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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】がんを治療するための併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240415BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 31/502 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240415BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240415BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240415BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240415BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61K39/395 D
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/517
A61K31/4709
A61P13/12
A61K31/337
A61K31/352
A61K31/502
A61P15/00
A61P17/00
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N15/62 Z
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562257
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 CN2022086143
(87)【国際公開番号】W WO2022218264
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/173,479
(32)【優先日】2021-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/300,567
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520053809
【氏名又は名称】アダジーン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルオ, ピーター ペイチー
(72)【発明者】
【氏名】リュウ, ギジョン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC412
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C086AA01
4C086BA02
4C086BA08
4C086BC28
4C086BC46
4C086BC50
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB26
4C086ZC41
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
提供するのは、活性化可能な抗CTLA4抗体のような抗細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)抗体を用いて、がんを治療する組成物及び方法である。いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体と、免疫チェックポイント阻害剤、抗CD137抗体、血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤、化学療法剤またはポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤とを含む併用療法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に、(a)有効量の活性化可能な抗体及び(b)有効量の抗PD-1抗体を投与することを含み、前記活性化可能な抗体が、
N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)、切断可能な部分(CM)及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含み、
前記MMが、XCPDHPYPCXX(配列番号181)、XCDAFYPYCXX(配列番号182)、XCDSHYPYCXX(配列番号183)、及びXCVPYYYACXX(配列番号184)からなる群から選択したアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸であり、前記CMが切断されていないときには、前記MMが、前記活性化可能な抗体のヒトCTLA4への結合を阻害し、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
a)前記TBMが、抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、前記活性化可能な抗体がさらに、抗体重鎖可変領域(VH)を含む第2のポリペプチドを含むか、
b)前記TBMが、抗体重鎖可変領域(VH)を含み、前記活性化可能な抗体がさらに、抗体軽鎖可変領域(VL)を含む第2のポリペプチドを含むか、
c)前記TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含むか、または
d)前記TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体重鎖可変領域(VH)及び抗体軽鎖可変領域(VL)
を含み、
前記CMが切断されると、前記活性化可能な抗体が、前記VH及びVLを介して、ヒトCTLA4に結合する前記方法。
【請求項2】
前記抗PD1抗体が、2E5またはトリパリマブである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記がんが、卵巣癌、膵臓癌、胆管癌、肺癌、乳癌、メラノーマ、肝細胞癌、グリオブラストーマ、腎細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または結腸直腸癌である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に、(a)有効量の活性化可能な抗体及び(b)有効量の抗CD137抗体を投与することを含み、前記活性化可能な抗体が、
N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)、切断可能な部分(CM)及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含み、
前記MMが、XCPDHPYPCXX(配列番号181)、XCDAFYPYCXX(配列番号182)、XCDSHYPYCXX(配列番号183)、及びXCVPYYYACXX(配列番号184)からなる群から選択したアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸であり、前記CMが切断されていないときには、前記MMが、前記活性化可能な抗体のヒトCTLA4への結合を阻害し、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
a)前記TBMが、抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、前記活性化可能な抗体がさらに、抗体重鎖可変領域(VH)を含む第2のポリペプチドを含むか、
b)前記TBMが、抗体重鎖可変領域(VH)を含み、前記活性化可能な抗体がさらに、抗体軽鎖可変領域(VL)を含む第2のポリペプチドを含むか、
c)前記TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含むか、または
d)前記TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体重鎖可変領域(VH)及び抗体軽鎖可変領域(VL)
を含み、
前記CMが切断されると、前記活性化可能な抗体が、前記VH及びVLを介して、ヒトCTLA4に結合し、
前記抗CD137抗体が、ヒトCD137の細胞外ドメインに特異的に結合し、前記抗体が、配列番号231の51番目、53番目、62~73番目、83番目、89番目、92番目、95~104番目及び112~116番目のアミノ酸残基からなる群から選択した1つ以上のアミノ酸残基に結合する前記方法。
【請求項5】
前記抗CD137抗体が、配列番号231の51番目、63~67番目、69~73番目、83番目、89番目、92番目、98~104番目及び112~114番目のアミノ酸残基に結合する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抗CD137抗体が、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHが、配列番号232のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号233のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号234のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、前記VLが、配列番号235のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号236のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号237のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗CD137抗体が、配列番号238のアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号239のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗CD137抗体が、重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖が、配列番号240のアミノ酸配列を含み、及び/または前記軽鎖が、配列番号241のアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗CD137抗体が、VH及びVLを含み、前記VHが、配列番号242のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号243のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号244のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、前記VLが、配列番号245のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号246のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号247のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項10】
前記抗CD137抗体が、配列番号248のアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号249のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗CD137抗体が、重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖が、配列番号250のアミノ酸配列を含み、及び/または前記軽鎖が、配列番号251のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗CD137抗体が、VH及びVLを含み、前記VHが、配列番号252のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号253のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号254のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、前記VLが、配列番号255のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号256のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号257のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項13】
前記抗CD137抗体が、配列番号258のアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号259のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抗CD137抗体が、重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖が、配列番号260のアミノ酸配列を含み、及び/または前記軽鎖が、配列番号261のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗CD137抗体が、ヒトIgG4のFc領域を含み、任意に、前記ヒトIgG4のFc領域が、S241Pという変異を含み、ナンバリングが、Kabatに従うものである、請求項4~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記がんが、卵巣癌、膵臓癌、胆管癌、肺癌、乳癌、メラノーマ、肝細胞癌、グリオブラストーマ、腎細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または結腸直腸癌である、請求項4~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記MMがさらに、そのN末端に追加のアミノ酸配列を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記追加のアミノ酸配列が、配列番号148のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の切断部位が、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14及びTACEからなる群から選択したプロテアーゼのプロテアーゼ切断部位である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記CMがさらに、前記第1の切断部位のC末端側に、第1のリンカー(L)を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記Lが、配列番号156~163からなる群から選択したアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記CMがさらに、第2の切断部位を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の切断部位が、前記LのC末端側にある、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の切断部位が、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14及びTACEからなる群から選択したプロテアーゼのプロテアーゼ切断部位である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の切断部位と前記第2の切断部位が異なる、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記CMがさらに、前記第2の切断部位のC末端側に、第2のリンカー(L)を含む、請求項22~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記Lが、配列番号156~163からなる群から選択したアミノ酸配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記CMがさらに、前記第1の切断部位のN末端側に、第3のリンカー(L)を含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記CMが、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位を含み、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14及びTACEからなる群から選択した1つ以上のプロテアーゼによって切断される、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記活性化可能な抗体が、配列番号165~179からなる群から選択したアミノ酸配列を含む、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記MMが切断されると、前記活性化可能な抗体が、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108という残基を含まないエピトープに特異的に結合し、前記アミノ酸残基のナンバリングが、配列番号207に従うものである、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に、(a)抗CTLA4抗体のうち、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108という残基を含まないエピトープに特異的に結合し、前記アミノ酸残基のナンバリングが、配列番号207に従うものである抗体を有効量と、(b)VEGF阻害剤を有効量、投与することを含む前記方法。
【請求項33】
前記VEGF阻害剤が、フルキンチニブである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記がんが、大腸癌である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記VEGF阻害剤が、アンロチニブである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記がんが、腎臓癌、任意に腎臓腺癌である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記活性化可能な抗体を前記対象に、約0.1mg/kg~約20mg/kgの用量で投与する、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記活性化可能な抗体を前記対象に、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kg、約6mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kgまたは約20mg/kgの用量で投与する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に、(a)抗CTLA4抗体のうち、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108という残基を含まないエピトープに特異的に結合し、前記アミノ酸残基のナンバリングが、配列番号207に従うものである抗体を有効量と、(b)化学療法剤を有効量、投与することを含む前記方法。
【請求項40】
前記化学療法剤が、ドセタキセルである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記がんが、乳癌である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記化学療法剤が、イカリチンである、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記がんが、メラノーマである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に、(a)抗CTLA4抗体のうち、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108という残基を含まないエピトープに特異的に結合し、前記アミノ酸残基のナンバリングが、配列番号207に従うものである抗体を有効量と、(b)PARP阻害剤を有効量、投与することを含む前記方法。
【請求項45】
前記PARP阻害剤が、オラパリブである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記がんが、乳癌である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
a)前記抗体が、ヒトCTLA4、カニクイザルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及びイヌCTLA4に、約350nM以下の解離定数(K)で結合し、
b)前記抗CTLA4抗体の結合により、CTLA4を発現しているヒト細胞またはヒトTreg細胞に対して、抗体依存性細胞傷害(ADCC)が誘導され、前記抗CTL4抗体のADCC活性が、イピリムマブのADCC活性よりも高く、及び/または
c)CD80及び/またはCD86をプレートに結合したとき、あるいはヒトCTLA4が細胞表面上に存在するときのいずれかのアッセイにおいて、前記抗CTLA4抗体が、CD80及び/またはCD86のヒトCTLA4への結合を遮断するIC50が、イピリムマブのIC50よりも高い、
請求項32~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
a)前記重鎖可変領域が、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含み、
前記HVR-H1が、
式(I):X1TFSX2YX3IHWV(配列番号1)(式中、X1は、FまたはYであり、X2は、DまたはGであり、X3は、A、GまたはWである)、
式(II):YSIX1SGX2X3WX4WI(配列番号2)(式中、X1は、SまたはTであり、X2は、HまたはYであり、X3は、HまたはYであり、X4は、A、DまたはSである)、及び
式(III):FSLSTGGVAVX1WI(配列番号3)(式中、X1は、GまたはSである)、
からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含み、
前記HVR-H2が、
式(IV):IGX1IX2HSGSTYYSX3SLKSRV(配列番号4)(式中、X1は、DまたはEであり、X2は、SまたはYであり、X3は、PまたはQである)、
式(V):IGX1ISPSX2GX3TX4YAQKFQGRV(配列番号5)(式中、X1は、IまたはWであり、X2は、GまたはSであり、X3は、GまたはSであり、X4は、KまたはNである)、及び
式(VI):VSX1ISGX2GX3X4TYYADSVKGRF(配列番号6)(式中、X1は、A、GまたはSであり、X2は、SまたはYであり、X3は、GまたはSであり、X4は、SまたはTである)、
からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含み、
前記HVR-H3が、
式(VII):ARX1X2X3X4FDX5(配列番号7)(式中、X1は、G、RまたはSであり、X2は、A、IまたはYであり、X3は、D、VまたはYであり、X4は、A、EまたはYであり、X5は、IまたはYである)、
式(VIII):ARX1GX2GYFDX3(配列番号8)(式中、X1は、DまたはLであり、X2は、FまたはYであり、X3は、VまたはYである)、
式(IX):ARX1X2X3X4AX5X6FDY(配列番号9)(式中、X1は、LまたはRであり、X2は、IまたはPであり、X3は、AまたはYであり、X4は、SまたはTであり、X5は、TまたはYであり、X6は、AまたはYである)、
式(X):ARDX1X2X3GSSGYYX4GFDX5(配列番号10)(式中、X1は、IまたはVであり、X2は、AまたはHであり、X3は、PまたはSであり、X4は、DまたはYであり、X5は、FまたはVである)、
からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含み、
b)前記軽鎖可変領域が、HVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3を含み、
前記HVR-L1が、
式(XI):RASQX1X2X3SX4LX5(配列番号11)(式中、X1は、GまたはSであり、X2は、IまたはVであり、X3は、GまたはSであり、X4は、SまたはYであり、X5は、AまたはNである)
式(XII):RASQX1VX2X3RX4LA(配列番号12)(式中、X1は、SまたはTであり、X2は、F、RまたはSであり、X3は、GまたはSであり、X4は、FまたはYである)、及び
式(XIII):RASX1SVDFX2GX3SFLX4(配列番号13)(式中、X1は、EまたはQであり、X2は、D、F、HまたはYであり、X3は、F、IまたはKであり、X4は、A、DまたはHである)、
からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含み、
前記HVR-L2が、式(XIV):X1ASX2X3X4X5GX6(配列番号14)(式中、X1は、AまたはDであり、X2は、N、SまたはTであり、X3は、LまたはRであり、X4は、A、EまたはQであり、X5は、SまたはTであり、X6は、IまたはVである)によるアミノ酸配列を含み、
前記HVR-L3が、
式(XV):YCX1X2X3X4X5X6PX7T(配列番号15)(式中、X1は、E、QまたはVであり、X2は、HまたはQであり、X3は、A、G、H、RまたはSであり、X4は、D、L、SまたはYであり、X5は、E、G、P、QまたはSであり、X6は、L、T、VまたはWであり、X7は、F、L、P、WまたはYである)、
式(XVI):YCQQX1X2X3WPPWT(配列番号16)(式中、X1は、SまたはYであり、X2は、DまたはYであり、X3は、QまたはYである)、及び
式(XVII):YCQX1YX2SSPPX3YT(配列番号17)(式中、X1は、HまたはQであり、X2は、TまたはVであり、X3は、EまたはVである)、
からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含む、
請求項32~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記抗体が、
a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号70のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号71のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号72のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
d)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号68のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号73のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
e)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号74のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
f)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
g)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号76のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
h)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号69のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
i)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号48のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号78のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
j)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号49のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号79のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
k)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号80のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
l)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号81のアミノ酸配列を含むHVR-L3、または
m)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号68のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記抗体が、
a)配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
b)配列番号83のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号96のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
c)配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
d)配列番号85のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号98のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
e)配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
f)配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号100のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
g)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
h)配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号102のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
i)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
j)配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
k)配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号105のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
l)配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号106のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
m)配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記抗体が、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域、あるいは(b)配列番号87のアミノ酸配列、もしくは配列番号87のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号100のアミノ酸配列、もしくは配列番号100のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記活性化可能な抗体が、配列番号320または321のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記活性化可能な抗体が、配列番号323または324のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記活性化可能な抗体が、配列番号326または327のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
対象においてメラノーマを治療する方法であって、前記対象に、活性化可能な抗体を有効量投与することを含み、前記活性化可能な抗体が、
N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)、切断可能な部分(CM)及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含み、
前記MMが、XCPDHPYPCXX(配列番号181)、XCDAFYPYCXX(配列番号182)、XCDSHYPYCXX(配列番号183)、及びXCVPYYYACXX(配列番号184)からなる群から選択したアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸であり、前記CMが切断されていないときには、前記MMが、前記活性化可能な抗体のヒトCTLA4への結合を阻害し、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
a)前記TBMが、抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、前記活性化可能な抗体がさらに、抗体重鎖可変領域(VH)を含む第2のポリペプチドを含むか、
b)前記TBMが、抗体重鎖可変領域(VH)を含み、前記活性化可能な抗体がさらに、抗体軽鎖可変領域(VL)を含む第2のポリペプチドを含むか、
c)前記TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含むか、または
d)前記TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体重鎖可変領域(VH)及び抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、
前記CMが切断されると、前記活性化可能な抗体が、前記VH及びVLを介して、ヒトCTLA4に結合する前記方法。
【請求項56】
前記活性化可能な抗体が、配列番号320または321のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記活性化可能な抗体が、配列番号323または324のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記活性化可能な抗体が、配列番号326または327のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が、ヒトである、請求項1~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記対象に、少なくとも1つの追加の治療剤を治療有効量投与することをさらに含む、請求項1~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記活性化可能な抗体を前記対象に、約0.1mg/kg~約20mg/kgの用量で投与する、請求項39~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記活性化可能な抗体を前記対象に、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kg、約6mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kgまたは約20mg/kgの用量で投与する、請求項61に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年4月11日に出願した米国仮特許出願第63/173,479号、及び2022年1月18日に出願した同第63/300,567号の優先権の利益を主張するものであり、これらのそれぞれの内容は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
本願は、がんの治療分野におけるものであり、ヒト細胞傷害性Tリンパ球タンパク質4(CTLA4)に結合する抗体を含む併用療法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
細胞傷害性Tリンパ球タンパク質4(CTLA4)は、タンパク質の免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーのメンバーのうち、T細胞の活性化をダウンレギュレートするとともに、免疫原性のホメオスタシスを維持するように作用するメンバーである。同系マウス前立腺癌モデルにおいて、in vivoで、抗体の媒介によりCTLA4を遮断すると、抗がん免疫応答が増強されることが示されている(Kwon et al.(1997)Proc Natl Acad Sci USA,94(15):8099-103)。加えて、腫瘍担持マウスにおいて、CTLA4機能の遮断により、腫瘍成長の様々な段階で、抗腫瘍T細胞応答が増強されることが示された(Yang et al.(1997)Cancer Res 57(18):4036-41、Hurwitz et al.(1998)Proc Natl Acad Sci USA 95(17):10067-7)。しかしながら、ヒトでの使用に適する抗体ベースの治療剤の開発は、依然として困難である。前臨床の動物モデルから、ヒトでの安全性への移行が不良な場合が多いからである。したがって、動物モデル研究を可能にすると同時に、適切なヒト用治療薬候補を提供するために、ヒト及び実験動物(例えば、マウス、サル、ラットなど)のような異なる種の間で交差反応性を有する抗CTLA4抗体に対するニーズが存在する。加えて、プロテアーゼに富む腫瘍微小環境内などの特定の状況でのみ活性を持つ、より安全な抗CTLA4抗体の開発に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、抗CTLA4抗体及び活性化可能な抗CTLA4抗体でがんを治療する方法を提供する。本願はさらに、抗CTLA4抗体及び第2の治療剤でがんを治療する方法を提供する。本願はさらに、活性化可能な抗CTLA4抗体及び第2の治療剤でがんを治療する方法を提供する。
【0005】
一態様では、本発明で提供するのは、対象においてがんを治療する方法であって、その対象に、(a)活性化可能な抗体を有効量投与することを含み、その活性化可能な抗体が、N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)、切断可能な部分(CM)及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含み、MMが、XCPDHPYPCXX(配列番号181)、XCDAFYPYCXX(配列番号182)、XCDSHYPYCXX(配列番号183)及びXCVPYYYACXX(配列番号184)からなる群から選択したアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸であり、CMが切断されていないときには、MMが、その活性化可能な抗体のヒトCTLA4への結合を阻害し、CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、a)TBMが、抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、その活性化可能な抗体がさらに、抗体重鎖可変領域(VH)を含む第2のポリペプチドを含むか、b)TBMが、抗体重鎖可変領域(VH)を含み、その活性化可能な抗体がさらに、抗体軽鎖可変領域(VL)を含む第2のポリペプチドを含むか、c)TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含むか、またはd)TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体重鎖可変領域(VH)及び抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、CMが切断されると、その活性化可能な抗体が、そのVH及びVLを介して、ヒトCTLA4に結合する方法である。いくつかの実施形態では、その対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、その対象は、非ヒト動物または非ヒト哺乳動物である。
【0006】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、単剤療法として、それを必要とする患者に投与できる。別の実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、本明細書に示されているような1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて投与できる。いくつかの実施形態では、そのがんは、卵巣癌、膵臓癌、胆管癌、肺癌、乳癌、メラノーマ、肝細胞癌、グリオブラストーマ、腎細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、その肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、その結腸直腸癌は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)結腸直腸癌またはミスマッチ修復欠損(dMMR+)結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、そのメラノーマは、ぶどう膜(UV)メラノーマである。
【0007】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体のMMはさらに、そのN末端に追加のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、その追加のアミノ酸配列は、配列番号148のアミノ酸配列を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体の第1の切断部位は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14及びTACEからなる群から選択したプロテアーゼのプロテアーゼ切断部位である。
【0009】
いくつかの実施形態では、そのCMはさらに、第1の切断部位のC末端側に、第1のリンカー(L)を含む。いくつかの実施形態では、そのLは、配列番号156~163からなる群から選択したアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、そのCMはさらに、第2の切断部位を含む。いくつかの実施形態では、その第2の切断部位は、LのC末端側である。いくつかの実施形態では、その第2の切断部位は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14及びTACEからなる群から選択したプロテアーゼのプロテアーゼ切断部位である。いくつかの実施形態では、第1の切断部位と第2の切断部位は、異なっている。
【0011】
いくつかの実施形態では、そのCMはさらに、第2の切断部位のC末端側に、第2のリンカー(L)を含む。いくつかの実施形態では、そのLは、配列番号156~163からなる群から選択したアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、そのCMはさらに、第1の切断部位のN末端側に、第3のリンカー(L)を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、そのCMは、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位を含み、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14及びTACEからなる群から選択した1つ以上のプロテアーゼによって切断される。
【0013】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号165~179からなる群から選択したアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号189~196からなる群から選択したアミノ酸配列のMMを有する。別の実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号213~216からなる群から選択したアミノ酸配列のMMを含む。別の実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号141~147からなる群から選択したアミノ酸配列のMMを含む。特定の実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号200のアミノ酸配列のMMを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号197~209からなる群から選択したアミノ酸配列の、MM/CMの組み合わせを含む。特定の実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号192のアミノ酸配列の、MM/CMの組み合わせを有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、MMが切断されると、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108という残基を含まないエピトープに特異的に結合し、そのアミノ酸残基のナンバリングは、配列番号207に従うものである。
【0017】
いくつかの実施形態では、MMが切断されると、a)その切断済みの抗CTLA4抗体は、ヒトCTLA4、カニクイザルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及びイヌCTLA4に、約350nM以下の解離定数(K)で結合し、b)その抗CTLA4抗体の結合により、CTLA4を発現しているヒト細胞またはヒトTreg細胞に対して、抗体依存性細胞傷害(ADCC)が誘導され、その抗CTL4抗体のADCC活性は、イピリムマブのADCC活性よりも高く、及び/またはc)CD80及び/またはCD86をプレートに結合したとき、あるいはヒトCTLA4が細胞表面上に存在するときのアッセイにおいて、その抗CTLA4抗体は、CD80及び/またはCD86のヒトCTLA4への結合を遮断する際のIC50が、イピリムマブのIC50よりも高い。
【0018】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、a)その重鎖可変領域は、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含み、そのHVR-H1は、
式(I):X1TFSX2YX3IHWV(配列番号1)(式中、X1は、FまたはYであり、X2は、DまたはGであり、X3は、A、GまたはWである)、
式(II):YSIX1SGX2X3WX4WI(配列番号2)(式中、X1は、SまたはTであり、X2は、HまたはYであり、X3は、HまたはYであり、X4は、A、DまたはSである)、及び
式(III):FSLSTGGVAVX1WI(配列番号3)(式中、X1は、GまたはSである)、
からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含み、
そのHVR-H2は、
式(IV):IGX1IX2HSGSTYYSX3SLKSRV(配列番号4)(式中、X1は、DまたはEであり、X2は、SまたはYであり、X3は、PまたはQである)、
式(V):IGX1ISPSX2GX3TX4YAQKFQGRV(配列番号5)(X1は、IまたはWであり、X2は、GまたはSであり、X3は、GまたはSであり、X4は、KまたはNである)、及び
式(VI):VSX1ISGX2GX3X4TYYADSVKGRF(配列番号6)(式中、X1は、A、GまたはSであり、X2は、SまたはYであり、X3は、GまたはSであり、X4は、SまたはTである)、
からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含み、
そのHVR-H3は、
式(VII):ARX1X2X3X4FDX5(配列番号7)(式中、X1は、G、RまたはSであり、X2は、A、IまたはYであり、X3は、D、VまたはYであり、X4は、A、EまたはYであり、X5は、IまたはYである)、
式(VIII):ARX1GX2GYFDX3(配列番号8)(式中、X1は、DまたはLであり、X2は、FまたはYであり、X3は、VまたはYである)、
式(IX):ARX1X2X3X4AX5X6FDY(配列番号9)(式中、X1は、LまたはRであり、X2は、IまたはPであり、X3は、AまたはYであり、X4は、SまたはTであり、X5は、TまたはYであり、X6は、AまたはYである)、
式(X):ARDX1X2X3GSSGYYX4GFDX5(配列番号10)(式中、X1は、IまたはVであり、X2は、AまたはHであり、X3は、PまたはSであり、X4は、DまたはYであり、X5は、FまたはVである)、
からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含み、
b)その軽鎖可変領域は、HVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3を含み、
そのHVR-L1は、
式(XI):RASQX1X2X3SX4LX5(配列番号11)(式中、X1は、GまたはSであり、X2は、IまたはVであり、X3は、GまたはSであり、X4は、SまたはYであり、X5は、AまたはNである)
式(XII):RASQX1VX2X3RX4LA(配列番号12)(式中、X1は、SまたはTであり、X2は、F、RまたはSであり、X3は、GまたはSであり、X4は、FまたはYである)、及び
式(XIII):RASX1SVDFX2GX3SFLX4(配列番号13)(式中、X1は、EまたはQであり、X2は、D、F、HまたはYであり、X3は、F、IまたはKであり、X4は、A、DまたはHである)、
からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含み、
そのHVR-L2は、式(XIV):X1ASX2X3X4X5GX6(配列番号14)(式中、X1は、AまたはDであり、X2は、N、SまたはTであり、X3は、LまたはRであり、X4は、A、EまたはQであり、X5は、SまたはTであり、X6は、IまたはVである)によるアミノ酸配列を含み、
そのHVR-L3は、
式(XV):YCX1X2X3X4X5X6PX7T(配列番号15)(式中、X1は、E、QまたはVであり、X2は、HまたはQであり、X3は、A、G、H、RまたはSであり、X4は、D、L、SまたはYであり、X5は、E、G、P、QまたはSであり、X6は、L、T、VまたはWであり、X7は、F、L、P、WまたはYである)、
式(XVI):YCQQX1X2X3WPPWT(配列番号16)(式中、X1は、SまたはYであり、X2は、DまたはYであり、X3は、QまたはYである)、及び
式(XVII):YCQX1YX2SSPPX3YT(配列番号17)(式中、X1は、HまたはQであり、X2は、TまたはVであり、X3は、EまたはVである)、
からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号70のアミノ酸配列を含むHVR-L3、b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号71のアミノ酸配列を含むHVR-L3、c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号72のアミノ酸配列を含むHVR-L3、d)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号68のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号73のアミノ酸配列を含むHVR-L3、e)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号74のアミノ酸配列を含むHVR-L3、f)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L3、g)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号76のアミノ酸配列を含むHVR-L3、h)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号69のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR-L3、i)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号48のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号78のアミノ酸配列を含むHVR-L3、j)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号49のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号79のアミノ酸配列を含むHVR-L3、k)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号80のアミノ酸配列を含むHVR-L3、l)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号81のアミノ酸配列を含むHVR-L3、またはm)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号68のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、切断されると、a)配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、b)配列番号83のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号96のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、c)配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、d)配列番号85のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号98のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、e)配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、f)配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号100のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、g)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、h)配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号102のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、i)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、j)配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、k)配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号105のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、l)配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号106のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、またはm)配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、切断されると、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域、あるいは(b)配列番号87のアミノ酸配列、もしくは配列番号87のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号100のアミノ酸配列、もしくは配列番号100のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号320のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、配列番号321のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、配列番号320または321のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、配列番号323のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、配列番号324のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、配列番号323または324のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、配列番号326のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、配列番号327のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、配列番号326または327のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、その対象に、約0.1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kg、約6mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kgまたは約20mg/kgの用量で投与する。いくつかのこのような実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、3週間に1回投与する。
【0024】
別の態様では、本発明で提供するのは、対象においてメラノーマを治療する方法であって、その対象に、活性化可能な抗CTLA4抗体を有効量投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、単剤療法として投与する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、その対象に、約0.1mg/kg~約10mg/kgの用量で投与する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、その対象に、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kgまたは約10mg/kgの用量で投与する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、その対象に、約0.1mg/kg~約20mg/kgの用量で投与する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、その対象に、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kg、約6mg/kg、約10mg/kgまたは約20mg/kgの用量で投与する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、3週間に1回投与する。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗体は、配列番号320または321のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。上記実施形態のうちの別の実施形態では、その活性化可能な抗体は、配列番号323または324のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。上記実施形態のうちの別の実施形態では、その活性化可能な抗体は、配列番号326または327のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、その対象は、非ヒト動物または非ヒト哺乳動物である。
【0025】
いくつかの実施形態では、本開示の抗CTLA4抗体及び活性化可能な抗CTLA4抗体は、対象に、PD-1阻害剤(例えば抗PD-1抗体)と組み合わせて投与する。いくつかのこのような実施形態では、その抗PD1抗体は、2E5である。別のこのような実施形態では、その抗PD1抗体は、トリパリマブである。別のこのような実施形態では、その抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、その対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、その対象は、非ヒト動物または非ヒト哺乳動物である。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体とPD-1阻害剤(例えば抗PD-1抗体)との組み合わせは、組み合わせて投与すると、相乗効果が見られる。上記実施形態のうちのいくつかでは、その抗CTLA4抗体は、配列番号87のアミノ酸配列、もしくは配列番号87のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号100のアミノ酸配列、もしくは配列番号100のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その抗CTLA4抗体は、切断されると、配列番号87のアミノ酸配列、もしくは配列番号87のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号100のアミノ酸配列、もしくは配列番号100のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む活性化可能な抗CTLA4抗体である。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示の抗CTLA4抗体及び活性化可能なCTLA4抗体は、対象に、抗CD137抗体と組み合わせて投与し、その抗CD137抗体は、ヒトCD137の細胞外ドメインに特異的に結合し、その抗体は、配列番号231の51番目、53番目、62~73番目、83番目、89番目、92番目、95~104番目及び112~116番目のアミノ酸残基からなる群から選択した1つ以上のアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態では、その対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、その対象は、非ヒト動物または非ヒト哺乳動物である。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体と抗CD137抗体との組み合わせは、組み合わせて投与すると、相乗効果が見られる。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の51番目、63~67番目、69~73番目、83番目、89番目、92番目、98~104番目及び112~114番目のアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、そのVHは、配列番号232のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号233のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号234のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、そのVLは、配列番号235のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号236のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号237のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号238のアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号239のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、その重鎖は、配列番号240のアミノ酸配列を含み、及び/またはその軽鎖は、配列番号241のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、VH及びVLを含み、そのVHは、配列番号242のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号243のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号244のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、そのVLは、配列番号245のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号246のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号247のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号248のアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号249のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、その重鎖は、配列番号250のアミノ酸配列を含み、及び/またはその軽鎖は、配列番号251のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、VH及びVLを含み、そのVHは、配列番号252のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号253のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号254のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、そのVLは、配列番号255のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号256のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号257のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号258のアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号259のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、その重鎖は、配列番号260のアミノ酸配列を含み、及び/またはその軽鎖は、配列番号261のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、ヒトIgG4のFc領域を含み、任意に、そのヒトIgG4のFc領域は、S241Pという変異を含み、ナンバリングは、Kabatに従うものである。上記実施形態のうちのいくつかでは、その抗CTLA4抗体は、配列番号87のアミノ酸配列、もしくは配列番号87のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号100のアミノ酸配列、もしくは配列番号100のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その抗CTLA4抗体は、切断されると、配列番号87のアミノ酸配列、もしくは配列番号87のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号100のアミノ酸配列、もしくは配列番号100のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む活性化可能な抗CTLA4抗体である。
【0028】
別の態様では、本発明で提供するのは、対象においてがんを治療する方法であって、その対象に、(a)抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗CTLA4抗体)のうち、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108という残基を含まないエピトープに特異的に結合し、そのアミノ酸残基のナンバリングが、配列番号207に従うものである抗体を有効量と、(b)VEGF阻害剤を有効量、投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、そのVEGF阻害剤は、フルキンチニブである。いくつかの実施形態では、そのがんは、大腸癌である。いくつかの実施形態では、そのVEGF阻害剤は、アンロチニブである。いくつかの実施形態では、そのがんは、腎臓癌、任意に腎臓腺癌である。上記実施形態のうちのいくつかでは、その抗CTLA4抗体は、配列番号87のアミノ酸配列、もしくは配列番号87のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号100のアミノ酸配列、もしくは配列番号100のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その抗CTLA4抗体は、切断されると、配列番号87のアミノ酸配列、もしくは配列番号87のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号100のアミノ酸配列、もしくは配列番号100のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む活性化可能な抗CTLA4抗体である。
【0029】
ある態様では、本発明で提供するのは、対象においてがんを治療する方法であって、その対象に、(a)抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗CTLA4抗体)のうち、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108という残基を含まないエピトープに特異的に結合し、そのアミノ酸残基のナンバリングが、配列番号207に従うものである抗体を有効量と、(b)化学療法剤を有効量、投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、その化学療法剤は、ドセタキセルである。いくつかの実施形態では、そのがんは、乳癌である。いくつかの実施形態では、その化学療法剤は、イカリチンである。いくつかの実施形態では、そのがんは、メラノーマである。
【0030】
別の態様では、本発明で提供するのは、対象においてがんを治療する方法であって、その対象に、(a)抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗CTLA4抗体)のうち、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108という残基を含まないエピトープに特異的に結合し、そのアミノ酸残基のナンバリングが、配列番号207に従うものである抗体を有効量と、(b)PARP阻害剤を有効量、投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、そのPARP阻害剤は、オラパリブである。いくつかの実施形態では、そのがんは、乳癌である。
【0031】
上記方法のうちのいずれか1つによるいくつかの実施形態では、そのがんは、従来の療法に耐性または不応性があり、その従来の療法は、CTLA4、PD-1またはPD-1リガンドの阻害剤である。いくつかの実施形態では、その対象は、従来の療法に耐性があるか、または従来の療法を受けてから再発した者であり、その従来の療法は、CTLA4、PD-1またはPD-1リガンドの阻害剤である。いくつかの実施形態では、その従来の療法は、抗CTLA4抗体、例えばイピリムマブのようなCTLA4阻害剤である。いくつかの実施形態では、その従来の療法は、抗PD-1抗体、例えば、ペムブロリズマブまたはトリパリマブのようなPD-1阻害剤である。いくつかの実施形態では、その従来の療法は、PD-1リガンド(例えばPD-L1)阻害剤、例えば抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、その従来の療法には、CTLA4阻害剤及びPD-1阻害剤の両方が含まれる。いくつかの実施形態では、その従来の療法には、CTLA4阻害剤及びPD-L1阻害剤の両方が含まれる。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、MMが切断されると、配列番号87のアミノ酸配列、もしくは配列番号87のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号100のアミノ酸配列、もしくは配列番号100のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、ヒトIgG1のFc領域、例えば、野生型IgG1のFc領域、またはADCC活性が増強されているバリアントを含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、ヒトIgG1のFc領域、例えば、野生型IgG1のFc領域、またはADCC活性が増強されているバリアントを含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗体は、配列番号320もしくは321のアミノ酸配列、または配列番号320もしくは321のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号322のアミノ酸配列、または配列番号322のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0032】
上記及び本明細書に記載の様々な実施形態の特性のうちの1つ、一部またはすべてを組み合わせて、本願の別の実施形態を形成してもよいことを理解されたい。本願これらの態様及び別の態様は、当業者には明らかであろう。本願のこれらの実施形態及びその他の実施形態は、下記の詳細な説明によって、さらに説明されている。
本特許または本出願ファイルは、カラーで作成された図面を少なくとも1つ含む。カラー図面(複数可)を含む、本特許または本特許出願公開のコピーは、要請かつ必要な料金の支払いがあれば、特許庁が提供するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】共有結合したN末端ペプチドによってマスキングされたSAFEbodyの概略図を示しており、そのペプチドの後には、プロテアーゼ切断部位が続いている。正常組織では、SAFEbodyは、マスキングされたままであり、その標的に結合できない。しかしながら、活性化可能な抗CTLA4抗体TY22404に関して後述されているように、腫瘍微小環境では、そのマスクが、様々な腫瘍組織で過剰発現するプロテアーゼによって切断され、その結果、そのSAFEbodyが活性化され、その標的に結合可能となる。TY22404の完全重鎖については配列番号320を、完全軽鎖(マスク/リンカーを含む)については配列番号322を参照されたい。
図2】CTLA4/B7リガンドの相互作用を遮断して、T細胞の活性化を高める(例えば、Rowshanravan et al.CTLA4:a moving target in immunotherapy.Blood 2018,131:58を参照されたい)とともに、腫瘍微小環境(TME)で、ADCC/ADCPを通じて免疫抑制性のTreg細胞を枯渇させ、その結果、全体的な抗腫瘍免疫応答を増強させる活性化TY22404の作用機序を示す概略図を示す。
図3】TY22404 SAFEbodyの標的結合部位が、高度にマスキングされており、低濃度(nM単位前後)では、CTLA4タンパク質に微弱にしか結合しないが、かなり高い濃度(nM単位よりも高いuM単位またはサブミクロンM単位)では、標的と結合できることを示す。しかしながら、プロテアーゼが、そのマスキングペプチドを切断すると、TY22404は活性化されて、ヒト、サル及び齧歯動物由来の異種間のCTLA4タンパク質に高い親和性で結合できる。
図4】抗CTLA4の媒介による、CD28シグナル伝達の活性化を評価するために用いた、細胞ベースのCTLA4遮断バイオアッセイ(Promega)の結果を示す。プロテアーゼにより活性化されるTY22404は、イピリムマブよりも穏やかなCTLA4チェックポイント阻害剤であった。
図5】CTLA4を発現している標的細胞と、Jurkat NFAT-Luc/CD16レポーター細胞を用いて、TY22404の媒介による、ADCCシグナル伝達の活性化を評価したin vitro ADCCレポーターアッセイの結果を示す。プロテアーゼにより活性化されたTY22404では、イピリムマブよりも強いADCCシグナル伝達活性が見られるが、マスキングペプチド-インタクトTY22404では見られない。
図6】T細胞活性化の関数として測定したIL-2レベルを示す。プロテアーゼにより活性化されたTY22404は、SEA(staphylococcus enterotoxin A)により誘導される、ヒトT細胞の活性化を増強できるが、マスキングペプチド-インタクトTY22404は増強できない。
図7】マウス肝臓モデル及びマウス大腸癌モデルで試験したTY22404(5mg/kg)を示し、単剤として、同系マウス腫瘍モデルにおいて、in vivoで有効な抗腫瘍活性が示された。
図8】マウスLewis肺癌モデルにおいて、抗PD-1と組み合わせたところ、in vivoで有効な抗腫瘍活性を示したTY22404(2mg/kg)を示す。
図9】CT26大腸腫瘍モデルにおいて、腫瘍組織内のTreg細胞は、CTLA4の発現が末梢組織よりも高く、TY22404(5mg/kg)によって治療すると、効率的に枯渇されることを示す。
図10】Lewisがんモデルにおいて、抗PD-1抗体と組み合わせて投与したTY22404の作用を示す。
図11】4T1がんモデルにおいて、抗CD137抗体ADG106と組み合わせて投与したTY22404の作用を示す。
図12A】CT26マウス大腸癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図12B】CT26マウス大腸癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図13A】MC38マウス大腸癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図13B】MC38マウス大腸癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図14A】MC38マウス大腸癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図14B】MC38マウス大腸癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図15】4T1マウス乳癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図16】4T1マウス乳癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図17】B16F10同系マウスメラノーマモデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図18A】A20がんモデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図18B】A20がんモデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図19A】EMT6がんモデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図19B】EMT6がんモデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の作用を示す。
図20A】CT26大腸癌モデルにおいて、ADG106と組み合わせて投与したTY21580の作用を示す。
図20B】CT26大腸癌モデルにおいて、ADG106と組み合わせて投与したTY21580の作用を示す。
図21A】CT26がんモデルにおいて、フルキンチニブと組み合わせて投与したTY21580の作用を示す。
図21B】CT26がんモデルにおいて、フルキンチニブと組み合わせて投与したTY21580の作用を示す。
図22A】Rencaがんモデルにおいて、アンロチニブと組み合わせて投与したTY21580の作用を示す。
図22B】Rencaがんモデルにおいて、アンロチニブと組み合わせて投与したTY21580の作用を示す。
図23A】4T1がんモデルにおいて、ドセタキセルと組み合わせて投与したTY21580の作用を示す。
図23B】4T1がんモデルにおいて、ドセタキセルと組み合わせて投与したTY21580の作用を示す。
図24A】EMT6がんモデルにおいて、オラパリブと組み合わせて投与したTY21580の作用を示す。
図24B】EMT6がんモデルにおいて、オラパリブと組み合わせて投与したTY21580の作用を示す。
図25】MC38がんモデルにおいて、抗体ADG106と組み合わせて投与したTY22404の作用を示す。
図26】B16F10同系マウスメラノーマモデルにおいて、イカリチン(「SNG162」)及び/またはADG106と組み合わせて投与したTY21580の作用を示す。
図27】CTLA4陰性H22腫瘍及びCTLA4陽性H22腫瘍の両方を担持しているマウスにおけるTY22404及びTY21580のin vivoイメージング結果を示す。
図28】マウス(左)及びカニクイザル(右)において、TY21580とTY22404の薬物動態を比較したものを示す。
図29】ヒト患者において、抗CTLA4 SAFEbodyの投与結果を調べた第1相用量漸増試験のデザインを示す。疾患の進行または許容できない毒性が生じるまで、抗CTLA4 SAFEbodyを3週間に1回、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgまたは10mg/kgで投与し、所定の適応症において、コホート拡大を、SRC推奨の10mpkで行い、6mg/kgの抗CTLA4 SAFEbodyでは、抗PD1と併用し、3mg/kgの抗CTLA4 SAFEbodyでは、ADG106と併用した。
図30】ヒト患者において、抗CTLA4 SAFEbodyの投与結果を調べた第1相用量漸増試験のデザインを示す。疾患の進行または許容できない毒性が生じるまで、抗CTLA4 SAFEbodyを3週間に1回、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgまたは10mg/kgで投与し、所定の適応症において、コホート拡大を、SRC推奨の10mpkで行い、6mg/kgの抗CTLA4 SAFEbodyでは、抗PD1と併用し、3mg/kgの抗CTLA4 SAFEbodyでは、ADG106と併用した。
図31】抗CTLA4 SAFEbodyにおける治療関連の安全性プロファイルを示す。2021年11月30日時点で、16人の患者を5つの用量漸増コホート(0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg及び10mg/kg)で治療した。抗CTLA4 SAFEbodyは、十分な忍容性が示され、グレード3以上の有害事象(グレード3の疲労感)は1人のみで、10人は、グレード1の有害事象に留まった。
図32A】5ラインの前治療を受けた卵巣癌患者であって、抗CTLA4 SAFEbodyによる治療2サイクル後ごとの腫瘍評価のそれぞれに、腫瘍の持続的な収縮が見られた患者の症例研究結果である。
図32B】前治療において、イピリムマブ+ニボルマブに効力がなかったぶどう膜(UV)メラノーマ患者であって、抗CTLA4 SAFEbodyによる治療の後に、T細胞の活性化と、-24%の腫瘍収縮が見られた患者の症例研究結果である。
図33】治療過程におけるがん患者の血清中の炎症性サイトカインIFN-γの動的な変化を示す。
図34】治療過程におけるがん患者の血清中の炎症性サイトカインTNF-αの変化を示す。
図35A】抗CTLA4 SAFEbodyで治療した患者の末梢血液試料の免疫細胞亜集団(CD4+ ヘルパーT細胞)の絶対数の、ベースレベル(サイクル1の1日目の投与前)に対する変化を示す。
図35B】抗CTLA4 SAFEbodyで治療した患者の末梢血液試料の免疫細胞亜集団(CD8+ 細胞傷害性T細胞)の絶対数の、ベースレベル(サイクル1の1日目の投与前)に対する変化を示す。
図35C】抗CTLA4 SAFEbodyで治療した患者の末梢血液試料の免疫細胞亜集団(NK細胞)の絶対数の、ベースレベル(サイクル1の1日目の投与前)に対する変化を示す。
図36】TY22404のボーラス注射後、投与から24時間の時点には、3匹中2匹のマウスの腫瘍において、活性化可能な全抗CTLA4抗体TY22404の約半分である切断形態が検出されたが、肝臓及び血漿では検出されなかったことを示す。しかしながら、投与から96時間の時点には、3匹すべてのマウス(4~6とラベル付けした)から採取した腫瘍、肝臓及び血漿を含むすべての試料において、TY22404の切断形態が観察された。
図37】活性化可能な抗CTLA4抗体TY22404が、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)において、アイソタイプコントロールと比べて、CD4 T細胞におけるTregのパーセンテージを用量依存的に、有意に低下させたことを示す。しかしながら、TY22404は、脾臓では、CD4 T細胞におけるTregのパーセンテージを低下させなかった。
図38】TY22404による治療後に、TILにおけるTreg細胞上のCTLA-4発現レベルが、用量依存的に有意に低下したことを示す。しかしながら、TY22404による治療後、脾臓のTreg細胞上では、CTLA-4発現レベルは変化しなかった。
【発明を実施するための形態】
【0034】
I.定義
本明細書で別段に定義されていない限り、本願に関連して用いられている科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって別段に必要とされない限り、単数形の用語には、複数形の用語が含まれるものとし、複数形の用語には、単数形の用語が含まれるものとする。概して、本明細書に記載の抗体操作、免疫療法、細胞及び組織の培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質及び核酸の化学に関連して用いられている命名法、ならびにそれらの技法は、当該技術分野において周知かつ一般的に用いられているものである。
【0035】
「抗体」という用語は、本明細書では最も広い意味で用いられており、具体的には、所望の生物学的活性を示す限りは、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、三重特異性抗体)、ならびに抗体断片(例えば、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、Fv及び/または一本鎖可変断片、すなわちscFv)が網羅される。
【0036】
いくつかの実施形態では、「抗体」という用語は、2本の同じ重(H)鎖と2本の同じ軽(L)鎖からなる基本的な4本のポリペプチド鎖構造を有する抗原結合タンパク質(すなわち免疫グロブリン)を指す。各L鎖は、1つのジスルフィド共有結合によって、H鎖に連結されている一方で、2本のH鎖は、H鎖のアイソタイプに応じて、1つ以上のジスルフィド結合によって、互いに連結している。各重鎖は、N末端に可変領域(本明細書では、Vと略称する)を有し、その後に定常領域が続く。重鎖定常領域は、CH1、CH2及びCH3という3つのドメインからなる。各軽鎖は、N末端に可変領域(本明細書では、Vと略称する)を有し、もう一方の末端に、定常領域が続く。軽鎖定常領域は、Cという1つのドメインからなる。Vは、Vと並列しており、Cは、重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と並列している。V及びVの対合により、1つの抗原結合部位が形成される。IgM抗体は、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドとともに、5個の基本的なヘテロ四量体ユニットからなり、すなわち、10個の抗原結合部位を含む一方で、分泌型IgA抗体は、重合して、J鎖とともに、基本的な4本鎖ユニットを2~5個含む多価の集合体を形成できる。
【0037】
領域及びV領域は、構造解析及び配列解析に基づいて、超可変領域(HVR)という超可変性の領域にさらに細分化できる。HVRは、フレームワーク領域(FW)という、より保存性の高い領域に挟まれている(例えば、Chen et al.(1999)J.Mol.Biol.(1999)293,865-881を参照されたい)。それぞれのV及びVは、3つのHVR及び4つのFWからなり、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FW-1_HVR-1_FW-2_HVR-2_FW-3_HVR-3_FW4という順序で並んでいる。本願全体を通じて、重鎖の3つのHVRは、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3という。同様に、軽鎖の3つのHVRは、HVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3という。
【0038】
本明細書で使用する場合、「CDR」または「相補性決定領域」という用語は、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見られる不連続の抗原結合部位を意味するように意図されている。これらの具体的な領域は、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609-6616(1977)、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequences of proteins of immunological interest”(1991)、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)、Al-Lazikani B.et al.,J.Mol.Biol.,273:927-948(1997)、MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)、Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832-3839(2008)、Lefranc M.P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27:55-77(2003)及びHonegger and Pluckthun,J.Mol.Biol.,309:657-670(2001)によって説明されており、その定義には、互いに比較したときに、重複しているアミノ酸残基またはアミノ酸残基のサブセットが含まれる。しかしその一方で、抗体もしくは移植抗体、またはそのバリアントのCDRを指すいずれかの定義を適用することも、本明細書で定義及び使用されているその用語の範囲内であるように意図されている。上で引用した各参照文献によって定義されているようなCDRを網羅するアミノ酸残基は、比較として、下記の表Iに示されている。CDR予測のアルゴリズム及びインターフェースは、例えば、Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832-3839(2008)、Ehrenmann F.et al.,Nucleic Acids Res.,38:D301-D307(2010)、及びAdolf-Bryfogle J.et al.,Nucleic Acids Res.,43:D432-D438(2015)を含め、当該技術分野で知られている。この段落で引用した参照文献の内容は、本発明での使用のため、及び本発明における1つ以上の請求項に含まれる可能性のために、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【表1】
【0039】
重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(Clq)を含む宿主組織または宿主因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。軽鎖及び重鎖においては、可変領域及び定常領域が、約12個以上のアミノ酸からなる「J」領域によって連結されており、重鎖は、約10個以上のアミノ酸からなる「D」領域も含む(例えば、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y).(1989)を参照されたい)。
【0040】
いずれかの脊椎動物種に由来するL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、明らかに異なる2つの種類(κ及びλという)のうちの1つに割り当てることができる。抗体は、それらの重鎖(CH)の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMという5つのクラスの抗体があり、IgAはα(アルファ)、IgDはδ(デルタ)、IgEはε(イプシロン)、IgGはγ(ガンマ)、IgMはμ(ミュー)と呼ばれる重鎖を有する。IgGクラスの抗体はさらに、Y1~Y4のγ重鎖によって、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4という4つのサブクラスに分類することができる。
【0041】
「抗体誘導体」または抗体の「誘導体」という用語は、その抗体が結合する抗原と同じ抗原(例えばCTLA4)に結合できるとともに、追加の分子体に連結された抗体のアミノ酸配列を含む分子を指す。抗体のアミノ酸配列のうち、抗体誘導体に含まれるアミノ酸配列は、抗体の完全長重鎖、完全長軽鎖、完全長重鎖のいずれかの部分(複数可)、完全長軽鎖のいずれかの部分(複数可)、抗体のいずれかの他の断片(複数可)、または完全抗体であってよい。その追加の分子体は、化学分子または生体分子であってよい。追加の分子体の例としては、化学基、アミノ酸、ペプチド、タンパク質(酵素、抗体など)及び化学化合物が挙げられる。その追加の分子体は、検出剤、標識、マーカー、医薬または治療剤としての用途のようないずれかの有用性を有してよい。抗体のアミノ酸配列は、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有的会合などによって、その追加の分子体に結合または連結されていてよい。「抗体誘導体」という用語には、キメラ抗体、ヒト化抗体、ならびにCTLA4抗体のアミノ酸配列の改変、例えば、アミノ酸の保存的な置換、付加及び挿入に由来する分子も含まれる。
【0042】
抗体の「抗原結合断片」または「抗原結合部分」という用語は、その抗体が結合する抗原(例えばCTLA4)に結合する能力を保持する1つ以上の抗体部分を指す。抗体の「抗原結合断片」の例としては、(i)Vドメイン、Vドメイン、Cドメイン及びCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)断片、(iii)Vドメイン及びCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVドメイン及びVドメインからなるFv断片、(v)VドメインからなるdAb断片(Ward et al.,Nature 341:544-546(1989))、ならびに(vi)単離相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0043】
「CTLA4」という用語が本願で使用されており、CTLA4には、ヒトCTLA4(例えばUniProtアクセッション番号P16410)、ならびにそのバリアント、アイソフォーム及び種ホモログ(例えば、マウスCTLA4(UniProtアクセッション番号P09793)、ラットCTLA4(UniProtアクセッション番号Q9Z1A7)、イヌCTLA4(UniProtアクセッション番号Q9XSI1)、カニクイザルCTLA4(UniProtアクセッション番号G7PL88)など)が含まれる。したがって、本明細書において定義及び開示されているような抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、ヒト以外の種のCTLA4にも結合し得る。別の場合では、抗CTLA4抗体は、ヒトCTLA4に完全に特異的であってもよく、種間交差反応性またはその他の種類の交差反応性を示さない場合がある。
【0044】
「CTLA4抗体」という用語は、本明細書で定義されているように、ヒトCTLA4に結合できる抗体(例えば、活性化可能な抗CTLA4抗体)を指す。
【0045】
「キメラ抗体」という用語は、ヒト抗体に由来する可変領域、及びマウス免疫グロブリンの定常領域を有する抗体のように、異なる動物種に由来するアミノ酸配列を含む抗体を指す。
【0046】
「結合に関して競合する」という用語は、2つの抗体が、結合標的への結合の際に示す相互作用を指す。第1の抗体とそのコグネイトエピトープとの結合が、第2の抗体の存在下において、第2の抗体の非存在下での第1の抗体の結合と比べて、検出可能に低下する場合には、第1の抗体は第2の抗体と、結合に関して競合する。第1の抗体の存在下において、第2の抗体とそのエピトープとの結合が、検出可能に低下する代替的なケースも見られるが、必ずしもそうである必要はない。すなわち、第1の抗体は、第1の抗体とそのそれぞれのエピトープとの結合を第2の抗体が阻害することなく、第2の抗体とそのエピトープとの結合を阻害することができる。しかしながら、それぞれの抗体が、他の抗体とそのコグネイトエピトープとの結合を検出可能に阻害する場合、程度が同じか、大きいか、小さいかに関わらず、それらの抗体は、それらのそれぞれのエピトープ(複数可)の結合に関して、互いに「交差競合する」と言う。
【0047】
「エピトープ」という用語は、抗体(またはその抗原結合断片)が結合する抗原部分を指す。エピトープは、連続するアミノ酸、またはタンパク質が三次構造に折り畳まれることにより並置された不連続なアミノ酸の両方から形成されることができる。連続するアミノ酸から形成されたエピトープは典型的には、変性溶媒に暴露されても維持されるが、三次構造に折り畳まれることにより形成されたエピトープは典型的には、変性溶媒で処理すると失われる。エピトープは、特有の空間的コンホメーションで、様々な数のアミノ酸を含むことができる。エピトープの空間的コンホメーションを求める方法としては、例えば、X線結晶解析、二次元核磁気共鳴、質量分析と組み合わせた重水素水素交換、もしくは部位特異的変異誘発、または抗原ならびにその結合抗体及びそのバリアントとの複合体構造の計算モデリングと組み合わせて用いるあらゆる方法が挙げられる(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris,Ed.(1996)を参照されたい)。抗原の所望のエピトープが決定したら、例えば、本明細書に記載の技法を用いて、そのエピトープに対する抗体を生成することができる。抗体の生成と特性解析により、所望のエピトープに関する情報を解明できる。この情報から、同じエピトープへの結合について、抗体を競合的にスクリーニングすることができる。これを行うためのアプローチは、交差競合試験を実施して、互いに競合的に結合する抗体、すなわち、抗原への結合に関して競合する抗体を見出すことである。抗体の交差競合に基づいて、抗体を「ビニング」するハイスループットなプロセスは、国際公開番号第WO03/48731号に記載されている。
【0048】
「糖鎖付加部位」という用語は、糖残基の結合位置として、真核細胞に認識されるアミノ酸残基を指す。オリゴ糖のような糖鎖が結合するアミノ酸は典型的には、アスパラギン残基(N-結合型)、セリン残基(O-結合型)及びトレオニン残基(O-結合型)である。具体的な結合部位は典型的には、本明細書で「糖鎖付加部位配列」と呼ばれるアミノ酸配列によってシグナル伝達される。N-結合型糖鎖付加の糖鎖付加部位配列は、-Asn-X-Ser-または-Asn-X-Thr-であり、式中、Xは、プロリン以外の従来のアミノ酸のいずれかであってよい。「N-結合型」及び「O-結合型」という用語は、糖分子とアミノ酸残基との結合部位として機能する化学基を指す。N-結合型の糖は、アミノ基を介して結合し、O-結合型の糖は、ヒドロキシル基を介して結合する。「グリカン占有数」という用語は、糖鎖付加部位に連結された糖鎖部分が存在すること(すなわち、グリカン部位が占有されていること)を指す。ポリペプチドに、潜在的な糖鎖付加部位が少なくとも2つある場合には、糖鎖部分によって占有されている部位がない(グリカン部位占有数が0である)か、1つである(グリカン部位占有数が1である)か、または両方である(グリカン部位占有数が2である)ことができる。
【0049】
「宿主細胞」という用語は、目的のタンパク質、タンパク質断片またはペプチドを産生するように操作できる細胞系を指す。宿主細胞としては、培養細胞、例えば、CHO、BHK、NSO、SP2/0、YB2/0のように、齧歯動物(ラット、マウス、モルモットもしくはハムスター)に由来する哺乳動物培養細胞、ヒト細胞(例えば、HEK293F細胞、HEK293T細胞)もしくはヒト組織、またはハイブリドーマ細胞、酵母細胞、昆虫細胞(例えばS2細胞)、細菌細胞(例えばE.coli細胞)、及びトランスジェニック動物もしくは培養組織に含まれる細胞が挙げられるが、これらに限定されない。この用語には、特定の対象細胞のみではなく、そのような細胞の子孫も含まれる。後続の世代においては、変異または環境的影響のいずれかに起因して、ある特定の変化が生じ得るため、そのような子孫は、親細胞と同一でない場合があるが、「宿主細胞」という用語の範囲内に依然として含まれる。
【0050】
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生される抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくはその他のヒト抗体をコードする配列を利用する非ヒト供給源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。ヒト抗体のこの定義では、非ヒトの抗原結合残基を含むヒト化抗体が明確に除外される。
【0051】
「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体の配列に由来するアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ヒト化抗体は、非ヒト動物または合成抗体のCDRまたはHVRの一部または全部を含んでよい一方で、その抗体のフレームワーク及び定常領域は、ヒト抗体配列に由来するアミノ酸残基を含む。
【0052】
「例示的な抗体」という用語は、本開示で説明されているとともに、表A及びBに列挙されている抗体として定められた抗体、ならびに表A及びBに列挙されている抗体の、6個のHVR及び/またはVH及びVLを含むいずれかの抗体のうちのいずれか1つを指す。これらの抗体は、いずれのクラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM)のものでもよい。したがって、上で定めた各抗体には、5つのすべてのクラスの抗体であって、V領域及びV領域について同じアミノ酸配列を有する抗体が含まれる。さらに、IgGクラスの抗体は、いずれのサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4)のものでもよい。したがって、IgGサブクラスにおいて、上で定めた各抗体には、4つのすべてのサブクラスの抗体であって、V領域及びV領域について同じアミノ酸配列を有する抗体が含まれる。この5つのクラス、及び4つのIgGサブクラスにおけるヒト抗体の重鎖定常領域のアミノ酸配列は、当該技術分野で知られている。
【0053】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」または「ADCC」とは、ある特定の細胞傷害性細胞(例えば、NK細胞、好中球及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)上に結合した分泌型免疫グロブリンにより、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が、抗原を有する標的細胞に特異的に結合した後、その標的細胞を細胞毒素によって殺傷可能になる形態の細胞傷害を指す。ADCCを媒介する最初の細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcRの発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991)の464ページの表3にまとめられている。対象とする分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号、同第5,821,337号、または米国特許第6,737,056号(Presta)に記載されているようなin vitro ADCCアッセイを行ってよい。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、PBMC及びNK細胞が挙げられる。上記の代わりに、または上記に加えて、対象とする分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynes et al.PNAS(USA)95:652-656(1998)に開示されているような動物モデルで評価してもよい。ADCC活性を評価するための例示的なアッセイは、本明細書の実施例に示されている。
【0054】
「補体依存性細胞傷害性」または「CDC」とは、補体の存在下での、標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1成分(C1q)が、(適切なサブクラスの)抗体に結合することによって開始され、その抗体は、それらのコグネイト抗原に結合している。補体の活性化を評価するために、例えばGazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されているようなCDCアッセイを実施してもよい。Fc領域のアミノ酸配列が改変されている(バリアントFc領域を有するポリペプチド)とともに、C1q結合能が増減されているポリペプチドバリアントが、例えば、米国特許第6,194,551B1号及びWO1999/51642に記載されている。例えば、Idusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)も参照されたい。
【0055】
「単離」抗体(例えば活性化可能な抗体)は、その天然の環境の構成成分から単離されているものである。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換HPLCもしくは逆相HPLC)によって求めた場合に、95%超または99%超の純度まで精製する。抗体純度の評価方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
【0056】
「K」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度定数を指し、「k」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数を指す。
【0057】
「K」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。この定数は、kに対するkの比(すなわちk/k)から得られ、モル濃度(M)として表される。Kは、抗体がその結合パートナーに結合する親和性の尺度として使用する。Kが小さいほど、その抗体は強固に結合するか、または抗体と抗原との親和性が高くなる。例えば、解離定数がナノモル(nM)単位である抗体は、解離定数がマイクロモル(μM)単位である抗体よりも、特定の抗原に強固に結合する。抗体のK値は、当該技術分野で十分に確立されている方法を使用して求めることができる。抗体のKを求める方法の1つは、表面プラズモン共鳴を使用すること、典型的には、BIACORE(登録商標)システムのようなバイオセンサーシステムを使用することによるものである。例えば、BIACORE(商標)システムを用いるアッセイ手順(BIAcoreアッセイ)は、本願の少なくとも実施例3に説明されている。
【0058】
「哺乳動物」という用語は、哺乳綱のいずれかの動物種を指す。哺乳動物の例としては、ヒト、実験動物、例えば、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ、非ヒト霊長類動物及びモルモット、飼育動物、例えば、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ及びブタ、ならびに捕獲された野生動物、例えば、ライオン、トラ、ゾウなどが挙げられる。
【0059】
本明細書で使用する場合、2つのポリペプチド配列間の「配列同一性」は、その配列間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。ポリペプチドのアミノ酸配列同一性は、Bestfit、FASTAまたはBLASTのような既知のコンピュータープログラムを使用して、慣習的に求めることができる(例えば、Pearson,Methods Enzymol.183:63-98(1990)、Pearson,Methods Mol.Biol.132:185-219(2000)、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)、Altschul et al.,Nucelic Acids Res.25:3389-3402(1997)を参照されたい)。Bestfitまたはいずれかの他の配列アラインメントプログラムを使用して、特定の配列が、例えば、参照アミノ酸配列と95%同一であるか求めるときには、同一性のパーセンテージが、その参照アミノ酸配列の全長にわたって計算されるとともに、その参照配列内のアミノ酸残基総数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるように、パラメーターを設定する。ポリペプチド間の同一性のパーセンテージを求めるこの上記方法は、本明細書に開示されているすべてのタンパク質、その断片またはバリアントに適用可能である。
【0060】
本明細書で使用する場合、「結合する」、「~に結合する」、「特異的に結合する」「~に特異的に結合する」または「~に特異的な」という用語は、標的と抗体との結合のような測定可能かつ再現可能な相互作用であって、生体分子を含む不均一な分子集団の存在下で、その標的が存在することを決定する相互作用を指す。例えば、標的(エピトープであることができる)に結合するかまたは特異的に結合する抗体は、その抗体が他の標的に結合する場合よりも、高い親和性及びアビディティで、その場合よりも容易に、及び/またはその場合よりも長い持続期間で、この標的に結合する抗体である。一実施形態では、抗体と無関係な標的との結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合、抗体と標的との結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、標的に特異的に結合する抗体は、解離定数(Kd)が1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下または0.1nM以下である。ある特定の実施形態では、抗体は、様々な種のタンパク質間で保存されている、タンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合には、排他的な結合を含めることができるが、必須ではない。
【0061】
「治療する」、「治療すること」または「治療」という用語は、哺乳動物におけるある特定の病状に関して、その病状を有する哺乳動物において、望ましい効果または有益な効果を生むことを指す。その望ましい効果または有益な効果としては、疾患の症状の1つ以上の頻度または重症度(すなわち、腫瘍の成長及び/または転移、または免疫細胞の数及び/または活性によって媒介される他の作用など)の低減、あるいは疾患、状態または障害のさらなる発現の抑止または阻害を挙げてよい。哺乳動物においてがんを治療することに関しては、その望ましい効果または有益な効果としては、がん細胞のさらなる成長もしくは拡散の阻害、がん細胞の死滅、がん再発の阻害、がんと関連する疼痛の低減、またはその哺乳動物の生存率の改善を挙げてよい。その効果は、主観的または客観的のいずれかであることができる。例えば、その哺乳動物がヒトである場合、そのヒトは、改善または治療応答の自覚症状として、活力もしくは生存能の向上、または疼痛の低減を認識し得る。あるいは、臨床医が、身体診察、臨床検査値、腫瘍マーカーまたはX線所見に基づき、腫瘍サイズまたは腫瘍量の減少を認識し得る。臨床医が、治療に対する応答について観察し得るいくつかの臨床検査の兆候としては、白血球数、赤血球数、血小板数、赤血球沈降速度及び様々な酵素のレベルなどの検査結果の正常化が挙げられる。加えて、臨床医は、検出可能な腫瘍マーカーの減少を観察してもよい。あるいは、ソノグラム、核磁気共鳴検査及びポジトロン放出検査のような他の検査を使用して、客観的な改善を評価できる。
【0062】
「予防する」または「予防すること」という用語は、哺乳動物におけるある特定の病状に関して、疾患の発症を予防もしくは遅延させること、またはその臨床症状もしくは不顕性症状の発現を予防することを指す。
【0063】
「単離核酸」という用語は、ゲノム由来、cDNA由来もしくは合成由来の核酸分子、またはそれらの組み合わせであって、その核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離したものを指す。例えば、ゲノムDNAに関しては、「単離」という用語には、そのゲノムDNAが天然において収納されている染色体から分離されている核酸分子が含まれる。好ましくは、「単離」核酸は、天然においてその核酸を挟み込んでいる配列(すなわち、対象となる核酸の5’末端及び3’末端に位置する配列)を含まない。
【0064】
「ベクター」という用語は、外来核酸分子を輸送することができる核酸分子を指す。その外来核酸分子は、ライゲーションまたは組み換えなどの組み換え技術によって、ベクターの核酸分子に連結されている。これにより、宿主細胞または生物中で、外来核酸分子を増殖させたり、選択したり、さらに操作したり、または発現させたりできる。ベクターは、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、またはビリオンであることができる。ベクターの一種は、宿主細胞に導入すると、その宿主細胞のゲノムに組み込まれることができ、それにより、その宿主ゲノムとともに複製される(例えば、非エピソーム型の哺乳動物ベクター)。別の種類のベクターは、そのベクターが導入される宿主細胞中で自律複製できる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター、及びエピソーム型の哺乳動物ベクター)。そのベクターに機能可能に連結されている発現可能な外来核酸の発現を誘導できる別の特定の種類のベクターは、一般に「発現ベクター」という。発現ベクターは概して、発現可能な外来核酸の発現を駆動する制御配列を有する。「転写ベクター」として知られるもっと単純なベクターは、転写しかできず、翻訳されず、標的細胞内で複製できるが、発現しない。「ベクター」という用語には、ベクターの機能にかかわらず、あらゆる種類のベクターが含まれる。そのベクターに機能可能に連結されている発現可能な核酸の発現を誘導できるベクターは、一般に「発現ベクター」という。「ベクター」の他の例としては、ディスプレイベクター(例えば、ウイルスまたは細胞(細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞及び/または哺乳動物細胞など)の表面上で、コードされるポリペプチドの発現及び提示を行うように誘導するベクター)を挙げてよい。
【0065】
本明細書で使用する場合、「対象」、「患者」または「個体」は、ヒトまたは非ヒト動物を指してよい。「非ヒト動物」とは、ヒトとして分類されないいずれかの動物、例えば、飼育動物、家畜または動物園の動物、競技用動物、ペットの動物(イヌ、ウマ、ネコ、ウシなど)、ならびに研究で使用する動物を指してよい。研究用の動物とは、線虫、節足動物、脊椎動物、哺乳動物、カエル、齧歯動物(例えば、マウスまたはラット)、魚類(例えば、ゼブラフィッシュまたはフグ)、鳥類(例えばニワトリ)、イヌ、ネコ、及び非ヒト霊長類動物(例えば、アカゲザル、カニクイザル、チンパンジーなど)を指してよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、その対象、患者または個体は、ヒトである。
【0066】
「有効量」とは、治療結果または予防結果を含む所望の効果または示されている効果の1つ以上を達成するために必要な用量及び期間で、少なくとも有効な量を指す。有効量は、1回以上の投与で供給できる。本願の目的では、抗体、薬物、化合物または医薬組成物の有効量は、予防的処置または治療的処置を直接または間接的のいずれかで行うのに十分な量である。臨床状況において理解されるように、薬物、化合物または医薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物または医薬組成物と併せて達成しても、しなくてもよい(例えば、単剤療法または併用療法として投与する有効量)。すなわち、「有効量」は、1つ以上の治療剤を投与する状況において考えてもよいし、1つ以上の他の薬剤と併せて、所望の結果が得られる可能性があるか、または得られている場合に、単一の薬剤が、有効量で投与されているとみなしてよい。
【0067】
「再発(recurrence)」、「再発(relapse)」または「再発した(relapsed)」という用語は、疾患の消失を臨床的に評価した後に、がんまたは疾患が再発したことを指す。遠隔転移または局所再発という診断は、再発とみなすことができる。
【0068】
「難治性」または「耐性」という用語は、治療に応答しなかったがんまたは疾患を指す。
【0069】
本明細書で使用する場合、「完全奏効」または「CR」は、すべての標的病変の消失を指し、「部分奏功」または「PR」は、ベースラインの最長直径(SLD)を基準として、標的病変のSLDの合計が少なくとも30%短縮することを指し、「安定」または「SD」は、治療を開始して以来最小のSLDを基準として、標的病変の収縮が、PRとするほどではないこと、または増大が、PDとするほどではないことを指す。
【0070】
本明細書で使用する場合、「進行」または「PD」は、治療を開始して以来最小のSLD記録値を基準として、標的病変のSLDが少なくとも20%拡大すること、または1つ以上の新たな病変が存在することを指す。
【0071】
本明細書で使用する場合、「無増悪生存期間」(PFS)は、治療中または治療後の時間の長さであって、治療している疾患(例えば、がん)が悪化しない長さを指す。無増悪生存期間は、患者が完全奏効または部分奏効を経験した時間の量、及び患者が安定を経験した時間の量を含んでよい。
【0072】
本明細書で使用する場合、「全奏効率」(ORR)は、完全奏効(CR)率及び部分奏功(PR)率の合計を指す。
【0073】
本明細書で使用する場合、「全生存率」は、特定の期間後に生存している可能性が高い群の個体のパーセンテージを指す。
【0074】
本明細書で使用する場合、「バイオマーカー」または「マーカー」という用語は概して、分子(例えば、pre-mRNA、mRNA、タンパク質など)または細胞集団(例えば、エフェクターメモリーT細胞、すなわちTem細胞、もしくは制御性T細胞、すなわちTreg細胞)であって、対象の組織(例えば腫瘍)内もしくはその組織上、または対象の組織もしくは細胞によって分泌された分子の場合に、そのレベルを既知の方法(または本明細書に開示されている方法)によって検出できるとともに、治療レジメン(例えば、抗CTLA4抗体による治療)に対する対象の感受性を予測するためのものであるか、またはその感受性を予測する(もしくはその予測を助ける)ために、いくつかの実施形態では、そのレジメンに対する対象の応答性を予測する(もしくはその予測を助ける)ために使用できる分子または細胞集団を指す。
【0075】
本明細書で使用する場合、「試料」という用語は、該当する対象から得られるか、またはその対象に由来する組成物であって、例えば、物理的特徴、生化学的特徴、化学的特徴及び/または生理学的特徴に基づき特徴付けたり及び/または特定したりすることになる細胞分子及び/またはその他の分子体を含む組成物を指す。
【0076】
本明細書で使用する場合、「組織試料または細胞試料」という用語は、対象または患者の組織から得た類似の細胞の集合体を指す。組織試料または細胞試料の供給源は、新鮮であるか、凍結されているか及び/または保存されている臓器試料、組織試料、生検標本または吸引物、血液またはいずれかの血液成分、脳脊髄液、羊水、腹水または間質液のような体液、いずれかの妊娠期間または発育期間の対象の細胞に由来するような固形組織であってよい。組織試料は、初代細胞であっても、培養細胞であってもよい。任意に、組織試料または細胞試料は、疾患の組織または臓器から得る。組織試料は、保存剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養分、抗生物質などのように、天然の組織とは天然では混ざり合わない化合物を含んでよい。本明細書で使用する場合、「参照値」または「参照レベル」は、絶対値、相対値、上限及び/または下限を有する値、値の範囲、平均値(average value)、中央値、平均値(mean value)、あるいは特定のレベルまたはベースラインレベルと比較した値であってよい。
【0077】
本明細書で使用する場合、「ベースラインレベル」または「ベースライン値」は、対象が、抗CTLA4抗体による治療のような治療を開始する前の対象のレベルまたは値を指す。
【0078】
「参照試料」、「参照細胞」、「参照組織」、「コントロール試料」、「コントロール細胞」または「コントロール組織」は、本明細書で使用する場合、比較目的で使用する試料、細胞、組織、標準物またはレベルを指す。一実施形態では、参照試料、参照細胞、参照組織、コントロール試料、コントロール細胞またはコントロール組織は、同じ対象または個体の身体(例えば、組織または細胞)の健常な部分及び/または非罹患部分から得る。例えば、罹患細胞または罹患組織に隣接する健常な細胞もしくは組織、及び/または非罹患細胞もしくは非罹患組織(例えば、腫瘍に隣接する細胞または組織)。別の実施形態では、参照試料は、同じ対象または個体の身体の未治療の組織及び/または細胞から得る。さらに別の実施形態では、参照試料、参照細胞、参照組織、コントロール試料、コントロール細胞またはコントロール組織は、その対象または個体ではない個体の身体の健常な部分及び/または非罹患部分(例えば、組織または細胞)から得る。さらに別の実施形態では、参照試料、参照細胞、参照組織、コントロール試料、コントロール細胞またはコントロール組織は、その対象または個体ではない個体の身体の未治療の組織及び/または細胞から得る。
【0079】
「相関する」または「相関すること」とは、いずれかの方法で、第1の解析またはプロトコールの成果及び/または結果と、第2の解析またはプロトコールの成果及び/または結果とを比較することを意味する。例えば、第2のプロトコールを行う際に、第1の解析またはプロトコールの結果を使用してもよく、及び/または第1の解析またはプロトコールの結果を使用して、第2の解析またはプロトコールを行うべきか判断してもよい。バイオマーカーの解析またはプロトコールの実施形態に関しては、バイオマーカーレベルの解析またはプロトコールの結果を使用して、特定の治療レジメンを行うべきか判断してもよい。バイオマーカーレベルの解析またはプロトコールの実施形態に関しては、バイオマーカーレベルの解析またはプロトコールの結果を使用して、特定の治療レジメンを行うべきか判断してもよい。
【0080】
医薬による治療に対する、患者の「有効な応答」または患者の「応答性」及び同様の表現は、がんのような疾患もしくは障害のリスクがあるか、またはそれに罹患している患者が受ける臨床上または治療上の利益を指す。一実施形態では、このような利益としては、生存期間(全生存期間及び無増悪生存期間を含む)が延びること、客観的奏効(完全奏効もしくは部分奏功を含む)を得られること、またはがんの徴候もしくは症状が改善することのいずれか1つ以上が挙げられる。
【0081】
治療に対して「有効な応答を示さない」患者とは、生存期間(全生存期間及び無増悪生存期間を含む)が延びること、客観的奏効(完全奏効もしくは部分奏功を含む)を得られること、またはがんの徴候もしくは症状が改善することのいずれか1つも示さない患者を指す。
【0082】
本願の方法及び技法は概して、別段に示されていない限り、当該技術分野で周知な方法に従って、かつ、本明細書の全体を通じて引用及び考察されている様々な一般的かつより具体的な参照文献に記載されているようにして行う。このような参照文献としては例えば、Sambrook and Russell,Molecular Cloning,A Laboratory Approach,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(2002)及びHarlow and Lane Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)が挙げられる。酵素反応及び精製技法は、当該技術分野で一般的に行われているように、または本明細書に記載されているように、メーカーの仕様書に従って行う。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、医化学及び製薬化学に関連して用いられている専門用語、ならびにそれらの実験の手順及び技法は、周知のものであり、当該技術分野で一般的に用いられている。化学合成、化学分析、医薬の調製、調合及び送達、ならびに患者の治療には、標準的な技法を使用する。
【0083】
本明細書で使用する場合、20個の従来のアミノ酸及びそれらの略称は、従来の使用法に従う。Immunology-A Synthesis(2nd Edition,E.S.Golub and D.R.Gren,Eds.,Sinauer Associates,Sunderland,Mass.(1991))を参照されたい。
【0084】
本明細書で使用する場合、「a」、「an」及び「the」が付された単数形には、文脈上明らかに別段に示されていない限り、複数の言及物が含まれる。したがって、例えば、「分子」に言及する場合には、任意に、そのような分子を2つ以上組み合わせたものなどが含まれる。
【0085】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書で、「約」が付された値またはパラメーターに言及する場合には、その値またはパラメーター自体を対象とする実施形態が含まれる(かつ記載される)。
【0086】
本明細書に記載されている、本願の態様及び実施形態には、態様及び実施形態「を含むこと」、態様及び実施形態「からなること」、ならびに態様及び実施形態「から本質的になること」が含まれることを理解されたい。
【0087】
本明細書で使用する場合、ある値またはパラメーター「ではない」ことに言及している場合には、概して、ある値またはパラメーター「以外」であることを意味及び説明する。例えば、Xという種類のがんを治療するためには、その方法を使用しないとは、その方法を使用して、X以外の種類のがんを治療することを意味する。
【0088】
本明細書で用いられている「約X~Y」という用語は、「約X~約Y」と同じ意味を有する。
【0089】
本明細書で使用する場合、「及び/または」という用語は、「A及び/またはB」のような表現に、A及びBの両方、AまたはB、A(単独)、ならびにB(単独)が含まれるように意図されている。同様に、「及び/または」という用語は、本明細書で使用する場合、「A、B及び/またはC」のような表現に、A、B及びC、A、BまたはC、AまたはC、AまたはB、BまたはC、A及びC、A及びB、B及びC、A(単独)、B(単独)、ならびにC(単独)という実施形態のそれぞれが含まれるように意図されている。
【0090】
II.治療の方法
本願は、ヒトCTLA4に特異的に結合する抗CTLA4抗体を用いて、対象においてがんを治療する方法を提供する。本明細書に記載の方法では、第III節「抗CTLA4抗体」における抗CTLA4抗体(完全長抗体及びその抗原結合断片、ならびに活性化可能な抗体を含む)のいずれか1つを用いてよい。その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、単独で単剤療法として投与してもよいし、または1つ以上の追加の治療剤もしくは療法と組み合わせて投与してもよい。
【0091】
本明細書に記載の方法は、様々ながんを治療するのに有用である。いくつかの実施形態では、そのがんは、固形がんである。いくつかの実施形態では、そのがんは、液性がんである。悪性がんまたは良性がんにかかわらず、かつ原発がんまたは二次がんにかかわらず、本開示が提供する方法によって、CTLA4が関与している様々ながんを治療または予防し得る。例示的ながんとしては、肝臓癌、消化器系のがん(例えば、大腸癌、結腸直腸癌)、肺癌、骨癌、心臓癌、脳腫瘍、腎臓癌、膀胱癌、血液癌(例えば白血病)、皮膚癌、乳癌、甲状腺癌、膵臓癌、頭頸部癌、眼に関連するがん、男性生殖器系のがん(例えば、前立腺癌、精巣癌)、または女性生殖器系のがん(例えば、子宮癌、子宮頸癌)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、そのがんは、腎細胞癌または尿路上皮癌のような腎臓癌である。いくつかの実施形態では、そのがんは、卵巣癌、膵臓癌、胆管癌、肺癌(例えばNSCLC)、乳癌、メラノーマ、肝細胞癌、グリオブラストーマ、腎細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、または結腸直腸癌(例えば、MSI-HもしくはdMMR+の結腸直腸癌)である。いくつかの実施形態では、そのがんは、メラノーマ、NSCLC、肝細胞癌、腎細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または結腸直腸癌(例えば、MSI-HもしくはdMMR+の結腸直腸癌)である。
【0092】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4(例えば活性化可能な抗体)は、がん患者に単剤療法として投与する。いくつかの実施形態では、そのがんは、メラノーマである。別の実施形態では、そのがんは、卵巣癌、膵臓癌、胆管癌、肺癌、乳癌、肝細胞癌、グリオブラストーマ、腎細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、その肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0093】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、がん患者に、個別投与、順次投与または同時投与用の1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与する。「追加の治療剤」という用語は、本開示が提供する抗CTLA4抗体以外のいずれかの治療剤を指す。いくつかの実施形態では、対象においてがんを治療するための併用療法であって、その対象に、本明細書に記載の抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)を治療有効量、1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与することを含む療法を提供する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、化学療法剤、免疫療法剤及び/またはホルモン治療剤を含む1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、その1つ以上の追加の治療剤は、ウイルス遺伝子療法、免疫チェックポイント阻害剤、標的療法、放射線療法及び化学療法からなる群から選択する。
【0094】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、抗PD-1抗体と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、抗PD-L1抗体と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、抗CD137抗体と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、VEGF阻害剤と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、化学療法剤と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、PARP阻害剤と組み合わせて投与する。
【0095】
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、対象においてがんを治療する方法であって、その対象に、(a)有効量の活性化可能な抗CTLA4抗体と、(b)有効量の抗PD-1抗体を投与することを含み、その活性化可能な抗体が、N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)、切断可能な部分(CM)及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含み、MMが、XCPDHPYPCXX(配列番号181)、XCDAFYPYCXX(配列番号182)、XCDSHYPYCXX(配列番号183)及びXCVPYYYACXX(配列番号184)からなる群から選択したアミノ酸配列を含み、mが2~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸であり、CMが切断されていないときには、MMが、その活性化可能な抗CTLA4抗体のヒトCTLA4への結合を阻害し、CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、a)TBMが、抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、その活性化可能な抗体がさらに、抗体重鎖可変領域(VH)を含む第2のポリペプチドを含むか、b)TBMが、抗体重鎖可変領域(VH)を含み、その活性化可能な抗体がさらに、抗体軽鎖可変領域(VL)を含む第2のポリペプチドを含むか、c)TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含むか、またはd)TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体重鎖可変領域(VH)及び抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、CMが切断されると、その活性化可能な抗体が、ヒトCTLA4に、そのVH及びVLを介して結合する方法である。いくつかの実施形態では、その抗PD1抗体は、2E5である。いくつかの実施形態では、その抗PD-1抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、そのVHは、配列番号294のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号295のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号296のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、そのVLが、配列番号297のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号298のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号299のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗PD-1抗体は、配列番号300のアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、その抗PD-1抗体は、配列番号301のアミノ酸配列を含むVLを含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、そのがんは、肺癌である。いくつかの実施形態では、その肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。上記実施形態のうちの別の実施形態では、そのがんは、卵巣癌、膵臓癌、胆管癌、乳癌、肝細胞癌、グリオブラストーマ、腎細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または結腸直腸癌である。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、対象においてがんを治療する方法であって、その対象に、(a)有効量の活性化可能な抗CTLA4抗体と、(b)有効量の抗CD137抗体を投与することを含み、その活性化可能な抗CTLA4抗体が、N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)、切断可能な部分(CM)及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含み、MMが、XCPDHPYPCXX(配列番号181)、XCDAFYPYCXX(配列番号182)、XCDSHYPYCXX(配列番号183)及びXCVPYYYACXX(配列番号184)からなる群から選択したアミノ酸配列を含み、mが2~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸であり、CMが切断されていないときには、MMが、その活性化可能な抗CTLA4抗体のヒトCTLA4への結合を阻害し、CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、a)TBMが、抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、その活性化可能な抗体がさらに、抗体重鎖可変領域(VH)を含む第2のポリペプチドを含むか、b)TBMが、抗体重鎖可変領域(VH)を含み、その活性化可能な抗体がさらに、抗体軽鎖可変領域(VL)を含む第2のポリペプチドを含むか、c)TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含むか、またはd)TBMが、N末端からC末端に向かって、抗体重鎖可変領域(VH)及び抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、CMが切断されると、その活性化可能な抗体が、ヒトCTLA4に、そのVH及びVLを介して結合し、その抗CD137抗体が、ヒトCD137の細胞外ドメインに特異的に結合し、その抗体が、配列番号231の51番目、53番目、62~73番目、83番目、89番目、92番目、95~104番目及び112~116番目のアミノ酸残基からなる群から選択した1つ以上のアミノ酸残基に結合する方法である。いくつかの実施形態では、そのがんは、乳癌である。上記実施形態のうちの別の実施形態では、そのがんは、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、胆管癌、肝細胞癌、グリオブラストーマ、腎細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または結腸直腸癌である。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、対象においてがんを治療する方法であって、その対象に、(a)抗CTLA4抗体のうち、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108という残基を含まないエピトープに特異的に結合し、そのアミノ酸残基のナンバリングが、配列番号207に従うものである抗体を有効量と、(b)VEGF阻害剤を有効量、投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、そのVEGF阻害剤は、フルキンチニブである。いくつかの実施形態では、そのがんは、大腸癌である。いくつかの実施形態では、そのVEGF阻害剤は、アンロチニブである。いくつかの実施形態では、そのがんは、腎臓癌である。いくつかの実施形態では、そのがんは、腎臓腺癌である。いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、対象においてがんを治療する方法であって、その対象に、(a)抗CTLA4抗体のうち、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108という残基を含まないエピトープに特異的に結合し、そのアミノ酸残基のナンバリングが、配列番号207に従うものである抗体を有効量と、(b)化学療法剤を有効量、投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、その化学療法剤は、ドセタキセルである。いくつかの実施形態では、そのがんは、乳癌である。いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、対象においてがんを治療する方法であって、その対象に、(a)抗CTLA4抗体のうち、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108という残基を含まないエピトープに特異的に結合し、そのアミノ酸残基のナンバリングが、配列番号207に従うものである抗体を有効量と、(b)PARP阻害剤を有効量、投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、そのPARP阻害剤は、オラパリブである。上記実施形態のうちのいくつかでは、そのがんは、乳癌である。上記実施形態のうちの別の実施形態では、そのがんは、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、胆管癌、肝細胞癌、グリオブラストーマ、腎細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または結腸直腸癌である。
【0098】
がんの治療は、例えば、腫瘍の退縮、腫瘍の重量もしくはサイズの収縮、無増悪期間、生存期間、無増悪生存期間、全奏効率、奏効持続期間、クオリティオブライフ、タンパク質の発現及び/または活性によって評価できる。例えば、放射線画像診断によって、応答を測定することを含め、療法の有効性を求めるアプローチを用いることができる。
【0099】
本開示が提供する抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)、1つ以上の追加の治療剤及び組成物は、いずれかの適切な経腸投与経路または非経口投与経路を介して投与できる。「経腸投与経路」という用語は、胃腸管の部分のいずれかを介した投与を指す。経腸経路の例としては、経口経路、粘膜経路、口腔内経路及び直腸経路、または胃内経路が挙げられる。「非経口投与経路」は、経腸経路以外の投与経路を指す。非経口投与経路の例としては、静脈内投与、筋肉内投与、皮内投与、腹腔内投与、腫瘍内投与、膀胱内投与、動脈内投与、髄腔内投与、嚢内投与、眼窩内投与、心臓内投与、経臓器投与、関節内投与、嚢下投与、くも膜下投与、脊髄内投与、硬膜外投与、胸骨内投与、皮下投与または局所投与が挙げられる。本開示の抗体及び組成物は、経口摂取、経鼻胃管、胃瘻管、注射、注入、埋め込み型注入ポンプ及び浸透圧ポンプによるなど、いずれかの適切な方法を用いて投与できる。適切な投与経路及び投与方法は、使用する具体的な抗体、所望の吸収速度、使用する具体的な製剤または剤形、治療する障害の種類または重症度、具体的な作用部位、及び患者の状態のような多くの要因に応じて変動することがあり、当業者が容易に選択できる。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、静脈内投与する。
【0100】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、20mg/kg、15mg/kg、10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、0.8mg/kg、0.6mg/kg、0.5mg/kg、0.4mg/kg、0.3mg/kg、0.2mg/kg、0.1mg/kg、0.08mg/kg、0.05mg/kg、0.04mg/kg、0.03mg/kg、0.01mg/kg、0.003mg/kgまたは0.001mg/kgのいずれか1つを超えない用量で投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体の用量は、下記のいずれか1つの範囲内であり、その範囲は、上限が、20mg/kg、19mg/kg、18mg/kg、17mg/kg、16mg/kg、15mg/kg、14mg/kg、13mg/kg、12mg/kg、11mg/kg、10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、0.8mg/kg、0.6mg/kg、0.5mg/kg、0.4mg/kg、0.3mg/kg、0.2mg/kg、0.1mg/kg、0.08mg/kg、0.05mg/kg、0.04mg/kg、0.03mg/kgまたは0.003mg/kgのいずれか1つであり、独立して、所定の下限が、19mg/kg、18mg/kg、17mg/kg、16mg/kg、15mg/kg、14mg/kg、13mg/kg、12mg/kg、11mg/kg、10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、0.8mg/kg、0.6mg/kg、0.5mg/kg、0.4mg/kg、0.3mg/kg、0.2mg/kg、0.1mg/kg、0.08mg/kg、0.05mg/kg、0.04mg/kg、0.03mg/kg、0.01mg/kg、0.003mg/kgまたは0.001mg/kgのいずれか1つであり、その下限は、上限よりも小さい。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、約0.03mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約20mg/kg、約0.3mg/kg~約20mg/kg、約1mg/kg~約20mg/kg、約3mg/kg~約20mg/kg、約5mg/kg~約20mg/kg、約0.03mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約0.3mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約10mg/kg、約3mg/kg~約10mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約0.03mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.3mg/kg、約0.3mg/kg~約1mg/kg、約1mg/kg~約3mg/kg、約3mg/kg~約5mg/kg、約0.1mg/kg~約3mg/kgまたは約1mg/kg~約5mg/kgのいずれか1つの用量で投与する。本明細書に記載の用量は、ヒトに適する用量、または所定の種の対象に対する同等の用量を指してよい。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、ヒト対象に対して、約0.03mg/kg~約20mg/kgに相当する用量、例えば、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg、約6.0mg/kg、約10mg/kgまたは約20mg/kgなどで投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、約0.1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kg、約6mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kgまたは約20mg/kgの用量で投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、0.1mg/kg~20mg/kg、例えば、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、15mg/kgまたは20mg/kgの用量で投与する。
【0101】
その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)及び/または1つ以上の追加の治療剤の有効量は、1回用量または複数回用量で投与してよい。その抗CTLA4抗体の投与を複数回用量で含む方法では、例示的な投与頻度としては、週に1回、中断なしに週に1回、3週間のうち2週間、週に1回、4週間のうち3週間、週に1回、3週間に1回、2週間に1回、1カ月に1回、6カ月に1回、1年に1回などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、約1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、6週間に1回、または12週間に1回投与する。いくつかの実施形態では、それぞれの投与間の間隔は、約3年、約2年、約12カ月、約11カ月、約10カ月、約9カ月、約8カ月、約7カ月、約6カ月、約5カ月、約4カ月、約3カ月、約2カ月、約1カ月、約4週間、約3週間、約2週間または約1週間のいずれかの期間よりも短い。いくつかの実施形態では、それぞれの投与間の間隔は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1カ月、約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約2年または約3年のいずれかの期間よりも長い。いくつかの実施形態では、投与スケジュールに中断期間がない。
【0102】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)及び/または1つ以上の追加の治療剤は、低頻度で、例えば、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、1カ月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、5カ月に1回、6カ月に1回、7カ月に1回、8カ月に1回、9カ月に1回、10カ月に1回、11カ月に1回、1年に1回以下よりも少ない頻度のいずれか1つで投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体及び/または1つ以上の追加の治療剤は、1回用量で投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体及び/または1つ以上の追加の治療剤は、約3週間に1回投与する。
【0103】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)及び/または1つ以上の追加の治療剤は、2サイクル以上、例えば、約2サイクル、約3サイクル、約4サイクル、約5サイクル、約6サイクル、約7サイクル、約8サイクル、約9サイクル、約10サイクル、約11サイクルまたは約12サイクル以上のいずれか1つで投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、少なくとも4サイクルで投与する。
【0104】
いくつかの実施形態では、その治療は、初期フェーズと、その後の維持フェーズを含む。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)及び/または1つ以上の追加の治療剤は、維持フェーズでは、初期フェーズよりも低い頻度で投与する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体及び/または1つ以上の追加の治療剤は、維持フェーズでは、初期フェーズと同じ頻度で投与する。いくつかの実施形態では、その治療は、その抗CTLA4抗体及び/または1つ以上の追加の治療剤を約3週間に1回、少なくとも4サイクル投与する初期フェーズと、その抗CTLA4抗体及び/または1つ以上の追加の治療剤を約4週間に1回~12週間に1回、例えば、4週間に1回、6週間に1回、8週間に1回、10週間に1回または12週間に1回投与する維持フェーズを含む。いくつかの実施形態では、維持フェーズでの投与頻度は、1つ以上のバイオマーカー、例えば、Treg細胞、CD8+ Tem細胞、CD4+ Tem細胞、Treg細胞に対するCD8+ Tem細胞の比率、Treg細胞に対するCD4+ Tem細胞の比率、CD25+ T細胞、及び/またはNK細胞に応じて調整する。例えば、その対象で、抗CTLA4抗体の投与後に、Treg細胞に対するCD8+ Tem細胞の比率の上昇が見られる場合には、その対象に、抗CTLA4抗体を約4週間に1回、さらに投与してよい。
【0105】
その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)及び/または1つ以上の追加の治療剤の投与は、長期間にわたって、例えば、約1週間~約1カ月、約1カ月~約1年、約1年~約数年、延長できる。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体及び/または1つ以上の追加の治療剤は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約1カ月、約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約1年、約2年、約3年または約4年以上の少なくともいずれかの期間にわたって投与する。
【0106】
MMが切断されると、その活性化可能な抗CTLA4抗体が、配列番号87のアミノ酸配列、もしくは配列番号87のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号100のアミノ酸配列、もしくは配列番号100のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むいくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、約3mg/kg~約20mg/kgの用量で3週間に1回、約3mg/kg~約15mg/kgで3週間に1回、約6mg/kg~約15mg/kgで3週間に1回、または約6mg/kg~約10mg/kgで3週間に1回投与する。いくつかのこのような実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、約3mg/kgの用量で3週間に1回投与する。別のこのような実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、約6mg/kgの用量で3週間に1回投与する。別のこのような実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、約10mg/kgの用量で3週間に1回投与する。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、ヒトIgG1のFc領域、例えば、野生型IgG1のFc領域、またはADCC活性が増強されているバリアントを含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号189~196からなる群から選択したアミノ酸配列のMMを含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号213~216からなる群から選択したアミノ酸配列のMMを含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号141~147からなる群から選択したアミノ酸配列のMMを含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号200のアミノ酸配列のMMを含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号320もしくは321のアミノ酸配列、または配列番号320もしくは321のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号322のアミノ酸配列、または配列番号322のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、メラノーマ、非小細胞肺癌、腎細胞癌または肝細胞癌である患者に投与する。上記実施形態のうちの別の実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、MSI-HまたはdMMRのがんである患者に投与する。上記実施形態のうちの別の実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、転移したがんである患者に投与する。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、他の抗CTLA4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体またはこれらの組み合わせを含む従来のがん療法に耐性または不応性がある患者に投与する。
【0107】
MMが切断されると、その活性化可能な抗CTLA4抗体が、配列番号87のアミノ酸配列、もしくは配列番号87のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号100のアミノ酸配列、もしくは配列番号100のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むいくつかの実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、第1の高めの用量(例えば、約10mg/kg~約20mg)で、少なくとも1治療サイクル(本明細書に定義されているようなサイクル)投与してから、その後のサイクルでは、低めの用量(例えば、約3mg/kg~約10mg/kg)で投与する。いくつかのこのような実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、約10mg/kgの用量で、少なくとも1治療サイクル(例えば、1~3治療サイクル)投与し、その後の治療サイクルでは、約6mg/kgの用量で投与する。別のこのような実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、約10mg/kgの用量で、少なくとも1治療サイクル(例えば、1~3治療サイクル)投与し、その後の治療サイクルでは、約3mg/kgの用量で投与する。別のこのような実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、約15mg/kgの用量で、少なくとも1治療サイクル(例えば、1~3治療サイクル)投与し、その後の治療サイクルでは、約10mg/kgの用量で投与する。別のこのような実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、約20mg/kgの用量で、少なくとも1治療サイクル(例えば、1~3治療サイクル)投与し、その後の治療サイクルでは、約10mg/kgの用量で投与する。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、配列番号320もしくは321のアミノ酸配列、または配列番号320もしくは321のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号322のアミノ酸配列、または配列番号322のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、メラノーマ、非小細胞肺癌、腎細胞癌または肝細胞癌である患者に投与する。上記実施形態のうちの別の実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、MSI-HまたはdMMRのがんである患者に投与する。上記実施形態のうちの別の実施形態では、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、転移したがんである患者に投与する。上記実施形態のうちのいくつかでは、その活性化可能な抗CTLA4抗体は、他の抗CTLA4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体またはこれらの組み合わせを含む従来のがん療法に耐性または不応性がある患者に投与する。
【0108】
先の2つの段落の実施形態のうちのいずれでも、その抗CTLA4抗体は、単剤療法としても、または本明細書に開示されているような1つ以上の抗がん剤と組み合わせても投与できる。例えば、その抗CTLA4抗体は、抗PD-1抗体または抗CD137抗体と組み合わせて投与できる。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体と、抗PD-1抗体または抗CD137抗体との組み合わせは、相乗効果を発揮する。
【0109】
いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体及び/または1つ以上の追加の治療剤による治療により、腫瘍において、Treg細胞が枯渇する。いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体及び/または1つ以上の追加の治療剤による治療によっても、末梢組織では、Treg細胞が枯渇しない。
【0110】
いくつかの実施形態では、その対象は以前に、従来の療法によって治療したことがある。いくつかの実施形態では、その対象は以前に、1つ、2つ、3つまたは4つ以上の前治療のいずれか1つを受けたことがある。いくつかの実施形態では、その対象は、利用可能な他のすべての療法を使い果たした。いくつかの実施形態では、その対象は、従来の療法に応答しないか、または耐性がある。いくつかの実施形態では、その対象は、従来の療法の後に、疾患が再発している。いくつかの実施形態では、その対象は、従来の療法に不応性がある。いくつかの実施形態では、その対象は、約1年、約6カ月または約3カ月以内のうちに、従来の療法が失敗している。いくつかの実施形態では、その対象は以前に、従来の療法を受けたことがない。
【0111】
いくつかの実施形態では、その対象は以前に、そのがんに対する標準療法によって治療したことがある。いくつかの実施形態では、その対象は、標準療法に応答しないか、または耐性がある。いくつかの実施形態では、その対象は、標準療法の後に、疾患が再発している。いくつかの実施形態では、その対象は、標準療法に不応性がある。いくつかの実施形態では、その対象は、約1年、約6カ月または約3カ月以内のうちに、標準療法が失敗している。いくつかの実施形態では、その対象は以前に、標準療法を受けたことがない。いくつかの実施形態では、その対象は、標準療法を拒絶したことがあるか、標準療法に不適格である。
【0112】
いくつかの実施形態では、その従来の療法(例えば標準療法)は、ウイルス遺伝子療法、免疫療法、標的療法、放射線療法及び化学療法からなる群から選択する。いくつかの実施形態では、その従来の療法は、免疫チェックポイント阻害剤である。いくつかの実施形態では、その従来の療法は、CTLA4、PD-1またはPD-1リガンド(例えば、PD-L1もしくはPD-L2)の阻害剤である。いくつかの実施形態では、その従来の療法は、本明細書に記載の抗CTLA4抗体とは異なる抗CTLA4抗体のようなCTLA4阻害剤である。いくつかの実施形態では、その従来の療法は、イピリムマブである。いくつかの実施形態では、その従来の療法は、イピリムマブ及び/またはニボルマブである。
【0113】
いくつかの実施形態では、その従来の療法は、PD-1結合アンタゴニスト、PDL1結合アンタゴニスト及びPDL2結合アンタゴニストを含め、PD-1またはPD-1リガンドの阻害剤である。「PD-1」の代替名としては、CD279及びSLEB2が挙げられる。「PDL1」の代替名としては、B7-H1、B7-4、CD274及びB7-Hが挙げられる。「PDL2」の代替名としては、B7-DC、Btdc及びCD273が挙げられる。いくつかの実施形態では、PD-1、PDL1及びPDL2は、ヒトPD-1、ヒトPDL1及びヒトPDL2である。
【0114】
いくつかの実施形態では、PD-1の阻害剤は、PD-1が、そのリガンド結合パートナーに結合するのを阻害する分子である。いくつかの実施形態では、PD-1リガンドの阻害剤は、PD-L1及び/またはPD-L2の阻害剤である。いくつかの実施形態では、PD-L1の阻害剤は、PDL1が、その結合パートナーに結合するのを阻害する分子である。いくつかの実施形態では、PD-L2の結合パートナーは、PD-1及び/またはB7-1である。いくつかの実施形態では、PD-1リガンドの阻害剤は、PD-L2が、その結合パートナーに結合するのを阻害する分子である。いくつかの実施形態では、PD-L2の結合パートナーは、PD-1である。その阻害剤は、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質またはオリゴペプチドであってよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、PD-1の阻害剤は、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体)である。いくつかの実施形態では、その抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ及びCT-011からなる群から選択する。いくつかの実施形態では、PD-1の阻害剤は、イムノアドヘシン(例えば、PDL1またはPDL2の細胞外部分またはPD-1結合部分が、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたものを含むイムノアドヘシン)である。いくつかの実施形態では、PD-1の阻害剤は、AMP-224である。ニボルマブは、MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558及びOPDIVO(登録商標)としても知られており、WO2006/121168に記載されている抗PD-1抗体である。ペムブロリズマブは、MK-3475、Merck3475、ランブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)及びSCH-900475としても知られており、WO2009/114335に記載されている抗PD-1抗体である。CT-011は、hBATまたはhBAT-1としても知られており、WO2009/101611に記載されている抗PD-1抗体である。AMP-224は、B7-DCIgとしても知られており、WO2010/027827及びWO2011/066342に記載されている、PDL2-Fc融合体である可溶性受容体である。いくつかの実施形態では、その抗PD-1抗体は、ニボルマブ(CAS登録番号:946414-94-4)である。いくつかの実施形態では、その抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(CAS登録番号:1374853-91-4)である。
【0116】
いくつかの実施形態では、PD-L1の阻害剤は、抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、PD-L1の阻害剤は、YW243.55.S70、MPDL3280A、MDX-1105及びMEDI4736からなる群から選択する。MDX-1105は、BMS-936559としても知られており、WO2007/005874に記載されている抗PD-L1抗体である。抗体YW243.55.S70は、WO2010/077634A1に記載されている抗PD-L1である。MEDI4736は、WO2011/066389及びUS2013/034559に記載されている抗PD-L1抗体である。本願の方法に有用な抗PD-L1抗体、及びその作製方法の例は、国際公開第WO2010/077634A1号及び米国特許第8,217,149号に記載されており、これらの特許は、参照により、本明細書に援用される。
【0117】
前治療(例えば標準療法)には、腫瘍を除去するための手術、及び放射線療法も含まれる。例示的な放射線療法としては、電離性(電磁)放射線療法(例えば、X線またはガンマ線)、及び粒子線放射線療法(例えば、高線エネルギー放射線治療)が挙げられるが、これらに限定されない。放射線源は、その対象の体外または体内にあることができる。
【0118】
本明細書に記載の方法は、がん治療の様々な態様に有用である。いくつかの実施形態では、個体において、細胞の増殖(腫瘍の成長など)を阻害する方法であって、その個体に、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれか1つを有効量投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、細胞の増殖を少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、約30%、約40%、約60%、約70%、約80%、約90%または約95%以上のいずれかを含む)阻害する。
【0119】
いくつかの実施形態では、個体において、腫瘍転移を阻害する方法であって、その個体に、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれか1つを有効量投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、転移を少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、約30%、約40%、約60%、約70%、約80%、約90%または約95%以上のいずれかを含む)阻害する。
【0120】
いくつかの実施形態では、個体において、既存の腫瘍の転移(リンパ節への転移など)を低減する方法(根絶する方法など)であって、その個体に、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれか1つを有効量投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、転移を少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、約30%、約40%、約60%、約70%、約80%、約90%または約95%以上のいずれかを含む)低減する。
【0121】
いくつかの実施形態では、個体において、既存の腫瘍の転移(リンパ節への転移など)の発生または量を低減する方法であって、その個体に、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれか1つを有効量投与することを含む方法を提供する。
【0122】
いくつかの実施形態では、個体において、腫瘍サイズを低減する方法であって、その個体に、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれか1つを有効量投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、その方法は、腫瘍サイズを少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、約30%、約40%、約60%、約70%、約80%、約90%または約95%以上のいずれかを含む)低減する。
【0123】
いくつかの実施形態では、個体において、がんの疾患進行までの時間を延ばす方法であって、その個体に、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれか1つを有効量投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、その方法は、その疾患進行までの時間を少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、16週間、20週間、24週間、28週間、32週間または36週間以上のいずれかだけ延ばす。
【0124】
いくつかの実施形態では、がんである個体の生存期間(例えば、全生存期間または無増悪生存期間)を延ばす方法であって、その個体に、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれか1つを有効量投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、その方法は、その個体の生存期間を少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月、18カ月または24カ月のいずれかだけ延ばす。
【0125】
いくつかの実施形態では、がんである個体において、1つ以上の症状を緩和する方法であって、その個体に、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれか1つを有効量投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与する。
【0126】
いくつかの実施形態では、がんである個体において、クオリティオブライフを改善する方法であって、その個体に、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれか1つを有効量投与することを含む方法を提供する。
【0127】
併用療法
対象においてがんを治療する方法であって、その対象に、抗CTLA4抗体を1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。
【0128】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、免疫療法剤と組み合わせて投与する。「免疫療法剤」という用語は、哺乳動物の免疫応答を増強できる化学物質または生体物質を指す。免疫療法剤の例としては、bacillus Calmette-Guerin(BCG)、インターフェロンなどのサイトカイン、個別化免疫療法MyVax、Onyvax-P、Oncophage、GRNVAC1、Favld、Provenge、GVAX、Lovaxin C、BiovaxID、GMXX及びNeuVaxなどのワクチン、ならびにアレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、イブリツモマブチウキセタン(ZEVALIN(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、MABTHERA(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、トシツモマブ(BEXXAR(登録商標))、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、トレメリムマブ、CAT-3888、OX40受容体に対するアゴニスト抗体(WO2009/079335に開示されているものなど)、CD40受容体に対するアゴニスト抗体(WO2003/040170に開示されているものなど)及びTLR-9アゴニスト(WO2003/015711、WO2004/016805及びWO2009/022215に開示されているものなど)などの抗体が挙げられる。
【0129】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、ホルモン治療剤と組み合わせて投与する。「ホルモン治療剤」という用語は、ホルモンの産生を阻害または排除するか、あるいはホルモンが、がん細胞の成長及び/または生存に及ぼす作用を阻害または相殺する化学物質または生体物質を指す。本発明の方法に適するこのような薬剤の例としては、US20070117809に開示されているものが挙げられる。特定のホルモン治療剤の例としては、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標))、トレミフェン(FARESTON(登録商標))、フルベストラント(FASLODEX(登録商標))、アナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))、エキセメスタン(AROMASIN(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、酢酸メゲストロール(MEGACE(登録商標))、ゴセレリン(ZOLADEX(登録商標))及びロイプロリド(LUPRON(登録商標))が挙げられる。本開示の抗CTLA4抗体は、(1)卵巣、精巣、副腎及び下垂体など、ホルモンの産生に関与する臓器または腺の全部または一部を除去する外科的方法、ならびに(2)患者の臓器または腺に対して、標的ホルモンの産生を阻害または排除するのに十分な量で放射線を照射する放射線治療のような非薬物ホルモン療法と組み合わせて使用してもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、その追加の治療剤は、ポマリスト、レブラミド、レナリドミド、ポマリドミド、サリドマイド、DNAをアルキル化する白金含有誘導体、シスプラチン、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド、抗CD137抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CD20抗体、抗CD40抗体、抗DR5抗体、抗CD1d抗体、抗TIM3抗体、抗SLAMF7抗体、抗KIR受容体抗体、抗OX40抗体、抗HER2抗体、抗ErbB-2抗体、抗EGFR抗体、セツキシマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ペムブロリズマブ、放射線療法、単回放射線照射、分割放射線照射、焦点放射線照射、全臓器放射線照射、IL-12、IFNα、GM-CSF、キメラ抗原受容体、養子移入T細胞、抗がんワクチン及び腫瘍溶解性ウイルスの1つ以上である。いくつかの実施形態では、その追加の治療剤は、抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態では、その追加の治療剤は、抗PD-1抗体である。
【0131】
がんを治療するための併用療法には、抗CTLA4抗体と、腫瘍を除去する手術との組み合わせも含まれる。その抗CTLA4抗体は、哺乳動物に、手術前、手術中または手術後に投与してよい。
【0132】
がんを治療するための併用療法には、抗CTLA4抗体と放射線療法、例えば、電離性(電磁)放射線療法(例えば、X線またはガンマ線)及び粒子線放射線療法(例えば高線エネルギー放射線治療)との組み合わせも含まれる。その放射線源は、その哺乳動物の体外または体内にあることができる。その抗CTLA4抗体は、その哺乳動物に、放射線療法前、放射線療法の最中、放射線療法の後に投与してよい。
【0133】
本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれか1つの組成物であって、本節に記載されている方法で使用するための組成物、及びがん(固形がん、例えば尿路上皮癌など)を治療する医薬の製造に、その抗CTLA4抗体を使用することも提供する。
【0134】
免疫チェックポイント阻害剤
いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と組み合わせて投与する。免疫チェックポイント阻害剤は、免疫系の制御機構の活性を阻害する化合物である。免疫系チェックポイントまたは免疫チェックポイントは、免疫系における阻害経路であり、この経路は概して、自己寛容を維持するか、または生理的な免疫応答の継続時間及び規模を調節して、付随する組織損傷を最小限に抑えるように作用する。チェックポイント阻害剤は、その経路において、刺激性チェックポイント分子の活性を刺激したり、または阻害性チェックポイント分子の活性を阻害したりすることによって、免疫系チェックポイントを阻害できる。免疫系チェックポイント分子としては、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA4)、プログラム細胞死1タンパク質(PD-1)、プログラム細胞死1リガンド1(PD-L1)、プログラム細胞死1リガンド2(PD-L2)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、B7-1、B7-H3、B7-H4、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、B-リンパ球及びT-リンパ球アテニュエーター(BTLA)、T細胞活性化のV-ドメイン免疫グロブリン(Ig)含有抑制因子(VISTA)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)及びA2Aアデノシン受容体(A2aR)が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、チェックポイント阻害剤としては、CTLA4、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG3、B7-1、B7-H3、B7-H4、BTLA、VISTA、KIR、A2aRまたはTIM3のアンタゴニストが挙げられる。例えば、CTLA4、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG3、B7-1、B7-H3、B7-H4、BTLA、VISTA、KIR、A2aRまたはTIM3に結合して、それらの機能をアンタゴナイズする抗体は、チェックポイント阻害剤である。さらに、免疫系チェックポイントの阻害機能を阻害するいずれの分子(例えば、ペプチド、核酸、小分子など)も、チェックポイント阻害剤である。
【0135】
いくつかの実施形態では、その免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイント分子に特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、その免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体及び抗CTLA4抗体からなる群から選択する。
【0136】
いくつかの実施形態では、その免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体である。例示的な抗PD-1抗体としては、2E5(Cstone Pharmaceuticals)、チスレリズマブ(BGB-A317)、BGB-108、STI-A1110、AM0001、BI754091、シンチリマブ(IBI308)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、トリパリマブ(JS-001)、カムレリズマブ(SHR-1210、INCSHR-1210、HR-301210)、MEDI-0680(AMP-514)、MGA-012(INCMGA 0012)、ニボルマブ(BMS-936558、MDX1106、ONO-4538)、スパルタリズマブ(PDR00l)、ペムブロリズマブ(MK-3475、SCH900475)、PF-06801591、セミプリマブ(REGN-2810、REGEN2810)、ドスタルリマブ(TSR-042、ANB011)、ピジリズマブ(CT-011)、FITC-YT-16(PD-1結合ペプチド)、APL-501、CBT-501またはゲプタノリマブ(GB-226)、AB-122、AK105、AMG404、BCD-100、F520、HLX10、HX008、JTX-4014、LZM009、Sym021、PSB205、AMP-224(PD-1を標的とする融合タンパク質)、CX-188(PD-1プロボディ)、AGEN-2034、GLS-010、ブジガリマブ(ABBV-181)、AK-103、BAT-1306、CS-1003、AM-0001、TILT-123、BH-2922、BH-2941、BH-2950、ENUM-244C8、ENUM-388D4、HAB-21、H EISCOI 11-003、IKT-202、MCLA-134、MT-17000、PEGMP-7、PRS-332、RXI-762、STI-1110、VXM-10、XmAb-23104、AK-112、HLX-20、SSI-361、AT-16201、SNA-01、AB122、PD1-PIK、PF-06936308、RG-7769、CAB PD-1 Abs、AK-123、MEDI-3387、MEDI-5771、4H1128Z-E27、REMD-288、SG-001、BY-24.3、CB-201、IBI-319、ONCR-177、Max-1、CS-4100、JBI-426、CCC-0701、CCX-4503、これらのバイオシミラー、及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、当該技術分野で認識されているこれらの抗体のいずれかと、PD-1への結合に関して競合する抗体も使用できる。いくつかの実施形態では、その免疫チェックポイント阻害剤は、2E5である。2E5及び関連する抗PD-1抗体は、例えばCN107840887Aに記載されており、その特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、その免疫チェックポイント阻害剤は、トリパリマブである。トリパリマブ及び関連する抗PD-1抗体は、例えばUS10066013B2に記載されており、その特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0137】
いくつかの実施形態では、その抗PD-1抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、そのVHは、配列番号294のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号295のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号296のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、そのVLは、配列番号297のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号298のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号299のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗PD-1抗体は、配列番号300のアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、その抗PD-1抗体は、配列番号301のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、その免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1抗体である。例示的な抗PD-L1抗体としては、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ(イミフィンジ)、BGB-A333、SHR-1316(HTI-1088)、CK-301、BMS-936559、エンバフォリマブ(KN035、ASC22)、CS1001、MDX-1105(BMS-936559)、LY3300054、STI-A1014、FAZ053、CX-072、INCB086550、GNS-1480、CA-170、CK-301、M-7824、HTI-1088(HTI-131、SHR-1316)、MSB-2311、AK-106、AVA-004、BBI-801、CA-327、CBA-0710、CBT-502、FPT-155、IKT-201、IKT-703、10-103、JS-003、KD-033、KY-1003、MCLA-145、MT-5050、SNA-02、BCD-135、APL-502(CBT-402またはTQB2450)、IMC-001、KD-045、INBRX-105、KN-046、IMC-2102、IMC-2101、KD-005、IMM-2502、89Zr-CX-072、89Zr-DFO-6E11、KY-1055、MEDI-1109、MT-5594、SL-279252、DSP-106、Gensci-047、REMD-290、N-809、PRS-344、FS-222、GEN-1046、BH-29xx、FS-118、これらのバイオシミラー、及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、当該技術分野で認識されているこれらの抗体のいずれかと、PD-L1への結合に関して競合する抗体も使用できる。いくつかの実施形態では、その免疫チェックポイント阻害剤は、アテゾリズマブである。
【0139】
抗CD137抗体
いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、抗CD137抗体と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、本明細書に記載の抗CD137抗体(完全長抗体及びその抗原結合断片を含む)(第IV節、抗CD137抗体を参照されたい)のいずれか1つである。
【0140】
CD137(CD137受容体、4-1BB、TNFRSF9などともいう)は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRS)の膜貫通タンパク質である。CD137に関する現在の理解では、その発現が概して、活性化依存性であり、活性化NK細胞、活性化NKT細胞、制御性T細胞、樹状細胞(DC)、刺激されたマスト細胞、分化中の骨髄系細胞、単球、好中球及び好酸球を含む広範な免疫細胞サブセットに存在することが示されている(Wang,2009,Immunological Reviews 229:192-215)。CD137の発現は、腫瘍の脈管系(Broll,2001,Amer.J.Clin.Pathol.115(4):543-549、Seaman,2007,Cancer Cell 11:539-554)、及び炎症部位またはアテローム性内皮部位(Drenkard,2007 FASEB J.21:456-463、Olofsson,2008,Circulation 117:1292-1301)でも示されている。CD137を刺激するリガンド、すなわちCD137リガンド(CD137L)は、活性化抗原提示細胞(APC)、骨髄系前駆細胞及び造血幹細胞の上に発現する。
【0141】
VEGF阻害剤
いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)は、VEGF阻害剤と組み合わせて投与する。血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤は、血管新生阻害剤の一種である。血管内皮成長因子(VEGF)の媒介による血管新生は、腫瘍の成長及び転移において重要な役割を果たすと考えられている。いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体は、VEGF阻害剤と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、そのVEGF阻害剤は、フルキンチニブ、アンロチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、ブリバニブアラニナート、セジラニブ、バンデタニブ、リニファニブ、アフリベルセプト及び抗VEGF二重特異性抗体からなる群から選択する。
【0142】
化学療法剤
いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体は、化学療法剤と組み合わせて投与する。「化学療法剤」という用語は、がん細胞を死滅させたり、あるいはがん細胞の成長、分裂、修復及び/または機能を妨害したりすることができる化学物質または生体物質を指す。化学療法剤の例としては、WO2006/129163及びUS20060153808に開示されているものが挙げられ、これらの開示内容は、参照により、本明細書に援用される。特定の化学療法剤の例としては、(1)アルキル化剤、例えば、クロラムブシル(LEUKERAN(登録商標))、シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、メクロレタミン塩酸塩(MUSTARGEN(登録商標))、チオテパ(THIOPLEX(登録商標))、ストレプトゾトシン(ZANOSAR(登録商標))、カルムスチン(BICNU(登録商標)、GLIADEL WAFER(登録商標))、ロムスチン(CEENU(登録商標))及びダカルバジン(DTIC-DOME(登録商標))、(2)細胞傷害性抗生物質を含むアルカロイドまたは植物ビンカアルカロイド、例えば、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標))、エピルビシン(ELLENCE(登録商標)、PHARMORUBICIN(登録商標))、ダウノルビシン(CERUBIDINE(登録商標)、DAUNOXOME(登録商標))、ネモルビシン、イダルビシン(IDAMYCIN PFS(登録商標)、ZAVEDOS(登録商標))、ミトキサントロン(DHAD(登録商標)、NOVANTRONE(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、COSMEGEN(登録商標))、プリカマイシン(MITHRACIN(登録商標))、マイトマイシン(MUTAMYCIN(登録商標))、ブレオマイシン(BLENOXANE(登録商標))、酒石酸ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))、ビンブラスチン(VELBAN(登録商標))、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))及びビンデシン(ELDISINE(登録商標))、(3)代謝拮抗剤、例えば、カペシタビン(XELODA(登録商標))、シタラビン(CYTOSAR-U(登録商標))、フルダラビン(FLUDARA(登録商標))、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、ヒドロキシウレア(HYDRA(登録商標))、メトトレキサート(FOLEX(登録商標)、MEXATE、TREXALL(登録商標))、ネララビン(ARRANON(登録商標))、トリメトレキサート(NEUTREXIN(登録商標))及びペメトレキセド(ALIMTA(登録商標))、(4)ピリミジンアンタゴニスト、例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(XELODA(登録商標))、ラルチトレキセド(TOMUDEX(登録商標))、テガフール-ウラシル(UFTORAL(登録商標))及びゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、(5)タキサン、例えば、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、(6)白金系薬物、例えば、シスプラチン(PLATINOL(登録商標))、カルボプラチン(PARAPLATIN(登録商標))及びオキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標))、(7)トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標))、トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、エトポシド(ETOPOPHOS(登録商標)、VEPESSID(登録商標)、TOPOSAR(登録商標))及びテニポシド(VUMON(登録商標))、(8)エピポドフィロトキシン(ポドフィロトキシン誘導体)、例えば、エトポシド(ETOPOPHOS(登録商標)、VEPESSID(登録商標)、TOPOSAR(登録商標))、(9)葉酸誘導体、例えばロイコボリン(WELLCOVORIN(登録商標))、(10)ニトロソウレア、例えば、カルムスチン(BICNU(登録商標))、ロムスチン(CEENU(登録商標))、(11)上皮成長因子受容体(EGFR)、血管内皮成長因子(VEGF)、インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、肝細胞成長因子受容体(HGFR)及び血小板由来成長因子受容体(PDGFR)を含む受容体型チロシンキナーゼの阻害剤、例えば、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、ゲフィチニブ、ラパチニブ、ソラフェニブ、サリドマイド、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、アクシチニブ、リツキシマブ(RITUXAN、MABTHERA(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、lym-1(ONCOLYM(登録商標))、インスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)に対する抗体であって、WO2002/053596に開示されている抗体)、(12)血管新生阻害剤、例えば、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、スラミン(GERMANIN(登録商標))、アンギオスタチン、SU5416、サリドマイド及びマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(バチマスタット及びマリマスタットなど)、ならびに、WO2002055106に開示されているもの、ならびに(13)プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))が挙げられる。
【0143】
いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体は、イカリチン(3,5,7-トリヒドロキシ-2-(4-メトキシフェニル)-8-(3-メチルブタ-2-エニル)クロメン-4-オン、PubChem CID No.5318980)と組み合わせて投与する。イカリチンは、白血病、リンパ腫及び多発性骨髄腫のような血液悪性腫瘍を含む様々な新生物において抗腫瘍効果を示した伝統的な漢方薬草Epimedium属から抽出した化合物である。イカリチンは、「SNG162」とも称することがある。イカリチンの構造は、下に示されている。
【化1】
【0144】
PARP阻害剤
いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体は、PARP阻害剤と組み合わせて投与する。PARP阻害剤は、酵素ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)の薬理的な阻害剤群である。いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体は、PARP阻害剤と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、そのPARP阻害剤は、オラパリブである。
【0145】
III.抗CTLA4抗体
本明細書に記載の方法は、CTLA4抗体、CTLA4抗体の抗原結合断片及びCTLA4抗体の誘導体を含め、ヒトCTLA4に特異的に結合する抗CTLA4抗体の投与を含む。例示的な抗CTLA4抗体は、例えば国際公開第WO2019149281A1に記載されており、この特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0146】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、HVR、可変領域(VL、VH)、ならびに軽鎖及び重鎖の具体的なアミノ酸配列について記載されている抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG4)を含め、本明細書に記載の抗体のいずれか1つである。いくつかの実施形態では、その抗体は、ヒト抗体である。いくつかの実施形態では、その抗体は、ヒト化抗体及び/またはキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、ヒトCTLA4に結合するとともに、(a)ヒトCTLA4、カニクイザルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4に、500nM以下のKで結合する特性、(b)ヒトCTLA4に対してアンタゴニスト活性を有する特性、(c)ヒトのPD-1、PD-L1、PD-L2、LAG3、TIM3、B7-H3、CD95、CD120a、OX40、CD40、BTLA、VISTA、ICOS、及び/またはB7-H4に、100nMの濃度まで結合しない特性、(d)サルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4との交差反応性を有する特性、(e)(例えばTregsに対して)ADCC作用を誘導する特性、(f)ヒトPBMCを活性化する(例えば、IL-2及び/またはIFNγの分泌を刺激する)特性、(g)腫瘍細胞の成長を阻害できる特性、(h)がんに対する治療効果を有する特性、ならびに(i)ヒトCTLA4がヒトCD80及び/またはヒトCD86に結合するのを遮断する特性という機能的特性の少なくとも1個(例えば、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個または9個すべて)を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA4抗体は、ヒトCD80及び/またはCD86を固定化したとき(すなわち、プレートに結合したとき)、あるいは、ヒトCTLA4タンパク質が細胞表面に存在するときのいずれかのアッセイにおいて、CD80及び/またはCD86のヒトCTLA4への結合を遮断する活性が、イピリムマブよりも低い。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA4抗体は、PBMCまたは脾臓でTreg細胞を枯渇させる場合よりも、腫瘍微小環境において、Treg細胞を選択的に枯渇させる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA4抗体は、腫瘍微小環境において、Treg枯渇活性がイピリムマブよりも高い。本明細書では、ヒトCTLA4への結合に関して、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片の1つ以上と交差競合する1つ以上の抗CTLA4抗体または抗原結合断片も1つ以上提供する。
【0147】
いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、ヒトCTLA4、カニクイザルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4に、約500nM以下のK(例えば、約500nM以下、約450nM以下、約400nM以下、約350nM以下、約300nM以下、約250nM以下、約200nM以下、約150nM以下、約100nM以下、約90nM以下、約80nM以下、約70nM以下、約60nM以下、約50nM以下、約40nM以下、約30nM以下、約25nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約0.1nM以下など)で結合する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、ヒトCTLA4、カニクイザルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4に、約350nM以下のKで結合する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、ヒトCTLA4に、約100nM以下のKで結合する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、ヒトCTLA4に、約50nM以下のKで結合する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、ヒトCTLA4に、約10nM以下のKで結合する。抗体または抗原結合断片のKを測定する方法は、例えば、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱測定、フィルター結合アッセイ、EMSAによるなどを含め、当該技術分野で知られているいずれかの方法を用いて行ってよい。いくつかの実施形態では、Kは、表面プラズモン共鳴またはELISAによって測定する(例えば、下記の実施例3を参照されたい)。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片は、ヒトCTLA4に対してアンタゴニスト活性を有する。いくつかの実施形態では、ヒトCTLA4を発現する細胞(例えばヒト細胞)が、その抗体または抗原結合断片と接触すると、その抗体または抗原結合断片は、ヒトCTLA4の活性の1つ以上を抑制する(例えば、CLA4遮断レポーター遺伝子アッセイを用いて、レポーター遺伝子シグナルの増大によって測定した場合、CTLA4が遮断される)。
【0149】
いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、サル(例えばカニクイザル)CTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、サルCTLA4との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、マウスCTLA4との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、ラットCTLA4との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、イヌCTLA4との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、サルCTLA4及びマウスCTLA4、サルCTLA4及びラットCTLA4、サルCTLA4及びイヌCTLA4、マウスCTLA4及びラットCTLA4、マウスCTLA4及びイヌCTLA4、ラットCTLA4及びイヌCTLA4、サルCTLA4、マウスCTLA4及びラットCTLA4、サルCTLA4、マウスCTLA4及びイヌCTLA4、サルCTLA4、ラットCTLA4及びイヌCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及びイヌCTLA4、またはサルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及びイヌCTLA4との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片が、非ヒトCTLA4分子に、約500nM未満(例えば、約1nM未満、約10nM未満、約25nM未満、約50nM未満、約75nM未満、約100nM未満、約150nM未満、約200nM未満、約250nM未満、約300nM未満、約350nM未満など)のKで結合する場合には、その抗体または抗原結合断片は、交差反応性を有する。抗体の交差反応性を測定する方法は、当該技術分野で知られており、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱測定、フィルター結合アッセイ、EMSAなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、交差反応性は、ELISAによって測定する。
【0150】
いくつかの実施形態では、その抗体は、細胞が発現したCTLA4に結合した後に、そのCTLA4発現細胞(例えば、TregなどのCTLA4発現ヒト細胞)に対して、ADCC作用を誘導する。ADCC作用を測定する方法(例えばin vitro法)は、当該技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、その抗体は、コントロール(例えば、アイソタイプコントロールまたはイピリムマブ)に対して、ADCC作用を約10%超、誘導する(例えば、ADCCを約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%など、誘導する)。
【0151】
いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、腫瘍細胞の成長及び/または増殖を阻害できる。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の成長及び/または増殖は、その抗体または抗原結合断片と接触させると、その抗体または抗原結合断片接触させていない対応する腫瘍細胞に対して(またはアイソタイプコントロール抗体と接触させた対応する腫瘍細胞に対して)、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約99%)阻害される。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片を対象に投与すると、その抗体または抗原結合断片は、その対象において、腫瘍体積を縮小できる。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、その対象の初期の腫瘍体積に対して(例えば、その抗体または抗原結合断片の投与前、アイソタイプコントロール抗体を投与した対象の対応する腫瘍と比べて)、対象において、腫瘍体積を少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約99%)縮小できる。腫瘍細胞の成長/増殖、腫瘍体積及び/または腫瘍の阻害をモニタリングする方法は、当該技術分野で知られている。
【0152】
いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、がんに対して治療効果を有する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、がんの徴候または症状の1つ以上を軽減する。いくつかの実施形態では、がんに罹患している対象は、その抗体または抗原結合断片を投与されると、部分寛解または完全寛解する。
【0153】
別の態様では、本開示は、ヒトCTLA4への結合に関して、本開示の例示的な抗体のいずれか、例えば、TY21585、TY21586、TY21587、TY21588、TY21589、TY21580、TY21591、TY21686、TY21687、TY21689、TY21680、TY21691及び/またはTY21692と競合または交差競合する単離抗体を提供する。特定の実施形態では、本願は、ヒトCTLA4上の同じエピトープへの結合に関して、本開示の例示的な抗体のいずれかと競合または交差競合する単離抗体を提供する。抗体が、結合に関して、別の抗体と競合または交差競合する能力は、BIAcore解析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーなど、当該技術分野で知られている標準的な結合アッセイを用いて求めることができる。例えば、本開示の例示的な抗体をヒトCTLA4に、飽和条件下で結合させてから、その試験抗体がそのCTLA4に結合する能力を測定することができる。その試験抗体が、そのCTLA4に、その例示的な抗体と同時に結合できる場合には、その試験抗体は、その例示的な抗体とは異なるエピトープに結合する。しかしながら、その試験抗体が、そのCTLA4に、同時には結合できない場合には、その試験抗体は、その例示的な抗体が結合したエピトープと同じエピトープ、そのエピトープと重複するエピトープ、またはそのエピトープに近接しているエピトープに結合する。この実験は、ELISA、RIA、FACSまたは表面プラズモン共鳴などの様々な方法を使用して実施することができる。
【0154】
いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、CTLA4とその結合パートナーの1つ以上(例えば、ヒトCTLA4とヒトCD80、ヒトCTLA4とヒトCD86)との結合を遮断する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、CTLA4とそのリガンドとの結合をin vitroで遮断する。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、CTLA4のCD80及び/またはCD86への結合を遮断する半最大阻害濃度(IC50)が約500nM以下(例えば、約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下、約100nM以下、約50nM以下、約25nM以下、約10nM以下、約1nM以下など)である。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、CTLA4のCD80及び/またはCD86への結合を遮断する半最大阻害濃度(IC50)が約100nM以下である。いくつかの実施形態では、その抗体または抗原結合断片は、約100nM以上(例えば、約100nM以上、約500nM以上、約1μM以上、約10μM以上など)の濃度で供給すると、ヒトCTLA4のCD80及び/またはCD86への結合を完全に遮断する。本明細書で使用する場合、「完全に遮断すること」または「完全に遮断する」という用語は、その抗体または抗原結合断片が、第1のタンパク質と第2のタンパク質との結合を少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%など)低減する能力を指す。抗体または抗原結合断片が、第1のタンパク質(例えばヒトCTLA4)と第2のタンパク質(例えば、ヒトCD80またはヒトCD86)との結合を遮断する能力を測定する方法は、当該技術分野で知られており、BIAcore解析、ELISAアッセイ及びフローサイトメトリーによるものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA4抗体は、リガンドの結合を遮断する活性が、イピリムマブよりも低い。
【0155】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、表面プラズモン共鳴によって測定した場合に、ヒトCTLA4に、1000nM以下(例えば、50nM以下、10nM以下)のKで結合する。いくつかの実施形態では、その抗体は、カニクイザル、マウス、ラット及びイヌから選択した少なくとも1つの非ヒト種との交差反応性を有する。
【0156】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、ヒトCTLA4のリガンド結合部位と同様のエピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗体は、ヒトCTLA4のCD80結合部位と同様のエピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗体は、ヒトCTLA4のCD86結合部位と同様のエピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗体は、ヒトCTLA4のリガンド結合部位(例えば、CD80結合部位及び/またはCD86結合部位)内のアミノ酸残基を1つ以上含むエピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗体は、ヒトCTLA4上のエピトープのうち、イピリムマブのエピトープとは異なるエピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、そのエピトープは、ヒトCTLA4のCC’ループモチーフ内のアミノ酸残基を含まない。いくつかの実施形態では、そのエピトープは、ヒトCTLA4のL106またはI108というアミノ酸残基を含まない。いくつかの実施形態では、その抗体は、ヒトCTLA4のY105及びL106というアミノ酸残基を含むが、I108を含まないエピトープに特異的に結合し、そのアミノ酸残基のナンバリングは、KAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPE(配列番号207)によるものである。
【0157】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、a)その重鎖可変領域は、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含み、そのHVR-H1は、式(I):X1TFSX2YX3IHWV(配列番号1)(式中、X1は、FもしくはYであり、X2は、DもしくはGであり、X3は、A、GもしくはWである)、式(II):YSIX1SGX2X3WX4WI(配列番号2)(式中、X1は、SもしくはTであり、X2は、HもしくはYであり、X3は、HもしくはYであり、X4は、A、DもしくはSである)、及び式(III):FSLSTGGVAVX1WI(配列番号3)(式中、X1は、GもしくはSである)から選択した式によるアミノ酸配列を含み、そのHVR-H2は、式(IV):IGX1IX2HSGSTYYSX3SLKSRV(配列番号4)(式中、X1は、DもしくはEであり、X2は、SもしくはYであり、X3は、PもしくはQである)、式(V):IGX1ISPSX2GX3TX4YAQKFQGRV(配列番号5)(式中、X1は、IもしくはWであり、X2は、GもしくはSであり、X3は、GもしくはSであり、X4は、KもしくはNである)、及び式(VI):VSX1ISGX2GX3X4TYYADSVKGRF(配列番号6)(式中、X1は、A、GもしくはSであり、X2は、SもしくはYであり、X3は、GもしくはSであり、X4は、SもしくはTである)から選択した式によるアミノ酸配列を含み、そのHVR-H3は、式(VII):ARX1X2X3X4FDX5(配列番号7)(式中、X1は、G、RもしくはSであり、X2は、A、IもしくはYであり、X3は、D、VもしくはYであり、X4は、A、EもしくはYであり、X5は、IもしくはYである)、式(VIII):ARX1GX2GYFDX3(配列番号8)(式中、X1は、DもしくはLであり、X2は、FもしくはYであり、X3は、VもしくはYである)、式(IX):ARX1X2X3X4AX5X6FDY(配列番号9)(式中、X1は、LもしくはRであり、X2は、IもしくはPであり、X3は、AもしくはYであり、X4は、SもしくはTであり、X5は、TもしくはYであり、X6は、AもしくはYである)、及び式(X):ARDX1X2X3GSSGYYX4GFDX5(配列番号10)(式中、X1は、IもしくはVであり、X2は、AもしくはHであり、X3は、PもしくはSであり、X4は、DもしくはYであり、X5は、FもしくはVである)から選択した式によるアミノ酸配列を含み、及び/またはb)その軽鎖可変領域は、HVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3を含み、そのHVR-L1は、式(XI):RASQX1X2X3SX4LX5(配列番号11)(式中、X1は、GもしくはSであり、X2は、IもしくVであり、X3は、GもしくはSであり、X4は、SもしくはYであり、X5は、AもしくはNである)、式(XII):RASQX1VX2X3RX4LA(配列番号12)(式中、X1は、SもしくはTであり、X2は、F、RもしくはSであり、X3は、GもしくはSであり、X4は、FもしくはYである)、及び式(XIII):RASX1SVDFX2GX3SFLX4(配列番号13)(式中、X1は、EもしくはQであり、X2は、D、F、HもしくはYであり、X3は、F、IもしくはKであり、X4は、A、DもしくはHである)から選択した式によるアミノ酸配列を含み、そのHVR-L2は、式(XIV):X1ASX2X3X4X5GX6(配列番号14)(式中、X1は、AもしくはDであり、X2は、N、SもしくはTであり、X3は、LもしくはRであり、X4は、A、EもしくはQであり、X5は、SもしくはTであり、X6は、IもしくはVである)によるアミノ酸配列を含み、そのHVR-L3は、式(XV):YCX1X2X3X4X5X6PX7T(配列番号15)(式中、X1は、E、QもしくはVであり、X2は、HもしくはQであり、X3は、A、G、H、RもしくはSであり、X4は、D、L、SもしくはYであり、X5は、E、G、P、QもしくはSであり、X6は、L、T、VもしくはWであり、X7は、F、L、P、WもしくはYである)、式(XVI):YCQQX1X2X3WPPWT(配列番号16)(式中、X1は、SもしくはYであり、X2は、DもしくはYであり、X3は、QもしくはYである)、及び式(XVII):YCQX1YX2SSPPX3YT(配列番号17)(式中、X1は、HもしくはQであり、X2は、TもしくはVであり、X3は、EもしくはVである)から選択した式によるアミノ酸配列を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、その抗体は、a)配列番号18~29から選択したアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号30~39から選択したアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号40~52から選択したアミノ酸配列を含むHVR-H3、及び/またはb)配列番号53~65から選択したアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66~69から選択したアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号70~81から選択したアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、下記の表Aに記載されている例示的な抗体のいずれかについて示されているHVRのうちの1個、2個、3個、4個、5個または6個すべてを含む。
【表2-1】
【表2-2】
【0159】
いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号70のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号71のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号72のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号68のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号73のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号74のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号76のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号69のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号48のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号78のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号49のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号79のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号80のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号81のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号68のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、その抗体は、a)配列番号82~94から選択したアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/またはb)配列番号95~107から選択したアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号82~94から選択した配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号95~107から選択した配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、下記の表Bに記載されている例示的な抗体のいずれかの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、下記の表Bに記載されている例示的な抗体のいずれかについて示されている重鎖可変領域のHVRの1個、2個もしくは3個すべて、及び/または軽鎖可変領域のHVRの1個、2個もしくは3個すべてを含む。
【表3-1】
【表3-2】
【0161】
いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号83のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号96のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号85のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号98のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号100のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号102のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号105のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号106のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号320のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号321のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、抗体種のミックスであって、それぞれの抗体種が、配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号320または321のアミノ酸配列のいずれかを含む重鎖を有するミックスを指す。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号323のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号324のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、抗体種のミックスであって、それぞれの抗体種が、配列番号325のアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号323または324のアミノ酸配列のいずれかを含む重鎖を有するミックスを指す。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号326のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、配列番号327のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、その抗体は、抗体種のミックスであって、それぞれの抗体種が、配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号326または321のアミノ酸配列のいずれかを含む重鎖を有するミックスを指す。
【0162】
いくつかの実施形態では、本願の抗体は、ヒトCTLA4への結合に関して、a)配列番号18~29から選択したアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号30~39から選択したアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号40~52から選択したアミノ酸配列を含むHVR-H3、及び/またはb)配列番号53~65から選択したアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66~69から選択したアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号70~81から選択したアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む抗体と交差競合する。いくつかの実施形態では、本願の抗体は、ヒトCTLA4への結合に関して、表Aに記載されている例示的な抗体のいずれかについて示されているHVRの1個、2個、3個、4個、5個または6個すべてを含む抗体と交差競合する。いくつかの実施形態では、本願の抗体は、ヒトCTLA4への結合に関して、a)配列番号82~94から選択したアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/またはb)配列番号95~107から選択したアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と交差競合する。いくつかの実施形態では、本願の抗体は、ヒトCTLA4への結合に関して、表Bに記載されている例示的な抗体のいずれかについて示されているVH及び/またはVLを含む抗体と交差競合する。
【0163】
本明細書に記載のCTLA4抗体は、IgG、IgM、IgE、IgAまたはIgDなどのいずれかのクラスのものであってよい。いくつかの実施形態では、そのCTLA4抗体は、IgG1サブクラス、IgG2サブクラスIgG3またはIgG4サブクラスなどのIgGクラスのものである。CTLA4抗体は、当該技術分野で知られている方法を用いて、ある1つのクラスまたはサブクラスから、別のクラスまたはサブクラスに変換できる。所望のクラスまたはサブクラスの抗体を作製する例示的な方法は、CTLA4抗体の重鎖をコードする核酸と、CTLA4抗体の軽鎖をコードする核酸を単離する工程と、V領域をコードする配列を単離する工程と、所望のクラスまたはサブクラスの重鎖定常領域をコードする配列に、そのV配列をライゲーションする工程と、その軽鎖遺伝子と、その重鎖コンストラクトを細胞内で発現させる工程と、そのCTLA4抗体を回収する工程を含む。本願の抗体は、モノクローナル抗体であっても、またはポリクローナル抗体であってもよい。本願の抗体は、単特異性の抗体であっても、または多特異性(例えば、二重特異性、三重特異性など)の抗体であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCTLA4抗体は、Fc変異(例えば、ADCC活性またはCDC活性を調節する(増減させる)変異)を1つ以上含んでよい。当該技術分野で知られているいずれかの適切なFc変異を本願のCTLA4抗体で用いてよい。
【0164】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、抗CTLA4抗体の抗原結合断片である。CTLA4抗体の抗原結合断片としては、(i)Vドメイン、Vドメイン、Cドメイン及びC1ドメインからなる一価の断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2個のFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)断片、(iii)Vドメイン及びC1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVドメイン及びVドメインからなるFv断片、(v)VドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546)、(vi)単離CDR、ならびに(vii)抗体のV領域に連結された、抗体のV領域を含むポリペプチドである一本鎖抗体(scFv)(例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423-426、Huston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照されたい)が挙げられる。
【0165】
いくつかの実施形態では、その抗CTLA4抗体は、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のうちのいずれか1つの誘導体である。いくつかの実施形態では、その抗体誘導体は、本願の例示的な抗体(例えば「親抗体」)のアミノ酸配列の修飾体から得られる一方で、その親抗体のアミノ酸配列の全体的な分子構造は保存されている。フレームワーク領域、HVR領域または定常領域など、親抗体鎖のうちのいずれかの領域のアミノ酸配列が改変されていてよい。改変の種類としては、親抗体のアミノ酸の1つ以上の置換、挿入、欠失またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0166】
いくつかの実施形態では、その抗体誘導体は、配列番号82~107のいずれかに示されているようなアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるV領域またはV領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体誘導体は、配列番号18~29のいずれかに示されているようなアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列のHVR-H1領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体誘導体は、配列番号30~39のいずれかに示されているようなアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列のHVR-H2領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体誘導体は、配列番号40~52のいずれかに示されているようなアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列のHVR-H3領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体誘導体は、配列番号53~65のいずれかに示されているようなアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列のHVR-L1領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体誘導体は、配列番号66~69のいずれかに示されているようなアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列のHVR-L2領域を含む。いくつかの実施形態では、その抗体誘導体は、配列番号70~81のいずれかに示されているようなアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列のHVR-L3領域を含む。
【0167】
いくつかの特定の実施形態では、その誘導体は、配列番号18~107のいずれかに示されているようなアミノ酸配列に対して、保存的もしくは非保存的置換を1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個もしくは15個、及び/または付加及び/または欠失を1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個もしくは15個含む。
【0168】
アミノ酸置換には、保存的置換及び非保存的置換の両方が含まれる。「保存的アミノ酸置換」という用語は、ある1つのアミノ酸を別のアミノ酸に置き換えることであって、その2つのアミノ酸において、関係する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/または両親媒性などの特定の物理化学的特性が類似していることを意味する。例えば、置換は典型的には、(a)アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン及びメチオニンなどの非極性(疎水性)アミノ酸、(b)グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン及びグルタミンなどの極性中性アミノ酸、(c)アルギニン、リジン及びヒスチジンなど、正電荷を持つ(塩基性)アミノ酸、ならびに(d)アスパラギン酸及びグルタミン酸など、負電荷を持つ(酸性)アミノ酸というそれぞれの群の中で行ってよい。
【0169】
その修飾は、HVR、フレームワーク領域または定常領域を含め、抗体のアミノ酸配列の位置のいずれかで行ってよい。一実施形態では、本願は、本開示の例示的な抗体のV及びVのHVR配列を含むが、その例示的な抗体のフレームワーク配列とは異なるフレームワーク配列を含む抗体誘導体を提供する。このようなフレームワーク配列は、生殖細胞系抗体の遺伝子配列を含む公共のDNAデータベースまたは公開されている参考文献から得ることができる。例えば、ヒトの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の遺伝子の生殖細胞系DNA配列は、Genbankデータベースまたはヒト生殖細胞系配列データベース「VBase」に見ることができる(Kaba et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242(1991)、Tomlinson et al.,J.Mol.Biol.227:776-798(1992)及びCox et al.,Eur.J.Immunol.24:827-836(1994))。抗体誘導体を構築する際に用いてよいフレームワーク配列としては、本開示の例示的な抗体によって用いられているフレームワーク配列と構造的に似ている配列が挙げられる。例えば、フレームワーク配列の由来元である生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子に見られる配列と同一の配列を有するフレームワーク領域に、例示的な抗体のHVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3の配列、ならびにHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3の配列を移植することもできるし、またはその生殖細胞系配列と比べて変異を1つ以上含むフレームワーク領域に、それらのHVR配列を移植することもできる。
【0170】
いくつかの実施形態では、その抗体誘導体は、本開示の例示的な抗体のアミノ酸配列を含むキメラ抗体である。一例では、1つ以上の例示的な抗体の1つ以上のHVRと、マウスまたはラットなどの非ヒト動物に由来する抗体のHVRを組み合わせる。別の例では、そのキメラ抗体のHVRのすべてが、1つ以上の例示的な抗体に由来する。いくつかの特定の実施形態では、そのキメラ抗体は、例示的な抗体重鎖可変領域のHVRを1個、2個もしくは3個、及び/または例示的な抗体軽鎖可変領域のHVRを1個、2個もしくは3個含む。キメラ抗体は、当該技術分野で知られている従来の方法を用いて作製できる。
【0171】
別の種類の修飾は、V鎖及び/またはV鎖のHVR領域内のアミノ酸残基を変異させることである。部位特異的変異誘発またはPCR媒介変異誘発を行って、変異(複数可)を導入でき、当該技術分野で知られているin vitroまたはin vivoでのアッセイで、抗体結合に対する作用、または該当するその他の機能的特性を評価できる。典型的には、保存的置換を導入する。その変異は、アミノ酸の付加及び/または欠失であってよい。さらに、典型的には、HVR領域内の1個以下、2個以下、3個以下、4個以下または5個以下の残基を変更する。いくつかの実施形態では、その抗体誘導体は、重鎖HVR及び/または軽鎖HVRに、アミノ酸置換を1個、2個、3個または4個含む。別の実施形態では、そのアミノ酸置換は、抗体中の1つ以上のシステインを別の残基、例えば、アラニンまたはセリン(これらに限らない)に変更することである。そのシステインは、カノニカルまたは非カノニカルなシステインであってよい。一実施形態では、その抗体誘導体は、その重鎖HVR領域に、例示的な抗体のアミノ酸配列に対して、保存的アミノ酸置換を1個、2個、3個または4個有する。
【0172】
修飾は、V領域及び/またはV領域内のフレームワーク残基にも加えてもよい。典型的には、このようなフレームワークバリアントを作製して、その抗体の免疫原性を低下させる。アプローチの1つは、1つ以上のフレームワーク残基を、対応する生殖細胞系配列に「復帰変異させる」ことである。体細胞変異を加えた抗体は、その抗体の由来元である生殖細胞系配列とは異なるフレームワーク残基を含むことがある。このような残基は、その抗体のフレームワーク配列と、その抗体の由来元である生殖細胞系配列を比較することによって特定できる。そのフレームワーク領域配列を生殖細胞系の構造に復帰させるためには、例えば部位特異的変異誘発またはPCR媒介変異誘発によって、その体細胞変異を生殖細胞系配列に「復帰変異」させることができる。
【0173】
加えて、例示的な抗体のFc領域内にも修飾を行って、典型的には、その抗体の機能的特性の1つ以上、例えば、血清半減期、補体結合、Fc受容体結合及び/または抗体依存性細胞傷害を変化させてもよい。一例では、CH1のヒンジ領域を修飾して、ヒンジ領域内のシステイン残基の数を変更、例えば増減させるようにする。このアプローチは、米国特許第5,677,425号にさらに記載されている。CH1のヒンジ領域内のシステイン残基の数を変化させて、例えば、軽鎖及び重鎖のアセンブルを促したり、またはその抗体の安定性を増減させたりする。別の場合には、抗体のFcヒンジ領域を変異させて、その抗体の生物学的半減期を短縮する。
【0174】
さらに、本願の抗体を修飾して、当該技術分野で知られている慣用的な実験に従って、その潜在的な糖鎖付加部位または糖鎖付加パターンを変更してよい。別の態様では、本願は、軽鎖または重鎖の可変領域内の変異であって、その可変領域での糖鎖付加のパターンを変化させる変異を少なくとも1つ含むCTLA4抗体誘導体を提供する。このような抗体誘導体は、抗原との結合に関して、親和性が向上し、及び/または特異性が改変されていてもよい。その変異により、新規な糖鎖付加部位がV領域に加わるか、1つ以上のV領域糖鎖付加部位(複数可)の位置が変化するか、または既存のV領域糖鎖付加部位が除去されてよい。一実施形態では、本願は、重鎖可変領域のアスパラギンに、潜在的なN-結合型糖鎖付加部位を有するCTLA4抗体誘導体であって、1つの重鎖可変領域において、潜在的なN-結合型糖鎖付加部位が除去されている誘導体を提供する。別の実施形態では、本願は、重鎖可変領域のアスパラギンに、潜在的なN-結合型糖鎖付加部位を有するCTLA4抗体誘導体であって、両方の重鎖可変領域の潜在的なN-結合型糖鎖付加部位が除去されている誘導体を提供する。抗体の糖鎖付加パターンを変更する方法は、米国特許第6,933,368号(その開示内容は、参照により、本明細書に援用される)に記載されている方法など、当該技術分野で知られている。
【0175】
CTLA4を標的とする活性化可能な結合ポリペプチド
本開示は部分的には、精度/状況依存性の活性化可能な結合ポリペプチド(すなわち活性化可能な抗体)であって、ヒトCTLA4に結合する抗体に関するものでもあり、本明細書に記載の抗CTLA4抗体(例えば、抗CTLA4抗体、抗CTLA4抗体の結合断片及び/または抗CTLA4抗体誘導体)を含む活性化可能な抗体、その活性化可能な抗CTLA4抗体の抗原結合断片、及び/またはその活性化可能な抗CTLA4抗体の誘導体のいずれかが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の活性化可能な抗CTLA4抗体は、安全性プロファイルが改善していてよい。例えば、本明細書に記載の抗CTLA4抗体は、脾臓の重量変化によって評価した場合に、安全マージンが増大していてよい。薬物の投与量の増加に伴い、脾臓サイズが変化したことをベンチマークとして利用して、使用する候補薬の安全マージンを評価する。本明細書に記載の活性化可能な抗CTLA4抗体は、親抗体(マスキング部分を有さない抗体)に対して、安全マージンが増大している。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、「SAFEbody」という。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、TY22404である。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、二重特異性抗体(例えば、抗CTLA4かつ抗PD1の抗体、抗CTLA4かつ抗PD-L1の抗体、または抗CTLA4かつ抗CD137の抗体)である。
【0176】
いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な抗体は、(a)マスキング部分(MM)、(b)切断可能な部分(CM)、及び(c)標的結合部分(TBM)を含む。いくつかの実施形態では、そのMMは、本明細書に記載のマスキング部分のいずれかである。いくつかの実施形態では、そのCMは、本明細書に記載の切断可能な部分のいずれかである。いくつかの実施形態では、そのTBMは、本明細書に記載の標的結合部分(例えば、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域、例えば、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のうちのいずれかのVH及び/またはVLを含む標的結合部分(TBM))のいずれかである。いくつかの実施形態では、そのMMは、CMが切断されていないときには、活性化可能な抗体のその標的(例えば、ヒトCTLA4またはヒトCD137)への結合を妨害及び/または阻害する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、CMが切断されると、その標的(例えば、ヒトCTLA4またはヒトCD137)に結合できる。
【0177】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、(a)N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)、切断可能な部分(CM)及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドであって、そのMMが、本明細書に記載のマスキング部分のいずれかであり、CMが、本明細書に記載の切断可能な部分のいずれかであり、TBMが、抗体軽鎖可変領域(VL)を含むポリペプチドと、(b)抗体重鎖可変領域(VH)とを含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、(a)N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)、切断可能な部分(CM)及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドであって、そのMMが、本明細書に記載のマスキング部分のいずれかであり、CMが、本明細書に記載の切断可能な部分のいずれかであり、TBMが、抗体重鎖可変領域(VH)を含むポリペプチドと、(b)抗体軽鎖可変領域(VL)とを含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)、切断可能な部分(CM)及び標的結合部分(TBM)ポリペプチドであって、そのMMが、本明細書に記載のマスキング部分のいずれかであり、CMが、本明細書に記載の切断可能な部分のいずれかであり、TBMが、抗体重鎖可変領域(VH)及び抗体軽鎖可変領域(VL)を含むポリペプチドを含む。
【0180】
「活性化可能な結合ポリペプチド」、「ABP」または「活性化可能な抗体」という用語には、標的結合部分(TBM)、切断可能な部分(CM)及びマスキング部分(MM)を含むポリペプチドが含まれる。いくつかの実施形態では、そのTBMは、標的に結合するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、そのTBMは、抗体またはその抗体断片(例えば、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片のいずれか)の抗原結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施形態では、その抗原結合ドメインは、本明細書に記載の重鎖可変領域のHVRの1つ、2つまたは3つを含む重鎖可変領域、ならびに本明細書に記載の軽鎖可変領域のHVRの1つ、2つまたは3つを含む軽鎖可変領域(例えば、表Aに示されているような例示的な抗体のうちのいずれかの6つすべてのHVRを含め、表Aに示されているような重鎖可変領域のHVR配列の1つ、2つもしくは3つ、及び/または軽鎖可変領域のHVR配列の1つ、2つもしくは3つ)を含む。いくつかの実施形態では、その抗原結合ドメインは、本明細書に記載の重鎖可変領域配列のいずれかを含む重鎖可変領域、及び本明細書に記載の軽鎖可変領域配列のいずれかを含む軽鎖可変領域(例えば、表Bに示されているような重鎖可変領域配列及び/または軽鎖可変領域配列)を含む。いくつかの実施形態では、そのTBM(例えば、ABDを含むTBM)は、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含み、そのVH及びVLは、MMの非存在下で、標的に結合する結合ドメインを形成する。いくつかの実施形態では、そのVH及びVLは、例えばscFvにおいて共有結合している。いくつかの実施形態では、そのVH及びVLは、共有結合していない。いくつかの実施形態では、そのVH及びVLは、Fab断片を形成する。いくつかの実施形態では、そのVHは、抗体の重鎖定常領域に連結しており、そのVLは、抗体の軽鎖定常領域に連結している。
【0181】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)-切断可能な部分(CM)-VLという構造を含むポリペプチドを含み、その活性化可能な抗体はさらに、VHを含む第2のポリペプチドを含む(例えばFab断片)。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)-切断可能な部分(CM)-VL-VHという構造を含むポリペプチドを含む(例えばscFv)。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)-切断可能な部分(CM)-VHという構造を含むポリペプチドを含み、その活性化可能な抗体はさらに、VLを含む第2のポリペプチドを含む(例えばFab断片)。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、N末端からC末端に向かって、マスキング部分(MM)-切断可能な部分(CM)-VH-VLという構造を含むポリペプチドを含む(例えば、scFv)。
【0182】
そのCMは概して、切断可能であるアミノ酸配列、例えば、酵素の基質として機能するアミノ酸配列、及び/または還元可能なジスルフィド結合を形成できる、システイン-システインの対を含む。したがって、「切断」、「切断可能な」、「切断された」などという用語が、CMと関連して用いられているときには、それらの用語には、酵素的切断、例えばプロテアーゼによる切断、及び還元剤への暴露に起因し得る、ジスルフィド結合の還元を介して、システイン-システインの対の間のジスルフィド結合を破壊することが含まれる。
【0183】
そのMMは、その活性化可能な抗体のCMがインタクトな状態(例えば、対応する酵素によって切断されていないか、及び/または未還元のシステイン-システインによるジスルフィド結合を含む状態)であるアミノ酸配列を指し、そのMMは、TBMのその標的への結合を妨害または阻害する。いくつかの実施形態では、そのMMは、TBMのその標的への結合を非常に効率的に妨害または阻害して、TBMのその標的への結合が、極めて低いか、及び/または検出限界未満である(例えば、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーアッセイで結合を検出できない)ようになる。そのCMのアミノ酸配列は、MMと重複してもよいし、またはMM内に含まれてもよい。便宜上、「ABP」または「活性化可能な抗体」は、本明細書では、その未切断(または「天然型」)の状態及び切断状態の両方のABPまたは活性化可能な抗体を指す目的で使用されていることに留意されたい。いくつかの実施形態では、例えばプロテアーゼによって、CMが切断されたことにより、切断されたABPは、MMを欠落でき、その結果、少なくともMMが放出される(例えば、MMが、共有結合(例えば、システイン残基間のジスルフィド結合)によってABPに連結されていない場合)ことは当業者には明らかであろう。例示的なABPは、以下にさらに詳細に記載されている。
【0184】
いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、その標的への結合に関して、その標的結合部分を妨害、遮断するか、その標的結合部分の能力を低減するか、その標的結合部分を阻止、阻害するか、またはその標的結合部分と競合する(例えば「不活性な活性化可能な抗体)。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、そのポリペプチドが、活性化(例えば、pHの変化(増減)による活性化、温度シフト(増減)による活性化、第2の分子(小分子またはタンパク質リガンドなど)と接触した後に活性化など)されていないときのみに、その標的への結合に関して、その標的結合部分を妨害、遮断、低減、阻止、阻害するか、またはその標的結合部分と競合する。いくつかの実施形態では、活性化により、切断部分内で、そのポリペプチドの切断が誘導される。いくつかの実施形態では、活性化により、そのポリペプチドにおいて、構造変化(例えば、マスキング部分(MM)の置き換え)が誘導されて、マスキング部分が、活性化可能な抗体のその標的への結合を阻止しなくなる。いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)内で切断する1つ以上のプロテアーゼによって、その切断可能な部分(CM)が切断されていないときのみに、そのマスキング部分(MM)は、その標的への結合に関して、その標的結合部分を妨害、遮断するか、その標的結合部分の能力を低減するか、その標的結合部分を阻止、阻害するか、またはその標的結合部分と競合する。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、活性化前には、マスキング効率が少なくとも約2.0(例えば、少なくとも約2.0、少なくとも約3.0、少なくとも約4.0、少なくとも約5.0、少なくとも約6.0、少なくとも約7.0、少なくとも約8.0、少なくとも約9.0、少なくとも約10、少なくとも約25、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500など)である。いくつかの実施形態では、マスキング効率は、そのマスキング部分(MM)を含む活性化可能な抗体(活性化前)が、その標的に結合する親和性と、そのマスキング部分を欠損したポリペプチドが、その標的に結合する親和性との差(例えば、マスキング部分(MM)を含む活性化可能な抗体(活性化前)の標的抗原(CTLA4など)に対する親和性と、マスキング部分(MM)を欠損した親抗体との差、またはマスキング部分(MM)を含む活性化可能な抗体(活性化前)の標的抗原(CTLA4など)に対する親和性と、活性化後のその活性化可能な抗体の標的抗原に対する親和性との差)として測定する。いくつかの実施形態では、そのマスキング効率は、マスキング部分(MM)を含む活性化可能な抗体(活性化前)の結合のEC50を親抗体のEC50で除することによって(例えば、ELISAによって、EC50を測定することによる。例えば、実施例8の方法を参照されたい)測定する。いくつかの実施形態では、マスキング効率は、マスキング部分(MM)を含む活性化可能な抗体が、活性化前にその標的に結合する親和性と、マスキング部分(MM)を含む活性化可能な抗体が、活性化後にその標的に結合する親和性との差(例えば、活性化前の活性化可能な抗体の標的抗原(CTLA4)に対する親和性と、活性化後の活性化可能な抗体との差)として測定する。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、標的結合部分(TBM)に結合し、その活性化可能な抗体が、その標的に結合するのを阻止する(例えば、「不活性な」活性化可能な抗体)。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、標的結合部分(TBM)への結合の解離定数が、標的結合部分(TBM)のその標的に対する解離定数よりも大きい。
【0185】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体が、活性化した(例えば、その切断可能な部分(CM)内で切断する1つ以上のプロテアーゼによる処理によって活性化したか、pHの変化(増減)によって活性化したか、温度シフト(増減)によって活性化したか、第2の分子(酵素またはタンパク質リガンドなど)と接触した後に活性化したなど)後には、そのマスキング部分(MM)は、その標的への結合に関して、その標的結合部分(TBM)を妨害、遮断したり、その標的結合部分(TBM)の能力を低減したり、その標的結合部分(TBM)を阻止、阻害したり、またはその標的結合部分(TBM)と競合したりしない。いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)内で切断する1つ以上のプロテアーゼによって、その切断可能な部分(CM)が切断された後には、そのマスキング部分(MM)は、その標的への結合に関して、その標的結合部分(TBM)を妨害、遮断したり、その標的結合部分(TBM)の能力を低減したり、その標的結合部分(TBM)を阻止、阻害したり、またはその標的結合部分(TBM)と競合したりしない。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、活性化後には、マスキング効率が最大で約1.75(例えば、最大で約1.75、最大で約1.5、最大で約1.4、最大で約1.3、最大で約1.2、最大で約1.1、最大で約1.0、最大で約0.9、最大で約0.8、最大で約0.7、最大で約0.6または最大で約0.5など)である(例えば、親抗体の親和性と比べた、活性化後の活性化可能な抗体の相対的親和性)。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な抗体は、一定の位置に1対のシステイン残基を含むマスキング部分(MM)を含み、その活性化可能な抗体において、コンホメーションが固定されるか、及び/または化学的に不安定な残基(メチオニンもしくはトリプトファンなど)がほとんどないか、もしくはないようになっている。有益なことに、一定の位置に1対のシステイン残基が含まれることで、その活性化可能な抗体のコンホメーションが固定されるようになり、結合親和性及び/または特異性が向上している傾向が見られた。さらに、本開示の活性化可能な抗体には、メチオニンまたはトリプトファンなど、製造プロセスにおいて望ましくない残基をほぼ有さないか、または有さないマスキング部分を含めた。
【0187】
いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な抗体は、状況依存性である(例えば、ある特定の状況(プロテアーゼが豊富な腫瘍微小環境中など)で活性化する(その状況でのみ、その標的と結合できる))。いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な抗体は、より従来的な活性化できない抗体よりも、安全性を向上させる(例えば、毒性の低下が見られる、多くの臓器の重量の有意な変化を誘導しない、肝臓の病理組織診断結果、血液分析結果及び/または血液の生化学診断結果を変化させないなど)。いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な抗体は、薬物動態特性が、より従来的な活性化できない抗体と比べて改善している(例えば、in vivo半減期が長くなっている)。
【0188】
活性化可能な抗CTLA4抗体の活性
いくつかの実施形態では、本開示は、活性型になると、ヒトCTLA4に結合する活性化可能な抗体に関するものである(例えば、その活性化可能な抗体は、切断可能な部分において(例えば、1つ以上のプロテアーゼで)切断された後に活性となるが、切断可能な部分にいおて(例えば、1つ以上のプロテアーゼで)切断される前には不活性である)。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型になると、(a)ヒトCTLA4、カニクイザルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4に、500nM以下、例えば約10nM以下のKで結合する特性、(b)ヒトCTLA4に対するアンタゴニスト活性を有す恵る特性、(c)ヒトPD-1、ヒトPD-L1、ヒトPD-L2、ヒトLAG3、ヒトTIM3、ヒトB7-H3、ヒトCD95、ヒトCD120a、ヒトOX40、ヒトCD40、ヒトBTLA、ヒトVISTA、ヒトICOS及び/またはヒトB7-H4に、100nMの濃度までは結合しない特性、(d)サルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4との交差反応性を有する特性、(e)(例えばTreg)に対してADCC作用を誘導する特性、(f)ヒトPBMCを活性化する(例えば、IL-2及び/またはIFNγの分泌を刺激する)特性、(g)腫瘍細胞の成長を阻害できる特性、(h)がんに対して治療効果を有する特性、ならびに(i)ヒトCTLA4のヒトCD80及び/またはヒトCD86への結合を阻害する特性という機能的特性の少なくとも1個(例えば、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個または9個すべて)を有する。本発明では、ヒトCTLA4への結合に関して、本明細書に記載の活性化可能なCTLA4標的抗体及び/または抗CTLA4抗体の1つ以上と競合または交差競合する1つ以上の活性化可能な抗体も提供する。
【0189】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、不活性型であるときに、ヒトCTLA4、カニクイザルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4に、約500nM以上のKで結合する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、ヒトCTLA4、カニクイザルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4に、約500nM以下(例えば、約500nM以下、約450nM以下、約400nM以下、約350nM以下、約300nM以下、約250nM以下、約200nM以下、約150nM以下、約100nM以下、約90nM以下、約80nM以下、約70nM以下、約60nM以下、約50nM以下、約40nM以下、約30nM以下、約25nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約0.1nM以下など)のKで結合する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、ヒトCTLA4、カニクイザルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4に、約350nM以下のKで結合する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、ヒトCTLA4に、約100nM以下のKで結合する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、ヒトCTLA4に、約50nM以下のKで結合する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、ヒトCTLA4に、約10nM以下のKで結合する。活性化可能な抗体のKを測定する方法は、例えば、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱測定、フィルター結合アッセイ、EMSAによるなどを含め、当該技術分野で知られているいずれかの方法を用いて行ってよい。いくつかの実施形態では、Kは、ELISAによって測定する(例えば、下記の実施例を参照されたい)。
【0190】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、不活性型であるときには、ヒトCTLA4に対するアンタゴニスト活性を有さない。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、ヒトCTLA4に対するアンタゴニスト活性を有する(例えば、(Tregなどに対して)ADCC作用を誘導したり、(IL-2及び/またはIFNγの分泌を活性化、誘導及び/または刺激するなどによって)PBMCを活性化したり、ヒトCTLA4のヒトCD80及び/またはヒトCD86への結合を遮断したりするなど)。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、ヒトCTLA4の活性の1つ以上を抑制する(例えば、ヒトCTLA4を発現する細胞(ヒト細胞など)に、活性化可能な抗体が接触すると、ヒトCTLA4の活性の1つ以上を抑制する)。
【0191】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、不活性型であるときには、サル(例えばカニクイザル)CTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4との交差反応性を有さない。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、サル(例えばカニクイザル)CTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及び/またはイヌCTLA4との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、サルCTLA4との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、マウスCTLA4との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、ラットCTLA4との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、イヌCTLA4との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、サルCTLA4及びマウスCTLA4、サルCTLA4及びラットCTLA4、サルCTLA4及びイヌCTLA4、マウスCTLA4及びラットCTLA4、マウスCTLA4及びイヌCTLA4、ラットCTLA4及びイヌCTLA4、サルCTLA4、マウスCTLA4及びラットCTLA4、サルCTLA4、マウスCTLA4及びイヌCTLA4、サルCTLA4、ラットCTLA4及びイヌCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及びイヌCTLA4、またはサルCTLA4、マウスCTLA4、ラットCTLA4及びイヌCTLA4と交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な結合ポリペプチドは、活性型であるときには、約350nM(例えば、約1nM、約10nM、約25nM、約50nM、約75nM、約100nM、約150nM、約200nM、約250nM、約300nM、約350nM)において交差反応性を有する。交差反応性を測定する方法は、当該技術分野で知られており、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱測定、フィルター結合アッセイ、EMSAなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0192】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、不活性型であるときには、(例えば、Tregのように、CTLA4を発現しているヒト細胞に対して)ADCC作用を誘導しない。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、不活性型であるときには、コントロール結合ポリペプチド(例えば親抗体)と比べて、(例えば、Tregのように、CTLA4を発現しているヒト細胞に対する)ADCC作用が低減されている。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、(例えば、Tregのように、CTLA4を発現しているヒト細胞に対して)ADCC作用を誘導する。ADCC作用を測定する方法(例えばin vitro法)は、当該技術分野で知られており、下記の実施例に記載の方法が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、不活性型であるときには、ADCC作用を誘導するのが、コントロール(例えば親抗体)に対して約10%未満である(例えば、ADCCを誘導するのが、約10%未満、約5%未満、約1%未満などである)。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、活性型であるときには、ADCC作用を誘導するのが、コントロール(例えばアイソタイプコントロール)に対して約10%超である(例えば、ADCCを誘導するのが、約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超などである)。
【0193】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、腫瘍細胞の成長及び/または増殖を阻害できる。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体と接触させると、その活性化可能な抗体と接触させていない対応する腫瘍細胞に対して(またはアイソタイプコントロール抗体と接触させた対応する腫瘍細胞に対して)、腫瘍細胞の成長及び/または増殖が少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約99%)阻害される。いくつかの実施形態では、対象に、その活性化可能な抗体を投与すると、その活性化可能な抗体は、その対象において腫瘍体積を縮小できる。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、その対象における初期の腫瘍体積に対して(例えば、その活性化可能な抗体投与前、アイソタイプコントロール抗体を投与された対象における対応する腫瘍と比べて)、対象において腫瘍体積を少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約99%)縮小できる。腫瘍細胞の成長/増殖、腫瘍体積、及び/または腫瘍の阻害をモニタリングする方法は、当該技術分野で知られており、例えば、下記の実施例に記載の方法が挙げられる。
【0194】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、がんに対して治療効果を有する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、がんの徴候または症状の1つ以上を軽減する。いくつかの実施形態では、がんに罹患している対象は、その活性化可能な抗体を投与されると、部分寛解または完全寛解する。
【0195】
いくつかの実施形態では、本開示は、a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-H3、及び/またはb)配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む抗体と、活性型であるときに、ヒトCTLA4への結合に関して競合または交差競合する活性化可能な単離抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、a)配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/またはb)配列番号100のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と、活性型であるときに、ヒトCTLA4への結合に関して競合または交差競合する活性化可能な単離抗体を提供する。活性化可能な抗体が、結合に関して、ある抗体と競合または交差競合する能力は、BIAcore解析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーのように、当該技術分野で知られている標準的な結合アッセイを用いて求めることができる。例えば、飽和条件下で、抗体(例えば、上記のような抗体)をヒトCTLA4に結合させ、その活性化可能な試験抗体が、(活性型であるときに)そのCTLA4に結合する能力を測定することができる。その活性化可能な試験抗体が、そのCTLA4に、その抗体と同時に結合できる場合には、その活性化可能な試験抗体は、その抗体とは異なるエピトープに結合する。しかしながら、その活性化可能な試験抗体が、そのCTLA4に、同時に結合できない場合には、その活性化可能な試験抗体は、その抗体が結合したエピトープと同じエピトープ、そのエピトープと重複するエピトープ、またはそのエピトープに近接しているエピトープに結合する。この実験は、ELISA、RIA、FACSまたは表面プラズモン共鳴などの様々な方法を使用して実施することができる。
【0196】
いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、(不活性型であるときには、)CTLA4とその結合パートナーの1つ以上(例えば、ヒトCTLA4とヒトCD80、ヒトCTLA4とヒトCD86)との結合を阻害しない。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、(活性型であるときには、)CTLA4とその結合パートナーの1つ以上(例えば、ヒトCTLA4とヒトCD80、ヒトCTLA4とヒトCD86)との結合を阻害する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、CTLA4とそのリガンドとの結合をin vitroで阻害する。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、CTLA4のCD80及び/またはCD86への結合を阻害する半最大阻害濃度(IC50)が約500nM以下(例えば、約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下、約100nM以下、約50nM以下、約25nM以下、約10nM以下、約1nM以下など)である。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、CTLA4のCD80及び/またはCD86への結合を阻害する半最大阻害濃度(IC50)が約100nM以下である。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、約100nM以上(例えば、約100nM以上、約500nM以上、約1μM以上、約10μM以上など)の濃度で供給すると、ヒトCTLA4のCD80及び/またはCD86への結合を完全に阻害する。本明細書で使用する場合、「完全に阻害すること」または「完全に阻害する」という用語は、その活性化可能な抗体が、第1のタンパク質と第2のタンパク質との結合を少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%など)低減する能力を指す。ポリペプチドが、第1のタンパク質(例えばヒトCTLA4)と第2のタンパク質(例えば、ヒトCD80またはヒトCD86)との結合を阻害する能力を測定する方法は、当該技術分野で知られており、BIAcore解析、ELISAアッセイ及びフローサイトメトリーによるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0197】
マスキング部分(MM)
いくつかの実施形態では、本開示は、マスキング部分(MM)を含む活性化可能な抗体に関するものである。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、式(XVIII):XCXCZ(配列番号134)によるアミノ酸配列を含み、式中、mは、2~10であり、nは、3~10であり、oは、1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPからなる群から選択したアミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xは、W、M及び/またはCではない。いくつかの実施形態では、式(XVIII)のXにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPからなる群から選択したアミノ酸であり、及び/または式(XVIII)のXにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPからなる群から選択したアミノ酸である。いくつかの実施形態では、そのMMは、式(XX):(NNK)TGY(NNK)TGY(NHC)(配列番号136)によるポリヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドを含み、式中、各Nは独立して、A、G、TまたはCであり、各Kは独立して、TまたはGであり、各Yは独立して、TまたはCであり、各Hは独立して、A、TまたはCである。
【0198】
いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、式(XIX):ZCZCZ(配列番号135)によるアミノ酸配列を含み、式中、mは、2~10であり、nは、3~10であり、oは、1~10であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPからなる群から選択したアミノ酸である。
【0199】
いくつかの実施形態では、mは、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9または9~10である。いくつかの実施形態では、mは、6~8である。いくつかの実施形態では、mは、3、4、5、6、7、8、9または10である。いくつかの実施形態では、mは、6である。
【0200】
いくつかの実施形態では、nは、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9または9~10である。いくつかの実施形態では、nは、6~8である。いくつかの実施形態では、nは、3、4、5、6、7、8、9または10である。いくつかの実施形態では、nは、6である。いくつかの実施形態では、nは、8である。
【0201】
いくつかの実施形態では、oは、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9または9~10である。いくつかの実施形態では、oは、1~2である。いくつかの実施形態では、oは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。いくつかの実施形態では、oは、2である。
【0202】
いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、式(XXI):ZCXCZ(配列番号137)によるアミノ酸配列を含み、式中、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPからなる群から選択したアミノ酸である。
【0203】
いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、式(XXII):ZCXCZ(配列番号138)によるアミノ酸配列を含み、式中、Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPからなる群から選択したアミノ酸である。
【0204】
いくつかの実施形態では、その第1のペプチド(FP)は、式(XXIII):(Z)C(Z)C(Z)(配列番号139)によるアミノ酸配列を含み、式中、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPからなる群から選択したアミノ酸である。
【0205】
いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、式(XXIV):(Z)C(Z)C(Z)(配列番号140)によるアミノ酸配列を含み、式中、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPからなる群から選択したアミノ酸である。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、XCPDHPYPCXX(配列番号181)、XCDAFYPYCXX(配列番号182)、XCDSHYPYCXX(配列番号183)及びXCVPYYYACXX(配列番号184)からなる群から選択した配列を含むマスキング部分(MM)を含み、式中、mは、2~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸である。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、EVGSYNFVADSCPDHPYPCSA(配列番号189)、EVGSYIVHHSDCDAFYPYCDS(配列番号190)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCNS(配列番号191)、EVGSYPNPSSDCVPYYYACAY(配列番号192)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCQS(配列番号193)、EVGSYPQPSSDCVPYYYACAY(配列番号195)またはEVGSYPNPASDCVPYYYACAY(配列番号196)の配列を含むマスキング部分(MM)を含む。いくつかの実施形態では、そのMMは、EDCVPYYYACAY(配列番号213)、EVGSSDCVPYYYACAY(配列番号214)、EDCDAFYPYCDS(配列番号215)またはEVGHSDCDAFYPYCDS(配列番号216)の配列を含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、NFVADSCPDHPYPCSA(配列番号141)、IVHHSDCDAFYPYCDS(配列番号142)、YSAYPACDSHYPYCNS(配列番号143)、PNPSSDCVPYYYACAY(配列番号144)、YSAYPACDSHYPYCQS(配列番号145)、PQPSSDCVPYYYACAY(配列番号146)及びPNPASDCVPYYYACAY(配列番号147)から選択したアミノ酸配列を含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のマスキング部分(MM)のいずれも、1つ以上の追加のアミノ酸配列(例えば、1つ以上のポリペプチドタグ)をさらに含んでよい。適切な追加のアミノ酸配列の例としては、精製タグ(Hisタグ、FLAGタグ、マルトース結合タンパク質及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼタグなど)、検出タグ(測光によって検出し得るタグなど(例えば、赤色または緑色蛍光タンパク質など))、検出可能な酵素活性を有するタグ(例えばアルカリホスファターゼなど)、分泌配列、リーダー配列及び/または安定化配列を含むタグ、プロテアーゼ切断部位(例えば、フューリン切断部位、TEV切断部位、トロンビン切断部位)などを挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、その1つ以上の追加のアミノ酸配列は、マスキング部分(MM)のN末端にある。いくつかの実施形態では、その追加のアミノ酸配列は、EVGSY(配列番号148)の配列を含むか、またはその配列からなる。
【0208】
いくつかの実施形態では、そのマスキング部分は、活性化前(例えば、切断可能な部分(CM)内で切断する1つ以上のプロテアーゼによる処理前、pHが(局所的に)変化(増減)する前、温度のシフト(増減)前、第2の分子(小分子またはタンパク質リガンドなど)と接触する前など)には、標的結合部分(TBM)に結合して、その活性化可能な抗体の標的への結合を阻害するが、活性化後(例えば、切断可能な部分(CM)内で切断する1つ以上のプロテアーゼによる処理後、pHが(局所的に)変化(増減)した後、温度のシフト(増減)後、第2の分子(小分子またはタンパク質リガンドなど)と接触した後など)には、TBMに結合したり、及び/またはその活性化可能な抗体の標的への結合を阻害したりしない。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、そのCMが切断されていないときには、活性化可能な抗体のその標的への結合を阻害するが、そのCMが切断されると、その活性化可能な抗体のその標的への結合を阻害しない。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、そのTBMへの結合に関する解離定数が、(活性型であるときの)その活性化可能な抗体のその標的に対する解離定数よりも大きい(例えば、少なくとも約1.5倍超、少なくとも約2倍超、少なくとも約2.5倍超、少なくとも約3倍超、少なくとも約3.5倍超、少なくとも約4倍超、少なくとも約4.5倍超、少なくとも約5倍超、少なくとも約10倍超、少なくとも約100倍超、少なくとも約500倍超など)。
【0209】
切断可能な部分(CM)
いくつかの実施形態では、本開示は、切断可能な部分(CM)を含む活性化可能な抗体に関するものである。いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)は、その切断可能な部分(CM)内で切断する1つ以上のプロテアーゼでの処理、pHの変化(増減)、温度のシフト(増減)、及び/または第2の分子(小分子もしくはタンパク質リガンド)との接触などによって、切断及び/または破壊される。
【0210】
いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)は、少なくとも第1の切断部位(CS)(例えば第1のプロテアーゼ切断部位)を含む。いくつかの実施形態では、その第1の切断部位は、第1のプロテアーゼ切断部位である。いずれかのプロテアーゼ(例えば、そのCMを含む活性化可能な抗体の標的と共局在することが知られているプロテアーゼ)によって認識及び/または切断されるいずれかの適切なプロテアーゼ切断部位のうち、当該技術分野で知られている部位を使用してよく、例えば、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ(例えば、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-9、MMP-10、MMP-11、MMP-12、MMP-13、MMP-14、MMP-15、MMP-16、MMP-17、MMP-19、MMP-20、MMP-23、MMP-24、MMP-26及び/またはMMP-27)、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、PSA、PSMA、ADAMS/ADAMTS(例えば、ADAM8、ADAM9、ADAM10、ADAM12、ADAM15、ADAM17/TACE、ADAMDEC1、ADAMTS1、ADAMTS4及び/またはADAMTS5)、カスパーゼ(例えば、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13及び/またはカスパーゼ-14)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、RACE及び/またはレニン)、アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD及び/またはカテプシンE)、システインカテプシン(例えば、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンK、カテプシンL、カテプシンS、カテプシンV/L2及び/またはカテプシンX/Z/P)、システインプロテイナーゼ(例えば、クルジパイン、レグマイン及び/またはオツバイン-2)、KLK(例えば、KLK4、KLK5、KLK6、KLK7、KLK8、KLK10、KLK11、KLK13及び/またはKLK14)、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA及び/またはBMP-1)、セリンプロテアーゼ(例えば、活性化プロテインC、カテプシンA、カテプシンG、キマーゼ及び/または凝固因子プロテアーゼ(FVIIa、FIXa、FXa、FXIa、FXIIaなど))、エラスターゼ、グランザイムB、グアニジノベンゾアターゼ、HtrA1、ヒト好中球エラスターゼ、ラクトフェリン、マラプシン、NS3/4A、PACE4、tPA、トリプターゼ、II型膜貫通型セリンプロテアーゼ(TTSP)(例えば、DESC1、DPP-4、FAP、ヘプシン、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、TMPRSS2、TMPRSS3及び/またはTMPRSS4)などによって認識及び/または切断されるプロテアーゼ切断部位が挙げられる。いくつかの実施形態では、第1のプロテアーゼ切断部位は、uPA、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、TEVプロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14及びTACEから選択したプロテアーゼの切断部位である。いくつかの実施形態では、第1のプロテアーゼ切断部位は、uPA、MMP-2、MMP-9及び/またはTEVプロテアーゼ選択したプロテアーゼの切断部位である。いくつかの実施形態では、プロテアーゼによる切断部は、SGRSA(配列番号149)、PLGLAG(配列番号150)及びENLYFQG(配列番号151)から選択したアミノ酸配列を含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、式(XXV):EVGSY(Z)C(Z)C(Z)SGRSA(配列番号152)によるアミノ酸配列を含むマスキング部分(MM)及び切断可能な部分(CM)を含み、式中、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPから選択したアミノ酸である。
【0212】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、式(XXVI):EVGSY(Z)C(X)C(Z)SGRSA(配列番号153)によるアミノ酸配列を含むマスキング部分(MM)及び切断可能な部分(CM)を含み、式中、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYから選択したアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPからなる群から選択したアミノ酸である。
【0213】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、式(XXVII):EVGSY(Z)C(Z)C(Z)SGRSA(配列番号154)によるアミノ酸配列を含むマスキング部分(MM)及び切断可能な部分(CM)を含み、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPから選択したアミノ酸である。
【0214】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、式(XXVIII):EVGSY(Z)C(X)C(Z)SGRSA(配列番号155)によるアミノ酸配列を含むマスキング部分(MM)及び切断可能な部分(CM)を含み、式中、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPからなる群から選択したアミノ酸である。
【0215】
いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)はさらに、第1のリンカー(L)を含む。いくつかの実施形態では、その第1のリンカー(L)は、第1の切断部位(CS)(例えば第1のプロテアーゼ切断部位)のC末端側にある。いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)は、N末端からC末端に向かって、(CS)-Lという構造を含む。
【0216】
当該技術分野で知られているいずれかの適切なリンカー(例えばフレキシブルリンカー)を用いてよく、例えば、グリシンポリマー(G)n(式中、nは、少なくとも1(例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10など)の整数である)、グリシン-セリンポリマー(GS)n(式中、nは、少なくとも1(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10など)の整数である)、例えば、GGGGS(配列番号156)、SGGS(配列番号157)、GGSG(配列番号158)、GGSGG(配列番号159)、GSGSG(配列番号160)、GSGGG(配列番号161)、GGGSG(配列番号162)及び/またはGSSSG(配列番号163))、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマーなどが挙げられる。リンカー配列は、約1アミノ酸(例えば、グリシンまたはセリン)~約20アミノ酸(例えば、20アミノ酸のグリシンポリマーまたはグリシン-セリンポリマー)、約1アミノ酸~約15アミノ酸、約3アミノ酸~約12アミノ酸、約4アミノ酸~約10アミノ酸、約5アミノ酸~約9アミノ酸、約6アミノ酸~約8アミノ酸などのように、いずれかの長さの配列であってよい。いくつかの実施形態では、そのリンカーは、約1アミノ酸長、約2アミノ酸長、約3アミノ酸長、約4アミノ酸長、約5アミノ酸長、約6アミノ酸長、約7アミノ酸長、約8アミノ酸長、約9アミノ酸長、約10アミノ酸長、約11アミノ酸長、約12アミノ酸長、約13アミノ酸長、約14アミノ酸長、約15アミノ酸長、約16アミノ酸長、約17アミノ酸長、約18アミノ酸長、約19アミノ酸長または約20アミノ酸長のいずれかである。いくつかの実施形態では、そのリンカーは、配列番号159~163から選択したアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、そのリンカーは、配列番号156または157のアミノ酸配列を含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)はさらに、少なくとも第2の切断部位(例えば、少なくとも第2の切断部位、少なくとも第3の切断部位、少なくとも第4の切断部位、少なくとも第5の切断部位など)を含む。いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)はさらに、第2の切断部位(CS)を含む。いくつかの実施形態では、その第2の切断部位は、第2のプロテアーゼ切断部位である。その第2のプロテアーゼ切断部位は、上記のプロテアーゼのいずれかによって認識及び/または切断されるいずれかの適切なプロテアーゼ切断部位であってよい。いくつかの実施形態では、第1の切断部位(CS)及び第2の切断部位(CS)は、同じプロテアーゼによって認識及び/または切断されるプロテアーゼ切断部位である。いくつかの実施形態では、第1の切断部位(CS)及び第2の切断部位(CS)は、異なるプロテアーゼによって認識及び/または切断されるプロテアーゼ切断部位である(例えば、第1のプロテアーゼ切断部位は、uPAによって認識及び/または切断され、第2のプロテアーゼ切断部位は、MMP-2によって認識及び/または切断されるか、第1のプロテアーゼ切断部位は、uPAによって認識及び/または切断され、第2のプロテアーゼ切断部位は、MMP-9によって認識及び/または切断されるか、第1のプロテアーゼ切断部位は、uPAによって認識及び/または切断され、第2のプロテアーゼ切断部位は、TEVプロテアーゼによって認識及び/または切断されるなど)。いくつかの実施形態では、その少なくとも第2の切断部位(CS)は、第1のリンカー(L)のC末端側にある。いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)は、N末端からC末端に向かって、(CS)-L-(CS)という構造を含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)はさらに、少なくとも第2のリンカー(例えば、少なくとも第2のリンカー、少なくとも第3のリンカー、少なくとも第4のリンカー、少なくとも第5のリンカーなど)を含む。いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)はさらに、第2のリンカー(L)を含む。その第2のリンカー(L2)は、上記のいずれかの適切なリンカーであってよい。いくつかの実施形態では、その第2のリンカーは、配列番号156~163から選択したアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、その第1のリンカー(L)及び第2のリンカー(L)は、同じである(例えば、両方のリンカーとも、配列番号156または157の配列を含む)。いくつかの実施形態では、その第1のリンカー(L)及び第2のリンカー(L)は、異なる(例えば、その第1のリンカー(L)は、配列番号156のアミノ酸配列を含み、その第2のリンカー(L)は、配列番号157のアミノ酸配列を含むなど)。いくつかの実施形態では、その少なくとも第2のリンカー(L)は、第2の切断部位(CS)のC末端側にある。いくつかの実施形態では、その切断可能な部分(CM)は、N末端からC末端に向かって、(CS)-L-(CS)-Lという構造を含む。
【0219】
例示的なMM-CM配列
いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な抗体は、N末端からC末端に向かって、(FP)-(PCS)-L-(PCS)-Lという構造を含む。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、式(XXIX):EVGSYXCX101112CX1314SGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号164)によるアミノ酸配列を含み、式中、X1は、A、D、I、N、PまたはYであり、X2は、A、F、N、SまたはVであり、X3は、A、H、L、P、S、VまたはYであり、X4は、A、H、SまたはYであり、X5は、A、D、P、S、VまたはYであり、X6は、A、D、L、SまたはYであり、X7は、D、PまたはVであり、X8は、A、D、H、P、SまたはTであり、X9は、A、D、F、H、PまたはYであり、X10は、L、PまたはYであり、X11は、F、PまたはYであり、X12は、A、P、SまたはYであり、X13は、A、D、N、S、TまたはYであり、X14は、A、SまたはYである。いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な抗体は、EVGSYDALHYACPPDYYACYYSGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号165)、EVGSYNSYHAYCPHPLYPCTASGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号166)、EVGSYASSAVLCVTAYFSCNSSGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号167)、EVGSYNFVADSCPDHPYPCSASGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号168)、EVGSYNFVADSCPDHPYPCSASGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号169)、EVGSYIVHHSDCDAFYPYCDSSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号170)、EVGSYIVHHSDCDAFYPYCDSSGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号171)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCNSSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号172)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCNSSGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号173)、EVGSYPNPSSDCVPYYYACAYSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号174)、EVGSYPNPSSDCVPYYYACAYSGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号175)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCQSSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号176)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCNSAGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号177)、EVGSYPQPSSDCVPYYYACAYSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号178)及び/またはEVGSYPNPASDCVPYYYACAYSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号179)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、(FP)-(PCS)-L-(PCS)-L-(TBM)という構造を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、SGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号220)、SGRSAGGGGTPLGLAGSGGS(配列番号221)またはSGRSAPLGLA(配列番号222)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、EV(Zn)C(X)C(Z)SGRSA(配列番号217)、EDC(Z)C(Z)SGRSA(配列番号218)またはEDC(Z)C(Z)PLGLA(配列番号219)の配列を含み、式中、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W及びYからなる群から選択したアミノ酸であり、nは、1~11であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H及びPからなる群から選択したアミノ酸である。
【0221】
標的結合部分(TBM)
いくつかの実施形態では、本開示は、標的結合部分(TBM)を含む活性化可能な抗体に関するものである。いくつかの実施形態では、その標的結合部分(TBM)は、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その標的結合部分(TBM)は、抗体軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その標的結合部分(TBM)は、抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その標的結合部分(TBM)は、抗体軽鎖可変領域及び抗体重鎖可変領域を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、その標的結合部分(TBM)は、完全長抗体軽鎖及び/または完全長抗体重鎖を含む。その抗体軽鎖は、κ軽鎖であってもよいし、またはλ軽鎖であってもよい。その抗体重鎖は、IgG、IgM、IgE、IgAまたはIgDのようないずれかのクラスのものであってよい。いくつかの実施形態では、その抗体重鎖は、IgGクラス、例えばIgG1サブクラス、IgG2サブクラス、IgG3サブクラスまたはIgG4サブクラスのものである。本明細書に記載の抗体重鎖は、当該技術分野で知られている方法を用いて、一方のクラスまたはサブクラスから別のクラスまたはサブクラスに変換されていてもよい。
【0223】
本明細書に記載の標的結合部分(TBM)のいずれか1つ以上には、本明細書に記載のHVR配列のいずれか(例えば、上記の表Aに示されているような、重鎖可変領域のHVR配列の1つ、2つもしくは3つ、及び/または軽鎖可変領域のHVR配列の1つ、2つもしくは3つ)、本明細書に記載の重鎖可変領域配列及び/または軽鎖可変領域配列のいずれか(例えば、上記の表Bに示されているような重鎖可変領域配列及び/または軽鎖可変領域配列)、及び/または本明細書に記載の抗体のいずれかが組み入れられていてよい。
【0224】
いくつかの実施形態では、その標的結合部分(TBM)は、HVR、可変領域(VL、VH)及び/または軽鎖及び重鎖の具体的アミノ酸配列に関して記載されている抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG4)を含め、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のうちの1つ以上の配列を含む。いくつかの実施形態では、その標的結合部分(TBM)は、RASQSVRGRFLA(配列番号58)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、DASNRATGI(配列番号66)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び/またはYCQQSSSWPPT(配列番号75)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む抗体軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、配列番号100のアミノ酸配列、または配列番号100の配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、95%、96%、97%、98%もしくは99%)である配列を含む抗体軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その標的結合部分(TBM)は、YSISSGYHWSWI(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、LARIDWDDDKYYSTSLKSRL(配列番号35)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び/またはARSYVYFDY(配列番号45)のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その標的結合部分(TBM)は、配列番号87のアミノ酸配列、または配列番号87の配列との配列同一性が少なくとも90%(例えば、95%、96%、97%、98%もしくは99%)である配列を含む抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、その標的結合部分(TBM)は、a)RASQSVRGRFLA(配列番号58)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、DASNRATGI(配列番号66)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び/またはYCQQSSSWPPT(配列番号75)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む抗体軽鎖可変領域、ならびにb)YSISSGYHWSWI(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、LARIDWDDDKYYSTSLKSRL(配列番号35)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び/またはARSYVYFDY(配列番号45)のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む抗体重鎖可変領域含む。いくつかの実施形態では、その標的結合部分(TBM)は、配列番号100のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域、及び配列番号87のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変領域を含む。
【0225】
活性化可能な結合ポリペプチドの特性
いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な結合ポリペプチド(すなわち活性化可能な抗体)は、(a)マスキング部分(MM)、(b)切断可能な部分及び(c)標的結合部分を含む。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)は、その活性化可能な抗体の標的結合部分(TBM)に結合し、マスキング部分を欠損している対応する結合ポリペプチドのCTLA4(例えばヒトCTLA4)への結合と比べて、及び/または親抗体のCTLA4(例えばヒトCTLA4)への結合と比べて、その活性化可能な結合部分のCTLA4(例えばヒトCTLA4)への結合を低減または阻害する。
【0226】
いくつかの実施形態では、「活性化可能な」結合ポリペプチドは、阻害されている状態、マスキングされている状態及び/または切断されていない状態であるときに、CTLA4への第1のレベルの結合を示すとともに、阻害されていない状態、マスキングされていない状態及び/または切断された状態で、CTLA4への第2のレベルの結合を示す結合ポリペプチドであって、CTLA4への結合の第2のレベルが、CTLA4への結合の第1のレベルよりも大きい結合ポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、その活性化可能な結合ポリペプチドによるCTLA4への接触度は、その切断可能な部分内で(例えば、1つ以上のプロテアーゼによって)切断された後、大きくなる。
【0227】
いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な抗体は概して、その活性化可能な抗体の活性化後(例えば、その切断可能な部分(CM)内で切断する1つ以上のプロテアーゼによる処理によって活性化後、pHの変化(増減)によって活性化後、温度のシフト(増減)によって活性化後、第2の分子(小分子など)と接触したことによって活性化後など)に、そのポリペプチドのCTLA4(例えばヒトCTLA4)に対する結合親和性が、その活性化可能な抗体の活性化前と比べて、少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約250倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍または少なくとも約1000倍以上)上昇するときに、「活性化可能な」結合ポリペプチドであるとみなす。いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な抗体は概して、「活性化」後に、その活性化可能な抗体のEC50が少なくとも約2分の1(例えば、少なくとも約2分の1、少なくとも約2.5分の1、少なくとも約3分の1、少なくとも約3.5分の1、少なくとも約4分の1、少なくとも約4.5分の1、少なくとも約5分の1、少なくとも約5.5分の1、少なくとも約6分の1、少なくとも約6.5分の1、少なくとも約7分の1、少なくとも約7.5分の1、少なくとも約8分の1、少なくとも約8.5分の1、少なくとも約9分の1、少なくとも約9.5分の1、少なくとも約10分の1、少なくとも約25分の1、少なくとも約50分の1、少なくとも約75分の1、少なくとも約100分の1、少なくとも約250分の1、少なくとも約500分の1、少なくとも約750分の1または少なくとも約1000分の1以下)に低下した場合に、「活性化可能」であるとみなす(例えば、ELISAアッセイまたはFACSアッセイによって測定した場合。下記の実施例を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な抗体は概して、その切断可能な部分(CM)内で切断するプロテアーゼで処理後、そのポリペプチドのEC50が、少なくとも約2分の1に低下した場合に、「活性化可能」であるとみなす(例えば、ELISAアッセイまたはFACSアッセイによって測定した場合。下記の実施例を参照されたい)。
【0228】
いくつかの実施形態では、そのマスキング部分(MM)が、その活性化可能な抗体の標的結合部分(TBM)に結合しているときには、その活性化可能な抗体のCTLA4に対するKは、そのマスキング部分(MM)が、その標的結合部分(TBM)に結合していないとき(例えば、その活性化可能な抗体の「活性化」後(その切断可能な部分(CM)内で切断するためにプロテアーゼで処理後など))、及び/またはその親抗体のCTLA4に対するKよりも、約2倍(例えば、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、約10倍、約25倍、約50倍、約75倍、約100倍、約250倍、約500倍、約750倍または約1000倍以上)大きい。親和性を測定する方法は、当該技術分野で知られており、例えば、下記の実施例に記載の方法が挙げられる。
【0229】
いくつかの実施形態では、そのマスキング部分が、その活性化可能な抗体の標的結合部分に結合しているときには、その活性化可能な抗体のCTLA4に対するKは、そのマスキング部分が、その標的結合部分に結合していないとき(例えば、その活性化可能な抗体の「活性化」後(その切断可能な部分(CM)内で切断するためのプロテアーゼによる処理後など))に対して、及び/またはその親抗体のCTLA4に対するKに対して、少なくとも約25%(例えば、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%)低下している。親和性を測定する方法は、当該技術分野で知られており、例えば、下記の実施例に記載の方法が挙げられる。
【0230】
いくつかの実施形態では、そのマスキング部分は、その活性化可能な抗体のCTLA4への結合を立体的に妨害するか、及び/またはその活性化可能な抗体のCTLA4への結合をアロステリック的に妨害する。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分は、その活性化可能な抗体及び/または親抗体の天然の結合パートナーのアミノ酸配列を含まない。
【0231】
いくつかの実施形態では、そのマスキング部分の標的結合部分に対する解離定数は、(活性化したときの)その活性化可能な抗体のCTLA4に対する解離定数よりも大きい。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分の標的結合部分に対する解離定数は、(活性化したときの)その活性化可能な抗体のCTLA4に対する解離定数よりも約2倍(例えば、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、約10倍、約25倍、約50倍、約75倍、約100倍、約250倍、約500倍、約750倍または約1000倍以上)大きい。いくつかの実施形態では、そのマスキング部分の標的結合部分に対する解離定数は、(活性化したときの)その活性化可能な抗体のCTLA4に対する解離定数とほぼ等しい。
【0232】
本明細書に記載の活性化可能な抗体は、さらに修飾されていてもよい。いくつかの実施形態では、その活性化可能な抗体は、追加の分子体に連結している。追加の分子体の例としては、医薬剤、ペプチドまたはタンパク質、検出剤または検出標識、及び抗体が挙げられる。
【0233】
いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能な抗体は、医薬剤に連結している。医薬剤の例としては、細胞傷害剤またはその他のがん治療剤、及び放射性同位体が挙げられる。細胞傷害剤の具体例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール及びピューロマイシン、ならびにこれらのアナログまたはホモログが挙げられる。治療剤としては、例えば、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC及びシス-ジクロロジアンミン白金(II)(DDP)であるシスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン及びアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)も挙げられる。診断または治療での使用のために、抗体にコンジュゲートできる放射性同位体の例としては、ヨウ素131、インジウム111、イットリウム90及びルテチウム177が挙げられるが、これらに限定されない。ポリペプチドを医薬剤に連結する方法は、様々なリンカー技術を使用するなど、当該技術分野で知られている。リンカーの種類の例としては、ヒドラゾン、チオエーテル、エステル、ジスルフィド及びペプチドを含むリンカーが挙げられる。リンカー、及び治療剤を抗体に連結する方法のさらなる考察については、例えば、Saito et al.,Adv.Drug Deliv.Rev.55:199-215(2003)、Trail,et al.,Cancer Immunol.Immunother.52:328-337(2003)、Payne,Cancer Cell 3:207-212(2003)、Allen,Nat.Rev.Cancer 2:750-763(2002)、Pastan and Kreitman,Curr.Opin.Investig.Drugs 3:1089-1091(2002)、Senter and Springer(2001)Adv.Drug Deliv.Rev.53:247-264を参照されたい。
【0234】
IV.抗CD137抗体
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、ヒトCD137の細胞外ドメインに特異的に結合する抗CD137抗体の投与を含む。本明細書に記載の抗CD137抗体には、完全長抗CD137抗体、CD137抗体の抗原結合断片、及びCD137抗体の誘導体が含まれる。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、本明細書に記載の抗体のいずれか1つであり、エピトープへの結合に関連して記載されている抗体、ならびにCDR、可変領域(VL、VH)、IgG(例えばIgG4)軽鎖及びIgG重鎖の具体的なアミノ酸配列に関連して記載されている抗体が挙げられる。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、(a)ヒトCD137に、500nM以下のKDで結合する特性、(b)ヒトCD137に対するアゴニスト活性を有する特性、(c)1000nMの濃度までは、ヒトOX40、ヒトCD40、ヒトGITR及び/またはヒトCD27の受容体に結合しない特性、(d)サルCD137、マウスCD137、ラットCD137またはイヌCD137との交差反応性を有する特性、(e)ADCC作用を誘導しない特性、(f)腫瘍細胞の成長を阻害できる特性、(g)がんに対する治療効果を有する特性、(h)CD137とCD137Lとの結合を遮断する特性、ならびに(i)CD137を発現する細胞において、CD137Lによって刺激される、CD137のシグナル伝達(例えば、CD137Lに刺激されるNF-κB依存性の転写)を遮断する特性という機能的特性の少なくとも1個(例えば、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、8個または9個全部)を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている抗体は、CD137とそのリガンドCD137Lとの結合を遮断、例えば完全に遮断することもできる。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、ヒトCD137への結合に関して、本明細書に記載されているような抗体または抗原結合断片の1つ以上と交差競合する抗体(またはその抗原結合断片)である。本明細書に記載の方法に適する例示的な抗CD137抗体は、例えば、US20190055314A1、WO2019036855A1及びWO2019037711A1に記載されており、これらの特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0235】
ヒトCD137は、255アミノ酸のタンパク質である(例えば、GenBankアクセッション番号NM_001561、NP_001552、配列番号231)。そのタンパク質は、シグナル配列(1~17番目のアミノ酸残基)の後に、細胞外ドメイン(169アミノ酸)、膜貫通領域(27アミノ酸)及び細胞内ドメイン(42アミノ酸)を含む(Cheuk ATC et al.2004 Cancer Gene Therapy 11:215-226)。その受容体は、細胞表面上に単量体及び二量体の形態で発現し、CD137リガンドと三量体を形成して、シグナルを伝達する可能性が高い。
【0236】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の34~108番目のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸残基に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の34~93番目のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸残基に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の34~36番目、53~55番目及び92~93番目のアミノ酸残基からなる群から選択した1つ以上のアミノ酸残基に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の34~36番目のアミノ酸残基の1つ以上、53~55番目のアミノ酸残基の1つ以上、及び92~93番目のアミノ酸残基の1つ以上に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の109~112番目、125番目、126番目、135~138番目、150番目及び151番目のアミノ酸残基からなる群から選択したアミノ酸残基の1つ以上に結合しない。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の109~112番目、125番目、126番目、135~138番目、150番目及び151番目のアミノ酸残基に特異的に結合しない。抗体または抗原結合断片が、標的抗原に結合する能力を測定する方法は、当該技術分野で知られているいずれかの方法を用いて行ってよく、例えば、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱測定、フィルター結合アッセイ、EMSAなどによるか、またはその抗CD137抗体とCD137との結晶構造に基づくものが挙げられる。
【0237】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の51番目、53番目、63~67番目、69~73番目、83番目、89番目、92番目、98~104番目及び112~116番目のアミノ酸残基からなる群から選択した1つ以上のアミノ酸残基に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の51番目、53番目、63~67番目、69~73番目、83番目、89番目、92番目、98~104番目及び112~116番目のアミノ酸残基からなる群から選択した1つ以上のアミノ酸残基に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の51番目、63~67番目、69~73番目、83番目、89番目、92番目、98~104番目及び112~114番目のアミノ酸残基からなる群から選択した1つ以上のアミノ酸残基に特異的に結合する。
【0238】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の51番目、53番目、62~73番目、83番目、89番目、92番目、95~104番目及び112~116番目のアミノ酸残基に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の51番目、53番目、63~67番目、69~73番目、83番目、89番目、92番目、98~104番目及び112~116番目のアミノ酸残基に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号231の51番目、63~67番目、69~73番目、83番目、89番目、92番目、98~104番目及び112~114番目のアミノ酸残基に特異的に結合する。
【0239】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、ヒトCD137に、約500nM以下(例えば、約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下、約150nM以下、約100nM以下、約90nM以下、約80nM以下、約75nM以下、約70nM以下、約60nM以下、約50nM以下、約40nM以下、約30nM以下、約25nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約0.1nM以下など)のKDで特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、ヒトCD137に、約100nM以下のKDで特異的に結合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、ヒトCD137に、約50nM以下のKDで特異的に結合する。抗体または抗原結合断片のKDを測定する方法は、当該技術分野で知られているいずれかの方法を用いて行ってよく、例えば、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱測定、フィルター結合アッセイ、EMSAによるものなどが挙げられる。
【0240】
抗CD137抗体は、アゴニストになるためには、架橋する必要がある。例えば、架橋は、in vivoでは、Fcγ受容体を通じて行われ、典型的には、in vitroでは、細胞ベースの実験で、ポリクローナル抗Fc抗体が使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD137抗体は、ヒトCD137に対してアゴニスト活性を有する。いくつかの実施形態では、ヒトCD137を発現している細胞(例えばヒト細胞)に、その抗CD137抗体が接触すると、その抗CD137抗体が、ヒトCD137の活性の1つ以上(例えば、1つ以上、2つ以上、3つ以上など)を誘導する。様々なCD137活性が、当該技術分野で知られており、NF-κB依存性の転写の誘導、T細胞増殖の誘導、T細胞生存期間の延長、活性化T細胞の共刺激、サイトカイン分泌(IL-2など)の誘導、及び単球活性化の誘導を挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、その1つ以上のCD137活性は、CD137のそのリガンドへの結合ではない。CD137活性(例えば、NF-κB依存性の転写及び/またはT細胞増殖の誘導など)を測定する方法は、当該技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、ヒトCD137を発現している細胞(例えばヒト細胞)において、NF-κB依存性の転写を増大させる。いくつかの実施形態では、NF-κB依存性の転写は、CD137を発現している細胞(例えばヒト細胞)であって、その抗CD137抗体と接触させた細胞において、その抗CD137抗体と接触していない対応する細胞(例えば、抗体と接触していない対応する細胞、またはアイソタイプコントロール抗体と接触させた対応する細胞)に対して約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上または約99%以上増大する。いくつかの実施形態では、NF-κB依存性の転写は、CD137を発現している細胞(例えばヒト細胞)であって、その抗CD137抗体と接触させた細胞において、その抗CD137抗体と接触していない対応する細胞(例えば、抗体と接触していない対応する細胞、またはアイソタイプコントロール抗体と接触させた対応する細胞)に対して約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約100倍、約1000倍以上増大する。
【0241】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、サル(例えばカニクイザル)CD137、マウスCD137、ラットCD137及び/またはイヌCD137との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、サルCD137との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、マウスCD137との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、ラットCD137との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、イヌCD137との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、サルCD137及びマウスCD137、サルCD137及びラットCD137、サルCD137及びイヌCD137、マウスCD137及びラットCD137、マウスCD137及びイヌCD137、ラットCD137及びイヌCD137、サルCD137、マウスCD137及びラットCD137、サルCD137、マウスCD137及びイヌCD137、サルCD137、ラットCD137及びイヌCD137、マウスCD137、ラットCD137及びイヌCD137、またはサルCD137、マウスCD137、ラットCD137及びイヌCD137との交差反応性を有する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、約100nM(例えば、約1nM、約10nM、約25nM、約50nM、約75nM、約100nM)において交差反応性を有する。抗体の交差反応性を測定する方法は、当該技術分野で知られており、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱測定、フィルター結合アッセイ、EMSAなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0242】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、ADCC作用を誘導しない。ADCC作用を測定する方法(例えばin vivo法)は、当該技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、コントロールに対して、ADCC作用を誘導するのが約10%以下である(ADCCを誘導するのが約10%以下、約5%以下、約1%以下、約0.1%以下、約0.01%以下である)。
【0243】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、腫瘍細胞の成長/増殖を阻害できる。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体と接触させると、腫瘍細胞の成長/増殖は、その抗CD137抗体と接触していない対応する腫瘍細胞に対して少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約99%)阻害される。いくつかの実施形態では、対象にその抗CD137抗体を投与すると、その抗CD137抗体は、その対象において腫瘍体積を縮小できる。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、対象において腫瘍体積を、その対象における初期の腫瘍体積(例えば、その抗CD137抗体の投与前)に対して少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約99%)縮小できる。腫瘍細胞の成長/増殖、腫瘍体積及び/または腫瘍の阻害をモニタリングする方法は、当該技術分野で知られている。
【0244】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、がんに対して治療効果を有する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、がんの徴候または症状の1つ以上を軽減する。いくつかの実施形態では、がんに罹患している対象は、その抗CD137抗体を投与されると、部分寛解または完全寛解する。
【0245】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、AG10058、AG10059及びADG106からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、ヒトCD137への結合に関して、本願の例示的な抗体のいずれか、例えば、AG10058、AG10059及びADG106と競合または交差競合する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、ヒトCD137上の同じエピトープへの結合に関して、AG10058、AG10059またはADG106として、競合または交差競合する抗体である。抗体が、結合に関して、別の抗体と競合または交差競合する能力は、当該技術分野で知られている標準的な結合アッセイ、例えば、BIAcore解析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーを用いて求めることができる。例えば、本開示の例示的な抗体をヒトCD137に、飽和条件下で結合させてから、その試験抗体がCD137に結合する能力を測定することができる。その試験抗体が、そのCD137に、その例示的な抗体と同時に結合できる場合には、その試験抗体は、その例示的な抗体とは異なるエピトープに結合する。しかしながら、その試験抗体が、そのCD137に、同時には結合できない場合には、その試験抗体は、その例示的な抗体が結合したエピトープと同じエピトープ、そのエピトープと重複するエピトープ、またはそのエピトープに近接しているエピトープに結合する。この実験は、ELISA、RIA、FACSまたは表面プラズモン共鳴などの様々な方法を使用して実施することができる。
【0246】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、CD137とそのリガンド(例えば、ヒトCD137とヒトCD137L)との結合を遮断する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、CD137とそのリガンドとの結合をin vitroで遮断する。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、CD137のそのリガンドへの結合を遮断する半最大阻害濃度(IC50)が、約500nM以下(例えば、約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下、約100nM以下、約50nM以下、約25nM以下、約10nM以下、約1nM以下など)である。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、CD137のそのリガンドへの結合を遮断する半最大阻害濃度(IC50)が約100nM以下である。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、約100nM以上(例えば、約100nM以上、約500nM以上、約1μM以上、約10μM以上など)の濃度で供給すると、ヒトCD137のそのリガンドへの結合を完全に遮断する。本明細書で使用する場合、「完全に遮断すること」または「完全に遮断する」という用語は、その抗体または抗原結合断片が、第1のタンパク質と第2のタンパク質との結合を少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%など)低減する能力を指す。抗体または抗原結合断片が、第1のタンパク質(例えばCD137)と第2のタンパク質(例えばCD137L)との結合を遮断する能力を測定する方法は、当該技術分野で知られており、BIAcore解析、ELISAアッセイ及びフローサイトメトリーによるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、a)そのVHは、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含み、そのHVR-H1は、式(I):X1TFX2X3YX4IHWV(配列番号262)(式中、X1は、FもしくはYであり、X2は、SもしくはTであり、X3は、G、NもしくはSであり、X4は、A、GもしくはWである)、式(II):YSIX1SGX2X3WX4WI(配列番号263)(式中、X1は、SもしくはTであり、X2は、HもしくはYであり、X3は、HもしくはYであり、X4は、A、D、G、N、SもしくはTである)、及び式(III):FSLSTX1GVX2VX3WI(配列番号264)(式中、X1は、GもしくはSであり、X2は、AもしくはGであり、X3は、A、G、SもしくはTである)からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含み、そのHVR-H2は、式(IV):LALIDWX1X2DKX3YSX4SLKSRL(配列番号265)(式中、X1は、A、DもしくはYであり、X2は、DもしくはGであり、X3は、R、SもしくはYであり、X4は、PもしくはTである)、式(V):IGX1IYHSGX2TYYX3PSLKSRV(配列番号266)(式中、X1は、DもしくはEであり、X2は、NもしくはSであり、X3は、NもしくはSである)、及び式(VI):VSX1ISGX2GX3X4TYYADSVKGRF(配列番号267)(式中、X1は、A、G、S、VもしくはYであり、X2は、A、D、SもしくはYであり、X3は、D、GもしくはSであり、X4は、SもしくはTである)からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含み、そのHVR-H3は、式(VII):ARX1GX2X3X4VX5GDWFX6Y(配列番号268)(式中、X1は、EもしくはGであり、X2は、EもしくはSであり、X3は、DもしくはTであり、X4は、A、TもしくはVであり、X5は、A、I、L、TもしくはVであり、X6は、A、DもしくはGである)によるアミノ酸配列を含み、及び/またはb)そのVLは、HVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3を含み、そのHVR-L1は、式(VIII):X1ASQX2X3X4X5X6X7X8(配列番号269)(式中、X1は、QもしくはRであり、X2は、D、GもしくはSであり、X3は、IもしくはVであり、X4は、G、R、SもしくはTであり、X5は、P、R、SもしくはTであり、X6は、A、D、F、S、VもしくはYであり、X7は、LもしくはVであり、X8は、A、GもしくはNである)によるアミノ酸配列を含み、そのHVR-L2は、式(IX):X1ASX2X3X4X5GX6(配列番号270)(式中、X1は、AもしくはDであり、X2は、N、SもしくはTであり、X3は、LもしくはRであり、X4は、A、EもしくはQであり、X5は、SもしくはTであり、X6は、IもしくはVである)によるアミノ酸配列を含み、そのHVR-L3は、式(X):YCQQX1YX2X3X4T(配列番号271)(式中、X1は、A、G、SもしくはYであり、X2は、Q、SもしくはYであり、X3は、I、L、TもしくはYであり、X4は、I、S、VもしくはWである)、及び式(XI):YCX1QX2X3X4X5PX6T(配列番号272)(式中、X1は、EもしくはQであり、X2は、P、SもしくはYであり、X3は、D、L、S、TもしくはYであり、X4は、D、E、H、SもしくはTであり、X5は、D、L、TもしくはWであり、X6は、L、P、RもしくはVである)からなる群から選択した式によるアミノ酸配列を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、VH及びVLを含み、そのVHは、配列番号264のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号265のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号268のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、及び/またはそのVLは、配列番号269のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号270のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号271のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0249】
例示的な抗CD137抗体の配列が、下記の表Cに示されている。
【表4】
【0250】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、VH及びVLを含み、そのVHは、配列番号232のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号233のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号234のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、及び/またはそのVLは、配列番号235のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号236のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号237のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号238のアミノ酸配列の重鎖相補性決定領域(HC-CDR)1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含むVH、及び/または配列番号239のアミノ酸配列の軽鎖相補性決定領域(LC-CDR)1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号238のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号239のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号240のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/または配列番号241のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、VH及びVLを含み、そのVHは、配列番号242のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号243のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号244のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、及び/またはそのVLは、配列番号245のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号246のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号247のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号248のアミノ酸配列のHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含むVH、及び/または配列番号249のアミノ酸配列のLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号248のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号249のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号250のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/または配列番号251のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、VH及びVLを含み、そのVHは、配列番号252のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号253のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号254のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、及び/またはそのVLは、配列番号255のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号256のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号257のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号258のアミノ酸配列のHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含むVH、及び/または配列番号259のアミノ酸配列のLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号258のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号259のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、その抗CD137抗体は、配列番号260のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/または配列番号261のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0256】
本明細書に記載のCD137抗体は、IgG、IgM、IgE、IgAまたはIgDなどのいずれかのクラスのものであることができる。そのCD137抗体は、IgG1サブクラス、IgG2サブクラス、IgG3サブクラスまたはIgG4サブクラスなどのIgGクラスのものであることが好ましい。CD137抗体は、当該技術分野で知られている方法を用いて、ある1つのクラスまたはサブクラスから別のクラスまたはサブクラスに変換できる。所望のクラスまたはサブクラスの抗体を作製する例示的な方法は、CD137抗体の重鎖をコードする核酸、及びCD137抗体の軽鎖をコードする核酸を単離する工程、VH領域をコードする配列を単離する工程、所望のクラスまたはサブクラスの重鎖定常領域をコードする配列に、そのVH配列をライゲーションする工程、その軽鎖遺伝子及びその重鎖コンストラクトを細胞内で発現させる工程、ならびにそのCD137抗体を回収する工程を含む。いくつかの実施形態では、その抗CD137抗体は、ヒトIgG4のFc領域を含む。いくつかの実施形態では、そのヒトIgG4のFc領域は、S241Pという変異を含み、そのナンバリングは、Kabatに従うものである。
【0257】
V.医薬組成物、キット及び製品
別の態様では、本願は、本明細書に記載の抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)のいずれか1つを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、その組成物は、その抗CTLA4抗体(例えば活性化可能な抗体)と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、1つ以上の追加の治療剤(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CD137抗体及びVEGF阻害剤、化学療法剤、またはPARP阻害剤)を含む組成物である。その組成物は、当該技術分野で知られている従来の方法によって調製できる。
【0258】
「薬学的に許容される担体」という用語は、活性剤(例えば抗CTLA4抗体)を送達するために、製剤で使用するために適するいずれかの不活物質を指す。担体は、付着防止剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤、充填剤または希釈剤、保存剤(例えば、抗酸化剤、抗菌剤または抗真菌剤)、甘味剤、吸収遅延剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤などであってよい。適切な薬学的に許容される担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、デキストロース、植物油(例えばオリーブ油)、生理食塩水、緩衝剤、緩衝生理食塩水、ならびに等張化剤、例えば、糖、ポリアルコール、ソルビトール及び塩化ナトリウムが挙げられる。その組成物は、いずれかの適切な形態、例えば、液体、半固体及び固体の剤形であってよい。液体剤形の例としては、溶液(例えば、注射可能及び注入可能な溶液)、マイクロエマルジョン、リポソーム、分散液または懸濁液が挙げられる。固体剤形の例としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤及び散剤が挙げられる。抗CTLA4抗体を送達するのに適する組成物の具体的な形態は、注射または注入用の溶液、懸濁液または分散液のような滅菌液である。滅菌液は、その抗体を必要な量で、適切な担体に組み込んでから、滅菌精密濾過することによって調製できる。概して、分散液は、基本的な分散媒及びその他の担体を含む滅菌ビヒクルに、その抗体を組み込むことによって調製する。滅菌液を調製するための滅菌粉末の場合には、調製方法としては、活性成分の粉末と、いずれかの追加の所望の成分の溶液を事前に滅菌濾過したものから、それらの粉末を得るために、真空乾燥及び凍結乾燥(freeze-drying)(凍結乾燥(lyophilization))することが挙げられる。様々な剤形の組成物は、当該技術分野で知られている従来の技法によって調製できる。
【0259】
その組成物に含まれる抗CTLA4抗体の相対量は、使用する具体的な抗CTLA4抗体及び担体、剤形、ならびに所望の放出特性及び薬物動態特性のような多くの要因に応じて変動することになる。単一剤形中の抗CTLA4抗体の量は概して、治療効果を発揮する量となるが、それよりも少ない量であってもよい。概して、この量は、その剤形の総量に対して約0.01%~約99%、約0.1%~約70%または約1%~約30%の範囲となる。
【0260】
その抗CTLA4抗体に加えて、1つ以上の追加の治療剤をその組成物に含めてもよい。追加の治療剤の例は、本明細書において、「治療方法」の節に記載されている。その組成物に含める追加の治療剤の適切な量は、当業者が容易に選択でき、使用する具体的な薬剤及び担体、剤形、ならびに所望の放出特性及び薬物動態特性のような多くの要因に応じて変動することになる。単一剤形に含まれる追加の治療剤の量は概して、治療効果を発揮する薬剤の量となるが、それよりも少ない量であってもよい。
【0261】
いくつかの実施形態では、がんの治療に有用な材料を含む製品を提供する。その製品は、容器と、その容器上またはその容器に付随のラベルまたは添付文書を含むことができる。適切な容器としては例えば、ボトル、バイアル、シリンジなどが挙げられる。その容器は、ガラスまたはプラスチックのような様々な材料から形成されていてよい。概して、その容器は、本明細書に記載の組成物であって、がんの治療に有効である組成物を保持するとともに、滅菌アクセスポートを有してよい(例えば、その容器は、皮下注射針で貫通可能なストッパーを備えた静脈内輸液用のバッグまたはバイアルであってよい)。添付文書とは、医薬品の商業用パッケージに通常含まれる説明書であって、そのような医薬品の適応症、使用、投薬量、投与、禁忌についての情報、及び/またはそのような医薬品の使用に関する警告を含む説明書を指す。いくつかの実施形態では、その添付文書は、その組成物が、がんの治療に使用するものであることを示す。そのラベルまたは添付文書は、その組成物を患者に投与する際の説明をさらに含んでもよい。
【0262】
加えて、その製品は、薬学的に許容される緩衝剤、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液を含む第2の容器をさらに含んでもよい。さらに、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針及びシリンジを含め、商用及びユーザーの観点から望ましい他の物質を含んでもよい。
【0263】
任意にその製品と組み合わせて、様々な目的に、例えば、本明細書に記載のがんの治療に有用であるキットも提供する。本願のキットには、本明細書に記載の組成物(あるいは単位剤形及び/または製品)のいずれか1つを含む1つ以上の容器が含まれる。いくつかの実施形態では、そのキットは、他の薬剤(例えば、1つ以上の追加の治療剤)、及び/または本明細書に記載の方法のいずれかに従って使用するための説明書をさらに含む。そのキットは、治療に適する個体の選択の説明をさらに含んでよい。本願のキットに供給される説明書は典型的には、ラベルまたは添付文書上の説明文書(例えば、そのキットに含まれる紙のシート)であるが、機械で読み取り可能な説明書(例えば、磁気記憶ディスクまたは光学記憶ディスクに書き込まれた説明書)も許容される。
【0264】
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれか1つと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物、及びその医薬組成物を、がんである対象に投与するための説明書を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、そのキットは、化学療法剤のような追加の治療剤を含む医薬組成物をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのキットは、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CD137抗体及びVEGF阻害剤、化学療法剤またはPARP阻害剤を含む医薬組成物をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのキットは、本明細書に記載の1つ以上のバイオマーカー(例えば、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、CD8+ Tem細胞、CD4+ Tem細胞、Treg細胞、Treg細胞に対するCD8+ Tem細胞の比率、Treg細胞に対するCD4+ Tem細胞の比率、NK細胞、B細胞)のレベルを求めるための1つ以上のアッセイまたはその試薬を含む。
【0265】
本願のキットは、適切なパッケージに入っている。適切なパッケージとしては、バイアル、ボトル、ジャー、フレキシブルパッケージ(例えば、密封マイラーまたはプラスチックバッグ)などが挙げられるが、これらに限定されない。キットは任意に、追加の構成要素、例えば、緩衝剤及び解釈的な情報を提供してもよい。すなわち、本願は、バイアル(密封バイアルなど)、ボトル、ジャー、フレキシブルパッケージなどを含む製品も提供する。
【0266】
その容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば複数用量パッケージ)または分割単位用量であってよい。キットは、薬局、例えば院内薬局及び配合薬局での保管及び使用に十分な量で使用及び包装するために、複数単位用量の医薬組成物及び説明書も含んでよい。
【0267】
上記の説明文は、当業者が本開示を実施可能となるのに十分とみなされる。下記の実施例は、例示目的で示されているに過ぎず、いかなる場合も、本開示の範囲を限定するようには意図されていない。実際、当業者には、上記の説明から、本明細書に示されているとともに説明されている形態に加えて、本開示の様々な修正形態が明らかとなり、それらの形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれるであろう。
【実施例
【0268】
本発明は、下記の実施例を参照することによって、さらに理解できるが、それらの実施例は、例示として示されており、限定するようには意図されていない。
【0269】
実施例1.がん免疫療法において、オンターゲット・オフ腫瘍毒性に対処するための新規な抗CTLA4チェックポイント阻害プロドラッグ
イピリムマブは、CTLA4を標的とする初めてのFDA認可済み免疫チェックポイント阻害剤として、がん免疫療法において、特に抗PD-1療法と組み合わせて、チェックポイント遮断の臨床効果が実証されている。しかしながら、イピリムマブは、多くの臓器系に関与し得る正常組織での自己免疫応答により、重篤かつ命にかかわることもある免疫介在性有害反応を誘導することがあり、そのため、その臨床応用は限られる。その結果、抗腫瘍効力が増強されているとともに、安全性プロファイルが改善した次世代の抗CTLA4抗体の開発が急務である。
【0270】
TY22404は、SAFEbody技術を用いて操作された新規な抗CTLA4完全ヒトIgG1抗体プロドラッグである。TY22404は、腫瘍微小環境で優先的に活性化され、正常組織では、そのオンターゲット・オフ腫瘍毒性が限られる抗体に設計されている。図1に示されているように、SAFEbodyは、共有結合したN末端ペプチドによってマスキングされており、そのペプチドの後には、プロテアーゼ切断部位が続いている。正常組織では、SAFEbodyのマスキング部分は、TY22404のCTLA4への結合を遮断するように機能するが、腫瘍組織で高度に発現し、活性を有することが知られるプロテアーゼによって切断された後には、そのマスキング部分が放出されて、活性化TY22404抗体がin situで、CTLA4に結合して、CTLA4の機能を阻害することができるようになる。
【0271】
非臨床での薬理試験により、マスキングされていないTY22404または活性化TY22404が、種間交差反応性を持つ状態で、CTLA4特有の保存されているエピトープに結合して、CTLA4/B7リガンドの相互作用を部分的に遮断することが示された。活性化TY22404は、腫瘍微小環境において特異的に、一次刺激シグナルの存在下でサイトカインIL-2の産生を誘導することによって、T細胞の活性化を増強し、ADCCの増強を通じて、免疫抑制性のTregを枯渇させ、免疫抑制性のTreg活性を低減して、抗腫瘍応答を媒介した。TY22404は、複数の同系マウス腫瘍モデルにおいて、単剤としても、他の免疫調節剤と組み合わせても、有効な抗腫瘍活性を示した。非臨床の毒性試験により、TY22404が、カニクイザルにおいて十分な忍容性を示すことが示された。これらの結果から、マスキングされたTY22404プロドラッグを、局所的な腫瘍微小環境において優先的に活性化させると、他の従来型抗CTLA4抗体よりも高い有効用量レベルが腫瘍に送達されるとともに、全身での安全性プロファイルも優れている治療が可能となり得ることが示唆された。すなわち、TY22404は、広範なヒトがんに対する免疫療法において、有効性及び安全性プロファイルを大きく改善させる見込みが高い。
【0272】
前臨床の毒性試験結果
非肥満糖尿病(NOD)マウスモデルにおいて、50mg/kgのTY22404で6回治療後、すべてのマウスが生き残った。TY22404に起因する異常所見は観察されなかった。
【0273】
4週間のGLP反復投与毒性試験において、TY22404をカニクイザルに、1kg当たり1用量当たりで5mg、30mg及び200mgで、1週間に1回、5用量で静脈内注入してから、28日、回復期間を置いたところ、十分な忍容性が見られた。200mg/kgにおいて、雄雌両方で、複数の臓器及び組織において、軽度から中等度の混合血管周囲浸潤物の顕微鏡的有害所見(ただし可逆性であった)が観察された。
【0274】
ラット及びカニクイザルの両方において、無毒性量(NOAEL)を求めたところ、1kg当たり1用量当たりで30mgであったとともに、カニクイザルにおいて、重篤な毒性を発現しない最大用量(HNSTD)を求めたところ、1kg当たり1用量当たりで200mgであった。
【0275】
TY22404のヒトCTLA4、サルCTLA4、マウスCTLA4及びラットCTLA4に対する結合親和性
マスキングされたTY22404の、ヒト、カニクイザル、マウスまたはラット由来の組み換えCTLA4タンパク質に対する結合親和性と、その活性化形態(条件1及び2による活性化TY22404)の結合親和性の比較結果を評価した。簡潔に述べると、ヒト、カニクイザル、マウスまたはラット由来の組み換えCTLA4タンパク質(細胞外ドメイン)をELISA用マイクロプレート上にコーティングして、段階的希釈率のTY22404、TY22404の活性化形態(条件1及び2による活性化TY22404)、またはヒトIgG1アイソタイプコントロール抗体をキャプチャーさせてから、キャプチャーさせた抗体を、HRP標識抗ヒトIgG(Fab特異的)二次抗体で検出する。フィッティングした結合曲線に基づき、半最大効果濃度(EC50)を計算する。
【0276】
図3に示されているように、マスキングされたTY22404は、ヒト、カニクイザル、マウス及びラットの組み換えCTLA4タンパク質に結合できるが、親和性は、かなり低い。その活性化形態は、4つのすべての種の組み換えCTLA4タンパク質に結合すると同時に、親和性が比較的高い(いずれも0.3nM前後)。マスキングされたTY22404抗体に比べて、切断されたTY22404は、その標的であるCTLA4タンパク質に、大幅に上昇した親和性で、ヒトCTLA4では250倍超上昇した親和性で、サルCTLA4では約40倍上昇した親和性で、マウスCTLA4では300倍超上昇した親和性で、ラットCTLA4では100倍超上昇した親和性で結合する。
【0277】
CTLA4遮断に関するin vitro細胞バイオアッセイによる、CD28シグナル伝達活性に対するTY22404の作用
マスキングされたTY22404及びその活性化形態と、イピリムマブが、CTLA4とCD80リガンド及びCD86リガンドとの結合を遮断することによって、CD28の媒介による、下流細胞のシグナル伝達を刺激する機能的活性を評価した。
【0278】
この試験では、生物発光細胞ベースのアッセイである、PromegaのCTLA4遮断バイオアッセイシステムを用いて、抗CTLA4 mAbのCTLA4遮断機能を評価する。このアッセイシステムでは、遺伝子操作された2つの細胞株、すなわち、CTLA4エフェクター細胞、すなわち、ヒトCTLA4と、IL-2ネイティブプロモーターによって駆動されるルシフェラーゼレポーターであって、TCR/CD28の活性化に応答するレポーターとを発現するJurkat T細胞(1.0×10/ウェル)と、APC/Raji細胞(2.0×10)、すなわち、TCRを抗原依存的に活性化するように設計された細胞表面タンパク質を発現するとともに、CTLA4リガンドCD80及びCD86を内在的に発現するRaji細胞が関与する。この2種類の細胞を共培養すると、CTLA4は、CD28と、それらの共通のリガンドCD80及びCD86に関して競合するので、CD28経路の活性化と、プロモーターの媒介による発光を阻害する。そして、段階希釈したTY22404、その活性化形態、イピリムマブまたはアイソタイプ抗体を加えて、CTLA4とそのリガンドCD80及びCD86との相互作用を遮断し、その結果、プロモーターの媒介により発光する。続いて、Bio-Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイシステムを用いて、生物発光シグナルを検出できる。
【0279】
図4に示されているように、マスキングされたTY22404は、下流の発光細胞シグナル伝達を誘導できない。条件1または2のいずれかによるin vitroでの切断により活性化した後には、条件1及び2により活性化された抗体のいずれも、CTLA4遮断により媒介されるレポーターシグナル伝達を用量依存的に刺激できる。しかしながら、活性化形態のTY22404の活性は、イピリムマブよりもかなり低い。
【0280】
ヒトCTLA4を過剰発現している293Fにおける、TY22404のADCCレポーター遺伝子活性の評価
TY22404及びその活性化形態と、イピリムマブとの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)のレポーター遺伝子活性をその標的細胞(293F-CTLA4)において評価した。簡潔に述べると、ヒトTリンパ球Jurkat細胞株から、エフェクター細胞Jurkat-NFAT-CD16を操作作製する。Jurkat細胞は天然では、機能的なNFAT転写因子を発現し、この因子は、ADCCにおいて、初期シグナルイベントに関与する。この試験で使用する標的細胞(2.0×10)は、CTLA4標的分子を過剰発現している293Fである。抗CTLA4 mAbのADCCレポーター活性は、CTLA4標的細胞である293Fとエフェクター細胞(1.2×105)とを、抗CTLA4 mAbの存在下及び非存在下で、様々な濃度でコインキュベートしてから、ルシフェラーゼを解析することによってアッセイする。IgG1アイソタイプコントロールmAbをADCCレポーター活性のネガティブコントロールとして使用する。
【0281】
図5に示されているように、これらの結果から、マスキングペプチドを有するTY22404では、ADCCレポーター遺伝子活性が見られないが、プロテアーゼによる切断によってマスキングペプチドが除去されたその活性化形態(条件1及び条件2による活性化TY22404)は、CTLA4分子を過剰発現している293F細胞に対して、有意な用量依存性ADCCレポーター活性を有することが示唆されている。注目すべきことに、条件1及び条件2によるいずれの活性化TY22404も、イピリムマブよりも、EC50がかなり低いことにより明らかなように、293F-CTLA4細胞に対して強力なADCCレポーター活性を有する。
【0282】
PBMC中のSEAの存在下における、TY22404によるヒトT細胞のin vitroでの活性化
TY22404及びその活性化形態(条件1及び2による活性化TY22404)のin vitroでの生物学的活性であって、PBMCの状況下で、Staphylococcal enterotoxin A(SEA)ペプチドに刺激されるヒトT細胞の活性化を増強する生物学的活性を評価した。スーパー抗原としてのSEAは、APC由来のMHCIIとT細胞由来のT細胞受容体(TCR)に結合することによって、大半のヒトT細胞を活性化することが知られているので、この試験において、T細胞の活性化をプライミングするために選択されている。ヒトPBMC(末梢血単核細胞、2.0×10/ウェル)を1人の健常なドナー(D#69)から単離し、準至適濃度のSEAペプチド(50ng/mL)及び段階希釈濃度のTY22404、その活性化形態またはアイソタイプコントロール抗体で刺激した。ELISAによって、IL-2をT細胞活性化増強のエンドポイントとして測定するために、4日後に、複製細胞の上清を回収した。
【0283】
図6に示されているように、このin vitro T細胞活性化アッセイから得られたこれらの結果により、TY22404の活性化形態(条件1及び2による活性化TY22404の両方)が、1人の健常なドナーから得たPBMCにおいて、SEAペプチドにより刺激されたサイトカインIL-2の放出を増強できる一方で、マスキングされたTY22404は、このような活性を有さないことが示唆されている。加えて、条件2による活性化TY22404では、条件1による活性化TY22404よりも、ヒトPBMCの状況において、抗原により刺激されるT細胞活性化の増強において、強力な活性が見られる。
【0284】
H22マウス肝臓癌モデルにおけるTY22404の抗腫瘍効力
BALB/cマウス(1群あたりn=8、雌、6~7週齢)に、H22マウス肝臓癌細胞(CCTCC)を皮下接種した。平均腫瘍体積が約97mmに達したら、治療を開始した。それらのマウスに、アイソタイプコントロール及びTY22404を5mg/kgで、腹腔内注射によって投与した。それらのマウスには、これらの抗体を1週間に2回、合計で6用量投与した。腫瘍の成長を1週間に2回モニタリングし、平均腫瘍体積±標準誤差として経時的に記録した。図7(左パネル)に示されているように、TY22404では、H22モデルにおいて、単剤療法として非常に強力な抗腫瘍効力が見られた。
【0285】
CT26マウス大腸癌モデルにおけるTY22404の抗腫瘍効力
BALB/cマウス(1群あたりn=8、雌、7~8週齢)に、CT26マウス大腸癌細胞(SIBS)を皮下接種した。平均腫瘍体積が約98mmに達したら、治療を開始した。それらのマウスに、アイソタイプコントロール及びTY22404を5mg/kgで、腹腔内注射によって投与した。それらのマウスには、これらの抗体を1週間に2回、合計で6用量投与した。腫瘍の成長を1週間に2回モニタリングし、平均腫瘍体積±標準誤差として経時的に記録した。図7(右パネル)に示されているように、TY22404では、CT26モデルにおいて、単剤療法として非常に強力な抗腫瘍効力が見られた。
【0286】
図8は、図10の個別の曲線である。(Lewisがんモデルにおいて、TY22404を抗PD-1抗体と組み合わせて投与した)。
【0287】
CT26マウス大腸癌モデルにおけるTY22404のTreg枯渇性
BALB/cマウス(1群あたりn=10、雌、7~8週齢)に、CT26マウス大腸癌細胞(SIBS)を皮下接種した。腫瘍を接種してから9日目、平均腫瘍体積が約121mmに達したら、治療を開始した。それらのマウスに、アイソタイプコントロール及びTY22404を5mg/kgで、腹腔内注射によって投与した。それらのマウスには、これらの抗体を9日目及び12日目に投与し、末梢及び腫瘍浸潤リンパ球の解析のために、14日目に終了した。
【0288】
図9に示されているように、TY22404では、TILにおいて、CD4 T細胞におけるTregのパーセンテージが、アイソタイプコントロールと比べて有意に低下した。しかしながら、血中及び脾臓中の末梢リンパ球では、TY22404は、CD4 T細胞におけるTregのパーセンテージに影響を及ぼさなかった(右パネル)。図9(左パネル)に示されているように、TILにおけるTreg細胞上のCTLA4発現レベルは、TY22404による治療後に有意に低下した。しかしながら、末梢Treg細胞上では、CTLA4発現レベルは、TY22404による治療後に、わずかに上昇した(PBMC)か、変化しなかった(脾臓)。
【0289】
概要
TY22404は、複数の種にわたって、プロテアーゼによって切断されて、マスキングペプチドが除去されると、CTLA4に特異的に結合する活性化可能なプロドラッグである(図3)。
【0290】
活性化TY22404は、イピリムマブよりも穏やかなリガンドブロッカーであったが、高密度にCTLA4を発現している細胞を標的とするADCC活性が、イピリムマブよりも強力である(図4~5)。
【0291】
活性化TY22404は、T細胞の活性化を強力に増強できるが、マスキングペプチドがインタクトであるTY22404 SAFEbodyは、増強できない(図6)。
【0292】
TY22404では、様々なマウス腫瘍モデルにおいて、単剤として強力な抗腫瘍活性が見られた(図7)。
【0293】
TY22404は、抗PD-1抗体のような他のIO剤と相乗的に組み合わせたところ、腫瘍の成長をin vivoで阻害した(図8)。併用療法では、腫瘍の成長が有意に遅くなり、8個の腫瘍のうち4個を完全に退縮(CR)させた。
【0294】
TY22404は、高めのレベルのCTLA4を発現する腫瘍において、Treg細胞を効率的に枯渇させることができるが、末梢組織においては、Treg細胞を枯渇させない(図9)。
【0295】
TY22404は、NODマウス及びカニクイザルを含む動物において、十分な忍容性が見られ、治療指数が高い可能性が示唆された。
【0296】
実施例2.抗CTLA4抗体との併用療法
様々ながんモデルにおいて、抗CTLA4抗体の併用療法の有効性を試験した。
【0297】
図10には、Lewisがんモデルにおいて、抗PD-1抗体と組み合わせて投与したTY22404の結果が示されている。TY22404と抗PD-1との併用治療のin vivoでの抗腫瘍効力を評価した。マウスに、Lewisマウス肺腫瘍細胞を皮下接種した。平均腫瘍体積が118mmに達したら、腫瘍担持マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化した。試験抗体の腹腔内投与を1週間に2回のスケジュールで、4用量で開始した。投与開始から14日後に、アイソタイプコントロール群に対する腫瘍成長阻害(TGI)を評価した。図10に示されているように、2mg/kgでのTY21580及びTY22404の単剤療法では、抗腫瘍活性が見られ、TGIは、TY21580では51%、TY22404では18%であった。10mg/kgでの抗PD-1 FC1225による単剤療法では、抗腫瘍作用が見られた(TGI=69%)。TY21580またはTY22404と抗PD-1 FC1225を組み合わせたところ、抗腫瘍作用が有意に増強され、TGIは、TY21580の場合には92%、TY22404の場合には91%であった。併用療法に対する応答は、試験したすべての単剤療法レジメンよりも優れていたことから、TY21580及びTY22404のいずれも、腫瘍の阻害において、抗PD1と相乗作用を示すことができることが示唆されている。
【0298】
図11には、TY22404と抗CD137抗体ADG106との併用治療のin vivoでの抗腫瘍効力を評価するために、4T1がんモデルにおいて、ADG106と組み合わせて投与したTY22404の結果が示されている。マウスに、4T1マウス乳癌細胞を皮下接種した。平均腫瘍体積が90mmに達したら、腫瘍担持マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化した。ビヒクル、5mg/kgのTY22404もしくはADG106、またはこれらの2つの薬剤の組み合わせの腹腔内投与を、1週間に2回のスケジュールで、4用量で開始した。図11に示されているように、ビヒクルコントロール群と比べて、TY22404では、33日目に、部分的な抗腫瘍作用が見られ、TGIは49%であったのに対して、ADG106には、有意な抗腫瘍活性がなかった(TGI10%)。このモデルでは、TY22404とADG106の組み合わせにおいて、抗腫瘍作用がわずかに増強された(TGI63%)。
【0299】
図12A~12Bには、ADG106とTY21580との併用治療のin vivoでの抗腫瘍効力を評価するために、CT26マウス大腸癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の結果が示されている。マウスに、CT26マウス大腸腫瘍細胞を皮下接種した。平均腫瘍体積が67mmに達したら、腫瘍担持マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化した。これらの群に、1mg/kgのアイソタイプコントロール、0.2mg/kgのADG106、0.2mg/kgもしくは1mg/kgのTY21580、またはADG106とTY21580との組み合わせのいずれかを同じ用量で、腹腔内注射によって投与した。いずれの抗体も、1週間に2回投与した。図12A~12Bに示されているように、19日目に、アイソタイプコントロール群と比べて、ADG106のみの治療では、腫瘍成長の部分的な阻害が見られ(TGIは47%)、TY21580のみでは、腫瘍の成長が用量依存的にさらに強力に阻害され、TGIは、0.2mg/kgの用量では79%、1mg/kgの用量では92%であった。ADG106と、0.2mg/kgもしくは1mg/kgのいずれかのTY21580とを組み合わせたところ、抗腫瘍活性の増強は見られず、TGIは、0.2mg/kgでは83%、1mg/kgでは91%であった。これらの結果では、このモデルにおいて、ADG106及びTY21580の単剤での強力な抗腫瘍活性が示されたが、相乗効果は見られなかった。
【0300】
図13A~13Bには、TY21580とADG106との併用治療のin vivo抗腫瘍効力を評価するために、MC38マウス大腸癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の結果が示されている。マウスに、MC38マウス大腸腫瘍細胞を皮下接種した。平均腫瘍体積が69mmに達したら、腫瘍担持マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化した。これらの群に、10mg/kgのアイソタイプコントロール、10mg/kgのADG106、0.2mg/kgもしくは2mg/kgのTY21580、または同じ用量のADG106とTY21580との組み合わせのいずれかを腹腔内注射によって投与した。いずれの抗体も、1週間に2回、4週間にわたって投与した。図13A~13Bに示されているように、33日目のアイソタイプコントロール群と比べて、ADG106のみでの治療では、腫瘍の成長が阻害されなかったが、TY21580では、腫瘍の成長が用量依存的に阻害され、33日目のTGIは、0.2mg/kgの用量では30%、2mg/kgの用量では67%であった。ADG106と、0.2mg/kgもしくは2mg/kgのいずれかのTY21580とを組み合わせたところ、抗腫瘍活性の増強が見られ、TGIは、0.2mg/kgでは65%、2mg/kgでは84%であった。これらの治療では、体重に対しては有害作用は観察されなかった。これらの結果から、MC38マウス大腸癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせたADG106により、抗腫瘍応答の増強が誘導されたことが示されている。
【0301】
図14A~14Bには、MC38マウス大腸癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の結果が示されている。平均TVが約53mmに達したら、投与を開始した(n=8)。TY21580単剤療法群では、完全奏効(CR)は10匹中1匹、ADG106+TY21580の併用群では、完全奏効(CR)は10匹中1匹、安定(SD)は10匹中2匹であった。この試験において、TY21580とADG106には相乗効果が見られた。
【0302】
図15~16には、4T1マウス乳癌モデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の結果が示されている。BALB/cマウス(1群あたりn=8、雌、6~8週齢)に、マウストリプルネガティブ乳癌細胞株である4T1乳癌細胞を3×105個、皮下移植した。腫瘍を確立した後(すなわち、体積が96mm3に達した後)、マウスをアイソタイプコントロール抗体、抗CD137抗体ADG106(5mg/kg)、抗CTLA-4抗体TY21580(2mg/kg)、またはADG106(5mg/kg)とTY21580(2mg/kg)との組み合わせで、腹腔内注射によって、1週間に2回、2週間にわたって治療した。腫瘍の成長を1週間に2回モニタリングし、平均腫瘍体積±標準誤差として経時的に記録した。TY21580群では、8匹中4匹が死亡し、ADG106+TY21580群では、8匹中1匹が死亡した。図15~16に示されているように、4T1乳癌モデルにおいて、アイソタイプコントロール抗体と比べて、TY21580及びADG106の単剤療法の両方で、抗腫瘍活性が見られ、TY21580とADG106との組み合わせでは、相乗的な抗腫瘍効力が見られた。
【0303】
図17には、TY21580とADG106との併用治療のin vivoでの抗腫瘍効力を評価するために、B16F10同系マウスメラノーマモデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の結果が示されている。マウスに、B16F10マウスメラノーマ腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍接種後、マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化し、それらのマウスに、アイソタイプコントロール、5mg/kgのADG106もしくはTY21580、または同じ用量のADG106とTY21580との組み合わせのいずれかを腹腔内注射によって投与した。いずれの抗体も、1週間に2回投与した。図17に示されているように、アイソタイプコントロール群と比べて、ADG106のみでの治療では、腫瘍の成長が阻害されなかった一方で、TY21580単剤では、抗腫瘍活性が見られた。ADG106とTY21580との組み合わせでは、腫瘍の成長阻害がさらに増強されたことから、ADG106とTY21580が、抗腫瘍作用において相乗作用を示し得ることが示唆された。
【0304】
図18A~18Bには、ADG106とTY21580との併用治療のin vivoでの抗腫瘍効力を評価するために、A20がんモデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の結果が示されている。マウスに、A20マウスBリンパ腫細胞を皮下接種した。平均腫瘍体積が101mmに達したら、腫瘍担持マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化した。5mg/kgのADG106もしくは0.5mg/kgのTY21580、またはこれらの2つの薬剤の組み合わせの腹腔内投与を1週間に2回のスケジュールで、4用量で開始した。図18A~18Bに示されているように、ビヒクルコントロール群と比べて、5mg/kgのADG106のみ、または0.5mg/kgのTY21580のみのいずれでも、部分的な抗腫瘍活性が見られた。ADG106とTY21580との組み合わせでは、抗腫瘍作用がさらに増強され、4匹で完全奏効が見られたことから、ADG106とTY21580が、腫瘍の阻害において相乗作用を示し得ることが示唆された。
【0305】
図19A~19Bには、ADG106とTY21580との併用治療のin vivoでの抗腫瘍効力を評価するために、EMT6がんモデルにおいて、TY21580と組み合わせて投与したADG106の結果が示されている。マウスに、EMT6マウス乳癌細胞を皮下接種した。平均腫瘍体積が95mmに達したら、腫瘍担持マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化した。0.5mg/kgのADG106もしくは0.1mg/kgのTY21580、またはこれらの2つの薬剤の組み合わせの腹腔内投与を1週間に2回のスケジュールで開始した。図19A~19Bに示されているように、ビヒクルコントロール群と比べて、0.5mg/kgのADG106のみ、または0.1mg/kgのTY21580のみのいずれでも、有意な抗腫瘍活性が見られた。ADG106とTY21580との組み合わせでは、抗腫瘍作用がさらに増強され、7匹で完全奏効が見られたことから、ADG106とTY21580が、腫瘍の阻害において相乗作用を示し得ることが示唆された。
【0306】
図20A~20Bには、CT26大腸癌モデルにおいて、ADG106と組み合わせて投与したTY21580の結果が示されている。BALB/cマウス(1群あたりn=8、雌、7~8週齢)に、CT26マウス大腸癌細胞(SIBS)を皮下接種した。平均腫瘍体積が約62mmに達したら、治療を開始した。それらのマウスに、アイソタイプコントロール(5mg/kg)、TY21580(5mg/kg)、ADG106(0.1mg/kgを2用量、0.2mg/kgを別に4用量)、及びTY21580とADG106との組み合わせを腹腔内注射によって投与した。それらのマウスには、これらの抗体を1週間に2回、合計で6用量投与した。腫瘍の成長を1週間に2回モニタリングし、平均腫瘍体積±標準誤差として経時的に記録した。図20に示されているように、CT26モデルにおいて、いずれのTY21580単剤療法でも、抗腫瘍活性が見られ、TY21580とADG106との組み合わせでは、抗腫瘍効力の増強が見られた。
【0307】
図21A~21Bには、TY21580とVEGFR阻害剤フルキンチニブとの併用治療のin vivoでの抗腫瘍効力を評価するために、CT26がんモデルにおいて、フルキンチニブと組み合わせて投与したTY21580の結果が示されている。平均腫瘍体積が約120mmに達したら、投与を開始した(1群あたりn=8)。腫瘍担持マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化した。0.1mg/kgのTY21580の腹腔内投与を1週間に2回のスケジュールで、4用量で開始した。5mg/kgのフルキンチニブを1日1回、3週間にわたって経口投与した。図21A~21Bに示されているように、アイソタイプコントロール群と比べて、0.1mg/kgのTY21580のみ、または5mg/kgフルキンチニブのみのいずれでも、部分的な抗腫瘍活性が見られた。TY21580とフルキンチニブとの組み合わせでは、抗腫瘍作用がさらに増強され、TY21580がフルキンチニブと、腫瘍の阻害において相乗作用を示し得ることが示唆された。併用群では、完全奏効(CR)は8匹中1匹であり、TY21580またはフルキンチニブの単剤療法群では、完全奏効(CR)は見られなかった。
【0308】
図22A~22Bには、TY21580とVEGFR阻害剤アンロチニブとの併用治療のin vivoでの抗腫瘍効力を評価するために、Rencaがんモデルにおいて、アンロチニブと組み合わせて投与したTY21580の結果が示されている。マウスに、Rencaマウス腎臓癌細胞を皮下接種した。平均腫瘍体積が86mmに達したら、腫瘍担持マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化した。5mg/kgのTY21580の腹腔内投与を1週間に2回のスケジュールで、4用量で開始した。3mg/kgのアンロチニブを1日1回、17用量で経口投与した。図22A~22Bに示されているように、ビヒクルコントロール群と比べて、5mg/kgのTY21580のみでは、抗腫瘍作用が見られなかったが、アンロチニブのみでは、強力な抗腫瘍活性が見られ、TGIは、29日目に93%であった。TY21580とアンロチニブとの組み合わせでは、アンロチニブ単剤の場合と同じ抗腫瘍作用が見られ、この腫瘍モデルでは、これらの2つの薬剤の間に相乗作用がないことが示唆された。
【0309】
図23A~23Bには、TY21580とドセタキセルとの併用治療のin vivoでの抗腫瘍効力を評価するために、4T1がんモデルにおいて、ドセタキセルと組み合わせて投与したTY21580の結果が示されている。平均腫瘍体積が約90mmに達したら、投与を開始した(1群あたりn=8)。平均腫瘍体積が90mmに達したら、腫瘍担持マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化した。2mg/kgのTY21580の腹腔内投与を1週間に2回のスケジュールで、4用量で開始した。10mg/kgのドセタキセルを1週間に1回、3用量で静脈内投与した。TY21580の単剤療法群では、投与開始から2週間後に、8匹中4匹のマウスが死亡した一方で、併用療法群では、投与開始から6週間後に、8匹中1匹のマウスのみが死亡した。図23A~23Bに示されているように、ビヒクルコントロール群と比べて、2mg/kgのTY21580のみ、または10mg/kgのドセタキセルのみのいずれでも、部分的な抗腫瘍活性が見られた(TGIは35日目に、TY21580では44.9%、ドセタキセルでは38.3%であった)。TY21580とドセタキセルとの組み合わせでは、抗腫瘍作用がさらに増強され、TGIは74%であったことから、TY21580がドセタキセルと、腫瘍の阻害において相乗作用を示し得ることが示唆された。
【0310】
図24A~24Bには、TY21580とPARP阻害剤オラパリブとの併用治療のin vivoでの抗腫瘍効力を評価するために、EMT6がんモデルにおいて、オラパリブと組み合わせて投与したTY21580の結果が示されている。マウスに、EMT6マウス乳癌細胞を皮下接種した。平均腫瘍体積が95mmに達したら、腫瘍担持マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化した。0.1mg/kgのTY21580の腹腔内投与を1週間に2回のスケジュールで開始した。50mg/kgのオラパリブを1日1回、21用量で経口投与した。図24A~24Bに示されているように、ビヒクルコントロール群と比べて、オラパリブのみでは、有意な抗腫瘍作用は見られなかった一方で、0.1mg/kgのTY21580のみでは、有意な抗腫瘍活性が見られ、27日目のTGIは56%であった。TY21580とオラパリブとの組み合わせでは、抗腫瘍作用の増強が見られ、TGIは15.4%であったことから、オラパリブが、腫瘍の阻害において、TY21580の活性をアンタゴナイズし得ることが示唆された。
【0311】
図25には、TY22404と抗体ADG106との併用治療のin vivoでの抗腫瘍効力を評価するために、MC38がんモデルにおいて、ADG106と組み合わせて投与したTY22404の結果が示されている。マウスに、MC38マウス大腸腫瘍細胞を皮下接種した。平均腫瘍体積が97mmに達したら、腫瘍担持マウスを、それぞれ8匹のマウスからなる様々な治療群にランダム化した。試験抗体の腹腔内投与を1週間に2回のスケジュールで、4用量で開始した。腫瘍細胞の接種から27日目に、アイソタイプコントロール群に対する腫瘍成長阻害(TGI)を評価した。図25に示されているように、5mg/kgのTY22404の単剤療法では、有意な抗腫瘍活性が見られ、TGIは77%であった一方で、5mg/kgのADG106のみでは、有意な抗腫瘍活性は見られなかった(TGI=21%)。これらの2つの薬剤の組み合わせでは、抗腫瘍作用が有意に増強され、平均TGIは94%であったとともに、8匹中4匹のマウスで、完全な腫瘍退縮が見られた。併用療法に対する応答は、いずれの薬剤単剤よりも優れていたことから、TY22404がADG106と、腫瘍の阻害において相乗作用を示し得ることが示唆された。
【0312】
図26には、B16F10同系マウスメラノーマモデルにおいて、イカリチン(「SNG162」)及び/またはADG106と組み合わせて投与したTY21580の結果が示されている。BALB/cマウス(1群あたりn=8)に、B16F10マウスメラノーマ細胞を皮下接種した。腫瘍の接種から6日目に、治療を開始した。それらのマウスに、コントロール(コーン油+mIgG+hIgG4)、TY21580(5mg/kg)、ADG106(5mg/kg)、及びTY21580とADG106との組み合わせを腹腔内注射によって投与した。マウスには、3日に1回(Q3D)、合わせて6用量投与した。イカリチン(「SNG162」)及び/またはADG106と組み合わせて投与したTY21580は、B16F10同系マウスメラノーマモデルでも試験した。図26に示されているように、ADG106では、このモデルにおいて、TY21580との相乗的な抗腫瘍作用が見られた。実験の最後に、SNG162+TY21580、ADG106+TY21580及びSNG162+ADG106+TY21580という3つの群のそれぞれにおいて、完全な腫瘍退縮を示したマウスが見られた。
【0313】
実施例3.TY22404の活性化、及びTY21580とTY22404の薬物動態の比較
図27に示されているように、雌のBALB/cマウスに、ヒトCTLA4が発現しているかまたは発現していないH22マウス肝臓癌腫瘍細胞を皮下接種した。図27の図に示されているように、CTLA4を外因性に過剰発現させたH22腫瘍細胞をマウスの左側腹部に接種し、CTLA4を発現していない親H22腫瘍細胞をそのマウスの右側腹部に接種した。親TY21580 mAb及びTY22404 mAbのいずれも、放射性物質89Zrで標識し、腫瘍担持マウスに、尾静脈を介して静脈内注射した。PET/CTスキャンを様々な時点に行って、シグナル分布をイメージングした。画像の結果から、mAbの投与から120時間後、TY22404が、親TY21580の状況と同様、主に、標的のCTLA4を発現している腫瘍に蓄積したことが示された。これらの結果から、腫瘍微小環境において、TY22404が活性化し、標的への結合が可能となることが示唆された。
【0314】
図28に示されているように、マウス及びカニクイザルに、それぞれ10mg/kgで、1回用量のTY21580またはTY22404を投与した。抗体の投与後、血液試料を様々な時点に回収し、試験抗体の濃度を測定した。様々な時点のTY21580またはTY22404の平均濃度を時間に対してプロットした。その結果により、TY22404では、マウス及びカニクイザルの両方において、半減期の延長が見られ、全身暴露がTY21580よりも高いことが示され、これは、正常な生理的条件では、抗体がその標的に結合しないようにSAFEbodyが保護し、その結果、標的を介した薬物消失(TMDD)が低減されるというコンセプトと整合している。
【0315】
実施例4.第1相用量漸増試験における抗CTLA4 SAFEbodyの臨床解析
オーストラリア及び米国において、抗CTLA4 SAFEbodyに対する第1相用量漸増試験及びコホート拡大試験を複数の施設で行った。この試験は、複数の前治療ラインがうまくいかなかった進行固体腫瘍患者における複数施設でのオープンラベル第1相試験であった。抗CTLA4 SAFEbodyは、疾患の進行または許容できない毒性が生じるまで、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgまたは10mg/kgで3週間に1回投与した。
【0316】
そのSAFEbodyは、TY21580のVH配列及びVL配列で構成されていたとともに、軽鎖のN末端に、配列番号192の配列を含むマスキング部分、及び配列番号221の配列を含むリンカー部分を有していた(MM/LM複合配列は、EVGSYPNPSSDCVPYYYACAYSGRSAGGGGTPLGLAGSGGS(配列番号200)であった)。完全重鎖については配列番号320を、完全軽鎖(マスク/リンカーを含む)については配列番号322を参照されたい。
【0317】
0.1mgから10mgへの用量漸増において、約18人の患者を登録した。DLTは、Q3Wで、10mg/kgまでは観察されなかったとともに、所定の適応症において、SRC推奨の10mpkでコホート拡大を連続的に行い、6mg/kgの抗CTLA4 SAFEbodyでは、抗PD1と併用し、3mg/kgの抗CTLA4 SAFEbodyでは、ADG106と併用した(図29及び30)。
【0318】
表Gに、患者の人口統計的なプロファイルとともに、治療歴及び適応症が示されている。
【表5-1】
【表5-2】
【0319】
治療に関する安全性プロファイルは、図31に示されている。これらのデータから、抗CTLA4 SAFEbodyが10mpkまでは、非常にしっかりした安全性プロファイルを有することが示されており、これは、前臨床の観察結果と整合している。
【0320】
2つのコールド腫瘍について、2つの症例研究を選択した。第1に、卵巣癌患者は、5つの前治療ラインを受けたことがあった(図32A)。1mpkでこの試験に登録したところ、その患者では、抗CTLA4 SAFEbodyによる治療を2サイクル行った後の毎回の腫瘍評価ごとに、持続的な腫瘍収縮が見られた。標的とした腫瘍病変は、-13%、-19%から-22%まで縮小した一方で、CA125は、-18%、-67%から-77%まで着実に低下し、患者に対する臨床効果と整合していた。第2に、前治療においてイピリムマブ+ニボルマブが無効であったUVメラノーマ患者では、-24%の腫瘍収縮が見られ(図32B)、これは、2サイクルの抗CTLA4 SAFEbody療法後に、T細胞が活性化したことによって裏付けられている。これらの観察結果は、有効な療法がないこのコールド腫瘍サブタイプでは驚くべきことであった。
【0321】
実施例5.第1相用量漸増試験における、抗CTLA4 SAFEbodyの予備的なバイオマーカー解析
予備的なバイオマーカー評価のために、実施例4に記載されている第I相臨床試験に登録した患者から、末梢血試料及び血清試料を採取し、探索的なバイオマーカー試験で評価した。この試験には、フローサイトメトリーによる、末梢リンパ球のプロファイリング、サイトカイン、可溶性受容体/リガンド及びMMPの血清レベルの解析が含まれていた。
【0322】
サイトカインの解析のために、標準的なプロトコールに従って、各患者から様々な時点(サイクル1の1日目の投与前、サイクル1の8日目、サイクル1の15日目、サイクル2の1日目の投与前、サイクル3の1日目の投与前、及びサイクル4の1日目の投与前)に採取した新鮮な血液から血清を調製した。血清中で、免疫活性化の初期応答因子である一連の炎症性サイトカイン(IFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-6及びIL-10)の濃度を高感度かつ定量的なMSD V-Plexアッセイ(カタログ番号K151A9H)によって、メーカーの指示に従って測定した。
【0323】
IFN-γについては図33、TNF-αについては図34に示されているように、治療クールにわたる、IFN-γ及びTNF-αのベースレベル(サイクル1の1日目の投与前)に対する変化をプロットした。3mg/kgのTY22404を投与した患者6105-005におけるIFN-γの存在量は、サイクル1の8日目からサイクル2の1日目までに有意に増加した。1mg/kgの用量を投与した患者6105-004では、治療中に、TNF-αの存在量が急激な増加を示した。全体的には、一部の患者において、TY22404による治療後、IFN-γ及び/またはTNF-αのレベルの一過性の上昇が観察され、これは、免疫の活性化を示している。
【0324】
免疫細胞のプロファイリングのために、様々な時点(サイクル1の1日目の投与前、サイクル1の8日目、サイクル1の15日目、サイクル2の1日目の投与前、サイクル3の1日目の投与前、及びサイクル4の1日目の投与前)に、標準的なプロトコールに従って、新鮮な末梢血試料を各患者から採取した。CD4+ ヘルパーT細胞、CD8+ 細胞傷害性T細胞、B細胞及びNK細胞を含む免疫細胞亜集団のプロファイルをTBNK FACSパネルによって求めた。図35A~35Cに示されているように、治療クールにわたる、各亜集団での絶対数のベースレベル(サイクル1の1日目の投与前)に対する変化をプロットした。全体的には、一部の患者では、TY22404による治療後に、CD4、CD8のT細胞及びNK細胞の一過性の上昇が観察された。治療後のNK細胞の絶対数及びパーセンテージの上昇は、用量依存的であったようである。
【0325】
実施例6.H22マウス腫瘍、マウス肝臓及びマウス血漿におけるTY22404のin vivo切断
H22マウス腫瘍、マウス肝臓及びマウス血漿において、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)またはマトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP9)によるTY22404のvivo切断効率を従来のウェスタンブロット(WB)によって評価した。簡潔に述べると、H22腫瘍細胞をin vitroで、10%ウシ胎児血清が添加されたRPMI-1640培地中の単層培養液として、37℃で、空気中5%COの雰囲気で維持した。指数成長期に成長している細胞を回収し、腫瘍接種に備えて計数した。それぞれのマウス(BALB/c)に、腫瘍発生のために、0.1mlのPBS中のH22腫瘍細胞(2×10)を右側腹部領域に皮下接種した。BALB/cマウスを、初期の腫瘍体積(約300mm)に基づき、2つの群(N=3)にランダムに分けた。続いて、その試験におけるマウスを5mg/kgのTY22404で、静脈内ボーラスによって治療した。その後のWB解析のために、投与から24時間後及び96時間後に、腫瘍、肝臓及び血漿の試料を、その2つの群(1群当たり3匹のマウス)からそれぞれ採取した。プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む氷冷RIPA Lysis Bufferに、それらの組織試料を溶解し、全組織タンパク質をビシンコニン酸(BCA)キットによって定量した。その後、標的抗体をプルダウンし、事前に処理したプロテインAビーズによって濃縮した。調製した試料を、SDS-PAGEに備えて、12%グラジエントゲルに流した。一次抗体は、抗ヒトκ軽鎖抗体(Abcam、ab134930、1:5000希釈液)を使用し、第2の抗体は、HRP標識マウス抗ウサギIgG(H+L)を使用し、最終的なシグナル検出には、高感度化学発光(ECL)法を使用した。インタクトなTY22404と、切断されたTY22404との1:1の比率の混合物を、このアッセイにおける標準コントロール(STDとラベル付けした)として使用した。
【0326】
図36に示されているように、投与から24時間後には、全TY22404の約半数である切断形態は、3匹中2匹のマウス(1~3とラベル付けした)の腫瘍で検出されたが、肝臓及び血漿では検出されなかった。しかしながら、投与から96時間後には、切断形態のTY22404は、3匹すべてのマウス(4~6とラベル付けした)の腫瘍、肝臓及び血漿を含むすべての試料で観察された。
【0327】
実施例7.CT26マウス大腸癌モデルにおける、TY22404の用量依存的なTreg枯渇
BALB/cマウス(1群あたりn=10、雌、8~9週齢)に、CT26マウス大腸癌細胞(SIBS)を皮下接種した。腫瘍の接種から9日目に、平均腫瘍体積が約150mmに達したら、治療を開始した。それらのマウスに、5mg/kgのアイソタイプコントロール、ならびに5mg/kg、1mg/kg及び0.2mg/kgのTY22404を腹腔内注射によって投与した。それらのマウスには、これらの抗体を9日目及び12日目に投与し、脾臓及び腫瘍浸潤リンパ球の解析のために、14日目に終了した。
【0328】
図37に示されているように、TY22404では、TILにおいて、CD4 T細胞におけるTregのパーセンテージが、アイソタイプコントロールと比べて有意に、用量依存的に低下した。しかしながら、脾臓では、TY22404によって、CD4 T細胞におけるTregのパーセンテージが低下しなかった。図38に示されているように、TILにおけるTreg細胞上でのCTLA-4発現レベルは、TY22404による治療後に、有意に用量依存的に低下した。しかしながら、CTLA-4発現レベルは、末梢Treg細胞上では、TY22404による治療後に変化しなかった。
【0329】
例示的な配列
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【表6-7】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【0330】
配列番号231 ヒトCD137のアミノ酸配列
MGNSCYNIVATLLLVLNFERTRSLQDPCSNCPAGTFCDNNRNQICSPCPPNSFSSAGGQRTCDICRQCKGVFRTRKECSSTSNAECDCTPGFHCLGAGCSMCEQDCKQGQELTKKGCKDCCFGTFNDQKRGICRPWTNCSLDGKSVLVNGTKERDVVCGPSPADLSPGASSVTPPAPAREPGHSPQIISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL
【0331】
配列番号232 ADG106のHVR-H1
FSLSTGGVGVGWI
【0332】
配列番号233 ADG106のHVR-H2
LALIDWADDKYYSPSLKSRL
【0333】
配列番号234 ADG106のHVR-H3
ARGGSDTVIGDWFAY
【0334】
配列番号235 ADG106のHVR-L1
RASQSIGSYLA
【0335】
配列番号236 ADG106のHVR-L2
DASNLETGV
【0336】
配列番号237 ADG106のHVR-L3
YCQQGYYLWT
【0337】
配列番号238 ADG106のVH
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSLSTGGVGVGWIRQAPGKGLEWLALIDWADDKYYSPSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARGGSDTVIGDWFAYWGQGTLVTVSS
【0338】
配列番号239 ADG106のVL
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSIGSYLAWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGYYLWTFGQGTKVEIKR
【0339】
配列番号240 ADG106の重鎖
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSLSTGGVGVGWIRQAPGKGLEWLALIDWADDKYYSPSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARGGSDTVIGDWFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0340】
配列番号241 ADG106の軽鎖
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSIGSYLAWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGYYLWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0341】
配列番号242 AG10059のHVR-H1
YSITSGHYWAWI
【0342】
配列番号243 AG10059のHVR-H2
VSSISGYGSTTYYADSVKGRF
【0343】
配列番号244 AG10059のHVR-H3
ARGGSDAVLGDWFAY
【0344】
配列番号245 AG10059のHVR-L1
RASQGIGSFLA
【0345】
配列番号246 AG10059のHVR-L2
DASNLETGV
【0346】
配列番号247 AG10059のHVR-L3
YCQQGYYLWT
【0347】
配列番号248 AG10059のVH
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYSITSGHYWAWIRQAPGKGLEWVSSISGYGSTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARGGSDAVLGDWFAYWGQGTLVTVSS
【0348】
配列番号249 AG10059のVL
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIGSFLAWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGYYLWTFGQGTKVEIKR
【0349】
配列番号250 AG10059の重鎖
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYSITSGHYWAWIRQAPGKGLEWVSSISGYGSTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARGGSDAVLGDWFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0350】
配列番号251 AG10059の軽鎖
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIGSFLAWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGYYLWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0351】
配列番号252 AG10058のHVR-H1
FSLSTSGVGVGWI
【0352】
配列番号253 AG10058のHVR-H2
LALIDWDDDKYYSPSLKSRL
【0353】
配列番号254 AG10058のHVR-H3
ARGGSDTVLGDWFAY
【0354】
配列番号255 AG10058のHVR-L1
RASQSVSPYLA
【0355】
配列番号256 AG10058のHVR-L2
DASSLESGV
【0356】
配列番号257 AG10058のHVR-L3
YCQQGYSLWT
【0357】
配列番号258 AG10058のVH
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSLSTSGVGVGWIRQAPGKGLEWLALIDWDDDKYYSPSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARGGSDTVLGDWFAYWGQGTLVTVSS
【0358】
配列番号259 AG10058のVL
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSVSPYLAWYQQKPGKAPKLLIYDASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGYSLWTFGQGTKVEIKR
【0359】
配列番号260 AG10058の重鎖
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSLSTSGVGVGWIRQAPGKGLEWLALIDWDDDKYYSPSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARGGSDTVLGDWFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0360】
配列番号261 AG10058の軽鎖
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSVSPYLAWYQQKPGKAPKLLIYDASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGYSLWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0361】
配列番号262 HVR-H1の式(I)
X1TFX2X3YX4IHWV(式中、X1は、FまたはYであり、X2は、SまたはTであり、X3は、G、NまたはSであり、X4は、A、GまたはWである)
【0362】
配列番号263 HVR-H1の式(II)
YSIX1SGX2X3WX4WI(式中、X1は、SまたはTであり、X2は、HまたはYであり、X3は、HまたはYであり、X4は、A、D、G、N、SまたはTである)
【0363】
配列番号264 HVR-H1の式(III)
FSLSTX1GVX2VX3WI(式中、X1は、GまたはSであり、X2は、AまたはGであり、X3は、A、G、SまたはTである)
【0364】
配列番号265 HVR-H2の式(IV)
LALIDWX1X2DKX3YSX4SLKSRL(式中、X1は、A、DまたはYであり、X2は、DまたはGであり、X3は、R、SまたはYであり、X4は、PまたはTである)
【0365】
配列番号266 HVR-H2の式(V)
IGX1IYHSGX2TYYX3PSLKSRV(式中、X1は、DまたはEであり、X2は、NまたはSであり、X3は、NまたはSである)
【0366】
配列番号267 HVR-H2の式(VI)
VSX1ISGX2GX3X4TYYADSVKGRF(式中、X1は、A、G、S、VまたはYであり、X2は、A、D、SまたはYであり、X3は、D、GまたはSであり、X4は、SまたはTである)
【0367】
配列番号268 HVR-H3の式(VII)
ARX1GX2X3X4VX5GDWFX6Y(式中、X1は、EまたはGであり、X2は、EまたはSであり、X3は、DまたはTであり、X4は、A、TまたはVであり、X5は、A、I、L、TまたはVであり、X6は、A、DまたはGである)
【0368】
配列番号269 HVR-L1の式(VIII)
X1ASQX2X3X4X5X6X7X8(式中、X1は、QまたはRであり、X2は、D、GまたはSであり、X3は、IまたはVであり、X4は、G、R、SまたはTであり、X5は、P、R、SまたはTであり、X6は、A、D、F、S、VまたはYであり、X7は、LまたはVであり、X8は、A、GまたはNである)
【0369】
配列番号270 HVR-L2の式(IX)
X1ASX2X3X4X5GX6(式中、X1は、AまたはDであり、X2は、N、SまたはTであり、X3は、LまたはRであり、X4は、A、EまたはQであり、X5は、SまたはTであり、X6は、IまたはVである)
【0370】
配列番号271 HVR-L3の式(X)
YCQQX1YX2X3X4T(式中、X1は、A、G、SまたはYであり、X2は、Q、SまたはYであり、X3は、I、L、TまたはYであり、X4は、I、S、VまたはWである)
【0371】
配列番号272 HVR-L3の式(XI)
YCX1QX2X3X4X5PX6T(式中、X1は、EまたはQであり、X2は、P、SまたはYであり、X3は、D、L、S、TまたはYであり、X4は、D、E、H、SまたはTであり、X5は、D、L、TまたはWであり、X6は、L、P、RまたはVである)
【0372】
配列番号273 sCD137のアミノ酸配列
LQDPCSNCPAGTFCDNNRNQICSPCPPNSFSSAGGQRTCDICRQCKGVFRTRKECSSTSNAECDCTPGFHCLGAGCSMCEQDCKQGQELTKKGCKDCCFGTFNDQKRGICRPWTNCSLDGKSVLVNGTKERDVVCGPSPADLSPGASSVTPPAPAREPGHSPQ
【0373】
配列番号274 CD137Lの核酸配列
Atggaatacgcctctgacgcttcactggaccccgaagccccgtggcctcccgcgccccgcgctcgcgcctgccgcgtactgccttgggccctggtcgcggggctgctgctgctgctgctgctcgctgccgcctgcgccgtcttcctcgcctgcccctgggccgtgtccggggctcgcgcctcgcccggctccgcggccagcccgagactccgcgagggtcccgagctttcgcccgacgatcccgccggcctcttggacctgcggcagggcatgtttgcgcagctggtggcccaaaatgttctgctgatcgatgggcccctgagctggtacagtgacccaggcctggcaggcgtgtccctgacggggggcctgagctacaaagaggacacgaaggagctggtggtggccaaggctggagtctactatgtcttctttcaactagagctgcggcgcgtggtggccggcgagggctcaggctccgtttcacttgcgctgcacctgcagccactgcgctctgctgctggggccgccgccctggctttgaccgtggacctgccacccgcctcctccgaggctcggaactcggccttcggtttccagggccgcttgctgcacctgagtgccggccagcgcctgggcgtccatcttcacactgaggccagggcacgccatgcctggcagcttacccagggcgccacagtcttgggactcttccgggtgacccccgaaatcccagccggactcccttcaccgaggtcggaa
【0374】
配列番号275 CD137Lのアミノ酸配列
MEYASDASLD PEAPWPPAPR ARACRVLPWA LVAGLLLLLL LAAACAVFLA CPWAVSGARA SPGSAASPRL REGPELSPDD PAGLLDLRQG MFAQLVAQNV LLIDGPLSWY SDPGLAGVSL TGGLSYKEDT KELVVAKAGV YYVFFQLELR RVVAGEGSGS VSLALHLQPL RSAAGAAALA LTVDLPPASS EARNSAFGFQ GRLLHLSAGQ RLGVHLHTEA RARHAWQLTQ GATVLGLFRV TPEIPAGLPS PRSE
【0375】
配列番号276 PD-L1のアミノ酸配列
MRIFAVFIFMTYWHLLNAFTVTVPKDLYVVEYGSNMTIECKFPVEKQLDLAALIVYWEMEDKNIIQFVHGEDLKVQHSSYRQRARLLKDQLSLGNAALQITDVKLQDAGVYRCMISYGGADYKRITVKVNAPYNKINQRILVVDPVTSEHELTCQAEGYPKAEVIWTSSDHQVLSGKTTTTNSKREEKLFNVTSTLRINTTTNEIFYCTFRRLDPEENHTAELVIPELPLAHPPNERTHLVILGAILLCLGVALTFIFRLRKGRMMDVKKCGIQDTNSKKQSDTHLEET
【0376】
配列番号277 Ki67のアミノ酸配列
MWPTRRLVTIKRSGVDGPHFPLSLSTCLFGRGIECDIRIQLPVVSKQHCKIEIHEQEAILHNFSSTNPTQVNGSVIDEPVRLKHGDVITIIDRSFRYENESLQNGRKSTEFPRKIREQEPARRVSRSSFSSDPDEKAQDSKAYSKITEGKVSGNPQVHIKNVKEDSTADDSKDSVAQGTTNVHSSEHAGRNGRNAADPISGDFKEISSVKLVSRYGELKSVPTTQCLDNSKKNESPFWKLYESVKKELDVKSQKENVLQYCRKSGLQTDYATEKESADGLQGETQLLVSRKSRPKSGGSGHAVAEPASPEQELDQNKGKGRDVESVQTPSKAVGASFPLYEPAKMKTPVQYSQQQNSPQKHKNKDLYTTGRRESVNLGKSEGFKAGDKTLTPRKLSTRNRTPAKVEDAADSATKPENLSSKTRGSIPTDVEVLPTETEIHNEPFLTLWLTQVERKIQKDSLSKPEKLGTTAGQMCSGLPGLSSVDINNFGDSINESEGIPLKRRRVSFGGHLRPELFDENLPPNTPLKRGEAPTKRKSLVMHTPPVLKKIIKEQPQPSGKQESGSEIHVEVKAQSLVISPPAPSPRKTPVASDQRRRSCKTAPASSSKSQTEVPKRGGRKSGNLPSKRVSISRSQHDILQMICSKRRSGASEANLIVAKSWADVVKLGAKQTQTKVIKHGPQRSMNKRQRRPATPKKPVGEVHSQFSTGHANSPCTIIIGKAHTEKVHVPARPYRVLNNFISNQKMDFKEDLSGIAEMFKTPVKEQPQLTSTCHIAISNSENLLGKQFQGTDSGEEPLLPTSESFGGNVFFSAQNAAKQPSDKCSASPPLRRQCIRENGNVAKTPRNTYKMTSLETKTSDTETEPSKTVSTANRSGRSTEFRNIQKLPVESKSEETNTEIVECILKRGQKATLLQQRREGEMKEIERPFETYKENIELKENDEKMKAMKRSRTWGQKCAPMSDLTDLKSLPDTELMKDTARGQNLLQTQDHAKAPKSEKGKITKMPCQSLQPEPINTPTHTKQQLKASLGKVGVKEELLAVGKFTRTSGETTHTHREPAGDGKSIRTFKESPKQILDPAARVTGMKKWPRTPKEEAQSLEDLAGFKELFQTPGPSEESMTDEKTTKIACKSPPPESVDTPTSTKQWPKRSLRKADVEEEFLALRKLTPSAGKAMLTPKPAGGDEKDIKAFMGTPVQKLDLAGTLPGSKRQLQTPKEKAQALEDLAGFKELFQTPGHTEELVAAGKTTKIPCDSPQSDPVDTPTSTKQRPKRSIRKADVEGELLACRNLMPSAGKAMHTPKPSVGEEKDIIIFVGTPVQKLDLTENLTGSKRRPQTPKEEAQALEDLTGFKELFQTPGHTEEAVAAGKTTKMPCESSPPESADTPTSTRRQPKTPLEKRDVQKELSALKKLTQTSGETTHTDKVPGGEDKSINAFRETAKQKLDPAASVTGSKRHPKTKEKAQPLEDLAGLKELFQTPVCTDKPTTHEKTTKIACRSQPDPVDTPTSSKPQSKRSLRKVDVEEEFFALRKRTPSAGKAMHTPKPAVSGEKNIYAFMGTPVQKLDLTENLTGSKRRLQTPKEKAQALEDLAGFKELFQTRGHTEESMTNDKTAKVACKSSQPDPDKNPASSKRRLKTSLGKVGVKEELLAVGKLTQTSGETTHTHTEPTGDGKSMKAFMESPKQILDSAASLTGSKRQLRTPKGKSEVPEDLAGFIELFQTPSHTKESMTNEKTTKVSYRASQPDLVDTPTSSKPQPKRSLRKADTEEEFLAFRKQTPSAGKAMHTPKPAVGEEKDINTFLGTPVQKLDQPGNLPGSNRRLQTRKEKAQALEELTGFRELFQTPCTDNPTTDEKTTKKILCKSPQSDPADTPTNTKQRPKRSLKKADVEEEFLAFRKLTPSAGKAMHTPKAAVGEEKDINTFVGTPVEKLDLLGNLPGSKRRPQTPKEKAKALEDLAGFKELFQTPGHTEESMTDDKITEVSCKSPQPDPVKTPTSSKQRLKISLGKVGVKEEVLPVGKLTQTSGKTTQTHRETAGDGKSIKAFKESAKQMLDPANYGTGMERWPRTPKEEAQSLEDLAGFKELFQTPDHTEESTTDDKTTKIACKSPPPESMDTPTSTRRRPKTPLGKRDIVEELSALKQLTQTTHTDKVPGDEDKGINVFRETAKQKLDPAASVTGSKRQPRTPKGKAQPLEDLAGLKELFQTPICTDKPTTHEKTTKIACRSPQPDPVGTPTIFKPQSKRSLRKADVEEESLALRKRTPSVGKAMDTPKPAGGDEKDMKAFMGTPVQKLDLPGNLPGSKRWPQTPKEKAQALEDLAGFKELFQTPGTDKPTTDEKTTKIACKSPQPDPVDTPASTKQRPKRNLRKADVEEEFLALRKRTPSAGKAMDTPKPAVSDEKNINTFVETPVQKLDLLGNLPGSKRQPQTPKEKAEALEDLVGFKELFQTPGHTEESMTDDKITEVSCKSPQPESFKTSRSSKQRLKIPLVKVDMKEEPLAVSKLTRTSGETTQTHTEPTGDSKSIKAFKESPKQILDPAASVTGSRRQLRTRKEKARALEDLVDFKELFSAPGHTEESMTIDKNTKIPCKSPPPELTDTATSTKRCPKTRPRKEVKEELSAVERLTQTSGQSTHTHKEPASGDEGIKVLKQRAKKKPNPVEEEPSRRRPRAPKEKAQPLEDLAGFTELSETSGHTQESLTAGKATKIPCESPPLEVVDTTASTKRHLRTRVQKVQVKEEPSAVKFTQTSGETTDADKEPAGEDKGIKALKESAKQTPAPAASVTGSRRRPRAPRESAQAIEDLAGFKDPAAGHTEESMTDDKTTKIPCKSSPELEDTATSSKRRPRTRAQKVEVKEELLAVGKLTQTSGETTHTDKEPVGEGKGTKAFKQPAKRKLDAEDVIGSRRQPRAPKEKAQPLEDLASFQELSQTPGHTEELANGAADSFTSAPKQTPDSGKPLKISRRVLRAPKVEPVGDVVSTRDPVKSQSKSNTSLPPLPFKRGGGKDGSVTGTKRLRCMPAPEEIVEELPASKKQRVAPRARGKSSEPVVIMKRSLRTSAKRIEPAEELNSNDMKTNKEEHKLQDSVPENKGISLRSRRQNKTEAEQQITEVFVLAERIEINRNEKKPMKTSPEMDIQNPDDGARKPIPRDKVTENKRCLRSARQNESSQPKVAEESGGQKSAKVLMQNQKGKGEAGNSDSMCLRSRKTKSQPAASTLESKSVQRVTRSVKRCAENPKKAEDNVCVKKIRTRSHRDSEDI
【0377】
配列番号286 アテゾリズマブ(抗PD-L1)のHVR-H1
GFTFSDSWIH
【0378】
配列番号287 アテゾリズマブのHVR-H2
WISPYGGSTYYADSVKG
【0379】
配列番号288 アテゾリズマブのHVR-H3
RHWPGGFDY
【0380】
配列番号289 アテゾリズマブのHVR-L1
RASQDVSTAVA
【0381】
配列番号290 アテゾリズマブのHVR-L2
SASFLYS
【0382】
配列番号291 アテゾリズマブのHVR-L3
QQYLYHPAT
【0383】
配列番号292 アテゾリズマブのVH
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS
【0384】
配列番号293 アテゾリズマブのVL
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTV
【0385】
配列番号294 2E5のHVR-H1
TYYIS
【0386】
配列番号295 2E5のHVR-H2
YINMGSGGTNYNEKFK
【0387】
配列番号296 2E5のHVR-H3
IGYFDY
【0388】
配列番号297 2E5のHVR-L1
RSSQSLLDSDGGTYLY
【0389】
配列番号298 2E5のHVR-L2
LVSTLGS
【0390】
配列番号299 2E5のHVR-L3
MQLTHWPYT
【0391】
配列番号300 2E5のVH
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGFTFTTYYISWVRQAPGQGLEYLGYINMGSGGTNYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAIIGYFDYWGQGTMVTVSS
【0392】
配列番号301 2E5のVL
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLLDSDGGTYLYWFQQRPGQSPRRLIYLVSTLGSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQLTHWPYTFGQGTKLEIK
【0393】
配列番号302 抗CD137Lの第1のエピトープ
MEYASDASLDPEAPWPPAPRARACRVLP
【0394】
配列番号303 抗CD137Lの第2のエピトープ
MEYASDASLDPEAPWPPAPRARA
【0395】
配列番号304 TY23561のHVR-H1
FSLSTSGVGVSWI
【0396】
配列番号305 TY23561のHVR-H2
LALIDWAGDKYYSPSLKSRL
【0397】
配列番号306 TY23561のHVR-H3
ARYGYSSYALDY
【0398】
配列番号307 TY23561のHVR-L1
RASQSVRGSYLA
【0399】
配列番号308 TY23561のHVR-L2
AASTLQSGV
【0400】
配列番号309 TY23561のHVR-L3
YCQQYSSLWT
【0401】
配列番号310 TY23561のVH
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSLSTSGVGVSWIRQAPGKGLEWLALIDWAGDKYYSPSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARYGYSSYALDYWGQGTLVTVSS
【0402】
配列番号311 TY23561のVL
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSVRGSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSSLWTFGQGTKVEIKR
【0403】
配列番号312 トリパリマブ(抗PD1)のHVR-H1
DYEMH
【0404】
配列番号313 トリパリマブのHVR-H2
VIESETGGTAYNQKFKG
【0405】
配列番号314 トリパリマブのHVR-H3
EGITTVATTYYWYFDV
【0406】
配列番号315 トリパリマブのHVR-L1
RSSQSIVHSNGNTYLE
【0407】
配列番号316 トリパリマブのHVR-L2
KVSNRFS
【0408】
配列番号317 トリパリマブのHVR-L3
FQGSHVPLT
【0409】
配列番号318 トリパリマブのVH
QGQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYEMHWVRQAPIHGLEWIGVIESETGGTAYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGITTVATTYYWYFDVWGQGTTVTVSS
【0410】
配列番号319 トリパリマブのVL
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPLTFGQGTKLEIK
【0411】
配列番号320 抗CTLA4 SAFEbody 2の完全重鎖(C末端のリジンを除く)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYSISSGYHWSWIRQAPGKGLEWLARIDWDDDKYYSTSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARSYVYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0412】
配列番号321 抗CTLA4 SAFEbody 2の完全重鎖(C末端のリジンを含む)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYSISSGYHWSWIRQAPGKGLEWLARIDWDDDKYYSTSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARSYVYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0413】
配列番号322 抗CTLA4 SAFEbody 2の完全軽鎖(N末端のマスキング部分及びリンカーを含む)
EVGSYPNPSSDCVPYYYACAYSGRSAGGGGTPLGLAGSGGSDIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSVRGRFLAWYQQKPGKAPKLLIYDASNRATGIPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSSSWPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0414】
配列番号323 抗CTLA4 SAFEbody 1の完全重鎖(C末端のリジンを除く)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYSISSGYHWSWIRQAPGKGLEWLARIDWDDDKYYSTSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARSYVYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0415】
配列番号324 抗CTLA4 SAFEbody 1の完全重鎖(C末端のリジンを含む)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYSISSGYHWSWIRQAPGKGLEWLARIDWDDDKYYSTSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARSYVYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0416】
配列番号325 抗CTLA4 SAFEbody 1の完全軽鎖(N末端のマスキング部分及びリンカーを含む)
EVGSYNFVADSCPDHPYPCSASGRSAGGGGSPLGLAGSGGSDIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSVRGRFLAWYQQKPGKAPKLLIYDASNRATGIPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSSSWPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0417】
配列番号326 抗CTLA4 SAFEbody 3の完全重鎖(C末端のリジンを除く)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYSISSGYHWSWIRQAPGKGLEWLARIDWDDDKYYSTSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARSYVYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0418】
配列番号327 抗CTLA4 SAFEbody 3の完全重鎖(C末端のリジンを含む)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYSISSGYHWSWIRQAPGKGLEWLARIDWDDDKYYSTSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARSYVYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0419】
配列番号328 抗CTLA4 SAFEbody 3の完全軽鎖(N末端のマスキング部分及びリンカーを含む)
EVGSYIVHHSDCDAFYPYCDSSGRSAGGGGSPLGLAGSGGSDIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSVRGRFLAWYQQKPGKAPKLLIYDASNRATGIPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSSSWPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32A
図32B
図33
図34
図35A
図35B
図35C
図36
図37
図38
【配列表】
2024517381000001.app
【国際調査報告】