(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】電動シャッタを用いるレーザパルスの選択
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
A61F9/008 120C
A61F9/008 120A
A61F9/008 120D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568352
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 IB2022054182
(87)【国際公開番号】W WO2022238828
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ユング
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル カストロ
(72)【発明者】
【氏名】ゾルト ボル
(72)【発明者】
【氏名】コーリー スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ビリー リー
(57)【要約】
レーザパルスの出力を選択的に可能にするか又は阻止するためのシステム及び方法が開示される。幾つかの実施形態において、レーザシステムは、シャッタと、シャッタモータとを備える。シャッタモータは、レーザ電磁放射の出力が許可される第1の位置と、レーザ電磁放射の出力が阻止される第2の位置との間で交互にシャッタを移動させるよう構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザシステムであって、
電磁放射を放出するよう構成されるレーザと、
シャッタ及びシャッタモータを備えるレーザシャッタアセンブリと、を備え、
前記シャッタモータは、前記レーザによって放出される電磁放射が前記レーザシステムから出力されることを可能にする第1の位置と、前記レーザによって放出される電磁放射が前記レーザシステムから出力されることを阻止する第2の位置との間で交互に前記シャッタを移動させるよう構成される、レーザシステム。
【請求項2】
前記第1の位置において、前記シャッタは、前記レーザによって放出される電磁放射の経路外に位置決めされ、前記第2の位置において、前記シャッタは、前記レーザによって放出される前記電磁放射の前記経路内に位置決めされる、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記第1の位置において、前記シャッタは、前記レーザによって放出される前記電磁放射の経路内に位置決めされ、前記第2の位置において、前記シャッタは、前記レーザによって放出される電磁放射の前記経路外に位置決めされる、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項4】
前記第1の位置において、前記シャッタは、前記レーザによって放出される前記電磁放射の経路内に第1の配向で位置決めされ、前記第2の位置において、前記シャッタは、前記レーザによって放出される電磁放射の前記経路内に第2の配向で位置決めされ、前記第2の配向は、前記第1の配向とは異なる、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記レーザは、パルスで電磁放射を放出するよう構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記シャッタを移動させることを制御するよう、シャッタモータドライバに信号を送信する適合されるコントローラを更に備える、請求項5に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記シャッタは、ミラーを備える、請求項5に記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記シャッタモータは、ガルバノメータモータを備える、請求項7に記載のレーザシステム。
【請求項9】
前記ガルバノメータモータは、選択された角度だけミラー軸を中心として前記ミラーを回転させることによって、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記ミラーを移動させるよう構成される、請求項8に記載のレーザシステム。
【請求項10】
前記ミラー軸と、前記ミラーに隣接する前記電磁放射の前記経路とは、互いに対してスキューライン関係にある、請求項9に記載のレーザシステム。
【請求項11】
前記レーザシステムを出る各レーザパルスの電磁エネルギーの量を調整するよう構成されるレーザエネルギー制御システムを更に備える、請求項5に記載のレーザシステム。
【請求項12】
前記レーザエネルギー制御システムは、
波長板と、
波長板モータと、
偏光板と、を備え、
前記波長板モータは、前記レーザエネルギー制御システムを通過するよう許可されるレーザ電磁エネルギーの異なる割合に対応する異なる位置に前記波長板を移動させるよう構成される、請求項11に記載のレーザシステム。
【請求項13】
レーザシステムを制御する方法であって、
経路内のレーザから電磁放射を放出することと、
前記レーザによって放出される電磁放射が前記レーザシステムから出力される第1の位置と、前記レーザによって放出される電磁放射が前記レーザシステムから出力されない第2の位置との間で交互にシャッタを移動させることと、を含む、レーザシステムを制御する方法。
【請求項14】
経路内の前記レーザから電磁放射を放出する前記ステップは、パルスで前記レーザから電磁放射を放出することを含む、請求項13に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項15】
更に、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記シャッタを移動させることを制御するよう、コントローラからシャッタモータドライバに信号を送信することを含む、請求項14に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項16】
前記シャッタは、ミラーを備える、請求項14に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項17】
前記シャッタモータは、ガルバノメータモータを備える、請求項16に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項18】
前記シャッタを前記第1の位置と前記第2の位置との間で交互に移動させる前記ステップは、前記ガルバノメータモータが前記ミラーをミラー軸を中心として前記第1の位置と前記第2の位置との間で往復回転させることを含む、請求項17に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項19】
前記レーザシステムを出る各レーザパルスの電磁エネルギーの量を調整するよう、前記レーザによって放出される前記電磁放射の前記経路内の波長板を異なる位置に移動させることを更に含む、請求項14に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項20】
前記波長板の前記異なる位置は、レーザシステムから出力されることが許可されるレーザ電磁エネルギーの異なる割合に対応する、請求項19に記載のレーザシステムを制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザパルスの出力を選択的に可能にするか又は阻止するためのシステム及び方法に向けられている。
【背景技術】
【0002】
レーザは、多くの異なる眼科処置を含む多くの異なる医療処置に用いられている。例えば、レーザは、白内障水晶体を破砕するため等の白内障手術において用いられてもよい。幾つかの処置において、レーザは、水晶体の初期破砕のために用いられ、その後、切除のための水晶体の破壊を完了するよう、超音波ハンドピースによる水晶体の超音波水晶体乳化吸引術が続く。他の処置において、レーザは、超音波エネルギーの別途印加を必要とせずに、切除のための水晶体の完全破砕又は超音波水晶体乳化吸引術のために用いられてもよい。レーザはまた、角膜切開を作成するため、及び/又は嚢を開放するため等、白内障手術における他のステップのために用いられてもよい。
【0003】
レーザはまた、網膜硝子体手術において用いられてもよい。幾つかの処置において、レーザは、切除のために硝子体線維を切断又は破壊するよう、硝子体切除のために用いられてもよい。レーザは、硝子体切除プローブに組み込まれてもよく、レーザからのエネルギーは、切除のために硝子体繊維を切断又は破壊するよう硝子体繊維に印加されてもよい。
【0004】
他の網膜硝子体用途において、レーザは、網膜組織の光凝固のために用いられてもよい。レーザ光凝固術は、網膜裂孔及び/又は糖尿病性網膜症の影響等の問題を処置するために用いられてもよい。
【0005】
米国特許出願公開第2018/0360657号明細書は、眼科用レーザシステムの例を開示している。その出願は、外科的切開を形成するため、又は眼組織を光破壊するため、並びにレーザ支援白内障手術(LACS)等の白内障手術のため等のレーザ使用を説明している。米国特許出願公開第2019/0201238号明細書は、眼科用レーザシステムの他の例を開示している。その出願は、硝子体繊維を切断又は破壊するための硝子体切除プローブ等におけるレーザ使用を説明している。米国特許出願公開第2018/0360657号明細書及び米国特許出願公開第2019/0201238号明細書は、その全体が参照により本明細書中に明示的に組み込まれる。
【0006】
幾つかのレーザシステムはパルスを放出し、パルスは所望の持続時間及び繰り返し率を有する。レーザをパルスで動作させることにより、特定の用途に望ましい出力及びエネルギー特性を達成することができる。加えて、レーザによって放出されるビームのエネルギーは、レーザ自体を制御することによって制御することができる一方で、幾つかのシステムにおいて、レーザから下流のレーザビームのエネルギー量を制御することが望ましい。レーザパルス選択のための既存のシステムは、通常、電力損失、複雑性、コスト等の1つ以上の欠点を有する。レーザパルス選択のための改良されたシステム及び方法に対するニーズが存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、レーザ電磁エネルギーの出力を選択的に可能にするか又は阻止するための改良されたシステム及び方法に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
幾つかの実施形態において、レーザシステムは、電磁放射を放出するよう構成されるレーザと、シャッタ及びシャッタモータを備えるレーザシャッタアセンブリと、を備える。シャッタモータは、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力されることを可能にする第1の位置と、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力されることを阻止する第2の位置との間で交互にシャッタを移動させるよう構成される。レーザは、電磁放射をパルスで放出するよう構成されてもよい。
【0009】
幾つかの実施形態において、第1の位置において、シャッタは、レーザによって放出される電磁放射の経路外に位置決めされ、第2の位置において、シャッタは、レーザによって放出される電磁放射の経路内に位置決めされる。
【0010】
幾つかの実施形態において、第1の位置において、シャッタは、レーザによって放出される電磁放射の経路内に位置決めされ、第2の位置において、シャッタは、レーザによって放出される電磁放射の経路外に位置決めされる。
【0011】
幾つかの実施形態において、第1の位置において、シャッタは、レーザによって放出される電磁放射の経路内に第1の配向で位置決めされ、第2の位置において、シャッタは、レーザによって放出される電磁放射の経路内に第2の配向で位置決めされ、第2の配向は、第1の配向とは異なる。
【0012】
幾つかの実施形態において、レーザシステムは、第1の位置と第2の位置との間でシャッタを移動させることを制御するよう、シャッタモータドライバに信号を送信する適合されるコントローラを更に備える。
【0013】
幾つかの実施形態において、シャッタは、ミラーを備えてもよく、シャッタモータは、ガルバノメータモータを備えてもよい。ガルバノメータモータは、選択された角度だけミラー軸を中心としてミラーを回転させることによって、第1の位置と第2の位置との間でミラーを移動させるよう構成されてもよい。ミラー軸と、ミラーに隣接する電磁放射の経路とは、互いに対してスキューライン関係にあってもよい。
【0014】
幾つかの実施形態において、レーザシステムは、レーザシステムを出る各レーザパルスの電磁エネルギーの量を調整するよう構成されるレーザエネルギー制御システムを更に備えてもよい。レーザエネルギー制御システムは、波長板と、波長板モータと、偏光板とを備えてもよく、波長板モータは、レーザエネルギー制御システムを通過するよう許可されるレーザ電磁エネルギーの異なる割合に対応する異なる位置に波長板を移動させるよう構成される。
【0015】
幾つかの実施形態において、レーザシステムを制御する方法は、経路内のレーザから電磁放射を放出することと、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力される第1の位置と、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力されない第2の位置との間で交互にシャッタを移動させることと、を含む。電磁放射は、パルスでレーザから放出されてもよい。
【0016】
幾つかの実施形態において、本方法は、第1の位置と第2の位置との間でシャッタを移動させることを制御するよう、コントローラからシャッタモータドライバに信号を送信することを更に含んでもよい。
【0017】
幾つかの実施形態において、シャッタを第1の位置と第2の位置との間で交互に移動させることは、ガルバノメータモータがミラーをミラー軸を中心として第1の位置と第2の位置との間で往復回転させることを含んでもよい。
【0018】
幾つかの実施形態において、本方法は、レーザシステムを出る各レーザパルスの電磁エネルギーの量を調整するよう、レーザによって放出される電磁放射の経路内の波長板を異なる位置に移動させることを更に含んでもよい。波長板の異なる位置は、レーザシステムから出力されることが許可されるレーザ電磁エネルギーの異なる割合に対応してもよい。
【0019】
本発明の実施形態の更なる実施例及び特徴は、図面及び詳細な説明から明らかになるであろう。
【0020】
添付図面は、本明細書中に開示する装置及び方法の実装形態を例示し、明細書と共に、本開示の原理を説明する目的を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示によるレーザシステムの一実施例の略図を示し、レーザシステムのシャッタは、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力されることを可能にする第1の位置にある。
【
図2】
図1の例示的なレーザシステムの略図であり、レーザシステムのシャッタは、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力されることを阻止する第2の位置にある。
【
図3】シャッタが第1の配向にあるシャッタ及びシャッタモータの一実施例を示す。
【
図4】シャッタが第2の配向にある、
図3のシャッタ及びシャッタモータを示す。
【
図5】本開示によるレーザシステムの別の実施例の略図を示し、レーザシステムのシャッタは、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力されることを可能にする第1の位置にある。
【
図6】
図5の例示的なレーザシステムの略図であり、レーザシステムのシャッタは、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力されることを阻止する第2の位置にある。
【
図7】本開示によるレーザシステムの別の実施例の略図を示し、レーザシステムのシャッタは、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力されることを可能にする第1の位置にある。
【
図8】
図7の例示的なレーザシステムの略図であり、レーザシステムのシャッタは、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力されることを阻止する第2の位置にある。
【
図9】本開示によるレーザシステムの別の実施例の略図を示し、レーザシステムのシャッタは、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力されることを可能にする第1の位置にある。
【
図10】
図9の例示的なレーザシステムの略図であり、レーザシステムのシャッタは、レーザによって放出される電磁放射がレーザシステムから出力されることを阻止する第2の位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明を参照することにより、添付図面に対する理解が深まる可能性がある。
【0023】
本開示の原理の理解を促すことを目的として、図面に示す実装をここで参照し、特定の文言を用いてこれらの実装及び他の実装を説明する。それにも関わらず、図面に示すか又は本明細書中に説明する実施例によって、特許請求項の適用範囲の何の限定も意図しないことは理解されるであろう。図示又は説明するシステム、装置、機器、又は方法に対する任意の変更及び更なる修正、並びに本開示の原理の任意の更なる適用は、本開示が関連する当業者にとって通常想起されるものと十分に考えられる。特に、本開示の1つの実装に関して説明される特徴、コンポーネント、及び/又はステップは、本開示の他の実装に関して説明される特徴、コンポーネント、及び/又はステップと組み合わされてもよい。簡略化のために、場合により、図面全体を通して同じ参照番号を用いて同じ又は類似の部分を参照する。
【0024】
本明細書中で用いる呼称「第1」及び「第2」とは、任意の特定位置又は他の特性を示すか又は暗示するよう意味しない。むしろ、「第1」及び「第2」という呼称が本明細書中で用いられる場合、一方のコンポーネントを別のものと区別するためだけに用いられる。用語「取り付け」、「接続」、「結合」等は、直接又は間接的な取り付け、接続、結合等が指定されていない限り、1つ以上の他の部品を介して直接又は間接的に1つの部品を別のものに取り付け、接続、結合すること等を意味する。
【0025】
図1及び2は、本開示による例示的なレーザシステム10の略図を示している。
図1は、レーザ14によって放出される電磁放射がレーザシステム10から出力されることを可能にする第1の位置におけるレーザシステム10のシャッタ22を有するレーザシステム10を示している。この実施形態において、第1の位置において、シャッタ22は、レーザ14によって放出される電磁放射の経路15の外に位置決めされる。
図2は、レーザ14によって放出される電磁放射がレーザシステム10から出力されることを阻止する第2の位置におけるレーザシステム10のシャッタ22を有するレーザシステム10を示している。この実施形態において、第2の位置において、シャッタ22は、レーザ14によって放出される電磁放射の経路15内に位置決めされる。
【0026】
図1及び2に示すように、例示のレーザシステム10は、レーザ14と、レーザシャッタアセンブリ20と、任意のレーザエネルギー制御システム40とを備えている。所望であれば、用途に応じて、レーザシステム10はまた、1つ以上の他の光学コンポーネント又は他のコンポーネントも備えてもよい。レーザ14は、電磁放射をパルスで放出するよう構成される。動作中、レーザ14は、レーザ経路15に沿ってパルスでレーザ電磁放射を放出する。下で説明するようにシャッタ22によって許可されると、レーザ電磁エネルギーはシステム10の出力を出て、ターゲット80に向けられる。ターゲット80は、光ファイバ、レンズ、又は他のコンポーネント等の別の光学コンポーネントであってもよいか、又はターゲット80は、レーザエネルギーの最終ターゲットであってもよい。例えば、ターゲット80は、白内障水晶体、硝子体繊維、網膜組織、又は他の組織等の眼組織であってもよい。
【0027】
図示の実施例において、レーザシャッタアセンブリ20は、シャッタ22と、シャッタモータ24と、シャッタモータドライバ26とを備える。シャッタモータ22は、シャッタ22がレーザ14によって放出される電磁放射の経路15の外に位置決めされる
図1に示す位置と、シャッタ22がレーザ14によって放出される電磁放射の経路15内に位置決めされる
図2に示す位置との間で交互にシャッタ22を移動させるよう構成される。
【0028】
例示的なシャッタモータ24及びシャッタ22のアセンブリを
図3及び4に示す。シャッタモータ24は、シャッタ22を所望の方法で移動させることができる任意の適切なモータであってもよく、シャッタ22は、シャッタ22がレーザ14によって放出される電磁放射の経路15内に位置決めされる場合に、レーザ14からの電磁放射を遮断又は方向転換するよう適合される任意の適切なシャッタであってもよい。
【0029】
一実施例において、シャッタモータ24及びシャッタ22は、シャッタモータ24としてのガルバノメータモータと、シャッタ22としてのミラーとを備えるガルボミラーであってもよい。レーザシステム10等のレーザシステムにおいて用いられてもよい例示的なガルボミラーは、Compact-506 Galvo等の、Pangolin Laser Systems,Inc.の一部門であるScannerMAXによって供給されるガルボミラー、並びに他のものを含む。
【0030】
シャッタモータ24(例えば、ガルバノメータモータ)は、シャッタ22(例えば、ミラー)を第1の位置と第2の位置との間で前後に迅速に移動させることができる。
図3及び4の実施例において、シャッタ22は、シャッタ軸21を中心にシャッタモータ24によって選択された回転角にわたって回動する。この実施例におけるシャッタ軸21は、レーザ経路15からオフセットされている。
図3及び4において、レーザ経路15は、図面の平面に対して垂直であり、図面のページに向かっている。
図3及び4の実施例において、シャッタ(ミラー)軸21及びミラーに隣接する電磁放射の経路15は、互いに対してスキューライン関係にある(即ち、それらは異なる平面における線である)。シャッタモータ24(例えば、ガルバノメータモータ)は、
図1~2の実施形態においてシャッタ22がレーザエネルギーの経路15から外れている
図3に示す第1の位置と、
図1~2の実施形態においてシャッタ22がレーザエネルギーの経路15内にある
図4に示す第2の位置との間でミラーを移動させるよう、シャッタ22(例えば、ミラー)を選択された回転角だけ移動させることが可能である。
【0031】
図1において見ることができるように、レーザシステム10において、シャッタ22が第1の位置にある場合、シャッタ22は、レーザ電磁放射の経路15の外にあり、それによって、それを妨害又は方向転換しない。シャッタ22が第1の位置にある場合、レーザ電磁放射は、レーザシステム10から出力されて、矢印Aによって示す方向にターゲット80に向かって継続することが可能になる。矢印Aによって示される方向は、レーザ14からターゲット80への方向を示し、直線であってもよいが、そうである必要はない。例えば、幾つかの実施形態において、1つ以上の光学コンポーネントは、矢印Aによって示す方向が直線ではないように、レーザ14とターゲット80との間でレーザエネルギーを方向転換してもよい。
【0032】
図2において見ることができるように、レーザシステム10において、シャッタ22が第2の位置にある場合、シャッタ22は、レーザ電磁放射の経路15内にあり、それによって、それを妨害又は方向転換している。シャッタ22は、レーザ電磁放射を吸収及び/又は反射してもよい。この実施形態において、シャッタ22が第2の位置にある場合、シャッタ22は、レーザ電磁放射を吸収及び/又は拡散するよう設計されるビームダンプ28に対して矢印Bの方向にそれを反射する。矢印Bによって示す方向は、レーザ14からビームダンプ28への方向を示し、矢印Aによって示す方向と同様に、1つ以上の光学コンポーネントがレーザ14とビームダンプ28との間でレーザエネルギーを方向転換する可能性があるため、直線であってもなくてもよい。例えば、この実施形態において、シャッタ22は、第2の位置にある場合、レーザエネルギーをビームダンプ28に方向転換する。レーザ電磁エネルギーを吸収及び/又は拡散するための特徴、例えば、艶消し黒色、リッジ、金属、又は他の特性を有する様々なビームダンプが公知であり、利用可能である。幾つかの実施形態において、シャッタ22は、ビームダンプ28の有無に関わらず、レーザ電磁エネルギーを吸収及び/又は拡散するよう設計されてもよい。
図2において見ることができるように、シャッタ22が第2の位置にある場合、レーザ電磁放射は、レーザシステム10から出力されることを妨げられる。
【0033】
図1及び2に示すように、例示的なレーザシステム10は、レーザエネルギー制御システム40を備えてもよい。レーザエネルギー制御システム40は、波長板42と、波長板42を移動させるための機構とを備える。波長板を移動させる機構は、中空モータシャフト56を含む波長板モータ54を備えてもよい。波長板42は、中空モータシャフト56の一端に取り付けられ、波長板アダプタ44を用いて波長板42を中空モータシャフト56に取り付けてもよい。レーザエネルギー制御システム40のコンポーネントは、レーザ14からのレーザ電磁放射が、一端において中空モータシャフト56に入り、中空モータシャフト56を通過し、次いで、中空モータシャフト56の他端において波長板42を通って出るように配置される。レーザエネルギー制御システム40は、更に、波長板モータ54のための波長板モータドライバ52を備える。動作において、波長板モータ54は、所望の角移動量で中空モータシャフト56を回転させ、それによって、所望の角移動量で波長板42を回転させる。
【0034】
波長板42は、偏光板70と協働して、波長板42の回転によって制御される量のレーザエネルギーを通過又は遮断する。偏光されるレーザエネルギーは波長板42を通過し、ひいては、波長板42の回転位置に基づいて、偏光されたレーザビームを0~90度のいずれかの角度に回転させる。波長板42を通過した後、レーザエネルギーは偏光板70に到達し、偏光板70は、1つの偏光面において偏光されるレーザエネルギーを通過させ、他の偏光を有する任意のレーザエネルギーを反射する。偏光板70によって反射されるレーザエネルギーは、方向Cにおいてビームダンプ72に向けられてもよい。矢印Cによって示す方向は、偏光板70からビームダンプ72への方向を示し、矢印A及びBによって示す方向と同様に、1つ以上の光学コンポーネントが偏光板70とビームダンプ72との間でレーザエネルギーを方向転換する可能性があるため、直線であってもなくてもよい。
【0035】
波長板42の動作位置は、90度の円弧に沿った増分位置であってもよい。円弧の片側に至るまで、波長板42は、偏光板70によって許容される偏光に対して90度回転されるよう極性を変化させてもよい(又は、レーザ電磁放射が偏光板70によって許容される偏光に対して既に90度回転された波長板42に入射する実施形態において、波長板42は極性を変化させないままであってもよい)。偏光板70によって許容される偏光に対して90度に配向される極性を有するレーザエネルギーが偏光板70に当たると、偏光板70はそのレーザエネルギーを反射する。円弧の他方の側に至るまで、波長板42は、偏光板70によって許容される偏光と同じ平面内にあるよう極性を変化させてもよい(又は、レーザ電磁放射が偏光板70によって許容される偏光と同じ平面内で既に波長板42に入射する実施形態において、波長板42は極性を変化させないままであってもよい)。偏光板70によって許容される偏光と同じ平面内に配向される極性を有するレーザエネルギーが偏光板70に当たると、偏光板70はそのレーザエネルギーを通過させる。90度の円弧に沿った中間の角度位置において、波長板42は、偏光板70によって許容される偏光と同じ平面内に配向されることと、その平面に対して90度回転されることとの間で、レーザ電磁放射の極性を徐々に変化させる。従って、偏光板70と組み合わされる波長板42は、波長板42の角度位置に応じて、レーザエネルギーの0%~100%までのいずれかをターゲット80へのレーザシステム10の出力へと通過させる。
【0036】
図1及び2に示す例示的なレーザシステム10はまた、シャッタ22と、実装される場合には波長板42との動作を制御するためのコントローラ60を備える。図示の実施形態において、コントローラ60は、トリガ入力62と、制御データプロセッサ64と、シャッタモータ制御66と、波長板制御68とを備える。
【0037】
トリガ入力62は、レーザパルスのタイミングに関する信号を受信する。制御データプロセッサ64は、シャッタ22と、実装される場合には波長板42とを制御するために用いられる、レーザシステム10のための所望の出力に関するシステム制御18からの入力を受信する。制御データプロセッサ64はまた、レーザパルスのタイミングを示す信号をトリガ入力62から受信する。
【0038】
システム制御18は、ユーザ制御又は自動制御によって選択されてもよい所望の動作モードに基づいて、制御データプロセッサ64に入力を供給する。例えば、動作モードは、レーザパルスの全てをシステム出力に通過させるか、レーザパルスのいずれもシステム出力に通過させないか、又はレーザパルスのある一定の割合をシステム出力に通過させることによって制御することができる、ある一定レベルのレーザエネルギー出力に対するものであってもよい。例えば、所望レベルのレーザエネルギー出力は、10パルス中1つのパルスを通過させること、10パルス中2つのパルスを通過させること、10パルス中3つのパルスを通過させること等に対応してもよい。別の言い方をすれば、所望レベルのレーザエネルギー出力は、レーザパルスの10%、20%、30%等を通過させることに対応してもよい。所望レベルのレーザエネルギー出力はまた、異なるシーケンスのレーザパルスを通過させることに対応してもよい。例えば、所望レベルのレーザエネルギー出力は、1つのレーザパルスを許可し、次いで1つのレーザパルスを不許可にし、次いで2つのレーザパルスを許可し、次いで1つのレーザパルスを不許可にし、次いでこのシーケンスを繰り返すシーケンスに対応してもよい。他の多くの例及び変形例が可能である。
【0039】
レーザシステム10の所望の出力に関するシステム制御18からの入力と、トリガ入力62からの信号とに基づいて、制御データプロセッサ64は、シャッタモータ制御66に信号を送信し、次に、シャッタモータドライバ26に信号を送信して、シャッタモータ24及びシャッタ22の移動を制御する。シャッタ22を制御することによって、コントローラ60は、レーザによって放出されるレーザパルスがレーザシステムの出力に進むか否かを制御する。この制御は、パルス毎に、又はパルスのグループに対して一度に行ってもよい。図示の実施例において、制御データプロセッサ64はまた、波長板制御68に信号を送信し、次に、波長板モータドライバ52に信号を送信して、波長板モータ54及び波長板42の移動を制御する。波長板42を制御することによって、コントローラ60は、レーザシステムの出力に進む各レーザパルスのエネルギー量を制御する。
【0040】
コントローラ60に加えて、本明細書中に開示するようなレーザシステムは、システムを制御するための当該技術分野で公知の他のコンピュータ及び電気コンポーネントを含んでもよい。コンピュータコンポーネントは、1つ以上のプロセッサ、メモリコンポーネント、並びにハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネントを含んでもよい。
【0041】
図5及び6は、本開示による別の例示的なレーザシステム11の略図を示している。
図1及び2と同じ
図5及び6のコンポーネントは、同じ参照番号で示している。
図5は、レーザ14によって放出される電磁放射がレーザシステム11から出力されることを許可する第1の位置におけるレーザシステム11のシャッタ22を有するレーザシステム11を示している。
図6は、レーザ14によって放出される電磁放射がレーザシステム11から出力されることを阻止する第2の位置におけるレーザシステム11のシャッタ22を有するレーザシステム11を示している。
【0042】
図5及び6のレーザシステム11は、
図1及び2のレーザシステム10と同様であるが、レーザシステム11において、レーザエネルギー制御システム40の一部は、レーザ14の後且つレーザシャッタアセンブリ20の前に位置決めされている点が異なる。この実施例において、波長板42、中空モータシャフト56を有する波長板モータ54、及び波長板アダプタ44は、レーザ14の後且つレーザシャッタアセンブリ20の前に位置決めされる。図示の実施例において、偏光板70はレーザシャッタアセンブリ20の後に位置しているが、偏光板70は、或いは、レーザシャッタアセンブリ20の前に位置してもよい。レーザシステム11のコンポーネントは、レーザシステム10に関して上で説明したものと同様に動作する。
【0043】
図7及び8は、本開示による別の例示的なレーザシステム12の略図を示している。
図1及び2と同じ
図7及び8のコンポーネントは、同じ参照番号で示している。
図7は、レーザ14によって放出される電磁放射がレーザシステム12から出力されることを許可する第1の位置におけるレーザシステム12のシャッタ22を有するレーザシステム12を示している。
図8は、レーザ14によって放出される電磁放射がレーザシステム12から出力されることを阻止する第2の位置におけるレーザシステム12のシャッタ22を有するレーザシステム12を示している。
【0044】
図7及び8のレーザシステム12は、
図1及び2のレーザシステム10と同様であるが、レーザシステム12内のシャッタは、シャッタが
図7に示す第1の位置にある場合、シャッタ22がレーザ14によって放出される電磁放射の経路15内に位置決めされ、シャッタがレーザエネルギーをレーザシステム12の出力及びターゲット80に向かって矢印Aで示す方向に反射するように、且つ、シャッタ22が
図8に示す第2の位置にある場合、シャッタ22がレーザ14によって放出される電磁放射の経路15から外れて位置決めされ、レーザエネルギーがビームダンプ28に矢印Bで示す方向に進むように配置されている点が異なる。
【0045】
他の点において、レーザシステム12はレーザシステム10と同様である。レーザシステム12は、レーザ14と、レーザシャッタアセンブリ20と、任意のレーザエネルギー制御システム41とを備える。レーザシステム12はまた、1つ以上の他の光学コンポーネント又は他のコンポーネントを備えてもよい。動作において、レーザ14は、レーザ経路15に沿ってパルスでレーザ電磁放射を放出し、それによって、シャッタ22が第1の位置にある場合、レーザエネルギーは、レーザシステム12の出力を出て、ターゲット80に向けられ、シャッタ22が第2の位置にある場合、レーザエネルギーは、レーザシステム12から出力されない。
【0046】
レーザシステム10と同様に、レーザシステム12内のレーザシャッタアセンブリ20は、シャッタ22と、シャッタモータ24と、シャッタモータドライバ26とを備える。シャッタモータ22は、
図7に示す第1の位置と
図8に示す第2の位置との間で交互にシャッタ22を移動させるよう構成されている。レーザシステム12は、
図3及び4に示すシャッタモータ24及びシャッタ22のアセンブリを含む、レーザシステム10に関して上で説明したものと同様のシャッタモータ24及びシャッタ22を用いてもよい。
【0047】
レーザシステム12は、レーザシステム10に関して上で説明したレーザエネルギー制御システム40と同様のレーザエネルギー制御システムを有してもよい。本明細書中に説明する他のレーザシステムの実施形態において用いられてもよい代替のレーザエネルギー制御システム41を
図7及び8に示す。
【0048】
レーザエネルギー制御システム41は、波長板42と、波長板42を移動させるための機構とを備える。波長板42を移動させるための機構は、波長板モータ54と、歯車又はプーリ48と、ベルト46とを備えてもよい。レーザエネルギー制御システム41は、更に、波長板モータ54のための波長板モータドライバ52を備える。ベルト46は、波長板モータ54による歯車又はプーリ48の回転が波長板42の回転を駆動するように、歯車又はプーリ48及び波長板42(又は波長板42を担持するキャリッジ)の周囲に延在している。波長板モータ54は、ステッピングモータであってもよいが、ボイスコイル及び他のモータ等の他の好適なモータが用いられてもよい。動作において、波長板モータ54は歯車又はプーリ48を駆動し、次に、それらがベルト46を駆動し、それによって波長板42を所望の角移動量で回転させる。
【0049】
波長板42は、レーザエネルギー制御システム40に関して上で説明したものと同様の方法で、偏光板70と協働して、波長板42の回転によって制御される量のレーザエネルギーを通過又は遮断する。偏光板70と組み合わされる波長板42は、波長板42の角度位置に応じて、レーザエネルギーの0%~100%までのいずれかをターゲット80へのレーザシステム12の出力へと通過させる。偏光板70によって反射されるレーザエネルギーは、
図7に示すように、方向Cにおいてビームダンプ72に向けられてもよい。
【0050】
レーザシステム12は、レーザシステム10に関して上で説明したコントローラと同様のコントローラ60を有してもよい。コントローラ60は、トリガ入力62と、制御データプロセッサ64と、シャッタモータ制御66と、波長板制御68とを備え、全て上で説明したものと同様に動作する。レーザシステム10と比較した場合のレーザシステム12における1つの相違点は、レーザパルスがレーザシステム12の出力に進むことを阻止すべき場合、コントローラ60は、シャッタモータ制御66を介して、
図8に示すように、シャッタをレーザ経路から外すよう信号を送信し、レーザパルスがレーザシステム12の出力に進むことを許可すべき場合、コントローラ60は、シャッタモータ制御66を介して、
図7に示すように、シャッタをレーザ経路に入れるよう信号を送信することである。
【0051】
代替の実施形態において、
図5及び6に関して上で説明したものと同様に、レーザシステム12内のレーザエネルギー制御システム41の全て又は一部は、レーザ14の後且つレーザシャッタアセンブリ20の前に位置決めされてもよい。例えば、波長板42、波長板モータ54、歯車又はプーリ48、及びベルト46は、レーザ14の後且つレーザシャッタアセンブリ20の前に位置決めされてもよい。加えて、偏光板70は、レーザシャッタアセンブリ20の前又は後に位置してもよい。
【0052】
図9及び10は、本開示による別の例示的なレーザシステム13の略図を示している。
図1及び2と同じ
図9及び10のコンポーネントは、同じ参照番号で示している。
図9は、レーザ14によって放出される電磁放射がレーザシステム13から出力され、シャッタ22及び任意のミラー27によって反射されることを許可する第1の位置におけるレーザシステム13のシャッタ22を有するレーザシステム13を示している。
図10は、レーザ14によって放出される電磁放射がレーザシステム13から出力され、シャッタ22によってビームダンプ28に反射されることを阻止する第2の位置におけるレーザシステム13のシャッタ22を有するレーザシステム13を示している。
【0053】
図9及び10のレーザシステム13は、
図1及び2のレーザシステム10と同様であるが、レーザシステム13内のシャッタは、シャッタが
図9に示す第1の位置にある場合、シャッタ22がレーザ14によって放出される電磁放射の経路15内に位置決めされ、シャッタがレーザエネルギーをレーザシステム11の出力及びターゲット80に向かって矢印Aで示す方向に反射するように、且つ、シャッタ22が
図10に示す第2の位置にある場合、シャッタ22がまた、レーザ14によって放出される電磁放射の経路15内ではあるが、シャッタ22がレーザエネルギーをビームダンプ28に対して矢印Bで示す方向に反射するように異なる配向に位置決めされるように、配置されている点が異なる。
【0054】
他の点において、レーザシステム13はレーザシステム10と同様である。レーザシステム13は、レーザ14と、レーザシャッタアセンブリ20と、任意のレーザエネルギー制御システム40とを備える。レーザシステム13はまた、1つ以上の他の光学コンポーネント又は他のコンポーネントを備えてもよい。動作において、レーザ14は、レーザ経路15に沿ってパルスでレーザ電磁放射を放出し、それによって、シャッタ22が第1の位置にある場合、レーザエネルギーは、レーザシステム13の出力を出て、ターゲット80に向けられ、シャッタ22が第2の位置にある場合、レーザエネルギーは、レーザシステム13から出力されない。
【0055】
レーザシステム10と同様に、レーザシステム13内のレーザシャッタアセンブリ20は、シャッタ22と、シャッタモータ24と、シャッタモータドライバ26とを備える。シャッタモータ22は、
図9に示す第1の位置と
図10に示す第2の位置との間で交互にシャッタ22を移動させるよう構成されている。レーザシステム13は、
図3及び4に示すシャッタモータ24及びシャッタ22のアセンブリを含む、レーザシステム10に関して上で説明したものと同様のシャッタモータ24及びシャッタ22を用いてもよい。
【0056】
レーザシステム13は、レーザシステム10に関して上で説明したレーザエネルギー制御システム40と同様のレーザエネルギー制御システムを有してもよい。レーザシステム10及び11と同様に、レーザシステム13は、
図7及び8に示すレーザエネルギー制御システム41のようなレーザエネルギー制御システムを用いてもよい。
【0057】
レーザシステム13は、レーザシステム10に関して上で説明したコントローラと同様のコントローラ60を有してもよい。コントローラ60は、トリガ入力62と、制御データプロセッサ64と、シャッタモータ制御66と、波長板制御68とを備え、全て上で説明したものと同様に動作する。レーザシステム10と比較した場合のレーザシステム13における1つの相違点は、レーザパルスがレーザシステム13の出力に進むことを許可すべき場合、コントローラ60は、シャッタモータ制御66を介して、
図9に示すように、レーザ経路内のシャッタ22を第1の配向に置くよう信号を送信し、レーザパルスがレーザシステム13の出力に進むことを阻止すべき場合、コントローラ60は、シャッタモータ制御66を介して、
図10に示すように、レーザ経路内のシャッタ22を第2の配向に置くよう信号を送信し、ここで第2の配向は第1の配向とは異なることである。
【0058】
代替の実施形態において、
図5及び6に関して上で説明したものと同様に、レーザシステム13内のレーザエネルギー制御システム40の全て又は一部は、レーザ14の後且つレーザシャッタアセンブリ20の前に位置決めされてもよい。例えば、波長板42、中空モータシャフト56を有する波長板モータ54、及び波長板アダプタ44は、レーザ14の後且つレーザシャッタアセンブリ20の前に位置決めされてもよい。加えて、偏光板70は、レーザシャッタアセンブリ20の前又は後に位置してもよい。
【0059】
図11は、レーザシステム10、レーザシステム11、及びレーザシステム13等の本明細書中に開示するようなレーザシステムと共に用いられてもよい例示的なシャッタ制御プロセスを示している。レーザ14の動作に基づいて、
図11のS1に示すような信号が、レーザ14によって放出される各レーザパルスに先立って、コントローラ60のトリガ入力62に送信される。例えば、レーザ14が1KHz(毎秒1000レーザパルス)で動作している場合、レーザパルストリガ信号101は、1KHzの周波数で、各レーザパルスに先立ってコントローラ60のトリガ入力62に送信される。別の実施例として、レーザ14が900Hz(毎秒900レーザパルス)で動作している場合、レーザパルストリガ信号101は、900Hzの周波数で、各レーザパルスに先立ってコントローラ60のトリガ入力62に送信される。他の多くの変形例が可能である。レーザは、特定の用途に適した任意の周波数でパルスを放出してもよく、動作中に周波数を切り替えてもよい。
【0060】
制御データプロセッサ64は、レーザパルストリガ信号101に基づいてレーザパルスのタイミングを示す信号をトリガ入力62から受信する。トリガ入力62からの信号及びレーザシステムに対する所望の出力に関するシステム制御18からの入力に基づいて、制御データプロセッサ64は、シャッタモータ制御66に信号を送信し、次に、シャッタモータドライバ26に信号を送信して、シャッタモータ24及びシャッタ22の移動を制御する。シャッタモータ制御66からシャッタモータドライバ26に送信される信号の一例を
図11のS2に示す。信号121は、シャッタモータ24に、レーザエネルギーがターゲット80に向かってレーザシステムの出力を継続することを可能にする位置、例えば、
図1、5、7、又は9に示すようなシャッタ22の第1の位置にシャッタ22を移動させる。信号122は、シャッタモータ24に、レーザエネルギーがターゲット80に向かってレーザシステムの出力に継続することをシャッタ位置が阻止する位置、例えば、
図2、6、8、又は10に示すようなシャッタ22の第2の位置にシャッタ22を移動させる。
【0061】
レーザ14によって放射されるレーザパルスのタイミングは、
図11のL1において示されている。L1に示すように、レーザパルス111は、各レーザパルストリガ信号101がコントローラ60のトリガ入力62に送信された直後にレーザ14によって放出される。シャッタ22の位置は、各レーザパルス111がレーザシステムの出力に到達するか否かを特定する。
【0062】
レーザシステムの出力に到達するレーザパルス131は、
図11のL2において示されている。シャッタ22が、レーザエネルギーがレーザシステム出力に向けられることを許可するよう、即ち、信号121の後ではあるが、信号122の前に位置決めされた場合、レーザパルスは、レーザパルス131によって示すレーザシステムを出ることを許可される。シャッタ22が、レーザエネルギーがレーザシステム出力に向けられることを許可しないよう、即ち、信号122の後であるが信号121の前に位置決めされた場合、レーザパルスは、L1に存在するレーザパルス111がL2に存在しない空間132によって示されるように、レーザシステムを出ることを許可されない。
【0063】
シャッタモータ24は、シャッタ22を第1の位置と第2の位置との間で迅速に移動させることができるため、レーザシステムは、レーザからのパルスがパルス毎にシステム出力に到達することを選択的に可能にしてもよい。レーザシステムはまた、一度にレーザパルスの群がシステム出力に到達することを可能にしてもよく、一度にレーザパルスの群がシステム出力に到達することを阻止してもよい。
【0064】
幾つかの実施形態において、本明細書中に説明するようなレーザシステムは、白内障手術のために用いられてもよい。幾つかの実施形態において、レーザシステムの出力エネルギーは、白内障水晶体の破砕又は超音波水晶体乳化吸引術のために用いられてもよい。幾つかの実施例において、レーザ出力は、白内障水晶体の初期破砕のために用いられ、その後、切除のための水晶体の破壊を完了するよう、超音波ハンドピースを用いて水晶体の超音波水晶体乳化吸引術が続く。他の実施例において、レーザ出力は、超音波エネルギーの別途印加を必要とせずに、水晶体の切除のために十分な程度まで、水晶体の破砕又は超音波水晶体乳化吸引術のために用いられてもよい。追加又は代替として、レーザ出力は、角膜切開を行うため、及び/又は水晶体嚢を開放するために適していてもよい。
【0065】
他の実施形態において、レーザシステムは、網膜硝子体手術に適していてもよい。幾つかの実施形態において、レーザシステムの出力エネルギーは、切除のために硝子体繊維を切断又は破壊するために適していてもよい。他の網膜硝子体用途において、レーザ出力は、網膜裂傷及び/又は糖尿病性網膜症の影響等の問題を治療するよう網膜組織の光凝固等の眼組織治療に適していてもよい。
【0066】
一実施例において、レーザは赤外領域で動作する。例えば、レーザは、中赤外領域、例えば約2.0ミクロン~約4.0ミクロンの波長範囲の電磁放射を出力してもよい。幾つかの例示的な波長は、約2.5ミクロン~3.5ミクロン、例えば、約2.7ミクロン、約2.75ミクロン、約2.8ミクロン、又は約3.0ミクロンを含む。かかるレーザは、例えば、白内障手術における水晶体破砕、又は他の処置に適していてもよい。別の実施例において、レーザは、紫外線領域の電磁放射を放出する。別の実施例において、レーザは、可視領域の電磁放射を放出する。
【0067】
レーザパルスを選択的に出力する、及び/又はレーザ出力エネルギーを制御する能力は、レーザ制御が有利である処置に有用である。例えば、白内障手術において、最初に水晶体を破壊するために高出力でレーザシステムを動作させるが、より小さい破片を破壊するために低出力でレーザシステムを動作させることが望ましい場合がある。レーザパルスのパルス数制御及び/又はパルスエネルギーレベル制御は、そうでなければ、ハンドピースの灌流システムによって眼から吸引され得る前に押し流される可能性があるより小さい粒子に適用されるべき正しいレベルの力を可能にする。
【0068】
当業者ならば理解するように、本明細書中に開示するシステム及び方法は、従来のシステム及び方法よりも優れた利点を有する。例えば、幾つかの従来のシステム及び方法において、パルスを選択することは、大量の電力を必要とする可能性があり、レーザ電力の望ましくない損失をもたらす可能性がある。ポッケルスセルシステムは、結晶に高電圧を印加することによってレーザビームの極性を回転させる結晶を用いる。高電圧は、必要とされる極性回転量に基づいて0~6.5KVまで変化することができる。対照的に、本明細書中に説明するようなシステム及び方法は、低電力使用による、レーザ電力の望ましくない損失が無いか、又は本質的に無いレーザパルスを選択することができる。更に、本明細書中に説明するようなシステムのコストは、ある特定の他のシステムよりも実質的に低い可能性がある。また、幾つかの実施形態において、高電圧は必要とされず、システムの電磁適合性を向上させる。
【0069】
当業者には、本開示が包含する実施形態が、上で説明した特定の例示的実施形態に限定されないことが正しく認識されるであろう。例示的な実施形態を図示及び説明してきたが、前述した開示においては、広範囲の修正、変更、及び置換が考えられる。かかる変形例が、本開示の適用範囲から逸脱することなく、前述したものに対して行われてもよいことを理解されたい。従って、添付の特許請求の範囲は、広範に且つ本開示と整合するように解釈されることが適切である。
【国際調査報告】