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特表2024-517352メンブレンホルダおよびメンブレンモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】メンブレンホルダおよびメンブレンモジュール
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/13 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
B01D29/14 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570364
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2022062214
(87)【国際公開番号】W WO2022238243
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】21173853.9
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523429081
【氏名又は名称】エヌイクス・フィルトレーション・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリク・ヨハン・フェルディナント・ベーレンズ
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA16
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC44
4D116BC46
4D116BC48
4D116BC76
4D116DD05
4D116FF18B
4D116GG12
4D116KK04
4D116QB49
4D116RR01
4D116RR04
4D116RR14
4D116VV08
(57)【要約】
本発明は、具体的にはチューブフィルタ内に適用するための、中空繊維メンブレン用のメンブレンホルダに関する。このメンブレンホルダは、
- 中央パイプであって、この中央パイプに液体を流し通すために中央パイプの外周部に沿って形成された入口開口の、相互に離間されたバンドを有する、中央パイプと、
- 中央パイプの周囲に配置された保持要素であって、中央パイプの外周部に沿って分散する径方向延在壁部パーツ、および径方向延在壁部パーツの自由端部同士の間に延在する閉鎖パーツであって、2つの隣接し合う径方向延在壁部パーツと閉鎖パーツとの間に中空繊維メンブレンバンドルを閉じ込めるための閉鎖パーツを有する、保持要素と、
- 中央パイプの周囲に同心状に配置され、中央パイプから離間され、径方向においてみた場合に入口開口のバンドを覆う、ディフレクタプレートと
を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
具体的にはチューブフィルタ内に適用するための、中空繊維メンブレン用のメンブレンホルダであって、
中央パイプであって、前記中央パイプに液体を流し通すために前記中央パイプの外周部に沿って形成された入口開口の、相互に離間されたバンドを有する、中央パイプと、
前記中央パイプの周囲に配置された保持要素であって、前記中央パイプの前記外周部に沿って分散する径方向延在壁部パーツ、および前記径方向延在壁部パーツの自由端部同士の間に延在する閉鎖パーツであって、2つの隣接し合う径方向延在壁部パーツと閉鎖パーツとの間に中空繊維メンブレンバンドルを閉じ込めるための閉鎖パーツを有する、保持要素と
を備える、メンブレンホルダにおいて、
前記中央パイプの周囲に同心状に配置され、前記中央パイプから離間され、径方向においてみた場合に入口開口の前記バンドを覆う、ディフレクタプレートを特徴とする、メンブレンホルダ。
【請求項2】
前記ディフレクタプレートは、リング形状を有し、内方壁部が、前記中央パイプの外方表面から等距離に位置決めされる、請求項1に記載のメンブレンホルダ。
【請求項3】
保持要素の前記径方向延在壁部パーツは、各リング形状ディフレクタプレートに対して配置される、請求項2に記載のメンブレンホルダ。
【請求項4】
前記中央パイプは、複数の同一のパイプパーツから構成され、各パイプパーツは、入口開口の前記バンドの中の少なくとも1つを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のメンブレンホルダ。
【請求項5】
各パイプパーツの一方の端部が、前記パイプパーツの他方の端部の内径に対応する外径を有する円筒状部分を有する、請求項4に記載のメンブレンホルダ。
【請求項6】
少なくとも1つのリング形状ディフレクタプレートが、各パイプパーツの上に配置され、長手方向ガイド溝が、前記リング形状ディフレクタプレートの内方表面および前記パイプパーツの外方表面の一方の上に配置され、リブが、前記リング形状ディフレクタプレートの前記内方表面および前記パイプパーツの前記外方表面の他方の上に配置され、前記リブは、前記ガイド溝内に延在する、請求項5および3に記載のメンブレンホルダ。
【請求項7】
前記径方向延在壁部パーツの各自由端部が、2つの結合部材を備え、各閉鎖パーツが、各端部上に閉鎖部材を備え、壁部パーツの1つの閉鎖部材および前記閉鎖パーツの1つの閉鎖部材が、中央チューブ軸に対して平行なヒンジ軸を有するヒンジを形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載のメンブレンホルダ。
【請求項8】
前記径方向延在壁部の前記自由端部上の前記2つの結合部材は、相互に同軸状に配置される、請求項7に記載のメンブレンホルダ。
【請求項9】
メンブレンモジュールであって、
請求項1から8のいずれか一項に記載のメンブレンホルダと、
各2つの隣接し合う径方向延在壁部パーツと閉鎖パーツとの間に配置された中空繊維メンブレンバンドルであって、前記バンドルは、前記中央パイプに対して平行に延在する、中空繊維メンブレンバンドルと、
例えば水などの液体を前記中空繊維メンブレンへ送給するために前記中空繊維メンブレンバンドルの一方の端部に対して配置された少なくとも1つのヘッダと、
各中空繊維メンブレンを閉じるために中空繊維メンブレンバンドルの他方の端部に対して配置された閉鎖部材と、
前記少なくとも1つのヘッダと前記閉鎖部材との間に配置されたハウジングであって、前記中央パイプは、フィルタリングされた液体を排出するために、前記閉鎖部材または少なくとも1つのヘッダの一方を少なくとも貫通して延在する、ハウジングと
を備える、メンブレンモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的にはチューブフィルタ内に適用するための、中空繊維メンブレン用のメンブレンホルダであって、
- 中央パイプであって、中央パイプに液体を流し通すために中央パイプの外周部に沿って形成された入口開口の、相互に離間されたバンドを有する、中央パイプと、
- 中央パイプの周囲に配置された保持要素であって、中央パイプの外周部に沿って分散する径方向延在壁部パーツ、および径方向延在壁部パーツの自由端部同士の間に延在する閉鎖パーツであって、2つの隣接し合う径方向延在壁部パーツと閉鎖パーツとの間に中空繊維メンブレンのバンドルを閉じ込めるための閉鎖パーツと
を備える、メンブレンホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるメンブレンホルダは、例えば米国特許出願公開第20090071894号などから知られている。この出願公開では、中央パイプが中に貫通して延在する円筒状ハウジングを備えるメンブレンモジュールが開示されている。この中央パイプは、中央パイプの外周壁部中に形成された複数の入口開口を備える。中空繊維メンブレンのバンドルを保持するために、星形形状保持要素が中央パイプ上に配置される。
【0003】
フィルタリングされることとなる水、または例えばビール、ワイン、ジュース、乳製品等の他の液体が、ヘッダを経由して中空繊維メンブレン中にポンプ送給され、フィルタリングされた液体は、中空繊維メンブレンの壁部を透過し、入口開口を経由して中央パイプの中に排出される。
【0004】
しばらくすると、中空繊維メンブレンは、液体から非常に多くの粒子をフィルタリングしていることにより、中空繊維メンブレンの洗浄が必要となる。この洗浄は、メンブレンモジュール内の流れを反転させることにより行われる。液体が、中央パイプを通り、入口開口を経由して、中空繊維メンブレンのバンドルが位置する空間内へとポンプ送給される。次いで、この液体は、フィルタリングされた粒子が中空繊維メンブレンから逆洗されるように、壁部を経由して中空繊維メンブレンを通過し、ヘッダを経由して排出される。
【0005】
問題点は、メンブレンモジュール内の流れを反転した場合に、液体流が、中央パイプ中の入口開口から噴出される点である。この液体噴出により、中空繊維メンブレンが損傷を被る可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0071894号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の欠点を軽減またはさらには解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、プリアンブルに記載のメンブレンホルダにより達成される。このメンブレンホルダは、中央パイプの周囲に同心状に配置され、中央パイプから離間され、径方向においてみた場合に入口開口のバンドを覆う、ディフレクタプレートを特徴とする。
【0009】
これらのディフレクタプレートは、中央パイプから離間されるが、径方向においてみた場合に入口開口を覆う。これにより、フィルタモジュールを逆洗する最中に、噴出液体が中空繊維メンブレンに直接的に向けられることが防止される。結果として、フィルタを逆洗するために、フィルタに損傷を与えることなくより高い流量を使用することが可能となる。
【0010】
本発明によるメンブレンホルダの好ましい一実施形態では、ディフレクタプレートは、リング形状を有し、内方壁部が、中央パイプの外方表面から等距離に位置決めされる。
【0011】
リング形状ディフレクタプレートが、中央パイプの周囲に容易に配置され得る。中央パイプの外方表面に対して内方壁部が等距離で位置決めされることにより、フィルタが流体で逆洗される場合に、すべての入口開口が同様の抵抗を有することになる。
【0012】
中央パイプの好ましい断面は円形であるが、リング形状ディフレクタプレートの使用により、例えば楕円形などの様々な断面を使用することがさらに可能になる。
【0013】
ディフレクタプレートのリング形状は、入口開口から噴出される液体の圧力が容易に抵抗を受け得るように強靭形状である。
【0014】
本発明によるメンブレンホルダの他の好ましい一実施形態では、保持要素の径方向延在壁部パーツは、各リング形状ディフレクタプレートに対して配置される。
【0015】
この実施形態により、リング形状ディフレクタプレートは、中央パイプ上において入口開口バンドを覆う正確な位置に摺動されることが可能となる。同時に、保持要素同士は、中空繊維メンブレンのバンドルを保持するために中央パイプの長さ方向に沿って適切な間隔をおいて位置決めされる。
【0016】
本発明によるメンブレンホルダの他の実施形態では、中央パイプは、複数の同一のパイプパーツから構成され、各パイプパーツは、入口開口のバンドの中の少なくとも1つを有する。
【0017】
したがって、中央パイプに対して複数の同一のパイプパーツを使用することにより、フィルタおよびメンブレンホルダを組み立てる場合に、フィルタの長さに関して高い自由度が可能となる。
【0018】
好ましくは、各パイプパーツの一方の端部が、パイプパーツの他方の端部の内径に対応する外径を有する円筒状部分を有する。
【0019】
これにより、パイプパーツ同士が、相互の中に部分的に摺入することが可能となる。両パイプパーツ上に小さい切欠部および溝を設けることにより、結合されたパイプパーツ同士が容易には分離しないようなスナップ連結が可能となり得る。
【0020】
メンブレンホルダのさらに他の好ましい一実施形態では、少なくとも1つのリング形状ディフレクタプレートが、各パイプパーツの上に配置され、長手方向ガイド溝が、リング形状ディフレクタプレートの内方表面およびパイプパーツの外方表面の一方の上に配置され、リブが、リング形状ディフレクタプレートの内方表面およびパイプパーツの外方表面の他方の上に配置され、リブは、ガイド溝内に延在する。
【0021】
リブおよび溝は、ガイドを提供し、これにより、保持要素が上に載置されたリング形状ディフレクタプレートは、正確な角度位置に位置決めされ、中央パイプの長さ方向に沿って位置するすべての保持要素が、正確に整列される。
【0022】
本発明によるメンブレンホルダのさらに他の一実施形態では、径方向延在壁部パーツの各自由端部が、2つの結合部材を備え、各閉鎖パーツが、各端部上に閉鎖部材を備え、壁部パーツの1つの閉鎖部材および閉鎖パーツの1つの閉鎖部材が、中央チューブ軸に対して平行なヒンジ軸を有するヒンジを形成する。
【0023】
結合部材がヒンジであることにより、閉鎖部材の一方の端部は、閉鎖部材が他の結合部材上へとヒンジ開放されるように、結合解除されることが可能となる。これは、保持要素内へ中空繊維メンブレンバンドルを位置決めする場合に、有利となる。
【0024】
さらに好ましくは、径方向延在壁部の自由端部上の2つの結合部材同士が、相互に同軸状に配置される。
【0025】
さらに、本発明は、メンブレンモジュールに関する。このメンブレンモジュールは、
- 本発明によるメンブレンホルダと、
- 各2つの隣接し合う径方向延在壁部パーツと閉鎖パーツとの間に配置された中空繊維メンブレンバンドルであって、バンドルが中央パイプに対して平行に延在する、中空繊維メンブレンバンドルと、
- 例えば水などの液体を中空繊維メンブレンへ送給するために中空繊維メンブレンバンドルの一方の端部に対して配置された少なくとも1つのヘッダと、
- 各中空繊維メンブレンを閉じるために中空繊維メンブレンバンドルの他方の端部に対して配置された閉鎖部材と、
- 少なくとも1つのヘッダと閉鎖部材との間に配置されたハウジングであって、中央パイプが、フィルタリングされた液体を排出するために、閉鎖部材または少なくとも1つのヘッダの一方を少なくとも貫通して延在する、ハウジングと
を備える。
【0026】
本発明のこれらのおよび他の特徴が、添付の図面と組み合わせて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明によるメンブレンホルダの斜視図である。
図2図1によるメンブレンホルダを構成するパーツの分解図である。
図3】複数のパーツが除去された状態にある図1のメンブレンホルダを示す図である。
図4】1つの閉鎖パーツが開いた状態にある図3と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明によるメンブレンホルダ1の斜視図である。メンブレンホルダ1は、中央パイプ2と、中央パイプ2の周囲に配置され軸方向において相互に離間された保持要素3とを有する。
【0029】
各保持要素3は、径方向延在壁部パーツ5を有するリング形状ディフレクタプレート4を有する。閉鎖パーツ6が、壁部パーツ5の自由端部に対して結合される。
【0030】
図2は、図1のメンブレンホルダ1を構成するパーツの分解図を示す。中央パイプ2は、複数のパイプパーツから構成され、これらのパイプパーツは、一方の端部に円筒状部分7を有する。この円筒状部分7は、他方の端部の内方壁部8の直径に対応する。円筒状部分7は、切欠部9を備え、この切欠部9は、中央パイプ2を構成するためにパイプパーツ同士の間にスナップ連結部を実現するように、内方壁部8上の他方の端部の溝10と協働する。
【0031】
パイプパーツは、入口開口12のバンド11を備える。これらの入口開口12は、中央パイプ2内へフィルタリングされた液体を排出する。さらに、軸方向延在溝13が、パイプパーツの外方表面中に構成される。この溝13は、リング形状ディフレクタプレート4の内面上に配置されたリブ14と協働する。これらのリブ14により、ディフレクタプレート4の内方表面がパイプパーツの外部表面から均等な離間距離をおいて位置することが確保される。
【0032】
壁部パーツ5の自由端部は、同軸状に整列された1対の円筒状ブシュ15を備える。これらのブシュ15は、閉鎖パーツ6の両端部上に配置されたピン16に結合され、ヒンジを形成する。
【0033】
図3は、第2のパイプパーツとの組合せにおいて組み立てられた図2のパーツを示す。フィルタモジュールが逆洗されると、液体流Fは、中央パイプ2内に送給されることになる。ディフレクタプレートが存在しない場合には(図示するように第2のパイプパーツ上に)、液体は、パイプパーツから径方向へと流出する。しかし、リング形状ディフレクタプレート4が入口開口12を覆うように位置決めされる場合には、液体流Fは、偏向され、パイプパーツとディフレクタプレート4との間の空間から軸方向へと流出することになるため、壁部パーツ5と閉鎖パーツ6との間においてバンドル状に保持された中空繊維メンブレンは、損傷を被らない。
【0034】
図4は、1つの閉鎖パーツ6が開かれヒンジ開放された状態にある、図3の実施形態を示す。さらに、この図から、中央パイプ2が2つのパイプパーツから構成されることが明らかである。中央パイプ2の全長に沿って閉鎖パーツ6を開くことにより、中空繊維メンブレンのバンドルをメンブレンホルダ1内に配置することが可能となり、その後、閉鎖パーツ6は、径方向延在壁部パーツ5の自由端部に位置するブシュ15内にピン16を移動させることによって再び閉じられる。
【符号の説明】
【0035】
1 メンブレンホルダ
2 中央パイプ
3 保持要素
4 リング形状ディフレクタプレート
5 径方向延在壁部パーツ
6 閉鎖パーツ
7 円筒状部分
8 内方壁部
9 切欠部
10 溝
11 バンド
12 入口開口
13 軸方向延在溝
14 リブ
15 円筒状ブシュ
16 ピン
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】