IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチの特許一覧

特表2024-517266リチウムイオン電池のためのカソード活物質組成物の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池のためのカソード活物質組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20240412BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240412BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20240412BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240412BHJP
   H01M 4/1391 20100101ALI20240412BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/131
H01M4/66 A
H01M4/1391
C01G53/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568356
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 IN2022050410
(87)【国際公開番号】W WO2022234591
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】202111020115
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596020691
【氏名又は名称】カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
【氏名又は名称原語表記】COUNCIL OF SCIENTIFIC & INDUSTRIAL RESEARCH
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンニゲレ・サンナリンゲゴウダ、プラカシュ
【テーマコード(参考)】
4G048
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB02
4G048AC06
4G048AD04
4G048AE07
4G048AE08
5H017AA03
5H017AS02
5H017AS10
5H017CC01
5H017EE05
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB08
5H050DA02
5H050DA08
5H050FA17
5H050FA19
5H050GA02
5H050GA05
5H050GA14
5H050GA27
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA14
5H050HA19
5H050HA20
(57)【要約】
本発明は、コスト効率的かつ時間効率的な、リチウムイオン電池のためのカソード活物質組成物の製造方法に関する。本発明の別の態様は、容量及び粒子サイズ分布が改善された、カソード活物質組成物Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’(式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05、M=Al、Ti、Cr、Fe又はこれらの組合せである)である。特に、このカソード活物質組成物は、バルクで生産し、電池産業に利用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05である]を有する、リチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)の製造方法であって、
i.容器(110)中で前駆体(102)を脱イオン水(104)に溶解し、前駆体溶液を形成する工程、ここで、前記前駆体(102)は金属硝酸塩前駆体である;
ii.前記容器(110)中の前記前駆体溶液を撹拌する工程、ここで、前記容器(110)中に充填された前記前駆体溶液を60℃~100℃に加熱する;
iii.前記前駆体溶液に有機アミドとアミノ酸を加え、前記容器(110)中で均一溶液を形成させる工程;
iv.前記得られた均一溶液をるつぼ(116)に注ぎ、1分~30分間、600℃~1000℃で燃焼して、試料を得る工程;
v.前記得られた試料を冷却した後、試料を、10分~10時間、磨砕ユニットで磨砕する工程;及び
vi.前記磨砕された試料を、1時間~24時間、600℃~1000℃で焼結して、前記カソード活物質組成物(100)を得る工程
を含む、方法。
【請求項2】
式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05である]を有する、リチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)であって、
前記組成物が、0.296μm~517.200μmの粒子サイズ分布と140mAh/g~161mAh/gの比容量を有する粒子を含み、
前記粒子サイズ分布が、試料中の粒子の50%が5.6148μm~71.1594μmの範囲よりも小さく、残りの50%が前記範囲より大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む、
カソード活物質組成物(100)。
【請求項3】
前記元素M’が、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉄(Fe)又はこれらの組合せから選択される、請求項2に記載のカソード活物質組成物(100)。
【請求項4】
前記式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05]を有するカソード組成物が、0.766μm~517.200μmの粒子サイズ分布と150mAh/g~161mAh/gの比容量を有する粒子を含み、前記粒子サイズ分布が、試料中の粒子の50%が71.1594μmよりも小さく、残りの50%がこれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む、請求項2に記載のリチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)。
【請求項5】
前記式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05]を有するカソード組成物が、0.339μm~200μmの粒子サイズ分布と140mAh/g~160mAh/gの比容量を有する粒子を含み、前記粒子サイズ分布が、試料中の粒子の50%が5.6148μmよりも小さく、残りの50%がこれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む、請求項2に記載のリチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)。
【請求項6】
前記式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05]を有するカソード組成物が、0.58μm~29.907μmの粒子サイズ分布と150mAh/g~155mAh/gの比容量を有する粒子を含み、前記粒子サイズ分布が、試料中の粒子の50%が8.6573μmよりも小さく、残りの50%がこれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む、請求項2に記載のリチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)。
【請求項7】
前記式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05]を有するカソード組成物が、0.296μm~262.376μmの粒子サイズ分布と148mAh/g~155mAh/gの比容量を有する粒子を含み、前記粒子サイズ分布が、試料中の粒子の50%が20.7721μmよりも小さく、残りの50%がこれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む、請求項2に記載のリチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)。
【請求項8】
前記組成物の粒子の表面積が1m/g~10m/gである、請求項2に記載のカソード活物質組成物(100)。
【請求項9】
前記組成物の粒子の結晶サイズが60nm~70nmである、請求項2に記載のカソード活物質組成物(100)。
【請求項10】
前記組成物が、結晶空間群R-3mの層状結晶構造である、請求項2に記載のカソード活物質組成物(100)。
【請求項11】
負極端子として作用するアノード(204);
カソード活物質組成物(100)と導電性炭素及びバインダの混合スラリーをコーティングすることによって得られる、正極端子として作用するカソード(202);
アルミニウム箔上のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒中のバインダ;
リチウムイオンを伝導するための電解質(206);
前記電解質(206)中に配置された前記カソード(202)と前記アノード(204)とを隔てるためのセパレータ(208)であって、前記セパレータ(208)が、前記カソード(202)に接触するように構成された第1の表面と、前記アノード(204)に接触するように構成された第2の表面とを含む、セパレータ
を含む、
先行する請求項に記載のリチウムイオン電池(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コスト効率的かつ時間効率的な、燃焼による、リチウムイオン電池のためのカソード活物質組成物の製造方法に関する。本発明の別の態様は、容量及び粒子サイズ分布が改善された、カソード活物質組成物Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’(1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05、式中、M=Al、Ti、Cr、Fe又はこれらの組合せである)である。特に、このカソード活物質組成物は、バルクで生産し、電池産業に利用できる。
【背景技術】
【0002】
現在、リチウムイオン電池は、電気自動車、携帯型及び消費者用電子機器において、迅速な充電、改善されたライフサイクル及び装填の特徴について、重要な役割を果たしている。一般に、リチウムイオン電池は、リチウム金属酸化物系カソード、グラファイトアノード、電解質及びセパレータから構成される。現在、カソード活物質組成物は、大規模に調査されている。さらに、組成物のいくつかは、良好な電気化学的性能及び安全標準を与える。しかしながら、低い比容量及びエネルギー密度の要求の増大に起因して、これらの組成物は、市場の要求を満たさないことになる。
【0003】
別の問題は製造方法である。従来の方法、例えば、カソード活物質組成物の製造のための沈殿、共沈殿、ゾル-ゲル、固相合成及び湿式化学法は、冗長であり、長時間の熱処理を要する。したがって、コスト効率的かつ時間効率的な方法で、リチウムイオン電池のカソード活物質組成物を製造する方法が必要とされている。
【0004】
中国特許出願公開第109390553号(A)は、コアとシェル層とを含む複合正極材料を合成する方法を開示している。シェル層は、コアの表面にコーティングされる。コアの一般式はLiNiCoであり、式中、0.95≦n≦1.05、0.5≦x<1、0<y≦0.4、0<z≦0.4、0≦m≦0.05、かつx+y+z+m=1であり、Mは、Mn及びAlからなる群から選択される少なくとも1つであり、Nは、Mg、Ti、Zr、Nb、Y、Cr、V、Ge及びMoからなる群から選択される少なくとも1つである。シェル層は、一般式LiαCo1-βMaβを有し、式中、1≦α≦1.08、0≦β≦0.1であり、Maは、Al、Mg、Nb、Ti、Zr及びVからなる群から選択される少なくとも1つである。球形正極材料LiNi0.5Co0.2Mn0.3を、ボールミル粉砕のために遊星型ボールミルに加えて、一次粒子に破壊した。ボールミル粉砕速度は400rpmであり、ボールミル粉砕時間は8時間であり、ボール対バッチ比は3:1であり、ボールミル媒体はエタノールであった。終了後、これを乾燥させ、次いで、850℃で10時間にわたって酸素雰囲気中でアニーリングして、コア材料を得る;酢酸リチウム、酢酸コバルト及びアルミニウムイソプロポキシドにおいて、Li:Co:Al=1:0.97:0.03というモル比を正確に秤量し、次いでエタノールに溶解させる。ある特定の量のクエン酸を、錯化剤のpHの調整剤として加え、撹拌を継続して、均一な混合溶液を形成し、撹拌を80℃で継続して、シェル材料の一様なゾルを形成した。コア材料をゾルに加え、80℃の水浴中に載置し、引き続き撹拌してゲルを形成し、次いで真空乾燥させ、続いて熱処理を行った。熱処理工程は、900℃で20時間熱処理し、400℃に冷却し、次いで、4時間の熱保存をするものであり、全ての熱処理工程を実行する。これは酸素雰囲気下で行われる。熱保存の終了後、炉を冷却し、ふるい分けして、コア-シェル構造を有する複合正極材料であって、コア材料がLiNi0.5Co0.2Mn0.3であり、シェル材料がLiCo0.97Al0.03である、複合正極材料を得る。
【0005】
欧州特許第2012380号(B1)は、リチウムイオンをドーピング/脱ドーピングできる顆粒状材料(A)と、顆粒状又は層状形態で材料の表面に配置された付着物(B)とを含み(ここで、材料(A)と付着物(B)とは同じではない)、[1μm以下の粒子直径を有する粒子の体積の合計]/[粒子全体の体積の合計]の百分率が5%以下である、正極活物質粉末を開示している。非水性二次電池の放電容量を更に上昇させるために、[1μm以下の粒子直径を有する粒子の体積の合計]/[粒子全体の体積の合計]の百分率は3%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下である。ここで、[1μm以下の粒子直径を有する粒子の体積の合計]及び[粒子全体の体積の合計]の値として、レーザー回折散乱方法を使用した粒子直径分布分析器によって測定された値が使用される。
【0006】
欧州特許出願公開第3100981号(A1)は、反応晶析によって複水酸化物を製造する方法であって、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む溶液と、錯イオン形成剤の溶液と、塩基性溶液とを、1つの反応器に、別々かつ同時に供給して、ニッケルコバルト複水酸化物粒子を得る第1の晶析、並びに第1の晶析の後に、ニッケル、コバルト及びマンガンを含有する溶液と、錯イオン形成剤の溶液と、塩基性溶液と、元素Mを含有する溶液とを、反応器に、別々かつ同時に、更に供給して、ニッケルコバルト複水酸化物粒子上に、ニッケル、コバルト、マンガン及び元素Mを含有する複水酸化物粒子を晶析させる、第2の晶析を含む方法である。
【0007】
中国特許出願公開第103400979号は、リチウムイオン電池電極材料を製造するための、とりわけLiNiCoMn材料を製造するための、自己伝播燃焼分解法を提供する。自己伝播燃焼分解法は、(1)溶解性のリチウム、ニッケル、コバルト及びマンガン化合物を、脱イオン水に、LiNiCoMnの原子モル比まで溶解させる工程、(2)工程-1によって得た混合溶液の、200~600℃への撹拌電気加熱を行って、混合溶液を全面的に反応させ、自己伝播燃焼分解させる工程、並びに(3)工程2によって得た燃焼分解生成物を押し固め、押し固めた燃焼分解生成物を高温の炉に入れ、850~900℃で8~24時間にわたって焼結を行い、室温まで自然冷却を行って、LiNiCoMn材料を得る工程を含む。
【0008】
特開2008-305777号(A)は、リチウム二次電池正極材料のためのリチウム遷移金属系化合物粉末の製造方法を記載する。Mn、Fe、Co、Ni及びCuから選択される少なくとも1種の遷移金属化合物、液体媒体中での焼成時の粒成長及び焼結を抑制し均一にする添加剤、スラリー中に分散したスラリーを得るためのスラリー製造工程、得られたスラリーを噴霧乾燥させるための噴霧乾燥工程、得られた噴霧乾燥粉末を焼成するための焼成工程。
【0009】
米国特許第7507501号(B2)は、充電式リチウム電池の正極活物質組成物の製造方法を開示している。5gのAl-イソプロポキシド粉末を95gのエタノールと混合し、得られた混合物を約4時間撹拌して、白色の乳状Al-イソプロポキシド懸濁液を提供した。懸濁液を100℃のオーブン中で10時間乾燥させて、白色Al(OH)粉末を得た。LiCoO粉末正極活物質、得られたAl(OH)粉末、炭素導体及びポリフッ化ビニリデンバインダを93.5:0.5:3:3の重量比で、N-メチルピロリドン溶媒と混合して、正極活物質スラリーを得た。
【0010】
米国特許出願公開第2019/0036117号(A1)は、式Li(NiCoMn1-e又はLi(NiCoAl1-eM’によって表される第1のリチウム遷移金属酸化物、式LiNiCoM”によって表される第2のリチウム遷移金属酸化物[式中、0.9<x<1.1、0.4≦y<0.6、0.2≦z<0.5、0.2≦s<0.5、y+z+s=1であり、M”は、Mn、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Cr、V、Ti、Cu、B、Ca、Zn、Nb、Mo、Sr、Sb、W、Biの少なくとも1つである]を含む、リチウムイオン電池のための正極活物質を開示している。
【0011】
インド国特許出願公開第201817027882号は、1)正極集電体、正極集電体上に積層しており、第1の正極活物質と第1の導電性材料とを含む、第1の正極混合物層;2)第1の正極混合物層上に積層しており、第2の正極活物質と第2の導電性材料とを含む、第2の正極混合物層を含む、二次電池のための正極を記載している。それは、第1の正極活物質と第2の正極活物質との少なくとも1つが、LiNi1-x-yCoMn[式中、Mは、Al、Zr、Ti、Mg、Ta、Nb、Mo及びCrからなる群から選択される1種以上の元素であり、0.9≦a≦1.5、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、0≦z≦0.1、かつ0≦x+y≦0.7である]によって表されるリチウム遷移金属酸化物を含むことを特許請求している。
【0012】
インド国特許出願公開第201717008139号は、正極がLiNi1-a-bCoMn(0.9<x≦1.25、0<a≦0.4、0≦b≦0.45、0≦c≦0.1であり、Mは、Mg、Al、Si、Ti、Zn、Zr、Ca及びSnからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表す)を含有する活物質を含む、非水性電池及び電池パックを開示している。
【0013】
国際公開第2017/094416号(A1)は、リチウム二次電池のための正極活物質及びその製造方法に関する。リチウム遷移金属複合酸化物(Li1.26Fe0.11Ni0.11Mn0.52)を加えた、リチウム二次電池のための正極活物質のコーティングを形成する液体を、60℃で3時間放置する代わりに、80℃で3時間静置し、合成実施例1と同じ方法で、コーティングされた正極活物質を得た。正極活物質へのメタリン酸リチウムのコーティング量(結合量)は、0.8質量%であった。
【0014】
中国特許出願公開第103730635号は、Li1.1Ni0.5Co0.2Mn0.3リチウムイオン電池電極材料を製造するための燃焼法に関する。方法は以下の工程、すなわち、1、酢酸ニッケル、酢酸コバルト及び酢酸マグネシウムを混合することによって、中間生成物を製造し、次いで、酢酸リチウム及びクエン酸と混合することを含む。得られた混合物に、アルコールを加え磨砕する。得られたスラリーを、完全に燃焼するまで600℃のマッフル炉又はプッシュドスラブ炉に入れ、次いで、900℃で10時間か焼して生成物を得、次いで、炉に沿って冷却する。
【発明の概要】
【0015】
発明の目的
本発明の主な目的は従来公知の先行技術の欠点を取り除いた、リチウムイオン電池のためのカソード活物質組成物の製造方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、低化学量論(0<a≦0.05)で、燃焼法によって、Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、Mは、ドーパント、1種又は2種の金属の組合せである]として、カソード活物質組成物を提供することである。本発明では、0.05未満の濃度で、Al、Ti、Cr及びFeの中の1種又は2種の金属をドーピングしたカソード活物質を開示した。
【0017】
本発明のなおも別の目的は、燃焼と呼ばれる、カソード活物質組成物のための製造方法を提供することであるが、これはいくつかの利点を有し、例えば単純であり、コスト効率的であり、迅速な方法であり、バルク生産が容易である。
【0018】
発明の概要
本発明は、リチウムイオン電池のためのカソード活物質組成物の製造方法であって、容器(110)中で前駆体(102)を脱イオン水(104)に溶解させて、前駆体溶液を形成する工程であり、前駆体(102)が金属硝酸塩前駆体である、工程;容器(110)中の前駆体溶液を撹拌する工程であり、容器(110)中に充填された前駆体溶液を、60℃~100℃で加熱する工程;有機アミド及びアミノ酸を前駆体溶液に加えて、容器(110)中に均一溶液を形成する工程;得られた均一溶液を、600℃~1000℃で1分~30分の既定の時間にわたる燃焼を実行するためのるつぼ(116)に注いで、試料を得る工程;得られた試料を冷却した後、試料を、磨砕ユニットによって10分~10時間の既定の時間にわたって磨砕する工程;並びに磨砕された試料を、600℃~1000℃の所定の温度で、1時間~24時間の既定の時間にわたって焼結させて、カソード活物質組成物(100)を得る工程を含む、方法を提供する。
【0019】
本発明に従った態様は、カソード活物質組成物(100)の製造方法を提供する。この方法は、容器中で前駆体を脱イオン水に溶解させて、前駆体溶液を形成する工程を含む。本発明の態様では、前駆体は金属硝酸塩前駆体である。この方法は、容器中の前駆体溶液を撹拌する工程を更に含む。本発明の態様では、容器中に充填された前駆体溶液を、60℃~100℃で加熱する。この方法は、有機アミド及びアミノ酸を前駆体溶液に加えて、容器中に均一溶液を形成する工程を更に含む。この方法は、得られた均一溶液を、600℃~1000℃で1分~30分の既定の時間にわたる燃焼を実行するためのるつぼに注いで、試料を得る工程を更に含む。この方法は、得られた試料を冷却した後、試料を、磨砕ユニットによって10分~10時間の既定の時間にわたって磨砕する工程を更に含む。この方法は、磨砕された試料を、600℃~1000℃の所定の温度で、1時間~24時間の既定の時間にわたって焼結させて、カソード活物質組成物を得る工程を更に含む。
【0020】
本発明のまたなお別の態様では、リチウムイオン電池のためのカソード組成物は、式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’を有し、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05である。元素M’は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)及び鉄(Fe)等から選択できる。カソード組成物は、0.766μm~517.200μmの粒子のサイズ分布と、150mAh/g~161mAh/gの比容量とを有する粒子を含む。本発明の態様では、粒子サイズ分布は、試料中の粒子の50%が71.1594μmよりも小さく、残りの50%はそれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む。カソード組成物は、0.339μm~200μmの粒子のサイズ分布と、140mAh/g~160mAh/gの比容量とを有する粒子を更に含む。本発明の態様では、粒子サイズ分布は、試料中の粒子の50%が5.6148μmよりも小さく、残りの50%はそれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む。カソード組成物は、0.58μm~29.907μmの粒子のサイズ分布と、148mAh/g~155mAh/gの比容量とを有する粒子を更に含む。本発明の態様では、粒子サイズ分布は、試料中の粒子の50%が8.6573μmよりも小さく、残りの50%はそれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む。カソード組成物は、0.296μm~262.376μmの粒子のサイズ分布と、148mAh/g~155mAh/gの比容量とを有する粒子を含む。本発明の態様では、粒子サイズ分布は、試料中の粒子の50%が20.7721μmよりも小さく、残りの50%はそれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む。
【0021】
本発明のまたなお別の態様では、リチウムイオン電池は、活物質、導電性炭素及びバインダをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒中で混合したスラリーを、アルミニウム箔上にコーティングすることによって得られるカソードを含む。リチウムイオン電池は、アノードを更に含む。リチウムイオン電池は、リチウムイオン伝導のための電解質を更に含む。リチウムイオン電池は、電解質中に配置されたカソードとアノードとを隔てるセパレータを更に含む。本発明の態様では、セパレータは、カソードに接触するように構成された第1の表面を含む。セパレータは、アノードに接触するように構成された第2の表面を更に含む。
【0022】
本発明のまたなお別の態様では、利点の数は、その特定の構成に依存する。第1に、本出願の態様は、リチウムイオン電池におけるカソード活物質組成物の製造方法を提供する。次に、本出願の態様は、低コストリチウムイオン電池を開発することを狙いとする。
【0023】
これらの及び他の利点は、この明細書で説明する態様から明らかであろう。
【0024】
これまでに述べたものは、本発明のいくつかの態様の理解をもたらすために単純化した概要である。この概要は、本発明及びそのさまざまな態様の広範な概略でも、網羅的な概略でもない。概要は、選択された本発明の態様の概念を、下に提示するより詳細な記載への導入として、単純化された形態で提示するものである。理解されるであろうが、これまでに述べた、又は以下に詳細に記載する特徴の1つ以上を、単独で又は組み合わせて利用した、本発明の他の態様が可能である。
【0025】
これまでに説明した、そして更なる本発明の態様の特徴及び利点は、以下のその態様の詳細な記載を、とりわけ図面とともに検討すれば、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、この明細書に開示する本発明の態様に関する、カソード活物質組成物の製造についての模式図を図示している。
図2図2は、リチウムイオン電池の模式図を図示している。
図3A図3Aは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025カソード活物質組成物のX線回折パターンを図示している。
図3B図3Bは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05カソード活物質組成物のX線回折パターンを図示している。
図3C図3Cは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Fe0.05カソード活物質組成物のX線回折パターンを図示している。
図3D図3Dは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Cr0.05カソード活物質組成物のX線回折パターンを図示している。
図4A図4Aは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025カソード活物質組成物のFESEM画像を図示している。
図4B図4Bは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05カソード活物質組成物のFESEM画像を図示している。
図4C図4Cは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Fe0.05カソード活物質組成物のFESEM画像を図示している。
図4D図4Dは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Cr0.05カソード活物質組成物のFESEM画像を図示している。
図5A図5Aは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025活性カソード材料組成物の粒子サイズ分布を図示している。
図5B図5Bは、この明細書に開示する本発明の態様に関する、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05活性カソード材料組成物の粒子サイズ分布を図示している。
図5C図5Cは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Fe0.05活性カソード材料組成物の粒子サイズ分布を図示している。
図5D図5Dは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Cr0.05活性カソード材料組成物の粒子サイズ分布を図示している。
図6図6は、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025の窒素吸着-脱着等温プロットを図示している。
図7A図7Aは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025カソード活物質を用いて製作したリチウム半電池の電圧-比容量プロットを図示している。
図7B図7Bは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05カソード材料を用いて製作したリチウム半電池の電圧-比容量プロットを図示している。
図7C図7Cは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Fe0.05カソード活物質を用いて製作したリチウム半電池の電圧-比容量プロットを図示している。
図7D図7Dは、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Cr0.05カソード活物質を用いて製作したリチウム半電池の電圧-比容量プロットを図示している。
図8図8は、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05カソード材料を用いて製作したリチウムイオン電池の電圧-比容量プロットを図示している。
図9図9は、活性カソード材料組成物の製造方法のフローチャートを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
以下の記載は、本発明の一態様の好ましい最良の形態を含む。本発明のこの記載から、本発明がこれらの説明される態様に限定されず、本発明がそれらへの多様な修正形態及び態様も含むことが明らかであろう。そのため、本記載は、説明のためのものとして見られるべきであり、限定するものとして見られるべきではない。本発明にはさまざまな修正形態及び別の構成の余地があるが、開示された特定の形態に本発明を限定する意図はなく、反対に、本発明は、特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨及び範囲に含まれる、全ての修正形態、別の構成及び等価物を包含することが理解されるべきである。
【0028】
この明細書で説明する態様では、オープンエンドな用語「含む」等(これらは、「有する、特徴とする」と同義である)は、それぞれの部分的にクローズドエンドな語句「から本質的になる」等、又はそれぞれのクローズドエンドな語句「からなる」等によって置き換えることができる。
【0029】
この明細書では、単数形は、単数のみを示すように明示的に述べられていない限り、単数と複数との両者を示す。
【0030】
図1は、本発明の態様に従った、カソード活物質組成物100の製造についての模式図を図示している。本発明の態様を参照すると、活性カソード材料組成物100は、前駆体102a~102n(以後、前駆体102と称する)、脱イオン水104、有機アミド及びアミノ酸を含む。
【0031】
本発明の態様は、前駆体102が、化学反応に関与して別の化合物を生成できる化合物であってもよいことを説明する。本発明の態様では、前駆体102は、例えば限定するものではないが、分子前駆体、ゾル-ゲル前駆体、炭素系前駆体及び化学前駆体等とすることができる。本発明の好ましい態様では、前駆体102は、金属硝酸塩前駆体とすることができる。本発明の態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の前駆体102を含むこと、又は包含することが意図される。本発明の態様では、要求される化学量論モル比の金属硝酸塩前駆体は、例えば限定するものではないが、リチウム前駆体、ニッケル前駆体、コバルト前駆体、チタン前駆体、マンガン前駆体、鉄前駆体、クロム前駆体及びアルミニウム前駆体等とすることができる。本発明の態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の金属硝酸塩前駆体を含むこと、又は包含することが意図される。
【0032】
さらに、カソード活物質組成物100の合成を開始するために、前駆体102を、撹拌及び加熱のための容器110に入れることができる。本発明の態様では、容器110は、例えば限定するものではないが、セラミック、ガラス及び鋼等の材料で作製できる。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の材料の容器110を含むこと、又は包含することが意図される。
【0033】
本発明の態様は、溶存する鉱物の塩及びイオンを除去した処理水である脱イオン水104も説明する。脱イオン水104は、前駆体102を溶解させるために使用される。本発明の好ましい態様では、脱イオン水104は20mlである。本発明の態様は、カソード活物質組成物100の調製に使用される、任意の量の脱イオン水104を含むこと、又は包含することが意図される。代表的な概要では、20mlの脱イオン水104に溶解した5gの前駆体102は、容器110中で前駆体溶液を製造する。
【0034】
さらに、前駆体溶液は、容器110内で製造され、ホットプレート114に載置された。前駆体溶液は、ホットプレート114上に載置されると、継続的に撹拌された。本発明の好ましい態様では、前駆体溶液は、容器110中に充填され、60℃~100℃で加熱された。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の加熱範囲を含むこと、又は包含することが意図される。本発明の好ましい態様では、ホットプレート114は80℃~90℃である。燃料は、15分の継続的撹拌の後、前駆体溶液に加えられた。本発明の態様では、例えば限定するものではないが、燃料は、アミノ酸、ポリカルボン酸及びアミド等の供給源から得られる。本発明の態様は、アミノ酸、例えば限定するものではないが、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン及びイソロイシン等を使用する。本発明の好ましい態様では、ポリカルボン酸は、例えば限定するものではないが、クエン酸及びシュウ酸等とすることができる。本発明の態様では、アミドは、例えば限定するものではないが、尿素、カルボヒドラジド、オキサリルジヒドラジド及びアセトアミド等である。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の燃料を含むこと、又は包含することが意図される。本発明の好ましい態様では、燃料は、例えば、尿素、グリシン又はこれらの組合せである。代表的な概要では、尿素(80%)及びグリシン(20%)を前駆体溶液に加えて、ホットプレート114上で加熱した数分後に、均一溶液が形成される。本発明の態様では、前駆体溶液は、加熱装置、例えば限定するものではないが、ブンゼンバーナー及び電気ヒーター等を使用して加熱する。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の加熱装置を含むこと、又は包含することが意図される。
【0035】
本発明の態様は、所定の温度で既定の時間にわたる燃焼を実行して、試料を得るためのるつぼ116に注がれる均一溶液も説明する。本発明の態様では、所定の温度は600℃超である。本発明の態様では、既定の時間は3分である。代表的な概要では、均一溶液は、炉118において、800℃で3分にわたる燃焼を実行するためのるつぼ116に注がれる。均一溶液を燃焼させて、試料を形成する。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の量の所定の温度及び既定の時間を含むこと、又は包含することが意図される。本発明の態様では、るつぼ116は、例えば限定するものではないが、磁器、白金、ステンレス鋼、アルミナ、ニッケル、ガラス質炭素及びジルコニウム等の材料で作製される。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の材料のるつぼ116を含むこと、又は包含することが意図される。本発明の態様では、燃焼は、精度が±5℃の高温炉118において行われる。
【0036】
さらに、試料は、るつぼ116から取り出し、冷却のために室温におくことができる。得られた試料を冷却した後、試料を、研磨ユニットによって既定の時間にわたって磨砕する。本発明の態様では、磨砕ユニットは、乳鉢、ボールミル、ジェットミル、流体エネルギーミル、空気分級機ミル及びペンデュラムミル等とすることができる。本発明の態様では、試料の冷却のための既定の時間は、10~15分とすることができる。本発明の好ましい態様では、得られた試料は、乳鉢を使用して、15分にわたって手動で磨砕できる。さらに、磨砕された試料を所定の温度で既定の時間にわたって焼結させて、カソード活物質組成物100を得ることができる。本発明の態様では、所定の温度は800℃超とすることができる。本発明の態様では、既定の時間は12時間とすることができる。さらに、試料の磨砕の後に、850℃で12時間の焼結を続けて、カソード活物質組成物100を得ることができる。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の量の所定の温度及び既定の時間を含むこと、又は包含することが意図される。
【0037】
本発明の好ましい態様では、カソード活物質組成物100は、特性評価を実行することによって特徴付けることができる。特性評価は、例えば限定するものではないが、X線回折(XRD)及び物理化学的特性評価等である。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の特性評価を含むこと、又は包含することが意図される。さらに、半電池電気化学的分析は、導電性炭素(5%)とバインダ(PVDF-5%)とを、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒を使用して手動磨砕によって混合して、スラリーを製造することによって、実行できる。バインダは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。さらに、カソード202は、スラリーを製造した後にコーティングすることによって製造できる。本発明の態様では、スラリーは、活物質、導電性炭素及びバインダをNMP溶媒中で混合することによって製造できる。次いで、スラリーをアルミニウム箔上にコーティングし、70℃~100℃で12時間にわたって乾燥させて、カソード202を得る。
【0038】
図2は、リチウムイオン電池200の模式図を図示している。リチウムイオン電池200は、バックアップ電力を提供できる電気化学セルとしても知られている。リチウムイオン電池200は、カソード202、アノード204、電解質206及びセパレータ208を含む。さらに、リチウムイオン電池200は、リチウムイオン電池200を外部環境から遮蔽するためのグローブボックス/ドライルームにおいて、カソード活物質組成物100を使用して製造できる。本発明の態様では、グローブボックスは、アルゴンが入ったグローブボックスとすることができる。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意のグローブボックス/ドライルームを含むこと、又は包含することが意図される。
【0039】
本発明の好ましい態様では、不活性雰囲気下のグローブボックス、又はドライルームのいずれかにおいて、コインセルを製造できる。さらに、材料の性能を、コインセルを使用して試験できる。
【0040】
本発明において、カソード202は、電気を放出する/流出させる電極である。本発明の態様では、容器110中で前駆体溶液を製造するために、5gの前駆体102を、20mlの脱イオン水104に溶解させる。容器110内で製造した前駆体溶液を、ホットプレート114に載置する。ホットプレート114上に載置し、前駆体溶液を継続的に撹拌する。本発明において、ホットプレート114は80℃である。15分の継続的撹拌の後、前駆体溶液に燃料を加える。有機アミド及びアミノ酸を前駆体溶液に加えて、ホットプレート114上で加熱した数分後に、均一溶液が形成される。本発明の態様では、有機酸は、例えば限定するものではないが、酢酸、クエン酸、尿酸及びリンゴ酸等である。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の有機酸を含むこと、又は包含することが意図される。本発明の態様では、アミノ酸は、例えば限定するものではないが、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン及びイソロイシン等である。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意のアミノ酸を含むこと、又は包含することが意図される。
【0041】
本発明の好ましい態様では、均一溶液を、所定の時間で燃焼を実行するためのるつぼ116に注いで、試料を得る。本発明の態様では、所定の時間は、600℃超で3分である。均一溶液を燃焼させて、試料を形成する。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の燃焼温度及び時間を含むこと、又は包含することが意図される。
【0042】
本発明の好ましい態様では、るつぼ116は、例えば限定するものではないが、磁器、白金、ステンレス鋼、ニッケル、ガラス質炭素及びジルコニウム等の材料で作製される。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の材料のるつぼ116を含むこと、又は包含することが意図される。試料をるつぼ116から取り出し、冷却のために室温で保管する。本発明の態様では、試料を10~15分にわたって冷却する。得られた試料を、乳鉢を使用して、手動で15分にわたって磨砕する。さらに、試料の磨砕に続いて、850℃で12時間にわたって焼結させて、本発明の態様における活性カソード材料組成物100を得る。
【0043】
さらに、活物質、導電性炭素及びバインダをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒中で混合したスラリーを、アルミニウム箔上にコーティングすることによって、カソード202を得る。本発明の態様では、バインダは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)バインダである。本発明の好ましい態様では、カソード202は、スラリーを製造した後、コーティングすることによって製作される。本発明の態様では、スラリーは、活物質、導電性炭素及びバインダをNMP溶媒中で混合することによって製造される。次いで、スラリーをアルミニウム箔上にコーティングし、70℃~100℃で12時間にわたって乾燥させて、カソード202を得る。
【0044】
本発明の好ましい態様では、リチウムイオン電池200は、正極端子としてのカソード202と、負極端子としてのアノード204とを含む。本発明の態様では、入力電位が印加されると、充電しながら、リチウムイオンがカソード202からアノード204に移動する。本発明の態様では、放電しながら、リチウムイオンがアノード204からカソード202に移動する。
【0045】
本発明の好ましい態様では、電解質206は、リチウムイオンを伝導するために用いられる。化学反応を実現するために、カソード202及びアノード204に対して圧縮されたセパレータ208に、電解質206を吸収させる。本発明の態様では、電解質206は、有機溶媒中のヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の溶液である。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の電解質206を含むこと、又は包含することが意図される。
【0046】
本発明の好ましい態様では、セパレータ208は、電解質206中に配置されたカソード202とアノード204とを隔てるために用いられる。セパレータ208は、第1の表面210と第2の表面212とを含む。本発明の態様では、セパレータの第1の表面210は、カソード202に接触するように構成される。本発明の態様では、セパレータの第2の表面212は、アノード204に接触するように構成される。イオンは電極202-204間を自由に通過するが、セパレータ208は、電気伝導性のない絶縁体である。本発明の態様では、セパレータ208は、ガラスマイクロ繊維及びポリマーシート等とすることができる。本発明の態様では、ガラスマイクロ繊維は、あるガラスマイクロ繊維とすることができる。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意のセパレータ208を含むこと、又は包含することが意図される。さらに、セパレータ208は性質上、多孔質である。本発明において、セパレータ208は、例えば限定するものではないが、ポリオレフィンフィルム、ナイロン、ポリプロピレン、ガラス繊維マット、セルロース及びポリエチレンプラスチック等の材料から作製される。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意のセパレータ208のための材料を含むこと、又は包含することが意図される。
【0047】
本発明の好ましい態様では、リチウムイオン電池200のためのカソード組成物100は、式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’を含む。本発明において、元素M’の濃度「a」は、0<a≦0.05である。本発明では、xの濃度は、1.0~1.1であり、yの濃度は、0.25~0.3である。本発明の態様では、zの濃度は、0.15~0.2である。本発明の態様では、元素M’は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)及び鉄(Fe)等から選択される。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意の元素M’を含むこと、又は包含することが意図される。本発明の態様では、元素M’は、Al Ti、Fe Ti、Cr Ti、Cr Al、Cr Fe、Fe Al又はこれらの組合せから選択される。
【0048】
図3Aは、本発明の態様に従ったLiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025活性カソード材料組成物のX線回折パターンを図示している。ここで、X線回折(XRD)は、結晶構造分析により、要求されるLiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025活性カソード材料組成物相の形成を識別する迅速な方法である。本発明の態様では、活性カソード材料組成物100は、X線回折(XRD)を実行することによって特徴付けられ、回折ピークは層状化合物に対応し、他の不純物ピークは観測されない。高強度のピークによって、活性カソード材料組成物100が結晶であることが確認される。本発明の態様では、65°前後の回折ピークの明瞭な分裂は、規則的な層状化合物であり、カチオンの不規則性が最小限であることを示す。さらに、ピークは、カソード活物質組成物100の参照パターンと一致する。カソード活物質組成物100は、菱面体結晶系に属する。カソード活物質組成物100は、結晶空間群R-3mの層状結晶構造である。カソード活物質組成物100の粒子の結晶サイズは、60nm~70nmである。本発明の好ましい態様では、推定結晶サイズは64.31nmである。
【0049】
図3Bは、本発明の態様に従ったLiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05活性カソード材料組成物のX線回折パターンを図示している。本発明の態様では、回折ピークは層状化合物に対応し、他の不純物ピークは観測されない。高強度のピークによって、カソード活物質組成物100が結晶であることが確認され、65°前後の回折ピークの明瞭な分裂は、規則的な層状化合物であり、カチオンの不規則性が最小限であることを示す。さらに、ピークは、カソード活物質組成物100の参照パターンと一致する。本発明の態様では、カソード活物質組成物100は、菱面体結晶系に属する。カソード活物質組成物100は、結晶空間群R-3mの層状結晶構造である。カソード活物質組成物100の粒子の結晶サイズは、60nm~70nmである。本発明の好ましい態様では、推定結晶サイズは65.96nmである。
【0050】
図3Cは、本発明の態様に従ったLiNi0.5Mn0.25Co0.2Fe0.05活性カソード材料組成物のX線回折パターンを図示している。さらに、回折ピークは層状化合物に対応し、他の不純物ピークは観測されない。高強度のピークによって、材料が結晶であることが確認され、65°前後の回折ピークの明瞭な分裂は、規則的な層状化合物であり、カチオンの不規則性が最小限であることを示す。さらに、ピークは、カソード活物質組成物100の参照パターンと完全に一致している。カソード活物質組成物100は菱面体結晶系に属する。カソード活物質組成物100は、結晶空間群R-3mの層状結晶構造である。本発明の態様では、カソード活物質組成物100の粒子の結晶サイズは、60nm~70nmである。本発明の好ましい態様では、推定結晶サイズは61.63nmである。
【0051】
図3Dは、本発明の態様に関するLiNi0.5Mn0.25Co0.2Cr0.05活性カソード材料組成物のX線回折パターンを図示している。さらに、回折ピークは層状化合物に対応し、他の不純物ピークは観測されない。高強度のピークによって、材料が結晶であることが確認され、65°前後の回折ピークの明瞭な分裂は、規則的な層状化合物であり、カチオンの不規則性が最小限であることを示す。さらに、ピークは、カソード活物質組成物100の参照パターンと完全に一致している。カソード活物質組成物100は、菱面体結晶系に属する。カソード活物質組成物100は、結晶空間群R-3mの層状結晶構造である。本発明の態様では、カソード活物質組成物100の粒子の結晶サイズは、60nm~70nmである。本発明の好ましい態様では、推定結晶サイズは66.63nmである。
【0052】
図4Aは、本発明の態様を参照した、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025カソード活物質組成物100のFESEM画像を図示している。図4Aにおいて、LiNi0.5Mn0.25Co0.22Al0.025Ti0.025試料のモルフォロジーを、電界放出形走査電子顕微鏡(FESEM)によって調査した。本発明の態様では、顕微鏡写真は、燃焼合成した試料のモルフォロジーが、凝結粒子を生じることを示す。さらに、試料は、異なるモルフォロジー、例えば限定するものではないが、六方晶、立方晶、球及び伸び六方晶等から構成される。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意のモルフォロジーを含むこと、又は包含することが意図される。
【0053】
図4Bは、本発明の態様に関するLiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05カソード活物質組成物100のFESEM画像を図示している。図4Bにおいて、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05試料のモルフォロジーを、FESEMによって調査した。本発明の態様では、顕微鏡写真は、燃焼合成した試料のモルフォロジーが、凝結粒子を生じることを示す。さらに、試料は、異なるモルフォロジー、例えば限定するものではないが、六方晶、立方晶、球及び伸び六方晶等から構成される。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意のモルフォロジーを含むこと、又は包含することが意図される。
【0054】
図4Cは、本発明の態様を参照した、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Fe0.05カソード活物質組成物100のFESEM画像を図示している。図4Cにおいて、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Fe0.05試料のモルフォロジーを、FESEMによって調査した。本発明の態様では、顕微鏡写真は、燃焼合成した試料のモルフォロジーが、凝結粒子を生じることを示す。さらに、試料は、異なるモルフォロジー、例えば限定するものではないが、六方晶、立方晶、球及び伸び六方晶等から構成される。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意のモルフォロジーを含むこと、又は包含することが意図される。
【0055】
図4Dは、本発明の態様を参照した、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Cr0.05カソード活物質組成物100のFESEM画像を図示している。図4Dにおいて、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Cr0.05試料のモルフォロジーを、FESEMによって調査した。本発明の態様では、顕微鏡写真は、燃焼合成した試料のモルフォロジーが、凝結粒子を生じることを示す。さらに、試料は、異なるモルフォロジー、例えば限定するものではないが、六方晶、立方晶、球及び伸び六方晶等から構成される。態様は、公知技術、関連する技術及び/又は今後に開発される技術を含む、任意のモルフォロジーを含むこと、又は包含することが意図される。
【0056】
図5Aは、本発明の態様に関する、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025活性カソード材料組成物の粒子サイズ分布を図示している。図5Aに示したプロットは、粒子のサイズ分布を図示しており、これは0.766μm~517.200μmである。更に分析すると、メジアンサイズ(D50)は、試料中の粒子の50%が71.1594μmよりも小さく、残りの50%はそれより大きいことを示す。この他、グラフから、集団の10%が9.1688μm未満で(D10)、集団の90%が204.2573μm未満である(D90)ことが明らかである。D50は5μm~80μmであり、D90は15μm~205μmである。
【0057】
図5Bは、本発明の態様を参照した、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05活性カソード材料組成物の粒子サイズ分布を図示している。図5Bに示したプロットは、粒子のサイズ分布が、0.339μm~200μmであることを示す。更に分析すると、メジアンサイズ(D50)は、試料中の粒子の50%が5.6148μmよりも小さく、残りの50%はそれより大きいことを示す。この他、グラフから、集団の10%が1.062μm未満で(D10)、集団の90%が25.8989μm未満である(D90)ことが明らかである。D10は、1μm~10μmである。
【0058】
図5Cは、本発明の態様を参照した、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Fe0.05活性カソード材料組成物の粒子サイズ分布を図示している。本発明の態様では、カソード活物質組成物100の粒子直径を測定するために、レーザー回折法が使用される。図5Cに示したプロットは、0.58μm~29.907μmの粒子のサイズ分布であることを示す。更に分析すると、メジアンサイズ(D50)は、試料中の粒子の50%が8.6573μmよりも小さく、残りの50%はそれより大きいことを示す。この他、グラフから、集団の10%が2.9182μm未満で(D10)、集団の90%が15.6339μm未満である(D90)ことが明らかである。
【0059】
図5Dは、本発明の態様に従った、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Cr0.05活性カソード材料組成物の粒子サイズ分布を図示している。図5Dに示したプロットは、粒子のサイズ分布が、0.296μm~262.376μmであることを示す。更に分析すると、本発明の態様では、メジアンサイズ(D50)は、試料中の粒子の50%が20.7721μmよりも小さく、残りの50%はそれより大きいことを示す。この他、グラフから、集団の10%が2.4837μm未満で(D10)、集団の90%が129.7330μm未満である(D90)ことが明らかである。
【0060】
図6は、本発明の態様に関する、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025の窒素吸着-脱着等温プロットを図示している。窒素吸着工程は吸着の動的挙動を有し、吸着の到達の速度は、脱着の速度と等しい。本発明の態様では、平衡吸着容量を、ある特定の圧力下で測定する。表面に対する窒素の表面吸着容量は、窒素の相対圧(P/P)に依存し、式中、Pは窒素の分圧であり、Pは液体窒素の温度下での窒素の飽和蒸気圧である。さらに、低温における窒素吸着では、カソード活物質組成物100の比表面積分布を測定する。粒子サイズ分布のばらつきは、比表面積の変化の結果である。LiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025の吸着-脱着プロットは、表面積を測定するためのものである。表面積は、例えば限定するものではないが、粒子のサイズ、粒子の形状、粒子のテクスチャ及び粒子の空隙率等のパラメータに関係する。本発明の態様では、圧力が上昇するにつれて窒素吸着が増加し、ひいては表面積が増加する。さらに、圧力が下降すると、脱着が起こる。本発明のこの態様では、組成物の粒子の表面積は、1m/g~10m/gである。組成物の粒子の1つの表面積は、5.4m/gである。
【0061】
図7Aは、本発明の態様に従ったLiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025カソード材料を用いて製作したリチウム半電池の電圧-比容量プロットを図示している。本発明の態様では、電圧-比容量プロットは、カソード活物質組成物100のエネルギー貯蔵容量の決定に資する。本発明の態様では、比容量は、C/5レートにおいて、電圧2.8V~4.4Vで、150mAh/g~161mAh/gである。
【0062】
図7Bは、本発明の態様に従ったLiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05カソード材料を用いて製作したリチウム半電池の電圧-比容量プロットを図示している。本発明の態様では、電圧-比容量プロットは、カソード活物質組成物100のエネルギー貯蔵容量の決定に資する。比容量は、C/5レートにおいて、電圧2.8V~4.4Vで、140mAh/g~160mAh/gである。
【0063】
図7Cは、本発明の態様に従ったLiNi0.5Mn0.25Co0.2Fe0.05カソード材料を用いて製作したリチウム半電池の電圧-比容量プロットを図示している。本発明の態様では、電圧-比容量プロットは、カソード活物質のエネルギー貯蔵容量の決定に資する。比容量は、C/5レートにおいて、電圧2.8V~4.4Vで、150mAh/g~155mAh/gである。
【0064】
図7Dは、本発明の態様に則ったLiNi0.5Mn0.25Co0.2Cr0.05カソード材料を用いて製作したリチウム半電池の電圧-比容量プロットを図示している。本発明の態様では、電圧-比容量プロットは、カソード活物質のエネルギー貯蔵容量の決定に資する。本発明の態様では、比容量は、C/5レートにおいて、電圧2.8V~4.4Vで、148mAh/g~155mAh/gである。
【0065】
図8は、本発明の態様に従ったLiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05カソード材料を用いて製作したリチウムイオン電池の電圧-比容量プロットを図示している。図8は、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05カソード材料を用いて製作したリチウムイオン電池の電圧-比容量プロットを示す。本発明の態様では、比容量値は、C/5レートにおいて、電圧2.8V~4.3Vで、2000mAh/g~2100mAh/gである。
【0066】
図9は、本発明の態様に従った、活性カソード材料組成物の製造方法900のフローチャートを図示している。
【0067】
工程902において、容器110中で前駆体102を脱イオン水104に溶解させて、前駆体溶液を形成する。本発明の態様では、前駆体102は金属硝酸塩前駆体である。
【0068】
工程904において、容器110中で前駆体溶液を撹拌する。本発明の態様では、容器110中に充填された前駆体溶液を、ホットプレート114を使用して80℃で加熱する。
【0069】
工程906において、15分の加熱後に、尿素及びグリシンを前駆体溶液に加えて、容器110中に均一溶液を形成する。
【0070】
工程908において、得られた均一溶液を、800℃で3分にわたる燃焼を実行するためのるつぼ116に注いで、試料を合成する。
【0071】
工程910において、得られた試料を室温に冷却する。さらに、冷却された試料を、乳鉢を使用することによって15分にわたって磨砕する。
【0072】
工程912において、磨砕された試料を850℃で12時間にわたって焼結させて、カソード活物質組成物を得る。
【0073】
発明の利点
本発明の主な利点は、以下のとおりである:
1.カソード活物質組成物が再生可能であり、バッチ間で一貫している。
2.この発明は単純であり、コスト効率的である。
3.この発明は迅速な方法であり、バルク生産が容易である。
4.活物質組成物が、容量、粒子のサイズ分布、構造及び表面積における改善を提供する。
5.この活物質組成物を、電池産業のために利用できる。
【0074】
目下最も実際的であると考えられるもの及びさまざまな態様に関して、本発明を記載してきたが、本発明は、開示された態様に限定されるべきではなく、反対に、特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれるさまざまな修正形態及び等価の配置を包含することが意図されることを理解されるべきである。
【実施例
【0075】
以下の例は、実際の実施における本発明の作用の説明として与えるものであり、そのため、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0076】
実施例1
代表的な概要として、Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’の合成を説明する。この態様では、M’はAl及びTi等である。この態様では、「a」の値は0<a≦0.05である。この態様では、LiNi0.5Mn0.25Co0.2Al0.025Ti0.025の製造は、燃焼合成によって行う。化学量論は、硝酸塩LiNO、Co(NO・6HO、Ni(NO・6HO、Mn(NO・4HO、Al(NO・9HO、TiO(NOの量で、燃料(尿素(80%)+グリシン(20%))が必要である。さらに、リチウム:金属硝酸塩:燃料のモル比は、それぞれ1.1:1:1であり、最小量の水に溶解させ、ホットプレート上で数分間、65℃に保って、塩を完全に溶解させる。さらに、硝酸塩と燃料との得られた透明溶液をアルミナるつぼに移し、800℃に予備加熱した炉に導入する。燃焼後、るつぼを炉から取り出し、試料を手動で磨砕又はボールミル処理を行い、850℃で12時間にわたって再加熱する。
【0077】
実施例2
代表的な概要として、Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’の合成を説明する。この態様では、M’はTiである。この態様では、「a」の値は0<a≦0.05である。LiNi0.5Mn0.25Co0.2Ti0.05の製造は、燃焼によって実行する。化学量論は、硝酸塩LiNO、Co(NO・6HO、Ni(NO・6HO、Mn(NO・4HO、TiO(NOの量で、燃料(尿素(80%)+グリシン(20%))が必要である。さらに、リチウム:金属硝酸塩:燃料のモル比は、それぞれ1.1:1:1であり、最小量の水に更に溶解させ、ホットプレート上で数分間、70℃に保って、塩を完全に溶解させる。硝酸塩と燃料との得られた透明溶液をアルミナるつぼに移し、820℃に予備加熱した炉に導入する。燃焼後、るつぼを炉から取り出し、試料を手動で磨砕又はボールミル処理を行い、850℃で12時間にわたって再加熱する。
【0078】
実施例3
代表的な概要として、Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’の合成を説明する。この態様では、M’はFeである。この態様では、「a」の値は0<a≦0.05である。LiNi0.5Mn0.25Co0.2Fe0.05の製造は、燃焼合成によって行う。この態様では、化学量論は、硝酸塩LiNO、Co(NO・6HO、Ni(NO・6HO、Mn(NO・4HO、Fe(NO・9HOの量で、燃料(尿素(80%)+グリシン(20%))が必要である。リチウム:金属硝酸塩:燃料のモル比は、それぞれ1.1:1:1であり、最小量の水に溶解させ、ホットプレート上で数分間、60~80℃に保って、塩を完全に溶解させる。さらに、硝酸塩と燃料との得られた透明溶液をアルミナるつぼに移し、850℃に予備加熱した炉に導入する。燃焼後、るつぼを炉から取り出し、試料を手動で磨砕又はボールミル処理を行い、850℃で12時間にわたって再加熱する。
【0079】
実施例4
代表的な概要として、Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’の合成を説明する。この態様では、M’はCrである。この態様では、「a」の値は0<a≦0.05である。LiNi0.5Mn0.25Co0.2Cr0.05の製造は、燃焼合成によって行う。化学量論は、硝酸塩LiNO、Co(NO・6HO、Ni(NO・6HO、Mn(NO・4HO、Cr(NO・9HOの量で、燃料(尿素(80%)+グリシン(20%))が必要である。リチウム:金属硝酸塩:燃料のモル比はそれぞれ1.1:1:1であり、最小量の水に更に溶解させ、ホットプレート上で数分間、60~80℃に保って、塩を完全に溶解させる。硝酸塩と燃料との得られた透明溶液をアルミナるつぼに移し、780℃に予備加熱した炉に導入する。燃焼後、るつぼを炉から取り出し、試料を手動で磨砕又はボールミル処理を行い、850℃で24時間にわたって再加熱する。
【0080】
この書面による記載は、最良の形態を含む本発明を開示し、また、任意の装置又はシステムの製造及び使用、並びに任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、当業者が本発明を実施できるように、実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲において定義され、当業者が思い浮かべる他の実施例を含む。このような他の実施例は、特許請求の範囲の逐語的な言語と相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の逐語的な言語との実質的な差異の範囲内で同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
参照数字
図1
1.100 - カソード活物質組成物
2.102 - 前駆体
3.102a及び102n - n個の金属前駆体
4.104 - 脱イオン水
5.110 - 容器
6.114 - ホットプレート
7.116 - るつぼ
8.118 - 燃焼炉
図2
1.200 - リチウムイオン電池
2.202 - カソード
3.204 - アノード
4.206 - 電解質
5.208 - セパレータ
6.210 - 第1の表面
7.212 - 第2の表面
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05である]を有する、リチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)であって、
前記組成物が、0.296μm~517.200μmの粒子サイズ分布と140mAh/g~161mAh/gの比容量を有する粒子を含み、
前記粒子サイズ分布が、試料中の粒子の50%が5.6148μm~71.1594μmの範囲よりも小さく、残りの50%が前記範囲より大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む、
カソード活物質組成物(100)。
【請求項2】
前記元素M’が、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉄(Fe)又はこれらの組合せから選択される、請求項に記載のカソード活物質組成物(100)。
【請求項3】
前記式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05]を有するカソード組成物が、0.766μm~517.200μmの粒子サイズ分布と150mAh/g~161mAh/gの比容量を有する粒子を含み、前記粒子サイズ分布が、試料中の粒子の50%が71.1594μmよりも小さく、残りの50%がこれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む、請求項に記載のリチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)。
【請求項4】
前記式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05]を有するカソード組成物が、0.339μm~200μmの粒子サイズ分布と140mAh/g~160mAh/gの比容量を有する粒子を含み、前記粒子サイズ分布が、試料中の粒子の50%が5.6148μmよりも小さく、残りの50%がこれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む、請求項に記載のリチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)。
【請求項5】
前記式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05]を有するカソード組成物が、0.58μm~29.907μmの粒子サイズ分布と150mAh/g~155mAh/gの比容量を有する粒子を含み、前記粒子サイズ分布が、試料中の粒子の50%が8.6573μmよりも小さく、残りの50%がこれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む、請求項に記載のリチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)。
【請求項6】
前記式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05]を有するカソード組成物が、0.296μm~262.376μmの粒子サイズ分布と148mAh/g~155mAh/gの比容量を有する粒子を含み、前記粒子サイズ分布が、試料中の粒子の50%が20.7721μmよりも小さく、残りの50%がこれより大きいことを示すメジアンサイズ(D50)を含む、請求項に記載のリチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)。
【請求項7】
前記組成物の粒子の表面積が1m/g~10m/gである、請求項に記載のカソード活物質組成物(100)。
【請求項8】
前記組成物の粒子の結晶サイズが60nm~70nmである、請求項に記載のカソード活物質組成物(100)。
【請求項9】
前記組成物が、結晶空間群R-3mの層状結晶構造である、請求項に記載のカソード活物質組成物(100)。
【請求項10】
請求項1に記載の、式Li(Ni1-y-zMnCo1-aM’[式中、1.0≦x≦1.1、0.25≦y≦0.3、0.15≦z≦0.2、0<a≦0.05である]を有する、リチウムイオン電池(200)のためのカソード活物質組成物(100)の製造方法であって、
i.容器(110)中で前駆体(102)を脱イオン水(104)に溶解し、前駆体溶液を形成する工程、ここで、前記前駆体(102)は金属硝酸塩前駆体である;
ii.前記容器(110)中の前記前駆体溶液を撹拌する工程、ここで、前記容器(110)中に充填された前記前駆体溶液を60℃~100℃に加熱する;
iii.前記前駆体溶液に有機アミドとアミノ酸を加え、前記容器(110)中で均一溶液を形成させる工程;
iv.前記得られた均一溶液をるつぼ(116)に注ぎ、1分~30分間、600℃~1000℃で燃焼して、試料を得る工程;
v.前記得られた試料を冷却した後、試料を、10分~10時間、磨砕ユニットで磨砕する工程;及び
vi.前記磨砕された試料を、1時間~24時間、600℃~1000℃で焼結して、前記カソード活物質組成物(100)を得る工程
を含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載のカソード活物質組成物(100)と導電性炭素及びバインダの混合スラリーをコーティングすることによって得られる、正極端子として作用するカソード(202);
アルミニウム箔上のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒中のバインダ;
負極端子として作用するアノード(204);
リチウムイオンを伝導するための電解質(206);
前記電解質(206)中に配置された前記カソード(202)と前記アノード(204)とを隔てるためのセパレータ(208)であって、前記セパレータ(208)が、前記カソード(202)に接触するように構成された第1の表面と、前記アノード(204)に接触するように構成された第2の表面とを含む、セパレータ
を含む、リチウムイオン電池(200)。
【国際調査報告】