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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】抗菌化合物の調製のための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/14 20060101AFI20240412BHJP
   A61K 31/538 20060101ALI20240412BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
C07D413/14 CSP
A61K31/538
C07D487/04 144
A61P31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567877
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2022061879
(87)【国際公開番号】W WO2022233891
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】202111020227
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】21181594.9
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】2204981.1
(32)【優先日】2022-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519054725
【氏名又は名称】ディスキューバ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】ティミンズ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】カルニョー,ジャン-フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ボーミック,ディパル
(72)【発明者】
【氏名】スリヴァスタヴァ,アニル
(72)【発明者】
【氏名】デブ,パラシャント
(72)【発明者】
【氏名】マハジャン,アキル
(72)【発明者】
【氏名】レッディ,ヴィジャヤ
(72)【発明者】
【氏名】バンダナプ,プルショットハム
(72)【発明者】
【氏名】カーン,モハメド ナワズ
(72)【発明者】
【氏名】クマール,グルシャム
(72)【発明者】
【氏名】クマール,サレシュ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF10
4C050GG01
4C050HH02
4C050HH04
4C063AA03
4C063BB01
4C063CC54
4C063DD25
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC74
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、腸内細菌目のグラム陰性菌および/もしくはヘモフィルス(Haemophilus)属のグラム陰性菌による感染、またはそれらによって引き起こされるもしくは悪化する疾患の処置における使用に好適な、抗菌化合物の製造のための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(I)
【化1】
またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法であって、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)、またはその塩
【化2】
の脱保護を含む方法。
【請求項2】
化合物(I)を製造するためのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の前記脱保護を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)およびメチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の前記脱保護を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩の前記脱保護を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)
【化3】
および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)
【化4】
の前記脱保護を含む、請求項1、2または5に記載の方法。
【請求項7】
前記脱保護が、酸触媒を使用して酸触媒される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記脱保護が、塩基触媒を使用して塩基触媒される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
脱保護剤が利用され、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)およびヒドラジンまたはその水和物から選択される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
脱保護剤が利用され、前記脱保護剤が、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である、請求項1から6または9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
脱保護剤が利用され、前記脱保護剤が、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、およびトリエチルアミン(TEA)、好ましくは1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、およびトリエチルアミン(TEA)、より好ましくはトリエチルアミン(TEA)から選択される塩基を伴う、請求項1、2、5もしくは6、またはそれらに従属する請求項7から10に記載の方法。
【請求項12】
前記脱保護が、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール(EtOH)、ジクロロメタン(DCM)、メタノール(MeOH)、およびアセトニトリル(CHCN)、好ましくはメタノール、ジクロロメタン、およびイソプロピルアルコール(IPA)、より好ましくはイソプロピルアルコール(IPA)から選択される溶媒を含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記脱保護を、30~80℃、例として40~70℃、好ましくは40~60℃の温度で実行することができる、請求項1、2、5もしくは6、またはそれらに従属する請求項7から12に記載の方法。
【請求項14】
6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および/または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)をアミノ酸カップリングして、
【化5】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)、またはその塩を形成することを含む先行ステップをさらに含む、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記先行ステップが、カップリング剤またはカップリング剤前駆体の存在下での、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および/または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)と、2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)とをアミノ酸カップリングして、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)、またはその塩
【化6】
を形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記先行ステップが、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)をアミノ酸カップリングして、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)およびメチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)を形成することを含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)が形成され、前記カップリング剤またはカップリング剤前駆体が、塩化チオニル(SOCl)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、Ghosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)、フルオロ-ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、Ti(iOPr)およびB(OCHCF、から選択され、好ましくは、前記カップリング剤またはカップリング剤前駆体は、塩化チオニル(SOCl)である、請求項1から4に従属する、請求項14、15もしくは16、または請求項1から4に従属する、請求項7から13のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記アミノ酸カップリングが、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)およびアセトニトリル(ACN)、またはそれらの組合せから選択される溶媒を使用し、好ましくは、前記溶媒が、アセトニトリル、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択され、より好ましくは、前記溶媒が、アセトニトリルおよびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記先行するステップの前記アミノ酸カップリングが、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)またはヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)を、塩化チオニルと組み合わせて使用する、請求項1から4に従属する、請求項14、15もしくは16、または請求項1から4に従属する、請求項7から13のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの前記二塩酸塩(10C)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの前記二塩酸塩(10D)が形成され、前記カップリング剤またはカップリング剤前駆体が、塩化チオニル(SOCl)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、Ghosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)、ヒドロキシベンゾトリアゾール、フルオロ-ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、Ti(iOPr)およびB(OCHCFから選択され、好ましくは、前記カップリング剤またはカップリング剤前駆体が、ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、および塩化チオニル(SOCl)から選択され、より好ましくは、前記カップリング剤またはカップリング剤前駆体が塩化チオニルである、請求項1、2、5、6に従属する、請求項14、15もしくは16、または請求項1、2、5もしくは6に従属する請求項7から13に記載の方法。
【請求項21】
前記アミノ酸カップリング反応が、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、アセトニトリル(ACN)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ガンマ-バレロラクトン(GVL)、N-メチルモルホリン(NMM)、スルホラン、ジクロロメタン(DCM)、またはそれらの組合せから選択される溶媒を使用し、好ましくは、前記溶媒が、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ガンマ-バレロラクトン(GVL)、N-メチルモルホリン(NMM)、スルホラン、ジクロロメタン(DCM)およびアセトニトリル、またはそれらの組合せから選択され、より好ましくは、前記溶媒が、アセトニトリルまたはスルホランから選択され、最も好ましくはアセトニトリルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アミノ酸カップリングにおいて、塩基、好ましくは第三級アミン、より好ましくはピリジンも試薬として使用される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を脱アシル化して、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および/または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)を形成することを含む追加の先行ステップをさらに含む、請求項14から22に記載の方法。
【請求項24】
前記追加の先行ステップが、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を脱アシル化して、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)を形成することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記追加のステップが、酸または塩基触媒で酸または塩基触媒され、好ましくは塩基触媒で塩基触媒される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記追加のステップが、NaOH、好ましくは30%NaOH水溶液を使用して塩基触媒される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
化合物(I)
【化7】
またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法であって、
以下のステップ:
1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)と、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)またはその塩とを、金属触媒の存在下でカップリングして、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)
【化8】
を形成するステップを含む方法。
【請求項28】
化合物(I)
【化9】
またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法における金属捕捉剤の使用であって、前記方法が、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)と、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)またはその塩とを、金属触媒の存在下でカップリングして、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を形成するステップであって、
【化10】
ここで、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を、前記金属捕捉剤で処理するステップを含む、使用。
【請求項29】
化合物(I)が形成される、請求項27または28に記載の方法または使用。
【請求項30】
1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)が形成される、請求項27から29のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項31】
1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)が、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)とカップリングさせる、請求項27から30のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項32】
1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)を、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)の塩、好ましくは4-ブロモ-3-メチルピリジン塩酸塩(6A)
【化11】
とカップリングさせる、請求項27から30のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項33】
1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)が、金属捕捉処理を受け、好ましくは、前記金属捕捉処理が金属捕捉剤による処理を含む、請求項27、またはそれに従属する請求項29から32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記金属捕捉処理が金属捕捉剤による処理を含み、前記金属捕捉剤がトリチオシアヌル酸である、請求項28または33に記載の方法または使用。
【請求項35】
前記金属触媒が、遷移金属系触媒、例として白金系触媒、パラジウム系触媒、およびイリジウム系触媒であり、好ましくは、前記金属触媒がパラジウム系触媒であり、より好ましくは、前記金属触媒が酢酸パラジウム(II)である、請求項27から34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
化合物(I)
【化12】
またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法であって、カップリング剤またはカップリング剤前駆体の存在下で、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)と2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)とをアミノ酸カップリングするステップ
【化13】
を含む方法。
【請求項37】
化合物(I)が形成される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記カップリング剤またはカップリング剤前駆体が、塩化チオニル(SOCl)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、Ghosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)、フルオロ-ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、Ti(iOPr)およびB(OCHCFから選択され、好ましくは、前記カップリング剤またはカップリング剤前駆体が、塩化チオニル(SOCl)である、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記アミノ酸カップリングが、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)およびアセトニトリル(ACN)、またはそれらの組合せから選択される溶媒、好ましくは、アセトニトリル、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される溶媒、より好ましくは、アセトニトリルおよびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される溶媒を使用する、請求項36から38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記アミノ酸カップリングが、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)またはヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)を、塩化チオニルと組み合わせて使用する、請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を脱アシル化して4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)を形成する、化合物(12)を形成するための先行ステップ
【化14】
をさらに含む、請求項36から40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
化合物(I)の製造のための方法であって、1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を脱アシル化して、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)を形成するステップ
【化15】
を含む方法。
【請求項43】
前記脱アシル化を、塩基触媒または酸触媒することができ、好ましくは酸触媒することができる、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を脱アシル化して1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を形成する、1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を形成するための追加の先行ステップをさらに含む、請求項41から43に記載の方法。
【請求項45】
前記脱保護が、酸触媒を使用して酸触媒される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記脱保護が、塩基触媒を使用して塩基触媒される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
脱保護剤が利用され、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)およびヒドラジンまたはその水和物から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
脱保護剤が利用され、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である、請求項44または47に記載の方法。
【請求項49】
前記脱保護が、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール(EtOH)、ジクロロメタン(DCM)、メタノール(MeOH)、およびアセトニトリル(CHCN)から選択され、好ましくはメタノール、ジクロロメタン、およびイソプロピルアルコール(IPA)から選択される溶媒を含み、より好ましくは、前記溶媒がイソプロピルアルコール(IPA)である、請求項44から48のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書で定義される抗菌化合物の製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の抗菌化合物に対する耐性を伴う細菌病原体の出現に対抗するための新しい抗菌化合物が必要とされている。既存の抗生物質に対する細菌耐性の発生の増加は、多くの細菌病原体の間で多剤耐性が一般的になり、一般的な感染が社会に及ぼす負担を大幅に増強させる脅威となっている。例えば、ESKAPE病原体(フェシウム菌(Enterococcus faecium)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)およびエンテロバクター(Enterobacter)種)の抗生物質耐性菌株、例としてカルバペネム耐性腸内細菌(Enterobacteriaceae)(CRE)、多剤耐性(MDR)アシネトバクター(Acinetobacter)、MDR緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)およびバンコマイシン耐性腸球菌(Enterococcus)(VRE)などは、ヒトの健康に対する緊急のまたは深刻な脅威をもたらすと特定された抗生物質耐性微生物のリストに含まれている。他の顕著な抗生物質耐性病原体には、グラム陽性の嫌気性菌ディフィシル菌(Clostridium difficile)、薬剤耐性淋菌(Neisseria gonorrhoeae)および薬剤耐性結核菌(tuberculosis)が含まれる。
【0003】
具体的には、カルバペネム(β-ラクタム)抗生物質などの既存の抗生物質製剤に対する、グラム陰性菌、特に腸内細菌目のグラム陰性菌の耐性が増加している。例えば大腸菌(Escherichia coli)NDM-1(ニューデリーメタロ-β-ラクタマーゼ)および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)のようなカルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(Enterobacterales)などの抗生物質耐性グラム陰性腸内細菌目細菌菌株は、処置が困難であり、ますます蔓延し、毒性が増加している。さらに、例えば、ST11カルバペネム耐性の超毒性肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)菌株のような、致死的な大流行に関連するカルバペネム耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の、新しく出現している超毒性、多剤耐性および強度感染性の菌株が同定された。そのような菌株は、これまでおよび現在推奨されている抗生物質に対して耐性であり、現在、世界的規模の主要な公衆衛生の懸念事項である。
【0004】
現在、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)が疑われる腸内細菌目細菌感染は、一般に広域スペクトル薬剤で処置される。そのような処置は通常、β-ラクタム系抗生物質とβ-ラカタマーゼ阻害剤(BL/BLI)の組合せ、または最終手段の抗生物質であるコリスチンの使用からなる。BL/BLIの組合せは、短期的には有効であるが、最終的には細菌の既存の耐性メカニズムに屈すると予測されている。さらに、これらの広域スペクトル薬剤は、すべてのAmblerのβ-ラクタマーゼクラスに対して活性があるわけではなく、カルバペネム系抗生物質を含む広範囲のβ-ラクタム系抗生物質に対する耐性を与えるメタロ-β-ラクタマーゼに対しては活性を有さない。
【0005】
したがって、カルバペネムおよびその他のβ-ラクタムなどの既知の抗生物質に耐性があるか、または多剤耐性感染因子を伴う腸内細菌目のグラム陰性菌による感染、またはそれによって引き起こされるもしくは悪化する疾患に対して、信頼性の高い方法で効果的な処置を提供することができる、新しい抗菌化合物の製造のための効果的でスケーラブルな方法が必要とされている。さらに、既知の抗菌化合物に伴う副作用を回避または軽減することができる抗生物質製剤を提供する必要がある。
【0006】
本発明の態様の目的は、上述の問題または他の問題の解決策を提供する抗菌化合物の形成のための効果的でスケーラブルな方法を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、化合物(I)
【0008】
【化1】
またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法であって、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)、またはその塩
【0009】
【化2】
の脱保護を含む方法を提供する。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、化合物(I)
【0011】
【化3】
またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法であって、以下のステップ:
1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)と、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)またはその塩とを、金属触媒の存在下でカップリングして、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を形成するステップであって、
【0012】
【化4】
好ましくは、ここで、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)が、金属捕捉処理を受け、金属捕捉処理は金属捕捉剤による処理を含む、ステップを含む方法を提供する。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、化合物(I)
【0014】
【化5】
またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法における金属捕捉剤の使用であって、方法が、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)と、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)またはその塩とを、金属触媒の存在下でカップリングして、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を形成するステップであって、
【0015】
【化6】
ここで、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を、金属捕捉剤で処理するステップを含む、使用を提供する。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、化合物(I)
【0017】
【化7】
またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法であって、カップリング剤またはカップリング剤前駆体の存在下で、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)と2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)とをアミノ酸カップリングするステップ
【0018】
【化8】
を含む方法を提供する。
【0019】
定義
本明細書で使用される場合、「疾患」または「細菌性疾患」という用語は、生理学的機能を損ない、特定の症状に関連する異常な状態を定義するために使用される。この用語は、病因の性質(または実際には疾患の病因論的根拠が確立されているかどうか)に関係なく、生理学的機能が損なわれているあらゆる障害、疾病、異常、病変、不調、状態または症候群を包含するために広く使用される。したがって、この用語は、外傷、傷害、外科手術、放射線アブレーション、中毒、または栄養欠乏から生じる状態を包含する。この用語は、対象の身体および/または細胞内に存在および/または複製する細菌が関与する(例えば、その存在により生じ、悪化し、関連するかまたは特徴づけられる)任意の疾患を指す。したがって、この用語には、細菌性毒素により生じるかまたは悪化する疾患(本明細書では「細菌性中毒」と呼ばれる場合もある)が含まれる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「感染」または「細菌感染」という用語は、対象が細菌に感染している状態を定義するために使用される。感染は、症候性または無症候性であり得る。症候性の場合には、対象は、確立された診断基準に基づいて、感染していると特定することができる。無症候性の場合には、対象は、例えば生化学的検査、血清学的検査、微生物培養法および/または顕微鏡観察を含む種々の検査に基づいて、感染していると特定することができる。したがって、本発明は、典型的には、細菌感染が診断されたかまたは検出された対象の処置における用途が見出される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「処置」または「処置すること」という用語は、疾患の症状を治癒する、軽快させる、もしくは軽減する、またはその原因(例えば、原因となる細菌)を取り除く(もしくはその影響を軽減する)介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、この用語は「治療」という用語と同義で使用される。したがって、本発明による感染の処置は、本発明の化合物の(直接的または間接的な)殺菌作用を特徴とすることができる。したがって、本発明の化合物は、細菌細胞を死滅させるか、またはその成長を防止する方法における用途が見出される。
【0022】
さらに、「処置」または「処置すること」という用語は、処置集団内での疾患の発症または進行を防止するかもしくは遅延させるか、またはその発生率を低下させる(もしくは根絶する)介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、処置という用語は、「予防」という用語と同義で使用される。
【0023】
「対象」という用語(文脈が許す限り、「個体」、「動物」、「患者」または「哺乳動物」を含むものと解釈されるべきである)は、処置が示される任意の対象、特に哺乳動物の対象を定義する。哺乳動物の対象には、ヒト、飼育動物、家畜、動物園動物、競技用動物、ペット動物、例としてイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、雌ウシ;霊長類、例として類人猿、サル、オランウータン、およびチンパンジー;イヌ類、例としてイヌおよびオオカミ;ネコ類、例としてネコ、ライオン、およびトラ;ウマ類、例としてウマ、ロバ、およびシマウマ;食用動物、例として雌ウシ、ブタ、およびヒツジ;有蹄類、例としてシカおよびキリン;げっ歯類、例としてマウス、ラット、ハムスターおよびモルモット;などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、対象はヒトである。
【0024】
「グラム陰性菌」および「グラム陽性菌」という用語は、ある特定の細胞壁染色特徴に基づいて、2つの異なるクラスの細菌を定義する専門用語である。
【0025】
「有効な」という用語には、相加性、相乗作用、副作用の軽減、毒性の軽減、性能の向上、感染時の細菌負荷の軽減、または活性などの有利な効果が含まれる。
【0026】
本発明の化合物(I)に適用される「薬学的に許容される塩」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー応答を伴うことなく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに好適であり、合理的な利益/リスク比に相応する、遊離塩基の任意の有機または無機酸付加塩を定義する。好適な薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。例として、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸)、有機カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、ジヒドロキシマレイン酸、安息香酸、フェニル酢酸、4-アミノ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸およびマンデル酸)ならびに有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸)から形成される塩がある。
【0027】
その最も広い態様において、本発明は、化合物(I)のすべての光学異性体、または薬学的に許容される塩の製造を企図する。
【0028】
化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の立体化学的形態が薬学的有用性にとって重要である場合、本発明は単離されたユートマーの製剤を企図する。
【0029】
本明細書で使用される「耐性菌株」という用語は、1つまたは複数の既知の抗菌剤、特に細菌の菌株による感染の処置における標準治療であると広く考えられている抗菌剤に対して耐性または非感受性を示したそのような菌株を指す。「非感受性菌株」は、所与の化合物または化合物クラスの、その菌株に対するMIC(最小発育阻止濃度)が、対応する感受性菌株に対するMICより高い数値に移行した菌株である。例えば、非感受性菌株は、β-ラクタム抗生物質に非感受性である菌株、1つもしくは複数のフルオロキノロンに非感受性である菌株および/または1つもしくは複数の他の抗生物質(すなわち、β-ラクタムおよびフルオロキノロン以外の抗生物質)に非感受性である菌株を指す場合がある。場合によっては、「耐性」という用語は、所与の化合物または化合物クラスの、その菌株に対するMICが、対応する感受性菌株に対するMICより有意に高い数値に移行した菌株を指す場合がある。細菌株は、ある濃度のこの薬剤によりインビトロにおいて阻害され、それが治療失敗の高い可能性に関連する場合、所与の抗生物質に対して耐性があると言われる可能性がある。
【0030】
本明細書で使用される「多剤耐性の」または「多剤耐性」という用語は、2つ以上の抗菌剤に対してインビトロおよび/またはインビボ耐性を示す、高耐性グラム陰性菌(例えば、カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae))などの生物を指す。そのような生物は、現在入手可能な抗菌剤のすべてに対して耐性があるか、またはより古い、より有毒である可能性がある抗菌剤に対してのみ感受性を維持している場合がある。
【0031】
本明細書で使用される「超毒性」という用語は、一般に高毒性プラスミドの獲得の結果として、例外的に高毒性の生物を指す。そのような生物は、重度の疾病を引き起こす可能性がある。完璧を期すると、「高毒性の」とは、極度に重度または有害な影響および疾病を引き起こす可能性がある生物を指す。
【0032】
本明細書で使用する「抗菌処置」という用語は、化合物(I)以外の抗菌剤またはその薬学的に許容される塩を用いた対象の感染または疾患の処置を意味する。典型的には、本発明との関係においては、これは、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩以外の、カルバペネムまたは他のβ-ラクタム系抗生物質を含む、既知の抗生物質または処置方法によるものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1-1】図1aから図1cは、化合物(I)、比較化合物(II)および比較化合物(III)についてインビトロ薬理学結合アッセイについて、試験した44個のリガンドすべての結果を示す。
図1-2】同上。
図1-3】同上。
図1-4】図1dは、化合物(I)、比較化合物(II)および比較化合物(III)についてインビトロ薬理学結合アッセイの結果のうち、50%を超える阻害を示す結果のみを示す。
図2図2は、化合物(I)および比較化合物(III)を、腸内細菌目のグラム陰性菌による呼吸器感染の処置のためのマウスモデルにおける概念実証研究において評価した結果を示す。
図3図3は、化合物(I)および比較化合物(III)を、腸内細菌目のグラム陰性菌による菌血症または血流感染の処置のためのマウスモデルにおける概念実証研究において評価した結果を示す。
図4-1】図4aから図4cは、化合物(I)および比較化合物(III)を、腸内細菌目のグラム陰性菌による尿路感染の処置のためのマウスモデルにおける概念実証研究において評価した結果を示す。
図4-2】同上。
図4-3】同上。
図5図5は、化合物(I)を、腸内細菌目のグラム陰性菌による呼吸器感染の処置のためのマウスモデルにおける概念実証研究においてさらに評価した結果を示す。
図6-1】図6aから図6cは、化合物(I)を、腸内細菌目のグラム陰性菌による尿路感染の処置のためのマウスモデルにおける概念実証研究においてさらに評価した結果を示す。
図6-2】同上。
図6-3】同上。
【発明を実施するための形態】
【0034】
発明の詳細な説明
本発明は、腸内細菌目のグラム陰性菌、特にカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)および拡張スペクトルβ-ラクタマーゼ(ESBL)腸内細菌目細菌による感染、またはそれらによって引き起こされるもしくは悪化する疾患の処置、ならびにヘモフィルス(Haemophilus)属のグラム陰性菌による感染、またはそれによって引き起こされるもしくは悪化する疾患の処置に関して、これまでのアンメット臨床ニーズに対する解決策を提供する。
【0035】
驚くべきことに、かつ有利には、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩によって、腸内細菌目のグラム陰性菌および/またはヘモフィルス(Haemophilus)属のグラム陰性菌、例えば、既知のβ-ラクタム系抗生物質に耐性があり、死亡の主な原因である腸内細菌目のグラム陰性菌および/もしくはヘモフィルス(Haemophilus)属のグラム陰性菌による感染、またはそれらによって引き起こされるもしくは悪化する疾患の治療が可能になることが見出された。
【0036】
化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、多部位感染、すなわち腸内細菌目のグラム陰性菌および/またはヘモフィルス(Haemophilus)属のグラム陰性菌による感染であり、対象の異なる感染部位(組織および/または臓器の細胞内部位)において発生するものの処置において特に有利であり得る(本発明の実施例セクションに提供されるデータによって示される)。処置を必要とする対象の疾患または感染の抗菌処置が失敗した場合、または対象がアレルギーであるか、もしくはそうでなければ抗菌処置で使用されるまたは使用が検討される薬剤に対して禁忌である場合、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、腸内細菌目のグラム陰性菌および/もしくはヘモフィルス(Haemophilus)属のグラム陰性菌による感染、またはそれらによって引き起こされるもしくは悪化する疾患の処置に、さらに有利に利用することができる。
【0037】
化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、迅速な殺菌作用があるようであり、すべてのAmblerのβ-ラクタマーゼクラス(メタロ-β-ラクタムを含む)を含む、現在試験されているすべての臨床耐性機構に対して非常に活性が高いと考えられる。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、全範囲のカルバペネム代謝酵素による失活を受けないようであり、カルバペネマーゼまたは他の耐性特性とは無関係に、現在試験されているすべてのCREに対する活性を実証している。既知のBL/BLI組合せ処置とは対照的に、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、インビトロで試験された耐性発現の傾向が低いことを示した。
【0038】
さらに、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、現在試験されているクラスの抗生物質との交差耐性を示さず、禁忌も観察されない。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、薬理学研究においてインビトロおよびインビボの両方の安全性も実証している。
【0039】
したがって、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、腸内細菌目のグラム陰性菌および/またはヘモフィルス(Haemophilus)属のグラム陰性菌、特に、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)および拡張スペクトルβ-ラクタマーゼ(ESBL)腸内細菌目細菌などの、既知の抗生物質に耐性のある細菌によって引き起こされるもしくは悪化する細菌感染または疾患の処置に使用することができる。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、腸内細菌目のグラム陰性菌および/またはヘモフィルス(Haemophilus)属のグラム陰性菌、特に、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)および拡張スペクトルβ-ラクタマーゼ(ESBL)腸内細菌目細菌などの、既知の抗生物質に耐性のある細菌に対して殺菌活性を有する。
【0040】
本発明は、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法に関する。この方法は効果的かつスケーラブルである。それは、市販の出発材料を有利に使用することができ、カラムクロマトグラフィーによる精製を大幅に回避するように調整することができ、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を高収率および高純度で生成する合成経路である。方法中に利用される金属触媒の金属イオンなどのあらゆる有害な試薬は、最終生成物中に微量レベルでのみ存在するように、方法の後続のステップで有利に除去することができる。
【0041】
化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法は、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)、またはその塩
【0042】
【化9】
の脱保護を含む。
【0043】
この方法では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を高収率および高純度で単離する。
【0044】
方法は、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の脱保護を含んでもよい。
【0045】
一般に、位置異性体である2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の混合物を、方法で使用する場合、位置異性体2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)が優勢である。
【0046】
位置異性体である2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)のうちの1つを、方法で使用する場合、位置異性体2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)が、一般に選択される。
【0047】
あるいは、方法は、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩の脱保護を含んでもよい。
【0048】
一般に、位置異性体である2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩の混合物を、方法で使用する場合、位置異性体2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩が優勢である。
【0049】
位置異性体である2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩または位置異性体である2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩のうちの1つを、方法で使用する場合、位置異性体2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩が、一般に選択される。
【0050】
好ましくは、2つの位置異性体(10)および(10A)の塩は同じ塩である。
【0051】
方法が、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩の脱保護を含む場合、(10)および(10A)の塩のそれぞれは、二塩酸塩(ビスヒドロクロリド)などの塩酸塩であってもよい。2つの位置異性体(10)および(10A)の塩は同じ塩酸塩であることが理解され、例えば、両方とも二塩酸塩であってもよい。したがって、方法は、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩の脱保護を含んでもよい。
【0052】
一般に、位置異性体である2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩の混合物を、方法で使用する場合、位置異性体2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩が優勢である。
【0053】
位置異性体である2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩または位置異性体である2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩のうちの1つを、方法で使用する場合、位置異性体2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩が、一般に選択される。
【0054】
好ましくは、方法が、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩の脱保護を含む場合、脱保護は、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(ビスヒドロクロリド)(10C)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(ビスヒドロクロリド)(10D)
【0055】
【化10】
の脱保護である。
【0056】
一般に、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(ビスヒドロクロリド)(10C)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(ビスヒドロクロリド)(10D)の混合物を、方法で使用する場合、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(ビスヒドロクロリド)(10C)が優勢である。2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(ビスヒドロクロリド)(10C)または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(ビスヒドロクロリド)(10D)のうちの1つを、方法で使用する場合、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(ビスヒドロクロリド)(10C)が、一般に選択される。
【0057】
方法は、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)の脱保護を含む。
【0058】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)の脱保護により、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が高収率で容易に得られる。
【0059】
脱保護は、塩基触媒または酸触媒することができ、好ましくは塩基触媒することができる。
【0060】
好適な脱保護試薬としては、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)、およびNHNH(ヒドラジン)またはその水和物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、脱保護試薬はNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である。驚くべきことに、かつ有利には、脱保護にNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)を使用すると、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の収率が有利に向上することが見出された。
【0061】
好ましくは、脱保護が、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)、および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)の脱保護である場合、脱保護試薬は塩基を伴っていてもよい。好適な塩基としては、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、およびトリエチルアミン(TEA)が挙げられる。好ましくは、塩基は、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)およびトリエチルアミン(TEA)から選択される。より好ましくは、塩基はトリエチルアミン(TEA)であるように選択される。
【0062】
脱保護のための溶媒は、任意の好適な溶媒またはそれらの組合せ、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール(EtOH)、ジクロロメタン(DCM)、メタノール(MeOH)、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルtert-ブチルエーテル(TBME)、およびアセトニトリル(CHCN)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、メタノール、ジクロロメタンおよびイソプロピルアルコール(IPA)から選択される。より好ましくは、溶媒はイソプロピルアルコール(IPA)であるように選択される。
【0063】
好ましくは、脱保護が、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)、および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)の脱保護である場合、脱保護は、30~80℃、例として40~70℃、好ましくは40~60℃の温度で実行することができる。
【0064】
好ましくは、脱保護が、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の脱保護である場合、脱保護試薬は、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)であるように選択され、溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)であるように選択される。
【0065】
好ましくは、脱保護が、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)、および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)の脱保護である場合、脱保護試薬は、溶媒としてイソプロピルアルコール(IPA)中で、塩基としてトリエチルアミン(TEA)を使用して、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)であるように選択される。
【0066】
好ましくは、脱保護が、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の脱保護であり、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)を利用する場合、脱保護により、化合物(I)の塩酸塩が得られる場合がある。化合物(I)、またはその薬学的に許容される塩は、この塩酸塩から、当業者に公知の好適な抽出方法によって得ることができる。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、塩基性条件下で化合物(I)の塩酸塩を処理することにより製造することができる。そのような処理には、塩基、例えば重炭酸ナトリウムの使用を含めることができる。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、10%メタノール/DCMを使用して得ることができる。
【0067】
好ましくは、脱保護が、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)、および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)の脱保護であり、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)を利用する場合、脱保護により、化合物(I)の塩酸塩、例として二塩酸塩が得られる場合がある。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、塩基性条件下で化合物(I)の塩酸塩を処理することにより製造することができる。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、イオン交換樹脂、例としてAmberlite IRN78およびMP-カーボネート;炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウムなどの塩基の添加;メタノールまたはイソプロピルアルコール(IPA)などの溶媒中のアンモニアの添加;または水酸化アンモニウム(NHOH)の添加により、化合物(I)の塩酸塩を処理することにより製造することができる。好ましくは、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、化合物(I)の二塩酸塩を水酸化アンモニウム(NHOH)で処理することによって生成される。任意選択で、水酸化アンモニウムを加える前に、化合物(I)の二塩酸塩を水中で中和してもよい。任意選択で、化合物(I)の形成を助けるためにジクロロメタンを導入してもよい。化合物(I)の二塩酸塩のそのような処理により、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を高収率および高純度で提供することが容易になる。
【0068】
化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法は、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)、またはその塩の形成を容易にするための先行ステップをさらに含んでもよい。
【0069】
したがって、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の製造方法は、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および/または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)
【0070】
【化11】
を利用して、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)、またはその塩を形成することができる、アミノ酸カップリングをさらに含むことができる。
【0071】
一般に、位置異性体である6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)の混合物を、方法で使用する場合、位置異性体6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)が優勢である。
【0072】
位置異性体である6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)を、方法で使用する場合、位置異性体6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)が、一般に選択される。
【0073】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩は、上記のとおりであり、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(ビスヒドロクロリド)(10C)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(ビスヒドロクロリド)(10D)であり得る。
【0074】
6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および/または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)を、カップリング剤またはカップリング剤前駆体の存在下で、2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)と反応させて、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)、またはその塩を形成することができる。
【0075】
好ましくは、アミノ酸カップリングステップでは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)、および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)を形成する。
【0076】
好ましくは、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および/または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)を、カップリング剤またはカップリング剤前駆体の存在下で、2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)と反応させて、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)、および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)を形成する。
【0077】
好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の形成が所望される場合、好適なカップリング剤またはカップリング剤前駆体としては、これらに限定されないが、塩化チオニル(SOCl)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-2-(3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、Ghosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)、フルオロ-ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、Ti(iOPr)およびB(OCHCFが挙げられる。好ましくは、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は塩化チオニル(SOCl)である。このアミノ酸カップリング反応に好適な溶媒としては、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)およびアセトニトリル(ACN)、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。溶媒は、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、アセトニトリル、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。より好ましくは、溶媒は、アセトニトリルおよびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。
【0078】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の形成が所望される場合、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)またはヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)は、塩化チオニルと組み合わせて使用することができる。
【0079】
好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の形成が所望される場合、塩化チオニル(SOCl)は、DMPUとアセトニトリル(CHCN)、またはHMPUとアセトニトリルのいずれかにおいて、カップリング剤またはカップリング剤前駆体として利用される。
【0080】
好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)、および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)の形成が所望される場合、好適なカップリング剤またはカップリング剤前駆体としては、これらに限定されないが、塩化チオニル(SOCl)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、Ghosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)、ヒドロキシベンゾトリアゾール、フルオロ-ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、Ti(iOPr)およびB(OCHCFが挙げられる。好ましくは、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は、ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、および塩化チオニル(SOCl)、から選択される。より好ましくは、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は塩化チオニルである。このアミノ酸カップリング反応に好適な溶媒としては、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、アセトニトリル(ACN)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ガンマ-バレロラクトン(GVL)、N-メチルモルホリン(NMM)、スルホラン、ジクロロメタン(DCM)、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ガンマ-バレロラクトン(GVL)、N-メチルモルホリン(NMM)、スルホラン、ジクロロメタン(DCM)およびアセトニトリル、またはそれらの組合せから選択される。より好ましくは、溶媒はアセトニトリルまたはスルホランから選択され、最も好ましくはアセトニトリルである。好ましくは、このアミノ酸カップリング反応は、ピリジンまたは他の第三級アミン、好ましくはピリジンなどの塩基の存在下で行われる。
【0081】
好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩、好ましくは、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)、および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の塩酸塩、例として、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)の形成が所望される場合、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は塩化チオニルであり、溶媒はアセトニトリルまたはスルホラン、好ましくはアセトニトリルであり、反応はピリジン中で行われる。
【0082】
方法は、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および/または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)を製造するための追加の先行ステップをさらに含んでもよい。
【0083】
この追加のステップは、化合物(I)を形成するために使用されるその後の反応ステップ、すなわち、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および/または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)を反応させて2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)、またはその塩を形成するかどうかに関係なく利用することができる。
【0084】
したがって、方法は、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を脱アシル化して6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および/または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)を形成する、追加の先行ステップを含んでもよい。
【0085】
一般に、位置異性体である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の混合物を、方法で使用する。
【0086】
一般に、位置異性体である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の混合物を、方法で使用する場合、位置異性体1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)が優勢である。
【0087】
位置異性体である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)のうちの1つを、方法で使用する場合、位置異性体1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)が、一般に選択される。
【0088】
脱アシル化は、酸または塩基触媒することができ、好ましくは塩基触媒することができる。脱アシル化に好適な酸触媒としては、限定されないが、HCl、例として6.0N HClが挙げられ、一方、好適な塩基触媒としては、限定されないが、NaOHが挙げられる。NaOHは、2.0M NaOHまたは30%NaOH溶液などの有機形態または水性形態のいずれかで使用することができる。好ましくは、脱アシル化は、NaOH、より好ましくは30%NaOH溶液を使用して塩基触媒される。塩基触媒、特にNaOH、例として30%NaOH溶液を使用した脱アシル化により、所望の1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)生成物をより容易に単離することが有利に可能になる。
【0089】
好ましくは、脱アシル化はメタノールなどの溶媒中で実行する。
【0090】
好ましくは、脱アシル化は、塩基触媒、好ましくはメタノール中のNaOH、より好ましくは30%NaOH水溶液を使用して実行する。
【0091】
好ましくは、脱アシル化は、50~80℃、例として60~80℃、または60~75℃の温度で実行する。脱アシル化は、好ましくは4~8時間、例として5~6時間実行する。
【0092】
第1の態様による方法との関係においては、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)、好ましくは、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)(位置異性体(7)と(7A)の混合物)は、任意の好適な合成経路によって生成することができる。1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)は、本発明の第2の態様で定義されるカップリング反応に従って生成することができる。1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)は、方法1、2、4もしくは5のステップ1~4、または方法3もしくは6のステップ1~3、またはそれらの組合せ、好ましくは方法3もしくは6のステップ1~3に従って生成することができる。
【0093】
本発明の第2の態様によれば、化合物(I)
【0094】
【化12】
またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法であって、以下のステップ:
1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)と、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)またはその塩とを、金属触媒の存在下でカップリングして、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を形成するステップであって、
【0095】
【化13】
好ましくは、ここで、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)が、金属捕捉処理を受け、金属捕捉処理が金属捕捉剤による処理を含む、ステップを含む方法を提供する。
【0096】
本発明の第2の態様による方法では、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)は続いて、本発明の第1の態様に関連して、前述のように、脱アシル化および後続の反応ステップに利用して、化合物(I)もしくはその薬学的に許容される塩の形成を達成することができ、または本発明の第4の態様に関連して、後述のように、脱保護および後続の反応ステップに利用して、化合物(I)もしくはその薬学的に許容される塩の形成を達成することができる。
【0097】
本発明の第2の態様の方法で概説したカップリングステップを、そこで詳述されているように、本発明の第1または第4の態様による方法で利用して、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を形成することができることが理解されるであろう。したがって、本発明の第2の態様で定義されるカップリングステップは、本発明の第1または第4の態様による化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の製造について記載されたステップと組み合わせて、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を達成することができる。
【0098】
したがって、本明細書で記載された本発明の第2の態様のすべての特徴は、好ましいかまたは任意選択であるかにかかわらず、本発明の第1または第4の態様に適用可能であり、その逆も同様である。
【0099】
一般に、位置異性体である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の混合物を形成する。
【0100】
一般に、位置異性体である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の混合物を、方法で使用する場合、位置異性体1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)が優勢である。
【0101】
位置異性体である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)のうちの1つを、方法で使用する場合、位置異性体1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)が、一般に選択される。
【0102】
驚くべきことに、かつ有利には、本発明の第2の態様の方法によって、それぞれ98%対2%で、1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を上回る1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)の有利な位置異性体の形成が容易になることが見出された。
【0103】
カップリング反応では、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)は、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)またはその塩と反応し得る。その塩としては、4-ブロモ-3-メチルピリジン塩酸塩(6A)が挙げられる。好ましくは、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)を、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)の塩と反応させる。好ましくは、4-ブロモ-3-メチルピリジン塩酸塩(6A)を利用する。好ましくは、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)を、4-ブロモ-3-メチルピリジン塩酸塩(6A)
【0104】
【化14】
と反応させる。
【0105】
カップリング反応に好適な金属触媒としては、遷移金属系触媒、例として白金系触媒、パラジウム系触媒、イリジウム系触媒が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、遷移金属系触媒は、塩基と組み合わせて利用される。好適な塩基としては、酢酸カリウムもしくは炭酸カリウムなどのカリウム塩、または炭酸セシウムなどのセシウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、金属触媒はパラジウム系触媒であり、より好ましくは酢酸パラジウム(II)である。パラジウムは、このカップリング反応における触媒として特に効果的である。好ましくは、金属触媒は塩基と組み合わせて利用されるパラジウム系触媒、より好ましくは炭酸カリウムと組み合わせて利用されるパラジウム系触媒、より好ましくは炭酸カリウムと組み合わせて利用される酢酸パラジウム(II)である。
【0106】
カップリング反応は、ピバル酸およびトリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート((C11P.HBF)(リガンド)を含む均質触媒系の存在下で行ってもよい。
【0107】
カップリング反応に好適な溶媒としては、ジメチルアセトアミド(DMA)スルホラン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、炭酸ジメチル、ガンマ-バレロラクトンおよびアセトニトリル(ACN)が挙げられる。好ましくは、溶媒は、スルホランおよびN-Nジメチルホルムアミド(DMF)から選択される。より好ましくは、溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)であるように選択される。
【0108】
そのようなカップリング反応では、生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の金属触媒からの残留金属の制御が必要になる場合がある。生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の残留金属のこのレベルは、好ましくは可能な限り、好ましくは、150ppm未満、または120ppm未満、例として100ppm未満、または80ppm未満、または50ppm未満まで、低減する。したがって、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)から形成される場合、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩には、微量レベルの残留金属しか存在しないことがある。
【0109】
金属触媒使用後、カップリング反応の生成物である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中に存在する金属の残留レベルを制御するために、金属捕捉処理を、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の製造後に利用して、金属含有量を低減することができる。好適な金属捕捉処理としては、チャコール吸収;さまざまなグレードのシリカカラムまたはシリカプラグ濾過での吸収;酸性処理;およびトリチオシアヌル酸、シラメートチオール樹脂、中性アルミナ、フロリジル(florocil)、quadrasil、および10%システイン水溶液などの金属捕捉剤、またはそれらの組合せによる処理;ならびにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、金属捕捉処理は、金属捕捉剤による処理を含む。好ましくは、金属捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0110】
トリチオシアヌル酸は、CAS番号638-16-4を有し、当技術分野ではトリメルカプトトリアジン(TMT)または1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオールとしても知られている。
【0111】
金属捕捉剤が利用される場合、金属捕捉剤は、方法で使用される金属触媒の金属の量に対して過剰に使用することができることが理解されるであろう。したがって、残留金属のレベルは、上で考察したように可能な限り低減されることが好ましい。
【0112】
好ましくは、金属触媒はパラジウム系触媒であり、より好ましくは酢酸パラジウム(II)である。したがって、金属捕捉処理は、好ましくはパラジウムを捕捉することができる。好ましくは、金属捕捉処理は、パラジウム捕捉剤による処理を含む。好ましくは、パラジウム捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0113】
金属捕捉剤としてのトリチオシアヌル酸による処理は、1回または複数回、好ましくは2回実行することができる。好ましくは、金属捕捉処理は、シリカカラムまたはシリカプラグ濾過での吸収およびチャコール吸収に加えて、トリチオシアヌル酸による処理を含む。より好ましくは、金属捕捉処理は、シリカプラグ濾過およびチャコール吸収に加えて、トリチオシアヌル酸による処理を含む。典型的には、シリカプラグ濾過を最初に実行し、10%MeOH/DCMを使用してもよい。典型的には、トリチオシアヌル酸による処理はチャコール吸収と同時に実行する。トリチオシアヌル酸による処理は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、IPAおよび水、またはそれらの組合せから選択される溶媒中で実行することができる。この方法では、パラジウム触媒が好ましくは利用されるため、捕捉される金属は、好ましくはパラジウムである。
【0114】
金属捕捉処理中に、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、IPA、および水、またはそれらの組合せなどの溶媒を使用してもよい。
【0115】
金属捕捉後、生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の金属、好ましくはパラジウムのレベルは、150ppm未満、または120ppm未満、例として100ppm未満、または80ppm未満、または50ppm未満であり得る。生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を続いて、本発明の第1または第4の態様に関連して記載される反応などのさらなる反応に利用して、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を生成する場合、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩中の金属、好ましくはパラジウムのレベルは、10ppm未満、例えば5ppm未満であり得る。そのような量は許容可能な微量と考えられる。
【0116】
化合物(I)または製造方法の他の中間体、例として、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の残留金属のレベルは、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)によって測定することができる。
【0117】
好ましくは、カップリング反応は、アルゴン雰囲気下で行う。
【0118】
好ましくは、カップリング反応に使用される試薬は、ピバル酸、トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート((C11P.HBF)、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))および炭酸カリウム(KCO)となるように選択される。好ましくは、金属捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0119】
第2の態様による方法との関係においては、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)(カップリング反応の開始点)は、任意の好適な合成経路によって生成することができる。好ましくは、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)は、方法1、2、4もしくは5のステップ1~3、または方法3もしくは6のステップ1~2、またはそれらの組合せ、好ましくは方法3もしくは6のステップ1および2に従って生成される。
【0120】
以下に詳述する方法1、2、4および5のステップ4、ならびに方法3および6のステップ3は、本発明の第2の態様の方法で以下に詳述するカップリング反応の好ましい反応条件を開示する。
【0121】
したがって、化合物(I)
【0122】
【化15】
またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法における金属捕捉剤の使用であって、方法が、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)と、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)またはその塩とを、金属触媒の存在下でカップリングして、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を形成するステップであって、
【0123】
【化16】
ここで、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を、金属捕捉剤で処理するステップを含む、使用を提供する。
【0124】
本明細書で記載された本発明の第2の態様のすべての特徴は、好ましいかまたは任意選択であるかにかかわらず、本発明の第3の態様の使用に適用可能であり、その逆も同様である。
【0125】
本発明の第4の態様によれば、化合物(I)
【0126】
【化17】
またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法であって、
カップリング剤またはカップリング剤前駆体の存在下で、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)と2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)とをアミノ酸カップリングするステップ
【0127】
【化18】
を含む方法を提供する。
【0128】
カップリング剤またはカップリング剤前駆体は、塩化チオニル(SOCl)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、Ghosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)、フルオロ-ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、Ti(iOPr)およびB(OCHCFから選択することができる。好ましくは、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は塩化チオニル(SOCl)である。アミノ酸カップリング反応に好適な溶媒としては、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)およびアセトニトリル(ACN)、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。溶媒は、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、アセトニトリル、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。より好ましくは、溶媒は、アセトニトリルおよびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。
【0129】
アミノ酸カップリングに関し、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)またはヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)は、塩化チオニルと組み合わせて使用することができる。
【0130】
好ましくは、塩化チオニル(SOCl)は、DMPUとアセトニトリル(CHCN)、またはHMPUとアセトニトリル(CHCN)のいずれかにおいて、カップリング剤またはカップリング剤前駆体として利用される。
【0131】
本発明の第4の態様による方法は、化合物(12)を形成するための先行ステップをさらに含んでもよい。
【0132】
方法は、1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を脱アシル化して4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)を形成すること
【0133】
【化19】
をさらに含んでもよい。
【0134】
脱アシル化は塩基触媒または酸触媒することができ、好ましくは酸触媒することができる。脱アシル化に好適な酸触媒としては、限定されないが、HCl、例として6.0N HClが挙げられ、一方、好適な塩基触媒としては、限定されないが、NaOH、例として2.0M NaOHが挙げられる。好ましくは、脱アシル化は、HCl、好ましくは6.0N HClを使用し、好ましくはメタノール(MeOH)の存在下で酸触媒する。
【0135】
本発明の第4の態様による方法は、1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を形成するための追加の先行ステップをさらに含んでもよい。
【0136】
方法は、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を脱保護して、1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を形成することをさらに含んでもよい。
【0137】
一般に、位置異性体である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の混合物(位置異性体7と7Aの混合物)を使用する。
【0138】
一般に、位置異性体である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の混合物を、方法で使用する場合、位置異性体1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)が優勢である。
【0139】
位置異性体である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)のうちの1つを、方法で使用する場合、位置異性体1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)が、一般に選択される。
【0140】
脱保護は塩基触媒または酸触媒することができ、好ましくは塩基触媒することができる。
【0141】
好適な脱保護試薬としては、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)、およびNHNH(ヒドラジン)またはその水和物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、脱保護試薬はNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である。
【0142】
脱保護のための溶媒は、任意の好適な溶媒またはそれらの組合せ、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール(EtOH)、ジクロロメタン(DCM)、メタノール(MeOH)、およびアセトニトリル(CHCN)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、メタノール、ジクロロメタンおよびイソプロピルアルコール(IPA)から選択される。より好ましくは、溶媒はイソプロピルアルコール(IPA)であるように選択される。
【0143】
好ましくは、脱保護試薬は、溶媒としてのイソプロピルアルコール(IPA)中のNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である。
【0144】
第4の態様による方法との関係においては、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)は、任意の好適な合成経路によって生成することができる。1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)は、本発明の第2の態様で定義されるカップリング反応に従って生成することができる。1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)は、方法1、2、4もしくは5のステップ1~4、または方法3もしくは6のステップ1~3、またはそれらの組合せ、好ましくは方法3もしくは6のステップ1~3に従って生成することができる。
【0145】
したがって、第4の態様は、本発明の第1の態様で提供されるものに対し、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を製造するための、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)からの代替の形成経路を提示することが理解されるであろう。上記のように、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の製造は、代替合成が、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の形成をもたらす1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の製造後のステップのみが異なるように、第1および第4の態様両方について同じ方法で製造することができる。
【0146】
本発明のさらなる態様によれば、化合物(I)
【0147】
【化20】
またはその薬学的に許容される塩、の製造のための方法であって、1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を脱アシル化して4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)を形成するステップ
【0148】
【化21】
を含む方法を提供する。
【0149】
脱アシル化は塩基触媒または酸触媒することができ、好ましくは酸触媒することができる。脱アシル化に好適な酸触媒としては、限定されないが、HCl、例として6.0N HClが挙げられ、一方、好適な塩基触媒としては、限定されないが、NaOH、例として2.0M NaOHが挙げられる。好ましくは、脱アシル化は、HCl、好ましくは6.0N HClを使用し、好ましくはメタノール(MeOH)の存在下で酸触媒する。
【0150】
化合物(I)を合成するための好適な方法には、以下の方法1、2および3が含まれるが、これらに限定されない。方法1、2および3は、化合物(I)を合成するための好ましい方法を表し、前記方法は、以下に詳述する好ましい連結ステップを含む。しかしながら、本発明との関係においては、これらの好ましいステップは分離可能であり、ステップのうちの1つまたは複数を、当業者によって特定される任意の他の好適なステップで置き換えることができることが理解されるであろう。方法1、2および3のうち、化合物(I)は方法3により形成することが好ましい。
【0151】
方法1
化合物(I)は、以下の方法に従って合成することができる:
【0152】
ステップ1
【0153】
【化22】
1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン(1)の臭素化による2-ブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)エタン-1-オン臭化水素酸塩(2)および2,2-ジブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン)-6-イル)エタン-1-オン(2A)(副生成物)の形成。
【0154】
好ましくは、ステップ1の臭素化に使用される試薬は、酢酸(AcOH)中の臭化水素(HBr)、好ましくは33%溶液、および氷酢酸中のBrであるように選択される。
【0155】
ステップ2
【0156】
【化23】
アシル化剤による、2-ブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)エタン-1-オン臭化水素酸塩(2)および2,2-ジブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)エタン-1-オン(2A)のアシル化による1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-ブロモエタン-1-オン(3)および1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(3A)の形成。
【0157】
ステップ2に好適なアシル化剤としては、塩化アセチルなどのハロゲン化アシル;およびカルボン酸の無水物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、アシル化剤は塩化アセチル(CHCOCl)である。
【0158】
好ましくは、ステップ2のアシル化に使用される試薬は、THF(テトラヒドロフラン)中のアシル化剤としての塩化アセチル(CHCOCl)である。
【0159】
ステップ3
【0160】
【化24】
ピリミジン-2-アミン(4)による1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-ブロモエタン-1-オン(3)および1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(3A)の環化による1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)の形成。
【0161】
好ましくは、ステップ3の環化に使用される溶媒はエタノール(EtOH)である。
【0162】
好ましくは、環化は、60~85℃、例えば75~85℃の温度で、12~36時間の間、例えば18~30時間の間で行う。
【0163】
ステップ4
【0164】
【化25】
1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)と、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)とを、金属触媒の存在下でカップリングして、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)(位置異性体7と7Aの混合物)を形成する。
【0165】
ステップ4に好適な金属触媒としては、遷移金属系触媒、例として白金系触媒、パラジウム系触媒、およびイリジウム系触媒が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、遷移金属系触媒は、塩基と組み合わせて利用される。好適な塩基としては、酢酸カリウムもしくは炭酸カリウムなどのカリウム塩、または炭酸セシウムなどのセシウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、金属触媒はパラジウム系触媒であり、より好ましくは酢酸パラジウム(II)である。好ましくは、金属触媒は塩基と組み合わせて利用されるパラジウム系触媒、より好ましくは炭酸カリウムと組み合わせて利用されるパラジウム系触媒、より好ましくは炭酸カリウムと組み合わせて利用される酢酸パラジウム(II)である。
【0166】
ステップ4のカップリング反応は、ピバル酸およびトリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート((C11P.HBF)(リガンド)を含む均質触媒系の存在下で行ってもよい。
【0167】
カップリング反応に好適な溶媒としては、ジメチルアセトアミド(DMA)スルホラン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、炭酸ジメチル、ガンマ-バレロラクトンおよびアセトニトリル(ACN)が挙げられる。好ましくは、溶媒はジメチルアセトアミド(DMA)であるように選択される。
【0168】
好ましくは、ステップ4のカップリング反応に使用される試薬は、ピバル酸、トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート((C11P.HBF)、およびジメチルアセトアミド(DMA)の存在下、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))および炭酸カリウム(KCO)となるように選択される。
【0169】
そのようなカップリング反応では、生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン)(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の金属触媒からの残留金属の制御が必要になる場合がある。生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の残留金属のこのレベルを、好ましくは可能な限り、好ましくは、150ppm未満、または120ppm未満、例として100ppm未満、または80ppm未満、または50ppm未満まで、低減する。したがって、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン)(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)から形成される場合、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩には、微量レベルの残留金属しか存在しないことがある。
【0170】
金属触媒使用後、カップリング反応の生成物である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中に存在する金属の残留レベルを制御するために、金属捕捉処理を、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の製造後に利用して、金属含有量を低減することができる。好適な金属捕捉処理としては、チャコール吸収;さまざまなグレードのシリカカラムまたはシリカプラグ濾過での吸収;酸性処理;およびトリチオシアヌル酸、シラメートチオール樹脂、中性アルミナ、フロリジル、quadrasil、および10%システイン水溶液などの金属捕捉剤、またはそれらの組合せによる処理;ならびにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、金属捕捉処理は、金属捕捉剤による処理を含む。好ましくは、金属捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0171】
金属捕捉剤が利用される場合、金属捕捉剤は、方法で使用される金属触媒の金属の量に対して過剰に使用することができることが理解されるであろう。次いで、残留金属のレベルは、上で考察したように可能な限り低減されることが好ましい。
【0172】
好ましくは、金属触媒はパラジウム系触媒であり、より好ましくは酢酸パラジウム(II)である。したがって、金属捕捉処理は、好ましくはパラジウムを捕捉することができる。好ましくは、金属捕捉処理は、パラジウム捕捉剤による処理を含む。好ましくは、パラジウム捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0173】
金属捕捉剤としてのトリチオシアヌル酸による処理は、1回または複数回、好ましくは2回実行することができる。好ましくは、金属捕捉処理は、シリカカラムまたはシリカプラグ濾過での吸収およびチャコール吸収に加えて、トリチオシアヌル酸による処理を含む。より好ましくは、金属捕捉処理は、シリカプラグ濾過およびチャコール吸収に加えて、トリチオシアヌル酸による処理を含む。典型的には、シリカプラグ濾過を最初に実行し、10%MeOH/DCMを使用してもよい。典型的には、トリチオシアヌル酸による処理はチャコール吸収と同時に実行する。トリチオシアヌル酸による処理は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、IPAおよび水、またはそれらの組合せから選択される溶媒中で実行することができる。この方法では、パラジウム触媒が好ましくは利用されるため、捕捉される金属は、好ましくはパラジウムである。
【0174】
金属捕捉処理中に、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、IPA、および水、またはそれらの組合せなどの溶媒を使用してもよい。
【0175】
金属捕捉後、生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の金属、好ましくはパラジウムのレベルは、150ppm未満、または120ppm未満、例として100ppm未満、または80ppm未満、または50ppm未満であり得る。生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を続いて、本発明の第1または第4の態様に関連して記載される反応などのさらなる反応に利用する場合、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩中の金属、好ましくはパラジウムのレベルは、10ppm未満、例えば5ppm未満であり得る。そのような量は許容可能な微量と考えられる。
【0176】
化合物(I)または製造方法の他の中間体、例として、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の残留金属のレベルは、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)によって測定することができる。
【0177】
好ましくは、カップリング反応は、アルゴン雰囲気下で行う。
【0178】
好ましくは、ステップ4のカップリング反応に使用される試薬は、ピバル酸、トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート((C11P.HBF)、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))および炭酸カリウム(KCO)となるように選択される。好ましくは、金属捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0179】
ステップ5
【0180】
【化26】
1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)(位置異性体7と7Aの混合物)の脱アシル化による6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)(位置異性体8と8Aの混合物)の形成。
【0181】
ステップ5の脱アシル化は、酸または塩基触媒することができ、好ましくは塩基触媒することができる。ステップ5の脱アシル化に好適な酸触媒としては、限定されないが、HCl、例として6.0N HClが挙げられ、一方、好適な塩基触媒としては、限定されないが、NaOH、例として2.0M NaOHが挙げられる。好ましくは、脱アシル化は、NaOH、より好ましくは2.0M NaOHを使用して塩基触媒される。
【0182】
ステップ6
【0183】
【化27】
カップリング剤またはカップリング剤前駆体の存在下での、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)(位置異性体8と8Aの混合物)と、2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)とのアミノ酸カップリングによる、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)(位置異性体10および10Aの混合物)の形成。
【0184】
ステップ6に好適なカップリング剤またはカップリング剤前駆体としては、これらに限定されないが、塩化チオニル(SOCl)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、Ghosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)、フルオロ-ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、Ti(iOPr)およびB(OCHCFが、挙げられる。好ましくは、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は塩化チオニル(SOCl)である。
【0185】
ステップ6に好適な溶媒としては、これらに限定されないが、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)およびアセトニトリル(ACN)、またはそれらの組合せが挙げられる。溶媒は、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)またはヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、アセトニトリル、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。より好ましくは、溶媒は、アセトニトリルおよびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。
【0186】
ステップ6のアミノ酸カップリングには、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)またはヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)を、塩化チオニルと組み合わせて使用することができる。
【0187】
好ましくは、ステップ6では、塩化チオニル(SOCl)は、DMPUとアセトニトリル(CHCN)、またはHMPUとアセトニトリルのいずれかにおいて、カップリング剤またはカップリング剤前駆体として利用される。
【0188】
ステップ7
【0189】
【化28】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)(位置異性体10および10Aの混合物)の脱保護による化合物(I)の形成。
【0190】
ステップ7の脱保護は、塩基触媒または酸触媒することができ、好ましくは塩基触媒することができる。
【0191】
好適な脱保護試薬としては、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)、およびNHNH(ヒドラジン)またはその水和物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、脱保護試薬はNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である。
【0192】
ステップ7の脱保護のための溶媒は、任意の好適な溶媒、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール(EtOH)、ジクロロメタン(DCM)、メタノール(MeOH)、およびアセトニトリル(CHCN)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)であるように選択される。
【0193】
好ましくは、ステップ7の脱保護試薬は、イソプロピルアルコール(IPA)中のNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)であるように選択される。
【0194】
NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)を利用する場合、脱保護により、化合物(I)の塩酸塩が得られる場合があることが理解されるであろう。化合物(I)は、塩基性条件下で化合物(I)の塩酸塩を処理することにより製造することができる。そのような処理には、塩基、例えば重炭酸ナトリウムの使用を含めることができる。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、10%メタノール/DCMを使用して得ることができる。
【0195】
方法2
化合物(I)は、以下の方法に従って合成することができる:
【0196】
ステップ1
【0197】
【化29】
1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン(1)の臭素化による2-ブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)エタン-1-オン臭化水素酸塩(2)および2,2-ジブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン)-6-イル)エタン-1-オン(2A)副生成物の形成。
【0198】
好ましくは、ステップ1の臭素化に使用される試薬は、酢酸(AcOH)中の臭化水素(HBr)、好ましくは33%溶液、および氷酢酸中のBrであるように選択される。
【0199】
ステップ2
【0200】
【化30】
アシル化剤による、2-ブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)エタン-1-オン臭化水素酸塩(2)および2,2-ジブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)エタン-1-オン(2A)副生成物のアシル化による1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-ブロモエタン-1-オン(3)および1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(3A)の形成。
【0201】
ステップ2に好適なアシル化剤としては、塩化アセチルなどのハロゲン化アシル;およびカルボン酸の無水物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、アシル化剤は塩化アセチル(CHCOCl)である。
【0202】
好ましくは、ステップ2のアシル化に使用される試薬は、THF(テトラヒドロフラン)中のアシル化剤としての塩化アセチル(CHCOCl)である。
【0203】
ステップ3
【0204】
【化31】
ピリミジン-2-アミン(4)による1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-ブロモエタン-1-オン(3)および1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(3A)の環化による1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)の形成。
【0205】
好ましくは、ステップ3の環化に使用される溶媒はエタノール(EtOH)である。
【0206】
好ましくは、環化は、60~85℃、例えば75~85℃の温度で、12~36時間の間、例えば18~30時間の間で行う。
【0207】
ステップ4
【0208】
【化32】
1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)と、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)との、金属触媒の存在下でのカップリングによる、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)(位置異性体7と7Aの混合物)の形成。
【0209】
ステップ4に好適な金属触媒としては、遷移金属系触媒、例として白金系触媒、パラジウム系触媒、およびイリジウム系触媒が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、遷移金属系触媒は、塩基と組み合わせて利用される。好適な塩基としては、酢酸カリウムもしくは炭酸カリウムなどのカリウム塩、または炭酸セシウムなどのセシウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、金属触媒はパラジウム系触媒であり、より好ましくは酢酸パラジウム(II)である。好ましくは、金属触媒は、塩基と組み合わせて利用されるパラジウム系触媒、より好ましくは炭酸カリウムと組み合わせて利用されるパラジウム系触媒、より好ましくは炭酸カリウムと組み合わせて利用される酢酸パラジウム(II)である。
【0210】
ステップ4のカップリング反応は、ピバル酸およびトリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート((C11P.HBF)(リガンド)を含む均質触媒系の存在下で行ってもよい。
【0211】
カップリング反応に好適な溶媒としては、ジメチルアセトアミド(DMA)スルホラン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、炭酸ジメチル、ガンマ-バレロラクトンおよびアセトニトリル(ACN)が挙げられる。好ましくは、溶媒はジメチルアセトアミド(DMA)であるように選択される。
【0212】
好ましくは、ステップ4のカップリング反応に使用される試薬は、ピバル酸、トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート((C11P.HBF)、およびジメチルアセトアミド(DMA)の存在下、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))および炭酸カリウム(KCO)となるように選択される。
【0213】
そのようなカップリング反応では、生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン)(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の金属触媒からの残留金属の制御が必要になる場合がある。生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の残留金属のこのレベルを、好ましくは可能な限り、好ましくは、150ppm未満、または120ppm未満、例として100ppm未満、または80ppm未満、または50ppm未満まで、低減する。したがって、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン)(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)から形成される場合、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩には、微量レベルの残留金属しか存在しないことがある。
【0214】
金属触媒使用後、カップリング反応の生成物である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中に存在する金属の残留レベルを制御するために、金属捕捉処理を、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の製造後に利用して、金属含有量を低減することができる。好適な金属捕捉処理としては、チャコール吸収;さまざまなグレードのシリカカラムまたはシリカプラグ濾過での吸収;酸性処理;およびトリチオシアヌル酸、シラメートチオール樹脂、中性アルミナ、フロリジル、quadrasil、および10%システイン水溶液などの金属捕捉剤、またはそれらの組合せによる処理;ならびにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、金属捕捉処理は、金属捕捉剤による処理を含む。好ましくは、金属捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0215】
金属捕捉剤が利用される場合、金属捕捉剤は、方法で使用される金属触媒の金属の量に対して過剰に使用することができることが理解されるであろう。したがって、残留金属のレベルは、上で考察したように可能な限り低減されることが好ましい。
【0216】
好ましくは、金属触媒はパラジウム系触媒であり、より好ましくは酢酸パラジウム(II)である。したがって、金属捕捉処理は、好ましくはパラジウムを捕捉することができる。好ましくは、金属捕捉処理は、パラジウム捕捉剤による処理を含む。好ましくは、パラジウム捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0217】
金属捕捉剤としてのトリチオシアヌル酸による処理は、1回または複数回、好ましくは2回実行することができる。好ましくは、金属捕捉処理は、シリカカラムまたはシリカプラグ濾過での吸収およびチャコール吸収に加えて、トリチオシアヌル酸による処理を含む。より好ましくは、金属捕捉処理は、シリカプラグ濾過およびチャコール吸収に加えて、トリチオシアヌル酸による処理を含む。典型的には、シリカプラグ濾過を最初に実行し、10%MeOH/DCMを使用してもよい。典型的には、トリチオシアヌル酸による処理はチャコール吸収と同時に実行する。トリチオシアヌル酸による処理は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、IPAおよび水、またはそれらの組合せから選択される溶媒中で実行することができる。この方法では、パラジウム触媒が好ましくは利用されるため、捕捉される金属は、好ましくはパラジウムである。
【0218】
金属捕捉処理中に、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、IPA、および水、またはそれらの組合せなどの溶媒を使用してもよい。
【0219】
金属捕捉後、生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の金属、好ましくはパラジウムのレベルは、150ppm未満、または120ppm未満、例として100ppm未満、または80ppm未満、または50ppm未満であり得る。生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を、本発明の第1または第4の態様に関連して記載される反応などのさらなる反応に続いて利用する場合、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩中の金属、好ましくはパラジウムのレベルは、10ppm未満、例えば5ppm未満であり得る。そのような量は許容可能な微量と考えられる。
【0220】
化合物(I)または製造方法の他の中間体、例として、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の残留金属のレベルは、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)によって測定することができる。
【0221】
好ましくは、カップリング反応は、アルゴン雰囲気下で行う。
【0222】
好ましくは、ステップ4のカップリング反応に使用される試薬は、ピバル酸、トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート((C11P.HBF)、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))および炭酸カリウム(KCO)となるように選択される。好ましくは、金属捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0223】
ステップ5
【0224】
【化33】
1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)(位置異性体7と7Aの混合物)の脱保護による1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)の形成。
【0225】
ステップ5の脱保護は、塩基触媒または酸触媒することができ、好ましくは塩基触媒することができる。
【0226】
好適な脱保護試薬としては、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)、およびNHNH(ヒドラジン)またはその水和物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、脱保護試薬はNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である。
【0227】
ステップ5の脱保護のための溶媒は、任意の好適な溶媒、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール(EtOH)、ジクロロメタン(DCM)、メタノール(MeOH)、およびアセトニトリル(CHCN)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)である。
【0228】
好ましくは、ステップ5の脱保護用の脱保護試薬は、イソプロピルアルコール(IPA)中のNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)であるように選択される。
【0229】
ステップ6
【0230】
【化34】
1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)の脱アシル化による4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)の形成。
【0231】
ステップ6の脱アシル化は、塩基触媒または酸触媒することができ、好ましくは酸触媒することができる。方法2のステップ6の脱アシル化に好適な酸触媒としては、限定されないが、HCl、例として6.0N HClが挙げられ、一方、好適な塩基触媒としては、限定されないが、NaOH、例として2.0M NaOHが挙げられる。好ましくは、脱アシル化は、HCl、好ましくは6.0N HClを使用し、好ましくはメタノール(MeOH)の存在下で酸触媒する。
【0232】
ステップ7
【0233】
【化35】
カップリング剤またはカップリング剤前駆体の存在下での、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)と2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)とのアミノ酸カップリングによる化合物(1)の形成。
【0234】
ステップ7に好適なカップリング剤またはカップリング剤前駆体としては、塩化チオニル(SOCl)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、Ghosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)、フルオロ-ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、Ti(iOPr)およびB(OCHCFが、挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は塩化チオニル(SOCl)である。
【0235】
ステップ7に好適な溶媒としては、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)およびアセトニトリル(ACN)、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。溶媒は、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、アセトニトリル、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。より好ましくは、溶媒は、アセトニトリルおよびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。
【0236】
ステップ7のアミノ酸カップリングには、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)またはヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)を、塩化チオニルと組み合わせて使用することができる。
【0237】
好ましくは、ステップ7のアミノ酸カップリング用の試薬は、DMPUとアセトニトリル(CHCN)、またはHMPUとアセトニトリルのいずれかにおいて、カップリング剤またはカップリング剤前駆体として塩化チオニル(SOCl)となるように選択される。
【0238】
方法1および2の場合、驚くべきことに、かつ有利には、ステップ4によって、それぞれ98%対2%で、1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を上回る1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)の有利な位置異性体の形成が容易になることが見出された。
【0239】
したがって、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)から、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)(位置異性体7と7Aの混合物)を合成する方法、すなわち方法1および2のステップ4であって、
【0240】
【化36】
1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)と、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)とを、金属触媒の存在下でカップリングして、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)(位置異性体7と7Aの混合物)を形成することを含む方法も本発明に包含される。
【0241】
好ましくは、金属触媒はパラジウム系触媒である。より好ましくは、金属触媒は、塩基と組み合わせて利用され、前記塩基は、カリウム塩またはセシウム塩から選択され、好ましくはカリウム塩である。より好ましくは、金属触媒はパラジウム系触媒であり、炭酸カリウムまたは酢酸カリウムと組み合わせて利用される。より好ましくは、金属触媒はパラジウム系触媒であり、炭酸カリウムと組み合わせて利用される。より好ましくは、金属触媒は酢酸パラジウム(II)であり、炭酸カリウムと組み合わせて利用される。
【0242】
好ましくは、方法1および2のステップ4の置換に使用される試薬は、ピバル酸、トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート((C11P.HBF)、およびジメチルアセトアミド(DMA)の存在下、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))および炭酸カリウム(KCO)となるように選択される。
【0243】
そのようなカップリング反応では、生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン)(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の金属触媒からの残留金属の制御が必要になる場合がある。これは、トリチオシアヌル酸のような金属捕捉剤を使用するなどの、方法1および2のステップ4で上で考察した方法によるものであり得る。
【0244】
加えて、方法1および2については、驚くべきことに、かつ有利には、方法1のステップ7および方法2のステップ5の脱保護にNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)を使用すると、これにより収率が有利に向上することが見出された。
【0245】
したがって、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)から、化合物(I)を合成する方法、すなわち方法1のステップ7であって、
【0246】
【化37】
2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)(位置異性体10および10Aの混合物)の脱保護により、化合物(1)を形成するステップを含む方法も、本発明に包含される。
【0247】
好ましくは、脱保護試薬はNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である。
【0248】
方法1のステップ7では、任意の好適な溶媒を利用することができ、例えば、溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール(EtOH)、メタノール(MeOH)、ジクロロメタン(DCM)、およびアセトニトリル(CHCN)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)である。
【0249】
好ましくは、方法1のステップ7の脱保護用の脱保護試薬は、イソプロピルアルコール(IPA)中のNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である。
【0250】
したがって、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)から1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を合成する方法、すなわち方法2のステップ5であって、
【0251】
【化38】
1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)(位置異性体7と7Aの混合物)の脱保護により、1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を形成するステップを含む方法も、本発明に包含される。
【0252】
好ましくは、脱保護試薬はNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である。
【0253】
方法2のステップ5では、任意の好適な溶媒を利用することができ、例えば、溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール(EtOH)、メタノール(MeOH)、およびアセトニトリル(CHCN)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)である。
【0254】
好ましくは、方法2のステップ5の脱保護用の脱保護試薬は、イソプロピルアルコール(IPA)中のNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である。
【0255】
4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)から、化合物(I)を合成する方法、すなわち方法2のステップ7であって、
【0256】
【化39】
カップリング剤またはカップリング剤前駆体の存在下での、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)と2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)とのアミノ酸カップリングにより、化合物(1)を形成するステップを含む方法も、本発明に包含される。
【0257】
方法2のステップ7に好適なカップリング剤またはカップリング剤前駆体としては、塩化チオニル(SOCl)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、Ghosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)、フルオロ-ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、Ti(iOPr)およびB(OCHCFが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は塩化チオニル(SOCl)である。
【0258】
方法2のステップ7に好適な溶媒としては、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)およびアセトニトリル(ACN)、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。溶媒は、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、アセトニトリル、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。より好ましくは、溶媒は、アセトニトリルおよびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。
【0259】
方法2のステップ7のアミノ酸カップリングには、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)またはヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)を、塩化チオニルと組み合わせて使用することができる。
【0260】
好ましくは、方法2のステップ7のアミノ酸カップリング用の試薬は、DMPUとアセトニトリル(CHCN)、またはHMPUとアセトニトリルのいずれかにおいて、カップリング剤またはカップリング剤前駆体として塩化チオニル(SOCl)となるように選択される。
【0261】
したがって、1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)から、化合物(I)を合成する方法、すなわち方法2のステップ6であって、
【0262】
【化40】
1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を脱アシル化して、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)を形成すること、およびカップリング剤またはカップリング剤前駆体の存在下で、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)と2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)とをアミノ酸カップリングして化合物(1)を形成することを含む方法も、本発明に包含される。
【0263】
方法2のステップ6の脱アシル化は、塩基触媒または酸触媒することができ、好ましくは酸触媒することができる。方法2のステップ6の脱アシル化に好適な酸触媒としては、限定されないが、HCl、例として6.0N HClが挙げられ、一方、好適な塩基触媒としては、限定されないが、NaOH、例として2.0M NaOHが挙げられる。好ましくは、脱アシル化は、HCl、好ましくは6.0N HClを使用し、好ましくはメタノール(MeOH)の存在下で酸触媒する。
【0264】
方法2のステップ7に好適なカップリング剤またはカップリング剤前駆体としては、塩化チオニル(SOCl)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、Ghosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)、フルオロ-ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、Ti(iOPr)およびB(OCHCFが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は塩化チオニル(SOCl)である。
【0265】
方法2のステップ7に好適な溶媒としては、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)およびアセトニトリル(ACN)、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。溶媒は、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、アセトニトリル、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。より好ましくは、溶媒は、アセトニトリルおよびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、またはそれらの組合せから選択される。
【0266】
方法2のステップ7のアミノ酸カップリングには、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)またはヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)を、塩化チオニルと組み合わせて使用することができる。
【0267】
好ましくは、方法2のステップ7のアミノ酸カップリング用の試薬は、DMPUとアセトニトリル(CHCN)、またはHMPUとアセトニトリルのいずれかにおいて、カップリング剤またはカップリング剤前駆体として塩化チオニル(SOCl)となるように選択される。
【0268】
方法3
化合物(I)は、以下の方法に従って合成することができる:
【0269】
ステップ1
【0270】
【化41】
1-(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(1A)のアシル化による1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(3A)の形成。
【0271】
ステップ1のアシル化反応は、フリーデル・クラフツアシル化であってもよい。ステップ1に好適なアシル化剤としては、アシルハロゲン化物、例として、塩化アセチルのような塩化アシル、またはクロロアセチルクロリドのような塩素化アシルクロリド;およびカルボン酸の無水物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、アシル化剤は、ハロゲン化アシル、例として塩化アシル、より好ましくはクロロアセチルクロリドである。
【0272】
追加の試薬を、ステップ1のアシル化に利用することができる。追加の試薬は、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三塩化ホウ素、塩化チタンから選択することができる。好ましくは、追加の試薬として塩化アルミニウムが選択される。
【0273】
ステップ1のアシル化は、好適な溶媒中で行う。ステップ1のアシル化のための溶媒は、ジクロロメタン(DCM)であってもよい。
【0274】
好ましくは、ステップ1のアシル化に使用される試薬は、塩化アルミニウム(AlCl)を用いたジクロロメタン(DCM)中のアシル化剤としてのクロロアセチルクロリドである。
【0275】
ステップ2
【0276】
【化42】
ピリミジン-2-アミン(4)による1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(3A)の環化による1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)の形成。
【0277】
ステップ2の環化に使用するのに好適な溶媒としては、エタノール、メタノール、2-イソプロピルアルコール(IPA)、アセトンおよびジクロロメタンが挙げられる。好ましくは、溶媒は、エタノールであるように選択される。
【0278】
ステップ3
【0279】
【化43】
1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)と、4-ブロモ-3-メチルピリジンHCl(6A)の、金属触媒の存在下でのカップリングによる、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の形成。
【0280】
ステップ3のカップリング反応に好適な金属触媒としては、遷移金属系触媒、例として白金系触媒、パラジウム系触媒、およびイリジウム系触媒が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、遷移金属系触媒は、塩基と組み合わせて利用される。好適な塩基としては、酢酸カリウムもしくは炭酸カリウムなどのカリウム塩、または炭酸セシウムなどのセシウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、金属触媒はパラジウム系触媒であり、より好ましくは酢酸パラジウム(II)である。パラジウムは、このカップリング反応における触媒として特に効果的である。好ましくは、金属触媒は塩基と組み合わせて利用されるパラジウム系触媒、より好ましくは炭酸カリウムと組み合わせて利用されるパラジウム系触媒、より好ましくは炭酸カリウムと組み合わせて利用される酢酸パラジウム(II)である。
【0281】
ステップ3のカップリング反応は、ピバル酸およびトリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート((C11P.HBF)(リガンド)を含む均質触媒系の存在下で行ってもよい。
【0282】
ステップ3のカップリング反応に好適な溶媒としては、ジメチルアセトアミド(DMA)スルホラン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、炭酸ジメチル、ガンマ-バレロラクトンおよびアセトニトリル(ACN)が挙げられる。好ましくは、溶媒は、スルホランおよびN-Nジメチルホルムアミド(DMF)から選択される。より好ましくは、溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0283】
そのようなカップリング反応では、生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン)(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の金属触媒からの残留金属の制御が必要になる場合がある。生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中のこのレベルの残留金属を、好ましくは可能な限り、好ましくは、150ppm未満、または120ppm未満、例として100ppm未満、または80ppm未満、または50ppm未満まで、低減する。したがって、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン)(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)から形成される場合、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩には、微量レベルの残留金属しか存在しないことがある。
【0284】
金属触媒使用後、カップリング反応の生成物である1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中に存在する金属の残留レベルを制御するために、金属捕捉処理を、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の製造後に利用して、金属含有量を低減することができる。好適な金属捕捉処理としては、チャコール吸収;さまざまなグレードのシリカカラムまたはシリカプラグ濾過での吸収;酸性処理;およびトリチオシアヌル酸、シラメートチオール樹脂、中性アルミナ、フロリジル、quadrasil、および10%システイン水溶液などの金属捕捉剤、またはそれらの組合せによる処理;ならびにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、金属捕捉処理は、金属捕捉剤による処理を含む。好ましくは、金属捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0285】
金属捕捉剤が利用される場合、金属捕捉剤は、方法で使用される金属触媒の金属の量に対して過剰に使用することができることが理解されるであろう。したがって、残留金属のレベルは、上で考察したように可能な限り低減されることが好ましい。
【0286】
好ましくは、金属触媒はパラジウム系触媒であり、より好ましくは酢酸パラジウム(II)である。したがって、金属捕捉処理は、好ましくはパラジウムを捕捉することができる。好ましくは、金属捕捉処理は、パラジウム捕捉剤による処理を含む。好ましくは、パラジウム捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0287】
金属捕捉剤としてのトリチオシアヌル酸による処理は、1回または複数回、好ましくは2回実行することができる。好ましくは、金属捕捉処理は、シリカカラムまたはシリカプラグ濾過での吸収およびチャコール吸収に加えて、トリチオシアヌル酸による処理を含む。より好ましくは、金属捕捉処理は、シリカプラグ濾過およびチャコール吸収に加えて、トリチオシアヌル酸による処理を含む。典型的には、シリカプラグ濾過を最初に実行し、10%MeOH/DCMを使用してもよい。典型的には、トリチオシアヌル酸による処理はチャコール吸収と同時に実行する。トリチオシアヌル酸による処理は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、IPAおよび水、またはそれらの組合せから選択される溶媒中で実行することができる。この方法では、パラジウム触媒が好ましくは利用されるため、捕捉される金属は、好ましくはパラジウムである。
【0288】
金属捕捉処理中に、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、IPA、および水、またはそれらの組合せなどの溶媒を使用してもよい。
【0289】
金属捕捉後、生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の金属、好ましくはパラジウムのレベルは、150ppm未満、または120ppm未満、例として100ppm未満、または80ppm未満、または50ppm未満であり得る。生成物1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を続いて、本発明の第1または第4の態様に関連して記載される反応などのさらなる反応に利用する場合、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩中の金属、好ましくはパラジウムのレベルは、10ppm未満、例えば5ppm未満であり得る。そのような量は許容可能な微量と考えられる。
【0290】
化合物(I)または製造方法の他の中間体、例として、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)中の残留金属のレベルは、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)によって測定することができる。
【0291】
好ましくは、カップリング反応は、アルゴン雰囲気下で行う。
【0292】
好ましくは、ステップ3のカップリング反応に使用される試薬は、ピバル酸、トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート((C11P.HBF)、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))および炭酸カリウム(KCO)となるように選択される。好ましくは、金属捕捉剤はトリチオシアヌル酸である。
【0293】
ステップ4
【0294】
【化44】
1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および/または1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の脱アシル化による6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および/または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)の形成。
【0295】
ステップ4の脱アシル化は、酸または塩基触媒することができ、好ましくは塩基触媒により行うことができる。脱アシル化に好適な酸触媒としては、限定されないが、HCl、例として6.0N HClが挙げられ、一方、好適な塩基触媒としては、限定されないが、NaOHが挙げられる。NaOHは、2.0M NaOHまたは30%NaOH溶液などの有機形態または水性形態のいずれかで使用することができる。好ましくは、脱アシル化は、NaOH、より好ましくは30%NaOH溶液を使用して塩基触媒される。
【0296】
好ましくは、ステップ4の脱アシル化はメタノールなどの溶媒中で実行する。
【0297】
好ましくは、ステップ4の脱アシル化は、塩基触媒、好ましくはメタノール中のNaOH、より好ましくは30%NaOH水溶液を使用して実行する。
【0298】
好ましくは、ステップ4の脱アシル化は、50~80℃、例として60~80℃、または60~75℃の温度で実行する。脱アシル化は、好ましくは4~8時間、例として5~6時間実行する。
【0299】
ステップ5
【0300】
【化45】
カップリング剤またはカップリング剤前駆体の存在下での、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および/または6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)と、2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)とのアミノ酸カップリングによる、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)の形成。
【0301】
ステップ5のための好適なカップリング剤またはカップリング剤前駆体としては、塩化チオニル(SOCl)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、Ghosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)、ヒドロキシベンゾトリアゾール、フルオロ-ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、Ti(iOPr)およびB(OCHCFが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は、ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-エチル-2-)3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)、プロパンホスホン酸無水物(T3P)、および塩化チオニル(SOCl)から選択される。より好ましくは、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は塩化チオニルである。
【0302】
ステップ5に好適な溶媒としては、N,N’ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、アセトニトリル(ACN)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ガンマ-バレロラクトン(GVL)、N-メチルモルホリン(NMM)、スルホラン、ジクロロメタン(DCM)、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ガンマ-バレロラクトン(GVL)、N-メチルモルホリン(NMM)、スルホラン、ジクロロメタン(DCM)およびアセトニトリル、またはそれらの組合せから選択される。より好ましくは、溶媒はアセトニトリルまたはスルホランから選択され、最も好ましくはアセトニトリルである。
【0303】
好ましくは、ステップ5の反応は、ピリジンまたは他の第三級アミン、好ましくはピリジンなどの塩基の存在下で行われる。
【0304】
好ましくは、ステップ5において、カップリング剤またはカップリング剤前駆体は塩化チオニルであり、溶媒はアセトニトリルまたはスルホラン、好ましくはアセトニトリルであり、反応はピリジン中で行われる。
【0305】
ステップ6
【0306】
【化46】
1-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10C)および/または2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オンの二塩酸塩(10D)の脱保護による、化合物(I)の形成。
【0307】
ステップ6の脱保護は、塩基触媒または酸触媒することができ、好ましくは塩基触媒することができる。
【0308】
脱保護用の好適な脱保護試薬としては、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)、およびNHNH(ヒドラジン)またはその水和物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、脱保護試薬はNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である。脱保護試薬は塩基を伴っていてもよい。好適な塩基としては、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、およびトリエチルアミン(TEA)が挙げられる。好ましくは、塩基は、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)およびトリエチルアミン(TEA)から選択される。より好ましくは、塩基はトリエチルアミン(TEA)であるように選択される。
【0309】
ステップ6の脱保護のための溶媒は、任意の好適な溶媒、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール(EtOH)、ジクロロメタン(DCM)、メタノール(MeOH)、およびアセトニトリル(CHCN)から選択することができる。好ましくは、溶媒は、メタノール、ジクロロメタンおよびイソプロピルアルコール(IPA)から選択される。より好ましくは、溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)である。
【0310】
ステップ6の脱保護は、30~80℃、例として40~70℃、好ましくは40~60℃の温度で実行することができる。
【0311】
好ましくは、ステップ6の脱保護用の試薬は、イソプロピルアルコール(IPA)中の、塩基としてトリエチルアミン(TEA)を含む、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)である。
【0312】
NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)を利用する場合、脱保護により、化合物(I)の二塩酸塩が得られる場合があることが理解されるであろう。化合物(I)は、塩基性条件下で化合物(I)の二塩酸塩を処理することにより製造することができる。化合物(I)は、化合物(I)の二塩酸塩を、イオン交換樹脂、例としてAmberlite IRN78およびMP-カーボネート;炭酸カリウムなどの塩基の添加;メタノールまたはイソプロピルアルコール(IPA)などの溶媒中のアンモニアの添加;または水酸化アンモニウム(NHOH)の添加により処理することにより製造することができる。好ましくは、化合物(I)は、化合物(I)の二塩酸塩を水酸化アンモニウム(NHOH)で処理することによって形成および単離する。任意選択で、水酸化アンモニウムを加える前に、化合物(I)の二塩酸塩を水中で中和してもよい。任意選択で、化合物(I)の形成を助けるためにジクロロメタンを導入してもよい。
【0313】
好ましくは、本発明の化合物(I)は、以下の方法4、5、および6のうちの1つに従って合成される。方法1、2および3と同様に、方法4、5および6は、化合物(I)を合成するための好ましい方法を表し、前記方法は、以下に詳述する好ましい連結ステップを含む。好ましくは、化合物(I)は、方法6に従って製造される。方法6は、本発明を実践するために現在企図されている最良の様式を構成する。しかしながら、本発明との関係においては、これらの好ましいステップは分離可能であり、ステップのうちの1つまたは複数を、当業者によって特定される任意の他の好適なステップで置き換えることができることが理解されるであろう。ステップXにAおよびBの選択肢、例えば、ステップ6Aまたはステップ6Bがある方法4および5の場合、ステップXAまたはXBのいずれかをステップXとして利用することができる、すなわち、ステップ6Aまたは6Bのいずれかをステップ6として利用することができる。
【0314】
上記の方法3および下記の方法6に示すように、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を、1-(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(1A)、すなわち市販の化合物から形成することができる。
【0315】
したがって、1-(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(1A)
【0316】
【化47】
から出発する化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の製造のための方法も、本明細書に組み込まれる。
【0317】
方法4
化合物(I)は、以下の方法に従って合成することができる:
【0318】
ステップ1
【0319】
【化48】
機械的撹拌器を装備した20L四つ口丸底フラスコに、室温で1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン(1)(300g、1.69mol)を充填した。氷酢酸中のHBrの溶液(33%w/w、2.10L、7V)を、理想的には内部温度を約12℃未満に維持しながら、10℃で滴加した。得られた反応混合物に、氷酢酸(450mL、出発材料に対して1.5V)中の臭素(86.7mL、1.69mol)の溶液を10℃(内部温度)で、内部温度が10℃以下に維持されるようにゆっくりと(約90分かけて)加えた。反応を、LCMSによって監視した。氷酢酸中の臭素の溶液を完全に加えた後、粗LCMSにより、約10%の未消費の出発材料(1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン(1))、および約30%の所望の一臭素化生成物(2)への変換を、約24%の二臭素化副生成物とともに確認した。冷却浴を取り外し、反応混合物をおよそ1時間かけて徐々に25℃(内部温度)まで温めた。得られた反応混合物をさらに40℃(内部温度)で1.5時間撹拌した[目に見える沈殿が観察され、粗LCMSにより、未消費の出発材料(1)(約4%)を、所望の一臭素化生成物(2)(55%)および二臭素化副生成物(約18%)とともに確認した]。反応混合物を10℃まで冷却し、MTBE(4.9L、16V)で希釈し、1時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、MTBE(600mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、340g(一臭素化生成物と二臭素化生成物の混合物)をオフホワイトの固体として得た。得られた固体のLCMSによって、2-ブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン.HBr(2)(約87%、一臭素化)、2,2-ジブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)エタン-1-オン(約5%、二臭素化副生成物)および未消費の1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン(1)(約1%)の混合物を確認した。この混合物をさらに精製することなく次のステップで使用した。LCMSにより観察された一臭素化生成物(2)に基づいて計算された単離収率は、52%であることが判明した。CHNOSのMS (ESI+) m/z 255.96 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.19-7.28 (m, 2H), 6.77 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.74 (s, 2H), 4.31 (t, J = 4.4 Hz, 2H)および3.32 (t, J = 4.4 Hz, 2H).
【0320】
ステップ2
【0321】
【化49】
機械的撹拌器を装備した10L四つ口丸底フラスコに、20℃で、THF(3.50L、7V)および2-ブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン.HBr(2)(500g、1.48mol)を充填した。得られた反応混合物に、温度を20℃に維持しながら、塩化アセチル(476mL、6.68mol)を滴加した。反応混合物への塩化アセチルの添加中に、反応温度の2℃の上昇が観察された。反応混合物を、30℃で16時間さらに撹拌した。反応を、LCMSによって監視した。粗LCMSにより、1:1の比で、1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-ブロモエタン-1-オンおよび1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オンの混合物の形成を確認した。反応混合物を約10℃に冷却し、10%KCO水溶液(5.0L)でpH約8.0に塩基性化し、酢酸エチル(3×5L)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5.0L)で洗浄し、減圧下で濃縮して、粗生成物を茶色の液体として得た。茶色の液体を10℃に冷却し、ヘキサン(4.0L)で希釈し、10℃で1時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、ヘキサン(1.0L)で洗浄し、真空下で乾燥させて、1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-ブロモエタン-1-オン(3)および1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(4)の混合物を薄茶色の固体(387g、LCMSにより純度92%)として得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。CHNOSのMS(ESI+)m/z 297.99[M+H]および254.05[M+H]
【0322】
ステップ3
【0323】
【化50】
【0324】
機械的撹拌器を装備した5.0L四つ口丸底フラスコに、EtOH(2.0L、3V)、1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-ブロモエタン-1-オン(3)および1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(3A)(685g、2.30mol、LCMSにより純度92%)の混合物を充填し、続いてピリミジン-2-アミン(4)(546g、5.74mol)を20℃で加えた。反応混合物をさらに撹拌し、3時間還流した。反応を、LCMSによって監視した。反応混合物を室温(約20℃)まで冷却し、得られた沈殿固体を濾過し、EtOH(2×250mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)を、オフホワイトの固体として得た(418g)。CHNOSのMS (ESI+) m/z 295.06 [M+H] +. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 + d-TFA): δ 9.27 (d, J = 6.40 Hz, 1H), 8.97 -9.02 (m, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.44 (bs, 1H), 7.63-7.69 (m, 2H), 7.10 (d, J = 8.40 Hz, 1H), 4.33-4.36 (m, 2H), 3.89-3.93 (m, 2H), 2.32 (s, 3H).位置異性体構造を、nOeにより確認した。
【0325】
ステップ4
【0326】
【化51】
機械的撹拌器を装備した10L四つ口丸底フラスコに、N,N-ジメチルアセトアミド(2.0L)、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)(250g、849mmol)、2,2-ジメチルプロパン酸(34.7g、340mmol)、炭酸カリウム(587g、4.25mol)および4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)(264g、1.44mol)を、20℃で、N雰囲気下にて充填した。得られた反応混合物をN(気体)で30分間パージし、続いてPd(OAc)(19.1g、84.9mmol)およびPCy・HBF(31.2g、84.9mmol)をN雰囲気下で加えた。反応混合物を再びN(気体)でさらに15分間パージした。得られた反応混合物を、125℃で7時間さらに撹拌した。反応を、LCMSによって監視した。粗LCMSにより、98:2の位置異性体比で、所望の生成物の位置異性体混合物の形成を確認した。反応混合物をセライト床(高さ1.3cm、直径25cm)に通して濾過した。セライト床を、DCM中10%MeOH(15L)で洗浄した。濾液を減圧下で蒸発させて、粗残留物を茶色の液体として得た。茶色の液体をヘプタン(3×6.0L)中で10時間撹拌して、過剰のDMAを除去した。ヘプタン/DMA混合物をデカントして(デカントした画分中に微量の所望の生成物が観察された)、ワックス状固体を得た。ワックス状固体を、MTBE(3.0L)中でさらに15分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、MTBE(2.0L)で洗浄して、所望の生成物を茶色の固体として得た。茶色の固体を小さなシリカプラグに通し、DCM中10%MeOH(約35L)で溶出した。得られた溶媒画分を、元の体積の1/10に濃縮した。濃縮した画分をMTBE(200mL)で希釈し、30分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、MTBE(1.0L)で洗浄し、真空下で乾燥させて、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の位置異性体混合物を、薄茶色の固体として得た。収率:66%(LCMSにより97%、位置異性体比98:2)。CHNOSのMS (ESI+) m/z 386.18 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 + d-TFA): δ 9.14 (s, 1H), 9.01-9.04 (m, 2H), 8.86 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 8.23 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 8.01 (bs, 1H), 7.55-7.58 (m, 1H), 7.41(d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 4.09-4.33 (m, 2H), 3.71-3.92 (m, 2H), 2.17 (s, 3H), 2.11 (bs, 3H).
【0327】
ステップ5A
【0328】
【化52】
メタノール中(150mL)1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の位置異性体混合物(97:3)(24.0g、62.3mmol)の溶液に、6.0N HCl水溶液(62mL)を室温で加えた。反応混合物を、90℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、その元の体積の1/4まで濃縮した。濃縮した反応混合物を、飽和NaHCO3水溶液でpH8~9に塩基性化し、DCM中10%MeOH(3×250mL)で抽出した。有機層をブライン(300mL)で洗浄し、(NaSO)上で乾燥させ、濾過し、減圧下でその元の体積の1/10まで濃縮した。濃縮した混合物をヘプタン(100mL)で希釈し、30分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、ヘプタン(100mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)の混合物(20.0g)を、黄色の固体として得た。収率:71%(位置異性体比2:1の2つの位置異性体の混合物、LCMSにより89%)。LCMSは、それぞれ所望の質量56%および33%を有する2つのピークを示した。CHNOSの(ESI+)m/z 344.20[M+H]
【0329】
あるいはステップ5B
【0330】
【化53】
2.0M NaOH水溶液(52mL、104mmol)中1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の位置異性体混合物(98:2)(10.0g、25.9mmol)の懸濁液を、100℃で24時間加熱した。反応を、LCMSによって監視した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、濾過した。濾過ケーキを水(約500mL)で洗浄し、乾燥させて、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)の混合物を薄茶色の固体として得た。収率:8.1g、90%(位置異性体比98:2の2つの位置異性体の混合物、LCMSにより98.7%)。CHNOSのMS (ESI+) m/z 344.20 [M+H] +; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.69 (s, 1H), 8.54-8.62 (m, 2H), 8.25 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.96-7.03 (m, 2H), 6.46-6.55 (m, 2H), 5.87 (s, 1H), 4.11 (t, J = 4.0 Hz, 2H), 3.25 (bs, 2H), 1.94 (s, 3H).
【0331】
ステップ6A(HMPA媒介アミノ酸カップリング)
【0332】
【化54】
HMPA(84mL、7V)中の2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)(12g、116mmol)の懸濁液に、ACN(8.4mL)中の塩化チオニル(9.29g、128mmol)の溶液を、3℃でゆっくりと加えた(外部温度は0℃であった)。ACN中の塩化チオニルの溶液を完全に加えてから10分後に、懸濁液は透明になる。得られた反応混合物を、0℃で20分間撹拌し、続いて、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)の位置異性体混合物(8g、23.3mmol)を、0℃で少しずつ加えた。反応混合物を室温まで温め、16時間撹拌した。反応を、LCMSによって監視した。反応の完了後、反応混合物をEtOAc(300mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾過し、EtOAc(250mL)で洗浄した。固体を水(50mL)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液でpH8まで中和し、DCM中10%MeOH(4×100mL)で抽出し、減圧下で元の反応混合物の体積の1/10まで濃縮した。粗混合物をMTBE(50mL)で希釈し、15分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、MTBE(25mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の位置異性体混合物を茶色の固体として得た。収率:66%(LCMSにより97%、位置異性体比98:2)。CHNOSのMS (ESI+) m/z 429.16 [M+1]+ ; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.69 (s, 1H), 8.54-8.62 (m, 2H), 8.29 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.98-7.05 (m, 2H), 6.77 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.45- 4.67 (m, 2H), 4.30 (bs, 2H), 2.12 (bs, 2H), 1.97 (s, 3H), 1.34 (s, 6H).
【0333】
あるいはステップ6B(DMPU媒介アミノ酸カップリング)
【0334】
【化55】
DMPU(14mL)中の2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)(2.0g、19.4mmol)の溶液に、ACN(1.4mL)中の塩化チオニル(1.55mL、21.3mmol)の溶液を4℃でゆっくり加えた。(外部温度0℃)。得られた反応混合物を、0℃で20分間撹拌し、続いて、6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)の位置異性体混合物(98:1)を、0℃で少しずつ加えた。反応混合物を室温まで温め、16時間撹拌した。反応の完了後(LCMSモニタリング)、反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾過し、EtOAc(50mL)で洗浄した。固体を水(100mL)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液でpH約8.0に塩基性化し、DCM中10%MeOH(3×100mL)で抽出し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して粗残留物を得た。粗残留物をMTBE(20mL)中でさらに撹拌し、濾過し、MTBE(20mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の位置異性体混合物を茶色の固体として得、これをさらに精製することなく次の工程でさらに使用した。CHNOSのMS (ESI+) m/z 429.16 [M+1]+ ; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.69 (s, 1H), 8.54-8.62 (m, 2H), 8.29 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.98-7.05 (m, 2H), 6.77 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.45- 4.67 (m, 2H), 4.30 (bs, 2H), 2.12 (bs, 2H), 1.97 (s, 3H), 1.34 (s, 6H).
【0335】
ステップ7
【0336】
【化56】
イソプロピルアルコール(60mL)中の2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)の位置異性体混合物(98:2)の懸濁液(8.6g、LCMSにより93%、20.1mmol)に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(3.49g、50.2mmol)を室温で加えた。得られた懸濁液を、70℃で22時間撹拌した。反応を、LCMSによって監視した。粗LCMSは、微量の脱アミド化副生成物(粗LCMSにより1~2%)および未反応出発材料(LCMSにより2~3%)とともに、所望の生成物の形成を示した。得られた懸濁液を室温まで冷却し、アセトン(100mL)で希釈し、1時間撹拌した。反応混合物を元の体積の20%まで濃縮し、沈殿を濾過し、アセトン(200mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、粗化合物(I)をHCl塩として得た。得られた固体を水(10mL)に溶解し、NaHCOの飽和溶液によってpH約8まで塩基性化し、DCM中の10%MeOH(5×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して粗残留物を得た。粗残留物を、EtOH(10mL)中で撹拌した。粗生成物を、EtOHに可溶化し、1~2時間撹拌した後、再び沈殿が観察された。得られた沈殿物を濾過し、EtOH(10mL)で洗浄した。このようにして得られた沈殿物を再度EtOH(10mL)中で撹拌し、濾過し、続いてDCM中の2%MeOH(15mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、2-アミノ-1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物(I))を淡黄色のふわふわした固体として得た。収率:3.5g、44%(LCMSにより98.3%)。CHNOSのMS (ESI+) m/z 392.8 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 + d-TFA): δ 8.78-8.84 (m, 2H), 7.93 (d, J = 6.1 Hz, 1 H), 7.44 (d, J = 2.1 Hz, 1 H), 7.09 (dd, J = 2.1, 8.6 Hz, 1 H), 6.97 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 4.34 (bs, 2H), 3.97 (bs, 2H), 2.16 (s, 3H), 1.60 (s, 6H).
【0337】
方法4では、好ましくは、ステップ5Bが選択される。
【0338】
方法5
化合物(I)は、以下の方法に従って合成することができる:
【0339】
ステップ1
【0340】
【化57】
機械的撹拌器を装備した20L四つ口丸底フラスコに、室温で1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン(1)(300g、1.69mol)を充填した。氷酢酸中のHBrの溶液(33%w/w、2.10L、7V)を、理想的には内部温度を約12℃未満に維持しながら、10℃で滴加した。得られた反応混合物に、氷酢酸(450mL、出発材料に対して1.5V)中の臭素(86.7mL、1.69mol)の溶液を10℃(内部温度)で、内部温度が10℃未満に維持されるようにゆっくりと(約90分かけて)加えた。反応を、LCMSによって監視した。氷酢酸中の臭素の溶液を完全に加えた後、粗LCMSにより、約10%の未消費の出発材料(1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン(1))、および約30%の所望の一臭素化生成物(2)への変換を、約24%の二臭素化副生成物とともに確認した。冷却浴を取り外し、反応混合物をおよそ1時間かけて徐々に25℃(内部温度)まで温めた。得られた反応混合物をさらに40℃(内部温度)で1.5時間撹拌した[目に見える沈殿が観察され、粗LCMSにより、未消費の出発材料(1)(約4%)を、所望の一臭素化生成物(2)(55%)および二臭素化副生成物(約18%)とともに確認した]。反応混合物を10℃まで冷却し、MTBE(4.9L、16V)で希釈し、1時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、MTBE(600mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、340g(一臭素化生成物と二臭素化生成物の混合物)をオフホワイトの固体として得た。得られた固体のLCMSによって、2-ブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン.HBr(2)(約87%、一臭素化)、2,2-ジブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)エタン-1-オン(約5%、二臭素化副生成物)および未消費の1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン(1)(約1%)の混合物を確認した。この混合物をさらに精製することなく次のステップで使用した。LCMSにより観察された一臭素化生成物(2)に基づいて計算された単離収率は、52%であることが判明した。CHNOSのMS (ESI+) m/z 255.96 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.19-7.28 (m, 2H), 6.77 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.74 (s, 2H), 4.31 (t, J = 4.4 Hz, 2H)および3.32 (t, J = 4.4 Hz, 2H).
【0341】
ステップ2
【0342】
【化58】
機械的撹拌器を装備した10L四つ口丸底フラスコに、20℃で、THF(3.50L、7V)および2-ブロモ-1-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)エタン-1-オン.HBr(2)(約5%)(500g、1.48mol)を充填した。得られた反応混合物に、温度を20℃に維持しながら、塩化アセチル(476mL、6.68mol)を滴加した。反応混合物への塩化アセチルの添加中に、反応温度の2℃の上昇が観察された。反応混合物を、30℃で16時間さらに撹拌した。反応を、LCMSによって監視した。粗LCMSにより、1:1の比で、1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-ブロモエタン-1-オンおよび1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オンの混合物の形成を確認した。反応混合物を約10℃に冷却し、10%KCO水溶液(5.0L)でpH約8.0に塩基性化し、酢酸エチル(3×5L)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5.0L)で洗浄し、減圧下で濃縮して、粗生成物を茶色の液体として得た。茶色の液体を10℃に冷却し、ヘキサン(4.0L)で希釈し、10℃で1時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、ヘキサン(1.0L)で洗浄し、真空下で乾燥させて、1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-ブロモエタン-1-オン(3)および1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(4)の混合物を薄茶色の固体(387g、LCMSにより純度92%)として得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。CHNOSのMS(ESI+)m/z 297.99[M+H]および254.05[M+H]
【0343】
ステップ3
【0344】
【化59】
機械的撹拌器を装備した5.0L四つ口丸底フラスコに、EtOH(2.0L、3V)、1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-ブロモエタン-1-オン(3)および1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(3A)(685g、2.30mol、LCMSにより純度92%)の混合物を充填し、続いてピリミジン-2-アミン(4)(546g、5.74mol)を20℃で加えた。反応混合物をさらに撹拌し、3時間還流した。反応を、LCMSによって監視した。反応混合物を室温(約20℃)まで冷却し、得られた沈殿固体を濾過し、EtOH(2×250mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)を、オフホワイトの固体として得た(418g)。CHNOSのMS (ESI+) m/z 295.06 [M+H] +. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 + d-TFA): δ 9.27 (d, J = 6.40 Hz, 1H), 8.97 -9.02 (m, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.44 (bs, 1H), 7.63-7.69 (m, 2H), 7.10 (d, J = 8.40 Hz, 1H), 4.33-4.36 (m, 2H), 3.89-3.93 (m, 2H), 2.32 (s, 3H).位置異性体構造を、nOeにより確認した。
【0345】
ステップ4
【0346】
【化60】
機械的撹拌器を装備した10L四つ口丸底フラスコに、N,N-ジメチルアセトアミド(2.0L)、1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)(250g、849mmol)、2,2-ジメチルプロパン酸(34.7g、340mmol)、炭酸カリウム(587g、4.25mol)および4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)(264g、1.44mol)を、20℃で、N雰囲気下で充填した。得られた反応混合物をN(気体)で30分間パージし、続いてPd(OAc)(19.1g、84.9mmol)およびPCy・HBF(31.2g、84.9mmol)をN雰囲気下で加えた。反応混合物を再びN(気体)でさらに15分間パージした。得られた反応混合物を、125℃で7時間さらに撹拌した。反応を、LCMSによって監視した。粗LCMSにより、98:2の位置異性体比で、所望の生成物の位置異性体混合物の形成を確認した。反応混合物をセライト床(高さ1.3cm、直径25cm)に通して濾過した。セライト床を、DCM中10%MeOH(15L)で洗浄した。濾液を減圧下で蒸発させて、粗残留物を茶色の液体として得た。茶色の液体をヘプタン(3×6.0L)中で10時間撹拌して、過剰のDMAを除去した。ヘプタン/DMA混合物をデカントして(デカントした画分中に微量の所望の生成物が観察された)、ワックス状固体を得た。ワックス状固体を、MTBE(3.0L)中でさらに15分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、MTBE(2.0L)で洗浄して、所望の生成物を茶色の固体として得た。茶色の固体を小さなシリカプラグに通し、DCM中10%MeOH(約35L)で溶出した。得られた溶媒画分を、その元の体積の1/10に濃縮した。濃縮した画分をMTBE(200mL)で希釈し、30分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、MTBE(1.0L)で洗浄し、真空下で乾燥させて、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の位置異性体混合物を、薄茶色の固体として得た。収率:66%(LCMSにより97%、位置異性体比98:2)。CHNOSのMS (ESI+) m/z 386.18 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 + d-TFA): δ 9.14 (s, 1H), 9.01-9.04 (m, 2H), 8.86 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 8.23 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 8.01 (bs, 1H), 7.55-7.58 (m, 1H), 7.41(d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 4.09-4.33 (m, 2H), 3.71-3.92 (m, 2H), 2.17 (s, 3H), 2.11 (bs, 3H).
【0347】
ステップ5
【0348】
【化61】
イソプロピルアルコール(70mL)中の1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)の懸濁液(10g、LCMSにより98%、25.9mmol)に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(4.51g、64.9mmol)を室温で加えた。得られた懸濁液を、80℃で6時間撹拌した。懸濁液は80℃、2時間で徐々に可溶化し、2~3時間で再沈殿が観察された。反応を、LCMSによって監視した。得られた懸濁液を室温まで冷却し、アセトン(100mL)で希釈し、1時間撹拌した。反応混合物を元の体積の20%まで濃縮し、沈殿物を濾過し、アセトン(300mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、粗物質をHCl塩として得た。得られた固体を水(10mL)に溶解し、10℃でNaHCO飽和水溶液によりpH約8.0まで塩基性化した。得られた懸濁液を室温で2時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、水(200mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、粗残留物を得た。粗残留物をMTBE(100mL)中でさらに撹拌し、濾過し、真空下で乾燥させて、1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を薄茶色の固体として得た。収率:7.5g、83%(LCMSにより93%)。CHNOS m/z 350.30 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.86 (bs, 1H), 8.39 (s, 1H), 8.31 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 7.16 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 6.71-7.09 (m, 2H), 5.37 (bs, 2H), 4.21(bs, 2H), 3.79 (bs, 2H), 1.99 (s, 3H), 1.75 (bs, 3H).
【0349】
ステップ6
【0350】
【化62】
メタノール中(35mL)の1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾ-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)の溶液(7g、20.9mmol)に、6.0N HCl(28mL)を室温で加えた。反応混合物を、90℃で16時間撹拌した。反応を、LCMSによって監視した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を水(20mL)に溶解し、6.0M NaOH水溶液でpH8.0~9.0に塩基性化し、DCM中10%MeOH(3×100mL)で抽出した。有機層をブライン(200mL)で洗浄し、濾過し、減圧下で元の反応混合物の体積の1/10まで濃縮した。濃縮した混合物をヘプタン(100mL)で希釈し、15分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、ヘプタン(100mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)を薄茶色の固体として得た。収率:5.1g、82%(LCMSにより98%)。CHNOSのMS (ESI+) m/z 308.14 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 + d-TFA): δ 8.88 (s, 1H), 8.82 (d, J = 6.1 Hz, 1 H), 7.94 (d, J = 6.1 Hz, 1 H), 6.68 (d, J = 8.2 Hz, 1 H), 6.49 (d, J = 2.2 Hz, 1 H ), 6.42 (dd, J = 2.2, 8.2 Hz, 1 H), 4.14 (t, J = 4.2 Hz, 2 H), 3.27 (t, J = 4.2 Hz, 2 H), 2.16 (s, 3H).
【0351】
ステップ7A(HMPA媒介アミノ酸カップリング)
【0352】
【化63】
HMPA(42mL)中の2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)(10)(6.0g、58.2mmol)の懸濁液に、ACN(3.00mL)中の塩化チオニル(4.64mL、64.0mmol)の溶液を、3℃でゆっくり加えた。ACN中の塩化チオニルの溶液を加えてから10分後に、懸濁液は透明溶液になる。得られた反応混合物を、0℃で30分間撹拌し、続いて、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)(3.58g、11.6mmol)を、3℃で少しずつ加えた。反応混合物を室温まで温め、16時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾過し、EtOAc(200mL)で洗浄した。固体を水(5mL)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpH約8.0に塩基性化し、DCM中の10%MeOH(5×100mL)で抽出した。収集した有機層を乾燥させ(NaSO)、その元の体積の1/5まで濃縮し、DCM(100mL)で希釈し、15分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、DCM(25mL)中2%MeOHでトリチュレーションし、続いてMTBE(50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、2-アミノ-1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物(I))((2.4g、LCMSおよびHNMRにより約96.6%)を、淡黄色の固体として得た。収率:(53%);CHNOSのMS (ESI+) m/z 392.8 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 + d-TFA): δ 8.78-8.84 (m, 2H), 7.93 (d, J = 6.1 Hz, 1 H), 7.44 (d, J = 2.1 Hz, 1 H), 7.09 (dd, J = 2.1, 8.6 Hz, 1 H), 6.97 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 4.34 (bs, 2H), 3.97 (bs, 2H), 2.16 (s, 3H)および1.60 (s, 6H).
【0353】
あるいはステップ7B(DMPU媒介アミノ酸カップリング)
【0354】
【化64】
DMPU(23mL)中2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)(3.3g、32.0mmol)の溶液に、ACN(2.5mL)中の塩化チオニル(2.55mL、35.2mmol)の溶液を4℃でゆっくり加えた。得られた反応混合物を、0℃で20分間撹拌し、続いて、4-(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)(1.97g、6.40mmol)を、0℃で少しずつ加えた。反応混合物を室温まで温め、16時間さらに撹拌した。反応の完了後、反応混合物をACN(50mL)で希釈した。得られた沈殿固体を濾過し、ACN(100mL)で洗浄した。固体を水(5.0mL)に溶解し、10℃で飽和重炭酸ナトリウム水溶液を用いてpH約8.0まで塩基性化し、DCM中の10%MeOH(5×50mL)で抽出し、減圧下で濃縮した。粗残留物をEtOAc(20mL)中で撹拌し、濾過し、減圧下で乾燥させて、薄茶色の固体を得た。得られた固体をEtOH(7mL)中でさらに撹拌し、濾過し、真空下で乾燥させて、2-アミノ-1-{6-[2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル]-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル}-2-メチルプロパン-1-オン(化合物(I))を、オフホワイトの固体として得た(770mg、LCMSにより99.7%)。収率:(53%);CHNOSの(ESI+)m/z 392.8[M+H]
【0355】
上記の方法1、2、4、および5すべてについて、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)は、ステップ8に従って以下のように配合した。
【0356】
【化65】
【0357】
機械的撹拌器を装備した20L四つ口丸底フラスコに、-20℃(内部温度)で3-メチルピリジン-4-アミン(25.0g、231mmol)および臭化水素(47%水溶液、360mL)を充填した。得られた反応混合物に、水(520mL)中の亜硝酸ナトリウム(76.6g、1.11mol)の溶液を-20℃でおよそ90分間かけてゆっくり加えた。反応混合物を-20℃で1時間撹拌し、それにCuBr(7.96g、55.5mmol)を-20℃で加えた。反応混合物を室温まで温め、さらに16時間撹拌した。TLCは、反応が完了していることを示した。反応混合物を50%水酸化ナトリウム水溶液(100mL)でクエンチし、セライト床に通して濾過した。セライト床を、DCM(100mL)で洗浄し、抽出した。水層を、DCM(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を濾過し、減圧下で濃縮した(水浴温度>40℃を維持して、茶色の液体を得た。収率66%(26g)。CHNOSのMS (ESI+) m/z 172.0 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 ): δ 8.50 (s, 1H), 8.25 (d, J = 5.20 Hz, 1 H), 7.66 (d, J = 5.2 Hz, 1 H), 2.33 (s, 3H).
【0358】
方法3では、4-ブロモ-3-メチルピリジン(6A)の塩酸塩は市販されているが、上で詳述した4-ブロモ-3-メチルピリジン(6)を製造するためのステップ8の方法を改変することによって形成することもできる。
【0359】
方法4および5の場合、驚くべきことに、かつ有利には、ステップ4によって、それぞれ98%対2%で、1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)を上回る1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)の有利な位置異性体の形成が容易になることが見出された。
【0360】
したがって、本明細書に記載の方法4および5のステップ4に従う、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)(位置異性体7と7Aの混合物)を合成する方法も本発明に包含される。
【0361】
加えて、方法4および5については、驚くべきことに、かつ有利には、方法4のステップ7および方法5のステップ5におけるNHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)を使用することにより、収率が有利に向上することが見出された。
【0362】
したがって、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)を使用して、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)から、化合物(I)を合成する方法も本発明に包含される。
【0363】
好ましくは、本明細書に記載の方法4のステップ7に従って、2-アミノ-2-メチル-1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10)および2-アミノ-2-メチル-1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)プロパン-1-オン(10A)から、化合物(I)を合成する方法である。
【0364】
したがって、NHOH.HCl(ヒドロキシルアミン塩酸塩)を使用して、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)から1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を合成する方法も本発明に包含される。
【0365】
好ましくは、方法5のステップ5に従って、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)から1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)を合成する方法である。
【0366】
好ましくは、方法5のステップ7に従って、2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)を使用して、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)から、化合物(I)を合成する方法も本発明に包含される。
【0367】
好ましくは、方法5のステップ6および7に従って、4-(3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-アミン(12)を介して、2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)を使用して、1-(6-(2-アミノ-5-(3-メチルピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(11)から化合物(I)を合成する方法も本発明に包含される。
【0368】
方法6
化合物(I)は、以下の方法に従って合成することができる:
ステップ1
【0369】
【化66】
【0370】
機械的撹拌器を装備した20L丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、25℃±5℃にてジクロロメタン(2.6L、13V)を充填した。塩化アルミニウム(AlCl)(0.752kg、4mol当量)を、窒素雰囲気下で、撹拌しながら25±5°Cにて丸底フラスコに加えた。この第1の反応混合物を、窒素雰囲気下で20±5分間撹拌した。反応混合物を5±5℃に冷却した。別に、機械的撹拌器を装備した5L丸底フラスコに1-(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(1A)(0.25kg、1mol当量)およびジクロロメタン(0.5L、2V)を充填した。第2の反応混合物を、5±5℃の温度で添加漏斗に通して20L丸底フラスコ内の第1の反応混合物にゆっくりと加えた。合わせた反応混合物を、5±5℃で10±5分間撹拌した。クロロアセチルクロリド(0.145L、1.3mol当量)を、窒素雰囲気下で、5±5℃の温度にて添加漏斗に通して、合わせた反応混合物にゆっくりと加えた。反応混合物を、40±5℃に加熱した。反応混合物を、40±5℃で3±1時間撹拌した。次いで、反応混合物を25±5℃に冷却し、氷冷水(2.5L、10V)を充填した別の20L丸底フラスコに2~5℃で撹拌しながら加えた。混合物を25±5℃で30分~1時間撹拌し、次いで、相分離が起こるように30分間静置した。水層(10V)と有機層(3.5L、14V)を別々の容器に収集し、水層を20L丸底フラスコに戻し、これにジクロロメタン(1.5L、6V)をさらに充填し、混合物を30分間撹拌した。次いで、混合物を分液漏斗に移し、30分間静置した。水層と有機層(1.5L)を再度分離し、合わせた有機層を水(1.25L、5V)とともに20L丸底フラスコに充填し、30分間撹拌し、10~15分間静置し、次いで分離した。有機層を水(4×5V)で洗浄し、水層(5L)と有機層(5L)を分離した。有機層をBuchi丸底フラスコに充填し、40℃で減圧蒸留して濃縮有機層を得た。チャコール(出発材料に対して10%w/w)を有機層に導入し、25±5℃で120±10分間撹拌した。次いで、反応塊を、ブフナーフィルター中のセライト床に通して濾過し、DCM中の50%MeOHで洗浄し、次いで濾液を収集した。rotavaporに有機層を充填し、濾液を真空下、40℃で2Vが残るまで留去した。得られた混合物に、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(6V)を加え、25±5℃で1時間撹拌した。得られた固体を、真空下、ブフナー漏斗で濾過した。次いで、固体材料をMTBE(2V)で洗浄し、真空下で30分間乾燥させ、次いで、真空オーブン内で55℃にて7~8時間さらに乾燥させて、1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(3A)を、収率70%、純度97.97%(LCMSにより測定)で得た。化合物を、さらに精製することなく次のステップで使用した。
【0371】
ステップ2
【0372】
【化67】
機械的撹拌器を装備した2L丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、25℃±5℃にてエタノール(1.0L、5V)を充填した。1-(4-アセチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル)-2-クロロエタン-1-オン(3A)(0.21kg、1.0mol当量)を、窒素雰囲気下で、撹拌しながら25±5°Cにて丸底フラスコに加えた。この第1の反応混合物を、窒素雰囲気下で10分間撹拌し、次いで2-アミノピリミジン(4)(0.197kg、2.50mol当量)を窒素雰囲気下で25℃±5℃にて第1の反応混合物に加えた。反応混合物を、75~78℃に加熱した。反応混合物を78℃で16~24時間撹拌した。次いで、反応混合物を25±5℃に冷却した。混合物を25±5℃で1時間撹拌し、次いでブフナーフィルターで濾過し、湿ったケーキを25±5℃でエタノール(0.2L)により洗浄し、真空中で30分間乾燥させた。さらに真空オーブン内で65±5℃で5~6時間乾燥させて、純度99.52%(LCMSにより測定)を有する収率57.6%の1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)を得、た。化合物を、さらに精製することなく次のステップで使用した。
【0373】
ステップ3
【0374】
【化68】
機械的撹拌器を装備した3L丸底フラスコに、窒素雰囲気下、25℃±5℃でジメチルホルムアミド(850mL、10V)を充填した。1-(6-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(5)(85g、1.0mol当量)を、窒素雰囲気下で、撹拌しながら25±5°Cにて丸底フラスコに加えた。この第1の反応混合物を、窒素雰囲気下で10分間撹拌した。4-ブロモ-3-メチル-ピリジンHCl(6A)(72.2g、1.20mol当量)、炭酸カリウム(KCO)(199.6g、5.0mol当量)、ピバル酸(13.03mL、0.40mol当量)、およびトリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート(PCy.HBF)(1.63g、0.10mol当量)を、窒素雰囲気下で、25°C±5°Cにて加えた。反応混合物をアルゴンにより25±5℃で25~30分間脱気した。反応混合物に、酢酸パラジウム(Pd(OAc))(6.48g、0.10mol当量)を加えた。合わせた反応混合物を、125±5℃に加熱した。反応混合物を125±5℃で2~4時間撹拌した。次いで、反応混合物を30±5℃に冷却した。次いで、反応混合物を、ブフナーフィルター上のセライト床に通して濾過し、DCM中の10%MeOHで洗浄し、次いで濾液を収集した。rotavaporに有機層を充填し、濾液を真空下で65±5℃にて2Vが残るまで留去した。得られた混合物にジクロロメタン(DCM)(2V)を加え、25±5℃で15~20分間撹拌し、次いでメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(10V)を加え、25±5℃で15~20分間撹拌し、形成された得られた固体を真空下、ブフナー漏斗で濾別した。次いで、固体材料を真空下で乾燥させ、次いで真空オーブン内で50±5℃で3~4時間乾燥させて、純度77.12%(LCMSによって測定)を有する88%の粗製材料(7および7A)を得た。得られた化合物(7および7A)に対して、シリカプラグ濾過に続いてトリチオシアヌル酸操作を含むパラジウム捕捉操作をさらに実行した。シリカプラグ濾過は、シリカ100~200メッシュ、DCM中の10%MeOHを使用して実行し、次いで濾液を収集した。rotavaporに有機層を充填し、濾液を真空下で45±5℃にて留去して固体を得た。固体材料を3L丸底フラスコに充填し、次いで撹拌しながらジクロロメタン(10V)を充填した。混合物を10分間撹拌し、トリチオシアヌル酸(6.8g、20mol%w/w)、チャコール(14.8g、20mol%w/w)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)(28.22g、1.75当量)および水(282mL)を加えた。合わせた混合物を25±5℃で3時間撹拌し、ブフナーフィルター上のセライト床に通して濾過し、DCM中の10%MeOHで洗浄し、次いで濾液を収集した。濾液を分離器に入れ、15~20分間静置して相分離を生じさせた。水(0.282L)と有機物(5.18L)を別々の容器に収集し、有機層を10L丸底フラスコに戻し、これに1N NaOH(20V)をさらに充填し、混合物をさらに20±5分間撹拌した。得られた混合物を10L分離器に充填し、10~15分間静置して相分離を生じさせた。水層(1.48L)と有機層(5.18L)を別々の容器に収集した。有機層(5.18L)をブライン溶液(10L)で洗浄し、分離した(5.18L)。有機層を丸底フラスコに充填し、真空下で40±5℃にて1.5Vが残るまで留去した。得られた混合物に、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(3V)を加え、次いで25±5℃で30分間撹拌した。得られた沈殿物を、真空下、ブフナー漏斗で濾過した。次いで、固体材料をMTBE(1V)で洗浄し、真空下で30分かけて乾燥させ、次いで、真空オーブン内で50±5℃で2~4時間さらに乾燥させて、純度95.21%(LCMSにより測定)を有する収率70.06%の(7および7A)を得た。パラジウムの結果は49~119ppmであった。100ppm未満のパラジウムを得るために、トリチオシアヌル酸操作をもう1回繰り返した。
【0375】
ステップ4
【0376】
【化69】
機械的撹拌器を装備した10L丸底フラスコに、温度25℃±5℃にて、1-(6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7)および1-(6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(7A)(位置異性体7と7Aの混合物)(440g、1.0mol当量)を充填した。メタノール(4.4L、10V)を温度25±5℃で丸底フラスコに加えた。反応塊を25±5℃で10分間撹拌し(RMは不均質形態である)、続いて30%NaOH水溶液(880mL、2V)を、25±5℃で撹拌しながら丸底フラスコに加えた。反応塊を70±5℃で5~6時間加熱した。65~70℃で約4時間後、材料の沈殿が観察される。加熱を停止し、25±5℃になるまで反応塊を放置する。反応混合物中、加熱時よりも25±5℃でより多くの固体の形成が観察された。反応塊を、真空下でブフナー漏斗に通して濾過した。湿ったケーキをメタノール(0.88L、2V)で洗浄し、真空下で30分間乾燥させた。湿ったケーキをブフナーフィルターから取り出し、別の5.0L丸底フラスコに加えた。Milli-Q水(2.2L、5V)を5.0L丸底フラスコに加え、混合物をさらに30分間撹拌した。混合物をブフナー漏斗で濾過し、水(2.2L、5V)で洗浄した。濾液のpHは約7~8になるはずである。材料をブフナー漏斗上で30分間乾燥させ、さらに真空オーブン内で65±5℃で12~14時間乾燥させて、純度98.78%(HPLCにより測定)を有する収率66.8%の(8および8A)を得た。化合物を、さらに精製することなく次のステップで使用した。位置異性体(8)および(8A)のうち、(8)が優勢であり、一部のバッチでは8Aはごくわずかなものである。
【0377】
ステップ5
【0378】
【化70】
機械的撹拌器を装備した10L丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、25℃±5℃で、2-アミノ-2-メチルプロパン酸(9)(260g、3.34mol当量)を充填した。アセトニトリル(3.9L、15V)を丸底フラスコに加え、混合物を窒素雰囲気下で、25±5℃にて10分間撹拌した。塩化チオニル(403mL、7.34mol当量)を丸底フラスコに10分間にわたって加えた(約2℃の発熱が観察された)。得られた混合物を、40±2℃で2時間加熱した(白色の懸濁液が観察された)。次いで、混合物を30℃に冷却し、次いでそれにピリジン(792mL、13.0mol当量)を45分間にわたって加えた(5~7℃の発熱が観察され、混合物は透明になった)。混合物を35~40℃で1時間さらに撹拌し、次いで30℃に冷却し、続いて6-(3-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8)および6-(2-(3-メチルピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(8A)(位置異性体8と8Aの混合物)(260g、1.0mol当量)を加え、4~5℃の発熱が観察された。反応塊を30±5℃で2~3時間さらに撹拌した(30~45分間維持した後に黄色の沈殿が観察された)。次いで、反応塊を窒素雰囲気下、ブフナー漏斗上で濾過して固体生成物を得、次いでこれをアセトニトリル(1.04L、4V)で洗浄した。次いで、材料を真空オーブン内で65±5℃で6~8時間乾燥させて、320gの粗製材料を得た。次いで、得られた粗製材料を25±5℃でエタノール(960mL、粗物質に対して3V)に溶解し、5~10分間撹拌した。次いで、混合物を70±5℃で30分間加熱し、次いで40℃に冷却した。酢酸イソプロピル(4.16L、13V)を混合物に加え、次いで25±5℃まで冷却させた。次いで、混合物を25±5℃で3~4時間撹拌し、次いで減圧下、ブフナー漏斗上で濾過した。次いで、得られた固体を酢酸イソプロピル(640mL、2V)で洗浄した。材料をブフナー漏斗上で乾燥させ、最後にオーブン内で65±5℃で5~6時間乾燥させて、純度99.81%(HPLCで測定)を有する収率65.8%の(10Cおよび10D)を得た。位置異性体(10C)および(10D)のうち、(10C)が優勢であり、一部のバッチでは10Dは観察されない。
【0379】
ステップ6
【0380】
【化71】
機械的撹拌器を装備した10.0L丸底フラスコに、25℃±5℃にて、(10Cおよび10D)ビスHCl塩(250g、0.49mol当量)を充填した。イソプロパノール(1.25L、5V)を、25±5℃で丸底フラスコに加えた。混合物を窒素雰囲気下で10分間撹拌し、続いてトリエチルアミン(208mL、3.0mol当量)を加えた。得られた混合物を25±5℃で10分間、次いで50℃で2時間撹拌した(不均質な反応塊)。ヒドロキシルアミン塩酸塩(104g、1.49mol当量)を、混合物に加えた(2~3℃の発熱が観察された)。反応塊を、50℃で2~3時間さらに撹拌した。反応物は15~20分後に透明になり、2時間後に固体が沈殿し始める。反応塊を25±5℃に冷却した。酢酸イソプロピル(1.25L、5V)を丸底フラスコに25±5℃で加え、混合物をさらに1時間撹拌した。酢酸イソプロピル(2.5L、10V)を温度25±5℃で丸底フラスコにさらに加え、さらに1時間撹拌した。次いで、このようにして得られた固体を減圧下、ブフナー漏斗上で濾過して、窒素雰囲気下で粗製材料を得た。このようにして得られた固体材料を、酢酸イソプロピル(500mL、2V)で洗浄し、真空下で乾燥させた。固体を真空オーブン内で60±5℃で4~6時間さらに乾燥させて、350gの粗製材料を得た。次いで、粗製材料(350g)をエタノール(1.75L、5V)中で30分間還流し、次いで25±5℃に冷却し、減圧下で濾過して、所望の材料を得た。材料をブフナー漏斗上で乾燥させ、最後に真空オーブン内で60±5℃で6~8時間乾燥させて、純度99.46%(HPLCで測定)を有するビスHCl塩として収率84.9%の化合物(1)を得た。このようにして得られたHCl塩をさらに取り出して、遊離塩基を得た。機械的撹拌器を装備し、25℃±5℃でMilli-Q水(1.26L、2.4V)を充填した10.0L丸底フラスコに、化合物(1)(ビスHCl塩)(525g)を、25±5℃で丸底フラスコに加えた。混合物を10分間撹拌し、次いで15±5℃に冷却し、続いてNHOH(1.26L、2.4V)を30~45分間にわたって加えた。反応塊を、15±5℃で30~45分間撹拌した。ジクロロメタン(2.6L、5V)を反応塊に加えた(DCMの添加は固体の形成を助ける)。混合物をさらに30~45分間撹拌し、次いで減圧下、ブフナー漏斗で濾過し、水(1.05L、2V)で洗浄した。湿った固体を丸底フラスコに戻し、25±5℃で30~45分間、水(5.25L、10V)でスラリー化した。次いで固体を再びブフナー漏斗上で濾過し、DCM(1.05L、2V)で洗浄した。材料をブフナー漏斗上で乾燥させ、最後に真空オーブン内で65±5℃で12~14時間乾燥させて、純度99.01%(HPLCで測定)を有する化合物(1)421gを得た。
【0381】
当業者であれば、典型的には本明細書に開示される合成法のいずれかを使用して、化合物(I)を形成し、続いてその薬学的に許容される塩を形成するために必要とされる既知の追加のステップにより、化合物(I)の薬学的に許容される塩を容易に合成できることが理解されるであろう。
【0382】
化合物(I)の有利な特性を、具体的な実施例を参照してここで説明する。これらは単なる例示であり、例証のみを目的としている;それらは、特許請求された独占権または記載された発明の範囲をいかなる形でも限定することを意図するものではない。
【実施例
【0383】
比較化合物(II):
【0384】
【化72】
は、上記の化合物(I)について概説した方法を改変することによって合成した。そのような改変には、適切なピリジル出発材料の選択およびアミノ酸としてのグリシンの使用が含まれる。
【0385】
比較化合物(III):
【0386】
【化73】
は、適切なピリジル出発材料の選択およびアミノ酸としてのグリシンの使用が含まれる改変によって合成した。
【0387】
化合物(I)ならびに比較化合物(II)および(III)について、最小発育阻止濃度(MIC)および最小発育阻止濃度90値(MIC90)に関する以下の分析を行った。
【0388】
抗菌剤感受性
大腸菌(Escherichia coli)(NCTC13441)および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)(NCTC13438)(浮遊細菌)に対する最小発育阻止濃度(MIC)は、臨床検査標準委員会(Clinical and Laboratory Standards Institute. Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard-Eleventh Edition, CLSI document M07, 11 January 2018)のガイドラインに準拠したブロスの微量希釈手順によって決定した。ブロス希釈法には、96ウェルマイクロタイタープレートでの化合物の2倍段階希釈が含まれ、最終濃度範囲は0.39~200μM、最大最終濃度は2%DMSOとなった。試験した細菌株は、大腸菌(Escherichia coli)(NCTC13441)および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)(NCTC13438)であった。菌株は、カチオン調整されたミュラーヒントンブロスまたはルリアベルターニ寒天上で、周囲雰囲気中、37℃で増殖させた。MIC(μM)は、20~24時間のインキュベーション期間後の増殖を阻害する化合物の最低濃度として決定した。結果を、表1に示す。
【0389】
【表1】
【0390】
上で概説した方法論を使用して、化合物(I)ならびに比較化合物(II)および(III)について、最小発育阻止濃度(MIC)対プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)(DSM4479)を決定した。結果を、表2に示す。化合物(I)は、比較化合物(II)および(III)に対して優れた効力を示す。
【0391】
【表2】
【0392】
大腸菌(Escherichia coli)および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の100単離菌に対する最小発育阻止濃度(MIC90)を測定した。単離菌(菌株)の90%が阻害される最小阻害濃度(MIC90)は、EUCAST感受性試験基準(www.eucast.org)に準拠したブロス微量希釈によって測定した。細菌接種材料は、0.5マクファーランド懸濁液を100倍に希釈することにより、約1×10^6CFU/mLで調製した。最終濃度の2倍の抗菌溶液50μlを含有する抗菌パネルを、接種材料50μlで2倍に希釈して、最終接種材料約5×10^5CFU/ml、および抗菌剤の所望の試験濃度(0.03~64μg/mL)を得た。プレートは、臨床検査標準委員会(Clinical and Laboratory Standards Institute. Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard-Eleventh Edition, CLSI document M07, 11 January 2018)のガイドラインに従ってインキュベートした。MIC90(μg/ml)は、試験集団内の単離菌(菌株)の90%以上が阻害されるMIC値である。結果を、表3に示す。
【0393】
【表3】
【0394】
大腸菌(Escherichia coli)および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の100単離菌について上で概説した方法論を使用して、化合物(I)ならびに比較化合物(III)について、最小発育阻止濃度(MIC)対プロテウス菌種(Proteus spp.)およびプロビデンシア菌種(Providencia spp.)を決定した。結果を、表4に示す。化合物(I)は、比較化合物(III)に対して優れた効力を示す。
【0395】
【表4】
【0396】
化合物(I)および比較化合物(II)および(III)を、親油性および分布容積(Vss)に関する以下の分析に供した。
【0397】
親油性
化合物(I)および比較化合物(III)のLogP値は、Sirius Analytical製のSiriusT3装置を使用して、酸ベースの滴定を実行し、試料溶液が非混和性溶媒(オクタノール)と接触したときのpKaのシフトを測定することによって測定した。比較化合物(II)のLogPは、Marvin(理化学計算ソフトウェア)を使用して計算した。結果を、表5に示す。化合物(I)ならびに比較化合物(II)および(III)の親油性データは、異なる日に実行した別個の実験で収集し、表5において比較した。
【0398】
【表5】
【0399】
分布容積
化合物(I)ならびに比較化合物(II)および(III)の分布容積(Vss)は、それぞれ5mg/kgのIVボーラス投与後にげっ歯類種(マウス)から得られた血漿濃度時間プロファイルの分析から決定した。分布容積は、PKソルバー(Excel)の2コンパートメントIVボーラスモデルを使用して、化合物(I)ならびに比較化合物(II)および(III)のげっ歯類血漿プロファイルを分析することによって得た。出力Vss値を、表6に示す。化合物(I)および比較化合物(II)の分布データの量は、異なる日に実行した別個の実験で収集し、表6において比較した。
【0400】
【表6】
【0401】
結果についての考察
理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、親油性および分布量に関する上記の結果は、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、腸内細菌目のグラム陰性菌および/もしくはヘモフィルス(Haemophilus)属のグラム陰性菌による感染、またはそれらによって引き起こされるもしくは悪化する疾患の処置に、特に、腸内細菌目のグラム陰性菌および/またはヘモフィルス(Haemophilus)属のグラム陰性菌による多部位感染の処置に、有利に使用することができることを実証していると考える。本発明者らは、上記の結果は、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、あらゆる部位での効果的な処置を可能にするのに十分な濃度で、対象の体の周囲のすべての感染部位に効果的に分布する能力を有することを実証していると考える。薬理学的効果を発揮するのに十分な量の化合物が利用可能であることと同様に、血漿からの化合物の分布が十分に速く、薬物が感染に対して迅速に作用できるようにすることと、薬物が十分な濃度ですべての考えられる感染部位に到達することが妨げられる非常に急速な放出を回避することとの間のバランスが維持されるべきである。
【0402】
そのようなバランスは、以下でより詳細に考察する上記の結果によって実証されていると考えられる。
【0403】
化合物のLogP値は、極性の指標を示し、したがって、化合物が対象の標的組織に到達する能力、すなわち薬物が膜障壁を通過し、対象の体の周囲の考えられる細胞内感染部位に分布することができる容易さを示す。
【0404】
表5から、本発明の化合物(I)は、比較化合物(II)および(III)の両方と比較して、より高いLogP値、したがってより低い極性を有することが分かり、これは、より極性の高い比較化合物(II)および(III)と比較して、化合物(I)の組織分布が改善されたことを示している。本発明者らは、化合物(I)のこの改善された組織分布により、処置が可能になるのに十分な薬物が感染部位のそれぞれに到達し、化合物が対象の体の周囲の考えられるすべての感染部位に分布することが可能になると考えている。表5のLogP値に基づく比較化合物(II)および(III)に見られるように、薬物の分布が効果的でない場合、感染部位全体にわたる薬物濃度が不十分となり、感染の処置が妨げられることになる。上で考察したように、薬物が対象の体の周囲に分布する効率に関しては、達成すべきバランスが存在する。化合物(I)のLogP値は、比較化合物(II)および(III)に対して、化合物(I)が複数の感染部位に分布し、これらの感染部位のすべてにおいて適切な薬物濃度を提供することを示している。
【0405】
分布容積(Vss)は、化合物が血漿ではなく対象の体組織に分布する程度、すなわち、化合物が血漿を離れ、対象の体組織に分布する傾向の指標を提供する。
【0406】
表6から、化合物(I)は、両方とも化合物(I)と構造的に非常に類似している比較化合物(II)および比較化合物(III)と比較して、驚くべきかつ予想外に優れた組織浸透特性を有することが分かる。
【0407】
本発明者らは、化合物(I)が良好な透過性を示すと結論付けた。化合物(I)の親油性および透過性により、化合物は対象の標的組織に到達し、浸透することができる。化合物(I)対比較化合物(II)および(III)の驚くべきかつ予想外に優れた組織分布および浸透特性は、化合物(I)の有利な親油性および透過性に起因する。
【0408】
インビトロ安全性薬理学研究
化合物(I)、比較化合物(II)および比較化合物(III)についてインビトロ薬理学結合アッセイを実行して、10μMの濃度の化合物(I)、比較化合物(II)または比較化合物(III)における44個のリガンド(受容体、輸送体、イオンチャネル、酵素およびキナーゼを含む)に対する阻害のパーセンテージを評価する。化合物の結合は、各標的に特異的な放射性標識リガンドの結合の阻害のパーセンテージとして計算した。50%を超える阻害を示す結果は、化合物(I)、比較化合物(II)または比較化合物(III)の認識可能な効果を表すと考えられる。試験した44個のリガンドすべての結果を、図1a、1b、および1cに示すが、図1dは50%を超える阻害を示す結果のみを示す。化合物(I)ならびに比較化合物(II)および(III)のインビトロ薬理学結合アッセイを、異なる日にわたって別々に実行し、図1a、1b、1c、および1dにおいて比較した。
【0409】
図1a、1b、1c、および1dから、化合物(I)は比較化合物(II)および(III)の両方とは異なるCEREPプロファイルを有することが分かる。化合物(I)は、単一のリガンドのみ、すなわち比較化合物(II)および/または(III)よりも少ない(および異なる)リガンドに対して50%を超える阻害を示した。
【0410】
概念実証研究
化合物(I)および比較化合物(III)を、腸内細菌目のグラム陰性菌による呼吸器感染、腸内細菌目のグラム陰性菌による菌血症または血流感染、および腸内細菌目のグラム陰性菌による尿路感染の処置のためのマウスモデルにおける概念実証研究において評価した。結果を、図2、3、および4a~cに示す。点、三角形、または四角形のインジケーターそれぞれは、1匹のマウスを表す。LODは、細菌の検出限界を指す。静止(Stasis)は、処置前の対象における細菌のレベル(コロニー形成単位(CFU))を示す。概念実証研究のそれぞれは、別々に実行した。ビヒクルは、薬学的に許容される担体または賦形剤を意味する。
【0411】
腸内細菌目のグラム陰性菌によって引き起こされる、または悪化する呼吸器感染の処置に関する概念実証研究のため、CD-1マウスに、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)ATCC 43816を感染させた。感染2時間後(図2における「前処置」)、化合物(I)もしくは比較化合物(III)を含有しないビヒクル(20%ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン)、または化合物(I)もしくは比較化合物(III)を含有するビヒクル(20%ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン)を、20mg/kg、TID(8時間間隔)で、1日かけてIVボーラスにより投与した。
【0412】
図2から、研究の終了時(最初の感染から26時間:図2の「化合物(I)」および「比較化合物(III)」)、化合物(I)は比較化合物(III)と比較して、コロニー形成単位(CFU)が予想外に有意に減少しており、すなわち、細菌負荷が、前処置およびビヒクルと比較して、化合物(I)対比較化合物(III)での処置によって有意に減少したことが分かる。実際、図2の比較化合物(III)のCFU値は、静止レベル、すなわち細菌の死滅が起こらなかった例に比較的近いままであった。図2から、研究の終了時(最初の感染から26時間)、化合物(I)はビヒクルと比較して肺内の細菌負荷を6.24log減少させたのに対し、比較化合物(III)は、ビヒクルと比較して4.16logの減少しか示さなかったことが分かる。したがって、化合物(I)は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumonia)、特に多剤耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumonia)による呼吸器感染の処置において、比較化合物(III)よりも2log有効である。
【0413】
腸内細菌目のグラム陰性菌による菌血症または血流感染の処置に関する概念実証研究のため、CD-1マウスに、ヒト尿単離大腸菌(E. coli)BAA-2469(NDM-1陽性)を感染させた。感染1時間後(図3における「前処置」)、化合物(I)もしくは比較化合物(III)を含有しないビヒクル(20%ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン)、または、化合物(I)もしくは比較化合物(III)を含有するビヒクル(20%ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン)を、20mg/kgで単回用量IVボーラスとして投与した。
【0414】
図3から、研究の終了時(最初の感染から9時間:図3の「化合物(I)」および「比較化合物(III)」)、化合物(I)は比較化合物(III)と比較して、コロニー形成単位(CFU)が予想外に有意に減少しており、すなわち、細菌負荷は、前処置およびビヒクルと比較して、化合物(I)対比較化合物(III)での処置によって有意に減少したことが分かる。実際、図3の比較化合物(III)のCFU値は、静止レベル以上、すなわち、細菌の死滅が起こらなかった例に留まった。図3から、研究の終了時(最初の感染から9時間)、化合物(I)によって、血中の細菌負荷が検出限界(LOD)未満に減少し、ビヒクルと比較して7.43log減少したことが分かる。対照的に、比較化合物(III)は、ビヒクルと比較して4.86log減少のみを示した。したがって、化合物(I)は、大腸菌(Escherichia Coli)、特に多剤耐性大腸菌(Escherichia Coli)による菌血症または血流感染の処置において、比較化合物(III)より2.5log有効である。
【0415】
腸内細菌目細菌による尿路感染の処置に関する概念実証研究のため、雌型C3H/HeNマウスに、大腸菌(E. coli)UTI89を感染させた。感染24時間後(図4a~cにおける「前処置」)、化合物(I)もしくは比較化合物(III)を含有しないビヒクル(20%ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン)、または、化合物(I)もしくは比較化合物(III)を含有するビヒクル(20%ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン)を、20mg/kg、TID(8時間間隔)で、3日かけてIVボーラスにより投与した。
【0416】
尿路感染は、膀胱および腎臓に影響を与えることがあるため、尿、膀胱および腎臓のそれぞれにおける細菌負荷を評価した(それぞれ図4a~c)。図4aおよび4bから、研究の終了時(最初の感染から96時間後:図4aおよび4bの「化合物(I)」および「比較化合物(III)」)、化合物(I)は比較化合物(III)と比較して、コロニー形成単位(CFU)が予想外に有意に減少しており、すなわち、細菌負荷が、前処置およびビヒクルと比較して、化合物(I)対比較化合物(III)での処置によって有意に減少したことが分かる。図4cから、研究の終了時(最初の感染から96時間後:図4cの「化合物(I)」および「比較化合物(III)」)、化合物(I)は比較化合物(III)と比較して、コロニー形成単位(CFU)がまた減少しており、すなわち、細菌負荷が、前処置およびビヒクルと比較して、化合物(I)対比較化合物(III)での処置によって減少したことが分かる。図4aから、研究の終了時(最初の感染から96時間後)、化合物(I)によって、尿中の細菌負荷が検出限界(LOD)未満に減少し、ビヒクルと比較して6.59log減少したことが分かる。対照的に、比較化合物(III)は、ビヒクルと比較して3.36logの減少のみを示した。したがって、化合物(I)は、尿中のCFUの減少において比較化合物(III)よりも3log有効であり、したがって、大腸菌(Escherichia coli)による尿路感染(UTI)の処置を促進する。図4bから、研究の終了時(最初の感染から96時間後)、ビヒクルと比較して、化合物(I)によって、膀胱内の細菌負荷が5.67log減少したことが分かる。比較すると、比較化合物(III)は、ビヒクルと比較して3.71logの減少のみを示した。したがって、化合物(I)は、膀胱内のCFUの減少において比較化合物(III)よりも3log有効であり、したがって、大腸菌(Escherichia coli)による尿路感染(UTI)の処置を促進する。図4cから、研究の終了時(最初の感染から96時間後)、ビヒクルと比較して、化合物(I)によって、腎臓における細菌負荷が4.73log減少したことが分かる。
【0417】
化合物(I)を、腸内細菌目のグラム陰性菌による呼吸器感染、および腸内細菌目のグラム陰性菌による尿路感染の処置のためのマウスモデルにおける概念実証研究においてさらに評価した。結果を、図5および6a~cに示す。点、三角形、または四角形のインジケーターそれぞれは、1匹のマウスを表す。LODは、細菌の検出限界を指す。静止(Stasis)は、処置前の対象における細菌のレベル(コロニー形成単位(CFU))を示す。概念実証研究のそれぞれは、別々に実行した。ビヒクルは、薬学的に許容される賦形剤または担体を意味する。
【0418】
腸内細菌目のグラム陰性菌によって引き起こされる、または悪化する呼吸器感染の処置に関するさらなる概念実証研究のため、雄型CD-1マウスに、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)ATCC 43816を感染させた。
【0419】
感染の2時間後(図5の「前処理」)、マウスを、化合物(I)を含有しないビヒクル対照(リン酸緩衝液)、または20mg/kgの用量の化合物(I)を1時間(QD)静脈内注入により投与して、化合物(I)を含有するビヒクル(リン酸緩衝液)のいずれかで処置した。化合物(I)を含有しないビヒクル対照を受けたマウス、および化合物(I)を含有するビヒクルを受けた一部のマウスについては、第1の投与開始時間の3時間後に、追加の1時間持続静脈内注入(BID、3時間間隔)を投与した。
【0420】
図5から、研究の終了時(最初の感染から26時間:図5の「化合物(I)QD」および「化合物(I)BID」)、化合物(I)はコロニー形成単位(CFU)が減少しており、すなわち、前処置およびビヒクル(図5の「ビヒクルBID」)と比較して、化合物(I)での処置によって、細菌負荷が減少したことが分かる。これは、化合物(I)を2回(BID、3時間間隔)投与した場合に特に見られた(処置前およびビヒクルの両方と比較してP値<0.0001)。化合物(I)を1回投与した場合(QD)のP値は、処置前と比較して0.0042、ビヒクルと比較して<0.0001であった。図5から、研究の終了時(最初の感染から26時間)、化合物(I)は、肺内の細菌負荷を、ビヒクルと比較して4.35および5.20log減少させ(それぞれ1回(QD)および2回(BID、3時間間隔)投与)、処置前(静止レベル)と比較して、(それぞれ1回(QD)および2回(BID、3時間間隔)投与の場合)0.95および1.80log減少させたことが分かる。したがって、化合物(I)は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumonia)、特に多剤耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumonia)による呼吸器感染の処置において有効である。
【0421】
腸内細菌目細菌による尿路感染の処置に関するさらなる概念実証研究のため、雌型C3H/HeNマウスに、大腸菌(E. coli)UTI89を感染させた。
【0422】
感染の24時間後(図6a~cの「前処理」)、マウスを、化合物(I)を含有しないビヒクル対照(20%ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン)、または20mg/kgの用量の化合物(I)を1時間(QD)静脈内注入により投与して、化合物(I)を含有するビヒクル(20%ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン)のいずれかで処置した。化合物(I)を含有するビヒクルを受けた一部のマウスについては、第1の投与開始時間の5時間後に、追加の1時間持続静脈内注入(BID、5時間間隔)を投与した。1日1または2回の投与を3日間継続した。QDの場合、投与は、感染後24~25時間、48~49時間、および72~73時間の間に行われ、BIDの場合、投与は、感染後24~25時間、29~30時間、48~49時間、53~54時間、72~73時間、および77~78時間の間に行われた。
【0423】
尿路感染は、膀胱および腎臓に影響を与えることがあるため、尿、膀胱および腎臓のそれぞれにおける細菌負荷を評価した(それぞれ図6a~c)。図6a、6b、および6cから、研究の終了時(最初の感染から96時間:図6a、6b、および6cの「化合物(I)QD」および「化合物(I)BID」)、化合物(I)はコロニー形成単位(CFU)が有意に減少しており、すなわち、前処置およびビヒクルと比較して、化合物(I)での処置によって、細菌負荷が有意に減少したことが分かる。これは、化合物(I)を1日2回(BID、5時間間隔)投与した場合に特に見られた。図6aから、研究の終了時(最初の感染から96時間後)、QDおよびBIDの両方の毎日の投与では、化合物(I)によって、尿中の細菌負荷が検出限界(LOD)未満に減少し、ビヒクルと比較して、(それぞれ1日1回(QD)および2回(BID、5時間間隔)投与の場合)4.86および5.87log減少したことが分かる。化合物(I)のP値は、1回投与(QD)または2回投与(BID、5時間間隔)にかかわらず、ビヒクルと比較して<0.0001であった。したがって、化合物(I)は、尿中のCFUの減少において有効であり、したがって、大腸菌(Escherichia coli)による尿路感染(UTI)の処置を促進する。図6bから、研究の終了時(最初の感染から96時間後)、QDおよびBIDの両方の毎日の投与では、化合物(I)によって、膀胱内の細菌負荷が検出限界(LOD)未満に減少し、ビヒクルと比較して、(それぞれ1日1回(QD)および2回(BID、5時間間隔)投与の場合)5.01および5.84log減少したことが分かる。ビヒクルと比較して、1日1回投与(QD)のP値は0.001であり、1日2回投与(BID、5時間間隔)では0.0002であった。したがって、化合物(I)は、膀胱内のCFUの減少において有効であり、したがって、大腸菌(Escherichia coli)による尿路感染(UTI)の処置を促進する。図6cから、研究の終了時(最初の感染から96時間後)、BIDの投与では、化合物(I)によって、腎臓における細菌負荷が検出限界(LOD)未満に減少し、ビヒクルと比較して、(それぞれ1日1回(QD)および2回(BID、5時間間隔)投与の場合)3.17および4.3log減少したことが分かる。ビヒクルと比較して、1日1回投与(QD)のP値は0.0007であり、1日2回投与(BID、5時間間隔)では<0.0001であった。したがって、化合物(I)は、腎臓におけるCFUの減少において有効であり、したがって、大腸菌(Escherichia coli)による尿路感染(UTI)の処置を促進する。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
【国際調査報告】