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  • 特表-安定な生物活性組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】安定な生物活性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/36 20060101AFI20240415BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240415BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 35/60 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240415BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20240415BHJP
【FI】
A61K47/36
A61K47/10
A61K47/02
A61K35/60
A61K47/46
A61K47/04
A61P29/00
A61K47/22
A23K10/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567959
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 GB2022051140
(87)【国際公開番号】W WO2022234279
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】2106400.1
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522292046
【氏名又は名称】リントベルズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ハウイー,ジョン・アラン
(72)【発明者】
【氏名】バイル,グレン・フランシス
(72)【発明者】
【氏名】シルコック,パトリック・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,トビアス・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ニコル,アレクサンダー・ジェームズ・ロス
【テーマコード(参考)】
2B150
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
2B150AA06
2B150AB03
2B150AE41
2B150CE26
2B150DD48
4C076BB01
4C076CC05
4C076CC50
4C076DD21U
4C076DD35
4C076DD38Q
4C076DD59Q
4C076DD59S
4C076EE30Q
4C076EE53
4C076EE56U
4C076FF63
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB29
4C087MA01
4C087MA05
4C087MA52
4C087NA03
4C087ZB11
4C087ZC61
(57)【要約】
1又は複数の不安定生物活性成分を安定化するための組成物であって、製剤は、少なくともカンテン及びグリセロールの保護マトリックスと、マトリックス中に埋め込まれた0.005~15重量/重量%の生物活性成分と、を含む、組成物、上記組成物を含む獣医学的使用のための動物用チュー、及びその製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の不安定生物活性成分を安定化するための組成物であって、製剤は、
少なくともカンテン及びグリセロールの保護マトリックスと、
前記マトリックス中に埋め込まれた0.005~15重量/重量%の生物活性成分と、
を含む、組成物。
【請求項2】
6~24重量/重量%、所望に応じて8~12重量/重量%の範囲内である水、及び/又は好ましくは0.4~1.6重量/重量%の範囲内である塩化ナトリウムをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カンテンが、1.4~9.6重量/重量%の範囲内であり、及び/又は前記グリセロールが、20~36重量/重量%の範囲内である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記生物活性成分が、グリーンシェルマッセル油、ホキ油、及び魚油、及び魚卵油から選択される1つの魚油類、又は2つ以上の魚油類の組み合わせである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
0.45~0.7の水分活性レベルを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
1つの塩化ナトリウム、水、米粉、糖蜜、アスコルビン酸、キャノーラ油、及び風味増強剤を少なくとも、又はその組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記マトリックスを通しての光の侵入を防止するために選択される着色剤を含み、好ましくは、前記着色剤は、カラメル又はカーボンブラックである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
医薬、所望に応じて獣医学的医薬として用いるためである、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記医薬が、炎症、又は炎症プロセスによって実質的に媒介される疾患の治療又は予防のためである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を含む動物用チュー。
【請求項11】
安定な生物活性組成物の製造方法であって、
6~25重量/重量%の水及び20~36重量/重量%のグリセロールを組み合わせて混合物を形成すること、
前記混合物に1.4~9.6重量/重量%のカンテンを、90~100℃で少しずつブレンドすること、
所望に応じて、増粘剤、甘味剤、着色剤、及び/又は塩のうちの1又は複数を添加し、好ましくは少なくとも5分間混合すること、
前記混合物を40℃未満まで冷却すること、
0.005~15重量/重量%の生物活性成分を前記混合物に添加して、生物活性マトリックスドウを作製すること、
前記ドウの温度を、段階的に、40℃から18℃まで低下させること、並びに
前記ドウを押出し、固化して、安定な生物活性組成物を形成すること、
を含む、方法。
【請求項12】
前記生物活性成分が、所望に応じて、アスコルビン酸及び/又は香料を含むがこれらに限定されない1又は複数のさらなる成分と予備ブレンドされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記カンテンが、高せん断を用いて前記混合物に添加される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
安定な生物活性組成物を形成するための請求項11~13のいずれか一項に記載の方法、及びその後前記組成物を切断し、成形してチューを形成すること、を含む、動物用チューの製造方法。
【請求項15】
動物の健康状態を維持又は改善するのに使用するための、請求項14に記載の方法から得られる動物用チュー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ヒト、又は愛玩動物若しくはペットなどの動物の健康状態を維持及び/又は改善することを意図する生物活性構成成分の送達には、いくつかの問題が生ずる。
【背景技術】
【0002】
生物活性構成成分を送達するために用いられる形態又はビヒクルは、様々であり得るが、主として、生物活性成分は、カプセル又は錠剤を介して送達される。これらの形態は、多くの場合、生物活性成分が製剤中に本質的に保護されることから、好ましいと考えられており、すなわち、多くの生物活性物質は、酸素、熱、光、及び/又は水分の存在下で酸化を受け易く、これらの条件のうちの1つ以上に対する曝露によって、生物活性物質の健康有益性が無効となってしまう可能性がある。
【0003】
錠剤及びカプセルは、生物活性構成成分の効力を保護するための信頼性を高めるが、経口による生物活性剤の送達の場合、必ずしも有効なビヒクルではない。これらの形態は、多くの場合、小児、高齢者を例とするある特定のグループ、又は愛玩動物に対して投与することが非常に困難であり、なぜなら、全体をそのまま飲み込む必要があり、そうでなければ、噛んだ場合に不快なドライ粉末を形成するからである。このタイプの製剤は、特に好都合でも、又は効率的でもない(それは、反射的に口から吐き出される場合があり、喉に押し込んで飲み込む動作を促さない限り、繰り返し拒否され得る)。したがって、有用なチュアブル組成物、特に二相組成物を製剤することは、困難であり得る。
【0004】
練り歯磨きなどの他の製剤は可能であるが、他の欠点を抱えており、すなわち、小児又はペットの歯を磨くことは、困難又は不可能であり得ることから、生物活性物質を練り歯磨き製剤中に含めることは、小児又はペットに有効量の生物活性構成成分を送達するための信頼できる手段ではない場合が多い。加えて、多くの場合、練り歯磨きは摂取されないことから、摂取される必要のある生物活性物質の送達を困難としている。
【0005】
別の選択肢として、噛む製品(chewing products)が、生物活性成分でコーティング又はスプレーされる場合もある、又は生物活性物質が、噛む製品の表面上に部分的に埋め込まれる場合もある。しかし、生物活性物質を有効な形態で信頼性高く送達するチュアブル製品を製剤することは困難であり得、なぜなら、酸素、熱、光、及び/若しくは水分への曝露後、又はヒト若しくは動物による最初の使用後、生物活性成分は、その効力を失い得るからである。したがって、生物活性成分の有効性は、その使用の一部又は大部分において製品中に維持されない。その結果、ヒト又は動物は、製品から最適未満の量の生物活性成分を受けることになり、その効果から考え得る最大限の有益性は得られない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、本技術分野において提示される課題を克服したいという考えから、特に、少なくとも1つの生物活性成分のヒト又は愛玩動物などの動物への有効な経口送達を容易とする組成物を提供したいという考えから生じている。
【0007】
さらに、新規組成物が、味が良く及び/又は食べられ、ヒト又はペットに対して健康状態のケアを提供することが望ましい。
本明細書で開示される本発明は、1又は複数の容易に酸化される生物活性構成成分を安定化するための組成物であり、この製剤は、少なくともカンテン、グリセロール、塩、及び水のマトリックス、並びにマトリックス中に埋め込まれた0.005~25重量/重量%の範囲内の1又は複数の容易に酸化される生物活性成分を含む。
【0008】
生物活性成分は、製剤されて製品となった場合であっても、不安定であり得るため、製品の有効期間と比較して早期にその作用能力を喪失し得る。本明細書で開示される本発明の組成物は、生物活性成分を安定化して、生物活性物質の効力が維持され、ヒト又は動物による使用の過程で製品が有効であることを確実にする。生物活性油など、典型的に酸化を起こしやすい生物活性成分は、本明細書で開示される組成物中に製剤された場合、特定の用途が見出される。生物活性油(例:オメガ-3魚油類)は、ヒト及び愛玩動物の健康状態を改善するのに有効であるとして充分に確立されているが、これらの成分は、特に効力を喪失し易い。水分、酸素、光、及び/又は温度変化などの一般的な環境条件への曝露が、典型的には生物活性油の酸化を引き起こし、生物活性油の効力を劇的に低下させる。多くの場合、酸化された油は毒性である。
【0009】
しかし、本発明の組成物は、そのような欠点を有しておらず、なぜなら、製剤のマトリックスが、酸素、水分、及び/又は光の吸収を低減及び/又は防止し、それによって、生物活性成分の効力がこれらの条件による影響を受けず、その結果として製品が毒性となり得ないように、生物活性成分を保護するからである。安定化された生物活性物質はまた、押出されて、有用な最終形態とされてもよい。チュアブルであるテクスチャを作製するために水分が必要とされるが、同時に、生物活性を保持するためには、水分活性が0.7未満という低さであることが必要とされることも分かっている。したがって、高水性媒体による、カプセルなどのシェル内での送達は、この要件を満たさない。本発明者らは、ドライ構成成分対ウェット構成成分の比が50:50で、そのうち水を最初はウェット構成成分の50%以下とすることによって、適切な堅さが実現されるものと確定することができた。しかし、さらなる評価により、単一相製品(したがって、保護又は送達のためのシェルが不要)のための所望される物理的特徴を有するが、必要な生物学的活性も維持される製品を製造するために、水分含有量は、24重量/重量%を超えるべきではなく、理想的には、その値のおよそ半分である12重量/重量%であることが分かった。
【0010】
有利なことには、錠剤又はカプセルなどの従来の送達ビヒクルと比較して、この製剤は、非常に味の良いものでもある。テクスチャは柔らかくチュアブルであり、製剤の味が許容されるものであることで、乳児、高齢者、及び愛玩動物などのある特定の哺乳類グループにおける経口投与がより容易となる。口の中に入れると、レシピエントは、硬い又は不快な味のカプセル又は錠剤を反射的に拒否しようとするのではなく、この組成物を受け入れる可能性が高い。実施形態では、組成物の水分含有量は、およそ8~12%であり、このことが、製品の最終的な柔らかいテクスチャを実現する補助となるが、必要な生物活性は維持する。
【0011】
実施形態では、カンテンは、1.4~9.6重量/重量%の範囲内であり、及び/又はグリセロールは、20~36重量/重量%の範囲内であり、及び/又は塩化ナトリウムは、0.4~1.6重量/重量%の範囲内であり、及び/又は添加される水は、6~24重量/重量%、より好ましくは6~18重量/重量%若しくは6~12重量/重量%の範囲内である。
【0012】
特に、好ましい実施形態で見出されるカンテン、グリセロール、塩化ナトリウム、及び水の相対比は、酸化反応に関与するのに自由に利用可能である最終製品中の水(水分活性)を低いレベルに維持するが、最終製品の味の良いテクスチャ及び柔らかさは依然として維持することを補助するのに役立ち得る。カンテン、グリセロール、塩化ナトリウム、及び特に添加される水の比は、0.45~0.7以内である必要な最終水分活性範囲を実現するために操作される。さらに、これら4つの成分の相対比は、酸素及び水分を排除する能力が改善されるようにマトリックス構造を形成する補助となり、それによって、組成物中の生物活性を維持するのに役立つ。
【0013】
単独では容易に酸化し、不安定である生物活性成分は、特に、上記で開示される本発明の範囲内で製剤されることからの有益性を得る。実施形態では、生物活性成分は、したがって、魚油類などの生物活性油、ビタミンC、及びアントシアニン、又は場合によってはこれらの組み合わせから選択される。これらの成分は、本発明の組成物中で非常に優れた安定性を維持し、したがって、味が良く、経口での消化が容易であり、栄養的有益性を有する有用で安定なチュー(chew)を提供することが示された。魚油類などの生物活性油は、特に有効な生物活性剤であり、ヒト及び愛玩動物において抗炎症効果を提供する。実施形態では、生物活性油は、1又は複数の魚油類である。本発明のこの実施形態は、生物活性魚油類が非常に高いオメガ3含有量を有することから、有利である。これらの油は、非常に不安定であり、特にオメガ3成分は、光、酸素、熱、及び水分に曝露されると容易に酸化される。さらに、これらの魚油類が酸化すると、過酸化物が形成され、これは望ましくない。過酸化物は、有用な生物学的効果をもたらさず、毒性であり得、ヒト及び動物にとって味の良いものではない。容易に酸化して味が悪くなる又は毒性となる魚油類などの生物活性成分は、したがって、本発明の組成物内に製剤されると、特に有益である。
【0014】
実施形態では、魚油類は、高オメガ3含有グリーンシェルマッセル油(green shell mussel oil)、ホキ油、及び濃縮魚油のうちの1又は複数から選択されるが、この選択肢又は選択肢の組み合わせに限定されない。これらの魚油類は、ヒト及び愛玩動物において非常に望ましい抗炎症効果を提供することから有用である。環境条件に対する感受性にもかかわらず、本発明の組成物は、魚油類成分の生物活性を保護する。
【0015】
好ましくは、組成物は、柔らかさ及びテクスチャを維持して味の良さを改善するために、水、限定されないが米粉、小麦粉、トウモロコシ粉が挙げられる細粉、及び限定されないがキャノーラ油、オリーブ油、ヒマワリ油などが挙げられる油、のうちの1又は複数から選択される1又は複数の構成成分をさらに含み得る。
【0016】
実施形態では、これらの構成成分のうちの1又は複数の組み合わせは、柔らかくしっとりしているが、強固な構造は維持するテクスチャの組成物を提供する。実施形態では、上記で記載した賦形剤の1つ又は組み合わせは、特にヒト、並びにネコ及び/又はイヌなどの愛玩動物にとって味の良い組成物を提供する補助となる。
【0017】
好ましくは、組成物は、味の良さを維持し、改善するために、グルコースシロップ、糖蜜、蜂蜜、ステビア、スクロースなどが挙げられるがこれらに限定されない甘味剤、及びベリー、BBQなどが挙げられるがこれらに限定されない風味増強剤などのうちの1又は複数から選択される1又は複数の構成成分をさらに含み得る。
【0018】
実施形態では、組成物は、カラメル又はカーボンブラックから選択される着色剤を含む。そのような組成物は、有利には、マトリックス中に光が侵入して生物活性を損なうことに対する防御をさらに提供する。
【0019】
本明細書において上記で述べた内容のいずれかに従う組成物を含む、ヒト又は愛玩動物のためのガム、チュー、又はチュアブル製品であって、製品は、一口サイズである。愛玩動物の場合、製品は、有利には、望ましい噛む製品に特徴的である他の特性を維持し得る。
【0020】
チュアブル製品は、ペットの遊ぶ習性を本質的に利用しており、これは特にイヌ及びネコの場合に当てはまり、したがって、同時に歯を磨く補助にもなり得る。本発明はさらに、愛玩動物のための、上記開示内容に従う組成物を含むチュー又はデンタル製品にも関する。柔らかいが強固である構造を有する本発明に従う味の良いチュー又はデンタル製品は、組成物がゆっくり崩壊し、その効力を維持しながら生物活性物質の放出を制御する補助となるため、好ましい。
【0021】
本発明のチューが動物によって繰り返し用いられる愛玩動物の場合では、生物活性物質の生物学的有効量が吸収される可能性が高い。チュー製品の強固な性質は、動物が断続的に、長い期間にわたって噛むことができ、生物活性油からの持続的な有益性が送達されることから、特に有利である。
【0022】
実施形態では、本発明は、本発明の組成物を含む、愛玩動物のためのデンタルケア製品にまで拡張され得る。有利には、そのようなデンタルケア製品は、ペットに継続的に組成物を噛むことを続けさせ、同時にペットの歯肉線を清浄化することによって歯の健康状態を改善する、及び 又は頑固な歯垢及び歯石の蓄積を低減するためのフロッシング作用を提供する。デンタル製品はまた、ペットの息をフレッシュにする補助にもなり得る。
【0023】
有利には、全体的な動物及びヒトの健康状態に対する改善を提供すると共に、組成物は、治療効果を提供することが知られている生物活性油を有効に送達することができることから、上記開示内容に従う組成物又は(組成物を含む)チューは、有効な送達ビヒクルとして、したがってより有用な医薬として用いることもできる。
【0024】
特に、魚油類、特に記載した魚油類であるグリーンシェルマッセル油、ホキ油、及び濃縮魚油Vivomega(商標)などの本明細書で述べるタイプの生物活性油は、ヒト及び愛玩動物において治療的抗炎症効果を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、医薬として有用であり、この場合、安定化されるべき生物活性成分は、治療効果を有し、本明細書で述べる生物活性油、並びに有効な送達のために有効に安定化することができるアントシアニン及びビタミンCなどの他の生物活性成分などである。実施形態では、組成物は、ヒト及び愛玩動物における、炎症若しくは炎症性疾患、又は炎症経路によって媒介される疾患の治療又は予防に特に有用であり得る。
【0025】
実施形態では、本発明はしたがって、さらに、健康状態を維持するための、それを必要とするヒト又は動物に上記で述べる組成物を投与することを含む方法にも関する。実施形態では、本発明はさらに、炎症の予防若しくは治療のための、又は炎症の低いレベルを維持するための、それを必要とする動物に本明細書で述べる組成物を投与することを含む方法も含む。
【0026】
本発明は、安定な生物活性組成物を製造するための方法にも拡張され、その方法は、水とグリセロールとを混合すること;グリセロール/水混合物に少しずつカンテンをブレンドし、好ましくは95℃まで加熱し、所望に応じて、増粘剤、甘味剤、着色剤、及び/又は塩のうちの1又は複数、及び好ましくは少なくとも5分間混合すること;混合物を40℃未満まで冷却すること;混合物に生物活性成分を添加して、生物活性マトリックス混合物を作製すること;及びドウが形成されるまで混合すること;ドウの温度を、注意深く制御される多段階で40℃から18℃まで低下させること;並びにドウを押出し、固化して、安定な生物活性組成物を形成すること、を含む。
【0027】
さらに、安定な生物活性チュー組成物を製造するための方法は、水とグリセロールとを混合すること;グリセロール/水混合物に、好ましくはおよそ90~100℃で、段階的にカンテンをブレンドすること;米粉などの増粘剤の1又は複数をブレンドし、水和したカンテン混合物に、所望に応じて糖蜜などの甘味剤と共に添加し、及び混合物を、好ましくはおよそ35~45℃まで冷却し、続いて生物活性油成分を、好ましくはキャノーラ油及び香料構成成分のうちの1又は複数と共に混合することによって生物活性ブレンドを形成し、及びマトリックスにブレンドして、温度を35~45℃に維持しながら生物活性ドウ組成物を形成すること;ドウの温度を、段階的に、好ましくは40℃から35℃まで、続いて35℃から25℃まで低下させ、及び生物活性ドウ組成物を押出し、その後18℃でドウを固化すること、を含む。
【0028】
本出願者は、数多くの製造方法を調べた。本明細書で発明された方法は、定められた範囲内の一式の特定の必須成分の特徴と、生物活性物質がマトリックス内に正しく構造化されているが、それでも押出し可能であり(その後、固化のために成形される)、用途に適するテクスチャに形成可能であり、生物活性を維持している形態に製造される組成物の製造を可能とする適切な条件とを必要とする。本出願者は、本明細書で述べる用途に必要な特徴を備えた組成物を製造するために、固化前段階での組成物の堅さ及び構造内での生物活性物質の安定性が必要であると判断した。
【0029】
本出願者は、生物活性油成分を主要な構成成分マトリックス中に統合するための厳密なブレンドプロセスを用いてドウテクスチャを作製し、さらにドウの最終製造における主要な段階で、制御された段階的な温度低下プロセスを行って生物活性組成物を得ることによって、押出しに適するテクスチャ及び堅さを備えた生物活性組成物を製造することができた。有用なことには、押出されたドウ組成物は、その時点で、マトリックスが固化する前に切断及び 又は成形されるべき特徴を有しているが、最終製品は、望ましい柔らかくしっとりした生物活性形態を維持し、同時に組成物の不安定な活性要素を充分に安定化させるその特徴からの有益性も得ている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の方法の実施形態に従う各成分の段階的添加及び生物活性組成物を得るのに必要とされる段階的温度制御の主要な段階を示す製造フローチャートを提供する。
図2図2は、本発明に従う組成物の安定性を示すデータをグラフで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の記述は、単なる例示の性質のものであり、本開示、用途、又は使用を限定することを意図するものではない。また、図面全体を通して、対応する符号は、同じ又は対応するパーツ及び特徴を示すことも理解されたい。
【0032】
ここで図1を参照すると、安定な生物活性組成物を製造するための一実施形態に従うプロセス/方法の例が提供される。適切な製品の製造に必要とされる方法について本出願者が調べる過程において、様々なマトリックス成分、具体的には水、カンテン、及びグリセロール、並びにそれらの様々な比、さらには異なるプロセス条件について調べ、最終製品の特定の特徴に対する影響を特定した。
【0033】
成分の選択を、味の良い柔らかい製品を製造し、他の方法では不安定と見なされる生物活性要素をそのような組成物内に良好に製剤することができるかどうかを確立するためのマトリックスを作製するという観点から行った。
【0034】
以下の表1は、組成物中の主要な成分の例及び実用範囲を含む本発明の組成物の実施形態を例示する。
【0035】
【表1】
【0036】
本出願者は、そのようなマトリックスが、環境条件への曝露時に生物活性物質を容易に酸化することから保護するという観点で、例えば図1に概説するような新規な方法及び組成物を作製した。本発明者らの関心が特に高い生物活性成分は、魚油類などの不安定油を含んでいた。いくつかの実施形態では、方法で用いた成分は、これまでに記載した実施形態に従う量又は比を有していた。
【0037】
その方法の1つの例では、マトリックスの第一の必須成分であるグリセロールを、水と組み合わせて、混合する。混合物を、好ましくは95℃まで加熱する。第二の必須成分であるカンテンを、水/グリセロール混合物に少しずつブレンドし、それによってカンテンが水和された状態となる。好ましくは高せん断を用い、マトリックス混合物を、その後およそ10分間にわたって保持する。少なくとも塩、米粉、及び糖蜜を含み、米粉と塩とは予備混合されていてよい所望に応じて好ましい賦形剤の第一のセットを、マトリックスにブレンドし、好ましくはおよそ5分間にわたって混合し、その後混合物を40℃未満に冷却する。
【0038】
生物活性魚油類などの生物活性構成成分を、冷却したマトリックスに添加する前に、所望に応じて、アスコルビン酸(ビタミンC)及び香料を例とするいくつかの他の好ましい賦形剤と予備混合する。キャノーラ油及び 又はオレオレジンBBQなどのさらなる賦形剤を添加して(およそ40℃で)、ドウ堅さを作り出す。
【0039】
最後に、40℃から25℃まで、及び最終的に18℃までの制御された段階的な温度低下を適用し、ドウを押出し、固化する前に成形/切断して、およそ5gのチューを例とする個々の一口サイズ製品とする。段階的に低下させることは、適正な堅さ、及びしっとりした味の良いチュー製品を実現するために非常に重要である。
【0040】
ここで図1及び図2を参照すると、本出願者は、典型的な不安定生物活性成分を、上記で述べ、表1(及び以下の表2)に関連するチュー製品などの組成物中に製剤することが、比較的安定な製品が得られる結果をもたらすものと確定することに成功した。
【0041】
試験により、得られた組成物は、環境感受性の生物活性成分を容易に酸化することから保護することができる程度に、明確な保護的特徴も提供することが確認された。
本明細書の実施形態の例では、高度に不安定で容易に酸化されることが知られている高オメガ-s含有魚油類を生物活性成分として用い、試験される組成物中に製剤した。続いて、組成物の例の保護的性質を特定した。
【0042】
組成物を、表1に提供される成分の他の量/比に応じて、比較的高いレベル(10重量/重量%)の不安定生物活性物質で作製した。
3つの異なるオメガ3リッチ魚油類、すなわちグリーンシェルマッセル油、ホキ卵油、及び魚油を、上記で述べた方法における不安定生物活性成分として用いて、3つの異なるチュー組成物を製剤した。
【0043】
これらの組成物を次に、製剤していない各種生物活性油サンプルと比較した試験に供して、安定性の何らかの変化を特定するための人工的に高められた環境中、製剤した組成物の効果を特定した。時間ゼロにおいて、組成物の例の各々を、温度35℃及び湿度レベル99%で照明が施されたインキュベーターに入れた。比較純油サンプルを、同時に同じインキュベーターに入れた。そのような環境条件は、典型的に不安定な生物活性物質を短時間で分解させると考えられるものと想定された。
【0044】
1週間後に、組成物の例及び比較純油サンプルをインキュベーターから取り出した。
組成物が何らかの保護効果をもたらしたかどうかを判断するために、保護されていない純油サンプル中で発生した化学的分解の程度を、組成物の例と比較して調べた。化学的分解の度合いは、組成物から抽出された生物活性油中の過酸化物レベル及び純油サンプル中の過酸化物レベルを測定することによって特定した。
【0045】
結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
純油サンプルは、その週の間に過酸化物レベルを大きく上昇させ、予想された明確な化学的分解を示した。図2は、点線のプロットによって示されるように、この変化を明示しており、図中、丸印のプロットは魚油サンプルであり、四角印のプロットはミドリイガイ油(green-lipped mussel oil)サンプルであり、三角印のプロットはホキ卵油サンプルである。Y軸が対数スケールであることには留意されたい。
【0048】
対照的に、同じグラフの実線のプロットによって示されるように、同じ油を含むが本発明に従って製剤された(及び本発明のすべての特徴を有する)比較される組成物は、過酸化物レベルの上昇を示さなかった。丸印プロットは、10重量/重量%の魚油を含む製剤された組成物を指し、三角印プロットは、10重量/重量%のホキ卵油を含む製剤された組成物を指し、四角印プロットは、10重量/重量%のミドリイガイ油を含む製剤された組成物を指す。
【0049】
本出願者は、本明細書で述べる本発明の組成物が、とりわけ、本技術分野で実現されてきたよりも効率的な方法で容易に送達可能である有用な製剤中において環境感受性の(保護なしでは容易に酸化される)生物活性成分を安定化させる保護機能を含む、明確な技術的効果を提供するのに成功していると考える。
【0050】
さらに、記載の方法に従って作製される組成物は、上記生物活性物質をヒト又は動物に、特にイヌなどの愛玩動物、幼児、又は高齢者に関して、味の良い形で送達することができる形態を含む、その結果として得られる数多くの技術的有益性を提供する。
【0051】
本発明を明示する目的で、ある特定の代表的な実施形態及び詳細事項を示してきたが、当業者であれば、以下の添付の請求項でさらに記載される本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更が成され得ることは明らかであろう。
図1
図2
【国際調査報告】