(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】目標体温管理システム用流体送達ライン及び接続システム
(51)【国際特許分類】
A61F 7/00 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
A61F7/00 310F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568116
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2022027508
(87)【国際公開番号】W WO2022235695
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】ワード、アリスター ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】アモス、ドール ジョージ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ヒューイット、カール ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】テイラー、アンドリュー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、ハリー ディーン
(72)【発明者】
【氏名】ウィン、リーン イップ フン
(72)【発明者】
【氏名】ベケット、トレバー
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA05
4C099CA01
4C099CA03
4C099GA02
4C099JA01
4C099PA03
4C099PA04
(57)【要約】
目標体温管理(TTM)モジュールと熱接触パッドとの間でTTM流体を輸送するのに使用される流体送達ライン(FDL)が開示される。FDLは、二重内腔流体導管と、二重内腔基端側FDLコネクタとを含むことができる。基端側コネクタの2つの内腔は同心配置することができる。FDLに取り付けられた認証タグは、認証データをTTMモジュールに提供することができる。TTMシステムは、既存のTTMモジュールに追加される接続アダプタを含むことができ、アダプタは、電気機械弁を含む。アダプタコントローラは、タグから得られた認証データに従って弁を動作させる。流体接続システムは、接続及び切離し時に自動的に開放及び閉鎖する弁を含むことができる。流体導管及びコネクタは、同心配置された流体内腔を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標体温管理(TTM)モジュールと患者に適用される1つ又は複数の熱接触パッドとの間でTTM流体を輸送するのに使用される流体送達ライン(FDL)であって、
前記FDLの基端部にあり、前記TTMモジュールと接続するように構成される基端側FDLコネクタと、
FDL導管であって、
流体送達内腔と、
前記流体送達内腔と並列配置にある流体戻り内腔と、
一対のFDL導管の脚部を規定する前記FDL導管の分岐部と、を含む、FDL導管と、
前記FDLの先端部で前記一対のFDL脚部にそれぞれ連結される一対の先端側マニホールドハブであって、各先端側マニホールドハブは、前記1つ又は複数の熱接触パッドの1つ又は複数のパッドコネクタにそれぞれ接続するように構成された1つ又は複数の先端側ハブコネクタを含み、前記1つ又は複数の先端側ハブコネクタの各先端側ハブコネクタは、前記1つ又は複数のパッドコネクタのうちの対応するパッドコネクタをそれぞれ前記先端側ハブコネクタに対して固定する又は解放するために、パッド-ハブラッチ機構と係合又は係合解除するように構成された変位可能部材を含む、一対の先端側マニホールドハブと、を備える、FDL。
【請求項2】
前記FDLの長さに沿って延在する配線をさらに備える、請求項1に記載のFDL。
【請求項3】
前記基端側FDLコネクタは、前記TTMモジュールと流体的に、機械的に、且つ電気的に接続するように構成される、請求項1又は2に記載のFDL。
【請求項4】
前記1つ又は複数の先端側ハブコネクタは、それぞれ、前記1つ又は複数のパッドコネクタと流体的に、機械的に、且つ電気的に接続するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のFDL。
【請求項5】
前記変位可能部材は、ボタンである、請求項1~4のいずれか一項に記載のFDL。
【請求項6】
前記ボタンは、押されると前記ラッチ機構を係合解除し、それにより、前記1つ又は複数のパッドコネクタのうちの前記対応するパッドコネクタが、前記1つ又は複数の先端側ハブコネクタのうちの前記先端側ハブコネクタから解放されるのを可能にするように構成される、請求項5に記載のFDL。
【請求項7】
前記ボタンは、押されると前記ラッチ機構を係合解除し、それにより、前記1つ又は複数のパッドコネクタのうちの前記対応するパッドコネクタが、前記1つ又は複数の先端側ハブコネクタのうちの前記先端側ハブコネクタに固定されるのを可能にするように構成される、請求項5に記載のFDL。
【請求項8】
前記1つ又は複数の先端側ハブコネクタの各先端側ハブコネクタは、前記対応するパッドコネクタが前記先端側ハブコネクタに固定されたときに、前記1つ又は複数のパッドコネクタのうちの前記対応するパッドコネクタの弁との封止を規定するように構成された封止部材を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のFDL。
【請求項9】
前記1つ又は複数のパッドコネクタのうちの前記対応するパッドコネクタの前記弁が、前記対応するパッドコネクタが前記先端側ハブコネクタから切り離されたときに自動的に閉鎖するように、前記弁は、閉鎖状態に向かって付勢される、請求項8に記載のFDL。
【請求項10】
目標体温管理(TTM)モジュールと患者に適用される熱接触パッドとの間でTTM流体を輸送するのに使用される流体送達ライン(FDL)であって、
基端部から先端部まで延在する二重内腔流体導管と、
前記基端部にある二重内腔基端側FDLコネクタであって、
前記基端側FDLコネクタは前記TTMモジュールと連結するように構成され、
前記基端側FDLコネクタの前記2つの内腔は同心配置される、二重内腔基端側FDLコネクタと、
前記先端部にあり、マニホールドハブと連結するように構成された二重内腔先端側コネクタであって、前記二重内腔先端側コネクタは一対の弁を含み、各弁は前記2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置される、二重内腔先端側コネクタと、を備え、各弁は、
前記先端側コネクタが前記マニホールドハブから連結解除されたとき、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に阻止し、
前記先端側コネクタが前記マニホールドハブと連結されたとき、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に許容するように構成される、FDL。
【請求項11】
前記先端側コネクタは、変位可能部材を有するラッチ機構を備え、前記変位可能部材が変位状態にあるとき、前記マニホールドハブから前記先端側コネクタを引き離すことが許容され、前記変位可能部材が非変位状態にあるとき、前記マニホールドハブから前記先端側コネクタを引き離すことが阻止される、請求項10に記載のFDL。
【請求項12】
前記先端側コネクタの前記2つの内腔は、同心配置される、請求項10に記載のFDL。
【請求項13】
前記先端側コネクタに連結するとき、前記基端側FDLコネクタは、
前記TTMモジュールのモジュールコネクタに接続し、
長手方向軸が実質的に水平な向きになる第1位置から前記長手方向軸が実質的に垂直な向きになる第2位置に枢動するように構成される、請求項10に記載のFDL。
【請求項14】
前記基端側FDLコネクタは、前記TTMモジュールにラッチするように構成され、
前記基端側FDLコネクタが水平方向に向けられているとき、ラッチ機構が解除され、アダプタから前記基端側FDLコネクタを分離することが可能になり、
前記基端側FDLコネクタが垂直方向に向けられているとき、前記ラッチ機構が作動し、前記アダプタから前記基端側FDLコネクタを分離することが阻止される、請求項13に記載のFDL。
【請求項15】
前記基端側FDLコネクタは、一対の基端側弁を備え、各基端側弁は、前記基端側FDLコネクタの前記2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置され、各基端側弁は、
前記基端側FDLコネクタが前記TTMモジュールから連結解除されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に阻止し、
前記基端側FDLコネクタが前記TTMモジュールと連結されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に許容するように構成される、請求項10に記載のFDL。
【請求項16】
FDL認証データを前記TTMモジュールに提供するように構成された認証タグをさらに備える、請求項10に記載のFDL。
【請求項17】
前記FDLは、前記マニホールドハブと連結され、前記マニホールドハブは、複数の熱接触パッドと連結するように構成された複数の二重内腔先端側ハブコネクタを備える、請求項10に記載のFDL。
【請求項18】
前記FDLは、2つ以上のマニホールドハブと連結され、各マニホールドハブは、複数の熱接触パッドと連結するように構成された複数の二重内腔先端側ハブコネクタを備える、請求項10に記載のFDL。
【請求項19】
前記流体導管の前記2つの内腔は、前記流体導管の少なくとも一部分に沿って同心配置される、請求項10に記載のFDL。
【請求項20】
目標体温管理(TTM)流体と患者との間で熱エネルギーを交換するための熱接触パッドアセンブリであって、
熱接触パッドであって、
前記患者の上に配置されるように構成されたパッド部分と、
前記パッド部分から離れるように基端側に延在する二重内腔流体導管と、
基端部で前記流体導管に連結された二重内腔パッドコネクタと、を備える、熱接触パッドと、
マニホールドハブであって、
ハウジングと、
前記二重内腔パッドコネクタと連結された二重内腔先端側ハブコネクタと、
TTMシステムの二重内腔流体送達ライン(FDL)と連結するように構成された二重内腔基端側ハブコネクタと、を備える、マニホールドハブと、を備え、
前記TTM流体は、前記二重内腔先端側ハブコネクタを通って流れるのと前記二重内腔基端側ハブコネクタを通って流れるのとの間で前記ハウジングを通って流れ、
前記二重内腔基端側ハブコネクタは、同心配置で配置される2つの内腔を含む、熱接触パッドアセンブリ。
【請求項21】
前記二重内腔基端側ハブコネクタは、一対の弁を含み、各弁は前記2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置され、各弁は、
前記二重内腔基端側ハブコネクタが前記FDLから連結解除されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に阻止し、
前記二重内腔基端側ハブコネクタが前記FDLと連結されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に許容するように構成される、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記二重内腔基端側ハブコネクタは、基端側ラッチ機構を介して前記FDLと連結するように構成され、前記基端側ラッチ部材は、変位可能部材を含み、
前記変位可能部材が変位状態にあるとき、前記FDLから前記二重内腔基端側ハブコネクタを引き離すことが可能になり、
前記変位可能部材が非変位状態にあるとき、前記FDLから前記二重内腔基端側ハブコネクタを引き離すことが阻止される、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項23】
対応するパッドコネクタと組み合わせた各二重内腔先端側ハブコネクタは、先端側ラッチ機構を備え、
前記二重内腔先端側ハブコネクタ又は前記パッドコネクタのうちの少なくとも一方は、前記先端側ラッチ機構の変位可能部材を含み、
前記先端側ラッチ機構の前記変位可能部材が変位状態にあるとき、前記二重内腔先端側ハブコネクタから前記パッドコネクタを引き離すことが可能になり、
前記先端側ラッチ機構の前記変位可能部材が非変位状態にあるとき、前記二重内腔先端側ハブコネクタから前記パッドコネクタを引き離すことが阻止される、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記マニホールドハブは、複数の前記二重内腔先端側ハブコネクタを備え、各二重内腔先端側ハブコネクタは、パッドコネクタと連結するように構成され、
各二重内腔先端側ハブコネクタは、一対の弁を含み、
前記一対の弁の各弁は、前記2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置され、
前記一対の弁の各弁は、
前記二重内腔先端側ハブコネクタが前記パッドコネクタから連結解除されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に阻止し、
前記二重内腔先端側ハブコネクタが前記パッドコネクタと連結されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に許容するように構成される、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項25】
前記二重内腔先端側ハブコネクタの前記2つの内腔は、同心配置される、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項26】
複数の前記二重内腔先端側ハブコネクタを介して前記マニホールドハブと連結された複数の熱接触パッドをさらに備える、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項27】
前記熱接触パッド又は前記マニホールドハブのうちの少なくとも一方に取り付けられた認証タグをさらに備え、前記認証タグは、前記TTMシステムのTTMモジュールに認証データを提供するように構成される、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項28】
前記マニホールドハブは、前記マニホールドハブを前記熱接触パッド、ベッド表面又はベッドレールのうちの少なくとも1つと連結するように構成された取付装置を備える、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項29】
目標体温管理(TTM)システムであって、
TTM流体を供給するように構成されたTTMモジュールと、
前記TTM流体と患者との間の熱エネルギー伝達を促進するように構成された熱パッドであって、
前記患者の上に配置されるように構成されたパッド部分と、
前記パッド部分から離れるように基端側に延在する二重内腔流体導管と、を備える、熱パッドと、
前記TTMモジュールと前記熱パッドとの間でTTM流体を輸送するように構成された二重内腔流体送達ライン(FDL)であって、前記二重内腔FDLは、前記二重内腔FDLの基端部にある基端側二重内腔FDLコネクタと、前記二重内腔FDLの先端部にある先端側二重内腔FDLコネクタと、を含む、二重内腔FDLと、
前記二重内腔FDLの前記先端部で前記二重内腔FDLに連結されたマニホールドハブであって、前記マニホールドハブは、前記二重内腔FDLと前記二重内腔流体導管との間の二重内腔流体接続を容易にするように構成され、前記二重内腔FDLを前記TTMモジュールへ連結することは、
前記FDLの同心配置された2つの内腔を含む前記基端側二重内腔FDLコネクタを前記TTMモジュールの二重内腔モジュールコネクタに連結することと、
前記二重内腔モジュールコネクタを通る前記TTM流体の双方向の流れを可能にするように、前記TTMモジュールの一対の弁であって、各弁は前記二重内腔モジュールコネクタの前記2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置される一対の弁を開放することと、を含む、TTMシステム。
【請求項30】
前記TTMモジュールに取り付けられた接続アダプタをさらに備え、前記接続アダプタは、前記一対の弁と前記二重内腔モジュールコネクタとを備える、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記接続アダプタは、プロセッサとメモリに格納されたコントローラロジックとを有するコントローラを含むアダプタコンソールを備え、前記コントローラロジックは、前記一対の弁を選択的に開放及び閉鎖するように構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記アダプタコンソールは、前記FDL、前記マニホールドハブ又は前記熱パッドのうちの少なくとも1つに取り付けられた認証タグから認証データを取得するように構成された認証モジュールを備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記コントローラロジックは、前記取得された認証データがメモリに格納された認証情報と整合する場合に前記一対の弁を開放するように構成される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記接続アダプタは、前記基端側FDLコネクタを前記接続アダプタに固定するように構成されたラッチ機構を備える、請求項30に記載のシステム。
【請求項35】
前記ラッチ機構は、前記基端側FDLコネクタが水平方向と垂直方向との間で回転可能であるように、前記基端側FDLコネクタと連結された枢動部材を備え、
前記基端側FDLコネクタが水平方向に向けられているとき、前記ラッチ機構が解除され、前記接続アダプタから前記基端側FDLコネクタを分離することが可能になり、
前記基端側FDLコネクタが垂直方向に向けられているとき、前記ラッチ機構が作動し、前記接続アダプタから前記基端側FDLコネクタを分離することが阻止される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記ラッチ機構は、前記基端側FDLコネクタと係合し、それにより前記基端側FDLコネクタを垂直方向に拘束するように構成された、クリップを含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記マニホールドハブは、一対のハブ弁を有する二重内腔基端側ハブコネクタを介して前記FDLに連結され、各ハブ弁は、前記基端側ハブコネクタの前記2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置され、各ハブ弁は、
前記基端側ハブコネクタが前記FDLから連結解除されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に阻止し、
前記基端側ハブコネクタが前記FDLと連結されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に許容するように構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項38】
前記基端側ハブコネクタは、基端側ラッチ機構を介して前記FDLと連結するように構成され、前記基端側ラッチは、変位可能部材を含み、
前記変位可能部材が変位状態にあるとき、前記FDLから前記基端側ハブコネクタを引き離すことが可能になり、
前記変位可能部材が非変位状態にあるとき、前記FDLから前記基端側ハブコネクタを引き離すことが阻止される、請求項29に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、目標体温管理システム用流体送達ライン及び接続システムに関する。
【背景技術】
【0002】
体温が人体に及ぼす影響については十分に証明されており、身体組織を選択的に冷却及び/又は加熱するための目標体温管理(TTM:targeted temperature management)システムの使用が知られている。体温の上昇、すなわち高体温は、通常の状態で、さらにより重要なのは、病気又は手術等の身体的ストレスのある期間中、脳に有害である可能性がある。逆に、体温の低下、すなわち軽度の低体温は、ある程度の神経保護をもたらす可能性がある。中等度から重度の低体温は、身体、特に心血管系により有害な傾向がある。
【0003】
目標体温管理は、2つの異なる側面から見ることができる。体温管理の第1側面は、異常な体温を処置すること、すなわち、高体温の状態では身体を冷やすこと、又は低体温の状態では身体を温めることを含む。体温調節の第2側面は、ある程度の神経保護を得るために脳卒中患者を冷やすこと等、生理学的利益を提供するように患者の体温を物理的に制御する技法を採用する、発展的な治療である。例として、TTMシステムは、脳卒中及び頭部外傷患者による神経学的損傷を軽減するために、脳卒中の早期治療に利用されることがある。さらなる応用としては、心肺バイパス手術等の外科処置中の患者の選択的な加熱/冷却が挙げられる。
【0004】
TTMシステムは、患者に連結された1つ又は複数の熱接触パッドを通して流体(例えば、水)を循環させて、患者との表面間熱エネルギー交換に影響を与える。一般に、TTMシステムは、流体送達ラインを介して熱接触パッドセットに連結されたTTM流体制御モジュールを含む。こうしたTTMシステムの1つは、2001年10月11日に出願された「Patient Temperature Control System with Fluid Pressure Maintenance」と題する特許文献1に開示されており、こうした熱接触パッド及び関連システムの1つは、1999年1月4日に出願された「Cooling/heating Pad and System」と題する特許文献2に開示されており、これらの両方が参照によりその全体が本明細書に援用される。流体送達ラインは、一般に、熱パッドセットとの間でTTM流体を輸送する2つの流体導管を含む。熱パッドは、流体送達ラインへの接続及び流体送達ラインからの切離しを容易にするコネクタを含むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6645232号明細書
【特許文献2】米国特許第6197045号明細書
【発明の概要】
【0006】
本明細書の実施形態は、概して、患者の体温を選択的に上昇及び/又は下降させることに関し、特定の実施形態では、患者に接触する1つ又は複数のパッドを通る加熱/冷却された流体の循環を介して患者の体温を制御するシステム及び方法に関する。
【0007】
本明細書で開示するのは、TTMモジュールと患者に適用される1つ又は複数の熱接触パッドとの間でTTM流体を輸送するのに使用される流体送達ライン(FDL:fluid delivery line)である。FDLは、基端側FDLコネクタ、FDL導管、及び一対の先端側マニホールドハブを含む。基端側FDLコネクタは、FDLの基端部にある。基端側FDLコネクタは、TTMモジュールと接続するように構成されている。FDL導管は、流体送達内腔と、流体送達内腔と並列配置(side-by-side arrangement)にある流体戻り内腔と、一対のFDL導管の脚部を規定するFDL導管の分岐部とを含む。一対の先端側マニホールドハブは、FDLの先端部で一対のFDL脚部にそれぞれ連結される。各先端側マニホールドハブは、1つ又は複数の熱接触パッドの1つ又は複数のパッドコネクタにそれぞれ接続するように構成された1つ又は複数の先端側ハブコネクタを含む。1つ又は複数の先端側ハブコネクタの各先端側ハブコネクタは、1つ又は複数のパッドコネクタのうちの対応するパッドコネクタをそれぞれ先端側ハブコネクタに対して固定する又は解放するために、パッド-ハブラッチ機構と係合又は係合解除するように構成された変位可能部材を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、FDLは、FDLの長さに沿って延在する配線をさらに含む。
いくつかの実施形態では、基端側FDLコネクタは、TTMモジュールと流体的に、機械的に、且つ電気的に接続するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の先端側ハブコネクタは、それぞれ、1つ又は複数のパッドコネクタと流体的に、機械的に、且つ電気的に接続するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、変位可能部材はボタンである。
いくつかの実施形態では、ボタンは、押されるとラッチ機構を係合解除し、それにより、1つ又は複数のパッドコネクタのうちの対応するパッドコネクタが、1つ又は複数の先端側ハブコネクタのうちの上記先端側ハブコネクタから解放されるのを可能にするように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、ボタンは、押されるとラッチ機構を係合解除し、それにより、1つ又は複数のパッドコネクタのうちの対応するパッドコネクタが、1つ又は複数の先端側ハブコネクタのうちの上記先端側ハブコネクタに固定されるのを可能にするように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の先端側ハブコネクタの各先端側ハブコネクタは、対応するパッドコネクタが先端側ハブコネクタに固定されたときに、1つ又は複数のパッドコネクタのうちの対応するパッドコネクタの弁との封止を規定するように構成された封止部材を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のパッドコネクタのうちの対応するパッドコネクタの弁が、対応するパッドコネクタが先端側ハブコネクタから切り離されたときに自動的に閉鎖するように、弁は、閉鎖状態に向かって付勢されている。
【0014】
また、本明細書では、TTMモジュールと患者に適用される熱接触パッドとの間でTTM流体を輸送するのに使用されるFDLも開示する。FDLは、基端部から先端部まで延在する二重内腔(bi-luminal)流体導管と、基端部にある二重内腔基端側FDLコネクタとを含む。基端側FDLコネクタはTTMモジュールと連結するように構成され、基端側FDLコネクタの2つの内腔は同心配置されている。先端部の二重内腔先端側コネクタは、マニホールドハブと連結するように構成されている。二重内腔先端側コネクタは一対の弁を含み、各弁は、2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置されている。各弁は、先端側コネクタがマニホールドハブから連結解除されたとき、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に阻止するように構成されており、各弁は、先端側コネクタがマニホールドハブと連結されたとき、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に可能にする/許容するように構成されている。
【0015】
先端側コネクタは、変位可能部材を有するラッチ機構を含み、変位可能部材が変位状態にあるとき、マニホールドハブから先端側コネクタを引き離すことが可能になり、変位可能部材が非変位状態にあるとき、マニホールドハブから先端側コネクタを引き離すことが阻止されるようにすることができる。先端側コネクタの2つの内腔は、同心配置することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、基端側FDLコネクタをTTMモジュールと連結することは、基端側FDLコネクタをTTMモジュールのモジュールコネクタに接続することと、基端側FDLコネクタの長手方向軸が実質的に水平な向きから実質的に垂直な向きに(又はその逆に)枢動するように基端側FDLコネクタを枢動させることとを含む。
【0017】
基端側FDLコネクタは、TTMモジュールにラッチするように構成することができ、基端側FDLコネクタが水平方向に向けられたとき、ラッチ機構が解除され、アダプタから基端側FDLコネクタを分離することが可能になり、基端側FDLコネクタが垂直方向に向けられたとき、ラッチ機構が作動し、アダプタから基端側FDLコネクタを分離することが阻止される。代替実施形態では水平方向と垂直方向とを逆にしてもよいことが留意されるべきである。
【0018】
基端側FDLコネクタは、一対の基端側弁を含むことができ、各基端側弁は、基端側FDLコネクタの2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置され、各基端側弁は、基端側FDLコネクタがTTMモジュールから連結解除されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に阻止するように構成されており、各基端側弁は、基端側FDLコネクタがTTMモジュールと連結されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に可能にするように構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、FDLは、FDL認証データをTTMモジュールに提供するように構成された認証タグを含む。
いくつかの実施形態では、FDLは、マニホールドハブと連結され、ハブは、複数の熱接触パッドと連結するように構成された複数の二重内腔先端側ハブコネクタを含む。他の実施形態では、FDLは、2つ以上のマニホールドハブと連結され、各マニホールドハブは、複数の熱接触パッドと連結するように構成された複数の二重内腔先端側ハブコネクタを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、流体導管の2つの内腔は、流体導管の少なくとも一部分に沿って同心配置されている。
また、本明細書では、TTM流体と患者との間で熱エネルギーを交換するための熱接触パッドアセンブリも開示する。このアセンブリは、熱接触パッド及びマニホールドハブを含む。パッドは、患者の上に配置されるように構成されたパッド部分と、パッド部分から離れるように基端側に延在する二重内腔流体導管と、基端部で流体導管に連結された二重内腔パッドコネクタとを含む。ハブは、ハウジングと、二重内腔パッドコネクタと連結された二重内腔先端側ハブコネクタと、TTMシステムの二重内腔FDLと連結するように構成された二重内腔基端側ハブコネクタとを含む。TTM流体は、二重内腔先端側ハブコネクタを通って流れるのと二重内腔基端側ハブコネクタを通って流れるのとの間でハウジングを通って流れる。二重内腔基端側ハブコネクタは、同心配置で配置することができる2つの内腔を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、二重内腔基端側ハブコネクタは一対の弁を含み、各弁は2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置されている。各弁は、二重内腔基端側ハブコネクタがFDLから連結解除されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に阻止し、二重内腔基端側ハブコネクタがFDLと連結されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に可能にするように構成されている。
【0022】
二重内腔基端側ハブコネクタは、基端側ラッチ機構を介してFDLと連結するように構成することができ、基端側ラッチ部材は変位可能部材を含む。ラッチ機構は、変位可能部材が変位状態にあるとき、FDLから二重内腔基端側ハブコネクタを引き離すことが可能になり、変位可能部材が非変位状態にあるとき、FDLから二重内腔基端側ハブコネクタを引き離すことが阻止されるように構成されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、対応するパッドコネクタと組み合わせた各二重内腔先端側ハブコネクタは、先端側ラッチ機構を含み、二重内腔先端側ハブコネクタ又はパッドコネクタのうちの少なくとも一方は、先端側ラッチ機構の変位可能部材を含む。先端側ラッチ機構は、先端側ラッチ機構の変位可能部材が変位状態にあるとき、二重内腔先端側ハブコネクタからパッドコネクタを引き離すことが可能になり、先端側ラッチ機構の変位可能部材が非変位状態にあるとき、二重内腔先端側ハブコネクタからパッドコネクタを引き離すことが阻止されるように構成されている。
【0024】
マニホールドハブは、複数の二重内腔先端側ハブコネクタを含むことができ、各二重内腔先端側ハブコネクタは、パッドコネクタと連結するように構成され、各二重内腔先端側ハブコネクタは、一対の弁を含む。先端側ハブコネクタの各弁は、2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置され、先端側ハブコネクタの各弁は、二重内腔先端側ハブコネクタがパッドコネクタから連結解除されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に阻止し、二重内腔先端側ハブコネクタがパッドコネクタと連結されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に可能にするように構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、二重内腔先端側ハブコネクタの2つの内腔は、同心配置されている。アセンブリは、複数の二重内腔先端側ハブコネクタを介してマニホールドハブと連結された複数の熱接触パッドをさらに含むことができる。アセンブリは、熱接触パッド又はマニホールドハブのうちの少なくとも一方に取り付けられた認証タグをさらに含むことができ、認証タグは、TTMシステムのTTMモジュールに認証データを提供するように構成されている。マニホールドハブは、マニホールドハブを熱接触パッド、ベッド表面又はベッドレールのうちの少なくとも1つと連結するように構成された取付装置を含むことができる。
【0026】
また、本明細書では、TTM流体を供給するように構成されたTTMモジュールを含むTTMシステムも開示する。このシステムは、TTM流体と患者との間の熱エネルギー伝達を促進するように構成された熱パッドをさらに含み、熱パッドは、患者の上に配置されるように構成されたパッド部分と、パッド部分から離れるように基端側に延在する二重内腔流体導管とを含む。システムは、TTMモジュールと熱パッドとの間でTTM流体を輸送するように構成された二重内腔FDLをさらに含み、二重内腔FDLは、二重内腔FDLの基端部にある基端側二重内腔FDLコネクタと、二重内腔FDLの先端部にある先端側二重内腔FDLコネクタとを含む。システムは、二重内腔FDLの先端部で二重内腔FDLに連結されたマニホールドハブをさらに含み、マニホールドハブは、二重内腔FDLと二重内腔流体導管との間の二重内腔流体接続を容易にするように構成されている。二重内腔FDLのTTMモジュールへの連結は、FDLの基端側二重内腔FDLコネクタをTTMモジュールの二重内腔モジュールコネクタに連結することを含み、基端側二重内腔FDLコネクタは、同心配置された2つの内腔を含む。二重内腔FDLのTTMモジュールへの連結は、二重内腔モジュールコネクタを通るTTM流体の双方向の流れを可能にするように、TTMモジュールの一対の弁を開放することも含み、各弁は、二重内腔モジュールコネクタの2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置される。基端側FDLコネクタの2つの内腔は同心配置することができる。
【0027】
システムは、TTMモジュールに取り付けられた接続アダプタをさらに含むことができ、接続アダプタは、一対の弁と二重内腔モジュールコネクタとを含む。接続アダプタは、プロセッサとメモリに格納されたコントローラロジックとを有するコントローラを含むアダプタコンソールを含むことができ、コントローラロジックは、一対の弁を選択的に開放及び閉鎖するように構成されている。
【0028】
アダプタコンソールは、FDL、マニホールドハブ又は熱パッドのうちの少なくとも1つに取り付けられた認証タグから認証データを取得するように構成された認証モジュールをさらに含むことができる。コントローラロジックは、取得された認証データがメモリに格納された認証情報と整合する場合に一対の弁を開放するように構成することができる。
【0029】
接続アダプタは、基端側FDLコネクタを接続アダプタに固定するように構成されたラッチ機構を含むことができる。ラッチ機構は、基端側FDLコネクタが水平方向と垂直方向との間で回転可能であるように、基端側FDLコネクタと連結された枢動部材を含む。ラッチ機構は、基端側FDLコネクタが水平方向に向けられているとき、ラッチ機構が解除され、接続アダプタから基端側FDLコネクタを分離することが可能になり、基端側FDLコネクタが垂直方向に向けられているとき、ラッチ機構が作動し、接続アダプタから基端側FDLコネクタを分離することが阻止されるようにさらに構成されている。
【0030】
ラッチ機構は、基端側FDLコネクタと係合し、それにより基端側FDLコネクタを垂直方向に拘束するように構成された、クリップをさらに含むことができる。
いくつかの実施形態では、マニホールドハブは、一対のハブ弁を有する二重内腔基端側ハブコネクタを介してFDLに連結され、各ハブ弁は、基端側ハブコネクタの2つの内腔のうちの別々の1つと一直線上に配置され、各ハブ弁は、基端側ハブコネクタがFDLから連結解除されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に阻止し、基端側ハブコネクタがFDLと連結されると、そのそれぞれの内腔を通る流体流を自動的に可能にするように構成されている。
【0031】
基端側ハブコネクタは、基端側ラッチ機構を介してFDLと連結するように構成することができ、基端側ラッチは、変位可能部材を含み、変位可能部材が変位状態にあるとき、FDLから基端側ハブコネクタを引き離すことが可能になり、変位可能部材が非変位状態にあるとき、FDLから基端側ハブコネクタを引き離すことが阻止される。
【0032】
本明細書で提供される概念のこれら及び他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面及び以下の説明を考慮すれば、当業者にはより明らかになるであろう。
【0033】
本開示のより具体的な説明は、添付の図面に示される特定の実施形態を参照することにより行われる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定するものとみなされないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面の使用を通じてさらに具体的且つ詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】患者を冷却又は加温するTTMシステムの現行の実施形態を示す。
【
図1B】いくつかの実施形態による、改良されたTTMシステムを示す。
【
図2】いくつかの実施形態による、
図1BのTTMシステムの液圧回路図を示す。
【
図3】いくつかの実施形態による、
図1BのTTMモジュールのコンソールのさまざまな要素を示すブロック図を示す。
【
図4A】いくつかの実施形態による、
図1Bのシステムの熱パッドの上面図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、断面線4B-4Bに沿って切断された
図4Aのパッドの断面図である。
【
図5A】いくつかの実施形態による、
図1BのFDLの一実施形態を示す。
【
図5B】いくつかの実施形態による、流体送達ライン導管の断面図である。
【
図5C】いくつかの実施形態による、FDLコネクタが変位可能なラッチ部材を含む、FDL-ハブ接続システムを示す。
【
図6】いくつかの実施形態による、分岐した流体送達ラインの一実施形態を示す。
【
図7A】いくつかの実施形態による、弁を含む、切り離された状態にある同軸二重内腔接続システムを示す。
【
図7B】いくつかの実施形態による、接続された状態にある
図7Aの接続システムを示す。
【
図8A】いくつかの実施形態による、プッシュプル機構を有するパッド-ハブ接続システムを示す。
【
図8B】いくつかの実施形態による、パッドコネクタが変位可能部材を含むパッド-ハブ接続システムを示す。
【
図8C】いくつかの実施形態による、ハブコネクタが変位可能部材を含むパッド-ハブ接続システムを示す。
【
図8D】いくつかの実施形態による、パッドコネクタが変位可能なシュラウドを含むパッド-ハブ接続システムを示す。
【
図8E】いくつかの実施形態による、連動歯配置を含むパッド-ハブ接続システムを示す。
【
図8F】いくつかの実施形態による、部分的に接続された状態にある
図8Dのパッド-ハブ接続を示す。
【
図8G】いくつかの実施形態に従った、完全に接続された状態にある
図8Dのパッド-ハブ接続を示す。
【
図9A】いくつかの実施形態による、
図1Bのモジュール-FDL接続アダプタを示す。
【
図9B】いくつかの実施形態による、FDLに連結された
図9Aのモジュール-FDL接続アダプタを示す。
【
図9C】いくつかの実施形態による、
図9Bのアダプタの断面線9C-9Cに沿って切断された断面上面図を示す。
【
図9D】いくつかの実施形態による、モジュール-FDL接続アダプタのコンソールのさまざまな要素を示すブロック図を示す。
【
図10A】いくつかの実施形態による、一列に配置された複数の先端側ハブコネクタを有するマニホールドハブを示す。
【
図10B】いくつかの実施形態による、熱パッドと連結された
図10Aのハブを示す。
【
図10C】いくつかの実施形態による、ベッド表面と連結された
図10Aのハブを示す。
【
図11A】いくつかの実施形態による、ハブの外周部に沿って配置された複数の先端側ハブコネクタを有するマニホールドハブを示す。
【
図11B】いくつかの実施形態による、ベッド表面上に配置された
図11Aのハブを示す。
【
図11C】いくつかの実施形態による、熱パッドに取り付けられた
図11Aのハブを示す。
【
図11D】いくつかの実施形態による、アドオンクリップを含む
図11Aのハブの裏側を示す図である。
【
図11E】いくつかの実施形態による、ベッドレールにクリップ留めされた
図11Dのハブを示す。
【
図12】いくつかの実施形態によるTTMシステムの別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離することができる特徴であって、任意選択的に、本明細書に開示される他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と組み合わせる又は置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0036】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書に提供される概念の範囲を限定するものではないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3等)は、全般的に、特徴又は工程の群内の異なる特徴若しくは工程を区別又は識別するために使用され、連続的又は数値的な限定を提供するものではない。例えば、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」特徴又は工程は、その順序で必ずしも現れる必要はなく、そのような特徴又は工程を含む特定の実施形態は、3つの特徴又は工程に必ずしも限定される必要はない。例えば「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、「水平」、「垂直」等のラベルは、便宜的に使用されるものであり、例えば、任意の特定の固定された位置、向き、又は方向を示唆することを意図するものではない。その代わりに、そのようなラベルは、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するように使用される。単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈で別段の明確な指示のない限り、複数形の参照を含む。「含む(including)」、「有する(has)」、及び「有する(having)」という語は、特許請求の範囲を含む本明細書で使用する場合、「備える(comprising)」という語と同じ意味を有する。さらに、「又は」及び「及び/又は」という用語は、本明細書で使用する場合、包括的又は任意の1つの若しくは任意の組み合わせを意味するものと解釈されるものとする。一例として、「A、B又はC」又は「A、B及び/又はC」は、「以下、すなわち、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB、A及びC、B及びC、並びにA、B及びC、のいずれか」を意味する。この定義の例外は、要素、構成要素、機能、工程、又は行為の組み合わせが何らかの方法で本質的に相互に排他的である場合にのみ生じる。
【0037】
「に接続される」及び「に連結される」という語句は、機械的、電気的、磁気的、電磁的、流体的、信号的、通信的(無線を含む)、及び熱的相互作用を含む、2つ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、互いに直接接触していなくても、互いに接続又は連結され得る。例えば、2つの構成要素は、中間構成要素を介して互いに連結され得る。別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0038】
本明細書では、医療デバイスにおける反対側の位置を指すために、「基端」及び「先端」という方向を示す用語を用いる。デバイスの基端部は、デバイスがエンドユーザによって使用されているときにエンドユーザに最も近いデバイスの端として定義される。先端部は、デバイスの長手方向に沿って基端部の反対側の端部、又はエンドユーザから最も遠い端部である。
【0039】
本明細書に開示するいずれの方法も、記載された方法を実行する1つ又は複数のステップ又は行為を含む。方法のステップ及び/又は行為は、互いに置き換えてもよい。言い換えれば、実施形態の適切な動作のためにステップ又は行為の所定の順序が必要とされない限り、所定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用を変更してもよい。さらに、本明細書に記載される方法のサブルーチン、又は一部のみが、本開示の範囲内の別個の方法であってもよい。別の言い方をすれば、いくつかの方法は、より詳細な方法に記載されるステップの一部のみを含んでもよい。
【0040】
別段の定義がない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
図1Aは、患者50を冷却又は加温するTTMシステム10の現行の実施形態を示す。TTMシステム10は、TTMモジュール11、FDL13及び熱接触パッドセット12を含む。パッドセット12は、概して、1、2、3、4、5、6、又は7以上の熱接触パッドを含むことができる。FDL13は、パッドセット12への且つパッドセット12からのTTM流体の輸送を可能にする。FDL13は、先端部に、複数の熱パッドを接続することができるハブ14を含むことができる。
【0041】
場合により、患者50は、TTM治療セッション中に医療処置を受ける必要があることがある。いくつかの処置、例えばMRI処置では、患者50をTTMモジュール11から分離する必要がある場合がある。こうした場合には、熱接触パッドセット12を患者50に接触させたまま(例えば、患者に適用したまま)にし、熱パッドセットをFDL13から切り離すことが有利な場合がある。熱パッド及びFDL13からのTTM流体の漏れを最小限にするために、パッドセット12及びFDL13からのTTM流体のパージを行うことができる。TTM流体のパージは、必要な手順を提供する上で望ましくない遅延を引き起こす可能性がある。したがって、パッドセット12及びFDL13内のTTM流体を封止する、ハブ14とFDL13との間の接続システムを提供して、分離中にTTM流体の漏れを回避する又は最小化することができるようにすることが有利であり得る。
【0042】
場合により、FDL13を複数回再使用することにより、FDL13内で細菌が増殖することになる可能性がある。したがって、臨床医は、各再使用の前等、定期的な間隔で、FDL13を洗浄及び/又は消毒する可能性がある。場合により、医療環境において洗浄及び消毒手順に依存することは、患者の汚染を確実に防止する上で効果がないことが示されている。消毒手順への依存を減らすために、医療デバイスの再使用から単回使用デバイスに向かう傾向がある。
【0043】
さらなる場合では、第三者製造の粗悪な熱パッドを使用することにより、患者にとってTTM治療効果が低下する場合もある。したがって、TTM治療を開始する前に、粗悪な熱パッドを使用しようとしたことを検出することが有利である場合がある。無線周波数識別(RFID)タグ等の現行の技術により、熱パッド等の単回使用デバイスの真正性を確認することが可能且つ経済的に実現可能となり、それにより、効果のないTTM治療を送達する可能性が防止される。
【0044】
場合により、TTMモジュール11へのFDL13の接続等の流体導管の接続には、向き及び位置合わせ等の複雑性又は難題があるが、それは、それらの間の接続点を再構成することによって排除することができる。例えば、2つの流体導管に対する並列配置には、接続を行うときの複雑性があり得るが、これは、2つの内腔を同軸に配置することで回避することができる。
【0045】
図1Bは、上述した領域のうちのいくつかにおいて機能強化を提供することができる、改良されたTTMシステム100を示す。TTMシステム100は、TTMモジュール110、FDL130及び熱接触パッドセット120を含む。図示する実施形態では、パッドセット120は、4つの熱接触パッドを含む。しかしながら、パッドセット120は、1つ又は複数の熱接触パッドを含んでもよい。FDL130は、流体送達内腔131を介するパッドセット120へのTTM流体112の送達と、流体戻り内腔132を介するTTMモジュール110へのTTM流体112の戻りとを容易にする、二重内腔である。図示する実施形態では、FDL130は、マニホールドハブ140と連結されている。ハブ140は、熱パッドへの流体連結を容易にする1つ又は複数の先端側ハブコネクタを含むことができる。1つの実施形態では、ハブ140は、6つの先端側ハブコネクタを含む。
図1Bの図示する実施形態では、ハブ140は、4つの先端側ハブコネクタを含む。ハブ140はまた、FDL130と選択的に連結される。ハブ140のさらに詳細な説明は後に続く。TTMシステム100はまた、FDL130とTTMモジュール110との間の改良された流体接続を提供するために、FDL130とTTMモジュール110との間に接続アダプタ150も含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、パッドセット120の1つ又は複数の熱パッドをハブ140とともにパッケージ化して、熱パッドセットアセンブリを規定することができる。パッドセットアセンブリのいくつかの実施形態では、パッドセット120の1つ又は複数のパッドにハブ140を予め接続してもよい。
【0047】
使用時、TTMモジュール110は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)115を介して臨床医により入力された、指示されたTTM治療パラメータに従って、TTM流体112を規定温度に加熱又は冷却することにより、パッドセット120に送達するためにTTM流体112を調製する。TTMモジュール110は、FDL130を介してTTMモジュール110とパッドセット120との間でTTM流体112を循環させる。パッドセット120は、パッドセット120と患者50との間の熱エネルギー交換を促進するために、患者50の皮膚51に適用される。TTM治療中、TTMモジュール110は、TTM流体112の温度を目標TTM温度に向かって継続的に制御することができる。
【0048】
図2は、TTMシステム100の液圧回路図を示す。パッドセット120(
図1B)は対応する流体導管とともに、TTMモジュール110のハウジング111の外部に配置されている。TTMモジュールは、TTM流体112を調製し循環させるためのさまざまな流体センサ及び流体制御デバイスを含む。TTMモジュールの流体サブシステムは、温度制御サブシステム210及び循環サブシステム230を含むことができる。
【0049】
温度制御サブシステム210は、冷却器213及び冷却器タンク214を含む冷却器回路212を通してTTM流体112を圧送する(再循環させる)ための冷却器ポンプ211を含むことができる。冷却器タンク214内の温度センサ215が、冷却器タンク214内のTTM流体112の温度を測定するように構成されている。冷却器213は、冷却器タンク214内のTTM流体112の所望の温度を確立するために、さらに後述するように、温度制御ロジック(
図3を参照)によって制御することができる。場合により、冷却器タンク214内のTTM流体112の温度は、TTM治療の目標温度未満であってもよい。
【0050】
温度制御サブシステム210は、冷却器タンク214、循環タンク224、及び冷却器タンク214と循環タンク224との間に配置されたダム228を含む混合回路222を通してTTM流体112を圧送する、混合ポンプ221をさらに含むことができる。TTM流体112は、混合ポンプ221によって圧送されると、冷却器タンク214に入り、冷却器タンク214内でTTM流体112と混合される。冷却器タンク214内で混合されたTTM流体112は、ダム228を越えて循環タンク224に流れ込む。言い換えれば、混合回路222は、冷却器タンク214内のTTM流体112を循環タンク224内のTTM流体112と混合して、循環タンク224内のTTM流体112を冷却する。循環タンク224内の温度センサ225が、循環タンク224内のTTM流体112の温度を測定する。温度制御ロジックは、循環タンク224内の温度センサ225からの温度データに従って混合ポンプ221を制御することができる。
【0051】
循環タンク224は、循環タンク224内のTTM流体112の温度を上昇させる加熱器227を含み、加熱器227は、温度制御ロジックによって制御することができる。要約すると、温度制御ロジックは、プロセッサ(
図3参照)によって実行されると、1)冷却器タンク内の温度センサ215及び循環タンク224内の温度センサ225から温度データを受信し、2)冷却器213、冷却器ポンプ211、加熱器227及び混合ポンプ221の動作を制御して、循環タンク224内のTTM流体112の温度をTTM治療の目標温度に確立し維持することができる。
【0052】
循環サブシステム230は循環ポンプ231を含み、循環ポンプ231は、TTM流体112を、循環タンク224から、循環ポンプ231の上流に位置するパッドセット120を含む循環回路232を通るように引き出す。循環回路232は、パッドセット120内のTTM流体112の圧力を表す圧力センサ237も含む。循環回路232は、循環タンク224内に、パッドセット120に入るTTM流体112の温度を表す温度センサ235と、パッドセット120から出るTTM流体の温度を表す温度センサ236とを含む。流量計238が、循環ポンプ231の下流に配置されて、TTM流体112が循環タンク224に再び入る前に、循環回路232を通るTTM流体112の流量を測定する。
【0053】
使用時、循環回路232を通るTTM流体流が停止したときにパッドセット120内の圧力が大気圧未満(すなわち、負圧)になるように、大気に排気することができる循環タンク224は、パッドセット120よりも下方に(すなわち、パッドセット120よりも低い高さに)位置している。パッドセット120はまた、循環ポンプ231の上流に配置されて、循環ポンプ231が作動しているときにパッドセット120内の負圧をさらに確立する。流体流量制御ロジック(
図3を参照)は、循環ポンプ231の動作を制御して、パッドセット120内に所望の負圧を確立し維持することができる。供給タンク240が、ポート241を介して循環タンク224にTTM流体112を供給して、循環タンク224内のTTM流体112の規定された体積を維持する。
【0054】
図3は、いくつかの実施形態による、
図1BのTTMモジュール110のさまざまな要素を示すブロック図を示す。TTMモジュール110は、プロセッサ310と、非一時的コンピュータ可読媒体を含むメモリ340とを含む、コンソール300を含む。メモリ340に格納されたロジックモジュールは、患者治療ロジック341、流体温度制御ロジック342、流体流量制御ロジック343及びパッド識別ロジック344を含む。ロジックモジュールは、プロセッサ310によって実行されると、TTMモジュール110の動作及び機能を定義する。
【0055】
図3のブロック図には、
図2に関連して上述した流体センサ320を示す。流体センサ320の各々はコンソール300と連結されて、流体センサ320からのデータが、TTMモジュール動作の実行において利用することができるようになっている。
図3では、流体制御装置330もまた、コンソール300と連結されるように示す。したがって、ロジックモジュールは、さらに後述するように、流体制御装置330の動作を制御することができる。
【0056】
患者治療ロジック341は、GUI115を介して臨床医から入力を受け取って、指示されたTTM治療に従って動作パラメータを確立することができる。動作パラメータは、TTM流体112の目標温度及び/又は時間ベースの目標温度プロファイルを含むことができる熱エネルギー交換率を含むことができる。いくつかの実施形態では、流体温度制御ロジック342は、例えば冷却器タンク214内のTTM流体112の目標温度等、TTMモジュール110内のTTM流体112の他の流体温度を定義することができる。
【0057】
流体温度制御ロジック342は、予め規定された目標温度に従って、パッドセット120に送達されるTTM流体112の温度を確立し維持する動作を実行することができる。1つの温度制御動作は、冷却器タンク214内でTTM流体112を冷却することを含むことができる。流体温度制御ロジック342は、冷却器タンク温度センサ215からの温度データを利用して、冷却器タンク214内のTTM流体112の温度を確立し維持するように冷却器213の動作を制御することができる。
【0058】
別の温度制御動作は、循環タンク224内のTTM流体112を冷却することを含むことができる。流体温度制御ロジック342は、循環タンク温度センサ225からの温度データを利用して、冷却器タンク214からのTTM流体112を循環タンク224内のTTM流体112と混合することにより、循環タンク224内のTTM流体112の温度を低下させるように、混合ポンプ221の動作を制御することができる。
【0059】
さらに別の温度制御動作は、循環タンク224内のTTM流体112を加温することを含むことができる。流体温度制御ロジック342は、循環タンク温度センサ225からの温度データを利用して、循環タンク224内のTTM流体112の温度を上昇させるように加熱器227の動作を制御することができる。
【0060】
流体流量制御ロジック343は、循環ポンプ231の動作を制御することができる。熱エネルギー交換率は、パッドセット120を通るTTM流体112の流量によって少なくとも部分的に規定されるため、流体流量制御ロジック343は、いくつかの実施形態では、TTM治療のための規定された熱エネルギー交換率に従って循環ポンプ231の動作を制御することができる。
【0061】
コンソール300は、外部デバイスとの無線通信を容易にするように、無線通信モジュール312を含む、又は無線通信モジュール312と連結することができる。電源360が、コンソール300に電力を提供する。コンソール300は、さらに後述するように、接続アダプタコンソール350と連結される。
【0062】
図4Aは、パッドセット120の任意のパッドであり得る熱接触パッド421の上面図を示す。以下の説明では、パッド421の特徴、構成要素及び詳細について説明するが、以下の説明は、パッドセット120の他のありとあらゆる熱接触パッドにも同様に適用することができる。二重内腔流体導管440が、いくつかの実施形態による、継手450から離れるように基端側に延在する流体送達導管441及び流体戻り導管442を含む。図示するように、継手450は、流体送達導管441及び流体戻り導管442とパッド421のパッド部分405との間の回転可能な接続を提供することができる。回転可能な接続により、流体導管が約90度、180度、360度又はそれ以上の範囲の角度455で回転することができる。いくつかの実施形態では、継手450のうちの1つの継手が、固定された回転可能な接続部を規定してもよく、すなわち、その継手は、回転を可能にするが分離を可能にしないものであり得る。他の実施形態では、継手450のうちの1つ又は複数は、臨床医による回転及び分離を可能にする予め組み立てられた回転可能な接続を規定することができる。二重内腔パッドコネクタ471が、基端部で流体導管440と連結されている。パッドコネクタ471は、接続システム700(後述する
図7A及び
図7Bを参照)の任意の又はすべての部分を採用することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、パッド421は、パッド認証タグ457を含むことができる。認証タグ457は、パッドコネクタ471、流体導管440、又はパッド部分405等、パッド421の任意の部分に取り付けることができる。認証タグ457は、さらに後述するように、パッド認証情報又はデータを無線又は有線通信を介して無線データ受信デバイスに提供するように構成することができる。認証情報は、製造の識別等のパッド識別情報を含むことができる。認証情報は、型式表示又は部品番号等の製品固有の情報も含むことができる。
【0064】
図4Bは、いくつかの実施形態による、患者50と接触している
図4Aの熱接触パッド421のパッド部分405の側断面図を示す。パッド421は、パッド421の複数の機能を提供する複数の層を含むことができる。流体収容層420が、流体収容層420内のTTM流体112の循環を促進するように、継手450を介して流体送達導管441と流体的に連結されている。同様に、(
図4Bには図示しないが)流体収容層420は、継手450のうちの1つの継手を介して流体戻り導管442と流体的に連結されている。TTM流体112が内部を循環する流体収容層420は、TTM流体112の温度に従って、患者50のためのヒートシンク又は熱源を規定する。流体送達導管441はまた、流体収容層420の内部流体導管426とも連結して、流体収容層420に入るTTM流体112が内部流体導管426を通過するようにしてもよい。
【0065】
パッド421は、流体収容層420と患者50との間に配置された熱伝導層430を含むことができる。熱伝導層430は、流体収容層420と患者50との間の熱エネルギー伝達を促進するように構成されている。熱伝導層430は、流体収容層420の底面に沿って熱伝導層430に取り付けることができる。熱伝導層430は、患者50との密接な接触を提供するように形状適合性があり得る。言い換えれば、熱伝導層430は、患者50の輪郭に適合して、熱伝導層430と患者50との間の空間又はエアポケットの存在を阻止することができる。
【0066】
パッド421は、流体収容層420の上側に配置された断熱層410を含むことができる。断熱層410は、流体収容層420と環境との間の熱エネルギー伝達を阻止するように構成されている。断熱層410は、流体収容層420の上面422に沿って流体収容層420に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、断熱層410は、流体送達導管441及び流体戻り導管442と流体収容層420との連結を提供するために、断熱層410を貫通して延びる1つ又は複数の開口部411を含むことができる。
【0067】
継手450のうちの1つの継手が、継手から離れるように延びる流体送達導管441の向きを変えるエルボ460を含むことができる。図示するように、流体送達導管441の向きは、パッド421に垂直な向きから、パッド421に実質的に平行な向きに変えられる。エルボ460はまた、流体送達導管441の先端部分461の向きを、パッド421及び/又は流体収容層420に対して実質的に平行であるように確立する。
【0068】
図5Aは、ハブ140に連結されたFDL130及び関連する特徴及び構成要素の一実施形態を示す。FDL130は、接続アダプタ150と連結するための基端側FDLコネクタ532と、ハブ140と連結するための先端側FDLコネクタ533と、基端側FDLコネクタ532から先端側FDLコネクタ533まで延在する二重内腔FDL導管531とを含む。ハブ140は、先端側FDLコネクタ533と連結するように構成された基端側ハブコネクタ543を含む。ハブ140は、熱パッドセット120に接続するための1つ又は複数の先端側ハブコネクタ571も含む。1つ又は複数の先端側ハブコネクタ571の各先端側ハブコネクタは、対応するパッドコネクタ471と連結するように構成されている。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の先端側ハブコネクタ571は、ハブ140の両側に配置することができる。
図5Aの図示する実施形態では、3つの先端側ハブコネクタ571がハブ140の両側に配置されている。先端側ハブコネクタ571は、熱パッドの流体導管440がFDL導管531に垂直な方向にハブ140の両側から離れるように延在するように向けることができる。1つ又は複数の先端側ハブコネクタ571、基端側ハブコネクタ543、先端側FDLコネクタ533及び基端側FDLコネクタ532は、接続システム700(後述する
図7A及び
図7Bを参照)の任意の又はすべての部分を採用することができる。
【0069】
FDL130には、FDL認証タグ557を取り付けることができる。FDL認証タグ557は、(図示するように)基端側FDLコネクタ532、FDL導管531又は先端側FDLコネクタ533等、FDL130の任意の部分に取り付けることができる。FDL認証タグ557は、さらに後述するFDL認証情報を提供するように構成することができる。FDL認証情報は、製造の識別等のFDL識別情報を含むことができる。FDL認証情報は、FDL型式表示又はFDL部品番号等の製品固有の情報も含むことができる。いくつかの実施形態では、FDL認証情報は、製造年月日の範囲又はロット番号等の製造情報を含むことができる。
図9A~
図9Dに関して後述するように、FDLコネクタ532及び533並びにFDL導管531には、FDL130の長さを通して延在する配線535を連結することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、ハブ140に、ハブ認証タグ547を取り付けることができる。ハブ認証タグ547は、さらに後述するように、ハブ認証情報又はデータを無線データ受信デバイスに無線で提供するように構成することができる。ハブ認証情報は、製造の識別等のハブ識別情報を含むことができる。ハブ認証情報は、ハブ型式表示又はハブ部品番号等の製品固有の情報も含むことができる。いくつかの実施形態では、ハブ認証情報は、製造年月日の範囲又はロット番号等の製造情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、ハブ認証タグ547はRFIDタグであってもよい。
【0071】
図5Bは、FDL導管531の断面図である。いくつかの実施形態では、FDL導管531の2つの内腔は、同心配置で配置することができる。
図5Bに示すように、流体戻り内腔534B内に流体送達内腔534Aを配置することができる。こうした配置により、すべての方向におけるFDL導管531の均等な可撓性を容易にし得る。同心配置により、TTM流体112が流体送達内腔534aを通って患者50に向かって流れる際のTTM流体112の温度の変化を最小限にすることもできる。他の実施形態では、FDL導管531の2つの内腔は、並列配置で配置してもよい。
【0072】
図5Cは、先端側FDLコネクタ533及び基端側ハブコネクタ543を含むFDL-ハブ接続システムを示す。先端側FDLコネクタ533及び基端側ハブコネクタ543により、FDL130の選択的なハブ140への接続及びハブ140からの切離しを容易にすることができる。先端側FDLコネクタ533及び基端側ハブコネクタ543の各々は、それらを通るTTM流体の双方向の流れを容易にする二重内腔コネクタである。図示するように、接続点における2つの内腔の配置は同心であり、そのため、先端側FDLコネクタ533及び基端側ハブコネクタ543を、それらを通るTTM流体の双方向の流れを維持しながら互いに対して回転させることができる。同心の内腔配置により、先端側FDLコネクタ533の基端側ハブコネクタ543との、それらの間の任意の相対的な角度方向での連結も容易になる。先端側FDLコネクタ533及び基端側ハブコネクタ543は、接続システム700(後述する
図7A及び
図7Bを参照)の任意の又はすべての部分を採用することができる。いくつかの実施形態では、先端側FDLコネクタ533及び基端側ハブコネクタ543は、FDL導管531がハブ140に固定して連結されるように省略してもよい。
【0073】
FDL-ハブ接続システムは、先端側FDLコネクタ533の基端側ハブコネクタ543からの不注意による分離を防止するラッチ機構も含むことができる。図示する実施形態では、FDL-ハブ接続システムは、先端側FDLコネクタ533のリング552が基端側ハブコネクタ543の溝542と選択的に係合する例示的な溝内リング(ring-in-groove)ラッチ機構を含む。言い換えると、先端側FDLコネクタ533と基端側ハブコネクタ543とが互いに連結されるとき、リング552は、溝542内に配置され、それにより、基端側ハブコネクタ543から離れるようなFDLコネクタ533の変位を防止することができる。図示する実施形態では、リング552は、溝542と係合するように付勢することができる。
【0074】
リング552は、ボタン551等の変位可能な部材と作動的に連結されており、そのため、ボタン551が押し下げられると、リング552が溝542から係合解除され、それにより、先端側FDLコネクタ533の基端側ハブコネクタ543からの分離が可能になる。使用時、臨床医は、コネクタ533及び543を互いに連結及び/又は連結解除する間にボタン551を押し下げることができる。
【0075】
図6は、基端部にある基端側FDLコネクタ632と、FDL脚部631A及び631Bを規定する分岐FDL導管631とを有するFDL630の一実施形態を示す。図示する実施形態では、FDL630は、2つのマニホールドハブ640に連結している。各脚部は、ハブ640のうちの1つのハブの基端側ハブコネクタ643に連結された先端側FDLコネクタ633を含む。基端側ハブコネクタ643は、対応する先端側FDLコネクタ633に選択的に連結される。先端側ハブコネクタ671、基端側ハブコネクタ643、先端側FDLコネクタ633及び基端側FDLコネクタ632は、接続システム700(後述する
図7A及び
図7Bを参照)の任意の又はすべての部分を採用することができる。いくつかの実施形態では、先端側FDLコネクタ633及び基端側ハブコネクタ643は、FDL導管631がハブ640に固定して連結されるように省略してもよい。
【0076】
分岐FDL630は、パッドセット120の各パッドのFDL630及び流体導管440(
図4A)の機能強化された配置を提供することができる。例えば、脚部631Aは、ハブ640のうちのその関連するハブとともに、患者50の一方の側に沿って配置することができ、そこで、パッドセット120の6つの熱パッドのうちの3つに、関連するハブを連結することができる。他方の脚部631Bは、その関連するハブ640とともに、患者50の他方の側に沿って配置することができ、そこで、パッドセット120の6つの熱パッドのうちの他の3つに、関連するハブを連結することができる。いくつかの実施形態では、ハブ640は、FDL脚部631A及び631Bに直接且つ恒久的に取り付けることができる。そうした実施形態では、先端側FDLコネクタ633及び基端側ハブコネクタ643は省略してもよい。
【0077】
図7A及び
図7Bは、第1コネクタ710及び第2コネクタ750を含む二重内腔接続システム700を示す。
図7Aは、切り離された状態にある接続システム700の第1コネクタ710及び第2コネクタ750の断面図を示し、
図7Bは、接続された状態にある接続システム700の同様の断面図を示す。
【0078】
接続システム700は、二重内腔流体導管を通る双方向の流体流が接続システム700に亘って維持されるように、二重内腔流体導管を合わせて接続するように構成されている。第1コネクタ710は、第1送達内腔711及び第1戻り内腔712を含み、第2コネクタ750は、第2送達内腔751及び第2戻り内腔752を含む。接続システム700は、第1コネクタ710が第2コネクタ750と連結されると、第1送達内腔711が第2送達内腔751と流体連通し、第1戻り内腔712が第2戻り内腔752と流体連通するように構成されている。図示するように、第1送達内腔711及び第2送達内腔751は、接続点において環状の流体戻りの第1戻り内腔712及び第2戻り内腔752内に同心配置される。
【0079】
同様に図示するように、第1送達内腔711及び第1戻り内腔712は、第1コネクタ710の導管連結端部710Aにおいて並列配置で配置することができる。したがって、第1コネクタ710は、並列配置された流体内腔を有する二重内腔流体導管と連結するように構成されている。当業者であれば理解することができるように、第1送達内腔711及び第1戻り内腔712の並列配置は、第1送達内腔711が流体導管の中央内腔と連結され、第1戻り内腔712が流体導管の環状内腔と連結される、同心配置された流体内腔を有する二重内腔流体導管と第1コネクタ710を連結することにも適合することができる。同様に、第2コネクタ750の導管連結端部750Aは、並列又は同心配置で配置された流体内腔を有する二重内腔流体導管と連結するように構成されている。
【0080】
接続システム700は、第2コネクタ750が第1コネクタ710から切り離されたときに、第1送達内腔711及び第2送達内腔751並びに第1戻り内腔712及び第2戻り内腔752を通る流体流を阻止するようにも構成されている。接続システム700は、第1コネクタ710及び第2コネクタ750が互いから切り離されたときに、第1コネクタ710及び第2コネクタ750からのTTM流体の滴下を最小限にするようも構成されている。第1コネクタ710は、第1コネクタ710が切り離されたときに第1送達内腔711を閉鎖する第1送達弁731を含む。第1コネクタ710は、第1コネクタ710が切り離されたときに第1戻り内腔712を閉鎖する第1戻り弁732をさらに含む。要約すると、第1コネクタ710が第2コネクタ750から切り離されると、第1コネクタ710を通る流体流が阻止される。第1送達弁731及び第1戻り弁732は、切り離されたときに弁731及び732が自動的に閉鎖するように、閉鎖状態に付勢されている。
【0081】
第2コネクタ750は、第2コネクタ750が切り離されたときに第2送達内腔751を閉鎖する第2送達弁771を含む。第2コネクタ750は、第2コネクタ750が切り離されたときに第2戻り内腔752を閉鎖する第2戻り弁772をさらに含む。要約すると、第2コネクタ750が第1コネクタ710から切り離されると、第2コネクタ750を通る流体流が阻止される。第2送達弁771及び第2戻り弁772もまた、切り離されたときに第2送達弁771及び第2戻り弁772が自動的に閉鎖するように、閉鎖状態に付勢されている。
【0082】
第1コネクタ710及び第2コネクタ750はさまざまな構造要素を含む。第1コネクタ710及び第2コネクタ750は、それぞれ、第1コネクタハウジング713及び第2コネクタハウジング753を含む。第1コネクタ710は、第1コネクタ710のさまざまな封止機能を実行するように構成された封止部材720を含む。封止部材720又はその1つ若しくは複数の部分は、第1コネクタハウジング713及び第2コネクタハウジング753の対応する封止面との複数の流体封止を規定するように、エラストマー材料等の変形可能な材料で形成することができる。封止部材720は、第1コネクタ710が
図7Aに示すような切り離された状態にあるときの底部位置と、第1コネクタ710が
図7Bに示すような接続状態にあるときの頂部位置との間で変位可能である。図示する実施形態では、接続システム700は、第1コネクタ710と第2コネクタ750との間に流体封止を規定する封止部材720を1つだけ含む。
【0083】
封止部材720は、封止部材720が底部位置にあるとき、1つ又は複数の第1送達弁側部ポート722Bを覆って封止するように構成された第1送達弁封止要素722Aを含む。封止部材720が頂部位置にあるとき、第1送達弁封止要素722Aは、第1送達弁側部ポート722Bから離れるように変位し、第1送達弁側部ポート722Bを露出させ、それにより、第1送達弁731を開放する。
【0084】
封止部材720は、封止部材720が底部位置にあるとき、1つ又は複数の第1戻り弁側部ポート721Bを覆って封止するように構成された第1戻り弁封止要素721Aを含む。封止部材720が頂部位置にあるとき、第1戻り弁封止要素721Aは、第1戻り弁側部ポート721Bから離れるように変位し、第1戻り弁側部ポート721Bを露出させ、それにより、第1戻り弁732を開放する。
【0085】
封止部材720は、第2コネクタハウジング753との封止を規定する外側コネクタ封止要素723を含む。接続システム700は、第1コネクタ710の第2コネクタ750との連結プロセス中に、連結プロセス中のTTM流体112の漏れを防止するために、弁731、732、771及び772のうちのいずれかが開放される前に、外側封止要素723が第2コネクタハウジング753との封止を形成するように構成されている。同様に、切り離されている間、切離しプロセス中のTTM流体112の漏れを防止するために、外側コネクタ封止要素723を第2コネクタハウジング753から連結解除する前に、弁731、732、771及び772のすべてが閉鎖される。封止部材720は、第2コネクタ750の環状棚状部764との封止を規定する内側コネクタ封止要素724をさらに含む。第1コネクタ710は、底部位置に向かって封止部材720に付勢力をかける付勢部材714を含む。いくつかの実施形態では、付勢部材714は、金属又は非金属材料で形成されたコイルばねであり得る。第1コネクタハウジング713又は封止部材720の偏向可能な(deflectable)部分等、他の形態の付勢部材714もまた企図され、本明細書において開示される。
【0086】
第2コネクタ750は、第2送達弁ディスク761Aと、対応する第2送達弁ポート761Bとを含む。第2送達弁ディスク761Aと対応する第2送達-弁ポート761Bとが結合して、ポペット型弁を規定する。第2送達弁ディスク761Aは、第2コネクタ750が
図7Aに示すように切り離された状態にあるときの頂部位置と、第2コネクタ750が
図7Bに示すように接続状態にあるときの底部位置との間で変位可能である。付勢部材754が、第2送達弁ポート761Bに向かう力を第2送達弁ディスク761Aにかけて、第2送達弁771を閉鎖状態に向かって付勢する。第1コネクタハウジング713と第2送達弁ディスク761Aとの間の相互作用により、第2送達弁ディスク761Aは底部位置まで下方に変位して、第2送達弁771を開放する。第2送達弁ディスク761A又はその一部は、第2送達弁ポート761Bとの流体封止を規定するように、エラストマー材料等の変形可能な材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、付勢部材754は、金属又は非金属材料で形成されたコイルばねであり得る。第2コネクタハウジング753又は第2送達弁ディスク761Aの偏向可能な部分等、他の形態の付勢部材754もまた企図され、本明細書において開示される。
【0087】
第2コネクタ750は、第2戻り弁封止リング762Aと、対応する第2戻り弁環状ポート762Bとをさらに含む。第2戻り弁封止リング762Aと戻り弁環状ポート762Bとが結合して、環状ポペット型弁を規定する。第2戻り弁封止リング762Aは、第2コネクタ750が
図7Aに示すように切り離された状態にあるときの頂部位置と、第2コネクタ750が
図7Bに示すように接続状態にあるときの底部位置との間で変位可能である。付勢部材755が、戻り弁環状ポート762Bに向かう力を第2戻り弁封止リング762Aにかけて、第2戻り弁772を閉鎖状態に向かって付勢する。封止部材720と第2戻り弁封止リング762Aとの間の相互作用により、第2戻り弁封止リング762Aは底部位置まで下方に変位して、第2戻り弁772を開放する。第2戻り弁封止リング762A又はその一部は、戻り弁環状ポート762Bとの流体封止を規定するように、エラストマー材料等の変形可能な材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、付勢部材755は、金属又は非金属材料で形成されたコイルばねであり得る。第2コネクタハウジング753又は第2戻り弁封止リング762Aの偏向可能な部分等、他の形態の付勢部材755もまた企図され、本明細書において開示される。
【0088】
二重内腔接続システム700又はその一部は、任意の2つの流体接続エンティティ間の流体接続を規定するようにTTMシステム100で採用することができる。例えば、接続システム700又はその一部は、FDL130が接続アダプタ150に接続される場合、FDL130がハブ140に接続される場合、又はパッドセット120の流体導管440がハブ140に接続される場合に採用することができる。いくつかの実施形態では、第1送達弁731、第1戻り弁732、第2送達弁771又は第2戻り弁772のうちの1つ又は複数等、接続システム700の一部のみを採用してもよい。同様に、いくつかの実施形態では、第1コネクタ710又は第2コネクタ750は、同心配置された2つの内腔を有する二重内腔流体導管に取り付けてもよい。
【0089】
図8A~
図8Gは、パッド-ハブラッチ機構のさまざまな実施形態を示し、ラッチ機構は、ラッチ機構を解除し且つ/又は作動させるように構成された変位可能部材を含む。
図8Aは、パッドコネクタ811をハブ841に固定するラッチ機構871を示す。パッドコネクタ811は、流体導管440に取り付けられた変位可能部材812を含む。変位可能部材812は、ラッチ機構871のプッシュプル機能を規定し、それにより、変位可能部材812がハブ841に向かって変位すると、パッドコネクタ811を引っ張ることによってパッドコネクタ811をハブ841から分離することができる。パッドコネクタ811及びハブ841内の対応する構成要素及び構造は、パッドコネクタ811の一部とハブ841の一部との間の重なり(又は干渉)係合を規定し、そこで、係合は、ハブ841に対するパッドコネクタ811の分離する変位を防止する。使用時、パッドコネクタ811をハブ841から切り離すために、臨床医は、変位可能部材812をハブ841に向かって押してラッチ機構871を解除し、その後、パッドコネクタ811のハウジングを引っ張ることによりパッドコネクタ811をハブ841から分離することができる。パッドコネクタ811をハブ841に接続するために、臨床医は、変位可能部材812をパッドコネクタ811のハウジングに向かって押してラッチ機構871を作動させ、その後、パッドコネクタ811をハブ841に向かって変位させることができる。使用のいくつかの実施形態では、臨床医は、単一のステップで、変位可能部材812をハブ841に向かって押してラッチ機構871を解除し、パッドコネクタ811をハブ841に向かって変位させることができる。
【0090】
図8Bは、パッドコネクタ813をハブ842に固定するラッチ機構872を示す。パッドコネクタ813は、パッドコネクタ813のコネクタハウジング813Aに枢動可能に取り付けられた変位可能(又は偏向可能)部材814を含む。変位可能部材814は、ラッチ機構871の横方向変位機能を規定し、すなわち、変位可能部材814は、パッドコネクタ813をハブ842に対して接続し切り離す際に、パッドコネクタ813の変位方向に対して実質的に垂直方向に移動する。変位可能部材814は、変位可能部材814の折曲げ可能なヒンジ部分を介してコネクタハウジング813Aに連結されて、変位可能部材814がコネクタハウジング813Aに向かって変位すると、折曲げ可能なヒンジ部分が折れ曲がるようになっている。変位可能部材814及びハブの対応する構造は、使用中、変位可能部材814の一部とハブ841の一部との間の重なり(又は干渉)係合を規定する。パッドコネクタ811をハブ842に接続するために、臨床医は、変位可能部材814をコネクタハウジング813Aに向かって変位させ、その後、パッドコネクタ811をハブ842に接続し、それにより、流体接続を確立する。一旦接続されると、臨床医は、変位可能部材814がコネクタハウジング813Aから離れるように自己偏向させ(self-deflect)、その結果、変位可能部材814の部分とハブ842の部分とが重なり係合して、パッドコネクタ813をハブ842に固定する。パッドコネクタ811をハブ842から切り離すために、臨床医は、変位可能部材814をコネクタハウジング813Aに向かって変位させて重なり係合を解除し、それにより、パッドコネクタ811をハブ842から分離することができる。
【0091】
図8Cは、パッドコネクタ815をハブ843に固定するパッド-ハブラッチ機構873を示す。ハブ843は、ボタン816等の変位可能な部材を含む。パッドコネクタ815及びハブ843の対応する構成要素及び構造は、パッドコネクタ815の一部とハブ842の一部との間に重なり(又は干渉)係合を確立して、ラッチ機構873を規定する。使用時、パッドコネクタ815をハブ843から切り離すために、臨床医は、ボタンを押し下げてラッチ機構873を解除し、すなわち、重なる部分を係合解除する。その後、臨床医は、パッドコネクタ815をハブ843から分離することができる。パッドコネクタ815をハブ843に接続するために、臨床医は、ボタン816を押し下げてラッチ機構873を解除し、その後、パッドコネクタ815をハブ843に接続し、それにより、流体接続を確立する。一旦接続されると、臨床医は、ボタン816を離してラッチ機構873を作動させる。
【0092】
図8Dは、パッドコネクタ817が変位可能なシュラウド818を含むパッド-ハブラッチ機構874を示す。パッドコネクタ817及びハブ844の対応する構成要素及び構造は、パッドコネクタ817の内部部分とハブ844から離れるように延在する1つ又は複数の突起895との間に重なり(又は干渉)係合を確立して、ラッチ機構874を規定する。ラッチ機構874は、付勢力(図示せず)に対抗してシュラウド818を(
図8Dにおいてシュラウド818上の矢印で示すように)ハブ844から離れるように変位させると、ラッチ機構874が解除され、付勢力によってシュラウド818がハブ844に向かって自動的に変位するのを可能にすると、ラッチ機構874が作動するように構成されている。使用時、臨床医は、片手の中指、薬指及び小指のうちの1つ又は複数で流体導管440を把持し、同時に同じ手の親指及び人差し指でシュラウド818を把持して、シュラウド818を先端側に変位させることができる。パッドコネクタ817をハブ844から切り離すために、臨床医は、シュラウド818を変位させてラッチ機構874を解除し、その後、パッドコネクタ817をハブ844から分離することができる。パッドコネクタ817をハブ844に接続するために、臨床医は、シュラウド818を変位させ、その後、パッドコネクタ817をハブ844に接続することができる。いくつかの実施形態では、ラッチ機構874は、パッドコネクタ817をハブ844に接続する間に自動的に解除されるように構成してもよく、それにより、単一のステップによる接続が容易になる。
【0093】
図8E~
図8Gは、パッド-ハブラッチ機構875を示す図である。
図8Eは、パッドコネクタ819がハブ845から分離された状態を示し、
図8Fは、パッドコネクタ819がハブ845と部分的に係合した状態を示し、
図8Gは、完全にラッチされた状態にあるパッドコネクタ819及びハブ845を示す。
図8Eに示すように、ハブ845は、スロット845C内でパッドコネクタ819を受けるように構成されている。
図8Eは、パッドコネクタ819のスロット845Cへの挿入が、パッドコネクタ819がハブ845に対して角度846をなして配置された状態で行われ、それにより、パッドコネクタ819の湾曲端部819Aがハブ845の顎部845A内に収まることができることを示す。湾曲端部819Aが顎部845A内に収まると、
図8Gに示すように、湾曲端部819Aを顎部845A内でロックするようにパッドコネクタ819がハブ845に対して平行に向けられるまで、パッドコネクタ819を回転させる。パッドコネクタ819及びハブ845は、それぞれ対応する歯819B及び845Bをさらに含み、それら歯819B及び845Bは、パッドコネクタ819がハブ845と平行に向けられたときに互いに係合して、パッドコネクタ819をハブ845に完全にラッチする。パッドコネクタ819をハブ845に接続したとき、TTM流体112の流れが、FDL130からハブ845及びパッドコネクタ819を通って流体導管440へ促進される。使用時、パッドコネクタ819をハブ845に接続するために、臨床医は、パッドコネクタ819を角度846で方向付け、次いで、湾曲端部819Aが顎部845Aに係合するまでパッドコネクタ819をスロット845Cに挿入する。その後、臨床医は、パッドコネクタ819を完全にラッチされた位置まで回転させる。パッドコネクタ819をハブ845から分離するために、臨床医は、パッドコネクタを角度846まで逆回転させ、次いで、パッドコネクタ819をハブ845から分離する。
【0094】
図9A~
図9Dは、モジュール-FDL接続アダプタ150のさまざまな図を示す。
図9Aは、モジュール-FDL接続アダプタ150の分解図を示す。接続アダプタ150は、医療施設等の顧客の場所でTTMモジュール110に取り付けられるように構成されている。接続アダプタ150は、FDL13と互換性のあるモジュールコネクタ15(
図1A)を、FDL130の基端側FDLコネクタ532と互換性のあるアダプタコネクタ932に変換するようにさらに構成されている。接続アダプタ150は、モジュールコネクタ15と互換性のある入力コネクタ911を含む。使用時、接続アダプタ150は、モジュールコネクタ15を交換するためにTTMモジュール110に取り付けられる。
【0095】
接続アダプタ150は、入力コネクタ911からアダプタコネクタ932まで延在する流体送達内腔903と、同じく入力コネクタ911からアダプタコネクタ932まで延在する流体戻り内腔904とを含む二重内腔である。図示する実施形態では、アダプタコネクタ932は雄型接続部分を規定し、基端側FDLコネクタ532は雌型接続部分を規定している。他の実施形態では、アダプタコネクタ932が雌型接続部分を規定してもよく、基端側FDLコネクタ532が雄型接続部分を規定してもよい。
【0096】
接続アダプタ150は、中空円筒状部分912を含むハウジング910を規定する。ハウジング910は、さらに後述するように、さまざまな構成要素を封入することができる。接続アダプタ150は、アダプタコネクタ932及び円筒状バレル部分921を含む回転可能部材920をさらに含む。円筒状部分912は、バレル部分921を、バレル部分921が円筒状部分912内で回転可能であるように受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態では、円筒状部分912は、合わせて連結された円筒状壁912Aの2つ以上の部分を含むことができる。こうした実施形態では、接続アダプタ150の組立ては、バレル部分921を円筒状壁912Aのセクション間に配置し、次いで、円筒状壁912Aのセクションを合わせて連結することを含むことができる。こうした実施形態では、円筒状壁912Aのセクションは、ねじ止めし、接着し、又はスナップ留めすることができる。
【0097】
円筒状部分912は、円筒状壁912Aを貫通して延在するスロット913を含む。アダプタコネクタ932は、バレル部分921に対して垂直方向にバレル部分921から離れように横方向に延在している。スロット913の幅は、スロット913を通るアダプタコネクタ932の配置を容易にするようなサイズである。スロット913は、アダプタコネクタ932がスロット913を通って配置される間、約90度の角度にわたるバレル部分921の回転に適応するのに十分なスロット913の長さを規定する、円筒状部分912の円周に沿って延在している。スロット913は、バレル部分921が第1角度位置から第2角度位置まで回転することができるように、円筒状部分912の上に位置決めされている。第1角度位置では、アダプタコネクタ932は、
図9Aに示すように、実質的に水平の向きに配置される。第2の角度位置では、アダプタコネクタ932は、
図9Bに示すように、代わりに実質的に下向きの垂直の向きに配置され、
図9Bは、バレル部分921が第2角度位置に配置された状態で基端側FDLコネクタ532に連結されるように組み立てられている接続アダプタ150を示す。
【0098】
図9Aをさらに参照すると、接続アダプタ150は保持リング926を含むことができる。保持リング926は、バレル部分921が円筒状部分912内に受け入れられたときに保持リング926がバレル部分921と円筒状壁912Aとの間に挟まれるように、且つ保持リング926がバレル部分921とともに回転するように、凹部916内に配置される。保持リング926は、例えばばね鋼等、ばねのような特性を有する材料で形成することができる。保持リング926は、臨床医によって意図的に加えられる回転力がない場合に、バレル部分921と円筒状部分912との間に摩擦力を規定して、円筒状部分912に対するバレル部分921の回転を阻止するように形成することができる。保持リング926はまた、バレル部分921が第1角度位置に配置されたときに円筒状壁912Aの穴927Bに係合するように構成されたくぼみ又はピン927Aを含むことができ、この係合により、臨床医によって意図的に加えられる回転力がない場合に、第1角度位置から離れるようなバレル部分921の回転をさらに防止する回転止めを提供することができる。
【0099】
接続アダプタ150は、円筒状部分912に対するバレル部分921の角度位置に関する視覚的標示を臨床医に提供するように構成することができる。バレル部分921は、円筒状壁912Aを貫通する1つ又は複数の対応する視覚的開口部923Bを通して見ることができるような形状であり且つそのように位置決めされた、1つ又は複数の視覚的マーカ923Aを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の視覚的マーカ923Aは、着色部分を含むことができる。例えば、1つ又は複数の視覚的マーカ923Aは、バレル部分921が第1角度位置に配置されたときに1つ又は複数の視覚的開口部923Bを通して見える第1着色部分(例えば、赤色)を含むことができ、1つ又は複数の視覚的マーカ923Aは、バレル部分921が第2角度位置に配置されたときに1つ又は複数の視覚的開口部923Bを通して見える第2着色部分(例えば、緑色)を含むことができる。
【0100】
接続アダプタ150は、基端側FDLコネクタ532をアダプタコネクタ932に固定するラッチ機構を含むことができる。ラッチ機構は、基端側FDLコネクタ532及び接続アダプタ150の対応する特徴を含むことができる。例示的な図示する実施形態では、円筒状壁912Aは、スロット913内に突出する延在壁部分917を含むことができ、基端側FDLコネクタ532は、延在壁部分917を受けるようなサイズであり且つそのように位置決めされた対応する溝947を含むことができる。延在壁部分917は、バレル部分921が第2角度位置に配置されたときに溝947と係合するように位置決めされ、それにより、バレル部分921が第2角度位置に配置されたときに、基端側FDLコネクタ532のアダプタコネクタ932からの分離を防止する。
【0101】
いくつかの実施形態では、延在壁部分917は、円筒状壁912Aに接する平面(図示せず)に配置することができ、溝947は、基端側FDLコネクタ532の周りに延在する環状溝であり得る。こうした実施形態では、延在壁部分917は、その長手方向軸線を中心とする基端側FDLコネクタ532の任意の角度方向で溝947と係合することができる。
【0102】
図9A及び
図9Bを参照すると、接続アダプタ150は、クリップ等の固定機構915を含むことができる。固定機構915は、基端側FDLコネクタ532がアダプタコネクタ932と連結されるとき、バレル部分921を第2角度位置に保持するように構成されている。
図9Bに示すように、固定機構915は、臨床医によって回転可能部材920を第2角度位置から離れるように付勢する回転力が加えられていない場合に、基端側FDLコネクタ532を第2角度位置に拘束するように、偏向して基端側FDLコネクタ532の周りに部分的に延在するクリップを含むことができる。他の実施形態では、固定機構915は、臨床医による非回転の意図的な動作、すなわち、ボタンを押すこと又はレバー(図示せず)を作動させること等、回転可能部材920を回転させることとは独立した意図的な行為がない場合に、基端側FDLコネクタ532が垂直方向に下方の向きに拘束されるように構成することができる。いくつかの実施形態では、接続アダプタ150は、回転可能部材920を第1角度位置に向かって回転するように付勢するように構成されたねじりばね等の回転付勢部材(図示せず)を含むことができる。
【0103】
使用時、FDL130をTTMモジュール110に接続する前に、バレル部分921は、アダプタコネクタ932がTTMモジュール110から離れるように水平に延在するように、第1角度位置に配置することができる。次いで、臨床医は、基端側FDLコネクタ532をアダプタコネクト932に接続することができる。その後、臨床医は、基端側FDLコネクタ532又はFDL130の基端部分を把持し、バレル部分921を第2角度位置まで回転させて、ラッチ機構を作動させ、基端側FDLコネクタ532を固定機構915内に固定することができる。TTM治療の終了時に、臨床医は、バレル部分921を第1角度位置まで回転させてラッチ機構を解除し、基端側FDLコネクタ532をアダプタコネクト932から切り離すことができる。
【0104】
図9A及び
図2を参照すると、接続アダプタ150は、流体送達内腔903と一直線上にある送達弁251と、流体戻り内腔904と一直線上にある戻り弁252とを含むことができる。図示する実施形態では、弁251及び252は制御可能な電気機械弁である。他の実施形態では、弁251及び252は、バレル部分921の回転に応じて動作させることができる。例えば、弁251及び252の一方又は両方は、バレル部分921が第1角度位置に配置されたときに閉鎖し、次いでバレル部分921を第2角度位置まで回転させたときに開放することができる。さらに他の実施形態では、弁251及び252は、
図7Aの第1送達弁731及び第1戻り弁732に図示する弁等、アダプタコネクタ932に組み込んでもよい。接続アダプタ150は、ワイヤ919Aを介してアダプタコンソール350に連結された電気コネクタ919を含むことができる。電気コネクタ919は、接続アダプタ150がTTMモジュール110に取り付けられたときにコンソール300と連結され、それにより、コンソール300は、アダプタコンソール350に電力を供給することができる。
【0105】
図9Cは、
図9Bの断面線9C-9Cに沿って切断された接続アダプタ150の断面上面図を示す。図示するように、流体送達内腔903及び流体戻り内腔904は、入力コネクタ911及びハウジング910を通ってバレル部分921まで並列配置で延在している。図示する実施形態では、流体送達内腔903及び流体戻り内腔904は、バレル部分921内で、並列配置から同心配置に変えられる。他の実施形態では、流体送達内腔903及び流体戻り内腔904は、ハウジング910内で並列配置から同心配置に変えてもよい。
図9Cにはまた、送達内腔903と一直線上にある送達弁251と、流体戻り内腔904と一直線上にある戻り弁252とを示す。
【0106】
図9Dは、電源モジュール951、弁駆動部952、コントローラ953及び認証モジュール957を含むアダプタコンソール350のさまざまな要素を示すブロック図を示す。電源モジュール951は、TTMモジュールコンソール300から電力を受け取り、アダプタコンソール350の他の要素に電力を提供する。弁駆動部952は、コントローラロジック956に従って、弁251及び252を個別に又はともに作動させるように構成されている。図示する実施形態において、アダプタコンソール350は、TTMモジュール110のコンソール300と信号通信しなくてもよい。
【0107】
認証モジュール957は、認証タグから認証データを受信する又は他の方法で取得するように構成されている。いくつかの実施形態では、認証モジュール957はRFIDリーダであってもよい。認証モジュール957は、FDL認証タグ557、ハブ認証タグ547又はパッド認証タグ457等の1つ又は複数の認証タグから取得した認証データを、コントローラ953のコントローラロジック956に提供し、それにより、プロセッサ954は、コントローラロジック956に従ってさまざまな動作を実行することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、認証情報は、製造年月日の範囲又はロット番号等の製造情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、認証タグ457、547及び557のうちの任意のものが、有線又は無線方式でデータを提供することができる。例えば、認証タグ457、547及び557のうちの任意のものがRFIDタグであってもよい。他の実施形態では、認証タグのうちの任意のものが回路に照会してもよく、回路は、無線方式で(例えば、無線送信機を介して)又はデータケーブルを介する等の有線方式で認証情報を提供する。いくつかの実施形態では、接続アダプタ150は、コンソールから電力を得ることができ、それにより、認証タグのうちの任意のものに電力を提供する。例えば、電力は、FDL導管531に連結された基端側FDLコネクタ532内、及び先端側FDLコネクタ533内の配線535を介して、認証タグ457又は557に提供してもよい。したがって、接続アダプタ150と、FDL130と、認証タグを含むコネクタとの間の接続が確立されたとき、認証タグは、電力を受け取り、これに応じて、回路内に含まれる無線送信機を介して、又は電力が受け取られた配線535を介して、接続アダプタ150に認証を送り返す。1つの実施形態では、接続アダプタ150と認証タグ457、547又は557との間でデータを交換する際に、チャレンジ-レスポンス技法を使用する認証付き暗号化(AEAD:authenticated encryption and associated data)の形式を利用することができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、コントローラロジック956は、認証タグ457、547及び557のうちの任意のもの又はすべてから得られた認証データを、非一時的コンピュータ可読媒体を含むメモリ955に格納された認証情報と比較するように構成することができる。例えば、コントローラロジック956は、FDL認証タグ557から得られたFDL識別データを、メモリ955に格納された承認済みFDL識別情報と比較することができる。比較の結果、コントローラロジック956は、FDL認証タグ557から得られたFDL識別データがメモリ955に格納された承認済みFDL識別情報と整合しない場合、弁251及び252の一方又は両方の開放を阻止することができる。このように、図示する実施形態では、接続アダプタ150は、コンソール300の流体流量制御ロジック343とは無関係に、TTMモジュール110とパッドセット120との間のTTM流体112の循環を有効にする又は無効にすることができる。
【0110】
他の実施形態では、TTMモジュール110のコンソール300は、アダプタコンソール350と信号通信することができる。こうした実施形態では、患者治療ロジック341、流体温度制御ロジック342及び/又は流体流量制御ロジック343のうちの1つ又は複数が、プロセッサ310に、FDL130、ハブ140、又はパッドセット120の任意の熱パッドに取り付けられた1つ又は複数の認証タグから認証モジュール957によって取得された認証データに従って、1つ又は複数の動作を実行させることができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、認証タグ457、547又は557は、治療情報等の情報を受信して格納するように構成することができる。こうした治療情報は、日付、時間、治療期間、接続の数、熱パッドの数、TTM温度、TTM流量、及び当業者が企図することができるような他の任意の治療情報又は使用情報を含むことができる。こうした実施形態では、TTMモジュール110の動作は、認証タグ457、547及び557のうちの1つ又は複数のメモリに格納された情報(例えば、上述した治療情報)に従って変更することができる。
【0112】
図10A~
図10Cは、ハブ1040の長手方向軸に平行な線上に配置された1つ又は複数の先端側ハブコネクタ1041を有するマニホールドハブ1040を示す。いくつかの実施形態では、ハブ1040は、1つ又は複数の先端側ハブコネクタ1041を含むことができる。1つ又は複数の先端側ハブコネクタ1041の各々は、パッドセット120(
図1B)の対応するパッドコネクタ471に接続するように構成されている。パッドコネクタ471は、例えば
図4A、
図10A及び
図11Aに見られるように、形状が異なっていてもよいことが留意される。ハブ1040は、FDL130(
図5A)の先端側FDLコネクタ533に接続するように構成された基端側ハブコネクタ1043も含む。ハブ1040は、その背面側でハブ1040に取り付けられた取付部材1045を含むことができる。取付部材1045は、一般にベルクロ(Velcro)(登録商標)と称される面ファスナの1つ又は複数のパッチを含むことができる。
図10Bに示すように、ハブ1040は、ベッド、ベッドレール等の外部器具に取り付けることができる。
【0113】
図10Cに示すように、取付部材1045は、パッドセット120の熱パッドに取り付けることができる。例えば、面ファスナの対応する部分を熱パッドに取り付けることができ、それにより、ハブ1040を熱パッドに取り付けることができる。
【0114】
図11A~
図11Eは、ハブ1140の周囲に沿って配置された複数の先端側ハブコネクタ1141を有するハブ1140を示す。
図11Aに示すように、ハブ1140は、最大6つ又はそれ以上の先端側ハブコネクタ1141を含むことができる。先端側ハブコネクタ1141の各先端側ハブコネクタは、パッドセット120の対応するパッドコネクタ471に接続するように構成されている。ハブ1140は、FDL130(
図5A)の先端側FDLコネクタ533に接続するように構成された基端側ハブコネクタ1143も含む。
【0115】
ハブ1140は、その背面側でハブ1140に取り付けられた取付部材1145を含むことができる。取付部材1145は、ベルクロ(VELCRO)ブランドの面ファスナ等の面ファスナの第1部分の1つ又は複数のパッチを含むことができる。
図11Bに示すように、ハブ1140は、取付部材1145がベッド表面と連結されるようにベッド60の表面上に配置することができる。
【0116】
図11Cに示すように、パッドセット120の1つ又は複数の熱パッドは、面ファスナ1146の対応する第2部分が取り付けられているバンド1147等の部分を含むことができる。使用時、臨床医は、取付部材1145及びバンド1147の対応するファスナを介してハブ1140を熱パッドに連結することができる。
【0117】
図11Dは、アドオンクリップ1142を含むハブ1140を示す。
図11Eに示すように、クリップ1142は、ベッドレール61等の外部器具に取り付けられるように構成することができる。いくつかの実施形態では、クリップ1142はハブ1140から取外し可能であり得る。
【0118】
図12は、TTMモジュール1210及びパッドセット1220を含むTTMシステム1200を示す。TTMモジュール1210は、複数の二重内腔モジュールコネクタ1215を有する接続パネル1216を含む。パッドセット1220の各熱パッドは、パッド部分1205からTTMモジュール1210まで連続して延在する二重内腔流体導管1240を含む。流体導管1240は、基端部に二重内腔流体導管コネクタ1271を含む。流体導管コネクタ1271は、モジュールコネクタ1215と連結するように構成されている。いくつかの実施形態では、パッドセット1220は、最大6つ又はそれ以上の熱パッドを含むことができ、接続パネル1216は、対応して、最大6つ又はそれ以上のモジュールコネクタ1215を含むことができる。複数のモジュールコネクタ1215のうちの任意のモジュールコネクタと任意の流体導管コネクタ1271との間等、任意の2つの流体接続エンティティ間の流体接続を規定するために、TTMシステム1200で、二重内腔接続システム700のありとあらゆる部分を採用することができる。
【0119】
当業者であれば、これ以上の詳述がなくても、前述の説明を使用して、本発明をその最大限まで利用することができると考えられる。本明細書に開示される特許請求の範囲及び実施形態は、単なる説明及び例示であり、本開示の範囲を一切限定するものではないと解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の助けを借りて、本明細書の開示の基本原則から逸脱することなく、上記の実施形態の細部に変更を施すことができることは明らかであろう。換言すれば、上記説明に具体的に開示された実施形態の様々な修正及び改良は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。さらに、本明細書に開示される方法の工程又は動作の順序は、本開示の範囲から逸脱することなく当業者によって変更され得る。換言すれば、工程又は動作の特定の順序が実施形態の適切な動作のために必要でない限り、特定の工程又は動作の順序又は使用は変更され得る。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される。
【国際調査報告】