(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01P 3/20 20060101AFI20240412BHJP
H01P 11/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H01P3/20
H01P11/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023567925
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2022061988
(87)【国際公開番号】W WO2022233940
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523261458
【氏名又は名称】オーガニック フューエル テクノロジー アーエス
【氏名又は名称原語表記】ORGANIC FUEL TECHNOLOGY A/S
【住所又は居所原語表記】Inge Lehmanns Gade 10 8000 Aarhus C (DK)
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒョルツホジ、アンデルス
(72)【発明者】
【氏名】ペデルセン、イェンス クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】レト-エスペンセン、ポール
【テーマコード(参考)】
5J014
【Fターム(参考)】
5J014DA07
(57)【要約】
本発明は、ブリュースター導波管ウィンドウを備えた広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ、ブリュースター導波管ウィンドウを備えた導波管を備えたシングルモードマイクロ波リアクタシステム、及びブリュースター導波管ウィンドウを備えた導波管を製造する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形導波管と、
ブリュースター角に従ってマイクロ波の伝播方向に対して傾斜したマイクロ波ウィンドウペインであって、前記方形導波管内に位置するマイクロ波ウィンドウペインと、
前記マイクロ波ウィンドウペインの周囲に配置された誘導アイリスと、
を備えることを特徴とする広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項2】
基本波TE
10導波路モードで動作するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項3】
前記マイクロ波ウィンドウペインは、アルミナセラミック材料などのセラミック材料を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項4】
前記セラミック材料は、低誘電損失セラミック材料であることを特徴とする請求項3に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項5】
前記セラミック材料は、3から12の間の誘電率を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項6】
前記マイクロ波ウィンドウペインは、マイクロ波波長の10%未満の厚さを有することを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項7】
前記マイクロ波ウィンドウペインを冷却するための手段を更に備えることを特徴とする請求項1~6のうちいずれか1項に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項8】
前記冷却するための手段は、流体熱交換器であるか、又は、流体熱交換器を含むことを特徴とする請求項7に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項9】
前記流体熱交換器は、水冷チャネルであるか、又は、水冷チャネルを含むことを特徴とする請求項8に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項10】
前記流体熱交換器は、空冷フィンであるか、又は、空冷フィンを含むことを特徴とする請求項8に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項11】
前記マイクロ波ウィンドウペインの温度を検査するための手段を更に備えることを特徴とする請求項1~10のうちいずれか1項に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項12】
前記マイクロ波ウィンドウペインの温度を検査するための前記手段は、前記マイクロ波ウィンドウペインの温度を監視するサーマルカメラ検査管内の赤外線(IR)センサであるか、又は、前記サーマルカメラ検査管内の赤外線(IR)センサを含むことを特徴とする請求項11に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項13】
前記誘導アイリスは周波数及び前記セラミック材料の特性に整合されることにより、前記ウィンドウペインの容量性インピーダンスと前記誘導アイリスの誘導性インピーダンスが相殺されることを特徴とする請求項1~12のうちいずれか1項に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項14】
リアクタチャンバと、前記リアクタチャンバに接続されたリアクタチャンバ内にシングルモードマイクロ波を送信するための手段と、を備えるシングルモードマイクロ波リアクタと、
マイクロ波発生器と、
前記マイクロ波発生器を前記シングルモードマイクロ波リアクタに接続する、請求項1~13のいずれか1項に記載の前記広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリと、
を備えることを特徴とするシングルモードマイクロ波リアクタシステム。
【請求項15】
前記広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの同一の半分のハウジングを組み立てることと、
前記ハウジングを固定することと
を含むことを特徴とする請求項1~14に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリュースター導波管ウィンドウを備えた広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ、ブリュースター導波管ウィンドウを備えた導波管を備えたシングルモードマイクロ波リアクタシステム、及びブリュースター導波管ウィンドウを備えた導波管を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波は現代のテクノロジーで広く使用されている。
【0003】
工業用熱分解、又は、医療及び高出力物理学、レーダー及び電気通信用途などのいくつかの用途では、大幅な損失なく高出力の伝送を達成することが望ましい。
【0004】
導波管を通る高出力マイクロ波の伝播には、多くの場合、送信する必要な周波数と反射する必要のない周波数を選択し、重大な損失を生じることなくガス又は気圧を分離できるマイクロ波ウィンドウの存在が必要である。
【0005】
これらの用途では、ブリュースター原理に従うようにマイクロ波ウィンドウを配置することができる。
【0006】
ただし、一般にブリュースター角を使用するソリューションには、平面波又は準平面波、円形TE01モード、又はガウスLP01又はHE11モードが必要である。
【0007】
基本モードの伝播が必要な場合、これらの解決策では、ウィンドウ内での送信を可能にするために、基本モードを上記のモードに変換する必要がある。これは一般に大幅な電力削減をもたらし、高価で複雑なモードコンバータを必要とする。
【0008】
従って、トラップモードつまりゴーストモード又は入射電力の反射を大幅に増加せずに、導波管内で単一基本モードの高出力マイクロ波伝送を可能にする導波管ソリューションが必要である。
【0009】
過熱もマイクロ波ウィンドウの一般的な問題である。
【0010】
その点で、過熱、トラップモードの顕著な蓄積、又は入射電力の反射なしに、導波管内で高周波、高出力のマイクロ波放射を結合できる広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリは有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、過熱、トラップモードの顕著な蓄積、又は入射電力の反射なしに、導波管内で高周波、高出力のマイクロ波放射を結合できる広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリを提供することである。
【0012】
本発明の目的は、従来技術に代わるものを提供することであるとみなすこともできる。
【0013】
特に、本発明の目的は、誘導アイリスと低誘電損失セラミック材料を含むマイクロ波ウィンドウペイン(window pane)が使用することにより、過熱、トラップモードの顕著な蓄積、又は入射電力の反射なしに、導波管内で高周波、高出力のマイクロ波放射を結合できる広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリを提供することであると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、上記の目的及び他の幾つかの目的は、本発明の第1の態様において、方形導波管と、ブリュースター角に従ってマイクロ波の伝播方向に対して傾斜したマイクロ波ウィンドウペインであって、前記方形導波管内に位置するマイクロ波ウィンドウペインと、前記マイクロ波ウィンドウペインの周囲に配置された誘導アイリスと、を備えることを特徴とする広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリによって達成されることが意図されている。
【0015】
本発明は、基本モード方形導波管における分布型導波管ウィンドウに関する。従って、ウィンドウ広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリは、基本モードのみが存在し、方形導波管内を伝播するため、シングルモード広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリとみなすことができる。
【0016】
導波管ウィンドウペインは、方形導波管内部のブリュースター角に配置される。
【0017】
ブリュースター角は、特定のモードを有する導波管に沿って進むマイクロ波が、反射することなく誘電体表面を完全に透過する入射角である。
【0018】
一般に、ブリュースター角を使用するソリューションには、平面波又は準平面波、円形TE01モード、又はガウスLP01又はHE11モードが必要である。
【0019】
このようなソリューションが機能するには、基本モードを前述のモードに変換する必要がある。
【0020】
本発明の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリでは、方形導波管内の非平面波状態を克服し、導波管の容量性負荷を一致させるために、誘導アイリスを使用することによってマイクロ波ウィンドウペインの幅が調整されている。
【0021】
ブリュースター角に従ってマイクロ波の伝播方向に対して傾斜したマイクロ波ウィンドウペインは、寄生反射損失が最小化されるようにブリュースター角に配向された透明板であるブリュースターウィンドウとも呼ばれる。
【0022】
ペイン(pane)はマイクロ波に対して透明であり、面平行で平らな主表面を備えている。伝播方向とウィンドウペインの法線によって形成される平面は、マイクロ波の偏光方向と同じ平面内にある。
【0023】
誘導アイリスは、マイクロ波ウィンドウペインを囲むなど、マイクロ波ウィンドウペインの周囲に配置された、又は例えばマイクロ波ウィンドウペインの少なくとも2つの端部など少なくとも端部に配置された、対称的なアイリスである。
【0024】
マイクロ波ウィンドウペインは、方形導波管内でブリュースター角に配置されているが、マイクロ波ウィンドウペインは、分散型マイクロ波ウィンドウアセンブリとみなすことができる。波の伝播軸に沿ったマイクロ波ウィンドウアセンブリの各点において、誘導アイリスの存在により、マイクロ波ウィンドウペインによる方形導波管の容量性負荷をキャンセルすることができる。このようにして、マイクロ波ウィンドウアセンブリは広帯域であると考えることができる。
【0025】
幾つかの実施形態では、第1の態様による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリは、基本TE10導波路モードで動作するように構成される。
【0026】
電磁波は、様々なモードを使用して導波管に沿って伝わる。
【0027】
方形導波管又は中空方形導波管に関しては、すなわち、長方形の断面を持つ導波管に関しては、導体が1つだけある中空導波管には、横電気(TE)波と横磁気(TM)波の2種類の波が存在する。
【0028】
横電界(TE)モードは、伝播方向に沿った磁場のみがあり、伝播方向には電場がないことを特徴とする。
【0029】
TEモードでは、電気ベクトル(E)が常に伝播方向に対して垂直になる。
【0030】
導波管の基本モードは、カットオフ周波数が最も低いモードである。方形導波管の場合、TE10モードが基本モードである。
【0031】
方形導波管は、WR-340導波管などの標準的な3.4インチ導波管であってもよい。ただし、適宜調整することにより、寸法の異なる方形導波管を使用することも可能である。
【0032】
従って、方形導波管は、2.45GHzの周波数でその基本的なTE10モードで動作することができる。ただし、適切な調整を適用することで、他のモード又は異なる周波数での動作を使用することもできる。
【0033】
幾つかの他の実施形態では、マイクロ波ウィンドウペインは、アルミナセラミック材料などのセラミック材料を含む。
【0034】
マイクロ波ウィンドウペインは、特別な低損失アルミナセラミック材料で構築されてもよい。ただし、材料は他の誘電特性を持つさまざまなタイプにすることができ、その結果、ブリュースター角や虹彩のサイズが調整される。
【0035】
幾つかの実施形態では、低損失アルミナセラミック材料は、92%~99.9%の間の割合でAl2O3を含み、例えば、99.8%のAl2O3を含みうる。低損失アルミナセラミック材料には、例えば、10~1000ppmの、例えば60ppmの濃度のSi、1~250ppm、例えば10ppmの濃度のNa、1~100ppm、例えば60ppmの濃度のFE、1~1000ppm、例えば250ppmの濃度のMgなどの、微量の他の元素が含まれてもよい。
【0036】
低損失アルミナセラミック材料は、粒径が0.5~35μm、平均粒径が6μmであってもよい。
【0037】
幾つかの更なる実施形態では、セラミック材料は低誘電損失セラミック材料である。
【0038】
低誘電損失は、ASTM-D150に従って測定した場合、10-3未満、例えば10-4未満と呼ばれる。
【0039】
低損失誘電体材料を使用して、本発明によるマイクロ波ウィンドウペインを製造することができる。
【0040】
これらは、酸化物セラミック又はマイクロ波セラミックと呼ばれることもある。
【0041】
マイクロ波セラミックの特性は、その組成、出発材料の純度、加工条件、最終的な緻密性/多孔性などの幾つかのパラメータによって決まる。
【0042】
マイクロ波セラミックに最適な低損失誘電体材料は、最適化された比誘電率又は誘電率(εr)、低い誘電損失が低く(低い損失正接、tanδ)、低い共振周波数の温度係数(τf)、及び低いせん断強度/引張強度、適切なヤング率を備えていてもよい。
【0043】
アルカリ土類金属及び希土類をベースとするタンタル酸塩、ニオブ酸塩、チタン酸塩、ケイ酸塩、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩又はテルル酸塩も、低誘電損失セラミック材料として使用されてよい。
【0044】
他の低誘電損失材料を使用してもよい。例えば、Macor(登録商標)などの高温ガラスセラミック、ALON(登録商標)などの酸窒化アルミニウム、窒化ホウ素、石英、溶融シリカ、ダイヤモンド、サファイア及び酸化ベリリウムを、本発明による低誘電損失セラミック材料として使用してもよい。
【0045】
幾つかの実施形態では、セラミック材料は、3~12の間、例えば9~10の間の誘電率を有する。
【0046】
これには、誘電率の高い材料を有するウィンドウに一般に存在するオーバーモード/ゴーストモードの可能性を減らすという利点がある。
【0047】
例えば、マイクロ波ウィンドウペインのセラミック材料は、9.7と9.9の間、例えば9.8の誘電率を有しうる。
【0048】
本発明によれば、誘電率が増加すると、導波管の広い壁の平面に対するウィンドウペインの角度が減少するはずである。
【0049】
その点で、9.7から9.9の間など、誘電率の値が僅かに高いほど、より小さい角度、つまりより長いウィンドウペインが必要になり、これにより、ウィンドウペインの表面に当たる力をより適切に分散できるようになる。
【0050】
幾つかの更なる実施形態では、マイクロ波ウィンドウペインは、動作時に方形導波管内を伝播するマイクロ波波長の10%未満の厚さを有する。
【0051】
動作時に方形導波管内を伝播するマイクロ波波長の10%未満の厚さを有するマイクロ波ウィンドウペインには、ゴーストモードやマイクロ波ウィンドウペインを通した波の伝播を防ぐという利点がある。
【0052】
方形導波管内を伝播するマイクロ波波長の10%未満の厚さのマイクロ波ウィンドウペインが、ゴーストモードとマイクロ波ウィンドウペインを通した波の伝播を防ぐ最大許容厚さであることが示されている。
【0053】
例えば、厚さが3mm以下のマイクロ波ウィンドウペインは、マイクロ波ウィンドウペインを通るゴーストモード及び波の伝播を防止することが示されている。
【0054】
本発明の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリは、方形導波管とともに使用して、過熱、トラップモードの顕著な蓄積、又は入射電力の反射を生じることなく、導波管内で高周波、高出力のマイクロ波放射を結合できるという利点を有する。
【0055】
しかしながら、幾つかの実施形態では、冷却手段の存在が有利な場合がある。
【0056】
幾つかの実施形態では、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリは、マイクロ波ウィンドウペインを冷却するための手段を更に備える。
【0057】
冷却する手段を使用する利点は、冷却する手段によってウィンドウペインにかかる応力が軽減され、温度変化によって引き起こされるウィンドウペインの特性の変動の可能性が低減されることである。
【0058】
冷却する手段により、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ内の温度を下げることができる。
【0059】
冷却する手段は、マイクロ波ウィンドウペインを取り囲む熱伝達面と接触する外表面の少なくとも一部を有するチャネルであってもよい。
【0060】
幾つかの実施形態では、冷却する手段は流体熱交換器であるか、又は、流体熱交換器を含む。
【0061】
冷却流体は液体又は気体であってよい。
【0062】
例えば、2つの液体間の向流熱交換器を使用して、マイクロ波ウィンドウペインを冷却することができる。
【0063】
幾つかの更なる実施形態では、流体熱交換器は水冷チャネルであるか、又は、水冷チャネルを含む。
【0064】
流体熱交換器は、更なる冷却する手段を備えていてもよい。
【0065】
例えば、流体熱交換器は空冷フィンであってもよく、又は、空冷フィンを含んでもよい。
【0066】
この冷却する手段の使用により、マイクロ波ウィンドウペインの温度を大幅に上昇させることなく、10KW CW電力を処理できる広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリが生成された。
【0067】
本発明の一態様による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの使いやすさを改善する他の特徴が存在してもよい。
【0068】
幾つかの実施形態では、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリは、マイクロ波ウィンドウペインの温度を検査するための手段を更に備える。
【0069】
前記マイクロ波ウィンドウペインの温度を検査するための手段は、マイクロ波ウィンドウペインの温度又はマイクロ波ウィンドウペインにおける温度を検査するための手段であってもよい。
【0070】
幾つかの更なる実施形態では、前記マイクロ波ウィンドウペインの温度を検査するための手段は、マイクロ波ウィンドウペインの温度を監視するサーマルカメラ検査管内の赤外線(IR)センサであるか、又は、前記サーマルカメラ検査管内の赤外線(IR)センサを含む。
【0071】
サーマルカメラ内のIRセンサの存在は、マイクロ波ウィンドウペインの温度の最適な温度評価を可能にする。
【0072】
マイクロ波ウィンドウペインの温度を監視するために、円形チューブを広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリに挿入することができる。
【0073】
チューブの直径は2.45GHzでカットオフするのに十分なほど小さく設計されてよい。これにより、チューブにIRセンサを挿入してマイクロ波ウィンドウペインの温度を監視することが可能になる。
【0074】
幾つかの実施形態では、誘導アイリスは、セラミック材料の周波数及び特性に適合され、ウィンドウペインの容量性インピーダンスとアイリスの誘導性インピーダンスが相殺される。
【0075】
誘導アイリスは磁界内に配置され、実質的に誘導要素を提供するウィンドウペイン内の障害物となる。
【0076】
アイリスは、アイリスのサイズに比例するシャントインダクタンスをウィンドウペイン全体に配置する。
【0077】
本発明の誘導アイリスは、アイリスの誘導性インピーダンスがウィンドウペインの容量インピーダンスを打ち消すように、ウィンドウペインのセラミック材料の周波数に整合される。
【0078】
一般に、アイリスの寸法は、使用される材料の周波数及び他のパラメータに依存する可能性がある。例えば、虹アイリスの断面は10mm×4.35mmであってもよい。
【0079】
第2の態様では、本発明は、リアクタチャンバと、前記リアクタチャンバに接続されたリアクタチャンバ内にシングルモードマイクロ波を送信するための手段と、を備えるシングルモードマイクロ波リアクタと、マイクロ波発生器と、前記マイクロ波発生器を前記シングルモードマイクロ波リアクタに接続する、発明の第1の態様の前記広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリと、を備えることを特徴とするシングルモードマイクロ波リアクタシステムに関する。
【0080】
シングルモードマイクロ波リアクタシステムは、単一支配モードマイクロ波リアクタシステムとも呼ばれる。
【0081】
単一モード又は単一支配モードのマイクロ波リアクタは、本明細書では、マイクロ波が実質的に単一モードで伝播するリアクタとして定義される。
【0082】
伝播の単一モード又は単一支配モードは、横電気(TE)モードである可能性がある。
【0083】
本発明の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリは、オーバーモードの伝播を抑制する単一モード又は単一支配モードのマイクロ波フローリアクタと組み合わせて使用されてもよく、これにより、処理される材料はより均一な電界分布を受けるようになる。
【0084】
本発明の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリは、単一モード又は単一支配モードマイクロ波フローリアクタと組み合わせて、リアクタ内に均一な電磁場分布を生成できるシングルモードマイクロ波リアクタシステムを提供する。
【0085】
従って、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの1つの用途は、環境用途及び医療用途、マイクロ波乾燥処理、食品加工、インク及び塗料、並びに木材処理及び農業用途のためのマイクロ波加熱用途に含まれてよい。
【0086】
広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの更なる用途は、レーダー及び通信用途、マイクロ波化学及び無機又は有機合成に関連する材料処理、生化学反応、ポリマー関連プロセス、並びに触媒化学処理にも含まれてよい。
【0087】
広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの更なる用途は、レーダー及び通信用途、マイクロ波化学及び無機又は有機合成に関連する材料処理、生化学反応、ポリマー関連プロセス、並びに触媒化学処理にも含まれてよい。
【0088】
その点で、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリは、例えば、医療又はその他の高出力物理用途などの、高電力伝送を必要とするいくつかの用途に使用できる。
【0089】
第3の態様では、本発明は、前記広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの同一の半分のハウジングを組み立てることと、前記ハウジングを固定することとを含む、発明の第1の態様の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリを製造する方法に関する。
【0090】
固定は、溶接、ねじ止め、又はその他の固定技術によって行うことができる。
【0091】
広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリは、マイクロ波ウィンドウペインに沿った、方形導波管の広い壁の中央と、マイクロ波ウィンドウペインの位置と、にそれぞれ組み立てられた4つのアルミニウム部品から作製されてもよい。
【0092】
広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリはチタンから作製されてもよく、積層造形又は3D印刷プロセスを通じて製造されてもよい。
【0093】
このアセンブリは、基本モードの表面電流が導波路の広い壁の中央から発生するという事実によって決定される。従って、この組み立て位置では電流が流れず、構造の機械的な分割が可能になる。
【0094】
本発明の第1及び他の態様及び実施形態は、それぞれ、他の態様及び実施形態の何れかと組み合わせることができる。本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明する実施形態を参照して明らかとなり、説明されるであろう。
【0095】
ブリュースター導波管ウィンドウを備えた広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ、ブリュースター導波管ウィンドウを備えた導波管を備えたシングルモードマイクロ波リアクタシステム、及びブリュースター導波管ウィンドウを備えた導波管を製造する方法が、添付の図に関して更に詳細に説明される。図面は、本発明を実施する一つの方法を示すものであり、添付の特許請求の範囲に含まれる他の可能な実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【
図1】
図1は、本発明の幾つかの実施形態による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の幾つかの実施形態による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの上面図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の幾つかの実施形態による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの
図3Bの断面の位置を示す側面図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の幾つかの実施形態による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの断面図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の幾つかの実施形態による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの断面図である。
【
図5】
図5は、水冷チャネルを示す、本発明の幾つかの実施形態による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの概略図である。
【
図6】
図6は、誘導アイリスを示す、本発明の幾つかの実施形態による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の幾つかの実施形態による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ内のマイクロ波の伝播方向における電場の断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の幾つかの実施形態による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリのマイクロ波ウィンドウペインのマイクロ波の伝播方向に直交する電場の断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2の態様の幾つかの実施形態による単一支配モードマイクロ波リアクタシステムの概略図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3の態様の幾つかの実施形態による広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリを製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0097】
図1は、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ1の概略図であり、アセンブリの関連特徴の幾つかを示している。
【0098】
図1は、方形導波管4及びマイクロ波ウィンドウペイン(図示せず)の位置2を示す。
【0099】
図1は、更に、例えば冷却チャネル3などの、冷却する手段の存在を示す。
【0100】
図2は、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ1の上面図である。
【0101】
図2にはマイクロ波ウィンドウペイン5が示されているが、ブリュースター角に応じたマイクロ波の伝播方向に対する傾きは示されていない。
【0102】
誘導アイリス6の存在は、マイクロ波ウィンドウペイン5の周囲の側面に位置するように示されている。
【0103】
【0104】
図3Bは、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ1の断面図を更に示す。
【0105】
図3Aは、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ1の
図3Bの断面の位置を示す側面図である。
【0106】
図4Bは、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ1の断面図を更に示す。
【0107】
図4Aは、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ1の
図4Bの断面の位置を示す側面図である。
【0108】
図4Bでは、マイクロ波ウィンドウペイン5及び冷却チャネル3に注目することができる。
【0109】
図5は、冷却チャネル9の存在を示す広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ7の概略図である。
【0110】
図5は、マイクロ波ウィンドウペインの温度の最適な温度評価を可能にするサーマルカメラ内にIRセンサを挿入するための検査管8の位置も示している。
【0111】
図6は、マイクロ波ウィンドウペイン11の端にある誘導アイリス10を示す、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ7の断面図である。
【0112】
図7は、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ内のマイクロ波の伝播方向に沿った電界13の断面図である。
【0113】
図8は、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリのマイクロ波ウィンドウペイン内のマイクロ波の伝播方向に直交する電界14の断面図である。
【0114】
図9は、単一支配モードマイクロ波リアクタシステム15の概略図である。
【0115】
シングルモードマイクロ波リアクタシステム15は、シングルモードマイクロ波リアクタ18、マイクロ波発生器16、及びマイクロ波発生器16をシングルモードマイクロ波リアクタ18に接続する広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ17を備える。
【0116】
図10は、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリを製造する方法のフローチャート19を示しており、この方法は、
- S1、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの同一の半分のハウジングを組み立て、
- S2、ハウジングを固定する
ステップを含む。
【0117】
本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、提示された例に決して限定されるものとして解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。特許請求の範囲の文脈において、「含む」(「comprising」又は「comprises」)という用語は、他の可能な要素又はステップを排除するものではない。更に、「a」又は「an」などの参照についての言及は、複数を排除するものとして解釈してはならない。図面に示された要素に関する特許請求の範囲における参照符号の使用も、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。更に、異なる請求項で言及される個々の特徴は有利に組み合わせることができる可能性があり、異なる請求項でのこれらの特徴の言及は、特徴の組み合わせが不可能で有利であることを排除するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本波TE
10
導波路モードで動作するように構成される、広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリであって、
方形導波管と、
ブリュースター角に従ってマイクロ波の伝播方向に対して傾斜した
方形マイクロ波ウィンドウペインであって、前記方形導波管内に位置
し、マイクロ波波長の10%未満の厚さを有する
、方形マイクロ波ウィンドウペインと、
前記
方形マイクロ波ウィンドウペインの周囲に配置され
、前記方形導波管の容量性負荷が調整される誘導アイリスと、
を備えることを特徴とする広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項2】
前記
方形マイクロ波ウィンドウペインは
、セラミック材料を含むことを特徴とする請求項
1に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項3】
前記セラミック材料は、低誘電損失セラミック材料であることを特徴とする請求項
2に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項4】
前記セラミック材料は、3から12の間の誘電率を有することを特徴とする請求項
2又は
3に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項5】
前記
方形マイクロ波ウィンドウペインを冷却するための手段を更に備えることを特徴とする請求項1~
3のうちいずれか1項に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項6】
前記冷却するための手段は、流体熱交換器であるか、又は、流体熱交換器を含むことを特徴とする請求項
5に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項7】
前記流体熱交換器は、水冷チャネルであるか、又は、水冷チャネルを含むことを特徴とする請求項
6に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項8】
前記流体熱交換器は、空冷フィンであるか、又は、空冷フィンを含むことを特徴とする請求項
6に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項9】
前記
方形マイクロ波ウィンドウペインの温度を検査するための手段を更に備えることを特徴とする請求項1~
3のうちいずれか1項に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項10】
前記
方形マイクロ波ウィンドウペインの温度を検査するための前記手段は、前記
方形マイクロ波ウィンドウペインの温度を監視するサーマルカメラ検査管内の赤外線(IR)センサであるか、又は、前記サーマルカメラ検査管内の赤外線(IR)センサを含むことを特徴とする請求項
9に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項11】
前記誘導アイリスは周波数及び前記セラミック材料の特性に整合されることにより、前記
方形マイクロ波ウィンドウペインの容量性インピーダンスと前記誘導アイリスの誘導性インピーダンスが相殺されることを特徴とする請求項
2又は3に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリ。
【請求項12】
リアクタチャンバと、前記リアクタチャンバに接続されたリアクタチャンバ内にシングルモードマイクロ波を送信するための手段と、を備えるシングルモードマイクロ波リアクタと、
マイクロ波発生器と、
前記マイクロ波発生器を前記シングルモードマイクロ波リアクタに接続する、請求項1~
3のいずれか1項に記載の前記広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリと、
を備えることを特徴とするシングルモードマイクロ波リアクタシステム。
【請求項13】
前記広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリの同一の半分のハウジングを組み立てることと、
前記ハウジングを固定することと
を含むことを特徴とする請求項1~
3のうちいずれか1項に記載の広帯域マイクロ波ウィンドウアセンブリを製造する方法。
【国際調査報告】