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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】医療デバイス用の送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/01 20060101AFI20240412BHJP
   A61M 39/06 20060101ALI20240412BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20240412BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20240412BHJP
   A61F 2/966 20130101ALI20240412BHJP
【FI】
A61F2/01
A61M39/06 110
A61M25/10 550
A61M25/06 550
A61F2/966
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567228
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 IB2022054014
(87)【国際公開番号】W WO2022234420
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/183,166
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513249035
【氏名又は名称】アディエント メディカル,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】エッガース, ミッチェル ドン
【テーマコード(参考)】
4C066
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C160MM37
4C267AA07
4C267AA14
4C267AA55
4C267AA56
4C267AA58
4C267BB02
4C267BB27
4C267BB33
4C267BB40
4C267CC08
4C267EE01
(57)【要約】
本発明は、血管内に意図的に解放されるまで展開中に血管内医療デバイスと送達システムとの間の機械的接続を保持するための方法および装置に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、大静脈フィルタの展開および回収のための方法および装置に関する。
【選択図】 図2および図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内の場所に血管内医療デバイスを送達するように構成されたシステムであって、前記システムが、
保持ワイヤの上にルーティングされることができる、チューブ内に前記デバイスを収容するデバイスカートリッジと、
前記デバイスに前記場所へのおよび前記場所からの導管を提供するように構成されたガイディングカテーテルと、
前記血管内の前記場所での前記ガイディングカテーテルを通した前記デバイスの展開を容易にするように構成されたデバイス展開構成要素と、
前記デバイスが前記血管内にある間に前記デバイスを固着させるように構成された、前記保持ワイヤの遠位端に形成された保持機構と、を備え、前記保持機構が、
(i)前記デバイスの遠位端内の開口部を通って遠位方向に突出する遠位フィンガを有する外側チューブと、
(ii)前記外側チューブ上の前記遠位フィンガがつぶれるのを防止する、前記外側チューブ内の内側ロッドまたは内側チューブと、
を備え、
前記内側ロッドまたは内側チューブが前記外側チューブに対して近位方向に引き抜かれていることに応答して、前記外側チューブの前記遠位フィンガが、つぶれて、前記デバイスの前記遠位端内の前記開口部を通した前記遠位フィンガの引き抜き、ならびに前記内側ロッドまたは内側チューブおよび前記外側チューブの前記デバイスからの引き抜きを容易にし、それによって、前記血管内の前記場所で前記デバイスが解放される、
システム。
【請求項2】
前記デバイス展開構成要素が、前記保持ワイヤの上にルーティングされて前記場所で前記デバイスを拡張させることができるバルーンカテーテルを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記デバイスを前記カートリッジから前記ガイディングカテーテル内に押し込むように構成されたプッシャチューブをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記血管が、大静脈であり、前記デバイスが、大静脈フィルタである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記大静脈フィルタが、吸収性である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記大静脈フィルタが、非自己拡張型であるが依然として前記デバイスカートリッジ内に収容されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記デバイスを収容する前記デバイスカートリッジが、展開前に、前記デバイスを支持チューブの上で圧縮し、前記デバイスおよび前記支持チューブをシース内に挿入することによって組み立てられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記デバイスを収容する前記デバイスカートリッジが、前記保持ワイヤの遠位端および前記保持機構に向かって前記ガイディングカテーテルの止血弁を通して前記保持ワイヤの上を通過させられるように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記支持チューブが、プッシャチューブが前記保持ワイヤの上にルーティングされて前記デバイスカートリッジ内の前記デバイスに当接することができるように、前記デバイスカートリッジの中心から除去されるように構成されており、前記デバイスカートリッジが静止状態に留められている間、前記デバイスが、前記プッシャチューブによって遠位方向に前記ガイディングカテーテル内に押し込まれることができる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記プッシャチューブが、前記デバイスが前記血管に露出されるが、前記保持ワイヤの前記遠位端で前記保持機構によって定位置に保持されるように、前記ガイディングカテーテルが近位方向に引っ張られて前記デバイスをアンシースしている間、静止状態に留められるように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
送達システムを用いて血管内の場所に血管内医療デバイスを送達するための方法であって、前記システムが、ガイディングカテーテルと、デバイス展開構成要素と、保持機構と、を備え、前記方法が、
ガイディングカテーテルを通して保持ワイヤを挿入するステップと、
前記保持ワイヤの上で前記デバイスを前記ガイディングカテーテル内に前進させるステップと、
前記ガイディングカテーテルを近位方向に引っ張ることによって、前記デバイスをアンシースして前記デバイスを前記血管内で露出させるステップと、
前記デバイスを前記血管内の所望の位置に位置決めするステップと、
前記保持機構の外側保持チューブに対して前記保持機構の内側ロックロッドを近位方向に引き抜き、前記外側保持チューブの遠位フィンガがつぶれて前記デバイスの遠位端内の開口部を通る前記遠位フィンガの引き抜きを容易にすることを可能にすることによって、前記保持ワイヤから前記デバイスを解放するステップと、
前記保持ワイヤを前記ガイディングカテーテルから引き抜き、最後に前記ガイディングカテーテルを前記血管から除去するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記デバイス展開構成要素が、前記場所で前記デバイスを拡張するように構成されたバルーンカテーテルを備え、前記方法が、前記バルーンを用いて前記デバイスを展開するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プッシャチューブが、前記デバイスを前記ガイディングカテーテル内に押し込むために使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記血管内医療デバイスが、下大静脈フィルタであり、前記血管が、下大静脈である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記デバイスが、シース内に予め装填されて、前記ガイディングカテーテル内への挿入時に前記デバイスの損傷を防止するデバイスカートリッジを形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記デバイスを収容する前記デバイスカートリッジが、展開前に、前記デバイスを支持チューブの上で圧縮し、前記デバイスおよび前記支持チューブを前記シース内に挿入することによって組み立てられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記デバイスを収容する前記デバイスカートリッジが、前記保持ワイヤの遠位端および前記保持機構に向かって前記ガイディングカテーテルの止血弁を通して前記保持ワイヤの上を通過させられるように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記支持チューブが、プッシャチューブが前記保持ワイヤの上にルーティングされて前記デバイスカートリッジ内の前記デバイスに当接することができるように、前記デバイスカートリッジの中心から除去されるように構成され、前記デバイスカートリッジが静止状態に留められている間、前記デバイスが、前記プッシャチューブによって遠位方向に前記ガイディングカテーテル内に押し込まれることができる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プッシャチューブが、前記デバイスが前記血管に露出されるが、前記保持ワイヤの前記遠位端で前記保持機構によって定位置に保持されるように、前記ガイディングカテーテルが近位方向に引っ張られて前記デバイスをアンシースしている間、静止状態に留められるように構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記デバイスが、大静脈フィルタであり、前記大静脈フィルタが、吸収性であり、前記大静脈フィルタが、非自己拡張型であるが依然としてデバイスカートリッジ内に収容されている、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年5月3日に出願された「DELIVERY SYSTEM」と題する米国仮特許出願第63/183,166号の優先権を主張する。上記の特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【分野】
【0002】
本発明は、腔内に物体を送達するための方法および装置に関する。
【背景】
【0003】
ほとんどの従来の血管内医療デバイスは、カテーテルからの解放後にデバイス接続を維持する機構なしで展開される。これらの血管内デバイスの多くは自己拡張型であり、カテーテルから解放されると血管壁と係合し、オペレータによるその後の操作の機会を可能にしない。大静脈フィルタが傾斜しているかまたは不適切に位置決めされている場合など、アンシースした後に操作を必要とする状況が発生する可能性がある。
【0004】
さらに、血管内医療デバイスが自己拡張型ではない場合、血管付着を確実にするために血管内バルーンが使用されることが多い。ここでは、デバイスから送達システムへの機械的接続が、カテーテルからバルーン支援された血管付着までの解放期間中に維持されて、展開中の望ましくないデバイス転移を防止する。
【0005】
自己拡張型および非自己拡張型血管内医療デバイス展開の両方の上述の状況では、オペレータがデバイスの位置に満足するまでデバイスが送達システムに接続されたままであり、その後解放されることが望ましいであろう。
【概要】
【0006】
本発明は、一般に、血管内に意図的に解放されるまで展開中に血管内医療デバイスと送達システムとの間の機械的接続を保持するための方法および装置に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、大静脈フィルタの展開および回収のための方法および装置に関する。そのようなフィルタの一例は、2012年2月23日に出願された「Absorbable Vascular Filter」と題する米国特許出願第13/403,790号に記載されている。
【0007】
ほとんどの従来の下大静脈(IVC)フィルタは自己拡張型である。すなわち、カテーテルから解放されたとき、それらは外向きに跳ね上がり、IVC内の解放部位で金属かかりによって固着され、再位置決めの機会はほとんどまたは全くない。対照的に、本発明は、ユーザがIVCフィルタの把持を維持することを可能にし、フィルタをアンシースした後にIVC内でフィルタを再位置決めすることを可能にする。本発明はまた、バルーン支援された展開を必要とする吸収性フィルタなどの非自己拡張型IVCフィルタにも利点を提供する。ここで、機械的接続は、大静脈付着前のバルーン膨張中にフィルタの把持を維持する。
【0008】
したがって、一実施形態によれば、血管内の場所に血管内医療デバイスを送達するように構成されたシステムが提供される。システムは、血管内ガイドワイヤと同様のサイズの保持ワイヤの上にルーティングされることができる、チューブ内にデバイスを収容するデバイスカートリッジを備える。システムは、デバイスに場所へのおよび場所からの導管を提供するように構成されたガイディングカテーテルを備える。システムは、血管内の場所でのガイディングカテーテルを通したデバイスの展開を容易にするように構成されたデバイス展開構成要素を備える。システムは、デバイスが血管内にある間にデバイスを固着させるように構成された、保持ワイヤの遠位端に形成された保持機構を備える。保持機構は、(i)デバイスの遠位端内の開口部を通って遠位方向に突出する遠位フィンガを有する外側チューブと、(ii)外側チューブ上の遠位フィンガがつぶれるのを防止する、外側チューブ内の内側ロッドまたは内側チューブと、を備える。内側ロッドまたは内側チューブが外側チューブに対して近位方向に引き抜かれることに応答して、外側チューブの遠位フィンガが、つぶれて、デバイスの遠位端内の開口部を通した遠位フィンガの引き抜き、ならびに内側ロッドまたは内側チューブおよび外側チューブのデバイスからの引き抜きを容易にし、それによって、血管内の場所でデバイスが解放される。
【0009】
いくつかの実施形態では、デバイス展開構成要素は、保持ワイヤの上にルーティングされて該場所でデバイスを拡張させることができるバルーンカテーテルを備える。
【0010】
いくつかの実施形態では、システムは、デバイスをカートリッジからガイディングカテーテル内に押し込むように構成されたプッシャチューブをさらに備える。
【0011】
いくつかの実施形態では、血管は、大静脈であり、デバイスは、大静脈フィルタである。
【0012】
いくつかの実施形態では、大静脈フィルタは、吸収性である。いくつかの実施形態では、大静脈フィルタは、非自己拡張型であるが依然としてデバイスカートリッジ内に収容されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、デバイスを収容するデバイスカートリッジは、展開前に、デバイスを支持チューブの上で圧縮し、デバイスおよび支持チューブをシース内に挿入することによって組み立てられている。いくつかの実施形態では、デバイスを収容するデバイスカートリッジは、保持ワイヤの遠位端および保持機構に向かってガイディングカテーテルの止血弁を通して保持ワイヤの上を通過させられるように構成されている。いくつかの実施形態では、支持チューブは、プッシャチューブが保持ワイヤの上にルーティングされてデバイスカートリッジ内のデバイスに当接することができるように、デバイスカートリッジの中心から除去されるように構成されており、デバイスカートリッジが静止状態に留められている間、デバイスは、プッシャチューブによって遠位方向にガイディングカテーテル内に押し込まれることができる。いくつかの実施形態では、プッシャチューブは、デバイスが血管に露出されるが、保持ワイヤの遠位端で保持機構によって定位置に保持されるように、ガイディングカテーテルが近位方向に引っ張られてデバイスをアンシースしている間、静止状態に留められるように構成されている。
【0014】
別の実施形態によれば、送達システムを用いて血管内の場所に血管内医療デバイスを送達するための方法が提供される。システムは、ガイディングカテーテルと、デバイス展開構成要素と、保持機構と、を備える。方法は、ガイディングカテーテルを通して保持ワイヤを挿入するステップと、保持ワイヤの上でデバイスをガイディングカテーテル内に前進させるステップと、ガイディングカテーテルを近位方向に引っ張ることによって、デバイスをアンシースしてデバイスを血管内で露出させるステップと、デバイスを血管内の所望の位置に位置決めするステップと、外側保持チューブに対して内側ロックロッドを近位方向に引き抜き、外側保持チューブの遠位フィンガがつぶれて前記デバイスの端部内の開口部を通る遠位フィンガの引き抜きを容易にすることを可能にすることによって、保持ワイヤからデバイスを解放するステップと、保持ワイヤをガイディングカテーテルから引き抜き、最後にガイディングカテーテルを血管から除去するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
上記の態様ならびに他の態様および特徴は、添付の図と併せて特定の実施形態の以下の説明を検討すると当業者には明らかになるであろう。
図1図1は、展開全体を通してフィルタへの接続を維持するカテーテルベースの送達システムを使用して非自己拡張型IVCフィルタを装填および展開する方法を詳述する一連の図(図1図7)のうちの第1の断面等角図である。ここでは、IVCフィルタは、支持チューブの上で圧縮され、次いで、フィルタカートリッジを生成するために支持チューブとともに短いシース内に挿入されて、ガイディングカテーテル内への導入を容易にする。
図2図2は、展開全体を通してフィルタへの接続を維持するカテーテルベースの送達システムを使用して非自己拡張型IVCフィルタを装填および展開する方法を詳述する一連の図(図1図7)のうちの第2の断面等角図である。ここでは、フィルタカートリッジは、保持先端(遠位端)を有するガイドワイヤの上でガイディングカテーテル内に挿入される。
図3図3は、展開全体を通してフィルタへの接続を維持するカテーテルベースの送達システムを使用して非自己拡張型IVCフィルタを装填および展開する方法を詳述する一連の図(図1図7)の第3の断面等角図である。ここでは、フィルタの送達システムへの接続を維持する保持ワイヤの遠位端に重点が置かれている。
図4図4は、展開全体を通してフィルタへの接続を維持するカテーテルベースの送達システムを使用して非自己拡張型IVCフィルタを装填および展開する方法を詳述する一連の図(図1図7)の第4の断面等角図である。ここでは、保持ワイヤの遠位端へのフィルタの前進を可能にするプッシャチューブが図示されている。
図5図5は、展開全体を通してフィルタへの接続を維持するカテーテルベースの送達システムを使用して非自己拡張型IVCフィルタを装填および展開する方法を詳述する一連の図(図1図7)の第5の断面等角図である。ここでは、フィルタはアンシースされており、遠位端の保持ワイヤ機構に接して存在するように図示されている。
図6図6は、展開全体を通してフィルタへの接続を維持するカテーテルベースの送達システムを使用して非自己拡張型IVCフィルタを装填および展開する方法を詳述する一連の図(図1図7)の第6の断面等角図である。ここでは、保持ワイヤの遠位端によって留められている間にIVCフィルタを拡張するバルーンカテーテルが図示されている。
図7図7は、展開全体を通してフィルタへの接続を維持するカテーテルベースの送達システムを使用して非自己拡張型IVCフィルタを装填および展開する方法を詳述する一連の図(図1図7)の第7の断面等角図である。ここでは、フィルタは展開されており、保持ワイヤから解放されている。
図8図8は、フィルタを保持機構から解放する段階的なプロセスをいくつかの連続した位置で示す、フィルタおよび保持ワイヤの遠位端の第1の拡大図である。
図9図9は、フィルタを保持機構から解放する段階的なプロセスをいくつかの連続した位置で示す、フィルタおよび保持ワイヤの遠位端の第2の拡大図である。
図10図10は、フィルタを保持機構から解放する段階的なプロセスをいくつかの連続した位置で示す、フィルタおよび保持ワイヤの遠位端の第3の拡大図である。
図11図11は、フィルタ解放中の保持ワイヤの遠位端の第1の拡大図である。
図12図12は、フィルタ解放中の保持ワイヤの遠位端の第2の拡大図である。
図13図13は、フィルタ解放中のバスケットに似た代替の保持ワイヤの遠位端の拡大図である。
図14図14は、フィルタ解放中のバスケットに似た代替の保持ワイヤの遠位端の拡大図である。
【詳細な説明】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、当業者が本発明を実施できるように、例示として提供された図面を参照しながら詳細に説明する。特に、以下の図および例は、本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意味するものではなく、記載または図示された要素の一部または全部を交換することによって他の実施形態が可能である。便宜上、同じまたは同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。これらの実施形態の特定の要素が既知の構成要素を使用して部分的または完全に実装され得る場合、そのような既知の構成要素のうちの本発明の理解に必要な部分のみが説明され、そのような既知の構成要素の他の部分についての詳細な説明は、本発明を不明瞭にしないように省略される。本明細書において、単数の構成要素を示す一実施形態は限定的であるとみなされるべきではない。むしろ、本発明は、本明細書で特に明記しない限り、複数の同じ構成要素を含む他の実施形態、およびその逆を包含することを意図している。さらに、出願人は、本明細書または特許請求の範囲のいずれの用語も、そのように明示的に記載されていない限り、一般的でないまたは特別な意味とみなされることを意図していない。さらに、本発明は、例示として本明細書で言及される構成要素に対する現在および将来の既知の均等物を包含する。「近位」および「遠位」という用語は、引出しデバイスのオペレータに関して使用される。特に、遠位端は引き出す物体に最も近いこととなり、一方、近位端はオペレータに最も近いこととなる。
【0017】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の言及を含む。本明細書で使用される場合、2つ以上の部品または構成要素が「結合されている」という記述は、リンクが発生する限り、部品が直接的または間接的、すなわち1つ以上の中間部品もしくは構成要素を介してのいずれかで接合されているかまたは一緒に動作することを意味するものとする。本明細書で使用される場合、「直接結合されている」とは、2つの要素が互いに直接接触していることを意味する。本明細書で使用される場合、「固定的に結合されている」または「固定されている」は、2つの構成要素が互いに対して一定の向きを維持しながら1つのものとして移動するように結合されていることを意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「単体の」という単語は、構成要素が単一のピースまたはユニットとして作成されていることを意味する。すなわち、別個に作成され、次いでユニットとして一緒に結合されたピースを含む構成要素は、「単体の」構成要素または本体ではない。本明細書で使用される場合、2つ以上の部品または構成要素が互いに「係合」するという記述は、部品が直接または1つ以上の中間部品もしくは構成要素を介してのいずれかで互いに対して力を及ぼすことを意味するものとする。本明細書で使用される場合、用語「数」は、1または1よりも大きい整数(すなわち、複数)を意味するものとする。
【0019】
例えば、限定ではないが、頂部、底部、左、右、上方、下方、前方、後方、およびそれらの派生語など、本明細書で使用される方向を示す語句は、図面に示す要素の向きに関するものであり、特許請求の範囲に明示的に記載されていない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0020】
本発明は、一般に、血管内に意図的に解放されるまで展開中に血管内医療デバイスと送達システムとの間の機械的接続を保持するための方法および装置に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、非自己拡張型吸収性下大静脈(IVC)フィルタの展開および回収のための方法および装置に関する。
【0021】
本発明は、腔内に多数の植込み型医療デバイスを装填し展開するために使用することができるが、肺塞栓症(PE)を予防することを目的としたIVCフィルタの展開は、本方法および装置の詳細を示すための1つの例示的な実施形態として本明細書に記載されている。本吸収性IVCフィルタの非自己拡張性質は、展開中にバルーン膨張を必要とすることが多く、これは、転移を防ぐためにバルーンの膨張前および膨張中にフィルタを留めたまま維持するなど、付随する送達システムに新たな課題および機会をもたらす。したがって、吸収性IVCフィルタならびに/または他の非自己拡張型および自己拡張型血管内医療デバイスの固有の特徴に対応しかつそれを利用することができる、本明細書に記載の新規な送達システムに対する現在の需要が存在する。
【0022】
図1を参照すると、血管内医療デバイスが、遠位先端すなわちフィルタエンドプレート103とともにステントセクション101およびバスケットセクション102を備えるIVCフィルタ100として示されている。フィルタエンドプレート103は、フィルタ100をガイドワイヤまたは保持ワイヤ401(図2に示す)に通すことを可能にする中心孔105(開口部)を有する。中心孔105は、IVCフィルタ100の遠位端に配置され得る。中心孔105は、図示のように円形であってもよく、または他の形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、中心孔105は、IVCフィルタ100の中心軸線またはその近くに、かつ/または他の場所に配置され得る。いくつかの実施形態では、中心孔105は、展開中に医療デバイスを固着させるためにガイドワイヤおよび/または保持ワイヤを通過させるようにサイズ設定され得る。
【0023】
IVCフィルタ100は、支持チューブ200の上で圧縮され、次いで短いシース301内に一緒に挿入されてデバイス(フィルタ)カートリッジ300を形成する。カートリッジ300は、保持ワイヤ401の上にルーティングされ得るシース301によって形成されたチューブ内にIVCフィルタ100(例えば、血管内医療デバイス)を収容するように構成されている。換言すれば、IVCフィルタ100を収容するフィルタカートリッジ300は、IVCフィルタ100を支持チューブ200の上で圧縮し、IVCフィルタ100および支持チューブ200をシース301内に挿入することによって、展開前に組み立てられるように構成されている。
【0024】
IVCフィルタ100は、体液を一時的に濾過するために血管内に展開されるように構成された吸収性血管フィルタであり得る。一実施形態は、フィルタの吸収特性によって決定される特定の期間にわたって肺塞栓症を防止するために、IVC内にそのような吸収性血管フィルタを設置するように構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、吸収性IVCフィルタ100は、フィルタ除去の必要性を防ぐ吸収性フィルタ材料の選択によって設計された計画スケジュールに従って血管内でゆっくりと生分解するように構成され得る。いくつかの実施形態では、IVCフィルタ100の一部または全部は非金属合成ポリマーから製造されており、転移し多くは細分化されることになる従来の金属IVCフィルタに生じるように慎重に計画された分解時に末端器官に悪影響を与えることはない。また、吸収性血管フィルタの比較的短い留置時間(月)のために、従来の長期IVCフィルタで見られるDVTの逆説的増加を回避することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、IVCフィルタ100は、例えば、吸収性材料のチューブからレーザ切断され得、かつ/または他の方法を使用して形成され得る。IVCフィルタ100の分解性要素117は、血管内で一定時間後に生物学的に吸収および/または分解されるように意図的に設計(例えば、成形、サイズ設定など)され得る。分解は、異なる吸収プロファイル、要素サイズ、要素形状、および/または他の要因を有する吸収性ポリマーの選択によって制御され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、IVCフィルタ100は、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリグラクチン、ポリグリコール酸、ポリグレカプロン、polyglytone、および乳酸グリコール酸共重合体を含む生分解性ポリマーのホストから形成され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、IVCフィルタ100は非自己拡張型である。これは、IVCフィルタが、NiTi(ニチノール)および/もしくは自己拡張性ポリマーなどの自己拡張性金属または他の自己拡張性材料から形成されていないことを意味する。IVCフィルタ100は、例えば、ある特定の閾値温度にさらされたときに自己拡張するように構成されておらず、代わりに、後述するように、バルーンまたは他のデバイスによって機械的に拡張されるように構成されている。
【0029】
図1に示すように、IVCフィルタ100は、支持チューブ200の上で圧縮され、次いで、(フィルタカートリッジ300を生成するために)支持チューブ200とともに短いシース301内に挿入されて、ガイディングカテーテル400(図2)内への導入を容易にするように構成されている。シース301は、円形断面を有する円筒管形状を有し得る。シース301は、送達中にIVCフィルタ100を保護するように、かつ/または他の目的を有するように構成され得る。例えば、短いシース301は、ガイディングカテーテル400の近位端に配置された止血弁または他の同様の弁(図2には示されていない)を介した挿入中にフィルタ100を保護する。IVCフィルタ展開に適用可能な一実施形態では、IVCフィルタは、大腿静脈を介した展開のために12フレンチ(4mm)のガイディングカテーテル内に挿入することができるフィルタカートリッジ内で直径約4mmに圧縮され得る。バルーン拡張時に、IVCフィルタはIVCサイズの範囲に適合するように約15~30mmまで拡張することとなり得る。
【0030】
支持チューブ200は、プッシャチューブ500(後述)が保持ワイヤ401の上にルーティングされて(図4)フィルタカートリッジ300内のIVCフィルタ100に当接し得、フィルタカートリッジ300が静止状態に留められている間、IVCフィルタ100がプッシャチューブによって遠位方向にガイディングカテーテル400内に押し込まれ得る(図4)ように、フィルタカートリッジ300の中心から除去されるように構成されている。支持チューブ200は、ポリマーから形成され得、比較的軽量であり、それによって除去が容易であるが、上述のようにIVCフィルタ100が圧縮されたときに押しつぶされないように耐えるのに十分な強度を有する。支持チューブ200は、(支持チューブ200内側の)開存導管を維持しながらフィルタ100が短いシース301内でしっかりと圧縮して、フィルタカートリッジ300を保持ワイヤ401の上で容易に前進させることを可能にする。
【0031】
IVCフィルタ100が自己拡張型ではない場合であっても、カートリッジ300は依然としてIVCフィルタ100を収容するように構成され得る。カートリッジ300は、IVCフィルタ100が例えば止血弁を通してガイドカテーテル内に、かつ/または他の展開構成要素を通して通過させられている間、IVCフィルタ100を収容するように構成され得る。カートリッジ300は、IVCフィルタ100が保持ワイヤ401の遠位端に向けて前進させられている間、IVCフィルタ100を収容するように構成され得る。これにより、IVCフィルタ100の損傷が防止され得、かつ/または他の有利な効果がもたらされ得る。例えば、フィルタをカートリッジ内に格納することのさらなる利点は、環境制御された格納スペースを節約することである。すなわち、早期分解を防止するために吸収性フィルタを通常の拡張状態(直径約15~30mm)で冷蔵庫内に格納するのではなく、フィルタを直径4mmのみを必要とするカートリッジ内に装填することができる。
【0032】
図2は、送達システム210およびガイディングカテーテル400内の保持ワイヤ401の上のフィルタカートリッジ300の前進を示している。送達システム210は、IVCフィルタ100(血管内医療デバイス)を血管内の場所に送達するように構成されている。血管は、例えば大静脈であり得る。場所は、腎静脈よりも下方である可能性がある。送達システム210は、図に示され、本明細書に記載されるように、ガイディングカテーテル400を通したIVCフィルタ100の血管内の場所での展開を容易にするように構成された様々なデバイス展開構成要素を含む。
【0033】
ガイディングカテーテル400は、IVCフィルタ100のための血管内の展開場所へのおよびそこからの導管を提供するように構成されている。ガイディングカテーテル400は、比較的長い中空のチューブとして形成され得る。ガイディングカテーテル400は、生体適合性ポリマーおよび/または他の材料から形成され得る。保持ワイヤ401は、患者の血管系を通って辿るように構成された可撓性金属ワイヤであり得る。保持ワイヤ401は、保持ワイヤ401の上の他のデバイス展開構成要素の展開場所への通過を容易にするように構成された比較的小さい直径を有し得る。例えば、IVCフィルタ100の展開のために、送達システム210は、大腿静脈または内頸静脈などの好都合な場所の患者の血管系内に挿入され得る。その後、送達システム210は、典型的には、保持ワイヤ401または他のガイドワイヤなどのワイヤの上で、しばしば腎静脈よりも下方の所望の展開場所に到達するまで血管系を通して供給される。
【0034】
図3は、保持ワイヤ401の遠位端350の拡大図を示している。保持ワイヤ401の遠位端350は、IVCフィルタ100が血管内にある間にIVCフィルタ100を固着させるように構成された保持機構348を形成する。保持機構348は、IVCフィルタ100の遠位端内の中心孔105(図1)を通って遠位方向に突出するように構成された遠位フィンガ404を有する外側保持チューブ403を備える。保持機構348は、外側保持チューブ403上の遠位フィンガ404がつぶれるのを防止する内側ワイヤ、内側ロッド、または内側チューブ(例えば、ロックロッド405)を外側保持チューブ403内に備える。例えば、図3に示すように、保持ワイヤ401は、フレア状遠位フィンガ404を有する外側保持チューブ403と、保持チューブ403の内側に存在するロックロッド405と、を備える。
【0035】
いくつかの実施形態では、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のフレア状遠位フィンガ404が保持チューブ403の遠位端に形成されている。フレア状遠位フィンガ404は、フレア状遠位フィンガ404が上述のように機能することができるように構成された様々な長さLおよび/または幅Wを有し得る。フレア状遠位フィンガ404は、一般に、保持チューブ403と同じ厚さを有し得る。
【0036】
フレア状遠位フィンガ404は、保持チューブ403に対して外側に広がる。別の言い方をすれば、フレア状遠位フィンガ404は、保持チューブ403の長手方向中心線から離れるように広がる。いくつかの実施形態では、広がりは、枢動、屈曲、湾曲、および/または他の移動を含む。いくつかの実施形態では、フレア状遠位フィンガ404は、各フレア状遠位フィンガ404の長さLに沿って形成された接合部333で枢動、屈曲、湾曲、または他の方法で外側に移動するように構成されている。この接合部は、折り目、スクライブライン、ディボット、薄肉部、および/または他の接合部であり得る。フィンガと保持チューブ403の残りの部分との間に形成された角度Aは、フィンガ404がIVCフィルタ100(図1)のエンドプレート103(図1)を最終的に通過するのを容易にするように構成され得る。例えば、角度Aが急すぎる場合、フィンガ404は、後述するようにエンドプレート103を通過する代わりに、エンドプレート103を捕捉しエンドプレート103上に留まり得る。
【0037】
ロックロッド405は、保持チューブ403と摺動係合するように構成されている。摺動係合は、ロックワイヤがオペレータ(例えば、医師)によって保持チューブ403に対して近位方向(または遠位方向)に移動させられるときに、ロックロッド405と保持チューブ403との間の相対移動を容易にする。
【0038】
図4は、フィルタエンドプレート103が保持ワイヤ401の遠位端350に接して存在するまでのIVCフィルタ100が依然としてガイディングカテーテル400内にある間の、IVCフィルタ100を短いシース301を通してカートリッジ300から押し出すように構成されたプッシャチューブ500の前進を示している。例えば、プッシャチューブ500は、図示のように、IVCフィルタ100をカートリッジ300からガイディングカテーテル400内に押し込むように構成されている。
【0039】
プッシャチューブ500は、保持ワイヤ401の上を、ちょうどシース301内を通過するように構成された管状形状を有し得る。シース301内に入ると、プッシャチューブ500はIVCフィルタ100の近位端に当接する。プッシャチューブ500は、ガイディングカテーテル400が近位方向に引っ張られてIVCフィルタ100をアンシースしている間、IVCフィルタ100が血管に露出されるが保持ワイヤ401の遠位端350で保持機構348によって定位置に保持されるように、(オペレータによって)静止状態に留められるように構成されている。
【0040】
保持チューブ403内のロックロッド405はフレア状保持フィンガ404がつぶれるのを防止し、それによって、保持ワイヤ401の上のフィルタエンドプレート103のさらなる遠位前進が防止される。したがって、このような機構は、IVCフィルタ100の送達システム210への接続を維持する。
【0041】
図5は、一旦プッシャチューブ500が固定的に留められ(ピンニングされ)、ガイディングカテーテル400が近位方向に摺動されてIVCフィルタ100のシースを効果的に外している間の、ガイディングカテーテル400に対するIVCフィルタ100の位置を示している。ここでも、IVCフィルタ100は、ロックロッド405によって適所に留められたフィルタエンドプレート103を通るフレア状保持フィンガ404によって形成された保持機構によって、保持ワイヤ401の遠位端350を越えて移動することが防止される。
【0042】
図6は、ガイディングカテーテル400の止血弁を通して保持ワイヤ401の上を前進させられるかまたは他の方法でルーティングされてIVCフィルタ100内に存在している、バルーンカテーテル600(例えば、デバイス展開構成要素の一部)を描写している。バルーンカテーテル600は完全に膨張した状態で示されており、フィルタのステントセクション101の外側に膨らみが生じている。
【0043】
図7は、フィルタ100から送達システムへの接続を分断することに加えて、保持ワイヤ401の上のバルーンカテーテル600の収縮および除去を描写している。バルーン支援された大静脈付着後のフィルタ100の正確な位置決めをオペレータが確認すると、保持ワイヤ401は、以下に説明され図8図10に示す手順に従って除去される。
【0044】
図8図10は、IVCフィルタ100を保持ワイヤ401から解放するプロセスを描写している。フィルタ100は、(i)まず、保持チューブ403をピンニングしながらロックロッド405の近位端を引っ張ることによりロックロッド405の遠位端が保持チューブ403内に後退することが可能になり、それによって、フレア状保持フィンガ404がつぶれることが可能になり(図9)、次いで、(ii)ロックロッド405および保持チューブ403の両方を同時に近位方向に引っ張ることにより保持ワイヤ401全体がフィルタエンドプレート103から引き抜かれ(図10)、それによってフィルタが解放されることによって、保持ワイヤから解放される。
【0045】
別の言い方をすれば、内側ロッドまたは内側チューブ(例えば、ロックロッド405)が外側保持チューブ403に対して近位方向に引き抜かれていることに応答して、外側保持チューブ403のフレア状遠位保持フィンガ404がつぶれて、IVCフィルタ100の遠位端内の中心孔105(開口部)を通した遠位フィンガ404の引き抜き、ならびに内側ロッドまたは内側チューブ(例えば、ロックロッド405)および外側保持チューブ403のIVCフィルタ100からの引き抜きを容易にし、それによって、血管内の場所でIVCフィルタ100が解放される。
【0046】
例えば、図8に示すように、ロックロッド405は、外側保持チューブ403およびフィンガ404に対して近位方向801に引き抜かれ始めている。ロックロッド405の遠位端はまだフィンガ404および/またはフィルタエンドプレート103を通過させられていないため、フィンガ404はまだIVCフィルタ100の中心軸線800に向かって中心に移動することができない。
【0047】
図9は、フィンガ404およびフィルタエンドプレート103を近位方向に通過したロックロッド405の遠位端を示している。さらに、保持チューブ403もまた、IVCフィルタ100に対して近位方向に引き抜かれている。したがって、フィンガ404は、ここで、IVCフィルタ100の中心軸線800に向かって中心に移動することができる。移動は、例えば、湾曲、屈曲、枢動、および/または他の移動を含み得る。フィンガ404と保持チューブ403の残りの部分との間に形成された角度Aのために、フィンガ404は、フィンガがエンドプレート103を通過するときにエンドプレート103によって中心軸線800に向かって圧縮される。角度Aが急すぎた場合、フィンガ404は、エンドプレート103を通過する代わりにエンドプレート103を捕捉しエンドプレート103上に留まり得る。
【0048】
図10は、エンドプレート103を完全に通過しており、元の非圧縮位置に戻ったフィンガ404を示している。保持チューブ403は、フィンガ404がこの位置にある状態でIVCフィルタ100から除去され得る。
【0049】
図11図12は、ロックロッド405が保持チューブ403内で近位方向に引っ張られ、保持フィンガ404がフィルタエンドプレート103を通して引っ張られたときに屈曲するか、圧縮するか、または他の方法でつぶれることを可能にする、フィンガ404の解放機構の拡大図を示している。例えば、図11図8と同様であるが、IVCフィルタ100またはエンドプレート103がない。図12図10と同様であるが、依然としてIVCフィルタ100またはエンドプレート103がない。
【0050】
図13図14は、保持チューブ703から外側に前進させられたときに拡張して、フィルタエンドプレート103が保持ワイヤ701の遠位端を越えて前進するのを防止し、それによってIVCフィルタ100(図8図10を参照)を定位置に留める、圧縮された織りワイヤ705であるロックロッドを有する代替の保持ワイヤ701の拡大図を示している。
【0051】
上述したフィンガ404の機構と同様に、織りワイヤ705は、エンドプレート103の遠位側でフィルタエンドプレート103よりも大きい断面サイズを有する拡張バルブ707または他の形状を形成し得る。織りワイヤ705は、保持ワイヤ701が保持チューブ703内に近位方向に引っ張られたときにフィルタ100を解放し得、織りワイヤ705のバルブがフィルタエンドプレート103を通って引っ張られたときに屈曲、圧縮、またはそうでなければつぶれることを可能にする。
【0052】
血管内で意図的に解放されるまで展開中に血管内医療デバイスと送達システムとの間の機械的接続を保持するための説明された装置を利用する例示的な方法を以下に説明する。この例示的な方法は、非自己拡張型下大静脈フィルタの展開に適用される。
【0053】
操作1-セルディンガー法に従って、拡張器をガイディングカテーテル400内に挿入し、次いで、蛍光透視ガイダンス下でガイドワイヤの上にユニットとして拡張器およびガイディングカテーテルを一緒に前進させて、大腿静脈から下大静脈に到達させる。
・操作2-蛍光透視下で、ガイディングカテーテル400の遠位端が腎静脈のすぐ下に位置決めされるまでガイディングカテーテル400を拡張器とともにIVC内を前進させ続ける。
・操作3-ガイディングカテーテル400を安定させながら、拡張器およびガイドワイヤをガイディングカテーテル400から除去する。
・操作4-保持ワイヤ401(内部ロックロッド405とともに遠位端にフレア状フィンガ404を有する保持チューブ403を含む)をガイディングカテーテル400止血弁を通して挿入し、遠位端まで前進させる。
・操作5-IVCフィルタ100を収容するフィルタカートリッジ300を、保持ワイヤ401の上でガイディングカテーテル400の止血弁内に、ガイディングカテーテル400の近位で指の幅ほど突出するまで前進させる。フィルタカートリッジ300は、展開前に、フィルタ100を支持チューブ200の上で圧縮し短いシース301内に一緒に挿入することによって組み立てられていることとなり得る。
・操作6-支持チューブ200をフィルタカートリッジ300の中心から除去し、支持チューブ200を保持ワイヤ401から摺動させて外すことを可能にする。
・操作7-プッシャチューブ500を保持ワイヤ401の上にルーティングして、フィルタカートリッジ300内のフィルタ100に当接させる。フィルタカートリッジ300を静止状態に留めながら、フィルタ100を遠位端までガイディングカテーテル400内に遠位方向に押し込む。
・操作8-プッシャチューブ500をピンニングしながら(プッシャを静止状態に留めながら)、ガイディングカテーテル400を近位方向に引っ張ってフィルタ100をアンシースする。ここで、フィルタ100はIVC内で露出され、保持ワイヤ401の遠位端によって定位置に保持される。プッシャチューブ500を除去する。
・操作9-バルーンカテーテル600を保持ワイヤ401の上でガイディングカテーテル400止血弁を通して前進させて、フィルタ100の先端に当接させる。
・操作10-注射器を用いて蛍光透視下でバルーンカテーテル600の放射線不透過性造影剤が充填されたバルーンを完全に膨張させる。バルーンカテーテル600のバルーンが膨張すると、コンプライアントまたはセミコンプライアントバルーンがフィルタ100のステントセクション101の周囲に「犬の骨」形状を形成したときに、フィルタ/大静脈付着が達成される。バルーンカテーテル600上のルアー弁を閉鎖して圧力を維持する。
・操作11-(i)まず、保持ワイヤ401をピンニングしながら近位端で近位方向にロックロッド405のみを引っ張り、次いで、(ii)ロックロッド405と組み合わせられた保持ワイヤ401を近位方向に引っ張り、つぶれた保持フィンガ404がフィルタ100から取り外されることが可能になることによって、保持ワイヤ401をフィルタ100から引き出す。保持ワイヤ401をガイディングカテーテル400から除去する。
・操作12-ルアー弁を開放し、注射器を用いて真空引きすることによってバルーンカテーテル600のバルーンを完全に収縮させる。バルーンカテーテル600をガイディングカテーテル400内に近位方向にゆっくりと引き込み、すべての送達システム構成要素を患者から除去する。
【0054】
本システムおよび方法の様々な実施形態が、後続の番号付けされた項のリストに開示されている。以下では、本開示のさらなる特徴、特性、および例示的な技術的解決策を、任意の組合せで任意選択的に特許請求され得る条項に関して説明する。
[条項1]
血管内の場所に血管内医療デバイスを送達するように構成されたシステムであって、前記システムが、保持ワイヤの上にルーティングされることができる、チューブ内に前記デバイスを収容するデバイスカートリッジと、前記デバイスに前記場所へのおよび前記場所からの導管を提供するように構成されたガイディングカテーテルと、前記血管内の前記場所での前記ガイディングカテーテルを通した前記デバイスの展開を容易にするように構成されたデバイス展開構成要素と、
前記デバイスが前記血管内にある間に前記デバイスを固着させるように構成された、前記保持ワイヤの遠位端に形成された保持機構と、を備え、前記保持機構が、(i)前記デバイスの遠位端内の開口部を通って遠位方向に突出する遠位フィンガを有する外側チューブと、(ii)前記外側チューブ上の前記遠位フィンガがつぶれるのを防止する、前記外側チューブ内の内側ロッドまたは内側チューブと、を備え、前記内側ロッドまたは内側チューブが前記外側チューブに対して近位方向に引き抜かれていることに応答して、前記外側チューブの前記遠位フィンガが、つぶれて、前記デバイスの前記遠位端内の前記開口部を通した前記遠位フィンガの引き抜き、ならびに前記内側ロッドまたは内側チューブおよび前記外側チューブの前記デバイスからの引き抜きを容易にし、それによって、前記血管内の前記場所で前記デバイスが解放される、
システム。
[条項2]
前記デバイス展開構成要素が、前記保持ワイヤの上にルーティングされて前記場所で前記デバイスを拡張させることができるバルーンカテーテルを備える、条項1に記載のシステム。
[条項3]
前記デバイスを前記カートリッジから前記ガイディングカテーテル内に押し込むように構成されたプッシャチューブをさらに備える、条項1または2に記載のシステム。
[条項4]
前記血管が、大静脈であり、前記デバイスが、大静脈フィルタである、条項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
[条項5]
前記大静脈フィルタが、吸収性である、条項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
[条項6]
前記大静脈フィルタが、非自己拡張型であるが依然として前記デバイスカートリッジ内に収容されている、条項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
[条項7]
前記デバイスを収容する前記デバイスカートリッジが、展開前に、前記デバイスを支持チューブの上で圧縮し、前記デバイスおよび前記支持チューブをシース内に挿入することによって組み立てられている、条項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
[条項8]
前記デバイスを収容する前記デバイスカートリッジが、前記保持ワイヤの遠位端および前記保持機構に向かって前記ガイディングカテーテルの止血弁を通して前記保持ワイヤの上を通過させられるように構成されている、条項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
[条項9]
前記支持チューブが、プッシャチューブが前記保持ワイヤの上にルーティングされて前記デバイスカートリッジ内の前記デバイスに当接することができるように、前記デバイスカートリッジの中心から除去されるように構成されており、前記デバイスカートリッジが静止状態に留められている間、前記デバイスが、前記プッシャチューブによって遠位方向に前記ガイディングカテーテル内に押し込まれることができる、条項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
[条項10]
前記プッシャチューブが、前記デバイスが前記血管に露出されるが、前記保持ワイヤの前記遠位端で前記保持機構によって定位置に保持されるように、前記ガイディングカテーテルが近位方向に引っ張られて前記デバイスをアンシースしている間、静止状態に留められるように構成されている、条項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
[条項11]
送達システムを用いて血管内の場所に血管内医療デバイスを送達するための方法であって、前記システムが、ガイディングカテーテルと、デバイス展開構成要素と、保持機構と、を備え、前記方法が、ガイディングカテーテルを通して保持ワイヤを挿入するステップと、前記保持ワイヤの上で前記デバイスを前記ガイディングカテーテル内に前進させるステップと、
前記ガイディングカテーテルを近位方向に引っ張ることによって、前記デバイスをアンシースして前記デバイスを前記血管内で露出させるステップと、前記デバイスを前記血管内の所望の位置に位置決めするステップと、外側保持チューブに対して内側ロックロッドを近位方向に引き抜き、前記外側保持チューブの遠位フィンガがつぶれて前記デバイスの端部内の開口部を通る前記遠位フィンガの引き抜きを容易にすることを可能にすることによって、前記保持ワイヤから前記デバイスを解放するステップと、前記保持ワイヤを前記ガイディングカテーテルから引き抜き、最後に前記ガイディングカテーテルを前記血管から除去するステップと、
を含む、方法。
[条項12]
前記デバイス展開構成要素が、前記場所で前記デバイスを拡張するように構成されたバルーンカテーテルを備え、前記方法が、前記バルーンを用いて前記デバイスを展開するステップをさらに含む、条項11に記載の方法。
[条項13]
プッシャチューブが、前記デバイスを前記ガイディングカテーテル内に押し込むために使用される、条項11または12のいずれか一項に記載の方法。
[条項14]
前記血管内医療デバイスが、下大静脈フィルタであり、前記血管が、下大静脈である、条項11~13のいずれか一項に記載の方法。
[条項15]
前記デバイスが、シース内に予め装填されて、前記ガイディングカテーテル内への挿入時に前記デバイスの損傷を防止するデバイスカートリッジを形成する、条項11~14のいずれか一項に記載の方法。
[条項16]
前記デバイスを収容する前記デバイスカートリッジが、展開前に、前記デバイスを支持チューブの上で圧縮し、前記デバイスおよび前記支持チューブを前記シース内に挿入することによって組み立てられる、条項11~15のいずれか一項に記載の方法。
[条項17]
前記デバイスを収容する前記デバイスカートリッジが、前記保持ワイヤの遠位端および前記保持機構に向かって前記ガイディングカテーテルの止血弁を通して前記保持ワイヤの上を通過させられるように構成される、条項11~16のいずれか一項に記載の方法。
[条項18]
前記支持チューブが、プッシャチューブが前記保持ワイヤの上にルーティングされて前記デバイスカートリッジ内の前記デバイスに当接することができるように、前記デバイスカートリッジの中心から除去されるように構成され、前記デバイスカートリッジが静止状態に留められている間、前記デバイスが、前記プッシャチューブによって遠位方向に前記ガイディングカテーテル内に押し込まれることができる、条項11~17のいずれか一項に記載の方法。
[条項19]
前記プッシャチューブが、前記デバイスが前記血管に露出されるが、前記保持ワイヤの遠位端で前記保持機構によって定位置に保持されるように、前記ガイディングカテーテルが近位方向に引っ張られて前記デバイスをアンシースしている間、静止状態に留められるように構成される、条項11~18のいずれか一項に記載の方法。
[条項20]
前記デバイスが、大静脈フィルタであり、前記大静脈フィルタが、吸収性であり、前記大静脈フィルタが、非自己拡張型であるが依然としてデバイスカートリッジ内に収容されている、条項11~19のいずれか一項に記載の方法。
[条項21]
条項1~10のいずれか一項に記載のシステムを少なくとも部分的に使用して実行される、条項11~20のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
特許請求の範囲において、括弧間に置かれたいかなる参照符号も、請求項を限定するものとして解釈してはならない。「備える、含む(comprising)」または「含む(including)」という単語は、請求項内に列挙された要素またはステップ以外の要素またはステップの存在を排除するものではない。いくつかの手段を列挙する装置クレームでは、これらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアの全く同一のアイテムによって具現化され得る。要素に先行する語「a」または「an」は、複数のそのような要素の存在を排除するものではない。いくつかの手段を列挙する任意の装置クレームにおいて、これらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアの全く同一のアイテムによって具現化され得る。特定の要素が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの要素を組み合わせて使用することができないことを示すものではない。
【0056】
上記で提供された説明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられているものに基づいて例示の目的のために詳細を提供しているが、そのような詳細はその目的のためだけのものであり、本開示は明示的に開示された実施形態に限定されず、反対に、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にある修正および同等の構成を網羅することを意図していることを理解されたい。例えば、本開示は、可能な限り、任意の実施形態の1つ以上の特徴を任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができることを企図することを理解されたい。
図1
図2-3】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】