(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドおよびその塩の固体状態での形態
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20240415BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240415BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240415BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240415BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240415BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61K31/5377
A61K47/38
A61P43/00 111
A61P35/00
A61K9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565206
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 US2022025815
(87)【国際公開番号】W WO2022226221
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522162945
【氏名又は名称】キネート バイオファーマ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルドー,ステファン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】カノウニ,トウフィケ
(72)【発明者】
【氏名】フィミスター,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】レディ,ジャヤチャンドラ ピー.
【テーマコード(参考)】
4C063
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC10
4C063DD03
4C063EE01
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC27
4C076EE32B
4C076FF06
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA12
4C086GA13
4C086GA14
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA34
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC41
(57)【要約】
【解決手段】
本開示は、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドおよびその塩の固体状態での形態に関する。そのような固体状態での形態は、疾患の処置のための医薬組成物および剤形の調製に有用である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物2として以下に表される、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド塩酸塩の固体形態であって、
【化1】
結晶質である、固体形態。
【請求項2】
2θ値が19.7°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項1に記載の固体形態。
【請求項3】
2θ値が11.1°±0.3および21.2°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項2に記載の固体形態。
【請求項4】
2θ値が15.8°±0.3および22.0°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項2または3に記載の固体形態。
【請求項5】
2θ値が13.9°±0.3、18.5°±0.3、21.7°±0.3、および22.5°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項2~4のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項6】
2θ値が9.7°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項2~5のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項7】
9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す、請求項1に記載の固体形態。
【請求項8】
9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す、請求項7に記載の固体形態。
【請求項9】
9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す、請求項8に記載の固体形態。
【請求項10】
9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す、請求項9に記載の固体形態。
【請求項11】
9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す、請求項10に記載の固体形態。
【請求項12】
9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す、請求項11に記載の固体形態。
【請求項13】
前記固体形態が、2θ値のX線粉末回折反射を示し、化合物2の結晶性固体状態での形態が、20.3°±0.2、23.4°±0.2、および24.0°±0.2から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す、請求項1に記載の固体形態。
【請求項14】
図3に示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項1に記載の固体形態。
【請求項15】
229.9℃±5.0に吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムを示す、請求項1~14のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項16】
図4に示される示差走査熱量測定サーモグラムを示す、請求項1~14のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項17】
熱重量分析によって決定されるように、160℃±10.0までに、1.0%±0.5未満の重量損失を示す、請求項1~15のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項18】
図4に示される熱重量分析サーモグラムを示す、請求項1~15のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項19】
化合物1として以下に表される、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドの固体形態であって、
【化2】
非晶質である、固体形態。
【請求項20】
図1に示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項19に記載の固体形態。
【請求項21】
97.2℃±5.0で吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムを示す、請求項19に記載の固体形態。
【請求項22】
図2に示される示差走査熱量測定サーモグラムを示す、請求項19~21のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項23】
熱重量分析によって決定されるように、150℃±10.0における試料の重量損失が1.8%±0.5であることを示す、請求項19~22のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項24】
図2に示される熱重量分析サーモグラムを示す、請求項19~23のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項25】
化合物3として以下に表される、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド臭化水素酸塩の固体形態であって、
【化3】
結晶質である、固体形態。
【請求項26】
2θ値が21.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項25に記載の固体形態。
【請求項27】
2θ値が19.7°±0.3および21.1°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項26に記載の固体形態。
【請求項28】
2θ値が19.3°±0.3、20.1°±0.3、および21.3°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項26または27に記載の固体形態。
【請求項29】
2θ値が12.2°±0.3、23.2°±0.3、および24.0°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項26~28のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項30】
2θ値が17.1°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項26~29のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項31】
12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す、請求項25に記載の固体形態。
【請求項32】
12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す、請求項31に記載の固体形態。
【請求項33】
12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す、請求項32に記載の固体形態。
【請求項34】
12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す、請求項33に記載の固体形態。
【請求項35】
12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す、請求項34に記載の固体形態。
【請求項36】
12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す、請求項35に記載の固体形態。
【請求項37】
図5に示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項25に記載の固体形態。
【請求項38】
222.2℃±5.0で吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムを示す、請求項25~37のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項39】
図6に示される示差走査熱量測定サーモグラムを示す、請求項25~38のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項40】
熱重量分析によって決定されるように、150℃±10.0までに、1.0%±0.5未満の重量損失を示す、請求項25~39のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項41】
図6に示される熱重量分析サーモグラムを示す、請求項25~40のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項42】
化合物4として以下に表される、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド 4-メチルベンゼンスルホネートの固体形態であって、
【化4】
結晶質である、固体形態。
【請求項43】
2θ値が6.1°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項42に記載の固体形態。
【請求項44】
2θ値が15.0°±0.3および17.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項43に記載の固体形態。
【請求項45】
2θ値が5.7°±0.3、7.2°±0.3、および18.5°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項43または44に記載の固体形態。
【請求項46】
2θ値が9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、および19.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項43~45のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項47】
2θ値が14.5°±0.3、15.5°±0.3、および16.6°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項43~46のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項48】
5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す、請求項42に記載の固体形態。
【請求項49】
5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す、請求項48に記載の固体形態。
【請求項50】
5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す、請求項49に記載の固体形態。
【請求項51】
5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す、請求項50に記載の固体形態。
【請求項52】
5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す、請求項51に記載の固体形態。
【請求項53】
5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す、請求項52に記載の固体形態。
【請求項54】
図7に示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項42に記載の固体形態。
【請求項55】
2θ値が6.8°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項42に記載の固体形態。
【請求項56】
2θ値が5.2°±0.3、6.1°±0.3、および18.8°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項55に記載の固体形態。
【請求項57】
2θ値が16.3°±0.3、17.1°±0.3、および21.1°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項54または55に記載の固体形態。
【請求項58】
2θ値が12.5°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、および19.2°%±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項54~57のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項59】
2θ値が10.5°±0.3、11.9°±0.3、および12.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項54~58のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項60】
5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す、請求項42に記載の固体形態。
【請求項61】
5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す、請求項60に記載の固体形態。
【請求項62】
5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す、請求項61に記載の固体形態。
【請求項63】
5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す、請求項62に記載の固体形態。
【請求項64】
5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す、請求項63に記載の固体形態。
【請求項65】
5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す、請求項64に記載の固体形態。
【請求項66】
図8に示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項42に記載の固体形態。
【請求項67】
化合物5として以下に表される、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドホスフェートの固体形態であって、
【化5】
結晶質である、固体形態。
【請求項68】
2θ値が6.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項67に記載の固体形態。
【請求項69】
2θ値が18.3°±0.3および24.0°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項68に記載の固体形態。
【請求項70】
2θ値が9.1°±0.3、20.7°±0.3、および22.7°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項68または69に記載の固体形態。
【請求項71】
2θ値が5.9°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、および21.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項68~70のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項72】
2θ値が19.2°±0.3、20.4°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項68~71のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項73】
5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す、請求項68に記載の固体形態。
【請求項74】
5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す、請求項73に記載の固体形態。
【請求項75】
5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す、請求項74に記載の固体形態。
【請求項76】
5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す、請求項75に記載の固体形態。
【請求項77】
5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す、請求項76に記載の固体形態。
【請求項78】
5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す、請求項77に記載の固体形態。
【請求項79】
図9に示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項67に記載の固体形態。
【請求項80】
150.6℃±5.0で吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムを示す、請求項67~79のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項81】
図10に示される示差走査熱量測定サーモグラムを示す、請求項67~80のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項82】
熱重量分析によって決定されるように、170℃±10.0までの、6.2%±0.5%未満の重量損失を示すことを特徴とする請求項67~81のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項83】
図10に示される熱重量分析サーモグラムを示す、請求項67~82のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項84】
化合物6として以下に表される、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドサルフェートの固体形態であって、
【化6】
結晶質である、固体形態。
【請求項85】
2θ値が3.2°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項84に記載の固体形態。
【請求項86】
2θ値が3.3°±0.3および6.8°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項85に記載の固体形態。
【請求項87】
2θ値が4.6°±0.3および7.1°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項85または86に記載の固体形態。
【請求項88】
2θ値が8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項85~87のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項89】
3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す、請求項84に記載の固体形態。
【請求項90】
3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す、請求項89に記載の固体形態。
【請求項91】
3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す、請求項90に記載の固体形態。
【請求項92】
3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す、請求項91に記載の固体形態。
【請求項93】
3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す、請求項92に記載の固体形態。
【請求項94】
3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す、請求項93に記載の固体形態。
【請求項95】
2θ値が7.2°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項84に記載の固体形態。
【請求項96】
2θ値が14.5°±0.3および16.1°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項95に記載の固体形態。
【請求項97】
2θ値が15.8°±0.3および19.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項95または96に記載の固体形態。
【請求項98】
2θ値が9.5°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、および21.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す、請求項95~97のいずれか一項に記載の固体形態。
【請求項99】
7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す、請求項98に記載の固体形態。
【請求項100】
7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す、請求項99に記載の固体形態。
【請求項101】
7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す、請求項100に記載の固体形態。
【請求項102】
7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す、請求項101に記載の固体形態。
【請求項103】
7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す、請求項102に記載の固体形態。
【請求項104】
7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す、請求項103に記載の固体形態。
【請求項105】
請求項1~104のいずれか一項に記載の固体形態と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項106】
崩壊剤をさらに含む、請求項105に記載の医薬組成物。
【請求項107】
前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムである、請求項106に記載の医薬組成物。
【請求項108】
受容体チロシンキナーゼエフェクターRAFを阻害する方法であって、受容体チロシンキナーゼエフェクターRAFの阻害を必要とする疾病を有する対象に、請求項1~104のいずれか一項に記載の固体形態を投与する工程を含む、方法。
【請求項109】
前記疾病ががんまたは腫瘍性疾患である、請求項108に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月23日に出願された米国仮特許出願第63/178,752号の利益を主張し、その全体が、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
RAFキナーゼは、Ras-RAF-MEK-ERKマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路(MAPK/ERK経路としても知られる)において、MEKをリン酸化および活性化することによって機能する。転写因子のレベルおよび活性を変化させることによって、MAPKは、細胞周期にとって重要な遺伝子の転写を変化させる。MAPK活性の調節解除は、腫瘍において頻繁に起こる。したがって、RAFキナーゼ活性を標的とする治療は、異常なMAPK/ERK経路シグナル伝達によって特徴付けられる、がんや他の障害の処置に使用するのに望ましい。そのようなRAFキナーゼのモジュレータの一つは、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドおよびその薬学的に許容される塩である。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、以降、化合物1として知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドの非晶質固体状態での形態(amorphous solid state form)に関する。化合物1の分子構造を以下に示す。
【0004】
【0005】
さらに、本明細書には、以降、化合物2として知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド塩酸塩の結晶形が開示される。化合物2の分子構造を以下に示す。
【0006】
【0007】
さらに、本明細書には、以降、化合物3として知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド臭化水素酸塩の結晶形が開示される。化合物3の分子構造を以下に示す。
【0008】
【0009】
さらに、本明細書には、以降、化合物4として知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド 4-メチルベンゼンスルホネートの結晶形IおよびIIが開示される。化合物4の分子構造を以下に示す。
【0010】
【0011】
さらに、本明細書には、以降、化合物5として知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドホスフェートの結晶形が開示される。
化合物5の分子構造を以下に示す。
【0012】
【0013】
さらに、本明細書には、以降、化合物6として知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドサルフェートの結晶形IおよびIIが開示される。化合物6の分子構造を以下に示す。
【0014】
【0015】
本明細書には、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6、またはそれらの任意の組合せの固体状態での形態と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0016】
さらに本明細書には、受容体チロシンキナーゼエフェクターRAFを阻害する方法が記載され、該方法は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6、またはそれらの任意の組合せの固体形態を、それを必要とする、疾病を有する対象に投与する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。本発明の特徴は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明と、以下の添付の図面とを参照することによってより理解できるであろう。
【
図2】非晶質化合物1の示差走査熱量測定および熱重量分析を示す。
【
図4】結晶性化合物2の示差走査熱量測定および熱重量分析を示す。
【
図6】結晶性化合物3の示差走査熱量測定および熱重量分析を示す。
【
図7】MTBEから結晶化した、結晶性化合物4の形態IのX線回折パターンを示す。
【
図8】アセトンから結晶化した、結晶性化合物4の形態IIのX線回折パターンを示す。
【
図10】結晶性化合物5の示差走査熱量測定および熱重量分析を示す。
【発明の詳細な説明】
【0018】
本明細書には、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6、またはそれらの任意の組合せの固体状態での形態を含む組成物が提供される。
【0019】
いくつかの実施形態では、化合物2には、多くの予期せぬ利点が存在することが見出された。化合物2は非常に安定しており、非晶質化合物2を用いて行われた競合的スラリー実験のすべての熱力学的生成物として同定される。化合物2は、TGAによって同定されるように無水物であるが、化合物2は、吸湿性が最小限にしかなく、高い融点を有し、当該化合物の高い安定性を表す。化合物2のさらなる利点は、化合物1と比較して水性媒体中におけるその溶解度が増加することである。化合物3は、化合物2と比較して同様の吸熱データを有することが見出された。
【0020】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての特許および刊行物は、参照により援用される。
【0021】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「a」、「an」および「the」という単数形は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の参照を含む。
【0022】
「水和物」および「溶媒和物」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)実験、熱重量分析(TGA)実験、X線回折実験、および/または固体結晶形を生成するための手順に由来するデータによって裏付けられる、ある量の水または溶媒を含む結晶性化合物1の形態を記載することを意味する。いくつかの実施形態では、溶媒和物結晶形または水和物結晶形は、TGAによって測定される場合、水、溶媒、もしくはこれらの組合せとしての試料の総重量の少なくとも1.5%、1.75%、2.0%、2.5%、3.0%、4.0%、5.0%、6.0%、7.0%、8.0%、9.0%、10.0%、15.0%、もしくは20.0%を含む。いくつかの実施形態では、溶媒和物結晶形または水和物結晶形は、結晶形の生成に使用される水または溶媒の沸点から30℃前、または沸点から30℃以内に、少なくとも1つのDSC吸熱開始を示す。例えば、水和物結晶形は、108℃でDSC吸熱開始、124℃で吸熱ピークを有し得る。
【0023】
「溶媒和物」または「水和物」と称される結晶固体形態は、限定的なものであることを意味しない。例えば、溶媒和物または水和物は、水と溶媒との組合せを結晶性固体形態で含む場合がある。
【0024】
「タイプ」、「形態」、および「パターン」という用語は、互換的に使用されることが意図され、本明細書に記載される特性を有する特定の結晶性材料を指すことを意味する。例えば、「結晶性水和物タイプA」、「結晶性水和物形態A」、および「XRPDパターンA」は、同じ結晶性物質を指す。
【0025】
数または数値範囲に言及する場合、「約」という用語は、言及される数または数値範囲が、実験変動性内(または統計的実験誤差内)の近似値であることを意味し、したがって、数または数値範囲は、いくつかの場合では、記載される数または数値範囲の1%~15%の間で変動するであろう。
【0026】
本明細書で使用される場合、「実質的に同様」という用語は、XRPDパターン、DSCサーモグラム、またはTGAサーモグラムなどの分析スペクトルを意味し、これは、ピーク位置およびピーク強度の両方において基準スペクトルに大部分が似ている。
【0027】
化合物および固体状態での形態の特徴
一実施形態では、本発明は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6の固体状態での形態を提供する。一実施形態では、結晶形は、X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムによって決定される格子間平面間隔(interlattice plane intervals)によって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、一般的には、ピークの強度対ピークの位置、すなわち回折角2θ(2-シータ)を度でプロットした図によって表される。所与の化合物の特徴的なピークは、ピーク位置およびそれらの相対強度にしたがって選択し、化合物および結晶構造を他のものと区別することができる。非晶質固体状態での形態もXRPDによって特徴付けられた。非晶質固体状態での形態には、格子間平面間隔が存在しないことを示す。
【0028】
化合物2、化合物4、化合物5、および化合物6について、結晶質および非晶質固体状態での形態の両方が同定された。本明細書に記載される非晶質固体状態での形態は、そのように具体的に示される。例えば、「化合物2の固体状態での形態」という表現は、非晶質固体状態での形態として特定されない限り、化合物2の結晶形を記載することを意味する。
【0029】
当業者は、同じ化合物の所与の結晶形について、XRDピーク位置および/または強度の測定値が誤差の範囲内で変動し得ることを認識する。度2θの値は、適切な誤差の範囲を可能にする。一般的に、誤差の範囲は、「±」によって表される。例えば、度2θにおける「8.716±0.3」は、8.716+0.3、すなわち9.016、から8.716-0.3、すなわち8.416までの範囲を表す。試料調製技術、機器に適用される較正技術、人為的な操作による変動などに応じて、当業者は、XRDの誤差の範囲が±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1、±0.05、またはそれ未満になる場合があることを認識する。XRD分析に使用される方法および装置のさらなる詳細は、実施例の節に記載されている。
【0030】
一実施形態では、結晶形は、示差走査熱量測定(DSC)および熱重量分析(TGA)によって特徴付けられる。DSCサーモグラムは、一般に、ワット/グラム(「W/g」)の単位で正規化された熱流対℃で測定された試料温度をプロットするダイアグラムによって表示される。DSCサーモグラムは、一般的に、推定開始および終了(開始)温度、ピーク温度、および融解熱について評価される。DSVサーモグラムの単一の最大値は、ある結晶形を別の結晶形と区別するための特徴的なピークとしてしばしば使用される。TGAサーモグラムは、一般に、重量損失パーセント(%)対℃で測定された試料温度をプロットしたダイアグラムによって表示される。本明細書に開示される図では、DSCおよびTGAサーモグラムは、X軸(温度)を共有してプロットされているが、TGA測定およびDSC測定にそれぞれ対応する、重量%および熱流の別個のY軸を有する。
【0031】
当業者は、同じ化合物の所与の結晶形について、DSCおよびTGAサーモグラムの測定値が誤差の範囲内で変動することを認識する。℃で表される単一の最大値の値は、適切な誤差の範囲を可能にする。一般に、誤差の範囲は「±」で表される。例えば、「53.1℃±10.0」の単一の最大値は、53.1℃+10.0、すなわち63.1℃から約53.1℃-10.0、すなわち43.1℃までの範囲を意味する。当業者は、試料調製技術、結晶化条件、機器に適用される較正技術、人為的な操作上の変動などに応じて、本明細書に記載される粉末回折反射のいずれかについて、単一の最大値に対する適切な誤差の範囲が±10.0、±7.5、±5.0、±2.5、±2、±1.5、±1、±0.5、またはそれ未満になる場合があることを認識する。
【0032】
DSCサーモグラムおよびTGAサーモグラム分析に使用される方法および装置のさらなる詳細は、実施例の節に記載されている。
【0033】
化合物1
いくつかの実施形態では、本発明は、化合物1としても知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドの非晶質固体状態を提供する。いくつかの実施形態では、化合物1の非晶質固体状態は、
図1に示されるものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを示す。
【0034】
いくつかの実施形態では、化合物1の非晶質固体状態は、
図2に示されるものと実質的に同様のDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、化合物1の非晶質固体状態は、97.2℃±5.0でDSC吸熱を示す。特定の実施態様では、化合物1の非晶質固体状態の吸熱に対する誤差の範囲は、±15.0、±10.0、±5.0、および±2.0から選択される。
【0035】
いくつかの実施形態では、化合物1の非晶質固体状態は、
図2に示されるものと実質的に同様のTGAサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、化合物1の非晶質固体状態は、150℃±10.0で、1.8%±0.5のTGA重量損失を示す。特定の実施形態では、化合物1の非晶質固体状態に対するTGA重量損失の誤差の範囲は、±5.0、±2.0、±1.0、±0.5、および±0.1から選択される。
【0036】
本明細書におけるいくつかの実施形態では、化合物1の非晶質固体状態が結晶形を実質的に含まない組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、結晶形の量は20%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、結晶形の量は15%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、結晶形の量は10%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、結晶形の量は5%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、結晶形の量は1%(w/w)以下である。
【0037】
化合物2
いくつかの実施形態では、本発明は、化合物2としても知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド塩酸塩の結晶固体状態を提供する。いくつかの実施形態では、化合物2の結晶性固体状態は、
図3に示されるものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを示す。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明は、化合物2の結晶性固体状態での形態を提供する。いくつかの実施形態では、固体状態での形態は、2θ値が19.7°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が11.1°±0.3および21.2°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が15.8°±0.3および22.0°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が13.9°±0.3、18.5°±0.3、21.7°±0.3、および22.5°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が9.7°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3のX線粉末回折反射を示す。
【0039】
いくつかの実施形態では、固体形態は、9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、20.3°±0.2、23.4°±0.2、および24.0°±0.2から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、9.7°±0.3、11.1°±0.3、13.9°±0.3、15.8°±0.3、18.5°±0.3、19.7°±0.3、21.2°±0.3、21.7°±0.3、22.0°±0.3、22.5°±0.3、23.3°±0.3、および23.8°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す。特定の実施形態では、化合物2の反射のいずれか1つに対する誤差の範囲は、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1、および±0.05から選択される。いくつかの実施形態では、化合物2は、
図3に示されるものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを示す。
いくつかの実施形態において、化合物2は、表1のX線粉末回折パターン反射の少なくとも1つを示す。
【0040】
【0041】
【0042】
いくつかの実施形態では、化合物2の結晶性固体状態は、
図4に示されるものと実質的に同様のDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、化合物2の結晶性固体状態は、229.9℃±5.0でDSC吸熱を示す。特定の実施形態では、化合物2の結晶性固体状態の吸熱に対する誤差の範囲は、±15.0、±10.0、±5.0、および±2.0から選択される。
【0043】
いくつかの実施形態では、化合物2の結晶性固体状態は、
図4に示されるものと実質的に同様のTGAサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、化合物2の結晶性固体状態は、160℃±10.0までに、1.0%±0.5未満の重量損失を示す。特定の実施形態では、化合物2の結晶性固体状態のTGA重量損失の誤差の範囲は、±5.0、±2.0、±1.0、±0.5、および±0.1から選択される。
【0044】
いくつかの実施態様では、化合物2の結晶性固体状態での形態が他の結晶形または非晶形を実質的に含まない、組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、20%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、15%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、10%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、5%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、1%(w/w)以下である。
【0045】
化合物3
いくつかの実施形態では、本発明は、化合物3としても知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド臭化水素酸塩の結晶性固体状態を提供する。いくつかの実施形態では、化合物3の結晶性固体状態は、
図5に示されるものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを示す。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明は、化合物3の結晶性固体状態での形態を提供する。いくつかの実施形態では、固体状態での形態は、2θ値が21.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が19.7°±0.3および21.1°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が19.3°±0.3、20.1°±0.3、および21.3°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が12.2°±0.3、23.2°±0.3、および24.0°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が17.1°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3のX線粉末回折反射を示す。
【0047】
いくつかの実施形態では、固体形態は、12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、12.2°±0.3、17.1°±0.3、19.7°±0.3、21.1°±0.3、21.9°±0.3、23.2°±0.3、24.0°±0.3、27.3°±0.3、および28.7°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す。特定の実施形態では、化合物3の反射のいずれか1つに対する誤差の範囲は、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1、および±0.05から選択される。いくつかの実施形態では、化合物3は、
図5に示されるものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを示す。いくつかの実施形態において、化合物3は、表2のX線粉末回折パターン反射の少なくとも1つを示す。
【0048】
【0049】
【0050】
いくつかの実施形態では、化合物3の結晶性固体状態は、
図6に示されるものと実質的に同様のDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、化合物3の結晶性固体状態は、222.2℃±5.0でDSC吸熱を示す。特定の実施形態では、化合物3の結晶性固体状態の吸熱に対する誤差の範囲は、±15.0、±10.0、±5.0、および±2.0から選択される。
【0051】
いくつかの実施形態では、化合物3の結晶性固体状態は、
図6に示されるものと実質的に同様のTGAサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、化合物3の結晶性固体状態は、150℃±10.0までに、1.0%±0.5%未満の重量損失を示す。特定の実施形態では、化合物3の結晶性固体状態のTGA重量損失に対する誤差の範囲は、±5.0、±2.0、±1.0、±0.5、および±0.1から選択される。
【0052】
いくつかの実施態様では、化合物3の結晶性固体状態での形態が他の結晶形または非晶質形を実質的に含まない、組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、20%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、15%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、10%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、5%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、1%(w/w)以下である。
【0053】
化合物4
いくつかの実施形態では、本発明は、化合物4としても知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド 4-メチルベンゼンスルホネートの結晶性固体状態を提供する。いくつかの実施形態では、化合物4の結晶性固体状態は、MTBEの存在下で結晶化され(形態I)、
図6に示されるものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを示す。いくつかの実施形態では、化合物4の結晶性固体状態は、アセトンの存在下で結晶化され(形態II)、
図7に示されるものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを示す。
【0054】
化合物4-MTBEで結晶化された形態I
いくつかの実施形態では、本発明は、MTBEの存在下で結晶化される、化合物4の結晶性固体状態での形態の形態Iを提供する。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が6.1°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が15.0°±0.3および17.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が5.7°±0.3、7.2°±0.3、および18.5°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、および19.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が14.5°±0.3、15.5°±0.3、および16.6°±0.3のX線粉末回折反射を示す。
【0055】
いくつかの実施形態では、固体形態は、5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.7°±0.3、6.1°±0.3、7.2°±0.3、9.3°±0.3、12.1°±0.3、12.7°±0.3、14.5°±0.3、15.0°±0.3、15.5°±0.3、16.6°±0.3、17.9°±0.3、18.5°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す。特定の実施形態では、化合物4の反射のいずれか1つに対する誤差の範囲、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1、および±0.05から選択される。いくつかの実施形態では、化合物4の形態Iは、
図7に示されるものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを示す。いくつかの実施形態では、化合物4の形態Iは、表3のX線粉末回折パターン反射の少なくとも1つを示す。
【0056】
【0057】
いくつかの実施態様では、化合物4の結晶性固体状態での形態の形態Iが他の結晶形または非晶形を実質的に含まない組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、20%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、15%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、10%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、5%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、1%(w/w)以下である。
【0058】
化合物4-アセトンで結晶化した形態II
いくつかの実施形態では、本発明は、アセトンの存在下で結晶化した化合物4の結晶性固体状態での形態の形態IIを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物4の結晶性固体状態での形態の形態IIを提供する。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が6.8°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が5.2°±0.3、6.1°±0.3、および18.8°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が16.3°±0.3、17.1°±0.3、および21.1°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が12.5°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、および19.2°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が10.5°±0.3、11.9°±0.3、および12.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す。
【0059】
いくつかの実施形態では、固体形態は、5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.2°±0.3、6.1°±0.3、6.8°±0.3、10.5°±0.3、11.9°±0.3、12.5°±0.3、12.9°±0.3、16.3°±0.3、17.1°±0.3、17.2°±0.3、18.5°±0.3、18.8°±0.3、19.2°±0.3、および21.1°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す。特定の実施形態では、化合物4の反射のいずれか1つに対する誤差の範囲は、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1、および±0.05から選択される。いくつかの実施形態では、化合物4の形態IIは、
図8に示されるものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを示す。いくつかの実施形態では、化合物4の形態IIは、表4のX線粉末回折パターン反射の少なくとも1つを示す。
【0060】
【0061】
いくつかの実施態様では、化合物4の結晶性固体状態での形態の形態IIが他の結晶形または非晶形を実質的に含まない組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、20%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、15%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、10%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、5%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、1%(w/w)以下である。
【0062】
化合物5
いくつかの実施形態では、本発明は、化合物5としても知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドホスフェートの結晶性固体状態を提供する。いくつかの実施形態では、化合物5の結晶性固体状態は、
図9に示されるものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを示す。
【0063】
いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が6.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が18.3°±0.3および24.0°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が9.1°±0.3、20.7°±0.3、および22.7°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が5.9°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、および21.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が19.2°±0.3、20.4°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3のX線粉末回折反射を示す。
【0064】
いくつかの実施形態では、固体形態は、5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、5.9°±0.3、6.9°±0.3、9.1°±0.3、11.9°±0.3、13.8°±0.3、18.3°±0.3、19.2°±0.3、20.4°±0.3、20.7°±0.3、21.9°±0.3、22.7°±0.3、24.0°±0.3、25.8°±0.3、および26.6°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す。特定の実施形態では、化合物5の反射のいずれか1つに対する誤差の範囲は、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1、および±0.05から選択される。いくつかの実施形態では、化合物5は、
図9に示されるものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを示す。いくつかの実施形態において、化合物5は、表5のX線粉末回折パターン反射の少なくとも1つを示す。
【0065】
【0066】
いくつかの実施形態では、化合物5の結晶性固体状態は、
図10に示されるものと実質的に同様のDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、化合物5の結晶性固体状態は、150.6℃±5.0でDSC吸熱を示す。特定の実施形態では、化合物5の結晶性固体状態の吸熱に対する誤差の範囲は、±15.0、±10.0、±5.0、および±2.0から選択される。
【0067】
いくつかの実施形態では、化合物5の結晶性固体状態は、
図10に示されるものと実質的に同様のTGAサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、化合物5の結晶性固体状態は、170℃±10.0までに、6.2%±0.5未満の重量損失を示す。特定の実施形態では、化合物5の結晶性固体状態のTGA重量損失の誤差の範囲は、±5.0、±2.0、±1.0、±0.5、および±0.1から選択される。
【0068】
いくつかの実施態様では、化合物5の結晶性固体状態での形態が他の結晶形または非晶形を実質的に含まない組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、20%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、15%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、10%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、5%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、1%(w/w)以下である。
【0069】
化合物6
いくつかの実施形態では、本発明は、化合物6としても知られる、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドサルフェートの結晶性固体状態を提供する。いくつかの実施形態では、化合物6の結晶性固体状態は、アセトニトリルの存在下で結晶化される(形態I)。いくつかの実施形態では、化合物6の結晶性固体状態は、イソプロピルアルコールの存在下で結晶化される(形態II)。
【0070】
化合物6-アセトニトリルで結晶化した形態I
いくつかの実施形態では、本発明は、アセトニトリルの存在下で結晶化される、化合物6の結晶性固体状態での形態の形態Iを提供する。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値のX線粉末回折反射を示し、いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が3.2°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が3.3°±0.3および6.8°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が4.6°±0.3および7.1°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す。
【0071】
いくつかの実施形態では、固体形態は、3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、3.2°±0.3、3.3°±0.3、4.6°±0.3、6.8°±0.3、7.1°±0.3、8.0°±0.3、12.5°±0.3、15.7°±0.3、16.0°±0.3、および19.9°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す。特定の実施形態では、化合物6の反射のいずれか1つに対する誤差の範囲は、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1、および±0.05から選択される。いくつかの実施形態では、化合物6の形態Iは、表6のX線粉末回折パターン反射の少なくとも1つを示す。
【0072】
【0073】
いくつかの実施態様では、化合物6の結晶性固体状態での形態の形態Iが、他の結晶形または非晶形を実質的に含まない組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、20%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、15%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、10%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、5%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、1%(w/w)以下である。
【0074】
化合物6-イソプロパノールで結晶化した形態II
いくつかの実施形態では、本発明は、アセトニトリルの存在下で結晶化される、化合物6の結晶性固体状態での形態の形態IIを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物6の結晶性固体状態での形態の形態IIを提供する。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が7.2°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が14.5°±0.3および16.1°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が15.8°±0.3および19.9°±0.3のX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、2θ値が9.5°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、および21.9±0.3のX線粉末回折反射を示す。
【0075】
いくつかの実施形態では、固体形態は、7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも1つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも2つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも3つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも4つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも5つのX線粉末回折反射を示す。いくつかの実施形態では、固体形態は、7.2°±0.3、9.5°±0.3、14.5°±0.3、15.8°±0.3、16.1°±0.3、19.1°±0.3、19.3°±0.3、19.9°±0.3、および21.9°±0.3から選択される少なくとも6つのX線粉末回折反射を示す。特定の実施形態では、化合物6の反射のいずれか1つに対する誤差の範囲は、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1、および±0.05から選択される。いくつかの実施形態では、化合物6の形態IIは、表7のX線粉末回折パターン反射の少なくとも1つを示す。
【0076】
【0077】
いくつかの実施態様では、化合物6の結晶性固体状態での形態の形態IIが他の結晶形または非晶形を実質的に含まない組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、20%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、15%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、10%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、5%(w/w)以下である。いくつかの実施形態では、他の結晶形または非晶形の量は、1%(w/w)以下である。
【0078】
医薬組成物
特定の実施形態では、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6は、純粋な化学物質として投与される。他の実施形態では、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6は、選ばれた投与経路や、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro,21st Ed.Mack Pub.Co.,Easton,PA(2005))に記載されているような標準的な薬務に基づいて選択される、薬学的に適切または許容される担体(本明細書では、薬学的に適切(または許容される)賦形剤、生理学的に適切(または許容される)賦形剤、または生理学的に適切(または許容される)担体とも呼ばれる)と組合わされる。
【0079】
本明細書には、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6の少なくとも1つと、1つ以上の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。担体が組成物の他の成分と適合性があり、組成物のレシピエント(対象または患者)に有害でない場合、担体(または賦形剤)は、許容されるか、または適切である。
【0080】
一実施形態は、薬学的に許容される賦形剤、および化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、もしくは化合物6を含む医薬組成物を提供する。
【0081】
一実施形態は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、もしくは化合物6と、薬学的に許容される担体とを混合する工程を含む、医薬組成物を調製する方法を提供する。
【0082】
特定の実施形態では、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6は実質的に純粋であり、それは、例えば、合成方法の工程の1つ以上において生じる未反応中間体または合成副生成物などの他の有機小分子を約5%未満、または約1%未満、または約0.1%未満含む。
【0083】
適切な経口剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、サシェ剤、あるいは、硬質ゼラチンもしくは軟質ゼラチン、メチルセルロース、または消化管に容易に溶解する別の適切な材質のカプセル剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどを含む適切な非毒性固体担体が使用される。(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro,21st Ed.Mack Pub.Co.,Easton,PA(2005)を参照)。
【0084】
いくつかの実施形態では、製剤は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、もしくは化合物6、薬学的に許容される担体、および崩壊剤を含む。いくつかの実施形態では、崩壊剤は、天然のデンプン、α化デンプン、デンプンナトリウム、メチル結晶セルロース、メチルセルロース、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロース、架橋クロスカルメロース、デンプングリコール酸ナトリウムなどの架橋デンプン、クロスポビドンなどの架橋ポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、粘土、またはガムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムです。
【0085】
いくつかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6は、注射による投与のために製剤化される。いくつかの例では、注射製剤は水性製剤である。いくつかの例では、注射製剤は非水性製剤である。いくつかの例では、注射製剤は、ゴマ油などの油性製剤である。
【0086】
化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6を含む組成物の用量は、対象または患者(例えば、ヒト)の疾病に応じて異なる。いくつかの実施形態では、このような因子には、全般的な健康状態、年齢、および他の因子が含まれる。
【0087】
医薬組成物は、処置(または予防)される疾患に適切な様式で投与される。投与の適切な用量ならびに適切な持続時間および頻度は、患者の疾病、患者の疾患の種類および重症度、活性成分の特定の形態、ならびに投与方法などの因子によって決定されるであろう。一般に、適切な用量および処置レジメンは、治療的および/または予防的効果(例えば、より頻繁な完全寛解もしくは部分寛解などの臨床結果の改善、またはより長い無病生存期間および/もしくは全生存期間、あるいは症状の重症度の軽減)を提供するのに充分な量の組成物を提供する。最適用量は、一般に、実験モデルおよび/または臨床試験を使用して決定される。最適用量は、患者の肥満度、体重、または血液量に依存する。
【0088】
経口用量は、一般的には、約1.0mg~約1000mgの範囲であり、1日当たり1~4回、またはそれ以上の回数である。
【0089】
処置方法
一実施形態は、ヒトまたは動物の身体の処置方法における使用のための化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6を提供する。
【0090】
一実施態様は、がんまたは腫瘍性疾患の処置方法における使用のための化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6を提供する。
【0091】
一実施形態は、がんまたは腫瘍性疾患の処置のための医薬品の製造における化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6の使用を提供する。
【0092】
いくつかの実施形態では、処置を必要とする患者のがんを処置する方法が本明細書に記載され、当該方法は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6を患者に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、処置を必要とする患者のがんを処置する方法が本明細書に記載され、当該方法は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、もしくは化合物6、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を患者に投与する工程を含む。
【0093】
本明細書には、医薬組成物が経口投与される方法が提供される。本明細書には、医薬組成物が注射によって投与される方法が提供される。
【0094】
他の実施形態および使用は、本開示に照らして当業者には明らかであろう。以下の実施例は、単に様々な実施形態の例示として提供され、決して本発明を限定するものと解釈されるものではない。
【実施例】
【0095】
本開示は、以下の実施例によってさらに例示されるが、決して限定するものとして解釈されるべきではない。示されるデータを生成するための実験手順は、以下でより詳細に述べられる。本開示は、例示的な方法で記載されており、使用される専門用語は、限定ではなく説明の性質を帯びていると意図されることを理解されたい。
【0096】
一般的な実験、機器、および方法論の詳細
(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドの一般的な合成は、PCT/US2020/057132の段落に記載されている。
【0097】
X線粉末回折(XRPD)
XRPD分析のために、LynxEye検出器を備え付けられたBruker D8 Advance X線粉末回折計を使用した。使用したXRPDパラメータを、表8に列挙する。
【0098】
【0099】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCを、Discovery DSC 250(TA Instruments、US)を使用して行った。試料をアルミニウム製ピンホール密閉パン(aluminum pin-hole hermetic pan)に入れ、重量を正確に記録した。試料を10℃/分の速度で、25℃から最終温度まで加熱した。使用したDSCパラメータを、表9に列挙する。
【0100】
【0101】
熱重量分析(TGA)
TGAを、Discovery TGA 55(TA Instruments、US)で行った。試料を風袋計量した開放アルミニウムパン(open tared aluminum pan)に入れ、自動的に秤量し、TGA炉に挿入した。試料を10℃/分の速度で、周囲温度から最終温度まで加熱した。使用したTGAパラメータを、表10に列挙する。
【0102】
【0103】
動的蒸気収着(DVS)
水分収着/脱着データを、DVS Intrinsic PLUS(SMS、UK)で収集した。試料を風袋計量した試料チャンバーに入れ、自動的に秤量した。dm/dtが0.002%未満になるまで、試料を40℃/0% RHで乾燥させ、25℃に冷却した。使用したDVSパラメータを、表11に列挙する。
【0104】
【0105】
偏光顕微鏡法(PLM)
光学顕微鏡法を、偏光顕微鏡ECLIPSE LV100POL(Nikon、JPN)を使用して実施した。
【0106】
プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)
1H-NMRを、自動サンプラー(B-ACS 120)が備え付けられたBruker Advance 300を用いて行った。
【0107】
超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)方法
溶解度試験および安定性試験のためのUPLC方法を、表12に列挙する。
【0108】
【0109】
実施例1.(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(化合物1)の特徴付け
化合物1の非晶形を、
図1に示すようにXRPDによって同定した。
図2のサーモグラムは、試料が室温~150℃で-1.8%の重量損失を有し、97.2℃±5.0で広い吸熱ピークを有することを示した。非晶質材料はわずかに吸湿性であり、80%のRHにおいて2%の水を取り込んだ(
図11)。材料は、DVS試験後も非晶質のままであった。
【0110】
化合物1は、n-ヘプタンおよび水に不溶であり(<1mg/mL)、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトニトリル、イソブタノール、イソプロピルアルコール、および酢酸イソプロピルに可溶である(>100mg/mL)。化合物1は、メチルt-ブチルエーテル中約60mg/mLの溶解度を有する。
【0111】
実施例2.(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド塩酸塩(化合物2)の特徴付け
約390mgの化合物1を室温で10Vのアセトンに添加することで、透明な溶液を得た。次いで、69.3μLの濃HCl(1.1当量)を添加し、1分後に沈殿が発生した。結果として得られた懸濁液を室温で3時間保持した。固体を濾過により回収し、真空下50℃で一晩乾燥させた。化合物2を、~81%の収率でオフホワイトの固体として得た。化合物2は、
図3に示すように高結晶性であった。化合物2はわずかに吸湿性であり、DVSによって測定される場合、相対湿度80%で0.66%の水を取り込み、および相対湿度90%で0.95%の水を取り込んだ(
図12)。化合物2は、TGAによって測定される場合、229.94℃±5.0でDSCピークを示し、160℃±10.0までに、1.0%±5.0未満の重量損失を示した(
図4)。
【0112】
(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド塩酸塩の非晶質固体状態での形態が達成可能である。しかしながら、非晶質として具体的に示されない限り、「化合物2」は、
図3に示される結晶形を指す。0.5mLのメタノールに溶解した15mgの化合物2を急速に蒸発させることによって、非晶質(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド塩酸塩を形成した。XRPDによって、固体が非晶質であることを確認した。表13の溶媒0.5mL中の非晶質(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド塩酸塩のスラリーを調製した。各懸濁液を50℃および室温で1日間撹拌した。各懸濁液を濾過し、XRPDによって分析した。各実験では、非晶質(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド塩酸塩から結晶性化合物2への転換が観察された。
【0113】
【0114】
化合物1および化合物2を、60℃および40℃、相対湿度75%で9日間、安定性について評価した。0日目、3日目、9日目に試料を希釈液で溶解し、UPLCによる純度分析のための溶液を調製した。また、固体試料をXRPDによって分析して、結晶形を調べた。研究の結果を、以下の表14に要約する。
【0115】
【0116】
化合物2の溶液を、10mg/mLの0.5% MC/0.1% Tween 80中の安定性について評価した。10.7mgの化合物2を試料バイアルに秤量し、次いで500μLの1%MCおよび500μLの0.2% Tween 80を添加して、10mg/mLの懸濁液を得た(遊離塩基として計算)。混合物を室温で15分間撹拌し続け、懸濁液を室温で7日間放置した。形態変化は起こらなかったが、純度は、UPLCによって測定される場合、7日後に0.13%減少した。
【0117】
化合物2の熱力学的溶解度を、13の溶媒中、それぞれ室温および50℃でUPLCにより測定した。結果を表15に要約する。化合物2は、MeOH中、50℃で約102mg/mLおよび室温で55mg/mLで、最も高い溶解度を示した。選択された他の溶媒の大半では、化合物は、わずかに可溶(6~9mg/mL)であるEtOHおよび水を除いて、ほとんど不溶(<0.5mg/mL)であった。溶解度試験からの残留固体物の固体形態をXRPDによって調べたところ、溶解度試験中に形態変化は起こらなかった。
【0118】
【0119】
化合物1および2に対して比較溶解試験を行った。約20mgの各試料を試料バイアルに秤量し、次いで4mLの培地を添加して懸濁液を作製した。すべての懸濁液を37℃、200rpmの速度で振盪した。0.5、2、および24時間の時点で、各懸濁液を濾過し、濾液をUPLCによって分析して溶解度を試験した。濾液のpHを測定し、濾過ケークをXRPDによって分析した。化合物1は水への溶解度が非常に低い(<9μg/mL)が、化合物2は約2.5mg/mLの水への溶解度を示す。生体関連溶解媒体のFaSSIFおよびFeSSIFでは、化合物1および化合物2の溶解度は同様であった。化合物1は、FaSSGF中で化合物2に転換した。実験結果を表16に要約する。
【0120】
【0121】
実施例3.(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド臭化水素酸塩(化合物3)の特徴付け
化合物3は、26mgの化合物1をアセトンに溶解し、室温で1当量の臭化水素酸を添加することによって合成した。30分間撹拌することによりスラリーを産出し、その固体を濾過により単離した。
図5に示すように、固体は高結晶性であった。化合物3はわずかに吸湿性であり、DVSによって測定される場合、相対湿度80%で0.27%の水を取り込み、および相対湿度90%で0.45%の水を取り込んだ(
図13)。化合物3は、TGAによって測定される場合、222.2℃±5.0でDSCピークを示し、150℃±10.0までに、1.0%±0.5未満の重量損失を示した(
図6)。
【0122】
実施例4.(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド 4-メチルベンゼンスルホネート(化合物4)の特徴付け
アセトンまたはMTBE中で化合物1に1当量のp-トルエンスルホン酸を添加することによって、化合物4を調製した。MTBE中において、試薬を50℃で1時間撹拌し、その後、固体が出現し、該固体を濾過によって単離して、
図7に示すように結晶性化合物4の形態Iを得た。アセトン中において、試薬を2時間撹拌し、その後、固体が出現し、該固体を濾過によって単離して、
図8に示すように、結晶性化合物4の形態IIを得た。酢酸エチル中で合成を行い、溶媒を蒸発させた場合、XRPDによって決定されるように、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド 4-メチルベンゼンスルホネートの非晶質形態を得た。
【0123】
実施例5.(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドホスフェート(化合物5)の特徴付け
化合物5を、室温で、メタノール中において、化合物1に1当量のリン酸を添加することによって調製した。試薬を一晩撹拌し、その後、固体が出現し、該固体を濾過によって単離して、
図9に示すように結晶性化合物5を得た。化合物5は、37~66℃±5.0でDSC脱溶媒和/脱水および150.6℃±5.0に吸熱融点ピークを示した。約3.3%±0.5および2.9%±0.5で発生した2ステップの重量損失は、TGAによって測定される場合、177℃±10.0まで加熱することで生じた(
図10)。(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドホスフェートの非晶質形態は、XRPDによって測定される場合、アセトニトリルまたは酢酸エチル中で合成を行い、溶媒を蒸発させた場合に得られた。
【0124】
実施例6.(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドスルファート(化合物6)の特徴付け
化合物6を、アセトニトリルまたはイソプロピルアルコール中で、化合物1に、1当量の硫酸を添加することによって調製した。アセトニトリル中において、試薬を組み合わせ、撹拌することで、固体が出現し、該固体を濾過によって単離して、結晶性化合物6の形態Iを得た。イソプロピルアルコール中において、試薬を組み合わせ、撹拌することで、固体が出現し、該固体を濾過によって単離して、結晶性化合物6の形態IIを得た。0.5当量の硫酸を含むアセトン中で反応を行い、アセトンを蒸発させると、XRPDによって測定される場合、(S)-N-(3-(2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドサルフェートの非晶質形態が得られた。
【0125】
実施例7.医薬品の製剤および製造プロセス
医薬品の製剤は、約1時間の期間にわたって化合物2の即時放出をもたらす。錠剤が水に曝露され、崩壊し始めると、薬物物質が錠剤芯から急速に放出される。錠剤は、溶解度が最も高い胃で完全に溶解することが意図される。迅速な溶解を可能にするために、クロスカルメロースナトリウムなどの超崩壊剤を製剤に添加する。製剤の他の成分には、微結晶セルロース、マンニトールおよび酢酸ヒプロメロースコハク酸塩などの充填剤、タルクなどの粘着防止剤、二酸化ケイ素などの流動促進剤、ならびにフマル酸ステアリルナトリウムなどの潤滑剤が含まれる。錠剤は、ポリビニルアルコール、PEGなどの可塑剤、二酸化チタン、および他の着色色素を含有する非機能性コーティングを用いてフィルムコーティングされる。
【0126】
図14は、例示的な医薬品に使用される製造プロセスを示す。打錠機におけるブレンド流動性および錠剤コア製剤の重量均一性を改善するために、錠剤の製造のための乾式造粒プロセスを選択した。錠剤製造プロセスは、初めに、化合物2、微結晶セルロース、マンニトール、酢酸ヒプロメロースコハク酸塩、タルク、クロスカルメロースナトリウム、および二酸化ケイ素をブレンダー内でブレンドすることからなる。ブレンドした材料をComilに通して凝集物を分解した後、フマル酸ステアリルナトリウムを添加し、さらにブレンドする。潤滑されたブレンドをローラーコンパクター内で乾式造粒して材料の密度を増加させ、続いて粉砕する。重量ベースで、製剤の約97%に相当する顆粒に粉砕した材料に、クロスカルメロースナトリウム、二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを添加する。この顆粒と顆粒外賦形剤の混合物をブレンドして、錠剤化のための最終組成物を調製する。錠剤コアを、回転式錠剤プレスを使用して圧縮する。異なる錠剤強度は、錠剤重量を調節することによって作製し得る(例えば、25および100mg強度錠剤)。圧縮後、パンコーター内で水性フィルムコーティングシステムを使用して、錠剤コアをコーティングする。
【0127】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、そのような実施形態は例としてのみ提供されることが当業者には明らかであろう。多数の変形、変更、および置換が、本発明から逸脱することなく、当業者に思い浮かぶであろう。本明細書に記載される発明の実施形態の様々な代替形態が、本発明を実施する際に採用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの同等物がそこに包含されることが意図される。
【国際調査報告】