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特表2024-517396ペプチドアミド系化合物の、掻痒を治療するための薬物の製造における用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】ペプチドアミド系化合物の、掻痒を治療するための薬物の製造における用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/07 20060101AFI20240415BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A61K38/07
A61P17/04
A61P17/00
A61P37/08
A61P1/16
A61P13/12
A61P37/02
A61P25/02
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562780
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2022086066
(87)【国際公開番号】W WO2022218250
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202110386787.X
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111056972.9
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111569320.5
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523483681
【氏名又は名称】シーザン ハイスーク ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ヨンルイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ズージェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, チュンナン
(72)【発明者】
【氏名】グー, シュエ
(72)【発明者】
【氏名】チュ, チャン
(72)【発明者】
【氏名】ゴウ, シャオリー
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA08
4C084BA16
4C084BA23
4C084BA32
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA20
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZB13
4C084ZB26
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の、掻痒を治療するための薬物の製造における用途に関し、さらに掻痒を治療する方法に関し、該方法は、有効量の式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与することを含む。
[化1]

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩又は共結晶及びその組成物の、掻痒を予防又は治療するための薬物の製造における用途であって、哺乳動物に有効量の構造式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与し、
【化1】
ここで、
は、
【化2】
から選択され、
m1、m2、m3、m4は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、m1とm2は、同時に0になれず、m3とm4は、同時に0になれず、
n1、n2は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、
Zは、CRz1z2又はNRz3から選択され、
z1、Rz2は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、-C(=O)-C1-6アルキル基、-(CH)q-C(=O)O-C1-6アルキル基、-(CH)q-NR1e1f、-(CH)q-COOH、-(CH)q-CONH、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、=O、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、前記ヘテロ原子は、Sから選択される時、任意選択的にさらにS、S=O又はS(=O)であり、
1e、R1fは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)0-(CH)q-C3-8炭素環基又は-C(=O)0-(CH)q-3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有するか、
又は、Rz1とRz2は、その結合する炭素原子と3~10員窒素含有複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、=O、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C.炭素環基又は3~8員複素環基から選択される置換基によって置換され、
1a、R1bは、それぞれ独立してF、CF3、NH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は複素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
z3は、独立してH、-C(=O)-C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)-C3-8炭素環基、-C(=O)O-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(3~8員複素環基)、-S(=O)p-C1-6アルキル基、-S(=O)p-C3-8炭素環基、-S(=O)p-(3~8員複素環基)、-C(=O)NR1g1h、-S(=O)p-NR1i1j又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
1g、R1h、R1i′、R1jは、それぞれ独立してH又はC1-6アルキル基から選択されるか、
又は、R1g、R1hは、その結合する窒素原子と3~10員複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-S(=O)p-C1-6アルキル基から選択される置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
qは、0、1、2、3又は4から選択され、
pは、0、1又は2から選択され、
aは、0、1、2又は3から選択され、
は、独立してH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-(CH)q-C3-8炭素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は炭素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、NO、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
、R、R、Rは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-4アルキル基、-C(=O)O-(CH2)q-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(CH)q-3~8員複素環基又は
【化3】
から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
bは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
cは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
、Rは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-4アルキル基、-OR5a、-C(O)OR5b、-SR5c、-S(O)R5d、-S(O)5e又は-NR5f5gから選択され、
5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5fとR5gは、それぞれ独立してH又はC1-4アルキル基から選択されるか、
又は、R5fとR5gは、その結合する窒素原子と5~6員複素環を形成し、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、ことを特徴とする用途。
【請求項2】
式(I)の化合物は、式(II)から選択され、
【化4】
ここで、
は、
【化5】
から選択され、
m1、m2、m3、m4は、それぞれ独立して0、1又は2から選択され、m1とm2は、同時に0になれず、m3とm4は、同時に0になれず、
n1、n2は、それぞれ独立して0又は2から選択され、
Zは、CRz1z2又はNRz3から選択され、
1a、R1bは、独立してF、NHから選択され、
z1、Rz2は、それぞれ独立してH、カルボキシル基、
【化6】
アミノ基、-CHNH又は
【化7】
から選択されるか、
又はRz1、Rz2は、その結合するc原子と一つのラクタム
【化8】
を形成することができ、
z3は、独立してH、-C(=O)-C1-4アルキル基、-C(=O)O-C1-4アルキル基、-C(=O)-C3-6炭素環基、-C(=O)O-C3-6炭素環基、-S(=O)p-C1-4アルキル基、-S(=O)p-C3-6炭素環基、-C(=O)NR1g1h、-S(=O)p-NR1i1j又は3~6員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シクロプロピル基又はフェニル基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
1g、R1h、R1i′、R1jは、それぞれ独立してH又はC1-4アルキル基から選択されるか、
又は、R1g、R1hは、その結合する窒素原子と4~6員複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、CF、メチル基、メトキシ基から選択され、又は-S(=O)p-C1-4アルキル基の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
pは、2から選択され、
、R、R、Rは、それぞれ独立してH、メチル基又はC(=O)O-tert-ブチル基から選択される、請求項1に記載の用途。
【請求項3】
式(II)の化合物は、以下の構造式(A)の化合物から選択される、請求項2に記載の用途。
【化9】
【請求項4】
哺乳動物に有効量の構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与する、ことを特徴とする請求項3に記載の用途。
【請求項5】
前記薬学的に許容可能な塩は、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、D-酒石酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩、アスパラギン酸塩、L-酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、塩酸塩、ギ酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、マンデル酸塩、マロン酸塩、リンゴ酸塩、2-ヒドロキシプロピオン酸塩、シュウ酸塩、グリコール酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、グルタミン酸塩、桂皮酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩又はトリフルオロメタンスルホン酸塩から選択される、請求項4に記載の用途。
【請求項6】
前記掻痒は、疾患による掻痒、薬物による掻痒又は腎症に関連する掻痒から選択される、請求項4又は5に記載の用途。
【請求項7】
前記疾患は、炎症性又は非炎症性皮膚疾患、末梢又は全身性疾患を含む、請求項6に記載の用途。
【請求項8】
前記炎症性又は非炎症性皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎、神経性皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、痒疹、老人性皮膚疾患から選択され、
前記末梢又は全身性疾患は、肝臓疾患、腎臓疾患、自己免疫性疾患又は末梢神経病変から選択され、
前記薬物による掻痒は、オベチコール酸、抗生物質、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、キサンチンオキシダーゼ阻害剤又はモルヒネの服用による掻痒から選択される、請求項7に記載の用途。
【請求項9】
前記肝臓疾患は、自己免疫性肝疾患(例えば原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎又は自己免疫性肝炎)、ウイルス性肝炎(例えばA型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎)、腫瘍(例えば肝細胞癌、胆管癌)、肝硬変、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物性肝炎、胆汁うっ滞(例えば良性再発性肝内胆汁うっ滞、進行性家族性肝内胆汁うっ滞、妊娠肝内胆汁うっ滞)又は黄疸から選択され、
前記腎臓疾患は、腎炎、慢性腎症、尿毒症又は糖尿病腎症から選択され、
前記自己免疫性疾患は、強皮症又はシェーグレン症候群から選択され、
前記末梢神経病変は、腕橈骨側掻痒、感覚異常性背痛又は小繊維周囲神経病変から選択される、請求項8に記載の用途。
【請求項10】
構造式(A)の化合物で量を計算する場合、前記化合物の量は、1~1000μg/日である、請求項3から9のいずれか一項に記載の用途。
【請求項11】
構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の施用間隔は、1日1回、1日2回、1日3回、週1回、週2回、週3回又は1日おきに1回から選択される、請求項10に記載の用途。
【請求項12】
構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の投与経路は、経口、注射、点滴、経皮吸収、口腔吸収、非経口腹腔内、直腸、頬内、点鼻、吸入、局所送達、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内又は髄腔内から選択される、請求項10に記載の用途。
【請求項13】
構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の投与経路は、経口、静脈注射、静脈点滴、動脈注射、筋肉内注射、皮下注射、関節内注射、腹腔内注射、髄腔内注射又は点鼻から選択される、請求項10に記載の用途。
【請求項14】
掻痒を治療する方法であって、哺乳動物に有効量の構造式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与することを含み、前記有効量は、1~1000μg/日であり、好ましくは2μg~5μg/日、6μg~15μg/日、12μg~30μg/日、24μg~60μg/日、32~80μg/日、4μg~10μg/日、12μg~30μg/日、24μg~60μg/日、48μg~120μg/日、64~160μg/日、6μg~15μg/日、18μg~45μg/日、36μg~90μg/日、72μg~180μg/日又は96~240μg/日であり、
【化10】
各基の定義は、請求項1と同じである、方法。
【請求項15】
式(I)の化合物は、式(II)から選択され、
【化11】
ここで、各基の定義は、請求項2と同じである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式(II)の化合物は、以下の構造式(A)の化合物から選択される、請求項15に記載の方法。
【化12】
【請求項17】
哺乳動物に有効量の構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記薬学的に許容可能な塩は、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、D-酒石酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩、アスパラギン酸塩、L-酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、塩酸塩、ギ酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、マンデル酸塩、マロン酸塩、リンゴ酸塩、2-ヒドロキシプロピオン酸塩、シュウ酸塩、グリコール酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、グルタミン酸塩、桂皮酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩又はトリフルオロメタンスルホン酸塩から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記掻痒は、疾患による掻痒、薬物による掻痒又は腎症に関連する掻痒から選択される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項20】
前記疾患は、炎症性又は非炎症性皮膚疾患、末梢又は全身性疾患を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記炎症性又は非炎症性皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎、神経性皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、痒疹、老人性皮膚疾患から選択され、
前記末梢又は全身性疾患は、肝臓疾患、腎臓疾患、自己免疫性疾患又は末梢神経病変から選択され、
前記薬物による掻痒は、オベチコール酸、抗生物質、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、キサンチンオキシダーゼ阻害剤又はモルヒネの服用による掻痒から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記肝臓疾患は、自己免疫性肝疾患(例えば原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎又は自己免疫性肝炎)、ウイルス性肝炎(例えばA型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎)、腫瘍(例えば肝細胞癌、胆管癌)、肝硬変、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物性肝炎、胆汁うっ滞(例えば良性再発性肝内胆汁うっ滞、進行性家族性肝内胆汁うっ滞、妊娠肝内胆汁うっ滞)又は黄疸から選択され、
前記腎臓疾患は、腎炎、慢性腎症、尿毒症又は糖尿病腎症から選択され、
前記自己免疫性疾患は、強皮症又はシェーグレン症候群から選択され、
前記末梢神経病変は、腕橈骨側掻痒、感覚異常性背痛又は小繊維周囲神経病変から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の施用間隔は、1日1回、1日2回、1日3回、週1回、週2回、週3回又は1日おきに1回から選択される、請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の投与経路は、経口、注射、点滴、経皮吸収、口腔吸収、非経口腹腔内、直腸、頬内、点鼻、吸入、局所送達、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内又は髄腔内から選択される、請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の投与経路は、経口、静脈注射、静脈点滴、動脈注射、筋肉内注射、皮下注射、関節内注射、腹腔内注射、髄腔内注射又は点鼻から選択される、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩又は共結晶及びその組成物の、掻痒を治療するための薬物の製造における用途に関する。
【背景技術】
【0002】
掻痒(pruritus)又は痒み(itching)は、掻爬欲望を刺激する感覚である。一般的には6週間以上続く掻痒を慢性掻痒(chronic pruritus)として定義する。掻痒の存在は、患者の感情を妨害するだけでなく、掻痒部位の繰り返し引っ掻きは、局所皮膚の破損と感染を招き、患者の正常な生活を著しく阻害する。掻痒の起源、発症機序と皮膚損傷の表現により、掻痒に対して様々な方式の分類を行うことができる。例えば、皮膚源性掻痒、全身性掻痒、神経源性掻痒、精神障害性掻痒などである(▲はお▼飛、慢性掻痒管理ガイドライン(2018版))。
【0003】
現在、掻痒の疫学資料は、限られており、中国にはまだ関連データが不足している。海外の報告によると、成人における慢性掻痒の発生率は10%以上に達し、高齢者では60%に達している。疾患の状態では、慢性掻痒の発生率が大きく異なる。例えば、アトピー性皮膚炎と蕁麻疹患者のほぼ100%に掻痒が発生し、乾癬患者の発生率は約80%であり、原発性胆汁性胆管炎患者は約80%~100%であり、慢性腎症の掻痒の発生率は約40%~70%である(▲はお▼飛、慢性掻痒管理ガイドライン(2018版))。
【0004】
現在、慢性掻痒に対して様々な異なる機序の薬物があるが、一般的に多くの副作用があるか又はいくつかのタイプの慢性掻痒の治療需要に対応することしかできない。そのため、現在、慢性掻痒の治療は、まだ満足されていない大きな臨床需要がある。
【0005】
慢性掻痒の治療は、一般的に以下の順序に従う。病因を取り除くか、又は基礎疾患を治療し、保湿剤を外用し、抗ヒスタミン薬を経口投与し、グルココルチコイドを外用し、掻痒の発生機序系に対してホルモン又は非ホルモン系抗炎症製剤、中枢神経系阻害剤、掻痒拮抗媒体薬物、生物製剤などを適用する(▲はお▼飛、慢性掻痒管理ガイドライン(2018版))。
【0006】
抗ヒスタミン薬は、最もよく使われる系統的な抗掻痒薬の一つであるが、一般的に肥満細胞の脱顆粒増加に関連する疾患、例えば蕁麻疹などに用いられ、いくつかの慢性掻痒には確実な治療効果がない。ヨーロッパガイドラインでは、抗ヒスタミン薬をADと乾癬などの非ヒスタミン介在性掻痒の治療に普遍的に使用することは推奨されていない。慢性腎不全、胆汁うっ滞性肝疾患、血液系疾患、甲状腺疾患などによる掻痒を含むいくつかの全身性疾患に対して、抗ヒスタミン薬も有効性の証拠がない(Elke WEISSHAAR,European S2k Guideline on Chronic Pruritus)。系統的にホルモンを用いて炎症性皮膚疾患による掻痒を治療するのは、効果が速いが、副作用が多いため、短期的に応用することしかできない。抗てんかん薬であるガバペンチンとプレガバリンは、神経障害性掻痒と慢性腎症掻痒に一定の治療効果があるが、米国腎症データシステムに基づく全国の大規模なキュー分析によると、その応用は、精神状態の変化、転倒と骨折のリスクを顕著に高めることがある(Ishida JH,et al.J Am Soc Nephrol.2018 Jul、29(7):1970-1978)。抗うつ薬は、セロトニンとヒスタミンなどに作用することで抗掻痒作用を発揮することができるが、抗うつ薬の副作用は、精神障害、眠気、イライラ、口乾、掻痒悪化、房室ブロック、さらには致死などがよく見られ、高齢者は、特に注意が必要である。また、セロトニン再取り込み阻害剤(SSRIs)の効果は、一般的に遅く、約2~3週間で効果が出始める(Elke WEISSHAAR,European S2k Guideline on Chronic Pruritus)。シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサートなどの免疫抑制剤は、炎症性皮膚疾患と慢性痒疹による掻痒に用いられることができ、主な副作用は、免疫抑制であり、白血球減少及び肝、腎機能障害などを含む。現在、生物製剤も急速に発展しており、デュピルマブは、アトピー性皮膚炎患者に用いられることが推奨され、オマリズマブは、慢性自発性蕁麻疹患者に用いられることが推奨される(Elke WEISSHAAR,European S2k Guideline on Chronic Pruritus)。
【0007】
また、内因性または外因性エンドルフィンが掻痒の発生に関与していることが実証されており、オピオイド受容体拮抗薬又はκ受容体作動薬を使用することで掻痒を効果的に抑製することができる。オピオイド受容体拮抗薬は、ナロキソン、ナルトレキソンなどを含むが、血圧の上昇又は低下、頻脈、肝障害及び皮疹などを含む副作用がよく見られる。初期のκ受容体作動薬は、非選択的なものが多く、主にモルヒネによる急性掻痒に用いられる(Phan,N.Q.,et al.Acta Derm Venereol,2012.92(5):p.555-60.)。選択性κ受容体作動薬であるナルフラフィンは、すでに日本と韓国で承認され、血液透析患者と慢性肝疾患患者の掻痒を治療するために用いられている。しかしながら、ナルフラフィンは、中枢に入ることができ、不眠、眠気、めまい、便秘などの中枢に関連する副作用がある。そのため、新型末梢選択性κ受容体作動薬を開発し、末梢κ受容体作動薬を末梢にのみ作用させ、血液脳関門を通過することが少なく、κ受容体に対する高い作動活性を維持できるようにするとともに、伝統的な中枢選択性κ受容体作動薬固有の副作用も避ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩又は共結晶及びその組成物の、掻痒を治療するための薬物の製造における用途を提供し、該用途は、哺乳動物に有効量の構造式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与し、
【化1】
ここで、
は、
【化2】
から選択され、
m1、m2、m3、m4は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、m1とm2は、同時に0になれず、m3とm4は、同時に0になれず、
n1、n2は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、
Zは、CRz1z2又はNRz3から選択され、
z1、Rz2は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、-C(=O)-C1-6アルキル基、-(CH)q-C(=O)O-C1-6アルキル基、-(CH)q-NR1e1f、-(CH)q-COOH、-(CH)q-CONH、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、=O、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、前記ヘテロ原子は、Sから選択される時、任意選択的にさらにS、S=O又はS(=O)であり、
1e、R1fは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)0-(CH)q-C3-8炭素環基又は-C(=O)0-(CH)q-3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有するか、
又は、Rz1とRz2は、その結合する炭素原子と3~10員窒素含有複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、=O、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C.炭素環基又は3~8員複素環基から選択される置換基によって置換され、
1a、R1bは、それぞれ独立してF、CF3、NH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は複素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
z3は、独立してH、-C(=O)-C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)-C3-8炭素環基、-C(=O)O-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(3~8員複素環基)、-S(=O)p-C1-6アルキル基、-S(=O)p-C3-8炭素環基、-S(=O)p-(3~8員複素環基)、-C(=O)NR1g1h、-S(=O)p-NR1i1j又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
1g、R1h、R1i′、R1jは、それぞれ独立してH又はC1-6アルキル基から選択されるか、
又は、R1g、R1hは、その結合する窒素原子と3~10員複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-S(=O)p-C1-6アルキル基から選択される置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
qは、0、1、2、3又は4から選択され、
pは、0、1又は2から選択され、
aは、0、1、2又は3から選択され、
は、独立してH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-(CH)q-C3-8炭素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は炭素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、NO、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
、R、R、Rは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-4アルキル基、-C(=O)O-(CH2)q-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(CH)q-3~8員複素環基又は
【化3】
から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
bは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
cは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
、Rは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-4アルキル基、-OR5a、-C(O)OR5b、-SR5c、-S(O)R5d、-S(O)5e又は-NR5f5gから選択され、
5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5fとR5gは、それぞれ独立してH又はC1-4アルキル基から選択されるか、
又は、R5fとR5gは、その結合する窒素原子と5~6員複素環を形成し、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有する。
【0009】
本発明は、掻痒を治療する方法に関し、前記方法は、哺乳動物に有効量の構造式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与することを含み、
【化4】
ここで、
は、
【化5】
から選択され、
m1、m2、m3、m4は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、m1とm2は、同時に0になれず、m3とm4は、同時に0になれず、
n1、n2は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、
Zは、CRz1z2又はNRz3から選択され、
z1、Rz2は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、-C(=O)-C1-6アルキル基、-(CH)q-C(=O)O-C1-6アルキル基、-(CH)q-NR1e1f、-(CH)q-COOH、-(CH)q-CONH、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、=O、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、前記ヘテロ原子は、Sから選択される時、任意選択的にさらにS、S=O又はS(=O)であり、
1e、R1fは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)0-(CH)q-C3-8炭素環基又は-C(=O)0-(CH)q-3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有するか、
又は、Rz1とRz2は、その結合する炭素原子と3~10員窒素含有複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、=O、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C.炭素環基又は3~8員複素環基から選択される置換基によって置換され、
1a、R1bは、それぞれ独立してF、CF3、NH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は複素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
z3は、独立してH、-C(=O)-C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)-C3-8炭素環基、-C(=O)O-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(3~8員複素環基)、-S(=O)p-C1-6アルキル基、-S(=O)p-C3-8炭素環基、-S(=O)p-(3~8員複素環基)、-C(=O)NR1g1h、-S(=O)p-NR1i1j又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
1g、R1h、R1i′、R1jは、それぞれ独立してH又はC1-6アルキル基から選択されるか、
又は、R1g、R1hは、その結合する窒素原子と3~10員複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-S(=O)p-C1-6アルキル基から選択される置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
qは、0、1、2、3又は4から選択され、
pは、0、1又は2から選択され、
aは、0、1、2又は3から選択され、
は、独立してH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-(CH)q-C3-8炭素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は炭素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、NO、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
、R、R、Rは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-4アルキル基、-C(=O)O-(CH2)q-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(CH)q-3~8員複素環基又は
【化6】
から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
bは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
cは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
、Rは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-4アルキル基、-OR5a、-C(O)OR5b、-SR5c、-S(O)R5d、-S(O)5e又は-NR5f5gから選択され、
5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5fとR5gは、それぞれ独立してH又はC1-4アルキル基から選択されるか、
又は、R5fとR5gは、その結合する窒素原子と5~6員複素環を形成し、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有する。本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、式(I)の化合物は、式(II)から選択され、
【化7】
ここで、
は、
【化8】
から選択され、
m1、m2、m3、m4は、それぞれ独立して0、1又は2から選択され、m1とm2は、同時に0になれず、m3とm4は、同時に0になれず、
n1、n2は、それぞれ独立して0又は2から選択され、
Zは、CRz1z2又はNRz3から選択され、
1a、R1bは、独立してF、NHから選択され、
z1、Rz2は、それぞれ独立してH、カルボキシル基、
【化9】
アミノ基、-CHNH又は
【化10】
から選択されるか、
又はRz1、Rz2は、その結合するc原子と一つのラクタム
【化11】
を形成することができ、
z3は、独立してH、-C(=O)-C1-4アルキル基、-C(=O)O-C1-4アルキル基、-C(=O)-C3-6炭素環基、-C(=O)O-C3-6炭素環基、-S(=O)p-C1-4アルキル基、-S(=O)p-C3-6炭素環基、-C(=O)NR1g1h、-S(=O)p-NR1i1j又は3~6員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シクロプロピル基又はフェニル基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
1g、R1h、R1i′、R1jは、それぞれ独立してH又はC1-4アルキル基から選択されるか、
又は、R1g、R1hは、その結合する窒素原子と4~6員複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、CF、メチル基、メトキシ基から選択され、又は-S(=O)p-C1-4アルキル基の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
pは、2から選択され、
、R、R、Rは、それぞれ独立してH、メチル基又はC(=O)O-tert-ブチル基から選択される。
【0010】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、式(II)の化合物は、以下の構造式(A)の化合物から選択される。
【化12】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、哺乳動物に有効量の構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与する。
【0011】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、薬学的に許容可能な塩は、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、D-酒石酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩、アスパラギン酸塩、L-酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、塩酸塩、ギ酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、マンデル酸塩、マロン酸塩、リンゴ酸塩、2-ヒドロキシプロピオン酸塩、シュウ酸塩、グリコール酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、グルタミン酸塩、桂皮酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩又はトリフルオロメタンスルホン酸塩から選択される。
【0012】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、掻痒は、疾患による掻痒、薬物による掻痒又は腎症に関連する掻痒から選択される。
【0013】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、掻痒は、血液透析患者の腎症に関連する掻痒から選択される。
【0014】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、掻痒は、血液透析皮膚掻痒から選択される。
【0015】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、疾患による掻痒は、炎症性又は非炎症性皮膚疾患、末梢又は全身性疾患などによる掻痒を含む。
【0016】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、炎症性又は非炎症性皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎、神経性皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、痒疹、老人性皮膚疾患などを含むが、それらに限らない。
【0017】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、末梢又は全身性疾患は、肝臓疾患、腎臓疾患、自己免疫性疾患、末梢神経病変などを含むが、それらに限らない。
【0018】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、薬物による掻痒は、オベチコール酸、抗生物質、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、キサンチンオキシダーゼ阻害剤又はモルヒネの服用による掻痒を含むが、それらに限らない。
【0019】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、肝臓疾患は、自己免疫性肝疾患(例えば原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎又は自己免疫性肝炎)、ウイルス性肝炎(例えばA型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎)、腫瘍(例えば肝細胞癌、胆管癌)、肝硬変、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物性肝炎、胆汁うっ滞(例えば良性再発性肝内胆汁うっ滞、進行性家族性肝内胆汁うっ滞、妊娠肝内胆汁うっ滞)又は黄疸などを含むが、それらに限らず、腎臓疾患は、慢性腎症、尿毒症又は糖尿病腎症などを含むが、それらに限らず、
自己免疫性疾患は、強皮症又はシェーグレン症候群などを含むが、それらに限らず、
末梢神経病変は、腕橈骨側掻痒、感覚異常性背痛又は小繊維周囲神経病変などを含むが、それらに限らない。
【0020】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、哺乳動物に有効量の構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与し、構造式(A)の化合物で量を計算する場合、前記化合物の量は、1~1000μg/日である。
【0021】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、構造式(A)の化合物で量を計算する場合、前記化合物の量は、1~1000μg/日、1~900μg/日、1~800μg/日、1~700μg/日、1~600μg/日、1~500μg/日、1~400μg/日、1~300μg/日、1~200μg/日、1~100μg/日、10~1000μg/日、10~900μg/日、10~800μg/日、10~700μg/日、10~600μg/日、10~500μg/日、10~400μg/日、10~300μg/日、10~200μg/日、10~100μg/日、20~500μg/日、20~400μg/日、20~300μg/日、20~250μg/日、20~200μg/日、20~150μg/日、30~100μg/日、30~150μg/日、30~250μg/日、30~300μg/日、30~400μg/日、40~400μg/日、50~100μg/日、50~200μg/日、50~300μg/日、50~400μg/日、50~500μg/日、50~600μg/日である。
【0022】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、構造式(A)の化合物で量を計算する場合、前記化合物の量は、0.05μg/kg~0.80μg/kgであり、注射により投与される。
【0023】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、構造式(A)の化合物で量を計算する場合、前記化合物の量は、0.05μg/kg、0.15μg/kg、0.30μg/kg、0.60μg/kg、0.80μg/kgであり、注射により投与される。
【0024】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、構造式(A)の化合物で量を計算する場合、前記化合物の量は、2μg~240μg/日であり、注射により投与される。
【0025】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、構造式(A)の化合物で量を計算する場合、前記化合物の量は、2μg~5μg/日、6μg~15μg/日、12μg~30μg/日、24μg~60μg/日、32~80μg/日、4μg~10μg/日、12μg~30μg/日、24μg~60μg/日、48μg~120μg/日、64~160μg/日、6μg~15μg/日、18μg~45μg/日、36μg~90μg/日、72μg~180μg/日、96~240μg/日であり、注射により投与される。
【0026】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の施用間隔は、1日1回、1日2回、1日3回、週1回、週2回、週3回又は1日おきに1回から選択される。
【0027】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の投与経路は、経口、注射、点滴、経皮吸収、口腔吸収、非経口腹腔内、直腸、頬内、点鼻、吸入、局所送達、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内又は髄腔内から選択され、好ましくは、投与経路は、経口、注射、鼻スプレーである。
【0028】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の投与経路は、経口、静脈注射、静脈点滴、動脈注射、筋肉内注射、皮下注射、関節内注射、腹腔内注射、髄腔内注射又は点鼻から選択され、好ましくは、投与経路は、経口、注射、鼻スプレーである。
【0029】
別段の記述がない限り、明細書と特許請求の範囲に使用される用語は、次の意味を有する。
【0030】
「アルキル基」とは、直鎖と分岐鎖の一価の飽和炭化水素基であり、主鎖は、1~10個の炭素原子を含み、好ましくは1~8個の炭素原子であり、さらに好ましくは1~6個の炭素原子であり、より好ましくは1~4個の炭素原子の直鎖と分岐鎖基であり、最も好ましくは1~2個の炭素原子であり、アルキル基の実例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル基-2-ブチル基、3-メチル基-2-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基とn-デシル基などを含むが、それらに限らず、前記アルキル基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ、-SR19、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基、3~8員複素環基、-(CH-C(=O)-R19、-(CH-C(=O)-O-R19、-(CH-C(=O)-NR1919a、-(CH-S(=O)-R19、-O-C(=O)-O-R19又は-NR1919aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって置換されてもよく、ここでR19とR19aは、それぞれ独立してH、ヒドロキシ、アミノ基、カルボキシル基、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基、C2-8アルケニル基、C2-8アルキニル基、3~10員炭素環基、4~10員複素環基、3~10員炭素環基オキシ基又は4~10員複素環基オキシ基から選択され、kは、0、1、2、3、4又は5から選択され、jは、0、1又は2から選択される。本明細書に出現されるアルキル基、k、j、R19とR19aは、その定義が上述の通りである。
【0031】
「アルキレン基」とは、直鎖と分岐鎖の二価の飽和炭化水素基であり、-(CH2)v-(vは、1~10の整数である)を含み、アルキレン基の実施例は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基とブチレン基などを含むが、それらに限らず、前記アルキレン基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ、-SR19、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基、3~8員複素環基、-(CH-C(=O)-R19、-(CH-C(=O)-O-R19、-(CH-C(=O)-NR1919a、-(CH-S(=O)j-R19、-O-C(=O)-O-R19又は-NR1919aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって置換され、アルキレン基における置換基の数が2個以上の場合、置換基は、縮合して環状構造を形成することができる。本明細書に出現されるアルキレン基は、その定義が上述の通りである。
【0032】
「アルコキシ基」とは、O-アルキル基の一価の基であり、ここで、アルキル基は、本明細書で定義される通りであり、アルコキシ基の実施例は、メトキシ基、エトキシ基、1-プロポキシ基、2-プロポキシ基、1-ブトキシ基、2-メチル基-1-プロポキシ基、2-ブトキシ基、2-メチル基-2-プロポキシ基、1-ペンチルオキシ基、2-ペンチルオキシ基、3-ペンチルオキシ基、2-メチル基-2-ブトキシ基、3-メチル基-2-ブトキシ基、3-メチル基-1-ブトキシ基と2-メチル基-1-ブトキシ基などを含むが、それらに限らない。
【0033】
「アルケニル基」とは、直鎖と分岐鎖の一価の不飽和炭化水素基であり、それは、少なくとも1個、一般的に1、2又は3個の炭素-炭素二重結合を有し、主鎖は、2~10個の炭素原子を含み、さらに好ましくは2~6個の炭素原子であり、より好ましくは主鎖に2~4個の炭素原子があり、アルケニル基の実施例は、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル基-1-ブテニル基、2-メチル基-1-ブテニル基、2-メチル基-3-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル基-1-ペンテニル基、2-メチル基-1-ペンテニル基、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、3-ヘプテニル基、4-ヘプテニル基、1-オクテニル基、3-オクテニル基、1-ノネニル基、3-ノネニル基、1-デセニル基、4-デセニル基、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエンと1,4-ヘキサジエンなどを含むが、それらに限らず、前記アルケニル基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ、-SR19、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基、3~8員複素環基、-(CH-C(=O)-R19、-(CH-C(=O)-O-R19、-(CH-C(=O)-NR1919a、-(CH-S(=O)-R19、-O-C(=O)-O-R19又は-NR1919aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって置換されてもよい。本明細書に出現されるアルケニル基は、その定義が上述の通りである。
【0034】
「アルキニル基」とは、直鎖と分岐鎖の一価の不飽和炭化水素基であり、それは、少なくとも1個、一般的に1、2又は3個の炭素-炭素三重結合を有し、主鎖は、2~10個の炭素原子を含み、さらに好ましくは2~6個の炭素原子であり、より好ましくは主鎖に2~4個の炭素原子があり、アルキニル基の実施例は、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル基-2-プロピニル基、4-ペンチル基、3-ペンチル基、1-メチル基-2-ブチニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、2-ヘプテニル基、3-ヘプテニル基、4-ヘプテニル基、3-オクチニル基、3-ノニニル基と4-デシルアルキニル基などを含むが、それらに限らず、前記アルキニル基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ、-SR19、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基、3~8員複素環基、-(CH-C(=O)-R19、-(CH-C(=O)-O-R19、-(CH-C(=O)-NR1919a、-(CH-S(=O)-R19、-O-C(=O)-O-R19又は-NR1919aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって置換されてもよい。本明細書に出現されるアルキニル基は、その定義が上述の通りである。
【0035】
「シクロアルキル基」とは、一価の飽和炭素環炭化水素基であり、一般的に3~10個の炭素原子を有し、非限定的な実施例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基などを含む。前記環アルキル基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ、-SR19、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基、3~8員複素環基、-(CH-C(=O)-R19、-(CH-C(=O)-O-R19、-(CH-C(=O)-NR1919a、-(CH-S(=O)-R19、-O-C(=O)-O-R19又は-NR1919aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって置換されてもよい。本明細書に出現されるシクロアルキル基は、その定義が上述の通りである。
【0036】
「炭素環」とは、飽和又は不飽和の芳香環又は非芳香環、芳香環又は非芳香環は、3~10員の単環、4~12員の二環又は10~15員の三環系であってもよく、炭素環基には、橋環又はスピロ環が結合されてもよく、非限定的実施例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、1-シクロペンチル基-1-アルケニル基、1-シクロペンチル基-2-アルケニル基、1-シクロペンチル基-3-アルケニル基、シクロヘキシル基、1-シクロヘキシル基-2-アルケニル基、1-シクロヘキシル基-3-アルケニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基、シクロウンデニル基、シクロドデシル基、フェニル基又はナフチル基を含む。前記炭素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ、-SR19、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基、3~8員複素環基、-(CH-C(=O)-R19、-(CH-C(=O)-O-R19、-(CH-C(=O)-NR1919a、-(CH-S(=O)-R19、-O-C(=O)-O-R19又は-NR1919aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって置換されてもよい。本明細書に出現される炭素環は、その定義が上述の通りである。
【0037】
「複素環」とは、飽和又は不飽和の芳香環又は非芳香環であり、芳香環又は非芳香環は、3~10員の単環、4~12員の双環又は10~15員の三環系であってもよく、且つN、O又はSから選択される1~4個のヘテロ原子を含み、好ましくは3~8員複素環基であり、複素環基の環において選択的に置換されるN、Sは、様々な酸化状態に酸化されてもよい。複素環基は、ヘテロ原子又は炭素原子に結合されてもよく、複素環基には、橋環又はスピロ環が結合されてもよく、非限定的実施例は、エポキシエチル基、グリシジル基、アジリジニル基、オキセタニル基、アゼチジニル基、チオシクロブチル基、1,3-ジオキソラニル基、1,4-ジオキソラニル基、1,3-ジオキサン基、アゼパニル基、オキセパニル基、チエパニル基、オキサゼピニル基、ジアゼピニル基、ベンゾチアゼピン基、ピリジル基、ピペリジニル基、ホモピペリジニル基、フリル基、チエニル基、ピラニル基、N-アルキルピロリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピペラジニル基、ホモピペラジニル基、イミダゾリル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、チオキサン基、ジヒドロフリル基、ジヒドロピラニル基、ジチオピラニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロピロリル基、テトラヒドロイミダゾリル基、テトラヒドロチアゾリル基、テトラヒドロピラニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾピリジル基、ピロロピリジン基、ベンゾジヒドロフリル基、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリン基、2H-ピラニル基、4H-ピラニル基、ジオキサシクロヘキシル基、1,3-ジオキソラニル基、ピラゾリニル基、ジチアン基、ジチオラン基、ジヒドロチエニル基、ピラゾリジン基、イミダゾリン基、イミダゾリジン基、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル基、3-アザビシクロヘキシル基、3-アザビシクロヘプチル基、アザビシクロヘキシル基、3H-インドールキノラジニル基、N-ピリジル基尿素、チオモルホリン1,1-ジオキシド基、アザシクロオクタン基、アザシクロノナン基、オキサトリシクロドデシル基、アザアダマンタン基とオキサスピロヘプタアルキル基を含む。前記複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ、-SR19、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基、3~8員複素環基、-(CH-C(=O)-R19、-(CH-C(=O)-O-R19、-(CH-C(=O)-NR1919a、-(CH-S(=O)-R19、-O-C(=O)-O-R19又は-NR1919aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって置換されてもよい。本明細書に出現される複素環は、その定義が上述の通りである。
【0038】
「任意選択的」又は「任意選択的に」とは、その後に記述した事象又は環境が発生してもよいが、必ずしも発生するわけではないことを意味し、該説明は、該事象又は環境が発生した場合と発生していない場合の両方を含む。例えば、「任意選択的にFによって置換されるアルキル基」とは、アルキル基がFによって置換されてもよいが、必ずしもFによって置換されるわけではないことを意味し、アルキル基がFによって置換された場合と、アルキル基がFによって置換されていない場合とを含むことを示している。
【0039】
「薬物組成物」とは、1つ又は複数のテキストに記載の化合物又はその生理学的/薬学的に許容可能な塩又はその立体異性体、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩又は共結晶と、他の組成成分との混合物を表し、ここで他の組成成分は、生理学的/薬学的に許容可能なベクターと賦形剤を含む。
【0040】
「立体異性体」は、分子における原子の立体配置方式が異なることにより生じる異性体を指し、シス-トランス異性体、鏡像異性体と配座異性体を含む。
【0041】
「有効量」とは、組織、系統又は被験者の生理的又は医学的反応を引き起こす化合物の量であり、この量は、求められたものであり、被治療者に投与される時に、治療された疾患又は病症の1つ又は複数の症状の発生を予防し又はある程度まで軽減するのに十分な化合物の量を含む。
【0042】
「溶媒和物」は、本発明の化合物又はその塩であり、それらは、分子間非共有で結合される化学量論的又は非化学量論的溶媒をさらに含む。溶媒が水である時、水和物となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】化合物1によるCompound 48/80で誘導されるマウス掻爬行動の抑制率である。
図2】化合物1によるCompound 48/80で誘導されるマウス掻爬行動の抑制率のED50フィッティング曲線である。
図3】化合物1によるセロトニン塩酸塩で誘導されるラット掻爬行動の抑制率である。
図4】化合物1によるセロトニン塩酸塩で誘導されるラット掻爬行動の抑制率のED50フィッティング曲線である。
図5】化合物1の点鼻投与によるCompound 48/80で誘導されるマウス掻爬行動の抑制率である。
図6】化合物1の点鼻投与によるCompound 48/80で誘導されるマウス掻爬行動の抑制率のED50フィッティング曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下は、図面及び実施例を結び付けながら本発明の技術案を詳しく説明するが、本発明の保護範囲は、それを含むが、それに限らない。
【0045】
合成実施例:
化合物1:(2R)-N-[(1R)-1-(2-アセチル-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボニル)-5-アミノ-ペンチル]-2-[[(2R)-2-[[(2R)-2-アミノ-3-フェニル-プロピオニル]アミノ]-3-フェニルプロピオニル]アミノ]-4-メチル-ペンタンアミド(CAS番号:2269511-95-5)をWO 2019015644に記述の方法に従って製造した。
【化13】
【0046】
バイオテスト例
テスト例1:化合物1のCompound 48/80で誘導されるマウス掻痒モデルにおける鎮痒作用の研究
北京維通利華実験動物技術有限公司由来のICRマウス(雄)を無作為に群分けした後に投与量の異なる化合物1又は生理塩水を静脈投与した。15分後に50μgのCompound 48/80(Sigma,Cat#:C2313)をマウス頸部背部に皮下注射し、直ちにCompound 48/80注射後30分以内のマウス掻爬回数を記録し始めた。得られたデータは、式[(溶媒対照群掻爬回数-投与群掻爬回数)/溶媒対照群掻爬回数×100]で処理して掻爬抑制率を計算し、Graphpad Prism 8ソフトウェアで統計分析を行い、薬効ED50値をフィッティングした。
【0047】
結果を図1図2に示すように、化合物1は、Compound 48/80で誘導されるマウス掻爬行動を投与量依存的に抑制し、その鎮痒有効投与量と薬効ED50値は、それぞれ0.03と0.09mg/kgである。そのため、Compound 48/80で誘導されるマウス掻痒モデルにおいて、化合物1は、顕著な薬効活性を有した。
【0048】
テスト例2:化合物1の単回投与によるセロトニン塩酸塩で誘導されるラット掻痒モデルにおける鎮痒作用の研究
北京維通利華実験動物技術有限公司由来のSDラット(雄)を無作為に群分けした後に投与量の異なる化合物1又は生理塩水を静脈投与した。15分後に10μL 2%のセロトニン塩酸塩(Sigma)をラット頸部背部に皮内注射し、直ちにセロトニン塩酸塩注射後60分以内のラット掻爬回数を記録し始めた。得られたデータは、式[(溶媒対照群掻爬回数-投与群掻爬回数)/溶媒対照群掻爬回数×100]で処理して掻爬抑制率を計算し、Graphpad Prism 8ソフトウェアで統計分析を行い、薬効ED50値をフィッティングした。
【0049】
結果を図3図4に示すように、化合物1は、セロトニン塩酸塩で誘導されるラット掻爬行動を投与量依存的に抑制し、その鎮痒有効投与量と薬効ED50値は、いずれも0.03mg/kgである。そのため、セロトニン塩酸塩で誘導されるラット掻痒モデルにおいて、化合物1は、顕著な薬効活性を有した。
【0050】
テスト例3:化合物1の点鼻投与によるCompound 48/80で誘導されるマウス掻痒モデルにおける鎮痒作用の研究
北京維通利華実験動物技術有限公司由来のICRマウス(雄)を無作為に群分けした後に投与量の異なる化合物1又は生理塩水を点鼻投与した。15分後に50μgのCompound 48/80(Sigma,Cat#:C2313)をマウス頸部背部に皮下注射し、直ちにCompound 48/80注射後30分以内のマウス掻爬回数を記録し始めた。得られたデータは、式[(溶媒対照群掻爬回数-投与群掻爬回数)/溶媒対照群掻爬回数×100]で処理して掻爬抑制率を計算し、Graphpad Prism 8ソフトウェアで統計分析を行い、薬効ED50値をフィッティングした。
【0051】
結果を図5図6に示すように、化合物1は、Compound 48/80で誘導されるマウス掻爬行動を投与量依存的に抑制し、その鎮痒有効投与量と薬効ED50値は、それぞれ0.3と2.72mg/kgである。そのため、Compound 48/80で誘導されるマウス掻痒モデルにおいて、点鼻投与化合物1は、顕著な薬効活性を有した。テスト例4:臨床試験
【0052】
テスト例4-1 血液透析被験者における安全性、薬物動態学と有効性の多施設、無作為、二重盲検、プラセボ対照の第II相臨床研究
化合物1に対して、化合物1注射液の血液透析被験者における安全性、薬物動態学と有効性を評価する多施設、無作為、二重盲検、プラセボ対照の第II相臨床試験を行った。該研究は、2つの段階に分けられた。
【0053】
第I段階は、血液透析被験者に1週間内に複数回静脈投与した投与量の漸増、無作為、二重盲検、プラセボ対照研究であり、血液透析を受けた40例の被験者を群に入れる予定で、計0.05μg/kg、0.15μg/kg、0.30μg/kg、0.80μg/kgの4つの投与量群があり、各群に10例(プラセボ群2例を含む)を入れ、各投与量群に3回投与し、それぞれD1、D3、D5に試験薬を投与した。
【0054】
第II段階は、中等度又は中等度以上掻痒を伴う血液透析被験者に12週間投与する無作為、二重盲検、プラセボ対照研究である。第I段階の研究結果に基づき、0.3μg/kg、0.6μg/kgの二つの投与量を選択し、プラセボを対照として第II段階の研究を行い、中等度又は中等度以上掻痒を伴う90例の血液透析被験者を組み込む予定で、1:1:1の割合で上記三つの群別に割り当て、各群に30例を入れる予定で、それぞれ化合物1注射液又はプラセボを投与した。
【0055】
第I段階の各群の治療後のNRSスコアは、いずれもベースラインより低下し、Skindex-16スケールの合計スコアに低下が認められた。第II段階の各群の治療後のNRSスコアは、いずれもベースラインより低下し、且つベースラインより低下したスコアは、経時増加した。各群の治療後のSkindex-16スケールの合計スコア及び各次元のスコアと5-Dスケールの合計スコア及び各次元のスコアは、いずれもベースラインより低下した。
【0056】
有効性の結果によると、維持性血液透析患者において、化合物1を12週間連続して1週間に数回投与することは、慢性腎臓疾患患者の掻痒症状を効果的に軽減するとともに、各生活の質を改善することができ、且つ0.30μg/kg群は、プラセボ群より改善がより明らかであり、投与中止後の治療効果の維持効果が良かった。安全性の結果によると、維持性血液透析患者において、化合物1は、0.05~0.80μg/kgの投与量で全体的に安全性が良好であり、研究薬物に関連する重篤な有害事象は発生せず、投与中止後に明らかな禁断傾向はなかった。
【0057】
テスト例4-2:維持性血液透析患者の慢性腎臓疾患に関連する掻痒の有効性及び安全性の多施設、無作為、二重盲検、プラセボ対照の第III相臨床試験
化合物1に対して、化合物1注射液の維持性血液透析患者の慢性腎臓疾患に関連する掻痒における有効性及び安全性を評価する多施設、無作為、二重盲検、プラセボ対照の第III相臨床試験を行った。
【0058】
該研究は、二重盲検期間と開放期間を含んだ。二重盲検期間は、二重盲検スクリーニング期間(4週間であり、1週間の導入期間を含む)、二重盲検治療期間(12週間)を含んだ。スクリーニングした結果、群に入る条件に適合する被験者を、1:1の割合で試験群(0.3μg/kg)と対照群(プラセボ)に無作為に割り当てた。開放期間は、開放スクリーニング期間(2週間であり、二重盲検期間を完了して開放期間に直接入った被験者のスクリーニングは、二重盲検期間に行われる)、開放治療期間(52週間)とフォローアップ期間(1週間)を含んだ。二重盲検期間研究をすでに完了して方案要求に適合する被験者又は開放期間のインバウンド基準に適合する他の被験者は、自発的に開放期間の研究に入ることができ、且つすべての被験者は、いずれも化合物1~0.3μg/kgの治療を受けた。二重盲検治療期間の被験者に、群別にそれぞれ化合物1注射液又はプラセボを投与し、1週間に3回投与し、それぞれD1(その週の最初の試験薬投与日をその週のD1と定義する)、D3(+2)、D5(+2)の透析後に試験薬を投与し、12週間連続投与した。開放治療期間にすべての被験者にすべて化合物1注射液を投与し、1週間に3回投与し、52週間連続投与した。本研究では、群に入る予定の例数は、約544例であり、試験群と対照群は、それぞれ約272例である。
【0059】
二重盲検期間の初回投与後から二重盲検治療期間終了まで、1日1回、最悪の掻痒強度の評価(WI-NRS)を行った。初回投与当日(D1と定義する)と治療後5週目、9週目、11週目、13週目の初回訪問日に1回の生活の質の評価(Skindex-16スケール、5-D掻痒スケール)を行った。開放期間:開放治療期間の1週目、5週目、9週目、13週目、17週目、25週目、37週目、53週目の初回透析日に5-D掻痒スケールの生活の質の評価を行った。
【0060】
テスト例4-3:肝疾患掻痒被験者における有効性、安全性と薬物動態学の多施設、無作為、二重盲検、プラセボ対照の第II相臨床試験
化合物1については、化合物1注射液の肝疾患掻痒症の被験者における有効性、安全性と薬物動態学を評価する多施設、無作為、二重盲検、プラセボ対照の第II相臨床試験を行った。
【0061】
本研究は、多施設、無作為、二重盲検、プラセボ対照研究である。中等度又は中等度以上の掻痒を伴う肝疾患被験者の約90例を群に入れる予定で、0.3μg/kg、0.6μg/kgの2つの投与量群及びプラセボ対照群を設置し、1:1:1の割合で上記の3つの群に無作為に割り当て、各群に約30例の被験者を入れる予定である。被験者には朝晩2回投与し、投与期間は、7~28日間とした。研究では、被験者は毎朝と夜にWI-NRSスケールに記入して掻痒強度の評価を行った。毎週の初日にSkindex-16スケールを用いて生活の質の評価を行った。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩又は共結晶及びその組成物の、掻痒を予防又は治療するための薬物の製造における用途であって、哺乳動物に有効量の構造式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与し、
【化1】
ここで、
は、
【化2】
から選択され、
m1、m2、m3、m4は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、m1とm2は、同時に0になれず、m3とm4は、同時に0になれず、
n1、n2は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、
Zは、CRz1z2又はNRz3から選択され、
z1、Rz2は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、-C(=O)-C1-6アルキル基、-(CH)q-C(=O)O-C1-6アルキル基、-(CH)q-NR1e1f、-(CH)q-COOH、-(CH)q-CONH、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、=O、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、前記ヘテロ原子は、Sから選択される時、任意選択的にさらにS、S=O又はS(=O)であり、
1e、R1fは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)0-(CH)q-C3-8炭素環基又は-C(=O)0-(CH)q-3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有するか、
又は、Rz1とRz2は、その結合する炭素原子と3~10員窒素含有複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、=O、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、 3-8 炭素環基又は3~8員複素環基から選択される置換基によって置換され、
1a、R1bは、それぞれ独立してF、CF3、NH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は複素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
z3は、独立してH、-C(=O)-C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)-C3-8炭素環基、-C(=O)O-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(3~8員複素環基)、-S(=O)p-C1-6アルキル基、-S(=O)p-C3-8炭素環基、-S(=O)p-(3~8員複素環基)、-C(=O)NR1g1h、-S(=O)p-NR1i1j又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
1g、R1h、R1i’、R1jは、それぞれ独立してH又はC1-6アルキル基から選択されるか、
又は、R1g、R1hは、その結合する窒素原子と3~10員複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-S(=O)p-C1-6アルキル基から選択される置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
qは、0、1、2、3又は4から選択され、
pは、0、1又は2から選択され、
aは、0、1、2又は3から選択され、
は、独立してH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-(CH)q-C3-8炭素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は炭素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、NO、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
、R、R、Rは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-4アルキル基、-C(=O)O-(CH2)q-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(CH)q-3~8員複素環基又は
【化3】
から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
bは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
cは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
、Rは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-4アルキル基、-OR5a、-C(O)OR5b、-SR5c、-S(O)R5d、-S(O)5e又は-NR5f5gから選択され、
5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5fとR5gは、それぞれ独立してH又はC1-4アルキル基から選択されるか、
又は、R5fとR5gは、その結合する窒素原子と5~6員複素環基を形成し、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、ことを特徴とする用途。
【請求項2】
式(I)の化合物は、式(II)から選択され、
【化4】
ここで、
は、
【化5】
から選択され、
m1、m2、m3、m4は、それぞれ独立して0、1又は2から選択され、m1とm2は、同時に0になれず、m3とm4は、同時に0になれず、
n1、n2は、それぞれ独立して0又は2から選択され、
Zは、CRz1z2又はNRz3から選択され、
1a、R1bは、独立してF、NHから選択され、
z1、Rz2は、それぞれ独立してH、カルボキシル基、
【化6】
アミノ基、-CHNH又は
【化7】
から選択されるか、
又はRz1、Rz2は、その結合するc原子と一つのラクタム
【化8】
を形成することができ、
z3は、独立してH、-C(=O)-C1-4アルキル基、-C(=O)O-C1-4アルキル基、-C(=O)-C3-6炭素環基、-C(=O)O-C3-6炭素環基、-S(=O)p-C1-4アルキル基、-S(=O)p-C3-6炭素環基、-C(=O)NR1g1h、-S(=O)p-NR1i1j又は3~6員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シクロプロピル基又はフェニル基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
1g、R1h、R1i’、R1jは、それぞれ独立してH又はC1-4アルキル基から選択されるか、
又は、R1g、R1hは、その結合する窒素原子と4~6員複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、CF、メチル基、メトキシ基から選択され、又は-S(=O)p-C1-4アルキル基の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
pは、2から選択され、
、R、R、Rは、それぞれ独立してH、メチル基又はC(=O)O-tert-ブチル基から選択される、請求項1に記載の用途。
【請求項3】
式(II)の化合物は、以下の構造式(A)の化合物から選択される、請求項2に記載の用途。
【化9】
【請求項4】
哺乳動物に有効量の構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与する、ことを特徴とする請求項3に記載の用途。
【請求項5】
前記薬学的に許容可能な塩は、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、D-酒石酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩、アスパラギン酸塩、L-酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、塩酸塩、ギ酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、マンデル酸塩、マロン酸塩、リンゴ酸塩、2-ヒドロキシプロピオン酸塩、シュウ酸塩、グリコール酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、グルタミン酸塩、桂皮酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩又はトリフルオロメタンスルホン酸塩から選択される、請求項4に記載の用途。
【請求項6】
前記掻痒は、疾患による掻痒、薬物による掻痒又は腎症に関連する掻痒から選択される、請求項4に記載の用途。
【請求項7】
前記疾患は、炎症性又は非炎症性皮膚疾患、末梢又は全身性疾患を含む、請求項6に記載の用途。
【請求項8】
前記炎症性又は非炎症性皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎、神経性皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、痒疹、老人性皮膚疾患から選択され、
前記末梢又は全身性疾患は、肝臓疾患、腎臓疾患、自己免疫性疾患又は末梢神経病変から選択され、
前記薬物による掻痒は、オベチコール酸、抗生物質、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、キサンチンオキシダーゼ阻害剤又はモルヒネの服用による掻痒から選択される、請求項7に記載の用途。
【請求項9】
前記肝臓疾患は、自己免疫性肝疾患(例えば原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎又は自己免疫性肝炎)、ウイルス性肝炎(例えばA型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎)、腫瘍(例えば肝細胞癌、胆管癌)、肝硬変、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物性肝炎、胆汁うっ滞(例えば良性再発性肝内胆汁うっ滞、進行性家族性肝内胆汁うっ滞、妊娠肝内胆汁うっ滞)又は黄疸から選択され、
前記腎臓疾患は、腎炎、慢性腎症、尿毒症又は糖尿病腎症から選択され、
前記自己免疫性疾患は、強皮症又はシェーグレン症候群から選択され、
前記末梢神経病変は、腕橈骨側掻痒、感覚異常性背痛又は小繊維周囲神経病変から選択される、請求項8に記載の用途。
【請求項10】
構造式(A)の化合物で量を計算する場合、前記化合物の量は、1~1000μg/日である、請求項3に記載の用途。
【請求項11】
構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の施用間隔は、1日1回、1日2回、1日3回、週1回、週2回、週3回又は1日おきに1回から選択される、請求項10に記載の用途。
【請求項12】
構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の投与経路は、経口、注射、点滴、経皮吸収、口腔吸収、非経口、直腸、頬内、点鼻、吸入、局所送達、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内又は髄腔内から選択される、請求項10に記載の用途。
【請求項13】
構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の投与経路は、経口、静脈注射、静脈点滴、動脈注射、筋肉内注射、皮下注射、関節内注射、腹腔内注射、髄腔内注射又は点鼻から選択される、請求項10に記載の用途。
【請求項14】
乳動物に有効量の構造式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与することを含み、前記有効量は、1~1000μg/日であり、好ましくは2μg~5μg/日、6μg~15μg/日、12μg~30μg/日、24μg~60μg/日、32~80μg/日、4μg~10μg/日、12μg~30μg/日、24μg~60μg/日、48μg~120μg/日、64~160μg/日、6μg~15μg/日、18μg~45μg/日、36μg~90μg/日、72μg~180μg/日又は96~240μg/日であり、
【化10】
各基の定義は、請求項1と同じである、請求項1に記載の用途
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩又は共結晶及びその組成物の、掻痒を治療するための薬物の製造における用途を提供し、該用途は、哺乳動物に有効量の構造式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与し、
【化1】
ここで、
は、
【化2】
から選択され、
m1、m2、m3、m4は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、m1とm2は、同時に0になれず、m3とm4は、同時に0になれず、
n1、n2は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、
Zは、CRz1z2又はNRz3から選択され、
z1、Rz2は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、-C(=O)-C1-6アルキル基、-(CH)q-C(=O)O-C1-6アルキル基、-(CH)q-NR1e1f、-(CH)q-COOH、-(CH)q-CONH、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、=O、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、前記ヘテロ原子は、Sから選択される時、任意選択的にさらにS、S=O又はS(=O)であり、
1e、R1fは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)0-(CH)q-C3-8炭素環基又は-C(=O)0-(CH)q-3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有するか、
又は、Rz1とRz2は、その結合する炭素原子と3~10員窒素含有複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、=O、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、 3-8 炭素環基又は3~8員複素環基から選択される置換基によって置換され、
1a、R1bは、それぞれ独立してF、CF3、NH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は複素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
z3は、独立してH、-C(=O)-C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)-C3-8炭素環基、-C(=O)O-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(3~8員複素環基)、-S(=O)p-C1-6アルキル基、-S(=O)p-C3-8炭素環基、-S(=O)p-(3~8員複素環基)、-C(=O)NR1g1h、-S(=O)p-NR1i1j又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
1g、R1h、R1i’、R1jは、それぞれ独立してH又はC1-6アルキル基から選択されるか、
又は、R1g、R1hは、その結合する窒素原子と3~10員複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-S(=O)p-C1-6アルキル基から選択される置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
qは、0、1、2、3又は4から選択され、
pは、0、1又は2から選択され、
aは、0、1、2又は3から選択され、
は、独立してH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-(CH)q-C3-8炭素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は炭素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、NO、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
、R、R、Rは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-4アルキル基、-C(=O)O-(CH2)q-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(CH)q-3~8員複素環基又は
【化3】
から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
bは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
cは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
、Rは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-4アルキル基、-OR5a、-C(O)OR5b、-SR5c、-S(O)R5d、-S(O)5e又は-NR5f5gから選択され、
5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5fとR5gは、それぞれ独立してH又はC1-4アルキル基から選択されるか、
又は、R5fとR5gは、その結合する窒素原子と5~6員複素環基を形成し、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明は、掻痒を治療する方法に関し、前記方法は、哺乳動物に有効量の構造式(I)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物を投与することを含み、
【化4】
ここで、
は、
【化5】
から選択され、
m1、m2、m3、m4は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、m1とm2は、同時に0になれず、m3とm4は、同時に0になれず、
n1、n2は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択され、
Zは、CRz1z2又はNRz3から選択され、
z1、Rz2は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、-C(=O)-C1-6アルキル基、-(CH)q-C(=O)O-C1-6アルキル基、-(CH)q-NR1e1f、-(CH)q-COOH、-(CH)q-CONH、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、=O、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、前記ヘテロ原子は、Sから選択される時、任意選択的にさらにS、S=O又はS(=O)であり、
1e、R1fは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)0-(CH)q-C3-8炭素環基又は-C(=O)0-(CH)q-3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有するか、
又は、Rz1とRz2は、その結合する炭素原子と3~10員窒素含有複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、シアノ基、ニトロ基、=O、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、 3-8 炭素環基又は3~8員複素環基から選択される置換基によって置換され、
1a、R1bは、それぞれ独立してF、CF3、NH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は複素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
z3は、独立してH、-C(=O)-C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-6アルキル基、-C(=O)-C3-8炭素環基、-C(=O)O-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(3~8員複素環基)、-S(=O)p-C1-6アルキル基、-S(=O)p-C3-8炭素環基、-S(=O)p-(3~8員複素環基)、-C(=O)NR1g1h、-S(=O)p-NR1i1j又は3~8員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
1g、R1h、R1i’、R1jは、それぞれ独立してH又はC1-6アルキル基から選択されるか、
又は、R1g、R1hは、その結合する窒素原子と3~10員複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-S(=O)p-C1-6アルキル基から選択される置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
qは、0、1、2、3又は4から選択され、
pは、0、1又は2から選択され、
aは、0、1、2又は3から選択され、
は、独立してH、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又は-(CH)q-C3-8炭素環基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は炭素環は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、NO、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
、R、R、Rは、それぞれ独立してH、C1-6アルキル基、-C(=O)O-C1-4アルキル基、-C(=O)O-(CH2)q-C3-8炭素環基、-C(=O)O-(CH)q-3~8員複素環基又は
【化6】
から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8炭素環基又は3~8員複素環基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
bは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
cは、0、1、2、3、4又は5から選択され、
、Rは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、CN、CF、シアノ基、ニトロ基、C1-4アルキル基、-OR5a、-C(O)OR5b、-SR5c、-S(O)R5d、-S(O)5e又は-NR5f5gから選択され、
5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5fとR5gは、それぞれ独立してH又はC1-4アルキル基から選択されるか、
又は、R5fとR5gは、その結合する窒素原子と5~6員複素環基を形成し、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有する。本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、式(I)の化合物は、式(II)から選択され、
【化7】
ここで、
は、
【化8】
から選択され、
m1、m2、m3、m4は、それぞれ独立して0、1又は2から選択され、m1とm2は、同時に0になれず、m3とm4は、同時に0になれず、
n1、n2は、それぞれ独立して0又は2から選択され、
Zは、CRz1z2又はNRz3から選択され、
1a、R1bは、独立してF、NHから選択され、
z1、Rz2は、それぞれ独立してH、カルボキシル基、
【化9】
アミノ基、-CHNH又は
【化10】
から選択されるか、
又はRz1、Rz2は、その結合するc原子と一つのラクタム
【化11】
を形成することができ、
z3は、独立してH、-C(=O)-C1-4アルキル基、-C(=O)O-C1-4アルキル基、-C(=O)-C3-6炭素環基、-C(=O)O-C3-6炭素環基、-S(=O)p-C1-4アルキル基、-S(=O)p-C3-6炭素環基、-C(=O)NR1g1h、-S(=O)p-NR1i1j又は3~6員複素環基から選択され、前記アルキル基、炭素環基又は複素環基は、任意選択的にさらにF、Cl、Br、I、OH、CF、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シクロプロピル基又はフェニル基から選択される0~5個の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから任意選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
1g、R1h、R1i’、R1jは、それぞれ独立してH又はC1-4アルキル基から選択されるか、
又は、R1g、R1hは、その結合する窒素原子と4~6員複素環を形成し、前記環は、任意選択的にさらにF、CF、メチル基、メトキシ基から選択され、又は-S(=O)p-C1-4アルキル基の置換基によって置換され、前記複素環基は、N、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
pは、2から選択され、
、R、R、Rは、それぞれ独立してH、メチル基又はC(=O)O-tert-ブチル基から選択される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本発明の掻痒を予防又は治療する薬物における用途と掻痒を治療する方法に関するいくつかの実施方案では、構造式(A)の化合物又はその立体異性体、水和物、代謝産物、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、共結晶又はその組成物の投与経路は、経口、注射、点滴、経皮吸収、口腔吸収、非経口、直腸、頬内、点鼻、吸入、局所送達、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内又は髄腔内から選択され、好ましくは、投与経路は、経口、注射、鼻スプレーである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】