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特表2024-517225皮膚症状を治療するためのマヌカオイルおよびパルマローザオイルを含有する局所用組成物
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  • 特表-皮膚症状を治療するためのマヌカオイルおよびパルマローザオイルを含有する局所用組成物 図1
  • 特表-皮膚症状を治療するためのマヌカオイルおよびパルマローザオイルを含有する局所用組成物 図2
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  • 特表-皮膚症状を治療するためのマヌカオイルおよびパルマローザオイルを含有する局所用組成物 図6
  • 特表-皮膚症状を治療するためのマヌカオイルおよびパルマローザオイルを含有する局所用組成物 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】皮膚症状を治療するためのマヌカオイルおよびパルマローザオイルを含有する局所用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/61 20060101AFI20240412BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 36/899 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240412BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240412BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240412BHJP
   A61K 36/534 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 36/71 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 36/906 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 36/79 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 36/23 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 31/015 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 131/00 20060101ALN20240412BHJP
【FI】
A61K36/61
A61P17/00
A61P43/00 121
A61P17/04
A61P17/06
A61P17/00 101
A61P17/02
A61P31/10
A61P31/04
A61P31/22
A61K36/899
A61K36/53
A61K31/05
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/46
A61K47/18
A61K47/32
A61K47/06
A61K47/12
A61K9/06
A61K9/107
A61K9/08
A61K9/12
A61K47/44
A61K36/534
A61K36/28
A61K36/71
A61K36/906
A61K36/185
A61K36/79
A61K36/23
A61K36/48
A61K31/015
A61K131:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567236
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 IB2022000255
(87)【国際公開番号】W WO2022234340
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/185,182
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522050789
【氏名又は名称】マヌカ セラピューティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MANUKA THERAPEUTICS LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギルモア,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ケアンズ,スチュアート,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング,スーキー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA14
4C076AA24
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC20
4C076CC32
4C076CC35
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD39
4C076DD43
4C076DD49
4C076DD59
4C076DD60
4C076EE03
4C076EE23
4C076EE45
4C076EE53
4C076EE55
4C076EE58
4C076FF11
4C088AB12
4C088AB26
4C088AB32
4C088AB38
4C088AB40
4C088AB57
4C088AB59
4C088AB73
4C088AB81
4C088AC04
4C088BA06
4C088MA02
4C088MA07
4C088MA13
4C088MA17
4C088MA28
4C088MA63
4C088NA05
4C088ZA89
4C088ZA90
4C088ZB33
4C088ZB35
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206BA04
4C206CA19
4C206KA01
4C206KA04
4C206KA17
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA33
4C206MA37
4C206MA48
4C206MA83
4C206NA05
4C206ZA89
4C206ZA90
4C206ZB33
4C206ZB35
4C206ZC75
(57)【要約】
レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)と、キンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)、CBDオイルもしくは単離物、またはポゴステモン・カブリン(パチョリオイル)のうちの少なくとも1つと、担体組成物との混合物を含む、皮膚症状を治療するための局所用組成物。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイル)、またはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトンと、
キンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)、CBDオイル、またはポゴステモン・カブリン(パチョリオイル)のうちの少なくとも1つと、
担体組成物と、
の混合物を含む、皮膚症状を治療するための局所用組成物。
【請求項2】
少なくとも5重量パーセント(wt%)のベースβ-トリケトン含有量を有するマヌカオイルを含む、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項3】
少なくとも20wt%のベースβ-トリケトン含有量を有するマヌカオイルを含む、請求項2に記載の局所用組成物。
【請求項4】
前記局所用組成物の総重量に基づいて、約0.05重量パーセント(wt%)~約10wt%のマヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトンと、約0.05wt%~約10wt%のパルマローザオイルとを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項5】
前記局所用組成物の総重量に基づいて、約0.05重量パーセント(wt%)~約2wt%のマヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトンと、約0.05wt%~約2wt%のパルマローザオイルとを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項6】
前記局所用組成物の総重量に基づいて、約0.05重量パーセント(wt%)~約1wt%のマヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトンと、約0.05wt%~約1wt%のパルマローザオイルとを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項7】
前記局所用組成物の総重量に基づいて、前記マヌカオイルから得られる約1wt%超のβ-トリケトンを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項8】
前記局所用組成物の総重量に基づいて、前記マヌカオイルから得られる約2wt%超のβ-トリケトンを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項9】
0.05重量パーセント(wt%)~約10wt%のパルマローザオイルを含む請求項1から8のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項10】
約2wt%超のパルマローザオイルを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項11】
パルマローザオイルと前記マヌカオイルから得られるβ-トリケトンとを約1:3の比~約3:1の比で含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項12】
パルマローザオイルと前記マヌカオイルから得られるβ-トリケトンとを約1.5:1~約1:1.5の比で含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項13】
前記担体が、ポリエチレングリコール、アラントイン、アロエ、EDTA二ナトリウム、フェノキシエタノール、デカジエンクロスポリマー、トリエチレングリコール、ステアリルアルコール、白色軟質パラフィン、プロピレングリコール、乳酸、グリセリン、および水を含有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項14】
前記担体がポリエチレングリコールを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項15】
CBDオイルもしくは単離物、ポゴステモン・カブリン(パチョリオイル)、ニゲラ・サティバシードオイル(ブラックシードオイル)、マトリカリア・レクティタオイル(ジャーマンカモミール)、エレッタリア・カーダモマムオイル(カルダモン)、ティムス・ウルガリスオイル(タイム)、オリガナム・ウルガレオイル(オレガノ)、サンタラム・アルバムオイル(サンダルウッド)、イリシウム・ベルムオイル(スターアニス)、メンタ・スピカタオイル(スペアミント)、センテラ・アジアティカ(ゴツコラ抽出物)、β-カリオフィレン、ソラレア・コリリフォリアオイル(バブチまたはバクチ)、またはテルミナリア・フェルディナンディアナオイル(カカドゥプラム)をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項16】
局所用バーム、または局所用軟膏、局所用クリーム、局所用ゲル,局所用溶液,局所用スプレー、もしくは局所用オイルの形態である、請求項1から15のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項17】
前記担体組成物が主に水またはアルコールを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項18】
前記担体組成物が、1つ以上の天然ワックス、酸化防止剤、皮膚軟化剤、保湿剤、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項19】
前記担体組成物が、ミツロウ、ハゼノキフルーツワックス、ウルシ果皮ワックス、トウゴマ種子油(ヒマシ油)、シモンジア・シネンシス種子油(ホホバ種子油)、パルミチン酸アスコルビル、およびトコフェロールのうちの1つ以上を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項20】
膿痂疹の治療に使用するためのものである、請求項1から19のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項21】
乾癬または湿疹の治療に使用するためのものである、請求項1から20のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項22】
細菌性の皮膚または創傷感染症、真菌または酵母感染症、ならびに口唇ヘルペスおよび帯状疱疹を含むヘルペス感染症の治療または予防に使用するためのものである、請求項1から21のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項23】
皮膚症状を治療するための方法であって、
皮膚症状を含む領域に局所用組成物を塗布することを備え、前記局所用組成物は、
レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)と、
CBDオイル、キンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)、またはポゴステモン・カブリン(パチョリオイル)のうちの少なくとも1つと、
担体組成物と、を含み、
前記マヌカオイル(またはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)と、CBDオイル、パルマローザオイル、またはパチョリオイルのうちの少なくとも1つとが前記担体組成物中で混合されている、方法。
【請求項24】
前記局所用組成物は、局所用ゲル、局所用軟膏、局所用クリーム、または局所用バーム、局所用溶液、局所用スプレー、もしくは局所用オイルの形態である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記局所用組成物がパルマローザオイルを含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記局所用組成物が、パルマローザオイルと前記マヌカオイルから得られるβ-トリケトンとを約1:2の比~約2:1の比で含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
少なくともCBDオイルもしくは単離物、ポゴステモン・カブリン(パチョリオイル)、ニゲラ・サティバシードオイル(ブラックシードオイル)、マトリカリア・レクティタオイル(ジャーマンカモミール)、エレッタリア・カーダモマムオイル(カルダモン)、ティムス・ウルガリスオイル(タイム)、オリガナム・ウルガレオイル(オレガノ)、サンタラム・アルバムオイル(サンダルウッド)、イリシウム・ベルムオイル(スターアニス)、メンタ・スピカタオイル(スペアミント)、センテラ・アジアティカ(ゴツコラ抽出物)、β-カリオフィレン、ソラレア・コリリフォリアオイル(バブチまたはバクチ)、またはテルミナリア・フェルディナンディアナオイル(カカドゥプラム)を前記担体組成物中に混合することをさらに備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記担体組成物がポリエチレングリコールを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)とキンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)とを担体組成物に混合することを含む、皮膚症状を治療するために使用される局所用組成物の製造方法。
【請求項30】
前記担体組成物がポリエチレングリコールを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
膿痂疹を治療するための局所用組成物であって、
レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)と、
キンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)と、
担体組成物と、
の治療用混合物を含む、局所用組成物。
【請求項32】
パルマローザオイルと前記マヌカオイルから得られるβ-トリケトンとを約1:2の比~約2:1の比で含む、請求項31に記載の局所用組成物。
【請求項33】
前記担体組成物がポリエチレングリコールを含む、請求項31または32に記載の局所用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ヒトを含む哺乳類の損傷した皮膚を治療するための局所用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な病気、疾患、または怪我は皮膚症状を引き起こす可能性がある。これらの原因には、限定するものではないが、裂傷、ひび割れ、火傷、水疱などの身体的損傷または外傷;疾患;アレルギー反応、乾燥、にきびなどの身体的な不調;細菌、真菌、ウイルス、寄生虫などを含む微生物;またはその他の原因が含まれる。損傷した皮膚、特に開放創や皮膚バリアの欠陥を引き起こした皮膚は、微生物感染症にかかりやすく、体の自然な治癒能力を妨げたり阻害したりする可能性がある。皮膚の治癒を保護または促進するように設計された、損傷した皮膚を治療するための多くの選択肢およびアプローチが用いられてきた。
【0003】
本願の出願人に譲渡されたPCT公開出願国際公開第2021/024211号に記載されている皮膚症状を治療するための1つのアプローチは、レプトスペルマム・スコパリウム(Leptospermum scoparium)オイル(マヌカオイル)およびニゲラ・サティバ(Nigella Sativa)シードオイル(ブラックシードオイル)、ならびに担体組成物を使用する。このアプローチは有益な結果を生み出すことができるが、記載される組み合わせはその有用性および受容性に影響を及ぼし得る不快臭をも生み出す可能性がある。
【0004】
したがって、皮膚の治癒を保護または促進するように設計された、損傷した皮膚を治療するための改善された製剤が、当技術分野において現在必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は一般に、膿瘡を含む膿痂疹、皮膚および創傷感染症、湿疹または乾癬のような乾燥皮膚症状などに関連する皮膚症状を含むが、これらに限定されない様々な皮膚感染症および他の病気を治療または予防するのに有用であり得る、抗菌性、抗炎症性および/または他の創傷治癒特性を有する局所用組成物に関する。
【0006】
本開示による一実施形態では、様々な皮膚症状を治療するための局所用組成物は、全油またはβ-トリケトンなどの成分の形態のレプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイル)およびキンボポゴン・マルティニ(Cymbopogon martinii)オイル(パルマローザオイル)、ならびに担体組成物を含む。以下にさらに記載されるように、マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたその成分(特にβ-トリケトン)とパルマローザオイルとの組み合わせは、膿痂疹を引き起こすと認識されている寄与因子である黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌、およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などのグラム陽性菌に対して高い有効性を示す相乗効果を提供し得る。追加的にまたは代替的に、開示される局所用組成物は、炎症を低減するために、および/または他の微生物感染症を治療および/または予防するために、および/または損傷した領域の治癒速度を向上するために、損傷した皮膚に塗布され得る。
【0007】
本開示による別の実施形態では、様々な皮膚症状の治療のための局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはβ-トリケトンなどのその成分)と、キンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)、CBDすなわちカンナビジオール(例えば、CBDまたは精製CBD単離物を含む天然油)、またはポゴステモン・カブリン(Pogostemon cablin)(パチョリオイル)のうちの少なくとも1つと、担体組成物とを含む。本組成物はまた、本明細書に記載の他のオイルを任意選択で含んでもよい。以下にさらに記載されるように、マヌカオイルと、CBDオイルもしくは単離物のいずれか、パルマローザオイル、パチョリオイル、またはそれらの組み合わせとの組み合わせは、オイルまたは活性物質を独立して含む他の局所用組成物と比較して、持続的な抗菌活性、創傷治癒の促進、優れた抗炎症作用、または3つ全ての特性を示す相乗効果を提供し得る。いくつかの実施形態では、開示される局所用組成物は、炎症を低減するために、および/または微生物の増殖を治療および/または予防するために、および/または損傷した領域の治癒速度を向上するために、損傷した皮膚に塗布され得る。本組成物はまた、乾癬や湿疹などの様々な皮膚症状、膿痂疹、おでき、膿瘍、創傷感染症、口唇ヘルペスや帯状疱疹などのウイルス感染症、水虫などの真菌感染症、またはカンジダ症などの酵母感染症の治療または予防のために使用され得る。
【0008】
本開示による一実施形態では、皮膚症状の治療のための局所用組成物は、局所用バーム、局所用軟膏、局所用ゲル、局所用溶液、または局所用スプレーの形態であってもよい。局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはβ-トリケトンなどのその成分)と、キンボポゴン・マルティニオイル(パルマローザオイル)、CBDオイルもしくは単離物、またはポゴステモン・カブリンオイル(パチョリオイル)のうちの少なくとも1つと、パルミチン酸エチルヘキシルと、担体組成物との混合物を含み得る。いくつかのこのような実施例では、局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはβ-トリケトンなどのその成分)とキンボポゴン・マルティニオイル(パルマローザオイル)との混合物を含む局所用軟膏を含む。マヌカオイル(またはβ-トリケトンなどの成分)およびパルマローザオイルは、治療量で、例えば、膿痂疹の治療に有効な量で存在し得る。
【0009】
本開示による別の実施形態では、湿疹や乾癬などの皮膚症状の治療または予防のための局所用組成物は、局所用親水軟膏またはクリームの形態であってもよい。局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトンなどの成分)と、CBDオイル、キンボポゴン・マルティニオイル(パルマローザオイル)、またはポゴステモン・カブリンオイル(パチョリオイル)のうちの少なくとも1つと、担体組成物との混合物を含み、担体組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)またはマクロゴール、アラントイン、アロエ、EDTA二ナトリウム、フェノキシエタノール、デカジエンクロスポリマー、トリエチレングリコール、ステアリルアルコール、白色軟質パラフィン、プロピレングリコール、乳酸、グリセロール、および水を含み得る成分を含有する。
【0010】
本開示による別の実施形態では、膿痂疹などの皮膚症状を治療するための局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトンなどの成分)と、キンボポゴン・マルティニオイル(パルマローザオイル)と、担体組成物との混合物を含む。マヌカオイル(またはβ-トリケトンなどの成分)およびパルマローザオイルは、治療量で、例えば、膿痂疹の治療に有効な量で存在し得る。いくつかのこのような実施例では、組成物が含むパルマローザオイルとマヌカオイルまたはβ-トリケトンとの比を約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、または約1:1としてもよい。担体組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、または天然もしくは天然由来の成分を含有してもよい。
【0011】
本開示による別の実施形態では、膿痂疹、おでき、麦粒腫、膿瘍、毛包炎、蜂巣炎、癰、せつ、創傷感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、および酵母感染症のような微生物による皮膚感染症などの皮膚症状を治療するための抗菌性局所用組成物が提供される。局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはβ-トリケトンなどのその成分)と、キンボポゴン・マルティニオイル(パルマローザオイル)、CBDオイルもしくは単離物、ポゴステモン・カブリンオイル(パチョリオイル)、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上と、担体組成物との混合物を含む。
【0012】
本開示による別の実施形態では、皮膚症状を治療または予防するための方法は、皮膚症状を含む領域に局所用組成物を塗布することを備え、局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイル)またはその成分(例えばβ-トリケトン)と、キンボポゴン・マルティニオイル(パルマローザオイル)、CBD(オイルまたは単離物)、ポゴステモン・カブリンオイル(パチョリオイル)、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上と、担体組成物との混合物を含む。
【0013】
本開示による別の実施形態では、皮膚症状を治療するために使用される局所用組成物の製造方法は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイル)またはその成分(例えばβ-トリケトン)と、キンボポゴン・マルティニオイル(パルマローザオイル)、CBDオイルもしくは単離物、ポゴステモン・カブリンオイル(パチョリオイル)、またはそれらの組み合わせの1つ以上と、他の成分との混合物を含む局所用組成物を、担体組成物に混合することを備える。
【0014】
別の実施形態では、開示の局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイル)またはその成分(例えばβ-トリケトン)と、ニゲラ・サティバシードオイル(ブラックシードオイル)、マトリカリア・レクティタ(Matricaria recutita)オイル(ジャーマンカモミール)、α-ビサボロール、エレッタリア・カーダモマム(Elettaria cardamomum)オイル(カルダモン)、ティムス・ウルガリス(Thymus vulgaris)オイル(タイム)、オリガナム・ウルガレ(Origanum vulgare)オイル(オレガノ)、サンタラム・アルバム(Santalum album)オイル(サンダルウッド)、イリシウム・ベルム(Illicium verum)オイル(スターアニス)、メンタ・スピカタ(Mentha spicata)オイル(スペアミント)、センテラ・アジアティカ(Centella asiatica)(ゴツコラ抽出物)、β-カリオフィレン、ソラレア・コリリフォリア(Psoralea corylifolia)オイル(バブチまたはバクチ)、テルミナリア・フェルディナンディアナ(Terminalia Ferdinandiana)オイル(カカドゥプラム)、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上との混合物を含んでもよい。追加的にまたは代替的に、開示の局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはβ-トリケトンなどのその成分)と、キンボポゴン・マルティニオイル(パルマローザオイル)、CBD(オイルまたは単離物)、ポゴステモン・カブリンオイル(パチョリオイル)、またはそれらの組み合わせと、担体組成物と、ニゲラ・サティバシードオイル(ブラックシードオイル)、マトリカリア・レクティタオイル(ジャーマンカモミール)、α-ビサボロール、エレッタリア・カーダモマムオイル(カルダモン)、ティムス・ウルガリスオイル(タイム)、オリガナム・ウルガレオイル(オレガノ)、サンタラム・アルバムオイル(サンダルウッド)、イリシウム・ベルムオイル(スターアニス)、メンタ・スピカタオイル(スペアミント)、センテラ・アジアティカ(ゴツコラ抽出物)、β-カリオフィレン、ソラレア・コリリフォリアオイル(バブチまたはバクチ)、テルミナリア・フェルディナンディアナオイル(カカドゥプラム)、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上との混合物を含んでもよい。
【0015】
上記の概要は、開示された各実施形態または本明細書に開示された実施形態の全ての実施を説明することを意図するものではない。以下の説明は、具体例をより詳細に例示している。本願全体のいくつかの場所で、様々な組み合わせで使用できる例のリストを通じてガイダンスが提供されている。いずれの場合も、列挙されたリストは代表的なグループとしてのみ機能し、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の実施形態による、ECMT-154PEG軟膏および参照に関する抗菌データを示す表である。
図2図2は、本開示の実施形態による、ECMT-154局所用組成物および参照に関するアクネ菌および表皮ブドウ球菌に対する効果を示す表である。
図3図3は、本開示の実施形態による、マヌカオイルβ-トリケトンおよびパルマローザオイルの創傷治癒効果を示す表である。
図4A図4Aは、本開示の実施形態による、0.2%のMBSβ-トリケトン+0.2%のパルマローザオイルを用いた皮膚の1時間の治療についての皮膚バリア修復試験結果を示すグラフである。
図4B図4Bは、本開示の実施形態による、0.2%のMBSβ-トリケトン+0.2%のパチョリオイルを用いた皮膚の1時間の治療を示すグラフである。
図5図5は、本開示の実施形態による、マヌカオイルβ-トリケトンのGCMS結果を、結果を要約する表と共に示すグラフである。
図6図6は、本開示の実施形態による、マヌカオイルβ-トリケトン、パルマローザオイル、および組み合わせた組成物のGCMS結果のグラフである。
図7図7は、本開示の実施形態による、ポリエチレングリコール担体ベース中にマヌカオイルβ-トリケトン、パルマローザオイルを含む局所用組成物のHRIPT結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[定義]
本明細書で使用される場合、「1つ」、「その」、「少なくとも1つ」、および「1つ以上」は交換可能に使用される。したがって、例えば、「1つの」界面活性剤を含む組成物は、組成物が「1つ以上の」界面活性剤を含むことを意味すると解釈することができる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「CBDオイル」という用語は、カンナビジオール(CBD)を含有するオイル(例えば、天然植物油)を指すために使用される。CBDオイルとしては、カンナビス属の植物からの精油抽出物(例えば、カンナビス油、大麻油、またはアサ科由来のオイル)を含み得る。このようなオイルは、オイルから特定のカンナビノイドを除去するために、またはCBD、例えばCBD単離物の濃度、稠度または純度を高めるために加工され得る。追加的にまたは代替的に、CBDオイルは、CBDを含有する天然植物ベースのオイルなどの他の油脂製品を指し得る。このようなオイルは、CBDの担体として作用するココナッツ油、麻実油、ホホバ油、ローズヒップ油、または他のオイルを含み得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、「実質的に~からなる」という用語は、それぞれの材料の少なくとも95重量パーセント(wt%)が記載された成分でできていることを意味する。例えば、実質的に天然またはビーガン材料からなる担体組成物は、組成物の少なくとも95wt%が天然またはビーガン材料でできていることを意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「本質的に~からなる」という用語は、それぞれの材料が記載された成分から構成されているが、その材料の物理的または化学的特性に実質的に影響を及ぼさない他の混入物質も含み得ることを意味する。いくつかの例において、材料のリストから「本質的になる」組成物には、0.5wt%未満の他の成分が含まれ得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語およびその変形は、これらの用語が明細書および特許請求の範囲に現れる場合、限定的な意味を持たない。
【0022】
本明細書で使用される場合、「精油」、「植物油」、または「種子油(シードオイル)」という用語は、天然の植物ベースのオイルを指す。特に明記しない限り、そのようなオイルは、水蒸気蒸留、コールドプレスプロセス、またはCO抽出から得られたものであり得る。そのようなオイルを製造する方法(例えば、水蒸気蒸留かコールドプレスか)は、オイルの組成構成ならびに物理的および薬効的特性を変える可能性がある。
【0023】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、混合物または組成物の成分または構成要素を指す。特に明記しない限り、本開示の実施形態によれば、賦形剤は、混合物の活性、非活性、もしくは不活性の成分または含有物であり得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「混合物」または「混合」という用語は、2つ以上の成分を一緒に物理的に混合したものまたは物理的に混合すること(例えば、混和させること)を指す。特に明記しない限り、混合物には、エマルジョン、不均一混合物、および均一混合物が含まれる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「天然」という用語は、合成または石油ベースの供給源とは対照的に、植物、昆虫、または動物ベースの供給源などの再生可能な供給源に由来する精油、精油成分、または賦形剤などの生物活性成分を表す。例えば、「天然油」、「天然ワックス」、または「天然抽出物」という句には、植物、昆虫(例えば、ミツバチ)、または他の動物に由来するオイル、ワックス、抽出物、および他の成分が含まれ得る。賦形剤が化学的または物理的抽出プロセスを経たとしても、生物活性成分または賦形剤は依然として「天然」と見なされ得る。例えば、精油は通常、蒸留プロセスを通じて植物から抽出される。精油は、オイルを分離して精製するための処理が行われているにもかかわらず、依然として天然と見なされている。
【0026】
本明細書で使用される場合、「好ましい」および「好ましくは」という用語は、特定の状況下で特定の利益をもたらし得る実施形態を指す。しかしながら、同じまたは他の状況下で、他の実施形態もまた好ましい場合がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、他の実施形態を本開示の範囲から除外することを意図するものではない。
【0027】
本明細書で使用される場合、「局所用組成物」という用語は、患者の皮膚に塗布されるように設計された組成物を指し、体内における摂取または使用は意図されていない。このような組成物は、送達システム(例えば、リポソームカプセル化システムまたは他のナノマテリアル)、経皮賦形剤(例えば、表皮の層に浸透しまたはそれを通過するもの)を含み得、いくつかの例では、皮膚症状または創傷(例えば、感染症、裂傷、擦過傷、発疹、乾燥、診断された皮膚症状、炎症、外科的切開など)を含む皮膚の部分に塗布され得る。局所用組成物には、限定するものではないが、バーム、クリーム、ゲル、ローション、軟膏、溶液、スプレー、オイルなどが含まれ得る。局所用組成物は、患者の皮膚に直接塗布(例えば、組成物を含むバームを直接塗布)されてもよいし、患者の皮膚に間接的に塗布(例えば、皮膚に塗布される組成物を含む創傷被覆材の適用)されてもよい。
【0028】
また、本明細書において、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に含まれる全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。さらに、範囲の開示には、より広い範囲に含まれる全てのサブ範囲の開示が含まれる(例えば、1~5は、1~4、1.5~4.5、4~5などを開示する)。
【0029】
[発明を実施するための形態]
本開示に記載される実施形態は、様々な皮膚症状(例えば、膿痂疹、湿疹、乾癬、炎症症状、おでき、麦粒腫、膿瘍、毛包炎、蜂巣炎、癰、せつ、創傷感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、および酵母感染症)の治療のための局所用組成物、およびそのような組成物を製造および使用する方法を提供する。様々な実施形態は、擦過傷、疾患、毒素および放射線への曝露、免疫応答、傷害、医療処置、細菌、ウイルス、真菌、酵母および寄生虫などの微生物、外傷などによる損傷を含む多くの形態の皮膚症状を治療するのに効果的である。
【0030】
いくつかの実施形態では、開示の局所用組成物は、細菌性皮膚症状の膿痂疹の治療的処置を提供するために製剤化され得る。膿痂疹は、一般的で非常に伝染性の高い皮膚感染症であり、主に乳児および小児に発症する。膿痂疹は「とびひ(school sore)」とも呼ばれ、通常、人の顔面、とりわけ人の鼻と口の周囲、および手足に赤いびらんとして現れる。膿痂疹の典型的な徴候および症状は、赤い液体で満たされたびらんを伴い、これは破裂または滲出することがあり、びらんの上に蜂蜜色の痂皮が形成される。びらんは典型的には鼻および口の周囲に生じるが、びらんが指、衣服、タオルなどによる接触転移を介して、身体の他の領域に広がる可能性がある。
【0031】
水疱性膿痂疹と呼ばれる、あまり一般的ではない形態の膿痂疹疾患は、乳児および幼児の臀部に生じる、より大きな水疱を特徴とし得る。膿瘡と呼ばれる別のより重篤な形態の膿痂疹は、より深く皮膚組織に浸透し、潰瘍に発展し得る有痛性の液体で満たされたびらんを生じさせる。
【0032】
開示の局所用組成物は、他の皮膚症状の治療にも使用され得る。概して、組成物はヒトの皮膚症状を治療する文脈で記載されているが、組成物はまた、適用可能な場合、獣医学の実践などにおいて、毛皮を有するものを含む他の哺乳動物の皮膚症状を治療する際に使用されてもよい。皮膚病変は、感染性要素および炎症性要素の両方を有することが多い。感染性要素は、周知の例外はあるが、純粋な細菌性または純粋なウイルス性ではなく混合感染であることが多いが、強力な総合的な抗菌性データおよび強力な抗炎症性データを有する組成物は、広い有効性を有する製品を提供し得る。本明細書に開示されるように、天然の生物活性物質を組み合わせることにより、両方の要素において最適化された有効性を有する製品を提供することができる。
【0033】
開示の局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはその成分、特にβ-トリケトン)と、キンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)、CBD(オイルまたは単離物)、またはポゴステモン・カブリンオイル(パチョリオイル)のうちの少なくとも1つと、担体組成物との特有の混合物を含む。より具体的には、局所用組成物は、少なくともマヌカオイルまたはその成分(特にβ-トリケトン)およびパルマローザオイルを含み得る。組成物はまた、ニゲラ・サティバシードオイル(ブラックシードオイル)、マトリカリア・レクティタオイル(ジャーマンカモミール)、α-ビサボロール、エレッタリア・カーダモマムオイル(カルダモン)、ティムス・ウルガリスオイル(タイム)、オリガナム・ウルガレオイル(オレガノ)、サンタラム・アルバムオイル(サンダルウッド)、イリシウム・ベルムオイル(スターアニス)、メンタ・スピカタオイル(スペアミント)、センテラ・アジアティカ(ゴツコラ抽出物)、β-カリオフィレン、ソラレア・コリリフォリアオイル(バブチまたはバクチ)、またはテルミナリア・フェルディナンディアナオイル(カカドゥプラム)、およびパルミチン酸エチルヘキシル、またはこれらの成分の組み合わせを任意選択で含んでもよい。
【0034】
以下でさらに説明されるように、マヌカオイルまたはその成分、特にβ-トリケトンを、パルマローザオイル、CBDオイルもしくは単離物、パチョリオイル、またはそれらの組み合わせと組み合わせて含むことにより、膿痂疹、湿疹、乾癬、真菌性もしくはウイルス性皮膚感染症、またはにきびなどの様々な局所皮膚症状を治療する際に相乗効果が提供され得る。場合によっては、相乗効果は、マヌカオイルまたはその成分(特にβ-トリケトン)を、ニゲラ・サティバシードオイル(ブラックシードオイル)、マトリカリア・レクティタオイル(ジャーマンカモミール)、エレッタリア・カーダモマムオイル(カルダモン)、ティムス・ウルガリスオイル(タイム)、オリガナム・ウルガレオイル(オレガノ)、サンタラム・アルバムオイル(サンダルウッド)、イリシウム・ベルムオイル(スターアニス)、メンタ・スピカタオイル(スペアミント)、センテラ・アジアティカ(ゴツコラ抽出物)、β-カリオフィレン、ソラレア・コリリフォリアオイル(バブチまたはバクチ)、またはテルミナリア・フェルディナンディアナオイル(カカドゥプラム)と組み合わせて使用した場合にも生じ得る。
【0035】
さらに、膿痂疹やおできなどの細菌感染症、口唇ヘルペスや帯状疱疹などのウイルス感染症、水虫などの真菌感染症、カンジダ症などの酵母感染症、および創傷感染症のような様々な局所皮膚感染症を治療する場合、パルマローザオイル、パチョリオイル、またはCBDオイルのうちの少なくとも1つを開示のマヌカオイル(またはマヌカオイルβ-トリケトン)ベースの組成物に含めることにより、マヌカオイルのみを含む局所用組成物と比較して、本局所用組成物の抗菌活性および/または有効性の持続時間を増加させるさらなる相乗効果が提供され得る。場合によっては、ニゲラ・サティバシードオイル(ブラックシードオイル)、マトリカリア・レクティタオイル(ジャーマンカモミール)、エレッタリア・カーダモマムオイル(カルダモン)、ティムス・ウルガリスオイル(タイム)、オリガナム・ウルガレオイル(オレガノ)、サンタラム・アルバムオイル(サンダルウッド)、イリシウム・ベルムオイル(スターアニス)、メンタ・スピカタオイル(スペアミント)、センテラ・アジアティカ(ゴツコラ抽出物)、β-カリオフィレン、ソラレア・コリリフォリアオイル(バブチまたはバクチ)、またはテルミナリア・フェルディナンディアナオイル(カカドゥプラム)がマヌカオイル(またはマヌカオイルβ-トリケトン)ベースの組成物に含まれる場合、追加の相乗的な抗菌活性が達成され得る。リポソームなどのナノ送達システムの使用は、これらの効果をさらに強化し得る。
【0036】
以下に示されるように、マヌカオイルβ-トリケトンおよびパルマローザオイルは、膿痂疹の治療に対し非常に有益かつ効果的であることが証明されている。パルマローザオイルまたはパチョリオイルは、マヌカオイル(またはマヌカオイルβ-トリケトン)ベースの組成物と組み合わせた場合、湿疹または乾癬などの炎症性皮膚症状の治療に特に有益であり得る。治療用の組み合わせは、ポリエチレングリコール(例えば、PEG300、PEG3350など)、アラントイン、アロエ、EDTA二ナトリウム、フェノキシエタノール、デカジエンクロスポリマー、トリエチレングリコール、ステアリルアルコール、白色軟質パラフィン、プロピレングリコール、乳酸、グリセロール、および水のうちの少なくとも1つを含む軟膏またはクリームとして製剤化される場合、さらに強化され得る。
【0037】
追加的にまたは代替的に、開示の局所用組成物は、パルミチン酸エチルヘキシルを含んでもよく、これはまた、局所用組成物、例えば局所用バームの物理的特性を強化し、使用者の皮膚に対して組成物内の開示のオイルを保持するのに役立ち、同時に保湿および皮膚の治癒状態を促進することができる。開示された局所用組成物はまた、様々な皮膚症状の治癒を増進するとともに、局所用組成物の触覚特性および耐久性特性を強化する保護バリアを提供し得る。
【0038】
様々な実施形態によれば、開示の局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイル)またはその成分(特にβ-トリケトン)を含む。マヌカオイルは、レプトスペルマム・スコパリウム植物の葉から、例えば、水蒸気蒸留プロセスを使用して抽出することができる。レプトスペルマム・スコパリウムは、ニュージーランドのマヌカの木に付けられた植物名である。ニュージーランドにはレプトスペルマム・スコパリウムの下位分類群が2つある。すなわち、通常ピンクがかった赤色中心の花を付けるレプトスペルマム・スコパリウムのインカナム種および通常白い花を付けるレプトスペルマム・スコパリウムのスコパリウム種である。マヌカの木はニュージーランドティーツリーと呼ばれることもあるが、マヌカの木から抽出されたオイルを「ティーツリーオイル」と混同すべきではない。マヌカオイルとは異なり、従来のティーツリーオイルはオーストラリアで一般的に見られる植物メラレウカ・アルテルニフォリア(Melaleuca alternifolia)に由来する。メラレウカ・アルテルニフォリアおよびレプトスペルマム・スコパリウムはどちらも、一般にティーツリーとして知られているフトモモ科ギンバイカに属しているが、それぞれから抽出されたオイルは、比較的異なる特性および完全に異なる化学組成を有する。
【0039】
マヌカオイルは、モノテルペン、セスキテルペン、およびβ-トリケトンを含む3つの主要な化合物群を含む。モノテルペンは低レベル(通常5%未満)で存在し、例えば、α-およびβ-ピネンならびにミルセンが含まれる。セスキテルペンが支配的(通常60%超)であり、例えば、trans-カラメネン、δ-カジネン、カジナ-1,4-ジエン、α-コパエン、α-およびβ-セリネン、アロマデンドレン、およびβ-カリオフィレンが含まれる。β-トリケトンには、例えば、フラベソン、イソレプトスペルモン、レプトスペルモン、およびグランジフロロンが含まれる。特定の理論に縛られるものではないが、β-トリケトンはマヌカオイルの格別な抗菌性に寄与すると考えられており、これらの特性の相乗効果は、β-トリケトンを多く含むマヌカオイルをパルマローザオイル、および/またはパチョリオイル、および/またはCBD(オイルまたは単離物)を含有する組成物と組み合わせた場合に対数的に強化される。いくつかの実施形態では、この相乗効果は、ニゲラ・サティバシードオイル(ブラックシードオイル)、マトリカリア・レクティタオイル(ジャーマンカモミール)、エレッタリア・カーダモマムオイル(カルダモン)、ティムス・ウルガリスオイル(タイム)、オリガナム・ウルガレオイル(オレガノ)、サンタラム・アルバムオイル(サンダルウッド)、イリシウム・ベルムオイル(スターアニス)、メンタ・スピカタオイル(スペアミント)、センテラ・アジアティカ(ゴツコラ抽出物)、β-カリオフィレン、ソラレア・コリリフォリアオイル(バブチまたはバクチ)、またはテルミナリア・フェルディナンディアナオイル(カカドゥプラム)などの他の天然生物活性物質と組み合わせることでさらに強化され得る。
【0040】
マヌカオイル(レプトスペルマム・スコパリウム)の組成は、その化学的同一性のケモタイプによって決まる。ニュージーランドのマヌカでは10種類を超えるケモタイプが確認されている。マヌカの葉から抽出されたマヌカオイル中に含まれるβ-トリケトンの量は、マヌカの木が収穫されるニュージーランド内の地域によって異なる。例えば、ニュージーランドのイーストケープ地域から収穫されるマヌカの木は、高トリケトンのケモタイプとして分類され、おそらくイーストケープ地域の隔離された位置、温度、湿度、降水量、光度、紫外線放射レベル、標高、土壌養分の状態、季節性、概日周期などの遺伝的、後生的および環境的な要因に起因して、他のどの地域と比較しても最高レベルのβ-トリケトンを含有する。ニュージーランドのイーストケープ地域で育ったマヌカの木から抽出されたマヌカ葉オイル中のβ-トリケトンのレベルは、ニュージーランドの他の地域から収穫されたマヌカの木(通常は15wt%よりもはるかに少なく、最も一般的には5wt%未満のβ-トリケトン)と比較して、5重量パーセント(wt%)を超え、多くの場合20wt%を超え、いくつかの例では30wt%を超えることもある。いくつかの例では、開示の局所用組成物で使用されるマヌカオイルは、5wt%超、10wt%超、または20wt%超のβ-トリケトン濃度を有する、ニュージーランドのイーストケープ地域から供給されたマヌカの木に由来し得る。イーストケープのマヌカオイルの高い治療効果は、これらのオイルに含まれる高いβ-トリケトンレベルに起因してきた。
【0041】
好ましい実施形態において、開示される局所用組成物は、比較的高濃度のβ-トリケトンを有するマヌカオイルを含む。いくつかの例において、マヌカオイルは、少なくとも10wt%のβ-トリケトン、少なくとも20wt%のβ-トリケトン、少なくとも30wt%のβ-トリケトン、最も好ましくは少なくとも40wt%のβ-トリケトンを含み得る。いくつかの例では、連続的な水蒸気蒸留プロセスを使用して、開示の局所用組成物に使用される純粋なβ-トリケトンを抽出してもよい。ニュージーランドのイーストケープ地域から収穫されたマヌカの木からマヌカオイルを調達することで、抽出されたオイル中に高濃度のβ-トリケトンが提供され、このようなβ-トリケトン物質の特有の組み合わせが提供され、抽出されたオイルに存在する他の成分も同様に保存される。このような特有の組み合わせが、イーストケープ産マヌカオイルの優れた治療効果の原因となる。
【0042】
いくつかの実施例では、局所用組成物に含まれるマヌカオイルの量は、局所用組成物中に存在するβ-トリケトンの総重量に基づいて特徴付けられ得る。組成物の物理的特性および治療的価値を低下させる可能性のある過剰量のマヌカオイルを局所用組成物中に含めることなく、最終製剤中に十分な量のβ-トリケトンを得るために、マヌカオイルは、有利にはニュージーランドのイーストケープ地域から調達して、高いベースβ-トリケトン含有量を確保してもよい。
【0043】
例えば、MβTK(商標)20+を含む、β-トリケトンのレベルが異なる様々なグレードのマヌカオイルが市販されている。MβTK(商標)20+は、この評価のマヌカオイルがβ-トリケトンに富み、少なくとも20%のβ-トリケトンを含むことを示す。Manuka Bioscienceは、MβTK(商標)20+以上のグレードのものを、ニュージーランドのイーストケープ地域から収穫されたマヌカの木を原料とするものとして特徴付けている。参照:https://manukabioscience.co.nzおよびhttps://manukabiologicals.co.nz/products/manuka-oil-mbtk20/
【0044】
特定の実施形態では、局所用組成物は、局所用組成物の総重量に基づいて、約0.05重量パーセント(wt%)~約10wt%のマヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出され得るβ-トリケトンと、約0.05wt%~約10wt%のパルマローザオイルとを含む。特定の実施形態では、局所用組成物は、局所用組成物の総重量に基づいて、約0.05重量パーセント(wt%)~約2wt%のマヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出され得るβ-トリケトンと、約0.05wt%~約2wt%のパルマローザオイルとを含む。特定の実施形態では、局所用組成物は、局所用組成物の総重量に基づいて、約0.05重量パーセント(wt%)~約1wt%のマヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出され得るβ-トリケトンと、約0.05wt%~約1wt%のパルマローザオイルとを含む。
【0045】
以下でさらに説明するように、マヌカオイルおよびマヌカオイル由来のβ-トリケトンは高い抗菌活性を有する。いくつかの例において、マヌカオイル全油またはマヌカオイル由来のβ-トリケトンを含む開示された局所用組成物は、皮膚の擦過傷、裂傷、にきび、細菌感染症、真菌感染症、酵母感染症、ウイルス感染症などに関連する微生物増殖を予防または阻害するのに有用であり得る。マヌカオイルおよびマヌカオイル由来のβ-トリケトンは、様々な微生物(例えば、細菌、真菌、ウイルスなど)に対して優れた抗菌活性を示す。これらには、限定するものではないが、黄色ブドウ球菌、MRSA、化膿レンサ球菌、表皮ブドウ球菌、アクネ菌、枯草菌、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、およびコリネバクテリウム(Corynebacterium)種などのグラム陽性菌、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、およびトリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)などの真菌および酵母、単純ヘルペス1型および2型、帯状疱疹などのウイルスが含まれる。マヌカオイルはまた、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、フレクスナー赤痢菌、およびソンネ赤痢菌などのグラム陰性菌に対しても効果的であり得る。
【0046】
開示の組成物はまた、キンボポゴン・マルティニオイル(パルマローザオイル)を含んでもよい。キンボポゴン・マルティニは、インド、ネパール、およびインドシナ原産のキンボポゴン(レモングラス)属の草種を指す。パルマローザの精油は、水蒸気蒸留プロセスを用いて、草葉および花序から抽出され得る。パルマローザオイルの他の一般名称としては、インディアンゼラニウム、パームローズ、ロシャ、およびロシャグラスが挙げられる。パルマローザオイルは、少なくとも2つのケモタイプ、モティアおよびソフィアを有する。パルマローザオイルの主成分の1つはゲラニオールである。モティアのケモタイプは、ソフィア(約60~70%)と比較してより高い濃度のゲラニオール(約85~92%)を有するので、治療目的のために優れているとみなされ得る。いくつかの例では、開示の局所用組成物で使用されるパルマローザオイルはモティアのケモタイプのものであってもよい。
【0047】
パルマローザオイルは、マヌカオイルまたはマヌカオイル由来のβ-トリケトンと組み合わせて使用した場合、特定の皮膚症状の治療に有用であり得る。例えば、パルマローザオイルとマヌカオイル由来のβ-トリケトンとの組み合わせは、いずれかのオイルを個別に使用することによって得られる可能性のある特性と比較して、得られる局所用組成物の抗菌性、抗炎症性、および創傷治癒特性を強化することが認められている。この組み合わせは、膿痂疹、おでき、麦粒腫、膿瘍、創傷感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、酵母感染症、湿疹、乾癬、にきびなどの局所皮膚症状を治療するのに特に適し得る。開示の組成物は、細菌、真菌、および酵母の増殖に対するより高い有効性、創傷治癒特性の促進、より低い最小発育阻止濃度(MIC)および最小殺菌濃度(MBC)を示し、抗菌性または抗炎症性などの有効性または持続性を向上し得る。
【0048】
特に、マヌカオイルまたはマヌカオイル由来のβ-トリケトンとパルマローザオイルとを含む局所用組成物は、膿痂疹の治療に特に適し得る。パルマローザオイル中のゲラニオールは、パルマローザオイルの抗菌性、抗炎症性および創傷治癒特性に寄与する。パルマローザオイルは、裂傷または損傷した皮膚に使用されて、細菌増殖の予防または阻害に役立ち、それによって皮膚の治癒を促進し得る。パルマローザオイルの抗炎症性はまた、炎症を緩和し、炎症を起こした皮膚の腫脹または発赤を低減するのに役立ち得る。
【0049】
パルマローザオイルとマヌカオイルまたはマヌカオイルβ-トリケトンとの組み合わせは、局所用組成物中で一緒に混合された場合、いくつかの驚くべき相乗効果を生じる。例えば、パルマローザオイルとマヌカオイルβ-トリケトンとの混合物は、2つのオイルのいずれかの個々と比較して、組成物の抗菌活性を増大させる。さらに、パルマローザオイルとマヌカオイルβ-トリケトンとの混合物は、いずれか単独の場合よりも広域の抗菌活性および長期間にわたる活性の向上を示す。
【0050】
最小発育阻止濃度(MIC)試験は、マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトンとパルマローザオイルとの組み合わせが、膿痂疹(とびひ)および他の細菌感染症を引き起こす黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌、およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などのグラム陽性菌に対して非常に有効であることを実証している。マヌカオイルの抗菌作用機序は、細菌細胞膜の破壊および細胞内容物の漏出を含む。
【0051】
両方のオイル抽出物中に含まれる様々な成分の複雑さおよび多様性は、このプロセスにおいて重要な役割を果たし得、このような微生物の突然変異が耐性を獲得することを困難にする。いくつかの実施例では、局所用組成物中のパルマローザオイルに対するβ-トリケトンの重量パーセントに基づいて、局所用組成物が含むパルマローザオイルとマヌカオイルとの比を約3:1~約1:3、より好ましくは約2:1~約1:2、または約1:1としてもよい。総β-トリケトン含有量は、供給業者の規格に基づいて算出され得る。他の例では、全油の代わりに、マヌカオイルから抽出されたβ-トリケトンを使用してもよい。局所用組成物中のパルマローザオイルの総量は、任意の適切な治療量であってよく、製造される局所用組成物の種類によって決まり得る。いくつかの例では、局所用組成物は、約0.1wt%~約10wt%の、より好ましくは約1wt%~約3wt%、または約2wt%のパルマローザオイルを含み得る。
【0052】
他の例では、開示の組成物はマヌカオイル(またはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)を含んでいてもよく、上記で定義されたCBDオイルは、カンナビジオール(CBD)または精製された単離形態のCBDを含むオイル、好ましくは天然油を含む。CBDは、カンナビス属の植物から抽出され得る。CBDの製造に使用されるカンナビス属の一部として認識されている3つの主要な植物種としては、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、およびカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)が挙げられるが、追加の種も検討されている。カンナビジオール(CBD)およびテトラヒドロカンナビノール(THC)を2つの主要抽出物として、100を超えるカンナビノイド化合物がカンナビス植物から抽出され得る。THCはカンナビス植物の主な精神活性要素であり、いくつかの管轄区域においては厳密に規制されている可能性がある。しかしながら、CBDは非精神活性要素であり、その薬効特性に関心が集まっている。CBDは主要な関心事項であるが、カンナビス植物に存在することが知られている100を超えるカンナビノイドの膨大な配列も、CBDオイルまたはカンナビスベースのオイルの薬効に寄与し得る。
【0053】
CBDはまた、大麻および大麻抽出物中の主要成分である。上述のように、CBDオイルは、CBDを含むオイルベースの担体(例えば、カンナビス油、大麻油、ココナッツ油、ホホバ油、ローズヒップ油など)を指す。例えば、CBDオイルはCBDのみを活性成分として含んでいてもよく(テトラヒドロカンナビノール[THC]またはテルペンを除く)、またはCBDを主成分とするオイル(例えば、CBDが支配的なカンナビノイドであるもの)を含んでいてもよく、その中に他のカンナビノイドを含んでいてもよい。いくつかの例では、CBDオイルは、約99wt%の最低CBD含有量を有するCBD単離物であってもよい。いくつかの例では、開示のCBDオイルは、現地の規制によって許容される限界未満、約0.2wt%未満のTHC含有量を有していてもよく、または実質的にTHCを含まなくてもよい(例えば、THCを含まない、またはほとんど含まない)。
【0054】
CBDオイルは、特にマヌカオイルと組み合わせて使用される場合、特定の皮膚症状の治療に有用であり得る。例えば、マヌカオイル(またはマヌカオイル由来のβ-トリケトン)とCBDオイルとの組み合わせは、いずれかのオイルを個別に使用することによって得られる可能性のある特性と比較して、得られる局所用組成物の抗炎症性および抗菌性を強化することが認められている。この組み合わせは、湿疹、乾癬、炎症、にきびなどの局所皮膚症状を治療するのに特に適し得る。
【0055】
追加的にまたは代替的に、局所用組成物は、シソ科の植物種であるポゴステモン・カブリンオイル(パチョリオイル)を含んでもよい。このオイルは、典型的にはアジアの熱帯地域原産のポゴステモン・カブリン植物の葉から抽出され得る。精油は、水蒸気蒸留プロセスまたは他の適切な技術を用いて、植物の葉から抽出され得る。パチョリオイルの主な化学成分は、セスキテルペンアルコールであるパチュロールである。
【0056】
パチョリオイルは、限定されないが、にきび、皮膚炎、湿疹、乾癬、乾燥またはひび割れした皮膚、ふけ、および真菌性または細菌性の疾患を含む特定の皮膚症状を治療するのに有用であり得る。マヌカオイル(またはマヌカオイル由来のβ-トリケトン)とパチョリオイルとの組み合わせは、上記症状の1つ以上を治療する際に相乗的に作用し得る。例えば、この組み合わせは、いずれかのオイルを個別に使用することによって得られる可能性のある特性と比較して、得られる局所用組成物の抗炎症性および治癒特性を強化することが認められている。この組み合わせは、乾燥およびひび割れした皮膚、湿疹、乾癬などの局所皮膚症状を治療するのに特に適し得る。開示の組成物は、いずれかの活性成分を個別に含む組成物に比べて、細菌および酵母の増殖に対するより高い有効性、創傷治癒特性の促進、より低いMICを示し、抗菌性の有効性または持続性などを向上し得る。
【0057】
開示の局所用組成物は、パルマローザオイル、CBDオイル、またはパチョリオイルのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てを含み得る。いくつかの例では、開示の局所用組成物は、製剤の特徴のうちの1つ以上をさらに強化するために、マヌカオイル(またはマヌカオイル由来のβ-トリケトン)と組み合わせてパルマローザオイル、CBDオイル、またはパチョリオイルを含んでもよい。任意選択で、ニゲラ・サティバシードオイル(ブラックシードオイル)、マトリカリア・レクティタオイル(ジャーマンカモミール)、α-ビサボロール、エレッタリア・カーダモマムオイル(カルダモン)、ティムス・ウルガリスオイル(タイム)、オリガナム・ウルガレオイル(オレガノ)、サンタラム・アルバムオイル(サンダルウッド)、イリシウム・ベルムオイル(スターアニス)、メンタ・スピカタオイル(スペアミント)、センテラ・アジアティカ(ゴツコラ抽出物)、β-カリオフィレン、ソラレア・コリリフォリアオイル(バブチまたはバクチ)、またはテルミナリア・フェルディナンディアナオイル(カカドゥプラム)もまた、製剤に含まれていてもよい。
【0058】
開示の組成物は、存在する場合、約0.1wt%~約10wt%のパルマローザオイル、存在する場合、約0.01wt%~約10wt%のCBDオイル、および存在する場合、約0.05wt%~約10wt%のパチョリオイルを含んでもよい。
【0059】
いくつかの例では、局所用組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、アラントイン、アロエ、EDTA二ナトリウム、フェノキシエタノール、デカジエンクロスポリマー、トリエチレングリコール、ステアリルアルコール、白色軟質パラフィン、プロピレングリコール、乳酸、グリセリン、および水のうちの1つ以上を含有する担体を含み得る。以下に示すように、PEGは、マヌカオイル(またはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)およびパルマローザオイルを含む局所用軟膏の治療効果を強化するのに特に役立っている。PEG類は、医薬賦形剤として、経口、局所および静脈内投与治療製剤において広く使用されている石油ベースの化合物である。これはまた、湿潤剤、浸透促進剤、スキンコンディショナー、軟化剤、溶媒、乳化剤、増粘剤として、またはベース担体の一部として、化粧品産業において使用される。
【0060】
いくつかの例では、開示される局所用組成物、特に局所用バームは、パルミチン酸エチルヘキシルを含んでいてもよい。パルミチン酸エチルヘキシルは、シリコーンベースの材料に代わる天然の有機的な代替物であり、シリコーンベースの製品を思わせる、ドライな滑り性のある絹のような感触を提供する非閉塞性皮膚軟化剤として作用する。非閉塞性皮膚軟化剤として、パルミチン酸エチルヘキシルは、局所用組成物を通る空気および酸素の通過を阻害せず、皮膚の治癒状態を促進する。パルミチン酸エチルヘキシルは、例えば、湿疹、乾癬などの乾燥皮膚に関連する皮膚症状、および他の炎症性皮膚症状に特に有用であり得る。パルミチン酸エチルヘキシルは、表皮からの水分喪失を減少させることによって皮膚を湿潤かつ柔軟に保ち得、これは皮膚の治癒を促進することができる。加えて、パルミチン酸エチルヘキシルは、局所用組成物内で潤滑剤として作用することで、皮膚と任意の外部接点との間の摩擦を低減して擦傷を防止し、治癒を促進するのに役立ち得る。いくつかの製剤では、パルミチン酸エチルヘキシルは、他の成分の一部を溶解するのを補助してより均一な混合物を可能にする溶媒としても機能し得る。
【0061】
開示のオイルと共に製剤化されたパルミチン酸エチルヘキシルは、製剤の長期有効性を向上し得る。例えば、パルミチン酸エチルヘキシルは、局所用組成物中のオイル(例えば、マヌカオイル、CBDオイル、パルマローザオイル、パチョリオイルなど)の揮発性を低下させ、それによって局所用組成物内のオイルの長期間にわたる保持を強化し、皮膚の治癒にとって最適化された環境も促進すると考えられている。その結果、局所用組成物は、開示の抗炎症性または抗菌性を得るのに充分なレベルのオイルを依然として維持しながら、開示のオイルのうちの1つ以上を他の製剤と比較して低いレベルで含み得る。パルミチン酸エチルヘキシルはまた、局所用組成物がより長い保管寿命を有することを可能にし得る。
【0062】
いくつかの例では、開示された局所用組成物は、上記で開示された賦形剤の任意の適切な比率または組み合わせを含み得る。局所用組成物は、局所用組成物の総重量に基づいて、約0.05wt%~約10wt%のマヌカオイル(またはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)と、約0.01wt%~約10wt%のCBDオイル(例えば、約0.05~10wt%)、約0.1wt%~約10wt%のパルマローザオイル(例えば、約0.2~10wt%)、約0.05wt%~約10wt%のパチョリオイル、またはそれらの組み合わせと、約1wt%のパルミチン酸エチルヘキシルとを、担体組成物によって提供される残部と共に含み得る。材料の量は、使用される担体材料に応じた所望の特徴を得るために、これよりも多くても少なくてもよい。
【0063】
レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)と、CBDオイル、キンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)、またはポゴステモン・カブリンオイル(パチョリオイル)のうちの少なくとも1つとに加えて、開示の局所用組成物は、ブラックシードオイル、サンダルウッドオイル、タイムオイル、オレガノオイル、カルダモンオイル、スペアミントオイル、ジャーマンカモミールオイル、α-ビサボロール、β-カリオフィレン、スターアニスオイル、バブチまたはバクチオイル、カヌカオイル、カカドゥプラム種子油、またはゴツコラ抽出物から選択される1つ以上の成分を含んでもよい。
【0064】
任意の適切な担体が開示の組成物に追加されてもよい。いくつかの例では、担体組成物は、天然またはビーガン材料を含み得る。例えば、現代の洗練された消費者の間では、合成または石油ベースの材料ではなく、天然の環境に優しい材料を使用したいという強い願望と好みがある。したがって、好ましい実施形態では、担体組成物は、実質的に天然またはビーガンベースの材料からなっていてもよいし、または本質的にこれらの材料からなっていてもよい。同様に、局所用組成物は、実質的に天然またはビーガンベースの材料からなるか、または本質的にこれらの材料からなることが望ましい場合がある。
【0065】
局所用組成物は、例えば、バーム、クリーム、ゲル、ローション、軟膏、溶液、スプレー、オイルなどを含む任意の適切なタイプのビヒクルに製剤化され得る。好ましい実施形態では、局所用組成物は、局所用クリーム、バームまたはゲルに製剤化される。局所用バームは、皮膚に塗布された際にバームが固体膜として残るように、主に不揮発性の材料で構成されている。反対に、軟膏、クリーム、またはゲルは主に、塗布すると蒸発し得る揮発性担体(例えば、水またはアルコール)で構成されている。いくつかの例では、担体組成物は、主成分として水を含み得る(例えば、組成物の25%超が水である)。水ベースの組成物は、局所用ゲル、クリーム、または軟膏の形成に特に有用であり得、塗布後に組成物の一部を蒸発させることができる。
【0066】
開示のオイルは、局所用組成物中の治療用生物活性成分の皮膚への浸透を高めるために、リポソーム、ニオソーム、トランスファーソーム、脂質ナノ粒子、高分子微粒子、ナノ粒子、マイクロファイバー、またはナノファイバーなどの経皮送達システムに組み込まれてもよい。
【0067】
開示のオイルを含む代表的な局所用軟膏またはクリームが本明細書において説明されている。しかしながら、本明細書に記載されていない他の局所用組成物もまた、それらが本明細書に記載されている開示のマヌカオイル(またはマヌカオイル由来のβ-トリケトン)とパルマローザ、CBD、またはパチョリオイルベースの組成物とを含む限り、使用され得る。いくつかの実施形態では、担体組成物は、軟膏またはクリームをベースとした担体を含んでもよい。このような担体には、その中で開示のオイルを混合することを可能にする、市販の既成軟膏またはクリームをベースとした担体が含まれ得る。このような担体は、水ベース(例えば、水、アロエなど)または脂肪アルコールベースの材料(例えば、ポリエチレングリコール)を含み得る。いくつかの例では、担体は、主に水、1種以上のアルコール類、またはこれらの組み合わせから構成され得る。適切なアルコール類としては、限定されないが、ポリエチレングリコール(例えば、PEG4000、PEG3350、PEG600、PEG400またはPEG300)、ステアリルアルコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコールなどの組み合わせが含まれ得る。水または含水物としては、水、アロエ、または他の材料が含まれ得る。いくつかの例では、水ベースの材料、アルコールベースの材料、またはその両方が、担体組成物の少なくとも約50wt%以上を構成し得る。可能な軟膏、クリーム、またはゲル製剤のさらなる例を以下に示す。
【0068】
同様に、開示のオイルを含有する代表的な局所用バーム、局所用クリームおよび局所用ゲルを本明細書で説明する。しかしながら、本明細書に記載されていない他の担体ベース(バーム、クリーム、ゲル、液状スプレー、担体オイルまたは他の組成物)もまた、それらが本明細書に記載されている開示のマヌカオイル(またはマヌカオイル由来のβ-トリケトン)とパルマローザオイル、CBD(オイルまたは単離物)またはパチョリオイルベースの組成物とを含む限り、使用され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、担体組成物は、バームベースであってよく、組成物のビヒクルとして機能する1つ以上の天然ワックスを含み得る。天然ワックスは、合成または石油ベースの誘導体に代わる「グリーン」な代替物を提供する。植物ベースの材料または昆虫ベースの材料(例えば、ミツロウ)に由来する天然ワックスは、ビーガンおよび/またはベジタリアンに優しい原料を提供する。1つ以上の天然ワックスは、オイルおよび他の賦形剤の混合物が水性成分と非水性成分に分離しないようにするのを助ける乳化剤として作用し得る。ワックスはまた、局所用組成物の感覚特性(例えば、手触り)に寄与し得る。適切な天然ワックスには、限定するものではないが、ミツロウ、カンデリラワックス、カルナウバワックス、ジャスミンワックス、ホホバワックス、ローレルワックス、ミモザワックス、ミリカフルーツワックス、オレンジワックス、フィトワックス、ナタネワックス、ウルシ果皮ワックス(例えば、ベリーワックス)、ハゼノキフルーツワックス(例えば、木蝋)、米ぬかワックス、ローズワックス、大豆ワックス、ヒマワリシードワックス、ティーワックス、それらの混合物などが含まれ得る。好適なワックスとしては、ミツロウ、ハゼノキフルーツワックス、およびウルシ果皮ワックスが含まれ得る。セラアルバと呼ばれることもあるミツロウは、ミツバチによって分泌され、様々な場所から調達することができる。ミツロウは比較的高い融点(例えば、約61~65℃)を示し、周囲温度から体温までの温度で機能し続ける。ミツロウは絹のような質感を持ち、毛穴を詰まらせることがなく、これらはいずれも皮膚への塗布に望ましい。ミツロウは、皮膚の上に保護層を形成して水分の損失を防ぎ、環境条件や外部の水分から皮膚を保護するのに役立ち得る。ミツロウはまた、局所用組成物の乳化剤として作用する能力を有する。
【0070】
ハゼノキフルーツワックスは、日本および中国で生育するハゼノキ植物の果実から得られる。木蝋と呼ばれることもあるハゼノキフルーツワックスは、融点が比較的低く(例えば、約45~55℃)、局所用製剤の乳化剤として機能して、オイルおよび他の賦形剤の分離を防ぐことに役立つ。ハゼノキフルーツワックスはまた、局所用組成物の可塑性を高めて、局所用バームとして組成物を滑らかかつ効果的に塗布できる半固体の稠度を提供するのに役立ち得る。
【0071】
ウルシ果皮ワックスは、ベリーワックスとも呼ばれ、ウルシ植物の果実の皮に由来する柔らかいワックスである。ベリーワックスの融点は比較的低い(例えば、約48~55℃)。このワックスは、皮膚に塗布されたときに絹のような感触と非常に望ましい感覚特性を備えた冷感を提供する柔らかい稠度を与えるために使用される。ハゼノキフルーツワックスと同様に、ウルシ果皮ワックスも、局所用組成物の可塑性を高めて、局所用バームとして組成物を滑らかかつ効果的に塗布できる半固体の稠度を提供するのに役立ち得る。
【0072】
担体組成物はまた、酸化防止剤、皮膚軟化剤、キレート剤(例えば、EDTA二ナトリウム)、保湿剤、界面活性剤、乳化剤、潤滑剤、天然油、栄養素またはビタミンなどを含むがこれらに限定されない他の任意選択の賦形剤を含み得る。多くの例において、特定の賦形剤は、局所用組成物内で複数の機能を果たし得る。例えば、トコフェロールは抗酸化物質であると同時に、皮膚の栄養素として機能するビタミンでもある。
【0073】
任意選択の賦形剤は、アスコルビン酸またはパルミチン酸アスコルビル(ビタミンCまたはその誘導体)、トコフェロール(ビタミンE)などを含むがこれらに限定されない1つ以上の酸化防止剤を含み得る。トコフェロールは通常、植物油に由来し、優れた皮膚保護特性を備えている。例えば、トコフェロールは、紫外線を吸収し、紫外線によって誘発されるフリーラジカルによる皮膚への損傷を防ぐだけでなく、他のフリーラジカルによって誘発される損傷を防ぐために使用され得る。トコフェロールには抗炎症性があり、皮膚に潤いを与えるのに役立つ。パルミチン酸アスコルビルは、フリーラジカルスカベンジャーとして作用するアスコルビン酸の脂溶性誘導体である。水溶性の形態(例えば、アスコルビン酸)とは異なり、パルミチン酸アスコルビルは皮膚の脂質細胞膜に入ることができる。パルミチン酸アスコルビルはまた、免疫細胞の活動をサポートし、皮膚内のコラーゲンの形成および維持を助ける。トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、またはアスコルビン酸は、天然およびビーガンベースの供給源から製造され得る。好ましい実施形態において、皮膚消毒用組成物は、トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、またはそれらの両方を含む。
【0074】
他の有用な任意選択の賦形剤は、栄養素およびビタミンを含む。いくつかの例において、担体組成物は、1つ以上のビタミンA、B3(ニコチンアミド)、C、D、E、またはK、および亜鉛などのミネラルを含み得る。好ましいビタミンには、ビタミンA(例えば、レチノールまたはレチノールエステル)、ビタミンC(例えば、パルミチン酸アスコルビルまたはアスコルビン酸)、およびビタミンE(トコフェロール)が含まれる。
【0075】
いくつかの例において、局所用組成物はまた、少なくともビタミンA(例えば、レチノールまたはレチノールエステル)を含み得る。上記で開示された他の材料と併せて局所用組成物にレチノールを含めることは、にきびの治療に有用となり得る。上記で開示された他の材料と併せて局所用組成物にビタミンB3および亜鉛を含めることもまた、にきびの治療に有用となり得る。
【0076】
他の有用な任意選択の賦形剤は、1つ以上の植物油、種子油、精油などの天然油を含む。天然油は、潤滑剤と皮膚軟化剤の両方として機能するなど、局所用組成物内で複数の機能を果たし得る。適切な天然油には、例えば、トウゴマ種子油(ヒマシ油)、シモンジア・シネンシス(Simmondsia chinensis)種子油(ホホバ油)、およびロサ・カニーナ(Rosa canina)(ローズヒップ油)が含まれ得る。ヒマシ油は、トウゴマ植物の種子に由来する植物油である。ヒマシ油には、湿潤剤として作用する一価不飽和脂肪酸であるリシノール酸が含まれている。ヒマシ油は水分の喪失を防ぐことで皮膚に潤いを与えるのに役立ち、これは皮膚の治癒を促進するのに役立ち得る。ヒマシ油はまた、抗炎症性、抗菌活性があり、場合によっては痛みを和らげることができる。ホホバ油は、シモンジア・シネンシス植物の種子に由来する植物油である。ホホバ油は保湿剤および皮膚軟化剤として働き、皮膚の弾力性としなやかさを改善し、酸化を最小限に抑える天然のトコフェロールを含む。ホホバ油は、天然の皮脂と同じように作用し、毛穴を詰まらせたり、皮膚に脂性感を残したりすることなく、皮膚の層に素早く浸透することができ、治癒を促進するのに役立つ。ローズヒップ油とマヌカオイル(またはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)の組み合わせは、小じわやしわを最小限に抑えるのに役立ち、引張強度と弾力性を提供し、肌の水分レベルを向上させ、創傷治癒において重要な役割を果たすコラーゲンI型およびIII型の生成を補助する。ヒマシ油、ホホバ油、およびローズヒップ油は植物に由来するため、局所用組成物にビーガンベースの材料を提供する。
【0077】
いくつかの例において、担体組成物は、第三者メーカーによって調製された1つ以上の予め製剤化された担体組成物を含み得る。例えば、担体組成物は、ドイツのKahl GmbH&Co.KGから入手可能な1つ以上のKahl(商標)ゼリー(例えば、VegoJelly 7036Plus)、Kahl(商標)ベース(例えば、Natural Lip Care Base 7704)、もしくはKahl(商標)特殊ワックス(例えば、Veggiesoft Complex 6422)、または同様の製品を含み得る。このような材料は、異なる賦形剤のブレンドを含み得る。任意選択で、担体組成物は、予め製剤化され、薬学的に許容されるVersapro(商標)クリーム、ゲル、またはローションベースを含んでもよい。
【0078】
いくつかの例において、局所用組成物は、1つ以上の天然または合成の薬学的に活性な賦形剤を含み得る。そのような薬学的に活性な賦形剤は、皮膚の局所症状を治療するために局所に適用され得るか、または経皮的に送達されるように構成され得る(例えば、皮膚の様々な層に、または層を通って患者の深部組織または血流に送達される)。いくつかの例では、薬学的に活性な賦形剤を使用して、限定するものではないが、にきび、細菌感染症、湿疹、真菌感染症、乾癬、発疹、ウイルス感染症などの皮膚疾患を治療してもよい。いくつかのそのような例において、担体組成物は、薬学的に許容されかつ適合性のある賦形剤を使用して製剤化され得る。マヌカオイル、パルマローザオイル、および他の成分の記載された特性は、そのような薬学的に活性な賦形剤の有効性を改善するか、そのような薬学的に活性な賦形剤の副作用を制限するか、またはそれらの両方に役立ち得る。
【0079】
上述したように、局所用組成物は、実質的に天然またはビーガンベースの材料からなっていてもよいし、本質的にこれらの材料からなっていてもよいし、またはこれらの材料からなっていてもよい。ただし、いくつかの薬学的に活性な賦形剤は、天然またはビーガンベースの賦形剤とは、みなされない場合がある。それにもかかわらず、そのような実施形態において、薬学的に活性な賦形剤のビヒクルとして機能する局所用組成物は、実質的または本質的に天然またはビーガンベースの材料からなるものとして特徴付けられ得る。
【0080】
開示される局所用組成物は、皮膚での微生物増殖の阻害、皮膚の裂傷または擦過傷の治療、にきびの治療、表皮を針、カニューレ、メスなどによって破るなどの医療処置後の感染の可能性の低減を含むがこれらに限定されない1つ以上の皮膚症状を治療するために使用され得る。局所用組成物は、皮膚症状を含む患部に直接塗布してもよい。例えば、患者の皮膚の、症状のある部位の周りを最初に清潔にしてもよい。局所用バーム、クリーム、または軟膏などの局所用組成物をその部位にたっぷりと塗布し、皮膚に吸収させることができる。追加の保護が望ましい場合は、創傷被覆材または包帯を局所用組成物の上に適用してもよいが、局所用組成物は、そのような創傷被覆材なしで使用してもよい。追加的にまたは代替的に、局所用組成物を創傷被覆材または包帯に塗布し、または組み込み、次いで、皮膚症状を含む部位に適用してもよい。
【0081】
[実施例]
以下の実施例は、上記の実施形態の理解を助けるために提供されており、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0082】
[実施例1-局所用バーム]
【0083】
表1に示す成分の混合物を調製して、局所用バームを製造する。
【0084】
【表1】
【0085】
[実施例2-局所用抗菌軟膏]
【0086】
表2に示す成分の混合物は、膿痂疹および他の細菌感染症の治療のための局所用軟膏の形態で調製される。
【0087】
【表2】
【0088】
[実施例3-乾燥皮膚および局所炎症性皮膚症状の治療のためのクリーム]
【0089】
表3に示す成分の混合物は、成人および小児における乾燥皮膚ならびに湿疹および乾癬などの局所炎症性皮膚症状の治療のための局所用クリームの形態で調製される。
【0090】
【表3】
【0091】
[実施例4-局所用親水軟膏]
【0092】
表4に示す成分の混合物は、局所用軟膏の形態で調製される。
【0093】
【表4】
【0094】
[実施例5-局所用ゲル]
【0095】
表5に示す成分の混合物は、局所用ゲルの形態で調製される。
【0096】
【表5】
【0097】
[実施例6-局所用ブレミッシュゲル]
【0098】
表6に示す成分の混合物は、擦過傷、にきび、または他の炎症を含む皮膚の傷の治療のための局所用ゲルの形態で調製される。
【0099】
【表6】
【0100】
開示のマヌカオイルβ-トリケトンベースのブレミッシュゲルは、細菌、化粧、環境の残骸が皮膚の自然な回復プロセスに干渉するのを防ぐためのにきびスポット治療として成功を示している。
【0101】
[実施例7-50%最小発育阻止濃度(MIC50)および最小殺菌濃度]
【0102】
MIC50試験では、50%の細菌または真菌の増殖を防ぐ試験物質の最低濃度を評価する。これは、試験サンプルの抗菌または抗真菌活性の尺度である。MBCは、細菌を殺すのに必要な抗菌薬の最低濃度である。同様に、最小殺真菌濃度(MFC)は、真菌または酵母を殺すのに必要な抗真菌薬の最低濃度である。
【0103】
開示された局所用組成物は、公的に利用可能な試験基準を使用してMIC50およびMBCについて試験され得る。例えば、所望の活性化合物の試験サンプルを調製し、連続希釈して、例えば、1000倍の範囲をカバーする11以上の異なる濃度を与えることができる。例えば、試験サンプルは、選択された細菌および真菌と組み合わされ、所定の期間にわたってインキュベートされる50%~0.1%のストック試験サンプル(例えば、表1に開示されるストックサンプル)を含み得る。MIC50は、VersaMax96ウェルプレートリーダーを使用したOD650nmの測定によって決定される、微生物の増殖を50%阻害する各試験サンプル(活性物質の混合物)の最低濃度を決定するのに有用である。細胞濃度の測定は、いくつかの時点で行うことができる。
【0104】
イーストケープマヌカオイルおよびβ-トリケトンに関する追加的なデータである最小発育阻止濃度(MIC)データは、さらなる文脈を提供する。(出典:植物・食品)。MICデータは、細菌増殖阻害の最初の徴候で測定される。これらの数値は、MIC50データよりも低いと予想することができるが、常にそうであるとは限らない。公開されているパルマローザオイルに関するMICデータもまた、さらなる文脈のために、Khunkitti,W.(2010)、第6章「In Vitro Antimicrobial and Antioxidant Activities of Some Cymbopogon Species」、「Essential Oil-Bearing Grasses-The genus Cymbopogon」、A.Akhila.編、「Medicinal and Aromatic Plants-Industrial Profiles」、CRCプレス テイラーアンドフランシスグループ、に含まれている。有望な結果を示し、MIC50およびMBC試験に適した活性混合物のストックサンプル溶液の例を表7に列挙する。
【0105】
【表7】
【0106】
MIC50試験での評価に利用できる様々な微生物を増殖させるための方法論は、CLSI規格、好気的に増殖する細菌の希釈抗菌薬感受性試験の方法、承認された規格、第9版、M07-A9、Vol.32 No2、2012年1月;嫌気性細菌の抗菌薬感受性試験の方法.承認された規格、第9版、Mll-9、2018年1月;および、糸状菌の抗真菌薬感受性試験のためのおよび性能規格.初版、M61、2017年11月によって提供され得る。
【0107】
試験される可能性のある微生物には、限定するものではないが、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii);カンジダ・アルビカンス;ジフテリア菌;アクネ菌;エンテロコッカス・フェシウム;エンテロコッカス・フェカーリス;大腸菌;プロテウス・ブルガリス;緑膿菌;黄色ブドウ球菌;メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA);表皮ブドウ球菌;化膿レンサ球菌;トリコフィトン・メンタグロフィテス;およびトリコフィトン・ルブルム、HSV1および帯状疱疹ウイルスが含まれる。本明細書に開示される局所用組成物に調製された表1のサンプルは、上記の微生物の1つ以上の増殖を阻害することに対して有望であることを示している。
【0108】
グラム陽性菌の黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)および化膿レンサ球菌は、膿痂疹、おでき、膿瘍ならびに他の一般的な細菌性の皮膚および創傷感染症を引き起こす。
【0109】
表8は、マヌカオイルまたはマヌカオイル由来のβ-トリケトンの割合で表された、選択されたサンプルについての黄色ブドウ球菌のMIC50およびMBCデータを示す。
【0110】
【表8】
【0111】
表9は、選択されたサンプルについてのMRSAのMIC50およびMBCデータを示す。
【0112】
【表9】
【0113】
表10は、選択されたサンプルについての化膿レンサ球菌のMIC50およびMBCデータを示す。
【0114】
【表10】
【0115】
グラム陽性菌のアクネ菌および表皮ブドウ球菌は、炎症性にきびと関連している。表皮ブドウ球菌は手術部位感染症にもみられる。
【0116】
表11は、選択されたサンプルについてのアクネ菌のMIC50およびMBCデータを示す。
【0117】
【表11】
【0118】
表12は、選択されたサンプルについての表皮ブドウ球菌のMIC50およびMBCデータを示す。
【0119】
【表12】
【0120】
カンジダ・アルビカンスは、口腔および膣のカンジダ症、いんきんたむし、おむつかぶれ、爪白癬および他の感染症を引き起こす。表13は、選択されたサンプルについてのC.アルビカンスのMIC50およびMFCデータを示す。
【0121】
【表13】
【0122】
トリコフィトン・メンタグロフィテスおよびトリコフィトン・ルブルムは、水虫、いんきんたむし、輪癬および他の真菌感染症を引き起こす。
【0123】
表14は、選択されたサンプルについてのT.メンタグロフィテスのMIC50およびMFCデータを示す。
【0124】
【表14】
【0125】
表15は、選択されたサンプルについてのT.ルブルムのMIC50およびMFCデータを示す。
【0126】
【表15】
【0127】
グラム陽性菌のジフテリア菌、エンテロコッカス・フェカーリス、およびエンテロコッカス・フェシウムは、幅広い潜在的に重篤な皮膚および創傷感染症を引き起こす。コリネバクテリウム・ミヌチシマムは、紅色陰癬の不快な症状を引き起こす。
【0128】
表16は、選択されたサンプルについてのジフテリア菌のMIC50およびMBCデータを示す。
【0129】
【表16】
【0130】
表17は、選択されたサンプルについてのE.フェカーリスのMIC50およびMBCデータを示す。
【0131】
【表17】
【0132】
表18は、選択されたサンプルについてのE.フェシウムのMIC50およびMBCデータを示す。
【0133】
【表18】
【0134】
表19は、選択されたサンプルについてのC.ミヌチシマムのMIC50およびMBCデータを示す。
【0135】
【表19】
【0136】
グラム陰性菌の大腸菌、プロテウス・ブルガリス、およびアシネトバクター・バウマニは、重篤な皮膚感染症、創傷感染症、および手術部位感染症を引き起こす可能性がある。
【0137】
表20は、選択されたサンプルについての大腸菌のMIC50およびMBCデータを示す。
【0138】
【表20】
【0139】
表21は、選択されたサンプルについてのP.ブルガリスのMIC50およびMBCデータを示す。
【0140】
【表21】
【0141】
表22は、選択されたサンプルについての緑膿菌のMIC50およびMBCデータを示す。
【0142】
【表22】
【0143】
表23は、選択されたサンプルについてのA.バウマニのMIC50およびMBCデータを示す。
【0144】
【表23】
【0145】
公知の抗生物質および抗真菌サンプルもまた、比較サンプルおよび対照として試験することができる。このような抗菌薬には、限定されないが、アモキシシリン、セファロチン、コリスチン、エリスロマイシン、イトラコナゾール、メトロニダゾール、およびペニシリンが含まれ得る。
【0146】
マヌカβ-トリケトンおよびCBD単離物は、アクネ菌に対する相乗的な抗菌性を実証する。表24は、選択されたサンプルについてのMIC50データを示す。
【0147】
【表24】
【0148】
[実施例8-抗菌組成物の治療濃度]
実施例7のデータは、患者の治療において抗菌薬の選択および概算用量を決定する際の処方者および臨床医にとって有用なガイドである。
【0149】
表25は、実施例7におけるMBCデータに基づく、指標となる抗菌薬治療用量を要約したものである。推奨される上限は、50人以上の人々を対象にした単一濃度点(2%)における製品のヒト反復傷害パッチ試験(HRIPT)によってサポートされる。
【0150】
【表25】
【0151】
[実施例9-マヌカオイルβ-トリケトンおよびパルマローザオイルを含む局所用製剤の阻止帯試験。]
【0152】
6つの異なる局所用担体ベース製剤を開発し、これらの製剤に組み込まれたマヌカオイルβ-トリケトンおよびパルマローザオイルの抗菌効果を確認するために試験した。
【0153】
阻止帯の技術を用いて、これらの局所用製剤を試験した。試験サンプルを細菌と共にインキュベートし、各試験サンプルの阻止帯を24時間のインキュベーション後に測定した。阻止帯試験(ディスク拡散抗生物質感受性試験またはカービー・バウアー試験としても知られる)において、細菌の薄膜を栄養添加寒天平板に塗布し、次いで各種の抗菌軟膏を適用した。阻止帯とは、細菌コロニーが増殖しない、抗菌薬試験サンプルの周囲の円形領域を指す。阻止帯は、所与の抗菌薬製品に対する細菌の感受性を測定するために使用することができ、阻止帯の大きさが特定の成分の抗菌効果を表したものとして使用され得る。より具体的には、阻止帯の直径が特定の抗菌組成物の有効性を示す。
【0154】
このプロセスの第1ステップは、β-トリケトンおよびパルマローザオイルの相対的な量に基づいて治療成分の適切な濃度を特定することである。表26は、試験した4つの抗菌組成物(治療用抽出物)と、黄色ブドウ球菌および化膿レンサ球菌に対するそれらの阻止帯の帯の結果とを列挙したものである。
【0155】
【表26】
【0156】
これらの結果から、2%のβ-トリケトンと2%のパルマローザオイルとを含有する局所用組成物は、黄色ブドウ球菌に対してペニシリン標準よりも高い有効性を実証することがわかる。これらの結果から、また、1%のβ-トリケトンと1%のパルマローザオイルとを含む製剤および2%のβ-トリケトンと2%のパルマローザオイルとを含む製剤は、化膿レンサ球菌に対してペニシリンよりも高い有効性を証明したこともわかる。
【0157】
2%のβ-トリケトンと2%のパルマローザとを含む製剤は、黄色ブドウ球菌および化膿レンサ球菌の両方に対して最も強い有効性を証明したため、実施例11の局所用ベース製剤比較試験におけるさらなる試験に使用された。
【0158】
[実施例10-担体ベース組成物の開発。]
【0159】
表27は、これらの担体ベースと調合されたマヌカオイル(より具体的にはマヌカオイルβ-トリケトン)およびパルマローザオイルを含む局所用組成物の有効性を調査するために試験された6つの局所用担体ベース製剤を列挙したものである。
【0160】
【表27】
【0161】
[実施例11-ベース組成物の有効性試験。]
【0162】
実施例10のベース担体製剤を、マヌカオイルおよびパルマローザオイル(例えば、実施例9に基づいて少なくとも2%のβ-トリケトン+2%のパルマローザオイル)と併せて、阻止帯の技術を用いて試験した。試験サンプルを細菌と共にインキュベートし、各試験サンプルの阻止帯を24時間のインキュベーション後に測定した。様々な製剤を開発し、3つの標準品(2%のフシジン酸を含むFucidin(登録商標)抗生物質クリーム、10%のポビドンヨードを含むBetadine(登録商標)、および1%の過酸化水素を含むCrystaderm(登録商標)に対して試験して、黄色ブドウ球菌に対する各製剤の抗菌効果を確認した。
【0163】
表28は、最適な担体ベースを特定するために試験された局所用組成物、および得られた阻止帯データを列挙したものである。
【0164】
【表28】
【0165】
表28の結果に基づいて、Optimus PEGベース担体(ベース6、表21)は黄色ブドウ球菌に対して最も有効なベース担体製剤であるように思われ、治療効果が有効な膿痂疹治療に最も適している可能性が高い。
【0166】
2%のマヌカβ-トリケトンおよび2%のパルマローザオイルを含有するOptimus PEGベース担体製剤を用いてさらなる試験を行い、化膿レンサ球菌およびMRSAに対する本製剤および標準品の有効性を調べた。これらの結果を表29に要約する。
【0167】
【表29】
【0168】
PEGベース担体中に2%のβ-トリケトンと2%のパルマローザオイルとを含む軟膏(ECMT-154PEG軟膏としても知られる)、Betadine(登録商標)、およびCrystaderm(登録商標)について、黄色ブドウ球菌、MRSA、および化膿レンサ球菌の阻止帯画像を図1に示す。図1は、本開示の実施形態による、ECMT-154PEG軟膏および参照についての抗菌データを示す表100である。
【0169】
図1の結果は、行102に示す2%のβ-トリケトン+2%のパルマローザオイルとPEGベース担体軟膏とを含有する局所用組成物(ECMT-154PEG)が、特に標準品と比較して、黄色ブドウ球菌およびMRSAに対して非常に有効であることを裏付ける。行106に示すECMT-154PEGは、両方の病原菌に対して、Crystaderm(登録商標)(1%過酸化水素)クリームよりも有効であり、行108に示すBetadine(登録商標)(10%ポビドンヨード)軟膏よりも著しく有効であり、また、化膿レンサ球菌に対して、行104に示すFucidin(登録商標)(2%フシジン酸)クリームよりも著しく有効であった。ECMT-154PEGおよびFucidin(登録商標)クリームの両方に対する試験は、両方の製品がMRSAに対して非常に有効であったが、両方の軟膏が可能な測定値を超える帯直径を生成したため、直接比較することができなかったことを示した。
【0170】
表30は、標準品のFucidin(登録商標)、Betadine(登録商標)、およびCrystaderm(登録商標)に対するPEG担体ベース中の2%β-トリケトン+2%パルマローザオイル(ECMT-154PEG軟膏)の比較データを要約したものである。
【0171】
【表30】
【0172】
[実施例12-膿痂疹および他の細菌感染症の治療]
レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイル)またはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトンと、キンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)と、任意選択でポリエチレングリコールを含む担体組成物を含む局所用組成物が調製される。局所用組成物を調製し、膿痂疹や創傷感染症などの皮膚疾患に対して試験する。製剤は、これらの感染症の治療における治療有効性を実証している。
【0173】
[実施例13-にきび病原菌の阻止帯試験]
阻止帯試験を行って、アクネ菌および表皮ブドウ球菌に対する、3つの異なるベース(実施例10の3、5、および6)中に2%のβ-トリケトン+2%のパルマローザオイルを含有する局所用組成物の有効性を、標準にきび治療薬のBenzac(2.5%過酸化ベンゾイル)およびClearasil(登録商標)(1.9%サリチル酸)と比較した。
【0174】
2%のβ-トリケトン+2%のパルマローザオイルおよびOptimusクリーム1(ECMT-154クリーム)、2%のβ-トリケトン+2%のパルマローザオイルおよびOptimus Versaproゲル(ECMT-154ゲル)、ならびに2%のβ-トリケトン+2%のパルマローザオイルおよびPEGベース担体軟膏(ECMT-154PEG、時にTripalmaとして知られる)を含有する局所用組成物、Benzac、およびClearasil(登録商標)の阻止帯試験結果を表31に要約する。
【0175】
【表31】
【0176】
以下の局所用組成物についてのアクネ菌および表皮ブドウ球菌の阻止帯画像を図2に要約する。
【0177】
図2は、アクネ菌および表皮ブドウ球菌に対するECMT-154局所用組成物および参照の効果を示す表200である。表200は、202の2%のβ-トリケトン+2%のパルマローザオイルおよびOptimusクリーム1(ECMT-154クリーム)、204の2%のβ-トリケトン+2%のパルマローザオイルおよびOptimus Versaproゲル(ECMT-154ゲル)、206のPEGベース中に2%のβ-トリケトン+2%のパルマローザオイル(ECMT-154PEGまたはTripalma)、208のBenzac、ならびに210のClearasil(登録商標)についての結果を示す。表31および図2の結果は、PEGベース担体(ECMT-154PEGまたはTripalma軟膏)、Versaproゲルベース担体(ECMT-154ゲル)、およびクリームベース担体(ECMT-154クリーム)中に2%のβ-トリケトン+2%のパルマローザオイルを含有する局所用組成物が、特に標準品のBenzacおよびClearasil(登録商標)と比較して、アクネ菌に対して非常に有効であることを裏付ける。試験した全ての製品のうち、ECMT-154ゲルがアクネ菌に対して最も有効であった。
【0178】
ECMT-154PEGおよびECMT-154ゲルはまた、表皮ブドウ球菌に対して標準品よりも有効であった。試験した製品のうち、ECMT-154PEG軟膏が表皮ブドウ球菌に対して最も有効であった。
【0179】
[実施例14-創傷治癒試験]
【0180】
創傷治癒の態様は、デブリードマン、炎症誘発および抗炎症の両方、細胞の増殖および遊走、血管新生、ならびに細胞外マトリックス合成を含む。これらの段階のうちの1つ以上を促進することができる任意の製品または調製物は、創傷治癒を加速できる可能性がある。試験サンプルがヒト皮膚細胞の増殖および遊走、ならびに皮膚の完全性および構造の基礎となるマトリックス成分の産生を促進する可能性を調査することが可能である。治癒速度に対する効果は、一定時間ごとに撮影された治癒中の創傷のデジタル写真から判定された。試験サンプル濃度は、初期線維芽細胞毒性試験に基づいて選択された。
【0181】
表32は、創傷閉鎖速度に対する試験サンプルの効果を示す。β-トリケトンとパルマローザオイルとの組み合わせは、最大の創傷治癒効果を実証した。
【0182】
【表32】
【0183】
図3は、マヌカオイルβ-トリケトンとパルマローザオイルとを含む治療用抽出物の創傷治癒効果を示す写真を要約したものである。図3は、本開示の実施形態による、マヌカオイルβ-トリケトンおよびパルマローザオイルの創傷治癒効果を示す表300である。
【0184】
[実施例15-マヌカオイルβ-トリケトンとパルマローザオイルまたはパチョリオイルとを含有する治療用抽出物の皮膚バリア修復特性]
【0185】
生体外ブタ皮膚試験を用いて、湿疹、乾癬、にきび、および他の皮膚症状に特徴的な皮膚バリアの障害の軽減、ならびに皮膚が穿刺され得る、研磨材で処理され得る、または他の方法で損傷され得る美容処置に対する2つの試験サンプルの効果を判定した。試験した2つの抽出物は、(a)マヌカオイルβ-トリケトンおよびパルマローザオイル、ならびに(b)マヌカオイルβ-トリケトンおよびパチョリオイルであった。ブタ(食肉処理業者から供給された)由来の新鮮な皮膚を小片に切断した。各試験サンプルについて、3つの皮膚片は、対照としての役割を果たすために皮下層を除去しなかった。別の3片は、粘着テープを用いて皮下層を除去し、次いで試験サンプルに曝露した。第3の3片のセットは、粘着テープを使用して皮下層を除去したが、試験サンプルに曝露されず、したがって試験サンプルの効果の対照としての役割を果たした。メチレンブルーカフェインを皮膚片の外表面に添加し、フランツ型拡散セルを用いて皮膚片を通る移動速度を判定した。サンプルをセルの下側から数回の間隔で採取し、メチレンブルーの濃度を判定するために使用した。採取した各サンプルから、0.2mlを平底96ウェルプレートのウェル内に分注した。VersaMax(商標)プレートリーダーを使用して、各ウェルにおける吸光度を650nmで測定し、記録した。時間に対する吸光度を、3つの輸送条件のそれぞれについて、拡散装置の各セルについてグラフでプロットした。皮膚を通過するメチレンブルーカフェインの輸送速度を、両方の試験サンプルについて3つの条件のそれぞれについて比較した。
【0186】
図4に要約した結果は、試験した2つのサンプルのうち、マヌカオイルβ-トリケトンとパルマローザオイルとを含む抽出物が、マヌカオイルβ-トリケトンとパチョリオイルとを含む組成物よりも、本試験における皮膚バリア機能の回復により有効であったことを実証している。図4Aは、0.2%のMBSβ-トリケトン+0.2%のパルマローザオイルによる皮膚の1時間の治療についての皮膚バリア修復試験結果を示すグラフ402および404である。図4Bは、0.2%のMBSβ-トリケトン+0.2%のパチョリオイルによる皮膚の1時間の治療を示すグラフ406および408である。
【0187】
【数1】
【0188】
[実施例16-乾癬および湿疹の治療。]
【0189】
レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)と、i)CBDオイルまたは単離物、ii)キンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)、(iii)パチョリオイル、またはiv)上記のCBD、パルマローザ、またはパチョリオイルの2つ以上の組み合わせとを含む3つの局所用組成物を調製する。局所用組成物を調製し、乾癬および湿疹を含む皮膚疾患に対して試験する。製剤は、上記皮膚疾患のうちの1つ以上の治療における治療有効性を実証している。
【0190】
[実施例17-湿疹、乾癬、および他の炎症性皮膚症状の治療のための局所用クリーム]
【0191】
表33に示す成分の混合物を、湿疹、乾癬および他の炎症性皮膚症状の治療のための局所用クリームの形態で調製する。
【0192】
【表33】
【0193】
[実施例18-皮膚症状に対する治療]
【0194】
局所用組成物は、レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)と、
a.CBDオイルもしくは単離物、または
b.キンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)、または
c.パチョリオイル、または
d.上記のCBD、パルマローザ、またはパチョリオイルのうちの2つ以上の組み合わせ、および/または
e. 以下のうちの1つ以上:
i. ニゲラ・サティバシードオイル(ブラックシードオイル);
ii. マトリカリア・レクティタオイル(ジャーマンカモミール);
iii. エレッタリア・カーダモマムオイル(カルダモン);
iv. ティムス・ウルガリスオイル(タイム);
v. オリガナム・ウルガレオイル(オレガノ);
vi. サンタラム・アルバムオイル(サンダルウッド);
vii. イリシウム・ベルムオイル(スターアニス);
viii. メンタ・スピカタオイル(スペアミント)
ix. センテラ・アジアティカ(ゴツコラ抽出物)
x. β-カリオフィレン、
xi. ソラレア・コリリフォリアオイル(バブチまたはバクチ)
xii. テルミナリア・フェルディナンディアナオイル(カカドゥプラム)
とを含んで調製される。
【0195】
局所用組成物を調製し、皮膚老化、コラーゲン産生、瘢痕、紫外線ダメージ、炎症、掻痒、および酵母または真菌増殖を含む様々な皮膚疾患に対して試験する。製剤は、上記皮膚疾患のうちの1つ以上の治療における治療有効性を実証している。
【0196】
[実施例19-口唇ヘルペスまたは帯状疱疹の原因となるウイルスに対する治療]
【0197】
レプトスペルマム・スコパリウムオイル(マヌカオイルまたはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)と、i)CBDオイルもしくは単離物、ii)キンボポゴン・マルティニ(パルマローザオイル)、(iii)パチョリオイル、またはiv)スターアニスオイル、(v)α-ビサボロール、vi)β-カリオフィレン、(vii)タイムオイルまたはマヌカオイル(またはマヌカオイルから抽出されたβ-トリケトン)と、上記のオイルの任意の組み合わせとを含む3つの局所用組成物を調製する。局所用組成物を調製し、口唇ヘルペスまたは帯状疱疹などの病気の原因となるヒトαヘルペスウイルス1型、ヒトα帯状疱疹ウイルスなどのウイルスに対して試験する。製剤は、口唇ヘルペスおよび帯状疱疹の治療における治療有効性を実証している。
【0198】
[実施例20-マヌカオイルβ-トリケトンの純度および一貫性の実証]
【0199】
治療用に使用される活性成分は、純粋であり、かつ一貫している必要がある。GCMS試験は、イーストケープのマヌカオイルβ-トリケトンが純粋であり、バッチ間のトリケトンの総レベルが比較的一貫していることを実証している。図5は、β-トリケトンの異なるバッチについてのGCMS結果を要約したものである。図5は、マヌカオイルβ-トリケトンのGCMS結果502であり、結果を要約する表504を含む。表504は、β-トリケトンの複数の異なるバッチにおけるGCMS結果を要約したものである。これらの結果は、総β-トリケトンが5つのバッチにわたって比較的安定しており、761~781mg/g(平均値769±9mg/g)の範囲であることを示す。
【0200】
[実施例21-マヌカβ-トリケトンとパルマローザオイルとを組み合わせた場合の化学的不活性の実証。]
【0201】
本願に含まれるデータの多くは、マヌカオイルβ-トリケトンとパルマローザオイルとの間の相乗的な生物活性を示す。
【0202】
この文脈において、マヌカβ-トリケトンとパルマローザオイルとが化学的に反応しないことを確立することが重要である。なぜなら、このような反応性は、局所的に使用された場合に、感作、アレルギー誘発性、または他の副作用を引き起こし得る副生成物をもたらす可能性があるからである。2つの成分を組み合わせ、その組み合わせのGCMSプロファイルを個々の成分のGCMSプロファイルと比較した。
【0203】
図6の結果は、マヌカβ-トリケトンとパルマローザオイルとを組み合わせた場合に、化学変化がないことを裏付ける。図6は、マヌカオイルβ-トリケトン、パルマローザオイル、および組み合わせた組成物のGCMS結果のグラフ602である。
【0204】
[実施例22-ポリエチレングリコール担体ベース中にマヌカオイルβ-トリケトンとパルマローザオイルとを含有する局所用組成物の皮膚適合性の実証。]
図7は、ポリエチレングリコール担体ベース(ECMT-154PEG軟膏と称され、時にTripalmaとしても知られる)中にマヌカオイルβ-トリケトン、パルマローザオイルを含む局所用組成物についてのヒト反復傷害パッチ試験(HRIPT)結果を要約したものである。図7は、ポリエチレングリコール担体ベース(ECMT-154またはTripalmaと称する)中にマヌカオイルβ-トリケトン、パルマローザオイルを含む局所用組成物についてのHRIPT結果を示す表702、704である。採用した実験条件下(19~68歳、フォトタイプII~IVの被験者52名、全てのスキンタイプに適用)では、図表702に示すように、誘導相の間に刺激反応は誘発されなかった。図表704に示す惹起相の間、誘導部位および未処置部位への製品の単回塗布は、アレルギー反応を誘導しなかった。総合して、これらの結果は非常に良好な皮膚適合性を示し、感作効果を示さない。
【0205】
[実施例23-ECMO、ECMT、パルマローザオイルおよびECMT-154のMICデータ(%v/v)]
【0206】
表33は、0.66%のイーストケープマヌカトリケトン(ECMT)と0.34%のパルマローザオイルとを組み合わせてECMT-154を製造した場合の効果を実証し、グラム陽性菌の黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌、MRSA、表皮ブドウ球菌、およびアクネ菌に対する明確な相乗効果を示している。パルマローザオイル単独の平均MICはECMT-154の平均MICの64倍である。ECMT単独の平均MICはECMT-154の平均MICの10.5倍である。
【0207】
混合物の抗菌作用が相加的である場合、0.66(0.021)+0.34(0.128)=0.057%に基づいて、ECMT-154のMICは0.057%と予想されるであろう。これらのグラム陽性菌に対するECMT-154の観測された平均MIC(0.002%)は、予想される相加値の平均MICの1/29であった。さらに、これらの細菌に対するECMT-154の観測された平均MIC(0.002%)は、ECMO単独の平均MICの1/32であった。
【0208】
全体として、グラム陰性菌の大腸菌、A.バウマニ、およびP.ブルガリスに対する相乗効果は軽微である。製剤中のパルマローザオイルの濃度を増加させることにより、ECMT-154のグラム陰性菌活性を増加させることが可能であり得る。パルマローザオイル単独の平均MICはECMT-154の平均MICの0.6倍である。ECMT単独の平均MICはECMT-154の平均MICの4倍である。混合物の抗菌作用が相加的である場合、0.66(0.76)+0.34(0.113)=0.54%に基づいて、ECMT-154のMICは0.54%と予想されるであろう。
【0209】
これらのグラム陰性菌に対するECMT-154の観測された平均MIC(0.193%)は、予想される相加値の平均MICの1/3であった。さらに、これらの細菌に対するECMT-154の観測された平均MIC(0.193%)は、ECMO単独の平均MICの1/9であった。
【0210】
全体として、真菌および酵母のT.メンタグロフィテス、T.ルブルム、およびC.アルビカンスに対する相乗効果は軽微である。製剤中のパルマローザオイルの濃度を増加させることにより、ECMT-154の抗真菌活性を増加させることが可能であり得る。パルマローザオイル単独の平均MICはECMT-154の平均MICの1.2倍である。ECMT単独の平均MICはECMT-154の平均MICの4倍である。混合物の抗真菌効果が相加的である場合、0.66(0.313)+0.34(0.093)=0.24%に基づいて、ECMT-154のMICは0.24%と予想されるであろう。これらの真菌および酵母に対するECMT-154の観測された平均MIC(0.075%)は、予想される相加値の平均MICの1/3であった。
【0211】
さらに、これらの真菌および酵母に対するECMT-154の観測された平均MIC(0.075%)は、ECMO単独の平均MICの1/7であった。
【0212】
【表34】
[表33:比較MICデータ(%v/v):ECMO、ECMT、パルマローザオイルおよびECMT-154]
【0213】
[実施例24:ECMO、ECMT、パチョリオイルおよびECMT-222のMICデータ(%v/v)]
【0214】
表34のデータは、0.66%のイーストケープマヌカトリケトン(ECMT)と0.34%のパチョリオイルとを組み合わせてECMT-222を製造した場合の効果を実証している。グラム陽性菌に対する相乗効果は少ない。
【0215】
パチョリオイル単独の平均MICはECMT-222の平均MICの8倍である。ECMT単独の平均MICはECMT-222の平均MICの1.6倍である。混合物の抗菌作用が相加的である場合、0.66(0.021)+0.34(0.108)=0.051%に基づいて、ECMT-222のMICは0.051%と予想されるであろう。これらのグラム陽性菌(0.0.013%)に対するECMT-222の観測された平均MICは、予想される相加値の平均MICの1/4であった。さらに、これらの菌に対するECMT-222の観測された平均MIC(0.013%)は、ECMO単独の平均MICの1/5であった。
【0216】
【表35】
[表34:比較MICデータ(%v/v):ECMO、ECMT、パチョリオイルおよびECMT-222]
【0217】
[実施例25:ECMO、ECMT、CBD、ECMO-314およびECMT-314のMICデータ(%v/v)]
【0218】
CBDオイル中のカンナビジオール(CBD)含有量は非常に変動し得る。このため、これらの実施例では純粋なCBD単離物を用いた。これらの実施例では、1%のECMTまたは1%のECMOを使用した。CBDオイルは5~10%のCBDを含有するので、濃度0.05%のCBD純粋単離物(0.5%~1%のCBD全油に相当)をこれらの試験に使用した。
【0219】
【表36】
[表35:比較MICデータ(%v/v):ECMO、ECMT、CBD単離物およびECMT-314]
【0220】
表35のデータは、1%のイーストケープマヌカオイルまたは1%のトリケトン(ECMT)と0.05%の純粋なCBD単離物とを組み合わせてECMO-314またはECMT-314を製造した場合の効果を実証している。全体として、ECMO-314の場合、試験したグラム陽性菌に対する相加作用は無視でき、また、ECMT-314の場合、試験したグラム陽性菌に対する相加作用はないようである。CBD単独の平均MICはECMO-314の平均MICの0.2倍である。CBD単独の平均MICはECMT-314の平均MICの0.1倍である。ECMO単独の平均MICは、ECMO-314の平均MICの1.2倍である。ECMT単独の平均MICはECMT-314の平均MICの0.8倍である。
【0221】
ECMO-314中の混合物のグラム陽性菌に対する抗菌作用が相加的である場合、0.9524(0.110)+0.0476(0.018)=0.1056に基づいて、ECMO-314のMICは0.1056%と予想されるであろう。これらのグラム陽性菌に対するECMO-314の観測された平均MIC(0.094%)は、予想される相加値の89%である。
【0222】
同様に、ECMT-314中の混合物の抗菌作用が相加的である場合、0.9524(0.133)+0.0476(0.018)=0.1275に基づいて、ECMT-314のMICは0.1275%と予想されるであろう。これらのグラム陽性菌に対するECMT-314の観測された平均MIC(0.166%)は、予想される相加値の130%である。
【0223】
ECMT-314のアクネ菌の結果をそれ自体で考慮すると、ECMTとCBDとが組み合わされた際に強い相乗的結果が存在する。これは、本PCT出願(43ページ)の段落[0118]に含まれている。このシナリオでは、CBD単独のMICはECMT-314のMICの0.95倍であり、ECMT単独のMICはECMT-314のMICの40倍である。
【0224】
ECMT-314中の混合物の抗アクネ菌作用が相加的である場合、「0.9524(0.25)+0.0476(0.006)=0.2384」に基づいて、ECMT-314のMICは0.2384%と予想されるであろう。アクネ菌に対するECMT-314の観測された平均MIC(0.0063%)は、予想される相加値の1/38である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【国際調査報告】