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特表2024-517272薄型の挿入可能な皮下血管アクセスデバイスおよびポート留置システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】薄型の挿入可能な皮下血管アクセスデバイスおよびポート留置システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240412BHJP
   A61B 5/153 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A61M25/00 530
A61B5/153
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568383
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 US2021031407
(87)【国際公開番号】W WO2022235276
(87)【国際公開日】2022-11-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】デンスリー、ブライオン レイ
(72)【発明者】
【氏名】アンダーセン、クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4C038
4C267
【Fターム(参考)】
4C038TA10
4C038UJ03
4C038UJ10
4C267AA01
4C267BB02
4C267CC08
(57)【要約】
実施形態は、薄型の挿入可能なポートシステムおよび関連する使用方法を対象とする。ポートは、入口と出口との間に延びるポート管腔を画定することができ、針貫通可能隔壁または弁構造を含むことができる。ポートステムは、カテーテルの管腔と結合することができ、任意選択でカテーテルロックを含むことができる。ポート管腔の直径、断面積または形状は、弛緩状態のカテーテル管腔の直径、断面積または形状と実質的に等しくてもよい。さらに、ポート管腔は、直線的な軸線を画定することができ、カテーテル管腔の軸線と整列することができる。したがって、ポートは、ポートとカテーテルとの間の流体の流れ抵抗を低減することができる。ポートの外側輪郭は、カテーテルの外側輪郭と実質的に等しくすることができる。したがって、ポートを皮下に留置することは、より小さい切開部位しか必要とせず、回復時間および審美性を改善することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下に留置されるように構成された血管アクセスデバイスであって、
カテーテル管腔を画定するとともに、患者の脈管構造との流体連通を提供するカテーテルと、
入口から出口まで長手方向軸線に沿って延びるポート管腔を画定する本体を含むポートと
を含み、前記ポート管腔は、前記入口と前記出口との間に均一な断面直径を画定する、血管アクセスデバイス。
【請求項2】
前記ポート管腔は均一な断面積を画定する、請求項1に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項3】
前記ポート管腔は均一な断面形状を画定する、請求項1または2に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項4】
前記ポート管腔は、該ポート管腔を通る流体流を制御するように構成された弁または針貫通可能隔膜を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項5】
前記ポートの前記出口は、前記カテーテルの前記管腔に挿入されるように構成されたステムによって画定される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項6】
前記ポート管腔の直径は、弛緩状態の前記カテーテルの管腔の直径に等しい、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項7】
前記ポート管腔の断面積は、弛緩状態の前記カテーテルの前記管腔の断面積に等しい、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項8】
前記ポート管腔の断面形状は、弛緩状態の前記カテーテルの前記管腔の断面形状に等しい、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項9】
前記血管アクセスデバイスは、前記入口の下縁から近位側に延びるナブをさらに含み、該ナブは、アクセス針に衝突しながら該アクセス針を受容するとともに、該針を入口に向けさせるように構成される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項10】
前記ナブは、該ナブの縁から直交して延びるとともに、長手方向に延びる側壁を含み、該側壁は、側壁に衝突する針を前記入口に向付けさせるように構成されている、請求項9に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項11】
前記ポート管腔の一部の軸線は、前記カテーテル管腔の軸線と整列している、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項12】
前記ポート管腔の前記一部は、隔壁と前記出口との間に延びている、請求項11に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項13】
前記ポート管腔の第2の部分の軸線は、第1の部分に対してある角度で延び、前記第2の部分は、前記隔壁の近位に配置されている、請求項11又は12に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項14】
前記ポート本体の最外径は、前記カテーテル本体の外径の2倍未満である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項15】
前記ポート本体の最外径は、前記カテーテルの外径の170%と130%との間より大きい、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項16】
前記ポート本体は、音波発生材料または放射線不透過性材料を含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項17】
前記血管アクセスデバイスは、挿入ツールをさらに含み、該挿入ツールは、鋭利な前縁を有するとともに前記血管アクセスデバイスを受容すべく組織ポケットを形成するように構成されたツールヘッドを含む、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項18】
前記血管アクセスデバイスは、前記カテーテルを前記出口に固定するように構成されたカテーテルロックをさらに含む、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項19】
ポートを皮下に留置するように構成されたポート留置システムであって、
入口から出口まで長手方向軸線に沿って延びる管腔を画定するポートであって、前記管腔は、前記入口と前記出口との間に均一な断面直径を画定する、ポートと、
前記遠位出口に結合されるとともに、前記遠位出口と流体連通するカテーテルと、
留置ツールであって、
内部に前記ポートを受容するように構成された空洞を画定するハウジングであって、該ハウジングの底面に沿って長手方向に延びるとともに、前記空洞と連通する長尺状の開口を含むハウジングと、
前記ハウジングから延びるハンドルと、
前記ハンドルとは反対側の端部で前記ハウジングにヒンジ結合されるとともに、前記空洞から前記ポートを解放するために閉位置と開位置との間で移行するように構成されたノーズ部と
を含む留置ツールと
を備える、ポート留置システム。
【請求項20】
前記ノーズ部は、テーパ状の外側輪郭を画定する、請求項19に記載のポート留置システム。
【請求項21】
前記留置ツールは、切開部位および組織ポケットのうちの1つを形成するように構成された鋭利な前縁を含む、請求項19又は20に記載のポート留置システム。
【請求項22】
前記前縁に配置されたブレードをさらに含む、請求項21に記載のポート留置システム。
【請求項23】
前記ポート留置システムは、前記ハンドル上に配置され、前記ノーズ部を開位置と閉位置との間で移行させるように構成された駆動ボタンをさらに含む、請求項19乃至22のいずれか一項に記載のポート留置システム。
【請求項24】
前記長尺状の開口の横幅は、前記ポートの直径よりも小さく、前記カテーテルの直径よりも大きい、請求項19乃至23のいずれか一項に記載のポート留置システム。
【請求項25】
前記ハンドルは、空洞および長尺状の開口を画定し、前記ハンドルの前記空洞は、前記ハウジングの前記空洞と連通し、前記ハンドルの前記長尺状の開口は、前記ハウジングの前記長尺状の開口と連通する、請求項19乃至24のいずれか一項に記載のポート留置システム。
【請求項26】
前記ハンドルの前記開口の横幅は、前記ポートの直径よりも大きい、請求項25に記載のポート留置システム。
【請求項27】
前記ポートの前記管腔は、均一な断面積を画定する、請求項19乃至26のいずれか一項に記載のポート留置システム。
【請求項28】
前記ポートの前記管腔は、均一な断面形状を画定する、請求項19乃至27のいずれか一項に記載のポート留置システム。
【請求項29】
前記ポートの前記管腔は、弁または針貫通可能隔膜を含む、請求項19乃至28のいずれか一項に記載のポート留置システム。
【請求項30】
前記ポートの前記出口は、前記カテーテルの前記管腔に挿入されるように構成されたステムによって画定される、請求項19乃至29のいずれか一項に記載のポート留置システム。
【請求項31】
前記ポート留置システムは、前記カテーテルを前記出口に固定するように構成されたカテーテルロックをさらに含む、請求項19乃至30のいずれか一項に記載のポート留置システム。
【請求項32】
前記ポートは、前記入口の底縁から延びるナブをさらに含み、該ナブは、アクセス針に衝突しながら該アクセス針を受容するとともに、該針を前記入口に向けさせるように構成される、請求項19乃至31のいずれか一項に記載のポート留置システム。
【請求項33】
前記ポートは、音波発生材料または放射線不透過性材料を含む、請求項19乃至32のいずれか一項に記載のポート留置システム。
【請求項34】
前記管腔の軸線は、前記カテーテルの軸線と整列している、請求項19乃至33のいずれか一項に記載のポート留置システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
簡潔に要約された、本明細書で開示した実施形態は、薄型の挿入可能な皮下血管アクセスシステムおよびそれに関連する方法を対象とする。システムは、それに結合されるカテーテルの外側輪郭と実質的に同じ外側輪郭を画定する、薄型ポートを含む。薄型ポートは、皮下に配置可能であり、従来のポートよりもはるかに小さい挿入部位しか必要としない。したがって、挿入部位と同様に挿入部位を閉じるために必要とされる縫合がより少ないかまたは全くなく、ポートが「挿入可能」となり、患者の回復時間が改善され、瘢痕化が低減され、審美性が改善される。さらに、ポートの管腔は、カテーテル管腔の直径または断面形状と同じ直径または断面形状を画定することができ、カテーテル管腔と整列することができ、ポートの管腔を通る流体流の抵抗をほとんど生じないか全く生じない。挿入部位を形成し、ポートを皮下に配置するように構成された留置ツールも開示される。
【0002】
本明細書に開示されるのは、皮下に配置されるように構成された血管アクセスデバイスであって、カテーテル管腔を画定するとともに、患者の脈管構造との流体連通を提供するカテーテルと、入口から出口まで長手方向軸線に沿って延びるポート管腔を画定する本体を含むポートとを含み、前記ポート管腔は、前記入口と前記出口との間に均一な断面直径を画定する、血管アクセスデバイスである。
【0003】
いくつかの実施形態では、前記ポート管腔は均一な断面積を画定する。いくつかの実施形態では、前記ポート管腔は均一な断面形状を画定する。いくつかの実施形態では、前記ポート管腔は、該ポート管腔を通る流体流を制御するように構成された弁または針貫通可能隔膜を含む。いくつかの実施形態では、前記ポートの前記出口は、前記カテーテルの前記管腔に挿入されるように構成されたステムによって画定される。いくつかの実施形態では、前記ポート管腔の直径は、弛緩状態の前記カテーテルの管腔の直径に等しい。いくつかの実施形態では、前記ポート管腔の断面積は、弛緩状態の前記カテーテルの前記管腔の断面積に等しい。
【0004】
いくつかの実施形態では、前記ポート管腔の断面形状は、弛緩状態の前記カテーテルの前記管腔の断面形状に等しい。いくつかの実施形態では、前記血管アクセスデバイスは、前記入口の下縁から近位側に延びるナブをさらに含み、該ナブは、アクセス針に衝突しながら該アクセス針を受容するとともに、該針を入口に向けさせるように構成される。いくつかの実施形態では、前記ナブは、該ナブの縁から直交して延びるとともに、長手方向に延びる側壁を含み、該側壁は、側壁に衝突する針を前記入口に向付けさせるように構成されている。いくつかの実施形態では、前記ポート管腔の一部の軸線は、前記カテーテル管腔の軸線と整列している。いくつかの実施形態では、前記ポート管腔の前記一部は、前記隔壁と前記出口との間に延びている。
【0005】
いくつかの実施形態では、前記ポート管腔の第2の部分の軸線は、第1の部分に対してある角度で延び、前記第2の部分は、隔壁の近位に配置されている。いくつかの実施形態では、前記ポート本体の外径は、前記カテーテルの外径の2倍未満である。いくつかの実施形態では、前記ポート本体の外径は、前記カテーテルの外径の170%と130%との間より大きい。いくつかの実施形態では、前記ポート本体は、音波発生材料または放射線不透過性材料を含む。いくつかの実施形態では、前記血管アクセスデバイスは、挿入ツールをさらに含み、該挿入ツールは、鋭利な前縁を有するとともに前記血管アクセスデバイスを受容すべく組織ポケットを形成するように構成されたツールヘッドを含む。いくつかの実施形態では、前記血管アクセスデバイスは、前記カテーテルを出口に固定するように構成されたカテーテルロックをさらに含む。
【0006】
また、ポートを皮下に留置するように構成されたポート留置システムが開示され、該ポート留置システムは、入口から出口まで長手方向軸線に沿って延びる管腔を画定するポートであって、該管腔が前記入口と前記出口との間で均一な断面直径を画定する、ポートと、遠位出口に結合されるとともに、前記遠位出口と流体連通するカテーテルと、留置ツールであって、前記ポートを受容するように構成された空洞を画定するハウジングであって、該ハウジングの底面に沿って長手方向に延びるとともに前記空洞と連通する長尺状の開口を含むハウジングと、前記ハウジングから延びるハンドルと、前記ハンドルとは反対の端部で前記ハウジングにヒンジ結合されるとともに、前記ポートを前記空洞から解放するために閉位置と開位置との間で移行するように構成されたノーズ部とを含む配置ツールと、を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記ノーズ部は、テーパ状外側輪郭を画定する。いくつかの実施形態では、前記留置ツールは、切開部位および組織ポケットのうちの1つを形成するように構成された鋭利な前縁を含む。いくつかの実施形態では、前記ポート留置システムは、前記前縁に配置されたブレードをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記ポート留置システムは、前記ハンドル上に配置され、前記ノーズ部を開位置と閉位置との間で移行させるように構成された駆動ボタンをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記長尺状の開口の横幅は、前記ポートの直径よりも小さく、前記カテーテルの直径よりも大きい。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記ハンドルは、空洞および長尺状の開口を画定し、前記ハンドルの前記空洞は、前記ハウジングの前記空洞と連通し、前記ハンドルの前記長尺状の開口は、前記ハウジングの前記長尺状の開口と連通する。いくつかの実施形態では、前記ハンドルの前記開口の横幅は、前記ポートの直径よりも大きい。いくつかの実施形態では、前記ポートの前記管腔は均一な断面積を画定する。いくつかの実施形態では、前記ポートの前記管腔は均一な断面形状を画定する。いくつかの実施形態では、前記ポートの前記管腔は、弁または針貫通可能隔膜を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記ポートの前記出口は、前記カテーテルの前記管腔に挿入されるように構成されたステム(stem)によって画定される。いくつかの実施形態では、前記ポート留置システムは、前記カテーテルを前記出口に固定するように構成されたカテーテルロックをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記ポートは、前記入口の底縁から延びるナブをさらに含み、該ナブは、アクセス針に衝突しながら該アクセス針を受容するとともに、該針を前記入口に向けさせるように構成される。いくつかの実施形態では、前記ポートは、音波発生材料または放射線不透過性材料を含む。いくつかの実施形態では、前記管腔の軸線は、前記カテーテルの軸線と整列している。
【0010】
また、カテーテルが結合されたポートを留置する方法が開示され、前記ポートを挿入ツールのハウジング内に配置することであって、前記ツールが、前記ハウジングの底面に沿って延びるとともに、前記ハウジングの空洞と連通する長尺状の開口を含むことと、前記ツールの前縁を皮下に付勢することと、前記ポートを受容するための組織ポケットを形成することと、前記ハウジングのノーズ部を開位置に移行させることと、前記挿入ツールを近位側に引き込むことと、前記ツールを前記ポートおよび前記カテーテルから係合解除することとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記ハウジングの前記長尺状の開口は、前記ポートの直径よりも小さく、前記カテーテルの直径よりも大きい横幅を画定する。いくつかの実施形態では、方法は、前記前縁の反対側の前記ハウジングから延びるハンドルとをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記ハンドルは、前記ハウジングの前記空洞と連通するハンドル空洞を画定する。いくつかの実施形態では、前記ハンドルは、該ハンドルの下面に沿って延びるとともに、前記ハウジングの前記長尺状の開口と連通する長尺状の開口を含む。いくつかの実施形態では、前記ハンドルの前記長尺状の開口の横幅は、前記ポートの直径よりも大きい。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、前記挿入ツールの前記前縁を用いて切開部位を形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、前記ノーズ部を開位置と閉位置との間で移行させるべく、前記ツール上に配置されたアクチュエータを駆動させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記ツールを前記ポートおよび前記カテーテルから係合解除することは、前記ハウジングの前記長尺状の開口を通して前記カテーテルを摺動させることをさらに含む。
【0013】
本開示のより具体的な説明は、添付の図面に示される特定の実施形態を参照することによってなされる。これら図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しているため、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、追加の特異性および詳細とともに説明および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本明細書に開示される実施形態による薄型の挿入可能ポートの斜視図を示す。
図1B】本明細書に開示される実施形態による薄型の挿入可能ポートの側面図を示す。
図1C】本明細書に開示される実施形態による、ナブを含む薄型の挿入可能ポートの側面図を示す。
図2A】本明細書に開示される実施形態による薄型の挿入可能ポートの斜視図を示す。
図2B】本明細書に開示される実施形態による薄型の挿入可能ポートの側面図を示す。
図3A】本明細書に開示される実施形態による挿入ツールの斜視図を示す。
図3B】本明細書に開示される図3Aの挿入ツールの拡大した詳細図を示す。
図3C】本明細書に開示される実施形態による挿入ツールの上面図を示す。
図3D】本明細書に開示される実施形態による挿入ツールの側面図を示す。
図4A】本明細書に開示される実施形態によるポート留置システムの斜視図を示す。
図4B】本明細書に開示される実施形態による図4Aのポート留置システムを拡大した詳細図を示す。
図4C】本明細書に開示される実施形態によるポート留置システムの上面図を示す。
図4D】本明細書に開示される実施形態によるポート留置システムの側面図を示す。
図4E】本明細書に開示される実施形態によるポート留置システムの底面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0016】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数のステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値制限を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0017】
「近位」に関しては、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0018】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0019】
実施形態の記載において、図1Aに示すように、長手方向軸線は、カテーテルの軸方向長さと実質的に平行に延びる。横方向軸線は長手方向軸線に対して垂直に延び、横断方向軸線は、長手方向軸線および横方向軸線の両方に対して垂直に延びている。
【0020】
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
図1A乃至図1Cは、患者の脈管構造との流体連通を提供するために、皮下に留置されるように構成されるとともに、針、カニューレ、または同様のデバイスによってアクセスされるように構成される、薄型の挿入可能な血管アクセスデバイス、即ち「ポート」100を示す。図1Aは、ポート100の斜視図を示す。図1B乃至図1Cは、ポート100の実施形態の側面図を示す。ポート100は、概して、軸方向に延びるポート本体110と、該ポート本体110から延び、カテーテル90に係合するように構成される、ステム120とを含む。本明細書で使用される場合、ポート100は、ポート100/カテーテル90アセンブリの近位端に向かって配置され得るものであり、カテーテルは、ポート100/カテーテル90アセンブリの遠位端に向かって配置され得る。
【0021】
カテーテル90は、ポートステム120に締まり嵌めで係合するように構成された、柔軟な長尺状の管または本体を含むことができる。カテーテル90の遠位端は、患者の脈管構造内に配置されて、脈管構造との流体連通を提供することができる。カテーテル90の近位端は、ポートステム120の上に引き伸ばされて、それらの間に液密シールを提供するように構成され得る。換言すれば、ステム120は、カテーテル90の管腔に係合するように構成され得る。カテーテル90は、該カテーテル90の中にポートステム120を受容するように弾性的に変形され得る。弛緩状態では、カテーテル管腔92は、直径、断面積、および断面形状(例えば、円形、半円形、楕円形等)を画定し得る。一実施形態では、カテーテルロック80は、カテーテル90の外面に係合することができ、カテーテル90をポートステム120にさらに固定することができる。
【0022】
一実施形態では、ポート100は、近位端に配置された入口122から遠位端に配置された出口124まで延びる管腔140を画定することができる。一実施形態では、出口124は、ポートステム120によって画定することができる。一実施形態では、入口122は、管腔140への最近位開口として画定することができ、入口122の中に針を受容するように構成され得る。一実施形態では、出口124は、ポート管腔140の最遠位開口として画定することができ、カテーテル管腔92との流体連通を提供することができる。一実施形態では、ポート管腔140は、その軸方向長さ全体に沿って、すなわち入口122から出口124まで実質的に均一な直径を画定することができる。一実施形態では、ポート管腔140は、その軸方向長さ全体に沿って実質的に均一な横断面積を画定することができる。一実施形態では、ポート管腔140は、その軸方向長さ全体に沿って実質的に均一な横断面形状を画定することができる。
【0023】
一実施形態では、ポート管腔140の直径は、カテーテル管腔92の直径と等しくすることができる。一実施形態では、ポート管腔140の断面積は、カテーテル管腔92の断面積と等しくすることができる。一実施形態では、ポート管腔140の断面形状は、カテーテル管腔92の断面形状と等しくすることができる。一実施形態では、ポート管腔140の軸線は、カテーテル管腔92の軸線と平行に延びるか、またはカテーテル管腔92の軸線と整列している。一実施形態では、ポート100は、管腔140を通る流体の流れを制御するように構成された針貫通可能隔膜130、弁、または同様の構造をさらに含むことができる。
【0024】
有利なことに、ポート管腔140は、該ポート管腔140を通る任意の流体抵抗を最小化すべく、直径、断面積、または断面形状がほとんど変化しないか、または全く変化せずに、カテーテル管腔92との直接的な流体経路を提供することができる。さらに、ポート管腔140の軸線は、該ポート管腔140を流れる任意の流体抵抗を最小化すべく、カテーテル管腔92の軸線と整列することができる。これにより、ポート100を通り、カテーテル90を通る、患者の脈管構造内への流速を増大させることができる。
【0025】
一実施形態では、ポート本体110の外径または外側輪郭は、カテーテル90の外径または外側輪郭と実質的に同じであるか、またはそれよりもわずかに大きくすることができる。一実施形態では、最も広いまたは最も高い点におけるポートの直径(DP)は、カテーテルの直径(DC)の2倍未満であり得る。換言すれば、長手方向軸線に対して垂直に延びる軸線に沿ったポートの最大直径(DP)は、同じ軸線に沿ったカテーテルの直径(DC)の200%未満であり得る。一実施形態では、ポートの直径(DP)は、カテーテルの直径(DC)の130%乃至170%であり得る。有利には、ポート110の最大寸法は、カテーテル90の寸法と実質的に同じであってもよいし、またはカテーテル90の寸法よりもわずかに大きくてもよい。したがって、ポート110を留置することは、カテーテル90を単独で留置するために必要とされるであろうものと同じサイズの切開部位を必要とし得る。有利には、ポートを留置するために必要とされる切開部位は、閉鎖するためにより少ない縫合を必要とし得るか、または部位を閉鎖するために縫合を必要とせず、患者の回復時間を改善し、瘢痕化を低減し、審美性を改善する。
【0026】
一実施形態では、図1Bに示されるように、例えば隔壁130と出口124との間に配置されたポートルーメン140Aの第1の部分は、カテーテルルーメン92の軸線と整列する軸線に沿って延びることができる。例えばセプタム130の近位に配置されたポート管腔140Bの第2の部分は、ポート管腔140Aの第1の部分に対してある角度(θ)で延びることができる。角度(θ)は、1°と30°との間であり得る。
【0027】
一実施形態では、図1Cに示すように、ポート本体110は、長手方向軸線に沿って真っ直ぐに延び、カテーテル管腔92の軸と位置合わせされた管腔140を画定することができる。一実施形態では、ポート本体110は、入口122の底縁から延びるナブ150をさらに含むことができ、針先に衝突しながら針先を受容するとともに、針先を入口122に向けさせるように構成され得る。ナブ150は、ポート本体110の底面と平行に延びることができる。一実施形態では、ナブ150は、実質的に平坦な上面を画定することができる。一実施形態では、ナブ150は、凹んだ上面を画定することができる。一実施形態では、ナブ150は、針先を受容するとともに、針先を入口122に向けさせるように構成されるガイドチャネルまたは溝を含むことができる。一実施形態において、ナブ150は、該ナブ150の側縁から長手方向に延びるとともに、針を入口122に向かって案内するように構成された1つ以上の側壁152を含むことができる。側壁152は、針先が横方向に摺動してナブ150の上面から外れるのを防止することができる。
【0028】
一実施形態では、ポート本体110の下面は、実質的に平坦な表面を画定することができる。一実施形態では、ポート110の一部は、医療撮像下でポートの位置決めおよびアクセスを容易にするように構成された音波発生材料または放射線不透過性材料を含むことができる。
【0029】
図2A乃至図2Bは、薄型の挿入可能な血管アクセスデバイス、即ち「ポート」200の実施形態を示す。図2Aは、ポート200の斜視図を示す。図2B、ポート200の側面図を示す。ポート200は、概して、本明細書に説明されるように、軸方向に延びるポート本体210と、該ポート本体210から延びるステム220とを含み、該ステム220は、遠位開口を画定するとともにカテーテル90に係合するように構成される。一実施形態では、本明細書に説明されるように、カテーテルロック80は、カテーテル90の外面に係合することができ、カテーテル90をポートステム220にさらに固定することができる。
【0030】
一実施形態では、ポート200は、近位端に配置された入口222から遠位端に配置された出口224まで延びる管腔240を画定することができる。一実施形態では、出口224は、ポートステム220のポートステム220によって画定され得る。一実施形態では、ポート管腔240は、その軸方向長さ全体に沿って、すなわち入口222から出口224まで実質的に均一な直径を画定することができる。一実施形態では、ポート管腔240は、その軸方向長さ全体に沿って実質的に均一な断面積を画定することができる。一実施形態では、ポート管腔240は、その軸方向長さ全体に沿って実質的に均一な横断面形状を画定することができる。
【0031】
一実施形態では、ポート管腔240の直径は、カテーテル管腔92の直径と等しくすることができる。一実施形態では、ポート管腔240の断面積は、カテーテル管腔92の断面積と等しくすることができる。一実施形態では、ポート管腔240の断面形状は、カテーテル管腔92の断面形状と等しくすることができる。一実施形態では、ポート管腔240の軸線は、カテーテル管腔92の軸線と平行に延びるか、またはカテーテル管腔92の軸線と整列している。一実施形態では、ポート200は、内部を通る流体の流れを制御するように構成された針貫通可能隔壁230、弁、または同様の構造をさらに含むことができる。
【0032】
有利なことに、ポート管腔240は、該ポート管腔240を通る任意の流体抵抗を最小化すべく、直径、断面積、または断面形状がほとんど変化しないか、または全く変化しない直線的な経路を画定することができる。さらに、ポート管腔240は、ポート200とカテーテル90との間の任意の流体抵抗を最小化すべく、カテーテル管腔92の直径、断面積、または断面形状が、ほとんど変化しないか、または全く変化しない状態で一致させることができる。
【0033】
一実施形態では、ポート本体210の外径または外側輪郭は、カテーテル90の外径または外側輪郭と同じであるか、またはそれよりもわずかに大きくすることができる。一実施形態では、最も広いまたは最も高い点におけるポートの直径(DP)は、カテーテルの直径(DC)の2倍未満であり得る。換言すれば、長手方向軸線に対して垂直に延びる軸線に沿ったポートの最大直径(DP)は、同じ軸線に沿ったカテーテルの直径(DC)の200%未満であり得る。一実施形態では、ポートの直径(DP)は、カテーテルの直径(DC)の130%乃至170%であり得る。有利には、ポート210の最大寸法は、カテーテル90の寸法と実質的に同じであってもよいし、またはカテーテル90の寸法よりもわずかに大きくてもよい。したがって、ポート210を留置することは、カテーテル90を単独で留置するために必要とされるであろうものと同じサイズの切開部位を必要とし得る。有利には、ポート200を留置するために必要とされる切開部位は、従来のポートよりも大幅に小さくすることができるとともに、閉鎖するためにより少ない縫合を必要とし得るか、または部位を閉鎖するために縫合を必要としない。これにより、患者の回復時間が改善され、瘢痕化が低減され、かつ審美性が改善されることになる。
【0034】
一実施形態では、ポート210は、該ポート200から近位側に延びる、即ち、ステムからポート200の反対側の端部において入口222から離れて延びるナブ250を含むことができる。ナブ250は、ポート本体210の底面と平行に延びることができるとともに、入口222に向かって針を案内するように構成され得る。任意選択で、ナブ250は、角度が付けられて、針を隔壁230に向かって案内するように構成された1つまたは複数の側壁252を含むことができる。一実施形態では、ナブ250は、長手方向に延びるガイドチャネル254を含み、ガイドチャネル254は、該ガイドチャネル254の中に針先を受容するとともに、針先を入口222に向かって誘導するように構成される。一実施形態では、ポート210の一部は、医療撮像下でポートの位置決めおよびアクセスを容易にするように構成された音波発生材料または放射線不透過性材料を含むことができる。
【0035】
図3A乃至図3Dは、本明細書に説明されるように、薄型の挿入可能ポート100、200を受容するための組織ポケットを形成するように構成される留置ツール300の実施形態を示す。ツール300は、概して、前端に配置されたツールヘッド310と、ヘッド310から後方に延びるハンドル320とを含むことができる。ハンドル320は、ヘッド310を操作して組織ポケットを形成するために臨床医によって把持されるように構成され得る。
【0036】
一実施形態では、ヘッド310は、水平面または垂直面のうちの1つに沿って長手方向に延びるテーパ形状を画定することができる。一実施形態では、ナブ310は、スペード様形状を画定することができる。一実施形態では、ヘッド310は、ポート100、200のナブ150、250および/またはポート本体110、210の外形と同様の外形を画定することができる。したがって、ヘッド310が皮下に付勢されると、ヘッド310は、皮下移動を最小限にするように、ポート100、200の形状または外側輪郭に一致する組織ポケットを画定することができる。
【0037】
一実施形態では、ヘッド310は、実質的に平坦な下面312と傾斜した前面314とを画定することができ、各面は前縁330から後方に延びている。図3Bに示すように、傾斜した前面314は、平坦な下面に対して第1の角度で延びることができる。一実施形態では、ヘッド310は、前面314の最後端から延びる上面316を含むことができ、該上面316は、下面312に対して第1の角度とは異なる第2の角度で延びている。
【0038】
一実施形態では、ヘッド310は、ヘッド310が皮下で前方に付勢されるときに皮下組織を分離して組織ポケットを形成するように構成された鋭利な前縁330を含むことができる。一実施形態では、前縁330は、挿入部位を形成するように構成され得る。一実施形態では、前縁330は、ヘッド310の材料とは異なる材料から形成されるとともに、挿入部位を形成し、および/または皮下組織を分離して組織ポケットを形成するように構成されたブレードまたは同様の構造を含むことができる。一実施形態では、ヘッド310の最大横径または横方向直径(DH)は、ポート100、200の最大横径または横方向直径(DP)と同じであるか、またはそれよりもわずかに大きくすることができる。
【0039】
図4A乃至図4Eは、ポート留置システム400の一実施形態を示す。システム400は、薄型の挿入可能ポート、例えばポート100またはポート200をその中に受容するとともに、ポート100、200を皮下に留置するように構成される留置ツール402を概して含むことができる。ツール402は、ハウジング410と、該ハウジング410から後方に延びるハンドル420とを概して含むことができる。ハウジング410は、皮下組織を分離して組織ポケットを形成するように構成された角度が付いた、または鋭利な前縁430を含むことができる。ハウジング410は、該ハウジング410の中にポート100、200を受容するように構成された空洞412を画定することができる。ハウジング410は、該ハウジング410の下面に沿って延びるとともに、空洞412と連通する長尺状の開口414をさらに含むことができる。一実施形態では、長尺状の開口414は、ポート100、200の最外径(DP)よりも小さい幅(w)を画定することができ、カテーテル90の直径(DC)よりも大きいか、または実質的に同じであり得る。
【0040】
一実施形態では、ハンドル420は、ハウジング410の空洞412と連通するハンドル空洞422を画定することができる。ハンドル420は、底面に沿って延びるとともに、ハンドル空洞422と連通する長尺状の開口424を含むことができる。ハンドル開口424は、ハウジング410の長尺状の開口414と軸方向に整列し、及び/又は連通することができる。ハンドル開口424は、ポート100、200の最外径(DP)よりも大きい横幅を画定することができる。したがって、ハンドル開口424は、臨床医が、ポート100、200をハンドル開口424を通してハンドル空洞412の中へ通過させるとともに、ポート100、200をハウジング410の空洞412の中へ前方に前進させることによって、ポート100、200およびカテーテル90アセンブリをハウジング空洞422の中に装填し、そこに保持することができる。
【0041】
一実施形態において、ハウジング410は、ハウジング410にヒンジ結合され、閉位置と開位置との間で移行可能なノーズ部440を含むことができる。一実施形態では、ノーズ部440は前縁430を画定し得る。一実施形態では、ハウジング410の一部は前縁430を画定し得る。一実施形態では、閉位置にあるノーズ部440は、ハウジング410の一部と協働して前縁430を画定し得る。閉位置(図4A図4C乃至図4E)にあるノーズ部440は、前縁430から後方に延びる、角度の付いた、テーパ状の、スペード状の、または面取りされた輪郭を画定し得る。ノーズ部440は、本明細書で説明されるように、ツール402が皮下に付勢されると、皮下組織を分離して組織ポケットを形成するように構成され得る。一実施形態では、前縁430は、切開部位を形成し、および/または皮下組織を分離して組織ポケットを形成するように構成されたブレードまたは同様の構造を含むことができる。一実施形態では、ノーズ部440の輪郭は、ポート100、200の外側輪郭に実質的に一致することができる。これにより、ポート100、200の外側輪郭に合致する組織ポケットを提供することができ、皮下移動を最小限にすることができる。一実施形態では、ノーズ部440は、ハウジング410の内部空洞412との連通を提供すべく、開放位置(図4B)まで枢動するとともに、ポート100、200が遠位に摺動するとともに、組織ポケット内に配置されることを可能にすることができる。
【0042】
一実施形態では、ハンドル420は、ノーズ部440と機能的に結合され、開放位置と閉鎖位置との間でノーズ部を移行させるように構成されたアクチュエータ450を含むことができる。一実施形態では、アクチュエータ450は、押しボタンとすることができ、押しボタンが作動されたときにノーズ部440を開位置と閉位置との間で移行させるように構成された1つまたは複数の歯車、レバー、付勢部材、または同様の機構を含むことができる。押しボタンは例示的なものであり、様々なスライダ、ダイヤル、サムホイール、レバー、または同様のアクチュエータが企図されることが理解されよう。
【0043】
例示的な使用方法では、本明細書に記載されるように、ツール402およびポート、例えばポート100、200を概して含むポート留置システム400が提供される。一実施形態では、ポート100、200は、臨床医によってツール402内に装填され得る。一実施形態では、ポート100、200は、臨床医によってツール402内に装填され得る。臨床医は、ポート100、200をハンドル開口424を通してハンドル空洞422内に通すことによって、ポート100、200をツール402内に装填することができる。ハンドル開口424の横幅は、ポート100、200およびカテーテル90アセンブリがハンドル開口424を通過可能にすべく、ポート100、200およびカテーテル90アセンブリの外径(DP)より広くすることができる。ポート100、200およびカテーテル90アセンブリの長手方向軸線は、ツール420の中心軸線70と横方向に整列することができる。臨床医は、ポート100、200がハウジング410内に着座してそこに保持されるまで、中心軸線70に沿ってポート100、200を前方に前進させることができる。
【0044】
一実施形態では、ハウジング空洞412またはハンドル空洞422の一方は、ポート100、200がハウジング空洞412内に前進可能にするように構成された1つまたは複数の爪、戻り止め、または当接部を含むことができるが、ハウジング空洞412からのポート100、200の逆行移動を軽減すべく、ポート100、200またはカテーテル90の一方に当接することができる。ポート100、200がハウジング空洞412内に配置された状態で、カテーテル90は、ハンドルキャビティ開口424を通って後方に延びることができる。臨床医は、ポート100、200が内部に配置されたハウジング410を操作すべく、ハンドル420を把持することができる。任意選択的に、臨床医は、ハウジング410を操作すべく、かつハウジング空洞412からのポート100、200の逆行移動を軽減すべくハンドル420およびカテーテル90を一緒に把持することができる。
【0045】
次に、臨床医は、前縁430を皮下に付勢することができる。任意選択で、臨床医は、前縁430を皮下に付勢する前に、ハウジング410が通過するための切開部位を皮膚表面に形成することができる。一実施形態では、ツールの前縁430は、鋭利であってもよいし、あるいは、ハウジング410が皮下に付勢されるときに切開部位を形成するように構成されたブレードもしくは同様の構造を含んでもよい。一実施形態では、ブレードは、ハウジング410の材料とは異なる機械的特性を有する異なる材料から形成され得る。前縁部430が皮下に付勢されると、ノーズ部440の形状は、皮下組織を分離するとともに組織ポケットを形成するように構成され得る。
【0046】
組織ポケットが形成されると、臨床医は、ノーズ部440を閉位置から開位置に移行させるべく、アクチュエータ450を作動させることができる。ノーズ部440が開位置にある状態で、ハウジング空洞412内に配置されたポート100、200は、ツール402の前方に前進するとともに、組織ポケット内に配置され得る。一実施形態では、臨床医は、ポート100、200をハウジング空洞412から前方に前進させるべく、カテーテル90を操作することができ、その後、ツール402は近位方向に引き抜かれ得る。一実施形態では、ノーズ部440が開位置にある状態で、ポート100、200は、任意選択でカテーテル90を操作する臨床医によって、組織ポケット内で静止したままであり得る。次いで、ツール402は、ポート100、200を適所に残して、組織ポケットから近位方向に引き抜かれ得る。一実施形態では、ツール402が近位方向に引き抜かれると、カテーテル90は、ツール402がポート100、200およびカテーテル90のアセンブリから係合解除されるまで、ハンドル空洞開口424および下面に沿って配置されたハウジング空洞開口414を軸方向に通過することができる。
【0047】
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。更なる適合及び/又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合及び/又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
前記ポート管腔の第1の部分の軸線は、前記カテーテル管腔の軸線と整列している、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項12
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項12】
前記ポート管腔の前記第1の部分は、隔壁と前記出口との間に延びている、請求項11に記載の血管アクセスデバイス。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項13
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項13】
前記ポート管腔の第2の部分の軸線は、前記第1の部分に対してある角度で延び、前記第2の部分は、前記隔壁の近位に配置されている、請求項12に記載の血管アクセスデバイス。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項14】
前記ポート本体の最外径は、前記カテーテルの外径の2倍未満である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項19
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項19】
ポートを皮下に留置するように構成されたポート留置システムであって、
入口から出口まで長手方向軸線に沿って延びる管腔を画定するポートであって、前記管腔は、前記入口と前記出口との間に均一な断面直径を画定する、ポートと、
前記遠位出口に結合されるとともに、前記ポートの出口と流体連通するカテーテルと、
留置ツールであって、
内部に前記ポートを受容するように構成された空洞を画定するハウジングであって、該ハウジングの底面に沿って長手方向に延びるとともに、前記空洞と連通する長尺状の開口を含むハウジングと、
前記ハウジングから延びるハンドルと、
前記ハンドルとは反対側の端部で前記ハウジングにヒンジ結合されるとともに、前記空洞から前記ポートを解放するために閉位置と開位置との間で移行するように構成されたノーズ部と
を含む留置ツールと
を備える、ポート留置システム。
【国際調査報告】