されて、ソフトストップ150の内部ボアに沿って並進するように構成される。サムホイール140が回転されると、スライダ本体158は、サムホイール140が回転される方向に応じて、近位または遠位のいずれかに平行移動するように構成される。最終的に、スライダ本体158は、ソフトストップ150の近位端または遠位端に並進し、付勢部材159に接触する。各付勢部材159は、例えば、波形ばねであってもよい。スライダ本体158と付勢部材159との間のこの接触は、ユーザに触覚及び/又は可聴フィードバックを提供するように構成される。
【0058】
ソフトストップ150の軸方向長さは、サムホイールが上述のように可聴および/または触覚フィードバックを生成するのに十分な回数だけ回転されたときに、内側シャフト120がインプラント10から完全に係合解除されたとユーザが理解することができるように構成される。このフィードバックにより、ユーザは、例えば、インプラント10がまだ係合されておらず、挿入器100の引き出しによってその位置から不注意に移動されないという確信を持って、患者から挿入器100を引き出すことが可能になる。このフィードバックはまた、インプラント10の不注意な再位置決めを回避するために、インプラント10との係合解除の点を超えて不必要な追加の回数だけサムホイール140を回転させることなく、インプラント10から係合解除した後に、ユーザが患者から挿入器100を迅速に抜去することを可能にする。ソフトストップ150は、スライダ本体158が付勢部材159のうちの1つに接触および/または当接した後でさえもサムホイール140が回転可能であり続けるように構成され得る。
【0059】
上述の挿入器100に加えて、別の実施形態では、脊椎固定処置で使用するためのシステムが提供されることも考えられる。システムは、脊椎固定インプラント10(図1)と共に、本明細書に実質的に記載される挿入器100を含んでもよい。適切な脊椎固定インプラントは、当技術分野で知られている。本明細書の器具から利益を得ることができる脊椎インプラントの例としては、米国特許第10,675,158号(2018年6月16日出願の出願番号第16/010,405号)、米国特許第10,390,960号(2017年6月27日出願の出願番号第15/635,087号)に記載されているインプラント、米国特許第9,730,802号(2015年1月14日出願の出願番号第14/597,085号)、及び米国特許第9,180,021号(2014年6月25日出願の出願番号第14/314,823号)に記載されている脊椎インプラントが挙げられ、これらの内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
また、本明細書では、挿入器100の例示的な使用方法が提供される。第1のステップによれば、挿入器100が提供される。挿入器100は、分解された状態であってもよく、そうである場合、組み立てられてもよい。このような組み立ては、サムホイール140のキー付き特徴部146をソフトストップ150のキー付き特徴部152上に配置することと、サムホイール140を挿入器100の長手方向軸と整列させることとを含み得る。次いで、内側シャフト120は、近位端124がサムホイール140と係合するように、筐体シャフト112の中に近位方向に挿入されてもよい。第2のステップでは、サムホイール140は、インプラント10に係合するように第1の方向に回転させられてもよい。第3のステップでは、ロックボタンを押して、内側シャフト120の軸方向位置、ならびに内側シャフト120およびサムホイール140の回転位置をロックすることができる。第4のステップでは、インプラント10は、切開を通して挿入され、患者の所望の場所、例えば、椎間腔の中に留置されてもよい。第5のステップでは、挿入器100は、ロック解除され、ロックボタンを上向きに延在させ、それによって、もはや筐体表面と同一平面ではなくなる。第6のステップでは、サムホイール140は、第1の方向と反対である第2の方向に回転させられ、内側シャフト120の遠位先端122をインプラント10から係脱させてもよい。第7のステップでは、ユーザがソフトストップ150からフィードバックを受信した後に、回転を中断することができる。第8のステップでは、挿入器100は、患者から引き抜かれてもよい。第9のステップでは、内側シャフトは、挿入器100から遠位方向に除去されてもよい。最後に、第10のステップでは、内側シャフトの近位端によってもはや拘束されていないサムホイールが、筐体110から除去されてもよい。次いで、挿入器100は、その分解された状態で洗浄または滅菌され得る。
【0061】
図6図31を参照して、さらなる実施形態による挿入器200を本明細書で説明する。図6に示すように、脊椎固定インプラント10(図8)を挿入するための挿入器200が開示される。挿入器200は、外側シャフト212と、外側シャフト212内に少なくとも部分的に配置された内側シャフト220とを含む本体210を含むことができる。内側シャフト220は、遠位端222を含んでもよく、その詳細は、図8に図示される。内側シャフト220の遠位端222は、外側シャフト212の遠位端216から延在してもよく、脊椎固定インプラント10(図8参照)に解放可能に係合するように構成されてもよい。特定の実施形態では、内側シャフト220は、その遠位端222に配置されたカムを含んでもよく、カムは、脊椎固定インプラント10のカム面と係合するように構成される。内側シャフト220は、近位端224をさらに含み得る(図11A図11Bを参照)。
【0062】
引き続き図6を参照すると、挿入器200の本体210は、2つ以上の本体部材を含んでもよい。上述したように、本体210は、外側シャフト212を含む遠位本体部材を含むことができる。本体210は、外側シャフト212の近位端に連結された中間本体部材213をさらに含むことができる。中間本体部材213は、その近位端で近位本体部材214に結合され得る。特定の実施形態において、本体210の特徴は、特定の本体部材上に配置され得、例えば、本明細書にさらに記載されるように、逆トルク点283が、中間本体部材213(図7)上に提供され得、そして付勢部材282(図13)が、近位本体部材214上に提供され得る。
【0063】
挿入器200は、例えば、その近位端224において、内側シャフト220に回転可能に固定され、本体210の周囲に配置され得る、サムホイール240をさらに含んでもよい。サムホイール240は、アクセスおよび操作が容易である、内側シャフト220の回転および/または平行移動を作動させる手段をユーザに提供してもよい。
【0064】
サムホイール240は、その内側ボア表面267上に複数のレリーフ特徴を含み得、これは、本体210の特徴と相互作用して、挿入器200に本明細書に記載されるようないくつかの機能性を提供するように構成され得る。例えば、サムホイール240の内側ボア表面267および本体210の特徴によって促進されるように、サムホイール240は、インサータ200の縦軸202の周囲でサムホイール240の回転運動を可能にする、または可能にするために、本体210に対して平行移動するように構成されてもよい。特に、サムホイール240は、挿入器200の長手方向軸202の周りでのサムホイール240の回転運動を可能にするために、近位方向に並進してもよい。
【0065】
サムホイール240は、さらに、内側シャフト220が脊椎固定インプラント10と係合し、かつ、係合解除するように構成されているロック解除位置と、内側シャフト220が脊椎固定インプラントと係合した状態でロックされ、内側シャフト220およびサムホイール240が回転方向にロックされるロック位置との間で挿入器200を移動させるために、長手方向軸202を中心に回転するように構成され得る。特に、例えば上述のように近位方向へのサムホイール240の並進は、挿入器200をロック解除位置からロック位置へ、またはその逆に移動させるために、サムホイール240が第1の程度、例えば長手方向軸202を中心に約180°回転されることを可能にし得る。他の実施形態(例えば、内側シャフト220の遠位先端222に配置された二重カムを有する実施形態)では、第1の範囲は、約90°であってもよい。後者の実施形態では、本明細書に開示されるような他の角度および空間関係が、適応するために調節されてもよい。
【0066】
近位方向に並進すると、サムホイール240は、長手方向軸202の周りで第2の範囲、例えば、ロック解除位置から約90°回転して、サムホイール240が本体210から取り外されるように構成された取り外し位置に至るようにさらに構成されてもよい。例えば、サムホイール240は、サムホイール240を本体210の遠位端からスライドさせることによって、本体210から除去されてもよい。
【0067】
上述のように、サムホイール240は、その内側ボア表面267上に複数のレリーフ特徴を含み得、これらは、本明細書にさらに記載されるように、本体210上の対応する特徴と相互作用して、サムホイール240および挿入器200の特定の機能を提供するように構成される。図9A図9Dを参照すると、例えば、第1の切欠き260、第2の切欠き262、レリーフ264、半径方向トラック266、チャネル268、およびチャネル269を含むサムホイール240のこれらの特徴は、一体形成されたサムホイール本体の部分的な厚さを通して切り込まれたレリーフを含み得るか、または代替的に、スリーブまたはグリップ部材263内に配置されてサムホイール240を集合的に形成するように構成された円筒形内側部材261を通して切り込まれた完全な厚さの特徴または部分的な厚さの特徴であり得る。図9A~9Dに示される一実施形態において、図9A~9Bは、本明細書に記載される様々な特徴を含む円筒形の内側部材261を示し、図9Cは、円筒形の内側スリーブ261の上に配置されるように構成されたスリーブまたはグリップ263を示す。図9Dは、円筒形の内側部材261の上に配置されて、サムホイール240を集合的に形成するスリーブまたはグリップ263を示す。
【0068】
図9Aに戻って参照すると、サムホイール240は、サムホイール240の内側ボア267上に配置される第1のカットアウト260を含んでもよい。第1の切欠き260は、挿入器200がロック解除位置にあるときにロックボタン286(図13図14参照)のサイズおよび寸法を収容するように構成された深さおよび幅を有し得る。ロックボタン286は、本明細書でさらに説明されるように、本体210、例えば、中央本体部材213上に配置されてもよい。図9Bに示されるように、サムホイール240は、サムホイール240の内側ボア267上に同様に配置される第2のカットアウト262をさらに含み得る。第2の切欠き262は、挿入器200がロック解除位置にあるときに(図15参照)、本体210上、例えば、中間本体部材213上に配置される固定タブ284のサイズおよび寸法に適応するように構成される、深さおよび幅を有してもよい。第1のカットアウト260および第2のカットアウト262は、実質的に類似寸法および形状を有してもよく、共通軸方向位置において、サムホイール240の円周に沿って約180°離間されてもよい。この配置は、サムホイール240がロック解除位置からロック位置まで180°回転されたときに、第1の切欠き260が固定タブ284を収容し、第2の切欠き262がロックボタン286を収容することを可能にする(例えば、図22図23を参照)。
【0069】
述べたように、ロックボタン286(例えば、図11Aおよび12Aを参照のこと)は、本体210(例えば、中間本体213)上に配置され得、そしてそこから半径方向外側に延び得る。ロックボタン286は、内側シャフト220と相互作用して、本体210に対する内側シャフト220の軸方向位置、および本体210に対するサムホイール240の軸方向位置を保持するように構成される。ロックボタン286は、挿入器200の長手方向軸202に対して実質的に垂直な方向に、本体210(例えば、中間本体部材213)の凹部215の内外に移動可能であり得る。
【0070】
ロックボタン286は、第1および第2のカットアウト260、262との相互作用を通して、ある構成でサムホイール240の回転を防止するようにさらに構成される。固定タブ284は、本体210上(例えば、中間本体213上)にさらに配置されてもよい。固定タブ284(図11B参照)もまた、本体210に対して半径方向外向きに延在してもよく、ロックボタン286の形状および寸法と実質的に同様の形状および寸法であってもよい。
【0071】
サムホイール240は、その遠位端表面上に配置されるレリーフ264(図9B、9D参照)をさらに含み得る。レリーフ264は、サムホイール240の遠位端表面内のくぼみまたは凹部の形態であってもよい。逃げ部264は、サムホイール240が長手方向軸202の周りで第2の範囲、例えば約90°回転されたときにロックボタン286を収容するように構成されてもよい(図24参照)。ロックボタン286がレリーフ264内に収容されると、サムホイール240の回転は、隆起したロックボタン286とレリーフ264の縁部との間の相互作用によって防止される。
【0072】
サムホイール240は、図9A図9Bに示される半径方向トラック266をさらに含み得、半径方向トラック910は、サムホイール240の内面267の周りに円周方向に延在する半径方向に配向されたトラックまたはチャネルの形態であり得る。半径方向トラック266は、第1および第2のカットアウト260、262の両方と連通し得、半径方向トラック266は、第1のカットアウト260と第2のカットアウト262との間に連続通路を提供し、それに沿って、固定タブ284およびロックボタン286は、サムホイール240が回転されるにつれて進行し得る。半径方向トラック266は、第1および第2のカットアウト260、262に対して遠位に配置されてもよい。その結果、静止時に切欠き260、262内に配置される固定タブ284およびロックボタン286などの特徴は、半径方向トラック266に入るように構成され、したがって、サムホイール240が近位に並進させられるときに、サムホイール240に回転する自由を与える。したがって、半径方向トラック266は、サムホイール240が近位方向に平行移動したときに、サムホイール240が本体210の周りを回転することを可能にし、その結果、固定タブ284およびロックボタン286は、半径方向トラック266内に収容される。
【0073】
図9A図9Bを引き続き参照すると、第1のチャネル268は、サムホイール240の内側ボア267に沿って軸方向に延在する。第1のチャネル268は、第1のチャネル268がその遠位端において第1の切欠き260の深さを画定するベース面に対して開放するように配向され、位置してもよい。第1のチャネル268は、そこから近位に延在してもよい。したがって、第1の切欠き260と第1のチャネル268とは、互いに連通していてもよい。第1のチャネル268は、本体210上、例えば、中間本体213上に配置される、回転可能タブ288(図11A、11B参照)を収容するように構成される。
【0074】
図11Aおよび11Bにより詳細に示されるように、回転可能タブ288は、回転可能タブ288が内側シャフト220に対して回転可能に固定されるように、内側シャフト220の近位端224に結合されてもよい。回転可能なタブ288は、内側シャフト220から半径方向外側に延在してもよく、内側シャフト220の周囲のタブ288の回転は、内側シャフト220を対応する程度回転させるように構成されてもよい。図12Aに示されるように、本体210、例えば、中央本体部材213は、内側シャフト220の近位端224を覆って、かつ回転可能タブ288も覆って配置されてもよい。中央本体部材213は、トラック217(図10A、10B、12A参照)を含み得、回転可能タブ288は、トラック210を通って延び、サムホイール240との係合を可能にする。トラック217は、中間本体213の円周の周りに部分的な範囲に延在してもよい。例えば、トラック217は、中間本体の円周の周りに約180°延在してもよく、それによって、タブ288を軸方向に拘束しながら、タブ288に約180°の可動域を提供する。
【0075】
図12Bに示されるように、回転可能タブ288は、サムホイール240の第1のチャネル268内に収容されてもよい。第1のチャネル268とタブ288との間の相互作用は、サムホイール240と内側シャフト220との間の回転接続を提供する。回転可能なタブ288は、第1のチャネル268内に拘束され、第1のチャネル310に対して回転可能に固定される。回転可能タブ288は、したがって、長手方向軸202を中心としたサムホイール240の回転に応答して、本体210の長手方向軸202を中心としてトラック217内で回転するように構成される。このようにして、サムホイール240の回転は、回転可能タブ288の回転をもたらし、これは、次に、内側シャフト220の回転を引き起こす。図12Cは、図12Bに示されたのと同じ位置にある挿入器を示しており、スリーブまたはグリップ263が円筒形の内側部材261の上に配置されている。
【0076】
図9Aおよび図9Bに戻って参照すると、サムホイール240は、サムホイール240の内側ボア267に沿って軸方向に延在する第2のチャネル269をさらに含み得る。第2のチャネル269は、サムホイールが第2の範囲、例えば、約90°回転したときに固定タブ284を収容するようにサイズ決定および寸法決定され、それによって、サムホイール240の平行移動を可能にしてもよい。特に、固定タブ284の第2のチャネル269による収容は、サムホイール240が、固定タブ284と半径方向トラック266の近位縁またはカットアウト260、262の近位縁との間の任意の衝突によって妨害されずに、除去のために本体210の端部から遠位に並進することを可能にするように構成される(図30および本明細書にさらに説明される)。特に、第2のチャネル269は、第1のチャネル268に平行な方向に延在するように配向および配列され、サムホイール240の円周の周囲で第1のチャネル268から約90°離間されてもよい。
【0077】
図13を参照すると、本体210(例えば、近位本体部材214)は、フランジまたはバッキングプレート280と、それに添着される付勢要素282とをさらに含んでもよい。付勢要素282は、バッキングプレート280の遠位側に配置され得、そして例えば、溶接されるか、または他の方法でバッキングプレートに固定され得、その結果、付勢要素282は、サムホイール240と係合し得る。付勢要素282は、サムホイール240の内側ボア267上の近位当接部と相互作用するように構成されてもよく、近位当接部は、例えば、円筒形内側部材261の近位端表面265であってもよい。付勢要素282は、サムホイール240を遠位方向に付勢するように構成されてもよい。特定の実施形態では、付勢要素282は、波形ばねを含んでもよい。付勢要素282は、回転を作動させるためにサムホイール240が近位に並進され得る抵抗力を提供し得、そうでなければ、ユーザが近位方向にサムホイールを作動させることを具体的に選択するまで、かつ選択しない限り、挿入器200の位置の維持に寄与する。
【0078】
また、外科的処置中に挿入器200を使用するための方法が本明細書に開示され、この方法は、インプラントを挿入器に結合する方法(図23A参照)と、インプラントが患者の中に配置された後に挿入器からインプラントを分離する方法(図23B参照)とを含む。
【0079】
図13図22、および図23Aのフローチャートを参照すると、インプラント10を挿入器200に結合する方法が提供される。ステップ1.1では、挿入器200は、内側シャフト220の遠位端222がインプラント10を受容し、それに結合する準備ができている、係止解除構成で提供されてもよい(図8参照)。図13を参照すると、挿入器200は、本体210上、例えば、中間本体部材213上に、挿入器200が係止解除位置にあるときに起伏264内に可視である、可視表示器281を含んでもよい。可視表示器281は、例えば、緑色のボタンまたは点、あるいはロック解除位置に対応するようにユーザが容易に理解できる他のマーキングであってもよい。図14図15に示すように、ロック解除位置では、ロックボタン286及び固定タブ284は、それぞれ第1及び第2の切欠き260、262内に配置されるか、又はその中に凹まされてもよい。サムホイール240の回転は、カットアウト260、262によるロックボタン286および固定タブ284上の回転拘束によって防止される。
【0080】
サムホイール240をロック解除位置から解放するために、ステップ1.2では、サムホイール240は、図16-17に示されるように、付勢部材282の力に対して近位に平行移動する。特に、サムホイール240の円筒形内側部材261の近位端265は、付勢部材282に接触してもよい。サムホイール240のこの近位方向の並進は、図18図19に示されるように、ロックボタン286および固定タブ284をカットアウト260、262から出し、半径方向トラック266と軸方向に整列させるように構成される。このように並進されると、サムホイール240は、本体210に対して自由に回転する。
【0081】
ステップ1.3では、サムホイール240は、次いで、第1の方向、例えば、時計回りまたは反時計回りに回転させられてもよい。本明細書に示される実施形態では、第1の方向は反時計回りであり得るが、特徴の向きは、同じ機能を用いて、第1の方向が代わりに時計回りであるように構成され得る。半径方向トラック266は、ロックボタン286および固定タブ284に対して十分な軸方向クリアランスを提供し、従って、サムホイール240が近位方向または遠位方向のいずれかにさらに並進することなく回転することを可能にする。サムホイール240の回転は、上述され、図20に示されるように、回転タブ288によって提供されるサムホイール240と内側シャフト220との間の連結により、内側シャフト220の回転に直接対応するように構成されてもよい。特定の実施形態において、サムホイール240をロック解除位置(図13を参照)から反時計回り方向に180°回転させることにより、挿入器200がロック解除位置からロック位置に移動し、一方、サムホイール240をロック解除位置から反時計回り方向に90°回転させることにより、本明細書でさらに説明されるように、分解のためにロックボタン286が露出される。
【0082】
図21~22に示されるように、上述のように、ロック解除位置から反時計回り方向に180°回転した後、ステップ1.4において、挿入器200は、インプラント10(図8参照)が挿入器200の遠位先端に連結されるロック位置に構成される。ロック位置では、ロックボタン286及び固定タブ284は、それぞれ第2及び第1の切欠き262、260内に配置され、すなわち、ロックボタン286及び固定タブ284は、挿入器200がロック解除位置にあったときにそれぞれの特徴部が位置していた反対側の切欠き260、262内に配置される。これは、サムホイール240の180°の回転によるものである。サムホイール240は、付勢部材282によって付勢されて遠位に並進することが可能であり、第2の切欠き262および第1の切欠き260がロックボタン286および固定タブ284をそれぞれ拘束すると、さらなる回転を妨げる。
【0083】
図13図22、および図23Bのフローチャートをさらに参照すると、インプラント10が患者の体内に配置された後に、インプラント10を挿入器から分離するための方法がさらに提供される。このような方法のステップは、実質的に上述のステップの逆である。ステップ2.1では、プロセスは、ロック構成にある挿入器から開始する。これは、例えば、患者の椎間腔内にインプラント10を配置した直後に行われてもよい。ステップ2.2において、サムホイールは、サムホイールの回転を可能にするために近位に並進する。ステップ2.3において、サムホイール240は、ステップ1.3における回転の方向と反対の方向に180°回転され得る。例えば、サムホイール240は、時計回りに回転して、ロック解除位置に戻ることができ、ロック構成を達成するために必要な回転は、反時計回りであった。反対の配置もまた、明らかに可能である。ステップ2.4において、ロック解除構成が達成され、サムホイールは、遠位に並進することが可能になり、付勢部材282によって付勢され、さらなる回転を妨げる。
【0084】
図24図30、および図31Aのフローチャートを参照すると、本明細書では、例えば、外科手術中の使用後、または器具の洗浄もしくは滅菌に有用であり得る、挿入器200を解体または分解するための方法も開示される。
【0085】
分解ステップ3.1では、挿入器200は、ロック解除構成で提供される。ステップ3.2において、サムホイール240は、そのロック解除位置から90°回転され、その結果、ロックボタン286は、図24に示されるように、レリーフ264内で完全に可視である。ステップ3.3において、ロックボタン286は、サムホイール240の内側ボア267の下に位置するように、完全に押下される(図25)。ロックボタン286は、したがって、本体210、例えば、中央本体部材213(図26)の表面と実質的に同一平面である。ロックボタン286がサムホイール240を拘束しなくなると、サムホイール240は解放され、ステップ3.4において遠位方向に並進する(図27)。図28に示されるように、付勢部材282は、近位本体部材214上のバッキングプレート280に添着されてもよく、したがって、サムホイール240とともに平行移動しなくてもよい。ステップ3.4において、サムホイール240は、挿入器200の本体210から離れて遠位に並進する。これが起こると、チャネル268および269は、サムホイール240が遠位に並進するとき(図30)でさえ、回転タブ288および固定タブ284がそれぞれ適所に留まる(図29)ことを可能にする。
【0086】
図24図30、および図31Bのフローチャートを参照すると、本明細書では、例えば、外科的処置中の使用前、または器具の洗浄もしくは滅菌後に有用であり得る、挿入器200を組み立てるための方法も開示される。そのような方法のステップは、図31Aに関して上述したステップの実質的に逆であり、その前、後、または独立して実行され得る。
【0087】
組立ステップ4.1では、挿入器は、例えば、使用前、または滅菌もしくは洗浄手技後に、分解構成で提供される。組立ステップ4.2では、サムホイール240は、遠位端から本体上を、例えば、外側シャフト212上を近位方向に摺動する。サムホイール240の近位端がロックボタン286に到達すると、ステップ4.3において、サムホイール240がロックボタン286上を摺動することを可能にするために、ロックボタン286が押下される。ステップ4.4では、サムホイール240は、例えば、付勢部材282に当接するまで、ロックボタン286を覆って近位に平行移動する。ステップ4.5では、サムホイール240は、次いで、その分解位置(図24)から係止解除位置まで第2の方向に90°回転させられてもよい。次に、挿入器200は、例えば、図23Aの図面及びフローチャートに関して上述したように、インプラントに結合するために使用する準備が整う。
【0088】
上述の挿入器200及び方法に加えて、別の実施形態では、脊椎固定インプラント10(図8参照)と共に、実質的に上述のような挿入器200を含む、脊椎固定処置で使用するためのシステムが提供されることも考えられる。適切な脊椎固定インプラントは、当技術分野で知られている。
【0089】
本明細書で使用される場合、「第1の」、「第2の」などの用語は、いかなる順序、量、または重要性も示さず、むしろ、1つの要素を別の要素と区別するために使用され、本明細書における「a」および「an」という用語は、量の限定を示すものではなく、むしろ、言及された項目の少なくとも1つの存在を示す。量に関連して使用される修飾語「約」は、記載された値を含み、文脈によって決定される意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連する誤差の程度を含む)。本明細書で使用される接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数および複数の両方を含むことを意図し、それによって、その用語の1つまたは複数を含む(例えば、金属(s)は、1つまたは複数の金属を含む)。本明細書に開示される範囲は、包括的であり、独立して組み合わせ可能である(例えば、「最大約25mm、またはより具体的には、約5mm~約20mm」の範囲は、「約5mm~約25mm」の範囲の端点および全ての中間値を含む等)。
【0090】
本明細書では様々な実施形態が説明されているが、本明細書から、当業者によって要素の様々な組み合わせ、変形、または改良がなされてもよく、それらは本発明の範囲内であることが理解されるであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に特定の状況または材料を適合させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲内に入るすべての実施形態を含むことが意図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
【国際調査報告】