(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】慢性B型肝炎に伴う肝線維化を治療又は予防する薬物の製造におけるヒドロニドンの応用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4412 20060101AFI20240412BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240412BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240412BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240412BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A61K31/4412
A61P1/16
A61K47/26
A61K47/04
A61K47/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570235
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2022093039
(87)【国際公開番号】W WO2022237910
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202110531848.7
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522228322
【氏名又は名称】ベイジン コンティネント ファーマシューティカルズ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,イン
(72)【発明者】
【氏名】馬松江
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076CC16
4C076DD29
4C076DD41
4C076DD67
4C086AA01
4C086AA02
4C086GA13
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZA75
(57)【要約】
本発明は、慢性B型肝炎に伴う肝線維化を治療又は予防する薬物の製造における式(I)で示される化合物、その溶媒和物、水和物、プロドラッグ又はその薬学的に許容される塩の使用を提供し、それは、肝線維化を効果的に逆転させることができ、特に門脈域線維化、有意な線維化、進行期肝線維化又は肝硬変の治療に更に良い効果を有することが臨床研究で証明された。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性B型肝炎に伴う肝線維化を治療及び/又は予防する薬物の製造における式(I)で示される化合物、その溶媒和物、水和物、プロドラッグ又はその薬学的に許容される塩の使用。
【化1】
【請求項2】
前記慢性B型肝炎に伴う肝線維化は、門脈域線維化、有意な肝線維化、進行期肝線維化又は肝硬変であり、
好ましくは、前記肝硬変は代償期肝硬変又は非代償期肝硬変である、
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記門脈域線維化は、以下の1つ、2つ又はそれ以上によって特性評価可能である、ことを特徴とする請求項2に記載の使用。
(1)Ishakスコアリングシステムによって特性評価され、Ishakスコア≧1の肝線維化、又はIshakスコアが約1~3の肝線維化を指す;
(2)前記門脈域線維化は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価され、例えば、Scheuerスコアが約≧1の肝線維化、又はScheuerスコアが約1~2の肝線維化を指してもよい;
(3)前記門脈域線維化は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価され、METAVIRスコアが約≧1の肝線維化、又はMETAVIRスコアが約1~2の肝線維化を指す;及び/又は
(4)前記門脈域線維化は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価され、Knodellスコアが約≧1の肝線維化、又はKnodellスコアが約1~2の肝線維化を指す。
【請求項4】
前記有意な肝線維化は、以下の1つ、2つ又はそれ以上によって特性評価可能である、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の使用。
(1)前記有意な肝線維化は、Ishakスコアリングシステムによって特性評価され、Ishakスコアが≧3又は≧4の肝線維化を指し、例えば、Ishakスコアが約3~6である;
(2)前記有意な肝線維化は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価され、Scheuerスコアが約≧2又は≧3の肝線維化を指し、例えば、Scheuerスコアが約2~4である;
(3)前記有意な肝線維化は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価され、METAVIRスコアが約≧2又は≧3の肝線維化を指し、例えば、METAVIRスコアが約2~4である;
(4)前記有意な肝線維化は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価され、Knodellスコアが約≧2又は≧3の肝線維化を指し、例えば、Knodellスコアが約2~4である;及び/又は
(5)前記有意な肝線維化は、肝硬度測定値によって特性評価され、LSMが約≧5.8キロパスカルの肝線維化を指し、例えば、LSMが約5.8~12.4 kPaである。
【請求項5】
前記進行期肝線維化は、以下の1つ、2つ又はそれ以上によって特性評価可能である、ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の使用。
(1)前記進行期肝線維化は、Ishakスコアリングシステムによって特性評価され、例えば、Ishakスコアが≧4又は≧5の肝線維化を指し、例えば、Ishakスコアが約4~6である;
(2)前記進行期肝線維化は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価され、Scheuerスコアが約≧3、又は約3~4の肝線維化を指す;
(3)前記進行期肝線維化は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価され、METAVIRスコアが約≧3又は約3~4の肝線維化を指す;
(4)前記進行期肝線維化は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価され、Knodellスコアが約≧2若しくは≧3の肝線維化、又は約2~4若しくは2~3の肝線維化を指す;及び/又は
(5)前記進行期肝線維化は、肝硬度測定値によって特性評価され、ビリルビンが正常で、ALT<5 ULNである場合は、LSMが約≧9.0 kPa若しくは≧10.0 kPaの肝線維化であり、又はビリルビンが正常でALTが正常である場合は、LSMが約≧6.0 kPaの肝線維化である。
【請求項6】
前記肝硬変は、以下の1つ、2つ又はそれ以上によって特性評価可能である、ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の使用。
(1)前記肝硬変は、Ishakスコアリングシステムによって特性評価され、Ishakスコア≧5又は約5~6の肝硬変を指す;
(2)前記肝硬変は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価され、Scheuerスコアが約≧4の肝硬変を指す;
(3)前記肝硬変は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価され、METAVIRスコアが約≧4の肝硬変を指す;
(4)前記肝硬変は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価され、Knodellスコアが約≧4の肝硬変を指す;及び/又は
(5)前記肝硬変は、肝硬度測定値によって特性評価され、LSMが約≧12.0 kPa又は約≧13.0 kPaの肝硬変を指す。
【請求項7】
前記慢性B型肝炎に伴う肝線維化は、肝癌まで進行していない、ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記式(I)で示される化合物の用量は、50~500 mg/日、例えば、80~450 mg/日、100~400 mg/日、120~360 mg/日であり、
好ましくは、前記薬物の投与回数は、1~5回/日、例えば、3回/日である、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記薬学的に許容される塩は、前記式(I)の化合物が、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸から選ばれる有機酸又はアスパラギン酸及びグルタミン酸から選ばれる酸性アミノ酸とエステルを形成した後に、無機塩基と形成した(ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム塩及びアンモニウム塩を含む)塩、又は有機塩基と形成した(メチルアミン塩、エチルアミン塩及びエタノールアミン塩を含む)塩;或いはリジン、アルギニン及びオルニチンから選ばれる塩基性アミノ酸とエステルを形成した後に、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる無機酸と形成した塩、又はギ酸、酢酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸及びエタンスルホン酸から選ばれる有機酸と形成した塩を含む、
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記薬物は、1種若しくは複数種の薬学的に許容される担体又は賦形剤を更に含む、ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の使用。
【請求項11】
慢性B型肝炎に伴う肝線維化を治療及び/又は予防する方法であって、
必要とする患者に、治療又は予防有効量の請求項1に記載の式(I)で示される化合物、その溶媒和物、水和物、プロドラッグ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、ラクトース一水和物、シリカ、ステアリン酸マグネシウムを含む、医薬組成物。
【請求項13】
重量百分率で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩の含有量が20~30%、ラクトース一水和物の含有量が70~80%、シリカの含有量が0.1~1%、ステアリン酸マグネシウムの含有量が0.1~1%である、
請求項12に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年5月14日に中国国家知識産権局に提出された、特許出願番号が202110531848.7、名称が「慢性B型肝炎に伴う肝線維化を治療又は予防する薬物の製造におけるヒドロニドンの応用」である先行出願に基づく優先権を主張するものである。当該先行出願の全文は、引用により本発明に組み込まれる。
(技術分野)
本発明は、薬物分野に属し、具体的に、慢性B型肝炎に伴う肝線維化を治療又は予防する薬物の製造におけるヒドロニドンの応用に関する。
【背景技術】
【0002】
肝線維化は慢性肝疾患の進行における共通の病理学的基礎であり、各種の慢性損傷が肝細胞の変性、壊死を引き起こし、線維性結合組織が異常に増殖して過剰に沈着し、再生された肝細胞を包み、「偽小葉」を形成して肝の本来の組織構造を破壊し、最終的に肝が結節状に硬くなり、それに伴い、肝機能が損傷され、ひいては完全に消失して肝硬変を形成してしまう。肝線維化は組織学的に可逆的なものであり、肝硬変は逆転され難いが、依然として幾分逆転可能である。
【0003】
様々な慢性疾患、例えば、慢性ウイルス性肝炎、慢性アルコール中毒、胆汁鬱滞、先天性酵素欠損の代謝障害性疾患、毒物と薬物への長期接触等は、肝線維化を引き起こすことが可能である。肝線維化、肝硬変は、肝疾患患者の生活の質、医療費の支出に影響する要因の1つである。肝保護薬の市場需要量は年々高まっている。
【0004】
中国は世界最大のB型肝炎人口を擁し、約7000万人に上り、そのうち、慢性B型肝炎患者が約2000万~3000万、B型肝炎関連肝硬変が約100万例、B型肝炎関連肝癌が約30万例である。2016年の調査によると、B型肝炎関連肝硬変死亡率は5.82/10万人、B型肝炎関連肝癌死亡率は16.42/10万人に達した。B型肝炎は、中国の人々の健康を深刻に脅かしている。肝線維化は、慢性B型肝炎臓から肝硬変へと進行する重要な病理学的過程である。肝線維化の自然経過を逆転又は遅延させると、肝硬変、肝癌の発生が明らかに低下し、患者の死亡が減少され、国と社会への重い経済的負担が低減される。
【0005】
現在、臨床的には、特異的で効果的な抗肝線維化治療剤がなく、主として、肝臓損傷を引き起こす基礎疾患を治療することによって肝臓の損傷と炎症を軽減し、肝線維化の予防と治療を行っている。肝線維化の治療は、肝線維化の病因的治療と抗肝線維化による治療の両方を含む。慢性B型ウイルス性肝炎肝線維化では、HBVの阻害及び除去により、肝の持続的損傷を軽減し、線維性肝組織の修復をある程度促進することができる。しかし、B型肝炎線維化/肝硬変患者に対して、抗ウイルス療法だけでは肝線維化の問題を完全に解決することができない。代償期肝硬変の非代償期への進行の年間発生率は3%~5%、非代償期肝硬変の5年生存率は14%~35%に過ぎず、肝硬変患者の肝細胞癌の年間発生率は3%~6%である。従って、効果的な抗肝線維化薬が切望されており、特に、慢性B型ウイルス性肝炎の進行期肝線維化又は代償期肝硬変を治療又は予防する薬物についてはあまり報告されておらず、患者及び医者は安全且つ効果的な治療薬を切実に求めている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、慢性B型肝炎に伴う肝線維化を治療及び/又は予防する薬物の製造における式(I)で示される化合物(即ち、ヒドロニドン)、その溶媒和物、水和物、プロドラッグ又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0007】
【0008】
本発明は、慢性B型肝炎に伴う肝線維化の治療及び/又は予防に用いられる、式(I)で示される化合物、その溶媒和物、水和物、プロドラッグ又はその薬学的に許容される塩を更に提供する。
【0009】
本発明は、慢性B型肝炎に伴う肝線維化を治療及び/又は予防する方法であって、
必要とする患者に、治療又は予防有効量の式(I)で示される化合物、その溶媒和物、水和物、プロドラッグ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を更に提供する。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記慢性B型肝炎に伴う肝線維化は、門脈域線維化、有意な肝線維化、進行期肝線維化又は肝硬変であってもよい。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記肝硬変は、代償期肝硬変又は非代償期肝硬変であってもよい。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記門脈域線維化は、Ishakスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Ishakスコア≧1の肝線維化を指してもよい。例えば、Ishakスコア≧1、Ishakスコア≧2、又はIshakスコアが約1~3、約1~2、約2~3の肝線維化等である。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記門脈域線維化は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Scheuerスコアが約≧1の肝線維化、又はScheuerスコアが約1~2の肝線維化を指してもよい。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記門脈域線維化は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、METAVIRスコアが約≧1の肝線維化、又はMETAVIRスコアが約1~2の肝線維化を指してもよい。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記門脈域線維化は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Knodellスコアが約≧1の肝線維化、又はKnodellスコアが約1~2の肝線維化を指してもよい。
【0016】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記有意な肝線維化は、Ishakスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Ishakスコア≧3の肝線維化を指してもよい。例えば、Ishakスコア≧4、或いはIshakスコアが約3~6、約3~5、約3~4、約4~6、約4~5又は約5~6の肝線維化等である。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記有意な肝線維化は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Scheuerスコアが約≧2又は≧3の肝線維化、或いはScheuerスコアが約2~4、3~4又は2~3の肝線維化を指してもよい。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記有意な肝線維化は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、METAVIRスコアが約≧2又は≧3の肝線維化、或いはMETAVIRスコアが約2~4、3~4又は2~3の肝線維化を指してもよい。
【0019】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記有意な肝線維化は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Knodellスコアが約≧2又は≧3の肝線維化、或いはKnodellスコアが約2~4、3~4又は2~3の肝線維化を指してもよい。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記有意な肝線維化は、肝硬度測定値(LSM)によって特性評価可能であり、例えば、LSMが約≧5.8キロパスカル(kPa)の肝線維化を指してもよく、例えば、約5.8~12.4 kPa、約5.8~9.4 kPa、約5.8~8 kPa、約5.8~7.4 kPa、約5.8~6 kPa、又は約9.4~12.4 kPaの肝線維化であってもよい。上記肝硬度測定値は、本分野における通常の機器、例えば、FibroTouch又はFibroScan機器によって測定することができる。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記進行期肝線維化は、Ishakスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Ishakスコア≧4の肝線維化を指してもよい。例えば、Ishakスコアが約≧5、例えば、約4~6、約4~5、又は約5~6の肝線維化である。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記進行期肝線維化は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Scheuerスコアが約≧3の肝線維化、又は約3~4の肝線維化を指してもよい。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記進行期肝線維化は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、METAVIRスコアが約≧3の肝線維化、又は約3~4の肝線維化を指してもよい。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記進行期肝線維化は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Knodellスコアが約≧3の肝線維化、又は約3~4の肝線維化を指してもよい。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記進行期肝線維化は、肝硬度測定値(LSM)によって表現可能であり、例えば、LSMは、約≧6.0 kPa、約≧7.4 kPa、約≧8.0 kPa、約≧9.0 kPa、約≧9.5 kPa、約≧10.0 kPa、約≧12.0 kPa、約≧12.4 kPaであり、例えば、LSMは、約7.4~17.0 kPa、約7.4~15.0 kPa、約7.4~14.6 kPa、約8.0~17.0 kPa、約8.0~15.0 kPa、約8.0~14.6 kPa、約9.0~17.0 kPa、約9.0~15.0 kPa、約9.0~14.6 kPa、約9.5~17.0 kPa、約9.5~15.0 kPa、約9.5~14.6 kPa、約10.0~17.0 kPa、約10.0~15.0 kPa、約10.0~14.6 kPaである。
【0026】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記進行期肝線維化は、肝硬度測定値(LSM)によって特性評価可能であり、例えば、ビリルビンが正常で、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)<5 ULNである場合、LSMが約≧9.0 kPa又は≧10.0 kPaの肝線維化であり、或いは、ビリルビンが正常でALTが正常である場合、LSMが約≧6.0 kPaの肝硬変、例えば、約≧7.0 kPa、約≧8.0 kPa又は約≧9.0 kPaの肝線維化である。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記肝硬変は、Ishakスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Ishakスコア≧5の肝硬変、又はIshakスコアが約5~6の肝硬変を指してもよい。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記肝硬変は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Scheuerスコアが約≧4の肝硬変を指してもよい。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記肝硬変は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、METAVIRスコアが約≧4の肝硬変を指してもよい。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記肝硬変は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価可能であり、例えば、Knodellスコアが約≧4の肝硬変を指してもよい。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記肝硬変は、肝硬度測定値(LSM)によって特性評価可能であり、例えば、LSMが約≧12.0 kPa、約≧13.0 kPa、約≧15.0 kPa、約≧16.0 kPa、約≧17.0 kPaの肝硬変である。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記肝硬変は、主要合併症に基づく臨床病期分類、肝静脈圧勾配(HVPG)に基づく病期分類、肝機能予備能分類・病期分類(Child-Pughスコア・分類・病期分類)の3つの基準のうちの1つによって代償期肝硬変と非代償期肝硬変に分けられてもよい。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記の主要合併症に基づく臨床病期分類は、2段階病期分類法、4段階病期分類法、5段階病期分類法、7段階病期分類法を更に含んでもよく、
上記2段階病期分類法の基準としては、肝硬変の自然歴によって、腹水、胃食道静脈瘤出血(GEVB)、肝性脳症(HE)等の重篤な合併症が生じていない場合は代償期肝硬変であり、上記合併症のうちの1つが生じた場合は非代償期肝硬変であり、
上記4段階病期分類法の基準としては、1~2期は代償期肝硬変、3~4期は非代償肝硬変であり、そのうち、1期は胃食道静脈瘤及び腹水がない病期、2期は胃食道静脈瘤があるが腹水がない病期、3期は胃食道静脈瘤を伴う/伴わない腹水がある病期、4期は腹水を伴う/伴わない食道静脈瘤出血(EVB)がある病期であり、
上記5段階病期分類法の基準としては、1~2期は代償期肝硬変、3~5期は非代償肝硬変である。
【0034】
上記7段階病期分類法の基準としては、0~2期は代償期肝硬変、3~6期は非代償期肝硬変であり、そのうち、0期は胃食道静脈瘤がなく、HVPGが5~10 mmHgの間にある病期、1期は胃食道静脈瘤がないが、HVPG≧10 mmHgである病期、2期は食道胃底静脈瘤がある病期、3期はEVBが現れる病期、4期は出血以外の非代償事象が初めて生じる病期、5期は非代償事象が再発する病期である。6期は、非代償段階の末期でもあり、難治性腹水、HE、重篤な感染、腎不全と慢性肝不全の急性増悪が現れる病期である。
【0035】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記HVPG≦12 mmHgの場合は代償期肝硬変であり、HVPG>12 mmHgの場合は非代償期肝硬変であり、そのうち、HVPG<10 mmHgの場合は静脈瘤がなく、HVPGが10~12 mmHgの間にある場合は臨床的に有意な門脈圧亢進症がある。
【0036】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記Child-Pugh分類がグレードAの場合は代償期肝硬変であり、Child-Pugh分類がグレードB又はグレードCの場合は非代償期肝硬変であり、そのうち、グレードBは早期非代償段階、グレードCは末期非代償段階である。
【0037】
本発明の幾つかの実施形態によれば、上記の慢性B型肝炎に伴う肝線維化は、肝癌まで進行していない。
【0038】
Ishakスコアリングシステムは、Knodellスコアリングシステムの改良版であり、肝線維化の評価を0~6期に分けており、現在、肝線維化の評価のために前後症例対照研究に用いられる国際的に最も感度が高く、一般的に使用されている方法である。中華医学会肝臓病学分会、中華医学会胃腸病学分会及び中華医学会感染病学分会によって共同で発表した『肝線維化の診断及び治療コンセンサス(2019年)』(実用肝臓病雑誌、2019年11月、第22巻第6期、第793~803ページ)によると、近年、国内外の学者は、人為的誤差を減らすために、Ishakスコアにおける「少数」と「大多数」を定量化し、且つ線維性中隔及び偽小葉の数によって病期分類を行い、「少数」とは1~3本の線維性中隔を指し、3本を超える場合は「大多数」とする。従って、Ishakスコアリングシステムは、肝線維化の病期分類(即ち、Ishakスコア)について次のように表している:I期(Ishakスコア1点):線維性中隔なし;II期(Ishakスコア2点):1本の線維性中隔;III期(Ishakスコア3点):2~3本の線維性中隔;IV期(Ishakスコア4点):4本の線維性中隔;V期(Ishakスコア5点):4本以上の線維性中隔+明確な1~3個の偽小葉;VI期(Ishakスコア6点):3個を超える偽小葉。
【0039】
本発明の幾つかの実施形態によれば、Ishakスコアが0であることは、線維化していないことを示すことができる。幾つかの実施形態において、Ishakスコアが1であることは、幾つかの門脈域が線維化(PF)しており、短い線維性中隔を有するか又は有しないことを示すことができる。幾つかの実施形態において、Ishakスコアが2であることは、多数の門脈域が線維化しており、1本の線維性中隔を有するか又は有しないことを示すことができる。幾つかの実施形態において、Ishakスコアが3であることは、多数の門脈域が線維化しており、2~3本の線維性中隔を有することを示すことができる。幾つかの実施形態において、Ishakスコアが4であることは、明らかな門脈-門脈架橋線維化及び門脈-中心架橋線維化を伴う門脈域の線維化があり、4本以上の線維性中隔を有することを示すことができる。幾つかの実施形態において、Ishakスコアが5であることは、明らかな門脈-門脈架橋線維化及び/又は門脈-中心架橋線維化を有し、1~3個の偽小葉を有することを示すことができる。幾つかの実施形態において、Ishakスコアが6であることは、3個を超える偽小葉を示し、肝硬変と示すことができる。
【0040】
本発明の幾つかの実施形態によれば、Ishakスコアは、別のスコアリングシステムに変換されてもよい。スコアリングシステムは、例えば、Scheuerスコア、METAVIRスコア又はKnodellスコア等であってもよい。
【0041】
Scheuerスコアリングシステムは、肝線維化を0~4期に分けている。本発明の幾つかの実施形態によれば、Scheuerスコアが0であることは、線維化していないことを示し得る。幾つかの実施形態において、スコアが1であることは、門脈域が拡大していることを示し得る。幾つかの実施形態において、スコアが2であることは、門脈域が線維化(PF)しており、線維性中隔が形成されていることを示し得る。幾つかの実施形態において、スコアが3であることは、小葉構造の崩壊を伴う線維性中隔があることを示し得る。幾つかの実施形態において、スコアが4であることは、肝硬変を示し得る。幾つかの実施形態において、Scheuerスコアは≧1、≧2又は≧3、或いは0~4、1~4、2~4、3~4、1~3又は2~3であり得る。
【0042】
METAVIRスコアリングシステムは、肝線維化を0~4期に分けている。本発明の幾つかの実施形態によれば、METAVIRスコアがF0であることは、線維化していないことを示し得る。幾つかの実施形態において、METAVIRスコアが1であることは、門脈域が線維化しており、線維性中隔がないことを示し得る。幾つかの実施形態において、METAVIRスコアが2であることは、少量の線維性中隔を伴う門脈域の線維化があることを示し得る。幾つかの実施形態において、METAVIRスコアが3であることは、中隔の線維化及び構造の崩壊を示し得る。幾つかの実施形態において、METAVIRスコアが4であることは、肝硬変を示し得る。幾つかの実施形態において、METAVIRスコアは、≧1、≧2又は≧3、或いは0~4、1~4、2~4、3~4、1~3、1~2又は2~3であり得る。
【0043】
Knodellスコアリングシステムは、肝線維化を0~4期に分けている。本発明の幾つかの実施形態によれば、Knodellスコアが0であることは、線維化していないことを示し得る。幾つかの実施形態において、Knodellスコアが1であることは、軽度の線維化、門脈域の拡大を示し得る。幾つかの実施形態において、Knodellスコアが2であることは、中程度の線維化を示し得る。幾つかの実施形態において、Knodellスコアが3であることは、重篤な線維化、門脈-門脈架橋線維化及び門脈-中心架橋線維化を示し得る。幾つかの実施形態において、Knodellスコアが4であることは、肝硬変を示し得る。幾つかの実施形態において、Knodellスコアは、≧1、≧2又は≧3、或いは1~4、1~3、2~4又は2~3であり得る。
【0044】
Child-Pugh分類の基準は、臨床的によく用いられている、肝硬変患者の肝予備能を定量的に評価するための分類基準であり、患者の5つの指標(一般的状態、腹水、血清ビリルビン、血清アルブミン濃度及びプロトロンビン時間を含み、上記一般的状態は、肝性脳症の有無及びその程度で取り替えられてもよい)の様々な状態を3つの段階に分け、それぞれ1点、2分と3点と記し、そして5つの指標の点数を加算し、合計点数が最低5点、最高15点であり、当該合計点数の大きさによって肝予備能をA、B、Cという3グレードに分け、グレードA:5~6点、グレードB:7~9点、グレードC:10~15点であり、点数が高いほど、肝予備能が悪くなる。
【0045】
本発明の実施形態によれば、上記式(I)で示される化合物の用量は、50~500 mg/日であってもよく、例えば、80~450 mg/日、100~400 mg/日、120~360 mg/日であり、例示的に180 mg/日、270 mg/日、360 mg/日である。
【0046】
本発明の実施形態によれば、上記薬物の投与回数は1~5回/日であってもよく、例えば、3回/日である。
【0047】
本発明の実施形態によれば、上記薬学的に許容される塩は、上記式(I)の化合物が、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸から選ばれる有機酸、又はアスパラギン酸及びグルタミン酸から選ばれる酸性アミノ酸とエステルを形成した後に、無機塩基と形成した(ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム塩及びアンモニウム塩を含む)塩、又は有機塩基と形成した(メチルアミン塩、エチルアミン塩及びエタノールアミン塩を含む)塩;或いはリジン、アルギニン及びオルニチンから選ばれる塩基性アミノ酸とエステルを形成した後に、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる無機酸と形成した塩、又はギ酸、酢酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸及びエタンスルホン酸から選ばれる有機酸と形成した塩を含む。
【0048】
本発明の実施形態によれば、上記薬物は、1種若しくは複数種の薬学的に許容される担体又は賦形剤を更に含む。
【0049】
本発明の実施形態によれば、上記薬物は、経口製剤又は非経口製剤であってもよい。更に、上記経口製剤は、錠剤、カプセル剤、丸剤、分散性粉末、顆粒剤、経口液剤、シロップ剤、エリキシル剤等であってもよく、上記非経口製剤は、注射剤、粉末注射剤等であってもよい。
【0050】
好適な賦形剤の幾つかの実例は、ラクトース、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ及びメチルセルロースを含む。製剤は、更に、滑石粉、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油等の潤滑剤;湿潤剤;乳化剤と懸濁剤;安息香酸メチルと安息香酸ヒドロキシプロピル等の防腐剤;甘味料と矯味薬を含んでもよい。本発明の薬物は、患者への投与後に活性成分を即時放出、徐放又は遅延放出する作用を提供するように、本分野で既知の方法で製造することができる。
【0051】
本発明の錠剤又は丸剤をコーティング又は複合して、持効性作用という利点を提供する剤形を得ることができる。例えば、錠剤又は丸剤には、内部用量成分及び外部用量成分が含まれ、後者は前者の被膜形態である。腸溶性層は、内部成分が十二指腸を完全に通過するか又は遅延放出されるように、胃内で崩壊を阻止するための腸溶性層によって2つの成分を分離することができる。このような腸溶性層又はコーティング剤には、複数種の物質を使用することができ、このような物質は、複数種の高分子酸及び高分子酸と、セラック、セチルアルコールや酢酸セルロース等の物質との混合物を含む。その中、本発明の化合物及び組成物を組み込むことが可能な経口又は注射投与用の液体形態は、水溶液、適当に味を矯正したシロップ剤、水又は油懸濁液と;綿実油、ゴマ油、中鎖油、ヤシ油又はピーナッツ油等の食用油で製造された乳剤と;エリキシル剤及び類似の薬用溶媒とを含む。
【0052】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、ラクトース一水和物、シリカ、ステアリン酸マグネシウムを含む、医薬組成物である。
【0053】
本発明の実施形態によれば、重量百分率で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩の含有量は20~30%、ラクトース一水和物の含有量は70~80%、シリカの含有量は0.1~1%、ステアリン酸マグネシウムの含有量は0.1~1%である。
【発明の効果】
【0054】
本発明は、慢性B型肝炎に伴う肝線維化を治療又は予防する薬物の製造における式(I)で示される化合物、その溶媒和物、水和物、プロドラッグ又はその薬学的に許容される塩の使用を提供し、それは、肝線維化を効果的に逆転させることができ、特に有意な線維化、進行期肝線維化又は肝硬変の治療に更に良い効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】治療前後の肝線維化Ishakスコアの分布図(FAS)である。
【
図2】治療前後の肝線維化Ishakスコアの分布図(PPS)である。
【
図3】52週間治療の肝線維化Ishakスコアのベースラインに比べて≧1点低下した群間差図(FAS)である。
【
図4】52週間治療の肝線維化Ishakスコアのベースラインに比べて≧1点低下した群間差図(PPS)である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、具体的な実施例に合わせて、本発明の技術案を更に詳しく説明する。下記の実施例は、単に本発明を例示的に説明し解釈するものであり、本発明の請求範囲を限定するものとして解釈されるべきではないと理解すべきである。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は、何れも本発明による請求範囲内に含まれる。
【0057】
特に説明のない限り、下記の実施例に使用される原料及び試薬は何れも市販品であり、又は既知の方法によって製造することができる。
【0058】
製造例:ヒドロニドンカプセルの製造
処方:単位用量製品の処方組成は、以下の表に詳しく示されている:
【0059】
【0060】
製造方法:
プロセス検証バッチ(バッチサイズ:90万粒)を代表として、詳細な製造プロセスを次のように説明する:
1)原材料と補助材料の準備:
-原材料と補助材料を受け取り、品名、バッチ番号、重量、製造元等を注意深くチェックし、包装が完璧であるかを検査する。
【0061】
-ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、シリカ、ヒドロニドンをそれぞれ80メッシュの篩にかけ、使用に備える。
【0062】
2)材料の秤量:バッチ指示に従って原材料と補助材料をそれぞれ正確に秤量し、そして再チェックする。
【0063】
3)混合:全ての材料を3次元モーションミキサーに入れ、マシンのスイッチを入れ、回転速度を800 r/minにゆっくり向上させ、15分間混合して、混合粉末中間生成物を取得し、材料のバランスを検査し、それは98.00%~100.00%にあるべきである。
【0064】
4)カプセルの充填:4#カプセル自動ハードカプセル充填機を利用し、中間生成物の含有量によって、重量差が所定の範囲になるように充填量を調整し、充填する。
【0065】
5)カプセルの研磨と選別:充填済みのカプセルを研磨する。研磨されたカプセルを収集して盤に入れ、カプセルの表面に付着した微粉を篩で除去し、スターエンド、シワ、欠け、気泡、潰れ、端部凹み、ダブルキャップ等の不良品を選び出す。材料のバランスを検査し、それは98.00%~100.00%にあるべきである。
【0066】
6)内装:瓶詰めしてラベルを貼り、仕様として63粒/瓶である。材料のバランスを検査し、それは98.00%~100.00%にあるべきである。
【0067】
7)外装。
【0068】
効果例
1. 試験の設計
1.1.試験の全体設計
この試験は、ランダム、二重盲検、プラセボ対照、多施設、用量設定、基本的治療を行った第II相臨床研究である。この臨床試験は、エンテカビルカプセル抗ウイルスを基にして3つの異なる用量試験群及び1つのプラセボ対照群を設け、各群は60例、合計240例の試料量を計画する。試験群の3つの用量群は、それぞれ180 mg群、270 mg群及び360 mg群である。各試験群と対照群の配分割合は1:1:1:1で、ランダムな方法で症例を割り当てる。
【0069】
1.2. 被験者の選択
入選基準:
(1)年齢18~65歳、性別不問
(2)慢性B型肝炎の病歴、HBsAg陽性≧6ヶ月
(3)ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)<8倍ULN(基準上限)
(4)肝生検で有意な肝線維化が確認された(Ishakスコア≧3、非代償期肝硬変を除く)
(5)HBeAg陽性患者、HBV DNA>2.0×104 IU/mL(105コピー/mL)、
HBeAg陰性患者、HBV DNA>2.0×103 IU/mL(104コピー/mL)
(6)入選前3ヶ月以内にインターフェロン及び/又はヌクレオシド類似体による抗ウイルス療法を受けたことがない
(7)入選前1ヶ月以内に抗炎症肝保護薬を服用したことがない
(8)入選前3ヶ月以内に抗線維化を主な作用とする薬物を服用したことがない
(9)研究前にインフォームド・コンセントを理解して署名することができる
排除基準:
(1)入選基準の何れにも該当しない者
(2)入選前3ヶ月以内に上部消化管大出血をした者
(3)TBiL(総ビリルビン)>3倍のULN、又は3 ULN<ALT<8 ULN且つTBiL>2倍のULN
(4)肝癌の徴候がないが、AFP(αフェトプロテイン)>100 μg/L
(5)PLT(血小板)≦60×109/L
(6)PTA(プロトロンビン活性)<50%
(7)Bモード超音波で肝臓内に明らかな空間占拠性病変を認め、腫瘍を示唆した
(8)Bモード超音波による門静脈幅≧1.2 cm
(9)体格指数(BMI)>30の者
(10)肝機能非代償期肝硬変及び肝腫瘍患者
(11)アルコール性、薬物性、遺伝性、免疫性、他のウイルス性及び非ウイルス性の慢性肝炎患者
(12)心臓血管、肺、腎臓、内分泌、神経及び血液系の重篤な疾患を伴う患者、並びに精神病患者
(13)活動性消化性潰瘍
(14)妊娠及び授乳期女性
(15)過去3ヶ月以内に他の薬物試験に参加した者
(16)研究者が本試験への参加に適さないと判定した他の患者
脱退基準:
(1)被験者が自ら脱退し、又はインフォームド・コンセントを撤回した
(2)被験者がフォローアップ不能になった
(3)研究者が治療の終了を決めた
(4)被験者が妊娠しているか、又は妊娠を決意した
(5)被験者が以下の何れかに該当する:
[1]ALT>8 ULN;
[2]ALT>5 ULNが2週間続くこと;
[3]ALT>3 ULN且つ(TBiL>3 ULN又はINR(国際標準化比率)>1.5 ULN);
[4]ALT>3 ULN、且つ漸進的な疲労、吐き気、嘔吐、右上腹部痛又は圧痛、発熱、発疹及び/又は好酸球増多(>5%)を伴うこと
(6)被験者に非代償期肝硬変が生じた
(7)被験者に肝癌が生じた
(8)本薬物にアレルギーのある患者、重篤な有害事象が生じ、合併症や特別な生理的変化が生じて試験の継続が望ましくない等
除外基準:
(1)誤組み入れ
(2)薬物を使用していない者
(3)何れの検測記録もない者
(4)ある禁止薬物を使用したので、有効性と安全性の評価ができないこと
(5)試験を完了させたが、服用量が服用すべき80%~120%の範囲にないこと
(6)治験薬の服用を合計4週間以上中止したこと
(7)盲検化情報漏洩又は緊急盲検解除が生じた症例
1.3. 治験薬
ヒドロニドンカプセル及びプラセボカプセルは、両方とも上海睿星基因技術有限会社により開発・提供され、外観が完全に一致した。ヒドロニドンカプセルの仕様:30 mg/粒。治験薬のロット番号:20150201、20170101。
【0070】
治験薬の保管:常温保管。薬物の有効期間は36ヶ月である。
【0071】
何れの治験薬も、北京康蒂尼薬業有限会社によりGMP条件を満たした工場で製造され、且つ中国国家薬品監督管理局に承認された品質基準に従って検査に合格した。
【0072】
基本的な抗ウイルス治療薬であるエンテカビルカプセル(0.5 mg/粒、7粒/プレート/ボックス、有効期間24ヶ月、ロット番号:1411102、1506204、1606201、1606202、1602205、1612205、1703202、3031802、2031824)は、福建広生堂薬業Co., Ltd.により開発・製造され、上海睿星基因技術有限会社により提供された。
【0073】
エンテカビルカプセルの保管:遮光、密封し、25℃以下の乾燥した場所に保管した。
【0074】
投与経路及び用量の設定:
動物薬力学実験及び第I相臨床試験の結果によって、本試験の各群における治験薬の投与量を次のように決定した:
180 mg群:ヒドロニドンカプセル、60 mg tid経口、52週間連続投与;
270 mg群:ヒドロニドンカプセル、90 mg tid経口、52週間連続投与;
360 mg群:ヒドロニドンカプセル、120 mg tid経口、52週間連続投与;
プラセボ群(対照群):プラセボカプセル、4粒/回、1日3回、経口投与、52週間連続投与;
基本的治療:エンテカビルカプセル、0.5 mg/回、1日1回、経口、52週間連続投与;
プラセボ群及びヒドロキシケトンの各用量群は、何れもエンテカビルによる基本的治療を同時に行った。
【0075】
1.4. 試験の手順
1.4.1. スクリーニング期/ベースライン期
・人口学:生年月日、年齢、性別、民族、身長、体重、職業を含む。
【0076】
・現在の病歴、既往歴(心血管、呼吸、消化、泌尿生殖、神経、精神等の系)、薬歴、タバコや酒等の嗜好。
【0077】
・臨床症状の記録。
【0078】
・インフォームド・コンセントへの署名。
【0079】
・スクリーニング番号の割り当て。
【0080】
・体格検査。
【0081】
・定期的臨床検査:定期血液検査、定期尿検査、尿妊娠(出産適齢期の女性)、血糖等。
【0082】
・血清学的検査:アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、総タンパク質(TP)、アルブミン(A)、グロブリン(G)、総ビリルビン(TBil)、直接ビリルビン(DBil)、尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Cr)、トリグリセリド(TG)、コレステロール(TC)、低密度リポタンパク質(LDL-C)、高密度リポタンパク質(HDL-C)、プロトロンビン時間(PT)、プロトロンビン活性(PTA)、αフェトプロテイン(AFP)。
【0083】
・肝臓一過性エラストグラフィLSM(kPa)。
【0084】
・ウイルス学的検査:HBsAg、抗HBs、HBeAg、抗HBe、抗HBc、HBV DNA、抗HCV。
【0085】
・心電図:12誘導心電図。
【0086】
・超音波検査:肝臓、胆嚢、脾臓、門脈幅及び/又は血流速度等の検査。
【0087】
・経皮的肝穿刺生検(スクリーニング前3ヶ月以内の結果がベースラインデータとして使用可能)。
【0088】
・CRFの記入。
【0089】
1.4.2. 治療期
1.4.2.1. 0週間時
・薬物番号の割り当て。
【0090】
・治験薬の配給。
【0091】
・投薬に伴う状況の記録。
【0092】
・有害事象の記録。
【0093】
・CRFの記入。
【0094】
1.4.2.2. 1週間(±1日)
・治験薬服用状況の記録。
【0095】
・投薬に伴う状況の記録。
【0096】
・有害事象の記録。
【0097】
・CRFの記入。
【0098】
1.4.2.3. 4週間時(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0099】
・治験薬服用状況の記録。
【0100】
・投薬に伴う状況の記録。
【0101】
・体格検査。
【0102】
・臨床症状の記録。
【0103】
・定期的臨床検査:定期血液検査、定期尿検査、尿妊娠(出産適齢期の女性)。
【0104】
・血清学的検査:ALT、AST、GGT、ALP、TP、A、G、TBil、DBil、BUN、Cr、TG、TC、LDL-C、HDL-C、PT、PTA、AFP。
【0105】
・ウイルス学的検査:HBV DNA。
【0106】
・有害事象の記録。
【0107】
・CRFの記入。
【0108】
1.4.2.4. 8週間時(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0109】
・治験薬服用状況の記録。
【0110】
・投薬に伴う状況の記録。
【0111】
・体格検査。
【0112】
・臨床症状の記録。
【0113】
・血清学的検査:ALT、AST、GGT、ALP、TP、A、G、TBil、DBil、TG、TC、LDL-C、HDL-C。
【0114】
・ウイルス学的検査:HBV DNA。
【0115】
・有害事象の記録。
【0116】
・CRFの記入。
【0117】
1.4.2.5. 12週間(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0118】
・治験薬服用状況の記録。
【0119】
・投薬に伴う状況の記録。
【0120】
・体格検査。
【0121】
・臨床症状の記録。
【0122】
・定期的臨床検査:定期血液検査、定期尿検査、尿妊娠(出産適齢期の女性)、血糖等。
【0123】
・血清学的検査:ALT、AST、GGT、ALP、TP、A、G、TBil、DBil、BUN、Cr、TG、TC、LDL-C、HDL-C、PT、PTA、AFP。
【0124】
・ウイルス学的検査:HBV DNA。
【0125】
・心電図。
【0126】
・有害事象の記録。
【0127】
・CRFの記入。
【0128】
1.4.2.6. 16週間(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0129】
・治験薬服用状況の記録。
【0130】
・投薬に伴う状況の記録。
【0131】
・体格検査。
【0132】
・臨床症状の記録。
【0133】
・血清学的検査:ALT。
【0134】
・有害事象の記録。
【0135】
・CRFの記入。
【0136】
1.4.2.7. 20週間時(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0137】
・治験薬服用状況の記録。
【0138】
・投薬に伴う状況の記録。
【0139】
・体格検査。
【0140】
・臨床症状の記録。
【0141】
・血清学的検査:ALT。
【0142】
・有害事象の記録。
【0143】
・CRFの記入。
【0144】
1.4.2.8. 24週間(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0145】
・治験薬服用状況の記録。
【0146】
・投薬に伴う状況の記録。
【0147】
・体格検査。
【0148】
・臨床症状の記録。
【0149】
・定期的臨床検査:定期血液検査、定期尿検査、尿妊娠(出産適齢期の女性)、血糖等。
【0150】
・血清学的検査:ALT、AST、GGT、ALP、TP、A、G、TBil、DBil、BUN、Cr、TG、TC、LDL-C、HDL-C、PT、PTA、AFP。
【0151】
・肝臓一過性エラストグラフィLSM(kPa)。
【0152】
・ウイルス学的検査:HBV DNA。
【0153】
・心電図。
【0154】
・超音波検査:肝臓、胆嚢、脾臓、門脈幅及び/又は血流速度等の検査。
【0155】
・有害事象の記録。
【0156】
・CRFの記入。
【0157】
1.4.2.9. 28週間(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0158】
・治験薬服用状況の記録。
【0159】
・投薬に伴う状況の記録。
【0160】
・体格検査。
【0161】
・臨床症状の記録。
【0162】
・有害事象の記録。
【0163】
・CRFの記入。
【0164】
1.4.2.10. 32週間(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0165】
・治験薬服用状況の記録。
【0166】
・投薬に伴う状況の記録。
【0167】
・体格検査。
【0168】
・臨床症状の記録。
【0169】
・有害事象の記録。
【0170】
・CRFの記入。
【0171】
1.4.2.11. 36週間(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0172】
・治験薬服用状況の記録。
【0173】
・投薬に伴う状況の記録。
【0174】
・体格検査。
【0175】
・臨床症状の記録。
【0176】
・定期的臨床検査:定期血液検査、定期尿検査、尿妊娠(出産適齢期の女性)、血糖等。
【0177】
・血清学的検査:ALT、AST、GGT、ALP、TP、A、G、TBil、DBil、BUN、Cr、TG、TC、LDL-C、HDL-C、PT、PTA、AFP。
【0178】
・ウイルス学的検査:HBV DNA。
【0179】
・心電図。
【0180】
・有害事象の記録。
【0181】
・CRFの記入。
【0182】
1.4.2.12. 40週間(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0183】
・治験薬服用状況の記録。
【0184】
・投薬に伴う状況の記録。
【0185】
・体格検査。
【0186】
・臨床症状の記録。
【0187】
・有害事象の記録。
【0188】
・CRFの記入。
【0189】
1.4.2.13. 44週間(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0190】
・治験薬服用状況の記録。
【0191】
・投薬に伴う状況の記録。
【0192】
・体格検査。
【0193】
・臨床症状の記録。
【0194】
・有害事象の記録。
【0195】
・CRFの記入。
【0196】
1.4.2.14. 48週間(±5日)
・治験薬の回収・配給。
【0197】
・治験薬服用状況の記録。
【0198】
・投薬に伴う状況の記録。
【0199】
・体格検査。
【0200】
・臨床症状の記録。
【0201】
・有害事象の記録。
【0202】
・CRFの記入。
【0203】
1.4.2.15. 52週間(±5日)
・治験薬の回収。
【0204】
・治験薬服用状況の記録。
【0205】
・投薬に伴う状況の記録。
【0206】
・体格検査。
【0207】
・臨床症状の記録。
【0208】
・定期的臨床検査:定期血液検査、定期尿検査、尿妊娠(出産適齢期の女性)、血糖等。
【0209】
・血清学的検査:ALT、AST、GGT、ALP、TP、A、G、TBil、DBil、BUN、Cr、TG、TC、LDL-C、HDL-C、PT、PTA、AFP。
【0210】
・肝臓一過性エラストグラフィLSM(kPa)。
【0211】
・ウイルス学的検査:HBsAg、抗HBs、HBeAg、抗HBe、抗HBc、HBV DNA。
【0212】
・心電図。
【0213】
・超音波検査:肝臓、胆嚢、脾臓、門脈幅及び/又は血流速度等の検査。
【0214】
・経皮的肝穿刺生検。
【0215】
・有害事象の記録。
【0216】
・CRFの記入。
【0217】
1.4.3. 追加フォローアップ
1.4.3.1. 追加フォローアップの条件
以下の3つの状況の何れかに該当する場合は、追加フォローアップを行うべきである
・様々な理由で治験薬の服用を中止しても、予定通りフォローアップを受けることができる被験者。
【0218】
・症例の脱落:被験者が薬物服用及びフォローアップを中止した。
【0219】
・被験者に有害事象が生じた後、フォローアップを増加すること。
【0220】
1.4.3.2. 追加フォローアップの内容
・追加フォローアップが必要な理由と時間の記録。
【0221】
・治験薬服用状況の記録。
【0222】
・投薬に伴う状況の記録。
【0223】
・必要に応じて臨床症状を記録し、体格検査、定期的臨床検査及び生化学検査、ウイルス学的検査、心電図、超音波等の補助検査を行うこと。
【0224】
・有害事象の記録。
【0225】
・CRFの記入。
【0226】
1.5 観察指標
主要的観察指標:肝線維化Ishakスコアが治療後に治療前と比べて1点以上低下した割合。
【0227】
副次的観察指標:
(1)治療後のHBV DNAの陰転率(HBV DNA<20 copies/mL)及び下げ幅。
【0228】
(2)治療後の一過性エラストグラフィLSM(kPa)値が治療前と比べて低下した割合。
【0229】
(3)肝臓組織炎症分類が治療後に治療前と比べて1グレード以上低下したと共に、線維化が悪化していない割合。
【0230】
(4)肝機能ALT指標の改善。
【0231】
安全性指標:バイタルサイン、臨床検査指標、有害事象/有害反応等。
【0232】
1.6. 統計学的計画及び試料量の決定
・最大の解析対象集団(Full Analysis Set、FAS)
治療企図(Intention To Treat)原則に基づき、ランダムに群分けされ、治験薬を少なくとも1回使用し、且つ投薬後評価データを有する全症例は、本研究のFASを構成する。FASにおける治療効果関連部分の欠落データは、直近の先行観測データで補完する方法(Last observation carry forward、LOCF法)により補完される。FASは、治療効果評価の主要な集団である。
【0233】
・計画に適合した集団(Per Protocol Set、PPS)
PPS集団は、データの盲検レビュー時に最終的に決定され、治療効果を評価する副次的集団であり、少なくとも以下の幾つかの基準を含む:
1)試験計画に規定された入選基準を満たす。
【0234】
2)計画されたフォローアップを全て完了した。
【0235】
3)試験中に治療効果評価に影響を与え得る薬物又は治療を利用したことがない。
【0236】
4)コンプライアンスが良好である(服用量80%~120%)。
【0237】
・安全性解析対象集団(Safety Set、SS)
ランダムに群分けされ、治験薬を少なくとも1回使用し、且つ投薬後安全性評価データを有する全症例は、本研究の安全性集団を構成する。
【0238】
・欠落データ及び外れ値の処理
欠落、未使用又は誤ったデータや、不合理なデータは、まず、元のデータテーブルを確認し、追加と修正を行うよう所在する施設に依頼する。追加と修正ができないと共に主要的治療効果指標が完全に欠落されたり、誤ったり、矛盾したりしたデータであれば、全て統計解析から除外する。
【0239】
主要的治療効果指標の欠落データの一部については、最終観測値補完法(LOCF)により補完し、副次的治療効果指標及び安全性指標は補わない。
【0240】
・統計解析の一般原則
何れの統計解析も、SAS9.4以上のバーションのプロ向けの統計解析ソフトウェアにより行われる。
【0241】
主要的治療効果指標について、試験群とプラセボ対照群との比較は優効性検定により行われ、P≦0.05の場合は、優効性が成立すると考えられる。他の検定は何れも両側検定により行われ、P≦0.05である場合は、検定された差が統計的に有意であると考えられる。
【0242】
定量的指標は、平均数、標準偏差、中央値、最小値、最大値で統計的に記載され、分類指標は、度数及び頻度(百分率)で統計的に記載される。
【0243】
定量的指標については、スクリーニング期のベースライン値と比較し、Wilcoxonの符号付き順位検定で群内の前後差を比較し、Kruskal-Wallis H検定で治療前後の群間差を比較する。ベースラインに対する重要な治療効果指標の変化は、共分散分析モデルを利用して各群の比較を行い、モデルでは、ベースラインを共変量として、施設、群分けの役割を考慮する。
【0244】
カウントデータは、CMH-χ2検定又はFisher’s正確確率法で各群の比較を行った。
【0245】
・脱落解析
各施設の登録数と完成例数をまとめ、各施設の脱落/除外率及びその脱落原因をそれぞれ統計し、且つ脱落症例のリストを作成する。
【0246】
各群の全脱落率と有害事象による脱落率との比較は、CMH-χ2検定又はFisher’s正確確率法を利用する。
【0247】
・人口学的データ及びベースライン特性解析
患者の人口学的特性(年齢、身長、バイタルサイン等)を統計的に記載し、且つ分散分析又はKruskal-Wallis H検定、CMH-χ2検定又はFisher’s正確確率法により人口学的データとバイタルサイン、病歴と基本的治療等の他のベースライン値指標を比較することにより、各群のバランスを評価する。
【0248】
・コンプライアンス解析
コンプライアンスは、良好と不良に分けて各群のコンプライアンス状況を算出し、各群についてコンプライアンスの比較解析を行う。コンプライアンス良好とは、80%≦被験者の実際投薬量/所定投薬量≦120%を意味する。
【0249】
・有効性解析
治療効果評価の主な時点は、12ヶ月目末(PPSの場合)又は中止群外れ時(FASの場合)である。また、他の各フォローアップ時点での治療効果についても記載する。
【0250】
主要的治療効果指標について、試験群とプラセボ対照群との比較は優効性検定により行われ、P≦0.05の場合は、優効性が成立すると考えられる。
【0251】
ベースラインに対する治療効果指標の変化について、量的指標は、群内の治療前後の変化が符号付き順位検定(Signed Rank)により測定され、群間比較が共分散分析により行われ、モデルでは、ベースラインを共変量として、施設効果を考慮し、且つ最小2乗平均(LSMEAN)及びその95%CIを算出し、分類指標はCMH-χ2検定を採用し、施設効果を考慮し、且つ2群の比率差の95%CIを算出する。必要に応じて、Logistic回帰により評価する。
【0252】
・治療効果解析
・主要的治療効果指標
肝線維化Ishakスコアが治療後に治療前と比べて1点以上低下した割合は、施設効果を考慮したCMH-χ2検定により群間差の比較を行い、治療前に制御され難いか又は制御されなかった交絡因子、例えば、治療前に群間でアンバランスで治療効果評価に影響を与え得る因子を共変量として、Logistic回帰モデルにより群間の有効性の差を評価し、且つ施設効果を考慮する。
【0253】
・副次的治療効果指標
1.治療後のHBV DNAの陰転率は、群間比較がCMH-χ2検定又はFisher’s正確確率法により行われる。
【0254】
2.治療前後の肝組織弾性低下値の群間比較は、Kruskal-Wallis H検定により行われる。
【0255】
3.治療前後の肝臓組織の炎症性分類スコア変化の群間比較は、Kruskal-Wallis H検定により行われ、治療後に治療前と比べて1グレード以上低下した割合の群間比較は、CMH-χ2検定又はFisher’s正確確率法により行われる。
【0256】
4.治療後の肝機能指標回復率の群間比較は、CMH-χ2検定又はFisher’s正確確率法により行われ、各指標の実測値の群間比較は、分散分析又はKruskal-Wallis H検定により行われる。
【0257】
・安全性解析
安全性指標は、有害事象/有害反応、臨床検査指標、体格検査等を含む。
【0258】
1.CMH-χ2検定又はFisher’s正確確率法により各群における有害事象/有害反応の発生率を比較し、且つこの試験における全有害事象の発生頻度と重症度、薬物との関係、処理対策及び結果等を一覧表示する。
【0259】
2.体格検査の実験前後に発生された正常/異常変化を一覧表示する。
【0260】
3.実験室指標の試験前後に発生された正常/異常変化及び異常悪化等を一覧表示し、且つ治験薬との関係を評価する。量的指標は各測定時点について統計的に記載され、群内変化の比較がWilcoxonの符号付き順位検定により行われ、群間比較がKruskal-Wallis H検定により行われる。
【0261】
2、研究の結果:
この試験では、合計で被験者168例がランダムに登録され、21例(21/168、12.50%)が脱落/除外され、最大の解析対象集団(FAS)167例(プラセボ対照群43例、180 mgヒドロニドンカプセル群42例、270 mgヒドロニドンカプセル群41例、360 mgヒドロニドンカプセル群41例)、計画に適合した集団(PPS)147例(プラセボ対照群42例、180 mgヒドロニドンカプセル群36例、270 mgヒドロニドンカプセル群35例、360 mgヒドロニドンカプセル群34例)、安全性集団(SS)168例(プラセボ対照群43例、180 mgヒドロニドンカプセル群42例、270 mgヒドロニドンカプセル群42例、360 mgヒドロニドンカプセル群41例)が組み込まれた。
【0262】
この研究では、合計8つの試験施設が参加し、168例の被験者のうち、男性121例、女性47例であった。ベースライン期では、被験者の平均年齢は39.55±10.67歳であった。FASにおいて、各群の人口学的データと一般的指標は、収縮期血圧指標を除き、何れの群間差も統計的に有意ではなく(P>0.05)、群間のバランスが良い。
【0263】
主要的治療効果:
本研究の主要的治療効果指標は、治療(52週間治療)後の肝線維化Ishakスコアが治療前(ベースライン)と比べて1点以上低下した被験者の割合である。
【0264】
2.1 肝線維化Ishakスコアの経時変化解析及び変化感受性解析
上述したように、本試験の肝組織生検中央病理評価では、登録時に研究部門によって、肝穿刺による肝線維化結果でIshakスコア≧3に達し、試験に設定された登録基準に適合すると独立的に判定されたが、肝組織生検中央病理評価でIshakスコア≧3に達していない被験者(Ishakスコア≧2とIshakスコア≧1の被験者が含まれている)が存在していることが見出された。
【0265】
発明者は、Ishakスコア≧1、Ishakスコア≧2とIshakスコア≧3の被験者を含む登録被験者全体について評価し、主要的治療効果指標としては、肝線維化Ishakスコアが治療(52週間治療)後に治療前(ベースライン)の肝線維化Ishakスコアに比べて1点以上低下した割合であり、FASとPPSの解析結果を表1に示す。
【0266】
表1中のFAS解析結果によると、4群の被験者のベースライン肝線維化Ishakスコアの群間差は統計的に有意ではない(P=0.8610)。
図1に示すように、52週間治療の各群は何れも、肝線維化Ishakスコアがベースラインに比べて≧1点低下した被験者が一定割合存在し、そのうち、ヒドロニドン群は、治療前後の肝線維化Ishakスコアの群内変化が何れも統計的に有意であり(P<0.05)、プラセボ対照群は、治療前後の肝線維化Ishakスコアの群内差が統計的に有意ではない(P=0.3205)。各群における肝線維化Ishakスコアがベースラインに比べて≧1点低下した被験者の割合は、それぞれ、プラセボ対照群11例(25.58%)、180 mgヒドロニドンカプセル群17例(40.48%)、270 mgヒドロニドンカプセル群23例(56.10%)、360 mgヒドロニドンカプセル群18例(43.90%)であり、4群の群間差は統計的に有意である(P=0.0245)。
図3に示すように、そのうち、プラセボ群と270 mgヒドロニドン群とにおける肝線維化Ishakスコアが≧1点低下した被験者の割合の差及びその95%CIが-30.52%(-48.12%、-9.50%)であるため、270 mg/日のヒドロニドンカプセルは患者の肝線維化程度をプラセボより顕著に逆転することができ、且つ270 mgヒドロニドンカプセル群の逆転効果が180 mg及び360 mgヒドロニドン群よりも良いことが示されている。
【0267】
表1中のPPS解析結果によると、4群の被験者のベースライン肝線維化Ishakスコアの群間差は、統計的に有意ではない(P=0.7361)。
図2に示すように、52週間治療の各群は何れも、肝線維化Ishakスコアがベースラインに比べて≧1点低下した被験者が一定割合存在し、そのうち、ヒドロニドン群は、治療前後の肝線維化Ishakスコアの群内差が何れも統計的に有意であり(P<0.05)、プラセボ対照群は、治療前後の肝線維化Ishakスコアの群内変化が統計的に有意ではない(P=0.3205)。各群における肝線維化Ishakスコアがベースラインに比べて≧1点低下した被験者の割合は、それぞれ、プラセボ対照群11例(26.19%)、180 mgヒドロニドンカプセル群17例(47.22%)、270 mgヒドロニドンカプセル群23例(65.71%)、360 mgヒドロニドンカプセル群18例(52.94%)であり、4群の群間差は統計的に有意である(P=0.0058)。
図4に示すように、そのうち、プラセボ対照群と270 mgヒドロニドンカプセル群、360 mgヒドロニドンカプセル群とにおける肝線維化Ishakスコアが≧1点低下した被験者の割合の差及びその95%CIがそれぞれ-39.52%(-56.83%、-17.26%)、-26.75%(-45.78%、-4.75%)であるため、270 mg/日のヒドロニドンカプセルと360 mg/日のヒドロニドンカプセルは患者の肝線維化程度をプラセボより明らかに逆転することができ、且つ270 mgヒドロニドンカプセル群の逆転効果が最も良いことが示されている。
【0268】
【0269】
-群間比較は、施設効果を考慮したCMH-χ2検定である;
-率差信頼区間は、Newcombe-Wilson法により算出される;
-最大の解析対象集団(FAS)において、52週間治療のIshak中央検査室による読解スコアが欠落した被験者は、LOCF法により補完された;
-ベースラインのIshak中央検査室による読解スコアが欠落した被験者は、無効として扱われた;
-「ベースライン-52週間治療」とは、ベースラインのIshakスコアから52週間治療後のIshakスコアを引いて、得られた2つのスコア間の変化である。
【0270】
【0271】
-Ishakスコア進行:52週間治療の肝線維化Ishakスコアがベースラインに比べて≧1上昇する;Ishakスコア安定化:52週間治療の肝線維化Ishakスコアがベースラインとは変わらない;Ishakスコア逆転:52週間治療の肝線維化Ishakスコアがベースラインに比べて≧1点低下する;
-最大の解析対象集団(FAS)において、52週間治療のIshak中央検査室による読解スコアが欠落した被験者は、LOCF法により補完された;
-ベースラインのIshak中央検査室による読解スコアが欠落した被験者は、無効として扱われ、即ち、被験者のIshakスコアが安定化しており、52週間治療の肝線維化Ishakスコアがベースラインとは変わらないと考えられる。
【0272】
-[1]はIshakスコア安定化の被験者が分布した群間比較の差を示し、[2]はIshakスコア進行の被験者が分布した群間比較の差を示す。
【0273】
肝線維化Ishakスコアは、52週間治療がベースラインに比べて(Ishakスコアが≧1上昇)進行した統計結果を表2、
図3、
図4に示す。その結果、プラセボ対照群は、肝線維化Ishakスコアが悪化した被験者が他の3群よりも多く、FASの群間差は統計的に有意ではなく(P=0.4929)、各群における肝線維化Ishakスコアがベースラインより悪化した被験者の割合は、それぞれ、プラセボ群9例(20.93%)、180 mgヒドロニドンカプセル群7例(16.67%)、270 mgヒドロニドンカプセル群4例(9.76%)、360 mgヒドロニドンカプセル群5例(12.20%)である。PPSの結果はFASと類似し、その群間差は統計的に有意ではなく(P=0.6545)、各群における肝線維化Ishakスコアがベースラインに比べて進行した被験者の割合は、それぞれ、プラセボ対照群9例(21.43%)、180 mgヒドロニドンカプセル群7例(19.44%)、270 mgヒドロニドンカプセル群4例(11.43%)、360 mgヒドロニドンカプセル群5例(14.71%)である。
【0274】
肝線維化Ishakスコアは、52週間治療がベースラインとは変わらない統計結果を表2、
図1、
図2に示す。その結果、プラセボ対照群は、肝線維化Ishakスコア安定化の被験者が他の3群よりも多く、FASの群間差は統計的に有意ではなく(P=0.3634)、各群における肝線維化Ishakスコアがベースラインとは変わらない被験者の割合は、それぞれ、プラセボ対照群23例(53.49%)、180 mgヒドロニドンカプセル群18例(42.86%)、270 mgヒドロニドンカプセル群14例(34.15%)、360 mgヒドロニドンカプセル群18例(43.90%)である。PPSの群間差は統計的に有意ではなく(P=0.0511)、各群における肝線維化Ishakスコアがベースラインとは変わらない被験者の割合は、それぞれ、プラセボ対照群22例(52.38%)、180 mgヒドロニドンカプセル群12例(33.33%)、270 mgヒドロニドンカプセル群8例(22.86%)、360 mgヒドロニドンカプセル群11例(32.35%)である。
【0275】
以上説明したように、52週間治療後に、ヒドロニドン群は、プラセボ群に比べて被験者の肝線維化状況を逆転させることができ、そのうち、270 mg/日のヒドロニドンカプセルは、患者の肝線維化を逆転させる効果が最も良い。
【0276】
2.2 Ishakスコア≧2の患者の統計解析結果
発明者は、更に、ベースラインのIshakスコア≧2の肝線維化患者において、ヒドロニドンの効果を評価した。データを表3に示す。
【0277】
【0278】
注:「スクリーニング期-フォローアップ15」とは、スクリーニング期のIshakスコアからフォローアップ15のIshakスコアを引いて、得られた2つのスコア間の変化である。
【0279】
2.3 有意な線維化患者の主要的治療効果の評価
Ishakスコア≧3の患者の統計解析結果
本試験の肝組織生検中央病理評価では、登録時に研究部門によって、肝穿刺による肝線維化結果でIshakスコア≧3に達し、試験に設定された登録基準に適合すると独立的に判定されたが、肝組織生検中央病理評価でIshakスコア≧3に達していない被験者(Ishakスコア≧2とIshakスコア≧1の被験者が含まれている)が存在していることが見出された。盲検化会議によって、中央病理スコアは、主要的治療効果の判定のみに使用されることが確認された。従って、本試験の結果は、現実世界での状況に更に合致し、治験薬の各期の肝線維化への治療効果を観察することができる。
【0280】
本試験の肝組織Ishak病理スコアでは、ヒドロニドン270 mg群は肝線維化を顕著に逆転させる治療効果を有することが観察されると共に、肝臓一過性エラストグラフィ検査でも、ヒドロニドン270 mg群は肝臓の硬さの逆転が最も良い傾向が示され、病理スコアに合致している。各ヒドロニドン試験群は、エンテカビルによるウイルス力価の低下に影響を与えず、ALTの回復にも影響を与えない。
【0281】
表4に示すように、発明者は、肝組織生検中央病理Ishakスコア≧3(即ち、有意な線維化)の患者の主要的治療効果の評価を補足的に解析した。その結果は上記の解析結果に一致しており、ヒドロニドン270 mg群は肝線維化に最も顕著な逆転治療効果を有することが見出された。
【0282】
【0283】
注:「スクリーニング期-フォローアップ15」とは、スクリーニング期のIshakスコアからフォローアップ15のIshakスコアを引いて、得られた2つのスコア間の変化である。
【0284】
発明者は、ベースラインIshakスコア≧3(即ち、有意な線維化)の肝線維化患者において、ヒドロニドン中高用量群(270 mg群+360 mg群)の組み合わせとプラセボ群との効果を比較した。その結果、Ishakスコア≧3、4又は=6の肝線維化患者において、中高用量のヒドロニドンを使用することで線維化が顕著に逆転される(P<0.05)ことが示されている。ヒドロニドンは、有意な線維化、進行期線維化及び肝硬変の何れにも治療効果を有することが示唆される。効果データを表5に示す。
【0285】
【0286】
注:「ベースライン-52週間治療後」とは、ベースラインのIshakスコアから52週間治療後のIshakスコアを引いて、得られた2つのスコア間の変化である。
【0287】
副次的治療効果:
肝臓一過性エラストグラフィLSM(kPa)による低下率
4群のベースラインの肝臓一過性弾性イメージングLSM(kPa)値の群間差は、統計学的に有意ではない(P=0.6906)。52週間治療された各群の肝臓一過性エラストグラフィLSM(kPa)値は、何れも低下しており、各群の治療前後の肝臓一過性エラストグラフィLSM(kPa)検測値の群内変化は、何れも統計的に有意である(P<0.01)。52週間治療後に、ヒドロニドン群は、肝臓一過性エラストグラフィLSM(kPa)による低下率の平均値が対照群よりも高く、270 mgヒドロニドンカプセル群は低下率の平均値が最も大きく、病理スコアの結果に合致しているが、FASの群間差が統計的に有意ではない(P=0.7311)。各群の肝臓一過性エラストグラフィLSM(kPa)による低下率の平均値(基準差)は、それぞれ、プラセボ対照群10.16%(63.19)、180 mgヒドロニドンカプセル群18.30%(29.65)、270 mgヒドロニドンカプセル群24.62%(31.23)、360 mgヒドロニドンカプセル群18.98%(33.96)である。PPSの解析結果はFASと類似している。
【0288】
肝臓組織の炎症改善
4群のベースラインの肝組織炎症分類スコアの群間差は、統計的に有意ではない(FAS:P=0.9123、PPS:P=0.7984)。52週間治療された各群の肝臓組織の炎症は、何れも低下しており、各群の治療前後の肝臓組織炎症スコアの群内変化は、何れも統計的に有意である(P<0.001)。各群における肝臓組織の炎症が改善された被験者の割合は、それぞれ、プラセボ対照群22例(52.38%)、180 mgヒドロニドンカプセル群21例(58.33%)、270 mgヒドロニドンカプセル群20例(57.14%)、360 mgヒドロニドンカプセル群19例(55.88%)である。ヒドロニドン群は改善が認められたが、4群間の差は統計的に有意ではない(P=0.9570)。PPSは、FAS52週間治療の結果と同様である。
【0289】
HBV DNAの陰転率
4群のベースラインのHBV DNA陽性率の群間差は、統計的に有意ではない(P=0.1474)。52週間治療された各群の被験者は、HBV DNAがほぼ陰転し、そのうち、プラセボ対照群40例(95.24%)、180 mgヒドロニドンカプセル群34例(94.44%)、270 mgヒドロニドンカプセル群の陰転34例(97.14%)、360 mgヒドロニドンカプセル群32例(94.12%)であり、4群間の陰転率の差は統計的に有意ではない(P=0.9569)。PPSの解析結果はFASと類似している。
【0290】
ALTの回復率
FASの解析結果によると、4群のベースラインのALT検測値の群間差は、統計的に有意ではない(P=0.3058)。52週間治療された各群のALT検測値は、何れも低下しており、各群の治療前後のALTの群内変化は、何れも統計的に有意である(P<0.001)。52週間治療のALT指標のベースラインに対して変化した平均値(基準差)は、プラセボ対照群が64.15(73.63)、180 mgヒドロニドンカプセル群が44.71(53.50)、270 mgヒドロニドンカプセル群が66.47(78.13)、360 mgヒドロニドンカプセル群が43.58(59.87)であるが、変化の群間差が統計的に有意ではない(P=0.5132)。PPSの解析結果はFASと類似している。
【0291】
FASの解析結果によると、52週間治療の各群は何れも、ALT指標が異常(ベースライン)から正常へ転化したと臨床的に判定された被験者が一部存在し、そのうち、プラセボ対照群21例(87.50%)、180 mgヒドロニドンカプセル群15例(78.95%)、270 mgヒドロニドンカプセル群18例(85.71%)、360 mgヒドロニドンカプセル群16例(88.89%)である。PPSの解析結果はFASと類似している。
【0292】
安全性:
ヒドロニドンは、安全性が良好である。試験中に、4群間の有害事象、有害反応及びSAE発生率は統計的に有意差がない。
【0293】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明の精神及び原則の範囲内でなされた何れの修正、同等置換、改良等も、本発明の請求範囲内に含まれるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性B型肝炎に伴う肝線維化を治療及び/又は予防する薬物の製造における式(I)で示される化合物、その溶媒和物、水和物、プロドラッグ又はその薬学的に許容される塩の使用。
【化1】
【請求項2】
前記慢性B型肝炎に伴う肝線維化は、門脈域線維化、有意な肝線維化、進行期肝線維化又は肝硬変であり、
好ましくは、前記肝硬変は代償期肝硬変又は非代償期肝硬変である、
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記門脈域線維化は、以下の1つ、2つ又はそれ以上によって特性評価可能である、ことを特徴とする請求項2に記載の使用。
(1)Ishakスコアリングシステムによって特性評価され、Ishakスコア≧1の肝線維化、又はIshakスコアが約1~3の肝線維化を指す;
(2)前記門脈域線維化は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価され、例えば、Scheuerスコアが約≧1の肝線維化、又はScheuerスコアが約1~2の肝線維化を指してもよい;
(3)前記門脈域線維化は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価され、METAVIRスコアが約≧1の肝線維化、又はMETAVIRスコアが約1~2の肝線維化を指す;及び/又は
(4)前記門脈域線維化は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価され、Knodellスコアが約≧1の肝線維化、又はKnodellスコアが約1~2の肝線維化を指す。
【請求項4】
前記有意な肝線維化は、以下の1つ、2つ又はそれ以上によって特性評価可能である、ことを特徴とする請求項
1に記載の使用。
(1)前記有意な肝線維化は、Ishakスコアリングシステムによって特性評価され、Ishakスコアが≧3又は≧4の肝線維化を指し、例えば、Ishakスコアが約3~6である;
(2)前記有意な肝線維化は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価され、Scheuerスコアが約≧2又は≧3の肝線維化を指し、例えば、Scheuerスコアが約2~4である;
(3)前記有意な肝線維化は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価され、METAVIRスコアが約≧2又は≧3の肝線維化を指し、例えば、METAVIRスコアが約2~4である;
(4)前記有意な肝線維化は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価され、Knodellスコアが約≧2又は≧3の肝線維化を指し、例えば、Knodellスコアが約2~4である;及び/又は
(5)前記有意な肝線維化は、肝硬度測定値によって特性評価され、LSMが約≧5.8キロパスカルの肝線維化を指し、例えば、LSMが約5.8~12.4 kPaである。
【請求項5】
前記進行期肝線維化は、以下の1つ、2つ又はそれ以上によって特性評価可能である、ことを特徴とする請求項
1に記載の使用。
(1)前記進行期肝線維化は、Ishakスコアリングシステムによって特性評価され、例えば、Ishakスコアが≧4又は≧5の肝線維化を指し、例えば、Ishakスコアが約4~6である;
(2)前記進行期肝線維化は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価され、Scheuerスコアが約≧3、又は約3~4の肝線維化を指す;
(3)前記進行期肝線維化は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価され、METAVIRスコアが約≧3又は約3~4の肝線維化を指す;
(4)前記進行期肝線維化は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価され、Knodellスコアが約≧2若しくは≧3の肝線維化、又は約2~4若しくは2~3の肝線維化を指す;及び/又は
(5)前記進行期肝線維化は、肝硬度測定値によって特性評価され、ビリルビンが正常で、ALT<5 ULNである場合は、LSMが約≧9.0 kPa若しくは≧10.0 kPaの肝線維化であり、又はビリルビンが正常でALTが正常である場合は、LSMが約≧6.0 kPaの肝線維化である。
【請求項6】
前記肝硬変は、以下の1つ、2つ又はそれ以上によって特性評価可能である、ことを特徴とする請求項
1に記載の使用。
(1)前記肝硬変は、Ishakスコアリングシステムによって特性評価され、Ishakスコア≧5又は約5~6の肝硬変を指す;
(2)前記肝硬変は、Scheuerスコアリングシステムによって特性評価され、Scheuerスコアが約≧4の肝硬変を指す;
(3)前記肝硬変は、METAVIRスコアリングシステムによって特性評価され、METAVIRスコアが約≧4の肝硬変を指す;
(4)前記肝硬変は、Knodellスコアリングシステムによって特性評価され、Knodellスコアが約≧4の肝硬変を指す;及び/又は
(5)前記肝硬変は、肝硬度測定値によって特性評価され、LSMが約≧12.0 kPa又は約≧13.0 kPaの肝硬変を指す。
【請求項7】
前記慢性B型肝炎に伴う肝線維化は、肝癌まで進行していない、ことを特徴とする請求項
1に記載の使用。
【請求項8】
前記式(I)で示される化合物の用量は、50~500 mg/日、例えば、80~450 mg/日、100~400 mg/日、120~360 mg/日であり、
好ましくは、前記薬物の投与回数は、1~5回/日、例えば、3回/日である、
ことを特徴とする請求項
1に記載の使用。
【請求項9】
前記薬学的に許容される塩は、前記式(I)の化合物が、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸から選ばれる有機酸又はアスパラギン酸及びグルタミン酸から選ばれる酸性アミノ酸とエステルを形成した後に、無機塩基と形成した(ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム塩及びアンモニウム塩を含む)塩、又は有機塩基と形成した(メチルアミン塩、エチルアミン塩及びエタノールアミン塩を含む)塩;或いはリジン、アルギニン及びオルニチンから選ばれる塩基性アミノ酸とエステルを形成した後に、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる無機酸と形成した塩、又はギ酸、酢酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸及びエタンスルホン酸から選ばれる有機酸と形成した塩を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の使用。
【請求項10】
前記薬物は、1種若しくは複数種の薬学的に許容される担体又は賦形剤を更に含む、ことを特徴とする請求項
1に記載の使用。
【請求項11】
慢性B型肝炎に伴う肝線維化を治療及び/又は予防する方法であって、
必要とする患者に、治療又は予防有効量の請求項1に記載の式(I)で示される化合物、その溶媒和物、水和物、プロドラッグ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、ラクトース一水和物、シリカ、ステアリン酸マグネシウムを含む、医薬組成物。
【請求項13】
重量百分率で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩の含有量が20~30%、ラクトース一水和物の含有量が70~80%、シリカの含有量が0.1~1%、ステアリン酸マグネシウムの含有量が0.1~1%である、
請求項12に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】