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特表2024-5173152次元シリコン・フォトニックMEMSスイッチ・アレイを有する擬似モノスタティックLIDAR
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】2次元シリコン・フォトニックMEMSスイッチ・アレイを有する擬似モノスタティックLIDAR
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240412BHJP
   G01S 17/34 20200101ALI20240412BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20240412BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20240412BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20240412BHJP
   G02B 6/34 20060101ALI20240412BHJP
   G02F 1/295 20060101ALI20240412BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/34
G01S17/894
G02B6/12 301
G02B6/12 361
G02B6/32
G02B6/34
G02F1/295
G02B26/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569828
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 US2022018949
(87)【国際公開番号】W WO2022240470
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/186,748
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523424776
【氏名又は名称】エヌアイ・システムズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】セオク,タエ・ジューン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ミン・チアン・エイ
【テーマコード(参考)】
2H137
2H141
2H147
2K102
5J084
【Fターム(参考)】
2H137AA04
2H137AA14
2H137AB11
2H137AB12
2H137BA34
2H137BA44
2H137BA48
2H137BA52
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB17
2H137BB25
2H137BC02
2H137BC17
2H137BC47
2H137HA01
2H141MA15
2H141MA20
2H141MB34
2H141MC04
2H141MC06
2H141MC09
2H141MD04
2H141ME06
2H141ME24
2H141ME25
2H147AA02
2H147AB02
2H147AB03
2H147AB04
2H147AB05
2H147AB09
2H147AB11
2H147AB21
2H147AB32
2H147AC01
2H147AC04
2H147AC15
2H147BC05
2H147BD01
2H147BE11
2H147BG04
2H147CA08
2H147CA25
2H147CB03
2H147CD02
2H147CD11
2H147EA02A
2H147EA12A
2H147EA13A
2H147EA14A
2H147GA26
2K102AA21
2K102AA28
2K102BA07
2K102BA08
2K102BA14
2K102BB04
2K102BC04
2K102BC10
2K102BD09
2K102DA04
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2K102DC08
2K102DC09
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2K102EB10
2K102EB20
2K102EB22
2K102EB29
5J084AA05
5J084AA07
5J084AA13
5J084AD02
5J084AD09
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA36
5J084BA40
5J084BA45
5J084BB02
5J084BB14
5J084BB16
5J084BB31
5J084BB34
5J084BB35
5J084CA08
(57)【要約】
本開示は、異なる光導波路により供給を受ける個別にされた送信(Tx)光アンテナと受信(Rx)光アンテナとを有するイメージング・ライダーに関する。この光アンテナの対は、デュアル・チャンネル光スイッチ・ネットワークを介して同時に作動させることができ、Txアンテナはレーザ源へ接続され、Rxアンテナは受信機へ接続される。TxアンテナおよびRxアンテナは、互いに近接して配することができ、それにより、それらはほぼ同じファーフィールド角度に向けられる。TxとRxとの間での光学的アライメントは不要である。このライダー構成は、ここでは擬似モノスタティック・ライダーと呼ばれ、スプリアス反射を除去し、ライダーのダイナミック・レンジを増加させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
擬似モノスタティック・イメージング・ライダー・システムであって、
レンズと、
少なくとも1つの光エミッタと、
少なくとも1つの光検出器と、
複数の対にされた光アンテナであって、それぞれが送信光アンテナと受信光アンテナとを含むものである複数の対にされた光アンテナと、
前記少なくとも1つの光エミッタから選択された送信光アンテナへの第1光経路を提供するように構成されるプログラマブル光ネットワークであって、更に、選択された前記送信光アンテナと対にされている受信光アンテナから前記少なくとも1つの光検出器への、別にされた第2光経路を提供するように構成されるプログラマブル光ネットワークと
を含み、前記複数の対にされた光アンテナは、レンズの焦平面に又は前記焦平面のあたりに配される、
システム。
【請求項2】
請求項1のシステムであって、前記複数の対にされた光アンテナと前記プログラマブル光ネットワークとはフォトニック集積回路において統合される、システム。
【請求項3】
請求項1のシステムであって、前記少なくとも1つの光エミッタは、周波数連続変調レーザであり、前記少なくとも1つの光検出器は、バランス型フォトデテクタまたは同位相/直角位相ダブル・バランスド・フォトデテクタを含むコヒーレント光受信機であり、前記コヒーレント光受信機の局部発振を作り出すために、前記少なくとも1つの光エミッタの部分が1×2カプラにより引き出される、システム。
【請求項4】
請求項1のシステムであって、前記少なくとも1つの光検出器はピクセルに統合され、前記ピクセルは、
1×2光スイッチング・ユニットと、
局部発振を作り出すために、前記少なくとも1つの光エミッタの出力の小部分を分けるための1×2カプラと、
送信光アンテナと、
対にされた受信光アンテナと、
少なくとも1つの受信光アンテナおよび局部発振からの光信号を受信するように構成されたコヒーレント受信機と
を含む、
システム。
【請求項5】
請求項1のシステムであって、前記少なくとも1つの光検出器は複数のピクセルにより共有され、各ピクセルは、
選択された前記送信光アンテナと、
選択された前記送信光アンテナと対にされた前記受信光アンテナと、
光バス導波路を、選択された前記送信光アンテナへ、および選択された前記送信光アンテナと対にされた前記受信光アンテナへ接続された第2光バス導波路へ、接続する2つの並列のスイッチを含むデュアル・チャンネル1×2光スイッチと、
を含み、前記プログラマブル光ネットワークは、少なくとも1つの光エミッタから選択された前記送信光アンテナへの光経路と、選択された前記送信光アンテナと対にされた前記受信光アンテナから前記少なくとも1つの光検出器への物理的に分離した光経路とを提供するようにプログラムされる、
システム。
【請求項6】
請求項5のシステムであって、前記少なくとも1つの光エミッタからの光エネルギーが、光スプリッタまたは光増幅器を介して複数の選択されたピクセルへ送られる、システム。
【請求項7】
請求項5のシステムであって、ピクセルの各グループに対して、個別にされた光エミッタが用いられる、システム。
【請求項8】
請求項2のシステムであって、前記少なくとも1つの光エミッタまたは前記少なくとも1つの光検出器、またはこれら双方は、前記フォトニック集積回路に統合される、システム。
【請求項9】
請求項2のシステムであって、前記少なくとも1つの光エミッタまたは前記少なくとも1つの光検出器、またはこれら双方は、別個の第2フォトニック集積回路に統合され、前記フォトニック集積回路と結合される、システム。
【請求項10】
請求項2のシステムであって、前記少なくとも1つの光エミッタまたは前記少なくとも1つの光検出器、またはこれら双方は、光ファイバ、ポリマー導波路、他のタイプの導波路により前記フォトニック集積回路と接続されるか、またはレンズやグレーティング・カプラなどのような光学素子を用いて自由空間を介して結合される、システム。
【請求項11】
請求項1のシステムであって、前記複数の対にされた光アンテナの前記送信光アンテナと前記受信光アンテナとは、同じ光レイヤにおいて横に並べられる、システム。
【請求項12】
請求項1のシステムであって、前記複数の対にされた光アンテナの前記送信光アンテナと前記受信光アンテナとは、別個の光レイヤにおいて縦方向に統合される、システム。
【請求項13】
請求項1のシステムであって、前記複数の対にされた光アンテナの前記送信光アンテナと前記受信光アンテナとは直交偏波を有し、前記システムは、前記レンズの前方または後方に配された四分の一波長板を更に含む、システム。
【請求項14】
請求項1のシステムであって、前記複数の対にされた光アンテナのそれぞれの受信光アンテナは、直交偏波についての2つのアンテナを含み、直交偏波の双方における反射された光信号を検出するように構成される、システム。
【請求項15】
請求項1のシステムであって、前記プログラマブル光ネットワークは、1以上の微小電気機械システム(MEMS)・アクチュエータ、または電気光学式または熱光学式の位相変調器を用いるマッハツェンダ干渉計、または電気光学式または熱光学式の位相変調器を用いるマイクロリング共振器により制御される、システム。
【請求項16】
ライダー・イメージングを行う方法であって、
少なくとも1つの光エミッタから、プログラマブル光ネットワークにおける対にされた光アンテナの選択された送信光アンテナへの、第1の光経路を提供するように前記プログラマブル光ネットワークを制御するステップと、
選択された前記送信光アンテナと対にされている受信光アンテナから、前記少なくとも1つの光検出器への、別にされた第2の光経路を提供するように前記プログラマブル光ネットワークを制御するステップと
を含む方法。
【請求項17】
請求項16の方法であって、前記プログラマブル光ネットワークを制御することは、1以上のMEMSスイッチを作動させることを含む、方法。
【請求項18】
請求項17の方法であって、前記1以上のMEMSスイッチを作動させることは、前記1以上のMEMSスイッチ内に配された1以上の電極へエネルギーを供給することを更に含む、方法。
【請求項19】
請求項16の方法であって、前記少なくとも1つの光エミッタから光スプリッタを介して複数の選択されたピクセルへ光エネルギーを送ることを更に含む方法。
【請求項20】
請求項16の方法であって、複数のピクセルのレンジ測定を組み合わせることにより3次元イメージが得られる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この特許出願は、2021年5月10日に出願され名称が「PSEUDO MONOSTATIC LIDAR WITH TWO-DIMENSIONAL SILICON PHOTONIC MEMS SWITCH ARRAY(2次元シリコン・フォトニックMEMSスイッチ・アレイを有する擬似モノスタティック・ライダー)」である米国仮特許出願第63/186748号の優先権を主張するものであり、その全体がこの参照によりここに組み込まれる。
【0002】
分野
[0002] 本開示は、新規なLiDAR(ライダー)のシステムおよび方法を詳細に説明する。より具体的には、本開示は、別個にされ異なる光導波路から供給を受ける送信(Tx)光アンテナと受信(Rx)光アンテナとを有するイメージング・ライダーに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 光による検知と測距(light detection and ranging)(LiDAR)は、自律車両や、スマートフォンやタブレットなどのようなポータブル・デバイスで広く用いられている。ソリッド・ステート・ライダーは特に魅力的であり、その理由は、それが小型化や大量生産に寄与するからである。米国特許出願公開第2021/0116778号は、撮像レンズの焦平面に配されるプログラマブル垂直カプラ(光アンテナとも呼ばれている)のアレイを含むビームステアリング・システムを教示する。光信号は、MEMS(micro-electro-mechanical system)で作動させられる導波路スイッチを含むプログラマブル光ネットワークを介して、何れの選択された光アンテナへも送ることができる。従来の熱光学式または電気光学式のスイッチと比較して、MEMSスイッチは、低い挿入損失、少ない混信、広帯域の動作、およびデジタルでの作動を提供する。プログラマブル光アンテナの高密度のアレイは、フットプリントが小さいという利点があるので、高い分解能のイメージング・ライダーとするために1つのチップに統合することができ。
【0004】
[0004] 従来の動作では、同じ光アンテナを用いて、問い合わせ光ビーム(interrogating optical beam)を送信し、目標物から反射された光信号を受信していた。この構成の欠点は、光アンテナおよび共有光経路からの何れかの残余反射が、受信した光信号と混合されることである。スプリアス反射は、信号雑音比を悪化させ、受信機の増幅器を飽和状態にさせることになり得、ライダーが遠方の目標物または低反射の目標物を見ることを妨げる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 擬似モノスタティック・ライダー・システムが提供され、このシステムは、レンズと、少なくとも1つの光エミッタと、少なくとも1つの光検出器と、複数の対にされた光アンテナであって、それぞれが送信光アンテナと受信光アンテナとを含むものである複数の対にされた光アンテナと、前記少なくとも1つの光エミッタから選択された送信光アンテナへの第1光経路を提供するように構成されるプログラマブル光ネットワークであって、更に、選択された前記送信光アンテナと対にされている受信光アンテナから前記少なくとも1つの光検出器への、別にされた第2光経路を提供するように構成されるプログラマブル光ネットワークとを含み、前記複数の対にされた光アンテナは、レンズの焦平面に又は前記焦平面のあたりに配される。
【0006】
[0006] 幾つかの実施形態では、前記複数の対にされた光アンテナと前記プログラマブル光ネットワークとはフォトニック集積回路において統合される。
【0007】
[0007] 1つのインプリメンテーションでは、前記少なくとも1つの光エミッタは、周波数連続変調レーザであり、前記少なくとも1つの光検出器は、バランス型フォトデテクタまたは同位相/直角位相ダブル・バランスド・フォトデテクタを含むコヒーレント光受信機であり、前記コヒーレント受信機の局部発振を作り出すために、前記少なくとも1つの光エミッタの部分(fraction)が1×2カプラにより引き出される。
【0008】
[0008] 1つの例では、前記少なくとも1つの光検出器はピクセルに統合され、前記ピクセルは、1×2光スイッチング・ユニットと、局部発振を作り出すために、前記少なくとも1つの光エミッタの出力の部分を分けるための1×2カプラと、送信光アンテナと、対にされた受信光アンテナと、少なくとも1つの受信光アンテナおよび局部発振からの光信号を受信するように構成されたコヒーレント受信機とを含む。
【0009】
[0009] 幾つかの実施形態では、前記少なくとも1つの光検出器は複数のピクセルにより共有され、各ピクセルは、選択された前記送信光アンテナと、選択された前記送信光アンテナと対にされた前記受信光アンテナと、光バス導波路を、選択された前記送信光アンテナへ、および選択された前記送信光アンテナと対にされた前記受信光アンテナへ接続された第2光バス導波路へ、接続する2つの並列のスイッチを含むデュアル・チャンネル1×2光スイッチと、を含み、前記プログラマブル光ネットワークは、少なくとも1つの光エミッタから選択された前記送信光アンテナへの光経路と、選択された前記送信光アンテナと対にされた前記受信光アンテナから前記少なくとも1つの光検出器への物理的に分離した光経路とを提供するようにプログラムされる。
【0010】
[0010] 幾つかの例では、前記少なくとも1つの光エミッタからの光エネルギーが、光スプリッタまたは光増幅器を介して複数の選択されたピクセルへ送られる。
【0011】
[0011] 1つの実施形態では、ピクセルの各グループに対して、個別にされた光エミッタが用いられる。
【0012】
[0012] 幾つかの例では、前記少なくとも1つの光エミッタまたは前記少なくとも1つの光検出器、またはこれら双方は、前記フォトニック集積回路に統合される。
【0013】
[0013] 1つの実施形態では、前記少なくとも1つの光エミッタまたは前記少なくとも1つの光検出器、またはこれら双方は、別個の第2フォトニック集積回路に統合され、前記フォトニック集積回路と結合される。
【0014】
[0014] 幾つかの実施形態では、前記少なくとも1つの光エミッタまたは前記少なくとも1つの光検出器、またはこれら双方は、光ファイバ、ポリマー導波路、他のタイプの導波路により前記フォトニック集積回路と接続されるか、またはレンズやグレーティング・カプラなどのような光学素子を用いて自由空間を介して結合される。
【0015】
[0015] 別の実施形態では、前記複数の対にされた光アンテナの前記送信光アンテナと前記受信光アンテナとは、同じ光レイヤにおいて横に並べられる。
【0016】
[0016] 1つの実施形態では、前記複数の対にされた光アンテナの前記送信光アンテナと前記受信光アンテナとは、別個の光レイヤにおいて縦方向に統合される。
【0017】
[0017] 幾つかの例では、前記複数の対にされた光アンテナの前記送信光アンテナと前記受信光アンテナとは直交偏波(orthogonal polarization)を有し、前記システムは、前記光学レンズの前方または後方に配された四分の一波長板を更に含む。
【0018】
[0018] 別の実施形態では、前記複数の対にされた光アンテナのそれぞれの受信光アンテナは、直交偏波についての2つのアンテナを含み、直交偏波の双方における反射された光信号を検出するように構成される。
【0019】
[0019] 幾つかのインプリメンテーションでは、前記プログラマブル光ネットワークは、1以上の微小電気機械システム(MEMS)・アクチュエータ、または電気光学式または熱光学式の位相変調器を用いるマッハツェンダ干渉計、または電気光学式または熱光学式の位相変調器を用いるマイクロリング共振器により制御される。
【0020】
[0020] ライダー・イメージングを行う方法が提供され、方法は、少なくとも1つの光エミッタから、プログラマブル光ネットワークにおける対にされた光アンテナの選択された送信光アンテナへの、第1の光経路を提供するように前記プログラマブル光ネットワークを制御するステップと、選択された前記送信光アンテナと対にされている受信光アンテナから、前記少なくとも1つの光検出器への、別にされた第2の光経路を提供するように前記プログラマブル光ネットワークを制御するステップとを含む。
【0021】
[0021] 幾つかの例では、前記プログラマブル光ネットワークを制御することは、1以上のMEMSスイッチを作動させることを含む。
【0022】
[0022] 別の例では、前記1以上のMEMSスイッチを作動させることは、前記1以上のMEMSスイッチ内に配された1以上の電極へエネルギーを供給することを更に含む。
【0023】
[0023] 幾つかの実施形態では、方法は、前記少なくとも1つの光エミッタから光スプリッタを介して複数の選択されたピクセルへ光エネルギーを送ることを更に含む。
【0024】
[0024] 1つの実施形態では、複数のピクセルのレンジ測定を組み合わせることにより3次元イメージが得られる。
【0025】
[0025] 本発明の新規な特徴は、下記の請求の範囲に詳細に記載している。本発明の特徴および利点は、本発明の原理を用いている例としての実施形態を記載している下記の詳細な説明と、添付の図面とを参照することにより、より良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、モノスタティック・アレイを有するイメージング・ベースのライダーの一例である。
図2図2は、ここで提案する擬似モノスタティック・イメージング・ライダーの一例である。
図3図3は、アクティブ行を選択するための1×Mスイッチ(行選択スイッチ)と、光アンテナを選択するための1×Nスイッチ(列選択スイッチ)とを示す。
図4A図4Aは、1×2カプラにより接続されている別個にされた入力ポートと出力ポートとを有するモノスタティック・アレイを示す。
図4B図4Bは、周波数連続変調(FMCW)ライダーなどのような、コヒーレントのライダーの代替の実施形態を示す。
図5A図5Aは、コヒーレント擬似モノスタティック・ライダーの実施形態を示す。
図5B図5Bは、図5Aに記載したデュアル・チャンネル1×2スイッチの一例をクローズアップしたものを示す。
図5C図5Cは、コヒーレント検出器を詳細に示す図である。
図5D図5Dは、信号の同位相(I)成分と直角位相(Q)成分との双方を検出するためのバランス型I/Q検出器を含むコヒーレント検出器である。
図6A図6Aは、各ピクセルへ統合されたコヒーレント検出器の一例を示す。
図6B図6Bは、各ピクセルにコヒーレント検出器を備えるのではなく、ピクセルのブロックでコヒーレント検出器を共有できるようにした代替の実施形態を示す。
図6C図6Cは、光スプリッタの後方で光パワーをブーストするために光増幅器が用いられるようにした代替の実施形態を示す。
図6D図6Dは、代替の位置に光増幅器が配されるようにした代替の実施形態を示す。
図6E図6Eは、ピクセルのブロックのそれぞれに対して1つのレーザと1つの検出器とが用いられる実施形態を示す。
図7A図7Aは、レーザと検出器とが同じPICに統合されるようにした実施形態を示す。
図7B図7Bおよび図7Cは、レーザと検出器とがチップ外に配されてファイバ又は他の導波路で接続されるようにした実施形態を示す。
図7C図7Bおよび図7Cは、レーザと検出器とがチップ外に配されてファイバ又は他の導波路で接続されるようにした実施形態を示す。
図7D図7Dは、別個にされたIII-V族PICなどのようなPICにレーザと検出器とが統合され、2つのPICが互いに直接に接続されるようにした実施形態を示す。
図8A図8Aは、TxアンテナとRxアンテナとが並んで統合されるようにした実施形態を示す。
図8B図8Bは、TxアンテナとRxアンテナとが垂直に積み重ねられるようにした実施形態を示す。
図9A図9Aないし図9Cは、垂直に積み重ねられるアンテナの実施形態を示す。
図9B図9Aないし図9Cは、垂直に積み重ねられるアンテナの実施形態を示す。
図9C図9Aないし図9Cは、垂直に積み重ねられるアンテナの実施形態を示す。
図9D図9Dないし図9Fは、垂直に積み重ねられるアンテナの実施形態であり、2つの光アンテナは、TxとRxとに関しての2つの直交偏波に対して動作するようにそれぞれに設計され、2つのアンテナは、90度回転させずに平行に位置合わせされている。
図9E図9Dないし図9Fは、垂直に積み重ねられるアンテナの実施形態であり、2つの光アンテナは、TxとRxとに関しての2つの直交偏波に対して動作するようにそれぞれに設計され、2つのアンテナは、90度回転させずに平行に位置合わせされている。
図9F図9Dないし図9Fは、垂直に積み重ねられるアンテナの実施形態であり、2つの光アンテナは、TxとRxとに関しての2つの直交偏波に対して動作するようにそれぞれに設計され、2つのアンテナは、90度回転させずに平行に位置合わせされている。
図10図10は、アンテナと目標物との間の四分の一波長板を用いるイメージング・ライダーの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0048] 本開示は、別個にされ異なる光導波路から供給を受ける送信(Tx)光アンテナと受信(Rx)光アンテナとを有するイメージング・ライダーに関する。幾つかの実施形態では、光アンテナは、グレーティング・カプラ、フォトニック結晶、レゾナント・カプラ、45度(または他の角度)ミラー、プリズム・カプラ、または傾斜型導波路とすることができる。この光アンテナの対は、デュアル・チャンネル光スイッチ・ネットワークを介して同時に作動させることができ、ここでは、Txアンテナはレーザ源と接続され、Rxアンテナは受信機と接続される。TxアンテナとRxアンテナとは互いに隣接して配することができ、それにより、それらはほぼ同じファーフィールド角度に向くようにされる。TxとRxとの間での光学的アライメントは不要である。ここでは擬似モノスタティック・ライダーと呼ばれるこのライダー構成は、スプリアス反射を除去し、ライダーのダイナミック・レンジを増加させる。
【0028】
[0049] モノスタティック・イメージング・ライダー100の概要の一例が図1に示されている。光アンテナの2次元(2D)アレイを有するフォトニック集積回路(PIC)101が、撮像レンズ102の焦平面に配されている。PICの光スイッチ・ネットワークは、一度に1以上の光アンテナ104を選択的に作動させる。作動させられた光アンテナのそれぞれは、特定の方向へ光を送信し(Tx)、同じアンテナが目標物から反射された光を受信する(Rx)。これは、目標物1と目標物2とへ向けられた2つの別個の光アンテナからの光ビーム経路により示しているように、光アンテナの横方向の位置とファーフィールド角度との1対1マッピングを作り出す。ここでは、これをモノスタティック・ライダーと呼び、これにおいては、送信機と受信機とが同じ光アンテナを共有する。Txファーフィールド角度とRxファーフィールド角度とは自動的にアライメントされるが、ライダーの受信機は、共有する光経路とアンテナとにおける残余反射に対して敏感である。残余反射は、光源(レーザ)から目標物までの光経路における幾つかのエレメントが原因で生じる望まれない反射を含み得る。それらの残余反射はまた、受信機へ送られ得るものであり、それらは、実際の目標物信号(特に、長い距離での弱い目標物信号)の検出の妨げとなる可能性があり得る。
【0029】
[0050] 擬似モノスタティック・イメージング・ライダー200の概要が図2に示されている。この実施形態では、送信機と受信機とは、別個の光アンテナと別個の光導波路とを用いて、送信アンテナと受信アンテナとへの供給を行う。すなわち、図1の実施形態は、各ピクセルの位置にあるアンテナが組み合わせ型の送信/受信アンテナを含む光アンテナのアレイを含んでいたが、図2の実施形態は、光アンテナのアレイを有するPIC201であって、撮像レンズ202の焦平面の各ピクセルに対して、別個にされた送信アンテナ204aと受信アンテナ204bとを備えるPIC201を含む。Tx信号とRx信号との間での混信(例えば、或るチャンネルから別のチャンネルへの信号の漏れ)を最小にするために、光アンテナは、PIC201上で、焦平面に対して横方向(X方向またはY方向)または垂直方向(Z方向)の何れかに、または双方の方向を組み合わせた方向に、移動させることができる。ファーフィールド角度はアンテナの横方向の位置にマッピングされるので、図2の光ビーム経路206aおよび206bにより示されるようにアンテナがX方向またはY方向に移動させられた場合には、TxおよびRxのファーフィールド角度は僅かに異なる。ファーフィールド角度の差はほぼδr/fであり、ここにおいて、δrはX-Y面における光アンテナ間の距離であり、fはレンズの焦点距離である。δrは非常に小さいので、TxアンテナとRxアンテナとの瞬間視野は、目標物で実質的に重複する。別の実施形態では、Tx光アンテナとRx光アンテナとは、横方向に配する代わりに、垂直方向に積み重ねることができる。この場合、Tx光アンテナとRx光アンテナとは、正確に同じ方向を向くが、広がり角(divergence angle)が僅かに異なる。光ビームは、光が遠くへ伝播するほど、より広がり発散する。TxアンテナとRxアンテナとが垂直方向に積み重ねられるこの例では、TxアンテナとRxアンテナとの間の垂直方向の変位により、Txアンテナからの目標物距離はRxアンテナからの目標物距離と僅かに異なる。間隔はマイクロメートル単位のものなので、その差は非常に小さい。
【0030】
[0051] プログラマブル光スイッチ・ネットワークは、選択されたTxアンテナをレーザへ、また、その対となるRxアンテナを受信機へ、接続することができる。モノスタティック・アンテナ・アレイを接続するための適切なプログラマブル光スイッチ・ネットワークが、米国特許出願公開第2021/0116778号に記載されており、これは、この参照によりここに組み込まれる。図3は、PIC301上のプログラマブル光ネットワークを示し、これは、アクティブ行を選択するための1×Mスイッチ(行選択スイッチ308)と、光アンテナ304選択するための1×Nスイッチ(列選択スイッチ310)とを用いる(図3は、光アンテナ304のM×Nアレイを示す)。プログラマブル光ネットワークは、示されているように、受信機とレーザとへ結合することができる。レーザ光は、問い合わせ光を生成するように、直接的に又は変調器を介して変調される。パルス型タイム・オブ・フライト・システム(pulsed time of flight system)では、レーザは、短い光パルス(約ナノ秒)を作り出すように変調され、受信機は、アバランシェ・フォトダイオード(APD)または単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を用いて作られる。周波数連続変調(FMCW)システムでは、レーザ周波数は時間とともに線形的に上昇または低下する。コヒーレント受信機は、受信した光信号とレーザ光の一部(局部発振(local oscillator)またはLOと呼ばれる)とをPINフォトダイオードまたはAPDにおいて混合して、ビート周波数を抽出する。PINフォトダイオードまたはAPDは、様々な信号を抽出するようにバランス型の構成にして配されることが多い。このシステムは、FMCWライダーまたはコヒーレント・ライダーと呼ばれる。この例では、1×MスイッチはM個の1×2スイッチを含み、1×NスイッチはN個の1×2スイッチを含む。他の可能な構成については、米国特許出願公開第2021/0116778号で論じられている。先に述べたように、この実施形態におけるTxおよびRxは、光アンテナだけではなく、導波路、光スイッチ、および入力/出力カプラ312を含む共通光経路も共有する。これらのコンポーネントの何れのものからの残余反射も、Tx信号およびRx信号の断片を付加する。Tx信号は強いので、反射はスプリアス信号を作り出し、受信機の増幅器を飽和状態にさせる。
【0031】
[0052] 場合によっては、共有される入力/出力カプラで最強の反射が生じる。1つの実施形態では、この反射は、図4Aの実施形態で示されるような2×1カプラ416により接続される分離した入力ポート412と出力ポート414とを用いることにより、除くことができる。しかし、このインプリメンテーションでは、2×1カプラにおいてレーザ・パワーの半分と受信信号の半部とが失われる。
【0032】
[0053] 図4Bは、周波数連続変調(FMCW)ライダーなどのようなコヒーレント・ライダー400の代替の実施形態を示す。この実施形態は、レーザへ光学的に結合される一対の2×2カプラ418と、可変光減衰器(VOA)420と、バランス型受信機とを含む。レーザ・パワーの一部416は、VOAにより減衰され、局部発振(LO)としてバランス型受信機へ送られる。LOは、2×2カプラ(418)を介して受信機信号(419)と組み合わされ、バランス型受信機へ送られる。何れの場合にも、なおも、ライダーは他のコンポーネントからの残余反射に対して敏感である。
【0033】
[0054] 図5Aは、コヒーレント擬似モノスタティック・ライダー500の実施形態を示す。送信導波路522a(1以上)および受信導波路522b(1以上)などのような2つの分離した導波路が、送信(Tx)光アンテナ504aおよび受信(Rx)光アンテナ504bの接続に用いられる。光信号を分配するために、光スイッチ・ネットワークは、デュアル・チャンネル1×2スイッチ524を用いて、同じピクセルにおけるTx光アンテナとRx光アンテナとを同時に選択する。デュアル・チャンネル1×2スイッチは、本質的には、2つの別個のMEMS光スイッチである。それらは、常に対として作動させられるので、同じMEMSアクチュエータを共有し得る。光経路は、光の反射や混信を抑制するために、物理的に分離される。レーザ526と受信機またはコヒーレント受信機528とは、最初に、デュアル・チャンネル行選択スイッチ508を作動させ、次に、デュアル・チャンネル列選択スイッチ510を作動させることにより、それぞれ、Tx光アンテナとRx光アンテナとへ接続される。ここで、レーザ・パワーの小部分が、1×2カプラ530により局部発振(LO)として引き出され、可変光減衰器(VOA)532(LOの光パワーを低減する)を介してコヒーレント受信機528へ送られる。レーザおよび1×2カプラからの分割された他方の光は目標物信号であり、それは、送信光アンテナ(1以上)を介して目標物へ送られ、その目標物から反射された光が受信光アンテナ(1以上)により受信され、コヒーレント受信機528へ送られてLO光と混合される(干渉するようにされる)。このカプラ530の結合比は、コヒーレント受信機へ最適なパワーを提供するように選択される(例えば、526からのレーザ・パワーの1%)。示されているように、LOパワーの微調整を行うために可変光減衰器(VOA)を付加することができる。
【0034】
[0055] 図5Bは、図5Aに記載したデュアル・チャンネル1×2スイッチ524の一例をクローズアップしたものを示す。この実施形態では、スイッチ524はMEMSスイッチとしてインプリメントされる。示されているように、スイッチ514は、送信導波路522a(1以上)および受信導波路522b(1以上)(図5Aに記載した同じエレメントに対応する)へ光学的に結合された複数のカプラ導波路523を含むことができる。スイッチ524は、更に、複数のカプラ導波路523へ接続された複数のMEMS電極525およびMEMSスプリング527を含むことができる。MEMS電極と基板上の整合する固定電極との間に電圧を印加することにより、カプラ導波路は、エバネッセント結合を通じて、送信および受信の導波路の近くの場所へと引き下げられる。この実施形態は静電アクチュエータを用いるが、他のMEMSアクチュエータを用いることもでき、それは伝熱アクチュエータ、磁気アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電アクチュエータを含むが、これらには限定されない。MEMS電極およびMEMSスプリングの動作は、カプラ導波路が、それぞれ、送信および受信の導波路と通信するように又はしないようにする。従って、スイッチ524は、望まれるときに、送信/受信導波路から光エネルギーを送信するように、選択的に制御することができる。デュアル・チャンネル・スイッチはMEMSアクチュエータや機械的スプリングなどのような多くの共通の構成を共有するので、2つの別個のスイッチよりもコンパクトなものとなる。高密度のアレイおよび高分解能のイメージング・ライダーとすることについても、フットプリントが小さいことは利点である。この実施形態では2つのチャンネルのみを示したが、チャンネル数を多くするように設計を拡張することができる。
【0035】
[0056] コヒーレント検出器または受信機528の一例が図5Cに詳細に示されている。受信した光信号は、2×2カプラ534において局部発振(LO)と混合され、一対のバランス型フォトダイオード536により検出される。目標物の距離および速度を抽出するために、光電流における差が増幅され処理される。一例では、電流は、電子受信機回路(例えば、トランスインピーダンス・アンプ(TIA))により増幅され、情報が、ASICやFPGAなどのようなデジタル信号プロセッサによりデジタル化され処理される。
【0036】
[0057] 図5Dに示す別の実施形態では、コヒーレント受信器528は、信号の同位相(I)成分と直角位相(Q)成分との双方を検出するためのバランス型I/Q検出器を含む。従って、2×4の90度の光ハイブリッド538が用いられ、受信した光信号とLOとの4つの異なる組み合わせを作り出す。一対のバランス型フォトデテクタ536が用いられて、ビート信号のI成分とQ成分とのそれぞれが抽出される。
【0037】
[0058] この例ではコヒーレント・ライダーが用いられているが、同じ構造をパルス型ライダーに対して用いることもできる。その場合、LO部分は不要であり、コヒーレント受信機を、増幅器が後方に配されるフォトダイオードまたはアバランシェ・フォトダイオード(APD)に、置換することができる。
【0038】
[0059] イメージング・ライダーの動作の速度を向上させるために、複数のレーザと検出器とを用いることができる。図6Aにおいては、コヒーレント受信機628がアレイの各ピクセル642に組み込まれている。ここでは説明を目的として、ピクセルは、送信アンテナ604a、受信アンテナ604b、コヒーレント受信機628、1×2カプラ640、およびスイッチ624(単一チャンネル)を含むものとする。示されているように、このアーキテクチャは、ピクセルのアレイを含むことができる。上述のように、レーザ・パワーは、光スイッチ・ネットワークにより、選択されたピクセルへ送られる。ピクセルは、コヒーレント受信機に加えて、Tx光アンテナ604a、Rx光アンテナ604b、および1×2カプラ640を含む。各ピクセル位置にある1×2カプラは、レーザ626からの光パワーの小部分を、それぞれのコヒーレント受信機に対しての局部発振(LO)として引き出す。このアーキテクチャでは、プログラマブル光ネットワークはレーザ・パワーを選択されたピクセルへ送るのみであるので、単一チャンネル・スイッチ624のみを必要とする。受信された光信号は、ピクセル・レベルで電気信号へと変換される。電気信号は、様々な方法で集めることができる。最も簡単な場合としては、共通信号プロセッサへ送る前に、全ての信号をまとめて加算する。代替的には、例えば、1つの行や1つの列、1つの行の一部や1つの列の一部、または行および列の一部にわたるピクセルのブロックなどのような、ピクセルのサブグループにわたっての検出された信号を加算することができる。
【0039】
[0060] 別の実施形態では、行/列アドレシング回路を用いて、アクティブなピクセルからの検出信号を読み取ることができる。検出器アドレシング回路は、その同じピクセルを選択するように、プログラマブル光ネットワークと同期させることができる。全ての場合において、信号雑音比を改善し且つ動作速度を増加させるように、ピクセルにおいて又はピクセルのサブグループに対して前置増幅器を組み込むことには、利点があり得る。
【0040】
[0061] 代替的には、各ピクセルにコヒーレント受信機を備える代わりに、図6Bに例示するように、コヒーレント受信機628と1×2カプラ640とをピクセルのブロックで共有することができる。スイッチ624(デュアル・チャンネル)のネットワークは、導波路を送信アンテナ604aと受信アンテナ604bとへ結合することができる。この実施形態では、示されているように、スプリッタ644を用いて、レーザまたは光の信号を、複数のアレイへ供給できる複数の信号へと分割することができる。これは、複雑になっているピクセルを簡素化し、ピクセルが同じエリアに統合されるようにピクセルの密度を高くすることを可能とする。これは、感知エリアのサイズを増加させることなく、ライダーの分解能を高くする。通常、大きい感知エリアは大きい光学レンズを必要とする。この例では、レーザ・パワーは、統合された光スプリッタにより各ブロックへ分配される。
【0041】
[0062] 図6Cおよび図6Dの実施形態に示すように、光増幅器639を、光スプリッタとピクセルとの間に挿入することができる。光増幅器を、光スプリッタの後方(図6C)または1×2カプラの後方(図6D)に配することができる。
【0042】
[0063] 代替的には、図6Bの実施形態で示すようにスプリッタを用いる代わりに、各ピクセルから放出される光パワーを増加させるために複数のレーザ626を用いることもできる。図6Eに示す実施形態では、ピクセルの各ブロックに対して、1つのレーザと1つのコヒーレント受信機628とが用いられる。一般に、プログラマブル光アンテナ・アレイと共に、任意の数のレーザと任意の数の検出器とを用いることができる。
【0043】
[0064] 光アンテナとプログラマブル光ネットワークとは、例えば、シリコン・フォトニック技術または窒化シリコン、シリカ、またはIII-V族材料に基づく他のPICプラットフォームを用いる1つのフォトニック集積回路に、統合することができる。レーザと検出器とは、同じPIC701に統合するか(図7A)、または、チップ外に配してファイバまたは他の導波路により接続するように(図7Bおよび図7C)、することができる。別の実施形態では、レーザと検出器とは、III-V族PICなどのような第1のPIC701に統合し、アレイおよび他のコンポーネントは第2のPICに統合し、2つのPICを互いに直接的に結合するか(図7D)、光ファイバで接続する。別の実施形態では、2つのPICを、レンズまたはレンズ・アレイなどのような自由空間光エレメントを介して、互いに結合することができる。レーザとPIC701bとの間に光アイソレータを挿入して、レーザへの望まれない反射を抑制することができる。
【0044】
[0065] 上述のように、各ピクセルに関しての送信光アンテナと受信光アンテナとは、Tx信号とRx信号との間での混信を最小にするために、X/Y方向(並べる)とZ方向(縦方向に重ねる)との何れかの方向にずらすことができる。Txアンテナ604aとRxアンテナ604bとは、並べるような形で(図8A)又は縦方向に重ねるような形で(図8B)、統合することができる。イメージング・ライダーは、焦平面のそれぞれの横方向位置を異なるファーフィールド角度へとマッピングするので、Tx角度とRx角度との間には小さいずれがある。この角度は十分に小さいので、なおも、目標物上で重なるはずである。角度のずれを低減するために、図8Bに示すように、TxアンテナとRxアンテナとを縦方向に積み重ねることができる。この実施形態では、TxアンテナとRxアンテナとは、直交偏波を用いて動作するように設計される。それらは、アンテナ間での混信を最小にするために、異なる光レイヤ上に組み立てられる。
【0045】
[0066] 縦方向に重ねられるアンテナの1つの実施形態が図9A-9Cに示されている。この実施形態では、各アンテナは1つの偏波について動作するように設計されている。示されているように、送信光アンテナ904aは、第1の偏波について動作するように設計され、受信アンテナ904bは、送信光アンテナに対して90度回転させられて、直交する又は第二の偏波を送信または受信するようにされている。図9Aおよび図9Bは、送信アンテナと受信アンテナとを別個に示し、図9Cは、アンテナが互いに直交するように回転させられ、縦方向に重ねられているところを示す。これらのアンテナは、アンテナ間の混信を最小にするために、縦方向に(レンズの光軸に沿って)距離Δz(マイクロメータの単位)だけ離されている。縦方向に重ねたアンテナの別の実施形態では、2つの光アンテナは、TxおよびRxに関しての2つの直交偏波について、それぞれ、動作するように設計され、その実施形態では、2つのアンテナは、90度回転させずに並列に配列される(図9D-9F)。
【0046】
[0067] イメージング・ライダーの1つの実施形態では、図10に示すように、アンテナ(例えば、Txアンテナ1004aおよびRxアンテナ1004b)と目標物との間で四分の一波長板を用いる。四分の一波長板は、レンズ1002の前方または後方に挿入することができる。この実施形態では、Txアンテナ604とRxアンテナ604とは直交偏波を有する。放出された光は四分の一波長板を通過する。目標物から反射された光は、Rxアンテナへ到達する前に四分の一波長板を再び通過する。偏波は、Rxアンテナへ到達するときには90度回転させられている。この実施形態は、光経路における光学的損失が最小である。
【0047】
[0068] イメージング・ライダーの更に別の実施形態では、偏波ダイバーシチ受信機が用いられる。場合によっては、目標物から反射された光は偏波が解消されている。偏波ダイバーシチ受信機は、双方の偏波の反射光を捕獲することができる。この実施形態では、光は1つの偏波で放出されるが、Rxは2つのアンテナを有し、その一方は、放出された光の偏波と平行な偏波についてのものであり、他方は、直交する偏波についてのものである。各アンテナの出力は、レーザから引き出されたLOと混合され、それ自体のコヒーレント受信機により検出される。
【0048】
[0069] ここで説明したシステムおよび方法は、例えば、複数の方向のレンジ(距離)測定を行うために用いることができる。更に、ここで説明したシステムおよび方法は、3次元点群の測定を行うために用いることができる。幾つかの実施形態では、複数のピクセルを同時にオンにすることにより、3次元点群測定のフレーム・レートまたは速度を増加させることができる。幾つかの例では、これらの複数のピクセルへのパワーの供給は、同じレーザにより光スプリッタを介して行うことができる。別の実施形態では、複数のピクセルへのパワーの供給は、別個のレーザにより行うことができる。
【0049】
[0070] 本発明と関連する更なる詳細については、関連する当業者の標準の範囲内での材料および製造技術を用いることができる。一般に又は論理的に用いられる更なる行動に関しての本発明の方法ベースの特徴に関しても同様である。また、説明された本発明の変形物の任意のオプションの特徴が、独立して、又はここで説明された任意の1以上の特徴と組み合わせて、記載され特許請求され得ると考えられている。同様に、単数形のものについての言及は、同じものが複数存在する可能性を含む。より具体的には、ここで及び請求の範囲で用いる単数形である「1つの」、「および」、「前記」、および「その」は、内容で明確に規定されていないがぎり、複数の参照対象を含む。更に、請求の範囲は、任意のオプションのエレメントを除外して書かれたものであり得ることに、留意されたい。従って、この陳述は、主張するエレメントの詳述または「否定的」限定の使用と関連する「単独で」、「のみ」、などのような排他的用語の使用のための先行詞として働くことを意図している。ここで定めていないかぎり、ここで用いている全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する技術の通常の当業者に共通に理解されている意味と同じ意味を有する。本発明の範囲は、本件の明細書によってではなく、むしろ、用いられている請求の範囲の用語の明白な意味のみにより限定される。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A-9B】
図9C
図9D-9F】
図10
【国際調査報告】