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特表2024-517258陰圧デバイスを監視するためのシステムおよびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】陰圧デバイスを監視するためのシステムおよびデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20240412BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61F 2/04 20130101ALI20240412BHJP
   A61F 2/86 20130101ALI20240412BHJP
   A61B 17/11 20060101ALN20240412BHJP
【FI】
A61B17/02
A61M1/00 160
A61F2/04
A61F2/86
A61B17/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568212
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022026558
(87)【国際公開番号】W WO2022235468
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/184,360
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/730,125
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523414560
【氏名又は名称】セーフヒール エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デピエーロ, スコット
【テーマコード(参考)】
4C077
4C097
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA09
4C077DD11
4C077HH10
4C077HH13
4C097AA30
4C160AA14
4C160CC02
4C160MM43
4C267AA44
4C267BB02
4C267BB26
4C267BB40
4C267BB62
4C267CC23
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
本開示は、吸込キャニスタ等の陰圧システム内の圧力を監視するための、システムおよびデバイスを提供する。一側面では、本システムは、吻合部位における患者の腸管内に位置付けるために構成される、アンカと、アンカに流体的に結合される、吸込キャニスタ等の陰圧源とを含む。可搬性アラームデバイスが、吸込キャニスタに結合され、その中の圧力を検出するための、トリガを含む。信号デバイスが、本圧力が閾値レベルを上回ると、信号を放出し、アンカが吻合部位における腸管の壁としっかりと接触したままであることを確実にする。アラームデバイスは、患者が、吸込キャニスタを握持および携行することを可能にし、重篤な患者に回復周期の間の移動性を提供する、取っ手を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の消化管内の標的部位のための内部バイパスシステムであって、前記システムは、
前記標的部位における前記患者の消化管内に位置付けるために構成される、アンカと、
前記アンカに流体的に結合される、陰圧源を有する、陰圧システムと、
前記陰圧システムに結合され、前記陰圧システム内からの圧力を検出するためのトリガを有する、アラームデバイスと、
前記トリガに結合され、信号を放出するように構成される、信号デバイスと
を備える、バイパスシステム。
【請求項2】
前記アンカは、外側壁を有する可撓性シースと、前記シースを通した物質の通過を可能にするための内部チャネルとを備える、請求項1に記載のバイパスシステム。
【請求項3】
前記アンカはさらに、前記シースに結合され、前記シースに外向き半径方向力を提供するように構成される、ステントを備える、請求項2に記載のバイパスシステム。
【請求項4】
前記陰圧システムは、前記シースの外側壁に流体的に結合される、1つ以上の管と、前記1つ以上の管に流体的に結合される、少なくとも1つの吸込キャニスタとを備える、請求項2に記載のバイパスシステム。
【請求項5】
前記アラームデバイスは、主本体を備え、前記主本体は、前記主本体を前記吸込キャニスタに除去可能に取り付けるための結合デバイスを有する、請求項4に記載のバイパスシステム。
【請求項6】
前記結合デバイスは、前記吸込キャニスタの開口部および前記主本体の開口部を通して通過するように定寸される、締結具を備える、請求項5に記載のバイパスシステム。
【請求項7】
前記トリガは、前記吸込キャニスタの外側壁に結合される、可動要素を備え、前記可動要素は、前記吸込キャニスタの圧力が閾値レベルに到達すると、第1の位置から第2の位置まで移動するように構成される、請求項5に記載のバイパスシステム。
【請求項8】
前記主本体が前記吸込キャニスタに結合されると、前記第2の位置にある前記可動要素の表面に接触するように構成される接触表面を有する、触知可能センサをさらに備える、請求項7に記載のバイパスシステム。
【請求項9】
前記触知可能センサは、前記圧力が前記閾値レベルに到達すると、前記可動要素が前記触知可能センサに接触するように位置付けられる、請求項8に記載のバイパスシステム。
【請求項10】
前記触知可能センサは、前記信号デバイスに結合され、前記可動要素が前記触知可能センサに接触すると、前記信号デバイスをアクティブ化するように構成される、請求項9に記載のバイパスシステム。
【請求項11】
前記1つ以上の管に流体的に結合される、第2の吸込キャニスタをさらに備え、前記トリガは、第1のトリガであり、前記第1のトリガは、前記第1の吸込キャニスタ内の圧力を検出するように構成され、前記デバイスはさらに、前記第2の吸込キャニスタ内の圧力を検出するように構成される、第2のトリガを備える、請求項5に記載のバイパスシステム。
【請求項12】
前記主本体は、伸長部分と、第1および第2の対向端部とを備え、前記対向端部はそれぞれ、前記主本体を前記第1および第2の吸込キャニスタに結合するための結合デバイスを備え、前記伸長体は、前記主本体および前記吸込キャニスタを握持および携行するための取っ手を備える、請求項11に記載のバイパスシステム。
【請求項13】
前記信号は、可聴警告を含む、請求項1に記載のバイパスシステム。
【請求項14】
前記信号は、可視警告を含む、請求項1に記載のバイパスシステム。
【請求項15】
前記信号は、データを含み、前記デバイスはさらに、前記データを遠隔場所まで伝送するための、伝送機を備える、請求項1に記載のバイパスシステム。
【請求項16】
陰圧システムとの併用のための可搬性アラームデバイスであって、前記デバイスは、
吸込キャニスタへの除去可能な取付のために構成される、主本体であって、前記主本体は、取っ手を含む、主本体と、
前記主本体に結合され、前記吸込キャニスタの内部からの圧力を検出するように構成される、少なくとも1つのトリガと、
前記トリガに結合され、信号を放出するように構成される、信号デバイスと
を備える、デバイス。
【請求項17】
前記主本体は、前記主本体を前記吸込キャニスタに除去可能に取り付けるための、結合デバイスを備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記結合デバイスは、前記吸込キャニスタの開口部および前記主本体の開口部を通して通過するように定寸される、締結具を備える、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記トリガは、前記吸込キャニスタの外側壁に結合される、拡張可能要素を備え、前記拡張可能要素は、前記吸込キャニスタの圧力が閾値レベルに到達すると、拡張するように構成される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
前記主本体が前記吸込キャニスタに結合されると、前記吸込キャニスタの前記拡張可能要素の表面に接触するように構成される接触表面を有する、触知可能センサをさらに備える、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記触知可能センサは、前記圧力が前記閾値レベルに到達すると、前記拡張可能要素が前記触知可能センサに接触するように位置付けられる、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記触知可能センサは、前記信号デバイスに結合され、前記拡張可能要素が前記触知可能センサに接触すると、前記信号デバイスをアクティブ化するように構成される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記主本体は、第1および第2の吸込キャニスタへの除去可能な取付のために構成される対向端部を有する、伸長体を備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項24】
前記トリガは、第1のトリガであり、前記第1のトリガは、前記第1の吸込キャニスタ内の圧力を検出するように構成され、前記デバイスはさらに、前記第2の吸込キャニスタ内の圧力を検出するように構成される、第2のトリガを備える、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記伸長体は、前記取っ手を備える、請求項23に記載のデバイス。
【請求項26】
前記信号は、可聴警告を含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項27】
前記信号は、可視警告を含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項28】
前記信号は、データを含み、前記デバイスはさらに、前記データを遠隔場所まで伝送するための、伝送機を備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項29】
陰圧システムとの併用のための可搬性デバイスであって、前記デバイスは、
第1および第2の対向端部を伴う、伸長体であって、前記第1および第2の端部は、第1および第2の吸込キャニスタへの除去可能な取付のために構成される、伸長体と、
前記第1の吸込キャニスタの内部からの圧力を検出するように構成される、第1のトリガ、および前記第2の吸込キャニスタの内部からの圧力を検出するように構成される、第2のトリガと、
各トリガに結合され、信号を放出するように構成される、信号デバイスと
を備える、デバイス。
【請求項30】
前記伸長体は、取っ手を備える、請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
アラームデバイスは、前記伸長体を前記第1および第2の吸込キャニスタに除去可能に取り付けるための第1および第2の結合デバイスを備える、請求項29に記載のデバイス。
【請求項32】
前記第1および第2の結合デバイスのそれぞれは、前記第1および第2の吸込キャニスタのそれぞれの開口部および主本体の開口部を通して通過するように定寸される、締結具を備える、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記第1および第2のトリガはそれぞれ、前記第1および第2の吸込キャニスタのうちの一方内の前記圧力が閾値レベルに到達すると、拡張するように構成される、拡張可能要素を備える、請求項29に記載のデバイス。
【請求項34】
前記圧力が前記閾値レベルに到達すると、前記拡張可能要素が前記第1および第2の触知可能センサのうちの一方に接触するように位置付けられる、第1および第2の触知可能センサをさらに備える、請求項33に記載のデバイス。
【請求項35】
前記第1および第2の触知可能センサは、前記信号デバイスに結合され、前記第1および第2の吸込キャニスタのうちのいずれか一方または両方の拡張可能要素が前記触知可能センサのうちの一方に接触すると、前記信号デバイスをアクティブ化するように構成される、請求項34に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容が参照することによって全体として本明細書に組み込まれる、2021年5月5日に出願され、「Systems and Devices for Monitoring Negative Pressure Devices」と題された、米国仮出願第63/184,360号の優先権を主張する。
【0002】
(分野)
本開示は、概して、患者との併用のための陰圧デバイスを監視するためのシステムおよびデバイスに関し、より具体的には、腸切除手技に続いて吻合部位内の漏出に対して保護するために、内部バイパスデバイスの圧力を持続的に監視するための可搬性アラームデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
いくつかの事例では、患者の腸のある区画が、結腸直腸癌、憩室炎、大量出血、閉塞、および同等物等のある塞栓状態および疾患を治療するために除去されなければならない。これらの腸切除手技では、医師は、大腸管の罹患または閉塞部分を切開および除去し、次いで、多くの場合、腸吻合と称される、非常に小さいステープルまたは縫合糸を用いて、腸管の健康な端部を再接続する。腸切除手技とともに併発する、最も深刻な合併症は、吻合部の漏出であり、これは、治癒プロセスが、遅延した、または不完全であるときに生じ得る。吻合部の漏出は、便および他の老廃物が腹腔の中に漏出することを可能にし、これは、危険な感染症または敗血症につながり得る。これが生じないように防止するために、吻合部位は、外科手術の直後に保護されなければならない。
【0004】
従来的に、吻合部の漏出を防止するために、外科医は、迂回造瘻術と称される、吻合部位の外部バイパスの生成を行う。本手技では、外科医は、腸管を本開口部まで迂回させるための一時的な開口部、すなわち、瘻(例えば、人工肛門)を生成する。外科医は、次いで、治癒周期の間に患者の便および他の老廃物を収集するための造瘻術バッグを腹部内の開口部に取り付ける。残念ながら、造瘻術は、患者にとって消耗的であり、合併症を生じやすく、高価であり、患者管理の観点から非効率的である。加えて、造瘻術は、元に戻すために第2の外科手術を要求する。
【0005】
迂回造瘻術手技の限界を克服するために、内部一時バイパスデバイスが、生成されている。これらのバイパスデバイスは、典型的には、結腸の中に導入され、吻合部位における結腸の内壁に対して設置される、可撓性シースを含む。バイパスデバイスは、組織と、腸管を通して進行する便または他の老廃物との間のいかなる接触も排除し、それによって、吻合部の清浄性を確実にする。治癒が完了した後、シースは、第2の外科手術を要求することなく、日常的な内視鏡手技を通して患者から除去されることができる。
【0006】
内部バイパスデバイスの課題のうちの1つは、それらが、吻合部の周囲の腸組織としっかりと接触したままであり、シースの遊走またはシースの周囲および患者の腹部の中への腸内容物のいかなる漏出も防止することを確実にすることである。本課題を克服するために、バイパスデバイスは、シースが吻合部位の周囲の腸の内壁と密着したままであるように、シースの外壁に持続的陰圧を提供する、陰吸込圧または真空圧システムを含み得る。本陰吸込圧は、典型的には、1つ以上の流体ラインまたはカテーテルを用いて、シースの周壁に供給される。流体ラインは、吸込キャニスタまたは同等物等の外部陰圧源に結合される。
【0007】
これらの新しいバイパスデバイスは、極めて効果的であるが、それらは、ある欠点を被る。例えば、持続的吸込圧が、全体的な治癒周期の全体を通して、バイパスシースに印加されなければならない。圧力システムの任意の部分が、陰圧の喪失を被る場合、シースの外側壁は、腸管との接触を喪失し、シースの遊走および/または吻合部を通した便または老廃物の漏出を可能にし得る。故に、吸込システムの圧力は、絶えず監視されなければならない。陰圧の喪失の場合には、医療施術者が、そのシステムが、シースが意図されるように機能を停止する前に交換され得るように、即座に警告されなければならない。
【0008】
内部バイパスデバイスとの併用のために設計される、既存の陰圧システムの別の欠点は、吸込キャニスタが、典型的には、別個の真空デバイスによって陰圧を供給されることである。したがって、患者に病院内での治癒周期の間の移動性を提供するために、貯蔵キャニスタが、真空デバイスから完全に接続解除されなければならないか、または患者がシステム全体とともに随所に移動しなければならないかのいずれかである。これは、患者に、より多くのデバイスだけではなく、落下を防止するためにクリップ留めされ、固着されなければならない、余剰管類とともに行き来させる。これらの煩わしいシステムは、患者にとって、または彼らを移動の際に補助する、療法士にとって非便宜的である。
【0009】
患者の移動性をさらに向上させるために、患者による使用に先立って、事前に陰圧を供給され得る、吸込キャニスタが、設計されている。これらの吸込キャニスタは、すでに陰圧または真空圧を有しているため、それらは、真空源への接続のために別個の管への取付を要求しない。これは、患者の移動性のある改善を提供するが、吸込キャニスタは、単独では、典型的には、患者が容易に把持し、携行することが、困難である。
【0010】
必要とされるものは、したがって、腸切除外科手術の後に吻合部位を保護するための、改良されたシステムおよびデバイスである。内部バイパスシースを吻合部位に固着させる陰圧システム内に圧力の喪失が存在するときに、医療提供専門家に対して明確な警告信号を生産する、デバイスを提供することが特に望ましいであろう。患者が、回復周期の間に消化運動性を向上させるように移動可能であることを可能にし、本周期の間に患者の生活の質全般を改善するように可搬性である、吸込デバイスを提供することが、さらに望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要約)
以下は、請求される主題のいくつかの側面の基本的理解を提供するために、請求される主題の簡略化された概要を提示する。本概要は、請求される主題の広範囲にわたる概観ではない。これは、請求される主題の重要となる、または決定的要素を識別することも、請求される主題の範囲を境界することも意図していない。その唯一の目的は、請求される主題のいくつかの概念を、後に提示される、より詳細な説明への前置きとして、簡略化された形態において提示することである。
【0012】
本開示は、患者との併用のための陰圧デバイスを監視するためのシステムおよびデバイスを提供する。いくつかの側面では、本システムは、患者の消化管の標的面積内に内部バイパスを生成し、便および他の老廃物が、標的面積における消化管の壁に接触することなく、標的面積を通して通過することを可能にする。標的面積は、例えば、結腸直腸癌、憩室炎、大量出血、閉塞、および同等物等のある塞栓状態および疾患を治療するために、腸切除外科手術の後に生成される、吻合部位であってもよい。
【0013】
本開示の一側面では、患者の消化管内の吻合部位のための内部バイパスシステムは、吻合部位における患者の腸管内に位置付けるために構成される、アンカと、アンカに流体的に結合される、吸込キャニスタ等の陰圧源とを備える。本システムはさらに、吸込キャニスタ内の圧力を検出するためのトリガを有する、アラームデバイスと、圧力に基づいて信号を放出し、アンカが吻合部位における腸管の壁としっかりと接触したままであることを確実にするように構成される、信号デバイスとを含む。
【0014】
本開示のシステムおよびデバイスは、陰圧システム内からの圧力に応答し、圧力システムの任意の部分が、吸込圧の喪失を被る場合、明確な警告信号を生産する。これは、医療施術者が、例えば、陰圧システムに関わる問題を診断すること、または本システムの1つ以上の構成要素を交換し、アンカが、治癒周期の全体を通して定位置にあるままであり、それによって、吻合部を通した便または老廃物の漏出を防止することを確実にすることのいずれかを可能にする。
【0015】
ある実施形態では、アンカは、外側壁を有する可撓性シースと、シースを通した物質の通過を可能にするための内部チャネルとを備える。アンカはさらに、シースに結合され、シースに外向き半径方向力を提供するように構成される、ステントを備えてもよい。陰圧システムは、シースの外側壁に流体的に結合される、1つ以上の管と、管に流体的に結合される、少なくとも1つの吸込キャニスタとを備える。吸込キャニスタは、陰圧源または真空圧源に結合されてもよい、またはキャニスタ自体が、陰圧源であってもよい。ステントおよび陰圧システムの組み合わせが、可撓性シースを結腸壁に対して固着させ、シースの遊走および/またはシースの周辺への漏出を防止する。
【0016】
アラームデバイスは、好ましくは、吸込キャニスタへの除去可能な取付のために構成される、主本体を備える。主本体は、患者がデバイスを握持し、吸込キャニスタを携行することを可能にし、それによって、重篤患者に回復周期の間に移動性を提供するように構成される。
【0017】
ある実施形態では、可搬性アラームデバイスの主本体は、主本体を吸込キャニスタに除去可能に取り付けるための結合デバイスを備える。いくつかの例示的実施形態では、結合デバイスは、吸込キャニスタの開口部および主本体の開口部を通して通過するように定寸される、締結具を備える。いくつかの非限定的側面では、吸込キャニスタの開口部は、タブまたは同等物等の吸込キャニスタの突出部上に位置する、孔である。
【0018】
ある実施形態では、トリガは、吸込キャニスタの表面と接触して配置され、吸込キャニスタ内の圧力が閾値レベルに到達すると、第1の位置から第2の位置まで移動するように構成される、可動要素を含んでもよい。これらの実施形態では、本システムはさらに、可動要素が、圧力が閾値レベルに到達すると触知可能センサに接触するように位置付けられる、触知可能センサを備える。例示的実施形態では、触知可能センサは、信号デバイスに結合され、拡張可能要素が触知可能センサに接触すると、信号デバイスをアクティブ化するように構成される。
【0019】
好ましい実施形態では、可動要素は、圧力が閾値レベルに到達することに応答して拡張する、拡張可能要素である。主本体および吸込キャニスタは、触知可能センサの表面が、その拡張構成にある拡張可能要素の表面によって接触可能であるように、結合デバイスによって位置付けられる。本実施形態では、結合デバイスは、複数の目的、すなわち、可搬性のためにアラームデバイスを吸込キャニスタに固着させることと、拡張可能要素が拡張に応じて触知可能センサに接触するように触知可能センサを位置付けることとを果たす。したがって、結合デバイスの一意かつ単純な設計は、再現可能な接続を可能にするだけではなく、軽量であり、患者に負担をかけないものでもある。本開示のいくつかの実施形態の結合デバイスの別の利点は、これが、PFM Medical, Inc.製のJet-Vacキャニスタ等、医療環境においてすでに広く使用されている吸込キャニスタに主本体を接続するために構成されていることである。
【0020】
ある実施形態では、主本体は、第1および第2の吸込キャニスタへの除去可能な取付のために構成される対向端部を有する、伸長体を備える。これらの実施形態では、本デバイスは、第1および第2のセンサを備える。第1のセンサは、第1の吸込キャニスタ内の圧力を検出するように構成され、第2のセンサは、第2の吸込キャニスタ内の圧力を検出するように構成される。
【0021】
例示的実施形態では、伸長体は、患者が、両方の吸込キャニスタを容易に携行することを可能にする、取っ手を備える。いくつかの実施形態では、伸長体は、堅性であり、約6~18インチの範囲内の長さを有する。これは、患者による手による把持のため、および2つの別個の吸込キャニスタをアラームデバイスに接続するために十分な空間を提供する。
【0022】
ある実施形態では、信号デバイスは、電力供給源と、吸込キャニスタの内圧が閾値レベルを上回っていることを示す、アラームまたは警告信号を生産するための、触知可能センサに結合される、好適な電子機器とを備える。他の実施形態では、電力供給源および電子機器は、アラームデバイスと別個であり、Bluetooth(登録商標)または同等物等の無線接続を通して触知可能センサに結合されてもよい。アラームまたは警告信号は、患者および/または医療提供専門家に、コンテナが満杯であり、交換されなければならないことを警告する、任意の信号であってもよい。例えば、信号は、可聴警告、可視警告を含んでもよい、またはこれは、直接接続によって、または無線で、看護師ステーションまたは他の好適な場所等の遠隔場所に伝送されてもよい。
【0023】
本発明の別の側面では、吻合部位のための内部バイパスシステムとの併用のための、可搬性アラームデバイスが、提供される。アラームデバイスは、吸込キャニスタへの除去可能な取付のために構成される、主本体と、主本体に結合され、吸込キャニスタの内部からの圧力を検出するように構成される、少なくとも1つのセンサとを備える。アラームデバイスはさらに、センサに結合され、吸込キャニスタ内の圧力が閾値レベルを上回ると、信号を放出するように構成される、信号デバイスを含む。本アラームデバイスの利点のうちの1つは、主本体が、患者が、デバイスを握持し、吸込キャニスタを携行することを可能にするための取っ手として機能する、伸長部分を備え、それによって、患者に回復周期の間の移動性を提供することである。
【0024】
ある実施形態では、可搬性アラームデバイスの主本体は、主本体を吸込キャニスタに除去可能に取り付けるための結合デバイスを備える。いくつかの例示的実施形態では、結合デバイスは、吸込キャニスタの開口部および主本体の開口部を通して通過するように定寸される、締結具を備える。いくつかの非限定的側面では、吸込キャニスタの開口部は、タブまたは同等物等の吸込キャニスタの突出部上に位置する、孔である。
【0025】
ある実施形態では、本システムは、吸込キャニスタの表面と接触して配置され、吸込キャニスタ内の圧力が閾値レベルに到達すると拡張するように構成される、拡張可能要素を含んでもよい。これらの実施形態では、センサは、圧力が閾値レベルに到達すると、拡張可能要素が触知可能センサに接触するように位置付けられる、触知可能センサを備える。例示的実施形態では、触知可能センサは、信号デバイスに結合され、拡張可能要素が触知可能センサに接触すると、信号デバイスをアクティブ化するように構成される。
【0026】
好ましい実施形態では、主本体および吸込キャニスタは、触知可能センサの表面が、その拡張構成にある吸込キャニスタの拡張可能要素の表面によって接触可能であるように、結合デバイスによって位置付けられる。本実施形態では、結合デバイスは、複数の目的、すなわち、可搬性のためにアラームデバイスを吸込キャニスタに固着させることと、拡張可能要素が拡張に応じて触知可能センサに接触するように触知可能センサを位置付けることとを果たす。
【0027】
本発明の別の側面では、吻合部位のための内部バイパスシステムとの併用のための、可搬性アラームデバイスが、提供される。アラームデバイスは、第1および第2の対向端部を伴う伸長体を備える。各対向端部は、第1および第2の吸込キャニスタへの除去可能な取付のために構成される。本デバイスはさらに、第1の吸込キャニスタの内部からの圧力を検出するように構成される、第1のトリガと、第2の吸込キャニスタの内部からの圧力を検出するように構成される、第2のトリガとを備える。本デバイスはさらに、各トリガに結合され、第1または第2の吸込キャニスタ内の圧力が閾値レベルを上回ると、信号を放出するように構成される、信号デバイスを備える。
【0028】
例示的実施形態によると、伸長体は、患者によって容易に握持および携行され得る、取っ手を備える。いくつかの実施形態では、本デバイスの伸長体は、堅性であり、約6~18インチの範囲内の長さを有する。本範囲内の長さを有する、伸長体は、本デバイスが各端部に1つずつ、一度に2つのキャニスタに接続されることを可能にするであろう。
【0029】
いくつかの実施形態では、アラームデバイスは、伸長体を第1および第2の吸込キャニスタに除去可能に取り付けるための第1および第2の結合デバイスを備える。例証的実施形態では、第1および第2の結合デバイスのそれぞれは、第1および第2の吸込キャニスタのそれぞれの開口部および主本体の開口部を通して通過するように定寸される、締結具を備える。3つの部分から成る可搬性システムの本一意の設計は、回復周期の間に患者の移動性を改善することに役立つ。
【0030】
ある実施形態では、第1および第2のトリガはそれぞれ、第1および第2の吸込キャニスタのうちの一方の拡張可能要素の表面に接触するように構成される接触表面を有する、要素を備え、拡張可能要素は、第1および第2の吸込キャニスタのうちの一方内の圧力が閾値レベルに到達すると拡張するように構成される。他の実施形態では、本デバイスはさらに、圧力が閾値レベルに到達すると、第1および第2の吸込キャニスタのうちの一方の拡張可能要素が第1および第2の触知可能センサのうちの一方の要素に接触するように位置付けられる、第1および第2の触知可能センサを備える。
【0031】
例示的実施形態では、第1および第2の触知可能センサは、信号デバイスに結合され、第1および第2の吸込キャニスタのうちのいずれか一方または両方の拡張可能要素が触知可能センサのうちの一方に接触すると、信号デバイスをアクティブ化するように構成される。可搬性デバイスの伸長体および第1および第2の吸込キャニスタは、第1および第2の触知可能センサのうちの一方の要素の表面が、その拡張構成にある、第1および第2の吸込キャニスタのうちの一方の拡張可能要素の表面によって接触可能であるように、第1および第2の結合デバイスによって位置付けられてもよい。
【0032】
例示的実施形態では、信号デバイスは、電力供給源を備える。ある実施形態では、信号は、可聴警告を含む。他の実施形態では、信号は、可視警告を含む。さらに他の例示的実施形態では、信号は、可聴警告を含む。いくつかの実施形態では、信号は、データを含み、本デバイスはさらに、データを遠隔場所まで伝送するための、伝送機を備える。信号がまた、これらのタイプの警告のうちのいずれかの組み合わせであり得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本明細書に組み込まれ、その一部を成す、付随の図面が、本開示のいくつかの実施形態を図示し、説明とともに、本開示の原理を解説する役割を果たす。
【0034】
図1図1は、本開示による、内部バイパスシステムのためのアンカの側面図である。
【0035】
図2図2は、本開示による、内部バイパスシステムとの併用のための例示的吸込キャニスタの斜視図である。
【0036】
図3A図3Aは、2つの代表的吸込キャニスタに結合される、本開示の可搬性アラームデバイスの斜視図である。
【0037】
図3B図3Bは、図3Aの可搬性アラームデバイスの一部の分解図である。
【0038】
図4図4は、図3Aのアラームデバイスを吸込キャニスタに除去可能に取り付けるための、結合デバイスの斜視図である。
【0039】
図5図5は、図3Aの可搬性アラームデバイスの主本体の斜視図である。
【0040】
図6図6は、図3Aの可搬性アラームデバイスの信号デバイスの分解図である。
【0041】
図7図7は、患者の消化管内の吻合部位において使用されている、本発明の内部バイパスデバイスを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本開示の特定の実施形態が、付随の図面を参照して以下に説明されているが、しかしながら、開示される実施形態が、本開示の例示にすぎないこと、および本開示が、種々の形態において具現化され得ることを理解されたい。したがって、本明細書に開示される具体的な構造および機能の詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、請求項の基礎として、および本開示を、事実上、任意の適切に詳細な構造において種々に採用するように当業者に教示するための代表的基礎として解釈されるべきである。周知の機能または構築物は、本開示をいかなる不必要な詳細において不明瞭にすることを回避するために、詳細には説明されていない。また、図面が、縮尺通りに描かれていないこと、および絶対寸法または相対サイズを表すことを意図していないことも理解されたい。代わりに、図面は、本明細書に説明される概念を例証することに役立つ。
【0043】
本開示は、患者の消化管の標的面積内に内部バイパスを生成し、便および他の老廃物が、標的面積における消化管の壁に接触することなく、標的面積を通して通過することを可能にするためのシステムおよびデバイスを提供する。標的面積は、例えば、結腸直腸癌、憩室炎、大量出血、閉塞、および同等物等のある塞栓状態および疾患を治療するために、腸切除外科手術の後に生成される、結腸、直腸、または肛門通路内の吻合部位であってもよい。バイパスデバイスは、好適な医療用管類または同等物を介してバイパスデバイスに結合される、1つ以上の吸込キャニスタ等の陰圧システムを用いて吻合部位に固着されてもよい。本開示はさらに、吸込キャニスタ内からの圧力に応答し、圧力が、もはやバイパスデバイスを吻合部位に固着させるために十分ではないであろう、閾値レベルに到達すると、医療提供専門家への警告信号を生産する、可搬性アラームデバイスを提供する。
【0044】
可搬性アラームデバイスは、1つ以上の吸込キャニスタに結合され、キャニスタを握持および保持するための取っ手を提供する。本設計は、貯蔵キャニスタが可搬性であることを可能にし、バイパスデバイスへの陰圧または真空圧の持続的印加を阻害することなく、患者が、その正常な移動性が復元されるにつれて、その回復室の中、または病院の廊下の随所を歩行することを可能にする。
【0045】
ここで図1を参照すると、患者の消化管内の標的部位に内部バイパスを提供するためのアンカ10が、ここで説明されるであろう。示されるように、アンカ10は、外側壁と、それを通した便および他の老廃物の通過を可能にするための内部チャネルと有する、伸長可撓性シース12を備える。シース12は、消化管内の標的部位から患者の腸管および肛門を通して患者の外部にある場所まで延在するように選択される、長さを有する(図7参照)。シース12は、患者の身体の中または外部に位置する収集容器(図示せず)に結合される、近位端を含む。シース12は、シリコーンまたはポリウレタン等の生体適合性エラストマ材料から成ってもよい。
【0046】
アンカ10はさらに、シース12に結合され、シース12に対して、または腸管の壁に対して外向き半径方向力を提供するように構成される、ステント14を備える。ステント14は、下記に説明される陰圧システムとの組み合わせにおいて、便および他の老廃物が吻合部位の周囲の壁に接触することなく、シースを通して通過するであろうように、消化管内の標的面積を開放した状態に保持するように機能する。バイパスデバイス10内での使用のために好適なシースおよびステントのより完全な説明が、米国特許第9,339,272号(その完全な開示は、あらゆる目的のために、参照することによって本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。
【0047】
バイパスデバイス10はさらに、シース12の外周に沿って延在する、1つ以上の吸込管16、18を備える。吸込管16、18は、シース12および/またはステント14の壁の周囲に陰圧を提供するための陰圧または真空圧システムに結合される、近位端を有する。本陰圧は、真空チャンバ面積20内のシース12およびステント14の外側壁を腸管の内側壁に対して吸込するように機能する。ある実施形態では、バイパスデバイスはさらに、ステント14の周囲に延在し、ステント14をシース12の遠位端にしっかりと締結する、遠位被覆リング30と、1つ以上のシールリング26、28とを含んでもよい。加えて、デバイス10は、吻合部が完全に治癒した後、デバイス10の除去を促進するための、遠位および/または近位回収ループ22、24を含んでもよい。
【0048】
図2に示されるように、本開示の陰圧システムはさらに、医療用管類340を介して図1の吸込管16、18に結合される、1つ以上の吸込キャニスタ240を備える。吸込キャニスタ240は、陰圧源または真空圧源を吸込管16、18に提供する。いくつかの実施形態では、吸込キャニスタ240は、PFM Medical, Inc.製のもの等、軽量プラスチックから成る、標準的吸込キャニスタである。他の実施形態では、吸込キャニスタ240は、医療技術分野において公知である、別の流体管理システムであってもよい。例えば、コンテナは、堅性プラスチックコンテナでもあるが、Jet-Vacキャニスタのものと異なる構造を有する、Cardinal Health, Inc.によって販売される、Medi-Vac吸込キャニスタであってもよい。さらに他の実施形態では、吸込キャニスタ240は、本開示の可搬性デバイスとの併用のためのカスタム設計品である。
【0049】
吸込キャニスタ240はさらに、その上部表面上に開口部245を伴う、突出部244を備える。下記に議論されるいくつかの実施形態では、可搬性デバイスの主本体または可搬性デバイスに対する付属品構成要素は、開口部245を通して通過するように定寸される、締結具等の挿入体を備えてもよい。図2に描写される実施形態では、吸込キャニスタの突出部244は、開口部245を含む、プラスチックタブである。吸込キャニスタ240が、図2に示されるものと完全に異なる構造を備え得ることを理解されたい。例えば、吸込キャニスタ240は、突出部244を有していなくてもよく、可搬性アラームデバイス100への結合は、下記に説明される締結具のものと異なる機構によって遂行されてもよい。
【0050】
代表的吸込キャニスタ240はさらに、流入アダプタ242を備える。流入アダプタ242は、医療用管類340へのさらなる取付が可能である。吸込キャニスタ240の他の実施形態では、流入アダプタ242は、その上部表面の代わりに、コンテナ上の他所に位置してもよい。例えば、流入アダプタ242の場所は、実際には、吸込キャニスタの底部の近傍のどこかであってもよい。いくつかの実施形態では、流入アダプタ242が、流動を開始または停止することを可能にするための制御弁を備えることが、有用であり得る。
【0051】
図3aは、本発明による、可搬性アラームデバイス100の斜視図である。示されるように、アラームデバイス100は、2つの吸込キャニスタ240に除去可能に結合される、主本体200を備える。主本体200は、平均的なサイズの患者の手の手による把持に適応するために好適な伸長部分210と、2つの対向端部350とを備える。主本体200またはその伸長部分210は、2つの600mLのJet-Vacキャニスタ等の2つのキャニスタの結合に適応するように、長さが約6~10インチであってもよい。代替として、主本体200または伸長部分210は、より広い直径のキャニスタに結合するため、またはより大きいサイズの手による把持に適応するように、10インチより長くてもよい。好ましい実施形態では、主本体200または伸長部分210の全長は、デバイス100が軽量であり、移動させるために管理可能であるように、18インチ以下である。これらは、主本体200または伸長部分210の好ましい長さの説明であるが、デバイス100が、本明細書に説明される長さより短い、またはそれより長くあり得ることを理解されたい。
【0052】
伸長部分210は、長方形のブロックのような略角ばった形状を有する。伸長部分210の直角断面は、したがって、不規則的に成形され、鋭角を含んでもよい。他の実施形態では、主本体200の伸長部分210は、標準的な自転車のハンドルバーに類似する、湾曲表面等を伴う、略管状または曲線形状を有する。これらの事例では、伸長部分210の断面は、本質的に、略円形または楕円形である。主本体200は、代替として、本デバイスの対向端部350における角ばった縁と、手がそれを囲繞する、中央部分内の管状部とを伴う、これらの形状の組み合わせであってもよい。主本体200は、堅牢な把持のために好適であるように、実質的に堅性であってもよい。しかしながら、これは、少なくとも部分的に、患者がこれを保持する間に快適性を増加させるために、堅性または非堅性の当物で被覆されてもよい。主本体200は、代替として、少なくとも部分的に、非滑動性の手による把持のために好適な粗度を有する材料によって被覆されてもよい。被覆物は、代わりに、使い捨て可能ライナであり得る。材料にかかわらず、本デバイスまたは被覆物の表面は、処分される、または当技術分野において公知である、医療用機器を洗浄するために使用される、標準的な洗浄消耗品を用いて容易に消毒され得るようなものであるべきである。
【0053】
デバイス100の伸長部分210は、取っ手としての役割を果たす一方、対向端部350は、結合アセンブリを含む。本実施形態では、対向端部350は、本デバイスの取っ手部分の構成部分ではないため、それらは、全体として異なる形状を有してもよい。例えば、対向端部350は、結合デバイスと、センサとを含んでもよく、したがって、モジュール式に設計され、不規則的に成形されてもよい。
【0054】
対向端部350の一実施形態が、図3aに示される。本実施形態では、各対向端部350は、下記にさらに詳細に議論される、吸込キャニスタ240の拡張可能要素243を受容し、部分的に封入するための、中空の部分的エンクロージャ354を備える。対向端部350はさらに、図7により明確に示される、開口部304を含む。開口部304は、図4に示されるピン303等の締結具の除去可能な挿入のために定寸される。図3aに示される例示的実施形態では、各対向端部350はさらに、患者または臨床医に、単独で存在する、または吸込キャニスタ240に結合されている間かどうかにかかわらず、本デバイスを吊下する選択肢を可能にするように構成される、吊下タブ356を含む。これは、患者が随所に移動する際にその手が占有されているときの事例において有用であろう。例えば、その回復のより早期の段階において、患者は、理学療法士によって、両手で歩行器上を保持しながら歩行するように求められる場合がある。別の実施例では、患者は、他の使用のために、本デバイスを枕元に吊下し、表面をそのすぐ近傍において明確に保つことが、より便宜的であることを見出す場合もある。
【0055】
対向端部350はさらに、吸込キャニスタ240の表面と係合し、少なくとも部分的に吸込キャニスタ240の突出部244を格納する、基部352を含んでもよい。いくつかの実施形態では、図3aに、かつ図7により明確に示されるように、基部352は、吸込キャニスタ240の上部表面と接触する、突出脚部353を伴う、部分的に中空のエンクロージャを含む。例えば、突出部244は、その開口部245が対応する開口部304と整合するであろうように、基部352内の中空空間の中に挿入されてもよい。このように、基部352および突出部244は、ピン303が両方の開口部を通して除去可能に挿入されると、定位置に係止された状態になる。吸込キャニスタ240および結合デバイス301の表面の複数の異なる実施形態が、存在し得、したがって、その対向端部350を含む、本デバイスの設計が、本デバイスとコンテナとの間のしっかりとした接続を達成するために必要な構造に左右されるであろうことを理解されたい。
【0056】
いくつかの実施形態では、吸込キャニスタ240は、キャニスタ240の表面上に拡張可能要素243を備える。拡張可能要素243は、図3aの右の吸込キャニスタ240の画像内に例示されるような、収縮構成にある、または図3aの左の吸込キャニスタ240上に示されるような拡張構成にあってもよい。他の実施形態では、拡張可能要素243は、吸込キャニスタ240の一体部品であってもよい。他の実施形態では、拡張可能要素243は、吸込キャニスタ240に適切に結合される、別個の構成要素である。拡張可能要素243は、可搬性アラームデバイス100の構成要素であってもよい。これらの実施形態では、吸込キャニスタ240の他の構成要素が、閾値レベルに到達する圧力の信号を拡張可能要素243に伝達し、これを拡張させる。その場所にかかわらず、拡張可能要素243は、吸込キャニスタ240内の圧力に応答して拡張するように構成される。
【0057】
例示的実施形態では、拡張可能要素243は、吸込キャニスタ240内の圧力が閾値レベルに到達すると拡張するように構成される。例えば、陰圧または吸込圧の喪失が、存在する場合、閾値圧力が、到達され、これは、拡張可能要素243を拡張構成に移行させる。例示的実施形態では、拡張可能要素243が、その拡張構成に拡張すると、その表面は、図3bの分解部分に示されるように、デバイス100の触知可能センサ306のセンサ要素307の表面と接触する。
【0058】
拡張可能要素243をトリガするであろう、閾値圧力レベルは、本システムと併用される吸込キャニスタに応じて、変動し得る。最低でも、本閾値レベルは、便および他の老廃物が、吻合部位の周囲の壁に接触することなく、シースを通して通過するであろうように、内部バイパスデバイスが、消化管内の標的面積を開放した状態に保持することがもはや可能でなくなるように、十分に高い圧力を含むであろう。ある実施形態では、閾値圧力レベルは、実際の圧力値に基づくであろう。真空または吸込圧が、概して、大気圧を下回る、または約760mm Hgを下回る圧力レベルで生成されることができ、これは、吸込キャニスタの高度、温度、および他の要因に基づいて変動するであろう。内部バイパスデバイスに十分な吸込圧を提供するために、吸込キャニスタ内の圧力は、好ましくは、例えば、約480mm Hgまたはそれを下回る、大気圧を優に下回るレベルにある。ある実施形態では、閾値圧力レベルは、約400mm Hgを上回る、好ましくは、約480mm Hgを上回る圧力である。
【0059】
他の実施形態では、閾値圧力レベルは、個々の吸込キャニスタによって設定される、圧力レベルの割合に基づくであろう。例えば、ある市販のキャニスタは、トリガが、キャニスタの圧力が本システム内の所定の真空圧の約80%であるときに拡張するであろうように、設定される。他の場合では、圧力レベルは、個々の吸込キャニスタの能力に応じて、90%、75%、50%等の他の割合に設定されてもよい。
【0060】
拡張可能要素243が、上記に説明されるものと異なる構造を有し得ることが、当業者によって認識されるであろう。例えば、要素243は、長方形、円形、正方形、円錐形、またはドーム形状であってもよい。加えて、要素243は、閾値圧力がキャニスタ240内で到達されると、(拡張するのではなく)1つの位置から別のものに移動する、または単に、一方向に平行移動または延在するように設計されてもよい。
【0061】
ある実施形態では、センサ306は、触知可能圧力センサ等のあるタイプの圧力センサである。いくつかの実施形態では、触知可能圧力センサの表面が、図3bの拡張可能要素243の表面によって接触されるように構成される。ある実施形態では、触知可能センサはさらに、信号デバイス227に結合される。一側面では、図3bに示されるように、センサ306の要素307は、拡張可能要素243の延在によって作用される、表面を有する。拡張可能要素243の拡張の力を検出するために使用され得る、図2bのセンサ306等のスナップアクションスイッチを含む、多くの異なるタイプのスイッチが存在することを理解されたい。
【0062】
図4は、デバイス100を吸込キャニスタ240に除去可能に取り付けるための結合デバイス301の例示的実施形態を図示する。本実施形態では、結合デバイス301は、デバイス100の主本体200が、吸込キャニスタ240の上部表面と係合することを可能にする。結合デバイス301は、デバイス100を吸込キャニスタ240に保定するための締結具を含む。ある実施形態では、締結具は、さらに、その本体に沿って迅速解放プッシュボタンを備え得るピン303である。いったんピン303が、開口部304の中に挿入されると、その露出端部はさらに、ピンの取っ手302に取り付けられてもよい。ピンの取っ手302は、吸込キャニスタ240へのデバイス100の締結または吸込キャニスタ240からのデバイス100の解放を促進する。
【0063】
ある側面では、吸込キャニスタ240の突出部244は、開口部245を有する、タブである。例えば、第1および第2の吸込キャニスタ240のそれぞれの上部表面は、締結具の挿入を可能にする、開口部245を伴う、突出タブを備える。しかしながら、吸込キャニスタの表面が、異なる構造を備え得ることを理解されたい。例えば、吸込キャニスタ240は、突出部244を有していなくてもよく、結合は、ピン303以外の何らかのものまたは他のタイプの締結具を使用して遂行されてもよい。例えば、他のタイプの接続が、主本体200を吸込キャニスタ240に除去可能に取り付けてもよい。一側面では、クランプが、吸込キャニスタ240の本体または縮径部の周囲に設置されてもよい。クランプの拘止端部が、吸込キャニスタ240を定位置に固着させ得る一方、クランプの他端が、デバイス100の主本体200に取り付けられる、またはそれを通して挿入されてもよい。そのような側面では、吸込キャニスタ240を可搬性アラームデバイス100に結合することは、化学用フラスコ容器を定位置に保持する、鋭突起状の延在クランプに類似する、何らかのものを使用して遂行されるであろう。
【0064】
好ましい実施形態では、デバイス100は、各対向端部350上に、デバイス100を2つの別個の吸込キャニスタ240に取り付けるための結合デバイス301を含む。デバイスの主本体200は、患者が、バイパスデバイス10に印加される吸込圧を阻害することなく、2つの吸込キャニスタを伴うデバイス100を握持し、それを病院の部屋または廊下の随所に携行し得るように構成される。
【0065】
図5は、アラームデバイス100の主本体200の斜視図である。前述に言及されるように、伸長部分210または主本体200の約6インチの長さが、より軽量のシステムをもたらし、より小さい低容積キャニスタへの接続に適応するであろう。そのようなシステムは、おそらく、若い患者または小さい手を伴う患者のために使用され得る。代替として、約6~10インチの範囲内の長さを有する、堅性の主本体200または伸長部分210が、平均的サイズの患者の把持のために十分な空間を伴う、容易に操作可能な3次元物体を提供し、患者に、2つの吸込キャニスタを平衡させ、制御するための能力を与える。代替として、15インチを上回るデバイス長は、非常に大きく、例えば、おそらく、それぞれが6インチを上回る直径を有し得る、2つのキャニスタに接続することに適応するであろう。これらのデバイス長が、デバイス長の実施例にすぎず、本デバイスの主本体200が、本明細書に説明されるものより長い、または短くあり得ることを理解されたい。
【0066】
例示的実施形態では、LEDユニット220(図6参照)が、キャニスタ内からの圧力が閾値に到達しているという信号を、それを通して発光させることを可能にする、LED照明窓223が、見られ得る。他の実施形態では、信号は、可聴警告を含む。他の実施形態では、信号は、可聴警告および可視警告の両方を含む。さらに他の実施形態では、信号は、遠隔場所まで伝送される、データを含む。信号はまた、1つ以上のタイプの警告の組み合わせであってもよい。警告タイプにかかわらず、信号は、バイパスデバイス10を遊走させる、または患者の腸管壁に対してあまりしっかりとしていない状態にさせ得る、本システム内に陰圧の喪失が存在していることを示す。
【0067】
図6は、本システム内に吸込圧の喪失が存在していることの警告を提供するための、例示的信号デバイス227のある実施形態の分解図である。ある実施形態では、信号デバイス227は、好適なコネクタ305を介して回路基板300に結合される、バッテリ等の電力供給源226を含む、電子機器アセンブリを備える。デバイス100が、可聴信号を放出するように構成される場合、ブザー452を消音するミュートボタン450の背後または内部の構成要素として分解図に示される、ブザー452が、存在する。ミュートボタン450の表面は、アラームを消音するために患者またはユーザに対してアクセス可能である。微小ブザーを含む、他のタイプの消音器およびブザーも、デバイス100内で使用され得ることを理解されたい。
【0068】
いくつかの実施形態では、2つのLEDユニット220と、ミュートボタン450と、ブザー452とが、存在し得る。信号デバイス227の構成要素が、複数の異なる方法において構成され得ることを理解されたい。例えば、電力供給源226が、アラームデバイス100の主本体200の外部に配置されてもよい。電力供給源226のバッテリは、小型の再充電可能バッテリであってもよく、回路基板300は、デバイス100の別の区分内の電力供給源226および付随する電子機器に嵌合するように成形されてもよい。例えば、電力供給源226は、図2aの対向端部350内に格納されてもよい。デバイス100はさらに、Wi-Fi信号を伝送および受信するためのハードウェアを有してもよい。信号デバイス227および他の電子機器ならびにアダプタの構成要素が、変動し得ること、および本明細書における開示が、図6によって具現化されるものに限定されないことを理解されたい。
【0069】
使用時、バイパスデバイス10は、内視鏡的に、患者の直腸を通して大腸管400の中に導入され、次いで、吻合部位402まで前進される。ステント14が、当技術分野において公知である、任意の好適な様式を通して拡張され、吸込管16、18が、医療用管類340を介して1つ以上の吸込キャニスタ240に結合される。吸込圧が、次いで、吸込管16、18(図1参照)を介してシース12に印加され、デバイス10を腸管組織に対して固着させる。デバイス10が、ここで、これらの内容物が、吻合部位に接触しない、または吻合部を通して漏出しないように、腸管内容物の内部バイパスを提供するように、適切に設置される。デバイス10を患者の中に挿入する方法のより完全な説明が、米国特許第9,339,272号(前述において参照することによって本明細書に組み込まれている)に説明されている。
【0070】
可搬性アラームデバイス100は、突出脚部353がキャニスタの表面上に着座されるように、突出部244を基部352の中に摺動させることによって、各吸込キャニスタ240に結合される。これらの実施形態では、突出部244の開口部245が、基部352内の開放空間304と整合していることが、重要である。このように、ピン303が、両方の開口部を通して挿入され、その端部上の迅速解放ボタンが、デバイス100の対向端部350内の格納空間に到達すると、定位置に収まってもよい。
【0071】
好ましい実施形態では、主本体200および吸込キャニスタ240は、触知可能センサの要素307が、いったんキャニスタ内の圧力が閾値に到達すると、吸込キャニスタ240の拡張可能要素243によって接触可能になるように、結合デバイス301によって位置付けられる。結合デバイス301は、デバイス100に結合される吸込キャニスタ240の精密な構成における再現性を可能にする、一意かつ単純な設計である。結合機構はまた、本質的に軽量であり、したがって、患者にさらに負担をかけるものではない。
【0072】
圧力が、陰圧システム内の閾値に到達した場合、上記に説明されるように、要素243が、拡張し、センサ306の要素307に接触し、アラームを信号伝達する。これは、吸込圧が喪失されており、本システムが、診断または交換され、バイパスデバイスがしっかりと吻合部位における定位置に留まることを確実にしなければならないことを患者または医療施術者に即座に警告する。
【0073】
本開示におけるデバイスは、個人のニーズのため、または理学療法等のために運動を実施するための患者の移動を向上させるような、容易に握持可能かつ軽量の設計を提供する。これは、患者が、回復周期の間に移動可能であり、回復期間全体の間の生活の質全般を改善することを可能にする。
【0074】
当業者は、本明細書に具体的に説明され、付随の図面内に図示されるデバイスおよび方法が、非限定的な例示的実施形態であることを理解するであろう。1つの例示的実施形態に関連して図示または説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。種々の代替物および修正が、本開示から逸脱することなく、当業者によって考案されることができる。故に、本開示は、全てのそのような代替物、修正、および相違を包含することを意図している。同様に、当業者は、上記に説明される実施形態に基づく、本開示のさらなる特徴および利点を理解するであろう。故に、本開示は、添付される請求項によって示されるものを除いては、具体的に示され、説明されているものによって限定されるものではない。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】