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特表2024-517332加圧重水炉のトリウムベース燃料設計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】加圧重水炉のトリウムベース燃料設計
(51)【国際特許分類】
   G21C 3/62 20060101AFI20240412BHJP
   G21C 1/18 20060101ALI20240412BHJP
   G21C 3/28 20060101ALI20240412BHJP
   G21C 3/06 20060101ALI20240412BHJP
   G21C 3/326 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G21C3/62
G21C3/62 225
G21C1/18
G21C3/28 110
G21C3/06
G21C3/326
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570083
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 US2021047719
(87)【国際公開番号】W WO2022240432
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/186,990
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523426633
【氏名又は名称】クリーン コア トリウム エナジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】CLEAN CORE THORIUM ENERGY LLC
【住所又は居所原語表記】404 Fox Trail Lane Oak Brook, Illinois 60523 US
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】シャー, メユール
(72)【発明者】
【氏名】ミラーニ, ライダー
(72)【発明者】
【氏名】シルバン, コーロッシュ
(57)【要約】
トリウムベースの燃料バンドルは、既存の加圧重水炉(例:インド型220MWe加圧重水炉、インド型540MWe加圧重水炉、インド型700MWe加圧重水炉、CANDU300/600/900)において、従来のウランベースの燃料バンドルに代わって、原子炉をほとんど、あるいはまったく改造することなく使用されている。このようなバンドルの燃料組成は、トリウムが60wt%以上であり、残りの燃料は、濃縮度が13~19.95%の235Uである低濃縮ウラン(LEU)によって賄われる。様々な実施形態によれば、このようなトリウムベースの燃料バンドルの使用により、(1)炉心の全ライフサイクルにわたる公称出力の100%、(2)高燃焼度、(3)12wt%未満の全同位体ウラン濃度を有する非増殖性使用済み燃料バンドルが提供される。使用済み燃料の再処理も回避できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧重水炉で使用するように構成された新鮮な燃料ペレットであって、トリウム燃料とウラン燃料を含み、
前記燃料ペレットの燃料組成は、トリウムが55~90wt%であり、
前記燃料組成は、ウランが10~45wt%であり、
前記ウランの235U濃縮度は10.5~20%である、燃料ペレット。
【請求項2】
前記燃料ペレットが貫通孔を有する環状である、請求項1に記載の燃料ペレット。
【請求項3】
前記貫通孔の直径が0.3~1.0cmである、請求項2に記載の燃料ペレット。
【請求項4】
前記燃料組成はトリウムが70~90wt%である、請求項1に記載の燃料ペレット。
【請求項5】
前記ウランの235U濃縮度は15~19%である、請求項1に記載の燃料ペレット。
【請求項6】
加圧重水炉で使用するように構成された燃料ピンであって、
密閉管と、
複数の請求項1に記載の燃料ペレットと、を備え、
前記複数の燃料ペレットは前記密閉管の内側に配置される、燃料ピン。
【請求項7】
前記燃料ピンの燃料組成は、トリウムが70~85wt%である、請求項6に記載の燃料ピン。
【請求項8】
前記複数の燃料ペレットの各々は、可燃性毒物を含む、請求項6に記載の燃料ピン。
【請求項9】
加圧重水炉で使用されるように構成された燃料バンドルであって、当該燃料バンドルは、請求項6に記載の燃料ピンを複数含み、当該複数の燃料ピンのうちの少なくとも1つの燃料ピンの燃料組成は、当該複数の燃料ピンのうちの少なくとも1つの他の燃料ピンの燃料組成と異なる、燃料バンドル。
【請求項10】
前記燃料バンドルは、220MWe加圧重水炉で使用されるように成形および構成され、
前記複数の燃料ピンは、1本の中央燃料ピンと、前記1本の中央燃料ピンから半径方向外側に配置された6本の中間燃料ピンと、前記6本の中間燃料ピンから半径方向外側に配置された12本の外側燃料ピンとを含む、正確に19本の燃料ピンからなり、
前記中央燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合が、前記12本の外側燃料ピンの各々の燃料組成に占めるトリウムの重量割合よりも低い、
請求項9に記載の燃料バンドル。
【請求項11】
前記中央燃料ピンと前記6本の中間燃料ピンの各々の燃料組成は、トリウムの含有割合が55~75wt%であり、
前記12本の外側燃料ピンの各々の燃料組成は、トリウムの含有割合が65~90wt%であり、
前記12本の外側燃料ピンの各々は、前記中央燃料ピンと前記6本の中間燃料ピンの各々よりもトリウムの含有重量割合が高い、
請求項10に記載の燃料バンドル。
【請求項12】
前記中央燃料ピンの燃料組成は、前記6本の中間燃料ピンの各々よりもトリウムの含有重量割合が低く、
前記6本の中間燃料ピンの各々の燃料組成は、前記12本の外側燃料ピンの各々の燃料組成よりもトリウムの含有重量割合が低い、
請求項10に記載の燃料バンドル。
【請求項13】
前記中央燃料ピンの燃料組成は、トリウムの含有割合が55~70wt%であり、
前記6本の中間燃料ピンの各々の燃料組成は、トリウムの含有割合が60~80wt%であり、
前記12本の外側燃料ピンの各々の燃料組成は、トリウムの含有割合が65~90wt%である、
請求項12に記載の燃料バンドル。
【請求項14】
前記6本の中間燃料ピンの各々の前記密閉管内に配置された可燃性毒物をさらに含む、請求項10に記載の燃料バンドル。
【請求項15】
前記外側燃料ピンのうちのいずれの前記密閉管内にも可燃性毒物が配置されていない、請求項14に記載の燃料バンドル。
【請求項16】
前記中央燃料ピンと前記6本の中間燃料ピンの各々の前記密閉管内に配置された可燃性毒物をさらに含み、前記外側燃料ピンのうちのいずれの前記密閉管内にも可燃性毒物が配置されていない、請求項10に記載の燃料バンドル。
【請求項17】
前記中央燃料ピンと前記6本の中間燃料ピンの各々の前記密閉管内に配置された前記可燃性毒物がユーロピウムからなる、請求項16に記載の燃料バンドル。
【請求項18】
前記12本の外側燃料ピンの各々の前記密閉管内に配置された可燃性毒物をさらに含む、請求項10に記載の燃料バンドル。
【請求項19】
前記中央燃料ピンまたは前記中間燃料ピンのうちのいずれの前記密閉管内にも可燃性毒物が配置されていない、請求項18に記載の燃料バンドル。
【請求項20】
前記燃料バンドルの前記燃料ピンのうちのいずれの前記密閉管内にも可燃性毒物が配置されていない、請求項10に記載の燃料バンドル。
【請求項21】
前記中央燃料ピン、前記中間燃料ピン、および前記外側燃料ピンの各々のウランの235U濃縮度が少なくとも12%である、請求項10に記載の燃料バンドル。
【請求項22】
前記中央燃料ピン、前記中間燃料ピン、および前記外側燃料ピンの各々の燃料ペレットの各々のウランの235U濃縮度が少なくとも15%である、請求項10に記載の燃料バンドル。
【請求項23】
前記12本の外側燃料ピンの各々の前記燃料ペレットの各々のウランの235U濃縮度が、前記中央燃料ピンと前記6本の中間燃料ピンの各々の燃料ペレットの各々のウランの235U濃縮度よりも低い、請求項22に記載の燃料バンドル。
【請求項24】
前記燃料バンドルは、CANDU型加圧重水炉で使用されるように成形および構成され、
前記複数の燃料ピンは、正確に37本の燃料ピンからなり、当該37本の燃料ピンは、
1本の中央燃料ピンと、
前記1本の中央燃料ピンから半径方向外側に配置された6本の第1リング燃料ピンと、
前記6本の第1リング燃料ピンから半径方向外側に配置された12本の第2リング燃料ピンと、
前記12本の第2リング燃料ピンから半径方向外側に配置された18本の外側リング燃料ピンと、を含む、
請求項9に記載の燃料バンドル。
【請求項25】
前記中央燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合が、前記第2リング燃料ピンと前記外側リング燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合よりも低い、請求項24に記載の燃料バンドル。
【請求項26】
前記中央燃料ピンと前記第1リング燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合は、50~70wt%であり、
前記第2リング燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合は、60~90wt%であり、
前記外側リング燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合は、75~99wt%である、
請求項24に記載の燃料バンドル。
【請求項27】
前記中央燃料ピンおよび前記第1リング燃料ピンのウランの235U濃縮度が、前記第2リング燃料ピンまたは前記外側リング燃料ピンのウランの235U濃縮度よりも高い、請求項24に記載の燃料バンドル。
【請求項28】
前記第2リング燃料ピンのウランの235U濃縮度が、前記外側リング燃料ピンのウランの235U濃縮度よりも高い、請求項27に記載の燃料バンドル。
【請求項29】
前記中央燃料ピン、前記第1リング燃料ピン、および前記第2リング燃料ピンがそれぞれ可燃性毒物を含む、請求項24に記載の燃料バンドル。
【請求項30】
前記可燃性毒物が酸化ユーロピウムからなる、請求項29に記載の燃料バンドル。
【請求項31】
前記外側リング燃料ピンが可燃性毒を含まない、請求項29に記載の燃料バンドル。
【請求項32】
原子炉容器と、
前記原子炉容器内に配置された炉心であって、請求項9に記載の燃料バンドルを複数含む炉心と、を備え、
前記複数の燃料バンドルは、第1のタイプの燃料バンドルと第2のタイプの燃料バンドルを含み、
前記第1のタイプの燃料バンドルは、可燃性毒物を含み、
前記第2のタイプの燃料バンドルは、可燃性毒物を含まない、
加圧重水炉。
【請求項33】
前記第1および第2のタイプの燃料バンドルは、前記第2のタイプの燃料バンドルが可燃性毒物を含むことを除いて、互いに同一である、請求項32に記載の加圧重水炉。
【請求項34】
加圧重水炉で使用するように構成された燃料ペレットであって、トリウム燃料とウラン燃料を含み、
前記燃料ペレットの燃料組成は、トリウムが55~90wt%であり、
前記燃料組成は、ウランが10~45wt%であり、
前記ウランの235U濃縮度は5~20%であり、
前記燃料ペレットが貫通孔を有する環状である、燃料ペレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許仮出願第63/186,990号(出願日:2021年5月11日、名称:「加圧重水炉のトリウムベース燃料設計」)に基づく優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
様々な実施形態は、全般的に、加圧重水炉(「PHWR」)用の燃料ペレット、ピン、バンドル、および炉心装荷に関し、特に、当該ペレット、ピン、バンドル、および炉心用のトリウムベースの燃料組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
220MWeの加圧重水炉は、原子炉容器10を有する重水減速重水冷却炉である。原子炉は、高圧の冷却材が流れる水平圧力管の形態を有する306本の燃料チャネルを含む。各チャネルには12本の燃料バンドルがあるが、炉心には10本しかない。高温の燃料チャネルを低温の減速材から隔離するため、圧力管は重水減速材で囲まれたカランドリア管に装荷される。圧力管は格子ピッチ22.84cmの正方格子状に配置されている。重水減速材反射体および例示的な燃料バンドルを含む炉心20の形状を図1に示す。図1では、例示的なバンドルは2つのみ示されているが、追加の燃料バンドル(図1には示されていない)が306本の各チャネルに設けられていることを理解されたい。
【0004】
燃料バンドルは、1バンドルあたり19本の燃料ピンの集合体である。燃料バンドルの全長は49.53cmである。燃料はジルカロイ-4ピンで被覆された二酸化ウランペレットの形態である。燃料スタックの長さは48.1cmであり、燃料ピンは、燃料ピンの端部に溶接されたエンドキャップで密閉されている。燃料バンドルの構造的完全性を維持するため、2枚のエンドプレートが燃料ピンのエンドキャップに溶接されている。
【0005】
燃料チャネルに加え、炉心には多くの反応度制御装置がある。すべての反応度装置は燃料チャネルに対して垂直で、原子炉圧力容器を上から下まで貫通している。原子炉の出力調整は、通常80%挿入されている2本の出力調整棒によって行われる。出力形状の制御とキセノンオーバーライドのために、4本の調節棒が取り付けられており、これらは通常は完全に挿入されている。原子炉の停止は、通常炉心外に保管されている14本の停止棒からなる一次停止システムによって行われる。緊急時や一次停止システムの故障時には、12個の液体毒物コンパートメントからなる二次停止システムによって、停止機能を独立して提供することができる。これらの液体コンパートメントは通常ヘリウムガスで満たされており、必要に応じて液体中性子毒を短時間で注入し、原子炉を安全に停止させる。さらに、原子炉には2本のシム棒があり、必要に応じてシムモード運転をサポートする。これらは通常炉心外に保管されている。
【0006】
カナダ特許出願公開第2810133号明細書は、トリウムを含む核燃料バンドルおよび当該核燃料バンドルを含む原子炉を開示している。米国特許出願公開第2016/0035441号も参照されたい。
【発明の概要】
【0007】
一または複数の非限定的な実施形態は、本明細書で開示され、特許請求されるように、加圧重水炉用のトリウムベースの燃料(例えば、燃料ペレット、燃料ピン、および/または燃料バンドル)、ならびにその製造方法および使用方法を提供する。
【0008】
一または複数の非限定的な実施形態は、加圧重水炉で使用されるように構成された新鮮な燃料ペレットを提供する。燃料ペレットにはトリウム燃料とウラン燃料が含まれる。燃料ペレットの燃料組成は、トリウムが55~90wt%、ウランが10~45wt%である。ウランの235U濃縮度は10.5%から20%である。
【0009】
これらの実施形態の1つ以上によれば、ペレットは貫通孔を有する環状である。
【0010】
これらの実施形態の1つ以上によれば、貫通孔は0.3~1.0cmの直径を有する。
【0011】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記燃料組成はトリウムが70~90wt%である。
【0012】
これらの実施形態のうちの一つ以上によれば、前記ウランの235U濃縮度は15~19%である。
【0013】
一または複数の非限定的な実施形態は、加圧重水炉で使用されるように構成された燃料ピンを提供する。燃料ピンは、密閉管と、本明細書に開示された実施形態の1つ以上による複数の燃料ペレットとを含む。前記複数の燃料ペレットは前記密閉管の内側に配置される。
【0014】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記燃料ピンの燃料組成は、トリウムが70~85wt%である。
【0015】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記複数の燃料ペレットの各々は、可燃性毒物を含む。
【0016】
一または複数の非限定的な実施形態は、加圧重水炉で使用されるように構成された燃料バンドルを提供する。燃料バンドルは、本明細書に開示された実施形態の1つによる複数の燃料ピンを含む。当該複数の燃料ピンのうちの少なくとも1つの燃料ピンの燃料組成は、当該複数の燃料ピンのうちの少なくとも1つの他の燃料ピンの燃料組成と異なる。
【0017】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記燃料バンドルは、220MWe加圧重水炉で使用されるように成形および構成され、前記複数の燃料ピンは、1本の中央燃料ピンと、前記1本の中央燃料ピンから半径方向外側に配置された6本の中間燃料ピンと、前記6本の中間燃料ピンから半径方向外側に配置された12本の外側燃料ピンとを含む、正確に19本の燃料ピンからなる。前記中央燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合は、前記12本の外側燃料ピンの各々の燃料組成に占めるトリウムの重量割合よりも低い。
【0018】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記中央燃料ピンと前記6本の中間燃料ピンの各々の燃料組成は、トリウムの含有割合が55~75wt%であり、前記12本の外側燃料ピンの各々の燃料組成は、トリウムの含有割合が65~90wt%であり、前記12本の外側燃料ピンの各々は、前記中央燃料ピンと前記6本の中間燃料ピンの各々よりもトリウムの含有重量割合が高い。
【0019】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記中央燃料ピンの燃料組成は、前記6本の中間燃料ピンの各々よりもトリウムの含有重量割合が低く、前記6本の中間燃料ピンの各々の燃料組成は、前記12本の外側燃料ピンの各々の燃料組成よりもトリウムの含有重量割合が低い。
【0020】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記中央燃料ピンの燃料組成は、トリウムの含有割合が55~70wt%であり、前記6本の中間燃料ピンの各々の燃料組成は、トリウムの含有割合が60~80wt%であり、前記12本の外側燃料ピンの各々の燃料組成は、トリウムの含有割合が65~90wt%である。
【0021】
これらの実施形態の1つ以上によれば、燃料バンドルは、前記6本の中間燃料ピンの各々の前記密閉管内に配置された可燃性毒物をさらに含む。
【0022】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記外側燃料ピンのうちのいずれの前記密閉管内にも可燃性毒物は配置されていない。
【0023】
これらの実施形態の1つ以上によれば、燃料バンドルは、前記中央燃料ピンと前記6本の中間燃料ピンの各々の前記密閉管内に配置された可燃性毒物をさらに含み、前記外側燃料ピンのうちのいずれの前記密閉管内にも可燃性毒物は配置されていない。
【0024】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記中央燃料ピンと前記6本の中間燃料ピンの各々の前記密閉管内に配置された前記可燃性毒物はユーロピウムを含む。
【0025】
これらの実施形態の1つ以上によれば、燃料バンドルは、前記12本の外側燃料ピンの各々の前記密閉管内に配置された可燃性毒物を含む。
【0026】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記中央燃料ピンまたは前記中間燃料ピンのうちのいずれの前記密閉管内にも可燃性毒物は配置されていない。
【0027】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記燃料バンドルの前記燃料ピンのうちのいずれの前記密閉管内にも可燃性毒物は配置されていない。
【0028】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記中央燃料ピン、前記中間燃料ピン、および前記外側燃料ピンの各々のウランの235U濃縮度は少なくとも12%である。
【0029】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記中央燃料ピン、前記中間燃料ピン、および前記外側燃料ピンの各々の燃料ペレットの各々のウランの235U濃縮度は少なくとも15%である。
【0030】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記12本の外側燃料ピンの各々の前記燃料ペレットの各々のウランの235U濃縮度は、前記中央燃料ピンと前記6本の中間燃料ピンの各々の燃料ペレットの各々のウランの235U濃縮度よりも低い。
【0031】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記燃料バンドルは、CANDU型加圧重水炉で使用されるように成形および構成され、前記複数の燃料ピンは、正確に37本の燃料ピンからなり、当該37本の燃料ピンは、1本の中央燃料ピンと、前記1本の中央燃料ピンから半径方向外側に配置された6本の第1リング燃料ピンと、前記6本の第1リング燃料ピンから半径方向外側に配置された12本の第2リング燃料ピンと、前記12本の第2リング燃料ピンから半径方向外側に配置された18本の外側リング燃料ピンと、を含む。
【0032】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記中央燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合は、前記第2リング燃料ピンと前記外側リング燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合よりも低い。
【0033】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記中央燃料ピンと前記第1リング燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合は、50~70wt%であり、前記第2リング燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合は、60~90wt%であり、前記外側リング燃料ピンの燃料組成に占めるトリウムの重量割合は、75~99wt%である。
【0034】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記中央燃料ピンおよび前記第1リング燃料ピンのウランの235U濃縮度は、前記第2リング燃料ピンまたは前記外側リング燃料ピンのウランの235U濃縮度よりも高い。
【0035】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記第2リング燃料ピンのウランの235U濃縮度は、前記外側リング燃料ピンのウランの235U濃縮度よりも高い。
【0036】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記中央燃料ピン、前記第1リング燃料ピン、および前記第2リング燃料ピンはそれぞれ可燃性毒物を含む。
【0037】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記可燃性毒物は酸化ユーロピウムを含む。
【0038】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記外側リング燃料ピンは可燃性毒を含まない。
【0039】
一または複数の非限定的な実施形態は、原子炉容器と、前記原子炉容器内に配置された炉心とを備える加圧重水炉を提供する。前記炉心は、本明細書に開示された実施形態の1つ以上による複数の燃料バンドルを含む。前記複数の燃料バンドルは、第1のタイプの燃料バンドルと第2のタイプの燃料バンドルを含む。前記第1のタイプの燃料バンドルは、可燃性毒物を含む。前記第2のタイプの燃料バンドルは、可燃性毒物を含まない。
【0040】
これらの実施形態の1つ以上によれば、前記第1および第2のタイプの燃料バンドルは、前記第2のタイプの燃料バンドルが可燃性毒物を含むことを除いて、互いに同一である。
【0041】
一または複数の実施形態は、加圧重水炉で使用するように構成された燃料ペレットを提供する。燃料ペレットにはトリウム燃料とウラン燃料が含まれる。燃料ペレットの燃料組成は、トリウムが55~90wt%、ウランが10~45wt%である。ウランの235U濃縮度は5%から20%である。前記燃料ペレットは貫通孔を有する環状である。
【0042】
バンドル、ピン、および/またはペレットを原子炉から取り出した後のこれらの実施形態の1つ以上によれば、使用済燃料ペレット、ピン、および/またはバンドル内の全同位体ウラン濃度(使用済燃料ペレット、ピン、及びバンドルに占める重量割合)は、12、11、10、9、8、および/または7%未満である。
【0043】
本発明の様々な実施形態のこれらおよび/または他の態様の1つ以上、並びに関連する構造要素の動作方法および機能、そして製造における各部分の組み合わせと経済性については、添付図面を参照しつつ、以下の説明と添付の特許請求の範囲を検討することによってより明らかになるであろう。これらは何れも本明細書の一部を構成する。本明細書において、同様の参照符号は種々の図における対応部分を表す。一実施形態において、本明細書に例示される構造部品は、正確な縮尺で描かれている。しかしながら、添付図面は例示及び説明のためのものであり、本発明の発明特定事項の定義として用いることは意図されていない。更に、本明細書における任意の一実施形態に示される、または説明される構造的特徴は、他の各実施形態においても用いられ得ることが理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲における用法によれば、単数形の「a」、「an」、および「the」には複数のものへの言及が含まれる。ただし、文脈によって別に解すべきことが明白な場合はこの限りでない。
【0044】
本明細書において開示されるすべての閉鎖式の値の範囲(例えば、「AとBの間」)及び開放式の値の範囲(例えば、「Cより大きい」)は、その範囲内のすべての範囲を明示的に含む。例えば、1から10までと開示された範囲は、2から10まで、1から9まで、3から9まで、などの範囲をも開示しているものと理解される。同様に、複数のパラメータ(例えば、パラメータC、パラメータD)が範囲を有するものとして別個に開示されている場合、本明細書に開示される実施形態は、一のパラメータ(例えば、パラメータC)の開示された範囲内の任意の値を、他の任意のパラメータ(例えば、パラメータD)の開示された範囲内の任意の値と組み合わせた実施形態を、明示的に包含する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
様々な実施形態並びにそれらの他の目的および更なる特徴をより理解するために、以下の説明を添付図面を参照しつつ記載する。
【0046】
図1】一又は複数の実施形態による加圧重水炉の概略端面図である。
【0047】
図2】燃料バンドルと図1の原子炉の一部を示す概略端面図である。
【0048】
図3A図2に示す燃料バンドルの燃料ペレットの斜視図である。
【0049】
図3B図3Aの燃料ペレットの側面図である。
【0050】
図3C図3Bの線3C-3Cに沿う、図3Aの燃料ペレットの断面図である。
【0051】
図4】一又は複数の非限定的な実施形態による、図2~3のペレット、ピン、および燃料バンドルの組成を示す表である。
【0052】
図5】一又は複数の非限定的な実施形態による、図2~3のペレット、ピン、および燃料バンドルの組成を示す表である。
【0053】
図6】CANDU原子炉の一又は複数の非限定的な代替実施形態による燃料バンドルおよび原子炉の一部の概略端面図である。
【0054】
図7図6に示される原子炉の一又は複数の非限定的な実施形態による、ペレット、ピン、および燃料バンドルの組成を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
220MWe加圧重水炉は、インドで開発・運転されている標準化された加圧重水炉設計である。このよく知られたタイプの原子炉は、物理的にインドに設置されていなくても、以下では「220MWe加圧重水炉」と呼称する。
【0056】
インド型220MWe加圧重水炉は、低燃焼度のオープン燃料サイクルで天然ウラン(すなわち非濃縮ウラン)を使用する。天然ウランの使用、プルトニウム生産のための利用の可能性、並びに放射性廃棄物への懸念から、現在の設計では輸出は好まれず、利用は国内の電力生産に限定されている。220MWe加圧重水炉では、使用済み燃料の燃焼度は低い。本発明の様々な非限定的実施形態は、核拡散と核廃棄物の懸念に対処するため、220MWe加圧重水炉で使用する代替燃料サイクルを提供する。本発明の様々な非限定的実施形態は、トリウムベースの高燃焼度ワンススルー燃料サイクルのための220MWe設計の適応に基づいており、トリウム-LEU燃料バンドル100を含む炉心200を収容する原子炉10を有する220MWeのトリウム加圧重水炉5を提供する。
【0057】
図2に示すように、原子炉10は、燃料バンドル100が配置されるチャネルを画定する複数のカランドリア管30および圧力管40を含む。カランドリア管30及び圧力管40は、1つ又は複数の実施形態が対象とする従来の220MWe加圧重水炉の周知の構成要素であるので、220MWe加圧重水炉のこれらの従来の構成要素に関する網羅的な説明は省略する。
【0058】
様々な実施形態によれば、トリウムベースの燃料サイクルは、核拡散リスクを低減または排除する。その理由は、核分裂性プルトニウムの増殖が顕著ではなく、またウラン233が、関連するウラン232の汚染のために、核兵器に使用するには実用的ではないからである。一方、高燃焼度燃料サイクルは、放射性廃棄物の発生量が大幅に削減されるため好まれる。様々な非限定的実施形態によれば、加圧重水炉のトリウム-LEU燃料は、すべての水炉タイプの中で最も優れた核拡散抵抗性を提供することができる。
【0059】
本発明の様々な非限定的な実施形態によれば、220MWe加圧重水炉(図1参照)の全体的なシステムとプラント設計は、220MWeトリウム加圧重水炉5、10を形成するに際して、現行の220MWe加圧重水炉から維持される。本発明の様々な非限定的実施形態によれば、燃料バンドル100は、高燃焼度トリウム燃料サイクルを提供する。
【0060】
本発明の様々な非限定的な実施形態によれば、設計変更(220MWe加圧重水炉を220MWeトリウム加圧重水炉5、10に変換)の影響は、プラント5の全体ではなく、炉心20の特性に限定されるため、変更された設計の実装とライセンス取得に必要な労力を軽減することができる。
【0061】
本発明の様々な非限定的な実施形態によれば、設計変更の影響は、以下のうちの1つ以上を含み得る。
i)220MWeトリウム加圧重水炉5,10の炉心20の原子炉物理特性は、燃料組成の変更とトリウム燃料特有の中性子特性のために全く異なる。
ii)高燃焼度サイクルの適応は、現行/従来の燃料バンドルの構造が低燃焼度燃料サイクルで使用されていることを考慮すると、燃料バンドル100の構造的完全性に課題をもたらす可能性がある。
【0062】
本発明の様々な非限定的実施形態によれば、トリウム燃料サイクルは、以下の制限に基づく。
i)燃料バンドルの設計変更は、燃料ピンの内部寸法に限定され、燃料バンドルの全体的な形状や構造は現行/従来の設計を維持する。この制限により、炉心の安全性および設計解析の大部分は、本発明の様々な非限定的実施形態に適用できる。
ii)燃料バンドルと炉心の設計を最適化する際、運転中の220MWe加圧重水炉に課せられている現在の出力制限を、220MWeトリウム加圧重水炉10でも尊重する。この制限は、熱伝達システムおよび熱水力学の現在の設計が、修正を必要とすることなく、本発明の様々な非限定的実施形態に適用されることを意味する。
【0063】
本発明の様々な非限定的実施形態によれば、トリウム燃料を用いたワンススルー高燃焼度原子炉サイクルが提供される。
【0064】
一又は複数の非限定的な実施形態は、220MWe加圧重水炉の全ての設計上の特徴を可能な限り維持している。このようなアプローチは、原子炉の安全状態を確立するために必要な労力を最小化することにつながり、近い将来、一又は複数の非限定的な実施形態を実用化することが可能になる。炉心側では、炉心の形状、燃料チャネルの数、炉心の大きさに変更はない。燃料バンドル側では、燃料ピンの外形寸法や燃料バンドルの形状に変更はない。すなわち、一又は複数の非限定的な実施形態は、全長49.53cmの燃料ピンを19本収容する燃料バンドル100を提供する。様々な非限定的な実施形態による燃料バンドル100の設計の変更は、以下のものに限定され得る。
i)燃料組成、および/または
ii)燃料ピン200の内部設計と構造。
【0065】
以下により詳細に説明するように、トリウム加圧重水炉5は、燃料バンドル100からなる炉心20を収容する原子炉および原子炉容器10(図1では円形で示す)を含む。燃料バンドル100は燃料ピン200からなる。燃料ピン200は、燃料ペレット300が充填された密閉管210を含む。
【0066】
一又は複数の実施形態による各ペレット300の燃料組成は、低濃縮ウラン(LEU)を含むトリウム-ウラン混合酸化物である。初期の設計研究では、燃料組成はトリウム80重量%、ウラン濃縮度20%に指定されていた。
【0067】
本明細書では、「トリウム」および「酸化トリウム」という用語は互換的に使用され、どちらも酸化トリウム(ThO2)を指す。同様に、本明細書では、「ウラン」および「酸化ウラン」という用語は互換的に使用され、どちらも酸化ウラン(UO2)を指す。
【0068】
燃料性能解析によると、現在の設計を使用した場合、高燃焼度条件下で大きな核分裂ガス放出と燃料ピン内圧が予想される。さらに、被覆管の過度の損傷も予測された。これら2つの問題に対処するため、燃料バンドル100の設計は以下のように変更された。
i)核分裂ガスを収容し、ピン200の内圧を下げるため、燃料ペレット300に中心孔310が導入された(図2、3参照)。
ii)被覆管とペレットの相互作用を減らすため、初期の燃料-被覆管ギャップを大きくした。
iii)照射損傷による燃料ピンの完全性への影響を低減するため、被覆管の厚さを増加させた。
iv)最後に、高燃焼度で実績のある先進的な被覆管材料(ジルコニウム、ZirloTMなど)が選ばれた。
【0069】
燃料ペレット300
【0070】
図3に示すように、各燃料ペレット300は、中央に軸方向に延びる貫通孔310を有する概ね円筒形の環状形状を有する。様々な非限定的実施形態によれば、燃料ペレット300は以下の物理的パラメータを有する。
i)燃料ペレット300の外径:少なくとも0.9、1.0、1.1、1.2、および/または1.3cm、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、および/または1.0cm以下、任意の2つのそのような値の間(例えば、0.9~2.0cm、1.1~1.7cm、1.2~1.4cm、1.3~1.4cm、約1.376cm)。
ii)燃料ペレット中心孔直径:少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、および/または0.9cm、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、および/または0.3cm以下、および/または任意の2つのそのような値の間(例えば、0.1~1.1cm、0.2~1.0cm、0.4~0.8cm、0.5~0.7cm、約0.6cm)。
iii)燃料ペレット軸方向長さ:少なくとも0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、および/または1.5cm、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、および/または0.7cm以下、および/または任意の2つのそのような値の間(例えば、0.6~2.0cm、0.8~1.2cm、0.9~1.1cm、約1.0cm)。
iv)燃料ペレット300の真密度:97%。
v)燃料ペレットの表面粗さ:商用の加圧重水炉燃料と同程度の0.76μm。
vi)燃料ペレット粒径:10~60μm。
【0071】
図3に示すように、穴とペレット300の軸方向端部との間の交差部は面取りされており、これにより、装填中および取り扱い中のペレットの欠けを減少させ、照射の結果としてペレットが膨張したときに、ペレットおよび/または管のひずみを減少させることができる。
【0072】
様々な実施形態によれば、各ペレット300(ひいては、そのようなペレット300で構成された各燃料ピン200)の燃料組成(重量%ベース)は、以下の構成からなる。
i)少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、および/または90wt%のトリウム(例えば、酸化トリウム)、100、95、90、85、80、75、70、65、60、および/または55%以下のトリウム、および/または任意の2つのそのような値の間(例えば、50~95wt%のトリウム、60~90wt%のトリウム、65~85wt%のトリウム)、
ii)少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および/または50wt%の酸化ウランLEU、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、および/または5wt%以下の酸化ウランLEU、および/または任意の2つのそのような値の間(例えば、5~50wt%の酸化ウランLEU、10~40wt%の酸化ウランLEU、10~30wt%の酸化ウランLEU、約30wt%の酸化ウランLEU、約15wt%の酸化ウランLEU)、および
iii)任意選択で、少なくとも0.0、0.05、0.1、0.15、0.2、および/または0.3wt%(ペレット全体の重量に対する%)の可燃性毒物(例えば、酸化ホウ素)、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、および/または0.2ペレットwt%未満、および/または任意の2つのそのような値の間(例えば、0.0~1.0ペレットwt%、0.5~0.3ペレットwt%、0.1~0.3ペレットwt%、0.15~0.3ペレットwt%、0.2~0.3ペレットwt%、約0.22ペレットwt%)の濃度の酸化ホウ素などの可燃性毒物。酸化ホウ素以外の可燃性毒物を使用する場合は、等価な量/濃度のそのような他の材料を使用することができる。以下に説明するように、このような可燃性毒物は、特定の燃料ピン(例えば、以下に説明する中間リング燃料ピン200b)に使用される特定の燃料ペレット300a’に含まれ得る。
特に断りのない限り、本明細書に記載されている組成のパーセンテージはすべて重量%(wt%)である。
【0073】
以下にさらに詳しく説明するように、燃料ペレット300の中には、ウランを完全に除去し、その結果得られるペレット300cの燃料組成が100%トリウムとなるものもある。以下に説明するように、ペレット300cはトリウム燃料ピン200dに使用され、これはトリウムバンドル100cに使用される。
【0074】
様々な実施形態によれば、異なる燃料組成の燃料ペレット300を単一のピン200内、または異なるピン200a、200b、200c、200d内で使用することができる。例えば、図4に示すように、1つ以上の実施形態によれば、
i)中央燃料ピン200aで使用される燃料ペレット300aの燃料組成は、トリウム70%、ウラン30%であり、
ii)中間リング燃料ピン200bに使用される燃料ペレット300a’の燃料組成は、トリウム約70%、ウラン約30%、および酸化ホウ素(または他の可燃性毒物)0.22wt%であり、
iii)特定の外側燃料ピン200cに使用される燃料ペレット300bの燃料組成は、トリウム85%およびウラン15%であり、
iv)他の特定の燃料ピン200dおよび燃料バンドル300cに使用される燃料ペレット300cの燃料組成は、トリウム100%である。
【0075】
様々な実施形態によれば、燃料ペレット300のLEUは、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、および/または16%の235U濃縮度、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、および/または6%以下の235U濃縮度、および/または任意の2つのそのような値の間の任意の値(例えば、5~20%、10~18%、12~16%、約13%、約15%の235U濃縮度)を有する。様々な実施形態によれば、LEUの235U濃縮度は、単一のピン200内の異なる燃料ペレット300間で異なる。様々な実施形態によれば、図4に示すように、1つ以上のピン200a、200bで使用される燃料ペレット300a、300a’のLEUの235U濃縮度(例えば、13.0%の濃縮度)は、1つ以上の他のピン200cで使用される燃料ペレット300bのLEUの濃縮度(例えば、15%の濃縮度)よりも低い。図4に示す実施形態では、濃縮度の差は2.0絶対%(13%対15%)である。しかしながら、代替実施形態によれば、濃縮度の絶対差は、より高くても低くてもよい。例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、7.0、8.0、9.0、および/または10.0絶対%の差、10.0、9.0、8.0、7.0、6.0、5.5、5.0、4.5、3.0、2.5、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、および/または0.2絶対%未満の差、および/または任意の2つのそのような値の間(例えば、0.2~10.0絶対%の差、1.0~8.0絶対%の差、約2絶対%の差)である。本明細書で使用される場合、濃縮度の差は、パーセンテージの相対的な差ではなく、絶対的な差を意味する。したがって、5%濃縮LEUと15%濃縮LEUの差は、200%ではなく、10%(15%から5%を引いた値)である。
【0076】
燃料ピン200
【0077】
図2に示すように、各燃料ピン200は、密閉された被覆管210を含む。様々な実施形態によれば、密閉管210は、各端部にエンドキャップが(例えば、溶接を介して)取り付けられた環状管からなる。軸方向に整列された40~50個(例えば、48個)の燃料ペレット300が密閉管210内に配置されるが、本発明の範囲から逸脱することなく、ピン200当たりにより多いまたはより少ないペレット300を使用することができる。例えば、核分裂ガスが蓄積するスペースを確保するために、ペレット300の数を少なくすることができる。例えば、ペレット300を軸方向に短くすれば、より多くのペレット300を使用することができる。様々な実施形態によれば、管210は1.40cmの内径と0.06cmの厚さを有する。管210は、そのエンドキャップを含め、任意の適切な材料(例えば、ジルコニウム合金)から構成され得る。様々な実施形態によれば、密閉管210の内部空洞は、充填剤(例えば、ヘリウム)を介して0.5Mpaまで加圧充填される。
【0078】
図4に示すように、ピン200の異なるバリエーションには、以下のように異なるタイプの燃料ペレット300が充填される。
i)燃料ピン200aは、燃料ペレット300aと燃料組成が一致するように、燃料ペレット300aから構成される(例えば、トリウム70%、ウラン30%(濃縮度13%))。
ii)燃料ピン200b
【0079】
燃料バンドル100
【0080】
図2に示すように、各燃料バンドル100は複数の燃料ピン200で構成されている。一実施形態による220MWeトリウム加圧重水炉10の場合、燃料バンドル100は、19本の燃料ピン200、すなわち、1本の中央燃料ピン200aと、中央燃料ピン200aから半径方向外側にリング状に配置された6本の中間燃料ピン200bと、ピン200bの中間リングから半径方向外側にリング状に配置された12本の外側燃料ピン200cとを含む。
【0081】
従来の燃料バンドルと同様に、燃料ピン200a、200b、200cの軸方向端部には、冷却材が通過する開口部を備えた円形のエンドプレートが溶接などで取り付けられており、ピン200を図2に示す位置に維持している。
【0082】
これらを考慮して、図4に示すように、1つまたは複数の実施形態による燃料バンドル100aの燃料組成を以下のように決定した。
i)中央燃料ピン200aは、トリウム70wt%とウラン30wt%(具体的には235U濃縮度13%のウラン)の組成を有する燃料を含む。この燃料組成は、様々な実施形態に従って、燃料ピン200aに燃料ペレット300aを充填することによって達成される。
ii)中間リングの燃料ピン200bは、概ね燃料ピン200aと類似しているが、燃料ピン200bは、可燃性毒物を除いた燃料ペレット300aではなく、可燃性毒物(例えば、0.22ペレットwt%の酸化ホウ素または他の同等の材料と配置の組み合わせ)も含む燃料ペレット300a’で充填されている点で異なっている。したがって、燃料ピン200bおよび燃料ペレット300a’は、少量のトリウムおよびウランが可燃性毒物に置き換わるため、燃料ピン200aおよび燃料ペレット300aよりもトリウムおよびウランがわずかに少ない。
iii)外側リングの燃料ピン200cの燃料組成は、トリウム85wt%とウラン15wt%(具体的には235U濃縮度15%のウラン)である。この燃料組成は、様々な実施形態に従って、一致する燃料組成を有する燃料ペレット300bをピン200cに充填することによって達成される。
【0083】
燃料バンドル100の燃料組成を図4にまとめる。
【0084】
様々な代替実施形態によれば、燃料ピン200、200a、200bの燃料組成はいずれも、本発明の範囲から逸脱することなく、上述の燃料組成(またはさらなる代替燃料組成)のいずれかを有する燃料ペレット300を使用することによって変化させることができる。
【0085】
このような様々な組み合わせの結果は以下の通りである。
i)Th/U燃料バンドル100aは以下の通り構成される。
(1)Th/U中心燃料ピン200aは、燃料ペレット300a(70%Th、30%U(濃縮度13%))で構成され、可燃性毒物は含まれていない。
(2)6本のTh/U中間燃料ピン200bは、燃料ペレット300a’(70wt%Th、30wt%U(濃縮度13%)、0.22ペレットwt%の酸化ホウ素の燃料組成)から構成される。
(3)12本の外側燃料ピン200cは、燃料ペレット300b(85wt%Th、15wt%U(濃縮度15%))で構成され、可燃性毒物は含まれていない。
ii)Th/U燃料バンドル100bは、6つの中間燃料ピン200bのペレット300a’に可燃性毒物が含まれていない(したがって、これらの中間燃料ピン200bを中央燃料ピン200aと実質的に同一にする)ことを除いて、Th/U燃料バンドル100aと概ね同一であってもよい。その結果、燃料バンドル100bは、可燃性毒物を含まず、以下の構成を有する。
(1)Th/U中心燃料ピン200aは、燃料ペレット300a(70%Th、30%U(濃縮度13%))で構成され、可燃性毒物は含まれていない。
(2)6本のTh/U中間燃料ピン200bは、燃料ペレット300a(70wt%Th、30wt%U(濃縮度13%))から構成され、可燃性毒物は含まれていない。
(3)12本の外側燃料ピン200cは、燃料ペレット300b(85wt%Th、15wt%U(濃縮度15%))で構成され、可燃性毒物は含まれていない。
iii)Th燃料バンドル100cは、Th燃料ペレット300c(100%トリウム)を含む燃料ピン200dで構成され、可燃性毒物は含まれていない。
【0086】
燃料バンドル、ピン、ペレットの代替組成
【0087】
本明細書に記載の燃料バンドル100a、100b、ピン200a、200b、200c、およびペレット300a、300a’、300bの組成は、様々な代替実施形態に従って様々な方法で変更することができる。
【0088】
燃料バンドル100a、100b、および/または燃料ピン200a、200b、200cの1つまたは複数の代替実施形態によれば、燃料ペレット300a、300a’、300bは、上述した実施形態の1つまたは複数よりも高い濃縮度のウランを利用することができる(例えば、(a)少なくとも15、16、17、および/または18%の235U濃縮度、(b)19.95、19、および/または18%以下の235U濃縮度、および/または(c)任意の2つのそのような上限値と下限値との間(例えば、15~19.95%の235U濃縮度、16~19%の235U濃縮度、約17.8%の235U濃縮度)。
【0089】
これらの実施形態の1つ以上によれば、ペレット300a、300a’、300bの各々におけるウランの235U濃縮レベルは、燃料バンドル100a、100b、燃料ピン200a、200b、200c、および/または燃料ペレット300a、300a’、300bの多くまたは全てにわたって標準化され得る。
【0090】
これらの実施形態の1つ以上によれば、可燃性毒物は、中間リング燃料ピン200bおよびペレット300a’ではなく、外側リングピン200cおよびペレット300bに設けることができる。様々な実施形態によれば、外側リングピン200cおよびペレット300bに使用される可燃性毒物は、酸化エルビウムを含み、その濃度は、(a)ペレットの少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、および/または1.3wt%、(b)ペレットの3.0、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、および/または1.3wt%以下、および/または(c)任意の2つのそのような値の間(例えば、ペレットの0.1~3.0wt%、ペレットの1.0~2.0wt%、ペレットの約1.3wt%)である。
【0091】
これらの実施形態の1つ以上によれば、中間リングピン200bのペレット300a、300a’中の燃料のトリウム濃度は、上述の実施形態の1つ以上におけるよりも高くてもよく、例えば、(a)燃料の少なくとも71、72、73、74、および/または75wt%、(b)燃料の84、83、82、81、80、79、78、77、76、および/または75wt%以下、および/または(c)任意の2つのそのような値の間(例えば、燃料の71~84wt%、燃料の72~78wt%、燃料の約75wt%)である。
【0092】
図5は、これらの実施形態の1つ以上による燃料バンドル100a、100bの組成を示す図である。
【0093】
様々な代替実施形態によれば、Th/U燃料バンドル100は以下の構成を有し得る。
i)以下を含むTh/U中央燃料ピン200a。
(1)Thが60%、Uが40%(濃縮度15%)の燃料組成を有する燃料ペレット300aと、
(2)0.6wt%のユーロピウム(Eu)可燃性毒物。
ii)以下を含む6本のTh/U中間燃料ピン200b。
(1)Thが65wt%、Uが35wt%(濃縮度15%)の燃料組成を有する燃料ペレット300a’と、
(2)0.6wt%のユーロピウム(Eu)可燃性毒物。
iii)以下を含む12本の外側燃料ピン200c。
(1)Thが70wt%、Uが30wt%(濃縮度10%)の燃料組成を有する燃料ペレット300bと、
(2)可燃性毒物は含まない。
様々な非限定的な実施形態によれば、異なる組成を有していた上述のバンドル100a、100b、100cの代わりに、同じタイプの燃料バンドル(例えば、直前に記載したようなもの)を原子炉内の全ての位置で使用することができる。
【0094】
様々な代替実施形態によれば、Th/U燃料バンドル100は以下の構成を有し得る。
i)以下を含むTh/U中央燃料ピン200a。
(1)Thが60%、Uが40%(濃縮度16%)の燃料組成を有する燃料ペレット300aと、
(2)0.6wt%のユーロピウム(Eu)可燃性毒物。
ii)以下を含む6本のTh/U中間燃料ピン200b。
(1)Thが65wt%、Uが35wt%(濃縮度16%)の燃料組成を有する燃料ペレット300a’と、
(2)0.6wt%のユーロピウム(Eu)可燃性毒物。
iii)以下を含む12本の外側燃料ピン200c。
(1)Thが80wt%、Uが20wt%(濃縮度15%)の燃料組成を有する燃料ペレット300bと、
(2)可燃性毒物は含まない。
様々な非限定的な実施形態によれば、異なる組成を有していた上述のバンドル100a、100b、100cの代わりに、同じタイプの燃料バンドル(例えば、直前に記載したようなもの)を原子炉内の全ての位置で使用することができる。
【0095】
CANDU型600MWe原子炉の実施形態
【0096】
図6は、1つ以上の非限定的な代替実施形態による原子炉1005を示す。図示した原子炉1005は、上述した実施形態と概ね同様であるので、類似又は同一の構造及び特徴についての重複した説明は省略する。図6に示すように、原子炉1005の原子炉容器1010は、燃料バンドル1100が配置されるチャネルを画定する複数のカランドリア管1030および圧力管1040からなる炉心1020を収容する。
【0097】
図示された実施形態において、原子炉1005、原子炉容器/ハウジング1010、カランドリア管1030、および圧力管1040は、1つ以上の非限定的な実施形態が対象とするCANDU型原子炉の周知の構成要素であるので、CANDU型原子炉のこれらの従来の構成要素についての網羅的な説明は省略する。同様に、燃料バンドル1100及びピン1200a、1200b、1200c、1200dの寸法及び構成は、様々な非限定的な実施形態が対象とするCANDU炉に関連して同様に周知であるので、そのような寸法及び構成の網羅的な説明は省略する。
【0098】
図6に示すように、各燃料バンドル1100は、37本の燃料ピンで構成され、その内訳は、燃料ペレット1300aを含む1本の中央燃料ピン1200a、燃料ペレット1300aを含む6本の第1リング燃料ピン1200b、燃料ペレット1300bを含む12本の第2リング燃料ピン1200c、および燃料ペレット1300cを含む18本の外側リング燃料ピン1200dである。
【0099】
図7に示される非限定的な実施形態に示されるように、1つ以上の実施形態による燃料バンドル1100の燃料ピン1200a、1200b、1200c、1200dの燃料ペレット1300a、1300b、1300cの組成は、従来の37ピンCANDU燃料バンドルにおける組成とは異なる。
【0100】
燃料バンドル1100および/または燃料ピン1200a、1200b、1200c、および/または1200dの1つまたは複数の実施形態によれば、燃料ペレット1300a、1300b、および/または1300cが利用するウランの濃縮度は、(a)少なくとも13、14、15、16、17、および/または18%の235U濃縮度、(b)19.95、19、18、および/または17%以下の235U濃縮度、および/または(c)任意の2つのそのような上限値と下限値の間(例えば、13~19.95%の235U濃縮度、16~19%の235U濃縮度、約16、17、18、または19%の235U濃縮度)である。
【0101】
様々な非限定的な実施形態によれば、中央燃料ピン1200aおよび/または第1リング燃料ピン1200b内の燃料ペレット1300aの235U濃縮度は互いに等しい。しかしながら、1つ以上の代替実施形態によれば、中央ピン1200a内の燃料ペレットの濃縮度は、第1リング燃料ピン1200b内の燃料ペレットの濃縮度よりも高くても低くてもよい。
【0102】
様々な非限定的な実施形態によれば、中央燃料ピン1200aおよび/または第1リング燃料ピン1200b内の燃料ペレット1300aの235U濃縮度は、第2リングピン1200c内の燃料ペレット1300bおよび/または外側リングピン1200d内の燃料ペレット1300cの235U濃縮度よりも高く、その差は、(a)少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、および/または8.0絶対%、(b)8.0、7.5、7.0、6.5、6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、および/または0.2絶対%、および/または(c)そのような上限値と下限値の間の任意の値(例えば、0.1~8.0絶対%、0.5~1.5絶対%、1.5~2.5絶対%、約1絶対%、約3絶対%)である。本明細書で使用する濃縮度の「絶対%」は、濃縮度のパーセンテージを意味し、別の濃縮度値からの偏差のパーセンテージではない。その結果、濃縮度19%の燃料ペレット1300aは、濃縮度17%のペレット1300bよりも2絶対%高い濃縮度を有する。
【0103】
様々な非限定的な実施形態によれば、第2のリングピン1200c内の燃料ペレット1300bの235U濃縮度は、外側リングピン1200d内の燃料ペレット1300cの235U濃縮度よりも高く、その差は、(a)少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、および/または7.0絶対%、(b)7.0、6.5、6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、および/または0.2絶対%以下、および/または(c)そのような上限値と下限値の間の任意の値(例えば、0.1~7.0絶対%、0.5~1.5絶対%、約1絶対%)である。
【0104】
1つ以上の非限定的な実施形態によれば、燃料ペレット1300aおよび/または1300bおよび/またはピン1200a、1200b、および/または1200cは、可燃性毒物を含む。種々の実施形態によれば、ペレット1300aおよび/または1300bおよび/またはピン1200a、1200b、および/または1200cに使用される可燃性毒物は、酸化ユーロピウムを含み、当該酸化ユーロピウムの濃度は、(a)ペレットの少なくとも0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、および/または1.3wt%、(b)ペレットの3.0、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.15、0.14、0.13、0.12、0.11、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、および/または0.05wt%以下、および/または(c)任意の2つのそのような値の間(例えば、ペレットの0.05~3.0wt%、ペレットの1.0~2.0%、ペレットの約1.2wt%、0.05~0.2wt%、0.05~0.15wt%)である。様々な実施形態によれば、燃料ペレット1300aおよび/または中央および第1のピン1200a、1200b中の可燃性毒物濃度は、燃料ペレット1300bおよび/または第2のリングピン1200c中の可燃性毒物(例えば、酸化ユーロピウム)濃度よりも高く、その差は、(a)少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、および/または1.0絶対wt%、(b)2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、および/または0.1絶対wt%未満、および/または(c)任意の2つのそのような値の間(例えば、0.1~2.0絶対wt%、0.5~1.7絶対wt%、約1.1絶対wt%)である。1つ以上の非限定的な実施形態によれば、燃料ペレット1300aは1.2wt%の酸化ユーロピウム濃度を有し、燃料ペレット1300bは0.1wt%の酸化ユーロピウム濃度を有する。よって、ペレット1300aはペレット1300bよりも1.1絶対wt%高い酸化ユーロピウム濃度を有する。1つまたは複数の代替実施形態によれば、任意の他の可燃性毒物(例えば、酸化エルビウム)を追加的および/または代替的に使用することができる。
【0105】
様々な代替実施形態によれば、可燃性毒物(例えば、上記の実施形態のいずれかで記載された濃度の酸化ユーロピウムおよび/または酸化エルビウム)が、追加的および/または代替的に、燃料ペレット1300cおよび/またはピン1200d内に配置されてもよい。
【0106】
1つまたは複数の実施形態によれば、中央ピン1200aおよび/または第1リングピン1200bの燃料ペレット1300a中のトリウム燃料濃度(すなわち、燃料全体の重量の一部としてのトリウムのwt%)は、(a)少なくとも45、50、55、57.5、60、62.5、および/または65wt%、(b)90、85、80、75、70、65、62.5、および/または60wt%以下、および/または(c)任意の2つのそのような値の間(例えば、45~90wt%、50~70wt%、55~65wt%、57.5~62.5wt%、約65wt%)である。様々な非限定的な実施形態によれば、ペレットの燃料組成の残余はウランである(例えば、65wt%のトリウムと35wt%のウラン)。
【0107】
1つまたは複数の実施形態によれば、第2リングピン1200cの燃料ペレット1300b中のトリウム燃料濃度(すなわち、燃料全体の重量の一部としてのトリウムのwt%)は、(a)少なくとも55、60、65、70、72.5、75、および/または77.5wt%、(b)95、90、85、80、77.5、75、および/または72.5wt%以下、および/または(c)任意の2つのそのような値の間(例えば、55~95wt%、65~85wt%、70~80wt%、72.5~77.5wt%、約75wt%)である。様々な非限定的な実施形態によれば、ペレットの燃料組成の残余はウランである(例えば、75wt%のトリウムと25wt%のウラン)。
【0108】
1つまたは複数の実施形態によれば、外側リングピン1200dの燃料ペレット1300c中のトリウム燃料濃度(すなわち、燃料全体の重量の一部としてのトリウムのwt%)は、(a)少なくとも55、60、65、70、75、80、82.5、85、および/または87.5wt%、(b)99、95、90、87.5、85、および/または82.5wt%以下、および/または(c)任意の2つのそのような値の間(例えば、55~99wt%、75~95wt%、80~90wt%、82.5~87.5wt%、約85wt%)である。様々な非限定的な実施形態によれば、ペレットの燃料組成の残余はウランである(例えば、85wt%のトリウムと15wt%のウラン)。
【0109】
これらの実施形態の1つ以上によれば、外側リングピン1200dのペレット1300c中のトリウム燃料濃度は、第2リングピン1200c、第1リングピン1200b、および/または中央ピン1200aの燃料ペレット1300bおよび/または1300c中のトリウム燃料濃度よりも高い。様々な非限定的な例によれば、ペレット1300c中のトリウム燃料濃度(すなわち、燃料全体の重量の一部としてのトリウムのwt%)は、ペレット1300b中のトリウム燃料濃度よりも高く、その差は、(a)少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および/または15絶対wt%、(b)25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、および/または1絶対wt%未満、および/または(c)任意の2つのそのような値の間の値(例えば、1~25絶対wt%、5~15wt%、約10wt%)である。様々な非限定的な例によれば、ペレット1300c中のトリウム燃料濃度は、ペレット1300a中のトリウム燃料濃度よりも高く、その差は、(a)少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および/または30絶対wt%、(b)30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、および/または1絶対wt%未満、および/または(c)任意の2つのそのような値の間の値(例えば、1~30絶対wt%、20~30wt%、約25wt%)である。
【0110】
1つまたは複数の実施形態によれば、第2リングピン1200cのペレット1300b中のトリウム燃料濃度は、第1リングピン1200bおよび/または中央ピン1200aの燃料ペレット1300a中のトリウム燃料濃度よりも高い。様々な非限定的な例によれば、ペレット1300b中のトリウム燃料濃度は、ペレット1300a中のトリウム燃料濃度よりも高く、その差は、(a)少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および/または20絶対wt%、(b)30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、および/または1絶対wt%未満、および/または(c)任意の2つのそのような値の間の値(例えば、1~30絶対wt%、5~25絶対wt%、10~20絶対wt%、および/または約15全体wt%)である。
【0111】
本明細書で使用する「絶対wt%」とは、燃料全体の含有量に対するパーセンテージを意味し、他の値からの偏差を意味するものではない。その結果、トリウム燃料濃度が60wt%の燃料ペレット1300aは、トリウム燃料濃度が75wt%の燃料ペレット1300bよりも、濃度が15絶対wt%低い。
【0112】
様々な非限定的な実施形態によれば、中央ピン1200aおよび/または第1リングピン1200b内の全ての燃料ペレット1300aの組成(例えば、235U濃縮度、トリウム/ウラン濃度、毒物濃度)は同じであってもよい。様々な非限定的な実施形態によれば、第2リングピン1200c内の全ての燃料ペレット1300bの組成は同じであってもよい。様々な非限定的な実施形態によれば、外側リングピン1200d内の全ての燃料ペレット1300cの組成は同じであってもよい。様々な代替実施形態によれば、所定のリング内の異なるピンは、異なる組成のペレットを利用してもよい。様々な代替実施形態によれば、所定のピン内の燃料ペレットは、互いに異なる組成を有することができる。
【0113】
様々な非限定的実施形態によれば、燃料は、トリウムがU233に遷移し、それが原位置で燃焼されるオープン燃料サイクルで利用される。様々な非限定的な実施形態によれば、燃料は、現在のCANDU/加圧重水炉燃料では達成不可能なレベルまで燃焼される。様々な非限定的実施形態によれば、核分裂性物質の残留量は、非動力炉用途に使用できるほどではない。この燃料は、強い負の燃料温度反応度係数や冷却材ボイド反応度の低減といった固有の安全性を特徴としている。
【0114】
代替原子炉
【0115】
上述した実施形態は、220MWe加圧重水炉用の燃料100、200、300、またはCANDU型600MWe原子炉用の燃料1100、1200、1300に関する。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態を他のタイプの加圧重水炉に使用することができる。例えば、上述した様々な実施形態は、他のインド型加圧重水炉(例えば、インド型540MWe加圧重水炉、インド型700MWe加圧重水炉)または他のCANDU炉(例えば、300MWeまたは900MWe)に適用することができ、上述した実施形態における19ピンおよび37ピンの実施形態よりも多いまたは少ないピンを有する燃料バンドルを使用することができる。
【0116】
特に明示しない限り、本明細書におけるペレット、ピン、燃料バンドルの組成(例えば、wt%、燃料、可燃性毒物など)は、原子炉内での照射後の組成ではなく、原子炉内で使用される前の新鮮な非照射ペレット、ピン、燃料バンドルの組成を指す。新鮮なペレットは、再利用されたウラン、劣化ウラン、天然ウラン、および/または、他の任意の供給源からのウランで構成され得るが、これは以前に照射されたウランの供給源を含む。同様に、新鮮なペレットは、以前に照射された供給源を含む、任意の供給源からのトリウムで構成され得る。
【0117】
上記の例示的な各実施形態は、様々な実施形態の構造的および機能的な原理を示すために提示されたものであって、限定することを意図したものではない。むしろ、本発明の原理は、その任意および全ての変更、改変、および/または代替(例えば、以下の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にある任意の改変)を含むことを意図している。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】