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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】圧力容器のための取付けシステム
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/08 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
F17C13/08 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562784
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 EP2022058511
(87)【国際公開番号】W WO2022218711
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】102021109703.7
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523359294
【氏名又は名称】ワーシントン・シリンダーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Worthington Cylinders GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ベーア,オリヴァー
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172AB04
3E172BA01
3E172BB05
3E172BD03
3E172CA12
3E172CA24
3E172DA90
3E172KA03
(57)【要約】
本発明は、圧力容器のための取付けシステムであって、圧力容器の第1の端部のための少なくとも1つの第1の取付け部(6)が配置された第1の支持部材と、圧力容器の第2の端部のための少なくとも1つの第2の取付け部が配置された第2の支持部材とを備え、第1の取付け部(6)が内輪(11)を有し、内輪(11)に圧力容器(1)の第1の端部が相対回転不能に収容される、取付けシステムに関する。本発明の課題は、圧力容器のネックピースの取付けを最適化することである。上記課題は、内輪(11)が第1の旋回軸を中心に旋回可能に外輪(12)内に取り付けられ、外輪(12)自体は、第1の旋回軸に対して直角に延びる第2の旋回軸を中心に旋回可能に取付け部(6)内に取り付けられることによって解決される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器(1)のための取付けシステムであって、
前記圧力容器(1)の第1の端部のための少なくとも1つの第1の取付け部(6)が配置された第1の支持部材(3)と、
前記圧力容器(1)の第2の端部のための少なくとも1つの第2の取付け部(6’)が配置された第2の支持部材(3)と、
を備え、
前記第1の取付け部(6)が内輪(11)を有し、前記内輪(11)に前記圧力容器(1)の前記第1の端部が相対回転不能に収容され、
前記内輪(11)が第1の旋回軸を中心に旋回可能に外輪(12)内に取り付けられており、前記外輪(12)自体は、前記第1の旋回軸に対して直角に延びる第2の旋回軸を中心に旋回可能に前記第1の取付け部(6)内に取り付けられていることを特徴とする、取付けシステム。
【請求項2】
前記内輪(11)が、以下の特徴の少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1に記載の取付けシステム:
・前記内輪(11)が、直径方向に延びる第1の分割面に沿って分割される2つの内輪半体(29,30)からなる;
・前記内輪(11)が、2つの第1のピボット(28)を介して前記外輪(12)に回転可能に取り付けられる;
・前記内輪(11)が、内方に向かって開放する環状溝(33)を有し、前記環状溝(33)に前記圧力容器(1)の前記第1の端部のカラー(41)を挿入可能である;
・前記内輪(11)が、少なくとも1つの保持要素(34)を有し、前記保持要素(34)が、前記圧力容器(1)の前記第1の端部の相補的な保持要素と形状結合的に協働する;
・保持要素として、直径方向で互いに反対の側に位置する2つの材料突出部(34)が設けられ、前記材料突出部(34)が、前記環状溝(33)の底部から半径方向内方に突出し、かつ、各内輪半体(29,30)にそれぞれ配置される;
・前記第1のピボット(28)がピボット穴(31,32)内に突出し、前記ピボット穴(31,32)が、前記材料突出部(34)の領域に、直径方向で互いに反対の側に位置するように配置されている。
【請求項3】
前記外輪(12)が、以下の特徴の少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の取付けシステム:
・前記外輪(12)が、直径方向に延びる第2の分割面に沿って分割される2つの外輪半体(25,26)からなる;
・前記第2の分割面の領域に、2つの第1のピボット(28)を収容するための、直径方向で互いに反対の側に位置する2つの収容穴が配置される;
・各外輪半体(25,26)が、第2のピボットを収容するためのピボット穴(23,24)を、中央領域に有する。
【請求項4】
前記第2の分割面は、前記第1の分割面に対して直角に延びることを特徴とする、請求項2及び請求項3に記載の取付けシステム。
【請求項5】
前記外輪(12)が取付けブロック(6)内に取り付けられており、前記取付けブロック(6)は、直径方向に延びる第3の分割面に沿って分割される2つの取付け半体(7,8)からなることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の取付けシステム。
【請求項6】
前記取付けブロックが環状の収容溝(17,18)を有し、前記環状の収容溝(17,18)に取付けリング(13)が挿入され、前記取付けリング(13)は、前記第3の分割面に対して直角に延びる第4の分割面に沿って2つの取付けリング半体(19,20)に分割されることを特徴とする、請求項4及び請求項5に記載の取付けシステム。
【請求項7】
前記取付けリング(13)は、各1つの第2のピボット(22)を収容するための、直径方向で互いに反対の側に位置する2つの収容穴を、前記第4の分割面の領域に有することを特徴とする、請求項6に記載の取付けシステム。
【請求項8】
前記取付けリング(13)は、前記環状の収容溝(17,18)内に回転可能及びロック可能に保持されることを特徴とする、請求項7に記載の取付けシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの取付け半体(7,8)がねじ穴(15,16)を有し、前記ねじ穴(15,16)は、前記収容溝(17,18)に通じており、かつ、前記取付けリング(13)をロックするためのグラブねじ(14)を収容することを特徴とする、請求項8に記載の取付けシステム。
【請求項10】
前記圧力容器(1)の前記第2の端部が、前記圧力容器(1)の長手方向に可動に前記第2の取付け部(6’)に取り付けられることを特徴とする、請求項1~請求項9のいずれか1つに記載の取付けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器のための取付けシステムであって、圧力容器の第1の端部のための少なくとも1つの第1の取付け部が配置された第1の支持部材と、圧力容器の第2の端部のための少なくとも1つの第2の取付け部が配置された第2の支持部材とを備え、第1の取付け部が内輪を有し、内輪に圧力容器の第1の端部が相対回転不能に収容される、取付けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素又は液化ガスなどのガスを収容するための圧力容器は、多くの場合、プラスチック、又は例えばアルミニウムなどの金属で作られたライナと、ネック領域に配置された2つの金属製ネックピースと、ライナを補強する繊維複合材料の巻物とを備えるコンポジット圧力容器として形成されている。このような圧力容器は、例えば国際公開第99/27293号明細書から知られている。ネックピースはエンドボスとも呼ばれ、充填及び取出しバルブを取り付けるために用いられる。このようなバルブを圧力容器の両端部に設けることができる。或いは、圧力容器の一端部を閉じることもできる。圧力容器がネックピースによって取付けシステムにも取り付けられ、取付けシステムによって複数の圧力容器を、例えば車両に取り付けることができる。
【0003】
取付けシステムは、例えば、加国特許発明第2384915号明細書から知られている。ネックピースをしっかりとクランプする取付けブロックが両端部に設けられる。このような取付けシステムの問題は、取付けシステムに作用する力が圧力容器に導入される危険性である。これは圧力容器の強度を損ない、圧力容器に可燃性媒体が充填されているため安全上のリスクも生じる可能性がある。加国特許発明第2384915号明細書では、ベアリングが圧力容器の長手方向にある程度の撓曲性を有し、これが圧力容器への過大な力の導入を回避する。米国特許出願公開第2004/9056164号明細書及び米国特許出願公開第2017/0370527号明細書は圧力容器のための取付けシステムについて記載し、これらのシステムでは、エンドボスがボールを介して取付けシステムの取付け部材に接続される。このようにして、回転力や曲げ力がエンドボスに導入されることが回避される。請求項1の前提部に記載の圧力容器のための取付けシステムは、米国特許出願公開第2017/0370527号明細書及び米国特許第6986490号明細書に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、圧力容器のネックピースの取付けを最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、内輪が第1の旋回軸(ピボット軸)を中心に旋回可能に外輪に(外輪内に)取り付けられ、外輪自体は、第1の旋回軸に対して直角に延びる第2の旋回軸を中心に旋回可能に取付け部に(取付け部内に)取り付けられることによって解決される。
【0006】
換言すれば、圧力容器の少なくとも1つのネックピースのためにジンバルサスペンションを設けることが提案される。ネックピース自体は、このジンバルサスペンションに回転不能に保持される。これによって、ネックピースに取り付けられる取付け部品、特にバルブによる圧縮ガスの供給(充填)及び取出しのための配管の損傷が回避される。その場合、この取付けの設計は簡単に実装でき、必要な強度があり、組付けと取外しが容易である。
【0007】
実際には、内輪は、直径方向に延びる第1の分割面に沿って分割される2つの内輪半体からなることができる。これには、これらの内輪半体をネックピースの周りに簡単に組み付けることができるという利点がある。その場合、内輪は、2つの第1のピボットを介して外輪に回転可能に取り付けることができる。各内輪半体にピボット穴を配置することができ、このピボット穴内にピボットの1つが突出する(入り込む)。内輪は、内方に向かって開放する環状溝を有し、この環状溝に圧力容器の第1の端部の、特にネックピースのカラーを挿入可能である。2つの内輪半体は、それらの端面が第1の分割面で互いに当接するまで、カラーに簡単に押し付けること(スライドさせること)ができる。内輪は少なくとも1つの保持要素を更に有することができ、保持要素は圧力容器の第1の端部の相補的な保持要素と形状結合的に協働する。内輪半体が押し合わされたときに係合するように保持要素と相補的な保持要素を形成することができる。保持要素として、直径方向で互いに反対の側に位置する(直径方向で互いに向かい合う)2つの材料突出部を設けることができ、これらの材料突出部は溝の底部から内方に突出し、内輪半体のうちの1つに(各内輪半体に)それぞれ配置される。その場合、カラーは、円形断面から逸脱する相補的な領域を有し、この領域は、内輪が組み立てられた場合に材料突出部と形状結合的に協働する。第1のピボットは、材料突出部の領域に直径方向で互いに反対の側に位置するように配置されたピボット穴内に突出することができる。特に、材料突出部が溝の平坦部として、又は溝内の凸部として形成され、相補的に成形されたカラーの収容部又は平坦部に受け入れられる場合、内輪の材料厚さが材料突出部の領域において最大であり、ピボットの収容の強度が高い。
【0008】
実際には、外輪は、直径方向に延びる第2の分割面に沿って分割される2つの外輪半体からなることができる。従って、外輪は、内輪と類似の構造になる。第2の分割面の領域には、2つの第1のピボットを収容する(受け入れる)ための、直径方向で互いに反対の側に位置する2つの凹部を配置することができる。その場合、内輪のピボット穴内に突出する第1のピボットを、2つの外輪半体の各1つに設けられた2つの凹部によって両側から包囲することができる。このようにして、内輪は、第1のピボットを中心に旋回可能に外輪内に保持される。各外輪半体は、第2のピボットを収容するためのピボット穴を中央領域に有することができる。第2のピボットは、取付けブロックに取り付けられた取付けリングに保持されている。第2のピボットは、外輪を、第2の旋回軸を中心に旋回可能に保持する。取付けブロックは、ネックピースのための取付け部を形成する。
【0009】
その場合、第2の分割面は第1の分割面に対して垂直に延びることができ、それにより第2の旋回軸は第1の旋回軸に対して垂直に延びる。このようにして、内輪と外輪を容易に組み付けることができる。実際には、外輪は、直径方向に延びる第3の分割面に沿って分割される2つの取付け半体からなる取付けブロックに(取付けブロック内に)取り付けられ得る。取付けブロックは、取付けリングが挿入される環状の収容溝を有することができる。取付けリングは、第3の分割面に対して直角に延びる第4の分割面に沿って2つの取付けリング半体に分割される。取付けリングは、第2のピボットの各1つを収容するための、直径方向で互いに反対の側に位置する2つの収容穴を第4の分割面の領域に有することができる。この構造形態もまた、ネックピースのベアリング部の容易な組付けと取外しを達成する。取付けリングは環状の収容溝にわずかな遊びをもって保持され得る。この目的で、2つの取付け半体は、取付け半体の垂直縁(鉛直縁)の領域で互いに一直線に並ぶ穴を通って突出する取付けねじによって取付けシステムに固くねじ締めすることができる。これらの取付けねじは、取付けリングを取付けブロックの収容溝に固定し、かつすべてのリングを互いに、かつネックピースのカラーを内輪に固定する。取付けリングは収容溝内で回転可能であり、それにより取付けリングの回転位置を、バルブが取り付けられたネックピースの取付位置に位置合わせすることができる。取付けリングに向かって取付け半体のねじ穴にねじ込まれるグラブねじにより、取付けリングを回転位置でロック(固定)することができる。
【0010】
実際には、圧力容器の第2の端部を圧力容器の長手方向に可動に第2の取付け部に取り付けることができる。この目的で、第2の取付け部は、圧力容器の第2のネックピース(エンドボス)の円筒部分を取り囲む円筒孔(ボア)を有することができる。その場合、第2の取付け部は、実質的に第1の取付け部に従って形成することができ、その際、軸方向の変位可能性が提供され、例えば、取付けリングを取付けブロックの収容溝内で変位可能にすることができる。或いは、ネックピースは、軸方向に変位可能(スライド可能)に内輪に保持される円筒部分を有することができる。
【0011】
以下、本発明の他の実用的な実施形態及び利点を図面と関連付けて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】4つの圧力容器が4つの取付け部を介して取り付けられた支持体の正面立体図である。
図2図1による支持体の取付け部の立体図である。
図3】圧力容器のネックピースのための収容部がずらされた取付け部の図2に対応する図である。
図4図2及び図3による取付け部の立体分解図である。
図5】圧力容器のネックピースが挿入された取付け部の水平断面図である。
図6】圧力容器を取付け部に対して旋回させた図5に対応する図である。
図7図5及び図6によるネックピースの垂直断面(鉛直断面)の拡大図である。
図8図7によるネックピースの正面図である。
図9図1による圧力容器を有する支持体の背面立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、4つの圧力容器1のための支持体(ラック)が見て取れ、これは2つの縦方向プロファイル2と2つの横方向プロファイル3とを有する閉じたフレームとして形成されている。図1では、前側(フロント)の横方向プロファイル3のみが見て取れる。図9との関連で後述するように、図面の平面における後側(リヤ)の横方向プロファイルを同一に形成することができる。しかし、圧力容器1の後端部が図面に見て取れる前端部とは異なる可能性もあるので、後側の横方向プロファイルは前側の横方向プロファイル3とは異なる可能性もある。前側と後側とで同一のネックピース4(図5図8参照)を有する圧力容器1が知られている。しかし、後端部に異なるネックピース、例えば閉じたネックピースを有する圧力容器1も知られている。
【0014】
圧力容器1は、特に車両用の気体燃料、例えば液化ガス又は水素を収容するために用いることができる。図5図8に見て取れる圧力容器1のネックピース4は通路孔(貫通孔)を有し、その孔を通じて、圧力容器1に燃料を充填することができ、また、圧力容器1を再び空にすることができる。圧力容器のネックピース4には、圧力容器1に補給する際、及び圧力容器を空にする際にガスの流れを制御する、図1に見て取れる取出しバルブ5が配置されている。
【0015】
図1では、前側の横方向プロファイル3に4つの取付け部(ホルダ)6が見て取れ、これらについて以下の図と関連付けて詳しく説明する。図1では、バルブ5と取付け部6がネックピース4を覆っている。取付け部6の役割は、図5及び図6に見える圧力容器1のネックピース4を固定すること、しかしその際、ある程度の可動性を保証することである。特に、支持体に作用する力又はモーメントを圧力容器1が受けるべきでない。これらの力及びモーメントは、ほとんどが支持体のフレームのプロファイル2,3によって受けられるべきである。フレームが変形するだけでなく、温度や内圧に応じて圧力容器1が変形するため、圧力容器1のネックピース4を可動に保持することが必要となる。その一方で、ネックピース4を取付け部6内に回転できないように収容することを目指さなければならない。ネックピース4の回転は、これに取り付けられた取出しバルブ5の損傷や漏れにつながる可能性がある。
【0016】
図2図4は、ネックピース4のための取付け部6の詳細を示す。各取付け部は、2つの取付け半体(ベアリング半体)7,8からなる取付けブロック(ベアリングユニット)6によって形成されることが見て取れる。両方の取付け半体7,8は、取付けねじ(図示せず)によって貫通される互いに一直線に並ぶ貫通穴9,10を有し、それによりフレームの前側の横方向プロファイル3に取付け可能である。
【0017】
特に図2及び図3に見て取れるように、各取付けブロック6は、内輪(インナーリング)11及び外輪(アウターリング)12を有し、これらは共同でジンバルサスペンションを形成する。特に図3に見て取れるように、内輪11は水平軸を中心に、及び外輪12は垂直軸(鉛直軸)を中心に旋回することができる。しかしながら、以下に説明するように、内輪11と外輪12は取付けブロック6に回転可能に取り付けられているので、軸の向きが変化する可能性がある。
【0018】
取付けブロック6の構造形態は、特に図4に見て取れる。ここでは、取付けブロック6の個々の部品が立体的な分解図で示されている。
【0019】
取付けブロック6の取付け半体7,8には溝半部17,18が配置され、これらは一緒に環状の収容溝を形成する。この環状の収容溝には取付けリング13が回転可能に収容されている。取付けリング13は図3に見て取れる。これは、取付けブロック6内での内輪11及び外輪12の回転可能な配置のために用いられる。以下に説明するように、圧力容器1のネックピース4は内輪11に固定される。ネックピース4を取付けブロック6内に正しい向きで収容できるようにするために、取付けリング13が回転可能である。取付けリング13を適切な回転位置に回転させ、そこでグラブねじ14で締め付けることができる。2つの取付け半体7,8には、グラブねじ14をねじ込むための2つのねじ穴15,16が配置され、グラブねじ14は、取付けシステム全体を圧力容器1に組み付けた後に、取付けリング13をネックピース4の正しい回転位置で取付けブロック6に固定する。十分なクランプ力(締め付け力)を生成するのに1つのグラブねじ14で十分な場合、別のグラブねじ14を省略することができる。
【0020】
取付けリング13は、垂直面(鉛直面)で分割された2つの取付けリング半体19,20(図4)からなる。取付けリング13の分割面の領域には、それぞれが半円形の凹部21が取付けリング半体19,20の端面に配置されている。取付けリング半体19,20の2つの相互に当接する端面上のそれぞれの2つの凹部21は一緒にピボット(ピン)22の半径方向で外側のヘッド部分のための収容穴を形成し、ピボット22によって、外輪12が垂直旋回軸(鉛直旋回軸)を中心に回転可能に取付けリング13と接続される。この目的で、外輪12は2つのピボット穴(ピン穴)23,24を有し、この中に、内方に突出する縮径されたピボット22のネック部分を差し込むことができる。各ピボット穴23,24は、外輪半体25,26の中央領域に配置されている。
【0021】
外輪12自体は、同様に端面に半円形の凹部27を有する2つの外輪半体25,26からなる。この場合も、外輪半体25,26の相互に当接する端面における2つの半円形の凹部が一緒に収容穴を形成し、この中に、ピボット(ピン)28のヘッド部分をそれぞれ収容可能である。この場合もまた、ヘッド部分、すなわち、外輪12の半径方向外側に位置するピボット28の大径の領域が収容穴に挿入される。外輪12は水平面で分割されているので、2つのピボット28は内輪11のための水平旋回軸を形成する。
【0022】
内輪11も、2つの内輪半体29,30からなる。2つの内輪半体29及び30もそれぞれ、ピボット28の半径方向で内側に位置するネック部分をそれぞれ収容するピボット穴(ピン穴)31及び32を有する。内輪11もまた垂直面(鉛直面)で分割されている。内輪11は、その中心に向かって開放する環状溝(リング溝)33を有する。開放する環状溝33の側方領域(横領域)には、環状溝33の底部から突出する材料突出部34が設けられ、それにより側方で環状溝33の深さが低減されている。
【0023】
内輪11の環状溝33とネックピース4との協働を説明するために、まず、ネックピース4が縦断面図と正面図とに分けて示される図7及び図8、並びにネックピース4と圧力容器1の隣接する領域とを示す図5及び図6を参照されたい。
【0024】
図5及び図6には、圧力容器1が圧力容器を密に内張りするライナ35を有することが認識できる。ライナ35は、プラスチックからだけでなく、例えばアルミニウムなどの金属からもなることができる。ライナ35は外側が、通常、繊維複合材料から形成される外層36によって取り囲まれる。ネックピース4は、圧力容器1の内部からガスを取り出すため、及び補給するための貫通穴を有する。ライナ35のネック部分37はネックピース4にねじ込まれている。
【0025】
ネックピース4は、実際にはエンドボスとも呼ばれる。ネックピース4は、通常、金属からなり、この場合、圧力容器1のライナ35と外層36との間に位置する円錐形のカラー38を有する。ネックピース4は、半径方向外方に突出する更に別のカラー39,40を有し、これらは外層36との固い接続を保証する。ネックピース4の前端部に最も近いところに位置する最後のカラー41は、取付け部6との接続のために用いられる。このカラー41は、図7及び図8に見て取れる。このカラー41は、溝33の側方領域の材料突出部34と協働する平坦部42,43を両側に有する。当然のことながら、ネックピース4を内輪11に相対回転不能に(一体回転可能に)接続するために、形状結合的に互いに係合する他のすべての取付け要素を設けることもできる。回転止めをもたらすために、ねじ要素又はクランプ要素を使用することもできる。
【0026】
ネックピース4の前カラー41は、内輪11の環状溝33に挿入される。製造公差により、圧力容器1の残りの部分に対するネックピース4の回転位置に偏差(ずれ)が生じることがある。この理由から、取付けリング13は取付けブロック6内に回転可能に保持され、圧力容器1のネックピース4が取付けブロック6に正しく組み付けられて初めてグラブねじ14によって取付けブロック6に固定される。続いて、カラー41は、材料突出部34及び平坦部42,43によって取付けブロック6内に回転不能に保持される。取付けブロック6は、前側の横方向プロファイル3に対するネックピース4の位置を固定する固定側ベアリングをなし、ネックピース4は、冒頭で述べたようにジンバル的に保持され、直交する、かつピボット22及び28によって形成される2つの軸を中心に任意の方向に旋回可能である。従って、フレーム又はフレームに取り付けられた圧力容器1が変形した場合の取付けブロック6のわずかな動きが、圧力容器1の構造に作用する力を生成することはない。
【0027】
図1では見えない圧力容器1の後端部が図9にて見て取れる。コスト上の理由から、ここに見て取れる後側の横方向プロファイル3を前側の横方向プロファイル3(図1)と同一に形成することができる。圧力容器1の後端部にあるネックピースのための取付けブロック6’も、前側の取付けブロック6と同様にすることができる。後側の取付けブロック6’は、圧力容器1のネックピースが軸方向に変位可能に収容されている、ネックピースのための自由側ベアリング(フローティングベアリング)を形成することができる。圧力容器1は、外気温及び内圧に応じて最大8mm長くなる可能性がある。この理由から、図9に見ることができる、各圧力容器1の後端部が後側の横方向プロファイル3に対して移動する可能性がある。この目的で、後側の取付け部又は取付けブロック6’に軸方向の自由度を設けることができる。これは、例えば、取付けリング13が溝内ではなく、平坦な環状面若しくは円筒面上に載るように、かつ変位可能に保持されることによって達成することができる。その場合、圧力容器1の後側のネックピースのためのジンバル的取付けが得られるが、支持点(ベアリングポイント)が長手方向に変位可能であり、それによって、圧力容器1に作用する長手方向の応力が回避される。
【0028】
本明細書、図面、及び請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個別でも任意に組み合わせても、本発明を様々な実施形態で実現するために重要であり得る。本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明は、請求の範囲内で、及び当該分野の当業者の知識を考慮して変更することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 圧力容器
2 縦方向プロファイル
3 横方向プロファイル、支持部材
4 ネックピース
5 取出しバルブ
6 前側取付け部、取付けブロック
6’ 後側取付け部、取付けブロック
7 下側取付け半体
8 上側取付け半体
9 貫通穴
10 貫通穴
11 内輪
12 外輪
13 取付けリング
14 グラブねじ
15 ねじ穴
16 ねじ穴
17 溝部分
18 溝部分
19 取付けリング半体
20 取付けリング半体
21 凹部
22 ピボット
23 ピボット穴
24 ピボット穴
25 外輪半体
26 外輪半体
27 凹部
28 ピボット
29 内輪半体
30 内輪半体
31 ピボット穴
32 ピボット穴
33 環状溝
34 材料突出部
35 ライナ
36 外層
37 ネック部分
38 円錐形のカラー
39 カラー
40 カラー
41 カラー
42 平坦部
43 平坦部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】