(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】プラスチック材料を調製する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C08J 11/10 20060101AFI20240415BHJP
C08J 3/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
C08J11/10 ZAB
C08J11/10 CEV
C08J3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564177
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2022058926
(87)【国際公開番号】W WO2022223280
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501164665
【氏名又は名称】コペリオン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ドレーアー,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】マッタ,マリーナ
【テーマコード(参考)】
4F070
4F401
【Fターム(参考)】
4F070AA22
4F070AB26
4F070AC13
4F070AE30
4F070BA08
4F401AA28
4F401BA13
4F401CA58
4F401CA65
4F401CA68
4F401CA70
4F401CA75
4F401CB28
4F401CB34
4F401CB35
4F401DA01
4F401EA11
4F401EA12
4F401EA34
4F401EA48
4F401EA71
4F401EA77
4F401FA01Z
4F401FA20Z
(57)【要約】
本発明は、プラスチック材料、特にプラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物などの熱可塑性材料を調製するための方法(100)に関し、方法は:プラスチック材料をスクリューマシン(202)に供給するステップ(102)と;有機塩化物を無機塩化物に変換するための添加剤をスクリューマシン(202)に供給するステップ(104)と;供給されたプラスチック材料をスクリューマシン(202)により可塑化して、プラスチック溶融物を形成する、ステップ(106)と;プラスチック溶融物を供給された添加剤とスクリューマシン(202)によって混合して、混合物を形成する、ステップ(108)であって、プラスチック溶融物に含まれる有機塩化物の少なくとも一部が添加剤によって無機塩化物に変換される、ステップと;を含む。本発明はまた、プラスチック材料、特にプラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物などの熱可塑性材料を、スクリューコンベヤ機(202)を使用して処理するための対応する装置(200)にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物などの、特に熱可塑性の、プラスチック材料を調製するための方法であって:
- 前記プラスチック材料をスクリューマシンに供給するステップと;
- 有機塩化物を無機塩化物に変換するための添加剤を前記スクリューマシンに供給するステップと;
- 供給された前記プラスチック材料を前記スクリューマシンにより可塑化して、プラスチック溶融物にする、ステップと;
- 前記プラスチック溶融物を供給された前記添加剤と前記スクリューマシンによって混合して、混合物にする、ステップであって、
前記プラスチック溶融物に含まれる有機塩化物の少なくとも一部が前記添加剤によって無機塩化物に変換される、ステップと;を含む
方法。
【請求項2】
前記添加剤が、金属塩化物又は金属ステアリン酸塩又は金属酸化物、特に酸化カルシウム又は酸化マグネシウム又は金属水酸化物、特に水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウム、又はゼオライト又は炭酸塩、特に炭酸水素塩、である及び/又はこれらを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記添加剤が触媒及び/又は反応剤として作用する、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記可塑化及び/又は前記混合中に、前記添加剤が触媒として使用されて塩化水素、特に塩化水素ガスが形成される、
請求項1乃至3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記可塑化及び/又は前記混合中に、前記添加剤が反応物として使用されて無機塩化物、特に塩化カルシウム又は塩化マグネシウムが形成される、
請求項1乃至4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記プラスチック溶融物は、100℃と400℃との間、特に280℃と330℃との間の温度を有する、
請求項1乃至5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記添加剤は、供給開口、特に主供給開口を介して、前記スクリューマシン、特に前記スクリューマシンの入口ゾーンに供給される、
請求項1乃至6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記添加剤は、特に前記スクリューマシンの主供給開口の下流側及び/又は前記スクリューマシンの入口ゾーンの下流側の、供給開口を介して、前記スクリューマシンに供給される、
請求項1乃至7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記プラスチック溶融物又は形成された前記混合物の脱ガスは、スクリューマシンに配置された少なくとも1つの脱ガス装置によってスクリューマシン内で行われる、
請求項1乃至8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記スクリューマシンで処理された前記プラスチック溶融物又は前記混合物は、溶融物として排出され及び/又は熱分解反応器に供給される、
請求項1乃至9いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記スクリューマシンは、多軸スクリューマシン、特に二軸スクリューマシンである、
請求項1乃至10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
プラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物などの、特に熱可塑性の、プラスチック材料を調製するための装置であって、スクリューマシンを備え、前記スクリューマシンは、
- 前記プラスチック材料、及び/又は、有機塩化物を無機塩化物に変換するための添加剤を、前記スクリューマシン内に供給するための少なくとも1つの供給開口と、
- 供給された前記プラスチック材料を可塑化してプラスチック溶融物にし、前記プラスチック溶融物を供給された前記添加剤と混合して混合物にするための少なくとも1つの処理要素シャフトであって、前記プラスチック溶融物中に含まれる有機塩化物の少なくとも一部が前記添加剤によって無機塩化物に変換される、少なくとも1つの処理要素シャフトと、を有する、
装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの処理要素シャフトが直径とプロセス長さを有し、
前記プロセス長さ前記が、直径の少なくとも32倍、特に前記直径の少なくとも48倍である、
請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記スクリューマシンが多軸スクリューマシン、特に二軸スクリューマシンとして設計されている、
請求項12又は13記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、前記プラスチック溶融物又は前記スクリューマシンで形成された前記混合物を脱ガスするための、前記スクリューマシンに配置された、少なくとも1つの脱ガス装置を有する、
請求項12乃至14いずれか1項記載の装置。
【請求項16】
請求項12乃至15いずれか1項記載の装置をプラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物などの、特に熱可塑性の、プラスチック材料を処理するために使用する方法であって、
前記プラスチック溶融物中に含まれる有機塩化物の少なくとも一部が、前記添加剤によって無機塩化物に変換される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物などのプラスチック材料、特に熱可塑性プラスチックを調製する(Aufbereitung)方法に関する。さらに、本発明は、プラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物などのプラスチック材料、特に熱可塑性プラスチックを調製する装置、及びかかる装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ケミカルリサイクルでは、プラスチックリサイクル廃棄物などのプラスチック廃棄物には、例えば、混合ポリオレフィン(MPO:mixed polyolefines)などのポリオレフィンが含まれる可能性があり、機械的リサイクルによる従来の方法ではもはやリサイクルできないものは、熱分解反応器に供給される。熱分解の代替として、ガス化(gasification)、流動触媒分解(FCC)、触媒熱水反応器技術(CAT-HTR)などの他の材料変換プロセスを使用することもできる。熱分解の目的は、長鎖ポリマを、その後の蒸留工程で互いに分離することができる短鎖オリゴマに変換することである。通常、小型システムが稼働しており、固形プラスチック廃棄物が断続的に装入され、熱分解反応器内で溶解され、熱分解温度まで加熱される。熱分解反応器の装入(Beschickung)は、材料を溶融及び加熱する一軸押出機(Einwellenextruders)を使用して行われることもできる。
【0003】
例えばEP 3 237 533 B1からは、ベース樹脂と無機鉱物充填剤とを有するポリエチレン組成物が知られており、ベース樹脂は、リサイクルされたケーブル廃棄物から得られる第1の架橋ポリエチレンと、製品の機械的特性を改善するための第2のバージンポリエチレンとを含む。
【0004】
特開平11-124463号公報から、ポリ塩化ビニルを、ボールミル中で、180℃より低い温度及び約3時間の反応時間で水溶性CaOHClに変換する不連続プロセスが知られており、CaOHClはその後のステップで洗浄除去される。
【0005】
固形プラスチック廃棄物を熱分解反応器に装入することは、プラスチック廃棄物をまず熱分解反応器で溶融しなければならない不連続プロセスをもたらす。さもなければ、装入のために複雑な投与装置とシステムが必要となる。これは、不必要なエネルギーと時間を要するプロセスにつながる。さらに、水分(水)やポリ塩化ビニル(PVC)などの不所望な成分が熱分解反応器に搬送される。一軸押出機を使用してプラスチック溶融物を熱分解反応器に装入する場合でも、装入量(Durchsatz)や溶融温度などの能力は非常に限られている。十分な装入量を得るためには、複数の一軸押出機及び/又は複数の熱分解反応器を使用する必要がある。しかし、これは不経済でエネルギー集約的なプロセスにつながる。
【0006】
消費後のプラスチック廃棄物には、ポリ塩化ビニル(PVC)が含まれていることが多い。しかし、塩素や臭素のようなハロゲンは、熱分解プロセスを阻害し、製品中に析出する可能性があるため、熱分解反応器において障害となる。また、腐食の危険性もある。熱分解生成物の後処理には非常に時間とコストがかかる。したがって、ハロゲン含有化合物は、熱分解の前に可能な限り除去する必要がある。熱安定剤のため、例えばポリ塩化ビニルは一軸押出機の滞留時間内ではほとんど分解又は脱ガスできない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、特に熱可塑性のプラスチック材料を製造するための冒頭で述べた方法を機能的に改良するという目的に基づいている。さらに、本発明は、プラスチック材料、特に熱可塑性のプラスチック材料を処理するための冒頭で述べた装置を構造的および/または機能的に改良するという目的に基づいている。
【0008】
従って、本発明の課題は、先行技術に関連して示された問題点を低減又は除去する処理方法及び処理装置を提供することである。
【0009】
課題は、請求項1の特徴を有する方法により解決される。さらに、課題は、請求項11の特徴を有する装置により解決される。有利な実施形態及び/又はさらなる発展が、従属請求項の主題である。
【0010】
プラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物などの、特に熱可塑性の、プラスチック材料を処理するための方法は:プラスチック材料をスクリューマシン又はスクリューコンベヤマシン(Schneckenmaschine)に供給するステップを含む。プラスチック材料の供給は、連続的及び/又は定量的に(dosiert)行うことができる。プラスチック材料の供給は不連続に行われることができる。プラスチック材料の供給は、部分的に不連続に行われることができ、部分的に連続的に行われることができる。プラスチック材料は、供給開口を介して、特にスクリューマシンの供給開口を介して供給することができる。供給開口は、スクリューマシンの主入口などの主供給開口であることができる。プラスチック材料は、装入装置などの装入機(Beschickung)によって供給することができる。装入機は、側方装入機(Seitenbeschickung)又は側方装入装置とすることができる。プラスチック材料は、供給装置及び/又は投入装置又は計量装置(Dosiereinrichtung)によって供給することができる。プラスチック材料は、スクリューマシンの入口ゾーン及び/又は供給ゾーンに供給することができる。プラスチック材料は、プラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物であり得る。プラスチック材料は、ハロゲン含有成分/化合物を有し得る。プラスチック材料は、ポリオレフィン及び/又はポリ塩化ビニル及び/又はポリマから構成されることができる。プラスチック材料は、プラスチック材料凝集体などの凝集体、及び/又は再生物、及び/又は粒状物であることができる。プラスチック材料は、粒状及び/又は繊維状であることができる。プラスチック材料は、プラスチック顆粒及び/又はプラスチック繊維を含むか又はであることができる。プラスチック材料は、フィルム又はシートの形態であることができる。プラスチック材料は、小片の形態(schnipselfoermig)であることができる。プラスチック材料は、シート小片などの小片を含むか又はであることができる。プラスチック材料は、プラスチックフィルム及び/又はプラスチックフィルム小片、例えば低嵩密度(Schuettdichte)フィルム及び/又はフィルム小片を含むか又はであることができる。
【0011】
本方法は、有機塩化物を無機塩化物に変換するための添加剤をスクリューマシンに供給するステップを含む。添加剤の供給は、連続的及び/又は定量的に(dosiert)行うことができる。添加剤の供給は、不連続的に行うことができる。添加剤の供給は、部分的に不連続的にすることも、部分的に連続的にすることもできる。添加剤の供給は、供給開口を介して、特にスクリューマシンの供給開口を介して行うことができる。供給開口は、スクリューマシンの主供給開口であることができる。添加剤の供給は、供給装置、及び/又は、投与装置又は計量装置(Dosiereinrichtung)によって行うことができる。添加剤の供給は、装入装置などの装入機によって行うことができる。装入機は、側方装入機又は側方装入装置であることができる。添加剤の供給は、スクリューマシンの入口ゾーン又は供給ゾーン又は溶融ゾーン又は混合ゾーン又は脱ガスゾーンで行われることができ、及び/又はこれらのゾーンに供給されることができる。添加剤の供給は、スクリューマシンの主供給開口の下流及び/又はスクリューマシンの入口ゾーンの下流で行うことができる。添加剤の供給は、プラスチック材料の供給を行うために、供給開口を介して、及び/又は、供給装置及び/又は投与装置及び/又は側方装入機などの装入機を用いて行うことができる。添加剤及びプラスチック材料は、同じ供給開口を介して、及び/又は、同じ供給装置及び/又は投与装置及び/又は側方装入機などの装入機を用いて供給することができる。添加剤の供給とプラスチック材料の供給とは、同時に行うことも、一緒に行うことも、互いに別々に行うことも、相前後して行うこともできる。添加剤とプラスチック材料とは、一緒に供給することも、別々に供給することもできる。添加剤は、プラスチック材料と一緒に供給することができる。添加剤は、プラスチック材料の供給の後又は前に供給することができる。添加剤は、補助剤(Hilfsstoff)及び/又は付加剤(Additiv)であることができる。添加剤は、粉末状、粒状又は液状であることができる。添加剤は、金属塩化物、金属酸化物、金属水酸化物、金属ステアリン酸塩、ゼオライト又は炭酸塩であることができる。添加剤は、金属塩化物及び/又は金属酸化物及び/又は金属水酸化物及び/又は金属ステアリン酸塩(単数又は複数)及び/又はゼオライト及び/又は炭酸塩を含むことができる。添加剤又は金属酸化物は、例えば、酸化カルシウム(CaO)又は酸化マグネシウム(MgO)であることができる。添加剤又は金属酸化物は、例えば、生石灰又は焼石灰であることができる。添加剤又は金属水酸化物は、例えば、水酸化カルシウム(CA(OH)2)又は水酸化マグネシウムMg(OH)2であることができる。添加剤は、例えば、アルカリ土類酸化物又はアルカリ酸化物であるか、又はそれらを含むことができる。添加剤又は炭酸塩は、例えば炭酸水素塩であることができる。
【0012】
本方法は、以下のステップを含むことができる:供給されたプラスチック材料を、スクリューマシンを用いて可塑化し、プラスチック溶融物にする、ステップ。可塑化はプラスチック材料の溶融であることができる。可塑化は、スクリューマシンの溶融ゾーン及び/又は混合ゾーンで行われることができる。プラスチック溶融物は、100℃と400℃との間、例えば300℃と400℃との間、又は200℃と350℃との間、特に280℃と330℃との間、例えば約320℃の温度を有することができる。可塑化は、スクリューマシンの少なくとも1つの処理要素シャフトを用いて行うことができる。例えば、可塑化は、スクリューマシンの2つの処理要素シャフトを用いて行うことができる。スクリューマシンは、多軸スクリューマシン、例えば二軸スクリューマシンであることができる。スクリューマシンは、同一方向又は反対方向に(gleichsinnig oder gegensinnig)回転駆動される及び/又は緊密に噛み合う(dicht kaemmende)多軸スクリューマシンとして設計され及び/又は駆動することができる。スクリューマシンは、押出機、特に多軸押出機、例えば二軸スクリュー押出機であることができる。
【0013】
本方法は、以下のステップを含むことができる:プラスチック溶融物を供給された添加材とスクリューマシンを用いて混合して、混合物にする、ステップ。混合は、スクリューマシンの溶融ゾーン及び/又は混合ゾーンで行うことができる。混合は、スクリューマシンの少なくとも1つの処理要素シャフトで行うことができる。混合は、例えば、分配混合、分散混合及び/又は不連続混合であることができる。少なくとも1つの処理要素シャフトは、搬送要素及び/又は混合要素及び/又は集積要素及び/又は混練要素などのスクリュー要素を備えることができる。プラスチック材料の可塑化及びプラスチック溶融物と供給された添加剤との混合は、例えば、スクリューマシンの溶融ゾーン及び/又は混合ゾーンなどの1つのゾーン内で、実質的に同時に、又は、相前後して行うことができる。混合ゾーンは、溶融ゾーンの下流に設けることができる。
【0014】
プラスチック材料を可塑化する間及び/又はプラスチック溶融物を添加剤と混合する間に、プラスチック溶融物中に含まれる有機塩化物の少なくとも一部は、添加剤によって無機塩化物に変換され得る。本方法は、以下のステップを含むことができる:プラスチック溶融物中に含まれる有機塩化物の少なくとも一部を添加材によって無機塩化物に変換する(Umwandeln)ステップ。変換は、プラスチック材料を可塑化する間及び/又はプラスチック溶融物を添加剤と混合する間移に行われる。変換は、スクリューマシンの溶融ゾーン及び/又は混合ゾーンで行われることができる。変換によって、例えば、プラスチック溶融物中に存在するポリ塩化ビニルを分解又は減成(abgebaut)することができる。
【0015】
添加剤は、例えば塩化物及び/又は塩化水素のための触媒及び/又は反応剤として作用することができる。添加剤は、塩化物に対する触媒として作用することができる。添加剤は、塩化水素ガスなどの塩化水素のための反応剤として作用することができる。
【0016】
触媒としての添加剤による可塑化及び/又は混合及び/又は変換の間に、塩化水素、特に塩化水素ガスが形成され得る。例えば、添加剤によるポリ塩化ビニルの分解又は減成は、触媒的に行う又は促進することができる。分解物又は減成物は、例えば以下のように表すことができる:
【0017】
【0018】
水(H2O)、二酸化炭素(CO2)及び/又はアルカン(CnH2n+2)又はアルケン(CnH2n)などの炭化水素(CnHm)に加えて、塩化水素(HCl)が放出又は形成され得る。
【0019】
本方法では、プラスチック溶融物及び/又は形成された混合物の脱ガスは、例えばスクリューマシン上に配置された少なくとも1つの脱ガス装置によって、スクリューマシン内で生じることができるか又は行われることができる。脱ガスは、可塑化及び/又は混合及び/又は変換と連続的及び/又は同時に行うことができる。複数の脱ガスを行うこともでき、脱ガス装置を設けることもできる。少なくとも1つの脱ガスは、スクリューマシンの溶融ゾーン、混合ゾーン又は脱ガスゾーンで行うことができる。少なくとも一つの脱ガス装置は、真空脱ガス装置及び/又は側面脱ガス装置及び/又は脱ガスドーム及び/又はタンピングスクリュー(Stopfschnecke)として設計することができる。少なくとも1つの脱ガス装置は、溶融物保持装置又は溶融物保持アセンブリなどの保持ユニット(Rueckhalteeinheit)を備えることができる。脱ガスは、例えば可塑化及び/又は混合及び/又は変換中に形成され及び/又はプラスチック溶融物から流出する塩化水素、又は、例えば水蒸気のような水などの揮発性成分を除去し、及び/又は、脱ガスに寄ってスクリューマシンの開口から排出/吸引する(abzufuehren / abzusaugen)役割を果たすことができる。変換中に形成される塩化水素又は塩化水素ガスの少なくとも一部は、脱ガスによって排出又は吸引することができる。
【0020】
可塑化及び/又は混合及び/又は変換中に、無機塩化物、例えば塩化カルシウム又は塩化マグネシウムが、反応物としての添加剤によって形成されることができる。例えば、酸化カルシウム(CaO)などの添加剤は、特に、塩化カルシウム(CaCl2)などの無機塩化物形成中に、変換中に形成される塩化水素(HCl)又は塩化水素ガス(HCl)の少なくとも一部と反応することができる。この反応は、例えば次のように表すことができる:
【0021】
CaO+2HCl→CaCl2+H2O
【0022】
従って、添加剤は触媒としても反応剤としても作用することができる。主に塩化カルシウム(CaCl2)又は塩化マグネシウム(MgCl2)が生成され得る。塩化カルシウム又は塩化マグネシウムは、さらなる熱分解プロセスにとって重要ではなく、躊躇なく(bedenkenlos)熱分解反応器に供給することができる。塩化カルシウムの沸点は約1670℃であり、熱分解反応器の運転温度よりかなり高い。つまり、わずかな塩化物しか蒸留に導かれないか又は全く導かれない。
【0023】
スクリューマシン内で処理されたプラスチック溶融物又は混合物は、例えばスクリューマシンの排出ゾーンの下側流端部で溶融物として排出することができる。処理された溶融物は、スクリューマシンの排出開口/出口開口、例えばノズルプレートを介して排出することができる。スクリューマシンで処理されたプラスチック溶融物又は混合物は、溶融物として、特に直接、熱分解反応器に供給することができる。スクリューマシンのノズルプレート又は排出開口は、例えば直接又は供給ラインを介して、熱分解反応器の供給部又は入口開口に接続することができる。
【0024】
プラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物などの、特に熱可塑性プラスチック材料を調製するための装置は、スクリューマシンを含むことができる。装置は、熱可塑性プラスチック材料、プラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物を調製するために役立つことができる。装置は、プラスチック調製装置などの調製装置であることができる。装置は、方法に関して記載された1つ以上の特徴を有するように設計されることができ、又はさらに構成されることができる。装置は、廃プラスチックの処理及び/又は調製のために役立つことができる。装置は、リサイクル目的、特にプラスチックリサイクル目的のために役立つことができる。本装置は、プラスチック材料の前処理及び/又は搬送、可塑化、溶融、混合、凝集又は造粒のために役立ち、及び/又は設計されることができる。
【0025】
スクリューマシンは、特に搬送方向において、入口ゾーン及び/又は供給ゾーン及び/又は溶融ゾーン及び/又は混合ゾーン及び/又は脱ガスゾーン及び/又は排出ゾーンを有していてもよい。スクリューマシンは、圧縮ゾーンを含むことができる。溶融ゾーンは、入口ゾーン及び/又は供給ゾーンの下流側に設けられるか又は配置されることができる。混合ゾーンは、溶融ゾーンの下流側に設けられるか又は配置されることができる。排出ゾーンは、混合ゾーンの下流側に設けられるか又は配置されることができる。入口ゾーン/供給ゾーンではプラスチック材料及び/又は添加剤を供給することができる。溶融ゾーンでは、プラスチック材料を溶融させることができる。圧縮ゾーンでは、プラスチック材料を圧縮することができる。混合ゾーンでは、プラスチック材料を混合することができる。混合ゾーンでは、プラスチック材料を添加剤と混合することができる。脱ガスゾーンでは、プラスチック材料を脱ガスすることができる。排出ゾーンでは、プラスチック材料を均質化し、及び/又は圧力を高めることができる。
【0026】
スクリューマシンは、スクリューマシンにプラスチック材料を供給するための少なくとも1つの供給開口を有する。スクリューマシンは、有機塩化物を無機塩化物に変換するための添加剤をスクリューマシンに供給するための少なくとも1つの供給開口を有することができる。スクリューマシンは、プラスチック材料を供給し、添加剤をスクリューマシンに供給するための、主供給開口又は主入口などの供給開口を有することができる。スクリューマシンは、1つ以上の供給開口を有することができる。少なくとも1つの供給開口は、入口ゾーン及び/又は供給ゾーン及び/又は溶融ゾーン及び/又は混合ゾーン及び/又は脱ガスゾーンに対応付けられるか、又はそこで開口することができる。
【0027】
スクリューマシンは、少なくとも1つの供給装置及び/又は 投与装置又は計量装置(Dosiereinrichtung)を有する。少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置は、少なくとも1つの供給開口に関連付けられ得るか又はそれに作動的又は効果的に接続され得る。少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置は、プラスチック材料及び/又は添加剤をスクリューマシン内に定量的及び/又は連続的に供給する役割を果たすか、又はそのように設計することができる。
【0028】
少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置は、プラスチック材料を受け入れるように設計されることができる。少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置は、供給ホッパ(Einfuelltrichter)などの少なくとも1つのホッパを備えることができる。例えば、少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置は、供給ホッパなどの2つのホッパを備えることができる。少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置は、例えば、プラスチック材料を供給するための供給ホッパなどのホッパと、添加剤を供給するための供給ホッパなどのホッパと、を備えることができる。少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置は、貯蔵容器を備えることができる。少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置は、プラスチック材料及び/又は添加剤を計量的(dosierten)及び/又は連続的に渡すように設計されることができる。少なくとも1つの供給装置及び/又は計量装置は、プラスチック材料及び/又は添加剤を重量式(gravimetrisch)又は容積式(volumetrisch)で計量的及び/又は連続的にスクリューマシンに供給するように設計されることができる。少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置は、供給スクリューマシン及び/又は投与スクリューマシンを備えることができる。少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置は、計量スケール(Dosierwaage)などの重量式又は容積式の計量ユニットを備えることができる。投与ユニットは、ベルト秤量機(Bandwaage)であることができる。投与ユニットは、重量式であっても容積式であってもよい。少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置及び/又は投与ユニットは、プラスチック材料又はプラスチックリサイクル材料及び/又は添加剤の少なくとも一部の材料フロー、体積及び/又は重量を、特に正確に、捕捉するように設計することができる。
【0029】
スクリューマシンは、シリンダーハウジングなどのハウジングを有することができる。ハウジングは一体型であってもよいし、組立型であってもよい。ハウジングは工程部品(Verfahrensteil)であることができる。ハウジングは、複数のハウジングセクション又はハウジング部品を有することができる。ハウジングセクション又はハウジング部品は、順々に配置されてもよく、及び/又は、ハウジングを形成するために相互に接続されることができる。ハウジングには、少なくとも1つのハウジングボアが形成されることができる。ハウジングには、互いに平行であり、互いに貫通又は重なり合う2つのハウジングボアが形成されることができる。2つのハウジングボアは、断面に横たわる8の字の形状(im Querschnitt die Form einer liegenden Acht)を有することができる。スクリューは、供給ホッパなどの少なくとも1つのホッパを有することができる。ホッパは、スクリューマシンのフラッフ入口(Flaupteinlauf)とすることができる。ホッパは、スクリューマシンのハウジングに配置することができる。ホッパは、少なくとも1つの供給開口に作動的に接続される。ホッパは、プラスチック材料及び/又は添加剤を供給するために働くことができる。少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置は、プラスチック材料をスクリューマシンのホッパに計量的及び/又は連続的に供給することができる。スクリューマシンのハウジングは、少なくとも1つのハウジングボア内に開口する少なくとも1つの供給開口を含むことができる。少なくとも1つの供給開口は、ホッパに作動的又は効果的に(wirksam)接続されることができる。スクリューマシンのハウジングは、少なくとも1つのハウジングボア内に開口する少なくとも1つの脱ガス開口を有することができる。
【0030】
スクリューマシンは、少なくとも1つの供給装置及び/又は投与装置によって供給されたプラスチック材料を溶融及び/又は可塑化するように設計されることができる。スクリューマシンは、供給されたプラスチック材料を可塑化/溶融してプラスチック溶融物にするための少なくとも1つの処理要素シャフトを有することができる。少なくとも1つの処理要素シャフトは、供給されたプラスチック材料を可塑化/溶融してプラスチック溶融物にするように設計されることができる。少なくとも1つの処理要素シャフトは、特に、プラスチック溶融物中に含まれる有機塩化物の少なくとも一部が添加剤によって無機塩化物に変換されることができるように、プラスチック溶融物を供給された添加剤と混合して混合物にするために設計され得る。少なくとも1つの処理要素シャフトは、押出機シャフト(Extruderwelle)又は押出機スクリューとすることができる。少なくとも1つの処理要素シャフトは、外径などの直径を有することができる。少なくとも1つの処理要素シャフトは、プロセス長(Verfahrenslaenge)を有することができる。プロセス長は、直径の少なくとも32倍、特に直径の少なくとも48倍とすることができる。プロセス長は、>32L/D、好ましくは>48L/Dであることができる。少なくとも1つの処理要素シャフトは、スクリュー要素を備えることができる。スクリュー要素は、少なくとも1つの処理要素シャフト上に、回転可能に配置されることができ、例えば差し込まれることができる。スクリュー要素は、前方搬送要素又は後方搬送要素などの搬送要素(Foerderelemente)、及び/又はせん断要素(Scherelemente)、及び/又は集積要素(Stauelemente)、及び/又は混練要素(Knetelement)、及び/又は混合要素(Mischelemente)から構成することができる。混練要素は、個々の混練ディスクとして、又は、互いに一体的に連結された複数の混練ディスクを有する少なくとも1つの混練ブロックとして設計されることができる。少なくとも1つの処理要素シャフトは、スクリューマシンのハウジング内、特にハウジングボア内に配置されることができる。スクリューマシンの各ハウジングボア内に処理要素シャフトが配置されることができる。複数の処理要素シャフト、特に2つの処理要素シャフトは、同心状に配置されることができる。少なくとも1つの処理要素シャフトは、駆動モータによって関連する回転軸周りに回転駆動されることができる。少なくとも1つの分岐ギア及び/又はクラッチを、処理要素シャフトの間に作動的又は効果的に配置することができる。複数の処理要素シャフト、特に2つの処理要素シャフトは、回転軸周りに、同じ方向すなわち同じ回転方向に、又は反対方向すなわち反対回転方向に駆動するか又は駆動されることができる。
【0031】
スクリューマシンは、多軸スクリューマシン、特に二軸スクリューマシンとすることができる。スクリューマシンは、複数の処理要素シャフト、例えば2つの処理要素シャフトを有することができる。スクリューマシンは、同一方向/共回転、又は反対方向/逆回転に回転駆動されることができ、及び/又は密接に噛み合う多軸スクリューマシンとして設計されることができ、及び/又はそのように駆動すること又は駆動されることができる。スクリューマシンは、押出機、特に多軸押出機、例えば二軸押出機であることができる。複数の処理要素シャフト、例えば2つの処理要素シャフトは、同一方向に回転駆動されてもよいし、反対方向に回転駆動されてもよい。複数の処理要素シャフト、特に2つの処理要素シャフトは、密接に噛み合うことができる。
【0032】
装置は、少なくとも1つの脱ガス装置を含むことができる。少なくとも1つの脱ガス装置は、スクリューマシンに配置されることができる。少なくとも1つの脱ガス装置は、スクリューマシン内でプラスチック溶融物又は形成された混合物を脱ガスするように設計されることができる。少なくとも1つの脱ガス装置は、順方向脱ガス装置(Vorwaerts-Entgasungseinrichtung)及び/又は逆方向脱ガス装置(Rueckwaerts-Entgasungseinrichtung)として設計することができる。複数の脱ガス装置を設けることができる。少なくとも1つの脱ガス装置は、スクリューマシンの溶融ゾーン、混合ゾーン、脱ガスゾーン又は排出ゾーンに作動的又は効果的に配置することができ、又はこれらのゾーンに関連させることができる。少なくとも1つの脱ガス装置は、真空脱ガス装置及び/又は側面脱ガス装置及び/又は脱ガスドーム及び/又はタンピングスクリューとして設計することができる。少なくとも1つの脱ガス装置は、溶融物保持装置又は溶融物保持ユニットなどの保持ユニットを備えることができる。少なくとも1つの脱ガス装置は、加熱されていてもよいし、加熱ユニットを有していてもよい。例えば、2つ又は3つの加熱真空脱ガスユニットが、側面脱ガスユニットなどの溶融物保持ユニットとともに設けられることができる。少なくとも1つの脱ガスユニットは、0mbarと1000mbarとの間、特に10mbarと800mbarとの間、特に20mbarと400mbarとの間の絶対圧を有する真空を生成することができる。例えば、少なくとも1つの脱ガス装置は、約100mbarの絶対圧力を有する真空を生成するように設計されることができる。少なくとも1つの脱ガス装置は、例えば約20m3/hの規定体積流を生成するように設計することができる。脱ガス又は少なくとも1つの脱ガス装置は、例えば可塑化及び/又は混合及び/又は変換の間に、生成及び/又はプラスチック溶融物から流出する、水、例えば水蒸気、又はガス、例えば炭化水素又は塩化水素などの揮発性成分を除去すること、及び/又はスクリューマシンの脱ガス口を通してそれらを排出/吸引することに役立つことができる。変換中に形成された塩化水素又は塩化水素ガスの少なくとも一部は、脱ガスによって、又は少なくとも1つの脱ガス装置によって、排出又は吸引することができる。
【0033】
スクリューマシンは、特にその下流端部、例えば排出ゾーンの下流端部に、排出開口/出口開口を備えることができる。排出開口/出口開口は、処理されたプラスチック溶融物が排出開口/出口開口を通ってスクリューマシンの内部から取り出し可能なように設計されることができる。排出開口/出口開口には、特に成形工具(Formwerkzeug)などの、成形用の工具を配置することができる。排出開口/出口開口は、ノズルプレートによって形成することができる。スクリューマシンで処理されたプラスチック溶融物又は混合物は、溶融物として、特に直接、熱分解反応器に供給することができる。スクリューマシンの排出開口/出口開口は、例えば直接及び/又は供給ラインを介して、熱分解反応器の供給開口又は入口開口に接続することができる。スクリューマシン及び/又は供給ラインは、処理されたプラスチック溶融物を熱分解反応器に、特に連続的に供給するように設計することができる。
【0034】
さらなる態様は、プラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物などの、特に熱可塑性の、プラスチック材料を調整及び/又はリサイクルするための、上述及び/又は後述の装置の使用であって、プラスチック溶融物中に含まれる有機塩化物の少なくとも一部が添加剤によって無機塩化物に変換される装置の使用に関する。
【0035】
要約して、換言すれば、本発明は、とりわけ、プラスチック廃棄物(「消費者廃棄物」)からハロゲン化炭化水素を分離するための方法及び装置をもたらす。付加剤などの添加剤を添加することができ、これは、分離を引き起こし及び/又は促進することができる。添加剤は、金属塩化物又は金属酸化物、例えば酸化カルシウム(例えば生石灰)であることができる。装置は、二軸スクリュー押出機であることができる。二軸スクリュー押出機は、例えばせん断によって必要なエネルギーを加えることができる。製品にできるだけ多くのエネルギーを導入するため、及び/又は100℃と400℃との間、例えば300℃と400℃との間、又は200℃と350℃との間、特に280℃と330℃との間、例えば>320℃、最高380℃までの目標温度に到達できるようにするために、装置又は二軸スクリュー押出機のプロセス長は、>32L/D、好ましくは>48L/Dとすることができる。水などの揮発性成分又は炭化水素や塩化水素などの分解により発生するガスをプロセスから除去し、熱分解反応器に搬送しないために、例えば側面脱ガスユニットなどの溶融物保持ユニットを有する、少なくとも1つ、好ましくは2つ又は3つの、加熱真空脱ガスユニットを設けることができる。機械技術と添加剤の組み合わせにより、プロセスを最適化することができる。化学化合物又は添加剤の添加は、ポリ塩化ビニルの分解を促進することができる。添加剤は、装置又は二軸スクリュー押出機の主入口に加えることができる。添加剤によって、プラスチック廃棄物中のポリ塩化ビニルの分解を触媒的に促進することができる。水、二酸化炭素、炭化水素に加えて、塩化水素も放出されることができる。この塩化水素の一部は、真空脱ガスによって抽出することができる。塩化水素の大部分は、例えば酸化カルシウムなどの添加剤と反応して、たとえば塩化カルシウムを形成することができる。このように、添加剤は触媒としても反応剤としても機能する。塩化カルシウムの沸点は1670℃であり、熱分解反応器の運転温度を大幅に上回っているため、主に生成される塩化カルシウムは重要ではなく、躊躇なく熱分解反応器に供給することができる。
【0036】
本発明により、塩化物が全く又は少なくともわずかな塩化物しか蒸留に供給されないことを確実にすることができる。処理能力を増大させることができ、例えば、特に押出機を用いて、連続的に10000kg/hまで達成することができる。特に添加剤及び/又はプラスチック溶融物の非常に良好な混合効果及び/又は均質化を達成することができる。エネルギーは、摩擦を介してプラスチック材料に直接導入されることができ、短時間、例えば101~80秒、例えば20~120秒、特に30~90秒で目標温度にすることができる。追加の外部加熱を省略できる。エネルギー効率を向上させることができる。反応を均一かつ迅速に行うことができる。高い表面更新率(Hohe Raten an Oberflaechenerneuerung)及び/又はより良好な脱ガスを可能にすることができる。ポリ塩化ビニルの分解を促進できる。プラスチック廃棄物から有機塩素や塩化物を効率的に除去できる。本方法は、連続的に及び/又は1つのステップで実行できる。高い目標温度での滞留時間の短縮が可能である。熱分解の非常に高い割合が熱分解反応器内で行われることができる。熱分解反応器での収率を高めることができる。溶融物中に存在する熱エネルギーをさらに利用することができる。装置、方法、熱分解がよりエネルギー効率的になる。より高い充填度及び/又は処理能力を有する、より小さな機械サイズを実現することができる。有機塩化物から無機塩化物への変換は、著しく高い沸騰温度で実施できる。過剰の酸化カルシウムなどの添加剤により、例えば非臨界塩化カルシウムへの、効率的な変換が行われ、熱分解プロセスを阻害せず、かつ/又は最後にサンプ(Sumpf)から排出することができる。熱分解反応器及び/又は蒸留塔の洗浄及び/又はメンテナンスが少なくて済む。コストを節約できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、模式的かつ例示的に、より詳細に説明する:
【
図1】
図1は、特に熱可塑性のプラスチック材料の調整方法を示す図である。
【
図2】
図2は、プラスチック材料、特に熱可塑性プラスチックを加工する装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、プラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物のような、特に熱可塑性のプラスチック材料を処理するための工程100を概略的に示している。
【0039】
ステップ102において、プラスチック材料はスクリューマシンに供給される。プラスチック材料は、スクリューマシンの供給開口、特に主供給開口、特にスクリューマシンの入口ゾーンを介して供給することができる。プラスチック材料の供給は、供給装置及び/又は投与装置によって連続的に行うことができる。プラスチック材料は、例えば、ポリ塩化ビニルからなる。
【0040】
ステップ104において、有機塩化物を無機塩化物に変換するための添加剤がスクリューマシンに供給される。添加剤の供給は、スクリューマシンの供給開口、特に主供給開口、特にスクリューマシンの供給ゾーンを介して行うことができる。添加剤の供給は、供給装置及び/又は投与装置によって不連続的又は連続的に行うことができる。添加剤は、金属塩化物、金属水酸化物、金属ステアリン酸塩、ゼオライト、炭酸塩又は金属酸化物、例えば酸化カルシウム又は酸化マグネシウムであることができる。添加剤は粉末状であることができる。供給ステップ102及び104は、同時に実施してもよいし、別々に実施してもよい。
【0041】
供給されたプラスチック材料は、ステップ106において、スクリューマシンによって可塑化又は溶融されてプラスチック溶融物となる。プラスチック溶融物は、300℃~400℃、特に約320℃の目標温度にすることができる。可塑化は、スクリューマシン内に回転可能に配置された少なくとも1つの処理要素シャフトによって行うことができる。例えば、スクリューマシンは、同一方向に回転し、密接に噛み合う2本の処理要素シャフトを有する二軸スクリュー押出機であり、この二軸スクリュー押出機は、複数のプロセス別スクリュー要素を有する。
【0042】
ステップ108において、プラスチック溶融物は、スクリューマシンによって添加された添加剤と混合されて混合物になり、プラスチック溶融物中に含まれる有機塩化物の少なくとも一部は、添加剤によって無機塩化物に変換される。添加剤によってプラスチック溶融物中に含まれる有機塩化物の少なくとも一部を無機塩化物に変換するための変換ステップを設けることもできる。変換ステップは、混合ステップ108及び/又は可塑化ステップ106と同時に実施することができる。添加剤は触媒及び/又は反応剤として作用してもよい。可塑化及び/又は混合中に、触媒としての添加剤によって塩化水素、特に塩化水素ガスが形成されることができ、反応剤としての添加剤によって無機塩化物、例えば塩化カルシウム又は塩化マグネシウムが形成されることができる。例えば、ポリ塩化ビニルは、酸化カルシウム又は酸化マグネシウムを触媒的に用いて、水、二酸化炭素、炭化水素及び塩化水素に変換することができる。その後、塩化水素の少なくとも一部は酸化カルシウム又は酸化マグネシウムと反応し、水と塩化カルシウム又は塩化マグネシウムになる。塩化カルシウム又は塩化マグネシウムは、その後の熱分解プロセスには重要ではない。
【0043】
ステップ110では、スクリューマシン上に配置された少なくとも1つの脱ガス装置によって、プラスチック溶融物又は形成された混合物の脱ガスがスクリューマシン内で行われる。脱ガスは、溶融物保持ユニットなどの保持ユニットを備えた真空側面脱ガス装置であることができる。形成された塩化水素ガスの少なくとも一部が、脱ガス又は脱ガス装置によって排出又は吸引されてもよい。脱ガスステップ110は、可塑化ステップ106及び/又は混合ステップ108及び/又は変換ステップと連続的及び/又は同時に行うことができる。複数の、例えば2つ又は3つの脱ガス装置を設けることができる。
【0044】
ステップ112において、スクリューマシン内で処理されたプラスチック溶融物又は混合物は、その後、溶融物として排出されるか、又は熱分解反応器に供給される。
【0045】
図2は、プラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物などの、特に熱可塑性のプラスチック材料を調整するための装置200を概略的に示している。装置200は、上述及び/又は後述する方法を実施する役割を果たすことができ、及び/又はそのように設計されることができる。
【0046】
装置200は、スクリューマシン202と、供給装置及び/又は投与装置204と、少なくとも1つの脱ガス装置206とを備える。
【0047】
スクリューマシン202は、二軸スクリュー押出機などの二軸スクリューマシンとして設計され、複数のスクリュー要素を有する2つの処理要素シャフト208を有する。処理要素シャフト208は、各々、直径及びプロセス長を有し、プロセス長は、少なくとも直径の32倍、特に少なくとも直径の48倍である。2つの処理要素シャフト208は、2つの互いに重なり合うハウジングボア210内に配置され、このハウジングボア210は断面に横たわる8の字の形状を有する。ハウジングボア210において、処置要素シャフト208は、関連する回転軸に対して同心に配置される。処置要素シャフト208は、同一方向に回転するように設計されており、密に噛み合うようになっている。処置要素シャフト208の駆動は、電気駆動モータ212によって行われる。処置要素シャフト208と駆動モータとの間には、分岐ギア214とクラッチ216とが配置されている。
【0048】
スクリューマシン202は、さらに、供給開口218を有し、この供給開口218に主供給ホッパが接続されており、供給開口218はハウジングボア210に開口している。供給開口218は、有機塩化物を無機塩化物に変換するために、プラスチック材料及び添加剤をスクリューマシン202に供給するために使用される。主供給ホッパ220には、供給装置及び/又は投与装置204によってプラスチック材料及び添加剤が供給される。付加的に又は代替的に、スクリューマシン202は、プラスチック材料及び/又は添加剤を供給するように設計された側方装入機を有することができる。
【0049】
供給装置及び/又は投与装置204は、少なくとも1つの供給ホッパ222を有し、この供給ホッパ222を通して、プラスチックリサイクル凝集体のなどのプラスチック材料及び添加剤を供給することができる。添加剤は例えば粉末状である。添加剤は、金属塩化物、金属水酸化物、金属ステアリン酸塩、ゼオライト、炭酸塩、又は酸化カルシウムもしくは酸化マグネシウムなどの金属酸化物であってもよい。供給装置及び/又は計量装置204は、貯蔵又は保持容器224と、重量式又は容積式の計量装置226とをさらに備え、プラスチック材料及び/又は添加剤をスクリューマシン202の主供給ホッパ220に連続的及び/又は計量して供給することができる。
【0050】
処理要素シャフト208は、供給されたプラスチック材料を可塑化して、プラスチック溶融物にし、、プラスチック溶融物を供給された添加剤と混合して、混合物にするように設計されており、プラスチック溶融物中に含まれる有機塩化物の少なくとも一部を、添加剤によって無機塩化物に変換することができる。可塑化及び/又は混合中に、供給された、触媒としての添加添加剤によって塩化水素、特に塩化水素ガスが形成され、供給された、反応剤としての添加剤によって無機塩化物、例えば塩化カルシウム又は塩化マグネシウムが形成され得る。例えばポリ塩化ビニルは、酸化カルシウム又は酸化マグネシウムを触媒的に用いて、水、二酸化炭素、炭化水素及び塩化水素に変換されることができる。その後、塩化水素の少なくとも一部は、酸化カルシウム又は酸化マグネシウムと反応し、水と塩化カルシウム又は塩化マグネシウムになる。
【0051】
少なくとも1つの脱ガス装置206は、スクリューマシン202に配置され、スクリューマシン202内のプラスチック溶融物又は形成された混合物を脱ガスするように設計されている。少なくとも1つの脱ガス装置206は、加熱されることができ、又はヒータユニットを備えることができる。少なくとも1つの脱ガス装置206は、溶融物保持ユニットなどの保持ユニット228と、セパレータ230と、凝縮器232と、吸引ポンプ234とを有する真空側方脱ガス装置(Vakuumseitenentgasung)として設計される。凝縮器232は、ガス状流体を凝縮することができる。少なくとも1つの脱ガス装置206は、スクリューマシン202の脱ガス開口の側方に取り付けることができる。脱ガス又は脱ガス装置によって、形成された塩化水素ガスの少なくとも一部を排出又は吸引することができる。少なくとも1つの脱ガス装置206は、可塑化及び/又は混合及び/又は変換中に連続的及び/又は同時に脱ガスを行うように設計される。本実施形態例では、装置200は、実質的に同一に構成された、下流側に相前後して配置された3つの脱ガス装置206を備える。脱ガス装置206のうちの2つ、例えば、第1の脱ガス装置206の下流に配置された2つの脱ガス装置206は、作動的又は効果的に相互接続されていてもよい。
【0052】
スクリューマシン202は、その下流端に出口開口236をさらに備え、出口開口236は、処理されたプラスチック溶融物がスクリューマシン202の内部から排出されることを可能にするように構成される。
【0053】
制御のために、装置200は制御装置238を備える。制御装置238により、特にスクリューマシン202、供給装置及び/又は投与装置204及び/又は脱ガス装置206を制御することができる。
【0054】
【0055】
「できる(kann)」とは、特に本発明の任意の特徴を指す。したがって、それぞれの特徴又は特徴を追加的又は代替的に有する本発明のさらなる実施形態及び/又は実施形態も存在する。
【0056】
必要であれば、単離された特徴を、本明細書に開示された特徴の組み合わせから選択し、特徴間に存在し得る構造的及び/又は機能的関係を解決しつつ、請求項の主題を画定するために他の特徴と組み合わせて使用することもできる。方法の順序及び/又はステップ数は変化させることができる。
【符号の説明】
【0057】
100 調整方法
102 プラスチック材料を供給するステップ
104 添加剤を供給するステップ
106 プラスチック材料を可塑化するステップ
108 プラスチック溶融物を添加剤と混合するステップ
110 プラスチック溶融物又は混合物を脱ガスするステップ
112 溶融物を排出及び/又は供給するステップ
200 調製装置
202 スクリューマシン
204 供給装置及び/又は投与装置
206 脱ガス装置
208 処理要素シャフト
210 ハウジングボア
212 駆動モータ
214 分岐ギア
216 カップリング
218 供給開口
220 スクリューマシンのメイン供給ホッパ
222 供給装置及び/又は投与装置の供給ホッパ
224 貯蔵又は保存容器
226 投与装置
228 溶融物保持ユニット
230 セパレータ
232 コンデンサ
234 吸引ポンプ
236 出口開口
238 制御装置
【国際調査報告】