(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】アスファルト用途のためのエポキシ官能性及びリン脂質含有接着促進剤及びウォームミックス添加剤
(51)【国際特許分類】
C08L 91/00 20060101AFI20240415BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20240415BHJP
C08L 95/00 20060101ALI20240415BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240415BHJP
【FI】
C08L91/00
C08L63/00 Z
C08L95/00
C08K3/013
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567229
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 US2022072046
(87)【国際公開番号】W WO2022236247
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】アン、ソン
(72)【発明者】
【氏名】カルカナス、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】カース、トッド エル.
(72)【発明者】
【氏名】タバタベー、ハッサン アリ
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、イジュン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AE052
4J002AG001
4J002CD163
4J002DM007
4J002EW046
4J002FD017
4J002GL00
(57)【要約】
本技術は、リン脂質材料及びエポキシ化再生可能油又は脂肪を含むアスファルト添加剤を提供し、エポキシ化再生可能油又は脂肪は、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有する。本技術はまた、アスファルト用途におけるアスファルト添加剤の使用及びその製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン脂質材料と、
約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有する、エポキシ化再生可能油又は脂肪と、
を含む、アスファルト添加剤。
【請求項2】
前記アスファルト添加剤が、約5:1~約1:5の前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪との重量比を含む、請求項1に記載のアスファルト添加剤。
【請求項3】
前記アスファルト添加剤が、約3:1~約1:3の前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪との重量比を含む、請求項1又は2に記載のアスファルト添加剤。
【請求項4】
前記アスファルト添加剤が、約2:1~約1:2の前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪との重量比を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項5】
前記アスファルト添加剤が、約1:1の前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪との重量比を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項6】
前記アスファルト添加剤が、前記アスファルト添加剤の総重量に基づいて、約10.0重量パーセント(wt%)~約80.0wt%の前記リン脂質材料を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項7】
前記アスファルト添加剤が、前記アスファルト添加剤の総重量に基づいて、約10.0wt%~約60.0wt%の前記リン脂質材料を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項8】
前記リン脂質材料が、前記リン脂質材料の総重量に基づいて少なくとも約50wt%~100wt%のリン脂質を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項9】
前記リン脂質材料が、前記リン脂質材料の総重量に基づいて少なくとも約80wt%~100wt%のリン脂質を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項10】
前記リン脂質が、天然リン脂質、合成リン脂質、又はそれらの組合せを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項11】
前記天然リン脂質が、植物、動物、又は微生物源由来のリン脂質を含む、請求項10に記載のアスファルト添加剤。
【請求項12】
前記リン脂質材料が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、又はこれらの組合せを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項13】
前記リン脂質材料がレシチン材料を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項14】
前記レシチン材料が、約5wt%~約100wt%のアセトン不溶性物質を含む、請求項13に記載のアスファルト添加剤。
【請求項15】
前記レシチン材料が、大豆レシチン、菜種レシチン、ヒマワリ種子レシチン、卵レシチン、ピーナッツレシチン、コーンレシチン、ウシ脳レシチン、ホホバレシチン、又はこれらの混合物を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項16】
前記添加剤が、前記アスファルト添加剤の総重量に基づいて、約10.0wt%~約80.0wt%の前記エポキシ化再生可能油又は脂肪を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項17】
前記エポキシ化再生可能油又は脂肪が、約4.0%~約12.0%のオキシラン含有量を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項18】
前記エポキシ化再生可能油又は脂肪が、約6.0%~約10.0%のオキシラン含有量を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項19】
前記エポキシ化再生可能油又は脂肪が、約8.0%~約10.0%のオキシラン含有量を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項20】
前記エポキシ化再生可能油又は脂肪が、エポキシ化脂肪酸又は脂肪酸誘導体を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項21】
前記エポキシ化脂肪酸又は脂肪酸誘導体が、エポキシ化植物油、エポキシ化アセチル化アシルグリセリド、エポキシ化グリシジルエーテル、エポキシ化脂肪酸エステル、エストリド、又はこれらの混合物を含む、請求項20に記載のアスファルト添加剤。
【請求項22】
前記エポキシ化再生可能油又は脂肪が、エポキシ化大豆油、エポキシ化キャノーラ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆メチルエステル、エポキシ化アマニメチルエステル、エポキシ化トール油脂肪酸(TOFA)、エポキシ化アセチル化トリアシルグリセロール、エポキシ化アセチル化ジアシルグリセロール、エポキシ化アセチル化モノアシルグリセロール、エポキシ化ホホバ油、エポキシ化2-エチルヘキシルソイエート、エポキシ化2-エチルヘキシルTOFA、エポキシ化イソアミルソイエート、エポキシ化イソアミルパームステアリン、エポキシ化イソアミルTOFA、エポキシ化イソアミルソイエート、エポキシ化大豆メチルエステル酢酸エストリド、又はこれらの混合物を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項23】
前記エポキシ化再生可能油又は脂肪が、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、又はこれらの混合物を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項24】
前記エポキシ化再生可能油又は脂肪が、エポキシ化アマニ油を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項25】
前記エポキシ化再生可能油又は脂肪が、エポキシ化大豆油を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項26】
前記エポキシ化再生可能油又は脂肪が分留を受けている、請求項1~25のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項27】
脂肪酸材料を更に含み、前記脂肪酸材料が、大豆油、アマニ油、キャノーラ油、又はそれらの混合物を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項28】
前記添加剤が、前記添加剤の総重量に基づいて約0.1wt%~約40wt%の前記脂肪酸材料を含む、請求項27に記載のアスファルト添加剤。
【請求項29】
前記脂肪酸材料が分留を受けている、請求項26又は27に記載のアスファルト添加剤。
【請求項30】
前記添加剤が、前記添加剤の総重量に基づいて約5.0wt%~約35wt%の前記脂肪酸材料を含む、請求項27~29のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項31】
前記添加剤が、25℃で約20cSt~約10,000cStの粘度を有する、請求項1~30のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項32】
前記アスファルト添加剤が、ウォームミックスアスファルト(warm mix asphalt)添加剤である、請求項1~31のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項33】
前記アスファルト添加剤が、ホットミックスアスファルト(hot mix asphalt)添加剤である、請求項1~31のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項34】
前記アスファルト添加剤が、接着性、締固め、耐久性、剥離防止性、又はこれらの組合せを含むアスファルト用途における1つ以上の性能特性を向上させる、請求項1~31のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項35】
アスファルト用途における剥離を低減又は防止するための、請求項1~31のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤の使用。
【請求項36】
アスファルト用途における締固め助剤としての、請求項1~31のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤の使用。
【請求項37】
アスファルト用途における接着を促進するための、請求項1~31のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤の使用。
【請求項38】
アスファルト用途におけるウォームミックスアスファルト添加剤又はホットミックスアスファルト添加剤としての、請求項1~31のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤の使用。
【請求項39】
ビチューメン;及び
リン脂質材料と、エポキシ化再生可能油又は脂肪であって、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有する、エポキシ化再生可能油又は脂肪と、を含むアスファルト添加剤;
を含む、アスファルトバインダー。
【請求項40】
前記アスファルト添加剤が、約5:1~約1:5の前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪との重量比を含む、請求項39に記載のアスファルトバインダー。
【請求項41】
前記アスファルトバインダーが、前記アスファルトバインダーの総重量に基づいて約0.1wt%~約3.0wt%のアスファルト添加剤を含む、請求項39又は40に記載のアスファルトバインダー。
【請求項42】
前記アスファルトバインダーが、前記アスファルトバインダーの総重量に基づいて約0.3wt%~約0.7wt%の前記アスファルト添加剤を含む、請求項39~41のいずれか一項に記載のアスファルトバインダー。
【請求項43】
前記アスファルトバインダーが、前記アスファルトバインダーの総重量に基づいて約97.0wt%~約99.9wt%のビチューメンを含む、請求項39~42のいずれか一項に記載のアスファルトバインダー。
【請求項44】
前記アスファルト添加剤が、脂肪酸材料を更に含む、請求項39~43のいずれか一項に記載のアスファルトバインダー。
【請求項45】
1つ以上の追加の添加剤を更に含む、請求項39~44のいずれか一項に記載のアスファルトバインダー。
【請求項46】
ポリリン酸を更に含む、請求項39~45のいずれか一項に記載のアスファルトバインダー。
【請求項47】
アスファルトコンクリートであって、
前記アスファルトコンクリートの総重量に基づいて、約0.25wt%~約8.0wt%のアスファルトバインダーであって、
ビチューメン;並びに
リン脂質材料及び約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有するエポキシ化再生可能油又は脂肪を含むアスファルト添加剤
を含む、アスファルトバインダーと、
前記アスファルトコンクリートの総重量に基づく鉱物骨材と、
を含む、アスファルトコンクリート。
【請求項48】
前記アスファルトコンクリートが、約92.0wt%~約99.75wt%の前記鉱物骨材を含む、請求項47に記載のアスファルトコンクリート。
【請求項49】
安定なアスファルト添加剤ブレンドを調製する方法であって、
リン脂質材料を、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有するエポキシ化再生可能油又は脂肪と組み合わせることと、
前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪とを高剪断下で混合して、アスファルト添加剤ブレンドを得ることと、
を含む、
安定なアスファルト添加剤ブレンドを調製する方法。
【請求項50】
前記アスファルト添加剤ブレンドが、約5:1~約1:5の前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪との重量比を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記アスファルト添加剤ブレンドが、1:1の前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪との重量比を含む、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記アスファルト添加剤ブレンドが、25℃で約20cSt~約10,000cStの粘度を有する、請求項49~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
アスファルトバインダーを調製する方法であって、
ビチューメンを、アスファルト添加剤であって、リン脂質材料と、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有するエポキシ化再生可能油又は脂肪と、を含む、アスファルト添加剤と組み合わせることを含む、
アスファルトバインダーを調製する方法。
【請求項54】
前記アスファルト添加剤が、
前記リン脂質材料を、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有する前記エポキシ化再生可能油又は脂肪と組み合わせることと、
前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪とを高剪断下で混合して、前記アスファルト添加剤ブレンドを得ることと、
を含む、ブレンド方法に従って得られた、アスファルト添加剤ブレンドである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ビチューメン及びアスファルト添加剤に1つ以上の追加の添加剤を組み合わせることを更に含む、請求項53又は54に記載の方法。
【請求項56】
アスファルトコンクリートの、剥離を低減若しくは防止し、接着を促進し、締固めを補助し、且つ/又は耐久性を改善するための方法であって、
リン脂質材料及びエポキシ化再生可能油又は脂肪を含むアスファルト添加剤をビチューメンに組み合わせて、アスファルトバインダーを得ることと、
前記アスファルトバインダーを鉱物骨材に組み合わせて、アスファルトコンクリートであって、
約0.25wt%~約8.0wt%の前記アスファルトバインダーを含む、アスファルトコンクリートを得ることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月6日に出願された米国特許仮出願第63/185,014号の利益を主張し、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、アスファルト用途で使用するためのアスファルト添加剤に関する。特に、本技術は、アスファルト用途において、ウォームミックスアスファルト(warm mix asphalt)添加剤として使用するための、又は剥離防止特性を改善するための、エポキシ化再生可能油又は脂肪及びリン脂質材料を含むアスファルト添加剤、並びにその製造方法及び使用方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、本技術は、リン脂質材料及びエポキシ化再生可能油又は脂肪を含むアスファルト添加剤を提供し、エポキシ化再生可能油又は脂肪は、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有する。
【0004】
一態様において、本技術は、アスファルト用途における剥離を低減又は防止するための、本明細書に記載されるアスファルト添加剤の使用を提供する。
【0005】
別の態様において、本技術は、アスファルト用途における締固め助剤としての、本明細書に記載のアスファルト添加剤の使用を提供する。
【0006】
別の態様において、本技術は、アスファルト用途における接着促進剤としての、本明細書に記載のアスファルト添加剤の使用を提供する。
【0007】
更に別の態様では、本技術は、アスファルト用途におけるウォームミックスアスファルト添加剤又はホットミックスアスファルト(hot mix asphalt)添加剤としての、本明細書に記載のアスファルト添加剤の使用を提供する。
【0008】
別の態様では、本技術は、ビチューメンと、本明細書に記載のアスファルト添加剤とを含むアスファルトバインダーを提供する。
【0009】
更に別の態様では、本技術は、約0.25wt%~約8.0wt%(アスファルトコンクリートの総重量に基づく)の本明細書に記載のアスファルトバインダーと、約92.00wt%~約99.75wt%(アスファルトコンクリートの総重量に基づく)の鉱物骨材とを含むアスファルトコンクリートを提供する。
【0010】
別の態様において、本技術は、本明細書に記載される安定なアスファルト添加剤ブレンドを調製するためのプロセスを提供する。安定なアスファルト添加剤ブレンドを調製する方法は、
リン脂質材料を、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有するエポキシ化再生可能油又は脂肪と組み合わせることと、
リン脂質材料とエポキシ化再生可能油又は脂肪とを高剪断下で混合して、アスファルト添加剤ブレンドを得ることと、
を含む。
【0011】
一態様において、本技術は、アスファルトバインダーを調製するための方法であって、ビチューメンをこれまでに記載されたアスファルト添加剤と組み合わせることを含む、方法を提供する。本方法は、リン脂質材料を、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有するエポキシ化再生可能油又は脂肪と組み合わせることと、リン脂質材料及びエポキシ化再生可能油又は脂肪を高剪断下で混合してアスファルト添加剤ブレンドを得ることと、を含む方法に従って調製されたアスファルト添加剤ブレンドを含んでもよい。
【0012】
別の態様において、本技術は、アスファルトコンクリートの剥離を低減若しくは防止し、接着を促進し、締固めを助け、且つ/又は耐久性を改善するための方法であって、
本明細書に記載のアスファルト添加剤をビチューメンに添加して、アスファルトバインダーを得ることと、
アスファルトバインダーを鉱物骨材に組み合わせて、アスファルトコンクリートを得ることと、を含む、方法を提供し、
アスファルトコンクリートは、約0.25wt%~約8.0wt%のアスファルトバインダー及び約92.00wt%~約99.75wt%の鉱物骨材を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】50wt%大豆レシチン/50wt%エポキシ化アマニ油(実施例2)についての粘度vs温度曲線を示す図である。
【
図2】実施例2に記載の脂肪酸材料を含む例示的なアスファルト添加剤ブレンドの粘度vs温度曲線を示す図である。
【
図3】アスファルトコンクリート中の50wt%大豆レシチン/50wt%エポキシ化アマニ油アスファルト添加剤(実施例6)について、ウォームミックスアスファルト(WMA)添加剤特性を評価するための温度の関数としてのDongre Workability Test(DWT)のグラフを示す図である。
【
図4】50wt%の大豆レシチン/50wt%のエポキシ化アマニ油アスファルト添加剤を含むアスファルトコンクリートについて、150℃での4週間の熱エージングの期間にわたって鉱物骨材上に保持されたコーティング%を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、開示される課題の特定の態様について詳細に言及する。開示される主題は、列挙される特許請求の範囲と共に説明されるが、例示される主題は、特許請求の範囲を開示される主題に限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。特定の態様とともに説明される1つの態様は、必ずしもその態様に限定されず、任意の他の態様(複数可)と共に実施され得る。
【0015】
本文書全体を通して、範囲形式で表される全ての値は、範囲の限度として明示的に列挙された数値を含むだけでなく、各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むように、柔軟に解釈されるべきである。任意の列挙された範囲は、同じ範囲が少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分解されることを十分に説明し、可能にするものとして容易に認識され得る。例えば、「約0.1%~約5%」又は「約0.1%~5%」の範囲は、約0.1%~約5%だけでなく、示された範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%、及び4%)並びに部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むと解釈されるべきである。また、当業者によって理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などの全ての言語は、列挙された数を含み、上述したようにその後部分範囲に分割することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲はそれぞれの個々のメンバーを含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」、並びに要素を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)同様の指示対象は、文脈が明確に別様に指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「置換基(a substituent)」への言及は、単一の置換基に加えて2つ以上の置換基などを包含する。本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、単数形の任意の用語は、その複数形の対応物を含んでもよく、逆もまた同様であることが理解される。
【0017】
更に、本明細書で用いられ、別段定義されない表現又は用語は、説明のみを目的とするものであり、限定を目的とするものではないことを理解されたい。セクションの見出しの任意の使用は、文書の読解を支援するように意図されており、限定として解釈されるべきではない。セクション見出しに関連する情報は、その特定のセクション内に存在する場合もあり、当該セクション外に存在する場合もある。この文書とこのように参照により組み込まれるそれらの文書との間で使用が一貫していない場合、組み込まれる参考文献における使用は、この文書のものを補足するものであると解釈されるべきである。相容れない矛盾の場合、この文書における使用を優先する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「など(such as)」、又は「含む(including)」という用語は、より全般的な主題を更に明確にする例を導入することを意味する。特に断らない限り、これらの例は、本開示において例証される用途を理解するための補助としてのみ提供され、いかなる方法でも限定することを意味するものではない。
【0019】
本明細書に記載される方法では、これらの行為は、本明細書に列挙される特定の順序で実行することができる。代替的に、本明細書に開示される任意の態様(複数可)では、時間的又は動作的な順番が明示的に列挙されている場合を除いて、本開示の原理から逸脱することなくいかなる順序で特定の行為を実行してもよい。更に、明示的な請求項の言語が、それらが別々に実行されることを明記していない限り、又は請求項の明白な意味が必要としない限り、指定された動作は同時に実行され得る。例えば、Xを行う請求された行為及びYを行う請求された行為を単一の動作内で同時に実施することができ、結果として得られるプロセスは、請求されるプロセスの逐語的な範囲内に入る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変動する。当業者に明確でない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約」は、特定の用語のプラス又はマイナス10%までを意味する。
【0021】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、少なくとも約85%のように、大部分、又はほとんどを指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、以下の用語は、そうではないことが明示的に記載されていない限り、以下の意味を有する。
【0023】
本明細書で使用される「再生可能油又は脂肪」という用語は、植物、動物、又は微生物源から得られる油又は脂肪を指す。「再生可能油又は脂肪」という用語は、別段の指示がない限り、再生可能油及び脂肪誘導体を含む。典型的には、再生可能油又は脂肪は、トリアシルグリセリドである。再生可能油の例としては、植物油、藻油、動物脂、トール油、これらの油の誘導体、これらの油のいずれかの組合せなどが挙げられるが、これらに限定されない。植物油の代表的な非限定例としては、キャノーラ油、菜種油、ココナッツ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム核油、桐油、ジャトロファ油、カラシ油、カメリナ油、ペニークレス油、大麻油、藻油、ホホバ油、及びヒマシ油が挙げられる。動物源の代表的な非限定的な例としては、ラード、獣脂、家禽脂肪、黄色グリース及び魚油などの動物脂肪が挙げられる。トール油は、木材パルプ製造の副産物である。本明細書で使用される場合、「植物油」は、野菜及び/又は油糧種子に由来する油を指す。典型的には、再生可能油又は脂肪は、精製、漂白、及び/又は脱臭されてもよい。再生可能油又は脂肪は、個々に又はそれらの混合物として存在してもよい。再生可能油又は脂肪は改質されていてもよく、例えば、再生可能油又は脂肪は、エポキシ化された、水素化された、及び/又は分留された再生可能油又は脂肪であり得る。
【0024】
「エポキシ化」又は「オキシラン」という用語は、以下に示されるエポキシド(又はエポキシ)環の存在を指す。
【0025】
【0026】
「エポキシ化再生可能油又は脂肪」という用語は、脂肪酸炭化水素鎖に沿ってエポキシド環官能基の存在を有する、本明細書に記載の再生可能油又は脂肪を指す。典型的には、本明細書に記載のエポキシ化再生可能油又は脂肪は、再生可能油又は脂肪を高含有量の不飽和脂肪酸又は脂肪酸誘導体(すなわち、ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)、モノ不飽和脂肪酸(MUFA)など)で改質することによって得ることができる。高PUFA及び/又はMUFA含有量を有する例示的な再生可能油又は脂肪としては、大豆油及びアマニ油を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、再生可能油及び脂肪は、過酸で処理することによってエポキシ化することができる。再生可能油又は脂肪が高濃度のジエポキシ脂肪酸鎖及びトリエポキシ脂肪酸鎖を有するようにエポキシド含有量を増加させるために、再生可能油又は脂肪をエポキシ化及び分留してもよい。
【0027】
用語「オキシラン含有量」又は「エポキシオキシラン含有量」(EOC)は、総分子量に対する総オキシラン官能基分子量の合計の総分子量の比を指し、パーセント(%)EOCとして表される。
【0028】
「アシルグリセリド」は、エステル結合を介して連結された少なくとも1つの脂肪酸残基を有する少なくとも1つのグリセロール部分を有する分子を指す。例えば、アシルグリセリドは、モノアシルグリセリド、ジアシルグリセリド、及びトリアシルグリセリドを含むことができる。アシルグリセリドという群は、更なる記述用語によって更に絞り込むことができ、特定の小集団のアシルグリセリドを明示的に除くか又は含むように修飾することができる。
【0029】
「モノアシルグリセリド」は、エステル結合を介して連結された単一の脂肪酸残基を有するグリセロール部分を有する分子を指す。用語「モノアシルグリセロール」、「モノアシルグリセリド」、「モノグリセリド」、及び「MAG」は、本明細書において互換的に使用される。モノアシルグリセリドとしては、2-アシルグリセリド及び1-アシルグリセリドが挙げられる。
【0030】
「ジグリセリド」は、エステル結合を介して連結された2つの脂肪酸残基を有するグリセロール部分を有する分子を指す。用語「ジアシルグリセロール」、「ジアシルグリセリド」、「ジグリセリド」、及び「DAG」は、本明細書において互換的に使用される。ジアシルグリセリドとしては、1,2-ジアシルグリセリド及び1,3-ジアシルグリセリドが挙げられる。
【0031】
「トリアシルグリセリド」は、エステル結合を介して3つの脂肪酸残基に連結されたグリセロール部分を有する分子を指す。用語「トリアシルグリセロール」、「トリアシルグリセリド」、「トリグリセリド」、及び「TAG」は、本明細書において互換的に使用される。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「脂肪酸」は、炭化水素鎖及び末端カルボン酸基を含む分子を指し得る。本明細書で使用するとき、脂肪酸のカルボン酸基は、例えば脂肪酸がグリセリド又は別の分子に組み込まれたときに生じるように修飾又はエステル化(例えば、COOR(式中、Rは、例えば炭素原子を指す))されてもよい。あるいは、カルボン酸基は、遊離脂肪酸又は塩の形態(すなわち、COO”又はCOOH)であってもよい。脂肪酸の「尾部」又は炭化水素鎖はまた、脂肪酸鎖、脂肪酸側鎖、又は脂肪鎖と呼ばれる場合もある。脂肪酸の炭化水素鎖は、典型的には、飽和又は不飽和脂肪族基である。N個の炭素数を有する脂肪酸は、典型的には、N-1個の炭素を有する脂肪酸側鎖を有する。しかしながら、本出願はまた、脂肪酸の修飾形態、例えば、エポキシ化脂肪酸にも関し、したがって、脂肪酸という用語は、記載されるように脂肪酸が置換されているか、又は別の方法で修飾されている状況で使用されてもよい。
【0033】
「脂肪酸残基」は、アシル又はエステル化形態の脂肪酸である。
【0034】
「飽和」脂肪酸は、炭化水素鎖に炭素-炭素二重結合を全く含有しない脂肪酸である。「不飽和」脂肪酸は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を含有する。「多価不飽和」脂肪酸は、2つ以上のこのような炭素-炭素二重結合を含有し、他方、「一不飽和」脂肪酸は、1つの炭素-炭素二重結合のみを含有する。炭素-炭素二重結合は、シス及びトランスで示される2つの立体配置のうちの1つであってよい。天然に生じる不飽和脂肪酸は、概して「シス」形態である。エポキシ化再生可能油又は脂肪は、シス又はトランス炭素-炭素二重結合から形成される1つ以上のエポキシド環を含み得る。
【0035】
脂肪酸の非限定的な例としては、C8、C10、C12、C14、C16(例えば、C16:0、C16:1)、C18(例えば、C18:0、C18:1、C18:2、C18:3、C18:4)、C20及びC22脂肪酸が挙げられる。例えば、脂肪酸は、カプリル酸(8:0)、カプリン酸(10:0)、ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(16:0)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、及びリノレン(18:3)酸であり得る。
【0036】
油の脂肪酸組成は、当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。米国油化学会(The American Oil Chemist’s Society、AOCS)は、植物油に対して実施される多種多様な試験のための分析方法を維持管理している。遊離脂肪酸を製造するための油成分の加水分解、遊離脂肪酸のメチルエステルへの変換、及び気液クロマトグラフィ(gas-liquid chromatography、GLC)による分析が、油試料の脂肪酸組成を決定するための一般的に受け入れられている標準的な方法である。AOCS(2009)Ce 1-62には、使用される手順が記載されている。
【0037】
「剥離防止」又は「剥離防止すること」という用語は、アスファルトバインダーと鉱物骨材との間の接着を改善する添加剤を指す。剥離防止添加剤の使用は、水分の存在下でのアスファルトバインダーと鉱物骨材との間のより耐久性のある結合をもたらし、鉱物骨材上のアスファルトコーティングの「剥離」又は喪失に対してより耐性のある組合せを作製する。
【0038】
本明細書で使用される「ヨウ素価」(一般にIVと略される)という用語は、化学物質100グラムによって消費されるヨウ素のグラム単位の質量である。ヨウ素価は、脂肪、油及びワックス中の不飽和の量を決定するためにしばしば使用される。脂肪酸において、不飽和は主に二重結合として生じ、これはハロゲン、この場合はヨウ素に対して非常に反応性である。したがって、ヨウ素価が高いほど、より多くの不飽和が試料中に存在する。材料のヨウ素価は、標準的な周知のWijs法(AOCS(1993)Cd 1-25)によって決定することができる。
【0039】
アスファルト舗装の製造及び締固めの温度を低下させるために、ウォームミックスアスファルト(WMA)添加剤が使用される。これらの添加剤は、多くの場合、アスファルトミックス中の鉱物骨材をコーティングするアスファルトバインダーの能力を改善するのに役立ち、より低い機械的又は熱エネルギー要件で、ローラ下での混合物のより容易な締固めを可能にする。多くの場合、そのような添加剤は、アスファルトと骨材との間の接着性、及び水分の存在下での剥離に抵抗するコーティングの能力も改善することが望ましい。WMA添加剤の影響は、アスファルトミックスの締固め速度及び密度達成を修正するその能力によって実証することができる。これらの添加剤は、アスファルトバインダーの一部としてビチューメンにブレンドされることが多い。
【0040】
種々のWMA添加剤の作用機構を説明するために、バインダーの可塑化及び骨材間の内部摩擦の低減を含む種々の理論が提案されているが、機構の正確な性質を明確に決定することは困難である。したがって、WMA特性の議論は、特定の機構理論に束縛されることなく行われる。
【0041】
アスファルトコンクリートの耐久性及び品質の骨格は、ビチューメンと鉱物骨材との間の界面に存在する接着性である。ビチューメンと鉱物骨材との間の接着は、繰り返しの交通荷重、天候、及び舗装ミックスのわだち掘れなどの疲労亀裂及び歪みを含む様々な形態で現れる可能性がある水分損傷を含む多くの要因によって、経時的に弱められる可能性がある。舗装の水分感受性は、アスファルトコンクリート舗装における損傷の主要な寄与因子の1つである。水分は、鉱物骨材の細孔に浸透し、鉱物骨材表面からビチューメン膜を移動させることによって剥離を引き起こす可能性がある。接着力の喪失に起因する剥離は、最終的に舗装の早期破損につながる可能性がある。
【0042】
本技術は、アスファルト用途に組み込まれた全体的な性能特性を改善する、エポキシ化再生可能油又は脂肪及びリン脂質材料を含むアスファルト添加剤、並びにその製造方法及び使用方法に関する。
【0043】
アスファルト添加剤
一態様では、本技術は、リン脂質材料及びエポキシ化再生可能油又は脂肪を含むアスファルト添加剤を提供し、エポキシ化再生可能油又は脂肪は、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有する。
【0044】
アスファルト添加剤は、約5:1~約1:5のリン脂質材料とエポキシ化再生可能油又は脂肪との重量比を有し得る。例えば、重量比は、約5:1~約1:5、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、又は約1:1であってもよい。好適な重量比は、約5:1、約4.5:1、約4:1、約3.5:1、約3:1、約2.5:1、約2:1、約1.5:1、約1:1、約1:1.5、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約1:4.5、約1:5、あるいは前述の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲を含んでもよい。
【0045】
本技術のアスファルト添加剤は、リン脂質材料を約10.0wt%~約80.0wt%の量で含んでもよい。例えば、リン脂質材料は、約10.0wt%~約80.0wt%、約10.0wt%~約60wt%、約40.0wt%~約60.0wt%、又は約45.0wt%~約55wt%の量で存在し得る。リン脂質材料は、約10.0wt%、約15.0wt%、約20.0wt%、約25.0wt%、約30wt%、約35wt%、約40.0wt%、約45.0wt%、約50.0wt%、約55.0wt%、約60.0wt%、約65.0wt%、約70.0wt%、約75.0wt%、約80.0wt%、あるいは前述の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲の量で存在してもよい。
【0046】
本明細書で使用される「リン脂質材料」という用語は、リン脂質を含有する材料を指す。リン脂質は、一般的に、2つの脂肪酸及びリン酸又はリン酸エステルにエステル化されたグリセロール又はスフィンゴシン骨格を有する脂質として特徴付けられる。リン脂質材料のリン脂質は、リン脂質誘導体を更に含んでもよい。例えば、適切なリン脂質誘導体としては、加水分解リン脂質、アセチル化リン脂質、エポキシ化リン脂質、ヒドロキシル化リン脂質、又はそれらの混合物が挙げられ得る。典型的には、本明細書に記載されるリン脂質材料は、リン脂質材料の総重量に基づいて、少なくとも約50wt%~100wt%のリン脂質を含み得る。例えば、リン脂質材料は、少なくとも約50wt%~100wt%、少なくとも約60wt%~100wt%、少なくとも約70wt%~100wt%、少なくとも約80wt%~100wt%、少なくとも約90wt%~100wt%を含んでもよい。
【0047】
リン脂質は、天然リン脂質、合成リン脂質、又はそれらの組合せであってもよい。本明細書に記載されるように、天然リン脂質は、植物、動物、又は微生物源由来のリン脂質であり得る。例えば、リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
リン脂質材料は、リン脂質源としてレシチン材料を含んでもよい。本明細書で使用される「レシチン」又は「レシチン材料」という用語は、アセトン不溶性リン脂質単独の、又は脂肪酸、トリグリセリド、ステロール、炭水化物、糖脂質、及び水を含むがこれらに限定されない様々な他の化合物と一緒の複合混合物を指す。レシチン組成物中のリン脂質含有量は、当業者に公知のアセトン不溶性試験方法(AOCS(2017)Method Ja 4-46など)を使用して測定される。レシチンは、植物源(植物油など)、動物源(卵及びウシ脳など)、又は微生物源を含むがこれらに限定されない様々な源から得ることができる。例えば、適切なレシチン源としては、大豆レシチン、菜種レシチン、ヒマワリ種子レシチン、卵レシチン、ピーナッツレシチン、コーンレシチン、ウシ脳レシチン、ホホバレシチン、又はこれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。前述のレシチン源に関して、リン脂質材料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,689,406号に記載されているように、脂肪酸及びホスファチジル材料を含有する粗精製流から得ることができる。追加的に又は代替的に、レシチンは修飾レシチンであってもよい。例えば、修飾レシチンは、水素化レシチン、エポキシ化レシチン、脱油レシチン、又はそれらの混合物を含み得るが、これらに限定されない。
【0049】
レシチン材料は、レシチン材料の総重量に基づいて約5wt%~100wt%のアセトン不溶性物質を含んでもよい。アセトン不溶性材料の好適な量は、約5wt%~100wt%、約5wt%~約75wt%、約30wt%~約70wt%、又は約40wt%~約65wt%を含んでもよい。例えば、レシチン材料は、アセトン不溶性物質を、約5wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、約30wt%、約35wt%、約40wt%、約45wt%、約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約85wt%、約90wt%、約95wt%、100wt%、あるいは上記の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲の量で含み得る。
【0050】
アスファルト添加剤は、アスファルト添加剤の総重量に基づいて、約10.0wt%~約80.0wt%のエポキシ化再生可能油又は脂肪を含んでもよい。例えば、エポキシ化再生可能油又は脂肪は、約10.0wt%~約80.0wt%、約10.0wt%~約60.0wt%、約40.0wt%~約60.0wt%、又は約45.0wt%~約55wt%の量で存在してもよい。典型的には、アスファルト添加剤は、エポキシ化再生可能油又は脂肪を、約10.0wt%、約15.0wt%、約20.0wt%、約25.0wt%、約30wt%、約35wt%、約40.0wt%、約45.0wt%、約50.0wt%、約55.0wt%、約60.0wt%、約65.0wt%、約70.0wt%、約75.0wt%、約80.0wt%、あるいは前述の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲の量で含み得る。
【0051】
エポキシ化再生可能油又は脂肪は、約1.0%~約15.0%、約4.0%~約12.0%、約6.0%~約10.0%、約8.0%~約10.0%、あるいは前述の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲のオキシラン含有量を有し得る。エポキシ化再生可能油又は脂肪の適切なオキシラン含有量は、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%、約10.0%、約11.0%、約12.0%、約13.0%、約14.0%、約15.0%、あるいは前述の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲を含み得る。
【0052】
エポキシ化再生可能油又は脂肪は、エポキシ化脂肪酸又はエポキシ化脂肪酸誘導体を含む。例えば、エポキシ化脂肪酸又はエポキシ化脂肪酸誘導体としては、エポキシ化植物油、エポキシ化アセチル化アシルグリセリド、エポキシ化脂肪酸エステル、エストリド、又はこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0053】
エポキシ化再生可能油又は脂肪は、エポキシ化大豆油、エポキシ化キャノーラ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆メチルエステル、エポキシ化アマニメチルエステル、エポキシ化トール油脂肪酸(TOFA)、エポキシ化アセチル化トリアシルグリセロール、エポキシ化アセチル化ジアシルグリセロール、エポキシ化アセチル化モノアシルグリセロール、エポキシ化2-エチルヘキシルソイエート、エポキシ化2-エチルヘキシルTOFA、エポキシ化イソアミルソイエート、エポキシ化イソアミルパームステアリン、エポキシ化イソアミルTOFA、エポキシ化イソアミルソイエート、エポキシ化大豆メチルエステル酢酸エストリド、エポキシ化ホホバ油、又はこれらの混合物を含んでもよい。典型的には、エポキシ化再生可能油又は脂肪は、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化キャノーラ油、又はこれらの混合物を含んでもよい。例えば、エポキシ化再生可能油又は脂肪は、エポキシ化大豆油であってもよい。別の例では、エポキシ化再生可能油又は脂肪は、エポキシ化アマニ油であってもよい。
【0054】
エポキシ化再生可能油又は脂肪は、分留を受けてもよく、又は分留されたエポキシ化再生可能油又は脂肪であってもよい。本明細書で使用される場合、「分留」という用語は、再生可能油又は脂肪を、硬度及び融点を含む異なる特性を有するいくつかの留分に分離するプロセスを指す。
【0055】
本明細書に記載のアスファルト添加剤は、大豆油、アマニ油、キャノーラ油、又はこれらの混合物などの脂肪酸材料を更に含んでもよい。典型的には、アスファルト添加剤は、アスファルト添加剤の総重量に基づいて約0.1wt%~約40.0wt%の脂肪酸材料を含んでもよい。脂肪酸材料の好適な量としては、約0.1wt%、約1.0wt%、約5.0wt%、約10.0wt%、約15.0wt%、約20.0wt%、約25.0wt%、約30.0wt%、約35.0wt%、約40.0wt%、あるいは前述の主張の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲が挙げられ得る。例えば、脂肪酸材料は分留された脂肪酸材料であってもよい。
【0056】
本明細書に記載のアスファルト添加剤は、例えば、アスファルト添加剤がアスファルト用途で使用する前にプレブレンドされる場合、典型的には、25℃で約20cSt~約10,000cStの粘度を有する。25℃での好適な粘度としては、約20cSt、約30cSt、約40cSt、約50cSt、約60cSt、約70cSt、約80cSt、約90cSt、約100cSt、約200cSt、約300cSt、約400cSt、約500cSt、約600cSt、約700cSt、約800cSt、約900cSt、約1,000cSt、約1,500cSt、約2,000cSt、約2,500cSt、約3,000cSt、約3,500cSt、約4,000cSt、約4,500cSt、約5,000cSt、約5,500cSt、約6,000cSt、約6,500cSt、約7,000cSt、約7,500cSt、約8,000cSt、約8,000cSt、約8,500cSt、約9,000cSt、約9,500cSt、約10,000cSt、あるいは前述の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲が挙げられ得る。
【0057】
本発明者らは、本技術によるアスファルト添加剤が、アスファルト用途に組み込まれた場合に、1つ以上の性能特性を予想外に改善することを発見した。例えば、本明細書に記載されるアスファルト添加剤は、接着促進、剥離防止、ウォームミックスアスファルト添加剤、ホットミックスアスファルト添加剤、締固め助剤、及びアスファルトミックスの耐久性を含む、アスファルト又はアスファルトコンクリートの全体的性能の驚くべき向上を示す。
【0058】
本明細書に記載されるアスファルト添加剤は、典型的には、アスファルト用途において向上した接着促進を示す。
【0059】
本明細書に記載されるアスファルト添加剤は、典型的には、アスファルト用途において向上した剥離防止性を示す。
【0060】
本明細書に記載されるアスファルト添加剤は、典型的には、アスファルト用途における締固めを改善する。
【0061】
本明細書に記載のアスファルト添加剤は、典型的には、アスファルト用途におけるアスファルトミックスの耐久性を改善する。
【0062】
本明細書に記載のアスファルト添加剤は、典型的には、ウォームミックスアスファルト添加剤である。
【0063】
あるいは、本明細書に記載のアスファルト添加剤は、ホットミックスアスファルト添加剤であってもよい。
【0064】
一態様において、本技術は、アスファルト用途における剥離を低減又は防止するための、本明細書に記載されるアスファルト添加剤の使用を提供する。
【0065】
別の態様において、本技術は、アスファルト用途における締固め助剤としての、本明細書に記載のアスファルト添加剤の使用を提供する。
【0066】
別の態様において、本技術は、アスファルト用途における接着促進剤としての、本明細書に記載のアスファルト添加剤の使用を提供する。
【0067】
更に別の関連する態様では、本技術は、アスファルト用途におけるウォームミックスアスファルト添加剤又はホットミックスアスファルト添加剤としての、本明細書に記載のアスファルト添加剤の使用を提供する。例えば、アスファルト添加剤の使用は、ウォームミックスアスファルト添加剤としてである。別の例において、アスファルト添加剤の使用は、ホットミックスアスファルト添加剤としてである。
【0068】
アスファルトバインダー
別の態様では、本技術は、ビチューメンと、本明細書に記載のアスファルト添加剤とを含むアスファルトバインダーを提供する。一般に、本技術のアスファルト添加剤は、リン脂質材料及びエポキシ化再生可能油又は脂肪を含み、エポキシ化油及び脂肪は、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有する。本技術の目的のために、「ビチューメン」又は「アスファルト」という用語は、アスファルトコンクリートのバインダー相を指し、主に高分子量極性炭化水素種(例えば、アスファルテン)から構成される、天然の、リサイクルされた、又は製造された黒色又は暗色の、固体、半固体、樹脂状又は粘性のセメント質物質のクラスであり、そのうちアスファルト、タール、ピッチ、及びアスファルタイトが典型的である。(Asphalt,Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons Inc.)。
【0069】
アスファルトバインダーは、アスファルトバインダーの総重量に基づいて、約0.1wt%~約3.0wt%の本明細書に記載のアスファルト添加剤を含んでもよい。例えば、アスファルト添加剤は、アスファルトバインダー中に、約0.1wt%~約3.0wt%、約0.1wt%~約2.0wt%、約0.1wt%~約1.5wt%、約0.3wt%~約1.0wt%、又は約0.3wt%~約0.7wt%の量で存在し得る。アスファルト添加剤の好適な量は、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1.0wt%、約1.5wt%、約2.0wt%、約2.5wt%、約3.0wt%、あるいは前述の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲を含み得る。
【0070】
アスファルトバインダーは、アスファルトバインダーの総重量に基づいて約97.0wt%~約99.9wt%のビチューメンを含むことができる。アスファルトバインダー中に存在するビチューメンの好適な量としては、約97.0wt%、約97.5wt%、約98.0wt%、約98.5wt%、約99.0wt%、約99.1wt%、約99.2wt%、約99.3wt%、約99.4wt%、約99.5wt%、約99.6wt%、約99.7wt%、約99.8wt%、約99.9wt%、あるいは前述の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲が挙げられ得る。
【0071】
本明細書に記載されるアスファルトバインダーは、アスファルト用途に適した1つ以上の追加の添加剤を更に含んでもよい。例えば、1つ以上の追加の添加剤としては、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性プラストマーポリマー(スチレン-ブタジエン-スチレン、エチレン酢酸ビニル、官能化ポリオレフィンなど)、ポリリン酸(PPA)、剥離防止添加剤(アミンベース、ホスフェートベースなど)、ウォームミックス添加剤、乳化剤、繊維、重合油(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0044525号に記載される重合油など)、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書に記載されるアスファルトバインダーは、PPAを更に含んでもよい。典型的には、アスファルトバインダーは、アスファルトバインダーの総重量に基づいて約0.1wt%~約5.0wt%のPPAを含み得る。例えば、アスファルトバインダーは、PPAを、約0.1wt%、約0.5wt%、約1.0wt%、約1.5wt%、約2.0wt%、約2.5wt%、約3.0wt%、約3.5wt%、約4.0wt%、約4.5wt%、約5.0wt%、あるいは前述の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲の量で含んでもよい。
【0073】
アスファルトコンクリート
更に別の態様では、本技術は、約0.25wt%~約8.0wt%(アスファルトコンクリートの総重量に基づく)の本明細書に記載のアスファルトバインダーと、約92.00wt%~約99.75wt%(アスファルトコンクリートの総重量に基づく)の鉱物骨材とを含むアスファルトコンクリートを提供する。本明細書に記載されるように、アスファルトバインダーは、ビチューメンと、リン脂質材料及びこれまでに記載されたような約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有するエポキシ化再生可能油又は脂肪を含むアスファルト添加剤とを含む。
【0074】
本明細書に記載されるアスファルトコンクリートは、アスファルトの総重量に基づいて、約0.25wt%~約8.0wt%、約0.25wt%~約6.5wt%、約0.25wt%~約5.0wt%、約0.30wt%~約4.0wt%、又は約0.5wt%~約3.5wt%のアスファルトバインダーを含んでもよい。例えば、アスファルトバインダーは、アスファルトコンクリート中に、約0.25wt%、約0.30wt%、約0.40wt%、約0.50wt%、約0.60wt%、約0.70wt%、約0.80wt%、約0.90wt%、約1.0wt%、約1.5wt%、約2.0wt%、約2.5wt%、約3.0wt%、約3.5wt%、約4.0wt%、約4.5wt%、約5.0wt%、約5.5wt%、約6.0wt%、約6.5wt%、約7.0wt%、約7.5wt%、約8.0wt%、あるいは前述の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲の量で存在し得る。
【0075】
「鉱物骨材」とは、アスファルトコンクリートの粘土、砂、砂利、砕石、スラグ、又は岩粉を含むがこれらに限定されない、固体で一般に不活性な荷重支持成分を指す。鉱物骨材は、その炭酸カルシウム含有量によって更に特徴付けられてもよい。本技術の目的のために、鉱物骨材の炭酸カルシウム濃度を決定して、骨材の化学的性質を分類することができる。石灰石の主成分は炭酸カルシウムであり、これは、過剰量の酸を未知の塩基性骨材に添加し、次いで標準化NaOHを用いて終点まで滴定することを含む逆滴定によって決定することができる。典型的には、アスファルト用途に使用される鉱物骨材は、本明細書に記載されるような骨材の1つ以上の供給源(例えば、石、岩、砂利など)の結果であってもよく、これらのそれぞれは、様々な鉱物骨材等級に適合するように更に破砕、ふるい分け、又は等級分けされてもよい。アスファルト用途で使用される鉱物骨材等級は、一般に、用途に応じて、「高密度等級」、「ギャップ等級」、「高等級」、及び「低等級」などの用語で分類される。アスファルト用途における鉱物骨材の等級は、典型的には、等級の一部を保持する最大ふるい開口サイズによって定義される。例えば、最大サイズは、1.5インチ、1インチ、3/4インチ、及び1/2インチのふるいサイズを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0076】
アスファルトコンクリートは、鉱物骨材を、約92.00wt%、約92.50wt%、約93.00wt%、約93.50wt%、約94.00wt%、約94.50wt%、約95.00wt%、約95.50wt%、約96.00wt%、約96.50wt%、約97.00wt%、約97.50wt%、約98.0wt%、約98.5wt%、約99.0wt%、約99.25wt%、約99.50wt%、約99.75wt%、あるいは前述の値の任意の2つを含む及び/又はその間の任意の範囲の量で含んでもよい。
【0077】
アスファルトコンクリートは、リサイクル材料を更に含んでもよい。例えば、再生材料は、再生瀝青材料、再生骨材、再生アスファルト舗装(RAP)粉砕物、再生アスファルトシングル(RAS)、又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0078】
方法
別の態様において、本技術は、安定なアスファルト添加剤ブレンドを調製するためのプロセスを提供する。安定なアスファルト添加剤ブレンドを調製する方法は、
リン脂質材料を、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有するエポキシ化再生可能油又は脂肪と組み合わせることと、
リン脂質材料とエポキシ化再生可能油又は脂肪とを高剪断下で混合して、アスファルト添加剤ブレンドを得ることと、
を含む。
【0079】
本発明者らは、エポキシ化再生可能油又は脂肪をリン脂質材料と組み合わせるための本発明のスケーラブルな方法が、均質且つ貯蔵安定性のアスファルト添加剤ブレンドを生成することを発見した。本発明者らは、エポキシ化再生可能油及び脂肪をリン脂質含有材料(レシチンなど)と低剪断ブレンド下で混合すると、粘度の有意な増加及びゲル化生成物の形成を観察した。このようなエポキシ化油/リン脂質材料ブレンドは貯蔵安定性ではなく、数日で物質の相分離を生じたが、これは非エポキシ化植物油を用いたブレンドでは起こらなかった。本発明者らは、予想外にも、エポキシ化再生可能油又は脂肪をリン脂質材料と徐々に組み合わせ、実験室ベンチトップホモジナイザー又は高剪断ミル(例えば、IKA Ultra Turrax T50 basic又はBenedict 3450rpm 2HP)によって提供されるような高剪断エネルギー下で混合すると、経時的に目に見えるゲル相の形成又はあらゆる明らかな相分離なしに、安定且つ低粘度のアスファルト添加剤ブレンドが得られることを発見した。
【0080】
得られたアスファルト添加剤ブレンドは、本明細書に記載のアスファルト添加剤と一致している。例えば、アスファルト添加剤ブレンドは、約5:1~約1:5のリン脂質材料とエポキシ化再生可能油又は脂肪との重量比を含んでもよい。本技術のアスファルト添加剤ブレンドは、アスファルト添加剤ブレンドの総重量に基づいて約10.0wt%~約80.0wt%の量でリン脂質材料を含んでもよい。本明細書に記載されるアスファルト添加剤ブレンドは、アスファルト添加剤ブレンドの総重量に基づいて、約10.0wt%~約80.0wt%のエポキシ化再生可能油又は脂肪を含んでもよい。エポキシ化再生可能油又は脂肪は、分留されたエポキシ化再生可能油又は脂肪であってもよい。
【0081】
本方法は、リン脂質材料及びエポキシ化再生可能油又は脂肪を、本明細書に記載の脂肪酸材料と組み合わせることを更に含んでもよい。例えば、アスファルト添加剤ブレンドは、アスファルト添加剤ブレンドの総重量に基づいて約0.1wt%~約40.0wt%の脂肪酸材料を含んでもよい。
【0082】
本明細書に記載のアスファルト添加剤ブレンドは、25℃で約20cSt~約10,000cStの粘度を有してもよい。
【0083】
一態様において、本技術は、ビチューメンを本明細書に記載のアスファルト添加剤と組み合わせることを含む、アスファルトバインダーを調製する方法を提供する。例えば、本方法は、リン脂質材料を、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有するエポキシ化再生可能油又は脂肪と組み合わせることと、リン脂質材料及びエポキシ化再生可能油又は脂肪を高剪断下で混合してアスファルト添加剤ブレンドを得ることと、を含む方法に従って調製されたアスファルト添加剤ブレンドを含んでもよい。
【0084】
別の態様では、本技術は、アスファルトコンクリートの剥離を低減若しくは防止し、接着を促進し、締固めを補助し、且つ/又は耐久性を改善するための方法であって、
本明細書に記載のアスファルト添加剤をビチューメンに添加して、アスファルトバインダーを得ることと、
アスファルトバインダーを鉱物骨材に組み合わせて、アスファルトコンクリートを得ることと、を含む、方法を提供し、
アスファルトコンクリートは、約0.25wt%~約8.0wt%のアスファルトバインダー及び約92.00wt%~約99.75wt%の鉱物骨材を含む。
【0085】
このように一般的に記載された本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解されるが、これらの実施例は例示のために提供され、本発明を限定することを意図しない。
【実施例】
【0086】
実施例1-エポキシ化植物油及びメチルエステルの調製。
本明細書に記載の植物油は、過酸化水素及びギ酸によってその場で形成された過酸によってエポキシ化された。所望量の植物油及びギ酸(0.5mol対1molの二重結合)を、熱電対、窒素ライン、還流凝縮器、添加漏斗、及びオーバーヘッド撹拌機を備えた四つ口丸底フラスコに装入した。反応器を65℃に加熱した後、過酸化水素(35v/v%、二重結合1mol当たり1.8molの過酸化物)を添加漏斗を介して2~3時間かけて反応物に滴下する。添加が完了した後、ヨウ素価が0g I2/100gに達するか又は安定化するまで反応を継続する。次いで、生成物を水で2回洗浄し、20torrの真空下、65℃で乾燥させ、これにより、薄黄色から淡黄色の液体が得られる。
【0087】
実施例2-安定なエポキシ化アマニ油及び大豆レシチンブレンド(ウォームミックス添加剤ブレンド)の一般的な調製。
ある量の大豆レシチン(SL)を、高剪断混合条件下で9.50%のオキシラン含有量を有するある量のエポキシ化アマニ油(ELO)にゆっくりと組み込んで、1:1重量比の添加剤を得た。温度範囲にわたるSL/ELO添加剤ブレンドの粘度を、動的剪断レオメータ(DSR)を用いて測定した。DSRは、試験されたアスファルトバインダーの粘弾性挙動などのアスファルトバインダーの異なる特性を測定及び計算する。温度を50℃から-20℃に下げながら、一定の剪断速度を試料に適用した。直径25mmの大きさの試料を試験用に作製した。
図1に示すように、SL/ELO添加剤は、25℃で約2500cStの粘度を示す。
【0088】
上記手順に従って、エポキシ化大豆メチルエステル(ESME)を更に組み込んだSL/ELO添加剤を調製して、1:1:0.5の重量比を有するSL:ELO:ESME添加剤を得た。
【0089】
粘度掃引
上述のSL/ELO添加剤ブレンド及び第3の植物油成分を含有する様々なSL/ELOブレンドの粘度測定は、DSRを用いて決定した。温度を50℃から-20℃に下げながら、一定の剪断速度を試料に適用した。25mm直径サイズの試料を試験のために作製した。
図2に示すように、SL/ELO添加剤ブレンドは、追加の10%大豆油(SBO)、20%SBO、及び大豆メチルエステル(SME)を含む添加剤と比較して、より低い全体粘度を示した。したがって、測定は、レシチン/エポキシ化再生可能油又は脂肪アスファルト添加剤ブレンドが、驚くべきことに、エポキシ化再生可能油又は脂肪及び非エポキシ化再生可能油又は脂肪の混合物を有する添加剤よりも改善されたより低い粘度を示すことを示唆する。
【0090】
実施例3-引張強度比(TSR)試験を用いた相乗的接着促進特性の評価。
この実施例では、実施例2の50/50 SL/ELO添加剤ブレンドの相乗効果を、ドロマイト質石灰石骨材を用いて作製したホットミックスアスファルトについてのTSR試験(ASTM D4867-09(2014))によって評価した。TSR測定は、アスファルトミックスの構造的完全性を評価する。TSR値は、水分レジメン後の試料アスファルトミックスの間接引張強度(psi)と、調整されていない乾燥アスファルトミックスの間接引張強度との間の比である:TSR(%)=(試験試料の間接引張強度÷調整されていない乾燥アスファルトミックスの間接引張強度)×100。TSR値は、ASTM D4867-09(2014)によって決定されるような、締固めされた試料の水分誘発損傷に対する耐性の尺度である。
【0091】
間接引張強度(psi)は、材料が破損前に耐えることができる圧縮力(又は最大荷重)の量の尺度である。間接引張強度は、最大荷重(例えば、ポンド)を試験試料の断面積(例えば、mm2)で割ったものとして計算される。アスファルトの各試験試料についての間接引張強度値を得るために、締固め試料(試験試料及び未調整乾燥アスファルトミックス試料)を調製し、間接引張強度測定器のベアリングプレートによって加えられる圧縮力に供し、試験試料の破損(すなわち、亀裂)前の最大荷重を記録した。最大荷重は、試験試料中のアスファルトバインダーと骨材との間の接着強度の尺度である引張強度に正比例する。より高い引張強度は、試験試料のより強い剛性を示す。
【0092】
より高いTSRは、所与の混合物におけるより低い水分損傷影響を示す。この例では、SL系組成物は、SLの粘度を低下させるために30wt%の植物油可塑剤とブレンドされた70wt%のSLを含有する。以下の表1に示されるように、SL及びELOブレンドは、対照(添加剤なし)及びSLベースのアスファルトミックス、又はELO及びSLベースの添加剤の個々の性能の予測線形平均よりも大きなTSR改善を実証し、前述の成分をブレンドすることの相乗効果を示した。
【0093】
表1は、ドロマイト骨材について、SLベースの添加剤がTSRの改善を提供しなかったが、ELOが有意な改善を示したことを示す。最も興味深いことに、ELO及びSLの50:50ブレンドは、対照に対して同様の印象的な改善を提供した。ELOをSLと組み合わせることは、たとえSL自体がいかなる改善も提供しなかったとしても、性能のいかなる損失ももたらさなかったことが明らかに分かる。これは、エポキシ化油及びリン脂質含有材料の相乗的性能の明確な例である。グラナイト#1骨材についても同様の傾向が見られ得、SL添加剤はTSR値に対してより低い影響を与えたが、ELO及びSLの組合せはELO自体のものと統計的に同様のレベルで実行された。
【0094】
【表1】
*TSR(%)=(試験試料の間接引張強度÷未調整乾燥アスファルトミックスの間接引張強度)
*100
【0095】
実施例4-アスファルト煮沸試験を用いた相乗的接着促進特性の評価。
この実施例では、実施例2の50/50 SL/ELO添加剤ブレンドの相乗効果を、Virginia Department of TransportationのVTM-13標準手順に記載のアスファルト煮沸試験を用いて、実施例3のSL系添加剤及びELOの個々の使用と比較した。珪岩骨材を、アスファルトバインダーの0.5重量%の各添加剤を含有するPG64-22アスファルトバインダーで被覆した。表2に示される結果は、煮沸に供された後の骨材をコーティングする残留バインダーのパーセントを示し、より高いコーティングが望ましい。表2に示すように、SL成分とELO成分との組合せの相乗効果が、個々の成分の線形平均の性能を超える性能をもたらしたという結果は、先の実施例に示したのと同じ相乗効果を実証した。
【0096】
【0097】
実施例5-アスファルト用途におけるレシチン/エポキシ化再生可能油ブレンドによって示される相乗的剥離防止特性の評価。
本技術は、アスファルト舗装用途において接着性の予想外の相乗的改善を示す。Shaker Table Stripping Testを用いて剥離防止を評価した。前述のTSR及び沸騰試験に加えて、添加剤の剥離防止性能を、Shaker Table Stripping Testを使用して更に評価した。この試験は、ビチューメンで覆われた骨材を60℃の水中で一定時間、可変速度で軌道撹拌しながら調整した後の骨材とビチューメンとの間の親和性を評価するために使用される。試験方法は、Quebec DOT method(「The Evaluation of Binder Resistance to Stripping for a Given Aggregate Surface.」Quebec Department of Transportation,2002.)に基づいて適合された。全ての実施例において、方法は、200rpmの撹拌速度、60℃の試験温度、及び24時間の試験時間を有するように適合され、各実施例に記載されるように調製された75グラムのアスファルトミックス試料に使用された。好適な軌道撹拌速度は、1~300rpm、例えば、100~200rpmであり得る。好適な試験時間は、1~48時間、例えば6~24時間であり得る。ミックスの撹拌は、舗装混合物における潜在的な水分損傷をシミュレートし、水によるビチューメン被覆骨材の置換機構及び剥離の可能性を説明する。次いで、骨材上に保持されたビチューメンコーティングの百分率を、ビチューメンで覆われた岩石を定量化することによって視覚的に評価し、それによって、コーティングされた岩石の90%が、コーティングされていない岩石に対して合格であると考えられる。
【0098】
本実施例では、使用された鉱物骨材は、全て4.75mm~9.5mmのサイズであるように等級付けされた。骨材を流水下でふるい上で洗浄して、骨材の被覆表面積を妨害する可能性がある破片及び粉塵を除去し、その後、100℃の強制通風炉で乾燥させた。これらのプロセスに従って、Quebec DOT法で記録された試験結果の変動性を低減した。この手順は、現行のQuebec DOT剥離試験の改良である。調製されたアスファルトバインダーは、99.5wt%のビチューメン及び0.5wt%の実施例2のSL/ELOウォームミックス添加剤を含んでいた。ブレンドは、ビチューメンを強制通風炉中で150℃に加熱し、室温のSL/ELO添加剤を適切な重量で添加し、金属スパチュラを用いて30秒間ブレンドすることによって調製した。骨材の重量に対して3.2wt%のアスファルトバインダーを更に組み合わせ、鉱物骨材と2分間ブレンドした。添加剤の投入レベルは、骨材の表面化学及び等級などの骨材の鉱物特性に依存し得る。次いで、アスファルトバインダー-骨材ミックスを150℃の強制通風炉に入れて、骨材の均一なコーティングを確実にした。ミックスが均一に分散するまで、この手順を4~5回繰り返した。その後、完成したブレンドを移し、平らな表面上に均一に広げ、24時間硬化させた。約75gの材料及び100gの水を120mLボトルに移し、オービタルシェーカーテーブルに配置して、アスファルトミックスの剥離可能性を評価した。
【0099】
実施例2の50wt%SL及び50wt%ELO(50/50 SL/ELO)のウォームミックス添加剤ブレンドで改質されたPG 64-22アスファルトミックス。2つのタイプの骨材を使用した:ほぼ90%のCaCO3からなる石灰石(Agg「A」)、及び53.97%のCaCO3を含有する他の骨材(Agg「B」)。表3に示されるように、両方の骨材について、50/50 SL/ELO添加剤は、添加剤としてのSL及びELOの個々の性能の線形平均よりもより大きい剥離防止性能を示した。したがって、本技術のレシチン/エポキシ化再生可能油又は脂肪は、エポキシ化再生可能油若しくは脂肪単独又はレシチン単独と比較して、アスファルトにおける剥離防止特性の相乗的増強を示す。
【0100】
【0101】
実施例6-ウォームミックス特性の評価。
製造温度を低下させるウォームミックス添加剤の能力を測定する実験室方法の使用は、典型的には、密度目標を達成するための実験室圧縮機の高い効率のために困難であった。しかしながら、最近、そのような傾向を実験室で捉えるのを助けるために、Dongre Workability Test(DWT)が開発された。本実施例では、DWTは、リトニアグラナイト(Lithonia Granite)及びアスファルトバインダー中の0.5wt%用量のSL/ELO添加剤を用いて実施され、これは、剥離防止特性及びWMA特性の両方を有利に提供した。表1及び
図3に示されるように、SL及びELOブレンドは、仕上げローラ温度において2.4℃の低下及びブレークダウンローラ温度において7.3℃の低下を示した。表4は、アスファルトバインダー中のSL/ELO添加剤が、対照(添加剤なし)と比較して締固め温度を改善する(すなわち、低下させる)ことを示す。DWT温度は、可能な温度低下の実際の大きさの締固めに対して予想される傾向を方向的に示すと考えられ、現場では異なる可能性があり、おそらくはるかに大きい可能性がある。したがって、結果は、エポキシ化再生可能油又は脂肪及びリン脂質材料を含有するアスファルト添加剤がWMA特性を示し、締固めを補助することを示す。
【0102】
【0103】
実施例7-SL/ELO添加剤で改質されたアスファルトの貯蔵安定性。
4週間にわたって150℃で熱エージング試験を行った。ビチューメンミックスを上記の手順に従って調製し、150℃のオーブンに入れ、4週間にわたって放置した。アスファルト-添加剤混合物のサンプリングを各週の終わりに行い、剥離防止性能を試験するために骨材に適用した。ビチューメン被覆骨材を24時間振盪試験に付し、振盪瓶試験の完了後に骨材の目視評価を行った。結果は、ELO-SLの組合せを含有するアスファルトが、貯蔵試験中にELOよりも良好にその性能を維持することができたことを示す。ELO-SLブレンドよりもELO改質アスファルトブレンドでより早いスキニングも観察され、これはELO-SL改質アスファルトの有意により良好な熱安定性を示し得る。以下の表2に示されるように、%コーティングは、骨材上の無傷の被覆の程度を示した。以下の表5及び
図4に強調される結果は、本発明の組成物の相乗的影響を更に実証する。ELO-SLの組合せは、4週間の熱エージングにわたって剥離に対するより強い耐性を示した。
【0104】
【表5】
BWAA=添加剤-骨材ミックスの重量による。
【0105】
実施例8-ポリリン酸(PPA)とのバインダー適合性。
ELO、SL、又は50/50 ELO/SL添加剤で改質されたPG64-22バインダーの適合性を、バインダーがPPAでも改質された場合に評価した。得られたビチューメンのブレンドを、ASTM D7175(2015)に従って、動的剪断レオメータ(DSR)を使用して試験して、アスファルトバインダーブレンドの高温性能グレード(HTPG)を決定した。PPAは、アスファルトバインダーのHTPGを増加させると考えられる。しかしながら、アミン官能性添加剤などの高pH添加剤の使用は、この影響を中和し得る。したがって、添加剤とPPAとの適合性は、両方の添加剤の添加後にHTPGの損失がないこと(すなわち、より低い値)を実証することによって簡単に評価することができる。アスファルト添加剤(ELO、SL、及びSL/ELO)をビチューメンの総重量に対して0.5wt%添加することによって、改質アスファルトバインダーブレンドを調製した。次いで、ブレンドを155℃の強制通風炉中で10分間アニールし、金属スパチュラで混合し、続いて25mmのシリコーン型に注いだ。試料を少なくとも10分間冷却し、次いで、DSR上に置いて、3つの異なる温度58℃、64℃及び70℃で、12%の歪み及び10分のコンディショニングでHTPGを得た。
【0106】
【0107】
表6に示すように、ELO-SLの組合せを含有するアスファルトは、両方の添加剤を使用した場合にHTPGの統計的に有意な損失を示さなかった。2つの添加剤について両方の添加順序を試みたが、結果に影響はなかった。実施例は、本発明に記載の添加剤が、PPAを組み込んだアスファルト配合物と適合性であり、アミンベースの添加剤と比較してその有用性を著しく改善することを示す。
【0108】
実施例9-接着特性に対するエポキシオキシラン含有量(EOC)及びオキシラン分布の影響の評価。
本技術は、本明細書で実証されるように、レシチンなどのリン脂質含有材料を異なるエポキシ化油及び/又は脂肪と組み合わせることから得られる相乗的接着特性を示した。表7は、エポキシ化トリアシルグリセリド(TAG)(この場合、レシチンとブレンドされたESO及びELO)の%EOC包含の増加が、振盪ボトル試験の完了後のコーティングされた骨材の%パーセントによって測定されるように、接着促進剤としてのその有効性を改善したことを示す。表7に示すように、エポキシ化ブレンドのEOCが増加すると、コーティングの改善レベルも増加した。この理由から、ELOなどのより高い潜在的EOCを有するエポキシ化TAGの使用は、本技術の添加剤の接着特性を改善する。
【0109】
【0110】
実施例10-接着特性に対するエポキシ化油構造の影響の影響評価。
50%のエポキシ化大豆メチルエステル(ESME)を使用して2つの大豆レシチンブレンドを作製し、シェーカーテーブル試験の完了後の骨材コーティングに関して実施例9のESO/SLブレンドと比較した。ESME及びESOの平均EOCは非常に類似しているが、オキシラン官能基は、ESOについての平均約3つの脂肪鎖とは対照的に、ESMEについての単一の脂肪鎖にわたって分布している。表8に示す結果は、同じ量のオキシランがTAG構造全体に分布している大豆レシチンブレンドがより有効であったことを示す。したがって、エポキシ化メチルエステルをエポキシ化再生可能油及び/又は脂肪成分としてレシチンと共に使用することは、改善された接着性を示すが、エポキシ化再生可能油及び/又は脂肪としてのエポキシ化TAGと比較して、改善された接着性は少ない。
【0111】
【0112】
上記の非限定的な態様のそれぞれは、単独で成立することができ、又は本文書に記載される他の態様若しくは他の主題のうちの1つ以上の様々な順列若しくは組合せで組み合わせることができる。本発明を特定の態様で図示及び説明してきたが、当業者は、前述の明細書を読んだ後に、本明細書に記載の本技術に対する変更、均等物の置換、及び他のタイプの改変を行うことができる。上記の各態様はまた、他の態様のいずれか又は全てに関して開示されたような変形形態又は態様を含むか、又は組み込むことができる。
【0113】
本技術はまた、単一の例示として意図される、本明細書で説明される特定の態様に関して限定されるべきではない。前述の説明から当業者に明らかであるように、本技術の多くの修正及び変形が、その精神及び範囲から逸脱することなく行われることができる。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。本技術は、特定の方法、試薬、化合物、又は組成物に限定されず、これらは、もちろん変化し得ることが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲、その中の定義、及びその任意の均等物によってのみ示される本技術の広さ、範囲、及び趣旨を有する例示的なものとしてのみ考慮されることが意図される。
【0114】
本明細書に例示的に記載される態様は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素(単数又は複数)、限定(単数又は複数)の非存在下で適切に実施され得る。したがって、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などは、拡張的に、且つ限定なしに読まれるものとする。更に、本明細書で使用される用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、示され説明された特徴又はその一部の均等物を除外する意図はないが、特許請求される技術の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。更に、「本質的に~からなる」という句は、具体的に列挙された要素、及び特許請求される技術の基本的且つ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素を含むと理解される。「からなる」という句は、指定されていない任意の要素を除外する。
【0115】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者は、本開示が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーのサブグループに関しても記載されることを認識するであろう。一般的な開示に含まれるより狭い種及び亜属の分類のそれぞれもまた、本発明の一部を形成する。これは、削除される材料が具体的であるか否かにかかわらず、属から任意の主題を除去する条件又は負の限定を伴う本発明の一般的な説明を含む。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン脂質材料と、
約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有する、エポキシ化再生可能油又は脂肪と、
を含む、アスファルト添加剤。
【請求項2】
前記アスファルト添加剤が、約5:1~約1:5の前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪との重量比を含む、請求項1に記載のアスファルト添加剤。
【請求項3】
前記アスファルト添加剤が、約1:1の前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪との重量比を含む、請求項1又は2に記載のアスファルト添加剤。
【請求項4】
前記アスファルト添加剤が、前記アスファルト添加剤の総重量に基づいて、約10.0重量パーセント(wt%)~約80.0wt%の前記リン脂質材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項5】
前記リン脂質材料が、前記リン脂質材料の総重量に基づいて少なくとも約50wt%~100wt%のリン脂質を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項6】
前記リン脂質材料が、レシチン材料を含み、前記レシチン材料が、大豆レシチン、菜種レシチン、ヒマワリ種子レシチン、卵レシチン、ピーナッツレシチン、コーンレシチン、ウシ脳レシチン、ホホバレシチン、又はこれらの混合物を含み、並びに/あるいは前記レシチン材料が、約5wt%~約100wt%のアセトン不溶性物質を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項7】
前記添加剤が、前記アスファルト添加剤の総重量に基づいて、約10.0wt%~約80.0wt%の前記エポキシ化再生可能油又は脂肪を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項8】
前記エポキシ化再生可能油又は脂肪が、エポキシ化大豆油、エポキシ化キャノーラ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆メチルエステル、エポキシ化アマニメチルエステル、エポキシ化トール油脂肪酸(TOFA)、エポキシ化アセチル化トリアシルグリセロール、エポキシ化アセチル化ジアシルグリセロール、エポキシ化アセチル化モノアシルグリセロール、エポキシ化ホホバ油、エポキシ化2-エチルヘキシルソイエート、エポキシ化2-エチルヘキシルTOFA、エポキシ化イソアミルソイエート、エポキシ化イソアミルパームステアリン、エポキシ化イソアミルTOFA、エポキシ化イソアミルソイエート、エポキシ化大豆メチルエステル酢酸エストリド、又はこれらの混合物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項9】
脂肪酸材料を更に含み、前記脂肪酸材料が、大豆油、アマニ油、キャノーラ油、又はそれらの混合物を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項10】
前記添加剤が、前記添加剤の総重量に基づいて約0.1wt%~約40wt%の前記脂肪酸材料を含む、請求項9に記載のアスファルト添加剤。
【請求項11】
前記添加剤が、25℃で約20cSt~約10,000cStの粘度を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項12】
前記アスファルト添加剤が、ウォームミックスアスファルト(warm mix asphalt)添加剤又はホットミックスアスファルト(hot mix asphalt)添加剤であり、並びに/あるいは
前記アスファルト添加剤が、接着性、締固め、耐久性、剥離防止性、又はこれらの組合せを含むアスファルト用途における1つ以上の性能特性を向上させる、請求項1~11のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤。
【請求項13】
アスファルト用途における剥離を低減又は防止するための、アスファルト用途における締固め助剤としての、又はアスファルト用途において接着を促進するための、請求項1~12のいずれか一項に記載のアスファルト添加剤の使用。
【請求項14】
ビチューメン;並びに
リン脂質材料と、エポキシ化再生可能油又は脂肪であって、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有する、エポキシ化再生可能油又は脂肪と、を含むアスファルト添加剤;
を含む、アスファルトバインダーであって、
前記アスファルトバインダーが、前記アスファルトバインダーの総重量に基づいて約97.0wt%~約99.9wt%のビチューメンを含む、アスファルトバインダー。
【請求項15】
前記アスファルトバインダーが、前記アスファルトバインダーの総重量に基づいて約0.1wt%~約3.0wt%のアスファルト添加剤を含む、請求項14に記載のアスファルトバインダー。
【請求項16】
アスファルトコンクリートであって、
前記アスファルトコンクリートの総重量に基づいて、約0.25wt%~約8.0wt%のアスファルトバインダーであって、
ビチューメン;並びに
リン脂質材料及び約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有するエポキシ化再生可能油又は脂肪を含むアスファルト添加剤
を含む、アスファルトバインダーと、
前記アスファルトコンクリートの総重量に基づく鉱物骨材と、
を含み、
前記アスファルトコンクリートが、約92.0wt%~約99.75wt%の前記鉱物骨材を含む、アスファルトコンクリート。
【請求項17】
安定なアスファルト添加剤ブレンドを調製する方法であって、
リン脂質材料を、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有するエポキシ化再生可能油又は脂肪と組み合わせることと、
前記リン脂質材料と前記エポキシ化再生可能油又は脂肪とを高剪断下で混合して、アスファルト添加剤ブレンドを得ることと、
を含む、
安定なアスファルト添加剤ブレンドを調製する方法。
【請求項18】
アスファルトバインダーを調製する方法であって、
ビチューメンを、アスファルト添加剤であって、リン脂質材料と、約1.0%~約15.0%のオキシラン含有量を有するエポキシ化再生可能油又は脂肪と、を含む、アスファルト添加剤と組み合わせることを含む、
アスファルトバインダーを調製する方法。
【請求項19】
アスファルトコンクリートの、剥離を低減若しくは防止し、接着を促進し、締固めを補助し、且つ/又は耐久性を改善するための方法であって、
リン脂質材料及びエポキシ化再生可能油又は脂肪を含むアスファルト添加剤をビチューメンに組み合わせて、アスファルトバインダーを得ることと、
前記アスファルトバインダーを鉱物骨材に組み合わせて、アスファルトコンクリートであって、
約0.25wt%~約8.0wt%の前記アスファルトバインダーを含む、アスファルトコンクリートを得ることと、
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】