(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】MPROプロテアーゼ及びSARS-COV-2複製の阻害剤としてのエタクリン酸誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 209/08 20060101AFI20240412BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20240412BHJP
C07D 231/56 20060101ALI20240412BHJP
A61K 31/416 20060101ALI20240412BHJP
A61K 31/16 20060101ALI20240412BHJP
C07D 211/58 20060101ALI20240412BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20240412BHJP
C07D 295/205 20060101ALI20240412BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20240412BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20240412BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20240412BHJP
C07D 235/08 20060101ALI20240412BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20240412BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
C07D209/08 CSP
A61K31/404
C07D231/56
A61K31/416
A61K31/16
C07D211/58
A61K31/445
C07D295/205
A61K31/495
C07D471/04 106Z
A61K31/437
C07D235/08
A61K31/4184
A61P31/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570086
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 MA2022000005
(87)【国際公開番号】W WO2022240277
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523426677
【氏名又は名称】ウニベルシテ・ユーロ-メディテラネエンヌ・ドゥ・フェス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エル・カッズーリ,サイード
(72)【発明者】
【氏名】トゥイユ,ナディア
(72)【発明者】
【氏名】エル・ファヒメ,エルモスタファ
(72)【発明者】
【氏名】エル・アッブーシ,アブデルムーラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘムラリ,ムフシン
(72)【発明者】
【氏名】エル・ブラーミ,ナビル
(72)【発明者】
【氏名】エル・アラウイ,アブデラジズ
(72)【発明者】
【氏名】ブヌー,サリム
(72)【発明者】
【氏名】ブースミナ,モスタファ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB05
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ01
4C065KK01
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP03
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC13
4C086BC21
4C086BC37
4C086BC39
4C086BC50
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206GA23
4C206HA21
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB33
(57)【要約】
本発明は、式(I)及び(II)の新規化合物、薬物としての、特にSARS-CoV-2の処置のための、COVID-19病、及びβ-コロナウイルスに関連するあらゆる疾患の処置のための、並びにMproプロテアーゼとの相互作用を研究するためのそのインビトロ適用のための、その使用に関する。本発明はまた、有効成分として少なくとも1つの式(I)又は(II)の化合物を含む医薬組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)及び(II)を有することを特徴とする化合物であって:
【化1】
式中、
W及びZが同一であっても異なっていてもよく、互いに独立して、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル又はアミンを表し、好ましくはWが水素又は塩素原子であり、Zが塩素、フッ素、臭素原子又はヒドロキシルであり;
V、X及びYが同一であっても異なっていてもよく、互いに独立して、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子を表し、好ましくはV及びXが窒素原子であり、Yが炭素又は窒素原子であり、
Uが、炭素原子、又は6員芳香環の前記炭素原子を置換した1つ以上の窒素原子であり、好ましくはUが炭素原子又は1つ若しくは2つの窒素原子であり、
n及びn’が、同一であっても異なっていてもよく、互いに独立して、1~10個の炭素原子を含み得る、アルキル、ヒドロキシ、パーフルオロアルキル、アルキルチオ、アミノアルキル及びアルコキシ鎖の長さを表し
R1、R2、R3及びR4が、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、アリール、ヘテロアリール又はアミンを表し、前記アルキル、ヒドロキシ、パーフルオロアルキル、アルキルチオ、アミノアルキル及びアルコキシ基が、1~10個の炭素原子を含み得る、化合物。
【請求項2】
式(I)又は(II)の化合物として、特に以下が言及され得る:
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インドール-5-イル)アセトアミド:
【化2】
(化合物P5);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)アセトアミド:
【化3】
(化合物P7);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インドール-4-イル)アセトアミド:
【化4】
(化合物P11);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インドール-5-イル)アセトアミド:
【化5】
(化合物P12);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インドール-6-イル)アセトアミド:
【化6】
(化合物P13);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-4-イル)アセトアミド:
【化7】
(化合物P18);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-6-イル)アセトアミド:
【化8】
(化合物P20);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)アセトアミド:
【化9】
(化合物P21);
以下の式の1-(4-(2-(1H-インダゾール-1-イル)-2-オキソエトキシ)-2,3-ジクロロフェニル)-2-メチレンブタン-1-オン:
【化10】
(化合物P22);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インダゾール-5-イル)アセトアミド:
【化11】
(化合物P26);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(2-メチル-2H-インダゾール-6-イル)アセトアミド:
【化12】
(化合物P29);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(2-メチル-2H-インダゾール-7-イル)アセトアミド:
【化13】
(化合物P30);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(2-メチル-2H-インダゾール-4-イル)アセトアミド:
【化14】
(化合物P31);
以下の式のtert-ブチル5-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセトアミド)-1H-インダゾール-1-カルボキシレート:
【化15】
(化合物P33);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-(プロパ-2-イン-1-イル)-1H-インダゾール-4-イル)アセトアミド:
【化16】
(化合物P34);
以下の式のtert-ブチル(2-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセトアミド)エチル)-カルバメート:
【化17】
(化合物P35);
以下の式のtert-ブチル(1-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセチル)ピペリジン-4-イル)カルバメート:
【化18】
(化合物P36);
以下の式のN-(2-クロロエチル)-2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセトアミド:
【化19】
(化合物P37);
以下の式のtert-ブチル4-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセチル)ピペラジン-1-カルボキシレート:
【化20】
(化合物P38);
以下の式のN-ブチル-2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセトアミド:
【化21】
(化合物P39);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-((1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)メチル)アセトアミド:
【化22】
(化合物P40);
以下の式の1-(2,3-ジクロロ-4-(2-(5-メチル-1H-インダゾール-1-イル)-2-オキソエトキシ)フェニル)-2-メチレンブタン-1-オン:
【化23】
(化合物P41);
以下の式の1-(2,3-ジクロロ-4-(2-オキソ-2-(1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-2-メチレンブタン-1-オン:
【化24】
(化合物P42);
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)アセトアミド:
【化25】
(化合物P43)。
【請求項3】
薬物として適用するための、請求項1又は請求項2に記載の式(I)又は(II)の化合物。
【請求項4】
COVID-19疾患の治療用の薬物として適用するための、請求項3に記載の式(I)又は(II)の化合物。
【請求項5】
β-コロナウイルスによって引き起こされる病状の治療用の薬物として適用するための、請求項3に記載の式(I)又は(II)の化合物。
【請求項6】
SARS-CoV-2複製を阻害するためにインビトロで適用するための、請求項3に記載の式(I)又は(II)の化合物。
【請求項7】
M
proプロテアーゼを阻害するためにインビトロで適用するための、請求項3に記載の式(I)又は(II)の化合物。
【請求項8】
研究ツールとしての、特にM
proプロテアーゼの活性部位と相互作用することができる分子の同定のための、請求項3に記載の標識された式(I)又は(II)の化合物の使用。
【請求項9】
医薬組成物において有効成分として使用するための、請求項1、2及び3に記載の式(I)又は(II)の化合物。
【請求項10】
医薬組成物において他の薬物と組み合わせて使用するための、請求項1、2及び3に記載の式(I)又は(II)の化合物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
いくつかのコロナウイルスは、風邪から、より重篤な疾患、例えば中東呼吸器症候群(MERS)及び重症急性呼吸器症候群(SARS)にまで及ぶ呼吸器感染症を引き起こし得る。COVID-19疾患又は重症急性呼吸器症候群は、コロナウイルス科のウイルスによっても引き起こされる。このウイルスは、中国湖北省武漢で最初に発見され、SARS-CoV-2と名付けられた[Zhu et al,N.Engl.J.Med.2020,382,727-73;Li et al,N.Engl.J.Med.2020,382,1199-1207]。SARS-CoV-2ゲノムの配列決定は、それがSARS-CoVと79.6%同一であることを示している[Wu et al,Nature 2020,579,265-269;Zhou et al,Nature 2020,579,270-273]。
【0002】
M
proプロテアーゼ(3CL
proとしても知られる)は、タンパク質の産生に必要な酵素であり、次いでウイルスの発生及び複製のために重要である。このプロテアーゼは、現在、抗SARS-CoV-2処置の開発のための最も有望な標的の1つであると考えられている。これには、化学組成及びX線回折構造が現在十分に解明されているM
proを阻害することができる分子の発見を要するであろう[Zhang et al,Science 2020,368,409-412]。この酵素は、二量体の形態で、2つの重要なアミノ酸、すなわちHis41及びCys145の存在を特徴とする触媒部位を含む。さらに、この部位は、ウイルスの増殖に必要なアミノ酸及びタンパク質の産生に直接関与している[Dai et al.,Science 2020,368,1331-1335](
図1)。
【0003】
2002年及び2003年のSARS-CoVウイルスの出現後、Mproを阻害することができる小さな抗ウイルス分子を開発するために世界中でいくつかの研究が行われてきた。このプロテアーゼはSARS-CoVにも存在し、その構造は昨年SARS-CoV-2で発見されたものと比較してあまり変化していないことに留意されたい[Zhang et al.,Science 2020,368,409-412])。また、Mproはヒトにおいてホモログを有さず、それが抗ウイルス薬の開発の主要な標的であることの別の理由であることにも留意すべきである[Kim et al.,PLOS Pathog.2016,12,e1005531;Yang et al.,PLOS Biol.2005,3,e324]。さらに、Mproは、いくつかのβ-コロナウイルス(MERS、SARS-CoV、SARS-CoV-2)において保存され、これにより、目下の疾患だけでなく、他の形態のβ-コロナウイルスによって引き起こされる他の健康危機の事象における将来の疾患の処置の開発も企図することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Zhu et al,N.Engl.J.Med.2020,382,727-73
【非特許文献2】Li et al,N.Engl.J.Med.2020,382,1199-1207
【非特許文献3】Wu et al,Nature 2020,579,265-269
【非特許文献4】Zhou et al,Nature 2020,579,270-273
【非特許文献5】Zhang et al,Science 2020,368,409-412
【非特許文献6】Dai et al.,Science 2020,368,1331-1335
【発明の概要】
【0005】
2019年末に健康危機が始まって以来、小分子によるSARS-CoV-2 Mproプロテアーゼの阻害に関する非常に興味深い研究が、非常に有名な学術誌に発表されている[Jin et al,Nature 2020,582,289-293;Zhang et al,Science 2020,368,409-412;Dai et al,Science 2020,368,1331-135;Jin et al,Nat.Struct.Mol.Biol.2020,27,529-532]。これらの種々の研究の分析に続いて、抗SARS-CoV-2の設計及び開発のためのいくつかの重大かつ重要な情報を以下のセクションに要約する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】M
proの三次元構造を、90°回転させた2つの異なる概観で示す。この図はまた、His41(青色ボール)及びCys145(黄色ボール)から構成される触媒部位の位置、並びに酵素の二量体としての構造を示す。
【
図2】M
pro活性部位とリガンド(活性物質)との間の結合表面の表示を含む。この最近の研究のおかげで、Dai、Zhang、Jiang及びSuのチームは、2つの分子、11a及び11b(
図2)を提供し、各々は、Cys145、シクロヘキシル又は3-フルオロフェニルと共有結合してポケットS2を占有するアルデヒド、及びポケットS4と水素結合するためのインドールを含む[Dai et al.,Science 2020,368,1331-1335]。化合物11a及び11bのIC
50(半数阻害濃度)は、それぞれ0.053及び0.040μMである。
【
図4】カルモフール及びM
proの活性部位間の相互作用モードを示す。
【
図5】化合物GRL-1720及び5hのSARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性、並びにM
proプロテアーゼと複合体化した化合物5hのX線回析による構造を示す。
【
図7】化合物の構造及びM
proとのそれらの結合モードを示す。
【
図9】異なる濃度での分子P7、P26及びP30の感染力価の低下率を示す。
【
図10】分子P7、P26及びP30による感染力価の低下率を示す。
【
図11】リガンドP7とM
proの活性部位のaaとの相互作用の例示を示す。
【
図12】SARS CoV-2上の、遺伝子RdRP、遺伝子N、及び遺伝子EのRT-PCRを示す。
【
図13】3つの化合物、P7、P26、P30のIC50値を示す。
【
図14】活性部位での位置及び配向の、ドッキング解析結果を示す。
【
図15】リガンドとM
PROの活性部位のaaと間で確立された、各結合タイプのデータを示す。
【
図16】式I及びIIの化合物の合成スキームを示す。
【0007】
ペプチド模倣化合物N3(
図3)とM
proとの間の相互作用の機構に基づいて、Jiang、Rao及びYangは、コンピュータ支援薬物設計を使用して阻害剤を特定し、次いで化合物N3と複合体化したSARS-CoV-2 M
proの結晶構造を決定した。ハイスループットバーチャルスクリーニングによって、承認された薬物、臨床試験中の薬物候補、及び他の生物学的に活性な化合物を含む、10,000を超える化合物が分析された。この研究の結果として、6つの化合物が、0.67~21.4μMの範囲のIC
50値でM
proを阻害することが見出された。これら6つの化合物のうちの1つであるエブセレンも、細胞レベルで有望な抗ウイルス活性を示した(
図3)[Jin et al.,Nature 2020,582,289-293]。
【0008】
別の研究では、Zhang及びYangのチームは、X線構造によって、M
proとカルモフールとの間の相互作用モードを強調することができた(カルモフールは1980年から結腸直腸癌の処置に使用されている[Sakamoto et al.,Jpn J.Clin.Oncol.2005,35,536-544])。この化合物は、触媒部位、すなわちCys145と共有結合を確立し、一方、アルキル(疎水性)部分はポケットS2を占有する(
図4)[Jin et al.,Nat.Struct.Mol.Biol.2020,27,529-532](
図3)。カルモフールの抗SARS-CoV-2活性(IC
50=1.82μM)は、10,000個の化合物のスクリーニング後に同じチームによって初めて明らかにされた[Jin et al.,Nature,2020,582,289-293]。
【0009】
ごく最近、M
pro阻害剤として、GRL-1720及び5hと呼ばれる2つの新しい分子がMitsuya及び同僚によって開発された。VeroE6細胞に関する細胞ベースの研究及びqPCRによるRNA複製を使用して、研究者らは、両化合物が、GRL-1720及び5hについてそれぞれ15±4及び4.2±0.7μMのEC
50値でSARS-CoV-2感染を阻止することを示した。X線回折分析によるさらなる研究は、活性部位のいくつかのアミノ酸残基との極性相互作用によって、化合物5hがM
proとの共有結合を他の結合と同様に形成することを示した(
図5)[Hattori et al,Nat.Commun.,2021,12:668]。
【0010】
またごく最近になって、Rut、Drag及び同僚らは、天然及び非天然アミノ酸の混合物からの、SARS-CoV-2の擬似ペプチド阻害剤の設計及び合成を発表した(
図6)。最良の分子Ac-QSS-VS(15)(Ac-Abu-dTyr-Leu-Gln-VS)は、3.7μMのEC
50を有する。さらに、B-QS1-VS(13)と呼ばれる別の分子(Biotin-PEG(4)-Abu-Leu-Gln-VS)をSARS-CoV-2のM
proと複合体化させることにより結晶構造を得た。合成された化合物の蛍光のおかげで、COVID-19感染症に罹患している患者の鼻咽頭上皮細胞におけるSARS-CoV-2 M
proの活性部位と、阻害剤との相互作用を監視した[Rut et al,Nat.Chem.Biol.2021,17,222-228]。
【0011】
最近の多数の努力にもかかわらず、COVID-19を処置する治療法は未だに存在しない。M
proの結晶構造の決定(Jin et al.,Nature 2020,582,289-293)の後、公表された研究のほとんどは、より迅速に進行し、いくつかの前臨床段階を回避するために、M
proの活性部位と、既に市販されているか、又は臨床開発中のいくつかの生物活性化合物(抗ウイルス剤、抗癌剤など)との間の相互作用を研究する分子モデリングに関連する(Yoshino et al.,Sci.Rep.2020,10,12493;Bolcato et al.Sci.Rep.2020,10,20927)。例えば、Jin et al(Jin et al.,Nature,2020,582,289-293)によって公表された結晶構造に基づいて、分子モデリングによって研究された化合物の大部分は、ペプチド模倣体N3の作用を模倣することによってM
pro活性部位の阻害を標的とし(
図7)、その作用機構は、Cys145と共有結合することができる求電子性化学基(マイケルアクセプター)を含む(
図7A)。例えば、W.Cui、K.Yang及びH.Yangによって報告された論文において、分子モデリングによるカルモフール(
図7B)の研究は、カルモフールのカルボン酸官能基が1.8Å共有結合によってCys145の硫黄原子に結合している一方で、脂肪酸テールがポケットS2に挿入されていることを示している。カルモフール分子全体は、多数の水素結合及び疎水性相互作用によって安定化される。対照的に、阻害剤N3(
図7A)は、異なる機構を介して挿入され、チオールのビニル基へのマイケル付加によってCys145と共有結合を形成する。一方ではM
proとペプチド模倣体α-ケトアミドGC-376及び13bとの間の結合様式(
図1C及び
図1D)、他方ではM
proとアルデヒド11aとの間の結合様式(
図1E)について、モデリング研究はまた、これらの化合物のカルボニル基がCys145に共有結合していることを示した。一方、これらの同じ化合物上に存在する他の基は、プロテアーゼの部位S1、S2、S3及びS4を占め、疎水性及び水素相互作用を確立する(Cui et al.,Front.Mol.Biosci.,2020,7,616341)。
【0012】
本発明者らは、特に調製の単純性のために、実際の需要によりよく適合する新しい抗SARS-CoV-2化合物及びMpro(又は3CLpro)プロテアーゼ阻害剤を設計及び調製した。これらの化合物は、ヒト治療に使用される可能性があり得る。
【0013】
この目的は、以下に記載され、本発明の第1の目的である式(I)及び(II)の化合物によって達成され、これらの化合物は強力な抗SARS-CoV-2及びMpro阻害剤である。さらに、化合物は、一般に2~4工程で容易に調製される。式(I)及び(II)の全ての化合物は、文献で周知の非常に単純な化学反応を用いて非常に簡便に得られる。
【0014】
本発明は、以下の式(I)及び(II)の化合物に関する。
【0015】
【化1】
式中、
-W及びZは、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル又はアミンを表し、好ましくはWは水素又は塩素原子であり、Zは塩素、フッ素、臭素原子又はヒドロキシであり、
-V、X及びYは、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子を表し、好ましくはV及びXは窒素原子であり、Yは炭素又は窒素原子である。
-Uは、炭素原子、又は6員芳香環の炭素原子を置換する1つ以上の窒素原子であり、好ましくはUは、炭素原子又は1つ若しくは2つの窒素原子である。
-n及びn’は、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、1~10個の炭素原子を含んでいてもよいアルキル、ヒドロキシ、パーフルオロアルキル、アルキルチオ、アミノアルキル及びアルコキシ鎖の長さを表す。
-R1、R2、R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、アリール、ヘテロアリール又はアミンを表し、前記アルキル、ヒドロキシ、パーフルオロアルキル、アルキルチオ、アミノアルキル及びアルコキシ基は、1~10個の炭素原子を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の目的のための用語:
-アルキル:1~10個の炭素、好ましくは1~2個の炭素原子を有する飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素脂肪族基を指す。用語「分岐」は、メチル又はエチルなどの少なくとも1つの低級アルキル基が直鎖アルキル鎖(高級アルキル)によって担持されていることを意味する。用語「低級」アルキルは、1又は2個の炭素原子を有するアルキルを指し、用語「高級」アルキルは、3~10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。例として、アルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、イソブチル、tert-ブチル、n-ブチル及びn-ペンチルが含まれる。
-ハロゲン原子:臭素、塩素、ヨウ素又はフッ素原子を示し、臭素、塩素及びフッ素が好ましい指定である。
-パーフルオロアルキル:全ての水素原子がフッ素原子で置換されている、以下に定義されるアルキル基を示す。パーフルオロアルキル基の中でも、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基が好ましい。
-アルコキシ:アルキル基が上記と同じ意味を有し得るO-アルキル基を示す。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ及びペントキシ基に言及することができる。
-アルキルチオ:アルキル基が上記と同じ意味を有し得るS-アルキル基を示す。アルキルチオ基の例として、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ及びペンチルアミノ基に言及することができる。
-アミノアルキル:アルキル基が上記と同じ意味を有し得るN-アルキル基を示す。アミノアルキル基の例として、アミノメチル、アミノエチル、イソ-プロピルアミノ、ブチルアミノ及びペンチルアミノ基に言及することができる。
-アリール:4~6個の炭素、好ましくは5~6個の炭素原子を有する不飽和環状芳香族炭化水素基を示す。
-ヘテロアリール:1個以上の炭素原子が窒素、酸素又は硫黄原子で置換されている上記に定義されるアリールを示す。ヘテロアリール基の例として、ピリジン、ピリミジン、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピロール及びトリアゾール基に言及することができる。
【0017】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)及び(II)の化合物は、Z及びWがハロゲン及びアルコキシ、好ましくはヒドロキシを表すものから選択される。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)及び(II)の化合物は、X及びYが窒素原子及び炭素原子又は2つの窒素原子を表すものから選択される。
【0019】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、式(I)及び(II)の化合物は、n及びn’が0~3個の炭素の鎖長を表し、好ましくはn及びn’が0及び1に等しいものから選択される。
【0020】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)及び(II)の化合物は、R1、R2、R3及びR4が水素、アルキル、ヒドロキシ及びアルキルアミン、好ましくは水素、メチル、アミノメチル及びヒドロキシを表すものから選択される。
【0021】
式(I)及び(II)の化合物として、以下を挙げることができる。
【0022】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インドール-5-イル)アセトアミド:
【0023】
【0024】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)アセトアミド:
【0025】
【0026】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インドール-4-イル)アセトアミド:
【0027】
【0028】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インドール-5-イル)アセトアミド:
【0029】
【0030】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インドール-6-イル)アセトアミド:
【0031】
【0032】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-4-イル)アセトアミド:
【0033】
【0034】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-6-イル)アセトアミド:
【0035】
【0036】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)アセトアミド:
【0037】
【0038】
以下の式の1-(4-(2-(1H-インダゾール-1-イル)-2-オキソエトキシ)-2,3-ジクロロフェニル)-2-メチレンブタン-1-オン:
【0039】
【0040】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インダゾール-5-イル)アセトアミド:
【0041】
【0042】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(2-メチル-2H-インダゾール-6-イル)アセトアミド:
【0043】
【0044】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(2-メチル-2H-インダゾール-7-イル)アセトアミド:
【0045】
【0046】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(2-メチル-2H-インダゾール-4-イル)アセトアミド:
【0047】
【0048】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(14(4-メトキシフェニル)-スルホニル)-1H-インダゾール-5-イル)アセトアミド:
【0049】
【0050】
以下の式のtert-ブチル5-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセトアミド)-1H-インダゾール-1-カルボキシレート:
【0051】
【0052】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-(プロパ-2-イン-1-イル)-1H-インダゾール-4-イル)アセトアミド:
【0053】
【0054】
以下の式のtert-ブチル(2-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセトアミド)エチル)-カルバメート:
【0055】
【0056】
以下の式のtert-ブチル(1-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセチル)ピペリジン-4-イル)カルバメート:
【0057】
【0058】
以下の式のN-(2-クロロエチル)-2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセトアミド:
【0059】
【0060】
以下の式のtert-ブチル4-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセチル)ピペラジン-1-カルボキシレート:
【0061】
【0062】
以下の式のN-ブチル-2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセトアミド:
【0063】
【0064】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-((1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)メチル)アセトアミド:
【0065】
【0066】
以下の式の1-(2,3-ジクロロ-4-(2-(5-メチル-1H-インダゾール-1-イル)-2-オキソエトキシ)フェニル)-2-メチレン-ブタン-1-オン:
【0067】
【0068】
以下の式の1-(2,3-ジクロロ-4-(2-オキソ-2-(1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-2-メチレンブタン-1-オン:
【0069】
【0070】
以下の式の2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)アセトアミド:
【0071】
【0072】
化合物の調製
-全ての類似体を以下の反応スキーム1に従って合成する。
-使用されるアミンは、一般に、文献[Swarna et al,J.Med.Chem.2002,45,3,740-743;Down et al,J.Med.Chem.2015,58,18,7381-7399;Usninn et al,Chem.Commun.2012,48,2680-2682]の基準に従って2工程で調製される。次いで、エタクリン酸(EA)を、スキーム1に記載の手順に従って行われるアミド化反応を介して、種々のアミンで処理する。この手順は、室温で活性化剤、例えばDCM中のN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及び4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で行われた。所望の生成物は、シリカゲルカラムでの精製後に満足のいく収率で得られる。
【0073】
本発明による種々の化合物の合成プロトコル及び特徴付け
溶媒を標準的な方法に従って乾燥させ、使用前に窒素下で蒸留した。全ての試薬は、従来の商業的供給元から事前に精製することなく使用されている。13C炭素及び1Hプロトンの核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL AC500(500 MHz)装置で記録されている。化学シフト(δ)は、残留TMS基準ピークに対してppmで記録される。JNM-ECZ500R/S1 FT NMRシステム(JEOL)
【0074】
実験プロトコル
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インドール-5-イル)アセトアミド(P5)の調製
【0075】
【化27】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1-メチル-1H-インドール-5-アミン(24.12mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(9:1から8:2(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P5が白色固体として得られる(収率67%で48mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.56(s,1H),7.95(d,J=2.0 Hz,1H),7.38(dd,J=2.0,8.7 Hz,1H),7.32(d,J=8.7 Hz,1H),7.25(d,J=3.1 Hz,1H),7.38(d,J=3.1 Hz,1H),6.97(d,J=8.5 Hz,1H),6.53-6.48(m,1H),5.99(s,1H),5.64(s,1H),4.75(s,2H),3.82(s,3H),2.51(q,J=7.4 Hz,2H),1.18(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.50,164.30,154.41,150.27,134.53,134.33,131.55,129.90,128.95,128.75,128.53,127.32,115.52,112.73,111.12,109.44,101.10,68.40,32.90,23.40,12.40.
【0076】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)アセトアミド(P7)の調製
【0077】
【化28】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1-メチル-1H-インダゾール-5-アミン(24.29mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P7が白色固体として得られる(収率77%で55mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.63(s,1H),8.14(d,J=1.5 Hz,1H),8.01-7.96(m,1H),7.49(dd,J=1.5,8.9 Hz,1H),7.40(d,J=8.9 Hz,1H),7.24(d,J=8.5 Hz,1H),6.96(d,J=8.5 Hz,1H),5.99(s,1H),5.63(s,1H),4.74(s,2H),4.09(s,3H),2.50(q,J=7.4 Hz,2H),1.18(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.42,164.62,154.33,150.19,137.70,134.59,132.85,131.56,129.85,128.85,127.36,124.05,123.07,120.75,112.05,111.25,109.47,68.48,35.63,23.46,12.43.
【0078】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インドール-4-イル)アセトアミド(P11)の調製
【0079】
【化29】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1H-インドール-4-アミン(21.78mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(9:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P11が白色固体として得られる(収率51%で37mg)。
【0080】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インドール-5-イル)アセトアミド(P12)の調製
【0081】
【化30】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、5-アミノインドール(21.81mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P12が白色固体として得られる(収率64%で44mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.57(s,1H),8.36(s,1H),7.97(s,1H),7.41-7.29(m,2H),7.27-7.18(m,2H),6.92(d,J=8.7 Hz,1H),6.56(s,1H),5.99(s,1H),5.63(s,1H),4.72(s,2H),2.51(q,J=7.4 Hz,2H),1.18(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz)δ(ppm):195.54,164.53,154.44,150.23,134.33,133.54,131.55,129.24,128.86,128.07,127.27,125.45,123.06,116.06,112.66,111.35,111.15,102.85,68.46,23.43,12.43.
【0082】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インドール-6-イル)アセトアミド(P13)の調製
【0083】
【化31】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1H-インドール-6-アミン(21.78mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(9:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P13が白色固体として得られる(収率49%で35mg)。
【0084】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-4-イル)アセトアミド(P18)の調製
【0085】
【化32】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1-メチル-1H-インダゾール-4-アミン(24.29mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P18が白色固体として得られる(収率58%で41mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.96(s,1H),8.07(d,J=1.0 Hz,1H),7.90(d,J=7.5 Hz,1H),7.40(dd,J=8.4,7.6 Hz,1H),7.26-7.19(m,1H),6.94(d,J=8.5 Hz,1H),5.97(s,1H),5.60(s,1H),4.82-4.75(m,1H),4.77(s,2H),4.09(s,3H),2.47(q,J=7.4 Hz,2H),1.15(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.59,164.73,154.14,150.27,140.95,134.66,131.82,129.44,129.09,129.02,127.48,127.38,122.95,116.70,111.13,110.95,106.02,68.14,35.92,23.48,12.47.
【0086】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-6-イル)アセトアミド(P20)の調製
【0087】
【化33】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1-メチル-1H-インダゾール-6-アミン(24.29mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P20が白色固体として得られる(収率77%で55mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.74(s,1H),8.24-8.13(m,1H),7.93(d,J=1.0 Hz,1H),7.68(dd,J=8.5,0.8 Hz,1H),7.23(d,J=8.5 Hz,1H),6.93(d,J=1.6 Hz,1H),5.97(s,1H),5.60(s,1H),4.74(s,2H),4.11(s,1H),4.07(s,3H),2.35(q,J=7.4 Hz,2H),1.13(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.40,164.92,156.89,137.16,132.80,131.75,129.07,127.46,121.86,121.41,119.04,114.40,111.28,99.64,68.43,49.26,35.78,23.48,12.47.
【0088】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)アセトアミド(P21)の調製
【0089】
【化34】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1-メチル-1H-インダゾール-7-アミン(24.29mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P21が白色固体として得られる(収率44%で34mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):7.98(s,1H),7.66(dd,J=8.1,1.0 Hz,1H),7.50(dt,J=7.5,1.0 Hz,1H),7.25(d,J=8.5 Hz,1H),7.19-7.13(m,1H),6.97(d,J=8.5 Hz,1H),5.97(s,1H),5.60(s,1H),4.82(s,2H),4.36(s,1H),4.27(s,3H),2.47(t,J=7.4 Hz,2H),1.15(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.52,166.41,156.88,150.28,135.04,134.82,133.22,131.85,129.07,127.48,126.97,124.55,121.13,120.64,118.98,111.09,68.41,49.25,38.47,23.47,12.47.
【0090】
1-(4-(2-(1H-インダゾール-1-イル)-2-オキソエトキシ)-2,3-ジクロロフェニル)-2-メチレンブタン-1-オン(P22)の調製
【0091】
【化35】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1H-インダゾール(19.47mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、DCMで溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P22が白色固体として得られる(収率62%で41mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.44(d,J=8.4 Hz,1H),8.23(s,1H),7.97(d,J=8.4 Hz,1H),7.65-7.63(m,1H),7.46-7.44(m,1H),7.15(d,J=8.5 Hz,1H),6.94(d,J=8.7 Hz,1H),5.96(s,1H),5.71(s,2H),5.65(s,1H),2.49(q,J=7.4 Hz,2H),1.17(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz)δ(ppm):195.80,166.41,155.46,155.60,150.10,141.20,139.00,133.84,131.55,130.12,128.50,126.00,125.21,123.41,121.20,115.11,111.00,67.40,23.41,12.40.
【0092】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1H-インダゾール-5-イル)アセトアミド(P26)の調製
【0093】
【化36】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1H-インダゾール-5-アミン(21.91mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P26が白色固体として得られる(収率50%で34mg)。RMN
1H(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):13.01(s,1H),10.19(s,1H),8.11(s,1H),8.03(s,1H),7.51(d,J=8.9 Hz,1H),7.45(d,J=8.9 Hz,1H),7.36(d,J=8.6 Hz,1H),7.20(d,J=8.6 Hz,1H),6.08(s,1H),5.59(s,1H),4.98(s,2H),2.38(q,J=7.4 Hz,2H),1.08(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.60,165.60,156.10,149.80,137.05,133.09,132.90,131.70,130.00,129.80,128.00,123.10,121.60,120.80,112.04,110.70,110.60,68.40,23.40,12.80.
【0094】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(2-メチル-2H-インダゾール-6-イル)アセトアミド(P29)の調製
【0095】
【化37】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、2-メチル-2H-インダゾール-6-アミン(24.29mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P29が白色固体として得られる(収率58%で41mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.65(s,1H),7.92-7.82(m,1H),7.71-7.58(m,1H),7.59(d,J=2.8 Hz,1H),7.35(d,J=8.5 Hz,2H),7.23-7.10(m,1H),6.90(d,J=8.5 Hz,1H),5.95(d,J=1.6 Hz,1H),5.59(s,1H),5.28(s,1H),4.69(s,2H),4.18(s,3H),2.44(q,7.4 Hz,2H),0.98(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):201.31,164.57,150.23,134.64,133.00,130.88,129.93,128.82,127.97,126.97,125.26,124.17,121.09,117.09,115.29,111.26,110.90,68.29,48.24,23.47,11.06.
【0096】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(2-メチル-2H-インダゾール-7-イル)アセトアミド(P30)の調製
【0097】
【化38】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、2-メチル-2H-インダゾール-7-アミン(24.29mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P30が白色固体として得られる(収率46%で33mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):9.59(s,1H),8.17(dd,J=7.3,0.8 Hz,1H),7.86(s,1H),7.38(dd,J=8.4,0.8 Hz,1H),7.19(d,J=8.4 Hz,1H),7.07(dd,J=8.5,7.3 Hz,1H),6.92(d,J=8.5 Hz,1H),5.95(t,J=1.5 Hz,1H),5.59(d,J=1.0 Hz,1H),4.75(s,2H),4.20(s,3H),2.47(q,J=7.4 Hz,2H),1.14(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.81,165.00,154.65,150.30,141.98,134.28,131.60,128.94,127.26,126.37,124.25,123.59,122.48,122.44,115.82,113.22,111.00,68.39,40.57,23.50,12.48.
【0098】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(2-メチル-2H-インダゾール-4-イル)アセトアミド(P31)の調製
【0099】
【化39】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、2-メチル-2H-インダゾール-4-アミン(24.29mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P31が白色固体として得られる(収率56%で40mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.72(s,1H),7.98(d,J=0.9 Hz,1H),7.55-7.50(m,2H),7.30-7.20(m,2H),6.93(d,J=8.5 Hz,1H),5.97(s,1H),5.59(s,1H),4.74(s,2H),4.22(s,3H),2.47(q,J=7.4 Hz,2H),1.14(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.56,164.45,154.20,150.27,149.99,134.63,131.70,129.08,128.30,127.57,126.33,122.84,121.96,116.44,114.78,112.25,111.11,68.24,40.70,23.48,12.47.
【0100】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(14(4-メトキシフェニル)スルホニル)-1H-インダゾール-5-イル)アセトアミド(P32)の調製
【0101】
【化40】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1((4-メトキシフェニル)スルホニル)-1H-インダゾール-5-アミン(50.06mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P32が白色固体として得られる(収率51%で49mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.69(s,1H),8.22-8.14(m,3H),7.93-7.86(m,2H),7.53(dd,J=8.9,2.1 Hz,1H),7.22(d,J=8.5 Hz,1H),6.93(d,J=8.5 Hz,1H),6.92-6.86(m,2H),5.97(s,1H),5.59(s,1H),4.72(s,2H),3.80(s,3H),2.47(q,J=7.4 Hz,2H),1.14(t,J=7.5 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.55,165.02,164.29,154.25,150.25,141.31,137.72,134.78,133.18,131.75,129.99,129.07,128.79,127.46,126.43,123.10,122.74,114.57,113.95,112.15,111.33,68.39,55.80,23.48,12.47.
【0102】
tert-ブチル5-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)-フェノキシ)アセトアミド)-1H-インダゾール-1-カルボキシレート(P33)の調製
【0103】
【化41】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、tert-ブチル5-アミノ-1H-インダゾール-1-カルボキシレート(38.49mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P33が白色固体として得られる(収率57%で49mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.70(s,1H),8.28-8.24(m,1H),8.19-8.13(m,2H),7.52(dd,J=9.0,2.1 Hz,1H),7.22(d,J=8.5 Hz,1H),6.93(d,J=8.5 Hz,1H),5.96(t,J=1.5 Hz,1H),5.59(d,J=1.0 Hz,1H),4.73(s,2H),2.47(q,J=7.4 Hz,2H),1.72(s,9H),1.14(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.56,164.93,154.32,150.26,149.16,139.61,137.19,134.73,132.77,131.74,129.05,127.47,126.35,123.11,122.29,115.27,111.84,111.31,85.23,68.41,28.25,23.47,12.46.
【0104】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-(プロパ-2-イン-1-イル)-1H-インダゾール-4-イル)アセトアミド(P34)の調製
【0105】
【化42】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1-(プロパ-2-イン-1-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(28.22mg、0.165mmol)を0℃で添加する。混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(9:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P34が白色固体として得られる(収率55%で41mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.97(s,1H),8.11(dd,J=4.4,1.0 Hz,1H),7.94-7.91(m,1H),7.42-7.39(m,1H),7.25-7.22(m,1H),6.94(d,J=8.5 Hz,1H),5.96(s,1H),5.60(s,1H),5.19(s,2H),5.06-4.99(m,1H),4.77(s,2H),2.47(q,J=7.4 Hz,2H),2.41(t,J=2.6 Hz,1H),1.15(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz)δ(ppm):195.59,164.73,154.12,150.27,140.29,134.68,132.55,131.83,130.34,129.63,129.05,127.88,127.49,118.16,111.78,111.32,110.94,106.36,74.02,68.12,39.24,23.48,12.47.
【0106】
tert-ブチル(2-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)-フェノキシ)アセトアミド)エチル)-カルバメート(P35)の調製
【0107】
【化43】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、tert-ブチル(2-アミノエチル)カルバメート(26.44mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P35が白色固体として得られる(収率66%で48mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):7.20(d,J=8.6 Hz,1H),6.68(d,J=8.6 Hz,1H),5.97(s,1H),5.60(s,1H),4.88(br,1H),4.59(s,2H),3.55-3.51(m,2H),3.36-3.32(m,2H),2.49(q,J=7.4 Hz,2H),1.44(s,9H),1.17(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.52,172.46,167.33,154.63,150.22,134.24,131.55,130.97,128.78,127.19,123.19,110.97,68.26,40.36,39.75,28.35,23.45,12.35.
【0108】
tert-ブチル(1-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセチル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(P36)の調製
【0109】
【化44】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、tert-ブチルピペリジン-4-イルカルバメート(33.05mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(4:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P36が白色固体として得られる(収率49%で39mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):7.16(d,J=8.6 Hz,1H),6.99(d,J=8.6 Hz,1H),5.96(s,1H),5.62(s,1H),4.93-4.73(m,2H),3.47-3.42(m,2H),4.04-4.02(m,1H),3.70(br,1H),3.26-3.16(m,1H),2.90-2.79(m,1H),2.49(q,J=7.4 Hz,2H),2.09-1.98(m,2H),1.46(s,9H),1.37-1.25(m,2H),1.16(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):198.01,195.81,165.04,155.23,155.03,150.26,133.76,128.75,127.14,110.64,68.83,44.43,41.33,33.95,33.13,32.05,28.35,25.63,24.95,23.43,12.41.
【0110】
N-(2-クロロエチル)-2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセトアミド(P37)の調製
【0111】
【化45】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)、トリエチルアミン(0.033mL、0.248mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、2-クロロエチルアミン塩酸塩(19.14mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、DCMで溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P37が白色固体として得られる(収率55%で33mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):7.24(br,1H),7.22(d,J=8.6 Hz,1H),6.89(d,J=8.6 Hz,1H),5.98(s,1H),5.61(s,1H),4.62(s,2H),3.84-3.66(m,4H),2.50(q,J=7.4 Hz,2H),1.17(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.50,166.09,154.40,150.20,134.30,131.50,128.70,127.02,110.09,110.08,68.10,43.05,40.70,23.40,12.40.
【0112】
tert-ブチル4-(2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(P38)の調製
【0113】
【化46】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(30.69mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(9:1から8:2(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P38が白色固体として得られる(収率56%で43mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):7.17(d,J=8.5 Hz,1H),6.99(d,J=8.5 Hz,1H),5.96(s,1H),5.61(s,1H),4.85(s,2H),3.62-3.55(m,4H),3.47-3.45(m,4H),2.55-2.41(m,2H),1.49(s,9H),1.16(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.77,165.40,155.08,154.42,150.18,133.85,131.48,128.72,127.10,110.64,80.52,68.77,45.48,42.13,33.97,29.70,28.37,23.42,12.40,12.39.
【0114】
N-ブチル-2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)アセトアミド(P39)の調製
【0115】
【化47】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、n-ブチルアミン(12.05mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(9:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P39が白色固体として得られる(収率65%で39mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):7.19(d,J=8.6 Hz,1H),6.87(d,J=8.6 Hz,1H),6.79(br,1H),5.96(s,1H),5.59(s,1H),4.57(s,2H),3.39(q,J=7.4 Hz,2H),2.47(q,J=7.4 Hz,2H),1.63-1.53(m,2H),1.47-1.32(m,2H),1.15(t,J=7.4 Hz,3H),0.95(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz),δ(ppm):195.50,166.51,154.50,150.10,134.10,131.40,128.70,127.20,122.80,110.80,68.20,38.80,31.40,23.40,19.90,13.70,12.30.
【0116】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-((1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)メチル)アセトアミド(P40)の調製
【0117】
【化48】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)メタンアミン(26.56mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(9:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P40が白色固体として得られる(収率51%で37mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):7.94(d,J=1.0 Hz,1H),7.69(dd,J=8.3,0.8 Hz,1H),7.33(t,J=1.0 Hz,1H),7.17(d,J=8.5 Hz,1H),7.08(dd,J=8.3,1.4 Hz,1H),6.86(d,J=8.5 Hz,1H),5.93(s,1H),5.55(s,1H),4.71(d,J=6.0 Hz,2H),4.64(s,2H),4.23(br,1H),4.05(s,3H),2.45(q,J=7.4 Hz,2H),1.12(t,J=7.4 Hz,3H).RMN
13C(CDCl
3,126 MHz)δ(ppm):195.64,166.87,156.96,154.51,150.25,140.14,136.07,134.39,132.77,131.61,128.96,127.34,123.62,121.77,120.59,111.05,107.86,68.36,43.60,35.69,23.47,12.46.
【0118】
1-(2,3-ジクロロ-4-(2-(5-メチル-1H-インダゾール-1-イル)-2-オキソエトキシ)フェニル)-2-メチレンブタン-1-オン(P41)の調製
【0119】
【化49】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、5-メチル-1H-インダゾール(21.78mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、DCMで溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P41が白色固体として得られる(収率58%で40mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.26(d,J=8.5 Hz,1H),8.11(s,1H),7.55-7.49(m,1H),7.41(dd,J=8.5,1.6 Hz,1H),7.11(d,J=8.5 Hz,1H),6.89(d,J=8.5 Hz,1H),5.93(s,1H),5.66(s,2H),5.62(s,1H),2.48(s,3H),2.47-2.42(m,2H),1.13(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz)δ(ppm):196.07,166.34,155.78,150.25,141.09,137.55,135.34,133.83,131.93,129.17,128.80,126.92,126.58,123.47,120.74,114.79,111.02,67.45,23.51,21.42,12.47.
【0120】
1-(2,3-ジクロロ-4-(2-オキソ-2-(1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-2-メチレンブタン-1-オン(P42)の調製
【0121】
【化50】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン(19.64mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(9:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P42が白色固体として得られる(収率53%で35mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.77(dd,J=4.6,1.4 Hz,1H),8.67(dt,J=8.4,1.4 Hz,1H),8.43(d,J=0.9 Hz,1H),7.52(dd,J=8.4,4.6 Hz,1H),7.13(d,J=8.4 Hz,1H),6.91(d,J=8.4 Hz,1H),5.94(t,J=1.5 Hz,1H),5.70(s,2H),5.61(s,1H),2.46(q,J=7.4,2H),1.13(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz):195.97,166.81,155.54,150.25,149.26,144.20,141.89,134.14,132.72,131.74,128.86,126.89,124.03,123.62,123.01,111.08,67.27,23.49,12.47.
【0122】
2-(2,3-ジクロロ-4-(2-メチレンブタノイル)フェノキシ)-N-(1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)アセトアミド(P43)の調製
【0123】
【化51】
-DCM(5mL)中のDCC(37.45mg、0.182mmol)、HOBt(30.32mg、0.198mmol)、DMAP(2.02mg、0.017mmol)及びEA(50mg、0.165mmol)の溶液に、1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-アミン(24.26mg、0.165mmol)を0℃で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで抽出した後、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで、圧力下で濃縮する。得られた残渣を、混合物(DCM/EtOAc(9:1(v/v))で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製すると、期待された生成物P43が白色固体として得られる(収率79%で56mg)。
1H NMR(CDCl
3,500 MHz),δ(ppm):8.66(s,1H),8.05(d,J=1.8 Hz,1H),7.98(s,1H),7.63(dd,J=1.8,8.6 Hz,1H),7.40(d,J=8.6 Hz,1H),7.25(d,J=8.5 Hz,1H),6.97(d,J=8.5 Hz,1H),5.99(s,1H),5.63(s,1H),4.76(s,2H),3.88(s,3H),2.51(q,J=7.4 Hz,2H),1.18(t,J=7.4 Hz,3H).
13C NMR(CDCl
3,126 MHz):195.41,164.52,154.32,150.10,144.51,143.91,134.51,132.20,131.70,131.61,128.82,127.31,123.10,116.81,112.10,111.21,109.50,68.41,31.11,23.41,12.42.
【0124】
生物学的活性
プロトコル
COVID-19に対して有効な薬物を見つける最も速い方法は、他の疾患に対して既に使用されている薬物を使用して臨床試験を行うことである、というのも、本発明者らはそれらを投与する方法を知っており、その有効用量を知っているからである(ドラッグリポジショニング戦略)。しかしながら、所与のプロテアーゼの阻害剤は、異なる構造的及び機能的特性を有する別のプロテアーゼの遮断に必ずしも有効ではない。SARS-CoV-2の3CLproプロテアーゼを遮断することができるα,β-不飽和ケトンのファミリーからの分子(マイケルアクセプター)は、患者を処置するための真の希望を表す。いくつか、例えば、C型肝炎患者を処置するために2011年に処方された最初のプロテアーゼ阻害剤の中にあったテラプレビル及びボセプレビルは、既に臨床的に使用されている。プロテアーゼ阻害剤の開発は、COVID-19に対して効果的な処置を迅速に行うために、実体のある供給源から利益を得るべきである。
【0125】
本発明者らは、Amanat F et al [Amanat et al,Curr Protoc Microbiol 2020,58,e108]によって記載されたマイクロ中和試験を使用して、抗体又は薬物がインビトロでSARS-CoV-2の侵入及び/又は複製を阻止することができるかどうかを定量的に評価した。これを行うために、中程度のスループットを可能にする96ウェルフォーマットでマイクロ中和試験を行う。Amanat et al.[Amanat et al.,Curr Protoc Microbiol 2020,58,e108]によって最初に記載された試験は、Elisa試験によるウイルス核タンパク質(NP)の染色に基づいているが、本発明者らは、ウイルス核タンパク質(N)、RNA依存性ポリメラーゼ(R)及びエンベロープ遺伝子(E)をそれぞれコードする遺伝子の増幅によるRT-PCRに基づく試験を選択した。このアプローチは、David et al [David et al,Nature 2020,583,459-468]によっても使用され、阻害の定量的な評価を可能にし、したがって、細胞変性効果(CPE)の目視観察結果を実証する。
【0126】
実験部
生物学
候補分子の抗SRAS-CoV-2活性は、Vero細胞においてインビトロで研究されている。SARS-CoV-2によるVero細胞の感染の特徴は、Yajing [Yao et al,Virol Sin.2020,35,348-350]によって説明されている。Vero細胞株は、1962年に単離されたミドリザル腎臓細胞に由来している。本研究で使用したVero-E6及びVero細胞は、2つの細胞バンク(INRA Toulouse、フランス)及び(Societe Biopharma、Rabat、モロッコ)からそれぞれ39継代及び159継代で得た。グルコース及びL-グルタミンを含む培養培地調合物を使用した。
【0127】
Vero-E6及びVero細胞の培養
細胞培養及びSARS-CoV-2ウイルスによる感染は、バイオセーフティレベル3(BSL-3)の実験室で行われた。細胞を、6%ウシ胎児血清(FCS)及び2%ドナー血清(DS)を含む培養培地中で培養した。以降、これを参照培地(RM)と呼ぶ。細胞増殖の最初の工程は、Vero-E6細胞については30,000cell.cm-2、及びVero細胞については40,000cell.cm-2を播種した175cm2のT静的培養フラスコ内で行われる。これらの培養物を、37℃及び5% CO2の制御されたインキュベーターに入れる。細胞継代のために、細胞をトリプシン処理し、細胞懸濁液を回収し、その後の播種に使用した。次いで、培養体積を、予め37℃にしておいた新鮮なECMで調整した。
【0128】
SARS-CoV-2の分離及び確認
SARS-CoV-2ウイルスの単離は、バイオセーフティ実験室L3(BSL-3)で、Centre de Virologie et Maladies Infectieuses Tropicales(CVMIT)、Hopital Militaire d’Instruction Mohammed V,Rabatに入院した女性患者において、陽性と判明した鼻咽頭及び口咽頭の2つの試料から実施された(279CC)。ウイルスの単離は、INOCと呼ばれる保全培地を用いて、(Harcourt et al.,bioRxiv,2020)に記載されるプロトコルに従って行う。細胞変性効果(CPE)は、第1の継代から見える(
図8)。ウイルスRNAミニキット(QIAGEN、Hilden、ドイツ)を用いて抽出され、IVD GeneFinder(商標)COVID-19 PLUS RealAmpアッセイキット(韓国)を使用するqRT-PCRによって増幅された細胞上清に対して、Vero細胞におけるウイルス増殖の確認試験を行った。
【0129】
培養物中の単離SARS-CoV-2ウイルスの全ゲノム配列決定
完全なウイルスゲノムの配列決定は、NGS(Ion proton、ThermoFisher)及びサンガーシーケンシングを使用して行われた。配列決定に使用されるウイルス遺伝物質は、Vero-E6上の279CC株の継代P4から抽出される。サンガー法によって得られた完全ゲノムの配列は、参照hCoV-19/Morocco/HMIMV-279CC/2020 アクセッションID:EPI-ISL-971451の下で国際GISAIDデータベースに寄託されている。
【0130】
ウイルスの順化、増殖、産生及び回収
次いで、INOC培地上のVero-E6から単離された279CCウイルスを、継代2(P2)からのVero細胞に順化させる。ウイルスの増殖及び産生を、INOC培地を含むT500cm2静置培養フラスコ中で行う。ウイルス産生は、感染後5日間続く。日毎に分取すると、ウイルス力価の増加をモニタリングし、細胞増殖及び代謝をモニタリングすることができる。感染後5日目にウイルスを回収する。次いで、培養上清を遠心分離によって清澄化し、分取し、-80℃で凍結する。
【0131】
ウイルス力価の決定
感染力価は、感染細胞の培養上清中で決定され、リード・ミュンヒ法(1938)に従って計算された。それらは限界希釈感染技術を用いて得られ、TCID50/mL(50%組織培養感染量)又はlog TCID50/mLとして表される。
【0132】
式(1)又は(2)の化合物の例として、化合物P7、P26及びP30を選択して、実施された生物学的試験を説明する。
【0133】
合成分子の抗ウイルス効果を評価するためのスクリーニング
分子濃度の決定
3つの化合物を、それらのモル濃度に従ってDMSOに可溶化する。
【0134】
細胞毒性試験
細胞毒性試験は、主に、蛍光色素のヨウ化プロピジウム(logos,Biosystems,米国)による細胞生存率の評価からなる。蛍光光学及び画像分析ソフトウェア(Luma,logos,Biosystems、米国)と一体化された自動セルカウンターを使用して、インキュベーションの24時間後及び48時間後に実施する。
【0135】
異なる化合物の細胞毒性は、非感染細胞のプレートにおける各試験の平均細胞数によって決定される。結果を
図1Aに示し、パーセント(%)で表す。
【0136】
分子の抗ウイルス効果の決定
分子の抗ウイルススクリーニング培養を、2.5×105細胞/mLの密度で、100μlの体積のMEC培地を含む96ウェル培養プレート中で行う。使用したプロトコルは、予防的アプローチに従う(4時間インキュベーションした後にインビトロ感染)。実際、試験される化合物の有無にかかわらず、細胞を4時間インキュベートし、次いで、0.04のMOI(感染の多重度)で、37℃、5% CO2下で48時間INOC中で感染させる。
【0137】
インビトロでのウイルス産生に対する効果(抗ウイルス効果)を、インキュベーションの48時間後にqRT-PCRによって、及びVero細胞における感染力価(logDITC50/mL又はDITC50/mL)を決定することによって測定する。各条件における感染力価の比は、対照条件(無処理)で測定された感染力価の関数として表される。
【0138】
試験される化合物が存在する実験条件で測定した感染力価は、細胞が感染しているが処理されていない対照条件と比較して大幅に減少する。
【0139】
実際、分子P7(16.6μM)、P26(16.6μM)及びP30(5.54μM)は、対照と比較して、それぞれ100%、97.96%及び96.75%の感染力価の減少を可能にする(
図9参照)。
【0140】
これらの結果に基づいて、有効濃度範囲を決定し、したがってIC
50(最大半値阻害濃度)、すなわちウイルス産生の50%阻害を得るために必要な用量を決定するために、同じ実験条件下でVero細胞上の3つの化合物のそれぞれについてより広い範囲の濃度を試験した(
図10参照)。
【0141】
実際、10μMの分子P7、P26及びP30は、対照と比較して、それぞれ100%、93.09%及び100%の感染力価の減少を可能にする(
図2参照)。8μMでは、これらの分子の阻害率は、それぞれ96.70%、52.14%及び99.67%程度である。6μMでは、P26及びP30のみがウイルス複製を約30%阻害したが、P7はこの濃度ではウイルス複製を全く阻害しなかった。
【0142】
SARS-CoV-2株の複製に対する3つの分子の阻害効果は、3つのウイルス遺伝子、すなわち遺伝子RdRP、遺伝子N及び遺伝子Eに対してRT-PCRによって確認された(表1)。
【0143】
これらの3つの化合物のIC50値を以下の表(表2)に列挙する:
これらのIC50値は、これらの化合物の非感染適用において知られている通常の濃度と比較して比較的低い。これらの値は、細胞毒性濃度(CC50)からも遠い。
【0144】
SARS-CoV-2 Mproタンパク質の構造
3CLpro(Mpro)の構造は、蛋白質構造データバンク(PDB ID:6LU7)からダウンロードされており、この構造はSARS-CoV-2 3CLproと、Cys145に共有結合したその阻害剤との複合体である[Jin et al,Nature 2020,582,289-293]。この構造は、Rosettaでエネルギー的に最小化されている[Leaver-Fay et al,Methods Enzymol.2011,487,545-574]。
【0145】
ドッキング手順:
1-3CLpro(Mpro)(PDB ID:6LU7)の構造の、その極性水素並びにその全ての原子の部分電荷の付加による最適化。タンパク質骨格は、最小化中に固定された。1000個のモデルの中から最も低いスコアのモデルを選択した。MGLTools(バージョン1.5.6)を使用して、ドッキング用のPDBQTファイルを生成した。
【0146】
式(1)又は(2)の化合物の例として化合物P7を選択して、分子モデリング試験を説明する。
【0147】
2-リガンド最適化:
分子ドッキングのために選択されたリガンドは、部分電荷及び水素原子を添加した後、PRODRGサーバー(http://davapcl.bioch.dundee.ac.uk/cgi-bin/prodrg/)を使用してエネルギーを最小化することによって最適化された。
【0148】
3-構成ファイルの調製及びポテンシャルグリッド計算。
構成ファイルを、AutoDock Vinaを実行するために調製した。AutoDockToolsを使用して、Mpro用の「input.PDBQT」ファイルを調製し、ボックス(X;Y;Z)の位置及び次元を定義する。グリッドのサイズは、20×20×20ポイント(x、y及びz)に設定され、グリッドの中心は、それぞれ-10.729204、12.417653、及び68.816122のx、y、及びz次元に設定されている。調製ファイルは「.PDBQT」フォーマットで保存された。
【0149】
4-分子ドッキング
分子ドッキングプロセスを使用して、可能なリガンドの位置及び配向を探索し、ドッキング部位の特異性及びドッキングされるリガンドの相互作用の可能性を最大限に活用する。AutoDock Vina(バージョン1.1.2)[Trott et al,J.Comput.Chem.2010,31,455-461;Zhang et al,J.Mol.Recognit.2016,29,520-527]を使用して、合成した分子をMproの基質結合ポケットでドッキングした(PDB ID:6LU7)。リガンドドッキングシミュレーションは、受容体を剛性にしながら柔軟に保たれている。
【0150】
5-ドッキング解決策の探索
最良のドッキング解決策は、各リガンドが受容体に結合する様々な方法を考慮して、kcal.mol-1単位で最低エネルギーを有する活性ポケットに関して最も可能性の高い位置及び向きを探すことである(表3)。
【0151】
5-結果の分析
次いで、最良の解決策又は姿勢は、Discovery Studio Biovia 2021ソフトウェア(Dassault Systemes、San Diego、California、米国)によって評価され、PyMOLを使用して、先に説明された元の構造におけるCys145の反応性原子と硫黄原子との間のドッキングスコア、順位付け及び距離によって調査された[Ai et al.,J.Chem.Inf.Model.2016,56,1563-1575]。
【0152】
ドッキング後の分析は、結合部位のサイズ及び位置、水素結合相互作用、疎水性相互作用、及び固定されたリガンド位置から<5Åの相互作用半径としての結合距離を示した。化合物を活性部位にドッキングさせ、次いで、各リガンドの結合姿勢を観察し、タンパク質とのそれらの相互作用を特徴付け、各リガンドの最もエネルギー的に好ましい立体配座を選択した(
図11)。
【0153】
合成分子の物理化学的特性(表4)は、リピンスキーのドラッグライクネス(druglikeness)ルールとしても知られる、リピンスキーのルールオブファイブの基準を満たした。これらの規則は、化合物の構造類似性と活性経口薬物の構造類似性の評価を可能にし、物理化学的プロファイルに基づいている。分子量、及び供与体と受容体との間の水素結合相互作用は、タンパク質標的及びリガンド結合部位の重要な構造決定因子である[Lipinski et al,Adv.Drug Deliv.Rev.2016,101,34-41;Lipinski et al,Adv.Drug Deliv.Rev.2001,46,3-26;Zhang et al,Curr.Opin.Biotechnol.2007,18,478-88].特に、化合物は、5以下の水素結合供与体及び10以下の水素結合受容体、500未満の分子質量及び5未満の計算されたlog P値(CLog P)を有する場合、リガンドとして透過性であり、活性である可能性が高くなる[Lipinski et al.,Adv.Drug Deliv.Rev.2001,46,3-26;Zhang et al,Curr.Opin.Biotechnol.2007,18,478-88]。
【国際調査報告】