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特表2024-517235漏れのない大動脈アダプターアセンブリを有する血液ポンプ装置及び装置の埋め込み方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】漏れのない大動脈アダプターアセンブリを有する血液ポンプ装置及び装置の埋め込み方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/152 20210101AFI20240412BHJP
   A61M 60/274 20210101ALI20240412BHJP
   A61M 60/427 20210101ALI20240412BHJP
   A61M 60/531 20210101ALI20240412BHJP
   A61M 60/585 20210101ALI20240412BHJP
   A61M 60/837 20210101ALI20240412BHJP
   A61M 60/861 20210101ALI20240412BHJP
【FI】
A61M60/152
A61M60/274
A61M60/427
A61M60/531
A61M60/585
A61M60/837
A61M60/861
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567880
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 US2022051705
(87)【国際公開番号】W WO2023177429
(87)【国際公開日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】17/695,344
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521359346
【氏名又は名称】スリーアール ライフ サイエンシズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】リュー、パンジュ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ‐チエン、リン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD02
4C077EE01
4C077FF04
4C077HH03
4C077HH13
4C077JJ03
4C077JJ13
4C077KK25
4C077PP07
4C077PP14
4C077PP16
4C077PP24
(57)【要約】
漏れのない大動脈アダプターアセンブリを有する血液ポンプ装置であって、T型フローコネクタカテーテルは、カテーテル挿入部、凸ネック部、トラスを含む。カテーテル挿入部と凸ネック部が繋がり、トラスがテーテル挿入部に設けられる。カテーテル挿入部の2つのカテーテル端部が徐々に肉薄となる壁を有し、テーテル端部はインプラント部位の動脈に対してコンプライアンス的なマッチング作用を有し、凸ネック部の近位端は血液ポンプのインレットアダプターに接続される。大動脈アダプターアセンブリには、心室補助装置と人体循環との間の挿入式流動連通を実現するために、クイックコネクター式のカプラと設置方法が備えられている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント式心室補助装置に用いられる大動脈アダプターアセンブリであって、
カテーテル挿入部、凸ネック部、前記テーテル挿入部に設けられるトラスを有するT型フローコネクタを含み、
前記カテーテル挿入部と前記凸ネック部が繋がり、前記カテーテル挿入部と前記凸ネック部は、両者とも血液に接触する滑らかな表面を有し、
前記T型フローコネクタはポリマーエラストマーを有しており、ニッケル-チタン合金材料を有する前記トラスによって補強され、
前記カテーテル挿入部は、前記カテーテル挿入部の2つのカテーテル端部が徐々に肉薄となる壁を有し、前記カテーテル端部の先端と前記トラスの最外境界の間に適切な距離を有し、前記カテーテル端部はインプラント部位の動脈に対してコンプライアンス的なマッチング作用を有し、前記凸ネック部の近位端は血液ポンプのインレットアダプターに接続されるように使用される、
大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記トラスは、前記T型フローコネクタのポリマーエラストマーと共射出し、前記T型フローコネクタの前記カテーテル挿入部の前記壁に嵌め込まれている大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記T型フローコネクタのポリマーエラストマーがシリコーン樹脂材料を有する大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記T型フローコネクタのポリマーエラストマーが注型ポリウレタンである大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項5】
請求項2に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
嵌め込まれた前記トラスの構造的コンプライアンスと前記ポリマーエラストマーの構造的コンプライアンスとはほぼ等しい大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記徐々に肉薄となるカテーテルの端部は鋭利である大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記凸ネック部は、前記血液ポンプのインレットアダプターに合わせるように浅い斜面を有し、
前記凸ネック部の内径は、前記血液ポンプのインレットアダプターの内径よりも僅かに小さい大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記浅い斜面は、前記カテーテル挿入部の中心線に対して傾斜する大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記トラスは複数の波状構造を有する大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記凸ネック部は、ネック部本体と、ネック部本体に設けられる延出部とを含み、前記延出部は前記ネック部本体から突出しており、前記延出部の最大内径は前記ネック部本体の最大内径よりも大きい大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記凸ネック部が前記血液ポンプのインレットアダプターに接合された際、前記延出部は前記インレットアダプターに密着され、前記ネック部本体は前記インレットアダプターのまわりに設けられる大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項12】
請求項10に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
カプラをさらに含み、
前記カプラは、フランジベースと、前記フランジベースに回転可能に取り付けられる一対のロックリングと、前記ロックリングの一つに設けられ、前記ロックリングをロックするためのラッチを含み、前記ロックリングは、内部の凹溝を有し、前記凹溝は制御された圧縮によって前記T型フローコネクタをクランプして、前記T型フローコネクタを密封する大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項13】
請求項12の大動脈アダプターユニットアセンブリであって、
前記各ロックリングはフランジの輪郭を有し、前記フランジの輪郭は、前記ロックリングを該フランジベースの縁に対して同時に接合させることができる大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項14】
請求項12の大動脈アダプターユニットアセンブリアセンブリであって、
前記ラッチはバネ片より作られ、不用意に離脱する心配がないように、前記カプラがロック状態にあることを保証する大動脈アダプターユニットアセンブリアセンブリ。
【請求項15】
請求項12に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記カプラは、前記フランジベースに設けられるヒンジヘッドをさらに含み、前記ロックリングは、前記ヒンジヘッドに前記ヒンジヘッドと前記フランジベースに対して回転可能に枢着される大動脈アダプターユニットアセンブリアセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記ヒンジヘッドは、前記フランジベースの第1側に位置し、前記ラッチは、前記フランジベースの第2側に位置し、前記フランジベースの第1側と第2側とが対向する大動脈アダプターアセンブリ。
【請求項17】
請求項16に記載の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記ラッチは、対向する一方の前記ロックリングに設けられた斜部と互いに係合可能なすり割りを有する大動脈アダプターユニットアセンブリアセンブリ。
【請求項18】
請求項16の大動脈アダプターアセンブリであって、
前記フランジベースが略円形の構造を有し、かつ前記各ロックリングが弧状の構造を有する大動脈アダプターユニットアセンブリアセンブリ。
【請求項19】
埋め込み可能な心室補助装置としての血液ポンプ装置であって、
テーパくちばしを有するインレットアダプターを有する血液ポンプと、
大動脈アダプターアセンブリと、を含み、
前記大動脈アダプターアセンブリは、
カテーテル挿入部と凸ネック部を含み、前記カテーテル挿入部と前記凸ネック部が繋がり、前記カテーテル挿入部と前記凸ネック部は、両者とも血液に接触する滑らかな表面を有するT型フローコネクタと、
前記テーテル挿入部に設けられるトラスと、を含み、
前記T型フローコネクタはポリマーエラストマーを有しており、ニッケル-チタン合金材料を有する前記トラスによって補強され、
前記カテーテル挿入部は、前記カテーテル挿入部の2つのカテーテル端部が徐々に肉薄となる壁を有し、前記カテーテル端部の先端と前記トラスの最外境界の間に適切な距離を有し、前記カテーテル端部はインプラント部位の動脈に対してコンプライアンス的なマッチング作用を有し、前記凸ネック部の近位端は血液ポンプのインレットアダプターに接続され、
前記テーパくちばしは前記凸ネック部の近位端と合わせる、血液ポンプ装置。
【請求項20】
請求項19に記載の血液ポンプ装置であって、
前記インレットアダプターの内径は、前記T型フローコネクタの前記凸ネック部の内径よりも僅かに大きい血液ポンプ装置。
【請求項21】
フローコネクタアセンブリを埋め込む方法であって、
請求項1に記載の大動脈アダプターアセンブリを提供し、
前記T型フローコネクタは、初期形態から圧縮留置型形態まで圧縮でき、
前記T型フローコネクタが圧縮留置型形態に圧接され、圧縮留置型形態の前記T型フローコネクタのサイズが、少なくとも初期形態の前記T型フローコネクタの直径の半分であり、
圧縮留置型の前記T型フローコネクタが、その動脈壁に穿孔された進入孔を有する動脈に挿入され、
圧縮留置型形態のT型フローコネクタを解放して展開させ、解放されたT型フローコネクタはその展開の初期形態まで自己膨張でき、
展開した前記T型フローコネクタを心室補助装置に結合させるフローコネクタアセンブリを埋め込む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心室補助装置(ventricular assist device,VAD)に関し、特に、逆脈動支持原理(principle of counterpulsation support)に基づく左心室補助装置(left ventricular assist device,LVAD)と漏れのない大動脈アダプターアセンブリを有する血液ポンプ装置及び装置の埋め込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械循環支援システム、特に左心室補助装置(left ventricular assist device,LVAD)、末期心不全救急治療の治療基準に発展しつつある。血液ポンプの機械設計によって、LVADシステムは一般的に、連続流ポンプと脈動流ポンプに分けることができる。連続流装置は、軸方向または遠心流羽根車によって推進される回転機械に基づいて構築されている。一方、脈動流装置は変位型血液ポンプを用いて設計されており、通常は隔膜血液嚢を用いて受けて、ポンプへの血液の流入および/またはポンプからの流出をする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
流入/流出するチューブ(挿管)は、LVADシステムを人体循環システムに直列または並列に接続されるための人工流路である。歴史的に見ると、血液ポンプアクチュエータに比べて、流動チューブの設計はあまり注目されていない。意外にも、大量の術後合併症が発見され、流入/流出チューブの故障に関連している。その中で、挿管の定位ミス、閉塞、血栓形成、それによるねじれ流動などの不良事件はポンプ血栓形成と血栓塞栓を引き起こす。ロータリーポンプのインプラントでは、主に流入チューブが心腔に接続され、流出チューブが上行大動脈または下行大動脈に接続されることで流路を確立する。今まで、ほとんどのロータリーポンプのドレインチューブはダクロン移植片(dacron graft)または類似の材料を採用し、例えばフレキシブル織物材料で作られ、動脈との接続は端側吻合縫合法(end-to-sideanastomoticsuturingmethod)を採用している。この端側吻合法は技術に依存しており、下手な縫合や大動脈の流れが正しくないことによる合併症は下流臓器の血栓形成、脳卒中や血栓塞栓、梗塞を引き起こす可能性がある。
【0004】
ロータリーポンプは完全支持(4-10L/min)の心拍出量を提供し、現在終末期心不全に適用されている。病状が軽い患者に対しては、部分支持(2-3L/min)の侵入性が小さいインプラント式LVADを使用することが適切である。部分支持LVADは早期に心不全に介入して治療結果を改善することを目的としている。このような部分支持、侵入性の小さいLVADインプラントの新しい傾向の中で、反拍動血液ポンプはずっと主要な焦点である。心臓の収縮期と拡張期に心筋と主要器官の血液灌流を増加させる効果が証明されているからである。反拍動ポンプは厳格な時間制御基準に従い、心拍数を参考にしなければならない。通常、心室収縮・離脱は拡張末期に始まるが、臓器灌流増強は大動脈弁閉鎖時点(大動脈圧波形上のペーシング・カットアウト)で行われる。実際、提供される治療効果は二つの方面にあり、一つ目は心室収縮を軽減して心筋の酸素消費量を減少させること、二つ目は拡張圧を高めて心筋、脳と主要臓器の灌流を増加させることである。
【0005】
反拍動の支持効果は大動脈内バルーンポンプがバルーンポンプの外周皮下輸送を通じて臨床的に証明された。しかし、下行大動脈の末梢輸送は挿入部位の血管合併症に悩まされることが多く、長期の使用は困難である。心不全治療では、反拍動支持を急性(1週間未満)から長期(数ヶ月から数年)に延長することは高い意義がある。この要求を満たすためには、この長期的な反拍動支持目標を達成するために、新しい手術方法と設備革新が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の反拍動支持は左開胸術によって行われ、その中で装置は胸動脈に接続されている。大動脈傍血行ポンプと呼ばれるこの反拍動発明は、側方ポンプ接続部から下行大動脈壁に形成された進入孔を通して移植された。大動脈内バルーンポンプと対照的に、大動脈傍血液ポンプは血流路を閉塞しないので、反拍運動のタイミングコントロールにもっと柔軟である。動物研究によると、大動脈バルーン反拍動の血行動態学的支持効果は大動脈内バルーンポンプより優れている。しかし、大動脈傍ポンプの支持が長期的な合併症を招くかどうかは不明である。実際、課題は流動挿管を構築し、侵入性の少ない方法で埋め込み、ポンプと接続された動脉との間で長期にわたって安全に流体連通を行うことである。
【0007】
大動脈傍血液ポンプの移植では、血液の流入と吐出を許可するために偽体カテーテルを作成する必要がある。通常、ポンプを急速に充填して左心室の後負荷を効果的に減らし、強い渦流洗浄を発生させてポンプ血栓形成を防止する必要がある。このような急速なポンプ充填は、多くの場合、流動管の曲がりや陥没の原因となる過渡的な低圧を経験します。 そのため、従来のダクロン移植片タイプの挿管は不可能である。織物カテーテルは圧縮力に耐えられず、陥没した移植物がポンプ充填段階で流入を遮断する可能性があるからである。そのほか、急速ポンプ射と充満による高圧と低圧のパルスは縫合部位に出血の問題をもたらし、特に手術吻合がまだ癒合していない急性期である。そのため、大動脉反拍動に関連する特定の流動特性を克服するために、流動チューブを設計することは極めて重要である。
【0008】
大動脈傍血液ポンプ流の血行動態特性は生理的ではない。吸入または噴出接続された血液ポンプの血流は、自然大動脈で通常見られるように、動脈方向では層流ではない。このロール式人工的に発生するポンプ流は高度な乱流と複雑である。ポンプの充液段階では、血流が血液ポンプに急旋回し、旋回角に分流区と再循環区が生じる。ポンプジェットの段階では、血流が加速して下行大動脈に入ります。血流の特徴は、衝撃流が超高圧と剪断応力を持ち、対向する大動脈壁領域にかかることです。この装置が誘導する流動特性には、低速再循環領域と高圧、高剪断衝撃ジェットがあり、これは内皮細胞の侵食、脂質浸潤、平滑筋細胞の増殖を引き起こし、長期的に大動脈壁の狭窄や血栓形成、あるいは高血圧による大動脈解離を引き起こす可能性がある。そのため、長期埋め込み式反拍動装置の設計は、上述の装置が引き起こす病理生理流動現象、それによって生じる血管適応不良及び血栓形成或いは大動脈剥離の不良事件を回避或いは軽減するために、革新的な義手流動挿管が必要である。
【0009】
手術吻合の安全性は大動脈傍反拍ポンプのフローチューブ設計に要求されるもう一つの要求である。逆拍動流に関連する過度の高圧波動を受ける時、伝統的な移植物縫合は挑戦性のある出血合併症に遭遇する可能性がある。高圧と低圧の循環は材料の疲労失効の主な駆動力であり、特にインプラントした大動脈に病変(アテローム性動脈硬化や石灰化)、退化(肉厚が薄くなる)や老化(壁が硬くなる)が生じた場合である。注意すべきは、大動脈壁構造は加える応力条件に適応できることである。移植部位周辺の細胞と組織は手術損傷癒合過程に伴い再建され、設備によって誘導される非生理機械環境によって更に発展する。 短期的な移植が成功したとしても、術後の過程で血管壁の細胞や形態適応不良による長期的な移植失敗がないとは限らない。
【0010】
これまで、人工移植物を動脈側と反対側に接続する実行可能な解決策はすべて縫合方法による柔軟な織物チューブに基づいていた。 器械業界の中で、反拍動大動脈バイパス血液ポンプによる流量と圧力変動レベルに関連する問題を解決できる長期挿管解決案は存在しない。五十数年来、大動脈内バルーンポンプの応用により、臨床ではすでに中短期(数日から一ヶ月程度)のカウンターパルセーション効果を実現した。バルーンのインフレーション/アウトガスを駆動するためのこの典型的なエアエネルギートランスポーテーションは、遠隔の末梢動脈から経皮的に送られる細いカテーテルを使用して実現され、管腔の直径は6-10の範囲内である。このような輸送部位の動脈は大部分が閉塞されており、これは通常、深刻な出血合併症と下流の肢体あるいは腕の虚血を招き、経皮的反拍動による長期の使用を妨げている。大動脈横置きは新しい方法であり、反拍動治療をより長い時間範囲に延長することを目的としている。しかし、長期的な大動脈バルーン反拍動は上記のインプラント問題を解決するために流量通信機を構築する必要がある。このような流動挿管は、病理的血管適応不良を引き起こす心配がなく、折れない、移植しやすい、出血のない、生物互換性のあるものでなければならない。本発明は、挿入型大動脈アダプターを提案することにより、すべての集団的ニーズを満たすことに取り組んでおり、これについては後述する。
【0011】
本発明の実施例は、インプラント式心室補助装置に用いられ、T型フローコネクタを含む漏れのない大動脈アダプターアセンブリを有する血液ポンプ装置であって、T型フローコネクタカテーテルは、挿入部、凸ネック部、トラスを含む。カテーテル挿入部と凸ネック部が繋がり、カテーテル挿入部と凸ネック部は、両者とも血液に接触する滑らかな表面を有する。T型フローコネクタはポリマーエラストマーを有しており、ニッケル-チタン合金材料を有する前記トラスによって補強され、カテーテル挿入部は、その2つのカテーテル端部が徐々に肉薄となる壁を有し、カテーテル端部の先端とトラスの最外境界の間に適切な距離を有し、カテーテル端部はインプラント部位の動脈に対してコンプライアンス的なマッチング作用を有し、凸ネック部の近位端は血液ポンプのインレットアダプターに接続されるように使用される。
【0012】
ある実施例には、前記トラスは、前記T型フローコネクタのポリマーエラストマーと共射出し、前記T型フローコネクタの前記カテーテル挿入部の前記壁に嵌め込まれている。
【0013】
ある実施例には、前記T型フローコネクタのポリマーエラストマーがシリコーン樹脂材料を有する。
【0014】
ある実施例には、前記T型フローコネクタのポリマーエラストマーが注型ポリウレタンである大動脈アダプターアセンブリ。
【0015】
ある実施例には、嵌め込まれた前記トラスの構造的コンプライアンスと前記ポリマーエラストマーの構造的コンプライアンスとはほぼ等しい。
【0016】
ある実施例には、前記徐々に肉薄となるカテーテルの端部は鋭利である。
【0017】
ある実施例には、前記凸ネック部は、前記血液ポンプのインレットアダプターに合わせるように浅い斜面を有し、前記凸ネック部の内径は、前記血液ポンプのインレットアダプターの内径よりも僅かに小さい。
【0018】
ある実施例には、前記浅い斜面は、前記カテーテル挿入部の中心線に対して傾斜する。
【0019】
ある実施例には、前記トラスは複数の波状構造を有する。
【0020】
ある実施例には、前記凸ネック部は、ネック部本体と、ネック部本体に設けられる延出部とを含み、前記延出部は前記ネック部本体から突出しており、前記延出部の最大内径は前記ネック部本体の最大内径よりも大きい。
【0021】
ある実施例には、前記凸ネック部が前記血液ポンプのインレットアダプターに接合された際、前記延出部は前記インレットアダプターに密着され、前記ネック部本体は前記インレットアダプターのまわりに設けられる大動脈アダプターアセンブリ。
【0022】
ある実施例には、カプラをさらに含み、前記カプラは、フランジベースと、前記フランジベースに回転可能に取り付けられる一対のロックリングと、前記ロックリングの一つに設けられ、前記ロックリングをロックするためのラッチを含み、前記ロックリングは、内部の凹溝を有し、前記凹溝は制御された圧縮によって前記T型フローコネクタをクランプして、前記T型フローコネクタを密封する。
【0023】
ある実施例には、前記各ロックリングはフランジの輪郭を有し前記フランジの輪郭は、前記ロックリングを該フランジベースの縁に対して同時に接合することができる。
【0024】
ある実施例には、前記ラッチはバネ片より作られ、不用意に離脱する心配がないように、前記カプラがロック状態にあることを保証する。
【0025】
ある実施例には、前記カプラは、前記フランジベースに設けられるヒンジヘッドをさらに含み、前記ロックリングは、前記ヒンジヘッドに前記ヒンジヘッドと前記フランジベースに対して回転可能に枢着される。
【0026】
ある実施例には、前記ヒンジヘッドは、前記フランジベースの第1側に位置し、前記ラッチは、前記フランジベースの第2側に位置し、前記フランジベースの第1側と第2側とが対向する。
【0027】
ある実施例には、前記ラッチは、対向する一方の前記ロックリングに設けられた斜部と互いに係合可能なすり割りを有する。
【0028】
ある実施例には、前記フランジベースが略円形の構造を有し、かつ前記各ロックリングが弧状の構造を有する。
【0029】
ある実施例には、埋め込み可能な心室補助装置としての血液ポンプ装置であって、テーパくちばしを有するインレットアダプターを有する血液ポンプと、大動脈アダプターアセンブリと、を含み、前記大動脈アダプターアセンブリは、カテーテル挿入部と凸ネック部を含み、前記カテーテル挿入部と前記凸ネック部が繋がり、前記カテーテル挿入部と前記凸ネック部は、両者とも血液に接触する滑らかな表面を有するT型フローコネクタと、前記テーテル挿入部に設けられるトラスと、を含み、前記T型フローコネクタはポリマーエラストマーを有しており、ニッケル-チタン合金材料を有する前記トラスによって補強され、前記カテーテル挿入部は、前記カテーテル挿入部の2つのカテーテル端部が徐々に肉薄となる壁を有し、前記カテーテル端部の先端と前記トラスの最外境界の間に適切な距離を有し、前記カテーテル端部はインプラント部位の動脈に対してコンプライアンス的なマッチング作用を有し、前記凸ネック部の近位端は血液ポンプのインレットアダプターに接続され、前記テーパくちばしは前記凸ネック部の近位端と合わせる。
【0030】
ある実施例には、前記インレットアダプターの内径は、前記T型フローコネクタの前記凸ネック部の内径よりも僅かに大きい。
【0031】
本発明の他の実施例は、フローコネクタアセンブリを埋め込む方法であって、請求項1に記載の大動脈アダプターアセンブリを提供し、前記T型フローコネクタは、初期形態から圧縮留置型形態まで圧縮でき、前記T型フローコネクタが圧縮留置型形態に圧接され、圧縮留置型形態の前記T型フローコネクタのサイズが、少なくとも初期形態の前記T型フローコネクタの直径の半分であり、圧縮留置型の前記T型フローコネクタが、その動脈壁に穿孔された進入孔を有する動脈に挿入され、圧縮留置型形態のT型フローコネクタを解放して展開させ、解放されたT型フローコネクタはその展開の初期形態まで自己膨張でき、展開した前記T型フローコネクタを心室補助装置に結合させるフローコネクタアセンブリを埋め込む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施例に関わる大動脈傍血液ポンプ装置の概略図である。
図2】本発明の第2の実施例に関わる大動脈傍血液ポンプ装置の概略図である。
図3】本発明の実施例3に関わる大動脈傍血液ポンプ装置の概略図である。
図4】本発明の実施の形態4にかかる大動脈傍血液ポンプ装置の概略図である。
図5】本発明の第1及び第2の実施例に関わる人体に装着大動脈傍血液ポンプ装置の概略図である。
図6】本発明の実施例3及び実施例4に関わる人体に装着大動脈傍血液ポンプ装置の概略図である。
図7】本発明の実施の形態にかかる駆動部の第1の概略図である。
図8】本発明の実施の形態に関わる駆動部の第2の概略図である。
図9】本発明の動作に必要な駆動部機能と主要な相互接続信号の概略図である。
図10】本発明の第3実施例の動作に必要な駆動部機能と主要な相互接続信号の模式図である。
図11】本発明の第2実施例の動作に必要な駆動部機能の主な相互接続信号の模式図である。
図12】逆脈動サイクルの支援に関連する電気機械アクチュエータ(EMA(Electro-mechanicalactuator))ピストン位置軌跡とトリガ検出指令が出されるタイミングを描いている。
図13A】本発明の第1または第3実施例に関わる大動脈傍血液ポンプ埋め込みの斜視図である。
図13B】本発明の第1または第3実施例に関わる大動脈傍血液ポンプ埋め込みの断面図である。
図14A】本発明の第2または第4の実施例に関わる大動脈傍血液ポンプ埋め込みの斜視図である。
図14B】本発明の第2または第4の実施例に関わる大動脈傍血液ポンプ埋め込みの断面図である。
図15】本発明の他の実施例の搬送材と血液ポンプのポンプハウジングとの接続であり、搬送材の接続は遠隔ハウジング上の導入物によって行われる。
図16図15に示す血液ポンプの断面図。
図17】遠隔ハウジングに設けられたインレットから近位端ハウジングの感圧室まで電線を延ばすための浅溝設計を示す図である。
図18A】インタフェースアダプターコネクタを使用する血液ポンプの外端と反対側の合致術を動脉に接続することを示している。
図18B】インターフェイスアダプターを介して結合されたt字型血管内コネクタを用いて、挿入型接続方法を介して本発明の血液ポンプを動脉に結合することを示している。
図19】一体の軸対称楕円形血液嚢と嚢、近位端茎と遠隔茎を含む茎アセンブリの回転体の断面図を示す。
図20】軸対称楕円形血液嚢と茎アセンブリを構成する部材を示す分解図(注、図3に示す近位端と遠隔茎に結合統合される前に、嚢は元の形状にある)。
図21図19に示す血液嚢の噴射終了時の屈曲三葉嚢の構造を示している。
図22】血液ポンプの近位端ハウジングに導入部材を介して接続された搬送材の斜視図を示す
図23A図22の断面A-Aに沿う血液ポンプと搬送材の末端側の断面図を示す。
図23B図22の断面A-Aに沿った搬送材の基端部の断面図を示す。
図24】第1実施例に対応する近位端ハウジングに取り付けられた排気口の断面図を示す。
図25A】第1実施例の近位端ハウジング内の感圧室と導入部材の断面図を示す。 (注、搬送体は取り付けられておらず、導入体は第1の部分と、基端ハウジングの延出部分と、第1の部分に連動する第2の部分とを含む。)
図25B図25Aに組み込まれたMEMS圧力センサの斜視図を示す。
図26】本発明の多層搬送体の断面図を示しており、空気輸送用の内管、電気信号伝達用の中間管、コイル、テザー、外管を含む。
図27】搬送材の多室搬送材の設計案を示す断面図である。
図28A】ポンプ充填段階の流動特性の典型的な図を示す。
図28B】ポンプ吐出段階の流動特性を模式的に示す図である。
図29】本実施例のT型フローコネクタの斜視図である。
図30】本実施例のT型フローコネクタの断面図である。
図31】インサートされたニッケルチタン合金製の金属ステントの展開平面図である。
図32】ニッケル-チタン合金製の金属ステントとT型フローコネクタを測定するための挿入カテーテルの横剛性(lateral stiffness、LS)を定義。
図33】カプラ内及びその部品の分解模式図である。
図34A】開放状態(配置)にあるカプラの模式図である。
図34B】ロック状態(コンフィギュレーション)にあるカプラの模式図である。
図35】大動脈アダプターと大動脈傍血液ポンプとをカップリングで接続する断面模式図である。
図36A】ドッキング方法によって生じる段差の不連続性を示す模式図である。
図36B】ドッキング方法によって生じる隙間不連続性を示す模式図である。
図37】大動脈バイパスポンプの遠隔地に取り付けるインレットアダプターの模式図である。
図38】前記インレットアダプターの断面図である。
図39】T型フローコネクタの首部の斜め(斜面)表面に接続するインレットアダプターの下向きテーパくちばしを示している。
図40】結束紐によって巻く配置された圧着フローコネクタの概略図(巻き包形態)である。
図41A】大動脈壁に形成された進入孔に挿通されたインサートフローコネクタを示す。
図41B】大動脈内腔に完全に挿入されたコイル状のフローコネクタを示す。
図41C】再配置された圧縮形式のフローコネクタを示し、そのT型ネック部は大動脈進入孔に面している。
図41D】拡張された、展開形式のフローコネクタを示し、そのT型ネック部は紐が解放された後、大動脈進入孔から飛び出して展開する。
図42】大動脈アダプターを目的の大動脈セグメントに埋め込みすること、および血液ポンプとの接続の各ステップの説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明に関わる大動脈傍血液ポンプ装置を実現するための4つの実施例を提供し、以下の通りである。
【0034】
図1を参照する。本発明の第1実施例に関わる大動脈傍血液ポンプ装置の概略図であり、大動脈傍血液ポンプ装置10は、血液ポンプ12と、大動脈アダプター14と、駆動カテーテル16と、駆動部18とを備えている。血液ポンプ12は、ポンプハウジングと圧力センサとをさらに備える。ポンプハウジングの内部は二つのチャンバで構成されており、一つは血液を貯蔵するためのもので、もう一つは駆動空気を受けるためのものである。この2つのチャンバーは卵形のフレキシブルフィルムで仕切られており、この膜体はポンプハウジングに接続された一対の応力除去ポート(a pair of stress-relief stems)によって吊り下げ固定されている。圧力センサは、血液ポンプ12のポンプハウジング内に取り付けられ、この血液ポンプ12内の血圧を監視して電子血圧信号を発生させる。この大動脈アダプター14は、この血液ポンプ12と人体大動脈とに結合する無弁(valveless)、T型カテーテル(T-manifold shaped conduit)形状のフローマニホールドである。第1実施例では、この大動脈アダプター14と血液ポンプ12とが一体成形され、シームレスな血液接触表面を有し、大動脈アダプター14を介して血液ポンプ12と人体大動脈とが接続されている。この大動脈アダプター14は可撓性のある材料で形成されており、大動脈壁に形成された円孔を挿入して移送する際に変形することができる。この大動脈アダプター14は、大動脈を挿入した後、自ら膨張展開することができ、超密着(oversize fitting)からアダプター壁面に加わる大動脈腔の径方向の圧縮接触力に十分な強度を有する。この駆動カテーテル16は、血液ポンプ12のハウジングに接続され、血液ポンプ12に気圧パルスを供給し、圧力センサから受信した血圧信号を伝送する。この駆動部18は、送信された電子血圧信号を受信するように、駆動カテーテル16に連結されており、この駆動部18は、電子血圧信号に基づいて気圧パルスを生成する電気機械アクチュエータを含み、駆動カテーテル16を介して血液ポンプ12に送られる。装着可能なこのアクチュエータ18は、心拍リズムと連動した気圧パルス制御則を提供し、埋め込みされた血液ポンプ12の血液の射出と充填(eject and fill)を駆動して作動する。
【0035】
前述の駆動部18は電池給電システム11とバックアップ電池給電システム(後続の図2図4および図8の電池給電システム21、31、41と同一または同様)を含み、そのうち、バックアップ電池給電システムは駆動部18の継続的な電源供給を保証する。患者が移動する必要がない場合は、便宜的にACアダプターを介してこの駆動部18に電力を供給することもできる。また、本装置には、臨床モニター(clinical monitor)があり、図2~4に示す。駆動部18に接続され、患者データの初回起動設定や特定の治療操作モード設定の最適化のために、装置の監視や診断メッセージを表示し、駆動部パラメータへのアクセスするためのユーザインタフェースを臨床医に提供することができる。
【0036】
図1図2は、同じ駆動カテーテル16、26と駆動部18、28に系統的に結合された2種類の異なる血液ポンプ12、22の設計を示している。図2は、本発明の第2実施例に関わる大動脈傍血液ポンプ装置20の概略図であり、第2実施例が本発明の第1実施例と異なるのは、第2実施例に関わる大動脈傍血液ポンプ装置20が、カプラ(coupler)25、あるいはカップリングアダプター(coupling adapter)をさらに備えている点である。第2実施例の血液ポンプ22と大動脈アダプター24とは一体成形されておらず、着脱可能であり、血液ポンプ22を大動脈アダプター24に結合されるためのカプラ25が設けられている。カプラは、接続インタフェースの不連続性を最小限に抑えるように慎重に設計する必要がある。装置の埋め込み中、大動脈アダプター24はまず大動脈壁に切り欠かれた留置孔を通って大動脈の中に送り込まれる。本装置は、専用に開発された埋め込み工具を用いて、大動脈アダプター24のT型ネック部周囲にカプラ25を装着し、血液ポンプ22をカプラ25に接続できるようにすることができる。血液ポンプ22を胸腔に入れた後、カプラ25を介して血液ポンプ22と大動脈アダプター24を強固にロックし、一体化する。このような着脱可能な血液ポンプ22と大動脈アダプター24のデザインは、埋め込み手術上と手術後の利点がある。装置の埋め込み中、取り外し可能な血液ポンプの設計により、大動脈アダプターの埋め込みがより容易になる。手術領域がよりはっきりして、ポンプ体の干渉を受けないからである。また、埋め込み手術後、圧力センサーに故障が発生したり、血液嚢が破裂したりして緊急手術交換が必要な場合は、血液ポンプを取り外して交換することができる。この点で、第二実施例の着脱式血液ポンプ設計は有利である。大動脈アダプターは取り出すことなく大動脈の中に残すことができ、大動脈アダプターの除去に関わる面倒及び危険な再手術(redo surgery)を避けることができる。
【0037】
図1及び図3を参照する。本発明の第1実施例及び第3実施例の大動脈傍血液ポンプ装置10、30の模式図である。第3実施例が本発明の第1実施例と異なる点は、第1実施例の駆動カテーテル16が、第3実施例の駆動カテーテル36の遠位側駆動カテーテル37、駆動カテーテルインターコネクタ33、近位側駆動カテーテル39に置き換える点である。遠位側駆動カテーテル37は、圧力センサから取得した電子血圧信号と駆動部38から送信された気圧パルスとを伝送するように、駆動カテーテルインターコネクタ33に接続される。また、駆動カテーテルインターコネクタ33に内蔵されている駆動カテーテルコントローラとバイブレータ(アラーム警告目的)は、もともと第1実施例の駆動部18に内蔵されているため、第1実施例の駆動部18は、駆動カテーテルコントローラとバイブレータが追加されている(第3実施例の駆動部38と比較する)。駆動カテーテルコントローラは電子血圧信号を処理するために使用され、バイブレータは音声警報や触覚フィードバックを提供するために使用される。つまり、第1実施例での駆動カテーテル16と駆動部18によって実現された血液ポンプの機械的動力伝達、及びアナログ/デジタル信号変換と警報通知は、第3実施例での遠位側駆動カテーテル37、駆動カテーテルインターコネクタ33、近位側駆動カテーテル39によって実現されるものと基本的に同じである。
【0038】
第1実施例は、より簡潔な駆動カテーテルの配置設計があり、また、電子信号処理装置を駆動部内に設置したため、駆動カテーテルインターコネクタ33に関連する圧力信号測定上の環境汚染(水や湿気の凝縮)と継手での空気漏れのリスクを最小限に抑えることができる。しかし、このような長尺タイプの駆動カテーテルは、日常の活動中に異物と接触することによる摩耗、キンク、切り傷などの接触損傷を受けやすい。第1または第2実施例の駆動カテーテル16に重大な損傷があった場合、電子的にも機構的にも、手術による血液ポンプの交換が必要になる可能性がある。手術をやり直すリスクと関連する医療費を考えると、これは非常に起こりたくない。第3または第4実施例は、中間コネクタ(駆動カテーテルインターコネクタ)を採用することにより、このような駆動カテーテルの破損に関連する血液ポンプ交換の欠点を軽減する。一般的に、遠位側駆動カテーテル37は体外に露出する長さが短く、駆動カテーテルインターコネクタ33を介して皮膚ドレッシングや患者のベスト着用のカバーがよりよく保護される。駆動カテーテルが大きく破損して修復できない極端な場合、最も破損する可能性の高い近位側駆動カテーテル39は手術に頼ることなく容易に交換できる。また、第3または第4実施例は、駆動カテーテルインターコネクタ33の回路内でアナログ-デジタル信号変換が既に完了していたため、電磁干渉の影響を受けない。第3または第4実施例では、近位側駆動カテーテル39内のデジタル信号伝送が電磁干渉に対して敏感ではないため、圧力信号の忠実度をより良好に確保することができる。
【0039】
図3図4を参照する。それぞれ本発明の第3及び第4実施例に関わる大動脈傍血液ポンプ装置30、40の模式図である。第3実施例が第4実施例と異なる点は、第3実施例の大動脈アダプター34と血液ポンプ32とが一体成形されていることであるが、第4実施例の血液ポンプ42と大動脈アダプター44は取り外し可能である。第4実施例は、第2実施例の血液ポンプ22、大動脈アダプター24、およびカプラ25をさらに含む。実施例で同じ血液ポンプ42、大動脈アダプター44、カップリング45については、ここでは重複説明を省略する。駆動カテーテル46に含まれる遠位側駆動カテーテル47、駆動カテーテルインターコネクタ43及び近位側駆動カテーテル49は、駆動カテーテル36の遠位側駆動カテーテル37、駆動カテーテルインターコネクタ33及び近位側駆動カテーテル39と同様である。
【0040】
図5を参照する。本発明の例示的な実施例による人体に装着された大動脈傍血液ポンプ装置の概略図である。大動脈傍血液ポンプ装置90は、血液ポンプ92と、大動脈アダプター94と、駆動カテーテル体内セグメント991と、駆動カテーテル体外セグメント993と、駆動部98とを備える。他の実施例では、大動脈傍血液ポンプ装置はカプラをさらに備える。大動脈傍血液ポンプ装置90の人体に埋め込まれた部分は、血液ポンプ92、大動脈アダプター94、駆動カテーテル体内セグメント991を含む。他の実施例では、大動脈傍血液ポンプはカプラをさらに含む。外科手術では、大動脈アダプター94は大動脈95に装着され、人体表皮の適切な位置に駆動カテーテルの出口部位(exit site)EXを作り出す。大動脈傍血液ポンプ装置90の体外セグメント分は駆動カテーテル体外セグメント993と駆動部98を含む。出口部位EXを境にして、駆動カテーテルの体内セグメント991のあるセグメントが織物ベルベット(fabric velour)で覆われ、皮下組織の内側への成長(tissue ingrowth)を促して感染コントロールを達成するために用いられる。埋め込んだベルベット部分は出口部位EXから皮下2~5センチ離れたところに置くのが最適である。駆動部98はウェアラブルまたはポータブルデバイスである。
【0041】
図6を参照する。本発明の例示的な実施例による人体に装着された大動脉傍血液ポンプ装置の概略図である。大動脈傍血液ポンプ装置90は、血液ポンプ92と、大動脈アダプター94と、遠位側駆動カテーテル97(駆動カテーテル体内セグメント971と、人体外の駆動カテーテル体外セグメント973を含む)と、駆動カテーテルインターコネクタ93と、近位側駆動カテーテル99と、駆動部98とを備える。他の実施例では、大動脈傍血液ポンプ装置90はカプラをさらに備える。大動脈傍血液ポンプ装置90の人体に埋め込まれた部分は、血液ポンプ92、大動脈アダプター94、駆動カテーテル体内セグメント971を含む。他の実施例では、大動脈傍血液ポンプ装置はカプラをさらに含む。外科手術では、大動脈アダプター94は大動脈95内に装着され、人体表皮の適切な位置に駆動カテーテルの出口部位EXを作り出す。人体外に位置する大動脈傍血液ポンプ装置90の部分は、駆動カテーテル体外セグメント973、駆動カテーテルインターコネクタ93、近位側駆動カテーテル99、駆動部98を含む。出口部位EXは駆動カテーテルの境界であり、遠位側駆動カテーテルは、感染制御のためのベルベットで覆われている駆動カテーテル体内セグメント971と、駆動カテーテル体外セグメント973に分けられる。駆動部98はウェアラブルまたはポータブルデバイスである。
【0042】
以下では、埋め込みのサブシステムについて詳しく説明する。
【0043】
埋め込みは低侵襲小切開手術(less invasive surgical(LIS))技術を用いて左開胸手術により比較的小さな胸腔開口を介して実現される。例えば、大動脈アダプターと血液ポンプの埋め込みを許可するために、第7肋骨の隙間に胸部切開を主な開口として行う。第6と第8肋骨の間に他の2つの小さな切開を行い、近位部と遠隔の大動脈クランプを導入する。大動脈クランプ間の部位は、大動脈アダプターが大動脈壁に開いた穴から埋め込むことができるようにする。大動脈アダプターは柔軟性があり、埋め込む前にカールされて小さいデリバリー形状に縮小することができる。大動脈への埋め込みが完了すると、大動脈アダプターは自動的に弾かれて元の形状に戻り、予定のインプラント部位位の管腔との超密着性を有する。そのため、大動脈アダプターの材料は重要であり、柔軟であるべきであるが、埋め込んだ大動脈アダプターの管壁を円形のままにして、管壁の座屈を起こさないようにするには十分な径方向の強度がある。大動脈アダプターの材料の候補としては、シリカゲル(silicone)やポリウレタン(polyurethane)弾性高分子材料(elastomer)を選択したり、強化されたポリマー構造や金属材料を埋め込んで構造強度を強化したりすることができる。
【0044】
以下、上記実施例における各大動脈アダプターとその機能要件についてさらに説明する。
【0045】
血液動力学的には、大動脈アダプターは血液ポンプと人体の体循環との間に血液の流れをつなぐ役割を提供している。この作用に加えて、大動脈アダプターは、血液ポンプを大動脈アダプターに固定する機構ベースとしても使用できる。大動脈アダプターの構造は弾力性があるが、耐座屈(anti-buckling)であり、かつ内部血圧と外部接触力に耐えるのに十分な強度が必要であり、これらの接触力は血液ポンプが周囲の肺組織と接触したり、呼吸と胸部の横隔膜運動によって発生する。
【0046】
大動脈アダプター54は大動脈内に埋め込まれ、その2つのカテーテル端部(カテーテル端部545、カテーテル端部645)と大動脈腔との境界は、血流中に宿主/インプラント境界)host/graft interface)を形成する(図13B図14B参照)。宿主/インプラント境界の不連続性を形態的かつ弾性的に最小化するために、2つのカテーテル端部(カテーテル端部545、カテーテル端部645)は、徐開(flared)の内面輪郭と連続的に漸減する肉厚分布を有するように配置される。このカテーテル端部の設計は境界での段差を最小化し、接続時に必要なコンプライアンスマッチング効果(compliance matching)を大動脈アダプターの設計に組み込む。そのため、境界での血栓形成の可能性を大幅に減らすことができる。境界凝血塊の凝集(clot aggregation)の速度は人体大動脈内皮から提供される自然血栓溶解(thrombolysis)の速度より遅くなるからである。また、徐々に薄くなったカテーテル壁構造は、カテーテル端部(カテーテル端部545、カテーテル端部645)をより柔らかくし(適合)、脈圧に応じてカテーテル末端が膨張・収縮し、血球細胞が通常血栓形成源である境界の隙間に引っかからないように動的密封効果を構成する。
【0047】
以下、上記各実施例の駆動部についてさらに説明する。
【0048】
図7図8は駆動部78の右側と左側の透視図である。このコンパクトな駆動部78の内部モジュールには、電気機械アクチュエータ(EMA)、電子コントローラ、一対のメイン電池、バックアップ電池が含まれている。駆動部78はまた、図7図8に示すように、ユーザーインターフェースパネル73、電池ハッチ71、駆動カテーテルソケット75、外部電源ソケット77、および一対の通気口79を備える。
【0049】
駆動部78のユーザーインターフェースパネル73には、操作中の重要なメッセージと、デバイスの故障と大動脈圧の状況に関する警告が表示されている。メイン電池の残量が不足した場合は、電池ハッチ71によってメイン電池を交換することができる。患者がベッドに寝ていて、壁に取り付けられたコンセントからの電力を長期にわたって使用できる場合、ケーブルを使って外部電源ソケット77の接続を通じてドライブ78に電力を供給する。駆動カテーテルソケット75を介してドライブ78には、近位側駆動カテーテル99、駆動カテーテル体外セグメント993の一端が接続され、駆動カテーテルソケット75を介して電圧センサ信号と気圧パルスとが接続されている。駆動部78の反対側には、冷却目的のために駆動部78の内部を外気が通過できるように、一対の通気口79が取り付けられている。
【0050】
駆動部78は外部で臨床モニター(clinical monitor)に結合され、臨床コントローラーがリアルタイムの臨床波形データを収集して表示し、患者データを長期の状態監視と診断のために保存することができる。また、臨床モニターユニットは、臨床医患者用のユーザーインターフェースを提供でき、装置の監視/診断情報を表示して、駆動部パラメータの設定に使用して、初めて駆動部78を起動して、患者固有の個人循環補助動作モードを最適化設定することができる。
【0051】
本案の実施例では、EMAはエアアクチュエータであり、ブラシレスサーボモーターとボールネジユニット、およびピストン・シリンダーアセンブリを含む。空気は駆動媒体として、血液ポンプを往復動させて射出及び血液ポンプ充填の機能を達成するために用いられる。
【0052】
エアアクチュエータ装置は駆動部内にあり、本装置の治療を受ける人が携帯する。電気機械アクチュエータはブラシレスサーボモーター、ピストンとシリンダーアセンブリ、ボールネジユニットを含む。ボールねじユニットにはボールねじ柱とボールナットが含まれている。ピストンはボールねじ柱の末端に固定され、ナットの回転によってねじ柱を直線的に往復運動させる。サーボモーターは回転子と静子を含み、回転子とボールナットは一体化されている。モーターの電磁誘導作用を介して、ローターが回転し、時計回りと反時計回りの方向変化を経てスクリューポストとピストンのシリンダー内での直線往復ストローク運動(stroke motion)を達成する。ピストンストロークは、駆動シリンダー内の空気を駆動リード線を介して血液ポンプに送り、血液嚢の出血と充血動作を完了させる。
【0053】
空気を媒体として血液ポンプを駆動することは二つの問題に直面し、一つはガス漏れの問題であり、もう一つは血液が血液嚢壁に浸透することによる水分の凝縮の問題である。前者は血液ポンプの血液注入と充血の性能とモーターの消費電力を傷つけ、後者は駆動コード内部で細菌が湿気で発生する可能性のあるリスクを引き起こす。この二つの問題を解決するために、本心室補助装置のエアアクチュエータは特に圧力バランスバルブ装置をシリンダ壁に取り付けた。このバルブにより、シリンダー内の空気と大気が相互に連通して形成された空気の質量が気圧平衡過程で相互に流通することができる。エアアクチュエータには、コントローラがピストンの位置情報を取得し、コントローラからピストン駆動指令を出してピストンの往復運動を駆動し、圧力バランスバルブを操作するための位置と光学センサが設置されている。そのため、圧力バランスバルブの開くタイミングと頻度をプログラムしてコントローラに保存することができる。この圧力バランスバルブの作動によって、シリンダー内の空気が外気と交換され、補気と乾燥気体の機能を達成し、さらに本心室補助装置の操作上の安全と性能を確保する。
【0054】
図9を参照する。本発明の実施例に関わる大動脈傍血液ポンプ装置は3つの部分に分けられる。 第1部分は主に人体内部、つまり埋め込みに取り付けられ、その外端は第2部分と通じている。1つ目の部分は、それぞれ人体に埋め込まれた血液ポンプ(血液ポンプ圧力センサを含む)、大動脈アダプター、および遠位側駆動カテーテルセグメントを含む。第2の部分は人体の外部に取り付けられ、近位側駆動カテーテルと駆動カテーテル電子モジュール(または駆動カテーテルインターコネクタとも呼ばれる)を含む。3番目の部分は人体の外部に取り付けられ、EMA(electromechanicalactuator)コントローラ回路、メイン電池、バックアップ電池を含む駆動部である。
【0055】
血液ポンプ圧力センサーは近位端血液ポンプハウジングに内蔵され、センサーメディア(sensing medium)で満たされた小型の圧力センサー室に浸漬され、血液ポンプ圧力を連続的にモニタリングすることができる。遠隔駆動カテーテルはポンプハウジングに接続され、逆脈動の気圧パルスを供給して、動射出と血液嚢充填を行う。遠位側と近位側の駆動カテーテルは、アクチュエータ内部のEMAで発生する空気圧駆動気圧パルスを血液ポンプに供給する。血圧計の圧力センサーで発生した電子血圧信号を駆動部に送信する。駆動エア回路(破線矢印で示す)と通信信号経路(実線で示す)は、インタラクティブ作動モジュール間の機能関係を説明するために図9に示す。大動脈アダプターの詳細はすでに述べた。 コントローラ回路は、ブラシレスモーターを駆動するモーターコントローラユニットと、中央処理装置としてのマイクロコントローラユニットとを備え、受信した圧力信号を処理し、ピストンが働くようにモーターコントローラの制御指令を生成することができる。
【0056】
図10図11を参照すると、駆動部内部の機能と血液ポンプの起動に必要な重要な相互接続信号の概略ブロック図が示されている。本発明が提案する実施例についてさらに説明すると、図10図11に示すようになる。図10図11を参照する。外部駆動部と埋め込みとの間の駆動関係を説明するためには、前述の血液ポンプ、駆動カテーテル、遠位側駆動カテーテル、近位側駆動カテーテル、大動脈アダプターと駆動カテーテルインターコネクタの内容を参照する必要がある。
【0057】
駆動部は、血液ポンプの圧力信号(電気信号)を受信し、トリガー検出アルゴリズム(trigger detection algorithm)を使用してこの信号を処理し、心拍数と協働してモーターアクチュエータを作動させるように指令するトリガー信号を生成する。指定されたトリガ時間を受信した後、マイクロコントローラユニットはモーターコントローラ(ユニット)にコマンドを送信してピストンを駆動し、射出から充填まで、または充填から射出までの過程で、逆脈動サイクル支持を提供する。
【0058】
電子コントローラのアーキテクチャは、マイクロコントローラユニット(micro controller unit,MCU)、モーターコントローラブロック(またはモーターコントローラユニット)、電源管理ユニットの3つの機能ブロックで構成される。次の表に、駆動部78の各機能ブロックの概要を示す。
【0059】
図10、11において、先に明らかにされた例示的な実施例について、信号収集、送信、処理、および制御ロジックと命令の生成と、血液ポンプを駆動するために気圧パルスを生成するために電気機械アクチュエータがどのように作動するかを説明する。
【0060】
図12は、逆拍動アシストに関連する電気機械アクチュエータのピストン位置のトリガ検出指令を示している。図12では、補助なしの大動脈圧(aortic pressure、AoP)波形を点線で示し、実線は補助での大動脈圧波形を示している。駆動部が自動運転モードで運転している場合、駆動部の操作が起動され、システムは「充填-射出-充填-射出…」サイクル補助を実行する。これは通常の同期逆拍動補助操作を表す。MCUは血液ポンプ圧力(blood pump pressure、BPP)信号(電気信号)をモニタリングし、左心室拡張末期(LVED)のタイミングを検出する。LVEDタイミングを検出すると、MCUはF_Trig信号を生成する。連続する2つのF_Trig信号間の時間間隔は、瞬時心拍周期間隔(または周期)を表す。前に進む数サイクルの間隔から計算した推定心拍数に基づいて、MCUは血液ポンプの射出時間、すなわちE_Trig信号を確定する。E_Trig信号は、モーターコントローラユニットが所定の位置、速度、加速度曲線に基づいて電気機械アクチュエータを駆動するように指示するタイミングを提供する。射出ストロークが完了し、最適な滞在時間が経過すると、F_Trig信号が出るまで、電気機械アクチュエータはゆっくりとした充填速度でプリ充填動作を実行するように命令される。F_Trig信号を受けた後、電気機械アクチュエータは指定されたピストン速度で残りの充填ストロークを実行し始める。
【0061】
MCUが血液ポンプから送られてきたBPP信号(電気信号)を失った場合、MCUは自動的に洗浄モードを起動して電気機械アクチュエータを駆動し、所定の補助周波数と駆動部の体積ペーシング量で運転する。洗浄モードは、同期逆拍動循環支持を提供することなく、血液嚢内の血栓形成を防止するための設備保護モードである。
【0062】
本発明の大動脈傍血液ポンプ装置は、原則として、非閉塞性大動脈留置の特徴から、大動脈内バルーンポンプ(intra-aortic balloon pump、IABP)より優れた逆拍動支持効果を有する。 寝たきりまたは歩行可能なIABP患者が病院に滞在しなければならないのとは異なり、本大動脈傍血液ポンプ装置は患者が病院を離れ、自宅でより良い生活を送ることができる。したがって、本発明の大動脈傍血液ポンプ装置は、短い入院時間から経済的利益を得ることができるほか、患者の疾病状況や生活の質をさらに改善することができる。
【0063】
近年、LVADの使用傾向が飽和しているのは、主にその応用が少数の終末期心不全患者群にしか適用されていないためである。早期介入LVAD治療を病状の軽い心不全患者に応用することは長い間心臓医学の臨床目標である。早期介入治療ができれば、これはLVAD治療の拡大使用に重大な影響を与え、将来の心臓医学の進歩に影響を与えると予想される。臨床的な証拠によると、中等度から重度の心不全段階でLVAD支持を与えると、一部の非虚血性心筋症患者に対して、心筋細胞の逆転再構成(reverse remodeling)によって心臓機能が向上したり、持続的な心筋回復(myocardial recovery)が生じたりすることで改善できる。しかし、このような早期介入の意図は、簡単で安全な外科手術と、疾患の進行に伴う有効な適応性循環支持(adaptive circulatory support)治療計画という2つの有利な推進要因に依存しなければならない。連続的なVAD支持は生理的(non-physiologic)ではなく、支持された心臓を正常な健康回復経路から離脱させる。しかし、逆拍動支持は生理的であり、収縮期収縮撤去と拡張期灌流利得を提供することで心筋細胞の逆転再建を促進し、治療目標を達成する。以上のことから、この大動脈傍血液ポンプの発明が提供した治療戦略は心臓医学の早期介入傾向の発展条件に合致することがわかった。大動脈傍血液ポンプ装置が提供した、適応性の部分的支持(adaptive partial-support)、低侵襲手術、逆拍動療法など、治療効果(efficacy)の有益な属性は、本発明を将来の心不全治療の進歩に役立つ潜在的な候補とする。
【0064】
以下、上記各実施例の血液ポンプについてさらに説明する。
【0065】
図13A及び図13Bは、それぞれ本発明の第1及び第3実施例であり、ヒトの体内に装着された大動脈傍血液ポンプ装置の模式図及び断面図を示す。大動脈傍血液ポンプ装置の埋め込みサブシステムは、血液ポンプ52、大動脈アダプター54、および血液ポンプ52に接続された駆動カテーテル(または遠位側駆動カテーテル)57を含む。血液ポンプ52は、剛性または半剛性ハウジング52hと血液嚢529とを含み、その近位端は閉じられ、遠隔は開かれ、大動脈アダプター54とシームレスに結合される。このうち、血液嚢529は卵形嚢膜526で構成されており、また、この血液嚢529は、近位端ポート530を介してハウジング52hの近位端ハウジング523に固定され、また、遠隔ポート540を介して剛性ハウジング52hの遠隔ハウジング525に固定される。血液ポンプ52のハウジング内には、卵形の可撓性の嚢膜526によって血室Bと気室Aとが区画されており、嚢膜526は一対の応力解消ポート(stress-relief stems)(近位端ポート530、遠隔ポート540)を介して剛性ハウジング52hに吊り下げられている。血室Bは血液を貯蔵するためのものであり、気室Aは駆動空気を受けるためのものである。剛性ハウジング52hの近位端ハウジング523には感圧機構527(または血圧センサ)が密閉的に嵌り込まれて、検知したポンプ圧力は嚢膜526を介して伝達され、密閉された感圧チャンバ528に収容された非圧縮液体またはゲル中を伝播し、最終的に感圧機構527に受けられる。検知した血液ポンプの圧力を受けた後、圧力検出機構527は電子血圧信号を発生する。埋め込みサブシステムアセンブリのサイズと形状は埋め込み可能な形式に設計され、体表面積(body surface area、BSA)が1.2平方メートル以上の患者に適用される。
【0066】
図14A及び図14Bは、それぞれ本発明の第2及び第4の実施例に関わる人体に装着大動脈傍血液ポンプ装置の一部の模式図及び断面図である。大動脈傍血液ポンプ装置の埋め込みサブシステムは、血液ポンプ62、大動脈アダプター64、カプラ65、および血液ポンプ62に接続された駆動カテーテル(または遠位側駆動カテーテル)67を含む。カップリング65は、血液ポンプ62を大動脈アダプター64に接続して、装置の埋め込み者の血管系に入るためのものである。血液ポンプ62は剛性ハウジング62hを含む、剛性ハウジングはさらに近位側ハウジング623と遠位側ハウジング625を含む。本血液ポンプ62の構造は、開口OPが大動脈アダプター64と分離して独立していることを除いて、図14Bで明らかにした構造に似ている。カプラ65は大動脈アダプター64のネック部643の周りに置かれる。以下、図14Bに開示された設計を用いて、血液ポンプの設計と基本的な設計原理をさらに説明する。
【0067】
図13Bを参照する。血液ポンプ52は成形された剛性ハウジング52hを含み、この剛性ハウジング52hはさらに近位側ハウジング523と遠位側ハウジング525とを含む。剛性ハウジング52hは、大動脈アダプター54に接続された単一の開口OPを有し、患者の血管系に入る。血液ポンプ52の開口OPは大動脈アダプター54とシームレスに製造され、大動脈アダプター54のネック部への滑らかで連続的な境界遷移を提供する。このような一体化された血液嚢529と大動脈アダプター54のアセンブリと血液ポンプ52との接合は、それぞれ近位端ポート530と遠隔ポート540との接着によって近位端ハウジング523と遠隔ハウジング525とを連結する。血液嚢529は、非屈曲性の円板部分が近位側ハウジング523の中央の感圧室528に接着されるように、近位側ハウジング523の頂部に固定されている。
【0068】
小型化された感圧機構527は近位端ハウジング523に内蔵され、流体を媒体として閉鎖された感圧チャンバ528と連通している。この装置により、血液嚢529中の血圧を連続的にモニタリングすることができる。感圧機構527は血液に接触しないため、剛性ハウジング52hの保護は長期的なセンサ信頼性(reliability)と忠実性を確保し、これは剛性ハウジング52hが感圧機構527とその回路を直接血液接触による化学腐食とタンパク質接着の影響から遮断するのに役立つ。
【0069】
駆動カテーテル57の端部は遠隔ハウジング525に接続する、血液ポンプ52から血液を射出または注入するための逆脉動圧パルスを供給する。駆動カテーテルの設計は、圧力信号の伝送に使用する電線を包むために、複数の空洞または複数の層にすることができる。カテーテル壁補強部材として金属コイルや織物のネットやネットを採用する、遠位側駆動カテーテル57の耐キンク性を高めることができる。 本血液ポンプ中の流路の全体幾何形状は比較的に広く、無弁(valveless)大動脈アダプターの設計と脈動血液ポンプの操作により、優れた血液処理特性を構成し、高い剪断力による溶血(hemolysis)と低流速による血栓形成または血栓塞栓(thromboembolism)を回避した。
【0070】
前述の血液ポンプ52および血液嚢529の革新的なデザインにより、嚢膜526は非常に耐久性がある。血液嚢529は、血液ポンプ52の中心線を回転中心とする卵形膜回転体であり、剛性ハウジング52hの両端に2つのポリマーポート(近位端ポート530、遠隔ポート540)が結合され、それぞれ円盤状(disc)または環状)に構成されており、剛性ハウジング52hに接続されたとき、曲げ/引張応力開放機構として応力集中を軽減する。血液ポンプから血液を注入する過程で、嚢胞膜526は圧縮または三葉形(tri-lobe shape)に折り畳まれ、その中で最大歪みは通常ポート(近位端ポート530、遠隔ポート540)の縁に近い折り目で発生する。このようなフィルムの大変形に起因する局所的な高膜応力/歪みは、ポートエッジの柔軟なサスペンション変形によって吸収・相殺される。特に注目すべきは、三つ葉折りモードの位置は固定されておらず、フィルムの変形は重力方向の影響を受け、折り目位置はランダムに発生することである。実際、患者の体の姿勢や向きは、立ったり、寝たり、座ったり、運動したりする姿勢を含めて、日常の活動の中で時々変化する可能性があります。そのため、血液ポンプ52に貯留された血液の容積に作用する重力効果は絶えず方向を変え、非固定的な罫線が形成される。このようなランダムに形成された薄膜の重ね線特性は本発明独特の疲労抵抗特性を構成している。本血液ポンプ52は、従来の固定折り畳み糸フィルム設計よりも長い耐久性を有することが予想される。
【0071】
嚢膜の折り畳みと膨張は血液嚢529に含まれる渦流構造モードと密接に関連している。前述の血液嚢のデザインの特徴は折り畳み線がランダムに形成され、渦流構造の特徴が折り畳み膜のパターンの変化に伴って交番的に発生することである。そのため、血液ポンプ52での洗浄効果は強く、不定常であり、ランダム遊走式の渦流運動が特徴である。このような血液ポンプ渦構造のランダム性は、膜壁付近や折り目領域に固定された低速還流領域を発生させることなく、血液嚢全体の血液接触表面を洗い流すのに役立ちます。動物実験では、本発明の血液ポンプは非常に強い抗血栓能力を有することが観察された。
【0072】
以下、各実施例における各遠位側駆動カテーテルについてさらに説明する。
【0073】
図5図6を参照する。血液ポンプ92と駆動部98とを接続する駆動カテーテル96の模式図である。 カテーテル96を駆動する遠隔測定駆動カテーテル97(カテーテル本体991を駆動する)は、駆動部98内に収容された電気機械アクチュエータに血液ポンプ92をエア接続するとともに、血液ポンプ圧センサ機構527(図13参照)から取得した電気信号を送信する。遠隔測定駆動カテーテル97(駆動カテーテル体内セグメント991)の一端は血液ポンプハウジングに接続され、他端はエア伝送と電気通信のための小型の外部コネクタを有している。遠隔測定駆動カテーテル97(駆動カテーテル体内セグメント991)は、保護キャップ付きの保護下で皮下を経て皮膚から抜ける。遠隔測定駆動カテーテル97(駆動カテーテル体内セグメント991)の外径は小さく設計されており、かつチューブ材料は橈骨性であり、出口部位EXの応力を最小限に抑え、患者に快適さを与える。遠隔測定駆動カテーテル97(駆動カテーテル体内セグメント991)の一部は多孔性織物(porous fabric)で覆われており、織物内への組織の成長を促進し、出口部位EXに感染性を持たせる。表皮から出た駆動カテーテル体外セグメント973は皮膚出口部位EXから少し離れた距離に固定されている。
【0074】
駆動カテーテル体内セグメント991と駆動カテーテル体外セグメント993とそのコネクターは、経皮手術時にかかる引っ張り荷重に十分耐えられるように設計されている。手術後、駆動カテーテル体内セグメント991と駆動カテーテル体外セグメント993は筋肉運動による負荷の影響を受け続け、駆動カテーテル体内セグメント991と駆動カテーテル体外セグメント993はこれらの疲労負荷に耐えられるように設計されている。駆動カテーテル体内セグメント991と駆動カテーテル体外セグメント993の外部は生体適合性を有するように設計されており、臨床使用中に洗浄剤と消毒剤に対して化学的耐性を有する。
【0075】
以下、上記各実施例の近位側駆動カテーテルについてさらに説明する。
【0076】
駆動カテーテル体外セグメント993、近位側駆動カテーテル99は、それぞれ駆動カテーテル体内セグメント991、遠位側駆動カテーテル97を駆動部98に接続するためのものである。ニア駆動部カテーテル99は、一端に駆動カテーテルインターコネクタ93を有し、他端に駆動部コネクタを有する。駆動カテーテルインターコネクタ93は、アナログ血液ポンプの圧力信号をデジタル信号に変換する回路基板と、音声警報に加える触覚フィードバックを提供するバイブレータとを含む。駆動カテーテルインターコネクタ93は、患者の皮膚に固定する際に駆動カテーテル体外セグメント973にねじれが生じることを防止するために、扁平な形状を有する。また、駆動カテーテルインターコネクタ93と駆動カテーテル埋め込み電線は密封され、水や湿気の侵入を防ぐように設計されている。近位側駆動カテーテル99は、必要と判断されたときに交換やメンテナンスができるように外部に取り付けられているため、近位側駆動カテーテル99が修復不可能なほど破損した場合には、手術による血液ポンプの交換は不要である。
【0077】
弁膜なし血液ポンプは血液処理特性の面で二つの利点がある。1)嫌な弁膜音と弁膜誘導による血球障害、血栓形成と血栓塞栓がない。2)より強い抗血栓形成性を有する。双方向脈動流はより優れた表面洗浄効果を有するため、タンパク質の付着を最小限に抑え、血液と接触する人工表面に境界不連続性に関連する血液凝固塊を形成することを避けることができる。バルブ脈動のないポンプの流路は、バルブ脈動または連続流ロータリーポンプの流路よりもはるかに均一に広い。溶血(赤細胞膜破裂)は通常、弁付き脈動ポンプの弁輪と小葉の間の隙間など、流速勾配の高い狭い流路で発生する。また、開いた弁の裏側には低速再循環や停滞区が存在することが多く、血栓の発生を促進する可能性がある。 対照的に、無弁膜脈動血液ポンプでは、血球にかかる剪断応力は実際には数桁小さく、弁膜の幾何学的形状と運動に関わる低速停滞区はほぼ解消され、血球への損傷や血小板活性化が減少し、血液凝固塊の形成と凝集が減少し、より低用量の抗凝固剤に変換されて使用され、より簡便で安全な術後看護が行われる。
【0078】
図15図17は、本発明の他の実施例に関わる血液ポンプ62、駆動カテーテル67及び導入部材63の概略図を示す。本実施例では、血液ポンプとデリバリーの外部化をより容易にするために解剖適応性を強調している。
【0079】
図15図16に示すように、駆動カテーテル67は血液ポンプ62の遠隔ハウジング625に接続されている。血液ポンプ62は、楕円形の血液嚢と茎アセンブリ659(嚢629と茎630、640を含む)、ポンプハウジング62h(近位端ハウジング623と入口コネクタ6251を有する遠隔ハウジング625)と、近位端ハウジング623に嵌め込まれた感圧システム628とを有する。前述の構成部品、入口コネクタ6251、感圧システム628、および駆動カテーテル67は、基本的には同じであるか、または前述の実施例のアセンブリ/組み立て品に対応しており、これらのアセンブリとその機能の詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0080】
本実施例では、ポンプハウジング62hの遠隔ハウジング625に導入部材63を設け、駆動カテーテル67をポンプハウジング62hに接続する。また、導入部材63は、遠隔ハウジング625に隣接する体形状に構成されており、動力伝達部材をポンプの外面に接線方向に連結している。 このような本体貫通デザインにより、ポンプハウジング62hのデザインは血液ポンプの設置に使用できる解剖空間に適応する。血液ポンプ62はインターフェイスアダプター501に回転可能に接続されており、皮下トンネルと皮膚出口をスムーズに行うことができるように、駆動カテーテル67を最適な向きに配線することができる。このようにすると、インプラント部位位の几何形状への解剖適応性に有利である。
【0081】
本実施例では、導入部材63を遠隔ハウジング625に遠隔的に嵌合し、センサ6271(図25A)と感圧室628を近位端ハウジング623内に配置することで、信号伝達経路と空気圧連通路とを分離し、血液ポンプ62を密閉して保護する必要があり、生化学的流体の侵入によって装置埋め込み後の信号伝達の忠実性が損なわれる可能性がある。
【0082】
図17を参照する。ポンプハウジング62hは、遠隔ハウジング625の外面に形成する溝621を有し、近位端ハウジング623と遠隔ハウジング625との重複する接合領域da〔図16〕の上方に位置する。表面溝621は、インレット63の出口から電線が延びるように配置され、電線は重ねられた接合領域DAの上方の表面溝621に沿って第2空間6273(図25B)の電極6274に達する。いくつかの実施例では、前記溝621は、接触する組織を刺激したり傷つけたりしないように、防水材および/または環状キャップをポッティングして密封されている。
【0083】
図18A図18ABに示すように、大動脈コネクター50は、通常、そのインターフェイスアダプター501を介して血液ポンプ62を目的の動脈60に接続するために用いられる接続機構である。インターフェイスアダプター501に対向するコネクタ50の遠隔504は、動脈60の血管壁に置かれ、人体循環流体と接続されている。大動脈コネクター50(またはインターフェイスアダプター501)の近位端は血液ポンプ62の入口形態と幾何学的に合わせるように滑らかなインターフェーストランジションを有する。コネクタ50(またはインターフェイスアダプター501)の近位端と血液ポンプ62の入口を一体化させるためには、通常カプラが必要である。いくつかの実施例では、大動脈コネクター50として使用することができる。図18Aに示すのは、目的の動脈(または血管)60で縫合したDacronまたはPTFE移植体502の端側合致が示されており、血管外科手術に使用できる。他のいくつかの実施例、例えば、図18Bに示す実施例では、挿入型大動脈コネクター503を用い、例えば米国特許出願番号US 2008/0300447A1、タイトルは「2脈動2心室補助装置(Dual-pulsation bi-Ventricular Assist Device)」に開示されているT型マニホールド形アダプターである。
【0084】
図19図20はそれぞれ長軸対称の楕円形血液嚢と茎アセンブリ650とその部品を示している。これらの部品に使用する高分子材料としては、各種の適切な硬度を備えたセグメントポリウレタンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記嚢と茎アセンブリ650の構成部分は、可撓性膜嚢(血液嚢)629、近位端茎630、遠隔茎640を含み、いくつかの実施例では、それらはすべて血液ポンプ62の共通中心線62Cに対して軸対称形状に形成され、一体化されている。近位端茎630は血液嚢629の近位端6291に位置し、遠隔茎640は血液嚢629の遠隔6292に位置する。
【0085】
図19は一体された血液嚢と茎アセンブリ650を示し、その遠隔茎640の端部は血液嚢629の遠隔で包まれ、倒置膜62Aと結合している。図20は結合前の構成部分を示している。一般的に、血液嚢629は浸漬成形によって製造され、茎630、640は射出成形によって製造される。偏向嚢の変形に対して、好ましい方位角はない。理論的には、図21に示すように、膜嚢にかかる圧力差がある閾値を超えると、軸対称楕円形構造の薄肉嚢は三弁型6293に屈曲され、この膜の屈曲は最終的な三弁型6293(固有モード(eigenmode))にのみ関係し、そこに発生する折り目6294または折り返し線の位置は、屈曲不安定性を引き起こす初期外乱によって決まる。血液ポンプ62に垂直なアセンブリ650の中心線(または回転軸線)62Cで切かれた断面における厚みの均一性が重要である。軸対称の形状を確保するため、精度の高い嚢の製造に注意する必要がある。現実の生活では、重力の方向は折れ線の始まりの主要な要素である。設備の受け手の姿勢は患者の日常的な活動(例えば、立つ、座る、運動する、寝るなど)によって絶えず変化し、血液ポンプ方向に対する重力方向も絶えず変化する。そのため、嚢の変形した折り目6294がランダムな状態で現れ、高歪みの折り目が嚢全体に非定常的に分散する。そのため、高歪み領域を固定位置に残すことを避けることは、嚢に長い寿命を持たせるための重要な設計基準である。
【0086】
本発明の実施例は、膜嚢の疲労寿命を延ばすために、高い歪み位置を膜中に非定常的に出現させる走行折り返し線特性を革新した。そのため、屈曲した血液嚢によく関連する有害な応力集中現象が改善された。このような屈曲モードの挙動の本質的な変化に基づいて、膜の疲労寿命が著しく増加するのは、このような非定常的な折り返し線形成特性に起因しており、この特性は嚢全体に高歪み領域を分散させる。また、このような非定常嚢変形モードに伴う有益な結果は、血液嚢内の増強された渦流洗浄効果に依存する。嚢の表面はより徹底的に洗浄され、不規則な歩行のような渦流が形成され、渦流全体を横断する。これにより、壁近傍領域に一定の低速再循環領域や折り返し線の折り目が発生する可能性が大幅に低減され、長寿命で抗血栓形成が可能な血液ポンプ設計が実現される。
【0087】
図22図23A及び図23Bは、統合方法をどのように採用して、血液嚢と茎アセンブリ650をポンプハウジング62hに取り付け、駆動カテーテル67を近位端ハウジング623に接続する例示的な実施例を示している。
【0088】
血液嚢629は、ポンプの充填と吐出動作を促進するように、近位端ハウジング623と遠隔ハウジング625とを含むポンプハウジング62hに固定されている。一般的に、血液嚢629とポンプハウジング62hの撓み特性は大きく異なる。長時間使用する血液嚢の設計を完成するために、ポンプアセンブリが構造特性の遷移(特に膜の屈曲変形)で連続するように、中間サスペンションを取り付ける必要がある。一対の可撓性茎(近位端茎630と遠隔茎640)は、血液嚢629とポンプハウジング62hとを一体化したサスペンション機構として用いられる。図23Aに示すように、ディスク状を呈する近位端茎630は、近位端ハウジング623に接続され、リング状の遠隔茎640は遠隔ハウジング625に接続される。機械的には、近位側と遠隔茎630、640は、血液嚢629をポンプハウジング62h内に保持するだけでなく、境界の取り付け箇所での応力集中を回避し、血液嚢629の寿命を延ばす応力除去のサスペンション機構として機能する。
【0089】
図23Aの下部に示すように、遠隔ハウジング625は入口コネクタ6251の延出部を含み、大動脈コネクタ14と結合されている。入口コネクタ6251は、血液嚢629に取り付けられた第1端6252と、クチバシのような形状の第2端6253とを有し、第2端6253はインターフェイスアダプター501(図18A図18Bに示す)に結合されている。入口コネクタ6251の第1端6252は血液嚢629の遠隔と滑らかに合わせる。しかし、対向する第2端6253は、インターフェースアダプター501とペアになるように構成されており、結合設計目標は、凝塊の形成を避けるためにインターフェースの不連続性を最小限に抑えることである。くちばしはフランジ構造を有しており、このフランジ構造は入口コネクタ6251の中間領域に配置され、インタフェースアダプター501で受けるロック部品として機能する。
【0090】
外科手術中、無弁血液ポンプ62の閉鎖端嚢設計は浮力によって嚢頂部に空気を吸引し、気泡を集める。図22図24を参照する。近位端ケーシング623には排気口66が取り付けられているか、または設けられており、近位端茎630と血液嚢629との間の統合嚢茎隔膜6301の上方に狭い通路661が設けられている。いくつかの実施例では、通路661は中心線62Cに沿って延びる。 血液ポンプ62を目的の動脈60に合致した後、捕獲された空気は動脈血圧に押されて現れ、血液嚢629の頂部空間に集まる。細い針で排気口66を通過する、通路661、嚢茎隔膜6301を通り、血液嚢629の内部に到達、蓄積された空気を排出する。排気口66の下方の全嚢茎膜6301は比較的硬く、屈曲していないため、穿孔を保持している嚢629がそれ以上構造破壊されることはなく、周期的なパルス圧や隣接する嚢の伸縮や折り畳みを受けたときに、穿孔の隙間に生じた亀裂の進展による構造破壊を避けることができる。
【0091】
図23A図25Aに示すように、感圧機構627は、近位端ハウジング623に埋め込まれる。図23Aは、一体化された近位端ハウジング623、導入材63、および駆動カテーテル67の断面の詳細を示している。図25Aは、駆動カテーテル67にエアと信号を連通するために、近位端ハウジング623のドームから延びる導入材63を連結する近位端ハウジング623の輪郭を示している。
【0092】
図25A図25Bに示すように、前記感圧機構627は、金属缶に密閉に収納されたセンサー6271を含み、流体連通のための第1空間6272と、マイクロ電子機械システム(MEMS)圧力センサーと関連電子回路を収納ための第2空間6273とを有する。複数の電極6274は、第2空間6273の底部から延出し、搬送体67の電線6702に接続されている(図26)。第2空間6273は、第1空間6272よりも駆動カテーテル67に近い。第1空間6272は、検知媒体の流体と連通ように開放されている。生体適合性流体またはゼリーは圧力伝達媒体として用いる。近位端ハウジング623内に位置し、第1空間6272に隣接するチャンバまたは感圧室628は、センシング流体を閉じ込められるように形成されている。感圧室628の遠隔は、膜嚢629によって血液腔から隔離されている。感圧室628は、センサ6271を取り付けるための第1アーム6281と、被検知媒体を充填して密封するための第2アーム6282の2本のサイドアームを有する。したがって、血圧パルスは膜貫通型血液嚢629を介して伝達され、第2空間6273に位置する遠隔MEMSセンサ6271と液圧的に連通することができる。
【0093】
本発明の一実施例は圧力に基づく血液ポンプ制御方法とセンサー設計を革新した。マイクロMEMS圧力センサーを採用し、その電子回路はハウジング壁にパッケージされ、埋め込まれている。原則として、その固有のマイクロスケール構造のため、MEMSセンサーの結晶粒は非常に耐久性がある。実際、センサーの耐久性は包装設計に依存する。この感圧機構627は非血液接触であり、血液に関連する腐食性生化学作用から隔離されているため、長期埋め込み型補助装置に必要な長期的な信号収集と伝送を提供する。
【0094】
搬送材67は、血液ポンプ62と駆動部98との間で電気電気信号の変換とエアパルス圧の伝達を行う伝達器として機能する。図26に、本発明における代表的な多層搬送体67を示す。本実施例では、搬送材67は、エア内腔(または内部エアチューブ)6701と、複数の電線6702と、中間エアチューブ673と、金属コイルなどのコイル674と、外層チューブ675と、テザー676と、シリコンシース677と、リジッド駆動部コネクタ678と、保護中空コネクタ679とを有する。
【0095】
搬送材67の中央部分には、2-5mmの内腔径を有するエア内腔6701(または空気通路、内管と呼ばれる)が収容されており、低消費電力と低手術簡便性のどちらかを選択することができる。信号伝送用の電線6702は、搬送材67の壁に埋め込まれている。他の搬送材の変形設計を採用することができる。図26に示す複層搬送体67の設計に加えて、搬送体67は、例えば、図27に示すように、電線6702をいくつかの小さな管室に埋め込み、より大きな管室6701にパルス空気を流すことができるように、複数の空洞であってもよい。小さな管腔の一つはテザー676と一緒に取り付けて、デリバリー67の伸びを制限し、外部からの引っ張り力によって電線6702を損傷から保護することができる。
【0096】
内部チューブまたはエア内腔6701はエアチューブ673に受けられ、間に補強物が挟まれている。内管6701とエアチューブ673との間では、搬送材の壁を補強するために、コイル674(または織物の糸またはネット)をリフローすることができ、搬送材67に可撓性はあるがキンクに強い。外層チューブ675は、内部と中間のエア内腔6701及びエアチューブ673を覆い、螺旋状に巻回電線6702を保護カバーとして用いることができる。なお、一部の実施例では、搬送材67の外側チューブ675とシリコンカバー677との間に拡張不可能なテザー676を設けて、搬送材67の外側化時に必要な引張り弾性を高めるようにしてもよい。臨床的には、シリカゲルジャケット677は皮下組織への刺激性が最も小さく、かつ輸送感染率が最も低いことが証明されている。
【0097】
本実施例では、エア内腔6701、金属コイル674、エアチューブ673、螺旋電線6702、外層チューブ675、テザー676、シリコンシース677が搬送材67の本体に梱包されている。搬送材67の基端部671は、駆動部98に設けられたソケットに挿入される。搬送材67のリジッド駆動部コネクタ678は、駆動部98内のソケットに受け入れられるように使用される。リジッド駆動部コネクタ678は、電線6702が半田付けされた複数の電極6781(例えば、図23)の4つの電極6781)と面一に取り付けられる。保護中空コネクタ679(図23b、図26参照)は、搬送材67が接合部でキンクしないように、駆動カテーテル67と駆動コネクタ678との接合部に配置されている。搬送材67の基端部671は、駆動部コネクタ678と中空コネクタ679を含み、意図しない穿刺損傷を生じさせることなく皮膚から容易に脱出できるように取り付けられている。
【0098】
図22図23Aに示すように、搬送材67と血液ポンプ62との接続は、導入部材63によって実現する。血液ポンプ62を埋め込む解剖構造によっては、導入部材63を近位端ハウジング623内または遠隔ハウジング625内に配置することができる。導入部材63とポンプハウジング62hを一体化することで、外部血液ポンプ全体の配置を変更し、輸送部材の外部化経路、術後の皮膚ケア、設備の可用性など、特定の方向に輸送部材67を誘導することができる。
【0099】
図23A、25Aに示すように、インレット63は、基端ハウジング623の延長である第1部分631を有し、駆動カテーテル67のエアチャンバー6701、テザー676及び電線6702は、アンカアダプター672を介して第1部分631に連結されている。導入部材63は、搬送材67の中空コネクタとしての第1部分631に連動する第2部分632をさらに有している。第1部分631は、電線接続、テザーの投錨およびエアチャンバーとの接着とハウジングとのシールを行う位置である。電線がインプラント部位位の組織に露出してはならず、動力伝達部材の外部化過程で引張力がかからないように保護されていなければならない。また、エア内腔6701と血液ポンプ62との接続には、空気のないことと電流の漏れがないことが必要です。上記の血液ポンプ統合タスクは第1部631で実行される。第2部分632は、これらの境界コンポーネントを収容し、外部プロテクターとして機能し、機械的応力や環境流体や水分から境界を保護する。
【0100】
図19から図27には、本発明の血液ポンプの第1実施例に関わるモジュール設計が開示されている。本実施例では、血液ポンプ62は、軸対称の楕円形血液嚢と茎アセンブリ650(可撓性膜嚢629、近位端茎630及び遠隔茎640を含む)近位端ハウジング623と遠隔ハウジング625とを有するポンプハウジング62hと、血液ポンプ62には送給部材67が接続されており、送給部材67はエア内腔6701とその壁の中と電線6702とを含んでいる。導入部材63は、駆動カテーテル67とポンプハウジング62hとを一体化するために、搬送材67と血液ポンプ62との間の電気的および空気圧的な連通を実現するために用いられる。
【0101】
図19図20に示すように、血液嚢629と茎630、640との接続デザインは前の部分で公開されている。設計と製造のポイントは、部品製造および嚢と茎アセンブリの接合において、精度の高い軸対称性を維持することである。感圧機構627と導入部材63は、近位端ハウジング623の剛性部分に取り付けられている。図22図23A及び図23Bは、圧縮(compact)の導入材63のデザインを示している。圧縮されたインレット63により、より強固で耐障害性の高い電線と接続が可能であることがわかる。
【0102】
図28A図28Bは大動脈バルーン反拍動に関連するいくつかの流動パターンを示している。左心室出血の拡張末期と収縮期早期に、血液ポンプはポンプ充填を経て大動脈血流をポンプに吸入する(図28A)。コネクタ周辺の上流と下流の血液は急激な90度の流れで血液ポンプに吸入されるようになる。このため、流動分離と低速再循環領域T-201が発生する。また、T型継手のコーナー領域では非常に高いせん断が現れる。一方、大動脈弁閉鎖後の拡張期には、ポンプに蓄えられた血液が循環中に吹き返され、反対側の大動脈壁に衝撃流が生じる(図28B)。このロール、衝突流は衝突点T-202で非常に高い局所圧力、いわゆる停滞点を持ち、その中で流速が実際にゼロで、流速に関連するすべての運動エネルギーが総圧力と呼ばれる位置エネルギーに変換される。このような高圧衝撃流は、平滑筋細胞の増殖とそれによる管壁狭窄、持続的な局所高血圧による大動脈剥離のリスクなど、血管適応不良を引き起こす可能性がある。これらの非生理的流動パターンと誘発された高圧、高剪断、低速再循環現象はすべてT型チューブ付近に普遍的に存在する。この乱流、複雑な流動異常は埋め込み動脈管腔の直径の3-5倍の距離内で減衰あるいは減少する。本プラグインフローコネクタは5-7センチの挿入カテーテルの長さを持つように設計されており、ポンプによる非生理的流動領域の大部分をカバーしている。インプラント部位位の大動脈は挿入されたフローコネクタで遮断されるため、生体血管壁はポンプによる病理的応力条件から保護され、インプラント部位位の動脈は急性または長期に起こるリモデリング合併症から保護される。
【0103】
反拍動支持では、ポンプの充填と噴射が心拍数と同期して交互に駆動され、図28A図28Bに示すような特殊なT型継手の流れが生じる。前述の挿入型大動脈アダプター14は、それぞれ図29の斜視模式図と図30の断面模式図でさらに詳述する。
【0104】
大動脈アダプター14は射出成形(mold injected)で、その内部の血液接触表面141は超平滑で連続的で、パーティングライン(parting lines)がない。大動脈アダプター14は、シリコーン樹脂やその他のポリマーエラストマーの材料を有することができる。いくつかの実施例では、大動脈アダプター14はシリコーン樹脂材料を含むポリマーエラストマーを有しているか、またはポリマーエラストマーが注型ポリウレタン(mold injectable polyurethane)である。大動脈アダプター14は、大動脈95(図5参照)に挿入するための大動脈アダプターカテーテル(またはカテーテル挿入部とも言う)142と、血液ポンプに接続されるネック部(または隆起部とも言う)143とを含む。本実施例では、凸ネック部143は、ネック部本体1431と、ネック部本体1431に設けられる延出部1432とを有し、延出部1432はネック部本体1431から突出しており、延出部1432の最大内径はネック部本体1431の最大内径よりも大きい。凸ネック部143が前記血液ポンプ62に接続されると、延出部1432は血液ポンプ62のインレットアダプター6251に密着され、ネック部本体1431は前記カプラ25で囲まれて設けられ、インレットアダプター6251を血液ポンプ62に一体的に接続する。
【0105】
大動脈アダプター14は、流動効率を最大化するために薄肉である。その薄肉構造を強化するために、一対のニッケル-チタン合金の金属ステント(truss、または金属ステントリング、truss ringsと言う)144が大動脈アダプター14の大動脈アダプターカテーテル142の両端に嵌入して囲繞されている。
【0106】
図29は、ニッケル-チタン合金の金属ステント144の嵌め込み位置を示す模式図である。また、大動脈アダプターのカテーテル142の肉厚は、両カテーテル端部145に向かって徐々に薄くなっている。次第に薄くなる肉厚は二重の作用がある。まず、移植体502/主要物の接続の不連続性を最大限に減少させ、界面凝塊の形成率を内皮に接触して提供される血栓溶解率よりずっと低くする。次に、カテーテルのコンプライアンスがカテーテル端部145に向かってより柔らかくなり、大動脈腔との接続時にコンプライアンスのマッチング効果が生じる。
【0107】
大型ステント移植体502の輸送に困っている合併症の一つは内漏れ問題である。I型の内漏れとは、埋め込みの末端と埋め込み動脈内皮管腔との密封が不完全で、埋め込み前縁と動脈管腔との間に隙間が生じることである。にじみ出た血液は隙間に閉じ込められ、凝固して血液凝固塊となり、最終的に繊維状の偽内膜となり、時間の経過とともに制御されずに成長する。偽内膜は埋め込みされた動脈を塞ぐだけでなく、シグナルを発し、凝血メカニズムを刺激して血小板の粘着を吸引し、血栓性不良を引き起こす可能性がある。このような内漏れ問題の解決策は、大動脈アダプター14を装着された管腔表面に対して密にシールすることである。本開示の大動脈アダプター14は、半剛性カテーテル(終末)端部145が脈圧を受けたときにシームレスに動脈管腔に装着できるようにするコンプライアンス適合設計の概念を提案する。図30に示すように、大動脈アダプターのカテーテル142の外径146は内管腔の直径よりわずかに大きく、所定の公称血圧(例えば120mmhg)の条件下では、その過大比(カテーテル径と内管腔の直径との比として定義)は3-10%の範囲内である。コンプライアンス対応カテーテル末端部145は、収縮期と拡張期の間で血圧が変動する場合、または反拍動支持による脈圧の下では、圧力脈動に応じて境界隙間を生じることなく動的に膨張および収縮する。
【0108】
エラストマー製の薄肉チューブは柔軟性があり、コンプライアンスがあることが多いが、装置の大きさが大きすぎるために加わる圧縮力に十分な強度がなく、挿入したアダプターの壁が曲がってしまうことが多い。そのため、ニッケル-チタン合金製の金属ステント144を使用する構造と、適度な硬度を有するエラストマー基材との組み合わせが重要である。図30に示すように、この設計では、ニッケル-チタン合金製の金属ステント144によって径方向の剛性が確保されているため、大動脈アダプター14を屈曲させることなく支援することができ、金属ステント144の最外境界1441とカテーテル端部145との間に距離「x」がある。いくつかの実施例では、前述の距離xを評価し、正確に定義する必要がある。ニッケル-チタン合金製の金属ステント144を拡張可能なフレームとして支援することにより、徐々に薄くなっていくカテーテル端部145は、陥没したりしわになったりすることなく円形に保持する、接続されたルーメン壁に当接する、ルーメンと動的に密封される。なお、大動脈アダプター14は、圧力脈動に応じて伸縮することができ、出血合併症を起こさずに大動脈アダプター14と大動脈95の壁とが一体となって膨張収縮し、カテーテル端部145をシールするというシール効果が動的に実現される。
【0109】
図31は、一般的にレーザー雕刻されたニッケルチタン合金製のニッケルチタン合金製ステント144の代表的な実施例を示しており、一連の膨張と熱処理によってさらに拡大している。図31は、金属ステント144の平面展開図を示す。(1列ごと)金属ステントは複数の波形構造を有している。金属ステント144は自己展開可能で、折り曲げたり、小さくカールさせたりして、プリクラッシュロールを入れて配置し、必要な位置に置いた後、自己解放して元の形状に戻すことができる。
【0110】
カテーテル剛性(コンプライアンスの逆数)の簡易測定は、いわゆる横剛性(lateral stiffness,LS)で表すことができ、その測定方法を図32に説明する。横剛性は、単位長さ当たりの作用力Fを対応するラジアル偏向Yで割った値として定義される。現在の大動脈アダプターでは、適切な横剛性範囲は0.01-0.05Nt/mm2である。埋め込まれたニッケル-チタン合金金属ステント144とシリコン樹脂またはエラストマー基板は共射出された大動脈アダプター14の構造的コンプライアンスに寄与する。金属ステント144の構造的コンプライアンスと大動脈アダプター14のポリマーエラストマーの構造的コンプライアンスはほぼ等しい。複合カテーテルの壁の伸縮によって層間の階層化傾向が最小となり、アダプター14の寿命が長くなるように、均一に分布する柔らかさを有することが好ましい。
【0111】
大動脈アダプター14は、循環支持を促進するように血液ポンプ62に接続されるように配置されている。ここでは、クイックコネクタタイプのカプラ25を提供する。図33に示すように、大動脈アダプター14と血液ポンプ62とを一体化したカプラ25の各部の分解模式図を示す。このカプラ25は、フランジベース252と、一対のロックリング253と、前記ロックリング253とフランジベース252とを接続するヒンジ(またはヒンジアセンブリ)254とを含む。スプリングコイル(またはコイルアセンブリ)255はヒンジ関節256にロードされ、カプラ25がアンロックされたとき、ロックリング253を開位置に保持させ(図34A)。そのロック機構は板バネ式ラッチ257に依存しており、溝付きのバネ片より作られ、ロックリング253の一端に溶接されたプレート2571を介して固定される。前述のフランジベース252は略円形の構造を有し、各ロックリング253は円弧構造を有している。ヒンジ関節256はフランジベース252の第1側252S1に位置し、板バネ式ラッチ257は第1側252S1と対向するフランジベース252の第2側252S2に位置する。ロックリング253はヒンジ関節256に枢着され、ヒンジ関節256及びフランジベース252に対して回転可能である。いくつかの実施例では、カプラ25と大動脈アダプター14は大動脈アダプターアセンブリの一部に属する。
【0112】
図34bはロック状態にあるカプラ25の模式図を示し、板バネ式ラッチ257のすり割りが斜面258にしっかりと係合して、分離の心配なく接続が安全であることを保証している。図35に示すように、大動脈アダプター14と血液ポンプ62との一体接続は、変形可能なアダプター近位端147図30、すなわち、ネック部の末端〕を介して、互いに接続された剛性フランジベース252と血液ポンプインレットアダプター6251の剛性くちばし状フランジ81〔後述〕との間の「ガスケット」として機能する。
【0113】
具体的には、図34b、図35に示すように、閉鎖ロックリング253によって迅速接続型のロックを容易に行うことができる、誤ってロックを解除する心配がない。前記板バネ式ラッチ257は、一方のロックリング253の末端に取り付ける。ロックリングがロックされている間、板バネ式ラッチ257は、ロック中に反対側のロックリング253の(凸)斜面258を摺動すると屈曲する。板バネ式ラッチ257が斜面258の頂部を乗り越えると、弾性復元力によって斜面258の底部まで下がり、ポンプの振動や長期の揺動による偶発的なラッチ解除やロックリングの開放を防止する保険として機能する。モジュール分離が必要なポンプ外植体や交換の場合、プレートスプリング式ラッチ257は使用工具によって曲げられて上方に持ち上げられ、ロックリング253を回転可能に開くようにロック解除力を加えて、血液ポンプ62を大動脈アダプター14から離脱させることができる。
【0114】
突合せ継手の設計は、血流中で2つの表面が滑らかな管継手が接続されることに対して不可能である。多くの臨床応用では、接続された移植体502の表面は粗く、内皮化を促進し、それによって血流中の微小な境界不連続性が内向きに成長した細胞とタンパク質によって「スムーズに持ち出される(smoothed out)」。現在の大動脈アダプター14は表面を滑らかにすることで血栓形成不良の発生を回避しているが、その原因はすでに説明した。図28A図28Bに示すように、大動脈アダプター内の血流が反拍動ポンプに応答した噴射と充填動作は双方向である。この強力な双方向流動と表面洗浄効果により、粗い表面に新たに形成されたいかなる血液凝固塊を簡単に除去することができる。したがって、滑らかな表面デザインは、本発明により適合、より安全に使用できると考えられる。血流中の二つの接続された滑らかな表面の境界は、血栓事件の原位置の発生を防ぐために、慎重な機械と血流動態設計が必要である。以下に、このような新しい継手の発明に関連する原理と設計方法を開示する。
【0115】
図36A図36Bは、突合せ継手の接続に存在する二つの基本的な境界不連続性をそれぞれ示しており、例えばアダプターAB1(例えば血液ポンプ62のアダプター)とアダプターAB2(例えば大動脈アダプター14)との間に段差101、102、あるいは隙間103が生じる。図36Aと36Bは誇張した絵法で、通常、精密加工ではこのような継手の不連続性は10-50ミクロン以内で、これは凝塊と血栓形成を引き起こすのに十分な大きさである。
【0116】
実際には、各オブジェクトの加工がまったく同じであっても、2つの個別のオブジェクトの公差を合わせる必要がある。図36Aには、中心線が合っていないことを除いて、部品製造に関わるすべてが正しく完成している2つのアライメントされていない継手が描かれている。前を向く段差と後ろを向く段差101、102が生じ、段差領域101、102における停滞した流れが凝塊または血栓塞栓を生じる起点となる。図36Bに示すように、接合体の非平行マッチングにより境界隙間103が生じる。隙間103は血球を吸引して集まり、さらに偽内膜に成長する。この内膜の成長はコントロールできないことが多く、内膜表面から脱落した血栓ボーラスのほか、血流路全体をふさいでしまう。接続されたオブジェクトが非剛性の場合、突合せ継手の間違った境界が悪化する可能性がある。本開示の大動脈アダプター14は半剛性であり、強制的に圧入されて継手に接続される(例えば、インレットアダプター)ことができ、変形した構造と拡大した境界不連続性を有する。したがって、現在の半剛性大動脈アダプターと血液ポンプとの接続を実現するためには、以下のような新しい接続手段を発明する必要がある。
【0117】
図37及び図38を参照する。いくつかの実施例では、血液ポンプ62は、入口コネクタ80を有し、入口コネクタ80は、血液ポンプ62のハウジングの延長部として、くちばし状フランジ81と、くちばし(部)82と、コネクタ本体83とを含む。コネクタ本体83は、入口コネクタ80と血液ポンプ62とを接続するための複数の穴86を備えている。
【0118】
くちばし部82の内径84は大動脈アダプター14の凸ネック部143の内径148よりやや大きい(図30参照)。くちばし部82とアダプターの近位端(端部)147との接触領域は、図30及び図35に示すように、環状テーパ面(あるいは浅い斜面、斜面ともいう)149であるため、くちばし部82はテーパくちばしといえる。前記浅い斜面149はカテーテル挿入部の中心線に対して傾斜しており、浅い斜面のテーパ角は入口コネクタ80の回転中心線から測定した30-60度の範囲内にある。初期のロック係合では、内側への内部溝2531を有するロックリング253がフランジベース252のフランジとくちばし状フランジ81のフランジに緩く引っ掛かる。ロックリング253のロックに伴い、前述のくちばし状フランジ81(入口コネクタ80)とフランジベース252(カップリング25)がロックリング253の内部溝2531に収納され、押圧されることで、中間のシリコンゴムの端部147(大動脈アダプター14)が圧縮されてクランプされ、強固に接続されるクランプ力が発生する。このようにして、血液ポンプ62の入口コネクタ80は大動脈アダプター14と強固に接続される。
【0119】
前述のクランプ力発生機構を図35に示す。フランジベース252は、クランプ力を発生させる2つの段差2521と2522を有している。ロックリング253が閉じる前に、段差2521は、まず、大動脈アダプター14の凸ネック部143の係止溝1433(図30参照)に係合されるべきだ。この係合は、まず、凸ネック部143を折り曲げ、ねじってから、変形した凸ネック部143をフランジベース252に通して挿入することで、大動脈アダプター14の弾性復元力によって、折り曲げられた凸ネック部143が元の円形(または形状)に戻り、段差2521が係合溝1433に係合されることを許容する。前記ロックリング253の内部溝2531の高さZは、凸ネック部143のアダプター近位端147の押圧変形を制御する。図35を参照すると、ロックリング253が閉じてロックされる際の本ロック配置で、隙間Z0(すなわち、押圧されたアダプター近位端147の厚さZ0は、大動脈アダプター14の端部147の厚さZ3よりも小さい(図30を参照する)、つまり、押圧されたアダプター近位端147の厚さZ0は始端部147の厚いZ3よりも小さい(Z0<Z3)ことが分かる。押圧されたアダプター近位端147の厚さZ0について、図35から以下の式が得られる。
【0120】
Z0 = Z - Z1 - Z2…公式(1)
【0121】
式(1)において、Z1とZ2はそれぞれ、図35に示すように、相手部品である相手くちばし状フランジ81とフランジベース252の段差2522をクランプするための厚さである。通常、厚さZ3は隙間Z0よりも大きいため、歪みのある大動脈アダプター近位端147は、くちばし状フランジ81と環状フランジベース252とを密封接続するのに必要なクランプ力を発生する。アダプター近位端147の歪みは、[Z3-Z0]/Z3と定義され、10-30%の範囲内で、確実な密封接続を保証するのに十分である。
【0122】
図39は、前述くちばし部82とアダプターの浅斜(テーパ)面149との現在の接続の接合特性を示している。接続される時に、くちばし部82とそのくちばし前縁85は半剛性斜浅い斜面149に沈み込み、大動脈アダプター14はくちばし前縁85の前縁半径に相当する深さを有し、通常30-50ミクロンである。図39において、点線と括弧の中の数字はくちばし部82とくちばし前縁85との初期接触を示し、実線と括弧のない数字はロック位置にある状態を示している。なお、境界不連続性は、前述の浅い斜面149、82の元の形状(破線)からの凹みによって減少する。内部溝2531の厚さは両者の結合の緊密な嵌合を制御する。前述したように、弾性のある大動脈アダプターの近位端部147は、脈動ポンピングに対抗するために必要な結合力を提供するために、約10-30%の歪みで圧縮される。
【0123】
血液ポンプ62と大動脈アダプター14との間のインターフェイス接続の現在の設計は、insitu血栓形成を減少させる二つの血液動力学的メリットがある。まず、従来のドッキング接続では、実際には段差や隙間タイプの継手不連続性は生じないことが観察された。次に、くちばし前縁85の境界にある停滞流を最小化することができる。このため、接続インターフェイスを流れる血流が高速に流れるようになり、ドッキング接続の欠陥が顕著に改善される。つまり、過去にインターフェイスで発生した前方または後方への段差101、102または隙間103が顕著に改善される。
【0124】
本実施例のテーパ浅い斜面149は、流れ方向に対する傾斜角で傾斜している。このようなスロープインターフェイスの設計により、限られた製造精度や従来のドッキング接続に関連するマッチング偏心によって継手に段差や隙間が生じることを回避する。しかし、このテーパ浅い斜面149は、接合対応物の同心中心線合わせを実現する上で内在的な欠陥を有する。大動脈アダプター14とくちばし部82との接続には、連結アライメントを確保するための厳密な横方向の拘束はない。剛性くちばし部82と半剛性の浅い斜面149とを同心に接続するためには、フランジベース252の全周縁を囲んで同時にロックリングを引っ掛けることが重要である。同時係止/ロック係合が完了しないと、最初に係止された浅い斜面149が他の自由部分よりも歪み、傾斜したり、残りの接触面を配置したりする傾向が生じ、偏心したポンプへの接続が発生する。このような偏心接合は、通常、境界に段差や隙間が生じる要因であり、血栓形成を引き起こす。この欠点は、ロックリング253の遠位側(下方)のロックリング輪郭259(図34A)で、ロック係合と同時すべての周方向接触領域を含むように配置することで補う。ロック時には、金属の(いくつかの実施例では)くちばし部82の接触縁が、深さが制御された圧縮シリコーン樹脂材料(いくつかの実施例では)の浅い斜面149に少し沈み込み、血流にさらされたときの境界不連続性がさらに低減される。抗凝固剤を適度に投与ことにより、通常の境界血栓を顕著に減少または解消することができる。
【0125】
この大動脈アダプター14に関わる構造の変形性とデリバリー方法は、本発明の特殊なデザイン特徴を与える。実際、材料の弾力性の考慮は現在のデザインに慎重に組み込む必要がある。手術中の安全性と長期信頼性の面では、切開による大動脈壁手術で挿入式移植体502を大動脈に送り込むことは困難である。そのため、いくつかの実施例では、大動脈アダプター14が選択する材料は所定の記憶形状を有するべきだ。装置の組み込み時には、アダプター14は、まず小さな留置型に圧着され(図40に示すような圧着されたアダプター14)、この留置型によって迅速かつ安全な装置の埋め込みが保証される。カールした大動脈アダプター14は、所望のインプラント部位位に配置された後、留置型の大動脈アダプター14は解放され、元の記憶形状に自己膨張する必要がある。
【0126】
大動脈アダプター14を挿入する前に、大動脈壁に直径12-14mmの穴を形成すること。このような進入穴を作成する際には、装置を挿入する際に壁面を拡張する必要があり、亀裂の起点となる可能性のあるエッジが発生しないように注意する必要があります。米国特許出願番号17/034036号に開示されているような側咬式大動脈穿孔器は、大動脈に大きな穴を開けるのに理想的な道具である。軽く打つだけで、割れていない穴を開けることができます。
【0127】
大動脈アダプター14は、形態的には連結された2つの円形チューブを含み、大動脈傍循環支持を実行するためのt字型のフローコネクタを形成する。カテーテルの壁の厚さは通常1-2ミリメートルで、使用する材料は適当な硬度を持つポリマーで、例えばシリコーン樹脂またはウレタンで、硬度はショアA80-90などである。カールインの構造は、市販のダックナイロンやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)織物で覆われた大型ステント移植体502と大きく異なる。 図40に大動脈アダプター14のカール/埋め込み構成を示す。(ニッケル-チタン合金製の金属ステント144が嵌入され、ポリマーマトリックス付き大動脈アダプター14とともに変形する)。大動脈アダプター14は、図40に示すように、潰れたカテーテルが大動脈アダプターカテーテル142の一部に挿入されることによって折り畳まれ、それに応じてt字状の凸ネック部143が押しつぶされて平坦化され、折り畳まれたアダプター14本体内に沈み込む。このうち、折れ曲がって配置された大動脈アダプター14の直径は、元の展開円形の直径の約半分である。
【0128】
このように折り畳まれたアダプター14は、ロープを張ることで固定を保持することができる。図40に示すように。カテーテルの両縁と中心位置に3つの固定紐を設置することができるが、他の固定方法も考えられる。図41A、41B、41C、41Dは、留置形態の大動脈アダプター14の4つの代表的な段階を示す。第一段階(図41A参照)は、大動脈95の軸線に対してプリロール嚢(の大動脈アダプター14)が一定の角度で傾斜しているときに、カールしたプリロール嚢の形で進入孔を通過する初期の透過イメージを示している。第二段階(図41B)は、完全に挿入配置された形の大動脈アダプター14が大動脈に進入し、そのうちの前巻包が進入孔を通過し、その一端が回転して進入孔に落下することを示している。その後、完全に挿入されたプリロール嚢の位置を戻し、カールさせたネック部分143を進入孔に合わせる(図41C)。拘束された結束紐を解放して、カールした圧縮を配置形式に入れた大動脈アダプター14が弾性的に自己拡張することで元の形状に戻るようにする(図41D)。解放された大動脈アダプター14は大動脈腔に密に囲まれ、入れる前に選択した適切な超大型サイズ比によって保証される。T型凸ネック部143をわずかに変形させ、カプラ25のフランジベース252(図33図34B)をT型凸ネック部143に取り付けて血液ポンプ62を接続する準備をすることができる。このため、入口くちばし部82をテーパ浅い斜面149にセットし、その後カプラ25の2つのロックリング253を閉じて強固な装置接続を実現することで、血液ポンプ連結を容易に実現することができる。
【0129】
追加の安全措置を応用して、埋め込んだ大動脈傍血液ポンプシステムの止血と安定性を高めることができる。血液ポンプ62の重量と反拍支持によるポンピング力のため、血液ポンプの大動脈近傍の設置は必然的に側方力(大動脈の長手方向に垂直)と大動脈アダプター14にかかるトルクに関わる。この装置に関連する外力はインプラント部位位の血管構造の長期的な再建に影響を及ぼす可能性がある。バンド縫合糸(purse-string suture)を穴の周囲に入った外膜層に入れることができる。バンド縫合糸は、挿入されたアダプター14に大動脈壁を余分に締め付けることができ、進入孔の拡大を防止する保護措置として用いられる。また、手術用テープは大動脈アダプターカテーテル142の両端に巻き付けて張ることができ、挿入された大動脈アダプター14と大動脈との一体的な結合が強化される。適切なデザインと環状テープの巻き締めにより、二重に内漏れを防ぐことができる。場合によっては、血圧がコンプライアンスのマッチングで内漏れのない上限を超えることがある。このような極端な状況では、手術用テープが機能し始め、ハードリミッターとして、分離しようとするアダプターの末端を密封し、止血を確保する。
【0130】
図42に示すように、いくつかの実施例では、大動脈アダプター14を埋め込む段階的な設置について、ここに詳しく説明する。埋め込みを開始する前に、カールしたプレロール嚢形式/圧縮留置型の形式の大動脈アダプター14を用意する。左開胸で目的の胸動脈を曝露した後、インプラント部位位にまたがる約10センチのクロスクランプ距離を確定する。まず大動脈に打つ進入孔には孔周辺標識が表記される。その後、バンドの縫合糸を外膜層の中の穴の外周の外に縫合する。大動脈は周囲の結合組織から部分的に分離でき、一対の手術用テープを大動脈の周囲に巻き付けることができる。上記の準備が終わったら、クロスクランプと大動脈アダプターの挿入を行う。これらの挿入手順は、図17に示す手順で説明する。まず、大動脈は交差して挟まれ、出血の問題ない隔離された節を提供する。その後、カスタマイズした大動脈穿孔器を用いて大動脈アダプター14を挿入するための大きな進入孔を作成する。次に、図41A図41B図41Cに示すように、折り畳まれたアダプターのプリロール嚢を挿入し、交差して挟まれた大動脈セグメントに置く。その後、図41Dに示すように、折り畳まれたアダプター14を解放し、元の展開形態に戻す。その後、高血圧内漏れに対する追加の保護として、束紐とテープで引き締める。その後、カプラ25を取り付け、その段差2521を大動脈アダプター14の凸ネック部143の係止溝1433に係合させて、接続される血液ポンプ62を受ける準備をする。前述のカプラ25が備えるセルフアライメント能力により、血液ポンプ62の入口コネクタ80を正確に位置決めして大動脈アダプター14にロックことができる。残りの埋め込み手順は通常のもので、クロスクリップの解放、血液ポンプの排気とポンプの起動支援を含む。一般的に、熟練した外科医にとって、大動脈アダプターを挿入するために必要なクロスクランプ時間は約10分である。このクロスクランプ期間に、腹部臓器は血液灌流を奪われ、虚血性損傷を引き起こす可能性がある。このような臓器への潜在的手術損傷を軽減するために、femoral-femoral ECMO(femoral-femoralextra-corporealmembraneoxygenation)支援を用いて腹部臓器と下肢を灌流することができる。しかしながら、ECMO支援を採用するかどうかは外科医自身が決める。通常、普通の患者は20分間の虚血時間に耐えることができる。
【0131】
以上説明したように、本発明の実施例によれば、血液ポンプ、移送部材及び導入部材を備える心室補助装置が提供される。血液ポンプは軸対称の楕円形血液嚢と茎アセンブリを含み、その系は可撓性血液嚢、近位端茎、遠隔茎を含み、その中で可撓性血液嚢は近位端茎と遠隔茎に接続され、応力除去のサスペンション機構となっている。血液ポンプは、さらに、基端側ハウジングと遠隔側ハウジングとを含むポンプハウジングを含む、前記ポンプハウジングには、応力を除去するサスペンション機構が接続されている。血液ポンプは、さらに、近位端ハウジングに内蔵感圧システムを含み、感圧システムは、血液ポンプ圧力センサと圧力伝達のために圧縮不可能な流体が充填する感圧室とを含む。前記搬送材は、空気チャンバーと、搬送材の壁に含む少なくとも一つの電線とテザーとを含み、電線とテザーは搬送材の壁に設ける。前記インレットは、デリバリーとポンプハウジングとを連結する。
【0132】
本発明の一実施例は、長時間の血液嚢の構造に非定常的な折り返し線の概念を組み合わせた脈動血液ポンプ設計を開示し、置換型血液ポンプの耐久性を実質的に延長することができる。また、リアルタイムビッグデータに基づくリアルタイムポンプ制御と長期トレンド分析、疾病モニタリングと診断の参考波形として使用できるマイクロ感圧システムも提供されている。また、埋め込み型感圧システムは非血液接触であるため、埋め込み型センサシステムを構築する際の信頼性要求が大幅に高まっている。
【0133】
本発明の実施例は、少なくとも以下のいずれかの利点または効果を有する。デリバリーとポンプハウジングのインレットを接続することで、コードと信号の伝送をより強固にし、耐障害性を高めるために、圧縮(compact)のインレット設計を提供する。また、圧所後の導入設計は誘導電線とエアチューブと血液ポンプを一体化した。このコンパクト性属性は埋め込み装置にとって特に重要である。手術操作を簡素化し、周術期の埋め込みのリスクを軽減するだけでなく、デリバリー感染に関連する術後発病率を下げるのにも役立つ。
【0134】
いくつかの実施例では、導入部材はポンプハウジングの遠隔ハウジングに一体化され、導入部材は遠隔ハウジングの延長である第1部分を有しこの第1部分に動力伝達部材のエアチャンバー、テザー、電線が連結されている。第2の部分は第1の部分と連動して、解剖学的適応性とインプラント部位のあらゆる形状への適応性の優位性を達成するために、搬送材の中空コネクタとして使用される。
【0135】
そこで、本発明の目的は、カテーテル挿入部と凸ネック部を含み、カテーテル挿入部と凸ネック部が繋がり、両者とも血液に接触する滑らかな表面を有するT型フローコネクタと、カテーテル挿入部に設けられる金属ステントとを含む、心室補助装置を埋め込み可能な大動脈アダプターアセンブリを提供することにある。T型フローコネクタはポリマーエラストマーを有しており、ポリマーエラストマーはニッケル-チタン合金材料を有する金属ステントによって補強される。前記カテーテル挿入部は、その両端のカテーテル端部に次第に肉薄の壁を有し、前記カテーテル端部の末端は前記金属ステントの最外境界まで適切な距離を有し、カテーテル端部はインプラント部位の動脈に対してコンプライアンス的なマッチング作用を有し、凸ネック部の近位端は血液ポンプのインレットアダプターに接続されるように配置されている。
【0136】
本発明の実施例には、以下の利点または効果の少なくとも1つがある。本発明は、大動脈傍心室補助装置、特に反拍動血液ポンプに血流を出入りさせることができるフローコネクタアセンブリを開示する。多くの既存の粗面化方法を採用して内皮化を促進し、血栓形成不良事件の発生を避ける従来のフローコネクタとは異なり、本暴露の大動脈アダプターは平滑な表面、挿入型偽体移植体502の概念を採用してフローコネクタを構築する。また、挿入されたカテーテルの端部の周囲に柔軟なマッチング設計を施し、徐々に薄くなる壁特性と超弾性ニッケル-チタン合金フレームで支えられた薄肉ポリマーを組み合わせて、内漏れのない要求を実現した。大動脈傍反拍動のポンプ輸送に関連する異常高圧、高剪断と低速再循環流動現象はカテーテルを挿入する人工表面に含まれる。そのため、病理装置による血行動態の影響と危険因子はほぼ解消され、内皮細胞の侵食、脂質浸潤、平滑筋細胞の増殖、血管狭窄、動脈壁の剥離などの長期的な血管適応不良の事件は明らかに減少した。半剛性流量アダプターと血液ポンプとの良好な接続を実現するために、本暴露はクイック継手式カップリングを提供した。この結合器は自己整合的な境界設計を有しており、段差と隙間の不連続性を最小限に抑え、境界接合部で血栓性不具合が発生する可能性を低減する。大動脈アダプターの発明と協力して、特別に設計された留置方法を提供して、迅速かつ安全な留置過程を確保することができる。カールした大動脈アダプターは前巻包/留置配置にされ、全体のサイズは初期の半分に減少した。このプリロール嚢のアダプターは、インプラント部位位の大動脈に容易に挿入し、自ら初期配置まで拡張することができ、内漏れの心配なく貼り付けられたフローコネクタを形成することができる。それは外科手術中の埋め込みリスクを軽減するだけでなく、装置による流動とインプラント部位位の血管適応不良に関連する術後発病率を減らすのにも役立つ。
【0137】
本明細書および特許出願の範囲における序数、例えば「第一」、「第二」などは、互いに順序的な前後関係はなく、同じ名前を持つ2つの異なるコンポーネントを区別することを表示するためにのみ使用される。
【0138】
本発明に記載された実施の形態は、前述の説明を読んだ後に、それらの実施の形態の変化は当業者にとって明らかになる。したがって、本発明は、特許出願の範囲に記載された主題のすべての修正および均等物を含む。
【符号の説明】
【0139】
10、20、30、40、90 大動脈傍血液ポンプ装置
11、21、31、41 電池供給システム
12、22、32、42、52、62、92 血液ポンプ
14、24、34、44、54、64、94 大動脈アダプター
16、26、36、46 駆動カテーテル
18、28、38、48、78、98 駆動部
25、45、65 カプラ(カップリングアダプター)
33、43、93 駆動カテーテルインターコネクタ
37、47、57、67、97 遠位側駆動カテーテル
39、49、99 近位側駆動カテーテル
52h、62h 剛性ハウジング
523、623 近位端ハウジング
525、625 遠隔ハウジング
526 嚢膜
529 血液嚢
B 血室
A 気室
527 感圧機構
528 感圧チャンバ
530 近位端ポート
540 遠隔ポート
545、645 カテーテル端部
101 階段
102 階段
103 隙間
141 血液接触表面
142 大動脈アダプターカテーテル
143 凸ネック部
1431 ネック部本体
1432 延出部
1433 カードスロット
144 金属ステント
1441 最外境界
145 カテーテル端部
146 外径
147 アダプター近位端
148 内径
149 浅い斜面
252 フランジベース
221 階段
222 階段
252S1 第1側
252S2 第2側
253 ロックリング
231 内部溝
254 ヒンジ
255 スプリングコイル
256 ヒンジ関節
257 板バネ式ラッチ
571 プレート
258 斜面
259 ロックリング輪郭
50 コネクタ
501 アダプター
502 移植体
503 コネクタ
504 遠隔
63 導入材
62A 倒置膜
621 溝
623 近位端ハウジング
625 遠隔ハウジング
6251 入口コネクタ
6252 第1端
6253 第2端
(23A)6254
627 感圧機構
6271 センサ
6272)第1空間
6273 第2空間
6274 電極
628 感圧室
6281 第1アーム
6282 第2アーム
629 血液嚢
630 近位端茎
6301 嚢茎隔膜
631 第1部分
632 第2部分
640 遠隔茎
643 ネック部
650 茎アセンブリ
66 排気口
661 通路
67 搬送材
6701 エア内腔
6702 電線
61)近位端
672 アンカアダプター
673 エアチューブ
674 コイル
675 外層チューブ
676 テザー
677 シリコンシース
678 リジッド駆動部コネクタ
6781 電極
679 中空コネクタ
60 動脈
6291 近位端
6292 遠隔
6293 三弁型
6294 折り目
62C 中心線
71 電池ハッチ
73 ユーザーインターフェースパネル
75 駆動カテーテルソケット
77 外部電源ソケット
79 通気口
80 入口コネクタ
81 くちばし状フランジ
82 くちばし部
83 コネクタ本体
84 内径
85 くちばし前縁
86 穴
971、991 駆動カテーテル体内セグメント
973、993 駆動カテーテル体外セグメント
95 大動脈
96 駆動カテーテル
EX 出口部位
OP 開口
110 電気機械アクチュエータ
120 モーターコントローラユニット
130 マイクロコントローラユニット
140 電源管理ユニット
150 電池モジュール
170 ユーザインタフェースモジュール
190 臨床モニター
T-201 低速再循環領域
T-202 衝撃ポイント
AB1 アダプター
AB2 アダプター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24
図25A
図25B
図26
図27
図28A
図28B
図29
図30
図31
図32
図33
図34A
図34B
図35
図36A
図36B
図37
図38
図39
図40
図41A
図41B
図41C
図41D
図42
【国際調査報告】