IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インテグリティ・バイオ−ケミカルズ,エルエルシーの特許一覧

特表2024-517436界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品
<>
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図1
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図2
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図3
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図4
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図5
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図6
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図7
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図8
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図9
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図10
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図11
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図12
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図13
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図14
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図15
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図16
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図17
  • 特表-界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20240415BHJP
   C09K 23/56 20220101ALI20240415BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240415BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A61K8/73
C09K23/56 ZBP
A61Q1/00
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566459
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 US2022026664
(87)【国際公開番号】W WO2022232352
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/181,523
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/272,368
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519324330
【氏名又は名称】インテグリティ・バイオ-ケミカルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー, クリストファー, ピー.
(72)【発明者】
【氏名】アーモンド, ステファン ウイリアム
【テーマコード(参考)】
4C083
4D077
【Fターム(参考)】
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB07
4C083CC01
4C083CC23
4C083DD11
4C083DD31
4C083DD41
4C083FF01
4D077AA09
4D077AB10
4D077AB11
4D077AC03
4D077BA02
4D077BA15
4D077DC22X
4D077DC22Z
4D077DC27Y
4D077DC27Z
4D077DC34Y
4D077DD63Y
4D077DD63Z
4D077DE13Y
4D077DE13Z
(57)【要約】
【解決手段】
キャリア相、中性界面活性剤もしくはその反応生成物、およびサッカライドポリマーと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物は、様々な種類の消費生活用製品または工業製品に配合されうる。サッカライドポリマーの反応生成物は、水および水酸化物塩基の存在下(適宜、中性界面活性剤の存在下)において得られうる。サッカライドポリマーは、デキストラン、デキストリン化合物、またはそれらのいずれの組み合わせを含有し、脂肪酸は約50重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸を含有する。製品の例としては、補助剤、発泡剤、硬質表面洗浄剤、スキンクリームおよびローション、身体洗浄剤、シャンプー、液状石鹸、日焼け止め、ヘアスプレーおよびヘアジェル、化粧品、脱臭剤、ならびに制汗剤が挙げられうる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア相;
前記キャリア相と組み合わされた中性界面活性剤またはその反応生成物;および、
前記キャリア相と組み合わされたサッカライドポリマーと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物であって、前記サッカライドポリマーはデキストラン、デキストリン化合物、またはそれらのいずれの組み合わせを含有し、前記脂肪酸は約50重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸を含有する、前記キャリア相と組み合わされたサッカライドポリマーと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物;
を含有する、消費生活用製品または工業製品。
【請求項2】
前記サッカライドポリマーと前記脂肪酸もしくは前記脂肪酸エステルの前記反応生成物が水性流体中において前記中性界面活性剤の表面張力を低下させるのに効果的な濃度で存在する、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項3】
前記サッカライドポリマーがデキストリン化合物を含有し、前記デキストリン化合物がマルトデキストリンを含有する、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項4】
前記マルトデキストリンが約3~約25のデキストロース当量値を有する、請求項3に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項5】
前記脂肪酸エステルから得ることができる前記脂肪酸または脂肪酸成分が、約4から約30個の炭素原子を含有する、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項6】
前記脂肪酸エステルから得ることができる前記脂肪酸または脂肪酸成分が、約4から約30個の炭素原子を含有する1つ以上の直鎖脂肪酸から成る、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項7】
前記脂肪酸または脂肪酸エステルから得ることができる脂肪酸成分が、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラボン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリオシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、クロトン酸、セルボン酸、リノール酸、リノレライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、ピノレン酸、ステアリドン酸、エレオステアリン酸、エライジン酸、ゴンド酸、ガドレイン酸、エルカ酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、ネルボン酸、ミード酸、アドレン酸、およびそれらのいずれの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの脂肪酸を含有する、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項8】
前記中性界面活性剤が脂肪酸アルカノールアミドまたはその反応生成物を含有する、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項9】
前記脂肪酸アルカノールアミドが、コカミドジエタノールアミン、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジイソプロパノールアミン、およびそれらのいずれの組み合わせからなる群から選択される化合物を含有する、請求項8に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項10】
前記反応生成物中におけるサッカライドポリマーに対する脂肪酸のモル比が、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.2以上である、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項11】
前記反応生成物中におけるサッカライドポリマーに対する脂肪酸のモル比が、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.2~約0.8の範囲である、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項12】
前記サッカライドポリマーの前記反応生成物が、水および水酸化物塩基の存在下において得られる、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項13】
前記サッカライドポリマーの前記反応生成物が脂肪酸エステルサッカライドポリマー反応生成物を含有する、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項14】
前記消費生活用製品または前記工業製品が発泡しているかまたは発泡可能である、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項15】
前記消費生活用製品または前記工業製品が乳化されている、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項16】
前記消費生活用製品または前記工業製品がスティック形態である、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項17】
前記消費生活用製品または前記工業製品がクリームまたはゲルとして製剤化されている、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項18】
少なくとも1つの脂肪酸カルボン酸塩をさらに含有する、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項19】
少なくとも1つの両性界面活性剤をさらに含有する、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。
【請求項20】
前記反応生成物が脂肪酸エステルから形成されており、前記消費生活用製品または前記工業製品がグリセロールをさらに含有する、請求項1に記載の消費生活用製品または工業製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤およびデキストリン又はデキストランの脂肪酸反応生成物を含有する消費生活用製品および工業製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
その分子構造内に疎水性部分と親水性部分の両方を有する両親媒性化合物は、一般に、「界面活性剤」または「界面活性剤化合物」と称される。界面活性剤は、それらの分子構造により、2つの構成成分間の界面における表面張力を低下させる傾向がある。界面活性剤は、例えば、石鹸、洗剤、化粧品、医薬品、および分散剤を含む、幅広い消費生活用製品および工業製品に含まれうる。これらの用途などにおける様々な機能の中でも、界面活性剤は、難溶性固形物の溶解性を促進し、表面の濡れ性を促進し、固体の分散性を向上させ、発泡を増加させ、乳化もしくは解乳化を促進し、および/または特定の場合には粘性を低下させる場合がある。一般的な合成界面活性剤の中には、高価なものや、その使用に関する環境規制や政府規制の対象となりうるものがあり、界面活性剤を配合することで利益を得られる可能性のある様々な種類の製品への配合を妨げる場合がある。加えて、界面活性剤の中には、臨界ミセル濃度において高い表面張力値または界面張力値を示すものがあり、これが様々な種類の消費生活用製品および工業製品への配合を複雑にする場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
以下の図面は本開示の特定の態様を説明するために含まれるものであり、排他的な実施形態とみなされるべきではない。開示される発明の対象は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態および機能において相当な修正、変更、組み合わせ、および等価物であることができる。
【0004】
図1】は、サンプルAで乳化されたテレロ(Terero)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
図2】は、サンプルBで乳化されたテレロ(Terero)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
図3】は、サンプルCで乳化されたテレロ(Terero)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
図4】は、サンプルDで乳化されたテレロ(Terero)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
【0005】
図5】は、サンプルAで乳化されたウルフキャンプA(WolfcampA)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
図6】は、サンプルBで乳化されたウルフキャンプA(WolfcampA)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
図7】は、サンプルCで乳化されたウルフキャンプA(WolfcampA)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
図8】は、サンプルDで乳化されたウルフキャンプA(WolfcampA)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
【0006】
図9】は、サンプルAの濃度の関数としての表面張力のプロットを示す。
図10】は、サンプルBの濃度の関数としての表面張力のプロットを示す。
図11】は、サンプルCの濃度の関数としての表面張力のプロットを示す。
図12】は、サンプルDの濃度の関数としての表面張力のプロットを示す。
【0007】
図13】は、サンプルE1~E4で乳化されたイーストテクサスハッチェソンNo.2(East Texas Hutcheson#2)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
図14】は、サンプルF1~F4で乳化されたイーストテクサスハッチェソンNo.2(East Texas Hutcheson#2)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
図15】は、サンプルG1~G4で乳化されたイーストテクサスハッチェソンNo.2(East Texas Hutcheson#2)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
図16】は、サンプルH1~H4で乳化されたイーストテクサスハッチェソンNo.2(East Texas Hutcheson#2)油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
【0008】
図17】は、サンプルE1~E4、F1~F4、G1~G4、およびH1~H4についての、60分後の水の乳化率のプロットを示す。
【0009】
図18】は、実験用石鹸製剤および比較用石鹸製剤のハートデジョージ(Hart-DeGeorge)泡試験性能の棒グラフを示す。実験用石鹸製剤は、コカミドジエタノールアミンの存在下で得られたマルトデキストリンとラウリン酸との反応生成物を含み、比較用石鹸製剤は、石鹸およびパーソナルケア製品に一般的に使用されるアニオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムを同等の質量で含む。
【発明の開示】
【0010】
本開示は、概して、界面活性剤を含む消費生活用製品および工業製品、より具体的には、消費生活用製品および工業製品に配合したときに低い表面張力を有する界面活性剤を含有する組成物を含む消費生活用製品および工業製品に関する。消費生活用製品および工業製品は、溶液、分散体、クリーム、エマルション、泡、ゲル、粉末、スティックなどのような様々な形態を含んでよい。
【0011】
様々な種類の界面活性剤が幅広い工業製品および消費生活用製品に用いられうる。しかしながら、界面活性剤の中には、高価でありうるもの、他の材料との不適合性を有しうるもの、および/または規制上の制約を受けうるものがある。界面活性剤の種類によっては、高い表面張力(面内張力(intrafacial tension))が問題になりうる場合もある。さらに、複雑な化学合成を行わずに、従来の界面活性剤の親水性-親油性バランス(HLB)を変化させる容易な方法はない。
【0012】
バイオポリマーベースの化合物は、デキストランおよび/またはデキストリン化合物のようなサッカライドポリマーと脂肪酸または脂肪酸エステル(fatty ester)との反応によって製造され、適切な中性界面活性剤と組み合わせた場合に低下した表面張力を示す可能性がある反応生成物をもたらしうる。すなわち、好ましくはアルカリ性条件下、かつ適宜、中性界面活性剤の存在下において脂肪酸または脂肪酸エステル(例えば、グリセロールエステルまたは他の種類の脂肪酸前駆体)と反応させたデキストランおよび/またはデキストリン化合物を含有するサッカライドポリマーは、適切な界面活性剤と組み合わせて存在する場合に界面活性剤-改変特性および予期せぬ低い表面張力値を有する反応生成物をもたらしうる。反応生成物は、それらが生体由来であることから、様々な種類の消費生活用製品および工業製品への組込みに望ましく、有利でありうる。他の利点としては、反応生成物を形成するために使用される成分が低コストであること、および著しい生分解性を示す製剤を調製できる可能性があることが挙げられうる。理論によって制限されることなく、反応生成物は、中性界面活性剤と相乗的に相互作用して表面張力値を低下させる、デキストランまたはデキストリン化合物の少なくとも1つの脂肪酸エステル(すなわち、脂肪酸エステルサッカライドポリマー反応生成物)を含んでよい。反応生成物を形成する成分は個々に表面張力値を上昇させる傾向があるが、反応生成物中で一旦全て一緒に合わせると、おそらく、中性界面活性剤の第一級アルコール官能基のさらなる反応後に、驚くべきことにコカミドジエタノールアミン(CocoDEA)および類似の中性界面活性剤の表面張力を低下させうる。本明細書に記載される反応生成物と組み合わされてCocoDEAおよび他のコカミドベースの界面活性剤と同様に機能しうる類似の中性界面活性剤としては、限定はされないが、他の脂肪酸アルカノールアミド、例えば、パルミチン酸およびエタノールアミンもしくはジエタノールアミンから形成されるものなど、が挙げられうる。
【0013】
デキストリン化合物は、第一級アルコール官能基および第二級アルコール官能基を有し、適切な条件下で脂肪酸(適宜、脂肪酸エステルのような脂肪酸前駆体から得られる)と反応し、反応生成物、好ましくは脂肪酸エステルサッカライドポリマー反応生成物を形成する。デキストランは、同様の反応生成物を形成する反応を起こしうる第二級アルコールを有する。反応生成物内の脂肪酸の鎖長およびサッカライドポリマーとの反応を受ける際に存在する脂肪酸の量は、親水性-親油性バランス(HLB)の変化によってなど、所定の状況においてそこから得られる特性を調整するのに役立ちうる。十分に高いHLBを有する反応生成物は、例えば、状況によっては、発泡を促進しうる。他の場合において、高いまたは低いHLBは乳化または非乳化挙動を促進しうる。反応生成物のHLBを容易に調整できることは、本明細書の開示による消費生活用製品および工業製品を製剤化する際の大きな利点である。マルトデキストリンの反応生成物は、デキストリンベースの反応生成物の一種である。
【0014】
中性界面活性剤と反応生成物の組み合わせは、水性流体の迅速な発泡を促進してもよく、また、同等質量のイオン性界面活性剤(カチオン性、アニオン性、または両性界面活性剤を含む)単独によってもたらされる泡よりも安定な泡をもたらしうる。両性界面活性剤を、適宜、反応生成物と組み合わせて、反応生成物および中性界面活性剤単独と比較して発泡性能を向上させてもよい。例えば、CocoDEA、他の脂肪酸アルカノールアミド、またはそれらの反応生成物と組み合わせる場合、マルトデキストリンおよびラウリン酸から形成される反応生成物は、実質的に同等量の(石鹸およびシャンプーなどのパーソナルケア製品で一般的に用いられるアニオン性界面活性剤である)ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム)から形成される泡よりも密度が低くて安定な泡を生成しうる。反応生成物の生体分子性質を考慮すると、1つ以上の本開示の反応生成物を含有する発泡製剤または発泡性製剤は、より環境に配慮した石鹸および他のパーソナルケア製品の組成の可能性を提供しうる。発泡性能以外にも、両性界面活性剤は、本明細書に記載の反応生成物と組み合わせた場合に他の利点をもたらしうる。
【0015】
中性界面活性剤技術に基づいて発泡製剤または発泡性製剤が得られることに加えて、本開示の反応生成物は、様々な工業製品または消費生活用製品において、より高額な界面活性剤および/または政府規制の対象となる界面活性剤を全てまたは部分的に置き換えうる。例えば、本開示の反応生成物は、微量の1,4-ジオキサンを含みうるエトキシ化アルコール中性界面活性剤の有効な代替物でありうる。反応生成物を中性界面活性剤と組み合わせることによりもたらされる表面張力の低下は、消費生活用製品または工業製品においてあまり望ましくない界面活性剤を置き換える場合にさらに有利でありうる。
【0016】
マルトデキストリンは、コストが低く、環境に優しい性質であり、ある範囲の鎖長を有する脂肪酸と比較的容易に化学的に反応しうる点において、本明細書での開示において使用するために有利なサッカライドポリマーを代表するものであり、適宜、脂肪酸エステル(例えば、グリセロールエステル)または他の種類の脂肪酸前駆体から得られうる。マルトデキストリンと反応させる脂肪酸または脂肪酸エステルならびにその量に応じて、反応生成物の親水性-親油性バランス(HLB)は、約5から約20以上の範囲であってよく、ここで、HLB値の算出には既知の分子寄与を用いてもよい。したがって、マルトデキストリン反応生成物は、種類によって、実質的に水性の流体または実質的に油性(有機)の流体中におけるエマルションの形成に有効でありうる。いくつかの例では、マルトデキストリン(またはデキストラン)反応生成物は、適切な水相中で油性物質と組み合わされた場合に、水中油型エマルションを形成しうる。さらに他の例では、マルトデキストリン(またはデキストラン)反応生成物は、乳化を促進するのではなく、水相中の油性または非油性物質の溶解を促進しうる。脂肪酸の大きさおよび量によりもたらされる特性の変化に加えて、マルトデキストリンは、実現すべき乳化または発泡特性をさらにいくらか調節することができうるオリゴマーサイズの範囲(例えば、3~20個のグルコースモノマー、あるいは最大約25個のグルコースモノマー)で用いることができる。このように、マルトデキストリン反応生成物は、界面活性剤が一般的に用いられる用途、例えば消費生活用製品および工業製品における用途に対する多数の利点と幅広い適応性を提示しうる。デキストラン反応生成物は、マルトデキストリン反応生成物と同様の利点と特徴を提示しうる。
【0017】
本開示での使用に適したデキストリン化合物は、α(1,4)グリコシド結合で結合した2~約20個のグルコースモノマー、または最大約25個のグルコースモノマーを含有してよい。グルコースモノマーの少なくとも一部は、C-C30脂肪酸またはC-C20脂肪酸の塩などの脂肪酸塩と、好ましくはこれらのサイズ範囲に存在する脂肪酸の大部分が直鎖脂肪酸であるものと、適切な条件下で接触させると反応生成物を形成しうる。遊離脂肪酸または脂肪酸エステルは、サッカライドポリマーと反応して反応生成物を形成する脂肪酸塩を提供しうる。理論によって制限されることなく、いくつかの実施形態において、グルコースモノマーの少なくとも一部が反応してデキストリン化合物の脂肪酸エステルを形成しうる(適宜、水相において未反応の脂肪酸塩と組み合わされて存在する)。形成される場合、脂肪酸エステルデキストリン反応生成物は、一級および/または二級ヒドロキシル基のいずれの組み合わせを含む、デキストリン化合物のいずれのヒドロキシル基にて生じうる。中性界面活性剤のヒドロキシル基は、同様の条件下で反応しうる。
【0018】
デキストランは、隣接するグルコースモノマー間のα(1,6)グリコシド結合を優勢的に有し、限られた数のグルコース側鎖がα(1,3)グリコシド結合を介してポリマー主鎖に結合していることを特徴とする、サッカライドポリマーである。α(1,3)グリコシド結合は、隣接するサッカライドポリマー鎖間に架橋を導入しうる。生物学的供給源に応じて、デキストランの分枝の程度および分子量は大きく異なる可能性があり、本明細書の開示においてそのいずれを用いてもよい。デキストラン中のグルコースモノマーの少なくとも一部は、C-C30脂肪酸またはC-C20脂肪酸の塩などの脂肪酸塩と、好ましくはこれらのサイズ範囲に存在する脂肪酸の大部分が直鎖脂肪酸であるものと、適切な条件下で接触させると、反応生成物を形成しうる。遊離脂肪酸または脂肪酸エステルは、サッカライドポリマーと反応して反応生成物を形成する脂肪酸塩を提供しうる。理論によって制限されることなく、いくつかの実施形態において、グルコースモノマーの少なくとも一部が反応してデキストランの脂肪酸エステルを形成しうる(適宜、水相において未反応の脂肪酸塩と組み合わされて存在する)。形成される場合、脂肪酸エステルデキストラン反応生成物は、デキストランのいずれのヒドロキシル基にて生じうる。
【0019】
いくつかの実施形態において、本開示の反応生成物は、α(1,4)グリコシド結合によって共有結合した、3~約20個のグルコースモノマー、または最大約25個のグルコースモノマーを有するデキストリン化合物を含んでよい。下記化1は、隣接するグルコースモノマー間にα(1,4)グリコシド結合のみを有するデキストリン化合物の一般的な構造を示し、ここで、変数「a」は1~約18の範囲の正の整数であり、したがって、デキストリン主鎖に3~約20個のグルコースモノマーを与える。最大25個のグルコースモノマーを含むデキストリン化合物の場合は、変数「a」は1~約23の範囲であってよい。末端グルコース単位は閉じた形態で示されているが、対応する還元糖の形態で存在してもよい。
【0020】
【化1】

他のデキストリン化合物は、α(1,6)グリコシド結合のみか、またはα(1,4)およびα(1,6)グリコシド結合を混合して含んでよく、そのようなデキストリン化合物もまた反応生成物の形成における使用に適切でありうる。特に適切なデキストリンは、約1200~約1400または約1100~約1500の範囲の分子量(例えば、Mn)を有してよい。
【0021】
いくつかのまたは他の実施形態において、反応生成物はいずれの適切な供給源から得られるデキストランを含んでよい。デキストランの構造を下記化2に示すが、明確にするために、ここにはα(1,3)グリコシド結合は示していない。α(1,3)グリコシド結合は、生じる場合、α(1,6)結合したサッカライドポリマー主鎖に末端グルコースモノマーを側鎖として付加するか、隣接するα(1,6)結合したサッカライドポリマー主鎖の間に架橋を形成するか、α(1,6)結合したサッカライドポリマー主鎖をα(1,3)グリコシド結合で遮断するか、またはそれらのいずれの組み合わせであってよい。供給源に応じて、最大約5%のグルコースモノマーがα(1,3)グリコシド結合によって結合されてよい。α(1,3)グリコシド結合による結合は、いずれのグルコースモノマー上で生じてよい。単一のグルコースモノマーの番号付けを下記化3に示す。
【0022】
【化2】


適切なデキストランは、約1200か、約1400か、約5000~約50,000,000か、または約100,000~約20,000,000の分子量を有してよい。したがって、変数「b」は、選択される特定のデキストランに応じて、約30~約300,000の範囲であってよい。特に適切なデキストランは、約1200~約1400か、約1100~約1500か、約100,000~約1,000,000か、または約2,000,000~約5,000,000の範囲の分子量(例えば、Mn)を有してよい。別の特に適切なデキストランは、約500,000の分子量および約9%の活性レベルを有してよい。
【0023】
【化3】
【0024】
サッカライドポリマーは、本開示のいくつかの実施形態に記載のマルトデキストリンを含有してよい。マルトデキストリンは、そのデキストロース当量(DE)値によって特徴づけられうる。デキストロース当量はサッカライドポリマー(特にデキストリン)中に存在する還元糖(例えば、グルコースモノマー)の量の尺度であり、デキストロースに対する割合として表される。デキストロース自体が100のデキストロース当量を有するのに対し、機能的に非還元性であるデンプンは0のデキストロース当量を有すると定義される。デキストロース当量は、グルコースの分子量をMnで割り、その結果に100を乗ずることによって算出されうる。デキストロース当量値がより高いことは、共有結合したグルコースモノマーの数がより少ないことの特徴である(ポリマー主鎖長がより短いため末端の還元糖の相対的割合がより高くなる)。本明細書の開示に記載の1つ以上の脂肪酸または脂肪酸エステルとの反応生成物を形成するために適切なマルトデキストリンは、3~約25または3~約20の範囲のデキストロース当量値を示してよい。より具体的な実施形態において、マルトデキストリンのデキストロース当量値は、約4.5~約7.0か、約7.0~約10.0か、または約9.0~約12.0の範囲であってよい。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、反応生成物の形成に適切なマルトデキストリンはデンプン(具体的にはデンプンのアミロース成分)の加水分解または熱分解から得られうる。例えば、式1を有するマルトデキストリンはアミロースの加水分解または熱分解によって形成されうる。代替となる適切なデキストリンはデンプンのアミロペクチン成分の加水分解または熱分解から得てもよく、その場合において、デキストリンがアミロペクチン側鎖の加水分解によって得られるならば、デキストリンはα(1,6)グリコシド結合を含んでよい。デキストリンをもたらしうるデンプンは、いずれのデンプン供給源から得てもよい。
【0026】
したがって、消費生活用製品または工業製品に配合するのに適切な反応生成物は、デキストラン、デキストリン化合物、またはそれらのいずれの組み合わせから選択されるサッカライドポリマーを含有する第一の反応成分、ならびに1つ以上の脂肪酸(適宜、脂肪酸エステルのような脂肪酸前駆体から得られうる)を含有する第二の反応成分を含有してよい。1つ以上の脂肪酸の大部分は1つ以上の直鎖脂肪酸を含有してよい。反応生成物は、水および水酸化物塩基の存在下において得てもよい。適切な水酸化物塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはそれらのいずれの組み合わせなど)を含んでよい。1つ以上の脂肪酸に対して化学量論的に過剰であるかもしくは化学量論的に不足している水酸化物塩基が存在してよい。したがって、反応生成物はさらに、アルカリ金属カルボン酸塩のような脂肪酸カルボン酸塩を含有してよい。反応生成物が脂肪酸エステルから形成される場合、反応生成物はさらに、脂肪酸エステルから得られるアルコール成分、例えばグリセロールエステルからのグリセロールを含有してよい。好ましくは、サッカライドポリマーの反応生成物が水性流体中において中性界面活性剤の表面張力を低下させるのに効果的な濃度で存在する場合、適宜、反応生成物は中性界面活性剤の存在下において形成されてよい。
【0027】
別法として、他のサッカライドポリマーを、本明細書に記載の消費生活用製品または工業製品において反応生成物を形成するために用いてもよい。その際に用いてもよい他のサッカライドポリマーとしては、限定はされないが、グリコーゲン、グアー、キサンタン、ウェラン、スクレログルカン、キトサン、シゾフィラン、レバン、ペクチン、イヌリン、アラビノキシラン、プルラン、ゲラン、カラギーナン、キチン、セルロース、デンプン、またはそれらの組み合わせが挙げられうる。前記から得られ、かつ断片あたり約3個~約25個のサッカライドモノマーを含むサッカライドポリマー断片も、本明細書に記載の反応生成物を形成するために用いてよい。
【0028】
反応生成物において、グルコースモノマーに対する脂肪酸のモル比は、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.05以上か、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.08以上か、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.1以上か、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.2以上か、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.3以上か、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.4以上か、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.5以上か、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.6以上か、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.7以上か、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.8以上か、またはモル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.9以上であってよい。反応生成物中におけるデキストリンまたはデキストランに対する脂肪酸の最大比は、グルコースモノマーに基づいて、ほとんどの場合において約1.0であってよい。したがって、いくつかの実施形態において、反応生成物におけるグルコースモノマーに対する脂肪酸のモル比は、約0.05のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約1.0のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.05のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.9のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.05のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.8のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.05のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.7のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.05のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.6のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.05のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.5のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.05のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.4のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.1のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.9のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.1のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.8のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.1のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.7のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.1のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.6のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.1のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.5のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.1のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.4のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.2のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.9のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.2のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.8のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.2のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.7のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.2のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.6のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.2のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.5のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.2のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.4のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.3のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.9のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.3のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.8のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.3のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.7のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.3のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.6のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.3のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.5のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.3のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.4のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.4のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.9のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.4のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.8のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.4のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.7のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.4のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.6のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーか、約0.4のモル脂肪酸:モルグルコースモノマー~約0.5のモル脂肪酸:モルグルコースモノマーの範囲であってよい。前述の比は、デキストランまたはデキストリン化合物と反応した脂肪酸のモル比を表しうる。場合によっては、グルコースモノマー当たり1つ以上のヒドロキシル基が反応してよい。グルコースモノマーの少なくとも一部は官能基付与されないままでよい。未反応のカルボン酸は、存在する場合、水酸化物塩基の遊離カルボン酸塩として反応生成物に残存してよい。したがって、本開示の反応生成物は、1つ以上のデキストリン脂肪酸エステルおよび/または1つ以上のデキストラン脂肪酸エステルを、適宜、脂肪酸カルボン酸塩(例えば、アルカリ金属カルボン酸塩)、および水酸化物塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物塩基)とさらに組み合わせて、含有してよい。水酸化物塩基は、アルカリ金属カルボン酸塩を形成するために存在する実質的に全ての脂肪酸と反応するのに少なくとも十分なモル量で存在してよい。水酸化物塩基を酸で中和するか、または洗浄により除去してよく、反応生成物は表面張力を低下させる能力を維持しうる。
【0029】
消費生活用製品または工業製品に配合するのに適切な組成物は、中性界面活性剤および/または両性界面活性剤を、前述の反応生成物と組み合わせて含有してよい。驚くべきことに、反応生成物は中性界面活性剤または両性界面活性剤の表面張力の低下を促進しうる。すなわち、反応生成物は、実質的に同様の濃度で中性界面活性剤または両性界面活性剤単独によってもたらされる表面張力と比較して、表面張力を低下させる有効な濃度で存在しうる。中性界面活性剤は、表面張力値が既に低いため、有用でありうる。反応生成物の形成の間にサッカライドポリマーと組み合わせる場合、中性界面活性剤のアルコール基が同様に、例えば脂肪酸とともに、反応生成物を形成してもよい。中性界面活性剤もしくはその反応生成物、およびサッカライドポリマーと脂肪酸の反応生成物を含む組成物を、以下にさらに詳しく説明するように、パーソナルケア製品を含む様々な種類の消費者用製品および工業製品を得るために、キャリア相とともに配合してもよい。いくつかの実施形態において、中性界面活性剤および両性界面活性剤は、本明細書に記載の消費生活用製品または工業製品において互いに組み合わせて存在してよい。適切な中性界面活性剤および両性界面活性剤の組み合わせは、発泡性を高める場合があり、ならびに/あるいは乳化もしくは解乳化挙動または反応生成物を予期せず変化させる場合がある。
【0030】
本明細書に記載の反応生成物との組み合わせにおいて表面張力が低下されうる適切な中性界面活性剤は、ココアミドベースの界面活性剤、例えば、コカミドジエタノールアミン、コカミドモノエタノールアミン、コカミドモノイソプロパノールアミン、コカミドジイソプロパノールアミンなどを含む。コカミドジエタノールアミン(CocoDEA)は本明細書の開示において用いるのに適切な中性界面活性剤でありうる。適切でありうる他の中性界面活性剤は、さらなる脂肪酸アルカノールアミド、例えば、パルミチン酸ジエタノールアミンまたはモノエタノールアミンを含む。そのような中性界面活性剤は、生成物全体に対して約20重量%以下か、約10重量%以下か、または約5重量%以下、例えば、約1重量%~約10重量%か、または約3重量%~約8重量%の濃度で存在してもよい。
【0031】
ベタイン界面活性剤は両性界面活性剤の一種である。両性界面活性剤はまた、その正味の電荷が0であるので、本明細書の開示において中性界面活性剤を構成するとみなされうる。両性界面活性剤(例えばコカミドプロピルベタイン)もまた、場合によっては本開示の組成物中に、特に反応生成物を含有する発泡性製剤を製造する場合に、単独かまたはアルカノールアミド中性界面活性剤と組み合わせてのいずれかで存在してよい。アルカノールアミド中性界面活性剤と組み合わせて存在してよい別の種類の適切な両性界面活性剤としては、様々なスルタイン(例えばココアミドプロピルヒドロキシスルタイン)が挙げられうる。両性界面活性剤は同様に、反応生成物と合わされると表面張力が低下しうる。
【0032】
反応生成物およびそれから得られた組成物は、一旦形成されると、そのpHが、約1~約14の範囲、例えば約1~約5か、約5~約7か、約7~約9か、または約9~約14の範囲であってよい。表面張力値の低下は、場合によってはpHの低下としてもたらされうる。表面張力の低下はまた、溶解した塩(例えば塩化カリウム)の存在下でもたらされうる。
【0033】
サッカライドポリマーの反応生成物(1つ以上の脂肪酸(適宜、脂肪酸エステルから得られた脂肪酸)とデキストリン化合物および/またはデキストランとの反応によって形成された反応生成物を含みうる)は、デキストラン、デキストリン化合物(例えば、α(1,4)グリコシド結合で互いに結合した3~約20個のグルコースモノマーまたは最大約25個のグルコースモノマーを含有する)もしくはそれらのいずれの組み合わせを含有するサッカライドポリマー、脂肪酸(もしくは脂肪酸エステル)、および水酸化物塩基を水中で加熱する工程と、水相においてサッカライドポリマーと脂肪酸(もしくは、脂肪酸エステルから得られた脂肪酸)の反応生成物を得る工程と、ならびに、中性界面活性剤または適宜それらの反応生成物(例えば、コカミドベースの界面活性剤、または両性界面活性剤)を水相における反応生成物と合わせる工程を含むプロセスによって調製されてよい。反応生成物は、同様の濃度の界面活性剤単独と比べて表面張力を低下させるのに有効な量で中性界面活性剤または両性界面活性剤と合わされうる。デキストランまたはデキストリン化合物の反応生成物のいずれも、表面張力が低い組成物の形成に適切なサッカライドポリマーを構成してよい。加熱は、約100℃以下の温度で、例えば、約50℃~約80℃か、約60℃~約70℃か、または約50℃~約60℃で行ってよい。
【0034】
中性界面活性剤および/または両性界面活性剤の存在下において反応生成物を形成してもよく、ならびに/あるいは、反応生成物の形成が完了した後に中性界面活性剤および/または両性界面活性剤を合わせてもよい。例えば、反応生成物を沈殿させ、その後、中性界面活性剤および/または両性界面活性剤を含む水溶液に溶解させてもよい。いくつかの実施形態において、中性界面活性剤は表面張力値を低下させうるので、反応生成物を中性界面活性剤の存在下で形成するか、または中性界面活性剤と合わせてもよい。反応生成物の形成の間に存在する場合、ヒドロキシル基を有する中性界面活性剤の反応生成物が形成されうる。
【0035】
中性界面活性剤を用いる場合、中性界面活性剤および反応生成物の組成物の表面張力値は、約40dyn/cm以下か、約38dyn/cm以下か、約36dyn/cm以下か、約34dyn/cm以下か、約32dyn/cm以下か、約30dyn/cm以下か、または約28dyn/cm以下であってよい。表面張力は存在する中性界面活性剤の選択された量によって大きく左右されてもよく(中性界面活性剤の濃度が高いほど、表面張力は低くなる)、ここで、中性界面活性剤の選択された量は、所与の用途に適用可能な望ましい程度の界面活性をもたらすように選択される。中性界面活性剤の選択された量にて、反応生成物は、水相において実質的に同じ濃度での界面活性剤単独について得られうる表面張力と比較して、水相において表面張力を低下させる十分な量で存在してよい。特定の例では、表面張力は、反応生成物中に存在する中性界面活性剤と実質的に同一の濃度での水相中の中性界面活性剤単独の表面張力と比較して測定した場合に、約10%~約25%か、約10%~約20%か、または約15%~約25%の量で低下しうる。
【0036】
サッカライドポリマーの反応生成物の形成において、本開示の方法は、脂肪酸(または脂肪酸エステル)、水酸化物塩基、ならびに中性界面活性剤および/または両性界面活性剤を水中で合わせて混合物を形成する工程と、脂肪酸(または脂肪酸エステル)が溶解して均一な混合物が形成されるまで混合物を加熱する工程を含んでよい。それ以降の工程として、方法は、サッカライドポリマーを均一な混合物と合わせる工程と、反応生成物が十分な程度に形成されるまで加熱を続ける工程を含んでよい。得られた水性混合物を、消費生活用製品または工業製品の形成のためのさらなる用途においてそのまま、適宜、濃縮または希釈した後に、特定の製剤を対象にしたさらなる成分とさらに合わせることにより用いてもよい。反応生成物の水性混合物が用いられうる製剤および製品を以下に論ずる。いつかの例では、水性混合物は特定の製剤中において別の界面活性剤(例えば、荷電界面活性剤)を少なくとも部分的に置き換えうる。他の例では、水性混合物は製剤中においてエトキシ化アルコール界面活性剤を少なくとも部分的に置き換えうる。
【0037】
本開示の反応生成物の形成に用いるのに適切な脂肪酸は、約5~約20のHLB値といったHLB値の範囲を有する反応生成物が得られるように選択されうる。脂肪酸は、いずれの供給源に由来してもよく、そのサイズは約C~約C30か、約C~約C20か、約C~約C18か、または約C~約C24の範囲であってよい。本明細書の開示による反応生成物の形成に適切な脂肪酸は、直鎖または分枝鎖であってよく、また、飽和または不飽和であってよい。サッカライドポリマーと反応させる脂肪酸の少なくとも大部分が直鎖脂肪酸であってよい(すなわち、脂肪酸エステルから得られた遊離脂肪酸もしくは脂肪酸は約50重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸を含有する)。好ましくは、脂肪酸エステルから得られた脂肪酸または脂肪酸(複数)は、少なくとも約60重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸か、少なくとも約70重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸か、少なくとも約80重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸か、少なくとも約90重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸か、少なくとも約95重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸か、少なくとも約98重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸か、または少なくとも約99重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸を含有する。いくつかの実施形態において、サッカライドポリマーと反応させる脂肪酸エステルから得られた脂肪酸または脂肪酸(複数)は、分枝カルボン酸または環状カルボン酸を実質的に除外してもよく、したがって、脂肪酸は、1つ以上の直鎖脂肪酸、例えば、約4個~約30個の炭素原子を含む1つ以上の直鎖脂肪酸から成りうるか、または本質的に成りうる。本開示の反応生成物の形成に適切でありうる直鎖脂肪酸の例としては、例えば、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラボン酸(pelabonic acid)、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸、トリオシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、クロトン酸、セルボン酸、リノール酸、リノレライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、ピノレン酸、ステアリドン酸、エレオステアリン酸、エライジン酸、ゴンド酸、ガドレイン酸、エルカ酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、ネルボン酸、ミード酸、アドレン酸、など、およびそれらのいずれの組み合わせが挙げられる。ラウリン酸あるいはラウリン酸とミリスチン酸の混合物が、特に適切でありうる。前述の脂肪酸のいずれの分枝変形体もまた、反応生成物を生成する際に分枝した脂肪酸が少数成分として存在することを条件として、本開示の反応生成物を形成するために適切に用いられうる。
【0038】
適宜、反応生成物を形成するために使用される脂肪酸は、脂肪酸エステルなどの脂肪酸前駆体から得てよい。本明細書で用いる場合、用語「脂肪酸エステル」は、アルコール成分と脂肪酸成分を含有する、1つ以上のエステル部分を含む化合物を指す。アルコール成分は、ジオールまたはトリオール(例えば、グリセロール)などの一価アルコールまたは多価アルコールであってよい。脂肪酸は、直鎖または分枝、飽和または不飽和の脂肪酸であってよく、その例は本明細書において以下に提供される。好ましくは、適切な脂肪酸エステルは、上記の直鎖脂肪酸のような、約4個~約30個の炭素原子を有する直鎖脂肪酸からなる1つ以上の脂肪酸を含んでよい。
【0039】
サッカライドポリマーとの反応生成物を形成するためには、脂肪酸エステルにアルカリ条件下で最初の加水分解処理を行って脂肪酸成分またはその塩の形態を生じさせ、次いでサッカライドポリマーと反応させて本明細書に記載の反応生成物を形成してもよい。別法として、脂肪酸エステルをサッカライドポリマーとの直接エステル化反応で処理して、本明細書に記載の反応生成物を形成してもよい。本明細書の開示において、サッカリドポリマーのグルコースモノマー単位上の第一級アルコール官能基または第二級アルコール官能基のいずれか1つ以上が反応を受けて反応生成物を形成してもよい。サッカライドポリマーから反応生成物を形成する過程で、脂肪酸エステルのアルコール成分は、サッカライドポリマー反応生成物が形成されている水相中に放出される場合がある。アルコール成分は、水相中で糖類ポリマー反応生成物とともにそのまま存在してもよいし、あるいはそこから少なくとも部分的に除去されてよい。アルコール成分が反応生成物および中性界面活性剤と組み合わされて水相中に存在する場合、低い表面張力値がもたらされ続けうる。水相に放出されたアルコール成分(例えば、グリセロール)は、組成物の他の成分および/または様々な消費生活用製品および工業製品を製造するために組成物と混合される他の成分の可溶化を助けうる。脂肪酸エステルに由来するアルコール以外のさらなるアルコールも、同様に反応生成物と組み合わされて存在してもよい。
【0040】
多数の脂肪、油および類似のグリセロールエステルは、本明細書に記載の反応生成物の形成において使用される脂肪酸エステルの便利で安価な供給源として役立ちうる。さらに、脂肪、油および類似のグリセロールエステルならびにその量は、例えば、その中に含まれる脂肪酸成分によってHLB値を変化させる、および/または特定の状況において乳化性能または解乳化性能のどちらをもたらすかを決定するなど、界面活性剤特性の調整を促進するために選択されうる。
【0041】
反応生成物を形成するのに適切な脂肪酸エステルは特に限定されないと考えられるが、ただし、脂肪酸エステルは、反応生成物の形成において用いられる反応条件にさらされると、効果的な加水分解を受け、脂肪酸エステルのアルコール成分と1つ以上の脂肪酸成分を放出することを条件とする。脂肪酸エステルに由来し、本開示の反応生成物を形成するのに適切な脂肪酸は、約5~約20のHLB値のような範囲のHLB値を有する反応生成物をもたらすように(1つ以上の所望の脂肪酸を含む適切な脂肪酸エステルの選択によって)選択されうる。脂肪酸エステルの例を以下に示す。脂肪酸エステルに由来する脂肪酸は、約C~約C30、または約C~約C20、または約C~約C18、または約C~約C24のサイズ範囲であってよい。本明細書の開示による反応生成物を形成するのに適切な脂肪酸は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよいが、ただし、直鎖脂肪酸が反応生成物中に存在する脂肪酸の大部分を構成することを条件とする。本明細書の開示による反応生成物を形成するのに適切であってよく、脂肪酸エステルから得ることができる脂肪酸の例として、例えば、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラボン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリオシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、クロトン酸、セルボン酸、リノール酸、リノレライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、ピノレン酸、ステアリドン酸、エレオステアリン酸、エライジン酸、ゴンド酸、ガドレイン酸、エルカ酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、ネルボン酸、ミード酸、アドレン酸など、およびそれらのいずれの組み合わせが挙げられる。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸は、以下でさらに説明するように、植物油または動物油から得られる脂肪酸エステルに一般的に存在するため、好ましくは、脂肪酸エステルから形成される反応生成物中に少なくとも1つの不飽和脂肪酸が存在してよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、脂肪酸エステルはグリセロールエステルを含有しうる。グリセロールエステルをアルカリ加水分解処理して、アルコール成分としてグリセロールを遊離させてもよく、グリセロールアルコール成分あたり最大3個のカルボン酸成分が、本明細書の開示によるサッカリドポリマーとの反応を受けるために遊離されうる。本開示のいくつかの実施形態によれば、グリセロールエステルから放出されるカルボン酸成分は、同一であっても異なっていてもよく、少なくとも1つの不飽和脂肪酸がカルボン酸成分の中にあってもよい。好ましくは、脂肪酸エステルから得られる脂肪酸成分は直鎖脂肪酸である。
【0043】
本明細書の開示に従って反応生成物を形成するのに適切なグリセロールエステルは、特に限定されないと考えられ、1つ以上の所望の脂肪酸を含む任意の植物油、動物油、植物脂肪、動物脂肪、またはそれらのいずれの組み合わせを含有しうる。グリセロールエステルは、サッカライドポリマーとの反応生成物を形成する過程で、加水分解またはエステル化反応を受けてもよい。適切なグリセロールエステルは、植物または動物の供給源、例えば、大豆油、ブドウ種子油、オリーブ油、パーム油、米ぬか油、ベニバナ油、コーン油、ヤシ油、ヒマワリ種子油、キャノーラ油、ナタネ油、ピーナッツ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、チャ種子油(tea seed oil)、アマニ油(linseed oil)、ゴマ油、アサイー油、アーモンド油、ビーチナッツ油、ブラジルナッツ油、カシュー油、マカダミアナッツ油、ペカン油、松の実油、ピスタチオ油、クルミ油、カボチャ種子油、アンズ油、アボカド油、グレープフルーツ油、レモン油、オレンジ油、マンゴー油、アマニ油(flax seed oil)、魚油、カカオバター、麻実油、ヒマシ油、トール油、ウシ脂、水牛脂、ヒツジ脂、ヤギ脂、アヒル脂、ブタ脂、家禽脂、およびそれらのいずれの組み合わせなどの中に存在しうる。
【0044】
例えば大豆油は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸、主にはパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、の混合物を含み、大豆油から得ることのできる脂肪酸の大部分は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸)で構成される。パーム油には、飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸)が約50%、不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸)が約50%含まれている。ココナッツオイルは主に飽和脂肪酸(カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸)を含み、不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸)は10%未満である。
【0045】
本開示の反応生成物を形成するための脂肪酸の直接的(インサイツ)供給源としてグリセロールエステルを用いる場合、グリセロールは反応生成物を含む組成物中に少なくとも1つのアルコールとして存在しうる。適宜、グリセロールは、所望により、組成物の水相から少なくとも部分的に除去されてよい。そうでなければ、組成物中に存在するグリセロールの量は、反応生成物を形成する際に存在するグリセロールエステルの量によって決定されうる。例えば、C-C24脂肪酸を含むグリセロールエステルの場合、グリセロールエステル中のグリセロールの重量パーセントは、グリセロールエステルの総質量に基づいて、約7重量%~約17重量%の範囲であってよい。したがって、反応生成物を含む組成物中のグリセロールの対応する重量パーセントは、アルカリ加水分解時にグリセロールに由来する脂肪酸(複数可)に対して測定した場合、約7.5重量%~約20重量%の範囲であってよい。あるいは、各グリセロールエステルは完全に加水分解される際に1つのグリセロール分子を放出しうるので、組成物中のグリセロールの重量パーセントは、組成物全体に関して、反応混合物中に存在するグリセロールエステルの重量パーセントと、質量基準で実質的に同等であってもよい。
【0046】
したがって、そこから形成された反応生成物および消費生活用製品および工業製品は、さらに、サッカライドポリマーと脂肪酸エステルの反応生成物を形成する際に脂肪酸エステル由来の1つ以上のアルコールを含有してよい。適宜、本開示に従って反応生成物を形成する過程で脂肪酸エステルから放出されるアルコールに加えて、さらなる量のアルコールを組成物に加えてもよい。遊離脂肪酸から直接形成される反応生成物にも、1つ以上のアルコールがさらに加えられてよく、この場合、反応生成物の形成に伴ってアルコール成分が直接遊離されなくてもよい。
【0047】
反応生成物を含む水相は、そこで反応生成物を得た後、適宜、反応生成物を水と組み合わせた後、および/または追加の成分を加えた後、発泡させてもよい。本明細書で用いる場合、用語「泡」は、比較的小体積の液体において大体積の気体が様々な大きさの泡の形態で安定して分散されている状態を指す。用語「泡質」は、泡の体積中の気体の割合を指し、泡の総体積から液体の体積を引いた量を泡の総体積で割ることによって計算されうる。水相の泡形成の誘導は、気体の存在下での攪拌または混合、水相を通しての気体のバブリング、またはそれらのいずれの組み合わせなど、気体の存在下で水相を攪拌することによって行われうる。中性界面活性剤および/または両性界面活性剤は、泡を形成する間、反応生成物と組み合わされて存在してもよい。
【0048】
イオン性界面活性剤は発泡を促進するために最も一般的に用いられている種類の界面活性剤のひとつである。しかしながら、イオン性界面活性剤は、他の種類の材料(二価イオンなど)と不適合性を引き起こす可能性があり、また、とりわけ大量に用いる場合に、規制上の制約を受けうるものもある。加えて、イオン性界面活性剤は、高温において一貫性のない泡の性能をもたらす場合がある。したがって、本明細書に記載の反応生成物は、発泡製剤または発泡性製剤の形成に特に有益でありうる。
【0049】
反応生成物の存在下での泡の形成に適切な気体は、特に限定されるとは考えない。泡の形成に適切な気体としては、限定はされないが、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、天然ガス、またはそれらのいずれの組み合わせが挙げられうる。場合によってはエアロゾル噴霧剤も用いられうる。
【0050】
本明細書の開示にしたがって形成された泡は、約10%以上か、約20%以上か、約30%以上か、約40%以上か、約50%以上か、約60%以上か、約70%以上か、約80%以上か、または約90%以上の泡質を有してよい。泡質の上限は、約99%か、約95%か、約90%か、約80%か、約70%か、約60%か、または約50%であってよい。
【0051】
本開示の発泡製剤または発泡性製剤は、水性キャリア流体を含有する水相を含有してよく、そのより詳細な説明を以下に記載する。発泡製剤(泡)は、気体が既に導入されて泡沫気泡が既に形成された組成物である。すなわち、発泡製剤は、気体、および、複数の気泡として気体が一緒に混合された本明細書に記載の組成物を含有する水性流体を含有してよい。これに対し、発泡性製剤は気体が導入された後で泡を形成するのに適切であるが、気体を導入するまでは泡沫気泡がまだ形成されていない組成物である。
【0052】
発泡製剤または発泡性製剤は、反応生成物に加えて、1つ以上のさらなる界面活性剤(カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、中性界面活性剤、またはそれらのいずれの組み合わせであってよい)をさらに含有してよい。発泡製剤または発泡性製剤はまた、石鹸および他のパーソナルケア製品に使用されているさらなる成分を含んでよく、その例は当業者にとって周知のことであろう。本明細書に記載の組成物が用いられうる工業製品および消費生活用製品(パーソナルケア製品を含む)に関するさらなる開示を、以下にさらに詳細に論ずる。
【0053】
反応生成物は、消費生活用製品または工業製品に用いられる場合、固体形態または液体形態で提供されるか、供給されるか、混合されるか、または保管されてよい。液体形態は、特定の製剤および目的の用途に応じて乳化されていても乳化されていなくてもよい、適切な流体相(例えば水相)中であってよい。また、水相は場合によって発泡してよい。本明細書で用いる場合、用語「流体」および「流体相」は、別段の指示がない限り、反応生成物の溶液、エマルション、および懸濁液を含む、液体およびゲルの両方(泡を含む)を指す。本開示の反応生成物を含む組成物は水性キャリア流体を含有してよい。適切な水性キャリア流体として、例えば、淡水、酸性化された水、海水、ブライン(すなわち、飽和した塩溶液)、または塩水溶液(すなわち、飽和していない塩溶液)が挙げられうる。水混和性の有機共溶媒(例えば、エタノールまたはエチレングリコールなど)は、いくつかの実施形態においては、水性キャリア流体と組み合わされて存在してよい。適切な水性キャリア流体は反応生成物の形成の間に存在してよいか、あるいは、水性キャリア流体は反応生成物の形成後に導入されてよい。
【0054】
以下でさらに詳細に論ずるとおり、本開示の組成物は様々な消費生活用製品および工業製品に用いられうる。消費生活用製品および工業製品の例としては、限定はされないが、補助剤、発泡剤、硬質表面洗浄剤、スキンクリーム、ローション、身体洗浄剤、シャンプー、液状石鹸、日焼け止め、ヘアジェル、ヘアスプレー、染毛剤、化粧品、脱臭剤、制汗剤、および同様のパーソナルケア製品が挙げられうる。本明細書に開示された組成物中に存在する生体分子の性質が比較的穏やかであることを考慮すると、パーソナルケア製品は本開示の組成物が存在しうる有益な種類の製品の代表であってよい。これら消費生活用製品の適切な形態として、液体形態、固体形態、粉末形態、ゲル形態、クリーム形態、溶液形態、懸濁液形態、スティック形態などが挙げられうる。消費生活用製品または工業製品に望ましい形態を製造するのに適切なキャリア相を、中性界面活性剤もしくはその反応生成物、およびサッカライドポリマーと脂肪酸の反応生成物と組み合わせてよい。適切なキャリア相は、水性液体、有機溶媒、ワックス、油、ポリマー、エマルションなど、およびそれらのいずれの組み合わせを含みうる。
【0055】
したがって、本明細書に記載の消費生活用製品または工業製品は、キャリア相、キャリア相と組み合わされた中性界面活性剤もしくはその反応生成物形態、キャリア相と組み合わされたサッカライドポリマーと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物を含有してよく、この場合、サッカライドポリマーは、デキストラン、デキストリン化合物、またはそれらのいずれの組み合わせを含有し、脂肪酸は約50重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸を含有する。以下に、反応生成物を含む消費生活用製品および工業製品ならびにそのような消費生活用製品および工業製品の構成成分の例を示す。
補助剤
【0056】
補助剤は、活性物質の効果もしくは能力を増大させるために活性物質と組み合わせて用いられる組成物である。非限定的な例において、活性物質は医薬化合物か、パーソナルケア用化合物か、または農業用化合物であってよい。
【0057】
中性界面活性剤もしくは両性界面活性剤またはその反応生成物と組み合わせた、上記で特定した、デキストリン化合物もしくはデキストランと脂肪酸の反応生成物は、様々な種類の界面活性剤が用いられうる補助剤組成物中に存在してよい。本明細書における開示の組成物は、補助剤組成物中に用いられている界面活性剤を置き換えるか、または補助剤組成物中に既に存在する界面活性剤と組み合わせて使用されてよい(既存の界面活性剤の部分的な置き換えを含む)。補助剤組成物中で、反応生成物および界面活性剤を含有する組成物は、補助剤組成物全体の約0.01重量%~約20重量%か、約0.1重量%~約10重量%か、約1重量%~約15重量%か、または約5重量%~約20重量%の量で存在してよい。
【0058】
活性化合物は補助剤組成物中に存在してよいか、あるいは、補助剤組成物を活性化合物とは別に加えてもよい。別で加える場合、補助剤組成物を、活性化合物の前または後に加えてよい。適切な活性化合物として、除草剤、医薬品などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、そのような活性化合物の具体例は特に限定されるものではないと考えられる。
【0059】
本開示の反応生成物を含む補助剤組成物中に存在してよい適切なさらなる成分の例として、限定はされないが、他の界面活性剤、消泡化合物、微粒子、金属酸化物(例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、など)、電解質、塩、有機溶媒、湿潤剤、分散剤、乳化剤、解乳化剤、浸透剤、保存剤、着色剤、酸、塩基、緩衝剤、キレート剤、粘性増強剤、揺変剤、安定剤、塗膜形成剤、可塑剤、抗酸化剤など、ならびにそれらのいずれの組み合わせが挙げられる。これらのさらなる成分の適切な例は当業者にとって周知のことであろう。補助剤組成物中に存在してよい他の界面活性剤は、特に限定されず、カチオン性、アニオン性、中性、または両性界面活性剤のいずれの一つまたは組み合わせを含みうる。
【0060】
加えて、農業用補助剤組成物は、除草剤、軟体動物駆除剤、殺菌剤、植物成長調節剤、および薬害軽減剤のうちの1つ以上、またはそれらのいずれの組み合わせを含有してよい。
【0061】
サッカライドポリマーの反応生成物を含有する補助剤組成物のいくつかの例は、別の界面活性剤を含む組成物を含みうる。あるいは、反応生成物と共に導入される中性または両性界面活性剤が、補助剤組成物中の界面活性剤の全体を構成してもよい。他の界面活性剤は、補助剤組成物の最大約20重量%の量で存在してもよい。
【0062】
補助剤組成物のいくつかの例は水中油型エマルションを含有しうる。補助剤組成物の他の例は油中水型エマルションを含有しうる。補助剤組成物の他の適切な形態は、溶液、懸濁液、ゲル、クリーム、または同様の製剤を含有しうる。補助剤組成物は、噴霧、注入、摂取、移植、または他の関連する送達経路によって送達されてよい。
【0063】
補助剤組成物のいくつかの例は、1つ以上の無機塩、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどと組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。無機塩に対する反応生成物の比率は、重量基準で約1:99~99:1の範囲であってよい。
発泡剤
【0064】
発泡剤とは、比較的小体積の液体において大体積の気体が様々な大きさの泡の形態で安定して分散されている組成物か、または気体を適切に導入することによって泡を形成しうる組成物(発泡性製剤)である。
【0065】
中性界面活性剤もしくは両性界面活性剤(泡を形成する場合は中性界面活性剤と両性界面活性剤の組み合わせを含む)と組み合わせた、上記で特定した、デキストリン化合物もしくはデキストランと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物は、様々な種類の界面活性剤が用いられうる発泡剤中に存在してよい。組成物は、発泡剤に用いられている界面活性剤を置き換えるか、または発泡剤中に既に存在する界面活性剤と組み合わせて使用されてよい。発泡剤中で、反応生成物および界面活性剤を含有する組成物は発泡剤全体の約0.01重量%~約20重量%か、約0.1重量%~約10重量%か、約1重量%~約15重量%か、または約5重量%~約20重量%の量で存在してよい。
【0066】
発泡剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、または中性界面活性剤のいずれの組み合わせを含んでよい。本明細書に開示の組成物は、いずれのカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、中性界面活性剤、またはいずれの2つ以上のこれらの界面活性剤の組み合わせで発泡剤中に存在してよい。代替的にあるいは追加的に、本明細書に開示の組成物は、発泡剤中で、いずれの1つ以上のこれらの界面活性剤の全てまたは一部を置き換えてよい。例えば、本開示の組成物は、発泡剤中で両性界面活性剤と組み合わせて用いられるアニオン性界面活性剤を置き換えてよい。すなわち、組成物は、発泡剤中において1つ以上の両性界面活性剤と組み合わせて存在してよい。組成物は、いくつかの発泡剤の実施形態において、スルホサクシネート型界面活性剤を置き換えるか、あるいはスルホサクシネート型界面活性剤と組み合わせて用いられてよい。エトキシ化アルコール界面活性剤は、本明細書に開示の反応生成物によって同様に置き換えられうる。
【0067】
本開示の反応生成物を含む発泡剤中に存在しうる適切なさらなる成分の例として、限定はされないが、他の界面活性剤、アミン(一級アミン、二級アミン、三級アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エトキシ化アミン、およびアミドアミンのいずれか1つまたは組み合わせ)、起泡力増強剤(例えば、アミンオキシド)、溶媒、水、塩、スキンコンディショナ(例えば、エチルヘキシルグリセリン、ヒドロキシエチル尿素、尿素、パンテノール、グリセリン、ミリスチン酸イソプロピル、プロピレングリコール、トコフェロール酢酸エステル、およびポリクオタニウム-11)、モイスチャライザ、液化ガス、超臨界ガス、酸、塩基、塩、緩衝剤、キレート剤など、ならびにそれらのいずれの組み合わせが挙げられる。これらさらなる成分の適切な例は当業者にとって周知のことであろう。発泡剤中に存在しうる他の界面活性剤は、特に限定されず、カチオン性、アニオン性、中性、または両性界面活性剤のいずれか1つまたは組み合わせが挙げられうる。
【0068】
本開示の反応生成物を含有する発泡剤のいくつかの例は、別の界面活性剤を含む組成物を含みうる。あるいは、反応生成物と共に導入される中性または両性界面活性剤が、発泡剤中の界面活性剤の全体を構成してもよい。他の界面活性剤は、発泡剤の最大約20重量%の量で存在してもよい。
【0069】
発泡剤のいくつかの例は水中油型エマルションを含有しうる。発泡剤の他の例は油中水型エマルションを含有しうる。発泡剤の他の適切な形態は、溶液、懸濁液、ゲル、クリーム、または同様の製剤を含有しうる。
【0070】
発泡剤のいくつかの例は、1つ以上の無機塩、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどと組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。無機塩に対する反応生成物の比率は、重量基準で約1:99~99:1の範囲であってよい。
【0071】
発泡剤のいくつかの例は、両性界面活性剤(ベタイン界面活性剤など)と組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0072】
発泡剤のいくつかの例は、1つ以上の一級アミン、二級アミン、三級アミン、アミドアミン、アルカノールアミン、アミンオキシド、またはそれらのいずれの組み合わせと組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0073】
発泡剤のいくつかの例は、エアロゾル噴霧剤と組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。適切なエアロゾル噴霧剤は、圧縮ガス、例えば、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、揮発性炭化水素(例えば、エタン、プロパン、ブタン、またはイソブタン)、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、またはそれらのいずれの組み合わせを含みうる。
【0074】
シェービングクリームなどのパーソナルケア製品は、本開示の反応生成物を含む、発泡剤を含みうる。シェービングクリームまたは同様のパーソナルケア製品に含まれる場合、エチルヘキシルグリセリン、ヒドロキシエチル尿素、尿素、パンテノール、グリセリン、ミリスチン酸イソプロピル、プロピレングリコール、トコフェロール酢酸エステル、ポリクオタニウム-11、またはそれらのいずれの組み合わせなどのスキンコンディショナが存在してもよい。
硬質表面洗浄剤
【0075】
硬質表面洗浄剤は、ガラス、金属、プラスチック、石、コンクリートなどのような表面から様々な物質を除去するために用いられうる組成物である。硬質表面洗浄剤で洗浄されうる硬質表面としては、例えば、窓、カウンター、電化製品、床、車道、トイレ、シャワーおよび浴槽、シンク、などが挙げられる。これらの種類の硬質表面などから除去され得る物質は広範にわたり、限定はされないが、泥、脂、石鹸カス、ライムスケールおよび同様の硬水沈着物、などが挙げられる。
【0076】
中性界面活性剤もしくは両性界面活性剤と組み合わせた、上記で特定した、デキストリン化合物もしくはデキストランと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物は、様々な種類の界面活性剤が用いられうる硬質表面洗浄剤中に存在してよい。本明細書に開示の組成物は、硬質表面洗浄剤に用いられている界面活性剤を置き換えるか、または硬質表面洗浄剤中に既に存在する界面活性剤と組み合わせて使用されてよい。硬質表面洗浄剤中で、反応生成物および界面活性剤を含有する組成物は硬質表面洗浄剤全体の約0.01重量%~約20重量%か、約0.1重量%~約10重量%か、約1重量%~約15重量%か、または約5重量%~約20重量%の量で存在してよい。
【0077】
本開示の反応生成物を含む硬質表面洗浄剤中に存在しうる適切なさらなる成分の例として、限定はされないが、他の界面活性剤、発泡性化合物、消泡化合物、塩(例えば、アルカリ金属炭酸塩)、有機溶媒(例えば、グリコールまたはグリコールエーテル)、湿潤剤、分散剤、乳化剤、解乳化剤、着色剤、酸、塩基、緩衝剤、キレート剤、抗ストリーキング剤(anti-streaking agent)、アルカノールアミンなど、およびそれらのいずれの組み合わせが挙げられる。これらさらなる成分の適切な例は当業者にとって周知のことであろう。硬質表面洗浄剤中に存在しうる他の界面活性剤は、特に限定されず、カチオン性、アニオン性、中性、または両性界面活性剤のいずれか1つまたは組み合わせが挙げられうる。
【0078】
本開示の反応生成物を含有する硬質表面洗浄剤のいくつかの例は、別の界面活性剤を含む組成物を含みうる。あるいは、反応生成物と共に導入される中性または両性界面活性剤が、硬質表面洗浄剤中の界面活性剤の全体を構成してもよい。他の界面活性剤は、硬質表面洗浄剤の最大約20重量%の量で存在してもよい。
【0079】
硬質表面洗浄剤のいくつかの例は水中油型エマルションを含有しうる。硬質表面洗浄剤の他の例は油中水型エマルションを含有しうる。硬質表面洗浄剤のさらに他の例は、反応生成物および他の成分を溶解状態で含む水溶液を含有しうる。硬質表面洗浄剤の他の適切な形態は、粉末、懸濁液、ゲル、クリーム、または同様の製剤を含有しうる。
【0080】
硬質表面洗浄剤のいくつかの例は、1つ以上の無機塩、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどと組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。無機塩に対する反応生成物の比率は、重量基準で約1:99~99:1の範囲であってよい。
【0081】
硬質表面洗浄剤のいくつかの例は、1つ以上の一級アミン、二級アミン、三級アミン、アミドアミン、アルカノールアミン、アミンオキシド、またはそれらのいずれの組み合わせと組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0082】
硬質表面洗浄剤のいくつかの例は、約1~約5か、約5~約9か、約9~約12か、または約12~約14の範囲のpHを有する水溶液であってもよい。
【0083】
硬質表面洗浄剤のいくつかの例は、アルコール、グリコール、またはグリコールエーテルと組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。最大約25重量%または最大約10重量%の、アルコール、グリコール、またはグリコールエーテルが存在してもよい。硬質表面洗浄剤のいくつかの例は、サッカライドポリマーの反応生成物と組み合わせて、最大約10重量%のキレート剤または最大約5重量%のキレート剤を含みうる。
スキンクリームおよびローション
【0084】
スキンクリームおよびローションは、皮膚に潤いを与えるか、または皮膚の外観を改善しうる組成物である。スキンクリームおよびローションは、クリームまたはローションより高い粘度を有しうる、皮膚への塗布のためのゲル製剤を含む。
【0085】
中性界面活性剤もしくは両性界面活性剤と組み合わせた、上記で特定した、デキストリン化合物もしくはデキストランと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物は、界面活性剤が用いられうるスキンクリームおよびローション中に存在してよい。組成物は、スキンクリームまたはローションに用いられている界面活性剤を置き換えるか、あるいはスキンクリームまたはローション中に既に存在する界面活性剤と組み合わせて使用されてよい。スキンクリームまたはローション中で、反応生成物および界面活性剤を含有する組成物はスキンクリームまたはローション全体の約0.01重量%~約20重量%か、約0.1重量%~約10重量%か、約1重量%~約15重量%か、または約5重量%~約20重量%の量で存在してよい。
【0086】
本明細書に開示されるスキンクリームまたはローション中に存在しうる適切なさらなる成分の例として、限定はされないが、他の界面活性剤、乳化剤、精油、ワックス、脂肪、溶媒、粘度増強剤、モノアルコール、ジオール、ポリオール、ジオールエーテルおよびポリオールエーテル、ミルクプロテイン、軟化薬、保湿剤、スキンコンディショナ、保存剤、酸、塩基、緩衝剤、キレート剤、増粘剤、ビタミン、潤滑剤、シワ取り剤、モイスチャライザ、ラジカル阻害剤および他の抗酸化剤、ビタミンA、ビタミンE、セラミド、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、ヒアルロン酸、ピログルタミン酸ナトリウム(sodium pyroglutamic acid)、グリセリン、アロエベラ、芳香剤、着色剤、日焼け止めなど、ならびにそれらのいずれの組み合わせが挙げられる。これらさらなる成分の適切な例は当業者にとって周知のことであろう。スキンクリームおよびローション中に存在しうる他の界面活性剤は、特に限定されず、カチオン性、アニオン性、中性、または両性界面活性剤のいずれか1つまたは組み合わせが挙げられうる。反応生成物は、スキンクリームまたはローション中の1つ以上の既存の界面活性剤の少なくとも一部を置き換えうるか、あるいは、スキンクリームまたはローション中の1つ以上の既存の界面活性剤の量を補足しうる。
【0087】
本開示の反応生成物を含有するスキンクリームまたはローションのいくつかの例は、別の界面活性剤を含む組成物を含みうる。あるいは、反応生成物と共に導入される中性または両性界面活性剤が、スキンクリームまたはローション中の界面活性剤の全体を構成してもよい。他の界面活性剤は、スキンクリームまたはローションの最大約20重量%の量で存在してもよい。
【0088】
スキンクリームまたはローションのいくつかの例は水中油型エマルションを含有しうる。スキンクリームまたはローションの他の例は油中水型エマルションを含有しうる。スキンクリームまたはローションの他の適切な形態は、ゲル、懸濁液、または同様の製剤を含有しうる。
【0089】
スキンクリームまたはローションのいくつかの例は、1つ以上の無機塩、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどと組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。無機塩に対する反応生成物の比率は、重量基準で約1:99~99:1の範囲であってよい。
【0090】
スキンクリームまたはローションのいくつかの例は、緩衝剤と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。スキンクリームまたはローションのいくつかの例は、キレート剤と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0091】
スキンクリームまたはローションのいくつかの例は、ビタミンEまたはヒアルロン酸と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0092】
スキンクリームまたはローションのいくつかの例は、1つ以上の油(精油を含む)、ワックス、または脂肪と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。適切な油は、例えば、ジメチコン、スクアラン、フェニルトリメチコン、トリエチルヘキサノイン、およびそれらのいずれの組み合わせを含みうる。精油は、例えば、カモミール油、ラベンダー油、ティーツリー油、および同様の芳香油を含みうる。グリセリンもまた、スキンクリームまたはローションのいずれかに存在してよい。
【0093】
スキンクリームまたはローションのいくつかの例は、1つ以上のミルクプロテイン、軟化薬、保湿剤、またはスキンコンディショナと組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0094】
スキンクリームまたはローションのいくつかの例は、1つ以上の増粘剤と組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。適切な増粘剤としては、限定はされないが、合成ポリマー、アクリレートコポリマー(acrylate copolymer)、アクリレーツクロスポリマー、アクリル酸コポリマー、アジピン酸コポリマー、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルアミドおよびそのいずれのコポリマーが挙げられうる。
身体洗浄剤、シャンプーおよび液体石鹸
【0095】
身体洗浄剤およびシャンプーは、皮膚または毛髪への適用のために組成されたクレンジング組成物である。より一般化された個人的なクレンジング用(例えば、手の洗浄用)の液状石鹸はいくつかの身体洗浄剤およびシャンプーに組成が類似しており、多くの同一の成分を用いて組成されうる。
【0096】
中性界面活性剤もしくは両性界面活性剤と組み合わせた、上記で特定した、デキストリン化合物もしくはデキストランと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物は、界面活性剤が用いられうる身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸の中に存在してよい。本明細書における開示の組成物は、身体洗浄剤、シャンプー、または液状石鹸に用いられている界面活性剤を置き換えるか、または身体洗浄剤、シャンプー、または液状石鹸の中に既に存在する界面活性剤と組み合わせて使用されてよい。身体洗浄剤、シャンプー、または液状石鹸の中で、反応生成物および界面活性剤を含有する組成物は補助剤組成物(身体洗浄剤、シャンプー、または液状石鹸)全体の約0.01重量%~約20重量%か、約0.1重量%~約10重量%か、約1重量%~約15重量%か、または約5重量%~約20重量%の量で存在してよい。
【0097】
本明細書に開示された身体洗浄剤、シャンプー、または液状石鹸中に存在しうる適切なさらなる成分の例として、限定はされないが、他の界面活性剤、コンディショナ、アミドアミン、芳香剤、着色剤、精油、発泡剤、保湿剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、ワックス、殺生物剤、セッケン、保存剤、酸、塩基、緩衝剤、キレート剤、増粘剤、ビタミン、パール剤、粘度増強剤、モイスチャライザ、抗酸化剤、日焼け止めなど、ならびにそれらのいずれの組み合わせが挙げられる。これらさらなる成分の適切な例は当業者にとって周知のことであろう。身体洗浄剤、シャンプー、および液状石鹸中に存在しうる他の界面活性剤は、特に限定されず、カチオン性、アニオン性、中性、または両性界面活性剤のいずれか1つまたは組み合わせであってよい。反応生成物は、身体洗浄剤、シャンプー、および液状石鹸中の1つ以上の既存の界面活性剤の少なくとも一部を置き換えうるか、あるいは、身体洗浄剤、シャンプー、および液状石鹸中の1つ以上の既存の界面活性剤の量を補足しうる。
【0098】
適切な脂肪酸および脂肪酸エステルとして、限定はされないが、(C-C)アルコキシル化モノ(C-C)アルカノールイソステアラミド、ポリエトキシ化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪酸およびサッカライドのポリエトキシ化エステル、PPG-2ヒドロキシエチル(ヤシ油脂肪酸/イソステアリン酸)アミド、(オレイン酸/ヤシ脂肪酸)PEG-18グリセリル、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース、ならびにそれらのいずれの組み合わせが挙げられうる。
【0099】
説明例としての身体洗浄剤、シャンプー、および液状石鹸は、水、有効な量の組成物(適宜、別の界面活性剤とさらに組み合わせて)、0~4%パール剤、0~1%懸濁助剤、0~2%芳香剤、0~0.25%キレート剤、0~1%保存剤、0~2%着色剤および0~25%コンディショナを含有してよい。身体洗浄剤、シャンプー、および液状石鹸中に存在しうる他の界面活性剤は、特に限定されず、カチオン性、アニオン性、中性、または両性界面活性剤のいずれか1つまたは組み合わせが挙げられうる。
【0100】
本開示の反応生成物を含有する身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいくつかの例は、別の界面活性剤を含む組成物を含みうる。あるいは、反応生成物と共に導入される中性または両性界面活性剤が、身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸中の界面活性剤の全体を構成してもよい。他の界面活性剤は、身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸の最大約20重量%の量で存在してもよい。
【0101】
身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいくつかの例は、水中油型エマルションを含有しうる。身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸の他の例は油中水型エマルションを含有しうる。身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸の他の適切な形態は、粉末、懸濁液、ゲル、クリーム、または同様の製剤を含有しうる。
【0102】
身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいくつかの例は、1つ以上の無機塩、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどと組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。無機塩に対する反応生成物の比率は、重量基準で約1:99~99:1の範囲であってよい。
【0103】
身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいくつかの例は、緩衝剤と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいくつかの例は、キレート剤と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0104】
身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいくつかの例は、コンディショナ、モイスチャライザ、またはそれらのいずれの組み合わせと組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0105】
身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいくつかの例は、パール剤、保湿剤または発泡剤と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。適切な保湿剤は、例えば、グリセリンまたはアロエベラを含みうる。約1重量%~約15重量%の保湿剤が存在してよい。
【0106】
身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいくつかの例は、日焼け止めと組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0107】
身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいくつかの例は、アミドアミンと組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0108】
身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいくつかの例は、ビタミンE、アロエベラゲル、ティーツリー抽出物、ペパーミント抽出物、アニス抽出物、セイヨウカノコソウ抽出物、レモングラス油、カレンデュラ抽出物、ネトル抽出物、ラベンダー抽出物、バラ抽出物、レモン果汁、ライム果汁、グレープフルーツ果汁、またはそれらのいずれの組み合わせと組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0109】
身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいくつかの例は、1つ以上の油(精油を含む)、ワックス、または脂肪と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。適切な油としては、例えば、ジメチコン、スクアラン、フェニルトリメチコン、トリエチルヘキサノイン、およびそれらのいずれの組み合わせが挙げられうる。精油としては、例えば、カモミール油、ラベンダー油、ティーツリー油、および同様の芳香油が挙げられうる。グリセリンも、身体洗浄剤、シャンプーおよび液状石鹸のいずれかの中に存在してよい。
日焼け止め
【0110】
日焼け止めは、皮膚を日光から保護するために皮膚に塗布されうる物質である。日焼け止めは、皮膚に塗布するために、クリームとしてか、または適切なワックス基剤とともに「スティック」型に製剤化してもよい。
【0111】
中性界面活性剤もしくは両性界面活性剤と組み合わせた、上記で特定した、デキストリン(デキシトリン化合物)もしくはデキストランと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物は、界面活性剤が用いられうる日焼け止め中に存在してよい。本明細書に開示の組成物は、日焼け止めに用いられている界面活性剤を置き換えうるか、または日焼け止め中に既に存在する界面活性剤と組み合わせて使用されてよい。日焼け止め中で、反応生成物および界面活性剤を含有する組成物は日焼け止め組成物全体の約0.01重量%~約20重量%か、約0.1重量%~約10重量%か、約1重量%~約15重量%か、または約5重量%~約20重量%の量で存在してよい。
【0112】
日焼け止め中に存在しうる適切なさらなる成分の例として、限定はされないが、他の界面活性剤、コンディショナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、有機UV吸収剤、塗膜形成剤、溶媒、エアロゾル噴霧剤、ワックス、脂肪、油、モイスチャライザ、芳香剤、着色剤、精油、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、保存剤、酸、塩基、緩衝剤、キレート剤、増粘剤、防虫剤、スキンコンディショナなど、ならびにそれらのいずれの組み合わせが挙げられる。これらさらなる成分の適切な例は当業者にとって周知のことであろう。日焼け止め中に存在しうる他の界面活性剤は、特に限定されず、カチオン性、アニオン性、中性、または両性界面活性剤のいずれか1つまたは組み合わせが挙げられうる。反応生成物は、日焼け止め中の1つ以上の既存の界面活性剤の少なくとも一部を置き換えうるか、あるいは、日焼け止め中の1つ以上の既存の界面活性剤の量を補足しうる。
【0113】
組成物と組み合わせて日焼け止め中に存在しうる有機UV吸収剤として、限定はされないが、パラアミノ安息香酸、アボベンゾン、シノキサート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、アントラニル酸メンチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パディメートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スリソベンゾン、トロラミンサリチル酸、ジエタノールアミンメトキシ桂皮酸、ジガロイルトリオレエート、エチルジヒドロキシプロピルPABA、アミノ安息香酸グリセリル、ジヒドロキシアセトン含有ローソン、赤色ペトロラタム、エチルヘキシルトリアゾン、ジオクチルブタミドトリアゾン、ベンジリデンマロネートポリシロキサン、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾエート、ビスベンゾオキサゾリルフェニルエチルヘキシルイミノトリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、およびビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、4-メチルベンジリデンカンファー、4-メトキシ桂皮酸イソペンチル、フェニルベンズイミダゾールスルホネート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホネート、4-(2-β-グルコピラノ-シロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、およびビス-ナトリウムフェニレン-1,4-ビス(2-ベンズイミダジル)-3,3’-5,5’-テトラスルホネート(bis-sodium phenylene-1,4-bis(2-benzimidazyl)-3,3′-5,5′-tetrasulfonate)、p-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、4-tert-4’-メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、2,4,6-トリス-[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オキシベンゾン、およびジヒドロキシジメトキシべンゾフェノン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0114】
日焼け止め中に包含するのに適切でありうる、さらに他の有機UV吸収剤として、限定はされないが、ビス-レソルシニルトリアジン(bis-resorcinyl triazine);ベンズイミダゾール誘導体;4-メチルベンジリデンカンファー;ベンゾイルピペラジン誘導体;ベンゾオキサゾール誘導体;ジアリールブタジエン誘導体;フェニルベンゾトリアゾール誘導体;ベンジリデンマロネート;TEA-サリチレート;イミダゾリン誘導体;ナフタレート;メロシアニン誘導体;アミノベンゾフェノン誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体;β,β-ジフェニルアクリレート誘導体;カンファー誘導体;サリチレート誘導体;アントラニレート誘導体;およびベンザルマロネート誘導体が挙げられる。
【0115】
日焼け止め単独である製剤に加えて、本開示の組成物は、他の製品(例えば、ローション、コロン、化粧品、身体洗浄剤およびシャンプーなど)に組み込まれる日焼け止め中に存在してよい。
【0116】
本開示の反応生成物を含有する日焼け止めのいくつかの例は、別の界面活性剤を含む組成物を含みうる。あるいは、反応生成物と共に導入される中性または両性界面活性剤が、日焼け止め中の界面活性剤の全体を構成してもよい。他の界面活性剤は、日焼け止めの最大約20重量%の量で存在してもよい。
【0117】
日焼け止めのいくつかの例は水中油型エマルションを含有しうる。日焼け止めの他の例は油中水型エマルションを含有しうる。スキンクリームまたはローション(日焼け止め)の他の適切な形態は、溶液、ゲル、懸濁液、粉末、または同様の製剤を含有しうる。
【0118】
日焼け止めのいくつかの例は、1つ以上の無機塩、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどと組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。無機塩に対する反応生成物の比率は、重量基準で約1:99~99:1の範囲であってよい。
【0119】
日焼け止めのいくつかの例は、緩衝剤と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。日焼け止めのいくつかの例は、キレート剤と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0120】
日焼け止めのいずれの実施形態は、無機UV吸収物質(例えば、二酸化チタン)および/または有機UV吸収物質と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。日焼け止めのSPF値は、約2以上か、約10以上か、約20以上か、約30以上か、約50以上か、または約100以上であってよい。
【0121】
日焼止めのいくつかの例は、サッカライドポリマーの反応生成物、総量で最大30重量%の界面活性剤、総量で最大95重量%の水、総量で最大約80重量%の油、および総量で最大約15重量%のUV吸収剤を含有してよい。
ヘアジェルおよびヘアスプレー
【0122】
ヘアジェルおよびヘアスプレーは、毛髪を適当な位置で固定するために、あるいは、適宜、髪をほぐすために用いられうる製剤である。ヘアスプレーはエアロゾル化された形態であり、一方でヘアジェルは高粘度の流体であって手で塗布されうる。
【0123】
中性界面活性剤もしくは両性界面活性剤と組み合わせた、上記で特定した、デキストリン(デキストリン化合物)もしくはデキストランと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物は、界面活性剤が用いられうるヘアスプレーおよびヘアジェル中に存在してよい。本明細書における開示の組成物は、ヘアスプレーまたはヘアジェルに用いられている界面活性剤を置き換えるか、あるいはヘアスプレーまたはヘアジェル中に既に存在する界面活性剤と組み合わせて使用されてよい。ヘアスプレーまたはヘアジェル中で、反応生成物および界面活性剤を含有する組成物はヘアスプレーまたはヘアジェル全体の約0.01重量%~約20重量%か、約0.1重量%~約10重量%か、約1重量%~約15重量%か、または約5重量%~約20重量%の量で存在してよい。
【0124】
ヘアスプレーまたはヘアジェル中に存在しうる適切なさらなる成分の例として、限定はされないが、他の界面活性剤、セルロース系バイオポリマー、水溶性ポリマー、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、コンディショニング剤、軟化薬、保湿剤、乳化剤、乳白剤、増稠剤(thickening agent)、泡安定剤、粘度上昇剤、封鎖剤、抗酸化剤、フケ防止剤、懸濁剤、タンパク質、芳香剤、日焼け止め、植物抽出物、精油、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、保存剤、酸、塩基、緩衝剤、キレート剤、増粘剤、ビタミン、ワックス、油、エアロゾル噴霧剤、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル-クロトン酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、可塑剤、アルコールなど、ならびにそれらのいずれの組み合わせが挙げられる。適切なさらなる成分の例は当業者にとっては周知のことであろう。ヘアスプレーおよびヘアジェル中に存在しうる他の界面活性剤は、特に限定されず、カチオン性、アニオン性、中性、または両性界面活性剤のいずれか1つまたは組み合わせが挙げられうる。反応生成物は、ヘアスプレーまたはヘアジェル中の1つ以上の既存の界面活性剤の少なくとも一部を置き換えうるか、あるいは、ヘアスプレーまたはヘアジェル中の1つ以上の既存の界面活性剤の量を補足しうる。
【0125】
本開示の反応生成物を含有するヘアスプレーおよびヘアジェルのいくつかの例は、別の界面活性剤を含む組成物を含みうる。あるいは、反応生成物と共に導入される中性または両性界面活性剤が、ヘアスプレーおよびヘアジェル中の界面活性剤の全体を構成してもよい。他の界面活性剤は、ヘアスプレーおよびヘアジェルの最大約20重量%の量で存在してもよい。
【0126】
ヘアスプレーおよびヘアジェルのいくつかの例は水中油型エマルションを含有しうる。ヘアスプレーおよびヘアジェルの他の例は油中水型エマルションを含有しうる。ヘアスプレーおよびヘアジェルのさらに他の例は、反応生成物および他の成分を溶解状態で含む水溶液を含有しうる。
【0127】
ヘアスプレーおよびヘアジェルのいくつかの例は、ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル-クロトン酸コポリマー、およびアクリル酸コポリマー)と組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。存在しうるポリマーの他の例として、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-72、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0128】
ヘアスプレーおよびヘアジェルのいくつかの例は、エアロゾル噴霧剤と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含有しうる。ヘアスプレーおよびヘアジェルのいくつかの例は、発泡剤と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含有しうる。
【0129】
ヘアスプレーまたはヘアジェルの1つ以上の例は、本開示の組成物、および1つ以上の、セテアリルアルコール、ベヘントリモニウムクロリド、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、イソノナン酸エチルヘキシル、ベヘニルアルコール、メドウフォーム油、シクロヘキサシロキサン、オリーブ果実油、アーモンド油、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムメトサルフェート、アモジメチコン、パンテノール、ステアリン酸グリコール、セテス-2、ヒドロキシエチルセルロース、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クエン酸、雲母、二酸化チタン、酸化鉄、芳香剤、もしくはそれらのいずれの組み合わせを含有しうる。
【0130】
ヘアスプレーまたはヘアジェルの1つ以上の例は、本開示の組成物、および1つ以上の、シクロメチコン、ホホバエステル、ジメチコンコポリオール、脱脂粉乳、大豆タンパク質、ステアリン酸、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸)グリセリル、ホホバ油、ハイブリッドヒマワリ油、セテアリルアルコール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-40、アロエベラゲル、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、プロピレングリコール、トコフェロール酢酸エステル、メチルパラベン、プロピルパラベン、芳香剤、もしくはそれらのいずれの組み合わせを含有しうる。
化粧品
【0131】
化粧品は、容貌を変化させるか、または改善するために用いられうる製剤である。化粧品の例として、限定はされないが、リップスティック、頬紅、マスカラ、ファンデーション、アイライナーなどが挙げられる。化粧品の形態には、例えば、エマルション、クリーム、ゲル、分散体、スティックなどが含まれうる。化粧品中での適切なエマルションは、水中油または油中水型エマルションを含みうる。
【0132】
中性界面活性剤もしくは両性界面活性剤(好ましくは、中性界面活性剤)と組み合わせた、上記で特定した、デキストリン(デキストリン化合物)もしくはデキストランと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物は、界面活性剤が用いられうる様々な種類の化粧品中に存在してよい。本明細書における開示の組成物は、化粧品に用いられている界面活性剤を置き換えるか、または化粧品中に既に存在する界面活性剤と組み合わせて使用されてよい。化粧品中で、反応生成物および界面活性剤を含有する組成物は補助剤組成物(化粧品)全体の約0.01重量%~約20重量%か、約0.1重量%~約10重量%か、約1重量%~約15重量%か、または約5重量%~約20重量%の量で存在してよい。
【0133】
化粧品中に存在しうる適切なさらなる成分の例として、限定はされないが、他の界面活性剤、香料、保存剤、色材、UV吸収剤、水分保持剤、乳化剤、ゲル化剤、油、増稠剤、泡安定剤、粘度上昇剤、保存剤、封鎖剤、抗酸化剤、懸濁剤、タンパク質、芳香剤、日焼け止め、植物抽出物、精油、脂肪(例えば、シアバター、マンゴー種子脂、およびカカオ脂)、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、殺生物剤、セッケン、酸、塩基、緩衝剤、キレート剤、増粘剤、ビタミン、ワックス(例えば、ミリスチン酸ミリスチル、チャ葉エキス、ホホバ、ヒマワリ種子、カルナウバロウ、カンデリラロウ、およびミツロウ)など、ならびにそれらのいずれの組み合わせが挙げられる。化粧品中に存在しうる成分のいくつかのさらなる例として、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールなどの脂肪族高級アルコール;トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸を含む、高級脂肪酸;セレシンを含む、炭化水素;メドウフォーム油、ヒマワリ種子油、マカダミア種子油、緑茶種子油、ジンジャー油、チョウセンニンジン油、ヤシ油、オリーブ油およびツバキ油を含む、天然油;ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸メチルヘプチル、炭酸ジカプリリルおよびパルミチン酸イソプロピルを含む、エステル;ジカプリリルエーテルを含む、エーテル;ジメチコン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、フェニルトリメチコン、トリシロキサンおよびメチルトリメチコンを含む、シリコーンオイル;ならびに、スクアランを含む、炭化水素が挙げられうる。適切なさらなる成分の例は当業者にとっては周知のことであろう。化粧品中に存在しうる他の界面活性剤は、特に限定されず、カチオン性、アニオン性、中性、または両性界面活性剤のいずれか1つまたは組み合わせが挙げられうる。反応生成物は、化粧品中の1つ以上の既存の界面活性剤の少なくとも一部を置き換えうるか、あるいは、化粧品中の1つ以上の既存の界面活性剤の量を補足しうる。本開示の化粧品は、スティック、クリーム、粉末、ゲルなどを含む、いずれの適切な形態で製剤化されてよい。
【0134】
本開示の反応生成物を含有する化粧品のいくつかの例は、別の界面活性剤を含む組成物を含みうる。あるいは、反応生成物と共に導入される中性または両性界面活性剤が、化粧品中の界面活性剤の全体を構成してもよい。他の界面活性剤は、化粧品の最大約20重量%の量で存在してもよい。
【0135】
化粧品のいくつかの例は水中油型エマルションを含有しうる。化粧品の他の例は油中水型エマルションを含有しうる。化粧品の他の適切な形態は、粉末、スティック、懸濁液、ゲル、クリーム、または同様の製剤を含有しうる。
【0136】
化粧品のいくつかの例は、1つ以上の無機塩、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどと組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。無機塩に対する反応生成物の比率は、重量基準で約1:99~99:1の範囲であってよい。
【0137】
化粧品のいくつかの例は、モイスチャライザと組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0138】
化粧品のいくつかの例は、色材と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0139】
化粧品のいくつかの例は、日焼け止めと組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0140】
化粧品のいくつかの例は、1つ以上の油(精油を含む)、ワックス、または脂肪と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。化粧品のいくつかの例は、実質的にオイルフリーであってよい。
脱臭剤および制汗剤
【0141】
脱臭剤および制汗剤は、体臭を制御するために用いられうる製剤である。本開示の脱臭剤および制汗剤は、スティック形態、ゲル形態、粉末形態またはエアロゾル化可能な形態で製剤化されてよい。
【0142】
中性界面活性剤もしくは両性界面活性剤と組み合わせた、上記で特定した、デキストリン(デキストリン化合物)もしくはデキストランと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物は、界面活性剤が用いられうる脱臭剤および制汗剤中に存在してよい。本明細書に開示の組成物は、脱臭剤または制汗剤に用いられている界面活性剤を置き換えるか、あるいは脱臭剤または制汗剤中に既に存在する界面活性剤と組み合わせて使用されてよい。脱臭剤または制汗剤中で、反応生成物および界面活性剤を含有する組成物は脱臭剤または制汗剤組成物全体の約0.01重量%~約20重量%か、約0.1重量%~約10重量%か、約1重量%~約15重量%か、または約5重量%~約20重量%の量で存在してよい。
【0143】
本明細書に開示される脱臭剤または制汗剤中に存在しうる適切なさらなる成分の例として、限定はされないが、他の界面活性剤、アルミニウム塩(例えば、ミョウバン、塩化アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、アルミニウム-ジルコニウム化合物、およびアルミニウム-ジルコニウムテトラクロロハイドレックスグリシン)、抗菌薬、パラベン、アルコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレンテトラミン、酸、塩基、緩衝剤、キレート剤、香料、保存剤、色材、吸湿剤(乾燥剤)、乳化剤、ゲル化剤、油、増稠剤、泡安定剤、粘度上昇剤、封鎖剤、抗酸化剤、懸濁剤、芳香剤、精油、脂肪、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、ワックスなど、ならびにそれらのいずれの組み合わせが挙げられる。適切なさらなる成分の例は当業者にとっては周知のことであろう。脱臭剤および制汗剤中に存在しうる他の界面活性剤としては、特に限定されず、カチオン性、アニオン性、中性、または両性界面活性剤のいずれか1つまたは組み合わせが挙げられうる。反応生成物は、脱臭剤または制汗剤中の1つ以上の既存の界面活性剤の少なくとも一部を置き換えうるか、あるいは、脱臭剤または制汗剤中の1つ以上の既存の界面活性剤の量を補足しうる。本開示の脱臭剤および制汗剤は、スティック、クリーム、粉末、ゲルなどを含む、いずれの適切な形態で製剤化されてよい。
【0144】
本開示の反応生成物を含有する脱臭剤および制汗剤のいくつかの例は、別の界面活性剤を含む組成物を含みうる。あるいは、反応生成物と共に導入される中性または両性界面活性剤が、脱臭剤および制汗剤中の界面活性剤の全体を構成してもよい。他の界面活性剤は、脱臭剤および制汗剤の最大約10重量%の量で存在してもよい。
【0145】
脱臭剤および制汗剤のいくつかの例は、1つ以上の無機塩、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどと組み合わせて、サッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。無機塩に対する反応生成物の比率は、重量基準で約1:99~99:1の範囲であってよい。
【0146】
脱臭剤および制汗剤のいくつかの例は、脱臭作用をもたらすアルミニウム塩と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
【0147】
脱臭剤および制汗剤のいくつかの例は、抗菌薬と組み合わせてサッカライドポリマーの反応生成物を含みうる。
泡沫浮選用途
【0148】
デキストリン化合物、デキストラン、もしくはそれらのいずれの組み合わせと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルとの反応生成物を含有する本開示の組成物は、パーソナルケアの域以外でも同様に、例示的な用途および製剤が見出されうる。本明細書に開示された反応生成物は、流体からの金属封鎖が必要とされる用途(例えば、泡沫浮選プロセス中)に組み込まれてよい。泡沫浮選プロセスは、様々な場合(採掘流出物処理または水処理など)において実施されうる。そのような用途において、本開示の組成物は、泡沫浮選に用いられる界面活性剤を置き換えるか、または泡沫浮選プロセス中に既に存在する界面活性剤と組み合わせて使用されてよい。所与の泡沫浮選プロセス中において、反応生成物および界面活性剤を含有する組成物は、流体全体の約0.01重量%~約20重量%か、約0.1重量%~約10重量%か、約1重量%~約15重量%か、または約5重量%~約20重量%の量で存在してよい。
【0149】
いくつかの例において、本開示の組成物は、粘土の分散、水の調整、添加剤の増強、および/または金属抑制剤(例えばMnおよびFe)の乳化を促進するために、粗選機およびクリーナー回路において利用されうる。いずれの通常の起泡剤を、本明細書に開示の組成物と組み合わせて利用してよい。適切な起泡剤および起泡剤に関する詳細は当業者にとって周知のことであろう。
【0150】
本明細書に開示の実施形態は以下を含む:
【0151】
A.脂肪酸とのサッカライドポリマー反応生成物を含有する消費生活用製品または工業製品。製品は、キャリア相と、キャリア相と組み合わされた中性界面活性剤もしくはその反応生成物と、キャリア相と組み合わされたサッカライドポリマーと脂肪酸の反応生成物を含有し、ここで、サッカライドポリマーはデキストラン、デキストリン化合物、またはそれらのいずれの組み合わせを含有する。サッカライドポリマーと脂肪酸の反応生成物は中性界面活性剤の表面張力を低下させるのに効果的な濃度で存在する。
【0152】
A1.サッカライドポリマーがデキストランを含有する、Aの組成物。
【0153】
A2.サッカライドポリマーがデキストリン化合物、好ましくはマルトデキストリンを含有する、Aの組成物。
【0154】
実施形態A、A1およびA2は、以下のさらなる要素の1つ以上をいずれの組み合わせで有してよい。
【0155】
要素1:サッカライドポリマーがデキストリン化合物を含有し、デキストリン化合物がマルトデキストリンを含有する。
【0156】
要素2:マルトデキストリンが約3~約20のデキストロース当量値を有する。
【0157】
要素3:マルトデキストリンが約4.5~約7.0のデキストロース当量値を有する。
【0158】
要素4:マルトデキストリンが約9.0~約12.0のデキストロース当量値を有する。
【0159】
要素5:脂肪酸が約4~約30個の炭素原子を含有する。
【0160】
要素6:脂肪酸が、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラボン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリオシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、クロトン酸、セルボン酸、リノール酸、リノレライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、ピノレン酸、ステアリドン酸、エレオステアリン酸、エライジン酸、ゴンド酸、ガドレイン酸、エルカ酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、ネルボン酸、ミード酸、アドレン酸、およびそれらのいずれの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの脂肪酸を含有する。
【0161】
要素7:中性界面活性剤がコカミドジエタノールアミンまたはその反応生成物を含有する。
【0162】
要素7A:反応生成物が中性界面活性剤の存在下で形成される。
【0163】
要素8:反応生成物中におけるデキストリンに対する脂肪酸のモル比が、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.2以上である。
【0164】
要素8A:反応生成物中におけるデキストリンに対する脂肪酸のモル比が、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.05以上である。
【0165】
要素9:反応生成物中におけるデキストリンに対する脂肪酸のモル比が、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.35以上である。
【0166】
要素10:サッカライドポリマーの反応生成物が、水および水酸化物塩基の存在下において得られる。
【0167】
要素11:サッカライドポリマーの反応生成物が脂肪酸エステル反応生成物を含有する。
【0168】
要素12:消費生活用製品または工業製品が、発泡しているかまたは発泡可能であって、乳化されていて、スティック形態であるか、あるいはクリームまたはゲルとして製剤化されている。
【0169】
非限定的な例として、A、A1、およびA2に適用可能な例示の組み合わせには、限定はされないが:1、および2、3もしくは4;1および5;1および6;1、および7もしくは7A;1、および8、8Aもしくは9;1および11;1および12;5、および7もしくは7A;5、および8、8Aもしくは9;5および11;5および12;7もしくは7A、および8、8Aもしくは9;8、7もしくは7A、および11;ならびに、7もしくは7A、および12が含まれる。
【0170】
本明細書に開示のさらなる実施形態は以下を含む:
【0171】
A’:消費生活用製品または工業製品。製品は:キャリア相;キャリア相と組み合わされた中性界面活性剤もしくはその反応生成物;およびキャリア相と組み合わされたサッカライドポリマーと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物を含有し、ここで、サッカライドポリマーはデキストラン、デキストリン化合物、またはそれらのいずれの組み合わせを含有し、脂肪酸は約50重量%以上の1つ以上の直鎖脂肪酸を含有する。
【0172】
A1’.サッカライドポリマーがデキストランを含有する、A‘の組成物。
【0173】
A2’.サッカライドポリマーがデキストリン化合物、好ましくはマルトデキストリンを含有する、A’の組成物。
【0174】
実施形態A’、A1’およびA2’は、以下のさらなる要素の1つ以上をいずれの組み合わせで有してよい。
【0175】
要素1’:サッカライドポリマーと脂肪酸もしくは脂肪酸エステルの反応生成物が水性流体中において中性界面活性剤の表面張力を低下させるのに効果的な濃度で存在する。
【0176】
要素2’:サッカライドポリマーがデキストリン化合物を含有し、デキストリン化合物がマルトデキストリンを含有する。
【0177】
要素3’:マルトデキストリンが約3~約25のデキストロース当量値を有する。
【0178】
要素4’:脂肪酸エステルから得ることができる脂肪酸または脂肪酸成分が約4~約30個の炭素原子を含有する。
【0179】
要素5’:脂肪酸エステルから得ることができる脂肪酸または脂肪酸成分が、約4~約30個の炭素原子を含有する1つ以上の直鎖脂肪酸からなる。
【0180】
要素6’:脂肪酸エステルから得ることができる脂肪酸または脂肪酸成分が、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラボン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリオシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、クロトン酸、セルボン酸、リノール酸、リノレライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、ピノレン酸、ステアリドン酸、エレオステアリン酸、エライジン酸、ゴンド酸、ガドレイン酸、エルカ酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、ネルボン酸、ミード酸、アドレン酸、およびそれらのいずれの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの脂肪酸を含有する。
【0181】
要素7’:中性界面活性剤が、脂肪酸アルカノールアミドまたはその反応生成物を含有する。
【0182】
要素8’:脂肪酸アルカノールアミドが、コカミドジエタノールアミン、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジイソプロパノールアミン、およびそれらのいずれの組み合わせからなる群から選択される化合物を含有する。
【0183】
要素9’:反応生成物中におけるサッカライドポリマーに対する脂肪酸のモル比が、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.2以上である。
【0184】
要素10’:反応生成物中におけるサッカライドポリマーに対する脂肪酸のモル比が、モル脂肪酸:モルグルコースモノマーに基づいて約0.2~約0.8の範囲である。
【0185】
要素11’:サッカライドポリマーの反応生成物が、水および水酸化物塩基の存在下において得られる。
【0186】
要素12’:サッカライドポリマーの反応生成物が、脂肪酸エステルサッカライドポリマー反応生成物を含有する。
【0187】
要素13’:消費生活用製品または工業製品が発泡しているかまたは発泡可能であるか、消費生活用製品または工業製品が乳化されているか、消費生活用製品または工業製品がスティック形態であるか、あるいは、消費生活用製品または工業製品がクリームまたはゲルとして製剤化されている。
【0188】
要素14’:消費生活用製品または工業製品が少なくとも1つの脂肪酸カルボン酸塩をさらに含有する。
【0189】
要素15’:消費生活用製品または工業製品が少なくとも1つの両性界面活性剤をさらに含有する。
【0190】
要素16’:反応生成物が脂肪酸エステルから形成されており、消費生活用製品または工業製品がグリセロールをさらに含有する。
【0191】
非限定的な例として、A’、A1’またはA2’に適用可能な例示の組み合わせには、限定はされないが、1’および2’;1’および3’;1’および4’;1’および5’;1’および6’;1’および7’;1’および8’;1’および9’;1’および10’;1’および11’;1’および12’;1’および13’;1’および14’;1’および15’;1’および16’;2’もしくは3’、および4’;2’もしくは3’、および5’;2’もしくは3’、および6’;2’もしくは3’、および7’;2’もしくは3’、および8’;2’もしくは3’、および9’;2’もしくは3’、および10’;2’もしくは3’、および11’;2’もしくは3’、および12’;2’もしくは3’、および13’;2’もしくは3’、および14’;2’もしくは3’、および15’;2’もしくは3’、および16’;4’もしくは5’、および7’;4’もしくは5’、および8’;4’もしくは5’、および9’;4’もしくは5’、および10’;4’もしくは5’、および11’;4’もしくは5’、および12’;4’もしくは5’、および13’;4’もしくは5’、および14’;4’もしくは5’、および15’;4’もしくは5’、および16’;6’および7’;6’および8’;6’および9’;6’および10’;6’および11’;6’および12’;6’および13’;6’および14’;6’および15’;6’および16’;7’もしくは8’、および9’;7’もしくは8’、および10’;7’もしくは8’、および11’;7’もしくは8’、および12’;7’もしくは8’、および13’;7’もしくは8’、および14’;7’もしくは8’、および15’;7’もしくは8’、および16’;9’もしくは10’、および11’;9’もしくは10’、および12’;9’もしくは10’、および13’;9’もしくは10’、および14’;9’もしくは10’、および15’;9’もしくは10’、および16’;11’および12’;11’および13’;11’および14’;11’および15’;11’および16’;12’および13’;12’および14’;12’および15’;12’および16’;13’および14’;13’および15’;13’および16’;14’および15’;14’および16’;および15’および16’が含まれる。
【0192】
本明細書における開示のさらなる理解を容易にするために、以下に、様々な代表的な実施形態の実施例を記載する。以下の実施例は、本発明の範囲を限定するか、定義するものと解釈されるべきではない。

実施例
【0193】
比較例1:ラウリン酸を用いたマルトデキストリンの酸触媒反応。10重量%マルトデキストリン(MALTRIN M100、DE=9.0~12.0、30%活性溶液)および6.18重量%ラウリン酸を含む溶液をDMSO中に調製した。5滴のリン酸を加え、反応混合液を110℃で3時間加熱した。反応生成物に3倍量のイソプロピルアルコールを加えることによって沈殿させ、白色の沈殿物をデカンテーションによって収集し、乾燥させた。生成物をFTIRおよびH NMRによって特徴付けした。スペクトル特性はマルトデキストリンから反応生成物への変換に一致していた。
【0194】
表面張力測定(表2)については、単離した反応生成物を、5重量%コカミドジエタノールアミン(CocoDEA)および6重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDDBS)の存在下において13.17重量%の濃度で再溶解させた。
【0195】
比較例2:酸クロリドをベースにしたマルトデキストリンの反応。10重量%マルトデキストリン(MALTRIN M100、DE=9.0~12.0、30%活性溶液)および6.75重量%ラウロイルクロリドを含む溶液を、ホルムアミド中に調製した。数滴のリン酸を加え、反応混合液を105℃で2時間加熱した。反応生成物に3倍量のイソプロピルアルコールを加えることによって沈殿させ、琥珀色のタール様流体を得た。生成物をFTIRおよびH NMRによって特徴付けした。スペクトル特性はマルトデキストリンから反応生成物への変換に一致していた。
【0196】
表面張力測定(表2)については、単離した反応生成物を、5重量%コカミドジエタノールアミン(CocoDEA)および6重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDDBS)の存在下において13.17重量%の濃度で再溶解させた。
【0197】
実施例1A:塩基性条件下におけるマルトデキストリンの反応生成物の調製の一般的手順。296.25gの水、25.00gのコカミドジエタノールアミン(CocoDEA)、および10.00gのKOH(45%活性溶液)を合わせた。反応混合液を機械的に撹拌し、65℃まで加熱した。その後、18.75gの脂肪酸および30%活性溶液としての150.0gのマルトデキストリン(MALTRIN M100、Grain Processing Corporation、マスカティン、アイオワ;DE=9.0~12.0)を反応混合液に加えた。マルトデキストリンが溶解したら、加熱をやめ、反応混合液が室温に達するまで撹拌を行った。以降では反応生成物をさらに処理せずに使用した。表1Aは、上記のとおり合成され、その後の実施例で試験されたマルトデキストリン反応生成物を示す。カプリル酸はオクタン酸と同義であり、ラウリン酸はドデカン酸と同義であり、そして、ステアリン酸はオクタデカン酸と同義である。
【0198】
【表1A】

サンプルA以外については一般的な合成手順に従った。サンプルAについては、27.5gのKOH(45%活性)および278.75gの水を用い、他の反応パラメータは同じままとした。算出されたモル比は、マルトデキストリン全体が、グルコースの分子量(180.16g/mol)から水の分子量(18.02g/mol)を減算して得られた162.14g/molを有すると仮定している。
【0199】
実施例1B:塩基性条件下におけるマルトデキストリンの反応生成物の調製の別の手順。10重量%マルトデキストリン(MALTRIN M100、DE=9.0~12.0、30%活性溶液)、6.18重量%ラウリン酸、および1.73重量%KOHを含む溶液を水中で調整した。次いで、反応混合液を65℃で30分間加熱した。反応生成物に3倍量のイソプロピルアルコールを加えることによって沈殿させ、白色の沈殿物をデカンテーションによって収集して乾燥させた。生成物をFTIRおよびH NMRによって特徴付けした。スペクトル特性はマルトデキストリンから反応生成物への変換に一致していた。他の脂肪酸も同様に反応させてよい。
【0200】
表面張力測定(表2)については、単離した反応生成物を、5重量%コカミドジエタノールアミン(CocoDEA)および6重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDDBS)の存在下において13.17重量%の濃度で再溶解させた。表2に示す通り、実施例1A、比較例1、および比較例2の反応生成物の間で同様の表面張力性能が実現された。
【0201】
実施例1C:脂肪酸エステルから開始する塩基性条件下におけるマルトデキストリンの反応生成物の調製の一般的手順。25.00gのコカミドジエタノールアミン(CocoDEA)および10.00gのKOH(45%活性溶液)を水中で合わせた。反応混合液を機械的に撹拌し、65℃まで加熱した。その後、大豆油および30%活性溶液としての150.0gのマルトデキストリン(MALTRIN M100,Grain Processing Corporation、マスカティン、アイオワ;DE=9.0~12.0)を反応混合液に加えた。大豆油の量は、反応生成物の生成時にHLBが12または16になるように選択した。水の量は、全反応成分に基づいて、界面活性剤濃度が5重量%、脂肪酸エステル(油)濃度が2.5重量%、マルトデキストリン濃度が10重量%となるように選択した。マルトデキストリンが溶解したら、加熱をやめ、反応混合液が室温に達するまで撹拌を行った。得られた反応生成物を含む水相を、さらなる処理は行わずに、下記のさらなる試験において使用した。デキストラン反応生成物も同様の手順を用いて形成されうる。
【0202】
実施例2:塩基性条件下におけるデキストランの反応生成物の調製の一般的手順。マルトデキストリンについて上記したものと同様の方法で、デキストランから反応生成物を得た。デキストランは、分子量が500,000であり、その溶液中の活性度が9%であった。表1Bは、上記のとおり合成され、その後の実施例で試験されたデキストラン反応生成物を示す。カプリル酸はオクタン酸と同義であり、ラウリン酸はドデカン酸と同義であり、パルミチン酸はヘキサデカン酸と同義であり、そして、ステアリン酸はオクタデカン酸と同義である。
【0203】
【表1B】
【0204】
実施例1Bに関連した比較例1および2の特徴付け。表2は、1gpt(1000ガロン当たりのガロン)の濃度の比較例1の反応生成物、比較例2の反応生成物、および実施例1B(塩基性条件下における別の調製)の反応生成物についての表面張力値を、5重量%CocoDEAまたは5重量%CocoDEA/6重量%SDDBSを含む対照サンプルと比較して要約する。表面張力(ST)測定は、室温にてBiolin Scientific社製の張力計を用いて行った。面内張力(IFT)測定は、鉤針シリンジを用いて水中に油滴を形成させることによって行った。
【0205】
【表2】

対照サンプルおよび比較例/実施例のサンプルは同一濃度のCocoDEAまたはCocoDEA/SDDBSを含んでいた。示されるとおり、塩基性条件下で調製した反応生成物(エントリー5)は、酸性条件下で得られた反応生成物(エントリー3および4)と同様の性能をもたらした。それぞれの場合において、界面活性剤-CocoDEA/SDDBSのみの対照(エントリー1)と同様の表面張力であった。表面張力値は、CocoDEAのみの対照(エントリー2)に比べて約10%低下した。この驚くべき結果については以下でさらに述べる。
【0206】
デキストリン反応生成物のエマルション性能。実施例1Aにおいて上記のように調製した各反応生成物は0.5gpt(1000ガロン当たりのガロン)および1gptにて組成し、Terero油またはWolfcamp A油と合わせた。Terero油は乳化性油であり、Wolfcamp A油は非乳化性油である。次いで、各油の混合物を乳化させ、乳化の程度をブランクと比較して時間の関数として得た。ブランクは、いずれのさらなる乳化剤も含むことなく、各油を含有していた。50mLのサンプルと50mLの油を、1秒当たり約2回振動の速度で60秒間、手によって振盪させることにより、室温で乳化を行った。直ぐにエマルションをメスシリンダーに注ぎ入れ、タイムラプス撮影を用いて、水層、油層、および残りのエマルション層の高さを記録した。Wolfcamp A油については、油層をエマルション層と区別することが困難であったので、油層と水層は等しいものと想定された。図1図4は、各々、サンプルA~Dで乳化されたTerero油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。図5図8は、各々、サンプルA~Dで乳化されたWolfcamp A油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
【0207】
両油とも、初期はマルトデキストリン反応生成物の存在下において乳化されたが、時間とともに、速度は異なるが、エマルションが破壊された。Terero油は通常、様々な鎖長を有するカルボン酸から形成された反応生成物の存在下でわずかしかその乳化挙動を変化させなかった。対照的に、非乳化性のWolfcamp A油では、マルトデキストリン反応生成物は対照によるエマルション破壊より速いエマルション破壊をもたらすことがあった。この結果は、マルトデキストリン反応生成物、とりわけ、官能基付与に用いられる特定の脂肪酸および存在する反応生成物の量が、非乳化性のWolfcamp油自体の破壊特性を様々な程度に変化させうることを示唆している。性能の差違は親水性-親油性バランスの変動から生じうる。さらに、破壊特性は、1gptで約30分以内にほぼ完全にWolfcamp油を破壊した、CocoDEA単独の破壊特性とは異なっている可能性がある(データは示していない)。
【0208】
デキストリン反応生成物の流体特性。臨界ミセル濃度(CMC)測定および表面張力(ST)測定は、室温でBolin Scientific社製張力計を用いて行った。図9図12は、各々、サンプルA~Dについての濃度の関数としての表面張力のプロットを示す。示されるとおり、サンプルBおよびCは約0.5gptの反応生成物濃度にてCMCに到達した。CMCでの表面張力は約30dyn/cmであったか、わずかにそれより低かった。対照的に、サンプルAおよびDは、CMCがより高いにもかかわらず、表面張力値が低くなる傾向を示した。それ故に、上記のエマルション性能の測定は、少なくともサンプルBおよびCについてCMCより上で行った。0.2重量%KClの表面張力は水道水を用いて得られたものに比べてわずかに高かった。
【0209】
サンプルCを作製するために用いた反応混合液の個々の成分の表面張力性能も反応生成物自体の表面張力性能に対して比較した。下記表3(表3-1、表3-2から成る)に示されるとおり、1gptおよび2gptにて測定を行った。
【0210】
【表3-1】
【0211】
【表3-2】
【0212】
示されるとおり、マルトデキストリン自体(エントリー1)はサンプルC(エントリー8)と比べて非常に高い表面張力をもたらした。CocoDEAを含まない場合において、反応生成物を得るために用いた他の成分が存在する場合であっても表面張力は非常に高いままであった(エントリー2)。5重量%CocoDEAは表面張力を大きく低下させ(エントリー4)、マルトデキストリンの存在下において表面張力は増大した(エントリー3)。反応混合液を得るために用いた他の成分(マルトデキストリンを除く)を5重量%CocoDEAと合わせると、表面張力は反応生成物と比較してわずかに増大した(エントリー4~7)。対照的に、全ての反応成分がサンプルC中に一緒に存在する場合(エントリー8)、試験したいずれの他の反応成分の組み合わせより表面張力が低かった。マルトデキストリン反応生成物の存在下でもたらされた表面張力の低下は、マルトデキストリン自体は表面張力を増大させる(エントリー3および4)ことを考慮すると、とりわけ驚くべきことである。
【0213】
表4および表5は、様々なpH値またはCaCl2濃度での、各々、水およびCaCl/水における、1gptでのサンプルCの表面張力性能を示す。サンプルCの表面張力は、pH値が酸性になるほどわずかずつ低下した。
【0214】
【表4】
【0215】
【表5】
【0216】
面内張力(IFT)測定を、鉤針シリンジを用いて水中に油滴を形成することにより行った。水道水およびWolfcamp A油を用いて測定を行い、61時間の平衡化の後で評価した。下記表6はサンプルCのIFT性能を要約する。
【0217】
【表6】
【0218】
実施例1Cに従って製造されたサンプルの表面張力性能を表7(表7-1及び表7-2から成る)に要約する。
【0219】
【表7-1】
【0220】
【表7-2】
【0221】
示されるとおり、大豆油は、CocoDEA単独(エントリー10)と比較して、表面張力を低下させた。反応生成物は、表面張力をさらに低下させた(エントリー1および2)。大豆油のアルカリ加水分解中に放出されたグリセロールをさらに導入すると、場合によっては、わずかに高い表面張力値が得られた。したがって、反応生成物存在下での表面張力の低下は、個々の反応成分が表面張力値を上昇させるか、あるいは表面張力値に最小限の影響しか与えない傾向にあることを考慮すると、驚くべきことである。
【0222】
デキストラン反応生成物のエマルション性能。上記の通り調製した各反応生成物は1gptで組成され、East Texas Hutchison油#2と合わせた。次いで、各油混合物を乳化し、乳化の程度をブランクと比較して時間の関数として得た。ブランクは、いずれのさらなる乳化剤も含むことなく、各油を含有していた。50mLのサンプルと50mLの油を、1秒当たり約2回振動の速度で60秒間、手によって振盪させることにより、室温で乳化を行った。直ぐにエマルションをメスシリンダーに注ぎ入れ、タイムラプス撮影を用いて、水層、油層、および残りのエマルション層の高さを記録した。図13図16は、各々、サンプルE1~E4、F1~F4、G1~G4およびH1~H4で乳化されたEast Texas Hutchison #2油についての時間の関数としての乳化率のプロットを示す。
【0223】
図17は、様々な重量比の脂肪酸:デキストランにおける各デキストラン反応生成物についての、60分後に存在する解乳化された水の割合のプロットを示す。示されるとおり、様々なデキストラン反応生成物が、所与量のデキストランと反応した脂肪酸の量に応じて、乳化または解乳化を促進できた。シリーズEのサンプル(カプリル酸)は乳化が最小であった。シリーズFのサンプル(ラウリン酸)は、1:10および1:5の重量比において強い乳化をもたらしたが、より低い脂肪酸荷重ではかなり乳化が減少した。1:1および1:2の重量比においてカプリル酸およびラウリン酸はほとんど乳化しなかったが、これらの重量比においてパルミチン酸およびステアリン酸(シリーズGおよびシリーズHのサンプル)では依然としていくらか乳化が生じた。全体として、カプリル酸(シリーズEのサンプル)を除いた全ての脂肪酸について、1:5の重量比で最も強い乳化効力が観察された。
【0224】
デキストラン反応生成物の表面張力。下記表8に示すとおり、デキストラン反応生成物の表面張力性能を1gptおよび2gptにて測定した。
【0225】
【表8】
【0226】
示されるとおり、全てのデキストラン反応生成物が、少なくともいくつかの濃度および脂肪酸荷重にて、上記のマルトデキストリン反応生成物によってもたらされるものと同様の様式で、CocoDEAの表面張力を低下させる能力を有していた。最も高い脂肪酸荷重(サンプルF4、G4およびH4)にて、表面張力を低下させる能力がかなり減少した。したがって、表面張力は脂肪酸の分子量と脂肪酸荷重の程度に応じて調整可能であった。
【0227】
実施例3:ベタイン界面活性剤でのCocoDEAの置換。ベタイン(両性)界面活性剤(SOPALEX 360 BET)でCocoDEAを置換し、50℃で反応を行ったことを除いて、実施例1Aの手順および同様の試薬比率を用いた、上記サンプルCと同じ方法で、サンプルC’を調製した。表9は、ベタイン界面活性剤単独と比較した反応生成物の表面張力を要約する。
【0228】
【表9】
【0229】
中性界面活性剤CocoDEAをベタイン界面活性剤で置換すると、各試験濃度で高い表面張力値が得られた。ベタイン界面活性剤はそれのみで比較的高い表面張力値をもたらした。驚くべきことに、反応生成物は、ベタイン界面活性剤単独と比較して表面張力をいくぶん低下させるために用いることができた。
【0230】
実施例4:エトキシ化アルコール中性界面活性剤でのCocoDEAの置換。エトキシ化アルコール中性界面活性剤(Tomadol 1-9)でCocoDEAを置換し、50℃で反応を行ったことを除いて、実施例1Aの手順および同様の試薬比率を用いた、上記サンプルCと同じ方法で、サンプルC”を調製した。表10は、エトキシ化アルコール界面活性剤単独と比較した反応生成物の表面張力を要約する。
【0231】
【表10】
【0232】
エトキシ化アルコール界面活性剤は、各試験濃度で、同様の濃度のCocoDEAでもたらされる表面張力値よりはるかに高い表面張力値をもたらした。エトキシ化アルコール界面活性剤と組み合わせた反応生成物は、エトキシ化アルコール界面活性剤単独の表面張力と同様の表面張力をもたらした。
【0233】
実施例5:CocoDEA濃度の低下。CocoDEA濃度を上記で用いた濃度の5分の1(すなわち、1重量%)まで低下させたことを除いて、実施例1Aの手順および同様の試薬比率を用いた、上記サンプルCと同じ方法で、サンプルC”’を調製した。表11は、濃度を低下させたCocoDEA界面活性剤溶液単独と比較した反応生成物の表面張力を要約する。
【0234】
【表11】
【0235】
CocoDEA濃度を低下させると表面張力値が顕著に増大した。5重量%CocoDEAが存在する場合に比べて表面張力がかなり高かったにもかかわらず、依然として反応生成物はCocoDEA自体に比べて表面張力を低下させた。
【0236】
デキストリン反応生成物の発泡性能。サンプル1C(マルトデキストリンおよびラウリン酸の反応生成物)を、以下の組成を有する石鹸製剤に加工した:61.1重量%脱イオン水、20.9重量%マルトデキストリン/ラウリン酸反応生成物(上記のとおり調製した水性混合物として合わせた)、7.5重量%コカミドプロピルベタイン、0.5重量%グリセリン、および10.0重量%SOPALTERIC CS(ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、サウザンケミカル及びテキスタイル《Southern Chemical and Textile》)。発泡性能の対照評価のために、以下の組成を有する比較用石鹸製剤を調製した:20重量%の30重量%ラウリル硫酸ナトリウム溶液/水、5重量%ココアミドプロピルベタイン、0.5重量%グリセリン、0.8重量%NaClおよび平衡脱イオン水。石鹸製剤は、ほぼ等量のマルトデキストリン/ラウリン酸反応生成物およびラウリル硫酸ナトリウムを含んでいた。
【0237】
比較用石鹸製剤に対する実験用石鹸製剤の発泡性能を、Hart-DeGeorge泡試験を用いて分析した。簡単に述べると、Hart-DeGeorge泡試験は、漏斗とメスシリンダーの間に設置したワイヤースクリーンを利用する。次いで、設定量の発泡混合物を漏斗に導入し、ワイヤースクリーン(850μmメッシュサイズ)が露出するのに必要な時間を測定した。メスシリンダー中の液高も様々な時間で測定する。したがって、より低密度の泡はワイヤースクリーンが露出するまでに必要な時間がより長いことを特徴とし、メスシリンダー中に集められた液量がより少ないことは泡がより安定であることを示している。
【0238】
実験用および比較用石鹸製剤を用いてHart-DeGeorge泡試験を実施するために、1%活性溶液の各石鹸製剤を、25℃において、別個の200mL量の脱イオン水(軟水)中で調製した。次いで溶液を、ブレンダー中で1分間、高速で混合した。混合が完了した時点で、得られた泡を漏斗に移し入れた。ワイヤーメッシュが露出するのに必要とした時間を測定した。加えて、メスシリンダー中の液高を1、2、3、4、5および14分にて記録した。表12は、実験用および比較用石鹸製剤のHart-DeGeorge泡試験性能を要約する。
【0239】
【表12】
【0240】
ワイヤー時間データおよび液量データを図18に示す棒グラフにプロットする。示されるとおり、実験用および比較用石鹸製剤は、実質的に同等の界面活性剤濃度で同様のワイヤー時間性能をもたらしたことから、同様の泡密度であることが示唆された。対照的に、実験用石鹸製剤は、メスシリンダーに集められた液量が少ないことから明らかなように、優れた泡をもたらした。
【0241】
エトキシ化アルコール界面活性剤の置換。上記の一般的条件下において、マルトデキストリンをドデカン酸(C12脂肪酸)およびミリスチン酸(C14脂肪酸)の混合物とCocoDEAの存在下で反応させることによって、反応生成物を得た。反応生成物は不透明な流体であり、沈降は認められなかった。反応生成物を、標準濃度(サンプルBB)、ならびに標準濃度の半分および標準濃度の2倍(各々、サンプルAAおよびCC)で組成した。これらの流体の表面張力、面内張力、および接触角度を、下記表13に示す。
【0242】
エトキシ化アルコール界面活性剤を含む3つの摩擦減少流体の表面張力、面内張力、および接触角度の値も表13(流体1~3)に示す。
【0243】
摩擦減少流体1~3中のエトキシ化アルコール界面活性剤を、2倍濃度のサンプルCCから得た等量の反応生成物で置換した。改変した摩擦減少流体の表面張力、面内張力、および接触角度の値を表13に示す。改変した流体を、各々、流体1’、2’および3’と呼ぶ。
【0244】
【表13】
【0245】
表13に示すとおり、流体1~3中のエトキシ化アルコール界面活性剤を本開示の反応生成物で置換することにより、各場合において、表面張力値および面内張力値のかなりの低下がもたらされた。驚くべきことに、表面張力値および面内張力値はサンプルCCの反応生成物自体のものよりさらに低かった。さらに、流体1’~3’の摩擦減少特性は元の流体1~3から有意に変化しなかった(データは示していない)。
【0246】
モイスチャライザ製剤。上記の開示に従ってラウリン酸によって官能基を持たせたデキストランをモイスチャライザとして製剤化した。試験用モイスチャライザ(50μl)を32名の被験者の下腿部に単回塗布し、塗布部位の含水率を24時間にわたってモニターした。塗布部位の含水率は、COSMEOMETER(登録商標)CM825(Courage+Khazaka社製)機器を用いて評価した。モイスチャライザなし(陰性対照)とグリセリン(保湿剤陽性対照)は、同じ被験者グループ内で同様に評価した。表14は、様々な試験部位の含水率を時間の関数として示す。
【0247】
【表14】
【0248】
表14のデータから実証されるように、試験用モイスチャライザの単回塗布は、最長24時間、陰性対照と比較して、塗布部位でより高い水分レベルを維持した。
【0249】
他に示さない限り、本明細書および関連する特許請求の範囲における量などを表す全ての数値は、全ての場合において用語「約」によって修飾されているものと理解されるべきである。したがって、反対に示していない限り、明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本発明の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変化しうる近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数を考慮して通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0250】
本明細書では、様々な特徴を組み込んだ1つ以上の例示的な実施形態を提示する。明確にするために、物理的な実施の全ての特徴を本出願において説明または示してはいない。本発明の実施形態を組み込んだ物理的な実施形態の開発においては、システム関連、ビジネス関連、政府関連、および他の制約(これらは、実施方法によって、またその時々によって異なる)の順守などの開発者の目標を達成するために、多数の実施に特有な決定が行われなければならないことが理解される。開発者の努力には時間がかかるかもしれないが、そのような努力は、当業者であり、本開示の利益を有する者にとっては、日常的な作業であろう。
【0251】
様々なシステム、組成物、手段、および方法は、本明細書においては、様々な構成要素または工程を「含有する」という用語で記載されているが、システム、組成物、手段、および方法は様々な構成要素および工程から「本質的に成る」か、または「成る」こともできる。
【0252】
本明細書で用いる場合、任意の項目を分離するための用語「および」もしくは「または」とともに、一連の項目に先行する語句「~の少なくとも1つ」は、リストの各構成要素(すなわち、各項目)ではなく、リストを全体として修飾する。「~の少なくとも1つ」という語句は、項目のいずれかの少なくとも1つ、および/または項目のいずれの組合せの少なくとも1つ、および/または項目のそれぞれの少なくとも1つを含む意味を許容する。例として、語句「A、B、およびCの少なくとも1つ」または「A、B、またはCの少なくとも1つ」はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、またはCのみ;A、B、およびCのいずれの組合せ;および/またはA、B、およびCのそれぞれの少なくとも1つを指す。
【0253】
したがって、開示されたシステム、組成物、手段、および方法は、言及された目的および利点、ならびにそれらに固有のものを達成するのに十分に適している。本開示の教示は、本明細書中の教示の利益を有する当業者には明らかである、異なるが同等の方法で修正および実施されうるので、上記で開示された特定の実施形態は例示に過ぎない。さらに、下記の特許請求の範囲に記載されている以外に、本明細書に示された構造又は設計の詳細に限定する意図はない。したがって、上記で開示された特定の例示的な実施形態は、変更、組み合わせ、または修正されてもよく、全てのそのような変形形態は、本開示の範囲内であるとみなされることが明らかである。本明細書に例示的に開示されたシステム、組成物、手段、および方法は、本明細書に具体的に開示されていないいずれの要素および/または本明細書に開示されたいずれの適宜の要素の不在下で好適に実施されうる。システム、組成物、手段、および方法は、様々な構成要素または工程を「含有する」、「含む」、または「包含する」という用語で記載されているが、システム、手段、および方法は、様々な構成要素および工程から「本質的に成る」または「成る」こともできる。上記に開示された全ての数値および範囲は、ある程度は変化しうる。下限および上限を有する数値範囲が開示されているときはいつでも、その範囲内に含まれるいずれの数値およびいずれの含まれている範囲が具体的に開示されている。特に、本明細書に開示される(「約aから約bまで」、または同等に「約aからbまで」、または同等に「約a~b」の形態の)値の全ての範囲は、値のより広い範囲内に包含される全ての数値および範囲を示すと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権者によって明示的かつ明確に定義されない限り、それらの明らかな通常の意味を有する。さらに、特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」または「an」は、本明細書においては、それが導入する要素の1つまたは1つより多くを意味するように定義される。本明細書中での単語または用語、ならびに参照により本明細書中に援用されうる1つ以上の特許または他の文献での単語または用語の使用において何らかの矛盾が存在する場合、本明細書と一致する定義が採用されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】