(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】多層コーティングアーキテクチャを使用したインプリントリソグラフィ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20240415BHJP
G02B 1/11 20150101ALI20240415BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240415BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B1/11
G02B5/30
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564148
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022071832
(87)【国際公開番号】W WO2022226515
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】メネゼス, マーロン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】シン, ビクラムジト
(72)【発明者】
【氏名】シュー, フランク ワイ.
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
2H249
2K009
【Fターム(参考)】
2H149AA17
2H149BA23
2H149FA08W
2H149FA10W
2H149FA13Z
2H149FD47
2H149FD48
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA30
2H199CA32
2H199CA50
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2H199CA55
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2H199CA92
2H199CA93
2H199CA94
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2H199CA96
2H249AA03
2H249AA13
2H249AA40
2H249AA43
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA64
2K009AA02
2K009BB24
2K009CC21
2K009CC22
2K009CC24
2K009CC33
2K009DD02
(57)【要約】
光学的特徴を形成するための構造および光学的特徴を形成するための方法が開示される。いくつかの実施形態では、構造は、光学的特徴に対応するパターンを備えるパターン化層と、ベース層と、パターン化層およびベース層に結合された中間層とを備える。本開示では、光学スタックを製造する方法が提供され、該方法は、ベース層上に中間層を堆積させることと、該中間層を前記ベース層に結合することと、該中間層上に、該光学スタックの光学的特徴に対応するパターンを備えるパターン化層を堆積させることと、該パターン化層を該中間層に結合することと、該パターン化層を介して該光学的特徴を形成することとを含み、該光学スタックは、導波路を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学スタックを製造する方法であって、前記方法は、
ベース層上に中間層を堆積させることと、
前記中間層を前記ベース層に結合することと、
前記中間層上に、前記光学スタックの光学的特徴に対応するパターンを備えるパターン化層を堆積させることと、
前記パターン化層を前記中間層に結合することと、
前記パターン化層を介して前記光学的特徴を形成することと
を含み、
前記光学スタックは、導波路を備える、方法。
【請求項2】
前記光学的特徴を形成することは、プレートツープレート、プレートツーロール、ロールツーロール、またはロールツープレートのインプリントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中間層上に前記パターン化層を堆積させることは、スロットダイ、マイクログラビア、ナイフエッジ、ドクターブレード、またはスプレーコーティングの1つ以上を使用してインプリントすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記パターン化層と前記中間層との間の結合は、共有結合および物理結合の1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ベース層は、ポリカーボネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記中間層は、1μm~25μmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記パターン化層は、5μm~6μmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記パターン化層の幅は、25mm~450mmである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記パターン化層は、メタクリレートまたはアクリレートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記パターン化層は、プラスチックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記パターン化層は、エポキシおよびビニル二重官能性を有するポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記中間層は、架橋ポリマーコーティングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ベース層は、可撓性基材を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記パターンは、10nm~150nmのピッチを有する反射防止特徴を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記パターンは、10nm~100nmの寸法を有するワイヤグリッド偏光子を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記パターンは、光学回折のために100nm~1000nmのピッチを有する光学格子を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記パターンは、0.1μm~1000μmのピッチを有する光アライメント基準を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
装置であって、
光学的特徴に対応するパターンを備えるパターン化層であって、前記パターン化層は、導波路のパターンを形成するように構成される、パターン化層と、
ベース層と、
前記パターン化層および前記ベース層に結合された中間層と
を備える、装置。
【請求項19】
システムであって、
ディスプレイを備えるウェアラブルヘッドデバイスであって、
前記ディスプレイは、光学スタックを備え、
前記光学スタックの光学的特徴は、
前記光学的特徴に対応するパターンを備えるパターン化層であって、前記パターン化層は、導波路のパターンを形成するように構成される、パターン化層と、
ベース層と、
前記パターン化層および前記ベース層に結合された中間層と
を備える構造を使用して形成される、ウェアラブルヘッドデバイスと、
1つ以上のプロセッサであって、前記1つ以上のプロセッサは、方法を実行するように構成されており、前記方法は、
前記ディスプレイ上に、複合現実環境に関連付けられたコンテンツを提示することであって、前記コンテンツを提示することが、前記導波路の前記パターンを介して光を伝播することを含む、こと
を含む、1つ以上のプロセッサと
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月21日に出願された米国仮特許出願第63/177,828号の優先権を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、多層構造を使用するインプリントリソグラフィに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
インプリントリソグラフィのプロセスは、基材上に堆積され(例えば、インクジェットされ、スロットダイコーティングされ)、テンプレートと接触する硬化性溶液を含み得る。テンプレートは、望ましい微細パターンまたはナノパターンを含み得る。硬化後、溶液は、基材上にパターン化層(例えば、パターン化ポリマー層)として固化する。インプリントリソグラフィの性能(例えば、パターン忠実度、欠陥生成、スループット、インプリント寿命)は、溶液に関連する不十分な接着および/または過度の望ましくない化学的相互作用によって悪影響を受ける場合がある。望ましくない化学的相互作用は、溶液膨潤、基材ポリマーの局所的に溶解するポリマー鎖、または溶液(例えば、低粘度インプリント)と基材(例えば、裸ポリカーボネート(「PC」)([OC(OC6H4)2CMe2]n)フィルム))との間の化学的インプリント不適合を含み得る。次に、パターン化解決策は、パターンによって生成された構造(例えば、導波路)に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、費用対効果の高い方法で悪影響を低減することによってパターンを改善することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
光学的特徴を形成するための構造および光学的特徴を形成するための方法が開示される。いくつかの実施形態では、構造は、光学的特徴に対応するパターンを備えるパターン化層と、ベース層と、パターン化層およびベース層に結合された中間層とを備える。
【0005】
いくつかの実施形態では、パターン化層と中間層との間の結合は、共有結合、物理結合、またはその両方を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、ベース層はPCを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、中間層は、1~25μmの厚さを有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、5μm~6μmの厚さを有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、パターン化層の幅は、25mm~450mmである。
【0010】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、導波路のパターンを形成するように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、パターン化層のトポグラフィは、20nm~25nmの波形を備える。
【0012】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、メタクリレートまたはアクリレートを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、プラスチックを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、エポキシおよびビニル二重官能性を含むポリマーを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、硬化性溶液を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、中間層は、架橋ポリマーコーティングを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、ベース層は、可撓性基材を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、10~150nmの寸法を含む反射防止特徴を形成するように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、10~100nmの寸法を含むワイヤグリッド偏光子を形成するように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、100~1000nmの寸法を含む光学格子を形成するように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、0.1~1000μmの寸法を含む光アライメント基準を形成するように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、光学的特徴を備える光学スタックを製造する方法は、ベース層を提供することと、ベース層上に中間層を堆積させることと、中間層をベース層に結合することと、中間層上に、光学的特徴に対応するパターンを備えるパターン化層を堆積させることと、パターン化層を中間層に結合することと、を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本方法は、パターン化層を使用して光学スタックの光学的特徴を形成することをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、光学スタックは導波路である。
【0025】
いくつかの実施形態では、光学的特徴を形成することは、プレートツープレート(Plate-to-Plate)、プレートツーロール(Plate-to-Roll)、ロールツーロール(Roll-to-Roll)、またはロールツープレート(Roll-to-Plate)のインプリントを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、本方法は、パターン化層を硬化させることをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、中間層上にパターン化層を堆積させることは、スロットダイを使用するインプリント、マイクログラビアを使用するインプリント、ナイフエッジを使用するインプリント、ドクターブレードを使用するインプリント、またはスプレーコーティングを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、パターン化層と中間層との間の結合は、共有結合、物理結合、またはその両方を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、ベース層はPCを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、中間層は、1~25μmの厚さを有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、5μm~6μmの厚さを有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、パターン化層の幅は、25mm~450mmである。
【0033】
いくつかの実施形態では、パターン化層のトポグラフィは、20nm~25nmの波形を備える。
【0034】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、メタクリレートまたはアクリレートを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、プラスチックを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、エポキシおよびビニル二重官能性を含むポリマーを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、硬化性溶液を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、中間層は、架橋ポリマーコーティングを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、ベース層は、可撓性基材を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、パターンは、10~150nmの寸法を含む反射防止特徴を備える。
【0041】
いくつかの実施形態では、パターンは、10~100nmの寸法を含むワイヤグリッド偏光子を備える。
【0042】
いくつかの実施形態では、パターンは、100~1000nmの寸法を含む光学格子を備える。
【0043】
いくつかの実施形態では、パターンは、0.1~1000μmの寸法を含む光アライメント基準を備える。
【0044】
いくつかの実施形態では、システムは、ディスプレイを備えるウェアラブルヘッドデバイスを備える。ディスプレイは、光学的特徴を備える光学スタックを備え、光学的特徴は、上述した構造を使用して形成される。システムは、複合現実環境に関連付けられたコンテンツをディスプレイ上に提示することを含む方法を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを備え、コンテンツは、光学的特徴に基づいて提示される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴うこの特許または特許出願公開の写しは、請求および必要な料金の支払いに応じて庁によって提供される。
【0046】
【
図1A】
図1A~
図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な環境を示している。
【
図1B】
図1A~
図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な環境を示している。
【
図1C】
図1A~
図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な環境を示している。
【0047】
【
図2A】
図2A~
図2Dは、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【
図2B】
図2A~
図2Dは、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【
図2C】
図2A~
図2Dは、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【
図2D】
図2A~
図2Dは、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【0048】
【
図3A】
図3Aは、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実ハンドヘルドコントローラを示している。
【0049】
【
図3B】
図3Bは、本開示の実施形態にかかる、例示的な補助ユニットを示している。
【0050】
【
図4】
図4は、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムの例示的な機能ブロック図を示している。
【0051】
【
図5】
図5は、本開示の実施形態にかかる、例示的な構造を示している。
【0052】
【0053】
【
図7】
図7は、本開示の実施形態にかかる、例示的な構造を示している。
【0054】
【
図8】
図8は、本開示の実施形態にかかる、光学スタックを製造する例示的な方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0055】
詳細な説明
以下の例の説明では、本明細書の一部を形成し、実施されることができる特定の例を例示として示す添付の図面を参照する。開示された例の範囲から逸脱することなく、他の例が使用されることができ、構造的変更が行われることができることを理解されたい。
【0056】
全ての人と同様に、複合現実システムのユーザは、現実環境、すなわち、ユーザによって知覚可能な「現実世界」の3次元部分およびそのコンテンツの全てに存在する。例えば、ユーザは、人間の通常の感覚(視覚、音、触覚、味覚、嗅覚)を使用して現実環境を知覚し、現実環境内で自分の身体を動かすことによって現実環境と相互作用する。現実環境における位置は、座標空間における座標として記述されることができる。例えば、座標は、海面に対する緯度、経度、および高度;基準点からの3つの直交寸法における距離;または他の適切な値を含むことができる。同様に、ベクトルは、座標空間内の方向および大きさを有する量を記述することができる。
【0057】
コンピューティングデバイスは、例えば、デバイスに関連付けられたメモリに、仮想環境の表現を維持することができる。本明細書で使用される場合、仮想環境は、3次元空間の計算表現である。仮想環境は、任意のオブジェクト、アクション、信号、パラメータ、座標、ベクトル、またはその空間に関連付けられた他の特性の表現を含むことができる。いくつかの例では、コンピューティングデバイスの回路(例えば、プロセッサ)は、仮想環境の状態を維持および更新することができる。すなわち、プロセッサは、第1の時間t0において、仮想環境に関連付けられたデータおよび/またはユーザによって提供された入力に基づいて、第2の時間t1における仮想環境の状態を決定することができる。例えば、仮想環境内のオブジェクトが時間t0において第1の座標に位置し、特定のプログラムされた物理的パラメータ(例えば、質量、摩擦係数)を有する場合、ユーザから受信した入力は、方向ベクトルにおいてオブジェクトに力が加えられるべきであることを指示する。プロセッサは、基本力学を使用して時間t1におけるオブジェクトの位置を決定するために運動学の法則を適用することができる。プロセッサは、仮想環境について知られている任意の適切な情報および/または任意の適切な入力を使用して、時間t1における仮想環境の状態を決定することができる。仮想環境の状態を維持および更新する際に、プロセッサは、仮想環境における仮想オブジェクトの作成および削除に関連するソフトウェア;仮想環境における仮想オブジェクトまたはキャラクタの挙動を定義するためのソフトウェア(例えば、スクリプト);仮想環境における信号(例えば、音声信号)の挙動を定義するためのソフトウェア;仮想環境に関連付けパラメータを作成および更新するためのソフトウェア;仮想環境において音声信号を生成するためのソフトウェア;入出力を扱うソフトウェア;ネットワーク動作を実装するためのソフトウェア;アセットデータを適用するソフトウェア(例えば、仮想オブジェクトを経時的に移動させるためのアニメーションデータ);または他の多くの可能性を含む任意の適切なソフトウェアを実行することができる。
【0058】
ディスプレイまたはスピーカなどの出力デバイスは、仮想環境の任意のまたは全ての態様をユーザに提示することができる。例えば、仮想環境は、ユーザに提示されることができる仮想オブジェクト(これは、無生物;人々;動物;ライトなどのオブジェクトの表現を含み得る)を含み得る。プロセッサは、仮想環境のビューを決定することができ(例えば、原点座標、ビュー軸、および錐台を有する「カメラ」に対応する)、ディスプレイに、そのビューに対応する仮想環境の視聴可能なシーンをレンダリングすることができる。この目的のために、任意の適切なレンダリング技術が使用され得る。いくつかの例では、視聴可能なシーンは、仮想環境内のいくつかの仮想オブジェクトを含み、特定の他の仮想オブジェクトを除外し得る。同様に、仮想環境は、1つ以上の音声信号としてユーザに提示され得る音声態様を含み得る。例えば、仮想環境内の仮想オブジェクトは、オブジェクトの位置座標から生じる音を生成し得る(例えば、仮想キャラクタは、発話するか、または効果音を発生させ得る)。あるいは、仮想環境は、特定の位置に関連付けられてもよく、または関連付けられなくてもよい音楽キューまたは周囲音に関連付けられてもよい。プロセッサは、「聴取者」座標に対応する音声信号、例えば、仮想環境内の音の合成に対応し、聴取者座標において聴取者が聞く音声信号をシミュレートするために混合および処理された音声信号を決定し、1つ以上のスピーカを介して音声信号をユーザに提示することができる。
【0059】
仮想環境は、計算構造として存在するため、ユーザは、通常の感覚を使用して仮想環境を直接知覚し得ない。代わりに、ユーザは、例えばディスプレイ、スピーカ、触覚出力デバイスなどによってユーザに提示されるように、仮想環境を間接的に知覚することができる。同様に、ユーザは、仮想環境に直接触れたり、仮想環境を操作したり、仮想環境と直接相互作用したりし得ないが、仮想環境を更新するためにデバイスまたはセンサデータを使用することができるプロセッサに、入力デバイスまたはセンサを介して入力データを提供することができる。例えば、カメラセンサは、ユーザが仮想環境内でオブジェクトを移動させようとしていることを示す光学データを提供することができ、プロセッサは、そのデータを使用して、仮想環境内でオブジェクトにそれに応じて応答させることができる。
【0060】
複合現実システムは、例えば、透過型ディスプレイおよび/または1つ以上のスピーカ(これは、例えば、ウェアラブルヘッドデバイスに組み込まれてもよい)を使用して、現実環境と仮想環境との態様を組み合わせた複合現実環境(MRE)をユーザに提示することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のスピーカは、ウェアラブルヘッドデバイスの外部にあってもよい。本明細書で使用される場合、MREは、現実環境と対応する仮想環境との同時表現である。いくつかの例では、対応する現実環境および仮想環境は、単一の座標空間を共有する。いくつかの例では、実座標空間および対応する仮想座標空間は、変換行列(または他の適切な表現)によって互いに関連付けられる。したがって、単一の座標(いくつかの例では、変換行列とともに)は、現実環境内の第1の位置、および仮想環境内の第2の対応する位置を定義することができ、逆もまた同様である。
【0061】
MREでは、仮想オブジェクト(例えば、MREに関連付けられた仮想環境における)は、現実オブジェクト(例えば、MREに関連する現実環境における)に対応することができる。例えば、MREの現実環境が位置座標に現実のランプポスト(現実オブジェクト)を含む場合、MREの仮想環境は、対応する位置座標に仮想ランプポスト(仮想オブジェクト)を含み得る。本明細書で使用される場合、現実オブジェクトは、対応する仮想オブジェクトと組み合わせて、「複合現実オブジェクト」を構成する。仮想オブジェクトは、対応する現実オブジェクトと完全に一致または位置合わせされる必要はない。いくつかの例では、仮想オブジェクトは、対応する現実オブジェクトの単純化版とすることができる。例えば、現実環境が現実のランプポストを含む場合、対応する仮想オブジェクトは、現実のランプポストとほぼ同じ高さおよび半径の円筒を含み得る(ランプポストがほぼ円筒形の形状であり得ることを反映している)。このように仮想オブジェクトを単純化することは、計算効率を高めることができ、そのような仮想オブジェクトに対して実行される計算を単純化することができる。さらに、MREのいくつかの例では、現実環境内の全ての現実オブジェクトが対応する仮想オブジェクトに関連付けられるとは限らない。同様に、MREのいくつかの例では、仮想環境内の全ての仮想オブジェクトが対応する現実オブジェクトに関連付けられるとは限らない。すなわち、いくつかの仮想オブジェクトは、現実世界の対応物なしで、MREの仮想環境のみであってもよい。
【0062】
いくつかの例では、仮想オブジェクトは、対応する現実オブジェクトの特性とは時々大幅に異なる特性を有し得る。例えば、MRE内の現実環境は、緑色の2本腕のサボテン(とげのある無生物のオブジェクト)を含み得るが、MRE内の対応する仮想オブジェクトは、人間の顔の特徴および無表情を有する緑色の2本腕の仮想キャラクタの特性を有し得る。この例では、仮想オブジェクトは、特定の特性(色、腕の数)においてその対応する現実オブジェクトに似ているが、他の特性(顔の特徴、性格)は、現実オブジェクトとは異なる。このようにして、仮想オブジェクトは、創造的、抽象的、誇張的、または想像的な方法で現実オブジェクトを表す、または、そうでなければ無生物の現実オブジェクトに挙動(例えば、人間の性格)を与える可能性を有する。いくつかの例では、仮想オブジェクトは、現実世界の対応物のない純粋に想像力のある作成物(例えば、場合によっては現実環境内の空きスペースに対応する位置にいる仮想環境内の仮想モンスター)であり得る。
【0063】
いくつかの例では、仮想オブジェクトは、対応する現実オブジェクトに似た特性を有する。例えば、仮想キャラクタは、ユーザに没入型複合現実体験を提供するために、仮想または複合現実環境において生きているような人物として提示され得る。生きているような特徴を有する仮想キャラクタでは、ユーザは、自分が現実の人と相互作用しているように感じることがある。そのような場合、仮想キャラクタの筋肉の動きや視線などの動作は自然に見えることが望ましい。例えば、仮想キャラクタの動きは、対応する現実オブジェクトと同様であるべきである(例えば、仮想人間は、現実の人間のように腕を歩いたり動かしたりすべきである)。別の例として、仮想人間のジェスチャおよび位置決めは自然に見えるべきであり、仮想人間は、ユーザとの最初の相互作用を行うことができる(例えば、仮想人間は、ユーザとの協調的体験を導くことができる)。ここで、生きているような特徴を有する仮想キャラクタの提示についてより詳細に説明する。
【0064】
現実環境を不明瞭にしながらユーザに仮想環境を提示する仮想現実(VR)システムと比較して、MREを提示する複合現実システムは、仮想環境が提示されている間に現実環境が知覚可能なままであるという利点を提供する。したがって、複合現実システムのユーザは、現実環境に関連付けられた視覚的および音声的キューを使用して、対応する仮想環境を体験し、相互作用することができる。例として、本明細書に記載されるように、ユーザは、仮想環境を直接知覚または相互作用し得ないため、VRシステムのユーザは、仮想環境に表示された仮想オブジェクトを知覚または相互作用するのに苦労することがあるが、複合現実(MR)システムのユーザは、自分自身の現実環境内の対応する現実オブジェクトを見て、聞いて、触れることによって仮想オブジェクトと相互作用することがより直感的且つ自然であると見出し得る。このレベルの相互作用性は、仮想環境との没入感、接続感、および関与感を高め得る。同様に、現実環境と仮想環境とを同時に提示することによって、複合現実システムは、VRシステムに関連付けられた否定的な心理的感情(例えば、認知的不協和)および否定的な身体的感情(例えば、酔い)を低減し得る。複合現実システムは、現実世界の体験を増強または変更し得るアプリケーションの多くの可能性をさらに提供する。
【0065】
図1Aは、ユーザ110が複合現実システム112を使用する例示的な現実環境100を示している。複合現実システム112は、例えば本明細書に記載されるように、ディスプレイ(例えば、透過型ディスプレイ)および1つ以上のスピーカ、ならびに1つ以上のセンサ(例えば、カメラ)を備え得る。図示の現実環境100は、ユーザ110が立っている長方形部屋104Aと、現実オブジェクト122A(ランプ)、現実オブジェクト124A(テーブル)、現実オブジェクト126A(ソファー)、および現実オブジェクト128A(絵画)とを含む。部屋104Aは、位置座標(例えば、座標系108)によって空間的に記述され得る。現実環境100の位置は、位置座標の原点(例えば、点106)に関して記述され得る。
図1Aに示すように、その原点106(世界座標)を有する環境/世界座標系108(x軸108X、y軸108Y、およびz軸108Zを含む)は、現実環境100の座標空間を定義することができる。いくつかの実施形態では、環境/世界座標系108の原点106は、複合現実システム112の電源がオンにされた場所に対応し得る。いくつかの実施形態では、環境/世界座標系108の原点106は、動作中にリセットされてもよい。いくつかの例では、ユーザ110は、現実環境100内の現実オブジェクトとみなし得る。同様に、ユーザ110の身体部分(例えば、手、足)は、現実環境100における現実オブジェクトとみなし得る。いくつかの例では、点115(例えば、ユーザ/聴取者/頭部座標)を原点とするユーザ/聴取者/頭部座標系114(x軸114X、y軸114Y、およびz軸114Zを含む)は、複合現実システム112が配置されているユーザ/聴取者/頭部についての座標空間を定義することができる。ユーザ/聴取者/頭部座標系114の原点115は、複合現実システム112の1つ以上の構成要素に対して定義され得る。例えば、ユーザ/聴取者/頭部座標系114の原点115は、複合現実システム112の初期較正中などに、複合現実システム112のディスプレイに対して定義され得る。行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、ユーザ/聴取者/頭部座標系114空間と環境/世界座標系108空間との間の変換を特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、左耳座標116および右耳座標117は、ユーザ/聴取者/頭部座標系114の原点115に対して定義され得る。行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、左耳座標116および右耳座標117とユーザ/聴取者/頭部座標系114空間との間の変換を特徴付けることができる。ユーザ/聴取者/頭部座標系114は、ユーザの頭部、または例えば環境/世界座標系108に対する頭部装着型デバイスに対する位置の表現を単純化することができる。同時位置推定およびマッピング(SLAM)、ビジュアルオドメトリ、または他の技術を使用して、ユーザ座標系114と環境座標系108との間の変換がリアルタイムで決定および更新されることができる。
【0066】
図1Bは、現実環境100に対応する例示的な仮想環境130を示している。図示の仮想環境130は、現実の長方形部屋104Aに対応する仮想の長方形部屋104Bと、現実オブジェクト122Aに対応する仮想オブジェクト122B;現実オブジェクト124Aに対応する仮想オブジェクト124B;現実オブジェクト126Aに対応する仮想オブジェクト126Bとを含む。仮想オブジェクト122B、124B、126Bに関連付けられたメタデータは、対応する現実オブジェクト122A、124A、126Aから導出された情報を含むことができる。仮想環境130は、現実環境100内のいかなる現実オブジェクトにも対応し得ない仮想キャラクタ132をさらに備える。現実環境100における現実オブジェクト128Aは、仮想環境130におけるいずれの仮想オブジェクトにも対応し得ない。点134をその原点とする持続座標系133(x軸133X、y軸133Y、およびz軸133Zを含む)(持続座標)は、仮想コンテンツの座標空間を定義することができる。持続座標系133の原点134は、現実オブジェクト126Aなどの1つ以上の現実オブジェクトに対して/相対的に定義され得る。行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、持続座標系133空間と環境/世界座標系108空間との間の変換を特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、仮想オブジェクト122B、124B、126B、および132のそれぞれは、持続座標系133の原点134に対して独自の持続座標点を有し得る。いくつかの実施形態では、複数の持続座標系が存在してもよく、仮想オブジェクト122B、124B、126B、および132のそれぞれは、1つ以上の持続座標系に対して独自の持続座標点を有してもよい。
【0067】
持続座標データは、物理的環境に対して持続的な座標データであり得る。持続座標データは、持続的仮想コンテンツを配置するためにMRシステム(例えば、MRシステム112、200)によって使用されてもよく、持続的仮想コンテンツは、仮想オブジェクトが表示されているディスプレイの動きに結び付けられなくてもよい。例えば、2次元スクリーンは、スクリーン上の位置に対する仮想オブジェクトを表示し得る。2次元スクリーンの移動に伴って、仮想コンテンツがスクリーンとともに移動してもよい。いくつかの実施形態では、持続的仮想コンテンツは、部屋の隅に表示され得る。MRユーザは、隅を見て、仮想コンテンツを見て、隅から外を見てもよく(ユーザの頭部の動きにより、仮想コンテンツがユーザの視野内からユーザの視野外の位置に移動した可能性があるため、仮想コンテンツはもはや見えなくなり得る)、後ろを見て隅内の仮想コンテンツを見てもよい(現実オブジェクトが挙動し得る方法と同様)。
【0068】
いくつかの実施形態では、持続座標データ(例えば、持続座標系および/または持続座標フレーム)は、原点および3つの軸を含むことができる。例えば、持続座標系は、MRシステムによって部屋の中心に割り当てられ得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、部屋の中を動き回ったり、部屋の外に出たり、部屋に再び入ったりしてもよく、持続座標系は、(例えば、物理的環境に対して持続することから)部屋の中心に留まってもよい。いくつかの実施形態では、仮想オブジェクトは、持続的仮想コンテンツの表示を可能にし得る持続座標データへの変換を使用して表示され得る。いくつかの実施形態では、MRシステムは、持続座標データを生成するために同時位置特定およびマッピングを使用し得る(例えば、MRシステムは、持続座標系を空間内の点に割り当て得る)。いくつかの実施形態では、MRシステムは、一定の間隔で持続座標データを生成することによって環境をマッピングし得る(例えば、MRシステムは、グリッド内に持続座標系を割り当て得て、持続座標系は、別の持続座標系から少なくとも5フィート以内にあり得る)。
【0069】
いくつかの実施形態では、持続座標データは、MRシステムによって生成され、リモートサーバに送信され得る。いくつかの実施形態では、リモートサーバは、持続座標データを受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、リモートサーバは、複数の観測インスタンスからの持続座標データを同期させるように構成され得る。例えば、複数のMRシステムは、同じ部屋を持続座標データによってマッピングし、そのデータをリモートサーバに送信し得る。いくつかの実施形態では、リモートサーバは、この観測データを使用して、1つ以上の観測に基づき得る標準的な持続座標データを生成し得る。いくつかの実施形態では、標準的な持続座標データは、持続座標データの単一の観測よりも正確および/または信頼性が高くてもよい。いくつかの実施形態では、標準的な持続座標データは、1つ以上のMRシステムに送信され得る。例えば、MRシステムは、画像認識および/または位置データを使用して、対応する標準的な持続座標データを有する部屋に位置することを認識し得る(例えば、他のMRシステムが以前に部屋をマッピングしていることから)。いくつかの実施形態では、MRシステムは、その位置に対応する標準的な持続座標データをリモートサーバから受信し得る。
【0070】
図1Aおよび
図1Bに関連して、環境/世界座標系108は、現実環境100および仮想環境130の両方についての共有座標空間を定義する。図示の例では、座標空間は、点106にその原点を有する。さらに、座標空間は、同じ3つの直交軸(108X、108Y、108Z)によって定義される。したがって、現実環境100内の第1の位置、および仮想環境130内の第2の対応する位置は、同じ座標空間に関して記述されることができる。これは、同じ座標が使用されて両方の位置を識別することができるため、現実環境および仮想環境における対応する位置の識別および表示を単純化する。しかしながら、いくつかの例では、対応する現実環境および仮想環境は、共有座標空間を使用する必要はない。例えば、いくつかの例(図示せず)では、行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、現実環境座標空間と仮想環境座標空間との間の変換を特徴付けることができる。
【0071】
図1Cは、現実環境100および仮想環境130の態様を、複合現実システム112を介してユーザ110に同時に提示する例示的なMRE150を示している。図示の例では、MRE150は、現実環境100からの現実オブジェクト122A、124A、126A、および128A(例えば、複合現実システム112のディスプレイの透過部分を介して)、および仮想環境130からの仮想オブジェクト122B、124B、126B、および132(例えば、複合現実システム112のディスプレイのアクティブ表示部分を介して)をユーザ110に同時に提示する。本明細書に記載されるように、原点106は、MRE150に対応する座標空間の原点として機能し、座標系108は、座標空間のx軸、y軸、およびz軸を定義する。
【0072】
図示の例では、複合現実オブジェクトは、座標空間108内の対応する位置を占める現実オブジェクトと仮想オブジェクトの対応するペア(例えば、122A/122B、124A/124B、126A/126B)を含む。いくつかの例では、現実オブジェクトと仮想オブジェクトの両方がユーザ110に同時に見えることがある。これは、例えば、仮想オブジェクトが対応する現実オブジェクトのビューを拡張するように設計された情報を提示する場合(仮想オブジェクトが古い損傷した彫刻の欠落したピースを提示する美術館アプリケーションなど)に望ましいことがある。いくつかの例では、対応する現実オブジェクト(122A、124A、および/または126A)を遮るように、仮想オブジェクト(122B、124B、および/または126B)が表示され得る(例えば、画素化遮蔽シャッタを使用するアクティブ画素化遮蔽を介して)。これは、例えば、仮想オブジェクトが対応する現実オブジェクトの視覚的置換として機能する場合(無生物の現実オブジェクトが「生きている」キャラクタになる相互作用型ストーリーテリングアプリケーションなど)に望ましいことがある。
【0073】
いくつかの例では、現実オブジェクト(例えば、122A、124A、126A)は、必ずしも仮想オブジェクトを構成しなくてもよい仮想コンテンツまたはヘルパーデータに関連付けられてもよい。仮想コンテンツまたはヘルパーデータは、複合現実環境における仮想オブジェクトの処理または取り扱いを容易にすることができる。例えば、そのような仮想コンテンツは、対応する現実オブジェクトの2次元表現;対応する現実オブジェクトに関連付けられたカスタムアセットタイプ;または対応する現実オブジェクトに関連付けられた統計データを含むことができる。この情報は、不必要な計算オーバーヘッドを招くことなく、現実オブジェクトを含む計算を可能または容易にすることができる。
【0074】
いくつかの例では、本明細書に記載される提示はまた、音声態様を組み込んでもよい。例えば、MRE150では、仮想キャラクタ132は、キャラクタがMRE150の周りを歩くときに生成される足音効果などの1つ以上の音声信号に関連付けられることができる。本明細書に記載されるように、複合現実システム112のプロセッサは、MRE150内の全てのそのような音の混合および処理された合成に対応する音声信号を計算し、複合現実システム112に含まれる1つ以上のスピーカおよび/または1つ以上の外部スピーカを介してユーザ110に音声信号を提示することができる。
【0075】
例示的な複合現実システム112は、(ニアアイディスプレイであってもよい左右の透過型ディスプレイと、ディスプレイからの光をユーザの眼に結合するための関連構成要素とを備え得る)ディスプレイ;左右スピーカ(例えば、ユーザの左右の耳にそれぞれ隣接して配置される);(例えば、ヘッドデバイスのテンプルアームに取り付けられる)慣性測定ユニット(IMU);(例えば、左側のテンプル片に取り付けられる)直交コイル型電磁受信機;ユーザから離れる方向に向けられた左右のカメラ(例えば、深度(飛行時間)カメラ);および(例えば、ユーザの眼球運動を検出するための)ユーザに向けられた左右の眼のカメラを備えるウェアラブルヘッドデバイス(例えば、ウェアラブル拡張現実または複合現実ヘッドデバイス)を含むことができる。しかしながら、複合現実システム112は、任意の適切なディスプレイ技術、および任意の適切なセンサ(例えば、光学、赤外線、音響、LIDAR、EOG、GPS、磁気)を組み込むことができる。さらに、複合現実システム112は、MRE150および他の複合現実システム内の要素(例えば、仮想キャラクタ132)の提示に関連するデータ処理および訓練データのためのニューラルネットワーク(例えば、クラウドにおいて)を含む、他のデバイスおよびシステムと通信するためのネットワーキング機能(例えば、Wi-Fi機能、モバイルネットワーク(例えば、4G、5G)機能)を組み込み得る。複合現実システム112は、バッテリ(ユーザの腰の周りに装着されるように設計されたベルトパックなどの補助ユニットに装着され得る)、プロセッサ、およびメモリをさらに含み得る。複合現実システム112のウェアラブルヘッドデバイスは、ユーザの環境に対するウェアラブルヘッドデバイスの座標のセットを出力するように構成された、IMUまたは他の適切なセンサなどの追跡構成要素を含み得る。いくつかの例では、追跡構成要素は、同時位置特定およびマッピング(SLAM)および/またはビジュアルオドメトリアルゴリズムを実行するプロセッサに入力を提供し得る。いくつかの例では、複合現実システム112はまた、本明細書に記載されるように、ウェアラブルベルトパックであってもよいハンドヘルドコントローラ300および/または補助ユニット320を含んでもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、アニメーションリグが使用されて、MRE150に仮想キャラクタ132を提示する。アニメーションリグは、仮想キャラクタ132に関して説明されているが、アニメーションリグは、MRE150内の他のキャラクタ(例えば、人間のキャラクタ、動物のキャラクタ、抽象的なキャラクタ)に関連付けられてもよいことが理解される。アニメーションリグの動きは、本明細書においてより詳細に説明される。
【0077】
図2A~
図2Dは、MRE(MRE150に対応し得る)または他の仮想環境をユーザに提示するために使用され得る例示的な複合現実システム200(複合現実システム112に対応し得る)の構成要素を示している。
図2Aは、例示的な複合現実システム200に含まれるウェアラブルヘッドデバイス2102の斜視図を示している。
図2Bは、ユーザの頭部2202に装着されたウェアラブルヘッドデバイス2102の平面図を示している。
図2Cは、ウェアラブルヘッドデバイス2102の正面図を示している。
図2Dは、ウェアラブルヘッドデバイス2102の例示的なアイピース2110の端面図を示している。
図2A~
図2Cに示すように、例示的なウェアラブルヘッドデバイス2102は、例示的な左アイピース(例えば、左透明導波路セットアイピース)2108および例示的な右アイピース(例えば、右透明導波路セットアイピース)2110を含む。各アイピース2108および2110は、現実環境が見られることができる透過要素、ならびに現実環境と重複するディスプレイ(例えば、イメージワイズ変調光を介して)を提示するためのディスプレイ要素を含むことができる。いくつかの例では、そのようなディスプレイ要素は、イメージワイズ変調光の流れを制御するための表面回折光学素子を含むことができる。例えば、左アイピース2108は、左内部結合格子セット2112、左直交瞳孔拡張(OPE)格子セット2120、および左射出(出力)瞳孔拡張(EPE)格子セット2122を含むことができる。同様に、右アイピース2110は、右内部結合格子セット2118、右OPE格子セット2114、および右EPE格子セット2116を含むことができる。イメージワイズ変調された光は、内部結合格子2112および2118、OPE2114および2120、ならびにEPE2116および2122を介してユーザの眼に伝達されることができる。各内部結合格子セット2112、2118は、光をその対応するOPE格子セット2120、2114に向けて偏向させるように構成されることができる。各OPE格子セット2120、2114は、光をその関連するEPE2122、2116に向かって徐々に下方に偏向させ、それによって形成される射出瞳を水平に延ばすように設計されることができる。各EPE2122、2116は、その対応するOPE格子セット2120、2114から受光した光の少なくとも一部を、アイピース2108、2110の背後に画定されたユーザのアイボックス位置(図示せず)に徐々に向け直すように構成されることができ、アイボックスに形成された射出瞳を垂直に延長する。あるいは、内部結合格子セット2112および2118、OPE格子セット2114および2120、ならびにEPE格子セット2116および2122の代わりに、アイピース2108および2110は、イメージワイズ変調された光のユーザの眼への結合を制御するための格子ならびに/または屈折および反射機構の他の配置を含むことができる。
【0078】
いくつかの例では、ウェアラブルヘッドデバイス2102は、左テンプルアーム2130および右テンプルアーム2132を含むことができ、左テンプルアーム2130は、左スピーカ2134を含み、右テンプルアーム2132は、右スピーカ2136を含む。直交コイル電磁受信機2138は、左テンプル片内、またはウェアラブルヘッドユニット2102内の別の適切な位置に配置されることができる。慣性測定ユニット(IMU)2140は、右テンプルアーム2132内に、またはウェアラブルヘッドデバイス2102内の別の適切な位置に配置されることができる。ウェアラブルヘッドデバイス2102はまた、左深度(例えば、飛行時間)カメラ2142および右深度カメラ2144を含むことができる。深度カメラ2142、2144は、より広い視野をともにカバーするように、異なる方向に適切に配向されることができる。
【0079】
図2A~
図2Dに示す例では、イメージワイズ変調光の左供給源2124は、左内部結合格子セット2112を介して左アイピース2108に光学的に結合されることができ、イメージワイズ変調光の右供給源2126は、右内部結合格子セット2118を介して右アイピース2110に光学的に結合されることができる。イメージワイズ変調光の供給源2124、2126は、例えば、光ファイバスキャナ;デジタル光処理(DLP)チップまたは液晶オンシリコン(LCoS)変調器などの電子光変調器を含むプロジェクタ;または、側面ごとに1つ以上のレンズを使用して内部結合格子セット2112、2118に結合されたマイクロ発光ダイオード(μLED)またはマイクロ有機発光ダイオード(μOLED)パネルなどの発光ディスプレイを含むことができる。入力結合格子セット2112、2118は、イメージワイズ変調光の供給源2124、2126からの光を、アイピース2108、2110の全内部反射(TIR)の臨界角を超える角度に偏向させることができる。OPE格子セット2114、2120は、TIRによって伝播する光をEPE格子セット2116、2122に向かって徐々に下方に偏向させる。EPE格子セット2116、2122は、ユーザの眼の瞳孔を含むユーザの顔に向かって光を徐々に結合する。
【0080】
いくつかの例では、
図2Dに示すように、左アイピース2108および右アイピース2110のそれぞれは、複数の導波路2402を含む。例えば、各アイピース2108、2110は、それぞれがそれぞれの色チャネル(例えば、赤色、青色および緑色)専用の複数の個々の導波路を含むことができる。いくつかの例では、各アイピース2108、2110は、そのような導波路の複数のセットを含むことができ、各セットは、放射された光に異なる波面曲率を付与するように構成される。波面曲率は、例えば、ユーザの前方にある距離(例えば、波面曲率の逆数に対応する距離だけ)に配置された仮想オブジェクトを提示するために、ユーザの眼に対して凸状であってもよい。いくつかの例では、EPE格子セット2116、2122は、各EPEを横切る出射光のポインティングベクトルを変更することによって凸波面曲率を達成する湾曲格子溝を含むことができる。
【0081】
いくつかの例では、表示されたコンテンツが3次元であるという知覚を作り出すために、立体的に調整された左右の眼の画像が、イメージワイズ光変調器2124、2126およびアイピース2108、2110を通してユーザに提示されることができる。立体的な左右の画像によって示される距離に近い距離に仮想オブジェクトが表示されるように導波路を選択する(したがって、波面曲率に対応する)ことによって、3次元仮想オブジェクトの提示の知覚される臨場感が高められることができる。この技術はまた、立体視左右眼画像によって提供される深度知覚キューと人間の眼の自律神経調節(例えば、オブジェクト距離に依存する焦点)との間の差によって引き起こされ得る、一部のユーザが体験する酔いを低減し得る。
【0082】
図2Dは、例示的なウェアラブルヘッドデバイス2102の右アイピース2110の上からの端面図を示している。
図2Dに示すように、複数の導波路2402は、3つの導波路の第1のサブセット2404と、3つの導波路の第2のサブセット2406とを含むことができる。導波路の2つのサブセット2404、2406は、出射光に異なる波面曲率を付与するために異なる格子線曲率を特徴とする異なるEPE格子によって区別されることができる。導波路の各サブセット2404、2406内で、各導波路が使用されて、異なるスペクトルチャネル(例えば、赤色、緑色、および青色のスペクトルチャネルのうちの1つ)をユーザの右眼2206に結合することができる。
図2Dには示されていないが、左アイピース2108の構造は、右アイピース2110の構造に対して鏡像反転され得る。
【0083】
図3Aは、複合現実システム200の例示的なハンドヘルドコントローラ構成要素300を示している。いくつかの例では、ハンドヘルドコントローラ300は、グリップ部346と、上面348に沿って配置された1つ以上のボタン350とを含む。いくつかの例では、ボタン350は、カメラまたは他の光学センサ(これは、複合現実システム200のヘッドユニット(例えば、ウェアラブルヘッドデバイス2102)に装着されることができる)とともに、例えば、ハンドヘルドコントローラ300の6自由度(6DOF)動きを追跡するための光学追跡ターゲットとして使用するように構成され得る。いくつかの例では、ハンドヘルドコントローラ300は、ウェアラブルヘッドデバイス2102に対する位置または向きなどの位置または向きを検出するための追跡構成要素(例えば、IMUまたは他の適切なセンサ)を含む。いくつかの例では、そのような追跡構成要素は、ハンドヘルドコントローラ300のハンドル内に配置されてもよく、および/またはハンドヘルドコントローラに機械的に結合されてもよい。ハンドヘルドコントローラ300は、ボタンの押下状態;またはハンドヘルドコントローラ300の位置、向き、および/または動き(例えば、IMUを介して)のうちの1つ以上に対応する1つ以上の出力信号を提供するように構成されることができる。そのような出力信号は、複合現実システム200のプロセッサへの入力として使用され得る。そのような入力は、ハンドヘルドコントローラの位置、向き、および/または動き(および、延長により、コントローラを保持するユーザの手の位置、向き、および/または動きに)に対応し得る。そのような入力は、ユーザがボタン350を押すことにも対応し得る。
【0084】
図3Bは、複合現実システム200の例示的な補助ユニット320を示している。補助ユニット320は、システム200を動作させるためのエネルギーを供給するためのバッテリを含むことができ、システム200を動作させるためのプログラムを実行するためのプロセッサを含むことができる。図示のように、例示的な補助ユニット320は、補助ユニット320をユーザのベルトに取り付けるなどのためのクリップ2128を含む。ユニットをユーザのベルトに取り付けることを伴わないフォームファクタを含む、他のフォームファクタが補助ユニット320に適しており、明らかであろう。いくつかの例では、補助ユニット320は、例えば、電線および光ファイバを含むことができる多導管ケーブルを介してウェアラブルヘッドデバイス2102に結合される。補助ユニット320とウェアラブルヘッドデバイス2102との間の無線接続も使用されることができる。
【0085】
いくつかの例では、複合現実システム200は、音を検出し、対応する信号を複合現実システムに提供するための1つ以上のマイクロフォンを含むことができる。いくつかの例では、マイクロフォンは、ウェアラブルヘッドデバイス2102に取り付けられるか、または一体化されてもよく、ユーザの音声を検出するように構成されてもよい。いくつかの例では、マイクロフォンは、ハンドヘルドコントローラ300および/または補助ユニット320に取り付けられるか、または一体化されてもよい。そのようなマイクロフォンは、環境音、周囲の雑音、ユーザもしくは第三者の音声、または他の音を検出するように構成されてもよい。
【0086】
図4は、本明細書に記載される複合現実システム200(これは、
図1に関する複合現実システム112に対応し得る)などの例示的な複合現実システムに対応し得る例示的な機能ブロック図を示している。ウェアラブルシステム400の要素は、本開示に記載される方法、動作、および特徴を実装するために使用され得る。
図4に示すように、例示的なハンドヘルドコントローラ400B(ハンドヘルドコントローラ300(「トーテム」)に対応し得る)は、トーテム・ツー・ウェアラブルヘッドデバイス6自由度(6DOF)トーテムサブシステム404Aを含み、例示的なウェアラブルヘッドデバイス400A(ウェアラブルヘッドデバイス2102に対応し得る)は、トーテム・ツー・ウェアラブルヘッドデバイス6DOFサブシステム404Bを含む。この例では、6DOFトーテムサブシステム404Aおよび6DOFサブシステム404Bは、協働して、ウェアラブルヘッドデバイス400Aに対するハンドヘルドコントローラ400Bの6つの座標(例えば、3つの並進方向のオフセットおよび3つの軸に沿った回転)を決定する。6自由度は、ウェアラブルヘッドデバイス400Aの座標系を基準として表され得る。3つの並進オフセットは、そのような座標系におけるX、Y、およびZオフセットとして、並進行列として、または他の何らかの表現として表され得る。回転自由度は、ヨー、ピッチ、およびロール回転のシーケンスとして、回転行列として、四元数として、または他の何らかの表現として表され得る。いくつかの例では、ウェアラブルヘッドデバイス400A;ウェアラブルヘッドデバイス400Aに含まれる1つ以上の深度カメラ444(および/または1つ以上の非深度カメラ);および/または1つ以上の光学ターゲット(例えば、本明細書に記載されるハンドヘルドコントローラ400Bのボタン350、またはハンドヘルドコントローラ400Bに含まれる専用の光学ターゲット)が6DOF追跡に使用されることができる。いくつかの例では、ハンドヘルドコントローラ400Bは、本明細書に記載されるように、カメラを含むことができ、ウェアラブルヘッドデバイス400Aは、カメラと連動して光学追跡のための光学ターゲットを含むことができる。いくつかの例では、ウェアラブルヘッドデバイス400Aおよびハンドヘルドコントローラ400Bは、それぞれ、3つの識別可能な信号を無線で送受信するために使用される3つの直交して配向されたソレノイドのセットを含む。受信に使用されるコイルのそれぞれにおいて受信された3つの識別可能な信号の相対的な大きさを測定することにより、ハンドヘルドコントローラ400Bに対するウェアラブルヘッドデバイス400Aの6DOFが決定され得る。さらに、6DOFトーテムサブシステム404Aは、ハンドヘルドコントローラ400Bの迅速な動きに関する改善された精度および/またはよりタイムリーな情報を提供するのに有用な慣性測定ユニット(IMU)を含むことができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、ウェアラブルシステム400は、ヘッドギアデバイス400A上に配置された1つ以上のマイクロフォンを含むことができるマイクロフォンアレイ407を含むことができる。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ407は、4つのマイクロフォンを含むことができる。ヘッドギア400Aの前面に2つのマイクロフォンが配置されることができ、ヘッドヘッドギア400Aの背面に2つのマイクロフォンが配置されることができる(例えば、左後方に1つ、右後方に1つ)。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ407によって受信された信号は、DSP408に送信されることができる。DSP408は、マイクロフォンアレイ407から受信された信号に対して信号処理を実行するように構成されることができる。例えば、DSP408は、マイクロフォンアレイ407から受信した信号に対してノイズ低減、音響エコー除去、および/またはビームフォーミングを実行するように構成されることができる。DSP408は、信号をプロセッサ416に送信するように構成されることができる。
【0088】
いくつかの例では、例えば、座標系108に対する(例えば、MRシステム112の)ウェアラブルヘッドデバイス400Aの動きを補償するために、座標をローカル座標空間(例えば、ウェアラブルヘッドデバイス400Aに対して固定された座標空間)から慣性座標空間(例えば、現実環境に対して固定された座標空間)に変換することが必要になることがある。例えば、そのような変換は、現実環境に仮想オブジェクト(例えば、現実の椅子に座っており、ウェアラブルヘッドデバイスの位置および向きに関係なく、前方を向いている仮想人物)が存在するという錯覚を維持するために、ウェアラブルヘッドデバイス400Aのディスプレイが、ディスプレイ上の固定された位置および向きではなく、現実環境に対して予想される位置(例えば、ディスプレイの右下隅の同じ位置)および向きで仮想オブジェクトを提示するために必要であり得る(そして、例えば、ウェアラブルヘッドデバイス400Aが移動および回転するときに現実環境に不自然に配置されているようには見えない)。いくつかの例では、座標空間間の補償変換は、座標系108に対するウェアラブルヘッドデバイス400Aの変換を決定するために、SLAMおよび/またはビジュアルオドメトリ手順を使用して深度カメラ444からの画像を処理することによって決定されることができる。
図4に示す例では、深度カメラ444は、SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406に結合され、画像をブロック406に提供することができる。SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406の実装は、この画像を処理し、ユーザの頭部の位置および向きを決定するように構成されたプロセッサを含むことができ、頭部座標空間と別の座標空間(例えば、慣性座標空間)との間の変換を識別するために使用されることができる。同様に、いくつかの例では、ユーザの頭部姿勢および位置に関する追加の情報源は、IMU409から取得される。IMU409からの情報は、SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406からの情報と統合されて、ユーザの頭部姿勢および位置の迅速な調整に関する改善された精度および/またはよりタイムリーな情報を提供することができる。
【0089】
いくつかの例では、深度カメラ444は、ウェアラブルヘッドデバイス400Aのプロセッサに実装され得るハンドジェスチャトラッカ411に3D画像を供給することができる。ハンドジェスチャトラッカ411は、例えば、深度カメラ444から受信した3D画像をハンドジェスチャを表す記憶されたパターンと照合することによって、ユーザのハンドジェスチャを識別することができる。ユーザのハンドジェスチャを識別する他の適切な技術が明らかであろう。
【0090】
いくつかの例では、1つ以上のプロセッサ416は、ウェアラブルヘッドデバイスの6DOFヘッドギアサブシステム404B、IMU409、SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406、深度カメラ444、および/またはハンドジェスチャトラッカ411からデータを受信するように構成され得る。プロセッサ416はまた、6DOFトーテムシステム404Aから制御信号を送受信することもできる。プロセッサ416は、ハンドヘルドコントローラ400Bが接続されていない例のように、6DOFトーテムシステム404Aに無線で結合されてもよい。プロセッサ416は、さらに、視聴覚コンテンツメモリ418、グラフィカル処理ユニット(GPU)420、および/またはデジタル信号プロセッサ(DSP)音声スペーシャライザ422などの追加の構成要素と通信してもよい。DSP音声スペーシャライザ422は、頭部伝達関数(HRTF)メモリ425に結合されてもよい。GPU420は、(例えば、左アイピース428にコンテンツを表示するための)イメージワイズ変調光の左供給源424に結合された左チャネル出力と、(例えば、右アイピース430にコンテンツを表示するための)イメージワイズ変調光の右供給源426に結合された右チャネル出力とを含むことができる。GPU420は、例えば、
図2A~
図2Dを参照して本明細書に記載されるように、立体画像データをイメージワイズ変調光の供給源424、426に出力することができる。いくつかの例では、GPU420が使用されて、ウェアラブルシステム400のディスプレイ上に提示されるMRE内の仮想要素をレンダリングし得る。DSP音声スペーシャライザ422は、左スピーカ412および/または右スピーカ414に音声を出力することができる。DSP音声スペーシャライザ422は、ユーザから仮想音源(これは、例えば、ハンドヘルドコントローラ320を介して、ユーザによって移動され得る)への方向ベクトルを示す入力をプロセッサ419から受信することができる。方向ベクトルに基づいて、DSP音声スペーシャライザ422は、(例えば、HRTFにアクセスすることによって、または複数のHRTFを補間することによって)対応するHRTFを決定することができる。次いで、DSP音声スペーシャライザ422は、決定されたHRTFを、仮想オブジェクトによって生成された仮想音に対応する音声信号などの音声信号に適用することができる。これは、複合現実環境における仮想音に対するユーザの相対的な位置および向きを組み込むことによって、すなわち、仮想音が現実環境の現実音である場合にその仮想音がどのように聞こえるかというユーザの期待に一致する仮想音を提示することによって、仮想音の真実味および臨場感を高めることができる。
【0091】
図4に示すようないくつかの例では、プロセッサ416、GPU420、DSP音声スペーシャライザ422、HRTFメモリ425、および視聴覚コンテンツメモリ418の1つ以上は、補助ユニット400C(本明細書に記載される補助ユニット320に対応し得る)に含まれ得る。補助ユニット400Cは、その構成要素に電力を供給するため、および/またはウェアラブルヘッドデバイス400Aまたはハンドヘルドコントローラ400Bに電力を供給するためのバッテリ427を含み得る。ユーザの腰に装着されることができる補助ユニットにこのような構成要素を含めることは、ウェアラブルヘッドデバイス400Aのサイズおよび重量を制限することができ、ひいてはユーザの頭と首の疲労を軽減することができる。
【0092】
図4は、例示的なウェアラブルシステム400の様々な構成要素に対応する要素を示しているが、これらの構成要素の様々な他の適切な配置が当業者には明らかになるであろう。例えば、示されるヘッドギアデバイス400Aは、プロセッサおよび/またはバッテリ(図示せず)を含み得る。含まれるプロセッサおよび/またはバッテリは、補助ユニット400Cのプロセッサおよび/またはバッテリとともに動作するか、または補助ユニット400Cのプロセッサおよび/またはバッテリの代わりに動作し得る。一般に、別の例として、補助ユニット400Cに関連するものとして
図4に関して説明した要素または機能は、代わりにヘッドギアデバイス400Aまたはハンドヘルドコントローラ400Bに関連付けられることができる。さらにまた、いくつかのウェアラブルシステムは、ハンドヘルドコントローラ400Bまたは補助ユニット400Cを完全に取り止めてもよい。そのような変形および変更は、開示された例の範内に含まれると理解されるべきである。
【0093】
図5は、本開示の実施形態にかかる、例示的な構造500を示している。いくつかの実施形態では、構造500は、インプリント(例えば、型、光学的特徴(例えば、導波路パターン、特定の波長の放射の透過率を制御するように構成された光学スタック(例えば、構造710)上の幾何学的特徴)を形成するための構造)である。例えば、構造500は、ナノスケールまたはミクロンスケールの構造(例えば、
図1~
図4に関して記載したように、ウェアラブルヘッドデバイスアイピースまたはMRシステムの導波路(例えば、アイピース2108または2110の導波路2402);数百nmオーダーの寸法を含む特徴を含む導波路;数十nmオーダーの寸法を含む反射防止特徴を含む導波路;1~数十μm程度の寸法を有するアライメント基準を備える光学構造;パターン形成プラスチック;CRTテンプレート;構造710)を作製するためのインプリントとすることができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、ウェアラブルデバイス(例えば、
図1~
図4に関して記載したように、ウェアラブルヘッドデバイスアイピースまたはMRシステム)は、ディスプレイを備え、ディスプレイは、光学的特徴を備える光学スタックを備える。いくつかの実施形態では、光学的特徴は、構造500を使用して形成される。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、MR環境に関連するコンテンツを提示するように構成され、コンテンツは、光学的特徴に基づいて提示される。
【0095】
いくつかの実施形態では、構造500は、パターン化層502と、中間層504と、ベース層506とを備える。例えば、パターン化層502は、ナノパターンまたはマイクロパターンのインプリント層であり、中間層504は、中間インプリント層であり、ベース層506は、キャリア基材またはキャリアフィルムである。例えば、パターン化層は、光学的特徴に対応するパターンを備える(例えば、パターン化層のパターンは、光導波路のパターンを作成するためのインプリントを提供する)。
【0096】
いくつかの実施形態では、パターン化層502は、低粘度(例えば、<10cps)または中粘度(例えば、10cps~1000cps)のレジスト材料を含む。例えば、パターン化層502は、J-FIL(商標)型プロセスにおいて使用されるインプリント溶液を含む。いくつかの実施形態では、パターン化層502は、パターン充填、基材接着、機械的強度(例えば、高い弾性率)、およびテンプレートからの適切な剥離性能などの特性を助けるように構成された構成要素を備える。いくつかの実施形態では、パターン化層502は、アクリル酸および/またはその誘導体、例えばメタクリレートおよびアクリレートに由来するエステルを含むポリマーを含む。いくつかの実施形態では、パターン化層502は、エポキシおよびビニル二重官能性(例えば、ビニルモノマーがメチルメタクリレート、二官能性または三官能性ビニルモノマー、例えばジアクリレート、トリアクリレート、ジメタクリレートであり得るエポキシビニルエステルの使用)を含むポリマーを含む。いくつかの実施形態では、パターン化層502は、プラスチックを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、中間層504は、架橋ポリマーコーティング(例えば、熱硬化性ポリマートップコート層)を含む。いくつかの実施形態では、インプリント、スロットダイ、マイクログラビア、ナイフエッジ、ドクターブレード、またはスプレーコーティングを使用して、中間層504をベース層506の上に堆積させる。いくつかの実施形態では、中間層504は、1~25μmの厚さを有する。例えば、ベース層506は、可撓性ポリマー基材フィルムである。例として、ベース層506は、PCフィルム基材である。
【0098】
いくつかの実施形態では、パターン化層502は、分配された硬化性溶液を分配し、溶液をパターン化テンプレート(例えば、可撓性テンプレート、剛性テンプレート)と接触させることによって形成される。次いで、溶液が硬化されて、パターン化層502の(テンプレートによって形成された)パターンを固化させる。
【0099】
溶液と隣接する層との間の相互作用は、欠陥を低減するためのインプリントリソグラフィにとって重要であり得る。さらに、溶液は、基材全体に広がることがあり、下方にあるポリマー基材の組成を劣化させないことがあり、所望の機械的強度および隣接層への強い接着性を有する必要があり得る。ウェアラブル導波路デバイス(例えば、
図1~
図4に関して記載したように、ウェアラブルヘッドデバイスアイピースまたはMRシステムの導波路(例えば、アイピース2108または2110の導波路2402))などのディスプレイ用途では、大面積(例えば、幅25mm~450mm)にわたるナノスケールのパターン転写のために、プレートツープレート、プレートツーロール、ロールツーロール、および/またはロールツープレートインプリントにおいて高忠実度インプリント(例えば、平滑な可撓性ポリマーフィルムなどのベース層506上)が使用される必要がある場合がある。中間層504は、有利には、(例えば、構造500を形成するために本明細書に記載されるシリコンと比較して低コストの材料を使用し、関連する欠陥を低減することによって;可撓性基材上の欠陥を最小限に抑えることによって)費用効果の高い方法で悪影響を低減することによってパターンを改善し、それによって、大面積にわたって費用効果の高い方法で最小限の欠陥で最終生成物を製造することを可能にする。
【0100】
いくつかの例では、中間層504がない場合(例えば、溶液はベアPC層上に分配される)、接着機構は、パターン化層とベアPC層との間の物理的インターロックであり得て、これは、基材への膨潤、およびその後の欠陥を引き起こす。さらに、中間層504なしでは、特定の溶媒タイプの成分を含有するパターン化層の場合、基材(例えば、基材内の界面の数百ナノメートル以内)との化学的相互作用は、局所溶解に起因して表面界面を劣化させ、接着不良を引き起こし、ナノスケールボイドをもたらす場合がある。場合によっては、パターン化層の構成要素がPC表面を透過し、局所的な化学的相互作用を引き起こす可能性があり、これは、インプリント中の接着不良および欠陥につながる場合がある。中間層504がないと、より多くのインプリント欠陥が形成される場合があり、欠陥のより多くの結果が(例えば、形成される導波路の意図された光学特性を低下させる)エンドデバイスに転写される場合がある。
【0101】
例えば、中間層504がないと、パターン化層上にナノスケールボイドなどの欠陥が存在する可能性が高くなる。いくつかの例では、中間層504がないと、パターン化層が十分に厚く、ベース層(例えば、基材、フィルム)のトポグラフィおよび粗さの欠陥を覆うにもかかわらず、ナノスケールの空隙は、パターン化層からベース層への有機材料の化学的膨潤および/または攻撃に起因して依然として存続する可能性がさらに高い。これらの例では、ナノスケールボイドは、欠陥パターン化層を使用して製造されたエンドデバイスに転写され得る(例えば、ナノスケールの空隙は、導波路上に転写され、導波路上に望ましくないパターンを生成し得る)。
【0102】
いくつかの例では、ベース層に直接結合されたパターン化層(例えば、中粘度レジスト)が、中間層504なしで、ナノスケールのボイドまたは接着欠陥をほとんどまたは全く示さない場合であっても、パターン化層は、それにもかかわらず、ベース層(例えば、ベアPC基材)に対する接着強度が不十分であり、および/または巨視的な接着不良を経験し、層間剥離を引き起こす場合がある。したがって、ベース層へのパターン化層の接着は、(例えば、表面上のポリマー鎖の絡み合いに起因して)物理的結合のみに依存しなくてもよい。中間層504は、有利には、適切な共有結合を付加して、(例えば、
図1~
図4に関して記載したように、ウェアラブルヘッドデバイスまたはMRシステムの導波路(例えば、アイピース2108または2110の導波路2402)に使用される)大面積にわたって高いインプリント忠実度に必要な接着を提供する。例えば、構造500が使用されて他の構造を作成し、構造500に中間層504を含めることにより、構造500が型として使用されて他の構造を作成する際に剥離が生じにくくなる。さらに、いくつかの実施形態では、中間層504は、基材上の界面の完全性に影響を与えることなく、共有結合の形成を通じて強力な接着を有利に作り出す。
【0103】
場合によっては、中間層504は、パターン化層502がベース層506(例えば、パターン化層が中間層504なしでベース層に結合される場合、接着結合が形成され得ない位置が存在し得る)と接着結合を形成しない場合がある接着性(例えば、パターン化層502を使用して別の構造を作成している間の層間剥離を低減する)を改善する。例えば、中間層504は、中間層504のトップコートを介した(例えば、トップコート内の遊離ビニル基を介した)共有結合(例えば、パターン化層502、ベース層506)を可能にし、および/または中間層504がパターン化層502またはベース層506との界面を貫通することによる堅牢な物理的結合を可能にする。いくつかの実施形態では、中間層504のトップコートは、(例えば、パターン化層502の構成要素による)局所的な溶解に耐えるように構成され、そうでなければパターン化層をベース層に直接結合することによって達成できない欠陥低減インプリント(例えば、ナノスケールで、マイクロスケールで)をもたらす。
【0104】
ベース層506(例えば、ポリマー基材)上にインプリントするために、中間層504は、有利には以下を提供し得る:1)ベース層506(例えば、ポリマー基材)に対するパターン化層502(例えば、硬化インプリントポリマー)のための接着層;2)硬化前のパターン化層502(例えば、インプリント溶液)の任意の構成要素におけるベース層506(例えば、ポリマー基材)との任意の望ましくない化学的相互作用に対するバリア層;3)中間層を有しないバンピアまたはより均一でないパターン化層(例えば、
図6Aおよび
図6Bに関して例示されるように)と比較して、より滑らかなトポグラフィ。多層コーティングアーキテクチャは、優れた接着、流体の拡散/充填、ならびにテンプレートの作成および離型時の最適な剥離性能を必要とする高い特徴忠実度のインプリント(例えば、ウェアラブル導波路デバイスなどのディスプレイ用途向け)を保証し得る。
【0105】
図6A~
図6Bは、本開示の実施形態にかかる、構造の例示的な特性を示している。示されるように、
図6Aおよび
図6Bは、パターン化層のトポグラフィを示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図6Aは、中間層を含まない構造のパターン化層の画像602を示している。画像602は、中間層を含まない構造のパターン化層上の接着不良および空隙606を示している。
【0106】
図6Aはまた、中間層(例えば、中間層504)を含む構造(例えば、構造500)のパターン化層(例えば、パターン化層502)の画像604を示している。画像604は、中間層を含む構造のパターン化層上に目に見える接着不良または空隙をほとんど示さない。
【0107】
図6Bは、中間層(例えば、中間層504)を含む構造(例えば、構造500)の表面トポグラフィのカラー断面
図652を示している。例えば、表面トポグラフィ652は、UV架橋熱硬化性アクリレートポリマーコーティングのトポグラフィを示す。
図6Bはまた、中間層(例えば、中間層504)を含む構造(例えば、構造500)の表面トポグラフィの等角
図654を示している。
【0108】
断面
図652および等角
図654によって示されるように、構造のトポグラフィは、構造の4mm断面にわたって20~25nmの波形を含む。いくつかの実施形態では、
図6Bに示す構造(例えば、中間層を備える構造)のトポグラフィは、中間層を備えない構造と比較して、50%(例えば、中間層なしの40~50nmの波形との比較)を超えて改善された残留層厚さ(RLT)均一性を有する。いくつかの実施形態では、均一性は、中間層(例えば、中間層504)に結合されたパターン化層(例えば、パターン化層502)の厚さを増加させることによってさらに改善され得る。例えば、パターン化層の厚さは、パターン化層の第1のコーティング層の上に追加の層を追加することによって(例えば、第1の5μmの層の上に追加の層(例えば、100~1000nmの厚さを有する)を追加することによって)、またはより厚い第1のコーティング層を堆積することによって(例えば、5μmの層の代わりに5μmより厚い層を堆積させることによって)増加され得る。
【0109】
図7は、本開示の実施形態にかかる、例示的な第1の構造700および第2の構造710を示している。いくつかの実施形態では、第1の構造700は、インプリントである。例えば、第1の構造700は、ナノスケールまたはマイクロスケールの構造(例えば、構造710、光学スタック)を作成するためのインプリントである。いくつかの実施形態では、第1の構造700は、パターン化層702と、中間層704と、ベース層706とを備える。例えば、パターン化層702は、ナノパターンまたはマイクロパターンのインプリント層であり、中間層704は、中間インプリント層であり、ベース層706は、キャリア基材またはキャリアフィルムである。いくつかの実施形態では、第1の構造700は、構造500である(例えば、パターン化層702は、パターン化層502であり、中間層704は、中間層504であり、ベース層706は、ベース層506である)。簡潔にするために、
図5~
図6に関して記載したいくつかの利点および特徴は、ここでは記載しない。
【0110】
いくつかの実施形態では、第1の構造700は、第2の構造710を作成するためのインプリントである。例えば、パターン化層702は、第2の構造710上にパターン712を作成するために使用される。いくつかの実施形態では、第2の構造710は、光学スタックである。いくつかの実施形態では、パターン712は、光学的特徴(例えば、導波路パターン、特定の波長の放射の透過率を制御するように構成された光学スタック(例えば、構造710)上の幾何学的特徴)を備える。例えば、第1の構造700(例えば、
図5および
図6に関して記載した構造500である基材(例えば、PCまたは同様の可撓性/剛性の基材)上に開示された中間層を含む多層コーティングインプリント)は、最終生成物(例えば、導波路パターンを作成するための型)の反対のパターントーン(例えば、パターン712)を有するパターン形成テンプレートとして使用され得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、パターン712は、本明細書に開示されるウェアラブルヘッドデバイスまたはMRシステム用の導波路パターンである。いくつかの実施形態では、パターン712は、10~150nmの寸法を含む反射防止特徴(例えば、150nm未満の例示的なピッチを有する反射防止非回折ナノパターン)を備える。いくつかの実施形態では、パターン712は、10~100nmの寸法を含むワイヤグリッド偏光子を備える。いくつかの実施形態では、パターン712は、100~1000nmの寸法を含む光学格子(例えば、150nmを超える例示的なピッチを有するUV-赤外領域の波長のための光学的回折特徴を備える格子)を備える。いくつかの実施形態では、パターン712は、0.1~1000μmの寸法を含む光アライメント基準を備える(例えば、1μm未満の例示的なピッチを有する視覚システム用のマークおよび/または基準点を位置合わせする)。
【0112】
中間層704は、有利には、(例えば、構造700を形成するために本明細書に記載されるシリコンと比較して低コストの材料を使用し、関連する欠陥を低減することによって;可撓性基材上の欠陥を最小限に抑えることによって)費用効果の高い方法で悪影響を低減することによってパターンを改善することができ、最終生成物(例えば、第2の構造710)が費用効果の高い方法で大面積にわたって最小限の欠陥で製造されることを可能にする。中間層704がないと、より多くのインプリント欠陥が生成される場合があり、欠陥のより多くの結果が(例えば、形成される導波路の意図された光学特性を低下させる)構造710に転写される場合がある。例えば、中間層704がないと、パターン化層上にナノスケールボイドなどの欠陥が存在する可能性が高くなる。いくつかの例では、中間層704がないと、パターン化層が十分に厚く、ベース層(例えば、基材、フィルム)のトポグラフィおよび粗さの欠陥を覆うにもかかわらず、ナノスケールの空隙は、パターン化層からベース層への有機材料の化学的膨潤および/または攻撃に起因して依然として存続する可能性がさらに高い。これらの例では、ナノスケールボイドは、欠陥パターン化層を使用して製造されたエンドデバイス(例えば、構造710)に転写され得る(例えば、ナノスケールの空隙は、導波路上に転写され、導波路上に望ましくないパターンを生成し得る)。
【0113】
図8は、本開示の実施形態にかかる、光学的特徴を備える光学スタックを製造する例示的な方法800を示している。方法800は、記載したステップを含むものとして示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる順序のステップ、追加のステップ、またはより少ないステップが含まれてもよいことが理解される。簡潔にするために、
図5~
図7に関して記載したいくつかの利点および特徴は、ここでは記載しない。
【0114】
いくつかの実施形態では、方法800は、ベース層を提供することを含む(ステップ802)。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、ベース層(例えば、ベース層506、ベース層706)が提供される。いくつかの実施形態では、ベース層はPCを含む。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、ベース層506またはベース層706は、PCを含む。いくつかの実施形態では、
図5~
図7に関して記載したように、ベース層は、可撓性基材を含む。例えば、ベース層506またはベース層706は、可撓性基材を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、方法800は、ベース層上に中間層を堆積することを含む(ステップ804)。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、中間層504または704は、ベース層506または706上に堆積される。いくつかの実施形態では、中間層は、1~25μmの厚さを有する。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、中間層504または704は、1~25μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、中間層は、架橋ポリマーコーティングを含む。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、中間層504または704は、架橋ポリマーコーティングを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、方法800は、中間層をベース層に結合することを含む(ステップ806)。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、中間層504または704は、ベース層506または706に結合される。
【0117】
いくつかの実施形態では、方法800は、中間層上に、光学的特徴に対応するパターンを備えるパターン化層を堆積することを含む(ステップ808)。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、光学的特徴に対応するパターンを備えるパターン化層502または702は、中間層504または704上に堆積される。いくつかの実施形態では、中間層上にパターン化層を堆積させることは、スロットダイを使用するインプリント、マイクログラビアを使用するインプリント、ナイフエッジを使用するインプリント、ドクターブレードを使用するインプリント、またはスプレーコーティングを含む。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502または702は、インプリント、スロットダイ、マイクログラビア、ナイフエッジ、ドクターブレード、またはスプレーコーティングを使用して中間層504または704上に堆積される。
【0118】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、5μm~10μmの厚さを有する。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502または702は、5μm~6μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、パターン化層の幅は、25mm~450mmである。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502または702は、25mm~450mmの幅を有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、パターン化層は、メタクリレートまたはアクリレートを含む。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502または702は、メタクリレートまたはアクリレートを含む。いくつかの実施形態では、パターン化層は、プラスチックを含む。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502または702は、プラスチックを含む。いくつかの実施形態では、パターン化層は、エポキシおよびビニル二重官能性を含むポリマーを含む。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502または702は、エポキシおよびビニル二重官能性を含む。いくつかの実施形態では、パターン化層は、硬化性溶液を含む。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502または702は、硬化性溶液を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、方法800は、パターン化層を中間層に結合することを含む(ステップ810)。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502または702は、中間層504または704上に結合される。いくつかの実施形態では、パターン化層と中間層との間の結合は、共有結合、物理結合、またはその両方を含む。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502と中間層504との間、またはパターン化層702と中間層704との間の結合は、共有結合、物理結合、またはその両方を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、方法800は、パターン化層を硬化させることを含む。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502または702は硬化される。
【0122】
いくつかの実施形態では、パターン化層のトポグラフィは、20nm~25nmの波形を備える。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502または702のトポグラフィは、20nm~25nmの波形を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、本方法800は、パターン化層を使用して光学スタックの光学的特徴を形成することを含む。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、パターン化層502または702のトポグラフィは、光学スタック(例えば、第2の構造710)の光学的特徴(例えば、パターン712)を形成するために使用される。いくつかの実施形態では、光学的特徴を形成することは、プレートツープレート、プレートツーロール、ロールツーロール、またはロールツープレートのインプリントを含む。例えば、
図5~
図7に関して記載したように、プレートツープレート、プレートツーロール、ロールツーロール、またはロールツープレートのインプリントおよび構造500または700は、光学的特徴(例えば、パターン712)を形成するために使用される。
【0124】
いくつかの実施形態では、光学的特徴(例えば、パターン712)に対応するパターンは、本明細書に開示されるウェアラブルヘッドデバイスまたはMRシステム用の導波路パターンである。いくつかの実施形態では、光学的特徴(例えば、パターン712)に対応するパターンは、10~150nm(例えば、150nm未満の例示的なピッチを有する反射防止非回折ナノパターン)の寸法を含む反射防止特徴を備える。いくつかの実施形態では、光学的特徴(例えば、パターン712)に対応するパターンは、10~100nmの寸法を含むワイヤグリッド偏光子を備える。いくつかの実施形態では、光学的特徴(例えば、パターン712)に対応するパターンは、100~1000nmの寸法を含む光学格子(例えば、150nmを超える例示的なピッチを有するUV-赤外領域の波長のための光学的回折特徴を備える格子)を備える。いくつかの実施形態では、光学的特徴(例えば、パターン712)に対応するパターンは、0.1~1000μmの寸法を含む光アライメント基準を備える(例えば、1μm未満の例示的なピッチを有する視覚システム用のマークおよび/または基準点を位置合わせする)。
【0125】
いくつかの実施形態では、システムは、ディスプレイを備えるウェアラブルヘッドデバイスを備える。ディスプレイは、光学的特徴(例えば、光学回折格子、反射防止特徴、アライメント基準)を備える光学スタック(例えば、構造710)を備え、光学的特徴は、
図5~
図8に関して記載した構造を使用して形成される。システムは、複合現実環境に関連付けられたコンテンツをディスプレイ上に提示することを含む方法を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを備え、コンテンツは、光学的特徴に基づいて提示される。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、光学的特徴を形成するための構造は、光学的特徴に対応するパターンを備えるパターン化層と、ベース層と、パターン化層およびベース層に結合された中間層とを備える。
【0127】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層と中間層との間の結合は、共有結合、物理結合、またはその両方を含む。
【0128】
いくつかの実施形態によれば、ベース層はPCを含む。
【0129】
いくつかの実施形態によれば、中間層は、1~25μmの厚さを有する。
【0130】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、5μm~6μmの厚さを有する。
【0131】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層の幅は、25mm~450mmである。
【0132】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、導波路のパターンを形成するように構成される。
【0133】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層のトポグラフィは、20nm~25nmの波形を含む。
【0134】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、メタクリレートまたはアクリレートを含む。
【0135】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、プラスチックを含む。
【0136】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、エポキシおよびビニル二重官能性を含むポリマーを含む。
【0137】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、硬化性溶液を含む。
【0138】
いくつかの実施形態によれば、中間層は、架橋ポリマーコーティングを含む。
【0139】
いくつかの実施形態によれば、ベース層は、可撓性基材を含む。
【0140】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、10~150nmの寸法を含む反射防止特徴を形成するように構成される。
【0141】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、10~100nmの寸法を含むワイヤグリッド偏光子を形成するように構成される。
【0142】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、100~1000nmの寸法を含む光学格子を形成するように構成される。
【0143】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、0.1~1000μmの寸法を含む光アライメント基準を形成するように構成される。
【0144】
いくつかの実施形態によれば、光学的特徴を含む光学スタックを製造する方法は、ベース層を提供することと、ベース層上に中間層を堆積させることと、中間層をベース層に結合することと、中間層上に、光学的特徴に対応するパターンを備えるパターン化層を堆積させることと、パターン化層を中間層に結合することと、を含む。
【0145】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、パターン化層を使用することによって光学スタックの光学的特徴を形成することをさらに含む。
【0146】
いくつかの実施形態によれば、光学スタックは、導波路である。
【0147】
いくつかの実施形態によれば、光学的特徴を形成することは、プレートツープレート、プレートツーロール、ロールツーロール、またはロールツープレートのインプリントを含む。
【0148】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、パターン化層を硬化させることをさらに含む。
【0149】
いくつかの実施形態によれば、中間層上にパターン化層を堆積させることは、スロットダイを使用するインプリント、マイクログラビアを使用するインプリント、ナイフエッジを使用するインプリント、ドクターブレードを使用するインプリント、またはスプレーコーティングを含む。
【0150】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層と中間層との間の結合は、共有結合、物理結合、またはその両方を含む。
【0151】
いくつかの実施形態によれば、ベース層はPCを含む。
【0152】
いくつかの実施形態によれば、中間層は、1~25μmの厚さを有する。
【0153】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、5μm~6μmの厚さを有する。
【0154】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層の幅は、25mm~450mmである。
【0155】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層のトポグラフィは、20nm~25nmの波形を含む。
【0156】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、メタクリレートまたはアクリレートを含む。
【0157】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、プラスチックを含む。
【0158】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、エポキシおよびビニル二重官能性を含むポリマーを含む。
【0159】
いくつかの実施形態によれば、パターン化層は、硬化性溶液を含む。
【0160】
いくつかの実施形態によれば、中間層は、架橋ポリマーコーティングを含む。
【0161】
いくつかの実施形態によれば、ベース層は、可撓性基材を含む。
【0162】
いくつかの実施形態によれば、パターンは、10~150nmの寸法を含む反射防止特徴を備える。
【0163】
いくつかの実施形態によれば、パターンは、10~100nmの寸法を含むワイヤグリッド偏光子を備える。
【0164】
いくつかの実施形態によれば、パターンは、100~1000nmの寸法を含む光学格子を備える。
【0165】
いくつかの実施形態によれば、パターンは、0.1~1000μmの寸法を含む光アライメント基準を備える。
【0166】
いくつかの実施形態によれば、システムは、ディスプレイを備えるウェアラブルヘッドデバイスを備える。ディスプレイは、光学的特徴を備える光学スタックを備え、光学的特徴は、上述した構造を使用して形成される。システムは、複合現実環境に関連付けられたコンテンツをディスプレイ上に提示することを含む方法を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを備え、コンテンツは、光学的特徴に基づいて提示される。
【0167】
開示された例は、添付の図面を参照して十分に説明されているが、様々な変形および変更が当業者には明らかになることに留意されたい。例えば、1つ以上の実装の要素が組み合わせられ、削除され、変更され、または補足されて、さらなる実装を形成してもよい。そのような変形および変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示された例の範囲内に含まれると理解されるべきである。
【国際調査報告】