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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】加速度に基づく患者体重決定
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20240412BHJP
   A61N 1/365 20060101ALI20240412BHJP
   G01G 19/44 20060101ALI20240412BHJP
   G01G 9/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A61B5/11 200
A61N1/365
G01G19/44 D
G01G9/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568385
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 US2022025719
(87)【国際公開番号】W WO2022235438
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/185,848
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シュート、ジョナサン ベネット
(72)【発明者】
【氏名】アーメド、レズワン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン、グージェン
(72)【発明者】
【氏名】タクール、プラモドシン ヒラシン
【テーマコード(参考)】
4C038
4C053
【Fターム(参考)】
4C038VA12
4C038VA13
4C038VB35
4C038VC20
4C053JJ23
4C053KK01
(57)【要約】
既存の医療装置センサを使用して患者体重の測定値を決定するためのシステムおよび方法が開示される。システムおよび方法は、患者の加速度情報を受信すること、加速度情報の値が測定ウィンドウにわたって活動閾値を超えている場合に、加速度情報を使用して測定ウィンドウ内における患者の歩きを検出すること、検出された患者の歩きを使用して測定ウィンドウにわたって患者歩数を決定すること、測定ウィンドウにおける患者歩き力の測定値を決定すること、および決定された患者歩数と患者歩き力の測定値とを使用して患者体重の測定値を決定することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
患者の加速度情報を受信する手段と、
前記加速度情報の値が活動閾値を超えるかどうかを判定し、前記加速度情報の値が前記活動閾値を超えていることに応答して、
前記加速度情報を使用して測定ウィンドウ内における患者の歩きを検出し、
前記検出された患者の歩きを使用して、
前記測定ウィンドウにわたって患者歩数を決定し、
前記測定ウィンドウにおける患者歩き力の測定値を決定する
ように構成された評価回路と、を備え、
前記評価回路は、前記決定された患者歩数と患者歩き力の測定値とを使用して患者体重の測定値を決定するように構成されている、医療装置。
【請求項2】
前記評価回路は、
複数の測定ウィンドウについて患者歩数と患者歩き力の測定値とを決定し、
それぞれの前記測定ウィンドウにおける前記決定された患者歩数に応じたビンのセットのうちの一つのビンに、前記決定された患者歩き力の測定値をビン化し、
前記ビンのセットのうちの一つのビンの前記決定された患者歩き力の測定値を使用して前記患者体重の測定値を決定する
ように構成されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記評価回路は、
複数の日にわたる前記複数の測定ウィンドウについて患者歩数と患者歩き力の測定値とを決定し、
それぞれの前記日について前記決定された患者歩き力の測定値を有する前記ビンのセットの各ビンにおける患者歩き力の日ごとの測定値を決定し、
前記ビンのセットのうちの一つのビンの前記決定された患者歩き力の日ごとの測定値を使用して前記患者体重の測定値を決定する
ように構成されている、請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記患者体重の測定値は、患者体重の変化を含み、
前記評価回路は、
前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の経時的な変化の測定値を決定し、
前記決定された変化の測定値を使用して前記患者体重の変化を決定する
ように構成されている、請求項2または3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記評価回路は、
1日にわたって生じる前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の変化を使用した患者体重の1日内変化と、
複数の日を含む第1の期間にわたって生じる前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の変化を使用した患者体重の短期変化と、
前記第1の期間よりも長い第2の期間にわたって生じる前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の変化を使用した患者体重の長期変化と、
のうちの少なくとも1つを決定するように構成されている、請求項4に記載の医療装置。
【請求項6】
前記評価回路は、
それぞれの前記測定ウィンドウにおける前記決定された患者歩数と、前記測定ウィンドウの時刻および前記測定ウィンドウの長さのうちの少なくとも1つとに応じた前記ビンのセットのうちの一つのビンに、前記決定された患者歩き力の測定値をビン化し、
前記測定ウィンドウの特定の時刻と特定の長さのうちの少なくとも1つに対応する前記ビンのセットのうちの一つのビンの前記決定された患者歩き力の測定値を使用して前記患者体重の測定値を決定する
ように構成されている、請求項2~5のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項7】
前記ビンのセットは、患者歩数の異なる範囲および1日の異なる期間に対応し、
前記ビンのセットが、
第1の範囲の患者歩数と、1日の第1の期間と、前記測定ウィンドウの第1の長さとに対応する第1のビンと、
第2のビン、第3のビン、第4のビン、第5のビン、および第6のビンのうちの少なくとも1つであって、
前記第1の範囲の患者歩数と、1日の前記第1の期間と、前記測定ウィンドウの第2の長さとに対応する前記第2のビンと、
前記第1の範囲の患者歩数と、1日の第2の期間と、前記測定ウィンドウの前記第1の長さとに対応する前記第3のビンと、
第2の範囲の患者歩数と、1日の前記第1の期間と、前記測定ウィンドウの前記第1の長さとに対応する前記第4のビンと、
前記第1の範囲の患者歩数と、1日の前記第2の期間と、前記測定ウィンドウの前記第2の長さとに対応する前記第5のビンと、
前記第2の範囲の患者歩数と、1日の前記第1の期間と、前記測定ウィンドウの前記第2の長さとに対応する前記第6のビンと、
のうちの少なくとも1つと、を含む、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記第1の範囲の患者歩数は40~60歩/分を含み、前記第2の範囲の患者歩数は60~90歩/分を含み、
1日の前記第1の期間は1日の朝の期間を含み、1日の前記第2の期間は1日の夜の期間を含む、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記ビンのセットは、患者歩数の異なる範囲に対応し、
前記ビンのセットが、
第1の範囲の患者歩数に対応する第1のビンと、
前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲の患者歩数に対応する第2のビンと、
を含み、
前記評価回路は、前記第2の範囲の患者歩数よりも小さい前記第1の範囲の患者歩数に対応する前記第1のビンの前記決定された患者歩き力の測定値を優先しつつ、前記第1および第2のビンについての前記決定された患者歩き力の測定値を使用して前記患者体重の測定値を決定するように構成されている、請求項2~6のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項10】
前記評価回路は、
前記測定ウィンドウにわたる前記決定された患者歩数を使用して前記測定ウィンドウにわたる患者歩行速度を決定し、
前記決定された患者歩行速度と患者歩き力の測定値とを使用して前記患者体重の測定値を決定する
ように構成されている、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項11】
前記患者の加速度情報を受信する手段が、前記患者の加速度情報を受信するように構成された信号受信回路を含む、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項12】
前記医療装置は、前記患者の体内に埋め込まれるように構成された埋め込み型医療装置を含み、
前記埋め込み型医療装置は、前記患者の加速度情報を検知するように構成された加速度センサを備え、
前記信号受信回路は、前記加速度センサから前記加速度情報を受信するように構成されている、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記信号受信回路は、前記患者のインピーダンス情報と前記患者の心音情報とのうちの少なくとも1つを受信するように構成されており、
前記評価回路は、前記受信したインピーダンス情報と前記決定された患者体重の測定値とを使用して患者の体液貯留の指標を決定するように構成されている、請求項11または12に記載の医療装置。
【請求項14】
前記信号受信回路は、前記患者の心音情報を受信するように構成されており、
前記評価回路は、前記受信した心音情報と前記決定された患者体重の測定値とを使用して心不全の指標を決定するように構成されている、請求項11~13のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項15】
方法であって、
患者の加速度情報を受信すること、
評価回路を使用して、前記加速度情報の値が測定ウィンドウにわたって活動閾値を超えるかどうかを決定し、前記加速度情報の値が前記測定ウィンドウにわたって前記活動閾値を超えていることに応答して、
前記加速度情報を使用して前記測定ウィンドウ内における患者の歩きを検出し、
前記検出された患者の歩きを使用して前記測定ウィンドウにわたって患者歩数を決定し、
前記測定ウィンドウにおける患者歩き力の測定値を決定すること、および
前記評価回路を使用して、前記決定された患者歩数と患者歩き力の測定値とを使用して患者体重の測定値を決定すること、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して加速度計を備える医療装置に関し、特に、加速度に基づく患者体重決定に関する。本出願は、2021年5月7日に出願された米国仮特許出願第63/185,848号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
心調律管理(CRM)装置などの埋め込み型医療装置(IMD)は、身体に血液を十分に送達する心臓の能力の低下に関連する種々の心臓状態を監視、検出、または治療するために使用され得る。いくつかの場合において、心臓の状態は、急速な、不規則な、または非効率的な心臓収縮などをもたらし得る。これらの状態のうちの一つ以上を緩和するべく、心臓活動を監視したり、または心臓の収縮を最適化もしくは制御するための電気刺激を提供したりするために、種々の医療装置が患者の身体に埋め込まれ得る。
【0003】
心不全(HF)は、身体の必要性を満たすのに十分な血液を送達する心臓の能力の低下である。心不全患者は、一般に、心筋が弱った肥大した心臓を有し、収縮性の低下および血液の心拍出量の低下をもたらす。心不全の典型的な徴候には、息切れ、倦怠感、衰弱、肺うっ血、浮腫などが含まれる。
【0004】
突然のまたは定常的な体重増加は、体液貯留または体液蓄積の指標であり、心不全の悪化の最初の身体的徴候の1つであることが多い。心不全などの心臓状態を有する患者には、一般に、患者の体重を監視するための体重計が提供される。従来の体重計は、患者のコンプライアンスを必要とする。従来の体重計の測定は、毎日同じ時刻に行われる場合であっても、衣類、患者の食事、水分摂取、睡眠の質、体重計の下の表面、起こり得る傾斜または偏角などの日々の変動が個々の体重測定を著しく変化させ得るため、その測定に依存することが困難であることが多い。このような信頼性の欠如により、多くのヘルスケア提供者及び患者ケア施設は、コストを節約するために患者に体重計を提供することを停止している。
【0005】
しかしながら、患者の体重、または患者の体重の突然の変化や漸進的な変化の信頼できる費用対効果の高い測定は、臨床的に依然として価値がある。
【発明の概要】
【0006】
既存の医療装置センサを使用して患者体重の測定値を決定するためのシステムおよび方法が開示される。システムおよび方法は、患者の加速度情報を受信すること、前記加速度情報の値が測定ウィンドウにわたって活動閾値を超えている場合に、前記加速度情報を使用して前記測定ウィンドウ内における患者の歩きを検出すること、前記検出された患者の歩きを使用して前記測定ウィンドウにわたって患者歩数を決定すること、前記測定ウィンドウにおける患者歩き力の測定値を決定すること、および前記決定された患者歩数と患者歩き力の測定値とを使用して患者体重の測定値を決定することを備える。
【0007】
主題(例えば、埋め込み型医療装置)の一例(例えば、「実施例1」)は、患者の加速度情報を受信するように構成された信号受信回路と、前記加速度情報の値が活動閾値を超えるかどうかを判定し、前記加速度情報の値が活動閾値を超えていることに応答して、前記加速度情報を使用して測定ウィンドウ内における患者の歩きを検出し、前記検出された患者の歩きを使用して前記測定ウィンドウにわたって患者歩数を決定し、前記測定ウィンドウにおける患者歩き力の測定値を決定するように構成された評価回路とを備え得る。前記評価回路は、前記決定された患者歩数と患者歩き力の測定値とを使用して患者体重の測定値を決定するように構成されている。
【0008】
実施例2において、実施例1の主題は、前記評価回路が、複数の測定ウィンドウについて患者歩数と患者歩き力の測定値とを決定し、それぞれの前記測定ウィンドウにおける前記決定された患者歩数に応じたビンのセットのうちの一つのビンに、前記決定された患者歩き力の測定値をビン化し、前記ビンのセットのうちの一つのビンの前記決定された患者歩き力の測定値を使用して患者体重の測定値を決定するべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0009】
実施例3において、実施例1~2のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記評価回路が、複数の日にわたる前記複数の測定ウィンドウについて患者歩数と患者歩き力の測定値とを決定し、それぞれの前記日について前記決定された患者歩き力の測定値を有する前記ビンのセットの各ビンにおける患者歩き力の日ごとの測定値を決定し、前記ビンのセットのうちの一つのビンの前記決定された患者歩き力の日ごとの測定値を使用して前記患者体重の測定値を決定するべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0010】
実施例4において、実施例1~3のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記患者体重の測定値が患者体重の変化を含み、前記評価回路が、前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の経時的な変化の測定値を決定し、前記決定された変化の測定値を使用して前記患者体重の変化を決定するべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0011】
実施例5において、実施例1~4のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記評価回路が、1日にわたって生じる前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の変化を使用した患者体重の1日内変化と、複数の日を含む第1の期間にわたって生じる前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の変化を使用した患者体重の短期変化と、前記第1の期間よりも長い第2の期間にわたって生じる前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の変化を使用した患者体重の長期変化と、のうちの少なくとも1つを決定するべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0012】
実施例6において、実施例1~5のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記評価回路が、それぞれの前記測定ウィンドウにおける前記決定された患者歩数と、前記測定ウィンドウの時刻および前記測定ウィンドウの長さのうちの少なくとも1つとに応じた前記ビンのセットのうちの一つのビンに、前記決定された患者歩き力の測定値をビン化し、前記測定ウィンドウの特定の時刻および特定の長さのうちの少なくとも1つに対応する前記ビンのセットのうちの一つのビンの前記決定された患者歩き力の測定値を使用して前記患者体重の測定値を決定するべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0013】
実施例7において、実施例1~6のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記ビンのセットが患者歩数の異なる範囲および1日の異なる期間に対応し、当該ビンのセットが、第1の範囲の患者歩数と1日の第1の期間と前記測定ウィンドウの第1の長さとに対応する第1のビンと、第2のビン、第3のビン、第4のビン、第5のビン、および第6のビンのうちの少なくとも1つであって、前記第1の範囲の患者歩数と1日の前記第1の期間と前記測定ウィンドウの第2の長さとに対応する前記第2のビンと、前記第1の範囲の患者歩数と1日の第2の期間と前記測定ウィンドウの前記第1の長さとに対応する前記第3のビンと、第2の範囲の患者歩数と1日の前記第1の期間と前記測定ウィンドウの前記第1の長さとに対応する前記第4のビンと、前記第1の範囲の患者歩数と1日の前記第2の期間と前記測定ウィンドウの前記第2の長さとに対応する前記第5のビンと、前記第2の範囲の患者歩数と1日の前記第1の期間と前記測定ウィンドウの前記第2の長さとに対応する前記第6のビンと、のうちの少なくとも1つとを含むべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0014】
実施例8において、実施例1~7のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記第1の範囲の患者歩数が40~60歩/分を含み、前記第2の範囲の患者歩数が60~90歩/分を含み、1日の前記第1の期間が1日の朝の期間を含み、1日の前記第2の期間が1日の夜の期間を含むべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0015】
実施例9において、実施例1~8のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記ビンのセットが患者歩数の異なる範囲に対応し、当該ビンのセットが、第1の範囲の患者歩数に対応する第1のビンと、前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲の患者歩数に対応する第2のビンと、を含み、前記評価回路が、前記第2の範囲の患者歩数よりも小さい前記第1の範囲の患者歩数に対応する前記第1のビンの前記決定された患者歩き力の測定値に優先しつつ、前記第1および第2のビンについての前記決定された患者歩き力の測定値を使用して前記患者体重の測定値を決定するべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0016】
実施例10において、実施例1~9のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記評価回路が、前記測定ウィンドウにわたる前記決定された患者歩数を使用して前記測定ウィンドウにわたる患者歩行速度を決定し、前記決定された患者歩行速度と患者歩き力の測定値とを使用して前記患者体重の測定値を決定するべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0017】
実施例11において、実施例1~10のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記医療装置が、前記患者の体内に埋め込まれるように構成された埋め込み型医療装置を含み、前記埋め込み型医療装置が、前記患者の加速度情報を検知するように構成された加速度センサを備え、信号受信回路が前記加速度センサから前記加速度情報を受信するべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0018】
実施例12において、実施例1~11のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記信号受信回路が患者のインピーダンス情報を受信するように構成され、前記評価回路が、前記受信したインピーダンス情報と前記決定された患者体重の測定値とを使用して患者体液貯留の指標を決定するべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0019】
実施例13において、実施例1~12のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記評価回路が、患者治療の指標を受信して、治療後における前記決定された患者体重の測定値を使用して治療有効性を決定するべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0020】
実施例14において、実施例1~13のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記信号受信回路が、前記患者の心音情報を受信するように構成され、前記評価回路が、前記受信した心音情報と前記決定された患者体重の測定値とを使用して心不全の指標を決定するべく構成されるように、任意選択的に構成され得る。
【0021】
主題(例えば、方法)の一例(例えば、「実施例15」)は、患者の加速度情報を受信することと、評価回路を使用して、前記加速度情報の値が測定ウィンドウにわたって活動閾値を超えるかどうかを判定し、前記加速度情報の値が前記測定ウィンドウにわたって前記活動閾値を超えていることに応答して、前記加速度情報を使用して前記測定ウィンドウ内における患者の歩きを検出し、前記検出された患者の歩きを使用して前記測定ウィンドウにわたる患者歩数を決定し、前記測定ウィンドウにおける患者歩き力の測定値を決定することと、前記評価回路を使用して、前記決定された患者歩数と患者歩き力の測定値とを使用して患者体重の測定値を判定することとを備え得る。
【0022】
実施例16において、実施例15の主題は、前記評価回路を使用して、複数の測定ウィンドウについて患者歩数と患者歩き力の測定値とを決定することと、それぞれの前記測定ウィンドウにおける前記決定された患者歩数に応じたビンのセットのうちの一つのビンに、前記決定された患者歩き力の測定値をビン化することと、を含み、前記患者体重の測定値を決定することが、前記ビンのセットのうちの一つのビンの前記決定された患者歩き力の測定値を使用することを含むように、任意選択的に構成され得る。
【0023】
実施例17において、実施例1~16のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記患者歩数および患者歩き力の測定値を決定することが、複数の日にわたる前記複数の測定ウィンドウについて患者歩数と患者歩き力の測定値とを決定することを含み、当該主題が、それぞれの前記日について前記決定された患者歩き力の測定値を有する前記ビンのセットの各ビンにおける患者歩き力の日ごとの測定値を決定することを含み、前記患者体重の測定値を決定することが、前記ビンのセットのうちの一つのビンの前記決定された患者歩き力の日ごとの測定値を使用することを含むように、任意選択的に構成され得る。
【0024】
実施例18において、実施例1~17のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記評価回路を使用して、前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の経時的な変化の測定値を決定することを含み、前記患者体重の測定値を決定することが、前記決定された変化の測定値を使用して前記患者体重の変化を決定することを含むように、任意選択的に構成され得る。
【0025】
実施例19において、実施例1~18のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記決定された患者歩き力の測定値をビン化することが、それぞれの前記測定ウィンドウにおける前記決定された患者歩数と、前記測定ウィンドウの時刻とに応じた前記ビンのセットのうちの一つのビンに、前記決定された患者歩き力の測定値をビン化することを含み、前記患者体重の測定値を決定することが、前記特定の時刻における前記ビンのセットのうちの1つのビンの前記決定された患者歩き力の測定値を使用することを含むように、任意選択的に構成され得る。
【0026】
実施例20において、実施例1~19のうちのいずれか一つ以上の主題は、前記ビンのセットが、患者歩数の異なる範囲に対応し、当該ビンのセットが、第1の範囲の患者歩数に対応する第1のビンと、前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲の患者歩数に対応する第2のビンとを含み、前記患者体重の測定値を決定することが、前記第2の範囲の患者歩数よりも小さい前記第1の範囲の患者歩数に対応する前記第1のビンの前記決定された患者歩き力の測定値を優先しつつ、前記第1および第2のビンについての前記決定された患者歩き力の測定値を使用することを含むように、任意選択的に構成され得る。
【0027】
実施例21において、主題(例えば、システムまたは装置)は、実施例1~20のうちのいずれか一つ以上の任意の部分または任意の部分の組み合わせを任意選択的に組み合わせることで、実施例1~20の機能または方法のいずれか一つ以上の任意の部分を実行する「手段」、または、機械によって実行されたときに実施例1~20の機能または方法のいずれか一つ以上の任意の部分を機械に実行させる命令を含む少なくとも1つの「非一時的な機械可読媒体」を備え得る。
【0028】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図している。本開示の排他的または網羅的な説明を提供することを意図していない。本特許出願のさらなる情報を提供するために詳細な説明が含まれている。本開示の他の態様は、以下の詳細な説明を読み、理解し、その一部を形成する図面を参照することで当業者に明らかとなり得る。これらはそれぞれ限定的な意味で解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、安定した歩行速度における、追加体重がある場合とない場合との患者加速度情報の測定値の関係を示す図である。
図2図2は、安定した歩行速度における、追加体重がある場合とない場合との患者加速度情報の測定値の関係を示す図である。
図3図3は、異なる安定した歩行速度で移動する多数の患者についての、患者加速度情報の測定値と患者体重の測定値との関係を示す図である。
図4図4は、患者加速度情報を使用して患者体重の測定値を決定する例示的な方法を示す図である。
図5図5は、複数の日にわたる、異なるビンからの患者歩き力の日ごとの値と患者歩き力の日ごとの値の組み合わせ値との関係を示す図である。
図6図6は、患者体重の測定値を決定するための例示的なシステムを示す図である。
図7図7は、例示的な患者管理システムと、システムが動作し得る環境の一部とを示す図である。
図8図8は、本明細書で説明する技術のうちの任意の一つ以上が実行され得る例示的な機械のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面は必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、図面において同様の数字は異なる図における同様の構成要素を示し得る。異なる添え字を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なる場合を表し得る。図面は概して、限定としてではなく例示として、本明細書で説明される種々の実施形態を図示するものである。
【0031】
埋め込み型および携帯型の医療装置は、多くの場合、1つまたは複数の加速度センサと、患者加速度情報、とりわけ、心臓または患者血管系における血流または動きに関連する心臓振動情報(例えば、心音や心臓壁運動など)や、患者身体活動または患者位置情報(例えば、患者姿勢や活動など)や、呼吸情報(例えば、呼吸数、呼吸相、呼吸音など)などを決定および監視するための処理回路とを含み得る。本発明者らは、とりわけ、既存の埋め込み型または携帯型の医療装置のセンサを使用して患者体重の測定値を決定し、追加の物理的コストをほとんどまたは全く伴わずに既存のセンサシステムに追加の機能を提供するシステムおよび方法を認識した。決定された患者体重の測定値は、追加の臨床測定値として、または診断アルゴリズムにおける追加の測定値として使用されることで、異なる患者状態の検出、判定、治療有効性、あるいはアラートの感度や、特異度や、信頼度や、速度を改善し得る。
【0032】
患者は、歩く際に地面に力を加える。加えられた地面への力の大きさは、患者の質量に直接関係する。より小さい質量を有する患者は、より大きい質量を有する患者とは対照的に、歩行時に相対的に小さい力を及ぼす。既存の埋め込み型または携帯型の医療装置センサは、患者が動いている間に加えられた力を検出し得る。しかしながら、患者が動いている間に加えられる力は、患者の動きのタイプや速度、履物、歩行、表面硬度、体液貯留、時刻、患者が追加の物体または重量を運んでいるかどうか、身体的補助の助けを借りて移動しているかどうか、または患者の通常の移動速度と比べて人工的に速いもしくは遅いペースで移動しているかどうかなどを含む、様々な環境または患者要因に応じて変化する。
【0033】
本発明者らは、とりわけ、異なる基準を使用して力の測定がゲーティングされることで、信頼できる患者体重の測定値を提供し得ることを認識した。特定の例では、決定された患者体重の測定値を使用することで、心不全や体液貯留といった早期徴候などの1つまたは複数の他の患者状態判定またはアラートの優先順位を段階的に上げ、確認し、検証し、または調整することが可能となり、あるいは、患者体重の減少の確認や、利尿剤もしくは他の心不全療法が提供された後のベースラインへの復帰などの患者状態の向上または治療有効性を判定することが可能となる。
【0034】
図1は、安定した歩行速度における、追加体重102がある場合とない場合との、ミリガル(mG)単位における患者加速度情報101の測定値の関係100を示す。12秒間における多数の力測定値が、追加体重を有していない患者103と、追加の+2.25kg(約5ポンド)を有している患者104と、追加の+4.5kg(約10ポンド)を有している患者105とともに示されている。図1に示された測定値に対する第1の最良適合線106は0.5の正相関(r)を有している。
【0035】
図2は、安定した歩行速度における、追加体重202がある場合とない場合との、患者加速度情報201の測定値の関係200を示す。図1に示された12秒間における力測定値の数とは対照的に、図2は、120秒間における多数の力測定値が、追加体重を有していない患者203A,203Bと、追加の+2.25kg(約5ポンド)を有している患者204と、追加の+4.5kg(約10ポンド)を有している患者205とともに示されている。図2に示された測定値に対する第2の最良適合線206は0.981の正相関(r)を有している。
【0036】
図3は、測定された患者加速度情報301(例えば、120秒間における力測定値のセンサ整流平均(SRA))と、1.0mphの歩行速度で移動している多数の患者(正方形のデータ点303A,303Bなどを使用して示される)および1.2mphの歩行速度で移動している多数の患者(丸いデータ点304A,304Bなどを使用して示される)の患者体重302との関係300を示す。第3の最良適合線306は、測定された力測定値と患者体重との間の全体的な関係を示している。患者体重の決定は、例えば、心不全患者や埋め込み型または携帯型の医療装置を有する患者の母集団データに対する最良適合線に沿って推定することができる。他の例では、母集団データは、年齢や平均移動速度などの他の要因によってさらに分離したり、あるいは他の患者入力または他の物理的速度の指標(例えば、GPSウォッチ、モバイルフォンデータからの移動速度の推定値など)を使用して較正したりすることができる。
【0037】
力測定値は概して、患者の体重に相関する。例えば、トレッドミル上において異なる歩行速度の異なる患者から異なる装置(および多軸装置の異なる軸)により収集された力測定値は、患者加速度情報の測定値と患者体重の測定値との間に中程度の相関(r>0.5)を示した。異なる歩行速度にわたる単軸パルス発生器からの120秒周期の力測定値の平均二乗平方根(RMS)値は、0.54の異なる患者および速度間の相関(r)を提供した。多軸挿入可能心臓モニタ(ICM)からの120秒周期の力測定値の平均RMS値は、異なる軸において異なる相関(r)を提供し、患者の垂直軸に最も近く整列する軸は、0.56での最も高い相関(r)を提供した。
【0038】
様々な例において、同じまたは異なる加速度センサが、異なる電力、処理、性能、または記憶要件を用いて、異なる周波数で生じる異なる患者加速度情報を決定するために、重複または非重複期間にて使用され得る。例えば、患者の心音や心内膜もしくは心臓の加速度情報などの心臓加速度情報、または特定の患者の呼吸音は、異なる周波数で発生し得るとともに、患者の姿勢、身体活動、または呼吸数などの患者の運動または活動情報とは異なる、より高いサンプリングレートを必要とし得る。患者運動情報は50Hz以下のサンプリングレートで検出されることが多いが、心音情報は200Hz以上のサンプリングレートで検出されることが多い。
【0039】
いくつかの例において、1つまたは複数の軸(例えば、単軸加速度計、3軸加速度計(例えば、X軸、Y軸、Z軸)など)を備える単一の加速度センサは、装置の電力消費を低減するなどのために、第1の期間において第1のサンプリングレート(例えば、200Hz以上などの高サンプリングレート)を必要とし、第1の期間と重複しない第2の期間において異なる第2のサンプリングレート(例えば、50Hz以下などの低サンプリングレート)を必要とするようにゲーティングされ得る。他の例において、多軸センサの異なる軸は、異なる周期、異なるサンプリングレートで、または異なる処理(例えば、フィルタや信号調整など)もしくは記憶要件を用いてサンプリングされ得る。さらに他の例において、埋め込み型または携帯型の医療装置は、異なる周期、異なる周波数で、または異なる処理もしくは記憶要件を用いて患者の異なる加速度情報を検出するように構成された異なる加速度センサを含み得る。例えば、心臓加速度情報よりも高い大きさかつ低い周波数応答を有する活動を検知するように調整された、より剛性の高いセンサを使用して身体活動または運動情報を検出することが有利であり得る一方、より高い感度およびサンプリング周波数を有するセンサ(例えば、マイクロホンなど)を使用して心臓加速度情報を検出することが有利であり得る。
【0040】
各測定において収集されるデータの量を増加させることは一般に、患者体重の測定および決定の精度を改善する。力測定値を測定された患者体重に相関させると、12秒間の力測定値はほぼ3ポンドの誤差を示す一方、60秒間の力測定値は約2ポンドの誤差を示し、120秒の力測定値は1ポンド未満の誤差を示した。より長い測定期間(例えば、12秒の期間とは対照的な120秒の期間など)は、患者の体重のより良好な決定を提供する。2ポンドの毎日の変動は患者アラートをトリガする可能性があるので、より長い測定期間を使用して患者体重の測定値を決定することが好ましい場合があり得る。複数のより短い測定期間の組み合わせ、またはより長い測定期間とより短い測定期間との組み合わせは、測定誤差を低減することができる。しかしながら、他のゲーティング基準(gating criteria)(例えば、活動閾値、歩数、時刻、位置など)を考慮すると、より短い測定期間とは対照的に、より長い測定期間を必要とすることにより、毎日の使用に利用可能な別個のデータ測定の数を減少させることができ、トレードオフとなる。
【0041】
患者体重の決定、および患者体重決定の信頼度は、例えば、好ましいグレーティング基準に関する測定値の線形または非線形の組み合わせとして決定および提供することができる。好ましいグレーティング基準(grating criteria)は、とりわけ、比較的長い測定期間(例えば、比較的短い測定期間などとは対照的に、120秒の期間など)、測定の閾値数、特定の時刻、温度、活動閾値、歩数、患者移動速度、位置などのうちの一つ以上を含み得る。
【0042】
特定の例において、各好ましい基準を満たさない測定値は、患者体重決定の信頼性を低下させるが、測定の閾値数を達成するなど患者体重決定のために使用することができる。測定の閾値数は、静的(例えば、少なくとも2つ)または動的、例えば期待値からの変動に依存するものであってよい。単一の測定値が期待値(以前の値または傾向値)の閾値範囲内にある場合、追加の測定が必要とされない場合がある。しかしながら、測定値が閾値範囲外(例えば、以前の値または傾向値の±2パーセント、以前の値または傾向値の±1パーセントなど)である場合、追加の測定が必要とされ得る。決定された患者体重の測定値の信頼度は、以前の値または傾向値からの変動、決定された患者体重の測定値を構成する一致する基準および好ましい基準の数などに依存し得る。一例において、信頼度は、時間的に比較的近い他の測定値(例えば、1時間以内などの設定時間内における単一の連続活動期間からのもの、同じ日からのものなど)との一致または不一致など、好ましいグレーティング基準とは別の他の基準を使用して決定され得る。
【0043】
特定の実施例では、患者歩き力の測定値は、食事時の食物または流体摂取に関連する患者の体重変動を低減するように、その患者について、毎日同じ期間中(例えば、朝、正午前、正午から午後5時の間、午後5時から午後10時の間など)に検知された加速度情報を使用して決定され得る。多くの患者について、体重は一般には、朝に最も低く、食事とともにピークが生じ、夕食後に最も高く、各食事の前および後の短時間に減少する傾向がある。早朝(毎日の最初の患者活動時)または朝遅く(昼食前)に行われる測定が好ましい場合があり得る。他の例では、毎日の相対的期間における患者体重変動の測定値を決定したり、日ごとの異なる患者体重決定の組み合わせを使用して日ごとの平均体重を決定したりするなどのために、朝、日中、および夜における決定など、日ごとの異なる患者体重決定を行うことができる。特定の例では、より小さな1日内変動を伴うより安定した毎日のベースライン体重を有する患者とは対照的に、より大きな1日内体重変動を有する患者に対して、日ごとのアラートまたは短期アラートの優先度を下げることができる。
【0044】
日ごとの患者体重の決定は、力測定値の線形または非線形の組み合わせとして(例えば、より大きな重みが与えられたより多くのグレーティング基準を満たす測定値を用いて)行うことができ、日ごとの変化測定値、ならびに異なる短期測定値(例えば、1日より長いが、1週間または2週間未満であり、例えば、3日、5日、1週間など)または長期測定値(例えば、短期よりも長く、例えば、1週間よりも長い、2週間よりも長いなど)を決定することができる。アラートは、体液蓄積を示すなどの、閾値を上回る日ごとの、短期の、または長期の変化に基づいてトリガまたは提供され得る。
【0045】
力測定値のさらなるゲーティングは相関性を増加させる。患者体重の推定値は比較的高い信頼度にて数パーセント以内で決定し得るが、力測定値の差を使用して検出された患者体重の変化は、より高い相関性および信頼度を提供し、環境、条件などの差を最小限に抑えるべく毎日同じ時間および条件で得られる測定値で最も高い相関性が生じる。例えば、同じ履物を用いて、同じ速度で、同じ経路で、毎日ほぼ同じ時間に行われる毎日の歩行は、最も高い相関性および精度を提供し得る。このような活動は推奨され得るが、体重計と同様に、患者のコンプライアンスおよびそのような測定は信頼できない場合が多い。また、より遅い歩行速度(例えば、2mphなどのより速い歩行速度とは対照的な1mphまたは1.2mph)は、患者体重の測定値のより良好な決定を提供する。
【0046】
本発明者らは、とりわけ、繰り返される特徴を検出して、力測定値の変動を低減し、患者の体重判定を改善することができることを認識した。時刻に加えて、力測定値は、活動のタイプ、速度などによってゲーティングされ得る。例えば、階段を昇ったり降りたりする患者や、傾斜地や下り坂を歩く患者は、平地での歩行とは異なる地面への力を加え得る。一方、平地での患者歩数は、一般に、階段、傾斜、または下り坂での患者歩数とは異なる。
【0047】
患者歩数は、測定ウィンドウ全体にわたって相対的に一定の位相変化(例えば、測定ウィンドウ全体にわたって30%未満で変化するなど)または測定ウィンドウの閾値量(例えば、測定ウィンドウの少なくとも70%など)を有する振幅変化の繰り返しパターンとして患者加速度情報で検出され得る。歩行速度は、歩数との一般的関係に基づいて決定され得る(例えば、心不全患者については1マイル当たり2500歩と仮定するなど)。力測定値は、測定ウィンドウにわたる歩きの平均RMS値または振幅の平方根(SRA)値、平均振幅、測定ウィンドウのピーク周波数の振幅などを使用するなどして、適格な測定ウィンドウについて決定され得る。
【0048】
力測定値は、歩行速度または歩数によってビン化され得る。また、患者体重の測定値を決定するために、特定のビンにおける測定値が使用され得る。または、患者体重の測定値の変化を決定するために、特定のビンにおける測定値の経時的な変化が使用され得る。異なる例では、異なる粒度を有する異なる数のビンが、1分当たりの歩数、1時間当たりのマイル(mph)、あるいは1つまたは複数の他の単位で使用され得る。例えば、速度によるビン化(binnig)では、1mphビンは、1mphまでの決定された患者歩行速度を有する測定ウィンドウを含み、1.5mphビンは、1mph~1.5mphの間の測定ウィンドウを含み、2mphビンは、1.5mph~2mphの間の測定ウィンドウを含み得る。他の例では、1mphビンは、1.5mph未満の決定された患者歩行速度を有する測定ウィンドウを含み、2mphビンは、1.5mph~2.5mphの間の測定ウィンドウを含み、3mphビンは、2.5mphを超える測定ウィンドウを含み得る。別の例では、歩数(歩/分)によるビン化では、第1のビンは、例えば40~60歩/分などの範囲の患者歩数に対応する測定ウィンドウを含み、第2のビンは、例えば60~90歩/分などの第2の範囲の患者歩数に対応する測定ウィンドウを含み、第3のビンは、例えば90歩よりも大きいといった第3の範囲の患者歩数に対応する測定ウィンドウを含み得る。他の例では、ビンは、異なる範囲、より高い範囲、より低い範囲、または追加の範囲を有するといった、より細かいまたはより粗い粒度であってもよい。
【0049】
特定の例では、より高い歩数または歩行速度は概してより良好な患者状態と相関付けられ、歩数または歩行速度の増加が患者状態の改善を示し、歩数または歩行速度の減少が患者状態の悪化を示すものとして、歩数または歩行速度自体が患者の健康の指標として追跡され得る。
【0050】
図4は、患者加速度情報を使用して患者体重の測定値を決定する例示的な方法400を示す。401において、信号受信回路を使用するなどして、加速度情報が受信され得る。一例では、加速度情報は、埋め込み型医療装置の加速度センサを使用して検知され得る。いくつかの例では、加速度センサまたは信号受信回路のうちの一方または両方は、検知された加速度情報を調整し、特定の例では加速度情報の1つまたは複数の値または測定値を決定するように構成されたフィルタ、整流器、積分器などの1つまたは複数のアナログまたはデジタル信号処理回路を含み得る。他の例では、評価回路は、信号受信回路から加速度情報を受信し、加速度情報の値を決定して、その決定された値を閾値と比較し得る。この値は、測定ウィンドウにわたるピークの割合または周波数、測定ウィンドウのエネルギー値(例えば、積分測定値、RMS値、SRA値など)など、患者の動きのレベルを表す加速度情報の振幅またはエネルギー測定値を含み得る。
【0051】
402において、例えば低活動または無活動の期間を迅速にフィルタリングするために、評価回路を使用して、加速度情報の値が、歩行または歩行未満の活動レベルを表す活動閾値などの閾値と比較され得る。一例では、測定ウィンドウは、固定長であってもよいし、または加速度情報に応じて可変であってもよい(例えば、閾値を上回ったままであるなど)。一例では、本明細書で説明するより長いまたはより短い測定期間は、単一の測定ウィンドウ、測定ウィンドウの一部、連続する完全なまたは部分的な測定ウィンドウの組み合わせなどを含み得る。加速度パラメータの値が閾値を超えない場合、方法は401に戻る。加速度パラメータの値が閾値を超える場合、方法は継続する。
【0052】
403において、評価回路を使用して、患者の歩きが測定ウィンドウの加速度情報において検出され得る。一例では、評価回路は、とりわけ、加速度情報におけるピークの周波数または振幅、加速度情報の形状、振幅変動の繰り返しパターンなどのうちの一つ以上を使用して、歩きを検出し得る。患者の歩きが測定ウィンドウ内で検出されない場合、方法は401に戻る。閾値を上回るまたは測定ウィンドウの閾値部分(例えば、測定ウィンドウの少なくとも70%など)を通過する歩きの数などのように、測定ウィンドウ内で患者の歩きが検出される場合、方法は継続する。
【0053】
404において、評価回路を使用して、測定ウィンドウにわたって検出された歩きを計測するなどによって、測定ウィンドウにわたる患者歩数が決定され得る。一例では、評価回路は、検出された歩きを有する加速度情報の部分のみを含むように測定ウィンドウを切り取ることができる。他の例では、評価回路は、歩きが配置されていた可能性が高いが検出されなかったパターンを識別する(例えば、患者の歩きのセットまたは右/左の歩きの変動のセット内におけるパターンを識別する)などにより、過度のノイズまたは他の動きなど、見逃された歩きを補正することができる。
【0054】
いくつかの例では、評価回路は、決定された歩数を使用して患者歩行速度を決定するように構成され得る。例えば、決定された歩数は、決定された歩数(心不全患者や埋め込み型または携帯型医療装置を有する患者の場合)と患者歩行速度との間の母集団または患者固有の関係と相関付けられ得る。他の例では、決定された歩行速度の代わりに患者歩数が使用され得る。
【0055】
405において、RMS、SRA、平均ピーク振幅、または測定ウィンドウにわたる加速度情報の力の他の測定値を使用するなどして、患者歩き力の測定値が測定ウィンドウについて決定され得る。一例では、患者歩き力の測定値は、402において閾値を上回る患者活動を決定するために使用される加速度パラメータの値と同じであっても異なっていてもよい。例えば、405における患者歩き力の測定値としてもよい。
【0056】
406において、評価回路を使用して、患者歩き力の測定値が、歩数、歩行速度、測定ウィンドウの長さ、時刻(例えば、朝、午後、夜、または1日のうちの特定の期間)、加速度パラメータの値などのうちの一つ以上に応じた異なるデータセットにビン化され得る。異なるビンは、いくつかの例では異なるグレーティング基準を表し得る。一例では、患者歩き力の日ごとの値は、例えば、好ましいグレーティング基準を表すビンを使用して、または、好ましいグレーティング基準が存在しないか、低度であるか、もしくは変動があるか、あるいは期待値と異なる場合には他の基準で補うか補完して、その患者について毎日決定され得る。患者歩き力の測定値、および1つまたは複数の異なるビンに関連付けられた対応する情報は、評価回路によってメモリに記憶され得る。
【0057】
407において、患者体重の測定値は、母集団に相関する患者歩き力の測定値、または患者歩き力の測定値と患者体重との間の患者固有の関係を使用するなどして決定され得る。一例では、評価回路は、受信されたまたは予め定められた好ましいグレーティング基準に応じた特定のビンから患者歩き力の測定値を選択し、その特定のビンからの患者歩き力の測定値を使用して、本明細書で説明されるように患者体重の測定値を決定し得る。
【0058】
408において、評価回路を使用して、決定された患者体重の測定値の関数などの体液貯留の指標が決定または検証され得る。特定の例では、評価回路は、インピーダンス、圧力、心音、呼吸、活動、または患者の他の生理学的情報などの患者の生理学的情報を使用して体液貯留の1つまたは複数の指標を決定し得る。決定された患者体重の測定値を使用することで、決定された体液貯留の指標の信頼性または精度を確認する、もしくは向上させることができる。
【0059】
409において、評価回路を使用して、決定された患者体重の測定値の関数などの心不全の指標が決定または検証され得る。特定の例では、評価回路は、インピーダンス、圧力、心音、呼吸、活動、または患者の他の生理学的情報などの患者の生理学的情報を使用して複合心不全リスクスコアを決定し得る。これは、共通に譲渡された、Qi Anらによる「Methods and apparatus for detecting heart failure decompensation event and stratifying the risk of the same」を名称とする米国特許出願第14/510,392号、Robert. J. Sweeneyらによる「Method and apparatus for stratifying risk of heart failure decompensation」を名称とする米国特許出願第14/282,353号、Qi Anらによる「Risk stratification based heart failure detection algorithm」を名称とする米国特許出願第13/726,786号のうちの一つ以上に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0060】
複合心不全リスクスコアは、患者が身体的症状を示す前に、特定の例では、患者の身体状態が悪化して治療介入が必要となる30~60日前に、心不全の初期徴候を検出し得る。患者状態がしばしば変動することによる心不全検出スコアの閾値交差間における期間は、徐々に悪化する患者状態に対する介護者の感度を低下させ得る。対照的に、24時間で2ポンド、または1週間で5ポンドなどの突然のまたは短期の体重増加は、治療介入または入院がより差し迫っていること(例えば、30~60日とは対照的に、3~7日)の前兆である。したがって、追加の患者コンプライアンス問題を伴わない、単一のセンサセットを伴う単一の埋め込み型または携帯型の医療装置からの2つの測定値の組み合わせ、すなわち、決定された患者体重の測定値と組み合わせられた複合心不全リスクスコアは、臨床的に有意であり得る。
【0061】
410において、決定された患者体重の測定値の変化を使用するなどして治療の有効性が決定され得る。一例では、治療有効性の測定値は、有効性の要求に先行する期間(例えば、前日からの現在の変化、短期の傾向など)から決定され得る。他の例では、評価回路は、患者に提供された治療の時間を受信し、提供された治療の時間後における決定された患者体重の測定値の変化を使用して治療有効性の測定値を決定し得る。決定された治療有効性は、心不全の早期徴候に応答してなど、提供された治療が有効であったことの指標、および現在または将来の徴候に応答してより多くのまたはより少ない治療が提供されるべきかどうかの指標を提供し得る。
【0062】
図5は、日数504にわたる、異なる第1および第2のビン(ビン1、ビン2)501,502からの患者歩き力の日ごとの値と患者歩き力の日ごとの値の組み合わせ値503との関係500を示す。上述したように、評価回路は、決定された患者歩き力の測定値に好ましいグレーティング基準を適用し得る。この例では、第1のビン501が第2のビン502よりも好ましく、その結果、患者歩き力の日ごとの値の組み合わせ値503は、1日目~3日目には第1のビン501からの値の傾向506を提供し、第1のビン501に値がない4日目および5日目には第2のビン502からの値の傾向506を提供する。他の例では、異なるビンからの値の他の組み合わせを使用して、日ごとの値の組み合わせ値を決定することができる。
【0063】
図6は、医療装置システム、心調律管理(CRM)装置などの、患者体重の測定値を決定するための例示的なシステム600を示す。一例では、例示的なシステム600の1つまたは複数の態様は、携帯型医療機器(AMD)、挿入可能な心臓モニタなどの構成要素であるか、またはそれらに通信可能に結合され得る。システム600は、心不全、不整脈、同期不全などを含む、身体に血液を十分に送達する心臓の機能の低下に関連する心臓状態、または1つ以上の他の生理学的状態などの身体の種々の生理学的状態を監視、検出、または治療するように構成され得るとともに、特定の実施例では、電気刺激または1つ以上の他の治療もしくは処置を患者に提供するように構成され得る。
【0064】
システム600は、センサ601などの1つまたは複数のセンサを使用して患者の生理学的情報を監視するために、患者の体内に埋め込まれるか、または他の方法で患者上もしくはその周囲に配置される単一の医療装置または複数の医療装置を含み得る。一例では、センサ601は、呼吸情報(例えば、呼吸数、呼吸量(1回の換気量)など)を受信するように構成された呼吸センサ、心臓加速度情報(例えば、心臓振動情報、圧力波形情報、心音情報、心内膜加速度情報、加速度情報、活動情報、姿勢情報など)を受信するように構成された加速度センサ(例えば、加速度計、マイクロフォンなど)、インピーダンス情報を受信するように構成されたインピーダンスセンサ(例えば、胸腔内インピーダンスセンサ、経胸腔インピーダンスセンサなど)、心臓電気情報を受信するように構成された心臓センサ、身体運動(例えば、活動、歩きなど)に関する情報を受信するように構成された活動センサ、姿勢または位置情報を受信するように構成された姿勢センサ、圧力情報を受信するように構成された圧力センサ、プレチスモグラフセンサ(例えば、フォトプレチスモグラフィセンサなど)、化学センサ(例えば、電解質センサ、pHセンサ、アニオンギャップセンサなど)、温度センサ、皮膚弾力性センサ、または、患者の生理学的情報を受信するように構成された1つまたは複数の他のセンサのうちの一つ以上を含み得る。
【0065】
例示的なシステム600は、信号受信回路602および評価回路603を含み得る。信号受信回路602は、センサ601から患者(または患者群)の生理学的情報を受信するように構成され得る。評価回路603は、信号受信回路602から情報を受信し、本明細書で説明されるように、受信した生理学的情報を使用して、1つまたは複数のパラメータ(例えば、生理学的パラメータ、分類子など)または既存のまたは変化した患者状態(例えば、患者の脱水、呼吸状態、心臓状態(例えば、心不全、不整脈)、睡眠呼吸障害などの指標)を決定するように構成され得る。生理学的情報は、とりわけ、心臓電気情報、インピーダンス情報、呼吸情報、心音情報、活動情報、姿勢情報、温度情報、または1つもしくは複数の他のタイプの生理学的情報を含み得る。
【0066】
評価回路603は、表示装置あるいは1つまたは複数の他のユーザインターフェースなどへの、スコア、傾向、アラート、または他の指標を含むユーザへの出力を提供するように構成され得る。他の例では、評価回路603は、治療回路604(例えば、心臓再同期治療(CRT)回路、化学治療回路など)などの他の回路、機械、または処理に出力を提供して、医療装置、薬剤送達システムなどの治療を制御、調整、もしくは停止するか、あるいは1つまたは複数の心臓再同期治療パラメータ、薬剤送達、投与量決定もしくは推奨などの医療装置システムの1つまたは複数の他の態様の1つまたは複数の処理もしくは機能を変更するように構成され得る。一例では、治療回路604は、刺激制御回路、心臓刺激回路、神経刺激回路、投与量決定もしくは制御回路などのうちの一つ以上を含み得る。他の例では、治療回路604は、評価回路603、あるいは1つまたは複数の他の回路などによって制御され得る。
【0067】
挿入可能な心臓モニタ、ペースメーカ、除細動器、または心臓再同期装置などの従来の心調律管理装置は、患者の胸部に埋め込まれるように構成された気密封止ハウジングを有する埋め込み型または皮下装置を含む。心調律管理装置は、1つまたは複数の電極あるいは他のセンサを、心臓の心房または心室のうちの一つ以上など、心臓内またはその近くの様々な位置に配置するための1つまたは複数のリード線を含み得る。したがって、心調律管理装置は、患者の遠位皮膚に近接して皮下に配置される態様、ならびに患者の1つまたは複数の器官の近くに配置されるリード線または電極などの態様を含み得る。リード線の1つまたは複数の電極あるいは他のセンサとは別に、またはそれに加えて、心調律管理装置は、心調律管理装置内の電源によって電力供給される1つまたは複数の電極あるいは他のセンサ(例えば、圧力センサ、加速度計、ジャイロスコープ、マイクロフォンなど)を含み得る。リード線の1つまたは複数の電極あるいは他のセンサ、心調律管理装置、またはそれらの組み合わせは、患者から生理学的情報を検出するように、あるいは患者に1つまたは複数の治療もしくは刺激を提供するように構成され得る。
【0068】
埋め込み型装置は、追加的にまたは別個に、リードレス心臓ペースメーカ(LCP)や、小型(例えば、従来の埋め込み型心調律管理装置よりも小さく、特定の例では約1ccの体積を有するものなど)の内蔵型装置を含み得る。小型の内臓型装置は、従来のリード線または埋め込み型心調律管理装置の合併症(例えば、必要な切開およびポケット、リード線配置に関連する合併症、破損、またはマイグレーションに関連する合併症など)なしに、心臓からの生理学的情報(例えば、心拍数など)を監視したり、心臓に関連する生理学的状態(例えば、頻脈)を検出したり、あるいは心臓に1つまたは複数の治療もしくは刺激を提供するように構成された1つまたは複数のセンサ、回路、または電極を含む。特定の例では、リードレス心臓ペースメーカは、従来の心調律管理装置よりも電力や処理能力が制限され得るが、心臓内または心臓の周りに複数のリードレス心臓ペースメーカを埋め込んで、心臓の1つまたは複数の心腔から生理学的情報を検出したり、1つまたは複数の心腔に1つまたは複数の治療または刺激を提供したりすることができる。複数リードレス心臓ペースメーカは、それら自体の間で、あるいは1つまたは複数の他の埋め込み装置または外部装置との間で通信し得る。
【0069】
図7は、例示的な患者管理システム700と、患者管理システム700が動作し得る環境の一部とを示す。患者管理システム700は、遠隔患者監視および疾患状態の診断を含むある範囲の活動を実行し得る。このような活動は、患者の自宅またはオフィスなどの患者701の近くにおいて、病院、診療所、もしくは医師のオフィスなどの集中サーバを介して、またはセキュアな無線モバイルコンピューティング装置などのリモートワークステーションを介して実行され得る。
【0070】
患者管理システム700は、1つまたは複数の携帯型医療装置、外部システム705、および1つまたは複数の携帯型医療装置と外部システム705との間の通信を提供する通信リンク711を含み得る。1つまたは複数の携帯型医療装置は、埋め込み型医療装置(IMD)702、ウェアラブル医療装置703、あるいは、1つまたは複数の心臓状態もしくは非心臓状態(例えば、脱水、睡眠呼吸障害など)などの患者701の様々な状態を治療するべく、患者701からの情報を監視、検知、もしくは検出したり、生理学的情報を決定したり、患者701に1つまたは複数の治療を提供したりするように構成された1つまたは複数の他の埋め込み型、リードレス、皮下、外部、ウェアラブル、もしくは携帯型医療装置を含み得る。
【0071】
一例では、埋め込み型医療装置702は、患者の胸部に埋め込まれた1つまたは複数の従来の心調律管理装置を含み得る。この心調律管理装置は、患者701の心臓内、心臓上、もしくは心臓の周囲、あるいは患者701の胸部、腹部、もしくは頸部の1つまたは複数の他の位置に、1つまたは複数の電極あるいは他のセンサ(例えば、心音センサ)を配置するための1つまたは複数の経静脈、皮下、または非侵襲的リードまたはカテーテルを含むリードシステムを有する。別の例では、埋め込み型医療装置702は、例えば患者701の胸部の皮下に埋め込まれたモニタを含み得る。埋め込み型医療装置702は、回路を収容するハウジングを含むとともに、特定の例では、温度センサなどの1つまたは複数のセンサを含む。
【0072】
埋め込み型医療装置702は、患者701の特定の生理学的情報を検出または決定したり、患者701(例えば、患者)、臨床医、あるいは1人または複数人の他の介護者や処置者などのユーザに対して1つまたは複数の状態を決定したり情報もしくはアラートを提供したりするように構成された評価回路を含み得る。埋め込み型医療装置702は、代替的にまたは追加的に、患者701の1つまたは複数の病状を治療するように構成された治療装置として構成され得る。治療は、リードシステムおよび関連する電極を介して、あるいは1つまたは複数の他の送達機構を使用して患者701に送達され得る。治療は、埋め込み型医療装置702または他の携帯型医療装置のうちの一つ以上などを使用するなどして、患者701に1つまたは複数の薬物を送達することを含み得る。いくつかの例では、治療は、心不全患者における同期不全を矯正し、心機能を改善するための心臓再同期治療を含み得る。他の例では、埋め込み型医療装置702は、不整脈、あるいは不整脈や高血圧や1つまたは複数の他の生理学的状態からの合併症を管理するために患者に薬物を送達する薬物注入ポンプなどの薬物送達システムを含み得る。他の例では、埋め込み型医療装置702は、患者の神経系を刺激したり、患者の気道の筋肉などに刺激を与えたりするように構成された1つまたは複数の電極を含み得る。
【0073】
ウェアラブル医療装置703は、1つまたは複数のウェアラブルな、もしくは外部の医療センサもしくは装置(例えば、自動体外式除細動器(AED)、ホルターモニタ、パッチベースデバイス、スマートウォッチ、スマートアクセサリ、手首または指に装着される医療装置(例えば指ベースのフォトプレチスモグラフィセンサなど))を含み得る。
【0074】
外部システム705は、プログラマ、リモートサーバベースの患者管理システム、または標準パーソナルコンピュータ上で動作するソフトウェアによって主に定義されるシステムなどの専用ハードウェア/ソフトウェアシステムを含み得る。外部システム705は、埋め込み型医療装置702を通じて、または通信リンク711を介して外部システム705に接続された1つまたは複数の他の携帯型医療装置を通じて患者701を管理し得る。他の例では、埋め込み型医療装置702は、通信リンク711を介してウェアラブル医療装置703に接続され得るか、またはウェアラブル医療装置703は、通信リンク711を介して外部システム705に接続され得る。これは、例えば、生理学的データを取得すること、少なくとも1つの自己診断テスト(デバイス動作状態など)を実行すること、生理学的データを分析すること、または任意選択で患者701に対する治療を送達もしくは調整することのうちの一つ以上を実行するように埋め込み型医療装置702をプログラムすることを含み得る。また、外部システム705は、通信リンク711を介して、埋め込み型医療装置702またはウェアラブル医療装置703に情報を送信したり、またはそれらから情報を受信したりし得る。例えば、この情報には、患者701からのリアルタイムなもしくは記憶された生理学的データ、患者の水分補給状態の検出などの診断データ、入院期間、患者701に送達された治療に対する応答、または埋め込み型医療装置702やウェアラブル医療装置703のデバイス動作状態(例えば、バッテリ状態、リード線インピーダンスなど)が含まれ得る。通信リンク711は、誘導性遠隔測定リンク、容量性遠隔測定リンク、無線周波数(RF)遠隔測定リンク、または例えば、「強」ブルートゥース(登録商標)やIEEE802.11ワイヤレスフィデリティ「Wi-Fi(登録商標)」インターフェース規格に基づくワイヤレス遠隔測定であり得る。患者データソースインターフェースの他の構成および組み合わせも可能である。
【0075】
外部システム705は、1つまたは複数の携帯型医療装置に近接する外部装置706と、1つまたは複数の携帯型医療装置から比較的離れた場所にあり、通信ネットワーク707を介して外部装置706と通信するリモート装置708とを含み得る。外部装置706の例は、医療装置プログラマを含み得る。リモート装置708は、他の可能な機能の中でも、収集された患者または患者情報を評価し、アラート通知を提供するように構成され得る。一例では、リモート装置708は、収集されたデータの記憶および分析のための中央ハブとして機能する集中型サーバを含み得る。サーバは、単一の、複数の、または分散型のコンピューティングおよび処理システムとして構成され得る。リモート装置708は、複数の患者からデータを受信し得る。データは、患者701に関連付けられた他のデータ取得センサまたは装置のうち、とりわけ、1つまたは複数の携帯型医療装置によって収集され得る。サーバは、データを患者データベースに記憶するためのメモリ装置を含み得る。サーバは、収集されたデータを評価して、特定のアラート条件が満たされているかどうかを判定するアラート分析回路を含み得る。アラート条件が満たされると、人間が知覚可能な一つまたは複数のユーザインターフェースによって提供されるアラート通知の生成がトリガされ得る。いくつかの例では、アラート条件は、代替的にまたは追加的に、埋め込み型医療装置などの1つまたは複数の携帯型医療装置によって評価され得る。例として、アラート通知は、ウェブページ更新、電話またはページャ呼び出し、電子メール、SMS、テキストまたは「インスタント」メッセージ、患者へのメッセージ、ならびに救急サービスおよび臨床医への同時直接通知を含み得る。他のアラート通知も可能である。サーバは、アラート通知に優先順位を付けるように構成されたアラート優先順位付け回路を含み得る。例えば、検出された医療事象のアラートは、検出された医療事象に関連付けられた生理学的データと履歴アラートに関連付けられた生理学的データとの間の類似性メトリックを使用して優先順位付けられ得る。
【0076】
リモート装置708は、通信ネットワーク707を介してサーバにセキュアに接続された1つまたは複数のローカル設定クライアントまたはリモートクライアントをさらに含み得る。クライアントの例は、パーソナルデスクトップ、ノートブックコンピュータ、モバイル装置、または他のコンピューティング装置を含み得る。臨床医または他の有資格医療専門家などのシステムユーザは、クライアントを使用して、サーバ内のデータベース内に集められた記憶患者データにセキュアにアクセスし、医療プロビジョニングのために患者およびアラートを選択して優先順位を付けることができる。また、アラート通知を生成することに加えて、サーバおよび相互接続されたクライアントを含むリモート装置708は、フォローアップ要求を1つまたは複数の携帯型医療装置に送信することによって、またはメッセージもしくは他の通信を患者701(例えば、患者)、臨床医、あるいは承認された第三者にコンプライアンス通知として送信することによって、フォローアップスキームを実行し得る。
【0077】
通信ネットワーク707は、有線または無線の相互接続を提供し得る。一例では、通信ネットワーク707は、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)ネットワーク通信仕様に基づき得るが、他のタイプまたは組み合わせのネットワーキング実装も可能である。同様に、他のネットワークトポロジおよび構成も可能である。
【0078】
外部装置706またはリモート装置708のうちの一つ以上は、検出された医療事象を、患者や臨床医などのシステムユーザ、または例えばマイクロプロセッサで実行可能なコンピュータプログラムのインスタンスを含む処理に出力し得る。一例において、処理は、抗不整脈治療のための推奨、またはさらなる診断検査もしくは治療のための推奨の自動生成を含み得る。一例では、外部装置706またはリモート装置708は、生理学的信号、機能的信号、アラート、アラーム、緊急呼、または不整脈の検出を知らせる他の形態のアラートを表示するためのそれぞれの表示ユニットを含み得る。いくつかの例では、外部システム705は、1つまたは複数の携帯型医療装置によって受信された生理学的または機能的信号を分析し、不整脈の検出を確認または拒否するように構成された外部データプロセッサを含み得る。データを遡及的に処理して心不整脈を検出するために機械学習アルゴリズムなどの計算集約型アルゴリズムが外部データプロセッサに実装され得る。
【0079】
1つまたは複数の携帯型医療機器または外部システム705の一部は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実装され得る。1つまたは複数の携帯型医療機器または外部システム705の一部は、1つまたは複数の機能を実行するように構築または構成され得る特定用途向け回路を使用して実装され得るか、または1つまたは複数の機能を実行するようにプログラムまたは他の方法で構成され得る汎用回路を使用して実装され得る。このような汎用回路は、マイクロプロセッサもしくはその一部、マイクロコントローラもしくはその一部、またはプログラマブル論理回路、メモリ回路、ネットワークインターフェース、およびこれらの構成要素を相互接続するための様々な構成要素を含み得る。例えば、「比較器」は、とりわけ、2つの信号間の比較の特定の機能を実行するように構築され得る電子回路比較器を含み得る。または、比較器は、2つの信号間の比較を実行させるべく命令するコードによって駆動され得る汎用回路の一部として実装され得る。「センサ」は、情報を受信し、その受信した情報を表す電子出力を提供するように構成された電子回路を含み得る。
【0080】
治療装置710は、通信リンク711を使用して、携帯型医療装置または外部システム705のうちの一つ以上に情報を送信したり、情報を受信したりするように構成され得る。一例では、1つまたは複数の携帯型医療装置、外部装置706、またはリモート装置708は、治療装置710の1つまたは複数のパラメータを制御するように構成され得る。外部システム705は、1つまたは複数の携帯型医療装置をプログラミング可能であるとともに、1つまたは複数の携帯型医療装置によって取得された1つまたは複数の信号に関する情報を、例えば通信リンク711を介して受信し得る。外部システム705は、ローカル外部埋め込み型医療装置プログラマを含み得る。外部システム705は、患者の状態を監視したり、またはリモート位置などから1つまたは複数の治療を調整したりすることができるリモート患者管理システムを含み得る。
【0081】
図8は、本明細書で説明される技術(例えば、方法)のうちの任意の1つ以上が実行され得る例示的な機械800のブロック図を示す。この説明の一部は、埋め込み型医療装置、外部プログラマなど、本明細書で説明される医療装置のうちの一つ以上のコンピューティングフレームワークに適用することができる。また、医療装置の構成要素、システム、または機械に関して本明細書で説明されるように、それらは、汎用のコンピュータ、構成要素、または機械によって可能ではない規制遵守を必要とし得る。
【0082】
本明細書で説明されるように、実施例は、機械800内のロジックもしくはいくつかの構成要素、または機構を含んでもよく、またはそれらによって動作してもよい。回路(例えば、処理回路、評価回路など)は、ハードウェア(例えば、単純な回路、ゲート、ロジックなど)を含む機械800の有形エンティティにおいて実装される回路の集合である。回路の構成は、経時的にフレキシブルであり得る。回路は、動作時に特定の動作を単独でまたは組み合わせて実行することが可能な部材を含む。一例では、回路のハードウェアは、特定の動作を実行するように不変に設計され得る(例えば、ハードワイヤされる)。一例では、回路のハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するために物理的に修正された(例えば、磁気的に、電気的に、不変集合粒子の移動可能な配置など)機械可読媒体を含む、可変的に接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純回路など)を含み得る。物理的構成要素を接続する際に、ハードウェア構成要素の基礎となる電気的特性は、例えば、絶縁体から導体に、またはその逆に変更される。命令は、埋め込みハードウェア(例えば、実行ユニットまたはローディング機構)が、動作中に特定の動作の一部を実行するために、可変的な接続を介してハードウェア内に回路の構成を作成することを可能にする。したがって、一例では、機械可読媒体要素は、回路の一部であるか、または装置が動作しているときに回路の他の構成要素に通信可能に結合される。一例では、物理的構成要素のいずれも、2つ以上の回路の2つ以上の構成要素で使用することができる。例えば、動作中、実行ユニットは、ある時点で第1の電気回路の第1の回路で使用されるとともに、第1の電気回路の第2の回路によって再使用され、または異なる時点で第2の回路回路の第3の回路によって再使用され得る。機械800に関するこれらの構成要素の追加の例を以下に示す。
【0083】
代替的な実施形態において、機械800は、スタンドアロンデバイスとして動作し得るか、または他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)され得る。ネットワーク配置では、機械800は、サーバ-クライアントネットワーク環境において、サーバ機械、クライアント機械、またはその両方として動作し得る。一例では、機械800は、ピアツーピア(P2P)(または他の分散)ネットワーク環境におけるピア機械として動作し得る。機械800は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、モバイル電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはその機械によって実行されるべきアクションを指定する命令(順次またはそれ以外)を実行可能な任意の機械であり得る。また、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語は、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、他のコンピュータクラスタ構成など、本明細書で説明される方法のうちの任意の1つ以上を実行するべく、命令のセット(または複数のセット)を個別にまたは共同で実行する機械の任意の集合を含むものと解釈され得る。
【0084】
機械(例えば、コンピュータシステム)800は、ハードウェアプロセッサ802(例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、またはそれらの任意の組み合わせ)、メインメモリ804、スタティックメモリ(例えば、ファームウェア、マイクロコード、基本入出力(BIOS)、統合拡張ファームウェアインタフェース(UEFI)などのためのメモリまたはストレージ)を含み得る。806および大容量ストレージ808(例えば、ハードドライブ、テープドライブ、フラッシュストレージ、または他のブロックデバイス)のうちのいくつかまたは全ては、インターリンク(例えば、バス)830を介して互いに通信し得る。機械800はさらに、表示ユニット810、入力装置812(例えば、キーボード)、およびユーザインターフェース(UI)ナビゲーション装置814(例えば、マウス)を含み得る。一例では、表示ユニット810、入力装置812、およびUIナビゲーション装置814は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。機械800はさらに、信号生成装置818(例えば、スピーカ)と、ネットワークインターフェース装置820と、全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、あるいは1つまたは複数の他のセンサなどの1つまたは複数のセンサ816とを含み得る。機械800は、シリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB))、パラレル、または他の有線もしくは無線(例えば、赤外線(IR)、近距離通信(NFC)など)接続などの出力制御装置828を含み、1つまたは複数の周辺装置(例えば、プリンタ、カードリーダなど)と通信または制御し得る。
【0085】
ハードウェアプロセッサ802、メインメモリ804、スタティックメモリ806、または大容量ストレージ808のレジスタは、本明細書で説明される技術または機能のうちの任意の1つ以上を具現化するか、またはそれらによって利用されるデータ構造または命令824(例えば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットが記憶される機械可読媒体822であるかまたはそれを含み得る。また、命令824は、機械800によるその実行中に、ハードウェアプロセッサ802、メインメモリ804、スタティックメモリ806、または大容量ストレージ808のレジスタのいずれかの中に完全にまたは少なくとも部分的に存在し得る。一例では、ハードウェアプロセッサ802、メインメモリ804、スタティックメモリ806、または大容量ストレージ808のうちの任意の一つ以上の組み合わせにより、機械可読媒体822が構成され得る。機械可読媒体822は単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、1つまたは複数の命令824を記憶するように構成された単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含み得る。
【0086】
「機械可読媒体」という用語は、機械800による実行のための命令であって本開示の技術のうちの任意の1つ以上を機械800に実行させる命令を記憶し、符号化し、搬送することが可能であるか、またはそのような命令によって使用されるもしくはそのような命令に関連付けられるデータ構造を記憶し、符号化し、搬送することが可能な任意の媒体を含み得る。非限定的な機械可読媒体の例は、ソリッドステートメモリ、光媒体、磁気媒体、および信号(例えば、無線周波数信号、他の光子ベースの信号、音声信号など)を含み得る。一例では、非一時的な機械可読媒体は、不変(例えば、静止)質量を有する複数の粒子を有する機械可読媒体を含み、したがって物質の組成物である。したがって、非一時的な機械可読媒体は、一時的な伝搬信号を含まない機械可読媒体である。非一時的な機械可読媒体の具体例は、半導体メモリデバイス(例えば、電気的プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM))およびフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリ、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含み得る。
【0087】
命令824はさらに、いくつかの転送プロトコル(例えば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のうちのいずれか一つを利用するネットワークインターフェースデバイス820を介して、伝送媒体を使用して通信ネットワーク826上で送信または受信され得る。例示的な通信ネットワークは、とりわけ、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、モバイル電話ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)、プレインオールドテレフォン(POTS)ネットワーク、およびワイヤレスデータネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)として知られる電気電子技術者協会(IEEE)802.11規格ファミリー、WiMax(登録商標)として知られるIEEE802.16規格ファミリー)、IEEE802.15.4規格ファミリー、ピアツーピア(P2P)ネットワークを含み得る。一例では、ネットワークインターフェース装置820は、通信ネットワーク826に接続するための1つまたは複数の物理ジャック(例えば、イーサネット(登録商標)、同軸、または電話ジャック)、あるいは1つまたは複数のアンテナを含み得る。一例では、ネットワークインターフェース装置820は、単一入力複数出力(SIMO)技術、複数入力複数出力(MIMO)技術、または複数入力単一出力(MISO)技術のうちの少なくとも1つを使用してワイヤレス通信するための複数のアンテナを含み得る。「伝送媒体」という用語は、機械800による実行のための命令を記憶、符号化、または搬送することが可能である任意の無形媒体を含むと解釈されるものとし、そのようなソフトウェアの通信を容易にするためのデジタルもしくはアナログ通信信号または他の無形媒体を含む。伝送媒体は機械可読媒体である。
【0088】
様々な実施形態が上述した図に示されている。これらの実施形態のうちの一つ以上に基づく1つまたは複数の特徴が、他の実施形態を形成するために組み合わせられてもよい。本明細書で説明される方法の例は、少なくとも部分的に機械またはコンピュータで実装され得る。いくつかの例は、上述した例で説明した方法を実行するように電子デバイスまたはシステムを構成するように動作可能な命令で符号化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含み得る。そのような方法の実装形態は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含み得る。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含み得る。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成し得る。さらに、コードは、実行中または他のタイミングのときに、1つまたは複数の揮発性または不揮発性コンピュータ可読媒体上に有形に記憶され得る。
【0089】
上記した詳細な説明は、例示的なものであって、限定的なものではない。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
患者の加速度情報を受信する手段と、
前記加速度情報の値が活動閾値を超えるかどうかを判定し、前記加速度情報の値が前記活動閾値を超えていることに応答して、
前記加速度情報を使用して測定ウィンドウ内における患者の歩きを検出し、
前記検出された患者の歩きを使用して、
前記測定ウィンドウにわたって患者歩数を決定し、
前記測定ウィンドウにおける患者歩き力の測定値を決定する
ように構成された評価回路と、を備え、
前記評価回路は、前記決定された患者歩数と患者歩き力の測定値とを使用して患者体重の測定値を決定するように構成されている、医療装置。
【請求項2】
前記評価回路は、
複数の測定ウィンドウについて患者歩数と患者歩き力の測定値とを決定し、
それぞれの前記測定ウィンドウにおける前記決定された患者歩数に応じたビンのセットのうちの一つのビンに、前記決定された患者歩き力の測定値をビン化し、
前記ビンのセットのうちの一つのビンの前記決定された患者歩き力の測定値を使用して前記患者体重の測定値を決定する
ように構成されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記評価回路は、
複数の日にわたる前記複数の測定ウィンドウについて患者歩数と患者歩き力の測定値とを決定し、
それぞれの前記日について前記決定された患者歩き力の測定値を有する前記ビンのセットの各ビンにおける患者歩き力の日ごとの測定値を決定し、
前記ビンのセットのうちの一つのビンの前記決定された患者歩き力の日ごとの測定値を使用して前記患者体重の測定値を決定する
ように構成されている、請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記患者体重の測定値は、患者体重の変化を含み、
前記評価回路は、
前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の経時的な変化の測定値を決定し、
前記決定された変化の測定値を使用して前記患者体重の変化を決定する
ように構成されている、請求項2に記載の医療装置。
【請求項5】
前記評価回路は、
1日にわたって生じる前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の変化を使用した患者体重の1日内変化と、
複数の日を含む第1の期間にわたって生じる前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の変化を使用した患者体重の短期変化と、
前記第1の期間よりも長い第2の期間にわたって生じる前記ビンのセットのうちの一つのビンにおける前記決定された患者歩き力の測定値の変化を使用した患者体重の長期変化と、
のうちの少なくとも1つを決定するように構成されている、請求項4に記載の医療装置。
【請求項6】
前記評価回路は、
それぞれの前記測定ウィンドウにおける前記決定された患者歩数と、前記測定ウィンドウの時刻および前記測定ウィンドウの長さのうちの少なくとも1つとに応じた前記ビンのセットのうちの一つのビンに、前記決定された患者歩き力の測定値をビン化し、
前記測定ウィンドウの特定の時刻と特定の長さのうちの少なくとも1つに対応する前記ビンのセットのうちの一つのビンの前記決定された患者歩き力の測定値を使用して前記患者体重の測定値を決定する
ように構成されている、請求項2に記載の医療装置。
【請求項7】
前記ビンのセットは、患者歩数の異なる範囲および1日の異なる期間に対応し、
前記ビンのセットが、
第1の範囲の患者歩数と、1日の第1の期間と、前記測定ウィンドウの第1の長さとに対応する第1のビンと、
第2のビン、第3のビン、第4のビン、第5のビン、および第6のビンのうちの少なくとも1つであって、
前記第1の範囲の患者歩数と、1日の前記第1の期間と、前記測定ウィンドウの第2の長さとに対応する前記第2のビンと、
前記第1の範囲の患者歩数と、1日の第2の期間と、前記測定ウィンドウの前記第1の長さとに対応する前記第3のビンと、
第2の範囲の患者歩数と、1日の前記第1の期間と、前記測定ウィンドウの前記第1の長さとに対応する前記第4のビンと、
前記第1の範囲の患者歩数と、1日の前記第2の期間と、前記測定ウィンドウの前記第2の長さとに対応する前記第5のビンと、
前記第2の範囲の患者歩数と、1日の前記第1の期間と、前記測定ウィンドウの前記第2の長さとに対応する前記第6のビンと、
のうちの少なくとも1つと、を含む、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記第1の範囲の患者歩数は40~60歩/分を含み、前記第2の範囲の患者歩数は60~90歩/分を含み、
1日の前記第1の期間は1日の朝の期間を含み、1日の前記第2の期間は1日の夜の期間を含む、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記ビンのセットは、患者歩数の異なる範囲に対応し、
前記ビンのセットが、
第1の範囲の患者歩数に対応する第1のビンと、
前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲の患者歩数に対応する第2のビンと、
を含み、
前記評価回路は、前記第2の範囲の患者歩数よりも小さい前記第1の範囲の患者歩数に対応する前記第1のビンの前記決定された患者歩き力の測定値を優先しつつ、前記第1および第2のビンについての前記決定された患者歩き力の測定値を使用して前記患者体重の測定値を決定するように構成されている、請求項2に記載の医療装置。
【請求項10】
前記評価回路は、
前記測定ウィンドウにわたる前記決定された患者歩数を使用して前記測定ウィンドウにわたる患者歩行速度を決定し、
前記決定された患者歩行速度と患者歩き力の測定値とを使用して前記患者体重の測定値を決定する
ように構成されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項11】
前記患者の加速度情報を受信する手段が、前記患者の加速度情報を受信するように構成された信号受信回路を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項12】
前記医療装置は、前記患者の体内に埋め込まれるように構成された埋め込み型医療装置を含み、
前記埋め込み型医療装置は、前記患者の加速度情報を検知するように構成された加速度センサを備え、
前記信号受信回路は、前記加速度センサから前記加速度情報を受信するように構成されている、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記信号受信回路は、前記患者のインピーダンス情報と前記患者の心音情報とのうちの少なくとも1つを受信するように構成されており、
前記評価回路は、前記受信したインピーダンス情報と前記決定された患者体重の測定値とを使用して患者の体液貯留の指標を決定するように構成されている、請求項11に記載の医療装置。
【請求項14】
前記信号受信回路は、前記患者の心音情報を受信するように構成されており、
前記評価回路は、前記受信した心音情報と前記決定された患者体重の測定値とを使用して心不全の指標を決定するように構成されている、請求項11~13のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項15】
方法であって、
患者の加速度情報を受信すること、
評価回路を使用して、前記加速度情報の値が測定ウィンドウにわたって活動閾値を超えるかどうかを決定し、前記加速度情報の値が前記測定ウィンドウにわたって前記活動閾値を超えていることに応答して、
前記加速度情報を使用して前記測定ウィンドウ内における患者の歩きを検出し、
前記検出された患者の歩きを使用して前記測定ウィンドウにわたって患者歩数を決定し、
前記測定ウィンドウにおける患者歩き力の測定値を決定すること、および
前記評価回路を使用して、前記決定された患者歩数と患者歩き力の測定値とを使用して患者体重の測定値を決定すること、
を備える方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
患者体重の決定、および患者体重決定の信頼度は、例えば、好ましいゲーティング基準に関する測定値の線形または非線形の組み合わせとして決定および提供することができる。好ましいゲーティング基準は、とりわけ、比較的長い測定期間(例えば、比較的短い測定期間などとは対照的に、120秒の期間など)、測定の閾値数、特定の時刻、温度、活動閾値、歩数、患者移動速度、位置などのうちの一つ以上を含み得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
特定の例において、各好ましい基準を満たさない測定値は、患者体重決定の信頼性を低下させるが、測定の閾値数を達成するなど患者体重決定のために使用することができる。測定の閾値数は、静的(例えば、少なくとも2つ)または動的、例えば期待値からの変動に依存するものであってよい。単一の測定値が期待値(以前の値または傾向値)の閾値範囲内にある場合、追加の測定が必要とされない場合がある。しかしながら、測定値が閾値範囲外(例えば、以前の値または傾向値の±2パーセント、以前の値または傾向値の±1パーセントなど)である場合、追加の測定が必要とされ得る。決定された患者体重の測定値の信頼度は、以前の値または傾向値からの変動、決定された患者体重の測定値を構成する一致する基準および好ましい基準の数などに依存し得る。一例において、信頼度は、時間的に比較的近い他の測定値(例えば、1時間以内などの設定時間内における単一の連続活動期間からのもの、同じ日からのものなど)との一致または不一致など、好ましいゲーティング基準とは別の他の基準を使用して決定され得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
日ごとの患者体重の決定は、力測定値の線形または非線形の組み合わせとして(例えば、より大きな重みが与えられたより多くのゲーティング基準を満たす測定値を用いて)行うことができ、日ごとの変化測定値、ならびに異なる短期測定値(例えば、1日より長いが、1週間または2週間未満であり、例えば、3日、5日、1週間など)または長期測定値(例えば、短期よりも長く、例えば、1週間よりも長い、2週間よりも長いなど)を決定することができる。アラートは、体液蓄積を示すなどの、閾値を上回る日ごとの、短期の、または長期の変化に基づいてトリガまたは提供され得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
406において、評価回路を使用して、患者歩き力の測定値が、歩数、歩行速度、測定ウィンドウの長さ、時刻(例えば、朝、午後、夜、または1日のうちの特定の期間)、加速度パラメータの値などのうちの一つ以上に応じた異なるデータセットにビン化され得る。異なるビンは、いくつかの例では異なるゲーティング基準を表し得る。一例では、患者歩き力の日ごとの値は、例えば、好ましいゲーティング基準を表すビンを使用して、または、好ましいゲーティング基準が存在しないか、低度であるか、もしくは変動があるか、あるいは期待値と異なる場合には他の基準で補うか補完して、その患者について毎日決定され得る。患者歩き力の測定値、および1つまたは複数の異なるビンに関連付けられた対応する情報は、評価回路によってメモリに記憶され得る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
407において、患者体重の測定値は、母集団に相関する患者歩き力の測定値、または患者歩き力の測定値と患者体重との間の患者固有の関係を使用するなどして決定され得る。一例では、評価回路は、受信されたまたは予め定められた好ましいゲーティング基準に応じた特定のビンから患者歩き力の測定値を選択し、その特定のビンからの患者歩き力の測定値を使用して、本明細書で説明されるように患者体重の測定値を決定し得る。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
図5は、日数504にわたる、異なる第1および第2のビン(ビン1、ビン2)501,502からの患者歩き力の日ごとの値と患者歩き力の日ごとの値の組み合わせ値503との関係500を示す。上述したように、評価回路は、決定された患者歩き力の測定値に好ましいゲーティング基準を適用し得る。この例では、第1のビン501が第2のビン502よりも好ましく、その結果、患者歩き力の日ごとの値の組み合わせ値503は、1日目~3日目には第1のビン501からの値の傾向506を提供し、第1のビン501に値がない4日目および5日目には第2のビン502からの値の傾向506を提供する。他の例では、異なるビンからの値の他の組み合わせを使用して、日ごとの値の組み合わせ値を決定することができる。
【国際調査報告】