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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】L字形カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20240415BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240415BHJP
   B81B 1/00 20060101ALI20240415BHJP
   B81C 3/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
B81B1/00
B81C3/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562783
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2022055552
(87)【国際公開番号】W WO2022218603
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】102021203617.1
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ファイヒティンガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ゼバスティアン ポドビエル
【テーマコード(参考)】
2G058
3C081
【Fターム(参考)】
2G058CC17
3C081AA18
3C081BA23
3C081CA32
3C081CA38
3C081DA10
3C081EA27
3C081EA39
(57)【要約】
本発明は、L字形の基底面(105)を備えたマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)に関する。さらに本発明は、このようなカートリッジ(100,101,102)を製造する方法(600)および処理する方法(700)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体カートリッジ(100,101,102)であって、前記カートリッジ(100,101,102)の基底面(105)がL字形を有している、マイクロ流体カートリッジ(100,101,102)。
【請求項2】
前記基底面(105)は、矩形を基調としておりかつ該矩形の1つの角隅領域が欠落しており、これにより、前記カートリッジ(101)は、同じ基底面(105)を備えた第2のカートリッジ(102)に対して、一方のカートリッジ(100,101,102)の前記基底面(105)の突出部(160)が、それぞれ他方のカートリッジ(100,101,102)の前記基底面(105)の前記欠落した角隅領域内に係合するように配置され得る、請求項1記載のカートリッジ(100,101,102)。
【請求項3】
前記突出部(160)は、第2の突出部(170)を有しており、該第2の突出部(170)は、好適には第1の前記突出部(160)の前面に配置されている、請求項1または2記載のカートリッジ(100,101,102)。
【請求項4】
前記突出部(160)は少なくとも部分的に、先細になる幅(111)を有しており、特に、第1の縦辺(110)と第2の縦辺(112)とは、前記突出部(160)に沿って互いに向かって収束して延びている、請求項1から3までのいずれか1項記載のカートリッジ(100,101,102)。
【請求項5】
前記突出部(160)は、該突出部(160)の面積と前記欠落した角隅領域の面積とが同一または近似の寸法を有するように形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のカートリッジ(100,101,102)。
【請求項6】
前記基底面(105)の一方の縦辺(112)と一方の横辺(122)とは、90度よりも大きな角度(114)で相対して位置している、請求項1から5までのいずれか1項記載のカートリッジ(100,101,102)。
【請求項7】
第1の寸法(110)の長さと、第2の寸法(121)の長さとの比は、1.4~2.0、好適には1.5~1.7、極めて好適には1.58~1.65である、請求項1から6までのいずれか1項記載のカートリッジ(100,101,102)。
【請求項8】
前記カートリッジ(100,101,102)の1つの角隅部または複数の角隅部は、丸み付けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載のカートリッジ(100,101,102)。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の第1のカートリッジ(101)と、同じ基底面(105)を備えた第2のカートリッジ(102)とを含む装置(300)であって、一方のカートリッジ(101,102)の前記基底面(105)の突出部(160)が、それぞれ他方のカートリッジ(101,102)の前記基底面(105)の欠落した角隅領域内に係合しているように、2つの前記カートリッジ(101,102)が互いに結合されている、装置(300)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載のカートリッジ(100,101,102)を製造する方法(600)であって、
1つのワーク支持体上に、L字形の基底面(105)を有する2つの半製品を配置するステップ(601)と、
前記半製品に別の部品を装備することを含む、前記2つの半製品の並行処理を行うステップ(602)と、
前記2つの半製品に各1つの別の半製品を提供するステップ(603)と、
前記2つの半製品をL字形の基底面(105)を有する2つのカートリッジ(100,101,102)に個別化するステップ(605)と
を含む、方法(600)。
【請求項11】
請求項1から8までのいずれか1項記載のカートリッジ(100,101,102)を処理する方法(700)であって、前記カートリッジ(100,101,102)を、処理ユニット内で傾けて処理する、方法(700)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
マイクロ流体分析システム(いわゆるラボ・オン・チップ(Lab-on-Chips)、略してLoCs)は、医療診断用の患者試料の、自動化された確実、迅速かつコンパクトな、廉価な処理を可能にする。制御された流体操作のために複数の作業を組み合わせることにより、複雑な分子診断試験の流れがラボ・オン・チップカートリッジ上で実施され得、この場合、パッシブカートリッジが処理ユニットを介して動かされることが多い。例えば、独国特許出願公開第102016222075号明細書および独国特許出願公開第102016222072号明細書にはそれぞれ、例えば試料中の病原体を検出するために、生体試料を収容するカートリッジとカートリッジ内の試料を処理する処理ユニットとを備えたマイクロ流体システムが記載されている。
【0002】
この場合、ラボ・オン・チップカートリッジは、例えば射出成形、打抜きまたはレーザ透過溶着等の大量生産方法を用いてポリマーから廉価に製造されていてもよい。
【0003】
選択された用途に応じて、分子診断試験の流れの複雑度は変化し得る。これに相応して、ラボ・オン・チップカートリッジに課される要求も用途別に異なっている。特に広範な用途向けの、特に汎用のカートリッジを用意する他に、特に、要求に最適化されて適合させられた用途範囲を含む、特に廉価なカートリッジを用意することが考えられる。この場合、このようなカートリッジの特に有利な構成が問題となる。
【0004】
発明の開示
発明の利点
この背景に鑑みて、本発明は、カートリッジの基底面がL字形を有しているカートリッジに関する。
【0005】
このカートリッジは、特に例えば前掲の独国特許出願公開第102016222075号明細書または独国特許出願公開第102016222072号明細書に記載されかつ共同体意匠第3459379号に示されたカートリッジに基づく形式および用途のマイクロ流体カートリッジのことであってもよく、この場合、本発明によるカートリッジは、矩形の基底面とは異なり、L字形の基底面を有している。特に本発明によるカートリッジも、生物学的な量を増幅させかつ/または分析するための、特に例えば病原体を検出するために核酸(の一部)を増幅させかつ検出するためのマイクロ流体処理を(部分的に)自動化して実施するためのマイクロ流体システムの一部として形成されていてもよい。
【0006】
基底面は特に、カートリッジの表面、特に下面であってもよく、例えば板状または層状の構造のカートリッジの場合には底板であってもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。特に基底面は、1つの平面、特にカートリッジにより覆われる面積または長さが最大である面におけるカートリッジの最大延在部であってもよい。択一的に基底面は、カートリッジの横断面であってもよく、特にカートリッジが上述のように最大面積および/または最大長さを有する平面における横断面であってもよい。
【0007】
L字形とは特に、基底面の形状が、太字で書かれた大文字Lの形状に基づいているということを意味し得る。この場合、好適には、基底面は太字で書かれたLに類似していてもよく、この場合、Lの水平方向の線は、Lの鉛直方向の線よりも太く、好適には1.1~2.5倍太く、極めて好適には1.5~2.1倍太く、例えば1.9倍太くなっているため、基底面は、鉛直方向の線が短縮された太字のLに類似している。2つの線は、以下、文字Lのアームもしくは基底面のアームと呼ばれることもある。つまり好適には、カートリッジの基底面は、ほぼL字の形状を有しており、この場合、Lの鉛直方向の線に相当する基底面の部分の幅は、Lの水平方向の線に相当する基底面の部分の幅よりも大幅に大きくなっていてもよい。L字とは、特に垂直方向における鏡像文字Lを意味することもあり、その結果、文字の水平方向の線は、鉛直方向の線から出発して右側ではなく左側に向かって延びている。
【0008】
L字形とは、好適には、カートリッジが1つの矩形に基づく基底面を有しており、この場合、矩形の1つの角隅領域が欠落していることを意味する場合もあり、これにより、カートリッジは、同一の基底面を備えた第2のカートリッジに対して、一方のカートリッジの基底面の突出部がそれぞれ他方のカートリッジの基底面の欠落した角隅領域内に係合するように配置され得る。この場合、基底面の1つまたは複数の角隅部は丸み付けられていてもよく、これにより、基底面は相応して、欠落した角隅領域と丸み付けされた角隅部とを備えた矩形に基づいている。欠落した角隅領域は、好適には正方形、矩形または台形の形状に基づいていてもよく、またはこのような形状に相応していてもよい。台形の場合、好適には、台形の、基底面の外縁の一部に相当する一方の脚部が、台形の底辺に対してそれぞれ直角に位置しているため、この台形は、隣接する他の辺に対して直角に位置していない辺を1つだけ有している。つまり、この欠落した角隅領域と、その結果得られる突出部とに基づき、カートリッジの基底面は、好適には(ほぼ)L字形を有している。換言すると、基底面は、好適には矩形に基づいており、この場合、矩形の1つの角隅領域が欠落しているため、欠落した角隅領域に基づき残った領域(つまり上述した突出部)が、同一の基底面を備えた第2のカートリッジの欠落した角隅領域内に係合することができるようになっている。したがって、突出部と欠落した角隅領域とは、好適には同じまたは少なくとも近似の寸法または形状を有していてもよく、特に突出部の面積と欠落した角隅領域の面積とは、同じまたは近似の寸法または形状を有していてもよい。近似の寸法とは、1つの有利な構成では、突出部の面積と欠落した角隅領域の面積とが幾何学的な意味で近似していること、つまり、近似表現により互いに移行され得ることを意味し得る。さらに近似の寸法とは、好適には、突出部の面積が、欠落した角隅領域の面積よりも小さく形成されている、ということを意味していてもよく、これにより、同一の突出部を備えた2つのカートリッジを互いに反対の向きに配置した場合に、突出部がそれぞれ、他方のカートリッジの欠落した角隅領域内に係合し、この場合、各カートリッジの外縁は、共通の整合ラインに沿って配置されており、各突出部の間にはギャップが残されている。この場合、突出部の面積は、例えば欠落した角隅領域の面積よりも1~10%または1~5%小さくなっていてもよい。
【0009】
本発明により有利には、一方では資源を節約して大幅に短縮された時間で製造可能であると共にコンパクトに保管かつ搬送され得、かつ他方では重力に基づくプロセスを基礎とした、マイクロ流体装置内での試料液体の有利なマイクロ流体処理を可能にするカートリッジが提供される。
【0010】
基底面の本発明による構成により、特に有利な2-in-1製造が可能である。特に、正に2つのカートリッジを互いに反対方向に、かつ互いに係合するように向け、これにより、特に小さな面積において並行して製造することができる。これにより、L字形カートリッジの特に廉価で効率的な製造が可能である。
【0011】
特に、互いに反対方向に向けられた2つのカートリッジまたは半製品は、特に矩形に成形された第2のカートリッジもしくは第2のカートリッジを製造するための半製品の面積に相当する1つのワーク支持体の面上で処理され得る。このようにして、有利には1つの既存の製造ラインを、より大幅な適合無しで、少なくとも2つの異なる形式のカートリッジを製造するために可変に使用することができる。
【0012】
その上、カートリッジの本発明による構成に基づき-各1対のカートリッジまたはカートリッジを製造するために本発明による基底面を備えた1対の半製品をそれぞれ互いに反対の向きに配置した場合には-さらに、多数のカートリッジもしくはカートリッジを製造するための半製品の特に省スペースでコンパクトな保管ならびに搬送が可能である。さらに、カートリッジまたは半製品のオートクレーブに必要とされる所要スペースを大幅に減じることができる。
【0013】
さらに、特に好適には、本発明によるカートリッジおよび特にカートリッジの基底面は、周知のカートリッジに比べて減じられたコンパクトなサイズにもかかわらず、高いアスペクト比を有している。カートリッジの比較的長い長さを保持することにより、重力場においてカートリッジを相応に傾けた場合に、地球の重力を、全長に沿った流体の搬送に利用することができる。換言すると、有利には重力に基づく機能、例えば液体試薬前置室の下端部における、重力に基づく液体の集合、またはマイクロ流体室内の気泡に作用する浮力による気泡の導出等を、特に有利に利用することができる。
【0014】
特にこれにより、重力に基づくマイクロ流体処理において、比較可能な鉛直方向の空間的な延在長さを備えた、例えば面積的により大きな矩形に成形されたカートリッジに比べて顕著な技術的な欠点が存在しなくなる。これに対して、所要材料の減少に基づき、本発明によるカートリッジは、特に資源節約型かつ持続的である。廃棄時の廃棄物の量が、完全に矩形に成形されたカートリッジに比べて削減されているからである。
【0015】
さらに、基底面の保持された長さおよびこれに関連する突出部は、同一または近似の長さを備えたカートリッジを処理するように構成された処理装置における、本発明のカートリッジの後方互換性を支援する。
【0016】
さらに本発明は、カートリッジ内にマイクロ流体ネットワークを実現するためのカートリッジの特に好適な形状を提供しており、この場合、マイクロ流体ネットワークは、例えば流体マイクロ通路および空圧マイクロ通路を含み、さらに、空圧マイクロ通路を介して作動させることができる弁およびポンプ室等のアクティブなマイクロ流体部材と、特に、水平方向に特に大きく伸ばされたカートリッジの部分に位置するアクティブなマイクロ流体部材を制御するための空圧インタフェースとを含む。
【0017】
カートリッジのL字形と、特にこれに関連した突出部とは、ユーザが様々な形式でカートリッジに触れて掴む複数の手段を有している、という利点も有している。実際の大きさの状態に応じて、ユーザは、比較的大きな構成の場合には、カートリッジをより細い突出部のところで掴み、小さな構成の場合には、より太い端部のところで粗野に掴むことができる。このようにして、カートリッジのL字形は、例えば試料をカートリッジに導入する際またはカートリッジを処理ユニットに導入する際に、ユーザによる特に簡単、確実かつ快適な取扱いを可能にする。
【0018】
本発明の1つの特に好適な改良では、突出部は少なくとも部分的に、先細になる幅を有している。このような先細になる幅は、特に突出部の2つの縦辺により実現されていてもよく、この場合、第1の縦辺と第2の縦辺とは、突出部に沿って互いに向かって収束して延びている。このような先細部は、使用者にとってのカートリッジの取扱いを大幅に容易にし得る。これにより、様々な大きさの手に対してそれぞれ異なる幅が提供されるからである。さらに、同じ基底面を備えた2つのカートリッジをより簡単に、上述したように互いに反対の向きで互いに係合し合うようにコンパクトに配置することができる。換言すると、カートリッジの2つのアームのうちの一方は所定の角度で収束しており、これにより、このアームの横断面は、第2のアームの始点から出発してカートリッジのこのアームの終端縁に向かって縮小している。
【0019】
基底面の一方の縦辺(の縁部)と一方の横辺(の縁部)とは、好適には90度よりも大きな角度で、つまり互いに鈍角で位置していてもよい。これにより、上述したように、突出部は少なくとも部分的に、先細になる幅を有することができる。
【0020】
本発明の1つの特に好適な改良では、突出部は、第2の突出部を有している。好適には、第2の突出部は、第1の突出部よりも小さくなっており、好適には、第2の突出部は第1の突出部の前面に配置されており、これにより、第2の突出部はカートリッジの長さを延長している。このような第2の突出部は、カートリッジを処理ユニットに収容する際に、処理ユニットとの相互作用を作動させるために第2の突出部を利用することができる、という利点を有している。例えば第2の突出部は、処理ユニット内で機械的な動作をトリガすることができる。択一的または追加的に、処理ユニットにおける正しい収容のために、有利には、例えば第2の突出部が処理ユニットの凹部または溝に(好適には形状結合式に)係合することにより、第2の突出部を、カートリッジの固定手段またはロックの一部として利用することができる。択一的または追加的に、処理ユニット内でのカートリッジの正しい配置は、有利には第2の突出部の光学式または接触式の検出を介して確認され得る。
【0021】
1つの有利な構成では、カートリッジの第1の寸法の長さと、カートリッジの第2の寸法の長さとの比は、1.4~2.0、好適には1.5~1.7、極めて好適には1.58~1.65であり、例えば(ほぼ)1.618の黄金分割の比である。第1の寸法および第2の寸法は、特にカートリッジの平行な寸法であってもよく、特に第1のアームの長さ(つまり太文字Lの鉛直方向の線の長さ)もしくは第2のアームの幅(つまり太文字Lの水平方向の線の幅)であってもよい。
【0022】
既に上述したように、本発明の好適な構成では、カートリッジの1つまたは複数の角隅部、特に基底面の1つまたは複数の角隅部が丸み付けられていてもよい。このことは、カートリッジの使用時に鋭利な縁部による怪我の危険が低下させられている、という利点を有している。さらに、丸み付けられた角隅部は、処理ユニット内へのカートリッジの導入を容易にすることができる。さらに、丸み付けられた角隅部は、カートリッジの取扱いにおいてユーザにより快適な感覚を与える。さらに、例えば別の物体にカートリッジの1つの角隅部が衝突した場合に生じ得る機械的な力を、カートリッジの内部でより良好に導出することができ、亀裂形成のリスクを低下させることができる。
【0023】
1つの別の特に有利な実施形態では、カートリッジは、処理ユニット内での処理用のインタフェースを有しており、この場合、処理ユニットは、分析装置として形成されていてもよい。この場合、インタフェースは、同じ処理ユニット内で処理され得る、例えば矩形に成形された第2のカートリッジと同じ位置に配置されていてもよい。このようにして、2つの形式のカートリッジを、特に有利には同一の処理ユニットまたは同一の分析装置内で処理することができる。
【0024】
本発明の対象は、本発明による第1のカートリッジと、同じ基底面を備えた第2のカートリッジとを含む装置であって、2つのカートリッジは互いに結合されており、これにより、一方のカートリッジの基底面の突出部が、それぞれ他方のカートリッジの基底面の欠落している角隅領域内に係合している、装置でもある。特に、第2のカートリッジもやはり、本発明によるカートリッジであってもよい。好適には、2つのカートリッジは、結合部材を介して結合されていてもよく、この場合、結合部材は、好適にはカートリッジの各突出部に結合されている。この装置は、その都度2つのカートリッジをコンパクトに使用することができ、特に簡単に搬送かつ保管することができ、規定通りに使用する直前に初めて互いに分離させることができる、という利点を有している。
【0025】
本発明の対象は、本発明によるカートリッジを製造する方法でもある。第1のステップでは、1つのワーク支持体上に、L字形の基底面を有する2つの半製品を配置する。半製品は、特にプラスチックから成るカートリッジのL字形の底板であってもよい。好適には、2つの半製品を相対して配置し、これにより、これらの半製品が上述したように互いに反対の向きに向けられて互いに係合し合うようにする。この場合、2つの半製品は、例えば射出成形法の結果として、互いに物理的に結合されていてもよい。第2のステップでは、半製品に別の部品を装備することを含む、2つの半製品の並行処理を行う。並行処理とは特に、2つの半製品が同一ステップにおいて好適には同時に別の製造ステップに供されることを意味し得る。方法の第3のステップでは、2つの半製品に各1つの別の半製品を提供し、その後、第4のステップにおいて2つの半製品をL字形の基本形状を有する2つのカートリッジに個別化する。半製品の提供は、例えばレーザ透過溶着等の大量生産技術を用いて行うことができる。この場合、個別化とは、一般に2つのカートリッジの空間的な分離を意味し得るが、しかしまた、例えば射出成形法の結果として共通の材料を介して互いに結合された2つのカートリッジの部分の物理的な分離をも意味し得る。つまり、基底面のL字形に基づき、2つの本発明によるカートリッジをコンパクトにかつ時間を節約して、並行して製造することができる。
【0026】
さらに、例えば前掲の独国特許出願公開第102016222075号明細書および独国特許出願公開第102016222072号明細書に開示されているような、カートリッジを傾けて処理する処理ユニットに基づく処理ユニットを用いて本発明によるカートリッジを処理する方法が、本発明の対象である。傾けて処理するとは、特に処理ユニットにより規定通りに処理する際に、カートリッジを重力の方向に対して平行にまたは斜めに向けることを意味する。このために好適には、処理ユニットは、前掲の独国特許出願公開第102016222075号明細書および独国特許出願公開第102016222072号明細書に記載されたように、カートリッジの収容部と、地球の重力場に対して垂直方向または斜めの固定部とを有していてもよい。この場合、カートリッジのL字形に基づき、上述のように、重力場の、カートリッジに沿った非消失成分を、カートリッジ内の流体を搬送するために、かつ/または例えば弁またはポンプ等の部材を動作させるかまたは支援するために、特に有利に利用することができる。
【0027】
本発明による方法の利点については、上述した本発明によるカートリッジの対応する利点も参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の実施例を概略的に図示し、以下の説明において詳細に説明する。異なる図面に示された、同様に作用する各部材には同一の符号が用いられており、これらの部材の反復説明は省かれている。
図1】本発明によるカートリッジおよび本発明による装置の実施例を示す図である。
図2】本発明によるカートリッジおよび本発明による装置の実施例を示す図である。
図3】本発明による製造方法もしくは処理方法の実施例のフローチャートを示す図である。
図4】本発明による製造方法もしくは処理方法の実施例のフローチャートを示す図である。
【0029】
発明の実施形態
図1には、第1の実施例における、本発明によるカートリッジ100の上面の概略図が示されている。カートリッジ100はL字形の基底面105を有しており、この例では、底板105が基底面105を有しており、よって基底面105は、カートリッジ100の下面に相当する。底板105には、矩形の上面と丸み付けられた角隅部とを備えたカバー106が取り付けられている。底板105とカバー106との間には、カートリッジ100の複数部分から成る構造の一部として別の膜、板または層が配置されていてもよい。
【0030】
カートリッジ100および基底面105は、名付けのために、長さ110および幅111のほぼ矩形の第1のアームと、これに対して横方向に配置された、長さ120および幅121のほぼ矩形の第2のアームとに、仮想上分けられてもよく、この場合、第1のアームは、太字で書かれた大文字Lの鉛直方向の線に類似しており、第2のアームは、太字で書かれた大文字Lの水平方向の線に類似している。換言すると、L字形カートリッジ100は、第1のアームの長さに相当する第1の鉛直方向の寸法110と、第2のアームの長さに相当する第1の水平方向の寸法120とを有している。さらにカートリッジ100は、第1のアームの幅に相当する第2の水平方向の寸法111と、第2のアームの幅に相当する第2の鉛直方向の寸法121とを有している。つまり、カートリッジ100の基底面105はほぼ、互いに直角に位置していて部分的に重なり合う(上述した各アームに相当する)2つの矩形に相当するため、基底面105は、太字で書かれた文字Lの形状を有しているか、もしくは工具の「指金」の基底面に類似している。換言すると、基底面105はほぼ、直角に配置された2つの矩形の脚部に相当する。この場合、第1のアームの、第2のアームを越えて突出している部分を、以下、カートリッジ100の突出部160とも呼ぶ。
【0031】
基底面105の形状は、1つの矩形に基づいていると見なされてもよく、この場合、矩形の1つの角隅領域が欠落している。欠落した角隅領域は、図1に示す実施例では、突出部160に隣接する台形にほぼ相当し、この場合、第2の鉛直方向の寸法121の延長部に相当する脚部は、台形の2つの底辺に対してそれぞれ90度の角度で位置している。
【0032】
図1に示すように、カートリッジ100の第1のアーム、特に突出部160は、第1の鉛直方向の寸法110に沿って部分的に先細になる幅111を有していてもよい。このような先細部は、特にカートリッジ100の2つの縁部112,122の間の鈍角114、つまり90度よりも大きな角度により実現され得、この場合、第1の縁部112は、第1の鉛直方向寸法110に対する第1のアーム、特に突出部160を画定しており、第2の縁部122は、第1の水平方向の寸法120に対する第2のアームを画定している。例えば、角度114は90~135度、好適には92~110度、例えば98度の値を有していてもよい。角度114に対して択一的に、先細部は、第1の縁部112と、第1の鉛直方向の寸法110に対して平行な線113との間の角度115により画定されてもよく、この場合、この角度は0.1~45度、好適には2~20度、例えば8度の値を有していてもよい。したがって特にカートリッジ100の第1のアームは、基底面105の、第1のアームに属す部分の幅111が、第2のアームの始点、つまり突出部160の幅111から出発して、カートリッジの第1のアームの端部に向かって減少するように、設定された角度114で収束して延びている。
【0033】
やはり図1に示すように、突出部160は第2の突出部170を有していてもよく、この場合、第2の突出部170は、好適には第1の突出部160の前面に、つまり特に第1の突出部160の第2の水平方向の寸法111の縁部に、もしくは第1のアームの幅111を画定する縁部に配置されている。第2の突出部170は、例えばカートリッジ100を処理ユニットに挿入する際に所定の機能を作動させるためまたは正しく方向付けるために用いられてもよい。
【0034】
基底面105の形状の基礎となる矩形は、例えば20×10平方ミリメートル(mm)~300×200mm、好適には50×20mm~200×100mm、例えば118×78mmの寸法を有していてもよい。第1のアームの長さ110もしくは第1の鉛直方向の寸法110は、例えば20ミリメートル(mm)~300mm、好適には50mm~200mm、例えば118mmである。第1のアームの幅111もしくは第2の水平方向の寸法111は、例えば20mm~100mm、好適には35mm~75mm、例えば40mmである。第2のアームの長さ120もしくは第1の水平方向の寸法120は、例えば20mm~150mm、好適には35mm~125mm、例えば78mmである。第2のアームの幅121もしくは第2の鉛直方向の寸法121は、例えば20mm~150mm、好適には35mm~125mm、例えば73mmである。図示の実施例では、例えば118mmの第1の鉛直方向の寸法110と、例えば73mmの第2の鉛直方向の寸法121との比は、ほぼ1.618ひいては黄金分割に相当し、このことは、カートリッジ100のこの実施例に、特に美的に感じられる外観を与える。他の実施例において、この比は、例えば1.4~2.0、好適には1.5~1.7、極めて好適には1.58~1.65、つまりほぼ1.618である。同様に、第1の垂直方向の寸法110と第1の水平方向の寸法120との比も、例えば1.4~2.0、好適には1.5~1.7、極めて好適には1.58~1.65、すなわちほぼ1.618に相当する。
【0035】
カートリッジ100は上述したように、好適には、特に生体試料を供給するための1つまたは2つの試料供給室131,132を有している。この場合、試料供給室131,132のカバーは、カートリッジ100のカバー106の一部を形成していてもよく、カートリッジ100のカバー106は、図1に示しかつ上述したように、基底面105の所定の領域を覆っている。さらに図1に示すように、カートリッジ100は、例えば20の空圧接続開口を含む空圧インタフェース150を有している。この場合、空圧インタフェース150は図示のように、特に第2のアームの領域内でカバー106と突出部160との間に実現されている。つまり、カートリッジの第1のアームを収束する角度115で構成することは、このアーム内のアクティブなマイクロ流体部材を、空圧通路を介して空圧インタフェース150に接触接続するために特に有利である。
【0036】
さらにカートリッジ100は、好適には、マイクロ流体通路146を介して接続された1つまたは複数のマイクロ流体室141を有しており、マイクロ流体室141内では、例えば核酸の断片の増幅、例えばポリメラーゼ連鎖反応を行うことができる。この場合、室141は、図示のようにカートリッジ100の上面において透明な材料に基づき視認可能であってもよく、これにより、室141内で進行する反応を観察して読み取ることができる。図示のように、室141は、特に突出部160内に位置していてもよい。このことは、試料供給室131,132を介して供給された試料の処理を、カートリッジ100の全長110に沿って、試料供給室131,132と室141との間で行うことができる、という利点を有している。つまり、例えば地球の重力場等の重力場50においてカートリッジ100が斜めまたは鉛直方向に向けられている場合、有利には、第1の鉛直方向の寸法110に沿った、つまり第1のアームに沿った、重力場50の非消失力成分を、カートリッジ100内の試料およびその他の試薬の搬送に利用することができる。カートリッジ100内での処理用の液体は、例えば水溶液、例えば特に試料物質の成分を含む緩衝溶液、ならびに鉱物油、シリコーン油またはフッ化炭化水素であってもよい。
【0037】
図2には、相対して向けられた本発明による2つのカートリッジ101,102を含む、1つの別の実施形態が示されている。一方または両方のカートリッジ101,102は、図1に示したカートリッジ100の実施例であってもよい。
【0038】
図2の左側に示すように、2つのカートリッジ101,102は相対して向けられており、これにより、一方のカートリッジ101,102の突出部160がそれぞれ他方のカートリッジ101,102の基底面の欠落している角隅領域に、一定の幅の比較的狭いギャップ99により離間されて係合している。換言すると、2つのカートリッジ101,102は互いに反対方向に向けられており、これにより、第2のカートリッジ102は第1のカートリッジ101に対して180度回動させられている。この場合、突出部160はその面積に関して、それぞれ欠落している角隅領域の面積よりもやや小さく形成されていてもよく、これにより、鉛直方向の寸法110,121の縁部と重なり合う共通の整合ラインに沿って2つのカートリッジ101,102が配置されているにもかかわらず、突出部160のところもしくは突出部160の間にはギャップ99が残されている。この配置は、本発明によるカートリッジの複数の利点を具体的に示している。図示のように、各2つの本発明によるカートリッジ101,102をコンパクトに配置して支持することができる。さらに、本発明によるカートリッジ100,101,102の寸法は、好適には、このように配置されたカートリッジ101,102の基底面の、ギャップ99を除いた和が、従来の矩形のカートリッジ200(図2の右側に図示)の基底面に相当するように形成されている。図示のように、この場合、第1の鉛直方向の寸法110と、ギャップ99の幅と、第2の鉛直方向の寸法121との和は、矩形のカートリッジ200の鉛直方向の寸法201に相当する。さらに、第1の水平方向の寸法120、つまり本発明によるカートリッジ100,101,102の幅は、この例では矩形のカートリッジ200の幅202に相当する。換言すると、矩形のカートリッジ200の基底面の面積は、本発明によるカートリッジ100,101,102の第2のアームの長さ120に、第1のアームの長さ110とギャップ99の幅と第2のアームの幅121との和を掛けたものに相当する。
【0039】
2つのカートリッジ101,102は、好適には結合部材190を介して互いに結合されていてもよく、結合部材190は、例えばカートリッジの底板または別の層と同じ材料から成っていてもよく、カートリッジ101,102の両突出部160を、ギャップ99を越えて結合する。つまり図2は、本発明による装置300の1つの実施例も示している。この場合、装置300は、本発明による第1のカートリッジ101と、同じ基底面を備えた第2のカートリッジ102とを含んでおり、この場合、2つのカートリッジ101,102は互いに結合されており、これにより、一方のカートリッジ101,102の基底面の突出部160が、それぞれ他方のカートリッジ102,101の基底面の欠落している角隅領域内に係合している。
【0040】
図3には、例えば図1または図2に示したカートリッジ100,101,102を製造する本発明による製造方法600の1つの実施例のフローチャートが示されている。
【0041】
方法600の第1のステップ601では、2つのL字形の半製品を1つのワーク支持体上に配置する。半製品は、例えば射出成形法により製造された、カートリッジ100,101,102のプラスチック製の底板であってもよい。これらの半製品は、特に同様にかつ互いに反対の向きに配置されていてもよい。すなわち、第2の半製品は、第1の半製品に対して180度回動させられている。半製品の配置は、例えば半製品の製造時に既に規定され得る。1つの特別な実施形態では、両半製品は、例えば共通の射出成形過程の結果として、互いに機械的に結合されているため、両半製品を、1つのまとまった部品として取り扱うことができる。このことは、カートリッジ100の可能な限り自動化された、効率的で廉価な製造を可能にするために有利であり得る。
【0042】
方法600の第2のステップ602では、ワーク支持体上に配置された半製品を並行して処理する。例えば半製品を特別な製造ステーションに搬送し、かつ/または半製品に追加的な部品を装備し、かつ/または別の半製品と組み合わせる。追加的な部分の装備は、例えば嵌込み、挿入または差込みおよび/または係止により行うことができる。別の半製品との組合せは、例えばワーク支持体上に位置する半製品に別の半製品を載置することにより行うことができる。既に説明したように、1つの特に有利な実施形態では、半製品または別の部品は、1つのまとまった部品として互いに機械的に結合されており、これにより、特に簡単な取扱いを達成することができる。1つの別の有利な実施形態では、ワーク支持体が調整ピンを有しており、調整ピンは、半製品の調整貫通孔に係合し、これにより、ワーク支持体上での半製品の所定の位置決めならびに半製品の、半製品同士の所定の相対的な位置決めを達成することができる。半製品の、半製品同士の所定の相対的な位置決めは、例えば後続の供給ステップの準備に役立つ。
【0043】
方法600の第3のステップ603では、それぞれワーク支持体上に位置する2つの半製品に、それぞれ別の2つの半製品を提供する。半製品の提供は、好適には並行して行うことができ、これにより、製造時に特に高い処理量を達成することができる。半製品の提供は、例えばレーザ透過溶着等の大量生産技術を用いて行うことができる。
【0044】
方法600の任意の第4のステップ604では、先行ステップのうちの1つまたは複数を繰り返す。例えば、配置ステップ601と処理ステップ602と提供ステップ603とを複数回実施し、これにより、複数の部品が嵌め込まれかつ少なくとも1つのカバー部材が被せ嵌められた多層のカートリッジ100,101,102を製造する。
【0045】
方法600の第5のステップ605では、場合により機械的にまとめられた半製品または部品から形成されたカートリッジ100,101,102を個別化し、これにより、2つの別個のカートリッジ100,101,102を得る。個別化は、例えば目標破断個所に沿った機械的な破断により、または別の形式の分離方法により行うことができる。本発明による方法600の別の実施形態では、個々のステップを省く、または繰り返し実施する、または他のステップと順序を交換することができる。
【0046】
この場合、カートリッジ100,101,102の半製品および別の部品は、好適にはポリマー、例えばポリカーボネート(PC)、ポリスチロール(PS)、スチロールアクリロニトリルコポリマー(SAN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、シクロオレフィンコポリマー(COP、COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、またはポリウレタン(TPU)もしくはスチロールブロックコポリマー(TPS)等の熱可塑性エラストマー(TPE)等を含んでいてもよく、例えば射出成形、熱間成形、打抜きまたはレーザ透過溶着等の大量生産方法により、本発明による方法600に従って製造され得る。
【0047】
図4には、本発明によるカートリッジ100,101,102、例えば上述した実施例で説明したカートリッジ100,101,102を処理する本発明による方法700の1つの実施例のフローチャートが示されている。方法700の第1のステップ701では、カートリッジ100を処理ユニットに、特にカートリッジ100,101,102内で処理可能な生体試料を分析する分析装置に導入する。例えばこれは上述したように、病原体の核酸を増幅させるポリメラーゼ連鎖反応または等温増幅を利用した、体液(血液、痰または採取物)中の病原体の検出であってもよい。この場合、試料は、液体、特に例えば生体物質、例えば体液、採取物、分泌物、痰または組織試料等のヒト由来物質から得られた水溶液を含んでいてもよい。試料内には、例えば医学、臨床、診断または治療に関連する種、例えば細菌、ウイルス、細胞、循環腫瘍細胞、無細胞DNA、タンパク質または別のバイオマーカーまたは特に上述した物体の成分が存在している。例えば試料液体は、例えば上述したように少なくとも1つの増幅反応を実行するためのマスターミックスまたはその成分である。
【0048】
カートリッジ100,101,102は、処理のために好適には地球の重力場に対して傾けられて方向付けられ、これにより、カートリッジ100,101,102内の液体の、重力に基づくマイクロ流体処理が可能になる。カートリッジ100,101,102のこのような向きにより、例えば、遊離させられた液体試薬を前置室の下端部に集め、そこからカートリッジ100,101,102のマイクロ流体ネットワーク内でさらに処理することができる。例えばこの場合、カートリッジ100,101,102は、基底面の平面に対する法線と、重力場50の方向との間の角度が0~80度、好適には10~80度、例えば30度であるように向けられている。
【0049】
方法700の第2のステップ702では、L字形カートリッジ100,101,102を処理ユニット内で処理し、これにより、例えばL字形カートリッジ100,101,102内の試料を上述したように処理する。
【0050】
方法700の第3のステップ703では、カートリッジ100,101,102を処理ユニットから出し、好適には追加的に分析結果を出力する。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体カートリッジ(100,101,102)であって、前記マイクロ流体カートリッジ(100,101,102)の基底面(105)がL字形を有している、マイクロ流体カートリッジ(100,101,102)。
【請求項2】
前記基底面(105)は、矩形を基調としておりかつ該矩形の1つの角隅領域が欠落しており、これにより、第1のマイクロ流体カートリッジ(101)は、同じ基底面(105)を備えた第2のマイクロ流体カートリッジ(102)に対して、一方のマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)の前記基底面(105)の突出部(160)が、それぞれ他方のマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)の前記基底面(105)の前記欠落した角隅領域内に係合するように配置され得る、請求項1記載のマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)。
【請求項3】
前記突出部(160)は、第2の突出部(170)を有しており、該第2の突出部(170)は、好適には第1の前記突出部(160)の前面に配置されている、請求項記載のマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)。
【請求項4】
前記突出部(160)は少なくとも部分的に、先細になる幅(111)を有しており、特に、第1の縦辺(110)と第2の縦辺(112)とは、前記突出部(160)に沿って互いに向かって収束して延びている、請求項2または3記載のマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)。
【請求項5】
前記突出部(160)は、該突出部(160)の面積と前記欠落した角隅領域の面積とが同一または近似の寸法を有するように形成されている、請求項から4までのいずれか1項記載のマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)。
【請求項6】
前記基底面(105)の一方の縦辺(112)と一方の横辺(122)とは、90度よりも大きな角度(114)で相対して位置している、請求項1から5までのいずれか1項記載のマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)。
【請求項7】
第1の寸法(110)の長さと、第2の寸法(121)の長さとの比は、1.4~2.0、好適には1.5~1.7、極めて好適には1.58~1.65である、請求項1から6までのいずれか1項記載のマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)。
【請求項8】
前記マイクロ流体カートリッジ(100,101,102)の1つの角隅部または複数の角隅部は、丸み付けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載のマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の第1のマイクロ流体カートリッジ(101)と、同じ基底面(105)を備えた第2のマイクロ流体カートリッジ(102)とを含む装置(300)であって、一方のマイクロ流体カートリッジ(101,102)の前記基底面(105)の突出部(160)が、それぞれ他方のマイクロ流体カートリッジ(101,102)の前記基底面(105)の欠落した角隅領域内に係合しているように、2つの前記マイクロ流体カートリッジ(101,102)が互いに結合されている、装置(300)。
【請求項10】
請求項1からまでのいずれか1項記載のマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)を製造する方法(600)であって、
1つのワーク支持体上に、L字形の基底面(105)を有する2つの半製品を配置するステップ(601)と、
前記半製品に別の部品を装備することを含む、前記2つの半製品の並行処理を行うステップ(602)と、
前記2つの半製品に各1つの別の半製品を提供するステップ(603)と、
前記2つの半製品をL字形の基底面(105)を有する2つのマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)に個別化するステップ(605)と
を含む、方法(600)。
【請求項11】
請求項1から8までのいずれか1項記載のマイクロ流体カートリッジ(100,101,102)を処理する方法(700)であって、前記マイクロ流体カートリッジ(100,101,102)を、処理ユニット内で傾けて処理する、方法(700)。
【国際調査報告】