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特表2024-517442一体化されたインターコネクト、スペーサ、およびマニホールドを含むSOCスタック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】一体化されたインターコネクト、スペーサ、およびマニホールドを含むSOCスタック
(51)【国際特許分類】
   C25B 13/02 20060101AFI20240415BHJP
   H01M 8/0228 20160101ALI20240415BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20240415BHJP
   H01M 8/0282 20160101ALI20240415BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALI20240415BHJP
   H01M 8/0247 20160101ALI20240415BHJP
   C25B 1/042 20210101ALI20240415BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20240415BHJP
【FI】
C25B13/02 302
H01M8/0228
H01M8/0258
H01M8/0282
H01M8/2483
H01M8/0247
C25B1/042
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566830
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2022052991
(87)【国際公開番号】W WO2022233466
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】21171855.6
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ハイレデール-クラウスン・トマス
(72)【発明者】
【氏名】ラス-ハンスン・イェベ
(72)【発明者】
【氏名】ナアビュー・トビーアス・ホルト
(72)【発明者】
【氏名】キュンガス・ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ブレノウ・ベングト・ピーダ・ゴスタウ
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA04
4K021CA07
4K021DB49
4K021DC01
4K021DC03
5H126AA08
5H126AA13
5H126AA15
5H126AA23
5H126BB06
5H126EE03
5H126EE11
5H126GG11
5H126HH01
5H126HH10
5H126JJ03
(57)【要約】
固体酸化物セルスタックは、一体化されたインターコネクト、スペーサ、およびマニホールドを有し、プレート状のインターコネクトの余剰部分を180°折り曲げてインターコネクトの上にスペーサ部分を形成し、少なくとも折り曲げ部分によってインターコネクトに接続され、流体連通する隣接する層に重なり合う主および副ガス入口開口部を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタックされた複数のセルユニットを含み、各セルユニットは、セル層およびインターコネクタ層を含み、この際、一つのインターコネクタ層は、セルスタック内において、一つのセル層を隣接するセル層から隔離している、固体酸化物セルスタックであって、
前記インターコネクタ層が、厚さTの一片のプレートから製造された一体化されたインターコネクタおよびスペーサを含み、前記スペーサは、回数Nで180°折り曲げられたインターコネクタのエッジのうちの少なくとも一部によって形成されており、その結果、前記スペーサおよびインターコネクタが、プレートの厚さTの(1+N)倍以下の厚さを持って、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも一部のエッジを一緒に形成するように、インターコネクタのエッジのうちの少なくとも一部を覆うスペーサを供しており、
少なくとも1つのセルユニット中の前記層の少なくとも1つが、少なくとも1つの主ガス入口開口部を有し、
同じセルユニット中の少なくとも1つの隣接する層が、少なくとも1つの副ガス入口開口部を有し、
前記主ガス入口開口部と前記副ガス入口開口部とが部分的に重なり、その重なりによって、入口ガスが主ガス入口開口部から副ガス入口開口部へと流れる共通ガス入口ゾーンが画定される、前記固体酸化物セルスタック。
【請求項2】
前記少なくとも1つの主ガス入口開口部に隣接するセル層のエッジが、前記少なくとも1つの主ガス入口開口部に隣接するインターコネクト層のエッジに対して後退しており、それにより、前記少なくとも1つの主ガス入口開口部に隣接するセル層のエッジを封止するガラスシーリングを可能にする、請求項1に記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項3】
前記スペーサおよびインターコネクタが、プレートの厚さTの2倍以下の厚さを持って、前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも一部のエッジを一緒に形成するように、前記インターコネクトのエッジのうちの少なくとも一部が1回、180°折り曲げられてインターコネクタのエッジのうちの少なくとも一部を覆うスペーサを供している、請求項1または2に記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項4】
前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、さらに、マニホールドのための少なくとも一つの流れ分配器を形成している、請求項1~3のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項5】
前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、さらに、外部マニホールドのために適合された少なくとも一つの流れ分配器を形成している、請求項1~4のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項6】
前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、さらに、内部マニホールドのために適合された前記共通ガス入口ゾーンを画定する少なくとも一つの流れ分配器を形成している、請求項1~5のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項7】
前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、ピンによって少なくとも部分的に形成されている、請求項1~6のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項8】
前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、プロセス流体の流れのためのフローガイドである楔形として形成されたピンによって少なくとも部分的に形成されている、請求項1~7のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項9】
前記フローガイドが、前記少なくとも1つの主ガス入口開口部の一部と少なくとも部分的に重なり、それにより少なくとも1つの複合流路ガス入口を形成する、請求項8に記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項10】
少なくとも1つのセルユニット中の前記層の少なくとも1つが、少なくとも1つの主ガス出口開口部を有し、
同じセルユニット中の少なくとも1つの隣接する層が、少なくとも1つの副ガス出口開口部を有し、
前記主ガス出口開口部と前記副ガス出口開口部とが部分的に重なり、この重なりにより、出口ガスが主ガス出口開口部から副ガス出口開口部へ流れる共通ガス出口ゾーンが画定される、請求項1~9のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項11】
少なくとも1つの主ガス入口開口部または少なくとも1つの主ガス出口開口部が、カット貫通孔、エッチング貫通孔、カット貫通開口部、くぼみ、またはこれらの組み合わせである、請求項1~10のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項12】
少なくとも1つの主ガス入口開口部または少なくとも1つの主ガス出口開口部が、インターコネクト層に位置する、請求項1~11のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項13】
前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、請求項1~12のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項14】
前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、外部マニホールドへの流体密封シールを形成するように適合された連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、請求項1~13のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項15】
前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、内部マニホールドの周囲に流体密封シールを形成するように適合された連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、請求項1~14のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項16】
前記スペーサが、折り曲げられた部分だけでなく、インターコネクトに面するスペーサの少なくとも1つのさらなるエッジまたは表面においても追加的にインターコネクトに接続されている、請求項1~15のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項17】
前記スペーサが、インターコネクタに面したスペーサの表面のうちの少なくとも一部で拡散接合によってインターコネクタに接続されている、請求項1~16のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項18】
前記スペーサが、インターコネクタに面したスペーサ表面のうちの少なくとの一部で溶接によってインターコネクタに接続している、請求項1~17のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項19】
前記インターコネクタが、前記の180°の回数Nの折り曲げを促進しかつ案内するように適合された溝を、少なくとも一つの面上に有する、請求項1~18のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項20】
前記インターコネクタが、プロセス流体のための流動場を形成するように適合された溝を、少なくとも一つの面上に有する、請求項1~19のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項21】
前記インターコネクタが、プロセス流体のための流動場を形成するために、少なくとも一つの面上にエッチングによって形成された溝を有する、請求項1~20のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項22】
固体酸化物セルスタックが固体酸化物電解セルスタックである、請求項1~21のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、固体酸化物セル(SOC)スタック、特に固体酸化物電解セル(SOEC)スタックまたは固体酸化物燃料セル(SOFC)スタックであって、一体化されたインターコネクトおよびスペーサ、特に一体化されたガスマニホールドおよび流路を含む一体化されたインターコネクトおよびスペーサを備える、固体酸化物セル(SOC)スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、一般にSOCスタックで使用することができ、したがってSOECモードでもSOFCモードでも使用することができるが、簡単のために以下の説明の一部はSOECモードに関するものである。
【0003】
動作温度が600℃~1000℃、好ましくは600℃~850℃であるSOCスタックでは、複数のセルユニットが組み立てられてスタックを形成し、インターコネクトによって互いに連結される。インターコネクトは、隣接するセルユニットのアノード側とカソード側を分離するガスバリアとしての役割を果たすと同時に、隣接するセル間、すなわち一つのセルのアノードと隣接するセルのカソード間の電流の伝導を可能にする。さらに、インターコネクトは通常、インターコネクトの両側にプロセスガスを通すための複数の流路を備えている。SOCスタックの性能を最適化するためには、最小化すべき関連する不利な値の別の範囲に許容できない結果を及ぼすことなく、有利な値の範囲を最大化する必要がある。これらの値には次のようなものがある:
【0004】
【0005】
上記の値のほとんどすべては相互に関連しており、これは一つの値を変更すると他の値にも影響することを意味する。ここでは、セル内のプロセスガス流の特性と上記の値との関係をいくつか挙げる:
【0006】
プロセスガスの利用:
インターコネクト上の流路は、スタック内の各セルへのプロセスガスの等しい量を求めるために設計されるべきであり、すなわちスタックを通るフロー「ショートカット」はあるべきではない
【0007】
寄生損失:
SOCスタックおよびそのセルユニット中のプロセスガス流路の設計は、単位体積あたりの圧力損失を低くするよう努めるべきであり、これによりブロワーへの寄生損失を低減することとなる。
【0008】
電気効率:
インターコネクトは、隣接するセルのアノード層とカソード層の間において電流を案内する。したがって、内部抵抗を低減するために、インターコネクトの電気伝導性接点(以下、単に「接点」と示す)は、電極(アノードおよびカソード)に良好な電気的接触を確立するように設計されるべきであり、接点は、どこにも離れるべきではなく、その場合は、電流がより長い距離の電極を流れることを余儀なくされ、結果として内部抵抗が高くなるからである。
【0009】
寿命:
SOCスタックの寿命が最大化されること、すなわちSOFCモードでは可能な限り多くの電気を生成するために使用でき、SOECモードでは電解生成物(例えばHOおよび/またはCO)の量が最大化されることが望ましい。スタックの寿命は、多くの要因、例えな、インターコネクトとスペーサの選択、インターコネクトの両プロセスガス側状の流れの分配、材料上の均一に分布した保護コーティング、作動条件(温度、電流密度、電圧など)、セルの設計と材料、寿命を低下させるエッジの再酸化などに依存する。
【0010】
コスト:
インターコネクト(およびスペーサ)のコスト負担は、希少な材料を使用しないこと、インターコネクトおよびスペーサの製造時間を短縮すること、部品点数を最小限に抑えること、材料損失(製造工程で廃棄される材料の量)を最小限に抑えることで低減できる。
【0011】
寸法:
燃料スタックの全体的な寸法は、インターコネクタ設計が、有効セル領域の高い利用率を保証する時に縮小される。プロセスガス流速の低いデッドエリアは減少するべきであり、そしてシーリング表面用の不活性ゾーンは最小化するべきである。
【0012】
製造時間:
インターコネクタおよびスペーサ自体の製造時間は最短化するべきであり、そしてインターコネクタ設計もまた、スタック全体の高速な組み立てに寄与するべきである。一般的に、全ての部品に関してのインターコネクタ設計は不要であり、というのも、製造時間が増加するからである。
【0013】
欠陥率:
インターコネクタおよびスペーサの製造方法と材料は、低いインターコネクタ欠陥率(例えば、インターコネクタガスバリア中の望ましくない穴、不均一な材料厚または特性)を可能にするべきである。さらに、インターコネクタ設計が組み立てるべき全部品点数を減らしおよびシール表面の長さおよび数を減らす時に、組み立てられたセルスタックの欠陥率を減少させることできる。
【0014】
部品点数:
すでに述べたように、エラーおよび組み立て時間を最小化する他、部品点数の減少はコストを低下させる。
【0015】
アノードおよびカソードガス流がSOCスタック内でどのように分配されるかは、これらの二つのプロセスガスのそれぞれのための共通のマニホールドを備えることによる。これらのマニホールドは、内部マニホールドまたは外部マニホールドのいずれかであることができる。マニホールドは、SOCスタック中の個々の層へ、各々の層への流路によってプロセスガスを供給する。これらの流路は、通常はSOCスタック中に含まれる反復する要素の一つの層、すなわちスペーサまたはインターコネクタ中に配置される。
【0016】
板金で作られたインターコネクタおよびスペーサは、通常は、SOCスタック中で一緒にシールされるシート材料の二つの別個の部分から作られる。これは、インターコネクタおよびスペーサ間のシーリングを必要とする他、製造中の個別の部品の取り扱いも必要とする。さらに、これらの二つの別個のシート状ピースはおおむね同じ外寸を有するために、スペーサシートの中心材料の殆どが除去される場合(例えば打ち抜かれる場合)には、多くの材料が廃棄される。
【0017】
固体酸化物電解セル(SOEC)は、HOをHに、COをCOに、またはHOとCOの組み合わせを合成ガス(HとCO)に変換するために使用することができる。この変換は、還元状態のニッケル含有層からなるSOECのカソード側で行われる。SOECの酸素側(アノード)では、酸素が生成され、通常は空気で洗浄される。
【0018】
フラッシュ空気と生成酸素は、スタック内の各SOECアノードから供給/除去されなければならないが、これは通常、各アノードコンパートメントから共通マニホールド(内部でも外部でもよい)への流路によって行われる。共通のアノード(酸素、オキシ)マニホールドは、このようにスタックの個々の単一のリピートユニットを接続し、セルのエッジ(縁)でスタックの個々のセルにまたがっている。
【0019】
アノードおよびカソードガス流がSOCスタック内でどのように分配されるかは、これらの二つのプロセスガスのそれぞれのための共通のマニホールドを備えることによる。これらのマニホールドは、内部マニホールドまたは外部マニホールドのいずれかであることができる。マニホールドは、SOCスタック中の個々の層へ、各々の層への流路によってプロセスガスを供給する。これらの流路は、通常はSOCスタック中に含まれる反復する要素の一つの層、すなわちスペーサまたはインターコネクタ中に配置される。
【0020】
スペーサまたはインターコネクトは通常1つの入口流路を持ち、その入口流路は材料を貫通するようにプレス、カット、またはエッチングされる。入口流路が1つしかない理由は、スペーサが一体化された部品でなければならないからである。この解決策により、スペーサまたはインターコネクト流路の安価で制御可能な製造が可能になる。
【0021】
複合流路を可能にするプロセスガス・流路を作るもう一つの方法は、エッチング、コイニング、プレスまたは他の方法で、スペーサまたはインターコネクトの一部を通して流路を作ることである。この場合、スペーサは一体化された部品となり得るが、材料の一部を通して流路を作る方法は正確ではないため、ガス流路における不確実で制御不能な圧力降下を与える。
【0022】
スペーサまたはインターコネクトの材料を通して部分的にしか形成されていないガス流路全体にわたってシーリング材料が適用されると、ガス流路内でより不確実で制御不能な圧力降下が発生する。もちろん、シーリング材料をスクリーン印刷して所望の表面だけに合わせたり、接着してガス流路から切り離したりすることも可能であり、そうすれば不確実な圧力降下のリスクを下げることができるが、これにはコストと時間がかかる。
【0023】
エッジ再酸化とは、カソード層(SOECモード)のニッケルが酸素含有ガス(例えば、酸素マニホールドなど)にさらされたスタックやセルのエッジから徐々に再酸化され、最終的にガス気密性の喪失、燃焼による歩留まりの低下、電解質クラックによるスタックのハード故障につながるSOCスタックの故障メカニズムを指す。これは特に、セルがフレームやカセットに挿入されず、スタック内の他の部品と同じフットプリントを持つスタック設計の場合に当てはまる。
【0024】
セルとスタック内の他の部品のフットプリントが同じスタック(「セルからエッジ」)は、シーリング領域が活性領域と同じ層と材料で作られているため、熱勾配や変化に対してより堅牢であると考えられている。そのため、シーリング領域とアクティブ領域に使用される材料のCET(熱膨張係数)間のミスマッチがない。フレームまたはカセットを使用したスタックコンセプトの場合、セルはシーリング領域に配置されないため、スタックはシーリング領域と比較してアクティブ領域中において相違するCETを有する。
【0025】
セルと残りの部品のフットプリントが同じスタック中においてセルエッジが、スタックの個々の部品をシーリングするために使用されるガラスでカバー/カプセル化されている場合、酸素マニホールドからの酸素がニッケルを含む層中に拡散することはできず、したがってエッジ再酸化は回避される。セルのエッジを、セルに隣接する層(多くの場合、酸素と燃料スペーサだが、場合によってはインターコネクトも)のエッジよりもわずかに引っ込めると、セルのエッジをガラスで覆うことができる。
【0026】
セルのエッジをガラスでカプセル封止する際の課題の一つは、ガラスが、共通の酸素マニホールドからSOECスタックの各リピートユニットの各アノードコンパートメントに走る酸素スペーサ内の酸素流路にも入り込むことである。これにより、潜在的に酸素流路が遮断され、アノード室への、またはアノード室からのフラッシュ流が妨害され得る。
【0027】
US6492053(特許文献1)は、インターコネクタおよびスペーサを含む燃料電池スタックを開示している。インターコネクタおよびスペーサの両方とも、酸素/燃料の流れのために入口マニホールドおよび出口マニホールドを備える。これらの入口マニホールドおよび出口マニホールドは、アノードおよびカソードに沿った酸素/燃料の分配のためにそれの表面上に溝/通路を有する。しかし、インターコネクタおよびスペーサの溝/通路は、互いに整列しておらず、それ故、それらの幾何学的形状は、複数の入口ポイントを達成するために組み合わせることができなかった。また、これらの溝/通路は、インターコネクタおよびスペーサの両方の表面上にあるため、複数の入口ポイントの形成は実現可能ではない。
【0028】
US2010297535(特許文献2)は、流路を備えた燃料電池のバイポーラプレートを開示している。そのフロープレートは、燃料セルの有効領域間に流体を均一に分配するための複合流路を有する。この文献は、第二の層およびそれの中の類似の流路を開示していない。
【0029】
US2005016729(特許文献3)は、熱伝導性インターコネクタプレート中に担持されているセラミック製燃料電池(複数可)を開示しており、複数のプレートが、スタックを呼ばれる伝導性ヒーターを形成する。複数のスタックの接続は、燃料電池のステッキ(stick)を形成する。複数のステッキをそれらの端部同士で接続することにより、燃料電池のストリングが形成される。このストリングの長さは、千フィート以上であることができ、地下の資源層、例えば油層に入り込むような長さに作られる。プレヒーターが、前記ストリングを700℃を超える作動温度にし、次いで燃料電池が、燃料電池に燃料および酸化剤を供給しおよび排ガスを惑星表面に運ぶ複数の導管を介して前記温度を維持する。前記複数の導管を延長しそして排ガスと酸化剤/燃料との間の熱交換体として働くようにするために、ストリングと惑星表面との間にマニホールドを使用できる。
【0030】
上記の既知技術のいずれも、上記の問題に対する簡単で効果的でかつ確実な方策を提供するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】US6492053
【特許文献2】US2010297535
【特許文献3】US2005016729
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
従って、上記に列挙された考慮事項を参照すると、1つ以上の一体化されたガスマニホールドとSOCスタック用の流路から構成され、セルのエッジをガラスで覆うことも可能な、頑健で、簡単で、低廉で、製造および取り扱いが容易な複合流路インターコネクトが必要とされている。
【0033】
これらおよびその他の課題は、以下に説明する本発明によって達成される。
【0034】
発明の概要
本発明は、板金の形の(インターコネクタおよびスペーサの機能を兼ね合わせる)単一の部品を、スペーサ部分を、ICシートから板金の一つの面上に折り畳むことによって製造するものである。折り畳み(または折り曲げ)は、質量保存的なプロセスであり、それ故、廃棄物が生じない。本発明の場合のように薄いシート材料を折り畳む時は、折り畳み半径は、シート厚に依存し、非常に小さな折り畳み半径を得ることができる。
【0035】
インターコネクタ板金からスペーサを折り畳むことによって、幾つかの問題が解消される:
-スタック中のシーリング領域が減少し、それ故、インターコネクタ-スペーサアセンブリ当たりのシーリング層を節約しつつ、漏れが生じる虞のある場所が少なくなる。
-製造の際に取り扱うべき部品が減少する。
-スペーサが、インターコネクタと同じ板金から製造されるため、インターコネクタおよびスペーサの厚さが同じであり、それにより、スタックアセンブリにおける公差の問題が減少する。
-スペーサが別個の板金から製造される場合には、インターコネクタの周辺部に通常位置するシーリング領域よりも材料使用量が多くなる。それ故、この折り畳み方策は材料の節約となる、なぜなら、折り曲げられた部分がインターコネクタ周辺部に含まれており、そしてスペーサの「内側」がインターコネクタに使用されるためである。
-インターコネクタおよびスペーサが同一の材料であること(並びにシーリング材料が無いこと)は、同一の熱膨張係数を与える。
-スペーサが、インターコネクタの一部であるため、別個のスペーサ部分のアライメントは排除される。
-折り畳みプロセスは低廉であり、工業的なスケールにすることが可能である。
【0036】
一体化されたインターコネクトとスペーサを製造するために、インターコネクトの幾何学的形状は、スペーサを含むように拡大され、スペーサは、インターコネクトの頂部に折り畳まれる。折りたたみプロセスは簡便かつ頑強であり、いくつかの産業(例えば金属缶)で使用される。
【0037】
スペーサの厚さは、インターコネクタの厚さと同じである。これは、スタックを組み立てる時の公差を減少させる。これと同じ公差は、他のプロセスでは達成できず、すなわち、インターコネクタとスペーサとの間のシールのエッチングは省かれる。インターコネクタとスペーサが一つの部品となるため、これは、部品の取り扱いを節約する。スペーサは、通常はインターコネクタの周辺部に配置されるため、中央部は、標準的な方法を用いて切り抜き、廃棄される。スペーサがインターコネクタの一部である場合には、スペーサの内側は廃棄されず、材料廃棄量を低減させことができる。
【0038】
さらに、本発明は、SOCスタックのインターコネクト-スペーサアセンブリの「内部」に一体化された酸素流路(オキシ流路)を含み、これによって酸素流路は、セルの端部をカプセル化するために使用されるガラスに曝露されることがない。
【0039】
酸素流路は、インターコネクトとスペーサの両方に形成されるが、それぞれの部品のシーリング領域の半分以上にしか形成されない。インターコネクトの流路とスペーサの流路が重なり合って、シーリング領域全体を通して単一の流路が形成される。
【0040】
こうすることで、酸素スペーサの外側エッジを流路なしで作ることができ、ガラスが酸素流路に入ることなく、セルエッジを全面的にカバーすることができる。
【0041】
本発明により、エッジの再酸化の危険性がないか、または非常に低いスタック設計が得られると同時に、酸素流路の閉塞が回避される。前述したようにSOECとSOFCの両方のスタックに対して、燃料と酸素スペーサの両方が本発明に従って製造できることを理解されたい。
【0042】
請求項1に記載の発明は、スタック(積層)された複数のセルユニットを含む固体酸化物セルスタックである。セルユニットのそれぞれは、アノード、カソードおよび電解質を備えるセル層と、インターコネクタ層とを含む。これらの層は、一つのインターコネクタ層が、セルスタック内において、一つのセル層を隣接するセル層から隔離するように、交互にスタックされる。このインターコネクタ層は、従来技術において知られるような別個のスペーサを備えるのではなく、厚さTの一片のプレートから製造される一体化されたインターコネクタおよびスペーサを含む。このスペーサは、インターコネクタのエッジ(縁)のうちの少なくとも一部を、インターコネクタのエッジのうちの少なくとも一部を覆うスペーサを供するように、回数Nで180°折り曲げることによって形成される。この折り曲げは、この折り曲げ製造プロセスにとって固有でかつ通常の公差を持って180°であり、ある程度の反り返りも含み得ると理解されたい。また、折り曲げ前の折り曲げるべきプレート片は、最終の一体化されたインターコネクタおよびスペーサよりも大きな寸法を有し、この際、余剰の領域が折り曲げられるべきであり、そして折り曲げの後にスペーサを形成するものと理解されたい。折り曲げの後、スペーサおよびインターコネクタは、プレートの厚さTの(1+N)倍以下の厚さを持って、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも一部のエッジを一緒に形成する。厚さは、材料および製造公差に依存し、プレートの厚さTの(1+N)倍以下の正確な厚さを僅かに超えるかまたは僅かに下回る可能性があり、それゆえ、それも請求項の範囲内であると理解されたい。しかしながら、スペーサとインターコネクタとの間のガスケットが省略されるためであり、また折り曲げプロセスの後に、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの厚さを精密な公差まで平らにする精密なプレス加工を行うことができるため、本発明の一部においては、該折り曲げプロセスは、通常の固体酸化物セルスタックから知られるよりも高い精度も供することができる。該一体化されたインターコネクタおよびスペーサによるセル間の接触は、折り曲げられたエッジと、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの表面全体の接触点との両方によって保証されると理解されたい。これらの接触点は、折り曲げ部と同じ側のインターコネクタ上に供される接触実現要素によって供し得る。この接触実現要素は、プレス加工された接触点または任意の他の既知技術によって、ネットの形であることができる。請求項1によれば、本発明はさらに、少なくとも1つのセルユニット中の前記層の少なくとも1つに少なくとも1つの主ガス入口開口部(一次ガス入口開口部)を有し、同じセルユニット中の少なくとも1つの隣接する層が少なくとも1つの副ガス入口開口部(二次ガス入口開口部)を有する。主ガス入口開口部は副ガス入口開口部と部分的に重なっており、その重なりによって共通ガス入口ゾーンが画定され、そこでは、入口ガスがセルの活性領域へとさらに流れる前に、入口ガスが主ガス入口開口部から副ガス入口開口部へと流れる。従って、セルスタック内のすべてのリピート要素に複合流路(マルチ流路)を作ることが可能となる。
【0043】
本発明のさらなる実施形態によれば、前記少なくとも1つの主ガス入口開口部に隣接するセル層のエッジは、前記少なくとも1つの主ガス入口開口部に隣接するインターコネクト層のエッジに対して後退している。従って、前記少なくとも1つの主ガス入口開口部に隣接するセル層のエッジを封止することができるガラスシーリングが可能になる。エッジのシーリングは、セル層のエッジの再酸化を防止するために重要であり、この原則によれば、シーリングはガス入口流路を塞ぐことはない。隣接するインターコネクトのエッジに対してセル層のエッジが後退していることは、セル層のエッジの安定した強固なガラスシーリングを提供するために重要である。例えば、ガラスシーリングが単に固体酸化物セルスタックの均等に/フラッシュ側に追加された場合、熱膨張係数(CET)に差があるため、動作中または動作サイクル中にガラスシールが脱落または剥離する危険性がかなりある。しかし、本発明の本実施形態によれば、ガラスシーリングは、「オーバーサイズ」の隣接するインターコネクト層の間に固定されるため、セル層のエッジに接着して封止することができ、セル層のエッジの再酸化を防止することができる。
【0044】
本発明の特定の実施形態では、インターコネクトのエッジの少なくとも一部が1回180°折り曲げられ、これにより、プレートの厚さTの2倍以下の厚さのインターコネクトおよびスペーサが得られる。
【0045】
折り曲げられたとき、一体化されたインターコネクトとスペーサは、該一体化されたインターコネクタおよびスペーサは、マニホールドのための少なくとも一つの流れ分配器、すなわち、外部マニホールドと称される、インターコネクタの縁の一部からのおよび内部マニホールドと称される、インターコネクタ内側に配置された流路からのスタックへのプロセスガスの流入および流出のための少なくとも一つの流れ分配器を形成することができる。折り曲げられるべきエッジを形成してよく、そしてこれらは、プロセスガスをスタック中に流すことを可能にする隙間を有してよく、そして流れの経路は、流れ分配器を形成するエッジの形状によって配向され得る。これらのエッジは、例えば、プロセスの流れおよび案内を可能とするように適合されたピン形、楔形または任意の他の形状として形成することができる。これは、当技術分野で既知のように内部マニホールドおよび外部マニホールドの両方のために使用し得る。
【0046】
本発明の一実施形態においては、一体化されたインターコネクトとスペーサのスペーサは、内部マニホールドに適合された前記共通ガス入口ゾーンを画定する少なくとも1つの流れ分配器を形成する。流れ分配器の形状は、セルユニットの活性領域へのガスの最良の分配を提供するようにガスの流れを案内することができる。従って、本発明の実施形態においては、スペーサは少なくとも部分的にピンに形成されている。ピンは、プロセス流体の流れのためのフローガイドである楔形として形成されてもよい。さらに、前記フローガイドは、本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの複合流路ガス入口を形成するために、前記少なくとも1つの主ガス入口開口部開口の一部に少なくとも部分的に重なっていてもよい。
【0047】
本発明の一実施形態においては、共通ガス入口ゾーンについて上述した原理を、出口ガスが主ガス出口開口部から副ガス出口開口部へ流れる1つ以上の共通ガス出口ゾーンにも利用することができる。少なくとも1つの主ガス入口開口部および/または少なくとも1つの主ガス出口開口部の両方は、カット貫通孔、エッチング貫通孔、カット貫通開口部、くぼみ、またはこれらの組み合わせによって形成することができる。さらに、少なくとも1つの主ガス入口開口部または少なくとも1つの主ガス出口開口部は、インターコネクト層に配置される。従って、少なくとも1つの副ガス入口開口部および少なくとも1つの副ガス出口開口部は、一体化されたインターコネクトおよびスペーサのスペーサ内に配置されることができる。
【0048】
また、スペーサは、少なくとも部分的に、連続した流体密封エッジによって形成されていてもよい。流体密封エッジは、外部マニホールドへの流体密封シールまたは内部マニホールドの周囲で流体密封シールを形成するように適合させることができる。折り畳み自体とは別に、スペーサは、スペーサのエッジまたは表面の少なくとも一部において、拡散接合(ここで、2つの固体金属表面の原子が経時的にそれら自体を拡散させる)、溶接、または他の任意の適切な接続技術によって、インターコネクトにさらに接続することができる。
【0049】
本発明の一実施形態では、折り曲げは、折り曲げ線の少なくとも一部において、インターコネクトの一方の面、他方の面、または両面上に設けられた溝によって促進され、案内される。溝は、プロセス流のための流動場を形成するために、インターコネクトの少なくとも一方の面に存在することができる。前記溝は、例えばエッチングによって形成することができる。
【0050】
本発明の特定の態様の一つでは、該スタックは、先に述べたような作動温度を有する固体酸化物電解セルスタックである。本発明のさらに別の態様の一つでは、該スタックは、固体酸化物燃料電池スタックである。該一体化されたインターコネクタおよびスペーサを製造するために使用される板金は、オーステナイト鋼、フェライト鋼、または該スタックに最適な任意の合金であることができる。
【0051】
本発明の特徴
1.スタックされた複数のセルユニットを含み、各セルユニットは、セル層およびインターコネクタ層を含み、この際、一つのインターコネクタ層は、セルスタック内において、一つのセル層を隣接するセル層から隔離している、固体酸化物セルスタックであって、
前記インターコネクタ層が、厚さTの一片のプレートから製造された一体化されたインターコネクタおよびスペーサを含んでおり、前記スペーサは、回数Nで180°折り曲げられたインターコネクタのエッジのうちの少なくとも一部によって形成されており、その結果、前記スペーサおよびインターコネクタが、プレートの厚さTの(1+N)倍以下の厚さを持って、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも一部のエッジを一緒に形成するように、インターコネクタのエッジのうちの少なくとも一部を覆うスペーサを供しており、
少なくとも1つのセルユニット中の前記層の少なくとも1つが少なくとも1つの主ガス入口開口部を有し、同じセルユニットの少なくとも1つの隣接する層が少なくとも1つの副ガス入口開口部を有し、
前記主ガス入口開口部および前記副ガス入口開口部とが部分的に重なり、その重なりによって、入口ガスが主ガス入口開口部から副ガス入口開口部へと流れる共通ガス入口ゾーンが画定される、前記固体酸化物セルスタック。
【0052】
2.前記少なくとも1つの主ガス入口開口部に隣接するセル層のエッジが、前記少なくとも1つの主ガス入口開口部に隣接するインターコネクト層のエッジに対して後退しており、それにより、前記少なくとも1つの主ガス入口開口部に隣接するセル層のエッジを封止するガラスシーリングを可能にする、特徴1に記載の固体酸化物セルスタック。
【0053】
3.前記スペーサおよびインターコネクタが、プレートの厚さTの2倍以下の厚さを持って、前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも一部のエッジを一緒に形成するように、前記インターコネクトのエッジのうちの少なくとも一部が1回、180°折り曲げられてインターコネクタのエッジのうちの少なくとも一部を覆うスペーサを供している、特徴2に記載の固体酸化物セルスタック。
【0054】
4.前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、さらに、マニホールドのための少なくとも一つの流れ分配器を形成している、前記特徴のうちのいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0055】
5.前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、さらに、外部マニホールドのために適合された少なくとも一つの流れ分配器を形成している、前記特徴のうちのいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0056】
6.前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、さらに、内部マニホールドのために適合された前記共通ガス入口ゾーンを画定する少なくとも一つの流れ分配器を形成している、前記特徴のうちのいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0057】
7.前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、ピンによって少なくとも部分的に形成されている、前記特徴のうちのいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0058】
8.前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、プロセス流体の流れのためのフローガイドである楔形として形成されたピンによって少なくとも部分的に形成されている、前記特徴のうちのいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0059】
9.前記フローガイドが、前記少なくとも1つの主ガス入口開口部の一部と少なくとも部分的に重なり、それにより少なくとも1つの複合流路ガス入口を形成する、特徴8に記載の固体酸化物セルスタック。
【0060】
10.少なくとも1つのセルユニット中の前記層の少なくとも1つが、少なくとも1つの主ガス出口開口部を有し、同じセルユニット中の少なくとも1つの隣接する層が、少なくとも1つの副ガス出口開口部を有し、前記主ガス出口開口部と前記副ガス出口開口部とが部分的に重なり、この重なりにより、出口ガスが主ガス出口開口部から副ガス出口開口部へ流れる共通ガス出口ゾーンが画定される、前記特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0061】
11.少なくとも1つの主ガス入口開口部または少なくとも1つの主ガス出口開口部が、カット貫通孔、エッチング貫通孔、カット貫通開口部、くぼみ、またはこれらの組み合わせである、先行する特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0062】
12.少なくとも1つの主ガス入口開口部または少なくとも1つの主ガス出口開口部が、インターコネクト層に位置する、先行する特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0063】
13.前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、先の特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0064】
14.前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、外部マニホールドへの流体密封シールを形成するように適合された連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、先の特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0065】
15.前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、内部マニホールドの周囲に流体密封シールを形成するように適合された連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、先の特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0066】
16.スペーサは、折り曲げられた部分だけでなく、インターコネクトに面するスペーサの少なくとも1つのさらなるエッジまたは表面においても追加的にインターコネクトに接続されている、先の特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0067】
17.前記スペーサが、インターコネクタに面したスペーサの表面のうちの少なくとも一部で拡散接合によってインターコネクトに接続されている、先の特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0068】
18.前記スペーサが、インターコネクタに面したスペーサ表面のうちの少なくとの一部で溶接によってインターコネクタに接続している、先の特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0069】
19.インターコネクタが、前記の180°の回数Nの折り曲げを促進しかつ案内するように適合された溝をそれの少なくとも一つの面上に有する、先の特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0070】
20.インターコネクタが、プロセス流体のための流動場を形成するように適合された溝をそれの少なくとも一つの面上に有する、先の特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0071】
21.インターコネクタが、プロセス流体のための流動場を形成するようにそれの少なくとも一つの面上にエッチングによって形成された溝を有する、先の特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【0072】
22.固体酸化物電解セルスタックであることを特徴とする、先の特徴のいずれかに記載の固体酸化物セルスタック。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図面の簡単な説明
本発明は、本発明の実施形態の例を示す添付図面によってさらに説明される。
図1は、本発明の一実施形態による、折り曲げ前の一体化されたインターコネクト、スペーサ、およびマニホールドの酸素側面図である。
図2は、本発明の一実施形態による、折り曲げ前の一体化されたインターコネクト、スペーサ、およびマニホールドの燃料側面図である。
図3は、折り曲げ後の一体化されたインターコネクト、スペーサ、およびマニホールド燃料側の詳細図である。
図4は、折り曲げ後の一体化されたインターコネクト、スペーサ、およびマニホールドの酸素側の詳細図である。
図5は、折り曲げ後の一体化されたインターコネクト、スペーサ、およびマニホールドの燃料側の透明詳細図である。
図6は、多数のセルユニットをスタックされた状態の側面切断詳細図である。
図7は、多数の積層セルユニットの説明文付き側面切断詳細図である。
図8は、スタックされたセルユニットの側面切断詳細図である。
【0074】
ポジション番号
01.一体化されたインターコネクト、スペーサ、およびマニホールド
02.スペーサ
03.外部マニホールドに適合した流れ分配器
04.内部マニホールドに適合した流れ分配器
05.ピン
06.主ガス入口開口部
07.副ガス入口開口部
08.セル層
09.ガラスシーリング
【0075】
詳細な説明
図1は、固体酸化物セルスタック(図示せず)用の一体化されたインターコネクト、スペーサ、マニホールド01を示す。図1は、スペーサ02を形成するように適合されたエッジに沿って余剰材料を有する板金の1枚のフラットピースとしてインターコネクトを示しているが、折り曲げ前であるため、スペーサの一部はまだ形成されていない。図示された側は、一体化されたインターコネクト、スペーサ、マニホールドの酸素側である。酸素側には、一体化されたスペーサと接触点を含み、これは酸素側から材料を離してエッチングすることによって形成されることができる。図に示されるように、副ガス入口開口部07も酸素側に形成されることがあり、一実施形態においては材料をエッチング除去することによって行われる。副ガス入口開口部は、ピン05の形態のスペーサによって分離されており、このスペーサは、入口ガス流を案内して、一体化されたインターコネクト、スペーサおよびマニホールドの流動場に、すなわち、セル層の隣接する活性領域(図示せず)に均等に分配するようにする。副入口開口部は、同じセルユニット中の隣接する層の主ガス入口開口部(以下の図に見られる)と流体接触しており、さらにここでは、一体化されたインターコネクト、スペーサ、マニホールドの穴として見られる内部マニホールドと流体接触している。
【0076】
図2は、一体化されたインターコネクト、スペーサ、マニホールドの図1と同じ部分を、反対側、つまり一体化されたインターコネクト、スペーサ、マニホールドの燃料側から見た図である。まだ余剰材料が折り曲げられていないため、燃料側のスペーサは形成されていない。しかしながら、これによって酸素側の主ガス入口開口部06が見える状態になっている。これらの開口部は、一体化されたインターコネクト、スペーサおよびマニホールドの隣接する層に形成されているにもかかわらず、副ガス入口開口部と重なっているため、これらは前述のように副ガス入口開口部と流体接触している。これらの開口部は、一実施形態においては、材料をエッチング除去することによって形成されることができ、したがって、一体化されたインターコネクト、スペーサおよびマニホールドは、2つの側でエッチングされることができる。燃料スペーサの一部は、間隔をあけて配置され、それによって流体通路が空けられ、一旦これらが折り曲げられると燃料流の外部マニホールド04に適合した流体分配器として機能することにも留意されたい。
【0077】
図3では、図1に示したインターコネクトの余剰材料が、インターコネクトの上側に180°折り曲げられて、インターコネクトのエッジの周囲と、インターコネクトに酸素側のために開けられた内部マニホールド貫通穴の周囲にスペーサが形成されている。マニホールドに適合するスペーサは、インターコネクトへの、インターコネクトに沿った、およびインターコネクトからの流体の流れを制御し、方向付けるために、異なる形状に形成することができることを理解されたい。図3の1つのスペーサは、連続した流体密封エッジで形成されており、このエッジは、折り畳まれると、内部マニホールドの周囲のエッジを形成し、燃料側のインターコネクトの周辺に貫通孔を形成する。図に示されるように、これは内部酸素マニホールドから燃料側への流路を遮断し、酸素ガスが主ガス入口開口部を通り、さらに説明したように副ガス入口開口部へ流れることだけを可能にする。図から分かるように、このことは、内部の酸素マニホールドから燃料側への流路を遮断し、酸素ガスが主ガス入口開口部を通って、さらに説明したように副ガス入口開口部に流れることのみを可能にする。
【0078】
図4は、図3と同じ折り曲げられた一体化されたインターコネクト、スペーサ、およびマニホールドを、インターコネクトの反対側、すなわち酸素側から見た図である。図4のこの詳細図では、主ガス入口開口部と副ガス入口開口部の両方が示されており、本発明に従って重なり合っているため、異なる層にあるにもかかわらず、これらがいかに流体連通しているかがわかる。主ガス入口開口部と副ガス入口開口部の流体連通を再び視覚化するために、同じ詳細を透明図のみで図5に示す。
【0079】
再び、同じ詳細が図6図7図8に示されるが、今度は側面切断(サイドカット)図であり、1つのセル層08の周囲に2つの一体化されたインターコネクト、スペーサ、およびマニホールドがスタック(積層)された状態を示す。図に示されるように、内部マニホールド孔に近いセル層のエッジは、インターコネクト層のエッジに対して後退している。これにより、ガラスシーリング09がセル層のエッジを封止するのに十分なスペースが確保され、インターコネクト層によって機械的に保持されるため、セルのエッジの再酸化が防止される。図7においては、酸素流体の流れが矢印で可視化されており、酸素流体がどのようにスタックされた層の穴によって形成された内部マニホールド流路を通って流れ、さらに主ガス入口開口部、副ガス入口開口部を通って、セル層の活性領域と接触するインターコネクト層の酸素側の流動場に入るかを示している。
【0080】

実験により、インターコネクトを折り曲げ、それによって一体化されたスペーサでもあるエッジ部分を提供することが実際に可能であることが示された。一体化されたインターコネクトとスペーサの折り曲げられたエッジの光学顕微鏡写真から、流路を設けることができ、ガラスシーリングでセルエッジを「包み込む」ことが可能であることを示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】