IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルコン インコーポレイティドの特許一覧

<>
  • 特表-照射を伴う手術用レーザシステム 図1
  • 特表-照射を伴う手術用レーザシステム 図2
  • 特表-照射を伴う手術用レーザシステム 図3
  • 特表-照射を伴う手術用レーザシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】照射を伴う手術用レーザシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
A61F9/008 110
A61F9/008 120Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567202
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 IB2022054180
(87)【国際公開番号】W WO2022234521
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/185,623
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ゾルト ボル
(72)【発明者】
【氏名】アデラ アポストル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル カストロ
(72)【発明者】
【氏名】レザ カゼインザード
(72)【発明者】
【氏名】ミカイル オフチンニコフ
(72)【発明者】
【氏名】アリレザ マレク タブリージ
(72)【発明者】
【氏名】キース ワタナベ
(72)【発明者】
【氏名】コーリー スチュアート
(57)【要約】
照射を伴う手術用レーザシステムのためのシステム及び方法が開示される。いくつかの実施形態では、レーザシステムは、手術用レーザ及び照射源であって、それらの出力が光ファイバケーブル内に結合され、且つ光ファイバケーブルによって標的面に向けられる、手術用レーザ及び照射源を含む。照射可視光は、連続的及び/又はパルスにおけるものであり得る。手術用レーザパルス及び照射パルスは、ストロボ効果のために同期され得る。レーザシステムは、光ファイバケーブルを通して戻されるレーザ電磁放射を監視することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザシステムであって、
電磁放射を発するように構成された手術用レーザと、
近位端部及び遠位端部を有する少なくとも1つの光ファイバケーブルであって、前記手術用レーザからの前記電磁放射を前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの前記近位端部で受光し、及び前記手術用レーザからの前記電磁放射を前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの前記近位端部から前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの前記遠位端部に、且つ少なくとも1つの前記光ファイバケーブルの前記遠位端部から外に伝送するように構成された少なくとも1つの光ファイバケーブルと、
照射可視光を発するように構成された照射源と、を含み、
前記少なくとも1つの光ファイバケーブルは、前記照射源からの前記照射可視光を前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの前記近位端部で受光し、及び前記照射源からの前記照射可視光を前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの前記近位端部から前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの前記遠位端部に、且つ前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの前記遠位端部から外に伝送するように構成される、レーザシステム。
【請求項2】
前記照射源は、所望の時間にわたり、前記照射可視光を連続的に発するように構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記照射源は、前記照射可視光をパルスにおいて発するように構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項4】
前記手術用レーザは、前記手術用レーザから前記電磁放射をパルスにおいて発するように構成され、前記照射源は、前記照射可視光をパルスにおいて発するように構成され、前記レーザシステムは、前記手術用レーザからの前記パルスと、前記照射源からの前記パルスとを同期させて、ストロボ効果をもたらすように構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記光ファイバケーブルは、前記手術用レーザからの前記電磁放射及び前記照射源からの前記照射可視光を受光するように構成された少なくとも1つの光ファイバを含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記光ファイバケーブルは、前記手術用レーザからの前記電磁放射を受光するように構成された少なくとも第1の光ファイバと、前記照射源からの前記照射可視光を受光するように構成された少なくとも第2の光ファイバとを含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記手術用レーザからの前記電磁放射及び前記照射源からの前記照射可視光を共通の光路に沿って結合させるように構成されたビーム結合部品をさらに含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記ビーム結合部品は、前記手術用レーザからの前記電磁放射が前記ビーム結合部品を通して前記少なくとも1つの光ファイバケーブルに通過することを可能にするように適合され、前記ビーム結合部品は、前記照射源からの前記照射可視光を前記少なくとも1つの光ファイバケーブルに向けるように適合される、請求項7に記載のレーザシステム。
【請求項9】
前記ビーム結合部品は、前記手術用レーザからの前記電磁放射を前記少なくとも1つの光ファイバケーブルに向けるように適合され、前記ビーム結合部品は、前記照射源からの前記照射可視光が前記ビーム結合部品を通して前記少なくとも1つの光ファイバケーブルに通過することを可能にするように適合される、請求項7に記載のレーザシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光ファイバケーブルは、それぞれ近位端部及び遠位端部を有する送出光ファイバケーブル及び出力光ファイバケーブルを含み、前記出力光ファイバケーブルは、前記送出光ファイバケーブルに対して遠位に位置決めされ、前記出力光ファイバケーブルの前記近位端部は、前記手術用レーザからの前記電磁放射及び前記照射源からの前記照射可視光を前記送出光ファイバケーブルの前記遠位端部から受光するように構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項11】
レーザハウジングをさらに含み、前記手術用レーザは、前記レーザハウジングの内部に位置し、前記少なくとも1つの光ファイバケーブルは、前記レーザハウジングに取り外し可能に接続されるように適合される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項12】
戻りレーザ電磁放射を検出するように位置決めされた監視センサをさらに含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項13】
レーザシステムを動作させる方法であって、
手術用レーザから少なくとも1つの光ファイバケーブルに電磁放射を発することと、
照射源から前記少なくとも1つの光ファイバケーブルに照射可視光を発することと、
前記手術用レーザからの前記電磁放射及び前記照射源からの前記照射可視光を前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの近位端部で受光することと、
前記手術用レーザからの前記電磁放射及び前記照射源からの前記照射可視光を前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの前記近位端部から前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの遠位端部に、且つ前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの前記遠位端部から外に標的面へと伝送することと、を含むレーザシステムを動作させる方法。
【請求項14】
前記照射源から前記少なくとも1つの光ファイバケーブルに照射可視光を発する前記ステップは、所望の時間にわたり、前記照射源から前記照射可視光を連続的に発することを含む、請求項13に記載のレーザシステムを動作させる方法。
【請求項15】
前記照射源から前記少なくとも1つの光ファイバケーブルに照射可視光を発する前記ステップは、前記照射源から前記照射可視光をパルスにおいて発することを含む、請求項13に記載のレーザシステムを動作させる方法。
【請求項16】
手術用レーザから少なくとも1つの光ファイバケーブルに電磁放射を発する前記ステップは、前記手術用レーザから前記電磁放射をパルスにおいて発することを含み、前記照射源から前記少なくとも1つの光ファイバケーブルに照射可視光を発する前記ステップは、前記照射源から前記照射可視光をパルスにおいて発することを含み、前記レーザシステムは、前記手術用レーザからの前記パルスと、前記照射源からの前記パルスとを同期させて、ストロボ効果をもたらす、請求項13に記載のレーザシステムを動作させる方法。
【請求項17】
前記ストロボ効果は、スローモーション効果である、請求項16に記載のレーザシステムを動作させる方法。
【請求項18】
手術用レーザから少なくとも1つの光ファイバケーブルに電磁放射を発する前記ステップは、中赤外線範囲の電磁放射を前記手術用レーザから発することを含む、請求項13に記載のレーザシステムを動作させる方法。
【請求項19】
前記手術用レーザからの前記電磁放射を、前記少なくとも1つの光ファイバケーブルの前記遠位端部から、白内障に罹患した水晶体に向けて、前記白内障に罹患した水晶体を破砕することをさらに含む、請求項13に記載のレーザシステムを動作させる方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの光ファイバケーブルを通して戻されるレーザ電磁放射を検出することをさらに含む、請求項13に記載のレーザシステムを動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科処置において使用されるレーザシステムなどのレーザシステムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
レーザは、多数の異なる眼科処置を含む多くの異なる医療処置で使用されている。例えば、レーザは、白内障に罹患した水晶体を破砕するなどのための白内障手術で使用することができる。いくつかの処置では、レーザは、最初に水晶体を破砕するために使用され、その後、超音波ハンドピースによる水晶体の超音波乳化吸引が続き、水晶体を除去するための分解が完了する。他の処置では、レーザは、超音波エネルギーを別々に印加する必要なく、水晶体を完全に破砕又は超音波乳化吸引して除去するために使用することができる。レーザは、白内障手術の他のステップ、例えば角膜の切開の作成及び/又は水晶体カプセルの開放などのためにも使用することができる。
【0003】
レーザは、硝子体網膜手術でも使用され得る。いくつかの処置では、レーザを硝子体切除に使用して、硝子体繊維を切断又は分解して除去することができる。レーザは、硝子体切除術用プローブに組み込むことができ、レーザからのエネルギーを硝子体繊維に印加して、硝子体繊維を切断又は分解して除去することができる。
【0004】
他の硝子体網膜用途では、レーザは、網膜組織の光凝固に使用することができる。レーザ光凝固を使用して、網膜断裂及び/又は糖尿病性網膜症の影響などの問題を治療することができる。
【0005】
他の手術用レーザの使用は、脳外科手術、脳神経外科手術、耳鼻咽喉科手術、血管手術、口腔外科手術、美容整形外科手術及び多くの他の手術を含む。
【0006】
米国特許出願公開第2018/0360657号明細書は、眼科レーザシステムの例を開示している。その出願は、外科的切断を形成するか又は眼組織を光破壊するなどのためのレーザの使用だけでなく、レーザ支援白内障手術(LACS)などの白内障手術のためのレーザの使用も記載している。米国特許出願公開第2019/0201238号明細書は、眼科レーザシステムの他の例を開示している。その出願は、硝子体繊維を切断又は分解するための硝子体切除プローブでの使用などのレーザの使用を記載している。米国特許出願公開第2018/0360657号明細書及び米国特許出願公開第2019/0201238号明細書は、その全体が参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
改良されたレーザシステム及び関連する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、照射を伴うレーザシステムを動作させるための改良されたレーザシステム及び方法を対象とする。
【0009】
いくつかの実施形態では、レーザシステムは、電磁放射を発するように構成された手術用レーザと、照射可視光を発するように構成された照射源と、手術用レーザ電磁放射及び照射可視光を伝送するための少なくとも1つの光ファイバケーブルとを含む。少なくとも1つの光ファイバケーブルは、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光を少なくとも1つの光ファイバケーブルの近位端部で受光し、及び手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光を少なくとも1つの光ファイバケーブルの遠位端部に、且つ少なくとも1つの光ファイバケーブルの遠位端部から外に標的面へと伝送するように構成される。
【0010】
照射源は、所望の時間にわたり、照射可視光を連続的に発し、且つ/又は照射可視光をパルスにおいて発するように構成され得る。手術用レーザは、手術用レーザから電磁放射をパルスにおいて発するように構成され得、及びレーザシステムは、手術用レーザからのパルスと、照射源からのパルスとを同期させて、ストロボ効果をもたらすように構成され得る。
【0011】
光ファイバケーブルは、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光を受光するように構成された少なくとも1つの光ファイバを有し得る。追加的に又は代替的に、光ファイバケーブルは、手術用レーザからの電磁放射を受光するように構成された少なくとも第1の光ファイバと、照射源からの照射可視光を受光するように構成された少なくとも第2の光ファイバとを有し得る。
【0012】
少なくとも1つの光ファイバケーブルは、それぞれ近位端部及び遠位端部を有する送出光ファイバケーブル及び出力光ファイバケーブルを含み得る。出力光ファイバケーブルは、送出光ファイバケーブルに対して遠位に位置決めされ得、及び出力光ファイバケーブルの近位端部は、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光を送出光ファイバケーブルの遠位端部から受光するように構成され得る。
【0013】
レーザシステムは、レーザハウジングを含み得る。手術用レーザは、レーザハウジングの内部に位置し得る。照射源もレーザハウジングの内部に位置し得る。少なくとも1つの光ファイバケーブルは、レーザハウジングに取り外し可能に接続されるように適合され得る。
【0014】
レーザシステムは、戻りレーザ電磁放射を検出するように位置決めされた監視センサをさらに含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、レーザシステムを動作させる方法は、手術用レーザから電磁放射を発することと、照射源から照射可視光を発することと、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光を少なくとも1つの光ファイバケーブルの近位端部で受光することと、手術用レーザからの電磁放射及び照射可視光を、少なくとも1つの光ファイバケーブルを通して少なくとも1つの光ファイバケーブルの遠位端部に、且つ少なくとも1つの光ファイバケーブルの遠位端部の外に標的面へと伝送することとを含む。
【0016】
照射源から少なくとも1つの光ファイバケーブルに照射可視光を発するステップは、所望の時間にわたり、照射源から照射可視光を連続的に発することを含み得る。照射源から少なくとも1つの光ファイバケーブルに照射可視光を発するステップは、照射源から照射可視光をパルスにおいて発することを含み得る。手術用レーザから少なくとも1つの光ファイバケーブルに電磁放射を発するステップは、手術用レーザから電磁放射をパルスにおいて発することを含み得、照射源から少なくとも1つの光ファイバケーブルに照射可視光を発するステップは、照射源から照射可視光をパルスにおいて発することを含み得、及びレーザシステムは、手術用レーザからのパルスと、照射源からのパルスとを同期させて、ストロボ効果をもたらすことができる。ストロボ効果は、例えば、スローモーション効果であり得る。
【0017】
本発明の実施形態のさらなる例及び特徴は、図面及び詳細な説明から明らかになるであろう。
【0018】
添付図面は、本明細書に開示されるデバイス及び方法の例示的な実装形態を図示し、説明とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示による、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光を送達するように構成されたレーザシステムの一例の概略図を示す。
図2】本開示による手術用レーザからの照射の一例を示す。
図3】本開示による、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光を送達し、且つ戻り電磁放射を監視するように構成されたレーザシステムの別の例の概略図を示す。
図4】本開示による、レーザシステムを動作させる方法の一例のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明を参照することにより、添付図面がよりよく理解され得る。
【0021】
本開示の原理の理解を促進することを目的として、ここで、図面に示す実装形態を参照し、特定の文言を用いてそれらの実装形態及び他の実装形態を説明する。それにもかかわらず、図面に示される例又は本明細書に記載される例によって特許請求の範囲が限定されることを意図するものではないことが理解されるであろう。図示又は説明するシステム、デバイス、機器又は方法に対するあらゆる変更形態及びさらなる修正形態並びに本開示の原理の任意のさらなる応用は、本開示に関連する技術分野の当業者であれば通常想起されるものと十分に考えられる。特に、本開示のある1つの実装形態に関して説明される特徴、構成要素及び/又はステップは、本開示の他の実装形態に関して説明される特徴、構成要素及び/又はステップと組み合わされ得る。簡略化のために、場合により、図面全体を通して同じ参照番号を用いて同じ又は類似の部分を参照する。
【0022】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、構成要素の方向又は端部を示すように使用され、近位の方向又は端部は、レーザ源の方に向けられるか又は方向付けられ、遠位の方向又は端部は、治療される組織に隣接する光ファイバケーブルの作用出力端部又はチップなどの作用出力端部の方に向けられるか又は方向付けられる。本明細書で使用される「第1」及び「第2」という呼称は、いかなる特定の位置又は他の特性も表示又は暗示しようとするものではない。むしろ、「第1」及び「第2」という呼称が本明細書で使用されるとき、それらは、一方の構成要素を他方の構成要素から区別するためにのみ使用される。例えば、別段の定めがない限り、第1の光ファイバケーブル又は第2の光ファイバケーブルのいずれもレーザ源に近い方に位置し得る。
【0023】
図1は、本開示による、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光を送達するように構成された例示的なレーザシステム10の概略図を示す。レーザシステム10は、1つ又は複数の眼科処置に適したレーザシステムであり得る。レーザシステム10は、スタンドアロンのレーザシステムであり得るか、又は眼科処置に使用される眼科システム若しくはコンソールにおけるレーザモジュールであり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、レーザシステム10は、白内障手術に適し得る。いくつかの実施形態では、レーザシステムの出力エネルギーは、白内障に罹患した水晶体の破砕又は超音波乳化吸引に適している。いくつかの例では、レーザ出力は、最初に白内障に罹患した水晶体を破砕するために使用され、その後、超音波ハンドピースを使用した水晶体の超音波乳化吸引が続き、水晶体を除去するための分解を完了する。他の例では、レーザ出力は、超音波エネルギーを別々に印加する必要なく、水晶体を除去するのに十分な程度まで水晶体の破砕又は超音波乳化吸引に使用される。追加的に又は代替的に、レーザ出力は、角膜の切開の作成及び/又は水晶体カプセルの開放に適し得る。
【0025】
他の実施形態では、レーザシステムは、硝子体網膜手術に適し得る。いくつかの実施形態では、レーザシステムの出力エネルギーは、硝子体繊維を切断又は分解して除去するのに適している。他の硝子体網膜用途では、レーザ出力は、網膜断裂及び/又は糖尿病性網膜症の影響などの問題を治療するための網膜組織の光凝固などの眼組織の治療に適し得る。
【0026】
図1に示されるように、レーザシステム10は、図1に破線のボックスとして概略的に示されるレーザハウジング12を含む。レーザハウジング12は、手術用レーザ14を収容する。手術用レーザ14に加えて、他の構成要素がレーザハウジング12内に位置し得る。例えば、レーザハウジング12は、手術用レーザ14を動作させるための構成要素を収容することができる。加えて、レーザハウジング12は、レーザ出力の光路に1つ又は複数のレンズ又は他の光学部品(図示せず)などの構成要素を収容することができる。
【0027】
手術用レーザ14は、所望の用途に適した任意のタイプのレーザであり得る。手術用レーザ14は、任意の適切な波長で適切な電磁放射を出力することができる。例えば、手術用レーザ14は、可視光線、赤外線及び/又は紫外線波長の1つ又は複数の波長で電磁放射を発することができる。手術用レーザ14は、電磁放射の連続的なビームを発するように動作するか又は動作され得る。代替的に、手術用レーザ14は、パルス状ビームを発するように動作するか又は動作され得る。
【0028】
一例では、手術用レーザ14は、赤外線範囲で動作する。例えば、手術用レーザ14は、中赤外線範囲、例えば約2.0ミクロン~約4.0ミクロンの範囲の電磁放射を出力することができる。いくつかの例示的な波長は、約2.5ミクロン~3.5ミクロン、例えば約2.775ミクロン、約2.8ミクロン又は約3.0ミクロンなどを含む。このような手術用レーザは、例えば、白内障手術での水晶体破砕又は他の処置に適切であり得る。
【0029】
別の例では、手術用レーザ14は、紫外線の範囲で電磁放射を発する。別の例では、手術用レーザ14は、可視光線の範囲で電磁放射を発する。
【0030】
レーザシステム10は、手術用レーザ14からのレーザ電磁放射をレーザハウジング12の出力ポート16に向けるように設計される。図1では、出力ポート16は、レーザハウジング12内の光路54の遠位端部として概略的に表示されているが、レンズなどの光学部品が出力ポート16に位置し得ることが理解されるであろう。レーザシステム10は、手術用レーザ14からのレーザ電磁放射を、1つ又は複数の光学部品を通して出力ポート16に向けることができる。
【0031】
機器22をレーザハウジング12に光学的に接続させて、出力ポート16からのレーザ電磁放射を受光することができる。機器22は、例えば、眼科処置のためのハンドピースであり得る。機器又はハンドピース22は、破線のボックスとして図1に概略的に示されている。
【0032】
機器又はハンドピース22は、送出光ファイバケーブル24などの少なくとも1つの光ファイバケーブルにより、レーザハウジング12に接続され得る。送出光ファイバケーブル24は、レーザハウジング12からある程度離れた距離でハンドピース22を操作する際にオペレータに融通性を与えるように、可撓性で比較的長いものであり得る。送出光ファイバケーブル24は、例えば、長さが1~3メートルであり得る。例示的な一実施形態では、送出光ファイバケーブル24は、長さが約2メートルであり得る。
【0033】
送出光ファイバケーブル24は、ハンドピース22に恒久的に取り付けられたハンドピースの一部であり得る。代替的に、送出光ファイバケーブル24は、ハンドピース22に取り外し可能に接続され得る。送出光ファイバケーブル24は、恒久的に又は取り外し可能に、直接又は1つ若しくは複数の他の光ファイバケーブルを通してなど、1つ若しくは複数の他の構成要素を通してハンドピース22に接続され得る。
【0034】
送出光ファイバケーブル24は、その近位端部32でレーザハウジング12に取り外し可能に接続され得る。送出光ファイバケーブル24は、レーザハウジング12の出力ポート16においてコネクタと噛み合うコネクタ(図示せず)を有し得る。代替的に、送出光ファイバケーブル24は、レーザハウジング12に恒久的に取り付けられ得る。送出光ファイバケーブル24は、恒久的に又は取り外し可能に、直接又は1つ若しくは複数の他の光ファイバケーブルを通してなど、1つ若しくは複数の他の構成要素を通してレーザハウジング12に接続され得る。
【0035】
送出光ファイバケーブル24の遠位端部34において、送出光ファイバケーブル24は、出力光ファイバケーブル26に光学的に結合され得る。出力光ファイバケーブル26は、近位端部36と、遠位端部38とを有する。出力光ファイバケーブル26の遠位端部出力38は、レーザシステム10の遠位端部出力を構成する。出力光ファイバケーブル26は、その近位端部36において、出力光ファイバケーブル26をハンドピース22に接合するコネクタ又はフェルールに接合され得、それにより、出力光ファイバケーブル26は、取外し可能なハンドピース22の一部を構成する。他の実施形態では、出力光ファイバケーブルは、ハンドピース22の残部に恒久的に取り付けることができる。出力光ファイバケーブル26は、ハンドピース22の残部に恒久的に又は取り外し可能に直接又は1つ若しくは複数の他の構成要素を通してのいずれかで接続され得る。送出光ファイバケーブル24の遠位端部34は、出力光ファイバケーブル26の近位端部36に直接又は1つ若しくは複数の他の構成要素を通してのいずれかで光学的に結合され得る。例えば、1つ又は複数の光ファイバケーブルは、送出光ファイバケーブル24と出力光ファイバケーブル26との間に位置決めされ得る。コネクタ、レンズ又は他の構成要素など、1つ又は複数の他の構成要素は、送出光ファイバケーブル24と出力光ファイバケーブル26との間に位置決めされ得る。
【0036】
出力光ファイバケーブル26は、任意の適切な長さであり得る。例えば、出力光ファイバケーブル26は、長さが20mm~100mmであり得る。実施形態の一例では、出力光ファイバケーブル26は、長さが約50mmであり得る。
【0037】
実施形態の一例では、出力光ファイバケーブル26は、ハンドピース22の残部への接合及びそれからの取り外しが可能なコネクタ又はフェルールに固定される。出力光ファイバケーブル26は、使い捨ての構成要素であり得、これにより、使用後、出力光ファイバケーブル26をハンドピース22の残部から取り外し、廃棄することができる。後続の処置のために、新たな使い捨ての出力光ファイバケーブル26をハンドピース22の残部に接合することができる。
【0038】
レーザシステムの光ファイバケーブルは、意図する用途に適した電磁放射を伝送することが可能な1つ又は複数の光ファイバを有し得る。ガラス繊維又はプラスチック繊維を含め、任意の適切な材料のファイバを使用することができる。実施形態の一例では、送出光ファイバケーブル24は、1つ又は複数の酸化ゲルマニウム(GeO2)ファイバを含み得、出力光ファイバケーブル26は、1つ又は複数のサファイアファイバを含み得る。多くの他の例が可能である。
【0039】
図1の実施形態では、電磁放射を発するように構成された手術用レーザ14に加えて、レーザシステム10は、照射可視光を発するように構成された照射源70も含む。送出光ファイバケーブル24の近位端部32は、手術用レーザ14からの電磁放射及び照射源70からの照射可視光を受光するように構成される。送出光ファイバケーブル24は、手術用レーザ14からの電磁放射及び照射源70からの照射可視光を送出光ファイバケーブル24の近位端部32から送出光ファイバケーブル24の遠位端部34に、且つ送出光ファイバケーブル24の遠位端部34から外に伝送するように構成される。出力光ファイバケーブル26の近位端部36は、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光を送出光ファイバケーブル24の遠位端部34から受光するように構成される。出力光ファイバケーブル26は、手術用レーザ14からの電磁放射及び照射源70からの照射可視光を出力光ファイバケーブル26の近位端部36から出力光ファイバケーブル26の遠位端部38に、且つ出力光ファイバケーブル26の遠位端部38から外に眼組織又は他の組織などの標的面へと伝送するように構成される。
【0040】
光ファイバケーブルを通して供給される照射は、手術用レーザの標的区域を照らす。照射は、オペレータが標的場所及び手術プロセスを視覚化することを促進し得る。
【0041】
図1の例では、手術用レーザ14からの電磁放射及び照射源70からの照射可視光は、レーザハウジング12で結合されて、レーザハウジング12の出力16への共通の光路54に沿って進む。結合は、1つ又は複数の適切な光学部品を通して達成され得る。例えば、図1の実施形態では、レーザシステム10は、手術用レーザ14からの電磁放射及び照射源70からの照射可視光を結合するように構成されたビーム結合部品74を含む。ビーム結合部品74は、例えば、ビーム分割器、ダイクロイックミラー、偏波ビーム分割器、分散プリズム、回析格子又は他の適切なビーム結合部品であり得る。
【0042】
図示される例では、手術用レーザ14は、光路52に沿って矢印53の方向に電磁放射を発し、ビーム結合部品74により、手術用レーザ14からの電磁放射がビーム結合部品74を通過して、光路54に沿って出力16及び送出光ファイバケーブル24に進むことが可能になる。照射源70は、光路72に沿って矢印73の方向に照射可視光を発し、ビーム結合部品74は、その照射可視光を反射し、それを光路54に沿って出力16及び送出光ファイバケーブル24に進むように導く。
【0043】
代替的な例では、手術用レーザ14は、図1の照射源70の位置にあり、照射源70は、図1の手術用レーザ14の位置にある。この例では、照射源70は、光路52に沿って矢印53の方向に照射可視光を発し、ビーム結合部品74により、照射源70からの照射可視光がビーム結合部品74を通過して、光路54に沿って出力16及び送出光ファイバケーブル24に進むことが可能になる。手術用レーザ14は、光路72に沿って矢印73の方向に電磁放射を発し、ビーム結合部品74は、手術用レーザ14からのその電磁放射を反射し、それを光路54に沿って出力16及び送出光ファイバケーブル24に進むように導く。
【0044】
送出光ファイバケーブル24及び出力光ファイバケーブル26は、手術用レーザ電磁放射及び/又は照射可視光を伝送することが可能な1つ又は複数の光ファイバをそれぞれ有することができる。いくつかの実施形態では、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光は、光ファイバケーブルの1つ又は複数内の同じ光ファイバによって受光され、この同じ光ファイバを通して伝送される。他の実施形態では、手術用レーザからの電磁放射は、光ファイバケーブル内の1つ又は複数の第1の光ファイバによって受光され、この光ファイバを通して伝送され、照射源からの照射可視光は、光ファイバケーブル内の1つ又は複数の第2の光ファイバによって受光され、この光ファイバを通して伝送される。例えば、手術用レーザからの電磁放射は、レーザハウジングの第1の出力に向けることができる一方、照射源からの照射可視光は、レーザハウジングの第2の出力に向けられる。送出光ファイバケーブルは、両方の出力に接続するために二股に分かれた入力を有し得、1つ又は複数の第1の光ファイバは、第1の出力に接続して手術用レーザからの電磁放射を受光し、1つ又は複数の第2の光ファイバは、第2の出力に接続して照射源からの照射可視光を受光する。2つの分岐は、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバのいずれも光ファイバケーブル内にある状態で単一の光ファイバケーブルにまとめることができる。
【0045】
照射源70は、照射可視光を連続的に又はパルスにおいて発することができる。例えば、いくつかの実施形態では、動作中であるとき、照射源70は、照射可視光を連続的に発することができる。オペレータは、照射源70の電源のオン又はオフを制御することができ、それにより、所望の時間にわたって連続的な照射可視光を発することができる。他の実施形態では、動作中であるとき、照射源70は、照射可視光をパルスにおいて発することができる。オペレータは、照射源70の電源のオン又はオフを制御することができ、それにより、所望の時間にわたってパルス状照射可視光を発することができる。他の実施形態では、照射源70は、選択される動作のモードに応じて、照射可視光を連続的に又はパルスにおいてのいずれかで発することが可能であり得る。オペレータは、照射源70の電源のオン又はオフ並びに動作モードの選択及び動作モード間の切り替えを制御することができ、それにより、照射可視光を連続的に又はパルスにおいて発し、連続的な照射可視光を発することと、パルス状照射可視光を発することとの間を切り替えることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、手術用レーザ14は、電磁放射をパルスにおいて発するように構成され、照射源70は、照射可視光をパルスにおいて発するように構成され、レーザシステムは、手術用レーザ14からのパルスと、照射源70からのパルスとを同期させて、ストロボ効果をもたらすように構成される。レーザシステム10は、パルスを協調させるためのトリガ76を含み得る。トリガ76は、手術用レーザ14から通信接続77に沿って入力を受信し、通信接続78に沿って、手術用レーザ14のパルスに関する信号を照射源70に送信することができる。追加的に又は代替的に、トリガ76は、照射源70から通信接続78に沿って入力を受信し、通信接続78に沿って、照射源70のパルスに関する信号を手術用レーザ14に送信することができる。例えば、手術用レーザ14のパルスのタイミングを使用して、照射源70のパルスのタイミングをトリガすることができる。同様に、照射源70のパルスのタイミングを使用して、手術用レーザ14のパルスのタイミングをトリガすることができる。
【0047】
レーザシステム10は、手術用レーザ14及び照射源70を、所望の効果に応じて選択される周波数レートでパルスにおいて動作させることによってストロボ効果をもたらす。例えば、手術用レーザ14を1kHzのパルス周波数で動作させ、照射源70を手術用レーザ14に同期させるが、999Hzのパルス周波数で動作させる場合、その結果、プロセスが1000倍遅くなったことを示すストロボ効果が得られる。
【0048】
他のストロボ効果は、他の同期を用いて実現することができる。例えば、照射源70の周波数が手術用レーザ14と同じ周波数で設定される場合、手術用チップでの動きは、停止又は休止しているように見え得る。スローモーション効果は、手術用レーザ14の周波数に近いが、それよりもわずかに低い照射源70の周波数によって実現可能である。
【0049】
特定の手術では、ストロボ効果は、オペレータが手術プロセスを視覚化することを促進し得る。パルスレーザエネルギーがレーザパルスごとに繰り返される応答をもたらす場合、ストロボ効果により、応答の出現が遅くなり得る。例えば、白内障手術では、白内障を罹患した水晶体に向けられたレーザエネルギーは、レーザパルスごとに水晶体に気泡を生じさせ得る。この気泡は、パルス間の時間において形成される。ストロボ効果は、気泡形成の段階を、各サンプルがレーザパルスに対して時間的にわずかにずれた状態で、一連のレーザパルスから遅れずにサンプルを照射することによって示すことができる。このように、オペレータは、リアルタイムから遅くなった気泡形成を視覚化することができる。
【0050】
ストロボ効果は、他の応答の視覚化にも同様に有用であり得る。例えば、白内障手術では、ストロボ効果は、組織の破砕及び液状化、複雑な流れ場、洗滌吸引システムの閉塞並びに他の効果を視覚化するのに有用であり得る。
【0051】
照射可視光を連続的に又はパルスにおいて発することに加えて、照射源70は、照射可視光を異なる強度及び色で発することができる。照射源70は、例えば、連続的若しくはパルスLED又は連続的若しくはパルスレーザダイオードであり得る。
【0052】
照射可視光の波長は、用途に応じて選択することができる。例えば、眼科手術の場合、オペレータの最大許容被曝量及び典型的な網膜感度についてANSI規格を考慮するものとする。照射可視光の波長の動作範囲の一例は、約570nm~約620nm、例えば約590nmである。可視スペクトル内の他の波長を照射可視光に使用することができる。
【0053】
手術用レーザの標的区域を照射し、オペレータが標的場所及び手術プロセスを視覚化することを促進することに加えて、照射は、オペレータが機器のチップの、異なる組織の境界までの距離を推定することも促進し得る。図2は、出力光ファイバケーブル26の遠位端部38から発せられた照射可視光によって照射される組織表面Tの概略図を示す。ファイバチップから出る照射可視光は、通常、図2において光円錐角Aを有する光円錐58によって指定された円対称な円錐形の分布を有する。図2の入射角度Bなどの入射角度で導入されると、このようなビームは、水晶体のカプセルなどの異なる組織の境界で楕円形の光スポットSを形成する。組織表面Tにおいて、スポットTは、示されるように、交差軸D1及び長手方向軸D2を有する。D1対D2の比率は、入射角度Bのコサインにほぼ等しい。D1のサイズは、チップ38の、組織表面Tまでの距離及び光円錐の角度Aに比例する。既知の光円錐又は定常光円錐の場合、スポットSのサイズ及び交差軸D1の長さは、チップ38が組織表面Tにより近くなるために短くなる。交差軸D1のサイズを見ることにより、オペレータは、機器のチップ38の、組織表面Tまでの距離を推定することができる。チップから組織までの距離を知ることは、水晶体カプセル嚢又は網膜など、非常に重要な組織の損傷を回避するために重要である。
【0054】
図3は、本開示による、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光を送達するように構成された別の例示的なレーザシステム11の概略図を示す。レーザシステム11は、レーザシステム10に類似しており、上述したような構成要素を有し、上述したように機能する。レーザシステム10の構成要素に加えて、レーザシステム11は、戻りレーザ電磁放射を検出するように位置決めされた戻り信号監視センサをさらに含む。図3に示されるように、ビーム分割器60は、レーザハウジング12のレーザ源14と出力ポート16との間の光路54に位置決めされる。図示される実施形態では、レーザ電磁放射が光路54に沿って矢印53の方向に出力ポート16の方に向けられるとき、レーザ電磁放射の大部分又はすべては、ビーム分割器60を通過し、引き続き出力ポート16を通して送出光ファイバケーブル24及びハンドピース22まで進む。同様に、照射可視光が光路54に沿って矢印53の方向に出力ポート16の方に向けられるとき、照射可視光の大部分又はすべては、ビーム分割器60を通過し、引き続き出力ポート16を通して送出光ファイバケーブル24及びハンドピース22まで進む。レーザ14からの電磁放射の一部、例えば1%~10%は、ビーム分割器60により、基準信号部品68によって指定されたレーザ14の出力エネルギーを測定する基準信号として、光路64に沿って矢印65の方向に分流される。
【0055】
以下により詳細に説明するように、レーザシステム11の使用条件に応じて、光ファイバケーブルから組織表面Tに伝送されるレーザ電磁放射の一部分は、光ファイバケーブル内に逆方向に戻される。戻された信号は、レーザ電磁放射の後方反射、後方散乱、蛍光、ラマン散乱等の組み合わせであり得る。この戻り電磁放射は、光ファイバケーブルを通して戻り、光路54に沿って矢印55の方向においてビーム分割器60に戻る。ビーム分割器60は、この戻りレーザ電磁放射の1~10%を光路62に沿って矢印63の方向に向ける。光路62に沿って矢印63の方向に向けられた後方反射レーザ電磁放射は、後方反射レーザ電磁放射を測定するための後方反射監視センサ67に向けられる。組織から戻されたレーザ電磁放射は、チップから組織までの距離に関する情報、チップ付近の組織の蛍光特性又は他の情報を伝えることができる。例えば、ラマン散乱光を使用して、光ファイバチップ付近の組織の分子組成を識別することができる。
【0056】
2つの主要な進行方向を区別するために、「順方向の伝送」及び「順方向に伝送された」という用語は、ビーム分割器60からの、出力光ファイバケーブル26の遠位端部38に向けての方向、すなわちレーザシステム11の遠位端部に向けての方向に伝送される電磁放射を指すように使用される。「戻された」という用語は、出力光ファイバケーブル26の遠位端部38からの、ビーム分割器60に向けて戻される電磁放射、すなわちレーザシステム11の遠位端部から遠ざかる電磁放射を指すように使用される。
【0057】
センサ67は、例えば、戻り電磁放射を電気信号に変換することが可能な光ダイオードであり得る。一例として、構成要素67及び68は、それぞれセレン化鉛光検出器であり得る。他のタイプの光検出器及び他のタイプのセンサを使用することができる。特定の用途では、検出器67及び68を、可視光を吸収するフィルタとそれぞれ組み合わせることにより、照射光から検出器67及び68を保護することが有利である。
【0058】
図3の例では、ビーム分割器60、センサ67及びセンサ68は、レーザハウジング12内に収容される。他の実施形態では、これらの構成要素の1つ又は複数は、レーザハウジング12の外部に位置し得る。
【0059】
図1の例示的なレーザシステム10及び図3のレーザシステム11の動作では、電磁放射を発するように手術用レーザ14を動作させるが、この電磁放射は、手術用レーザ14から光路52及び54に沿って矢印53の方向において出力ポート16に伝送される。加えて、照射可視光を発するように照射源70を動作させるが、この照射可視光は、照射源70から光路72及び54に沿って矢印73及び53の方向において出力ポート16に伝送される。
【0060】
出力ポート16から、レーザ電磁放射及び照射可視光は、送出光ファイバケーブル24の近位端部32に入り、送出光ファイバケーブル24を通して進み、遠位端部34で送出光ファイバケーブル24を出る。送出光ファイバケーブル24の遠位端部34から、レーザ電磁放射及び照射可視光は、出力光ファイバケーブル26の近位端部36に入り、出力光ファイバケーブル26を通して進み、遠位端部38で出力光ファイバケーブル26を出て、光路56に沿って標的部位の方に向かう。標的部位は、例えば、白内障を罹患した水晶体、硝子体繊維、網膜組織、他の眼組織又は他の組織全般であり得る。
【0061】
照射可視光は、眼組織などの標的面で光り、オペレータが標的場所及び手術プロセスを視覚化することを促進し得る。レーザ電磁放射は、連続的及び/又はパルス状であり得、上述したように、照射可視光は、連続的及び/又はパルス状であり得、且つストロボ効果のために手術用レーザと同期され得る。
【0062】
システムは、手術用レーザ14及び/又は照射源70を制御するコンピューティングシステム、例えばプロセッサ、メモリ並びにソフトウェア、ファームウェア及び/又はハードウェアを含み得る。コンピューティングシステムは、監視センサから信号を受信し、それらを監視することもできる。
【0063】
図4は、照射を伴うレーザシステムを動作させる方法の一例のフローチャートを示す。図4に示される例示的な方法ステップは、本開示の範囲内で他の変形形態が可能であるため、一実施形態を表すにすぎない。
【0064】
ステップ80において、電磁放射が手術用レーザから少なくとも1つの光ファイバケーブルに発せられる。例えば、電磁放射は、手術用レーザ14から光ファイバケーブル24、26に発せられる。
【0065】
ステップ82において、照射可視光が照射源から少なくとも1つの光ファイバケーブルに発せられる。例えば、照射可視光は、照射源70から光ファイバケーブル24、26に発せられる。
【0066】
ステップ84において、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光は、少なくとも1つの光ファイバケーブルの近位端部で受光される。例えば、手術用レーザ14からの電磁放射及び照射源70からの照射可視光は、光ファイバケーブル24の近位端部32で受光される。
【0067】
ステップ86において、手術用レーザからの電磁放射及び照射源からの照射可視光は、少なくとも1つの光ファイバケーブルの近位端部から少なくとも1つの光ファイバケーブルの遠位端部に、且つ少なくとも1つの光ファイバケーブルの遠位端部から外に標的面へと伝送される。例えば、手術用レーザ14からの電磁放射及び照射源70からの照射可視光は、少なくとも1つの光ファイバケーブル24、26の近位端部32から少なくとも1つの光ファイバケーブル24、26の遠位端部38に、且つ少なくとも1つの光ファイバケーブル24、26の遠位端部38から外に標的面Tへと伝送される。
【0068】
当業者であれば理解するように、本明細書に開示されるシステム及び方法は、先行のシステム及び方法よりも優れた利点を有する。例えば、いくつかの先行のシステム及び方法では、手術用ファイバチップの付近は、まったく目に見えないか又は不十分にのみ見える。本明細書に開示されるシステム及び方法を用いると、手術用ファイバチップの付近周辺の高解像度の視覚化を実現することができる。加えて、ストロボ効果及び戻り信号の監視を用いると、他の視覚化及び監視の利点を実現することができる。視覚化及び監視が改良されることにより、手術処置及び患者予後を改善させることができる。
【0069】
当業者は、本開示が包含する実施形態が、上述した特定の実施形態の例に限定されないことを認識するであろう。例示的な実施形態を図示及び説明してきたが、前述した本開示において広範囲の修正形態、変更形態及び置換形態が考えられる。本開示の範囲から逸脱することなく、前述したものに対するこのような変形形態がなされ得ることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲は、広範に且つ本開示と整合するように解釈されることが適切である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】