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特表2024-517286マイクロ波及び/又は電波を用いて気体炭化水素源から水素及び固体炭素を製造する方法
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  • 特表-マイクロ波及び/又は電波を用いて気体炭化水素源から水素及び固体炭素を製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】マイクロ波及び/又は電波を用いて気体炭化水素源から水素及び固体炭素を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/24 20060101AFI20240412BHJP
   C01B 32/05 20170101ALI20240412BHJP
【FI】
C01B3/24
C01B32/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568442
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 CA2022050710
(87)【国際公開番号】W WO2022232942
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】21505763
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523416623
【氏名又は名称】オーロラ ハイドロゲン インク
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トムソン,マレー
(72)【発明者】
【氏名】ボビッキ,エリン
【テーマコード(参考)】
4G140
4G146
【Fターム(参考)】
4G140DA03
4G140DB04
4G146AA01
4G146BA12
4G146BC03
4G146BC15
4G146BC18
4G146BC33A
4G146BC34A
4G146BC34B
4G146CB19
4G146CB33
4G146DA02
4G146DA31
(57)【要約】
【課題】水素及び固体炭素を製造する方法を提供する。
【解決手段】例示的な方法は、気体炭化水素を含む供給原料を、マイクロ波不活性反応容器及び/又は電波不活性反応容器に供給するステップを含む。反応容器は、固体炭素、約0%の水、及び約0%の分子状酸素を反応容器内に含有し、反応容器内の炭素が、気体炭化水素を含む供給原料を加熱するように動作可能である。次に、固体炭素が少なくとも1,200ケルビンの温度になるまで、炭素にマイクロ波及び/又は電波を照射し、これにより、水素及び固体炭素を生成する。生成された水素と固体炭素は分離される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素及び固体炭素を製造する方法であって、前記方法が、
a)気体炭化水素を含む供給原料を反応容器に供給するステップであって、前記反応容器が、起点となる固体炭素、約0重量%の水、及び約0重量%の分子状酸素を前記反応容器内に含有し、前記起点となる固体炭素が、気体炭化水素を含む前記供給原料を加熱するように動作可能であるステップと、
b)前記起点となる固体炭素が少なくとも1,200ケルビンの温度になるまで、前記起点となる固体炭素に、マイクロ波、電波、又はそれらを組み合わせたものを照射し、これにより、水素及び製造された固体炭素を生成するステップと、
c)前記水素と前記製造された固体炭素を分離するステップと、を含み、
前記起点となる固体炭素にマイクロ波を照射する場合、前記反応容器はマイクロ波不活性であり、前記起点となる固体炭素に電波を照射する場合、前記反応容器は電波不活性である方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記反応容器は、マイクロ波透過材料を含む方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記反応容器は、マイクロ波反射材料を含む方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記反応容器は、電波透過材料を含む方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法であって、
前記反応容器は、電波反射材料を含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記反応容器は、石英及び高温金属合金でできている方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記供給原料は、天然ガスである方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法であって、
前記供給原料は、気体供給原料である方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記供給原料は、非炭化水素ガスを実質的に含まない方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法であって、
前記供給原料は、約0重量%の不活性ガスを含む方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法であって、
前記供給原料は、本質的に気体炭化水素からなる方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法であって、
前記製造された固体炭素が、気体炭化水素の熱分解によって製造された固体炭素である方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素が、1,200ケルビンから約2,000ケルビンの範囲の温度である、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、1,200ケルビンから約2,000ケルビンの範囲の温度である方法。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素が、約1,300ケルビンから約1,900ケルビンの範囲の温度である、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,300ケルビンから約1,900ケルビンの範囲の温度である方法。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素が、約1,400ケルビンから約1,800ケルビンの範囲の温度である、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,400ケルビンから約1,800ケルビンの範囲の温度である方法。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素が、約1,500ケルビンから約1,700ケルビンの範囲の温度である、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,500ケルビンから約1,700ケルビンの範囲の温度である方法。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素が、約1,600ケルビンの温度である、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,600ケルビンの温度である方法。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素に、マイクロ波を照射する、又は、前記起点となる固体炭素及び製造された固体炭素に、マイクロ波を照射する方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素に、電波を照射する、又は、前記起点となる固体炭素及び製造された固体炭素に、電波を照射する方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の方法であって、
前記方法は触媒を用いない方法。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の方法であって、
前記水素及び前記製造された固体炭素は、前記マイクロ波、電波、又はそれらを組み合わせたものによってプラズマが生成されない状態で製造される方法。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素は、金属不純物及び酸素含有種を含まない方法。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の方法であって、
前記水素及び前記製造された固体炭素は、実質的に一酸化炭素を生成することなく生成される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解化学に関するものであり、とくに、気体炭化水素から水素及び固体炭素(すなわち、固体の元素状炭素)を製造することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
世界は輸送及び産業プロセスを脱炭素化することを目指しており、水素は、とくに化学燃料が有利な用途において、電気に比べて重要な利点を持つエネルギー・キャリアであると認識されている。水素は、多くの産業プロセスにおいて重要な役割を果たしており、世界中で年間7,000万トンの水素が製造されている(2019年)。現時点(2021年)では、水素は、主に化石燃料を原料として、天然ガスの水蒸気改質、メタンの部分酸化、及び石炭のガス化によって製造されている。こうしたプロセスでは、温室効果ガス(GHG:greenhouse gas)である二酸化炭素が発生する。たとえば、水蒸気とメタンの反応は、CH+2HO→CO+4Hで表される。別の方法として、酸素及び水のない状態でメタンを加熱(熱分解)することにより、直接COを排出することなく、水素及び固体炭素を製造する方法がある。
【0003】
Dominguezらは、固定床石英管フロー反応器内でメタンを分解することによりCOを発生させずに水素を製造するために、マイクロ波加熱と、触媒としての低コストの粒状活性炭の利用を組み合わせる方法を示している(非特許文献1を参照)。得られた結果を比較するため、従来の加熱による方法も、活性炭上におけるメタンの触媒分解反応に適用された。測定される温度が800℃以下の場合、従来の加熱による方法よりもマイクロ波による方法の方が、メタン転化率が高いことがわかった。しかしながら、温度を高くすると、マイクロ波加熱と従来の加熱の転化率の差は小さくなった。マイクロ波加熱と従来の加熱の両方を用いて、毎時体積空間速度(VHSV:volumetric hourly space velocity)が転化試験に及ぼす影響も調べられた。一般に、初期転化率は相当高く、反応の初期段階において急激に低下するが、時間の経過とともに安定する傾向がある。VHSVの増加は、CH転化率に悪影響を及ぼすが、マイクロ波加熱の場合はさらに顕著である。それでも、実験開始当初にマイクロ波装置において得られた転化率は、一般に、同様に炭素質触媒を用いた他の研究で報告された転化率よりも良好であった。さらに、マイクロ波による実験の一つにおいて、カーボン・ナノファイバーが形成されたことも報告されている。
【0004】
Cooneyらは、脱揮した石炭チャーを充填したマイクロ波照射固定床反応器における純粋なメタン及びメタン/水蒸気混合物の分解による水素の製造について言及している(非特許文献2を参照)。入力電力の大きさは600~3,500Wであった。純粋なメタンを原料とした場合、転化率は低かったが、メタンと水蒸気のモル比1:1の混合物では高い転化率が得られた。メタン/水蒸気の場合において、電力の大きさと供給流量の影響を測定した。さらに、メタン/水蒸気の場合において、マイクロ波加熱と従来の加熱が比較された。マイクロ波加熱では、転化率18~53%の範囲で、従来の加熱で得られたのと同じメタン転化率を得るためには、温度を30~50℃低くする必要があることがわかった。したがって、マイクロ波加熱は、ある種独特な方法でメタン/水蒸気反応を促進するものであると結論づけることができるだろう。
【0005】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、少なくとも部分的には、気体炭化水素源から水素及び固体炭素を製造するための、より効率的な方法を提供することに関する。また、本発明は、少なくとも部分的には、気体炭化水素の熱分解における炭素の役割の特定、及び、その技術分野における誤解に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な実施形態において、水素及び固体炭素を製造する方法であって、a)気体炭化水素を含む供給原料を反応容器に供給するステップであって、前記反応容器が、起点となる固体炭素、約0重量%の水、及び約0重量%の分子状酸素を前記反応容器内に含有し、前記炭素が、気体炭化水素を含む前記供給原料を加熱するように動作可能であるステップと、b)前記起点となる固体炭素に、前記起点となる固体炭素が少なくとも1,200ケルビンの温度になるまで、マイクロ波、電波、又はそれらを組み合わせたものを照射し、これにより、水素及び製造された固体炭素を生成するステップと、c)前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素から前記水素を分離するステップと、を含み、前記起点となる固体炭素にマイクロ波を照射する場合、前記反応容器はマイクロ波不活性であり、前記起点となる固体炭素に電波を照射する場合、前記反応容器は電波不活性である、又は、から本質的になる、もしくは、からなる方法が提供される。
【0009】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記反応容器が、マイクロ波透過材料を含む、又は、から本質的になる、もしくは、からなる方法が提供される。
【0010】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記反応容器が、マイクロ波反射材料を含む、又は、から本質的になる、もしくは、からなる方法が提供される。
【0011】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記反応容器が、電波透過材料を含む、又は、から本質的になる、もしくは、からなる方法が提供される。
【0012】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記反応容器が、電波反射材料を含む、又は、から本質的になる、もしくは、からなる方法が提供される。
【0013】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記反応容器が、石英及び高温金属合金でできている方法が提供される。
【0014】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記供給原料が、気体供給原料である方法が提供される。
【0015】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記供給原料が、気体炭化水素を含み、非炭化水素ガスを実質的に含まない方法が提供される。
【0016】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記供給原料が、天然ガスである方法が提供される。
【0017】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記固体炭素が、気体炭化水素の熱分解によって製造された固体炭素である方法が提供される。本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記製造された固体炭素が、気体炭化水素の熱分解によって製造される方法が提供される。
【0018】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記炭素が、1,200ケルビンから約2,000ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、1,200ケルビンから約2,000ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0019】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記炭素が、約1,300ケルビンから約1,900ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、約1,300ケルビンから約1,900ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0020】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記炭素が、約1,400ケルビンから約1,800ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、約1,400ケルビンから約1,800ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0021】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記炭素が、約1,500ケルビンから約1,700ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、約1,500ケルビンから約1,700ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0022】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記炭素が、約1,600ケルビンの温度である方法が提供される。本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、約1,600ケルビンの温度である方法が提供される。
【0023】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素に、マイクロ波を照射する方法が提供される。
【0024】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素に、電波を照射する方法が提供される。
【0025】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記水素及び前記製造された固体炭素が、前記マイクロ波、電波、又はそれらを組み合わせたものによってプラズマが生成されない状態で製造される方法が提供される。
【0026】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、金属不純物及び酸素含有種を含まない方法が提供される。
【0027】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記水素及び前記製造された固体炭素が、実質的に一酸化炭素を生成することなく生成される方法が提供される。
【0028】
本発明の例示的な実施形態において、水素及び固体炭素を製造する方法であって、a)気体炭化水素を含む供給原料をマイクロ波不活性反応容器に供給するステップであって、前記反応容器が、固体炭素、約0%の水、及び約0%の酸素を前記反応容器内に含有し、前記炭素が、気体炭化水素を含む前記供給原料を加熱するように動作可能であるステップと、b)前記炭素に、前記固体炭素が少なくとも1,200ケルビンの温度になるまでマイクロ波を照射し、これにより、水素及び固体炭素を生成するステップと、c)前記水素と固体炭素を分離するステップと、を含む方法が提供される。
【0029】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記マイクロ波不活性反応容器が、マイクロ波透過材料を含む方法が提供される。
【0030】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記マイクロ波不活性反応容器が、マイクロ波反射材料を含む方法が提供される。
【0031】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記マイクロ波不活性反応容器が、マイクロ波透過材料及びマイクロ波反射材料の混合物を含む方法が提供される。
【0032】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記反応容器が、石英及び高温金属合金でできている方法が提供される。
【0033】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記供給原料が、天然ガスである方法が提供される。
【0034】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記固体炭素が、気体炭化水素の熱分解によって製造された固体炭素である方法が提供される。
【0035】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記炭素が、1,200ケルビンから約2,000ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0036】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記炭素が、約1,300ケルビンから約1,900ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0037】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記炭素が、約1,400ケルビンから約1,800ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0038】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記炭素が、約1,500ケルビンから約1,700ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0039】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記炭素が、約1,600ケルビンの温度である方法が提供される。
【0040】
本発明の例示的な実施形態において、水素及び固体炭素を製造する方法であって、a)気体炭化水素を含む供給原料を反応容器に供給するステップであって、前記反応容器が、起点となる固体炭素、約0重量%の水、及び約0重量%の分子状酸素を前記反応容器内に含有し、前記起点となる固体炭素が、気体炭化水素を含む前記供給原料を加熱するように動作可能であるステップと、b)前記起点となる固体炭素に、前記起点となる固体炭素が少なくとも1,200ケルビンの温度になるまで、マイクロ波、電波、又はそれらを組み合わせたものを照射し、これにより、水素及び製造された固体炭素を生成するステップと、c)前記水素と前記製造された固体炭素を分離するステップと、を含み、前記起点となる固体炭素にマイクロ波を照射する場合、前記反応容器はマイクロ波不活性であり、前記起点となる固体炭素に電波を照射する場合、前記反応容器は電波不活性である方法が提供される。
【0041】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記反応容器が、マイクロ波透過材料を含む方法が提供される。
【0042】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記反応容器が、マイクロ波反射材料を含む方法が提供される。
【0043】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記反応容器が、電波透過材料を含む方法が提供される。
【0044】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記反応容器が、電波反射材料を含む方法が提供される。
【0045】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記反応容器が、石英及び高温金属合金でできている方法が提供される。
【0046】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記供給原料が、天然ガスである方法が提供される。
【0047】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記供給原料が、気体供給原料である方法が提供される。
【0048】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記供給原料が、非炭化水素ガスを実質的に含まない方法が提供される。
【0049】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記供給原料が、約0重量%の不活性ガスを含む方法が提供される。
【0050】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記供給原料が、本質的に気体炭化水素からなる方法が提供される。
【0051】
本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記製造された固体炭素が、気体炭化水素の熱分解によって製造された固体炭素である方法が提供される。
【0052】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、1,200ケルビンから約2,000ケルビンの範囲の温度であるか、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、1,200ケルビンから約2,000ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0053】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、約1,300ケルビンから約1,900ケルビンの範囲の温度であるか、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,300ケルビンから約1,900ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0054】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、約1,400ケルビンから約1,800ケルビンの範囲の温度であるか、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,400ケルビンから約1,800ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0055】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、約1,500ケルビンから約1,700ケルビンの範囲の温度であるか、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,500ケルビンから約1,700ケルビンの範囲の温度である方法が提供される。
【0056】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、約1,600ケルビンの温度であるか、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,600ケルビンの温度である方法が提供される。
【0057】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素に、マイクロ波を照射するか、又は、前記起点となる固体炭素及び製造された固体炭素に、マイクロ波を照射する方法が提供される。
【0058】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素に、電波を照射するか、又は、前記起点となる固体炭素及び製造された固体炭素に、電波を照射する方法が提供される。
【0059】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記方法が触媒を用いない方法が提供される。
【0060】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記水素及び前記製造された固体炭素が、前記マイクロ波、電波、又はそれらを組み合わせたものによってプラズマが生成されない状態で製造される方法が提供される。
【0061】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記起点となる固体炭素が、金属不純物及び酸素含有種を含まない方法が提供される。
【0062】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の方法であって、前記水素及び前記製造された固体炭素が、実質的に一酸化炭素を生成することなく生成される方法が提供される。
【0063】
本発明の他の態様及び特徴は、添付の図面を参照しつつ行う本発明の具体的な実施形態に関する以下の説明を考慮すれば、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明の実施形態を例示する図面において、
図1】天然ガスから高純度の水素を製造する熱分解プロセスを示す図。
図2】天然ガスから高純度ではない水素を製造する熱分解プロセスを示す図。
図3】10気圧、10秒間の場合の反応器の温度の影響を示すグラフ。
図4】1,600K、10秒間の場合の圧力の影響を示すグラフ。
図5】1,600K、10気圧の場合の滞留時間の影響を示すグラフ。
図6】エネルギー及び流量を計算する位置を示したプロセスの概略図。
図7】ベンチ・スケールのラボ実験の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本明細書において用いる、「供給原料」という用語は、気体又は蒸発させることができる炭化水素の供給源を意味する。本発明の方法では、気体供給原料を用いる。供給原料は、気体炭化水素を含んでいてもよく、非炭化水素ガス(二酸化炭素、窒素、アルゴン、又は、これらを組み合わせたものなどだが、これらに限定されない)を実質的に含んでいなくてもよい。供給原料が「非炭化水素ガスを実質的に含まない」とは、供給原料が10重量%未満の非炭化水素ガスを含有することを意味し、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1重量%未満の非炭化水素ガスを含有することを含む。したがって、供給原料は、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99重量%を上回る気体炭化水素を含んでいてもよい。供給原料は、気体炭化水素から本質的になるか、又はなっていてもよい。供給原料は、気体炭化水素を含んでいてもよく、二酸化炭素を実質的に含んでいなくてもよい。供給原料が「二酸化炭素を実質的に含まない」とは、供給原料が10重量%未満の二酸化炭素を含むことを意味し、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1重量%未満の二酸化炭素を含有することを含む。好ましくは、供給原料は天然ガスである。天然ガスは、気体、気体炭化水素(メタンを含む)、二酸化炭素、窒素、水素、水、及び分子状酸素の混合物を含むことが多い。好ましくは、供給原料は、二酸化炭素の量が少なく、理想的には、水及び分子状酸素が無視できるほど少ないか、又は、好ましくは、0重量%の水及び0重量%の分子状酸素を含有する。供給原料は、好ましくは、1.5重量%未満の水を含有するものが、本発明の方法において用いられる。より好ましくは、供給原料は、1重量%以下の水を含有するものが、本発明の方法において用いられる。より好ましくは、供給原料は、0.5重量%以下の水を含有するものが、本発明の方法において用いられる。より好ましくは、供給原料は、0.1重量%以下の水を含有するものが、本発明の方法において用いられる。2重量%を上回る水を含有する供給原料は、本発明で用いるのには適さない。さらに、供給原料は、好ましくは、1.5重量%以下の分子状酸素を含有するものが、本発明の方法において用いられる。より好ましくは、供給原料は、1重量%以下の分子状酸素を含有するものが、本発明の方法において用いられる。より好ましくは、供給原料は、0.5重量%以下の分子状酸素を含有するものが、本発明の方法において用いられる。より好ましくは、供給原料は、0.1重量%以下の分子状酸素を含有するものが、本発明の方法において用いられる。2重量%を上回る分子状酸素を含有する供給原料は、本発明で用いるのには適さない。さらに、供給原料は、好ましくは、10重量%未満の酸素含有種を含有するものが、本発明の方法において用いられる。より好ましくは、供給原料は、5重量%以下の酸素含有種を含有するものが、本発明の方法において用いられる。より好ましくは、供給原料は、2重量%以下の酸素含有種を含有するものが、本発明の方法において用いられる。10重量%を上回る酸素含有種を含有する供給原料は、本発明で用いるのには適さない。純粋な気体炭化水素、又は、純粋な気体炭化水素の混合物からなる供給原料も、本発明の方法に用いることができる。供給原料が二酸化炭素を含まない、好ましい実施形態もある。供給原料が不活性ガスを含まない、好ましい実施形態もある。供給原料が窒素を含まない、好ましい実施形態もある。本発明の供給原料が、気体炭化水素からなり、及び/又は、本質的に気体炭化水素からなる、好ましい実施形態もある。
【0066】
本明細書において用いる、「%」又は「重量%」という用語は、文脈から別の意味が適用されることが明白でない限り、重量百分率を意味する。たとえば、1.5%未満の水を含有する組成物(たとえば、供給原料)に言及する場合、これは、組成物の総重量が1.5重量%未満の水を含むことを意味する。
【0067】
本明細書において用いる、「水」という用語は、分子HOを意味する。
【0068】
本明細書において用いる、「酸素含有種」という用語は、少なくとも1個の酸素原子を含むものであって、分子状酸素でも水でもない分子を意味する。
【0069】
本明細書において用いる、「酸素」という用語は、通常、分子Oを意味し、多くの場合、「分子状酸素」と呼ぶ。「酸素」という用語が、特定の組成物中のすべての酸素原子を意味する場合もある。たとえば、酸素含有種に言及する場合、酸素の量は、分子状酸素でも水でもない、酸素原子を含む分子に含まれる酸素原子の総量である。
【0070】
本明細書において用いる、「不活性ガス」という用語は、反応容器内の条件下で化学反応も化学的な変化も起こさないガスを意味する。不活性ガスの非限定的な例として、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、及びラドンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書において用いる、「反応容器」という用語は、水素及び固体炭素を製造する方法に関わる固体炭素、気体炭化水素、及び水素を入れるために使用される、反応容器の密閉された内部空間を画定する物体を意味する。本発明で用いるのに適した反応容器は、水及び分子状酸素が反応容器内に入るのを防ぐことができなければならず、1,200ケルビン以上の温度に耐えることができなければならない。さらに、本発明の反応容器は、マイクロ波及び/又は電波を受け入れることができ、マイクロ波及び/又は電波が反応容器の内部空間に入ることを可能にするものでなければならない。たとえば、反応容器が、空間もしくは隙間、又は、マイクロ波及び/もしくは電波が容器に入ることができるようなマイクロ波及び/もしくは電波透過材料片のような容器の一部分を有し、容器の残りの部分がマイクロ波及び/又は電波を反射する性質をもっていてもよい。容器の反射性の部分は、容器の中に電磁波を封じ込めるのに適する。適切な反応容器の例として、移動床反応器、バブリング流動床反応器、噴出流動床反応器、輸送床反応器、循環流動床反応器、超高速反応器、回転コーン反応器、溶発蒸着反応器、真空反応器、オーガ/スクリュー反応器、サイクロン/ボルテックス反応器、遠心分離反応器、フロー反応器などの形態の熱分解反応器が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、反応容器は熱分解反応器である。
【0072】
本明細書において用いる、「マイクロ波」という用語は、300GHzから300MHzの周波数に対応する、0.001から1mの範囲の波長を有する電磁波を意味する。マイクロ波加熱によく用いられる周波数帯として、915MHz付近の周波数、及び2,450MHz付近の周波数が挙げられるが、300GHz以下の任意の周波数など、他の周波数を本発明の方法に用いてもよい。本発明において懸念される誘電体材料のマイクロ波加熱は、二つの主要なメカニズム、すなわち、双極子回転及びイオン伝導によって起こる。マイクロ波加熱は、非接触、高速、選択性、体積性であり、迅速な開始と停止が可能である。
【0073】
本明細書において用いる、「電波」という用語は、300MHz未満の周波数を有する電磁波を意味する。多くの場合、電波の波長は、1kHzから300MHzの周波数に対応する、30万メートルから1メートルの範囲にある。電波加熱によく用いられる周波数帯として、20kHz付近の周波数が挙げられるが、本発明の方法においては、約1kHzから約200MHz、約1kHzから約100MHz、約1kHzから約50MHz、約1kHzから約1MHz、約1kHzから約100kHz、約1kHzから約50kHz、約1kHzから約20kHz、約1kHzから約10kHzなどの他の周波数を用いてもよい。電波加熱は、非接触、高速、選択性、体積性であり、迅速な開始と停止が可能である。例示的な実施形態によれば、マイクロ波及び/又は電波による加熱条件では、プラズマは生成されない。
【0074】
本発明によれば、固体炭素(たとえば、起点となる固体炭素)を加熱するために、マイクロ波及び電波の両方を用いてもよい。固体炭素(たとえば、起点となる固体炭素)を加熱するためにマイクロ波のみを用いる、好ましい実施形態もある。固体炭素(たとえば、起点となる固体炭素)を加熱するために電波のみを用いる、好ましい実施形態もある。固体炭素(たとえば、起点となる固体炭素)を加熱するために、マイクロ波及び電波の両方を用いる、他の実施形態もある。本発明によれば、適切な電磁波の周波数範囲は、約300GHz未満、多くの場合、約3kHzから約300GHzの範囲であってよく、これに対応する波長は約100kmから約1mmである。本発明によれば、適切な電磁波の周波数範囲は、約300kHzから約30GHzの範囲であってよく、これに対応する波長は約1kmから約10mmである、好ましい実施形態もある。本発明によれば、適切な電磁波の周波数範囲は、約300MHzから約3GHzの範囲であってよく、これに対応する波長は約1mから約100mmである、好ましい実施形態もある。本発明によれば、適切な電磁波の周波数範囲は、約3MHzから約30MHzの範囲であってよく、これに対応する波長は約10mから約100mである、好ましい実施形態もある。本発明によれば、適切な電磁波の周波数は、915MHz、2,450MHz、20kHz、又は、これらを任意に組み合わせたものであってもよい、好ましい実施形態もある。
【0075】
マイクロ波及び/又は電波の照射による誘電体材料の加熱速度(dT/dt)は、電力密度(P、W/m)、材料の比熱容量(c、J/kg・℃)、及び材料密度(ρ、kg/m)の関数である(数式1)。さらに、電力密度は、周波数(f、Hz)、自由空間の誘電率(ε、8.854×10-12F/m)、複素比誘電率の虚部(ε″)、及び電界強度(E、V/m)の関数である(数式2)。複素誘電率の虚部は、材料がマイクロ波及び/又は電波のエネルギーをどの程度熱に変えることができるかを決めるものであり、マイクロ波及び/又は電波加熱システムの設計において知っておくべき非常に重要なパラメータである。数式2は、電力密度が電界強度の二乗の関数であることを示している。加熱速度が電力密度の関数であるため、材料の加熱速度は、電界強度が増加するにつれて指数関数的に大きくなる。
【0076】
【0077】
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【0078】
本明細書において用いる、「マイクロ波不活性」という用語は、材料がマイクロ波との相互作用によって影響を受けないという材料の特性を意味する。マイクロ波不活性材料が、マイクロ波に対して透明であり、マイクロ波を透過させる材料である例もある。マイクロ波不活性材料が、マイクロ波を反射し、マイクロ波と材料が相互作用する際にマイクロ波の方向を変え、マイクロ波が材料を透過できない材料である例もある。
【0079】
本明細書において用いる、「電波不活性」という用語は、材料が電波との相互作用によって影響を受けないという材料の特性を意味する。電波不活性材料が、電波に対して透明であり、電波を透過させる材料である例もある。電波不活性材料が、電波を反射し、電波と材料が相互作用する際に電波の方向を変え、電波が材料を透過できない材料である例もある。
【0080】
本明細書において用いる、「約」という用語は、「約」という用語の後に続く厳密な数値に対する完全な一致が絶対的に要求されるものでも必須なものでもなく、厳密な値からの多少のずれは許容されることを意味する。多くの場合、±10%の偏差は許容される。好ましくは、±5%の偏差は許容される。さらに好ましくは、±1%の偏差は許容される。さらに好ましくは、±0.1%の偏差は許容される。
【0081】
例示的な実施形態において、水素及び固体炭素を製造する方法が提供される。CO及びその他の温室効果ガス(GHG:greenhouse gas)を削減及び/又は抑制することは、例示的な実施形態における方法の利点である。固体炭素を製造することは、反応に役立つだけでなく、炭素を気体でもGHGでもない形で回収できることから、望ましい。この方法は、マイクロ波不活性反応容器に供給原料を供給するステップ、又は、電波不活性反応容器に供給原料を供給するステップ、又は、マイクロ波不活性でもあり電波不活性でもある反応容器に供給原料を供給するステップを含む。容器内に、固体炭素と、存在しないかせいぜい無視できるほどの量の水と、存在しないかせいぜい無視できるほどの量の分子状酸素を含有する。水及び分子状酸素は、反応容器に加えない。反応容器内の水及び分子状酸素の唯一の発生源は、供給原料に含まれる少量の水、分子状酸素、及び酸素含有種(たとえば、CO)であろう。次に、固体炭素にマイクロ波、電波、又はマイクロ波と電波の両方を照射し、炭素を少なくとも1,200ケルビンの温度にする。次に、高温の炭素が気体炭化水素を加熱し、これにより、水素及びさらに追加の固体炭素(たとえば、製造された固体炭素)が生成され、その後、水素と、起点となる固体炭素、及び、製造された固体炭素とが分離される。水素及び固体炭素を生成する際、一酸化炭素は実質的に生成されない。例示的な実施形態の方法を用いて、供給原料の10重量%未満を一酸化炭素に変える実施形態もある。例示的な実施形態の方法を用いて、供給原料の5重量%未満を一酸化炭素に変える、好ましい実施形態もある。例示的な実施形態の方法を用いて、供給原料の4重量%未満を一酸化炭素に変える、他の好ましい実施形態もある。例示的な実施形態の方法を用いて、供給原料の3重量%未満を一酸化炭素に変える、他の好ましい実施形態もある。例示的な実施形態の方法を用いて、供給原料の2重量%未満を一酸化炭素に変える、他の好ましい実施形態もある。例示的な実施形態の方法を用いて、供給原料の1重量%未満を一酸化炭素に変える、他の好ましい実施形態もある。例示的な実施形態の方法を用いて、供給原料の約0重量%を一酸化炭素に変える、他の好ましい実施形態もある。供給原料を反応容器に供給する前に、又は、供給原料を反応容器に供給した後に、固体炭素にマイクロ波、電波、又はマイクロ波と電波の両方を照射してもよい。供給原料の追加、ならびに/又は、水素及び/もしくは固体炭素の除去のためにプロセスを停止する必要なしに、このプロセスを連続的に実行してもよい。別の方法として、固体炭素及び/又は他の成分を除去するために、プロセスを停止してもよい。
【0082】
本発明の方法により、触媒を用いないシステムが提供される。本発明の方法が、さらに、あるいは代わりに、反応容器内に最初に含まれる固体炭素が金属不純物を実質的に含まない反応を含む実施形態もある。さらに、及び/又は、代わりに、本発明の方法は、実質的に、及び/又は、完全に、プラズマを用いない反応である。さらに、及び/又は、代わりに、本発明の反応によって、一酸化炭素が生成されず、及び/又は、実質的に生成されない、好ましい実施形態もある。
【0083】
例示的な実施形態の方法において、マイクロ波不活性反応容器、電波不活性反応容器、又は、マイクロ波不活性でもあり電波不活性でもある反応容器が用いられる。つまり、反応容器の材料は、a)マイクロ波を透過する、及び/又は、マイクロ波を反射する、b)電波を透過する、及び/又は、電波を反射する、ならびに、c)マイクロ波と電波の両方を透過する、及び/又は、マイクロ波を反射し、電波を反射する、のいずれかである。マイクロ波透過材料及び電波透過材料は、一般に、ε′及びε″の値が小さい材料である。このような材料の例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)、アルミナ系セラミックス、コランダム、溶融石英ガラス及びホウケイ酸ガラス、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。マイクロ波反射材料及び電波反射材料は、一般に、ε′及びε″の値が大きく、導電性が高いため、透過深度が小さい材料である。例として、ステンレス鋼、炭素鋼、真鍮、青銅、鉄、銅、銀、金、アルミニウム、亜鉛、鉛、クロム、マンガン、チタン、モリブデン、タングステンなどの金属及び金属合金が挙げられる。反応容器を構成する材料として好ましいものとして、石英、ステンレス鋼、及び高融点金属合金が挙げられる。
【0084】
固体炭素は、例示的な実施形態における方法の生成物として製造され、生成された炭素は、高温の材料上に選択的に堆積する。反応容器がマイクロ波及び/もしくは電波によって加熱されやすい材料でできている場合、又は、反応容器がマイクロ波及び/もしくは電波によって加熱されやすい非炭素質材料を含んでいる場合、反応器が汚染され、その結果、反応が遅くなり、最終的に固体炭素及び水素の生成量が少なくなるおそれがある。換言すれば、材料が異なればマイクロ波及び/又は電波に対する反応も異なるため、例示的な実施形態の方法においては、反応容器内に最初に含まれる固体炭素(たとえば、起点となる炭素)がマイクロ波及び/又は電波の主要な吸収体であることが好ましい。このことは、とくに、この方法を停止することなく連続的に実行する場合に重要である。この観点から、反応容器内に最初に含まれる固体炭素(たとえば、起点となる炭素)の発生源として、どのような固体炭素を用いてもよいが、より純度の高い形態の固体炭素を用いることが好ましい。好ましい固体炭素発生源の例として、活性炭、石炭チャー、又はバイオ炭のような有機固体から生成した炭素ではなく、カーボン・ブラック又は黒鉛質炭素のような気相から生成した固体炭素が挙げられる。最も好ましいのはカーボン・ブラックであり、これは、供給原料が天然ガスのような気体炭化水素である場合に、例示的な実施形態の方法によって生成される。固体炭素は、金属不純物及び酸素含有種を含まない。
【0085】
天然ガスは、気体炭化水素の一般的な発生源であり、例示的な実施形態の方法に適した気体炭化水素の発生源である。供給原料は、廃水処理、固形廃棄物埋立地、嫌気性消化、及び、その他の化石燃料源から得ることもできる。メタンのような気体炭化水素の純度の高い供給原料、又は、気体炭化水素の純度の高い混合物も、例示的な実施形態の方法に適した供給原料である。
【0086】
固体炭素に含まれる不純物(たとえば、金属)を、反応を促進するために利用する場合、反応が進むにつれて、新しく生成された固体炭素が不純物上に堆積し、これにより、触媒サイトとして作用する不純物から反応ガスが遮蔽され、結果的に触媒反応が阻害され、反応が遅くなる、及び/又は、停止する。固体炭素に含まれる水又は分子状酸素のような不純物を、水素への転化を促進するために利用する場合、熱分解は起こらず、COが反応により生成される。これは、酸素及び/又は水が固体炭素から追い出されると、反応が遅くなる、又は停止するためである。さらに、触媒作用を低温で反応を促進するために利用する場合、供給原料中に不純物(たとえば、硫黄)が含まれていると、触媒特性の悪化を招くおそれがある。例示的な実施形態の方法は触媒特性に依存しないが、固体炭素が持ちうる触媒効果は、例示的な実施形態の熱分解反応によって排除されるものではない(また、必ずしも必要ではない)。
【0087】
メタンの水素と固体炭素への分解は約1,100ケルビンより高い温度で生じるが、その生成量が大きくなるのは約1,200ケルビンより高い温度である。温度を上げていくと、水素及び固体炭素の生成量は、ほぼすべてのメタンが水素と固体炭素に分解する約1,600ケルビンに達するまで増加する。例示的な実施形態の方法を、1,200ケルビン以上の温度で実行してもよい。好ましくは、例示的な実施形態の方法を、約1,200ケルビンから約2,000ケルビンの範囲の温度で実行してもよい。好ましくは、例示的な実施形態の方法を、約1,300ケルビンから約1,900ケルビンの範囲の温度で実行してもよい。好ましくは、例示的な実施形態の方法を、約1,400ケルビンから約1,800ケルビンの範囲の温度で実行してもよい。好ましくは、例示的な実施形態の方法を、約1,500ケルビンから約1,700ケルビンの範囲の温度で実行してもよい。最も好ましくは、例示的な実施形態の方法を、約1,600ケルビンの温度で実行してもよい。
【0088】
図1に示すように、例示的な実施形態の方法の例示的な実施形態は、一般的に15に示すシステムを用いて実施してもよい。マイクロ波及び/又は電波電源20には、電力源30から電力が供給される。導波管40とアプリケータ45により、マイクロ波及び/又は電波が反応容器50に導入されるが、この反応容器50は内部に固体炭素を含有している。供給原料源60から熱交換器70に供給原料(たとえば、天然ガス)が導入され、熱交換器70から反応容器50に供給原料が導入される。反応容器50内の固体炭素が少なくとも1,200ケルビンに加熱され、高温の固体炭素が供給原料を加熱することで、反応容器50内で供給原料(たとえば、天然ガス由来のメタン)の熱分解が生じる。分解が生じると、得られた水素及び固体炭素が熱交換器70に導入され、そこで水素及び固体炭素の熱が放出され、反応容器50に入ることになる供給原料に伝えられる。次いで、熱交換器70から、冷却された水素及び固体炭素が粒子分離器80に導入され、そこで水素と固体炭素が分離される。粒子分離器80は二つの流出口を有しており、一方は固体炭素用の流出口100、他方は水素用の流出口である。固体炭素は、粒子分離器80から排出された後、回収される。粒子分離器80から排出された水素は、供給原料由来の残留ガスから水素を分離する水素分離器90に導入される。水素分離器90は、二つの流出口、水素用流出口110及び残留ガス用流出口120を有する。水素は、水素分離器90から排出された後、回収される。水素分離器90から排出された残留ガスを、反応容器50に戻すために熱交換器70に再導入してもよい。別の構成として、残留ガスを熱交換器70又は反応容器50に再利用する必要がないものもある。このような場合、残留ガスを水素とともに回収してもよく、この場合、図2に示すように、プロセスから水素分離器90を省略してもよく、図1に示す流出口110は、代わりに、図2に示すように、水素と残留ガスの両方を含む流出口130となる。別の方法として、残留ガスを単純に水素とは別に回収し、熱交換器70及び反応容器50に再利用しないようにしてもよい。
【実施例
【0089】
以下の実施例は、本明細書に記載される例示的な実施形態の一部を例示的に示すものである。これらの実施例は、例示的な実施形態の精神又は範囲をいかなる形でも限定するものではない。
【0090】
<<実施例1>>
(エネルギー及び流量の計算)
エネルギー及び流量の計算は、メタンの熱分解及び炭素粒子形成の詳細な化学モデルに基づいて行われる。このモデルにより、所定の反応器圧力と滞留時間における熱分解反応器出口の反応器温度及び未反応のメタンが求められる。熱分解反応器の入口及び出口における単位質量当たりの化学エネルギー及び熱エネルギーが計算される。利用可能なマイクロ波エネルギーを知ることにより、未反応メタンの再利用を考慮した、反応器を流れる物質の量を計算することができる。これにより、生成される水素の生成速度を計算することができる。
【0091】
(熱分解のモデリング)
検証され、査読済みのモデル(NanoPFR)は、メタンの熱分解、及び、5環までのPAH種を含むより大きな炭化水素の生成を記述する詳細な気相化学(180の化学種、及び1237の反応)を含む(Naseri,A.,Thomson,M.J.(2019)Development of a numerical model to simulate carbon black synthesis and predict the aggregate structure in flow reactors.Combustion and Flame,207:314-326)。エアロゾル・ダイナミクス・モデルは、断面モデル(25の断面)を用いて粒径分布を表現する。これには、PAHからの粒子核形成、C及びPAHからの粒子成長、ならびに、粒子凝集のモデルが含まれる。反応器はプラグ・フロー反応器として表現した。投入する化学物質として、パイプライン天然ガス中に存在する非メタン化学種(94.7%のCH、4.2%のC、0.5%のN、0.3%のCO、0.2%のC(モル比))が含まれる。反応器は恒温・恒圧プロセスとしてモデル化される。
【0092】
このモデルにより、熱分解反応器の圧力、温度、及び滞留時間の関数として、180の気相種の出口モル分率、及び固体炭素の体積分率が求められる。図3は、反応器圧力10気圧、滞留時間10秒の場合の、出口におけるメタン及び水素のモル分率を、反応器温度の関数として示したものである。この結果から、メタンは1,200Kで顕著に反応し始め、1,600Kに達するまでに生成物にはほとんど含まれなくなることがわかる。水素はメタンの逆の挙動を示し、1,600Kでピークに達する。このことは、温度と残留メタンがトレードオフの関係にあることを示す。エネルギー及び質量の分析を行うため、1,600Kの反応器温度を選択した。
【0093】
表1に、反応器温度1,600K、圧力10気圧、滞留時間10秒の場合の、入口及び出口におけるモル分率の詳細を示す。これによれば、顕著に残留している唯一の炭化水素はメタンであり、その炭素質量は1%である。水素は98%(モル分率)と高い転化率が達成され、反応器出口における炭素の97%は固体炭素である。
【0094】
【表1】
【0095】
図4は、反応器温度1,600K、滞留時間10秒の場合の、出口におけるメタン及び水素のモル分率に対する反応器圧力の影響を示したものである。残留メタンが圧力の上昇とともに増加するのは、圧力上昇とともに盛んになる再結合反応によるラジカルの減少が原因であると考えられる。ラジカルは、メタンの熱分解において重要な役割を果たす。この分析によれば、大気圧で残留メタンをより少なく(0.6%)することは可能だが、反応器の容積を10倍大きくする必要があると考えられる。
【0096】
残留ガスを熱分解ユニットに再利用することなく、98%から100%の純度の水素を得ることができる。しかしながら、PEM燃料電池自動車の純度規格(ISO 14687:2019「水素燃料の品質-製品仕様」2019年11月)は非常に厳格である。たとえば、一酸化炭素は0.2ppm未満でなければならないが、これは、使用するメタン源(たとえば、天然ガスの供給)に含まれるCO及びCOの量によっては困難であるかもしれない。PEMFC車に水素を供給する際には、メタン源の質にもよるが、熱分解ガスの精製が必要となる場合があるかもしれない。
【0097】
図5は、反応器温度1,600K、圧力10気圧の場合の、出口におけるメタン及び水素のモル分率に対する反応器の滞留時間の影響を示したものである。メタンは、最初は急激に減少し、その後平坦になる。最初の0.1秒で80%のメタンが反応する。したがって、残留メタンが多くてもよければ、反応器の滞留時間を短くすることができる。
【0098】
<<実施例2>>
(質量及びエネルギーの計算)
実施例1に示した熱分解モデルを用いることにより、反応器圧力10気圧、温度1,600K、滞留時間10秒の場合、反応器出口に1%の残留メタンが残るということが予測できる。計算を簡単にするため、メタン源は純粋なメタンであると仮定している。反応器の入口の温度が1,100Kで、残留メタンが再利用されるものと仮定し、投入メタンの単位質量当たりの反応器を通過する総エンタルピーの増加量を計算することができる。そして、電源効率90%、マイクロ波吸収効率90%のときのマイクロ波による加熱量を計算することができる。その結果から、マイクロ波電力が75kWのときの投入メタン、ならびに、出口における水素及び固体炭素の量を計算することができる。質量及びエネルギーの流れをまとめたものが表2である。図6は、表中の値の位置を示す。この計算では、熱交換器が熱分解熱エネルギーの50%を回収できるものと仮定している。図6において、電力源230、マイクロ波電源220、メタン源260、マイクロ波キャビティと結合した熱分解反応器250、熱交換器270、粒子分離器280、水素分離器290、固体炭素流出口2100、及び、水素ガス流出口2110がある。
【0099】
エネルギー及び流量の計算から、このユニットは10.6kWh/kg-H(38MJ/kg-H)の電力を消費したものと予測される。この値は、ファン又はポンプ、ならびに、粒子分離及びH分離に関連する電力消費を無視したものである。
【0100】
【表2】
【0101】
<<実施例3>>
(エネルギーの計算)
915MHzシステムの電力からマイクロ波エネルギーへの変換効率が90%、炭素に吸収されるエネルギーが90%と仮定すると、炭素に伝達されるエネルギーは81%と推定される。熱分解反応器全体で必要となるエネルギーは31MJ/kg-Hであり、したがって、必要となる総エネルギーは38MJ/kg-Hとなる。水の電気分解によって水素を製造するのに必要なエネルギーは、193MJ/kg-Hである(Bhandari,R.,Trudewind,C.A.,Zapp,P.(2014)Life cycle assessment of hydrogen production via electrolysis - a review.Journal of Cleaner Production.85:151-163)。したがって、マイクロ波熱分解プロセスによって水素を製造するのに必要な電力は、電気分解によって水素を製造するのに必要な電力のわずか20%である。ただし、工場のエネルギー需要のバランスは考慮してない。
【0102】
<<実施例4>>
(ベンチ・スケールのマイクロ波システム)
ラボの設備には、さまざまなサイズ、構成、周波数、電力のマイクロ波システム及び反応器がある。3.2kW、2,450MHzのマルチモード・マイクロ波システムをベンチ・スケールの実験に使用することが可能であり、メタンの熱分解を研究するための既存のシステムに統合する予定である(図7)。純粋なメタン、又は、代表的な天然ガス混合物360をヒーター3300で加熱し、熱分解反応器350に導入することができる。反応器350をマイクロ波透過性の石英管で構成してもよく、マルチモード・マイクロ波キャビティ内に設けてもよい。マイクロ波システム320は、反応器内の物質を所望の温度まで加熱することができ、この温度は、赤外線カメラ及びK型熱電対を用いて測定してもよい。反応器及びマイクロ波キャビティを出た後、水素及び炭素粒子を含む生成ガス流を、一連の分析にかけることができる。水素収率、及び、出口のガス中に残留する炭化水素ガス種は、それぞれ、ガスクロマトグラフィーの熱伝導度検出器3400(GC-TCD:gas chromatography - thermal conductivity detector)及びガスクロマトグラフィーの質量分析計3500(GC-MS:gas chromatography - mass spectrometry)を用いて測定することができる。生成される炭素粒子の量及び粒径分布は、走査型モビリティ粒径分析装置3600(SMPS:scanning mobility particle sizer)の分光計を用いてオンラインで測定することができる。粒子表面の特性及び形態は、フィルター3700及び抽出サンプリング、ならびに、透過型電子顕微鏡/走査型TEM装置3800(TEM/STEM)を用いて評価することができる。このシステムは通気口3900も備える。
【0103】
より大きな15kW、915MHzのベンチスケール・システムを用いて、より大きな電力、工業用周波数の影響を評価し、キャビティの設計を比較することができる。15kWのシステムは、3.2kWのものとほぼ同じ配置であり得るが、キャビティが交換可能であるため、マイクロ波をモノモード又はマルチモードで印加でき、チューニング機能を備えていてもよい。
【0104】
本明細書において、本発明のさまざまな実施形態が開示されているが、この技術分野における当業者の一般的な知識にしたがって、本発明の範囲内で多くの変更及び変形を加えてもよい。このような変形には、実質的に同じ方法で同じ結果を得るために、公知の同等物を本発明の任意の態様に置き換えることが含まれる。数値範囲は、その範囲を定義する数値を含む。さらに、数値範囲は、その範囲内の個々の値が、その範囲がない場合に具体的に記述されることに加えて、値の範囲が記述されるように記載される。本明細書において、「含んでいる」という語は、「含んでいるがこれに限定されない」という語句と実質的に等価な、開放型の用語として使用され、「含む」という語は、これに対応する意味を持つ。本明細書において用いる、単数形の『a』、『an』および『the』は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形を含む。したがって、たとえば、「物」について言及する場合、複数の物が含まれる。本明細書において参考文献を引用することは、当該参考文献が例示的な実施形態に対する先行技術であることを認めることを意味しない。さらに、本明細書の背景技術の部分に資料を記載したことは、当該資料が本発明の先行技術であることを認めることを意味しない。あらゆる優先権文書は、個々の優先権文書が参照によって本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、また、本明細書に完全に記載されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。本発明は、実施例及び図面を参照して本明細書で前述したような、すべての実施形態及び変形を実質的に含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素及び固体炭素を製造する方法であって、前記方法が、
a)気体炭化水素を含む供給原料を反応容器に供給するステップであって、前記反応容器が、起点となる固体炭素、約0重量%の水、及び約0重量%の分子状酸素を前記反応容器内に含有し、前記起点となる固体炭素が、気体炭化水素を含む前記供給原料を加熱するように動作可能であるステップと、
b)前記起点となる固体炭素が少なくとも1,200ケルビンの温度になるまで、前記起点となる固体炭素に、マイクロ波、電波、又はそれらを組み合わせたものを照射し、これにより、水素及び製造された固体炭素を生成するステップと、
c)前記水素と前記製造された固体炭素を分離するステップと、を含み、
前記起点となる固体炭素にマイクロ波を照射する場合、前記反応容器はマイクロ波不活性であり、前記起点となる固体炭素に電波を照射する場合、前記反応容器は電波不活性である方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記反応容器は、マイクロ波透過材料を含む方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記反応容器は、マイクロ波反射材料を含む方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記反応容器は、電波透過材料を含む方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記反応容器は、電波反射材料を含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記反応容器は、石英及び高温金属合金でできている方法。
【請求項7】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記供給原料は、天然ガスである方法。
【請求項8】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記供給原料は、気体供給原料である方法。
【請求項9】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記供給原料は、非炭化水素ガスを実質的に含まない方法。
【請求項10】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記供給原料は、約0重量%の不活性ガスを含む方法。
【請求項11】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記供給原料は、本質的に気体炭化水素からなる方法。
【請求項12】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記製造された固体炭素が、気体炭化水素の熱分解によって製造された固体炭素である方法。
【請求項13】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素が、1,200ケルビンから約2,000ケルビンの範囲の温度である、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、1,200ケルビンから約2,000ケルビンの範囲の温度である方法。
【請求項14】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素が、約1,300ケルビンから約1,900ケルビンの範囲の温度である、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,300ケルビンから約1,900ケルビンの範囲の温度である方法。
【請求項15】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素が、約1,400ケルビンから約1,800ケルビンの範囲の温度である、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,400ケルビンから約1,800ケルビンの範囲の温度である方法。
【請求項16】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素が、約1,500ケルビンから約1,700ケルビンの範囲の温度である、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,500ケルビンから約1,700ケルビンの範囲の温度である方法。
【請求項17】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素が、約1,600ケルビンの温度である、又は、前記起点となる固体炭素及び前記製造された固体炭素が、約1,600ケルビンの温度である方法。
【請求項18】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素に、マイクロ波を照射する、又は、前記起点となる固体炭素及び製造された固体炭素に、マイクロ波を照射する方法。
【請求項19】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素に、電波を照射する、又は、前記起点となる固体炭素及び製造された固体炭素に、電波を照射する方法。
【請求項20】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記方法は触媒を用いない方法。
【請求項21】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記水素及び前記製造された固体炭素は、前記マイクロ波、電波、又はそれらを組み合わせたものによってプラズマが生成されない状態で製造される方法。
【請求項22】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記起点となる固体炭素は、金属不純物及び酸素含有種を含まない方法。
【請求項23】
請求項1、2又は6に記載の方法であって、
前記水素及び前記製造された固体炭素は、実質的に一酸化炭素を生成することなく生成される方法。
【国際調査報告】