(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】自動車前端部の吸気口を遮断するための装置用の押出成形フラップ
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20240412BHJP
B60H 1/00 20060101ALN20240412BHJP
【FI】
B60K11/04
B60H1/00 102E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568139
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2022059813
(87)【国際公開番号】W WO2022233549
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】エンゾ、ミティディエリ
(72)【発明者】
【氏名】ロラ、マリオン
【テーマコード(参考)】
3D038
3L211
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC17
3L211BA12
3L211BA52
3L211DA04
(57)【要約】
自動車前端部の吸気口を遮断するための装置(1)用のフラップ(3)であって、前記フラップ(3)は、押出成形により得られるフラップ本体(31)を備え、前記フラップ本体(31)は、縁部同士で接続するとともに内部キャビティ(311)を画定する2つの外壁(310)を備え、前記フラップ(3)は、前記フラップ本体(31)の各端部において、エンドピース(30、30’)をさらに備え、前記エンドピース(30、30’)は、前記フラップ本体(31)の前記キャビティ(311)に挿入される内側部分(300)と、前記フラップ本体(31)から突出する外側部分(301)と、を備え、前記フラップ本体(31)は、そのキャビティ(311)の内部に、前記外壁(310)の前記内面同士を接続する2つの補強側壁(312)を備え、少なくも1つのエンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記内側部分(300)の前記外側に向けて突出する少なくとも1つの斜めの第1歯(303)および少なくとも1つの斜めの第2歯(303’)を備え、少なくとも1つの前記第1歯(303)の前記端部は、一方の前記側壁(312)に接触することが意図され、少なくとも1つの前記第2歯(303’)の前記端部は、他方の前記側壁(312)に接触することが意図されており、前記歯(303、303’)は、前記エンドピース(30、30’)が前記フラップ本体(31)から引き抜かれることを妨げるように配向される、フラップ(3)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車前端部の吸気口を遮断するためのシャッター装置(1)用のフラップ(3)であって、
前記フラップ(3)は、賦形された細長形状のフラップ本体(31)であって、押出成形により得られるとともにその回転軸(A)に沿って延びるフラップ本体(31)を備え、
前記フラップ本体(31)は、縁部同士で接続するとともに内部キャビティ(311)を画定する2つの外壁(310)を含み、
前記フラップ(3)は、前記フラップ本体(31)の各端部において、エンドピース(30、30’)をさらに含み、
前記エンドピース(30、30’)は、前記フラップ本体(31)の前記キャビティ(311)に挿入される内側部分(300)と、前記フラップ本体(31)から突出する外側部分(301)と、を含み、
前記フラップ本体(31)は、そのキャビティ(311)の内部に、前記回転軸(A)に対して平行に延びるとともに前記外壁(310)の内面同士を接続する2つの補強側壁(312)を含み、
少なくも1つのエンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、斜めであるとともに前記内側部分(300)の外側に向けて突出する少なくとも1つの第1歯(303)および少なくとも1つの第2歯(303’)を含み、
少なくとも1つの前記第1歯(303)の端部は、一方の前記側壁(312)に接触することが意図され、少なくとも1つの前記第2歯(303’)の端部は、他方の前記側壁(312)に接触することが意図されており、
前記歯(303、303’)は、前記エンドピース(30、30’)が前記フラップ本体(31)から外れることを妨げるように配向される、
ことを特徴とするフラップ(3)。
【請求項2】
前記側壁(312)は、前記フラップ本体(31)の前記キャビティ(311)を3つに分割し、すなわち前記フラップ本体(31)の横断面の各縁部における側方チャネルと2つの前記側方チャネルの間に配置された中央チャネルとに分割し、
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記中央チャネルの内部に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のフラップ(3)。
【請求項3】
前記中央チャネルは、前記回転軸(A)に沿って延びるとともに前記外壁(310)の前記内面同士を接続する補強中央壁(313)を含み、
前記中央壁(313)は、前記中央チャネルを2つに分け、
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記中央壁(313)が挿入されるスロット(305)を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のフラップ(3)。
【請求項4】
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記フラップ本体(31)を形成する前記外壁(310)の前記内面の各々において、少なくとも1つの支持点を含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のフラップ(3)。
【請求項5】
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記フラップ本体(31)の前記キャビティ(311)の形状に対して相補的な形状の横断面を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のフラップ(3)。
【請求項6】
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記フラップ本体(31)に装着された際に、前記外壁(310)の前記内面に対面するブラインド凹部(304)を含む、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のフラップ(31)。
【請求項7】
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)を形成するセクションの厚さは、あるセクションから別のセクションについて15%未満の値で変化する、
ことを特徴とする請求項6に記載のフラップ(3)。
【請求項8】
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記内側部分(300)に非対称的に配置された位置決め貫通孔(306)を含む、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のフラップ(3)。
【請求項9】
前記エンドピース(30、30’)は、その内側部分(300)とその外側部分(301)との間に、前記フラップ(3)の前記回転軸(A)に対して垂直に突出するカラー(302)を含み、
前記カラー(302)は、前記フラップ本体(31)の端部を閉鎖する、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のフラップ(3)。
【請求項10】
前記フラップ(3)は、その端部のうちの第1の端部におけるエンドピース(30)と、第2端部におけるエンドピース(30’)と、制御アーム(39)と、を備え、
前記第1の端部におけるエンドピース(30)は、その外側部分(301)に、前記回転軸(A)と同軸の枢動軸を含み、
前記第2端部におけるエンドピース(30’)は、前記回転軸(A)と同軸の枢動軸を含む、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のフラップ(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置用のフラップ、より具体的には自動車前端部の吸気口を遮断するための装置用のフラップに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車前端部は、一般に、2つの主吸気口から構成されている。それらは、トップルートおよびボトムルートと称され、バンパービームにより隔てられている。自動車の熱交換器、例えば車室の空調に使用されるもの、および/またはエンジンを冷却するように使用されるものは、一般に、このバンパービームの後方に配置される。
【0003】
また、主吸気口を通過する空気の経路において、より全体としてボトムルートに、支持フレームを配置することも知られている。支持フレームは、平行な軸を中心として枢動可能に装着された複数のフラップであって、適切な制御手段の作用下で開放位置と遮断位置との間で複数の異なる角度位置を取るのに適したフラップを備えている。
【0004】
こうして、吸気口を通過して熱交換器に到達する空気の流量を調節することができるルーバーブラインドに似たシャッター装置が得られる。したがって、これらの熱交換器の効果を、それらが受ける空気の量を変更することにより、必要に応じて最適化することができる。また、高速時には、遮断位置にあるフラップにより、車両の抗力係数が低減されることで前記車両の空力特性が改善され得る。
【0005】
このようなシャッター装置のフラップは、特に、押出成形されたフラップ本体を備え得る。その端部には、支持フレームに対する接続を可能とするエンドピースが配置されている。しかしながら、これらのエンドピースがフラップ本体内部の所定位置に留まるようにするためには、または、所定位置にあるエンドピースがフラップ本体にダメージを与えないようにするためには、製造公差を小さくすることが必要である。この製造品質を達成することは困難であり、部品の材料および寸法を理由としてコストがかかる。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的の1つは、フラップ本体とエンドピースとが良好に接続するフラップを提案することにより、従来技術の欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【0007】
したがって、本発明は、自動車前端部の吸気口を遮断するための装置用のフラップであって、前記フラップは、賦形された細長形状のフラップ本体であって、押出成形により得られるとともにその回転軸に沿って延びるフラップ本体を備え、前記フラップ本体は、縁部同士で接続するとともに内部キャビティを画定する2つの外壁を備え、前記フラップは、前記フラップ本体の各端部において、エンドピースをさらに備え、前記エンドピースは、前記フラップ本体の前記キャビティに挿入される内側部分と、前記フラップ本体から突出する外側部分と、を備え、前記フラップ本体は、そのキャビティの内部に、前記回転軸に対して平行に延びるとともに前記外壁の内面同士を接続する2つの補強側壁を備え、少なくも1つのエンドピースの前記内側部分は、斜めであるとともに前記内側部分の外側に向けて突出する少なくとも1つの第1歯および少なくとも1つの第2歯を備え、少なくとも1つの前記第1歯の端部は、一方の前記側壁に接触することが意図され、少なくとも1つの前記第2歯の端部は、他方の前記側壁に接触することが意図されており、前記歯は、前記エンドピースが前記フラップ本体から外れることを妨げるように配向されるフラップに関する。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記側壁は、前記フラップ本体の前記キャビティを3つに分割し、すなわち前記フラップ本体の横断面の各縁部における側方チャネルと2つの前記側方チャネルの間に配置された中央チャネルとに分割し、前記エンドピースの前記内側部分は、前記中央チャネルの内部に配置される。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記中央チャネルは、前記回転軸に沿って延びるとともに前記外壁の前記内面同士を接続する補強中央壁を備え、前記中央壁は、前記中央チャネルを2つに分け、前記エンドピースの前記内側部分は、前記中央壁が挿入されるスロットを備える。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記エンドピースの前記内側部分は、前記フラップ本体を形成する前記外壁の前記内面の各々において、少なくとも1つの支持点を備える。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記エンドピースの前記内側部分は、前記フラップ本体の前記キャビティの形状に対して相補的な形状の横断面を有する。
【0012】
本発明の一態様によれば、前記エンドピースの前記内側部分は、前記フラップ本体に装着された際に、前記外壁の前記内面に対面するブラインド凹部を備える。
【0013】
本発明の一態様によれば、前記エンドピースの前記内側部分を形成するセクションの厚さは、あるセクションから別のセクションについて15%未満の値で変化する。
【0014】
本発明の一態様によれば、前記エンドピースの前記内側部分は、前記内側部分に非対称的に配置された位置決め貫通孔を備える。
【0015】
本発明の一態様によれば、前記エンドピースは、その内側部分とその外側部分との間に、前記フラップの前記回転軸に対して垂直に突出するカラーを備え、前記カラーは、前記フラップ本体の端部を閉鎖する。
【0016】
本発明の一態様によれば、前記フラップは、その端部のうちの第1の端部におけるエンドピースと、第2端部におけるエンドピースと、制御アームと、を備え、前記第1の端部におけるエンドピースは、その外側部分に、前記回転軸と同軸の枢動軸を備え、前記第2端部におけるエンドピースは、前記回転軸と同軸の枢動軸を備える。
【0017】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的で例示的な例としてなされる以下の説明および図面を読むことで、より明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、遮断位置にあるシャッター装置の前部の概略的な斜視図を示す。
【
図4】
図4は、フラップの一端部の分解概略斜視図を示す。
【
図5】
図5は、エンドピースの概略的な斜視図を示す。
【
図6】
図6は、フラップ端部の概略的な横断面の斜視図を示す。
【
図7】
図7は、フラップ端部の縦断面の概略的な斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
種々の図面において、同一の要素には同じ参照符号を付す。
【0020】
以下の実施形態は例示である。本明細書では1つ以上の実施形態について言及がなされているが、これは、必ずしも各言及が同一の実施形態に関することを意味せず、また特徴が単一の実施形態にのみ適用されることも意味しない。異なる実施形態の個々の特徴を組み合わせたり置換したりして、他の実施形態を提供することも可能である。
【0021】
本明細書において、特定の要素またはパラメータに、例えば、第1要素または第2要素、ならびに第1パラメータおよび第2パラメータ、またさらに第1基準および第2基準等の任意の序数が付され得る。この場合、この序数番号は、単に類似しているが同一ではない要素またはパラメータまたは基準を区別して示すためのものである。この序数番号は、1つの要素、パラメータまたは基準の別のものに対して優先することを意味するものではなく、このような番号は、本明細書の範囲を逸脱せずに容易に交換することができる。同様に、この序数番号は、例えば、任意の基準の評価における何らかの時系列的な順序を意味するものではない。
【0022】
図1および
図2において、各図形の互いに対する観察方向を示すために、XYZ三面体が使用されている。この三面体の軸は、自動車の異なる配向にも対応し得る。したがって、X軸は車両の長さの軸に対応し、Y軸は車両の幅の軸に対応し、Z軸は車両の高さの軸に対応している。
【0023】
図1は、遮断位置にあるシャッター装置の概略的な斜視図を示す。この
図1は、シャッター装置1の外面、すなわち、自動車の外側に向く面をより正確に示している。
【0024】
シャッター装置1は、支持フレーム5を備えている。支持フレーム5は、特に、三面体のY軸に対して平行に延びる2つの長手方向横材5aと、三面体のZ軸に対して平行に延びる少なくとも2つの側部直立部5bであって、前記長手方向横材5aを接続する側部直立部5bと、を備えている。有利には、支持フレーム5は、プラスチックから作製され、2つの長手方向横材5aおよび少なくとも2つの側部直立部5bは、射出成形により得られる。支持フレーム5の剛性を向上させるために、これを単一部品として成形してもよい。
【0025】
1つ以上のフラップ3が、支持フレーム5の内部に設置されている。複数のフラップ3が存在する場合、それらは、互いに平行なフラップ3の(複数の)列を形成するとともに、フラップ3のセット(ひとまとまりのフラップ3)を形成する。
図1に示す例において、シャッター装置1は、制御モジュール13により隔てられた2つのセットのフラップ3を備えている。Y軸に沿って最長のフラップ3のセットは、支持フレーム5の開口に配置された中間直立部5cに載置されている。この目的は、フラップ3の自重による変形を制限すること、および支持フレーム5または制御モジュール13に対するフラップ3の係合が解除される可能性を制限することである。この制御モジュール13がフラップ3のセットの端部のうちの一方に配置されることにより、フラップ3は枢動軸Aを中心として同期して回動することができる。この回動は、空気流がシャッター装置1、特に支持フレーム5の内部を通過できるようにフラップ3が配置される開放位置(図示せず)と、空気流がシャッター装置1を通過できないようにフラップ3が配置される
図1に示す遮断位置との間で実施される。
【0026】
図1に示す例において、制御モジュール13は、支持フレーム5の開口に配置されるとともに、制御モジュール13の両側に配置された2つのセットのフラップ3に接続している。しかしながら、制御モジュール13が側部直立部5bの一方に配置されて、フラップ3の単一のセットにのみ接続することが完全に想定可能である。
【0027】
図2に示すように、制御要素13は、特にロッド7を備えている。フラップ3は、それらの枢動軸Aに対して垂直な制御アーム39であって、接続軸Bに沿って接続スタッドを支持する制御アーム39を有している。接続スタッドにより、フラップ3とロッド7との接続が可能とされる。枢動軸Aと接続軸Bとは一致せず、いずれも三面体のY軸に対して平行である。
【0028】
制御モジュール13は、アクチュエータ9も備えている。アクチュエータ9は、例えば電気モータ等の電気式であっても、例えば空気圧シリンダ等の空気圧式であってもよい。上記アクチュエータは、レバー11を枢動させることにより、ロッド7に三面体のZ軸に沿った並進運動を加える。
【0029】
フラップ3は、支持フレーム5に対するそれらの接続により規定される枢動軸Aを中心として各々枢動し得る。フラップ3と制御ロッド7との間の接続スタッドは、枢動軸Aに対して中心を外れて配置されている。これにより、三面体のZ軸に対して平行な制御ロッド7の並進運動が、アクチュエータ9の作用を受けて、フラップ3をそれぞれの枢動軸Aを中心として枢動させるとともに、これによりフラップ3をある位置から別の位置に変位させる。フラップ3は同一のロッド7に接続しているため、開放位置から遮断位置への変位は、すべての上記フラップ3について同期する。
【0030】
図3に示すように、フラップ3は、賦形された細長(長方形)のフラップ本体31であって、押出成形により得られるとともにその回転軸Aに沿って延びるフラップ本体31を備えている。フラップ本体31の横断面は、より具体的には、実質的に楕円形の輪郭(
図4参照)を有し得る。
【0031】
エンドピース30、30’が、フラップ本体31の各端部に配置されている。本例において、当該端部は、フラップ本体31の長手方向における端部である。これらのエンドピース30、30’により、特に、押出成形により得られたフラップ本体31を閉鎖することができるとともに、フラップ3を支持フレーム5および制御モジュール13に接続することができる。制御モジュール13に接続することが意図されたエンドピース30’は、特に、ロッド7への接続を可能とする制御アーム39を備えている(
図2および
図3参照)。
【0032】
図4に示すように、フラップ本体31は、縁部同士で接続するとともに内部キャビティ311を画定する2つの外壁310を備えている。これら2つの外壁310は、より正確にフラップ本体31の外側構造体を形成している。フラップ本体31は押出成形により製造されるため、内部キャビティ311はその全長に亘って延びている。フラップ本体31は、より具体的には、そのキャビティ311の内部に、回転軸Aに対して平行に延びるとともに外壁310の内面を接続する2つの補強側壁312を備えている。これらの側壁312により、特に、フラップ本体31の構造を剛性にすることができる。これらの側壁312は、特に、まっすぐであり得るとともに互いに平行であり得る。側壁312は、フラップ本体31のキャビティ311を3つに分割し得るとともに、フラップ本体31の横断面の各縁部における側方チャネル、およびこの2つの側方チャネルの間に配置された中央チャネルを形成し得る。
【0033】
エンドピース30、30’は、フラップ本体31のキャビティ311に挿入される内側部分300と、フラップ本体31から突出する外側部分301と、を備えている。また、エンドピース30、30’は、それらの内側部分300とそれらの外側部分301との間に、フラップ3の回転軸Aに対して垂直に突出するカラー302を備え得る。このカラー302は、特に、フラップ本体31の端部を閉鎖する。カラー302により、支持フレーム5および制御モジュール13を、フラップ本体31に到達し得る水や埃から保護することもできる。
【0034】
図4に示すフラップ本体31の第1端部において、フラップ3は、特にエンドピース30を備えている。エンドピース30は、その外側部分301に回転軸Aと同軸である枢動軸を備え、支持フレーム5に支持された軸受と相互作用することが意図されている。フラップ本体31の第2端部において(
図2に示されている)、フラップ3は、別のエンドピース30’と制御アーム39とを備えている。エンドピース30’は、回転軸Aと同軸である枢動軸を備え、制御モジュール13に支持された軸受と相互作用することが意図されている。エンドピース30、30’の内側部分300は、より具体的には、フラップ本体31の中央チャネルの内部に配置され得る。エンドピース30、30’は、好適には、プラスチック材料から射出成形により作製される。
【0035】
図5および
図6により詳細に示すように、エンドピース30の内側部分300は、斜めであるとともに上記内側部分300の外側に向けて突出する少なくとも1つの第1歯303および少なくとも1つの第2歯303’を備えている。少なくとも1つの第1歯303の端部は、フラップ本体31の一方の側壁312に接触することが意図されており、少なくとも1つの第2歯303’の端部は、フラップ本体31の他方の側壁312に接触することが意図されている。より具体的には、歯303、303’は、エンドピース30がフラップ本体31から外れることを妨げるように配向されている。この目的のために、歯303、303’を内側部分300に接続するそれらの基部は、上記歯303、303’の端部よりも外側部分301から離れている。したがって、歯303、303’の端部は、内側部分301に向けて配向されている。エンドピース30の内側部分300がフラップ本体31のキャビティ311に挿入される際、歯303、303’が変形することにより、挿入が容易とされ得る。例えばエンドピース30をフラップ本体31から引き出すように引き抜く力がエンドピース30に加えられた場合、歯303、303’が側壁312に引っ掛かり、エンドピース30がフラップ本体31の内部で保持される。
【0036】
図5および
図6に示す例において、エンドピース30は、その内側部分300の両側に配置された連続する3つの歯303、303’(二連の歯303、303’)を備えている。歯303、303’は、特に、エンドピース30の内側部分300と一体的に形成され得る。
【0037】
これらの歯303、303’により、エンドピース30とフラップ本体31との良好な接続が得られる。これにより、エンドピース30をフラップ本体31のキャビティ311内にしっかりと保持することができるとともに、これが外れるおそれが制限される。また、これらの歯303、303’が変形することにより、エンドピース30とフラップ本体31との製造公差を大きくすることができるとともに、フラップ本体31内にエンドピース30を挿入することを容易化することができる。
【0038】
エンドピース30の内側部分300は、フラップ本体31に装着された際に、外壁310の内面に対面するブラインド凹部(盲凹部)304も備え得る。これらの凹部により、特に、エンドピース30を形成する材料の量を低減することができるため、その重量が低減され得る。エンドピース30の内側部分300を形成するセクションは、あるセクションから別のセクションについて15%未満の値しか厚さが異ならない。内側部分300のセクションのこの比較的一定の厚さにより、エンドピース30は、比較的均一な熱慣性を有することもできる。
【0039】
エンドピース30の内側部分300は、上記内側部分300に非対称的に配置された位置決め貫通孔306をさらに備え得る。ここで、非対称的とは、この位置決め孔306が回転軸Aの一側または他側に配置されることを意味するものとする。この位置決め孔306により、例えば自動化された装着プロセス中に、装着を目的としてエンドピース30の方向および配向を決めることができる。
【0040】
エンドピース30の内側部分300が挿入されるフラップ本体31のキャビティ311の中央チャネルは、
図4、
図6および
図7に示すように、回転軸Aに沿って延びる補強中央壁313も備え得る。この中央壁313は、キャビティ311の中央チャネルを2つに分ける。また、中央壁313により、フラップ本体31を補強することができるとともに、特に外壁310間の間隔を維持することができる。この目的のために、この中央壁313は、より具体的には、外壁310の内面同士を接続する。
図5~
図7に示すように、エンドピース30の内側部分300は、特に、上記中央壁313が挿入されるスロット305を備え得る。この目的は、内側部分300がフラップ本体31の中央チャネルに挿入され得るようにすることである。
【0041】
図7によれば、エンドピース30の内側部分300は、少なくとも1つの支持点を、フラップ本体31を形成する外壁310の内面の各々に備え得る。これにより、特に内側部分300は、そしてより全体としてエンドピース30は、回転軸Aに沿った唯一の自由度を有し得る。これにより、特に、フラップ本体31とエンドピース30との良好な剛性接続が可能となる。この剛性接続を強化するとともに、エンドピース30のフラップ本体31内部における移動を可能な限り制限するために、エンドピース30の内側部分300は、特に、フラップ本体31のキャビティ311の形状に対して相補的な形状を有する横断面を有し得る。
【0042】
図4~
図7に示す例において、フラップ本体31の第1端部に挿入されたエンドピース30のみを示し、これについて説明した。しかしながら、エンドピース30、30’の一方または他方、さらにまたは両方の内側部分300が上述のようなものであることが完全に想定可能である。
【0043】
したがって、キャビティ311内部の側壁312およびこれらの側壁312に接触する歯303、303’の存在により、エンドピース30とフラップ本体31との良好な接続が可能となることが明瞭である。これにより、エンドピース30をフラップ本体31のキャビティ311内部でしっかりと保持することができるとともに、これが外れるおそれが制限される。また、これらの歯303、303が変形することにより、エンドピース30とフラップ本体31との製造公差を大きくすることができるとともに、フラップ本体31内部にエンドピース30を挿入することを容易化することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車前端部の吸気口を遮断するためのシャッター装置(1)用のフラップ(3)であって、
前記フラップ(3)は、賦形された細長形状のフラップ本体(31)であって、押出成形により得られるとともにその回転軸(A)に沿って延びるフラップ本体(31)を備え、
前記フラップ本体(31)は、縁部同士で接続するとともに内部キャビティ(311)を画定する2つの外壁(310)を含み、
前記フラップ(3)は、前記フラップ本体(31)の各端部において、エンドピース(30、30’)をさらに含み、
前記エンドピース(30、30’)は、前記フラップ本体(31)の前記キャビティ(311)に挿入される内側部分(300)と、前記フラップ本体(31)から突出する外側部分(301)と、を含み、
前記フラップ本体(31)は、そのキャビティ(311)の内部に、前記回転軸(A)に対して平行に延びるとともに前記外壁(310)の内面同士を接続する2つの補強側壁(312)を含み、
少なくも1つのエンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、斜めであるとともに前記内側部分(300)の外側に向けて突出する少なくとも1つの第1歯(303)および少なくとも1つの第2歯(303’)を含み、
少なくとも1つの前記第1歯(303)の端部は、一方の前記側壁(312)に接触することが意図され、少なくとも1つの前記第2歯(303’)の端部は、他方の前記側壁(312)に接触することが意図されており、
前記歯(303、303’)は、前記エンドピース(30、30’)が前記フラップ本体(31)から外れることを妨げるように配向される、
ことを特徴とするフラップ(3)。
【請求項2】
前記側壁(312)は、前記フラップ本体(31)の前記キャビティ(311)を3つに分割し、すなわち前記フラップ本体(31)の横断面の各縁部における側方チャネルと2つの前記側方チャネルの間に配置された中央チャネルとに分割し、
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記中央チャネルの内部に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のフラップ(3)。
【請求項3】
前記中央チャネルは、前記回転軸(A)に沿って延びるとともに前記外壁(310)の前記内面同士を接続する補強中央壁(313)を含み、
前記中央壁(313)は、前記中央チャネルを2つに分け、
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記中央壁(313)が挿入されるスロット(305)を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のフラップ(3)。
【請求項4】
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記フラップ本体(31)を形成する前記外壁(310)の前記内面の各々において、少なくとも1つの支持点を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載のフラップ(3)。
【請求項5】
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記フラップ本体(31)の前記キャビティ(311)の形状に対して相補的な形状の横断面を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のフラップ(3)。
【請求項6】
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記フラップ本体(31)に装着された際に、前記外壁(310)の前記内面に対面するブラインド凹部(304)を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載のフラップ(
3)。
【請求項7】
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)を形成するセクションの厚さは、あるセクションから別のセクションについて15%未満の値で変化する、
ことを特徴とする請求項6に記載のフラップ(3)。
【請求項8】
前記エンドピース(30、30’)の前記内側部分(300)は、前記内側部分(300)に非対称的に配置された位置決め貫通孔(306)を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載のフラップ(3)。
【請求項9】
前記エンドピース(30、30’)は、その内側部分(300)とその外側部分(301)との間に、前記フラップ(3)の前記回転軸(A)に対して垂直に突出するカラー(302)を含み、
前記カラー(302)は、前記フラップ本体(31)の端部を閉鎖する、
ことを特徴とする請求項
1に記載のフラップ(3)。
【請求項10】
前記フラップ(3)は、その端部のうちの第1の端部におけるエンドピース(30)と、第2端部におけるエンドピース(30’)と、制御アーム(39)と、を備え、
前記第1の端部におけるエンドピース(30)は、その外側部分(301)に、前記回転軸(A)と同軸の枢動軸を含み、
前記第2端部におけるエンドピース(30’)は、前記回転軸(A)と同軸の枢動軸を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載のフラップ(3)。
【国際調査報告】