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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】温度調整装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 21/00 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
F25B21/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565199
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 EP2021060582
(87)【国際公開番号】W WO2022223122
(87)【国際公開日】2022-10-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523399050
【氏名又は名称】シュンク シンターメタルテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】523399061
【氏名又は名称】シュンク シンターメタルテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】517381603
【氏名又は名称】バイス テヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ハック
(72)【発明者】
【氏名】インゴルフ ランガー
(72)【発明者】
【氏名】フランク バウムゲルトナー
(57)【要約】
本発明は、温度制御装置であり、特に磁気冷凍装置である、温度制御装置と、温度制御装置(10)を生産する方法と、に関する。該温度制御装置は、ステータ(11)と、シャフト上で回転するように取付けられたロータ(12)と、ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、温度制御装置は、磁場発生源(14)と、温度コントローラ(16)と、を有し、温度コントローラは、磁化可能材料を有する流路(17)であって、流体が熱伝達媒体としてその流路を流れることができる、流路を有し、温度コントローラは、少なくとも部分的には磁場発生源の磁場内に配置され、かつ、磁場が流路の各々で変化するように、磁場発生源に対して相対的に回転可能であり、磁場の磁束の増加は、磁化可能材料の温度を上昇させ、かつ、磁場の磁束の減少は、材料の温度を下降させる、温度制御装置であって、温度コントローラは、少なくとも、第1のキュリー温度を有する第1の材料から少なくとも作製される第1温度コントローラ、及び、第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の材料から作製される第2温度コントローラ、から選択される、温度制御装置である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度制御装置(10、31)であり、特に磁気冷凍装置である、温度制御装置であって、前記温度制御装置は、ステータ(11、31)と、シャフト(13、34)上で回転するように取付けられたロータ(12、33)と、前記ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、前記温度制御装置(16、37)は、磁場発生源(14、36)と、温度コントローラと、を有し、前記温度コントローラは、磁化可能材料を有する流路(17、39)であって、流体が熱伝達媒体として前記流路を流れることができる、流路を有し、前記温度コントローラは、少なくとも部分的には前記磁場発生源の磁場内に配置され、かつ、前記磁場が前記流路の各々で変化するように、前記磁場発生源に対して相対的に回転可能であり、前記磁場の磁束の増加は、前記磁化可能材料の温度を上昇させ、かつ、前記磁場の磁束の減少は、前記材料の温度を下降させる、温度制御装置において、
前記温度コントローラは、少なくとも、第1のキュリー温度を有する第1の材料から少なくとも作製される第1温度コントローラ(16、37)、及び、前記第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の材料から作製される第2温度コントローラ、から選択される、ことを特徴とする、温度制御装置。
【請求項2】
前記温度制御装置(10、31)は、前記第1温度コントローラ(16、37)が前記第2温度コントローラと交換可能であり、かつ、その逆もまた可能であるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記流路(17、39)は、前記シャフト(13、34)の軸方向に走っており、かつ、その各々は、前記温度コントローラ(16、37)の軸方向端(19、40)に、前記流体のための入口開口(20)を形成し、かつ、反対側の軸方向端(21、41)に、前記流体のための出口開口(22)を形成する、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記流路(17、39)を通過する前記流体の流れを制御するように構成された分配器(25、26、42、43)が、少なくとも1つの軸方向端(19、21、40、41)上に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の温度制御装置。
【請求項5】
第1流路を通過する流体の流れを遮ることができ、かつ、第2流路を通過する流体の流れを放出することができ、前記遮ることは、前記第1流路が前記磁場内に入るとき、及び/又は前記磁場から外れるときに起こる、ことを特徴とする、請求項4に記載の温度制御装置。
【請求項6】
前記流路(17、39)を通過する流体の流れは、前記流路が前記磁場内に入るとき、及び前記磁場から外れるときに、連続的であることを特徴とする、請求項4に記載の温度制御装置。
【請求項7】
前記分配器(25、26、42、43)は、前記流路及び前記分配器が共に前記温度コントローラ(16、37)の外周に沿った蛇行路を少なくとも部分的に形成するように、隣接する流路(17、39)に接続することを特徴とする、請求項6に記載の温度制御装置。
【請求項8】
前記温度制御装置は、前記流体を循環させるための搬送手段を有する流体回路と、前記流体の熱エネルギーを放散させるための熱交換器と、を備え、前記駆動装置アセンブリは、少なくとも1つの電気モータを備える、ことを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項9】
前記ロータ(12、33)は、前記温度コントローラ(16、37)を含み、かつ、前記ステータ(11、32)は、前記磁場発生源(14、36)を含むこと、又は、その逆であること、を特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項10】
前記温度コントローラ(16、37)は、ブッシング(18、38)であり、かつ、前記磁場発生源(14、36)は、前記ブッシングの内側かつ/又は外側で、前記ブッシングに対して同軸的に、配置され、前記磁場発生源は、少なくとも1つの永久磁石(15、35)又は電磁石によって形成される、ことを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項11】
異なるキュリー温度を有する材料が、前記流路(17、39)に沿った前記流体の流れ方向に順番に配置されることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項12】
前記材料は、異なるキュリー温度を有する前記温度コントローラ(16、37)の外周に沿って順番に配置されることを特徴とする、請求項11に記載の温度制御装置。
【請求項13】
前記ブッシング(18、38)は、少なくとも2つのリングから成り、前記少なくとも2つのリングのそれぞれの材料は、異なるキュリー温度を有することを特徴とする、請求項11に記載の温度制御装置。
【請求項14】
前記材料は、前記流路(17、39)に沿った前記流体の前記流れ方向に、キュリー温度の勾配を示すことを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項15】
前記温度コントローラ(16、37)上にある前記流体のための入口開口(20)でのキュリー温度、及び出口開口(22)でのキュリー温度が、少なくとも4K、好ましくは10K、特に好ましくは20K、の温度差を示すことを特徴とする、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項16】
前記材料は、ランタン(La)、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、コバルト(Co)、及び/又は他の構成要素、から成る材料の混合物から成ることを特徴とする、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項17】
前記材料は、温度制御要素(48、49、50、51)を形成し、前記温度制御要素は、前記流路(17、39)上に配置されるか、又は、少なくとも部分的に、又は完全に、前記流路を形成する、ことを特徴とする、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項18】
前記温度制御要素(48、49、5、51)は、付加製造によって、特に、粉末射出成形、金属粉末押出成形、又はレーザ溶融によって、生産されることを特徴とする、請求項17に記載の温度制御装置。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれか一項に記載の温度制御装置(10、31)を生産するためのモジュールシステムであって、前記モジュールシステムは、前記温度制御装置を備え、前記温度制御装置は、ステータ(11、32)と、シャフト(13、34)上で回転するように取付けられたロータ(12、33)と、前記ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、前記温度制御装置は、磁場発生源(14、36)を有し、前記モジュールシステムは、温度コントローラの組を備え、前記温度コントローラの組は、少なくとも第1温度コントローラ(16、37)及び第2温度コントローラを備え、前記第1温度コントローラは、第1のキュリー温度を有する第1の磁化可能材料を備え、かつ、前記第2温度コントローラは、前記第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の磁化可能材料を備え、前記温度制御装置は、前記第1温度コントローラ又は前記第2温度コントローラを備えて選択的に設けられる、モジュールシステム。
【請求項20】
温度制御装置(10、31)であり、特に磁気冷凍装置である、温度制御装置を生産するための方法であって、前記温度制御装置は、ステータ(11、32)と、シャフト(13、34)上で回転するように取付けられたロータ(12、33)と、前記ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、前記温度制御装置は、磁場発生源(14、36)と、温度コントローラ(16、37)と、を有し、前記温度コントローラは、磁化可能材料を有する流路(17、39)を有し、流体が、熱伝達媒体として前記流路を流れ、前記温度コントローラは、少なくとも部分的には前記磁場発生源の磁場内に配置され、かつ、前記温度コントローラは、前記磁場が前記流路の各々で変化するように、前記磁場発生源に対して相対的に回転させられ、前記磁場の磁束の増加は、前記磁化可能材料の温度を上昇させ、かつ、前記磁場の磁束の減少は、前記材料の温度を下降させる、温度制御装置において、
前記温度コントローラは、少なくとも、第1のキュリー温度を有する第1の材料から少なくとも作製される第1温度コントローラ、及び、前記第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の材料から作製される第2温度コントローラ、から選択される、ことを特徴とする、方法。
【請求項21】
請求項1ないし18のいずれか一項に記載の温度制御装置(10、31)の熱伝達媒体として、冷媒を使用する方法であって、前記冷媒は、前記温度制御装置内で相変化を起こす、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御装置であり、特に磁気冷凍装置である、温度制御装置と、温度制御装置を生産するためのモジュールシステム及び方法と、に関する。該温度制御装置は、ステータと、シャフト上で回転するように取付けられたロータと、ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、温度制御装置は、磁場発生源と、温度コントローラと、を備え、温度コントローラは、磁化可能材料を有する流路であって、流体が熱伝達媒体としてその流路を流れる、流路を有し、温度コントローラは、少なくとも部分的には磁場発生源の磁場内に配置され、かつ、磁場が流路の各々で変化するように、磁場発生源に対して相対的に回転可能であり、磁場の磁束の増加は、磁化可能材料の温度を上昇させ、かつ、磁場の磁束の減少は、材料の温度を下降させる、温度制御装置である。
【0002】
この種類の温度制御装置は、磁気熱量効果と呼称されるものに基づいている。磁気熱量効果においては、磁性材料が磁場内に入れられたときには、磁性材料は温度上昇し、かつ、それらが磁場から取除かれたときには、磁性材料は温度下降する。この温度変化は、磁化によって引き起こされる材料のエントロピー変化に基づいている。この効果は、加熱又は冷却に用いることができ、例えば、加熱された材料がヒートシンクに接続されているときには、熱を放散させることができる。磁場が除去された後には、その材料はさらに温度低下する。従来の冷却装置と比べると、この種類の温度制御装置は、効率が顕著に改善されており、かつ、環境に有害な冷媒を使う必要がないので、環境にやさしい。
【0003】
磁化可能熱量材料(magnetizable calorimetric material)は、磁場又は磁場発生源に対して常に運動させられていなければならないので、温度制御装置を2つの種類に区別することが可能である。例えば、材料及び磁場発生源が互いに対して直線的に運動させられる温度制御装置、及び、この運動が回転的に実行される温度制御装置、が公知である。続いて、これらの温度制御装置は、シャフト上で回転できるロータと、ステータと、を有する。
【0004】
一般的には、熱量材料は、材料の混合物から成り、かつ、決定されたキュリー点又はキュリー温度であって、最大効率を達成すべく温度制御装置の運転温度に適合された、決定されたキュリー点又はキュリー温度を有する。材料の運転温度は、2Kから4Kの温度幅で変化し得る。より大きな温度の広がり(spread)は、異なる材料又は合金によって、又は温度制御装置を直列に接続することによって、達成することができる。温度幅が比較的狭いため、そのような温度装置は、意図された適用に対し、常に個別に適合されている。この例においては、熱量材料を個別に適合させることに加えて、例えば永久磁石によって形成され得る磁場発生源を個別に適合させること、及び、熱伝達媒体を個別に適合させること、が必要である。熱伝達媒体は、例えば水、エタノール、又はグリセロールといった液体であってもよい。公知の温度制御装置の不利な点は、特別な適用に対する複雑な適合を行うので、製造に比較的費用がかかる点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、高い費用対効果での製造が可能である、温度制御装置と、モジュールシステムと、温度制御装置を生産するための方法と、を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する温度制御装置、請求項19に記載の特徴を有するモジュールシステム、請求項20に記載の特徴を有する方法、及び請求項21に記載の特徴を有する使用方法、によって、達成される。
【0007】
本発明に係る温度制御装置であり、特に磁気冷凍装置である、温度制御装置は、ステータと、シャフト上で回転するように取付けられたロータと、ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、温度制御装置は、磁場発生源と、温度コントローラと、を有し、温度コントローラは、磁化可能材料を有する流路であって、流体が熱伝達媒体としてその流路を流れることができる、流路を有し、温度コントローラは、少なくとも部分的には磁場発生源の磁場内に配置され、かつ、磁場が流路の各々で変化するように、磁場発生源に対して相対的に回転可能であり、磁場の磁束の増加は、磁化可能材料の温度を上昇させ、かつ、磁場の磁束の減少は、材料の温度を下降させる、温度制御装置であって、温度コントローラは、少なくとも、第1のキュリー温度を有する第1の材料から少なくとも作製される第1温度コントローラ、及び、第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の材料から作製される第2温度コントローラ、から選択される、温度制御装置である。
【0008】
磁気熱量性の温度コントローラは、複数の温度コントローラから選択することができ、それら複数の温度コントローラ自体は、異なる磁化可能熱量材料によって区別される。これらの温度コントローラの各々は、他のそれぞれの温度コントローラの材料は有していないキュリー温度を有する材料を有する。従って、それぞれの温度コントローラは、異なる温度範囲のために用いることができる。選択利用可能なすべての温度コントローラは、ステータ、ロータ、シャフト、駆動装置アセンブリ、及び磁場発生源と共に用いることができるので、温度制御装置を低コストで大量に製造することが可能になる。適当な温度コントローラを選択することによって適用に対して温度制御装置を個別に適合させることだけが行われ、その際、温度制御装置の他の全ての構成要素は本質的には不変なままである。例えば、磁場発生源を大量に生産することによって、磁場発生源をより高い費用対効果で製造することが可能になり、このようにして、1つの温度制御装置全体の製造コストを下げることができる。
【0009】
結果的には、温度制御装置は、第1温度コントローラが第2温度コントローラと交換可能であり、かつ、その逆もまた可能であるように構成されてよい。さらに、温度制御装置のモジュール設計によって、温度制御装置を必要に応じて修正し、かつ、それを使用方法の変更に適合させることが可能になる。例えば、温度コントローラを、異なるキュリー温度を有する温度コントローラに交換することによって、変更された温度範囲に適合させることが可能になる。そうすれば、温度制御装置全体を完全に交換することは、最早必要ではない。従って、温度コントローラは、多大な努力を必要とすることなく温度コントローラの取付け及び取外しができるように構成され、かつ温度制御装置内に取付けられ得る。
【0010】
流路は、シャフトの軸方向に走ってよく、かつ、その各々は、温度コントローラの軸方向端に、流体のための入口開口を形成し、かつ、反対側の軸方向端に、流体のための出口開口を形成してよい。例えば、流路は、シャフトに平行に配置されている場合もあれば、又は軸方向に蛇行している場合もある。流路の断面は、可能な限り大きい熱量を流路の内部表面から流体へと伝えることができるように、選択され得る。特に、流路の幾何学的設計は、材料が達成可能な温度差及び流体の流量に適合もされ得る。このようにすると、流体が、それぞれの流路を通過するときに、熱量材料に達成可能な温度差を経験することが、確実化できる。
【0011】
分配器が、少なくとも1つの軸方向端上に配置されてよく、分配器は、流路を通過する流体の流れを制御するように構成されてよい。分配器という用語は、流路を通過する流体の流れを停止及び放出するか、又は方向転換(redirect)させることに適した任意の分配器を指してよい。周囲の材料の磁気熱量効果は、この過程で最大化される。分配器は、複数のバルブから形成されてもよい。バルブは分配器に対しては静止でき、かつ、例えば、シャフトの回転によって、又はソレノイドバルブとして、それ自体で切替可能であり得る。
【0012】
このように、第1流路を通過する流体の流れを遮ることができ、かつ、第2流路を通過する流体の流れを放出することができる。遮ることは、第1流路が磁場内に入ることに際して、かつ/又は磁場から外れることに際して、起こり得る。例えば、分配器は、軸方向端ではプレートであり、該プレートは流路の入口開口と重なり合う開口を有する、という場合がある。開口の、流路の入口開口に対する運動を受けて、流路は開閉される。第1流路が磁場内に入れられたとき、流体は加熱材料によって加熱され得るのであって、結果として、その後、流路内の流体は加熱され最終的には排出され得る。熱エネルギーが熱交換器等によって流体から環境へ放散させられた後で、流体は、磁場から外れる流路内へと再び方向づけられ(directed)得るのであって、その場合、結果として、流路の材料は温度降下する。その後、流体は、関与している流路内でさらに冷却され得るのであって、そして結果的に流路から排出され得る。反対に、流体は反対の向きで流路内に導入されて熱交換器で加熱されることもでき、結果としては、より高い最終温度を達成でき、かつ、温度制御装置を熱ポンプとして用いることができる。
【0013】
また、流路を通過する流体の流れは、流路が磁場内に入るとき、及び流路が磁場から外れるときに、連続的であってもよい。この例では、分配器は、1つの流路から他の流路又は熱交換器へ、流体を方向転換させる。又は、その逆であってもよい。流路を通過する流体の流れは、遮られない。特に、このようなやり方で、特に高い効率が達成され得る。このようにすると、この例において、分配器はバルブ又はそれに類するものを全く有さない。
【0014】
さらに、分配器は、流路及び分配器が共に温度コントローラの外周に沿った蛇行路を少なくとも部分的に形成するように、隣接する流路に互いに接続してよい。その場合、温度コントローラの外周に沿って軸方向に走る流路は、外周を横切って蛇行する流路が生じるように、分配器を介して、それぞれの端で互いに接続され得る。互いにすぐ隣り合う流路同士か、又は単に2つおき、3つおき、4つおき等で続く流路同士を、互いに接続することができる。2つおき、3つおき、4つおき等で続く流路同士を接続することにより、運転中においてさえも、流路を省略すること、及び、従って温度コントローラ又は温度制御装置の温度容量(temperature capacity)を要求に適合させることが、可能になる。
【0015】
温度制御装置は、流体を循環させるための搬送手段を有する流体回路と、流体の熱エネルギーを放散させるための熱交換器と、を備えてよく、駆動装置アセンブリは、少なくとも1つの電気モータを備えてよい。流体回路は、閉じた流体回路であってよく、例えば、水、エタノール、又はグリセロールが熱伝達媒体として充填されてもよい。また、熱伝達媒体は、温度制御装置内で相変化を起こす冷媒であってもよい。搬送手段は、例えば、流体の搬送に適したポンプ又は圧縮機であり得る。この例では、熱交換器は、熱エネルギーを放散させるためであり、かつ、温度制御装置がヒートポンプとして用いられている場合には、熱エネルギーを供給するためにも用いることができる。この例では、熱交換器は流体回路内で接続され、かつ、流体がその熱交換器を流れる。駆動装置アセンブリは、電気モータを備える場合があり、その場合、電気モータは、ロータを駆動するためにも用いられ得るのであって、かつ、シャフトに接続もされ得る。電気モータはまた、シャフトを介してポンプを駆動することもでき、そのような例においては、ポンプはシャフトに結合され得る。ロータの回転速度は、電気モータを制御するための制御装置によって制御され得る。
【0016】
ロータは、温度コントローラを含み、かつ、ステータは、磁場発生源を含む、という場合がある。又は、その逆もあり得る。例えば、磁場発生源はロータの一部である場合があり、そのような例においては、温度コントローラはステータ上に形成される。他の実施形態では、磁場発生源はステータ上に形成される場合があり、そのような例においては、温度コントローラはロータによって形成される。
【0017】
温度コントローラは、ブッシング(bushing)であってよく、かつ、磁場発生源は、ブッシングの内側かつ/又は外側で、ブッシングに対して同軸的に、配置されてよい。磁場発生源は、少なくとも1つの永久磁石又は電磁石によって形成されてよい。例えば、磁場発生源は、磁場の力線が温度コントローラを通過するように、複数の永久磁石から成る場合がある。永久磁石は、すべて同等又は同一の構造であり得る。永久磁石は、ネオジム磁石であり得る。あるいは、磁場発生源は、電磁石によって形成される場合もある。例えば、磁場発生源は、ブッシングの内側に配置され、かつ、ブッシングは、鉄等の磁化可能材料から作製された電機子によって取り囲まれる場合がある。あるいは、磁場発生源は、ブッシングの外側に配置されてもよいし、又はその外面上に配置されてもよい。電機子又は磁場発生源は、ブッシングを取り囲んでもよいし、又は、ブッシング及び磁場発生源が互いに対して相対的に運動したときに、ブッシング又はブッシングを通過する流路が少なくとも部分的に磁場内へ入れられるか又は磁場から外されるように、ブッシング上に配置されてもよい。
【0018】
異なるキュリー温度を有する材料が、流路に沿った流体の流れ方向に順番に配置されてよい。例えば、第1のキュリー温度を有する第1の材料、及び他のキュリー温度を有する他の材料は、流路に沿って配置されてもよく、かつ/又は、温度コントローラの外周を横切って配置されてもよい。それぞれのキュリー温度は、互いに結び付けられ得るのであって、第1の材料が第1の温度範囲で流体を加熱又は冷却し、かつ、他の材料が他の温度範囲で流体を加熱又は冷却するように、互いに結び付けられ得る。ここで、当該の他の温度範囲は、少なくとも第1の温度範囲に接しているか、又はそれと部分的に重なり合っている。隣接する温度範囲を有する、2つより多くの材料が、例えば4つの、8つの、12つの、又はそれよりも多くの、材料が、与えられ得る。これにより、流体がそれぞれの流路を入口開口から出口開口へと流れていくときに達成可能な温度差を、実質的に大きくすることができる。
【0019】
さらに、材料は、異なるキュリー温度を有する温度コントローラの外周に沿って順番に配置されてよい。流路同士及び分配器が、共に温度コントローラの外周に沿った蛇行路を少なくとも部分的に形成している場合、これは有利である。このような例では、温度コントローラの流路を、一体的に、かつ、裂け目(gape)又はそれに類するものは有さず、形成することができる。これにより、流路の流れ抵抗を最適化し、かつ、ロータの速度を向上させることが可能になる。全体的に、これにより、温度制御装置の効率は改善される。
【0020】
従って、有利には、ブッシングは、少なくとも2つのリングから成ってよく、少なくとも2つのリングの各々の材料は、異なるキュリー温度を有する。この例では、温度コントローラは、複数のリングであって、決定された順番で配置され、かつ流路を形成する、複数のリングから成ることができる。このようにすると、それぞれの温度コントローラは、意図された適用に対してもより容易に適合可能である。この例では、異なる温度コントローラは、用いられている複数のリングの観点からも異なり得る。例えば、異なる温度コントローラは、流路の入口開口と出口開口の間で、大きな温度差が達成されるか、又は比較的小さい温度差が達成されるかによって、異なり得る。
【0021】
あるいは、材料は、流路に沿った流体の流れ方向に、キュリー温度の勾配を示してよい。その場合、温度コントローラの流路は、間隔又はそれに類するものを有さずに形成され得る。熱量材料が材料の混合物から成る場合、その材料の混合物は、材料のキュリー温度が流路内で連続的に変化させられるように、流路内で変更され得る。この例では、流体の加熱又は冷却は、常に、流体のそれぞれの温度について効果が最適化された材料の領域で発生する。
【0022】
温度コントローラ上にある流体のための入口開口でのキュリー温度、及び出口開口でのキュリー温度が、少なくとも4K、好ましくは10K、特に好ましくは20K、の温度差を示してよい。摂氏マイナス10度から摂氏80度の間の、好ましくは摂氏マイナス9度から摂氏5度の範囲の、意図された最終温度を、達成することができる。
【0023】
材料は、ランタン、鉄、ケイ素、コバルト、及び/又は他の構成要素、の材料の混合物であってよい。あるいは、材料の混合物は、マンガン、鉄、及びリンから成ってもよい。材料は、上記した材料の粉末の混合物から成ってもよい。
【0024】
材料は、温度制御要素を形成し、温度制御要素は、流路上に配置されるか、又は、少なくとも部分的に、又は完全に、流路を形成する、という場合がある。流路は、アルミニウム等の優れた熱伝導性を有する材料から作製され得るのであって、かつ、流路上又は流路間の温度制御要素は、流路と直接接触して配置され得る。あるいは、流路自体が温度制御要素によって形成される場合もあり、それは、温度制御要素が温度制御要素内に流れの開口又は流路を形成することによる。さらに、温度制御要素を流路内に配置することも可能であり、それにより、流体と温度制御要素の間での特に優れた熱伝達が実現される。
【0025】
温度制御要素は、付加製造によって、特に、粉末射出成形、金属粉末押出成形、又はレーザ溶融によって、生産されてよい。さらに、用いられている材料に応じた付加製造のプロセスによって、温度制御要素を形成することが可能である。これにより、複雑な幾何学的形状を有する温度制御要素を製造することも可能になる。
【0026】
本発明に係る温度制御装置を形成するための本発明に係るモジュールシステムであって、このモジュールシステムは、温度制御装置を備え、温度制御装置は、ステータと、シャフト上で回転するように取付けられたロータと、ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を有し、温度制御装置は、磁場発生源を有し、モジュールシステムは、温度コントローラの組を備え、温度コントローラの組は、少なくとも第1温度コントローラ及び第2温度コントローラを備え、第1温度コントローラは、第1のキュリー温度を有する第1の磁化可能材料を備え、かつ、第2温度コントローラは、第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の磁化可能材料を備え、温度制御装置は、第1温度コントローラ又は第2温度コントローラによって選択的に形成される、モジュールシステムである。モジュールシステムは、キュリー温度が異なる第1温度コントローラ及び第2温度コントローラを備えているので、到達されるべき目標温度又は達成されるべき温度差に応じて、温度制御装置を異なる適用に適合させることが、可能になる。モジュールシステムはまた、各々が異なるキュリー温度を有する複数の他の温度コントローラも備えている場合がある。
【0027】
本発明に係る方法であって、温度制御装置であり、特に磁気冷凍装置である、温度制御装置を形成するための方法において、温度制御装置は、ステータと、シャフト上で回転するように取付けられたロータと、ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、温度制御装置は、磁場発生源と、温度コントローラと、を備え、温度コントローラは、磁化可能材料を有する流路を備え、流体が、熱伝達媒体として流路を流れ、温度コントローラは、少なくとも部分的には磁場発生源の磁場内に配置され、かつ、温度コントローラは、磁場が流路の各々で変化するように、磁場発生源に対して相対的に回転させられ、磁場の磁束の増加は、磁化可能材料の温度を上昇させ、かつ、磁場の磁束の減少は、材料の温度を下降させる、温度制御装置であって、温度コントローラは、少なくとも、第1のキュリー温度を有する第1の材料から少なくとも作製される第1温度コントローラ、及び、第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の材料から作製される第2温度コントローラ、から選択される。本発明に係る方法の有利な点のために、本発明に係る装置の有利な点の記述が参照される。この方法のさらなる有利な実施形態は、装置クレームである請求項1に従属する請求項の特徴の説明から得られる。
【0028】
本発明に係る使用方法であって、本発明に係る温度制御装置の熱伝達媒体として、冷媒を使用する方法において、冷媒は、温度制御装置内で相変化を起こす。相変化は、冷媒が圧縮冷凍機内にあるとき、冷媒の状態変化を利用してエンタルピーを伝達することを可能にする。このようにすると、温度制御装置の効率をさらに向上させることができる。この使用方法のさらなる有利な実施形態は、装置クレームである請求項1に従属する請求項の特徴の説明から得られる。
【0029】
以下では、本発明が、添付の図面を参照しつつ、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、温度制御装置を斜視図で概略的に示している。
図2図2は、図1の温度制御装置を部分的に示している。
図3図3は、温度制御装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、温度制御装置10を概略的に示しており、かつ、図2は、この温度制御装置10を部分的に示している。温度制御装置10は、ステータ11と、シャフト13上で回転するように取付けられたロータ12と、を備えている。ロータ12は、永久磁石15から成る磁場発生源14を有している。ステータ11は、温度コントローラ16を備え、温度コントローラ16は、流路17を有しており、流体は熱伝達媒体として流路17を流れることができる。温度コントローラ16は、ブッシング18として設計されており、かつ、流路17は、シャフト13に平行なブッシング18内を走っている。流路17の各々は、ブッシング18の1つの軸方向端19に、入口開口20を有し、かつ、反対側の軸方向端21に、流体のための出口開口22を有している。さらに、温度コントローラ16は、温度制御要素(図示されてはいない)を有しており、原理的には、それらが流路17の領域に温度コントローラ16を形成することもできる。このようにすると、温度制御要素又は温度コントローラ16は、磁化可能材料を有しており、それは、ロータ12の回転による磁場発生源14の磁場(図示されていない)内で運動させられ得る。従って、磁場は、ロータ12又は永久磁石15を回転させることにより、流路17で変化させられ得る。さらに、温度コントローラ16は、鉄等の磁化可能材料から作製される、スリーブ形状の電機子23によって取り囲まれている。ロータ12とステータ11の間には、間隔24が形成されている。
【0032】
軸方向端19及び21のそれぞれでは、温度制御装置10が、分配器25及び26を有している。分配器25及び26を介して、流路17を通過する流体の流れが制御される。流路17が、流路17に対する永久磁石15の回転による磁場内に入れられたときには、温度コントローラ16の材料は加熱され、そして流体は流路17のそれぞれを流れる。流路17が磁場から外されるときには、温度コントローラ16の材料及び流路17内に位置する流体は、冷却される。これらの流路17を通過する流体の流れは分配器25又は26によって遮られ、そして、流体は冷却された後で流路外へと搬送される。
【0033】
入ってくる温かい流体のための接続部27は、分配器25に形成され、流体は、その際温度コントローラ16内でさらに加熱され、接続部28を介して再び排出され、そして温度制御装置10の熱交換器(図示されてはいない)に供給される。流体は、熱交換器内で再び冷却され、そして、分配器26上の接続部29を介して温度コントローラ16内へと戻される。流路17を流れ、その内部で冷却された後、流体は再び分配器25の接続部30から排出される。流体は熱交換器で熱エネルギーを放出するので、流体は、温度制御装置10を完全に通過した後に冷却され得る。
【0034】
特に、温度制御装置10は、温度コントローラ16を備えており、この温度コントローラ16は、温度制御装置10上で交換可能であるように構成されている。温度コントローラ16は、温度コントローラの組(図示されてはいない)から選択されており、この温度コントローラの組は、第1のキュリー温度を有する第1の磁化可能材料を備える第1温度コントローラ、及び、第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の磁化可能材料を備える第2温度コントローラ、から選択されている。これにより、温度制御装置10の基礎的な技術的構成又は構造、及び形状を変更する必要なくして、温度制御装置10を、異なる運転温度、及び、達成可能な接続部27と30の間の温度差に適合させることが可能になる。原理的には、流体の流れ方向が逆転させられ、かつ流体が熱交換器で加熱される、という場合には、温度制御装置10をヒートポンプとして用いることも可能である。
【0035】
図3は、ステータ32、ロータ33、及びシャフト34を有する温度制御装置31の概略的な断面図を示している。永久磁石35は、磁場発生源36を形成しており、シャフト34上に配置されて共に回転する。ステータ32は、温度コントローラ37を備え、この温度コントローラ37は、ブッシング38であり、磁場発生源36を同軸的に取り囲んでいる。流路39は、流体(図示されてはいない)が熱伝達媒体としてその流路39を流れることができる、流路39であり、ブッシング38の内側に形成される。分配器42及び43は、流路39を通過する流体の流れを、分配器42及び43を介して制御できる、分配器42及び43であって、それぞれ、温度制御装置31の軸方向端40及び41に配置されている。分配器42及び43の各々は、開口45を有するバルブプレート44を有しており、このバルブプレート44は、シャフト34の回転と共に運動させられ、結果として、流体のための供給流路46及び排出流路47は、流路39に対して開閉される。同じことが、流路39を介した反対の向きの流体の戻り流れ(図示されてはいない)に適用される。
【0036】
温度コントローラ37は、複数の温度制御要素48から51、から成っている。温度制御要素48から51は、環形状を有し、かつ、磁化可能熱量材料から成っている。温度制御要素48から51の各々は、異なるキュリー温度を有している。特に、温度制御要素48から51のキュリー温度は、流体の流れ方向で徐々に上昇し、磁場発生源36による温度制御要素48から51の加熱の効率が、温度制御要素48から51の各々で支配的な流体の温度に適合され、このように最適化される。さらに、温度コントローラ37は、温度コントローラの組(図示されてはいない)から選択され、これらの温度コントローラは、他の温度制御要素とは異なるキュリー温度を有する少なくとも1つの温度制御要素によって異なっている。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
一般的には、熱量材料は、材料の混合物から成り、かつ、決定されたキュリー点又はキュリー温度であって、最大効率を達成すべく温度制御装置の運転温度に適合された、決定されたキュリー点又はキュリー温度を有する。材料の運転温度は、2Kから4Kの温度幅で変化し得る。より大きな温度の広がり(spread)は、異なる材料又は合金によって、又は温度制御装置を直列に接続することによって、達成することができる。温度幅が比較的狭いため、そのような温度制御装置は、意図された適用に対し、常に個別に適合されている。この例においては、熱量材料を個別に適合させることに加えて、例えば永久磁石によって形成され得る磁場発生源を個別に適合させること、及び、熱伝達媒体を個別に適合させること、が必要である。熱伝達媒体は、例えば水、エタノール、又はグリセロールといった液体であってもよい。公知の温度制御装置の不利な点は、特別な適用に対する複雑な適合を行うので、製造に比較的費用がかかる点である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
温度コントローラ37は、複数の温度制御要素48から51、から成っている。温度制御要素48から51は、環形状を有し、かつ、磁化可能熱量材料から成っている。温度制御要素48から51の各々は、異なるキュリー温度を有している。特に、温度制御要素48から51のキュリー温度は、流体の流れ方向で徐々に上昇し、磁場発生源36による温度制御要素48から51の加熱の効率が、温度制御要素48から51の各々で支配的な流体の温度に適合され、このように最適化される。さらに、温度コントローラ37は、温度コントローラの組(図示されてはいない)から選択され、これらの温度コントローラは、他の温度制御要素とは異なるキュリー温度を有する少なくとも1つの温度制御要素によって異なっている。
また、本開示は、以下の態様を含む。
〔態様1〕
温度制御装置(10、31)であり、特に磁気冷凍装置である、温度制御装置であって、前記温度制御装置は、ステータ(11、31)と、シャフト(13、34)上で回転するように取付けられたロータ(12、33)と、前記ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、前記温度制御装置(16、37)は、磁場発生源(14、36)と、温度コントローラと、を有し、前記温度コントローラは、磁化可能材料を有する流路(17、39)であって、流体が熱伝達媒体として前記流路を流れることができる、流路を有し、前記温度コントローラは、少なくとも部分的には前記磁場発生源の磁場内に配置され、かつ、前記磁場が前記流路の各々で変化するように、前記磁場発生源に対して相対的に回転可能であり、前記磁場の磁束の増加は、前記磁化可能材料の温度を上昇させ、かつ、前記磁場の磁束の減少は、前記材料の温度を下降させる、温度制御装置において、
前記温度コントローラは、少なくとも、第1のキュリー温度を有する第1の材料から少なくとも作製される第1温度コントローラ(16、37)、及び、前記第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の材料から作製される第2温度コントローラ、から選択される、ことを特徴とする、温度制御装置。
〔態様2〕
前記温度制御装置(10、31)は、前記第1温度コントローラ(16、37)が前記第2温度コントローラと交換可能であり、かつ、その逆もまた可能であるように構成されることを特徴とする、態様1に記載の温度制御装置。
〔態様3〕
前記流路(17、39)は、前記シャフト(13、34)の軸方向に走っており、かつ、その各々は、前記温度コントローラ(16、37)の軸方向端(19、40)に、前記流体のための入口開口(20)を形成し、かつ、反対側の軸方向端(21、41)に、前記流体のための出口開口(22)を形成する、ことを特徴とする、態様1又は2に記載の温度制御装置。
〔態様4〕
前記流路(17、39)を通過する前記流体の流れを制御するように構成された分配器(25、26、42、43)が、少なくとも1つの軸方向端(19、21、40、41)上に配置されることを特徴とする、態様3に記載の温度制御装置。
〔態様5〕
第1流路を通過する流体の流れを遮ることができ、かつ、第2流路を通過する流体の流れを放出することができ、前記遮ることは、前記第1流路が前記磁場内に入るとき、及び/又は前記磁場から外れるときに起こる、ことを特徴とする、態様4に記載の温度制御装置。
〔態様6〕
前記流路(17、39)を通過する流体の流れは、前記流路が前記磁場内に入るとき、及び前記磁場から外れるときに、連続的であることを特徴とする、態様4に記載の温度制御装置。
〔態様7〕
前記分配器(25、26、42、43)は、前記流路及び前記分配器が共に前記温度コントローラ(16、37)の外周に沿った蛇行路を少なくとも部分的に形成するように、隣接する流路(17、39)に接続することを特徴とする、態様6に記載の温度制御装置。
〔態様8〕
前記温度制御装置は、前記流体を循環させるための搬送手段を有する流体回路と、前記流体の熱エネルギーを放散させるための熱交換器と、を備え、前記駆動装置アセンブリは、少なくとも1つの電気モータを備える、ことを特徴とする、態様1ないし7のいずれか1つに記載の温度制御装置。
〔態様9〕
前記ロータ(12、33)は、前記温度コントローラ(16、37)を含み、かつ、前記ステータ(11、32)は、前記磁場発生源(14、36)を含むこと、又は、その逆であること、を特徴とする、態様1ないし8のいずれか1つに記載の温度制御装置。
〔態様10〕
前記温度コントローラ(16、37)は、ブッシング(18、38)であり、かつ、前記磁場発生源(14、36)は、前記ブッシングの内側かつ/又は外側で、前記ブッシングに対して同軸的に、配置され、前記磁場発生源は、少なくとも1つの永久磁石(15、35)又は電磁石によって形成される、ことを特徴とする、態様1ないし9のいずれか1つに記載の温度制御装置。
〔態様11〕
異なるキュリー温度を有する材料が、前記流路(17、39)に沿った前記流体の流れ方向に順番に配置されることを特徴とする、態様1ないし10のいずれか1つに記載の温度制御装置。
〔態様12〕
前記材料は、異なるキュリー温度を有する前記温度コントローラ(16、37)の外周に沿って順番に配置されることを特徴とする、態様11に記載の温度制御装置。
〔態様13〕
前記ブッシング(18、38)は、少なくとも2つのリングから成り、前記少なくとも2つのリングのそれぞれの材料は、異なるキュリー温度を有することを特徴とする、態様11に記載の温度制御装置。
〔態様14〕
前記材料は、前記流路(17、39)に沿った前記流体の前記流れ方向に、キュリー温度の勾配を示すことを特徴とする、態様1ないし12のいずれか1つに記載の温度制御装置。
〔態様15〕
前記温度コントローラ(16、37)上にある前記流体のための入口開口(20)でのキュリー温度、及び出口開口(22)でのキュリー温度が、少なくとも4K、好ましくは10K、特に好ましくは20K、の温度差を示すことを特徴とする、態様1ないし14のいずれか1つに記載の温度制御装置。
〔態様16〕
前記材料は、ランタン(La)、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、コバルト(Co)、及び/又は他の構成要素、から成る材料の混合物から成ることを特徴とする、態様1ないし15のいずれか1つに記載の温度制御装置。
〔態様17〕
前記材料は、温度制御要素(48、49、50、51)を形成し、前記温度制御要素は、前記流路(17、39)上に配置されるか、又は、少なくとも部分的に、又は完全に、前記流路を形成する、ことを特徴とする、態様1ないし16のいずれか1つに記載の温度制御装置。
〔態様18〕
前記温度制御要素(48、49、5、51)は、付加製造によって、特に、粉末射出成形、金属粉末押出成形、又はレーザ溶融によって、生産されることを特徴とする、態様17に記載の温度制御装置。
〔態様19〕
態様1ないし18のいずれか1つに記載の温度制御装置(10、31)を生産するためのモジュールシステムであって、前記モジュールシステムは、前記温度制御装置を備え、前記温度制御装置は、ステータ(11、32)と、シャフト(13、34)上で回転するように取付けられたロータ(12、33)と、前記ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、前記温度制御装置は、磁場発生源(14、36)を有し、前記モジュールシステムは、温度コントローラの組を備え、前記温度コントローラの組は、少なくとも第1温度コントローラ(16、37)及び第2温度コントローラを備え、前記第1温度コントローラは、第1のキュリー温度を有する第1の磁化可能材料を備え、かつ、前記第2温度コントローラは、前記第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の磁化可能材料を備え、前記温度制御装置は、前記第1温度コントローラ又は前記第2温度コントローラを備えて選択的に設けられる、モジュールシステム。
〔態様20〕
温度制御装置(10、31)であり、特に磁気冷凍装置である、温度制御装置を生産するための方法であって、前記温度制御装置は、ステータ(11、32)と、シャフト(13、34)上で回転するように取付けられたロータ(12、33)と、前記ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、前記温度制御装置は、磁場発生源(14、36)と、温度コントローラ(16、37)と、を有し、前記温度コントローラは、磁化可能材料を有する流路(17、39)を有し、流体が、熱伝達媒体として前記流路を流れ、前記温度コントローラは、少なくとも部分的には前記磁場発生源の磁場内に配置され、かつ、前記温度コントローラは、前記磁場が前記流路の各々で変化するように、前記磁場発生源に対して相対的に回転させられ、前記磁場の磁束の増加は、前記磁化可能材料の温度を上昇させ、かつ、前記磁場の磁束の減少は、前記材料の温度を下降させる、温度制御装置において、
前記温度コントローラは、少なくとも、第1のキュリー温度を有する第1の材料から少なくとも作製される第1温度コントローラ、及び、前記第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の材料から作製される第2温度コントローラ、から選択される、ことを特徴とする、方法。
〔態様21〕
態様1ないし18のいずれか1つに記載の温度制御装置(10、31)の熱伝達媒体として、冷媒を使用する方法であって、前記冷媒は、前記温度制御装置内で相変化を起こす、方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度制御装置(10、31)であり、特に磁気冷凍装置である、温度制御装置であって、前記温度制御装置は、ステータ(11、32)と、シャフト(13、34)上で回転するように取付けられたロータ(12、33)と、前記ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、前記温度制御装置(10、31)は、磁場発生源(14、36)と、温度コントローラと、を有し、前記温度コントローラは、磁化可能材料を有する流路(17、39)であって、流体が熱伝達媒体として前記流路を流れることができる、流路を有し、前記温度コントローラは、少なくとも部分的には前記磁場発生源の磁場内に配置され、かつ、前記磁場が前記流路の各々で変化するように、前記磁場発生源に対して相対的に回転可能であり、前記磁場の磁束の増加は、前記磁化可能材料の温度を上昇させ、かつ、前記磁場の磁束の減少は、前記材料の温度を下降させる、温度制御装置において、
前記温度コントローラは、少なくとも、第1のキュリー温度を有する第1の材料から少なくとも作製される第1温度コントローラ(16、37)、及び、前記第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の材料から作製される第2温度コントローラ、から選択される、ことを特徴とする、温度制御装置。
【請求項2】
前記温度制御装置(10、31)は、前記第1温度コントローラ(16、37)が前記第2温度コントローラと交換可能であり、かつ、その逆もまた可能であるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記流路(17、39)は、前記シャフト(13、34)の軸方向に走っており、かつ、その各々は、前記温度コントローラ(16、37)の軸方向端(19、40)に、前記流体のための入口開口(20)を形成し、かつ、反対側の軸方向端(21、41)に、前記流体のための出口開口(22)を形成する、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記流路(17、39)を通過する前記流体の流れを制御するように構成された分配器(25、26、42、43)が、少なくとも1つの軸方向端(19、21、40、41)上に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の温度制御装置。
【請求項5】
第1流路を通過する流体の流れを遮ることができ、かつ、第2流路を通過する流体の流れを放出することができ、前記遮ることは、前記第1流路が前記磁場内に入るとき、及び/又は前記磁場から外れるときに起こる、ことを特徴とする、請求項4に記載の温度制御装置。
【請求項6】
前記流路(17、39)を通過する流体の流れは、前記流路が前記磁場内に入るとき、及び前記磁場から外れるときに、連続的であることを特徴とする、請求項4に記載の温度制御装置。
【請求項7】
前記分配器(25、26、42、43)は、前記流路及び前記分配器が共に前記温度コントローラ(16、37)の外周に沿った蛇行路を少なくとも部分的に形成するように、隣接する流路(17、39)に接続することを特徴とする、請求項6に記載の温度制御装置。
【請求項8】
前記温度制御装置は、前記流体を循環させるための搬送手段を有する流体回路と、前記流体の熱エネルギーを放散させるための熱交換器と、を備え、前記駆動装置アセンブリは、少なくとも1つの電気モータを備える、ことを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項9】
前記ロータ(12、33)は、前記温度コントローラ(16、37)を含み、かつ、前記ステータ(11、32)は、前記磁場発生源(14、36)を含むこと、又は、その逆であること、を特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項10】
前記温度コントローラ(16、37)は、ブッシング(18、38)であり、かつ、前記磁場発生源(14、36)は、前記ブッシングの内側かつ/又は外側で、前記ブッシングに対して同軸的に、配置され、前記磁場発生源は、少なくとも1つの永久磁石(15、35)又は電磁石によって形成される、ことを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項11】
異なるキュリー温度を有する材料が、前記流路(17、39)に沿った前記流体の流れ方向に順番に配置されることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項12】
前記材料は、異なるキュリー温度を有する前記温度コントローラ(16、37)の外周に沿って順番に配置されることを特徴とする、請求項11に記載の温度制御装置。
【請求項13】
前記ブッシング(18、38)は、少なくとも2つのリングから成り、前記少なくとも2つのリングのそれぞれの材料は、異なるキュリー温度を有することを特徴とする、請求項11に記載の温度制御装置。
【請求項14】
前記材料は、前記流路(17、39)に沿った前記流体の前記流れ方向に、キュリー温度の勾配を示すことを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項15】
前記温度コントローラ(16、37)上にある前記流体のための入口開口(20)でのキュリー温度、及び出口開口(22)でのキュリー温度が、少なくとも4K、好ましくは10K、特に好ましくは20K、の温度差を示すことを特徴とする、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項16】
前記材料は、ランタン(La)、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、コバルト(Co)、及び/又は他の構成要素、から成る材料の混合物から成ることを特徴とする、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項17】
前記材料は、温度制御要素(48、49、50、51)を形成し、前記温度制御要素は、前記流路(17、39)上に配置されるか、又は、少なくとも部分的に、又は完全に、前記流路を形成する、ことを特徴とする、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項18】
前記温度制御要素(48、49、50、51)は、付加製造によって、特に、粉末射出成形、金属粉末押出成形、又はレーザ溶融によって、生産されることを特徴とする、請求項17に記載の温度制御装置。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれか一項に記載の温度制御装置(10、31)を生産するためのモジュールシステムであって、前記モジュールシステムは、前記温度制御装置を備え、前記温度制御装置は、ステータ(11、32)と、シャフト(13、34)上で回転するように取付けられたロータ(12、33)と、前記ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、前記温度制御装置は、磁場発生源(14、36)を有し、前記モジュールシステムは、温度コントローラの組を備え、前記温度コントローラの組は、少なくとも第1温度コントローラ(16、37)及び第2温度コントローラを備え、前記第1温度コントローラは、第1のキュリー温度を有する第1の磁化可能材料を備え、かつ、前記第2温度コントローラは、前記第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の磁化可能材料を備え、前記温度制御装置は、前記第1温度コントローラ又は前記第2温度コントローラを備えて選択的に設けられる、モジュールシステム。
【請求項20】
温度制御装置(10、31)であり、特に磁気冷凍装置である、温度制御装置を生産するための方法であって、前記温度制御装置は、ステータ(11、32)と、シャフト(13、34)上で回転するように取付けられたロータ(12、33)と、前記ロータを回転させるための駆動装置アセンブリと、を備え、前記温度制御装置は、磁場発生源(14、36)と、温度コントローラ(16、37)と、を有し、前記温度コントローラは、磁化可能材料を有する流路(17、39)を有し、流体が、熱伝達媒体として前記流路を流れ、前記温度コントローラは、少なくとも部分的には前記磁場発生源の磁場内に配置され、かつ、前記温度コントローラは、前記磁場が前記流路の各々で変化するように、前記磁場発生源に対して相対的に回転させられ、前記磁場の磁束の増加は、前記磁化可能材料の温度を上昇させ、かつ、前記磁場の磁束の減少は、前記材料の温度を下降させる、温度制御装置において、
前記温度コントローラは、少なくとも、第1のキュリー温度を有する第1の材料から少なくとも作製される第1温度コントローラ、及び、前記第1のキュリー温度とは異なる第2のキュリー温度を有する第2の材料から作製される第2温度コントローラ、から選択される、ことを特徴とする、方法。
【請求項21】
請求項1ないし18のいずれか一項に記載の温度制御装置(10、31)の熱伝達媒体として、冷媒を使用する方法であって、前記冷媒は、前記温度制御装置内で相変化を起こす、方法。
【国際調査報告】